「大規模太陽光発電所と大型蓄電池を組み合わせることで、ハワイ州などの認可後、2018年末までには1キロワット時(kWh)当たり11セントで電力を供給できる」。これはカウアイ島ユーティリティ協同組合(KIUC:Kauai's Island Utility Cooperative)の社長兼CEOであるDavid Bissell氏が、2017年1月10日に発表した資料における発言だ。
この問題を解くためには、キリヒホッフの法則の 1 つ
「回路中の、任意のひとまわりの閉じた経路について 起電力の和=電圧降下の和」
を利用します。また、電池には内部抵抗を r があるので、ここでの電圧降下を考えなくてはなりません。B から始まり、右回り(下の電池を通り)で A を通過して(上の電池を通り)B に戻る経路を考えます。電池の起電力を E 、回路に流れる電流を I 、内部抵抗を rとします。
起電力の和 = - E + E + E = E
最初の起電力は電流の流れる方向に電位が下がっているので、-の符号がついています。
電圧降下の和 = Ir + Ir + Ir = 3 Ir
電圧降下は、電流の向きに関係なく符号は同じなので、足し算になります。
これから、E = 3 Ir となり E/3 = Ir が得られます。
AB 間の電圧は、AB 間の起電力と電圧降下の和となるので、A から B を見ると、
2E -2 Ir = 2E -2E/3 =4E/3 = 2V
と求めることができます。
よって解答は ③の 2V です。
注意
このように、異なった電圧の電池を並列つなぎにすると、電池の中を本来流れる向きと
反対の電流が流れます。反対の電流が流れると気体が発生して破裂することがあるので危
険です。この問題は、あくまでもキリヒホッフの法則を理解するためのものですので、電
池のこのような配線は行わないようにして下さい。
同じ電池でも、使用状況や個別の状況で電圧が異なることがあるので、小学校の教科書
には載っていますが、たとえ同じ電池でも、並列つなぎで使用することは避けましょう。
*1) 2016年11月29日〜12月1日に幕張で開催された「第57回電池討論会」における発表「NASCN電解液添加によるAl空気一次電池負極の放電特性改善」より。
*2) Md. Arafat Rahman et.al,"High Energy Density Metal-Air Batteries: A Review" Journal of The Electrochemical Society, 160(10) A1759-A1771(2013) に掲載された数値に基づき、本誌が作成
*1) 米Alcoaはアルミニウム製造業として120年以上の歴史があり、世界第3位の規模の企業。アルミニウム精錬法を開発したCharles Martin Hallが設立した。自動車産業とのかかわりも大きい。同社が開発したアルミニウム溶接技術(Alcoa 951)は自動車会社がアルミニウム材料の大量採用に向かった1つの要因だと主張する。