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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

2825とはずがたり:2017/02/04(土) 19:41:30

 容量増加と投資拡大を支えたのが、太陽光や風力のコストダウンだ。化石燃料を用いた発電に対して、競合できるコストまで低減できたことがきっかけとなっている(図4)。一部の国では太陽光が最も安価な電力源となっている。

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図4 2015年は化石燃料の価格が急速に落ち込んだ 化石燃料のコスト優位性が急速に高まる中、よりコスト低減が進んだ太陽光や風力の導入が進んだ形である 出典:Climatescope 2016

 これらの投資はどこから来るのか。ほぼ半数に相当する額を途上国自らがまかなっている*2)。残りの半額はOECD諸国の民間投資家や開発金融機関による。OECD諸国などの投資比率は増加傾向にある。2012年に約3分の1を占めていたが、2015年には約2分に1に達しているからだ。

*2) 中国は実質上、全ての再生可能エネルギーに関する投資を自国資本でまかなっているという特徴がある。これは他の57カ国には見られない。

系統は問題なのか違うのか

 再生可能エネルギーに由来する電力の比率が高まるにつれて、途上国でも系統の問題が表面化しつつある。

 普及率が高い国の一部には2つの問題がある。1つは十分な送電網が建設される前にプロジェクトが次々と完成し続けていることだ。

 もう1つは風力や太陽光の「クリーンな」電力を石炭火力由来の電力より、系統上優先していない国があること*3)。

 途上国ならではの解決策もある。「オフグリッド」または「ミニグリッド」と呼ばれる設計運用だ。従来の電力インフラ設計では、大規模発電所をハブ、強力な系統線をスポークとした電力ネットワークを作ることが前提だった。だが、このような手法は、最貧国に散らばる電化が十分進んでいない12億人には最適ではないという主張だ*4)。

 個別の住宅や村単位で発電し、必要をまかなうという取り組みはこれまでも試みられてきた。だが、途上国に立地する新興企業は私企業から資金を得ることで、オフグリッド、ミニグリッドのインフラをより拡大できた。2015年までの調達金額は累計4億5000万ドル以上に達する。

*3)ヨーロッパ諸国が大規模石炭火力から再生可能エネルギーに移行する際にも、同じ問題に直面した。日本は現在これら2つの問題に直面中だ。
*4) 電話線ネットワークが未発達な国々で、携帯電話の普及率が急速に高まった状況と似ている。

中国とインドが先導するアジア

 Climatescope 2016は、アジアの10カ国、アフリカの22カ国、ラテンアメリカとカリブ海諸国の26カ国を対象としている。それぞれの地域ごとの最新動向を紹介しよう。

 アジア10カ国は調査対象となった他の48カ国全てよりも、クリーンエネルギーの容量拡大が大きかった。容量全体の89%に達する。これは中国とインドの貢献が大きい(図5)。2015年の導入量62GWは、2014年から60%増加した計算になる。

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図5 中国とインドにおける容量増加(上段)とそれ以外の8カ国の増加(下段) 2011年から2015年の増加量を再生可能エネルギーの種類別に示した。水力(水色)、太陽光(黄色)、小水力(薄紫色)、バイオマスなど(緑色)、地熱(紫色)である。単位はGW 出典:Climatescope 2016

 中国に次ぐインドは、7.9GWを導入した。アジア3位のパキスタンの成長もめざましい。太陽光と風力を中心とした再生可能エネルギーの導入規模は758MWで、前年の約5倍のペースで導入が進んでいる計算だ。Climatescopeが算出した58カ国のランキングにおいて、中国は1位、インドは第6位。パキスタンはトップ10を狙える位置、12位にまで順位を上げたことになる。

 アジア10カ国に対するクリーンエネルギー投資額は1270億ドルに達し、これは全58カ国に向けた投資の82%に相当する。太陽光に対する投資は640億ドルであり、Climetescopeのこれまでの調査の中で初めて風力を上回った。


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