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「不器用な女の子の不思議な質屋さん」3 隠れた気持ちと不思議な着物
1
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:14:50 ID:r4d7zACQ
今回のお話は私の大好きな幼なじみで、恥ずかしがり屋だけどいつも自分に厳しい女の子のお話。
そんな女の子と不思議な力を持つ着物との隠されていた気持ちを知れた出来事です。
結構間が空いてしまいましたが前回からの続きになります。良かったら前回もどうぞ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1554297188/l30
2
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:15:55 ID:r4d7zACQ
ーー
ー
ある日の日曜日、南家
穂乃果「ねえねえどう?似合ってる?」
ことり「うん、とっても似合ってるよ♪かわいい〜♪」
穂乃果「ほんとに!やっぱことりちゃんの作る洋服はかわいいよ!」
ことり「えへへ〜、良かった♪頑張って作った甲斐があったよ」
今日は私の家で自分で生地から選んで作った洋服の着せ替えパーティーをしていました。
私が一から気持ちを込めて作った服を、穂乃果ちゃんと海未ちゃんに試着してもらってその出来を確かめてました。それと同時に2人が私の作った服でもっと可愛くなるのところを見るのがこの着せ替えパーティーの楽しみでした。
3
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:16:39 ID:r4d7zACQ
ことり「じゃあ次は海未ちゃんだね♪」
海未「え、ええ。ことり、その‥、スカートやワンピースじゃない服は今回作ってないのですか?」
ことり「作ってないよ」
ハッキリと即答する。海未ちゃんからそういうことを聞かれるのはもう分かってるから。
海未「‥そうですか。そしたら今日は私は穂乃果が着ているところを見ているだけで‥」
ことり「ダメだよ!せっかく海未ちゃんにも着てもらおうって思って作ったんだから」
海未「ほ、穂乃果の方が私なんかよりも似合いますから穂乃果が着た方がいいですよ!」
穂乃果「ほのかばっかじゃつまんない!海未ちゃんは可愛いからミニスカートも似合うよ!」
ことり「海未ちゃん‥、オネガァイ‥」
4
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:17:20 ID:r4d7zACQ
ことりちゃんの十八番の必殺おねがぁい攻撃に海未ちゃんは顔を赤らめると、自分の中で諦めた様子で小さく「わかりました」と呟くとミニスカートを持って別の部屋に着替えに行った。
ことりちゃんにおねがぁいって言われるとやっぱあのいつも穂乃果に厳しい海未ちゃんでも完敗しちゃうね!
少しの間、ことりちゃんと雑談してると部屋にノックの音が響いた。
海未「ことり、着替え終わったんではいりますよ」
ことり「は〜い」
海未「ど、どうでしょうか」
ことほの「おおーー!」
ことほの「ん?」
なんとも言えないポーズをビシッととる海未ちゃん。
だけど着替え終わった海未ちゃんは言われた通りにミニスカートを履いていた、けれどそのスカートの下にはジャージを着ていた。
5
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:17:59 ID:r4d7zACQ
穂乃果「ちょっと海未ちゃん!なんで下にジャージ履いてるの!というかどこからそのジャージ持ってきたの?」
海未「やっぱり恥ずかしいので無理です‥」
ことり「あっ、それ私のジャージだ。さっき部屋出てく時こっそり持っていったねンミチャン」
ことり「しまっておいたのにいつのまに‥」
穂乃果「ダメじゃん勝手に人のジャージ着ちゃ!もう早くジャージ脱いで」
海未「嫌です!そんな生脚を見せるなんて破廉恥です!」
穂乃果「いいからはーやくー!」
穂乃果ちゃんが海未ちゃんのジャージを脱がせようとしてそれを海未ちゃんが必死に阻止しようとした。
6
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:18:34 ID:r4d7zACQ
穂乃果「海未ちゃん脱いでー!」
海未「絶対嫌です!」
穂乃果「ほむまんあげるから!」
海未「‥い、嫌です!」
ことり「あぁ、部屋で暴れないでよぉ」
結局、その日のファションショーはそのまま中止になって、私たちはお母さんに久しぶりに「うるさい」と怒られたのでした。
7
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:19:16 ID:r4d7zACQ
ーー
ー
翌日の月曜日、1年生教室
凛「真姫ちゃん、真姫ちゃ〜ん」
真姫「見せないわよ」
凛「えっ、なんで凛のお願いしたいことがわかったの?」
真姫「毎日、毎日宿題見せてなんて言われれば誰だって予想つくわよ」
凛「いいじゃーん。今日だけお願いにゃ〜」
真姫「昨日もそう言ってたじゃない!ダメよ。自分の力でやりなさい」
凛「そんな‥、凛はただ真姫ちゃんに教えてもらった方が勉強も楽しく感じるから教えてもらおうとしただけなのに‥」
8
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:19:52 ID:r4d7zACQ
真姫「うぅ‥」
凛「そうだよね‥、いつも真姫ちゃんに頼ってばっかで凛甘え過ぎてたよね‥」
真姫「うぅ」
凛はいつもいつもこうやって少しシュンとした顔の上目遣いでこっちを見てくる。
そんな顔されたら断れないじゃない!
真姫「分かったわよ!もう今日だけだからね!」
凛「やったー!流石真姫ちゃんにゃー!」
よくそんな表情が一瞬でコロコロとかわるわね。少し呆れ果てたのと最後の最後で踏ん張りきれない自分に何とも言えなかった。
9
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:20:31 ID:r4d7zACQ
花陽「凛ちゃん宿題は自分でやらなきゃ駄目だよ」
凛「真姫ちゃんが見せてくれるからしょうがないにゃー」
真姫「見せたくて毎回凛に見せてるわけじゃないわよ」
ブスっとした表情で椅子に座って凛を睨みつけるが凛はそれをケロッとした顔で横に流して私の宿題を写す。
花陽はその様子を相変わらず優しい笑顔を浮かべながら眺めていた。
真姫「そもそも凛は今部活休んでるんだからその時間にやっておきなさいよ」
凛「凛は練習は出てないけど治るまでかよちんと一緒にマネージャーとして皆んなを支えてるの」
凛「だから宿題をする暇がないのにゃ」
10
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:21:18 ID:r4d7zACQ
真姫「いや花陽はちゃんとやってるじゃない」
花陽「あはは‥」
凛は結局、私たちとの一件以来、足の怪我が理由で今回の大会は出ないことにしてマネージャーとして部活には出てるみたいだった。
陸上部の部長にはやはり怪我を隠して練習をしていたことやそんな状態で大会に出ようとしたことはこっぴどく怒られたらしい。
しかし、花陽が理由をキチンと説明したこともあって次の大会までにキチンと治すことと言われそのことは収まった。
花陽「でも凛ちゃんが皆んなが走ってるところを見ると自分も走ろうとしちゃうから、今はとりあえず上半身のトレーニングとかストレッチをやってるんだけどね」
真姫「はあ、凛らしいわね」
11
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:22:27 ID:r4d7zACQ
凛「真姫ちゃんも今度一緒にやろうよ。たまには運動しなきゃだめにゃ」
真姫「‥考えとくわ」
正直絶対にやりたくない。体力無いのにあんな動き回る陸上部のトレーニングなんかやったら一週間は筋肉痛が取れないわ。
花陽「キッパリ断らないところが優しいよね」
凛「??」
真姫「‥‥」
12
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:23:23 ID:r4d7zACQ
流石花陽ね、顔にあんまりやりたくないって出てたかしら?
そんなこと話していると授業の始まりを告げるチャイムが大きく鳴った。
凛「あー!まだ写し終わってないにゃー!」
真姫「諦めなさい」
花陽「さあ席に戻ろう凛ちゃん」
凛「また怒られるにゃー!」
凛の自業自得な叫び声が教室に響いた。
13
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:24:06 ID:r4d7zACQ
ーー
2年生教室
海未「まったく、この歳にもなってあんなことで、理事長に怒られるなんて2人のせいですからね」
ことり「ごめんね〜、海未ちゃん」
海未「さっきもすれ違った時に言われたじゃないですか」
ことり「今日は怒ってるってよりかは冗談でからかってるみたいだったけどね」
穂乃果「でもさ海未ちゃんがちゃんとことりちゃんが作ったスカート履かないからいけないんだよ」
海未「恥ずかしいものは恥ずかしいんですから仕方ないです!」
14
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:24:51 ID:r4d7zACQ
ことり「小学生ぐらいの頃からずっとミニスカートとかは履いてないもんね」
穂乃果「でももっと小さい時は履いてなかった?」
ことり「そうなの?私はあまり覚えてないけど‥」
穂乃果「うん。ことりちゃんとまだ出会う前とかかな?」
海未「よく覚えてますね。私は全く覚えてないですよ」
ことり「それじゃ私はわからないや」
穂乃果ちゃんと海未ちゃんは小学校に入学する前からのスーパー幼馴染で、私は小学校に入学した時に、同じクラスの2人と仲良くなった。
最初は2人の仲に私が入っていいのかな?って気持ちもあったけど、2人がそんな小さな事気にしないって感じでどんどん来てくれてたおかげで今のように仲良くなれた。
15
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:25:36 ID:r4d7zACQ
ことり「そっかもっと早く出会えていれば海未ちゃんの可愛いスカート姿が見れたんだ」
穂乃果「そんなことないよ。今でも海未ちゃんのかわいいところいっぱいみれるじゃん」
私のちょっとした気持ちを察したのか穂乃果ちゃんはすぐにフォローしてくれた。
海未「まあしかしそれとこれとは話しは別です。2人には叱られた責任を取ってもらいます」
ことり「責任?」
穂乃果「なにするの?」
海未「2人とも今週の土曜日は空いていますか?」
16
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:26:54 ID:r4d7zACQ
穂乃果「空いてるよ」
ことり「私も」
海未「それは良かったです。そしたら動きやすい服装で私の家に朝8時に来てください」
それを聞いた瞬間、穂乃果ちゃんの顔が露骨に嫌そうな顔になった。
きっと休みの日ぐらいゆっくり家で寝たいな〜とか思ってるんだろうな。
ことり「うんわかったよ」
海未「穂乃果もわかりましたね」
17
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:27:32 ID:r4d7zACQ
穂乃果「それよりもさ、この前美味しいクレープのお店見つけたから土曜日はそこに‥」
海未「穂乃果」
海未ちゃんが穂乃果ちゃんのことをギロリと厳しい顔をして睨みつける。
流石にそんな顔されて睨みつけられた穂乃果ちゃんは渋々下を向きながら小さい声で「はーい」と言った。
海未「それでは授業の準備をしましょう」
そう言うと自分の机に座って教科書とかを出し始めた。
穂乃果「‥風邪ひかないかな」
ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんどっちが?」
穂乃果「‥‥」
‥多分海未ちゃんだね。
授業の始まりを告げるチャイムが学校に鳴り響いた。
18
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:28:10 ID:r4d7zACQ
ーー
ー
土曜日、園田家
海未「おはようございます、穂乃果、ことり」
長袖のシャツにジャージを着ていた海未ちゃんは、すぐにでも動けますよって感じで私達を待っていた。
ことり「おはよう海未ちゃん♪」
穂乃果「‥おはよう」
海未「穂乃果、元気が無いですね。どうしたんですか?」
穂乃果「休日にこんな朝早く呼び出されたら元気なんかでないよ!」
海未「そうですか?私は毎日休みの日でも6時起きですよ」
19
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:28:54 ID:r4d7zACQ
穂乃果「‥‥」
ことり「あはは‥」
私は苦笑いを浮かべた。
ことり「それで今日は何をするの?」
穂乃果「まさか海未ちゃんが毎日やってる訓練を私達もやるってことじゃないよね?」
海未「それもやりたいんですが今日は他にやることがあります」
ことり「訓練もやりたいんだ‥」
海未「今日は掃除を手伝ってもらいます」
ほのこと「掃除??」
海未「はい」
海未「私の家の裏に大きな蔵があるのは知ってますよね?」
20
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:29:35 ID:r4d7zACQ
ことり「うん、昔はよくあの中でかくれんぼとかしたよね」
穂乃果「懐かしいな〜。でもなんかあそこで遊ばなくなったよね。なんでだっけ?」
ことり「穂乃果ちゃん覚えてないの?」
穂乃果「えっ?」
海未「穂乃果が蔵の中で暴れすぎて、色々壊したりしたからあの中で遊ぶの禁止されたんですよ」
海未ちゃんは「はぁ〜」と呆れたため息をつきながら穂乃果ちゃんに理由を教えた。
穂乃果「うそ、全然覚えてないや」
意外とこういうのってやらかした本人は覚えてないのかな?
21
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:30:13 ID:r4d7zACQ
海未「まあその話しは置いときまして、最近その蔵を掃除出来ていなかったので、2人が手伝ってくれるのならいい機会ですから掃除してしまおうということです」
穂乃果「手伝うってよりかは強制的に手伝わされてるような‥」
ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃんにまた怒られるよ」
海未ちゃんに聞こえないぐらいの小さな声でそっと穂乃果ちゃんに耳打ちした。
海未「さあ、2人とも行きますよ!」
私達は何故かやる気に満ち溢れている海未ちゃんの後について掃除道具を持ちながら蔵へと向かった。
22
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:30:44 ID:r4d7zACQ
ーー
穂乃果「うわ!懐かしいー!」
ことり「でも‥」
海未「思ってたよりホコリとかが凄いですね」
蔵の中は蜘蛛の巣が張ってあったりホコリが凄い舞っていたりでしばらく何も掃除とかしてなかったんだろうなってのはすぐにわかった。
穂乃果「これをほんとにやるの?」
海未「ええ、文句言ってもいてもしょうがないです。とりあえず蔵の扉や窓などの開けられるところを全て開けて換気した後に掃除をしましょう」
23
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:31:26 ID:r4d7zACQ
ことり「うんそうだね」
穂乃果「うぇ〜」
海未「さあやりますよ!」
海未ちゃんのかけ声で私達はそれぞれ動き始めた。
蔵の中の小さな窓を全部開けると多少なりとも風が入り、ホコリも少し収まって陽の光が中に射し込んで改めて蔵の中が見渡せるようになった。
穂乃果「明るくなって思うけどやっぱ汚れてるね」
海未「ここからが本番ですね。とりあえずやることは蔵の中にしまわれている物が壊れていないか確認してみてください」
海未「中は開けてみていいですから」
ことり「は〜い」
私達は片っ端から置いてある物を壊れたりしていないか確認していった。
24
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:33:06 ID:r4d7zACQ
穂乃果「あっ、懐かしい!この大きな鎧昔着てみようとしなかったっけ」
海未「穂乃果サボらないでください。沢山まだやることあるんですから」
ことり「それにしても色々あるよね。このお茶碗とかも凄い古そう」
ホコリがついた古いシンプルな柄のお茶碗を顔の前に掲げて確認する。
海未「家族の者がよくこういった物が好きで買ってきたり、後は私の家がこういう家なので昔から伝わってたりするんですよ」
しっかり手を動かしながら答える。
穂乃果「流石海未ちゃん家だね」
穂乃果「‥ってことはことりちゃんと西木野さんがやってる質屋さんで売れそうな物とかもあるんじゃない」
ことり「そんな簡単には見つからない気もするけど‥」
25
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:33:48 ID:r4d7zACQ
海未「みつかっても売らせませんよ。というか穂乃果も手を動かしてください」
確かにこんなに古い物がいっぱいあったら不思議な道具もありそうだよね。
真姫ちゃんに来てもらってもよかったかもって少し思ったけど、こういう掃除とかはあまりしなさそう。
穂乃果「うわ!みてみてすっごいこれも高そう」
海未「穂乃果ぁ!サボらないで手を動かしなさい!」
海未ちゃんの怒号が何回か飛び交う中で私達はなんとか作業を進めていった。
途中休憩を挟みながらも3人もいると意外と早く作業は進むものでお昼前にはほぼ蔵の中の物の確認は終わろうとしていた。
穂乃果「ねえ見てこれ」
26
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:34:28 ID:r4d7zACQ
そんな時、不意に穂乃果ちゃんが声をあげると私と海未ちゃんの前にある物を持ってきた。
穂乃果「今これ見つけたんだけどとっても綺麗じゃない?」
穂乃果ちゃんが持ってきたものは古い着物だった。
広げてみるとそれは純白の白い布で作られたもので鶴や花の柄が織り込まれていた。見る者の目を奪うようなとてもよく作られているものだった。
ことり「凄いよく作られてるやつだよこれ。汚れもほとんどないしとっても貴重なものじゃないの?」
穂乃果「どうなんだろう?箱を開けてみたらこれが入っていて特にその箱とかには何も書いてなかったんだよね」
ことり「海未ちゃん?」
海未「‥‥」
ことり「うーみちゃん」
海未「あっ!そうですね。私も始めてこれは見ました」
27
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:35:26 ID:r4d7zACQ
海未ちゃんはその着物をずっとまるで穴が空くほどに見ていた。
穂乃果「ねえ海未ちゃんこの着物着てみてよ」
海未「!!」
海未「きょ、今日は駄目です。時間がまたある時ならいいですよ」
穂乃果「え〜、いいじゃん」
海未「駄目です。まだ作業が残っています。さぁ続きをやりますよ」
そう言うと海未ちゃんはその綺麗な着物をそそくさと箱の中にしまうと再び作業をやり始めた。
穂乃果ちゃんも少し残念そうな顔すると渋々元の作業に戻った。
28
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:35:58 ID:r4d7zACQ
ーー
そんなこんなでお昼の時間になるとほぼ蔵の中の掃除も終わり休憩も兼ねて海未ちゃんのお母さんが作ったお昼ごはんを皆んなで食べていた。
海未母「穂乃果さん、ことりさん、わざわざ休みの日に掃除をしてくれてありがとうございます」
ことり「いえいえこちらこそお昼ごはんご馳走さまです」
穂乃果「それにそういう約束なんです」
海未母「あらそれはどういうことです?」
穂乃果「それは海未ちゃんがスカートを着るときに‥」
海未「穂乃果!」
海未ちゃんはすぐさま反応して穂乃果ちゃんの口を手で塞いで何も言えないようにした。
海未母「あらあら海未さんもあまり暴れないでくださいね」
海未「はい、すみません‥」
29
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:36:31 ID:r4d7zACQ
ことり「海未ちゃん、手を離さないと穂乃果ちゃんが‥」
穂乃果ちゃんは海未ちゃんに口を塞がれているせいでモゴモゴ言ってたけど今はもう窒息寸前のようだった。
海未「あっすみません穂乃果」
海未ちゃんの手から解放された穂乃果ちゃんは呼吸が凄い荒れていた。
穂乃果「もう死ぬかと思ったじゃん!」
海未「すみません‥」
海未「ほらもう食べ終わったので私の部屋に行きましょう。お母様、ご馳走さまです」
ことり「そうだね。ご馳走さまです」
穂乃果「ご馳走さまです」
海未母「はいゆっくりしていってくださいね」
30
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:37:08 ID:r4d7zACQ
私達は食器を下げると海未ちゃんの部屋に向かった。
部屋に入ると穂乃果ちゃんはすぐに「疲れたー!」って言うと床にゴロンと寝そべった。
海未「穂乃果食べてすぐ寝ると牛になりますよ」
穂乃果「お母さんみたいなこと言わないでよ」
穂乃果「あっ、そうだ海未ちゃんさっきの綺麗な着物着てみてよ。実際にどんな感じなのか見てみたいな」
海未「恥ずかしいので嫌です」
ことり「でもスカートみたいに丈が短いわけでもないよ」
海未「そういう問題ではないんです。それにあんな綺麗なのは私には合わないですから」
穂乃果「海未ちゃんは和服美人って感じだからそんなことないと思うけどな」
海未「そんなことより穂乃果昨日の宿題はもうやっているんですよね?」
31
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:37:55 ID:r4d7zACQ
穂乃果「えぇー、それ今聞くの?」
海未「当たり前です。休みの日だからってやらなくていいわけじゃありません」
穂乃果「ことりちゃーん、助けてー」
ことり「よしよ〜し穂乃果ちゃん」
海未「ことりも余り穂乃果を甘やかさないでください」
なんやかんやいつものそんなやり取りや雑談をしてその日は夕方ぐらいに私達は自分の家へと帰った。
帰る間際まで海未ちゃんは穂乃果ちゃんに帰ったら宿題をやるように念を押していて、穂乃果ちゃんは嫌そうな顔をしていた。
家に着くと午前中の掃除の疲れもあってベッドにゆっくりと倒れ込むとそのまま眠りについた。
きっと穂乃果ちゃんも同じように今頃寝てるんだろうな‥。
32
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:40:17 ID:r4d7zACQ
ーー
その日の夜
夜、辺りが寝静まった頃に蔵の中でゆっくりと物音を立てないように動く影があった。
海未「ここにありましたか。暗くてわかりづらかったですね」
海未「それにしてもこんな物誰が見つけて蔵の中に置いたのでしょうか?」
私は何故か昼間の掃除の時に穂乃果が見つけたあの白い綺麗な着物が頭から離れずにいた。
もっとじっくりとこれを見てみたいという衝動に駆られ、深夜にこうして家族に気づかれないように探しに来ていたのだった。
箱から出して着物をゆっくりと広げていく。
33
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:40:57 ID:r4d7zACQ
昼間に見たように恐らく上質な布で出来た生地に翼を大きく広げて羽ばたいている鶴と満開の花がいくつか縫われていた。
多分わかる範囲で縫われている花は梅の花と牡丹でしょうか。
海未「‥‥」
なんでしょう。この着物を見ていると心の中を深く掘られていくような‥。
でも嫌な感じではなく何か思い出させるような感じに近い‥。
そんな不思議な感覚を感じ、この着物の不思議な魅力に私は惹きつけられるような気がします。
海未「ここじゃなくもっと明るい場所に行きましょう」
私は薄暗く月明かりに照らされる蔵の中からその着物を持ち出すと両手で胸に抱えて自分の部屋へと戻っていった。
どうしてでしょうか、何故か私の心は胸踊っていました。
34
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:42:38 ID:r4d7zACQ
ーー
ー
月曜日、お昼休み 中庭
私たちはお弁当を食べながら今日1日気になっていたことを本人に聞いてみることにした。
ことり「ねえ海未ちゃん?」
海未「どうしたのですかことり?
ことり「私の気のせいならいいんだけど今日いつもと違ってメイクしてない?」
海未「ええしてますよ」
穂乃果「えっ、海未ちゃんメイクしてるの?!」
海未「そんなに驚くことですか?」
ことり「だってあの海未ちゃんだよ!」
穂乃果「メイクなんて必要ないですとか言って滅多にしないし、してもあんまり慣れてないせいで上手くないじゃん」
35
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:43:32 ID:r4d7zACQ
ことり「穂乃果ちゃんそれは流石に言い過ぎだよ‥」
でも穂乃果ちゃんの驚きもよく分かる。
それほどまでに今日の海未ちゃんのメイクは綺麗にまとまっていて、ナチュラルに自分の持つ魅力を最大限に引き立てていた。
まるでどこか儚さをそれとなく匂わせる美少女っていう感じで。
それは今までの海未ちゃんじゃ一朝一夕で辿り着けるはずのないレベルの仕上がりだった。
海未「私だって女性なんですからメイクぐらいしますよ」
36
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:44:07 ID:r4d7zACQ
海未「逆に聞きますがことりと穂乃果は何故普段からメイクをしていないのですか?女性として身だしなみは必要ですよ」
穂乃果「いや、だって学校で授業受けるだけだしめんどくさいからやらないよ」
ことり「私も学校ではそんなにいいかなって‥」
私と穂乃果ちゃんが苦笑いで受け流すのをみて少し寂しそうな表情を海未ちゃんはしているように見えた。
海未「まあそれでも2人は綺麗なんですから身だしなみには気をつけた方がいいですよ」
海未「私は食べ終わったので先に教室に戻りますね」
そのままお弁当箱を片付けると海未ちゃんは教室へと戻った。
穂乃果「‥ねえことりちゃん、海未ちゃんの様子なんか変じゃない?」
37
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:44:55 ID:r4d7zACQ
ことり「穂乃果ちゃんもそう思う?」
穂乃果「うん、なんかあったのかな?」
ことり「わからないけどファッションとかに目覚めたのはいいことだと思うし‥」
ことり「もう少し様子を見てみない?」
穂乃果「そうだね。きっと海未ちゃんのことだから少ししたらまた戻りそうだしね」
ことり「そうだね。私たちも早くお弁当食べちゃおう」
穂乃果「うん!いやー今日もパンがうまい」
38
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:45:54 ID:r4d7zACQ
ーー
放課後、音楽室
ことり「真姫ちゃんいる〜?」
希「真姫ちゃんならおるよ〜」
真姫「いるわよ」
ことり「真姫ちゃんおはよ〜。今日は何か仕事‥‥」
ことり「‥あれ?そっちの人は?」
真姫「ああそう言えばまだ紹介してなかったわね。この人は‥まあ、ただの知り合いよ」
希「ただの知り合いだなんて酷いな〜。真姫ちゃんとはあんなことやこんなことを何年もいっぱいやってきたのに」
真姫「まだ出会って2ヶ月ぐらいしか経ってないじゃない」
真姫ちゃんが素の自分を出している2人のやり取りが面白いのと同時になんか新鮮な感じがした。
39
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:47:57 ID:r4d7zACQ
真姫「早くことりに自己紹介しなさいよ」
希「えっと、ウチは音ノ木坂学院の弱小部活の超常現象研究会唯一の部員であり、生徒会副会長も務める3年生、東條希です!」
希「よろしくね♪」
そう言っての希先輩は顔の前でピースサインを決めてバッチリポーズを取った。
ことり「よ、よろしくお願いします」
真姫「‥ことりが困惑してるじゃない」
ことり「えっ、そんなこと‥ナイヨ」
希「バッチリ決まったと思ったんやけどね」
多分悪い人ではないと思う。‥多分。
真姫「それで頼んだやつは持ってきてくれたの?」
希「ちゃんと持ってきたよ。ほら」
40
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:49:09 ID:r4d7zACQ
希先輩はそう言ってカバンの中からゴソゴソ探すと私にそれを渡してきた。
渡された物は前に真姫ちゃんに頼まれて私が持ってきた穂乃果ちゃんと海未ちゃんが作ってくれた鳥のぬいぐるみだった。
ことり「これって前に真姫ちゃんに渡したやつ?」
真姫「ええそうよ。それにそこにいる希にお願いして力を入れてもらったの」
希「力を入れるというか、何というかなんか別のものになっちゃったんよ」
真姫「どういうこと?」
希「ことりちゃん。そのぬいぐるみを両手で優しく持って心の中で強くぬいぐるみのことを想ってみて」
ことり「うん?わかりました」
41
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:49:52 ID:r4d7zACQ
私はぬいぐるみを優しく両手で持って目を閉じ、心の中でぬいぐるみのことを強く想った。
でも何を想えばいいのかが分からなかったので、とりあえず今までのぬいぐるみへの感謝の気持ちとかを念じてみた。
「チュンチュン!!」
だいたい1分ぐらい念じていると手の中から突然声がした。
驚いて手を開けるとそこには私の大切なぬいぐるみがこちらを向いて声をあげていた。その光景に驚き口がポカーンと開いたままになる。
(・8・)「チュンチュン!!」
真姫「どういうこと?こんなの物ってよりかは生き物じゃない」
希「まあ分類でゆうと式神って感じやね」
真姫「ほら、ことりが驚きすぎてぬいぐるみと同じような顔してるじゃない」
42
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:51:35 ID:r4d7zACQ
ことり「(・8・)」
希「いやー、ちょっとあのぬいぐるみ自体なんか人の想いがかなり強かったのとあとは‥」
真姫「あとは?」
希「いや何でもないよ」
ーー昨日ーー
希「真姫ちゃんに久しぶりに頼まれたし、たまには違う感じでスピリチュアルパワーを入れてみようかな」
希「どうしよう‥」
希「‥にこっちみたいにやってみようかな」
希「‥‥」
希(のっぞのっぞのーは違う‥)
希「希パワー注入!はーいプシュ♡」
(・8・)
( ^ 8 ^ )「チュンチュン♪」
希「‥‥ほんとに?」
ーー
43
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:55:01 ID:r4d7zACQ
希「不思議なこともあるもんやね」
希「でも真姫ちゃんの要望にはちゃんと応えてるんよ。ことりちゃん驚いてるとこ悪いけどそのぬいぐるみをあそこの棚のワイングラスに近づけてみて」
ことり「う、うん。こうですか?」
私は両手で持ち上げて前に真姫ちゃんに教えてもらった『自分の意思を他人に飲ませるワイングラス』にぬいぐるみを近づけた。
(・8・)
( ` 8 ´ ) 「チュンチュン!!」
ことり「うわ!この子急にどうしたの?」
希「それがそのぬいぐるみの力なんよ。簡単に言うと『大きな想いや力を持つ道具に近づけると反応する』って感じやね」
ことり「??」
真姫「前にも言ったでしょ。そのワイングラスは使いようによっては危険な道具だって」
真姫「そういった道具はこっちが気づかないうちに使われてしまって、取り返しのつかなくなることもあるのよ」
真姫「そういったことから自分の身を守るために、そのぬいぐるみをお守りとして持っておいてほしいの」
44
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:55:53 ID:r4d7zACQ
希「真姫ちゃんの言う通りやね。ウチとか真姫ちゃんは経験とかでなんとなく分かったりするけど、ことりちゃんはまだそういったことを何も知らないからそうやって、自分の身を守る術を身につける必要があるんよ」
ことり「確かにそうだよね。うん、これからまたよろしくね」
私は手の中に佇むぬいぐるみを優しく撫でるとカバンに付ける。
( ^ 8 ^ )「チュン!」
そしてふと頭の中にうかんだ素朴な疑問を2人にこの際聞いてみることにした。
ことり「でも気になったんだけどその不思議な道具ってどうしてそんな力がつくの?」
希「真姫ちゃん教えてなかったの?」
真姫「‥‥色々あって忘れてたわ」
希「真姫ちゃんにしては珍しいね。せっかくだし一からしっかり教えた方がいいね」
ことり「お願いします希先輩」
希「う〜ん、なんか堅苦しいから先輩なんてつけなくてええよ」
ことり「じゃあ‥、希ちゃん?」
45
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:56:40 ID:r4d7zACQ
希「うんそれでよし♪さてじゃあ始めから説明するけど不思議な力を持つ道具はことりちゃんはどうしてできると思うん?」
ことり「えっと、希ちゃんがこのぬいぐるみに力を入れたみたいになんかしらの不思議な力、霊能力とかいうやつのせい?」
希「う〜ん、近いようでそれは正解じゃないんよ」
希「道具が元々はただの道具っていうのは正解。でも不思議な力を持つようになる原因、それは人の『想い』やね」
ことり「想い?」
希「そう『想い』。人のこうなりたい、こうしたい、こうできたらいいのにとかいった想いが時間を経たりして道具に伝わることによって力を道具が持つんよ」
希「簡単な例を挙げると昔から使っているペンで勉強してると違うペンを使った時よりも集中できたりリラックスして勉強できたりしない?」
希「それもある意味じゃ使用者の『いい点を取りたい』って強い想いが、長い時間ペンに伝わって、勉強をしっかり出来るようにしてくれてるんよ」
46
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:57:58 ID:r4d7zACQ
ことり「なんかわかったようなわからないような‥」
希「真姫ちゃんの聴診器だと多分、元々の持ち主の『人を治したい』って想いが強く強く作用して、身体の怪我だけじゃなく、心の怪我ともいえる不安とかの感情も取れるそんな力を持ったのかもしれんね」
ことり「じゃああのワイングラスだったら『人を自分の意思で操りたい』って想いによって変化したのかもしれないってこと?」
希「そう!多分その通り。でもその想いは想いながら使っていた本人しかわからないから外れてるかもしれないんだけどね」
真姫「あとは想いをの強さや人数、時間にもよってその道具のもつ力の強さとかも変わるわね」
47
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:58:49 ID:r4d7zACQ
真姫「昔の道具とかは昔から人の想いを時間をかけて沢山受けているからそれだけ強い力を持ったりする」
真姫「でも大人数の人から想いを受けた道具は短い時間で不思議な力を持ったりするわ」
希「そしてことりちゃんに1番注意してほしいのは恨みや憎しみを強く受けた道具やね」
ことり「どうして??」
希「恨みや憎しみは人の感情や想いの中でもトップクラスに強く長く残るものだからそれだけ強力な力を道具につけたりするんよ」
希「想いは普通その人が死んだらしばらくしたら消えるんよ。でも恨みや憎しみといった負の感情は死んでもその道具に長く残り続けてしまう」
希「また、その影響を周りや使用者にも強く与える」
希「恐ろしい物だと人を死に追いやるような物もある」
ことり「死に追いやる‥」
48
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 20:59:58 ID:r4d7zACQ
確かに人に恨まれたりしたらそれが誤解だとしても解消するには時間がかかるし、下手したら一生恨まれたり憎まれたりするっていうのは聞いたことがある。
そんな強い負の感情を道具が受けていてそれを実行させるような力を持った物があるなんて‥。考えただけでもゾッとした。
真姫「だからこそさっき渡したぬいぐるみが危険な道具に出会った時にすぐ教えてくれるから最低限この活動をしている時は身につけておいて」
真姫「何かあってからじゃ遅いからね」
ことり「うん」
希「それにしても真姫ちゃんはことりちゃんが来てから変わったね。ウチにこんな依頼してくることなかったもんね」
真姫「別に理事長から言われたことだし、そうでもしなきゃこの仕事やっていけないからよ」
希「真姫ちゃんらしいね。せっかくやからことりちゃんのこと占ってあげましょう」
希「ウチのこのスピリチュアルなタロットで」
ことり「‥じゃあお願いします」
ことり(あんまり占いは信じてないけど良いのが出るといいな)
49
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 21:01:07 ID:r4d7zACQ
真姫「そんな顔しなくても希の占いは当たるわよ」
ことり「そ、そうなの?」
希「そうやで。ウチのタロットは『占いの対象となる人の未来を教えてくれる力』をもつんよ」
希「正確には引いたカードの意味で教えてくれる感じやけどね」
カードをシャッフルしながら希ちゃんは私にタロットの力の説明をする。
ことり「未来を見れるなんて凄いね」
希「でも万能じゃないんよ。その人の未来に1番近い意味を持つカードでタロットが教えてくれるから、意味の解釈を間違えると全く違う未来だったりするしね」
希「‥さて準備出来たし占ってみようかね」
シャッフルし終わって山札にしたタロットの1番上のカードをゆっくりとめくってテーブルに置いた。
50
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 21:02:10 ID:r4d7zACQ
ことり「‥‥これは?」
希「運命の輪カードで正位置やね。意味は色々あって幸運、成功ってところが主な意味になるんよ」
真姫「あら良かったじゃない」
ことり「よかった〜。悪いカードが出なくて」
希「まあ他にも意味があって無限の広がりとかがあるね」
希「とりあえずことりちゃんには何かしらの良いことがこれからあるかもしれんね」
真姫「相変わらずアバウトね」
希「仕方ないやろ。このタロットはあくまで未来に何があるかを伝えてくれるだけで細かくは無理なんだから」
ことり「それじゃ宝クジの当選番号を知りたいとかの細かいことも無理なんだね」
希「そーゆーこと」
希「あとはいつそれが起こるかも分からないから明日かもしれんし数年後かもしれないんよね」
51
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 21:02:55 ID:r4d7zACQ
真姫「そういう事らしいから当たったらラッキーぐらいに思っといた方がいいわよ」
ことり「そうだね。チュンちゃんと出会えたことがもういい事かもしれないしね♪」
真姫「さっきのぬいぐるみにチュンちゃんって名前つけたのね‥」
希(言いづらそうやな)
希「そう言えば前に真姫ちゃんを占ったあの占いは結局もう当たったの?」
真姫「あー、当たったっていえば当たったのかしら」
真姫ちゃんがチラリとこっちの方を見たような気がした。
ことり「??」
希(そういうことね)
52
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 21:03:44 ID:r4d7zACQ
希「それは良かった。悪い方に分岐したわけじゃなかったみたいだしね」
ことり「どういうこと?」
真姫「別にいいのよ」
そう私に呟く真姫ちゃんの顔は優しい顔をしていた。
真姫「たまには希のこと信じてみて良かったわ」
希「真姫ちゃんから貰う言葉としては最上の褒め言葉やね」
希ちゃんのすごい優しい安心したお母さんのような表情がとても印象的だった。
53
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 21:06:53 ID:r4d7zACQ
ーー
ー
数日後
穂乃果「ねえことりちゃんちょっといい?」
ことり「うん大丈夫だよ」
穂乃果ちゃんに放課後、誰もいない教室に呼び出された。
穂乃果「最近の海未ちゃんなんだけどさ、やっぱり変じゃない?」
ことり「確かになんかどんどん女の子っぽく綺麗になっていってるよね」
ことり「後輩の女の子とかにも凄く人気が出てて色々メイクの仕方とか教えてるよね」
穂乃果「それもあるけど、そうじゃなくて海未ちゃん弓道部に全然今行ってないんだって」
ことり「そうなの?いつもすぐに教室出てくから部活に行ってるのかと思ってたよ」
54
:
シティごりら
:2019/08/28(水) 21:07:50 ID:r4d7zACQ
穂乃果「それで昨日海未ちゃんが学校帰りにどこに行ってるのか後をつけてみたの」
ことり「どこに行ってたの?」
穂乃果「それが真っ直ぐ家に帰ってたんだよね‥」
ことり「え、どういうことだろう?」
穂乃果「分からないけど家で何か用事があるのかも」
穂乃果「昨日は海未ちゃん以外家に誰もいないみたいだっから何もそれ以上は分からなかったの」
ことり「そっか。う〜ん、海未ちゃんのこと気になるね。穂乃果ちゃん今日これから海未ちゃんの家にもう一度行ってみない?」
穂乃果「うん。今日なら海未ちゃんのお母さんとかがいるかもしれないし」
ことり「そしたら真姫ちゃんに今日は行かないって連絡するからちょっと待ってて」
穂乃果「うん!」
ことり(何もなければいいんだけどな)
少し胸騒ぎを覚えたけど気のせいだと思い、私たちは教室を足早に出ていった。
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