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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

2878とはずがたり:2017/03/09(木) 13:25:12


 ガソリンのエネルギー密度は1万3000Wh/kgと圧倒的に高い。ただし、ガソリンの燃焼エネルギーを運動エネルギーに変換する効率は低く、注2の論文によれば、実際に利用できるのは1700Wh/kgだという。

 これに直接対抗できるのが金属空気電池だ。ただし、金属空気電池にも扱いにくい性質がある。「リチウム空気電池は非常に課題が大きい。亜鉛空気二次電池は繰り返し充放電によってデンドライトが生じ、電池の内部短絡が問題になる」(陶山氏)。リチウム空気電池には、電解液の種類によるものの、負極の保護層が腐食しやすいことや、過電圧(損失)が大きい、大電流を取り出しにくいといったさまざまな課題がある。

 そこでアルミニウム空気電池、それも一次電池に注目したのだという。「亜鉛やリチウムの空気電池で生じる問題が起きず、高出力で高安全な電池ができる」(陶山氏)。自動車に適した性質だ。

 アルミニウムは入手できる金属のうち、最も資源量が多い(クラーク数)。鉄をも上回る。このため、自動車に大量採用された場合、希少なリチウムに対して優位性がある。鉱石から金属を生成する際に多量の電力を必要とするものの、再生可能エネルギー由来の電力を使えば二酸化炭素排出増にはつながらない。使い終わったアルミニウム化合物は再度金属に戻すことが可能だ。金属アルミニウムの製造、再利用を含めて電池として捉えることもできる。

充電できない電池が役立つ

 研究対象となった一次電池は充電ができない。いわば使い切りの電池だ。これは電気自動車には適さない性質ではないだろうか。

 「車載電池の容量は現在でも非常に大きい。これを一般的な電気プラグで急速充電しようとすると、電池側がどんなに頑張ってもインフラが制約になってしまう。それに対して金属空気一次電池では放電後のバッテリーパックを交換する『メカニカルチャージ式』を採用することで、急速補充が期待できるのではないかと考えている」(陶山氏)。

 急速充電器は、普通充電器よりも高価だ。さらに短時間で充電しようとすると大電流を扱う機器が必要になるという主張だ。電池本体を交換式にしておけば、電池の容量が多くなっても交換に必要な時間はさほど変わらない。容量が100%残っている電池を差し込めば、そのまま「満充電」状態になる。

アルミにも2つの課題が見つかる

 アルミニウム空気電池の開発を開始して直面した問題は、想定していたような性能がでないことだという。

 「アルミ二ウム空気電池の負極には、2つ大きな問題があった。1つ目は自己放電、これが容量損失を引き起こす。もう1つが放電残渣(ざんさ)。残渣が表面に堆積することによって反応が阻害されてしまう」(陶山氏)。本来の容量よりも少ない電力しか引き出すことができない上に、電池の放電がうまく続かなくなるということだ。

 アルミニウム空気一次電池の構造の概略を図2に示す。

http://tohazugatali.dousetsu.com/battery/yh20161221Toyota_struct_520px.png
図2 アルミニウム空気一次電池の模式図 出典:陶山氏の発表内容から本誌が作図
 負極(アノード)では金属アルミニウムが水酸化アルミニウムに変化して、電子(e-)を放出*3)。この電子をモーターが使った後、正極(カソード)で、酸素と水が吸収する形だ。

負極:Al+3OH-→Al(OH)3+3e-
正極:O2+2H2O+4e-→4OH-
全反応:4Al+3O2+6H2O→4Al(OH)3

*3) 実際にはテトラヒドロキソアルミン酸イオンAl(OH)4-が生成する。


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