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フランス語フランス文化質問箱

1Sekko:2006/04/19(水) 18:13:31
話し方
 学校関係のだいたいすべての試験にはORALがあります。数学や物理でも、問題をもらって、黒板の前で解説するという形の。国語(フランス語)も、口頭試問の日に籤で問題を選んで、別室で30分準備してから試験官たちの前で発表し、その後質疑応答ですね。バカロレアなどではテキトは20冊くらいの古典系のリストが分かっていて、それをリセですでに準備してるわけです。だから古典や名作文学はリセアンに最も多く読まれます。その発表の仕方は、まず、結論を言い、次にそれを説明し、最後にもう一度結論に導くというのが基本です。センテンスは一般に、短ければ短いほどエレガントだとされます。私は大学時代フランス語の先生の授業で、サルトルの戯曲のについてフランス語のレポートを書かされましたが、日本語でなかなかいいことを考えてからフランス語に訳して出しましたら、あらゆるところに疑問符がついて返ってきました。それからは関係詞などを一掃して、短いセンテンスだけで書くようにしたら分かってもらえました。でも今から思うと、思考の流れそのものが違ってたのだなあと思います。今日本の学生の仏語レポートを見てあげたりすると、その学生の日本語の頭の中が手に取るように分かるんですが、フランス語としては通じないということもはっきり分かるんです。でも、それは「何となく」分かるんではなく、はっきり言語化できるので、テクニックを伝授できます。これってフランスバロック音楽みたいです。内的ロジックがしっかりしてるので、偶然はないんですよ。これを知らない、ロマン派に毒されたような先生に当たると、「そこは、もっとクレシェンド、なぜって?そう感じるからさ」「作曲者の気持ちになって・・・所詮日本人には無理かも」ということになったりします。本当はフランス語やフランス音楽は、内的ロジックを言語化できるという点で、とてもユニヴァーサルで(だからと言って万人に分かりやすくハードルが低いという意味ではないですが)、教えやすいですよ。日本語の方が当然難しいですね。言語化されてない共有の認識、それが実は風化してるとか、日本人同士でも通じなくなってると感じさせられることはこのごろとみに多いですから。
 後は学校で、幼稚園から、韻文系やラ・フォンテーヌの寓話とかの暗誦がとにかく多いです。音とイントネーションでまるごと覚えさせます。それをクラスで暗誦させられます。グランゼコールのカリキュラムにヴィデオを使った面接の自己アピールの練習もありますね。
 もちろん政治学院なんかはもっとすごいですけど。サルコジにヴィルパン、あれだけ正反対なのに、二人ともフランス語うますぎで、聞きほれたりします。

397sekko:2012/04/27(金) 00:25:57
ヒトラーとナポレオン
については、彼らの権威付けや正統性の証明の仕方の違いについてそのうち書こうと思っています。一番の違いはやはりローマ法王の使い方に現れているでしょう。その辺の機微が、ヒトラーは自殺、ナポレオンは処刑されなかったところにまで響いてきます。

25日にいらしていたんですね。ありがとうございます。あの時にあったジャンヌダルクは以前の本です。英仏関係を掘り下げた『ジャンヌダルク幻想』のほうはまだ発売されてません。またお知らせします。

398迷える大羊:2012/05/02(水) 21:25:11
第4帝国??
 ヒトラーの話で思い出しましたが、少々古いのですが今年2012年3月6日の毎日新聞にこんな記事がありました(ネットからはすでに削除)。

 『欧州が財政危機に見舞われる中、ドイツが強固な輸出力で黒字を続ける「独り勝ち」の状況を背景に、ドイツ語学習者が世界で増加傾向にある。

独誌シュピーゲルによると、世界90カ国以上、約150カ所でドイツ語講座を開く公的文化機関「ゲーテ・インスティトゥート(GI)」でドイツ語を学ぶ受講者は昨年、過去最高の23万4000人を記録した。10年に比べ8%の増加だ。

GI本部のレーマン代表はシュピーゲル誌に「文豪ゲーテやシラーを原書で読みたいとの動機はもはや過去。財政危機の今、特に若者はドイツ語を仕事に生かそうと考えている」と分析している。

 急増が目立つのは危機が深刻な南欧諸国で、特にスペインでは10年比で25%も増加。
ドイツからの厳格な財政規律順守の要請に反発し、反独デモが絶えないギリシャでも2割増で、「ギリシャを去り、ドイツ語を武器により良い就職を目指す受講者が多い」(アテネのGI代表)という。

実際、ビジネス分野でのドイツ語需要は高まっている。ドイツ経済技術省によると、移民によるドイツでの起業も増える一方で、09年に国内で新たに設立された40万社のうち約3割(13万社)は外国出身者の起業だった。ベトナム出身のレスラー経済技術相は「外国出身者の起業でドイツ経済も活性化する」と歓迎する。

一方で、メルケル政権の与党議員が「欧州では今、ドイツ語が話され始めている」と得意になって語る風潮などには反発も強い。英大衆紙が「(ナチスの第三帝国に次ぐ)第四帝国の台頭だ」とドイツ脅威論をあおるなど、一部では反独感情も高まりを見せている。』

 これ、本当なんでしょうか?確かに欧州の経済状況はドイツ独り勝ち状態。他国が失業率上昇に苦しむ中、ドイツのみは失業率低下してますし、例のギリシャ、その他問題でもカギを握っているのはドイツですし、ECB(欧州中央銀行)があるのは、パリでもロンドンでもなくフランクフルト・・。
 結局、ユーロの信用っていうのは結局はドイツの信用、経済力で、ユーロ加盟っていうのは経済的にドイツ傘下に入るも同然、いや、政治的にも財政政策にドイツの意向を差し挟まれるわけですから、これはもう、実質的にヨーロッパのドイツ支配、第4帝国の再来では?
 まあ、ドイツの一般人、マスコミレベルではユーロ維持のためにギリシャを筆頭とする、破綻国家群を抱え込むことに拒否反応があるようですが・・・。

 バトル・オブ・ブリテンを経験した英国人にとってはかなり抵抗のある情勢のようですが、こんな状況に対するフランスの反応はどんなものなのでしょうか?実質的にドイツの天下になってもヨーロッパ統合の理想が大事、という意見が大勢を占めているのでしょうか?

 蛇足ですが、EUの理念の元となった汎ヨーロッパ主義の提唱者であるリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー氏の母親は日本人だったんですね。意外なところで、日本との関わりに驚きです(今頃、気づくな、と言われそうですが・・)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%95%EF%BC%9D%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
 

399迷える大羊:2012/05/08(火) 23:05:08
フランス国籍・永住権取得
 フランス大統領選、終わりました。それぞれに思うところがあるでしょうが、個人的に目を引いたのは、例の移民問題。極右政党が伸びたり、オランダ氏は日和見を決め込んだり、サルコジ氏は極右支持層にすり寄ったり、いろいろ物議を醸しましたが、移民がフランスの社会、将来に与える影響が大きいことはわかりました。

 ところで、フランスに限らず、ヨーロッパの極右の皆さんが「お手本」と思っているのが我が日本らしく、ノルウェーのテロ事件でも、犯人はこんな供述をしてました。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120417/erp12041723500007-n1.htm

『その中で「高い技術を持ち、単一文化が保たれている国」として日本と韓国に言及、そのような国では「より人々の調和が取れている」と持論を展開した。』

 また、欧米マスコミ、あるいは日本のメディアの中にも「移民を拒否する日本」みたいな論調を散見します。
 で、疑問に思ったのは、

 ・フランス国籍とか永住権って日本と比較してそんなに取得が簡単ですか?

 ・また、昨今はともかく、今まで、政府にしても一般国民にしても、移民ウェルカムなム ードでしたか?外国出身者、非欧米人に優しい国ですか?

 ・日本と比較して、外国人(特に非欧米人)の就労は容易ですか?どのような制約がありますか?

 ・先生自身、フランス国籍取得に魅力を感じていらっしゃいますか?(プライバシーに関わりますかね?関わる、とお思いでしたらスルーされて結構ですが)

 私自身の意見としては、日本が閉鎖的、フランスが開放的っていう問題ではなく、中国、韓国などの近隣諸国(中国人の増加は著しいものがあるし、東京・新大久保は韓国みたいです)で、古くから日本国内に基盤がある国々の人間を別にすれば、移民先としてはさして魅力的でもなく、関心を持たれていないだけだと思うんですけれども。
 また、日本側もマスコミの報道とは裏腹に、移民を募るほどに強烈な需要を感じていないってこともあるかも。
 フランスの移民にしたって、データなどを見る限りでは大半は旧植民地か近隣諸国の出身者のようですし・・。

 すべてに同意、というわけではない(話が労働問題に偏りすぎ、混同しているので)ですが、以下のブログに書かれている事情が実態に近いかも、と個人的には思ってます。

http://ameblo.jp/englandyy/entry-10882868569.html
 

400sekko:2012/05/09(水) 21:44:01
いろいろ
ご質問やコメントをいろいろいただいているのにお答えが遅れてすみません。

社会党政権に替ってまた変化はあると思うし、細かいところはしょっちゅう変わっているので詳しいことはここで書けません。


 ・フランス国籍とか永住権って日本と比較してそんなに取得が簡単ですか?

一応出生地主義なので、フランス国内で生まれたなら、前は自動的に、今は16歳だか18歳の成人年齢の前だかに申請しなくてはなりません。未成年でも、親のどちらかがフランス国籍があればパスポート申請できますし、何よりも二重国籍がOKなので、根本的に楽です。兵役があった頃は微妙でしたが…

また、EU圏での移動や就業が自由になってからは大きく変わりました。たとえばスペインは二重国籍を認めていないので今はスペイン国籍のままフランスに永住する人も多くなったとか、ルーマニアから移動してくるジプシーが、何度「追い返して」も、また自由にやって来るようになったとか…

ヨーロッパ圏以外の国については…

はっきり言って、ヨーロッパのすぐそばにアフリカ大陸があるということが日本と決定的に違うところです。もちろん旧植民地国との関係や、前世紀の初めに炭鉱労働者として大量に北アフリカからの移民を受け入れたつけとか、それら移民の「家族呼び寄せ」を是として、さらに、フランスで生まれた移民二世は自動的にフランス国籍を得たとか、それが重なって当然、ゲットー化などの大きな問題も発生します。

建前としては、別に「フランスの価値観に合わせろ、フランスの習慣に合わせろ」というのではなく、「基本的人権」の尊重と「自由平等」の共和国主義という「普遍価値」を教育によって共有させて統合するのが国是ですから、フランスで生まれてフランスの教育を無料で受けさえすればフランス人になれるのだからで国籍もOKという考えです。

高いスキルを持った移民というのは、ヨーロッパ内部やアメリカとの間で間に合っているという感じではないでしょうか。ドイツ人で高いスキルのある人はフランスよりアメリカに行きますね。

私自身は、基本的に、人為的政治的な国境によってアイデンティティを規定されたくない、したくないという立場、また国籍にかかわらず弱者優先というのを目指したいので、その方向に近づけるような政策を支持したいのですが… なかなか現実は難しいと分かっています。

http://setukotakeshita.com/

401迷える大羊:2012/05/10(木) 15:12:56
そうでした
 フランスは二重国籍アリの国であるのを忘れていました。ただ、建前や理念の通りになかなかいかないのは、いずこも同じですね。

>ジプシー

 思うのですが、ヨーロッパでの人種差別、迫害というとユダヤ人や黒人対象のものばかり思い浮かべますが、ジプシーもナチスの迫害の対象になってますし、スイスでもかなり酷い扱いを受けたようで、ユダヤ、黒人のそれより、あまり知られていないだけにさらに酷い気がするのですが・・。

http://www.amazon.co.jp/%E9%BB%92%E3%81%84%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%A6%8F%E5%8E%9F-%E7%9B%B4%E6%A8%B9/dp/4106100592
(ソース:「黒いスイス」)

>国籍にかかわらず

 現状は厳しいでしょうね。日本人が海外旅行に気軽に出かけられるのは、はっきりいって「日本国籍」「日本のパスポート」のおかげですし。国によっては入国審査にやけに時間と手間をかけられたり、何もしてなくても、最悪入国拒否されたりしますからね。

 ですから、「世界市民」とか「国境なき世界」とか「友愛」とかの理念はもちろん、否定する気は毛頭ないのですが、あまりに気楽に、現実をみないで、能天気なことを言う人々(しかも、海外旅行大好きだったりしたら完璧(笑))には、「じゃあ、日本国籍やめて、世界最貧国とか、政治・外交的にややこしい問題を抱える国の国籍になって旅してみれば?」って言ってやりたくなります。

 個人的な体験談をいうと、うちの親は仕事の関係上、また個人的な興味から中国に関わりが結構あり、中国人の知己も結構いたりするのですが、その中に日本人とお見合い結婚→
日本国籍取得を目指していた女性の人がいたのですが、彼女の日本国籍取得の動機の一つに「海外に自由に行ける」がありましたね。
 もう、十数年前の話なので、今、どうなっているのか?どう思っているのかはわかりませんけれども。

 ところで、個人的に今回のフランス大統領選における社会党の政権奪取に絡んで、韓国メディアウォッチャーとして注目しているのは、このニュースですね。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/05/08/2012050800515.html

フランス新政権、韓国系2人が入閣か
フランス大統領選挙で社会党のフランソワ・オランド氏が当選したことから、同国に養子縁組された韓国系2人が入閣する可能性が高まっている。
(2012年5月8日 朝鮮日報)

402迷える大羊:2012/05/11(金) 09:37:32
移民先
 フランスの移民問題に関連して、日本は移民先としては、近隣諸国の一部を別にすれば、大して人気もなく、関心ももたれていない・・、との自説を先スレで唱えましたが、意外とそうでもないのではないか?と思わされる世論調査資料が米・ギャロップ社にありました。
 調査(調査方法は本文参照)の結果、4800万人が1年以内に移民する計画を持っており、希望者の数は6億3000万人(うち1億5千万人がアメリカ行志望だそうで)に達している・・・ということらしいですが。

http://www.gallup.com/poll/153992/150-Million-Adults-Worldwide-Migrate.aspx?ref=more

 この「移民したい国」(TOP DESIRED DESTINATIONS FOR POTENTIAL MIGRANTS WORLDWIDE)ランキングの11位になんと日本が位置しておりました。僅差とはいえ、スイス、スウェーデンより上だったりします。(ホンマかいな?ですが)

 よく解らないのがサウジアラビアが上位(5位)に入っていること。子供時代に滞在したことありますが、確かに豊かといえば、豊かですが、イスラム教原理主義の国で、「大人」にはつらいところ、外国人は現地人が絶対やらない重労働をやらされってイメージが強いんですが・・・。イスラム諸国の人間からの票が効いているのかな?・・です。
 あと、イタリア、スペインも。文化的に非常に魅力的で観光にはいいけど、移民先としてはどうなんだろ?ですし。ロシア、南アフリカって・・日本以上に「ホントですか??」ですし・・。

 日本の「移民」に関してはこんな記事もありましたね。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120501k0000m070098000c2.html(毎日新聞WEB版)

 日本帰化者のほとんどは中国・韓国出身者で、それ以外の絶対数は少ないけれども、ただ、この十年で倍になった・・とのことだそうです。

403迷える大羊:2012/06/01(金) 00:47:28
親独反民族行為真相糾明委員会??
 例によって韓国メディア(總合ニュース)からの記事(今日の歴史(5月31日))です。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2012/05/29/0800000000AJP20120529002700882.HTML

 その中で21世紀になってもこういうことをやっているんだ・・と改めて思わされたのがこれ。

 「2005年:親日反民族行為真相糾明委員会が公式発足」

 いや、過去の歴史の暗部の追及はヨーロッパだって、例えば、ドイツでもナチスの犯罪には時効を認めていないだろ?という反論がかえってきそうですが、異常だ、と思わされるのは子孫にまで累が及ぶことです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%AA%E6%97%A5%E5%8F%8D%E6%B0%91%E6%97%8F%E8%A1%8C%E7%82%BA%E8%80%85%E8%B2%A1%E7%94%A3%E3%81%AE%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E5%B8%B0%E5%B1%9E%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%B3%95

 さすがにこれは韓国メディアにも否定的な声があるようですが、こんな法の制定が発案されること自体が個人的には驚きで・・。
 フランスも近代においてドイツに占拠された歴史がありますが、第二次大戦直後ならまだしも、最近になって「親独反民族行為真相糾明委員会」なる、あるいはそれに類似する組織結成や運動なんてありますか?
 対独協力者本人がいろいろ言われる、社会的な不利益を被るのはともかく、直接の関係がないその子孫の財産を没収が検討された・・なんてことは・・あるんですかね?

 第二次大戦終結直後のフランスの反独感情は極めて強かったようで、ドイツ人やドイツ兵と付き合っていた女性が頭を丸刈りにされて、さらし者にされているフィルムを見たことがありますが、その頃、生まれたドイツ人との子供は、どうなったのかな?なんて思ったりもしました・・。

404sekko:2012/06/01(金) 06:30:46
親独というより反ユダヤは追及されます。
ドイツ人女性とアメリカの占領軍GIの黒人兵との間に生まれたブラウン・ベビーのことについて前にブログに書きました。

http://spinou.exblog.jp/16856252/

これに比べたら、フランスでの「ボッシュの子」たちは、外観の違和感がない分、いったん養子縁組をされれば普通のフランス人として育ったのではないでしょうか。対独協力者の弾劾というのはもちろんあっても、子孫に及ぶとかいうのは聞いたことはありません。

ただし、日本でも昨年の東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞をW受賞した『サラの鍵』(ジル・パケ=ブレネール)という映画で語られたように、フランスでも戦中に着の身着のままで自宅から追放されて収容所に送られたユダヤ人がいて、彼らのアパルトマンにそのまま住みついたフランス人などがたくさんいたわけです。

経緯がはっきりすれば、そうして取り上げられたユダヤ人の財産はその係累などに返還されるはずです。でもこの映画にあるように、次の世代はそれを知らない場合もあるわけで、すべてをトレースすることは不可能でしょう。

そのように、ユダヤ人から不当に取り上げた財産と違って、単に親独だったという市井の人たちは大抵は保身のためですから、まあ、グレーゾーンのまま時代によって転身しているのだと思います。戦後すぐは、そういうやましい心をごまかすスケープゴートとして、ドイツ人の子供を生んだ女性などがリンチされたんでしょうね。

韓国が今頃親日を糾弾するというのはまた別の政治的意図に基づくんでしょうが、ちょっと相手を間違えているというか、よく分からないですね。過去の過ちの弾劾というのは、そのやり方や表現によってはとても不毛なものになって単に憎しみの連鎖になると思います。

一方、『サラの鍵』のようなすぐれた映画は、これまで何度も見た収容所の悲惨な様子のドキュメンタリーなどよりも、私には強烈に内省を促してくれました。規範的な批判よりも、自己改良のプロセスを発動させてくれるような表現を共有したいです。

http://setukotakeshita.com/

405迷える大羊:2012/06/01(金) 09:41:02
差別・被差別
 なるほど、ユダヤ問題に関しては確かに単なる対独協力よりはるかに後ろめたいところが多いでしょうね、フランス人にとっては。
 ただ、どうなんでしょうね、こんなことをいうと袋叩きに遭いそうですが、確かに第二次大戦前後までは、ユダヤ人は「被害者」の立場でしたが、今はそんなに単純なのかどうか?というと疑問を感じないでも。

 映画についていうと、ご紹介された「サラの鍵」の他にもスピルバーグの「シンドラーのリスト」とか、被害者としてのユダヤ人を描く作品は多く存在しますが、イスラエルにおけるパレスチナ人、旧住民の立場を描いた欧米の映画作品ってどれだけあるんだろうか?個人的には全く知らないのだけれども・・と思ってしまいます。
 なんだかんだいっても、欧米のマスコミはユダヤ・イスラエル関連の描写には気を遣う、というかいろいろタブーが多そうですし。つまりは、ユダヤ・イスラエルに関して否定的な側面を報道したり描写したりすると「反ユダヤ」「人種主義者」のレッテルを張られるムードがあるのではないか?と。
 独断と偏見でいえば、現代のヨーロッパで影響力(特にマスコミ方面に)もなく、本当に弱い立場に甘んじているのは、ジプシー・ロマ族あたりのような気がしますが。確か、サルコジ氏も「不法入国のジプシーを叩き出せ」なんていって問題になってませんでしたっけ?
 EU圏内から来たんであれば、不法入国もクソもないはずなんですけどね。

 韓国の「親日法」はねぇ。まともに施行しようとすると、ウィキペディアにも問題点が触れられていましたが、故・パク・チョンヒ大統領など、元日本陸軍の士官ですし、今をときめくサムスン創設者も早稲田大学出身で、財を成すきっかけは日本でのコメ販売で・・なんてことになってキリがなくなりますけどね。
 本当に「親日派」を追い出したり、最下層の身分に追いやったりした北朝鮮は、今、現在の状況に至りますし・・。本当に「反日」がらみになると、冷静さがなくなるというか、何でもアリになるというか・・。

406sekko:2012/06/01(金) 18:44:59
歴史の清算
>欧米のマスコミはユダヤ・イスラエル関連の描写には気を遣う、というかいろいろタブーが多そうですし。つまりは、ユダヤ・イスラエルに関して否定的な側面を報道したり描写したりすると「反ユダヤ」「人種主義者」のレッテルを張られるムードがあるのではないか?

ムードだけではなく、確か、法律だか条例で特別に規制されていて、第二次大戦後までの反ユダヤ主義への総懺悔の意味か、かなりうるさいです。外から来た私なんかから見ると、そんな特別扱いがかえって新しい反ユダヤ(これは特に北アフリカからの戦後のユダヤ移民とイスラム系との確執もあって昔のものとはちょっと違うんですが)感も生んでいるんじゃないかと思う時もあります。

ロマ族やユダヤ人など、長い間「流浪の民」だったような人々は、定住者の共同体の中では「弱い立場」に追いやられるかもしれませんが、別のロジックで考えれば定住者の恐怖をそそる強さがあるのではと思います。ユダヤ人も自分たちの国イスラエルを仕切るようになると、そのタカ派ぶりにはかえって「攻撃によって守る」という他の閉鎖的な国民国家の悪いところが尖鋭的に出てきているような感じもしますね。でもそういう弾圧の連鎖に異を唱える若い人々もたくさんいます。

韓国の親日派については、むしろ旧植民地との関係でアルジェリアのことを思い出します。アルキと呼ばれる人々はアルジェリア独立戦争の時にフランス側について戦ったので、独立後はアルジェリアからも「裏切り者」扱いで追い出され、フランスでも移民扱い、みたいになって不当な扱いを受けていましたが、半世紀経ったごく最近、フランスから功績を認められたり補償が始まったりしています。

歴史の清算は各国の経済事情や内外政治事情がちょうどバランスがとれた時でないと、難しい問題ですね。

http://setukotakeshita.com/

407迷える大羊:2012/06/02(土) 09:04:22
歴史・・ですか
>確か、法律だか条例で特別に規制されていて、第二次大戦後までの反ユダヤ主義への総懺悔の意味か、かなりうるさいです

 え?そこまでうるさいんですか??おっしゃる通り、逆効果のような気もしますけどね?。ただ、そういう「報道規制」「言論統制」があっても、世界の人々は決してバカではない、見るべきところは見ているというべきか、BBC世論調査によれば、イスラエルの国家イメージは芳しくないですね。最大の支援国アメリカですら、POSITIVEが50%いくかいかないか・・でしたし。

>アルキ

 そういえば、これ「ゴルゴ13」のネタになっていたような。フランス特殊部隊に追われたゴルゴが匿ってもらったのがそのアルキの家だった話のような。うろ覚えですが。

 韓国・歴史っていえば、昨日(6月1日)の中央日報にまたこんな記事がありましたね。

http://japanese.joins.com/article/061/153061.html

「対馬の島主 宗氏ではなく韓国人の宋氏=韓国学者」

 また起源説かよ、今度は誰だ?と思って読みますと、「対馬関連の言語学者として知られる黄白炫(ファン・ベクヒョン)博士」だそうなんですが・・。対馬関連の言語学者って何だ??対馬にスペインやフランスにおけるバスク語とか、フランスに残るブルターニュ語とか、英国に残るウェールズ語とか、そういう特殊な言語なんて・・あったかな?それにしても、韓国の歴史学会ってしょっちゅう「新発見」があるんだなぁ、すごいなぁ。

 で、このファン博士の「新学説」のきっかけはというと、「対馬の厳原地域にある展望台には、対馬の初代島主が宗重尚ではなかったことが明らかになったという内容の新しい案内板が昨年に設置されている。」なんだそうで・・。
 日本の大名の先祖なんて、天下取った後にでっち上げた(源氏、または平氏の子孫として)ものがほとんどで、本当はどこの馬の骨か分らない場合がほとんどです。それに対して韓国人の族譜はきちんと整備されているから確実・・といいたいのかもしれませんが、朝鮮半島の族譜にしたって、

 『李朝末期に家名の売買が盛んに行なわれたらしい。没落した両班が裕福な平民に家名を売るわけである。ある資料によると、17世紀に9%しかなかった両班の戸数が、19世紀になると70%にまで増加したという。また、古い族譜には名前がないのに、ある時代を過ぎると突如として名前が出現する分派があったりもする。』
 といった程度のものなんですが・・・。

http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/etc/kanyocho/seimei.html

 まあ、日本にだって「イエスは日本に来て死んだ」とか「義経は大陸に渡ってジンギス・ハン」になった・・なんて「伝説」がありますが、それをメジャーなマスコミが大々的に掲載して、いつの間にか「通説」になって、さらに、それを根拠に「ジンギスカンは源義経だから今のモンゴルも中国も日本の領土なのだ!」などというような記事や論説は、戦前の軍国・国粋主義の時代にも無かったような気が・・。

 こんな調子で「歴史認識」とか「清算」を語られても・・というのが正直なところ、ありますね。

408迷える大羊:2012/06/11(月) 13:51:06
中国=シナ=チャイナ・シーヌ?
 ユダヤ問題とか差別にまつわる問題が出てきたついでに・・・。現在、日本では中国を「支那」と呼ぶのは「差別用語」ということでマスコミでは行われていません。

 それに対し、日本の右派・保守系の人々は英語のchina、フランス語のChine(シーヌ)は要するに「シナ」だろ?なんで日本人が言うと「差別語」なんだ?との反論・反発があります。
 で、ご質問ですが、フランス語や英語のシーヌとかチャイナはやはり「シナ」が語源なのですか?

 右派・保守系に対する日本のリベラル・左派・在日中国人(といってもいろいろですが)の反論はシナ自体は差別語でなくとも、戦前・戦中に蔑称的に使われ、多大な被害をもたらした国から蔑称で呼ばれることを許すことはできないのは当然というもの。

 私個人はもっともな気もしますが、だけど欧米諸国にしたって、主だった国々はかつての租借地などにみられるように、近代において、程度の差はあっても中国に対して何かしらの「タカリ」行為をやってますし、チャイナとかシーヌと呼んでいる国々に中国人差別、蔑視は一切なかったのか?となるとそれはかなり疑問。ちょっとスジが通っていないのは否定できないかと・・。
 もっとも、さすがに現代日本では「シナ」は一般的ではないし、いわゆる保守・右派の中国観に全面的に同調しているわけではないので、普通に「中国」と呼んでいますが。

 今までの投稿から誤解をされると困るので、お断りしますと別に私は日本はアジア解放の為に戦争しただの、植民地の発展に貢献したから植民地支配は良かった・・みたいな思想的立場では全然ありません。祝日に国旗を掲げたこともないし、震災後にメディアに溢れかえった「日本を一つに」とか「がんばれ日本」みたいな、「愛国的」なフレーズにもむず痒さを感じる方です。

 ただ、中国とか韓国(保守的・右派的な人は特亜、つまり特定アジアと呼ぶ)の「反日」って本当に道徳的・人道的な立場から、というよりは一種の政治的・イデオロギー的手段の側面があまりに強く(日本国内の議論もそうですが)、その「告発」の内容も「知れば知るほど」「なんだそりゃ?」みたいなものが多くて、いちいちマトモに付き合ってられるか的なものが多いな、というのが正直なところです。

 私の勝手な想像ですが、フランスとか欧米における「ユダヤ問題」もそういった側面、つまり、純粋に道徳・人権の問題よりは、政治的立場を分けるリトマス紙になっている、純粋かつ冷徹な事実関係・責任問題の追究よりは情緒・感情の問題になってしまっているところが少なからずあるのではないか?と思ったのですが、どうなんでしょう?

 あと、日本メディアでは日韓関係の「特別さ」を強調するものが多いし、私自身、韓国メディアウォッチングを通して、確かに「日韓関係は特殊」と思っていましたが、世界的にみれば、別に珍しい国際関係ではないようですね、下のアルメニアに在住されていた方のweb記事を読むと・・。
 なんか、私が韓国メディアを読んだときとそっくりな感想をもらしているんですよね。アルメニアのナショナリズムのターゲットとなっているのはトルコのようですが・・。

http://armenia.en-grey.com/Entry/36/

409sekko:2012/06/12(火) 22:55:31
Chineのこと
こちらでは中国も正式なフランス語読みをChineにしています。

http://www.amb-chine.fr/fra/(大使館のサイト)

もちろん支那というのと同じ語源というか歴史的経緯で「伝統的呼称」とされています。まあ、日本は漢字文化だから、中国を中国とそのまま書けるわけですから、それを敢えてしないといろいろ言われるのは無理もないかもしれません。

ただし、フランス語で中国人Chinois(シノワ)と言うとそれなりに差別語のニュアンスがあります。

これは今までにどこかで書きましたが、私が昔フランス人と紅白歌合戦を見ていて、ちょうど国民栄誉賞をもらった王選手が出てきたので、彼のことを説明して、人気の野球選手であること、そしてシノワであることを言いました。

その時、C'est un Chinois、つまりThis isチャイニーズと言ったら、「Il est Chinois」(つまりHe is …)と言うべきだと訂正されたんです。
それで、その時は、人を指すのにThis isは失礼なんだな、と私は了解したのです。

ところがそれからしばらくして、サッカーを見ていて、その同じフランス人が、私の質問に答えてある選手のことをThis is ブラジル人(フランス語でです)、と言ったんで私はすかさず、「He is」じゃなきゃだめでしょ、と注意すると「なぜ?」と言われました。

それで王選手のことを思い出させると、シノワにThis is を使うと失礼だけれどブラジル人だと何とも思わないと言うのです。私はもちろん、じゃ、日本人はと聞くと、日本人ならThis is でOKと言われました。

王選手は何しろ国民栄誉賞だから、私がこの人は中国人なのよ、と言った時にもちろん差別的な意味もトーンもなかったわけですから、結局、フランス語自体にシノワという言葉に対するニュアンスの歴史があるということです。

それは大国の中国とは違って、昔からフランスにいて中華レストランなどをやっている華僑たちのイメージでしょう。華僑の人たちは伝統的にあまりフランス人との結婚がなく、彼ら同士の共同体を守っていたので、それなりの差別があったのでしょう。シノワでなくもっと本格的な蔑称ももちろんありまして小学校などではアジア人の子供への差別語になっています。

まあ、それもこれももう昔の話で、今は郊外の公立小学校など人種のるつぼになっていて、金髪碧眼の子の方がいじめられかねないんですけどね。

http://setukotakeshita.com/

410迷える大羊:2012/06/13(水) 19:32:14
ヨーロッパでの東洋人イジメ
>シノワでなくもっと本格的な蔑称ももちろんありまして小学校などではアジア人の子供への差別語になっています。

 「やーい、中国人(チン・チャン・チョン)」というのは、ヨーロッパの主に白人系の子供が日本人含むアジア系・東洋系を虐める際の定番のフレーズらしいですね。大多数のヨーロッパ人にとって、中国、日本、ベトナムの違いは「どうでもいいこと」らしく、アジア人、東洋人はすべて「中国」。「日本人は犬食うだろ?」みたいなイジメを食らって「日本人は食べないよ」と言い返しても「ムダ」なようで。
 まあ、日本、特に地方の公立学校の「ガイジンイジメ」も、なかなかにキツイものがあるので、どっちもどっち、なんですが・・。

 ネタはサンドラ・ヘフェリンさんの「ハーフが美人なんて妄想ですから!」(中央公論新社)です。

http://www.chuko.co.jp/laclef/2012/06/150420.html

 著者は日独ハーフの方。タイトルはふざけてますし、文面も「軽め」ですが、なかなか考えさせられる内容でした、個人的に。本の内容はこの著者のサイトの記事に準拠しているものが多いです。

http://half-sandra.com/column/2012/06/10/1049.php#comment_anc
(ハーフについて考える)

 まあ、真面目で深刻な話はとりあえず、当該URLや本の方を見ていただくとして、読んでいて、個人的に笑ったというか、(日本人として)思い当たる節があって恥ずかしかったのは(ハーフの人が)、いくら、日本語ができる(というか日本語が母語)、日本国籍もあるといっても英語で話しかけられる、とか、国際結婚に憧れがあるんだか、なんだか、わかりませんが、初対面、あるいは大して仲良くもないのに「両親のなれ初め」を根ほり葉ほり聞かれる・・とか、友達と「日本語で」話しているのに、「ユー・フレンド?」などといって、英語で割り込んでくるオジサン(要するに英語話したがり、若者よりオジサン、いわゆる団塊世代に多いそうな・・)とか・・。とにかく、ガイジン顔=英語の短絡思考には困ったもの、とのこと。
 なんていったらいいのか、チヤホヤして持ち上げるにしても、逆に貶めて差別するにしても、とにかくガイジン、というかガイジン顔の異人種に対し、つい妙な「特別扱い」をしてしまう、ガイジン顔の「日本人」が想像できない・・なんてところが非常に「田舎者」的で・・。フランスなどの人種状況を聞くと、いくら、GDPの順位が上位でも、ハイテク大国でも日本はまだ「先進国」ではないのかも?とつい考えてしまいました。

>まあ、それもこれももう昔の話で、今は郊外の公立小学校など人種のるつぼになっていて、金髪碧眼の子の方がいじめられかねないんですけどね

 フランスではそうなんですか?ドイツなど他国ではどうなんでしょうか?まあ、国や地域による、といってしまえばそれまでなんでしょうけども?先のサンドラさんは1975年生まれ。彼女の子供時代は今から30年から20年くらい前になりますから、その間にヨーロッパも変わったんですかね?
 フランス在住30年の日本人の視点からはどう思われますか?

411sekko:2012/06/13(水) 22:30:57
定点では変わったと思います。
私はもう30年程、ある公立小学校の向かいに住んでいるんです。で、家の裏手にはカトリックの私立の小学校があります。

昔は、私のピアノの生徒は全員向かいの小学校の子供でした。

今は、一人を除いて全員裏手のカトリック学校の子供です。

ずっとピアノを教えているので、当然その親たちとも付き合いがあり、中には親子二代を生徒にしたこともあります。近所の公立音楽学校とも30年の付き合いです。だから定点観測はしています。

つくづく、変わったなあ、と思います。

いい点も、悪い点も含めて。

昔も今も、フランスは共働き率が多いのですが、昔は、おばあちゃんに面倒を見てもらっているような子たちはみな、公立学校へ行きながら、音楽院、小教区のカテキズム(教会学校)、そして、他のおけいこ事(バレエとか水泳とか柔道とか)に通ってました。そのグループはいろいろな点で似通っていて、そういう子たちの一部がピアノの個人レッスンにも来ていたわけです。

親の職業は教師が一番多く、アート関係の仕事(演劇、舞台技師、映画監督、ダンサー)、医者などが多数派でした。今もそれはあまり変わりませんが、子供たちが皆私立学校へ行きはじめたのです。

昔は小学校のクラスに黒人は2人くらいでしたが、今や3分の1はいそうで、黒人やアラブ系とのハーフも多くいです。私立学校に流出するのはほとんどいわゆる白人の子ですから公立にはますます少なくなりました。

そういうところにあえて子供を通わせている親は共和国主義のミリタントであり、子供もその親の影響か、肌の色は関係ない、差別はよくない、とか言ってます。逆に、私立に活かせる経済的余裕のない白人家庭(この場合は個人レッスンにも来ないので付き合いはないのですが)なら、逆にコンプレックスから差別主義者になっているので、そういう家庭の子の方が人種差別的言動をします。

でも、一昔前までは、小学生同士なんて、もともと肌の色の意識などなく遊んでいました。
それを思うと、やはり格差のこととかゲットー化とか、経済的社会的要因が子供の社会に影響するんだなあと思います。

生徒の白人といっても、片親がスペイン系、イタリア系、ポルトガル系、ポーランド系、ブラジル系、ユダヤ系とかいろいろで、国際色は結構豊かです。

私はもちろんアジア人なわけですが、しかもこれといった音楽学校の免状もないのですが、生徒同士の口コミのみでずっと教えていまして、ある意味、これが逆に日本だったら、どんな資格があるのかどうかも分からないガイジンのところで習わせるのは普通の発想ではないだろうと思うと不思議です。

うちに子供を連れてくる親の多くは自分も音楽をしたかったけれどできなかったので子供にはそのチャンスを…という人なので、その人たちは、全体に、私にそこはかとないコンプレックスを持っていて、低姿勢です。

日本なら学校で習うので誰でもドレミくらいは読めるし多少の楽器は弾けますが、こちらはそういうのがないので、小さい時に習えなかった人は、たとえていえば音楽の「文盲」状態なので、「音楽の先生」との間に断絶があるんです。

人間のコンプレックスってほんとに人さまざまだなあと思います。

ハーフの人のコラムは面白いですね。私もいろいろ観察してきたので、本を一冊書けそうですが、とにかく、最終的には、いわゆる人種も民族も混ざれば混ざるほど偏狭なテリトリー意識がなくなって、利他の原則で個を確立するような人が増えれば、いじめも差別も戦争もなくなるだろうになあ、と夢みています。

少なくとも、個人レッスンで私に関わった生徒たちにはみな、そういう理念をサブリミナルにたたき込みながら音楽の歓びを伝えてきたので、次の世代に草の根的な多少の貢献はできているかもしれません。子供たちの潜在的な可塑性や寛容の能力はすごいもので、私もたくさんのものをいつももらっています。

だから、一時はいじめだの差別だのの問題があっても、長い目で見ると、異文化や多文化共生の状況は歓迎すべきだと思います。公立学校の子供は、親や先生にいえなくてもクラスで問題があれば訴えられるSOSの電話番号の書かれたタグをもらって鞄につけてます。偽善的な処理より現実的でいいかなあと思います。

親にも言えないという問題を私に長々と語る生徒も少なくなく、勉強になります。

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412迷える大羊:2012/06/14(木) 20:31:11
学校次第?親次第?
 お付き合いありがとうございます。
 自身の海外体験やら、ネット経由で各国在住者の体験談とお話させていただいた結果を元にした独断と偏見では、欧州の中ではフランスは比較的、人種的偏見によるイジメ、とりわけアジア系への偏見は少ない部類に属すみたいですね。それに対してドイツなどは今でも結構差別っぽい話を聞きますね。例の「中国人!(チン・チャン・チョン)」のフレーズも子供たちの間では未だ「現役」みたいですし。
 あと、イタリアなども開放的、陽気なイメージとは裏腹に意外と反移民というかアジア系の偏見は強いみたいで・・。
 まあ、単なる個人的な見聞にすぎないので、真偽については責任は持てませんけど・・。

>私立に活かせる経済的余裕のない

 このハーフとかガイジンイジメと学校の問題はかなり関係があるようで、日本でもヨーロッパでも、インターナショナルスクールやらアメリカンスクールなどの各種外国人学校、あるいは地元学校でもガラのいい地区の名門学校なんかに通った子はあまり酷いイジメは体験しないみたいで・・。ただ、ミもフタもない話ですが、この手は学費がべらぼーに高く(年間百数十万円単位!)で財力のある親でないと無理らしく。

 実は、身内の通う教会の関係でハーフの方とその親の知人いるんですけど、無邪気に「インターナショナルスクールとか行けば?」なんて聞いたところ、即座に「学費高いんだよ」と言われたもので。今にして思えば無神経なこと聞いてしまったと反省しきりです。

 これは日本人同士、同国人のイジメについてもいえる話で、私個人の経験ですと、高校になるとイジメは無くなりはしないけども、激減するんですよね。卒業によってイジメ・イジメられの関係がリセットされる、学力試験による選考によって生徒が「細かく分類」される・・などがその理由ですが。
 差別的と非難されそうだし、堂々といっていいのか?と躊躇するところですが、やはり、「名門」とか「進学校」とか「レベルが高い」とされる学校だと非行とかイジメなどの問題は少なかったし、「底辺校」とか「不良学校」と言われるところだと、問題もそれなりにあって・・で、私の中学時代も、「普通」とされる生徒の間で「あそこだけは行っちゃならね〜」という「底辺校」「不良学校」がいくつか(住んでいる地区に)ありました。そういうところの教師はさぞかし大変だったか、と。 まあ、「優等生」が悪知恵を働かすタイプのイジメとか非行だってあるので、一概には言えませんが全体の傾向として・・。
 フランスなんかでも、そういう学校の問題ってあるのかな?って思いましたね。
 今はどうだか知りませんし、そういう学校を出た子たちも普通に大人になっているので、大人となった今となってはどうでもいい話ですが、子供時分にはやはり「大問題」かと。

 あと、プライバシーを詮索するつもりは毛頭ありませんし、ここでお答していただく必要はないんですが、先生のご子息(いらっしゃるとして)や親類は無事に楽しい学園生活を送れたんだろうか?「チン・チャン・チョン」などと言われたり、後後トラウマになるようなイジメを食らったりしてなかったんだろうか?と、気になったり、心配になったりしましたね。

413sekko:2012/06/15(金) 00:11:11
フランスの場合、
旧植民地と言われればそれまでですが、今でもいわゆる海外県や海外領というのがあって、たとえばカリブ海のグアドループ出身の黒人で「本土」にくる人は、移民でなく代々立派なフランス人なので、それはハイチ生まれの混血の父をもつデュマが有名な小説家として、サッカーのナショナルチームのティエリ・アンリとかがスター選手として認知されているように、「普通」であるわけです。アジア人の場合は、旧仏領インドシナ系時代に生まれた人は、独立後も「フランス人」として認知されてます。やはり微妙に差別されるのは華僑かもしれません。

日仏のハーフの子供って、地方は知りませんが、パリの場合は、日仏ハーフと分かった時点で差別よりも他の子から羨ましがられるんじゃないでしょうか。特に1980年代からの20年くらいは、テレビのアニメやゲーム機で日本ものが一世を風靡していたので。私は90年代に一時期リセで日本語を教えていたのですが、みんな普通のフランス人の子で、どちらかというと理系で頭がよくて(というか、日本語のような外国語を第三外国語で取るような子は勉強に余裕のある子しかいないので)、日本文化に夢中でお目目きらきらでしたよ。

前にも書きましたが、アッパークラスほど親日家が多いので、日本人には暮らしやすいです。また、カトリック系私立学校は、特殊なところでない限り、フランスの教育省に認可されていて教師の給料は教育省から出るし、学費は高くないです。中流家庭なら十分払える額です。インタナショナル校などはまた別ですが。

日本でよく、小学校でもてる男の子は「面白い子」、中学校ではスポーツのできる生徒、高校では勉強のできる生徒、大学では金のある学生、とか聞きましたが、高校のレベルでは偏差値とかで区別ができてある種のすみわけができるんでしょうか。

フランスはヨーロッパでも飛びぬけて「落第」率が多くてその割に学力はいまいちということで今問題になっているんですが、飛び級や落第によって、小学校の頃から学力や成績での振り分けが明らかになるわけで、そういう年齢と学年の「流動性」のおかげで、「いじめ」という点では陰湿で閉鎖的な土壌をつくりにくいかなという点はあります。

でも結局、国や人種や経済力や学力だけでなく、人それぞれの性格と時代と社会とがうまくマッチしない場合は、必ず苦しむ子供が出てくるわけで、それに注意してケアするのが大人の責任だと思います。

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414迷える大羊:2012/06/16(土) 20:06:22
教師・学校
 学校の話が出たついでに。個人的に身内に教育関係者(教師とか保母とか・・)が多いのですけど、これがなかなかに大変で。朝は早く、8時くらいに生徒がやってくるころにはもうすでにスタンバイ、ですし、昼間は当然授業。部活動を抱えていたりすると、夕方は部活動の監督、結局、翌日以降の授業の用意など自分の仕事は夕方からで、毎日、帰りは夜遅くなります。

 土曜日(部活の顧問などなど)もなんだかんだ出ていて、日曜日はさすがに自宅にいますが、テストの採点、事務仕事など仕事と無縁、というわけにはいかないらしく。保護者によってはいつでもお構いなしに携帯に電話をかける人もいたりして、なんか自分の時間はあんまりなさそうです。
 これで、卒業年次(中学三年生、高校三年生)などの担当となると本当に多忙を極めるらしく、また、進学・就職といろいろと難しいことも多いので、大抵はベテランの「仕事ができる」人が担当となるそうです。
 もちろん、学校や個人差もありますが。給与、身分保障の点ではいい仕事ですが、それだけを目当てにやっているんでは続かないな、というのが傍からみた感想です。

 教師、ではないけど、野球のリトルリーグの監督を土日にやっている知人がいますが、これも、子供同士のいざこざ、ワケのわからない(うちの子はなんで補欠なんだ!、**の試合には出せ!などなど)クレームをつけてくる保護者など、なかなかに大変で、「好き」でないと、これまたやってられない仕事らしく。私も少年時代、この手のスポーツ団体に入っていて「しごかれ」ましたが、大人になってみると、シゴく、鍛える側も大変なんだ、ってことを今更ながらわかります。

 フランスの教師とかコーチとか保母さんとか子供相手の仕事ってどんな感じなんでしょう?つまり、同様に忙しくて、保護者の相手が大変とか、あるいは、親のやることと学校のやることは完全に分けて、割り切っている、とか。また、待遇がいいとか、あるいは悪くてなり手に困っているとか・・てなことですが。


 

415sekko:2012/06/17(日) 01:36:24
教師って…
楽な職業だという面と大変な面とあるのはどこでも同じだと思いますが、

私がリセの教師をやっていた時、私はアグレガシオンの資格がないので、フルタイムが週18時間の授業、ハーフタイムが9時間でした。アグレガシオンのある人は、週15時間でフルタイムで給料はより高いです。それを3日でこなして週4休にしている人もいます。

もちろん、授業の準備とか採点とかを自宅でするという計算になってますが、学校に行くのは基本的に授業の時間にクラスに行くだけでよくて、職員室に顔を出す必要すらありません。父兄会とか成績の査定会(進級を決める)とかがある時はそれに応じたサラリーが加算されます。各種研修に行きたい時もサラリーが保証され、長いバカンスの時ももちろん給料が保証されているのですごく楽です。

ただし、毎年教育省からの査定官によりチェックがあったりそのポイントによって、勤務場所を変えさせられたり、ストレスはあります。特に若い駆け出しの教師はたいてい、移民の多い問題校に回されるので、ノイローゼになってやめてしまう人も少なくありません。生徒からはもちろん親からの暴力を受けるケースもあります。(私の教えていたのは私立校だったのでノープロブレムでしたが。)

先生の組合も父兄の組合も各種共存していて、もともとクレームの多い社会なので、その処理自体は、丁々発止でやっているような気がします。

教師ではない各種の教育官というのが充実していていろいろ分業しています。
共働きの親がほとんどなので、放課後に学校に残って宿題などができるシステムがあって、それを手伝うボランティアの大人はかなりいます。

知的職業をリタイアした人のかなりが、地域の学校の子供の補助をしています。そういうシステムもたくさんあるので。

親はかなり楽です。父兄会とか参観日とかはほぼ土曜の午前や午後8時以後です。公立学校はたくさんあるのでアクセスがいいです。よく日本の人が大変だという子供の持ち物の名前つけなどありませんし、持って行かされるものも最小限です。

スポーツ団体は…よく分かりませんが、私の直接知っている公立の体操クラブとか水泳クラブなんかは、うまく行ってるようでした。

落第や飛び級で年齢がまちまちなせいもあって、学校のクラスでスポーツの能力比べをするということがほとんどないので、学外でやるスポーツはみなモチヴェーションが高い子供ばかりというせいもあるでしょう。

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416迷える大羊:2012/06/17(日) 08:55:30
さすがフランス
>アグレガシオンのある人は、週15時間でフルタイムで給料はより高いです。それを3日でこなして週4休にしている人もいます。

 この辺りはさすがフランスだ、てな感じです。日本の労働時間の長さっていうのは、単に勤勉、というよりは発想にいろいろと問題がありそうな気も。客として、サービスを受ける側としては、日本は最高の国ですが、働くとなると・・ですね。基本的には日本は暮らしやすい国ですが、この辺りはいただけないなぁ、と思ったりしますね。

>問題校

 やっぱり、フランスにもあったか、底辺校、不良学校の問題、ですね。しかし、生徒だけじゃなくて親からも暴行を受ける・・なんてすごいですね。日本以上ですね。
 今はどうかわかりませんが、80年代、90年代ごろ、日本の学校に関して、マスコミなどでよく問題にされていたことに、異様に細かすぎる、あるいは大きなお世話的な「校則」がありました。
  例えば、外見の乱れは心の乱れってことで、髪は黒、パーマダメ、天然パーマの子は「証明書」を出せ、とかバイト禁止とかみたいな・・。多民族国家でこんなことやったら、確実に「差別」で訴えられそうな気もしますが。
 まあ、単に大人の事情で体裁を気にしているっていうのは生徒もよくわかるので、ホントにワルイ子ほど、あの手この手で校則破って、反抗するんですけどね。

 ただ、そんな昔でも、いわゆる「進学校」「名門校」となると、そんなにバカげた「校則」ってないんですよね。制服のない学校なんていうのも結構あったりして。つまりはお互いの「信用度」の問題で、いわゆる「いい子」「優等生」の多いところですと、教師側も、そんなにうるさくしなくても、大丈夫だろう、と思っているし、生徒とも「友達」感覚だったりするところも多かったりして・・。アニメなどにこんな高校が出てくると、ここはきっと、高偏差値の名門校で家庭環境もいい子が多いんだろう・・などと想像してしまいます(笑)。

http://www.youtube.com/watch?v=1eEn0_bAfwc&feature=related

 はっきりいって、「うるさい」のは問題学校、底辺校で、そういうところの先生からすれば、いくらマスコミから批判されても、「じゃあ、お前がこいつらみろよ」っていいたい、というのが本音だったかも、です。

 私の出身高校は、私の在学していたころは、ごく「普通」の高校で、普通の子もそれなりに、ヤンチャな連中もそれなりにでした。うるさすぎる「校則」はありましたが、本当に悪いワルはいなかったので、教師も形式的にしか注意しませんでしたし、皆、それなりに裏をかいてました。
 時代が下って、そんな私の出身校も、県下有数の「進学校」になると、「校則」なんて本当に少なくなり、検査なんかも無くなったそうな・・。なんだよ、俺たち信用なかったんかい!ですが(笑)。

 すみません、蛇足のような話、だらだらと失礼しました。

417迷える大羊:2012/08/07(火) 23:23:49
フレンチ・ロック
 今年のロンドンオリンピックの開会式、トリは元ビートルズのポール・マッカートニー氏の「ヘイ・ジュード」の生演奏でした。前回の北京オリンピックの閉会式は、次回開催国・英国代表として、これまた元レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジ氏の「胸いっぱいの愛を」の生演奏が披露されてました。

 とにかく、英国にとって、ロックミュージックは「輸出産業」なんじゃないのか?といいたくなるくらいに、というか事実そうなんでしょうが(ポール・マッカートニー氏は今やサーのつく貴族様ですし)、著名ミュージシャンが犇めいている国で。
 元々、ロックそのものはアメリカ発祥のポップカルチャーですが、今や英国も「本場」扱いです。

 ところで、その英国の隣国・フランス出身の著名なロックミュージシャンというのはトンと聞かないのですが、フランスってロック不毛の地・・なんでしょうか?
 それとも私が知らないだけ?

 ビートルズやらツェッペリンやらが売れているところを見ると、別にロック嫌いばかり、とか英米発の文化だからダメ、ってわけではなさそうですが、ロックに関しては自分で演奏してみよう、とか曲作ってみようって人間はあまりいない、出てこない風土なんでしょうか?
 非ロックのイージー・リスニングとかだとポール・モーリアとかリチャード・クレイダーマンなんかがフランス出身のミュージシャンとして有名で私も好きでしたが。

 ところで、余談ですが、ロック草創期の50年代から60年代にかけて、ロックは不良の音楽、などと言われた時期があり、日本などでも、エレキギターをいじっているだけで不良、遊び人呼ばわりされた、という今では考えられない時期があったようですね。

 もっとも、この「不良の音楽」説、100%根拠なき偏見とも言い切れず、昔のロックミュージシャンは確かに変人・奇人、いたずらっ子みたいな奇行をお約束のようにかましてくれる困った人が結構多かったみたいですね。

 http://www.youtube.com/watch?v=quraS6ZPIIM&feature=related

 (リチャード・ブラックモア 「アンプが火を噴いたら、テレビ的に面白いと思って、ローディに灯油をかけて火をつけろっていったら、(灯油を)かけすぎて、アンプが大爆発・・」他)

 まあ、今やロックもすっかり「普通」の音楽となり、変人奇人は少なくなりましたし、かつての変人たちもいい歳で、菜食主義者のポール・マッカートニーが典型的な例であるようにすっかりヘルシー志向、紳士志向になっちゃってますが・・(笑)

 

418sekko:2012/08/09(木) 01:25:42
もちろん
フランスにもロック・グループ、ロック・シンガーなんて掃いて捨てるくらいいますよ。日本のロック世界と変わらないと思います。

私の若いころから、ジョニー・アリディとかエディ・ミッチェルなんていう人は日本でも知られていましたよ。彼らのジョニーとかミッチェルとかいう芸名もアメリカナイズされているものです。この人たち今でも現役で国民的人気があるところもマッカートニーなんかと似てるかも。

今もたくさんのスター歌手やグループがいますが、

私は何しろ「ロック」でなく「バロック」なので「場ちがい」ってことで。

そういえば私の生徒のおとうさんに有名なロック・グループのアンドシーヌのキーボーダーがいます。息子はコンサートには難聴にならないように耳栓をしていくと言ってました。

パスカル・オビスポとかフロラン・パニィのようなタイプの人の歌はたまに聞きますが、ハードロックみたいなのは全くだめです。

あ、唯一の例外は、2007年にテレビの新人発掘番組で優勝した時からすごいなーと思ってるジュリアン・ドレ(ギュスターヴ・ドレの三代後の甥にあたる人)くらいですね。聞くだけだと耳栓したくなりますが、パフォーマンス全体に訴求力がありすぎ。究極のナルシシズムは利他の境地に突き抜けるなあ、と思います。

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419迷える大羊:2012/08/10(金) 21:46:58
そうですか
 フランスのロック、単に私が知らないだけだったみたいですね。思うに、今の世界のポップミュージックの動向を支配しているのは、やはりアメリカ市場で、そこで成功したか否かが「世界的」になる、ならないの分岐点なんでしょうね。

 ただ、このアメリカ市場、外国人には非常に「閉鎖的」で、英語で歌わないとまずダメ、アメリカ人にとって最も身近な外国であり、英語圏の英国のアーチストですら、60年代にビートルズが成功するまでは全く相手にされなかった、みたいで。
 だからこそ、非英語圏、それもアジア圏の坂本九の「上を向いて歩こう(SUKIYAKI)」のビルボードチャートベストテン入り、とか最近だと初音ミク(人間じゃないけど)のライブ成功が「快挙」だったりするわけですが・・。もっとも、今はネットがあるから、そうでもないですかね?

 フランスのロックミュージシャンが世界的にさほど有名になっていないのは、アメリカ市場で成功しているアーチストがあまりいないから、と思うのですが、どうなんでしょう?
 もっとも、日本のグループもそうですが、フランスのミュージシャンたちも「国内市場」「ヨーロッパ市場」で十分間に合っているから気にしてないでしょうけども。

 ところで、別に質問、というほどの話でもありませんが、ビートルズ、というよりポール・マッカートニー氏の有名曲に「LET IT BE」という、教会で流れてもおかしくないような、えらくキリスト教的、というかカトリック的な曲がありますが、彼本人はともかく、彼の実家はカトリックだったのかな?って考えてしまいました。
 「マッカートニー」なんてモロにアイルランド系の名前ですし・・。

420sekko:2012/08/12(日) 02:17:19
マッカートニー
マッカートニーって名はむしろスコットランド系です。アイルランドはオニールとかオブライエンとか「O'…」みたいなのが有名でしょうか。

ちなみに彼は、14歳で亡くしたおかあさんMaryがカトリック(おとうさんはプロテスタントで後に不可知論者)で、生まれた時にカトリックで受洗してますが、宗教教育は受けなかったそうです。
ジョン・レノンとかリンゴ・スターがアングリカンでジョージ・ハリスンがカトリック家庭出身だそうです。アングリカンもカトリックも聖母マリアへの思い入れは似てるので「Let it be」とかキリスト教カルチャーにインスパイアされているのは不思議じゃないと思います。

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421エトワール:2012/09/21(金) 03:32:08
占いの流行
 日本では、今、大変な占いブームで、タロット、西洋占星術、四柱推命などが流行しています。多くの新聞・雑誌などには、毎日、太陽星座占いなどの占いが掲載されています。フランスでは、タロットなどの占いは、流行していますでしょうか。有力な政治家、芸能人、小説家などで、占い好きな方などいるものでしょうか。フランスの占い事情について、お教えください。よろしくお願いいたします。

422sekko:2012/09/03(月) 05:23:54
フランスの占い
日本では占いがブームなんですか?

今特にというわけではなくて、もうだいぶ前からサブカルチャーとして定着しているのでは???まあ東日本大震災以来、お守りグッズの売れ行きが伸びたというのは聞いているので、次の地震とか放射能への不安などは影響しているのかとも思っていました。

こちらではそんなに変化はありません。

ホロスコープなどは昔から雑誌や新聞のコーナーにはありますし、一部の政治家やビジネスマンが占星術師におうかがいをたてる話も昔から時々話題になります。私は『ノストラダムスの生涯』『さよならノストラダムス』などの本でフランスの占いや予言について書いたことがあります。

メジャーの宗教のカトリックはもともと占い系を禁じているので、日本人が初詣しておみくじを引く、というタイプの習慣はありません。反宗教の人や無神論の人などは占いも受けつけない人が多いです。

霊能者などを集めるサロンなどはあります。最近はオカルトとエコロジーが渾然一体になっているようなテイストのシーンでタロットや水晶球占いなどが登場することもあります。そういうところに来る人は禅とか瞑想とか自然食に惹かれる人とどんどん重なるみたいで、一昔前のニューエイジ系がエコロジー化した曖昧ゾーンに占いも入っているような気がします。

カルト宗教の規制は日本よりは厳しいし、平均的フランス人は日本人よりケチなので、困っている人が大金を出して占い師にはまるというケースは少ないと思います。

私は情報収集と好奇心のために定期的にそういうサロンなどにも顔を出していますが、少なくとも、フランス人で私のリアルの知り合いのうちに、雑誌のホロスコープに目を通す以上に占いに興味を持っている人は皆無です。フランス在住の日本人の知り合いにはいます。宗教や歴史に影響された国民性というのはあると感じます。

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423sekko:2012/09/08(土) 18:41:24
ららばいさんへ ベビーカーについて
サイトのメールを通じて「ららばいさん」から次のような質問を受けました。
ここで答えさせてもらいます。

「(・・・・)日本でベビーカー論争というものがあります。
女性の中でも意見が分かれています。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120713/trd12071308070000-n1.htm

フランスは出生率が高くて共稼ぎ率も多いと思いますが、電車の中のベビーカーのマナーなどが問題になることはありますか(・・・・)」


私はいわゆる通勤時間に公共交通手段を使わないのですが、電車やメトロでベビーカーはよく見かけます。個人的には迷惑だなあと思うこともあります。
でもベビーカーよりも、小さい子供たちがそばでわいわいやっている方が、本とか読めなくて迷惑です。小学生を平日に美術館に連れだしたりする学校も多いので、そういうグループといっしょになった時の方がうるさいですが、まあ観察も好きなので。

ベビーカーですが、昔から日本のベビーカーって大きいなあ、って思ってたんですよ。それがさらに大型化しているみたいですね。日本のテクニックがあれば軽くて機能的な場所も取らなくて安全なものが出てきてもよさそうなのに、少子化でマーケットが少ないのでしょうか。

フランスでも、ベビーカーは大型化しているような気がします。こちらは双子も多いし、また複数の赤ちゃんの世話をするベビーシッターや民間(といっても資格をもつ)の保母さんで複数の子を預かる人も少なくないので、二人用のベビーカー(横に長い形と縦に長い形と二種類)を押してる人もく見かけます。

でも駅とか階段ではほぼ確実に、誰かが手伝って支えてくれます。階段が複数ある場所では最初に手伝った人がそのまま最後まで付き合うので、はじめは家族かと思っていたら、階段部分が終わったら去っていくのも見ます。

いろんな人がいる時は、自然に若い男、若くない男、若い女、若くない女の順番で手伝う人が現れる感じです。私も昔は手伝うこともありましたが、今は重そうなベビーカーに手を貸す自信がないし、たいてい他の誰かが手伝います。

私ならちょっと距離を取っておきたいと思ってしまいそうな「タトゥーだらけの若者」とか、「薄汚い感じのおじさん」とかでも、ごく当たり前に手助けしてます。
そういうのを見ると、自分の偏見が恥ずかしいです。前に駅の改札で私の前に割り込むように走ってきた若者のグループがいたのでやり過ごそうと思ってわざとゆっくりと歩くことにしたら、そのグループの最後の男が、律義にドア式の改札を抑えて待っていてくれたことがあります。

ベビーカーで階段にさしかかった時に周りに人が少ない時は、堂々と頼むおかあさんもいますが、みんな大人しく手伝います。

 なんというか、フランスで暮らすようになった人はすぐに気づきますが、フランスと日本では、丁寧なところ親切なところ、怒るツボ、とかがかなりずれているんですよ。

電車の中とかでベビーカーをたたむというのはもちろん見たことがありません。

勤務先に託児所があって子連れ通勤を強いられるケースもありますが、収入が低いとか勤務先が遠いとかならば優先的に、しかも非常に安く徒歩圏内の公立保育園に受け入れてもらえます。フランスでは学校教育もそうですが、未成年に関してはなにかと「社会主義」っぽい政策なので、まああれなら出生率が上がっても不思議じゃないとも思います。

電車の中でベビーカーで場所をとって遠慮してない人がそばにいる場合、その時たまたま疲れている人が迷惑だと思うことは自然かもしれませんが、その場の快適さよりももっと長いスパンで考えれば、私はやっぱり赤ん坊や子供や若者がいる光景からは力をもらえるような気がします。

いただいたリンク先の「討論」では、私は西舘さん側に近い世代ですが、いわゆる「戦中」生まれの彼女とはどこか亀裂があるのかもしれません。

「赤ちゃんを育てる一時期だけは、楽したり、おしゃれをするといった考えは捨ててみてはどうか。/
女性の劣化を感じる。/
今一度、育児の『伝承』を取り戻さねばならない/」

とか、おんぶの称揚には違和感があります。

でもフランス人で彼女くらいの年の人がこんなこというのは想像がつきません。思っている人はいるかもしれないけれど、口に出したらバッシングされるような気がします。

とりあえずこんなところで・・・

http://setukotakeshita.com/

424ウラヌス:2013/06/23(日) 17:27:10
フランス語の読解力向上について
竹下先生、はじめまして。先生の著作に興味があり、ブログも読ませていただくようになりました。フランス語の学習方法で質問ですが、私はフランスの文学や思想に関心があるので、原書で読んでいます。今のところフーコーが辞書を引きながら一時間に6ページくらい、小説なら18、19世紀のものでおおよそ一時間に5ページから6ページくらい読めるのですが、更に読解力を高めるには、たとえば一時間に6ページを10ページくらい読めるようになるにはどのように勉強すべきでしょうか?中級以上の学習方法がわかりづらいので質問します。

425sekko:2013/06/23(日) 20:19:25
ウラヌスさまへ
ご愛読ありがとうございます。

フランス語を読む速度ですが、もちろんある程度の単語力は必要ですが、後は、読む本の内容によると思います。自分の興味のある分野、日本語でも類似のものを読んだことのある分野と、全く専門外のものとは比較できません。

得意分野や軽い読み物(総合雑誌の記事とか)なら、分からない単語があってもある程度読みとばしていくといいと思います。

分からない単語がある度に、その行の横に一応しるしをつけておいて、それが何度も出てくるような言葉だとか重要な言葉だったと分かった時には、少し後でまとめてチェックすればいいと思います。

一見知らないと思う言葉でも、字面をよく見れば、日本語で漢字を見ればなんとなく意味が分かるように、語根や接頭接尾語で類推できることも多いです。

後、フランス語は、基本的にセンテンスが短いほどエレガントだと見なされている言葉です。関係代名詞がずらずらと続くようなものは、悪文か、英語などの翻訳か、確信を持ったスタイルかです。

学者の中には日本人でもそうですがわざともってまわったような文を書く人もいます。そういうのはスルーした方がいいです。
私も最初の頃は、なかなか意味のとれない文を読むと、自分がフランス語力が足りないせいかと思ったことがありますが、今は、興味のある分野でおもしろそうなことを書いているはずなのに悪文というものにぶち当たると時間の無駄なので結論部分しか読みません。

私は日本語を読むスピードは平均よりかなり速いですが、日本語にも悪文はあるし、特に翻訳文には分かりにくいものが多いと痛感しています。

もちろん、日本語でも自分の知らない分野の専門書は読みにくいですが、逆に、フランス思想系の本などは、昔、日本語訳で読んでえらく難解だったものが、後にフランス語で読んだらすっきり明快というケースの方が多かったです。

昔は、パリマッチなどの大衆誌を読む速度は日本の週刊誌を読む速度と変わらないことが分かって、今は、自分の守備範囲のものなら日本語と同じくらいの速度で、つまり、普通のフランス人より速く読めます。

ただし、東洋史東洋文化ものや科学読み物はほとんどすべて日本語で読みます。中国語の固有名詞がアルファベットでたくさん出てくると、イメージが湧かずにギブアップです。

また、ある時、非常に興味ある分野の生物学の本をわくわくしながら読み始めましたら、自分が「drosophileショウジョウバエ」というフランス語すら知らなかったことに気がついたことがあります。よく考えたらショウジョウバエがどんなものなのかだって、よく知らないのですが、日本語で読むと「実験に使うハエ」という認識だけですらすら読めるのに、知らないフランス語だと何か大切なキーワードのような気がして…。

動物植物、地理学、化学、物理学、数学系の語彙も少ないので、やはり基礎語彙なら高校卒業までに全部習った日本語で読むことにしています。でも、その内容がおもしろかった時にそれをフランス人に披露しようとするとやはり語彙が貧弱なので困りますが。

音楽学の本はフランス語の方がずっと速く読めます。日本語で「変ロ短調」とか言われてもフランス語に訳さないと音楽のイメージが全く湧きません。

私の場合、英語も、得意分野のものなら辞書をひかずに、というか頭の中で翻訳せずに読めますが、小説などでは、原文が悪文なのか自分の語学力不足なのかの判断がつかないことが多くて時間のロスなので、ミステリー、SF、科学ものは、すべて日本語訳で読むことにしています。評価の定まった文学作品や詩などは又別枠ですが。

ギリシャ語ラテン語なども、時間をかけて読むよりも、フランス語訳なら信頼できる訳本かどうかを判断できるので、ピンポイントで原文に当たる時に理解できる程度でいいと今は割りきっています。大学ではドイツ語が英語の次の第二外国語で、中国語やスペイン語やペルシャ語も何年か習っていましたが、今やギリシャ語(荒井献先生に習いました)やラテン語(アテネ・フランセに通いました)と同じお客さま扱いです。

というのも、平均よりも、書くスピードも読むスピードも速いはずの自分が、年ごとに増える情報量の前で、今「読みたい」と思っている本「書きたい」と思っている本ですら、残りの人生で読んだり書いたりできるかどうか分からないことが実感できるので、欲張りや高望みはやめたのです。

翻訳の充実という点だけでも、日本語とフランス語を同じレベルで読めることには感謝しています。

長々と書きましたが、言いたいことは、

1.テキストの吟味と選択、

2.日本語とか外国語に関わらず一般的な読解力の向上と守備範囲の自覚、

のふたつが基礎になるということです。

私はいわゆる翻訳をする時以外は、ほとんど仏和辞書は使いませんし、使う時もたいていは、日本語でなんと言えるのかを知りたいだけで、いわゆる「意味」はすでに分かっているものが多いです。意味のわからないものは仏仏辞書で検索します。

でもごくたまに知らない単語の意味を知るために紙の仏和辞書を繰っている時、すごくわくわくします。その単語はずっと前からそこにあって、見てもらえることをずっと待っているのだ、運命の出会い、でもアルファベットをたどっていったら絶対に出会える、そこにあるという信頼感に満たされて嬉しくなります。それを見出した時には辞書の編集に携わった人々の息遣いまで感じます。

特に19世紀あたりの耽美的なテキストにある単語はけっこう出ていますから。先人の苦労に感謝、です。

逆に、私のもっている40年くらい前の仏和辞書には今風の言葉や専門語はあまりないので「出会えない」ことの方が多く、だからほとんど使わなくなっているのですけれど。

ウラヌスさまの引かれるのが電子辞書か紙の辞書かは知りませんが、言葉の意味を調べるという、フランス語と日本語が出会う刺激的な場面に出会えるのだと思えば、たとえ読書のスピードが上がらなくても、リッチな時間を過ごされると思いますよ。

http://setukotakeshita.com/

426ウラヌス:2013/06/23(日) 21:07:29
早速の回答ありがとうございます
非常に詳しい回答を早速書いて下さったことに感謝します。先生の回答を見て思ったのは、たとえば、現代思想なら日本語でその分野の知識や理解を高めることが、当たり前ですけど、フランス語でこれらの書物を読むのに便利になるということを再確認しました。私は日本語であまり思想とか哲学の書物を読まないので。現代思想のものではフランス語のほうが明快なのは確かに思われます。たとえば、フーコーは難解そうな気がして敬遠してましたけど、読むと、一文が短く、簡潔なのが印象深いです。ただ文学の場合はどういう単語が特に出てくるという訳でもないので、その点が難しいように思います。ちなみに私は紙の辞書を使います。

427ウラヌス:2013/06/23(日) 21:38:37
翻訳に関して
先生も翻訳の文章はぎこちないと感じていらっしゃるようですけど、私も同感です。実は私が時間がかかっても原書を読みたいのは、翻訳文が好きになれないからです。どうも名画の下手な複製のような気がするのです。フランス語の文章はそれにしてもキレがよく明快だと思います。

428和泉:2013/09/11(水) 00:52:14
映画とか・・・
ご無沙汰しております。

先日、Leos Carax の「HOLY MOTORS」を世田谷の映画館で見ました。何だか解らないけれど印象的でした。何人もの人物に変貌する主人公が、(1) 途中でメルドに変身し、車の中で幕の内弁当を食べたり、(2) 街を綺麗綺麗に撮らずに、上空から墓場まで撮り、墓場にいたモデルを主人公が誘拐・・・でも最後の画面は宗教画のようになって・・・など。「これっていったいどうよ?」が実感でしたが面白かったです。

前作の「POLA X」は YouTube では仏語の上に露語が重なっており、チンプンカンプンで、途中までしか見ていません。原作はメルヴィルなので、そちらの方を読みたいと思っています。

「レ・ミゼラブル」の映画化も見ました。最初は原作とイメージが違って「あれれ?」という感じでしたが、まったく別バージョンと考えて、画面の構図、色彩がとても良いと思いました。音楽は crooning って感じがしました。ジャック・ブレルとか、フランソワーズ・アルディとか・・・私の頭が古いのか?原文はコゼットのところで止まっていて全然進みません。

それ以前に聖書が・・・。日本語のもワケ解らんのですが、「福音」は Good News、Gospel、Glad Tidings...う〜ん。それに「義」ですか、right、righteousness これも理解できません。strong も意味がどの範囲なんだか・・・。いつまで経っても入口です。

429スイス鉄道のように:2018/07/17(火) 19:59:21
デシャン監督の絆とは?
こんにちは。
ブログの記事(「ワールドカップでフランスが優勝した」)を拝見いたしました。
私もデシャン監督のインタビューをTwitterで見たのですが、ひとつ教えていただきたことがございまして...
ムッシュー・デシャンは「チームを構成する23人には一生の”絆”ができた」と語ったと翻訳されているのですが、フランス語で”絆”はなんと言うのでしょうか?
私のつたない聞き取り能力では聞き取れませんので、教えていただければありがたいです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

ちなみに、私が見たツイートは、NHKサッカー様が発信されておられる以下です。
https://twitter.com/NHK_soccer/status/1018810767393505281
この中の、開始1分21秒あたりでございます。

http://likeswissrailway.seesaa.net/

430Sekko:2018/07/17(火) 23:32:54
スイス鉄道のように さま
貼っていただいたリンクはここからは視聴不能と出ましたが、デシャン監督のその言葉はネットのあちこちに出回っています。

Ces 23 joueurs, ils seront liés à vie par ce qui s'est passé ce soir.

直訳すると

今夜起きたことによって彼ら23人は一生つながり続けることだろう。

動詞のlierは名詞だとlienだから「絆ができた」で問題ないでしょう。

それにしてもフランスのスポーツ関係者は若い選手もベテランの監督も表現力豊かにしゃべるなあと感心します。

431スイス鉄道のように:2018/07/18(水) 00:05:24
感謝です
竹下様
ありがとうございました。
感謝いたします。

http://likeswissrailway.seesaa.net/

432通りすがり:2019/01/16(水) 01:45:58
兄弟の問題
いつも楽しくブログを拝見させていただきます。
博識の先生の素晴らしいブログに私が気になったことを書くのも気が引けるのですが、
兄弟Frèreの訳の問題なのか、兄と弟問題で気になった個所が2か所出てきてしましたので、
お知らせしておきます。
1.ポール・クローデルはカミーユ・クローデルの兄ではなく弟です。
2.ベルト・モリゾが結婚したのは、マネの兄ではなく弟です。
以上、先生の素晴らしいブログになぜかここだけ気になりましたので、ついメールを
送らせていただきました。
この文章は後で削除していただいて結構です。

433Sekko:2019/01/16(水) 06:31:36
通りすがり さま
ご指摘ありがとうございます。早速訂正しました。

確かに兄弟姉妹に関してフランス語では長幼が特定されないのが普通なのでつい勝手に変換してしまうことがあります。カミーユがポール・クローデルの姉だというのはよく知られているのでエラーの実害はないかもしれませんが、モリゾーのマネ兄弟の方は、自分でもはっきり記憶していませんでした。ネットで調べると1年違いのようで、今はこういう風に簡単に確認できて助かります。
美術館でどちらが年上か確認したつもりだったのですが、どこかで間違えたかすり替わったようでした。

他にエラーがあれば遠慮なく教えてください。(特に事実関係に関するもの。変換ミスとかはしょっちゅうあるので適宜直していますが…)

出版物は編集者や校閲さんが見てくれるのでかなりのエラーは防げますが、それでも後から気づくことがあります。増刷で訂正できない時は冷や汗です。

ブログはほとんど下書きなしで書いているので、たまに読み返して自分でエラーを見つけた時にはその都度訂正していますが線引きで訂正すると読みづらいのでたいていは単なる訂正です。

もうすぐブログの一部を編集したものが出版されますが、もとがブログなのでやはり心配です。自由な感じで読みやすいのですが。

それにしても、欧米系言語では兄弟姉妹の長幼が気にならないなんてやはり儒教ベースの国とは違うなあと思います。小説を訳した時に、登場人物のひとりのsoeurが出てきて、どう読み返しても姉か妹か分からずに困ったことがあります。(どう処理したか覚えていません)

昔はネットでの資料確認ができなかったので、フランス語の言葉の日本での翻訳例が分からずに適当に処理していたこともありました。例えば日本ではプロテスタント教会もカトリック教会も教会と呼ぶとか、だんだんといろいろなことを学びました。

これからもよろしくお願いします。

http://www.setukotakeshita.com/

434Sekko:2020/02/08(土) 05:54:56
定冠詞の使い方
La chambre d’hôtel と La chambre de l’hôtel の違いについて質問を受けました。

前者はそれでひとかたまりの言葉でホテルの種類は問題になりませんが、後者は、どんなホテルかが前提として共有されています。
La chambre de l’hôtel où vous allez dormir (お泊りのご予定のホテルの客室)みたいな特定のホテルの認識があります。

私たちには理屈だけではなかなか難しいです。でも、結局あるシチュエーションでどちらかを使われて、おかしいと思うかどうかは慣れると分かってきます。

ひとかたまりというのは、例えば、「ダンス教室」と言うか「ダンスの教室」と言うかというのに似ています。

Classe de danse ならダンス教室ですが、classe de la danse と言われれば、ダンス以外にもクラスがあるのだなとか、どんな種類のダンスだろう、という感じです。

http://www.setukotakeshita.com/

435t.p.:2020/05/22(金) 18:09:04
なぞなぞ
dictionnaire!

436Sekko:2020/05/27(水) 06:33:16
t.p.さま
ありがとうございます。

もちろん正解です!

他に答えが分かった方で、ここにいらした方には申し訳ありませんでした。

こういう形の質問だったら、「先着」でしか答えを書き込めませんよね。

この質問、単語の意味をすぐに思い浮かべてしまう人には難しかったと思います。
フランス語を聞いたり読んだりすると同時に日本語に脳内変換してしまうタイプの人もいるので、そんな人にはもっと難しかったかも。

別に深い意味はなくて、でも答えをいっしょに書いちゃうのも考える楽しみがないと思ってああいう書き方になってしまいました。

今度何かフランス語がらみで質問をする時は、複数の人がいろいろ提案できるようなものにします。

ここにいらっしゃった方、他のことでもご質問などあればどうぞお気軽に。

http://www.setukotakeshita.com/

437若生敏由:2021/01/28(木) 11:45:50
SNS上小話の英訳と追加
 昨日の「ふらんすのSNSで送られてきた小話」を楽しく読ませていただきました。最後に、フランス人の自己批評を加えてあることに好感をもちます。日本では、世界的に深刻な話題を風刺する際に、わが身を棚にあげておきがちですが、フランス人の方が柔軟だということでしょうか。
「日本人ならどういうジョークになるんだろう」と締めくくってあったので、試しに追加の話をこしらえてみました。私は、古希を過ぎた元英語教員なので、紹介された小話の英訳を試み、その続きとなるような場面を、やはり英語で添えてみました。
 たいした内容ではないかもしれませんが、一読いただければ幸いです。

??There are many people in any country who are doubtful or suspicious about the vaccine against novel corona-virus disease.

??To inoculate against the virus, a doctor comes to a place where people from U.K., France, German, and U.S. just happen to be present at the right time.

??"This is the vaccine for you," the doctor says. First, a British is called.
British:??"No thanks."
Doctor: "Gentlemen are all to have vaccine inoculation."
??Without turning hair, the British got a preventive shot.

Doctor:??"Well, German. It's your turn!"
German: "That's very tempting but no thanks."
Doctor: "I’m not asking for, but I’m telling."
??Obediently, the German got vaccinated.

Doctor:??"Next is your turn, American."
American: "I refuse vaccinations."
Doctor: "Oh, you should have known it. Your neighbor have already finished a vaccination."
??Changing suddenly, the American agreed to get a shot.

Doctor: "Thank you for waiting, French. It's finally your turn."
French: "I don't need a vaccine."
Doctor: "Gentlemen are all to have vaccine inoculation."
French: "Who cares?"
Doctor: "I’m not asking for, but I’m telling."
French: "No way!"
Doctor: "Oh, you should have known it. Your neighbor have already finished a vaccination."
French: "So what?"
Doctor: "Who on earth are you?"
French: "A real Frenchman!"
Doctor: "Oh, that's funny. Then, anyway, it means that you have no right to get vaccinated."
French: "What was that? How dare you say I don't have the right??!!"
??In the end, the French also decided to have an inoculation against the virus.

 French people would certainly laugh at the way this small talk unfolds. I wonder what kind of joke will be possible about Japanese people.

Doctor:??"Is there any person who hasn't been called yet?"
Japanese:??"Present here."
Doctor:??"You look an Asian."
Japanese:??"I'm a Japanese. Today I accompanied my French husband."
Doctor:??"You may have vaccine inoculation, if you wish."
Japanese:??"Thank you for encouraging me to, but I’m afraid I can’t."
Doctor:??"Why?"
Japanese:??"In Japan, as of today, no one has openly gotten vaccinated."
Doctor:??"In France, you are also a regular citizen sharing liberty, equality, and fraternity together with us. It's entirely up to you whether or not to have an inoculation."
Japanese:??"I can't easily go ahead of having a vaccine shot as one of the Japanese."
Doctor:??"I'm not asking for, but I'm providing you the opportunity. Here in this republic, your choice won't be blamed."
?? Realizing that her husband has the same opinion, the Japanese woman moved on to get vaccinated.
???????????????????????????????????????????????????????????????????? (1/ 27/ 2021)

 今後とも、興味深い話題の提供や思索を披露していただけるように期待しています。

438Sekko:2021/01/28(木) 19:52:01
若生敏由さま
ご愛読ありがとうございます。

英訳、雰囲気が出ていますね。
英訳してから英語で続けて発想すると、視点が変わって興味深いです。

で、日本人は、女性なのですね。他の人たちは確かに、男性風。フランス語では男性名詞になっていますし。

でもここで、他の国の人は男性なのに、日本人の揶揄だけ女性という設定は、ポリコレじゃないというか、フェミニストに叱られそうな非対称です。
しかも、「日本人で私だけが…」という逡巡に、フランス人の夫に従うという夫唱婦随の方が結局勝つという…。

実際は、これまで私が見てきたところでは、ラテン系、地中海系(アルジェリアとか)の国や、日本では、社会的には家父長的で男性が主導権がありそうに見えるのですが、家庭内では女性が圧倒的に強い、というのが実感です。家庭内ヒエラルキーとの誤差が大きいです。

まあ、この小話のようなシチュエーションでは他人の目があるのでどうするかは不明ですが、私のイメージでは、

「あ、けっこうです。夫にワクチン受けさせましたから、私のリスクは減りますしね。受けなきゃ副反応のリスクはゼロだし。」

くらいですかね。

実際、スペイン語のビデオで、マックワクチンのドライブスルーでおまけ付きのワクチンを注文する運転席の女性が、車の後部にいる夫にワクチンを打たせる、というジョーク映像も流れてきました。

うーん、いっそ、アメリカ人、ドイツ人、イギリス人、それぞれと結婚している日本女性がどういう反応をするかを想定比較するのもおもしろそう。夫のお国柄の影響をどのように受けるのか、とかね。
高齢の親にワクチンを真っ先に受けさせるかどうかを各国の人に尋ねた反応とかも。

それにしても、このコロナ禍、検査数、感染者数、死亡者数、みな実際は国同士の比較もできないばらばらだというのに、パニックを煽る言葉や責任追及や不平不満などはけっこう共通しているので、国民性とかを考えるのに興味深い機会だとは思っています。

個々を見てみると人それぞれだけれど、全体としてみると国民性って絶対あるなあ、と思います。地方性も。(パリで暮らす移民はマルセイユで暮らす移民とは歩き方から違っているそうです)

若生さま、英語の発想で視野を広げることを生かしてお元気で発信を続けてください。

http://www.setukotakeshita.com/

439若生敏由:2021/01/29(金) 09:51:52
小話の改訂
 思いがけなく、丁寧にコメントを加えていただき、大変嬉しくおもっています。なるほど、西欧での女性の位置はそうなのかと認識をあらためさせられました。
 それならばと思い直し、せっかくなので、悪あがきかもしれませんが、改訂を試みました。そうしたくなるのも、あるいは日本人の一面でしょうか。
 読み飛ばすだけで、結構です。

Doctor:??"Possibly, could there be non-Westerners?"
French:??"Here, I brought my Japanese friend, but he says he just came here as an observer."
Doctor:??"You may have vaccine inoculation, if you wish."
Japanese:??"Thank you for encouraging me to, but I’m afraid I can’t."
Doctor:??"Why?"
Japanese:??"In Japan, as of today, no one has openly gotten vaccinated."
Doctor:??"In France, you are also a regular citizen sharing liberty, equality, and fraternity together with us. It's entirely up to you whether or not to have an inoculation."
Japanese:??"I can't easily go ahead of having a vaccine shot as one of the Japanese."
Doctor:??"I'm not asking for, but I'm providing you the opportunity. Here in this republic, your choice won't be blamed."
????Realizing that he cannot disregard the world standard, the Japanese embarrassingly moved on to get vaccinated.

440Sekko:2021/01/30(土) 03:57:46
若生さま
わざわざの「改訂」ありがとうございます。

日本人って、「世間の標準」と「世界の標準」との間でうろうろ迷っているのかも。

って、もうこれって「小話」という感じじゃないですね。
比較文化の小論文みたいな。

逆に、昔、フランス語のレポートがフランス人の先生に理解不可能だったようで、二度目は会話文だけにしたことを思い出します。https://spinou.exblog.jp/15666988/

私は、今は、バカロレアの哲学の小論文の予習をしているリセの生徒などに、困ったら哲学小話風のエピソードをいくつか用意しておいて堂々と書きなさい、とアドバイスすることがあります。採点者も延々と同じような引用や論の展開ばかり見てうんざりしているので、新鮮で高評価してくれる可能性大ですから。

また何かおもしろいお考えがありましたらどうぞ!

http://www.setukotakeshita.com/

441若生敏由:2021/03/05(金) 20:25:55
「自然の中で深呼吸」その2の最後の写真について
??フォンテーヌブローの写真を見ていると、パンデミックのことなど忘れそうです。自然を人間の都合に合わせながらとりいれ、そうすることで人間もまた自然の延長にあることを実感できる場所が都市の近郊にあることは大切なことだとおもいます。

「自然の中で深呼吸」その2の最後の写真についてお尋ねします。

 タンポポの脇に点在している小粒の花は、オオイヌノフグリではないでしょうか。その花だとすると、仙台近郊に住む私も真冬から3月いっぱいくらいは、周辺の野辺で見かけているものです。雪でも降らなければ一面が枯れ野の一帯に、鮮やかな青色を保ちつづけている、けなげな花です。冷え込もうが、風が吹こうが、大地がことごとく枯れ衰えることはないのだという意志を示しながら、大空に語りかけているようにも見えます。

 その花の学名がVeronica persiaであると知ったときは、かなり驚きました。現在の日本のオオイヌノフグリは西洋種らしいですが、和名は花ではなく実のかたちの印象を表しているとのことです。和名は、なんだか、学名に失礼におもえます。

 ほんとうかどうか分かりませんが、その花を見ているとイエスの顔が見えてくるというのが学名の由来という説明に出会ったことがあります。その真偽とは別に、真冬の土手にその花の群落を目にすると、枯れ果てたなかで再生を促す役目を果たしている花として、希望を感じさせられています。

 写真の花がオオイヌノフグリだとして、フランス語の俗名はどうなっていますか。

442Sekko:2021/03/06(土) 02:58:45
若生敏由 さま
この花は今の季節、至る所に咲いています。
植物の名に疎いのでネットを検索しました。

ヴェロニック(ヴェロニカ)と呼ばれているものには200種類もあって、西南アジア原産という印象です。この花はペルシャのヴェロニック(Véronique de Perse)と呼ばれているそうなのでやはりオリエントっぽいですが。

和名は確かに夢がないですが、フランス語も俗に「猫の腸」boyau-de-chatにという異名もあるそうです。和名よりましかも。

ヴェロニックは聖女なのでフランスによくある名前です。でももともとイエスの顔をぬぐった女性の名は伝わっていず、「真実のイコン」というのがそのまま聖女の名になりました。で、その布をローマ皇帝ティベリウスの「癩」の傷にあてると治癒したという伝説があります。

それで、皮膚病の治療に使われるハーブが「Veronica officinalis」ヴェロニカ薬草と呼ばれたとありました。日本語で調べたらそれは「(コモン)スピードウェル」という万能薬草のようです。

オオイヌノフグリとスピードウェルが同じヴェロニカ種に属しているんですね。

若生さまのおかげで花の名前が分かったので、これからこの花にヴェロニックと呼びかけることにします。

仙台近郊にお住まいとのことですが、先日の地震の影響はどうだったでしょう。10年前のショックを思い出します。日本に行く飛行機をキャンセルしたのは2011年の春が初めてで、2020年の春が2度目でした。毎年咲き続けてくれる花たちに力をもらえる思いです。

お元気でお過ごしください。

http://www.setukotakeshita.com/

443愚者:2021/07/07(水) 12:10:04
パンと葡萄酒
Sekko様
ベルナノス「田舎司祭の日記」の日記を書く司祭は、パンと葡萄酒しか口に入れない、あるいは体が受け付けないと書いてあったと思います。胃病には悪い食生活ではないでしょうか。
この小説において、司祭がパンと葡萄酒だけで生きているというのは重要な点だと思いますが、Sekko様はどういう意味だと思われますか?

444Sekko:2021/07/10(土) 06:33:27
愚者さま
旅行中でお返事遅れてすみません。
この小説の舞台であるノール地方に行っていました。リールにも。

ベルナノス、読みかえさないとニュアンスがつかめませんが、もちろん「パンと葡萄酒で生きる」というのは聖餐と同じシンボリックな意味です。

でもこの司祭が毎日のミサで葡萄酒を飲んでいるうちに依存症になっていたことも考えられますし、実際村人たちからそう思われていたようですね。

葡萄酒に砂糖をたくさん入れていて、そこに固くなったパンを浸したものしか胃が受けつけなくなった、というような記述も確かあったと思いますが、ワインの水割りを子供の時から普通の食卓で水代わりにしているというのはフランスでは昔からありました。あるいは、固くなったパンも、焼き立てのパンも、大きな容器に入れた牛乳に浸して食べるというのも昔は基本スタイルでした。

私がフランスで暮らし始めた頃にはトーストも、食パンも、シリアルも、ほとんど見かけませんでした。
今はアングロサクソン化して、何でもありですが。

ですから、この小説の舞台においては、この司祭の食生活自体はそれほど奇矯ではない「苦行」パフォーマンスだった気もします。

この食生活ではプロテインがとれないですが、砂糖を入れていますし、ワインの中にはブドウ由来の炭水化物もありますから、代謝が適応していくケースもあると思います。
「断食」聖人には「聖体パン(ホスティア)」(水と小麦粉だけでできている)で何十年も生き続けた人が少なくないですし、宗教と関係なくても、「青汁」だけでずっと健康に生きている人の話もありますから、代謝の変化というのは底が深いようです。

この司祭の場合は「胃の痛み」や病気を抱えて不健康だったのですから向いていなかったわけです。

でも昔は「田舎司祭」のイメージが、村人たちに招かれ続けて丸々太った陽気な人、というものが典型的でしたから、この小説の田舎司祭はそのイメージを払拭して村人たちの信仰を呼び覚まそうという意志と、不健康で倒錯的な実態とがずれていったという感じでしょうね。

霊的生活における「食」の問題、というのはいつもどこか危ういところがあって、興味深いです。

445愚者:2021/09/13(月) 10:23:40
ありがとうございました。
sekko様

いまさらですが、解説ありがとうございました。
昔の田舎司祭のイメージが根強いものだったなら、ベルナノスの田舎司祭が村人たちに受け入れられない理由がよくわかります。
この新司祭は受難のキリストの寓意のように思えます。
ところで、L'art de coire を久しぶりに読もうと思ったのですが、情報の量と濃度がこちらの読解の能力を圧倒的に超えているので今日は断念しました。

ところで、sekko様は「資本論」をお読みになったと思いますが、凡人には退屈で難しい本だと思われますか?
こちらの最近のベストセラー斎藤幸平「人新世の「資本論」」を読んで、やっぱり読むべき本だったのか、と思いながらなんとなくやる気が起きません。
近年日本のエライ人達が人権というものをまるで理解していないことがいやでもわかる出来事がたくさんあったので、呆れはてる上に恐怖を感じていますが、斎藤幸平や白井聡ら30代の正統的な論逆がいることに、一筋の希望を見いだしています。
2015年の「ラウダート・シ」の思想を、おおざっぱに言えば、神学から離れてだれにでもわかる形にしたのがこの本だと感じましたが、「資本論」がテーマという点で抵抗を感じるカトリックが少なくないのにやや驚いています。
「人新世の「資本論」」は、「惑星の物質代謝」の概念を核心とする実践的な書でもあります。
マルクスがプロテスタントであったことはあまり知られていなくて、私自身無神論者だと思い込んでいました。
岩波文庫は活字が小さくて、そもそも本屋の店頭にはありません。もし読みやすい日本語訳をご存じでしたら教えていただけますか。

446Sekko:2021/09/13(月) 19:33:26
愚者さま
『資本論』を通読したことはありません。

私が高校一年の頃、駒場の社会思想史の講義で習ったヘーゲル=フォイエルバッハ=マルクスの流れを兄が解説してくれたので、前二者の本の方をかなり読みました。難解でしたが、弁証法、疎外論、支配と隷属、類的存在としての人間、など新しい世界に「開眼」された思い出は強烈です。

その頃にマルクスで読んだのは『経済学=哲学手稿』です。

人間と人間を取り巻く対象を社会的諸関係の中でとらえるということに納得しました。
(あらゆる「実力行使」や「暴力」には昔から一貫して反対の立場ですが。)

それに関してやはり高校時代に読んだ本で今もフランスの書斎にあるのはマルクーゼの『[改訳版]初期マルクス研究--「経済学=哲学手稿」における疎外論』(未来社)です。
(レーニンは中央公論社世界の名著シリーズで読みました。)


今距離をもって思うと、労働の概念そのものが劇的に変わったことに感慨はあります。

『神と金と革命がつくった世界史』(中央公論新社)でキリスト教と共産主義の関係について書いたとき、あらためていろいろなことを考えさせられました。

マルクスが生まれるすぐ前に父親がプロテスタントに改宗したわけですが、社会の多数派に属するというプラグマティズムに徹していたようで、マルクスも宗教に関してはかなりニュートラルだけれどキリスト教文化ベースの教養が根づいていたのは確かだと思います。

(私のブログは「想定読者」が自分である覚書なので、長さや読みやすさについてこれと言った配慮も努力もしていませんので申し訳ありません。時事についてはそれなりの情報提供を心がけています。時々眺めてみてください)

季節の変わり目、愚者さまもお元気で。


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