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ことり「不器用な女の子の不思議な質屋さん」2人の隠している女の子
1
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 22:13:08 ID:LpQthmw.
今回のお話はお互いがお互いを思っているけれどそれを隠してしまったが故にすれ違ってしまっていた2人の子のお話し。
そんな2人の女の子とちょっと不器用な女の子の質屋さんと優しい先輩との出来事。
前作 ことり「不器用な女の子の不思議な質屋さん」
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1547815164/l30
前作の続きです。また地の文ありですのでそれでも大丈夫な方どうぞ見ていってください。
43
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:00:46 ID:LpQthmw.
ことり「私は今真姫ちゃんのお手伝いをしてて噂で聞いたことあるかもしれないけど質屋さんを音楽室で放課後にやってるの」
ことり「そこにこの間凛ちゃんが来たんだ。多分それには気づいてるよね?」
花陽「はい、この前休み時間に凛ちゃんと西木野さんが話していてそれで何か用事でもあったのかなって思いました」
ことり「凛ちゃんの用件はね、ケガをしている足の痛覚を抜き取ってほしいってお願いだったの」
花陽「えっ、それほんとですか?」
この花陽ちゃんの感じはおそらく‥
ことり「凛ちゃんのケガのことは花陽ちゃんや部活の人は知ってるの?」
花陽「いえ多分誰も知らないと思います。部活も普通に出て練習してますし‥」
44
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:02:48 ID:LpQthmw.
ことり「そっか‥、それで凛ちゃんのケガは結構大変らしくて恐らく全力で走ることはもちろん歩くだけでも痛むんじゃないかって」
ことり「そんな状態で大会に出たいからって理由で足の痛みを感じなくさせなくするほどの約束って何かな?」
ことり「私達からしたらそんな自分の身体を壊すような真似はさせられないし見過ごせない。もしするとしてもそこまでする理由に納得できなきゃダメって結論になったの」
ことり「だから花陽ちゃんと凛ちゃんのその約束を教えてほしいんだ」
花陽ちゃんは俯いて何か考えているみたいだった。たぶん色々思うことはたくさんあると思う。
花陽「約束っていうのはたぶん中学生の時にしたやつのことを言ってるんだと思います」
花陽「私はあまり運動が得意じゃないんです。けど凛ちゃんは昔から運動神経が良くて私は凛ちゃんと一緒に何かをやりたいと思って陸上部に2人で入ったんです」
花陽「けど私はやっぱり駄目で練習にもついていけなくなっちゃって2年の後半でマネージャーに転向したんです」
花陽「その時、凛ちゃんにマネージャーに転向した私の代わりに大会で絶対に活躍してねって私が凛ちゃんにお願いしたんです」
花陽「でも凛ちゃんはオーバーワークと成長期っていうのもあってケガをして思うように結果が出せなかったんです。中学の最後の大会も予選で落ちちゃって‥」
45
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:03:25 ID:LpQthmw.
花陽「私は過ぎちゃったことだしケガしたのも仕方ないことなので気にしなかったんですけど凛ちゃんは自分のせいだと思ったみたいで」
ことり「自分のオーバーワークでケガしたから余計に責任を感じ過ぎちゃったのかな?」
花陽「多分そうかもしれないです。それで高校に入ったら絶対に最初の大会でいい結果を出してみせるって、絶対にかよちんのお願いを凛が叶えるって言ってくれました」
花陽「けど私のお願いのせいでまた凛ちゃんがケガをしてしまっているなんて‥」
ことり「‥花陽ちゃんは凛ちゃんにどうしてほしいの?」
花陽「‥‥わからないです」
ポツリと一言だけ呟いた。
花陽「凛ちゃんの大会に出たいって気持ちもわかります。でもケガをして苦しんでまでやって欲しくないんです」
花陽「私は凛ちゃんに引っ張ってもらってばっかで凛ちゃんを止める勇気もないですし自分から傷つこうとする凛ちゃんを後押しする勇気もないんです‥」
俯く花陽ちゃんの表情は困惑に満ちていた。
46
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:04:08 ID:LpQthmw.
ことり「仮にね、足の痛みを抜き取ったとしても痛みを感じないだけで身体の状態はそのまま。ケガが治るわけじゃないの」
ことり「凛ちゃんの場合だと足のケガが今よりも悪化する可能性があるってこと」
花陽「そんなの私は‥、凛ちゃん‥」
自分が過去に課してしまったもののせいで大切な親友が苦しむ道へ進もうとしていることに対して自分はどうすればいいのかわからないみたいだった。
そんなの当たり前だと思う。凛ちゃんはあくまで花陽ちゃんが諦めざるを得なかった思いを叶えるためにこの道へ進もうとしているのだから。
それは誰かが安易に決めていいものではなくて2人が自分の気持ちを知って確かめ合って決めることなのだと思う。
でも花陽ちゃんは突然色々なことを知らせれて決断を突きつけられたことで何を考えればいいのかわからなくなってるような状態だった。
ことり「ねえ花陽ちゃんちょっとこの扇子で扇いで気持ちを落ち着かせようよ」
私は花陽ちゃんに真姫ちゃんから預かったあの不思議な力を持つ扇子を渡して扇ぐようにさり気なく促した。
47
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:06:00 ID:LpQthmw.
花陽「‥はい。ありがとうございます」
花陽ちゃんは私から扇子を受け取るとおそるおそるといった感じでゆっくり自分を扇いだ。
あの扇子の力で花陽ちゃんの中にある本当の気持ちや考えに気づいてほしいと思いながら私はその様子を見ていた。
花陽「‥‥ふぅ」
ことり「落ち着いたかな?」
花陽「‥なんかなんとなくですけど花陽がどうすればいいかわかった気がします。ことり先輩のおかげです」
そう言って私に扇子を返した花陽ちゃんの顔はさっきまでのどうすればいいかわからないって顔から覚悟を決めたような顔だった。
ことり「そっか良かった‥。じゃあ花陽ちゃんの答えを聞かせて」
花陽「花陽は凛ちゃんとの約束を叶えたいと思うんです」
花陽「だから‥」
48
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:07:29 ID:LpQthmw.
ーー
ー
ことり「ねえ真姫ちゃん。これでほんとにいいのかな?」
真姫「いいんじゃないかしら」
真姫「あの2人が本当にやりたいことを私たちはその背中を押すだけなんだから」
真姫「さあ明日の準備をしちゃいましょう。たぶんなんかしらはありそうだしね」
ことり「うん」
ことり(今は真姫ちゃんとあの2人を信じよう)
49
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:09:01 ID:LpQthmw.
ーー
翌日、放課後の音楽室
真姫「いらっしゃい。何回も呼び出して悪いわね」
凛「凛になんの用なの?」
真姫「そんな嫌そうな顔しないで。あなたが前に依頼してくれたことをやってあげようと思って呼んだんだから」
凛「!!」
凛「どうして急にやってくれるの?前はあんなに凛に反対してたのに」
真姫「まぁ考えが変わったのよ。やってあげるんだからいいでしょ」
凛「‥う〜んやってくれならいいっか。じゃあおねがいにゃ」
真姫「じゃあそこに座って」
2人は互いに向かいあって座った。
50
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:10:28 ID:LpQthmw.
真姫「じゃああなたが前に言った足の痛覚を取るってことでいいのね?」
凛「うんそれでおねがいにゃ」
真姫「じゃあその方法をこれから説明するわね。‥‥」
感覚を不思議な聴診器で抜き取る説明を大まかにした。怪我が治るわけではなく抜き取った人がその痛みを受け止めることになることももう一度説明をする。
流石にこの説明を聞いている時に星空さんは真剣な表情をしていた。
真姫「以上で大まかな説明は終わりよ。これからすぐに始めるわね。‥って言いたいところだけどちょっと遅れてるから少し待って」
凛「何が遅れてるのにゃ?」
その時部屋のドアが開いて真姫が待っていた2人が入ってきた。
51
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:11:12 ID:LpQthmw.
ことり「真姫ちゃんおまたせ」
真姫「ちょうど説明が終わったところよ。あなたもよく来たわね、小泉さん」
花陽「うん」
凛「なんでかよちんがここにいるの!」
凛は驚いて勢いよく立ち上がった。その拍子に座っていた椅子ガシャンと音を立てて倒れる。
真姫「私が小泉さんが必要だから呼んだのよ」
凛「ど、どういうことなの?」
真姫「さっき言ったでしょ。痛みを抜き取るってことは誰かしらがその痛みを引き受けなきゃいけない」
真姫「私にはあなたにそこまでする義理がないから最初は断ったの。だから‥」
花陽「私が凛ちゃんの足の痛みを引き受けることで西木野さんにやってもらうことにしたんだ」
52
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:12:30 ID:LpQthmw.
凛「かよちんなんで凛に何も言わないで勝手にそんなこときめたの!」
真姫「あなたも1人でケガを隠して私にこんなこと頼んだんだからお互い様じゃないかしら」
凛「それは‥」
花陽「凛ちゃんどうして最初にケガのこと私に言ってくれなかったの?」
凛「そんなの言えるわけないにゃ!また凛のせいでかよちんとの約束が守れなくなっちゃうんだよ」
ことり「‥やっぱり凛ちゃんは中学の時のこと気にしてたんだね」
花陽「だから私も決めたんだよ。凛ちゃんには私の夢を代わりに叶えて欲しいの」
花陽「そのために凛ちゃんはこんなに頑張ったんだから」
53
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:14:22 ID:LpQthmw.
花陽ちゃんは優しさを匂わせる声で凛ちゃんに語りかける。
花陽「花陽は凛ちゃんのためなら喜んで痛みを肩代わりするよ」
凛「かよちん‥」
凛「それでもかよちんにこの痛みを肩代わりさせるのは‥」
凛ちゃんはさっきまであった気持ちが揺れ動いてしまっているようだった。
真姫「あら今さら迷うの?さっきまで痛みを抜き取る気満々だったじゃない」
真姫「それに仮に私やことりに痛みを移すことには何とも思ってなかったようなのに小泉さんに対しては躊躇うのね」
真姫ちゃんの言葉に対して凛ちゃんは俯いて口籠る。
54
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:15:14 ID:LpQthmw.
少しの間なんともいえない沈黙が部屋の空気に漂う。
ことり「ねえ、凛ちゃんはほんとに花陽ちゃんとの約束が一番大事なの?もう一度よく考えてみて」
凛「‥‥、一番は‥」
凛「そんなの‥」
かよちんは凛が助けてあげなきゃ、そう昔から思っていた。
凛とかよちんはお母さん同士が知り合いだったから気づいた時には、物心ついた時には隣にいた気がする。
活発だった凛とまるで正反対の性格でとても静かで控えめな性格だった。
何かを決める時はいつも凛が決めた後に凛と一緒のものを選んでいたのを覚えている。
いつからだっけ、凛がかよちんのことを凛が手助けしなきゃ何も出来ないと勝手に思い始めたのは。
凛「かよちんはすごいね‥」
凛「こんなに辛い決断を1人でするなんてすごいよ。凛じゃきっと言い訳して逃げちゃうと思う」
55
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:16:03 ID:LpQthmw.
花陽「きゅ、急にどうしたの?」
凛「凛ね、かよちんのこと凛が引っ張ってあげなきゃダメだと思ってたの」
凛「だって昔からかよちんはいつも自分のことを後回しにしてるみたいで自分のしたいこととか好きなことをあまり言ってくれなかったから」
花陽「‥そうかもしれない」
凛「そんなかよちんだから凛はかよちんが色々と自分の好きなこととかやりたいことを自分から話してくれるのがいつもすごい嬉しかったんだ」
凛「好きなアイドルの話しをしてる時なんかすごくイキイキしてたよね」
花陽は顔を恥ずかしそうに少し赤らめた。
ことり(なんか海未ちゃんみたいに恥ずかしがってかわいい)
真姫(ことりなんか変なこと考えてるわね)
56
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:17:08 ID:LpQthmw.
凛「中学の時にかよちんが凛に一緒に部活をやりたいって言ってくれたのが凄く嬉しかったんだ」
花陽「‥だって私は今まで凛ちゃんの後ろをただついてるだけだったから凛ちゃんと一緒に何かをしたいなって、やりとげたいなって思って‥」
真姫「本当に貴方達仲がいいのね」
ことり「真姫ちゃん羨ましいの?」
真姫「な!そんなわけないじゃない!イミワカンナイ!」
凛と花陽はそんな掛け合いをしている2人の様子を見てクスクスと笑い合った。
凛「それでね、かよちんがマネージャーに転向したことはすごく悲しくかったけど凛にこれから活躍する姿を見せてほしいって言われたから頑張ろうって思ったの」
花陽「‥でも私がそんなこと言ったからそれが重しになって凛ちゃんがケガを隠してしまうぐらい追い込んじゃたよね」
花陽「凛ちゃん、ほんとうにごめんね」
凛「かよちん‥」
57
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:18:32 ID:LpQthmw.
花陽「だから花陽が凛ちゃんの代わりに痛みを引き受けるから凛ちゃんは私達の約束を叶えて」
かよちんはそうやっていつもみたいに微笑みながら凛の手を握ってきた。
その暖かい手は少し震えているようだった。
ことり「凛ちゃん、約束はとても大事なことだと思うよ。でも約束よりも大事なこともあるんじゃないかな?」
ことり「凛ちゃんが今1番守るべきものは?」
凛「‥‥凛の1番」
真姫「‥1番とかは置いといて貴方はまだ自分で好きなことを続けられるかどうか選択出来るチャンスがあるからまだ幸せよ」
凛「どういうこと?」
真姫「私はその機会すらなかったのよ」
ことり「真姫ちゃん‥」
58
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:19:30 ID:LpQthmw.
真姫「私ね、小さな時にお母さんからピアノを教えてもらってそれ以来ピアノが好きでよくコンクールに出たりしてたの」
真姫「でも中学生の時に大きな事故に遭ってケガ自体は治ったんだけどまだ少し後遺症が残ってて左手の細かい指の動きが出来ないのよ」
真姫「だからピアノを弾くのに必要な指の繊細な動きがダメになったから私はもう昔みたいにピアノを弾けないのよ」
ことり「やっぱり真姫ちゃんはピアノを弾かなかったんじゃなくて弾けなかったんだね」
真姫「あら気づいてたの?」
ことり「うん、薄々だけどね」
59
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:20:46 ID:LpQthmw.
真姫ちゃんは会った時や今まで一緒にいる中でピアノに触れている時はあったけど決して弾こうとはしていなかった。
あんなにピアノが好きだった真姫ちゃんが一度もピアノを弾かなければ誰だって何かあるのかと思うだろう。
それにピアノに触れてる時、あんな表情をしていたらね。
真姫「まあそういうことよ。星空さんのケガは安静にしてればまたいつもみたいに走れるようになるわ」
真姫「貴方はこんなケガのせいでこんなことになってるって思うかもしれないけど私からしたら選択できるだけ羨ましいんだから」
花陽「西木野さんそうだったんだ‥」
凛「そっか‥」
ただ冷たいだけだと思ってた西木野さんにも色々あったんだ。
今だから思う、凛はただただ難しいことを考えないで楽な方へ逃げてただけなんだって。
60
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:24:45 ID:LpQthmw.
ーー
ー
真姫「じゃそろそろどうするか決めてもらいましょうか」
すごく長く感じた数分の沈黙を破って真姫ちゃんが口を開く。
ことり「そうだね」
花陽「凛ちゃんどうするの?」
凛「うん」
もう決まっていた。ことり先輩や西木野さんそしてかよちんの気持ちや考えと触れ合うことで気づいたもの。
凛「凛は‥、痛みを抜くことを止めるよ。ケガは自力で治す。だから大会は今回は出ない」
凛は大きく息を吸ってゆっくりと話した。その話し方はまるでみんなに伝えるというよりは自分に言い聞かせるかのようにでもあった。
花陽「どうして凛ちゃん?」
凛「最初はやっぱり絶対どんなことをしても大会に出てかよちんとの約束を叶えるつもりだったよ」
61
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:25:26 ID:LpQthmw.
凛「けどことり先輩や西木野さん‥、ううん、真姫ちゃんと話して聞いて分かったの」
もう一度ゆっくりとお腹に力を入れて息を吸う。
凛「かよちんを凛の代わりに悲しませて約束を果たしても凛は思いっきり心から喜べないよ」
凛「だから今すぐじゃなくてもいいの。もし叶えられなくてもいいの」
凛「凛はかよちんと一緒に笑いながらこれからやっていきたい」
これが凛の答えだった。どちらかが傷ついて犠牲になってまで叶えるものよりも叶えられなくても2人が大切にし合えるものを。
とても長い間近くに一緒にいたからこそお互いがお互いのためにという気持ちが徐々にいきすぎてしまった結果気づかなくなってしまったんだ。
そんなことをしても相手は笑顔になんかならないということに。
62
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:26:16 ID:LpQthmw.
花陽「うん、はなよも、‥そう思うよ」
花陽ちゃんは涙を今日1番流しながら凛ちゃんの手を優しく両手で包み込む。
そしてそのまま2人は抱き合いながら泣いていた。
真姫「‥やっと気づいたのね。遅いわよ」
目の下を少し濡らしながら花陽ちゃんに負けず劣らずの優しい笑顔で真姫ちゃんは2人を見ていた。
真姫ちゃんも結構心配性だよね♪
花陽「ことり先輩、真姫ちゃん、今日は色々ありがとうございました」
花陽「2人に出会えて本当に良かったです!」
ことり「そっかことりも2人の力になれてよかったよ♪」
真姫「そうね私も同じ気持ちよ。星空さんも小泉さんもまた何かあったら力になるわ」
63
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:27:15 ID:LpQthmw.
凛「なんで!」
凛ちゃんはほっぺをプクーと膨らます。
真姫「ナ、ナニヨ」
凛「なんで凛たちのこと名前で呼んでくれないの!」
真姫「べ、別に名字でもいいでしょ。そんな変わらないんだし」
凛「変わるよ!名字だとなんかよそよそしくて嫌だもん!名前で呼んで!」
真姫「で、でも‥」
花陽「真姫ちゃん私のことも名前で呼んでほしいな‥」
ことり「まーきちゃん、せっかく凛ちゃんと花陽ちゃんが真姫ちゃんとこんなに仲良くなろうとしてるのにそれでいいのかなぁ?」
ちょっと意地悪に真姫ちゃんに言う。そんなことを言われた真姫ちゃんは私を少し睨みつける。
64
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:27:49 ID:LpQthmw.
真姫「もうわかったわよ!り、凛!は、花陽!これでいいんでしょ」
顔を赤らめながらヤケっぽく2人の名前を呼んだ。
凛「真姫ちゃん、真姫ちゃん、真姫ちゃーん」
真姫「ウルサイ!!」
凛ちゃんが真姫ちゃんの名前を呼びながら猫みたいに頬ずりをする。
花陽「うん、真姫ちゃんこれからもよろしくね♪」
真姫「え、ええ、よろしくね」
ことり「うぅ、真姫ちゃんに友達が出来るなんてことり嬉しいです」
凛「それってもしかして凛とかよちんが真姫ちゃんの高校初めて友達かにゃ?」
真姫「そうよ。あんまり言いたくないけど‥」
65
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:36:27 ID:LpQthmw.
凛「そっか、えへへ」
花陽「??」
ことり「凛ちゃんそんなににやけてどうしたの?」
凛「最初はあんなに冷たくて仲良く出来なさそうだなって思ってた真姫ちゃんと友達になれたのがなんか嬉しくて」
花陽「私も怖かったけど本当はこんなに優しいなんて知らなかったから真姫ちゃんと友達になれて嬉しいよ」
ことり「確かに私も最初は色々言われちゃったし」
凛「怖い雰囲気出してたにゃ〜」
真姫「雰囲気は仕方ないでしょ。昔から言われるんだから治しようがないのよ」
真姫「友達も一応高校で初めてってだけで昔はいたわよ」
ことり「ことりとかね」
真姫「‥‥ええ、そうね」
少し変な間が気になったけどまあいいっか。
66
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:37:05 ID:LpQthmw.
真姫「でも‥、これからはそんな怖い雰囲気出ないように頑張るわよ」
ことり「そうだね。真姫ちゃんはやっぱり笑ってる顔が1番かわいいよ」
花陽「私もそう思うよ」
凛「凛もそっちの真姫ちゃんの方がいいにゃ」
真姫「そ、そうかしら。努力はしてみるわ」
そう言いながら真姫ちゃんは少しぎこちなく笑顔を作ってみせた。
凛「そうだ!忘れてた陸上部に少しの間休むって伝えなきゃ!」
凛「やっぱりケガで大会出れないって言ったら怒られるかな?」
花陽「大丈夫だよ凛ちゃん。私も一緒に行ってちゃんと説明するから部長も分かってくれるよ」
真姫「ついでに診断書でも後で貰って見せつければいいわ」
67
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:38:12 ID:LpQthmw.
凛「そうだよね。かよちん一緒についてきてもらっていい?」
花陽「うん、一緒に行こう」
花陽「真姫ちゃんもことり先輩もほんとに今日はありがとうございました」
丁寧に頭を下げてお礼を言う花陽ちゃんに続いて凛ちゃんも頭を下げてお礼を言った。
真姫ちゃんは照れ臭そうに別にいいわよと言うと部屋を出て行く2人を見送った。
凛「じゃあまた明日ね真姫ちゃん!」
真姫「ええ、また明日」
凛「行こっ、かよちん」
2人が出て行った部屋は静かになった。
68
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:39:25 ID:LpQthmw.
ことり「友達が帰っちゃって寂しい?」
真姫「何言ってんのよ。どうせまた明日も会えるんだからそんなことないわ」
ことり「‥もし凛ちゃんが花陽ちゃんに痛みを移そうとしたらそれをやってたの?」
真姫「それはないわよ。あの2人ならきっとしっかり気持ちをお互いに話せばその方法には至らないってなんとなく感じたの」
ことり「そっか。‥‥ねえ、たまには私達も一緒に帰らない?」
真姫「急にどうしたの?」
ことり「う〜ん、2人を見てたらちょっとそう思ってね」
真姫「いいわよ。部屋閉めるから少し待ってて」
ことり「うんわかった」
69
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:40:02 ID:LpQthmw.
ことり(少しは真姫ちゃんの力になれたかな)
真姫「ことり」
ことり「なに真姫ちゃん?」
真姫「えっと、その、ことりがいてくれて‥‥。やっぱり何でもないわ。帰りましょ」
ことり「??」
真姫「なにしてるの帰るわよ」
ことり「うん♪」
真姫(はぁ、ありがとうも言えないなんてほんと自分の性格が嫌になるわね)
ことり(相変わらず素直じゃないんだから。いつかちゃんと言ってくれるの待ってるよ♪)
真姫ちゃんと2人で並んで帰る帰り道はなんだかいつもよりも優しい感じがした。
おわり
70
:
シティごりら
:2019/04/03(水) 23:41:14 ID:LpQthmw.
ここまで読んでくださってありがとうございました。また時間があれば続きを書きたいと思っています。
71
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/04(木) 17:37:18 ID:eiZ4yEVU
乙!
次も楽しみにしてる
72
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/08(月) 22:30:21 ID:8tfFDINU
乙
面白い
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