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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆

1名無しさん@魔法少女:2009/04/04(土) 13:25:44 ID:7HzUR6lY
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所の2スレ目です。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_避難所☆
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12448/#2

878ディエチが全力全開に目覚めた様です・おまけ:2009/05/24(日) 18:33:30 ID:JziwV30Q
ディエチが一日教官を勤めた日から、明けて翌日のこと

「え、えへ、えへへへへ」

誰の台詞だか全くわからないだろうが、高町なのは一等空尉殿の台詞である
どういうわけか本局医務室のベッドに緑色のバインドで縛り付けられた格好の彼女は、自分の顔を覗き込んでいる人物に愛想笑いを見せていた
額にぶっとい青筋が浮かべつつにっこり笑顔という器用な顔芸を演じながら、なのはを見下ろしているのは本局医務官:シャマル先生である。敬称を忘れぬように

「さて。一応、弁明の機会はあげるわね。どういう理由で、全力砲撃を、敢行したのかしら?」

ペンダルフォルムのクラールヴィントを弄びながら呟いたシャマルの台詞に、なのはは喉の奥で悲鳴を漏らしながらも、
細心の注意を払って愛想笑いを維持しながら、震える唇と舌を酷使して言い訳を始めた

「え、え、えぇと、その、個人的な面子の問題・・・と言うところでして・・・ヒィッ!?」

ヒュン、とクラールヴィントの紐が輪を描いた。『旅の鏡』と呼ばれる彼女独自の魔術を行使する準備が整ったという事である

「だ、だって、だって、悔しかったんですよぉ!確かに、あの子の全力全開が私のブラスターに匹敵するのはわかってたけど・・・」
「その辺りの話は私も聞いてるわよ?破壊力計測テストの記録で、抜かれちゃったのよね?」
「70枚抜きなんて前人未踏の記録を打ち立てられちゃったら、エースオブエースの名が泣くじゃないですか!」
「なので思わず、ブラスターを使っちゃいました。と言う訳ね?」
「でも、その甲斐あって遂に新記録の樹立に成功しました!記録:71枚。ディエチにも負けてませんっ!!」

得意満面で言い放つ砲撃バカ一代に、シャマルは優しく笑い、ふっと溜息を吐き出し、問答無用の素早さで『旅の鏡』に繊手を埋める
――― 次の瞬間、なのはの胸元からリンカーコアを掴み出した腕が現れた
ベッドに縛り付けられているなのはの身体が、打ち上げられた魚の様にのたうち回る・・・のたうち回ろうとして必死に藻掻く

「いぃっ?!い、痛いですっ!?シャマル、先生ぇっ!」
「約束したわよね・・・?リハビリ期間中は大人しくするって・・・少なくとも、全力は出さないって」
「は、はいぃ!しましたぁっったい痛い痛いぃ!!」
「その痛みは、自分の無茶が招いた結果・・・リンカーコアが傷付いているから、そのくらいのことは勿論理解してるわよね?なのはちゃん?」
「ご、ごめんなぁぁっ!?ひっ、きゃぅぅっ?!」
「もう一つ、約束したことも、憶えてるわよね・・・?」

悲鳴を上げながらベッドを軋ませて見事な肢体を暴れさせるエースオブエースに、シャマルはにっこりと優しい笑みを浮かべてみせる

「約束を守れない悪い患者さんには、しっかり休養を取るためのお仕置きをします。って、約束したのよね?」

きゅっと、リンカーコアを弄り回してた白い指先が、光るコアを握り込んだ
じわじわとその掌に力が籠められ、なのはの悲鳴が大きくなって行く・・・

「きゃああぁっ!!!ご、ごめんなさいゆるしてくださいいたいたいいたぁぁぁっ!!!!」
「ごめんなさぁい、その言葉を何度も信じてあげられるほど、“お医者さん”は甘くないの」
「ひ、ひぃぃぃっ!!?や、やめてとめてやめてとめてやめてとめて ――― !!!」

くすんだ色味の金髪で俯けた表情を隠し・・・しかし、その下。三日月の様に吊り上げた唇で、湖の騎士は小さく囁いた

駄目、と



「とめった!!?」

879ディエチが全力全開に目覚めた様です・おまけ:2009/05/24(日) 18:34:30 ID:JziwV30Q
隔離施設の廊下を、ノーヴェとディエチが並んで歩いていた
それぞれの手には、デッキブラシやバケツにタワシ、スポンジ等々・・・掃除当番、という訳ではない。強いて言うならばこれは“洗浄”の準備だ

「しっかし・・・アイツにあんまり無茶させんなよなぁ」
「うん、ゴメン。正直、軽率だった」
「いや、サンタのバカが言い出したらしいし、アイツも特に壊れてないから良いんだけどよ・・・心配、しちまっただろ?」
「・・・どっちを?」
「両方だよ!サンタはアタシの子分だし、ディエチは、稼動歴は随分長いけど、ナンバリング上は妹になるんだし・・・」

赤く染めた頬を隠すようにそっぽを向きながら、何やら言い訳じみた口調でブツブツ呟くノーヴェの赤毛を、ディエチはぽんと撫でてやった

「ありがと、ノーヴェ。お詫びにもならないと思うけど、サンタの洗浄手伝うよ」
「お、おぅ。まぁ、使った分はきっちり綺麗にしてやってくれよな」

そんな風に、二人は廊下を歩く・・・向かう先は、勿論浴場・・・なわけない
サンタの巨体を洗えるスペースなど、レクリエーションルームの片隅に水溜まりを作る覚悟で確保するしかないのだ
芝生の上なので、さほどに泥が跳ねるわけではないが、ウェンディ辺りが乱入してくると碌な事にならない

そんな心配をしていると、丁度、その心配の種である十一女の声が聞こえてきた・・・どうやら、他の姉妹達も揃っているらしい
何となく、ドアの前で足を止めて耳をそばだてて居ると・・・

『・・・でも、サンタに限界突破させてもらっても、前衛組はあんまり意味無いッスよね』
『と言うか、まともに役立つのはディエチとオットーくらいだな』
『一応、射撃能力持ちのノーヴェとウェンディも、まぁ、無意味とは言えないじゃん・・・ディープ・ダイバーなんか何の意味も無いよ』
『スローター・アームズにも、有意とは言い難く』
『私とセッテについては、高速戦の邪魔になるというだけで足枷にしかならんさ。ディードも同じだな』
『はい。そう思います・・・そもそもサンタはガジェットドローン。戦い方次第ではAAランク程度の相手にも遅れを取るかもしれない存在です』
『最前線に出すなら、まぁAMFによるプレッシャーがメインだよね』
『・・・でも、折角、限界突破の性能が発揮できるってんなら、何かしたいッスよ』
『・・・気持ちは判るが、何とする?ケーブル接続が必須という時点で、機動力の大幅な低下は免れんのだぞ?』

うーん、と熟考している気配がドア越しに伝わってくるような気がする二人である
どうやら、サンタの限界突破プロセスを上手く活用して、何かできないかを模索しているらしい。声から察するに、面子は直接戦闘向きの姉妹達のようだ

「・・・ったく、揃いも揃って、人の子分に無茶させる相談かよ?」
「頼りにしてるって事だよ。きっと」

ドアの前から立ち去ろうとした二人の耳に ―――


『こうなったら、鉄球入魂しか無いッスね』


聞き捨てならん台詞をほざいたウェンディを成敗すべく、ノーヴェは問答無用でドアを蹴破り部屋に飛び込んでいったそうな

880ディエチが全力全開に目覚めた様です・おまけ:2009/05/24(日) 18:35:30 ID:JziwV30Q
「しかし、お前も無茶をしたものだな」

レクリエーションスペースの片隅に転がっていたサンタの傍らで、詩集を眺めていたチンクはそんな風に呟いた

(・・・限界突破プロセスの事ですか?)
「それもある。もう機能不全は直ったのか?」
(えぇ、自己修復でどうにかできる範囲内でしたからね・・・ディエチさんのエネルギーゲインを少々見くびっていました)

何でも無かった、とでも言うようにサンタはカメラアイをピカピカさせる・・・実際の所は、結構ヤバかったのだ
最終的に計測されたエネルギーゲインは153%。この数値は、機人の設計限界を僅かに上回っている・・・つまり、ディエチは壊れてしまってもおかしくなかった
否。はっきりと言ってしまえば、壊れていない事の方がおかしいくらいなのだ

「・・・コマンドラインの増設、エネルギー回路のバイパス・・・下手をすれば、お前が吹っ飛んでいたかも知れなかった。
それに、誰も気付いていないと思ったのか?サンタ」
(・・・マリーさん、ですか?)
「あぁ」

ディエチが今も生きている理由。それは、サンタがオーバーロードを肩代わりしていたからに他ならない
万が一の際にも、姉妹達を護れるように・・・彼はガジェットとして、デバイスとして、いつもその事を第一に考えている

「叱り飛ばすべきなのだろうが・・・お前が居てくれたお陰で、ディエチは壊れずに済んだ。
オーバーロードを吸収し、お前が内的にカノンのトリガーを引いていなかったら二人揃って爆発していただろうし。全く、ディエチも無茶をする・・・」
(・・・ごめんなさい、チンクさん)
「お前はお前なりのベストを尽くしてくれた。謝ることは無い・・・今までの無茶を考えれば、今回の無茶など可愛い物だしな」

溜息混じりに、チンクは隻眼で丸い巨体を睨み付けた
気圧されたように、サンタは丸い身体を身動ぎさせ、とぼけるように明後日の方向を向いた

「・・・はぁ・・・ディエチは高町一尉に憧れ、お前はあの人のデバイスに、レイジングハートにでも憧れたのか?
マスターが全力を出す為ならば自己を犠牲を惜しまない姿勢は、良く似ているように思うが・・・アレの真似は丸さだけにしておけ」
(・・・俺も、少しはデバイスらしくなりたかったのですが・・・今後は、善処します)
「それで良い。ノーヴェを悲しませるような事はするなよ」
(はい、チンクさん)

そうしていると、さくさくと、芝を踏む足音が二人分聞こえてきた・・・掃除道具を両手に持った、ノーヴェとディエチだ



授業の無い、平穏な隔離施設の昼下がりは、華やかな歓声と、水音と、微笑みと、浮かぶ小さな虹に彩られて、ゆっくりと過ぎてゆく ―――

881ディエチが全力全開に目覚めた様です・おまけ:2009/05/24(日) 18:36:30 ID:JziwV30Q
投下は以上です。そして色々突っ込まれそうな事を先に書いておくぜ!

◆更生中のディエチとなのはって面識があるん?
→何度かなのはと面会しており、何か通じ合うものがあるらしくなのはに対しては心を開いており、心からの笑顔を見せる事もある。(wikiより)

◆なのはのリハビリって?
→六課解散後に、主治医ことシャマルからの猛烈な勧めを受けて、半年間、緊急時以外は魔力の全力運用を控えていた
 特に体調を崩していたわけでは無いのだが、その為に今回の様なお話と相成る

◆セーフティ・ルーチンって何ぞ?どうしてそんな物を?
→ドクター曰く、「大事な娘が姉妹喧嘩で全力を出しても困るだろう?」

◆砲撃の記録に関しては一体何が?
→なのはの記録:63枚。全力全開ディエチの記録:70枚。なのはさん涙目でブラスターリリース。新記録樹立もシャマル先生にとっ捕まって「とめった!!?」
 ディエチの記録が残っていないのは彼女が正規の局員ではないから。決して嫉みが理由じゃありません

◆はやてがターゲットを100枚抜いたって、幾ら何でも無理じゃね?
→100枚並んだターゲットの総延長上、中間地点を魔力焦点にデアボリック・エミッション→「はやてちゃん、それ、反則だから・・・」「え?そうなん?」

◆とめった?
→世にも珍しい断末魔の一言です。詳しくはググってみてくださいませ

◆セッテも射撃系なのに、どうして強化する意味が無いんだよ?
→投擲能力が強化されてもブレードの強度が変わらないからとか、そんな感じで・・・なー?

◆鉄球入魂って?
→ワレコソハー♪ワレコソハー♪
 ・・・まぁ、要するに、ハンマー投げよろしくぶん投げようとしていたみたいです。サンタを。ノーヴェの大暴れによって未然に阻止されました

◆サンタ×レイジングハート?
→無い無い

◆カルタスって誰?何コイツ?
→108部隊の隊員で、ギンガの上司。ゲンヤの副官のようなポジションに居ることも多く、恐らくは有能で実直な為人なのだろう。階級は二等陸尉
 JS事件終了後は、ギンガと共に更正プログラムの監督官を兼任し、ナンバーズ達からは「頼れるお兄さん」扱いで慕われている。姉妹からの愛称は「カル兄」
 男同士だからか弄られキャラ同士だからか、ガジェット:サンタとは妙に気が合う所があり、天真爛漫な姉妹達の振る舞いには揃って溜息を吐いている様子
 ポジションはセンターガード、或いは射撃型ガードウィング。所持デバイスは支給品のミッドチルダ式汎用射撃長杖
 A+ランクの陸戦魔導師ではあるが、直接戦闘よりも捜査や探索、偵察など、フィールドワークでこそ本領を発揮するタイプ
 ベルカ式アームドデバイスの声真似が得意、なんて特技は無い筈である
 ・・・こんな設定を考えてやると、非常に扱いやすく描きやすいのだが、本編中での扱いは所謂モブキャラ並の不遇。N2Rの現場指揮官とか、そういうポジションなら・・・!

どうでも良い話ではありますが、
なのはさんの上申によって、ナンバーズの戦闘服が新規に設計されました
当初、マリーさんに話が持ち込まれ、シャーリーを経由し、フェイトが相談を受け、はやてが決定稿を持ち込んだ結果がN2Rのアレだとか、
そんな裏話は一切存在しない筈です、多分


色々と捏造が過ぎる展開であります。セッテがどうしてこんなキャラに・・・そろそろ、更正プログラムの修了を描きたいところですねぇ
エロ展開も色々考えてはいるのですが、どうも最近は非エロ脳が活性化されているようで、あまり筆が進みませんチクショウ
ソープナンバーズ+JS通販とか誰得w何処のどいつですかこんな電波送ってきやがったのは。プロット切ったけどさぁ!

それでは、長文失礼しました

882名無しさん@魔法少女:2009/05/24(日) 18:49:35 ID:2TSghMkI
>>881
GJ!いいね。氏の描くクアットロは可愛くて困るw
負けず嫌いななのはさんにも萌え。
>次の瞬間、なのはの胸元からリンカーコアを掴み出した腕が現れた
シャwwwwマルwwwwww恐えええええwwww

883名無しさん@魔法少女:2009/05/24(日) 19:40:15 ID:KaeEUTiM
GJ!
やはり、ディエチ×クアットロはジャスティスと再認識した。

884名無しさん@魔法少女:2009/05/24(日) 21:35:51 ID:WCoyWPQs
とめったググって把握ワロタwww
ちなみに強制静養は何日だったんで?

885名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 00:35:06 ID:unjOwwes
GJ!!です。
おぉ!ディエチを量産して使い捨て兵器として完璧に扱うなら、
相手の戦術一切無視で敵部隊も建築物も遠距離から簡単に破壊できる固定砲台になるのか。
それにしても、スカ博士は完璧に兵器として作っていないwだが、それが良いと感じるときもある。

886名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 10:23:10 ID:6kugxiUA
>→なのはの記録:63枚。全力全開ディエチの記録:70枚。

スマソがAMF展開されてる状態での話だよねこれ?
AMF常時展開されてるゆりかごの中じゃブラスター使って初めて勝てたなのはだけど
非AMFなら基本形態でもなのはのが遥か上みたいなイメージあるんだけど。

887名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 11:27:29 ID:Vb3VzKNI
それはなのは強すぎじゃね?
ま、作者それぞれなんだろうけど

888名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 18:12:54 ID:4pG1fWvQ
            /)
           ///)
          /,.=゛''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____   細けぇ事はいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゛フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /

889名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 20:24:23 ID:unjOwwes
限界突破後の能力の跳ね上がり方は戦闘機人に分があると考えれば良いさ。
なのはも跳ね上がるが脆弱な人間の肉体のまま、ディエチは強化改造されている肉体のおかげで肉体限界値が高い、
もしくは魔導師より能力(IS)が簡略化されているのでっと内容にあるし丈夫とか。
個人的には、ここのなのははティアナに怒れないだろと思ったがw

890名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 20:41:54 ID:xIGCkm8s
>>889
個人的には、本編のなのはもティアナに(ry

891名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 21:02:05 ID:unjOwwes
そういえば、この作品の中で限界を超えても意味が無い個体が複数いると言っていたが、
そう言い切れるだろうか?ディードなんかはツインブレイズの速度は上げずに二回連続使用したり、セッテはブーメランブレード制御数が少し増えそう。
80パーセントで4つのブーメランだから、100の時は5、120の時は6、140の時は7と……まぁ、これ以上上がるとディエチみたいに気絶して終わりそうw

892名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 21:03:46 ID:vYNPbi/A
>>889
なかなか可愛らしいなのはさんだ。

893名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 21:12:29 ID:unjOwwes
>>892
まぁ、確かにちと可愛かった。笑ってんじゃねぇよとシャマルに静かに切れられたらどうするんだろう?w
シャマルがいくら言っても言うことを聞いてくれないなのはに、模擬戦時のTV版なのはと同じ顔して、なのはのリンカーコアを指でカリカリしながら、
左手に持ったカオスの根源としか言いようが無い、黒い粘性液体が入った注射器を頭冷やそうかとリンカーコアに注入しようと近づけてくるのさw

894246 ◆mQRQhBgEu6:2009/05/25(月) 23:04:36 ID:sUH0HdF.
前回感想レスありがとうでした。246です。
冨樫投下を何とか隔週くらいにもっていきたい今日この頃。話は四月真っ盛りなのに、気づけばもうすぐ
六月を迎えようとしていた……すみません、出来るだけ頑張りますorz
とりあえず以下ご注意を。
・ユノフェイ、フェイトさん←なのはさん、なのはママとヴィヴィオなお話です。
・鬱展開鬱エンド。誰も助かりませんし誰も救われません。
・物語の進行上、亡くなってしまう方もいらっしゃいます。
・オリキャラ注意報発令。
・フェイトさんは病みます。なのはさんは少しだけ病みます。
ではでは。

895名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 23:05:35 ID:fRC6NxG.
>886
ディエチ150%オーヴァが70枚…たぶんゆりかごで使ってただろう100%前後での発射は単純に2/3すると50枚弱。
なのはが63枚破ったのが、所詮局内の記録の話なのでブラスターまで使ってたのかどうか不明(71枚はブラスター3としても、後遺症残ってる中、賭ける物は面子だけ)の状態。

…やっぱりよく分からんという結論が出たw

896Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:05:39 ID:sUH0HdF.
 トクン、トクンといつも以上に高鳴る胸と、感じる息苦しさ。
 現在、新しい制服に身を包んでいるヴィヴィオが見つめる先にあるのは、これから通い続けるザンクト・ヒル
デ魔法学院の大きな門。
 その校門を、ヴィヴィオと同じ背丈の子供達が父や母と一緒に通り過ぎていく。
 視線をすぐ横に動かせば、あるのは”入学式”の三文字だ。意識せずともヴィヴィオが緊張してしまうのは致
し方ない事だった。

「ね、ねぇヴィヴィオママ変なところないかなっ? お化粧とか大丈夫!?」

 そしてこの母の緊張は娘と同様か、それ以上。
 管理局の制服ではなく一般のスーツに身を包み、先ほどまで手鏡を前髪を整えていた母は、若干青くなってい
る顔をファンデーションで覆っている。
 ヴィヴィオも緊張しているのだから本来母の事を気にしている余裕など無いのだが、自分以上に硬くなってい
る姿を見ていると、緊張を感じている余裕すら無さそうだと思ってしまう。

「ほらっ、早く行かないと遅刻になっちゃう」
「ちょっ――引っ張らないでよっ、まだ準備が!」
「いいから行くの!」

 お化粧なんかしなくてもなのはママは綺麗だよ、とは言わなかった。慌てている母が珍しから、少し意地悪を
したくなってしまったのかもしれない。
 娘の悪戯は思いの他効果的で、なのはは会場の後方にある席に向かう為ヴィヴィオと別れる直前も、イヤイヤ
とヴィヴィオの手を放そうとはしなかった。
 その姿があまりにも六課で見たフェイトと似てしまっていて、母の手を払ったヴィヴィオにも苦笑いが。

「ママ大丈夫かなぁ……」

 基本的に道順を示した矢印に従うだけの道中、別れた後母は暴れていないだろうかと、本人にはとても聞かせ
られない事を考えながらもヴィヴィオは入場まで待機するべく指定された教室へ向かう。
 自分の小さな胸へと手のひらを当ててみれば、いつもよりも断然早い鼓動が感じられた。母のおかげで抑えら
れていたに違いない。そうやって気づいてしまえば心細さは急に顔を出し始めてしまって。
 教室の扉を開けたその時に、それはヴィヴィオの身体が強張る程に顕著になった。
 見開いたオッドアイの先にあるのは、ヴィヴィオと同じく今年入学する子供達。恐らくは、これから何年か共
に勉強をするクラスメイト。
 意識した瞬間に呼吸がしづらいものへと変わり、教室へ進める一歩を躊躇ってしまう。
 出席番号順に並ぶ机の、自分の名前が貼り付けられていた席に座るのに数分。恐る恐る周りの子供達に視線を
巡らせる事が出来たのは、席に座ってからしばらく時間が経ってから。
 目の前の黒板には、入学を祝う言葉が色とりどりのチョークで書かれていて、エリオよりも小さい男の子達が
黒板に落書きをしていた。
 周りの子供達がやけに親しげに会話をしているのは、幼稚舎の頃から一緒の子が多いためなのだろう。勿論、
ヴィヴィオに話しかけられる友達など一人もいない。
 次第に緊張に耐え切れなくなり、チリチリと胃の辺りに痛みがさす。
 痛みから逃れようと腹を抱えて俯き始めたヴィヴィオに、追い討ちを掛けるように複数の視線が集う。それが
余計に苦しくて思わず母の元へ逃げ出したいと考えてしまった程。
 それをしなかったのは、緊張に勝つことが出来たからではなく、

「――大丈夫? お腹、痛いの?」

 たまたま前に座っていた女の子が、そう声をかけてくれたから。

「保健室とか、先生呼んだほうが良い? あっ、わたしの名前はエクジェスって言うの」

 紡がれた名前に、高町ヴィヴィオと慌てて自分の名前を口にする。女の子はニッコリと微笑むが、ヴィヴィオ
は戸惑う事しか出来なかった。
 だが、自分の手を包む手は母の手よりも小さくて、母とは違う暖かさを持っている不思議な手。その暖かさを
感じているうちに、段々と緊張が和らいでいく気がした。

「あ、あのっ……ちょっと、緊張してて……具合悪いとかそういうのじゃなくて……」
「そっか。良かったぁ……この子、緊張してるだけだったみたい」

 そう言って、女の子は周囲の皆に笑いかける。全てその女の子の友達らしい。手を握ってくれている女の子と
同じ様にヴィヴィオの体調を伺っていたが、緊張しているだけだと分かり一斉に肩の力を抜いていた。
 緊張しているだけと分かれば、子供達も何ら気にすることではない。始まったのは、ヴィヴィオを中心にした
数名による自己紹介。そしてヴィヴィオへの質問攻め。
 スバルにティアナにエリオにキャロ。他の六課の局員達と一緒の時。ヴィヴィオの知っているどれとも違う状
況がここにあった。

897Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:07:14 ID:sUH0HdF.
Cursed Lily
-第2話-


「――はい、確かに。これでティアナの今日の仕事は終わりね。お疲れ様」
「えっ……は、はい了解です」

 そうフェイトがティアナに声をかけたのは、まだ定時よりも少し早い時刻。ティアナに宛がわれた仕事部屋で、
提出するように命じていた報告書の出来を一通り確認してからの事だった。
 仕事の終わりとなるや脱力し、机に突っ伏したティアナにフェイトは苦笑い。
 ここ数日、慣れない環境の中で頑張っているのだから相当疲れているだろうと思っていたが、やはり間違いで
は無かったのだろう。

「ティアナ、私も上がっちゃうから少し艦内でお茶していこうか。丁度定時になるだろうし」
「良いんですか?」
「休めるときに休んでおかないとね」

 はぁ、と曖昧に相槌を打つティアナの背を叩き、揃って休憩所へ。
 適当に空いている席に座って、先ずは揃ってコーヒーを一口。喉を鳴らすと共に身体の力を抜けば、自然と溜
息が飛び出してしまう。久しぶりの艦での仕事は、フェイトにとってもそれなりの疲労を感じるものだっのだ。

「最近どうかな? ここ来て一週間だけど、あまりそう言うの聞いてなかったから」
「えっと、皆さんには良くしてもらってます。シャーリー先輩には分からないところ教えて頂いて、クロノ館長
にはたまに執務官試験の勉強も見ていただいて……」

 どうやらコミュニケーション的には全くといって良いほど問題は無いよう。
 仕事中から気をつけているが、仕事の忙しさに比例して目の届かないところが増えてしまう。そうなる前にと
考えていたのだが、杞憂だと分かりフェイトの口元に安堵の笑み。
 その様子に気づいたティアナが眉を下げ、申し訳無さそうに礼を言った。

「私は大丈夫です。まだ色々大変な事もありますけど何とか頑張ってます……ただ、ちょっと仕事に慣れないの
が」
「そうだね、六課でも似たような仕事はあったけどこう言った報告書は全部私かシャーリーが作ってたから。そ
う思って今回作ってもらったんだけど……そうだ、報告書」

 途端、ティアナの表情が険しくなる。ティアナの仕事中に感じるピリッとした空気は、隣にいても気持ちが良
い。六課入隊したての時も似たようなものがあったが、あの時よりも少しだけ柔らかい。なのはが認めたとおり、
人を引っ張っていく才能がある。
 しかし、それ以上に必要なものだってある。人を引っ張る事よりも前に、徹底的にこういった仕事を完璧にこ
なして欲しかった。

「報告書ね、今回はあれでいいけど次からもう少し分かりやすくって思いながら書いたほうがいいかな。読む相
手は事件の概要しか知らないような人達だから」
「分かりやすくですか?」
「うん、ティアナも気をつけてはいたと思うけどね。その事件を直接見た人間と見ていない人間じゃ、結構違う
ものだから」
「……そうですか……すみません、次からは」
「あぁっもう、落ち込まないで。怒ってるわけじゃないんだから」

898Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:08:02 ID:sUH0HdF.
 落ち込んでしまった部下を、フェイトがどうにか励まそうと試みるが、中々上手くいってはくれない。むしろ
益々ティアナは落ち込むばかり。
 終わりと言いながら、仕事の話をする必要も無かったと後悔しても後の祭り。
 この辺り、シャーリーだったならば笑って済ませる事が出来るのだが、そんな事をいくら考えたところで解決
になんてなってはくれなかった。

「あー、ごめん。ほんと、落ち込ませたりするつもりは無かったんだ」
「すみません……なんか、上手く出来ないなぁって……」
「ティアナはちゃんとやってるって。今のだって誰でも言われることだし、私もクロノに何回も言われてる」
「フェイトさんが? ほんとですか?」
「ほんとだって。クロノは凄い細かいんだ。私が執務官補佐になりたての時だって」

 話は何故か、過去の失敗とたびたび感じる色々なものへの不満に変わっていた。
 ティアナも食い入るようにしてフェイトの話を聞き、時折大げさに頷いている。ちなみに彼女の愚痴は六課時
代、妙に自分にだけ厳しかったような気がしたらしい、なのはへの不満にもならない些細な愚痴だ。
 もうとっくに、ティアナは落ち込むのを止めてくれている。だが、フェイトの口は止まらない。次第に苦笑へ
と変わっていく部下の表情にようやく気づいたのは、飲みかけのコーヒーが完全に冷えてしまってから。

「なんか、フェイトさんも大変なんですね……」
「はぁ……私、何言ってるんだろ……ごめん」
「でも、あれですね――」

 ん、と伏せていた顔を上げてティアナを見た。
 ティアナは何か難しいことを考えるように顎に手を当て、小さく唸っている。
 何事かと、聞こうと口を開いたその瞬間。

「なんか、殆どなのはさん関連の話なんですね……なのはさんが怪我したとか、なのはさんがまた無茶しただと
か」
「……そういえば、そうかも」

 別にはっきりと意識していたつもりはこれっぽっちも無いが、考えれば考えるほど愚痴その他諸々の言いたい
事は、なのはが何かしてかした時の事がほとんどだ。
 もしかしたら、非常にまずい事を言ってしまったのかもしれないとフェイトは考える。ティアナを信用してい
ない訳ではないが、一応釘を刺しておく必要がある。
 息を吸い、いつもより気持ち真剣な表情でティアナを見つめる。何事かを察したティアナが喉を鳴らす。肺に
溜めていた息を吐き出すと共に、フェイトは言った。

「お願いだからなのはには内緒ね? 私がなのはに怒られる」

 その時を想像して、背筋に寒気が走った。
 ティアナは何が面白いのかそんなフェイトを見て笑いを堪えている。コーヒーを口に運び必死に笑いを堪えよ
うとしている様だったが、震えている肩は隠せていない。

「ち、ちなみにこれ、もしなのはさんに言ったらどうなるんですか?」

 上司としてこれは良くない。上司たるもの部下に舐められたら終わりである。つまりは何かティアナの口を塞
ぐ話題でも振って見ればいいのだが、そんな事をすれば大人げ無いと言われるのがオチだが、そんな事を気にし
ている余裕なんて恐らくどこにもない。

「私もティアナがなのはに言ってた愚痴を言う。お互い様でしょ?」
「それは、ちょっと……ご勘弁を」

 すぐに声を出し合って笑った。あまりに笑った為か、目尻には涙目で滲んでしまっている。荒い呼吸と涙に痛
む目が余計におかしくなってしまう。こんなにも声を出して笑ったのは、中学生の時くらいだっただろうか。
 どうにか呼吸を落ち着け、涙を拭いながらふと時計を見れば定時前。ティアナも察してか、カップを載せたト
レイを手に立ち上がろうとしていた。

899Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:08:36 ID:sUH0HdF.
「ティアナ、これからどうするの? せっかくだし、どこかに遊びに行って来れば?」
「まだ特に決めてはいないんですけど……そうですね、それもいいかもです」
「スバルも予定空いてればいいけどね」
「駄目ですよ。スバルは今日、家族で食事って言ってましたから。邪魔なんて出来ませんよ」
「あっ、一人暮らし」

 そう言えばと思い出す。
 きっと今頃、スバルも一人暮らしの準備で忙しいのだろう。クラウディアにティアナが来てから数日、スバル
に連絡を取る様子が無かったのもきっとその為。

「スバルも頑張ってるみたいだね。たまには連絡してあげないと、寂しがっちゃうよ」
「大丈夫ですよ、スバルは」
「へぇ、分かるんだ」

 結構長い付き合いですから、とティアナが顔を赤くしながら言った。
 その反応が妙に初々しくてからかって見たい気がしてしまうのは、自分に対するシグナムの癖でもうつってし
まったのかもしれない。

「でも、なのはさんとフェイトさんには適わないです」
「そんな事ないよ。なのはだって、ティアナとスバルはいいコンビって褒めてたし。私から見ても、お互い長所
と短所を補ってる様に見えたよ……だから、これからもちゃんとスバルの事支えてあげてね」

 一番最初を思い出す。もし、自分がなのはと出会っていなかったらどうなっていたかを。
 今ある幸せも、これから掴む幸せも、全てなのはが自分の親友になってくれたからだと思っていた。
 お礼と言う訳じゃない。けれどなのはの親友として、出来る限りの事はしてあげたい。ティアナもスバルに対
してそう思ってくれていると嬉しかった。

「今は自分の事で精一杯ですけど、余裕が出来たら。スバルがいなかったら、自分はここまで来れなかったと思っ
てますから」

 自分が言うまでも無い事だったのだろう。少しだけからかってみる。ティアナは真っ赤になりながらも自分の
言葉を否定しようとはしなかった。
 別れ際、ティアナの今日の予定について考えてみた。邪魔はしないと言っていたが、そわそわとした様子を見
る限り話くらいはするのかもしれない。

「予定か。私は……」

 どうしようかと悩む。早くに上がるのは良いが、これと言う趣味がある訳ではない自分に予定らしい予定があ
る訳も無く。
 どうせ帰ってもやる事が無いのなら、何か仕事を見つけてやってしまおうかと考えていた矢先の事。
 場所はティアナ以外のもう一人の部下の部屋。
 確か今日は、六課解散の時になのはに渡せなかったレイジングハートの調整を行っていた筈だ。その部屋の中
で一体何が行われているのか。
 何故か、懐かしすぎる彼女の声を耳にした。


* * *

900246:2009/05/25(月) 23:13:48 ID:GEGEhrqM
自分で支援

901名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 23:14:58 ID:94iZY9Us
>>881
クアットロ×ディエチが美味しいなぁ。
セッテが地味に可愛いかった!

902Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:16:11 ID:sUH0HdF.
『ディバイ――ンッ、バスタァァァァッ――!!!』

 思わず身を仰け反ってしまうような気合の入った声と共に、モニター一面に桜色が広がった。
 眼鏡のレンズに桜色を反射させ、同色に頬を染めているシャーリーの妙に艶かしい吐息に、思わずフェイトは
距離を置く。
 フェイトが訪れた時には既に始まっていた”子供の頃のまだ可愛かったなのはさん”の鑑賞会は、新たな観客
を置き去りに、いい感じのクライマックスになっているようだった。

『まだこの頃は魔力が高いだけでしたけど、どうですか? 可愛いものでしょう?』
「えぇ、ほんとに……みんなにも見せてあげたいですね。フェイトさん」
「い、いや……前に一度みんな見てるし……」

 そんな事よりも、文句を言いたいのは今上演中のシーン。
 なのはの砲撃にさらされ、息も絶え絶えになっている可愛そうな少女は、”子供の頃の小さくて可愛いフェイ
トさん”に他ならない。
 これが私の全力全開なんて物騒な声と共に、やたらと男気溢れるなのはの表情がアップになる。条件反射で思
い出してしまうのは、その時の恐ろしさ。

「何でこんなの見てるの? レイジングハートまで一緒になって」
「レイジングハートさんのバックアップが終わるのを待ってるんです。もしもって場合もありますし、いつでも
レイジングハートさんを治せるようにバックアップだけは欠かせません。ちょっと時間がかかってしまうので大
変なんですが」

 言うや否や、シャーリーがセットしていたらしきディスクが端末から吐き出された。中に入っているのはマス
ターであるなのはとレイジングハートの十一年分の思い出だ。
 休む事なくシャーリーは次のディスクをセットする。十一年は決して短い時間なんかじゃない。バックアップ
を取るのも一苦労である事は容易に分かる。
 それでも疲れを全く見せないシャーリーの横顔は、映像を見ていた時とは打って変わって真剣だ。理由は簡単。
今扱っているものが掛け替えの無い大切なものだとシャーリーが思っているから。

「凄いですよねー。こうやって大切な思い出を残しておけるっていうのは。それが出来ない私達からすれば、羨
ましくなってしまいます」

 不意に、シャーリーが表情を変えぬまま呟く。その言葉に、フェイトは何と返して良いかは分からなかった。
 普段に無いシャーリーの言葉に共感してしまって上手い言葉が見つからない。その代わりの様に、なのはの紅
い宝石が瞬いた。

『――確かにそうなのかもしれませんが、それが出来ないかったからこそあなた達は記憶を大切な物としている
のではないのですか? いつまでも失くしたくないからこそ、あなた達は色々な物を生み出した。私がこの様に
存在しているのも、そのおかげです。忘れると言う事が悲しい事を知っているからこそ、忘れたくないと思った
のでしょう?』

 例えば写真。その発展が映像記録。
 技術の進化と共に人の記憶を留める術も進化して、今では完全に記憶を残しておける術も見つかっている。フェ
イトの幼い時の記憶もそうした技術の結果だ。
 だが、FATEプロジェクトが禁忌であるように、人の記憶のコピーは許されるものではない。
 それは、自分だけではなく他者の記憶が人を形作っているものだから。フェイトであれば、フェイト自身が経
験した十数年間以上に、他者のフェイトに関わる記憶が今のフェイトという存在を形成している。記憶とはそれ
程のもの。それ程に大切なもの。
 どれだけ時が流れてもそれだけは決して変わるものではない。

「すみません、なんか変な空気にしちゃったみたいで」

 皆が閉口してしまった空気に耐えかねたシャーリーが、いつもの様に明るい笑顔を見せてくる。
 レイジングハートがそれ以上何も言う事は無かった。再び九歳の頃のなのはの映像を映し出し、興奮するシャー
リーと共にその映像を眺めている。それに倣ってフェイトもなのはの映像に視線を戻した。
 今上映されているのは、なのはのヴィータ初戦。悲鳴と共に、なのはがビルに突っ込んだところだ。

「あ、ここ! フェイトさんがカッコいい所ですね!」
『はい。マスターのお気に入りです』
「いやっ、ここはユーノの方が凄いんだよっ? 実際なのはを助けたのだって、ユーノが探索魔法使ったからだ
し、他にももっと――って、シャーリー聞いてるの?」
「あっ、ごめんなさいフェイトさん。何でしたっけ……?」
「いいよ、もう……それより、バックアップいつ頃終わるの?」
「えーと、後一時間ほどで」
「そ。私は先に上がるから、シャーリーも適当なところでね」

903Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:17:12 ID:sUH0HdF.
 はーい、と返ってくるシャーリーの能天気な言葉に小さくため息を吐いて、フェイトが退室した。
 扉の向こうからは、フェイトがいなくなったからか先ほど以上に白熱しているシャーリーの声。
 聞こえた声には自分の名も混じっていた。多分、シグナムと戦っている辺りの映像でも見ているのだろう。当時を思い出し、僅かに顔が熱くなる。
 あの時は、シグナムに全く歯が立たない状況だった。
 過去の失敗を思い出すのは良い気がしない。今ならもっと上手く立ち回れると思うからなお更に。

「後悔したって仕方ないよね……よし――」

 一人頷いて、フェイトがクラウディアを出る。
 時間も丁度良いくらい。空腹を感じる腹を撫でながら、フェイトは通信ウインドウを立ち上げる。
 通信の相手は夜にでも連絡しようと思っていた相手。
 今日はとことん、娘の話を聞かせてもらうとしよう。


* * *


 心地よいエンジン音が鼓膜を揺らす。アクセルを気持ち強めに踏めば車が加速すると共に、夕日に染まった背
景の流れる速度が速くなる。
 窓を全開にし、入り込む夜風の冷たさを感じながら、フェイトはステアリングを握っていた。隣にはなのはが。
 特に目的地がある訳ではない。なのはに入学式の時の話を聞くついでの、久しぶりのドライブだった。

「風気持ちいいね。六課にいる時は全然だったけど、やっぱりたまには良いね」
「うん」

 なのはの口数は意外な程に少ない。てっきり、興奮した様子で入学式の事を話してくれるのかと期待していた
のだが、フェイトが話しかけてそれに相槌を打つ程度。
 初めての事になのはも疲れてしまっているのかもしれない。ヴィヴィオも熟睡してしまっているそうだから恐
らくは。
 自然、交わす言葉の数は減り次の言葉までの間は伸びていく。苦ではない。口数は少なかったけれど、なのは
の横顔は笑っていたから。

「もっと凄い嬉しそうなのを予想してたんだけどなぁ」
「にゃはは、さすがに何時間も経ってるからね。もうちょっと早く連絡してくれれば良かったのに」
「しょうがないよ。仕事だったんだから」
「うん、お疲れ様。そうだ、ティアナはどう? ちゃんとやってる?」

 全く心配していない様子でなのはが言う。心配していないのはどうでもいいからではなく信頼の表れだ。

「まだちょっと環境に慣れきってないみたいだけど、頑張ってるよ。優秀な子だし、やる気もあるから助かって
る」
「慣れかぁ……確かに、ティアナはその辺りはちょっと苦手かもだね」
「緊張って感じじゃないんだけどね、頑張りすぎてるのかな。スバルくらい力抜いてくれたら理想なんだけど。
なのははどうだったの? 今日緊張したりとか」

 うーん、となのはが考え込む。何故か困ったように眉を下げ、何かを言いあぐねているている様子。どうした
のとフェイトが言葉を投げかけても、なのはの様子は変わらない。
 そのまま待つこと数分。溜めていたらしき息を吐き出して、なのはが言った。

「実は緊張し過ぎて、いつの間にか終わってた感がありまして……」
「もぅ、何それ。せっかくのヴィヴィオの入学式だって言うのに――」
「で、でもっ、ちゃんとヴィヴィオの事見てたもん! ヴィヴィオ、凄い頑張ってたんだから!」
「覚えてないとか言ってるくせに」

 なのはが悔しそうにこちらを睨みつけてくる。何やら良い訳があるようだが聞く耳なんて持っていない。
 そのままなのはの反論を適当にやりすごし、頬を膨らませる姿に声を出してフェイトが笑う。
 怒りを露にして顔を真っ赤にしているなのはは、母親である事を忘れそうな程に可愛らしい。仕事中はあまり
こう言った表情を見せる事は少ないけれど、そんな子供っぽいなのはの反応が好きだった。

「こっちの話聞きもしないでニヤニヤして……話聞かないなら、ヴィヴィオ寂しがるし帰っちゃうんだからね?」
「どうやって? ここ、どこだか分かってる?」
「……なんか、今日のフェイトちゃん凄い意地悪だよ」
「そんな事ないよ。いきなり何言ってるの」
「いーや、意地悪だ」

904Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:17:52 ID:sUH0HdF.
 そうやって互いに言い合って、気づけばすっかりと辺りは暗くなってしまっていた。
 久しぶりの長時間の運転に疲労を感じ、休憩がてらたまたま見つけた公園の横に車を停めれば、なのはまっす
ぐブランコへ。もう公園で遊ぶような年ではないだろうと苦笑しながらも、フェイトはなのはを追う。
 大分小さく感じてしまうブランコに身を預ければ、錆びた鉄の擦れあう音がした。大きく揺らしはせず、地面
に足をつけて前後させる。
 懐かしいというよりは、不慣れな玩具で遊んでいる感覚。隣にいるなのはもそんな感じだったらしい。

「ブランコなんて、数えるほどしか遊んだ事無かったね」
「そうだね、暇さえあればなのはも私も魔法の練習だったし。でも、なのははアリサやすずかと遊んでたんじゃ
ないの?」
「あんまり無いよ。塾あったし、遊んでてもアリサちゃんの家でゲームとかばっかりだし……ヴィヴィオも、外
で遊ぶより本読んでる方が好きみたい」
「あ、ヴィヴィオ。入学式の話、まだ殆ど聞いてない」

 忘れていたのか、なのはもそうだったと苦笑する。
 なのはが一度大きく地面を蹴ってブランコを揺らした後、入学式の話がようやく始まった。勿論、なのはが覚
えてる範囲内でだ。

「最初はほんとに緊張して全然余裕無かったの。ドキドキしながらヴィヴィオが入場してくるの待って、子供達
が入場してからはずっとヴィヴィオを探して……ようやく慣れのは、ヴィヴィオ達が一人ずつ名前呼ばれう辺り
だったかな。ヴィヴィオ、全然緊張なんかしてなくてね……まだちっちゃいのに立派に見えて、緊張してるのが
情けなくなっちゃったんだ」
「情けなく?」
「うん、ヴィヴィオが頑張ってるのにママが何やってるんだろうって。ヴィヴィオのママとしてもっとしっかり
しないとって」

 なのはの話を聞きながらフェイトは思った。自分はあの子達の母親としてちゃんと出来ているのかと。
 エリオとキャロが自分の事を母親としてあまり慕ってくれていない気がしたから。母親よりも助けてくれた人
と感じてる方が強いのではないか。
 言葉にはせず表情にも出さず、なのはのヴィヴィオを本当に愛していることが分かる表情と口調を目の前にし
て、不安と疑問がフェイトの中で巡っていく。
 隣ではフェイトちゃん、と訝しげに視線を送っているなのはの声。それに何でもないと笑って、続くなのはの
話を聞いた。
 今は入学式で初めて見た、ヴィヴィオと親しげに話していた女の子の話だ。

「凄い可愛かったんだ。ヴィヴィオが一人でいるところに声かけてくれたんだって。その子、他にも友達がいて
ね、みんなと仲良くなったって話してくてたの」
「そっか」
「もうびっくりしちゃったよ。友達の話なんて今日聞くとは思わなかったし、ヴィヴィオと同い年の女の子なん
て今まで、近くてもキャロくらいだったし……ほんと、びっくり」

 静かな口調で言うなのはの声が震えていた。声にはなのはの感情が込められている。娘への愛情と、娘に友達
が出来たことに対する喜びで。

905Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:18:28 ID:sUH0HdF.
「大丈夫?」
「う、うん……平気。ごめんね」
「いいよ。私も分かるから」

 自分の事に苦笑を隠せないでいるなのはは、頬を紅く染めている。一年前は考えもしていなかった母親として
のなのはの表情だ。
 見ているだけで心が温かくなっていく。なのはの手を握り、その手が握り返してくるのを感じながらフェイト
も自分の子を想った。

「私ね、ヴィヴィオのママになれて良かったなぁ」
「それ、ヴィヴィオに言ってあげたら喜ぶよ」
「恥ずかしくて言えないよ……フェイトちゃんだから言うんだからね。私、フェイトちゃんのおかげでヴィヴィ
オのママになれたと思ってるから」
「私の?」
「うん……フェイトちゃんが、ヴィヴィオがいなくなった時抱きしめてくれたから。多分、私フェイトちゃんが
いなかったらヴィヴィオの事助けられなかったかもしれない……」
「私はそんな大それた事してないよ。それに、なのはの事励ましたのだって私だけじゃないでしょ? 六課のみ
んなとかユーノだって。他のみんなもなのはの力になってたと思うけどな」

 返事は聞かずに、フェイトは立ち上がる。
 夜も大分本格的になり、風も肌寒さを伴いはじめている。運転し続けて重たさを感じていた肩や腕も大分楽
になっていた。休憩は、そろそろ終わりで良いだろう。

「そろそろ帰ろうか。あまり遅くなっちゃうとヴィヴィオも心配するかも」

 そう言いなのはに背を向けて歩こうとして、

「あっ、フェイトちゃんあのっ――」

 何故か、なのはに腕を掴まれていた。

「なのは? そろそろ帰ったほうが……」
「う、うん……ヴィヴィオも心配してるよね……帰らないと……」

 不意に腕を掴んできたなのはの手には、痛いくらいの力が込められていた。
 帰ると言いながら、なのはは中々手を放してくれない。どうしたのと首を首を傾げてみても、何も応えようと
はしてくれない。
 なのはの突然の様子の変化に、フェイトは対処しきれなかった。俯きがちななのはの顔を隠す前髪から覗くこ
とが出来た表情は、何か大きな不安を感じている。
 思い出すのはエリオがまだ幼い時。何か言いたい事があるのに、それでも自分を困らせる事を恐れてしまって
言い出せないでいるのを見ているような感覚。
 だから黙って、なのはの言葉を待つことにした。急かしては駄目だ。なのはの勇気が出てくるまでいくらでも
待つと、そう意思を込めて大丈夫だよとフェイトは微笑む。
 そして、ようやくの事。
 なのはが、静かに言葉を紡ぎ始めた。

「あ、あのね……フェイトちゃん――」

906246 ◆mQRQhBgEu6:2009/05/25(月) 23:20:17 ID:sUH0HdF.
すみません。途中書き込めなくなってしまい焦ってしまいました。>>900は無視してあげてください。

なのはさんが親友にマジで告白する五秒前な一方、ティアナは親友のフラグ立てに励んでいました。そしてさり
げなくユーノ君の名前を強調するフェイトさん。ユーノ君は四話あたりで登場する予定。
オリキャラがでしゃばる展開は出来るだけ避けるつもりです。登場したからには役目がありますが、元々モブ
キャラでやっていた事なのでいてもいなくても良かったり……ちょっとしたスパイス程度な扱いの子です。
ちなみに、なのはさんとフェイトさんのまともな会話シーンはもうありません。
ではでは。

907名無しさん@魔法少女:2009/05/25(月) 23:54:32 ID:unjOwwes
GJ!!です。
くそぅ!バットエンド確定なんて。
もう、こうなったらなのはさんはユーノとフェイトに私も混ぜて(フェイト狙いですと正直に言う)と言うしかねぇw

908名無しさん@魔法少女:2009/05/26(火) 00:35:38 ID:J89PHEfU
>>906
グッジョォォォォブ! 待ってましたぁ!
あぁ、このあとみんなが病んでいくと思うと・……堪らないぜ……!
次回もwktkして待ってます。がんばってください


>>895 >>901
書き込み前のリロードを心がけよう

909名無しさん@魔法少女:2009/05/26(火) 15:36:52 ID:fvb8dS12
>>908
>>895
リロードしても1分以内じゃコピペでもきついんじゃね?

910名無しさん@魔法少女:2009/05/26(火) 22:48:56 ID:tBiyphO6
>>906
>なのはさんとフェイトさんのまともな会話シーンはもうありません
よしよし、次回以降は鬱展開まっしぐらですね。期待
GJ!でした

911シロクジラ ◆9mRPC.YYWA:2009/05/26(火) 23:20:25 ID:6xFuXPOk
こんばんは。以前は司書長〜orトーレ姉SSと言ってましたが、
去年の八月投下の長編の続きを投下します。
注意事項は
・STSアフター
・機動六課、ナンバーズに死者が出たりしている。
・そのため全体的にダークです。残酷表現多数。
・というか今回の話はナンバーズの無残死を描写しています。
・ナカジマハーレムことSSXの空気が好きな人は要注意。あの人がスプラッタに死にます。
・捏造設定も多数
・冲方先生の影響を受けたため、今回から「/」多用文体に。

以上の事項に注意してください。去年の八月のですから、一応あらすじも。
あらすじ
新暦75年の<ゆりかご>浮上事件は惨劇に終わった。機動六課・ナンバーズともに死者を出した戦場……
失ったものは多く、高町なのはは友と家族を。
スバル・ナカジマは親友と仲間を失った。
それでも、彼女らは闘い続ける。

管理局側
・スバル・ナカジマ:執務官
・ヴァイス・グランセニック:武装隊に復帰
・ゼスト・グランガイツ:超法的措置で実戦投入
・ルーテシア・アルピーノ:嘱託魔導師

敵側
・ジェイル・スカリエッティ:科学者/テロリスト。
・戦闘機人ナンバーズ(残留組):人造生命
・エリオ・モンディアル:元機動六課隊員
・フリードリヒ:強化竜

???
・高町なのは:追跡者/復讐者
・チンク以下、ナンバーズ投降組:不明

912嘆きの中で ◆9mRPC.YYWA:2009/05/26(火) 23:26:29 ID:6xFuXPOk
―――幼年期の終わりに。

ばんっ。ぐちゃ。どろり。
ポップコーンみたいに白いものが飛び散る。

「あ……ぁ?」

何が起こっているのかわからなかった。
何が自分達を襲っているのか理解出来なかった。
何がウェンディとディードを貫いたのか、見当もつかなかった。

――おいおい、なんで血が出てるんだよ。なんで、魔法で肉が抉れているんだよ。
魔法って人殺しが出来ないように、非殺傷設定ってのが当たり前なんだろ?
だったらさ、どうして―――二人とも動かないんだ?

「……ぉい? ウェンディ? 無視するなよ……」

ふらふらとウェンディの倒れている方向へ歩む、しゃがみ込む。
酷い有様だった。どす黒く濁った血が流れ、ゴポゴポと血の泡が立っている。
ウェンディの何時も笑っている顔は、上顎から下が綺麗に吹っ飛んでいて、歯は折れ飛んでいる。
肉と骨が吹き飛んだ彼女の顔――もうそこらのスプラッター映画より酷い有様。
どんよりと死んだ魚のように濁り動かない眼球。ノーヴェはやっと、ウェンディに呼びかけても返事がない理由を知った。

――ああ、死んじまったんだ。
ディードの方はもっとわかりやすくて、延髄ごと首の肉がごっそり無くなっている。
殆ど皮一枚で繋がっているような状態だから――生きているはずがなかった。
それを為した張本人たる機動六課の魔導師に、漸くノーヴェの意識が向く。
不思議と怒りは湧いてこない。いや、事象に現実感が伴わない。どうしてだよ――そんな言葉が胸に飛来する。
茫然自失の表情で己のデバイス=拳銃型を眺めていた少女――ティアナ・ランスターが、呟いた。

「……どうして……“クロスミラージュ”!?」

「……ぁあ?」

こいつは何を言っている? 
そう思った瞬間、カチリ、とノーヴェの中でスイッチが入る。
冷徹な機械音声が聞こえた。

《ああしなければ、貴方が死んでいました》

「――あたしは殺したくなんか無かったッッ!」

本能で理解する/コンマ刻みの思考/燃え上がる感情=殺意と同義。

――殺したくなかった? 
そうやってお前は、二人を殺したって“事実”から逃げるのかよ?
くくく、と涙を流して笑う/嗤う。回り続ける焔の車――止まらない感情の暴走。
ティアナ・ランスターがこちらを向き、カタカタと震える腕で銃口をこちらへ。

「……殺す覚悟もねぇのに、殺したのかよ?」

「え……ぁ」

爆発/加速=烈火の勢い。

「―――ふざけんなァァァァ!!」

激突必至/回し蹴りが弾丸の如く―――。

ぐしゃり。



913嘆きの中で ◆9mRPC.YYWA:2009/05/26(火) 23:27:08 ID:6xFuXPOk
―――新暦77年

多くのものが失われた。
空の天蓋が抜けたように降り注ぐ雨は、仄暗い地上に潤いをもたらす為に弾け散り、流水となって染みこんでいく。
墓石も、傘も差さずに立ち尽くす人影も濡らしていくそれ――冷たいシャワーを浴びながら、スバル・ナカジマの思考は停滞していた。
青紫のショートカット、母から受け継いだ髪の毛が雨粒に濡れ、白い肌に張り付く。

「あれほどの戦いだ、死んでも仕方がなかったんだ――」

その言葉に、顔を上げた。見れば、その人は泣いていた。
泣き続けている自分が馬鹿に思えるほど、無表情に前を向いて泣いていた。
声が溢れ、雨音と一緒に流れていく。涙と雨粒の違いなど――さしてあるまい。

「シグナム副隊長……貴方は――」

「死んだんだ。主も、テスタロッサも、小さな二人も――ヴィータも」

誰もがもがき苦しみ、最悪の戦場で逝った。
通信途絶から百数十秒――その僅かな時間は、死の連鎖が続く悪夢の如き凄絶な時間だった。
最初に誰が死んだのかなど、わかるはずもない。
死屍累々の戦場で、受け継がれたもの――受け継がれなかったもの――。
その痛みは、人が耐えるにはあまりに大き過ぎた。ゆえに、多くの人間が忘れようとし、<ゆりかご>浮上から二年経った今、
墓参りに来ているのはほんの僅かな人数だけだ。スバルとシグナムはその数少ない者達であり、死者を悼める立場にある人間だった。
まだ、手を伸ばし続けている理想へはほど遠く、友の死を受け入れるには幼すぎた少女は成長し、すべてを飲み干して見渡せるようになった。
だが――目の前の女性は、かつて烈火の将と言われた守護騎士の生き残りは、何を望んでここに立つのか?
それを問おうとした瞬間である。シグナムは天上へ目を向け、ふと言葉をもらした。

「なぁ、スバルよ。主達は――笑って逝けたと思うか?」

「え―――」

答えも出ずに立ち尽くす少女に微笑みかけると、シグナムは一刀を抜いた。
その身体を包むべく騎士甲冑が展開され、声もなく泣いていた顔に凛とした表情が浮かぶ。
悲しいくらい冴え渡った剣先。機構内蔵式騎士剣レヴァンティンが鋼の白銀も露わに雨粒を弾いた。
その切っ先がスバル――生き残った最後のフォワードメンバーに向けられ、蒸気の噴出とともに、鳴いた。

「私はな、主達がどう逝ったにせよ――お前に授けねばならない。
我が秘技――古代ベルカ最後の騎士、シグナムが必殺“紫電一閃”を!!」

無言が返答。
スバルの純白のバリアジャケットが展開され、ローラーブーツと黒鉄色の籠手が装着される。
デバイス――マッハキャリバー、リボルバーナックル。
機械音声が具足たるマッハキャリバーより放たれ、警告を発する。

《相棒! 騎士は本気です、対象の疑似リンカーコア活性化》

「本当にな、どうでも良いことなんだ。ただ私の騎士としての最後の義務は――」

火炎を纏った灼熱の刃が神速の斬撃を降らせる。

「――お前という存在に、“伝える”ことだけだからっ!」

「ならば! 高町なのはの弟子、スバル・ナカジマは! 最後の一刀まで――」

その必殺を、真っ向から剣の腹を拳で叩くという形で避けたスバルは、反撃。
下段から手首を返しさらに迫る一撃をリボルバーナックルで払い落とし、左の拳でシグナムの頬を狙いすまし左ストレートパンチを放った。
所詮拳、剣の間合いに敵うはずもないとシグナムは判断したが――瞬間、インヒューレントスキル<振動破砕>が発動。
発生した振動波が空間を震わせ、その余波がシグナムを構成する疑似人体の大脳を揺らす。
平衡感覚が狂っていく――目眩に似た感覚を覚えながら後方へ飛び退り、飛行魔法を発動。
上空へ飛び上がり、カートリッジを消費して鞭状連結刃へ変形させたレヴァンティンを振るいながら、シグナムは戦闘狂の笑みを浮かべる。
楽しい、楽しいとも――剣友との戦舞のように、心躍る。
対するスバルの瞳は、緑眼。
人間としての、色。

「――受けきってみせる!」



914嘆きの中で ◆9mRPC.YYWA:2009/05/26(火) 23:31:29 ID:6xFuXPOk
―――新暦79年 ミッドチルダ

木立を爆走するローラーブーツの走破音。
走って、走って、走り続ければあの人に会えるだろうか――馬鹿げた話だ。
きっと誰一人として戻ってこないだろう。そんな奇妙な確信を持ちながら、スバル・ナカジマ執務官はマッハキャリバーに訊く。

「マッハキャリバー、敵の位置は?」

《オートスフィアの撃墜地点、前方五百メートル。推測ですが、遭遇まで僅か》

言わば、勘だった。
ローラーの軌道をねじ曲げ、急速旋回。
たったそれだけの動作で、湿った土を焦がすエネルギー弾を避けた。
左手のクロスミラージュを叩き起こし、引き金を引いた。
弾殻の多重化は今のスバルでも難しい技術だから、発射されたのはごくありふれたスタンバレット。
音速で放たれた魔力弾は、跳躍からの鮮烈な蹴撃によって打ち砕かれ、どす黒いプロテクターとジャケットを装着した人影が降り立つ。
白いコートのバリアジャケットを纏ったスバルとは、何処までも対照的な姿。
それでいて、容姿は似通っている。つまり……

「……ノーヴェ」

揺れる赤い髪、金色の瞳――ぎらついた獣のような雰囲気。
ベースとなった遺伝子を同じくする“姉妹”へ向けて、スバルは銃を構える。
インテリジェントデバイス『クロスミラージュ』。親友が遺した射撃武装。
それを眺め、戦闘機人ナンバーズのⅨは笑う。

「ハッ。懲りないなァ、“セカンド”」

「……違う」

「なぁにが違うんだよ、あたしたちは戦闘機人、ぶっ殺すための兵器だろうがァ!」

「あたしは――」

ミッドチルダ式の円形魔方陣を展開、人造リンカーコアが生み出す圧倒的な魔力を銃身に注ぎ込む。
エネルギーの莫大な集束が純粋魔力の槍を生成し――虚空を穿つ灼熱の白刃と為す。
放射、開始――純粋砲撃魔法『ディバインバスター』。

「――スバル・ナカジマ、“人間”だッ!」

自身に直撃する弾道――光の槍を、嘲りながら跳躍で躱す。
同時にインヒューレントスキル『エアライナー』起動=宙に展開される光の帯。
ローラーブレード『ジェットエッジ』の推進炎と動輪によって、爆発的加速を得る。
音速に迫る上面からの突撃――回避不可能。

「――ハァッ! なら証明してみせろよォォォ!!」

915嘆きの中で ◆9mRPC.YYWA:2009/05/26(火) 23:32:26 ID:6xFuXPOk
体重/加速を乗せた飛び蹴り――足首のスピナーが回転、螺旋刃として破壊をもたらす。
触れれば如何なるバリアジャケットも貫通する。そんな確信を持った一撃を受け止める“魔法”=奇跡と呼ばれる技術体系。
マッハキャリバーの車輪を固定、足を踏ん張りながら慣性制御によって慣性質量を打ち消し、鋼鉄の右腕でそれを受け止めた。
人外の膂力でジェットエッジの爪先を掴み、片手でノーヴェの身体を放り投げる。まるでゴミのように放り投げられた彼女は、推進器によって姿勢制御、
漆黒のプロテクターで衝撃を受け止めながら、右腕を軸にして身体を回転させ、猫科の猛獣のように着地した。
その顔にはぎらついた笑みが宿り、両腕の籠手=ガンナックルから弾丸の雨を吐き出す。
それをスバルは強固なシールドで弾き、動輪の逆回転で後退しながら、魔力スフィアを幾つも生成した。

「チィッ! テメエ、前よりも魔法精度が上がってやがるな?」

「これだけが! あたしがティアから受け継いだ魔法だ!」

“ティア”――連想される名前は、ウェンディとディードを殺した魔導師=ティアナ・ランスター。
この手で初めて“ぶっ殺した”人間の名前だった。ぞくぞくと背筋を駆け抜ける寒気、殺意。
嗚呼、これは――“悪意”だ。吐き気がするほど粘っこく、苦くて甘い地獄のような感覚。
沸き上がる感情によって塗り潰される視界。紅く、紅く、興奮で染まっていく。
歓喜の声が零れた。

「はぁっ……」

「……? 何が――」

嗚呼、抑えきるなんて無理だ。

「はぁっはっはっはっはっはっは! ああ、あたしがぶっ殺したんだよ、ティアナ・ランスターは!
ウェンディとディードはあいつにやられちまって、何も残せずに死んじまった……なぁ、お前は知ってるよな――」

金色の瞳から涙を流しながら、彼女は吼えた。

「――クロスミラージュッ!」

誘導射撃の詠唱をしていたスバルは、その言葉に凍り付く。

「本当、なの――?」

《肯定。私はマスターを思って行動したまでです》

無口な拳銃型デバイスが、珍しく言葉を発した。
あまりに無機質な言葉にスバルの思考が数瞬停止する――ノーヴェが頭を掻き毟りながら哭いていた。
こぼれ落ちる涙は透明で、ただひたすらに悲しかった。戦闘機人であり、兵器であることを選んだ少女が、叫んだ。

「あたしとお前はわかり合えないっ! どっちかが消えるしかないんだよ、セカンド――」

静かにスバルへ歩み寄ろうとした瞬間、ノーヴェの強化視覚は、きらり、と光るものを捉えた。
刹那、銀光乱舞/降り注ぐスローイングナイフの群れ/電磁加速によって超音速の速さを持った弾丸の如き投擲。
衝撃波を撒き散らして周囲の地面に突き刺さる寸前、その性質を変化/爆薬に等しい偉大なる炸裂/絨毯爆撃の圧倒的殺意。
爆風で何もかもを否定しながら、罪人の短剣は爆弾と化してスバルとノーヴェを吹き飛ばす。
遙か後方の地面へ尻から叩きつけられたノーヴェ/プロテクションで爆風をやり過ごしたスバル。
二人の視線は、それが飛来した空の彼方へ注がれた。

――このISは……真逆……!
ノーヴェの心臓が何処までも早く心音を刻む。空の向こうから響く、輸送ヘリのローター音。
それが高速でノーヴェの頭上に差し掛かった瞬間、青いコートを身に纏う、小柄な少女の影が舞い降りた。
揺れるのは長い銀髪/右目を隠す眼帯/金色の瞳/群青の防御コート=時空管理局技術復興部奇兵師団の証。
防御コートの機能の一つ、重力制御で自身の質量を無効化(キャンセル)する、人形のような戦闘機人。
ナンバーズの姉として慕った人との再会に、ノーヴェは悲嘆に満ちた叫びを発した。

「チンク姉ぇぇぇぇぇぇぇ!!」

技術復興部奇兵師団――旧暦の怪物達、質量兵器の運用を行う異端の者ども。
その尖兵であり、かつてナンバーズのⅤ番目だった少女は自嘲するように微笑んだ。

「久しぶりだな……まだ私を姉と呼んでくれるか、ノーヴェ」


第6話 了。

916シロクジラ ◆9mRPC.YYWA:2009/05/26(火) 23:38:52 ID:6xFuXPOk
今回はこれまでです。
いや、うん、言いたいことはわかります。
去年の八月のSSを今更やられても、話忘れたわ、と。
それでも読んでくださった方、ありがとうございます。

ちなみに、あっけなく無残死してしまった二人ですが、これは一応私なりのこだわりで、
「死んでしまう人間が何かを残せるのは稀」というある人の言に感動したせいです。
……でも、ウェンディとディード好きな人ごめんなさい。
本編準拠の暖かい関係をノーヴェとスバルが築けるか、非常に微妙です。

長くなりましたが、次回は何時になるか未定。長い目で見守ってくださいorz

917名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 00:54:31 ID:cvdMH.xI
GJ!!です。
復讐の連鎖を断ち切るなら、断ち切る人は感情を捨てて、
人間を辞めなきゃ行けませんよね。精神的な意味で超人にならないと。
大局を想像して、仲間や家族を無残に殺した敵を許し、仕方がないと割り切り、
手を取り合おうとする、人間を越えたナニカに。

918名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 08:46:34 ID:VY1vpQRQ
このSS、ずっと続きを待ってたんだぜ。
投下乙です。
ナンバーズ間での確執に復讐の念、次回も気になる。
首を長くして待ちますよ。

919名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 13:57:43 ID:nxcKDRyk
>>917
話は変わるが、復讐の連鎖を防ぐには強大な上位権力が必要ということかいな。

920名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 17:29:45 ID:cvdMH.xI
状況にもよりますが、(仕方がないといわれる場合は、バトロワのような状況に理不尽に放り込まれた、殺さなきゃ殺されるなど。このSSだとティアナのケース)
組織の場合だと明確な大きい利益が敵対者を許すことで得られるならそうではないでしょうか?
トップ達が下に許せ、そして彼らに手を出すなと厳命すれば、組織に残ることを選択しているものは、恨むでしょうが我慢すると思います。
納得できない人は組織を辞めたり、復讐に走るが、組織としては命令を下していたのに違反した復讐者が悪いのでとできて、組織のダメージは最小限にできそう。
これが、利益だけでは推し量れない人間の心の部分が割合的に多く関係する個人間だと上記ほど上手くはいかないかない気が。
前提として相手を殺しても罪に問われない、尚且つ相手を潰すだけの力はある時。例えば、家族や大切な人を強姦され殺された。でも、復讐の連鎖は止めなければと個人的感情を殺して許す、
許さないけど加害者の能力が何かしら社会に役に立つから殺さないとできる人は人間を越えた超人ではないだろうか?と思いまして。私は、そんな超人がいたら怖いです。人間ではない気がします。
復讐に走る人間に、復讐は何も生まないから止めるんだ。君の恋人を七日間監禁し、むごい暴行と強姦を繰り返したけど、彼はとても頭がよく今後の社会に役に立つので殺さないで許せとか言い出しそうですし。
僕もできたんだから君もできるはずとかもいいそう。

921名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 17:44:19 ID:TamDWBi2
3行でおk

922名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 17:54:38 ID:cvdMH.xI
すまん。
書いている内に書きたいことが増えてきて凄いことに。

923ザ・シガー:2009/05/27(水) 21:15:30 ID:DkGeKUJ6
>>26-111
ああ、相変わらずサンタ可愛いっすねぇ。
そしてディエチも実に良い。
氏のナンバーズ愛が伺えます。
GJです!

>>246
おお、遂に始まった欝スパイラルの序曲!
こっからどう絶望世界が動くのか見ものです。
次回もお待ちしております。

>>シロクジラ氏
うわぁ、物凄い欝世界。
でもこういうの大好き、もってして!
そして、ユーノちゃんやトーレ姐御のSSもお待ちしております。
心の底から。
次回も気長に待ちますよ! GJ!!


っと、 久しぶりにスレに顔を出したら感想入れるだけでも一仕事。
うふふ、皆さん頑張り過ぎですよ。

そして感想ついでに息抜きで書いたSS投下します。
鉄拳シリーズで登場した敵役のスピンオフ、すごく外道な話です。
キャラ死・陵辱耐性のない方はご注意を。
タイトルは『外道流れ旅』です

924外道流れ旅:2009/05/27(水) 21:20:39 ID:DkGeKUJ6
外道流れ旅 SWORD&BULLET


 テッド・バンディ、魔銃の二つ名を持ち暴虐と陵辱をこよなく愛する外道。
 ジャック・スパーダ、魔剣の二つ名を持ち剣戟と死闘をこよなく愛する外道。
 とある仕事をきっかけに知り合ったこの二人の外道は今、どういう訳か行動を共にしていた。
 魔銃と魔剣、世に悪鬼よ羅刹と疎み蔑まれる人殺しのろくでなし共。
 これは、血と暴力を求めさすらう二匹の外道の物語である。





「こーれーで……二百匹目っと」


 言葉と共に、森の色濃き緑を引き裂いて一筋の赤い閃光が高速で射出された。
 それは魔力の塊、攻撃し殺傷する為の術式、射撃魔法の光だ。
 魔法と呼ばれる広く世界に普及した術理、行使したのは一人の男。
 レザー調の血のより赤いバリアジャケットを纏い、手に巨大な拳銃型デバイスを持った金髪の美男子、テッド・バンディ。
 広き管理世界で外道の殺人者として指名手配されている犯罪者である。
 高位のミッド式射撃魔法の使い手であるバンディは、先ほど自身の放った魔弾の餌食に飛行魔法を行使して近づいた。
 深い森の中、そこには鮮やかな虹色の羽を持つ一羽の鳥が胴を撃ち抜かれ、血の泡の中に沈み身体をピクピクと痙攣させている。
 その死に際の哀れな鳥に、外道の男は酷薄な笑みを浮かべてとどめの一発を撃ち込み、息の根を止めた。
 鳥の名はエピオルニス、この世界、61番目の管理世界スプールス固有の生物で絶滅危惧種に指定されている希少動物。
 もはや言うまでもないが、これはつまり禁じられた狩猟行為、密猟である。
 厳しく密猟は規制されているエピオルニスであるが、その剥製は好事家によりかなり高値で取引されており密猟は後を絶たない。
 そしてバンディもまた、そんな裏ルートでつく魅力的な値段に釣られてここに狩りをしに来た犯罪者の一人である。
 血に濡れた鳥の尾を掴み持ち上げると、彼は自分の後ろにいたもう一人の男に声をかけた。


「おーい、さっさと袋持って来い」

「はいはい。まったく、人使いが荒い人ですねぇ、まったく」


 と、呆れたような口調で外道の相棒が血染めの麻袋を手に現れる。
 首の後ろで結んだ黒い長髪、白い詰襟の聖職者のようなバリアジャケットを纏う、揺れる左袖から右腕のみの隻腕と分かる長身痩躯の男、ジャック・スパーダ。
 魔剣の名で恐れられた最強最悪の殺人鬼にして殺し屋、人を斬り殺しそして殺し合う事にしか生き甲斐を見出せない圧倒的な狂人にして、今はバンディの相方を務める犯罪者である。
 隻腕の男は片手に持った麻袋の口を緩めると、それをバンディに差し出す。
 外道の銃使いは、それに先ほど仕留めた鳥の骸を放り込んだ。


「これで袋も20個目ですねぇ、総じてざっと」

「200匹ジャストだ。こりゃあ随分な稼ぎになんぜぇ」


 バンディは己がデバイス、全体的に角ばったデザインに十字架のあしらわれた拳銃型の愛機を指先でクルクルと回す。
 鍛えられた腕が成す高速のガンスピン、さらに男はそのまま腕を跳ね上げ、宙に放る。
 華麗な曲線を描く得物を反対の手で掴む、まるで曲芸師のように熟練の芸を披露。
 そして、口元に邪悪な笑みを嬉しそうに浮かべ、言う。


「はは! こんだけありゃあ、しばらく金には困らねえ」

「ですねぇ。しかし」

「しかし?」


 相方の隻腕の言葉を反芻するように男は問う。
 ジャック・スパーダは一度頷くと、言葉を続けた。


「この世界、動物や自然保護の為に管理局員が常駐してるらしいじゃないですか。こんな堂々と狩りをしてて大丈夫ですかね?」

「ああ? んなもん大した事ねえだろうが。こんなへんぴな辺境世界にいるようなヤツぁ高が知れてんだろ。
それに……てめえとしちゃ、手応えのあるヤツがいた方が嬉しいんじゃねえか? え? 戦闘狂(バトルマニア)」


 問われ、スパーダは笑みで答えた。
 まるで子供がするような、無邪気ささえ感じる屈託ない微笑。
 だがそれ故に怖気を感じるような薄ら寒い表情。

925外道流れ旅:2009/05/27(水) 21:21:53 ID:DkGeKUJ6
 顔に浮かべたそこには、決して常人、まともな感性を持つ人間にはない正気を欠落した者の色があった。


「言うまでもないでしょう? 私の唯一の生き甲斐ですよ、殺し合いは」

「はっ。そう言うと思ったよ、このぶっ壊れが」

「ははは、あなたには言われたくないですよ。いつも女性を犯す事ばかり考えてるよりかはマシじゃないですか?」

「うっせえ、バァカ」


 一見するとまるで悪友同士の語らいのように、外道は言葉を交わす。
 ただし語らう内容は殺戮や陵辱の、正常な価値観や規範を逸脱した悪徳ばかりではあるが。
 と、そんな時だった。
 唐突にバンディが視線を対面のスパーダから外し、宙を仰ぐ。
 視線のその先、遥か遠方の空から飛来する物体を彼の知覚が捉えたのだ。
 射撃型魔導師として常に半径2キロメートル、自身の射程内を索敵し照準する術式、魔力知覚(マギリングセンサー)。
 それが今、一個の外敵要素を感知した。
 バンディは感知した対象の方向を見据え、視力も術式を行使して強化する。
 常ならば霞んで見えぬ距離、米粒程度にしか見えぬ相手の姿を視認。
 それは竜、翼で空を飛ぶ大きな竜とそれに跨る少年少女だった。


「ああ、なんかこっち来るぞ」

「ほぉ、管理局の方で?」

「わかんねぇ。でもまあ、たぶんそうだろうな、結構派手に撃ちまくってたし」


 本日、既に三桁に昇る数の希少動物を射撃魔法で狩っている。
 魔力波動にしろ銃声や銃火にしろ、人の興味を引くのには十分すぎるだけの事をした。
 当然といえば当然である。
 飛来する竜の影、それは確実に管理局かそれに類する者なのだろう。
 だが、二人には少しの緊張もない。
 むしろ口元には薄ら笑いすら浮かべている。
 それは邪悪な、どす黒く濁ったような笑みだった。
 無理もない、こちらに来るのはたった一匹の竜と二人の少年少女なのだ。
 自分たちは数多の次元世界で悪鬼羅刹と恐れられ、管理局の魔導師だろうがなんだろうが目の前に立ちはだかる全てを蹂躙してきた猛者である。
 あんな小さな子供らに負ける道理などどこにもなかった。
 あえて言うなれば、彼らは贄。
 獰猛な肉食獣の前に哀れにも飛び出してしまった子ウサギのようなもの。
 二匹の魔獣は、眼前に現れた餌に口元から涎を垂れ流し、喜悦に胸躍らせ小さく笑った。
 嗚呼、久しぶりのご馳走だ。と。





 スプールスの自然保護隊が状況を察したのは、今から数時間前の事だった。
 上手く隠蔽されていたが、空間転移魔法の微弱な反応があり、射撃魔法のものと推測される銃声や銃火が確認された。
 これれらの要素から導き出される事象、それは即ちこの世界で発生する最も多いそして唯一の犯罪、密猟が行われている事を示す。
 J・S事件終了後から保護隊メンバーとしてこの地で任務に従事してた少年少女、エリオとキャロは事態を解決すべくすぐさま保護隊施設を発った。
 召還師であるキャロの使役竜フリードリヒに跨り、二人は現場に急行する。
 そこで目にしたのは、森の中に立つ二人の男だった。
 長身痩躯を白い衣服に包んだ、黒髪で隻腕の男。
 金髪を揺らした美貌の、赤いレザーを着た男。
 金髪の男が手に持つ銃、周辺の魔力残滓から察するに恐らくは拳銃型の射撃タイプのデバイスと判断できる。
 それを認識したエリオとキャロは警戒心を強め、表情の険を宿す。
 凶悪な密猟者には今までも何度か遭遇してきた、二人は油断せぬよう気を引き締めて眼前の男達の前に降り立った。
 エリオは手に愛槍、ストラーダを構え。
 キャロは自身の召還竜フリードの背に乗ったままで。
 竜の羽が巻き起こす風が止むと同時、最初に声を発したのはキャロだった。


「私たちはこの周辺の自然保護隊の者です、少しお話を伺ってもよろしいですか?」


 問われ、答えたのは金髪の男。

926外道流れ旅:2009/05/27(水) 21:23:00 ID:DkGeKUJ6
 まるでこちらを小馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべて美貌を歪め、男、テッド・バンディは言う。


「ああ、何か用かい?」


 その言葉に、今度は槍を持つ少年、エリオが問う。


「あなた方はここで何をしているんですか?」

「んー、観光? かな」

「ならその袋の中身はなんですか」

「さあね」

「見せていただけませんか。もしあなた方が密猟者でないのなら、ですが」


 少年は単刀直入に、嫌疑の眼差しを向けて言う。
 銃を手に、血溜まりの元で血濡れの袋を持った男二人。
 これを“観光”などと言われ、信用できるほどエリオも抜けてはいない。
 この要求に、金髪の男はどこかおどけたような笑みを浮かべて答える。


「ああ、ハイハイ、じゃあよ〜く見ておいてくれよ?」


 瞬間、紅き閃光が煌めいた。
 バンディの手にした銃が瞬く間に跳ね上がり、その銃口から鮮紅の魔力弾が射出される。
 大気を切り裂き突き進む魔弾が狙うは、竜に跨る召還師の少女の眉間。
 バリア破壊術式を纏う貫通特化の直射弾、喰らえば絶命必至の閃光がキャロ目掛けて撃ち放たれる。
 が、それがその目的を果たす事はなかった。
 着弾直前、少女の手前で爆音と衝撃を伴い、紅き魔弾は両断された。
 勇敢なる槍騎士によって。


「ヒュ〜、ヤルじゃん坊主」


 少年との会話で彼に注意を向けると見せかけて、召還師の少女から殺そうとしたバンディは口笛交じりに言う。
 抜き撃ちで放たれた射撃魔法を、高速移動で射線に回り込み、刃で絶つ。
 若き槍騎士、エリオの成した技前に男は純粋な驚きと賞賛を送った。
 だが、対する少年の瞳には鮮やかな程の怒りが燃えていた。
 自分ではなく隣りの少女を狙ったという相手の卑劣さに、エリオの眉根が正義感から来る怒りに歪む。


「局員への障害未遂現行犯であなたを逮捕します。大人しく武装を解除してください」


 と、猛る心を抑えつつ、少年は理性的な言葉と共に槍の穂先をバンディに向け構える。
 言葉に出さぬ怒りを代弁するかのように、エリオの愛機ストラーダの刃には幾筋もの電撃が走った。
 大気を焼く電撃がオゾン臭を殺気と共に漂わせ、少年の身らしからぬ気迫をかもし出す。
 だが、これに対し眼前の男二人はまるでエリオを嘲笑うかのように口元に微笑を浮かべる。


「だとさ、どうするよ?」

「うーん、そうですねぇ。逮捕されるのは嫌なので、とりあえず抵抗しますか」


 日常の瑣末な事柄を語るような、本当に軽い口調で隻腕の男、ジャック・スパーダは言うと一歩前に進み出る。
 同時、彼の一本しかない腕が翻ったかと思えば、そこに一振りの刃が顕現した。
 それは切っ先から柄尻まで、使い手であるスパーダの身の丈を超えるような長剣型のデバイス。
 浅く弧を描くそれはさながら刀のようであるが、ブレードの両サイドに刃を有する諸刃の形状から剣であると分かる。
 長大な得物を軽々と振り上げ、肩の上に乗せながら男は少年に微笑を浮かべた。
 戦闘を前にした張り詰めた空気の中で浮かべるとは思えぬ、心の底からの喜悦の笑みで。


「さて、では始めますか。私はあの少年を頂きますよ」

「はっ、好きにしろ」

「ええ、好きにさせてもらいましょう。では……」


 言の葉の残響が空気を揺らした刹那、隻腕の男の姿は掻き消える。

927外道流れ旅:2009/05/27(水) 21:24:05 ID:DkGeKUJ6
 まるで霞と消えるように、先ほどまで立っていた大地に土煙だけを残して視界から消失。
 だがエリオは確かにその鋭敏な感覚で察知した。自身の上方からナニかが迫るのを。
 意識の外、肉体に覚えこませた無意識と第六感に従い、少年の身体は愛槍の穂先を縦一文字に斬り上げる。
 瞬間響いたのは凄まじく甲高い金属音。
 刃と刃の狂想曲(ラプソディ)が空気を彩る。
 ストラーダを軋ませ視線を向ければ、そこには隻腕の男が狂気に染まりきった瞳でこちらに笑いかけていた。


「さあ、では始めましょうか♪」


 狂った剣鬼が言うや次なる刹那、超速の剣舞が幕をあげた。
 隻腕の剣士と幼き槍騎士の剣戟演舞が甲高い刃の音色と共に始まり、二人の身体は高速移動によりさながら風の如くその場から消えた。
 剣と槍との睦み合いが生む火花の光と残像が生死を賭けたダンスを刻む。
 エリオとスパーダはそのまま刃を交えつつ側方へと跳び、森の中の開けた場所へと落ちる。
 パートナーの後を追おうとキャロもまたフリードを駆ろうとするが、それは一筋の閃光に阻まれた。
 紅い、血のような朱の魔力弾。
 放ったのは言うまでもなく先ほどの外道、テッド・バンディ。
 男はさながら餓えた獣のように、その瞳をギラつかせ、笑う。


「おいおい、嬢ちゃんの相手はこっちだぜ?」


 その眼、まるで地獄の底のような眼。
 そして大気を伝播する気迫、空気が凍てついたかと思うような、想像を絶する殺気と魔力が五体から滲み出る。
 瞬間、キャロは感じた。
 自分の跨る竜、フリードリヒの硬い皮膚が震えているのに。
 召還師である少女には分かる、竜の身体を震わせるものの正体が“恐怖”だと。
 飛竜は怯えているのだ、目の前にいるたった一人の人間が、自分とは隔絶した次元の戦闘存在である事を本能で知ったが故に。
 それを認識し、キャロは背筋に氷塊を流し込まれたような怖気を感じる。
 青ざめ、震える少女に、バンディは悪魔のような微笑みを浮かべ、告げた。


「さぁて、じゃあお楽しみと行こうか」


 地獄の始まりの合図は、そのたった一言だった。





 森の中の開けた地、青々と草の茂る原を少年と剣鬼が駆ける。
 隻腕の鬼が振るう刃、長剣が織り成す剣閃がエリオの首を薙がんと右から真一文字に振るわれた。
 スパーダの放つ右からの、自分からすれば左方向からの刃を、少年は魔力強化された反射速度で防ぐ。
 愛鎗ストラーダを手中で巧みに回転、物理保護と加速、そして魔力刃の鋭利化を施したそれで、襲い来る魔剣を掬い上げるように上方へと斬り上げた。
 魔力によって成された物理保護術式がぶつかり合う閃光、次いで今度は甲高い金属音と火花が生まれ、鮮やかな戦場の演舞を彩る。
 絶命必死の魔刃をなんとか防いだエリオだが、しかし彼には安心する暇などない。
 次なる刹那には既に二撃目、上段から振り下ろす刃が放たれた。
 縦一文字に少年の五体を両断せんと、高速の兇刃が振り下ろされる。
 天の陽光に銀色と輝く白刃、エリオの正中線を断とうと放たれた魔剣。
 若き槍騎士は、先ほどの防御動作の慣性を利用してストラーダの穂先をさらに一回転させ、再びその穂先で敵の刃を防いだ。
 魔力と硬質な刃同士が激突し、その衝撃に空気が爆ぜる。
 デバイスとデバイス、刃と刃、狂気と正気。
 二つの存在がぶつかり合い、人の神経を逆撫でする耳障りな金属音を立てて互いの得物を軋ませる。
 エリオは額に嫌な汗を流しながら、顔に苦渋を浮かべた。
 鍔競っている相手からの圧力が尋常でないのだ。
 足元の草地、その存外に硬い地層の大地に深く足がめり込み、全身の筋肉と骨格が悲鳴を上げている。
 隻腕、相手は腕がたった一本しかないというのに、まるで巨人か人外の魔物でも思わせるような金剛力を誇った。
 魔力による身体強化の気配も薄い。
 これが剣鬼の純粋な肉体の力だと知り、少年の身体から余計に汗が溢れる。
 怖気の、恐怖からくる汗だ。
 親代わりになってくれたフェイトに、かつての上司であるシグナム。
 エリオは多くの、強く気高い戦士を知っていたが、今目の前にいる相手はその全てと決定的なまでに“違う”。

928外道流れ旅:2009/05/27(水) 21:26:05 ID:DkGeKUJ6
 少年は、闘争の場でここまで楽しげに嬉しげに、そして壊れた笑みを浮かべられる者など知らなかった。


「ふふ、良いですねぇ、良いですよあなた。その年でよくそこまで鍛えたものです……久しぶりに楽しめそうですよ♪」


 まるでプロムの夜に、最高の美少女とダンスできる少年のような。
 まるでクリスマスにサンタさんから最高のオモチャをもらった子供のような。
 嬉しくて嬉しくて堪らない、そんな無邪気で毒気のない笑顔を、隻腕の男、ジャック・スパーダは浮かべていた。
 ありえない。
 それはエリオの常識から考えてありえない事だった。
 普通の人は戦いの場でこんな明るい笑みは見せない。
 普通の人は命のやり取りの場でこんな嬉しそうに喋らない。
 普通の人はこんなに壊れていない。
 異常だ。
 目の前のこの男は明らかに常軌を逸していた。
 人間が人間であるための正常性、正気をどこまでも果てしなく欠いていた。
 それを認識し、恐怖と嫌悪が混ざり合った感情がふつふつと心を侵食する。
 もし許されるなら逃げ出したいとさえ思う。
 だがそれは許されない、少年の心が、そこにある正義感が許さない。
 自分が成す事は背を向けて逃げ出す事でなく、相手を打ち倒し、勝利する事だ。
 胸中で自身を叱責、幼い騎士は体内のリンカーコアを燃焼させ魔力を搾り出す。
 ストラーダの物理保護に五体にかけた身体強化術式へとさらなる魔力を流し込み、強大な敵の膂力へと押し返した。
 押されつつあった鍔競り合いを五分の状態へと持ち直す少年の気概に、剣鬼は笑みを喜悦でより深く染める。
 と、そんな時だった。
 二人が斬り結ぶその場よりいくらか離れた場所で音がした。
 爆音ともとれる高出力射撃魔法の射出音、そして人にあらざる獣、恐らくは竜の断末魔に似た叫び。
 それがフリードと先ほどの金髪の男の戦闘音だと、エリオが察するのにそう時間はかからなかった。
 パートナーの窮地を感じ、少年は思わず狼狽を見せた。


「くっ! キャロッッ!!」


 視線を音のした方向へと向け、少女の名を叫ぶ。
 が、それは決して闘争の場において、眼前に敵のいる状況でして良い行為ではなかった。
 少年の身体から力が僅かに抜けた瞬間、鍔競る刀身に火花と共に凄まじい圧力が生まれる。
 今まで感じていた力が嘘のような、超絶の金剛力。
 瞬間的に四肢に魔力を流し、燃焼させ、身体強化術式が行使されたのだ。
 その力はエリオを、物理保護・デバイス・肉体、それら一切合財をひっくるめて吹き飛ばした。
 フワリと感じる無重力的な感覚。
 自分が、浮いた、という自覚を得る間もなく、少年の意識が寸断された。
 エリオの思考力を奪った正体、それは蹴り。
 鍔競りから少年を吹き飛ばし、そのまま流れるように放たれた前蹴りが中空の彼の鳩尾を捉えたのだ。
 金属製レガートを装着したブーツ、その爪先が魔力による物理保護を施され、エリオの肉体をバリアジャケットなど無いかの如く蹂躙。
 内臓はおろか背筋に埋まる背骨までへし折りそうな力で行われた蹴撃に、少年の意識は霧散した。
 意識を失った肉体は宙を数メートル舞い、草と硬い土の上に落ちる。
 まだ成長しきらぬエリオの身体が柔らかな草で数回バウンドし、まるで投げ捨てられた人形のように面白いくらい転がった。
 その衝撃に意識が戻ったのか、少年は転がる慣性に従って身体を制御、槍を支えに制動をかけた。
 ストラーダを杖代わりにエリオはなんとかその場に踏みとどまったが、蹴られた箇所から激痛が全身を駆け巡る。
 苦痛に顔をしかめ、血を吐き漏らしながらも少年は強靭な意志でそれを捻じ伏せ、視線を敵に向けた。
 瞬間、目の前に長剣の刃が翻った。


「ッッ……」


 目の前に切っ先を突きつけられ、エリオは言葉にならない声を零す。
 日の光を反射し、銀色に妖しく輝く魔剣の刃。
 もし相手にその気があるならば、エリオは瞬きする間に絶命し果てるだろう。
 剣を交え、この剣鬼がそれだけの実力を有しているという事は嫌というほど味わった。
 息吹を感じるほど間近な“死”の気配。
 少年の背筋が、本能的な恐怖により滝のように流れた汗で濡れる。
 額に脂汗を浮かべ、表情を強張らせるエリオ。
 だが、対する隻腕剣鬼は残念そうなというか、なんともいえない表情で少年を見下ろしていた。


「あぁ〜、もう何してるんですか。せっかく良い戦いだったのに、よそ見して油断するなんて、減点ですよ?」


 さながら教え子を優しく叱るように、狂った男はエリオを嗜めた。
 明らかにこちらを殺す気だというのに、発露する感情はどこまでも穏やか。
 再認識させられる異常な狂気性、壊れた人間の情緒。

929外道流れ旅:2009/05/27(水) 21:27:21 ID:DkGeKUJ6
 今まで感じたものを上回る恐怖が心を染めるが、それは一瞬だった。
 次なる刹那、エリオは己が目に映った光景に恐怖も苦痛も忘れ、声の限りに叫ぶ。


「キャロッッ!?」


 愛するパートナーの名を。





「あー、こっち終わったかぁ?」


 気の抜けたような問う声と共に、金髪の男がやって来た。
 各所にベルトや鋲のシルバーを有する紅いレザー調のバリアジャケットを纏い。
 右手には十字架の刻まれた拳銃型デバイスを持ち、そして左手にはボロボロになった桃色の髪の少女を引きずっていた。
 白を基調としたバリアジャケットのあちこちを穿たれ、引き裂かれた哀れな形(なり)の召還師の少女。
 パートナーのその様に、少年は声を張り上げ彼女の名を叫ぶ。
 キャロ、と。
 名を呼ばれ、少女は顔を上げる。
 幾分か血の気は引いた顔で少年を見つめ、乙女もまた彼の名を呼んだ。


「……エリオ、くん」


 か細い、消え入りそうな儚い声。
 そして自分を見つめる涙で潤んだ瞳に、少年は細胞一つ一つに至るまで刻まれた恐怖を跳ね除け、奮い立った。
 先ほどまで震え上がる寸前だった脚は磐石と立ち、力を失いかけた腕は力強く槍を構え穂先を敵に向け、眼光はカミソリのように鋭い気迫を帯びる。
 これに、二人の外道はそれぞれに別種の嗜虐的笑みを浮かべた。
 金髪の美貌を持つ悪鬼は、左手で襟首を掴んだ少女を掲げ、邪悪に笑む。


「安心しろよ坊主、かる〜くボコっただけで“まだ”何もしてねえ」


 それは悪魔のまるで弱い獲物を嬲り殺すのを楽しむ魔獣のような、獰猛な笑顔だった。
 獲物は言うまでもなく手にした少女。
 その穢れ無き純潔、雄を知らぬ未成熟な女体に、外道の獣は嬉しげに楽しげに笑う。
 と、金髪の悪鬼に、相方であるもう一人の鬼がふと問う。


「こっちはまだお楽しみの最中、ってところですが。さっきの竜はどうしました?」

「ああ、もうとっくの昔にバラしたぜ。綺麗に脳天ぶち抜いてな。ま、火力はそこそこあるが所詮はケダモノ、トロイ動きしてやがったから軽いもんよ」

「左様で」


 フリードリヒの死、それをエリオは認識し血が出るほど歯を噛み締めた。
 二人の会話、そしてキャロが捕まったという事実からも明らかだろう。
 機動六課入隊当初、キャロと初めて出合った時もあの竜と一緒だった。
 思わず目元を一筋の涙が流れるが、少年騎士はそれを首を振って払う。
 今は悲しみ暮れる間などない、この悪鬼のような二人の男を倒し、キャロを救わなければならばいのだ。
 たった一人を相手にしても絶望的戦力差を有する悪魔、それを今度は二人同時である。
 劣悪を通り越して最悪とも呼べる状況。
 そうエリオが認識した瞬間、唐突に隻腕が相棒に語りかけた。


「バンディさん、そのお嬢さんにまだ手は出さないでくださいよ?」

「あ? 指図する気かよ?」

「いえいえ、ただの相談ですよ」


 そう言うや、剣鬼はクルリと視線をエリオに向ける。

930外道流れ旅:2009/05/27(水) 21:27:57 ID:DkGeKUJ6
 ギラギラと、まるで遊ぶのに夢中な子供のように喜色と輝く瞳が少年をまっすぐに捉えた。
 そして、狂った剣鬼は嬉しげに言う。


「こうしましょう、もし私を倒せたらあのお嬢さんは解放します」

「おいおい、俺は了承してねえぞ?」

「しかし、もしあなたが負けた場合はあちらのバンディさんがとてもとても酷い目にあわせます」

「って、聞いてねえし」


 苦言を漏らすバンディを無視し、スパーダはニッコリと笑って問うた。


「どうですか? 素敵な提案でしょう?」


 まるで意中の女性をデートに誘うように、心の底から嬉しそうな問い掛けを男はした。
 エリオはその狂気に気おされながらも、唾を飲み込み、答える。


「……分かりました。約束、してくれますね?」

「ええ、もちろんです」


 答えが出るや否や、それを合図として再び剣戟の舞踏が始まった。
 一人の少女の純潔を賭け、正気と狂気がぶつかり合う。
 狂った刃の宴が。


続く

931ザ・シガー:2009/05/27(水) 21:32:24 ID:DkGeKUJ6
投下終了。

純愛もある、非エロバトルもある、イチャラブもある。でも……
陵辱がないでしょッッッ!

と、俺の中の泣き虫サクラが叫んだので書いた。
後悔はしてない、次回するつもり。

たぶん陵辱とかレイプになるので、嫌いな人は目を瞑り、好きな人は歓喜する準備を。

で、前後構成の短編になるか、長編になるかは未定。
一応現段階では長編の可能性があるのでそっちでカテゴライズしてください。


あと、会議室の方で少し問題提起したので、住人・職人の方はどうかご意見を。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1237287422/l50

932名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 22:28:36 ID:aeMySJVk
やった!待ちに待った凌辱モノだ!
エリオのアナルバージンも破っちゃってくださいな
wktkがとまらない!

933名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 23:23:15 ID:nxcKDRyk
個人的にはキャロよりもそっちのほうが興味深かったり。

934名無しさん@魔法少女:2009/05/27(水) 23:40:48 ID:ut7Lz4cY
女の子を虐めるのは可哀想だからな。

935名無しさん@魔法少女:2009/05/28(木) 00:11:28 ID:XBxWyBWc
GJ!!です。
こりゃ、エリオは真っ二つフラグか?
キャロは、全てが終わった後に絶望からヴォルテールが出そうで怖いw

936名無しさん@魔法少女:2009/05/28(木) 00:17:25 ID:im5A7X0.
この二人は良いオリキャラですね。
ちゃっちゃっとエリキャロをばらしてください。
彼らの殺戮地獄へのエールを送ります。がんばれ狂気の屍食鬼’s

Kill The Division 6 Kill The Division 6 Kill More The Division 6

937名無しさん@魔法少女:2009/05/29(金) 08:18:24 ID:BL66qB76
 キャロがどう嬲られるのかもそうですが、エリオとスパーダのバトルにも期待大です。

938名無しさん@魔法少女:2009/05/29(金) 11:19:28 ID:XZvq82Tg
>>936
この作品の趣旨となんか違わないか。

939名無しさん@魔法少女:2009/05/29(金) 12:37:35 ID:3.PC76NA
陵辱キター!エリオとキャロが強制交尾させられる展開をきぼんぬ

940ザ・シガー:2009/05/30(土) 13:34:12 ID:BhO0y17I
さーて、誰も投下してねえし続き投下すっか。

外道話の続き、『外道流れ旅』の後編
エロあり、陵辱。
これがダメならスルー推奨。

941ザ・シガー:2009/05/30(土) 13:37:23 ID:BhO0y17I
外道流れ旅 SWORD&BULLET 召還師陵辱編


 長剣を持つ隻腕の男、そして槍を構えた少年が草原の中央でにらみ合う。
 隻腕の剣鬼、ジャック・スパーダは、目の前の少年が見せる勇姿に嬉しげに楽しげに、爽やかな程の笑みを浮かべている。
 対する少年騎士、エリオ・モンディアルは汗を交えた苦悶。
 自身と相手との実力差は十二分に承知している、故に見せる表情だ。
 されど彼に敗北は許されない。
 もし負けたのならば、傍らでこちらを嘲笑と共に眺めている外道の毒牙がパートナーを、キャロを襲うのだ。
 負けられない、この身に何があろうとも絶対に。
 決意を固め、戦意を奮い立たせ、少年は手の槍を力強く握る。
 こちらを見つめる剣鬼に裂帛の気合を込めた視線を返し、エリオは叫んだ。


「ストラーダ! フォルムツヴァイッッ!!」


 瞬間、愛槍であるデバイスが応える。
 空気が炸裂するような激発音を伴い、カートリッジが中空を舞ったかと思えば、少年の愛機はその機構を変化させた。
 穂先の後部に出現したスラスター、爆発的な推進力を得る為に生まれたそれが魔力を炎と燃やし、猛る。
 速く、もっと速く。
 あの化物を倒す為に、自分の持つ最大の売りである加速度を追求。
 穂先のスラスターが爆ぜると同時、少年は身体加速の魔法術式ソニックムーブを行使する。
 瞬間、踏み込みの力によって足場の草と土が激しく吹き飛び、エリオの身体が高速の領域へと加速した。
 真正面から一直線に、少年騎士の繰り出し得る最高最速の刺突が唸りをあげる。
 ストラーダの穂先に魔力で形成された刃が、物理保護とバリア破壊の庇護を受けたその鋭い一撃で敵を穿たんと輝いた。
 少年の五体はさながら疾風と駆け抜け、大気を引き裂きながら剣鬼、スパーダへと迫る。
 小さな騎士の繰り出す一閃、必殺の一撃が閃く。
 が、相手は怪物・魔物・鬼、常人のいる地平を超越した存在である。
 高速で繰り出されたエリオの刺突は、次なる刹那、火花と金属音と共に弾かれた。
 だらりと剣を下げた状態から、一瞬で刃の軌道を見切り、槍の穂先を斬り上げる。
 隻腕の剣鬼は、まるで造作も無く少年騎士の絶技を防いだのだ。
 されど、エリオに後退の二文字は存在しない。
 ストラーダの穂先を斬り上げられた勢いを利用し、その場で踏み込み、跳躍。
 愛槍の炎を滾らせ、足元の草と土を散らし、少年の五体が宙を舞う。
 飛行魔法を使えぬ身で空中を選ぶ、一見すると無謀と思える行動。
 が、それをエリオは愛槍の能力で捻じ伏せた。
 第二形態と変わったストラーダのスラスターが凄まじい炎の息吹を吐き散らし、少年の身体に急制動をかける。
 鮮やかに、急激に、宙で回転したエリオは渾身の力を込めて槍の穂先で斬撃を振るう。
 数回転して得た遠心力とスラスターの推進力を以って繰り出す一撃が、スパーダの脳天を割らんと下ろされた。
 無防備な、少しの警戒もない頭部への攻撃。
 魔法で高速化した思考の中、エリオは勝利を確信する。
 しかし次なる刹那、槍の穂先が捉えたのは剣鬼の頭ではなく、虚空。
 高速の斬撃はただただ虚しく、空気を薙いだ。
 少年は斬撃の慣性に従い、宙を旋回しながら見た。
 軽く身体を反らせただけでこちらの会心の一撃を回避したスパーダが、首をこちらに回して満面に笑むのを。
 視覚がそれを捉えた後、腹の底から背筋まで駆け抜ける怖気と身体に衝撃が走るのは同時だった。
 エリオの身体を捉えたのは斬撃。
 空中で無防備な少年騎士の身体に、大地が砕けるほどの踏み込みと共に放たれた上段の刀身が踊る。
 ストラーダがオートで展開した防御障壁をいとも容易く斬り裂き、兇刃はエリオの胴に裂傷を刻んだ。
 美しい朱色の鮮血が銀色の剣閃と共に宙を彩る様はある種芸術的ですらある。
 その戦闘芸術が織り成す色が大気を染める間に、少年の肉体は再び草地に落ちた。
 柔らかな草を千切り、硬い地面を凹ませながら、小さな騎士の身体は何度も跳ね、転がる。
 これで勝負が決したと、剣を振りぬいたスパーダも、その様を見ていたバンディも思う。
 が、草の上を転がっていた少年の動きが唐突に止まった。
 転がる惰性の動きが終着したとか、なにかにぶつかった訳ではない。
 少年が己の脚と槍の石突きで停止したのだ。
 胴を斜めに、先ほど斬られた浅いが大きな傷口から血を流し、そして口元も濃く血で汚して、されどまだ戦意を捨てぬ意志の強い眼差しで。
 エリオ・モンディアルは立っていた。
 もはや満身創痍、体力も魔力も消費して、ボロ雑巾のようになっている。
 だが、それでも彼は戦う意思を放棄していない。

942外道流れ旅:2009/05/30(土) 13:39:02 ID:BhO0y17I
 震える手に最後の力を振り絞り、愛槍を構えて魔力を滾らせた。
 全身全霊、エリオは自分という存在の全てを賭けた一撃に勝機を委ねる。
 けたたましい激発音が数回木霊すると共に、金色の空薬莢が幾つも宙を舞う。
 ストラーダの内部に残っていたカートリッジが全て消費されたのだ。
 同時に、小さな騎士の愛槍に莫大な魔力が満ち、電撃が鮮やかに迸る。
 もはやそれは、単なる幼い戦士ではない。
 心技体、全てにおいて一流の次元に完成された、気高き騎士の様である。
 これに対し、剣鬼はもはや、涙さえ浮かべて歓喜。
 震える唇で、嬉しげに楽しげに哀しげに、小さな声を吐く。


「素晴らしい……あなたは、本当に本当に素晴らしいですねぇ。絶望的な状況に屈さぬその気高い姿、感動すら覚えます」


 言うや、隻腕剣鬼は掌中の長剣を振るう。
 空気を鋭利に斬り裂く音と共に、長い長い諸刃刀身が天に翻った。
 大上段に、下段に振り下ろす事だけを求めた構えを、彼はした。
 金色の陽光を反射し、魔剣の刃が鈍く銀色に輝く様は美しく、そして妖しい。
 鍔元から切っ先に至るまで、スパーダの持つ刀身には魔力と殺気が満ち溢れる。
 大気を焦がしそうなほど色濃く漂う灰色の魔力光。
 柄を握り締め、軋ませながら、男は少年に呟いた。


「では、私もほんの少しだけ本気を出して応えましょう……」


 と、狂気と歓喜で染まった顔でスパーダは言う。
 だが、彼の言葉を聞くより早く小さな騎士は駆けていた。
 ストラーダのスラスターと加速魔法を最大最高の出力で用い、自身の繰り出せる限界を超えた加速の突き。
 大気を引き裂き、エリオの身体が突き進む。
 これで勝つ、これで終わらせる。
 その想いを胸に、彼は全身全霊で以って絶技を繰り出した。
 加速魔法を行使し、周囲の光景がスローモーションになる中でエリオは自身の攻撃が決まる事を確信する。
 相手は天に剣を掲げたまま、微動だにしない。
 斬撃を放つ予備動作さえ見えないのだ。
 おそらくはこちらの動きに反応する事すらできないのだろう。
 と、エリオの思考が至った刹那、彼は光を見た。
 長剣の刃が陽光を反射して見せる銀光だ。
 瞬間、その光が上から下に一直線と下り、衝撃が身体に伝わった。
 次いで、鼓膜に凄まじい、大気を根こそぎ引き裂くような音が聞こえた。
 何が起こったのか理解する間もなく、エリオの身体は吹き飛んだ。
 また少年は草と土の上を転がる。
 今度は立ち上がる力も無く、ただただ無様に何度も転がる。
 数秒間続いた慣性の働きが終わりを告げ、エリオの身体はようやく止まった。
 少年は凄まじい激痛と、だがそれにのたうつ事もできない無力感の中で現状を認識する。
 何が起こったのか、自分がなにをされたのか。
 それは別になにも特別な事ではない。
 相手はただ剣を振り下ろし、刺突を放った少年騎士を斬り伏せただけの事だ。
 だがそれはエリオも反応できない程の、音より速い音速超過の斬撃である。
 刀身と五体に満ちた魔力を一気に爆発させ、超絶の速度を得る究極の一刀。
 神技、否、それはもはや魔技の領域だろう。
 魔の斬撃を受けたエリオは、愛槍ストラーダを両断され、腕も半分引き裂かれ、胴にもまた大きな裂傷を刻まれ、倒れた。
 もはや抵抗はおろか、得物を握る力さえない。
 気高き騎士と狂った剣鬼の激闘は、後者の勝利で終わりを告げた。
 勝利を収めたスパーダは倒れたエリオに感慨深げな、恍惚とした表情を浮かべている。
 戦い殺し合う事のみが生き甲斐の狂った男は今、生の充実を実感しているのだろう。
 と、そんな彼の余韻に横合いからもう一人の鬼が話しかけた。


「さて、これで終わったろ? サイコパス」


 血より濃密な紅を着た、金髪の美貌が言う。
 そして男は、左の手で掴んでいた少女を草地の上に転がし、右手の巨銃を一閃した。

943外道流れ旅:2009/05/30(土) 13:40:29 ID:BhO0y17I
 銃口から形成された鮮紅色の魔力刃が閃けば、次の瞬間には幼い竜召還師の纏った服が綺麗に裂かれる。
 さすれば現れる。
 少しの穢れも知らぬ無垢な、白く美しい乙女の柔肌が。


「こっからは俺の“お楽しみ”だぜ?」


 歯を剥きだしにした獰猛な笑みを見せ、悪鬼は陵辱の宴を始めた。





「いやぁああッッ!」


 絹を裂くような乙女の悲鳴が森の木々の間を木霊する。
 一人の少女が今、暴虐なる悪鬼の毒牙に襲われてるのだ。
 幼い、まだ成熟を知らぬか細い四肢を屈強な男に押さえつけられ、少女は暴れる。
 性知識に乏しい彼女とて、これから自分がナニをされるか分かるのだ。
 純潔を、本来なら愛する者に捧げるそれを、目の前の悪鬼は力ずくで奪おうとしている。
 少女は、キャロは今無力だった。
 先ほどの戦い、一方的な蹂躙の前に、彼女の牙は全て折られているのだ。
 召還竜フリードリヒは無残に殺され、デバイスのコアも砕かれた。
 もはやできる抵抗など、手足をバタつかせて行う儚いものしかない。
 飛竜を造作も無く屠る悪鬼を前にそれはほとんど無意味な行為であると知りながら、それでも乙女は抵抗する。
 金髪の美貌を持つ外道鬼は、これに愉快そうに笑みを浮かべた。
 彼は楽しくて楽しくてしょうがないのだ。
 儚い抵抗を試み必死に足掻く無垢な乙女の姿が、外道の嗜虐心をどこまでも喜悦に燃やす。
 バンディはキャロの両手を器用に片手で押さえつけると、残ったもう片方の手で彼女の身体を纏っていたボロキレ同然のバリアジャケットを剥ぎ取った。
 そうすれば、眩いばかりの白無垢の肢体が姿を見せる。
 一点のくすみもない、磨きぬかれた陶器のように白く透き通った少女の柔肌。
 まだ熟すには程遠い、起伏の無い女体ではあるが、その背徳感が外道の愉悦をより深める。
 金髪美貌の悪魔は少女の両手に拘束用魔法、バインドを形成してその自由を奪うと、その瑞々しい乙女の肌へと手を伸ばした。


「やだ! さ、さわらないでぇ!」


 今まで、エリオ以外の異性に肌を許した事など一度も無い。
 初めて会った時彼に触れられ、その後一緒に大衆浴場で身体を流し合った。
 それが、それだけが彼女の知る数少ない、否、唯一肌を許した経験だ。
 あの思い出は決して嫌悪などなく、むしろ淡い温もりの記憶は愛おしくすらある。
 だが今は違う。
 乙女は肌を這う指の感触に悲鳴をあげ、悲痛に涙を散らした。
 が、それに外道は満面の笑みを浮かべ、辱めを楽しむ。


「んー、良いねぇ。このきめ細かい肌、いくら触っても飽きねえぜ」


 言葉と共に、金髪の悪鬼は己が手で以って少女の白く美しい裸体を満遍なく撫ぜた。
 掴めば折れてしまいそうなくらい細い首筋を。
 脇腹から腋下まで指を滑らせ、その先にあるしなやかに伸びた四肢を。
 甘い香りをただよわせる桃色の髪を。
 蕾も芽吹かぬ薄い胸を、茂みも茂らぬ股ぐらを。
 汚れ無き乙女の柔肌の全てを存分に味わう。
 無論キャロは必死に身をよじり、その魔手から少しでも逃れようとした。
 僅かでも抵抗する事で微かな希望に縋ろうとしているのだろう。
 が、ある瞬間、少女の身体が抵抗とは違う痙攣に震えた。


「ひゃぁっ!?」


 今までの悲鳴とは毛色の違う、艶を帯びた声が乙女の唇から零れたのだ。
 自分が何をされたか、キャロは一瞬理解できなかった。
 が、僅かな間を以って徐々に察する。
 男の手が自分の胸の頂上、淡いピンク色の乳頭を引っ掻き、股の間に差し入れた手が蠢いたという事実を。


「おー、こんなガキでも性感帯はある、ってか? まだくすぐったいだけだろうが、そのうちこれが堪らなくなるぜぇ、お嬢ちゃん」


 胸と秘所を撫でられた快感、恐らくは産まれて初めて味わう悦楽に唖然とする少女に悪鬼は言う。

944外道流れ旅:2009/05/30(土) 13:41:49 ID:BhO0y17I
 そして言葉の残響が消えぬ内に、バンディは本格的な辱めを始めた。


「ひぃぎいぃッッ!!?」


 キャロが凄まじい、痛みと苦しみを元に生み出される叫びを吐く。
 何が成されたかと思えば、男の手が先ほどと同じ箇所を刺激していた。
 ただし今回は今までのようなフェザータッチではない。
 乳首を引き千切りそうなくらい抓り上げ、秘所をメチャクチャに掻き回した。
 そこには少しの躊躇も無く、無論ではあるが相手を思いやる心など微塵も存在しない。
 ただ嬲る為に、辱める為に、楽しむ為に行われた暴虐の愛撫。
 快楽など感じる訳も無く、乙女は苦痛に悲鳴を上げ、叫ぶ。
 森のざわめきと悲痛な叫びの混合合唱が、場の空気を彩るように奏でられた。
 これに、先ほど剣鬼の前に敗れ去った少年騎士が呼応する。


「や、やめ、ろ……キャロにひどい事、する、な」


 最強の悪鬼との戦いの残滓、激痛と消耗に苛まれながら少年は言う。
 体力も魔力も失った身体で、千切られかけた片腕を引きずり、小さな血の海を形成しながら。
 エリオは身を引きずりながら、力ない言葉を必死に投げ掛けた。
 されど、少年のその言葉に金髪美貌の外道はより笑みの喜悦を深める。


「はは! どうだ? 悔しいか? 先越されてよぉ」


 外道は言いながら、悪魔のように笑み、そして少女を肉体を責める。
 乙女の悲鳴と少年の力ない声、それらが織り成すハーモニーにバンディは陶酔にも似た悦びを感じた。
 今、この場の支配者は自分であり、生かすも殺すも犯すも、全て思いのままだ。
 嗜虐心に火が注がれ、超絶の歓喜が背筋を駆け抜ける。
 嗚呼、楽しい、本当に楽しい。
 悪鬼は喜々として少女の足を無理矢理開き、男の欲望など一度も知らない無垢な女陰を曝け出す。
 そして振り返り、告げた。


「おーいスパーダー、そのガキ起こせや」

「ん? ええ、まあ良いですが」


 言われ、あまり彼の意図が読み取れないまま剣鬼は指示に従った。
 剣、愛用のアームドデバイスを待機状態に戻し、その右腕をエリオに伸ばす。
 襟首を掴み、長身痩躯の男にボロボロの少年の身体が引きずり起こされた。
 エリオは自分で身体を支える事もできず、ただただ無力に見る事しか出来ない。
 力なくこちらに視線を向ける少年に、バンディは口元を歪に笑んで見返し、言う。


「見えるか? 坊主。てめえが負けたからよ、今からこの子が犯されるんだぜ?」


 言葉と共にズボンのファスナーが下ろされ、悪鬼の股ぐらから赤黒く隆起した肉の凶器が現れる。
 そして、次なる刹那にはその醜悪な肉棒は乙女の秘所に押し当てられた。
 乱暴な愛撫で生理的に産出された愛液に硬い男性器が触れ、ニチャニチャとした粘着質な音を僅かに立てる。
 見た事の無い凶悪な男根を自身の秘所に突きつけられ、乙女は悲鳴を上げて身をよじった。


「い、いやあぁッ!」


 しかし、泣けど喚けど、救いなんてどこにもなく。
 儚い抵抗や拒絶など悪鬼の前では無意味極まりない。
 バンディはその様に極上の笑顔を見せつけ、同時に囁くように言った。


「じゃ、処女喪失だな嬢ちゃん」


 瞬間、肉の凶器が一気に乙女を貫いた。
 少しの遠慮もなく、微塵の躊躇も無く、硬い肉棒が押し入れる限界までキャロの膣を暴虐。
 結合部から鮮血が溢れ、幼い膣口がギチギチと強姦を果たした陰茎を食む。
 これにキャロは目を大きく見開き、背骨が折れそうなくらいしならせた。
 パクパクと、口は酸欠の魚のように開かれ、言葉を発することもできずにただ呼吸する。
 あまりの激痛と衝撃に言葉を紡ぐ事も悲鳴をあげる事もできないのだ。
 だが、次の瞬間発生した壮絶な痛みにそれは変わる。


「初体験おめでとうお嬢ちゃん、じゃあ早速大人のレッスンと行こうか?」

「い、ああぁぁああッッ!!!!」


 バンディの言葉と共に、キャロの口から絶叫があがった。
 何がされたのか説明するまでもないだろう。
 乙女の蜜壷に突き立てられた肉の凶器が、その本来の作業を行い始めたのだ。
 硬く隆起した陰茎は渾身の力を込めて前後運動し、初めて開通した少女の内部を抉る。

945外道流れ旅:2009/05/30(土) 13:43:01 ID:BhO0y17I
 そこには少しの遠慮もなく、ただただ外道が悦を得る為だけに力任せに行われた。
 破瓜の痛みを迎えたばかりの、傷口に等しいそこを硬く隆起した男根で抉られるのだ。
 それは凄まじい激痛で、少女は悲痛な悲鳴を上げ続ける。


「い、やあぁっ! いたっ、痛い! 痛いぃ! やめてぇ! もう……いぎぃ! や、やめてぇぇえッ!」


 涙をボロボロと流し、激痛に身をよじり、キャロは叫びと同義の哀願をする。
 だがそれらの全ては外道鬼にとっての愉悦、陵辱をより楽しむためのスパイスに他ならない。
 バンディは笑みを深めながら少女の脚を掴み、体位をクルリと反転させる。
 キャロが背を向けるような形になり、交合の体型は正常位から後背位へと変化。
 さらにキャロの両脚を抱えるように持ち上げ、体位は最終的に駅弁と呼称されるようなものへとなった。
 双方の結合部がよく見えるような形。
 そしてバンディはそのまま立ち上がり、その様をエリオに見せ付けるように暴虐の情交を行った。


「どうだぁ? 見えるか坊主? これがセックスだぞ〜♪」


 と、心底面白そうに言いながら、自身の肉棒が少女を貫く様を見せつけ、外道は強姦を続ける。
 エリオはこれに声を発することも出来ず呻き、涙を流して震えた。
 パートナーの、恋心に昇華する前の淡い想いを抱いていた少女を目の前で陵辱され、ただ悔しさと心の痛みに震えた。
 少年に己が痴態を見られ、キャロもまた涙でグシャグシャになった顔で震え、喘ぐ。


「やだぁ……エリオくん……見ちゃ、やぁ」


 嬲り辱められる様を大切な相手に凝視され、キャロはいやいやをするように首を横に振り、言う。
 だがそれを許さず、外道は内臓まで貫通しそうなくらいの勢いで肉棒を突き上げた。
 その凄まじい衝撃にキャロの小さな身体が面白いくらい上下し、破瓜を迎えたばかりの秘所から鮮血が散る。


「あ、があぁああッッ!!」

「おいおい嬢ちゃん、何言ってんだ? せっかくの初体験なんだから、お友達にも見てもらわなきゃダメだろう? え?」


 ニヤニヤと悪意に満ちた笑みと告げ、外道はさらに陵辱を激しくする。
 抱えた少女の身体を思い切り上下させ、快楽と暴力を存分に楽しんだ。
 処女を喪失したばかりのキャロにとっては気を失いそうな程の激痛。
 幼い召還師は張り裂けそうな悲鳴を何度も上げ、助けを求めて泣き叫ぶ。
 陵辱を愛する外道はゲラゲラと笑いながら、少女への辱めを心の底から楽しむ。
 良心の呵責など欠片もない悪鬼が、無垢な少女を貪る。
 それは正に地獄絵図だった。
 何度も何度も何度も何度も、狂った野獣は少女の悲鳴と快楽を求め、彼女の身体を己が凶器で突き上げる。
 そして幾度目かの陵辱の果て、ドクドクと音が聞こえそうな程の射精が放たれた。
 少女の体内に、その幼き秘所を根こそぎ焼き尽くしてしまいそうな精がこれでもかと注ぎ込まれる。
 掲げられた少女の股ぐらからは白濁とした青臭い精液と朱色の鮮血、白と赤のコントラストがボトボトと音を立てて零れた。
 激痛と体内に放たれた熱の余韻、そして疲労に、キャロはもはや意識をほとんど失っており、ただ口から洗い息を漏らしている。
 だが、それで休む事を許す外道ではない。


「おいおい! 何寝てんだこらぁッッ!」


 言葉と共に再び呵責な蹂躙が行われる。
 一度の射精などないが如く、猛る肉棒が蜜壷を抉りこむ。
 容赦の欠片もない突き上げに、幼い肢体が上下され、汗と血と精液を散らして揺れた。
 だが、キャロにはもはや苦痛に反応するだけの体力も無く、小さく喘ぎ涙を零す事しか出来ない。
 そんな少女の様が不満なのか、バンディは眉根を怒りに歪めた。
 しばし乱暴に揺さぶり反応を見るが薄く、外道は唸るように声を漏らして不満がる。
 が、そこで悪鬼の脳裏を一つのアイディアが閃く。
 片腕を懐に回すと、彼は一つの注射器を取り出す。
 そして素早く慣れた手つきでキャロの首筋に刺し、中身を注ぎ込んだ。


「よーし、カンフル代わりに上等なヤクをくれてやるぜぇ。だ・か・ら・よ」


 言いながら、金髪美貌の外道鬼は注射器を捨て去り、再び腰を突き上げた。

946外道流れ旅:2009/05/30(土) 13:43:57 ID:BhO0y17I
 瞬間、血中に粗悪な麻薬を流し込まれ、強制的に意識を覚醒させられた少女は、


「たっぷり楽しませろや」

「あああああああぁぁぁああッッ!!!!!」


 あらん限りに泣き叫んだ。





「ああ〜、喰った喰った。久しぶりにとことん犯したぜぇ。もう何も出ねえ」


 心底満足そうに言いながら、バンディはズボンのファスナーを上げた。
 足元には先ほどまでとことん犯し抜いていた少女が、白濁と汗にまみれて倒れている。
 目には生気が無く、ほとんど輝きを失って鈍い色を呈していた。
 その様に満足そうな顔をする金髪の悪鬼に、隻腕の剣鬼は呆れた顔を見せる。


「まったく……本当に悪趣味な方ですねぇ、あなたは」

「てめえには言われたくねえよ」

「はは、まあそうですけどね。さて、では我々はこれで失礼させて頂きますね?」


 と、スパーダは振り向き、言う。
 そこには先ほど彼に敗れ去った少年がいた。
 戦いで負った傷で血まみれになりながら、立ち上がる気力も無い少年騎士、エリオ。
 エリオは草の上を這いずり、少女に寄り添い、泣いていた。


「あ、ああ……キャロッ……キャロぉ……」


 少年の声にキャロが反応する事は無く、彼女はただ鈍い色の眼で宙を仰いでいる。
 陵辱に破壊し尽くされた乙女の成れの果てに、エリオの瞳はまた涙で濡れた。
 そして、少年は顔を挙げ、視線を二人の鬼へと向ける。
 そこには凄絶なまでの気迫があった。
 さながら研ぎ澄まされ、極限まで鋭利となった刀剣のような。
 それでいて灼熱の業火のように熱を有する、憎悪の極み。
 決して子供が浮かべるものでない色を宿し、少年は敵を睨んだ。


「許さない……お前らだけは絶対に……許さないッッ!!」


 あらん限りの、内臓を搾り出すような怨嗟の声を小さな騎士は吐く。
 だが、これに外道共が浮かべたのは愉悦。
 底にある色こそ違えど、二人は口元を歪め、笑みを作った。


「へぇ、そうかい。許さない、ねえ。良い言葉だな。せいぜい俺ら殺せるくらい強くなりな小僧」

「ええ、そうすればまた。素敵な殺し合いを演じましょう」


 そう言い残し、ギラギラとした悪魔のような笑みを見せ付けて二人の鬼はその場を後にした。
 後にはただ、壊れた少女と、彼女のその傍らで少年がただ悲しみと憎悪に暮れていた。


終幕。

947ザ・シガー:2009/05/30(土) 13:47:26 ID:BhO0y17I
はい、投下終了ー。
実に『バンディ死ね!』な回です。
久々に外道話書きました、うん、超楽しかったわ♪
やっぱ良いねぇ、こういうのは。
純愛もいいが、陵辱も素晴らしい。

本当はエリオの前でキャロを惨殺しようかと思ったんだが、ボロボロに破壊されて生かされるほうが素敵なのでこうしました。
でもまあ、フリードはキッチリ死んだけどね。

さーて、では他の執筆に戻るかー。

948名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 14:01:27 ID:ypqjhtEM
>>947
はははよい仕事してますね。
バンディよりスパーダ好きな自分としては、弱いというか、これから強くなるのが確実なエリオを生かした心意気が気に入りました。
いやぁチャンバラとかが大好きな自分としては、悪の無用之介スパーダのバトルマニアぶりが好きです。
管理局に殺傷専門の特殊部隊があったら、逮捕後、司法取引で正規職員として採用したい。
バンディ?鉄砲屋はヴァイスで十分でしょ。大砲屋なら魔王がいるし
ということでバンディ死ねに一票!

949名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 16:32:36 ID:nDNT.ui.
>>947
ふぅ……久しぶりの陵辱モノだったぜ。
GJ!
あとバンディ氏ねw

950名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 16:54:53 ID:Tiw9YNn2
GJ!!です。
キャロ無残。
彼らはここからが結構大変だ。この悲報がフェイトに伝わり、
エリオの証言から犯人の割り出し(彼らは有名なようですし)、
この事にフェイトが相手を殺すほどの憎悪に身を焦がすなら、
兄貴や母の力を借りて、凄いチーム編成で潰しにかかりそう。
強い奴をを引き抜く大義名分も彼らの犯罪歴で許可されそうですし。
スパーダに関しては強者と戦えてご褒美の可能性もありますがw

951名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 17:03:36 ID:ypqjhtEM
次スレ立てました。
会議室の話の結果如何に関わらず必要だと思いましたので

魔法少女リリカルなのは総合エロ小説99話
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1243670352/

952名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 18:38:01 ID:XuCbxBzY
>>947
GJです。久しぶりの凌辱に歓喜。
次は是非スバティアか、ヴォルケンで

953名無しさん@魔法少女:2009/05/30(土) 22:22:22 ID:HAYb1Jng
GJ!
凌辱はいい、心が躍る

次はリベンジに来たエリオのアナルバージンブレイクですね、わかります

954B・A:2009/05/31(日) 03:33:45 ID:.TlDHdrw
夜分遅くに投下いきます。
vivid読んで妄想が暴走中w

注意事項
・エロです
・ユーノ×ヴィヴィオ
・vividネタ
・ロリ分は余りない
・タイトルは「聖王と司書長のvividなSEX」

955聖王と司書長のvividなSEX:2009/05/31(日) 03:34:18 ID:.TlDHdrw
ある日の無限書庫の午後、自分に与えられた執務室で事務仕事に追われていたユーノは、
キリの良いところで作業を中断して、壁に備え付けられた時計の針に目をやった。

「そろそろかな?」

展開していた仮想ディスプレイを消し、机から立ち上がって紅茶の用意を始める。
執務室には炊事場が設けられていないので、安上がりなティーパックになってしまうが、
お湯を注ぐと仄かに漂う茶葉の香りを嗅げば強張っていた肩の緊張が自然と抜けていった。

「茶請けはクッキーで良いかな」

小皿に買っておいたクッキーを盛りつけ、2人分の紅茶をティーポットに用意して待つこと数分。
スライド式の扉が開く独特の音と共に執務室の扉が開くと、ランドセルを背負った金髪の女の子が部屋に駆け込んできた。

「ユーノくん、こんにちわ」

「こんにちわ、ヴィヴィオ」

少しだけを息を乱しながら微笑むヴィヴィオに、ユーノは優しく笑みを返す。
ヴィヴィオが無限書庫に入り浸るようになって以来、すっかりお馴染みとなったやり取りだ。
ただ、どういう訳か今日のヴィヴィオはいつもより舞い上がっており、テンションが高かった。

「どうしたんだい、学校で何か良いことでもあったの?」

「わかる? ふふっ…………ジャーン!」

ユーノの問いに破顔したヴィヴィオは、抱いていたウサギのぬいぐるみを高々と掲げて見せる。
すると、そのぬいぐるみはまるで意思が宿ったかのように独りでに動き出すと、
ユーノに向かって手を振った。

「う、動いた?」

「これね、ヴィヴィオのデバイスなんだよ。セイクリッドハートって言うの」

「これが? へぇ、最近はこんなタイプもあるんだ」

感心しながら、ユーノは好奇心からウサギのぬいぐるみを突いてみる。
額を小突かれたぬいぐるみは少し大げさな仕種で驚くと、痛覚があるかのように額に手を当てる。
どうやら、かなり精巧なAIを搭載しているようだ。ぬいぐるみ型であることいい、
ひょっとしたらマリエル技師官の特注品かもしれない。

「おめでとうヴィヴィオ。遂に念願のデバイスだね」

「うん。ママからのプレゼントなの」

自らのデバイスを抱きしめながら、ヴィヴィオは嬉しそうに微笑みを浮かべる。
前々から自分専用のデバイスを欲しがっていたヴィヴィオではあったが、
彼女の母は基礎の過程を修めるまではデバイスを持たせないという方針であった。
だから喜びも一塩なのだろう。

「それでね、ユーノくんに見てもらいたいものがあるんだ」

「僕に? 何をだい?」

「えへへ…………クリス、お願いね」

小さく舌を出してヴィヴィオが一歩下がると、ぬいぐるみは小さな手で敬礼を返し、
ヴィヴィオの足下に三角形のベルカ式魔法陣が浮かび上がる。

956聖王と司書長のvividなSEX:2009/05/31(日) 03:34:59 ID:.TlDHdrw
「セイクリッドハート、セットアップ!」

室内の空気が揺れ、虹色の魔力が渦となってヴィヴィオを包み込む。
思わず腕で目を庇ったユーノが後退りながら前を見ると、
そこには小さな小学生ではなく17歳前後の美しい少女が立っていた。
その隣には、ウサギのぬいぐるみがどこか得意げに胸を張りながら浮遊していた。

「どう、ユーノくん?」

魔力の渦が治まると、少女はクルリと一回転してみせる。
容姿に反して声音はどこか舌足らずで、自分がよく知る女の子と似ているような気がする。
そういえば、髪の色も同じだし瞳も深紅と翠のオッドアイだ。
髪型と衣装はその娘の母親のものによく似ている。
そこまで考えて、ユーノは目の前にいる少女の正体に思い至った。

「ひょっとして、ヴィヴィオ?」

「えへへ、ヴィヴィオの聖王モードだよ。ねえ、綺麗になった?」

「う、うん…………綺麗だ」

「本当? やったぁ!」

綻ぶように笑みを浮かべたヴィヴィオは、その場でぬいぐるみと共にジャンプして喜びを表現する。
その仕種は小学生の時と大差なく、どこか神々しい美しさに惹き込まれていたユーノも笑みを禁じ得なかった。

(やれやれ、中身は小学生のままか)

胸中に微笑ましさを覚えながら、ユーノはティーポットの紅茶をカップへと注いでいく。
紅茶とお菓子を楽しみながらヴィヴィオの宿題を手伝うのが、最近のユーノの日課であるからだ。
だが、ヴィヴィオは変身を解かずに抱きついてくると、猫のように目を細めながら顔を擦り寄せてくる。

「わあ、ユーノくんの顔が近い」

いつもと違う目線にヴィヴィオは驚きの感想を漏らす。
一方、抱きつかれたユーノは胸に当たる柔らかい感触に動揺してしまい、しゃっくりのような声を漏らしてしまう。

(ヴィヴィオ、胸が……………)

聖王となったヴィヴィオのプロポーションはモデル顔負けであり、はち切れんばかりの乳房は
スポンジのように押し潰されながらその弾力でユーノの理性を削ぎ落としていく。
このままでは不味いと感じたユーノはヴィヴィオを遠ざけようとしたが、
魔力で腕力を強化したのかヴィヴィオの腕はがっちりと固定されていてビクともせず、
逆に軽々と持ち上げられて奥のベッドへと運ばれてしまう。

「ユーノくん、可愛い」

「ヴィヴィオ、何を…………」

「今日はね、このまましてあげようって決めてたんだ」

妖しい笑みを零しながら、ヴィヴィオはズボンのファスナーを下ろして僅かに膨らみ始めている肉棒を取り出し、
唾液をたっぷりと含ませた口で先端から齧り付いた。飲み込まれた肉棒はヴィヴィオの舌に転がされ、
生暖かい粘膜に擦られて血流が増大していく。瞬く間に逞しく勃起した肉棒は、
ヴィヴィオが支えずとも天井に向いてそそり立っていた。

「もう、大きいからこの姿でも口に入り切らないよ」

「うぅ………ごめん」

「謝らなくて良いよ、だってこんなに大きいんだもん」

ヴィヴィオは手にした肉棒を愛おしそうに頬擦りすると、再びフェラチオを開始する。
裏筋を丹念に舐め上げ、鈴口は舌先で小突いて齧り付く時は唇を吸う。
更に空いている手は根元の球袋をやんわりと扱きながらユーノを射精へと導いていく。
だが、もう少しで限界を迎えそうになる寸前でヴィヴィオはフェラチオの手を休めると、
唇に唾液を滴らせながら肉棒を吐きだした。

957聖王と司書長のvividなSEX:2009/05/31(日) 03:35:41 ID:.TlDHdrw
「まだ射精さないでね、今日はユーノくんが喜ぶこと一杯してあげるから」

切なそうに見上げるユーノに微笑み、ヴィヴィオは着ているバリアジャケットを解除して一糸纏わぬ姿となる。
露となった2つの果実は瑞々しいまでの弾力をアピールし、重力に誘われてプルプルと震えている。
少し丸みを帯びたお尻はユーノ好みの安産型で、すっきりとしたくびれには余分な肉が一切ない。
正に女神のような美しさだ。

「ユーノくんが隠していた本で見たんだ。男の人ってこういうのが好きなんでしょ?」

言うなり、ヴィヴィオは傅いてそそり立つ肉棒を自身の胸で挟み込んだ。
たちまち、ユーノの口から声にならない悲鳴が漏れる。
吸いつく様な柔らかさは包み込んだ肉棒を飲み込み、肉の圧迫が肉棒を押し潰さんとしている。
未体験の感覚にユーノの昂ぶりは益々高まっていき、僅かに顔を出した肉棒の先端からは
テカテカと輝く先走り液が滲みだしていた。
手や口で扱かれるのとは明らかに違う、全体を隈なく揉まれる愛撫。
拙いが故に乳房の動きは不規則で、八方から襲いかかる快楽にユーノは奥歯を噛み締めて快楽に耐えるしかなかった。

「ヴィ、ヴィヴィオ…………」

「射精して良いよ。ヴィヴィオのお顔にいっぱいかけて」

はにかむように頬を染めたヴィヴィオがとどめとばかりに乳房を持ち上げると、
釣られるように熱い迸りが尿道を駆け抜けていく。
勢いよく噴き出した白濁液はヴィヴィオの美貌を白く汚し、ヴィヴィオが仰け反った拍子に肉棒が乳房の圧迫から解放される。
すると、支えを失ったユーノの肉棒はまるで振り子のように震えながら白濁液を四方に飛び散らせ、
ユーノは太ももを痙攣させながら絶頂の波に呑まれていった。
惨事が過ぎた頃には、間近で射精の迸りを受け止めたヴィヴィオの顔から胸にかけて真っ白な精液が雫を垂らしていた。

「いっぱい射精たね」

「ううぅ………」

射精の余韻と美女とはいえ中身は幼女に弄ばれたショックでユーノは放心気味に天井を見上げていた。
だが、ヴィヴィオはそんなユーノを挑発するように四つん這いになると、両手で愛液の滴る肉ビラを広げて
厭らしく腰を振って見せる。

「ユーノくん、こっちにも欲しいなぁ」

白い臀部が何度も視界を横切り、広げられた媚肉が別の生き物のように収縮を繰り返す。
そんな光景を見せつけられれば、否が応にも劣情は再熱を始める。
射精したばかりだというのにユーノの肉棒は即座に起立し、鉄のような固さを取り戻した。
更に大人となったヴィヴィオが物欲しそうに腰を振る姿に理性の限界を迎えたユーノは、
飢えた野獣のようにヴィヴィオに圧し掛かると、濡れそぼった秘所に肉棒を押し込んだ。

「ひゃっ!? ユーノくん、まっ………」

「はぁ、はぁ、待たない………こんな、こんな厭らしい体………我慢できるわけないだろう」

「いやぁ、激しい」

「こうされたかったんだろ? ほた、お待ちかねのおチン○ンだよ、変態幼女さん」

「へんたい………ヴィヴィオ、へんたいなの? ひゃぁっ、ああぁぁっ!!」

膣壁を押し広げられ、子宮口に肉棒を叩きつけられながらヴィヴィオは快楽に身を震わせる。
容赦のないユーノの言葉責めで被虐の心に火が点いたのか、肉棒を締め上げる膣はうねる様に絡みつき、
根元深くまで飲み込まんと貪欲に腰が振るわれる。さながら犬が交尾をする時のように
ユーノがヴィヴィオの体を押さえつけると、とめどなく愛液が流れて肉棒の潤滑を更に増していく。
肉棒を掬うように押し込むと、押さえつけられた膣が持ち上がった反動で余計に膣の締まりは強くなっていった。

958聖王と司書長のvividなSEX:2009/05/31(日) 03:36:36 ID:.TlDHdrw
「あう、ああん………き、きちゃう………えっちぃのきちゃううぅっ!!」

「お、う、ううっ、ヴィヴィオ、射精す!」

「射精してぇ、ヴィヴィオに………変態小学生にぶっかけちぇ……くひぃ、いふぅ、あっあああ………ああうんんっ!!!」

四肢を痙攣させながら、ヴィヴィオは絶頂の頂へと上り詰める。
同時に限界を迎えたユーノは肉棒を引き抜くと、真っ赤に充血した肉棒を扱いてヴィヴィオの背中に
熱い奔流をぶちまける。それすらもヴィヴィオにとっては快感なのか、可憐な唇からは淫らな喘ぎが零れながら
ビクビクと腰が震えていた。

「あう………ああ………」

ベッドの上に倒れ伏したヴィヴィオの体が、元の小学生のものへと戻っていく。
どうやら、変身した状態で激しい運動を行ったため、魔力切れを起こしたようだ。
荒い呼吸を繰り返すヴィヴィオは、それでも微笑みを浮かべながら背後のユーノに問いかけてくる。

「ユーノくん、気持ち良かった?」

「うん。気持ち良かったよ、ヴィヴィオ」

優しく囁いたユーノは、艶やかな金髪を撫でながらヴィヴィオの矮躯に寄り添う。
擦るように押し付けられた肉棒の感触に、ヴィヴィオは疲れた体を強張らせた。

「けど、僕はこっちのヴィヴィオも味わいたいな」

答えを待たず、三度勃起した肉棒をヴィヴィオの小さな肉壺へと宛がう。
今度は、幼女の嬌声が室内に響き渡った。




                                                         おわり

959B・A:2009/05/31(日) 03:37:31 ID:.TlDHdrw
以上です。
本編にユーノが登場する前に書いておきたかった。
vividのおかげでヴィヴィオネタがいっぱい思い浮かんだよ。

960名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 07:10:26 ID:ArrdTlhI
なんというスーパー水橋タイム!GJ!

961名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 12:01:22 ID:EvbxNVEo
GJ!実に実用性の高いエロだ。

司書長、なのはさんにばれたら頭冷やす所じゃ済まないぞ!

962名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 13:04:33 ID:OvcRcOe2
そこはなのはさんも参加だろJK

963名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 13:44:13 ID:yj/b4bQU
おいおい。
参加はセインに決まってるだろ。水橋的に

964名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 14:08:43 ID:.TlDHdrw
是非、音声化して欲しいな。

965名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 16:32:49 ID:WRuOfFl6
水橋さんが死んじゃうw

966名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 21:35:54 ID:KTroIm4U
>「もう、大きいからこの姿でも口に入り切らないよ」

いつもは幼女と(性的に)戯れていたと申すか。

●<このペド司書長め!

967名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 22:32:16 ID:tEXlULN2
どっちが先に関係を持ちかけたが気になるw

968名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 22:53:02 ID:bWHwZbFU
とりあえずなのはさんのバスターとフェイトそんのザンバーでぬっ殺されくださいw>ユーノ

969名無しさん@魔法少女:2009/05/31(日) 23:43:54 ID:ylwmz3TM
バスター?HAHAHA、ブレイカーだろjk。GJでしたっ!

970名無しさん@魔法少女:2009/06/01(月) 00:17:58 ID:agfdCvhE
バスター(カートリッジ無し)程度なら止めそうだな、司書長

971亜流:2009/06/01(月) 04:20:26 ID:IIt21RPQ
>>959
書こうと思ってたら先越されてしまったw GJですw

>>961-965
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org84476.jpg.html
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org84477.jpg.html
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org84479.jpg.html
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org84480.jpg.html
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org84481.jpg.html
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org84482.jpg.html

というわけで、気分転換に考えてたSSがかぶってしまったので
SS(文)ではなくSS(絵)でイメージを表現してみました。
作成時間4時間ちょい。
文のほうはまた今度時間が空いたら書いて投下します。

972亜流:2009/06/01(月) 04:30:35 ID:IIt21RPQ
pass書き忘れ

PASS:ybs

以上です。
失礼しました

973名無しさん@魔法少女:2009/06/01(月) 08:20:51 ID:hTekBUCA
>>972
なんという水橋ワールドw GJ!!

974名無しさん@魔法少女:2009/06/01(月) 10:13:07 ID:T5CSYMYo
音声だけ聞いたら一人でいたしてるようにしか聞こえないっていうw
両氏ともGJ!!

975暗愚丸:2009/06/01(月) 12:00:19 ID:cCX.y7rU
ども、約一年ぶりの暗愚丸です。
フタフェイの続きが今頃仕上がったので投下します。

注意
陵辱、フタなり、ガチレズ、拘束、SM(系)、精神崩壊(?)、アナルがあります。

そう言うのはいらないという方はNG登録お願いします。
それでは、『FATE in The dark fate』 七章、始めます。

976『FATE in The dark fate』:2009/06/01(月) 12:03:15 ID:cCX.y7rU
 いつもの集合場所に真っ先に来たフェイトは、そのすぐ後に来たすずかの様子に首を傾
げた。
「おはよう、すずか。そのカバンどうしたの?」
 学校指定のカバン以外になぜか大きなスポーツバッグを肩から提げているすずかが、楽
しげな笑みを浮かべ。
「今日は、一杯してくれるんですよね? その時に使うモノを持ってきたんです」
 そんなすずかに苦笑を向けるフェイト。
 今日は放課後一杯すずかと一緒にするつもりだけれど、本当の目標は別。
 ……その中身で、今日の目標――アリサで遊ぶのも良いかなと、フェイトはそんな事を
考える。
「でも、そんなのを学校に持ち込んで大丈夫かな?」
「はい、フェイトちゃんだから気付きましたけど、他の人には解らないようにしてますか
ら」
 どうやって? と、問い掛けようとして、思い出した。
 闇の書事件の後、自分となのはのことを告げたとき、教えてくれたすずかの秘密のこと
を。
 その力で、人を惑わすこともできると、寂しげな表情で口にした事を。
「あ、すずか、おはよう。フェイトも」
 不意に背後からかけられた声に、フェイトはすずかと同時に振り返る。
 その声音に、暗い色を感じ取って、内心で嗤いを浮かべていた。
「おはよう、アリサ」「おはようございます、アリサちゃん」
 ほんの一瞬、すずかに気付かれないようにしながら、アリサがこちらを睨み付けてきた。
 その嫉妬に狂った瞳に、フェイトはただ微笑みを返す。
 もう、成功は間違いない。そんな確信を得ると同時、小さな疼きを感じた。
 上手く言葉では説明できない、そんな疼きに内心で小首を傾げる。
「すずか、今日放課後暇だったら、遊びに行かない? 翠屋で新作ケーキが出るんだって
さ」
 こちらの様子には頓着せず、アリサがすずかに笑いかける。
 その笑顔に必死な色合いを感じて、フェイトはまた薄く笑う。
「アリサちゃん、ごめんなさい。放課後はちょっと用事が……」
「あ、そう。ま、しょうがないか。アンタもいろいろ忙しいだろうしね」
 すずかとアリサの掛け合いを聞き流すフェイトの目に、なのはとはやての姿が映った。
「フェイトちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん、おはよー!」
 ブンブンと手を振りながら声を出すなのはに、片や楽しげ、片や呆れ気味の苦笑を浮か
べるすずかとアリサ。
 フェイトも笑みを浮かべて軽く手を振ってみせる。
 もう少しでなのはを愛する事ができる。そう思うだけで、胸の奥にある疼きが弱くなっ
た。
「フェイト、あとでちょっと話があるんだけど?」
 そんな事に気を向けていたフェイトは、背後からかけられた言葉に内心で嗤う。
「ん? それじゃ、放課後で良いかな?」
 振り返りながら呟くフェイト。
 目の前に立つアリサの口元に微笑みが浮かび、けれど目が全く笑っていない様子に、今
まで感じたことのない感情がわき上がる。
 ……それは、嘲りと蔑みの混じった侮り。
「じゃ、放課後」「理科室で待ってるよ」
 アリサの言葉を遮って、場所を勝手に決める。
 自ら飛び込んできたアリサの愚かさを侮蔑しながら、ただ静かに笑っていた。


「フェイトちゃん」
 昼食を終えて、屋上を後にしたフェイトは、背後から呼び止められて振り返った。
 そこにいたのは心配そうな表情のなのは。
「フェイトちゃん、大丈夫?」
「何が?」
 なのはが心配してくれている、そのことに胸の奥がさざめいた。
 けれど、それを表に出さず、フェイトはなのはをじっと見つめる。
 今、この瞬間、なのはが意識を向けているのはフェイトのことだけ。
 それが、嬉しかった。
「最近、フェイトちゃんなんかおかしいよ。その、私と一緒に帰ってくれないもん」

977『FATE in The dark fate』:2009/06/01(月) 12:04:38 ID:cCX.y7rU
 そう言いながら、唇を尖らせるなのは。
 とくんと、心臓が脈打つ。
「フェイトちゃんがしんどかったり辛かったりする時は、いくらでも頼ってくれて良いん
だよ?」
「そう?」
 あまりにも優しすぎる言葉に、堪えきれなくなる。
 一歩、なのはに向かって歩み出した。そのまま、なのはを抱き締めるために。
「うん、友達だもん」
 けれど、それより早く、優しげな微笑みと共に告げられた言葉に、胸の奥に痛みが走る。
 所詮、なのはにとって、フェイトはただの友達。
 解っていたはずなのに、哀しくて苦しくて辛くて痛い。
「そうだよね、友達だよね」
 辛うじて、感情を押し殺したまま微笑みを浮かべるフェイト。
 そんな風に言われることに、耐えられない。耐えきれない。
「明日はお休みだから、一緒にお出かけしよ?」
「……あんまり、出かけたい気分じゃないから、私の家でお茶会でもしない? アリサや
すずかやはやてと一緒に」
 なのはの誘いを断りながら、フェイトは語を繋いだ。
 明日、ユーノを嬲った上で、なのはを奪い返す。
 なのはの全てを自分のモノにする。
 そのために、今はアリサを完全に落とす事だけを考えながら、ただ微笑みを浮かべる。
「うん、それ良いね! 久しぶりだもんね、みんなでお茶会って」
「そうだね」
 嬉しそうに楽しそうに笑うなのは。
 その全てを奪う一瞬を脳裏に描いて、フェイトは嗤った。




 こんこんと鳴った音に、ピクリと肩が震えるのを見ながら、フェイトは視線をドアに向
けた。
 はやてに命じて張らせている結界があるから、アリサ以外の人間がここに来ることはあ
り得ない。
 ガラスに映るシルエットもアリサのモノで、フェイトは微笑みながら口を開く。
「開いてるよ、アリサ」
 がらっと音を立てて戸が開く。
 教壇の前に立っているこちらに向かって、足音荒く歩いてくるアリサ。
 強烈な怒りを顔に浮かべて、アリサがこちらの少し手前で立ち止まった。
「フェイト」
 もし、視線で人を傷つけられるなら、全身細切れにされて殺されてもおかしくないほど、
強烈な怒気を視線に込めてアリサが睨み付けてくる。
「あんたに、一つ聞きたいことがあるんだけど」
 そんなアリサの様子がおかしくて、フェイトは口元に笑みを浮かべるだけで、アリサの
言葉を待つ。
 ぎろっ、ともう一度アリサが睨め付けてくる。
「アンタ、すずかに何したわけ?」
 それでも、押さえた声音で問い掛けてきた。
 わざと呆けた表情を浮かべて、小首を傾げてみせる。
 同時に、舐めしゃぶられて、思わず動きそうになった体を辛うじて押さえた。
「一体何のこと?」
「っ! ……すずかが、一昨日の昼休みからずっとおかしくなってる。アンタと同時に五
時間目サボってからね。アンタが何かしたんでしょ」
「そんなことだけで、私のせいにするんだ?」
 呟きながら、それだけのことで見抜いたアリサの気持ちに、笑みが浮かぶ。
 どれほどすずかを見ていたのか、それがよくわかったから。
「そんな、ことだけ? それだけあれば十分よっ!」
 アリサが叫んだ瞬間、膣口に指が触れて、ぴくんっと腰が動いた。
「……フェイト?」
 そのまま、ぬるぬると中にゆっくり入ってくる中指。
 やっぱり、入れられるより、入れる方が心地良いなとそんな事を思いながら、フェイト




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