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【艦これ】艦隊これくしょんでエロパロ13 (避難所2)
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DMMのブラウザゲーム、艦隊これくしょん〜艦これ〜のエロパロスレです。
エロ妄想なりSSなりご自由にどうぞ。
シュチュやネタ妄想雑談しつつ、ゆるーく行きましょう。
SSは形式不問、長いのも短いのもエロいのもエロくないのもご自由に。
リョナ・強姦・死姦・スカトロ・ふたなり・性転換などの特殊嗜好を含む内容は注意書き必須
百合・女性提督ネタは百合スレで、こちらに投下の場合は注意書き推奨
【艦これ】 艦隊これくしょんで百合 ←検索したら出ます
■■禁止事項
批難中傷・荒らし
SS作者以外による改変/改竄および他スレへの投下
投下のあからさまな妨害・その他スレの空気を悪くする言動
上記を行った場合は警告なしで削除とホスト規制します。
※次スレは>>980を踏んだ人が立ててください。
公式
http://www.dmm.com/netgame/feature/kancolle.html
公式漫画
http://www.famitsu.com/comic_clear/se_kancolle/
保管庫
http://www55.atwiki.jp/kancolle_ero/
避難所
http://jbbs.shitaraba.net/otaku/16725/
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>>155
初体験が慰安所な艦娘か……
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>>154
加賀「提督。海軍として、艦娘として、私達が守ろうとしているものって何なのでしょうか。
平和。私達が守るべき平和。けどこの国のこの街の平和とは一体何?
戦争への恐怖に基づくなりふり構わぬ平和。正当な代価を余所の国の戦争で支払い、その事から目を逸らし続ける不正義の平和」
提督「そんなきな臭い平和でも、それを守るのが俺達の仕事さ。不正義の平和だろうと、正義の戦争より余程ましだ」
加賀「あなたが正義の戦争を嫌うのはよく分かるわ。かつてそれを口にした連中にろくな奴はいなかったし、その口車に乗って酷い目にあった人間のリストで歴史の図書館は一杯だから」
的な感じで赤城が東京を戦争状態にする話とか
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雷も本来は暁と同じく空回り系だったはずなのにな
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そもそも艦これできっちりした長女が少なすぎる…
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>>139
>何故始めた、何故続けた
しかしあの戦争がなければ松型駆逐艦(現在艦これ未実装)が産まれることはなかったかもしれないというジレンマ
(逆に余裕があって島風に妹達が産まれていたかもしれないが)
あの戦争の否定はいずれ来るかもしれない彼女達の否定にもなってしまうから
松型実装されたらそこら辺に着目したシリアス系の二次が盛り上がるかも
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>>161
はっ、まさかそこまで思想が及ばないために艦娘たちの記憶は定期的にリセットされている…?
戦前艦、初期戦没艦、後期戦没艦、終戦艦、戦後艦でまた変わりそうである
実は提督は指揮官ではなく、思想面も含めたカウンセラーで実は鎮守府ではないってこれさよならを教えてだ
カウンセラー×艦娘…ふむ
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そういう余計なことを考えないように、男子中学生並みに性欲が強化されてるんだよ
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しかも脳波コントロールできる
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「検閲も大本営発表もないし、都合の悪いことは報道しないでいいなんて最高じゃないですか!」
「駆逐艦にも艦載機がいるのか。やはり航空火力艦の時代だな!」
一部の奴は戦後を楽しみそうではある
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ハンバーガーとコーラとかは皆喜びそう
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もう戦争終わってウン十年も経って、わけのわからない人間の女体で蘇って、おまけに戦う相手は化け物
そんな状況で60年前の戦争にそこまでこだわるのも変っちゃあ、変。だって当時はみんなただのフネだったんだから。
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台詞にあるからなんともかんとも
某強化人間みたく、何かしらの拘りがあった方が精神が安定するから植え付けられた偽の記憶だとすると…
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ダブリをゲーム上のみの描写とするか否かで世界観が随分違ってきそうだな
ダブリの姉妹艦は自分の姉あるいは妹を正確に区別できるんだろうか?
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一人の人間が装備を使いまわしてる解釈の漫画があったな
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>>167
日本にゃ「付喪神」という素敵な概念があるじゃないか。
喋れない・表現できないだけで魂のようなものが生まれていたとしたら?
何百人、何千人もの人間の命運を載せてたモノに霊が宿るなんてフツーフツー
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唐突に投下。前スレ>>154の続きのようなもの。設定も引き継ぎます
吹雪ちゃんじゃなくてごめんね
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「…」
「…」
提督は今、深夜までずれ込んだ幕僚との会議から帰還し、執務室に入ろうとドアを開けたそのままの姿勢で動けなくなっていた。
固まっているのは、執務室にある来客用のソファで、何か白い布状のものを抱いて妙な格好で座っている艦娘―磯波も同じだった。
駆逐艦娘、磯波。吹雪と同型の艦娘で、吹雪より更に目立たなくて大人しい娘である。
やや引っ込み思案で余りにも我を出さないのが欠点といえば欠点だが、この鎮守府では最古参級の艦娘であり、吹雪と同じく重要な戦力として昔からこの鎮守府を支えていた。
その磯波が、提督の執務室で、明かりも付けず、提督の足音に気づかないほど何かに耽っている。
「ぁ…あ、の…ぁ…」
蚊の鳴くような声を漏らしてはいるが、それは全く言葉としての体を為していない。
予想外の事態に体が動かなくなっているのは明らかだった。
艦娘は、命令遂行をスムーズにする目的で、「提督に好意を抱くよう」調整され建造される。
提督としてここに赴く際に、渡された資料に記されていた文章である。
加えて、艦娘は戦闘によるストレスを、性的欲求の形に変えて貯めこむこと。
練度が高ければ高くなるほど、その欲求は強くなること。
親しい間柄の艦娘がいればお互いで発散することもできるが、そうでない艦娘は自分で自分を慰めることしか出来ないこと。
…それが、彼の最初の艦娘・吹雪から聞かされた、艦娘の隠された事実だった。
それを知らなかった数日前までの彼なら目の前の光景を理解できずにパニックに陥っていただろう。
しかし今の彼には、磯波がこの執務室で行っていた行為がどういうものなのか、容易に察することが出来た。
小さく深呼吸した彼は、部屋に入る動きを再開させる。
「! っあ、の、これ、は、」
「磯波。君はそこで何をしているのかな?」
「ゎ、た、しは、っ、そ…の…っ」
「何をしているのか、と尋ねているんだが」
ぶるぶると震えながら、言葉にならない言葉を繰り返す磯波。さらに歩み寄ると、彼には状況がより正確に把握できた。
セーラー服のような普段の艦娘制服を肌蹴た磯波は、見慣れた彼の軍服を掻き抱いてソファに座り、
軍服の袖を持った右手をM字に立てられた脚の中央に伸ばしたまま、身体を硬直させていた。
羞恥と恐怖がない混ぜになって磯波を支配しているのは明らかであり、その姿は怯える小動物を連想させた。
その姿とこの異様な事態に、普段の彼では考えられないない感情と欲求…
すなわちもっと虐めたい、辱めてみたいという下劣な欲望をむくむくと膨らませていた。
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「見た所それは私の服のようだが、何をしていたのかな」
「…っ …ぁ…っ ぁ…」
「ふむ…私には、君が私の服で自慰をしていたように見えるのだが…違うかい?」
「〜〜〜〜ッ!!」
朱の差していた磯波の顔がさらに紅潮し、俯いたまま身体を縮みこませ、黙りこんでしまう。
期待した通りの反応に、異常なまでに興奮しているのを彼自身も自覚していた。
「さて、困ったことだね、磯波」
「…ぃ」
「ん?」
「…さい、提督、ごめんな、さい、すみません、提督…っ」
ポロポロと涙をこぼしながら、嗚咽の混ざったぎりぎり聞き取れる声で謝罪を繰り返す磯波。
「磯波、君は何に対して謝っているんだい?」
「…たし、て、とく、で、 …らしい、こと、を、そうぞうして、… ました…っ ごめんな、さいっ…」
「何だ、そんなことか。そういうことなら謝る必要はないぞ」
「…? あ…っ」
涙と鼻水の跡がついた顔を上げる磯波の頭を撫でてやりながら、提督はできるだけ優しい声で話しかける。
「君たち艦娘は、練度を上げるほどそういう欲求を強めていくと聞いた。
私の仕事は艦娘たちを率いて、深海棲艦を駆逐することだ。
当然、その仕事には戦力の全てである君たち艦娘をケアすることも含まれているんだよ。
掲示板にもそういう旨の知らせを貼り出していたのだが…気付かなかったかな?」
「い…いえ…っ で、も、提督に、は、吹雪ちゃん、が、わたしなん、て、そんな…」
「ふむ…これは、そういう話ではないんだよ。君だって、吹雪と同じように立派に役目を果たしている艦娘なんだ。
君が苦しんでいるなら、それを解消するのも私の仕事なのだから、遠慮する必要はない」
「で…では…っ、困ったことと、いうのは…?」
「君がここに来てこんなことをしてしまうまで我慢していたことを察せなかった、私の鈍さのことだよ」
「…」
驚いたように目を丸くして私を見つめる磯波。
袖のところに濃い染みができてしまっている自身の服を一瞥し、しかし、と彼は言葉を続ける。
「明日私が着る上着が汚れてしまったな。
そんないやらしい臭いのする服では、仕事をすることが出来ない。その点は君の失態だよ、磯波」
「…っ は、い…すみま、せん…」
「罰として、そうだな…磯波にはもうちょっと恥ずかしい思いをしてもらおうかな」
「ふぇ…?」
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提督は磯波の隣に腰を下ろし、ことさら優しく語りかける。
「ここで、さっきの行為の続きをしたまえ」
「〜〜〜!?」
「ん?どうした?」
「そ、そんな…恥ずかしいです…」
「そりゃあそうだ、恥ずかしくないと罰にならないじゃないか。
別に難しいコトじゃ無い。いつもやっているように、さっきの続きをスるだけでいいんだ」
「でも…わ、私…」
「磯波?これは磯波が私の服を汚してしまった罰なんだよ。
君は拒否できる立場じゃないんだ。わかるかい?」
「はい…」
「では、始めなさい」
「…」
観念したかのようにソファに座り直し、右手を股間に持っていく磯波。
スカートの中に手を突っ込み、下着の上から秘裂を撫でるように、なぞるように指を這わせている。
「… ぅ …っは 、ん… ぁ …っ」
(あ、れ…? いつも、より、敏感になってる…さっきまで、シてた、から?)
弄られる陰部はすぐにムズムズとした性感を送り出し、口からは微かにだがもう甘い喘ぎが漏れだしている。
手馴れた行為のはずなのに、何故か興奮はいつもの何倍にもなっていた。
それは先程まで弄っていたからか、それとも…
「はぁっ… んん…っ … ふ、ぁぅ… は っく、んん…っ」
(だめぇ…提督が、見てるのに…っ 見られてっ、ああ、指が止まらないっ…)
提督の目を気にしていたのも最初だけで、磯波の手の動きはどんどん大胆になっていく。
撫でていた手が性器全体の肉を下着ごと揉みしだくようになり、特に中指は一段深くショーツのクロッチ部分を抉っている。
衣擦れのような微かなしゅ、しゅという音は次第に粘質な水音に取って代わり、静謐な執務室に磯波の控えめな囀りとにちゃねちゃという卑猥な音だけが響く。
「っくふぅ、あうう…ふあ、ああっ、ひんっ…! っあ、うううっ…」
(ああ…ダメ、下着の上からじゃ、ぜんぜん、もどかしくて…っ)
布越しの刺激に物足りなくなった磯波は、ためらいなく下腹部からショーツの中に手を滑り込ませ
ちゅくっちゅくと自らの性感帯を思う存分弄り始めた。
普段目立たなく大人しい艦娘が、愛液の大きな染みが出来た下着に手を突っ込み蕩けた顔で喘ぐ様は
提督をも異常な興奮に駆り立てていく。
「磯波、それじゃあ見えないよ。下着を脱ぎなさい」
「はぁっ、は、はぃ…」
「そう…もっと足を広げて、私に見せるんだ」
尻の方までベトベトになったショーツからもどかしげに片足を抜き、膝を折ったその姿勢のまま股を大きく開いて自らの秘部を露出させる。
快楽により羞恥心がすっかり麻痺してしまった磯波は、己の欲望のまま続きを始める。
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「磯波は結構毛が濃い方なんだね…もうグショグショに濡れてて、おまんこに張り付いちゃってるけど」
磯波の陰部は駆逐艦にしては発達しており、髪の毛同様の黒い陰毛が控えめではあるが恥丘とクリトリスの周囲を半分程度覆っている。
その陰毛も、愛液でべっとりと濡れ、淫らな光沢を放っている。
肉色に色づいた小陰唇もワレメからはみ出しており、更に性的興奮で充血しぷっくり膨れて開き、
大切な最奥―ヒクヒクと蠢いている膣口を曝け出している。
周りの肉襞もやや複雑な形状をしており、既に男を誘い込む器官として完成しつつあった。
「愛液もトロトロこぼれてる。磯波のは濃い方なのかな?下に垂れるときに糸を引いてるね。
磯波のいやらしい臭いがすごいよ」
「や、やあっ…に、臭いなんて、はあっ、はあっ、ふ、うう…っ あ、あっ! っ…あ、は、はぅっ、ん、んっ…」
(やだあ、提督に、見られてる…アソコ弄って、気持ちよくなってるの、観察されちゃってるよおっ…)
「クリトリスもコリコリに膨れて、磯波が触る度に身体がビクビクしてる。そこをそうやって摘むと気持ちいいのかな?」
「やあ…あ、はっ んくっ、ああっ、はぁぅ、んんっ!… あ っ、 あ、はぁぁっ…」
わざと辱めるような言葉責めに、磯波はいっそう煽り立てられていた。
肌蹴た上半身に左手が無意識に伸び、脱ぐことすらもどかしいとばかりにブラに手を突っ込んで既に硬く勃起した乳首を弄る。
陰部を弄る指の動きもさらに激しくなり、指を2本も咥えこんでぐちゃにちゃと音を立てながら肉穴をまさぐるように動かす。
しばらくその刺激を味わったら、今度はトロトロの愛液に塗れた親指で、敏感な肉豆をグリグリと責め立てる。
その度に磯波の口から歓喜の悲鳴が漏れ出てくる。
時折太ももをビクリと震わせながら、磯波は提督の目の前で欲望の赴くまま自らに快楽を与え続けた。
「は、はうっ、は、ああ、ら、め、ああ、ひくっ、あはあ、ん、…ぅあ、あうう…っ」
「ふふ、磯波の自慰は激しいね。こりゃあ私の服があんなになってしまうわけだ。
指を突っ込むときに愛液の飛沫がこっちまで飛んでくるし、磯波の臭いが濃くて溺れそうだよ。
クリトリスを弄るときもとっても気持ちよさそうだし、磯波がこんなにエッチな娘だったなんて知らなかったな」
「や、だあ、てい、とく、そんなことっ…」
「私は見たままを言っているだけだよ?それに、私個人の感想を言わせてもらえれば、今の磯波はとっても魅力的だ」
「はあ、はあ、わたし、が…?」
「ああ。いつも遠征や任務をこなしてくれる、真面目で健気な磯波もいいけれど、
いやらしくアソコを見せつけて弄って、気持ちよさそうに蕩けてるエッチな磯波も、とても可愛いよ」
(見てくれてた…提督、私のこと、いつも見ててくれたんだ、こんな、私でもっ…)
「あ、あああっ…♥ あう、ひんっ、あ、あううう、はっ、はっ、やああっ、あうっ、ああ、くぅっ…」
自分のことなどとうに忘れ去られ、ただ遠征とたまの演習をこなす駆逐艦の一人としか見られていないと思っていた磯波の心は、『見ていてくれていた』というだけで歓喜に打ち震えた。
その感情が性快楽を一気に増幅し、提督に見られるまま、いや見られているからこそ絶頂へと駆け登っていく。
「だから声も抑えなくていいし、思う存分気持ちよくなりなさい。イく時は私に言うんだよ」
「はあ、ああ、あひぅ、ひぁっ、はひっ、ふ、ふぁぁっ! ひゃぁっ、はひゃぁぁっ♥
ああ、いッあんあッあっあっいっあっだめっ、もうイッ… ふむぅっ!? …っ! …!」
絶頂に達する、その最も無防備な瞬間を狙って提督が磯波を抱きしめ、唇を重ねる。
普段から密かに想っていた人の突然のキスと抱擁に磯波の身体はびくん、びくんと跳ね、より深い幸福絶頂へと誘われた。
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「…っ ……ぷぁ、はっ…はっ…はっ…ふ、あ、あっ…」
(提督に、抱きしめられて、キスされながら…イっちゃった…こんなに気持ちよかったの、初めて…)
「よく頑張ったね、磯波。これで罰は終了だ。とても可愛くて、思わずキスしてしまったよ」
「は…っ、はぁっ、はぁっ…てい、とく…」
「何だい…?」
「わたし、も…ていとくを、ほしがって、いいん、ですか…?」
「ああ、さっき言った通りだよ。君たちの役に立つなら、私は協力を惜しまない」
「…わかり、ました…」
その言葉で、磯波は今まで抑圧していたタガが外れつつあるのを自覚していた。
我慢する必要はない。遠慮する必要もない。
欲望を抑えていた羞恥心は、先程のオナニーショーの時点でとうに吹き飛んでいる。
「…提督、ソファに座ってください」
「?こう、かな…」
「…失礼します、ね…」
「おお…っ?」
そう言うと磯波は提督の足元にうずくまり、提督のズボンを脱がしにかかったのである。
上気し呼吸の荒い磯波が何をしようとしているのかは明白であり、普段の彼女では考えられない行動に提督も意表を突かれていた。
(ああ…これが、しれいかん、の…おっきく、なってる…わたしの、みてたから…? だったら、嬉しいな…
…あ…これ、おちんちんの、臭い…?)
たちまちのうちに下着まで脱がされ、屹立した肉棒が露わになる。
磯波は熱に浮かされたように顔を近づけ、それどころかソレの放つ臭いを嗅ぎ始めた。
常人には決して好ましいとは言えない強烈な牡の性臭は、しかし発情した艦娘―磯波にとっては、より性的興奮を煽り立てる刺激となっていた。
「すー …はぁ… すぅー… ふあ、はああ…っ♪ はあ、舐めます ね…」
もはや伺いではなく宣言となっている淫行を、磯波は着々と進める。
誘蛾灯に引き寄せられる羽虫のごとく、磯波の唇が赤黒く膨れた亀頭に近づき、
やがてついに…陰茎に舌先が触れる。
「ぺろ、はー、ふはぁー♥ … ちゅっ……れろれろっ、ぺちゃ、ちゅ、ん、んっ……ちゅ、ちゅぱっ、ちゅう
…はあっ、はあっ、ああっ♥ ……んむ、ちゅう……ちゅう、ずちゅじゅる…はぁっ、 くじゅ、れろれろ…
はぁっ、はあっ、ちゅむ……はぁ……っ、れろ、れろぉ、じゅるるぅ♥」
一度舐め始めると、行為はより激しくなる一方だった。
恐る恐る先端を撫でた磯波の舌はすぐに亀頭全体を舐めまわすようになり、尿道口にキスを繰り返す唇が先端を咥え込むようになる。
濃厚な淫臭がペニスから立ち上り、息を継ぐ度に鼻腔に、肺腑に侵入するのを磯波は感じていた。
(あはあっ、私いま、提督のおちんちんナメて、吸って、嗅いでるよおっ…
熱くて硬くって、すごくえっちな、濃い味と臭いでアタマしびれちゃう…)
磯波の動きは初めてとは思えないほど大胆だった…実は彼女は、今まで何度もこの行為の妄想で自分を慰めていたのである。
当然今やっていることは頭の中で幾度と無く反芻したものばかりだったが、実際のその行為は彼女が考えていたよりもはるかに淫靡であった。
妄想にはなかった慕う男の味と臭いと熱を口内いっぱいに感じながら、思う存分堪能できる。
何より自分が舌を動かす度に提督がくぐもった声を上げて表情を歪める―おそらく快楽による―ことが、この上ない愉悦となっていた。
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「ふうっ、う、うう、うあ、い、そなみぃっ…!」
「んちゅっ、ちゅるる、んん、んにゅるっ、ん…へーほく… いひゃいれふか?」
「い、や、痛くは、ない、大丈夫だ…好きにしてく、れっ…」
加減の分からない磯波にとって、自分の行為が苦痛を与えていないかが唯一の懸念であった。
それを否定する言葉と、まるで褒めるように頭を撫でられることで杞憂であるとわかり、改めて口淫を再開する。
「わふぁりまひた…♥ ん、ん、ん、んっ、 んく、はふ……はぁ、ふぅ……ちゅるる、ぐじゅう、ちゅ……」
既にパンパンに張った肉棒が、今度はヌメった唾液のプールにぬちゅりと漬け込まれる。
磯波の口腔粘膜が提督の逸物に吸い付き、舌がカリ首に付着した恥垢全てをこそげ取るかのようにまとわりつく。
通常、男を悦ばせるために行われるその行為は、今はただ純粋に磯波の性的欲求のみによって為されていた。
その証拠に磯波の表情は興奮と悦楽によって蕩けており、逆に提督の方が強制的に与えられる快感に堪える有り様であった。
「んぷ、ぷ ちゅ、ちゅうううううっ、ぷは、んく、ちゅうっ、ぢゅううううううっ…じゅるじゅる、んくっ…ぷは♥
れろぉ〜…っ ぱく、ん、ちゅくっ、ちゅく、ぢゅぢゅううううう〜〜〜っ、ん、ん、んく…」
「うっ…く、あああっ…」
ペニス全体に唾液をまぶし、それごと全体を咥えこんで口内の唾液といっしょに撹拌し、啜りながら陰茎ごと吸い上げ嚥下する…
まるで肉棒のエキスを吸い取り、性器を掃除するどころかふやかしてしまうような磯波の執拗なフェラチオは続く。
先端からトロトロと分泌されるカウパーも容赦なく舐め取られ、磯波に摂取されてしまう。
「ん、ちゅるる…ちゅ…じゅるるるぅ……ちゅぱぁ… はふぅ……、んっ、んっ、んっ、んっ、んむむっ……ちゅぽっ…」
「ぐう、ううっ…いそなみっ…!もうっ…」
「は、う、んじゅる! ちゅ! じゅるぅ! いっひゃい……らひて、くらはい……! くぷ、くぷ、んっ ……んんっ」
少しでも射精を先延ばしにしたい意志の力と、今すぐにでも種付け汁を吐き出したい肉欲のせめぎ合いは
辛うじて発せられた磯波のおねだりがひと押しとなり遂に崩れた。
熱いマグマのような塊が奔流となって陰茎を駆け上り、その瞬間、少しでも奥に子種を送りこめという本能に従って提督の手が半ば反射的に磯波の頭を押さえつけた。
「うぐ、うう、い、そなみ…っ」
びゅっくうう!びゅく、どぷっ!びゅるっ、びるびゅるっ…
「ん、ふ っ〜〜〜♥! 〜、〜〜〜!」
(き、きたっ…!ていとくの、せいし、うあっ、いっぱい出てっ… 熱くて、どろどろぷるぷるしてるっ…)
提督はもとより、磯波も口から離すつもりはさらさらなかった。
いかに磯波がフェラチオの妄想を繰り返そうと、射精だけはどのようになされるのか、想像の埒外であった。
しかし、酒保を通してこっそり流れてくるその手の雑誌には「飲むと男は悦ぶ」と書かれていたし、それでなくとも提督の精液である。
慕う男の精エキスを、一滴でも多く受け止めて、摂取して、自分のモノにしたい。匂いを、味を、記憶に焼き付けたい。
考えただけであまりのいやらしさに目眩がしそうなその願望を実現させるべく、磯波はえづきそうになるのを必死に我慢し、断続的に発射される独特な臭気の粘液を口内に貯めこむ。
「〜〜っ、ふーっ、ふーっ、…ちゅる、んく…っ ちゅく、くちゅっ、くちゅ…んんっ、んくっ、ふはっ、はーっ♥
んむ、ちゅう、ちゅううう…っ ちゅぷん!ぷあ、は、はーっ、はー…」
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ペニスを咥えたまま精液を自分の唾液とぐちゃぐちゃに混ぜて味わい、ゆっくりと嚥下する磯波。
射精を終えたペニスを丹念に吸い上げ、尿道内の精液まで全て飲み込んでしまった。
(ああ、しょっぱくてにがくて、青臭くって…これ、が、提督の、精子…の、味とニオイなんだ…
私、提督イかせて…提督の精子、飲んじゃったんだ…っ♥)
「はあ、はあ、磯波、すごく気持ちよかったよ。こんなに出したのは久しぶり…んむっ…!」
精飲を終えた磯波が提督に倒れこむ…否、唇を奪いながら押し倒した。
発情した磯波にとって初めて飲んだ提督の精液は強烈な媚薬も同然であり、また提督を絶頂させたという高揚もあって、未だ異常な興奮と渇望にあった。
辛うじてひっかかっていたスカートを脱ぎ去り、提督の唾液を乱暴に奪い取りながら、磯波はさらなる行為を要求する。
「んちゅ、ちゅむっ、じゅるるる…っ、あはっ、はあ、はあ、提督っ…提督っ いい、ですよねっ…
んんっ、提督のっ、あはぁっ♥ 欲しいんですっ、お願いします…っ、はう、んん…っ、んはぁっ…!」
尋ねてはいるものの、やめる気など端から無いのは明らかである。
完全に抑えの効かなくなった磯波は提督の胸に手をつき、馬乗りになりながら淫裂を陰茎に押し当て、物欲しげに腰をくねらせる。
唾液と愛液に塗れた互いの性器がくちゃにちゃと音を立て、あまりに卑猥なそのおねだりに提督の逸物はたちまち硬さを取り戻す。
「あ、はぁ、これで、挿れられます、ね…♪ ん…っく、ああ、提督の、あたってます…っ」
愛液まみれになった亀頭を自らのラビアにあてがい、腰を沈めていく。
「ふ、は、あ、はい、って、はうあああああっ♥ …あうう…」
くにゅりと柔らかな膣口が広がり、まだ完全には熟していない磯波の肉穴がペニスを飲み込んでいく。
ぷつ、という破瓜の感触と痛みも、今の磯波にとっては達成感を強調するスパイスでしか無かった。
逸物に対していささか小さい磯波の膣はそれでも精一杯肉棒を頬張るが、全てを飲み込めずに亀頭が磯波の最奥をこつんと叩く。
「う、あ、おくまで、お、っきぃ…はぁ、はぁ、はぅ…」
(提督の、おちんちん、挿れちゃったよおっ…うあ…っ、さき、っぽ、あたってぇ… …!? だ、めっ、も、キちゃう…!)
「ひっ、あ、ああ、あううう〜〜〜っ…!!」
その刺激だけで、磯波は絶頂に達してしまった。
もちろんそんなもので磯波が満足するわけもなく、咥え込んだまま腰をずりずりと前後に動かし始める。
肌蹴られたセーラー服がそのたびにゆらゆらと揺れ、ずり上げられたブラと勃起した乳首が覗いている。
「はぅっ、あうっ、ああっ、ひっ…ううっ♥ す、ご、とまんな、ああっ、あうう…っ
て、とくの、おちんちっ、ナカ、ひっかいてっ、ぞくぞくって、しますぅっ…」
「い、磯波のもっ、すごい、ぞっ…引き抜かれると、ぜんぶ、もっていかれそうだっ…」
普段の磯波とあまりにかけ離れた痴態に中てられ、提督もまた異常な興奮に陥っていた。
提督の肉傘が磯波の膣襞を抉り、痺れるような幸福快楽信号となって両者の脊髄を駆け登る。
磯波がいやらしく腰を動かす度に、ぷじッ、ぬぷぷっ、ぬぶぢゅっ、という空気の漏れる下品な音が結合部から漏れ出るが、それすらも二人の興奮を煽り立たせて、動きはさらに大胆に、激しくなっていく。
「はあ、はあ、てい、とくも、はうっ、気持ちいい、ですかっ…?」
「ああ…っ、ゆだんすると、また出てしまいそうだっ…」
「ぁはっ、はぁ、よかった、もっ…と、動きます、ね…」
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言質を取ったとはいえ勢いで提督を犯してしまったことに少なからず罪悪感を覚えていた磯波は、提督が自らの欲望を快く受け入れてくれたことで更なる充足と快楽を得ていた。
もはや遮る物のない肉欲のままに、磯波は性快楽を貪る。
馬乗りの姿勢から膝を立たせ、咥え込んだまま提督の上でしゃがみ込むように座り、提督の胸に手をつく。いわゆる、M字騎乗位の体勢である。
大きく股を開いたまま本格的に上下運動を開始する。
「んっ…! ふっ、はあ、はあっ♥ あ゛う、あんっ♥ あっ、
てーとくのしゃきっぽ、う゛あっ♥ とんっ、とんってぇ♥ あたってましゅっ…!!」
「ああ、わかるぞ、磯波の一番大切な場所が、何回もキスしてきてる、なっ!」
「ら、ってっ、ていとくの、きもちくて、はあうっ♥ らいしゅきら、もんっ、ああっ、はうあっ」
肉のぶつかる規則正しい音と粘膜粘液が擦れる音、それに二人の喘ぎ声と嬌声が交じり合って執務室に響く。
柔肉が肉竿を存分に頬張り、子宮口が鈴口にちゅうちゅうと吸いつき、性器全体で提督の子種を搾り取ろうとしている。
「へあ…あ゛うっ♥ …おなか、にゃか、ぜんぶ、て、とくの、おちんちん、でぇっ♥ いっぱいに、なっへ、
ひぃやああ、おくまれ、わらしのなかぁ、とろいてるよぅ♥ …っ」
「う、うう、いそなみっ…しめつけ、が、うう、も、うっ…!」
「わた、しもおっ、もうっ、ああっ、あ゛、う、ぃふああああ゛〜〜〜〜〜っ!!!」
ぶびぶりゅううっ!どびゅるるるっ、びぶっ、びゅくうっ!
子宮口が亀頭を包み込んだ瞬間、堪えに堪えた提督の欲望が爆発し、磯波の最奥に白濁汁を叩きつける。
ずっとそれを欲していた磯波の肉穴が喜びに打ち震えながら、全て絞り取るべく強収縮を繰り返す。
「あっあっあっ♥ …へあ゛ァっ♥ …あォああ゛…っ♥ あ゛〜〜〜っっ…♥ あひっ、ふあっ…ァあ…♥」
提督が射精する前から始まった磯波の絶頂は、提督が注ぎこむ間も、注ぎ終わった後まで続く長いものだった。
普段大人しくて引っ込み思案な娘には不似合いな、長く声を上げ続ける動物的なイき方を磯波はした…
精魂尽き果てた磯波の身体を受け止めたまま、二人は気怠い事後の時間を共有する。
「… すみません、私、自分のことばかりで、してしまって…」
「磯波があんなことまでするとは思っていなかったな…驚きだよ」
「やぁ…っ! だって、提督ですからっ…あんなことするの、したいの、提督だけです…」
「…っ、そう、か…」
例の「刷り込み」を思い出し、提督は一瞬言葉を詰まらせる。
大義の名のもとに心を、感情を「歪まされた」少女…の姿を持つモノたち。
何度か受け入れてしまったとはいえ、葛藤は未だ彼の中で燻っていた。
いくら「兵器だ」「人外だ」と理屈を並べても、自身がそれらを人と看做しているのは明らかであった。
植え付けられた好意を、生理的欲求を利用する。鬼畜にも劣る所業ではないのか。
丁寧に後始末を済ませ、眠ってしまった磯波を寝室に運びながら、自問自答を繰り返す。
(…いや、磯波に言った通りだ…これは艦娘のため、仕事のためなのだ…)
誰に対する言い訳なのか、それは彼自身が一番理解していた。
-
スレ汚し失礼しました。磯波ちゃんはムッツリ(確信)
だいたいこの絵のせい
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44445779
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>>181
乙
あれ?これ提督が吹雪にヤンデレルートぽい?
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>>181
乙!磯波ちゃんエロかわいいな…ふぅ…
リンク先みたらプロフ絵の排卵がツボって腹痛い
-
下記のレスを削除、一部分修正して記載しています。
どの部分を修正したかは>>184ご本人の方しか分からないと思いますが、感想自体は問題ありません。
もしも修正前のログをとっている保管庫メンバーの方がいらっしゃれば、自分が修正した部分は削除して保管庫にログを保存するようお願い致します。
184 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2014/07/25(金) 14:37:49 ID:.n8GJkbU
>>181
乙
理性の欠片もない貪りっぷり、堪能いたしました…
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>>181
磯波ちゃんエローい!アヘイキしながら子宮直射、最高です乙
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愛宕のエロパロとか薄い本ってだいたいセクロスに寛容なリード系お姉さんとして描かれがちだけど、そういうのに手慣れてないおぼこな愛宕もありだと思うんです
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ここ数日、変態扶桑さんという単語が頭から離れないのですが病気でしょうか
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>>187
高雄がいるのです
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>>189
(´・ω・`)
/ `ヽ. お薬増やしておきますねー
__/ ┃)) __i |
/ ヽ,,⌒)___(,,ノ\
(´・ω・) チラッ
/ `ヽ.
__/ ┃ __i |
/ ヽ,,⌒)___(,,ノ\
(´・ω・`)
/ `ヽ. 今日からそのネタで書き始めましょうねー
__/ ┃)) __i |
/ ヽ,,⌒)___(,,ノ\
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扶桑姉妹はドMだと思う
おしり叩きたい
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山城を振り向かせるにはどうすればいいのか
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純愛的には、信用と信頼と愛情をきちんと向けて扶桑にも許可をきちんととつ。
凌辱的には、扶桑を人質にとって脅して、凌辱する。扶桑さんは、まあ、部下の野郎の方々の好きにさせる。扶桑さんも一緒に楽しむけど。
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扶桑さんをセックスジャンキーにしてから誘うに決まってるだろ
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そら、扶桑姉様に諭してもらうしかねーでしょ
いつまでも姉に依存してちゃ駄目でしょって
しかしながら、扶桑姉様は確実に恋愛脳だから間違いなく拗れそう
後は扶桑姉様と関係持った後に扶桑姉様沈めて、慰め合いとかかなぁ
先に山城様がぶっ壊れそうだけど
シスコン組は本人もだけど、姉が提督に甘めなのばっかだから難しいね
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>>196
自分を扶桑お姉様と思い込んだまま、提督に迫る山城とな?
「今夜も愛してください、提督……」
「違う、お前は山城だ、山城なんだ!」
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「扶桑姉様…ああ…扶桑姉様!!」
「扶桑姉様…私は戦う!私は貴女になるのよ!」
「扶桑姉様、貴女はまぶし過ぎました!」
「扶桑姉様…私は…私は…貴女よ!」
「扶桑姉様…私は…ずっとずっと…貴女になりたかった!」
「待っていて扶桑姉様!すぐに貴女のそばに参ります!」
「扶桑姉様…これで貴女に…また会える…」
「フフフ…アハハハハハハハ!扶桑姉様!私は…私はね!貴女になりたかったのよっ!!」
なんか違和感ないような気がせんでもないな
まあこれだと扶桑が物凄く男嫌いで提督以外の男は全て消えてもいいとか言いかねんか
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山城…強化し過ぎたか
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いいえ、カイメラ隊の眼鏡のホモです
もし村雨が四番艦だったなら何の間違いもなく洗脳とかの強化人間ネタさせられていただろうな
(一応サード・ムラサメというキャラもいるが恐ろしくマイナー。SDクラブに載った小説のキャラだし)
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投稿されるのみんなレベル高杉
俺はそっとtxtを消した
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>>201
サルベージしろ!!書け!!
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>>201
ここは品評会の場じゃない、自分の妄想を形にしてぶちまけるところなのさ
よって下手くそだろうと構わん。仮に誰の琴線に引っかからなくても誰かがそれで損するわけでもないしな
あわよくば誰かを喜ばせられるかもぐらいのつもりで投下するのだ
-
まずは書け、投稿しろ。そして評価や感想などに負けずに書き続け、投稿し続けろ。それがレベルを上げる数少ない手だ。
とりあえずお前の妄想投げてみろ、と
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技巧に凝ったものより趣味の合う一本のほうが、より魅力的というもの
ことエロスに関してはそれは顕著なのです
-
※賞味期限……今日のメンテまで
「賎しくも帝国海軍が戦艦の一艘に名を連ねていながら貴様、時報・放置ボイスの一つも考えておらんとはどういう了見だッ!」
「ああっ!」
唸る拳、響く悲鳴。すわ、さる重巡ばりの中破姿を晒すかと思われた榛名だったが、基準値七十mmを誇る装甲の金剛型戦艦三番艦には、悲しいかな大したものではなかった。しかし、人は時として感情が理性を押さえつけて思考を働かせる。
「指定の期限までに考えてこなかったならば、貴様、身の振り方を考えておくんだな!」
提督は床に倒れこむ榛名を、何か厭らしいものでも見るかのような目つきで睨んだ。吐き捨てる言葉を唱えるその同じ口が、つい先日まで、彼女の事を歎賞し褒めそやしていたとは、到底信じられなかった。
「姉さま!?」
足音高く、提督がそこから立ち去っていくのと入れ替わるように、姉妹艦の霧島が駆け寄ってきた。
ぶたれた(大して痛くない)頬を押さえ、項垂れる彼女の姉を、霧島は酷く不憫でいたわしく思った。この姉が、今までどれほど艦隊のために、そして、提督のために骨を折ってきたのか、それを思うと悔しさのあまりに涙が滲み、視界がかすみ、鼻水が躍り出るのだった。
「うっ……ずず、姉さま、どうして、こんな仕打ち……これではあんまりです……ずず」
「いいんです、霧島」
そんな霧島の頬をそっと押さえ、榛名は大きく息を吐くと、一度目を瞑った。
「全ては、わたしの至らなさから。でも、かくなる上は、完璧な時報と放置アピールを、やり遂げてみせます」
「姉ずま……」
「貴方も、力を貸してくれますか、霧島?」
「もちろんです!」
霧島の力強い返事を聞いて、榛名はその顔一杯にまで、にっこりとほほえんだ。
綺麗な笑みだった。そこには葛藤も悲しみもなく、ただただ透明で透き通るような、それはそういう笑顔だった。
霧島は姉のその笑顔が大好きで、だから、ふと、訊ねた。
「でも、姉さま。どうして、わたしの、時報の時に、一緒に考えてはおかなかったのですか?」
「――ああ?」
(寝ようとしたら榛名改二を知りました)
-
乙
でもメンテは明日です
-
メンテかと思ってすげー焦ったじゃねぇかww
-
榛名は80まで育てておけば安心かな?
話変わって非エロは渋に投下してたけど気が変わったからここに投下させてくだち
-
「あら? 私? ……うふふっ、悪い気持ちじゃないわね。また頑張ります」
さも信じ難いと言うような問い返しに頷いてやると、大井はやっと賞賛の言葉を受け入れた。
それから夜空の下、一列に並んだ艦隊に労いの言葉、艦隊解散の号令、入渠の指示をかけ、
最後に間宮の特別製あいすくりん交換券を取り出すと、艦隊の面子の頬は目に見えて緩んだ。
一般人が口にするものとは違い、特別な効能を含む艦娘用のそれは、
その高くない生産性と安くない価格のお陰で偶にしか支給できないのだが、今回がその"偶に"だ。
今回の作戦では、昼夜戦共に被害を抑えつつ、敵艦隊を鎮圧する事ができたのだから奮発してやらねば。
凛々しさを崩した艦の面子に一枚一枚手渡していくが、先程から元気をなくしたままの者が気にかかる。
殿の援兵として任命したその六番艦が、自分の前に立ち止まる。
「…………」
赤城は、自分が差し出す券を見つめるだけで受け取ろうとしなかった。
目を伏せているつもりなのかもしれないが、
自分と同じくらいの背丈では効果もなく、眉尻や口元が落ちているのが確認できる。
「……私、これを受け取って、いいのでしょうか」
声の調子や速度も落ち込んでいた。
受け取っていいからこうして差し出しているんだがな。
しかしこの調子の艦につっけんどんな軽口で返す訳にはいかず、なるべく声を柔らかくして言葉をかける。
「いいんだよ。持って行きなさい」
「……すみません」
赤城は両手で券を受け取って頭を下げ、礼ではなく謝罪の言葉を持って目を一瞬だけ合わせた。
そして、少し離れて様子を見ていた艦の面子五人に混ざって建物の方へ帰っていく。
赤城が心配だが、大丈夫だろうか。
加賀辺りが何とかしてくれる事を祈ろう。
……………………
…………
……
-
建物に戻って執務を進める事にしたのだが、
一人で使う炬燵は中が無駄に広く空き、また音を発する物も机を走らせる筆と捲る書類のみ。
きちんと役目を果たし、時にこちらに喝さえ入れてくれる秘書は、明石によって修復を施されている。
この独りの静けさが逆に落ち着かず、筆は鴎のように白い海の上空を度々彷徨う。
ラジオでも持ってこようかという考えに至りかけた時、扉が音を発した。
「入れ」
「……失礼します」
入ってきたのは赤城だった。
飛行甲板や艦載機と言った艤装は外されており、海戦時よりさっぱりした格好だ。
それなのに、先程から変化が見られない顔の方は全くさっぱりしていない。
おずおずと畳に上がり、炬燵を挟んで自分と対面するように着座した。
こちらとしてはそのようなつもりはないのだが、
叱られている子供のように口を閉ざす赤城を前にして執務を続行できるほど、自分は冷徹ではない。
「……これを、お返しに」
数秒待ち、こちらから用件を引き出そうと口を開きかけたところで、赤城は一つの紙切れを差し出すと同時に口を開いた。
その紙切れとは、つい先に贈呈した件の間宮の券だった。
あいすくりんは貰ってこなかったのか。
聞けば、皆と違い海域制圧に貢献できなかったから、自分にこれを貰う資格はないと言う。
自分は持っている筆の頭をこめかみに軽く押し当ててから、炬燵の真ん中に置かれた紙切れを赤城へ押し戻した。
「……?」
赤城は、賢い艦にしか食べられないと謳う空の丼でも差し出されたかのように、首を傾げる。
別に赤城が馬鹿だという事ではなく、
頼れるお姉さんに、このように素直な仕草が合わさると、中々に魅力的だと感じただけだ。
「貰っていきなさい。義務感ではなく、私の感謝の形の一つとしてあげたいんだ」
「でも、提督から感謝されるようなことなどは」
赤城は小さく首を振る。
自分は構わずその言葉を遮った。
「いいや、赤城は普段からよく頑張っている。今回は今回で被弾しなかっただけ上出来だ。
自分の出来る範囲でなら、他にも何か労りたいが……」
艦娘が給糧艦のあいすくりん以外に喜ぶ事と言ったら何なのか。
簡単そうに思えて、いざ考えてみるとこれが中々難しい。
赤城の場合、いつも食堂で満足するだけ食べているので、食事も除外する。
筆を置いてしばらく考えてみたが、腕を組もうが炬燵の布団の模様を凝視しようが良い考えは浮かばず。
「……何か欲しい物でもあればそれを贈るのはどうか」
-
やや疑問形となっているモノローグを、碌に変換もせず口にしてしまうのだった。
自分からの提案なのに、赤城に丸投げしてどうするのだ。馬鹿か。
一方赤城は、瞬き一つして顎をほんの少し上げただけで、特に呆れたような様子はない。
寧ろ、先より葉書五枚程は大きく開かれているようなその目は呆れたものとかではなく、
例えるならば、飛行甲板に降ってきた牡丹餅に嬉しくも驚いているかのようで……。
「なんでもいいんですか?」
「出来る範囲内ならな」
すかさず釘を刺しておいたが、赤城はまるでその部分だけ聞こえていなかったかのように、饒舌にこう続けた。
「では、提督の膝を」
私の膝は私の物なのだが。
「今日は貸して下さらないのですか?」
この用件を持ち出される時、大人のような雰囲気を醸す赤城もまた、
この鎮守府の艦娘の一人なのだと再認識させられる。
恐らく上官として信頼されている事の顕れに間違いないと思う。
これを理由に休憩してもいいだろうと、照れを溜息で誤魔化すことにする。
筆や書類やらを置いたまま炬燵を部屋の隅にずらし、空いた部屋の中央に膝を折り曲げて座る。
「これでいいかな?」
「はい、では失礼して……」
正座で向かい合ったままの赤城は、間の抜けたように四つん這いで寄って来て、膝に寝転んだ。
それなりの重みが膝に預けられる。
垢抜けた赤城の顔をぼうっと見下ろすと、物足りなさげにむっとした顔をする。
最早恐縮した様子はなく、素直に欲を示すいつもの赤城が戻ってきたらしい。
「手……」
「……はいはい」
ここまで来ると、赤城が駆逐艦等にするそれと寸分の違いもなくなってしまうのだが、
手を頭頂部に置いて撫でてやると表す、戦いに身を束縛される事から解放されたように安らぐその顔は、何の違和感も感じる事はない。
一方の自分はと言えば、赤城のボリュームあるふんわりした髪の手触りを、
労りの気持ち百……ではなく、労り七十程、自分の楽しみ三十程の気持ちで感じていた。
鬱陶しくはない程度の厚みと、背中にかかる程の長さがある癖に、指が引っかからない事について、
ドックでどのような修復をされているのか、教えてくれた事はない。
指が引っかからない事については、自分だけでなく赤城にとっても快感のようで、
普段より三割増の小さな笑みをもって不満がないことを表明してくれる。
-
しばらく撫でると、すっかり安らいだのか、赤城は一人眠りの海域へと突入してしまった。
この場合、自分はどうなるのだろう。
膝を貸すと許可してしまったので、今更この頭を畳に振り落とす等あり得ないが、
睡眠時間の長い赤城――それは赤城に限った事ではないが――のために、
正座を続けるというのも楽なものではないし、何より背中を何かに預けたい。
何故自分は後先考えずに部屋の中央に座ったのだ。馬鹿だ。壁に寄りかかっていればよいものを。
これでは膝が痺れる前に、上半身が灯浮標のように落ち着きなくゆらゆら揺れ出すに違いない。
転覆しない保証もないので灯浮標以下とも言える。
釈明しておくと、肉体ではなく、精神への疲弊に耐えられるとも分からないと言う事である。
人や艦の寝顔を数時間も見続けて面白い訳がないのだ。
こんこん。
防音加工された部屋に取り残されたような、古めかしい木の扉を叩くその音が、
自分には退屈を叩き出す太鼓の音のように聞こえたのは確かだ。
「は――」
しかし寝ている赤城の手前、声を出せない。
吐きかけた息を止める。
数秒の沈黙の後、向こうが動いてくれた。
「提督? 入りますよ?」
扉を開いた者は、大井であった。
長いようで短かった明石による修復が終わったらしい。
さて、どう説いたものか。
普通に説いてもいいが、以前に他の子にこういった事をして欲しくないと明かした大井が何と言うか。
大井は不服そうに顔をぶす、と歪めたが、状況を察したのか大きな声を飛ばす等はしなかった。
大井は靴を脱ぎ、行儀良く一旦背中を見せて靴を揃えてからこちらへ歩み寄る。
きっと用事があって来たのだから、この光景を目撃したところで退室するには至らないだろう。
そうだ。大井はそもそも秘書だ。
秘書だから執務を片付けにでも来たに違いない。
なのに、隅の炬燵には目もくれず、また赤城や自分の横を通り過ぎ、
座るような衣擦れが聞こえたので何をするかと思えば、背中に暖かな重みがゆっくりと預けられる。
背中の感触を通じて、どうやら横向きに顔や体を預けているらしい事が分かった。
大井の耳が直に自分の本音を吸い取ろうとしているようで、少しだけ警戒心が働く。
最初は本題に入らずして意思疎通を試みる。
「……用事があったんじゃないのか?」
「用事がないと、来ちゃ駄目なんですか?」
「いや……」
執務を片付けるつもりでもなかったらしい。
これはこれで嬉しい気持ちがなくもないが、大井の顔色を伺いたい気持ちがまだ大きい。
質問に質問で返すところなど、不貞腐れているような調子が見えるから少し心配だ。
-
「明石に手当てはしてもらったんだな?」
「してもらいましたよ? もっと長い方がいいですか? ドックで寝てた方がよかったですか?」
面倒だなあ……。
しかしこんな調子でも声量は抑えられていて、赤城に配慮しているとも伺える。
妙なギャップに少し笑いそうになってしまうが我慢。
「すまん、元気のない赤城に何かしてやろうとしたら、その……」
「分かってますよ。提督はそれに付け込んで色んな子としてるんですよね?」
なんと人聞きの悪い物言いだ。
聞きようによっては、自分が下衆でヤリチンの最低野郎になってしまう。
結局、中々に大井は納得してくれないらしく、下手に出るしかない。
「付け込んじゃいないが、ごめんな……」
「……ふふっ」
しかし、突如として大井は態度を翻す。
私の心に染みるよう、静かに、語り始めた。
「多分ですけど、この鎮守府にいる皆、根っこのところでは同じ事考えてます」
「"慕っているこの人の役に立ちたい"って……」
「だから、役に立てなかったと思ったら、悲しみます」
「赤城さんも、私も……」
「艦娘は普通の船よりは強いですけど、無敵じゃないのは、分かってますよね?」
「提督は、戦争の指揮だけじゃなく、艦の調子を整えるのも重要な役割でしょう?」
「そのやり方は鎮守府毎に異なるでしょうけど、提督のやり方は、皆好きです」
「だから、提督は私のモノですけど、今は赤城さんに貸してあげるんです」
「……私を責めて遊ぶのは面白かったか?」
「あら? 何の事でしょう?」
-
遊ばれていたという訳か。全く。
ところで大井でない誰か、答えてくれ。
こんな状況でも他者に配慮できる大井の寛容さに感動するか、大井の"私のモノ"発言にゾクゾクするか、
ここではどちらの反応をするのが正しいのだ。
しかし答えてくれる妖精は、生憎自分の頭の中には飼っていない。
自分なりにそれらを纏めて引っくるめて簡潔に言葉に表すと、こうだ。
「……大井の"愛してます"で私の調子も整えて欲しいよ」
「明石さんに頭の修理をしてもらったらどうです?」
ひどいな。
「……赤城さんの調子を整えてあげたら、言ってあげなくもないわね」
なるほど、要するに数時間このままでいろと。
「執務は私が代わりに片付けてあげてもいいですよ?」
いや、いい。
やらなくていいからこのままでいてくれ。
「え……」
大井?
「……あ、はい、分かりました」
「もう、艦に調子を整えてもらうなんて、駄目な提督です……ふふっ」
-
大井に対する警戒心なんてものは、とっくに消えていた。
大井の器の大きさに感謝、である。
自分に寄りかかる大井、大井に寄りかかる自分、互いに体を預ける重さが釣り合ったので、
これなら数時間はこのままでいられそうだ。
無垢な赤城の寝顔と、背中で呼吸し体温を主張する大井の存在で安らぎ、口を開かなくなっていた。
執務室には、赤城の寝息、自分と大井のゆっくりとした息遣いだけが響く。
手持ち無沙汰に赤城の頭を撫で続けていると……。
「……ぁ、ていとく……」
赤城はまどろみの中、うっすらと目を開かせた。
「提督……なら……運命の……」
索敵に長けている空母とはいえ、こんな状態で私の背中の大井に気づく筈がなく、
断片的にしては意味深長な寝言を残して、赤城はまたも瞼を閉じてしまった。
「……提督」
大井もこれを聞き逃さなかったのか、暫く黙っていたのに声を発する。
その呼称の抑揚は、言葉尻で明らかに下がっていた。
「調子を整えるのと、色目を使うのは別って、分かってますか?」
「私は何もしてないよ……」
寝言とは、他者に聞かれたら多大な波紋を呼ぶものだと、改めて認識。
寝言に返事をしてはいけないという迷信まである程だ。
「はあ……」
その大井の溜息には、一体どのような気持ちが込められているのか。
目の前でゆったりと寝息を立てる赤城は勿論、自分にも知る由はなかった。
「提督は私のモノだってこと、忘れちゃ駄目ですよ……」
-
次
----
「――督、提督」
「はっ……」
緩く肩を揺すられて、自分は慌てて目を覚ました。
脳が気だるい中、ぼやけた視界を指で擦ったり、目頭を押さえて何とか現実に回帰する。
少し責めるような顔が姿が、炬燵右側にあった。
「しっかりしてください。まだお昼過ぎです」
「すまん」
大井の言う通り"まだ"なんだな。
さっさと夜が来ないものか。
「このまま夜になっても、執務は終わらないの、分かってますか?」
分かっている。
それと、ペン先を人の顔に差し向けるのは危ないからやめなさい。
昼に裕福な食事をすると、食欲は満たされるが、代わりに睡眠欲を掻き立てられるのは、何とも解せない事だ。
加えて、朝の目覚めがすっきりしない程度に普段より睡眠時間を削った今日は、中々身が入らなくて困りものである。
昨日自分の膝で寝た赤城は結局日付が変わる前に起き、私には礼を、大井には畏まって謝罪して自分の寝室に戻って行った。
その後残りの執務に追われた結果がこれだ。
しかし自分で言い出した事なので、この事で赤城を恨む気はない。
幾つかの書類に目を通し、赤城の、間宮券配布頻度向上願いの旨が書かれた申請書に却下の印と理由を記入、
する途中でまたも自分の意識は落ちる。
「提督。起きないと二十発、撃ちますよ」
「はっ……」
気がつけば、赤城の申請書の下辺りを、意味の分からない線が無秩序に走っていた。
手が自分の制御を離れて、文字の尻辺りから勝手に動いたらしい。
「ああもう、何やってるんですか。……」
その申請書を取り上げ、急に黙り込んでじっと見つめる大井は、一体何を考えているのだろうか。
欠伸を出す愚かな口を手で覆い隠してから、大井に問う。
何処かおかしな記述でもあったか。
「いえ、赤城さんはやっぱり危ないと思っただけです」
-
良く分からない科白を残して、その申請書を炬燵の上から畳に移した。
こちらとしても脳があまり働いていないので、それについて突っ込む事なく流す。
大井は筆を置き、畳からこちらに意識を移す。
「もし今のが重要書類だったらどうするんですか」
上に謝るしかないな。
兎に角、こんな適当な返事しかできない程度に、今の自分には仮眠が必要のようなのだ。
仮眠を取らせてくれ。
でないと、この後の書類どもにも酔っ払ったみみずを幾つも作ってしまう。
「もう……仕方ないわね」
すまないが、三十分後に起こしてくれ。
ではな。
「提督? 何処へ行かれるんですか?」
だから仮眠だと……。
「ここで寝ればいいじゃないですか」
そう言って、大井は自分の膝を炬燵から出し、それをぽんぽんと叩く。
大井の膝で寝ろと。
気持ちはありがたいが、大井は執務を続ける気じゃないのか。
「大丈夫です。提督の頭と一緒に膝を炬燵に――」
やっぱり奥で寝る。
「冗談ですよ、もう」
からかうのが面白いと言った具合にくすくすと手で口元を隠す。
なんだかんだで自分も応酬を楽しんでいるのだが、如何せん欠伸は抑えられまい。
噛み殺す事さえせず馬鹿正直に途中まで欠伸を見せ、気がついてはっと手で口を覆う。
嗚呼、もう駄目かもしれん。
「……みっともないというか、間抜けです」
-
大丈夫、大井くらいにしかこんなに間は抜かないさ。
自分で言っていて何がどう大丈夫なのか分からないが、
呆れた顔でぽつりと零す大井の貶し言葉も潜り抜けるように、のそのそと四つん這いで移動する。
大井の傍まで行き、目前の膝を凝視したところで、今まで行かなかった意識が行く。
スカートが短いので、太腿の半分程が露出している。
これから、この生脚を枕に寝るというのだ。自分は。
「どうしたんです? 寝ていいんですよ」
流石に少しは躊躇うのだが、大井は気にしない、というより、気が向いていないようだった。
膝に顔を埋めていいか、等と聞いてみたらどのような反応を示すか気にならなくもないが、
膝枕をさせてもらえなくなる恐れも考えて、黙ってまず横向きに寝転がる。
「ん……」
重くないか?
「平気です」
肉体が人間より見た目以上に強化されている艦娘には愚問だったか。
人間と違うのは強度だけで、感触は何ら自分と変わらないような、むしろ自分より柔らかいのは本当に不思議だ。
体は横向きのまま、頭を真下の生脚に挟まれた空間に向け、鼻で思い切り深呼吸を……。
すーっ、はー。
「なっ、何やってるんですかっ」
嗚呼、いい匂いだ。
やめろ、頭を引き剥がそうとするな、もう少し嗅いでいたい。
「やめて下さい! は、恥ずかし――」
ぺろ。
「ひゃあ!」
どんっ。
自分の頭は大井の手によって畳に突き落とされた。
い草が原料の畳だから良かったものの、絨毯を敷いただけのフローリングならきっと非常に痛かった。
ひどいじゃないか。こんな事をするなんて。
「私の科白です!」
頭を擦って起き上がると映るは、短いスカートの裾を掴んで精一杯膝を隠そうと顔を少し赤らめる大井の姿。
恥じらう乙女は眼福である。
臍出しは恥じらわない部分は、首を傾げるところだが。
-
そういえば、艦娘に膝を貸すのは慣れる程経験を積んだが、自分が艦娘に膝を借りるのは初めてかもしれない。
「初めてなんですか?」
初めてだ。
そう返すと、こちらを見下ろす大井は顔をにやにやさせる。
訝しむ顔を作ってもの言わず問うと、大井はこう答える。
「提督の初めて、また貰っちゃいました」
そう言って、自然に私の頭を撫で始める。
艦娘の前で泣きべそを掻いた件等間違ってはいないが、変な言い方はやめなさい。
「何なら、子守唄でも歌ってあげますか?」
それはいいな。
実のところ、今は大井との会話を楽しみたくて眠気を堪えている状況で、目を閉じれば自然と眠れる程なのだが、
大井の子守唄とあらばそれで眠るのも乙なものかもしれない。
頼んでから、目隠しの要領で腕を自分の目に被せると、即座にやんわりと大井によって退かされる。
大井はまだにやにやしている。
「寝顔を見せてください」
流石にそれは少し恥ずかしいものがあるな。
大井に膝を貸した事もあったが、あの時は恥ずかしくなかったのか。
「恥ずかしくないわけじゃないですけど、それ以上に……」
それ以上に、何だ。
そこで言い淀むのは何故だ。
「うふふ、秘密です」
実に楽しそうに、自身の頬に空いている方の手を当てて笑う。
そして、詮索無用という風に、さっさと子守唄を唄おうと息を吸った。
自分も合わせて目を瞑る。
「――――」
まず鼻唄。これで音程をしっかり取ろうという訳か。
流石だ、と言いたいが、この唄は少し怪しい。
これは確か……。
-
「沖の鴎〜と、飛行〜機〜乗〜りはヨ――」
待て待て待て。
「何ですか?」
目を再び開けると、さも邪魔をするなというように口を尖らせる大井の見下ろす顔が。
確かに声自体は優しく細くて音程もしっかり取れているのだが、待って欲しい。
子守唄にダンチョネ節を唄う奴があるか。
眠れる訳が無い。
それを空母の前で歌ってみろ。きっと泣く。
ついでに回天を乗せられた北上も泣く。
「艦の前では唄いませんよ。こんなの」
多くの国民に定着しているし不謹慎だのなんだのは思わんが、今は子守唄を頼む。
「仕方ないですね……」
そしてまた、息を吸う。
「――――」
選曲としては、子守唄、というよりは童謡だった。
ゆっくりとしたテンポで鼻唄と組み合わせて優しく唄い上げるので、
もう少し聴いていたいと思いながらも、たった二曲程度で、
大井に慈しむような眼差しに見守られながら、自分の瞼と意識は落ちた。
……………………
…………
……
-
「……寝ちゃいました?」
少し照れ臭くも我慢して、唄い終えてから小声で投げかけた問いかけに、返事はなかった。
普段は距離を置かれるような強面を
――具体的には目付きを鋭くしたり、眉間に皺を浮かばせる等――
作っているのに、寝ている時の顔と来たら。
本当に子供のよう。
この人は私含む一部の艦には自然な顔付きで接するが、寝顔を見せたのはきっと私だけ。
寝顔を見せて欲しいという願いを受け入れ、無防備な寝顔を抵抗なく見せるのがどれほどの信頼の顕れか。
経験しているからこそ私がよく知っている。
「……困った人」
昨日の赤城さんを始めとする他の艦の寝顔を見ていると言う。やらしい意味ではなく。
……少し黒い感情が湧く。
昨日の赤城さんのせいでこの人は寝不足を強いられたと言っても過言ではないのに、
この人は赤城さんを責めようとはしなかった。
しかし、ああいう方法で艦娘を癒すのはとても良いことだと思う考えもある。
……この相反する考えのうち、私はどちらを取れば良いんだろうか。
「……はあ」
しかし、そんな自分探しは今でなくてもできる。
今は流してこの安らぎの時間を楽しもう。
……この人が赤城さんを責めない理由が少しだけ分かった気がする。
膝枕って、してあげる方にとっても、心地良いことなのね。
「北上さんにも、やってあげようかな……」
北上さんは本来、私の姉だから、私がされる方なのかもしれないけど。
膝枕してあげて、こうして頭を撫でて――。
-
「髪、硬い……」
北上さんや私と違い、男であるこの人の髪は細くなく、また少し硬い。
髪を潮風に晒しつつ、私達ほどの細かい手入れをしていないからか。
異性にしてあげる膝枕とは、こういった発見もあって面白いものなんだ。
いや、少し違う。
それもあるが、やっぱり、好きな人だから格別なんだろう。
"私に見られながら眠るのは恥ずかしくなかったのか"
この人のこの問いの答えを伝えるのは躊躇ってしまったが、
その答えはとても青いものなので、中々伝えるのは難しい。
好きな人に見守られながら眠りたい、なんて。
そんな、スキンシップとも言える膝枕なんて、私からすればこの人や姉妹艦くらいにしかしようと思わない。
そういえば、この人は私以外を私を見る目で見ることはないと言うが、
どういう考えで他の艦に膝を貸してあげているのだろう。
起きたら問い質してみようか。
「……ふふっ、ごめんなさい」
問い質して困ったように縮こまるこの人の姿なんて、想像するのは敵に魚雷を当てるよりも容易いし、
下手すれば、魚雷で敵艦を鎮圧させるより見ていて楽しい。
笑いながら謝っても意味ない、かな。
ああ、この鎮守府にいると。身を委ねるように寝息を立てるこの人といると。
「幸せ、です」
-
次
----
洒落っ気を利かせる木製の扉を叩くが、腰の重い男の声は返ってこなかった。
また誰かに膝枕でもさせているのかと黒い感情が一瞬だけ湧き、その顕れとして目を瞬きさせる。
しかしそれは本当に一瞬で、扉の向こうに生物の気配さえもない事に気づき、眉間から力が抜けた。
なので、入りますよ、と言う断りも入れず扉を開けた。
「提督?」
そもそも執務室の明かりさえ点されていなかった。
部屋を明るくすると、
金属製で無骨な昔ながらの暖房器具は鎮火しているし、い草の畳のどこにも書類の束は見当たらない。
肝心の提督はと言うと、座椅子の背もたれにかかった軍服である紺色の上着から察するに、どこかへ出掛けたか。
そして、座椅子の軍服と同時に目についた炬燵の上の紙のような物が気になる。
畳に上がって、元から好奇の対象外であった大本営の通達書を炬燵に置き、それを覗き込む。
何やらメモ帳から一枚千切っただけのそれには、
面倒臭がりな提督特有の癖のある字体で、こう走り書きされていた。
『外出中。提督』
提督は、例えばお偉いさんに呼ばれたとかなら、面と向かってそれを伝えるので、
これは私情で出て行ったと見ていいだろう。
まず軍服が置き去りにされている時点でお察し。
「どこ行ったのかな……」
誰もいないので気が抜け、疑問がそのまま口をついて出る。
夜とはいえ冬なのでそれほど遅い時間ではなく、執務はちゃんと終わっているのか心配だ。
率先してやろうにも、提督が動かしたであろう書類の場所が分からない。
いなかったとは言え、秘書艦の私に何も言わずにいなくなるなんて。
「チッ……」
きびきび動かないと気が済まない私としては、
やることがないおかげで、やらなくていいような世話までしてしまう。
提督は別にこの軍服を座椅子にかけたままでいいだろうけれど、
私はそれを手に取って裏に持って行く。
それには、まだ体温が残っているようだった。
裏の寝室の壁にかかっているハンガーを手に取り、軍服にそれを通そうとしたところで、
私の頭の中の悪魔が妙な事を囁いた。
ハンガーの事など途端に頭から抜け出し、その軍服を凝視する。
躊躇いなく顔を近づける。
目を伏せて鼻から息を吸い込む。
すーっ。
-
私一人しかいないから。
後ろの扉が閉まっているから。
躊躇せずこんな事をしたのだろう。
いや、扉は本当に閉まっている?
自問によって即座に頭を回転させ、背後の扉の状態を確認。
「大丈夫ね……」
そういえば、さっき自分で閉めていた。
自分のした事を忘れて再度確認するとは、なんて間抜けな。
一先ず誰かに見られていないようで、安心した。
気を取り直して向き直ると、前方にこじんまりと置かれたベッドが目に入る。
虫が花の蜜の香りに誘われて……とはよく使われる比喩だけど、その比喩は、今は全く合わないだろう。
服と寝具に染み付いた男臭い匂いに誘われる女。
どこに可憐な、あるいは妖艶な花らしさがあると言うのか。
分かりやすい、万人が感じる"いい匂い"ではない。
それでも、あの人と体を寄せ合ったり、この寝具で体を重ねたりしてきた私は、
この匂いにはすっかり毒されている。
私にとっては"いい匂い"。
だから、腕に軍服を抱えたままそのベッドに、どさっ、と倒れこんだ。
あの人の匂いが宙を舞ったように思えた。
そんな中で大胆に軍服を顔に近づけ、息を吸い込む。
すーっ。
「はぁぁぁぁ……」
-
思い切り深呼吸。
あの人の匂い。
いつまでもこの匂いを嗅いで安らぎに身を投げたい。
でも、逆に言えばここにあるのは匂いだけ。
残り物の匂いと温もりだけで、源のあの人は今いない。
中身のないこの軍服に不満をぶつける。
「早く、帰ってきなさい……」
こんな残り物の匂いと温もりに包まれているだけなのに、眠くなってきた。
提督が普段から執務をこっちに半分押し付けるから。
提督が声もかけないで何処かへ行ってしまって暇だから。
提督のせいだ。
……決めた。
このまま、少し仮眠を取ろう。
提督が戻るまでに起きればいい。数十分くらいなら大丈夫だろう。
不貞腐れの気持ち半分の顕れで横向きに寝転がる。
少しの匂いと温もりが残るこの服をしっかりと胸に抱き、
頭の中で悪魔と共に色々な言い訳を並べてから、私は瞼を閉じた。
悪魔は、いつまでも自分の味方だと思い込んだままに。
……………………
…………
……
-
着替えが面倒だから、上着だけ脱いで外套を羽織るという何とも中途半端な格好になった訳だが、
暖かいラーメンを食べてスープもしっかり飲んできたから、鎮守府に戻るまでにはこの熱は持つだろう。
間宮の料理は美味いのは間違いないが、
ああいう頑固親父が作るような手間のかかるラーメンは外に出ないと味わえん。
ただでさえ売れるラーメンは、
この季節では更に拍車がかかるのか、最近だと店外で待たされる事も多くなった。
待っている間は寒いし、あの味を家でも再現できないかと考え――るまでもなく断念する。
ラーメンにはにんにくを入れるだの麺は硬い方がいいだの頭の中で考えているうちに、
ひっそりと潜り込むように門番に通してもらった。
外出するなら護衛をつける等五月蝿いのを適当にあしらうのも面倒になってきたから、
今度から無視でも決め込もうか。
一般人の格好でいれば、そんなものは必要ない。
さて、遥々階段を登って高い階にある執務室にたどり着き、書き残したメモを回収したのだが、妙だ。
座椅子にかけておいたはずの上着が、見当たらないのだ。
また、部屋の明かりを消してきた事を忘れるような記憶障害にも罹っていない。
明らかに誰かが侵入した形跡があるが、なくなったのは自分の服のみ。
泥棒なら提督の服だけを盗む意味が分からないし、まず門番や艦娘に取っ捕まえられる。
一先ず代えの服を出そうと寝室を覗いて、事件は解決した。
確かに泥棒が寝ていた。
泥棒改め大井は、どういう訳か自分の軍服を胸に抱き、決して離すまいとしていた。
短いスカートから伸びる足を存分に晒し、
この冬の中を掛け布団無しで寝入っているのは、耐寒仕様も備えた艦娘ならではだろう。
だから、そんな事は別に問題ではない。
自分が先程まで着用していた衣服で、
まるで嗅いでいるかのように鼻と口元を覆って寝息を立てているのが問題なのだ。
何の意識もしない訳がない。
この光景を頭の中で噛み砕いた時、自分の顔は、眠れる大井に放火された。
顔が焼けるように熱い。
ラーメンを食べた事による幸福な熱はどこかへ吹き飛び、冬にも関わらず汗が噴き出す感覚に襲われる。
気づけば息切れを起こしたのか、胸も苦しい。
少し立ちくらみがして、ふら、と後退りしたが、壁に手をついたお陰で派手な音も立てずに済んだ。
それでも、大井が目を覚ましていないか、息を殺して顔を覗き込む。
大井の前髪は眉を上手い具合に隠しているので、女らしい睫毛のついた瞼しか見えず、
これだけではどんな気持ちで寝入っているのか読み取れない。
寝ていようが目を覚まそうがこの鼓動は収まらないが、ともかくは起きていないようではあった。
ここでこそ提督の決断は試されると意識した時、ある考えが浮かんだ。
散々言われた"時間と場所を弁えて下さい"の雷撃脅迫に基き、寝込みを襲うのは今度にしてやる。
だからと言ってこの好機を逃す等、キスカ作戦で濃霧を逃す事と同じ程度にはあってはならない事だ。
踵を返すと同時、気持ち悪く歪んだ顔を引き締める。
誰かが勝手に起こす事のないよう扉はしっかり閉め、自分は一旦忍び足でこの場を立ち去った。
……………………
…………
……
-
腕時計を見れば、あれから三十分は経つか。
その間にやりたい事は終わらせた。
後は目標が姿を現すのみ。
結局代えの上着は出さずに、ワイシャツの格好で執務室に篭らずに彷徨う事にしている。
あそこに篭っていたら目標が目を覚ましても姿を現さないかもしれないからだ。
只、出くわす艦娘に一々この格好を聞かれて洗濯中だの冬のクールビズだの答えるのもまた面倒になってきた。
何より、"鍛えられていない線の細さが見え見えですわ"と、容赦なく急所を突く奴がいたからしょげる。
執務室に繋がる廊下に足を踏み入れてみると、思惑通りに目標が姿を現していた。
こちらの存在でも待ち構えているのか、執務室の扉に寄りかかっている。
「……あ」
近づこうと歩むと、数多の板がぎしぎしした音で大井に接近を知らせた。
こちらに首を回して姿を確認するなり駆け足で寄って来て毒を浴びせる。
の割には、普段の微笑が二割増のように見えるが。
「おかえりなさい。提督ともあろう御方が、執務を放り出しての外出は楽しかったですか」
そこからか。
勘違いしないで欲しいのだが、自分はしっかりと書類を束ねて整理するところまで終わらせたんだ。
それから、通す書類が減るよう出撃回数を下げたり等もしているが、これは言う必要はないだろう。
「あ、そうだったんですか」
少し驚きを秘めたように目が見開かれる。
こうした話とは全く別のところで、自分は少し考えている事があった。
――さっきまで服なんか抱き締めていた癖に、それの主に対しては何も無いのか――
「提督にしては、仕事が……あっ!」
少し妬いた自分は結果、行動を起こした。
喋り途中でも構わずに一歩踏み出して目前の大井を腕に抱き締めた。
大井はもぞもぞと身動ぎした後、拒絶するように掌を胸に押し当ててくる。
「ちょっと、提督っ、何す……」
「誰も見てないんだから、良いだろう?」
「……調子に乗らないで下さい」
-
その小声は震えているが、それが歓喜によるもののように聞こえるのは、自分が自意識過剰なのだろうか。
首を動かして廊下を見渡してから、大井は拒絶する手をゆっくりと下ろし、私の背中に回した。
大井も抱き付く姿勢になった事で、自分の胸に山が二つ押し当てられる。
こいつは、これについて意識しているのかね。
そして、私の胸の音でも聞くかのように、頭は九十度回転させ、…………。
こいつは背中といい胸といい、私の体に耳を当てるのが好きなのか。
こんな可笑しな趣味をしているから、
速まる鼓動と態度をなるべく連動させないようにする訓練を否応無しにさせられているような錯覚さえ覚える。
さて、何の話だったか。
「で、どこに行ってたんです」
「近所のラーメン屋だよ」
大井は、獲物を捕まえた食虫植物のようにその体勢から数ミリも動かず、
呟くように再度疑問を投げかける。
「……なんで一人で行くんですか」
機嫌が悪いのか。
声は小さいが、あまりその声色に優しさ等は添付されていない。
むしろ、機嫌が悪い事を暗に示すような……。
「男しか行かないようなラーメン屋には、ついてこないだろう?」
「提督に誘われれば行きます」
なんと。
女にとってはラーメン屋は入り辛い店の中でも上位に食い込むような店だと思っていたが。
入り易い入り辛いの前に、まず行こうとさえ思わないだろう。
まず一緒に行ったとして、大井は注文でもするのか。
金は落とさないのに混んでいる店の席を一人独占するだけの連れは、
こちらとしても店に申し訳なくなるので、只ついてくるのであれば正直遠慮したい。
「私だってラーメンは食べます」
「何より、どこへ行くかじゃなくて、誰と行くかで楽しさが決まるって、どこかで聞きました」
出た。
何かの切欠で出てくる、普段は内に秘められている大井の一面が。
これだ。
これを引っ張り出すのがとても楽しいのだ。
話が逸れた。
"どこか"と言う抽象的な言葉は釈然としないが、その意見には自分も大いに賛同できる。
女とラーメンなんてあり得ない、と言う固定概念が長年自分にはあったが、
こう言うのなら、今度から大井を随伴艦にラーメン屋へ出撃する一考の余地もあるのかもしれない。
誰と行くかで楽しさが決まる、と言うのは、確か旅行での一つの考え方だったとうろ覚えに留めていた気がする。
-
「なら、今度な」
「はい。秘書艦に何も言わずに、どこかに行っちゃ駄目ですからね」
聞いているこちらが微笑ましくなるが、実際の自分は意地汚い顔に変貌を遂げる。
何せ、そろそろ本題に入ろうと思っていたのだ。
大井がこちらを見上げていなくてよかった。
そして、用意していた一つの質問を待ち遠しく投下する。
「ところで、さっき執務室に戻ったら置いていた上着が無くなっていたんだが、大井は知らないか?」
「……!」
確かに大井は先程から私に抱き付いて動かないままだったが、
たった今、違う硬直に変わった気がした。
「……し」
「ん?」
「知りませんよ提督の上着なんて私は提督の家政婦か何かじゃないんですから
風でどこかにでも飛ばされたんじゃないですか?
それよりも提督はどこまで行っても駄目で困った人ですね自分の着用する軍服をなくすなんて
あるいはこういう時の為に私みたいに代わりの服でも用意しておけばいいのに
備えあれば憂いなしって霧島さんがいつも言っているでしょう
これだから周りから駄目だのクソだの言われるんですよそんな人の秘書やってる私の気持ちにもなって下さい
そんな穴だらけの考えで戦場を指揮していたらどうなるか分かって……」
「おかしいな。窓は閉まっていた筈だが」
「……開いてました」
嘘言え。
この冬の中、窓を開ける訳がない。
実際帰った時も確かに閉まっていた。
何より、窓から入ってきた風が衣服を窓の外に飛ばすと言う現象等、到底あり得る事ではないと思う。
大井は悟られまいとひどく焦っているのか、
普段の高速艦から転じたかのようなとても速い口調で毒を並べる。
よくもまあそこまで人を罵る言葉がすらすらと出てくるものだ。
しかし全てを知っている自分はしょげるどころか、
笑いを顔に放出する代わりに横隔膜が動かないよう堪えていた。
上半身を密着されているこの状態で腹から笑うのは拙い。
-
「ところで、最近の写真技術の進歩は著しいものがあると思わないかな」
「……?」
ここで、自分は一枚の写真を取り出し、話を続ける。
話を転換する接続詞をつけているが、実は話は変わっていないのだ。
それを、未だ胸に耳をつけたままの大井の顔の前に持って行き、意地悪く見せ付ける。
「ほら、綺麗に撮れているだろ?」
「……っ!」
大井は、初めてこちらに顔を向けた。その顔は赤い。
先程の自分もこんな顔をしていたのだろうか。いや、ないな。
だって大井は、ただ赤いだけでなく、知られたくない事を全て知られて羞恥心に塗れた顔をしている。
大井は瞬時に両手を私の胸に突いて体を引っぺがした。
「私の上着は、どんな匂いだったんだ?」
「……ぁ、あ、あ……」
そう。
あの後、青葉にカメラを借りて大井の寝姿を撮影、すぐに写真の現像を青葉に頼んでいたのだ。
無論、青葉からは間宮のあいすくりん券を出すよう交渉されたので、それに応じて極秘に進呈してやった。
そのお陰でこの写真には、自分がこの目で見た光景と同じものが写っている。
嗚呼全く。
いつまでも残しておきたいこの微笑ましい、愛らしい光景を、
これだけ鮮明に紙に残す事ができるとは、いい時代になったものだな。
そう思わないか?
「なあ。大井?」
「提督の馬鹿ーっ!!」
……………………
…………
……
-
土俵際まで追い詰めたと確信したあの時、何割か引き出されたらしい艦娘の底力か何かを持って、
自分は平手打ち一つでノックアウトさせられた。
そして気が付けば、明石の頬の軽い手当ての下、こうして療養室の寝具にて目を覚ます事になった。
ちなみに、傍に写真が落ちていたりはしなかったらしい。
……没収されたな。
それでも、大井をあれだけ弄り倒す事ができたので、自分は満足だ。
笑いが漏れる。
「くすっ、ふふ……ふふ……」
「……提督は、まだ少し修理した方がいいみたいですね」
大井から散々馬鹿と言われたように、馬鹿は修理しても直らないよ。
自業自得の結果、頬の修理を任せてしまうのは申し訳ないと思うが。
「分かっているなら、女の子をあんまりいじめちゃ、めっ、ですよ?」
「分かっていても、やめられないなあ」
全く。可愛い奴だ。
-
次
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時刻は、フタフタマルマル。
今日も今日とて、自室を抜け出す時に北上さんに気付かれる事はなかったよう。
私はまたいつしかの夜這いの時同様、忍び足で執務室を目指した。
暗闇が多くの廊下を包む庁舎内を時間をかけて移動し、こっそり執務室の扉を開ける。
しかし、明かりが全く点されていないと思っていた私の目には、僅かな光が入ってきた。
見れば、炬燵に乗った機能美な電気スタンドが、あの人を照らしている。
――なんで起きてるの――
――せっかく寝ているところに潜り込もうと思ったのに――
私は無意識に舌打ちする癖を抑え込んだ。
私と気付いてか、あるいは背後からの刺客に気付いていないか、
この人は大仏のように胡座を掻いたまま微動だにしない。
だから、その無防備な背中に覆い被さるように抱き付いた。
肩越しに目を向けると、炬燵には徳利と何やら透明の液体が入った猪口が乗っている。
この人の耳に向かって、添い寝出来なかった事による勝手な不満を、私は息をするように軽口に乗せる。
「時間管理もちゃんとできないんですか? 今度から寝坊したら、魚雷で叩き起こしますよ?」
「…………」
この人は、何も返してはこなかった。
座ったまま寝ているのか? その耳に再度囁きかける。
「聞いてます?」
「……私の」
「え? 何ですか?」
既に酔っているらしい事が、この反応の遅さと、いつもよりゆったりとした口調から察せられた。
突然ぽつりと零れた一言は聞き取るのが難しい程度に空気を震わせる力が込められていなくて、
もう少し声量を上げてほしいという意味を持たせて聞き返す。
そして、次に来る筈の言葉をちゃんと拾おうと私は耳に意識を集中させた。
「大好きな大井の声を聞き漏らす筈がないさ」
"大好き"
"大好き"
"大好き"
-
次に拾った言葉の特定の一句が、私の頭の中で何度も壁に反射、反響する。
そうして反芻した結果、私は顔から炎上した。
とても熱い。
動揺を悟られまいと、この人の体に引っ付けた体や手が震えないよう気を張り、
応急的に無理矢理口をつく。
「な、何を……、馬鹿ですか……っ」
――しっかりなさい! 似たような事を普段言っている私が何て体たらく――
"愛してます"と言う科白も、
実のところ顔が熱くなるのを、我慢したり知らない振りをして言っているんですけどね。
どうやらこの人にそれはばれていないらしい。
「おやあ、いつもの毒はどうした〜?」
動揺し切っている事は完全にばれていた。
そんな私とは対に、この人は肩の力を抜いて呑気な調子でからかう。
「その減らず口を縫って差し上げましょうか……!」
「おお、こわいこわい」
震える口で何とかお望み通りの毒を吐いてあげたが、この人は、ちっとも怖くなさげにからからと笑う。
座るかい、と体を少し横にずらしてくれたので、
空いた右側のスペースに、熱くなった顔があまり見られないよう逸らし気味のままで座り込む。
炬燵の一辺は二人で入るには少々狭く感じたが、何の不満もなかった。
胡坐を掻くこの人の膝が、当たるか当たらないかの位置に正座の位置を調整する。
この人は月に夢中なのか、顔を逸らしても何も言ってこなかったので、
そのうち私もぼんやりと月を見上げるくらいの平静を取り戻すことができた。
その月を見ていると、かの夏目漱石に纏わる有名な話が思い浮かんだので、
なんでもないような振りをしてそれを口にしてみる。
「……綺麗ですね、月」
「…………」
この人は、何も、応えない。
何を思っているんだろう。
「……そうだね」
沈黙のテンポの中、不意に相槌を打たれ、肩がビクつく。
さっきまでのこの人のあっけらかんとした態度からの静かな相槌は、
手に持つそれが酒ではなく水ではないかと疑心を持たせるほどの変わりようだった。
「私も、そう思う。とても……」
-
一句ずつ噛み締めるような提督の相槌に、私は焦燥感を焚かれ少し苛々していた。
それはどういう意味?
文字通り月がそう見えるだけ? それとも、私が放った言葉と同じように?
目前の陶器に入っている液体が間違いなく酒であることが、
それの匂いから、この人のいつもよりゆっくりとした口調から断定できる。
――やっぱり深い意味はないのかな――
少しの沈黙の後、唐突に私の膝に置いていた左手をやんわりと掴まれ、掌を開けられる。
そしてどこに仕込んでいたのか、黒色の小さな箱が置かれた。
開けてごらん、と、言われる通りにしてみる。
「……え? これ……」
「……それは、指輪と言う物だ」
見れば分かる。
指以外に通せる部位はないと断言できるサイズのその輪は、箱の台座で銀色の輝きと、この人の思いを放っている。
私がこれの意味を考えている間に、提督はそれを嵌めてくれた。
私の、左手の薬指に。
聞いた話では、この指に指輪を贈られる意味は。
顔を見上げると、この人はまたさっさと月を肴に猪口を呷り始めていた。
沈黙が続く。
「何か言う事はないんですか」
沈黙が続く。
私の訴えは拾われることなく、宙に霧散する。
この人は今、何を思っているんだろう。
この人はなぜ、これを私にくれたのだろう。
目を伏せる。
「……綺麗だけど、綺麗な丸ではないね」
突然そう呟くこの人の横顔を見やる。
この人は酔っている筈なのに、顔が赤い様子はない。
スキンシップする時のように不自然なまでに引き締めた顔でもなく、たまに見せる子供のような顔でもない。
あくまでもこの人は、顔に力の入っていない真剣な様子でいた。
この人の視線の先を追うとあるのは、よく目を凝らさないと見えない程度の小さな星屑に囲まれて輝く夜空の重鎮。
あの月は正円かと思いきや、よく見ると確かに完全ではない気がした。
半分に割って左側が右側より面積が小さく見えた。
提督は猪口に酒を注ぎ、それを呑まずに見つめたまま無表情で口を開く。
-
「これは持論なんだが」
「月の、あの綺麗なところは見習いたいが、すぐに欠けるところは見習いたくない」
「いつまでたっても、綺麗で何も欠けないように生きていたい」
「ここにいる皆もそうだが、特に大井がいなくなると、例えるなら半月位になってしまう」
「……ずっと一緒にいてくれるか?」
そしてこの人はこちらに顔を合わせ、問いてくる。
言葉は疑問形だけど、酒が入っている筈なのに据わっている提督の目に、
不安気な様子などは全く見受けられなかった。
寧ろ絶対の自信しか見えないその理由は、人の気を大きくする酒のお陰ではないと信じたい。
否、信じる。信じられる。
「……悪い気持ちじゃないわね」
私は、素っ気ないようにそれだけ応え、この後に備えて顔を窓の外に向けた。
……今まで私を大切にしてくれたこの人に、ここに至るまで求められて、良い気持ちでない筈がない。
切なさのあまりか、私の内側の何かがとくんとくんと、ゆっくりとだが大きく脈打つ。
それがポンプであるかのように、目から温かい水の粒が静かに押し出された。
月が、夜空が、歪む。
顔を逸らしておいてよかった。
そして、この人の体に寄り掛かり、みっともない泣き顔が見えないように目を伏せる。
涙を流しているのがばれているのかいないのか、この人はただ私の頭を、温かく撫でてくれた。
冬の月見の切り上げは、
月が窓から見えなくなるほど高く昇るのが先か、この人が酔い潰れるのが先か。
何れにせよ、まだまだ続くことだろう。
一頻り涙を流したら、私を選んだ理由をこの人から問い質してみようと思う。
時間は、存分にあるのだから。
-
ストック終わり
それにしても周りの語彙の凄さを見てると憧れやら嫉妬やら色々出てくる
-
ダンチョネワロタwwそしてことごとく大井さんのリアクションの破壊力たるや
心理の機微といい気の利いた小ネタといい、何よりこれだけの分量を読ませる筆力
GJでした、次はエロスも期待してまs
-
大井さんかわいい… 乙です
-
大井さんマジ一途乙
-
大井さん!
-
マジGJ
これほどの人が嫉妬する語彙力って一体……うごご
-
8月5日1:00 - 13:00にしたらばでシステムメンテナンスが行われます。
この時間の間は閲覧・投稿はできないそうです。
詳細:http://blog.livedoor.jp/bbsnews/archives/54890094.html
以上お知らせでした。
-
SSにおいて重要なのは語彙ではない。シチュである。
まあそのシチュを表現するのにある程度の語彙は必要だけど、語彙を増やせば萌えるor抜けるようになるわけではないのだ
>>243
乙
-
乙
-
大井は提督と愛を識る、後魚雷
-
>>243
了解であります
-
今日は何の日?
メンテダヨー
子の日、ちゃんとお知らせ出来たよー
-
おせーよ!!
-
榛名に改二が来るようだし、榛名の話でも投稿されないかなぁ……
-
大井っちの人ほんとすこ
-
下げ忘れすまん
-
私の名は松本幸四郎、ベスパの士官で階級は大尉
榛名改ニは縞々、縞々パンツです!!
そう言っているのは秘書艦の吹雪君、私は風林火山君に進めれるままに棒各くんの改造ボタンにシューーーート
ダズル迷彩とは日本語訳で幻惑迷彩だそうだ
幻惑、幻惑?だれを惑わす気なのかね、ハルナス君!!!11!
着底している場合ではないぞ!夕日に向かって大破進撃だ1111!!!
そして私は今日も春巻き君を送り出すのだった
やっぱKOUSIROUコピペは難しいね、榛名改ニはエロい系じゃなくて儚い系にになった感じ
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同じキャラで別ネタ書くにしても設定とかをどうするか迷う
話としての繋がりがなくても設定が一緒な面とかもあるし
-
別ルートとか別軸とか書いておけばいいんじゃないかな
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同じキャラで和姦、陵辱、非エロと書いたけど設定は特に統一しなかった
コテハンじゃなければ気にする必要はないと思うよ。
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