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1
:
ピーチ
:2012/10/06(土) 23:02:15 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
こんにちはでーす! ピーチでーす!
多分ファンタジー一色になるであろう短編小説を書こうと思いまーす
気が向いたら目を通してみてくださーい←
2
:
ピーチ
:2012/10/06(土) 23:16:24 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『アカイセカイ』
―――ここは、どこだろう。
何も見えない―――訂正。辺り一面が紅一色の世界。
空も家も草も地面も植物も人工物も。
そして―――人も。
「初めまして。そしてようこそ。………“チノセカイ”へ……」
唐突に、そんな声が聞こえた。可愛らしい、少女の声。
その声の主を探すため、俺は辺り一面を探し出した。
「あ……」
居た。ショートカットの、小さな女の子が。
でも。
「あれぇ? どうしたの、顔色悪いよ? ……あ、そうか。トウヤ君、まだあっちの人だなぁー……」
異常、だった。
頭ん中で、警鐘が鳴り響いている。早く逃げろ、と。
「ねぇ……早くこっちに来てよ。怖いモノなんてなくなるから、顔色なんて、伺う必要ないんだよ?」
逃げたくても、逃げられない。足が竦んで動けない。
その少女が、その小さな手に携えているもの。
「これで首を落としてー……あ、私の力を見くびんないでね? あくまでも子供の形(なり)をしてるってだけで、中身は正真正銘の地獄の番人なんだからさ?」
そう言った少女が、手に持っていたもの―――まるで墨を塗りたくったかのように真っ黒な鎌を振り上げた。
その後から、俺の記憶はない、はずなのに。
「―――これで、仲間が増えたね」
ニィっと嘲(わら)ったその少女の顔が、見えた気がした。
3
:
ピーチ
:2012/10/07(日) 00:59:03 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『お騒がせなお嬢様(プリンセス)』
―――これは、とある国の王宮の中での小さな(でも本人達からすればかなり大きな)騒ぎ。
「―――また姫が居ない!?」
「は、はい…その、少し目を離した隙に、」
「言い訳は良いから、早く探すんだ!」
+ + + + + +
「………ふぅ」
ここまで来れば、もう安心かな。
「…あ、」
まぁとりあえず、ここでいいか。
「―――レン・フランキシー、か」
「はい」
「爵位はなし…学歴はあるのか?」
……書類見れば分かんないかなぁ…。
まぁ、どっち道意味はないけど。
「はい一応。数回なら、家庭教師(ガヴァネス)の経験も」
「家庭教師か……何を専門に?」
げ……っ、それ考えてなかった!
「え、と…勉学を専門に…」
「採用」
…え?
「えぇぇぇぇぇ!?」
ちょ、ちょっと待って? いくら何でも決めるの速すぎない?
「俺はアレックだ。忘れるなよ。新米」
「……はい」
あ、自己紹介が遅れました。私はラナ・エーリアル。
……なんだけど。
「おいレン! ぼさぼさしてねぇで、さっさと仕事やれ!」
「分かりました! 今行きます!」
レン。それは、私が良く使ってる偽名。
主に、身分を偽って名前を変える時に。
「って言うか、何をすれば………っ!」
その時。
カツ、カツと言う、ヒール、もしくは男性が良く履いてる靴の音が聞こえてきた。
「………っ!」
やば、と思って、すぐにアレックの所に逃げ込む。
「へ?」
やっぱり、アレックもアレックで分かるわけないよね、うん。
仕方ない。しばらく、私の盾で居てくれ。
と、そこに。
「失礼します。プリンセス―――ラナ姫をご存知ありませんか?」
出たぁ…!
4
:
ピーチ
:2012/10/08(月) 21:04:03 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『お騒がせなお嬢様(プリンセス)②』
「ら、ラナ姫って、あのクラーク王の……?」
クラークって言うのは、この国を仕切ってる人であり、私のお父さん。
「はい。ただいま少々問題が生じまして。ご存知の通り、ラナ姫は……」
「あぁ…確か、脱走王女(プリンセス)って呼ばれてるんでしたっけ?」
「はい」
な、何よそのあだ名……!?
っと、いけないいけない!下手したらここに居るってことがバレ……
「レン、お前何か知らないか?」
…………へ?
「はあぁぁぁ!?」
「ん?」
やばっ!?
「い、いや! あたしはそんなこと…」
「―――ラナ姫。早急に王宮へとお戻り下さい」
………と、トムの奴……!
トムって言うのはこいつ、今私達の前に居る執事の名前。
トムってば、何かと言えば脱走した私を王宮に連れ戻すの。
…今みたいに。
「王もご心配なさっていました。“あぁ、また脱走したのか”と」
ぷちん。
「それは心配じゃなくて嘆くって言うのよ!執事ならそれくらい…」
―――あ…
…あの、意地の悪い執事がにやっと笑った気がするんだけど、気のせい?
「いいえ。気のせいでは御座いません。私(わたくし)は貴方の目の前に居(お)りますとも」
「居なくていいわよ―――!?」
……………結局、私はトムのせいで王宮に連れ戻されたの。
王宮って嫌いだなぁ、私。
だって、自由がないじゃない? 自分で好き勝手やることも出来ない。
「あ、お嬢様」
「…何よ」
「先程の方が、“姫に対してとんだ無礼をしてしまい、真に申し訳御座いません”と仰っていました」
「…そう」
別に、あれくらい何でもないのに……。
逆に、遠慮なくこき使って欲しかったくらいなのにぃ・・・。
「……あ」
いいこと、思いついた。
「―――ら、ラナ姫…?」
「先程は、身分を偽っていることを黙っており、真に申し訳御座いませんでした」
「い、いや! 私の方こそ、まさかラナ姫だなんて夢にも思わず、とんだご無礼をっ!」
……何で、皆こんなに硬いんだろう。
「いえ。そのお詫びと言ってはなんですが、宜しければ、これをと思いまして」
「………へ?」
私が手渡したのは、新しい作業服。
さっき、ちらっと見たんだ。アレックさんの作業着。
あんなにぼろぼろになるまで使ってたってことは、相当古いものなんじゃないかって思って。
「こ、こんな高価なものを、宜しいんですか!?」
「えぇ……え?」
これ、一番安いの選んだんだけど?
「ま、まぁ、宜しければお手元に置いて頂けると」
苦笑いしながら、しっかりとアレックさんの手に作業服を握らせると、そのままトムが待ってた所まで走り出す。
「お嬢様、この辺は大変足場が悪いので、どうかお気をつけ下さい」
「分かってるわよ。さぁ、さっさと帰りましょう?」
私の言葉に、トムがえ、と言うような顔をした。
「宜しいんですか?」
「うん。このままここに居続けると、その内はなれなくなるから。それに……」
今度は、ちゃんと許可もらってから行くもんね、町には。
そういったら、トムがやたらと優しい目を向けた。
「お嬢様も成長なさってくださり、真に嬉しゅう御座います…」
「何なのよその爺くさい言い方は!?」
………私こと、脱走王女(プリンセス)は、まだまだ懲りません!
5
:
ピーチ
:2012/10/11(木) 16:43:26 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『春先①』
―――私は、小さい頃からないものがあるらしい。
それは。
“感情”。
「おはよー」
「あ、ちょっと待ってよ!」
同級生の声なのか、あるいは違う学年の声なのか、それさえも分からない。
人間なんて信じない。
興味を持つべきものがあるなんて、到底思えない。
今までは、そうとしか思ってなかった。
「っ、わ……!」
いきなり、後ろから走ってきた人とぶつかった。
そのせいで危(あや)うく、借りたばかりの本を取り落としそうになった。
でも、こう言うのは慣れてる。どうせ、ただの嫌がらせに……。
「悪い! 大丈夫か!?」
「―――え?」
なに……今の本気で慌てたような声。
まるで、本気で言ってるみたいに聞こえた。
ネームの色が青ってことは、多分三年か…。
「あ、大丈夫? マジ悪い。今ちょっと急いでたから…」
「…別に、気にする程のことじゃありませんから」
そういいながら、私はさっさと歩いていった。
―――驚いた? 感情のない、私が?
“感情ってね、一杯あるの。例えば―――”
「……おどろ、き…」
その他には、喜び、悲しみ、憂い、怒(いか)り、痛みなんかも、感情だって、言ってた。
「…気のせいか、もしくは気紛(まぐ)れか…」
やっぱり、私に人を信じろなんて到底無理な話。
そう、思ってたのに。
「………………」
「あ、やっぱこのクラスに居た」
「何ですか? 貴方三年でしょう!?」
何なんだこの男は。
「いや別に、ちょっとさっきのお詫びって言うかさ?」
「はぁ?」
さっきの? 何それ?
それが顔に出てたみたいで、この男が言った。
6
:
ピーチ
:2012/10/11(木) 16:57:05 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『春先②』
「あ、自己紹介遅れたけど、俺は作間 圭吾(さくま けいご)。一応、君の言う通り三年やってます」
やってますって何よ、明らかにおかしいじゃない。
「………花崎 神奈(はなざき かんな)です。で、何の用ですか?」
用がないなら帰る、と言わんばかりの私の態度に、こいつ―――作間……先輩は苦笑しながら言った。
「どうせ、今から帰りだろ? 良かったら一緒帰んない?」
「―――は?」
一緒に、帰る?
…冗談じゃない。
「すみません。私いつも色んな場所から帰るんで」
「へぇ、奇遇だね。俺もその癖あるよ?」
「…………っ、」
思わず小さく舌打ちしてしまったのが聞こえたようで、こいつが笑いながら言った。
「美人が舌打ちって似合わないよ?」
「お世辞が上手いんですね、さようなら」
「ちょ、ちょ! それ酷くない!?」
一応一緒に帰ろうって言ってるんだけど! とか何とか言ってるあの馬鹿は、もう放っておこう。
そこまで考えて、私はふっと思った。
―――“呆れる”って、このこと……?
そう思ったと同時に、この人が怖くなった。
感情がない、言わば“人形”の私に、ここまで言い寄ってくること自体、おかしい。
「おーい? 花崎ー? 一緒帰ろうって言ってんだけど、返事はー?」
……この男、見かけによらずチャラい奴…?
「好きにして下さい。私は貴方と帰るなんて思いませんから」
そう言った時、この馬鹿の方からやった! と言う声が聞こえた気がする。
7
:
ピーチ
:2012/10/11(木) 18:53:31 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『春先③』
「………でさ、」
「……はぁ…」
さっきから、一体何なんだろう。
「ねぇ、聞いてる?」
「一応、嫌でも耳に入ってきますね」
「酷い言い草だよねさっきから!?」
…私、あんまり酷い言い方した憶えないけど。
「おーい! けーいっ!」
唐突に、そんな声が聞こえた。
何だろうと思ったけど、私には関係ない。そう思ったのに。
……この、チャラ男(圭って呼ばれてるらしい)の知り合いだったみたいで。
「お? あ、何だ。裕也かよ」
「何だじゃねーだろ、一応ダチだろーがオレ達は?」
「………お友達がいらっしゃったなら、私は失礼します」
「いやいやいやいや!? ちょっとくらい待ってよ!?」
そう言ってさっさと歩き出そうとする私の腕を、あの馬鹿男が掴んだ。
「……大体、何なんですか? さっきから付き纏ってきて、まるでストーカーですよ?」
「だってこーゆーのナンパの基本だし?」
…………この馬鹿男は、一回嬲(なぶ)り殺してやろうか。
「あ、君に出来るならやってみてよ?」
「勝手に人の心境を読まないでくれます?」
迷惑だ、と言わんばかりに盛大にため息を着いて見せた。
その直後。
「あれ、もしかしてこの娘(こ)って圭がこの前から言ってたあの彼女?」
「わ、バカ……っ!」
―――この前、から?
小さくそう呟くと、チャラ男の友達(陽(よう)とか聖(ひじり)とか言うらしい)が言った。
「そ。こいつね、かなーり前から君に目付けてたのに、オレらがびっくりするくらい緊張してろくに話しかけらんないままに一週間とか二週間とか過ぎてたワケ」
「お前ら、それ以上言ったら殺すぞ……?」
そう言ったチャラ男の目には、静かに見えるけど、確かに殺気が宿っていた。
8
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/10/12(金) 18:48:44 HOST:EM117-55-68-169.emobile.ad.jp
ピーチが恋愛書いてるの初めてみたかも!←
圭吾くんかっこいいやばいw
がんばってー!
9
:
ピーチ
:2012/10/12(金) 19:21:38 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
初めての恋愛←
圭吾はチャラ男を目指してるけど挫折しそう←
神奈が何気に酷いww
10
:
ピーチ
:2012/10/12(金) 22:13:45 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『春先④』
「殺されたくないんで失礼します」
後は勝手にやってろ馬鹿共が。
「いやちょっとくらい待ってよ!?」
「いやですそちらの迷惑な事情に振り回されたくありませんので」
「―――っ、なら……」
作間、先輩がそう言った直後。
「…………え?」
唐突に、私の身体が傾いた。
手を引かれたんだ、と思った時には、既に後ろからこの人に抱きしめられてた。
「ちょ………!」
慌てて逃れようとするが、意に反して身体が上手く動かない。
……この先輩が、腕をのけないせいだけど。
「はなし……!」
て、と言いかけた言葉を、後ろから聞こえた声が掻き消した。
「ねぇ、ちょっとでいーから一緒に居てやってくんない?」
「……!?」
後ろを見ると、さっき手を振り回してた先輩が言ってた。
「な、なんで…」
「こいつが、初めて本気で惚れたのが、君だから」
―――え?
「ホレタ……?」
なんで、私なんかに?
そう思って私を放さない人の顔を見ると、呆れるくらい顔が真っ赤になってる。
「や、その、今見ないで。今の俺すっげぇかっこ悪いから」
「………なん、で…?」
「え?」
「なんで、私なんかを」
言いかけた言葉を、この人が遮った。
「“感情”がないって、知ってる二年の子から聞いてさ」
最初は、遊びのつもりで観察してたらしいけど、なぜか惚れたらしい。
……その原点が分からないけど。
「で、最近こう思ったんだ。“感情”を知らないなら、教えてあげようって」
―――あ、
「だから、さ…」
今思った。
「……馬鹿みたい」
「へ?」
この人、いい人だ。
「貴方、相当の馬鹿ですよ?」
思わず笑ってしまった私に、この人がずいっと顔を近づけて言った。
「圭吾」
「え?」
「俺の名前は、圭吾だって言ってんの。忘れんなよ?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、言った。
「これからは、絶対にずっと圭吾って呼ぶこと」
「…………はぁ!?」
突然、顔が火が出たみたいに熱くなる。
「あ、真っ赤だ。恥ずかしいとか?」
その言葉を聞いて、思った。
これが、“恥ずかしい”って感情?
「とーにーかーく!俺のことは絶対に圭吾。後、迷惑じゃなかったら………神奈って呼びたいな」
―――あぁ。
私にも、感情ってあったんだ。
そう思うと、いきなり涙が溢れて来た。
「あ、ちょ…」
そう言っていきなり、作間…先輩が私の目元を自分の手で覆った。
「こんなとこで泣くのはナシ。泣いていいのは俺の前だけ」
「な……っ」
「で、さっきの返事は?」
「へ?」
「……一応、告ったんだけど…」
それを聞いて、私がはっと我に返った。
“感情を知らないなら、教えてあげようと思って”
「えっと…作間せんぱ…」
「圭吾」
「……圭吾」
何か、無償に恥ずかしいのは何でだろう。
そう思いながらも、私が小さく名前を読んだ。
「はい」
さく……圭吾も、なぜか真面目に答える。
「…少しずつでいいなら、貴方のことも、知っていきたい……」
これが、精一杯の応え。
今までいろんな人と遊んでた人なら、簡単に分かってくれるよね?
案の定、圭吾は一人でぽかんとして。
「やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
いきなり、そう叫んだ。
「あのさ、花崎のこと神奈って呼んでいい?」
「………構いませんけど?」
私が答えた後、圭吾の友達が笑いながら言った。
「どーでもいーけど神奈ちゃん? こいつと付き合うなら頑張れね?」
「へ?」
どう言う意味か、それを聞く前に、その先輩が答えてくれた。
「こいつ、一回掴むと話さないから。大切なものなら、それこそ一生」
……………あ。
はっとして後ろを見ると、にっと笑った圭吾の顔があった。
「安心安心、最初で俺のことを分かっててくれれば、俺も説明する必要ないからさ?」
そう言った圭吾と、私の手は、未だに繋がっている。
「ちょ、はなし…」
「ダーメ! 一生離さねぇし?」
……………私の困難は、いつまで続くんだろう。今からそう思ってしまう。
でも。
「…望むところじゃない」
本当に、一生私を放さないか、しっかり監視しててあげる。
終わり←
11
:
ピーチ
:2012/10/13(土) 11:38:01 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『紅と藍』
“貴方、いつも此処に居るの?”
その声を聞いて、俺がふっと振り返った。
そこに居た子は。綺麗で、優しそうで、―――ただ一つ、違う所を除いて、凄く綺麗な女の子だった。
“……あは、やっぱり変だよね、こんな色じゃ…”
そう言った彼女の瞳の色は、両眼(りょうがん)ともに紅(あか)かった。
俺が、それを気にせずに何日か会ってたことがある。
場所は、特に決めてないのになぜか森だった。
俺が、一番楽な場所だから言うと、彼女は笑った。
“じゃあ、これからは森に行こっ”
そう言って、本当に彼女は森に来るようになってた。
“―――やっぱり、私には普通に出来る場所なんかないんだよね…”
初対面ではそこまで会話がなかったのに、しばらくするとそこまで話せる間柄になっていた。
でも、彼女のその言葉を聞いて、思わず言ってしまった。
“そんなことない!!”
それを聞いて。彼女は驚くようにその真紅の瞳を見開いた後、ふっと笑った。
“ねぇ、そう言えば君の名前、何て言うの?”
まだ聞いてなかったよね、と言う彼女の言葉に、俺が少し戸惑いながら。
“―――山代 悠(やましろ ゆう)”
小さく答えた後、お返しと言わんばかりに俺も聞いてやった。
“で、君は?”
“ミユメ”
ミユメ。
口の中で反響しながら、呟いた。
“ミユメ、だよ。ユウだったら、……悠しかないねぇ”
苦笑しながら言ったミユメを見て、俺も笑った。
恋愛難しい←
12
:
ピーチ
:2012/10/13(土) 12:01:09 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『紅と藍②』
ミユメとの出会いから数年が経った。
あの後、ミユメが言ってきたんだ。
“私ね、学校に行けないの”
そう言ったきり、ミユメはたっと走り去って、それ以来こなくなった。
「ゆーうっ! おはよ!」
いきなり、俺が背中を強く叩かれた。
そこには、クラスメイトの西村 りお(にしむら りお)が居た。
「わっ!? おま……」
「何考えてたの? 前に言ってた、あの女の子のこと?」
言いかけた言葉を遮られた上りおに単直に聞かれて、俺は小さくうっと洩らした。
「………そうだよ」
「…一途ねぇ、あんたも」
にやにやしながら訳の分からないことを言ってくるりおに対し、俺がはぁ? 呟く。
「んだよ、それ?」
「気付かないなら教えなーい」
いつものように意地悪く言うりおを見て、俺はふっと、なぜか安心した。
“貴方の瞳の色、綺麗だね”
入学式で、一番最初にそう言ったのがりおだった。
俺の瞳は、生まれつき藍色だった。
生まれつき両目が真紅だったミユメとは、ちょっと違ったけど。
そりゃ小中学校から同じ奴らはこの瞳のことも理解してるけど、りおは高校で初めて知り合った。
そして、今日は夏休み明けで始業式。
「まぁ、神様にその思いが届けば、何(いず)れまた会えるって」
「…あぁ」
りおは優しい。
こうして、俺が沈んでいる時には必ず声をかけてくれる。
それが、嬉しかった。
「おーす悠ー!」
唐突に聞こえた声に振り返ると、俺の小学からの親友、慎也がぶんぶん手を振っていた。
「おーす」
「はよー」
俺とりおが、それぞれに答える。
「ねぇ慎也聞いてよ! 悠ってばまた懲りもせずに沈んでたのよ!」
「沈むのに懲りるとか懲りないとかあるんだ!?」
初めて聞いたよそんなの。
「むー…また懲りもせずにか…」
「お前も乗るな!!」
慎也が腕組みをしながら難しい顔で唸る。それを見て、俺が咄嗟にそうつっこんだ。
「まぁいいや。今日、転校生来るらしいぜ?」
「へぇ」
転校生か。最近、そんなの聞いてないから何か新鮮だな。
……でも、俺はまだ知らなかった。
その転校生が、男か女か、どんな奴なのか―――。
13
:
ピーチ
:2012/10/13(土) 22:12:55 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『紅と藍③』
転校生が来ると、聞いた。
確かにこの耳で、しっかりと。
でも。
「藍原 美夢(あいはら みゆめ)です。よろしくお願いします」
―――ミユメ? 今、そう言ったよな?
「とりあえず、今はそこの席に座ってて。窓側の、後ろから二番目」
「はい」
担任の言ったことにいちいち礼儀正しく受け答えしてから、窓側の後ろから二番目の席に着いた。
ついでに言えば、俺の席は丁度、窓側の後ろから二番目の席の右側。
―――つまり、藍原は俺の隣の席。
「…………マジか」
歯車って、こんな簡単に回り出すものだったっけ……?
そう思った直後。
「ねぇ」
唐突に、鈴のような声が耳に入ってきた。
「え?」
横を向くと、藍原の整った顔が正面にあった。
「おわっ!?」
俺の反応を見て、藍原がくすりと笑う。それを見て、俺が呆然とそれを見ていると、
「よろしくね」
そう呟いた声が酷く低いもので、俺は一瞬、無意識に全身が硬直した。
14
:
ピーチ
:2012/10/13(土) 22:39:45 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『紅と藍④』
“―――よろしくね”
その言葉を聞いた後くらいから、俺の記憶が吹っ飛んでいる。
別に熱があったとか気分が悪かったとか言うわけじゃない。
何もなかったのに、いきなり記憶がなくなってた。
「―――ん……」
いつの間にか眠ってたみたいで、俺が目を覚ました時には既に、見覚えのない部屋に寝かされていた。
「ここ………は…」
恐らく、普通の人界じゃない。
この、藍色の瞳がそれを告げている。
「目が覚めた?」
その声を聞いて、俺がびくりと肩を揺らした。
今の、声は。
「何年ぶりかしらね…貴方みたいな人に出会えたのは」
そう言った、目の前の人影―――藍原は、何がおかしいのか、俺を見てくすくすと笑う。
「………藍原」
「久しぶりなのよ? こうやって、友達になれそうな人が居ることが」
そう言った藍原の両眼は、紅かった。
それを見て、俺がふっと笑った。
「……友達じゃん」
「え?」
そうだよ。少なくとも俺は、ずっと前から友達だと思ってた。
お前がどう思っていても、友達だって思いたかった。
「俺は、お前のその色を知ってる」
藍原の身体が、小さく痙攣する。それとほぼ同時に、彼女の紅い瞳も微かに揺れた。
「…………やっぱ、運命ってそう簡単には動いてくれねーや」
自嘲気味に言った言葉に、俺は自分で納得してしまう。
何もかもそうだ。失いたくないもの程、失う。だめだと、そう思いながらも結局は護れない。
「……れ…?」
何で俺、泣いてるんだろう。
藍原に限らず、心に限らず、大切なものを何一つ護れない自分が悔しい。
そう思った直後。
「――――――…!?」
唐突に、視界が遮られた。
良く見ると、藍原の栗色の髪が、俺の真横にある。
「へ…………!?」
思わず足掻いたが、女とは思えない程の力に、どうしても敵わない。
「―――ユウ?」
唐突に気これたことに対し、俺がはっと目を見開いた。
そして、その後にこうも言った。
「今のクラスで、私のこの紅い瞳を知ってる人なんか居ないのよ? ………黒いカラーコンタクトで、隠してたから」
俺の肩の辺りに、何か水滴みたいなものが零れた。
「あ……い、はら…?」
「何で分かったの? 私が、あの時の藍原 美夢だって」
彼女の口ぶりから、どうやらあの時のことは憶えているようだ。
「そりゃ分かるよ」
「だから何で、」
言いかけた言葉を遮り、俺が言った。
「こんなに綺麗な紅い色を、忘れるわけねぇだろーが」
それから、憶えてた理由はもう一つ。
「……どこの世界に、初恋の女のことを忘れられる奴が居るんだよ?」
恥ずかしさ紛(まぎ)れに、思わず何もないはずの空間に視線を彷徨わせながら言った。
「………え?」
そう言った藍原が、俺の顔を覗き込もうとする。
けど。
「や、今無理」
こんな顔、間違ってもこいつにだけは見せられない。
初めて、こんなに恥ずかしい思いした気がする。
「……ここ、ね」
いきなり、藍原がそう言い出した。
顔を上げる俺を見て薄く微笑し、彼女は続ける。
「私の、二つ目の部屋なの」
15
:
ピーチ
:2012/10/14(日) 10:52:49 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『紅と藍⑤』
「二つ目の…部屋…?」
思わず問い返した俺の言葉に、藍原は淡く微笑みながら言った。
「そう。私の……負の感情を押し込んだ部屋」
………つまり。
「ここ…お前の心ん中ってわけか…」
さすがに、それはちょっと抵抗ある気がする。
だって、だってさ?
―――何が悲しくてこいつの深層心理みねーといけないわけ?
仮にも初恋の相手だよ? ……今では、ちょっとわけありみたいだけどさ。
「……私、ね。今までずっと、学校を転々としてたの」
「…へ?」
いきなり、学校の話…?
「その所々で、必ずこの瞳のことを言われた。だから、言った人を、ここに押し込んでた時期があった」
…それってまさか…
「一応、解放はしてあげてたけど、それでも悔しかった」
生まれつきのこの瞳を忌み嫌う人が、それを理由にいじめなんて始めようとするする人達が。
そう言って藍原が俯いた拍子に、彼女の長い髪で表情が隠される。
「だから、カラーコンタクトなんて使い出したの…少しでも、好奇の目を避けたかった」
俯いて、少し涙声にも聞こえる声で呟く少女を見て、俺はふっと思った。
やっぱり俺、こいつのこういった所が好きなんだ。
何に対しても一歩引いて、全部を見てるような、でも見透かしたような感じは全くなかった、あの頃の“ミユメ”。
だったら。
「―――俺が、護ってやるよ」
自然と、言葉が出ていた。
「………え?」
顔を上げた瞬間を狙って後ろから抱きつく。
「え、ちょ……山代く、」
「なぁ、藍原ってさ」
何に対しても、いつも自分を後に回してる。
そう口にすると、藍原は戸惑ったように視線を彷徨わせた。
…やべ、
「…山代君?」
「お前、可愛すぎ」
なぜか言ってしまった言葉に、藍原が耳まで真っ赤にして何かを言いかける。
「な、ななな………!?」
「護らせて、くんねーかな?」
お前を、一生。
人からも、何からも。
そう言うと、藍原は真っ赤になりながら、
「…………それ、どう受け取ればいいの?」
それを聞いて、俺が思わず吹き出す。
「な、何よ!?」
「別に、どう受け取ってくれても構わないよ?」
元々、本人に初恋の相手だって言った時から開き直ってる。
後はどうとでもなれって感じ?
「………あの頃と、同じ?」
「え?」
「この色…嫌わない?」
藍原の言葉を聞いて、俺は思わず彼女の瞳を見る。
偽られていない、吸い込まれそうな程に綺麗な紅い瞳。
心配そうにこちらを見る藍原に、俺は笑いながら言った。
「こんなに綺麗な色を、嫌う奴の感性が分かんねー」
それを聞いた藍原が、やっと心からの笑顔を見せてくれた気がした。
ちょー駄文になった←
16
:
ピーチ
:2012/10/16(火) 23:55:13 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『使命』
―――お前の使命は、この国を護ることだ。
そんな声を聞きながら、俺確か生まれたんだってけ?
「―――ほれ」
「うわぁ!?」
今のは、俺と俺の父さんに仕えてる奴の言葉。
俺はレオニー・アールト。父さん達からも父さんに仕えてる奴からも民衆からも、レオンって呼ばれてる。
で、今説明した奴はコーランって言うんだけど、父さんに仕えてる中で一番強いと謳われている奴。
……の、はずなのにさ。
「いやぁ、やはりレオン様はお強いですねぇ」
この台詞、フツーに使っちゃっていーんですかー? 最強なんだろー?
俺が実際にそう言ったら、
「それはレオン様が私の実力を遥かに上回っている証でございます。それこそ、喜ばしいこと」
どっかの姫君と違って脱走とかもしないし、とか何とか言ってるのは、多分きっと恐らく絶対アーリー王女のこったな。
良く脱走して、こっちの兵まで狩り出されるって聞いたことあるぞ。
「さすがは、次期王と言う自覚のあるお方です。それでこそ王位を継ぐものと言うのに、アーリー王女言ったら、」
「まぁまぁ」
さすがに、ここでアーリー王女の陰口は納得できねーぞ?
いくら王位を継ぐとはいえ、本人にやる気なければ意味ないし、第一俺だって何回脱走を試みたか。
「……そんなことが、おありなのですか?」
「あぁ。何回もやろうとして、父さんに見つかったり母さんに見つかったり」
そういや、母さんに見つかった時はこっ酷く説教喰らったっけ。
「それは……」
「ざっと三刻ぐらいってとこかな」
それを聞いて、コーランがさっと青ざめた。
「さ、さすがは奥様……で、らっしゃますね…」
「だよな。俺も振り返ってみて今思った」
「今更ですか!?」
あーあ。何かアーリー王女が羨ましいよなぁ…。
こんな他愛ない会話が多いけど、それでも俺の使命は重い。
それから、逃れることさえ出来ない。
何で、こんな世界に生まれたんだろうな、俺。
17
:
ピーチ
:2012/10/18(木) 23:17:12 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『使命②』
―――とある日の朝早く。
「……またですか!?」
「毎回毎回申し訳ありません! しかし、あの姫は逃走すると決めたら絶対にやる人でして…」
「まぁ…それなら仕方ありませんね、急いで国全体を包囲しましょう。国外に逃げられたら、後が大変だ」
「ですね」
……朝っぱらから何言ってんだぁ?
「何言ってんの? こんな朝早くから」
いきなり出てきた俺に驚いたのか、回りに居た兵士やら執事やらメイドやらが一斉にこっちを向く。
ったく、こっちは今さっきまで寝てたってのによ。
「それが……アーリー王女がまた脱走したと仰られて…」
「またかよ!?」
…ちょっと待て、ちょっと待ってくれアーリー王女? 今年入ってから何回脱走した? そして何回引きずり戻された?
「どこら辺とか、ちゃんと検討ついてるわけ?」
「あ、いえ…それがまだ、」
「なら」
俺が調べてやるよ。
にっと笑った俺を見て、コーランが慌てて言った。
「い、いえっ! もう少しお休みになられてても…」
「さっきからあんだけの大音量で話されれば、寝れるものも寝れねぇよなぁ?」
俺の言葉を受けて、コーラン達がうっと言葉に詰まる。
しめた。
「とりあえず、俺が調べる。だめなら別に構わねぇけど」
俺は、探しモノは結構得意。者にしても物にしても。
「……申し訳御座いません。お願いいたします」
「りょーかい」
軽く応じながら、俺は全神経を集中させる。
……で、現在のアーリー王女の居場所は。
「―――………北の果て。本人はかなり頑張って急いでるみたいだけど、あれじゃあすぐ見つかるわなぁ」
たったかたったか。
…良くやるな、王女。
18
:
ピーチ
:2012/10/20(土) 19:40:50 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『使命③』
……乗りかかった船だ。
「俺も追うよ。どうせ暇だし」
もう、憶えなきゃいけないことはほとんど頭ん中に叩き込まれてるし。
「い、いや、さすがにそれは……」
「有難う御座います」
「コーラン殿ー!?」
「いや、この方は言い出したら聞かないお方でして……」
コーランとアーリー王女ん所の兵士で何か言い合ってるけど、そんなの気にせずに俺がさっさと準備を終わらせる。
「んじゃ、見っけたら連れて来っから。誰か一人は此処に残っててよ」
そう言いながら、俺がふっと空中に浮き上がった。
俺の家柄は、代々変な能力を受け継ぐ。
んで、俺は空を書ける能力(ちから)と火、水、風……とにかく、色んなものを操る能力。
「あ………」
……見っけたよ、アーリーさーん?
19
:
ピーチ
:2012/10/25(木) 20:35:22 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『使命④』
「おい、アーリー?」
俺の声にびくんと面白いくらいの反応を示してくれ、慌てて空中を見上げた少女が居た。
20
:
ピーチ
:2012/10/25(木) 20:49:22 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『使命④』
「おい、アーリー?」
俺の声に面白いくらいの反応を示してくれ、慌てて空中を見上げた少女が居た。
アーリー・クレイゼン。
隣の国、シュールジング国の、姫(プリンセス)。
「れ、レオン様!?」
なぜ此処に、と可愛らしく慌てながら言うアーリーの抗議の声を無視しながら、俺が言った。
「…まだその年だからな、どっか行きたいとか脱走したいとか、そう言うのは分かる。でも、お前はプリンセスだろ? お前はお前の国を、しっかりと護っていかなきゃいけないんだ」
そう。アーリーはまだ十にも満たない子供。
そんな子供にこの言葉はまだ難しいだろうとは思ったけど、アーリーに付いてる兵辺りが教えてやるだろ。聞けばだけど。
「でっ、ですが!」
「ですが、何だ?」
「う………っ」
子供を丸め込むのが簡単だなんて、とんでもない。
むしろ、下手すりゃ大人よりも面倒だぞ。
「れ、レオン様はいやだとお思いになられたことはないのですか? いつもいつも、おうちのなかで勉強ばかりで…」
しゅんと俯いた拍子に、オレンジの髪がアーリーの表情を隠した。
…子供相手だから、じゃない。
「そうだなぁ……確かに、俺もそう言うことはあったよ。だから本当は、アーリーにどうこう言えることじゃない」
それを聞いたアーリーが、えっと顔を上げた。
21
:
ピーチ
:2012/10/26(金) 22:36:20 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『使命⑤』
「れ、レオン様にも、そのようなけいけんが…?」
「おいちょっと待て俺は脱走しようかなと思っただけで実行に移してまではないぞ?」
半ば本気で言う俺に対し、アーリーはへぇ、と感心した素振りをする。
「だからさ」
そんなアーリーを抱き上げ、俺が笑いながら言った。
「お前も勉強ばっかで、嫌になることも大いにある。でも、それは将来のためには絶対に必要なことで、今それをしっかり勉強しておかないと、大人になってからが大変だぞ?」
どっちがいい、と言う俺の問いに、アーリーが本気で考え込む。
「アーリーは……」
そう呟いて考えに考え、幼い少女が出した答え。
「大人になってからくろうした方がいいです」
……………つまりあれかな?
子供のうちは思いっきり遊び倒して、んで大人になってから苦労した方がいいと?
「いやそれはさすがに不味いだろ」
いくら何でも、それはさすがに。
「え? なぜです?」
「……あのな」
そう言ってから、俺はアーリーに説教に近い勉強を教えてた。
勉強の大切さや自分の経験、更には王自身の意見を添えて。
「―――分かったか?」
「…はい」
「よし」
なら、さっさと帰ろう。
そう言って歩き出した俺の服の袖を、アーリーの小さな手が引っ張った。
「…? どうかしたのか?」
「もう少し…もう少しだけまってください…」
泣きそうな目で言うアーリーに根負けして(と言うよりその目に負けて)、俺がしばらくアーリーに付き添う。
そして。
「―――ャー」
「…へ?」
今、何か聞こえなかったか?
それを肯定するかのように、茂みから白いものが飛び出してきた。
「おわっ」
少し本気で驚いて、俺の真横を通っていったそれを見る。
「にゃあ」
ごろごろと声を出して(?)鳴いているそれは、鳴き声の如く猫。
でも、何でこんな所に?
それを問うと、アーリーが首を傾けた。
「アーリーも分からないんです。何回かここにくるようになってから、よくこのねこを見るようになって…」
「そんなに脱走してたのか。お前は」
半ば呆れながら、俺がその猫を抱きかかえる。
「あっ」
「連れて行くんだろ? でも、ドレスを汚すわけにもいかない」
アーリーもれっきとした王女だからなぁ。
そう言った質素な感じじゃ、多分誰も気付かないけど。
「ほれ。帰るぞ」
そう言って、俺はアーリーの手を引いて空中に浮き上がった。
22
:
ピーチ
:2012/10/27(土) 10:21:28 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
『媒介』
「なぁ」
唐突にかけられた声に、私が振り返った。
そして。
「お前のその能力(ちから)、ちょーっと分けてくんねぇ?」
それが、始まりだった。
「―――いい加減にしてよね!?」
今のは私の声。
空字 羽音(くうじ はおと)。
「いいじゃん別に。俺って言う媒介がなきゃ、お前今頃どっかで死んじまってるんだからさぁ?」
「っ……元々、あんたが私の所に来なきゃ良かったんでしょうが!?」
つい声を荒げた私に、目の前に居る男、夢月 氷(むつき ひょう)が答えた。
「…大体、あんたが居なきゃ私は今だって媒介なんて必要なかったのよ」
冷静さを取り戻しながら紡いだ言葉に、氷が顔を上げる。
「私は貴方に力を貸した。だから媒介が必要になった。違う?」
そう。
私の元々の魔力は、この男によって奪われた。
だから、今の私は氷って言う媒介がなければ力を使うことが出来ない。
「……もちろん、私にも非はあったわ。でも、それ以上に貴方にあるんじゃないの?」
その言葉を受け、氷がにっと笑った。
23
:
ピーチ
:2012/11/04(日) 08:08:48 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
木霊
「………いい加減に、してよね……」
そう言った少女が、空色の髪を揺らめかせながら小さく呟いた。
「……風神、召喚…!」
鮮やかな空色だったその瞳は、怒りのせいか何のせいか、見事に紅一色に染まっている。
「ったく…変な抵抗しないでよね…」
ようやく怒りが静まり、瞳が紅色から鮮やかな空色に戻った。
「次同じ妖(もの)来たら、ただじゃおかないんだから……!」
そう言った少女の言葉が木霊する。
そして、しばらくしてからたっとその場を立ち去った。
24
:
ピーチ
:2012/11/04(日) 12:54:20 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
キズアト
「おーすっ! 桜!」
「あ、おはよう」
私の一日は、この言葉から始まる。
そして。
「えー、また来たのぉ…」
「最悪ー」
「さっさと消えてくれればいいのになぁ」
こんな、幼稚レベルでしかない言葉を聞いて、学校での一日が始まる。
「ねぇ。さっさと消えてよ? そのためだったら、あたしら何でも手伝うからさぁ?」
「そうそう! あーでも、嫌だとか何とか言ったらどうなるか…分かってるよねぇ?」
「……だから何?」
こう言うといつも決まって飛んでくるものがある。
ざっと音がして、右腕にカッターが刺さった。
「あ、ごめんねぇ? 悪気はなかったんだけどぉ…」
「ねぇ、消えてあげてもいいわよ?」
「………………え?」
にっと笑い、私は言った。
「―――あんた達が、手本を見せてくれるならね」
25
:
ピーチ
:2012/11/11(日) 08:24:04 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
サクラサク
「―――ねぇっ、行こうよ!」
そう言って、あの子は私の手を取って走り出した。
「………私ね。ずーっと忘れられない、思い出があるんだ」
「…思い出?」
「うん! 多分、一生忘れない思い出!」
そう言ったあの子が眩しく見えて、私はふいとそっぽを向いたことを憶えてる。
―――私は。
私は。
「…………由宇(ゆう)が、悪いのよ…っ」
由宇。
私の、弟の名前。
由宇のせいで。由宇が居なければ。
――――――こんな、惨(みじ)めな思い、しなくてすんだのに。
あの声が、甦った気がする。
あの子が、忘れない思い出、って言う前のことば。
“―――私にもねぇ、弟が居るんだ。確かに、お姉ちゃんっていやだって、思うことあるよね”
あの頃の私は、少なくとも他の同年代の人よりは、ずっと大人だと思ってた。
でも、違ったんだ。
あの子の方が、ずっとずっと大人だった。
「久しぶりっ!」
不意に、あの声が聞こえた。
不審に思った私が、顔を上げる。
そこに居た人を見て、
「―――っ……!」
意思とは無関係に、涙が溢れてた。
「え、ちょ……えぇっ!? な、何で泣くの!?」
「ちが…っ、泣いて、なんか…」
懐かしいあの日の思い出が、
まるで桜が咲くかのように、
私のこの手に、戻ってきた。
26
:
ピーチ
:2012/11/16(金) 20:30:07 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねこねここねこ
「にゃあ」
この猫(こ)の声を聞いて、私の一日は始まる。
「おはよう、野良猫」
ぽてぽてとそこら辺を歩いているその猫の姿が無性に可愛くて、気付いたら私はこの猫を見ないと一日が始まらなくなっていた。
「だって可愛いんだもんっ!」
「分かった分かった。分かったから前見て歩こう?」
後ろ向いて力説しながら歩いてた私に、親友の理穂が苦笑しながら言う。
「わっ」
理穂の助言があって助かった。今まさに、電柱にぶつかる所だったよ。
「ほら、ね?」
穏やかに私を宥める理穂は、凄く優しい。それだけじゃなく、勉強も出来るし運動も簡単にこなすし。
「いや…、里緒だって勉強できるし運動得意じゃない」
「理穂に言われると、何かへこむ…」
冗談抜きでへこんだ私を見て、理穂が苦笑した。
27
:
ピーチ
:2012/11/17(土) 22:57:49 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
鈴と扇と妖術師
「わ………っ!?」
小さく叫び、深藍の着物の裾と闇の髪が揺れた。
名を、神代 天音と言う。
「大丈夫か?」
「えぇ……」
「…あんまり、無理はしないようにね?」
「分かってるわよ、それくらい」
ぴしゃりと言い放った彼女の言葉に、二つの影が無言で嘆息した。
天音の長年の相棒であり、一番信頼の置ける人物、天神 柊一と飛鳥井 昇。
天音は、今はそう言ったが、正直どこまで持つか分からない。大体、昼間の大激突の巻き添えを喰ったせいで霊力もほとんど残っていない。
いや、巻き込まれたとは言えその後休まなかった彼女も悪いと言えば悪いのだが、残念ながら二人にはそれを指摘することができない。
後で数万倍になって返ってくるよりは、何も言わずに仏のままで居て欲しいと願う柊一と昇である。
「…柊一」
「ん?」
闇夜の道を失踪しながら、昇が対して息を切らした様子もなく傍らに居る柊一を呼ぶ。
同じように対して息を切らしていない柊一は、一応答えながらその実視線だけを向けた。
「今のうちに片を付けとかねーと、後々面倒なことになりそうじょねぇか?」
昇の言葉に、柊一が嘆息した。
「そう……なんだけどねぇ」
「…天音か」
「うん」
苦笑しながら答えた柊一に、昇が同情の眼差しを向けた。そうか。なら、逆らえばこの妖よりも質(たち)が悪くなる。
「二人とも、反対に回って。私は正面から行くから」
「は!?」
二人の声が重なり、さすがにそればかりは譲れないといった表情で言い募る。
「いや、さすがにそれ駄目だから天音!?」
「大丈夫よ、向こうは、私一人だと思い込んでくれてる。だから…」
刹那。
「え……?」
闇の中に一閃の光が見出され、それが落雷となって自縛霊の下に落ちた。見事に。
「…誰、が…」
「大丈夫ですか?」
不安げな声が響き、次いで声の主の顔が明らかになった。
「あ……っ!」
「…あ、ひょっとして」
「言うな。柊一言うな」
何かを言いかけた柊一を昇が制し、驚愕した天音を見やる。
「めぐみ……!?」
呼ばれた女性は初めから分かっていたらしく、良かったと呟いてから言った。
「久しぶり。―――天音」
28
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 12:26:05 HOST:EM114-51-137-117.pool.e-mobile.ne.jp
櫻の相談所
「じゃあねー」
「明日なー」
二つ分の足音が聞こえ、それを聞いた少女が僅かに笑みを浮かべた。
「うん。また明日」
そう答え、少女が家の中へと入っていく。
「ただいまー」
「おかえりー、早速だけど」
「分かった。着替えてくる」
彩織(さおり)の言葉に、彼女の母が苦笑した。
「おはよー」
「おはよう」
そのやり取りを終えてから、いつものように学校までの道を歩き出す。
そこに。
「ちょっとごめん………っと、待て!?」
突如として聞こえた声に、彩織たちがぴくっと反応した。そして、条件反射で飛び退く。
「え……?」
「ごめん! ほんとにごめんねっ!?」
そう言って走り去った少女―――彼女らからすれば先輩だろうが―――は、勢いを止めることなく綺麗に左カーブ。そのまま通常以上の速度で走り去って行った。
「だ、誰? あの人?」
「…確か、先輩じゃ……?」
「……朝っぱらから元気な先輩が居たもんだなー…」
苦笑気味の沙希(さき)と冬樹(ふゆき)の言葉に。彩織が同じく苦笑する。
「まぁ、色んな人が居るんだよ」
「じゃ、彩織」
「先帰っとくなー」
「うん、ごめんね」
沙希たちにそう返し、彩織が日直の仕事を終わらせる。
「じゃあ、気を付けて帰ってね」
「はい」
担任の所まで日誌を届け、そのまま家まで真っ直ぐ帰る。
………はず、だったのだが。
「あれ? ひょっとして朝の子?」
「え?」
振り返ると、そこに朝っぱらから元気に全力疾走していた少女が居た。
「あ…」
「朝はごめんねー、ちょっと急いでて。怪我した子居なかった?」
「あ、はい……」
彼女のペースに乗せられ、思わず聞かれたことに答えてしまった彩織が、はっと我に返って言った。
「あ、すみません。私急いでるんで……」
急いで帰らなければ、旅館を手伝えなくなる。
そんな彩織を引き留め、少女―――神依葉月(かみよりはづき)が言った。
「……急いでるからって、道を聞かれたりしたら気を付けてね?」
「…え?」
「じゃあ、引き留めてごめんねっ! また明日ー」
そう言ってたっと駆け出した葉月の言葉に疑問を残しつつ、急いでいた彩織はそのまま帰途についた。
「すみません」
「え?」
唐突に聞こえた声に、彩織が辺りを見回す。
「すみません。道が分からなくなってしまって、少々お時間いただけないでしょうか?」
「あ、はい…」
どうやら、道に迷ったらしい男が彩織に問う。
「弘道館(こうどうかん)まで行きたいんですけど…」
「あぁ、それなら……」
彩織が言いかけたとき、ふっと口元に何かが押し当てられた。
―――え………っ?
「ん………っ!」
―――急いでるからって、道を聞かれたりしたら気を付けてね?
あの時の彼女の言葉は、こういう意味か。
でも、なぜあんなことを。
「……………っ…」
考えるよりも、彩織の意識が遠退く方が、僅かに早かった。
29
:
ムツ
:2013/01/03(木) 15:59:14 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
読んだぜよぉ〜〜!
そして不意に思ったけど、
>>27
は鈴扇霊のヤツですよね?
何気に、同じものを別の話で二つ書くとは、主も隅に置けぬのぉ〜←良く腹黒が言うセリフ(^^ゞ
30
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 17:57:23 HOST:EM49-252-209-107.pool.e-mobile.ne.jp
ムツ>>
イエス! 天音たちはまた書けそうなときに書くよーw
今最新の更新、よかったら見届けてやってくださいな←
31
:
ムツ
:2013/01/03(木) 18:14:24 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
リョウカーイ!! では読ませて頂きマースっ!
やっぱ、戦い系のヤツには興味物凄いあるし、
何より、ピーチの小説は面白いから好きなんだよなぁ〜(*´∀`*)
そう言えば、ピーチはどんなジャンルの話が好き?
私は戦い系とか推理系とかホラー系とか………ets
兎に角、少年系のものは好きだなぁ〜…(女なのに…(T▽T)
32
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 18:20:49 HOST:EM49-252-209-107.pool.e-mobile.ne.jp
櫻の相談所
「―――ん………」
ゆっくりと目を開けた彩織が、軽く辺りを見回す。
どうやら両手足は椅子にきつく縛り付けられているようであり、彼女の力で解くことは敵わないだろう。
「ここ…は……?」
直後、低い男の声が聞こえた。
「起きたかい?」
びくりと、少女の肩が震える。
朝に見たニュースが、脳裏に蘇る。
―――女子中学生連続誘拐事件。
「……あ……………」
他人事だと、思っていた。
自分が巻き込まれるなど、その瞬間まで誰が思っただろう。
―――被害者の女子中学生は、身体の所々に切り傷や火傷の跡、殴られた跡などがあり……
「……や………っ、だ……」
じわっと少女の双眸に涙が溜まった。
「大丈夫……大声さえ上げなければ、すぐに帰れるよ……?」
そう言った男の手には、いつ取り出されたのかぎらりと光る長いナイフ。その刃先が赤く見えるのは、決して気のせいなどではないだろう。
彩織の瞳が、音を立てて凍りついた。
男の握るナイフが、彩織の腕に深々と突き刺さる。
「っ……!」
痛みに顔を歪める彩織をいたぶるように、楽しそうに、男はそれを繰り返す。
「あー…もうこんな時間だ。じゃあ」
濁った鉛色の瞳が彼女を映す。それに反応し、彩織がびくりと震えた。
「あぁ。言っとくけどね。ここは元々人通り少ないし、もし仮に人が居てもこんな廃工場、誰も気にしないから」
そう言いながら、男はにぃと嗤(わら)い、放り投げたナイフを彼女の首にあてがった。
「―――もし俺が居ない間に逃げ出したら………どうなるか、分かるよね?」
男の一段低くなった声に、少女が首を縦に振る。
「ならいいんだよ。まぁ、何日か俺の道具になってくれればいいからさ」
そう言った男が、外に人が居ないことを確認し、外へと出て行った。
「……………あ……」
これから、どうすればいいのだろう。
「……寒い…」
何しろ、季節は秋を終えてそろそろ冬になりつつある。そんな中、こんな場所に居て、寒くないわけがない。
自分はこれからどうなるのだろう。
寒さだけでも十分な理由になっていたのに、それに恐怖が加わり、彼女の全身から血の気が引いた。
33
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 19:27:10 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
ムツ>>
どーもです恩に着ますー!←
面白くないよこんな駄文!
好きなジャンル? いっぱいありすぎるw
ファンタジーにSFにミステリーにホラーに友情系とか?
あたしも女なのに少年系大好きだよー!
34
:
ムツ
:2013/01/03(木) 19:52:18 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
同類がこんな近くにいたぁー(´;ω;`)!
やっぱり今の時代、戦い系とか友情系の方が人気あるんだよなぁー!
小説でもそ〜いうのが多いほうが、イイよねェ〜…
35
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 19:53:01 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
櫻の相談所
「彩織ー?」
いつものように旅館の入り口から友人を呼んだ沙希と冬樹の耳に、穏やかな声が飛び込んできた。
「ごめんね、今日ちょっと彩織が具合悪いみたいだから、休ませるわね」
「え? そなんですか?」
「えぇ、ごめんね」
その言葉を受け、二人がそのまま学校まで向かった。その二人を彩織の母―――聖月(みづき)は不安そうに見守っていた。
―――娘が帰ってこないんです。まだそちらにいらっしゃいますか?
聖月の問いに、彩織の担任は困ったように答えた。
―――いえ、五時前に帰ったはずですが……?
その言葉を受け、聖月が言い表しようのない不安を覚えたのだ。
「……彩織…………」
不安げに呟き、そして小さく息を吐いた。
不意に聞こえた足音に、少女がはっと顔を上げた。
「あぁ、起きてたのかい?」
「…………………っ………」
最早恐怖で声も出ない彩織に、男は不気味に嗤う。
「そんな顔しなくてもいいんだよ? 後ちょっとだからね?」
そう言った男が取り出したナイフが、迷いなく少女の腕に突き刺さり、足を掠める。ハンマーのようなもので肩を殴られ、そしてライターの熱が容赦なく腕や足に密着する。
「いた…………っ」
狂気に歪んだ男の握った炎が、自由に踊っていた。
「あれ?」
「あ、こんにちは」
唐突に葉月と出くわした沙希が、笑顔で挨拶を交わした。
「こんにちは。……紅神さんは、一緒じゃないの?」
「あぁ……」
見るからにつまらなさそうに、沙希が言う。
「それが、ここの所ずっと休みで。何か体調悪いらしいんですけど」
「ここの、所?」
「はい。もう、そろそろ一週間になるのに……」
それを聞いた葉月があ、思慮深げな表情になる。
「そう……ありがとう」
「山月さん」
山月と呼ばれた女性が、声に反応して振り返った。
「あれ、葉月ちゃん?」
「あの、今捜索願が出されてる中学生って居ます?」
葉月の言葉に、山月がぴくりと反応を示す。それを受け、葉月が問うた。
「誰ですか?」
「……あのね葉月ちゃん、いくら普段お世話になってるとは言っても…」
「紅神彩織……じゃないですか?」
山月の表情が、ざっと強張った。
「……もう、死んで…………?」
「いや、後輩なんです」
そして、次に。
「……もう、一週間近く学校を休んでいるようですけど?」
それを聞いた山月が、弱ったなぁと呟いて。
「そこまで分かってるなら、確認なんて必要ないじゃない?」
「その件で相談があるんです」
「え?」
葉月が、少し考え込んでから、こう言った。
「実は―――………」
36
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 19:55:53 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
ムツ>>
だよねー! 友情系は感動するし戦い系はハラハラするのがいいよねっ!←
だからあたしは今の短編で弱い女の子を好き勝手使ってるw
37
:
ムツ
:2013/01/03(木) 20:06:54 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
弱い女の子を守る男の子には憧れないわけじゃないけど、正直…
「そんな子、この時代に居る訳ないじゃん…」
といつも思ってしまう……。
それに比べて、戦い系は夢で食い止めるから良い!!
そして友情系は、絶対ない訳ではないから良いと思う!
このように私は少年系が大好きなのである!←何を言いたいの?
38
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 20:35:37 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
櫻の相談所
「…………っ」
小柄な少女が、身を竦ませている。
それを認め、男が嗤った。
「君もそろそろ飽きてきたなぁ…」
そう呟いた男が、時間を確認した。
時計の針が指しているのは六時三十分。
そろそろいいかと呟いた男が、おもむろに何かを取り出した。
それを見て、彩織の表情が恐怖に染まる。
「……っ、いやぁっ!」
叫んだ後で、彩織がはっと我に返った。
恐る恐る男を見ると、男は驚いたように彼女を見て、やがて笑い。
「あーあ……約束、破っちゃったねぇ………?」
「あ………っ」
醜く笑った男が、それ―――ライターに火を付ける。
それを見て、少女の身体が小刻みに震える。
「や………め、て…」
怯えたように言い、その瞳から大粒の涙が零れる。
「ごめんなさい…………! もう大声上げないから………っ! だから……殺さないで………っ」
「んー、でもさぁ」
男は、少女の言葉ににぃと嗤った。
「約束は約束………だしねぇ?」
そう言った男が、用意していた『何か』を彩織に浴びせかけた。独特の刺激臭が鼻を刺す。
「え……」
「分かるだろ? ………灯油、だよ?」
「………や……、」
喉に力が入らない。そのせいで声が震える。
男が、一度消した火を再び付けようとしたとき―――
「―――……いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「―――やめなさいっ!!」
突如聞こえた声に、男が驚いてライターを取り落した。
「な………っ」
「大木村友也(おおきむらともや)、女子中学生連続誘拐犯の重要参考人及び拉致監禁、殺人未遂の現行犯で逮捕」
よく響く女性の声に、男が咄嗟に動けない間に。
「大丈夫!?」
唐突に聞こえた声に、彩織がはっと顔を上げた。
そこに居たのは、あの時彼女に忠告をした少女と。
「だから気を付けろって言ったのに………っ!」
そう言った葉月が彩織の両手足の縄を解いた瞬間、少女がふっと前かがみになった。
「っ……!? おい彩織!?」
慌てた少年らしい声が聞こえた後、葉月が安心したように言った。
「大丈夫、気を失ってるだけよ…」
不審げに首を捻る冬樹に、葉月が呟いた。
「でも、まぁ無理ないわよね。こんな所に一週間も。それに、あんな男に次は何をされるか、なんていう不安まであっただろうし」
その上、制服は両腕の辺りがほとんどが焼け焦げており、黒いハイソックスに覆われていたはずの足にも、かなり火傷の跡が見られる。
そう言った後に、ふと山月に言う。
「山月さん。念のために病院に連れて行った方が……」
「分かってる」
そう答え、山月が二人に言った。
「二人とも、その子連れて来てもらえる? とりあえず病院まで急ぐから」
39
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 20:38:56 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
ムツ>>
いーよね戦闘系!←
あたしも同意見だ! でも小説は何でもありだからねw
最近は恋愛系も頑張って書いてるんだよ駄文だけどっ!
40
:
ムツ
:2013/01/03(木) 20:47:17 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
何でもあり…… 響きイイなぁ〜(#^.^#)
そうだよね、何でもありってイイよねぇ〜…
ピーチが恋愛文か…… なんか面白そう〜( ^∀^)
41
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 21:12:09 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
櫻の相談所
「ごめんなさ……い…っ! もう、大声上げないから……」
先ほどからずっと魘(うな)されている彩織を、二人がじっと見ている。
「殺さ………ない、で…っ」
その言葉に、葉月がぴくりと反応を示した。
「や…だ………っ、いやあぁぁぁぁぁぁっ!!」
そう叫んで飛び起きた彩織の目に、葉月の姿が映る。
「……先輩…?」
「大丈夫?」
「大丈夫か?」
そう言った少年を見て、彩織が信じられないものを見たような表情で。
「元町君…? 何で、ここに…?」
そもそも、ここはどこだ。
彼女の表情からそれを読み取った葉月が、優しく言った。
「病院よ。あの男は逮捕されたわ。それに、言いにくいけど…随分魘されてたわよ?」
「っ……………!」
少女の身体が、小刻みに震え出す。
「私……あのとき…」
―――約束、破っちゃったねぇ……?
大声を上げたと言って、殺されるはずだったのに。どうして助かったのか。
「危なかったな。先輩があの廃工場を当ててくれてなかったら、今頃お前…」
言いかけた冬樹が、ぎょっと目を剥いた。
「な、何で泣く………っ?」
「…怖かった?」
葉月の静かな問いに、彩織は小さく頷く。あんなに恐ろしい体験をしたのは、恐らく後にも先にもこれだけだろう。
「……先輩、ありがとうございました」
「え?」
「先輩が居なかったら、私今頃…」
彩織がそう呟いた直後。
「彩織っ!」
唐突に聞こえた声に、彩織が顔を向ける。
「お母さん……?」
「よかった……無事だった!?」
聖月の言葉に、彩織が小さく頷いた。
「失礼します」
突然声が聞こえ、一同がドアの方を見る。白衣を着た、医師らしい男が立っていた。
42
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 21:18:12 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
ムツ>>
何でもありだから弱い女の子を助ける男の子が居てもおかしくないっ!←
面白くないよっ! ファンタジー以上に駄文だよっ!
43
:
ピーチ
:2013/01/04(金) 20:54:52 HOST:EM1-114-144-142.pool.e-mobile.ne.jp
櫻の相談所
「あ………」
「大丈夫かい? どこか痛む所はない?」
彼(橘と言うらしい)の言葉に、彩織が頷く。強いて言うなら手足全般痛いが、それは傷のせいだと分かっているので大丈夫だと思う。
彩織の言葉に軽く頷き、橘が横を向いた。
「一週間近くも飲まず食わずだった上に低気温、それにあの傷ですから。それに見つけにくかったんですが、右肩をハンマーのようなもので殴られたような跡もありました」
橘の言葉に、彩織がびくっと肩を揺らす。
「え…?」
彼の言葉に聖月が息を呑んだ。
「そうなの………?」
「………だって、」
縛られていただけ理由ではない。抵抗すれば、殺される。直感でそう感じたがために動けなかった。
「でしょうね。あの男、人を殺すことに何の躊躇(ためら)いもないような男だもの」
葉月の言葉に、聖月が目を見開いた。
「まぁ、しばらく安静にしてればよくなりますよ」
「え? あ、ありがとうございます」
そう言った聖月に軽く会釈をし、橘が部屋を出て行った。
「―――では、後日また事情聴取と言うことで伺わせていただくかもしれませんので」
「はい、ありがとうございました」
では、と軽く会釈をして帰っていく刑事の姿が見えなくなったとき、彩織が僅かに震えた。
「……明日、休む?」
聖月の言葉に、彼女は首を振る。
「ううん、行くよ。一週間近くも無断欠席してた上に一週間休んじゃったもん。これ以上はさすがにね」
「理由があっての無断欠席なのに?」
小さく笑った聖月に、彩織がうんと返す。その声が僅かに震えていたのは、気のせいではないだろう。
「じゃあ、行ってきます」
「気を付けなさいよ?」
「分かってる」
彩織が言った直後、沙希と冬樹の声が聞こえた。
44
:
ううい
:2013/01/10(木) 17:32:26 HOST:softbank126068237124.bbtec.net
このレスを見た人はめっちゃ②幸運です○ えっと、このレスを、違う掲示板3つに貼 り付けてください! そうすると下記のよぅなことが起きますヨ ♪ ◆好きな人に告られる!! ◆告ったらOKもらえる!! ◆彼カノがいるコゎめっちゃLOVE②になれ る!! ◆勉強、学年トップ!! ◆男女にモテる!! ◆5キロ痩せる!! ◆お小遣いが上がる!! 上記のことが起きます。 あたしの友達Mが、これをやったら、上記 全て起きて、今は彼氏とめっちゃ ラブ×2です♡ 先生からも好かれ、男子に8人から告られま した。 女子も友達がたっくさんいます!! この魔法のようなパヮーを信じて、貼り付 けてください!! コレを信じなくて、貼り付けなかったK は、3日後に彼氏にフられて、5日後 に告ったらフられて、一週間後に家族が死 にました。 そして一ヵ月後にはKが死んで、クラス全 員でお葬式に出ています。 さぁ、あなたはMかKかどちらになりたい ですか? 信じるか、信じないかは、あなた次第で す。
あなたが回してくれるのを信じてい ます
45
:
心愛
:2013/01/11(金) 18:59:32 HOST:proxy10068.docomo.ne.jp
>>ピーチ
うああああいたいいたいいたいいいい((落ち着け
健気だ! 健気ないい子だよ彩織ちゃん! だからこそ可哀想だよトラウマになっちゃうじゃないかこんなのー!
暴力ダメ絶対!
じわじわ恐怖を煽る悪役の書き方をここあは正座して参考にさせて戴きたく存じますm(_ _)m
そして心からピーチは天才だと思いました(´ー`)
助かってよかったね!
46
:
ピーチ
:2013/01/11(金) 22:34:42 HOST:EM114-51-196-240.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
痛いよねー!←
ピーチキャラ唯一とも言える純粋女子!
じわじわと追い詰めるみたいなの大好きー←おい
天才なんかじゃないよ駄文だよ参考なんかにしたら折角の神文章が滅びるよ!!
47
:
矢沢
:2013/01/12(土) 10:55:41 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
痛い=ペイン 今日から君は菊地だ 松本よ
48
:
心愛
:2013/01/12(土) 10:59:16 HOST:proxyag112.docomo.ne.jp
>>ピーチ
唯一かっ!
いや、神文章を参考にしたら駄文が少しはマシになる! かも!しれない!
ここあもいつかおふざけ一切なしの話を書きたいものよ←
49
:
矢沢
:2013/01/12(土) 11:04:28 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
何で私シカトされてんの
50
:
ピーチ
:2013/01/12(土) 13:27:33 HOST:EM114-51-186-68.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
唯一だよっ!
いや、まじめに駄文だからねこんなの?←
おふざけなし書いてたじゃん紫の歌で!
51
:
心愛
:2013/01/12(土) 20:39:43 HOST:proxy10068.docomo.ne.jp
>>ピーチ
過ぎた謙遜はよくないぞっ!
うーん、確かに部分的にはできるけど話オールは無理かもw
52
:
ピーチ
:2013/01/12(土) 20:57:04 HOST:EM114-51-132-35.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
過ぎた謙遜違うぞっ!
ここにゃんこそ謙遜しすぎだー!
あたしも無理だー! 短編だからできただけでーw←
53
:
心愛
:2013/01/13(日) 17:56:35 HOST:proxy10070.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ここあは自分の身の程を承知しているだけさ!
でも、長い話でずっとシリアス展開だと読む方も書く方も疲れちゃうもんね←
54
:
ピーチ
:2013/01/13(日) 20:57:39 HOST:EM114-51-209-35.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
身の程を知ってる割に謙虚なものですなー←
だーよねー! ちょこちょこ入るシリアスだったら問題ないけど←おい
55
:
心愛
:2013/01/14(月) 10:02:48 HOST:proxy10035.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ピーチが謙遜しすぎなんだぞー!
コメディ>シリアスの不等号成り立っちゃうというw
56
:
彗斗
:2013/01/14(月) 11:52:07 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
お久しぶりです! 最近受験が近づき小説を放置気味にしてあくせくしている彗斗でございます……
久しぶりにまじまじと見ていた作品の様な気がします……(最近小説自体を見ていなかった気が……)
何故か読んでて恐怖を感じてしまったと言う……こんな書き方もあったのか…流石と言うべき才能ですな☆
57
:
ピーチ
:2013/01/18(金) 20:08:58 HOST:EM114-51-30-88.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
ぜんっぜん謙遜なんかしてないしっ! むしろ謙遜してたらばかだし!
成り立たせたいよね、コメディ>シリアスw
慧斗さん>>
お久しぶりですます!←
受験生なんだ! あたし来年だよー…
さすがと言うべき文才のなさだよねw
58
:
心愛
:2013/01/19(土) 12:22:09 HOST:proxy10028.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ピーチは自信を持つべきだよー!
これだけの文章書ける人を天才と言わずして何と言う!
でも、そろそろコメディを減らしてかないと話が終わらないという(つд`)
やばいよいっぱいやりたいことあるのに!
センター試験今日であと一年後になっちゃったしあうあー(;_;)
59
:
ピーチ
:2013/01/19(土) 23:46:32 HOST:EM114-51-41-177.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
自信を持てるだけの文才が欲しい……っ!
これだけの駄文を披露できるものをただのバカと言う!←
まさかの終わんない!? あたしも来年受験だ今のうちに心残りを消さないと!
60
:
ピーチ
:2013/01/20(日) 19:13:34 HOST:EM1-114-114-57.pool.e-mobile.ne.jp
もーもたろさんももたろさん
「おや?」
川を眺めていたおばあさんが目を見開きました。
「でっかい桃だねぇ」
いつも変なものが流れるこの川を、おばあさんはもはや当たり前にとらえてしまっています。
でもおいしそうだと思ったおばあさんが、その桃を川から引き上げました。
「でっかい桃だなぁ」
「そうですねぇ」
ほわほわと笑っているおじいさんがナイフを入れるまえに、桃が真っ二つに割れました。
「……あやぁ?」
桃の中にあったのは、実ではなく子供です。
「…ばあさん、この赤ん坊はどこの子だい?」
「さぁ、あたしにもわかりませんねぇ」
ほけらっと笑うおばあさんが、その赤ん坊を抱き上げました。
「―――死んでますかねぇ」
「そうかい?」
とんでもないおばあさんの言葉にそれだけ返し、おじいさんが赤ん坊を覗き込みます。
その瞬間、赤ん坊が凄い勢いで泣き出しました。
「おや」
「生きてましたねぇ」
おばあさんの言葉におじいさんがそうだねと返し、こう言いました。
「名前は桃太郎でいいんじゃないかい?」
「そうですねぇ、名前考えるのも面倒ですしねぇ」
おばあさんの言葉で、赤ん坊の名前は桃太郎と決定したのでした。
はいギャグ小説ですしかも駄文ですごめんなさいー!
61
:
ff
:2013/02/02(土) 00:03:37 HOST:zaq31fa4cca.zaq.ne.jp
お前アホ過ぎるぞ
もう少しまともなスレ立てろよ
62
:
ff
:2013/02/02(土) 00:03:59 HOST:zaq31fa4cca.zaq.ne.jp
人に迷惑かけるな な
63
:
ナコード
:2013/02/09(土) 19:52:47 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
>>61
>>62
そういう事言ってるアンタが人に迷惑かけてますけど?
つか、今時荒しとか無いでしょ
64
:
ピーチ
:2013/08/04(日) 07:04:17 HOST:em1-114-170-159.pool.e-mobile.ne.jp
何となくありふれた日常
「おい翔(かける)ー! さっと来いよー!」
「あぁ、今行く!」
大親友こと黒峰理(くろみねさとし)の呼びかけに応じ、俺は大声で答えた。
そして、準備を済ませてから階段を下りる。
「母さん、練習行ってくるから!」
「気を付けなさいね」
「分ぁってるっての」
軽口を叩きながら、理と二人で道場まで歩き出す。
「……でさー、姉貴のせいでマンガ読めなくなったんだぜー?」
「あーりゃりゃ。そりゃーお気の毒に」
「絶対思ってないうよなっ!?」
理の絶叫が轟いだ、直後。
「―――え?」
なんだ、あれ。
いや、たぶん頭の中では理解してるさ。あぁそうだとも。
「通り魔………?」
「みたい、だな。それと、」
こっちに、来てるぞ。
恐らく、一番ガキである俺たちを狙おうと思ったらしい。刃渡り二十センチくらいのナイフが俺らに向けられる。
「っ、どーすんだよ!? 俺ら完全に丸腰じゃん!」
「まーまー。木刀ぐらいならあるだろ」
「冷静に考えろぉっ!?」
木刀で何ができる! と叫んだ理だが。
「できないことないだろ」
にっと笑んで見せると、ナイフの位置をかく乱させるために木刀を振り回して。
「理、今だ」
俺の言葉に、理があっと声を上げた。そのまま自分の木刀を掴み上げ、目の前に突進してきた男の手を狙った。
「小手?」
自分でも分かっていないような声を上げながら、理が首を傾げる。
「小手? って何だよ小手? って……」
俺が苦笑しながら理に、っていうか男に近寄り、その腕を捻り上げる。
「いっでででででででっ!」
「なーんで俺ら狙ったわけ? お陰で傷付いたんだけど?」
とそこに、誰かが呼んだらしい警官が駆けつけてきた。
「犯人逮捕のご協力、どうもありがとう」
比較的若く見える警官がそう言って笑い、男を引っ立ててパトカーに乗って行った。
「………練習、行くか」
「そだな」
自分が狙われるって、何となく現実味なくてついやりすぎたけど。
「実際、かなり不味いよなこれ」
「……あぁ」
互いにそんなことを言いあいながら、やっぱり道場に着いた時には師匠の雷が落とされた。
65
:
名無しさん
:2013/09/29(日) 15:10:45 HOST:wb78proxy02.ezweb.ne.jp
あげい
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