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ムーン☾クロニカルズ

1彗斗:2012/09/06(木) 20:55:21 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
そんなこんなで始まった投稿中のあの作品の原点になっていたボツ作品に少々マシになった文才を加えてリニューアルさせた継ぎ接ぎ作品…

完成までの期間約二年と言う年月のわりには見応えは無いのかも…しれない。

ま…まぁ私の描いていた想像よりはマシにはなっていると思いますので生温かい目でも何でもいいので見て頂けたら幸いです……m(_ _)m

因みに登場人物等は次に書きます。

では…月光の門を開きこの物語の末路を見届けて下さい…

2彗斗:2012/09/06(木) 21:23:29 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
あ…何か数字みたいなのが混じってますがそこは無視という事でお願いします。

登場人物の紹介

望月 麗奈 性別 女
元は現世に生きていた普通の女の子。髪と瞳は月色で容姿も完璧なまでに良い。
だがある日突然、一つ下に記述しているアホの手違いで命を儚く散らしてしまう……
そしてある『夢』を叶えてもらうに夢の断片を探す旅に出る。
性格は少々気が強い所が目立つ。

ブライト&シャイン
とある手違いで麗奈を死なせてしまった張本人達。二人揃って色々と麗奈には頭が上がらない…ブライトは銀色の貴族装束に金色の瞳と髪、一方でシャインは金色の貴族装束に銀色の髪と瞳である。
出逢った直後から「バカ」と麗奈に呼ばれている始末、何かの縁で麗奈に『ある物』を集めて欲しいと頼み、旅に出させたのもこの二人。
ブライトは口調が荒く、シャインは口調が丁寧である。

大宮 勇騎 性別 男
麗奈と何かしらの接点がある同い年の男。暗い藍色の髪に濃い翠色の瞳を持つ。
何かと行く行く先で麗奈と関わっている奇妙な男。
口調は標準的な喋り方で性格も至って普通である。

…以上でキャラ説明はこんな所です。

説明にもあった様に転生モノです。それが苦手という方、人が死んでるのか…と思う方は戻る事をお勧めします(グロい場面が出てくる筈ですので……)

それでもオッケーと言う方は暫しお待ちを……

3彗斗:2012/09/06(木) 22:04:58 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
原点の欠片 現世、日常との別れ、非日常との出逢い
 …ここはとある町に住んでいる一人の女子高生のいつも通りの日常である。
「ん?! …ヤバッ! また遅刻!?」
 このボサボサになった長い月色の髪を持つ月色の瞳の彼女の名前は「望月 麗奈」。彼女はベットからパッと飛びだして一瞬で身だしなみを整えた。勿論ボサボサの髪もいつもセットしている元の腰まである月色のストレートに戻っていた。
「ヤバいヤバい!! また廊下に立たされちゃうっ!!」
 事前に用意してくれた朝ごはんも食べずに玄関を飛び出す。ここまで掛かった時間約2分…とんでもないスピードで支度をしたと思われる……。
「それじゃ〜行ってきま〜す!!」
 出発の挨拶を済ませた後、慌てて自転車に跨り必死に自転車を漕ぐ。
 月色の髪が、空を切る風に靡いて輝いている。何処から見ても普通の女子高生だ……が、その様子を鏡越しに騒がしく見ている二つの影があった。その二つの影は物凄く慌てている様だった。一体何が起こると言うのだろうか……?
「この程度の遅刻なら後4分程度で着くっしょ」
 …とそんな事は露知らず、のんびりと自転車を走らせている麗奈。
 間もなくして交差点が見えて来た。まだ通行できる状態では無い為赤信号である。それを見て麗華はプーっと頬を膨らませて文句を言った。
「こんなんじゃ5分の遅刻になっちゃうじゃない! も〜どうしてくれるのよ!!」
 麗奈は交差点の横断歩道の前で一人地団駄踏んでいる…その様子を見かねたか偶然か信号が青に変わったのだ。これで麗奈がやっと通行できるようになる。
「やったね☆ これでやっと…!」
 その時、視界が逆転して衝撃と激痛が走る。自転車があらぬ様子で拉げていた、人々の叫び声が聞こえる、一体何が起こったのだろうか…と麗奈は周りを見てみた…手に何かついている。麗華はそれにあまり動かない首を動かして視線を向けてみた……
(……血?)
 言葉が何故かで無い。その為、頭の中で自分に問いかけた。何故自分が血を流しているか、何が起こったのか。もう何も考えられなかった……思考回路が働かない上に意識が遠退いて行く……。
(わ…私…し……死ぬの?)
 胸中でそんな事を呟いてみるがどうにもならない。
 そのまま…恐怖を抱きながら彼女の意識は深い暗闇の中に沈んで行った……

――こうして彼女の日常の終焉(終わり)は唐突に突き付けられ、一瞬にして奪われる。彼女に拒否権は……絶対に無い。

4彗斗:2012/09/06(木) 22:07:05 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
あ…一部で麗奈と麗華を間違えていますが気にしないでくださいね(汗)!!

5ピーチ:2012/09/06(木) 23:35:48 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

新小説ー!!

転生者大好き!自分でも二次創作的なので書いてたから!←カンケーねーw

頑張ってねー!

6彗斗:2012/09/07(金) 19:41:40 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
勿論頑張っちゃいますよ〜!!(最初だけこう言うww)

転生者って言う所意外の設定を丸パクリした後、仲間の人数を変更して出来たのがあのノゾミ達の小説なんです。

立場的に言えば…麗奈はノゾミの前身モデルって所ですかね?(口調も性格もノゾミとそっくりな所も…?)

あ…それと登場人物が物凄く少ないですがこれで進行する訳ではありませんのでww

7彗斗:2012/09/07(金) 21:16:10 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
一乃欠片 月に魅入られし者
「……つつつっ…一体ここは…どこ?」
 フラフラとしながら立ち上がった麗奈、そこには今まで見てきた現実の世界とはかけ離れた光景だった……
 大地には亀裂が走り破片の一部は宙に浮いたまま静止している、そして空はまるで色を塗り替えた様に空の青から無機質な灰色へと塗り替えられ、そこには……その独特の色を失い唯の大きな灰色の球体となった無残な格好の月が浮いていた……
「ここは…一体…何処なの?」
 周りをグルッと見渡すとグランドピアノらしき大きな物と木々の間に挟まった細い麗奈には大きめのハンモックが見つかった。…だがいずれも色を失って灰色のままだが…
「ここは…夢の中、俗に言う『夢の空間』さ」
 そこに出て来たのは金の髪を持ったいかにも紳士風の風貌をした男が姿を現した。
 そしてその男の言葉に続く様にしてまた別の男の声がした。
「…ま、即ちお前は死後の世界に居るってこった」
 そして、その言葉と同時に出て来たのは色が真逆と言う所意外、前の彼と殆ど同じ服装をしているものの、何処か違った雰囲気を漂わせる男だった。
 死後の世界…それはつまり…と頭の中で考えた麗奈が出した結論は……
「わ…私は…死んじゃったんですか!? 答えて下さい!」
 返答を聞く為に必死に前に出て来た男二人に縋り付く、勿論そんな事をされて嘘をついた所でどうにもならない。
 金髪の男が先に信じたくない様な冷たい結論を口にした。
「そうだ、お前は…死んだんだ。此方の手違いによって…」
「えっ…!? そ…それって一体どういう事ですか!?」
 その時、二人は洗い浚い全ての経緯を麗奈に話した。この二人の手違いで麗奈の名を明記に書いて連れて来てしまった事、ずっと前から麗奈の行動をずっと見ていた事も……
 それを知った時、麗奈は…驚愕した。
「そ…そんな…私には…もう未来が無いって言うの?!」
 その言葉を叫んだと同時に彼女は灰色の大地に泣き崩れた。
 …その時、銀の貴族衣装をした男が「…ただ」と言葉を繋げた。
「方法はある。それは…お前がある物と契約をして此方側の言う通りにさえすれば…の話だがな」
 その言葉に補足を付けるつもりだったのか金の貴族衣装を着た男が付け加えをした。
「それにその目標を達成してくれれば……お前を現世に生き返らせると同時に一つだけ…夢を叶えてやれる」
「ゆ…夢を…叶える……?」
 涙声になっていながらも麗奈はその言葉に反応した。何か叶えて欲しい物でもあるのだろうか……?
 その後彼女は即答で返事をした。
「わ…私やります!! それがどんな事だろうと…必ず…!!」
 すると銀色の遺族衣装を着た男が代わりに大変短く返答した。そして語尾に簡単に名前も入れて自己紹介をし始めた。
「お前の気持ちはわかった。…そう言えばまだ名乗って無かったな。俺は「ブライト」。これからヨロシクな。麗奈!」
 その様子を見て慌てて金の貴族衣装を着た男は自己紹介をし始めた。
「あぁ…そう言えば僕も自己紹介が未だだったね。僕の名は「シャイン」。ブライト共々これから宜しく」
 その後、彼らは麗奈と握手をした後、後ろ姿を向けて去り際にブライトはこう言った。
「今日の所は流石に疲れただろう? 今日はもう休んどけ。そんで明日、出発の準備だ! 覚えとけよ!」
 そうして二人の男の姿がその場から消滅した…
 この部屋に残されたのは…麗奈だけになってしまった。麗奈は胸の所から取り出したペンダントを見て…少しだけ嬉しげにしていた。
「ひょっとしたら…また会えるかもね。会えたら…良いよね……勇騎」
 麗奈が持っていた灰色に光る金属製のペンダントには同い年ぐらいの男の子と映っている麗奈の写真が入っていた……

8ピーチ:2012/09/07(金) 22:45:28 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

もちろん頑張っちゃってー!←

…………まさかのか!

え、え、ちょっと待って?麗奈ちゃんって口調丁寧じゃない?

それがノゾミちゃんと一緒?

9彗斗:2012/09/08(土) 19:05:27 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
最初だけ最初だけww

あと少ししたら黒い部分が見えてくるからww

その部分はノゾミと酷似してるからww

10彗斗:2012/09/08(土) 19:52:16 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
二乃欠片 相棒との出会い…
「ん〜? だぁれ?」
 木々の間に架けられた大きめのハンモックに自分の体を預けて寝ていた時、麗奈はふと人の気配を感じて目が覚めた。
 麗奈は眠そうに上半身を起こして二人が消えた場所の周辺を見ていると……一人、凛とした男の姿が目に映った。
「……君か、あの門を開く資格を持つ者は……」
「あ……貴方は誰?」
 いきなり意味の解らない言葉を口にした見覚えの無い男に向かって恐る恐る麗奈は訊いてみた。
 すると……男は口角を少し上げた後、自分の名を名乗ろうとしたのだが……
「お前は俺の顔を忘れたってか? 俺の名は……いや、言わないでおこう。ここで言うとお前が混乱するだけだしな」
 この男は、どうやら麗奈の事を知っている様子だ。ただ一つだけこの男には不自然な点がある。
 何が不自然かと言うと……この男、顔も頭もフードで隠して見えない。それに声もよくよく訊いてみると……擬声の様な感じがする……。
 それほど麗奈に顔を見られる事が不味い事なのか……
「……貴方、そんな恰好でここに何の用?」
「あぁ…すまない。ここに長居する気は無いからちゃっちゃと用事を済ませる。その用の内容は…コイツを渡す事だ」
 とパチンと指を鳴らした時、彼の斜め右前方に光が現れその中から月色の狐の様な動物が出て来た。その動物を見た麗奈はポカ〜ンとした顔でその男の隠れている顔を見ている……
「え……その動物は何?」
「…お前まさか…この動物を…知らないのか?」
 信じられないとでも言う様な雰囲気で見返している男に向かって冷や汗を垂らしながら……言い訳をした。
「…だって私はその動物見たこと無いもん…」
「……ま、仕方がないか。お前の環境では見る事は出来ないしな。コイツは「ムーン・ジャッカル」。簡単に言い換えれば狼だ。お前の旅の頼れる相棒になる筈だ連れて行くと良い」
 そう言いながら男はジャッカルに指示を出して麗奈の近くに行かせた。ジャッカルはその後、じっと麗奈の顔を見て…コツンと顔を麗奈の足に押しつけ始めた。
 その様子を見た男はホッと安堵の溜息をつきながら何をすればいいのか分らない麗奈に説明をし始めた。
「…その様子からすると……お前をご主人と認めたみたいだ。良かったな、もしコイツが認めてなかったら…お前に噛みついていた所だ」
「……ま、いっか。これからよろしくね…え〜と額に月の形みたいな傷があるから……『ムーン』!!」
「ヴァン!」
 このやり取りを見ていた男は…「頑張れよ」と静かに言い残し、その場から消えてしまった……

11ピーチ:2012/09/08(土) 21:29:19 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

あたしも一緒、最初だけーw←

……何気に黒い部分も気になるw

12彗斗:2012/09/08(土) 23:28:27 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
まぁ…飽きっぽいのは似た者同士って事ですよw

黒い……と言えば良いのか? 今更考え直したら……黒は黒でも若干毒舌よりかも……?

13ピーチ:2012/09/08(土) 23:59:43 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

うん。そだネ。飽きっぽいよあたしw

…うん、まだ片方だからいーよ。天音なんてどす黒い上にとんでもない毒舌だからw←昇でさえも敵わないw

14彗斗:2012/09/12(水) 22:26:31 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
まさかの両方かw 

黒と毒舌の両方を兼ね備えているのか天音ちゃんはww

いやはやとんでもない子だねww

15彗斗:2012/09/12(水) 23:15:55 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
三乃欠片 土下座と静かな怒り
「よっ、昨日は眠れたか……ってあん? なんだ、隣に寝てるそいつは」
 ブライトは跳ねまくった寝癖が目立っている麗奈に挨拶に来た様だ。……少しは相手の事情も考えたらどうなのかと思ってしまうのだが……
 ブライトが瞬間、麗奈はハッとなって大声でこう叫んだ。
「あ〜! ちょっと今はその質問は後! 身だしなみ整えるからちょっと外に出てて!!」
 ブライトは訳が分っていない様子だったが急いで部屋から出ていった……急いで出て行った理由は、ムーンが今にもブライトに噛み付きそうな形相で唸り声を上げていたからだろう。
 誰もいなくなったのを見て麗奈は夜の間に付いてしまったあり得ないレベルの寝癖を馴れた手つきで直し始めた……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…ったく…なんだよいきなり怒鳴ったりして…」
 シャインが居る部屋に戻ってきたブライトは帰って来るなり麗奈に対する陰口を叩き始めた……
 その様子を見たシャインがかなり早い時間で帰って来たブライトを首を傾げながら見て、不思議そうに尋ねてきた。
「一体何があったんだい? 嫌な事でもあったのかい? それとも……麗奈ちゃんに…良からぬ事でも…」
「アホか。大体なぁアイツに良からぬ事をして誰の得になるって言うんだ? どう考えても俺が二重死刑にかけられるだけじゃねぇのか?」
 サラリと変な事を言いだすシャインを、いつもの様にバサリと切り捨てるブライト。どうやらシャインは、考えている事がどうしても口に出るらしい。そしてボソッと独り言のように誰にも聞こえない様に呟いた……
「一度二重死刑に遭ってみたら良いのに……」
「あん? 今さっき何か言ったか?」
 シャインは基本、影で何をしているのか分らない人物だ。案外ブライトが思っている以上に黒かったり凶暴だったりするかもしれない……ブライトは薄々そう考えて警戒しているのだ。
 その会話から程無くしてシャインが意味有り気な表情で話題を持ちかけて来た。
「例のあれ…謝罪しといたほうが良いよね?」
「良いよね? ったって……まだ分らねぇ。案外怒ると怖そうだしな……」
「ま、そうだよね。あの娘は…怒らせたらちょっと…不味いね」
 そんなコソコソ話をしてると……身だしなみを完全に整えた麗奈が部屋から出て来た。
 麗奈の月色の長い髪が日の光で煌めいて見える所を見ると誰でも綺麗だとも思うだろう。
 だが生憎この二人は女には疎い、と言うより縁が無い上に興味が無いのだ。現に興味無さそうに一通り全身を見た後、何事も無い様な顔をしてシャインから目の前に見える大きな門についての説明が始まった。
「今見てるこの変に大きいこの門は、見た目の通り月色に光っているから『月光の門』って言うんだ、ここから僕達が探している物が在る世界へと飛んで行くのさ」
 そして…説明中のシャインは気になる事が一つあった、それは……怪訝そうな目でブライトと自分を見ている麗奈の視線…それだけが妙に痛かった。
 もしや……と直感したブライトが恐る恐る聞いてみた。
「あの…まさかとは思うけどよ……怒ってるのか? 手違いでお前が死んじまった事……」
「いいえ、もう怒って無いわよ。仕方ないから割り切っただけよ」
 嘘付け、どう見ても目は怒りの一色に染まってるじゃねーか……と胸中で思うも口には出さない…と言うか出せない。
 とその時、麗奈はブライトにある話を持ちかけて来た。
「ねぇ…私が貴方達を呼ぶ名前付けて良い?」
「良いっちゃ良いんだが……一体どんなのだ?」
 ブライトがニックネームについて聞いてみた所、即答で麗奈はこう答えた。
「二人纏めて…「バカ」」
「お前、そのニックネームからして絶対に俺たちの事を静かに怒ってるだろ?!」
「いいえ、怒って無いわ」 
 こんな事を平然と言ってのけておきながら目は完全に笑っていない……完全に怒っている者が向ける眼差しだ……
「いや…すまなかった。本当に悪気は無かったんだって…頼むから許してくれ」
 その胸中を察した元凶であるブライトはいきなり土下座をし始めた……

16ピーチ:2012/09/12(水) 23:48:36 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

うん、まさかの両方w

ブラックは元々好きだったし、毒舌も大好きだったからー!

17彗斗:2012/09/13(木) 22:08:52 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
こっちは好きとかそういう物じゃ無くて自然にこうなったww

こっちの方が笑いを取りやすいかなって思ったからw

18彗斗:2012/09/13(木) 22:53:51 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
四乃欠片 異界への出発
 暫くの間、ずっと平謝りを続けたブライト。このレベルに達した時、流石に根負けしたのか麗奈が口を開いた。
「ま……仕方ないわね、一応許してあげる。でも……」
「でも……何だ?」
 麗奈はジッとブライトの顔の目の前まで詰め寄った後、脅す様な低い声音でこう言った。
「約束守らないなら……分ってるわよね?」
「はいっ! 分りましたっ!!」
 この光景を傍らで見ていたシャインは苦笑するしかなかった……
 だが、こんな所で苦笑している場合では無い。すぐさま真面目な表情を作り、ブライトは麗奈に言い聞かせる。
「一つだけ、注意事項がある。あちら側の世界では夜にしか君の姿は見えない。昼は姿は見えなくなって声だけになってしまうから周囲の人を驚かせない様にね。」
「ええ。肝に銘じておく事にするわ。」
 その言葉を待っていたようにブライトはニッコリとした表情で頷いた後、右の指をパチンと鳴らした。
 すると――――目の前にある開きもしない月光の門が月の色に光りだし独りでに開きだしたのだ!
「……で、最初の夢の欠片は?」
 麗奈はブライトにそう聞くと、ブライトは返事の代わりに一枚の紙を手渡した後、こう言い添えた。
「その紙に描かれている人物を……助け出して欲しい」
 一瞬、何を言っているのか分らなかった麗奈は顔をしかめてから再度、聞き直した。
「それって、どう言う事?」
「そのままさ。この絵に描かれている人物は……知らず知らずの内に欠片を所持しているが心を傷めているからそう簡単には渡せないだろう。それも、その心の傷は深い。」
 ブライトは、言った事を分りやすく麗奈に説明した。と言うよりは、肯定したと言う方が正しいのかもしれない。
 麗奈は理解出来たみたいだが、何となく納得していなかった。何とも言い難い神妙な顔つきになってうんうん唸っている……その様子を見たブライトは麗奈を何とか納得させようと一言だけ、言い添えた。
「まぁ、ここで唸ったって何も分んないんだろう? それなら実際に会った方が早くないか?」
 その言葉を聞いた時、ちょっとだけその気になったのだろうか、麗奈は納得した様な表情を作って「ま、バカが言ってる事が一理あるわね」と仕方なさそうに呟いた。
 その様子を見たシャインも二コリと笑って麗奈に合図を送った。
「……それじゃ、行ってくるわ」
「ウォン!」
 それだけを言い残して麗奈とムーンは月光の門を潜り、まだ見た事も無い未知の世界へと繰り出した……

19ピーチ:2012/09/13(木) 22:54:41 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

あらら、自然にかww

確かに笑いは取りやすいよね←ずばずばと酷いこと言う人居たらww

20彗斗:2012/09/13(木) 23:32:13 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
黒キャラの良い所は……

使い勝手が良い、やり取りの中での笑いの流れを作りやすい、いきなりな所で突然吐いたりするから笑いやすい。

ってぐらいかな? 黒キャラは結構色んな場面で使い勝手が良かったりするから私の方は基本的に女子は全員黒キャラww

21ピーチ:2012/09/14(金) 00:11:14 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

分かる!!すっごく分かる!!

黒キャラが居てこその小説だからネ、あたしはww

22彗斗:2012/09/15(土) 01:21:28 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
五乃欠片 廃墟群の中で……
 ……ここはとある鉄骨で出来た廃墟群の中、人につい最近使われた形跡も手入れの後も無く、あちこちで蔦が伸び放題になっている……
 その廃墟に一人の少年がフラッといきなり現れた、その少年の服装や特徴と言えば紺碧の髪に黒色の礼服らしき服を着ていた。年齢は大体にして16辺りと言った所か。
 その男は馴れた足取りで廃墟の高い所まで昇った後、足場にしていた鉄骨に腰を下ろしたと同時に悲しげに一人呟いた。
「……護ってやれなかった……すまない、ノア……っ!!」
 ノアと言う人物の事を思い出したのかその少年は誰もいない廃墟で一人、大粒の涙を流して泣き伏せていた……
 とそこに、曇天の空からいきなり大粒の雨が降り注いだ。瞬く間に廃墟も、少年も雨に濡れてびしょびしょになってしまった
 大粒の雨と涙、どちらも同じ様に見えてしまうがこの少年にはそんな事はどうでも良かった。ただ、一人で静かに一人の人間を思っていたかったのだ。
「……一体どうして……僕の前から消え去ってしまったんだ!? 答えてくれ!! 『ルティール=ノア』!!」
 ルティール=ノア。その名前こそが、ノアと呼んでいる人物のフルネームだ。たった一人の大切な幼馴染を……護ってやれなかった。その後悔の念が今、彼を襲っているのだ。
 彼は……一体何を思い、考えているのだろうか……一体何があったのだろうか……その事については……彼自身にしか分らない。 
―――痛烈な泣き声だけが無情にも廃墟に木霊した……
〜〜〜〜〜〜〜
「はい。とうちゃ〜くっと……」
 一方で麗奈は人気が無く昼も薄暗い裏路地から人通りの多いこの町の中央通りに出て来た。今、この世界は昼になっているので誰も麗奈とムーンの事は見えていない。
「来てみたは良いけど……ここからどうすればいいんだろう?」
 麗奈はそのままジッと動かずに数十秒考えてから、ずっとここに居ても何も変わらないと判断してその人込みの中に溶け込んでしまった……

23彗斗:2012/09/17(月) 01:42:24 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
六乃欠片 人混みと雑踏の中で……
「…あのバカ達は一体何が言いたいのよ!! こんな人の中でこの人だけを探せるか〜〜っ!!」
 麗奈は、突発的に手に持っていた似顔絵が描かれた紙を地面に叩きつける。広い路上を覆い尽くす様なとんでもない量の人混みの中から、この紙に書かれている人物を探し出す事など到底不可能だ。
 ひょっとしたらこの中に居ないのかもしれないのに……
「仮に対象の人物を割り出す事が出来たとしても何処に住んでるか何てどうやったら割り出せるのよ!? 似たような人物もいるってのに……」
 麗奈は行き次も入れずにそこまで愚痴った後、ゼイゼイと肩で息をしている。つまり、麗奈の言いたい事を要約すると……
 この量の人物から特定の欠片の所持者のみを割り出す事は今の状況では不可能だ。と言いたいらしい……
 そのまま一人でギャーギャー騒いでいると……住人達の噂話が耳に飛び込んできた。その言葉に聞き耳を立てて聞いていると……何とも暗い話題が飛び込んできた。
「ねぇ……知ってる? あのラベンダー畑の近くに住んでるリウシス家の息子さん、婚約者に先立たれたってね……」
 ……好きな人に先立たれた…か……と麗奈は胸中で住民の言っていた事を自分の境遇に重ねてぼそりと呟いた、その月色の眼には何処か悲しげな感情が籠っている。
 ……と、麗奈はその考え事を即座に止めてリウシス家の息子とか言う人物から当たってみる事にした。
「一応目星は付いたね、いこっか。ムーン」
 その後ろにいたムーンを連れてそのラベンダー畑の近くに住んでいると言うリウシス家を探しに人混みの中から向けだそうとし始めた……
〜〜〜〜〜〜〜〜
「あ〜〜っ!! しまった〜ぁっ!!」
「? 一体どうしたんです? ブライト?」
 ここは月光の門のある部屋、ここはブライトとシャインがいる場所だ。
 不意に大声を出して騒ぎ始めたブライトを怪訝そうな視線を投げかけながらシャインは尋ねた。すると間髪いれずにこんな答えが返ってきた。
「ヤベ〜って!! アイツに「凶獣」の事を言うの忘れてたんだよ〜〜っ!!」
「!! 何ですって! 貴方は一体どれだけの失敗を重ねれば気が済むんですか!! このままでは彼女の身に危機が……!!」
 凶獣……それ即ち、心に巣食う闇が生み出した闇の怪獣。その凶獣は欠片の力を悪用してパワーを増幅させたり相手の生気を吸い取り自らのエネルギーとしたりするのだ。
 その様な凶暴極まりない化け物の存在を説明し忘れていたブライトは……間違い無く後で麗奈に殺されるなりなんなりされる事だろう……
「お前等は全く相変わらず鈍臭いなぁ……」
 その時、慌てる二人の前に現れたのは……麗奈にムーンを託した男だ。その男の姿を見るなりブライトは片膝をついて一礼してから。
「すみません!! オーナー! 俺の不注意で……!!」
 真っ先に言葉で謝罪した。そして謝罪の言葉を続けようとしたが前に男がブライトの元へ歩み寄って自分の口に人差し指を当ててからこう言った。
「いつまで経ってもチンタラチンタラ理屈は並べるな。それが約束だっただろ?」
 ブライトは投げ掛けられたその言葉に返す言葉も見つからなかった。
 その時、シャインがブライトの隣に歩み寄って一つ意見を述べた。
「お言葉ですがオーナー、凶獣の件についてですが……いかが致しましょう?」
「それなら問題無い。俺が行って来る」
 その言葉を聞いた時、ブライトとシャインは顔を見合わせて瞬きをした後、両手を前に出してその発言を無かった事にして欲しいと懇願した。
 しかし、オーナーである男は二人の意見を聞き入れずこう言い返した。
「お前たちは下界には降りれない。それなら霊体である俺が行くしかないんじゃないのか?」
「ですが……それは危険過ぎます!! どうかお止め下さい」
 シャインも必死に止めるが男はそのまま二人を説き伏せて月光の門を開けさせた。
 流石に、どこまでも呑気な二人の顔にも心配の表情が浮かんでいる。男が飛び込む前にブライトが一声かけた。
「では……行ってらっしゃいませ……マスターO」
「あぁ……行ってくる」 
 ブライトの言葉に短く答えたマスターOは開かれた門の中に静かに入って行った……

24ピーチ:2012/09/17(月) 10:57:37 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

麗奈ちゃあぁぁぁぁん!!

キレないでー!!

25彗斗:2012/09/17(月) 18:27:52 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
この小説の中でもキレる箇所は少なく無いんだよww

だから今に始まった事じゃないしその後は……本文に書いてある通りの出来事がww

26ピーチ:2012/09/17(月) 19:08:48 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

まさかの少なくない感じですか!?

今に始まったことじゃない……大変そーだネ、お目付け役の人←誰だよ

27彗斗:2012/09/18(火) 19:59:06 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
元を辿ったら結局はシャインもでは無く、ブライトの方だけに責任が全部行きつくからねww
           
血祭りに挙げられて当然の結果なのさっ☆ (ちょ…お前、酷いのにも程ってもんが(以下省略)byブライト)

血祭りバリエーションも豊富に用意してるから楽しみにしててね〜ww (その時はその時ってか……この小説に生まれて来た事を本気で後悔してるぜ……(泣) byブライト)

28ピーチ:2012/09/18(火) 20:32:25 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

ち、血祭りに挙げられて当然……?どんな悪さをした!←うぜぇ

うん、ブライト君の意見に賛成してあげるよ。

29彗斗:2012/09/25(火) 20:26:23 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
そうだねぇ……例えばちょっとした手違いで麗奈を死なせたり、「凶獣」に関しての説明を忘れてたり……血祭りに挙げられる理由はたっぷりあるんだよww(あのな、ちょっと頭回したらわかるだろ? 麗奈を死なせたのはわざとじゃねぇって(以下省略)byブライト)

賛成なんてしなくっても良いってw 悪いのは結果的にブライトなんだからww(俺一人に罪を擦り付ける様な発言は止めて欲しいんだが……出来ないのか? 性格が性格だから一生そんな事は出来ないのか…!? byブライト)

30ピーチ:2012/09/27(木) 20:14:52 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

うん、例えそうだとしてもさすがに可哀想だよ!?

しかもシャイン君には何の責任もいかないの!?

31彗斗:2012/09/28(金) 20:10:52 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
それがいかないんだな〜ww

理由としては……実質的かつ最終的には責任持つのも、間違って実行したのも全部ブライトだからさっ!!ww

結論としてはどんな事があったにせよ責任はブライトなんだよ♪(何故故にそうなるのか……ハッキリとした理由は聞けたが明らかに嫌がらせにしか思えない…… byブライト)

32ピーチ:2012/09/28(金) 20:44:19 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

うわぁ……ブライト君お気の毒に…

嫌がらせに関してはあたしも何も言えないw←

ストレスは発散に限るよ!←いきなり何だww

33彗斗:2012/09/29(土) 18:50:48 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
あ、そう言えば一つ補足!!

シャインが何かミスったとしても責任者はブライトだから……自分がミスってもシャインがミスっても……結果的にブライトが殺されます☆(お前いい加減しろよ?! 大体、何でアイツの失敗の責任まで擦り付けられなくちゃいけねぇんだ!? それに…(チンタラと戯言が長いので以下省略w) byブライト)

極端に可哀そうなキャラを作っていじめるのって気持ちいいよね☆(あのなぁ……もういいや…… byブライト)

34ピーチ:2012/09/29(土) 20:17:23 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

…………極端過ぎない?

あたしもそーゆーのあるけど、一応平等に扱ってるよ!?

35彗斗:2012/09/29(土) 23:39:02 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
ブライトだから許される事なんだってww

始まってすぐにこの調子でどんどんエスカレートしたら……前提としてまずブライトが他界してるのかも?(笑)

36ピーチ:2012/09/29(土) 23:59:46 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

いやいやいやいや!?

いくらブライト君でもそれはさすがにネ?

ブライト君、他界するならまず最初に天界においで←え

37彗斗:2012/09/30(日) 00:25:14 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
本当に逝かせようか?ww(俺もそっちに行きてぇ!! この最悪な悪魔みたいな作者から解h…ガファ!!(吐血) byブライト)

アンタは余計な事は言わない方が良いよ? 変な死に方したくないんならねw(た…確かにっ……! もし仮にあっちに逝けるとしても死なせてくれる訳無いよな……一番死なせ方が良かったとしても俺の存在自体が消されるちまう云々だろうし……(汗) byブライト)

※注意!! 私は決して自分が作ったキャラであるブライトの事が嫌いでやってる訳ではありません! そこはご了承くださいww(何で最後に「ww」が入ったりするんだよ!? 絶対俺の事嫌いだろ! 絶対これは嫌がらせだろ!! byブライト)

38ピーチ:2012/09/30(日) 00:50:26 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

うん、来るなら天界においで。心優しくてあたしにしてはめちゃくちゃ怖がりな天使が居るからww

……作者差し置いて出るのはどうかと思うけど、それって私のこと?(by ミューラ

………嫌がらせにも取れネ、うん

39彗斗:2012/09/30(日) 01:39:38 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
キャラ達の戯言 其の一
  〜誰か……この満たされると言う事を知らない作者をどうにかして止めてくれ……!!〜 byブライト
―――――――――――――――――――――――――――――
七乃欠片 三日月少女と青年と……
 ここは町の郊外に当たる場所、かなり見通しが良く右を向いた目の前に広がるのは蒼い海と碧い空、そして今さっきまでいた町である。
「ホントにここは綺麗ね〜。ここで昼寝でもしようかな〜?」
 澄んだ大空と濃い青の大海に顔を向けている麗奈の背後には、紫色の見事なラベンダー畑が一面に広がっていた。その所為か、その辺り一帯にはずっとラベンダーの香りが漂っている。
「……時間は無限にあるし、ここでちょっと休もうかな」
 そう言いながら麗奈はラベンダー畑を背にして丘の斜面でまどろみ始め、そして……深い眠りについた……。
〜〜〜〜〜〜
「……むにゃ? しまったぁ〜〜〜っ!!」
 ほんの数分の休憩と思っていたが眠りこけてしまいいつの間にか日が暮れようとしていた……。夜になると姿が肉眼に移る様になり人目につくだろう。麗奈はそんな事を考えて慌てていた時、最悪の展開が訪れた……
「あの……お譲さん? 道に迷ったのですか……?」
「ほえっ!?」
 ……人に話しかけられたのだ! その人物は年齢が大体十六程で紺碧の髪と瞳を持っており。服装は、見たまま貴族が着る様な煌びやかな正装で、その双眸から放たれる視線は真っ直ぐでどこか好印象が持てる眼差しだった。
 これはちょっとヤバいかも……と思いつつ麗奈はその少年の問い掛けに応じた。
「え…あ、いや違うんです! そのここの景色が良いからついウトウトしちゃって……それだけなんです」
 少年は麗奈の顔を見た時、少しだけ、ほんの一瞬だけ驚愕の色が混じった様にも見えた。が麗奈はそれを気のせいと割り切って少年の返事を待った。
 少年は少し胸中で動揺している様にも見えたが平静を装っているのか、最初に聞いてきた口調と変わらない調子でこう返してきた。
「あ、そうだったんだ。それは失礼したね。ところで君、家は何処なの?」
「え〜っと……今、私は旅の途中でして……」
 その後、少年は暫く考えてから麗奈にこう返答して来た。
「それなら……もう日も落ちる頃だし家に泊って行ったらどうかな?」
「え? 良いんですか?」
 それは麗奈にとって願っても無い幸運だった。正に捨てる神あれば拾う神ありと言った所だ。
 勿論、麗奈がその申し出を断る訳が無かった、と言うよりはその少年の親切に甘える形となった訳だが。
「……他に泊る所も無いし……でも、良いんですか? 私みたいなのが貴方の家に上がっても……」
「いや大丈夫ですよ。貴方なら……」
 貴方なら……? それって私の事かしら? と麗奈は思ったが口には出さなかった。もしもそんな事を口にしたら、かえって変な方向に話が転がりかねないからだ。
「そ…それじゃお願いします」
「どうぞお構いなく。こっちに僕の家があります」
 麗奈はその少年に優しく手をとられた後、その少年に連れられて日が横から差し込んでいるラベンダー畑を歩き始めた。
 その時、麗奈はその手を引いてくれる少年の名前を聞いていない事を思い出し思い切って聞いてみた。
「そう言えば……貴方の名前は……?」
「僕の名はリウシス=ネオス。そう言えばまだ君の名前を聞いていなかったね。名前は?」
 そう聞かれて麗奈はほとほと困り果てた。何せ、欠片を回収したらネオスともお別れになる。この国の人間じゃないと思わせておいたとしても麗奈とそのまま言ったのでは怪しまれる可能性がある。結局の所、偽名を使うしかなかった。
「え…え〜っと……私の名前はラティール=ルナ。よろしくね」
「こちらこそよろしく、ルナ」
 最後に麗奈の偽名を呼んだ後、二人の目の前にはネオスの邸宅があった。

40彗斗:2012/09/30(日) 01:46:59 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
俺は本気で行きてぇ! この地獄絵図から早く脱出したい! ……って直接言おうものなら間違いなくこの小説内での存在自体が消えるからやめとくよ……byブライト

よしよし…良い子、良い子。もしそれが本心だったら間違いなくレギュラー外して首が宙を舞っていた所だったけど踏ん張ったから良しとしようw

嫌がらせだなんて……酷いなぁブライト君、私は遊びでこんな事してるのにww(そんな事を遊びにしてる方がどうかと思うんだがな…… byブライト)

41名無しさん:2012/09/30(日) 02:06:18 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

……初めまして、慧斗さん、ブライトさん。

ちょっと、可哀想なんじゃないかなぁ……

少しは手加減してあげて下さいね?

42彗斗:2012/09/30(日) 03:31:35 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
名無しさん>>
初めまして!

実を言うと、こう言うキャラが居るのと居ないのではガラッと作風が違ってきますからね。ストーリー的にも役割・立場的にもすごく重宝してるキャラではありますね。

そのキャラの性格・役割を壊さない為にもあえてこうしてると言った方が表現的には良いんでしょうかね?

基本的に私のキャラはシリアスでもギャグでも使い勝手が良い様に設定されてますから。問題はどの場面も使えるオールラウンダーなキャラ自体を何処の方向に持って行くかですよ。ただ、ブライトに至っては性格とか色んな要素が幸いして今の方向に突っ走ってるって訳ですがね……。

43ピーチ:2012/09/30(日) 17:59:57 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

ごめんなぜか名無しさんになってた!←

あれはうちのキャラが勝手に喋ってたみたいで、ごめん!

44彗斗:2012/10/07(日) 19:23:57 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
お? そうだったのかー!!(とか言っときながら上に書いてるのは本音だけどねw)

まぁ、結果としてはオールラウンダーのブライト君の性格方向性が何かの弾みでそっち路線に走っちゃってるだけなんだよねw(そ…それを早く言えって…ったくこの作者はいつも一言ぐらい足りてねぇんだよな……ん? そ……それじゃあ…今までのは全部、俺の被害妄想って事か……!? byブライト)

それに、こんなに酷くなったのはコイツの被害妄想を利用した結果なんだけどw(だぁぁぁっ!! コイツは良い奴に見せかけてやっぱり黒い!! 黒過ぎるっ!! 今まで俺が悩んでいた時間を返せぇぇぇぇぇぇ!! byブライト)

45ピーチ:2012/10/07(日) 19:28:16 HOST:nptka404.pcsitebrowser.ne.jp
慧斗さん〉〉

うわぁ…紙の上の人に黒いって言われてるよ……

とゆーか、今更ながらにお久!←遅いw

46彗斗:2012/10/07(日) 19:33:27 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
良いんだって、紙の上の人の戯言は勝手に言わせてスルーしておけばww

こっちも今更だけどお久!!←私も遅いw

47ピーチ:2012/10/08(月) 20:10:50 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

スルーするの!? ねぇスルーするの!?

……あたしはもろ受けてたよ←あほ

48彗斗:2012/10/08(月) 21:04:40 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
一つ一つもろに受けてたらあっちがどうにかなってるのにこっちまでもがどうにかなっちゃうじゃないかww(少なくとも私はそう考えてますw)

こっちのキャラは要らん事は喋って大事な事は話したりしない連中ばっかだからさww

49ピーチ:2012/10/08(月) 21:07:26 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

いやいや、こっちはもともとどうにかなってるけど! だからあたしのキャラは残念なんだけど!←

あ、こっちもほぼ一緒だww

50彗斗:2012/10/15(月) 10:36:44 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
私の作品を頻繁に見てくれてる人なら分る筈……なんだけども分りにくいかも?

わたしの作品は主要メンバーの大半が女子のレギュラーで構成してて男子のレギュラーはちょっと少なめって感じになってるけど……どいつもこいつも超が付くぐらい個性的で、ある意味残念な奴らですww

それに私も黒い奴がいっぱいいるって言ってるけど全員じゃないしちょっとは可愛げのある子も欲しいなって事で(実を言うと小さい子が居るってのにそいつまで黒くするのもどうかと思った訳で……)

共通して言える事は……女子全員、怒らせると怖いですww

51彗斗:2012/10/15(月) 11:13:00 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
八乃欠片 三日月の夜に…… 〜大精霊と三日月仮面〜
(正直言って……偽名がばれたりしないかな……)
 麗奈は、屋敷に入った時からそっちの方に注意がいっていた。咄嗟に使った偽名がばれはしないかと不安に駆られている。それにその不安を助長させる様な出来事が実際に起こってしまっているからだ。
――屋敷に居る召使いや兵士の視線が妙に痛い……
 まるで信じられない物を見た様な驚愕に満ちた視線を麗奈に向けている。ネオスはその視線の理由を分っているようだが状況が状況な為、下手にその理由も聞く事も出来ない。
 そこで人目が無くなった頃合いを見計らって遠回しにして、ネオスに聞いてみた。
「ね…ねぇ、ネオス? さっきからこの屋敷の使用人さん達の視線が痛いんだけど気のせい?」
「……気のせいじゃないと思う。正直な話、僕も驚いたから」
 やっぱりね……ネオスと出逢った時にチラッと見せたあの視線……何かあるのかも……と考えては見るものの、確信を掴む為のピースが一つ足りない。麗奈はもう少し理由を聞く必要があると判断した。
 だが聞こうとする前に暫く黙っていたネオスの方から先に言葉が飛び出した。
「……これを話そうかと迷ってたけど……嘘はいけないよね。実は……つい最近、僕の婚約者が……殺されたんだ」
「えっ……」
 住民たちから盗み聞きした話では先立たれたと言うばかりで病気か何かかと思っていた麗奈には少し信じられない発言だった。
 さらにネオスの言葉は続く。
「その事件を知った時、僕は勿論の事、落胆した。もうすぐ結婚を目前に控えていた矢先に彼女が殺されるなんてね……」
「………………」
 その話をしているネオスは、声も掛けられない程に暗く重い雰囲気に包まれていた。何しろその事件を知った後にはもう手遅れだったのだから……
 麗奈はネオスにかける言葉を見失って唯、黙ってその話しを聞くより他無かった。
 まだまだネオスの話は続く。
「そして僕は暗くなった気分を晴らす為に散歩に出て偶然、彼女にそっくりな君を見つけた……」
「わ……私が? 貴方の婚約者にそっくり……?」
 ……あれ? なんかこの流れ、嫌な予感しかしないんだけど……と麗奈が思っていたその時、ネオスの口からとんでもない言葉が飛び出した!!
 麗奈の嫌な予感は見事に的中した様だ。
「もし、もう一度最初からやり直せるなら……僕は……君と結婚したい」
「……はいぃ!?」
 何と! ラティール=ルナこと麗奈はよりにもよってこのタイミングでネオスからプロポーズされてしまったのだ!!

52彗斗:2012/10/17(水) 22:56:08 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
九乃欠片 ネオスの告白と頼れる仲間
「え、え〜っと……き、聞き違いって事で……ヨロシクっ!!」
「え?! ちょ……ちょっとルナ!?」
 麗奈はいきなりの事にパニックになり慌ててその場を離れようとした……が、ネオスに引きとめられてしまいそれは叶わなかった。
 麗奈を急いで追い駆けた為、息も絶え絶えになっていながらもネオスは苦しそうに俯いていた顔を上げてから言葉を続ける。
「だ……だから……これは聞き違い……なんかじゃなくて……」
「ほ……本気って事……?」
 だいぶ冷静になって来た麗奈も、ようやくパニックにならない様になって来た。麗奈の顔を覗きこんだ後、ネオスはニッコリと麗奈に向って無邪気に笑った後、言葉を続けた。
「僕は……ずっと君の隣りにいたい、君の笑ってる顔をずっと見ていたい。僕の今の幸せは……君自身に在るから」
 麗奈は自分の顔がどんどん紅く紅潮していくのが分った。ネオス自身も麗奈と顔を合わせるのが恥ずかしいのか顔を下に向けている。そして彼の顔もまた、紅くなっているのが目にとれた。
 麗奈は、恥ずかしい様な懐かしい様な複雑な感覚を味わっていた。そして、いつの間にかネオスを……思い出の人となってしまった勇騎の面影に照らし合わせていた。
(何だろう……この感覚……なんか、懐かしい……)
「……ルナ、僕の申し出、受けてくれるかい?」
 その言葉を聞いた時、二つの影は……三日月の光に照らされて一つのシルエットとして映し出されていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「で……思いっきり話が変わるけど……ここがルナの部屋だよ」
 と言いながらネオスが開け放った部屋には絢爛豪華な家具やベット、金銀細工が施してある花瓶や大理石の床、麗奈は至る所にまで惜しみなくに使われた金銀などの装飾品に目が眩みそうになった。勿論の事連れていたムーンも眩しそうに目を細める。
「……流石にここまで眩しくしなくても良いよ。エイリーク、アイリーン」
 ネオスも流石にまぶし過ぎたのか片手を挙げて目の所に当ててながら言った。するといきなり眩しいほどの光量が無くなり元の金銀の輝きに戻ったかと思うと部屋の中から一組の顔のそっくりな男女が姿を現し互いの文句を言いあい始めた。
「そら見ろ、やっぱりネオスに注意されたじゃないか」
「良いじゃない。アレぐらいないとインパクトが無いでしょ」
 互いに一頻言い合いに決着が付いた所でネオスの方に向きあった。その様子を見たネオスは……
「はははっ、二人とも変わって無いなぁ……まさか……新しい部屋の飾り付けだけで昨日も一昨日ももめていたのかい?」
 何の事か理由が呑みこめていない麗奈に気が付いたエイリークと呼ばれる青年が麗奈の顔を見て驚いた声を挙げた。
「えっ!? そ……そこに居るのは……ノアなのか?!」
「いやエイリーク、これは違う。この件についてはちょっと二人にだけ話がある、ちゃんと聞いてくれ」
 ネオスはエイリークとアイリーンの耳元にこっそりと口を寄せ、これまでの経緯を全て話した。すると二人はちゃんと分ってくれたようで互いに顔を見合わせてニッと笑顔を見せあっていた。ネオスの方に麗奈が歩み寄るとネオスは二人の紹介を始めた。
「ちょっと紹介が遅れたね。こっちの背の高い翡翠色の瞳をしたこの人は君の……え〜っと……なんて言えばいいのかな?」
「……ネオスは説明する為の言葉が一言だけいつも足りないなぁ……まぁ簡単に言えば……執事と言えばいいのかな。俺の名前はエイリーク=ライン。これから宜しく」
「……殆ど僕が説明できなかったけど……まぁいっか。そして右に居るのg……」
「こっちにいるエイリークの双子の妹、アイリーン=ラインよ。因みに私はメイドよ」
 二人の自己紹介が終わった後、四人で暫くの間だけ話をした後、ネオスが急にこんな事を言い出した。
「それじゃ、今日はもう遅いからこの辺で……またね」
「「「おやすみ〜」」」
 その後、麗奈はエイリーク兄妹達とも別れ、部屋にひとりだけで残った。その時、今日見せてくれたあの無邪気な笑顔をしたネオスの顔が浮かんできた。その事を考えるとどうしても頬が熱くなる。
「もう今日は……寝ましょう、ムーン」
 そうしてベッドに入った麗奈とムーンは深い眠りについた……。
「……お前は……罪を悔んでるな」
 その様な声が何処からか響くこの声にはもう慣れてしまっていた。抑揚が無く、ただ肯定的に繰り返される言葉。そして、その声の主には……人では無い姿があった。
――銀色の棘薔薇(いばら)
 この声の主は、明らかに植物でも人間でもない外観を持っていたと言うよりは、その姿が本来の姿なのかもしれない。
「僕には……あの日の罪が……」
「そう、お前は……ノアと言う一人の娘を護り切れなかった罪が残っているのだ……ネオスよ」

53彗斗:2012/10/20(土) 11:57:29 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
十乃欠片 大妖精の託したモノ
「……んにゃ? 後もう五分だけ……zzz」
 先程から何かに関する寝言をブツブツと言っている麗奈、彼女の開け放たれていた窓に月の光が優しく差し込んでいた……がその窓にさしていた光が急に閉ざされ何者かが部屋に侵入して来た……
――ザクッ……ザクッ……
 靴を履いているかの様な足音はだんだんと麗奈の方に近づいている……一つの影が麗奈の首に手を伸ばそうとした時! ベットの上に無造作に置かれていた麗奈の足が唸りを挙げながら飛んできた!!
「! っと……」
 間一髪、足の攻撃は顔面スレスレの所で右から左へと通り過ぎてしまった……その反応と同時に麗奈はバッとベットから飛び出し寝間着のままの状態で拳を突き出し戦闘態勢に入っていた。ムーンも騒ぎに気が付き牙をむいて唸っている……
「……麗奈、お前……まさか俺を忘れたとでも言うのか?」
「……それは一体どういう事?」
 と丁度その時一陣の風が吹き月明かりが神秘的にその人物を照らした……顔はよく見えはしなかったが服装で簡単に判断が出来た。あの部屋でムーンを託したあの男だ。
 そうと分って麗奈もムーンも攻撃体制を解き麗奈は腰に手を当てて呆れ気味にこう言い放った。
「アンタさぁ……ちゃんとドアから入るって事を知らない訳? おかげでこっちは本当に焦ったんだからね!!」
「すまないな。俺の事情が込み合っているからとでも認識して置いてくれ。で、話が変わるんだが……」
 軽く謝罪の意を述べた後、その男ことマスターOは、麗奈の目を見てから一つ聞いてきた。
 だが麗奈にとって見ればその様な話など夢のまた夢の話だと思っていた内容だった。
「お前は……「凶獣」と言う生物を知っているか?」
「凶獣? 何その動物?」
 勿論の事、その様な単語を聞くのも初めてだった上に見た事も無い様な動物の名前だ。その様な事ぐらい知らなくて当然かと思ったのかマスターОは口元に笑みを含ませた後、こう言い添えた。
「知らなくて当然だと思う。まぁ……比較的最近、発見された化物だからな……」
「ば……化物……!?」
 その言葉を聞いて麗奈の顔から血の気が引いて行くのが目で見てとれる。その様子を見て楽しんでいるのか仕方ないと思っているのかマスターОは暫く考え込んでいた。
 そして、暫くの間考えた後、思い切って話してみる事にした。
「麗奈、よく聞いてくれ。お前はこれから先その凶獣と対峙しなければいけなくなると思う。問題なのはいざその場合になった時だ。闘う力が無くては何もできはしないからな。そこでお前にもう一つ渡す者を持ってきたんだ」
 そう言いながらマスターОは懐から山吹色に光る月の形をしたペンダントを麗奈の手に握らせた。そして真剣に麗奈の顔をジッと見やりすぐに視線を逸らす。
「……出来る事なら、お前には戦って欲しくない」
「えっ……?」
 麗奈は彼の言った事が理解できなかった。何しろ彼にとって自分は知らない人の筈なのに何故、そこまで麗奈の戦いを拒むのか……麗奈にはその理由が分らなかった。
 聞き返そうとした時、マスターОはペンダントについて話し始めた。
「そのペンダントの力は時が教えてくれる筈だ。時間が経てば自然とその時が来る。その時、お前は……」
「私は……どうなるの?」
 その先の言葉を彼はどうやら躊躇っている様だった。
 一体、麗奈の身に何が起こってしまうと言うのだろうか……彼はその後の事は話さずに別の事を麗奈に言い聞かせた。
「必ず……戻って来い。それと……お前なら出来る」
 そう言った後、麗奈から視線を外して窓に駆け寄った後、そのまま窓から飛び降りた……
(マスターО……一体彼は……何者なのかしら? でも…何か引っかかる様な気がするのは気のせいかしら?)
 と考えてみたものの手がかりも何も無く考えるのは止めにした。何しろ眠かったからだ。
「ふあ〜あ……眠いわね……それじゃもう一回寝るとしますか」
 麗奈はその後布団に潜り込んでそのまま寝息を立て始めた…………
 その後、番いの風が入って来て、彼からもらったペンダントがキラリと月の様に煌めいた……

54彗斗:2012/12/22(土) 02:02:27 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
十一乃欠片 邪悪な影
「……むにゃ? アレ? 朝になってる……」
 ゴソゴソとベッドから起き出した麗奈は静かに窓に映り込む景色を眺めた。あの時、ネオスに連れられた昨日と変わらない景色がずっと続いていた。
 その景色を見て、麗奈はボソッと独り言を呟く。
「……この景色は時代が変わっても変わる事は無いのね……」
 と呟いたその直後、ガタッと扉が開きネオスが入って来た。その事に気が付いた麗奈は背を向けたままネオスに言った。
「……女の人の部屋にはノックをしてから入るものじゃないの?」
 その言葉を聞いて、一瞬キョトンとしていたネオスがいきなり笑いだした。
「おおっと、そう言えばそうだったね。でも君は……今日、何処かに旅立つんだよね?」
 少し悲しげに聞こえた様な気がしたが麗奈はあえてそこには触れる事無くネオスに返答した。
「別にわたしは今日旅立つ何て言って無いわよ? 確かにこの屋敷を出る事にはなるんだけど……」
「え? あぁ、そうなのか。まだしばらく居るのか」
 何か不自然な雰囲気を漂わせるネオス。先日会った時よりもさらに不自然さが増している気がする……その時くるりと背を向け様とした時のネオスの表情を麗奈は見てしまったのだ。
――ニヤリッ
 何処からどう見ても邪悪そのもの、としか言い様のない気味の悪い笑い方だった。まるで麗奈がこの世界にとどまる事を喜んでいるかの様に……
(何だったのかしら今の笑みは……ムーンならその事ぐらいは分る筈……?!)
 ムーンの方を見てみると……ネオスを威嚇するどころか、思いっきりくつろいでしまっている……
(とんでもないお荷物と言った所ね……)
 そう思いながら、麗奈はネオスの含み笑いの意味を考えながら一人で荷造りを始めた。

55彗斗:2012/12/23(日) 21:53:19 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
十二乃欠片 月を隠す暗雲・風来の流星
「…それじゃ、暇があったら此処に来ればいいよ。いつでも歓迎するから」
「では、いつ来ても良い様に部屋の整理とかもしときますので。また来て下さいね!」
「それでは……いつでも気軽に尋ねて来て下さい」
 ネオス、エイリーク、アイリーンの三人に見送られラベンダー畑を抜けた。
(……取りあえずこの近くに宿を借りて、様子を見ますか……)
 麗奈は考え事をしていた時、「凶獣」と言う単語が頭を過った。しかし……と麗奈は、町に入った事にも気付かずに考え込み続ける。
(もしネオスが凶獣に憑かれているのなら……あの不気味さも納得がいく……でも即座にそうきめつけるのは危険よね……)
――ドンッ!
「キャッ! す…すみません! 大丈夫ですか!?」
 麗奈はぶつかった拍子に尻もちをついた人物に手を差し出した。その尻もちをついた人物は蒼い髪が目立つ人物だった。
「いつつ……すまなかったな。俺の方こそよそ見してて……」
 パンパンと下半身についた砂を払いながら言った後、麗奈の方を見て言葉を続けた。
「お前…この辺りに居なかった顔だな。どこかの旅人か?」
 はっと気が付いて周囲を見てみると……街の人は此方を一切向いていない。これは一体どう言う事なのか……?
「あのう……お聞きしますが貴方は…?」
「あ、これは失礼したな。俺の名はメテオ。色んな世界を放浪としてる者さ」
「メテオさん……ですね? では…単刀直入にお聞いたしますが……貴方、実際に触れる事が出来る体じゃないですね?」
 その言葉を聞いたメテオはちょっと意外な表情を見せた後、クスリと小さく笑った。
「お前こそどうなんだ? 実体じゃないのはお互い様だろう?」
「じゃあ……貴方も…?」
 そう聞き返すと、メテオは縦に首を振り暫く間をおいた後、詳しい経緯を話し始めた。
「勿論だとも。能力を奪われた俺は、昼間だけ実体になれなくなっちまったんだ……」

56彗斗:2012/12/31(月) 15:44:31 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
☆ お知らせ ☆

…ハイっ! この話でも正月が近いと言う事で(もう一日切ってますけど……)

一応このスレ(?)にもお知らせに参りました!

「ちょっと! その一応って何よ! この話って早速アンタに見捨てられてるの!?」

……人がお知らせしてる時にいきなりこの話に割り込んできたコイツはこの物語の主人公、「望月 麗奈」です。

「こっちを見てくれてる人がいるかも知れないってのに見捨てるとか酷過ぎ……作者失格ね……」

「「そーだそーだ!!」」

そこで野次を飛ばしている奴等は彼女の下部(もとい下僕)のブライト&シャインです。

「何だよその(もとい下僕)って注意書き!?」

「まさか…僕も一緒なんですか? 彼女の下僕なんですか?」

ブライト、そこについて突っ込まない。シャイン、お前もブライトと同類だ。

さて…話題を元に戻して、ムーン・クロニカルズ・お正月スペシャル! 勿論此処に呼んでいる奴等に進行役を任せます。

「お? マジで?」

「それは楽しみですね。麗奈、あなたはどうですか?」

「……まぁ良いんじゃない? 作者のこの話を放置した件の罪滅ぼしと考えれば悪くは無いかも?」

それぞれの納得を得た所で……ま、お正月って事もあるので内容は大体察しが付くかと思います。他にも、残りの三作品もイベントを用意しておりますので楽しみにしていて下さい。(因みに更新は12時丁度から連続して更新と言う形になる事かと思いますので宜しくお願いしますm(_ _)m

「それじゃあこれを見て下さっている皆さん……」

「「「楽しみにしていて下さいね〜〜!!」

「あれ? そもそもこれを見て下さっている人って……ヘブァッ!?」

そこは禁句! もしもいたらその人に失礼でしょうが!

「いやお前も十分失礼な事して……グハァッ!?」

それではみなさんお楽しみに〜……

ps

一足早い気が否めませんが先に言っておきます。

皆さま良い一年をお過ごしください☆ by彗斗

57彗斗:2013/01/01(火) 01:01:15 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
お正月スぺシャル!! ムーン・クロニカルズ 特別対話篇

麗奈「はいっ! それで順番が回ってきたのは私達、進行は私「望月 麗奈」と……」
ブライト「この俺「ブライト」と!」
シャイン「続いてこの僕、「シャイン」が担当します!」
麗奈「で……この「特別対話編」ってのは……もしかして…」
ブライト「ご名答だ。「特別書き下ろし篇」ってのがあるらしいぜ? 何でも追々更新するとか……」
麗奈・シャイン「「やった〜〜〜ッ!!」」
ブライト「おいおい……どうしてそこまで盛り上がる必要があるんだよ……?」
麗奈「だって私達もう見捨てられてるのかと思ってたもん……」
ブライト「この話をコタツを囲んでするもんじゃないと思ってるんだがな……」
麗奈「そんな事は気にしない事がお約束!! 私達の世界だって冬になってるんだからコタツに入ったって良いじゃない!」
シャイン(つっこんだら負け…つっこんだら負けだ……)
ブライト「ん? どうかしたのか? シャイン…?」
シャイン「ん? あ…あぁ……何でもないよ。でもこんなに中途半端な所でこれを挟んでも大丈夫なのかな?」
麗奈「大丈夫よきっと……あのバカだしいつもの事かって周りから白い目で見られてるに決まってるわよ」
ブライト・シャイン(きっと今さっきの発言は作者の心に深く抉り傷を負わせたに違いない……)
 麗奈必殺の罵倒!! 彗斗に9999のダメージ!! 途轍もない会心の一撃だ! 彗斗は即死した……
ブライト「作者ァァァァ!? ちょ…おま……一体何をしでかした……!?」
麗奈「? ただ普通に本当の事を言っただけだけど……?」
ブライト(確実に会心の一撃を狙った……!? コイツ一体どこまで作者をいたぶれば気が済むんだ……?!)
シャイン「それにそろそろあの言葉を言わないと……時間が押してるし……」
ブライト「おっと…そうだったな」
麗奈「それじゃ……せーの!」
全員「「「今年一年間、彗斗の他の作品共々「ムーンクロニカルズ」をよろしくおねがいしま〜す!!!」」」

58彗斗:2013/03/03(日) 02:01:58 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
特別書き下ろし篇 街の郊外のラベンダー畑でネオスに出会う少し前のカットされたお話
「♪〜 ♪〜 ん?」
 鼻歌を歌うのを止め歩みを止めた麗奈、いきなり止まった麗奈の動きに反応しきれなかったのか麗奈のふくらはぎにムーンが追突して来た。
 だがそんな事は気にもせず彼女は前方にある物を見つけていた為、それを見ようと必死に目を凝らせていた。その視界に捉えたのは……
――綺麗な薄紫色の髪を持った麗奈と同い年ぐらいの少女
「すんごくきれ〜い……ラベンダーの花びらの色を少し薄くしたみたいな髪の色ね〜。いいわね〜憧れちゃうわ〜……」
 暫くはそれにうっとりと見惚れていた麗奈だったがどこかフッと優しそうでどこか悲しげな笑みを大空に向けて浮かべた後、彼女は何処かへと立ち去ろうとしていた……
「あっ! 何処か行っちゃう! ムーン行くよっ!」
 麗奈達が慌てて駆け出した頃には、少女はもう見えなくなっていた。それでも遠くには行っていない筈と麗奈は必死に坂を登りきったが……
「ウ…ウソ……? き…消えた……!?」
 何と少女は後形も影も形も無く消え去ってしまったのだ。足跡らしきものも無く、少女がそこに居た事を証明する尤もらしい形跡も無かった。
「……ユーレイ? ねぇムーン、あの綺麗な人ってユーレイだったのかなぁ?」
 当然の事ながらムーンには全く理解が出来ないらしい。首を傾げる事もせず、全く別の方向を向いている……
「……ムーン、アンタさぁ…本当に私の欠片探しを手伝いたいと思ってる?」
 それを聞いてもムーンはいつもの知らん顔である。
「ふーん…ムーンはそこまで冷たかったのか〜、そうだったのか〜」
 わざとらしく呟いた後、くるりと踵を返すと……その視界に入って来たのは……
――一面のラベンダー畑である。
「うわぁ〜!! すっごくひろ〜い♪」
 麗奈は、花がどうやら好きな様だ。だが花に夢中になり過ぎて分らなかった様だ、
――麗奈を見つめる白い人影に……
 その人影は風に散る花びらと共に消えてしまった……

59彗斗:2013/06/30(日) 16:30:57 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第十三乃欠片 麗奈の能力(ちから)

「成程……そう言う経緯で今、私と出会って能力を取られてしまったと……。」

「まぁ、少し違う所があるが、そういう事だ。それに、まだ奴が伏線を張っている可能性もある。」

 そこで一息入れた蒼髪の少年――メテオは、麗奈にある事を提案する。

「一緒に行動しないか? そうすればお互い狙われる危険性も無くなる。」

「別に構わないけど……調べる目星は付いているの?」

 その返答は予想できなかったのか、メテオは少々考えて、言葉を紡ぐ。だが、その場所は、危険だとしか思えない所だった。

「―――リウシスのお屋敷の時計塔を調べる。屋敷の主一家しか、出入りできないあそこになら、何か秘密が隠されていそうだしな。」

 リウシス邸……この地方では筆頭とも言える程、裕福な貴族で、国の財政を思うがままに仕切っていると噂されている貴族である。
 だがその反面、気に食わない輩、自分の思い通りにならない者達は無残に極秘裏で処刑してしまうと言う残忍かつ、残酷な一面も、持っていると噂されている。どちらも噂に過ぎないが、一番有力な噂は、あの時計塔であると言われていた。

――時計塔に棘薔薇(いばら)の様な物が絡みついていた。

 だが、その噂を聞いて時計塔を確認した者は一人もいない。これはメテオが人伝に聞いた話だが、そうした人間は一人も帰っていないと言う。いつしか人は、その時計塔を『人喰い棘薔薇の時計塔』と呼ぶようになっていた。

「へぇ〜『人喰い棘薔薇の時計塔』……ね。建造物や植物が人を喰うなんて信じられない話だけど……ね。」

「しぃ〜〜っ!! 声がデカいぞ! そういう事をこんな人通りの多い所で口走るな!」

 慌てて麗奈の口を押さえたメテオは、周囲の反応をちらと見てみた。大丈夫だったようだ。幸い周囲の雑踏で、麗奈の声は掻き消されていた。

「大体、俺は棘薔薇の『様な物』と言っただけで、棘と断定していない! 人喰いの正体は凶獣の可能性だってあるんだぞ?!」

 俗に凶獣と呼ばれるものは何も、全てが獣の姿をしている訳ではない。岩石の様な姿や、植物の様な姿、他には神秘的な妖精の姿もあれば、大怪獣や悪魔の様な姿の凶獣も居るのだ。
 そう言う知識は麗奈には無かった――――尤も、何処かの誰かが言い忘れていた事ではあるが……。

「えぇ〜!? そうなの!? ……ってか、何でメテオが凶獣の事を知ってるのよ?」

 その質問がやって来たなり、メテオはゴホンと咳払いをし、胸を張ってこう言った。

「知ってるも何も、俺だって晩にそいつらしき物と出くわして、能力を取られちまったんだ。だからこうして奴の居場所を特定しようとしてるんだぜ?」

「それは自慢する事じゃないでしょ……。」

 自慢としか聞き取る事の出来ない台詞を聞いた後、麗奈は呆れたように溜息を吐き、こう言った。

「ま、理由はどうであれ……貴方も私と目的は同じなのよね?」

「……あ? そりゃ一体どういう……!」

 言葉の真意が読み取れなかったのか、聞き返すメテオの眼前に、麗奈は人差し指を突き付け、沈黙させた。そして続きの言葉を言い始める。

「細かい事情は言いっこナシ☆ 私も貴方に同行するわよ!」

 そう言った後、月色の瞳でメテオにウインクした後、彼の腕を引っ張って、麗奈はムーン、メテオと共に昼の街へと繰り出した。


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