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レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

( ^ω^)百物語のようです2013( ω  )

1 ◆Rsp62tAaew:2013/06/28(金) 14:17:25 ID:PjQGMrTo0
( ^ω^)おいすー。ここは夏の祭り、百物語専用スレだお!
      祭り開催まではルールの確認等自由に使ってほしいお!

( ^ω^)とりあえず今決まっているルールは
      以下の通りだお!

・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
  レス制限無し。

  スレ立て
  ↓
  百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
  ↓
  投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)

・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る


前回百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/

( ^ω^)他に変更点、疑問点ある方はなんでもいってほしいお!

320名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:41:23 ID:Zfm9nmZ2O
以上です。ありがとうございました。


  (
   )
  i  フッ
  |_|

321名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:41:29 ID:iL85mscs0

救いがねぇな…

322名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:44:10 ID:K5cYOggE0

うわぁ。切ないなぁ。
わかり合えたと思ってただけに、この結末はきつい・・・・・・

323名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:44:10 ID:ijMzp3hI0
乙乙。この鬱っぽい空気も百物語の醍醐味か……

324名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:44:19 ID:d6ClzGvY0
うわぁ……えげつないな……
いいぞもっとやれ

325名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:44:28 ID:4jk8staU0

ドキドキした

326名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:48:38 ID:I65o5vOg0
乙!

せめてツンが美味しいといいね

327名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:52:16 ID:ijMzp3hI0
それじゃあ九本目行かせてもらうかな


  .,、
 (i,)
  |_|

328名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:53:13 ID:ijMzp3hI0



   少女たちの談話のようです

329名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:54:31 ID:ijMzp3hI0
ξ゚撿゚)ξ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ξ゚撿゚)ξ「……暇ねぇ」

ζ(゚ー゚*ζ「……そだね、お姉ちゃん」

ξ゚撿゚)ξ「なんか面白い話ない?」

ζ(゚ー゚*ζ「んー、特に……」

ξ゚撿゚)ξ「そうよねぇ……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ξ゚撿゚)ξ「……」

330名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:55:51 ID:ijMzp3hI0
川д川「ちわーっ」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、貞ちゃん。ちょうどいいとこに来た」

ξ゚撿゚)ξ「あのさ、私たち今ちょうど暇してたとこだったんだけど、なんか退屈が紛れるような面白い話知らない?」

川д川「んー……面白い話か分からないけど、二人に聞きたいことはあるかなー」

ξ゚撿゚)ξ「何、それ?」

川д川「今日たまたま聞いちゃったんだけど、階段の踊り場に幽霊が出るって噂、知ってます?」

ξ゚撿゚)ξ「んーん、知らない」

ζ(゚ー゚*ζ「そんな噂あるんだ。知らなかった」

川д川「なんかその噂、二人のどっちかが原因な気がして……」

ξ゚撿゚)ξ「どういうこと?」

331名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:57:21 ID:ijMzp3hI0
川д川「私の聞いた話だと、放課後に校舎西の階段の踊り場で、躍り狂う女の子の霊が出るって……」

ζ(゚ー゚*ζ「それがどうして私たちに繋がるの?」

川д川「その幽霊、金髪ツインテで長い髪の毛がドリルみたいにくるくる巻いてるんだって……」

ζ(゚ー゚*ζ「えー?まんま私たちの特徴と一緒じゃん。そんなことしてないのに」

ξ゚撿゚)ξ「……あー、ごめん。多分それ私だ」

川д川「ツンさんが?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょ、お姉ちゃん何してるのwww」

ξ゚撿゚)ξ「だって、なんか妙にテンション上がっちゃって……楽しくなっちゃったのよ」

川д川「ツンさんかわいいwww」

ξ゚撿゚)ξ「るっさい!人に見られてるって知ってたらやらなかったわよ!」

332名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 21:59:23 ID:ijMzp3hI0
ζ(゚ー゚*ζ「ちなみにその時、何を踊ってたの?」

ξ゚撿゚)ξ「……ソーラン節」

川д川「ちょwww怪談が一気に金八先生にwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「いくらテンション上がっててもソーラン節はないわーwww」

ξ゚撿゚)ξ「っさい!デレだって雨の日になると変なことするじゃん!」

ζ(゚ー゚*ζ「え?それ言っちゃう?」

川д川「何ですか?何をしでかしちゃうんですか?」

ξ゚撿゚)ξ「この子、雨の日になると家庭科室の姿見の前ウロウロしてんのよ」

ζ(゚ー゚*ζ「あれはほら、仕方ないとこあるし……」

川д川「あれですか。女の子だから身だしなみが気になっちゃう的な?」

ζ(゚ー゚*ζ「いやほら、私たち髪の毛こんなだから、湿気が強いとどうもね……」

ξ゚撿゚)ξ「私はそうでもないんだけど、デレは巻きが私より強いから雨になると……」

川д川「あぁー、そういう……」

333名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:00:49 ID:ijMzp3hI0
ξ゚撿゚)ξ「おかげさまでこの学校の七不思議に、『家庭科室で無念の死を遂げたOさん』なんてのが出来ちゃう始末でさぁ」

川д川「なんというはた迷惑wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「こういう髪型だと、ちょっとの湿気ですぐ髪が乱れるから大変なんだよぉ?」

川д川「へぇー。髪の毛多くて野暮ったい私には羨ましい話ですわー」

ξ゚撿゚)ξ「うちらからしたら、貞ちゃんの黒髪のが羨ましいよ」

川д川「いやいやそんな……重たいし染めらんないし、いいとこないっすよー」

ζ(゚ー゚*ζ「……そういえば、黒髪で私も思い出したけど」

ξ゚撿゚)ξ「ん?何を?」

ζ(゚ー゚*ζ「貞ちゃん、最近誰かに泣くとこ見られなかった?」

川д川「え……なんで?」

ζ(゚ー゚*ζ「噂で聞いた話だったからすっかり忘れてたけど、私も変な怪談聞いたことあったのよ」

ξ゚撿゚)ξ「というと?」

334名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:02:18 ID:ijMzp3hI0
ζ(゚ー゚*ζ「校庭の真ん中で真夜中に泣いてる黒髪少女、その女の子に声をかけたら……ってヤツ」

ξ゚撿゚)ξ「でも、うちらと違って黒髪の女なんていくらでもいるじゃん?」

川д川「そうだよ。それを私と関連づけるのは、ちょっと無理があるんじゃない?」

ζ(゚ー゚*ζ「そっかなぁ……」

川д川「そーそー」

ξ゚撿゚)ξ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

川д川「……」

ξ゚撿゚)ξ「で、本当んとこは?」

川д川「私ですwwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょwwwww」

ξ゚撿゚)ξ「やっぱりwwwww」

335名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:03:35 ID:ijMzp3hI0
ζ(゚ー゚*ζ「ちなみになんで校庭のど真ん中で泣いてたの?www」

川д川「いやー、逆睫毛が目に入って痛くってさぁ……www」

ξ゚撿゚)ξ「なぜ校庭の真ん中で逆睫毛wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「何してたのwwwww一人運動会?wwwww」

川д川「にゃんこ追っかけてましたwwwww」

ξ゚撿゚)ξ「猫自重wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「そんなほのぼのしてたら怪談にならないwwwww」

川д川「別に怪談になる必要ないしwwwww」

ξ゚撿゚)ξ「wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「wwwww」

川д川「wwwww」

336名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:04:53 ID:ijMzp3hI0
ξ゚撿゚)ξ「はぁー、面白い……」

川д川「意外に盛り上がりましたねー」

ζ(゚ー゚*ζ「でもさぁ、本当、人間ってそそっかしいよねぇ」

ξ゚撿゚)ξ「そうね。私たちに驚かすつもりなんて、全然ないのにね」

川д川「ですよねー……あっ」

ξ゚撿゚)ξ「どしたの、貞ちゃん?」

川д川「いけない。誰か来たみたいです」

ξ゚撿゚)ξ「マジで?」

ζ(゚ー゚*ζ「こんな時間に迷惑な……」

川д川「まぁ仕方ないですよ。今日のとこは解散ってことで」

ξ゚撿゚)ξ「そうね。続きはまた明日にしようかしら」

ζ(゚ー゚*ζ「楽しかったねー、貞ちゃん」

川д川「ですねー。明日も遊びに来ますから」

337名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:05:55 ID:ijMzp3hI0
川д川ノシ「じゃー二人とも、明日までお元気でー」

ξ゚撿゚)ξ「じゃーねー貞ちゃん」

ζ(゚ー゚*ζ「またねー」


...:::;:д川 フッ

...:::;.撿゚)ξ フッ

...:::;;ー゚*ζ フッ


ガラガラッ


(#^ω^)「全く、貸してやったエロゲ学校に忘れるとかどんな神経してんだお!?」

('∀`)「へへ、面目ねぇ。ブーンが用務員さん丸め込んでくれなかったら、いらん恥かくとこだったぜ」

( ^ω^)「夜の学校なんて不気味なだけだし、さっさと取ってさっさと帰るお」

('A`)「おk、把握」

338名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:07:07 ID:ijMzp3hI0
('A`)「……?」キョロキョロ

( ^ω^)「どうしたお。そこドクオの机じゃないお」

('A`)「いや……なんかここ、人のいた気配がしね?」

( ^ω^)「んな訳あるかお。もう7時過ぎてんだお?」

('A`)「そうだけど……そういえば、こんな噂聞いたことあるか?」

('A`)「『夜、誰もいないはずの教室に忍び込むと、女の子の幽霊が談笑してる姿が見れる』って」

( ^ω^)「聞いたことねーお。美少女なら見てみたいけど不細工は勘弁だお」

('A`)「だよなー。お、発見」ゴソゴソ

( ^ω^)「取るもん取ったらはよ帰るお」

('A`)「うーす」

ーーークスクス

('A`)「……ん?」

339名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:08:29 ID:ijMzp3hI0
ーーークスクス

ーーーアハハハッ

ーーーウフフフフ

(;'A`)「……おい、ブーン。なんか人の笑い声が……」

( ^ω^)「ビビりもいい加減にしろお。はよせんかいドクオ」

(;'A`)「お、おう……」

(;'A`)(気のせい……か?)

ガラガラッ、バタンッ

…………
………
……

340名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:09:41 ID:ijMzp3hI0
ーーー本当、そそっかしいよねぇ、『人間』って……

ーーーそうね。私たち『幽霊』に、驚かすつもりなんて、全然ないのにね……

ーーーでも、さっきみたいに全部勘違いだと思われるのも、それはそれでなんだか寂しいですね……

ーーーそうね……

ーーーそうだね……

341名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:10:59 ID:ijMzp3hI0



日の落ちた教室へ忘れ物を取りに行く時は、少女たちの談話に水を差さないよう、くれぐれも気をつけて……。


ーーークスクス

ーーーアハハハッ

ーーーウフフフフ


(了)

342名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:12:18 ID:iL85mscs0
ほのぼの可愛い幽霊っ娘め


343名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:13:06 ID:ijMzp3hI0
終わりです

  (
   )
  i  フッ
  |_|




総合で頂いたお題を元に書きました。

・踊り場
・小雨
・泣く女

344名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:22:32 ID:K5cYOggE0

三人娘がかわいくて和んだ
話の余韻もいいなぁ

345名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:37:35 ID:L8EnzUKE0


面白かったから許すけどもう貰ったお題忘れんなよ!!

346名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 22:59:50 ID:89ZizsXIO
では賑やかしの十本目


  .,、
 (i,)
  |_|

347名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:00:55 ID:89ZizsXIO

隣町の片隅、林道の途中にあるトンネルに幽霊が出る。ありがちな噂だ。
オカ板の常駐スレがこの時期にしては過疎気味だったから、ちょっとしたネタ提供のつもりだった。

年季の入った車に鞭打って砂利道を上ること20分。
現れたトンネルは、乗用車1台通るのがぎりぎりなくらいの幅しかなかった。
ヘッドライトをつけても奥は見通せず、むきだしの岩肌が暗がりへと溶けている。
夜半から降り続く雨のせいか、霧がたちこめはじめていた。安いデジカメでもイイ写真が撮れそうだ。

( ^ω^)「いざ突入、だお」

入り口を一枚撮って、車に乗り込んだ。



  彼は帰りたいようです



中も砂利道が続いていた。
50mも進めば視界は岩壁と闇に閉ざされる。
エアコンの効きが悪いようで、フロントガラスがじりじりと曇ってきていた。
窓を開けるとじっとりとした冷たい空気が流れ込む。

( ^ω^)「崩落事故で死者が出たっていうけど……」

そもそもがこの狭さだ、どこぞのダムのような大規模なものではあるまい。
だが見たところ、壁も天井も一枚岩をくり抜いたような堅牢さだ。
湿度の不快さと圧迫感があいまって、嫌に鮮明なイメージが浮かぶ。

348名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:02:29 ID:89ZizsXIO

突然天井から剥離する巨石。折り畳まれるようにして見えなくなる人影。足下の砂利を這う赤黒い液体。
堅く重い岩は少しずつ削ることでしか退けられない。その間にも血は洗われ、肉は朽ち、骨は砕けて遺体は回収できないまま――

(;^ω^)「――おっ、」

不意にトンネルが広くなった。
すれ違うための退避所、なのだろう。
偶然とは知りつつも、想像を裏付けるようなタイミングに寒気がした。

一際歪な天井と、打ち捨てられたつるはしを撮る。

再び車を発進させ、あとはひたすらに出口を目指した。
ますます曇ったガラスと霧で二重に煙る先に光が見えた時は思わず息を吐く。
トンネル自体は全長数百mなのだろうが、視界の悪さと低速で走るしかないもどかしさで永遠に続くような気がしていた。

抜けた先でまた1枚撮る。崖の下に見える貯水池もついでに。

帰りは少し気が楽だった。視界が悪いだけで、幽霊が出るどころか寒気も異音もない。
少し残念ではあるけれど、雰囲気あふれる写真がとれたからよしとしよう。

ふと思いついて、トンネルの出口が見えた頃、ガタガタと揺れる車内で手を後ろに伸ばしてシャッターを切った。

349名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:03:31 ID:89ZizsXIO

林道を少し下ったところで車を止める。
最後の一枚の出来映えを確認したかった。が、そのまえにタオルをひっつかんで外に出る。
フロントガラスの曇りがとれない。
降りかかる雨粒と一緒にタオルを滑らせ――そこで気づいた。

今の今までワイパーを動かしていたのだ。
外側に水蒸気の曇りが残るわけがない。

じゃあ、このガラスの白濁は?

違う。
違うガラスだけじゃないボンネットにもサイドミラーにもべたべたと塗り重ねられたこれはおぞましい数の、

(;゚ω゚)「これ、て、が――手形?」

喉が引き絞られる。身体が強ばって背筋が軋む。
すこしだけ開いた運転席の窓に、その内側に、指の跡がついていて、
助手席においてあるデジカメには、先ほど撮った写真には車内の様子もその向こうのトンネルも写っておらずそこには

350名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:04:12 ID:89ZizsXIO
                         . ⌒ヽ
                       { ィ==、.'.
                            '.{圭ニハ'.
          . - ミ           V圭ニ{ '.
             {  ィz.\          V圭ニ .}
           '. {圭tz ヽ         {圭圭.|
           \`寸圭t.\       {圭圭'.
                ヽ`孑圭z \     '圭圭.}
              ` 、寸圭z、ヽ    }圭圭'.
                  ` 、孑イz\    !圭圭゛.
                     ヽ`寸圭\_ ,ハ圭圭ハ
  r━―‐- . _            \寸圭ニ彡夭圭.八
   、 (圭圭≧ニ=- ̄二ニ=- ._ノ)、圭圭圭圭圭: Y
    ゛ <二三圭圭圭圭圭≧ニ=‐゛圭圭圭斗圭圭y∧
           ̄¨ ==ニニ、圭圭圭,.ィ聿圭圭圭豹.ヽ、
                 },圭圭圭圭圭圭圭圭圭弋\
           _ . . ≦夭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭z`z―、__
       _ ..≦z=圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭!圭{圭≧=≧- ._
    ,.ィ≦=圭圭圭沙ニ=‐''´゛ー―、寸圭尨>≦圭圭沙个ー-<圭圭圭圭) ヽ
    ー=-‐''´ ̄           ≧<_..イ           ` =――‐ ′

351名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:05:33 ID:89ZizsXIO












おいていかないで

352名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:08:56 ID:89ZizsXIO
昔テレビでやってた心霊体験再現ビデオのイメージで


  (
   )
  i  フッ
  |_|

353名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:13:22 ID:8eQt.atQ0
うおお……乙

354名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:14:07 ID:ijMzp3hI0
いやあああああ!!乙乙!!
ブーンは助かったのかな……

ところで>>350の大型AAってD-グレが元画像だったりする?

355名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:14:38 ID:YZ6D633c0
おつ…
大型AAは本気で怖いんだよ…なんなんだよその手は…

356名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:17:47 ID:K5cYOggE0

急に大型AAが出てくるとびくっとするな

357名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:20:09 ID:89ZizsXIO
>>354
適当にAA倉庫サイトからそれっぽいのを引っ張ってきた

こういうのに頼らなくてもいいくらいの文章力つけたいですマジで

358名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:23:54 ID:ijMzp3hI0
>>357
そっか、なんかそれっぽく見えたから気になって

359名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:30:02 ID:BUDFfaqo0
じゃあこの流れのまま11本目行っちゃうか!
つい先刻出来たばっかのホヤホヤですが


  .,、
 (i,)
  |_|

360名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:31:26 ID:BUDFfaqo0


川゚ -゚)の初恋のようです

.

361名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:32:21 ID:BUDFfaqo0
川゚ -゚)「……」

始まりは、とても昔だった。もう朧げにしか覚えてはいない
この村も、昔はもっと活気があって、子供の頃の私も、たくさんの子供たちと遊んでいた。
当時は鳩の鳴き真似をするのが流行っていて、ぽぽぽ、ぽぽぽと皆で言い合い笑い合っていたものだ。

川゚ -゚)「ぽぽぽ…」

しかしいつの頃からだろうか、子供たちは皆遊んでくれなくなり、私は遊び場であった空き地に一人、いつまでも待ち続けるようになった。
誰も遊んでくれない、誰も振り向いてくれない。
必死で続けた鳩の鳴き真似も、いつしか廃り、村も徐々に人が減っていった。

川゚ -゚)「ぽ…」

いつまでも待ち続けているうちに、空き地は農地になって、私はそのあぜ道にポツンと佇み続けた。
いつまでも待ち続けているうちに、農地は立派な家になって、私はその生垣の脇にポツンと佇み続けた。
いつまでも待ち続けているうちに、立派な家には車のついた不思議な鉄の塊がやってきて、私はそれを来る日も来る日も見送った。
いつまでも待ち続けているうちに、その不思議な鉄の塊――人々が口にする言葉から、それの名前は「じどうしゃ」だと分かった――に乗る人の中に、昔の、一緒に鳩の鳴き真似をしていた子供達に似た子がやってきた。

川゚ -゚)「ぽぽ」

遊ぼう。そう思って子供に近づいても、その子は気味悪がって逃げてしまった。

川゚ -゚)「……ぽぽ」

自分の姿を見た。ぼろぼろのもんぺ姿だった。
これでは怖がってしまうことも頷けた。私はそう思って、見よう見まねで綺麗な女の人の服装を着繕ってみた。
白い帽子と、白いワンピース。しかし似合わない。
それもそうだ、これを着ているのは大人の女性だ。背の小さかった私には、到底似合わなかった。

川゚ -゚)「ぽ…」

となりの立派な家から、声が聞こえる。
『モテる女性の秘訣は、背を高く、スレンダーに見せること』
後から知ったことだが、その声の主は「てれび」というものだったらしい。

川゚ -゚)「ぽー…」

背が高くて…「すれんだー」の意味はわからなかった。
取り敢えず、背が高くなりたくて、私は背伸びを続けた。毎日、毎日。
そうしたらいつの間にか、見上げるほどだった生垣が、向こうを見渡せるようになった。
立派な家の庭も見わたせた。
背が高くなって、見えるものが変わった。私は嬉しくなって、村を歩き始めた。
いつの間にか、地面は黒々とした一枚の石でどこまでも伸びており、「じどうしゃ」が時折そこを往来していた。
村の多くは農地となって、田園地帯が広がっていた。

川゚ -゚)「ぽ」

これはこれでいいものだ。私は慣れ親しんだ鳩の物真似を「ぽぽぽ」と口づさみ、村を練り歩いた。毎日、毎日。

362名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:34:38 ID:BUDFfaqo0
川゚ -゚)「ぽぽぽ」

時折、子供に出会った。
遊ぼう。そう思って近づこうとしたが、子供は変な顔をしてどこかへ行ってしまった。
しかし、嫌がられていた様子ではなかった。私は嬉しくなって、あまり見ない子供を見かけるたびに、遊ぼうと近づいた。
しかし、その度に子供はどこかへ行ってしまった。それどころか、子供たちは大人に囲まれどこかへ行ってしまうこともあった。
そんなことが続く内、街のはずれに不思議なお地蔵様が置かれた。はじめは気にも留めなかったが、どうもあのお地蔵様には近づけないようだった。

川゚ -゚)「ぽー…」

外に出てみたい気持ちもあったが、お地蔵様にはどうしても近づけず、仕方がないといつもの生垣の脇に佇んでいた。
それから秋が終わり、冬を過ぎ、春が来て、一層強い日差しが照りつけるようになった頃。また不思議な、車が二つだけついた乗り物に跨った人がやってきた。

( ^ω^)

川゚ -゚)「ぽ…」

私はその姿をぼんやりと追いかけた。
その人は数日後に、また同じ道を通って行った。
そして日差しが弱まり、その年の初雪が舞い始めた翌日に、また彼は来た。
二輪の乗り物にまたがって、鼻歌を歌いながら。

( ^ω^)「〜♪」

川゚ -゚)「ぽ…」

そして数日後に、また帰っていった。
私はそれからというもの、彼が来る日を毎日、毎日待ち続けた。
何故かはよくわからなかった、けど彼に会いたかった。

363名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:35:50 ID:BUDFfaqo0
それから何度目かの春。
彼はまた私の前を通りすぎていった。次に会うのは数日後…。
しかし、次の日に、彼は私の前に現れた。

(*^ω^)「いい天気だおー…」

となりの立派な家の縁側で、彼が寝ていた。

川゚ -゚)「…!ぽ、ぽぽ、ぽぽぽぽ」

思わず慌ててしまった。今までいなかったのに、なぜこの家に?

( ^ω^)「おっ?」

川゚ -゚)「ぽぽ、ぽ…ぽ?」

彼がこちらを見た。生垣から覗く私を
慌てて帽子を押さえて顔を隠し、その場から退散してしまった。
しかし、私の姿を見れたのは子供たちだけのようだったのに、なぜ彼は見れたのだろう。
彼は見かけでは15、6歳くらいだったはずだ。これまでそんな事はなかった。

しばらくして、立派な家の中が少し騒々しくなった。
どうやら、以前からここは彼の家だったらしい。今まで全く気付かなかったのは、おそらくここから見えるこの家などほんの一部分だけに過ぎなかったからだろう。
ただでさえ彼がここに居る時間は少ないのだから、今まで気づかなかったのも至極当然と言えた。
さて、家の中は騒々しい、いつもの場所に私は戻り、ひょいと覗いてみる。

(;ФωФ)「生垣から頭が出るほどの女…間違いのう、八尺様じゃ…ワシはモナーさんを呼んどくるから、ばあさんはブーンの事を頼む」

lw;´‐ _‐ノv「まさかブーンが魅入られるとは思わなんだね…」

家の主であるお爺さんとお婆さんが何やら話をしていた。かと思えば、お爺さんは「じどうしゃ」に乗ってどこかへ
お婆さんも家の中へ消えてしまった。

364名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:37:37 ID:BUDFfaqo0
川゚ -゚)「ぽぽ…ぽっぽ」

気になった私は、家の周りをウロウロと回る。さすがに入る自信はない
しかし中は見えない、そうこうしているうちにお爺さんは戻ってきて、日も暮れてしまった。

川゚ -゚)「ぽ…」キョロキョロ

周囲を見渡す、人の姿はない、家の中からは、"彼"の気配がする。どうも、とてもとても怖がっているようなのが感じ取れた。
そんな彼の状態にいてもたっても居られなくなり、私は思い切って立派な屋敷へ足を踏み入れた。

川゚ -゚)「ぽ…ぽぽぽ…」

彼のいる部屋を探す、どうやら二階のようだ。「てれび」の声が聞こえた。彼はまだ怖がっているようだった。

川゚ -゚)「ぽ、ぽぽぽ、ぽぽぽぽ」コン、コン

精一杯背伸びをして、窓を叩く。
ヒッ、という彼の悲鳴が聞こえた。

川゚ -゚)「ぽぽ、ぽぽぽぽ」コンコン、コンコン

大丈夫だよ、私がいるよ。と再び窓を叩く

「助けてくれお…助けて…」

川゚ -゚)「ぽ、ぽぽぽ」

ここだよ、大丈夫。何も怖くないよ。と必死で伝えるが、彼は「てれび」の声に混じって「助けて」と呟くばかり
しかしその呟きもいつしか消え、彼の寝息がかすかに聞こえ始めた。

川゚ -゚)「ぽ…」

よかった。と胸を撫で下ろし、私はそこを後にする。うっすらと夜が明けていたが、私がずっと佇んでいたどの時間よりも、その時間は濃密で、長いものに感じられた。
夜が完全に明けたころ、彼が玄関先に現れた。

365名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:39:12 ID:BUDFfaqo0
( ´ω`)

やつれた様子の彼は、うつむき加減にお爺さんについて歩いていた

(;ФωФ)「モナーさん、頼むのである」

( ´∀`)「わーっちょるモナ…ブーンくん、車に乗ってるあいだは絶対に目を開けるなモナ」

( ´ω`)「はいですお…」

川゚ -゚)「ぽぽ…」

彼の名前はブーンというらしい
ブーンはうつむき加減のまま、お爺さんとモナーさんに連れられて「じどうしゃ」に乗り込む。
私が追いかけようとすると、「じどうしゃ」はあっという間に走り去っていく

川;゚ -゚)「ぽ、ぽぽぽ!」

待って、どこへ行くの。私は「じどうしゃ」を追いかけた。
このまま彼を見失ったら、もう会えないかもしれない。漠然とそう思っていた。
必死に車に追いついて、中を覗く。ブーンは真ん中にいるようだったが、周囲を他の人たちで囲われていてよく見えない

川゚ -゚)「ぽぽ、ぽぽぽ」

顔を上げて、私を見て。そう伝えようと「じどうしゃ」を揺らすけれど、彼は顔を上げない。
そうこうしているうちに、車は村はずれのお地蔵様のところまでやってきて

川゚ -゚)「ぽ…」

私はそれ以上行けなくて、「じどうしゃ」は彼を乗せて走り去ってしまった。

366名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:40:06 ID:BUDFfaqo0
それからというもの、もうブーンが来ることはなくなった。
しかし、どうしても会いたい。会って、話がしたい。
お地蔵様には悪いけれど、私は行くことに決めた。

川゚ -゚)「ぽぽぽ…」

慣れ親しんだ鳩の鳴き真似をしながら、彼の街へと軽い足取りで歩みをすすめる。
お地蔵様、帰ってきたらちゃんと綺麗に元通りにしてあげますから、今は、ごめんなさい。

367名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:43:10 ID:BUDFfaqo0
以上。オカルト板の伝説的怪談「八尺様」を元にしたちょっとほんわかなストーリー。
でもそこは八尺様、そこはかとない気味悪さをちょっとブレンド。
最後の"お地蔵様を壊した"と取れる描写からは彼女が一種のヤンデレに近い状況にあることが伺えます。

  (
   )
  i  フッ
  |_|

368名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:45:27 ID:YZ6D633c0
おつ
純愛にみせかけてブーン目線だとめっちゃこわいぞこれ

369名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:52:51 ID:ijMzp3hI0
本編だとじっちゃんの声を真似て部屋の外に誘き出そうとするよね
ブーンを安心させるためにじっちゃんの声真似をしたとかあっても良かったかも

乙乙

370名も無きAAのようです:2013/08/10(土) 23:55:28 ID:MpiqjW.k0
こんなに可愛い八尺様だったら大歓迎なのになぁ

371名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 00:03:06 ID:SCbVaW820
>>369
川゚ -゚)のセリフを「ぽ」以外を出したらなんか気味悪さが半減しちゃったんで、最初はそこも書いてたんだけどカットしちゃったんだよな〜、ちょっともったいなかったか

372名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 00:12:28 ID:TRIFJEEs0
>>371
なるほど確かにそうかもな

373名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 00:38:07 ID:vnffkKXE0
少し解釈変えるだけでほんわかになるとは

374名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:19:44 ID:NE1qcFrg0
ちょっと質問なんだが、
閲覧注意が必要な作品はここに投下していいんだっけ?
状況を想像したらやばいってホラーだったら大体全部に言えてしまうんだけど、
自分で書いてて何度か賢者タイムに陥るようなやつなんだが

375  ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:24:55 ID:d3t9MV8U0
12本目をいただきます。

  .,、
 (i,)
  |_|

376( ^ω^)カウントダウンのようです 1/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:27:53 ID:d3t9MV8U0
海沿いの小さな町で彼は産まれた。
そのまま成長し、小学生となった。




月曜日。

彼は異変に気付いた。

川д川

ベットから起き上がると、目の前に女の人がいた。

Σ(;^ω^)「うおお!?」

叫んでしばらく動けなかった。

しかしその女性はただベットの上に座っているだけだった。
特に何をする様子もない。
それどころか、今は自分の体の上にいるのにまったく重さを感じなかった。

恐る恐る女性の足元を見る。

本来足がある場所に何もなかった。
腰から上の部分しかないのである。

つまりこの女性は、いわゆる幽霊と言うものなのだろうか。

377( ^ω^)カウントダウンのようです 2/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:28:56 ID:d3t9MV8U0
J( 'ー`)し「おはよう、ブーン」

( ^ω^)「おはようだお、かーちゃ……ん?」

ふと耳に何か聞こえてくる。

振り向くと、女性が母を指さして何かを呟いていた。

J( 'ー`)し「ブーン? どうしたの?」

(;^ω^)「ああ、いや」

どうやら母にはこの女性の姿は見えていないらしい。

そのとき、女性の発する言葉の一部がはっきりと聞えた。

「……3……………」

その後、今にも消え入りそうな、掠れきった笑い声。

(;^ω^)「えっ」

ブーンは思わず声を出した。

378( ^ω^)カウントダウンのようです 3/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:29:57 ID:d3t9MV8U0
3とは、いったいどういう意味なのだ。
幽霊を見ても、にやにや笑うだけ。
目元はそもそも隠れていてよくわからない。

母親が不審そうに見つめてくる。

J( 'ー`)し「どうしたのブーン、3って?」

(;^ω^)「い、いや、何でもないお!」

J( 'ー`)し「まだ寝ぼけているのかしら」

(;^ω^)「本当に、なんでもない、お」

寝ぼけているならまだいい。
この不気味な半身の幽霊が本当に見えているならば、自分はおかしくなったに違いない。
いっそのことまだ寝ぼけていて、これが幻覚だとわかってくれればよかった。

J( 'ー`)し「はやくご飯食べなさい」

朝の会話はそれきりだった。

379( ^ω^)カウントダウンのようです 3/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:31:05 ID:d3t9MV8U0
小学校に行く途中でも何人か人を見かけた。
会社へと向かうサラリーマン、散歩に向かうおじいちゃん。

腰から上だけの女性は、時折その人々に指を指してぼそぼそと呟いた。
いつも数字のところだけやたらとはっきり聞える。

しかもその大半は、3に満たない数だった。

結局この幽霊は消えなかった。
頭がすっきりしてからも見える。どうやら幻覚ではないらしい。
それにしても、この幽霊を見ると不安になる。

何か良くないことの兆しなのだろうか。
ブーンはただならぬものを感じ、なるべく幽霊を見ないように勤めた。
しかし見ていなくても、かすれるような数字の宣告は聞えてくる。

常に耳をふさぐわけにもいかない。
無視をきめこむしかなかった。

学校につき、クラスに入る。
教室の一番うしろの自分の席へ赴く。

380( ^ω^)カウントダウンのようです 5/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:31:58 ID:d3t9MV8U0
ξ゚⊿゚)ξ「おはよう、ブーン」

隣席のツンが声をかけてきた。
幽霊はまた指を指して、「3」と告げる。

(;^ω^)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの、元気ないわね」

こういう話を聞いたことがある。お話の中でだが。
人の頭の上に数字が浮かぶ、そしてその数字は、その人が死ぬまでの日数を表しているとか。

今の状況に似ているとブーンは思った。
数字は幽霊から告げられるが、ひょっとしたらそれは死の宣告なのかもしれない。

この幽霊は死神か何かで、他の人の死を予言している。
その不吉な身なりから、ブーンはそんな想像までしていた。

(;^ω^)「ツン……ツンは元気かお?」

ξ゚⊿゚)ξ「あたし? ええ、もちろん元気よ」

(;^ω^)「本当かお? 実は重い病気にかかっているとかないかお!?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ど、どうしたのブーン?」

381( ^ω^)カウントダウンのようです 6/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:32:58 ID:d3t9MV8U0
(;^ω^)「じ、実は……」

('A`)「おう、おはようブーン」

背後から声をかけられた。
振り返ると、彼の親友であるドクオがいた。

ブーンは言葉を返そうとした。

しかし、途端に止めてしまう。

('A`)「どうしたよ、そんな口をあんぐりと開けて」

(;^ω^)「あ、ああ……」

ドクオを見た瞬間、幽霊の言葉が聞えたのだ。

幽霊の告げた数字は、0だった。

その数字を告げてから、幽霊は狂ったように長く笑っていた。
まるでこの状況がとても愉快な状況であるかのように。

382( ^ω^)カウントダウンのようです 7/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:33:58 ID:d3t9MV8U0
担任の数字も3。
他のクラスの人になると、2とか1もちらほらいるようだ。
しかし今の状況だけでその数字の意味を知るのには限界があった。

結局まだ幽霊の話を打ち明けられないまま、ブーンはドクオと一緒に帰ることにした。

('A`)「ブーン、なんだか朝から変じゃないか?」

(;^ω^)「え、な、何が」

帰り道、ドクオは不意にブーンに質問した。

('A`)「いやだって、挙動不審というか」

(;^ω^)「べ、別に何も隠していないお!」

とはいいつつも、ブーンの目はドクオがいつ不幸に見舞われるのか心配でならなかった。

383( ^ω^)カウントダウンのようです 8/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:34:57 ID:d3t9MV8U0
ドクオは生来弱々しい体つきをしている。
もし今ここで急病で倒れたとしても納得できるくらいだ。

0という数字。
もう今日で命が絶たれるということなのだろうか。

しかしいくら虚弱体質だとしても、病気で一日で死ぬことはあり得るのだろうか。

('A`)「どうも気になるなあ……お、信号変わり目だぜ、急ごう」

ドクオはすぐに走り出してしまう。
ブーンは慌てて声をかけた。

なんだかドクオが遠く離れて行ってしまう、そんな悪寒が走った。

384( ^ω^)カウントダウンのようです 9/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:35:57 ID:d3t9MV8U0
ブーン声は、ドクオにはもう届いていなかった。
思わず伸ばした手が空を切る。

脇道から車が飛び出してきたのは、そのすぐ後だった。

( ^ω^)「あ、あ」

目の前の情景がスローモーションのように進行していく。

宙を飛んでいく親友を見て、声を失った。




火曜日。

385( ^ω^)カウントダウンのようです 10/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:36:58 ID:d3t9MV8U0
ドクオは入院した。
幸いまだ生きている、ただかなり危険な状態らしい。
担任もかなり狼狽している様子で、話している最中も目に涙を浮かべていた。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、大変なことになっちゃったね」

( ^ω^)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン?」

( ^ω^)「ツン、後で話したいことがあるお」

ブーンはツンの方を向き、小声で告げた。
幽霊はツンを指さして、嬉々として「2」と言った。

386( ^ω^)カウントダウンのようです 11/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:37:58 ID:d3t9MV8U0
放課後、二人は近所の公園のベンチに座った。

ξ゚⊿゚)ξ「幽霊が数字を伝えてくる?」

( ^ω^)「そうなんだお。例えば今のツンや、他のクラスの友達は2」

( ^ω^)「昨日は3だったお。今日になって、みんな一日分進行しているんだお」

(  ω )「……そして昨日、ドクオの数字は0だったんだお」

ブーンは控え目に最後の言葉を付け足した。

(  ω )「もしかしたら、これはみんなの寿命なのかもしれない、そう思うんだお」

( ;ω;)「ひょっとしたらこれからあと2日で何か大災害が起きてみんな死んじゃうのかも」

387( ^ω^)カウントダウンのようです 12/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:38:58 ID:d3t9MV8U0
すると、それまで多少動揺していたツンが、首を横に振った。

ξ-⊿-)ξ「それはありえないわ、ブーン」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、もしそれが寿命なら、ドクオは昨日の時点で死んでなきゃならないでしょ」

( ;ω;)「あ……」

ξ゚ー゚)ξ「でもドクオはまだ生きている。そうでしょ」

( ;ω;)「た、確かに……」

ξ゚ー゚)ξ「きっとその数字、何か別の意図があるのよ」

ツンはそういうと、ブーンに微笑んでくれた。

388名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:39:55 ID:68AY/e1M0
信じて慰めてくれるツン優しいなぁ…

支援

389( ^ω^)カウントダウンのようです 13/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:39:58 ID:d3t9MV8U0
その日、ブーンは昨日よりもだいぶ軽い気持ちで帰宅することができた。
ドクオの死を意識して怯えていた感情も薄れたし
ツンが笑いかけてくれたことも嬉しかった。

なんで嬉しいのかはまだよくわからなかったが。

J( 'ー`)し「ブーン、ご飯よー」

( ^ω^)「はいだおー」

居間にいくと、母親の手料理が並べられている。
ブーンは母親の手料理が大好きだった。

父親は単身赴任。実質母親とブーンは二人で暮らしていた。
母親にとって、ブーンはきっとかけがえのない存在だろう。
ブーンにとってもそれは同じことだった。

だからこそ、今朝幽霊が母親を指して2と告げたとき気が滅入った。
でもこの数字が寿命を表しているわけではない、ブーンはそう自分に言い聞かせた。

落ち込んでいるばかりではいられない。
母親はまだ生きている。ドクオも、ツンも、生きている。
数字に怯えているばかりでは何もできなくなってしまう。



水曜日。

390( ^ω^)カウントダウンのようです 14/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:40:59 ID:d3t9MV8U0
恐怖を克服するため、幽霊の正体を探ろうとしたが、どうしようもないとすぐにわかった。
情報が少なすぎた。結局は何かが起こるまで何もできない。

すでに0の人も何人か見かけていた。
幽霊はその数字を告げるたびに、狂気の笑い声をあげる。
掠れているのに嫌に耳に残る、不気味な笑い声だ。

この数字はカウントなのだろう。
今のところ、一日たって一ずつ減る人しか見かけていない。
途中で一気に数が減ったり、あるいは急に増えたりすることもなかった。

数字はどんどん減っていく。
0を過ぎるとカウントがどうなるのかは今のところわからない。
でも誰かが亡くなったという話も聞かないし、やはり寿命ではないらしい。




木曜日。

391( ^ω^)カウントダウンのようです 15/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:42:00 ID:d3t9MV8U0
幽霊が告げる数字は全て0になっていた。
担任だろうと、クラスメイトだろうと、ツンだろうと。

しかし、気にするのにももう疲れてきた頃だった。
結局0以降何が起こるかはわからない。
しかしもちろん今この場で大災害が起こるような兆候は無い。

明日になれば何が起こるかわかるんだ。
ブーンはそう思うと、むしろ怖いというよりわくわくした気持ちになった。

きっともうすぐ数字の謎が判明する。
そのときに理解できればいい。

相変わらず幽霊は不気味だが、もう数字に対する恐怖心は薄れつつあった。

392( ^ω^)カウントダウンのようです 16/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:42:58 ID:d3t9MV8U0
帰りのHRで、先生はドクオの意識が回復したことを告げた。
手術は奇跡的にも上手くいったのである。

宙を舞うほどの衝撃を受けて無事でいるというのはめったにないことだろう。
小学生ゆえに体力があり、ひと月もすれば退院できるらしい。
ブーンとツンはお互いに顔を見合わせて、ひっそりと喜びをわかちあった。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、よかったわね」

( ^ω^)「まったくだお。数字なんて、なんでもなかったんだお」

ブーンは心が満たされる思いを感じた。
恐怖を完全に無視できていることからくる安心感だ。

ξ゚ー゚)ξ「うん……ほんと、良かった」

ツンが小さい声で言う。心底ほっとしたとでも言うように。
なぜだかその声はブーンの耳によく残った。

海の傍の帰り道。
潮風が心地よく吹いている。
周りにはほかに誰もいない。ただ静かに波の音が聞えているだけ。
夕焼けが二人を赤く照らしていた。

393( ^ω^)カウントダウンのようです 17/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:43:57 ID:d3t9MV8U0
ξ゚⊿゚)ξ「あたしね、ブーンから数字の話聞いた時、ちょっと怖かった」

ξ゚⊿゚)ξ「もしかしたら本当に寿命なのかなって」

ツンの前を歩いていたブーンは、立ち止まって振り返った。
ツンも立ち止まった。
彼女は悲しそうな顔をしていた。

ξ゚⊿゚)ξ「もしかしたらあたしたちばらばらになっちゃうのかなって、そう思うと怖くて、あの時咄嗟に反論しちゃった」

そう言って、ツンは顔を俯かせた。もう表情はわからない。

三人はいつでも一緒だった。
ブーンとツン、そしてドクオ。
小学校に上がった時から、友達となり、よく三人で一緒に遊んだ。

たまたま気があったともいえる。
小学生の、特に低学年のころの付き合いなんて、いつの間にか友達になる、そんなものだ。

394( ^ω^)カウントダウンのようです 18/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:45:01 ID:d3t9MV8U0
でも今はみんな高学年となり、年齢も二桁となり、考えも落ち着いてきていた。
そろそろ交友関係でも仲間の選別が始まるころだ。
低学年の頃のような、遊んでいたら友達になったとか、そういうことはもう無くなってきていた。

みんなが成長していく、その中でいまだに親交が続いている。
小さな喧嘩くらいはあった。それでも不和が抑えきれなくなることはなかった。
多少の諍いがあってもお互いの気持ちを推して測り、元の関係に戻ることができた。

そんな友達と出会えたことは、ブーンにとっても幸運だった。
それはブーンも感じていることだった。

そしてツンの口ぶりからみると、ツンも同じことを感じていたに違いない。
この三人でずっと仲良くしていたい。
ささやかながら、それがとっても難しいことであると、薄々感じてきていたのだ。

ツンが微かに肩を震わせているのを見て、ブーンは思った。
自分の発言が図らずも彼女をおびやかしていたのだと。
そう思うと急に申し訳ないことをした気持ちになった。

ツンを元気づけなきゃならない。
そう感じて、ブーンは思い切り胸を叩いた。

395( ^ω^)カウントダウンのようです 19/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:45:58 ID:d3t9MV8U0
( ^ω^)「でも結果的にはそれが正しかったんだお」

( ^ω^)「ツンがああいってくれなかったら、僕はきっと今でもうじうじと悩み続けていたお」

( ^ω^)「ツンのおかげで僕は数字に怯えずにいられるんだお、ありがとうだお、ツン」

そういうと、ツンはなんだかはっとしたように顔を向けた。
目が陽光にきらめいて、涙の跡が見えた。
泣いていたのだろうか。

それからすぐに俯いてしまった。
涙の後を見られるのが恥ずかしかったのだろうか。

ξ//⊿//)ξ「な、何を気恥ずかしいこといってんの! 当然でしょ、友達なんだから!」

(;^ω^)「お? どうしたんだお?」

何やらツンが急に大きな声を出してきた。
ブーンは慌ててしまう。
自分は何か悪いことでもしてしまったのだろうか。

ξ//⊿//)ξ「あ、あたしこっちの道だから、もう行くね! また明日ね!」

396( ^ω^)カウントダウンのようです 20/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:46:59 ID:d3t9MV8U0
すたすたと脇道へと去っていってしまうツン。
その様子を見送りながら、ブーンは首を傾げていた。

ツンは怒ったのだろうか。
傍から見ればそうとも見えただろうが、なんとなくブーンは違うと思った。なんとなく。

ブーンの周りには誰もいない。
そろそろ日も暮れる。
空もだんだんと深い青に染まって来ていた。

ブーンは妙にうれしくなった。

結局数字のことはわからなかった。
でも今はそんなことどうでもいい。
わけのわからないものに怯えていてもしかたない。

397( ^ω^)カウントダウンのようです 21/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:47:58 ID:d3t9MV8U0
ドクオは生きている。
また前のように元気で会うことができるんだ。

もしまた元気で会えたらうちに呼んであげよう。
かーちゃんがきっと奮発して御馳走つくってくれるだろう。
そんなことを思い、ブーンは心が躍った。

また三人で一緒に遊びたい。
これからどんな困難があっても三人とは一緒にありたい。
そればかり、ぼんやりと考えていた。






物思いに耽りすぎていた。

道の脇から、突然人の手が伸びてきても
ブーンはすぐには反応できなかった。

398名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:48:43 ID:pkrurHRs0
会える回数か?

399( ^ω^)カウントダウンのようです 22/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:48:58 ID:d3t9MV8U0
どこかの暗い部屋。
微妙に揺れている。

ブーンは薄目を開けた。

大人が二人いて、何かの画面を見ている。
何かを操作をしているところだろうか。

脇を見ると、いまだに幽霊が浮遊していた。
腰から上だけの身体で、何が嬉しいのかにやにやしながら浮遊している。

いったいこの幽霊はいつまでついてくるというのだろう。

ふと、前で操作をしている大人の一人が振り返った。
風貌から、異国の人間であることが見て取れる。

ブーンは薄目でその顔を見ていた。

男はブーンを凝視していた。
起きていることがばれているのか、あるいは疑っているだけか。
そしてその様子から、横の幽霊はやはり見えていないということがわかった。

そのとき、幽霊は徐に男を指さした。
そうか、またいつものように数字を告げるのか。

400( ^ω^)カウントダウンのようです 22/23 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:51:05 ID:d3t9MV8U0
しかしそのときになって、ようやくブーンは幽霊の言っている言葉がしっかりと聞き取れた。
今までノイズに満ちていた部分が明らかとなる。

「あと」

「3652」

「にち」

「あえる」

「……ケヒヒ」




ブーンはその言葉を聞き、悟った。
この数字の本当の意味を。

そしてもう、決して元の生活には戻れないということも。




〜〜おわり〜〜

401名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:52:37 ID:pkrurHRs0
なんかごめん、乙

402 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/11(日) 01:52:41 ID:d3t9MV8U0
  (
   )
  i  フッ
  |_|


>>398当たり。ちくしょう。
びっくりして23にし忘れました。

403名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:54:01 ID:68AY/e1M0
よくわかったな、乙
何が怖いってこのまま3652日会い続けなきゃいけないんだな
10年ちょい…

404名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:55:05 ID:oipAYXt60
これって、多分10年後には死ぬんだろうな、ブーン

405名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 01:55:48 ID:7Ps6XQzM0

死なないにしてももとの生活には絶対に戻れないんだな

406名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:04:53 ID:CWQ5Gdm60
おつ
なるほど。二回読んで理解した

407名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:37:19 ID:NE1qcFrg0
13本目いきます


  .,、
 (i,)
  |_|


( ^ω^)少年、のようです

408名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:38:02 ID:NE1qcFrg0

真夏の昼間、炎天下の元墓参りするなど馬鹿馬鹿しい。
夕方になってからでも死ぬわけでない。幽霊なんて信じる歳でもない。
内藤はそう心で呟きながら、墓に水をかけた。

八月ともなれば六時になっても外は明るい。
が、墓場に人の姿はない。花だけが供えられた墓が並んでいるだけだ。
目の前の墓に花と小さいお菓子を供える。蝋燭に火をつけて、線香を燃やす。

( -ω-)(カーチャン、僕は元気でやってるお)

目を伏せ、手を合わせて母に向けて語りかける。
内藤家の墓に母しかいないわけではないが、一番心に残っているのは母だ。
父は自分が生まれる前に仕事先で死んでしまったそうだ。生まれついてから内藤は母と二人で生きてきた。
十年前にその母は交通事故で死んでしまって、その保険金と賠償金で高校を卒業できた。
今はなんとか就職して一人で生きていく分には困らない生活をしている。

( ^ω^)「……帰るかお」

二、三分程お祈りをして、内藤は立ち上がった。
右手の手桶にマッチや菓子の入ったレジ袋を入れて踵を返す。

( <●><●>)

( ^ω^)

409名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:38:44 ID:NE1qcFrg0

真後ろに無言で佇んでいる少年がいて、内藤は思わず固まった。
このご時世に珍しく藍色の甚平を着た、おそらく十歳くらいの少年が内藤を見つめている。
白い肌に細い体躯、大きな黒目がじっと内藤を見つめている。

( <●><●>)「あの」

( ^ω^)「お、なんだお?」

声変わりする前の少年独特の高い声が耳をついた。
内藤を見上げる姿勢の少年の目線に合わせて屈む。

( <●><●>)「弟を、見ませんでしたか。
       私より少し小さい、水浅葱の甚平を着ている子です」

( ^ω^)「おー……ごめんだお、見てないお」

( <●><●>)「そう、ですか」

内藤が申し訳なさそうに顔を歪めて謝ると、少年はあからさまに肩を落とした。
泣くのを堪えるようにその小さな拳に力がこめられる。
よく見れば少年の頬が赤い。息も少し荒いようだ。

( ^ω^)「もしかして、ずっと探してるのかお?」

( <●><●>)「見つからないのです、探さないと」

(;^ω^)「ちょ、倒れちゃうお! おうちはどこだお?」

少年が口にした住所は徒歩だと三十分はかかる番地だった。
少年の足で考えればもっとかかるだろう。弟を探しているとなれば他の場所も歩いてきたのかもしれない。
今わかることは少年は熱中症になりかけている、ということだ。

今内藤の車はつかえない。汚してしまって乗れる状況ではない。
自分がおぶって家まで連れて行くにしても途中で気を失われたりすれば厄介だ。
だが目の前で少年を見捨てていけるほど内藤は鬼ではない。

( ^ω^)「一旦僕の家でお茶飲んで休憩するといいお」

410名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:39:32 ID:NE1qcFrg0

( <●><●>)「でも、神隠しかも」

( ^ω^)「え?」

真剣な表情の少年に対し内藤は間抜けな声を上げる。
神隠し。少年は確かにそう言った。
聞いたことがないわけではない。連続誘拐事件の別称のようなものだ。

この地域では夏に一人、子供が連れ去られている事件が十年ほど続いている。
誘拐された少年少女の安否は知れず骨も見つかっていないらしい。犯人の目星すらつけられていないんだとか。
注意喚起の紙が配られているそうだが、子供が聞かなければどうにもならないのだろう。
現に目の前にいる少年のように。

( <●><●>)「はやくみつけてあげないと、さらわれてしまいます」

( ^ω^)「おーそうかもしれないけど、」

手遅れの可能性のほうが高いのだけれど、とは言わないでおく。
健気に弟の身を案ずる少年に心が動いたというのもあるが、良心が咎めた。

( ^ω^)「だけどやっぱり君は休まないといけないお」

( <●><●>)「でも、」

( ^ω^)「弟君なら僕も一緒に探すお。君が倒れたら弟君も心配するお? 
      僕の家はすぐそこなんだお、ちょっとだけだお」

( <●><●>)「……」

少年自身限界が近いことはわかっているのだろう。
少し逡巡して、声を出さずに頷いた。内藤も満足げに頷いて少年の手を握った。
やけに冷たい手だった。

411名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:40:14 ID:NE1qcFrg0

内藤の家は一軒家である。
父方の祖父母が早に死んで、父が生きている頃に移り住んだという話だった。
一人暮らしで生涯を誓い合う相手もいない状況である今、身に余っていないと言えば嘘になる。

だが内藤はこの広い自分の城を気に入っていた。
周りの土地も内藤の所有財産であることから一番近い民家でも百メートル以上離れている。
車がつかえない今わずらわしいことが多いが、それも今だけの話だ。
誰にも邪魔されない空間を手放すつもりはなかった。

( <●><●>)「おじゃまします」

( ^ω^)「ちょっと座っててくれお、お茶持ってくるから」

冷房の電源を入れながら少年に座布団を勧める。
少年がそれに座ったのを確認してキッチンから麦茶とコップを運んだ。
透明なガラスに薄茶の液体が氷を軽く溶かしながら注がれる。

( ^ω^)「はい、どうぞ」

( <●><●>)「ありがとうございます」

少年は一息に飲んで、息を吐いた。
内藤も自分のコップに麦茶を注ぎ飲み干す。
軽い香ばしさが鼻を抜けて、少年と同じように息を吐く。

( ^ω^)「もう一杯、飲むかお?」

( <●><●>)「お願いします」

素直にコップを差し出した少年に軽く笑いかけながら注ぐ。
礼儀正しい少年であるが年相応に素直なのだろう。
冷房が効いてきた。涼しい風が肌を撫でて、救われたような心地だ。
これでシャワーでも浴びれたらいいのだけれど、できないことは内藤自身が知っている。

412名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:40:55 ID:NE1qcFrg0

ドンッ

不意に音がした。
何かを落としたような、またはぶつけたような音がした。
二人は音のしたほうに顔を向ける。廊下が続いているだけであった。

( <●><●>)「誰かいるのですか?」

( ^ω^)「お、ちょっと見てくるお」

音の出所には予想がついている。
内藤は少年を残して歩き出す。向かう先は浴室だった。
浴槽に湯は溜まっていない。ただ、確実に音の出所はそこだった。

(。><)

水浅葱の甚平を着た少年が、浴槽に横たわっていた。
猿轡を噛まされ、背に回された手と折り曲げられた足は麻縄で拘束されている。
懸命に涙を堪え、それでも零れ落ちた雫が頬を濡らしていた。
先程の音は少年が唯一拘束されていない頭を浴槽に打ち付けたものであると内藤は判断した。
必死に助けを求める姿はなんといじらしいのだろう。首元の赤い歯型から誘うように血液が浮き出ている。

そこを指で拭うと少年は痛みに眉を顰める。
指先に付いた赤い液体を舐め取り、恍惚としながら内藤は目を細めた。

( ^ω^)「……静かにしてなきゃ、ダメだお?」

413名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:41:37 ID:NE1qcFrg0

人差し指を少年の口元に当てる。猿轡を挟んだ少年の呼気は震えていた。
見開かれたから雫が落ちる。恐怖、不安、諦観、僅かな希望、怒り。
複雑な感情が見て取れるその眼に内藤は目を細める。抑えきれない笑みが浮かぶ。

なんて愛らしいのだろう。食べてしまいたいほど、愛おしい。
この子を兄は探しているのだ。そして今自分の家にいる。探している対象がいるなんて思いもしないままに!
そして自分は知らないふりをして少年を返すのだ。見つからなかったね、残念だねと言って返すのだ。
そして今目の前にいる少年に兄は君を見つけてくれなかったね、残念だったねと言って笑うのだ。

それから文字通り少年は僕になる。髪の一本から足先の爪まですべて残さず僕の血肉に変わってもらう。
少年は僕を作り出し、もしかしたら兄だった少年に会う時がくるかもしれない。
少年は気づかないまま、弟を探し続けるのだ。目の前に弟の変わり果てた姿があるというのに!

なんて悲しい運命なのだろう。辛いだろう、哀れだと思う気持ちがないわけではない。
それを自分が創り出したと考えるだけで、内藤は酷く興奮した。全身に鳥肌がたつほどの背徳感が身を焦がす。
少年を連れてきたのは正解だった。出会ったのは偶然だったが今では神の導きとしか考えられない。

414名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:42:19 ID:NE1qcFrg0

内藤はカニバリズム嗜好の持ち主であった。
兆候は幼少期から端を覗かせていた。始まりは血液に興奮したことからだった。
自身の指から流れ出る紅い鮮血を舐めた瞬間、これほどの甘美なものが自身を作り上げていることに感動した。
それから定期的に自身を傷つけては流れ出る血液を貪るようになった。
そして、徐々に興味は広がっていった。

他者の血液の味が気になった。
輸血パックから得る血液は物足りなかった。自身とさして変わらぬということしかわからなかった。
どうしても、生きた身体から欲しかった。

その矢先、母が死んだ。
失血死だった母の顔は酷く青白かった。母は、命の源である血液を失ったから死んだのだった。
内藤の血液に対する執着は増していった。

最初は偶然だった。迷子が家の前で泣いていたから招き入れただけのことだった。
親元に帰す気持ちで招き入れた。そこに一つとして嘘はない。
ただ内藤の耳元で悪魔が囁いただけのことだ。

今この子の血液を貪ったとして、知る者は誰一人としていない、と。
こんな機会二度とない、帰してしまっていいのか、と。

内藤はあっさり自身の悪魔に負けた。
泣き叫ぶ子の首筋に歯をたてた。犬歯が食い込むように、無理に柔肌を食い破った。
それから丹念に舌を這わせ、時にえぐって貪った。一滴もこの聖なる液体を零したくなかった。
子はあまりの恐怖に気絶していた。その眼から流れる涙も舐め取った。
塩辛いはずのそれは甘くて、何故か内藤も涙を流していた。
そして、気付いた。自身が望んでいる血液は身体からできている。



ならばその身体を食せばすべて自分のものになるのではないか?



祝福の鐘の音が聞こえたようだった。
内藤は自身の閃きが素晴らしいものであると感じていた。
倫理的にも法律としても許されないものであるとわかっていた。それでもこの欲は抑えられなかった。
しかし理性を捨てきることはできなかった。
だから一年に一人、夏に攫って一年をかけてゆっくりと消費していくことを自身の掟とした。

夏であることに理由はない。ただ初めて他者の血を得たのが夏だっただけのことだ。
攫うのは子供がいい。弱く庇護されるべき存在でありながらも精力に満ちているような子供がいい。
柔らかい身体も心惹かれるじゃないか。痛みに恐怖に苦痛に顔を歪める様のなんと愛おしいことか。

内藤は自身の歪みを自覚していた。
何故歪んだかは考えなかった。生来のものであるとしか思えなかった。
自身を突き動かす衝動が本能的なものであるとしか、わからなかった。

415名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:43:05 ID:NE1qcFrg0

だから内藤は子供を攫い、食した。
年単位の消費のためまずは末端から切り離していった。
指を一本ずつ、止血しながら叩き切った。悲鳴が内藤の頭の中で呼応して、頬が吊り上った。
爪と骨は固かったから煮て出汁とした。薄赤に染まったスープはそれだけで内藤の心を満たした。
骨から削いだ肉は量が少なかったからスープに投げ込んだ。やはり、美味しかった。

指がすべてなくなった。次はどうするかを内藤は考えねばならなかった。
重要なのは血液であることから殺すのは限界まで待ちたかった。
まずは、右腕を塩漬けにした。これで長期的な保存食ができた。
左腕の肉は思いのほか柔らかかった。甘辛く炒めたそれはとても美味しくて子にも分け与えた。
自身の肉をそれとは知らずに食べる姿にまた酷く興奮した。内藤の陰茎は強く勃起していた。

内藤は自分の肉は美味しいだろう、と言った。
子は固まって、言葉を反芻した。理解した瞬間生理的嫌悪から吐き出した。
涙を流し嘔吐く姿を見ながら内藤は射精した。今までで一番気持ちのいい自慰行為だった。

次は両の二の腕だった。今度は左腕を塩漬けにし、右腕は素直にステーキにした。
柔らかい弾力と隠しきれない血生臭さがとても美味しくて、それが自分を作っていくと思うと涙が止まらなかった。
この時点で一か月が経過していた。子はあからさまに弱っていた。
食事を与えても胃が受け付けずに戻してしまっていた。
無理に食べさせていたが、それでも正常の四分の一も片づけることができなかった。
足に刺された点滴が命を永らえさせていた。

足に動脈が息づいていることは知っていた。
しかし頭への刺激はショック死を招きかねなかった。
内藤は麻酔を使い、耳と目を子から切り離した。

耳のほとんどが軟骨だった。唐揚げにして食感を楽しんだ。
目の美しい白色に根を張るような赤、真ん丸な黒の姿を損ないたくなかった。
透明なゼリーに浮べて一口で食した。弾けた瞬間、どろりとした臭みがたまらなかった。

子は視界を失ったことに安堵したようだった。
これ以上迫りくる恐怖を見ずに済むと思ったのかもしれない。現実は真逆であることをすぐに知ることになったけれども。
目からの情報がなくなったことにより少年の感度は強く上昇した。
ほんの少し肌に触れただけで驚くほど身体は跳ね上がった。
恐怖に震える姿が愛しくて、傷跡が消えることのない首元へ内藤は歯をたてた。
肉を食せない日は血を貪ることにしていた。
栄養の足りない子の身体は色白く細く変わっていたが、それでも血液は甘美なままだった。

416名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:43:51 ID:NE1qcFrg0

内藤はそろそろ限界を感じ取っていた。
子の命の灯が消えようとしていると、肌で感じていた。
永らえさせる行為もそろそろ無駄になるだろう。しかしまだ半年も経過していない。
腐らせるなど言語道断である。子のすべてを食すことで内藤は救われるのだ。

内藤は食しすぎたのだと察していた。初めてで加減がわからなかったというのもあるが、切り離しすぎたのだ。
最終的に食すことに意味があるのだ。内藤は初めは血液だけで我慢するべきであった。
後悔は先に立たない。選択肢は子の命を長らえさせるか、保存方法を探すかの二択であった。

選んだのは後者であった。
内藤は業務用の冷凍庫を購入した。
そして子の解体に取り掛かった。子は痛みに顔を歪めながら既に枯れた声を上げて命を落とした。
解放されると思ったのか死に顔には薄く笑みが浮かんでいた。内藤は慟哭しながらその首を切り落とした。
内臓も綺麗に分け、−30度で保存した。風味が落ちてしまうだろうが仕方なかった。
内藤はすべて食さなければならないのだから。

もも肉を使ったシチューを作った。
臓物は薄切りにして塩コショウで焼いた。
ふくらはぎの肉は鍋の具材にした。削いだ頬肉は蒸し焼きにした。
程よい弾力のある腹から胸にかけての部分は豪快に丸焼きにした。
脳は卵を混ぜ合わせて焼いた。
骨もしつこく茹で、叩き割った。完全に粉々になったものを茹でた鍋に戻し、飲み干した。

こうして内藤は最初の一人を食し終わった。
七月の終わりころ、子と出会って丁度十一か月と二十日の過ぎた日だった。

内藤は自身の保身を忘れることはなかった。
世間に知られたらマズイことであると理解していた。攫う際は必ず周囲を確認していた。
大体は最初と同じように迷子を保護するという大義名分を掲げていたが、どうしてもいない時は攫っていた。
車が使えない原因もこの少年を攫った際、あまりに久々の感触につい車内で血液を貪ってしまったことにあった。
少年が暴れて血液が飛び散ってしまったのだ。僅かとはいえ内藤の嗅覚を刺激する程度には残っている。
そんな車内で内藤はまともに運転できる自信はなかった。

417名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:44:42 ID:NE1qcFrg0

:(。><):

少年が震えて泣き出した。抑えきれない嗚咽が猿轡にくぐもって消えた。
その様に内藤は確かに興奮していた。生唾を飲み込み、乾いた唇を舌でなめる。
明らかな捕食者の目に少年は更に怯え、顔を歪ませる。

( ^ω^)「後でだお、今はダメなんだお」

内藤は自身に言い聞かせるようにして腰を上げる。
少年に背を向けて、浴室を後にした。

( ^ω^)「棚に置いてた洗剤が落ちた音だったお」

( <●><●>)「そうですか」

兄である少年は大人しく部屋で待っていた。
この子も食してしまえという声が聞こえる。それをゆるく遠ざけた。
自身に課した制約は守らねばならない。魅力的な誘いを断ち切った。

418名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:45:26 ID:NE1qcFrg0

( <●><●>)「左手」

( ^ω^)「お?」

( <●><●>)「かゆいんですか」

少年に言われて初めて、ずっと左手の甲を掻いていたと認識する。
掻きむしったそこは赤くなっていて、少し血が滲んでいた。
自覚した瞬間心臓が跳ねる。もったいない、血液がこぼれてしまう。
それでも右手がとまらない。痒くないのに、掻いてしまう。

(;^ω^)「あ、あれ?」

内藤はおかしいと感じ始めた。
冷や汗が止まらない。左手からは血が流れ出した。右手の爪に皮がこびりついている。
少年は首を傾げたまま内藤を見つめている。大きな黒目から目を離せない。

( <●><●>)「どうしたのですか?」

(;^ω^)「お、おかしいんだお、とまらない、」

419名も無きAAのようです:2013/08/11(日) 02:46:37 ID:NE1qcFrg0

ぐちゅ、ぐち、
左手から聞こえた耳慣れない音に内藤は目を見開いた。
何故こんな音がするのだ。この音はまるで、

( <●><●>)「眼球を潰したような音じゃあないか」

(;゚ω゚)「な、あ」

何故少年がそれを知っているんだ。
何故少年は愉快そうに笑っているんだ。
何故、何故、疑問符が内藤の脳を侵食する。
少年は意に介さない。その黒目で内藤を見守っている。

( <●><●>)「美味しかったのでしょう?」

( <●><●>)「食したのですから、部位が残っていてもおかしくないのでは?」

( <●><●>)「良かったですね、貴方は幸せ者ですよ」

内藤の首に細い手が回る。色白の、子供の腕だ。
少年は目の前にいるのに何故後ろから手が伸びてきたんだ。

内藤の足に細い手が回る。まだ健康だったころの、子供の手だ。
何故それは床から生えているんだ。

内藤を虚ろな一重の目が覗き込む。
何故お前がいるんだ、お前は、最初の、

( <●><●>)「それほどまで憑かれて、幸せですね」

(; ω )「あ"、あ"あ"あ」







「あ"ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


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