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( ^ω^)ヴィップワースのようです
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タイトル変更しました(過去ログ元:( ^ω^)達は冒険者のようです)
http://jbbs.livedoor.jp/sports/37256/storage/1297974150.html
無駄に壮大っぽくてよく分からない内に消えていきそうな作品だよ!
最新話の投下の目処は立ったけど、0話(2)〜(5)手直しがまだまだ。
すいこー的ななにがしかが終わり次第順次投下しやす
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ブーン達三人が、不死者の餌食になってしまったのではないかと危惧した。
そして、この教会だけを中心として”聖術”を発動したのでは、不死者達を救うに足りなかったのではないかとも。
もしそんな最悪の事態になってしまっていたのならば、今は自分が皆を守らなければ─────
そう思っていた自分達の元に、次の瞬間間の抜けたような声が外から響き渡り、安堵のため息を漏らした。
「…………お〜い、開けてくれおぉぉ〜!ゾンビじゃないお、ブーン達だおぉぉ〜!………」
ξ゚⊿゚)ξ(ッ!!)
その声が不死者のものだと疑いの念も抱かずに、一も二もなく彼女は扉の閂を取り外した。
瞳に入ってきた、少し苦笑いを浮かべる彼ら三人の姿。多少の返り血や跳ねた泥に塗れてはいるが、
「今帰ったお」とそっと手を上げるその姿に、ツンも顔にもまた笑みがこぼれる。
( ><)「……冒険者の皆さんっ! よくぞご無事で戻られたんですっ」
( ^ω^)「どうやらこっちも片付いたみたいだおね」
ξ゚ー゚)ξ「……あたり前だっつーの。こちとら、聖教都市の主教と黙された人の娘よ?」
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爪'ー`)y-「どんな魔法を使ったのかは知らねぇけど……ま、まずは休みてぇ」
(´・ω・`)「同感だね。さすがに連続で高等魔法を使って、少しばかり偏頭痛に苛まれている」
( ><)「という事は……外の不死者達も……」
( ^ω^)「………」
こくり、とだけ頷いて返事とした。
ショボンの魔法によって消し炭と化した不死者達だったが、やはりあのベルベットという男によって、
墓場から自分の意思とは無関係に故郷の村人を襲う様に仕向けられた事に対し、いい気分はしない。
ショボンがそれに付け加える。
(´・ω・`)「この村の災厄の元凶であった魔術師が再び現れる事は、ないでしょう」
「って事は………っ!」
村人の一人がにまぁっと顔を綻ばせると、つられるようにして村人達の間で歓声が沸きあがった。
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「助かったぞ、俺達は……この村は!」
冒険者達の間を取り囲み、村人は口々に彼らに対して感謝の言葉を述べる。
ツンがその身を運ぶさなかで意識を失ったコトばあさんも、ようやく目が覚めたようで何事かと目を擦っている。
爪;'ー`)y-「お、おいおい。休ませてくれよ」
(;^ω^)「おっおっ……」
( ><)「皆さん、ささやかなものではありますが、宴の準備を」
「えぇ、もちろん!」
ビロードが声をかけると、村人達がそれぞれ散らばって、ブーン達をもてなす支度を始めた。
この教会の場を使い、それぞれの家から食材を持ち寄って行う晩餐だ。
その宴には、死者を弔う為の意味も篭められているのだ。
村人達が続々と教会を後にしていく中、ブーン達はツンと話しながら長いすに身体を預けていた。
離れていた間お互いの状況がどうであったか、何があったかという事を伝え合ったのだ。
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ξ゚⊿゚)ξ「そんな奴が居たの……嘆かわしい」
ベルベット=ミラーズと名乗った魔術師が居た。
不死者の理想郷を築く、などと大層な事をはき捨てて彼らの前を去った。
そして、ゾンビパウダーという歩く死者を作り出す魔法の粉によって、今回の事件が引き起こされた事など。
聖職者からすれば、死霊術士などは対極に位置する存在であろう。
ブーン達の話を聞く内、ツンは大変に憤慨していた。
( ^ω^)「聖ラウンジの秘術、かお」
そして、ショボン以外も初めて知る所となったのが”神に見初められた者”しか扱う事の出来ぬ、
聖ラウンジの秘術、奇跡を起こす力の存在だ。
救いの力をもたらすそれは、決して敬虐なる聖ラウンジの誰しもに許されたものではないが、
ツンはその力で教会の中に入り込んだ不死者、ロイを救った事。
そしてこの地にある悪意ある存在を封じた事で、不死者の魂が死霊術士の企てにより縛られていた
朽ちた肉体を離れて、主の御許に逝けたはずだという事を伝えた。
彼ら不死者に対する火葬と鎮魂が同時に行われていたという事実は、面々の知る所ではないが。
( ><)「ツンちゃん……私は外で彼らに……」
ξ゚⊿゚)ξ「………私も、この教会の中で」
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今回の一件で亡くなった者、また眠りについていたはずの不死者達への鎮魂だ。
ビロードは広場へ行くため外へ。そしてツンは祭壇へと、それぞれ向かう。
ξ-⊿-)ξ「………」
ツンが祭壇の前に膝を折ると、やがてゆっくりと手を組み合わせて祈りを捧げ始めた。
死者を悼むその真摯で健気に祈りを捧げ続ける横顔は、とても慈愛の心に満ち溢れたものだ。
そのツンの姿をじっと見ていた三人の胸には、なぜだか儚い切なさが訪れて、きゅっと心の奥底を締め上げる。
信心深い彼らではないが、行き場を失った哀れな魂が安住の地へ旅立てるよう、必死に祈るツンの姿に。
きっと─────誰もが思っていたのだ。
( ^ω^)「………」
爪'ー`)「………」
(´・ω・`)「………美しい」
ショボンが言った、その言葉通りの事を。
二人はその声に振り返ったが、一度互いに瞳を見合わせると、また何事も言わず向き直った。
───────────────
──────────
─────
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何という時間に! 今、気がついた
④
-
わふわふ
-
乙乙
-
─────────そして。
残された数少ない村人達によるささやかな宴は、夜が明ける少し前まで続けられた。
宴が終わると、使われていない村人の家を間借りして、日が昇るまで身体を休めていた冒険者の面々だったが、
彼ら全員がまだ眠りから覚めないうちに起床の時を告げたのは、また何事かを予感させる村人の大声だった。
「大変だ、大変ですよ冒険者さんがた!」
( ω )「むぉぅ……Zzz ブーンは……そんなに食べられないお……Zzz」
爪'ー`)「んあっ?何だ何だ、騒々しい……」
(´・ω・`)「また、何か問題が?」
「そうではないんです……けど、とにかく広場に来て下さい───!」
寝ぼけ眼のブーンの頬をフォックスが張り倒してから、ショボンが引きずって連れていく。
けだるい朝を迎えた。疲労感はまだ拭えていないが、問題が起きたのではないならまだ眠れる。
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村人の青年の案内の元、瞳に突き刺さる日光を遮りながら外へと出ると、
日の光を照り返す白銀の甲冑に身を包む、数人の一団の姿があった。
その先頭でビロード神父から話を伺っている男の顔には、紛れもなく見覚えがある。
(;^ω^)「なんだお、ありゃ」
( ><)「……という訳なんです、あぁ、今お見えになりましたよ」
「連れて来ました!この人たちが、その冒険者の人たちで───」
「おぉ、彼らが────なんと勇敢な者た────」
爪;'ー`)「げっ」
(‘_L’)「───ち?」
三人にとっては、嫌という程にその整った目鼻立ちが記憶に焼き込まれた男が、そこにいた。
円卓騎士団と、フィレンクトだ。どうやら、今日の昼になって彼ら自身も問題解決の為に訪れたのだろう。
(‘_L’)「………なぜ貴方達がこんな場所に?」
(;^ω^)「そりゃこっちの台詞だお。依頼を振っておいて、なんであんたが」
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言ってから「しまった」という表情をしたが、時既に遅かった。
襟首を捕まれたブーンは、フィレンクトと至近距離で目が合う位置にまで腕力で手繰り寄せられた。
(‘_L’)「なぜ、こんな場所にいるのかと聞いているのです」
(;^ω^)「ぐぇっ……い、依頼だお」
(‘_L’)「依頼───まさか、貴方達がこの村の不死者騒動を………?」
爪'ー`)y-「ま、そういう事さ。旦那」
(´・ω・`)「全ての元凶である死霊術士は、残念ながら取り逃がしましたが」
(‘_L’)「………話をお聞かせ願えますか?」
───────────────
──────────
─────
-
ブーンら三人は、昨夜起きた出来事の全てを事細かに話した。
”ベルベット=ミラーズ”という男の名前についてはフィレンクトを始め、誰も知らないようだったが、
手配書が出回れば、すぐに彼の身辺が洗い出されて追い詰められる事になるだろう。」
(‘_L’)「……認めたくはありませんが、お手柄でした」
爪;'ー`)y-「認めたくねぇのかよ!」
( ^ω^)「今回はツンと、新たに加わってくれたショボンのお陰だおね」
(´・ω・`)「結果として、おいしい所を頂いただけさ」
面々には、フィレンクトがその場で殴り書いた書状が手渡される。
これをヴィップの騎士団の本営にまで持っていけば、600spの報酬が手渡されるだろう。
フォックスと、そしてショボンとパーティーを組んでから初めての依頼達成。
ブーンの心中には、たった一人で臨んだ始めての依頼の時とは、また違った喜びが湧き上がる。
やはり仲間と共に依頼達成の喜びを共有できるというのも、感慨深いものがあった。
ブーン達から聞いていた会話の内容を思い出しながら、フィレンクトが突然を投げかけてきた。
(‘_L’)「そういえば……ツン様もその場に居た、という事でしたね」
(;^ω^)「あっ、ツンなら……」
-
忘れていた。
ツンは昨日、聖教都市へ帰るようにフィレンクトに促されていたのだった。
昨日の兵舎での二人の会話の中、去り際の場面を思い出す。
こんな危険な依頼に偶然居合わせた彼女が何を言われるかと、同情の念が沸いた。
ξ-⊿-)ξ「……ふあぁ、よく寝たわぁ」
(;^ω^)「………おっ」
と、そこへ一軒の民家から出てきたのは、噂に登る彼女の姿だ。
ツンの姿を見かけるや否や、フィレンクトはすぐさま走って彼女へと詰め寄る。
(‘_L’)「ツン様ッ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「のわっ」
(‘_L’)「何処へ行かれたのかと、我々全員、本気で心配したのですよ……!」
ξ;゚⊿゚)ξ「なな、なんでフィレンクト様がここに……」
爪;'ー`)y-「………ッ」
(´・ω・`)「………っ」
ブーン達に目線を送ったが、彼らはただ無言で首を振るばかりだった。
慌てふためく彼女へ、さらにフィレンクトは詰め寄る。
-
(‘_L’)「話には聞きましたが……”聖術”を、身に付けられたのですね」
ξ゚⊿゚)ξ「……はい、ショボンと会った後から」
(‘_L’)「──────やはり神に見初められたお方だ」
驚きもあったのだろうか、口元を押さえながらツンから視線を逸らしながら、呟くように漏らした。
だが、次にはまた口調を強めて、ツンを説き伏せようと矢継ぎ早に言葉を投げかける。
(‘_L’)「それならば……なおさら、こんな危険な事に介入すべきではないのです。
ツン様ほどのお方ならば、今後は皆の指導者という立場となって────」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ずっと黙ってフィレンクトの言葉に耳を傾けていたツンだったが、除々にその表情が強張っていく。
なおも説教を続ける彼に対し、やがて我慢を重ねていた彼女は、ついに抵抗を試みた。
(‘_L’)「ですから、ツン様にはいち早く亡きアルト司教の………」
ξ゚⊿゚)ξ「──────いやッ!」
(;^ω^)「おっ……」
村の広場に響き渡る勢いで言い放ったその一言に、フィレンクトはツンの表情を覗き込み、呆然とした。
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(;‘_L’)「………はて?」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、イ〜ヤッ!」
(;‘_L’)「………こ、これは………」
これほどまでにツンに強く拒まれたのは初めてなのだろう。
さしものフィレンクトも当惑し、どう言葉をかけてよいものか思案にあぐねているようだ。
「どうしてよいものでしょうか……」などと小声で後ろに控える部下達に考えを求めたが、彼らも首を振る。
ξ゚⊿゚)ξ「フィレンクト様、聞いて下さい」
(‘_L’)「………はい」
頭を悩ましていたフィレンクトだが、ツンの力のこもる眼差しが自分に向けられている事に気付くと、
その瞳に打たれてか、体を正して真剣に話を聞く態勢に入った。
ξ゚⊿゚)ξ「───残した手記で、父はこう言っていました」
ξ゚⊿゚)ξ「私の祈りは”荒んだ人たちの心を清らかにしてくれる”って」
ξ-⊿-)ξ「そして、”人々を思いやる優しい気持ちを忘れるな”って……」
(‘_L’)「………ですが」
-
ξ゚⊿゚)ξ「───私、思うんです。この”聖術の力”は、未だ見ぬ誰かを助けるために授けられた物なんだって」
ξ゚⊿゚)ξ「そして、その”誰か”の力に……助けになってあげたいと思うんです────だから」
( ^ω^)「?」
力強い言葉を口にしながら、熱の篭った瞳をブーン達の方へと向けた。
そして、完全にその存在を彼方まで置き去られた彼らに対し、ツンの口から驚きの言葉が飛び出た。
ξ゚⊿゚)ξ「だから私───この人達と、旅をします」
(‘_L’)「────ッ!」
(; °ω°)「おぉうっ!?」
爪;'ー`)y-「おいおい、そんな事を許可した覚えはねーぞ?」
その言葉に、フィレンクト以上に仰天したのは彼ら冒険者の面々だ。
確かに縁はあったといえど、一介の修道女である彼女が突然そのパーティーに加わるというのだ。
それもあまりに唐突な申し出、否、宣言だ。
なぜだか、彼女の中ではそれについて決定事項となってしまっているらしい。
眉間を指で押さえて俯いた後、フィレンクトが何事かを考え込んで、ブーンの方へと振り返った。
(‘_L’)「そうですか……そうですかツン様……」
(; °ω°)「えっ、えっ、おっ」
-
背中から身の丈を遥かに凌ぐ長大な槍を抜くと、その切っ先がブーンの喉元へと向けられる。
(‘_L’)「そうなのですね……この者達が居なくなれば……それで」
(; °ω°)「ちょっ……ブーン達に何も罪はないおぉッ」
ξ;゚⊿゚)ξ「フィ、フィレンクト様!?」
慌ててそれを遮って間に割って入ったツンにより、フィレンクトの暴走は事なきを得る。
だが、それでもまだ槍を携えたまま、畏怖すら感じるほどに鋭い視線でツンに問いただした。
(‘_L’)「─────決意は、堅いのですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「………はい」
(‘_L’)「貴方はこの大陸の綺麗な世界ばかりを見てきました……ですが、今後その逆位置にある、
人というものの醜く淀んだ、暗く薄汚い部分も沢山目にする事になるでしょう」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
(‘_L’)「誰もが目を逸らしてしまいたくなるものを直視し続けて、耐えられるのですか?
救われるべき人間ばかりでもないこの世の中で、決して芯を曲げる事なく……」
少しだけ考え、一瞬俯いたツンだったが────それでも、彼女の中の答えは変わらなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「それでも……救える人は救いたいと思うから」
( _L )「─────そうですか」
-
(;^ω^)(ほっ)
ようやく槍を下ろしたフィレンクトの姿に、ブーンは安堵して胸を撫で下ろす。
だがそれも束の間、気を緩めようとした彼に思わず背筋がしゃんと伸びるような口調で言葉が投げかけられた。
(‘_L’)「冒険者、ブーン=フリオニールッ!」
(;^ω^)「はいお!」
(‘_L’)「そして、グレイ=フォックスと……ショボン=アーリータイムズ……」
(´・ω・`)「何です?」
(‘_L’)「貴方達3名には、聖教都市ラウンジの次期司教、ツン=デ=レイン様警護の任を与えます」
ξ゚⊿゚)ξ(!)
爪;'ー`)y-「おいおい……何の権限で……越権行為もいいとこじゃねーか」
フィレンクトからは、まるで自らが預かる部下に対し命令するような厳しい口調で、淡々と述べられた。
彼の意図する所としては、”旅に連れ添おうとしているツンを、何が何でも危険から守れ”という事だ。
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(‘_L’)「黙りなさい、もし先に述べた責務を果たせぬような事があれば────
その時は即刻、我が”クーゲル・シュライバー”の錆びにしてくれましょう」
(;^ω^)(こ、このおっさん……物騒な事をつらっとして……)
爪;'ー`)y-(俺達に自由はないのか)
(‘_L’)「いいですか、それほどの責任を持って警護に当たるのです」
ξ*゚⊿゚)ξ「……ありがとう、ございます!」
深く頭を下げるツンと、腕を組んで険しい表情を浮かべるフィレンクトだったが、
そこからビロード神父に一礼をしたかと思えば、部下達を伴って早々に村を引き上げていくようだ。
依頼は完遂されたのだ。そして、ツンも聖教都市に戻らぬと答えた。
ついぞ自分の口から出してしまった言葉から気変わりしてしまわぬようにか、
フィレンクト=エルメネジルドは、ツンに対して振り返る事もなくアルバの村を後にしていった。
その彼らの後姿を見届けながら、出会った時の印象と変わらず、強情で我が強いツンという女性に
引っ張りまわされる今後を憂いて、ブーンとフォックスがうな垂れながら不平を漏らしていた。
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ショボンはというと、肩をすくめてこう言った。
(´・ω・`)「ま、仕方ないね……きっと、縁があったんだよ」
(;^ω^)「ブーン達の理不尽な立ち位置にいまいち納得できないけど、そういう事にしとくかお」
ξ゚⊿゚)ξ「さぁ、フィレンクト様も居なくなったし………何してんの、行くわよ?」
と、そこへ割って入ってきたツンの表情を、三人はしげしげと眺めた。
「何なの?」と言わんばかりの彼女に対しては、パーティーに加える許可を与えるか否かの問答など無駄だろうと悟る。
(;^ω^)「こうしていても仕方ないお。支度をしたらツンを連れて……戻るかお、ヴィップへ」
ξ゚ー゚)ξ「そうそう、男なんだから小さいコトでケチケチしないの!」
爪'ー`)y-「ったく、とんだじゃじゃ馬だな」
ブーンの背中をばんばんと叩いて、荷物を取りに民家へと戻っていく彼らを、ツンが送り出す。
そうして自身もまた身辺の用意をしようと思った時、何人かの村人がツンの元へと歩み寄ってきた。
「ありがとうよ、お嬢ちゃん」
そう声を掛けてきたのは、コトばあさん。
不死者騒ぎの際に、家から出るのを拒んでいた老婦人だ。
「今でこそ……だけど、あたしゃどうにか生き延びたみたいだねぇ」
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ξ゚ー゚)ξ「……いえ、私なんかのお陰じゃないです」
誰かの重荷になる事を拒み、自らを捨て置いて他者を拒んだ。
他者を労わるという気持ちには、そういった自己犠牲の形もあるものだという事を、このコトばあさんから学んだ。
「旅に出るんだね? ……気を付けて行っといで」
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう。コトおばあさんも、お元気でね」
顔をくしゃくしゃにして笑顔を投げかけてくれる彼女の表情に、実に心が温まる。
それと同時に、不死者達の手によって脅かされようとしていた彼女の命が結果として救えた事に、
そして彼女自身からも感謝の言葉をかけられた事が、誰かを救う事に対しての喜びとして、胸に刻まれた。
ノノ'_')「───お姉ちゃん!」
( ><)「ツンちゃん……あの人達と、旅に行かれるんですね?」
ヴィル少年と、ビロード神父もツンの傍へと駆け寄る。
フィレンクトとしていた問答を聞いていたのか、ビロードもツンの身を案じているようだ。
それでも彼なりに送り出してくれようとしているのか、自らの首に掛かった十字架を取り外すと、
それをツンの元へと差し出した。
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ξ゚⊿゚)ξ「ビロード神父……これは」
( ><)「お守り代わりに、と。出来れば身に付けていて下さい……旅の無事を、祈っていますよ」
受け取った十字架を自分の首に繋ぎ止めながら、ぼそりと言った。
ξ゚ー゚)ξ「……ありがとう、ビロード神父。昨日この村に来て……良かったです」
( ><)「え?」
ツンの言葉の意味はビロードには理解できなかっただろうが、旅を諦めかけていた彼女が
昨晩このアルバの村を訪れた事で、再び自分にとっての道を見出せた事に大しての礼だった。
そしてそれは、ビロード神父が他者に救いを差し伸べようとする姿勢から得られた所が大きい。
初心であった”誰かを救いたい”というフィレンクトに告げた願いは、この神父によって再び照らし出された答えだ。
ノノ'_')「お姉ちゃん、なんか凄かったね」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ヴィル少年にはそう言葉を掛けられたが、返答に非常に困る。
何せ不死者となってしまった父親をこの世から跡形も無く消し去ったのは、自分の聖術なのだから。
ノノ'_')「僕、決めたよ」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
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だが、どうやら少年を気遣った彼女の思いは、いらぬ世話だったらしい。
快活そのものの笑顔を満面にたたえて、はきはきと話すのだ。
ノノ'_')「お父さんが、”強く生きろ”って言ったんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ノノ'_')「だから僕……お父さんに言われた通り、強く生きてくんだよっ」
ξ゚ー゚)ξ「……うん」
亡き後も我が子の事を気に掛けていた、一人の父親が居た。
道半ばにして逝ってしまった彼にとっては、彼の成長を見届ける事が出来ないのはさぞや悔しいだろう。
それでも───彼の遺志は、確実に息子本人へと受け継がれていた。
大切な誰かを失っても、大切な何かを失っても。
人はまた歩き出す事は出来るのだという事を、最後にこの子から教わる事になった。
ξ゚ー゚)ξ「偉いぞ? お父さんは、いつもあそこから君を見守ってるからね」
言いながら天高く指差した先の空模様は、今のツンの心中同様、実に晴れ晴れとしたものだった。
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( ^ω^)「お〜い、置いてくお〜?」
いつの間にか支度を終えて出てきていたブーン達が、村の入り口辺りで声をかけていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「っと……こうしちゃいられない、私、行くね!」
すぐさま支度を整えなければならない。
走っていった先でツンを待つのは彼ら、冒険者達の姿。
初めての出会いは突然だったが、こうして共に冒険へと連れ立つのもまた突然だった。
自分達に限らず出会いはいつだって突然で、これからの旅先でどんな人物に会うかも解らない。
ツン一人で長期的な旅を続け、その道すがらで誰かの助けになるなどとは困難な話だが、
それも彼らと一緒に行動するならば、可能となるような気がしていた。
気の置けない仲間に────そして、長い付き合いになりそうだとも。
───────────────
──────────
─────
-
( ^ω^)ヴィップワースのようです
第4話
「正しき怒りと、切なる慈悲と」
(後編)
―了―
-
途中、投下間隔が空いたりしたのをまず反省。
それと後編だけでこれまでで最長になったのも、なんか文章をうまくまとめ切れないからか
あまりに冗長になりすぎて、お察しな感が否めない。
これを反省材料として、今後はテンポの良さを意識しまっさ
-
乙
-
乙
いいねぇ
-
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「月を抱く獣」
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─────大陸のとある場所、ある森にて─────
(;゚д゚ )「ハァッ……ハァッ……」
男は両の拳を血で染め上げ、眼下に横たわる巨大な狼に視線を奪われていた。
一撃で致命傷に及ぶでであろうその狼の牙や爪から繰り出される脅威を、幾度となく回避した。
そして幾度となく己の持ち得る最高の技を叩きつけ、ついにはこの狼を倒す事が出来たのだ。
手に何も武器を持つ事なく、徒手空拳のみだ。
並の人間が知れば、驚嘆を露にする出来事であろうが、ただ一点を己の肉体のみに絞り、
たゆまぬ鍛錬によって磨き上げられてきた彼の肉体と精神、技こそがそれを可能にした。
山から山へと旅歩き、ある日その山中深くで彼と狼は対峙したのだ。
─────今宵は、満月だった。
月には魔が潜むと言われてはいるが、その魔がもっとも活発となるとされるのが、今日の月だ。
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いつか、誰かが言った”山の守神”と呼ばれた、大いなる獣。
それは今日という日にだけ山へと現れ、いつものように夜空に浮かぶこの月へと遠吠えするはずだった。
それが彼という男を見つけ、獲物として見定めてしまったばかりに、今、息絶えようとしている。
獣の名は”ムーンロア”
20年以上を生きながらえ、山のふもとの村人にも恐れられていた狼だった。
これまで討伐に向かってきた誰しもが生きて戻る事は適わず、そのあまりの強さに、
もはや魔力すら秘めた獣なのではないかと噂されていた。
そして────確かに獣の眼は、魔的な魅力を秘めた瞳をしていた。
どこか吸い込まれそうになるような、そんな恐ろしい力を感じる。
(;゚д゚ )「よく……勝った……俺は、よく生き残った……」
肩で息をしながら、後から後から溢れ出て来る冷や汗をせき止めようと、自分を鼓舞する。
正しく本心だった。
-
一撃で意識を断絶され、そして恐らくは一撃で四肢を持っていかれていたであろう、獣の爪牙。
それらから実にかすり傷程度で勝利を収める事が出来たのは、神に祈っても足らないぐらいの奇跡だと思えた。
だが────そんな事を考えながらも、なぜか獣の瞳から眼を逸らせずにいた。
もうすぐ閉じられようとしている、その虚ろな瞳。
その中には自分の姿と重なって、その背後に浮かぶ満月が映っているのが見て取れた。
─────不意に、この獣に対して哀れみを覚える。
誰に頼るでもなく、たった一匹で今まで生きてきた”獣”
とても強く、とても気高く。
とても孤高な存在だった。
その姿が何かに似ていると思い、それが自分自身なのだという事にすぐに思い至ると、
何故だか少しだけ笑みが零れた。
(;゚д゚ )「ふふ……俺も、同じかも知れんな」
-
孤高に生き、そして孤高に果ててゆく。
それが、今歩む自分自身の生き方なのだ。
─────自分とこの狼は、似た物同志。
それゆえ哀れみを覚えて、瞳を逸らす事が出来ないのかも知れない。
尚も血が滴る両手を左右に、じっとその場で立ち尽くしていた。
(;゚д゚ )「いつの間にか、俺も人としての道から外れ───お前と似たような道を歩んできた」
(ドクン)
その時、胸が大きく高鳴った気がした。
思わず手で確かめてから視線を戻すと、狼の瞳は、大きく見開かれていた。
それに────心なしか先ほどよりも近くに自分を映し出しているかのように感じた。
-
(;゚д゚ )「俺もいつか、獣のようになってしまうのかもな」
そう言って、自嘲気味に笑みを零す。
だが、仮にそうであっても悔いなどないだけの人生を送ってはずだ。
いや─────一つだけあったか。
(;゚д゚ )(あるいは自分でも気付かない内に、他人から映る自分はもはや獣と同じなのかも知れん)
それでもまだ、人としての悔いは残っている。
あの時の選択が、彼女を突き放した事への後悔が。
そんな気持ちがまだ自分の中にあった事に安心し、ふっと笑みを漏らした。
先ほど大きく見開かれようとしていた獣の瞳は、最後に満月を焼き付けておきたかったのだろうか。
今ではもう完全に閉じられようと、薄く閉じたり、開いたりされている。
そこでようやく血で染め上げられた両手をだらりと投げ出し、彼もまた背後の月を仰ぎ見た。
やはり、これには魔力が秘められているのではないか。
狼の瞳同様に吸い込まれそうになった景色に、そんな事を思い浮かべる。
-
(ドクン)
( ゚д゚ )「………?」
再び、大きく自分の心臓が高鳴った。
解せない、とばかりに自分の胸を触りながら、感触を確かめる。
だが、やはり何の変化も感じられないのだ。
自分の身に起きている異変に関して何も答えを掴み取る事が出来ないまま、
この静かな山中深くでは、彼と、獣と、月だけの────ただただ不思議に時間が流れていた。
「獣はもう息絶えただろうか」
ふと、そんな事を考えながら何気なく振り向いた時、再び心臓が高鳴った。
先ほど閉じかけられていた獣の瞳が─────自分に向けて、また大きく見開かれているのだ。
-
( ゚д゚ )「………」
その瞳が映し出すのは、この自分自身の姿。
いや─────違う。
よくよく見てみればそこに映っていた顔は、先ほどから倒れているはずの狼のものだったかも知れない。
定かではないが、そんなような気もする。
違ったような気もするが、やはり解せない。
また月を見る。
(ドクン)
心臓が高鳴った。
(ドクン)
-
また獣の瞳を見た。そこには自分が?映っている。
(ドクン)
解せない。
( д )(これは……錯覚か?)
その時頭をよぎったのは、あの言葉。
”満月─────今宵の月には、魔力が秘められている”
-
( д )(山を………下りよう)
もう、獣の瞳を見ている事は出来なかった。
最後に見たその瞳が、閉じていたかも開いていたかも解らない。
ただ、そこに映し出されていたのが狼だった事は覚えている────いや、違う。自分自身の筈だ。
月はやはり、吸い込まれそうなほどに丸く、綺麗だった。
-
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「月を抱く獣」
―了―
-
資料作りの合間の息抜きで幕間投下したとこで、次回は5話頑張ります!
-
お疲れです!
楽しみだ!
-
長丁場の投下お疲れ、今回も面白かったよ
全然蛇足なんかじゃなかったと思った
この先の展開楽しみ、(´・ω・`)の復活が嬉しい
モララーを倒す迄は完全復活ではないけど
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はやくクーが合流したとこみたいなー
乙
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乙乙
クーゲルシュライバーで笑ってしまうwwww
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乙
一件落着して次は何かなーとかwktkしてたらミルナに変なフラグが立っとる…
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>>762-765
次回はクーが出てくる「薬草取りの依頼」です。
今回も短編のつもりが思いがけず自分的にわりと長編になってしまったので、多分次も……
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よぅし、書き溜めが10kbしかないぞ。
今日の内に頑張って投下を目標に……ちと原作やってこよ。
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ペロッ……これはそっちに夢中になって結局投下できなくなるフラグ!
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ヴィップ南西部一帯を覆い包む、広大な森があった。
肥沃な大地に恵まれ、数多くの動植物が生息する”カタンの森”は、
その土地の周辺に住まう人々に様々な恩恵をもたらすものだった。
だが───────時を遡ること、2年前。
「天から落ちてくる星を見た」
森の周辺の住人は、口々にそう呟いたという。
その夜、人々に恩恵をもたらす森は火事となり、赤く燃え広がった。
周辺の人々はすぐに総出でその消化にあたったが、森に残された傷跡は深いものだった。
魔術師学連などから調査員も派遣され、この森に火災が起きた原因も、日が経つにつれ見えてきた。
2年前に空から落ちてきたのは、ようやく”隕石”として断定された。
それが地上へ墜落した時に出来たものか、地表には巨大な衝突地形を形作っていたという。
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それが地上へ墜落した時に出来たものか、地表には巨大な衝突地形を形作っていたという。
だが、今や自然はわずか2年という歳月の間に、人々も驚くほどの回復力で瞬く間に緑を取り戻しつつある。
見た目には以前と変わらぬ森だが、少しずつ、少しずつ異変の兆候は起こり始めていた。
魔術師学連らの報告によれば、衝突地形の中心部には、僅かだけ残された隕石の破片があった。
そしてその鉱物の全体には、”小さな苔のようなもの”がびっしりと覆っていたという事だ────
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ブーン一向がアルバの村から戻って、三日ほどの月日が流れた。
高額な報酬を得たばかりで、しばらく全員の旅の資金には困らないだろう。
皆の疲れも癒えた今、そろそろ次の旅に出てもよい頃だ。
( ^ω^)「マスター!鳥腿炒め、もう一丁追加だお!」
爪'ー`)y-「親父よぉ、緋桜とかさ……たまに良い酒はねぇのか?」
今日も、”失われた楽園亭”には騒がしい二人の声が響き渡る。
忙しそうにしているマスターは、そのやかましさに時折頭に青筋を立てぴくぴくさせているが。
騎士団からの依頼、不死者の討伐を終えた彼らは旅先でまた新たな仲間を引き連れて戻ってきた。
数日前にこの宿を騒がせた渦中にある人物である、マスターも見覚えのある彼女を。
(´・ω・`)「さて、僕は少し二階で読書でもしてこようかな」
ξ゚⊿゚)ξ「あの、マスター。すいません……騒がしくして」
ツン=デ=レイン。荒々しい男達の姿も多いこの盛り場にあって、彼女の存在は紅一点だ。
ふわりと巻き上げられた金髪に、清楚さをたたえる白の修道服。
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彼らと共に旅歩く事を機に、捲らずとも歩けるようにと裾の丈は少しだけ詰めているが、
その清潔感には何ら代わりがなく、かわりに健康的な活発さも見られる。
彼女の容姿に惹かれてか、話し掛けてきたりする者も後を立たず、客引きにも貢献しつつある。
(’e’)「あぁ、いいんだいいんだ……ツンちゃんのせいじゃあねぇからな」
( ^ω^)「マスター?鳥腿……」
(’e’)「だがブーンにフォックス。こやかましいてめーらは駄目だ、少しは他の二人を見習いな」
爪'ー`)y-「そんな事言ったって、ここは酒を飲ます所じゃねーか」
(’e’)「俺はここを一人でふらっと訪れた冒険者が、卓で一人静かにグラスを傾ける―──そんな店を目指してるんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「それはお父さんの昔の夢でしょ? ───今この現状じゃ、もう無理じゃない」
と、横から姿を現したのはマスターの娘であり、また、この楽園亭の看板娘でもあるデレだ。
アルバの村から戻って来た際再びこの宿を訪れたツンは、デレと初めて挨拶を交わしたが、
名前に共通点があるという事から話が膨らみ、少しずつ親交を深めていた。
元々誰に対しても愛想の良いデレと、同姓に対しては気を使うタイプのツンだからか。
今では気の合う友人の一人になりつつあるようだ。
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ξ゚⊿゚)ξ「おかえり、買出し終わったの?デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「あ……ツン!うん、今日はね、ちょっと遠くの市場まで足を伸ばしたんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。何か良い収穫はあった?」
ζ(゚ー゚*ζ「鮮魚が安かったんだ〜、だから今日は魚料理がオススメだよ?」
ξ^ー^)ξ「解った、夕食楽しみにしてる」
2階の寝室、窓際で飽くなき知識の研究に余念が無いショボンは、階下から伝わってくる
彼らの賑やかな声にふぅと鼻を鳴らしつつ、読書に集中しきれないで居た。
だが、そんな彼らとマスター達とのやりとりが大声で聞こえてくる度、笑みが零れる。
窓の外の眼下でヴィップの街中を歩く人たちの姿を眺めながら、ふと思った。
(´・ω・`)(自由の風に吹かれてというのも、案外悪くないものだね)
「早く、本当の自由に────」
ぽつりとそんな欲求が湧き出ては、また次の冒険への意欲も駆り立てられる。
-
趣味や目的も違えど、なぜだか気の合う仲間たち一緒にいるのは、全員ともが苦には感じなかった。
彼らはきっと意識した事もないだろう。
幾度もの物語を経て、パーティーを結成したばかりの彼らブーン一行の絆。
漆黒の闇の中でこそ試されるその光が、輝きを強めていく為の道程は、まだこれからなのだ。
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( ^ω^)ヴィップワースのようです
第5話
「静寂の深緑」
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川 ゚ -゚)「………」
交易都市ヴィップの街中を颯爽と歩くのは、小剣をぶら下げるしなやかな細身の女性。
この界隈ではそれなりには顔の知られた冒険者、”クー=ルクレール”
そこいらの街娘が束になっても適わない彼女の美貌はそのままに、
街中を練り歩く彼女の表情には、陰りが見られた。
だが、それも当然といえば当然か。
完遂した依頼の裏に隠された真実を知る自分達を狙い、暗殺者の襲撃に遭ったばかり。
その最中で旅を共にした仲間とは離れ離れになり、街中を駆けずり回ったにも関わらず、今も行方知れず。
何より、彼女の目の前であっさりと人が人を殺す光景を、目の当たりにしてしまった。
初めて見る訳などではないが、やはり慣れたいなどとは思わないものだ。
-
男の手口はあまりに手馴れ、そしてそこに何の感情も残さないものだった。
なぜ人はあんな事を出来るのだろうか、結果として自分を助けたのはその男だったが、
それでも有難い事だなどとは到底思わない。
”他人など、やはり信用できるものではない”
幼少の頃植えつけられた心の傷跡は、次第に周囲への疑念として、いつしか自らの心の中で強まっていた。
一応は旅の相棒であった”ギコ=ブレーメン”を探す為、あの後彼女はヴィップ各地で聞き込みを行った。
だが、どうしても行方は知れなかった彼の無事を、今は彼女自身、案じる事しか出来ないのだ。
剣技に関してはどがつく素人だったが、そう簡単に死にそうな男ではなかったと、言い聞かせた。
そうして、彼女はいつもの宿へと戻って来た。
”失われた楽園亭”だ。
この間は何事かの騒動に巻き込まれて店を閉めていたが、今日はいつも通り沢山の人の姿に溢れていた。
店の中央で卓を囲んでいた客の中には、いつもは見ない顔が4人。
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ξ゚⊿゚)ξ「そっかぁ、デレはまだヴィップから出た事ないんだ」
異彩を放つのは、修道服を纏う金髪の女性だった。
デレと仲むつまじく話しているが、「なぜこんな所に修道女が?」という疑問が掠める。
「よぉフォックス! …どうだ、今日も賭けカードとしゃれこまねぇか」
爪'ー`)y-「あぁ?またかよ……10戦10敗だってのに、お前さんも懲りないねぇ」
銀の長髪を後ろに結んだ、粗野で軽薄そうな男とも面識がない。
一見すると盗賊風の男だが、本職の彼らと比べてはまるっきり隙だらけに思える。
(´・ω・`)「そうだね。僕も魔術というものに関して造詣は深い方だと思っていたが、
君の今の発言は、案外その真理へと踏み込んだものかも知れないな」
「わはは!冗談が過ぎらぁ、お前さんはよぉっ」
物静かで落ち着いた物腰の魔術師風の男は、知的なジョークを用いて自分とは対照的に粗野で荒々しい
冒険者の人間達を笑わせていた。数日前にどこかの街で目にした顔のような気がするが、思い出せない。
-
(;^ω^)「げふぅっ……食べ過ぎて、もう動けないお」
最後に気になったのは、同じ席に着くその三人が外側の卓へ声をかけているのをよそに、
大量の食事を終えて、にやにやと満面の笑みをその顔に貼り付けている、少し体格の良い男だ。
薄汚れた格好をしているが、背に収めた剣は年季の入りようを思わせた。
ζ(゚ー゚*ζ「あっ……クー!この間はどうしてたの?」
川 ゚ -゚)「なに……ちょっとな」
ξ゚⊿゚)ξ「………?」
冒険者同士でパーティーが結成されたのなら、ましてやこのヴィップでクーが知らない訳はなかった。
だが、たまたま偶然が重なって行き違った一人と四人は、これまで面識がなかったのだ。
デレに対して少しそっけない態度で彼らの卓の横を通り過ぎると、クーは一直線にカウンターへと向かう。
一番端に腰掛けて足を組むと、手振りだけで注文。慣れ親しんだマスターは、彼女の好みも熟知しているのだ。
手練の動作でグラスに乳白色の液体を注ぐと、それを差し出すと共に切り出した。
-
(’e’)「よう………デレが心配してたぞ。なんかあったんじゃないかって、な」
川 ゚ -゚)「話すと少し長くなる。また別の機会にしよう」
「それより」と前置きし、背中越しに彼らが座る卓の方へ一瞥して尋ねた。
川 ゚ -゚)「見ない顔だな、あの4人」
「……あぁ、あいつらな」
皿を荒いながら、一瞬間の抜けた表情をしたマスターが、手を拭いながら答えてくれた。
(’e’)「例のホラ……こないだ話した馬鹿があそこの二人。その仲間が、あの二人さ」
あぁ────忘れていたと、思わず手を叩いて納得した。
例の騎士団につっかかっていった、後先の事を考えない馬鹿な冒険者。
お陰でこの店もまた三日間も営業を差し止められる憂き目にあったのだった。
その事をクーがマスターに指摘するも、彼はさほど気にした風な口ぶりではなかった。
(’e’)「そう気にしちゃあいねぇさ。あれでなかなか悪い奴らじゃない」
-
川 ゚ -゚)「………ふん」
横目で彼らの騒がしい様子を気にかけながら、鼻を鳴らした。
爪'ー`)y-「なぁ、デレちゃん……俺にもお酌してくれ」
ζ(゚ペ*ζ「お尻を撫で回すような人には、二度としてあげません」
爪;'ー`)y-「すまねぇ、ありゃ事故なんだ……人生最高に飲みが過ぎて、それで……」
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ……あんたって、そんな不潔な事する人だったんだ。最低ね」
爪;'ー`)y-「そう言われると、心に来るものがあるぜ……おいブーン、何とか言ってやってくれ」
( ^ω^)「しつこい男はもっと嫌われるお?」
(´・ω・`)「違いない」
談笑をする彼らは、明るく能天気な日々を過ごしたいだけなのだろう。
ただ中身の無い冒険を繰り返し、自由を謳歌出来ればそれで─────
-
時として大きな名声をもたらす職業であるだけに、目指す者は数知れず。
それでも、確たる目的や志を持たない者、蛮勇を振りかざして無謀を重ねる者など、すぐに消えていく。
もう随分といい歳の冒険者の中には、生活の糧と割り切っているものばかりだ。
彼らは自分達の身の丈を知り、引き際というものの線引きをしっかりと心得ている。
豊富な知識や経験、まだまだ自分などでは到達できない域に立つ者が多い。
だが、若く己の実力を過信する冒険者は、単なるパーティーのお荷物でしかない。
中途半端な気持ちで冒険へ勇み出るのはいいが、そういった彼らは周りを巻き込む。
だからこそ、”仲良しごっこ”のパーティーというものを、クー自身は拒んでいた。
場合によっては同じ依頼に飛びついた者を同行者として伴うが、互いに深入りはしない。
依頼を終えればそこで協力関係は終了。
そして信じるのは、自分だけ。
その彼女の姿には───いつか共に旅歩いた、一人の男が影として重なっている。
孤高の彼を探して、それを心のどこかで目標として、冒険者としてのクーは形作られている。
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川 ゚ -゚)「……どうでもいいさ」
そんな彼女だから、群れたがる冒険者達を好ましく思わなかった。
これまでずっと一人でやってきた彼女は、恐らくこれから先も自分の旅を誰かに委ねる事はないだろう。
しかし、なぜだかその彼らの姿に、様々な出来事が乖離しては上手く行かない自分の境遇とを重ねて、対比してしまう。
(’e’)「………なぁ」
普段から感情を面に出す事の少ないクーだが、彼女の態度から浮かない部分を察して、マスターが優しく声を掛けた。
(’e’)「ちっと人里を離れて、たまには雄大な大自然にでも囲まれてきちゃどうだい」
川 ゚ -゚)「?」
(’e’)「これさ」
取り出した一枚の依頼状を、マスターはクーへと手渡す。
それにざっと目を通してみると、内容は実に簡単なものだった。
”カタンの森”から採れる高級な薬草。
それがこのところ、依頼主が営む薬草屋の元へ届かないという。
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クーの記憶によれば2年前に大規模な火事が起こった森だったが、
今ではすっかり元の森の姿を取り戻しているらしい。
”薬草の採取”と、調査のために同行する”依頼者の護衛”が依頼内容だった。
もっとも、森の中での脅威と言ったら猛獣や、低級妖魔の類ぐらいのものだろうが。
川 ゚ -゚)「なぜ、私にこれを?」
(’e’)「なぁに、ずっと街に居たら息が詰まっちまうだろ。たまには緑に囲まれて新鮮な空気を吸ってきなよ」
川 ゚ -゚)(報酬50sp+出来高払い……ねぇ)
報酬額の心もとなさにしばし考え込むクーの元に、一人の少女が現れた。
从'ー'从「もしかして……依頼を受けてくれる冒険者の方ですか?」
川 ゚ -゚)「?」
気付けば、可憐でしとやかな一人の少女が、カウンターに掛けるクーの横に立っている。
-
从'ー'从「あっ……初めまして、私……”サン=ワタナベ”って言います」
それを聞いて手元の依頼状の文末に目を落とすと、彼女が名乗ったのはそこにある依頼人の名だ。
珍しい名から、彼女がヒノモトの出身であろうという事を悟る。
その彼女の顔を見て、マスターは「あぁ」と思い出したように紹介してくれた。
(’e’)「昨日からウチの店に泊り込みで同行者を探しに来てるのよ。依頼者のお嬢さんだ」
川 ゚ -゚)「そうだったか。しかし……まだ決めるとは───」
そう言おうとしたクーの言葉を遮り、彼女は深々とお辞儀をしていた。
再び顔を上げた時には満面の笑みを覗かせ、白い歯を見せながらまくし立てる。
从'ー'从「ありがとうございますっ! ……私、冒険者って粗野な男の人だとばかり思ってたから、
こんな綺麗で格好良い女性の方が同行してくれるなんて……嬉しいです」
この娘は何を言っているのだろう、と思いながら聞いていたクーだが、
最後の方の言葉に少しばかり頬を赤らめ、気を良くしてしまう。
川 ゚ -゚)「…なっ」
川*゚ -゚)「そ、そんな事もないがな……」
-
从'ー'从「………それで。申し訳ないんですが、出来るだけ人数が多い方がいいんです」
川 ゚ -゚)「だから、まだ受けるとは──」
从'ー'从「でもでも! ……沢山薬草を持って帰って来られれば、それだけ報酬も多くお支払い出来るんです。
だからあと4人ぐらい募集してから、カタンの森に向かいたいんですけど……」
川;゚ -゚)(………この娘)
このワタナベという少女はわざとはぐらかしているのか、それとも天然で人の話を聞かないタイプなのか。
会話の主導権を掴ませず、ひらりひらりと避けているという印象をクーに与えた。
从'ー'从「………」
クーが「依頼を受ける」、と折れるまで言葉を覆い被せようというのか、ワタナベは彼女の
次の言葉を、じぃっと上目遣いで瞳を覗き込みながら待っているようだった。
だが、そこへクーにとっていらぬ気を回したのがマスターだ。
(’e’)「4人か……なら、丁度いいのが居るぜ」
从'ー'从「本当ですか?」
-
「おぉい、ブーン!」
それぞれに卓で盛り上がる面々に向けて、マスターが声を掛ける。
その声に振り向いたのは、先ほどクーが一瞥くれた冒険者達だ。
( ^ω^)「?」
川;゚ -゚)「お……おい」
席を立つとてくてくとこちらへと歩いてくる男から視線を背けながら、マスターに小声で訴える。
御免だ。あんな連中と組まされるくらいなら、依頼は受けない。
从'ー'从「………?」
しかし、小悪魔のような少女はそんな狼狽するクーの様子に一度だけ首を傾げると、
にこやかな笑みを向けて、投げかけようとしたその言葉を思いとどまらせた。
( ^ω^)「何かお?マスター」
(’e’)「お前さんがたもそろそろサボってないで、依頼にでも行ってきな」
川;゚ -゚)(………)
気が向かないのに、なし崩し的にマスターやこの依頼者の娘に乗せられてしまっている。
静かににこにこと依頼状を読む男の方から「ふむふむ」などと声が聞こえた。
-
一人当たり50sp+歩合ならば、人数の多いパーティーならば悪い話ではないだろう。
だが、クーにとってはこんな能天気な新顔の冒険者達と組むのはやはり我慢ならない。
( ^ω^)「”カタンの森”……どんな所かは知らないけど、行ってもいいお?」
从^ー^从「ありがとうございますっ!」
(’e’)「んで……今回の依頼に同行するのがこのクー────」
川;゚ -゚)「勝手に決めてくれるな! ……私は行かないからな」
从'ー'从「えっ?」
川 ゚ -゚)「えっ」
マスターがブーンらにクーを紹介しようとしたところで、彼女の言葉に沈黙が流れる。
やがて、ワタナベという少女は泣き出しそうな表情を浮かべながら行った。
从' -'从「依頼……受けてくれるんじゃなかったんですか……?」
川;゚ -゚)「いや、だからまだ一言も受けるとは……」
( ^ω^)「おっおっ。依頼ならブーン達が引き受けるから、安心してくれお」
(’e’)「そうしてやんな。実家の薬草屋は今回の件で結構な痛手らしいからな」
-
从'ー'从「ありがとうございます。……でも、あとお一人くらいの手が欲しいんです」
そう言って、ちらりと視線を向けた方向にはクーの顔。
意識的にそれから目を逸らしたが、構わずブーンがワタナベをたしなめる。
( ^ω^)「依頼に対して自信が無かったり、体調が悪かったりする事だってあるお。
ブーン達は4人のパーティーだけどお、人見知りの人は入りづらいかも知れないお」
川#゚ -゚)ブチンッ
从'ー'从「はぁ……そんなもんでしょうか」
「自信が無いだの、人見知りだの?」
それは、15の時から5年も冒険を重ねてきた自分に対して向けられた言葉か。
このヴィップに居ついてさほど日も浅いであろう新参風情のその言葉に、クーは瞬時に血が昇った。
ついぞ口から飛び出した言葉は、酒盛りしてる全員の視線を集めるのに十分な声量だった。
-
川#゚ -゚)「私は一向に構わんッ!!」
(;^ω^)ビクゥッ
从'ー'从「……じゃあ、決まりですね?」
川#゚ -゚)「あぁ、どこぞのあほ面を引っさげた冒険者気取りよりかは、お役に立ってやるさ!」
そう言いながら振り返ったクーの顔には怒りの色が浮かんでおり、その鬼の形相にブーンは気圧された。
それと同時に、恐らくは自分に向けられているその怒りの理由に考えあぐねるばかりだ。
(;^ω^)(な、なんでこの人怒ってるんだお……?)
(’e’)「まぁ、仲良くやんな。気張らないようにな、クー」
从'ー'从「よろしくお願いしますっ」
川 ゚ -゚)「………あぁ」
大見得を切った手前、一度出した言葉をひっこめる訳にもいかない。
後悔の念が押し寄せてくる中、グラスを満たす乳白色の液体を一気に飲み干す。
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音を立ててカウンターにグラスを叩き付け、余計なおせっかいをしたマスターを睨むが、
静かな笑みをたたえながら、洗い終えた皿を拭いているばかりだ。
(’e’)「お天道さんの下で、ゆっくり羽根でも伸ばしてきたらいいさ」
川 ゚ -゚)(はぁ………)
「やはりこの世はうまくいかぬ事ばかりだ」
クーは己の不運を嘆いては────呪った。
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────【カタンの森 道中】────
それから二日と半日、サン=ワタナベという少女の案内の下、冒険者達はカタンの森を目指し歩いていた。
「ブーン=フリオニールだお」
「クー=ルクレールだ」
最初から必要以上に多くを語らないクーに対し、ブーンらはこれまでの道中もどこかぎこちなさを感じていた。
冒険者としては珍しく女性である彼女に歩み寄ろうとしたツンも、そっけなく突き放される。
ξ゚⊿゚)ξ「あの、クー……さん?」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「女性の冒険者って、珍しいよね?」
川 ゚ -゚)「そんなに物珍しいか、私が」
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、そういう意味じゃなくて……」
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川 ゚ -゚)「私には、お前の方がよほど珍しく見えるがな」
下から上までツンの服装をなめ上げてから指差したのは、ツンの衣服。
少しばかり丈を畳んだとは言え、おおよそ冒険をするに相応しいとは言いがたい、動きづらい修道服だ。
ξ゚⊿゚)ξ「……これは」
川 ゚ -゚)「そんな服装で森を探索できるというのか、甚だ疑問だな」
ξ゚⊿゚)ξ「っ………!」
外敵より自分の命を守る術を知らないツンは、この中でただ一人一般人の様な存在だ。
だが、その彼女を守るという使命をフィレンクトより課せられた3人が居てくれる。
その甘えがあったのかも知れないが、それでもツンにとっては────
(´・ω・`)「彼女にとっては、それが正装なんだ」
川 ゚ -゚)「?」
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ξ-⊿-)ξ(………ふぅ)
少しばかりかっとなって言い返してしまいそうになっていたツンだったが、
それを見越してか合間に割って入ったショボンの一言に救われ、気は紛れた。
爪'ー`)y-「なぁ、そうつんけんしなさんな」
川 ゚ -゚)「………」
爪'ー`)y-「お互い、今回は仕事仲間なんだ。仲良くやろうぜ」
いつの間にか隣を歩いていたフォックスが、クーに声を掛ける。
端麗ではあるが、軽薄さを醸し出してしまう彼の容姿が気に食わなかったのか。
川 ゚ -゚)「気安い」
爪'ー`)y-「へ?」
川 ゚ -゚)「私は、お前のような手合いは好きじゃない」
爪;'ー`)y-「たはは……手厳しい事で」
あるいは単に虫の居所が悪かっただけなのかも知れないが、彼もまた冷たくあしらわれた。
また、彼女に対して気を回そうとする面々をはっきりと拒絶するように、言い放つ。
-
川 ゚ -゚)「私とお前達とは仕事仲間。それ以上でも、それ以下でも無い」
(´・ω・`)「………」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
爪'ー`)y-(けっ)
間合いに気をつけろ、そういった意味合いの言葉を彼らに掛けた。
ワタナベのすぐ後ろを歩くブーンは、時折背後でのそのやり取りを気にかけて振り向く。
( ^ω^)「………」
从'ー'从(あの、ブーンさん)
( ^ω^)「?」
从'ー'从(何だか、雰囲気悪くないですか? ……私、ちょっと責任を感じてしまって)
少し強引な態度でクーに依頼を受けさせた彼女にも、冒険者同士の空気が伝わったのだろうか。
一抹の責任を感じて、ブーンへと耳打ちする。
-
( ^ω^)「君が気にする事じゃないお………大丈夫、きっとその内仲良く慣れるお」
从'ー'从(そう……だといいんですけど)
ブーン自身にとっても、こうあって欲しいと願っての言葉。
共に旅を歩く以上、誰であろうとその仲間の事を少しずつでも知っていきたい。
経験においては自分達よりも勝るであろうクーだが、有事の際に自分達の事を
信頼してくれないようでは、対処できるものも出来なくなってしまう。
今は頑なに自分以外を拒絶するような彼女だが、帰りの道程の時には互いに笑い会えるような───
そうあれば良いという、ブーンによる希望的な観測だ。
从'ー'从「あっ───見えて来ましたよ」
( ^ω^)「おっおっ、着いたのかお?」
なだらかな上り坂の頂点を折り返すと、眼下には広く深い森が姿を現した。
聞いていた話では2年前に一度延焼してしまったという事だが、見る限りでは緑深く、
そんな事があったとは思わせない程の自然が群生している。
この分なら、野生の動物なども多く生息しているだろう。
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从'ー'从「森の近くに私の叔父の山小屋があるんです。まずはそこで休みませんか?」
ξ゚⊿゚)ξ「賛成……ちょっと、疲れちゃった」
───────────────
──────────
─────
-
─────【カタンの森前 山小屋】─────
从'ー'从「こんにちは」
「おぉ、サン!」
入るなり、久しぶりに出会う姪っ子の姿に喜びを露にするのは、彼女の叔父だ。
ぞろぞろと続いてくるブーン達冒険者の姿には驚いたようだったが。
( ^ω^)「お邪魔しますお」
「あんたたちは………?」
从'ー'从「叔父さん。私達、カタンの森の薬草を採りに来たんです」
彼女がそう告げると、「そうかそうか」と言いながら全員を奥へと招き入れてくれた。
全員が用意されていた椅子へと腰掛けると、空いていた一脚へ彼もまた腰を下ろす。
-
「折角ここまで来たのにこんな事は言いたくないんだが……止した方がいい」
从'ー'从「え?」
その彼が姪へと告げたのは、意外な一言だった。
これまでの道中の労を労って「気をつけてな」と、心配の言葉でも掛けてから
送り出してくれるものだとばかり思っていたワタナベと同様に、冒険者らも一寸顔をしかめる。
「ここ数ヶ月、森に入った人間が立て続けに失踪してるんだ……あの森には、行かない方がいい」
( ^ω^)「………どういう、事ですかお?」
そう尋ねるブーンに対し、叔父はぽつりぽつり、神妙な面持ちで語ってくれた。
聞けば、あの森には今何らかの異変が起きているというのだ。
”森に入って失踪する”などといった事は、普通でもそう珍しい事ではない。
同じような景色ばかりが続く森の中で帰り道を見失い、遭難して彷徨う者は各地でいるだろう。
だが、その遭難者がここ数ヶ月、群を抜いてこの森で頻発しているというのだ。
例年と比べても、それは異様なほどの数だという。
-
爪'ー`)y-「何か獣でも住み着いたんじゃねえか?」
「それは、森周辺に住む我々も考えたよ……」
実際に森の周辺の住人達の中から力のある者を選りすぐって、カタンの森内を捜索したのだという。
だが、野生動物が生息しているような痕跡は見られなかったらしい。
その数週間前には、魔術師学連の調査員達が再度この森を訪れている。
2年前に森へ墜落した隕石の調査を行っていた先遣隊、それからの伝書が途絶えた為に訪れたらしい。
(´・ω・`)「で───その調査員達とやらは?」
「………」
ショボンの問いかけに、ワタナベの叔父はゆっくりと首を左右に振った。
”見つからなかった”か”死んでいた”のどちらかであろうが、語る気力も無いと言った風だった。
恐らくは、この森周辺の住人達はそれに預かる恩恵によって暮らしている。
森へ立ち入る事が難しくなった事により、彼ら自身日々の生活にも頭を悩ましている事だろう。
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川 ゚ -゚)「やれやれ……では、依頼はどうなる?」
「わざわざ冒険者であるあんたらを雇ってここまで来たんだ……サンので足りない分は、私も出すよ」
从'ー'从「そんな……」
実家で薬草屋を営む彼女にとっては、実に痛烈な事実だ。
利益にも大きく関わってくるここの薬草を採れないのであれば、ここまで来た意味が無い。
大きく肩を落とす彼女の姿を冒険者達が見守る中、叔父が優しく声を掛けた。
「今夜一晩はウチに泊まって行ったらいい、勿論、冒険者さん達もな」
( ^ω^)「………お言葉に甘えさせてもらいますお」
気落ちする彼女には申し訳なかったが、どうやらそうするしかないらしい。
ブーン自身、森に生じている異変が果たしてどういうものなのか気にはなるが。
从'ー'从「すいませんでした……皆さん」
-
ξ゚⊿゚)ξ「気にしないで。危険な目に遭うかも知れないなら、しょうがないわよ」
叔父の話を聞く内、気落ちするワタナベには悪いが、森へは行かないという事に合意した。
今日一日はここに泊めてもらい、明日一番でヴィップへと発とう。
そう決めてからは、面々は荷物を下ろして思い思いの時間を過ごした。
その日の晩は─────ワタナベと、その叔父が作ってくれた取れたての山菜料理に舌鼓を打った。
───────────────
──────────
─────
早朝、ブーン達の寝静まる部屋の扉を叩く音があった。
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その音にいち早く気付いたのは、昨晩全員の中で誰よりも早く睡眠をとったブーンだ。
寝ぼけた眼を擦りながら扉の向こうに声を掛けると、どうやらワタナベだ。
( ^ω^)「ん……どうしたお?こんな朝早くに」
从'ー'从「すいません、だけど……どうしても頼みたい事があって」
( ^ω^)「………」
ブーンのものと比べてはとても小さなその顔は、真剣そのものだった。
この時、その頼みごとというものに対し、恐らくは───と察しがついていたのだが。
从'ー'从「私、やっぱりあの森に行ってみたいんです。お願いします……報酬はきちんと────」
( ^ω^)「やっぱり、そうかお」
从'ー'从「え?」
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( ^ω^)「実は、ブーン達も森で何が起きているのか気にはなっていたんだお。
だから、これはブーン達の為でもあるお」
从'ー'从「……っていう事は」
( ^ω^)「叔父さんには内緒にしておいた方がいいお。だけど、ブーン達には妖魔なんかから
身を守る術もある……だから、森の中での君の安全は保障させてもらうお」
从'ー'从「ありがとうございますっ!」
( ^ω^)「皆が起きたら、ブーンから話しておくお」
結局の所、己の知的好奇心と、肩を落とす薬草屋の少女の姿に流されてしまった。
クーがどう言うかは解らなかったが、再び日が昇ったらカタンの森へ行く事を決めたのだった。
この緑深き場所にあって────やがて朝を告げる鳥達の歌は、何故だか聞こえなかった。
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時間はあるのにノッてこない時期に入ったので、導入部だけ投下してまた次回。
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乙
待ってます。
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投下きてたああ今から読むよ
基本sageで投下されるから見落としてしまう
創作板にきてくれればなぁと思うけど、スレ埋まるまでは移住は特にしない感じなのかな
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スレ埋まったら移住しようかと思います
5話→幕間→6話後ぐらいかと。
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乙
隕石がらみで何が立ちはだかるかwktk
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>>楽に稼げるアルバイトの件。情報載せておきます(*・ω・)! http://tinyurl.k2i.me/Xxso
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気長に投下を待つんだな
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今回結構長いけど創作板でやるとか言わないよな…?
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どこ読んだんだよ…
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待ってるぞ
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急かしはしない 作者のペースでやってください
でもこの作品に逃亡されたら本当にショックだ
ゆっくりでいいから、待ってます
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嬉しい事言ってくれるぜ!
すいません、リアルに忙しいものでなかなか。
まだ逃亡する予定はないので、もうしばしお待ちを。
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トリップがない作者は本人じゃないかもしれない
ぬか喜びはしたくないから信用しないことにする
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まだっていずれ逃亡すりみたいな…
作者のペースで進めていいから逃亡だけはしないでください;;
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ソードワールド思い出すなぁ
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最初から酉付けてないんですが、作者です。
もう一ヶ月は経ってしまいましたが、昨日ようやく続きを書き始めて今8000字ぐらい。
恐らくあと12000字ちょいちょいぐらいで5話を投下しきれるかと思いますので、
気長〜に見たって下さい。
最速で書けても明後日はハードなセックスしてくる予定なんで、投下できないかも…
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