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貧困スレ

1チバQ:2009/10/21(水) 21:46:08
労働運動スレより独立
非正規雇用・母子家族などなど貧困にかかわるさまざまな話題を収集するスレ
主にルポ系の記事がメインになりそうな予感

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009102002000236.html
日本の貧困率15・7% 07年 98年以降で最悪
2009年10月20日 夕刊
 厚生労働省は二十日、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」を初めて発表した。二〇〇七年は15・7%で、七人に一人以上が貧困状態ということになる。十八歳未満の子どもの貧困率は14・2%だった。
 厚労省は国民生活基礎調査の既存データを使い、一九九八、〇一、〇四、〇七の各年にさかのぼり、経済協力開発機構(OECD)が採用している計算方式で算出。〇七年の全体の貧困率は九八年以降で最悪、子どもは〇一年に次ぐ水準だった。
 長妻昭厚労相は同日の会見で「子ども手当などの政策を実行し、数値を改善していきたい」と述べ、同手当を導入した場合に貧困率がどう変化するかの試算も今後公表することを明らかにした。
 政府は六〇年代前半まで、消費水準が生活保護世帯の平均額を下回る層を「低消費水準世帯」と位置付け増減などを調べていたが、その後は貧困に関する調査はしていなかった。相対的貧困率は、全人口の可処分所得の中央値(〇七年は一人当たり年間二百二十八万円)の半分未満しか所得がない人の割合。
 全体の貧困率は九八年が14・6%、〇一年が15・3%、〇四年が14・9%。〇七年は15・7%と急上昇しており、非正規労働の広がりなどが背景にあるとみられる。


関連しそうなスレ
労働運動
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1114776863/l50
社会福祉総合スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1225898224/l50
農業総合スレ(限界集落もこのスレの対象かも・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1060165378/l50
人口問題・少子化・家族の経済学 (母子家庭など)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1148427444/l50
文部スレ (新卒採用問題なども・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/l50

451名無しさん:2015/05/10(日) 21:45:27
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150501-00070894-diamond-soci
貧困状態でも生活保護を選べないシングルマザーの葛藤
ダイヤモンド・オンライン 5月1日(金)8時0分配信

 2人の親がいても、育児は難事業。ひとり親家庭には、育児という難事業を一人で行う困難がある。さらにシングルマザーに対しては、女性ゆえの不利や困難が加わりやすい。

 今回は、生活保護より幅広く利用されている児童扶養手当を中心に、シングルマザーの置かれている状況を大づかみに見てみたい。どのようなシングルマザーがいて、どのような経済的支援を利用しているのだろうか? 

● シングルマザーが支える 母子の「暮らし」とは? 

 「子どもの貧困問題との関連で、『シングルマザーは、こんなに大変で悲惨』というトーンの報道、あるいは支援者からの訴えが増えています。シングルマザーの困窮はひどくなっていますが、そうかといって、全てのシングルマザーがそういう目で見られたいと思っているわけではありません」

 赤石千衣子さん(「NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長)は、「性差別に抑圧され続け、貧困状態にある母親と子ども」というイメージに傾きがちな私に、にこやかにクギを刺す。

 「私たちのところ、『しんぐるまざあず・ふぉーらむ』に来るお母さんたちの状況は、本当にさまざまです。子どもさんの数と年齢、職業、収入、学歴、DV被害に遭ったことがあるかどうか……など。私たちは当事者の団体なので、『生活困窮者支援』を前面に出している支援団体に相談に行くシングルマザーの方々に比べれば、平均年収は高いです」(赤石さん)

 1980年代初頭、自身もシングルマザーである赤石さんが設立した「しんぐるまざあず・ふぉーらむ(以下、ふぉーらむ)」は、2003年にNPO法人格も取得。調査研究・政策提言などを行う一方、電話相談・直接支援・交流会・相談会・支援者育成・親子の旅行など、さまざまな直接・間接の支援活動を展開している。

 約400人の会員は、多数のシングルマザー・若干のシングルファザー・支援や応援を行う賛助会員から成っている。シングルマザーたちの背景は、ひとり親になった経緯だけでも、離婚・非婚・未婚・死別とさまざまだ。

 「ふぉーらむ」の事務所は東京にあるため、会員の居住地も活動も、関東が中心になりやすい。しかし、年4回発行される会報とインターネット上の交流の場がある他、北海道・岩手・福島・関西・出雲・松山・福岡・沖縄に姉妹団体がある。

 2015年3月10日、「ふぉーらむ」と姉妹団体の全国的な連携により、「子どもの育ちを保障し居場所を広げる支援を求める声明」が発せられた。

 「(川崎中1殺害事件の被害者)上村遼太くんのお母さんの『遼太が学校に行くよりも前に私が出勤しなければならず、また、遅い時間に帰宅するので、遼太が日中、何をしているのか十分に把握することができていませんでした』『今思えば、遼太は、私や家族に心配や迷惑をかけまいと、必死に平静を装っていたのだと思います』という言葉は、多くのひとり親家庭の親と子が置かれている状況を伝えており、私たち母子家庭の親として、いつ私たち親子に起こってもおかしくない事件だと感じ、胸が張り裂ける思いです」

 という書き出しで始まるこの声明は、子どもの貧困・ひとり親家庭の貧困・母子家庭の貧困をデータによって示し、ついで、

 「子どもの貧困対策推進の大綱では、保護者の就労支援として、「家庭で家族が接する時間を確保する。また、貧困の状態が社会的孤立を深刻化させることのないよう配慮する」とありますが、実効的な施策は不十分です」

 と、政府施策の不備を指摘する。

452名無しさん:2015/05/10(日) 21:45:47
>>451
 さらに、

 「ひとり親家庭の子どもたちの健全な育ちが保障されていないために起きるこうした事件が続けば、社会全体を不安定化させることにつながりかねないのです」

 と、決して「母親の自己責任」と放置するわけにはいかない社会的問題であることを示している。最後に、児童扶養手当の増額・生活保護の漏給問題(利用資格がありながら利用していない人々が多数存在する問題)の解決・スクールソーシャルワーカーを活用できる体制の整備・学習支援のみならず子どもたちの居場所を確保することの4点を提言している。

 ひとり親世帯・特に母子世帯に対する公的支援のメニューは、これまでも「ない」わけではなかった。昭和20年代、「近代国家にふさわしい社会保障とは? 」が政治の大きな課題であった時期、第二次世界大戦によって生み出された多数の孤児・寡婦・戦争による死別母子世帯の救済は重点的課題の一つであった。

 戦後、GHQは戦死遺族への給付を禁じていたが、日本の独立後は、遺族年金が戦死遺族に給付されるようになり、続いて死別母子家庭にも遺族年金が支給されるようになった。全国未亡人連絡協議会が活発に活動し、母子福祉年金(1986年以後は遺族基礎年金)などを政府に要求してきた。しかし、しかし、あくまでも死別母子家庭中心の制度であった。遅れて1961年、生別母子家庭にも児童扶養手当が給付されるようになっていった。

● 「児童扶養手当」が ひとり親世帯の命綱? 

 「まず、現在の制度とお母さんたちのニーズの間に、大きなギャップがあるんです」(赤石さん)

 現状、制度の利用状況は、どのようになっているのだろうか? 

 「厚労省の最新の調査結果(平成23年度全国母子世帯等調査結果報告)では、シングルマザーの14.4%が、生活保護を利用しています。8.5%は、公的年金を利用しています。死別だと遺族年金を受給できることがあり、シングルマザーの6.4%は実際に利用しています。死別だと、遺族基礎年金または遺族厚生年金(夫が厚生年金に加入していた場合)を受給できます」(赤石さん)

 この他に、シングルマザー自身が障害者である場合もある。シングルマザーの1.5%は障害年金を利用している。

 遺族基礎年金額は。子どもの加算が加わると年間で100万円程度となり、児童扶養手当の満額支給の額(2015年4月現在、4万2000円)の2倍程度となる。遺族厚生年金があれば、かなり「生活は保障されている」と言うことができ、母親がパートで働いても生活は成り立っていく。死別母子家庭と生別母子家庭には、給付額でも大きな差がある。ちなみに、公的年金と児童扶養手当の併給は認められていない(2014年12月、児童扶養手当以下の低年金である場合は、児童扶養手当との差額が受給できるようになっている)。

 「児童扶養手当は、シングルマザーの圧倒的多数、73.2%に利用されています」(赤石さん)

 ひとり親世帯に対し、子ども1人の場合は1ヵ月あたり最大4万2000円(満額)が支給される「児童扶養手当」は、現在のところ、ひとり親世帯の「命綱」なのだ。なお、1961年の制度創設時は母子家庭に限定されていたが、2010年以後は父子家庭も対象とされている。

453名無しさん:2015/05/10(日) 21:46:10
>>452
● なぜ、シングルマザーたちは 生活保護を選ばないのか? 

 ひとり親家庭の相対的貧困率は54.6%(2012年、厚生労働省の調査[PDF]による)。シングルマザーに限定すれば、さらに高いだろう。児童扶養手当が、シングルマザーの73.2%に利用されている一方で、生活保護を利用しているのは、シングルマザーの14.4%。母子家庭の相対的貧困率を60〜75%と控えめに見積もれば、生活保護の捕捉率(利用資格のある人のうち利用している人の比率)は20〜25%程度であろう。

 なぜ、シングルマザーたちは生活保護を利用しないのだろうか? 

 一例として、東京都に住む、子どもが2人いるシングルマザーを考えてみよう。母親は38歳、子どもは中学生1人・小学生1人とする。

 母親自身は、非正規雇用ながらフルタイム雇用で「社保完」とする。収入は額面で19万、手取りは15万円といったところだろうか。これだけなら、生活は「カツカツ」だ。

 しかし、児童扶養手当3万7000千円(年収が130万円を超えているので減額され、子ども2人でこの金額となる)・東京都の児童育成手当2万7000円(子ども2人分)を加えると、毎月の収入は21万4000円となる。しかし、生活保護費(生活扶助・住宅扶助・母子加算・児童養育加算)は26万7000円。生活保護基準以下の生活であることは間違いない。

 「生活保護基準以下の収入ではあるけれども、生活保護を受けたいと思っていない、といいますか、考えたこともない方は、たくさんいると思います」(赤石さん)

 理由は? 

 「健康保険証が使えず、医療券で医者にかかるなど『制約が大きい』と思っているんです。スティグマの問題もありますし。だから、望まないんです」(赤石さん)

 「その判断は、間違ってはいない」と認めざるを得ない。「自立支援」の名のもとに、行政に痛めつけられる可能性もある(前回参照)。やっと就労でき、就労を継続したら、次は生活保護基準以上に稼げる職業に就くことを求められる。子どもが2人いれば、東京都で手取り年収350万円程度が目安となる。可能性はゼロではないだろう。でも、生活保護を必要としているシングルマザーの多くにとって、実現可能性はどの程度だろうか? 

 さらに地方では、「生活保護か、車か」の究極の選択となりやすい状況がある。もちろん生活保護を利用していても、職業・障害などの理由によって自動車の保有・運転を許可される場合もある。しかし、そのような運用は極めて限定的かつ例外的だ。

 生活保護制度は、「最低限度だけど、健康で文化的な生活」、つまり「ゼイタクではないけれど、普通の暮らし」を実現するためにある。しかし現在では、利用しないでいれば苦しく、利用しても苦しい。「利用しないでいれば苦しい」を少しでも緩和できるのは、児童扶養手当。

 本来ならば、困難な状況にあるシングルマザーに「究極の選択」を迫る状況自体が、解決されるべき問題だ。しかし、目の前の子どものためには、その解決を待っているわけにはいかない。

454名無しさん:2015/05/10(日) 21:46:30
>>453
● 「母親の自己責任なら給付されない? 」 児童扶養手当の不適切な運用

 児童扶養手当は、シングルマザーたちにとって、生活保護よりは利用しやすい制度である。しかし、生活保護の「水際作戦(申請権侵害)」と同様に、行政によって不適切な運用がされることも多い。

 「たとえば、結婚しないで子どもを産んで児童扶養手当を申請した場合、申請時に妊娠の経緯などを聞かれてプライバシーが侵害され、申請をあきらめるようなこともあります」(赤石さん)

 この他、「子どもの父親が近くに住んでいるので、偽装離婚と疑われて児童扶養手当が給付されない」といった事例もある。「ふぉーらむ」では、このような扱いを受けたシングルマザーに対し、受給を支援する活動も行っている。

 2014年12月、子とともにシェアハウスに住んでいたシングルマザーに対し、「シェアハウスに親族ではない男性がいる」を理由として、国立市が児童扶養手当を支給停止としたことが報道された。報道は広い議論と批判を呼び、2015年4月17日、厚労省による課長通知へとつながった。報道(朝日新聞記事)によれば、

 「ひとり親に支給される児童扶養手当について、『事実婚』の状態かどうか生活実態を確認して判断し、適切に支給するよう求める通知を厚生労働省が各都道府県に出した。シェアハウスに住んでいる場合など、自治体が判断に迷うケースが増えているためで、判断の具体例も示した」

 ということだ。

 未だ不適切な運用も行われている現状はさておき、児童扶養手当が「子どもの貧困」のある程度の緩和に対し、大きな役割を果たしていることは間違いない。

 「繰り返しになりますが、シングルマザー全体を見ると、生活保護を利用しておられる人が、約14%。児童扶養手当を利用している人が、約73%。年金を利用している方々、就労収入・養育費・実家からの援助などだけでやっていけている人もいます。生活保護を受給している人は、DV被害、子どもの病気、子どもの障害などなんらかの困難が重複していることが多いのです」(赤石さん)

 ひとり親世帯の公的支援に関する状況を少しでも正確に理解するためには、この図式を念頭に置いておく必要がありそうだ。

 次回は引き続き、赤石千衣子氏のインタビューを紹介する。不完全で本人のニーズに沿っていないことも多いとはいえ、行政は、現金給付以外にも数多くの支援メニューを用意している。それらの支援メニューは、どのように「自立支援」の役に立っているのだろうか?  政策決定のあり方に、問題はないだろうか? 

みわよしこ

455とはずがたり:2015/05/16(土) 18:40:47

都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150516-00851952-sspa-soci
週刊SPA! 5月16日(土)13時51分配信

 早朝の新宿歌舞伎町。出勤する会社員に交じり、足早にネットカフェに入る一人の女性がいた。名前はユミ(27歳)。彼女に自宅はなく、ネットカフェなどを転々とする生活を、なんと5年間も続けている。

「この時間は空いているから広い部屋に入れるんだ。これから夕方まで寝る。デイユースのパックで1000円くらいかかるけど、ホテルとかに比べたら安いから」

 所持金は3000円。口座残高はゼロなので正真正銘の全財産だ。持ち物もバッグ一つで、洋服はコインロッカーに預けてあるという。

「よく延滞して業者に持っていかれちゃうけど、そのたびにGUとかで安い服を買うしいいかなって。今日は少し熱っぽいんだよね。保険証もないから気合で治すけど」

 そう笑う彼女は一見、普通のOLのようだ。小奇麗な服装にきっちりしたメイク。容姿を見ただけで放浪生活を送っていると気づく人は恐らくいないだろう。

 生活困窮者を支援する側のなかで、彼女のような存在は「見えないホームレス」とも呼ばれている。住居を持たないにもかかわらず、路上で暮らす男性ホームレスのように目につくことが少ないからだ。

「生活に困窮する若年層の女性の場合、多くは家庭の貧困やトラブルが発端です。そして、そういうコは出産が早くなる傾向がある」

 そう話すのは自立支援団体「インクルージョンネットよこはま」の鈴木晶子氏だ。

「そうなると正規雇用にも就けず、大学を出たコに比べて、その後の数年間で人生が決まるほどの差ができてしまう。そして社会からも孤立する。私たちとしても彼女たちの支援は課題で、そういった女性と繋がることは難しいのです」

◆家のない女性同士のいびつなコミュニティ

 昨夏からネットカフェを常宿とし始めたアケミ(32歳)の場合、もともとは保育職に就いていた。だが薄給なうえ激務で体を壊して退職。しばらくは貯金で凌いでいたがそれも底をつき、ネットカフェで寝泊まりする生活を始めた。

「最初は次の職場までの繋ぎのつもりだったんですけど、住所もないのでまともな会社は雇ってくれない。でも、ここにはシャワーやコインランドリーもあるし、なんとか暮らせますから」

 そのうち、同じような境遇の女性たちと知り合いになったという。

「住んでいる人はスウェット姿とかでいるからすぐわかる。なかには50代くらいの人もいますね。そのうちの一人の若いコと話すようになって、彼女から教わって“ワリキリ”もするようになった。出会い系で連絡を取って、ネカフェブースまで来てもらってエッチしたり……。でも、少し前にそのコから『病院に行きたいから保険証を貸して』と言われたけど、悪用されるのが怖いから断ったんです。それから気まずくて会ってない」

 困窮した女性はどうしても売春という手段をとりがちになる。だがそんな生活が長く続くわけもない。NPO法人「もやい」の大西連氏によれば、年間3000件ほど来る同団体への相談のうち、女性からのケースは約2割。年齢層は20代から70代まで幅広いという。

「かつては相談者のほとんどが野宿者でしたが、今では4割ほどに減り、ネットカフェなどで暮らす人に変わっている。女性の相談者の場合、精神的疾患を持つ方も多いですね。DVから逃げてきた人もいて、そういった場合、役所から家族への照会を恐れて生活保護を拒否する人もいます。また若い人などは、そもそも自分が生活保護を受けるべき生活水準だということに気づいていないこともある」

【鈴木晶子氏】
臨床心理士。一般社団法人「インクルージョンネットよこはま」理事。若い世代を中心に、ソーシャルワークや就労支援、地域コーディネートなど困窮者の支援をする

【大西連氏】
認定NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」理事長。新宿ごはんプラス共同代表。生活保護や社会保障削減などの問題について現場から声を発信している

取材・文/青山由佳 加藤カジカ 姫野ケイ 平野友季 山田文大 西澤まどか
日刊SPA!

456名無しさん:2015/05/16(土) 19:57:55
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150512-00047767-playboyz-bus_all
アベノミクスがもたらす中間層の没落で、日本はアメリカと同じ道をたどる?
週プレNEWS 5月12日(火)6時0分配信

異次元の金融緩和で市場に大量の資金を投入することで、デフレからの脱却と円高是正を図り、日本経済を一気に立て直そうという通称“アベノミクス”がスタートしてから約2年半が過ぎた。

その結果、円は大幅に下落し、日経平均株価は安倍政権成立前の2倍近い2万円前後まで高騰(こうとう)したが、「株を持っている人は儲(もう)かったかもしれないけど、それ以外の人には景気回復の実感があまりない……」というのが正直なところだろう。

日本経済はどこに向かっているのか? そんな日本の未来を、格差大国アメリカがたどった道と重ねながら「21世紀型のインフレ」というキーワードで読み解くのが『格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』だ。著者の中原圭介氏に聞いた。

―「アベノミクス」に対する厳しい批判を展開されています。今、あえてこの本を書かれた動機はなんだったのですか?

中原 私は第2次安倍内閣が誕生した当初、世の中にアベノミクスという言葉が浸透する以前から、「異次元の金融緩和政策がもたらす結果は見えている。一部の富裕層の富がさらに膨らみ、インフレで一般庶民の暮らしが厳しくなる」と言い続けてきました。

なぜなら、アベノミクスはアメリカの政策の「後追い」でしかないからです。日本と同じように金融緩和によるインフレ政策を取り続けてきたアメリカの実情は、中間層が没落し、格差が広がっています。そうである以上、誰かが「間違いだ」と積極的に発信しなければ、間違った政策がそのまま進んでしまいかねない。そうした強い危機感から本書を書きました。

著名な経済学者たちは、アベノミクスで「輸出も増える、経済も良くなる」と無責任なコトを言い続けてきました。しかしふたを開けてみれば、私が考えていたとおり、円安になっても輸出は伸びていません。金融緩和によって大企業や富裕層が豊かになれば、その富がやがて中小企業や一般庶民にも落ちてくるという、いわゆる「トリクルダウン」も起きていない。当然です、アメリカでもトリクルダウンなんて起きていないんです。
―では実際に、アメリカでは何が起きているのでしょう?

中原 先に述べたとおり、2000年以降、アメリカで顕著なのは格差の拡大です。その原因のひとつを、私は「21世紀型のインフレ」と呼んでいます。

従来の20世紀型インフレは消費の拡大によって物価が上昇してゆく古典的なインフレです。多くの場合、経済が成長するに応じて国民の生活も次第に良くなってゆく。「インフレを誘導すれば景気が良くなる」という人がいるのはそのためです。

一方、21世紀型インフレとは原油など資源・エネルギー価格の高騰がもたらすインフレのことを指します。これによって、「資源消費国」であるアメリカや日本など多くの先進国の所得が、資源国へ急激に移転します。企業や家計の貯蓄が国外へ流出し、結果として中間層以下の国民に苦痛をもたらします。

2000年からの13年間を見ると、アメリカはインフレ目標政策によって、年平均2%超の物価上昇を達成していて、トータルのインフレ率は約35%です。しかし、名目の平均所得はどうかというと2000年からの13年間で上がるどころか、2.1%も下がっている。

経済学者は「GDPは伸びているからいいじゃないか?」と言うけれど、実質所得を計算すれば同期間で3割近くも落ちているのです。つまり日本にたとえると、500万円の年収が13年間で350万円に下がったのと同じことが、アメリカの庶民に起こっているわけです。

―大幅な金融緩和で株式市場が高騰し、インフレでGDPが上がっても、所得の上昇が伴わなければ結局、格差が拡大するだけ……ということですね。

中原 ところが、日本では今でもアメリカのインフレ政策が成功していると考えている人が多い。それに私は、アメリカと違って、日本ではそのインフレすら維持できないと見ています。

その理由は日本とアメリカの文化的な背景の違いです。アメリカ人は「インフレになると貨幣価値が落ちるから、その前に使わなきゃ……」という発想をするので消費が拡大し、インフレを加速させます。

一方、日本人は「インフレがくると実質所得は目減りするから、もっと節約しよう」というマインドです。これではインフレの維持すら難しい。

457名無しさん:2015/05/16(土) 19:58:08
>>456
―では、アメリカのように格差が拡大するとどんなことが起きるのでしょうか?

中原 戦後、日本の繁栄と安定を支えてきた分厚い「中間層」が没落し、日本の国力を急速に失わせることになるでしょう。

そこで、21世紀型のインフレと並び、格差を広げるもうひとつの要因となるのがアメリカ型の「株主資本主義」です。

日本の企業は伝統的に社員の雇用を大切にして、よほどのことがない限り大量解雇はしなかった。そのため日本は、先進国の中で最も失業率の低い国であり続けてきました。

ところが株主資本主義は豊かな中間層の雇用を削ってでも利益や効率を優先し、それを株主に分配することを要求します。アメリカでは普通に働く人たちの賃金や雇用を犠牲にして企業の業績や効率を守ることが経営者の仕事になり、政・官・学が一体となってそうした流れを推し進めた結果、「中間層」が崩壊しかけています。

日本経済の停滞を「失われた20年」と呼びますが、これはある意味、欧米の価値観の押しつけで、日本の企業は利益や効率をある程度犠牲にしても、雇用を守ってきたとも言える。

その国によって価値観、生活スタイル、宗教が違うのにアベノミクスを支持する経済学者たちはそうした違いを考慮せず、経済指標だけを単純に比較してしまう。しかし、それでは経済の現実は見えてこないのです。

「アベノミクスによって、2%のインフレを実現すればすべてがバラ色」みたいなことを言っていた経済学者が、最近になって「物価目標にこだわりすぎる必要はない」と言いだしたのを見て私は呆(あき)れました。リフレ派の罪は非常に重い。

こうした経済学者にミスリードされ、日本の経営者が巻き込まれてしまえば、格差は急速に拡大し、日本の中間層、つまり社会の中心を成す「普通の人たち」の生活は大きく傷つけられてしまいます。中間層の没落が国の衰えにつながることは、これまでの歴史がハッキリと証明しているのです。

●中原圭介(なかはら・けいすけ)
1970年生まれ。経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行なう傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。主な著書に『2025年の世界予測』『シェール革命後の世界勢力図』『これから日本で起こること』『これから世界で起こること』などがある

■『格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』
(朝日新聞出版 1500 円+税)
空前の好景気に沸くアメリカだが、その実態は中間層のない富裕層と庶民で構成された格差社会になっているという。その原因となったのが、金融緩和政策。21世紀型のインフレによって中間層は没落し、企業経営者が株主の顔ばかりをうかがう株主資本主義が横行する。アベノミクスでアメリカの後を追う日本経済の未来は?

458チバQ:2015/05/17(日) 09:55:19
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150516-00851952-sspa-soci
都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
週刊SPA! 5月16日(土)13時51分配信

都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
(日刊SPA!)
 早朝の新宿歌舞伎町。出勤する会社員に交じり、足早にネットカフェに入る一人の女性がいた。名前はユミ(27歳)。彼女に自宅はなく、ネットカフェなどを転々とする生活を、なんと5年間も続けている。

「この時間は空いているから広い部屋に入れるんだ。これから夕方まで寝る。デイユースのパックで1000円くらいかかるけど、ホテルとかに比べたら安いから」

 所持金は3000円。口座残高はゼロなので正真正銘の全財産だ。持ち物もバッグ一つで、洋服はコインロッカーに預けてあるという。

「よく延滞して業者に持っていかれちゃうけど、そのたびにGUとかで安い服を買うしいいかなって。今日は少し熱っぽいんだよね。保険証もないから気合で治すけど」

 そう笑う彼女は一見、普通のOLのようだ。小奇麗な服装にきっちりしたメイク。容姿を見ただけで放浪生活を送っていると気づく人は恐らくいないだろう。

 生活困窮者を支援する側のなかで、彼女のような存在は「見えないホームレス」とも呼ばれている。住居を持たないにもかかわらず、路上で暮らす男性ホームレスのように目につくことが少ないからだ。

「生活に困窮する若年層の女性の場合、多くは家庭の貧困やトラブルが発端です。そして、そういうコは出産が早くなる傾向がある」

 そう話すのは自立支援団体「インクルージョンネットよこはま」の鈴木晶子氏だ。

「そうなると正規雇用にも就けず、大学を出たコに比べて、その後の数年間で人生が決まるほどの差ができてしまう。そして社会からも孤立する。私たちとしても彼女たちの支援は課題で、そういった女性と繋がることは難しいのです」

◆家のない女性同士のいびつなコミュニティ

 昨夏からネットカフェを常宿とし始めたアケミ(32歳)の場合、もともとは保育職に就いていた。だが薄給なうえ激務で体を壊して退職。しばらくは貯金で凌いでいたがそれも底をつき、ネットカフェで寝泊まりする生活を始めた。

「最初は次の職場までの繋ぎのつもりだったんですけど、住所もないのでまともな会社は雇ってくれない。でも、ここにはシャワーやコインランドリーもあるし、なんとか暮らせますから」

 そのうち、同じような境遇の女性たちと知り合いになったという。

「住んでいる人はスウェット姿とかでいるからすぐわかる。なかには50代くらいの人もいますね。そのうちの一人の若いコと話すようになって、彼女から教わって“ワリキリ”もするようになった。出会い系で連絡を取って、ネカフェブースまで来てもらってエッチしたり……。でも、少し前にそのコから『病院に行きたいから保険証を貸して』と言われたけど、悪用されるのが怖いから断ったんです。それから気まずくて会ってない」

 困窮した女性はどうしても売春という手段をとりがちになる。だがそんな生活が長く続くわけもない。NPO法人「もやい」の大西連氏によれば、年間3000件ほど来る同団体への相談のうち、女性からのケースは約2割。年齢層は20代から70代まで幅広いという。

「かつては相談者のほとんどが野宿者でしたが、今では4割ほどに減り、ネットカフェなどで暮らす人に変わっている。女性の相談者の場合、精神的疾患を持つ方も多いですね。DVから逃げてきた人もいて、そういった場合、役所から家族への照会を恐れて生活保護を拒否する人もいます。また若い人などは、そもそも自分が生活保護を受けるべき生活水準だということに気づいていないこともある」

【鈴木晶子氏】

臨床心理士。一般社団法人「インクルージョンネットよこはま」理事。若い世代を中心に、ソーシャルワークや就労支援、地域コーディネートなど困窮者の支援をする

【大西連氏】

認定NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」理事長。新宿ごはんプラス共同代表。生活保護や社会保障削減などの問題について現場から声を発信している

取材・文/青山由佳 加藤カジカ 姫野ケイ 平野友季 山田文大 西澤まどか

459とはずがたり:2015/05/17(日) 20:15:52
川崎火災 簡易宿泊所、新たに2人死亡 死者4人に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150517-00000531-san-soci
産経新聞 5月17日(日)17時28分配信

川崎火災 簡易宿泊所、新たに2人死亡 死者4人に

捜索活動に当たる消防隊員ら=17日午前、川崎市川崎区(川口良介撮影)(写真:産経新聞)

 川崎市の簡易宿泊所から出火し、焼け跡から2人の遺体が見つかった火災で、川崎市消防局は17日、新たに焼け跡から心肺停止の2人が見つかり、いずれも死亡が確認されたと発表した。この火災による死者は計4人になった。

 火災は17日午前2時すぎごろに発生。川崎署と市消防局によると、簡易宿泊所「吉田屋」から出火し隣接する宿泊所に延焼、木造の2棟延べ計約1000平方メートルが全焼した。やけどなどの重軽傷を負った男女18人が病院に搬送されたほか、まだ数人の行方が分かっていないとみられる。

460とはずがたり:2015/06/01(月) 17:20:33
貧困と教育ネタとその関連リンクなど

優秀な遺伝子も打ち負かし得る貧困―知能を左右するのは環境
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/2538

心理学者たちが双子たちの研究を開始してすぐ、同じような水準のIQを持っている可能性は二卵性双生児よりも一卵性双生児の方がずっと高いということがわかった。IQは「遺伝性」が高く、その差は遺伝的違いによるものだ、と彼らは結論付けた。

貧しく、SESの低い家庭で育っている双子たちの状況はかなり違っているということに気付いた。そうした一卵性双生児と二卵性双生児のあいだにはほとんど差がなかったのだ。IQにはほとんど遺伝性が見られなかった。優秀な教師に付きっ切りで教わったかどうかといった環境の違いの方がよっぽど重要なようだった。

461とはずがたり:2015/06/01(月) 17:22:19
脳と学力と貧困の悪循環
http://jp.wsj.com/articles/SB12387842356326593464804580639910093690070
By Alison Gopnik
2015 年 5 月 14 日 14:11 JST

 国勢調査によると、米国の5分の1ないしそれ以上の子どもは貧困の中で生活しており、状況は2000年以降、悪化の一途をたどっている。それと同時に、教育研究家のショーン・リアドン氏が指摘しているように、「収入による成績の格差」は広がっている。つまり、低所得世帯の子どもの学校での成績は、高所得世帯の子どものそれをかなり下回っているということだ。

 教育の所得水準に及ぼす影響が、かつてないほど大きくなっている中で、貧困の循環に陥る子どもが増えている。この循環がいかに機能しているのかを理解し、それを終わらせようとするプロジェクトほど重要なものは思いつかない。

 神経科学はこのプロジェクトに貢献できる。マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョン・ガブリエリ氏率いるチームは、「心理科学」に掲載された新たな論文で、イメージング技術を使い、14歳の公立学校の生徒58人の脳を計測した。被験者のうち23人は給食費が免除ないし減額されている子で、残りの35人は中間層の世帯の子だった。

 チームはこの2つのグループの間に脳の違いがあることを発見した。チームは脳のさまざまな場所で、脳の表面を覆っている皮質の厚さを計測した。低所得の世帯の子供の皮質は、高所得の世帯の子供よりも薄かった。

 低所得の世帯には民族・人種のマイノリティがより多く含まれていたが、統計の分析から、民族や人種の違いは脳の皮質の厚さと関係ないことが分かっている。また、皮質の薄い子どもは、皮質の厚い子どもより成績が悪い傾向にあった。これは高所得世帯の子でも、低所得世帯の子でも変わらなかった。

 もちろん、脳に差があることの発見から分かることはそれほど多くない。本質的に、子どもの脳に関することはそれぞれの子どもによって違うはずだ。なぜなら、彼らのテストの際の行動もさまざまだからだ。しかし、発見したこの脳の違いからは、少なくともいくつかのことが浮かび上がってくる。

 脳は地球上で最も複雑なシステムであり、脳の発達には、遺伝子と物理的・社会的・知的環境との間の複雑なやりとりが関わっている。脳には、われわれがまだ知らないこともたくさんある。

 しかし、われわれは脳に神経科学者が言う「可塑性」があることを知っている。進化の過程で、脳は外部世界によって変化するようになったのだ。脳を持つ意味はここにある。この形成過程でとりわけ重要な役割を果たしているのが2つの補完プロセスだ。1つは神経科学者が「プロリフェレーション(増殖)」と呼ぶプロセスで、脳の神経細胞間に多くの新たな結合が作られることを意味する。もう1つは「プルーニング(刈り込み)」と言うプロセスで、一部の既存の結合が強くなる一方で、一部が消滅することを意味する。体験はこのプロリフェレーションとプルーニングの両方に大きな影響を及ぼす。

 発達の初期段階では、プロリフェレーションが勝っている。小さな子どもは成人よりずっと多い、新たな結合を作る。発達の後期の段階になると、プルーニングが重要になってくる。人間は、柔軟性があり記憶力の良い若い脳から、より効果的、効率的かつ硬直的な大人の脳にシフトする。皮質の厚さの変化は、この発達によるシフトを反映しているように思われる。皮質は小児期に徐々に厚くなるが、青年期には逆に、薄くなっていく。おそらくプルーニングの結果だろう。

 この研究に参加した低所得世帯の14歳の子が小児期に皮質を厚くできなかったのか、それとも、彼らの皮質が青年期に、より迅速に薄くなったのかは分からない。

 低所得世帯と高所得世帯の間には、収入以外にも多くの体験上の違いがある。栄養、ストレス、学習の機会、家族構造など多くのことが違っている。これらの違いのうちどれが皮質の厚さの差につながっているのかはわれわれには分からない。

 ただし、動物の研究からいくつかのヒントを得られる。豊かな環境(探索するものが多くあり、学ぶ機会も豊富な環境)で育てられたラットはより多くの神経的な結合を作る。ストレスにさらされたラットが作る結合は少ない。ストレスが動物の成長を過度に早めることを示す証拠もいくつか存在する。この場合、悪影響が生じることが多い。また、栄養状態は全ての動物の脳の発達に影響する。

 だが、重要なのは、ありがたいことに脳の可塑性は失われないということだ。脳は生涯を通じて変化を受けることが可能であり、われわれが学び、変化する力が完全に失われることはない。ただし、それと同じくらい重要な点は、小児期は最も可能性に満ちた時期であり、最もリスクの大きな時期でもあることだ。われわれは毎日、何百万人もの米国の子どもの脳の可能性を失っていると言える。

462とはずがたり:2015/06/06(土) 10:12:32
昔仕事で一寸こういう事例絡みの補助金目にしたなぁ。。どうだっけかな?

親の経済格差で子どもの肥満が3倍に…日本医科大調査
リセマム 2015年6月5日 18時45分 (2015年6月6日 09時38分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150605/Resemom_24959.html

 親の経済状態が子どもの肥満に影響を与えることを明らかにする研究結果が発表された。家計支出が下位3分の1の世帯での青年期の肥満の割合は、上位の世帯の約3倍だった。

 調査は、日本医科大学の可知悠子助教らが「親の経済格差が子どもの肥満に及ぼす影響」に関して、全国から無作為抽出した学童期(6〜11歳)と青年期(12〜18歳)の子ども各397名を対象に行った。日本疫学会が公式に発行するオープンアクセスの学術雑誌「Journal of Epidemiology」に5月23日発表されている。

 肥満に該当したのは、全体では学童期で12.3%、青年期で9.1%だった。

 論文では、世帯人数を調整した月間の家計支出額をもとに世帯を3群に分け、それぞれの肥満の割合を調べた。学童期では、家計支出が下位3分の1の世帯(平均家計支出額15.0万円)での肥満は14.1%、上位の世帯(39.0万円)では12.0%と、世帯間に大きな差は見られなかった。

 青年期では、下位3分の1の世帯(平均家計支出額16.5万円)での肥満は15.1%、上位の世帯(45.2万円)では4.8%となり、調整後オッズ比では3.4倍の差があることがわかった。

 欧米では親の経済状況が子どもが肥満リスクにつながるという報告が多数あるが、日本でも同様の傾向にあることが明らかになった。

463名無しさん:2015/06/14(日) 13:41:14
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150609-00000005-sasahi-bus_all
生活保護者のほうが平均的サラリーマンより実収入が上? 〈週刊朝日〉
dot. 6月9日(火)7時7分配信

 格差社会が進む日本。政府も格差是正に動いているが、その方法がおかしいと指摘するのは、“伝説のディーラー”藤巻健史氏だ。

*  *  *
 モルガン銀行勤務時代、ニュージーランドのヘッジファンドオーナーの英国の別荘を訪問した際、建造中のヨットの設計図を見せてもらった。別荘には、なんと、ヘリポートと潜水艦の収納庫もついていた。別荘のすごさに驚いている場合ではなかった。さらに息子と娘の成人祝いにおのおのジェット機を買い与えた話を聞いてズッこけた。

 また英国人のファンドマネジャーが「趣味は農場経営だ」と言うので「家庭菜園に毛が生えたものか」と思っていたら「南アフリカに4千人の従業員を雇ってやっている。その農場の作物の生育状況を1日30分聞くのが私のリラックスタイムだ」という。

★   ★
 私が見ている限り、外国にいるような大金持ちなど日本にはいない。それなのに格差是正と称して小金持ちを引きずり下ろそうとしているのが日本社会だ。本来、格差是正を言うなら、低所得者層を引き上げることに焦点を置くべきだ。なぜ他国では法人税率の引き下げに対して、日本ほど反対が起きないのか? なぜ日本だけが相続税増税に走り他国は相続税を軽減ないしは廃止する方向に向かっているのか?

 外国人にいろいろ聞いてみたら、どうも法人税や相続税は二重課税だからのようだ。二重課税だと「合成の誤謬(ごびゅう)」が起きてしまう。格差是正の名目でただでさえ累進性のきつい所得税をよりきつくし、相続税も重税化した結果、日本は、小金持ちにとって並外れて厳しい国になってしまった。

 所得税+住民税の最高税率55%、相続税の最高税率55%だから、ある一定以上の収入を稼ぐと、さらに100万円を稼いでも子供に20万2500円しか残せない(100万円×45%×45%)。これでは、その段階に達した時点で働くのをやめてしまうだろう。そこから失敗して大損の可能性がある一方、成功してもリターンが少ない「ハイリスク・ローリターン」の世界に突入するなら当然の判断だ。

 これでは産業の新陳代謝を促し、将来の労働場所を提供してくれるベンチャーは育たない。経営者がすぐ降りてしまうからだ。

 ところで、4月13日の参議院決算委員会で国税庁に聞いたところ、勤労者の平均年収は414万円だが、年収400万円の人の手取り額(税金と社会保障費を引いた額)は、配偶者と高校生の子供2人がいる家庭では、330万円だそうだ。

 次に厚労省に「配偶者と高校生の子供2人がいる50歳代の生活保護者への給付額」を聞いた。東京都三鷹市では340万円だという。税金や社会保障費は払っていないだろうから、勤労者の平均と同レベルの手取り額だ。さらには、弱者救済ということで、生活保護家庭は医療費、介護費用、都営地下鉄、バスなどが無料だそうだ。勤労者は当然これらのコストを自分で払う。生活保護者のほうが平均的サラリーマンより実収入が多いことになる。

 健康を害して働けない人ならともかく、働く能力があるのに職が見つからないという理由で働かない人が平均的勤労者より手取り額が多いのは、明らかに間違いだ。自衛隊の定員不足や介護要員の不足のニュースを聞くたびに疑問に思う。これでは誰も働かなくなる。各役所が「弱者救済、格差是正」を金科玉条にバラバラに優遇措置をつけるせいでは?

※週刊朝日 2015年6月12日号

464名無しさん:2015/06/14(日) 13:42:08
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150602-00043487-gendaibiz-bus_all
50,000人の子どもたちが親元で暮らしていない今。子どもたちが暮らす8つの形態、全て言えますか?【前編】
現代ビジネス 6月2日(火)11時1分配信

 前回は児童虐待が発見された後どうなるのか、児童相談所の役割や現状について書かせていただきました。今回は保護された後に、子どもたちが家の代わりに暮らす児童養護施設や里親をはじめとした「社会的養護」というものについてです。普段なじみがない領域である分、より多くの方の目にとどまるようにNAVERまとめ風にタイトルをつけてみたのですが、センスの問題か、少し攻撃的なタイトルになりました(苦笑)。

「社会的養護」って知ってますか?
 さて、社会的養護とは、保護者のいない児童や被虐待児など、家庭環境上の理由で養護を必要とする児童に対して、公的な責任として養護を行う事を指します。つまり、家庭に代わって、社会保障費(我々の税金等)で子どもたちを育てることを指します。

 社会人になるまで親と暮らすことがなんとなく当たり前だと思って暮らしている人も多いと思いますが、実は約50,000人の子どもたちが、そのほとんどは親がいるにも関わらず、親元で暮らすことができていない状況です。東京だけでいうと約4,000人の子どもたちが親と暮らしていません。

 以下が、虐待等で保護された子どもたちがその後に暮らす社会的養護の各種形態になります。

 
芦田愛菜ちゃんが主演した『明日ママがいない』(日本テレビ)や、ランドセルを匿名で寄付する「タイガーマスク現象」などによって「児童養護施設」の認知度は上がったかもしれません。しかし、その中身を詳しく知る人は少なく、また児童養護施設以外の施設についてはほとんど聞いたことがないのではないでしょうか。「里親」についても、googleなどで検索すると、ペット里親がトップにあがってきます。ペットではない、子どもの里親制度について日常生活で耳にすることはほとんどないのではないでしょうか。海外のドラマや映画、里子を受け入れているブラッドピットとアンジェリーナジョリーのゴシップニュースで聞く頻度の方がおそらく多いのではないかと思います。

 しかし、約50,000人の子どもたちはほとんどの大人が知らない、この社会的養護下で現に暮らしているのです。社会的養護といえども、(金銭的なもの以外は)あまり社会が育てている状況ではなく、子どもたちが困ってSOSを出しても、そのSOSが届かない距離で私たちは暮らしています。

 これは児童養護施設等の慢性的な人手不足や、子どもの安全のための個人情報の保護などの理由もあり、私たちが興味を持てばよいという単純な話ではないありません。しかし、いずれにせよ大人や社会側の都合ではあるので、本来は言い訳にしてはならず、一刻も早く解消していくべき点だと個人的には思います。とはいえ、単純な話ではないということは現場近くにいて感じています。

465名無しさん:2015/06/14(日) 13:42:29
>>464

「家庭養護」の2つの形態?①里親
 社会的養護は、家庭の中で育てる「家庭養護」と、施設の中で育てる「施設養護」の2種類に分かれます。日本の場合、保護されたほとんどの子どもたちが施設養護の形態で暮らすことになります。先ほどの社会的養護の表からも、約5万人のうち、家庭養護で育つ子どもたちは5千人ほどで1割程度となっています。以下は家庭養護の内、里親の下で暮らす子どもの割合を海外と比較した図です。いかに日本の状況が特殊かがわかるデータではないでしょうか。

 里親と養子縁組の違いがわかりづらいという質問を受けることがあるので、ここで簡単に説明します。養子縁組は戸籍上も子どもとして育てることであり、実子として受け入れる制度を「特別養子縁組」と呼び、養子として受け入れる制度を「普通養子縁組」と呼びます。普通養子縁組は「家の存続等」が目的の制度で、特別養子縁組は「子どもの福祉、利益を図る」ことが目的の制度となっています。つまり、子どもの養子縁組という場合には、「特別養子縁組」のことを指すことが一般的です。

 それに対して里親は行政から養育費をもらいながら、わかりやすくいえば、個人で子育ての委託を受けながら育てている形を指します。里子の場合、戸籍上は何も影響はありません。

 里親の中にも個人間の同意で行う「私的里親」、児童福祉法の下で行う「養育里親」と「専門里親」、3親等以下の親族が行う「親族里親」があります。また、一般的に里親のくくりからは外れますが、児童養護施設などから週末だけ家庭を体験するために訪れる「週末里親」という制度もあります。近年は「里親」というと、一般的に「養育里親」を指します。

 「養育里親」と「専門里親」は、里親となる本人がどのように思い育てているかは別として、仕組みとしては自分の子どもとして育てるのではなく、委託を受けて育てている制度であるため、「里親手当」と、各種経費(生活費、教育費)が支給されます。養育里親の場合には月額7万2千円(2人目以降は3万6千円)で、専門里親の場合には月額12万3千円(二人目以降は8万7千円)となっています。また両方とも、生活費が1人当たり約5万円(子どもの年齢によって異なります)と、学校に通う等の教育費が基本的には実費で支給されます。

 里親手当の金額の違いは、専門里親の場合、子どもの問題に対処するため専門知識・資格・実務などがある人が里親ということです。資格などがなくても、養育里親の経験がある人が、発達障害や、非行・問題行動が目立つ子どもを育てる仕組みになっています。要するに、制度上は、責任や難易度が上がったことによる「昇給」という位置づけといえるかもしれません。

 ここまで書くと里親はドライに仕事として子どもを育てている印象を持つかもしれませんが、あくまで制度上の話であり、実際はわが子のように育てている里親は少なくありません。

 そして里親委託数は、ここ数年で少し増加ぎみにあるものの、戦後の大きな流れで見ると減少しています。その理由には諸説ありますが、里親が減り始めた1950年代から児童福祉施設を作るための補助が充実し、収容人数という視点から児童福祉施設のニーズが増えたことで、社会的養護の主な担い手が児童福祉施設に代わったままになったとのことです。

466名無しさん:2015/06/14(日) 13:43:14
>>465

「家庭養護」の2つの形態?②ファミリーホーム
 2009年4月に制度化された新しい家庭養護の形です。こちらは概念としては、すでに夫婦などで暮らしている家に、養育補助者を1人以上を置いて、合計3人以上で、5,6人ほどの子どもを預かる制度です。大規模里親制度といえるかもしれません。里親同様に、職業として運営できるよう人件費をまかなえる費用を行政が支払います。その金額は子ども1人当たり月約20万円となっています。5人以上を育てるので、月約100万円ほどで、こちらに3人の人件費や子どもたちへの生活費なども含まれるといった形です。

 ファミリーホームを運営するのは、夫婦に親族やアルバイト等を雇って運営する家族経営型と、法人などが複数のファミリーホームを運営する法人経営型があります。5人以上の子どもが暮らせる住居が必要であったり(修繕費などは出るもののそれだけの土地を持っている人も少ない)、色んな用件や書類を提出しなくてはいけないことから、現実的には家族経営は厳しいともいわれています。そうすると、法人が経営する児童養護施設などにも6人ほどが家庭に近い住居でグループホームとして暮らしている場合も多く、ファミリーホームとの違いがあいまいになってしまうことも問題視されています。

 後編につづく。

森山 誉恵

467名無しさん:2015/06/14(日) 20:43:46
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150612-00000002-mai-soci
<生活困窮>強制退去の日、娘を殺害 千葉地裁で12日判決
毎日新聞 6月12日(金)3時0分配信

 ◇母「誰かに相談すればよかった」

 生活に困窮して家賃を滞納し、公営住宅から強制退去させられる当日、中学2年の一人娘を殺害したとして起訴された母親の裁判員裁判の判決が12日、千葉地裁(佐々木一夫裁判長)で言い渡される。別れた夫は借金を残した。娘の制服を買うためにヤミ金融にも手を出したが、生活保護は受けられなかった。「なぜ殺してしまったのか。誰かに相談すればよかった」。法廷で涙を流して悔いる母の言葉を、裁判員はどう受け止めたのか。

 殺人罪などに問われているのは千葉県銚子市のパート従業員、松谷美花被告(44)。起訴状によると2014年9月24日午前9時ごろ、県営住宅の自室で長女可純(かすみ)さん(当時13歳)の首を絞めて窒息死させたとされる。

 月1万2800円の家賃の滞納が約2年間続いたため、県が住宅明け渡し訴訟で勝訴、事件当日は立ち退き期限だった。午前11時10分ごろ、鍵を開けて立ち入った地裁の執行官らが、布団の上でうつぶせになった可純さんの遺体を見つけた。

 被告は放心状態で座り込み、可純さんの頭をなでながら4日前に撮ったビデオを見ていた。体育祭で赤い鉢巻きをして走る娘の姿が映し出されていた。「これは私の子。この鉢巻きで首を絞めちゃった。ビデオを見終わったら自分も死ぬ」と話したという。

 今月8日に始まった公判で、生活の様子が明らかになった。会社員の夫は結婚当時から数百万円の借金を抱えていた。その返済や生活のために被告名義でも消費者金融から金を借りた。02年に離婚し、06年から学校給食のパートをしながら返済を続けてきたが、12年5月から家賃を払えなくなった。

 可純さんの中学入学直前の13年春、制服や体操着を買うためにヤミ金から7万円を借り、少なくとも5業者から違法な高金利で返済を強いられた。国民健康保険料も滞納した。パートの時給は850円、月給は4万〜8万円。ただ、事件を起こした14年9月は夏休み明けだったためゼロだった。事件当時の預金残高は1963円しかなかったが、被告人質問で「市が雇っているので掛け持ちのアルバイトは無理と言われていた」と説明した。

 実家の土地を無断で借金の担保にしたため両親とは絶縁状態だった。友人からも借金を重ねたが、事情は話せなかった。生活保護の相談で銚子市役所を訪れたが「仕事をしているなどという理由で断られ、頼ることができなかった」という。

 困窮した親子を救う手立てはなかったのか。市社会福祉課は取材に「制度の説明を聞きに来ただけだったので、詳しい事情の聞き取りはしなかった」と説明した。立ち退きを求めた県住宅課も「被告の生活状況は把握していなかった」という。

 「本当は私が死ぬはずだった。可純に本当に申し訳ない」。松谷被告は法廷で涙を流した。自分の腹を切るため、台所のテーブルの上に一番切れる包丁を用意したとも明かした。量刑以外に争いはなく、検察側は「被害者に責任は全くなく、犯行は身勝手だ」と懲役14年を求刑した。弁護側は「事件の経緯は同情に値する」として執行猶予を求めている。【川名壮志】

 ◇行政側が積極的な情報提供を

 専門家は事件をどうみるか。吉永純・花園大教授(公的扶助論)は「事情も聴かずに立ち退きを強制した千葉県にも、経済状況を聴取せずに生活保護の申請を受理しなかった銚子市にも問題があった」と話す。そのうえで「どこででも起こりうる問題だ」と指摘し、「困窮者は貧困から抜け出すために必要な情報を得る手立てを持てない。だからこそ行政側が積極的な情報提供やアドバイスをする必要がある」と語った。

 事件を受け、千葉県は県営住宅の明け渡し訴訟を起こした場合は、福祉担当者や民生委員が対象者を訪ねて家賃を滞納している理由などを聞き取るよう関係市町村に要請する対策を取った。銚子市は国民健康保険の未納情報を生活保護担当者が把握できるようにし、支援の手から漏れた人がいないか確認しているという。

468名無しさん:2015/06/14(日) 20:44:10
>>467

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150611-00000051-san-l12
千葉・銚子の娘殺害 母親に懲役14年求刑「悪質で短絡的」
産経新聞 6月11日(木)7時55分配信

 生活苦で家賃を滞納し県営住宅からの立ち退きを命じられ、強制執行当日に中学2年の長女、松谷可純さん=当時(13)=を絞殺したとして、殺人罪などに問われた母親の美花被告(44)=銚子市豊里台=の裁判員裁判の論告求刑公判が10日、千葉地裁(佐々木一夫裁判長)で開かれ、検察側は「ヤミ金の返済のために詐欺も行っており、犯行は悪質で強く非難されるべきだ」として懲役14年を求刑した。判決は12日。

 松谷被告は9、10日の被告人質問で、犯行当時の手口や動機などについて「思いだせない」と供述。一方、犯行後の県警の取り調べには、「住宅を追われそうになり、将来を悲観して自殺を考えた。『(可純さんを)1人では置いていけない』と思い犯行に及んだ」と話していたことが供述調書などから明らかになっている。

 検察側は論告で、「家計を見直せば家賃は支払えた。誰にも相談せず殺害に及んだことは短絡的」と指摘した。弁護側は、「生活に困り追い詰められた上での犯行で同情に値する。正常な精神状態での犯行ではなかった」として、執行猶予付きの判決を求めた。

 松谷被告は最終意見陳述で「なぜ娘に手をかけたか分からない。これから生きていく中で理解していきたい」と涙を流した。

 起訴状などによると、松谷被告は昨年9月24日午前9時ごろ、自宅で可純さんの首を鉢巻きで絞めて窒息死させたとしている。

469とはずがたり:2015/06/17(水) 13:43:28
小1「貧困」把握、親の年収・学歴調査…足立区
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150616-OYT1T50190.html?from=ycont_top_txt
2015年06月17日 07時25分

 子供の貧困の実態を把握するため、東京都足立区は7月、区立小学校69校のうち数校の小学1年生の家庭を対象に、保護者の年収や学歴、子供の生活環境を尋ねるアンケート調査を実施する。

 効果的な貧困対策の材料とするのが目的で、10月にも残る全小学校を対象にする予定。区によると、子供の貧困に関する調査で、これほど大規模に家庭へのアンケートを実施した例はないという。区では「無記名とはいえ、プライバシー保護を心配する区民がいるかもしれない。調査の目的をぜひ理解してもらいたい」と呼び掛けている。

 厚生労働省の調査では、2012年の全国の子供の貧困率は過去最悪の16・3%で、ほぼ6人に1人の割合だ。足立区では、小中学校の給食費などの就学援助を利用する世帯が13年度は37%と、全国平均の約2倍。13年の18歳未満の生活保護受給者数は00年の約1・5倍となり、貧困の広がりが懸念されている。

 そこで区は7月に、区立全69校のうち数校で、小学1年生の家庭を対象にした調査を試験的に実施。10月に残りの学校で行い、最終的に小学校1年生のいる約5400世帯全てで調査する考えだ。

470とはずがたり:2015/06/26(金) 06:48:10
だれも知らない みやざき子どもの貧困
http://www.the-miyanichi.co.jp/tokushu/category_144/

【第1部・小さな叫び】(1)栄養不足
http://www.the-miyanichi.co.jp/tokushu/category_144/_3695.html
2014年1月20日
■成長の遅れ顕著 冷たい食事、一日2度

生活保護を受け、4人の子どもを育てる児湯郡の家庭。低栄養状態のため、優人の足にできた水疱の痕はなかなか回復しない=昨年11月、児湯郡内 看護師の田口美保(50)は訪問看護の依頼を受け、2012年8月、渡辺優人(2)の家を訪ねた。皮膚の難病である先天性水疱(すいほう)症を患う優人が10カ月の入院を経て自宅に戻ったのがきっかけだった。訪問目的は優人の入浴介助と皮膚の手当て。美保の職場である訪問看護ステーションのスタッフが2人一組のローテーションを組み、毎日の訪問が始まった。

 優人は4人兄弟の一番下、両親と家族6人で児湯郡内に暮らす。築30年以上という古い木造アパートは6畳の部屋が二つ、台所と浴室がある。台所はごみや汚れた食器が山積みで、部屋中に脱ぎっぱなしの洋服が散乱。歩くと靴下がべたつき、異臭が鼻を突いた。

 昨年12月。午前10時半ごろ、美保がいつものようにドアをノックして中に入ると、優人の兄寛人(5)が駆け寄ってきた。「おなかがすいたよぉ」。寛人が甘えるようにすり寄り、美保に食べ物をねだる。優人はベビーベッドの中で転がっていた。精神障害のある30代の父親はまだ起きてこない。

 美保が食事を促すと、20代の母親は無表情で台所に立った。間もなく差し出された皿には、冷やご飯の上に袋からそのまま掛けただけのレトルトカレー。よほどおなかがすいていたのか、寛人は何も言わず手づかみでかきこんだ。

 寛人の様子を横目に、美保は浴室に向かう。家族はほとんど入浴しない。そのためカビだらけになった浴槽の上にたらいを置き、湯を張る。それから、やせ細った優人の体を優しく洗った。

 兄弟の父親は6年前に精神を患った。治療しているが体調に波があり、働けない。母親も「4人の子どもの子育てで忙しく、ぜんそくなど持病がある」という理由で働いていない。約4年前から生活保護を受給、障害年金と保護費の毎月計約17万円で生活している。

 光熱費に2万円、車を所有していないため交通費に1万円、インターネットで買う子ども服代に2万円以上が消え、食費に使えるのは2万〜3万円。母親は「夫の体調が悪く、優人の看病に忙しくて外出できない」と話す。月1〜2回、ドラッグストアに行き、保存の利く缶詰やレトルト食品をまとめて山ほど買ってくる。

 食卓に上るのは、皿に移しただけのサバのみそ煮缶やレトルト食品…。スナック菓子で空腹を満たす時もあれば、しょうゆをかけた魚肉ソーセージだけの日もある。ほとんど朝食は食べない。そんな冷たい食事が1日2度という。

 一日中ベビーベッドに寝転がっている優人はいまだに粉ミルクしか飲まず、離乳食を食べない。美保はこれまで何度も栄養指導を行ったが、母親は瓶詰めの離乳食を何度か与えただけで諦めてしまった。

 美保は「離乳食から固形食へ、つかまり立ちから一人歩きへという通常の発達が見られず、皮膚の水疱もなかなか回復しない。低栄養状態が悪影響を及ぼしている」と話す。現在、優人は体重8キロ。2歳児の平均体重12キロに満たない。頬はこけ、手足は棒のように細い。キャッキャッとはしゃぐ声も聞こえない。(文中仮名)

×    ×

 今年は、高鍋町出身で児童福祉の父といわれる石井十次の没後100年に当たる。近年深刻化する子どもの貧困を掘り下げるシリーズ「だれも知らない」の第1部では子どもたちの現状を見つめ、彼らの小さな叫びに耳を傾ける。

471とはずがたり:2015/06/26(金) 08:06:00
高齢者の9割が貧困化 「下流老人」に陥る5つのパターン〈週刊朝日〉
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150625/asahi_20150625_0002.html
dot. 2015年6月25日 07時08分 (2015年6月25日 12時52分 更新)

 高齢者の貧困が問題になっている。内閣府調査の<世帯の高齢期への経済的備え>で、60?64歳で貯蓄が「十分だと思う」と答えた人は3.6%。「かなり足りないと思う」と答えた人はその10倍、35.5%だった。

「老後の貧困は、ひとごとではないのです」

 そう警鐘を鳴らすのは、生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」の代表理事で社会福祉士の藤田孝典さんだ。6月半ばに出版した新刊『下流老人』(朝日新書)で、「このままだと高齢者の9割が貧困化し、貧困に苦しむ若者も増える」と書く。

 藤田さんは貧困高齢者を下流老人と名付けた。普通に暮らすことができず下流の生活を強いられる老人という意味で、日本社会の実情を伝える造語だという。

「年収が400万円の人でも、将来、生活保護レベルの生活になる恐れがあります」(藤田さん)

 実際に生活保護を受給する高齢者は増加中で、今年3月時点で65歳以上の78万6634世帯(受給世帯の約48%)が生活保護を受けている。昔なら子ども夫婦に扶助してもらうことが当たり前だったが、今は核家族が多い。頼りの子どもは派遣切りやニート。高齢で大病して貯蓄も尽きたら……。

 藤田さんは、『下流老人』の中で高齢者が貧困に陥るパターンを五つに大別した。
【1】本人の病気や事故により高額な医療費がかかる
【2】高齢者介護施設に入居できない
【3】子どもがワーキングプアや引きこもりで親に寄りかかる
【4】熟年離婚
【5】認知症でも周りに頼れる家族がいない

 本人の病気と家族の介護をダブルで抱える人もいれば、60歳を過ぎて妻と別れ、途方にくれる男性もいる。

「1部上場企業で働いてきた男性が、離婚してから食事や趣味にかけるお金を節約できず貧困になる人もいます」(同)

 こんな例もある。藤田さんが警察で保護した60代の男性は、不動産会社社長で、バブル期は資産が2億円あった。だが土地が転売できず破綻。それでも社長っ気が抜けなかったらしい。

「6年前に彼がお弁当とお茶をスーパーで盗んで捕まったとき、所持金が100円なのに、スーツを着込んでいました」(同)

 この元不動産会社社長は「食いっぱぐれるはずがない」「老後の心配無用」と年金も払っていなかったという。

 80歳の老母と45歳の息子のこんな生活苦もある。福祉施設に勤める息子の給与は手取り23万円。亡き夫の会社が傾いたときに息子が借金を被り、返済が毎月数万円ある。築40年の賃貸マンションの家賃を息子が払い、母親が光熱費と食費を払う。母親は病院通いをしながら、息子の大学時代の奨学金も年金から返し続ける。

「奨学金は息子名義だが、何年か払えない時期があり、親の私に支払い通知が来た。額は多くはないが息子からも頼むと言われて、この先十何年は私が払わないと」

 母は息子がいないと年金だけでは住めず、その息子が母に寄りかかる。

 関西で生活困窮者の支援をする生田武志さんは、貧困から人が落ちていく様子を、「カフカの階段」として図式化した。

 労働、家族、住居を失い、金銭を失い、ついには野宿という究極の貧困状態に。生田さんによれば、落ちるときは一段、一段落ちるが、最下段まで落ちると、簡単には上に上がれない。住所がないとハローワークで職も得にくく、生活保護を受けるのに時間がかかることも。

「生活保護の申請をしなかったり、申請しても追い返されて野宿になる高齢の方にもたびたび出会います」(生田さん)

※週刊朝日 2015年7月3日号より抜粋

472名無しさん:2015/06/27(土) 22:58:08
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150626-00000541-san-soci
生活保護搾取「貧困ビジネス」脱税 宿泊所運営者に有罪判決 さいたま地裁
産経新聞 6月26日(金)14時14分配信

 低額宿泊所の入居者から生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」で得た所得から約6184万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた宿泊所運営者で元機械製造会社社長、和合秀典被告(73)の判決公判が26日、さいたま地裁で開かれた。栗原正史裁判長は懲役1年6月、執行猶予3年、罰金1500万円(求刑・懲役1年6月、罰金2千万円)を言い渡した。

 判決で栗原裁判長は、和合被告の脱税率が99%を上回り、国の課税権を著しく侵害していると指摘。一方で、前科がなく、事実関係を争わずに反省していることなどを執行猶予の理由とした。

 判決などによると、和合被告は平成21〜22年に宿泊所の運営による所得が計約1億6900万円あったのに、大半を知人や親族名義の複数口座に預金するなどして隠し、所得税計約6184万円を免れたとしている。

473名無しさん:2015/06/27(土) 22:59:28
>>468

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150626-00073910-diamond-soci
中2娘を殺害した母親を、私は責める気になれない
ダイヤモンド・オンライン 6月26日(金)8時0分配信

 2014年9月、千葉県銚子市で県営住宅に住んでいた43歳(当時)のシングルマザーが、家賃未払いによって強制退去となる当日、中学2年生(当時)の娘を殺害した。この事件は、2015年6月12日の判決(母親に対して懲役7年)ともども、大きな反響を呼んでいる。漫画家・さいきまこ氏の思いを紹介した前回に引き続く今回は、法律家から見た問題点を、事件の詳細とともに紹介する。

● 「粛々と」実行されるしかない 強制退去の手続き

 2014年9月24日、千葉県銚子市で県営住宅に住んでいた43歳(当時)のシングルマザーが、中学2年生(当時)の娘を殺害した。母親は、2年にわたって家賃を滞納していたため、その日、強制退去となる予定であった。母親自身も自殺する心づもりであったが、自殺を決行する前に強制退去の執行官らが来訪し、呆然としている母親と息絶えた娘を発見した。逮捕された母親は殺人罪等で起訴され、2015年6月12日、一審判決が言い渡された。求刑は懲役14年であったが、判決は懲役7年であった。

 今回は、社会保障・住宅の安定・労働問題を専門とする弁護士・林治氏から見た事件の問題点を、強制退去に至るまでの経緯の詳細とともに紹介する。

 今回の事件で、多くの人々が疑問を抱いているポイントの一つは、

 「県は、母子の年齢や家族構成を把握しており、当然、中学生の娘がいることも知っていた。家賃を払えない状態であることも、当然、把握していた。それなのに、居住していた母娘からの状況の聞き取りや調査はなく、いきなり強制退去させていいのか」

 という点であろう。

 ちなみに、強制執行(民事執行手続)は、

 「判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する」(裁判所サイトによる)

 というものである。この記述を見る限り、家賃を滞納している債務者であった母親から何らかの申し立てが行える可能性はなさそうだ。

 「その通りです。この場合では債権者である千葉県が申し立て、地裁が裁判を行います。その際、居住者からの聞き取りや状況把握はありません」(以下、林治氏)

 とはいえ、「いきなり強制退去」というわけでもない。

474名無しさん:2015/06/27(土) 22:59:53
>>473

 「強制退去の裁判が確定すると、一度、執行官が家に来ます。その際、『期限までに明け渡すように』『期限までに明け渡さないときには強制執行をします』という通知文(催告書)を貼っていきます。そして、期限までに退去がなければ強制執行の手続きをする、という流れです。この時、強制退去の際に用意する必要のあるトラックの台数を見積もったりするために、屋内の状況を見ることはありますが、居住者から意見を聞くことは基本的にありません」

 もちろん、判決後の事情により、「強制退去の執行は不適切」とされる状況が発生すれば、異議申立ての訴えを行うことができる。しかし今回の場合、母親は家賃を滞納したままだったので、当然ながら、「強制退去の執行はやめてほしい」という訴えを行う権利はなかった。 もちろん千葉県としては、家賃を支払っている他の入居者との公平性という視点からも、強制退去を執行しないわけにはいかないところであろう。

 しかし、事実関係を丹念に確認してみると、「お役所」の立場の中で、千葉県は可能な限り、柔軟な対応を試みていた様子ではある。不十分すぎたことが事件につながったのは事実ではあるけれども。

● 可能な限りの配慮は試みた?   なぜ千葉県は家賃の減免をしなかったか

 では、千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件現地調査団(代表・井上英夫金沢大学名誉教授、以下、調査団)による資料と、傍聴者による公判メモ(林氏提供)から、問題点を一つ一つ検討してみよう。 

 県営住宅の家賃は、基本、月末払いである。公判メモによれば、千葉県の県営住宅の場合、家賃未払いの際に通常とられる督促手順は、

 1.1ヵ月分滞納で、翌月上旬に督促状が発送される
2.2ヵ月分滞納で催告書が発送される
3.3ヵ月分滞納で連帯保証人に請求書を送る
4.4ヵ月分滞納で督促状が発送される
5.6ヵ月分滞納で出頭を要請する督促状が発送される

 となっている。今回の事件の母娘宅でも、捜査により、督促状が合計9通発見されたという。

 この手続とは別途、千葉県の条例に基づく約定があり、家賃滞納3ヵ月で入居許可が取り消しとなる。本来ならば、3ヶ月滞納で入居許可を取り消してよいのである。しかし、督促手順によれば、6ヵ月滞納で出頭を要請することになっている。

 2007年、県営住宅に入居した母娘は、直後から家賃の支払いが不安定になっていたようである。家賃は、当初は1ヵ月あたり1万2900円、2009年4月からは1万2800円であった。母親の所得状況を考慮して、家賃は減額されていたようであるが、その減額された家賃でも支払えなかったのである。

 2009年11月には、連帯保証人となっていた母親の元夫(夫の多額の借金を原因として離婚)のもとに、上記手順の「3」によって督促状が送付されたが、住所不明のため届かなかった。

475名無しさん:2015/06/27(土) 23:00:56
>>474

 2013年3月、千葉県から母親のもとに、「滞納家賃11万5000円を3月末までに支払わない場合には入居許可を取り消す」という内容証明郵便が送付された。しかし受取人不在のため、届かなかった。このため、県職員が母娘の住む県営住宅に行き、郵便受けに書面を入れた。この際、電気・ガスの供給が確認されている。

 2013年3月31日、ついに入居許可が取り消されている。この後、母親は家賃2ヵ月分にあたる2万5600円を支払っている。

 2013年7月には、千葉県が強制退去の訴訟を開始した。千葉地裁は2013年9月に、母親に出頭を求めている。また2013年11月までに反論するよう、母親に指示している。しかし母親の出頭や反論はなく、2013年11月18日に判決が言い渡された。

 2014年5月、県職員が県営住宅を訪問し、ポストに催告書を投函した。その後、母親は県に電話し、「8月に退去するので、強制執行はもう少し待ってほしい」と申し出たという。しかし退去しなかったため、8月20日に強制執行の公示を行い、9月24日に強制執行となった。

 最終的に滞納されていた家賃は、2013年6月以前に滞納されていた8ヵ月分・10万2400円に加え、2013年6月〜2014年8月の14ヵ月分にあたる28万1600円であった。強制執行に際しては、明け渡しに関わる費用も含めた「損害金」を加え、約148万円が滞納されたこととなっていた。

 給食センターにパート勤務していた母親には、夏休み明けとなる9月の就労収入はなかった。娘を殺して逮捕されたとき、母親の所持金と預金残高の合計は4680円であった。

 千葉県の対応からは、母娘の状況を可能な限り汲み取り、柔軟に対応しようと試みた形跡は読み取れる。しかし、最も重要な「家賃の減免」が行われていなかった。

 母親の就労収入は、平均して1ヵ月あたり7万円程度。千葉県に申請すれば、家賃は80%減額され、1ヵ月あたり2560円となっていたはずである。しかも、児童扶養手当・就学援助などの手当、夫からの養育費の支払いも合計すると、1ヵ月あたり14万円程度の収入はあった。1ヵ月あたり2560円の家賃が「どうしても支払えない」ということはなかったであろう。

 なお、調査団資料によれば、千葉県住宅課は、減免制度について説明しなかった理由を「相談がなかった」としているということだ。

● 娘のためにヤミ金にも… 担任教師も困窮を把握できず

 母親は、娘に対しては「お金の不自由はさせない」という方針であったようだ。住まいには、ややゼイタク感のあるAV機器があった。また娘には、「中学1年生向けの参考書5冊+資料1冊」で約35万円という教材を買い与え、娘の趣味であるアイドルのファンクラブ会費・イベント参加費・グッズ代、バレーボール部に所属して活躍していた娘の部活費用なども支払っていた。裁判での尋問では、「娘に我慢させることも教育では? 」という質問も行われたようである。公判メモには「我慢させることも教育だとは、当時考えなかった」という母親の回答がある。

 いずれにしても、「中学入学準備に費用が必要だった」「元夫からの養育費の振り込みが遅れた」といった事柄によって、母親の資金繰りサイクルが乱れ、ヤミ金・社会福祉協議会・「ママ友」などを含めた多重債務状態へと陥った。さらに母親は家賃を滞納し、強制退去の対象となった。

476名無しさん:2015/06/27(土) 23:02:29
>>475

 これらの点が、論告では、

  「身の丈に合わない浪費をし、ヤミ金や友人からお金を借りるなど計画性がない」
「仕事を増やすべきだった」
「元夫や県の担当者、弁護士にも相談できた」

 という非難の対象となり、懲役14年の求刑へとつながっている。

 裁判では、娘の中学校の担任であり、所属していたバレーボール部の顧問でもあった教員も証言を行っており、

 「明るく元気、礼儀正しい、前向き」

 という娘の性格面での長所を、学習面での真剣な取り組み、バレーボール部での活躍とともに語っている。また家庭環境については、

 「とても仲良く、娘は母親が大好き、母親も娘の幸せを強く願っているように感じられた」

 という印象を、母親が試合の送迎を行い、大会の応援にも来ていたエピソードとともに語っている。

 母娘の暮らしぶりについては、携帯などの持ち物・アイドルイベントへの参加から、「困っていないのかな」と思っていたという。就学援助を受けていることは、もちろん担任教員として把握していた。集金が遅れることもときどきはあったが、「そういう家庭はたくさんある」という認識であったという。

 母親は、「娘が楽しく学校生活を送り、幸せになれるように」と願い、必死の努力を重ねたのであろう。結果として、娘の担任教員にも困窮を気付かれないまま、悲劇的結末へと至ってしまった。母親の努力の方向性は、いささか見当外れであったかもしれない。しかし、母親を責める気持ちには、私はどうしてもなれない。

● 生活保護は2回の水際作戦に 間に合わなかった民間「セーフティネット」

 シングルマザーであるゆえの困難に加え、多重債務、家賃滞納、そして強制退去。このように「煮詰まった」状況への救いとなりうるものは、現在の日本には、生活保護しかない。

 母親は2回にわたり、生活保護を申請するために、銚子市役所を訪れている。母親の記憶によれば、1回目は2008〜2009年ごろである。前述のとおり、県営住宅に入居した翌年ごろから家賃の支払いは不安定になっていた。母親自身も困窮を自覚していたようだ。

 2回目は、母親が「(娘の中学入学費用確保のために利用した)ヤミ金の返済に追われているころ」と語る2013年4月である。しかし2回とも、「仕事をしているから、申請してもお金がおりない」「申請してもいいけど、支払われる額はない」という説明を受けたという。

 銚子市役所による2回目の聴取記録は、調査団の請求により開示されているのだが、収入・試算に関する欄のほとんどが「未聴取」となっている上、面接結果は「申請意思なし」とされている。1回目については、聴取記録さえ開示されていない。

 全く救いの見えない成り行きの末、「母親による娘殺し」という悲劇が起こった。公判メモによれば、母親は、

 「ぎりぎりまで娘と一緒にいたかったので、明け渡しの日に死のうと思った。自分だけ死んで娘は国に保護してもらうつもりだった。娘を学校に送ってから死ぬつもりだった。娘が自分の体調を心配し学校を休むと行ったので計画が狂った。当日のことは、今は全く覚えておらず、なんで娘を殺すことになったのか分からない」

 と述べたという。

477名無しさん:2015/06/27(土) 23:03:44
>>476

 悲劇が起こったその日、執行官とともに、催告や強制執行の補助のため、業者・S氏がやってきていた。S氏の業務は、執行官を守り、強制執行ならば荷物の梱包・運搬などの実務を遂行することである。

 S氏は日常、催告にあたっては、強制退去させられかねない居住者とコミュニケートし、任意退去が可能なように県に働きかけることもあった。また、転居先探し・生活保護申請の手伝いも行っていた。「病気などで歩行の不自由な居住者に対しては、市役所まで一緒に行って、福祉やNPOの人と話をすることも」あったそうである。そのような支援を行うことになるのは、催告・強制執行となる担当ケース全体の2〜3割だったそうだ。モチベーションの源は、

 「最悪の事態、追い詰められて命を亡くす、そういった事態を避けたい」

 である。

 しかし今回、S氏は催告には関わっていなかった。「母子家庭で連絡が取れない」とだけ県から申し送りを受け、強制執行という形で母娘の住まいのドアを開けて入ったS氏は、息絶えた娘の第一発見者となった(以上、公判メモによる)。

 林治氏は、

 「2012年、餓死・孤独死事件が相次ぎましたが、その後、行政の対応が改善されているとは思えません。この母子も、この痛ましい事件が起きなければ、餓死・孤立死していたおそれもあります。私のところには、家賃が支払えなくて困っている人の相談が多数あります。公営住宅の家賃の滞納もあります。しかし、行政がこれをキャッチして対応したという例は皆無です」

 と前置きし、千葉県の対応に対しては、

 「この事件で、千葉県と銚子市に申し入れと面談を行った際、千葉県は『減免制度のお知らせは、毎年、翌年度の家賃を通知する時にしているし、ホームページにも載せている』と説明していました。でも、これで居住者の方々に、充分に伝わるとは思えません。まして、家賃を滞納している状況で、大家さんである千葉県に連絡するなんて……『家賃が払えないと言ったら、出て行けと言われるのでは』と心配してしまい、自分から話をすること自体が難しいはずです。でも、行政は、こういう心情が想像できないようです」

 と、「抜け」「漏れ」を指摘する。さらに、

 「今回の事件でも、行政があてにならなかったわけです。法律家に繋がれば、ヤミ金の対応や生活の立て直しのお手伝いができたと思うと……」

 と残念がる。

 善意の人々は、そこかしこにいた。強制執行のためにやってきた業者にまで、救いの手を差し伸べる用意はあった。しかし、届かなかった。

 この悲劇を繰り返さないために何が必要なのか、私には想像もつかない。何もかもが不足している。少なくとも、行政が役割を果たすことは、もっと強く求められてしかるべきであろう。しかし、ケースワーカーの人数も生活保護費予算も、拡充される見込みはまったくない。

 次回は、2015年7月1日から施行される、生活保護の家賃補助(住宅扶助)削減についてレポートする予定だ。生活の根幹である「住」は、どうなろうとしているのであろうか? 

みわよしこ

478名無しさん:2015/06/28(日) 09:38:22
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150626-00000001-sasahi-soci
下流老人になるのは一般論信者 必要なのはお金より◯◯〈週刊朝日〉
dot. 6月26日(金)7時12分配信

 高齢者層の貧困が際立っている。生活困窮者を支援している認定NPO法人、自立生活サポートセンター「もやい」では年間3千人の生活相談を受けており、平均年齢は45歳だが、80歳からの相談もあるという。大西連理事長はこう話す。

「高齢で働けなくなれば、貯蓄を使うか、家族の扶養か、社会保障に頼るかしかない。この2年間で生活保護が増えているのは高齢者世帯だけです。今の若者は非正規労働者が多く、貯蓄ができないので貧困化していく。核家族化も進んでいるので頼れる家族も少ない。将来的に貧困の高齢者が増えるのは必然です」

 高齢者の貧困は、就労困難だけが原因ではないという。

「年間600世帯の入居支援のうち、男性の一人暮らしが圧倒的に多い。高齢になって働けなくなると孤立しがちで、経済的な貧困と人間関係の貧困はリンクしている。両方に対する支援が必要です。そこで私たちは居場所づくりのために交流事業もしています」

 老後にも何らかのコミュニティの中で人間関係をつくることができれば、少なくとも、認知症に気づき始めても誰にも相談できないという状況だけは避けられるはずだ。

 病気や事故により、高額医療費に苦しむリスクは誰にでもある。備えとしては民間の医療保険があるが、もっとも困るのは、働けなくなって収入が途絶えることだろう。そんなときに所得を補償する保険もある。

 損保ジャパン日本興亜や富士火災海上保険が出している「所得補償保険」が有名だが、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏はライフネット生命の「就業不能保険」をすすめる。

「ライフネットのものは65歳まで毎月給付金が支給されるうえに保険料がリーズナブル。ただ、この分野は支払い条件が厳しいせいか、あまり商品が増えていません。住宅を購入する人には、該当する病気になった場合に住宅ローン残高と同じ金額の保険金が支払われる生前給付型の団体信用生命保険が人気です。最近は7大疾病や8大疾病までカバーするものもあります」

 保険は大切だが、下流老人にならないためにすべきことはまだまだあると畠中氏は言う。

「老後に必要なお金は、その人の年間支出で決まるものです。まずは1年分の特別支出の総額を出してください。それは固定資産税や自動車税、冠婚葬祭費といった出費です。月々の生活費は年金暮らしになれば、それに合わせて少なくできますが、特別支出は減らすことが難しいのです。『5千万円は必要だと言われているし……』と一般論で考えるタイプが貧困化しがちです」

 畠中氏は老後の生活不安や将来的な介護施設入居への不安を解消するうえで、即効性があるのは住み替えだと話す。

「ケアハウスなら食費(3食)と住宅費込み1カ月7万〜8万円で暮らせるところもあります。70代になって貯金が減って不安になってきたら、ケアハウスへの入居もありですね。また、実際に入居するかしないかは別にして、60歳を過ぎたら見学してください。共同生活が苦手な人もいるでしょうが、下流老人にならないための選択肢は多いほうがいいはずです。介護付き有料老人ホームだって地方に行けば入れる可能性がある。老後の住み替えは情報戦。お金のない人ほど情報が必要なのに、積極的に取ろうとしないですね」

 ケアハウスは原則として自立した高齢者が入居する住まいで、自治体からの補助があるために利用料が安い。例えば、東京23区内にある某ケアハウスでも、収入によって月の利用料は変わるが、7万5310円〜となっている。都市部を離れれば、さらに格安のところが見つかるだろう。

※週刊朝日 2015年7月3日号より抜粋

479チバQ:2015/07/01(水) 18:44:32
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150701-00000069-nksports-soci
他に行くところがない 火災の川崎簡易宿泊所街ルポ
日刊スポーツ 7月1日(水)12時35分配信


京浜急行の線路沿いに簡易宿泊所が密集する一帯があった=川崎市川崎区日進町
 5月17日未明、川崎市の簡易宿泊所2棟が全焼し10人が犠牲となった。現場付近は、簡易宿泊所が立ち並ぶ一角で、今も多くの簡易宿泊所が営業を続けている。火災から1カ月、火災当日に全焼した吉田屋の3階に宿泊し、命からがら窓から飛び降りて助かった男性(79)の話を聞いた。男性によると、この町で生活する多くの人が高齢者で生活保護受給者だという。

【写真】市役所複雑…地図を渡すことも/簡易宿泊所ルポ

 「パンツ1丁で飛び降りるしかなかったんです」。火災が起こった5月17日午前2時ごろ、男性は偶然にも尿意で目を覚ましたという。トイレに行こうと部屋のドアを開いたところ、火災による熱風に襲われた。「逃げる場所がなくて窓から飛び降りるしかない」と、3階から飛び降りた。あばら骨骨折や、やけどで5日間入院した。男性は、取り壊し中の火災現場を見守りながら振り返った。

 簡易宿泊所が立ち並ぶ川崎区日進町で生活するようになって7年になる。以前は都内で建築関係の仕事などを転々としていたが、体調を崩し、仕事で縁のあった川崎市に移り住んだ。住居のない状態で市福祉事務所に生活保護の申請に訪れたところ、簡易宿泊所の地図を渡され、火災のあった吉田屋で生活していた。

 「この街は今、生活保護をもらっている高齢者ばかり。働いている人はほとんどいない」。男性によると、簡易宿泊所に住む人の多くが60代以上だという。火災で10人亡くなったが、知り合いはいなかった。「部屋にこもりっぱなしの人もいるし、仲の良いグループみたいのはあるが、基本的に交流がない」と話す。

 簡易宿泊所の1泊の料金は約2000円前後。生活保護費は約14万円支給され、そのうちの約6万円が宿泊費。残り8万円が生活費となる。「食費とか考えるとギリギリ」だという。

 退院後、福祉事務所に相談に行くと、再び図を渡された。今は別の簡易宿泊所で寝泊まりをしている。「今度は2000円のところに住んでいるけど、トイレとかが汚くて前の方が良かったね」と苦笑いした。

 火災で、少しばかりの現金、衣類など全てを失った。退院する際、病院側が衣類や靴などを用意してくれた。県や市、赤十字などから見舞金も5万円出たという。「夏物は買いそろえたけど冬物がない。これから買わなきゃいけないけど、冬物は値段が高いので大変だよ」と声を落とした。

 男性は1人暮らしをしている理由については多くを語ろうとしなかった。名前も過去も話したがらなかった。今後のことを聞いた。男性は、少し考えてから「どこか安いマンションみたいなところに入れたらいいねぇ。火事になりにくいし」と、しみじみと答えた。そして、また少し考え込んで、「ここら辺の建物はどこもボロボロ、そりゃ火災になれば燃え上がってしまうよ。でもね、多くの人がこの街以外に行くところがないんだ。だから騒がないし、受け入れているんだよ」と話し、その場を後にした。【上岡豊】

 ◆川崎簡易宿泊所火災VTR 5月17日未明、川崎市川崎区日進町の簡易宿泊所「吉田屋」から出火し隣接する宿泊所「よしの」に延焼、2棟延べ計約1000平方メートルが全焼し、10人が亡くなった。吉田屋の玄関付近が激しく燃えていたという証言もあり、川崎署は失火と放火の両面から調べている。2棟の宿泊所とも、建築基準法上、木造2階建てと申請していたが3階建ての構造だった。

480とはずがたり:2015/07/03(金) 10:30:52
マイナンバーで資産の捕捉が可能になるので,高齢者富裕税でも設けて後期高齢者医療保険の特定財源にして老人から老人への助け合いシステム作れば良いかもね。

トマ・ピケティ氏、「日本の富は高齢者に集中、若い人たちに利する税制を」
http://news.mynavi.jp/articles/2015/01/31/ThomasPiketty/
鈴木ともみ  [2015/01/31]

481名無しさん:2015/07/03(金) 20:30:13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150702-00000105-jij-pol
生活「苦しい」、過去最高62.4%=平均所得は1.5%減―厚労省調査
時事通信 7月2日(木)17時38分配信

 2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%減(8万3000円減)の528万9000円となったことが2日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。生活が「苦しい」と感じている世帯の割合は14年7月時点で過去最高の62.4%に上り、同省は、同年4月に消費税率を8%に引き上げたことなどが影響していると分析している。
 1世帯当たりの平均所得はここ10年で最も低く、データが残る1985年以降では4番目の低さ。非正規雇用の増加などが背景にあるとみられる。
 世帯種類別の平均所得は、65歳以上の人のみか、65歳以上と18歳未満で暮らす「高齢者世帯」は2.8%減の300万5000円。18歳未満の子供のいるすべての世帯で見た場合は3.4%増の696万3000円だった。
 生活意識は、「大変苦しい」が29.7%、「やや苦しい」が32.7%。両者の合計が「苦しい」で、今回までの最高は11年7月時点の61.5%。一方「普通」は34.0%で、「ややゆとりがある」3.2%、「大変ゆとりがある」0.4%だった。

482とはずがたり:2015/07/07(火) 13:10:04
この手の話しを聞く時に一番重要なのは(二つ挙げるけど)客観性と思いやりだ。印象論で話しては行けないけど,冷静にコストから見るべきだからこそ,貧困家庭の窮状への共感も重要である。

>小学6年生の、学力テストの点数は親の収入ときれいに比例しています。子どもの学力は、義務教育の時点で、すでに格差があるのです
貧乏人は塾へ行けないってのもあるけど,塾へ通わすって習慣がないのかも。子どもの教育にしか使えないクーポンがあってもいいかもね。

【連載】ニッポンの貧困
1 「ニッポンの貧困」について知っていますか?--6人に1人が"相対的貧困"
http://news.mynavi.jp/series/hinkon/001/
阿部彩  [2015/05/26]

『日本の貧困』ってどういうこと?

「近頃、『貧困』という言葉がニュースでもたびたび聞くけど、『日本の貧困』ってどういうこと?」そう思っていらっしゃる読者も多いのではないでしょうか。貧困を、飢えたアフリカの子どもや、戦後日本の食べ物も配給に頼っていたころのことと思っていたら、確かに、現在の日本に貧困なんてないと思われるかも知れません。しかし、このような『貧困』は『絶対的貧困』と呼ばれるもので、日本をはじめ、先進諸国において問題とされる『相対的貧困』とは異なります。

「相対的貧困」とは、その時代の社会において、一般市民が「当たり前」とおもっているような生活をおくれないことを指します。例えば、日本の現代社会では、就職活動をしたり、親戚の結婚式に出席したり、友人と交流したりということです。

対して、「絶対的貧困」は肉体的・心身的なサバイバルが不可能な状態を言います。相対的貧困では、飢え死にしたり、野宿したりすることはありませんが、夕食はカップラーメン1つだけ、就職活動をするまともなスーツがない、結婚式のお祝儀が払えない、家賃や公共料金さえも滞納してしまう…このような状況です。最新のデータによると、このような「社会の当たり前」の生活ができない確率が高まるのが、年間手取り所得が122万円(一人世帯)以下の人々となります。

6人に1人が相対的貧困の状況

いま、日本の相対的貧困率は16%です(厚生労働省推計)。つまり、6人に1人が相対的貧困の状況と言うことです。特に、近年、急激に貧困率が増えているのが、20歳代。そして、一人暮らしの女性、男性です。勤労世代(20〜64歳)の一人暮らしの女性の3人に1人、男性の4人に1人は相対的貧困状況にあります。

若くて、元気であれば、年間所得122万円以下でも、それほど問題を感じずに暮らせるかもしれません。しかし、いったん病気になってしまったり、職を失ってしまったりすると、たちまち貯蓄は底をつき、日々の暮らしにも困るようになります。また、将来へのキャリアアップや、家族形成(結婚や出産)、老後のための年金保険料といった、ライフプランも、立てにくいことも事実です。実際に、所得が低い非正規労働者は、正規労働者に比べて未婚率が高く、家族形成が難しいことがわかっています。

巷では、景気回復の兆しが新聞等を賑わせていますが、貧困層の人々には、その恩恵は遠く感じられるでしょう。なぜって、日本の貧困率は1980年代から、ずっと、悪化し続けているからです。1980年代から2010年代まで、好景気の時期もありましたが、貧困率の減少は見られませんでした。日本だけではありません。先進諸国においては、1970年代から見ると、経済成長が、社会の底辺の人々の勤労所得を増加させなかったという研究が発表されています。アベノミクスだけでは、だめなのです。

483とはずがたり:2015/07/07(火) 13:10:31
相対的な貧困は、人々の健康や人間関係にも影響

日本の相対的貧困率は16%。
全国民の6人に1人が貧困です。

しかし、これは「相対的貧困率」。途上国の難民や、戦後の日本において、食べ物や住むところにもこと欠く状況は「絶対的貧困」。「絶対的貧困」は、現代日本には限られたケースしかありません。

「相対的貧困」とは、その時代の社会において、一般市民が「当たり前」とおもっているような生活をおくれないことを指します。でも、この定義で見ると、この豊かな日本においての「相対的貧困」って、そんなに厳しい状態ではないと思うかも知れません。「そりゃあ、比較の問題で、ほかより多少収入が低かったって、たいしたことないだろう」と思われる人も多いかも知れません。

しかし、相対的な貧困は、人々の健康や人間関係にも影響してきます。成人のうつの状態は、低所得層ほど悪くなっています。糖尿病や脳血管疾患(脳梗塞など)の死亡率も社会経済階層が低いほど高くなります。また、「2週間に1度以下しか人と話さない」などの極端に孤立している人の割合も、低所得層の人ほど高くなっています。高齢者においても、低所得層ほど健康状態が悪く、また、孤立しがちです。なんと、誰にでも等しく起こり得ると思われがちな転倒についてまでも低所得層ほど、その頻度が高いことがわかっています。

相対的貧困の影響は、子ども期から表れる

相対的貧困の影響は、子ども期からすでに表れます。小学6年生の、学力テストの点数は親の収入ときれいに比例しています。子どもの学力は、義務教育の時点で、すでに格差があるのです。学力だけではありません。貧困は、子どもの心にも大きな影を落とします。「自分が価値がある人間と思わない」「将来には夢がない」と考える子どもの割合は、相対的貧困の子どもに特に高くなっています。

相対的貧困が恐ろしいのは、このように、経済的に低い位置にあることが、その人の健康や精神状態、能力、人間関係、そして、最後には自分自身をどう評価するかという自己肯定感まで低めてしまうことです。

誰にとっても、生きにくい社会

よく、「報酬は、会社や社会からの評価の現れ」と言われますが、これは、ひっくり返せば、報酬が低い人は社会からの「評価」が低いとみられても致し方がないということです。悲しいことに、今の日本の競争社会においては、所得が低いことや、失敗することが、「負け組」とされて、「負けた」人が悪いんだという自己責任論がはびこっています。そして、子どもにおいても「負け組」は「自分は価値がない」というように、自己責任論を内面化していきます。

このような社会は、誰にとっても、生きにくい社会です。近年わかってきたのは、格差が大きく、「負け組」が貧困に陥ってしまうような社会においては、「勝ち組」の人たちの状況も悪くなるということです。「勝ち組」であっても、「負け組」になっては大変と、大きなプレッシャーを感じ続け、自分の地位を守るために常に躍起になっていなければなりません。

「この頃、生きるのがしんどいな」
そう感じているあなたも格差社会の犠牲者かもしれません。

グローバル経済に晒されているのは、日本だけではない

日本の貧困率は16.1%。

この値は、先進諸国32か国の中では、6番目に高い数値となります。日本より、貧困率が高いのはアメリカ、イスラエル、メキシコ、トルコ、チリだけです。日本は、決して貧困が少ない国ではないのです。
「だけど、これって仕方がないんじゃない?」という声をよく聞きます。
「経済がグローバル化して、競争が激しいから、日本の貧困率があがっても、どうにもならない」そう思っている人は読者の方にも多くないでしょうか。

484とはずがたり:2015/07/07(火) 13:10:50
>>482-483
しかし、ちょっと考えてみましょう。
グローバル経済に晒されているのは、日本だけではありません。<図1>の国々だって、グローバル経済の影響を受けているはずです。ですが、多くの国は日本よりずっと低いレベルに貧困率をとどめています。


日本では、「再分配機能」があまり働いていない

実は、これらの多くの国は、市場所得、すなわち税金や社会保険料を払う前、また、年金や児童手当、生活保護などの政府からの給付を受け取る前の所得で見ると、日本より高い貧困率なのです。しかし、税金・社会保険料、そしてさまざまな給付を通じて、政府が介入したあとの所得、すなわち手取り所得で見ると、貧困率はずっと低くなります。このような機能を、政府の「再分配機能」と言います。

日本では、この「再分配機能」があまり働いていないために、市場所得での貧困率はさほど高くないのに、手取り所得での貧困率が高いのです。

もちろん、再分配をするために、各国の政府は多大な財源を要します。そのために、国民からたくさんの税金も取ります。しかし、結果として、貧困層の人々の生活が楽になるのであれば、と国民は納得して税金を払います。

一方、日本は再分配をするのが難しい状況に陥っています。日本の財政は、支出が収入(税金等)を大きく上回り、大幅な赤字だからです。この赤字は、国債、すなわち借金で埋めており、現在、国の支出のなんと4割が借金でまかなわれています。この借金は、いつかは日本国民が払わなくてはならないものです。政府が無駄遣いを減らす努力も必要ですが、それだけではこの借金はなくなりません。こんな財政事情の中、貧困層への「再分配」などできないのです。

日本の貧困率の高さは、日本自身の身から出た財政状況によるもの

日本の貧困率が高いのは、「経済のグローバル化」といった日本の外にある「いたしかたがない」要因によるものではありません。日本の貧困率の高さは、日本自身の身から出た財政状況によるものなのです。財政を改善するには、全国民が腹を据えて、負担を引き受けるしかありません。国民が一丸となって負担を分け合い、一番必要な人々に再分配できるように、政治に求めていくか。それとも、あきらめて、貧困と格差のはびこる社会を受け入れ、自分の保身だけに走るのか。今、国民につきつけられている問いです。

<著者プロフィール>
阿部 彩(あべ あや)

首都大学東京 都市教養学部 教授。MIT卒業。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修士号・博士号取得。国際連合、海外経済協力基金を経て、1999年より国立社会保障・人口問題研究所にて勤務。2015年4月より現職。厚生労働省、内閣官房国家戦略室、内閣府等の委員歴任。『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、2008年)にて第51回日経・経済図書文化賞を受賞。研究テーマは、貧困、社会的排除、生活保護制度。著書に、『子どもの貧困』『子どもの貧困II』(岩波書店)、『弱者の居場所がない社会』(講談社)など多数。

485とはずがたり:2015/07/08(水) 10:41:25
新幹線焼身自殺テロ 年金を35年間払っても生活保護以下〈週刊朝日〉
dot. 2015年7月8日 07時01分 (2015年7月8日 07時52分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150708/asahi_20150708_0001.html

 6月30日午前11時半頃、男は神奈川県小田原市付近を走行中の東海道新幹線「のぞみ225号」の先頭車両でガソリンをかぶり、焼身自殺を遂げた。一種の“自殺テロ”といえる行為で、炎は天井が焼け落ちるほどだった。逃げ遅れた女性1人が死亡、28人が重軽傷を負う大惨事となった。

「男は黒焦げで、指紋と運転免許証で身元が判明した」(神奈川県警関係者)

 男の名は東京都杉並区西荻北の無職、林崎春生(はるお)容疑者(71)。犯行前には周囲に、繰り返し年金の受給額の少なさと保険料や税金の高さへの憤りをぶつけていた。林崎容疑者とは、かつて飲食店を経営していたときから40年来の付き合いがある男性(73)は言う。

「今年の春ごろに空き缶回収の仕事を辞めて、6月から年金だけの生活になると話していました。『年金が少ない』とよく言っていて、滞納があったのか、国民健康保険や住民税で6万円も払わないといけないと怒っていました」

 自殺をほのめかすような発言もしていた。

「『区役所に縄を持って行って首を吊ってやる』という話もしていた。実際、区役所に行って自殺の話もしたようです。すると、職員から『本当にそんな覚悟があるんですか』と言われ、ハヤシさん(林崎容疑者の愛称)は『お前も一緒に死んでくれるか』と言い返したと話していました」(同)

 杉並区の生活保護基準は14万4430円だ。しかも、生活保護の場合は国民健康保険や住民税などの負担が減免される。つまり、林崎容疑者は35年間も真面目に年金を納めたにもかかわらず、生活保護水準以下の12万円の支給しか受けられない「下流老人」だった。

 アパートの大家によると、1年ほど前に「生活が苦しいから家賃を下げてほしい」と言われ、千円下げたという。ただ、支払いは2カ月分のまとめ払いだったが、「遅れたことはなかった」と話す。

 6月12日には、区議会議員に電話で生活相談をしていた。応対した議員は、

「『年金が少なくて生活が大変だ』と言っていました。生活保護の申請ができるか、今度会って話をしましょうと言いました。後日に日程調整をしようと携帯電話に連絡を入れたのですが、そのときは留守だったんです。折り返しの連絡を待っていたのですが、こんなことになるなんて……」

 区議会議員によると、林崎容疑者は数年前にも借金の返済について相談をしていたという。

 6月中旬ごろには、林崎容疑者のおかしな言動も確認されている。…

近所のスーパーの店員が証言する。

「店ではいつも練乳入りのかき氷アイス2個とタバコを買っていました。酒を一緒に買うときは発泡酒やカップ酒が多かったですね。それが事件の2、3週間前に来たときは『これ(酒)がないと眠れないんだよ』と、独り言みたいに小さな声でつぶやいていました」

 林崎容疑者の姉(75)を直撃すると、生活苦の悩みを打ち明けられていた。

「6月中旬に電話がありました。年金は月18万円ぐらいもらえると思っていたら、12万円だった。年金のことでうつになっていたと思う。『国会の前で自殺でもしようか』とも言っていました。最後に話をしたのは事件の1週間前。『アルバイトがまだ見つからなくて』と。お金を貸してほしいと言ってくれれば、貸してあげたのに……」

 貧困に苦しむ高齢者の実態を記した『下流老人』の著者で、生活困窮支援のNPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典さんは言う。

「彼は典型的な下流老人です。現役時代の収入が多くなく、貯蓄も底をついた。生活の助けを求めることのできる家族や友人関係もない。こういった人たちが、いざ年金だけで生活する年齢になると、突然貧困層に落ちる。これはまれなケースではなく、私の試算では、高齢者の9割が下流老人になる可能性があります」

 林崎容疑者の生い立ちは戦後日本人の典型だけに、他人事ではない。

(本誌・上田耕司、西岡千史)

※週刊朝日 2015年7月17日号より抜粋

487名無しさん:2015/08/10(月) 16:06:25
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150808-00908764-sspa-soci
低所得よりも怖いのは“精神的な貧困”
週刊SPA! 8月8日(土)13時51分配信

「未婚化が進む日本では、高齢男性の“おひとりさま”世帯はより増えていきます。経済的な貧困の解決は政治の問題ですが、“精神的な貧困”に陥らない方策を提示することが社会学的な課題です」

 そう語るのは社会学者の阿部真大氏。精神的な貧困の代表である孤立化は未婚化が進む現代人にも悩みの種だ。

「老人ホームの調査をする際、たむろしておしゃべりしている女性に対して、男性は独りぽつねんとしている姿を目にします。別に『男もおしゃべりのスキルを』と言っているわけではなく、“独りでいても孤独を感じない”ということが重要です。これは“他人志向型”――つまり他者からの評価を価値基準とする出世競争に邁進してきた人ほど陥りやすい。精神的貧困を避けるためには、自分だけが楽しめる価値観を持った、“内部志向型”の人間を目指すべきです」

 定年後、おもむろに趣味を持ち始めようとして挫折する高齢者は多い。現役世代のうちに、仕事とは別の趣味や生きがい、人的ネットワークを持つことが大切なのだ。

「高齢化社会というとマイナス面ばかりが取りざたされますが、見方を変えれば、“知恵を持ち、落ち着いて物事を見れる”人が多い社会ともいえます。成熟した高齢者の知恵とは生きるための工夫や、人付き合いのスキルである“生活知”のこと。コンテンツばかりが高齢化している今の消費社会では見えづらいですが、老後は消費することが豊かさには直結しません。そのために必要なインテリジェンスは、今からでもカネをかけずに身につけることができます」

 カネがすべての価値観が閉塞感を生み格差を感じる。ボロを着てても心は錦の精神が重要だ。 <取材・文/スギナミ>

<3か条>

1 孤立しても孤独を感じない内部志向型の人間を目指す

2 現役世代のうちに仕事とは別の趣味、仲間を見つける

3 生活知を磨くことが尊敬される老人への第一歩

【阿部真大氏】

社会学者。甲南大学准教授。労働社会学を専門とし、現代日本の労働現場を分析する。近著に『「破格」の人―半歩出る働き方』(KADOKAWA)

日刊SPA!

488とはずがたり:2015/09/01(火) 12:10:06
>大阪府によると、門真市の受給割合は今年3月時点で、府内では大阪市に次いで多かった。
やったもん勝ちの大阪気質だからなぁ。。
此処はケースワーカーの数増やしてコストを掛けてでも受給者の実態を暴いていかないと正直者がバカを見る。

2015.9.1 05:00
生活保護、打ち切りも2日後再開→再び廃止 大阪・門真、4年で1600万円不正受給 市が告訴へ
http://www.sankei.com/west/news/150901/wst1509010009-n1.html

 生活保護を受けていた大阪府門真市内の30代の男性に対し、同市が車の不正使用を理由に保護を打ち切った2日後に保護費の支給を再開し、4カ月後に再び不正が発覚して受給廃止となっていたことが31日、分かった。市の調査で、男性が4年間にわたり会社員としての収入を申告しておらず、不正受給額が約1600万円に上ることが判明。市は詐欺罪で男性を大阪府警門真署に告訴する方針だ。

 市によると、男性は持病があるため働くことができないとして、市に生活保護を申請。平成22年8月から受給を始めた。しかし、25年11月に「男性が車やバイクを所有し、仕事もしていて収入がある」との情報が市に寄せられ、男性の妻が車の運転を繰り返していたことが発覚。車の使用は原則、他人名義でも認められておらず、市は文書で再三指導したが、男性側が従わなかったため、26年3月1日に保護を打ち切った。

 男性は直後、「病気の妻の収入と児童手当だけでは生活が困難だ」として、再び生活保護を申請。市は打ち切りから2日後の3月3日に支給を再開した。

 ところが、今度は男性が大阪府内の葬儀会社に勤務していながら市に収入を申告していなかったことが発覚。市は再開から4カ月後の同年7月に再び支給を打ち切った。

 その後の調査で、男性は22年8月〜26年7月、会社員としての収入計約1540万円を市に申告せず、生活保護費計約1600万円を不正に受け取っていたことが分かった。

 関係者によると、男性は仕事を辞め、現在は家族とともに鹿児島県内に居住しているという。市は男性に返還を求める方針だが、被害が多額で内容も悪質として告訴することを決めた。

「働いてないという先入観あった…」背景に人員不足

 「チェック態勢に限界があった」。大阪府門真市の生活保護の担当者は、2度も不正受給を許した今回の事態をこう釈明する。全国の生活保護受給世帯が過去最多となる中、不正を見抜けなかった背景には、保護行政の一線で働くケースワーカーの恒常的な不足という事情も垣間見える。

 門真市では年2回、受給者に対し、収入の過少申告などの不正がないか調査しているが、今回の不正を許した。担当者は「医師から病気で『稼働不可』と診断されており、働いていないという先入観があった」と強調する。一方で、受給者と定期的に面談し、生活や就労の状況をチェックするケースワーカーの業務量が多いことも要因に挙げた。

 厚生労働省が8月に発表した全国の生活保護受給世帯(5月時点)は、162万2525世帯と過去最多を更新した。門真市の7月現在の受給状況は4534世帯6298人で、市民千人のうち約50人が受給している計算。大阪府によると、門真市の受給割合は今年3月時点で、府内では大阪市に次いで多かった。

 門真市のケースワーカーは約40人で、1人で約110世帯を担当。社会福祉法が標準と定める1人80世帯を大幅に上回っているのが現状だ。厚労省の担当者は門真市の現状について「不正受給が起こらないよう、状況に応じてケースワーカーを増やすなどし、業務量を減らすことが必要だ」と話した。

489とはずがたり:2015/09/01(火) 12:13:14

2015.3.2 21:04
京都府庁の臨時職員しながら生活保護 「減額や停止されるので黙ってた」 不正受給の疑いで元職員逮捕
http://www.sankei.com/west/news/150302/wst1503020070-n1.html

 京都府庁の臨時職員として働くなどして収入を得ながら、無収入と偽って生活保護費を不正受給したとして、山科署は2日、詐欺の疑いで、京都市中京区の無職の女(47)を逮捕した。同署によると、「正直に言うと減額や停止をされるので黙っていた」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は平成25年5月〜26年5月、生活保護費約120万円を不正に受給したとしている。

 京都市が行った生活保護受給者に対する課税調査で発覚。今年2月、市が同署に告発した。女は25年2月〜9月までの間、府の臨時職員として勤務。その後も派遣社員として働くなどしていた。

2015.1.30 17:13
生活保護費から天引き 田辺市職員を停職 和歌山
http://www.sankei.com/west/news/150130/wst1501300058-n1.html

 和歌山県田辺市は30日、生活保護受給者2人の保護費から一部を天引きするなどしたとして、保健福祉部福祉課の女性主査(43)を停職1カ月の懲戒処分にした。

 市によると、主査は平成24年5月〜26年2月、国民健康保険料と医療費の計約15万円を滞納していた受給者に対し、本人に相談の上で22回にわたり滞納額を上回る計66万円を天引きした。医療費の支払い処理を怠った上、過剰分を受給者に返金せず、他の受給者の生活費として貸し出した。

 主査は別の受給者からも25万円を天引きした上、同様に事務処理を怠るなどしていた。

 真砂充敏市長は「公務員として絶対にあってはならない行為で、深くおわびする」とのコメントを出した。

2015.1.29 18:01
「ホストに貢ぐため」 生活保護の不正受給で41歳の風俗嬢を逮捕 京都府警
http://www.sankei.com/west/news/150129/wst1501290063-n1.html

 収入を隠して生活保護費を不正受給したとして、京都府警山科署は29日、詐欺の疑いで、京都市伏見区に住む風俗店従業員の女(41)を逮捕した。同署によると「ホストに貢ぐため金が必要だった」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は平成26年6月〜27年1月、生活保護費約87万円を詐取したとしている。

 同署によると、女は20年9月から生活保護を受けていた。26年4月から派遣型風俗店で勤務し、約500万円の収入を得ていたが、無収入と申告していた。1月8日、自分名義の携帯電話を他人に譲渡したとして、携帯電話不正利用防止法違反で逮捕され、その後の調べで発覚した。

490名無しさん:2015/09/02(水) 19:58:56
http://news.livedoor.com/article/detail/10542299/
下流社会が二極化…大阪・あいりん地区で“超エリート”と呼ばれる人々
2015年9月2日 15時0分 dot.(ドット)

 やはり働く人がいちばん偉い――日雇い労働者やホームレスの人たちが集う、大阪市西成区・釜が先のあいりん地区では、“白手帳”と呼ばれる「日雇労働被保険者手帳」を持つ労働者がここに住む人たちからもっとも尊敬のまなざしでみられている。

「あいりんの職安におる奴らは、俺らから言わせると“お堅い勤め人”や。白手帳持ち、それだけで尊敬されるで。なかでも手に職のある工員ゆうたら俺らとは別世界の人間や。超エリートやな。奴らが街なかを歩いとったら、まるで後光が差してるようにみえるで」

 “三角公園”の通称で知られる釜が先の中心広場である萩の茶屋南公園を根城にするホームレスのマサヨシさん(仮名・58歳)は、JR・南海線新今宮駅西口から徒歩1分にある「あいりん労働福祉センター」に集う日雇い労働者たちについて、こう話す。

「夏の暑いときも冬の寒いときでも、朝3時や4時から白手帳持ちは動いとる。朝6時には、もう奴らはマイクロバスに乗って現場や。お日様が照ってるうちはどこぞの工事現場でシノギしたはる。俺はそういうことがでけへんねんな。手に職もない作業員の仕事やと人に使われる。それが耐えられん」

 ホームレス生活約20年のベテラン、マサヨシさんが、この釜が先に流れ着いたのは数年前のことだ。九州、宮崎県の中学校を卒業後、就職のため大阪に出てから、10代半ばの数年は、中華料理店や寿司屋、スナックなど、飲食業を中心に職を転々としてきたという。

「いろいろやったよ。でもな、結局、どこも“見習い”のままやねん。一丁前になるまで続かんのや。上の奴からあれこれ言われるのがどうも好かん。せやから、ちょっと偉そうに言われると頭に血が上ってな。そのまま喧嘩別れや。ホームレスやる奴のほとんどがそうや。誰かに束縛されたり指示される。それが嫌なんや」

 マサヨシさんは自身の経験に重ねてホームレス生活を送る人の心理をこのように問わず語りに語った。飲食業で身を立てたいと思っていたマサヨシさんだが、職人の世界は若いうちからの修行がモノをいう。さすがに25歳を超えると、見習いとして雇ってくれるところはもうなかった。

「仕方ないから日雇いでずっと食いぶちを稼いどった。でも、毎日稼がんでも何とかなるもんやで。空き缶や雑誌拾うて売ったり。そんなこんなで気がついたらこの歳になってたゆう感じやな。なんぼも稼ぎにはならんけど。食うにはそんなに困ってへん」

 ホームレス生活も長いマサヨシさんを行政やホームレス問題を取り扱っているNPOも放ってはいない。時折、生活保護受給を申請しアパートの世話もしようとの声がかかる。

「生活保護ちゅうんは、国に日和るゆうことやろ。保護受けると市役所の役人からあれこれ指図されるて聞く。そんなんは俺、耐えられんで。これまで好き勝手に生きてきて、この歳なって人のゆうこと聞いて食べさせてもらう。それ、筋通らんとちゃうか?」

 三角公園ほか、西成のホームレスには20代はもちろんのこと、30代、40代の年齢層の者をみることはめったにない。マサヨシさんはその背景をこう明かす。

「若い子ほどあれこれいわれるんは好かんやろ。ホームレスにもモラルゆうか秩序があるんや。たとえば公園でやな。誰がここに寝る、座るとか暗黙の了解がある。新参者が入り込むのは難しいもんや。せやから、若い子はここ西成に来てもすぐ保護に頼って出て行くんや。そら保護受けたら雨露しのげる屋根付の家に住める。役人にあれこれ言われることさえ我慢したら快適やろう」

 このマサヨシさんの声を裏付けるように、3か月前に西成にやって来たという大阪府出身の30代後半のホームレスは次のように語る。

「もう出て行きます。公園でブルーシートを張って寝られるまで何年かかるやわからへん。ベテランがぎょうさん詰まっとるし。夏場、路上で寝たけど暑さに耐えられんかった。財布も取られたし、明日にでも生活保護受給の相談に行きますわ」

 こうして20代から40代前半の若年ホームレスは西成を去り、生活保護受給へとなびく。二度とホームレス生活に戻りたくないとの思いもあるが、同時に、恵まれた生活保護受給生活で、働きたくないとの思いもまた強くする。西成でのホームレス生活から、現在は、生活保護受給を受けている40代男性のひとりがいう。

「元は消費者金融の営業マンでした。どこかお金をなめてたところがあった。ホームレス体験や生活保護受給によって、お金のありがたさが身に染みたけれども、これほど自由で快適で、穏やかな日々を手放したくはない」

491名無しさん:2015/09/02(水) 19:59:31
>>490

 西成の“お堅い勤め人”、白手帳持ちの日雇い労働者たちは、ホームレスたちを尻目に今日も建設現場で汗を流す。

「朝6時から夕方日没時まで働いても1日6000円しかもらえへんこともある。公園でブルーシートで寝泊まりするほうが楽といえば楽やろうな」(日雇労働被保険者手帳を持つ日雇い労働者・58歳)

 大阪市関係者によると、「将来的には三角公園のブルーシートを全面撤去、夜、公園での寝泊りを禁止する方向で調整」しているという。

 だが、懸念されるのはブルーシートの撤去によって、生活保護受給の申請が増えることだ。大阪市は生活保護受給率全国ワースト、これ以上の生活保護受給者増は行政としても耐え難い。ホームレスたちが大阪市以外の地方自治体に行けばいいという訳にもいかない。

 しかし、この生活保護受給の問題。世論の盛り上がりは大きいが、解決策となるといまだ見えてこないという現状がある。

 そもそも現行の生活保護申請のシステムに制度上の穴がある。大阪市によると、「申請時、大阪市に住んでいるという証明さえ出せれば受給は可能」だという。たとえば賃貸アパートの契約書といったものでいいという。申請者の本籍地も住民票も関係ない。

 もっとも生活保護受給が決まれば、「住民票を大阪市に移すよう指導する」(大阪市)という。だがこれは強制ではない。なので、東京都に住民票、本籍地を置いたままでも大阪市から生活保護費の受給も認められるのだ。

 前出の大阪市関係者は、「生活保護受給者の多くは大阪以外の地方出身者だ」とその実情を明かす。こうした傾向は、産業経済が発展した首都圏や中京圏でもみられる。

 生活保護費は国がその4分の3、地方自治体が4分の1を負担している。財源の乏しい自治体よりも「都市部のほうが受給申請が認められやすい」のではないか、という申請者側の心理も働く。その結果、申請者は3大都市で保護受給を申請する。

 大都市に保護受給申請が集まれば、おのずとその財源は疲弊する。生活保護費を大都市にのみ負担させる現行のシステムは、今こそ見直さなければならない。全国の自治体すべてで取り組むべき問題だ。

(フリーランス・ライター 秋山謙一郎)

492とはずがたり:2015/09/08(火) 06:01:03
>学校で教えられる抽象的な知識に親しみやすいのは、どんな家庭の子どもか。先程の<図1>でいうと、おそらく右下に分布するホワイトカラー層の子弟だ。
娯楽的趣味からも抽象的な知識を抽出出来ないとね〜。

ひそかに進む日本社会の「階層化」
文化活動を媒介にした親から子への地位の再生産は日本でも起きている
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/08/post-3838.php
2015年8月11日(火)18時20分 舞田敏彦

親の地位が子供に? 階層別の趣味や嗜好の違いは日本でも見られる Valentinrussanov-iStockphoto.com

 フランスの社会学者ピエール・ブルデューは『ディスタンクシオン』(「差異」の意味)という著書の中で、社会階層によって趣味や嗜好が異なることを明らかにしている。たとえば購読雑誌の傾向をみると、知識階層は文芸誌、労働者階層は大衆誌を好んで読む。絵画、映画、スポーツなどについても、何を好むかは階層によって違ってくる。

 これはフランスの話であって、「一億総中流」と形容される日本には当てはまらないと考えるかもしれない。しかし統計によると、その「差異」は実は日本でも見られる。

 総務省『社会生活基本調査』では、様々な趣味の実施率(過去1年間)を職業別に調べている。横軸に美術鑑賞、縦軸にパチンコの実施率をとった座標上に31の職業を配置すると、<図1>のようになる。美術鑑賞とは、テレビやDVDによるものは含まない。

http://tohazugatali.we b.fc2.com/fukushi/maita20150811-chart1-2-thumb-550x751.jpg

 ホワイトカラー層は美術鑑賞、ブルーカラー層はパチンコの実施率が高い。クラシック音楽の鑑賞やテレビゲームなど、他の項目も合わせて考えると、ホワイトカラー層は芸術趣味、ブルーカラー層は娯楽趣味を好む傾向が見える。日本でも、趣味と社会階層はある程度結びついていると言えるだろう。

 もちろんこれは個人の好みの差で、どちらが良いという問題ではない。しかし子どもの教育との関連で言うと、ある問題が提起される。学校で教えられる抽象的な知識に親しみやすいのは、どんな家庭の子どもか。先程の<図1>でいうと、おそらく右下に分布するホワイトカラー層の子弟だ。

 こうした家庭では、美術品や蔵書などが相対的に多くあり、それに囲まれて育った子どもは、学校の抽象的な学習内容への親和性も高いはずだ。結果として学校で良い成績を収め、親の「高い」社会的地位を継承しやすくなる。このような文化資本を媒介とした、親から子への地位の再生産過程を、ブルデューは「文化的再生産」と呼んでいる。日本でもこのような現象が実際に起こっていると考えられる。

 さらに、知見や視野を広げる「文化的な」体験をする子どもの割合も、階層によって異なっている。下の<図2>は、小学生の美術鑑賞と海外観光旅行の経験率を、家庭の年収別に見たものだ。

http://tohazugatali.we b.fc2.com/fukushi/maita20150811-chart2-2-thumb-550x542.jpg

 両方とも、年収が高い家庭の子どもほど経験率が高い。美術鑑賞は、年収300万円未満の家庭では5.1%であるが、1500万円以上の家庭では28.6%にもなる。海外旅行は300万円未満の家庭で0.6%、1500万円以上の家庭では17.7%と、30倍近い差がある。こうした「体験格差」が、学校の成績の差となり、子どもの将来の地位に影響する可能性は否定できない。

 <図2>のような傾向は、収入差だけでなく、それ以上に保護者の文化嗜好の差の影響が大きいのではないだろうか。最近、子どもの学力格差の問題が取り沙汰されているが、家庭の経済資本だけでなく文化資本も要因となっていると考えられる。例えば、通塾費の援助のような経済的支援だけで、簡単に解決する問題ではない。

 現代の日本でもヨーロッパと同様の「差異」は存在し、それに由来する子ども世代の不平等が生じている。また今後移民の増加などで人口の多国籍化が進めば、問題はさらに複雑になる。様々な階層、文化的背景を持った子供たちの、文化的「差異」をどう埋めることができるかは、これからの学校教育で重要な課題になるだろう。

(資料:総務省『社会生活基本調査』〔2011年〕)

<筆者の舞田敏彦氏は武蔵野大学講師(教育学)。公式ブログは「データえっせい」>

493名無しさん:2015/09/08(火) 20:10:31
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150908-00053230-playboyz-soci
『下流社会』の著者が明かす格差固定の現実。絵空事ではなく男性が“逆玉”を狙うのもあり!
週プレNEWS 9月8日(火)6時0分配信

日本社会はこの10年で確実に“下流化”が進み、“格差”が固定されつつあるーー。

『格差固定 下流社会10年後調査から見える実態』では、そうした事実を著者の三浦展(あつし)氏が主宰するカルチャースタディーズ研究所と三菱総合研究所による2段階のアンケート調査によって判明したデータを用いながら提示する。

巧妙に設定されたアンケート項目によって、現代社会の知られざる一面をあぶり出した三浦氏が見つめる、日本の実態とは?

―本書で示されるデータには、非常に辛辣(しんらつ)なものが少なくありません。4年制大学を出ても必ずしも階層を上げることにつながらない現実や、正社員の雇用枠が増えていないため学歴を上げても正規雇用につながらないという事実には目を背けたい読者も多いでしょう。

三浦 そうかもしれません。しかしデータを見れば、学歴というものに世間が期待しているほどの意味がないのは明らかなわけです。本来は大学に進む能力のない人まで進学できるようにさせている現在の教育行政は、不要な道路をつくり続ける道路行政と同じ。どちらも不要なものをつくって維持管理に多額のコストを投じ続けるという、実に無駄なことをやっています。学費を稼ぐために苦労している親は大変だし、女子大生が風俗で働くことも多い。

―しかし、そのロジックを理解していても、わが子を大学に進学させないというのはなかなか勇気のいる決断です。

三浦 そうでしょうね。結局、世間の意識というのは、制度によってしか変えられないということです。大学に行かなくても安心して就職できる制度をつくらないと大学進学熱は下がらない。だから私は、高校をなくすのがいいと思っています。

―高校を? それはなぜでしょう?

三浦 中学2年生と高校2年生の学力テストの結果を比較すると、高校2年生のほうがわずかに低いという研究結果があるんです。高校では、一部の有名大学進学者以外は勉強してないんですね。それなら、世界史などはあくまで教養として楽しく学び、その代わりに簿記、英会話、パソコン操作、プログラミングなどの知識を習得させたほうが、よほど将来の役に立つのではないでしょうか。その分、長く働けることになりますから生涯賃金も上がります。

―今回の『格差固定』は、三浦さんが10年前に発表された『下流社会 新たな階層集団の出現』(光文社新書)に書いた“予測”の的中ぶりを、まざまざと伝えています。早い段階で下流化現象を指摘したことは予想以上の反響を呼んだのではありませんか?

三浦 『下流社会』は20万部売ることを目標に書いた新書でしたが、最終的には80万部を超え、昨年もまた重版がかかっています。世間にはすでに「下流」という言葉に驚きはなく、定着してしまった印象を受けますよね。

―やはり、異論や反論もありましたか?

三浦 思っていたほどではなかったですが、中には私の調査法に対して、統計学的な正確さに欠けるという意見もありました。しかし、再検証した上で誤りを示した人はいません。面白かったのは、当時は小泉政権下の好景気に沸いていたため、「下流だと指摘されても笑い飛ばせるくらい日本は成熟してきた」と論じる批評があったことですね。もっとも、2008年のリーマン・ショック以降は、派遣切りが起こって決して笑い事ではなくなるのですが。

―今回の本の特徴として、調査対象者の支持政党を明らかにしている点があります。SNSユーザーは意外にも保守派に偏っている、などというデータはことさら興味深いですね。

三浦 これは私も少々意外でした。「ネットが政治を変える」と頑張っている人たちもいるが、それ以上に保守もネットを利用しているんですね。インターネットではどうしても自分と似たような意見ばかり受け取りがちですから、異なる価値観が見えなくなってしまうのかもしれません。

―「タイムマシンがあったらどの時代へ行きたいか?」というのもユニークな設問でした。この問いの目的は?

三浦 前提として、8割以上の人が「自分の子供の世代には大変な時代が来る」と考えている結果を提示していますが、それなら未来より過去へ戻りたがる人のほうが多いのではないかと私は予測したんです。実際には思っていたよりも過去へ行きたがる人は少ない印象ですが、いろいろクロス調査してみると、これは一概には言えないテーマでしたね。現状が良くないから未来へ逃げたいと考える人もいれば、現状に満足しているからこのまま未来へ行きたいと考える人もいる。

494名無しさん:2015/09/08(火) 20:10:48
>>493

―また、共産党支持層は、縄文・弥生時代以前など原始共産制に近い時代に行きたがる、という考察は秀逸でした。

三浦 アンケートをつくるたびに、何か面白い相関を見いだす変数を設定することが大切だと考えているんです。今回は投票政党の項目を設定したことで、社会の意識の新たな一面が見えてきました。

―では、今回まとめられたデータを受けて、これから先の10年で日本の社会はどう変わると予想しますか。

三浦 今回は70歳以上を調査対象から外していますから、国民全体の傾向を語ることはできませんが、母数の多い団塊ジュニアが10年後にはより格差が開く年代である55歳になり、危機感は今よりも増すはず。

一方で、労働力不足が顕著になることにより、若い世代が重用される時代になるかもしれません。現在の若者よりも希少価値が高く、企業側から高待遇で迎えられるなど楽に生きられるようになっていることも考えられます。いずれにしても団塊ジュニア以上にとっては、いっそう苦難の時代を迎えている可能性は否定できないですよね。

―結局のところ、現在下流に甘んじている人たちが階層アップを図るためにはどうすればいいでしょうか?

三浦 うーん。難しいですけど、男性は“逆玉”を狙うのもいいのでは? これは決して絵空事ではなくて、今回の調査でも女性の年収が男性より多い夫婦はたくさんいましたから、そのチャンスは増えているはず。そのチャンスをものにするために家事くらいできるようになっておくのは重要ですよ。

●三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ、新潟県出身。社会デザイン研究家。一橋大学卒業後、株式会社パルコに入社し、情報誌『アクロス』編集長を務める。99年、カルチャースタディーズ研究所を設立し、家族、若者、消費、都市、階層化などを研究。主な著書に『下流社会』『日本人はこれから何を買うのか?』(ともに光文社新書)、『第四の消費』(朝日新書)、『新東京風景論』(NHKブックス)ほか多数

■『格差固定 下流社会10年後調査から見える実態』
この10年間に人々の下流意識は進み、格差の固定が明らかになった―。年収1000万円以上の32%が自民党に投票し、年収100万円未満の34%が無投票。ベストセラー『下流社会』から10年を経た現代の実態を、2段階のアンケート調査によって鋭くあぶり出す一冊

495とはずがたり:2015/09/13(日) 21:34:46
>こんなにまで、貯蓄ができないのはどうしてなのでしょうか。
>その主な要因は、「住宅ローンによるマイホーム取得」「生命保険加入」「マイカー所有」という人生の3大無駄遣いにありますが、最近とりわけクローズアップされているものとしては、「過剰な教育費」が挙げられるでしょう。

貯蓄3千万でも老後貧困の危険!子供への過剰な教育費、ローンでの住宅購入が家計を破綻させる!
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20150812/Bizjournal_mixi201508_post-3831.html
ビジネスジャーナル 2015年8月12日 06時10分 (2015年8月14日 06時00分 更新)

 このところ、「老後貧乏」「老後破綻」「下流老人」といったキーワードをよく目にするようになりました。高齢者世代の貧困が増えているからにほかならないでしょう。

 現在日本の高齢者世帯(65歳以上)において、年収が200万円以下は39.46%、100万円以下は13.2%も占めているのです(2014年国民生活基礎調査)。つまり、高齢者世帯の4割が、生活保護レベルもしくはそれ以下の生活水準に陥っているのです。本連載前回記事でもお伝えしましたが、なまじ貯蓄があったり、住宅ローンで購入したマイホームという資産があるために、老後に貧窮しながらも生活保護の給付がなかなか受けられない世帯は多いのです。

 総務省の家計調査によると、高齢者夫婦が最低限必要な生活資金は月額27万円となっています。これで、節約してのカツカツの生活がなんとか保てる水準なのです。ただし、これも持ち家で住居費が月額1万円程度しかかからないことが前提となっています。たまに夫婦で旅行をしたり、外食が楽しめるといった、少しゆとりのある生活なら月額37万円が必要とされています。

 厚生労働省のデータによれば、夫がサラリーマンで妻が専業主婦だった高齢者夫婦の厚生年金平均受給額は、月額約19万円です。一方、夫が自営業者で妻が専業主婦だった夫婦の場合、国民年金の月額平均受給額は9.8万円にしかなりません(満額でも13万円)。

 いずれにしても、月額最低必要生活資金27万円には、厚生年金夫婦の場合でも月額8万円(年額96万円)が不足し、国民年金だけの夫婦は月額17万円(年額204万円)も不足するわけです。ゆとりある生活の月額37万円には、さらに10万円必要となります。

 このように、年金以外からの収入がなければ、生活費の不足分は貯蓄を取り崩すほかないのが現実なのです。

 こうした現状に鑑みると、65歳以降年金収入しかない夫婦は、貯蓄がたとえ3000万円あってもそれを取り崩した時点で、地獄のような老後生活が待っていることになります。将来は年金額も減らされ、支給開始年齢も繰り延べされるのは確実ですから、老後資金は3000万円程度では到底足りないことが明白でしょう。

●貯蓄ゼロ世帯

 では、各世帯の貯蓄額はどうなっているのでしょうか。平均値ではなく、多い額から少ない額に並べた時の真ん中の数値、つまり中央値が実態を表わしているので、世帯主の年代別に中央値をみてみましょう。

「家計の金融行動に関する世論調査2014」(金融広報中央委員会)によれば、30代は405万円、40代は640万円、50代は900万円、60代は1398万円となっています。これが実態だとすると、高齢者世帯の9割が、貯蓄が尽きた時点で生活保護レベル、もしくはそれ以下の水準に転落してしまうのは確実といえるでしょう。男性の平均寿命は80歳、女性の平均寿命は87歳といっても、この年齢でも2人に1人以上は生き続け、90歳時点でも男性は23%、女性は47%の生存率です。現役時代にどんなに高収入だった人でも、65歳以降に働かなくなれば、たちまち貯蓄を食い潰して「地獄の老後」が待っているわけです。

 さらに衝撃的なデータがあります。「貯蓄ゼロ世帯」の占める割合を世帯主の年齢別にみてみると、20代で35%、30代で33%、40代で33%、50代で30%、60代で30%も占めています。また、年収別でみると、年収300万未満は53.3%、年収500万未満は42.6%、年収750万未満は22.9%、年収1000万未満は19.7%、年収1200万未満は9.3%、年収1200万以上は10.6%です。

 かつて日本の家計貯蓄率は、1970年代半ば頃には20%を超えていましたが、近年は下降を続け1〜2%台がやっとという状況ですから、無理もないわけです(内閣府「国民経済計算」より)。ちなみに家計貯蓄率とは、世帯の手取り年収(可処分所得)に占める貯蓄の割合をいいます。

496とはずがたり:2015/09/13(日) 21:35:08
>>495-496
●過剰な教育費

 では、こんなにまで、貯蓄ができないのはどうしてなのでしょうか。

 その主な要因は、「住宅ローンによるマイホーム取得」「生命保険加入」「マイカー所有」という人生の3大無駄遣いにありますが、最近とりわけクローズアップされているものとしては、「過剰な教育費」が挙げられるでしょう。

 子供を無理して私立の中学や高校へ進学させると、塾などの習い事と合わせると高コスト世帯となり、ますます貯蓄ができなくなります。子供を高学歴にするために投資しても、大学を出たのち非正規雇用(雇用者の約38%)となってしまい、挙げ句にニートになって親元でゴロゴロされたら、老後世帯の家計は間違いなく破綻するでしょう。

 文部科学省のデータでは、塾や習い事の費用も含めた教育コストは、幼稚園から大学まですべて公立なら約800万円ですみますが、高校と大学が私立なら1080万円となり、幼稚園から大学まですべて私立だと2212万円もかかります。これに何年かの留学費用などまで加えたら、べらぼうな金額にまで膨らみます。こんな不確実性の投資には、できるだけコストをかけないことが大事なのです。

●住宅ローンは損をする?

 日本は人口が急速に減少していきます。今は1億2700万人ですが、20年後は1割減って9割となり、30年後は今より2割減って8割の1億160万人です。住宅もすでにあり余っており(13年の空き家率は13.5%)、30年後の空き家率は40%台というシンクタンクの推計もあります。

 これから住宅ローンでマイホームを取得しようという方は、ぜひおやめになることです。金利が低いといっても、4000万円を全期間元利均等・固定2%の35年ローンで借りたとすれば、総返済額は5565万円と借入額の1.4倍にもなります。一戸建てでも35年後には土地代も購入時より3割は下がり、建物価値はボロボロでゼロ査定です。マンションでも購入時の半額以下の価格となり、これらでゆうに3000万円以上も損をすることが明白なのです。これからは、ますます安くて良質な賃貸物件が増え、老後にはもっと安い金額で家も購入できるはずだからです。

 生命保険も世帯平均で年間41万円も払っていますが、純粋な補償に回る金額は3割そこそこで、7割近くが保険会社の粗利益で消えていきます。健康保険の傷病手当金制度、高額療養費制度、企業の死亡退職金や障害年金制度などの代替手段の充実を勘案すれば、生命保険加入の意味はなくなります。

 またマイカー所有には、膨大な税金が諸費用に加重されていて大きなマイナスになります。こうした費用を貯蓄に回し、利殖を図れば、軽く5000万円ぐらいは生み出せると考えるべきでしょう。ゆえに著者はこれらを「人生の3大無駄遣い」と呼ぶゆえんですが、くわしくは拙著『40代から知っておきたいお金の分かれ道』(フォレスト出版)をご参照ください。

 なんといっても、現役時代にも老後にあっても、頼れるものは「価値ある資産とお金」です。

 価値がなくなるマイホームを借金で購入するのは、途方もない無駄です。また、ほかに合理的な代替手段が充実しているのに生命保険に加入するのも二重三重の無駄です。そして多重税金の塊となるマイカーも大いなる無駄といえるのです。

 楽しい現役生活と豊かな老後生活を送るためにも、くれぐれもあざとい商業主義に惑わされないようにすることです。お金を有意義に蓄えていきましょう。
(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)

497とはずがたり:2015/09/13(日) 21:35:55
2014.12.01
住宅ローンは危険すぎる?破綻者急増の実態 退職金減額、病気…売却しても巨額借金
http://biz-journal.jp/2014/12/post_7526.html
文=松井克明/CFP

498名無しさん:2015/09/19(土) 19:08:30
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150919-00940183-sspa-soci
行く末は孤独死…社会から孤立する「下流中年」
週刊SPA! 9月19日(土)13時51分配信

◆ふとした要因で簡単に孤立化。負のスパイラル

「年収は300万円。暇はあっても友達と飲みに行くお金はありません」

 そう語るのは、IT企業に勤める佐藤大輝さん(仮名・37歳)。新卒で入った会社は、毎日終電のブラック企業。35歳で体を壊し、退職したのが運の尽きだった。再就職先はなかなか見つからず、年収を妥協して今の仕事に就いた。

「社会人になってからは仕事人間でしたから。大学時代の友人とも疎遠になっていた。気づけば周りの友人は結婚して家族持ち、飲み仲間なんてつくるお金もない。30代後半になって、猛烈な寂しさに襲われるようになりました」

 昨今、下流老人が注目を集めているが、その序曲は35〜49歳の中年時代から始まっている。給与が横ばいの働き盛りの世代が今、下流中年化するケースが増えているのだ。そして彼らを下流化させる引き金となるのが、孤立化である。

 SPA!が行なったアンケート「孤独を感じたことはありますか?」によれば孤独と感じる人は30.5%とまだ少ない。しかし、予備軍も含めると潜在的な孤立化する下流中年は、多いと見られている。ジャーナリストの溝上憲文氏も、労働環境の変化で「今後は下流中年の孤立化に拍車がかかる」と警鐘を鳴らす。

「IT化によって昔ながらのビジネススキルが通用しなくなるなか、今や大量採用の恩恵を受けた40代の半数はリストラ対象と言われています。一方、転職市場では年収3割減は当たり前で、一度でも非正規になれば正社員に戻ることは限りなく難しい。また、妻が自立している共働き世帯では、夫のリストラや親の介護が離婚に繋がるパターンも多く、ある日突然、人間関係が崩壊するリスクが40代に急激に高まるのです」

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Q1:孤独を感じたことはありますか?

YES:678人(30.5%)

NO:1547人(69.5%)

※全国都市部在住の35〜49歳(正社員・契約・派遣・公務員)で個人年収400万円台以下の男性2225人アンケートで「孤独」を感じたことのある678人(30.5%)から無作為に300人を抽出し、Q2のアンケートを実施

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 また、「いないと『孤独』を感じる対象は?」というアンケートでも65%の人が「友人がいない」ことが孤独を感じる要因と回答。友人形成は学生時代など過去からの積み重ねであり、中年になってから実行するのは難しい。

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Q2:いないと「孤独」を感じる対象は?(複数回答可)

友人:65.0%

彼女:41.0%

家族:33.3

仕事仲間:28.3%

先輩:11.0%

後輩:10.3%

親:6.3%

その他:0.3%

※中年にも差しかかれば友人関係は構築済みで、家庭に愛着を持つ頃合いかと思いきや、友人が65%と突出。字面以上の“孤独の中身”の深刻さを物語る結果となった

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499名無しさん:2015/09/19(土) 19:08:40
>>498

 そして、下流中年の末に待ち構えているのは「孤独死」という冷たい現実だ。

「低年収でも社会と繋がっていれば問題ないのですが、企業が利益至上主義によって労働者の教育を放棄したことで『挨拶ができない』など“マナーの貧困”が深刻化しています。その結果、“なるべくしてなった孤独死”という側面も強くなってきた。この状況が改善されない限り、社会人として未熟にもかかわらず自立していると思い込み、孤独死に至るケースが減ることはないでしょう」(社会福祉学者・結城康博氏)

 社会からの孤立化が働き盛り世代を下流中年の闇へと陥れ、それがまたさらなる孤独感を生むのだ……。

◆母親の介護のために、見知らぬ土地で孤立。メールも一切届かない

〜 白沢 譲さん(仮名・41歳)/食品工場社員/年収280万円 〜

「5年前、北海道に住む母親が倒れ、介護のために仕事を辞めて東京を離れました。以来、友人との付き合いはほとんどありません」

 白沢さんは生まれも育ちも東京。父親が定年を機に移住した北海道とは縁もゆかりもなかった。

「父親は移住して間もなく亡くなり、東京の自宅は処分したので戻ることもできない。私は一人っ子ですし、自分以外に母親の面倒を見てくれる人もいないので……」

 仕事もそれまでのSEから食品会社工場スタッフとなり、年収は150万円のダウン。ただし、それ以上にキツかったのは、見知らぬ土地での孤独感だったとか。

「職場は年上のパート女性ばかりで、数少ない同年代の男性社員は地元出身の既婚者。独身でヨソ者の私とは話が合わず、仕事以外での付き合いはほぼ皆無です」

 現在、母親は日常生活を送れるまで回復したが、「今さら一人にはできない」と話す。介護負担は軽減されたが、逆に休日などの時間を持て余すようになった。

「お金も友達もいないので、いつも低価格パチンコで時間をつぶしていますね。虚しさを感じるのは昨夏に機種変した携帯にメールが一切届かないこと。どうせ誰とも繋がらないので、LINEもフェイスブックも未加入です」

 親の介護を言い訳にしたくない。その葛藤が白沢さんを苦しめる。 <取材・文/宮下浩純 高島昌俊 撮影/西田 航>

※この記事は週刊SPA!9/22・29合併号特集『下流中年の危機』より抜粋されたものです。

【溝上憲文氏】

ジャーナリスト。経営、人事など労働問題、労働環境をテーマに活躍。著書に日本労働ペンクラブ賞受賞の『非情の常時リストラ』(文春新書)、『人事部はここを見ている!』(プレジデント社)など

【結城康博氏】

社会福祉学者。地域包括支援センターで社会福祉士、ケアマネージャー、介護福祉士として勤務後、淑徳大学教授。著書に『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護―現場からの検証』(岩波新書)など

日刊SPA!

500とはずがたり:2015/09/23(水) 09:06:15
奨学金から塾代、生活保護費減らさず 厚労省が見直しへ
http://www.asahi.com/articles/ASH9L4WC0H9LUTFL00H.html
久永隆一
2015年9月22日11時25分

生活保護費を減らされない使い道は…
 生活保護を受けている家庭の高校生がアルバイト代や奨学金を塾代に使うと保護費を減らされるルールが、10月から見直されることになった。政府は子どもの貧困対策に力を入れており、親から子への「貧困の連鎖」を防ぐ狙い。塾代にあてる場合は生活保護費の減額対象外とするよう、厚生労働省が運用を変える。

 生活保護費は最低限の生活に必要な費用に対し、世帯収入や資産をあてても足りない分が支給される。収入が増えると、その分は支給額が減らされる。

 収入には子どものアルバイト代や奨学金も含まれる。だが、昨年夏に政府が閣議決定した子どもの貧困対策大綱に「進学費用の経費にあてられる場合は収入と認定しない」と盛り込まれ、厚労省はルール変更を決定。今年10月以降は塾の授業料や模試代、入会金、教材費、塾に通う交通費に使う分は収入として扱わないことにする。

501名無しさん:2015/09/24(木) 22:15:44
>「昔はこうした親を、子どもや同居家族が支えたが、
>雇用が崩壊し3割以上が非正規になり核家族化が進んだ状況では、
>親は子どもたちに頼ることができなくなっています」

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150923-00000003-sasahi-soci
「普通の老後」が難しい 年収700万円でも老後は「ギリギリ」〈AERA〉
dot. 9月23日(水)7時12分配信

 今、年齢を重ねてからの「貧困」が大きな問題になりつつある。それは「普通」と思われていた人々にとっても、もはや無縁の話ではない。

 6月、高齢者の貧困実態を著した『下流老人』(朝日新書)という本が出た。著者で、生活困窮者を支援するNPO「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典(33)は、下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義。現在推定600万〜700万人で、高齢者人口の20%近くに及ぶという。

 病気、失業、借金、離婚、介護……。貧困に陥る要因は複雑だ。藤田によれば、以前は日雇い労働者のように若い時から貧困で老後も貧困に陥るケースが多かったが、近年は「普通の人」が増えていると話す。

「無計画で放蕩な暮らしをしていた人ばかりが下流老人になっているわけでは決してない」(藤田)

 築30年の2LDKの都営団地に病気の妻(77)と暮らす芝宮忠美(72)は、部屋に上げてくれるとこう話した。

「生活に、まったく余裕がありません」

 同志社大学を卒業後、外資系ホテルに入社。アブダビ、イギリス、スウェーデン……。会社員人生の大半を海外で働いてきた。会社員時代の年収は約700万円。当然、「普通の老後を送れる」と思っていた。

 しかし落とし穴があった。海外勤務時に国内の年金に未加入だった期間があり、年金受給額は月7万円足らずだったのだ。収入は妻の障害年金(約10万円)とあわせ月約17万円。東京都の2人世帯がもらう生活保護費とほとんど変わらない。

 そこに、妻の介護費が重くのしかかる。週2回のデイケアで月3万円近くかかり、食事制限のある妻に特別な献立を作るため食費は月約6万円。収支は毎月ぎりぎりだ。

「家賃が4千円だから、何とかやっていける状況です」

なぜ、「豊か」と思われていた高齢者が厳しい状況に追い込まれているのか。

「昔はこうした親を、子どもや同居家族が支えたが、雇用が崩壊し3割以上が非正規になり核家族化が進んだ状況では、親は子どもたちに頼ることができなくなっています」(藤田)

※AERA  2015年9月28日号より抜粋

502名無しさん:2015/09/27(日) 12:51:27
>>500

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150925-00078909-diamond-soci
高1女子に奨学金を返還させた福島市の非情
ダイヤモンド・オンライン 9月25日(金)8時0分配信

 2014年4月、母親と二人で生活保護を利用して生活している福島市の女子高校生が、得られた給付型奨学金を全額、自治体に収入認定され、返還するよう求められた。しかし2015年8月、厚労省は福島市の決定を不当とする裁決を下し、女子高校生はやっと、経済的な困難の少ない高校生活が送れるようになったところである。

 今回と次回は、この問題についてレポートする。まず、出来事の背景は何であり、母親はどのような半生を送ってきたのだろうか? 

● 奨学金は「収入」だから取り上げる!?  高1女子を待ち受けていた衝撃

 2014年4月16日。福島県内の公立高校に進学して間もなかった長門アスカさん(仮名・15歳)は、いつもと同じように学校生活を送り、帰途についた。住まいである福島市内の県営住宅に帰宅すると、母親・ミサトさん(仮名・37歳)がただならぬ表情で、

 「奨学金、全部、取り上げられちゃうって! 」

 とアスカさんに告げた。「取り上げられる」は、正確に言えば「収入認定」という意味である。

 小学6年のときから、母親とともに生活保護に支えられて暮らしているアスカさんは、中学3年生のとき、新高1を対象とした給付型奨学金の募集に応募しており、うち2件で採用となっていた。その2件で得られる年間合計17万円を、全額、自分の学業に用いることはできなくなってしまったのである。

 取材当日、私の目の前にいた細身のアスカさんは、知的な雰囲気を漂わせ、シャープなイメージの衣服に身を包んでいた。アスカさんは、その時、

 「は?  なんなの? 」

 と叫んだところまでは覚えているそうだ。

 「家に帰って、母からそのことを聞いた時に、理解できなくて……絶望というか、怒りがこみあげてきて、わめき散らしてました。その時の記憶は、それくらいです」(アスカさん)

 今回は、アスカさんが生活保護利用の母子世帯の子どもとして直面した問題を理解するため、最初の足がかりとして、ミサトさんの半生に焦点をあてて紹介することとしたい。

 まず、今回の問題の背景には、どのような事情があったのだろうか?

503名無しさん:2015/09/27(日) 12:53:28
>>502

● 生活保護基準の二面性の理解が重要 「収入認定」とは何か? 

 今回の問題を理解するには、まず、生活保護基準の二面性を理解する必要がある。生活保護制度には、重要な原理4つと原則4つがあるのだが、今回は「最低生活保障の原理」と「基準及び程度の原則」が主に問題となっている。

 まず、「最低生活保障の原理」により、生活保護基準は「健康で文化的な最低限度の生活」を実現できるものである必要がある。実際に実現できた時期があったかどうかはともかく、日本国憲法第25条と生活保護法の建前はそうなっている。これが、生活保護基準の「下限」としての側面である。

 一方で、「基準及び程度の原則」により、生活保護利用者の生活は「健康で文化的な最低限度の生活」を超えてもならない。本人の就労・他制度の活用などがあっても、なおカネ・モノ(医療・介護・教育・就労など社会生活を含む)が生活保護基準より不足していたり欠落していたりするのならば、生活保護制度によって補われる。しかし、本人の自助努力の結果であるとしても、収入が生活保護基準以上となるのであれば、超えた部分は「収入認定」されてしまう。これが、生活保護基準の「上限」としての側面である。

 このため、生活保護基準を上回る収入があったら、原則として「収入認定」を受け、福祉事務所へ返還する必要がある。勤労収入の場合は、必要経費(交通費・作業服など)の実費分の補填は認めたうえで、「働き損」にならないように本人の可処分所得を若干は増やす配慮も行われているが、原則として取り扱いは同様となっている。
 
 今回、最大の問題点となったのは、生活保護世帯の子どもが自らの努力によって獲得した給付型奨学金が、「世帯の生活保護基準の範囲を超えた」という理由によって取り上げられる、いや、収入認定されることの是非だ。

 ミサトさん・アスカさん母子は、支援者・理解者たちの協力を得て、2014年6月、福島県に審査請求を行ったが、2014年11月に却下された。2014年12月、厚労省に再審査請求を行い、並行して2015年4月、福島地裁で取り消しと慰謝料支払いを求める訴訟を開始していた。

 先月の2015年8月6日、厚労省が福島市福祉事務所の取り扱いを取り消す裁定を行ったため、収入認定されたアスカさんの給付型奨学金は、本来受け取るべき本人のもとに返還されることとなった。アスカさんの高校生活が、既に概ね半分終わった時期のことである。

 なお、厚労省の裁定理由は生活保護世帯の子どもの進学や進路を切り開くための努力を全面的に認めるものとはなっておらず、福島市の手続きを主要な問題としたものであったため、その点を争う目的で、訴訟は現在も継続されている。

 そのアスカさんの母、ミサトさんは、どのような半生を送ってきたのだろうか?

504名無しさん:2015/09/27(日) 12:54:51
>>503

● 親や教員への不信が募った子ども時代 定時制高校で未来は開けたが…

 ミサトさんは1978年、福島県内で3人きょうだいの末子として生まれ、2歳上の兄・1歳上の姉がいた。サラリーマンの父親と専業主婦の母親は不仲。父親は、外で働いて給料を母親に渡すことはするものの、家庭には無関心だった。母親は、物心ついた子どもたちに夫の愚痴を垂れ流しては「アンタたちがいなければ、私はさっさと離婚してたのに」と嘆息していたそうだ。

 「正直、『そんなに人のせいにするんじゃない! 』と思っていました。自分も母親になり、年子の子どもが3人いて大変だったのはわかるんですが、だからって、それを子どもに言っちゃいかんだろう!  と思います」(ミサトさん)

 その後、ミサトさんが10歳のとき、父親は会社を退職し、自営業者となった。母親は父親とともに、自営業の事務や手伝いをするようになった。バブル崩壊直前の時期にあたっており、事業は順調だった。

 しかし子どもたちにとっては、「家に帰っても母親はいない」ということでもあった。学校で何があったか話そうとすると、母親は「うるさい、ジャマ! 」と言う。中学時代のミサトさんは、「お母さんは話を聞いてくれないから、何も話さない。もういいや」と達観していた。すると母親は「私はアンタの母親なんだから、アンタの考えていることくらい、分かるわよ! 」とぶつかってきた。

 「母親は、なにもかも『自分は正しい』という感じでした。『自分はなんでもやってきた』という奇妙な自信と、押し付けがましさがありました。大人の自分だからやれることを『アンタもやれるでしょ』と中学生の私に言い放ったり、よその子や兄・姉と比較して『なんでアンタは』と言ったり」(ミサトさん)

 中学時代のミサトさんは、高校に行きたいと考えていなかった。数学の授業についていけなくなり、大人への不信感から、

 「どうせ先生は、できる子にしか教えないんだから。私が分からなくても、勝手に授業は進んでいくんだから。だったら、もういいや、という感じで過ごしていました。もう、勉強というより、学校に興味ありませんでした。どうせ、どこでも先生って、こんなものなんだろうと。とにかく『自分は何がしたいんだろう?  何のために生きているんだろう? 』ばかり考えていました」(ミサトさん)

 しかし、母親に「とにかく高校だけは卒業しなさい」と言われ、中学の先生に「とりあえず面接だけだから受けてみては」と勧められて受験した定時制高校の3次募集に合格して進学したミサトさんを、思わぬ出会いが待っていた。

 「先生たちが、中学までのイヤだった先生たちとは全然違っていて、伸び伸びしていて。友達のような感覚で話ができたんです」(ミサトさん)

 学校生活だけではない。

 「数学、何もわからなかったのに、小学生に教えるように、わかるまで、ゆっくり説明してくれたんです。『こんな簡単なことが、なんでわからなかったんだろう? 』と、初めて思って、楽しくなりました。そして『定時制に来て良かった』と思いました」(ミサトさん)

505名無しさん:2015/09/27(日) 12:56:30
>>504

 ミサトさんは中学時代から、英語が得意だった。学校がイヤになっても、英語だけは勉強し続けていた。

 「定時制高校では、英語は自分だけ別メニューで、他の生徒と違う教材で勉強していました」(ミサトさん)

 コンビニ・ガソリンスタンド・スーパーの惣菜製造などのバイトを掛け持ちし、「時給550円程度」ではあるが1ヵ月8万円程度の収入を得つつ定時制高校で頑張るミサトさんに、高校教員が、学校推薦を受けての海外でのショートステイの話を持ちかけてきた。ただし費用は自費である。

 「とても、行ってみたかったです。日本から出たら何か変わるかも、という漠然とした思いもありました」(ミサトさん)

 しかし小さくない自費負担額がネックとなった。バブル崩壊後、家業の自営業も危機的な状況が続いていた。ミサトさんは教員に「お金がないので、行けません」と告げた。結局、その機会は後輩のものとなった。「切なかったです」とミサトさんは言う。

 高校時代のミサトさんは、将来について落ち着いて考えることが可能になりはじめていた。「人の役に立つ仕事をしたい」という気持ちが芽生えていたミサトさんは、介護の専門学校に進学したいと考えた。しかし、あまりにも学費が高額なため、断念せざるを得なかった。

● 元夫や親きょうだいから身を守る日々 しかし力尽きて生活保護を申請

 高校卒業後のミサトさんは、実家に住みつつ、温泉の宴会コンパニオンと工場での派遣労働を掛け持ちしていた。ほどなく、きょうだいの友人として知り合った男性と交際するようになったミサトさんは、アスカさんを懐妊し「俗に言うできちゃった結婚」をした。

 「とにかく、家を出たかったんです。居たくないから。自分の居場所がないから。『だったら、さっさと結婚しちゃえばいい』と考えました。今から考えたらバカみたいですが。そのタイミングで妊娠したので、『じゃ、結婚しよう』と」(ミサトさん)

 現実のものとして「自分で仕事をして一人暮らし」という選択肢を考えるには、地方の高卒女子の賃金は低すぎた。

 しかし、元夫の収入は手取り15万円。親子3人が暮らしていくには厳しい金額だ。さらに元夫は、結婚前に購入した四駆の自動車をどうしても手放さなかった。その自動車のローンなどの借金の支払いが、1ヵ月あたり合計8〜9万円にも及んでいた。

 「支払いを済ませたら、手元に5000円くらいしかなかったんです。産婦人科に行ったら食べられないくらいでした」(ミサトさん)

506名無しさん:2015/09/27(日) 12:59:21
>>505

 2歳上の元夫は、父になるには幼すぎたのかもしれない。

 「彼は、母親に『お前はかわいいなあ』と、私の前で頭を撫でられていました。彼も、お母さんも(私に見られていても)平気でした」(ミサトさん)

 ミサトさんは、アスカさんを出産して間もなく、クラブで働くようになった。保育園を探してから仕事を探していたのでは間に合わないほど、状況は逼迫していた。元夫は、アスカさんの世話はしたものの、ミサトさんの手取り月14万円の収入、家にいず外で働いていることに不快を示し、「クラブで男を作って浮気しているのでは? 」と邪推した。

 毎晩、「私は子どもを守る義務と責任があるんだから、あなたは文句を言うな」と元夫を怒鳴りつけて働くミサトさんだったが、ストレスから出たアトピー湿疹の掻き傷を元夫が「キスマーク」と思い込んだことから、アスカさんが生後10ヵ月のとき、同居生活の終わりとなった。

 その後のミサトさんは、家業不振・兄の引きこもりから不安定な状況の続く実家に身を寄せたり、実家の倒産の影響を受けたり、姉の男性の友人たちに翻弄されたりしながら、工場・クラブ・保険の外交員と数多くの仕事をこなしつつ、アスカさんを育てつづけた。

 しかし、アスカさん小学3年の冬、ミサトさんを異変が襲った。

 「家から出られない状態になったんです。高校時代の友達のアドバイスで、付き添ってもらって精神科に行ったら、うつ病ということでした」(ミサトさん)

 この時のことを、アスカさんは、

 「私が小2のときから、様子がいつもと違うのは感じていました。でも母は、私には、いつもと変わらない感じで接していましたから、私もいつもどおりに母に接していました。それまでの母は、必要に迫られてのことだとは思いますが、いつもキビキビ動いていて、仕事熱心でした」

 と語る。

 その後も無理に働き続けていたミサトさんのもとに、離婚した母親・交際相手と別れた姉が転がり込んできた。精神的負荷から体調を悪化させたミサトさんは、仕事を辞めざるを得なくなった。障害基礎年金(2級)と児童手当を受給して県営住宅で暮らしながら、やっとのことで母と姉に出て行ってもらうことに成功したミサトさんだったが、アスカさん小6の夏、障害基礎年金の更新が行えなかったことから、支援団体からコメなどの食糧支援を受けつつ、生活保護を申請。数日後に保護開始となった。

 生活保護についても母親の説明を受けた娘のアスカさんは、

 「このとき、はっきり『変わった』と感じたことはありませんでしたが、生活保護が始まって、『少し、余裕ができたかな? 』という感じでした」

 という。

 次回は、アスカさんの視点から、中学・高校時代、奨学金収入認定問題、今後の進路への見通しを紹介する予定である。娘と母それぞれにとっての生活保護の意味・「健康で文化的な最低限度の生活」の意味が浮かび上がってくるはずだ。

みわよしこ

507とはずがたり:2015/09/29(火) 12:39:01
文科三類は入学するもので卒業するもんじゃないだろ。。

東大卒で年収220万円。高学歴プアの実態
SPA! 2015年9月29日 09時02分 (2015年9月29日 09時10分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20150929/Spa_20150929_00947541.html

長谷川さんのキャリアパス。2002年、大手商社に就職→2005年、中堅商社に転職→2014年、勤務先が倒産→2015年、日雇いアルバイト

 東京大学の文科三類を卒業後、晴れて大手商社に入社した長谷巧さん(仮名)だが、入社早々自信を失った。

「自信満々で入社したものの、仕事が全然できなかったんです。同期と比べても覚えが悪かったし、いろいろ融通が利かなくて。ハーバードとか海外の名門大学を出た人間も何人もいましたから、東大卒といっても特別ではなくて、“そこそこ勉強できたヤツ”という程度。自分の唯一の武器だった学歴は何の意味も持ちませんでした」

 自分より学歴の低い同期も、問題に直面した時の対応力やメンタルの強さなどは、自分と比べ物にならなかった。

「総合的な人間力の差を感じました。特に関西の某名門私立のアメフト部出身の奴は凄かったです。みんなを引き付ける魅力を持っていて。プロジェクトを引っ張るような人間は、ああいう男なんですね。“勉強はもちろん、ほかの面でも自分を高めてきた奴ら”ばかりで、そりゃ勝てないよ、俺は勉強しかがんばったことないもん、と思いました。周囲との差に負い目を感じて、3年で退社しました」

 退社後、数か月の転職活動を経て中村さんが入社したのはまたも商社。とはいえ、一社目のような総合商社ではなく、文具などの消耗品を扱う商社だ。

「社員数は百数十人でしたけど、事業規模は前の会社と比べ物にならない小さな会社でした。“何でうちに来たの?”って1000回くらい聞かれたかな。年収は3分の2以下になりましたけど、緊張感のない会社だったので毎日気楽でしたね。二流、三流大出身者が大半で、以前のような劣等感も無ければ血の気が引くようなプレッシャーもなく、楽しかったですよ。“東大出て何してんだ”って気持ちはありましたが、それでも今よりはマシでしたね。今では毎日高卒や中卒の人たちと働いてますから」

 そう語る長谷川さんは現在日雇い派遣労働者だ。昨年、10年近く務めた二社目の商社が倒産した。

「業績が悪化していたので早くほかへ移っておけば良かったのですが、頭ではわかっていても面倒で。なんか、努力するスタミナが残ってないんです。大学受験と就活で使い果たしちゃった気がして。今は日給1万円のバイトで年収は220万円ほど。独身なので生活は十分に成り立ちます。それゆえに、ますます次の仕事を探す気力もわかないんです」

 毎日ヘルメットを被り工事現場などで汗を流す長谷川さん。国内最高学府卒の面影はどこにもない。9/29発売の週刊SPA!では、「低学歴ハッピーと高学歴プアの境界線」という特集を組んでいる。「学歴とはいったい何なのか……?」――いま一度考えさせられるのであった。 〈取材・文/週刊SPA!編集部〉

508チバQ:2015/10/10(土) 13:10:27
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151010-00087614-toyo-bus_all
「中年フリーター」のあまりにも残酷な現実
東洋経済オンライン 10月10日(土)6時0分配信

 アルバイト、パート、派遣、請負など非正規労働者の増加が止まらない。平成元年(1989年)に817万人で全体の約2割だった非正規労働者は2014年に1962万人まで増加。全体の37%と4割近くに迫っている。今や労働者の実に3人に1人が非正規だ。


 中でもこれから深刻な問題として顕在化してくるのが「中年フリーター」の問題だ。その中心は1990年代半ばから2000年代半ばに新卒として社会に出た「就職氷河期世代」の非正規労働者だ。氷河期最初の世代はすでに40代に突入。年齢的に正社員に就くのが困難であるだけでなく、体力の衰えとともに働けなくなってくる。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝研究員の試算によると、35〜54歳の非正規(女性は既婚者を除く)の数は2000年から増加、直近では273万人に上る。

■ 親のためにUターンも派遣社員を転々

 「本当は正社員として働きたかった。安定した生活が保障された中で、自分の人生を設計したかったです。振り落とされないように必死になって、社会にしがみついている状態です」

 兵庫県に暮らすAさん(42)は就職氷河期世代。工業高校を卒業後、大手流通企業に正社員として就職したものの、家庭の事情から非正規労働者になり、職を転々。今はセールなどの掘り出し物を見つけてはネットオークションで売りさばき、生計を立てている。

 Aさんの人生が狂いだしたのは1996年、23歳のとき。母親の面倒を見るために兵庫に帰郷し、派遣会社社員として大手メーカーの系列会社で働き出した。

 最初の派遣先は半年ごとの更新だったが、わずか1年で雇い止め。Aさんは実家を離れて近隣県に「出稼ぎ派遣」に行く。仕事の内容はガラス工場のオペレーターだった。ただ3カ月で雇い止めに遭い、実家へ出戻り。近所の食品会社工場の契約社員になった。それも2年後に過労で辞職。しばらく休養した後、別の派遣会社に登録し、再び大手メーカー系列の会社で仕事した。

 正社員を募集していた職場では、次々に落とされた。「社員にならないか?」と誘う企業がなかったわけではない。リフォーム会社の訪問販売で給与は出来高制。ネットで調べてみると、“ブラック企業”だった。

509チバQ:2015/10/10(土) 13:10:48
 結局、阪神大震災の翌年である1996年から約10年間で、派遣や契約社員、嘱託などの非正規待遇で10社ほど渡り歩いた。時給はだいたい900〜1200円だった。

 さらにAさんを苦しめたのが2006年のライブドアショック。少ない資産を少しでも増やそうと株式投資をしていたが、裏目に出てしまった。これを機に残った株をすべて処分。現在は前述のようにネットオークションで生計を立てるようになった。

 「地元で面接受けられる会社はすべて行ってしまっていたので、事実上、就職できなくなった。車の免許を持っていないので、遠くに行くこともできない」

■ 人手不足でも正社員の求人は少ない

 オークションの1カ月の利益は「生活保護費の少し上くらい」と多くはない。母親と2人で住む公営住宅の家賃が安いから何とか成り立っているのだ。「今怖いのは、親が急に死ぬこと。公営住宅では配偶者であればそのまま住めますが、子どもが単身になると生活保護受給者や障害者以外は退去を求められる。もしそうなった場合は貯金をすべてはたいて、安い住宅でも買わないとやっていけなくなるかもしれない」

 足元では景気回復に伴って人手不足が叫ばれている。それに合わせて大きく期待されているのが非正規の正社員化だ。確かに8月の有効求人倍率(季節調整済み)は1.23倍と23年ぶりの高い水準だ。

 ただし正社員に限ってみると有効求人倍率は0.76倍と1倍を下回る。回復傾向にあるとはいえ、求人数が求職者数より少ない状況はいまだ変わらない。ずっと非正規で専門的なスキルも経験もない人になれば、なおさらハードルが高くなる。

 中年フリーターの「下流化」は今後ますます加速する。非正規の平均月収は約20万円。体力のある若いときは低賃金でも仕事の掛け持ちなど量でカバーすることができたかもしれないが、それができなくなってくる。

 貯蓄も少ない。連合総研「非正規労働者の働き方・意識に関する実態調査」によると、非正規が主たる稼ぎ手となっている世帯のうち「貯蓄なし」が28.2%、「100万円未満」の世帯も26.6%に上る。

 また社会保険の加入率が低いのも特徴だ。厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査報告」によると、雇用保険の加入率は65.2%(正社員99.5%)、健康保険52.8%(同99.5%)、厚生年金51.0%(同99.5%)と正社員を大きく下回る。

■ 企業のコスト削減が社会の負担に

 病気などで働けなくなり、社会保険などのセーフティネットからもこぼれ落ちると、最後に頼れるセーフティネットは生活保護しかない。生活保護受給者は7月時点で216万人と過去最多を更新。それに匹敵する中年フリーター273万人が生活保護予備軍として存在しているといっても過言ではない。

 厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、非正規を活用する理由について「賃金の節約のため」と回答した企業が4割超と最多。企業が非正規を活用してコスト削減した分が、将来的に行政の負担として跳ね返ってくるようにも映る。

 Aさんのように親元で暮らしているから生計を維持できている人も少なくないだろう。親の高齢化するとそれが難しくなるのは必至。それどころか親の介護が必要になってくる。また自らの老後にも不安を残す。国民年金のみの場合、満額で6.5万円。保険料未納の期間があると受け取る額は減る。老後は今以上に厳しい生活になってしまうのだ。

 低い賃金、不安定な雇用、教育訓練機会の乏しさ……。非正規をめぐる問題は以前から指摘されてきたことだ。これまでにも氷河期世代をはじめとした若いフリーター層に対する就労支援も行われてきた。だが目立った成果が上がらないまま、中年フリーターたちは年齢を重ねてきた。これからますます苦しい立場に追い込まれていく中年フリーターをどうサポートするのか。手を打たなければ事態が悪化していくことだけは確かだ。

ジャーナリスト:池上正樹、週刊東洋経済編集部

510名無しさん:2015/10/10(土) 14:52:03
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151008-00000104-san-soci
「中国人居酒屋」急増100軒…あいりん地区、新たな悩みの種
産経新聞 10月8日(木)14時54分配信

 全国有数の日雇い労働者の街・大阪市西成区の「あいりん地区」周辺で、若い中国人女性がカウンター越しに接客する「カラオケ居酒屋」が増えている。3年ほど前から出店攻勢が続き、今や約100軒に上る。中国人女性の人懐こさや安価で楽しめる手軽さが人気を呼び、“あいりんのガールズバー”としてすっかり定着した。一方、生活習慣の違いなどから地元住民とのトラブルも目立ち、関係者は街の行く末を懸念している。(矢田幸己)

 ■空き店舗に続々

 9月下旬の週末の夜、萩之茶屋本通商店街の一角にある居酒屋。キャップ帽をかぶった男性(53)が、カウンター越しにアルバイトの中国人女性(23)の手に触れ始めた。女性から片言の日本語で注意されても、ほろ酔いの男性が意に介す様子はない。

 あいりんで長年暮らしているという男性は、1年半前の開店当初から通い詰めるという。理由は「女の子のレベルが高いから」。にやりと笑った男性はこう続けた。

 「けどな、あいりんはもう中国人に乗っ取られているようなもんや」

 同商店街や周辺の動物園前1番街(飛田本通商店街)、今池本通商店会などを歩けば「呑(の)んで、歌って、楽しんで」など似た文言、デザインの看板が目につく。飲食にカラオケ付きで3千円前後。客の多くは生活保護受給者か日雇い労働者だ。

 西成区商店会連盟会長の村井康夫さん(64)によると、店は約3年前から増え出した。中国人が経営するあいりんの不動産会社が、商店街の空き店舗を次々と買い取り、中国人コミュニティーの人脈で店の経営者を募ったという。中国人留学生がアルバイトで働く店も多いらしい。

 村井さんは「店舗跡地の買い手が見つかれば、後継者不足に悩む商店街のにぎわいにつながる」と話す。

 ■「やりたい放題」

 ただ、地元住民にとって中国人女性の居酒屋は悩みの種でもある。客引き行為や大音量のカラオケ、ごみの不始末…。今池本通商店会協同組合理事長の岸本人志さん(66)は「中国人女性の居酒屋は規範意識が乏しい。やりたい放題だ」と嘆く。酔客相手に堂々と料金をぼったくろうとする悪質な店もあった。

 カラオケの音が漏れる店のほとんどは、費用面の問題からか防音ドアでなく、単なるガラス戸。客さえいれば、明け方近くまで営業を続けているとみられ、周辺住民にとって騒音はとりわけ頭の痛い問題という。

 岸本さんは「注意しても『ニホンゴ、ワカリマセン』と言い逃れる。月々の商店会の会費(約6千円)を払わないぞ、といわれたこともあった」と明かす。

 中国人女性の居酒屋の急増で、街並みが激変したことを懸念する声も少なくない。今後は「コミュニケーションを取りながら、地道に信頼関係を築いていくしかない」(岸本さん)のが実情だ。

 ■生活保護狙い?

 行政や警察も見過ごしているわけではない。9月には、大阪市環境管理課や市保健所が、管轄の大阪府警西成署と合同で87軒への立ち入り検査を実施した。店員の在留資格を含め明らかな法律違反はなかったが、騒音・衛生面から指導を継続するという。

 あいりんでなぜ、中国人女性の居酒屋が爆発的に増えたのか、府警としては今一つ理由をつかみきれていないが、「(生活保護)受給者相手の営業なら、食いっぱぐれることはなく、一定の売り上げが見込めるからではないか」との見方が出ている。

 近隣住民とのトラブルが重なり、暴力団や犯罪組織と結びつくなどすれば、治安の悪化が懸念されることから府警は警戒している。

511名無しさん:2015/10/25(日) 12:10:38
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00010000-yomidr-soci
貧困と生活保護 扶養義務ってどういうもの? 生活保護との関係は?
読売新聞(ヨミドクター) 10月25日(日)11時40分配信

 2012年、人気お笑いタレントの母親が生活保護を受けていたことをめぐって、一部の雑誌、民放テレビ、国会議員などが激しい生活保護バッシングを繰り広げました。その結果、2013年12月に行われた生活保護法改正では、扶養義務に関する行政の調査権限の強化が行われました。

 しかし、この問題は冷静に考える必要があります。

 法律上の扶養義務は、広範囲の親族に無条件に要求されるものではないこと、お笑いタレントのケースは、法律に触れる「不正受給」ではなく、道義的にどうかというレベルにとどまること、生活保護に関して親族の扶養義務を強調していくと、いろいろなマイナスの問題が生じることを、理解していただきたいと思います。

 今回はまず、法律的に見てどうなのかを確認していきましょう。

◆民法はどうなっているか

 扶養について定めているのは、民法のうち、いわゆる家族法の部分にある以下の条文です。


◇民法752条

 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。


◇民法877条

 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。


2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。


3 前項の規定による審判があった後、事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。


 その次の878条では、扶養の順位、扶養の程度・方法について協議がととのわないか協議できないときは、家庭裁判所が定めるとしています。その場合、扶養の程度・方法については、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して定めます(879条)。

 したがって、民法上の扶養義務が一般的にあるのは「夫婦、直系血族、兄弟姉妹」の範囲です。このうち直系血族というのは、親、子、祖父母、孫といった縦の関係です。

 それ以外の3親等内の親族が扶養義務を負うのは、特別な事情があって家庭裁判所が審判で定めた場合だけなので、例外的なケースです。たとえば過去に本人から多額の生活費援助を受けていためいが、何らかの理由で大金持ちになったような場合でしょう。

 前者(夫婦、直系血族、兄弟姉妹)を絶対的扶養義務者、後者(それ以外の3親等内の親族)を相対的扶養義務者と呼ぶことがあり、厚生労働省が定めた生活保護の実施要領にも登場しますが、これらは非常に誤解を招きやすい用語です。以下で説明するように、前者は、けっして「絶対的」な義務ではないし、後者は「例外的な扶養義務」とでも呼ぶほうが内容に合うからです。
 法学用語はいったん使われると、意味に問題があっても、漢字がむずかしくても、なかなか変わりませんが、民法関係の学会は、早急に用語を改めるべきだと思います(たとえば尊属、卑属という用語もそうです)。

512名無しさん:2015/10/25(日) 12:11:04
>>511

「生活保持義務」と「生活扶助義務」
 夫婦、直系血族、兄弟姉妹の扶養義務は、「生活保持義務」と「生活扶助義務」に分けて考えるのが民法学の通説(一般的な考え方)です。過去の判例でも、その考え方が確立しています。生活保護の実施要領や、実務用に出版されている『生活保護手帳 別冊問答集』も、同じ考え方に立っているのですが、ていねいな説明が書かれていないため、よく理解していない福祉事務所の職員もいます。

 「生活保持義務」は、夫婦間と、未成熟の子に対する親からの扶養が対象です。自分と同程度の水準の生活をできるようにする義務があるとされています。これは内容的に「強い義務」だと言えます。ただし、自分の健康で文化的な最低限度の生活に必要な費用(生活保護基準額)を削ってまで援助する必要はないという解釈が一般的です。

 「生活扶助義務」のほうは、成熟した子と親の関係、祖父母や孫との関係、そして兄弟姉妹の関係が対象です。自分が健康で文化的な最低限度の生活水準を超えて、しかも社会的地位にふさわしい生活を維持したうえで、なお経済的余力があるときに、援助する義務があるとされています。簡単に言うと、余裕があったら援助するべきという「弱い義務」です。

 改めて整理すると、民法上の扶養義務は、次の3段階に分かれるということです。



◇生活保持義務:夫婦間、未成熟の子に対する親=自分と同程度の生活水準を提供する

◇生活扶助義務:成熟した子と親、直系血族、兄弟姉妹=自分の生活に経済的余裕があるとき

◇例外的な扶養義務:3親等内の親族で、特別の事情がある=家庭裁判所が審判で定める


◆民法上の義務は、当事者間の問題

 勘違いしてはいけないのは、民法上の扶養義務は、基本的には当事者間の問題であって、第三者がどうこうできる筋合いのものではないということです。

 生活に困った人は、扶養義務者に対して扶養を請求する権利を持ち、話し合いで決まらないときは家庭裁判所に申し立てて扶養の実行を求めることができます。もしも審判や調停で確定した内容を相手が実行しないときは、裁判所を通じて強制執行することもできます。よくあるのは、別居中または離婚した妻が、子どもの養育費を夫に請求するケースです。未成熟の子に対する親の生活保持義務が、請求の重要な根拠のひとつになります。
 とはいえ、権利があっても扶養を請求しないのは自由です。また、扶養義務を果たさないからといって、公的に責められることはなく、刑事罰はありません。

513名無しさん:2015/10/25(日) 12:11:30
>>512

扶養は保護に優先するが、要件ではない
 では、生活保護との関係はどうなるのでしょうか。

 民法の扶養義務は、まともな公的扶助制度のなかった明治時代に作られた民法から引き継がれてきたもので、生活に困った人が私的扶養と公的扶助(生活保護)のどちらを選ぶべきかという規定は、現在も民法にはありません。つまりは本人の自由です。

 けれども、生活保護法には「補足性の原理」があります。民法にもとづく扶養は、保護に優先します。「優先」とは、実際にあるならば、そちらを先に使うという意味であって、保護の「要件」とは違います。したがって、生活に困っている人の身内に経済力のある扶養義務者がいても、実際に援助を受けていないとき、援助の確実な約束と準備がないとき、援助の金額が保護基準額に足りないときは、保護を受けることができます。

 実はかつて、扶養の請求が生活保護の要件であるかのような解釈を旧厚生省が示し、それに沿った運用が行われていたのですが、2008年度から2009年度にかけての実施要領の改正で、要件ではなく「優先」であることが明確にされました。扶養は自分の努力だけで得られるものではないので、活用すべき「あらゆるもの」には含まれないというのが厚労省の現在の見解です。

 生活に困って福祉事務所に来た人に対して、窓口担当者が「生活保護より先に身内に援助を頼んで」などと言って申請させずに追い返すケースがしばしばありましたが、扶養の位置づけを取り違えているという面でも、申請権の侵害という面でも、間違っています。

◆福祉事務所は何をできるか

 生活保護の申請があると、福祉事務所は、扶養の可能な近親者がいるかどうかを調査します。そして、扶養を期待できる扶養義務者がいれば、扶養を求めるよう本人に促します。正確に言うと、保護申請中の段階では「助言」しかできず、保護を開始した後に初めて「指導」できます。

 とはいえ、扶養を求めるかどうかを決めるのは本人であり、応じるかどうかを決めるのは相手です。福祉事務所が強制することはできません。お金の援助について、法律をタテにして扱うと、人間関係が壊れてしまいます。できるだけ当事者間の話し合いによって円満に解決するべきだ、と厚労省は説明しています。

 では、扶養義務のある近親者の中に大金持ちがいても、何もできないのか。生活保護法には次の条文があります。行政から、その近親者に対して事後的に費用を請求できるという規定です。

514名無しさん:2015/10/25(日) 12:12:05
>>513

お笑いタレントの件は、不正受給ではない
◇生活保護法77条

 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

2 前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。


 徴収と言っても、税金のように行政による強制徴収はできません。また、「生活保持義務」の関係にある場合を除いて、こういう強硬手段を取りうるのは、相手が明らかに富裕で、本人との関係も特に悪くない場合ぐらいでしょう。

 ここまで説明してくれば、お笑いタレントの母親のケースが不正受給にならないことはわかるでしょう。扶養は、保護の要件ではなく、実際にあったら「優先」されるという位置づけのものだし、子どもから親への扶養は、弱い義務にとどまるからです。このタレントは、お笑いの世界に入ってから貧しい時代が長く、収入が多くなってからは福祉事務所と協議して母親に仕送りを行い、途中で増額したそうですから、法律上の問題は何もない。あるとすれば、仕送りの額が当時の収入に照らして妥当だったかという問題だけです。

 不正受給とは、収入、資産、必要経費などを偽って保護費を得ることです。いいかげんな法律知識のまま、不正と印象づける報道や発言は、名誉毀損きそんにあたるし、母親の生活保護に関する情報の出所によっては、地方公務員法の守秘義務違反(刑事罰あり)かもしれません。(原昌平 読売新聞大阪本社編集委員)


 *参考文献:近畿弁護士会連合会編『生活保護と扶養義務』(民事法研究会)、二宮周平『家族法第4版』(新世社)

515名無しさん:2015/10/25(日) 18:37:50
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151023-00080434-diamond-soci
「生活保護で子だくさん」は罪なのか?体験者だから語れる本音の解決法
ダイヤモンド・オンライン 10月23日(金)8時0分配信

 生活保護利用者は、毎月、「過去最多」を更新し続けている。生活保護を必要とする人々が増加し続けている以上、致し方のない成り行きである。では、「生活保護が必要」という事情を少なくするためには、何が有効だろうか?  生活保護世帯で育った女性のインタビューを通して、考えてみたい。

● 「生活保護で子だくさん」は許されない?  「生活保護の子が大学」は高望み? 

 10年来の友人であるエツコさん(仮名・40歳)は、10代後半の約3年半、家族とともに生活保護を利用していた。

 エツコさんと私は、生活保護利用者に対する見方では、意見が合わないことも多い。たとえばエツコさんは、

 「このごろ、『生活保護のリアル』で、子だくさんの生活保護家庭を、よく取り上げてるでしょ?  でもさ、たくさん産むからいけないんじゃないの?  立て続けに生まれてるとき、医者が『おかしい』と思って強制的に避妊リング入れるくらいのことは、すべきなんじゃないの? 」

 と言う。私は返答に詰まってしまう。1996年、優生保護法が母体保護法へと改正されて以後、医師の判断により強制的に不妊・断種手術を行うことは許されていない。それに、親には生まれた子どもを養育する義務もある。自分の経済力だけで養育できない場合、生活保護を利用して悪い理由があるだろうか? 

 「生活保護に頼らないで暮らして子だくさんだった人が、何かの事情でどうにもならなくなって生活保護なら、しかたないと思うよ。でも、生活保護なのに子どもをたくさん作るのは、どうもね」

 エツコさんのその主張を、私は理解できない。2012年、京都府宇治市で、生活保護利用者に対し、

 「前夫・内縁の夫・異性の友人や知人などと生活を伴にしないことを誓います。保護受給中の妊娠・出産については母子世帯・夫婦世帯に関わらず相手にしっかりと話をしたうえで相手に経済的・精神的な責任をとってもらい、生活保護に頼ることなく養育することを誓います」

 という文言を含む「誓約書」を提出させたことが問題となった(誓約書全文)。行政は、各家庭の「家族計画」に干渉すべきではないし、生まれた子どもに罪はない。

 さらにエツコさんは、生活保護世帯の子どもが高等教育を受けたがることに対しても厳しい。

 「どうしても大学で学びたいなら、方法はあるでしょう?  学生支援機構の奨学金とか、新聞奨学生になるとか。私、その高校生たちに聞きたいよ。『今、家にお金がないのは、あなたのせいじゃない。でも、お金がないのに大学行かなくちゃいけない理由はあるの?  大学行かなかったら、就けない仕事はあるの?  夢とか希望とか言う前に、生きるために稼ぐのが先で当たり前じゃないの? 』って」

 私はふだん、原則として友人は取材対象にしない。でも、生活保護を経験したエツコさんが、現在の生活保護利用者に対して厳しくなる理由は理解したい。生活保護制度の現在の「煮詰まり」を解決するヒントも得られそうだ。そこで、10年来の友人に、改めてインタビューをお願いした。

516名無しさん:2015/10/25(日) 18:38:12
>>515

● 問題はあっても裕福な生活から 中学の制服も買えない状況に

 エツコさんは、溶接工の父親と病弱な専業主婦の母親の長子として、1975年、関東北部の中都市で生まれた。

 「ベビーブームの最後の年に生まれて、就職氷河期に当たっちゃって。人生、いつもストレートじゃなかった」

 2年後に妹、4年後に弟が生まれた。腕がよく、船の先端など困難な溶接をこなせた父親は、一軒家や外国車が買える収入を得ていたが、

 「酒飲みで、生活考えずに競馬に給料全部賭けちゃったりすることもあって」

 父親の当時の勤務先の社長は状況を熟知しており、父親には小遣い分だけを渡し、給料のほとんどは母親に渡していた。母親も、エツコさんが小学2年のころから、近所の工場でパート労働を続けていた。

 「暮らしぶりは、むしろ裕福で、憧れられるようなライフスタイルだったと思うよ。一軒家に外車、庭に白いバラを植えて」

 しかしエツコさんが中学校に入るころ、給料をすべて自分で使いたくなった父親が転職し、家庭に生活費をもたらさなくなった。エツコさんは、「給食費が払えない」「学校の修学旅行積立が払えない」「体操服が小さくなってるのに買い換えられない」といった問題に、妹・弟の分も合わせて悩むことになった。

 「私が中学に入るときは、制服を買うお金を捻り出すのが大変だった。学区の再編成があって、新しい制服になったばかりで、お下がりやリサイクルという方法がなかったし」

 あんなにお金のあった家が?  という近所の視線に耐えかねた母親は、パート労働を続け、就学援助も児童手当も利用し、さらに自分名義で借金を重ね、生活レベルを維持しつづけた。

 中学に入ったエツコさんは、柔道部に入った。中学1年で県大会に出場できるほどの実績を挙げ、周囲に将来を有望視されていたという。しかし顧問教師が問題を起こして退職し、柔道部は廃部に。ついで「とりあえずの現実逃避の術」として演劇部に入ったエツコさんは、またもや頭角を現し、文化祭で主役を演じた。しかし、悩みでいっぱいの中学時代だった。

 「貧困にも悩んだけど、自分の人生に悩んだ。『中卒で働きたい』と先生に言ったら、『頭いいんだから、とりあえず高校は出といたほうがいい』と反対されて。でも、先生がお金出してくれるわけじゃないからね」

 エツコさんだって、高校に行きたかった。

 「勉強は好きだったよ。読書が好きで、図書館が居場所だった。読んでた本は、人付き合いの本とか、人の騙し方とか、自己啓発とか、法律とか、福祉とか。可愛げのない中学生だよね」

517名無しさん:2015/10/25(日) 18:38:43
>>516

 その間にも、家庭の状況はさらに悪化していった。自慢の一軒家を売って借家に引っ越し、外国車も売った。それでも家計は火の車。父親が家にいるのは1ヵ月に1日か2日。家にお金を入れるのは「たまに」だ。エツコさんが中学2年の12月まで、なんとか工場で働き続けてきた母親も、中学3年の4月、持病を悪化させて入院。一家は、同居していた母方祖母の老齢年金と、母方叔父からの仕送りと、父親の当てにできない生活費だけで暮らし続けた。

 「母親の医療費が大変で、医療費貧乏だったよ。でも、母親が入院するちょっと前から、福祉の相談員のような人が、しょっちゅうウチに来るようになった。たぶん母親が民生委員さんか誰かに、『生活が立ち行かない』と言えたんだと思う」

 しかしエツコさんは、家事や妹・弟の世話を担いながら、乏しい生活費から母親の治療費の工面に苦労する中学3年生だった。

 「『お姉ちゃんなんだから』って期待されるのが、もうイヤで苦痛で、足かせで。逃げたかった。『親父を殺したら、どんなに楽になれるだろう』って、何回も思ったよ」

 エツコさんが中学3年の10月、母親は病院で亡くなった。エツコさん一家には、母親の遺体を家まで運ぶための搬送車を依頼する費用もなかった。母親が生活のために積み重ねた借金は、700万円にまで膨れ上がっていた。その借金を相続した父親は、しばらく逃げ回った末、結局は自己破産した。同居していた母方祖母は、父親とのトラブルから「泣きながら家を飛び出した」そうだ。

● 貧困の中での高校進学が 生活保護利用のきっかけに

 混乱の中でも希望を失わなかったエツコさんの行きたかった高校は、自転車で片道2時間の距離にあった。通学の交通費を考えると、断念せざるを得ない。エツコさんは、自転車で通える範囲にある「ヤンキー高校」を受験し、首席で合格した。しかし、高校進学に必要な制服など数多くの費用を用意することは困難だった。そこでエツコさんは中学校に事情を話し、生活保護ケースワーカーと面談。実情を話し、父親と子どもたち3人で生活保護の利用を開始することになった。

 エツコさん中学3年の3月だった。近隣の住民から相談を受けていた児童相談所も助言を行い、父親は別世帯扱いとなった。エツコさんを「世帯主」とする姉弟3人の世帯に、生活保護で給付された生活費は、1ヵ月11万5000円。なんとか暮らしは成り立つはずの金額だった。生活保護の医療扶助が利用できるようになったので、治療できずにいた弟の虫歯も治療を開始できた。

 「ケースワーカーは中年の男性で、よく相談に乗ってくれる、いい人だった。最初から『いつかは脱却するための生活保護だから』と言って、ウチの収入の状況がどうなったら生活保護を切られることになるのかを教えてくれて。高校時代の私のバイトも『働き損』にならないように、『収入認定で持っていかれないように、この金額までセーブして働いて』とかアドバイスしてくれてた」

 エツコさんは家庭を支えながら高校に通い、マクドナルドで毎日、1日3時間、時給1000円のアルバイトにも励んだ。しかし父親は、たまに帰宅してはエツコさんにお金をせびり、しばしば酒に酔って他人の車や塀を壊した。エツコさんは、生活保護費から弁償費用を工面することになった。

 「何回も、『高校辞めて働きたい』と、ケースワーカーに言ったよ。すると『でも、女の子が家族を養う仕事をするのは大変だよ。結局は水(水商売)になる。おじさんの目の前で、水はやってほしくないなあ。高校を出たら、事務でもなんでも、会社に入ればいいんだから』って言われて」

 エツコさんが高校を卒業した1993年は、「バブル経済」が終わり、就職氷河期にさしかかったところだった。正社員としての就職が叶わず、しかたなく派遣社員になったエツコさんは、仕事ぶりを認められて正社員になったが、結局「派遣上がり」は正社員と差別されつづけることに嫌気がさして退職。その後、さまざまな職業を転々とし、新聞販売店の正社員となった。

 その間に、2歳下の妹が中学を卒業してクリーニング工場に就職。4歳下の弟も、中学を卒業してスーパーに就職した。エツコさん18歳の11月、姉弟3人の収入で、一家は生活保護から脱却した。

518名無しさん:2015/10/25(日) 18:39:10
>>517

 「でも、子どもの労働だからね。定着して安定するまで、ケースワーカーが心配して、いろんな人とやりとりしてくれてたみたい。私の高校時代、バイト先に様子を見に来てくれたことがあった。妹や弟の就職先にも頭下げてくれた。私たち3人が仕事に就くとき、雇用契約とか、労働時間とか社会保障とか、親代わりにチェックしてくれたよ。私たちが生活保護を抜けるときは、『ダメ親父を捨てる気で働けよ、状況は、いくらでも自分たちで変えられるんだから』って言ってくれた。歪んでない、まっとうなケースワーカーだった」

 エツコさんはその後、約20年間、新聞販売店に勤務していた。20歳を過ぎた頃、生育環境との関連が疑われる精神疾患を発症したが、仕事は辞めなかった。新聞販売店では突出して優秀な営業成績を維持しつづけ、37歳で同業の夫君と結婚。38歳で男の子を出産した後も仕事を続けた。さらに仕事と育児のかたわら、通信制大学で法律学を学び、6年かかったが2014年に見事卒業。しかし優秀なエツコさんは、営業成績が良く報酬が高かったことから、職場で人件費削減のターゲットとされ、2015年5月に退職。現在は精神疾患の治療を続けるかたわら、失業給付を利用して、求職しながら起業準備を行っている。新聞の営業を通じて見た低所得層の困難を、法律の知識も活かしながら解決することを仕事にできればと、リサーチ・事業計画づくり・求職に余念がない毎日だ。

● 生活保護への「スティグマ」と 生活保護を必要とする状況をなくすには? 

 努力してきたとはいえ、就職氷河期に社会に出ることになったハンデを今も背負い続けていると自覚しているエツコさんは、

 「氷河期40代ニートが、『働けない』『結婚できない』、あれもこれもできない、と生活保護を利用する気持ちは、わかる」

 と言いつつも、生活保護を利用しているシングルマザーたちには、

 「生活保護があるから離婚できる、とか思わないでほしい」

 と厳しい。私が「わかるから共感してる一方で、わかるから反発してる感じがするんだけど? 」と言うと、「あ、それだ! 」という答えが返ってきて、会話の流れが変わった。

 「初めて『生活保護』という言葉を聞いた時、『ウチは自己破産よりひどい貧乏なのか』という絶望感があった。生活保護を受けていたころは、普通の生活をすることに、変な罪悪感を感じた。申し訳ないとか、情けないとか、苦しいとか、悔しいとか。『こんなものを貰わないと、暮らせないのか』って。でも、自分一人じゃ何もできなかった。だから、屈辱的だと思いながらも、自分の人生を変えて、ここまで来れた」

 では、経験者として、生活保護に望むことは? 

 「(生活保護という)名前が悪いから変えてほしい。病気の人・障害者・高齢者など、働けない人が認められた権利の中でちゃんとした生活をすることを恥じなきゃいけないのは、おかしいと思う。働けない理由に合わせて、それぞれ別の名前の制度にしてほしい。子だくさんの家庭に対しても、『生活保護』ではなく『育児支援給付』とか、別の制度にしてほしいよね」

519名無しさん:2015/10/25(日) 18:39:54
>>518

 働ける人に対してはどうだろうか?  たとえば、失業から生活保護に至ってしまう例は少なくない。

 「失業者の場合は、失業給付の『自己都合退職なら3ヵ月待機』が問題だと思う。あの3ヵ月を持ちこたえられなくて生活保護しかなくなる人は、結構いるから。雇用保険の穴が、生活保護に押し付けられているわけでしょ?  労災の場合も、労災認定を受けられるまでの期間の生活や裁判費用で持ちこたえられなくなって、生活保護しかなくなる人がいるわけだし」

 よく言われる、社会保障のセーフティネット3層構造(雇用のネット・保険のネット・扶助(生活保護)のネット)で言うと? 

 「雇用のネットと保険のネットの穴をなくして丈夫にすればいいんだと思う。それで日本人は、自主防衛できるようになって、憲法25条が機能するようになるんじゃないかと思う。蜘蛛の巣みたいな見えないネットでも、セーフティネットは必要だから」

 雇用保険の対象にならない人々も多い。

 「それがいけないんだよ。どんな仕事でも、パートでもアルバイトでも、雇用保険は全員強制加入にして、働けてないときは失業給付を受け取れるようにしないと。健康保険と年金は『国民健康保険と基礎年金でも、ないよりマシ』と割り切っていいと思うけど」

 それが実現すれば、働ける年齢層にとっての生活保護の必要性は、かなり少なくなりそうだ。でも今、雇用・保険のセーフティネットは脆弱で穴だらけだ。

 「だから、そこを『ナマポで勝ち組』とかいう言葉で終わりにしてほしくないんだ。生活保護は、決められた最低基準の暮らしのための支援金。マイナスをプラスにするものではなく、マイナスをゼロにするもの。プラスにするのは自分の力。それを日本人が理解したら、蔑みの言葉になるわけがない。でも、『生活保護』という言葉に染み付いたスティグマは、本来の意味に、もう全然合ってないけど」

 では、働ける年齢層の人々にとっての生活保護は、今、どのような存在になっているだろうか?  2013年の生活保護法改正以後、「就労促進的になった」とされる生活保護制度は、実際に就労を促進するものになっているのだろうか?  次回は、生活保護と就労の「今」をレポートする予定だ。

みわよしこ

520名無しさん:2015/10/25(日) 18:47:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00000038-jij-soci
防げるか、薬の違法転売=生活保護制度悪用、大量処方―把握困難、新たな取り組みも
時事通信 10月25日(日)14時18分配信

 生活保護受給者が複数の医療機関を受診して入手した大量の向精神薬を転売していたとして、マンション経営の女(55)が受給者2人とともに麻薬取締法違反容疑で兵庫県警に逮捕された。
 受給者は原則的に無料で医療を受けられる制度を悪用した事件だ。薬の不正取得を把握するのは困難といい、行政や医療機関は頭を抱えるが、薬局や薬剤師と協力する新たな取り組みも始まっている。
 「自宅にはまだ数千錠の向精神薬があった」。京都市に住む受給者の女(31)を逮捕し、自宅を家宅捜索した同県警の幹部は、あきれたように話す。女は複数の精神科などを受診し、大量の向精神薬を入手。インターネット上で買い手を募っていた。
 マンション経営の女は、この女から買い取った向精神薬などを転売していた。ほかの受給者にもメールで「余裕があったら売ってくれませんか」などと持ち掛けていたという。
 受給者の収入や生活状況を監督するのは自治体の福祉事務所。京都市地域福祉課は逮捕された受給者の女について、「レセプト(診療報酬明細書)の調査を行い、向精神薬の処方はチェックしていたのだが」と困惑気味に話した。
 受給者の急増で事務所職員の仕事量は限界に近い。この地域の事務所は、約4500の生活保護世帯を55人で担当。薬の転売による収入増などについて、同課職員は「把握して指導する余裕はない」と説明する。
 新たな対策を打ち出す自治体も出てきた。青森市は、レセプトの確認に薬剤師を入れ、転売が疑われる処方などをチェックしている。大阪府東大阪市は、受給者ごとに薬局を決めて不要な処方を防ぐようにしている。

521とはずがたり:2015/10/26(月) 14:44:30
クインさんに幸あれ。

結婚式ドタキャンされた女性、料理をホームレスに提供 米
http://www.cnn.co.jp/fringe/35072236.html
2015.10.21 Wed posted at 10:38 JST

522名無しさん:2015/10/31(土) 11:58:29
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151030-00080822-diamond-soci
「このままでは生きていけない」生活保護削減で厚労省に涙の訴え
ダイヤモンド・オンライン 10月30日(金)8時0分配信

 2015年10月28日午後、日比谷野外音楽堂で、より劣悪になろうとしている生活保護政策に反対する集会が行われた。今回は、多様な4000名の人々が集まったこの集会と、集会後に行われた厚労省への申し入れの様子をレポートする。

● 多様な4000人が 「生活保護」のために集まった午後

 2015年10月28日木曜日の午後、日比谷野外音楽堂において、「人間らしく生きたい。」というスローガンのもと「10.28 生活保護アクションin日比谷 25条大集会(以下、25条大集会)」が開催された。

 「午後より小雨」という天気予報に反し、晴れ渡る秋空の下、日比谷野外音楽堂には約4000人の参加者が集まった。13時30分〜15時30分にかけて開催された「25条大集会」の終了後、日比谷公園から銀座方面へのパレードが開催され、参加者のほとんどがパレードにも参加した。またパレードと並行して、16時より、「25条大集会」実行委員の法律家・作家・支援者・研究者および生活保護利用者たち合計約15名によって、厚生労働省への申し入れが行われた。

 「25条大集会」は、弁護士の尾藤廣喜氏(当連載「政策ウォッチ編」第36回参照)による実行委員会を代表しての開会挨拶で開始された。20代のころ、厚生官僚として生活保護制度を「健康で文化的な生活」のために運用する努力を重ねていた尾藤氏は、格差の拡大と貧困の深刻さが進行し続ける日本の現状に対し、雇用・年金・医療・障害福祉・教育・住生活、もちろん生活保護そのものに対し、幅広く本質的な対策を行う必要性を訴えた。さらに労働社会福祉中央協議会事務局長の大塚敏夫氏が壇上に立ち、

 「国民の最後のセーフティネットをボロボロにして、政府は何をしようとしているのでしょうか?  安倍首相は『一億総活躍社会』というけれど、セーフティネットがボロボロなら死しかありません。貧困対策は政府の役割です」

 と述べた。

● 「飢えず凍えず」で充分なら奴隷と一緒 和田秀樹氏の「右翼」としての主張

 ついで、「25条大集会」呼びかけ人代表として挨拶した精神科医の和田秀樹氏は、自らを「右翼」と自己紹介し、「右翼の立場からも生活保護の引き下げは許せない」「同胞が1人でも死んでいくことは許せない」と述べた。さらに、消費が冷え込んで景気が悪化している日本の現状に対し、景気対策としても生活保護を改悪すべきでないことを指摘した上、精神科医として、生活保護を利用している精神疾患の患者が「生活保護だから」と差別や疎外の対象となりがちなことに対して、

 「屋根があってご飯があればいいというのは奴隷と一緒」

 と述べ、
 
「この国が文化的で、先進国でありつづけることが、右翼としての私の願いです」

 と発言を結んだ。

523名無しさん:2015/10/31(土) 11:59:39
>>522

 呼びかけ人の一人である経済学者の金子勝氏は、おそらく思想信条においては和田秀樹氏と真逆であろうと思われるが、発言を安保法制やTPPに対する批判から始めた後、

 「高齢者・障害者・失業者などが国民の半数近くになっているのに、生活保護の切り下げなどあり得ません。一方で、企業は史上最高益を上げています。ある種の詐欺です」

 と述べ、

 「多くの人が参加して、自立して社会に関われる仕組み作りが、本当の、一億総活躍社会ではないでしょうか?  そのために闘わなければならないのが今の社会ですが、連帯して闘っていきましょう」

 と結んだ。多様な「呼びかけ人」全員のリストは、「25条大集会」サイト内にある。

 壇上で発言やアピールを行った人々は、生活保護利用者や支援者にとどまらず、障害者・年金受給者・非正規労働者・法律家・研究者・政治家など極めて多様だった。訴えた内容は、生活保護制度そのものはもちろんのこと、年金制度・非正規労働・最低賃金・教育・高齢者や障害者に対する福祉サービスの提供など多岐にわたった。私は、生活保護をメインテーマとする集会に、これほど多様な人々が集まった風景を、過去に見たことがない。

 国会議員による挨拶は「先着順」で行われ、発言順は小池晃氏(共産党)・山本太郎氏(生活の党と山本太郎となかまたち)・川田龍平氏(維新の党)・吉川元氏(社民党)・山井和則氏(民主党)であった。私は、

 「なぜ、自民党と公明党からは一人も参加していないんだろう? 」

 と思った。自民党議員の一人一人に個人モードで話を聞いてみると、「社会保障に対する『タダ乗り』は良くないと思う」は概ね共通しているものの、「生活保護しかなくなる人を減らすために、雇用も税制も年金も医療も少しずつでも改革し、働けて稼げて納税できる状況を数多くの人々に拡大し、社会状況全般を『生きやすい』ものに変えていくことが必要だ」と考える人は少なくない。「25条大集会」で挨拶した国会議員の中には、日本という国の存続と将来・雇用の低迷と景気の関連について触れた人もいた。もし自民党・公明党の議員が来場して発言したならば、「生活保護などなくし、貧乏人は勝手に死んでもらおう」といった暴言の類でない限り、受け入れられ歓迎された上、「自民党も公明党も捨てたものではない」という認識を持つ有権者を少しは増やせたかもしれない。

 「25条大集会」は最後、「貧困は、お金だけの問題ではない」ではじまり「誰一人、貧困に殺されない社会。そんな当たり前のために、私たちは声を上げ続ける」で終わる集会アピールを採択して終了し、15時30分過ぎ、参加者のほとんどが銀座方面へのデモへと出発した。デモの様子は、朝日新聞などの記事(「いのちを守れ」生活保護費の削減反対訴え 銀座でデモ)で紹介されている。

 なお「25条大集会」では、2回にわたって、来場者に対するカンパの依頼が行われた。笑いを交えた「なるべく、軽いお金(紙幣)でお願いします」という依頼に応じて集まったカンパは、総額73万251円であった。生活保護利用者など貧困状態にある人々多数による、「このカンパの代わりに何を削ろうか? 」と考えながらのカンパに硬貨が交じることは、致し方ないであろう。

 以下、本記事では、現在のところほとんど報道されていない、パレードと並行して行われた厚労省への申し入れについて述べる。

524名無しさん:2015/10/31(土) 12:08:00
>>523

● 生活保護利用者たちの涙の訴えを 厚労官僚たちはどう受け止めたか? 

 「25条大集会」当日、16時より行われた厚労省への申し入れに対応した厚生労働省側の人々は、社会・援護局保護課の鈴木建一氏・保護課長補佐・保護課基準係長の3名の管理職に加え、保護課基準係員の4名であった。

 実行委員会が挨拶したあと、2名の生活保護利用者がそれぞれ、厚生労働省への要望書(全文)および大会アピールを音読し、保護課長の鈴木氏に手渡した。

 厚生労働省への要望書を音読したのは、病気のため働けない状況にある稼働年齢層の男性であった。要望の中心は、生活保護基準を2013年の引き下げ以前に戻すことである。

 「健康で文化的な生活」の最低ラインは物議をかもしがちであるが、その内容や必要な費用は、数多くの研究者が研究してきている。2012年時点の生活保護基準は、稼働年齢層の単身者の場合で、それらの研究結果から1万円〜1.5万円程度不足していた。その不足分は、たとえば回復しつつある傷病者が、就労への復帰訓練を兼ねた短時間のアルバイトで、大きな無理をせずに埋められる金額であった。生活保護基準の引き下げは、就労で「健康で文化的な生活」を送ることも困難にしている。

 大会アピールを音読したのは、精神障害を持つ夫と暮らす、自身も精神障害者である女性であった。女性は「25条大集会」で、福祉事務所のケースワーカーに就労を求められ、ハローワークで就労の努力を重ねたものの、「精神障害だから」「生活保護だから」と断られた悔しさを語っていた。その悔しさが込み上げてきたのか、厚労官僚の前で大会アピールを音読しながら、女性はむせび泣いた。

 引き続き、生活保護利用者の男性2名・女性1名が、

 「生活保護費が全く足りないため、まず食費を削っています。電気ストーブしか使えない住まいに住んでおり、電気代が冬季には6万円かかります。電気代のため、食事ができないこともあります」

 「生活保護費がまったく足りない状況を何とかしようと、また将来は脱却しようと、アルバイトをしています。しかし収入認定される金額が大きく、働けるだけ働いても、せいぜい2万円程度しか手元に残りません」

 「生活保護費が削減されたため、まず近所付き合いをやめ、町内会費がかかるので町内会からも退会しました。ついで食費を減らしました」

 「生活保護費を減らすことで、国は私たちをどうしたいのでしょうか?  単なる弱い者イジメに見えてしかたがありません」

 「生活保護の暮らしを見た上で、政策を決めてください」

 「今、生活保護基準引き下げに対する訴訟に原告として加わっていますが、厚労省さん側は、『資料は次回に出します』といって、いつも出してくれません。『物価は下がった(だから、生活保護費を引き下げた)』とおっしゃいますが、物価は下がっていません」

 と、実情を口々に訴えた。

 また実行委員会の人々は、厚労省の再三の通達にもかかわらず現在も行われている「水際作戦(生活保護の申請妨害)」、2013年以後の生活保護基準引き下げによる一年間の生活費の減額が既に10万円前後に達していること、一般就労できない障害者の10%が生活保護を利用していること、福祉労働への悪影響が懸念されることなどを訴えた。

525名無しさん:2015/10/31(土) 12:08:37
>>524

 保護課長の鈴木氏は、以上の訴えを受けて、

 「生活実態の貴重な話に感謝します。重く受け止めていきたいと思います。生活保護基準は、審議会の議論を経て、十分、慎重に議論して決めてきました。これまでもそうでした。これからも慎重な議論をしながら検討したいです。でも全体の消費の実態なり、そういうことも踏まえていく必要があります。そういう中で、いかにして全体の制度を作っていくかということです。今日いただいたご意見、要望書、アピールは、検討させていただきます。生活保護基準の議論はデータにもとづいて、進めていきたいと思います」

 と述べた。

 申し入れの最後に、「25条大集会」実行委員会の弁護士・尾藤廣喜氏が、

 「生活保護基準が、審議会(社保審・生活保護基準部会)を受けて決まっているという話は、裁判で私たちが主張している点です。でも、部会と違った形で引き下げされたという事実があります」

 「生活実態と生活保護基準が合わないために当事者が苦しんでいることは、(厚生労働省の)事務当局として実態を調べて、実態に合わせて対応してもらわなくちゃいけません。基準係は、そのためにあるんですから」

 と苦言を呈し、

 「財務省の圧力は、今の状況の中では、強いと思います。でも、国民生活を考えて検討し、必要ならば厚労省の立場で国民の生活権利を守ることこそが、厚労省の役割です。保護課長と基準係の役割は、重大です。厚労省をあげて考えて、取り組んでほしいです。今日(25条大集会に)これだけ多くの人が集まったという思いを、真剣に受け止め、いい制度にするために努力してください」

 と、元厚生官僚ならではの意見を述べた。

 この後、厚生労働記者会で行われた記者会見には、私を含めて6名の報道関係者が参加した。生活保護利用者たち・実行委員会関係者たちは、より具体的に言葉を尽くして、現在の状況と生活実態を語った。

526名無しさん:2015/10/31(土) 12:09:18
>>525

 記者会見の最後、直前の厚労省への申し入れを受けて、尾藤氏は、

 「日本は、貧困化が進んでおり、生活保護が唯一の砦です。でも、(政府は)崩そうとしています。何がこの国の地盤を支えるのでしょうか?  崩壊しかかっている状況です」

 「社会保障全体の底上げをはかることこそが、今の日本に求められていることです。当事者は、それを自覚しています。しかし政府には、自覚がありません」

 「今日(の申し入れ)も、課長さんと基準係の方がいらっしゃいました。私は『財政当局は、いろんな圧力をかけてくるかもしれませんが、厚労省は生活を守ることが役割です、生活を底上げするべきではないでしょうか』と言いました。でも(厚労省職員には)真剣な眼差し、真剣な気持ちが認められませんでした」

 と述べた。

 数多くの子どもが、育ちと学びの機会を得て力ある大人となり、大人になった後は「自分の力を使って、働いて貢献を認められ、稼いで、納得できる納税をしたい」と考え、実際に実行できること、それを支えることこそが、政府の役割であろう。

 厚労省に足繁く出入りし、顔見知りの職員が多数いて言葉を交わす機会も多い私は、厚労省職員に対して「真剣でない」と言う気にはなれない。しかし、自分たちの行う政策の結果が何をもたらしているのかには、もう少し関心を抱いていただけないかとは思う。帳簿上の数字の問題ではなく、場合によっては人の生き死にを左右する問題であるという実感を持った上で、政策を決定していただくことはできないものだろうか? 

 なお、記者会見終了後、記者たちは実行委員や生活保護利用者たちに対し、熱心に直接の取材を行っていた。取材の結果が、遠からず記事として多くの方々に読まれることを願う。

 次回は、生活保護利用者に対する就労促進の「今」についてレポートしたい。2013年の生活保護法改正と生活困窮者自立支援法は、どのように就労促進を進めているのだろうか?  期待された成果は、実際に挙がっているのだろうか? 

みわよしこ

527名無しさん:2015/11/03(火) 15:21:53
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151030-00090574-toyo-soci
「ひとり親を救え!」運動はなぜ炎上したのか
東洋経済オンライン 10月30日(金)15時0分配信

子どもの貧困率の高さにおいて、先進国の中では抜きん出る日本。背景にある、ひとり親世帯の困窮状況を改善するため、子どもが2人以上の世帯に支給される「児童扶養手当」の増額を訴えるキャンペーンがスタートしました。すると、意外なところから反対の声が上がりました。
■ 1人目は最大4万2000円、2人目は5000円!? 

 「児童手当」ではなく、「児童扶養手当」。聞き慣れない方が多いでしょう。これは、離別・死別・非婚(未婚)の「ひとり親」世帯に支給される手当のこと。母子家庭・父子家庭、どちらも対象となります。

 現在の支給額は、第1子で月額最大4万2000円(年収に応じ10円刻みでスライド)ですが、第2子は一律で5000円、第3子以降は一律3000円。1子目と比べ、2子目以降の額がたいへん少ないため、子どもが多い世帯ほど厳しい状況となり、「ひとり親家庭の子どもの54.6%が貧困」(国民生活基礎調査)という深刻な状況を生み出す原因のひとつとなっています。

 日本の母子家庭(約124万世帯)の就労率は「81%」と世界トップクラスであるにもかかわらず、平均年収は223万円(児童扶養手当や児童手当、養育費、年金なども含む)と低く、子どもがいる一般世帯の平均年収658万円と比べて、大きな格差がある状況です。

そこで、第2子以降の児童扶養手当の増額(複数子加算)を実現するため、支援団体らによるオンライン署名活動がスタートしました。 ちなみに、筆者が初めてこの事実を知ったのは約10年前。自分の離婚を機に、子連れ離婚の実用書を作り始めた頃でした。

 第2子以降の支給額があまりにも少ないのに驚いて、「もしかして、2人目以降の大学の学費は1人目の10分の1になる、という新制度でもあるのかな?」と思い、人に尋ねてしまったほどです(もちろんそんな制度はありません)。

 1子目に比べれば、2子目以降の養育費用は多少下がるかもしれませんが(洋服や学用品などを使いまわせる)、最もおカネがかかる教育費や食費については、1子目も2子目以降も同じです。支給額にこれほど差があるのは、不合理と言わざるをえないでしょう。

528名無しさん:2015/11/03(火) 15:22:13
>>527

 キャンペーンの開始から9日目となる現在、すでに署名数は3万筆を突破。この問題に対する世間の関心は高く、かつ賛同者も多いようです。

 しかし、意外なところから反対の声も上がりました。

■ 「配慮が足りない」ことを指摘する声も

 キャンペーンが始まった翌朝、政治家の橋下徹氏は、「ひとり親かどうかではなく、所得を基準とすべき」とツイート。

これに対し、キャンペーン呼びかけ人のひとりである乙武洋匠さんは、「所得を基準とすべき」という橋下氏の考えを認めつつも、少しでも迅速に貧困の現状を改善するためには、今ある児童扶養手当制度の中でできることに取り組む重要性を伝え、橋下氏もこれに理解を示しました。
(橋下氏・乙武氏のツイートまとめはこちら)さらに大学講師の常見陽平氏も、ツイッターやブログでキャンペーンに対する違和感を表明。自身は裕福なひとり親家庭に育ったものの、周囲から「母子家庭だから貧乏」などと決め付けられて傷ついた子ども時代の体験を振り返り、「ひとり親=貧困」を印象づける本キャンペーンは「当事者への配慮が足りないのでは」と指摘しました。 これに対し、キャンペーンの旗振り役である駒崎弘樹氏(NPO法人フローレンス代表)が当初、やや感情的に応戦したため、両者が炎上する展開に。

その後、駒崎氏はブログ上で常見氏に謝罪。そのうえで、あるカテゴリーの人々に多く見られる問題点を指摘した際に、該当しない当事者が「傷ついた」と主張するのは、問題解決を遅らせてしまう面があることを示しました。 このやり取りについては、筆者もいろいろと思うところがありました。

 まず、常見氏の気持ちも、当事者としてよくわかります。「貧困(貧乏)だと思われたくない」という気持ちは、貧困に該当しない当事者だけでなく、貧困のさなかにある当事者の中にもあるでしょう。

 けれど、そこに“配慮”して何も言わなければ、困っている人たちがいつになっても救われない、という駒崎氏の主張も正しいと感じます。そのようなシーンは実際、さまざまな分野の支援の現場で見かけます。

529名無しさん:2015/11/03(火) 15:23:47
>>528

 キャンペーンの共同呼びかけ人のひとりで、長年にわたって児童扶養手当の問題に取り組んできた赤石千衣子氏(NPO法人しんぐるまざぁず・ふぁーらむ代表)は、この件について、以下のようにツイートしました。

■ 「貧困と思われたくない」当事者の気持ち

 “常見陽平さんのコメントを読んで。ひとり親も子どもたちも、自分が貧困だと思われたくない、そのお気持ちをひしひしと感じる。わたしもそうだったから。”

 “私自身月収10万円で4歳の息子と暮らしていたとき、自分が貧困だと思っていなかった。それどころか『ゆたかに暮らしている』とインタビューに答えた覚えもある。相対的貧困率の定義にあてはめれば貧困だった。あなたは貧困(である)と言われれば傷つく。”

 “なぜひとり親の貧困という言葉を使うのか。なぜなら、(ひとり親の)半分以上が相対的に貧困である、ということは先進国で異常な事態であり、多くの人に知ってもらうことが必要だからだ。貧困はあなたのせいではない。社会のしくみが凝縮している。”

 “あなたのせいではない「ひんこん」「貧困」を解消するには声をあげなければ、変わらない。傷つけていたなら、ごめんなさい。声をあげずに傷ついている人たちもいるよね。でもあなたがつらかったり、生きにくい状況を変えたいのです。”

 “貧困だなんていわれたくない。自分でがんばるしかないという気持ちは結局、社会保障なんかに頼らないで自分でがんばろうにつながる。そして(それでは現状が)何も改善されない。自分がおかれている現状はなぜなんだろう、(と考えること)で解決をめざしたいと思う。”

 筆者も、この赤石氏の考えに同意します。

 同時に筆者は、橋下氏と同様、手当の支給対象は「ひとり親かどうかではなく、所得を基準とすべき」だとも思います。今回の児童扶養手当の複数子加算には賛同しますが、将来的には、対象枠を「ふたり親」の家庭にも広げてほしい。そのほうが、理にかなっていると思うからです。

 そもそも経済的理由で離婚する夫婦も多いので、結婚している家庭に支給枠を広げれば、離婚増加の歯止めにもなると考えられます。すぐには難しいかもしれませんが、遠くない将来、枠の拡大が実現することを望みます。

 さらに、所得を基準とすれば、居心地の悪さを感じるひとり親家庭当事者も減るでしょう。

530名無しさん:2015/11/03(火) 15:25:45
>>529

 ただし、私たちが「低所得」「貧困」=「恥ずかしいこと」「自己責任」という認識を改めない限り、新たに受給対象者となった当事者も「傷つく」可能性はあると思います。

■ 各界の専門家が、支援の必要性を指摘

 さて、炎上した部分ばかりが注目され、今回のキャンペーンの趣旨がまだ周知されていない面もありそうなので、ここであらためて紹介しておきます。以下に引用するのは、各界専門家が発表したコメントです。これを読めば、なぜ児童扶養手当の複数子加算が必要であるか、理解しやすくなるのではないでしょうか。

 会見で、低所得家庭の子どもたちへの学習支援を行うNPO法人キッズドア代表・渡辺由美子氏は、利用者の多くがひとり親家庭の子どもであることや、学力が上がっても経済的な理由から望む進路に進めない子どもが多いことなどを指摘。「この少子化の時代に、お子さんをたくさん育てている方は褒められるべきなのに、現実にはそういう方たちがいちばん大変な状況にある。これは非常におかしいこと」として、支援の必要性を訴えました。

 ジャーナリストで相模女子大学の客員教授の白河桃子さんは、ひとり親支援は少子化対策としても重要であることを解説。出生率が回復したフランスでは、子どもがたくさんいるひとり親は働かなくても手当だけで生活できることを挙げ、日本も「“どんな形で子どもを持っても安心安全に暮らせる”という社会にすることが必要」と指摘しています。

 児童養護施設に暮らす子どもを支援するNPO法人タイガーマスク基金代表・安藤哲也氏は、ひとり親家庭が経済的に安定すれば、施設に入らなければいけない子どもが減り、社会的擁護の予算抑制にもつながること、また父子家庭の中にも母子家庭と同様の窮状があるので、支援が必要であると述べています。

 さらに会見では、ひとり親当事者である田中直子さん(仮名)もコメントを発表。田中さんは日々、発達障害のある高校生のお子さんにかかりきりで、仕事に就くこともできない状況にあります。ただし、食べ盛りの4人の子どもたちのお腹を満たすことを何より優先し、「そこ(食費)だけは節約しない」と決めているとのこと。

 第2子以降の児童扶養手当が「1回の食費ですぐ終わってしまう」額であることや、子どもたちに「もうちょっと、いいものを食べさせたい」という思いがあることを、控えめな様子で語っていました。

 田中さんのような人が、安心して堂々と、子どもたちを育てられる社会がいいな、と思います。ひとりでも多くの方がこの問題に関心を持ち、一緒に考えてくださることを願っています。

大塚 玲子

531名無しさん:2015/11/07(土) 15:16:22
>>510

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151107-00000103-san-pol
「ポスト橋下」揺れる西成 どうなる暮らし、就労支援…立候補予定者の訴え注視
産経新聞 11月7日(土)15時0分配信

 8日に告示される大阪市長選(22日投開票)を控え、日雇い労働者の町「あいりん地区」を抱える西成区の民意が揺れている。就労支援施設の建て替えや他区に比べて高い生活保護受給率など課題が山積する中、西成区を「えこひいき」すると宣言して予算を投下した橋下徹市長(大阪維新の会代表)が12月に退任するからだ。住民たちは「ポスト橋下」をめざす立候補予定者たちの訴えを注視している。

 「兄ちゃん、仕事行かんか」。まだ夜が明けきらぬ午前5時。日雇い労働者支援の複合施設「あいりん総合センター」1階の「寄場」に集まる男性たちに、求人業者が声をかけていた。土木や鉄筋工などの日雇い仕事を斡旋(あっせん)し、契約が成立すれば現場へ連れて行く。

 センターは、高齢者や生活保護受給者らが暮らす市営住宅、医療機関も入るあいりん地区の中核施設。ホームレスが段ボールを敷いて体を休める「最後の砦(とりで)」(60代の求人業者)でもあるが、昭和45年築の13階建てビルの天井を伝うパイプや階段の手すりは赤茶色にさび、老朽化が著しい。

 平成21年には耐震性に問題があることが発覚し、建て替え論が浮上した。ただ寄場や職業安定所を管理する国と、労働福祉センターを管理する府、市営住宅や医療機関を管理する市の3者間の調整は難航。建て替え後のあり方をめぐり、地元の住民と労働者支援団体の間でも意見が分かれる。

 地元自治会の男性は「センターの建て替えは西成最大の課題。ただ、課題は他にも山ほどある」と話す。

 26年に区が取りまとめたデータによると、生活保護受給者の割合は23・1%でほぼ4人に1人。65歳以上の高齢者率37・2%と結核の発生件数237件も市内24区で最悪だ。中国人女性が接客する居酒屋が急増するなど、文化や風習の違う外国人との共生も新たな課題として浮上する。

 この4年間、橋下氏は西成区を大阪全体の縮図ととらえ、「西成が変われば大阪が変わる」として、特区扱いして福祉などの予算を重点的に配分。大阪府警と連携し、不法投棄対策や薬物取り締まりを強化してきた。

 その橋下氏の後継指名を受け、市長選に大阪維新の会公認で立候補する元衆院議員、吉村洋文氏(40)は「特区構想を引き継ぎ、地元の声を聴きながら発展させたい」と強調する。

 一方、自民党推薦を得て立候補する元市議、柳本顕氏(41)は西成区の出身。区長の権限を強化する「総合区」を28年春に導入して「課題を解決し、大阪全体の発展につなげる」と訴える。

 市長選にはほかに、元北区長の中川暢三(ちょうぞう)氏(59)と、テーマパークアルバイトの高尾英尚(ひでひさ)氏(33)も立候補を表明。あいりん地区内で衣料品店を経営する角田昇さん(73)は「西成の改革は道半ば。誰が市長になっても、この街のことをよく考えて市政に取り組んでほしい」と期待を込めた。

大阪市長選立候補予定者

吉村洋文(40)大阪維新公認、新人、元衆院議員

柳本 顕(41)自民推薦、無所属、新人、元市議

中川暢三(59)無所属、新人、元大阪市北区長

高尾英尚(33)無所属、新人、アルバイト

                 (敬称略)

最終更新:11月7日(土)15時11分

532とはずがたり:2015/11/12(木) 13:04:43
ADSLスレよりこちらか?なんか出来そうだけどほんとに居るのか??

ニコ生でカンパ300万円ゲット!一切働かずに暮らす女性たち
女子SPA! 2015年11月5日 16時11分 (2015年11月5日 16時42分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/woman_clm/20151105/Joshispa_20151105_00352855.html

 今、20代など若い世代のあいだで、モラルや金銭感覚などが一般的な感覚から大きくズレた女性が増えているという。なかでも注目されているのが、ネットの生放送を通じてカンパを募り、生計を立てている女性たち。

 90年代にはネットの掲示板や街中でのナンパをきっかけに行われる援助交際が問題になったが、それから10年の時を経て、“援助”のテクノロジーはかなり進んでいるようだ。

 一切働かずに暮らす彼女たち。そのうちの一人に詳しい話を聞いた。

◆労働収入ゼロ。ネットのカンパと“彼氏”の援助で生活

 ふじこさん(27歳)は、2年前にニコ生を通じてカンパを始め、これまでに総額300万円近くを集めたという。

「口座番号を公開して、『お金ください』って言っていたら、いつの間にかそれくらいになっていました(笑)。数十円を振り込む人もいれば、数万円振り込んでくれる人もいるし、金額はバラバラですね。でもある日突然、知らない人から10万円振り込まれたときはさすがにびっくりしましたね」

 それまでシェアハウスで生活していたふじこさんだったが、カンパが集まったのを機に引っ越し。念願の一人暮らしが叶った。

 現金だけではなく、物資などのプレゼントも届くという。

「アマゾンの『ほしい物リスト』を使っていて、そこでは主に水などの生活用品が届くようにしています」

 もともと、お金はあればあるだけ使ってしまうタイプだったというふじこさんは、カンパされたお金も振り込まれるそばから使ってしまっていたというが、最近はいかにうまく節約するかということに目覚めたという。

「どうやって無駄を省こうかと考えた結果、彼氏をたくさん持てばいいんだって気づいたんです。使うお金がかなり抑えられますよ」

◆愛人も分散投資の時代?

 ふじこさんは現在複数の男性と交際しており、それぞれを「家賃彼氏」、「お小遣い彼氏」、「送迎彼氏」と呼び、援助してもらっている。これはまさしく「愛人」とも言えるものだが、貢がれている額は最高額でも「家賃彼氏」が払う8万5000円。分散投資の低額愛人契約スタイルだ。

「『ご飯彼氏』と外食するときはただ奢ってもらうだけじゃないです。必ずタッパーを持っていって、余った料理を持って帰るようにしています」と浅ましさはプライドレス。それぞれの彼氏にバレる心配はないのだろうか。

「バレても別にいいです。バレたら、別れてまた新しい彼氏をつくるだけ。私にとって彼氏って消耗品なんですよね」

 20代の若いうちはいいが、年をとるごとに投資してくれる男性も減ってくることを考えると、今から働く準備をするか、“消耗品”より耐久性の高い品を探しはじめるかした方がいいのではないか、とお節介ながら思ってしまう筆者だった。

―女性たちのド底辺生活【2】―

533とはずがたり:2015/11/18(水) 12:37:12
本来母の介護の為に仕事辞めて(多分それで)困窮して死後遺体放置ってどうなってんのかねぇ。。

「葬式費出せず」母親の遺体放置に猶予付き判決 静岡
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e3%80%8c%e8%91%ac%e5%bc%8f%e8%b2%bb%e5%87%ba%e3%81%9b%e3%81%9a%e3%80%8d%e6%af%8d%e8%a6%aa%e3%81%ae%e9%81%ba%e4%bd%93%e6%94%be%e7%bd%ae%e3%81%ab%e7%8c%b6%e4%ba%88%e4%bb%98%e3%81%8d%e5%88%a4%e6%b1%ba-%e9%9d%99%e5%b2%a1/ar-BBn6KDQ?ocid=spartandhp
朝日新聞デジタル 11 時間前

 母親の遺体を自宅に放置したとして死体遺棄罪に問われた静岡県中部の無職男性(54)に対し、静岡地裁(川畑薫裁判官)は17日、懲役1年執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。

 川畑裁判官は「遺体を放置したのは事実だが、経済的に苦しく葬儀費用が出せないなど動機は消極的だった」と量刑理由を説明。その上で男性に「困ったときは周りの人に相談すれば助けてくれることを忘れないでほしい。仕事に就き、生活を立て直すことを期待している」と説諭した。

 判決によると、男性は2月中旬ごろ、自宅で病死した同居の母親(当時86)の遺体を埋葬することなく部屋に1週間放置した。男性は病気の母親を介護するため、約5年前に仕事をやめていた。

534とはずがたり:2015/11/26(木) 11:06:37
フィリピンのホームレス邦人は日本社会の犠牲者か? 矛盾を照らす真摯なルポ
http://ddnavi.com/review/64942/a/
2012.6.21

日本を捨てた男たち ― フィリピンに生きる「困窮邦人」
ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 集英社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:水谷竹秀 価格:1,296円
※最新の価格はストアでご確認ください。

果たして彼らは日本を捨てたのか、それとも日本に捨てられたのか。そんな疑問が読みながら頭の中を行ったり来たりした。女性を追って、借金から逃れて、自由を求めて…それぞれの極めて個人的な理由でフィリピンにわたった男たちが資金を使い果たし、「困窮邦人」とよばれるホームレスになり、心やさしい比人の貧困層に助けられているという状況が、現在静かに社会問題化しつつあるという。日本ではあまり知られていないその実像は、まさに日本社会の「矛盾」のふきだまり。正直なところ、自業自得、他人(比人)の親切心につけこむ、日本人の「甘え」では? と、そのダメさ加減を断罪するのは簡単だ。

だが、彼らが日本に「置いてきた」現実はどれも行き場がなく、いまどき1度ボタンの掛け違いが起きてしまうと一気に「転落人生」というのはお決まりのルートなのか、誰もが血縁者にも拒否され、日本に帰ったところで「厄介者」になるしかない現実を抱えている。彼らにしてみれば、ホームレスをするのが日本かフィリピンか、そんな究極の状態なのだろう。どちらにせよ八方塞がりなのだ。

ちなみに登場するのは、ほぼ男性ばかり。一応、比人男性を頼って海を渡った邦人女性も出てはくるものの、彼女たちは自分のポジションに対してかなり客観的で、たとえば騙されている、とわかったら、その時点であっさり身を引く。だからそこまで最悪な状況に陥りにくいが、なぜか男性は未練故かプライド故か、最悪の状況でもかの国で「ただ生きている」状況を選択する。その現実のしょうもなさに脱帽しつつ、どこかやはりと納得。女たちのたくましさ、男たちの悲哀に、なんかホントに大変、とため息も出てしまう。

なお、時に同情し、時に距離をおき、答えのでない問題に、とにかく真摯に対応しようという著者のスタンスは正直で好感がもてる。今回、電子書籍で社会派ノンフィクションを読んだのは初体験だが、容易に自分の立場が決められない問題に対峙する場合、電子書籍という「重みを感じない」メディアのせいか、リアルな本よりも、読みながらスタンスを自在にスイッチできる感じもした。こういう感覚、困難な現実を相対化するにはグッドなのかも

535とはずがたり:2015/11/26(木) 11:13:31
法学スレ相当か?

圧倒的経済弱者である若者が、圧倒的経済強者である高齢者に反逆の刃を向けているという構図 ー「老人喰い」の真実
http://ddnavi.com/news/229811/a/
2015.3.5

 警察庁のまとめによると、「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」「架空請求詐欺」といった「特殊詐欺」の年間被害総額が、2014年、ついに500億円の大台を突破したという。これは2004年に統計を始めてから最悪の数字で、被害者の約8割は60歳以上の高齢者である。また催眠商法やリフォーム詐欺などの「悪質商法」で高齢者が契約当事者となった割合も全体の7割以上に上る。こうした高齢者を狙う犯罪“老人喰い”の手口は、日々巧妙化しており、今や「うちは大丈夫!」と自信を持って言える人などいない状況だ。

 『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』(ちくま新書)は、高齢者を騙して大金をむしり取る“裏稼業”に生きる犯罪者たちを取材し、その実態をあぶり出した興味深い書籍である。著者は『最貧困女子』(幻冬舎新書)や『出会い系のシングルマザーたち』(朝日新聞出版)など、裏社会や触法少年少女にスポットを当てたノンフィクションで定評のあるルポライター・鈴木大介さんだ。その衝撃的な内容を、少しだけ紹介したい。

“老人喰い”の犯人は「渇ききった若者の反逆」

 本著によると、特殊詐欺をはたらく犯人たちのほとんどは20代から40代の最貧困層の若者たちだという。見た目はどこにでもいるサラリーマンそのもので、高齢者を騙すために「(株)詐欺本舗」とでもいうべき組織をつくり、やり手営業マンさながらの高いモチベーションで詐欺を行っているというのだ。

 しかし「弱い高齢者が襲われている」という構図ではなく、そこには「圧倒的経済弱者である若者が、圧倒的経済強者である高齢者に反逆の刃を向けている」という構図があるのだという。これを著者は、高度成長期の時のように働けば豊かになれた時代と違い、働いても将来に希望を持てない若者たち(=砂漠の中で水に飢えた者)が、豊かな高齢者(=たくさんの水を持つ者)を襲うようなもの、と表現している。

一度ひっかかると、10年以上も狙われる!

 ターゲットを選び出す方法としては、かつては「名簿屋」から買い取ったDM用などの名簿を使い、かたっぱしから電話をかけまくっていたが、今ではまず公的機関名をかたって下調べの電話をかけ、「支払い能力があるか」「健康に不安があるか」といった情報を追加した“最強名簿”を作り上げてから、組織的に落としにかかるというのだ。

 特に狙われやすいのは言うまでもなく「資産があり消費・投資行動をしている人間」だが、一度被害にあった人の名簿「ヤラレ名簿」も狙われやすく、また合法的に営業展開しているDM系名簿業者の名簿に載っている人も、油断はできないという。

 しかもこれらの大量に出回っている名簿はストックされ、ことあるごとに情報が強化されて、将来的に使用される可能性があるというからゾッとする。実際、すでに10年以上前の名簿に載っていたために詐欺にあったケースも出ているので、まだ現役世代の人にとっても老後の詐欺被害は他人事ではない。

 筆者の両親のもとにも最近、「息子さんが事故で…」という電話があったのだが、幸い“息子さん”は在宅中だったため事なきを得た。その後しばらくは「どこぞのチンピラが電話してきたのだろう」と、家族間で話題になっていたのだが、本著を読んで「その考えは激甘だ」と分かった。徹底的に・かつ能動的に“騙そう”としている集団から身を守るには、いったいどうすれば良いというのか…?

 本著には、様々な“老人喰い”の手口が再現ドラマのようにリアルに描かれている。そこには具体的な防御策は書かれていないが、裏稼業に身を置く若者たちの心理を知る手がかりが散りばめられている。一読しておけば、自分や家族がターゲットになった時、被害者にならずにすむきっかけを得られるのではないだろうか。

文=増田美栄子

536とはずがたり:2015/11/30(月) 10:41:38
>米国の『ハウジングファースト』が素晴らしかったのは、1990年代にデータを集め、コストを明確にしたことです。そして、ブッシュ大統領がハウジングファーストを推進しました。ブッシュ大統領が、優しい人、人を助けたい人ではないことは、みんな知っています。我々の時も、サルコジ首相でした。」(Girard氏)そして「日本の現在の首相は、ブッシュ大統領に似ています」


>困窮者支援プログラムに対しては助成金が出にくいほどの状況となっている。
資金獲得が競争的な枠組みになってるのかな?

生活困窮者に「家」を提供すれば、社会保障費は削減できる
みわよしこ [フリーランス・ライター]
http://diamond.jp/articles/-/82306?page=4

「ハウジングファースト」は安上がり
米国では助成金の条件にも

?今回は、注目を集めている「ハウジングファースト」について、開始されて20年以上が経過している米国・展開しようとしているフランスでの状況を中心に紹介する。

「ハウジングファースト」は、住居を含む困難を抱えた人々に対して「安定した恒久的な住まいをすぐに提供する」ことを意味する。対象は、ホームレス状態にあったり、重度精神障害・薬物依存・アルコール依存などの問題を抱えていたりする人々だ。もちろん、一人の人に重なっていることもある。

?このような人々の「社会復帰」に際しては、10〜15年の時間をかけ、「シェルターなどの施設や病院からグループホーム、クスリも酒もやめて仕事ができることを認められたら、グループホームから一般の住まいへ」というステップを踏むことが一般的だった。しかし、「グループホームへ」「一般の住まいへ」というステップを上る前に脱落し、いつまでも一般の住まいへたどりつけないままの人々が多かった。

?発想を逆転し、「まず一般の住まいを提供する」ことを試みたのは、米国の精神科医・Sam Tsemberis氏だ。1992年、Tsemberis氏はニューヨーク市内でホームレス状態にある重度精神障害者や、同じくホームレス状態にある依存症患者に対し、シェルターではなく通常の住まいを提供した。「住まいがあればホームレス状態は終わる。簡単なことだよ」とTsemberis氏は語ったという(「Pathways to Housing」サイト内、「Pathways National History」による)。

?このアプローチは治療・社会復帰のいずれの面からも良好な成績を挙げ、その上にコストも減らせることが判明した。アパート家賃など住まいそのもののコストに生活を支援するための多様なコストを含めても、シェルターの74%、刑務所の25%、精神科病院の8%以下なのである。このことが広く評価されたため、2010年以後の米国では、「ハウジングファースト」の考え方を取り入れていない困窮者支援プログラムに対しては助成金が出にくいほどの状況となっている。

?今回は、2015年10月14日、東京・市ヶ谷の「JICA地球ひろば」で、医療・支援の専門家を主対象として開催された「ハウジング・ファースト国際シンポジウム ?なぜ住まうことから始める(ハウジング・ファースト)と回復(リカバリー)するのか?〜世界と日本の現場から〜」で発表された、米国ワシントンDCとフランス・マルセイユ市での実践から、米国とフランスでの状況を紹介する。

537とはずがたり:2015/11/30(月) 10:42:01

Amanda J. Harrisさんは、ワシントンDCで「ハウジングファースト」に取り組む「Pathways to Housing DC」の最高責任者だ。ソーシャルワークと公共政策の2つの修士号を持つHarrisさんは、「ハウジングファースト」の特色を、
「『ハウジングファースト』では、生活困窮者に対して最初に恒久的な住居、シェルターのような一時的な住居ではない住居を提供するわけですが、その際、条件を設けません。(アルコール依存症者が)断酒を誓ったりしなくていいんです」

?という。もちろん、依存症者が酒や薬物に手を出してしまい、住居や近隣との関係で問題を起こしてしまうことは起こりうるのだが、自分の行為の結果に責任をもつことも含めて「地域生活」だ。それにしても、シェルター・施設・病院の中ならば、被害は「一般市民」には及ばないかもしれないが、Harrisさんは、
「シェルターは、あまり良い場所ではないんです。自分の荷物が盗まれたりしますし」
?という。確かに、路上生活者向けシェルターにせよ、DV被害者のためのシェルターにせよ、シェルターを経験した人々が「良い場所だった」「快適だった」「楽しかった」と語るのを聞いたことはない。たいていは大部屋で、隣のベッドに来る人を選ぶことはできない。自分が数日ぶりの入浴と食事で一息ついたところに、妄想を語り続ける人がやってきたり、長期の路上生活で不潔な状態になった人がやってきたりする。ベッドには南京虫もいたりする。屋根があって食事は出るし、シェルターの外から危険がもたらされることはないが「短期間の仮の暮らしなら耐えられるかもしれない」という性質のものであるようだ。

?私は、自分なら耐えられそうにはない暮らしを、自分より悪条件にある人に「死ぬよりマシなんだからガマンすべきだ」と言う気にはなれない。自分より悪条件にあるということは、健康でいようとする力・ポジティブになる力・ガマンする力・そこでもできることを考える力・抜けだそうと考えて実行する力など、全ての力が発揮しにくくなっているということだからだ。

Harrisさんによれば、Pathways to Housingの活動のきっかけは、創設者である精神科医・Tsemberis氏が、刑期を終了して出所する人々や、精神科病院に入院している長期入院者に「何をしてほしい?」と尋ねたことであるそうだ。答えは、「アパートに住みたい」だった。Tsemberis氏は、その希望を叶えた。すると良好な結果につながり、コストも削減できることが判明したわけである。
「道義的に正しいだけではなく、安く上がるんです。病院・シェルター・刑務所にお金使うのは賢くないと社会が学習しました。2010年ごろからは、ブッシュ大統領が大きく後押ししてくれるようになりました。ハウジングファーストを取り入れていないプログラムには『費用対効果が悪いから』と資金が出なくなるほどの変化が起こりました」(Harrisさん)

?しかしながら、住宅手当とともにアパート探しを支援し、契約できたら「今日から、ここがあなたの住まいです」と支援終了、というわけにはいかない。… 「何年もホームレス状態だった人は、家族と縁が切れていますし、友人も少ないんです。コミュニティとのつながりを作るサポートも必要です」(Harrisさん)

「もちろん、リスクも与えることになります。失敗する権利も与えることになります。サービスを供給する側にとっては、怖いことです。でも、人間はすべてリスクや失敗とともに生きています。同じ権利は、すべての人に与えられなくてはなりません」(Harrisさん)

?80年代までの米国では、麻薬への依存は、脳に影響が加わったことによる身体の反応と考えられていた。しかしラットを使った実験で、そうではないことが判明した。ラットを麻薬依存症にした後、より魅力的な選択肢とともに麻薬を並べておいたら、ラットは麻薬を選ばなかったのである。

538とはずがたり:2015/11/30(月) 10:42:19
>>536-538
「なぜ、成功しやすく安上がりなのか」
フランスの調査研究からも明らかに

?フランス南部・マルセイユ市で「ハウジングファースト」を実践している精神科医のVincent Girard氏は、マルセイユ市とフランス全体での状況について講演した。Girard氏は移民が多い地域で育ち、移民の子どもが数多く通っている公立学校に通った。

?約6600万人の人口を抱えるフランスでは現在、全土で約14万人が「家がない」という正真正銘のホームレス状態にあり、350万人が「適切な住宅がない」という状況にある。ホームレス状態の人々は2001年から2012年にかけて44%増加し、うち30%は精神疾患を抱えており、平均寿命は一般の人々より30年〜35年程度短いそうだ。

「米国とは状況が異なります。比較的強固な福祉制度があるという意味では日本と似ていますが、米国・カナダのような公衆衛生文化は不在で、医師の権限が非常に強いです」(Girard氏)

?そのフランスでは、「いつかホームレス状態に陥るのでは?」と思っている人が多数いて、増加中ということだ。日本の場合、多様な差別とバッシングの対象となる生活保護受給者が、フランスの「ホームレス」と同様の位置づけにあるのかもしれない。そのフランスでは、どのような対策が取られているのだろうか?

「フランスのホームレス対策費は年あたり30億ユーロ(約4000億円)で、英国に次いでEU圏内で2位です。この他に、普遍的な住宅扶助があります。『社会政策は予防、医療政策は治療』と呼ばれています」(Girard氏)

?そのフランスで、ハウジングファーストの取り組みが始まったのは2006年のことだ。民間の運動体から始まった動きだったが、2010年には国の政策にも取り入れられた。

「ホームレス状態の人は、深刻な精神症状があっても回復できます。何年も路上生活ができた人は、とても賢明なんです。だから生き延びられたわけです。精神症状が出ていても回復する力がありますし、『自分の住まい』を手に入れて維持する力もあります」(Girard氏)

?現在、フランスの4都市で、ハウジングファーストの効果を評価する調査が進行中だ。対象となりうる人々を半分に分け、片方にはハウジングファーストの考え方に基く支援、片方にはこれまでの通常の支援を提供し、結果を検討するというものだ。2011年に始まったこの調査の結果は、今年、2015年に判明する。

「『世界を変える夢を見る』で終わらないためには、科学的な裏付けが重要です。米国の『ハウジングファースト』が素晴らしかったのは、1990年代にデータを集め、コストを明確にしたことです。政策立案者が知りたいことは、コストです。そして、ブッシュ大統領がハウジングファーストを推進しました。ブッシュ大統領が、優しい人、人を助けたい人ではないことは、みんな知っています。でも、そうしました。我々の時も、サルコジ首相でした。ブッシュに似ていました。似た人、世界中にたくさんいます」(Girard氏)

?そして Girard 氏は、「日本の現在の首相は、ブッシュ大統領に似ています」と言って、会場を笑わせた。

539とはずがたり:2015/12/02(水) 14:56:21
>厚労省は、「年金だけでは足りない1人暮らしの高齢者が増えている」と分析しています
下流老人ってやつか。。

生活保護受給世帯、過去最多を更新
TBS News i 2015年12月2日 13時51分 (2015年12月2日 14時50分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20151202/Tbs_news_47127.html

 全国で生活保護を受けている世帯が今年9月の時点で162万9598世帯となり、過去最多を更新したことがわかりました。
 厚生労働省によりますと、今年9月の時点で生活保護を受けている世帯は前の月と比べて874世帯増え、162万9598世帯でした。統計を取り始めた1951年以降で最も多くなっています。

 母子世帯や現役世代では減少傾向にありますが、65歳以上の「高齢者世帯」が増加していて、80万301世帯と全体のおよそ半数を占めています。

 厚労省は、「年金だけでは足りない1人暮らしの高齢者が増えている」と分析しています。(02日12:33)

540名無しさん:2015/12/07(月) 20:05:35
若年フリーターがそのまま高齢化しただけかと。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_1207.html
急増する「中年フリーター」
12月7日 18時20分

いま、中年のフリーターが急増しています。
35歳から54歳までの非正規労働者は、この15年間で2.5倍に増え、273万人に上っています。この中には、正社員になりたくてもなれず、アルバイトを転々とするなど不本意な形で働いている人も少なくありません。こうした「中年フリーター」とも呼ばれる人たちが高齢化する近い将来、社会的な負担が増えることも懸念されています。将来の生活に不安を抱える中年フリーターの実態と求められる対策について社会部の津武圭介記者と松尾恵輔記者が解説します。

中年フリーターの実態は

急増している中年フリーター。私たちは、都内の飲食店でアルバイトをしている38歳の男性から話を聞くことができました。
男性は、毎晩遅くまで働いて帰宅するのは午前0時過ぎですが、日当は7650円。週に5日ほど働いて年収は250万円余りです。

生活はギリギリで貯金をする余裕はないといいます。
男性がフリーターになったのは、大学時代の就職活動につまずいたのがきっかけでした。都内の有名大学に通っていましたが、就職活動を行ったのはITバブル崩壊で“氷河期”と言われた2001年。希望する会社から内定をもらうことはできなかったといいます。その後、引っ越しやビラ配りなどのアルバイトをして生活し、これまで正社員として働いた経験は一度もありません。
最近、長年交際していた女性とも別れることになり、男性はこうした生活から抜け出そうと正社員での就職を目指しています。しかし、40歳を前にして、アルバイトの経験しかないことが高い壁になっていると感じています。
男性は「学生時代は、将来、会社に勤めて家庭を築いていると自分の姿を思い浮かべていたが、こうした生活になるとは想像してもいませんでした。正社員になりたくても、年齢や経歴がハードルになってきて、このまま年を取ったらどうなるのか、とても不安です」と話していました。

支援に乗り出す東京都

総務省の調査によりますと、35歳から54歳までの非正規労働者(学生・既婚女性は除く)は規制緩和による働き方の多様化や、企業側が人件費を抑えようとしたことなどを背景に増え続け、ことしの時点で273万人と、この15年間で2.5倍に増えています。

国は、全国のハローワークなどを通じて支援に取り組んでいますが、企業は、若い人材を求める傾向が強く、30代以上のフリーターは敬遠されがちなのが実態です。

こうした状況を打開しようと、東京都は、ことしに入り、30歳から44歳の人を対象にした独自の就職支援に乗り出しました。そのひとつがビジネスマナーなど基礎的な訓練や企業訪問をしてもらい、3か月後に正社員になってもらおうというものです。先月下旬、都内の会場を取材すると、20人余りが新聞を使ったトレーニングに取り組んでいました。

配られた新聞から企業に関する記事などを選び感想を発表。みずから考え、表現する力を鍛えるのがねらいです。プログラムで講師を務める人材派遣会社の担当者は「アルバイトや派遣など非正規雇用の経験が長い人たちは指示待ちや受け身の姿勢が見られ、こうした課題の改善に力を入れている」と話していました。
また、企業訪問では希望する職種以外にも視野を広げてもらおうと、金融や建設、介護などさまざまな業種を訪ねていました。

受講者の42歳の女性は「自分には向いていないと思った業種でも実際に話を聞いてみると、興味が沸いてくることもあり、就職活動の幅を広げることにつながっています」と話していました。

541名無しさん:2015/12/07(月) 20:05:46
>>540

企業への働きかけも

東京都では、さらに、若い人の採用に偏りがちな企業側への働きかけも行っています。正社員を希望する中年の非正規労働者を試しに雇ってもらおうという取り組みで、期間となる1か月、東京都が給料を負担します。
この取り組みで働き始めた男性を取材することができました。坂元竹秀さん、41歳です。

坂元さんは、オフィス機器のシステム開発会社で営業社員として働いています。これまでアルバイトとしてコンピュータ関連の会社で作業員をした経験はありますが、営業の経験はありません。このため、当初は、営業の仕事は希望していませんでしたが、東京都の担当者から勧められ、今回、チャレンジすることにしたといいます。
一方、坂元さんの紹介を受けたシステム開発会社では、営業社員を募集していましたが人材が集まらず、頭を悩ませていたといいます。東京都からの申し出を受け入れ、営業経験のない坂元さんを試しに雇うことにしました。この会社の牧野幸雄社長は「営業経験がないために仕事を覚えるまで時間はかかるが、本人のやる気を評価して思い切って決断した」と話しています。

坂元さんは1か月の試用期間を経て、正社員として採用されました。慣れない仕事ながらも、これまでにない前向きな気持ちで働いているといいます。坂元さんは「今までは1年後に自分がどうしているかもわからなかったが、今は、仕事に励んでいる姿を思い描くことができる。正社員になれたことで安心感とやる気を感じています」と話していました。

問題解決に向けて

労働市場は今、人手不足と言われていますが、中年フリーターはその経歴や年齢から、いわば取り残されているというのが、今回の取材を通しての実感です。東京都は、人手不足のいまこそ、企業に対し中年の非正規労働者にも目を向けてほしいと変化を促しています。取り組みはまだ始まったばかりで正社員として採用されるケースはそれほど多くはありませんが、坂元さんのように働く側がこれまでの経歴にとらわれず、新しい仕事にチャレンジし、企業にとっても新たな人材の獲得につながるということになれば、ひとつの解決策になるのではないかと思います。
フリーターは多様化する働き方のひとつではあるものの、社会への影響も少なくありません。将来、高齢化した際に生活保護に陥るリスクも高く、社会保障などにかかる費用が14兆円に上るという試算もあり、より本格的な対策が求められていると思います。

542とはずがたり:2015/12/16(水) 02:56:15

年収600万円以上の大企業正社員が突然、貧困に! 低所得者を「自己責任」と突き放している中流クラスが危ない
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20151215/Litera_1783.html
リテラ 2015年12月15日 08時00分 (2015年12月16日 01時56分 更新)

『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)

 格差の広がりや社会保障の削減、競争の激化で、貧困層が急速に拡大している。本サイトはこれまで、高齢者、シングルマザー、奨学生、子ども、障がい者などの貧困についてレポートしてきたが、今や貧困はそういった社会的弱者だけのものではなくなってしまったようだ。

『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)では、学歴もあり、新卒で正社員として就職できたフツーの人たち、ある時期までは中流以上だった人たちの"貧困"が赤裸々に描かれている。

 大学を卒業後、広告代理店に勤務した山口拓男さん(50歳)は順調に出世し、制作部長となった。もちろん賃金も高かったという。

 会社は各種企業のカタログ、ポスター、パンフレットなど紙媒体の広告宣伝物の企画、デザイン、制作や地方テレビ局のCMまで手掛けていた。

「社員の総数は20人の小所帯なんですが常にライター、デザイナー、カメラマン、映像作家、たまにですがタレントさんも出入りしていていつも賑やかでした」

 そんな山口さんだったが、東日本大震災で状況は一変する。企業の経費削減傾向が強まり仕事が減り、会社の資金繰りが逼迫。事業を停止する事態となり失業した。そうなると家計は途端に苦しくなる。住宅ローン、税金、2人の子どもの教育費。解約した定期預金は200万円になった。しかし50歳間際では再就職もままならない。

「失業手当が切れてからは、アルバイト、パート、期間限定の非正規労働を継ぎはぎして日銭を稼ぐような感じだね。(略)時給はどれも1000円が目安ですね」

 妻もパートを始めたというが生活費として使えるのは12〜13万円。家族4人ではかなりギリギリの生活だ。高脂血症で通院していたが、しかし月4800円ほどかかるので通院をやめたという。

 また工業系大学の情報工学科を卒業した垣沼寛貴さん(44歳)も、卒業後ソフトウェア開発会社に就職し、その後同業他社に引き抜かれ年収600万円ほどの給与を貰っていた。妻もインテリアデザイナーとして働いていたので世帯収入は1千万円以上。しかし勤務から10年目の2008年頃にリストラにあい失業してしまう。

 通算15年のキャリアがあった垣沼さんだが、再就職の活動をする中で糖尿病を発症していたことが判明。このことで、再就職は困難を極めた。そのため健康食品のフランチャイズに手を出したがこれも失敗。

「蓄えを取り崩すだけでなく、子どもの学資保健まで解約したりカードローンで借金を作ってしまったものだから妻がブチ切れてね。小学4年生の娘を連れて実家に帰ってしまった」

 その後離婚となった垣沼さんだが、仕事は月16万円ほどのパートのかけ持ち。家賃も滞納して家を追い出された。

543とはずがたり:2015/12/16(水) 02:56:31
>>542-543

「とりあえず手持ちのお金約2万円とスーパーのポイントカードで貯めた8000円を現金化してここ(山谷)に来たのが去年(13年)の8月でした」

 こうして日雇い労働者が集まる山谷で日雇い労働で月10万円ほどを稼ぎ、ベッドハウスや、マンガ喫茶で生活をする日々だという。 

 数年前まで、IT企業の一線でプログラマーとして年収600万円も稼いでいても、リストラ、そして健康問題が重なればたちまち行き詰まり、家も無くし日雇い労働に頼るしかなくなる。

 また意外に思えるかもしれないが銀行マンも貧困とは無縁ではないという。

 大学を卒業して、中京地域に本社を構える地方銀行に就職した永島圭介さん(26歳)の手取り給与は17万円。ボーナスを含め年収は280万円ほどだ。銀行は初任給が抑えられるが、順調に昇格すれば30代前半で500万円、40代では700万円ほどの年収になる。

 だからといって安泰とは決して言えない。

「1年上の先輩の代は80人中12人くらい辞めているらしい。ノイローゼになったり失踪した人もいるという噂です」

 銀行の仕事は決して奇麗ことばかりではない。プレッシャーも大きい。そのために辞めていく人も多いのだ。そうしたことを見てきた永島さんは切り詰めた生活を送っている。さらに将来にも漠然とした不安さえある。

「お上は地銀は1県1行体制にする構想を持っている。そうすると下位行のうちなんか飲み込まれる方だからリストラされる確率が高い。そうはならなくともある年齢に達すると関連会社に出されたり取引先に転職させられることもある。最後まで銀行員でまっとうできるのは一握りですから」

 他にも日本郵政の社員アルバイトとなったが5年経っても年収230万円ほどで正社員になれない30代男性、公立図書館に務めているが民間委託された管理運営会社の社員で年収200万円。そのためスーパーでパートもこなす30代の女性など、一見安定して堅い仕事だと思われている職業、職種にも貧困は大きな口を開けて立ちはだかっている。

 本書では34人の様々な"貧困"にスポットを当てた上でこんな指摘がなされている。

「問題なのは中流以上のポジションにいて危機感の希薄な人たちだ。『ふーん、世の中にはこんな貧乏人がいるのか』『こんな稼ぎで恥ずかしくないのかね』『自分の毛並み、経歴は一級品。間違ってもこんな惨めな人間に落ちぶれることはない』『ただ文句を言っているだけ、自己責任でしょ』。こんな感想を持つ人が多いのではないかと思うが、実はこういう人がデッドラインにいることがある」

 しかも彼らはそのことに気づかないばかりか、消費増税、法人減税、社会保障や生活保護の削減といった、自分たちのセーフティネットを断ち切るような安倍政権の格差助長政策を積極的に支持し続けている。

 彼らに、自分たちこそが将来、強者の餌食になってしまうということをわからせるためには、いったいどうすればいいのだろうか。
(伊勢崎馨)

544とはずがたり:2015/12/20(日) 00:34:01

高齢者の「貧困率が高い国」 1位韓国、日本4位
Forbes JAPAN 12月15日(火)13時30分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151215-00010540-forbes-bus_all

OECD加盟国の65歳以上人口のうち、12.6%が相対的貧困層に属することが最近の調査でわかった。相対的貧困層とは、所得がその国の世帯平均の50%に満たない集団を意味する。統計全体では高齢の女性は男性よりも貧困状態に陥るリスクが高い。この傾向は75歳以上のグループをそれ以下の年齢集団(66歳以上75歳未満)と比較した場合に、明らかになっている。

OECDのレポートによると、65歳以上の貧困率が最も高い国は韓国で、その割合はなんと50%にのぼる。オーストラリアとアメリカでも年金生活者の貧困率が高く、それぞれ35.5%、21.5%となっている。一方、年金生活者の貧困率が低いのはオランダとフランスだ。韓国では年金制度が十分に整っていないことが、高齢者の貧困率の高さにつながっていると、レポートは述べている。

OECD加盟国の65歳以上の貧困率

データ出典元:Pensions at a Glance 2015, OECD and G20 indicators

Niall McCarthy

545名無しさん:2015/12/20(日) 13:32:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151217-00000002-jct-soci
「生活保護者が朝からパチンコはよくない」 別府市の「巡回」「支給停止」にネットで称賛相次ぐ
J-CASTニュース 12月17日(木)18時22分配信

 大分県別府市がパチンコ店など市内の遊技施設に「生活保護受給者」がいないか巡回調査し、見つけた受給者の支給額を減額していた。ネット上では「どんどんやれ」「当然ですな」と称賛の声が巻き起こっている。

 今から2年前にも、生活保護費の不正受給やギャンブルへの使用を禁止した「小野市福祉給付制度適正化条例」が兵庫県小野市で施行されたことで、多くの賛辞が寄せられた。

■「市民感覚からすると、受け入れられないでしょう」

 別府市の調査は、2015年10月の計5日間、市職員35人が市内にある13のパチンコ店と市営別府競輪場を巡回。見つけた生活保護受給者25人を一人ずつ市役所に呼び出して注意し、次の巡回で再び見つけた場合は1か月分支給額を大幅に減らした。

 市によると、こうした調査は少なくとも25年前から年1回のペースで実施されていた。巡回する時間帯は10時頃から16時頃まで。3回以上見つけた受給者については、2か月にわたって支給額を減らした。

 これまで大きな問題は起きておらず、「パチンコ店からも苦情は来ていない」という。ただ、その調査内容自体は12月15日の市議会で初めて外部に明かされ、16日付け朝日新聞電子版に報じられた。

 調査を始めた理由について市の担当者は、「別府市は他都市に比べて生活保護の受給率が高く、遊興施設も多いです。市民感覚からすると、受給者が昼間からパチンコ店に入り浸る様子は受け入れられるものではないでしょう」と話す。

 実際、受給者が遊技施設に出入りする様子を見た市民から頻繁に苦情、抗議が寄せられていたようで、「(苦情が)来ない日はないくらいでした。今でも週に2〜3回は受けています」と明かした。そのためか、朝日新聞の報道後に寄せられたメールのほとんどが市の取り組みを「励ます」ものだったという。

市担当者「人権には十分配慮していると考えています」
 また、以前から生活保護制度そのものに否定的な意見が多いネットでも

  「どんどんやれ」
  「これを皮切りに全国展開だ」
  「当然ですな」

と別府市の対応を評価し、応援する声が湧きあがっている。

 ただ一方で、「受給者への人権侵害になるのでは」との指摘も上がっているのも事実。報道によると、厚生労働省は「調査は適切でない」との見解を示している。

 前出の別府市担当者にこの点をぶつけると、「人権には十分配慮していると考えています。受給者がパチンコを一切してはいけない、と言っているのではなく、『朝や昼間からパチンコ店に入り浸るのは良くない』というだけです。職員の巡回しない夜間については、あえて勧めませんが、(受給者が)気晴らしで行くことを厳しく咎めません。もちろん受給者にも楽しみが必要だと認識しています。ただ、出来れば地域活動やボランティアなどギャンブルとは違う部分で発揮して頂きたいとは思っていますが」との答えが返ってきた。

 実は、2013年にも今回と似たような議論が巻き起こっている。きっかけはこの年に兵庫県小野市で施行された「小野市福祉給付制度適正化条例」だ。同条例は、生活保護や児童扶養手当の受給者が過度の浪費で生活できなくなる事態を防ぐために作られ、生活保護費を不正受給したり、ギャンブルに使ったりするのを明示的に禁止する珍しい内容だった。

 支給の厳格化を目指すものと受け止められたためか、ネットでは称賛の声が比較的多かった。

546とはずがたり:2015/12/20(日) 19:25:36
沖縄の貧困率は全国平均の2倍、その深刻な理由
ダイヤモンド・オンライン 12月18日(金)8時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151218-00083468-diamond-soc

戦後70年。沖縄の本土復帰からは43年が経過した。しかし沖縄は現在もなお、深刻な貧困問題を抱える。特に、沖縄の子どもの貧困の「これから」と「いま」には、どのような特徴があるのだろうか? 

● 戦後70年の節目に 全国のケースワーカーが沖縄へ

 2015年11月27日・28日・29日の3日間、沖縄県宜野湾市において、全国公的扶助研究会の主催する「第48回全国公的扶助研究会全国セミナー」が、「戦後70年 今問われる 貧困・格差・不平等 〜沖縄で考える『命・くらし・平和』」というテーマのもとで開催された。参加者は約450人。うち約150人は離島も含む沖縄県からの参加者だったが、約300人は沖縄県以外からの参加者だった。

 「全国公的扶助研究会」は、前身から数えて50年の歴史を持つ研究会で、中心となっているのは福祉事務所で働くケースワーカーたちだが、会員の中には、関連する福祉職・公的扶助の研究者なども多数含まれている。…日本の生活保護・日本の貧困の「今」を知り、「どう解決していくことができるのか? 」を公共の果たすべき役割とともに知ろうとするならば、毎年晩秋〜初秋に開催されるこの全国セミナーは、絶好の機会なのである。
 この全国セミナーでは、毎年、初日に全般的な問題に関する基調講演などがあり、2日目・3日目は個別具体的な問題(例:就労支援・政策研究・子どもの貧困対策・精神障害者支援……)をテーマとした分科会の数々が開催される。

 今回は、基調講演で語られた沖縄の背負ってきた歴史と現在の沖縄の貧困の関係、2日目の「子どもの貧困」分科会で自らの経験を語った20代女性の話を中心に紹介する。

● 子どもの貧困率は全国で一番 貧困が止まらない3つの背景

 初日の2015年11月27日、プログラム全体の冒頭に、山内優子氏(沖縄大学非常勤講師)が記念講演を行った。1947年に石垣市で生まれた山内氏は、1970年に沖縄県庁に就職し、以後、女性相談所や児童相談所に30年間勤務。沖縄県中央児童相談所長を最後に沖縄県庁を退職し、その後も、沖縄の子どもの貧困問題への取り組みを続けている。2012年に制定された「沖縄振興特別措置法」に子育て支援・困難な状況にある青少年の支援に関する条文(第84条の4)が含まれたことも、山内氏の熱心な働きかけの成果として知られている。

 山内氏は最初に、概況から語りはじめた。県別の貧困率に関する最新データは2007年のものだが、全国の相対的貧困率が14.4%であったのに対し、沖縄県は2倍以上の29.3%だった。母子世帯率・児童扶養手当の受給率も、沖縄は全国の概ね2倍にあたる。生活保護率は全国で5位。10代女性が母親になる若年出産率は11.7%。いずれも、貧困の深刻な状況を伺わせる数字である。

 ついで山内氏は、

 「ひとり親世帯の貧困率は全国で54.6%ですけれど、沖縄県は全国で一番、貧困の子どもが多いんです」

 と、沖縄の子どもたちの貧困の状況を語りはじめた。高校進学率・大学進学率では全国を下回り、高校不登校率・高校中退率では全国を上回る。非行少年の補導率は全国の6倍。中卒後・高卒後の進路未決定率は全国の3倍という。深刻な状況を物語る数字の数々に、会場から重い溜息が漏れた。私も溜息をついた。この状況で生活保護率が高くならないわけはないのである。

 山内氏は、そのうち大きな背景は3点であると考えているという。

 1点目は、第二次対戦末期の沖縄戦が地上戦で、子どもも巻き込まれたこと。沖縄戦では県民12万人が犠牲になり、人口比では4人に1人である。犠牲者を年代別に見ていくと、10歳未満が2万4000人、10代が2万人、20代が2万8000人。合計で7万2000人。死者の60%は20代以下だったということになる。

 この事実を山内氏は「これからを担う世代と子どもが数多く死んでいるんです」と伝えながら、写真を何点か紹介した。米軍が設置した孤児院に収容されている子どもたちが全員、子ども服が用意されていなかったために全裸でいる写真・下半身に着るものがない孤児院の男の子が、局所を隠すために脚を組んでいる写真。もちろん、住環境も行政機能も何もかも、戦争で失われた。役所が爆撃を受けて戸籍が消失したことによる問題も発生する中での「すべて焼き払われた中からの、ゼロからの出発」(山内氏)だったという。

 2点目は、米軍の統治が1972年まで続いたことである。まず、沖縄戦で孤児となった子どもたちを米軍は一時的に孤児院に収容したが、養育し続けるつもりはなかったらしく、その後は県内で引き取り手を探した。簡単な手続きで子どもたちは引き取られていき、「新たな悲劇」(山内氏)につながったという。

547とはずがたり:2015/12/20(日) 19:25:49
>>546-547
 子どもの育ちを守るための法制度整備の動きも、占領下の沖縄では遅れざるを得なかった。本土ではGHQの指令により、1947年には「保護を必要とする子だけではなく、すべての子どもが対象の素晴らしい法律」(山内氏)である児童福祉法が制定され、同法に関連して授産所・母子寮・児童館が開設された。家賃無料の母子寮の中に学童保育があり、働く母親の帰りを子どもたちが待つための場が設けられたりもした。

 しかし沖縄県では、すべてが1953年に琉球政府が成立して以後のこととなった。基地は作られたが、学校は毎年の台風で飛ばされる劣悪なもの。児童相談所の設置は1954年のことであった。この後、捨て子・家出児童・浮浪児・人身売買の問題が表面化する。子どもが米軍基地内の食糧を盗もうとし、射殺されたり軍法会議にかけられたりすることもあったという。人身売買や家出児童の問題1955年以後に増加した。山内氏は「引き取った孤児を育てられなくなったのでは」と見る。

 この他、本土では1956年に制定された売春禁止法が沖縄にはなかったことから、「性的問題児」も発生した。1969年に122件があったという。米軍相手の管理売春に少女が巻き込まれており、幸いに保護されれば、本人が「問題児」とされるのである。また青少年非行・長期欠席児童の問題も大きく、1964年には長期欠席児童が小中学合わせて913人。学校に行きたくても行けないことから「親のある孤児」と呼ばれていた。この時期、山内氏は高校生で、小学校にも中学校にも行けない子供がたくさんいることにショックを受けたという。

 山内氏は最後に、1972年の本土復帰後についても述べた。戦後27年間の格差是正のための経済復興計画に、実に8兆円が投入されたが、対象は主に「道路・ダム・箱もの」。沖縄の地元に還元されなかったため「ザル経済」と呼ばれ、その間にも子どもの貧困は深刻化し、格差は拡大していった。…

● 「大学生がまぶしかった」 貧困の連鎖から脱出しつつある女性

 現在の沖縄県が抱えざるを得ない構造的・歴史的な問題に引き続き、沖縄県の20代女性・Sさんの話を紹介したい。Sさんは2日目の2015年11月28日、「子どもの貧困」に関する分科会で、貧困家庭に生まれて乳児院・里親・社会的養護のもとで育った自らの体験を話した。7人きょうだいの6番目にあたるSさんは、小学4年だった10歳から大学生だった20歳までの時期を、兄姉・弟たち6人とともに養護施設で過ごすことになった。

 Sさんは、養護施設の学習ボランティアだった琉球大学の女子学生に、
 「きれいで優しくて、『大人になったら、あんなお姉さんになりたい』と憧れた」
 という。学校で「施設の子」と差別され、施設にもなかなか馴染めず孤立しがちだったSさんは、「話を聞いて、自分のために時間を使ってくれる、初めての大人」であったその女子学生に、多大な影響を受けた。女子学生は、小学生だったSさんに、
 「勉強すれば選択肢が広がる。あなたも選べるようになる。選べるようになるための力をつけよう」
 という言葉をかけつづけ、Sさんの大学入学後まで寄り添い続けた。Sさんは見事、琉球大学に入学した。

 ところが大学で思い知ったのは、「自分は困窮している」という事実だった。20歳までは施設にいられるものの、その後はアパート生活。生活のためにバイトが不可欠、多い時には4つのバイトを掛け持ち。同級生の多くは、親の援助があり、バイトをしなくても生活ができ、運転免許も自動車も親の援助で所有していたりする。Sさんは、
 「友達と遊べないし、飲み会にも行けない。同じ社会に生きているはずだけど、違う社会の気がしました。同じ琉大生だけど、同じ学生と思えなくなりました」

 という。Sさんはその後、いったん大学を除籍となったが、「その後」を気にし続けていた施設職員・経済的支援を提供してくれた人々などの人的・経済的援助のもと復学。しかし、やはり居心地の悪さがつきまとう大学生活だった。

 そのころ、生活保護を利用していた両親が病気で入院。兄姉たち・弟は、結婚した相手や子どもと一緒に生活保護を利用して暮らしており、両親のために動けるのはSさんだけ。必死の対応を続けているうちに、結局は退学に至った。…

 この後、バイトでの仕事ぶりを評価した上司から「正社員になっては」という話があり、現在のSさんは、沖縄県の大手企業に正社員として勤務を続けている。…

 Sさんに、紆余曲折はあったとしても正社員としての現在があり、希望と実現を積み重ねていけそうな将来があることを、私は心から喜びたいと思う。しかし、Sさんの現在は、幸運と本人の努力によってご本人一人にもたらされた例外的な「まずまず」である。どのような状況の子どもにも「希望に向かって歩む」が可能になるために、誰が何をすることが必要だろうか? 

みわよしこ

548チバQ:2015/12/21(月) 21:58:13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151220-00000042-asahi-soci
「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
朝日新聞デジタル 12月20日(日)23時22分配信

「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
保育園が閉まる直前に駆け込む北海道の女性。「おなかすいた。早くおうち帰ろう」と息子たちは車へ急いだ=内田光撮影
■子どもと貧困 シングルマザー編

 ジリリリリリリン。

 午前5時45分、携帯電話のアラームが鳴り出す。聞こえてはいるが、体は鉛のように重い。5分後、また鳴る。10分後。3度目のアラームで、北海道に住む介護職の女性(43)は体を布団から引きはがす。

 高1の長女(16)は部活の朝練へ。女性は長男(6)と次男(2)に食パン1枚を半分ずつ食べさせ、保育園に送る。7時半には職場の介護つき住宅に着く。

 職場では一日中立ったり座ったり。病院や役所にも足を運ぶ。甲状腺に持病もあり、調子が悪い日は汗が止まらない。職場の食堂で午後2時に食べる200円の定食が一番まともな食事。朝は食べず、夜も自分はご飯と砂糖だけだ。

 保育園が閉まる直前に滑り込む。帰って夕食を食べさせ、午後10時までに寝かしつける。洗濯と翌日の夕食の準備をし、持ち帰った仕事をこなし、午前2時すぎに眠りにつく。

 長女を連れ27歳で離婚。資格を取って働けば安定すると思い、介護の職場で長くパートなどで働いた。月収は手取りで約18万円。別の男性との間に長男、次男が生まれたが、結婚はしなかった。子どもが小さいうちは夜勤をやめ、手取りは一時11万円に減った。

 今年10月、正社員になったが、月収はパートの時とほぼ変わらない。正社員は全員ひとり親。パートも含め、子どもの病気で急に休むことも少なくない。勤務変更に追われ、土日出勤も多い。

 そんな暮らしの中で、諦めさせたこともある。

 長女は小1から校区のミニバスケットボールチームに所属。全国大会に行くほどの強豪で、小5でレギュラーになった。月謝の4千円に加え、遠征費が年15万円以上かかった。他の親のように遠征に同行できない代わりにと、夜練習の送迎を任された。1年は踏ん張ったが、小5の3月、長女に伝えた。

 「全国大会行けるけど、うちは、これ以上は無理なんだよね。6年生から転校しない?」

549とはずがたり:2015/12/23(水) 16:46:45

就職率はハローワークの2倍以上 横浜のジョブスポット
http://news.goo.ne.jp/article/kanagawa/bizskills/kanagawa-34066127.html
12月20日 12:09神奈川新聞

 横浜市がハローワークと連携して生活保護受給者らを就労支援する「ジョブスポット」が各区役所内に順次開設され、就職率を着実に上げている。2015年度は60.7%(9月末現在)でハローワークの約2.6倍に上る。利便性の良さに加え、専門の職業相談員がマンツーマンできめ細かい相談に応じられることなどが要因。市は本年度中に全18区で設置を完了する。
 ジョブスポットは2013年にスタート。区役所内の一角にハローワークの職業相談員3人が常駐している。生活保護受給者らは、日ごろ相談を受けている区の就労支援専門員を通じて、最寄りのジョブスポットを利用できる。相談は原則予約制で週1回程度。自己分析や書類記入、面接のアドバイスのほか、事業所とのマッチングなども行う。
 市によると、ジョブスポットでの就職率は13年度が48%、14年度が56・5%、本年度は60%台と堅調に推移している。今月には港南区と緑区でスタート。残る西、金沢、南の3区も本年度中に開設する。
 就職率がハローワークに比べて高い要因について、港南区の男性相談員は、同じ担当者がマンツーマンで定期的に対応できるため、相互に信頼関係を築けることが大きいと指摘。一方、ハローワークの個別相談は予約待ちになることもあるという。男性相談員は「これまでの経験を生かし、相談者の特性を把握して一日も早く就職につなげたい」と話す。
 9日に行われた市会本会議で高橋徳美氏(自民党)の一般質問に対し、林文子市長は「区役所内に設置されているため、支援を受けている人が利用しやすい。(区の福祉サービスとジョブスポットによる)一体的な支援が実績に結びついた」と述べた。

550チバQ:2015/12/26(土) 12:46:34
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151226-00504429-shincho-soci
中年フリーターの「老後破産」で生活保護費が5倍に いま政治家が取り組むべきは「中年フリーター対策」だ
デイリー新潮 12月26日(土)7時30分配信

 少し前まで夢ある子育て世代だったはずの中年の間に、フリーターが激増している。滅入る話は、そこに止まらない。彼らが老後を迎えたとき、一斉に「老後破産」状態に陥って、生活保護費が今の何倍にも膨らみかねないという。日本を覆すような話なのだ。ノンフィクション・ライターの白石新さんがリポートする。

 ***

 フリー・アルバイターを縮めた造語であるフリーターとは本来、少年や青年、いずれにせよ若者を対象とした言葉だったはずだが、最近、“中年”と呼ばれる世代のフリーターが激増している。

 彼らの収入は月15万から20万円程度と、生活保護受給者とあまり変わらず、家賃と光熱費を支払ってしまえば、やっと食べていける程度しか残らない。もちろん、年金を納める余裕などないし、それどころか、健康保険料すら支払えない。

 そんな人たちが増えているのはなぜなのか。そのことは近い将来、想像を上回る「老後破産」社会が到来することを暗示しているのではないだろうか。

■中年フリーター高田さんの場合

「不安は、ないんです。ただ……」

 と言葉を濁したのは、45歳になる高田淳史さん(仮名)だ。ある離島出身の高田さんは、高校卒業と同時に神戸にある石油関連企業に就職した。まだ、バブル真っ盛りの時代である。だが、それから数年して、

「阪神大震災があって、会社の先行きがあやしくなったんです。なにもかもが壊れてしまったあの地震のあとは、ぼくの価値観も大きく変わってしまって」

 勤め先の将来に不安をおぼえて退職し、東京に出てきたという高田さん。いったんは、ある会社に正社員として入社したものの、すぐに退職してしまった。それ以来、ずっとフリーターである。いろんな仕事をしてきたが、ここ5年ほどは、百貨店などの催事で使う冷蔵庫などの什器をリースする会社で働いている。といっても、日雇いである。おもな仕事内容は、冷蔵庫などの設営と撤去だという。

「早くて2週間前に、急なときは当日なんてこともありますが、会社から〈○月○日に○○百貨店○○店へ行けますか〉といった内容のメールが届くんです。自分の体力と相談して、1日にどれだけの仕事を掛け持ちできるか考えてから返信します。賃金は1現場につき4500円です」

 平均すれば、1カ月に30カ所ほどの現場を回る。4500円の“基本給”は1現場につき5時間までの金額で、労働時間がそれを超過すれば1時間1000円の残業代が支払われる。こうした合計で、手取りの月収は多いときで15万円ほどになるという。

「まず家賃を払います。次に光熱費。残りのお金でなんとか生活するという感じですかね」

 高田さんの自宅は東京都内にある。ひとり暮らしだから、なんとかギリギリの生活はできると語るが、

「蓄えはありませんし、年金も払っていません。病気になったりケガをしたりすれば、立ち行かなくなるのはわかっています」

 仕事は軽くない。生活にもまったく余裕がない。しかし、意外にも会社からは、それなりに“いい扱い”も受けているという。

「設営場所の周囲には高価なモノも置かれたりで、それなりに緊張感がある現場なので、なにも考えないで労働できる、というわけではないんです。それに、慣れる前に辞めてしまう人も多いだけに、長続きすると、会社も優先的に仕事を回してくれたり、仕事内容が比較的ラクなところを斡旋してくれたりするんです」

■ブラック企業の正社員にはならない
 会社から一定の評価を得ているのだろう。そうであれば、正社員にならないかと打診されたりしないのだろうか。

「そういう声をかけられることもあります。でも正直なところ、ぼくのような立場の、会社が責任を負わずにすむ人間を大勢雇っている会社は、本質的にブラック企業なんですよ。一部のポストに就ける人は潤っていますが、そうでない人は、精神を病むほど異常な量の雑務をやらされ、追い込まれているのを見ていますから。安易に正社員になったりすれば、それこそ病気やケガをするのと同じ結果が待っていると思います」

 そう冷静に分析する高田さんだが、その口調は重くはなく、意外なほど飄々としている。ただし、達観しているのではない。諦観しているのである。

「この時代にいまから正規雇用されることなんて、まずないと思っていますから。独身ですし、最後は国のセーフティネットに頼るしかないですよね」


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