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闇色
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ピーチ
:2012/11/11(日) 08:24:04 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
サクラサク
「―――ねぇっ、行こうよ!」
そう言って、あの子は私の手を取って走り出した。
「………私ね。ずーっと忘れられない、思い出があるんだ」
「…思い出?」
「うん! 多分、一生忘れない思い出!」
そう言ったあの子が眩しく見えて、私はふいとそっぽを向いたことを憶えてる。
―――私は。
私は。
「…………由宇(ゆう)が、悪いのよ…っ」
由宇。
私の、弟の名前。
由宇のせいで。由宇が居なければ。
――――――こんな、惨(みじ)めな思い、しなくてすんだのに。
あの声が、甦った気がする。
あの子が、忘れない思い出、って言う前のことば。
“―――私にもねぇ、弟が居るんだ。確かに、お姉ちゃんっていやだって、思うことあるよね”
あの頃の私は、少なくとも他の同年代の人よりは、ずっと大人だと思ってた。
でも、違ったんだ。
あの子の方が、ずっとずっと大人だった。
「久しぶりっ!」
不意に、あの声が聞こえた。
不審に思った私が、顔を上げる。
そこに居た人を見て、
「―――っ……!」
意思とは無関係に、涙が溢れてた。
「え、ちょ……えぇっ!? な、何で泣くの!?」
「ちが…っ、泣いて、なんか…」
懐かしいあの日の思い出が、
まるで桜が咲くかのように、
私のこの手に、戻ってきた。
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