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ムーン☾クロニカルズ

15彗斗:2012/09/12(水) 23:15:55 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
三乃欠片 土下座と静かな怒り
「よっ、昨日は眠れたか……ってあん? なんだ、隣に寝てるそいつは」
 ブライトは跳ねまくった寝癖が目立っている麗奈に挨拶に来た様だ。……少しは相手の事情も考えたらどうなのかと思ってしまうのだが……
 ブライトが瞬間、麗奈はハッとなって大声でこう叫んだ。
「あ〜! ちょっと今はその質問は後! 身だしなみ整えるからちょっと外に出てて!!」
 ブライトは訳が分っていない様子だったが急いで部屋から出ていった……急いで出て行った理由は、ムーンが今にもブライトに噛み付きそうな形相で唸り声を上げていたからだろう。
 誰もいなくなったのを見て麗奈は夜の間に付いてしまったあり得ないレベルの寝癖を馴れた手つきで直し始めた……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…ったく…なんだよいきなり怒鳴ったりして…」
 シャインが居る部屋に戻ってきたブライトは帰って来るなり麗奈に対する陰口を叩き始めた……
 その様子を見たシャインがかなり早い時間で帰って来たブライトを首を傾げながら見て、不思議そうに尋ねてきた。
「一体何があったんだい? 嫌な事でもあったのかい? それとも……麗奈ちゃんに…良からぬ事でも…」
「アホか。大体なぁアイツに良からぬ事をして誰の得になるって言うんだ? どう考えても俺が二重死刑にかけられるだけじゃねぇのか?」
 サラリと変な事を言いだすシャインを、いつもの様にバサリと切り捨てるブライト。どうやらシャインは、考えている事がどうしても口に出るらしい。そしてボソッと独り言のように誰にも聞こえない様に呟いた……
「一度二重死刑に遭ってみたら良いのに……」
「あん? 今さっき何か言ったか?」
 シャインは基本、影で何をしているのか分らない人物だ。案外ブライトが思っている以上に黒かったり凶暴だったりするかもしれない……ブライトは薄々そう考えて警戒しているのだ。
 その会話から程無くしてシャインが意味有り気な表情で話題を持ちかけて来た。
「例のあれ…謝罪しといたほうが良いよね?」
「良いよね? ったって……まだ分らねぇ。案外怒ると怖そうだしな……」
「ま、そうだよね。あの娘は…怒らせたらちょっと…不味いね」
 そんなコソコソ話をしてると……身だしなみを完全に整えた麗奈が部屋から出て来た。
 麗奈の月色の長い髪が日の光で煌めいて見える所を見ると誰でも綺麗だとも思うだろう。
 だが生憎この二人は女には疎い、と言うより縁が無い上に興味が無いのだ。現に興味無さそうに一通り全身を見た後、何事も無い様な顔をしてシャインから目の前に見える大きな門についての説明が始まった。
「今見てるこの変に大きいこの門は、見た目の通り月色に光っているから『月光の門』って言うんだ、ここから僕達が探している物が在る世界へと飛んで行くのさ」
 そして…説明中のシャインは気になる事が一つあった、それは……怪訝そうな目でブライトと自分を見ている麗奈の視線…それだけが妙に痛かった。
 もしや……と直感したブライトが恐る恐る聞いてみた。
「あの…まさかとは思うけどよ……怒ってるのか? 手違いでお前が死んじまった事……」
「いいえ、もう怒って無いわよ。仕方ないから割り切っただけよ」
 嘘付け、どう見ても目は怒りの一色に染まってるじゃねーか……と胸中で思うも口には出さない…と言うか出せない。
 とその時、麗奈はブライトにある話を持ちかけて来た。
「ねぇ…私が貴方達を呼ぶ名前付けて良い?」
「良いっちゃ良いんだが……一体どんなのだ?」
 ブライトがニックネームについて聞いてみた所、即答で麗奈はこう答えた。
「二人纏めて…「バカ」」
「お前、そのニックネームからして絶対に俺たちの事を静かに怒ってるだろ?!」
「いいえ、怒って無いわ」 
 こんな事を平然と言ってのけておきながら目は完全に笑っていない……完全に怒っている者が向ける眼差しだ……
「いや…すまなかった。本当に悪気は無かったんだって…頼むから許してくれ」
 その胸中を察した元凶であるブライトはいきなり土下座をし始めた……


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