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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆

902Cursed Lily:2009/05/25(月) 23:16:11 ID:sUH0HdF.
『ディバイ――ンッ、バスタァァァァッ――!!!』

 思わず身を仰け反ってしまうような気合の入った声と共に、モニター一面に桜色が広がった。
 眼鏡のレンズに桜色を反射させ、同色に頬を染めているシャーリーの妙に艶かしい吐息に、思わずフェイトは
距離を置く。
 フェイトが訪れた時には既に始まっていた”子供の頃のまだ可愛かったなのはさん”の鑑賞会は、新たな観客
を置き去りに、いい感じのクライマックスになっているようだった。

『まだこの頃は魔力が高いだけでしたけど、どうですか? 可愛いものでしょう?』
「えぇ、ほんとに……みんなにも見せてあげたいですね。フェイトさん」
「い、いや……前に一度みんな見てるし……」

 そんな事よりも、文句を言いたいのは今上演中のシーン。
 なのはの砲撃にさらされ、息も絶え絶えになっている可愛そうな少女は、”子供の頃の小さくて可愛いフェイ
トさん”に他ならない。
 これが私の全力全開なんて物騒な声と共に、やたらと男気溢れるなのはの表情がアップになる。条件反射で思
い出してしまうのは、その時の恐ろしさ。

「何でこんなの見てるの? レイジングハートまで一緒になって」
「レイジングハートさんのバックアップが終わるのを待ってるんです。もしもって場合もありますし、いつでも
レイジングハートさんを治せるようにバックアップだけは欠かせません。ちょっと時間がかかってしまうので大
変なんですが」

 言うや否や、シャーリーがセットしていたらしきディスクが端末から吐き出された。中に入っているのはマス
ターであるなのはとレイジングハートの十一年分の思い出だ。
 休む事なくシャーリーは次のディスクをセットする。十一年は決して短い時間なんかじゃない。バックアップ
を取るのも一苦労である事は容易に分かる。
 それでも疲れを全く見せないシャーリーの横顔は、映像を見ていた時とは打って変わって真剣だ。理由は簡単。
今扱っているものが掛け替えの無い大切なものだとシャーリーが思っているから。

「凄いですよねー。こうやって大切な思い出を残しておけるっていうのは。それが出来ない私達からすれば、羨
ましくなってしまいます」

 不意に、シャーリーが表情を変えぬまま呟く。その言葉に、フェイトは何と返して良いかは分からなかった。
 普段に無いシャーリーの言葉に共感してしまって上手い言葉が見つからない。その代わりの様に、なのはの紅
い宝石が瞬いた。

『――確かにそうなのかもしれませんが、それが出来ないかったからこそあなた達は記憶を大切な物としている
のではないのですか? いつまでも失くしたくないからこそ、あなた達は色々な物を生み出した。私がこの様に
存在しているのも、そのおかげです。忘れると言う事が悲しい事を知っているからこそ、忘れたくないと思った
のでしょう?』

 例えば写真。その発展が映像記録。
 技術の進化と共に人の記憶を留める術も進化して、今では完全に記憶を残しておける術も見つかっている。フェ
イトの幼い時の記憶もそうした技術の結果だ。
 だが、FATEプロジェクトが禁忌であるように、人の記憶のコピーは許されるものではない。
 それは、自分だけではなく他者の記憶が人を形作っているものだから。フェイトであれば、フェイト自身が経
験した十数年間以上に、他者のフェイトに関わる記憶が今のフェイトという存在を形成している。記憶とはそれ
程のもの。それ程に大切なもの。
 どれだけ時が流れてもそれだけは決して変わるものではない。

「すみません、なんか変な空気にしちゃったみたいで」

 皆が閉口してしまった空気に耐えかねたシャーリーが、いつもの様に明るい笑顔を見せてくる。
 レイジングハートがそれ以上何も言う事は無かった。再び九歳の頃のなのはの映像を映し出し、興奮するシャー
リーと共にその映像を眺めている。それに倣ってフェイトもなのはの映像に視線を戻した。
 今上映されているのは、なのはのヴィータ初戦。悲鳴と共に、なのはがビルに突っ込んだところだ。

「あ、ここ! フェイトさんがカッコいい所ですね!」
『はい。マスターのお気に入りです』
「いやっ、ここはユーノの方が凄いんだよっ? 実際なのはを助けたのだって、ユーノが探索魔法使ったからだ
し、他にももっと――って、シャーリー聞いてるの?」
「あっ、ごめんなさいフェイトさん。何でしたっけ……?」
「いいよ、もう……それより、バックアップいつ頃終わるの?」
「えーと、後一時間ほどで」
「そ。私は先に上がるから、シャーリーも適当なところでね」




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