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「不器用な女の子の不思議な質屋さん」3 隠れた気持ちと不思議な着物

1シティごりら:2019/08/28(水) 20:14:50 ID:r4d7zACQ
今回のお話は私の大好きな幼なじみで、恥ずかしがり屋だけどいつも自分に厳しい女の子のお話。

そんな女の子と不思議な力を持つ着物との隠されていた気持ちを知れた出来事です。


結構間が空いてしまいましたが前回からの続きになります。良かったら前回もどうぞ

https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1554297188/l30

55シティごりら:2019/08/28(水) 21:08:55 ID:r4d7zACQ
ーー

ことり「もう海未ちゃんは家に帰ってるかな?」

穂乃果「ホームルーム終わったらすぐに教室出ていったから帰ってるとは思うよ」

ことり「そうだよね。海未ちゃん以外に誰かいるかな?」

穂乃果「わかんないけどインターホン鳴らしてみるしかないよね」

穂乃果ちゃんがおそるおそる海未ちゃんの家のインターホンを押す。

海未母「はーい。あら穂乃果さんとことりさんどうしたのですか?」

海未ちゃんのお母さんがいつもの様に出迎えてきたけど、その姿はなんか少しやつれてるような印象があった。

ことり「こんにちは。あの海未ちゃんって今家にいますか?」

海未母「‥はい、いますよ」

穂乃果「あの、何か海未ちゃんで変わったこととかありますか?」

海未母「‥何か知っているのですか?」

ほのこと「??」

56シティごりら:2019/08/28(水) 21:09:42 ID:r4d7zACQ
海未母「‥‥実際に会っていただいた方が早いですね。海未さんは自分の部屋にいます」

穂乃果「??」

ことり「わかりました‥」

海未母「海未さんをお願いします」

海未ちゃんのお母さんは私たちに深く頭を下げた。その様子から嫌な予感が当たってるよ
うな‥。

穂乃果ちゃんの後ろ姿からも同じことを思ってるだろうことは感じ取れた。そんな気持ちを持ちながら海未ちゃんの部屋に向かう。

穂乃果「海未ちゃん入るよ」

部屋に着いて、ノックをしても返事は無かった。だけどゆっくりドアノブを回して海未ちゃんの部屋へ入る。

そこには綺麗な姿勢で床に座る海未ちゃんが居た。

57シティごりら:2019/08/28(水) 21:10:29 ID:r4d7zACQ
海未「おや、穂乃果、ことりどうしたのですか?」

ことり「う、うん。最近海未ちゃんの様子が変だから心配になってね」

穂乃果「海未ちゃん最近どうしたの?」

海未「何もおかしくなんてありませんよ。私は昔から何も変わってません」

海未「そうだ!私最近スカートを買ったんです!今着てるこれなんですけどどうですか?」

ことり「‥うん似合ってるよ」

穂乃果「それよりも!!最近弓道部にも行ってないみたいだし何かあったでしょ!海未ちゃんのお母さんも心配してるよ!」

海未「‥‥弓道部にはもう行きませんよ」

ことり「どうして?」

58シティごりら:2019/08/28(水) 21:11:31 ID:r4d7zACQ
海未「弓道なんてやったところで美しくないですから。そんなことよりも綺麗な服を買ったりメイクをしたりした方がよっぽど有意義です」

海未ちゃんは冷たくキッパリとそう口に出した。

穂乃果「そんなのおかしいよ!海未ちゃんあんなに真面目に練習してたのになんでそんなこと言うの?」

海未「‥穂乃果やことりにはわからないですよ」

穂乃果「穂乃果達にはわからないってどういうこと?」

海未「話す必要もないです。どうせ話したところで理解されないですし」

穂乃果「海未ちゃん‥」

やっぱり‥、なんかいつもの海未ちゃんと違う。こんな簡単に今までの頑張りを否定するような人じゃなかった。

ことり「!!」

59シティごりら:2019/08/28(水) 21:12:34 ID:r4d7zACQ
ことり「ねえ海未ちゃん。あの着物どうしてこの部屋にあるの?」

私は机の上に大切そうに置いてあるあの蔵の中にあった綺麗な着物を指差した。

穂乃果「ほんとだ。あんまり興味無さそうにしてたのに」

穂乃果ちゃんはそのまま着物を手で持とうとしたその時。

海未「触らないでください!!」

穂乃果 ビクッ

>チュンチュン!!

ことり「!」

海未「すみません。今日はもう帰ってください」

ことり「こっちこそごめんね。穂乃果ちゃん今日はもう帰ろう」

60シティごりら:2019/08/28(水) 21:13:45 ID:r4d7zACQ
穂乃果「ちょ、ちょっと押さないでよことりちゃん!」

そのまま穂乃果ちゃんを無理矢理部屋から一緒に連れ出して海未ちゃんの家の外まで行った。

穂乃果「急にどうしたのことりちゃん?」

ことり「ごめんね。この子が急に反応したからあのままいたら危ないと思って」

穂乃果「この子?」

ことり「うん」

カバンに付いているチュンちゃんを穂乃果ちゃんに見せると、この子の説明をした。

最初は本当か疑っていたけど私の真剣な顔と真姫ちゃんや希ちゃんの話で穂乃果ちゃんは信じてくれた。

61シティごりら:2019/08/28(水) 21:15:14 ID:r4d7zACQ
穂乃果「でもその子が反応するってことはあの部屋の中に危険な力を持つ道具があるってことだよね」

穂乃果「海未ちゃんの部屋に色んな物があってどれかわかんないよ」

ことり「‥多分だけどあの着物がそうじゃないかな」

穂乃果「どうして?」

ことり「最初部屋に入っただけじゃ特に反応は無かったけど、穂乃果ちゃんがあの着物を触れようとした時に海未ちゃんの様子が一変したし‥」

ことり「それにこの子もそのことに反応したから‥。きっとあの着物がそうだと思う」

穂乃果「でもそうだとしてもこれからどうするの?危険な物に反応するってことは、このままじゃ海未ちゃんも危ないんじゃ‥」

62シティごりら:2019/08/28(水) 21:15:50 ID:r4d7zACQ
ことり「明日真姫ちゃんにこのことを話してみる。きっと真姫ちゃんなら何か分かるかも」

穂乃果「だったら穂乃果も行くよ!海未ちゃんを助けたいもん!」

ことり「うん!そうしよう」

ことり「とりあえず今日はこのまま家に帰って明日は海未ちゃんとは何も無かったかのように関わろっか。変に刺激して何か起きても大変だし」

穂乃果「‥わかった。ありがとうことりちゃん」

穂乃果「‥‥海未ちゃん絶対助けるからね」

63シティごりら:2019/08/28(水) 21:16:49 ID:r4d7zACQ
ーー


翌日、放課後


ことり「‥‥っていう感じで昨日は家に帰ったんだけどどう思う真姫ちゃん?」

真姫「話しを聞く限り十中八九その着物の力が海未先輩に働いているわね」

真姫「最近クラスの子が憧れだった海未先輩に話しかけてもらえたって喜んでたけど、そういう背景があったのね」

穂乃果「真姫ちゃんどうにかなんないの?」

真姫「‥いやあなたさっきから近いのよ」

穂乃果「あっ、ごめんね」

穂乃果ちゃんはそう言われてパッと真姫ちゃんに擦り寄せていた体を少し離れさせた。

ことり「あはは‥」

真姫「とはいってもまだその着物の力がわからないし何とも言えないわ」

64シティごりら:2019/08/28(水) 21:17:34 ID:r4d7zACQ
真姫「せめて実際にその着物を見れればまだいいんだけど‥」

ことり「海未ちゃんが許してくれるかな?」

穂乃果「昨日も触ろうとしたらすごく恐い感じで怒られたもんね」

希「誰かが囮になってみればいいんやない?」

ことり「そう簡単にいくかな‥。って希ちゃんいつからいたの?」

希「今さっき来たんよ。なんか皆んな真剣な顔して話してたから大きな声でお邪魔しますともいえなくてね」

穂乃果「はじめまして、2年生の高坂穂乃果です」

希「ウチは3年生で生徒会副会長の東條希っていうんよ。よろしくね穂乃果ちゃん」

希「あ、あとことりちゃんには言ってあるけど先輩ってつけなくていいから気軽に名前で呼んでね〜」

65シティごりら:2019/08/28(水) 21:18:22 ID:r4d7zACQ
穂乃果「はい!希ちゃんよろしくお願いします」

希「うん!‥でさっきの話しだけどもう一度その子の家に行ってみたらいいんじゃない?」

真姫「そうね。実際見てみないと分からないし、どうしようもないからこれから行ってみましょうか」

ことり「大丈夫かな〜」

希「ウチも一緒についていくから大丈夫よ」

穂乃果「希ちゃんも来てくれるの?」

希「一応少しは力になれると思うよ」

穂乃果「やった!じゃあ早速皆んなで海未ちゃんの家に行こう!」

ことり「うん!」

希「ふふ♪穂乃果ちゃんとことりちゃんに元気が少し戻って良かったね」

真姫「‥‥そうね」

66シティごりら:2019/08/28(水) 21:19:40 ID:r4d7zACQ
ーー

真姫「どうしてついてくるなんて言ったの?」

皆んなで海未先輩の家に向かっている途中で私は希に気になっていたことを聞いてみた。

希が自分からこんなに首を突っ込んでくることは今まで余りなかったため少し気になったから。

希「う〜んとね、実は理事長から頼まれたんよ」

真姫「理事長から?」

希「理事長の娘さん、つまりことりちゃんだね。ことりちゃんの幼馴染が大変だって」

真姫「ほんと色んなこと知ってるのね理事長は」

希「まあ一応ちゃんと仕事はしてるってことやね。あとはちょっと占いをもう一度やってみたら少し気になる結果がでてね」

真姫「なるほどね。まあ希がいた方がやりやすいのは確かだしこっちとしては有り難いからいいんだけどね」

67シティごりら:2019/08/28(水) 21:21:01 ID:r4d7zACQ
希「なら良かったよ。ほら、なんやかんやで着いたみたいやで」

真姫「なんか大きな家ね」

ことり「海未ちゃんの家は昔から続く日舞の名家だから大きいんだよね」

海未母「あら、穂乃果さんとことりさん。とそちらの方は?」

穂乃果「えーと、学校の後輩の真姫ちゃんと先輩の希ちゃんです。ちょっと海未ちゃんと会いたくて‥」

海未母「‥そうでしたか。どうぞ上がってください」

ことり「お邪魔します」

私たちは海未ちゃんのお母さんに軽く挨拶をすると、そのまま海未ちゃんの部屋の前まで行きノックしてドアを開けた。

穂乃果「海未ちゃん入るよ」

68シティごりら:2019/08/28(水) 21:22:05 ID:r4d7zACQ
部屋の中で海未ちゃんは昨日のように綺麗な姿勢で座っていた。

海未「今日も来たのですか。‥後ろにいる方たちは?」

穂乃果「ちょっとね、海未ちゃんの持ってるあの着物に用があるの」

海未「‥触らせませんよ」

ことり「少しだけでもいいから見せてくれない?」

海未「嫌です」

語気を強くして私たちにそう言い放つ。

希(けっこう想像してたよりもがっつり心が支配されてるね。せめてあの着物のことがもう少し分かればいいんだけど‥)

ことり「海未ちゃぁん、おねがぁい」

海未「‥そんなことしても駄目です」

穂乃果「うお!ことりちゃんのおねがぁい攻撃を海未ちゃんが初めて防いだ!」

真姫「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」

真姫「こうなったら最後の手段として力づくでいくしかないんじゃないの?」

69シティごりら:2019/08/28(水) 21:23:08 ID:r4d7zACQ
ことり「う〜ん、それは‥」

穂乃果「あまりしたくないような‥」

海未「ほう、あなた達ごときが私に力でかなうと思っているのですか?」

そう言いながら海未ちゃんは近くに置いてあったシャーペンを片手でバキッと折った。

穂乃果「ひっ!」

希「さ、流石に無理やね」

真姫「そ、そ、そうね」

ことり「お、お邪魔しました〜」

私たちはそそくさと部屋を出てドアをゆっくり閉めるとため息を吐いた。

真姫「どうすんの、あんなのからどうやって着物を取るのよ」

ことり「あんなのって‥。まあ気持ちはわかるけど」

穂乃果「私のことを怒るときはいつもあんな感じだよ」

70シティごりら:2019/08/28(水) 21:24:04 ID:r4d7zACQ
真姫「穂乃果先輩はいつも何をやらかしてるのよ」

希「どっちにしろ海未ちゃんの心が今はあの着物の力に奪われて操られてるような状態だから、早めになんとかしないと本来の自我が失われる可能性もあるよ」

ことり「じゃあ早くどうにかしないと‥」

真姫「問題は海未先輩からどう着物を奪うかね‥」

私たちは廊下でどうにか方法を考えようとしたけど、こういう時に限ってなかなかいい考えは出なかった。

穂乃果「う〜んどうしよう、早くしないと海未ちゃんが‥」

海未母「海未さんにやっぱり何かあったんですか?」

ことり「あっ、え〜と」

海未母「ことりさん気を使わなくても大丈夫ですよ。海未さんの様子がおかしいことは私も気づいてましたから」

71シティごりら:2019/08/28(水) 21:25:07 ID:r4d7zACQ
穂乃果「‥そうだったんですか」

海未母「ええ、あの子の親ですもの。‥立ち話もなんですしこちらの方でゆっくり何があったのかを話してくれませんか」

ことり「わかりました」

私たちは少し広めの客間に通されて海未ちゃんのお母さんがお茶の用意をしながら一息つくとこれまでのことを全て話した。

信じられないような話しだったが海未ちゃんのお母さんは落ち着いて話しを聞いていた。その表情からは何か悲しげな雰囲気が感じ取れた。

そしてこの機会にあの着物のことを何か知っているか聞いてみることにした。

海未母「あの着物にそんな力が‥。実は一度あの着物を学校に行っている間に蔵の中へ戻してしまったのですが、その時の海未さんの剣幕が凄かったんです」

海未母「それ以外にも急に日舞以外のお稽古をしなくなったり、お化粧をし始めたり、急に洋服を買い集めたりしていたんですよ」

穂乃果「家でもそんなことがあったんだ‥」

72シティごりら:2019/08/28(水) 21:26:01 ID:r4d7zACQ
海未母「はい」

ことり「それであの着物はどうしてこの家にあったんですか?」

海未母「そうですね。あの着物は今は家を出てしまっていないんですが海未さんのお姉さんが昔に持ってきたものなんです」

海未母「正直そういった骨董品は私たちもたまに貰ったりすることがあるので、特に気に留めずそのままあの蔵に放置していました」

真姫「それが今回ことりたちが蔵の掃除をした時に海未先輩があの着物に惹かれてしまったということね」

希「海未ちゃんのお母さんもう少し聞きたいんですけどあの着物に関して何か言い伝えとかはあったりしますか?」

海未母「そういえば何かあれを持ってきた時に言われたような気が‥。少し待っていてください」

海未ちゃんのお母さんは立ち上がって他の部屋に何かを探しに行った。

何分かすると戻って来たその手には誰かの日記のような物を持っていた。

73シティごりら:2019/08/28(水) 21:26:54 ID:r4d7zACQ
海未母「すみませんお待たせしました。これは海未さんのお姉さんの昔の日記です」

海未母「おそらくこの中にあの着物に関することが書かれているとは思うんですが‥」

ページをパラパラとめくり該当するところをゆっくりと探している。

海未母「ありました」

希「どんなことが書かれていますか?」

海未母「あの着物は元々は江戸時代のある町人の娘さんの所有物だったそうです」

海未母「ええと、ここからが言い伝えになっていますので読みますね」

海未母「ある町人の家に1人の娘がいました。しかし、その娘はお世辞にもあまり美人というわけではなく町の人たちからは容姿を蔑まれることもあったそうです」

海未母「そんな娘にもある時、縁談の話しが出てきてその話しを受けることになりました」

海未母「その町人一家からしたら大切に育てた1人娘の一生に一度の晴れ舞台です。その町で1番の腕を持つ職人に頼んで素晴らしい花嫁衣装を作らせました」

74シティごりら:2019/08/28(水) 21:27:41 ID:r4d7zACQ
真姫「その時作られたのがあの着物ってことね」

海未母「ええ、そうです。しかし、その着物の素晴らしさが逆に仇となったのです」

海未母「結納の日、その着物を娘が着て盛大に祝ったのですが、それを目にした人達は娘よりも着物の美しさを口にしました」

海未母「あげくの果てには着物に娘が着られているなどといった心無い言葉を周りからかけられ、娘は笑われました」

海未母「とても大切な日にそんな事が起きてしまい、娘はとても傷ついてしまいました」

穂乃果「‥ひどい」

口を両手で抑えながら言葉をこぼす。

海未母「傷ついた娘はそんな周囲の声を恐れてずっと家の中に閉じこもってしまいました。結局縁談も破断になり、しばらくした後、娘はそのまま自ら命を絶ちました」

海未母「その最期の時に身につけていたもの、それがあの着物だそうです」

75シティごりら:2019/08/28(水) 21:28:25 ID:r4d7zACQ
海未母「‥以上がこの日記に書かれている言い伝えになります。皆さんの力になりますか?」

希「ありがとうございます。十分過ぎるぐらいです」

ことり「希ちゃん何かわかったの?」

希「おおまかにだけどあの着物の力の察しはついたよ」

穂乃果「私はどうすればいいの?」

穂乃果ちゃんは勢いよく立ち上がって希ちゃんに詰め寄った。

希「まあ落ち着いて穂乃果ちゃん。穂乃果ちゃんとことりちゃんが今回の切り札だから」

ことり「切り札?」

76シティごりら:2019/08/28(水) 21:29:28 ID:r4d7zACQ
希「それと真姫ちゃんも、あの聴診器は今もってる?」

真姫「‥そういうことね。あるわよ」

希「そうなると‥、あとは海未ちゃん次第やね」

穂乃果「何をすればいいの?」

希「今から話すのはまだ仮説の話しで考えた作戦になるんよ。でも成功する可能性は1番高い」

穂乃果「お願い希ちゃん」

そこにいる皆んなが真剣な顔で希ちゃんのその作戦を待った。

希「簡単にざっと言うと海未ちゃんの奥に引っ込んでる自我を引っ張り出してかつ、着物の力を弱める」

希「そしてそれをやる役割が‥」

真姫「穂乃果先輩とことりが自我を引っ張り出す役割で私が力を弱める役割、でしょ」

77シティごりら:2019/08/28(水) 21:30:03 ID:r4d7zACQ
希「真姫ちゃん正解」

希「自我を引きずり出すのは昔から海未ちゃんを知っていることりちゃんと穂乃果ちゃんが適任ってこと」

海未母「昔からあの子を色々と助けてくれていましたお二人なら大丈夫ですよ」

真姫「その隙に私が着物の力を弱めるって感じね」

ことり「私と穂乃果ちゃんは分かるけど真姫ちゃんはどうやって力を弱めるの?」

真姫「あそこまで人に影響を及ぼす物は常に力を持つようになった元凶とも言える『想い』を出している状態ともいえるの」

真姫「だからその放出されている『想い』を私の持っている聴診器で私の中に移動させるのよ」

ことり「でもそれってあの着物が抱えている想いが分からないとダメだよね」

希「そこはウチの仮説でいくしかないね」

穂乃果「それにそれをしちゃうと今度は真姫ちゃんが海未ちゃんと同じことになっちゃわないの?」

78シティごりら:2019/08/28(水) 21:30:58 ID:r4d7zACQ
真姫「その点は大丈夫よ。あくまで放出され過ぎてる分を私の中に少し移動させるだけだから」

ことり「ほんとうに大丈夫なの?」

真姫ちゃんの目をジッと見つめる私に真姫ちゃんは不自然に視線を逸らした。

真姫「そんなに心配しなくて大丈夫よ」

希「じゃあもっと具体的に作戦を練ろっか」

海未母「穂乃果さんとことりさんにも私からあの子について話しておくことがありますので、後でお時間いただいてもいいですか?」

ことり「!!」

穂乃果「はい!」

私たちは来たるべき時に備えて、各々が何をすべきなのかを互いにじっくりと話しあった。

79シティごりら:2019/08/28(水) 21:31:36 ID:r4d7zACQ
ーー


その日の深夜、園田家道場


月明かりが差す道場に一人少女が佇んでいた。

その月明かりに静かに照らされて白い着物が儚げに目に映る。きっとこの一場面を切り取って絵画にしてもその美しさは変わらないと思うぐらい神秘的に感じた。

穂乃果「綺麗だね海未ちゃん」

海未「‥‥」

ことり「ほんとにずっと見てたくなるぐらい綺麗だよ」

海未「‥2人とも家に帰ったのではなかったんですか?」

こちらを振り向いて静かに話す海未ちゃんは昔の一国のお姫様みたい。

80シティごりら:2019/08/28(水) 21:32:26 ID:r4d7zACQ
ことり「帰るフリをしたんだ」

海未「そうだったんですか」

穂乃果「ねえ、今話してるのは海未ちゃんなの?それともその着物の持ち主の人?」

海未「‥初めから貴方方が知っている園田海未ですよ。ただ違うのはこの中の想いに共鳴しただけです」

穂乃果「でもあなたは多分私たちが知ってる海未ちゃんじゃないよ。あなたには悪いけど海未ちゃんを返してもらうから」

海未「返してもらうといっても具体的には、どうするつもりですか?」

ことり「‥とりあえず話しをしない?」

海未「話しですか?」

私の突拍子もない申し出に流石に面食らった様子だった。

81シティごりら:2019/08/28(水) 21:33:36 ID:r4d7zACQ
ことり「うん。」

ーー

希「2人にまずやってほしいことはあの着物の力や想いをもっと具体的に絞ること」

希「その上で海未ちゃんの自我を取り戻してほしいんや」

穂乃果「どうして先に自我を取り戻すことがダメなの?」

希「まだあの着物に秘められた想いとかが分からないと結局、自我を取り戻したところで真姫ちゃんが想いを移動させられないから力を弱められないんよ」

希「そしたらまた自我が奪われて堂々巡りになってしまうからね」

ことり「そっか、移動させる時はお互いが出来る限り同じことを想像して行うんだもんね」

真姫「ええ、弱められないと希が言った通りまた自我を奪われる可能性がまた出てしまうわ」

穂乃果「わかった。やってみるよ」

82シティごりら:2019/08/28(水) 21:34:20 ID:r4d7zACQ
希「頼んだよ〜。ウチらじゃなくてこれはことりちゃんと穂乃果ちゃんにしか出来ないことだからね」

真姫「海未先輩のお母さんが言ってたことも考えるとあなた達2人しか海未先輩の気持ちはわからないから」

穂乃果「やろう、ことりちゃん」

ことり「うん」

ーー

ことり「あなたの生きていた時の話しを聞いたよ。とても辛かったよね」

海未「‥‥」

穂乃果「聞いてるだけでもほんとに悲しくなるもん。もし、同じ目に会ったらもう誰にも、家族にも会いたくなくなるぐらい」

穂乃果「でもあなたはそこから自分を変えようとしたんじゃないの?」

海未「‥想像ですか?」

83シティごりら:2019/08/28(水) 21:35:21 ID:r4d7zACQ
ことり「想像だよ。綺麗になろうとしたけど江戸時代じゃ整形とかそんな方法はほぼ無いし、あっても科学的じゃなくて効果があるかわからない」

穂乃果「それでも、えっと、着物の最初の持ち主のあなたは自分が綺麗になろうと努力したんじゃないの?」

海未「‥そう思う根拠はあるんですか?」

ことり「着物の力がそうだから」

海未「‥‥」

少し、ほんの少しずっと冷たく微笑んでいた海未ちゃんの微笑みが崩れる。

ことり「あなたの力はおそらく『自分が持つ美しさを自分自身で最大限に引き出させる』って感じじゃない?」

海未ちゃんからの返答は無かった。

ことり「最初にあなたの話しを聞いた時はきっと周りの人への恨みの想いが強く残っているのかなって思ったけど、海未ちゃんの様子はそんな感じじゃない」

ことり「恨みで人を傷つけるってよりかは‥」

ことり「隠されていた想いを叶えさせてあげるお手伝いをする。それに近いよね?」

84シティごりら:2019/08/28(水) 21:36:08 ID:r4d7zACQ
海未「隠された想いか‥。この子にそんな気持ちがあったとなぜ2人はわかるの?」

穂乃果「‥海未ちゃんがスカートとかの女の子っぽい格好に憧れてたのは少し気づいてたよ」

誤魔化せないと思ったのか、それとも直接私たちと話したいと思ったのか、海未ちゃんの口調が変わった。

穂乃果「あなたは知らないかも知れないけど昔の海未ちゃんはお姫様とかに憧れてたんだよ」

ことり「海未ちゃんのお母さんから聞いたけど、昔はミニスカートとかよく履いてたんだってね」

海未「‥そうみたいね。この子の中を覗いた時に知ったから」

海未「でもそしたらどうしてこの子が女の子らしい格好をしなくなったか、どうしてここまで可愛い女の子に憧れたかはわかってるの?」

意地悪な小悪魔っぽい表情を見せつけながら私たちに問いかける。

85シティごりら:2019/08/28(水) 21:36:50 ID:r4d7zACQ
穂乃果「‥うん。私たちのせい、じゃないの?」

海未「‥へえ」

穂乃果「穂乃果とことりちゃんが海未ちゃんなら勝手についてくると思ってたけど、そうじゃなかったから」

穂乃果「海未ちゃんの目の前で、すごく女の子らしい私たちを見て、海未ちゃんは自分が可愛い女の子らしくいれることを諦めちゃったんだよね」

ことり「いつからかおままごとやお洋服の話になるとどこか一歩下がってる気がしてたの」

ことり「海未ちゃんのお母さんからも聞いたよ」

海未「ふ〜ん、なにを?」

ことり「可愛い女の子らしいことをしなくなった理由を昔聞いたらこう言ってたって「穂乃果とことりの方が似合いますから」って」

ことり「そんなこと絶対ないのに‥」

86シティごりら:2019/08/28(水) 21:37:46 ID:r4d7zACQ
穂乃果「海未ちゃんのその中に埋もれてた想いをあなたが叶えてあげたんじゃないの?」

海未「よく気がついたね。2人の言った通りでだよ。いや、貴方達2人ってよりかはその後ろにいる2人なのかな?」

そう微笑んで言いながら私たちの後ろの方にいる希ちゃんと真姫ちゃんをジッと見ていた。

ことり「だから、もう海未ちゃんはきっと自分でこれからやっていけるから、私たちも海未ちゃんのそんな気持ちを大事にするから、あなたには海未ちゃんから離れてほしい」

ここぞとばかりに畳み掛ける。

ことり「お願い、海未ちゃん戻ってきて」

海未「‥あなた達の気持ち伝わりました」

海未「ずっと私はことりや穂乃果に憧れていましたから。」

87シティごりら:2019/08/28(水) 21:38:39 ID:r4d7zACQ
海未「とても女の子らしくて綺麗な子と元気いっぱいで周りを明るく照らしてくれるかわいい女の子。そんな2人は私の中の理想でしたから」

穂乃果「えへへ、なんか照れちゃうよ」

ことり「今の海未ちゃんに言われるとたしかに照れるね」

真姫「はぁ、本来の目的を忘れないでよ」

小声で注意するように促してくる真姫ちゃんは少し呆れていた。

海未「しかし」

急にさっきとは打って変わって語気を強めて話しだす。

海未「そもそもあなた達は勘違いしているようですから言っておきますが、これは全て私がしたいからこうしているんですよ」

海未「あくまで私は園田海未としてここにいますから」

88シティごりら:2019/08/28(水) 21:39:20 ID:r4d7zACQ
穂乃果「えっ」

真姫「んっ」

希「あちゃー」

ことり「えっ、でも‥‥」

私たちはめでたしめでたしと思ったとこから、急に予想外の事になったため呆気にとられた。

海未「それに周りに沢山迷惑かけているわけでもないですよね?それなのにあなた達が私の邪魔をする権利はあるんですか?もうやめてください」

ことり「うぅ‥」

海未ちゃん自身のもっと女の子っぽく綺麗に可愛くなりたいって想いが、こうして着物を通して現れていることは分かってる。

私は確かに自分の想いを叶えようとしてるだけなんだから私たちが止めるのおかしい話だと思ってしまった。

希(意外と厄介やね。変に自我が少し残ってるせいで‥、まだ着物の持ち主の想いに完全に乗っ取られてる方がやりやすかったかもしれん)

89シティごりら:2019/08/28(水) 21:40:12 ID:r4d7zACQ
希(ことりちゃんがあの空気に飲み込まれかけてるのもマズイね)

真姫(こっからどうするかよね。何かあるかしら‥)

どうしよう、どうしよう。完全に考えてたプランが崩された。

海未「‥話が終わりなら帰ってください。明日も学校ですよね」

どうしたらいいんだろ‥、このままじゃ‥。
‥‥穂乃果ちゃん。

穂乃果「そうだ‥」

穂乃果「海未ちゃん!こっち見て」

海未「はい?」

穂乃果「ごめんねことりちゃん!」

ことり「ふぇ?」

90シティごりら:2019/08/28(水) 21:41:16 ID:r4d7zACQ
穂乃果ちゃんはそのまま私の背後に素早く回り込むと私のスカートを勢いよくめくった。

ことり「きゃあ!」

希「ぶっ」

真姫「‥白ね」

海未「!!」

海未「/ /」

海未「は、破廉恥です/ /」

穂乃果「それともう一つ。ラブアロー!シュート♡!!」

海未「なんでそれを知ってるんですか!!」

海未ちゃんの大きな声が道場の中に響く。

真姫「これは‥」

希「‥海未ちゃんの元々の自我を取り戻した、のかな?」

穂乃果「海未ちゃん!」

ことり「ンミチャン!」

海未「うう、穂乃果、ことり‥。ええと西木野さんとそちらの方は?」

91シティごりら:2019/08/28(水) 21:42:07 ID:r4d7zACQ
少し虚ろな目でこっちを見つめているが少し焦点が合っていないみたいだった。

穂乃果「3年生の希ちゃんだよ。海未ちゃんを助ける手伝いをしてくれたんだ」

海未「私を?」

穂乃果「何も覚えてないの?」

海未「‥いや少し覚えてます。なんというか‥、変なところを見せてしまいましたね」

ことり「ううん、そんなことないよ」

海未ちゃんは照れ臭さそうにして視線を私たちから逸らす。

真姫「今のうちにやってしまっていいかしら?」

希「そうやね。また自我を奪われる前にやった方がええね」

ことり「海未ちゃんちょっとそのままでいてね」

92シティごりら:2019/08/28(水) 21:43:57 ID:r4d7zACQ
真姫ちゃんは海未ちゃんの前に行くと、ずっと手に持っていた聴診器を着物に当ててゆっくりと目を瞑った。

少しの間、沈黙が流れる。そしてまたゆっくりと真姫ちゃんは目を開けた。

真姫「これで一応大丈夫よ。さっきまでのような力はもうその着物にはないわ」

穂乃果「良かった‥」

ほっと息をなでおろす。やっとこれでもう大丈夫なんだ。

真姫「ごめんなさい。少し向こうで休んでくるわ」

希「ウチが真姫ちゃんについてるから2人は海未ちゃんをみてあげて」

希ちゃんは真姫ちゃんの肩を支えながらゆっくり道場から出て行った。

93シティごりら:2019/08/28(水) 21:44:56 ID:r4d7zACQ
穂乃果「もう海未ちゃん心配させないでよ」

海未「‥すみません」

ことり「まあまあこうしてちゃんと戻れたんだしいいんじゃない」

ことり「それに海未ちゃんの知らなかった一面も見れたし♪」

海未「そう言えばどうして穂乃果はあの事を知っていたんですか!」

穂乃果「あの事って?」

海未「えっ、えっと‥。あれです。あの‥、ラブ、ラブアロー‥」

穂乃果「ラブアローシュート?」

海未「それです!なぜその事を知っているんですか!」

穂乃果「いやぁ〜、少し前に海未ちゃんを弓道場に見に行ったらその時、1人でポーズ決めながらやってるところを見ちゃって‥」

海未「そんな‥、あれが見られていたのですか」

94シティごりら:2019/08/28(水) 21:47:11 ID:r4d7zACQ
ことり「いいなぁことりも見たかったな」

海未「‥もう言わないでください」

なんだかさっきよりも目が虚ろな感じになっちゃったみたい。

穂乃果「‥ねえ、今度3人でお出かけしない?」

不意に穂乃果ちゃんが口を開く。なんとなく穂乃果ちゃんが何を言いたいのかが伝わってきた。

ことり「そうだね、3人で行こう。ゆっくり一日いろいろなお店の服を見てを周ろうか。」

穂乃果「みんなでさ、色んな服を着てみようよ!今まで来たことがない服とかをいっぱい!」

穂乃果「それでパンケーキとかが美味しいお店に行って一緒に食べようよ!」

海未「‥そうですね」

95シティごりら:2019/08/28(水) 21:48:09 ID:r4d7zACQ
こっちに向けてさっきまでとは違い、子どもっぽく無邪気に微笑む。

海未「2人のおすすめの服を教えてください。私の中で、穂乃果とことりは理想の女の子ですから」

穂乃果「うん!」

ことり「そしたらやっぱり海未ちゃんに似合うのはミニスカートかな」

海未「‥‥頑張ってみます」

3人でなんだか照れ臭くなってしまってつい笑いがくすくすと溢れてくる。

大好きな3人で笑いあうこの時間が凄く久しぶりな感じがした。やっと、やっと取り戻せたんだ。

真面目でしっかりしてて一番女の子っぽい海未ちゃんが。

96シティごりら:2019/08/28(水) 21:50:14 ID:r4d7zACQ
ーー

希「大丈夫真姫ちゃん?」

さっきまで肩で息をしていた真姫ちゃんだったけど、今はもう息も整ってだいぶ楽になったようすだった。

真姫「ええ、少し休んだら楽になったわ」

希「それにしても穂乃果ちゃんがあんな方法で海未ちゃんの自我を取り戻すなんてね。幼馴染パワーって凄いんやね」

真姫「それだけじゃないわよ」

真姫「元々あの着物にはそこまで自我を奪いきるほどの力は持っていなかったと思うの」

希「なんで?」

真姫「さっき思いを抜き取った時に感じたものは憎しみとかっていった否定的な感情よりもなんていうか‥」

希「ん?」

真姫「どうにかしたい、とかもっと綺麗になりたいって気持ち、あとは感謝の想いとかったいう前向きな気持ちが強かったのよ」

97シティごりら:2019/08/28(水) 21:51:35 ID:r4d7zACQ
希「そっか‥。ウチ神社でバイトしてるから着物の柄の意味ついて少し聞いたことがあるんよ」

真姫「柄の意味?」

希「あの着物に縫って描かれていた柄で鶴は幸せの象徴で結婚の場合だと夫婦仲良く寄り添えるようにって意味があるんよ」

希「そして牡丹や藤の花の模様も当然「幸福」といった意味がある」

真姫「ってことは‥」

希「うん、おそらく最初の持ち主も贈ってくれた家族の想いが分かっていたからこそ、悲しい想いをさせた人を憎んだりせずに自分を変えようとしたのかもしれんね」

真姫「結果的に今回そのおかげで園田先輩の自我が完全に呑み込まれることがなかったってこと?」

希「かもしれんね。あくまで海未ちゃん自身が変わろうという方向にその着物の力が働いたのかも」

98シティごりら:2019/08/28(水) 21:53:28 ID:r4d7zACQ
希「まっ海未ちゃんの自分を生かした上で力が出るって感じやろうね」

真姫「でもだからってこんなに周りを心配させちゃ元も子もないわよ」

希「‥そうやね」

希が私のことをジッと見つめながらニコニコと何か企らんでそうに微笑んでいる。

真姫「なによ?」

希「い〜やなんでもないよ」

真姫「あなたのその顔はいつもロクでもないことを思ってる時の表情よ」

99シティごりら:2019/08/28(水) 21:55:08 ID:r4d7zACQ
希「あれ、そうなん?」

ため息をハアと軽くつく。これ以上は詮索しても煙に巻かれそうだったので諦めた。

真姫「もういいわよ。そろそろ戻りましょう」

希「そうやね」

希「‥‥真姫ちゃん、今はもう1人やないんやからね」

真姫「‥そうね」

真姫「でもそれは希に言われたくはないけど」

希「ふふっ、真姫ちゃんも言うようになったな」

真姫「きっと3人とも待ってるでしょうし行きましょ」

100シティごりら:2019/08/28(水) 21:57:37 ID:r4d7zACQ
ーー


穂乃果「あっ真姫ちゃん、希ちゃん」

ことり「真姫ちゃん体調は大丈夫なの?」

真姫「ええ、少し休んだら楽になったわ」

ことり「良かった」

海未「西木野さんと希先輩、私のために色々とありがとうございました」

真姫「別にいいわよそういう仕事だし」

希「真姫ちゃんは素直じゃないな〜。ウチも別にええよ元々暇だったしね」

海未「ありがとうございます。今度改めてお礼させてください」

希「うん、待っとるよ」

101シティごりら:2019/08/28(水) 21:58:12 ID:r4d7zACQ
真姫「今は無理せず休んでた方がいいですよ。けっこう体力も使ってると思いますし」

穂乃果「そうだよ海未ちゃん今は休んでて」

海未「わかりました。でも一つだけいいですか?」

穂乃果「なに海未ちゃん?」

海未「穂乃果、宿題はやっているんですか?しばらく見ていなかったのでそこだけ確認しときたいんですが」

穂乃果「え、え〜と。そんなことより今日は休んだ方がいいんじゃないかな‥」

海未「穂乃果」

不自然に目を逸らして話しを誤魔化そうとしている穂乃果ちゃんをギロリと睨みつける。

穂乃果「ひぃ」

ことり「まあまあ今日のところは色々あったししょうがないんじゃないかな。ちゃんと私が一緒にやるから今回だけ許してあげて」

海未「はあ、わかりました。確かにことりの言う通りですね」

102シティごりら:2019/08/28(水) 22:00:29 ID:r4d7zACQ
穂乃果「ことりちゃーんありがとう!」

穂乃果ちゃんは勢いよく私に抱きついてきた。その頭を優しくヨシヨシと撫でてあげる。

ことり「海未ちゃんも撫でてあげようか?」

海未「い、いえ私は大丈夫ですよ」

ことり「そっか残念だな〜」

真姫「‥なんで希は私を撫でてるのよ」

希「う〜ん、なんとなくやね」

真姫「イミワカンナイ」

103シティごりら:2019/08/28(水) 22:01:14 ID:r4d7zACQ
でもそう口では言いながらその手をどかそうとはしていない。

その辺りはやっぱり素直じゃないよね。

夜遅くの道場に私たちの場違いな笑い声が響いた。

海未母「ふふっ♪いい出会いがありましたね海未さん」

海未母「あなたもそう思いますか?」

(・8・) パタパタ

( ^ 8 ^ )「チュンチュン♪」



おわり

104シティごりら:2019/08/28(水) 22:02:14 ID:r4d7zACQ
ここまで読んで下さってありがとうございました。また余裕があったら続きを書いていきたいです。


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