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【場】『黄金原駅』 その3
1
:
ようこそ、『黄金町』へ
:2015/07/06(月) 19:20:24
北:メインストリート(商店街)
南:ネオンストリート(歓楽街)
西:黄金港
郊外
┏┛
..┏┛
┌┐ ┏┛黄金川
┌┘ │ ┌――┐
│ │ ┌――┘ │
└┐┌ .│ ┌┘
┌┘ ―┘ │
―┘ ┌┘ ◎ショッピングモール
―┐ H湖 ┌┘ ┌┐
│ ┌┘ .┌ ..│
┐ │ ┌ ┌┘ 住宅街
│ │ ┌ │
┐ │ ┌ ┌.. 黄金原駅
│ └─┘┌― ┏ ━■■━ ━ ━
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛
│ └―┐黄金港 繁華街
└┐ ┌――┘
─────┘ └――――――――――――
太 平 洋
――――――――――――――――――――――――――――――――――
前スレ
【場】『黄金原駅』 その2
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1397309596/
2
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/06(月) 20:32:36
タタタ
「ううむ……」
近所の人から頼まれて、猫を探す小角だ。
この辺りにいるとかいないとか聞いたのだが……
「まいったなあ……」
右手には猫じゃらし。
ディアストーカー
服装はいつも通り、鹿撃帽にインバネスコート。
サン サン
・・・・暑い。
3
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/07/06(月) 20:48:14
>>2
「あのう」
「すいません」
「ちょっといいですか?」
小角に真上から声が掛けられた。
4
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/06(月) 21:51:02
>>3
「む……」
「なんだい――」
「……ん?」
答えてから気づいたが、方向がおかしい。
……上とは?
(な、なんだか悪い予感がするぞ……)
「……ひ、人さまの頭の上に、立つのはだなぁ。」
そう言いながら、上を見る。
5
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/06(月) 22:04:29
>>4
声に反応し、小角は上を向いた。
すると、金色の髪の少年がひとり、
大きく目を見開いた顔で小角のことを『見上げて』いた。
小角の上に位置している筈の少年が『小角のことを見上げて』と書いたのは間違いではない。
金色の髪の少年は、小角の真上で宙に浮いた巨大な岩のようなものの上に
天地を逆にして『立って』いたのだ。
それは、絵にすると大体こんな感じだった。
■■■
■■■■
■■■■■
■■■■
■■■
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)
O
O
人 ←小角
〉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「珍しいものを持ってますね」
「それは何ですか?」
小角の顔を『見上げ』ながら少年は質問してきた。
6
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/06(月) 22:13:05
>>5
「うっ、うわっ……!!?」
ペタ
尻もちをつく小角。
丸い目を大きく見開き、その『少年』を見る。
ゴシ
目をこする。
「う、ううむ……夢ではないらしい。
これかい? これは猫じゃらしだが……」
手のそれを見た後、再び視線を少年へ。
「き、きみこそ、ずいぶんと珍しいものに乗っているじゃあないか……」
「い、いったいなんなんだ、それは。
まさか、『スタンド能力』……なのか?」
やや警戒しつつ、質問を返す。
7
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/06(月) 22:30:54
>>6
目をこすって改めて見てみたが、
やはり見間違いなどではなく、少年は岩の塊に乗って宙に浮いている。
「猫じゃらし」
「へぇ」
「初めて見ました」
大きく目を見開いて猫じゃらしを見つめながら少年が呟く。
それと共に、少年の乗った岩は高度を下げて、ちょうど少年の頭が
尻もちをついた小角の手元(の猫じゃらし)の正面に来る位置まで降下してきた。
それは、絵にすると大体こんな感じだった。
■■■
■■■■
■■■■■
■■■■
■■■
\)
)
O O
ノ(ヘヘ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「『スタンド能力』?」
「何ですか? それ?」
「初めて聞く言葉だ」
猫じゃらしをまじまじと見つめながら少年が応えた。
「これは『星』ですよ」
「おれの住む、『プリンス85』という名前の『星』です」
8
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/06(月) 22:45:15
>>7
「ね……猫じゃらしを見たことがないのか。
というと、きみは……外国から来たのかい?」
「いや、外国にも猫じゃらしはあるか……ううむ。」
ビクッ
「わ……」
(お、降りてきたぞ……
いったいなんなのだ、これは。)
少し後ずさる。
「す……スタンド能力じゃあないのか。
す、スタンドは……超能力のことだ。
まあ、知らないのも無理はないかな。」
猫じゃらしはともかく、こちらは知らなくて当然の言葉。
……しかし、スタンドじゃないとすれば、一体――
「ほ……星!?」
「オホン……ほ、星だというのか? ……ば、ばかな。
たしかに、見た目は星のようだが……ううむ……
し、しかしだぞ。星にしては、ずいぶん小さすぎやしないか。」
『プリンス85』をまじまじと眺める。
小さいとか以前に、地球の中にもう一つ星があるのも変な話だ。
9
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/06(月) 23:02:29
>>8
小角は『プリンス85』をまじまじと眺めた。
大きさはコンテナほどで、表面は土に覆われている。
概ね球形をしているが、部分的に盛り上がって『山』のようになっている箇所もある。
そして上の方をよく見てみると高さ2mほどの『バオバブの木』が何本か生えていることに気づいた。
「『星』ってのはこの宇宙には沢山あります」
「その中には大きいものだけじゃなくて小さいものもあります」
「おれの『プリンス85』もそうです」
「『小惑星』ってやつです」
さも当然といった様子で少年が応えた。
「ところでこの猫じゃらし」
「これは何に使うものなんですか?」
少年がまた新たな質問をしてきた。
10
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/06(月) 23:11:10
>>9
「な、なるほど、小惑星かぁ……
うう、そう言われれば反論できないね。」
人工的な建造物にも見えない。
しかし自然物にも思えない……
(ううむ……やはりスタンドではないのか?
彼はスタンドという言葉を知らないのかもしれないぞ。)
「……ん? 猫じゃらし?
これはだね、猫と遊ぶのに使うんだよ。」
軽く振ってみせる。
「猫はこれがやけに好きで、振ると喜ぶのさ。ふふん。
……まあ、今日は遊ぶために持っているのではない。」
知識を披露する喜びを感じるが……
そう、今日は目的がある。
「探している猫がいてね。頼まれたんだ。
なにせ、ほら、わたしは探偵だから。」
つまり、猫さがしだ。
……言ってから、彼は探偵を知らないのでは? と気づいた。
11
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/06(月) 23:19:17
>>10
「へー、猫がこれを好きなんです?」
「それは知らなかった」
「なるほど」
「ためになるなー」
小角の回答に、少年は感心したように呟いた。
「……探偵?」
「探偵ってのは何です?」
そして案の定、少年はまた新たな質問をしてきた。
12
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/06(月) 23:32:26
>
>>11
「ふふん……」
ドヤ…
静かに口角を吊り上げる小角。
知性をアピールできた。
「探偵は……」
「……ううむ、一言で言うのは難しいね。
まあ、簡単に言えば、真実を見つける仕事かな。」
受け売りなのだが――まあ、それで正しいだろう。
いろんな探偵はいるが、その一点はまず、共通だ。
「それに、困っている人を助けたりもするかな。」
「とても、格好のいい仕事さ。」
小角は笑みを浮かべ、頷く。
……それにしてもだ。
「しかしきみ、ほんとにどこから来たんだい?」
あまりに謎な存在だ。
少なくとも、普通の生まれじゃあなさそうだが。
13
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/06(月) 23:40:35
>>12
「おれがどこから来たか? ですか?」
「えーと」
「さっきまではあの辺にいました」
そう言いながら少年は『空』を指さした。
「昨日はもうちょっとあっちの方にいましたね」
そう言って今度は指をほんの少し斜めに傾けた。
指のさす方には依然として青い空があるばかりである。
「探偵は真実を見つける仕事ですか」
「困っている人を助けたりもする」
「なるほどなー」
「……………」
「……『真実』?」
「『真実』ってのは、何ですか?」
14
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/06(月) 23:49:34
>>13
指をさすのにしたがい、見上げてみた。一面の空。
サン サン
「……??」
太陽がまぶしい。顔を下ろす。
「う、うう……どういうことなんだ?
つまりきみは、空を漂って生きている……のかい?」
この星――『プリンス85』は空を飛べるようだ。
なるほど、空の暮らしも可能……なのか?
「なんだか気の遠くなる話だなあ。
……真実? 真実っていうのは、うーむ……」
顎に手を当てる。
「……本当のこと、って意味だね。
探偵は本当のことを見つけるんだ。」
なんとなく、こう、弱い説明になってしまった。
が、言葉の意味と言うのはなかなか難しい。
「まあ、わたしは知性派だが……
わたしの言うことがすべて真実かと言うと、そうとは限らないわけだ。」
そう付け加えておく。
15
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/07(火) 00:05:23
>>14
「そうですね」
「普段はもっと高いところにいます」
「こんなに下まで降りてきたのは結構久しぶりです」
そう言いながら少年は自分の足元に手を伸ばし、
そこに生えていた一輪の『薔薇』を摘みとった。
ムシャ
「もぐもぐ」
そしてそのままその『薔薇』を食べた。
「ごくん」
「……なるほどー。本当のこと、ですか」
「本当のことを見つける」
「…………」
「『本当のこと』ってのは、目に見えないですよね?」
「目に見えないものを、見つけようとしてるってことですか?」
少年はまた新たな質問をしてきた。
16
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/07(火) 00:23:23
>>15
「それは……すごいなぁ。
不便はないのかな? なにせ、食べ物とか――」
「あっ」
ムシャ
「バラを……な、なるほど。
『プリンス85』のバラは食べられるのかぁ……!」
食糧自給ができるのは安心だ。
「……ん? あ、ああ、真実か。
そうだね、目に見えないこともある。」
「まあでも、探偵の見つける真実は目に見えるものも多いかな。
たとえばだけど、事件の犯人がだれか――とか、そういう……」
「……うう、説明が難しいな。」
小角自身、完璧に理解できてはいないからだ。
目に見えないものもある、だがそれだけでもない……
17
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/07(火) 22:04:55
>>16
「『真実』は『本当のこと』で」
「『真実』は『目に見えるものもある』」
「なるほど」
「そういうことですか」
「ためになるなー」
悩む小角をよそに、少年は一人で納得したようだった。
「ところで」
「あなた、さっき『猫を探してる』って言ってましたね?」
「よかったら」
「コイツに乗せてあげましょうか?」
プリンス85
そう言って、少年は自分が立つ『 星 』を指さした。
「地面を歩いて探すより」
「高いところから探したほうが」
「見つけやすいんじゃないです?」
18
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/07(火) 22:26:19
>>17
「うーむ……ま、まあ……
そういうことでいいのかなぁ……」
少しひっかかりが残る。
……が、どうなるものでもない。
「わたし以外にも聞いてみてもいいかもしれないぞ。」
そう付け加えた。
幅広い意見は大切だ。
・ ・ ・そして。
「ん? ああ、言ったとも。
この辺りで見かけたと聞いたのだが――」
「……なにっ!」
少年の提案にますます目を丸くする小角。
まさか、これに乗れるとは……
「そ、それはだね……もちろん、上から探す方が早いだろうけど……
……だ、大丈夫かなきみ。これ、二人で乗っても落ちたりしない?」
フシギな乗り物だが、落ちたら大惨事なのは明白だ。
おそるおそる、少年に問いかける。
19
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/07(火) 22:49:28
>>18
「大丈夫ですよ」
「おれの『星』は頑丈ですから」
「『星』の上にゾウを乗せて」
「そのゾウの上にまたゾウを乗せたって支えますよ」
プリンス85
そう言うと、少年を乗せた『 星 』は縦方向にぐるんと180度回転し、
少年の立つ位置を上方向に変え、そこから降下して着地。底部を地面に付けた。
それは、絵にすると大体こんな感じだった。
O
ノ|)
<し
■■■
■■■■
O ■■■■■
人 ■■■■
〉 ■■■
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「そこから足を前に出して足の裏を『星』に付けて下さい」
「そうすれば『星』の上に立てます」
プリンス85
『 星 』の上から少年がそう言葉をかけてくる。
20
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/07(火) 23:30:56
>>19
「なるほどな……それならば、安心かな。
わたしも、猫も、象よりはずっと軽いし。」
(振り落とされたりも心配だけど、ま、まあ……さすがにそれはないだろう。)
グルン
「……な、なんとも不思議な光景だ。」
ゴク
降りてきた『プリンス85』の迫力に、息をのみつつ――
「……ええいっ。」
コートの裾を軽く押さえ、言われるがまま足を着けてみる。
これで、無事に『移民』できる――のだろうか。
「……おほん。ちなみに、きみ……
象を乗せたことが、あるのかい? やはり海の向こうで、だろうか?」
出来たなら、気になったことを聞いてみる。
象はその辺にホイホイいる動物でもない。
21
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/07(火) 23:44:53
>>20
意を決して小角は『プリンス85』に向かって足を突き出した。
――グルッ
その瞬間、小角の平衡感覚が急激に変転した。
『前方に落下する』ような奇怪な感覚――――その直後、
ちょうど前に突き出していた足の裏が『プリンス85』の地表面を踏みしめ、
小角は転倒は免れた。
そして、小角は『プリンス85』の地面に対して垂直に、
並びに地球の地面に対して『水平に』立つことが出来た。
「上手く乗れたようですね」
「では、出発しましょう」
少年がそう言うと、二人を乗せた『プリンス85』は地面から浮かび上がり、
ゆっくりと上昇し、高度を上げていく。
「ゾウを乗せたこと、ですか?」
「ないです」
「あくまで、想像です」
22
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/08(水) 00:11:48
>>21
「そ、そうかね。
……お、おおっ、上がっていく……」
フワ
「なんだか不思議な気持ちだ。
けれど、あまり怖くはないな……」
浮遊感――は、あまりない。
小角は浮遊していないからだ。しかし高度は上がっていく……
「ううむ、すごいね、これは。
見たまえ、人が小さくなっていく。」
「……あ、ああいや。
きみはいつも見ている光景か。」
『地面』に手をついて、駅を見下ろす。
……小角にとっては、あまりにも異常な体験だ。
「そ、そうかね。象はないか。
ふふん、私としたことが、少し舞い上がっているらしい。」
そして――肝心の猫さがしだ。
口を動かしながらも、視線を俯瞰した駅周辺に走らせる。
スス
「……む?」
――と、小角の目が動くものを捉えた。
23
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/08(水) 00:23:11
>>22
小角の目が動くものを捉えた。
若干遠くてよく見えにくいがどうやら猫のようだ。
「ああ、あそこに猫が一匹いますね」
小角の声に反応して同じ方向に目を向けた少年がそう言った。
どうやら小角より幾らか視力が良いようである。
「近づきましょう」
少年がそう言うと、『プリンス85』が90度向きを回転させ、
小角の立つ位置を下方向に、小角の頭が地球の地面に向く形になった。
「このまま接近して猫をあなたに向かって『落とし』ます」
「手を上げて待ってて下さい」
『プリンス85』は地上の猫のいる位置に向かってゆっくりと降下していく。
まるで頭上から地面が降ってくるような奇妙な光景が小角の視界に広がる。
24
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/08(水) 00:36:21
>>23
「う……うむ。猫だ。
きみはかなり目が良いね。」
言われてみればわかる。
まちがいなく――猫そのものだ。
「よし、たのむよきみ。
……なんだか変な絵面だなあ。」
両手を上に上げ、待機する小角。
降りていく『プリンス85』。
「わっ、わ……」
(ぶ、ぶつかったりしないだろうな……!?)
ニャー
猫の頭上から迫る小角。
小角の頭上から迫る猫。
まるでUFOキャッチャーだが……
「よいしょっ……」
ギニャー
上手いこと小角の手が、白い猫を捕まえた。
25
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/08(水) 00:54:24
>>24
少年の言葉に従って、両手を上げて待機する小角。
そのまま猫の真上から降下していく『プリンス85』。
そして、猫まであと数mというところまで接近したところで、
――ヒュッ
突如、猫が地面から浮き上がり、
小角の上げた手に向かって落ちるように飛び込んできた。
恐らく、先ほどの小角と同じく、掛かる重力の方向が変化したのだろう。
ギニャー
そして小角の手が思い描いたとおりに白い猫を捕まえた。
それは、絵にすると大体こんな感じだった。
O
ノ|)
<し
■■■
■■■■
■■■■■
■■■■
■■■
\ノ
| ←小角
「○〉
猫
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「やりましたね」
少年がそういうと、『プリンス85』はまたもぐるっと90度回転し、
小角の立つ向きが最初と同じように地球の地面と平行になるような角度で回転を止めた。
「その場で思いっきりジャンプしてみてください」
「そうすれば重力の掛かる方向が変わって地面に降りれます」
26
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/08(水) 01:02:20
>>25
「や……やったっ!
やっと捕まえたぞ、きみ……」
小角の手には、確かに猫がいた。
違う猫とかそういうのもなく、依頼通りの猫だ。
「……いやはや、きみのおかげだよ。ありがとう。
ああ、ええと……名前を聞いていなかったね。」
「わたしの名は小角。
小角 宝梦(おづの ほうむ)だ。よろしくね。」
ニャー
ニャー
猫を抱き寄せて確保する。
もがく猫。
「ジャンプ? ……こうかな。」
ピョンッ
力いっぱい地面を蹴り、跳ねる。
流石に、もう少年を疑うことはない。
27
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/08(水) 01:12:39
>>26
猫を抱きかかえたまま小角はその場で力いっぱい地面を蹴って跳んだ。
ピョンッ
――グルン
50cmほどジャンプしたところで、上下の感覚が変転するのを感じた。
そして、そのまま地球の重力に従って落下し、地面に両足を付け、着地した。
「小角宝梦さん、ですか?」
「どうも」
「おれの名前は『ズナームカ』です」
『ズナームカ』と名乗った少年は、小角が降りたことを確認すると、
『プリンス85』を回転させながら小角の頭上へと浮遊してきた。
ちょうど、最初に会ったときと同じように、互いに相手を『見上げる』位置で静止した。
それは、絵にすると大体こんな感じだった。
■■■
■■■■
■■■■■
■■■■
■■■
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O
O
人猫
〉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ところで」
「猫が捕まえられたので、もうその猫じゃらしはいらないですよね?」
「よかったらそれ、おれにくれません?」
小角の顔を見上げながら、ズナームカはそう言った。
28
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/08(水) 01:18:46
>>27
――グルン
「うわっ……!!」
シュタ
「……と、と。
ふう、地球だなあ。」
ニャー ニャー
「こら、おとなしくしたまえ。
……ズナームカくんか。改めてよろしく。」
猫を抱いたまま、再び見上げる。
帽子がずり落ちそうなのを直しつつ。
「……む? ねこじゃらしか。
そうだね、お礼と言っては何だが……」
ヒョイ
猫じゃらしをさしだす。
「よかったらどうぞ。
きみの好きに使いたまえ。」
笑みを浮かべる。
29
:
ズナームカ『プリンス85』
:2015/07/08(水) 01:26:27
>>28
小角は笑いながら猫じゃらしを差し出し、
ズナームカは相変わらず何かに驚いてるかのような目を大きく見開いた顔でそれを受け取った。
「ありがとうございます」
「これは良い物をもらった」
「得したな-」
そう言いながら満足気に手にした猫じゃらしをぶんぶんと降ってみせる。
「じゃ」
「おれはこれで失礼します」
「さようなら」
「小角宝梦さん」
そう言うと、ズナームカを乗せた『プリンス85』はゆっくりと上昇し、
そのまま空の向こうへと飛んでいった。
30
:
小角 宝梦『イル・ソン・パティ』
:2015/07/08(水) 01:36:22
>>29
「ああ。さよなら、ズナームカくん。」
「猫じゃらしはちぎれやすいから、気をつけて。」
ヒラヒラ
手を振って見送る。
遠ざかっていく『プリンス85』……
「ううむ、不思議なやつだった。
……また会うことはあるだろうか?」
ニャー
フシャーッ
「あっこら! 暴れるのはよせ!」
小角もまた、猫と格闘しながら去った。
31
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/07/09(木) 23:04:10
「にょろーん」
駅前のベンチに座りながら、両頬に手を当てて行き交う人波をじーっと観察している。
この人通りの多い場所で、とある人物を探しているのだ。
32
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/07/10(金) 23:04:33
>>31
「むむぅ、なかなか見つからないのれす」
去った。
33
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/14(火) 00:19:32
駅前広場。
ポッポッポッ ポッポッポッポッ
クックルー クックルー ポッポッ
プラスチックで出来た青いベンチに、寝っ転がっている者がいる。
体型からして、おそらく女だろうか…
ベンチの前には、鳩が何羽も集まっている。
グースカ ピースカ
ポッポッポッ クックルー
34
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/14(火) 21:29:43
>>33
ベンチに寝転ぶ目黒に、ふいに陰がかかる。
いつ現れたのか、緑髪に濃い色のスーツを着た男が、
ベンチの背の向こうに立ち、寝転ぶ目黒を見下ろしている。
「…………」
もし目黒が目を開いたなら、
無表情な男と目が合うだろう。
35
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/14(火) 22:54:30
>>34
女は、目を開、…開け、 …開き、 開か…
…開いているのか!? 既に!?薄目なのか!?
それともやっぱ閉じているのか!? 不明!まったくの不明!
クルッポー
*鳩が淵川を見上げた。「ナンダテメー」といった雰囲気を放っている。
薄汚れたベンチ寝っ転がり女は
「――― くぁ゛〜〜‐―― 」
鳴き声をあげた。寝言なのだろうか?もしやこれは君へ話かけているのだろうか?
おや、何故だか雀も集まってきた。
チュンチュン
36
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/14(火) 23:07:04
>>35
鳩に無言で視線を返す。
「…………」
そのまま『目黒』の顔に手を伸ばし……
バシ バシ
頬を数度叩いた。
37
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/14(火) 23:14:55
>>36
バシ バシ
衝撃で、女の服のポケットから、『雑穀』が零れてきた。
鳥たちは落ちてきたアワやら麦やらに群がっている…
「がぁー」
「もう食べきれませんやめてください」
女はハッキリとした発音でそう言った。
…もっと大きな衝撃を与える必要がありそうだぞ。ベンチ寝っ転がり女は『寝ている』ようだ…
38
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/14(火) 23:22:24
>>37
「何がだ?」
目黒の寝言(?)に律儀に答えを返し、暫く待つが、
当然返事はなく……
「…………」
バシ! バシ! ドガッ!
まだ少し、頬を叩いてはいたが、
すっと立ち上がってベンチを蹴り上げる。
39
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/14(火) 23:33:28
>>38
> ドガッ!
「ぎゃァっ」
バサバサバサバサバサ バサ ポポポッ ポッ
大きな音に仰天したのか、鳩が周囲に散らばっていった。
「……… 何しやがるんですか」
「夢に出てきたんですよォ、大振りのパフェえ〜」
寝っ転がりながら、淵川へと話しかける…
「――――貴方」「知り合いでしたかネ」「忘れっぽいので――」
「原稿はもうちょっと待ってて」
「ではおやすみなさい」
40
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/14(火) 23:39:37
>>39
「それはすまなかった。
起こすつもりは無かったんだが」
しれっと言い、目黒を見下ろしたまま喋る。
「私の名前は淵川陸という」
「初対面だと記憶しているが」
「ここに住んでいるのか?」
真顔で、少しズレたことを問いかける『淵川』。
41
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/14(火) 23:48:30
>>40
「初対面でしたっけ
いや、どこかで会ったような―――確か―――
―― やっぱマジで初対面だったか…」
「住所?は、こっから西のほうの○×ハイツの、203号室で」
「いまから行きます?」
「狭い所ですが、酒とツマミと猫ならありますよ」
お互いなんかズレている。
「あっ雑穀こぼれてる…
私のじゃん 」
42
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/15(水) 00:00:28
>>41
「なぜここで寝ていたんだ?」
ずれた返答も気にせず、
自分の聞きたいことだけを尋ねる。
「『鳥』が、集まっているな」
43
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/15(水) 00:15:29
>>42
「鳥も私も――――なぜ…なぜでしょう 不思議…」
「メグロせんせーは何故ベンチに寝っ転がっていたのでしょうクイズぅー」
「1. 酒に負けた
2.ケンカに負けた
3.バクチに負けた」
「ん?どれだと思います?」
女(メグロというらしい)は、身を乗り出して淵川に顔を近づける。めっちゃ近い。酒臭い。
「どーれだ」「ん?」
44
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/15(水) 00:26:33
>>43
「『先生』なのか?『メグロ』。」
まじまじと女の顔を眺めて、
無遠慮に酒の臭いを嗅いだ。
「酒臭いな」
「『穀物』も、いつも持っているのか?」
45
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/15(水) 00:42:17
>>44
「人にモノを教えるなんてそんな
教員免許は取りましたがねー」
「『雑穀』はいつも持ってるんですよ」
「腹が減ったらボリボリと。」
「酒には合いませんケド」「でへへへ」
目黒はふにゃふにゃ笑っている
ズレている!淵川と目黒、どちらもズレ気味な会話をしている!
キャッチボールではない、これは会話のベースボールだ!
「雑穀。欲しいですか?」
女は、もっと身を乗り出し…
「あッ」
グラッ
46
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/15(水) 00:52:51
>>45
「『女』は、『酒』が好きなのか?」
「そういうものか?」
直立不動のまま、目黒に話しかける『淵川』。
会話にならない会話といい、非常にシュールな光景だ。
「……危険だな」
倒れそうになる目黒の首ねっこを掴んで、
地面に倒れこむのは阻止しようとする。
47
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/15(水) 01:13:04
>>46
淵川は、目黒の首根っこを掴み、なるほど、地面に衝突は免れた。
「グぇ」「げほ」
「アルコール ――好きとかじゃなくて、ゲホ」
「――自分の場合は、楽になりたいっていうか?
満たされたい?んですかね」
「溺れるっていうとオオゲサですが、まあそんな様子ですよ」
「淵川さんは飲まれないです?」
「感じるんですけど…貴方から、空虚というか、負の思い出というか、闇…」
… ああ、そうかァ
「会ったことがあると思ったら――そうだ」 ニヒィ
「あなた…私にちょっぴり似てるんですよぉ」
ニヤニヤ 「ごほッ」 へら、へら
48
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/15(水) 01:39:37
>>47
「俺は、酒は飲まない。
お前と同じような事を言う奴ならいたがな。『メグロ』。
『満たされたい』という考え方なら、わからないでもない」
目黒の言葉に、手に少し力が入る。
「『空虚』、か」
「俺は、俺の『中身』を探している。
失ってしまった俺自身を」
「だが……だからこそ。
俺に近しい奴なんてのは、いない。
お前が俺の何にシンパシーを感じたのか?
それはわからないが……」
「ただ、不快だ」
へらへらと笑みを見せる目黒とは対照的に、
ぼそぼそと呟くように答えを返し、
首を掴んだ手を押し戻し、ベンチに座らせてやる。
「……帰れるのか?」
49
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/15(水) 01:56:49
>>48
「ありゃー 不快 ですか…」
「参りました。トンだ見当違いをしてしまったようです…」
「早とちりでしたな…」
「(自分のような、透明なガラス玉を愛でるような体質ではないようだ。いけないいけない)」
笑いをス、と引っ込め、ふたたび薄い顔に戻る、気持ち悪い女。ちょっとションボリしているようにも見える。
「げほ」
「大丈夫、ひとりで帰れますよ。ここから西に行けばスグなんです。」
「申し訳ない。色々とありがとう御座います…」
50
:
淵川『マントリック・ミューズ』
:2015/07/15(水) 02:11:48
>>49
「早とちり、か。
俺には、お前のことはわからない。
『似ている』とも、思わないが……」
「お前のことを不快に感じるのは、
『同族嫌悪』……それに近い、話なのかもしれない」
目黒に声を掛けながら、
ベンチの脇の自動販売機で、ミネラルウォータを購入する。
「水を、飲んでから帰れ。
ベンチで寝るのはもう……止めた方がいいな」
ミネラルウォータを目黒に渡し、
ふい、とその場を去っていった。
51
:
目黒真実『ディバイン・ゼロ』
:2015/07/15(水) 02:24:01
>>50
「あら親切」
「ありがとうね!」
ペットボトルに口を付けながら、淵川を見送る…
「(穴を埋めることに腐心しているようだが…)」
「(ハタから見てると、その穴にこそ魅力があったりするんだぜ…)」
「(こんな事を言ったらイヤがられるでしょうが…)」
「―――――――そのカラッポに、幸あれ…」
さて寝よ。パフェの夢の続きだ。
52
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/18(土) 23:30:28
スタスタ スタスタ
スタスタスタ スタスタ
>>53
は駅から降りてきた一人の人物の姿を見じる。
ブルネット
ワンピースは夏物。 青み帯びる黒 髪 は長く。所在なく周囲を見渡す。
53
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/22(水) 23:22:41
>>52
(本家とか親戚との付き合いも楽やないんよなぁ……)
駅の方を和服に身を包んだ少年がぼーっと見ている。
黒い癖毛を肩まで伸ばし、片手に小さな和傘を持っている。
和傘で日の光から身を守っている。肌は白い。
(あら、なんやろあの人。)
少し先に君を見つけた。
(なんや探してるんやろか。それか、道に迷うたとか?)
適当なことを考えて君を見つめる。
それから、ふぅとため息をつき。
「どないしはったん?」
ゆっくりと近づき、君に声をかける。
顔にやさしげな微笑を浮かべながら。
54
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/22(水) 23:35:49
>>53
鈴元
君は黒髪/ワンピース姿の人物を把握。
会話を試みる。
「…………」
ニコ
対象=君を確認。相互、笑みを交わして。
スーツケースを牽引/接近/発声。
「ホテルして」
55
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/22(水) 23:49:52
>>54
「?」
(?)
?
何を言っているのだろうか。
(ホテルって名詞やなかったっけ?)
それとも知らないだけで動詞として使用できる言葉なのか。
いや、それよりも動詞とか名詞とかそういうんではなく、俗語か造語か?
「えっとぉ。『ホテルまで連れて行って』とか『ホテルはどこ?』ってことでエエんやろかぁ?」
スーツケースを持っているだとか、駅から出てきただとかから、そう認識した。
ので、一応彼女にそれであっているか聞いてみる。
56
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/22(水) 23:58:15
>>55
鈴元
君の言葉を受け、対象、頷く/正答のしるし。
「飛行動、十六時間。電車動、揺られる五時間。
給予算、新幹動許さず。休息が必須化」
「宿費、額大とはいえず。低価所が必須化」
「……ご理解」
対象=軽く小首を傾げ。君の応答待つ。
57
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/23(木) 00:15:37
>>56
(……?)
「えっとぉ」
「『飛行機で十六時間移動。その後電車で五時間揺られた。
予算の関係から、新幹線は使えなかった。とにかくお休みが必要。』」
「『宿泊費用はあんまり無いので、低価格な場所が良い。』」
「で、エエ?」
相手の言葉を噛み砕いて翻訳する。
そして確認。
「その様子やとホテルの予約はしてへんみたいやねぇ……ご予算ってどれくらいやろ?」
スマホを懐から取り出しながら聞く。
予算内に収まるホテルないし宿泊施設を探すつもりだ。
もっとも黄金町にそういう場所があるならの話だが。
さすがにネットカフェぐらいはあるだろうが、いきなりそこに案内するというのも気が進まない。
(ちゅうか、失礼よなぁ。)
初対面関係なく、そういう質問にそういう答えを出すのは。
58
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/23(木) 00:43:05
>>57
鈴元
君の問い/対象の返答。
エイオ-
「A O」 「親切対、感謝意を表明」
「宿費把握、必須化。額提示」
パックン
がま口財布=クラシカルな一品/内額=一万五千也。
対象の顔=羞恥に赤らむ/視線外れる。
「……非不足化が願望。日本国、経況識が不知」
59
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/23(木) 00:56:59
>>58
「エエんよぉ。」
(お、エエ財布を……親日家の方やろか。)
と思いつつ相手の予算を確認する。
(あ、これ、アカンやつや。)
別にビジネスホテルくらいなら泊まれそうだが……
「これ、このへんのホテルの価格なんやけど……」
スマホの画面を相手に向ける。
色々なホテルの一泊の価格が並んでいる。
上から安い順に整理されている。
「一泊ぐらいやったら、大丈夫や思うねんけどぉ……」
長期滞在は厳しいかもしれない、そう告げる。
「それと、旅行(?)の目的はなんやろか?」
観光かそれとも仕事なのかもしれない。
仕事なら色々便宜は図ってもらっていそうだが、一応聞いてみる。
60
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/23(木) 01:23:07
>>59
鈴元
君の向けたスマホ/対象が注視=眼、裂けんばかり見開かれ。
ヤ ーブ ロ ッ コ ブ ラ デ ィ ネ ー ム カ
「……あの睾丸野郎。くそったれのおいぼれが」
スラング
単語示すところ不明の悪罵迸る。
君の存在を再確認、把握。顔上げ笑み繕い直し、深々と辞儀。
「感謝大。異邦人に親意余る光栄。
ホテル非必須化。代わって神の家探索必須化」
「旅目的を棄思案中。上司、×××にして○○○につき」
聞き取れぬ単語/声音は明瞭に怒意示す。
「返々謝。再見を期待大。しばらく」
ガラン ガランッ ガランッ
音高く引かれるスーツケース/怒る肩=去る気配がある。
61
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/23(木) 01:39:14
>>60
鈴元は外国語が苦手である。
英語、中国語、フランス語、他にも世界中の言語が苦手だ。
日本語は使えるが、得意という意識は無い。
(なんか怒ってはる?)
なんというか翻訳せずとも雰囲気は伝わる。
(上司云々ってことは仕事?)
上司との仲は悪そうだ。それと、目的が明確に伝えられてない。
うん?と小首をかしげる。そうこうしているうちに彼女はどこかへ行こうとしていた。
(あら、帰らはる?)
「ちょい待ちぃ。」
彼女を引きとめる。
「神の家って『神社』?それとも『誰かの家』?」
「『誰かの家』なんやったら、その……」
「『うちの家』とかどない?」
「その、あんさん日本慣れてへんみたいやしぃ。
ここで会ったんも、なんかの縁や思うんよぉ。」
ナンパまがいの台詞に赤面する。
だが、視線は彼女から外さない。目を見て話す。
「もちろん、嫌やったらかましまへん。」
「どないしはる?」
62
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/23(木) 02:21:47
>>61
鈴元
ピタ
「『神の家』――『教会』。
迷羊対し、慈悲するが役割」
「宿供するも業務……はず。
『ウチノイエ』。指す意のところは」
首を傾げ/君の目を見/思案――思案――思案終え。
ガバッ
君の手=力強く握る/表情は陽に照らされるが如く。
「ホテルしてくれるの意ッ」
「謝意、増倍大ッ。深々謝。厚御礼。
当在より距離如何ほど。遠歩必須化、非必須化」
感謝重ね、質問が後に続き。行く気はあるよう。
63
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/23(木) 02:42:25
>>62
「あぁ、教会。」
鈴元的には神のいる場所は神社であった。
宗派であるとか、生まれた土地の違いから来る認識齟齬だろう。
(このへん、教会ってひとつしかなかった気ぃするけどぉ……)
あんまり詳しくない。
そもそも礼拝に行く人間でもない。ゴスペルに興味はあるが……
「……ッ!」
いきなり手を握られますます赤くなる。
目線はそらさないが、そのせいで赤くなっているともいえる。
「泊めるっちゅうても、僕が管理してる家やないんよねぇ……
泊めるか決めるんは僕やないんよ。でも、できる限りのことするから。」
ココまで期待されていざ家に連れて行ってダメなんていわれたら申し訳ない。
柔らかい微笑みを彼女へ向ける。
「エエんよぉ。あ、場所?場所はそのぉ……
えっと、病院の北西……分からんかな。
とりあえず、遠いんよ。ちょっとだけ。でも疲れてはるよねぇ?」
少し考えて、1つ案を思いついた。
手を離してもらい、スマホを操作する。
「車呼ぼ。うちの人、誰か来てくれる思うわぁ。」
「それでエエ?」
64
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/23(木) 03:08:05
>>63
鈴元
君の笑み受け、対象も笑み返す。
高潮した顔=喜びゆえか……
N P
「無問題ッ。車動費は当負担」
「泡銭は吹いて捨てるべき」
がま口を傾け、銭を吐かせる。
掴んだそれを君に渡す/へたり込むは同時。
ヘタア
「……ジュースしたい。水分必須化。
当地、多暑。熱帯域に比する」
高潮した顔=熱中症の症状に類似。
65
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/23(木) 23:20:52
>>64
「あぁ、うちの人の車やし、お金は……」
結構、と言おうとした所で目を大きく見開く。
目の前でへたり込まれたからだ。
「え……ジュース?」
「……ちょっと待っといて。」
回りを確認する。
自販機を発見、そしてベンチもだ。
「立てる?」
和傘を彼女に渡す。
と、同時に『ザ・ギャザリング』を発現。
「向こうにベンチあるから、そこで休んどき。長旅で疲れてはるみたいやし。」
そう言って、自分は自販機の方へと走る。
(『ザ・ギャザリング』の射程は20メートル。ベンチから自販機までもそれくらいやろ。)
『ギャザリング』による視覚共有で彼女の様子を伺いつつジュースを買いに行く。
スポーツドリンクとかがいいだろうか。
ついでに電話もしておこう。
「もしもし。僕です。円山さん?今すぐ駅前に車持ってきて。
うん。いつもの和傘が目印やわ。」
鈴元はすぐにでも戻ってくるだろう。
手にスポーツドリンクを持って。
66
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/24(金) 00:26:43
>>65
鈴元
君が差し出す和傘/対象受け取る。
立ち上がり移動。ベンチまで。
ヨロヨロ ヨロヨロ
「謝意多。暑さ想定上、疲労増倍大」
ス パ チ カ
「おねんねしたい」
顔の血色が薄れる=青味が浮かび上がる。
傍らに立つ者は探知外。見守られるまま。
67
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/24(金) 00:54:46
>>66
「これ飲みぃ。」
とりあえず手に持ったスポーツドリンクを手渡す。
ついでに懐から扇子を取り出しあおぐ。
涼しい風が顔や首筋に当たる。
「あんさん、大丈夫?食欲とかある?
あ、名前聞いてへんかったね。僕、鈴元涼。あんさんは?」
適当な話題をふり、意識があるかを確認する。
鈴元は医者ではない。が、保健体育の授業により熱中症について多少なりとも知っている。
割と危険な状態だというのは分かる。
「気持ち悪いとかない?」
(円山さん。まだかな……もう救急車呼ぼか?)
そう思ったところで二人の近くに白い車が止まる。
鈴元の表情から呼んだ車であることが分かるだろう。
「乗って。車ん中のが涼しい。」
車の戸を開けると
手馴れた動作で車の椅子を倒し、簡易的なベッドを作る。
「乗れへんのやったら、手伝う。」
68
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/24(金) 01:31:53
>>67
鈴元
君は扇で風送る/対象の血色は回復せず。
俯き気味、ドリンクを受け取る/ストロー取り出す。
チルチル
「非好調化。食欲覚えず」
「シリル、シリル・ソルズベリ。
綴りは大聖堂名と同様――」
クラァ
名を答える/大きく頭傾ぐ。
瞬く眼、おもむろに立ち上がり。
「返々謝。速乗車る」
ヨロ ヨロヨロ
ベシャア
座席に倒れ込むよう乗車。
俯せて膝抱える。
ラ ズ レ ズ チェロベック
「――滅茶苦茶。あの野郎め」
意識朦朧/怒気混じる言葉が再び漏れた。
69
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/24(金) 18:55:22
>>68
「楽にして。」
シリルと鈴元を乗せると車はすぐに発進した。
運転席に座っているのは髪の短い女性だ。
彼女が円山なのだろう。
円山:「涼さん。また、女の子連れ込むんですか。」
「ちゃうよぉ。病院向かってぇ。」
円山「……なるはや?」
「もちろん。後、病院のほうに連絡も。」
車の速度が上がる。
シリルの方を向き、優しく微笑む。
「なに怒ってはるん?」
シリルが何を言ったかは理解できていない。
外国語は苦手だ。
「今から病院に行くわぁ。ソルズベリさん、調子悪いみたいやから。」
「治療費はうちらが持つわ。」
「泊まるんもなんも、検査の結果出てから。エエね?」
これからの行動と治療費の問題などについて話す。
相手が嫌がるようなら予定を変更するつもりでいる。
70
:
シリル・ソルズベリ『一般人』
:2015/07/24(金) 23:39:49
>>69
鈴元
対象は運転手に目も向けず。
N P スパチカ
「――無問題。委細任して、寝ます」
ボルノイ
「気分悪し。以上話する、非可能」
瞼閉じ、残るジュース啜る。
陽の下逃れた故か、顔色は僅か戻る。
71
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/07/25(土) 00:56:58
>>70
「ゆっくりおやすみぃ。」
シリルは寝かしておく。
疲れているだろうから。
円山:「熱中症ですか?」
「多分。」
円山:「その人、捨て猫とかじゃ無いんですよ。」
「もちろん。」
しばらくして、シリルは目を覚ますことになる。
鈴元が体を揺すったからだ。
「病院ついたけど、具合どない?」
「まだしんどい?」
顔色などを確認しながら聞く。
「大丈夫そうやったら、これからの話したいんやけどぉ……」
72
:
鈴元
:2015/07/31(金) 00:45:17
一応ageておこう。
73
:
『松前 総合病院』
:2015/08/01(土) 05:44:33
>>70
「急患はそちらですか」
看護師2人が診察室に運び込んだ。
>>71
医師か事務員らしき白衣の男が鈴元に語りかける。
「多分熱中症とそれから来る脱水症状でしょうね。
ご家族か関係者の方ですか?とりあえずお帰り
いただいて結構ですよ。回復なさったら患者さんか
当院からご連絡させていただきます。治療費は
その折患者さんを交えてお話させていただきますので
とりあえず結構です。一応ご連絡先だけ伺っておきます」
※鈴元PL→とりあえず「そういう事」で区切って宜しいです。
※シリルPL→【場】『松前 総合病院』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1327326457/l50
で入院患者ロールをなさるのも言い切りで払った扱いで退院されるのも
自由です。
その前提で電話もしくは直接鈴元PCと関係されるのも宜しいでしょう。
※両PL共通→間も空いたようですので一区切りにしませんか?
74
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/08/01(土) 06:38:36
>>73
追記
※基本的に「要らないお世話」ですので継続されるなら
気にせずそうして下さい。
雑談かチャットで教えていただければ削除依頼出しておきます。
失礼いたしました。
75
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/08/02(日) 23:40:07
>>73-74
対応に感謝します。
「あ……」
オ
「鈴元 涼です。その、その人とはさっき会うて……」
今までの経緯を全て話す。
一人の少年が気安く解決できる問題ではないと、見せ付けられている気分だ。
もとより分かってはいたことではある。
「その、連絡先はここで。」
「……よろしゅうお願いします。」
円山と共にその場を去る。
彼女が回復することを祈りながら。
車は彼をどこかへと運んでいった。
(シリルPLさん。申し訳ありませんがここで一区切りとさせていただきます。
また機会がありましたら、そのときはよろしくお願いします。)
76
:
灰羽『アクエリアス』
:2015/08/04(火) 23:21:03
「パートナーって言ってもさー
どうやって決めりゃばいいんだ……?」
『ペロペロ』
駅前コンビニのベンチに座って、アイスを舐めながら独り言を言っている少女がいた。
いや、傍らにいる女性型スタンドに話しかけているのかもしれない。
スタンドはアイスの袋を舐めまわすのに忙しいようだったが。
「命かかってるし、適当に決めるってわけにゃもいかないけど〜
じゃあ誰にすんだよっていうと……うーん」
77
:
灰羽『アクエリアス』
:2015/08/05(水) 01:08:58
>>76
「暑くて駄目だァ……
ここにいるとアイス食べ過ぎちゃう……」
というわけで帰った。
78
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/09(日) 23:13:26
ファンクショーン!
駅前のデカい交差点。とりわけ混んでいるわけでもない時間帯。
ドクロっぽいステッカーの貼られた棺桶型ギターケースを背負った、背の高い赤髪の青年がくしゃみをしている。
「完全に夏カゼだぜ……」 ズズゥー
お盆なので、隣町にある祖父の墓参りに一泊二日で行って来た帰りなのであった。
宿泊先の旅館でクーラーガンガンにかけて半裸で寝ていたのが災いしてか、今朝から鼻水が止まらない。
「熱はねェみてーだが」
「明日のバイト休むかなァー……」
ポンポンスィーッ
スマホを取り出し、店長にメールしながらコンビニを目指す。
具合の悪いときの歩きスマホ……前方に人がいても気づかずにぶつかってしまうかもしれない。
79
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/09(日) 23:28:48
>>78
(斎藤)
ダダダダダ…
「ッ!?」
「うぉぉおおおおッ!?」
大柄な男が前方から全力で走ってきたッ!
「くッ、車は急には止まれないッ!」
「うわッ」
この男も前が見えていなかったようだ!
当然のように衝突ッ!
ドシイイイン―――ッ!
「いったてて…」
80
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/09(日) 23:47:56
>>79
「鼻水止まらんので明日休みます……ッと」
「ん?」
ダダダダダ…
「うおおおおおおォォォォッ!!
なァんだッてェェェーーーーッ!!」
なんたる過失!
突如目の前に現れたデカい男!
斉藤は背が高いとはいえ、基本的にはもやしっ子というか、
腕っぷしに自信があるタイプではない!
ましてや体調の優れないこの状況下では圧倒的不利!
ドシイイイン―――ッ!
「ギャバン!」 コッポラ
ズザザザァァァ―――ッ!
某香辛料メーカーの名前を叫びながら、ギターケースもろとも勢い良く後方へ吹っ飛ばされて行った。
土川が立ち上がっても、彼は起き上がってくる様子はない。
ヒッソリ…
幸い、ひと気はなく、目撃者もいないようだ……
このまま土川が逃げても罪には問われない……
81
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/10(月) 00:13:47
>>80
「だッ大丈夫かッ!」
「もしもし…!」「もしもーしッッ!!」「もしもし?!」「もしもしッ!」「モシモシッ!」
「生きてるか!」「確認!」
君の耳元で大声で生死確認している…
ス…
とここで、おもむろに斎藤の顔に土川の顔が急接近…
風邪のせいで大きく広がっている、君の目の『瞳孔』を見て…
「…!!」
「あ…ああ…」
「瞳孔が完全に開ききっている……」
「やってしまった…!」
「これは絶対殺ってしまった…!」
「……ごめんな青年…」
胸に抱えていた大量の『菊の花』を君の横にそおっと添えて、男はそおっと去って行った……
クルッ
ダダダダッ
と思われたが帰ってきた。
「まだだ!」「『人工呼吸が』!」
82
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/10(月) 00:43:21
>>81
土川の声掛けも虚しく、青年はぐったりとしたまま動かない。
添えられた大量の菊の花を退かす素振りも見せず、
来るべき迎えを待っているかのように……
彼の真っ暗な視界の先に、亡き祖父が手招きしている輪郭が見えはじめたとき、
人工呼吸を試みんとする土川の唇が、斉藤の唇へと迫って来ていた。
ルォォォォ………
万事休す!
唇の純潔もろとも若いバンドマンの命が失われていようとしたその時、奇跡は起きた。
フワァ……
土川が添えていった『菊の花』の花びらが、
夏カゼに冒された彼の鼻元へと舞う。
「ふ……ふゎ……」
ファンクショーン!
「うッ……う……」
かくして、大きなくしゃみとともに、トビかけていた彼の意識はこの世に下ろされたのであった。
人工呼吸のために顔面を近づけていた土川は
そのくしゃみを間近で体験することになっただろう。
クリーニング代は出さん。
83
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/10(月) 01:08:27
>>82
す…すごい…奇跡だ…
目の前で消えかけていた命の炎が…『再点火』した!
「うおおォォォよかったぞ青年」
君の顔の前で涙を流して喜んでいる。斎藤の顔に涙をボロボロこぼしている。
「う…うべ…」
ムズムズ…
おや?
斎藤のクシャミで鼻がくすぐられたらしい土川が…
「ぶへえッッ!!!」
ギャバァァアアアン!
クシャミを返してきた――ッ!
奇跡的に意識が戻った斎藤の目に、最初に入って来るのは…
おっさんのクシャミだぜ!これでおあいこだぜ!
「きッきみ!」「大丈夫か「ぶへえッッ!!」
84
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/10(月) 01:25:15
>>83
「うぉぉッ!バッチい!」
「あ……は、鼻がムズ
ファンクション!
ビッチャア……
傍目には、野郎二人が体液を飛ばしあっているという、
どうにも救いようのないキタネー光景だ。
とりあえず持っていたポケットティッシュで鼻水まみれの顔面を拭く。
「す……スンマセン……風邪気味なもんで……
まァ、お互い様ってことでカンベンして下さい……」 ズズゥ
とりあえず貞操は守れたのでよしとしよう。
目の前のオッサンにも未使用ポケットティッシュを手渡す。
85
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/10(月) 01:41:50
>>84
「す…すまん…!ありがとう!」
「すまん!」
「おめでとう!」
グジュグジュ
ポケットティッシュを受け取って顔をぐじぐじ拭いて。
ムクゥ…
起き上がった。
「せ、青年…そのォ…大丈夫か!」
「体…以外にも!」
「その背中の大荷物とか!」
86
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/10(月) 01:53:00
>>85
「はァ……ありがとうございます……?」
おめでとう、と言われたのでとりあえず返答しておいた。
生死の境をさまよっていた事はあまり覚えていないようだ。
「荷物は、まァ、大丈夫ッスよォー
もともとキズだらけなんで、そんな気にすることもねェーッス」
「つーか、何そんな急いでたんスか」 ズズッ
鼻をかみながら土川に問いかける。
ちなみに体がダルいのでまだ寝そべったままである。
87
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/10(月) 23:51:41
>>86
ズ ビイィーッ!
土川も新しいティッシュを出して鼻をかんで、手を拭いている…
この男…『消防団員』の制服を着ている。
「別段急ぎでは無いのだがなッ!」
「ただ…そのアレだ!
『思い立ったが吉日』!」
「あと二時間位で忘れてしまいそう、だったから!パトロールのついでになッ!」
「この菊の花を、『お供え』!」
「ホラ青年ッ!立てるかッ!」
寝そべっている斉藤にキチンと拭かれた手を差し出してきた。
88
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/11(火) 00:08:53
>>87
「そういや、アンタその制服……
レスキューか?どーりでアツクルシーと思ったぜ」
(言っちゃワリーけど、汗くせーッつーか、体育会系の脳筋ッぽいフンイキなんだよなァー)
しかし、斉藤の知るトコロではないが『消防士』は国家公務員なので、すべからく公務員試験合格者なのだ。
つまり、ZUTAYAよりもうらぶれたビデオ屋でバイトしてる斉藤よりは賢い。
「それにその『菊の花』もよォー……
お盆だから被災者の墓参り的なアレかァ?
墓参りならオレも昨日行ってきたトコだけど」
差し出された手に掴まりながら聞いてみる。
89
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/12(水) 00:38:21
>>88
「しかし風邪か!」「栄養あるものちゃんと食べろ!」
「かくいう俺も最近食が薄いな!気を付けよう!」
最近の自分の生活を思い返しながら、斉藤を引き起こす。最近クーラー点けっぱなしだなあ…
グイィ
「おっとと…」「以外に重い!」
「いやな!先日!」「そこな駅で上司が六人、ガス爆発で…」
「『殺され』…」 「…事故でな!」
「『仇討』…」 「…じゃねえ!報告のために…な!」
90
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/12(水) 22:12:00
>>89
「アンタはジョーブそーだけど気をつけた方がイイぜェー……
夏カゼは長引くって言うしよォー」 ズズッ
鼻をこすりながら、土川に引き上げられる。
…終始ダルそう(眠そう)にしていた斉藤だったが、
土川の言葉を耳にして、猫背のまま硬直する。
「………ところどころ本音が漏れてるぜ」
「それッて『テロ』っつーヤツじゃねーのかァ?」
猫背ぎみの体勢のまま、土川を睨みつける。
「アンタにも『守秘義務』みてーのがあんのかもしれねー……」
「ただ、ひとつだけ教えてくれ」
グィッ
「犯人は『黒人』か?」
気付けば、斉藤は土川の胸ぐらをつかみながら問いかけていた。
91
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/13(木) 22:33:54
>>90
「この暑い季節だからこそ体調には気を付けたいものだな…」(リアルPL感)
「…お、おいッ!何を」
「…ッ!」
胸ぐらをつかまれ、驚いたが…
斉藤の目に燃える『炎』に思わず息が止まる。
その炎に目が引き寄せられてしまう…
ハァァァァ…
「……大量殺戮を好む『爆破屋』、としか、」
「聞いていない、」「それで全部だ」
…斉藤から目を反らしながら土川が答える。
ケホッ ズズッ
「『喫茶店』で情報を聞いた」
「『黒人』とやらの関係性は…『不明』」
「『それで全部だ』」
ケホッ
92
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/13(木) 23:46:52
>>91
「ハッ……す、スマねェ!」
「いや、その、他意はねーッつーか」
「気にしねーでくれ、あと胸グラつかんでスイマセン」
気づいたように手を離した斉藤からは、さっき土川が『炎』のようなものは感じられない。
見た目は浮ついて見えるものの、ちょっと気弱そうな若者といった様子だ。
彼が喫茶店で聞いたという『爆破屋』の情報よりも、
初対面のオッサンにこんな行動を取るほど『黒人』を恐れている自分に驚く。
「どーしてこの街にはキケンがイッパイなんだ」
「アンタも色々ワケアリみてーだし、
『仇討』ッてんなら止めやしねーがよォー……」
「これは俺のヤマカンだが」
「その爆破事件、タブン普通の事件じゃねーぜ……
きっと『スタ…………あっ、あっハナミズ」
チーン
鼻をかんだ。
93
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/14(金) 00:11:57
>>92
ウグ
ゲエッホ ゲホ ゴホ
あー苦しかった。咳が止まらん。
「オエッホ…『スタ』…?」
「ンン゛ッ…まァ、職業柄『黄金町』が、
危険と不可思議に満ち溢れてるのは知っている!」
「スタ…スター、スタミナ丼、スタンリー…」
「…『スタン何とか』!」
「そのスタン何やらは持ってるぞッ!」
「あっ鼻水大丈夫か」「辛そうだな青年」
「青年も訳アリのようだな!」
「…とても平和とは言えないようだこの町ッ!」
94
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/14(金) 23:01:55
>>93
ブハッ
「アンタ、『スタンド使い』かァーッ!」
「奇遇ッつーか、何となくそんな気もしてたけどよォー」
バァァァ〜ン!
「『俺も』なんだよ」 タラー
そういって、自身のスタンドを発現して見せる。
ギターを担いだ人型のヴィジョンが、斉藤の後ろで女性的なポーズを決める。
とめどない鼻水によって鼻からブラ下がるティッシュ。
「やべェ、鼻水が止まらねェー」 ズビズビ
95
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/14(金) 23:49:17
>>94
「見せてもらったからには…こちらも見せといた方が良いか!」
というと土川は、リュックから変身ベルトを出して装着し…
ブンッ!
「超変身ッ!」
ゾアァァァァアアアアア!
土川の体の表面が黒い鱗に覆われていき…
《 どうだッ!カッコいいだろッ! 》
土川の姿はまさに蜥蜴だ!蜥蜴人間!
きみのスタンドに対抗して女性的なポーズをとろうとしている!
《 ぶえっくしィ! 》
そして、大きくなった口でものすごいクシャミをしている。
《 アレ?体調崩したかな…えっくしょいッ! 》
96
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/15(土) 00:09:19
>>95
「うおおおォォッ!気持ちワリィッ!」
「オレ、そーゆうウロコとかヒビ割れとかブツブツみてーなの……
うおッ、すげェサブイボ立ってるゥ!」 ゾクゾク
のっけからシツレーな評価をしながら、両腕をこすり合わせている。
「前もって心の準備しとけばよかったぜェー……
ベルトッつーのが変身ヒーローみてーではあるがよォーッ」
「ちょ……ちょっと触ってイイすかァー?」
オソルオソル…
斉藤のスタンドが『蜥蜴』と化した土川のウロコに手を伸ばす。
土川の体調が悪化したっぽいのに比例して、何だか顔色が良くなってきたようだ。
97
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/15(土) 00:40:34
>>96
《気持ち悪い!?むしろカッコいいだろッ!》
斉藤の反応に不満そうだ。
《あ触るの!》
《どうぞどうぞッ!》
ピト
土川が差し出してきた頭を触ると…乾いてヒンヤリとした感触。
クソ暑い気温に反して、とても心地よい。
そして、斉藤は気づくだろう。
…土川の姿…手で触れる。『実体化』している。
つまり、一般人も蜥蜴人間が見える。
「ぁ…ぁァ…妖怪じゃあ…」
ほらみろ、交差点の向こうのおじいちゃんが腰を抜かしている。
幸い人通りも少なかったので、そのおじいちゃん以外にはこの姿を見られていないようだ…
《 ぶえっくしョイッ! 》《 …誰か俺の噂してるのか?! 》
98
:
斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』
:2015/08/15(土) 01:06:19
>>97
ヒンヤリ
「お、おッ、意外と冷てェ」
最初の反応とはウラハラに、割と気に入ったようだ。
差し出された頭をペタペタ触っている。
「あッ、コレ手で触れんのかァー
暑い時期には良さそーッスねェー」
「……ん?つーコトは……」
嫌な予感がするので辺りを見回す。
>「ぁ…ぁァ…妖怪じゃあ…」
案の定、見られてしまっていた。
「まァ、人が少ねーからイイか……ッてワケにもいかねーな」
シュンッ!
「自分から出しておいてなんだが、気をつけた方がイイぜ」
「いつナンドキ、どんな奴が見てるかもワカンネーしなァ……
特にアンタみてーな、誰にでも見える『スタンド』はよォー」
自分のスタンドを解除しながら、土川にも一言かけておこう。
99
:
土川嵐『スロー・バーン』
:2015/08/15(土) 01:45:33
>>98
斉藤の話を聞いて…
長い舌で顔をペロペロしながら思案顔の蜥蜴。
《ウウム…確かに簡単に見せびらかすモノでも無いよなァ…!》
《変身ヒーローの正体は明かさない方が良い!》
《既に噂になっちまってるようだし…気を付けよう!》
《っとと!ちょっと手を放してくれ!》
《…変身タイムリミット『残り30秒』!いかんッ!》
《 向こうの人気無い所に逃げてから『変身解除』させて貰う! 》
《 サラバッ 》
シュバッ!
土川は、菊の花をグルゥンと舌で巻き抱えると、
ダッシュで駅の裏手の方に走っていった…
100
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/27(木) 23:32:25
『黄金原駅前』の噴水広場で定期的に行われている『フリーマーケット』。
各々が骨董品やら古着やら玩具やらを路上に並べているわけだが
「モット君!」『YO!』
ゴロゴロゴロゴロゴロ!!
ガチャガチャに手足生やしたようなスタンドことモット君と一緒に
ブルーシートをゴロゴロしてるよ!暇だネ!
101
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/29(土) 00:25:23
>>100
眼鏡を掛け、半ズボンに『ドットのゲームキャラ』柄のシャツという服装の恋姫。
中古ゲームでもないかと思ってきたが――
「……マフィーじゃん。
えひ、何してんの……」
「……いや、店出してんのは分かるが。」
思わぬ顔を見つけた。
(でもこいつ、小学生じゃないのか……?
……ああ、アレだ、黄金町の……)
「ミスコンは……ありがとな。えひ。
んで、何売るわけ……? 闇商人さんよ……レアアイテム入ってる?」
今のところ商品は置いていないようだが――
「……まさか、『ミーが商品』ってやつ?
えひ、薄い本みたいに……」
陰気な笑みを浮かべる。
102
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/29(土) 00:39:27
>>101
ゴロゴロゴロゴロ―――ッ
「あ!」
「ヘイ!そこにいるのは恋姫ネー!」
恋姫だ!挨拶をしよう。
ちなみにこっちの恰好はアメリカを発つ時に
親友のジョン・コーラサワー君に貰った赤白帽子と、
DIONモールでお母さんに買って貰った『炭水化物』って
書かれたTシャツにハーフパンツだ。
「闇商人?そうネ!ミーは闇商人ネ!
ミーは商品じゃなくて店長さんネ!ネー!モット君!」『YO!!』
「モット君は1回1万円でフィギュアを吐き出す
ガチャガチャのスタンドネ!!『ハズレ』も多いけどネ!」
ポンッ
モット君が口からカプセルを吐き出して
ミーがキャッチ。
「何を隠そう実はミー、
凄いフィギュアを持ってるネ!」
103
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/29(土) 01:00:58
>>102
「えひひ、まぎれもなく恋姫だよ……
いけてるカッコしてるな……課金アバターって感じする……」
(……変T……これDIONで売ってたな……)
ブルーシートの前でしゃがみこむ恋姫。
「あぁ〜……課金ガチャのスタンド……
そういや、前言ってたな……えひ。」
『モット君』を見る。
初めて会ったときは、ゲームの腕しか見なかった。
「……ハズレありかぁ……
まじ、やばいな。流石闇ってとこか……」
冗談っぽく眉を顰める。
一万円という値段も相当やばいが……
「……んで……」
・・・・それより。
「凄い……Sレアみたいな?
何それ詳しく……えひ、そん中にあんの?」
気になるので、見せてもらおう。
104
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/29(土) 01:08:00
>>103
「お母さんが買ってきたカックイイTシャツネ!
外国人はこーいう意味不明な漢字のTシャツを
着ておけば間違いないって言ってたネ!!ハハハハ!!」
カポッ
マフィー君がカプセルを開くと、
とてもとても精巧な『ブルー・サンシャイン』のフィギュアが!
「ジャンジャカジャーン!!
恋姫の『ブルー・サンシャイン』のフィギュアって
説明書に書いてあったネ!
恋姫のスタンドのフィギュアがあるって事は、
恋姫のフィギュアもある筈なのに、全然出てこないネー!」
105
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/29(土) 01:27:43
>>104
ムスッ
「……あっそぉ……
…………フィギュア、みせてよ。」
親の話は、好きじゃない。カプセルが開くのを見る恋姫。
すると――
「!」
「……なんっ……」
オ
ォ
ォ
「だこれ……」
呼応するように恋姫の背後に現れる『スタンド』像。
ペスト医師のような烏面、黒衣、青い焔――
「再現度高いなこれ……
いや、そうじゃなくてだな……」
見比べて、目を細める。
イラ
「……プライバシーどうなってんだこれ。
僕のフィギュアとか……監修した覚えないんだけどぉ……」
フィギュアをまじまじと見つめる視線。
恋姫のと、スタンドのと。
「……えひ。」
「レアなのかな、僕の……?」
レアものってのは悪い気分でもない。
……複雑ではあるが。
(ちょっとイラつくが……能力だしな……
こいつらにどうこう言ってもしゃあないよな……)
「今までどんくらい回してんだこれ……底とかあるの?」
小首を傾げる恋姫。
106
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/29(土) 01:42:01
>>105
「ミーは何も知らないネー!
『フープル社』の人が勝手に、
モット君のラインナップを増やしてくれるネ!!」
フィギュアは精巧らしいぞえ。
見比べれば見比べるとクリソツだと感じるだろう。
「スタンドと本体を揃えると、
ビーム出したり分身したりとかギミックが発動するネ!
モット君はかつてМ町で、えーっとネ!えーっとネ!
大体『2000万円』くらいガチャガチャを回してきたネ!
それでネ!モット君が食べたお金は栄養になって、『成長』して!
ガチャガチャの『確率調整』とかスタンドの玩具とか出せるようになるネ!」
ポンポンッ
恋姫のフィギュアをカプセルに戻し、
恋姫に手渡します。
「せっかく恋姫と遭遇したから、
このフィギュアは恋姫にあげるネ!」
107
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/29(土) 01:59:55
>>106
「……だよな。お前らのせいじゃないわな。
その……フープル社ってのはよく知らないが……」
ポリ
「あー……なんか、すまん。」
頭を小さく掻く。
……まあ、ともかくだ。
「……ヒエッ……お前金銭感覚バグってるわ……
2000万ってどんだけぇ……えひひ、リアリティ行方不明……
まあ、あれだ……・……えひ、なんか面白そうだな、お前らの能力。」
パシ
カプセルを受け取る。
「おう、ありがとな……
んで、アレだ……えひ、課金ゲーは好きじゃないんだが……」
ゴソ ゴソ
鞄から財布を取り出す恋姫。
「……回していい?
よくわからんクソゲ―漁るよりか……面白そうだ。」
いつも通り、陰気に笑む恋姫。
その財布は、妙に分厚い。
108
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/29(土) 09:59:57
>>107
「ミー、よくわからないけど
恋姫が謝る必要ないネー!
嫌な気持にさせちゃったならミーこそソーリーネ!
ドクペ飲むネ?」
ぺこりって頭を下げて、
ドクターペッパーを勧めるよ。
マフィー君はドクターペッパーが大好きなんだ!
「サプラーイズ!恋姫ってばお金持ちネ!
凄いネー!かっちょいいネー!」
『ジュルリ・・・』
驚くマフィー君と、分厚いお財布を凝視するモット君。
「えっとネ!ウトゥーライ!
ゼンチと考えたんだけどネ!
料金は1回『1万』円に手数料3千円になりますネ!
でも1日の上限である『30万円』までガチャガチャしてくれる場合は、
おまけにして『35万円』ぽっきりになりますネ!」
109
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/29(土) 18:16:25
>>108
「……いや、お前は気にすんなし。
僕も気にしないからさ……
ドクぺは貰っとくけど……」
キュル
キュル
「薬くせえ……えひ。」
キャップを開ける恋姫。
そして、説明を聞く。
「ちょっといろいろ臨時収入がな……
使い切れる額じゃないし、貢いでやんよ。」
アイドルとして得る報酬とはわけが違う。
恋姫は『汚い金』を持っている。
スタンド使いには『出所不明の金』も惹きつけられるのだろうか?
「30万ん〜……? ……30連ガチャか。
10連でやめようと思ってたんだが……」
「えひ、一発で廃課金じゃん。」
コト
ドクぺを置き、財布を開く。
「……まあ……とりあえずやってみるか。
一気に全額入れなきゃダメなのおまえ……?」
10連ずつくらいで出来たら心臓にいいのだが。
110
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/30(日) 22:34:12
>>109
「やッたネー!
メシウマネー!」
ピースピース!
「えっとネ、えっとネ!
ミーは10連×3でも全然かまわないけどネ!
ちなみに『あたり』の割合は『10回』で『2つか3つ』ネ!
土日は『当たり』の確立がちょっとだけアップしてるネ!」
111
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/30(日) 23:20:48
>>110
「えひ、僕はメシマズだが……
いいもん当ててメシウマ状態になりたいな……」
ゴソ
札束を出す。
……さて。
「土日か……」
・・・・ふと空を見る恋姫。
なんというか、回さねば。
そんな気がする。
「……確率うp、えひ……逃す手はないわな。
汚い金、たらふく食べさせてやるから……」
ス
差し出して、食わせてやる。
ざっと、『35万円』だ……
「……レア出せぇ……えひっ!」
さて、吉と出るか、凶と出るか――
112
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/30(日) 23:26:55
>>111
「やったネー!汚いお金を食べるモット君!
ミー、よくわかんないけどコレが政治献金ってやつね!
そうネ!あと『30分』ちょいで日付がアレでアレだからネ!
ヘイ!モット君!お口あーんネ!」
『YO!汚イ金ヲ――』
5万円を受け取り、
残りの30万円をモット君の口に
ガボォッ! 『YO!!』
突っ込むよ!
『モグモグ、ムシャムシャ、
バクバク、ガツガツ、ガシッ!ボカ!』
ケータイ小説みたいな音を立てながら札束を咀嚼。
『ポン』 『ポン』
『ポン』
モット君が口からカプセルを出したよ。
113
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/30(日) 23:31:46
>>112
「えひ、一大スキャンダルキタコレ……
場末のアイドルが大物闇商人に賄賂疑惑……」
「……ってか?」
「えひ。」
特に陰気な笑み。
ゾク
ゾク
(これが課金沼か……)
ゲームを70本は買えそうな金が溶けていく。
独特の快感を覚える。
スイーツ
「……えひ、甘い?」
『モット君』に感想を聞きつつ――
「おっ、出た出た……
……これ、ここで開けておk?」
カプセルを拾い、一か所にまとめる。
……30万円の価値があるやら、ないやら。
114
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/30(日) 23:53:10
>>113
『甘イ!甘イ!
ナンツーノカYOッ。
ホンノォ〜リ、甘さガアルッツーノ?
クセニナルッテ感ジィ?
ワタシ モット ガッコウ マジ ツマンネ
日常 ハ タイクツ ミタイナ? 彼氏 カッコイイシ ミタイナ?ワラ』
「モット君が美味しそうに食べるから、
ミーも昔齧ってみたけどお金は全然美味しくないネ!ばっちいネ!
恋姫もモット君の真似してお金食べるのはダメネ!ハハハハ!」
ケータイ小説みたいな喋り方をするモット君。
なんかリアクション的にはハッピーターンとか食べてる時みたいな感じだ。
「オーケー!オーケー!全然オッケーネ!
あ、でも時々固くて開かない時があるから、
そーいう時は持ち帰って石鹸水とか使ってみるといいネ!」
フープル・マーケッツを要チェックや!
「ちなみにミーのフィギュアもあって!
ミーとモット君をこうして合体して――」
『マフィー』と『モット・ザ・フープル』を組み合わせると・・・・
『YO―――ッ!』
『ポン』
『ポン』
『ポン ポン』
『ポン ポン ポン ポンッ』
・・・・小さな『カプセル』が、次々と吐き出された!
「こんなんなりますネ!!」
115
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/31(月) 00:18:48
>>114
ギリ
ギリ
「固ぁ……」
石けん水ルートか。
まあ、後のお楽しみというのも悪くはない。
「……えひひ、ノリ良いスタンドでやんの。
今どきケータイ小説も流行らないけど……」
恋姫もコピペで知るのみだ。
「えひ、言われなくても食わないっての……
腹ペコあおむしじゃないんだからさ……」
ゴソ
財布をしまう。
・・・・そして。
「……お前のもあるのか。
えひ、まあそりゃそうか……んで――」
『ポン』
『ポン』
『ポン ポン』
『ポン ポン ポン ポンッ』
「……おおお……」
やや目を輝かせる。
「めっちゃギミック良いじゃん……
さすがスタンドのおもちゃってとこぉ……?」
ギリリ
特に意味もないかもだが、カプセルを捻りつつ。
116
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/31(月) 00:36:23
>>115
『テレビ、漫画、映画、ゲーム・・・
俺サマ大抵の娯楽は大好キダYO!!』
「そうネ!モット君は、
ミーより現代っ子ネ!」
カプセルを開けようと捻ってみるけど、
どういう訳か開かないね。
「ごめんネー、恋姫ーッ。
開かないネー!モット君の超凄いパワーで開けてみようと思っても、
どーいう訳か開かない時は本当に開かないネー!
フープル社の超技術はミーよくわかんないネ!」
「あ!ちなみにその『カプセル』は砕けると
ドジャーンって消えちゃうエコ使用のスタンド物質ネ!
ミーはエコじゃないから、モット君のおなかにいっぱい入れてるネ!」
『ポンッ』
モット君にカプセルを一つ吐き出してもらい、
きゅっと開いて――
ボフゥッ!
すげー豪勢な作りのアルバムを、
こうボフって取り出すよ。
中を開くとフィギュアがページの上で平面化してるね!
「ちなみにミーの所持フィギュアはこんな感じネ!
何か欲しいのがあったりしたらいつでも連絡するネ!
なんて言ったってミーは闇ガチャガチャ屋の闇商人の闇店長だから、
トレードや交渉にはいつでも応じるネ!」
117
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/31(月) 00:37:45
「もう1回いうネ!こんな感じネ!」
【コンプフィギュア】
『マフィー』&『モット・ザ・フープル』
『武蔵野 浩二』&『ジャギド・エッジ』
『スィ〜エ』&『moe.』
『ロッキー』&『P!NK』
『谷口 俊也』&『マジェスティック』
『鯨井 律子』&『セブン・ウィッシュ』
『霧島 七夜』&『ネビュラ・ムーン』
『藤田 継介』&『オリノコ・フロウ』
『カウント』&『コーン』
『オズマ』&『ドミノ・エフェクト』
『坂下 佳侑希』&『レイルウェイ・チルドレン』
『薬師丸 幸』&『レディ・リン』
『ジョセフィーヌ・フォン・ジョバーナ』&『エレメント・オブ・クライム』
『穴闇』&『ストラング・アウト』
【本体フィギュア】
『ミッキー』 『スティーブ』 『新稲 賢治』 『梢』
『車椅子の青年』『クロスケ』 『結城 祐司』 『原嶌 浩一郎』
『金澤 りりか』×2 『玄馬 志郎』 『十六夜 玲生』
『樋口 葉一』×2 『ヴァイネ』『南雲 清一郎』『村田崇人』×2
『座木劉一郎』×2『久々宮 縁組』『鉄 一郎』『黒樹 出』『柏葉鉄心』
『ドナート・ドン・ドミンゴ』『古崎 達郎』×2『坂本 俊介』(New!!)
『錏葉 九郎』(New!!)『春上 朋之』(New!!)
【スタンドフィギュア】
『コニー・プランク』 『スティグマ』 『ゼン』
『トニー・ブラクストン』×2 『ドミノ・エフェクト』
『フェアフィールド・パーラー』×2 『ジンゴー』
『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』 『エミネム』×2
『ラストデイ・オン・アース』 『タトゥード・ミリオネア』
『テキサス・トップ・ハンド』 『コーン』
『ウィークエンド・ワールド』 『フレディ・マーキュリー』
『レイナード・スキナード』 『オラクル』 『ステイシー・オリコ』×2
『フー・シュニッケンズ』『フォービドゥン・ラブ』
『ブルー・サンシャイン』『エレメント・オブ・クライム』
『ナスティ・アイドル』
118
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/31(月) 01:03:04
>>116
「いいな……えひ。
僕のは『コミュ障』だからな……」
オォ
オ
オオ
オ
恋姫の『ブルー・サンシャイン』は黙して語らない。
……まあそれが普通なのだが。
ギリ・・・
(クッソ怪しいなフープル社……
詐欺ってわけじゃないんだろうが……)
「……えひ、まあ……今はいいか。
いつか開くだろうし……常識的に考えて……」
「不具合だからって……
『詫び石』も期待できないしな。えひひ。」
コロン
開くのはいったんあきらめだ。
これ以上の追及は何となく意味がない気がする。
「へえ……砕かなきゃ残るのか。
そも、いまんとこは砕けそうな気配ないが……」
ボフゥッ!
「……ん?」
現れたアルバムを見る。
「なんだそれ、アルバム……ああ、コレクションか。
えひ、見たことないやつばっか……これ全部モデルいるの……?」
物珍し気に見る。
……が、本当に知らない顔ばかりだ。
チラ
(……僕がレアなんじゃなくて、
……こいつがコモンのパターンか?)
自分のスタンドを見る。
キュ
・・・・手元のガチャが一つ、開きかけている。
恋姫はまだ気づいていないが。
119
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/31(月) 01:10:39
>>118
「コメショー?
ミーもお米は大好きネ!ハハハ!!」
と、此処でカプセルに気付きます。
「あ!!!恋姫!恋姫!!
カプセルが空いてるネ!中を見てみるネ!
恋姫の気に入るフィギュアが入ってるとミー嬉しいネ!」
120
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/31(月) 01:14:13
>>118
「コメショー?
ミーもお米は大好きネ!ハハハ!!」
「えっとネ!」
「フィギュアは全部実在するスタンド使いネ!
ミーも知らない人達のフィギュアもいっぱいあるけれど、
どーいう訳か勝手に増えていくネ!神に感謝ネ!
もしかしたら恋姫の知り合いも出てくるかもしれないネ!」
と、此処でカプセルに気付きます。
「あ!!!恋姫!恋姫!!
カプセルが空いてるネ!中を見てみるネ!
恋姫の気に入るフィギュアが入ってるとミー嬉しいネ!」
121
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/31(月) 01:28:40
>>119
「……えひ、なんでもない。
僕もパンよりは米派だな……」
「ん?」
キュ
「……キタコレ。
えひひ、何が出るかな……知り合いか……」
(……誰でたら当たりだ? 僕だけとか絶対無理だろ……JK。
……ちこり、レオ……墨彦もかな……
灰羽とか、朱鷺宮も……マフィーも当たりでいいか。えひひ。)
「えひ……」
意気揚々って感じで開く。
背中を丸めてガチャ玉を開けまくる姿はいかにも陰気。
ハズレ!
ハズレ!
『近橋 千聖』ミニ・フィギュア!
『善知鳥 雷(ゼンチ)』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
ハズレ!
『クレモンティーヌ』ミニ・フィギュア!
『天野 織彦』ミニ・フィギュア!
『ダブル・インデミニティ』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
『高泉 切羽』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
ハズレ!
『ダブル・インデミニティ』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
ハズレ!
『モリー・パイソン』ミニ・フィギュア!
『高遠 嶺』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
『フィストフル・オブ・クォーターズ』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
『バベッツ・ギャスタブッド』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
『音無 ピエール』ミニ・フィギュア!
『レディ・リン』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
『春上 朋之』ミニ・フィギュア!
ハズレ!
ハズレ!
『日数 要一郎』ミニ・フィギュア!
「……誰だこいつら……」
一人たりとも知り合いがいない。
その上、被りまであるではないか――
・・・・つまり?
「えひぃ……大爆死乙…………」
「……はあ ぁ 〜〜 ・・・・
常識的に考えて、そう簡単には出ないか……」
落胆する。
……が、一応。
「……今回で何個か揃ったんじゃね?
出ってやつ、あと……高泉と、高遠……高高コンビ?」
ススス
それは報告しておこう。
ギミックは見てみたいし、揃った分含めて差し出す。
122
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/08/31(月) 01:41:42
>>121
「やったネー!ゼンチが出たネ!
ゼンチはミーの友達ネ!
でも恋姫は知らないって事はドンマイネ!恋姫!
あ、でもネ!フィギュアを揃えると、『PP券』の『予約優先権?』ってのが
発生するって『サポートセンター』さんが言ってたネ!
ところで『PP券』って恋姫知ってるネ?ミーは知らないネ!」
『YO!PP券ッテイウノハ、
ソロエルト、絵ヲアレヤコレシテクレルラシイYO!!』
「ヘー!フープルさんは凄いネー!」
関心した。
「あ、もしミーが恋姫のフィギュア出したら
光の速さで連絡するネ!っておー!いっぱい揃ったネ!やったネー!
早速くっつけてみるネー!」
ぼふっ
おまけファイルから『黒樹出』のフィギュアを出し、
恋姫の『ダブル・インデミニティ』を近づけてみよう。どうなるのかな。
123
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/08/31(月) 01:56:13
>>122
「ゼンチ……さっきも聞いたなそれ。
手数料のときにぃ……だっけ。あだ名だったのか。」
男か女かもわからない名前だが、女らしい。
本名も『雷』と来たもんだ。
「……んで。」
PP。予約優先。
よくわからない。
「PPってのは知らない……いや……うん。
あーなんか、聞いたことはあるかも……? 情弱だな僕。
というかモット君が情強って感じか……えひひ。」
「でもまあ……
えひ、絵は間に合ってるしな……」
ニマ
笑む恋姫。
「……ただ、立体化はまだなんで……そん時は、よろ。
んじゃ、早速……どうなるかな、えひひ。」
ズイッ
「……爆発とかしないだろうな。」
フィギュアから少し顔を離す。
危なくないとは言い切れない。刺激的なおもちゃだ。
124
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/09/01(火) 00:27:19
>>123
『玩具デ金を稼グニハ、
流行ヲ知ッテル必要ガアルカラYO!!!』
「PPっていうのは『フープル社』が運営していいて、
ペラペーラペラペーラ!なシステムらしいネ!
ミー、モット君に教えてもらったけどよくわかんないネ!ハハハハ!!
あ!なんか動きそうネ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――
『高遠 嶺』と『クレモンティーヌ』を合わせると・・・・
「お願い、テイーヌさんっ!」
スタンドが『男性型』に変化し、
高遠を抱いて、くるくると踊り始めた!
――――――――――――――――――――――――――――――――
『高泉 切羽』と『ナスティー・アイドル』を合わせると・・・・
・ ・
「言っておくが 貴 様」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「わたしはッ!」 「怒っているんだッ!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『ズギュゥウアア』
『 ――――シュバウッ! 』
『ナスティー・アイドル』が、高泉の『先入観』を引き剥がした!
――――――――――――――――――――――――――――――――
『黒樹 出』と『ダブル・インデミニティ』を合わせると・・・・
「 『D・I』
決めるゾォ才オオオ!!」
『「テヤテヤテヤテヤテヤテヤテヤテヤテヤァ!!!」』
『ダブル・インデミニティ』が、ラッシュを放った!
――――――――――――――――――――――――――――――――
「か、か、か、か、か
カッチョいいネェェー――ッ!!!!!!
今腕とかシュバババババババババ!ってなったネ!!」
目をキラキラとさせるよ!
125
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/01(火) 00:45:22
>>124
「なるほ……一理ある。
流石は闇商人ってとこか……」
(……これさっきも言ったか?
情弱でボキャ貧とか……えひ、やばすぎ……)
ヘタな人間よりよほど賢そうだ。
「……課金ガチャにもバリエーションあんだな。
フープル社……えひ。
スタンドビジネスってとこなのかな……」
明らかにスタンド使い向けのサービス。
異能の世界でもやはり金儲けはあるか。
「汚い金めっちゃ持ってそう……おっ。」
――ともかく、動き出したフィギュア。
・・・・
・・・・
・・・・
「……おーすげ……
えひ、ほんとクオリティ高……」
見たことのない連中。
だが、このクオリティ。
「……ハズレじゃなかったな、これ。」
126
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/09/01(火) 00:55:03
>>125
「モット君はフープル社の
『ガチャガチャ』部門の『出張所』らしいネ!」
『オレモ知ラナカッタYO!』
「ミーもビックリしたネ!ハハハ!
あッ、ミーもう1回動き所みたいネ!!」
ピロリーン
お母さんに買い渡されたスマホでムービーを撮ろう。
勿論恋姫の顔は映らないようにするよ。
「あッ!そーネ!
せっかくだしその出のフィギュアも恋姫にあげるネ!
お店だったら大体5万円くらいでバラ売りしてるんだけどサービスネ!」
カァーッ
カァ――ッ
カラスが鳴き始めて、
周りの一般ピーポーが店終いの準備をしてるね。
127
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/01(火) 01:16:23
>>126
「……ああ、そういうあれか。
……というか本人も知らなかったとか……何それ怖い……」
(給料とかなさそうだな……
えひ、ブラックすぎぃ……)
いや、そういうものなのか?
・・・・ともかく。
「そうだな、もっかい動かすか……
あ、僕は、動画N……えひ、わかってんじゃん……」
(こいつ常識的なんだよな……)
カァーッ
カァ――ッ
マフィーの配慮に感心しつつ。
空は夕焼け色。
・・・・そして。
「えひ、いいの……?
何かとトレードとかじゃなくて……?」
「……ありがとな。大事にするわ……」
ゴソ
フィギュアたちをしまう。
ゲームは買えなかったが、これはいい掘り出し物だ。
スック
「んじゃ、僕帰るから……
あ、今夜『狩り』行かない……? 時間あればだが……」
「えひ、新作出るしさ……」
立ち上がりつつ、お誘いする。
ともだちコードがあればどこででも?がれる……
128
:
マフィー『モット・ザ・フープル』
:2015/09/01(火) 01:27:07
>>127
「そのフィギュアをミーだと思って大事にして欲しいネ!
全然ミーじゃあないけどネ!ハハハ!」
配慮に関心されてる事などつゆ知らず、
アメリカンジョークを飛ばすぜ!
ハント 「ネッ!」
『狩リッ!」
「ゲームネ!!」
\ │ /
/ ̄\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
─( ゚ ∀ ゚ )< ゲームネ!ゲームネ!
\_/ \_________
/ │ \
∩ ∧ ∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\∩ ∧ ∧ \( ゚∀゚)< 一狩り!一狩り一狩り!
一狩り〜〜〜〜! >( ゚∀゚ )/ | / \__________
________/ | 〈 | |
/ /\_」 / /\」
「是非やるネ!そのお誘い受けるネ!
こうしちゃいられないネ!モット君!急いで片づけるネ!」
『YO!!』
ジャバダバジャバダバッ
モット君に手伝ってもらい大急ぎで片づけを始めます。
便利だねモット君。
「ミー達も急いで帰ってゲーム機点けるネ!
あのネ、恋姫!今日はミー達と遊んでくれてありがとうネ!
それじゃあ『また今夜』ネ!!」
ぺこりとお礼をして帰路へ着く恋姫を見送るよ!!
129
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/01(火) 01:46:00
>>128
「……えひひ、棚のいいとこに飾っとくか……
でも、これ、本人いるんだよな……ストーカーだと思われそ……」
(っても……誰も来ないしな……えひ。
ちこりには説明したら通るだろ……性格的に考えて。)
(……つーかこいつどっかで見たな……?
………………あ、白亜荘か……!
そうだ……すぐ帰った奴だ。
あの……隠しキャラを呼んだやつ……)
すっかり忘れていた。
あとに来たやつのインパクトがデカかったのもあるか?
・・・・ともかく。
(テンション高ぇな……)
「……えひ、部屋立てて待っとくから。
僕もいい買い物できたし……えひ、よかったよ。。
んじゃ、ノシ……また今夜会おうぜ。」
「えひ、今のセリフ……
スキャンダルになりそ……」
そういうわけで、帰った。
スキャンダルにはならなかったし、今夜は狩りまくりだ。
130
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/12(土) 23:53:07
駅前にある雑居ビルの一階。ここは『不動産屋』となっており、
看板には『門倉不動産』と書かれている。
店舗の前でぼんやりと突っ立っている男は、
『不動産屋』の関係者なのだろうか?
栗色のソフトモヒカンにワインレッドのジャケットは、
あまりまともな社会人には見えないが………
131
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/13(日) 02:09:15
>>130
カラコロカラ カラコロカラ
カラコロカラ
カラコロカラ
カラコロカラ
下駄がなる。
音の原因は和服に身を包んだ少年だった。
肩まで伸びた黒い癖毛がゆれている。
番傘を差し、散歩をしているようだ。
「ん?」
「門倉さん?」
少年が門倉のほうに寄って来た。
覚えているかは不明だが、二人はすでにであったことがある。
以前ミスコンの審査員として顔を合わせているのだ。
132
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/13(日) 02:18:27
>>131
『涼』の呼びかけに『不動産屋』の前の男、『門倉』が見やる。
「ああ――― 君はええと、
確かミスコンの時の………『金言部』だったね?
スズ…… スズ……
ああいや、もちろん覚えているさ。
スズキくん」
『門倉』が笑顔で『涼』に話しかけてくる。
「実にお久しぶりだね。いつもその格好なの?」
133
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/13(日) 02:35:18
>>132
「こんにちはぁ。門倉さん。」
(名前、はエエかなぁ。僕のことやし。)
(多分鈴元のご先祖様鈴木やろうし。)
実際どうかは知らない。
ただそうなのだろうとは思う。
「はい。いつもこの格好なんよ。」
着物を見せるようにくるりとその場で回る。
薄墨色の着物だ。
「門倉さんもいつもそのカッコなん?」
134
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/13(日) 02:46:06
>>133
「おおむねそうだね」
『涼』に対抗してかは分からないが、
『門倉』もくるりとその場で回る。
「自分の落ち着く格好ってものがある。
まるでこの姿で生まれ落ちたんじゃあないかと思うくらい
しっくりと来る装い―――
スズキくん、君のその和服もそういう事なんじゃあないかな」
『門倉』は無闇に相手の名前を連呼する癖があるようだ。
このままだと『涼』は幾多の『スズキくん呼ばわり』を潜り抜けていく羽目になるだろう。
「それで、今日はどちらにお出かけなんだい? スズキくん」
135
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/13(日) 03:06:57
>>134
「そやねぇ。まぁ慣れた服装の方がエエかな。」
口元を隠して笑う。
少しして懐から名刺のような紙を取り出す。
「こっちに引っ越す前は『鈴元涼は和服が私服』って噂になってた気ぃもするけど。」
やんわりと訂正するようなことを言う。
さすがにずっとそこに意識を持っていかれるのはマズイと思ったのだろうか。
「あぁ、今日はお散歩しようと思てねぇ。
ちょっとそこまでって感じやろか?」
「門倉さんはお休み?」
(なんやぼーっとしてはったし。)
136
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/13(日) 03:18:52
>>135
「そうだろうね。さすがにこの平成の世、その年齢で和服は少し目立つ。
………ん?」
と、ここで『門倉』は自分のミスに気付いたようだ。
「ああ――― そうだね。
スズモトくん。ミスコンの時はアレだ。
資料の印字が少し潰れていて勘違いしてしまったんだな。
『鈴本』の『本』の字が潰れて『鈴木』に見えたんだろう。
いや―――失敬」
『言い訳』が更に間違っている事など『門倉』は露知らず、軽く頭を下げた。
「―――で、俺はといえば、『仕事中』だ。『不動産屋』をしていてね。
ただ、『客』がまるで来ないという悲しい現実があったんで、
とりあえず行き交う人を眺めていたんだよ。
『部屋を探している』ような顔の人物が歩いていやしないかってね」
137
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/13(日) 03:25:45
>>136
「鈴元の『元』は元気の『元』なんよ……」
一般的なのはそちらだという意識は鈴元自身持っている。
間違えられることもある。しかしこれが名前なのだからしょうがない。
「はぁ、それは大変やねぇ。」
「なんやお手伝いできることがあればしたいんやけど……」
家を探している人間などどう探し、声をかければいいのか。
鈴元にはわからない。
ミスコンのスカウトよりも難易度が高そうだ。
「なんや僕に出来ることあるやろか?」
ここで会ったのも何かの縁だ。
知らない人間でも嫌いな人間でもない。
なにか力になりたいらしい。
138
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/13(日) 03:52:00
>>137
「………
い、いや、そうだろう。そうだろうとも!
だから言っただろう。『元』が『木』に見えてしまったんだと。
確か………水か何かを零してしまったんだったな。
滲んでしまえば、似ているだろう?
『元気』の『元』と、『木曜日』の『木』。
横線があって、右と左に斜め棒があって………」
『門倉』はなおも食い下がる。
これ以上は放っておいてあげるのが優しさかもしれない。
「そ――それより! それよりも、だ。
鈴元くん。『手伝い』。『手伝い』って言ってくれたね。
『ミスコン』の時に風の噂で聞いたんだが、
君は『勧誘』やら『説得』が得意だって言うじゃあないか!
ならば、是非お願いしたい事がある」
『涼』の問いかけに便乗し、『門倉』は『手伝い』について言及し始める。
※今後の展開について、以下から一つ選んで下さい※
1.この場スレで終わるお願いをされる
2.いくらか後に引きずるお願いをされる
3.ミッションに繋がるお願いをされる(開催はかなり遅め)
139
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/13(日) 23:15:45
>>138
「そうやねぇ。僕もそう思いますわぁ。」
別に鈴元は鬼ではない。
門倉を苦しめたいわけでも苛めたい訳でもない。
「うん。言うたけど?」
「へ?」
「勧誘、説得ねぇ……人様に自慢できるほどやあらへんよぉ。」
謙遜しているのかそんなことを言う。
彼からすればスカウトの実績より運営の手助けをしたという側面を重視しているのかもしれない。
「でも、手伝えることあるんやったら手伝うわ。」
「なにしたらエエん?」
140
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/14(月) 00:08:03
>>139
「ああ、よかった。君ならそう言ってくれると思ったよ」
『手伝い』を承諾する『涼』に『門倉』は笑顔で語りかける。
「いや――― 俺だってね、これでも『不動産屋』の端くれだし
『話』に関してはそれなりの自信があるんだ。一応はね。
だけど『相性』ってものがある。
俺にはこの格好がしっくり来るし、君には和服がよく似合っている。
つまりはこれが、『相性』だ。
いくら元が優秀でもこの『相性』が悪くっちゃあ、
けして上手くいかない事もあるんだ」
『門倉』は訥々と語り続ける。
「―――ここから少し歩いたところに『阿武名荘』ってアパートがある。
管理人の意向でとにかく『安い』のが特徴。
ここに一人の女性が住んでいる。
彼女の親御さんと俺とで仕事上の付き合いがあってね、
ある日突然頼まれたんだ。『彼女を連れてきてほしい』ってね。
それで俺が彼女の元へ出向いたわけだが………
彼女について褒め倒したんだけど、なぜか嫌われちゃったみたいでね。
どうしようかな、と考えていたところに、
天が、鈴元くん、君を遣わしてくれたってわけだ」
つまりは―――その女性を『説得』して欲しいという『依頼』。
「よければ、今から一緒に行ってくれるかな?」
141
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/14(月) 00:22:26
>>140
「うん。相性は重要よねぇ。」
人を相手にする職業なら特に重要だ。
不動産業は人と会話し相手の思う物件を紹介したりするのだから
対人能力は高くないといけないが
その能力も相性という見えざる壁の前にはあまり効果をなさない。
「いや、なんか大変なことになってはるんやね。」
門倉の話を聞いた後、そう言った。
色々とあったのだろうということは分かる。
女性とその親御さんや門倉自身に色々あっただろう。
「僕がお力になれるか分からんけど、頑張るわぁ。」
(色々聞きたいこともあるけど、それはおいおいやね。)
ひとまずは門倉についていくことにしよう。
142
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/14(月) 00:37:59
>>141
承諾の言葉を受け、歩き出す『門倉』に
下駄を鳴らしながら『鈴元』はついていく。
「いや――― きっと力になってくれるよ。君ならね」
『門倉』はうんうん頷きながら断言する。
「彼女とは、ほとんど話は出来なかったんだが、
どうも自身の『実家』を嫌っているようで、
親御さんの使いで来たというと顔色を変えていたっけ。
そうだ―――
その時、ぽつり、と呟いた言葉が妙に印象に残っているな。
彼女は表情を変えずに、何かを呪うように、こう言ったんだ。
『
あの家の
桜の樹の下には
『死体』が埋まっている―――
・ ・ 』」
→ TO BE CONTINUED…
143
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/17(木) 00:54:31
DIONモールにはしばらく近寄れない。
なので、駅前の老舗ゲーセン『ウォーターメロン』に行こう。
「……」
トコ
トコ
今はその行き道だ。
何か興味を引くものとかがあれば足を止める。
・・・・なければゲーセンに着く。
着いてから何かを見つける可能性もある。
144
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/22(火) 01:49:05
>>143
恋姫は問題なく『ウォーターメロン』にたどり着いた。
ゲームセンターの前にある男がいた。
「?こないなトコにゲームセンターあったっけ?」
鈴元涼。知らない顔ではない。
「んー。」
入口の前に突っ立っている。
邪魔になるかもしれない。
145
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/23(水) 23:09:40
>>144
ウォーターメロン。
見るからに老舗のゲームセンター、って感じだ。
なんというか、汚くて、古い……と、そこに。
「……」
トコ
トコ
恋姫が着いた。
青いフレームの眼鏡、長い黒髪、色白の肌。
それから、桜色の瞳を持つ――人形の様な少女。
「ん……?」
チラ
見知った顔を見つけて、顔を上げる。
「…………お前、鈴元……だっけ。
そんなとこで何してんの……えひひ。
『スタン状態』にでもなってんの……?」
鈴元 涼。
ミスコンの運営側で、審査員でもあったか。
「……どくか、入れって意味な。
そこ、入り口だし……常識的に考えて……」
少し目を細める。
「僕は入るぜ……」
とはいえ、今、弾む話とかをする気もない。
ゲームをしに来たのだ。ゲームセンターだし。
146
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/23(水) 23:26:44
>>145
散歩していると意外なものを見つけるものだ。
このゲームセンターが珍しいかはともかくとして、新しく面白いものを見つけた。
「え?あ、稗田さん。こんにちはぁ。」
声をかけられ、振り向くと知っている人物がいた。
ぺこりと頭を下げて挨拶をする。
深い紺の着流しをみにまとい、肩まで黒い癖毛をのばした少年だ。
「どくか、入るか?」
小首をかしげて考えてみる。
ゲームは嫌いじゃない。
「僕も入ろかな?」
入ろう。どんなものがあるか気になるし。
「そういえば、ミスコンでゲームしてはったねぇ。ゲーム、好きなん?」
ミスコンの記憶が蘇る。
147
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/24(木) 18:49:46
>>146
ウィィーーーン
微妙に反応のよくない自動ドアをくぐり、店内へ。
……人はまばらだ。
あまり広くもないし、古そうなゲームが多い。
階段があるし、2階もあるのだろう。
「……えひ、そりゃ好きだよ。
クソゲ―はNGだけどな……常識的に考えて。」
トコ
トコ
「お前も……ゲームとかすんの……?
イメージ的には将棋とかしてそうだが……」
完全に服装のイメージだ。
ともかく、店内を歩いていく。
「……そういえば……あれだ。
お前の兄ちゃん、元気にしてるぅ……?
えひ、会ったこともないし……コミュもないが……」
たしかファンとかなんとか。
以前よろしく言っておいたはず。
「……ん?」
ピタ
・・・・と、恋姫は足を止める。
UFOキャッチャーの前で。
148
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/24(木) 22:35:36
>>147
「クソゲーねぇ……」
鈴元にはあまり馴染みのない言葉であった。
言葉の感じから意味は分かる。
が、似たような意味の言葉も使わない。
鈴元が扱う言葉ではないのかもしれない。
「うん。するよぉ。好きやし。
将棋はお爺ちゃんに教えてもらったわぁ。ピコピコってするゲームはお婆ちゃんに教えてもらったけど。」
デジタルなゲームをピコピコと表現する辺り、お年寄りの影響を受けているかもしれない。
「え?あぁ、うん。元気元気。元気すぎて大変なくらい。」
「そういえばミスコンの会場来てはったんよぉ。
稗田さんのこともっと好きになったってぇ。」
にっこり笑ってそう告げると稗田が足を止めた。
自分も止まってみる。
UFOキャッチャーだ。これもあまり馴染みがない。
基本的には家の中でお一人様だ。
「なんやオモロいモンでもあった?」
そういえばこのUFOキャッチャーの景品はなんであろうか。
149
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/24(木) 23:05:35
>>148
「まあ……逆に面白いのもあるけどな。えひ。
わざわざ踏みたい地雷はないだろ……」
ニタ -
・・・・陰気に、小さく口角を上げる。
非ゲーマーには、馴染み薄い言葉か?
あるいは、鈴元個人レベルでの話――か。
ともかく。
「……えひ、いい家族してるよな、お前。
んじゃあ……あれだ。また、兄ちゃんに……」
ニコ ォ
「……『応援ありがとう』って。
『ボイスメモ』みたいにして悪いけど……伝えといてくれる?」
アイドルらしい笑顔。
すぐ、元の陰気そうな目つきに戻るが。
「……」
――終えてから、筐体に視線を戻す。
半分は時計などの雑貨。
もう半分はキャラクターぬいぐるみ。
「……おもろいってよりかは……えひ。
あれだ……レアアイテム?」
恋姫が見ているのは、後者。
チャリ
チャリ
「……取れるかなこれ……
ゲットだぜ、って雰囲気じゃないな……」
言いつつもジーンズのポケットから、小銭を出す。
見ているのもいいし、そうしなくてもいいだろう。
150
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/24(木) 23:30:54
>>149
「そやねぇ。」
地雷。確かに踏みたくない。
地雷と分かっているのに踏むのは勇気がいることだ。
しかしいずれ踏まなければならぬ日が来るかもしれない。
「そうかなぁ。おおきにぃ。」
「はいはい。伝えとく。またあの人喜びはるわ。」
家族をいい家族と言われて少し照れる。
それにこうして人と人とを繋げられるのは面白い。
たとえ、ボイスメモでも。
「へぇ、最近はこんなん景品になるんやねぇ。」
一発取り出来なくてもワンコインでこういった物品を手に入れられるのは魅力的だ。
いや、そういう部分を刺激して金を落とさせる算段なのかもしれないが。
「あ、稗田さんやりはんの?おきばりやすぅ。」
特にすることもないので見ておこう。
151
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/24(木) 23:46:39
>>150
「喜んでくれたら僕も嬉しいわな……
……今のセリフも伝えてくれていいよ。えひ。」
ニヤ
本心だから。
ファンの喜びは恋姫の輝きになる。
・・・・さて。
「お前もやってみたら……? ここのは地雷難度じゃないし……えひ。
まあ、ベリーハードかハードかってだけでイージーではないが……」
「…………」
ジロ 〜
筐体を目を細めてみる恋姫。
見極めているのだ。景品の配置とか、色々。
チャリン
500円玉を入れた。
これで3プレイだ。
「………………あんまじろじろ見るなよな。
えひ、スキャンダルなっちゃうかもだぜ……
それかあれだ、ストーカー容疑ぃ……? えひ、冗談。」
ウィィーーーーーーン
別に見ていていいだろう。ともかく、恋姫はアームを操作する……
筐体から流れる軽快なBGMとは裏腹に真剣だ。
152
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 00:06:57
>>151
「うん。」
一言一句違わず伝えるだろう。
もちろん物まねなどしない。
「僕?そやねぇ。やってみるんもオモロいかも。」
じっと筐体を見つめる稗田を見つめる。
何をしているか理解は出来る。
しばらくして自分も配置などを見てみるが……
やはりよく分からない。
「うふふ。僕じゃあ稗田さんと釣り合い取れへんし……
や、案外そういうモンなんかなぁ。」
スキャンダルとは無縁の人間だ。
まだストーカーの方が現実味がある。
着流しの少年のストーカー話題性はあるかもしれない。
一応和菓子屋の息子であるし。
「……」
どうだろうか。取れるように祈っておこう。
153
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/25(金) 00:25:03
>>152
もちろん、そうするべきだろう。
へたな物まねは、原作の価値すら落としかねない。
ともかく。
ウィーーン
「……」
「ワンプレイなら……200円だしな。
どうせゲーセン来たならやってみれば……えひ。
べつに『沼に誘い込む』ってわけでもないしな……」
筐体からは目を切らず、言う。
……なるほどゲームをしないでいるのは浮きそうだ。
デートスポット的な賑やかなゲーセンならまだしも。
ウィーーン
ウィーーン
「……よし。」
いい感じにアームが動く。
いい感じ。恋姫の表情がそれを物語る。
「…………えひ、謙遜おつ……
でも、そうだな……僕はみんなのお姫さまだかんな。」
「つり合いとかは――」
ウィーーン
アームが下がっていく。
黒くて丸い、鳥のようなキャラの上だ。
「……キタコレ?」
鈴元の祈りのおかげか?
真っ直ぐ、よく掴めそうな様子で、降りていく――
【※このレスの投稿時間末尾が偶数なら成功。】
154
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 00:44:54
>>153
「へぇ、じゃあ試してみよかなぁ。」
「運よく取れたら贈りモンに出来るし。」
自分の物にする気はないらしい。
必要ないのかそれとも別の理由か。
「……おぉ。」
順調にいっているらしい。
さすがと言うべきなのだろうか。
「うん。皆のお姫さまやもん。
ちゅうか問題になったら僕、兄に何されるか分からんし。」
身内がファンですもの。
恐ろしい。
「取れる?」
クレーンは降りる。
狙いを定め、まっすぐに。
取れるか否か、その結果はすぐに分かる。
結果は―――
駄目であった。
アームは景品に突き刺さり、持ち上げることなく帰っていった。
155
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/25(金) 01:16:06
>>154
ウィィーーーーーー
「取れそ――」
ボスッ ・・・・
「……」
むなしく停止するアーム。
「…………キて……なかったな。
えひ、失敗フラグ立ってたか……」
ウィーン
そう、失敗だった。戻るアーム。
祈りは関係なかったようだ。
・・・・もちろん失敗にも関係ない。
「まあ、アレだ……あと残機2。
ノーコンクリアとか無理だし……難易度的に考えて……」
「次で決めてやんよ……」
カッコ悪いところを見せてしまう。
それは恋姫の望みではない。
「……」
スッ ……
ゆえにいきなり二戦目に挑むのはなんだ。
ボタンから手を遠ざけ、鈴元に向く。
「なんだっけ……贈り物? えひ、家族に?
一応言っとくけど、みんなのお姫さまは貢ぎ物……」
逡巡。
「……そう、貢ぎ物は、基本……なしだから。
それこそ問題になっちゃうしな……大炎上しちゃう……」
ファンに刺されるのはごめんだ。
ともかく、もう片方の筐体は空いている。
つまり雑貨の方だ。……やってみるなら今のうちだ。
156
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 01:41:47
>>155
「あぁ……」
「や、大丈夫大丈夫。位置がちょっとズレてただけやもん。」
「稗田さんの腕やったら大丈夫。」
あまりこういうと失敗時のショックも増しそうなものだが
まぁ、それはそれ。失敗の可能性は失敗の可能性である。
「うん。楽しみにしとくわ。」
優しく微笑みそう告げる。
成功の可能性のみを信じている。
「ん?そうそう家族とかお弟子さんとか。」
「や、さすがに稗田さんにこう面と向かってモノ渡すんは、危ないっちゅうか……」
そうだ。危ない。それこそスキャンダルだ。
もし問題になってそれが自分の責任になるだけならいい。
しかしこの少女や家に迷惑をかけるのは望ましくない。
「……うふふ。基本的には、ね。」
例外もあるのかもしれないか?と含んだように言った。
アイドルもまた人間であり、女性である。
まぁ、こちらとしてもファンに刺されるのはごめんだ。
自分の兄でもあるし。
「まぁ、僕も試してみよかな。」
雑貨のUFOキャッチャーに1プレイ分のお金を入れる。
腕時計に狙いをつけてボタンを押す。
成功、するだろうか。
【投稿時間末尾が偶数なら成功。】
157
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/25(金) 23:05:11
>>154
「……なに笑ってんだよ。
馬鹿に……してるわけじゃないんだろうけど……
ふつうにスキャンダルはアウトだかんな……」
「……えひ。
マジレスするとこでもないか。」
含みのある笑いに、少し眉を顰める恋姫。
だが、すぐに陰気な笑みを戻す。
「えひ、つーか失敗フラグ積むなよ……
へし折るの大変じゃん……応援はうれしいけどな。」
(いうほど得意じゃないし……
まあ、無理ゲーじゃあないけどな……)
そこまで自信はない。
だが、このままとはいかない。
そして鈴元の操作を見るが――
ウィーーーン
ウィーーン
「あっ、もうちょい右ぃ…………えひ。」
ボスッ
アームは腕時計にぶつかり、そのまま上がっていった。
つまるところ――失敗なわけだ。
「……まあ、あれだ。引き際が肝心。
えひ……『まだいける』はもう危ない……」
プレゼントは店でも買える。
……さて。
「……僕は残機まだあるから……まだやるけど。
でも、終わったらコンティニューはしない……」
「他にも遊べるもん、いくらでもあるしな……
ステマとかじゃなくて……オススメなやつが……」
チラ
店内奥を見る。
歴史のありそうな、アーケード筐体たち。
ウィーーン
ウィーーン
恋姫はUFOキャッチャー筐体に向かう。
158
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 23:44:28
>>157
「うふふ。難儀やねぇ。」
(アイドルの前に女の子やのに。)
スキャンダル。アイドルである以上避けねばならぬ事項ではある。
しかしそれは一人の人間の持つ恋愛や交流の権利を奪い取るもののようにも見える。
少なくとも、鈴元涼にとってはそうだった。
「フラグ?」
「や、気軽にお気張りやすぅ。」
フラグの意味は理解できなかったが、別に意味を聞いたりはしない。
そこで話の腰を折るのは好きでない。
さて、鈴元のUFOキャッチャーである。
何だかんだと言ってゲーム世代であるこの男。
成功の望みはあるかに見えた……
が、駄目。失敗である。
お婆ちゃんはUFOキャッチャーの知識など与えてくれてはいなかったのだ。
「アカンねぇ。ツいてへん。ここが止め時やね。」
けらけら笑ってそんなことを言う。
別に悔しいとかはないらしい。
まぁ、ゲームは遊びであるし、本気になるものではないのかもしれない。
だからこそ、稗田の進言を受け入れ連続プレイはしないのだ。
「そやねぇ。ゲームはたくさんあるし、ちょっと探してみよか。」
「稗田さんのオススメってなんちゅう名前?」
159
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 00:29:33
>>158
「……僕はみんなのお姫さまだからな。
ちな、フラグってのは……お約束、みたいな……?」
「あー……あれだ。
漫画とかで……えひ。
説明ノーサンキュー……か?」
フラグ、というのはそう珍しい言葉でもない。
・・・・まあ、それはいい。
ともかく。
ウィーーーン
ウィーー ……
UFOキャッチャーを続ける恋姫。
「…………獲れないのはホント獲れないからな。
えひ、物欲センサー……とはまた違うんだろうけど。」
引き際は大切だ。
そもそも取りようがないものもある。
ウィーーン
「名前ぇ……『Raven』とか……?
僕は弾幕系が好きだけど……」
「……お前がやって面白いかな……ムズいし……
格ゲーなら『デモグラ』……?
でも、あれか……初心者狩りとかあるしな……」
……操作を止め、考える。
ゲームはアイドルと同じくらい、大きい。
「……いろいろやってみたら……?
ただ、対戦系はお勧めしない……カモにされる。」
結論はあいまいだった。
人にゲームをお勧めするなんて、なれてもいない。
160
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/26(土) 01:05:24
>>159
「はぁ、お約束事。フラグ……」
「異国の言葉はよう分からんわぁ。」
そういう事ではないのだが放っておいてもいいだろう。
「はぁ、なんや色々あるんやねぇ。」
勉強になった。
確かに取れないものもあるかもしれない。
全ては店の設定しだいなのだから。
「なるほど。じゃあ適当なん探してみるわぁ。」
トコトコと奥の方へと歩いていく。
古めかしい筐体はどれも正常に作動している。
(あ、お婆ちゃんに教えてもろたやつや。)
それはシューティングゲームであった。
リメイクもされている作品である。
「これでいこか。」
(にしても、稗田さんホンマにゲーム好きなんやなぁ。
こういうトコに来る位やもんねぇ。)
(あの時計、もし取れてたらどうしたやろか。
あげる相手正直おらんのよねぇ。大切な人には編みモン贈る予定やし。)
編み物、で一つ思い出すことがあった。
(そう言えば墨彦さんも稗田さんのフアンやったね。)
世の中は狭い。
161
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 02:05:19
>>160
「……えひ、キャラ濃いよなお前も……
僕より年上でも、同じ時代じゃん僕たち……」
(異国の言葉て……えひっ……
ほんとマンガのキャラみたいだこいつ……)
・・・・ともかく。
「いてらー……」
UFOキャッチャーに興じる恋姫。
鈴元はそこを離れ、店の奥へ。
いくらでもある、という言葉はウソではない。
タイトルだけなら誰でも知ってそうな名作もたくさんある。
・・・
・・・
・・・
鈴元が友人の名前に思いを巡らせていたとき――
「……えひ。」
恋姫はわリとすぐに来た。
口元には笑み。
カァーッ
烏のモンスターに人形も持っている。
どうやら成功したらしい。
「……お、それやんの……? えひ、センスある……
やっぱ、名作って言われてるだけある……ステマじゃない。」
ガチャ
「……本物というかぁ……
まあ……面白いぜ……誰がやっても。」
恋姫は近くの筐体に向かう。
それもSTGのようだ。あまり有名そうな雰囲気でもない。
「……全クリはむずいかもだが。えひ。」
陰気な笑みを浮かべる恋姫。
鈴元から、視線を筐体へ。
ジャララ!
・・・・座ってからコインケースを出す動きに迷いがない。
162
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/26(土) 02:40:49
>>161
「?」
「僕、変な事いうた?」
外国はこの男にとって異国である。
そこの言葉なのだから異国の言葉なのである。
それはなんとも奇妙な言語感覚であるかもしれない。
……
……
筐体の前に座った時、稗田が戻ってきた。
「あぁ、おめでとう。」
よかった。取れたようだ。
にこりと笑いかけて言葉を贈る。
失敗より成功のほうがいいと思う。
「へぇ。これそないに凄いんや。
適当に選んだけどよかったぁ。」
ツいてなくても、いいゲームは選べるらしい。
稗田の筐体のゲームについては知らない。
勉強不足なのだろうか。
「まぁ、がんばろかな。」
筐体にコインを投入し、ゲームを開始する。
横目でちらりと見てみると、コインケースが目に入った。
店の仕事で似たようなものを使った気もする。
個人で使用するものだったとは……
鈴元は淀みなくゲームをこなしていく。
(この鉄板みたいな敵さんは倒せんのよな。)
163
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 11:08:07
>>162
「ありがとな……えひ。
このキャラ、好きなんだよな……
強くはないが……僕はマイナーも好きだから……」
カァー
聞いてもいないことを言うあたり、機嫌がいいらしい。
筐体からは、視線をそらさないが。
カチ
カチ
「シューティングと言えば……って感じ。
王道、だな……RPGで言うなら『ドラクエ』的な……?」
「最近はオンゲだけど……
まあそれはそれで王道だし……」
……『ドラキュラクエスト』のことだ。
名作RPGシリーズ。
ともかく、鈴元と恋姫はお互いのゲームに集中する。
想像通り、鉄板の敵は倒せない。
だが、攻撃もしてこない。障害物だ。
パラララ
ドカン!
「えひ……」
恋姫の筐体の液晶では、無数の敵弾が表示されている。
桜吹雪もさながら、と思える、光弾の嵐。
敵を倒すというより、『避ける』事に注力しているようだ。
カチ
カチ
《ピチュン!》
「……あっ……クソ……抱え落ちた……」
コインケースには小銭がたくさん。
ゲーセンで使うためのものだろうか?
・・・・ともかく。
スック
「…………えひ。ミスった。お前の方はどう……?
スコアとかはあれとして……クリアできそう……?」
席を立ち、鈴元の後ろに立つ恋姫。
「えひ、後ろに立たれるの嫌なら……言えばどくぜ。
いきなり裏拳とか……そういうのはNGな……」
何かの漫画のネタだろうか?
表情はうかがいしれないが。
164
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/26(土) 22:18:54
>>163
「うんうん。好きなモンがあるんはエエことやね。」
世の中嫌いより好きが多いほうが気持ちよくやっていけるかもしれない。
もちろん、嫌いと上手く付き合えるなら嫌いが多くても十分やっていけかもだが。
「王道かぁ……なるほど。偶然選んだにしてはエエ感じやねぇ。」
「ドラクエが世の中のいろんな人と出来るようになったんは、まぁエエんかな……?」
ネット上の付き合いは顔が見えない付き合いだ。
現実とは違う部分が色々と問題になったりもするだろう。
誰もが争いたくて争っているわけではないのかもしれないが。
鉄板の敵は倒せない。
たとえ256発弾丸を当てようと、である。
しかし鈴元は順調に進めていく。鼻歌でも歌いだしそうなほど肩に力は入っていない。
大きい敵、小さい敵、中くらいの敵、機体は軽快に動き回り敵を沈めていく。
「なかなかやねぇ。」
ゲームもいよいよ大詰めと言ったところ。
一際巨大な敵が現れた。ボス、というものだろう。
「え?あぁ、エエ感じやで。」
「そういえば僕、もう一人稗田さんのフアンの人思い出したわぁ。」
「久染墨彦さんっちゅうねんけど。」
と、背後の稗田のほうに振り向いた。
振り向いてしまった。画面から目を離した。
昔から親に相手の目を見て話しなさいと言われ、その通りに行動した鈴元。
彼の操作する機体はあっさりと被弾。ゲームオーバーである。
「あ、あぁ。うふふ。目ぇ離したらアカンねぇ。」
「負けてもうたわ。」
165
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 23:20:31
>>164
「えひ、いきなり難しいのやるよりは……いいよ。
これでSTGハマってくれたら、布教成功……ってとこか。」
恐らく笑んでいるだろう声色。
同じ趣味の者が増えるのはいいこと。
「あと、僕はオンゲ……好きだしな。
『ドラクエ』のは、今はやってないけど……」
・・・・ともかく。
ドン
パパ
パチュ!
「……けっこう上手いな。
えひ、上手い事切り返してる……」
「……もう一人?
あれか……お前も僕の――」
感想を述べていた恋姫。
怪訝そうな声――
「すっ……」
ズガーーン!
鈴元の自機が落ちる。
恋姫は、虚を突かれたような顔で、静止したが――
「……えひ、ひ…………久染か。知ってるよ……あいつ……
意外とコミュ広いんだな。えひ、世間が狭いのか……? 人間関係的に……」
・・・・口元に手を当てつつ、頷く。
「えひ、もったいないな……
あともうちょいだったのに……」
桜色の視線を鈴元から、そのゲーム画面に向ける。
166
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/27(日) 00:06:38
>>165
「なんか、こういうんは敷居高い感じするわ。」
なぜだろうか。
「僕、こう見えてもゲーム結構好きなんよぉ。」
友達が少ないせいか店と家、学校の三つを行き来するだけの日もある。
たまの休みなどどうすればいいか分からず
友達を遊びに誘えばいいものを誘えずに家でおとなしくゲームや読書にいそしんでいる。
それゆえに鈴元涼にとってゲームの腕を磨くことは日課となっていた。
「僕が稗田さんの何?」
が、どれだけ熟練の兵士であっても一瞬の隙が命取りになるように
鈴元がどれだけゲームに慣れていても不注意で死んでしまうこともある。
今回はその例ともいえるだろう。
「へぇ。知ってはるんや。墨彦さんのこと。世間は狭いちゅうか。
運命的ちゅうか。自分が好きなアイドルに名前知られてるっちゅうんもオモロい話やね。」
ちらりと横目で筐体の画面を見る。
やはりゲームオーバーだ。
「時の運やね。画面から目ぇ離した僕が悪いし。」
「うふふ。惜しい惜しい。
でも、もう済んだ話。しょうがない話。」
「それにこのゲーム楽しかったわ。」
167
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/27(日) 04:41:13
>>166
ピコ♪
ピコ♪
「えひ、ピコピコとか言ってたくせに……」
まんまと勝手に騙された。
恋姫の視線はゲーム画面に。
すでにスコア登録の画面だが――今回の鈴元は圏外、らしい。
トコ
トコ
「えひ、敷居……まあ、ファミリーゲームではないしな……
昔のゲームだから、バランス調整もあいまいだしぃ……」
「……名作だけどな。えひ。
クリアできなくても、楽しいし。
クリアできたら、もっと捗るぞ……」
ストン
今度は、さっきとは別の筐体に座る。
「……あ? さっきのか……お前も僕のファンになるのかって。
そう言おうとした……言わせんなよな、恥ずかしい……えひひ。」
自分で言っといて恥ずかしいも何もあるまい。
ともかく、つまり、もう一人のファン=鈴元だと思ったらしい。
・・・・そして。
「……まあ僕はローカルアイドルだし……
お姫さまでも……臣民の名前くらい、知ってることもあるだろ……?
運命とかじゃなくて、常識的に考えて……」
「ほら……お前も……いるだろ?
名前知ってる常連さんとかぁ……」
和菓子屋とアイドルでは、随分違う。
まあ、世間話の一巻だろう、これも。
168
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/27(日) 23:24:43
>>167
「ピコピコはピコピコやろ?」
ピコピコはピコピコである。
鈴元は自分の得点が圏外であることを知る。
が、やはりというか特に何も思わず筐体にタイトル画面を表示させる。
「うふふ。調整が曖昧なんも味やねぇ。」
「次は勝ちたいわぁ。」
あまり力の入っていない言葉であった。
クリアしたいという気持ちはあるのだろうが真剣な感じはしない。
「僕が稗田さんのフアンねぇ……
うふふ。僕にアイドルさんはまだ早いわ。」
何が早いのかは不明である。
鈴元の中では何かがまだ早いらしい。
「常連さん?あぁ、確かにねぇ。覚えてるお客様はおるよぉ。」
「お店にお金落としてくれはるんは嬉しいことやし、ウチの店選んでくれはるんも嬉しいことやわ。」
「ありがたいことやねぇ。」
169
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/27(日) 23:39:39
>>168
「えひ……まあゲームが好きなんだったら……
何でもいいけど……呼び方とかはな……えひ。」
「楽しいならな……」
ピコン!
タイトル画面が表示。
スコアラーには相応の技術がある。
・・・・ともかく。
「……あんまガバガバ調整だとアレだけど……
えひ、まあ次プレイは……がんばれよな……ほどほどに。」
(次はなさそうだなこりゃ……)
力の入っていない感想。
社交辞令と受け取り、返す。
「ファンってのは冗談みたいなもん……
まあ……まじになってくれたら嬉しいが……」
「……えひ、僕の仕事は常連さん命だしぃ。」
チャリ
チャリ
コインケースを開き、100円玉を出す。
客はまばらだ。
「……僕はまだまだプレイするけど……
お前、どうする……?
えひ、ここでゲーム沼に落ちちゃうか……?」
ニマー
同年代のゲーマー仲間が増えるならそれはいいこと。
もちろん、あまり散財せず、帰るのもいいだろう。
ここはもう覚えたのだし、これから何度でも来れる。
170
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 00:00:01
>>169
「僕ゲーム好きやで。オモロいし。」
面白くないものもそれなりに好きである。
まぁ、あまりそういうゲームと出くわしてはいないが。
「ほどほどに。そやねぇ、ほどほどにねぇ。」
「昔、ピコピコばっかやってたら修行できんからやりすぎたらアカンって言われたわ。」
(僕は店継がれへんけど。)
自分は家にとってはただの労働力なのだろうか。
いや、そんなことはないはずだ。と自問自答してみる。真実のほどは不明である。
「はぁ、アイドルさんはそんな感じなんやねぇ。」
彼の家である和菓子屋は伝統とか色々なものも絡み合ってどれを尊重すれば言いか分かったもんではない。
上手く調整するのが大事だ。
「んーどないしよかなぁ。」
しばらくの沈黙。
答えが出たのか鈴元は口を開いた。
「もうちょっと遊ぼかな。今日は店番お休みやし。
ここでピコピコやってても怒られへんわ。」
(沼がなんかはイマイチ分からんけど。)
「そうや。さっきいうとった『Raven』?とか『デモグラ』?とか教えもらえるやろか。」
にこにこ笑って楽しそうに言葉をつむぐ。
この状況を楽しんでいるのだろう。
それからはっとした顔で唇に人差し指を当てた。
「もちろん。問題にならん程度でね。」
スキャンダルはこちらとしても避けたいのだから。
171
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 00:18:32
>>170
「えひ……ゲームは一日一時間ともいうしな……
でも……面白いことは……やめたくないよ。」
「……えひ。
廃人とかはアレだが……」
でも、恋姫はやめない。
ゲームの中では全部上手くいく。
・・・・止める者もいない。
「……常連ってか、ファンだけどな。
僕らはファンがいないと輝けない……」
ファンさえいれば、アイドルは舞台で輝ける。
……ファンがいなければ、何も出来ない。
「……えひひ、お前も……好きだな。
まあ、好きって言ってたもんな……」
「…………教えるならデモグラかな……えひ。
『Raven』はむずいし……ハマると面白いけど……」
ガタ
チャリ チャリ
席を立った。
そしてコインケースをポケットに直す。
「……えひ、わかってるっての。
スキャンダルなって困るのは、僕だしぃ……」
「デモグラは二階な……
あれは名作……初心者でもまあ、楽しめる……」
トコ
トコ
鈴元を先導するように、階段へ。
172
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 00:30:53
>>171
「ずっとオモロいままやったらエエのにねぇ。」
楽しい時間はすぐに過ぎる。
この時間もすぐに過ぎるだろう。
「なるほど。まぁ、僕らもお客様がおらんと商売できひんし……
なんちゅうか似とる感じはする、かなぁ?」
需要と供給の関係から見れば大抵のものはそうなのかもしれない。
ただし鈴元はそんなこと、微塵も思ってはいないのだが。
「うん好きやで。」
「うふふ。デモグラかぁ。今度は目ぇ離さへんよぉ。」
カラコロ
カラコロ
稗田の後に続く。
173
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 00:41:09
>>172
「えひ……ほんとにな。
ずっと、楽しいままだったら…………」
トコ
「まあいいか……」
コツ
階段を登りはじめる。
「どうだろうな……似てんのかな。
えひ、僕は難しいことは、あんまりな……」
そして、昇り終えた。
このフロアは一階より、薄暗い。
・・・・空気もやや異なる。闘争的だ。
大会告知のポスターなども貼られている。
「デモグラは……格ゲーだ。
対戦するゲームだから……初心者狩りとかもある……」
「……僕はそういうのはしない。
あと……一人プレイも出来る。」
トコ トコ
「僕とやる……? 一人でやる……?」
そう言いつつ、筐体へ向かう。
幾つか並んでいる筐体のうちの一つだ。
174
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 00:54:50
>>173
「うふふ。難しいことは僕も分からんわぁ。」
「二階は一階と雰囲気違うねぇ。」
ゲームの特色も違えば雰囲気も変わるのだろうか。
店側が意図的にそうしている部分もあるとは思う。
「あぁ、なるほどぉ。虎さんを狩るより兎さん狩る方が楽っちゅうわけやね。」
鈴元には理解できない感覚ではある。
しかし鈴元の理解に関係なく、初心者狩りは行われている。
それに鈴元は兎の側であるのだから、被害に会う可能性はある。
「僕のお相手してもらってもエエやろか?」
「僕とやってオモロいかは分からんけど。」
いいよと言われれば向かいの筐体に座ろう。
言われなければ適当な筐体に座る。
175
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 01:02:48
>>174
「えひ……ここはあれだ。
『対戦用』……スコアアタックとかに向いたゲーム……」
「僕はここが好き。」
なるほど、妙な熱気だ。
まばらにいる客は年齢層が高い。
・・・・恋姫が最年少であることに疑いはないだろう。
「……勝つのが楽しいやつもいるしぃ……
えひ、僕はそういうんじゃないからな……」
負けるよりは面白いが。
まあ、ともかく。
「んじゃ……対戦するか……舐めプはしないかんな。
……してほしいなら、してもいいけど。」
「……コイン入れて、対戦モードで。
あれなら……ちょい練習してからでもおk。」
ストン
手順を指示して、向かい合った筐体の片側に座る。
チャリン
そして、コイン投入。
これで恋姫側は準備完了。
176
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 01:13:50
>>175
「対戦用、そういうんもあるんやねぇ。」
ゲームにも色々あるのだなぁと感心している。
物珍しい訳でもないがきょろきょろと周りを見渡してみる。
客の年齢層が高い。新規ユーザーが少ないのだろうか。
それともいるが気付けないだけか。
「うふふ。安心したわぁ。狩られたらどないしようかと。」
よしんばされても文句を言わず強いと賞賛するだろう。
負けることに抵抗がないのだから。
「じゃあお願いするねぇ。」
「練習はちょっとさしてもらうけど。」
もう片側に座る。
チャリン
コインを入れ、ゲームを始める。
軽く二戦ほど済まして準備完了だ。
「僕準備出来たわぁ。」
ゲームセンター内の音に負けぬように呼びかけた。
177
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 01:31:06
>>176
気のせいか、『古強者』ではないが――風格のある客が多い。
もっとも、ゲーマーとしての風格、という意味だが。
・・・・初心者っぽいのはいない。
「……一人でやるゲームも面白いけどな。
こういう……対戦系とか、協力プレイとか……」
「いくらでもあるし……
えひ。遊びきれないくらい……」
ギュィーーン
ドカン!
バシ!
派手な音に掻き消されない程度の声量は恋姫にもある。
ともかく、鈴元は練習をして。
「……えひ、ちょい待ち。
僕の方ももうすぐだから……」
恋姫はそう返した。
一人プレイモードでもしていたらしい。
・・・・少しして。
「お待たせ……」
「んじゃ、そろそろ本番……
えひ、もっかい言うけど、舐めプは無し。」
初心者狩りと変わらない。
違うとしたら、合意だ。合意は重要だ。
ギュイーーーーン!
「……いい?」
恋姫側はキャラを選んだようだ。
(*時間がかかるので、対戦内容はカットでよろしいでしょうか?)
178
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 01:45:55
>>177
「僕一人でようゲームしてるわ。」
ゲームの相手がいないわけではないが、頼みにくいのだ。
相手が別にやりたいことがあったらと思うと頼みにくい。
今回はお互いゲームをするという目的があるので少しは気が楽だ。
女性だからちょっとアレだが。
「うん。待つわぁ。」
以前先生に教えてもらった腹式呼吸で返答する。
「うん、かまんよぉ。舐めプがなんかは分からんけど、手ぇは抜かんっちゅうことでエエんよね?」
鈴元はこの状況を初心者狩りだとは思っていない。
胸を借りるくらいの気持ちでいるだろう。
「じゃあよろしくお願いします。」
鈴元側も操作するキャラを選択した。
(はい。カットでお願いします。)
179
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 02:02:22
>>178
「えひ……僕も一人のことのが、多いよ。
リア充じゃないんだし、な……」
・・・・事実だ。
だが、そこは変化しつつある。
スタンドを得てから、知り合いも増えた。
あるいは、元からの知りあいとの交流も。
(僕の、僕だけの『ブルー・サンシャイン』……
僕の太陽……ってのはさすがにクサいか……)
「えひ、そういうこと……手、抜いたら面白くないしな……」
「んじゃ……
対戦、よろー……えひ。」
雰囲気が変わるとか。
そういうのは、ない。
ただ、大好きなゲームをするだけ。
・・・・
・・・・
・・・・
数分後。あるいは十数分か。
ともかく、二人は対戦を終えていた。
「えひひ……おつー。
……お疲れさま、って意味な。」
「……デモグラ、どうだ……?
格ゲーにしては……操作もノーマルだし……」
席から立った恋姫が、鈴元に声をかける。
その表情は陰気だが、喜色が見えた。
(*対戦結果はそちらにお任せします。)
180
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 02:18:35
>>179
「リア充?」
世の中には知らない言葉がたくさんある。
無知の知は重要である。
いや、知らなくても問題はないだろう。
「はい、よろしゅう。」
「もちろん僕は手ぇ抜かれへんしね。」
実力に差があるのにそういう事は出来ない。
全力を持って闘おう。もちろん、深みにはまり過ぎない程度に。
……
……
対戦は終了した。
「お疲れ様ですぅ。」
「そやねぇ、なかなかオモロかったわぁ。
相性とかもあるし、負けてる部分とか勝ってる部分とかいろんな要素が絡み合ってるんやねぇ。」
「勝てんかったんはちょっと悔しいけど、一本取ったりエエとこまでいったし、よかったわ。」
鈴元は笑っている。
けらけらと、いつも通りに。
「楽しかったねぇ。や、稗田さんがどうかは分からんけど。」
「またご縁があったら一緒にやってもらえるやろか?」
181
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 02:36:28
>>180
伝わらない言葉を吐いてしまうのは欠陥か。
少なくとも、使われる方に罪はあるまい。
まあ、ともかく。
「操作はノーマルだけど……えひ、奥は深いからな……
もう何年も、研究進んでるし……」
超王道。それゆえにプレイヤーは多い。
日々、キャラクターの深みは増している。
「腕だけで決まるってわけでもないからな……
全一クラスとかは別だけど……全一。最強って意味な。」
「現に僕が一本取られたし……えひ。
お前、格ゲーのセンスあるんじゃない……?」
陰気な笑みを浮かべる恋姫。
悔しさは皆無ではないだろうが――
「……えひひ。
僕がどうだったって……言わせんなよな。」
・・・・楽しんでいた。
「ああ……いいぜ。僕はここに、よくいるから……
気が向いたら、また……対戦よろ。別のゲームでもいいしな。」
辺りを見回す。
デモグラだけではない。いくらでもある。
恋姫も言っていたように。
それこそ、全部は極めきれやしないくらいに。
「……つーかそのセリフだと……そろそろ帰る感じか?
えひ、まあ……あんま金使いすぎるのもアレだしな……」
現実的な話だが、こづかいは無限ではない。
恋姫もそうだし、鈴元もたぶん、そうだろう。
182
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 23:45:31
>>181
「見方しだいでゲームの楽しみ方も変わるもんやねぇ。」
ゲームの研究か。
強くなる為にもっと楽しむためには必要かもしれない。
そこまで本気になれるならの話ではあるが。
「センス?ホンマ?」
褒められると嬉しいものだ。
たとえゲームであっても、自分の一面を認められるのであれば。
「うふふ。言わせんなって……そら、すんません。」
にぱっと笑って謝るようなことをいう。
「うん。また今度。今度はもっと強なるよ。」
どんなゲームでもいい。
今日のように遊べるのであれば。
まぁ、勝てればいいが。
イトマ
「まぁ、そやね。そろそろお暇させてもらおかなって。」
「あんさんはどないする?」
183
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/29(火) 00:02:40
>>182
「……研究なんてしなくても楽しいけどな。
えひ、でも強くなったら、それはそれでもっと楽しい……」
ニヤ
「センスあるなら、なおさらな。」
恋姫はゲームの話では、よく笑う。
趣味が合う相手とは、楽しく話せる。
・・・・ともかく。
「えひ……謝る事でもないだろ……
状況的に考えて……ネタで言ったようなもんだしな。」
「……僕はもうちょいいる。
まだやってないのあるし……」
恋姫にはやりたいゲームがある。
お金は無限ではないが、もうちょっとは使える。
「…………また今度な。
あんま、僕がここ来てんの……広めるなよな。」
積極的には、って意味。
隠し通したいわけではない。
「んじゃ、おつ―……」
・・・・小さく、手を振る。
184
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/29(火) 00:17:29
>>183
「うふふ。どっぷり深みにはまらんように気ぃつかわんとね。」
深みとは知らず知らずのうちにはまっているものである。
鈴元はもう片足を突っ込んでいるのかもしれない。
簡単に抜け出してしまうかもしれないが。
「うふふ。さいですか。」
「じゃあ、また今度。」
稗田に向かって小さく手を振り返す。
(もちろん広めんよ。僕にもそれくらいできるもん。)
さて、散歩の続きでもはじめよう。
楽しいことはまだまだたくさんありそうだ。
しかし、今以上の楽しみを見つけるには骨が折れそうだ。
そう思ってくすくすと口に手を当てて笑った後、鈴元はどこかへと消えていった。
185
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/19(月) 23:22:10
「なんや暇やなぁ」
うちは斉賀 淡。女子大生。
ただいま駅前のベンチで暇を持て余してるとこや。
「ぽっぽっぽー……」
ぱらぱら
そこらにいる鳩に餌でもやって反応をみて暇でも潰すか。
しかしなんで駅前には鳩がいるんやろうな。
186
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/21(水) 22:51:52
>>185
くるっぽー
くるっぽー
駅前に鳩がいるのは、今の斉賀のように餌を与える人間がいるからだろう。多分。
鳩たちは我先にと餌に群がり、最も素早い者だけが餌を啄んでいく。
皆必死だった。ちょっとして生存競争の社会がそこにはあった。
「あの、すみません」
そうして斉賀が暇を持て余していると、声をかけてくる少女が一人。
白いブラウス、ベージュのポンチョ。紺色のロングスカート。
年の頃は中学生ぐらいだろうか。いかにも大人しい優等生、という雰囲気の少女。
艶やかな黒髪を手で押さえ、斉賀の顔を覗きこむように体を傾げながら、少女が尋ねる。
「となり、座ってもいいですか?」
その少女は、買い物袋を片手に持っていた。買い物帰りらしい。
187
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 00:25:21
>>186
「フフフ、争え……もっと争え……」
なんとなく呟いてみたけどそんな黒い心は持っとらんで。
うちは餌を取れなかった鳩のほうに優先的に餌を放る優しい人間やねん。
「おっ……おお、もちろんええで。
お嬢ちゃん買い物帰り?」
ちょっと恥ずかしい独り言聞かれてもうたかな。
斉賀インバァラァストゥ
ベンチを横にズレてスペースを開けるで。
別にうちのケツがデカくてベンチを占領してたとかじゃなくて、
一人だからちょい真ん中よりに座ってただけや。
188
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 00:40:32
>>187
「あっ、はい。
ハロウィンが近いので、お菓子の材料を買いに」
少女は少し恥ずかしそうににこりと笑った。
斉賀のアレな独り言は聞いていたのか、聞こえていなかったのか。
「失礼します」
ともあれ、少女は一礼して空いたスペースにちょこんと座った。
買い物袋(それなりに大きい)を膝の上に置いて、一息つく。
「ふぅ」「……鳩、お好きなんですか?
でも、『争えー』なんて言っていじめたらかわいそうですよ。うふふ」
……なお、聞こえていたらしい。
189
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 00:52:32
>>188
「ハロウィン!
そういや、そういうのもあったやねー……
いつから日本上陸したんやろなあれ」
年々ハロウィンの存在感が増してきとる気がするわ。
ちょっと前までマイナー行事やったのに。
まあ、今でも子供達が家訪ねてトリックオアトリートとかそういうんやってるわけやなくて、
なんか店でハロウィンな商品が売ってたりする感じやけど。
やっぱり商売人の陰謀やろか。
「い、いや、ちゃうねん。
アレはちょっと口をついて出ただけっちゅうか……
イジメとらんし。
まあ、鳩は……うん、鴉よりは好きやな」
あの歩くときに首を動かすあたりがええよな。
でも見た目はスズメのほうが可愛えと思うわ。
190
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 01:01:10
>>189
「どうなんでしょうねぇ。
あたしが子供の時はもうありましたけど。
幼稚園で仮装パーティなんかしたりして」
くすくすと、口元に手を当てて上品に笑う。
「ふふ、好きな子ほど苛めたくなるって奴ですか?
大抵の人は鴉より鳩の方が好きだと思いますけど」
なんて、冗談めかして。
この少女の中で、斉賀は既に『鳩が好きなお姉さん』に分類されたらしい。
ちょっとすれ違いがありそうだ。深刻なすれ違いではないかもしれないが。
191
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 01:16:46
>>190
「せやった?
幼稚園かー、幼稚園とかならやるかもやねー」
幼稚園保育園、小学校とか、子供の集まる場所ではそういう行事
行ってる印象あるわ。
というか、仮装ってあたり、バレンタインとかよりも子供受けはええ感じするな。
「別に鴉も嫌いなわけやないけどね。
なんやよう見たら結構可愛い顔しとると思うで。
鳴き声がダミ声すぎるのと、頭よすぎて逆にこわいところあるんが問題やな」
あとゴミ漁ったりするアグレッシブさも困るな。
まあ、鳩は鳩で糞害とかあるけど。
「それにしてもお菓子の材料っちゅうには大きな袋やね。
結構いっぱい作るん?」
192
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 01:34:32
>>191
「えー、そうですかねぇ……」
「あたし、昔から鴉は苦手なんです。
子供のころ、親に『鴉と目を合わせると目玉をつつかれるぞ』って言われませんでした?
それで昔から顔を合わせたら目をつつかれる! って思っちゃって怖いんですよね」
苦々しい顔を見せる。
鳩はともかく、鴉は苦手らしい。
「あ、これですか?」
言われて視線を膝の上の買い物袋に落とす。
「えへへ。友達の分と、近所の子供に配る分まで買っちゃいましたから。
結構ちゃんとしたの作るつもりですし、練習用の分もありますし……」
「ちょっと手痛い出費になっちゃいましたけどね。
お姉さんは、お菓子を作ったりします?」
193
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 01:46:29
>>192
「まー、カラスにちょっかい出していいことは無いやろうね……
あいつら人の顔も覚えて復讐しにくるとかいう話も聞いたことあるし」
うちは『スタンド使い』やからねー。
カラスくらい怖いと思ったことないけど、すごい危険生物ってわけやないけど、
普通の人だと怖いって思うんやろかやっぱり。
「近所の子供までかー。はー。
このご時勢に近所付き合いしっかりしとるんやねぇー。
なんか仕草もお上品やし、結構いいとこの娘さんだったりするん?」
「うちも時々作ることはあるけど、
やっぱりねー、店で買ったほうが美味いし簡単やし……
彼氏とかいればもっとこう、作ったりもするかもしれんけど」
うちはもっぱら食べるほうやからなぁ……
ハッ、だからといってデブではないで。
ちょっとまあ、どっちかといえばぽっちゃり系ではあるけど……
194
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 02:04:54
>>193
「それに、ゴミをつついてぐちゃぐちゃにしちゃいますし……
ウチの近くがナワバリになってるらしくて、よくやられちゃうんですよね……」
はぁ、とため息をついた。
「お上品だなんて、そんなことありませんよぉ。
ごく普通の、サラリーマンの娘ですとも。
一昨年ぐらいに引っ越してきたばかりなので、溶け込めるように頑張ってるんです」
「ちゃんとしたお店のもおいしいですし、最近はコンビニでも結構おいしいお菓子が買えますしね。
あたしもたまに買い食いしたくなっちゃいます。
お行儀悪いし、あんまり体によくありませんから、できるだけ控えてますけど」
なお、少女は特別太っているとかそういうことは無い。
少なくとも服の上から見る限りは、中学生並の肉付きだ。
「彼氏、かぁ……確かに恋人ができて、その人のためにお菓子を作れたら素敵ですねぇ……」
ほう、とため息。
今度は嫌悪感の混じったものではなく、羨望を込めたもの。
「でも、それならハロウィンよりもバレンタインデーですね。
そっちはまだまだ四ヵ月は先ですけど」
195
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 02:18:49
>>194
「ほらーそういうお行儀悪いとかちゃんと気にするとこが、
育ちがいい……というかこの場合は親御さんの教育がよかったっちゅうべきかな」
一方うちは……うん、改めて思い返すと買い食い多いわ。
……ちょっと控えよ。
「彼氏がいるからお菓子を作るんやなくて、
普段からお菓子を作るような女子力の高い子に彼氏ができるんやろか……
そういえばバレンタインっちゅうとチョコやけど、
ハロウィンのお菓子は……カボチャ? 君はどういうの作るのん?」
196
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 02:32:43
>>195
「ふふ、そうですね。
ありがたいことに、きっとお父さんとお母さんの教育が良かったんです」
ちょっと誇らしそうにそう答える。
両親が褒められるのは、とても嬉しい事だ。
「どうでしょうねぇ。
そもそも、男の人がそんなにお菓子食べるのかなとも思いますが……」
お菓子が好きなのは、まぁどちらかと言えば女の方だ。
男も菓子が嫌いと言うのは少数派だろうし、女からもらえれば嬉しかろうが。
「ああ、はい。あたしはカボチャのクッキーを作ろうと思いまして」
買い物袋の口を少し開き、斉賀に見せる。
中には砂糖の瓶やバターの箱、卵のパックに加え、ごろんとカボチャも入っているようだった。
確かにこれは少し重かろう。
「もしお菓子で使い切れなくても、カボチャなら他になんでも作れますしね。
お味噌汁に入れたり、煮物にしたり……」
197
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 02:43:15
>>196
「んん? ということはお菓子作りの好きな女の子は
女同士でキャッキャするためにお菓子を作っとるんか?
女子力高そうなのに、むしろ彼氏からは遠ざかった気ィするで」
謎やな。かといって、うちのように自分で食う用にお菓子作るのも
むしろ女子力低い感じやし。謎や……
「なるほどねー
カボチャはお菓子にしたってなんかちょっと健康的な感じしてええしな。
でも重そうやなー。それで腕が疲れてベンチで休憩ってわけ。
お姉ちゃん持って行くの手伝ったろか?」
ところで味噌汁にカボチャ入れるんやな。このお嬢ちゃん家は。
うちん家は入ってたことないわ。
なんかその家特有のレシピってあるやんね。カレーにちくわとか。
カボチャは入れるの入れないのどっちのが一般的なんやろな……
198
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 23:00:19
>>197
「男の人は別に女子力の高い女の子が好きじゃない、という話を友達がしてましたね、そういえば……」
まぁ女子力が極端に低いというのもどうかとは思うが。
女子力。女子力って何だ。振り向かないことさ。
「多分当日はお菓子をたくさん食べるので、甘さは控えめにするつもりです。
健康的かどうかは、ちょっとわかりませんけどね。ふふ」
と、手伝ってあげようかと言われて。
「えっ、そ、そんな、大丈夫ですよ。
家もそんなに遠いわけじゃありませんし、会ったばかりのお姉さんにそこまでしてもらうわけには」
慌てたように、というか慌てて手をわちゃわちゃ振る。
その後、ガッシリホールドするように買い物袋を抱いた。自分でやる、という意志表示のつもりらしい。
199
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 23:17:48
>>198
「女子力っていうのは、女の子らしさパワーって事やないんやろか。
女の子らしさが高いほど、男的には嬉しいんちゃう?
まあ、女子力の定義とかうちもよう知らんで雰囲気で使っとる言葉やけど。
男心は複雑っちゅうことか」
定義ちゅうても、なんか若者言葉っぽいからそもそも定義とかないかもしらんけど。
いやでも案外辞書とかに乗ってたりしてな。結構侮れんからな辞書。
「あ、そう?」
なんやこうまで買い物袋ガッチリ掴まれるとちょっと悲しいな。
いや、そうは言ってもうち、初対面のベンチに座ってただけの人やからな。
ちょっと馴れ馴れしすぎっちゅう話か。
200
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 23:35:40
>>199
「うーん……逆に男の人が言う『男らしさ』ってあるじゃないですか。
例えば筋肉がたくさんついてて喧嘩にも強い、みたいな人って、私たちからするとちょっと怖いですよね?
それと同じで、女子力が高いと喜ぶのは女の子の方なのかもしれませんね……」
つまり友達グループで「女の子らしくてかわいい」と評価されるような、アレだ。
必ずしも女子力がモテに繋がるとは限らないのだろう。
「う、す、すみません」
ちょっと悲しそうな斉賀を見て、バツの悪そうな顔をする。
「お気持ちは嬉しいんですが、流石に悪いので……」
「でも、ありがとうございます。お優しいんですね、お姉さんは。
そのお気持ちだけでも、ありがたくいただきますね。」
201
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 23:42:42
>>200
「なるほど、マッチョばかりがモテるわけではないと考えると確かにそうやな。
お嬢ちゃん頭ええなぁ すごいすごい」
ここで! すかさずお嬢ちゃんの頭を撫でる!
今しがた馴れ馴れしいとか反省したばっかり? ……記憶にございませんなぁ。
隙あらば積極的にスキンシップを取っていくのがうちや。
ナデナデ
「いやぁ、優しいなんて照れるわぁ。もっと撫でちゃう。
うちは斉賀ちゅうんやけど、お嬢ちゃんのお名前は?」
髪型は崩さないように。あくまで明るい雰囲気で冗談っぽく。
顔色を伺い、嫌がりそうなら冗談で収まるうちにサッと手を引くのが斉賀のたしなみや。
202
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 00:00:54
>>201
「わわわっ!?」
引いたと思わせたところでの素早い襲撃ッ!
その巧みなテクニックには結構ノンキしてた少女も結構ビビった!
「な、なにするがね急にっ!?
照れるにゃあ、あ、あたしの方だわさっ!」
そして飛び出す名古屋弁。
……標準語で喋っていたが、こっちが『地』らしい。
顔を赤くして、わちゃわちゃと抵抗にもならない抵抗をする。した。
「あ、あたしゃあ関東也哉子ですけども、そ、そんなことよりその、恥ずかしゅうてかんに……」
203
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 00:12:25
>>202
「おっ。いっがいー。
でもそんなところも可愛い可愛い〜」
ナデナデ
ふへへ。
若い子はええのう。
ちなみにうちの喋りはうろ覚えからの又聞きなのでホントに適当。
うち自身は大阪に住んどったことはないで。
「関東なのに名古屋弁ってか。
いや、これはさすがに何回もネタにされてそうやな。
可愛らしいものだからつい撫でちゃったけどごめんなぁ〜
パン食べる? 大分鳩にやってもうたからもうあんまりないけど」
ちなみに食パンや。
204
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 00:26:41
>>203
「も、もう! からかったらいかんに!」
顔を赤くして、ぷりぷりと頬を膨らまして「怒ってますよ」というポーズ。
悲しいかなあんまり迫力とかは無い。一応控えめに手を払いのけつつ。
「お、オホン!」
「そ、そうやって誤魔化してもダメですからね!
食べ物で釣ろうとしたってそうは行きません! あたし、鳩じゃありませんし!」
ついにはぷいっとそっぽを向いてしまった。
ただまぁやっぱり迫力とかは無い。
本当に怒っているというより、ポーズで怒っている部分が大きいようだ。
子ども扱いをしてほしくない子供の心境が少し近いかもしれない。
205
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 00:34:27
>>204
「あはは、ごめんなぁ〜」
食パンじゃ釣る効果は無いわなぁ。
ここで鳩の食べかけの素パンをもぐもぐ食べだしたら
そっちのほうが驚きやったけど。
「あっ」
也哉ちゃんに食パン渡すポーズとりながら笑ってたら食パン落としてもうた。
「うわっ、鳩めっちゃ寄ってきよる。
ちょっ……うわっえぐいなー。鳴き声うるさっ」
ポッポー
クルル
ルルッポー
元々餌のせいで鳩が付近に集まってたのに
塊で落としたせいか鳩がいっせいに群がって来おったで。
これもう食パン回収不可能やな。まあ地面に落ちたモン回収してもなんやけど。
206
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 00:51:06
>>205
「あっ」
ポトっと落ちた食パンを目で追う。
その件に関して也哉子には一切責任が無いし、そもそもなんか悪いことが起こったわけでもない。
元々鳩に与えられていた食パンが、うっかりまとめて投入されてしまっただけだ。
我先に我先にと鳩が食パンを漁る光景は正直エグイが、まぁ問題があるわけでも無し。
なのだが……
「す、すみません」
なんとなく悪いことをしてしまった気がして、也哉子は頭を下げるのだった。
自分が変に拗ねたせいで、食パンは犠牲になってしまったのではないか……
クルッポー クルッポー
クルッポー
クルッポー クルッポー クルッポー クルッポー
クルッポー
クルッポー クルッポー クルッポー クルッポー
「……ぷっ」
ごめんちょっといくらなんでもたかり過ぎ。
「ぷっ、あ、あはははははっ!
は、鳩、寄り過ぎっ、あははははははっ!」
なんだか妙にツボに入ってしまって、口元を押さえながらも爆笑してしまった。
207
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 00:58:18
>>206
「い、いんや、也哉ちゃんは悪ないで」
こいつら人の足を気にせず踏みつけていきよる……
ちょっと戸惑う光景やけど、也哉ちゃんが笑ってくれたんで
収支的にはプラスやな!
「ふう、やっと鳩も減ってきたわ……
餌も無くなってもうたし、うちもそろそろ帰ろうかな。
随分話しかけてもうたけど、也哉ちゃんは時間は大丈夫なん?」
208
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 01:15:36
>>207
そのまま、しばらく也哉子は爆笑していた。
箸が転がっても面白い年ごろ、という言葉があるが、それにしてもよく笑っている。
とはいえ流石に鳩が減ってくる頃になると、笑いも大分収まってきた。
肩で息をしながら、目元の涙を拭う。
「はぁー……」「すみません、ちょっと、その、取り乱しました」
……冷静になって、恥ずかしくなってきたらしい。
顔がちょっと赤い。というか先ほどから顔を赤くしてばかりだ。
「そう、ですね。
あたしもそろそろ帰ります。
あんまり遅くなると、お母さんが心配しますし」
そう言ってゆっくり立ち上がり、スカートの汚れを軽く払った。
軽く伸びをしてから、クルリと斉賀の方を向く。
「今日はお話ししてくださってありがとうございました、斉賀さん」
まずはぺこりと頭を下げる。
そして顔を上げて、前に垂れてきた髪を後ろに払ってから、にこりと笑いかける。
「それと」「呼び方」
「よければ『ヤーコ』って呼んでください。
友達は大抵、あたしの事をそう呼ぶんです」
209
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 01:25:17
>>208
「いやーこっちこそありがとなぁ。
もともと暇しとったし」
鳩に餌やってるとか、言うまでもなく暇人丸出しやん。
「へー、ヤーコちゃん。うん、こっちのほうが可愛いかぁ。
ほななヤーコちゃん。楽しかったで。
お菓子作りがんばって。またなー」
というわけで手を振ってお別れや。
あー、うちもなんかお菓子とか用意して子供に押し付けようかなぁ。
ハロウィンを口実に子供を撫でくり回せるかもしらん。
……通報されないやろか。
210
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 01:56:23
>>209
「はい。斉賀さんも、また会ったらよろしくお願いしますね」
小さく手を振ってから、踵を返す。
えっちらおっちら買い物袋を気にしつつ、帰路につくのだ。
(……味見、控えないとだわぁ。
あたし、太りやすいもんだでねぇ。気をつけにゃあいかんて……)
タイミング的にちょっと失礼なことを考えつつ、そのまま帰った。
211
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/10/31(土) 00:38:41
「トリックッッ」
「オアッッ」
「トリィートッッ!!」
『花火専門店 車屋』。
普段は木造の殺風景な軒先だが、今晩はどうやら電飾と甘い匂いに塗れているようだ。
つまり、店を挙げて『ハロウィーン』に乗っかっている。
和を看板に掲げておきながら、西洋に寄る。
見る人によっては滑稽に映るかもしれないが、これも商売。
イベントに乗るというのは大切なことだ。
そしてそれ以上に、ご近所づきあいは大事なんだよ、商店街的に考えて……。
そういうわけで、子供が近付いたら無差別にお菓子を渡す。
212
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/10/31(土) 23:31:24
>>211
トコ
トコ
…………人探しは専門家に任せた。
しばらくは、経過を待とう。
ビュ
ォォ
ォ
「っくしゅ……!」
「さむ〜……」
絶賛、ハロウィーン中だ。
もっとも恋姫はコスプレで街を歩く趣味はない。
(リア充どもじゃあるまいし……常識的に考えて……
しかし、どこもかしこもハロウィンイベ状態だな……
ネトゲん中と、都会だのリア充タウンだけじゃないのか……)
黄金町の商店街までとは。
ちなみに、今日は仕事帰り。
(さっさと和菓子買って帰ろ……帰ってネトゲしよ……)
ちょうど、花火屋の前を通り過ぎるところ。
子供と取るかは……まあ、牡丹の基準次第か。
213
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 00:33:18
>>212
「おっ」
通り過ぎる恋姫に気付き、歩み寄る。
長身の自分からして、一定以上背丈が低いとだいたい子供に見えるのだ。
「ハッピーハロウィン! お嬢ちゃん、お菓子はどうだい?」
威勢の良い声で話しかける。
恋姫の目の前に差し出されたバスケットの中には、ラッピングされたお菓子の山。
214
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 00:58:35
>>213
ビクッ
「えひっ……」
いきなりの大声。
不意を打たれたのは、下を向いていたのもあるが――
スク
顔を上げる。
(色々でっけえなこいつ……)
そう思った。
陰気な笑みを浮かべる。
「ハッピー、ハロウィーーン……えひ。
知らないやつからは〜〜って言うが……タダなら貰っとくかな……」
(期間限定の無料ガチャ……
えひ、引くよな……常識的に考えて。)
陰気な笑みを浮かべる。
ともかく、お菓子を受け取ることにしよう。
スッ
牡丹とは(たぶん)対照的に、白い小さい手。
伸ばして、お菓子をひとつとる。
(まあドロ甘いチョコとかだろうし……ちこりにやるか。)
「あれ? つーか……
ここって何の店だっけ……」
キョロ
キョロ
普段は利用しない店だ。
215
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 01:10:04
>>214
「ん?」
「そうそう、お菓子はもちろんタダだからね。
今後ともご贔屓に……」
見上げてくる恋姫に、目線を合わせるように膝を曲げて屈む。
姿勢も、まあ、そういう感じになるだろう。
恋姫の取ったお菓子は……
案の定、甘そうなパンプキン・パイ(手のひらサイズ)だ。
カボチャの餡の表面に、『車屋』という文字が刻まれている。
「ここは『花火専門店』だよ。アタシ、店主。
一応、けっこー昔からある店なんだけど……」
「まっ、このご時世だし、若い子は知らないよねぇ」
はぁ〜〜〜、と、嘆くようにため息をつく。
「お嬢ちゃん、この町の子かい? 商店街にはあんまり来ない?」
216
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 01:40:29
>>215
「えひ、どーも……」
(やっぱ初回無料だわな……
つーか、ダイレクトマーケティング乙……)
見上げる両目は桜色。
餡の文字に宣伝魂を感じつつ、パイを鞄へ。
そして。
「あぁ、花火か……そういやそうだったっけ……
えひ。ここはたまに来るし、この町の子だけど……」
(こいつは僕のこと知らないっぽい……
まあ、明らかにファン層じゃないし……)
花火屋。馴染みのない店だ。
あるいは祖母は知っているのかもしれないが。
「なんか……あー、あれだ。
ハロウィン過ぎて記憶ん中のMAPと一致しない的な……」
「つーか……
このお菓子手作り……?」
ハロウィーンへの本気度を感じる。
217
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 18:17:42
>>216
「ま、マップ……?」
最近の言葉は難しいものだ。
が、ニュアンスは伝わる。
「まあ、商店街も通り一色ハロウィーンだから、ちょっと面食らうよね。
ニュースでやってる、都会の派手な仮装パーティもいいけど……
こういう地方の商店街で、見知った顔とワイワイやるのも味があるさ」
駅前通りは、手作り感のある装飾や電飾で埋め尽くされている……
人通りは多くはないが、それなりに盛り上がってはいるようだ。
……やっている大人の自己満足的なものも、あるのかもしれない。
「ああ、そのパイも一応、アタシの手作り。
八百屋さんからカボチャもらってさ、昨日から仕込みを……」
「……あっ、でも、衛生は気を使ったから! ホントに!
ちゃんと道具も熱湯で消毒して、私もビニール手袋したし……」
自慢げな調子から一転、焦ったように付け加える。
ただでさえ、食の安全が世間で騒がれている時代。
『人が触ったものは食べられない』という子供も少なくない。
恋姫に『ばっちい』『食べたくない』と思われないように、必死だ。
「そう言えば、お嬢ちゃん、一人かい? お父さんかお母さんは?」
218
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 20:49:14
>>217
「まあ……盛り上がってるならなんでもいいよな……」
「いつもより人多いし……
えひ。仮装してるやつもいる……」
キョロ
辺りを見渡す恋姫。
いつもより、オレンジと黒の多いカラーリングの街並み。
ワイ ワイ
仮装もちらほら。
と、向き直って――
「……やっぱ手作り……衛生面も万全か。
えひ、まじ手ぇ込んでるよな……
お菓子屋さんでも通用すんじゃない……?」
(やっぱあれか……? 職人ジョブだし拘りあんのかな……
手作りスイーツ……えひ、見た目によらず女子力ポイント高い……)
妙な感心を覚える恋姫。
陰気な笑み。自分には料理は出来ない。
・・・・そして。
「僕これでも……14、だからな。
出歩くのに親とかいらないっての……」
「……どこまでロリに見てんだよ。」
(これだからスイーツってやつは……
えひ、そこまで言うこともないか……スイーツ系じゃなさそうだし……)
イラ
14にしては小さな、人形の様な容姿。顔を少し顰める。
心も、親の話をされれば荒れる程度には、まだ幼い。
219
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 22:33:40
>>218
「そうだねぇ。賑やかなのは良いこった」
町の活力は、そのままそこで生きる人々の活力になる。
経済がよく回る、財布の紐が緩む。必然、店の売り上げが増える。
>「……やっぱ手作り……衛生面も万全か。
> えひ、まじ手ぇ込んでるよな……
> お菓子屋さんでも通用すんじゃない……?」
「そ、そうかい? 味もきっと悪くはないと思うよ」
ホッ
恋姫のリアクションに、一人安堵する。
花火すらも『危険な火遊び』と毛嫌いする手合いもいるご時世だ。
提供する側もナイーブになる。
「っと、14。ご、ゴメンね……そっか、中学生か」
(もっと下だと思った……)
とはいえ一回りは年下であり、自分の目から見れば子供。
だが、けっして『お子様』ではない。そういう歳だ。
「あー、えーと、ホラ。アタシくらいの歳になるとさ……
お嬢ちゃんくらいの歳の子って、みんな同じに見えちまうんだよ」
「しかし、ハロウィーン目当てじゃないとすると。
どうしてお嬢ちゃん、一人でこんなとこ(商店街)歩いてたんだい?
……自分でいうのも悲しいけど、14歳の子が回って楽しい場所じゃあ……」
220
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 22:53:19
>>219
「えひ、DQNのバカ騒ぎは勘弁だけどな……
こういう……なんつーか健全な賑やか感はアリ……」
ニヤ
いかにも陰気なことを言う恋姫。
経済とかには疎いが、この雰囲気は嫌いじゃあない。
「あー……おう。」
(で、出た〜……僕は好みじゃないって言いづら奴〜……えひ。)
自分は食べないとは言いづらい感じ。
悪意のない相手には多少なり、憎まれ口も鈍る。
「んで……ああ、14、だ。
別に……そういうミスは気にスンなし。
ロリに見られんの嫌じゃあないし……えひ。」
陰気な笑みを深める。
・・・・そして。
「あー……仕事帰り。
隣の駅から帰ってきたとこ……」
キャスケットを被り、眼鏡で変装しているが――
何を隠そう、恋姫はこの町の『ご当地アイドル』だ。
221
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 23:11:37
>>220
「ウン、分かる分かる。
『独りよがり』の五月蝿さじゃあなくて、『みんなで』やってる賑やかさが良いよね!」
勝手に意気投合ッ! そして勝手に嬉しそうだ。
だがDQNの意味は知らない。
「ろり?
うん、まあ、幾つになっても若く見られたいのは女の性さね。
お世辞や行き過ぎはゴメンだけど……
って、仕事!? はー、その歳で……いやいや、歳は関係ないね、ウン」
「しっかし、立派なもんだねぇ… 世間が浮かれてる中ねぇ」
腕を組み、仕事をこなしてきたという恋姫に、勝手に感じ入っている。
それこそ遥か昔、家の次男三男は幼いうちから職人に弟子入りして技術を身につけたという。
男社会の職場で働く身としては、尊敬すら覚える。
一方で恋姫の様子には、気づいた様子はない。
知らないからか、それとも変装をしていて気づかないからか……
「ちなみに何の仕事してるんだい?」
能天気に、そんなことを聞く。
222
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 23:29:50
>>221
「……まあ……そうだな。そんな感じぃ……」
(リア充っぽい事言うやつだな……
まあ……雰囲気的に非リアじゃないだろう……)
積極的に『リア充』になりたいとは思わない。
「えひ……そこんとこは激しく同意。
んでもって、まあ、僕はあれだ……
ロリさで世間を浮かれさせるのが仕事っていうか……」
「……」
(ロリっての伝わってないな……向こうからしたら日本語でおkか? えひ。)
けど、若いままでいたい、とは思う。
今のままの自分でいたい――と。
・・・・なぜなら。
「……一応、アイドルってやつ。
つっても、今は……オフだけどな。いち町人Aって感じ……」
ニマー
陰気な笑みに、少しばかりの輝きが差す。
変装している意味がない気もする。
が、言いたくなるのが人情ってやつ。お祭りムードで緩んでいるのかもだが。
223
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 23:45:26
>>222
「アイドルかぁー、いやぁ大変だねぇ。そんな若いうちから、
…………エッ、マジ? テレビとか出るやつ? ……ホントに?」
目を白黒させる。
疑うことは知らないらしい。
「エーッ……ゴメン、アタシってばテレビとかあんまり見なくて気づけなくて……!」
「あっ、でも、気づかない方がいいのか……騒がれちまうもんね」
無駄にひそひそ声だ。
「やだ、手作りのお菓子とか渡しちゃったよ……」
「ゴメンね、変なもの押し付けて……」
224
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 23:58:04
>>223
「えひ……」
ニィ
笑みを深める。
アイドル。自分の輝き。
「まあ……テレビとかは出てないし……
マイナーだから、知らなくてもべつに……」
ヒソ
「えひ、気ぃ遣ってくれてサンクス……」
ヒソ
合わせるように、少し声を潜める。
少しだけ背伸びし、ひそひそ話をするようなポーズ。
・・・・そして。
「……」
「あ―……」
「アイドルへの貢ぎ物なら……事務所通さなきゃだけど……
このお菓子は、僕に……だろ?
なんつーか……そういう気づかいはイラネ、だよ……えひひ。」
アイドルの自分と、オフの――今の自分。
輝く自分と、そうじゃあない自分。
「トリック・オア・トリート……
今さらお菓子はナシで悪戯にしてくれ〜……ってのは、ナシ。」
「……えひ。」
同じ自分だけれど、少し、殻一枚分ほど……違う。
陰気な笑みを少しだけ深めて、恋姫は囁くように言う。
225
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/02(月) 00:19:44
>>224
>合わせるように、少し声を潜める。
>少しだけ背伸びし、ひそひそ話をするようなポーズ。
キュンッ
「……そうだね。アンタに、一度あげたモンだ」 ニカッ
恋姫につられるように、快活な笑みを浮かべる。
彼女がここに来たのは仕事じゃあない。
「アタシとしたことが、『無粋』なこと言っちまった。
……車屋謹製のパンプキン・パイ、是非ご賞味ください」
「あ、糖分は控えめだからね。その辺は気にしないで食ってちょうだい」
しかし、人々を浮かれさせ、笑顔にすること。
それを生業とするなら、きっと天職なのだろうと思った。
恋姫の仕事に少し、興味が湧く。
「……ね。名前、聞いても良い?」
「アタシ、牡丹。せっかくの縁だ、応援させてよ」
226
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 00:42:13
>>225
ス
スニーカーの踵を地面に着ける。
「えひ……そういう気づかいは……まあ、ありがたい。」
(……半分くらいは食うか。
せっかく僕にくれたんだしな……)
(なんて……ツンデレ乙。
えひ。セルフツッコミとか……)
鞄の中のハロウィンの贈り物を、再び意識した。
ファン達からの声援と、どっちも大切で、比べることは出来ないのだろう。
・・・・そして。
「……えひ……名前か。僕は稗田……恋姫。
芸名は稗田こいひめ……みんなのお姫さま。」
ニ マ --
「……これから、応援よろしくな。」
アイドルらしく、笑った。
同じ陰気な笑みにも、明度の違いがあった。
・・・・そして。
「……そろそろ行くわ。遅くなるしな。
ハロウィンイベントがんばれがんばれ……」
ヒラヒラ
「……えひ。大事な事だから二回。
んじゃあな、牡丹。ばいばい……」
小さく手を振って。
引き止められなければ店の前を、去る。
227
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/02(月) 00:48:35
>>226
「恋姫ちゃん、ね。よし、覚えた」
すっく、と立ち上がる。
明度の違う笑みを、目に焼き付ける。
次に会うのは、もしかしたら『アイドル』の彼女かもしれない。
「ウン、最近寒いしね……遅くなるともっと冷えるし。
アタシも、お菓子配るのに戻んなきゃだし。お別れだ」
「機会があったら、またオフに……お店にも遊びに来なよ。
お茶と、ちゃんとしたお茶菓子くらいは用意しておくからさ!」
去る恋姫の、小さくなっていく背中を見送る。
228
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 00:56:34
ブロロロロロ ・・・・
「うわ……」
バスが発車して行った。
「……てへぺろ。
ってやつか……」
イラリ
理由は単純。
時間を間違えたからだ。
・・・・さて。
(……どうするかな……ゲーセン行くか……?
それかリア充っぽくカフェで名前長いのでも飲むか……えひ。)
時間が浮いたわけだ。
駅周辺をとりあえず、歩き回る。
何か――面白げなものはないだろうか?
無いならゲーセンに行くし、そこで何かあるかもしれない。
229
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/11/02(月) 22:00:32
>>228
「見舞いって何を買っていきゃあいいんだ?」
「そりゃあお前……花とか。根がついたものは病気が根付くとかいって縁起が悪いらしいが」
「花ぁ? うーん、喜びそうにねぇなあ」
「あっおい、前を見ろ前を!」
男の子が余所見をしながら歩いてきた。
緊急回避しないとぶつかりそうだ。
年齢は小学生くらいだろうか?
子供なのでぶつかったところで大したダメージにもならなさそうだが……
230
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 22:13:56
>>229
ススス
トン
ちょうど今は、立ち止まってラインを送信していたところ。
――なので。
どん っ
「いっ……」
フラ
避けられずに、ぶつかった。
青い眼鏡がずれる。
クイ
(子供か…………消防くらいか?)
「……前向いて歩けよな。
人生は残機無いから……
ワンミスで終わるんだし……」
「……えひ。
そりゃ大げさか……」
スマホから目を離しつつ、言う。
倒れたりしてるなら一応助け起こすくらいはしよう。
・・・・自分のよそ見も原因だし。
231
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 22:25:11
>>230
「のわっ」
恋姫が立ち止まっていたためか、倒れるほどではなかったようだ。
男の子はよろめく。
「あっ、どうもすいません」
謝ってきたのは男の子と話をしていた相手、同じ小学生くらいの女の子のようだ。
大きなリボンなんてつけて、普段着には少し過剰な可愛さの服装をしている。
「センリ、お前も謝れ……どうした?」
「足首がぐきってなった……痛ぇ」
「ああ、そう……
あはは。すいませんねほんと……」
転ばなかったのに今はうずくまってしまった男の子を放って先に行くわけにもいかず、
女の子は恋姫に気まずそうな愛想笑いを向けてきた。
232
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 22:36:24
>>231
「別に……それ(謝る)ほどでもない。
気にスンなし……つーかお前こそ大丈夫かよ……」
ジロ
(なんだ……リア充か?
マセやがって……それか兄妹か……)
非リア的な思考に走る恋姫。
まあ、それはともかく。
(……見舞いか。)
「……あ、ちょいごめん。」
ス
「!」
スス
ス
スマホの画面を見ると、返信が来ていた。
男の子は心配じゃないわけじゃないが、さらに返信しておく。
ス
ススス
トン
「……はぁぁ〜〜っ……」
「……」
ニマ -
ため息。安堵の表情。
233
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 22:47:07
>>232
「ほら、なんかご機嫌斜めそうだぞ!? お前の足首はどうでもいいから早く謝っておけ!」
「うぐぐ、すいませんでしたァ!」
口では気にするなと言った恋姫だったが、リア充へのヘイトを敏感に見抜かれたか、慌てて謝ってきた。
ちなみに女の子のほうは小声だった(距離が近すぎて聞こえてしまったが……)
「おお、なんか機嫌が急に良く……?」
「あー痛」
恋姫の表情の落差に、おもわず小声で恋姫の機嫌メーターを実況する女の子。
一方男の子の方はやっと痛みが薄れてきたのか、眉根を寄せながらも立ち上がる。
234
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 22:55:52
>>233
「だから別にいいっての……
えひ、DQN相手じゃあるまいし……」
ス
トン!
メールアプリを閉じる。
非リア思考が漏れ出していたか……
「いちいち実況もいいって……
ゲーム実況者にでも憧れてんのか……?」
「えひ。」
悪態をつきつつ、男の子に視線。
「……あー、僕も回避ミスって悪かったよ。」
一応、謝っておく。
それから。
「……お前らもお見舞い?」
何となく気になって、聞く。
自分にも、その予定が出来たからだ。
・・・・まずは差し入れを買うことだが。
235
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 23:02:59
>>234
「あ、すいません」
「そこで謝ってたらきりがねーんじゃねーか……?」
さらに謝る女の子。おそらく実況に対しての謝罪だろうが、
男の子につっこまれてしまっている。
「ああ、うちの姉ちゃんがなぁ。なんか交通事故? で入院して」
「そのお姉さんの友達で同時に事故にあった人が、私の知り合いでして、
じゃあ一緒にお見舞いに行こうかって話になりまして」
「もう見舞いの品とかいらなくないか? 顔だけ見れば……」
「お前は家族だからそれでいいかもしれないけど、こっちはそうもいかないんだよ」
彼らも見舞いの品をこれから買いに行くところのようである。
「『も』ってことは、お姉さんも誰かのお見舞いに行くんですか?」
236
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 23:16:44
>>235
「えひ、別に怒ってるわけじゃないし……」
キリがないので止めよう。
実際、謝られる理由もそんなにないし。
(……普通にクラスメートとかか。
消防なら男女でも喋るか……常識的に考えて。)
リア充じゃなくても、ってこと。
「事故か……まじ生きててよかったなそれ……」
(残機、ないもんな……一発で全部抱え落ち……)
正直、他人事だ。
が、今は。そして『事故』は、少し親近感がわく。
「僕は……あ―……」
ポリ
「……」
ポリ
「友達、が。ちょっと……な。
怪我したらしいから、なんか差し入れようと思って……」
生きていたのはよかった。
だが、冷静に考えて――
「とりあえずメールして、返信待ちなう……えひひ。」
(重傷……だよな。
しかも、朱鷺宮まで……)
・・・・軽い事態ではない。
237
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 23:30:09
>>236
恋姫の男女感が微妙に露になる中、会話は進む。
「ええ、本当、無事で……いえ、無事ではないけど生きていてよかったです」
「まあ葬式とか面倒だしな」
「お前冗談でもそういうこと言うなよ……マジで」
男の子が小学生らしい散漫さをみせたりもしたが、女の子が注意する。
特に幼いながらもカップルとかそういう雰囲気は無く、ただの友達のようだ。
「そうですか……ええと、それなら一緒にお見舞いの品でも買いに行きます?
そのメールの内容にもよりますけど……」
「ん? 一緒に行くのか? 別にいいけど」
女の子がそう誘ってきた。
なんとなく恋姫に気を使った様子から社交辞令かもしれないが……
238
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 23:40:07
>>237
恋姫には友達が少ない。
男友達など、学校ではまさか、まさか……
「……」
「…………えひ。
シャレにならんけど……よかったよな。」
陰気な笑みを浮かべる。
そして。
スス
ス
「……なんかロールケーキ?
駅ナカで売ってるやつ希望か何とか……そういう依頼……」
「……えひ。
パーティ組む?」
(なんか気ぃ遣われてんのかこれ……?)
ここでフッておいてまた会うのも気まずい。
行き先が同じで済むなら、まあ一緒にクリアするのも悪くはない。
239
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 23:48:44
>>238
「ちょうど駅にいてラッキーですね」
「俺たちは何買えばいいんだ?」
「う、ん……まあ、お姉さんの買い物先でいいのがあればそれ買おう」
というわけで、3人はパーティを組むことになった。
小学生どもは買うものが決まっていないようなので、とりあえず恋姫についていくようだ。
「お姉さんのお友達は結構怪我、重いんですか?」
「こっちはどうだっけ?」
「1ヶ月と3ヶ月だな……お前、自分の姉の状態くらい覚えとけよ」
240
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 23:57:55
>>439
「えひ。タイミングいいよな……
RPGなら……あちこちたらいまわしされるとこだ。」
スス
トン
「んじゃ、いこ……」
トコ
トコ
駅の中へ向かおう。
そっちにはコンビニもあるはずだし。
(しかし朱鷺宮……あいつ意外にスイーツ好きか……)
・・・そして。
「……えひ、グレイズだな。
僕んとこも、ほとんど同じ……
ほんと……生きててよかった。」
(事故っつーか……アレだけどな……こっちは。)
トコ
「あ……ちょい寄らせて。
雑誌も頼まれてんだよな……」
とりあえずコンビニに寄る。
暇つぶしとか乱数調整ではなく、雑誌を買うためだ。
241
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 00:05:45
>>240
「雑誌ですか。ふむ。食べ物よりも暇つぶしのほうがいいか……?」
「スマホがあればいくらでも暇潰せるだろ。
少なくともうちの姉ちゃんは心配いらねー」
仔カルガモのように小学生ズが後ろをついてくる。
コンビニに入ると、それぞれ何を買うか探してか、いったんバラバラに離脱したが。
「コンビニによく置いてある総集編っぽい漫画なんてどうだろうか」
「俺はスルメイカにしよう」
「お前のお姉ちゃんスルメイカ好きなの?」
「姉ちゃんがいらなかったら俺が食う」
「ああ、そう……」
242
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 00:22:21
>>241
「えひ、僕のはあった……雑誌、と……」
恋姫は週刊誌を買った。
それと、もうひとつ。
デン!
「ゲームも欲しいらしくてな……
ハード持ってないなら、始める前からゲーム―オーバーだが……」
「まあ……持ってるだろ。
ゲーマー的に考えて……」
(もし持ってなかったら……
どうするかな……こいつらにやるか……?
朱鷺宮には僕のゲームでも貸してやるか……)
安価なDL専売パズルゲーム。
まさかハードごとくれ、ってことじゃああるまい。
「……んじゃ、ケーキ屋とやらに行こうぜ。」
トコ
トコ
お会計を済まし、向かおう。
駅ナカのケーキ屋。普段はまず行かない店だ……
243
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 00:33:59
>>242
「ハードとか聞いてないで大丈夫なんですか?」
「スマホのアプリでいいんじゃねえ?」
「ま、まあ、わざわざ買ってきてって言ってるんだから、
アプリはいいのがないんじゃないの? 多分……
私スマホ持ってないから詳しく知らないけど」
相変わらず好き勝手言いう少年少女。
女の子は結局、総集編な漫画を買ったようだ。
2人ともゲームには興味が薄いらしい。パズルだからかもしれないが。
「ケーキかぁ、うーん、コンビニのやつより高けーよなきっと」
「さあ……私も普段行かないから知らないけど、
安いのもあるんじゃないのか? とりあえず行ってみよう」
244
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 00:45:31
>>243
「……連絡先知ってんだし聞けばよかったか。」
「凡ミス〜……
えひ、てへぺろ……」
ニヤ
口で言うだけ。
舌を出してペロッとはしない。
「まあ……サプライズってことにしとこう……」
トコ
トコ
ケーキショップとやらに行こう。
どこにあるのかもしれないが――
「……ん。」
フワ
フワ
何となく甘い匂いが漂ってきた。
クリームとかそーいう匂いだ。
「えひ……クエストクリア、近いっぽいな。」
(妙なのにエンカしなきゃだが……
えひ、フラグ乙……つーか今は洒落ならん……)
子連れ恋姫だ。
絡まれたりはするわけにはいかない。しないだろうが。
245
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 00:54:47
>>244
「もしかしてこの姉ちゃん金持ちなんじゃないか? 美人だし……」
「美人ってことは関係あるのか? 確かに綺麗な人だけど……」
コンビニの安いものであろうと、ゲームを気軽に買うというのは
小学生からしたら大変金持ちに見えるらしい。
さらに2人で話しているせいか、遠慮のない言葉も飛び出す。悪口ではなく褒め言葉だが。
2人は特にフラグなどは感じていないらしい。
「ん? 安心しろ、立花も可愛いぞ」
「えっ、ああ、お、おう……」
「なんか今日は可愛い格好してるな」
「い、いや、この格好は母がな……」
と思ったらなんか男の子が女の子をテレさせている。
やはりリア充なのか?
246
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 01:09:17
>>245
「えひ……おだててもサービスとかは……」
イラ
「……ないだろ。
常識的に考えて……」
(急にイチャイチャデレデレしやがって……
少なくとも男の方は将来チャラ男なの確定的に明らかだなこれ……)
突如始まったリア充ムーヴ。
敵は外ではなく、内にいたとは……
(まああれか……?
微笑ましいラブコメってやつか……)
・・・・とはいえ相手は小学生。
「……こっちかなぁ〜?」
フワ
ちなみにゲームは600円くらいだ。
そして恋姫には、稼ぎがある。
トコ トコ
「…………! あれっぽいな。
リア充……スイーツオーラがプンプンしてる……」
「えひひ。
んじゃ、買うか……」
キラ
キラ〜
ようやっと、ケーキショップを見つけた。
少し客はいるが――並ぶとかはいらなさそうだ。
247
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 01:17:03
>>246
「あれがケーキ屋ですか。いい匂いがしますね」
2人で会話していて少し遅れ気味だったので、
女の子のほうが小走りでテテテと走って恋姫の横に並んだ。
男の子が褒めてくるのが苦手で、逃げてきたのかもしれない。
「スイーツオーラってなんだ!? なんか強そう」
「目には見えないオーラなんだよ……」
「くっ、俺にはオーラを感じ取れないというのか」
遅れて追いついてきた男の子が恋姫の戯言を真に受けて騒いでいる。
彼にとってオーラと言ったら戦闘力が上がりそうな言葉なのかもしれない。漫画脳か。
248
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 01:26:28
>>247
「あー……僕はああいう……
甘いお菓子、あんま好きじゃないんだよな。」
ヒク
鼻を少しひくつかせつつ言う。
これは、どちらかというと事実だ。
・・・・そして。
「えひ、気功術かよ……
まあ……オーラはともかく買ってくるわ……」
「ロールケーキ……
ロールケーキ……」
トコトコ
店の方に行く恋姫。
ここでケーキを買って、そのままバスで病院だ。
「すいませぇーん……」
買おう。
売り切れではないはずだし。
(そういや……梨はいいのか?
まあ……あとで聞いてみるか、一応……)
まあ多少の懸念はあるが――
249
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 01:36:43
>>248
ロールケーキは普通に売っていた。
フルーツがたっぷり入っているので、果物はいらないかもしれない。
「私はこういうフルーツがいっぱい入ってるのより、
なんにも入ってないシンプルなやつが好きだな。
昔は味の変化がないと飽きたりしたんだが、子供の舌だと単調でもいけるんだよな……」
「立花は幼稚園とか行ってたころのほうが大人の舌だったのか?」
「え?」
「え?」
小学生はなにかよくわからないコントをしている。
「おっクッキーあるじゃん。安いし、買おうぜ」
「またもやお前が食べたいだけだろ……」
250
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 01:48:51
>>249
小学生コントを後ろに聞く。
何ともフシギな内容ではあるが――
(大人ぶりたいなら分かるが……
子供ぶりたい……とかでもないよなこれ?)
(……えひ、消防トークに深読みもアレか。)
まあ……今はいい。
アリガトウゴザイマシター
「……」
トコ
「……? えひ、何か買うのか? スイーツってやつ。」
ロールケーキを買った恋姫。
これで差し入れセットは万全だ。
・・・・善は急げ。
そろそろ行こう。
(RTAじゃないけど……
ヒマしてるみたいだしな……えひ。)
何か買うならそれを待ち、バス停へ。
病院近くには駅があった――はず。
251
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 02:14:56
>>250
「ほら、行くぞー」
「ちょっ待て、今金を払う!」
女の子が、男の子を急かしている声が後ろから聞こえた。
そして小走りで2人が追いついてきて、3人はバス停へ向かった。
→ ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1439312622/93へ
252
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/07(土) 23:14:37
秋というにはまだ寒く、冬というにはまだ温い夜。
いつもの法被とステテコ姿で、震えながら駅前を行く。
夏の風物詩が花火であるなら、この時期の風物詩は―――
「どーもーーっ、空いてる?」
おでんの屋台だ。
駅前や飲み屋街によくある一軒の暖簾を潜り、適当に席を選ぶ。
この手の店は、広くないと相場で決まっている。
誰かの隣に座ることになるかもしれない。
253
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 00:03:14
>>252
「ねー、おみそ!」
と、隣からこの屋台には似つかわしくないほど幼い声が聞こえてくる。
どうやら先に座っていたらしいぞ。
「もっとおみそー!
おみそかけてなのー!」
そこには、小学生くらいしかなさそうな少女が、
おでんの串を持って店の人に何やらせがんでいた。
暖かそうなコートを羽織っているものの、少女一人だ
ちなみにその持っているおでんはちくわと卵…
そこに塗りたくられたかのように味噌が塗られている。
「んー…
もっとほしいのにーなの…」
どうやらその上にあったこんにゃくはもう食べ終えてしまったようだ。
味噌おでんを食べているらしいことはわかるが…
254
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 00:25:54
>>253
「大根とちくわとじゃがいも。
……あと日本酒、ぬる燗ね」
ひとまず注文を済ませ、隣の少女に向く。
子供が一人で来るような店じゃあない。
それは入るべきではないという意味ではなく。
「お嬢ちゃん、一人かい? お父さんとかお母さんは?」
こんな寒い日に、子供をほったらかしにしとくのがあり得ない。
加えて、この界隈ならもっと、子供が好みそうな店がたくさんある。
そういう意味だ。
255
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 00:29:59
>>254
「んー…
おみそおかわりーなのー」
そう言って卵を口の中に放り込んでまた何か要求している。
「…んー?」
自分に対して声をかけられた。
リルカはそう感じたのか、視線を牡丹の方へと向けた。
「おうち、すぐちかくだったからーなのー。」
そう言って白亜荘の方向を指差して微笑んだ。
額にゴーグルを載せている。
「おとーさんとおかーさん?
えーっと…たしかとーいとーいところ…
あ、そうだなの。」
そう言って両手をパンと叩いた。
「いまは『じごく』なのー!」
爽やかに答える。
「あ、あたらしーのなのー!」
そう言って次の味噌おでんが現れたのを見てまた微笑んだ。
256
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 00:40:58
>>255
>「いまは『じごく』なのー!」
「そ、そうかい……そりゃ、なんとも……」
反応に窮する答えが返ってきた。
『じごく』というのもそうだが、それを嬉々として答えているのもそうだ。
運ばれてきた燗を猪口に注ぎ、一口飲んで間を置く。
詳細を確かめる気にはならなかったが、想像はつく。
ロクでもない親だろう、ということだ。もちろん、それを子供の前で口にしたりはしない。
「……親父さん、この子の勘定、アタシと一緒にしといてね」
そうカウンター越しに告げ、改めて向き直る。
「今日は好きなだけ食べな」
「アタシ、牡丹っていうの。お嬢ちゃん、名前は?」
257
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 00:45:40
>>256
「でも、すぐにあえないし、
もどってこれないところっていわれたから…
ひとりでさみしくないようにしないとなのー。」
少しさみしそうにつぶやきながらまたおでんを食べる。
「おみそー、なのー」
すぐに味噌を要求し始めている。
「んー?すきなだけなのー?
ありがと!おなかすいてたからなのー!」
嬉しそうにリルカは微笑んで見せる。
そして、なんだかどんどんと注文し始めている。
「…あ、わたしのなまえはー…
たかいど リルカ っていうなまえなのー。
しょーがくせい、なのー。」
そう言って軽く頭を下げた。
家に住み始めたおかげか、小綺麗な感じである。
258
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 00:58:49
>>257
少女に気付かれないように、静かに奥歯を強く噛む。
どれだけロクデナシでも、この子には唯一無二の親ということだろう。
「……」
そして、やはり気付かれないように財布の中身を確かめる。
屋台のおでんは基本的に安い。その分、酒で利益を取るからだ。
大丈夫だろう。……たぶん。
「小学生ねー…… おでんが好きなの?
言っちゃあなんだけど、子供が来て楽しい店じゃあないんじゃない?」
それに、ただ食べるだけならコンビニの方がもっと安い。
尋ねつつ、箸でじゃがいもを崩す。
259
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 01:10:35
>>258
「んー、いっぱいたべられてしあわせーなのー。」
幸せそうな表情でむしゃむしゃ味噌おでんを食べ続ける…
いかにも何の悩みもなさそうな感じだ。
何も知らないのだろうか。
「んー?おでんは…
おみそがいっぱいもらえてすきかなーなの。」
そう言って味噌おでんをまた口の中に運んでいく。
「ここねー、おみそいっぱいあるんだよなのー」
そう言ってまたいろいろ食べ終えると…
「おみそーおかわりー」
そう言ってまた店の人に声をかけた。
「それに、えーっと…はくあ…そういうなまえのおうちに
ちかーいところにあったから、いってみよっかなーっておもってなのー」
そう言って軽く微笑んで見せる。
260
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 01:21:45
>>259
「味噌ねぇー。味噌も美味いねぇ。
身体にも良い。……まあ、食べ過ぎると塩分がアレだけど」
ツボからからしを取り、皿に落とす。
味噌もウマイが、酒のアテにはこっちの方が良い。
「はくあ? ……ああ、『白亜荘』!
ってーと、小学生ってことは『秋映学園』かい?」
寮の管理人は事情を知っているのだろうか。
ふと気になったが、そこまで首を突っ込むのも野暮だ。
続く言葉を飲み込んで、今度はちくわにかぶりつく。
「……っと、風が冷たくなってきたね。
お嬢ちゃん、寒くない? 大丈夫かい?」
261
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 01:25:59
>>260
「うーん、おみそだいすきだからなのー。
いっぱいあってしあわせなの」
軽く微笑みながらまたもぐもぐとおでんを食べた。
「んー、あ、そうなのー。
そこにいるのー。
おうちからちかいがっこなのー。」
どうやらその通りらしい。
一応彼女は管理人と話を通してある。
スタンド使いであるが故だろうか。
「んー、ちょっとまえはあつかったのに
こんどはさむいのー。
…でもこれはおいしいのー。」
コートを羽織っているが、やはり少し寒いのかもしれない。
おでんを食べているおかげでまだ暖かいようだが。
「おいしいのがいっぱいあるから、
ちょっとあったかいかなーなの。」
もうすでにおでんの串は6本くらいは皿の上に転がっている。
結構食べるのだろうか
262
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 23:13:54
>>261
「これ掛けときな」
自分の羽織っていた法被を、少女の膝元に載せる。
毛布の代わりだ。薄手だが、無いよりはマシだろう。
(なんだか、酔っ払うような気分じゃあないね。)
最後の大根を口に運び、熱燗を飲み干す。
カウンターに四、五枚札を置き、
「明日また来るよ。釣りはそん時にちょうだい」
「お嬢ちゃん、アタシ帰るから。食べ終わったら、
その法被、ここのおじさんに渡しといてもらってもいいかい?」
そう言って、席を立つ。
別れ際に、少女の頭を軽く撫で、暖簾の外へ。
「うー、さむさむ……」
263
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 23:17:23
>>262
「ん、ありがとうなの。
ちょっとあったかくなってきたのー。」
嬉しそうに牡丹に顔を向けた。
「あー、もうかえるなのー?
じゃあ、これはおじさんにわたしとくからねなのー」
そう言って大きくうなずいてから牡丹に大きく手を振る。
「おねーちゃんまたあおうねなのー!」
そう言って彼女を送ったあと…
「あ、おかわりー!」
またしてもリルカは味噌おでんのおかわりを注文したのであった。
264
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:01:34
『プオォ――z__ン』
「……随分遠くまで来たもんだ」
列車が走り去る。
『真紅のスーツ』が、改札を抜けて、駅から出てくる。
腕には、鮮やかな赤の『トランク』。
胸には、金に輝く『バラの造花』。
265
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/11(水) 23:08:55
>>264
「……うおっ。」
(なんだあれ……派手なカッコしてんな……)
ジロ
『宝塚』に反応する少女が一人。
べつに知り合いでも、ない。
(なんかのコスか……?
えひ、それか『スーパースター』か……?)
桜色の目。黒いロングヘア。
人形の様な顔立ちの、小柄な少女――『稗田 恋姫』。
この町のご当地アイドルだが……まあ、あまり有名でもない。
チリン
チリーーン
そして。
「……っと。」
走って来た自転車を避けようとして――
コロッ
「あっ……」
手に持っていた袋から、『ガチャガチャのカプセル』が落ちた。
コロコロ
コロリ
ちょうど、『宝塚』の前に。
「あー……」
(変なフラグ、立たなきゃいいけど……)
拾うために、歩み寄っていく。
266
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/11(水) 23:12:23
「…………くぁ。……」
「うぅ。……」
あくびが漏れたのを、拳の甲を当てて、塞いだ。
「町並み、は……変わら、ない。……か」
黒髪黒瞳の少女が歩いている。
眼が大きく、視線の動きは定まらず、落ち着きに欠ける。
退院してしばらくぶりに、町を散策に歩いてきているのだ。
>>264
(宝塚)
気づいてはいない。
こちらが気づけば、『知り合い』だったのを思い出すだろう。
267
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:18:52
>>265
「……ん?」
足元に転がってくる『ガチャガチャのカプセル』を無造作に拾い上げ――
ようとして、寄って来た少女と目を合わせる。
「おいおい、気ィ付けなよ?
――しかし、これ」
気安く声をかけたあと、
足元の『カプセル』を見つめ。
「どっかで見たこと、あるような気がすんなあ……
なんだっけ、『モット君』とか何とかいう――」
遠い記憶を探るように、そう呟いた。
268
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:22:22
>>266
足元に視線を落としているので、まだ気付いていない。
もし気付けばすぐに思い出す――いや、そもそも、
何年会わずとも、忘れるはずがない。
269
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/11(水) 23:27:52
>>267
(宝塚)
「えひ、すいませぇん……」
ス
陰気な笑み。
しゃがみ、拾う。
カプセルの中身は『空っぽ』だ。
・・・・そして。
「……モット君、知ってんのか……えひ。
そのカプセルだよ……お前もあれに課金したクチか……?」
「もしそうなら……
人は見かけによらないな……」
思わぬ共通の知人。
笑みをこぼしつつ、カプセルは袋に納めた。
(……てことは、こいつも『そう』か。
バーゲンセール……えひ、いまさらか。)
>>266
(鷲ノ巣)
もちろん知らない顔だ。
目線の端に入ってはいるが――
(めっちゃ挙動不審だなあいつ……『キョロ充』か?)
(僕も……人のことは言えんが。えひ。)
あまり気には留めていない。
鷲ノ巣が一方的に恋姫を知っている可能性は、ないではないが。
270
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/11(水) 23:36:44
>>269
(稗田)
キロ リ
眼が動く――知った顔、よく知らない顔、記憶を探る。
覚えている……ような? イマイチはっきりとしない。
(当然でもある。タレントがそこらを歩いてるという発想がないからだ。)
(…………級友。……は、ない、ね。……)
穏当な選択肢。『無視』。
視線を外して、歩みを進めようとしたところで、
>>267-268
(宝塚)
「………………え」
「え、ええ――ッ!?」
声が出た。自分に似合わない大声だ。
咄嗟に来ている服を隠すように両手が胸とスカートのあたりを彷徨う。
ゴシック調のボレロにスカート。退院したばかりと『キメすぎた』。
奇異の眼で見られるのはまだいい。知り合いに見られるのは――
チリリ
かけている『土星のネックレス』が首元で揺れる。
271
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:44:31
>>269
「ああ……昔『15万』ほど突っ込んだ。
フィギュアも手に入れたんだが――どこやったかな、あれ」
忘れちまった、と豪快に笑い、
ふと、寂しげな顔を浮かべた。
「そう――そん時は『知り合い』に案内してもらったんだった。
懐かしいな……今、どこで何やってんだろう」
寂寥感をはらんだ風が、駅前を吹き抜ける。
>>270
> 「え、ええ――ッ!?」
「ん――!?」
突然の『叫び声』に、『まさか』って顔であたりを見回す。
今の声は、『まさか』。
「れ」
「――――廉?」
突然現れた『知り合い』に、少し間の抜けた声で呼びかける。
272
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/11(水) 23:58:45
>>270
(鷲ノ巣)
>>271
(宝塚)
「15万か……スマホゲーなら十分廃人だよな、常識的に考えて。」
自分はそれよりも多い。
なんだか金銭感覚がマヒしそうだ。
ビュ ォォ
風。そこに込められた意味は、恋姫には推し量れないが――
「あー……その知りあいってのは、僕は知らんけど……」
「モット君なら……僕、たまに遊ぶよ。
マフィーもだけど……ゲーム通信プレイで。」
ゲーム仲間だ。ともだちコードも知っている。
ときたま『狩猟ゲーム』で通信協力するのだ。
・・・・それを教えたのは、なんとなくだ。
「どこ住みかとかは知らんけど、この辺で――」
と、そこに鷲ノ巣の大声。
(えひっ、声でけえ……)
「えひ……知りあいか……」
(気まず〜〜……)
知りあい二人、初対面の恋姫。
ここで気さくに話せるほどのコミュ力はない。
そういうわけで。
「あー……僕はお邪魔キャラかなこれ。
えひ、まあ、後はお若い二人でごゆっくりぃ……」
・・・・その場を去ろうとする。
止められれば止まる。
が、まあ、知り合い同士積もる話もあるだろう……
(世間ROMって14年は経つんだし……そこんとこは空気読むわ……)
273
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 00:16:55
>>271
(宝塚)
久しぶりに会った。宝塚は変わっていない。自分は――自分は?
少なくともあの頃着ていたのは、制服が多かった覚えがある。
(それよりも、挨拶……挨拶……って、なんだっけ)
グルン グルン
思考が脳内を駆け巡り、動悸が止まらない。
久しぶりに会うのだからなんと声をかければいいのか。
「…………ぅ……ぁ。……」
《ガギ ギ》
声が出ない。いっそ逃げ出してしまいたい。
『自己防衛本能』が生じ……それに『応じる』。
ズズ ズ・・・・・
ギヂ ギヂヂン
『瑠璃色の像』、『巨眼の怪物』が姿を現し、本体に覆いかぶさる。
大顎を擦り合わせ、噛みしめて、異様な音を立てている。
>>272
(稗田)
既に意識から外れている。
スタンドの像は目撃された……、かもしれない。
274
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 00:29:15
>>272
「そうか、モット君もマフィーも元気でやってんのか。
いや、最近見てなかったから何かホッとしたぜ……ありがとな」
礼を言うと、立ち去る稗田を見送る。
「あー、ま、そうだな……いや、気を使わせちまったか。
またなーッ」
>>273
「あー、『久しぶり』だな」
稗田を見送った後、鷲ノ巣と正対する。
その落ち着かない様子も、今は懐かしい。
……少しばかり動揺が激しすぎる気もするが。
「こら、廉。アタシ相手に遠慮はいらねえだろ。
『今まで通り』――それで、良いんじゃねえか?
とりあえず、『久しぶり』。だろ?」
鷲ノ巣の発現した懐かしい『それ』に、
何ら躊躇わずに歩み寄る。
影を踏まないように、そっと。
(こんな流れでブン殴られたことも――あったっけか)
275
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/12(木) 00:35:35
>>273
>>274
(鷲ノ巣、宝塚)
「えひ……気にスンなし。
マフィーに会ったらよろしく……」
「んじゃ……」
トコ
トコ
その場を歩き去った。
その目には――
ズズ ズ・・・・・
ギヂ ギヂヂン
(……やっぱスタンド使いか。
ここで帰ったのは……えひ。
フラグ的に、ミスじゃなさそうだな……)
「……こわちか〜。」
鷲ノ巣のスタンドを捉えていた。
危険そうなヴィジョン。
どうやら、今日の自分は空気を読めていたらしい。
276
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 00:46:19
>>274
(宝塚)
《ギギ ガギィー》
唸り声を上げているが、飛びかかりはしない。
本体はあわあわと口を開いて閉じたりしている。
>「こら、廉。アタシ相手に遠慮はいらねえだろ。
>『今まで通り』――それで、良いんじゃねえか?
>とりあえず、『久しぶり』。だろ?」
「…………………………」
「……は、はひ。……」
バッ
気が抜けたような返答しか出来ず、口を抑えて顔を背けた。
みっともない、みっともないが……こんなものかもしれない。
「うれ、しいです。……その、ひさ、しぶり、に、会え、て。……」
「え、えと。……旅行、です、か? 移住、とか?
もし、そうなら……住むところとか決まって……?」
何を聞いたらいいか判らないので、思いつく質問を聞いた。
277
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 00:54:53
>>276
「――ああ、アタシも嬉しいぜ、廉」
ニカッ、と笑う。そうだ、これでいい。
「んー、まあ『引越し』だな。ちょっと『心機一転』したくなってよ。
いらないもん全部処分したら、これしか残んなかった」
手持ちの『トランク』をさして笑う。
「住むとこも決めてねえな。これから探すつもりだけどよ……
廉、いいとこ知らないか?」
278
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:08:33
>>277
(宝塚)
「…………そ、そうなん、です、……か」
『嬉しい!』 改めてそう思った。
言葉には出さない。表情にも……いや、表情には出るかも。
両手で頬を押さえ、火照っているのを改めて実感した。
「…………いいとこ、いいところ。
えっと、ええと……アキラさん、いくつ、でした、け」
「あ、あ……でも、大丈夫、か……な?」
スマホを取り出し、マップ検索を開始する。
279
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 01:13:05
>>278
「おうよ。廉もこっちにいるなんてなあ……
また会えて良かったよ。本当に」
幾分声のトーンを抑えて、実感の篭った声で言う。
一切偽りの無い本心だった。
「お、どっか紹介してくれるのか?」
「アタシ?『24』だけど」
なにやら検索を始めた鷲ノ巣を、
期待をこめて見守る。
280
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:19:56
>>279
(宝塚)
「が、学生でなくても……えと、もしかしたら。……」
ス
スマホの画面を宝塚に向ける。
表示されているのは――『メインストリート』の一角。
『白亜荘』、という場所のようだ。『学生寮』とあるが……
「ここ、オーナーが篤志家? で……ええと、えと。……
面接みたいなのでOKが出る、と入れる、かも、です」
「あ、一緒に行きますから、大丈夫です。説明しますから。……」
わたわたと手を振って必死な表情で伝える。
281
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 01:25:59
>>280
「が、『学生寮』……か」
思わず、自分の服装をまじまじと眺めた。
どっからどう見ても、間違いなく学生には見えなかろう。
「ま、まあ、廉がそう言うなら――(ダメ元で)行ってみる、か」
「入居者の口利きがあれば、多少通りやすくなるかもしれねえし」
自分に言い聞かせるように呟くと、鷲ノ巣の方を向いた。
わたわたする鷲ノ巣を落ち着かせるように、ポン、と頭に手を置く。
「っし、行こうぜ、廉。その『白亜荘』に」
282
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:34:17
>>281
(宝塚)
「にゅ、入居者じゃないけど伝手ありますッ!
お知り合いというかなんというかがええと……ッ」
――――どこまで説明したモノか。
あそこの特殊性などは、聞かれると引かれるかもしれない。
「い、いきましょう。大丈夫です、多分」
カツン カツン カツン
大股でぎこちない歩調で歩き出す。
どうなる、どうなる……不安はある。動悸は止まらない。
「……あ、は、は」
『楽しい』。これこそが出てきた甲斐があったというか。
「ま、また仲良くしてください、ねッ」
背を向けたまま、後ろに続くであろう宝塚に頼む。
正面から出は恥ずかしくて言えないからだ……
283
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 01:42:16
>>282
「ふゥん……ま、信じるぜ。
さあ、出発だ」
迷い無く、鷲ノ巣についていく。
『信じる』ことは、ちっとも難しくない。
「あったり前だろ?
これから、『また』よろしくな、廉ッ」
背中越しに、鷲ノ巣に言葉を投げかける。
顔を見られずにすんでよかった、と、少し思った。
きっと、照れ臭そうな顔をしているだろうから。
284
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:46:56
>>283
(宝塚)
「………………ッ!!」
嬉しさに肩を震わせながら――歩みを進める。
向かうべきは『白亜荘』。しかし大丈夫だろうか。
「(入れられるかもしれなかったんだよ、ね。……)」
「(『スタンド使いばかりの寮』)」
続きは以下のスレにて――
【個】学生寮『白亜荘』 その3
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1408367127/
285
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/12(木) 23:14:52
駅前のベンチに小学生くらいの女の子が座っていた。
頬杖をついて、ぼうっと植え込みを眺めている。
「募金詐欺……いやいや、無いな」
286
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/12(木) 23:58:11
>>285
佇む立花。
目の前の植え込みを眺めている。すると――
「しまった、高度調整ミスッ――」
『ボスッ!』
……植え込みに『誰か』突っ込んだぞ。
『顔面』から行ったらしく、ジタバタともがいている。
しかも『奇妙』なことに、
そいつは『空』から降って来たように見えた。
287
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:02:52
>>286
「……?」
空から降ってきた人間に、
少女は数秒ほど、ぽかんと口を開けて眼をぱちくりさせた。
「……あの、大丈夫ですか?」
とりあえず近寄り、定番の声をかけてみる。
だが頭が埋まっていて聞き取れるのだろうか。
それ以前に呼吸ができるのか。
288
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:13:28
>>287
「・・・!」
「・・・・・・!!」
何か叫んでいるようだが、全く聞き取れない。
どうやら、声は届いているようだ。
立花の危惧は正しいようで、バタバタする
手足の動きが徐々に弱まっていく。どうも苦しそうだ。
助けてみますか? Y/N
289
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:21:38
>>288
「大丈夫……ではなさそうですね」
さすがに見殺しにするつもりは無い。
しかしどうやって抜くべきか。
少女は力に自信はなかったし、『超能力』もこの状況で使えるようなものではない。
「と、言ってられる状況でもないか。
精々踏ん張るしかないな……」
助けてみますか? →Y/N
腰を掴み、ぐいぐい引っ張ってみることにした。
290
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:31:59
>>289
『グイグイ』
頑張って腰の辺りを引っ張ってみるが、案外しっかり
植え込みにハマっているのか、中々首が抜けてくれない。
「・・・ぬ!」 「・・・ぬって!」
何やら、そいつが叫んでいるようだが……
腕で、首の周りの植え込みを指差している。
そちらを先に『どけてくれ』ということだろうか?
291
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:39:29
>>290
「縫って……塗る……?」
言葉の意味はよくわからないが、
ジェスチャーはなんとなく伝わったようだ。
「痛たた」
袖で手を隠しても刺さる枝葉を、
痛がりながらもぐいぐいと掻き分けてみる。
292
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:44:41
>>291
チクチクする枝を掻き分けると、だいぶ息が楽になったのか、
ジタバタする動きがおさまった。
「ご、ごめん、だいぶ・・・楽になった・・・よ」
途切れ途切れに、植え込みから声が聞こえてくる。
そのまま、そいつは植え込みに足をかけた。
「呼吸さえできれば・・・っとォ!」
『ス ポ』
「あ、うわ、ッ」
そのまま踏ん張り、首を引っこ抜き――
勢い余って、後ろに倒れこむ。
293
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:53:26
>>292
「にゃあ!?」
少女は森ノ宮のすぐ前に立っていた。
そして森ノ宮が勢い良く頭を引き抜いた動きに、
なんかこう、足が当たったりして巻き込まれて、
具体的にどういった動きが加わったのかはわからないが――
森ノ宮(成人男性)の顔面は、立花(小学生女児)の尻の下敷きになったのだ!!!!!11!
これぞ古来より伝わるラッキー・スケベ・メゾットである。
294
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:59:59
>>293
『どこのtoloveるだよ!』と突っ込まれそうな状況になった。
「痛ててて・・・って、うわ、ごめん、大丈夫!?」
『お約束』みたいな反応をしつつ、
身を起こそうとしたが、立花が乗っかっているのに気付いた。
「ごめん、俺がちゃんと確認すれば・・・ええと、立てる?」
尻の下からなのでカッコはつかないが、
とりあえず気遣った。
ムリに立ち上がろうとすると状況が悪化しそうだしね!
295
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:08:16
>>294
「えっ? ああっ……すいません、乗ってしまって」
少女の慌てた声と共に森ノ宮の視界が開く。
森ノ宮は、自分の顔の上に乗っていたものが、色は白でクマのプリントであることを確認してもよい。
土に顔を突っ込んでいた森ノ宮に乗ったためか、
彼女の尻も土で少し汚れていることを見抜き、手で土を落としてやるのもいいだろう……
「……ええと、それで、大丈夫ですか?」
少女は再度訪ねてくる。
296
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 01:14:27
>>295
地の文でセクハラ方面に誘導されている・・・!?
「あ・・・っ、ああ、大丈夫さ。
息が出来ないんで、少しパニクっちまって。ありがとね」
チラッと『クマ』を見てしまったからか、
少し『罪悪感』的なものを滲ませつつお礼を述べた。
「こんな小さい子に助けてもらってたとは思わなかったけど・・・
いや、なんか情けないな」
「お礼に何かあげるものも、ちょっと手元に無いし・・・ううん」
何やら思い悩んでいるようだ。
297
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:19:54
>>296
「いえ、別にお礼は構いません。
顔、汚れてますよ」
少女は恩に着せるつもりはないようだし、
さらに言えば特に怒っても気にしてもいないようだ。
森ノ宮の顔についた土を優しく取る。
「……ところでなんで空から降ってきたんですか?
飛び降り自殺では無いと思いますけど」
298
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 01:30:01
>>297
「ありがとう・・・」
優しい子だ。ちょっと和んだ。
「あっ、その・・・『スタンド』、じゃない、『スタント』の練習中でね。
ちょっと『飛びすぎて』、着地に失敗したんだけどさ」
どう説明したもんか、と悩んでからこう言った。
「人が空を飛べる・・・って言っても信じてくれないかな・・・?」
299
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:41:40
>>298
「スタン……ト。スタントマンの方なんですか。
空を飛ぶというと、最近ネットで見ましたね。
ジャングルの王者……というか、ムササビみたいな感じのスーツを着て
高いところから飛び降りるっていう」
動画を見たい方はウイングスーツで検索だ!
「でも相当危なそうですね。
あなたは普通の服だから、私がネットで見た空を飛ぶ方法ではないとは思いますが、
やっぱり落っこちることもあるみたいですし。
まあ、スタントマンなら危ないのが仕事みたいなものでしょうけど」
300
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 01:49:38
>>299
「あれは良いものだ・・・でも高いんだよね、最低でも『10万』はするんだ」
安月給じゃ買えないよ、と肩を落とした。
「普段は落ちないんだけどね・・・この街で飛ぶのは初めてだから、
ちょっと『風』を捕まえ損ねちゃった」
そう言って、男は空を見上げた。冬の透き通った青が広がっている。
「・・・っと、なんだか随分話した気がするね。そろそろ行かないと・・・
そうだ、お礼ってほどじゃないけど」
駅前の『自動販売機』に歩いていく。
「この季節は冷えるでしょ、何か一本奢るよ」
301
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:57:59
>>300
(若手のスタントマン……確かに貧乏そうなイメージはあるな。
金はなくても夢はありそうだが。じゃなきゃあ好き好んで危険な仕事は選ばないだろう……)
「なんだかよくわからないけどカッコよさげなことを言いますね」
少女は手を後ろに組みながら、森ノ宮についてくる。
自販機を見上げた。
(断るのも悪いしな……暖かくて適当なもの……)
「ありがとうございます。
ええと、ではお茶で」
302
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 02:05:12
>>301
「ははは、男は『カッコつけ』てナンボさ――
まあ、さっきは最高にカッコ悪かったけどね」
自販機の前でICカードを取り出す。
「お茶だね、了解」
お茶とミルクコーヒーを買うと、立花にお茶を手渡す。
そうして、男は、駅前に立つ。
「それじゃ、俺はこれで・・・
『テイクオフ』、『スカイダンサー』!」
タタッ、と駆け出すと――男の足元に、『滑走路』が現れた。
傍らには、空色の『スタンド』。
男の体に、『グライダー』のような翼が現れ……たちまち風を捕まえる。
その姿はみるみる小さくなり、冬の空にとけるように消えていった。
303
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 02:05:58
>>302
304
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 02:13:36
>>302-303
「ありがとうございます」
再度お礼を言って、
両手でお茶を受け取り、喉を潤す少女。
「ブフッ!
ケホッ……エホッ……!」
だが次に森ノ宮が取った行動に、お茶を噴出した。
苦しそうにむせる。
「……コホッ
やっぱりかよ……というか一旦ごまかしたのに普通に発現するのか」
少女のつっこみは誰に聞かれることもなく、冬の寒空に吸い込まれていった。
305
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/18(水) 23:23:59
ビュオォ――ッ
『老師ッ!
ヤリマシタ!
厳シキ修行ノ末ッ
トウトウ『奥義』ヲ体得シマシタ!』
『名ヅケテ”絶招””槍如遊龍”ッ!
ミテクダサイ!老師ッ!穂村老師!』 ブンッ ブンッ
「へー、あっそ。凄いね。
これ月給22万円ッて書いてっけど、総支給か?
手取りだといくらくらいなんよ。
保育園中退に金の計算なんてできねーぞ」
『ア、アノ老師?』
後ろで『槍』を振り回すスタンドを無視し、
咥え煙草でベンチに寝ころびながら求人広告雑誌を眺めている。
306
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/18(水) 23:50:30
>>305
「・・・・・・『カネ』っつったか、今よォ〜」
何かの『におい』をかぎつけてやって来たぜ。
『アレッシーヘア』に厳つい『グラサン』の『ブ男』がな!
307
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 00:06:20
>>306
「あん?」
ヒョイッ
『老師ッ!
ポイ捨テハダメデス!』
求人雑誌を投げ捨て、声の主に向き直る。
ちなみに此方の容貌はトラ模様のYシャツに黒スーツ。
「よぉ。
今の仕事飽きたから、
暇潰しに仕事探してんだけどよ」
「なんかパッとしねーのな。
大体、大卒のみ、要エクセル技術てなんよ。
俺、ランドセルすら背負った事ねーし、
声変りしてから足し算覚えたんだぜ」
「無理無理。
やめたやめた。
んで、オタクは何?
半グレみてーな見た目してっけど」
308
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 00:15:00
>>307
向かい合う『どう見てもヤクザ』と『どう見てもチンピラ』――
『駅前』に『あってはならない』風景が展開されている。
「はァ―――?
いやいや、アンタ『小学校』すら行ってねーのかひょっとして」
「そんなもん『肉体労働』くらいしかねーだろ、仕事・・・
ま!おれも『高校中退』だがね」
呆れた。
「俺ァ通りすがりの稲葉こと『オカネスキー』よ。
だがまァ、ちょっとカネのニオイは薄まった気がするぜェ〜」
309
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 00:27:36
>>308
「俺?ああ、保育園中退。
なんかガキの頃捨てられたとかよ。
高校中退とかすげー高学歴じゃん」
ギュッ
煙草を踏み消し背後に投げ、
背後で構える偉丈夫のスタンドが慌ててキャッチ。
バシィッ
『ダカラ老師ッ! 「おめーが拾うの見越して
ポイ捨テハオヤメクダサイ!』 投げてるに決まってんだろ。察せよ」
「俺、穂村君ね。
黄金町のマスコットの穂村公康君。
仕事はアレよ。ヤのつく自由業で三次団体の組長代理とかそんなん」
「オタクは随分『銭ゲバ』な感じだけど、
仕事何してんの?サッカー選手には見えねーけど」
310
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 00:37:50
>>309
「・・・サラッと言われたがなかなか『ヘビー』な経歴よのォ〜」
苦労してんのな、というような表情を浮かべた。
グラサンのせいであんまり伝わらないかもしれん。
「フンフン、穂村か――って『ヤ』の字なのかよ!?
見た目通りじゃねーか、おい!」
見た目通りすぎる職業紹介に、「伏せろよ!」って感じで突っ込んだ。
「えぇー・・・今の仕事辞めたい、って、
そりゃ『足抜け』したいってこったろ?
そう簡単に行くモンなのか?」
まあその『ソレ』があれば大丈夫なのかもしれんがね、
という視線をチラッと『シュニッケンズ』に送った。
「あ?俺か?
いやそれが最近こっち越してきたばっかでよォー。
今は『職探し中』よ。ま、貯金はまだあるから当面問題ねーが」
311
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 01:10:27
>>310
「いやよ。
この間ネカフェで『サラリーマン金太郎』読んでよ。
ふと「サラリーマンやってみてェ」ッて思ったんだわ。
上司に「屋上へ行こうぜ…久々にキレちまったよ」って」
グッ
「言いてェ〜、と思ってよ。
ヤバくね?すげー痺れたわ」
「その程度の理由で職探ししてたんだけど、
やっぱタルイからやめたわ。ヤクザの方が楽だわ」
無表情のまま冗談めいた事を話す穂村。
『シュニッケンズ』は目を合わせて来た稲葉に会釈した。
「おー、おー。
アテもなくこっち来た訳な。
てか、おめーちゃんと挨拶しろよな」
『ハイッ!申シ訳アリマセン!
我ハ”フー・シュニッケンズ”!
穂村老師トトモに”武”ヲ極メントスル”スタンド”デス!』
シュビィッ!
片膝をつき、稲葉に自己紹介をする『シュニッケンズ』。
「はい、よくできました。
希望の職種とかあるわけ?」
312
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 01:27:19
>>311
「あー・・・それはマジな話なのか?」
冗談だよな?って顔で穂村を見た。
「おう、よろしくな。『フー・シュニッケンズ』・・・
慣れねーうちは噛みそうな名前だな」
「つーか当たり前のように出てるし普通に喋るのな」
(『モット君』みたいなモンなんかねェ〜)
なんか自己解決してた。
「希望の職種かァ〜・・・とにかく『カネ』だ!
『ドカッと儲ける』可能性がある仕事を探してる」
「そのためなら多少の『無茶』も覚悟よ。
『ヤ』のつく道には、まだ踏み込むつもりはねーけど」
そう言って、グラサンをグイッと持ち上げる。
両瞼に彫られた『¥』と『$』の『刺青』を剥き出しに、ぎらついた目を向けた。
「多少の『お手伝い』ならやれなくもねーぜ」
313
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 01:40:03
>>312
「いつだって大マジだっての。
なァ『バカ』?」 『シュニッケンズデス!』
「そーそー、それそれ。
おーッてお前、そのスミマジ?
拝金主義者だから『\』マークって。
ビックリマンシールを家の柱に張るガキのノリじゃねーか。
後でお母さんがカンカンに怒んぞ」
稲葉の瞼の刺青に多少驚いた様子を見せる。
「お手伝いねぇ。
俺ん所、風俗店とかオシボリとか
そんなんばっかだしハイリスクハイリターンな仕事は…」
「あ」
「あったわ。
知り合いの知り合いから回されてきた
厄介な案件が1つ」
314
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 02:00:38
>>313
「・・・やっぱどこも『漫才』ぽくなるのかねェ〜」
「大マジだぜェ。
むしろこれ以外に彫る『図柄』が思いつかねー」
瞼をグリグリやりながら笑う。
「・・・だよなー・・・
きょうび『ヤーさん』も安定志向ってやつか」
穂村の言葉に、やっぱりな、って調子でうなずく。
だが続く言葉に、目をギラッと輝かせた。
(金銭欲にまみれた)純粋な輝きだ。
「お?
なんかあんのか! 儲かりそーな仕事か、そいつァ」
315
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/20(金) 00:07:09
>>314
「あのよ」
「トーキョーに住んでる俺の『兄弟分』。
その兄さんが頼まれた仕事が俺に回ってきたんだけどよ。
詳しくは聞いてねーが、あの兄さんの『依頼』なんて、
『借金取り』とか『占有屋』とかそんなエゲつねーもんばっかだし、
第一俺ぁこの町から出たくねーし」
「なぁ?」
「おめーやってみっか?
どんなウシジマ君な仕事かはわかんねーけど、
金払いだけは良いと思うぜ。俺ぁ絶対にやんねーし、
オタクがやらないっていうならなかった事にすっけど」
316
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/20(金) 00:15:45
>>315
「ほォ〜・・・」
『エゲツない』 『カネ払いのいい仕事』
(・・・・・・
十分な『キーワード』じゃねーか、おい)
「おいおい、勝手に話進めんなよ・・・
んなもんお前、『引き受ける』に決まってんだろーが」
「この稲葉 承路さんの『黄金色』の人生にはよォ〜、
『儲け話』に『NO』と言う選択肢は存在しねーからな」
317
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/20(金) 23:45:48
>>316
「へー、やるのな」「オッケー」
液晶にヒビの入った最新スマホを取り出し、
「稲葉』の頭を軽く、ほんとに軽くこつく。
「『樊』の兄さんにはナシつけとくわ。連絡先交換しようぜ。
そん時が来たらこっちから連絡すっからよ」
318
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/21(土) 01:51:16
>>317
『コツッ』
「あだッ・・・へッ、まーそういうこった。よろしくなァ」
年季の入った『ガラケー』を取り出す。
(『買い替え』――? 動くんだからまだいらねーだろ。
そう『稲葉』は考えているッ)
そして連絡先を交換する――いや、
『交換する』と思った時には既に交換を終えているッ!
要するに交換『した』。
「おう、頼むわ。『連絡』待ってるぜェ〜」
「じゃ! そうと決まれば長居は無用だぜッ
またな穂村ッ!そしてその厳つい『スタンド』よォ」
そう言うと、待ち受ける『カネの予感』にウキウキ気分で去っていく。
319
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/29(日) 23:17:53
――駅前 ゲームセンター
デッ デデッ デデン!
パーパパ パー ♪
「…………」
電子音のファンファーレ。
最近では自己ベストの記録。しかし。
(……なんなんだ、この感じ。)
「……えひ。」
(ダメだ……何しても、アガらない。)
少し無理に笑みを浮かべる。
空しい。筐体から離れる。
(あいつのせいだ……
あいつが、余計な事、してくれるから……)
・・・・あの日から。
「はぁ〜〜……」
(馬鹿じゃねえの……くそ、くそ。)
長いため息をつき、ゲーセン内を歩く。
320
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/29(日) 23:42:48
>>319
チャリンッ♪
「おっと」
紙幣を小銭に両替して、取り出し口から100円硬貨を取り出す時。
ちょっと手が滑っちゃって、一枚の100円硬貨が零れ落ちてコロコロと転がっていく。
まぁたかだか100円、慌てるようなものでもないし、どこまで転がるのか目で追っていくと……
コツン
おや、誰かの靴にぶつかったようだ。
視界に入るのは小さな靴。多分女の子の靴。
そのまま視線を上に移せば、あれま可愛らしい黒髪のお嬢さんじゃないか。
ちょっと不機嫌そうだけど、ゲームの成果が良くなかったのかな。
「やーごめんねお嬢ちゃん、手が滑っちゃってさぁ」
ともあれ僕はにへらっと覇気のないスマイルを浮かべながら、100円を拾おうとそっちに近づいていくわけだ。
321
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/29(日) 23:53:01
>>320
コツン
「……」
足に何か当たった。
100円玉――顔を上げる。
(……なにへらへらしてんだ……イラつく……)
イラ
「……なにじろじろ見てんだよ。事案発生すんぞ……」
視線を感じて、眉を顰める。
人形の様な顔立ちの、眉間にしわ。
「……早く拾えよ。」
不機嫌さを隠せない声。
少し足を引いて、拾わせてやろう。
・・・・拾ってやる義理はない。
322
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 00:08:31
>>321
「わぁ辛辣ー」
「へいへい拾いますよって」
ただでさえ猫背気味な背をさらに丸め、ひょいとしゃがんで硬貨を拾う。
そのまま小銭入れに投入すれば、無事にミッションコンプリートだ。
それでまぁ、このまま立ち去ってやりたいゲームやってもいいんだけどさ。
「しかしお嬢ちゃん、随分不機嫌だねぇ」
「切れたナイフかよって感じだけど、なんかあったのかい?」
「それとも、大人は無条件で嫌いなお年頃かな。やだなぁ、気づけば僕も立派なオジサンだよ」
すっと立ち上がって、見下ろす形で話しかけてみるわけだ。
相も変わらず覇気のない表情でね。これは素だからしょうがない。
なんでそんなことするのかって、なにせほら、そっちの方が面白そうじゃないか。
323
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 00:25:13
>>322
「…………」
イラ
イラ
(くそ、八つ当たりとか……
DQNもいいとこだろ……常識的に考えて。)
「……別にぃ?
何もないってぇの……人をDQNみたいに言うなよ。」
シッ
シッ
「さっさとあっち行けよ……
あっちで脱衣麻雀でもしてろ……」
手で払うようなジェスチャー。
こういうタイプは着いて来たりしそうだからだ……
トコ
トコ
(見下しやがって……保護者気取りかよ……)
イラ
イラ
対戦ゲーム台の方へ行こう。
気持ちよく勝てば、気分も晴れる、かも。
324
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 00:37:11
>>323
「不機嫌にせよ反抗期にせよ、人類平等に抱える悩みだと思うけどねぇ」
「まっ、そんなに言われちゃオジサンも傷付いちゃったから退散しようかな」
微塵も傷ついてない顔で、僕は踵を返すわけだ。
うん、そりゃ興味はあるけど、こうもにべもなく返されちゃうとね。
というかここでついてっちゃったら最悪不審者扱いでお縄だからね、僕。
元々ガンシューのためにお金崩してたわけだし、そっちに行くのもやぶさかじゃないわけだ。
さて、そんなわけで怪しい男を撒いた恋姫だが、対戦ゲーム台は現在人気が無いようだ。
対戦がしたいなら誰かが入るのを待つか、あるいは先に入って乱入を待つか、だが。
325
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 00:58:58
>>324
対戦ゲーム台には人がいない。
トスッ
恋姫は迷わず腰を下ろす。
しかし、周りにも人はいない。
イラ
イラ
(……何でこんなに、イライラするんだ。)
「……」
ガタッ
椅子から立ち上がる。
そして、意味もなく店内を歩き回る。
(……もう、帰ろうかな……
でも、帰っても、お婆ちゃんいないし……)
グル グル
「……」
(もうちょっと……遊んで帰ろう……)
トコ
トコ
縦シューはもうやりつくした。
今日まだ手をつけていないのは……ガンシュ―ティングだ。
そっちに行こう。
(ゾンビとテロリスト、撃ちまくろう……
そしたら、イライラもなくなるかも……)
「……えひ。」
トコ
トコ
無理やり陰気な笑みを浮かべ、そっちへ。
326
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 01:14:24
>>325
そうしてガンシューの筐体に近づくと……
「あれ、また会ったねぇ」
ガンシューに興じる僕と遭遇する訳だ。
現在テロリストと交戦中。イベントシーン中で微妙に手持ち無沙汰なところだね。
「ああ、ガンシューやるのかい? 悪いね、脱衣麻雀やってなくて」
「始まったばっかだし、なんなら入ってってもいいけど」
「おっとイベント終わった」
ババババと、画面に向けて引き金を引く。
その度に、画面の中のテロリストが胸を抑えて倒れていった。
さて次は右から来るんだったかな。ソロだと対応面倒なんだよね。
327
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 01:46:52
>>326
トコ トコ
「……うっさい。こっちみんな。」
ガンシューの筐体に歩み寄って。
(何でこんな展開になんだよ……
あいつが全部の、悪いフラグだったのか……?)
チャリ
ン
「……やるよ。
待つのも、めんどいし……」
(……ここでやらないと、もっと、駄目になりそうだ。)
ポケットから100円玉を出して、入れる。
ガシ
つまり、2Pでエントリーだ。
銃を握る。画面を見据える。
ババババババ
「……脱衣麻雀、気にしてんのか?
だとしても……スコアは、やんないから……」
(言いすぎだったか……?
くそ、何でこんな、上手くいかないんだ……)
・・・・右から来る敵を、撃つ。
328
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 02:05:04
>>327
「いらっしゃーい」
顔は画面に向けたまま、一瞬だけ視線をそっちに向けて、また画面に戻す。
何があったのかは知らないけど、入って来たからにはゲーム攻略の相方だしね。
細かい事情を聞くとかするより、まずは目の前のテロリストを一掃する方を優先しなきゃ。
「おっ、ナイスカバー。やるねぇ」
「こりゃオジサンも負けてらんないかな、っと」
ババババババ
バババババババ
上、左と出てくる敵の出がかりを潰していく。
そこそこやり込んでるから、パターンは覚えてるんだよね。一面だけは。
二面以降も覚えてるけどちょっとうろ覚えだ。まぁ相方の腕次第だけど、なんとかなるでしょ。
「ちなみに脱衣麻雀もたまにやるからそんなに気にしてないよ、僕は」
「最近脱衣麻雀置いてあるゲーセンも減ったんだけどねー。あれはあれで麻雀ゲーとしては癖が強くて面白いんだけど」
「主流はネット対戦の本格麻雀になっちゃったし、割と寂しいんだこれが」
イカサマシステムとか、理不尽難易度とかね。
そもそも二人麻雀って時点で中々。確かアガリ率上げるために配牌偏らせてるんだよね、意図的に。
そんなことを、テロリストの屍の山を築きつつ話すわけだ。ちっちゃい女の子と。あ、これ事案かな? セクハラっぽい?
329
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 23:05:01
>>328
「カバーじゃねえよ……
僕のスコア、稼いでるだけ……勘違い乙。」
「褒めても何のフラグも立たないぜ……」
ババババ
ババババババ!
引き金を引き、銃口の先を動かす。
このゲーセンのゲームは、たいていやった。
・・・・それこそ脱衣麻雀とか以外。
(2Pプレイ、捗る……けど……
やっぱ、もやもやは……無くならない……!)
電子上のテロリストを何人薙ぎ払い、スコアが何点増えようとも――
「聞いてないっての……
自分語りで建つのはたいてい死亡フラグ……」
脱衣麻雀トークには特に何も思わない。
ゲームの話だし、このくらいは、なんでもない。
ババババ
(……こいつ、やりこんでるな。)
「……お前、ゲーマー……?
……だから何、ってわけでもないが……」
何となく、聞く。
無言でいるよりは、心に何かしら吹き込む気がして。
330
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 23:26:07
>>329
「それツンデレライバルキャラの常套句じゃない?」
「野菜の星の王子様とか」
軽口を叩きながら、バスバスと見えない弾丸を画面に打ち込む。
キャバァーン!
ドォォォォォォーン!!
画面の中で爆発音。
ここからステージは地下に移動するんだ。
まず最初に落石を排除するために炸裂弾を撃たなきゃいけないから、今のうちに弾丸を切り替えておく。
「背景語りは勝利のフラグでもあるさ」
「負けられない理由があるんだー、みたいな。脱衣麻雀で負けられない理由も何もないけど」
ドッパォォン!
で、炸裂弾発射。
これが一番壁壊しが早いんだよ。ガシガシ発射だ。
「んー、ゲーマーって言うか、遊び人?」
「いや定職にはついてるけど。学生時代からよくゲーセン通ってたしね」
「そういうお嬢ちゃんは、ゲーマーなのかな」
「これで初見ですゲームはほとんどやりません、とか言われたら才能の格差に軽く凹むとこだ」
331
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 23:47:59
>>330
ガチャン!
弾丸の種類を切り替える。
落石排除のため。
ドッパォォォーーン!!
――撃つ。
「こんなテンプレ台詞言うツンデレ……
リアルにはいないっての……アニメの見すぎじゃね……」
「つーかアニメでも、絶滅危惧種だろ……」
ドッパォォーン!
もう一発。これで落石はクリア。
画面が移動し、切り替わる。
ガチャ!
(この後は……
硬い敵出てくるトコ……)
「負けたら、ハダカが見れねえんじゃねえの……?
えひ、そんな理由で勝利フラグ立つのは、ギャグキャラくらいだな……」
ク
少しだけ、口角が上がる。
ムス
(……こんなしょうもないトークで笑うとか……チョロインかよ……)
すぐに、またへの字口になる。
気分まで戻るわけじゃあない。
ガチャ
……弾種をまた切り替える。
「遊び人……将来は賢者か、スーパースター……?
僕は……ゲーム、好きだよ。ここもよく来てる……
つーか、初見プレイでこれならプロゲーマーに転職不可避だろ……」
ドバァーーーン!
ドバァーーン!
「……常識的に考えて。」
沸いて来た重武装のテロリストを撃つ。
撃ちながらだと、少し、口が軽くなる気がする。
332
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 00:06:29
>>331
「次代の流れを感じるね。悲しいなぁ」
バオッ!
バオッ!
重武装テロリストを倒していく。
……微妙に撃つタイミング調整して、できるだけトドメを奪えるようにしつつ。
まぁできるだけだけどね。スコア勝負挑まれたんだから、このぐらいは応じとかないと。
「できれば転職先は勇者がいいかなぁ」
「システム上無理ってツッコミは無しの方向で。ダメなら次は盗賊でも始めてみようか」
バオッ! ドォォォーン!
最後の一体を倒す。
さぁいよいよボス戦だ。イベントシーンを挟んで出てくるのは……血塗られたダビデ象!
……すごいよねこのゲーム。
ここまでテロリストばっかだったのに、急にナチスの遺産がどうのこうの言い出して動く石像がボスなんだよ。
美しくも力強い、岩石の巨人が立ちはだかってくるわけだ。ジャンル変わり過ぎだろ。そういうとこが好きなんだけど。
ガチャッ
ババババババババ
「それを聞いて一安心。残念ながら現実はそう非常識じゃないらしい」
弾種を再び通常のものに切り替え、巨人を撃っていく。
なぜか盾を持っているので、相手が攻撃してくる瞬間が狙い目だ。
「しかし僕もここにはよく来るけど、やっぱゲーセンにいる他人って認識しないもんだねぇ」
「今日まで君のこと全然気にしてなかったや。多分何度かエンカウント自体はしてるんだろーけど」
333
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 00:33:59
>>332
「おじさんとロリの間には……埋められない溝があるもんだな……」
ドパァーーン
バオッ!
バオッ!
「あ……」
横取りされた。
思わず声を漏らすが、挑んだのはこっちだ。
「クッソ……盗賊が適職なんじゃねーの……
まあ……勇者も、人のモン盗んだりはするけど……」
(……プレイヤースキルの差を見せつけてやんよ。)
負ける気はない。
ガチャ
そして舞台は最終決戦へ。
まさかの動く石造だが、これに驚いたのは初回だけ。
(いつ見てもここ超展開すぎる……
ひょっとしてギャグでやってんだろうか……)
ババババババ
ババババババ
防御の間を縫って撃ちまくる。
「リアルはリアルだから……な。」
グァァァー!
石像が悲鳴を上げる。
そして、近くにある大きな岩を持ち上げる……そろそろ終幕だ。
ガチャ
「僕もあんまり……気にしてないし……
モブキャラか、そうじゃないかなんか、分からないしな……」
ドッパォォーン!!
・・・・岩に向かって、炸裂弾。
334
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 00:49:38
>>333
「うん、オジサンとロリの間には埋められない溝があるらしい」
「年季の違いって奴かな!」
ここぞとばかりに調子に乗って煽る。
まぁほとんどポーズだけどね。実際、スコア的にはどっこいぐらいか。
「箪笥漁りねー」
「人んちに上がり込んで箪笥の中漁っても許されるなんて良いご身分だよアレ」
「たまにめんどくさくなってスルーしちゃうけど」
「ちなみにお嬢ちゃんは賢者狙い? それともスーパースター?」
ババババババババ
バババババババババ
「世の中誰もが主人公だぜ?」
「……うわクッサ。自分で言っといてなんだけど引くねこれ」
「というかまぁ、いちいちゲーセンにいる人観察して覚えてるほうがレアだよね」
ガチャッ
ドッパォォォン!
弾薬換装。
炸裂弾を大岩にぶち込んで……破壊!
あとはラストスパート、よろけた巨人に残弾全部ぶち込むだけだ。
あんまり時間かかると自爆しちゃうから、早めに倒さないとね。
ガチャッ!
バババババババババ
335
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 01:05:59
>>334
ガチャ!
「えひ、言ってろ……!
年季の溝なんて、児ポ法の溝に比べたらベリーイージーだ……」
バババババ
ババババ
意味不明な煽りを返す恋姫。
こうして、『スコアを競い合う』のは――久しぶりだ。
ニヤ
「主人公ね……えひ、今時漫画のキャラでも、そんなこと言わないぜ。」
「ある意味勇者だな、お前……」
(僕も……主人公なのか? ……鬱展開ばっかで、やになるな。
えひ、でも、悲劇のヒロインになるには……王子様がいないもんな。)
顔には、陰気な笑み。
心の底の靄は、晴れないけれど。
「んでもって僕は………………スーパースター。」
「人気漫画の主題歌」
「歌えるくらいには……!」
ババババ
ババババ
石像を撃ちまくり、そして――
グォォォォオオ ――――!!!
ガラガラガラガラ
ドシャァァァーー!!
石像が、轟音と共に、粉々に砕け散った。
最後のイベントシーンが、始まる……スコアは、ほぼ同じ。
勝ったのは――――
336
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 01:21:08
>>335
――――――ボス撃破ボーナス分、勝ったのは僕の方だ。
「ふふーん、どうやら年上の沽券は守れたみたいだ」
「まっ、そもそも先に始めてた訳だから多少僕の方が上になるに決まってんだけどね」
エンディングが終わって、スコア表示画面。
バン、バン、バンと画面を撃ち、名前を入力してスコアを刻む。T・E・Kっと。
「人とやるのは久しぶりだけど、楽しかったよ」
「いやぁこの歳にもなるとゲーセンに付き合ってくれる友達も中々いなくてねぇ」
まったくいないってわけでもないけどさ。
でもまぁ、みんな段々こういうのからは卒業してっちゃうんだよね。寂しいなぁ。
だから、うん。こうして2Pプレイでスコアアタックってのは結構久しぶりで、素直に楽しかったわけだ。
「お嬢ちゃんはどうだった? 少しは気晴らしになったかい?」
337
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 01:42:09
>>336
「クッソ……負けたの、久しぶりだ。」
そもそも、このゲームで2Pプレイをしたことさえ。
「別に、くやしくなんか……ないんだからね。
えひ……どう? テンプレばっちりのツンデレっぷり……」
バン
バン
バン!
「オジサン世代に……どストライクか? 賞品にしといてやんよ。」
(……くやしいな、これ。
クソ、熱くなっちゃったな……)
刻む名前は、H・E・R。
陰気な笑みを浮かべて、そちらを見上げる。
「僕もまあ……」
「……クソゲ―じゃあ、なかったよ。イラつくけどな。」
少しは、気が晴れた。
内側で溢れ出した灼熱は消えないが――表に出た熱は。
「……別にお前のおかげとかじゃあないぜ。
ゲームが……面白かったからな。フラグは、無しだ。」
「……えひ。」
そう言って、また笑う。
人形の様な顔立ちは、本当は、よく笑う作りなのかもしれない。
338
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 02:02:47
>>337
「あっはっは、こりゃ嬉しいサービスだ。ありがたくもらっとくよ」
へらっと覇気のない顔で笑いながら、ガンコンを筐体備え付けのホルダーに置く。
流石に連コインするゲームでもないしね。気軽にもう一戦行っとく? ってボリュームのゲームでもない。
「楽しかったなら良かった、良かった」
「世の中楽しいことしてた方が楽しいからね」
別に世話焼こうとか、そういうこと考えてたわけでもないけどさ。
でも、不機嫌な人が多いよりは楽しんでる人が多い方が世の中楽しいじゃない。
ちょっと陰気だけど、可愛らしいスマイルも見れたしね。
「ちぇっ、未来のスーパースターとフラグ立てとけばおいしかったのになぁ」
「ま、攻略不可能キャラなら仕方ないさ。ルート実装の要望は運営に送っとかなきゃ」
肩を竦めて、筐体脇のカゴに入れていた上着を回収。
いそいそと羽織って、さて、そろそろ帰ろうかなって感じだ。
「でも、今度ゲーセンで見かけた時にでも、気が向いたらでいいから乱入なりなんなりしてくれるとオジサン喜んじゃうよ」
「さっきも言ったけど、最近ゲーセンに付き合ってくれる友達が中々いないんだ」
339
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 02:14:33
>>338
「えひ……言ったろ、溝は深いんだよ……
攻略したら、牢獄ルートでバッドエンドまっしぐら……」
「このご時世だからな。えひ……」
ガコ
ガンコンを置く。
手汗をぬぐう。
「まあ、スーパースターになっても遊んでやんよ。
……もちろん、スキャンダルにならない範囲で、な。」
(ゲーセン誘うような友達は……今、いないしな……)
入院している『友達』の顔が浮かぶ。
もう少しだけここで遊んで、お見舞いにでも行くか。
「かえんの? 乙……
僕はもうちょい、楽しいことしていく……」
ヒラ
ヒラ
保護者気取りのいやなやつじゃなく、ゲーム仲間。
そうわかったのだから、小さく手を振って見送ろう……
340
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 02:21:52
>>339
「そうだねぇ。法的にも、マスコミ的にも、事案にならない程度にね」
「じゃ、元気でねー」
手をひらひらと振り返しながら、立ち去ろう。
おーさぶ。いよいよ冬真っ盛りだね。
今夜は鍋でも作ろうかな……なんて考えながら、帰路につくわけだ。どっとはらい。
341
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/13(日) 02:02:49
一人の男がベンチの上に寝転がっている。
顔に新聞紙をかけて、眠っているようだ。
非常に邪魔である。
「……」
ごろり、と寝返りを打ち……
「がっ。」
ベンチから転げ落ちた。
男は起き上がり、きょろきょろとあたりを確認している。
342
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/13(日) 22:16:16
>>341
チャリン チャリン
「・・・なにやってんだ、ありゃあ」
ここで駅前の自販機の小銭入れを漁るブ男が一人登場ゥ〜
ベンチから転げ落ちた『伊丹』を呆れ顔で見ている。
「まったく情けねえ姿よのォ〜・・・ガキには見せられねえな」
ガサ ゴソ
暴言を吐きつつ、自販機の下に手を突っ込んで小銭を探している。
まったくもって、子供には見せられない姿だ。
343
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/13(日) 23:02:37
>>342
「あ?」
ザリザリザリザリ
「なんだ?あいつ。」
自分のことを悪く言われたことに対しては、イライラはするものの怒りはしない。
イライラはするが。
「はは。」
ザリザリザリザリ
ポケットを漁ってみるとジャラジャラと小銭の存在を感じる。
適当な小銭を握って取り出す。
百円玉だ。日の光を受けてきらきらと光っている。 ザリザリザリザリ
「小銭でもなくしたのか?」
男のほうへと近づき聞く。
その顔は悪戯っぽく笑っている。
344
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/13(日) 23:40:00
>>343
「あァん?」
声を掛けられて、自販機から目を離……さない。
こいつ、小銭漁りに集中してやがる。
「バカ言え、する訳がねーだろ」「カネ落とすなんて、そんなマネ、なあ」
むしろ逆だ・・・これは俗世間から切り離された哀れな銭貨の『救済事業』って
ヤツだぜェ」
ガサガサ ゴソゴソ
「おっ 『50円』・・・やりィ〜」
50円を手に、ようやく顔をそちらに向ける『ブ男』。
派手目の悪趣味な服装に、デカいサングラスが妙にマッチしている。
髪は、横に大きく広がったアフロヘアーだ。
「つーか、誰だアンタ・・・って、
さっきそこで落っこちてたヤローじゃねえか。目は覚めたのかよ」
顔を確認するなり、またもや暴言が飛び出した。
基本的に失礼なヤツらしい。
345
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/13(日) 23:50:44
>>344
「『救済事業』?」
「救われるべきはお前じゃあないのか?」
ザリザリザリザリ
ザリザリザリザリ
失礼さではこちらも負けていない。
ガンッと強く自販機を蹴り付ける。
「『50円』ね。」
男は革ジャンを身にまとっていた。 ザリザリザリザリ
チャックを開けられた革ジャンの下には黒いシャツが覗く。
随分と痛んだジーンズを履き、半長靴を使っている。
「あ?覚めてなかったら、俺はなんで歩いてる?」
ザリザリザリ
「お前は寝たまま歩くのか?」
ガンッと自販機を蹴り、百円玉を投入する。
346
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/13(日) 23:58:12
>>345
「・・・」
「あっ、てめー、俺が『カネがねーから』こんなことしてると思ってんな」
鬱陶しい感じの『ドヤ顔』を浮かべた。
「残念ながらこいつは『趣味』だぜ」
「ま! そうやって気楽に『カネ』使っちまうヤツには
分からんとは思うがね」
自販機に『100円玉』を投入する伊丹を見て、
両手を広げ、やれやれといった調子で言う。
「世の中には『夢遊病』ってモノもあるんだぜ・・・俺には関係ねーが。
寝てる間に勝手にカネ稼いでくれるなら、それもアリかも分からんけどな」
347
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 00:03:19
>>346
「ほぉ、それはまたご高尚なことで。」
「小銭漁りが趣味とはな。」
「バカな考えだ。」
小ばかにするように笑う。 ザリザリザリザリ
落ち着き無く足が貧乏ゆすりをしている。
「夢遊病?俺にも関係ないな。」
ザリザリザリザリ
笑ったまま、ボタンを押し、商品を手に取る。
飲料水だ。軟水と書かれている。
「ま、寝てる間にイライラが消えてくれるならアリか。」
348
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 00:37:36
>>347
「バカな考えねえ。ま、そー思うのはアンタの勝手だぜ」
「俺は人にとやかく言われて変わるような生き方はしてねー」
チャリン
50円玉をポケットに突っ込み、両腕を組む。
「あー、つーか『水』ならその辺にあんだろ」
「俺ァわざわざカネ払って水買う連中は理解出来ねーな」
「何のために『水道代』払ってんだ? いや家がねーのかも知れんがね」
349
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 00:53:14
>>348
「はっ。そうかよ。」
飲料水を飲む。
ふたを閉めると、ぐっと握り締めた。
「俺からすれば味が付いただけでどれも同じだよ。」 ザリザリザリ
ザリザリザリザリ
「それに水道代払ってるのは俺じゃないからな。」
にやりと意味不明な笑いを浮かべる。
「お前は金に困ってないらしいが、そんなことしてなんになる。」
そんなこととは小銭漁りのことだろう。
「金なんて貯めても死んだら無にかえるだろ。」
350
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 01:06:44
>>349
「だったらなおのこと『水道水』で良いんじゃねーか?」
「ま、どうでもいいがね」
本当にどうでも良さそうにそう言って、自販機に寄りかかる。
「確かに死にゃあカネは、いや何だって『無』だな」
「だがそこにある『思い』は死なねー」
「だからこそそのカネをどう『集めたか』、それは大事なことなんだぜ」
そう言うと、財布から古い10円玉を一枚取り出した。
「例えばコイツは俺が『10歳』の時――生まれて初めての
『報酬』に貰ったモンだ。近所のジジイに頼まれた
『届けモン』のな」
もう一枚。こちらは比較的新しい『100円玉』だ。
「そしてコイツはこの街に引っ越す途中――
電車内で落ちてたのを拾ったモンだ。
つまり『11月11日』のこったな・・・」
「俺は手元の全ての『カネ』の入手した時間も、
手に入れた方法も、手放したカネのことも
『覚えて』るぜ。それァ、俺が死ぬまで絶対に『消えねー』」
351
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 01:24:46
>>350
「思い?」
伊丹は顔をしかめた。
何を言っているんだお前は、という顔だ。
ザリザリザリ ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリ
「は。はっはっはっは!」
「おもしれぇ。金についてなんでも覚えてるんだな。」
ゲラゲラと大笑い。 ザリザリザリ
今にも手を叩きそうな勢いだ。
ニッと歯を見せる。
ザリザリザリ
「分からないでもねぇ。」
「俺も喧嘩したときのことはよく覚えてる。」
「イライラしたこともな。」
352
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 01:31:41
>>351
「おうよ。この稲葉さんをナメんなよ」
そう言うと、グラサンをス…と外した。
両瞼には、それぞれ『$』と『¥』の刺青が彫られている。
「あー、ケンカかァ・・・いや、俺はてんで弱ェからなあ」
「アンタ、アレか?口より先に手がでるタイプっつーか」
「・・・」
そういや、さっきからやたらと暴言を言い放ってたことを思い出した。
ツツツ
目線が泳ぐ。
「ひょっとして、今」
「割とイラついてたり・・・ハハ・・・しねェよな」
353
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 01:49:29
>>352
「稲葉、それがお前の名前か。」
「ほぅ。刺青か。」
感心したような、驚いたような声を出す。
馴染みがない、というよりはその模様に驚いているのだろう。
(徹底してやがる。) ザリザリザリ
ザリザリザリザリ ザリザリザリザリザリ
「あぁ。話すより、殴るほうが気持ちいいときがあるだろ?」
乱暴者の理論だ。
「お前に教えておいてやるよ。」
「俺は『常にイライラしてる』。生まれつき、理由はわからねぇ。」
「頭ん中で響いてる雑音のせいかも知れねぇし、別の物もかも知れねぇ。」
「ただいつだってイラついてんだぜ。」
354
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 02:01:04
>>353
「おう。稲葉 承路ってんだ。よろしくなァ」
「そんでこいつは『思い』の現れよ」
トントンと、瞼を叩く。
「いや、俺は基本『殴られる』サイドだし、
あいにくと『気持ち良く』はねェんだよな・・・」
残念ながら『M』ではなかった。
「いつでもイラついてんのか。そりゃあ難儀だな」
「とりあえずよォ〜、水じゃなくて『乳製品』メインに
摂ってみたらどうだ?『カルシウム』足りないんじゃねェの」
「つーか、『頭の中の雑音』って何だよ。耳鳴りか何かか?」
355
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 02:09:15
>>354
「俺は伊丹 玄。いたみ、はるかだ。」
「あいにく俺は刺青入れてないんでね。」
両腕を大げさに広げてみせる。
ザリザリザリザリザリ ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
「は、もったいねぇ。殴るのも殴られるのも楽しいのによ。」
「難儀も難儀だ。慣れてきたが、イライラするのに変わりはねぇ。」 ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
稲葉に問われ、考える。
うんうんと犬のようにうなっている。
「いや。テレビの砂嵐と鑢の音を合わしたみてぇな、食器同士がこすれあうみてぇな音だ。」
「ザリザリザリザリザリと昼も夜もなく鳴り続ける。」
356
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 02:21:44
>>355
「伊丹か、ま! よろしくなァ〜」
(あんまカネの匂いはしねー奴だが、『縁』ってのは
持っといて損はねーだろうしな)
フランクな態度の裏には、ゲスい考えがあった。
まあそれはともかく。
「いやいや・・・だってケガでもしたら『丸損』じゃねーか。
俺ァ儲からねーことはしないぜ」
大袈裟に首を振って否定する。
(それに俺のは・・・『ケンカ』じゃあ済まねーしな)
「食器の擦れる音・・・うェッ、想像しただけでゾワゾワするぜ。
そんなもん四六時中聞かされてんのか・・・キッツイな、そりゃあ」
「『医者』とか、当たったりしてみたのかよ?」
357
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 02:31:07
>>356
「よろしく、ねぇ。」 ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
にやりと笑って見せた。 ザリザリザリザリザリ
ナニを考えているのだろうか。
それとも何も考えていないのか。 ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
「丸損。まぁ、そうだろうな。」
怪我の治療費というのがある。 ザリザリザリザリザリ
金に異常な執着を見せる稲葉からすれば損、なのだろう。
伊丹はそんなこと眼中にないが。
ザリザリザリザリザリ
「医者は天敵なんだよ。」
「偉そうに講釈を垂れる、あいつらが病原菌そのものだ。」
「だれかれ構わず首が後ろを向くまで殴りたくなる。」
358
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 02:50:03
>>357
「おいおい・・・またズイブン『物騒』だな」
伊丹の、敵意の籠もった発言に引きつった顔で応じる。
グラサンをかけ直し、目を伏せた。
「何かあったのか・・・?いや、良いや。
あったとしてもあんま言いたくねーことだろうし」
(そーいやあ、昔医者を『ミンチ』にしたこともあったな。
あれは、そう・・・『200万』貰った時だ)
(うん・・・まあ、悪い気分じゃあなかったな)
それを伊丹に話したら、どんな反応をするだろう。
ふと思い、すぐにやめた。こいつは『そっち側』には
踏み込んでない。そう見えたからだ。
「ま、俺ァそろそろ行くけどよ・・・ケンカ売るなら、
俺以外にしてくれよな」
「じゃーなァ」
ひらひら手を振りながら、ブ男は去る。
359
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 23:53:26
>>358
「『物騒』?まさか。」
「何もなかったぜ。殴ろうとしたら止められたからな。」
ザリザリザリザリ
しかしその声色には怒りの色がにじんでいる。
ザリザリザリザリ
「おう。じゃあな。喧嘩はいつか買ってくれよ。」
止めることもなく見送る。
所詮は少し話した程度の相手。 ザリザリザリザリ
そんなに長く付き合う必要もない。
(……あいつ。) ザリザリザリザリ
(なんか、別のこと考えてたんじゃないか。)
なぜ稲葉が目を伏せたのか、伊丹には分からない。
しかし、なぜか嫌な雰囲気を感じた。
(まぁ、いいか。)
しばらくして伊丹はベンチの上に寝転がった。
360
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/15(火) 02:21:25
友人の見舞いに、中古ゲームを買いに行った。その帰り。
「…………」
どうにも中途半端な気持ちで街を歩く。
クリスマスソングが聞こえてくる。
(リア充以外にはハードモードな季節キタコレ……えひ。)
ワイ
ワイ
雑踏を少し避けて歩く。
ニット帽と眼鏡で、一応の変装済み。
ワイ
通りがかった『元クラスメイト』には、気づかれない。
「……」
ストン
路傍に設置されたベンチに腰を落とす。
偶然、空いていてよかった。
キラ
キラ
電飾が灯りつつある街並みを、特に何をするでもなく。
361
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/16(水) 23:26:43
>>360
ベンチに腰を下ろす稗田。
と――
「ふぁ……あ、も、だめぇ」
ドサッ
なんか目の前で女が倒れた。うつ伏せだ。
どうも駅から出てきたところのようで、手にはバッグが握られている。
「」
こいつ・・・・・・ピクリともしないぞ。
362
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/16(水) 23:42:31
>>361
「…………」
「……は?」
ガタッ
(なんっ……酔っ払いか……?
……どいつもこいつも、無視してやがる……)
クリスマスを迎える町。人びとはそれぞれ事情がある。
だから、いきなり倒れた女に構うのは――
(変なフラグ立ちそうだが……放置はやばいだろ……常識的に考えて……)
ソロ ソロ
「……おいっ。」
「ここ、セーブポイントじゃないぞ……
セーフゾーンでもないぞ……襲われても知らないぜ……」
ユサ
事情の無い恋姫くらいのものだ。
おそるおそる近付いて、しゃがむ。
・・・・ゆすってみる。
363
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/16(水) 23:46:48
>>362
ユサ
「…………」
ユサッ
「…………………………」
ゆすってみる稗田。だが反応はない。
最悪の可能性が頭をもたげた、そのとき。
「ぐぅ」
……なんか聞こえた。
「…………むにゃ」
364
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/16(水) 23:56:25
>>363
「……」
「……えひっ。」
「寝落ちかよ……おい、起きろって……」
ユサ
ユサ
寝ていただけか――
いや、寝ているのもよくないのだが。
・・・・もうすこしゆする。
(……視線めっちゃ集まってる……)
「……おいっ。」
ヒソ
「起きないと薄い本が厚くなるぞ……!」
ユサ
ユサ
耳元で意味不明な文句を叩きつけつつ、もうすこしゆする恋姫。
365
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 00:19:12
>>364
「…………んぅ〜……」
流石に、路上でブッ倒れてる人間は目立つ。
まあ、『酔いつぶれた酔っ払い』程度の認識で、
ちらちら見ながら素通りしていく者が大半だが……
しばらくゆすっていると、女がゴロッと寝返りを打った。
「薄いパンが分厚く……うふふふ」
寝言のような、うわ言のようなセリフを吐きながら、
女が目をうすーく開けて、トロンとした目つきで稗田の顔を見た。
「あらぁ……ここ、どこかしらぁ」
「堅いおふとんだと、思ったんだけど……」
女の顔は少し赤らんでいるが、酒の臭いはしてこない。
バッグから、何かはみ出しているのが、ちらりと見えた。
366
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 00:37:18
>>365
「……おはよう。昼だけどな……黄金町民の朝はおそい。えひ。」
ニマ
ダウナーな笑みを浮かべる。
そして、桜色の目を少し細めて。
フワ
髪からは、ミントのような芳香。目が覚める(かもしれない)
「ここ……黄金原駅前だ。わかるか?
朝チュンするには人多すぎの場所だぜ……常識的に考えて。」
ユサ
もうちょっとゆすっておく。
再度眠りにつかれたりしても、困るのだ。
「酔っぱらってんのか……?
オフトンあるところに帰って寝ろよな……」
(……? なんだあれ……)
・・・・声を掛けつつ、バッグに視線。
367
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 00:46:12
>>366
「…………あら、あらぁ」
ふわ、と、いい香りの髪に軽く手を添えた。
ふわふわとした笑顔を、稗田に向ける。
「すてきな髪の毛ねぇ」
「えきまえ?
ほんとだわぁ…………うーんと、どうしてここに
いるのかしら」
「お酒は飲んでないわよぉ。
そうそう、確か『キャンドル』を――あら?」
首を傾げた。
ググ グ
バッグに視線を向ける稗田。
と――バッグが不自然に『膨らんだ』や否や、
ポン
『メヘェェェェェェ』
その口から、『羊』がハミ出した。
だいぶギュウギュウに詰め込まれていたらしく、
心なしか苦しそうに鳴いている。
コロ コロ
それと、なにか、小さなものが転がっている。
赤い、円筒状の『包装』に包まれていて、ほのかに、
『バラ』の花のような芳香がする。
368
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 01:08:25
>>367
「えひっ……」
ピク
髪に添えられた手。
あまり慣れていない。
「……褒めても、何のフラグも建たないぜ。
僕に触ると……やけどするしな……えひ。法律的に考えて。」
フワ
――やや目を細めて、やんわり払いのける。
そして。
バッグから出てきた存在。
「……うおっ!」
ォォォオオ――
「……ペットにしては、扱い……雑いな。」
傍らに人型のヴィジョンが発現する。
ペスト医師のような仮面と――蒼炎を噴く黒衣が、不気味な像だ。
コロ コロ
「えひ……なんだっけ……」
「これが……あれか?
そのキャンドルってやつ……?」
フワ
転がった『包装』に目を向ける。
鼻をくすぐる、なんとなく優雅な感じの芳香。
「んで……キャンドルがどうしたんだ?」
・・・・話を続ける。
369
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 14:17:57
>>368
「…………ふらぐ?」
『何それ?』みたいな顔で、首を傾げた。
「ああっ、カバンに入れてたの、忘れてたわぁ」
『メヘヘヘヘヘ』
カバンと、ついでに『羊』を回収し、
何か発現している稗田の『スタンド』に気付いた。
「……あらっ、何かしらぁ……その子」
「あっ、そうそう、『キャンドル』ねぇ。
長いこと探してた『アロマキャンドル』を、
何とかして『一つ』だけ手に入れたんだけどぉ」
「それがあんまり良い香りで……思わず眠くなっちゃったのよ」
『包装』には、アルファベットで商品の名前が記されているようだ。
少々文字が小さいため、詳しくはわからない。
拾い上げれば、 はっきりと書いてあるものが分かるだろう。
370
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 23:05:26
>>369
「…………説明すんのはめんどい。」
カリ
「まあ……褒めても何も出ないって言いたかったやつ……」
頭を軽く掻きつつ。
傍のヴィジョンは、警戒を示すかのように青い焔を灯している。
「えひ……何かしらはこっちのセリフだろ、状況的に考えて……」
「まあ……それより……」
恋姫は『羊』に視線を向けたあと、『キャンドル』に移して。
「そんなレアアイテムなのか……?
嗅いだだけで寝るとか……なんかやばいんじゃないの……」
ジ
目を細めて――
スッ
拾い上げて、見てみよう。匂いも見てみよう。
(……そんなキクのか?
それかこいつの睡眠耐性低すぎ……?)
隈こそないが、最近不眠気味の恋姫の目。
……夜更かしはいいのだが、寝れないのはいらいらする。
371
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 23:23:00
>>370
「あらぁ、照れちゃってぇ…………」
「でもほんと、いい香りだわぁ。どんなシャンプー使ってるのかしら」
ほんわかした受け答え。
稗田が『キャンドル』に興味を示したのを見て、
嬉しそうに話し出す。
「とっても『珍しい』のよぉ…………それ。
今まで扱ってた『雑貨屋』さんも取り扱わなくなっちゃったし、
たまたま、古物商巡りで一つ見つけたんだけど」
「とーっても『落ち着く』香りなのよぉ」
拾い上げてみる。包装に記された名前は『Flourished Rose』。
直訳すると『繁栄するバラ』だが、『盛大に茂る』といったほどの意味合いだろうか。
紙の包み越しに匂いを嗅ぐと、ふわりとバラの花の香りがする。
それが稗田の好む香りかは分からない。
ただ、それに関わらず、体の内側から『溶け出す』ような感覚があるだろう。
神経が、一気に『リラックス』していくように感じるかもしれない。
「どうかしらぁ?
わたしは、とってもよく眠れるんだけど」
372
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 23:45:44
>>371
「……照れてないって。
シャンプーは、まあ……企業秘密……えひ。」
などと言いつつ、緩む口元。
・・・・そして。
「ガチでレアアイテムじゃん……
メーカーが倒産したとか……? プレミア的な……?」
スン スン
そして、匂いを見よう。
小さな鼻を動かす恋姫。
恋姫の学力は中一相当で、英語にはとんと弱い。
だが、今回は――
ふ
わ
・
・
・
「うぁ…………」
恋姫にもその名前の意味が、理解できた。
トロ ォ 〜 ン ・・・
まぶたがとろりと落ちそうになる――表情がやや弛緩する。
バラの香り以上に、薔薇色の心地だ。
ハフ ゥ
「めっちゃきくぅ……
えひ、どハマりしそう……」
普段ありえないほどリラックスした声、吐息。
一瞬恋姫の頭の中に「何かやばいのでは?」という疑問符が浮かぶほど。
・・・・寝落ちするのも頷ける。
373
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/18(金) 00:01:40
>>372
「うふふ、それは残念ねぇ」
冗談めかしてそう言って、笑う。
「そうなのかしらねぇ……作ったところの情報も、ほとんど無いし、
その『古物商』の人も、詳しいことは知らないみたいだったわぁ」
そういえば、包装にも『メーカー』の名前がどこにもない。
唯一、商品名の下に、小さく『I.F.』という刻印が見て取れた。
「ね…………良いでしょう?
クセになっちゃう香りなのよねぇ」
トロン、となっている稗田を見て、ニッコリ微笑む。
それにしても、相当に強い『リラクゼーション効果』だ。
火も灯さないうちから、十分な効き目があるように感じられる。
「気に入っちゃったかしら……でも、
本当に珍しいから、ちょっとやそっとじゃ手に入らないのよぉ」
「そうねぇ……ちょっとだけ削って分けてあげちゃおうかしら。
『芯』を通せば使えるし、そのまま『香り』として使っても良いし」
374
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/18(金) 00:32:17
>>373
フ - ・・・
甘い息を吐きだす。
寒い空気を吸い込むと、いくらか効きが薄れてきた。
「……凄いふわふわする。」
ニマー
それでも、恋姫の笑みは少し柔らかい。
「……なんかこれ……えひ。
やばい薬とか、はいってんじゃないか……」
「……こりゃ寝落ちもするわな。」
再度嗅ぎそうになるのを抑える恋姫。
頭の奥の奥まで、薔薇色に染められたら、帰ってこられない気がした。
・・・・とはいえ。
「……えひっ! まじで……
こりゃ……ますますどハマりして……廃人待ったなしコースかな……」
「まじでくれるの……?
このキャンドルのステマなやつ……?」
ジィー
キャンドルに、そして人吉に視線。
もらえるものなら、恋姫としても、もらっておきたかった。
375
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/18(金) 00:48:25
>>374
「うーん、どうなのかしらぁ」
「前に買ってた雑貨屋さんは、そういうものじゃない、って言ってたけど」
「もっと『純粋』なものだって」
「もちろん、良いわよぉ。
起こしてくれた『恩返し』のつもり……なんちゃって」
包装を少し開け、バッグから小さな『ハサミ』を取り出し、
キャンドルに慎重に切り込みを入れていく。
パキッ
そうして、『サイコロ』ほどの大きさの塊を削り落とす。
このサイズでも、香りは十分すぎるほどだ。
それを、『油取り紙』に包んで、稗田に差し出した。
「はい、どうぞ。
でも、やらなきゃいけないことがあるときは、
使っちゃダメよぉ…………寝ちゃうもの」
376
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/18(金) 01:06:36
>>375
「……ならいいんだけどぉ……
まあ……そういうんじゃなくても……ヤバイかも……」
パキッ
はまってしまうだろうな、と思った。
少なくとも、太陽に陰りがある限りは。
「寝落ちするやばさは僕も知ってる……えひ。」
ゴソ
差し出された『包み』をポーチに。
二度手に入るかはわからない。攻略本があればいいのに。
「とにかく……ありがとな。
今夜はおもっきり……スヤァ出来そう。」
ニタ
浮かぶダウナーな笑み。
「んじゃ……僕はそろそろ行くぜ……」
ガタ
ベンチから立ち上がった。
一休みしていただけで、ここをセーブポイントにする気もない。
377
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/18(金) 01:14:57
>>376
「うふふ、そうねぇ。お互い、よい眠りを……って、ことで」
稗田に倣うように、立ち上がる。
流石に、駅前のアスファルトをベッドにはできない。
……もう、少し目がトロンとしてきてるのは内緒だ。
「それじゃあねぇ」
「あ、その『キャンドル』、また欲しくなったら連絡ちょうだいねぇ。
わたしも、すぐには使い切らないと思うから……」
「あの香りを気に入ってくれて、嬉しかったわぁ」
そう言って、メモ用紙にさらさらと連絡先を書いて渡すと、
ふわふわした足取りで家路に就いた。
その日は、それはもう『熟睡』できたそうな。
378
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/18(金) 01:36:04
>>377
「えひ…………僕も嬉しかった。
んじゃ、その時はまた……ちゃんとベッドで寝ろよな。」
トコ
トコ
そうして、その日は家に帰ったのだった。
心の癒しを得たことは、恋姫にとってとても大きなことだ・・・・
「……えひ……」
スン
スン
(まじでどハマりするわ……
自重しなきゃダメ、絶対……えひ。)
379
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/23(水) 23:34:06
『クリスマスが今年もやってくる』。
駅前ではそんな歌が流れ、イルミネーションに彩られ。
いよいよクリスマスが来るという駅前で。関東也哉子は―――――
「ひゃっ」
コテン
「ひぐっ、〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
……足を滑らせて、転んでいた。とても痛い。
というか今の、足をくじいた。立てない。とても痛い。
380
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/23(水) 23:43:15
>>379
クリスマスが今年もやってくる。
寂しかった出来事は誰かに『与え』ちゃったからァ……
消し去るのはクリスマスじゃなくて僕なわけだ。
恋人はサンタクロースではなく僕自身だね。
誰かになにかを『与える』んだからね。
「おっと。」
目の前で誰かがこけた。
……どうしよっかなァ。
手を貸すのもいいけど、貸さないのも人生だねェ。
決めた。貸さずに声をまずかけよう。
「ねェ。君大丈夫?」
声をかけて、一つ思い出した。
僕は今よれたスーツに曲がったネクタイだ。
僕からすればいつもの格好なんだけど、これかなり不審者じゃない?
いや、不審者じゃなくてもさァ……
こう、色々あるよねェ。
381
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/23(水) 23:49:38
>>380
「あっ」「えとっ」
声をかけられて、焦る。
不審者がどうこう、と言うよりは、『気を使わせてしまった』という感覚だ。
無事を証明するように、慌てて立ち上がろうとして。
「だ、大丈夫です! ちょっと転んだだけで……」
「ぁ痛っ」
……立てない。
まぁ足をくじいたのだからすぐには立てなくて当たり前だ。
すぐに足首を抑えて、うずくまる。
「ぐぅっ……だ、大丈夫です、ほ、ほんとに……」
脂汗を滲ませているが、表情は努めて明るく振る舞おうとしている。
382
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 00:01:39
>>381
「大丈夫、ねェ?」
「どの口がそういうわけェ?」
どうみても大丈夫じゃないよねェ?
僕は目の前で明らかにけが人の女の子を見下ろす。
うん、いい眺めなんだけどォ……そういう状況でもないよね。
「君、えっと、見たことある気はするんだけどォ。」
「まァいいか。お嬢ちゃん、道でそういうことすると邪魔になるんだよねェ。」
「君は良識のある人だと思うんだけど、どう?どっか道の端まで肩でも貸そうか?」
まいったなァ。
僕はスクールカウンセラーであって、医者じゃないんだ。
体は治せないし、まず僕お薬扱えないし。
かといってこの程度で救急車呼ぶのも馬鹿らしいしィ。
ちょっと様子でも見ようかなァ。
383
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 00:14:43
>>382
「うっ」
……痛いところを突かれた。
確かにどう見ても大丈夫じゃないし……通行の邪魔になる。
「……その」「……すみません、お願いします……」
顔を赤くして俯いて、お願いする。
ああ、このまま消えていなくなってしまいたい!
とはいえ確かに助けてくれるとありがたいし、ここでうずくまっているのも迷惑だろう。恥は忍ぼう。
「えっと……」
……ところで、冷静になってみれば、この人の顔を見たことがある気がする。
あまり日常的に見ているわけではないが、確か学校で何度か……
そう、あれは確か全校集会とかで……見たような……名前は……確か……
「……加賀先生、でしたっけ……?」
……なんかそんな名前だった気がする。
384
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 00:23:31
>>383
「いいよォ。謝んなくて。」
「転んだのは君の落ち度だしィ?手を煩わせてるわけでも無いし。」
「たとえ、煩わせたとしてもその足の痛みが報いだし。」
僕は与えるだけだよ。
施しをね。
「せーの。あ、痛かったらいってね。」
僕は肩を貸して道の端まで女の子と歩く。
昔酒に酔った同級生を介抱したことがあるけど、それを思い出す。
あれ、彼はどんな顔してたっけ。
「んー?」
「そう、加賀真。よく覚えてるね。非常勤のスクールカウンセラーのことなんて。」
正直僕が学生のころは気にも留めなかった……いや、留めてたか。
385
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 00:35:41
>>384
「えっと、じゃあ……」
「……ありがとうございます」
謝るよりは、確かにお礼を言う方がずっといい。
顔は赤いままだが、にこりと笑って、お礼を言った。
「あ」「はい」「じゃあ」
「せーのっ」
「っぅ……へ、平気です。ちょっとだけ痛みますけど」
肩を貸してもらって、立ち上がる。
立った時に少しだけくじいた足が痛んだが、我慢できないほどでもない。
そのまま、ゆっくりと片足をひきずって歩く。
「えへへ、よかったぁ、間違ってなくて。
転校してきたころ、クラスのみんなと、先生の名前、頑張って覚えましたから。
先生もたくさんいますから、全員覚えてるわけじゃないんですけど……」
高等部や大学部の先生の名前は、流石に覚えきれていないが。
保険の先生や司書さんなんかの名前は、頑張って覚えたのだ。
386
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 00:47:59
>>385
「はァい。」
お礼を言われて悪い気はしない。
悪い気は、ね。
「ま、痛いのは生きてる証拠だからさ。」
ちょっとは我慢してもらわないとねェ。
さすがにそんなにわがままなお嬢ちゃんじゃないだろうしね。
「転校?ふゥん。」
転校生。転校生。
こんな顔の転校生……
僕は頭の中で名簿をめくる。
えっと、こういう顔の子、いた気がする。
「関東さんか。」
「関東 也哉子さんだね?」
うん。そのはずだ。
「まァ。僕の名前も顔も覚えずに生活するのが一番いいんだけどねェ。」
僕の世話になら無いってことは、健やかで悩みの無い生活ってことだ。
そういう生徒が増えれば平和だし、僕も楽だしwin-winだよね。
387
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 00:56:16
>>386
「あはは、痛くないに越したことは、ないですけどね」
うん、冗談めかして笑える程度には、痛くない。
「あ、はい、そうです。
関東也哉子……去年から秋映に通ってます」
少しだけ驚いた顔。
だって、生徒が先生を覚えているのならともかく、先生が生徒の名前をいちいち覚えているとも思えないからだ。
「先生、よく知ってましたね、私のこと。
自分で言うのもなんですが、あまり目立つ生徒じゃないと思いますし……
それに、幸いというか、まだ先生のお世話にもなっていませんし」
……実を言えば、カウンセリングルームを頼ろうとしたことは何度かある。
何度かあるが、幸いにして、その前に頼れる友人がいたのだ。
それは本当に幸せなことだと、也哉子は思う。
388
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 01:07:44
>>387
冗談かな。
ま、冗談言えるぐらいなら大丈夫でしょ。
たかだか足くじいただけだと思うし。
放っておいたら勝手に治りそうだねェ。
人体って偉大だし。
「去年からか。そこまでは覚えてなかったなァ。」
細かい部分は覚えにくいんだよねェ。
タグ付けしにくいって言うか。
「ん?僕が生徒のこと覚えてたらおかしい?」
「あっはは。僕はね、暇つぶしで退屈しのぎで金稼ぎのためにスクールカウンセラーやってるんだよねェ。」
給料泥棒って言われるために働いてるって言ってもいいよ。
「でもさ、もし自分の存在意義が分からないって真面目な話する子が来てみなよォ。
退屈しのぎとか言ってられなくなっちゃうでしょ?だからさ。」
「ちゃんと名前で呼んで上げるんだよ。目の前にいるのは生徒であるまえに普通の人間だからね。」
……ちょっと熱くなってる気がする。
落ち着こう。クールダウンクールダウン。
悪い癖だ、忘れてしまいたいけど、これを『与える』気にはならない。
「話の種を見つけたら世間話でもして、暇を潰すんだよ。」
症状が軽ければ、ね。
389
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 01:24:32
>>388
「いえ、おかしいって言うわけじゃないんですが……」
言いかけて、口をつぐむ。
先生の話を聞くためだ。
黙って、時折相槌を打ちながら、話を聞く。
給料泥棒の持論。
「…………すごいですね、先生」
ほう、と息を吐きながら。
話を聞いて、そう零す。
「その、なんて言うんでしょうか……プロ、とはまた違うんですが……
ああ、働いている大人なんだな、って。そんな感じです」
しみじみとそう言って……から、ハッとする。当たり前のことだそれ。
「……あれ、当たり前ですね、これ」
「す、すみません、そうじゃなくって、えっと、えっと……」
あわあわと手を動かしつつ、良いわけのように言葉を探す。
い、良い言葉が見当たらない。ぎぶみー国語力。
390
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 01:39:15
>>389
「凄くもなんとも無いよ。」
慌てる関東さんを前に、僕はそう言った。
ぶっきらぼうに、なんでもない風に。
「僕はこれが出来て普通だと思ってる。」
「君の言う当たり前だってね。」
この子、聞き上手なのかな。
僕よりスクールカウンセラー向いてるんじゃない?
いや、僕の方が適当に出来るかな。
勉強させないことには分からないけど。
「にしてもねェ……」
「今時の子がこういう仕事に対する姿勢にすごいって言うってことは……」
「案外、みんな楽してるのかなァ。僕以上の給料泥棒がいるのかな……?」
僕より楽をしてる人がいれば僕は給料泥棒じゃない。
多分、だけど。いや、だって僕より大泥棒がいたら泥棒とか言えないよねェ?
世の中の人みんな僕より大変で、ずうっと苦労してると思うんだけど。
「君はどう思う?僕は僕以上に楽してる奴がいるならもっと僕は楽していいと思ってる。」
391
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 01:57:02
>>390
「そう、なんでしょうか」
普通、なんだろうか、これは。
あの膨大な数の生徒の名前を、いちいち覚えようとして。
悩んでいる子と向き合ってあげようというのは、普通で当たり前のことなんだろうか。
それは不真面目な言葉とは裏腹に――――とても、真摯であるような気がして。
「ど、どうでしょう。他の人のことは、ちょっとあたしにはわかりませんが」
そう、一言前置きして。
「えっと……ああ、そうだ」
「『有能な怠け者』……というやつでしょうか」
どこかで聞いたことのある言葉。
それはきっと元の意味とはまるで異なるのだろうが、しかししっくりくる言葉でもあった。
「先生は、そんな感じがします。
楽をするために頑張っている、というか。
それはきっと、先生を頼る子にとっては、とても頼もしいことだな、って」
くすくすと笑いながら、そんなことを言う。
頼りにならない風にも見えるけど……うん、この先生はきっと、頼りになる先生だ。
392
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 02:20:23
>>391
「そうだよ。僕にとっては普通なんだから。」
他人の名前と顔を適当に覚えて、適当にお話してればお金になる。
すっごく割がいいように思うよ。
もちろん僕は、だけどねェ?
「ん?あーいいね、それ。『有能な怠け者』しっくりくる。」
僕の理想にかなり近いんじゃない?
怠け者ってところがいかにも給料泥棒だ。
やァこれからはそっちの方が格好いいかなァ。
いや、キザかしらん?
「楽するためなら頑張るさ。え?君達もそうなんじゃないの?」
「受験とかで楽になるから勉強してるんじゃないの?」
わっかんないなー。僕もこの子達も同じハズなのに。
「頼もしい?あっはは。勘弁してよ。僕は楽したいんだから。」
「遊びに来る子なら歓迎するよ。」
暇つぶしになるしね。
「関東さんは悩み事とかないの?」
「今機嫌いいからさ、仕事抜きで聞いてもいいよ。」
「君が聞き上手で褒め上手なお礼ね。お礼。」
おかげで今すごく気分がいい。
うん、いいよ。うんうん。
393
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 02:44:33
>>392
「うーん、あたしが勉強するのは……な、なんでなんでしょう。
立派な大人になりたいから、だと思いますが……」
少なくとも、一般的な中学生に明確な目的意識を持って勉強をしている者はそう多くないだろう。
やれと言われたからやる。義務教育と言うのはそういうものだ。
だから、どうして勉強するのか? と言われても咄嗟には答えられない。
「あたしの悩み、ですか?」
ともあれ、振られた話題。
悩み、悩み……確かにひとつ抱えているが、これを相談していいものか。
『スタンド』のことなんて、聞けるわけが無いし。
「えっと……そ、そうですね……」
言葉を選ぶ。
どうしたものかとも思うが、せっかくの機会なのだし。
「じゃあその、せっかくなので。たとえ話になりますが……」
「例えば」
「『銃』を持っている人がいるとします。
その人は、『銃』で誰かを傷つけます」
「……その人が誰かを傷つけないようにするためには、やっぱり、こっちも『銃』を持って戦うしか無いんでしょうか」
「……あ、警察とかは、その、考慮しない方向で。たとえ話、なので」
394
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 03:04:34
>>393
「立派な大人ねェ。いいんじゃない立派な考えだし。」
ありふれてる。
本当はなんで勉強してるか分かってないのかな。
それとも世の中の汚さにもまれてない?
僕には関係ないことだから、どうでもいいことなんだけどね。
「そう。悩み悩み。」
「……なにそれ。」
なに言ってるんだろうこの子。
心理テストかな?だとしたら趣味がよくない『かも』
他人を試すなんてねェ。
いや、穿ちすぎか。
「僕なら逃げるねェ。」
「銃とか危ないし、近寄りたくないし、僕が標的じゃないなら逃げるほうが楽だよ。」
「あーでもなァ。もし、もし、僕を狙ったりして闘わざる終えないんだったらァ。」
「誰かに頼る、かなァ?僕一人でやるのは面倒くさい。」
僕の精神である『これ』が闘いに向かないみたいに
僕自身闘いに向いてないはずだ足ね。
「敵が銃を持ってるから自分も銃を持ちましょうなんてナンセンスだね。」
「たとえ持っても懐に忍ばせとくもんだよ。見せびらかしたりしないさ。」
395
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 03:15:53
>>394
「……やっぱり、そうなんでしょうか」
逃げる。あるいは、誰かに頼る。
それは一つの、模範解答なのだろう。
そうしろと、也哉子の中の『誰か』もそう勧めてくる。
だが。
しかし。
「でも……例えば」
「『銃』を持ってる友達がいて、もし『銃』を持ってる人に襲われたら、その子が助けてくれるって言うんです」
「それは嬉しい事でもあるんですが……
でも、あたしはそれでいいんでしょうか。
あたしには、なにかできることは無いんでしょうか」
世界に『銃』を……『スタンド』を持っている人がいる以上は。
世界に、『スタンド』で誰かを傷つける人がいる以上は。
見て見ぬ振りも、もちろんできるのだろう。だが……なにか、できないのだろうか。
少しでも、『スタンド』で傷つく人を減らすことはできないのだろうか。
悩みといえば、そればかり。それが、也哉子がずっと考えていることだ。
396
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 23:41:08
>>395
「そうなんじゃない?……知らないけど。」
なんかしっくりきてないみたいだねェ。
悩んでる人って大抵の場合聞いてあげるとすっきりしたりするんだけど。
……もう少し、聞いてあげるべきかな。
だとすれば、もうちょっと投げかけるしかないよね。
ん?なんだか今凄くマジになってない?
ヤだなァ。ダサいダサァい。
「ふぅん。銃を持った友達かァ……」
女の子だし、発言力のある子ってことかな?
もしあなたが苛められたら助けてあげる的な。
……違うかな。
悩み事を聞くとき、聞いてあげるのが必要なときと解決策の提示が必要な時があるけど……
この子はどうありたいんだろ。方向性すら見えてないのかなァ?
ま、それが悩みなんだけど。
「いいか悪いかは僕には分かんないなァ。」
「ほら、僕は見ない振り知らない振りだし。他人にどうにかして貰う方がイイ。」
「でもなァ……関東さんってその友達を放っておけないっていうかさァ、色んな人に手を差し伸べたくなる人?」
仕事抜きだ。
見立てみたいなことはしたくない。
でもやっぱり知るしかない。
僕はそういう風にやってきたしねん。
397
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 23:56:09
>>396
「その、銃じゃなくて剣でもいいし、単に喧嘩に強いとか、そういうのでもいいんですけどね」
所詮はたとえ話。
……たとえ話でなければ説明できない話。
こんな曖昧な言葉で相談するのも、申し訳なく思うが。
しかし『スタンド』なんて言っても通じるわけが無いのだから、仕方ない。
「あたし、ですか」
「あたしは……そう、ですね」
「友達が怪我しそうなら、助けたいと思うし……
友達でなくとも、助けになりたいと、そう思います」
放っておけよ、危ないだけだぜ!
そんな声が『どこか』から聞こえる気がした。
自分でもそう思う。そんな危なっかしいこと、する必要があるのか?
……いいや、しなきゃいけないんだ。逃げたら全部、壊れちゃうから。
「世界が少しでも、優しくなればいいなって。
傷付く人が少しでも減ればいいなって、そう思うんです」
「もちろん、あたしなんかにできることはたかが知れてますけど……
……それでも、少しでも何かできないのかな、って」
398
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 00:17:16
>>397
「あっはは。分かってるよ。たとえ話でしょ?」
軽薄そうに笑ってみせる。
……なんていうか、青春の淡い香りがするなァ。
僕は牛乳で濡れた雑巾みたいな臭いの青春だったけど。
あれ?思い出せないな。
黒板消しで遊んだことは覚えてるんだけど。
「そう、君だよ。」
これは君のお話だろう?
君の言葉じゃないと意味が無いんだよねェ。
正直さ、こういうのは面倒くさいんだ。
仕事みたいだからね。
でもなァ、聞くって言っちゃった手前おしまいって言いにくいし。
「あっはは。うん。若いねェ。」
まっすぐだなァ。ヤだヤだ。世の中優しければどれだけいいか。
君は守ってもらえるけど、僕は守ってもらえないんだよォ?
社会にも、法にも、君の方が守られてるんだよ?
あっはは。ほんと、若いってヤんなっちゃうな。
「だったら君が盾になるしかないよ。」
「そうでなければ看護師さんだ。カウンセラーだ。癒す人にならなきゃ。」
理想も夢も全部全部混ざって溶けて現実なんだよ。
最低も最悪も全部現実だし、受け入れるべきなんだよ。
君がやってるのは川の流れに逆らって泳ぐようなモンだよ?
疲れるし、ヤんなっちゃうことだよ?
分かんないだろうなァ。
「でないと、君は『いっぱい』になれないよ。」
「あっはは。でも、カウンセラーはよしてよ、僕の仕事減っちゃうし。」
399
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 00:34:21
>>398
「う」
若い。
……自覚はある。甘ったれた考えだ。
世界はずっとそう言うものだし、長いものには巻かれるべきだ。
理性と感情がそう囁く。じゃあ、あたしを悩ませているのはなんだろう?
「……盾になるか」「癒す人になるか……」
反芻するようにつぶやく。
盾になる。それはきっと素敵なことだ。傷つく人はきっと減る。
癒す人になる。それはきっと素敵なことだ。世界はちょっと優しくなる。
どちらもとっても素敵なことで……少しだけ、違和感がある。
なにか、なにかもうひと押し。妥協だけはしてはならない。
カウンセラー。その響きに、なにかもうひと押し、惜しいものを感じるのはなぜだろう?
「……?」
「『いっぱい』……って、なんですか、先生?」
ところで、気になったのはその言い回し。
『いっぱい』になる? 少し不思議な言い回しだ。
400
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 00:54:39
>>399
「あっはは。」
僕は笑う。
笑い飛ばす。君の若さなんて直に消えるものだから。
「盾も癒しも両立できるけどねェ。」
「僕さァ、学生のころよくハンバーグ定食とトンカツ定食のどっちにするか迷ってたんだよね。」
「ゲン担ぎっていうかね。大事なときは好きなモノか縁起がいいモノか。」
「ま、大抵ミンチカツ定食食べたけどね。」
あれって二つの料理混ぜたみたいな料理だよねェ。
考えた人は尊敬するよ、一日だけね。
「『いっぱい』ってのは、『いっぱい』だよ。」
「お腹いっぱい、胸いっぱいね。」
両手を広げてみせる。
これが僕の両腕いっぱいね。
いっぱいいっぱい。
「僕の先生が言ってたよ。『人間は容器だ。』ってね。」
「悩みがいっぱいになれば病むし、腹がいっぱいになれば食べなくていい。」
「『いっぱい』は終わりであり始まりなんだよ。」
「君はやりたいことをやって『いっぱい』にならないと満足できないと思うよ。」
世の中にはそういう人間がいる。
僕は彼らが得意じゃない。
どいつもこいつもまっすぐで、真面目で……
あぁ、そうか、あいつらも若いんだな。きっと。
401
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 01:12:36
>>400
「…………『人間は』……」
「『容器』、ですか」
先生の、そのまた先生の言葉。
満たされれば終わる。あるいは、満たされることで始まる。
なら、あとは『何で満たすか』、だろうか。
「…………………あっ」
――――――そうだ。
人が容器であるのなら―――――重要なのは、『何で満たすか』であるはずだ。
『スタンド使い』も人であるのなら。
ならばやはり、『何で満たすか』が問題になるはずで。
「ああ……そっか」「そういうことなんだ……」
道が開けた、気がした。
暗闇の中を進んでいたのが、やっと道を見つけた気がした。
ペコリと礼をする。先生にはお礼を言わなくちゃいけない。
「先生、ありがとうございます」
「あたしの悩み……なんとなく、大丈夫になった気がします」
まだ、絶対にこれが正解だ! とは言えないけれど。
それでも、一歩前に進めた気がした。
だから、ニコリと笑ってお礼を言うのだ。
402
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 01:33:02
>>401
「そう、容器ね。」
お猪口の奴もいれば壷の奴もいるけど、おおよそそんな感じだ。
満足できるか、納得できるか、それだけだ。
「あ、そう。よかった。」
我ながら適当な見立てだったけど、よかったのかなァ。
ま、人間所詮は一人。
咳をしても一人。くしゃみをしても一人。死ぬときも一人。
お悩み解決も一人。
カウンセラーなんてそんなもんだ。
「迷ったならカウンセリングルームに来なよ。」
「僕がいれば相手してあげるよ。疲れない範囲でね。」
暇つぶし、退屈しのぎ、金稼ぎ。
マジになりすぎたらキリが無い。
楽に楽に安きに安きに流され流されやるんだよ。
給料泥棒だからね。
「お礼とかいいよ。これも暇つぶしなんだからさ。」
「足の調子どう?」
そういえばこの子が足を滑らせたのが最初か。
随分と話が転がった気もするねェ。
「あ、そうだ。クリスマスプレゼントでもあげようか。」
403
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 01:41:58
>>402
「はい、なにかあれば、またお願いします」
くすくすと笑いながら、そう返す。
何がおかしいわけでもない。でも、とっても機嫌がいいから。
「ふふ。でもあたし、先生のおかげで助かっちゃいましたから。
やっぱり『ありがとうございます』、なんです」
うん、お礼を言いたい気持ちに、嘘をつくことなんてないのだ。
「あ、足ですか?」
言われて、足を軽く動かす。
まだ痛む……が、酷い痛みではない。
「……とりあえず、大丈夫そうですね。
歩く分には平気そうです。ご迷惑おかけしました」
そう言って、またぺこりと頭を下げる。
「クリスマスプレゼント……ですか?
そんな、悪いですよ。もうあたし、先生にはよくしていただいたのに」
404
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 01:56:42
>>403
「……あっそ。君はしばらくカウンセリングルームに用なさそうだけどね。」
目をそらす。
なんだろう、この子は。
ダメだ。どうりでカウンセリングルームに来ないわけだ。
あそこはサボり場で保健室だ。
健全で健常で普通なヤツは来ない。
「あ、そうそう。足は保健室ね。僕んとこ来ても治せないから。」
僕は治さない。
与えるだけ。
言葉とかなにかを与えるだけ。
傷を無に返さない。
「えェー。いらないのォ。僕、こんなサービス滅多にしないよォ?」
嘘だけど。
これぐらいいつでも出来る。
リップサービスみたいなもんだ。
ま、別になんでもいいけど。興味ない。
「ま、いいんだったらいいけどね。無理強いするつもり無いし。」
405
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 02:06:07
>>404
「そうですね。
しばらくは、大丈夫そうです。
湿布がもらえるなら行ったかもしれませんけど。ふふふ」
はにかんで答える。
道は、なんとなくだけど見つけた。後は手探り進むだけだ。
少なくとも、『カウンセリングルーム』に頼るようなことは、しばらくはなさそうだ。
「え、ええーっ」
「い、いらないってわけじゃないんですが、その」
「そ、そう言われるとその……き、気になっちゃうじゃないですかぁ」
そりゃあ遠慮したこっちも悪いが、その、滅多にしないとか言われると、気になる!
し、むしろ断ったほうが悪い気がする。
もらっちまえよと『誰か』が囁く。……うん、今回は、『誰か』に従っていいと思った。
「えと、じゃあ、その」
「プレゼント……頂けますか?」
406
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 02:16:55
>>405
「湿布ゥ?あ、あったかも。」
腰痛用にね。
湿布より軟膏の方がいいんだけど匂いがキツいんだよねェ。
そう言って、僕は少し嫌な感じがした。
こんな風な物言いしたら、来て欲しいって思われるかもしれない。
ヤだよ。僕、子供に興味ないし。
「あっはは。もらうんだ。」
「じゃあもう一度聞くよ。『クリスマスプレゼント』はいるかい?」
それがスイッチだ。
許可が出ればすぐにでも。
407
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 02:26:11
>>406
「ふふ、なんでカウンセリングルームに湿布があるんですか?」
冗談かなにか、と受け取ったらしい。
口元に手を当ててくすくす笑う。
本当にあったとしても、単に話のタネとでも判断したか。
「う」「は、はい……」
……がっついたようでちょっと恥ずかしい。
顔を赤くして、ちょっとだけ俯く。でも、もう言ってしまったし。
どうしてかもう一度尋ねてきたから、こちらももう一度答えなくちゃ。
「えと」「はい」
「『クリスマスプレゼント』をくださいな、先生」
408
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 02:40:02
>>407
「おもちゃもある。」
嘘じゃない。ギターとか置いてる。
持ち込んだものだけどね。
ま、冗談だと思ってるならそう思わせとこ。
変な感じになんないし。僕が。
「あぁ、もちろん。」
許可は得た。それに、いい眺めだ。
うん。実に機嫌がよくなる。
いっぱいにはならないけど。
「さ、口閉じて。目も閉じて、零れ落ちるからね。」
なにもかもが。
おとなしく従ってよ?
従わなくてもいいけど、出来ればね。
「……僕の先生はアリストテレス先生が好きだった。」
「『欲望は満たされないことが自然であり、多くの者はそれを満たすためのみで生きる。』」
「アリステレスの言葉でそれが一番好きらしい。」
「さ、準備できたね。」
もったいぶるように指で数字を表す。
一、二、三、四、五。
片手が開き、全ての指がまっすぐに伸びる。
じゃんけんのパーで、数字の五。
『プライベート・ライン』彼女の口内に、今年のクリスマスに食べるつもりだったショートケーキの一部分を与える。
今日は気分がいい。イチゴも放りこんであげよう。
スポンジと生クリームとイチゴの三位一体を口内に広げるといい。
「ちょっとした手品だよ。」
409
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 02:58:52
>>408
「?」
「??」
目はともかく、口も閉じる?
零れ落ちる? なんのことだろう。
なんのことだかわからないまま、言われるがままに目と口を閉じる。
(アリストテレス?)
(……なーんで今アリストテレスの話……あっ、『欲しがるのは恥ずかしゅうにゃあ』っちゅうことかね?)
……気を使われた、のだろうか。
いずれにせよ、目を閉じているから数字は見えない。ただプレゼントを待つ。
そして――――――――甘い。
「――――――!?」
「ふぁっ、んぐっ」
思わず声が出そうになって、でも声を出すとケーキが口から出てしまうから、あわてて手で口を押える。
驚きで目を丸くしながら、もぐもぐと咀嚼して。
ゴクン
……甘くて、おいしい、ケーキ。
―――――なぜ?
「んふぁっ」
「て、手品?」
「いや、でも今」
「なんで」
困惑する。
ありえない――――手品と言うより、まるで魔法。
そう、こんなこと、『超能力』か何かじゃなければ―――――
「―――――あっ」
もう一度、慌てて口をつぐむ。
銃を見せびらかすことはしない。さっき、先生自身が言っていたことだ。
「あっ、えと」
「い、今のは……?」
410
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 03:10:42
>>409
「あっはははははは!」
僕はけらけらと笑う。
空を打ち抜くみたいに上を向いて。
あー楽しい。なんて面白いんだ。
僕はこうでなくちゃ。
「今の?言ったでしょ?ちょっとした手品だよ。」
「あっはは。」
若さもまっすぐさも斜に構えたモノには通用しない。
すかして逸らしてどこかに流す。
関東さんに興味もなにも沸かないけど、からかう気にはなったよ。
「銃は簡単に見せびらかさない。でも、あることは分からせないといけない。」
「微妙なトコだよ。ホントにねェ。」
持ってなければ狙われる、でも一度出せば相手と同じになるかもしれない。
危険って言うのはそういう事に対しても言う。
411
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 03:19:47
>>410
「て、手品、ですか」
まだ、口の中が甘い。
目を丸くしたまま、口元に手を当てて、不思議な甘さの余韻を確かめる。
いたずらされた、というのはわかる。
多分、いたずら好きなんだ、この人は。
「………………もう!」
「先生は、ちょっといじわるです!」
頬を膨らませて、ぷりぷりと怒ったポーズ。
あくまでポーズ。本気で怒っているわけでもない。
それに――――『銃は簡単に見せびらかさない』『あることは分からせないといけない』。
……この人は、『スタンド使い』なんだ。
『銃』を持っている人。それで、こんなしょうもないいたずらを仕掛ける人。
あるいは、世のスタンドがこんなことにばかり使われれば……それはそれで、幸せな事なのだろうと思う。
412
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 03:29:10
>>411
「そう手品だよ。」
「失礼だなァ。僕は平凡で平均な一般市民なんだよォ?」
君とは違う意味でね。
非戦闘員ではあるのさ。
「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ。」
待ってる人は居ないけど。
欠けたケーキを食べてしまわないと。
どうせどっかで買えばいい。
驚いた関東さんの顔を思い出せば、美味しくなる。
なにせ、いい眺めだったから。
「あ、関東さん。」
「知らない人から物貰ったり、食事に誘われたり、なにかモノを尋ねられたりしたら注意しなよ?」
「世の中君が思うほど優しくないかもしれないんだから。」
「君はつけ込まれるかもしれないよ?」
そしてそれが相手を付け上がらせる。
実に面白い。
でも、終わればそれっきり。
どうなるか、分かったモンじゃない。
「じゃあね。最近みんな浮き足立ってるから、それに乗せられないように。」
「またね。困ったらカウンセリングルームね。」
君らは子供だ。法律が、社会が、守ってくれる。
社会の歯車であるところの僕も君を守ってあげる。
そうして僕はその場を立ち去った。
え?関東さんがちゃんと帰れたかって?知らないよ。興味も無い。
本人に聞きなよ。ほら。
413
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 03:42:46
>>412
「あっ、はい」「えと、今日はありがとうございました」
もう一度、ぺこりとお辞儀。
文字通り『一杯食わされた』ことなんて忘れてしまったように。
忘れているわけではないのだけれど、忘れてしまったように。
……そもそも、不機嫌はポーズだ。
特に何か不利益を被ったわけでもないのだ。ちょっと、からかわれただけで。
「せ、先生がそれを言うんですか……?」
……でも、たった今人のことをからかった人に『知らない人には気をつけて』なんて言われても。
「ま、まぁ、でも、そうですね。
肝に銘じておきます」
ともあれ、しかし、忠告自体は真っ当なわけだし。
……うん、真っ当な忠告を、真っ当じゃない人がしているから違和感があるだけで。
忠告自体は真っ当なんだから、しっかり受け取るとして。
「はい」
「先生も、お気をつけて。
よいクリスマスと、よいお年を」
なんだかんだ言っても、やっぱりこの人は先生なんだなぁ、なんて思いつつ。
手を振って見送って……先生が見えなくなったところで、ほっと一息。
「…………うん」
「あたしも、がんばらなきゃ」
道は、見つかったから。
決意を胸に秘めながら、也哉子も(少し歩きづらそうにしながらも)帰路につく。
もちろん、ちゃんと家には帰れました。
ふふ、誰かさんのおかげでしょうか、なんてね。
414
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/05(火) 23:25:33
「はは…………ははは…………」
「コイツは凄いぞ……『可能性』をビンビンに感じるじゃあないか……!」
駅前、『午後1時』。
真っ昼間から酔っ払いか、はたまたタダの『キ印』か。
奇声を上げる奴がいる。
手にはアルミ缶が二本。
415
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/06(水) 22:24:01
>>414
「ん? なんだあれェ……」
彼女は通りすがりの中学生である。
隣に守護霊(スタンド)がいることを除けば、飾り気の無い少女だ。
『……ぐるあーん』
「え? もしかして気になるのかぁ?
やめとけよォ〜。あれだよ、ほら、あの……レンヒメさんも言ってたじゃん。
コワチカとかいうやつ」
一般人から見たら、独り言にしか見えないため、
そう言う少女も十分に変人に思われるだろうが。
大柄な女性型のスタンドは道端のニオイを嗅ぐ犬みたいに、何が起こるのか気にしているようだ。
416
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/06(水) 22:52:51
>>415
「〜♪」
『人の目なんか見えやしねー』って様子の痩せこけた青年がそこにいた。
げっそりした頬と、べったり目の下に貼りついた『クマ』が、
『見ちゃいけない』雰囲気を醸し出している。
「よォしよし…………だいたいこのサイズなら
『5〜6秒』もあれば十分だな」
青年が手にしている『コーラ』と『コーヒー』を
ぽい、と空中に投げ上げる。
次の瞬間――
『パ ン』
2つの『アルミ缶』が、空中で『破裂』した。
「良いぞ!良いぞ!臭ェ花火だ!ははははははッ!」
ビチャ ビチャ
全身にコーヒーとコーラを浴びながら、青年は声を上げて笑う。
皮膚をあちこち『缶の破片』で切ったようだが、
これっぽっちも気にしちゃいない。
417
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/06(水) 23:09:00
>>416
「んもォォ、行くぞ?」
少女は立ち止まった犬のリードを引っ張るがごとく、
スタンドを引っ張って進もうとするが
「えっ何? うっわぁ!?」
『ウヒャー』
精密性皆無の『破裂』は、当然周囲にも被害をもたらす。
遠巻きにしていた周囲の人々はともかく、スタンドが興味津々で近づいていた少女は
射程範囲に入ってしまっていた。
「ムッ」
まあ、距離が多少離れていたことと、スタンドの防御により、
缶の破片で傷つくことはなかったが、コーラが少しかかってしまった。
少女はムッとした顔で(口でもムッと言いながら)騒いでいる男を睨む。
418
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/06(水) 23:25:07
>>417
「アァ―――――………………」
青年は『恍惚』とした表情で固まっていた。
虚ろな瞳で中空を見据え、そのまま『10秒』。
ギョロ ッ
ふいに、周囲を見回し――遠巻きの『群衆』、
そして『灰羽』に目を止める。
「うお、ッ」
その存在に初めて気付いたような反応。
少し『怯えた』ような目を見せ、
「…………ンだよ」
「見せモンじゃねーぞォ、おい」
一転、低い声で凄んできた。
ただ、少しばかり『震え声』だが。
419
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/06(水) 23:40:30
>>418
「……うぐぅ」
少女は怒り覚めやらぬ様子で、しかし同時に脅しが効いたのか
不満そうにしつつも言い返すことはせず、目を逸らした。
通常であれば弱みと取れる青年の怯えたような瞳も、震え声も、
異様な形相と態度を考えれば、触れてはいけないものという印象を深めただけである。
『ンガァァア?』
『ダラァ!?』
『ドルルルァァ!?』
だが一方、そういう雰囲気だとか空気だとか読めないスタンドが威嚇し返してくる。
女性型スタンドはでかく、ムキムキで、その胸は豊満であった。
420
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/06(水) 23:56:41
>>419
「……へッ、へへへ……いや、怖がらなくても
いいんだぜ。うん、分かればいいんだ。分かれば」
『灰羽』が竦んだ途端、尊大に出る青年。
だいぶ、(人間的に)『小さい』男のようだが。
「……」
と、ようやく灰羽の傍らのスタンドを認識する。
「え」
「うわッ」
「うわあああぁぁあッ!?」
ドスン!
大げさなくらいの『驚愕』!
後ろに倒れて腰から落ち、そのまま這いずって
スタンドから距離を取ろうとする。
「なッ、なんだそいつ! なんだよ、聞いてねえぞ!」
421
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 00:07:25
>>420
『グルルアァン?』
「……」
『フンス』
「……」
少女は急に取り乱した青年と、自らの傍らのスタンドを交互に見た。
スタンドはどことなくドヤッとした顔を返す。
「あれあれェ〜? どうしたんですかぁ?」
さきほどまでの不気味さの助長とは違い、わかりやすくビビッている青年に
余裕を持ったのか、少女は近寄ってきた。
女性型スタンドは威嚇をやめて、ゴリラのように穏やかな雰囲気を発している。
422
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/07(木) 00:23:47
>>421
『ドヤ顔』で歩み寄る『灰羽』。
こいつら――良い勝負だ。
「ハァ、ハァ、ハァ……クソッ、急に強気に出やがって――!」
先ほどまでの自分を棚に上げつつ、灰羽に言う。
冷や汗がダラダラと流れているが、コーラと混じって
よく分からないことになっている。
ついでに体も冷えてきた。
「どうした、って……そいつだよ、そいつ!」
『スタンド』を指差して、叫ぶ。
もう余裕も何もあったものではない。
「一体全体『何者』なんだ!?
『説明』を……説明を、してくれ、頼む」
423
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 00:41:24
>>422
待て! ドヤ顔をしたのは『アクエリアス』だ。
灰羽は……口の端を歪めた妙な表情をしているぞ。笑顔のつもりかもしれない。
「ちょ、ちょっとぉぉ、あんまり騒がないでくださいよ。
変な目で見られるじゃないですか」
異常な行動を取ったり騒ぐ男に近寄っている時点で、
変な目で見られる対象に入ってしまっているため、手遅れである。
「え〜……
そういうのは聞くほうから話すのがマナーってよく言うでしょう。
さっきの缶を爆発させたのがあなたのですかぁ?
ヴィジョンは見えませんでしあけど」
『アクエリアスー!!』
「ちょ」
少女は野良犬とコミュニケーションをとるように、
警戒した様子で言葉をかけてくる。
隣のスタンドは何故かスポーツ飲料の名前を叫んでいる。
424
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/07(木) 01:07:54
>>423
>待て! ドヤ顔をしたのは『アクエリアス』だ。
!? ……その通りだった。これは『球良』の
『動揺』を表している、そう考えていただきたいッ
(申し訳ありません)
「変な目……?
ま、良くあることだ。ちょっと怒鳴って、
追っ払えばいいだろ」
「もしかしたら『ファン』かも――いや、
ぼくに『理解者』はいないし、いらないな」
どうもこの男、『奇異の目』は慣れっこらしい。
いつも、さっきの調子で凄んで見せるのだろうか……
「缶?爆発? ああ、あれはぼくがやったけど。
なんだか『目が覚めたら』、『出来た』。
変な『女』の夢を見たよーな気もするけどな」
「それで『ストーン・サワー』と名づけた。
ぼくの『感覚』が、そう言っていた――気がする」
中空を見上げながら、喋る。
目つきが、また『ヤバい人』のそれっぽくなった。
>『アクエリアスー!!』
「喋ったぞ、こいつ……!?
おい、『アクエリアス』ってのが、こいつの名前なんだな?」
425
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 01:20:55
>>424
「ふーん。なりたてなんですかぁ。
夢……?」
一発で名前と分かってもらえた楽人の勘の良さに『アクエリアス』もニッコリだ。
トトロとメイちゃんみたいなやり取りである。
「うーん、変なことするのは勝手ですけど、他人の迷惑にならないようにお願いしますよ。
せめて爆発させるならベトベトするコーラとか、シミになるコーヒーじゃなくて、
空き缶とかミネラルウォーターにしといたほうがいいですよォ」
楽人が(比較的)普通に話しているからか、周囲に人が戻りつつある。
少女はそれが逆に気になったのか、そわそわした。
「目覚めたてっていうなら許してあげます。特別にですよ?
私も暇ではないですしぃ」
426
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/07(木) 01:33:54
>>425
「なりたて……よくわからんがお前はベテランなのか?
……あ、ベテランなんですかね?『アクエリアス』さん」
なぜか『アクエリアス』にだけ腰が低い。
多分ちょっと『ビビってる』んだろう。『小さい』。
「いやいやいやいや、透明なモンぶちまけたって面白くも何とも無いだろ。
もうちょっと考えてものを言いたまえ、うん」
『常識』が欠けてそーな奴とは思えない口振りで、
『灰羽』に言う。卑屈になってみたり尊大に振る舞ったりと、随分と忙しない。
「お前に『許される』いわれは――ッくショいッッ」
ブハックショ〜イ
灰羽の言葉に反論しようとして、盛大に『クシャミ』をする。
「……クソ、こりゃ冷えたか……?
まあいい、ぼくの『ストーン・サワー』。覚えとけよ、
『アクエリアスさん』、それとそこの……あー、お前」
「はははッ……『あばよ』ッ!」
そう言って、人並みの間を縫って去っていく。
後日、しっかり風邪を引いたのは言うまでもないのであった。
427
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 01:50:06
>>426
「えっ、いや、まあ……多少はねぇ?」
スタンド使い暦は一年ちょっと……ベテランかと言われると、微妙なところだ。
……しかしスタンド使いになったのが中二で、今も中二……
そこに触れることは死を意味する。
「色つきの液体だと面白いのかぁ?
そういやファンとか言ったりしてたな……アーティストかなんかか?
現代アーティストって理解できない」
『バイバイ』
名乗らなかった少女が現代アートに思考をめぐらせている間に、
『アクエリアス』はぶんぶん手を振って名も知らぬ青年を見送った。
結局『スタンド』の名前だけ交換した彼らだった。
「……なんかいつも思うけど、お前、私よりも扱いがよくないかぁ?」
『……』
「くそっぉ、コーラがベタつく……せめてノーカロリーでやれよ」
そして少女はむかつきが再燃したのか、不機嫌そうに帰っていった。
428
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/07(木) 22:33:59
「んんー…………っ」
「ふう……眠いわぁ」
『AM7:00』。
駅構内の『待合室』で、大きく伸びをする。
正月休みも終わり、仕事が再開してから2日。
「しばらく休んでたから…………朝起きるのが辛いわねぇ」
彼女の場合は普段からそうなのだが、ともかく。
「…………暇ねぇ……」
『電車待ち』である。
429
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/07(木) 23:37:45
>>428
やがて、同じく電車待ちであろうサラリーマン風の男が一人、待合室に入ってくる。
長らくアイロン掛けをしていないらしき、もっさりとした背広を身に纏い
朝から仕事の疲れを滲ませながら、眠そうな表情を浮かべている。
鞄などは持ち歩いておらず、手ぶらだ。
そしてあなたのほど近くで立ち止まる。
椅子には座らず立ったまま、ポケットに手を突っ込むと一本の煙草を取り出し、口に咥えた。
……待合室に限らず、駅構内は『全面禁煙』である。
430
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/07(木) 23:45:35
>>429
「ん〜…………」 コックリ コックリ
ムクッ
「あらっ、いけないいけない」
ヒマさに負けて、意識を手放しかけつつ、何とか寝ないように
頑張っている。ここで倒れたら『遅刻』待ったなしだ。
「…………あっ」
近くに人の気配を感じ、目をやって、『煙草』に気付く。
『アロマ』は好きだが、煙草の匂いはあまり得意ではないし、
一応『禁煙』というやつだ。
「あの……すみません、ええと、そのぉ」
遠慮がちに男に声を掛け、自分の口元を指差す。
婉曲なやり方だが、初対面の男性に、直接面と向かって
抗議するほど『勇気』はなかった。
431
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/07(木) 23:58:18
>>430
「はい?」
あなたの抗議に気付く。
「ああー、すいません、紛らわしかったですね」
バツが悪そうに頭を掻く。
謝罪しながらも、咥えた煙草を仕舞ったりはしない……
だが、火をつけようともしない。
「良かったら一本どうですか。ウチの人気商品なんです」
そういって煙草を取り出したポケットから箱を取り出す。
煙草の箱ではない。大きさ、形ともよく似ているが、派手な赤い色のパッケージには
可愛らしい猫のキャラクターや星などが描かれ、『シガレットチョコ』と書かれていた。
箱から一本取り出し、あなたに差し出す……。
432
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 00:04:38
>>431
「あら…………?」
『紛らわしい』ってどういうことかしら、というような表情を
しているうちに、『箱』を差し出された。
のんびりしたしぐさで、しばらく見入る。
「『シガレット』……『チョコ』、あらっ、お菓子だったのねぇ。
ええと、ごめんなさい、早とちりしちゃって」
ペコ
小さく頭を下げて、謝る。
仕事でも謝る事多いわよねぇ(トロいから)、とか考えつつ。
「えっ、いいんですかぁ」
「それじゃあ、いただきます。ありがとうございます〜」
差し出された『シガレット』を受け取り、
口にくわえてみる。味はどんなものだろう?
433
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 00:19:38
>>432
「いえいえ、こちらこそすいません。へへ……
今時『シガレットチョコ』なんて珍しいでしょう。
子供に煙草を吸う真似なんてさせたくない親御さんが多いですからね」
シガレットチョコを手渡す。あなたは、それを口にする。
シガレットチョコは、煙草のように細い筒状の紙の中に、何の変哲もないチョコレートが入っている。
ただそれだけの菓子だ。
紙が邪魔で食べにくく、『煙草を吸う真似』をすることに興味がなければ、
紙をむいてしまって『ただの細長いチョコレート』として食べたくなる。
チョコレートの味も、普通だった。
「ウチの会社は、こういう時間に取り残されたような商品ばっかり売ってましてねえ。
だから経営も火の車で……ああ、すいません、いま会ったばっかりの人にする話じゃあないですね」
未来への不安とも、過去への郷愁とも取れる感情を顔に浮かべ、笑う。
434
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 00:37:09
>>433
「そうですねぇ、わたし、初めて見たかも……」
紙をくわえて、煙草を吸う仕草を真似てみる。
……そのまま、チョコが溶け出すまでぼーっとしていた。
「……これ、なんか落ち着きます……
このまま寝ちゃいそう、うふふ」
「いいお菓子だと思いますけど……経営が苦しいのは、辛いですよねぇ。
わたしは『寝具メーカー』に勤めてるんですけど、最近『若い人』が少ないとかで、
『一人暮らし』を始めるひとが少ないんですよねぇ」
シガレットをくわえたまま、話し出した。
声にあわせて、包み紙がゆらゆら揺れる。
「そうすると『ベッド』なんかは、あんまり売れなくって。
今年の『春』はどうなるのかなぁ……ふわぁ」
「考えると、眠くなっちゃいます」
435
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 00:57:40
>>434
「あっはっは、お姉さん面白い人だねえ。
咥えたまま寝ると、たぶん体温で解けて、目が覚めたときにはすごい事になってそうだ」
今度は普通に笑う。
心の距離が縮まったのか、敬語ではなくなった。
「あー、なるほどねえ……寝具業界も大変なんだ。
絶対数が減ってるのもあるんだろうけど……
据え膳上げ膳の親元で暮らして、近くの会社に入って、
大博打に出ることも無理をすることもなく『人生というレール』の上を『通り過ぎていく』……
……こりゃ俺のことか」
そう言いながら線路を見つめる。
「あー、なんか会社行きたくねえや。
いっそこのまま電車が停まっちまえば、今日だけでも、どこか別のところへ出かけられるかね」
ユラァ……
あなたは、『陽炎』のようなものが私の身体に重なって見える。
完全に重複しているためはっきりと区別しづらいが、それは『スタンド』だった。
436
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 05:35:17
>>435
「そうなんですかぁ……服が汚れちゃうかな」
寝ないようにしないと、と呟いた。
「『レールの上』を……ですか?」
『石動』の言葉に釣られて、線路を見る。
その述懐までは理解出来なかったのか、少し不思議そうな顔をしていたが、
>ユラァ……
「えっ、えぇ……っ?」
突如発現した『陽炎』に驚きの声を上げた。
シガレットの包み紙が、ぽとりと落ちる。
「わたしも時々そんな風に思います…………でも、あの」
「……何をするつもりなんですかぁ」
石動を見上げ、恐る恐る声をかける。
437
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 20:30:52
>>436
「『脱線事故に巻き込まれた』って事にすりゃあ、会社に言い訳も立つか……」
などと半ば独り言のように言いながら、先程までとはまるで違う冷徹な眼で線路を見ていたが……
「あーやめやめ。
休みたいなら仮病でも無断欠勤でも一人で勝手にやりゃあいいんだし、
人様を事故に巻き込んで迷惑かけることじゃねーや。
お姉さんだってせっかく気合入れて駅まで来たんだ、帰りたいとは限りませんよねえ……どうしました?」
思いついた凶悪な『悪戯』を取り下げ、スタンドは引っ込む。そしてあなたに向き直る。
考え事に夢中であなたの様子にまで注意を払っていなかったため、その時に気がついた。
「いえね、ちょっとした『妄想』をしただけですよ。いやお恥ずかしい。
でも、そんなに驚くほどヤバイ顔してました?…………それとも、
なにか、見えました?」
再び心の距離が開いたのか、丁寧口調に戻っている。
438
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 20:59:13
>>437
「…………………………………………」
『怯え』と『驚き』が入り混じったような表情で、『石動』を見た。
「いいえ、何も…………ううん、ごめんなさい。見えました」
「ぼやっとした……『影』のような、ロウソクの『灯り』のような」
誤魔化そうとして、やめる。『嘘』をつき通せる自信はなかった。
「えっと……その。何か『しよう』としても、
それを『できる』としても、『実行』しなければ……
思うのは、自由だと思います」
「わたしも、小うるさい『課長』がどこかに
『転属』にならないかなぁ、って思うこともありますから……」
ぽつりぽつりと、思い浮かんだことを喋っていく。
言葉が途切れるのが怖いからだ。
439
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 22:11:24
>>438
「そう、ですか……『惹かれあう』って話、本当だったんだなァ」
まだ『スタンド』に目覚めて数日。
しかし『相手にも見える』ということの意味は、判っている(はずだ)。
「『夢』を見たんですよ。その後だったなァ、『超能力』に目覚めたのは。
それで思ったんです。この力があれば、今までとはまったく違う人生を生きることもできる、ってね。
潰れる寸前の会社なんか行かなくたっていい。『持たざる者』から欲望のままに奪って生きる事だってできる。
でも、同時に思ったんですよ、本当にそれでいいのか、って。
それまでの人生をすべて投げ捨てて『自由』を手にしたとして、それは本当に俺の欲しているもんだろうか。
考えてもわからないんで、とりあえずこのまま……会社を辞めたりしないで過ごすことにしたんです。
『レール』か、『自由』か。
何らかの『分岐点』までは、レールの上をもう少し進んでみよう、って」
遠くで踏み切りの鳴る音がする。二人が乗るはずの電車が近づいている証拠だった。
そろそろ時間だ。
440
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 22:34:56
>>439
「『スタンド使い』は『惹かれあう』……」
「そうかも、知れませんね」
自分が、これまでに会った人々を思い出す。
「自分の人生を変えられるような『力』……
でも、あなたはそれに溺れないでいるんですね。
凄いことだと、思います。うん」
たとえそれが『判断の保留』に過ぎないのだとしても、
そこで一旦『踏みとどまる』ことが出来るのは、やはり
良いことなのだろう。ふと、そう思った。
「『分岐点』まで――えっと、上手く言えないですけど……
頑張ってください、とっても、大切な判断だと思いますから」
「……ふわ、ぁ。
ごめんなさい、ちょっと安心したらぁ……急に眠く……」
たどたどしく、思いつくままに言葉を紡いだあと、
緊張の糸が切れたように欠伸をする。
パァアーーッ
列車が、ホームに入ってくる。
気だるそうに立ち上がり、そちらに目をやった。
「……そういえば、これからお仕事だったかしらぁ……
行きましょうか、……ええと、お名前、伺っても?」
441
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 22:44:53
>>440
「あー……うん。
自分じゃ優柔不断なばっかりだと思ってたけど、アンタ、いい人だな」
ガタンゴトン ガタンゴトン プシューーーーッ
電車が到着し、ホームに停車した。
「俺は石動 遥道(イスルギ ハルミチ)。スタンドの名は『アルター・ブリッジ』」
ほぼ同時に名乗る。一拍をおいて電車の扉が開く。
442
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 23:00:29
>>441
「石動さん、ですね。よろしくおねがいします……
あっ、わたしは人吉 佐和子(ヒトヨシ サワコ)と申します」
『メヘェェェ』
鞄から、『枕みたいな羊』の『スタンド』が顔を出した。
「この子は『クラウド・ボーイ』」
「それじゃあ、そうですね……うふふ、
これも何かの縁ですし、降りるまではご一緒しましょうか?」
そう言って微笑みかけ、列車に乗り込む。
『〜♪』
発射のジングルがなる。ゆっくりと、汽車が駅を離れていく。
……道中、人吉が何度と無く眠りに落ちかけたのは、また別の話だ。
443
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 23:16:11
>>442
「人吉さんですか、よろしく。
『羊』……か。なるほど、これは奇妙な縁かもしれませんね。
夜の夢でスタンドに目覚めた私には……」
多眠症の気がある女性と、眠りに関係していそうな『羊』のスタンド。
『ファム・ファタール』との関係は……偶然だが、『出来過ぎ』だと思った。
「はい、まあ、どっちかの降りるところまで」
プシューン
ガタンゴトン……ガタンゴトン……
二人は電車に乗り込み、扉は閉まり、走り出した。
人吉は席に座り、俺はその前で立っている。
その後は話らしい話もなく……どちらか先に降りる方の駅で、別れた。
444
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/04/03(日) 23:18:11
駅前、監視カメラの真正面でベンチに寝ころび、
顔に帽子を被せている。眠っているようだ。
445
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/04/04(月) 00:06:45
>>444
ふらりと立ち上がると、そのまま歩き去った。
446
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/09/28(水) 22:58:54
駅から出入りする人間から見える位置のベンチでスマートフォンを弄っている。
447
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/09/29(木) 09:08:23
>>446
男は居なくなっていた。
448
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2018/12/29(土) 21:04:40
タタン
タタン
タタン
タタン
この時期の電車は混み具合が本当に読めなくってうんざりするんだよ。
変な時間の上りが妙に混んでたり、朝イチの下りに人が溢れてたり、
私がどうにかこうにか意を決して乗り込んだずっとずっと遠くまで行く電車が、
ずっとずっと遠くまで行きたい人でそれなりに繁盛しちゃってたり。
すっごく遠くまで行こうっていうのに、立ちっぱなしってのは流石にしんどいんだよね。
タタン
タタン
タタン
タタン
だから私は、惜しげもなくズルを、イカサマをインチキをしてしまうんだ。
『誰がいつどこで降りるか』が『分かって』、そのタイミングを好きにいじれる私の『裏技』。
使いすぎると自分がどんどん弱っていって甘えていってつまらなくなっていくような気がするけれど、
だけどだからって言って、この街を出るのってのに最後だからってのに使わないってのは、
それはそれで違うじゃん?
タタン
タタン
タタン
タタン
「『レイルウェイ・チルドレン』って、いうんだよ」
誰に聞かせるともなく呟いて、私は座席を確保する。
そのくらいは、私の『手のひらサイズの未来予知』があれば、まるっきり楽勝って感じなんだ。
思えば、色々なことがあって、その色々が大体全部いいことで、
思い返してみれば、私の人生って奴はどうやらうまいこと行ってるみたいで。
だから、
タタン
タタン
タタン
タタン
だからやっぱり私は、行かなきゃいけないんじゃないかって思うんだ。
もっと色々なことがあって、もっといいことがあって、もっとうまく、行ったらいいと思うから。
「たくさん考えると、疲れちゃうよねえ」
この電車は座席の下からも暖房が効いていて、
ひとたび座ったらたちまち私の身体は暖められて、どうにも抗いがたい眠気に襲われるんだ。
疲れていて、暖かくなっって、眠たくなって。
だから今から私が眠ってしまうのも、きっと無理のないことだと思う。
次に目を覚ましたら、きっとずっと遠いところに辿り着いているんだろうけど。
それでも、それって別にさみしいことじゃないって思うから。
だから私は、薄く笑って瞼を閉じる。
楽しいこととたくさん遭って、楽しいことがたくさん待ってて。
まったく、ひょっとして私の人生、最高なんじゃないか。
タタン
タタン
タタン
タタン
両耳を塞ぐイヤホンからは、昔のヒット曲が絶え間なく流れている。
居場所の要らない女の子が人の心を渡っていくような、そんな歌。
車輪のリズムと慣れたメロディに包まれて、
どうしようもなく本当にまるっきりおめでたくて幸せな私は、小さく一つ呟いて、意識を手放してみるんだよ。
「ぐんない」
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