したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

【艦これ】艦隊これくしょんでエロパロ13 (避難所2)

2352-683 大井:2014/07/27(日) 12:40:12 ID:XEpNpUlY
一句ずつ噛み締めるような提督の相槌に、私は焦燥感を焚かれ少し苛々していた。
それはどういう意味?
文字通り月がそう見えるだけ? それとも、私が放った言葉と同じように?
目前の陶器に入っている液体が間違いなく酒であることが、
それの匂いから、この人のいつもよりゆっくりとした口調から断定できる。

――やっぱり深い意味はないのかな――

少しの沈黙の後、唐突に私の膝に置いていた左手をやんわりと掴まれ、掌を開けられる。
そしてどこに仕込んでいたのか、黒色の小さな箱が置かれた。
開けてごらん、と、言われる通りにしてみる。

「……え? これ……」

「……それは、指輪と言う物だ」

見れば分かる。
指以外に通せる部位はないと断言できるサイズのその輪は、箱の台座で銀色の輝きと、この人の思いを放っている。
私がこれの意味を考えている間に、提督はそれを嵌めてくれた。
私の、左手の薬指に。
聞いた話では、この指に指輪を贈られる意味は。
顔を見上げると、この人はまたさっさと月を肴に猪口を呷り始めていた。
沈黙が続く。

「何か言う事はないんですか」

沈黙が続く。
私の訴えは拾われることなく、宙に霧散する。
この人は今、何を思っているんだろう。
この人はなぜ、これを私にくれたのだろう。
目を伏せる。

「……綺麗だけど、綺麗な丸ではないね」

突然そう呟くこの人の横顔を見やる。
この人は酔っている筈なのに、顔が赤い様子はない。
スキンシップする時のように不自然なまでに引き締めた顔でもなく、たまに見せる子供のような顔でもない。
あくまでもこの人は、顔に力の入っていない真剣な様子でいた。
この人の視線の先を追うとあるのは、よく目を凝らさないと見えない程度の小さな星屑に囲まれて輝く夜空の重鎮。
あの月は正円かと思いきや、よく見ると確かに完全ではない気がした。
半分に割って左側が右側より面積が小さく見えた。
提督は猪口に酒を注ぎ、それを呑まずに見つめたまま無表情で口を開く。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板