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闇色

41ピーチ:2013/01/03(木) 21:12:09 HOST:EM49-252-66-115.pool.e-mobile.ne.jp
櫻の相談所




「ごめんなさ……い…っ! もう、大声上げないから……」
 先ほどからずっと魘(うな)されている彩織を、二人がじっと見ている。
「殺さ………ない、で…っ」
 その言葉に、葉月がぴくりと反応を示した。
「や…だ………っ、いやあぁぁぁぁぁぁっ!!」
 そう叫んで飛び起きた彩織の目に、葉月の姿が映る。
「……先輩…?」
「大丈夫?」
「大丈夫か?」
 そう言った少年を見て、彩織が信じられないものを見たような表情で。
「元町君…? 何で、ここに…?」
 そもそも、ここはどこだ。
 彼女の表情からそれを読み取った葉月が、優しく言った。
「病院よ。あの男は逮捕されたわ。それに、言いにくいけど…随分魘されてたわよ?」
「っ……………!」
 少女の身体が、小刻みに震え出す。
「私……あのとき…」
 ―――約束、破っちゃったねぇ……?
 大声を上げたと言って、殺されるはずだったのに。どうして助かったのか。
「危なかったな。先輩があの廃工場を当ててくれてなかったら、今頃お前…」
 言いかけた冬樹が、ぎょっと目を剥いた。
「な、何で泣く………っ?」
「…怖かった?」
 葉月の静かな問いに、彩織は小さく頷く。あんなに恐ろしい体験をしたのは、恐らく後にも先にもこれだけだろう。
「……先輩、ありがとうございました」
「え?」
「先輩が居なかったら、私今頃…」
 彩織がそう呟いた直後。
「彩織っ!」
 唐突に聞こえた声に、彩織が顔を向ける。
「お母さん……?」
「よかった……無事だった!?」
 聖月の言葉に、彩織が小さく頷いた。
「失礼します」
 突然声が聞こえ、一同がドアの方を見る。白衣を着た、医師らしい男が立っていた。


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