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ムーン☾クロニカルズ

51彗斗:2012/10/15(月) 11:13:00 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
八乃欠片 三日月の夜に…… 〜大精霊と三日月仮面〜
(正直言って……偽名がばれたりしないかな……)
 麗奈は、屋敷に入った時からそっちの方に注意がいっていた。咄嗟に使った偽名がばれはしないかと不安に駆られている。それにその不安を助長させる様な出来事が実際に起こってしまっているからだ。
――屋敷に居る召使いや兵士の視線が妙に痛い……
 まるで信じられない物を見た様な驚愕に満ちた視線を麗奈に向けている。ネオスはその視線の理由を分っているようだが状況が状況な為、下手にその理由も聞く事も出来ない。
 そこで人目が無くなった頃合いを見計らって遠回しにして、ネオスに聞いてみた。
「ね…ねぇ、ネオス? さっきからこの屋敷の使用人さん達の視線が痛いんだけど気のせい?」
「……気のせいじゃないと思う。正直な話、僕も驚いたから」
 やっぱりね……ネオスと出逢った時にチラッと見せたあの視線……何かあるのかも……と考えては見るものの、確信を掴む為のピースが一つ足りない。麗奈はもう少し理由を聞く必要があると判断した。
 だが聞こうとする前に暫く黙っていたネオスの方から先に言葉が飛び出した。
「……これを話そうかと迷ってたけど……嘘はいけないよね。実は……つい最近、僕の婚約者が……殺されたんだ」
「えっ……」
 住民たちから盗み聞きした話では先立たれたと言うばかりで病気か何かかと思っていた麗奈には少し信じられない発言だった。
 さらにネオスの言葉は続く。
「その事件を知った時、僕は勿論の事、落胆した。もうすぐ結婚を目前に控えていた矢先に彼女が殺されるなんてね……」
「………………」
 その話をしているネオスは、声も掛けられない程に暗く重い雰囲気に包まれていた。何しろその事件を知った後にはもう手遅れだったのだから……
 麗奈はネオスにかける言葉を見失って唯、黙ってその話しを聞くより他無かった。
 まだまだネオスの話は続く。
「そして僕は暗くなった気分を晴らす為に散歩に出て偶然、彼女にそっくりな君を見つけた……」
「わ……私が? 貴方の婚約者にそっくり……?」
 ……あれ? なんかこの流れ、嫌な予感しかしないんだけど……と麗奈が思っていたその時、ネオスの口からとんでもない言葉が飛び出した!!
 麗奈の嫌な予感は見事に的中した様だ。
「もし、もう一度最初からやり直せるなら……僕は……君と結婚したい」
「……はいぃ!?」
 何と! ラティール=ルナこと麗奈はよりにもよってこのタイミングでネオスからプロポーズされてしまったのだ!!


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