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ムーン☾クロニカルズ

59彗斗:2013/06/30(日) 16:30:57 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第十三乃欠片 麗奈の能力(ちから)

「成程……そう言う経緯で今、私と出会って能力を取られてしまったと……。」

「まぁ、少し違う所があるが、そういう事だ。それに、まだ奴が伏線を張っている可能性もある。」

 そこで一息入れた蒼髪の少年――メテオは、麗奈にある事を提案する。

「一緒に行動しないか? そうすればお互い狙われる危険性も無くなる。」

「別に構わないけど……調べる目星は付いているの?」

 その返答は予想できなかったのか、メテオは少々考えて、言葉を紡ぐ。だが、その場所は、危険だとしか思えない所だった。

「―――リウシスのお屋敷の時計塔を調べる。屋敷の主一家しか、出入りできないあそこになら、何か秘密が隠されていそうだしな。」

 リウシス邸……この地方では筆頭とも言える程、裕福な貴族で、国の財政を思うがままに仕切っていると噂されている貴族である。
 だがその反面、気に食わない輩、自分の思い通りにならない者達は無残に極秘裏で処刑してしまうと言う残忍かつ、残酷な一面も、持っていると噂されている。どちらも噂に過ぎないが、一番有力な噂は、あの時計塔であると言われていた。

――時計塔に棘薔薇(いばら)の様な物が絡みついていた。

 だが、その噂を聞いて時計塔を確認した者は一人もいない。これはメテオが人伝に聞いた話だが、そうした人間は一人も帰っていないと言う。いつしか人は、その時計塔を『人喰い棘薔薇の時計塔』と呼ぶようになっていた。

「へぇ〜『人喰い棘薔薇の時計塔』……ね。建造物や植物が人を喰うなんて信じられない話だけど……ね。」

「しぃ〜〜っ!! 声がデカいぞ! そういう事をこんな人通りの多い所で口走るな!」

 慌てて麗奈の口を押さえたメテオは、周囲の反応をちらと見てみた。大丈夫だったようだ。幸い周囲の雑踏で、麗奈の声は掻き消されていた。

「大体、俺は棘薔薇の『様な物』と言っただけで、棘と断定していない! 人喰いの正体は凶獣の可能性だってあるんだぞ?!」

 俗に凶獣と呼ばれるものは何も、全てが獣の姿をしている訳ではない。岩石の様な姿や、植物の様な姿、他には神秘的な妖精の姿もあれば、大怪獣や悪魔の様な姿の凶獣も居るのだ。
 そう言う知識は麗奈には無かった――――尤も、何処かの誰かが言い忘れていた事ではあるが……。

「えぇ〜!? そうなの!? ……ってか、何でメテオが凶獣の事を知ってるのよ?」

 その質問がやって来たなり、メテオはゴホンと咳払いをし、胸を張ってこう言った。

「知ってるも何も、俺だって晩にそいつらしき物と出くわして、能力を取られちまったんだ。だからこうして奴の居場所を特定しようとしてるんだぜ?」

「それは自慢する事じゃないでしょ……。」

 自慢としか聞き取る事の出来ない台詞を聞いた後、麗奈は呆れたように溜息を吐き、こう言った。

「ま、理由はどうであれ……貴方も私と目的は同じなのよね?」

「……あ? そりゃ一体どういう……!」

 言葉の真意が読み取れなかったのか、聞き返すメテオの眼前に、麗奈は人差し指を突き付け、沈黙させた。そして続きの言葉を言い始める。

「細かい事情は言いっこナシ☆ 私も貴方に同行するわよ!」

 そう言った後、月色の瞳でメテオにウインクした後、彼の腕を引っ張って、麗奈はムーン、メテオと共に昼の街へと繰り出した。


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