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【場】『黄金原駅』 その3

398加賀『プライベート・ライン』:2015/12/25(金) 00:17:16
>>397

「あっはは。分かってるよ。たとえ話でしょ?」

       軽薄そうに笑ってみせる。
       ……なんていうか、青春の淡い香りがするなァ。
       僕は牛乳で濡れた雑巾みたいな臭いの青春だったけど。
       あれ?思い出せないな。
       黒板消しで遊んだことは覚えてるんだけど。

「そう、君だよ。」

       これは君のお話だろう?
       君の言葉じゃないと意味が無いんだよねェ。
       正直さ、こういうのは面倒くさいんだ。
       仕事みたいだからね。
       でもなァ、聞くって言っちゃった手前おしまいって言いにくいし。

「あっはは。うん。若いねェ。」

       まっすぐだなァ。ヤだヤだ。世の中優しければどれだけいいか。
       君は守ってもらえるけど、僕は守ってもらえないんだよォ?
       社会にも、法にも、君の方が守られてるんだよ?
       あっはは。ほんと、若いってヤんなっちゃうな。

「だったら君が盾になるしかないよ。」

「そうでなければ看護師さんだ。カウンセラーだ。癒す人にならなきゃ。」

       理想も夢も全部全部混ざって溶けて現実なんだよ。
       最低も最悪も全部現実だし、受け入れるべきなんだよ。
       君がやってるのは川の流れに逆らって泳ぐようなモンだよ?
       疲れるし、ヤんなっちゃうことだよ?
       分かんないだろうなァ。

「でないと、君は『いっぱい』になれないよ。」

「あっはは。でも、カウンセラーはよしてよ、僕の仕事減っちゃうし。」


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