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闇色

27ピーチ:2012/11/17(土) 22:57:49 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
鈴と扇と妖術師

「わ………っ!?」
 小さく叫び、深藍の着物の裾と闇の髪が揺れた。
 名を、神代 天音と言う。
「大丈夫か?」
「えぇ……」
「…あんまり、無理はしないようにね?」
「分かってるわよ、それくらい」
 ぴしゃりと言い放った彼女の言葉に、二つの影が無言で嘆息した。
 天音の長年の相棒であり、一番信頼の置ける人物、天神 柊一と飛鳥井 昇。
 天音は、今はそう言ったが、正直どこまで持つか分からない。大体、昼間の大激突の巻き添えを喰ったせいで霊力もほとんど残っていない。
 いや、巻き込まれたとは言えその後休まなかった彼女も悪いと言えば悪いのだが、残念ながら二人にはそれを指摘することができない。
 後で数万倍になって返ってくるよりは、何も言わずに仏のままで居て欲しいと願う柊一と昇である。
「…柊一」
「ん?」
 闇夜の道を失踪しながら、昇が対して息を切らした様子もなく傍らに居る柊一を呼ぶ。
 同じように対して息を切らしていない柊一は、一応答えながらその実視線だけを向けた。
「今のうちに片を付けとかねーと、後々面倒なことになりそうじょねぇか?」
 昇の言葉に、柊一が嘆息した。
「そう……なんだけどねぇ」
「…天音か」
「うん」
 苦笑しながら答えた柊一に、昇が同情の眼差しを向けた。そうか。なら、逆らえばこの妖よりも質(たち)が悪くなる。
「二人とも、反対に回って。私は正面から行くから」
「は!?」
 二人の声が重なり、さすがにそればかりは譲れないといった表情で言い募る。
「いや、さすがにそれ駄目だから天音!?」
「大丈夫よ、向こうは、私一人だと思い込んでくれてる。だから…」
 刹那。
「え……?」
 闇の中に一閃の光が見出され、それが落雷となって自縛霊の下に落ちた。見事に。
「…誰、が…」
「大丈夫ですか?」
 不安げな声が響き、次いで声の主の顔が明らかになった。
「あ……っ!」
「…あ、ひょっとして」
「言うな。柊一言うな」
 何かを言いかけた柊一を昇が制し、驚愕した天音を見やる。
「めぐみ……!?」
 呼ばれた女性は初めから分かっていたらしく、良かったと呟いてから言った。
「久しぶり。―――天音」


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