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( ^ω^)男は可愛く美しくのようです
11
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:58:24 ID:x6dLjpNwO
ξ゚⊿゚)ξ「これを話す前に、まず知っておいてほしいんだけど。私の父はテレビで活躍するような、一流の女装師だったの」
( ・∀・)「だったということは、もう引退されてるんですか」
ξ゚⊿゚)ξ「父は、私がまだ小さい頃に亡くなったわ」
(;・∀・)「あっ、その、すみません」
ξ-⊿-)ξ「気にしないで。……幼ながらに、ブラウン管越しに見る父の姿は、誰よりも美しかった」
ξ゚⊿゚)ξ「それに憧憬を覚えた私は、女装師になることを決意したの」
ξ゚⊿゚)ξ「だから私は、誰よりも、父よりも美しくなるためにこの学園の門を叩いた!」
川 ゚ -゚)「それで入学式の日に出会ったのが、この私というわけだ」
12
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:59:51 ID:x6dLjpNwO
川 ゚ -゚)「私とツンは入学式の席が隣りだったのだが、まあ例のごとく校長の話が長くてな」
( ・∀・)「確かに校長の話は、比喩じゃなくて本当に長いですもんね」
川 ゚ -゚)「それで暇つぶしに声をかけてみたら、俺に話しかけるなオーラ全開で対応されたよ」
ξ////)ξ「あう、今考えると恥かしいんだけど。当時の私は、自分が一番になることに固執するあまり、周りは敵だと思っていたのよね」
川 ゚ -゚)「その場は事なきを得たのだが、私達が次に再会したのは、新入生コンテスト前の化粧室だった」
ξ゚⊿゚)ξ「では、再現VTRどうぞ!」
.
13
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:01:06 ID:x6dLjpNwO
( ^ω^)「左側を先に描いて、右はそれに合わせてと」
('A`)「ふーん」
( ^ω^)「……なにを見てるんだお」
('A`)「べっつにー。ただこんなやつでも、多少は化粧の知識を持ってんだなと」
( ^ω^)「僕は誰よりも美しくなるつもりだお、ここにいる誰よりも。他の一年とは女装における覚悟が違う!」
('A`)「自分だけに特別な事情があるなんて思うなよ。ここに来るようなやつは、大抵なにかしらを背負っている」
( ^ω^)(あいつ、上手い! 年齢に合わせた、完璧なナチュラルメイクをマスターしている!)
川'A`)「私の名はドクオ、女装名は素直クール。コンテストでまた会おう」
ξ ^ω^)ξ「私はブーン、女装名はツンデレ。あなたとはいい勝負になりそうね」
.
14
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:02:34 ID:x6dLjpNwO
川 ゚ -゚)「という感じだったな」
( ・∀・)「ですよね! あれぐらいが入学時にできる限界ですよね!」
ξ゚⊿゚)ξ「もう、そこは気にしないの。それで直接ぶつかり会ったのが、コンテストでのことよ」
川 ゚ -゚)「再現VTRどうぞ!」
.
15
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:03:02 ID:uWacHRHc0
oh...
16
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:03:44 ID:x6dLjpNwO
ξ ^ω^)ξ「……アンタ、ここに来るようなやつには、なにかしら背負ってるものがあるっていったわよね」
川'A`)「ああ、いったな」
ξ ^ω^)ξ「ならアンタにも」
川'A`)「詮索は不要だ。私達が胸に秘めている想いは、言葉にできるほど簡単なものじゃないだろう。だから――」
ミセ*゚ー゚)リ「全国のミセトソファンのみんな、おっ待たせー! みんな大好きミセリンと」
(゚、゚トソン「トソトソの司会で御送りする、新入生コンテストだよ。ボクはキミ達に一欠片の興味もないけどね」
ξ ^ω^)ξ「――舞台で見せてやる、ってことね。もっとクールなやつかと思ってたけど、案外情熱的じゃない。私は好きよ、そういうの」
川*'A`)「フッ、お前に好かれるために、こういう性格をしているわけじゃないさ」
.
17
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:05:41 ID:x6dLjpNwO
(;゚∀゚)「台詞は格好いいのに、もの凄い違和感が! そして昔のトソトソ先輩、後輩に冷てえ。いや、今でも冷たいけれども!」
川 ゚ -゚)「それでコンテストは、私とツンの同率一位だったのだが、ツンがならば優勝決定戦をやってくれといいだしてな」
ξ゚⊿゚)ξ「結果は以前話した通り、接戦の末私が優勝、クーが準優勝だったわ」
(;・∀・)「そこのVTRは省くの!?」
ξ゚⊿゚)ξ「だけど私はその闘いの中で、優勝よりも大切なものを手にいれていたの。それは――」
川 ゚ -゚)「貴女の心です」
(;・∀・)「なぜ、怪盗の三世になってるんですかっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「冗談はさておき。実際、コンテストでクーとぶつかったからこそ、今の私があるともいえるわね」
川 ゚ -゚)「ときに友、ときにライバル、それが今でも続く私達の関係だ」
( ゚∀゚)「そういうのって、互いに認め合ってる感じがしていいですね」
18
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:07:53 ID:x6dLjpNwO
( ・∀・)「ところで、ツンさんの背負ってるものはわかったんですけど、クーさんの背負っているものというのは」
(*゚∀゚)『オラ、ガキどもー! 消灯時間だ、さっさと寝ろー!』
川 ゚ -゚)「これはつー先生の声か。どうやら私の話は、またの機会になりそうだな」
(;゚∀゚)「やべえ、消灯時間忘れてた。もう部屋に帰れないじゃん!」
( ・∀・)「消灯時間後に、廊下に出るのは原則禁止だっけ」
ξ゚⊿゚)ξ「なら、今夜は泊まっていきなさいな。二人だとちょっと狭いかもしれないけど、私のベッドを貸してあげるから」
( ゚∀゚)「ツンさんはどうするんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「私はクーのベッドで一緒に寝るわ。ほら、つー先生も来るし電気消すわよ」
( ・∀・)「迷惑をかけてすみません。……ジョルジュ、セクハラとか変なことしないでよ」
( ゚∀゚)「そんなことしねえって」
「おやすみなさい」
19
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:10:53 ID:x6dLjpNwO
【ツン99%対デレ1%】
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソー、お腹空いちゃった」
(゚、゚トソン「夕飯をしっかり食べないからだろう。消灯時間後にいわれても、ボクの知ったことじゃないね」
ミセ*゚ー゚)リ「でも空腹で、このままだと寝られないよぅ」
(-、-トソン「だったら起きてたら。ボクは寝るよ、おやすみ」
ミセ;゚ー゚)リ「冷たっ! 冷た過ぎるよトソトソ!」
(゚、゚トソン「はあ、うるさくて眠れやしない。仕方ない、特別に戸棚の中に入っている――」
ミセ*゚ー゚)リ「なんだ、食べ物持ってるんじゃん」
(゚、゚トソン「石鹸を食べてもいいよ」
ミセ;゚ー゚)リ「食べないよ! 特別にも、なにもないよ」
20
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:12:13 ID:x6dLjpNwO
(゚、゚トソン「諦めて寝なよ。羊でも数えてさ」
ミセ*゚ー゚)リ「やっぱり寝るしかないか。……羊が一匹、羊が二匹」
(゚、゚トソン「ラム肉のステーキ、ラムチョップ、ジンギスカン、ラム酒」
ミセ;゚ー゚)リ「一瞬で頭の中の羊達が、調理されちゃったよ!? それにラム酒は羊と一切関係ないし!」
(゚、゚トソン「ミセリでも、それぐらいの知識は持っていたのか」
ミセ*゚ー゚)リ「役に立たない知識なら私に任せとけ! って、騒いだら余計にお腹が減ったよー……」
(゚、゚トソン「そういえば非常袋のパンの缶詰が、賞味期限来月までだから申請しときなよ。古いのはキミが適当に処分してくれて構わないから」
ミセ*゚∀゚)リ「もう素直じゃないんだからー!」
(゚、゚;トソン「ええい、纏わりつくな。うっとうしい!」
21
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:13:30 ID:x6dLjpNwO
【着せ替えモララー人形※衣装は別売りです】
从 ゚∀从「どうよ」
l从・∀・ノ!リ人「オフショルダーカットソーにショートパンツか。露出度高いね、というか無駄にエロい」
从 ゚∀从「そうか? 夏用に買うなら、こんなもんだろ」
l从・∀・ノ!リ人「僕は他人に素肌を見られるの嫌いだから、どうもね」
从 ゚∀从「俺は暑いほうがたまんねえけどな。時々、妹者は乙女回路でも積んでんのかと思うぜ」
川 ゚ -゚)「もしくは心まで鋼鉄に武装する乙女だな」
ξ゚⊿゚)ξ「どっちも、本来高校生がわからないぐらいには古いわね」
从 ゚∀从「クーさんにツンさん。お二人も買い物っすか」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、私は今年の流行柄のマキシ丈ワンピを買ったわ」
川 ゚ -゚)「私はショートベストにレディースネクタイを購入したぞ」
l从・∀・ノ!リ人「なんでクーさんはそんな、女装時はめちゃくちゃ格好いいんですか」
从;゚∀从「男の時のドクオ先輩はいつも、無地のTシャツにジーパンなのに……」
22
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:14:49 ID:x6dLjpNwO
从 ゚∀从「しっかし、女物の服ってのはめんどくさいな。コーディネートがどうだの、流行がどうだのと」
ξ゚⊿゚)ξ「ハインって放っておくと、年がら年中似たような服を着てそうね」
川 ゚ -゚)「着た切り雀だな」
从 ゚∀从「それが実はこう見えて、俺より妹者のほうがバリエーション少ないんですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「えっ、そうなの?」
l从・∀・ノ!リ人「物欲がないというか。あんまりこれが着たい、あれがほしいってないんですよね」
l从・∀・ノ!リ人「せめて男物ならまだしも、特に女装用は……」
ξ゚⊿゚)ξ「それは駄目よ! おしゃれを楽しまないなんて、女の子として人生の八割を損してるようなものなんだから」
l从・∀・ノ!リ人「女の子じゃないし、八割は言い過ぎでは……」
ξ゚⊿゚)ξ「とにかく、こっちにいらっしゃい!」
l从・∀・;ノ!リ人「わわっ!」
23
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:16:00 ID:x6dLjpNwO
ξ゚⊿゚)ξ「うーん、妹者なら多少甘くても問題なさそうだから、ボトムはチュチュスカートにして」
川 ゚ -゚)「トップスは辛めにして甘辛ミックスは?」
ξ゚⊿゚)ξ「いっそクラロリなんて手もあるわよね」
ξ*゚⊿゚)ξ「キャッキャッ」
川*゚ -゚)「フフフ」
l从・∀・;ノ!リ人「ハイン、助け……!」
从 ゚∀从「あっ、そろそろイナズマセブンイレブンが始まるから帰らなきゃ!」
l从・∀・ノ!リ人「逃げたっ!?」
24
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:17:04 ID:x6dLjpNwO
从 -∀从(妹者、無力な俺を許してくれ。……正直、こっちに飛び火したらたまらんからな)
l从・∀・ノ!リ人「ハインの薄情者ーーー!!」
ξ*゚⊿゚)ξ「うふふ、それじゃあ次のお店に行きましょうか?」
从 ゚∀从「その後、門限ぎりぎりに帰って来たモララーは、憔悴しきっていました」
从 ゚∀从「今日の格言。友達は見捨ててでも自分は助かれ! 以上」
25
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:24:00 ID:x6dLjpNwO
以上で投下終了です
今回からオチの弱さをごまかす為にサブタイトルを入れることにしました。
という情けない話は置かせて頂くとして、次は書留めがあるので近々投下できると思います。
似たような事をいって半年以上空きましたが、今度こそは本当に投下させて頂きます
支援下さった皆様、ありがとうございました
26
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:42:34 ID:2eU1ir5w0
乙乙
もうこないかと思ってたから嬉しいね
27
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:23:19 ID:lekLUSJUO
今回で四回目となりました
男は可愛く美しくです
ちょっとした小話ですが実はこの作品、一回の投下につき作品内の時間が一ヵ月進んでいるんですよ
だから今回は七月の話になります
恐らく後何回か進んだらこんなこと言わなければ良かったと可愛く綺麗に美しく後悔します
28
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:24:54 ID:lekLUSJUO
【それは陽炎の揺れる七月の物語】
从;゚∀从「あぢぃー、だりぃー」
( ・∀・)「ハイン、いくらなんでもそれは下品だよ」
从 ゚∀从「なんために俺がわざわざ、女装用制服なんて着てきたと思ってんだ」
( ・∀・)「もしかして、スカートをパタパタするために着てきたの?」
从 ゚∀从「ザッツライト。ただ下半身は涼しいんだが、誤算があったとすればウィッグが蒸すことだ」
( ・∀・)「それくらい考えればわかるでしょうに」
从 ゚∀从「あー、パッドブラもいらん。いっそ脱ぐか」
( ・∀・)「やめなよ、だらしない」
29
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:26:25 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「ぶー。うちの女装用制服はワンピース型だから、風通しがいいのがせめてもの救いだな」
( ・∀・)「エプロンドレスじゃないけど、形状はメイド服とかに近いよね。僕個人としては、フレアスカートが可愛くて好きだよ」
从 ゚∀从「スカートが可愛いから好きなんて、完全にこの学園に馴染んだな」
(;・∀・)「……いわれてみると確かに。本当に色々あったし、慣れたっていうか慣れるしかなかったっていうか」
从 ゚∀从「モララーなんて初めは、軽いスキンシップだけで顔を真っ赤にしてたもんな」
( ・∀・)「ハインのはスキンシップじゃなくてセクハラだから! でも、結構みんな友達同士でベタベタしてるよね」
从 ゚∀从「女子校的なノリっていうのか、ウチだと同性で手を繋いだり、腕組んだりするぐらいは普通だもんな」
( ・∀・)「抱き着いたりとかもあるよね」
从 ゚∀从「この時期だと、暑苦しいったらないけどよ」
30
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:27:54 ID:lekLUSJUO
( ・∀・)「そういえば前から思ってたんだけど、ハインって女装用制服好きだよね?」
从 ゚∀从「んー、俺にとっちゃこの制服は憧れっつうか、特別なもんだからな」
( ・∀・)「憧れ?」
从 ゚∀从「あれは、まだ俺が中坊んときの話なんだけどさ」
当時の俺は粋がっていた、というのとは少し違うかもしれないが、似たような状態だったんだろうな。
やっぱり、こんななりしてると、馬鹿共がちょっかいかけて来るじゃん。
( ゚∀゚)「女みたいな顔したやつにやられる気持ちはどうよ? 悔しかったらもっとかかってこいやコラァァァ!!」
それがたまらなく嫌でさ、俺のことを女みたいだって馬鹿にしたやつは、徹底的にぶっ潰してやったよ。
身体を鍛えて、武術を学んで、それこそ喧嘩に勝つ為だけに、血反吐が出るような努力までして。
31
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:29:10 ID:lekLUSJUO
( ゚∀゚)「はあ、はあ、次……こいよっ!」
その甲斐あってか、連勝街道まっしぐら。
気がついたら俺も周りからは、馬鹿共の仲間みたいな扱いを受けてたっけかな。
次第に敵の数も芋蔓式に増えてってさ、笑えることに二十対一とかで喧嘩してるんだぜ。
殴って殴られて、意識が朦朧とするなかそれでも殴り続けて、最後に立っていたのは俺一人だけだった。
( ゚∀゚)「はあ、はあ、……」
さすがにその日からしばらくは、喧嘩をふっかけて来るやつもだいぶ少なくなったよ。
でも、馬鹿共は結局馬鹿でさ、次は五十対一で喧嘩だぜ。
さすがにかなわねえっての、そんとき数の力は凄いんだなって思い知ったよ。
32
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:30:37 ID:lekLUSJUO
<ヽ`∀´>「ジョルジュ、お前も年貢の納めどきニダ」
( ゚∀゚)「……フン」
<ヽ`∀´>「散々てこずらせやがって! そんなに、この顔をのことをいわれるのが嫌だったニダか!」
(;゚∀゚)「ぐはあ、ゲホッゲホッ……!」
<ヽ`∀´>「おっと、ちょうどいい位置にツラがあったせいで、思わず蹴っちゃったニダ」
(;-∀゚)「はあ、はあ、くそ、野郎、が……! げはあっ!」
<ヽ`∀´>「……その余裕ぶっこいた表情が気に入らないニダ。おい、ナイフ持って来い!」
(;-∀゚)「ペッ! それで、くうっ、どうしよう、てんだ……」
<ヽ`∀´>「なあに、ワイルドな顔にして、男前を上げてやるだけニダ。泣いて許しを請うなら今のうちニダよ」
(;-∀゚)「はあ、はあ、好きに、しろよ。だが、次に俺と会うときは、鼻や耳が落ちるぐらいの覚悟はしとけよ!」
<ヽ`∀´>「うっ、本当に泣いて謝るならウリもそこまでは……」
33
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:32:01 ID:lekLUSJUO
(;-∀゚)「さあやれ! やれよ! やってみせろよチキン野郎!」
<;`∀´>「くそっ! やっ、やってやる、やってやるニダ!」
さすがにこのときばかりは、俺も覚悟を決めたよ。
どこを切られるかわからないが、下手すりゃ失明とか、最悪死ぬ可能性すらあったわけだしな。
「ちょっと待った!」
そんなときに現れたのが、あの人だった。
(*゚ー゚)「若いうちの喧嘩なんていうのは青春の一種だけど、それはやり過ぎじゃないかなー?」
(;-∀゚)「誰だよ」
(*゚ー゚)「誰だっていいでしょ。とにかく、子供同士の喧嘩で刃物なんか出す悪い子は、お姉さんがお仕置してあげる」
<ヽ`∀´>「はあ? 頭がいかれて……はぐうぅぅ!」
(*゚ー゚)「面倒だし、来ないならこっちから行くよ!」
34
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:33:27 ID:lekLUSJUO
どこの誰だか知らない変な人は、もう鬼のように強かったよ。
無双っていうのはああいうのをいうんだろうな、何十人といた馬鹿共を物の数分で片付けたんだから。
(;-∀゚)「アンタ、マジで誰だよ!」
(*゚ー゚)「ふふ、通りすがりのお姉さんだよ。正しくはお姉さん見習い、かな?」
イタズラっぽく微笑みながらそういい残すと、その人はどっかへ行っちまった。
.
35
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:34:41 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺を助けてくれた人が、そのとき着ていたのがうちの制服だったってわけさ」
从 ゚∀从「それで俺は、この制服のことを調べてるうちに、学園のこととか女装師のこととか色々知って、面白そうだからここに入ったんだ」
( ・∀・)「…………」
从 ゚∀从「おーい、ちゃんと聞いてるか?」
( ・∀・)「駄目だよ……」
从 ゚∀从「なにがだよ?」
( ・∀・)「駄目だよ! そんな危ないことしちゃあ! 下手したら今頃ジョルジュは……!」
从;゚∀从「おわっと! 昔の話だっての、暑いから引っ付くなよ」
( ・∀・)「だって……」
从 ゚∀从「それ以来喧嘩なんてしてねえよ。馬鹿共も引っ込みつかなかっただけで、相当俺のことビビってたらしいしな」
36
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:35:46 ID:lekLUSJUO
( ´∀`)「あー! ハインとモララーが、なにやら楽しげなことしてるモナ。野郎共、僕達もハインにくっつくモナー!」
从;゚∀从「なんだテメェら!」
从 -∀从(女顔が嫌いだったってのに女装なんかして、周りから避けられてきたってのにみんなから抱き着かれて)
从 ゚∀从(人生を変える出会いなんてのは、どこに転がってるかわかったもんじゃねえな)
从;゚∀从「ああもう! 暑い、暑いから寄ってくんなああああ!!」
.
37
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:38:00 ID:lekLUSJUO
【乙女心と夏の劇】
(*゚∀゚)「つまりここをこうすると、下着や水着になっても女性のように見える……っと、もうチャイムか」
(*゚∀゚)「今日の授業はここまでだ。これを生かすも殺すも自分次第、せいぜい努力するこったな」
从 ゚∀从「くうぅぅぅ、本日の御勤め終了ー!」
l从・∀・ノ!リ人「最近は授業も本格的になってきたせいか、難しいのが増えたよね」
从 ゚∀从「そうだな、裏を返せばここで頑張れるやつが伸びるんだろうな。例えば、ほら」
ζ(゚ー゚*ζ
从 ゚∀从「……モナーみたいに」
38
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:39:13 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「んー? どうしたの、私の顔になにかついてるかな?」
从 ゚∀从「目と鼻と耳と口」
l从・∀・ノ!リ人「他にも顔ダニとかね」
ζ(゚ー゚;ζ「新手の嫌がらせ?」
从 ゚∀从「いやいや、なんつうのか、数日前までモナーの女装姿って――」
リハ´∀`ノゝ
从 ゚∀从「こんなんだったじゃん? なにがあったのかとさ」
ζ(゚ー゚*ζ「そこはほら、男子三日会わざれば刮目して見よって感じかなー?」
39
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:40:28 ID:lekLUSJUO
l从・∀・ノ!リ人「でも、毎日会ってたはずだけどね」
ξ゚⊿゚)ξ「女装術のテクニックって、ある時期に来ると急激に伸びるのよね」
川 ゚ -゚)「いわゆる成長期というやつだな」
l从・∀・ノ!リ人「なんで毎度毎度、一年生の教室にいるんですか!」
川 ゚ -゚)つ゛「細かいことを気にしていては、大きくなれんぞ」
l从////ノ!リ人「ど、どこを触ってるんですか!? これはパッドだから大きくなりません!」
ζ(゚ー゚*ζ「その、成長期というのもあるかもしれないけど、上達できたのはお姉様の指導がよかったからですよー」
ξ゚⊿゚)ξ「謙遜しないの。私が教えたことなんて、貴女が授業で習ったことの応用程度よ」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、それでもお姉様のおかげです。だから女装名をモナ子から、お姉様に頂いたデレに変更します!」
40
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:41:41 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「前からそうだったけど、異様にツンさんに懐いてるな」
l从・∀・ノ!リ人「メイクも同系統だし、ああやってると本当に姉妹みたいだよね」
ζ(゚ー゚*ζ「お姉様♪」
ξ゚⊿゚)ξ「もう、甘えん坊なんだから」
ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、お姉様の匂いだー」
川 ゚ -゚)「今日は蒸すし、そんなにくっついたら二人とも暑かろう」
ξ゚⊿゚)ξ「それが不思議と、この子体温低いのよね」
川 ゚ -゚)「そうか、ならばいい」
l从・∀・ノ!リ人「あれって、やっぱり嫉妬してるのかな」
从 ゚∀从「あのクーさんが? まさか」
l从・∀・ノ!リ人「そうだよね。あのクーさんだもんね」
41
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:43:34 ID:lekLUSJUO
ξ゚⊿゚)ξ「ところで話が変わるんだけど」
川 ゚ -゚)「というより、正しくは私達がここに来た本題だな」
ξ゚⊿゚)ξ「来週の金曜日、私達と一緒にコンテストに出ない?」
从 ゚∀从「来週の金曜日、一緒にってことは」
l从・∀・ノ!リ人「もしかしてアレですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そう、アレよ!」
川 ゚ -゚)「アレに出るには人数が必要だからな。お前達も実力が着いてきたし、良い経験にもなるだろう」
ζ(゚ー゚*ζ「……アレ?」
.
42
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:45:22 ID:lekLUSJUO
廊下に響くのは、自分の足元から奏でられる靴音。
先程つー先生に『廊下を走るな』と注意されたばかりだというのに、気が付くと足が前へ前へと速くなっている。
从 ゚∀从「まあ、あんまり待たせたら悪いからな」
と、もっともらしい言い訳を自分自身にしてみるが、本心は別だ。
早くあいつに会いたい、ただそれだけ。
从 -∀从「すーはー、すーはー」
教室の前で二度深呼吸、なんとなくだが息が切れていたら恥ずかしい。
よし、後はいつも通りにするだけ。
いつもと同じように、努めて親友として接する。
胸の内に秘めた想いなど、決して悟られないように。
从 ゚∀从「悪い悪い、遅くなっちまった。とっとと帰ろうぜ」
l从-∀-ノ!リ人「……すぅ、すぅ」
从 ゚∀从「寝てる……のか?」
どうやら妹者は、俺を待っている間に眠ってしまったらしい。
しかもなぜか俺の机で。
43
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:47:32 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「おーい、起きろよ。起きないとセクハラすんぞ」
l从-∀-ノ!リ人「……んむぅ」
揺すってみるがなかなか目を覚まさない。
寮では、いつも俺より先に起きているから知らなかったが、どうやら妹者はあまり寝起きがいいわけではなさそうだ。
从 ゚∀从「いいのか、本当にセクハラしちゃうぞ……?」
l从-∀-ノ!リ人「…………んっ」
妹者のうっすらと濡れた薄桃色の唇に、視線を奪われた。
俺は花唇に誘われる蝶のように、ゆらゆらと顔を少しづつ近付けていく。
互いの唇が触れ合うまで残り数センチ、妹者の甘い吐息が思考を麻痺させる。
後少し、ほんの少し顔を突き出すだけで――
从;゚∀从「だあぁ、何やってんだ! 馬鹿か俺は!」
寝込みを襲うような真似して、最低だ。
きっとここで本当にすれば、必ず後悔する。
44
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:48:47 ID:lekLUSJUO
l从-∀-ノ!リ人「…………むにゅ」
从 ゚∀从「人の気も知らないで、幸せそうな寝顔しやがって。……ずっと友達だと思ってたはずなのになあ」
いつからだろう、こんなにも心惹かれるようになったのは。
夕日の差し込む教室で二人きり。
時折窓の外から聞こえる葉擦れのメロディーが、臨場感をいやが上にも高める。
从 ゚∀从「……好きだよ、妹者」
決して相手に伝えられることのない言葉。
それはまるで儚い淡雪のように、空気に触れただけで溶けて消えていった。
ζ(゚ー゚*ζ「ハイン…………」
.
45
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:49:59 ID:lekLUSJUO
从 -∀从「はあぁぁぁ」
川 ゚ -゚)「幸せが逃げるぞ」
从 ゚∀从「逃げるほど残ってるといいんですけどね」
食べてる飯の味もわからないぐらいなんだから、相当イカれてる。
こんな状態で、これから妹者と同じ部屋で寝るっていうのだから、溜め息の一つも出るというものだ。
ξ゚⊿゚)ξ「箸も全然進んでないわね。悩みごとなら相談に乗るわよ?」
从 ゚∀从「むー、悩んでるっちゃ悩んでるんですけど」
川 ゚ -゚)「言いづらいことなら、無理に話せとはいわないが」
从 ゚∀从「……世にありふれた、ただの恋煩いですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ただのなんていわないの。女の子にとっては死活問題でしょ」
从 ゚∀从「女だけに限った問題でもない気がしますが」
46
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:51:59 ID:lekLUSJUO
俺の抱えている問題が男女間の恋愛ならまだいい。
それならまだ報われる可能性はある。
だが救いようのないことに、俺は同性の親友を好きになってしまった。
恋は理屈じゃないなんて言もあるが、まさかそれがここまで真実とは思いもしなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「それで、どうするの?」
从 ゚∀从「どうするとは?」
川 ゚ -゚)「粉をかけるのかってことだ」
从;゚∀从「粉って」
ξ゚⊿゚)ξ「言い方を変えれば告白するの? ってことよ」
从 ゚∀从「告白、告白かあ……。しないっすね」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでしないのよ?」
从 ゚∀从「なんでって、なんでもですよ」
47
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:53:35 ID:lekLUSJUO
上手くいかないと分かりきっているのに、告白をする理由がない。
川 ゚ -゚)「ハインは臆病になっているのだろう。様々な障害ばかりが目に入り、足がすくむ」
从 ゚∀从「障害が乗り越えられない程高いんですよ。しかも、失敗すれば大切なものまで失う」
親友という名の、大切な大切な絆まで。
ξ゚⊿゚)ξ「他人がとやかく口出しできる問題じゃないのは、わかってるんだけどね」
川 ゚ -゚)「いつも賑やかなお前達がそんなだと、な」
从 ゚∀从「すみません……」
ξ゚⊿゚)ξ「謝ることじゃないわよ。ただこれだけは覚えておいて欲しいの」
川 ゚ -゚)「誰かが涙を飲むことになるのだろうが、私達は三人とも幸せになれることを願っているよ」
从 ゚∀从「三人? 誰のことですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「さて、誰のことでしょうね」
その後いくら尋ねてもツンさんは、優しく微笑むだけで答えてはくれなかった。
48
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:55:09 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「急にどうした、しかもこんなところで」
ζ(゚ー゚*ζ「本当はそれほど急ってわけじゃないんだけどねー」
ツンさん達と別れた後、自室に歩を進める俺を呼び止めたのはデレだった。
話があるから着いて来てほしいと、連れ出された場所は寮の屋上。
ζ(゚ー゚*ζ「…………」
デレは次に切り出す言葉を迷っているのか、視線を上方へとさまよわせる。
静寂の中、デレの洗い髪の香りが、風に乗ってほのかに届いた。
从 ゚∀从「いくら夏とはいえ、湯冷めには気をつけろよ」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと。えへへ、やっぱりハインは優しいね」
从 ゚∀从「普通だろ」
49
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:56:31 ID:lekLUSJUO
ζ(゚、゚*ζ「……私、ずっとハインに伝えたいことがあったんだ」
引き締められた口角に、俺の心の底までを射抜くような瞳。
いつも笑顔で、少し抜けたところのある普段の彼女を知る者なら、別人とすら疑う程の剣呑な雰囲気。
ζ(゚、゚*ζ「今まで、私が我慢すれば問題ないって思ってた。それだけで全てが上手くいくんだって」
从 ゚∀从「なんのことだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「でもそれは間違いだったんだよ。だって私は、ハインがこんなにも臆病者だったなんて思わなかったんだもん!」
从 ゚∀从「なっ、誰が臆病――」
ζ(゚ー゚*ζ「私は! 妹者のことが好きっ!!」
从;゚∀从「はっ!? えっ、あっ」
好き、スキ、すき、言葉は聞き取れたのに意味が理解できない。
まるで考えることを放棄したかのように、頭が回らなくなる。
好き、誰が、誰を。
好き、デレが、妹者を。
50
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:58:53 ID:lekLUSJUO
从;゚∀从「ちょっと待てよ、好きもなにもお前と妹者は同性で」
ζ(゚ー゚*ζ「関係ないよ、だって好きなものは好きなんだもん。私は性別を理由に、自分の気持ちに嘘を吐きたくない!」
从;゚∀从「でも、待てよ、だって、だって……!」
待てよ、待ってくれよ。
焦燥感に駆られる中、デレを諌める台詞を何通りも考えるが、駄目だ。
こんな体面通りの言葉では、デレには届かない、デレの心に響かない。
嫌だ、妹者を取られたくない。
从 ゚∀从「だって! だって、俺だって妹者のことが好きなんだからっ!」
ζ(゚ー゚*ζ「親友というぬるま湯を失うのが怖くて、何もして来なかったハインが今更?」
从 ゚∀从「だったらデレはなにをして来たんだよ。それこそ自己犠牲をダシにして、自分が傷つかないようにしてただけじゃないか」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだよ、私は何もして来なかった。だからこれから始めるの、これからは私もモーションをかけてく」
从 ゚∀从「つっ……」
51
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:59:51 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「例えハインの想いを踏みにじることになっても、私は退かないから」
全てを語り終えたとばかりに、デレはきびすを返すと、一度もこちらを振り返ることなく去っていった。
从 -∀从「なんでだよ、俺達三人はずっと親友だったじゃないか。なんで、こんなことに……!」
.
52
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:01:17 ID:lekLUSJUO
なんで、どうして、どうすれば。
部屋に戻りベッドで横になるも、同じ言葉ばかりが頭の中を駆け巡る。
そんな精神状況では、到底眠ることなどかなわなかった。
从 -∀从「もう朝か」
こちらがどんなに鬱屈とした情緒であろうと、関係なく夜は明け、朝日は昇る。
それからは毎日の習慣通りに妹者と共に朝食を取り、一緒に登校し、授業を受ける。
まるで昨日の悶着など、嘘であったかのような日常。
从 ゚∀从「あー、午前の御勤めも終了! 妹者、一緒に昼飯食いにいこうぜ」
l从・∀・ノ!リ人「ごめん。今日はデレと二人だけで、昼食を取る先約があるから」
从 ゚∀从「えっ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんねー、というわけで妹者は借りてくね」
从 ゚∀从「あ、ああ……」
本当に嘘であってくれればどれだけよかったか。
.
53
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:03:19 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「はあぁぁぁ」
l从・∀・ノ!リ人「幸せが逃げるよ」
ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、逃げるほど残ってるといいんだけどな」
l从・∀・ノ!リ人「悩みごとがあるの?」
ζ(゚ー゚*ζ「恋煩い、かな。上手くはいかないよねー」
l从・∀・ノ!リ人「恋煩い……」
ζ(゚ー゚*ζ「妹者も恋を煩ってるんでしょ?」
l从////ノ!リ人「そ、そんなことは……」
ζ(゚ー゚*ζ「子供の頃に夢見てた恋愛はさ、甘くて優しくて素敵なものだったのに。現実はどうしてこんなにも、辛いんだろうね」
l从・∀・ノ!リ人「きっと辛くて困難で、どうしようもなく苦しいから、だから人は一生懸命になれるんじゃないかな」
ζ(゚ー゚*ζ「……そうなのかもしれないね」
.
54
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:04:36 ID:lekLUSJUO
午後一番の授業は体育、種目はハードル走。
そこそこ上背に恵まれた俺には、有利な競技ともいえる。
从 ゚∀从「よっ、ほっ、たっ!」
さすがに睡眠不足で、平常時ほどの記録は出せないが、それなりにこなしていく。
しかし、有利とはいえこの手の競技は、集中力を欠かせば危険だってある。
それなのに、気が付くと俺の視線は妹者を追っていた。
l从・∀・;ノ!リ人「えいっ、はうっ、……っ! うあぁぁぁ!!」
そして、視線が触れ合った瞬間起こったのが、妹者の転倒。
(*゚∀゚)「大丈夫かっ!? ……どうやら擦り剥いただけみたいだな。誰か、妹者を保健室へ連れて行ってやれ」
从 ゚∀从「お、俺が――」
ζ(゚ー゚*ζ「先生、保健委員の私が連れていきます」
保健委員、確かにデレは保健委員だ。
なら譲るのが正解なんだろう、でも嫌だ。
55
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:05:52 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺が連れていく」
ζ(゚ー゚*ζ「なんで? 寮の部屋が同室だから? 友達だから?」
从 ゚∀从「…………」
ζ(゚ー゚*ζ「言えないような理由なら、私が連れて行くよ」
好奇の眼が俺達に集まる。
逃げることは簡単だ、今までやってきたことなんだから。
でも、俺は、俺は――
从 ゚∀从「俺が、妹者のことが好きだからだ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「……そっか、なら任せるよ。よろしくねー」
从 ゚∀从「ああ、ほらいくぞ。つかまれ」
l从・∀・ノ!リ人「う、うん……」
ζ(゚ー゚*ζ「はは、あはは! ハインも初めから素直になれば早かったのに。まったく、恋のキューピッドなんてがらじゃないんだけどなあー」
ζ(;ー;*ζ「あは、あはは……ほんと、がらじゃないなぁ……」
.
56
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:10:12 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「むー、こんなときに限って保健医がいないじゃないか」
妹者を椅子に座らせ、消毒薬と絆創膏を用意する。
从 ゚∀从「水道水で綺麗に洗ったし、とりあえず消毒するか」
怪我を負った妹者の左足を手に取る。
透き通るような白色、きめ細やかな肌、これが自分と同じ人間のものだとは考えられない。
从 ゚∀从「触る、からな?」
l从////ノ!リ人「うん……」
患部に消毒薬を塗り込む。
少しでも痛みを感じさせないように、ゆっくりと優しく。
l从・∀-;ノ!リ人「うぅっ!」
从;゚∀从「痛かったか!?」
l从-∀-ノ!リ人「だ、大丈夫だから、続けて……」
从 ゚∀从「もっと、優しくするから」
57
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:11:27 ID:lekLUSJUO
指先に神経を集中させると、左手から伝わってくる、妹者の滑らかなふくらはぎの感触。
支えているだけで形を変える程柔らかく、それでいて弾力があって、いつまでも触れていたくなるほど気持ちいい。
妹者は痛い思いをしているのに、俺は何を考えてるんだと申し訳なくなる。
l从-∀-;ノ!リ人「うっ、くっ、あっ!」
从 ゚∀从「もうすぐ、もう少しで終わるから! よし、これでOK」
後は絆創膏をつけて出来上がり。
从 ゚∀从「もう終わったからな。大丈夫か?」
l从・∀-ノ!リ人「うん、ハインが優しかったから、ちっとも痛くなかったよ」
健気に微笑む妹者の目元には、うっすらと涙が浮かんでいる。
痛くないわけなどないだろうに。
58
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:12:48 ID:lekLUSJUO
l从・∀・ノ!リ人「…………」
从 ゚∀从「…………」
l从・∀・ノ!リ人「…………」
从 ゚∀从「……あの、さ」
l从・∀・;ノ!リ人「なっ、なに?」
从 ゚∀从「さっき俺、妹者のことが好きだっていったじゃん」
l从・∀・ノ!リ人「う、うん」
从 ゚∀从「あれは――」
l从・∀・ノ!リ人「わ、わかってるよ! ハインは親友として好きということをいったのであって、つまりはその……」
从 ゚∀从「わかってねえよ。妹者は何にもわかってねえ」
l从・∀・ノ!リ人「えっ?」
从 ゚∀从「俺がいいたいのはさ、どさまぎなんて嫌だから、今改めて告白させてくれってことだよ」
l从////ノ!リ人「こ、告白……」
59
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:14:17 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺は妹者のことが好きだ! いつからかはわからないが、気が付いたら好きで好きでどうしようもなかった!」
飯を食ってても、風呂入ってても、妹者のことしか考えられなかった。
例え妹者が、俺のことを友人としか思ってなくても関係ない。
今この瞬間に俺の胸を占めるのは、今まで隠してきた想いの全てを伝えたいということだけ。
从 ゚∀从「もう親友ってだけじゃ我慢できないんだ。……俺と、恋人として付き合ってほしい」
l从・∀・ノ!リ人「その、だって僕は子供っぽいし」
从 ゚∀从「俺だって子供だよ。俺達はこれから大人になっていくんだ」
l从・∀・ノ!リ人「でも、ハインにはもっとお似合いの、格好いい人が現れるかもしれないし」
从 ゚∀从「そんな会ってもないやつのことは知らん」
l从・∀・ノ!リ人「実は結構独占欲が強くて、焼きもちも焼くよ?」
从 ゚∀从「俺に焼いてくれるのなら嬉しい」
l从////ノ!リ人「えっと、えっと、その……こんな僕でよければ恋人にしてください」
从 ゚∀从「絶対後悔させない、大切にするよ」
l从////ノ!リ人「うん……」
60
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:15:38 ID:lekLUSJUO
どちらからとなく寄り添う二つの影。
妹者の吐息が優しく俺の頬を撫でる。
――この日、俺達は初めて互いの気持ちを確かめ合った。
(゚、゚トソン「以上、ハイン妹者チームでした」
ミセ*゚ー゚)リ「甘酸っぱい少女達の恋愛。もう最後のキスシーンなんかは、演技じゃないんじゃないかなーってレベルでしたよ」
(゚、゚トソン「これでひとまず全チームが終了したね。ボクは等しくどのチームにも興味ないけど」
ミセ*゚ー゚)リ「みんなは審査が終わるまで、席に着いて良い子でまっててねー!」
.
61
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:16:42 ID:lekLUSJUO
l从////ノ!リ人「こっ、こっ、ここ……!」
从 ゚∀从「ニワトリの真似か?」
l从・∀・;ノ!リ人「この野郎ほんとにキスしやがったあああああああ!! したように見せるだけって決まってたじゃんっ!」
从 ゚∀从「盛り上がるかなって」
l从////ノ!リ人「初めてだったのに……! 初めてだったのにっ!」
从 ゚∀从「安心しろ、俺も初めてだ」
l从・∀・ノ!リ人「なにを安心しろっていうんだよっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「まあまあ、落ち着きなさいよ」
川 ゚ -゚)「同性だし、ノーカンにすればいいだろう」
62
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:18:04 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「ハインばっかりずるい! 私も妹者とちゅーするー!」
l从////ノ!リ人「わわっ!? 顔近いって!」
从 ゚∀从「そうだよなー。話の中とはいえ、デレは妹者と結ばれなかったもんな」
ξ;゚⊿゚)ξ川;゚ -゚)「「はあああぁぁ!?」」l从・∀・;ノ!リ人ζ(゚ー゚;ζ
从 ゚∀从「えっ? なに、なにかおかしなこといった?」
ζ(゚ー゚*ζ「あのねー、リアルで鈍感っていうのはよくないと思うんだよね」
l从・∀・ノ!リ人「これは僕でもちょっとびっくりするよ」
从 ゚∀从「なんだよ、鈍感って」
63
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:19:39 ID:lekLUSJUO
ξ゚⊿゚)ξ「はあ、作中でデレがいつも気にかけていた人物は誰か考えてみなさいよ」
川 ゚ -゚)「つまり、デレはハインのことが好きだったってことだ」
从;゚∀从「はあっ!? でも、妹者のことが好きって」
ξ゚⊿゚)ξ「あんなもん、ぐずぐずしてるハインに発破をかけただけに決まってるでしょ」
川 ゚ -゚)「デレは最初から最後まで、ハインと妹者が上手くいくようにしか考えていなかったのさ」
从;゚∀从「乙女心ってわかんねえええええ!」
ミセ*゚ー゚)リ「優勝は乙女心を見事に表現した、ハイン妹者チームでーすっ!!」
.
64
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:27:57 ID:lekLUSJUO
投下終了です
お付き合い頂き感謝を
ジョルジュの過去話とたぶん最初で最後のガチ百合回
個人的にはもちろんゆるい百合も大好きですが、濃ゆい百合も大好物だぜ!と守護霊がいっておりました
次回は夏休みの話かオープンキャンパスにかこつけた設定集になります
では次回も必ずみるべし!
65
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:32:16 ID:VwfIGQ1IO
前回宣言した通りに今回はオープンキャンパスの話になります
いわゆる設定集ですので本編のように時間が進んだりはしません
後々生きる設定と使われないまま終わる設定があるとは思いますが
大学を卒業したら声優になるといきなり言い出した友人を見るときのような、生暖かい目で見て頂けたら幸いです
66
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:33:40 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「おとカワ学園のオープンキャンパスへようこそ!」
川 ゚ -゚)「私達は二学年の素直クールとツンデレだ。今日は学内の案内役を務めさせて頂く」
川 ゚ -゚)「ここが何に特化した、どういう学園かという説明は今更不要だろう」
ξ゚⊿゚)ξ「もしよく分からずオープンキャンパスに来て、よく分からないまま入学しちゃって」
川 ゚ -゚)「よく分からないまま女装することになって、よく分からないまま活躍できたら、そいつは間違いなく主人公だな」
67
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:35:18 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「さて、まずはこの学園の立地や施設について説明しましょうか」
川 ゚ -゚)「皆はすでに体感したことだからわかると思うが、ここは都心から少し外れていて微妙に田舎だ」
ξ゚⊿゚)ξ「立地がよくない。これはそもそも、女装師というのが秘密の存在だからね」
川 ゚ -゚)「あまり都心に居を構えると他人の目も増え、ふとした拍子に露見する恐れもある」
ξ゚⊿゚)ξ「というわけで微妙に田舎なのよ。といっても寂れてるわけじゃないし、駅前までいけば買物や娯楽施設には困らないわ」
川 ゚ -゚)「なぜ女装師が秘密の存在なのかは、入学後女装師の歴史として習うことになるだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「敷地面積については、少し大きい大学ぐらいじゃないかしら」
川 ゚ -゚)「女装関連の特別棟、全寮制、部活動が存在しない、など高校にしては特殊な環境だが、体感では特別広くも狭くも感じないな」
68
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:36:28 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「続いて施設ね。まず入口の校門をくぐると、赤煉瓦に舗装された道がまっすぐ伸びていて、両手には桜並木が広がっているわ」
ξ゚⊿゚)ξ「個人的には春より夏の景色のほうが好きよ」
川 ゚ -゚)「卒業式の後、この並木道を通って学園を去っていく卒業生は、必ず涙を流すという逸話もあるほど、手入れの行き届いた優美な桜だ」
ξ゚⊿゚)ξ「その道を少し歩くと現在私達がいる場所、噴水のある庭園に着くの」
川 ゚ -゚)「四季折々の草花が咲き溢れるここは、学生にも人気のあるスポットだ。ベンチで読書をしたり、芝生に寝転がったりする者もいるな」
ξ*゚⊿゚)ξ「仲の良い子と一緒に昼食をとって、芝の上で二人でまどろむと凄く気持ちがいいのよね。膝枕とかしてあげてさ」
川*゚ -゚)「うむ、ツンの膝枕はなかなかに心地よく……はっ! コホンッ!」
ξ゚⊿゚)ξ「えーと、それでこの庭からは三叉路になっていてね。左手に進むと学生寮、正面に校舎、右手に女装関連の特別棟があるわ」
川 ゚ -゚)「最初は校舎から案内するとしよう。付いてきてくれ」
69
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:38:21 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「校舎の案内といっても、実は他の高校と大差ないのよね」
川 ゚ -゚)「強いて違いを上げるならグラウンドが小さいことか」
ξ゚⊿゚)ξ「ウチは部活動がないから、体育の授業で使う程度しか必要ないの」
川;゚ -゚)「後はまあ、その、あれだ、隣りに鐘撞き塔のあるチャペルが建っているぐらいかな……」
ξ;゚⊿゚)ξ「ミッションスクールでもないのにチャペルってねえ」
川 ゚ -゚)「完全に校長の趣味らしいぞ。しかもポケットマネーで建てたとか」
ξ゚⊿゚)ξ「ウチの学園の外観には妙にマッチしてるけど、やっぱり利用者は少ないわね」
川 ゚ -゚)「乙女の園的な雰囲気を味わう為の場所だな。中ではたまに、上級生のお姉様と下級生のカップルが目撃されるとかされないとか」
70
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:39:28 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「では校舎の中へ。校舎は三階建てで、この一階では主に一年生が勉強している」
ξ゚⊿゚)ξ「授業も普通の高校と大差ないわ。この学園は高校卒業資格もちゃんと取れるのよ」
川 ゚ -゚)「では女装術はいつ習うのか、という疑問を覚える人間もいるだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「実は女装術の授業は放課後に行われるの。このために部活動が存在しないともいえるわね」
川 ゚ -゚)「女装術の授業は単位がないから、理論上好きなだけサボタージュできる」
ξ゚⊿゚)ξ「といってもこの学園に来ておいて、そんな生徒はまずいないけどね」
71
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:40:22 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「二階にある教務課では、女装関連の細かいことを受け持ってるわ」
川 ゚ -゚)「女装コンテストのスケジュールや出場登録、女装術の授業日程、学園関係のアルバイトの紹介等々。色々管理している」
ξ゚⊿゚)ξ「他にも在学中に、芸能活動を行っている人はお世話になるわね」
川 ゚ -゚)「生徒の女装プロフィールなんかも置いてあるぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「顔写真と女装名、身長体重BHW、今までに受けたコンテストの成績、好きなもの嫌いなもの等が載っているわね」
川 ゚ -゚)「ちなみに私の好きなものは歌舞伎揚げ、嫌いなものは野暮だ」
72
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:41:20 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「他の人のプロフィールもこっそり覗いてみましょうか。よっと、これは妹者のね」
川 ゚ -゚)「おー、さすがに妹者は数値からしてロリロリだな。好きなものはニンジンと兄、嫌いなものはハインのセクハラだとさ」
ξ゚⊿゚)ξ「セクハラというか、あの子は潔癖だから性的なことが基本嫌いなのよね」
川 ゚ -゚)「一緒に芸能人のできちゃった婚のニュースを見ていたとき、漏らした言葉が『婚前交渉なんて汚らわしいこと、よくできますね』だからな」
ξ゚⊿゚)ξ「上にお姉さんが八人いるそうだから、色々と影響があったのかもね」
73
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:42:47 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「さて、せっかくここまで来たことだし、案内ついでに屋上まで上ってみましょうか」
川 ゚ -゚)「ここ屋上は、ツンのお気に入りスポットだ。安全柵もあるし、生徒なら気軽に出入りができる」
ξ゚⊿゚)ξ「この学園自体が丘陵にあるから、なかなか見晴らしがいいのよ。特に夕日で染まっていく町並みはとっても綺麗なの!」
川 ゚ -゚)「噂によると、夕日が沈むのをフェンス越しに眺めながら、イチャついてる生徒なんかもいるらしいぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「校内でイチャつくなんて不純な人達ね。でも、私とクーはよく屋上に来てるけど、不思議とそんな生徒を目撃したことないのよね」
川 ゚ -゚)「まったく不思議な話もあるものだ」
74
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:45:01 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「次に紹介するのはここね。校舎を出てすぐの場所に一店、カフェが存在するわ」
川 ゚ -゚)「ここは学生食堂と同様に学園が経営する店舗だ」
川 ゚ -゚)「学食が閉まっている時間や休日でも利用ができ、味、品目、値段において文句の付けようがないな」
ξ゚⊿゚)ξ「ただ、一番の特徴としては、女装していないと入店禁止という点ね。ある意味ここは女装術の模擬訓練場でもあるのよ」
川 ゚ -゚)「ちなみに教務課では、ここのアルバイトを募集していることもある」
ξ゚⊿゚)ξ「勿論学生のバイトはウェイトレスオンリー。客も店員も、互いの女装術をチェックし合ってるのよ」
川 ゚ -゚)「余談だが、ツンはこの店にあるスーパージャンボパフェの早食い記録を持っているぞ」
ξ*>⊿<)ξ「も、持ってないもん、そんなのっ!」
75
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:46:46 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「正面に校舎を見たとして、右手側の道を進むと特別棟エリアに着く。わざわざ庭園まで戻らなくてもいいぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「ここには講堂、室内プールといった普通の施設から」
川 ゚ -゚)「パーティーホール、レッスン室、メイク室、録音ブースと、特別棟の名に相応しいものが存在するな」
ξ゚⊿゚)ξ「まずは特別棟に入りましょうか。一階はいきなり、全校生徒を収容できるほどのパーティーホールになっているのよ」
川 ゚ -゚)「パーティーマナーの勉強で使う他、たまに学園行事としてパーティーが開かれたりするな」
ξ゚⊿゚)ξ「年に何度か立食パーティーやら、ダンスパーティーやらが行われるわね」
76
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:47:35 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「君達が一番初めに利用する機会としては、新入生コンテストが上げられるな」
ξ゚⊿゚)ξ「コンテストは基本的に、後で案内するライブ会場でするんだけど、新入生コンテストだけは特別なのよね」
川 ゚ -゚)「後は、学園に金を払えば個人的に誕生日パーティーを開けるぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「かなりの額がかかるから、お金持ちの人しかしないけど」
川 ゚ -゚)「過去には盛大に開いたのに、ほとんど人が入らなかった誕生日パーティーもあったという話だ」
ξ;゚⊿゚)ξ「悲惨過ぎるわよ、それ……」
77
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:49:50 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「二階に上がると、メイク室と録音ブースがある」
ξ゚⊿゚)ξ「メイク室では、女装術でも大切な化粧の勉強をするのよ」
川 ゚ -゚)「新入生の中には、前もって一般的な化粧の知識を得ている人間もいるが、ここで習えるのはそれとは別次元のものだ」
ξ゚⊿゚)ξ「でないと女装術なんて大層な名前はつけられないわね」
川 ゚ -゚)「化粧品は入学時に、学園が基礎化粧セットを渡してくれるから、慣れるまではそれを使うことになる」
ξ゚⊿゚)ξ「こなれてくるとみんな自分で必要なものを足したり、相性の良いものに替えたりするの」
川 ゚ -゚)「購買部では女装術向きの化粧品を、安く雑多に取り扱っているから覗いてみるといい」
ξ゚⊿゚)ξ「録音ブースはその名の通り、自分の声を録音できるわ」
川 ゚ -゚)「女装術の一つ、女装声を出せているのか確認するためだな」
ξ゚⊿゚)ξ「身形が女性なのに、声が男性のままだと意味がないからね」
78
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:51:10 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「三階は特別棟でもっとも利用頻度の高いレッスン室だ」
ξ゚⊿゚)ξ「主に身体を動かす授業で使うわ。壁がガラス張りになっていて、自分の動きを常にチェックできるの」
川 ゚ -゚)「歩き方一つとっても、歩幅、手の振り、膝の曲げ方、腰の位置等々、男と女はまるで違うのだぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「他にも演技の練習やダンスレッスンもあるわね。芸能関係を目指している人には特に重要な授業よ」
79
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:52:24 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「次は特別棟の横にある室内プールね。体育の授業は勿論だけど、何よりも水着で女装する訓練に使うわ」
川 ゚ -゚)「女装術を身につければ、この様にビキニ姿になっても男性だと気付かれることはないぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「一年生のうちに、女装プロフィールでバストを大きく申請している人は、ここに来てその大変さを思い知ることになるのよねえ」
川 ゚ -゚)「ああ、まだ女装に慣れていない頃のあれは悲惨だな。毎年クラスに一人は出るらしいが」
ξ゚⊿゚)ξ「私達は成長期なんだから焦らずに、胸は少しづつ大きくしていきましょうってことよ」
80
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:53:53 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「さて、この特別棟から進める道は三つある。左の校舎、左下の庭園、そして左上のライブ会場だ」
ξ゚⊿゚)ξ「マップを見てもらえれば分かるけど、この学園の主要施設は四辺形になっていて、中央に校舎が位置する形なの」
ライブ会場
寮 校舎 特別棟
庭園
川 ゚ -゚)「ではライブ会場へ向かおうか。そろそろコンテストの開催時間だから、今頃盛り上がっているぞ」
81
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:54:51 ID:VwfIGQ1IO
ミセ*゚ー゚)リ「全国のミセトソファンのみんなー! 今日も私達に会いに来てくれてありがとー!」
(゚、゚トソン「別にボクらに会いに来たわけではないだろうに」
ミセ*゚ー゚)リ「コンテストの司会進行を務めるのは、みんな大好きミセリンと!」
(゚、゚トソン「みんなのことが大嫌いなトソトソだよ。これも仕事だからね、甚だ不本意だけど、キミ達がトソトソと呼ぶのを許可してあげるよ」
ミセ*゚∀゚)リ「トソトソったら、みんなの前だからって照れちゃって! 可愛いなーもー!」
(゚、゚;トソン「誰が照れてなどいるか! ええい、ボクににじり寄るな!」
川 ゚ -゚)「ここがライブ会場だ。舞台の上で騒いでるのは学園名物のミセトソ先輩だな」
ξ゚⊿゚)ξ「コンテストというのは学園が定める行事の一種で、女装術のテストの場でもあるの」
82
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:56:38 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「コンテスト毎の題材に沿ったパフォーマンスを披露して、最も優れた者がグランプリを受賞する」
ξ゚⊿゚)ξ「優勝すると、そのコンテストの記章がもらえるのよ」
川 ゚ -゚)「記章持ちは生徒から憧憬のまなざしを受けると共に、女装関連の就職には大いに役立つそうだ」
ξ゚⊿゚)ξ「大半のコンテストでは上級生とも競うことになるけど、この学園に入学したからには一つでもより多く出るべきね」
川 ゚ -゚)「ちなみに司会進行も教務課で受けられるバイトだ。大半は実力のある生徒にしか回ってこないがな」
ミセ*゚ー゚)リ「おやおやー? なんだかミセリン、今どこかで褒められちゃった気がするよ!」
(゚、゚トソン「フンッ、キミのことを褒める人間なんて、キミの両親ぐらいだろうさ」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、パパとママがオープンキャンパスに来てるってこと?」
(゚、゚;トソン「ただの皮肉だよ、わかれよ! オープンキャンパスに来る親がどこにいるのさ!」
.
83
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:58:30 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「最後に案内するのは私達の寄宿舎、学生寮ね」
川 ゚ -゚)「元々ホテルだった建物を改装しただけだから、ほぼホテルだな。どちらかというと横に大きいタイプだ」
ξ゚⊿゚)ξ「一部家庭の事情や仕事の都合で寮に住めない子もいるけど、基本的にウチは全寮制だから、みんな寮で暮らしているのよ」
川 ゚ -゚)「入ってすぐはロビーだな。共用のパソコンが六台に、トランプやらボードゲームやら多人数で遊べる物が置いてある」
ξ゚⊿゚)ξ「夕食の前後や大浴場を利用した後なんかは、みんなで集まって談笑していることも多いわね」
川 ゚ -゚)「羽目を外して騒ぎ過ぎると、寮の管理人のつー先生から零距離ソバットが飛んで来るので要注意だ」
ξ;-⊿-)ξ「今は卒業していないけど、去年三年生だったとある先輩がロビーで花火大会とかいう、頭のおかしなことをやりだしてね」
川;゚ -゚)「あの時のつー先生の形相と、先輩方の死々累々とした惨状は思い出したくないな……」
84
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:02:38 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「続いて食堂ね。定められた時間に学生証を持って来れば、朝夕は無料で食事ができるわ」
川 ゚ -゚)「朝は大したことないが、夕食はちゃんとした料理人が作ってくれるので、出来るだけ顔を出したいな」
ξ゚⊿゚)ξ「一応格部屋にも簡易キッチンがあるから、自炊する人もいるみたいだけどね」
川 ゚ -゚)「私もツンも、昼の弁当なんかはよく自分で作ってるぞ」
85
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:04:11 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「あのさ、良かったら今度クーの分も、お弁当作ってあげよっか?」
川;゚ -゚)「えっ!?」
ξ////)ξ「ま、まあ、別に一人分も二人分も手間は大した変らないから、それだけだから!」
川;゚ -゚)「あ、ああ、その時は是非とも男の状態で調理してくれ。いや、して下さいお願いします!」
川 ゚ -゚)(説明しよう! ツンは男の状態と女装時では、料理の腕に雲泥の差があるのだ)
川 ゚ -゚)「正しくは雲泥というより、雲毒ぐらいの差かな」
ξ゚⊿゚)ξ「なにかいった?」
川;゚ -゚)「な、なんでもないでござる!」
86
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:05:08 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「さてと、次は大浴場ね!」
川 ゚ -゚)「格部屋にもユニットバスは存在するが、やはりこちらを利用する生徒が大多数だろう」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、なにがウチの寮らしいかといえば、女装したまま入って来る人がいるのよね」
川 ゚ -゚)「女装師が女装師の裸を見てどうこうなど、基本有り得ないことだが」
ξ*゚⊿゚)ξ「クスクス、慣れてない新一年生とかが、のぼせちゃったりするのよねー」
川 ゚ -゚)「男と男の裸の付き合いなんだから、そうも意識することないだろうに」
ξ゚⊿゚)ξ「上級生の中には、そういう反応が楽しくてわざと女装する人もいるのよね」
87
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:06:36 ID:E288Tg7UO
川*゚ ー゚)「遂にやってきました、女装っ子達の秘密の花園! 耽美で美しく可憐で背徳な世界が、今目の前に」
ξ゚⊿゚)ξ「盛り上げてみても、結局ただの寮室なんだけどね」
川*゚ ー゚)「私個人としてはフェム×フェムが至高だと思っている! だがフェムタチ×ボイネコというのも」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと、帰ってきなさいよっ!」
川 ゚ -゚)「……はっ!? 失礼、いささか取り乱してしまったようだ。言葉の意味がわからなかった子は、絶対に調べてはいけないぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「取り乱したというより、素が出たって感じだったけど――」
川 ゚ -゚)「さてさて! 気を取り直して部屋の紹介をしようか。見ての通り、寮の部屋は二人部屋になっている」
ξ゚⊿゚)ξ「1Kで、入ってすぐにキッチンとユニットバス。奥に進むと9畳の洋室、バルコニーがあるわね」
川 ゚ -゚)「キッチンにはシンクに電気コンロや冷蔵庫、電子レンジにポットなど必要なものがおいてあるぞ」
88
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:08:27 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「洋室にはテレビとエアコン、二つベッドがある以外は特に何もないわね」
川 ゚ -゚)「この状態から部屋の二人で話し合って、調度品なんかを決めていくことになる」
ξ゚⊿゚)ξ「私達の部屋なんかだと、ダマスク織のクロスをかけた丸テーブルに」
川 ゚ -゚)「小型のシャンデリアなどが目に付くだろう」
川 ゚ -゚)「先に二人部屋だと話したが、これは入学時に学園側で組み合わせを決められる」
ξ゚⊿゚)ξ「基本的に同学年と相部屋になるわ。ただ互いが同意の上で、年度末に届出れば好きな人と同じ部屋になれるの」
川 ゚ -゚)「先輩後輩問わずな。とはいえ、三年間を同じ相手と暮らす者の方が圧倒的に多い」
ξ゚⊿゚)ξ「部屋が一緒だと、ある種の信頼関係が生まれるのよね」
川 ゚ -゚)「風邪を引いた時に看病してもらうと、こいつと同室で良かったと思ったりな」
89
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:10:52 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「これでオープンキャンパスは終了だ。ここに入学する者とは、また会う機会もあるだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「ではその日までごきげんよう」
川 ゚ -゚)「案内役を務めさせてもらったのは二年、素直クール改め――」
('A`)「ドクオと」
ξ゚⊿゚)ξ「同じく二年、ツンデレ改め――」
( ^ω^)「内藤ホライゾンだお」
('A`)「じゃあな、また会える日を楽しみにしてるぜ!」
90
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:24:23 ID:E288Tg7UO
以上で投下終了です
お付き合い頂きありがとうございました
o川*゚ー゚)o「ここから先は出番の少ないきゅーきゅーキュートちゃんが乗っ取ったのだ☆ばっきゅ〜ん!」
o川*゚ー゚)o「あっ、きゅーきゅーキュートちゃんは実在のMF文庫Jとは何の関係もありませんの! ふう、危ないところだったねー」
o川*゚ー゚)o「作者がきゅーきゅーよりでこ○んのが好きとかわけわかめなことを申しておりますが撲殺ッ!」
o川*゚ー゚)o「えー、もうキュートの出番終わり? 遊び足りないのにー!」
o川*゚ー゚)o「次回は少しだけキュートの出番もあるから、みんなそれまでは可愛いキュートと夢の中でしか会えないけどガマンしてねー」
o川*゚ー゚)o「それじゃあ、またね☆」
91
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:26:01 ID:FrZUENr2O
この学校に入学してぇ…
92
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:38:04 ID:E288Tg7UO
>>91
女装師の世界へようこそ
93
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:46:13 ID:FrZUENr2O
>>92
立派な女装師になりますわ!
ってか、キューちゃんきたあああああ!大好きだ、キューちゃん!結婚してくれ!次回の投下いつですか、全裸待機してまってます!
94
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 01:05:00 ID:E288Tg7UO
>>93
(-_-)「はう? あっ、うん、ありがとう。僕も好き、だよ? でも男同士は結婚できないから……ごめんね」
では私も全裸で執筆します
次回は明日、というよりもはや今日ですが適当に今日の夜にでも
95
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 14:09:19 ID:KZQ1DzCM0
水着でも男とバレない女装師のスキルまじぱねぇ
96
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 18:10:34 ID:FrZUENr2O
>>94
性別なんて関係ねぇえ!
結婚してくれ!
という訳で、全裸待機しながら支援絵
キューちゃんも可愛いけど、ヒッキーの方が可愛いと思うのは俺だけじゃないはず
http://g2.upup.be/f/r/kCnR7h5RJc.jpg?guid=ON
97
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:30:52 ID:E288Tg7UO
>>96
うおー支援絵ありがとうございます
まさか今後出番の予定が立ってないヒッキーでしかも可愛いとは
今回は夏休み期間の話になります
98
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:33:33 ID:E288Tg7UO
【幼馴染みからのプレゼント】
从 ゚∀从「あー、うー、だー、むー……はにゃはにゃっ!」
川 ゚ -゚)「どうした、暑さのあまりバグったか」
从 ゚∀从「いえ、なんというか、夏休みなのに暇を持て余してるという、悲しい現状をなんとか打破できないかと」
川 ゚ -゚)「ハインは他の者のように実家には帰省しないのか?」
从 ゚∀从「それが、実は俺の家って都心の方なんすよ。電車で一時間ぐらいで帰れるんで、ちょくちょく顔出してるんですよね」
99
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:35:43 ID:E288Tg7UO
从 ゚∀从「クーさんは帰省しないんですか?」
川 ゚ -゚)「私か、私はまあなんだ、ちょっと色々あってな」
从 ゚∀从「そうですか。しかし、寮に人気がないとなんか寂しいですよねー」
川 ゚ -゚)「……ハイン、暇だったら今日は私とデートしよう」
从 ゚∀从「ほえっ? クーさんとデートですか!?」
川 ゚ -゚)「もちろんハインが嫌じゃなければだが」
从 ゚∀从「嫌だなんて滅相もないっす。すぐ着替えてきますから待っててくださいねー!」
川 ゚ ー゚)「ふふ、慌しいやつだな」
川 - 、-)「……実家、か」
.
100
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:37:45 ID:E288Tg7UO
从 ゚∀从「えっと、ここは、なんでせう」
川 ゚ -゚)「歌舞伎の劇場だ。さすがに私達ぐらいの年齢だと、見たことないのが普通か」
从 ゚∀从「歌舞伎っすか。どんな話なんですか」
川 ゚ -゚)「今日見る舞台は、鎌倉三代記といってな」
鎌倉時代の話なんだが、源頼朝が亡くなった後北条時政は、源家をないがしろにして幕府を我が物にしようとしたんだ。
それで遂には時政と、高綱や三浦之助といった有力御家人達による争いは、戦にまで発展した。
そんな中、町人に高綱に似過ぎた男がいると捕らえられた。
その町人、籐三郎は自分は高綱ではないとなんとか身の潔白を証明するが、高綱と区別するために額に刺青を入れられてしまう。
時政には一つ悩みの種があった。
それは娘の時姫が敵である三浦之助に恋い焦がれて、飛び出してしまったことだ。
そこへ町人籐三郎は、自分が時姫を連れ戻すから成功したら時姫を嫁にくれと言い出す。
時政はそれを承認して、自分の遣いである証拠の短刀を渡した。
川 ゚ -゚)「そして戦場で負傷した三浦之助が、母と時姫がいる我が家に帰還するところからが、今日見る舞台だ」
101
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:40:00 ID:E288Tg7UO
从 ゚∀从「ほえー、歌舞伎って一番最初からはやらないんですね」
川 ゚ -゚)「イヤホンガイドを頼むといいぞ。言い回しや舞台背景など、わかりにくいことを説明してくれるんだ」
(・∀ ・)「お客さん、チケットはお持ちですか?」
川 ゚ -゚)「いえ、一階のちとり席の上手側を二枚頼みたいのですが」
从;゚∀从「一階って一等席ですよね!? うわ、一枚で3DSが買えるような値段じゃないですか!」
川 ゚ -゚)「デートに誘ったのは私だ。だから私が払うから気にするな」
从 ゚∀从「気にしますよ。五千ぐらいしか持ってませんけど、俺――」
川 ゚ -゚)「それは閉まっておけ。ここは年長者として格好をつけさせてくれ、頼むよ」
从 ゚∀从「……わかりました」
102
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:43:33 ID:E288Tg7UO
(・∀ ・)「ごたごたしてるところ悪いけど、今更一階のちとり席なんて取れるわけないでしょ」
川 ゚ -゚)「金はちゃんと正規の値段払うので、そこをなんとかして下さいよ。――あにさん」
(・∀ ・)「おっ、お前、もしかしてドクオか?」
川 ゚ -゚)「……はい」
(・∀ ・)「すぐに裏へ来てくれ! どうしてもお前の力が必要なんだ」
.
103
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:46:45 ID:E288Tg7UO
(-@∀@)「僕が時姫の代役なんて無理ですよ」
(,,゚Д゚)「だがうちで今すぐ女形ができるのは、お前と弟者だけだ」
(´<_` )「俺が三浦之助降りて時姫やるなら、三浦之助は相当な役者じゃないと客も納得しませんよ」
(-@∀@)「でも、僕に三姫なんて――」
(・∀ ・)「ギコさん、大変ですよ!」
(,,゚Д゚)「なんだ大変なことなら既に――」
川 ゚ -゚)「ご無沙汰しております。父上」
(,,゚Д゚)「……ドクオ、か」
104
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:48:40 ID:E288Tg7UO
(´<_` )「おおっ! 渡りに船じゃないか、三浦之助をドクオにやらせれば俺が時姫できるじゃん!」
(-@∀@)「ドクオ君ならお客さんも満足して」
(,,゚Д゚)「ドクオ、お前いったよな。一人前の女になるまで、梨園には足を踏み入れんと」
川 ゚ -゚)「はい、いいました」
(,,゚Д゚)「それでどうした。一人前の女になれたのか、ああ?」
(・∀ ・)「ちょっと待ってくださいよ。今回は俺が引っ張ってきたからで、ドクオはまだ」
(,,゚Д゚)「俺はドクオに聞いてんだ」
川 ゚ -゚)「私は……まだ、女としては半人前がいいところです」
(,,゚Д゚)「ならどうする、男として三浦之助で出るか? それとも自分には関係ないと舞台には立たないか?」
川 ゚ -゚)「私に……、私に、時姫をやらせてください!」
.
105
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:53:51 ID:E288Tg7UO
从 ゚∀从「クーさん……」
川 ゚ -゚)「黙ってるつもりじゃなかったんだが、その、私は歌舞伎の家の一人息子でな」
これでも子供の頃から立ち役――男役のことだが、立ち役の天才と呼ばれていたんだ。
それで幼馴染みに、女形の天才と呼ばれてるやつがいた。
私達はいつか二人で立ち役と女形を極めて、最高の舞台を作ろうと意気込んでいたよ。
そんなある日、私達は鎌倉三代記に出ることになってな。
当時はまだ十四歳だったんだが、主役に大抜擢されたんだ。
私が三浦之助で、あいつが時姫で。
稽古は辛かったが、二人でなら最高の舞台が作れると信じて頑張ったよ。
そして本番当日、歌舞伎座に向かう私達の元へ……暴走したトラックが突っ込んできた。
もう駄目だと思った瞬間、誰かに強く背中を押されて、私は数メートル転がった。
誰が押したかなんて考えるまでもない、私の数メートル後ろでは惨状が広がっていたよ。
川 ゚ -゚)「そしてあいつはそのまま亡くなった」
106
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:56:01 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「その時決めたのさ。あいつが見れなかった分も、俺が……私が、女形の極みを見てやろうと」
从 ゚∀从「クーさん……」
川 - 、-)「少し湿っぽい話になってしまったな」
川 ゚ -゚)「さて、ハインには特別にいい席を取ってもらった。私の女形としての初舞台を是非見届けてほしい」
从 ゚∀从「わかりました。クーさんの最高の女っぷり、見せてもらいますから!」
川 ゚ ー゚)「ああ、楽しみにしておけ!」
.
107
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:58:14 ID:E288Tg7UO
(´<_`;)「うくっ、母上、なぜ私と会ってはもらえないのですか!」
「戦場から逃げ帰って来るような者に合わす顔など、この私は持ちませぬ!」
(´<_` )「母上っ!」
「この障子が私の城郭。その浮ついた魂で、この薄紙一枚の城を破るるものなら、破ってごらんなさい!」
(´<_` )「くっ……、わかりました。私は再び戦場へと参りましょう」
川 ゚ -゚)「お待ち下さい、三浦之助様!」
(´<_` )「時姫、邪魔をするな」
108
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:01:35 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「そのお怪我で戦場へ赴けば、貴方様はもう……。せっかく御会いできたというのに、もう行ってしまわれるというのですか」
(´<_` )「……ああ」
川 ゚ -゚)「私は親に背いてまで貴方様に恋焦がれてしまいました。どうか何卒、私と夫婦の固めを交わして頂きたく」
(´<_` )「お前は時政の娘、なぜ信用することなどできようかっ!」
川 ゚ -゚)「私の心に嘘偽りなどございませぬ! 私は貴方様への想いに、この命すらも捧げましょう!」
(´<_` )「お前を信用することはできぬ! が、病の母への孝行もある。今宵一晩だけ私はここへ泊まるとしよう」
川 ゚ -゚)「……はい、三浦之助様」
.
109
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:04:47 ID:E288Tg7UO
川 - 、-)「三浦之助様……」
( ゚д゚ )「お前、時姫だな」
川 ゚ -゚)「何者です!」
( ゚д゚ )「私は籐三郎と申す。北条時政様の命でお前を迎えに来た」
川 ゚ -゚)「父様の、まさか信じられませぬ!」
( ゚д゚ )「これが証拠の短刀だ」
川;゚ -゚)「あ、ああっ、それは確かに父様の」
( ゚д゚ )「さあ、こちらへ来い。お前は親許へ戻り私の嫁となるだ」
川 ゚ -゚)「そんな!? 嫌です、私は帰りませぬっ!」
110
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:07:00 ID:E288Tg7UO
( ゚д゚ )「いいから来い!」
川;゚ -゚)「きゃっ!」
( ゚д゚ )「うむ、ではいくぞ」
川 ゚ -゚)「……お待ち下さい。私はか弱い娘ではございますが、この位置からならば貴方を刺すことぐらいはできます」
(;゚д゚ )「それは、私の短刀っ!? いつの間に!」
川 ゚ -゚)「三浦之助様への想いがあらば、私は人を刺すことすら厭いませぬ。どうか御引き取りを」
( ゚д゚ )「くうっ、致し方あるまい。ここは退かせてもらおう、だが諦めぬからな!」
.
111
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:08:15 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「父様、貴方は私を……」
川 - 、-)「三浦之助様は明日限りの命。疑われても添い遂げられずとも、私が心に決めた夫はただ一人……ならばっ!」
(´<_` )「待て、早まるなっ!」
川 ゚ -゚)「三浦之助様! 出歩かれては、御体に障ります」
(´<_` )「時姫よ、お前は確かにいったな。私の為ならば命を捧げてもよいと」
川 ゚ -゚)「はい、申しました」
(´<_` )「そしてこうもいったな。人を刺すことすら厭わぬと!」
川 ゚ -゚)「聞いて、おられたのですか」
(´<_` )「ならば私への想いの為に――時政を刺せっ!!」
川;゚ -゚)「なっ、何を、おっしゃられるのです! 時政は私の父ですよ!」
(´<_` )「お前が時政を刺すならば、晴れてあの世で夫婦となろう」
川 ゚ -゚)「あ、ああ、三浦之助様……」
112
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:10:15 ID:E288Tg7UO
(´<_` )「さあ、返答はいかに」
川 ゚ -゚)「……わかり、ました。私は、父を……」
(・∀ ・)「なりませぬぞ姫!」
川 ゚ -゚)「貴方は!?」
(・∀ ・)「このようなこともあろうかと、姫を見張らせて頂いておりました」
(´<_`;)「くっ、この身体さえ満足に動けば……!」
(・∀ ・)「三浦之助、よくも姫をっ!! ――がはっ」
( ゚д゚ )「危ないところだったな、三浦之助」
(;・∀ ・)「籐三郎、貴様なぜ……」
( ゚д゚ )「籐三郎? 我が名は高綱だ!」
(;‐∀ ‐)「時政様、を謀った、な…………」
(´<_` )「すまない、高綱殿。助かった」
( ゚д゚ )「気にするな」
113
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:11:59 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「高綱殿とは、これはいったい?」
( ゚д゚ )「時姫よ、先程は失礼したな。我が名は高綱、時政の前では町人籐三郎を演じておる」
(´<_` )「お前は高綱殿へ連れられ時政の元へいき、きゃつを討つのだ」
川 - )「……わかりました。私は、父を、討ちましょう」
J( 'ー`)し「時姫よ」
(´<_` )「母上!? 立ってはなりませぬ」
J( 'ー`)し「私は時姫に話があるのです。時姫よ、お前は三浦之助の為に実の親を討つというのですか」
川 - )「……はい、そして三浦之助様と夫婦になりたく」
114
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:14:10 ID:E288Tg7UO
J( 'ー`)し「そうですか。ならばその短刀、抜き身で見せてごらんなさい」
川 ゚ -゚)「こう、ですか?」
J( 'ー`)し「そうです、決してそのまま動いてはなりませぬよ。――ぐふっ!」
川;゚ -゚)「あ、あああ……」
(´<_`;)「母上! なぜ――」
J( 'ー`)し「ふふ、三浦之助よ、ごほっ! 相手の、親を、殺させ、げほっ! 自分の、親が死ぬのは、悲しむのですか……?」
川;゚ -゚)「母様、母様……!」
J( 'ー`)し「時姫、いえ、私の可愛い娘。息子よ、娘よ、あの世で、三人仲良く、暮らしましょう…………」
(´<_` )「母上えええええええええええ!! くっ、うう……」
115
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:15:50 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「……三浦之助様、もはや私に未練はございませぬ」
(´<_` )「ああ、私もだ」
「私は戦場へ」(´<_` )川 ゚ -゚)「私は父の元へ」
「あの世で夫婦となりましょう」
川 ゚ -゚)(まだまだお前と比べると不格好だけどさ)
川*゚ ー゚)(俺の女っぷり、そっちまで届いてるか? なあ、ダイオード)
.
116
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:22:21 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「はあぁ、久し振りだから存外疲れたな」
从 ゚∀从「お疲れ様です」
川 ゚ -゚)「どうだった、私の初舞台は?」
从 ゚∀从「輝いてましたよ。特に最後の、二人が別々の道へ歩いてくところあるじゃないですか」
从 ゚∀从「好きな人と別れて死ににいくってのに、あの笑顔!」
川 ゚ -゚)「笑顔?」
从 ゚∀从「ええ、悲しみとか喜びとか、色々混ざった切ない笑み! あれはやばかったですね」
川 ゚ -゚)「ふっ、そうか。あいつに助けてもらってるようじゃ、私もまだまだだな」
从 ゚∀从「へっ、助けてって?」
川*゚ ー゚)「んー、秘密だ」
.
117
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:23:41 ID:E288Tg7UO
【モララーのいない昼下がり】
从 ゚∀从「なんていうか、こう、な」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、アレだよね」
从 ゚∀从「ああ、なんていうか」
从 ゚∀从「「モララーがいないと物足りない!」」ζ(゚ー゚*ζ
从 ゚∀从「やっぱりデレもそうか」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーがいないとボケても楽しくないんだよねー」
从 ゚∀从「あー、モララーにセクハラしたい。急に耳へ息吹き掛けたりしたい!」
ζ(゚ー゚*ζ「普段はぐうたらしたいのに、いざとなるとモララーからのお小言がほしい!」
118
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:24:49 ID:E288Tg7UO
(゚、゚トソン「まったくキミ達は、ロビーでだらけられると邪魔なんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「よっ、トソトソじゃん。元気ー?」
(゚、゚;トソン「なぜタメ口なんだ!?」
从 ゚∀从「トソトソ先輩って髪綺麗だね。ふーっ」
(゚、゚;トソン「なぜボクの頭を撫でながら耳に吐息をかける!」
ζ(゚ー゚*ζ「トソトソ先輩、そこは髪型で驚かないと駄目ですよ。(゚、゚ビックリ こんな感じで」
(゚、゚トソン「髪にそんな機能があってたまるかっ!」
119
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:27:43 ID:E288Tg7UO
(゚、゚トソン「ボ、ボクは失礼するよ!」
从 ゚∀从「デレがやり過ぎるから逃げてっちゃったじゃん」
ζ(゚ー゚*ζ「えー、ハインがやり過ぎたんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「先輩で遊ぶのはやめなさいよ」
从 ゚∀从「あっ、ツンさん。遊んでくれるんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「お姉様ー、遊んで遊んでー」
ξ゚⊿゚)ξ「残念だけど、私は今からマリ見て全巻読破にチャレンジするから忙しいの」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあリアルマリ見てやりましょうよ。なんでしたら私は薄い本バージョンでも大丈夫です」
从 ゚∀从「じゃあ俺が魔王役やりますから」
ξ;゚⊿゚)ξ「いないいない、マリ見てに魔王はいない」
从 ゚∀从「ガハハ、よくぞそれに気付いたな勇者ツンよ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「始まった!?」
120
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:29:00 ID:E288Tg7UO
o川*゚ー゚)o「キュートに黙って楽しそうなことをやるなんて許さないゾ☆彡」
ξ゚⊿゚)ξ「キュート、バトンタッチ! 後は任せたからー」
o川*゚ー゚)o「待たせたな、真の勇者キュート参上だ! キラリーン」
ζ(゚ー゚*ζ「それでどうだったー?」
从 ゚∀从「あんまりだったかな。犬は可愛かったけど」
o川*゚ー゚)o「えっと、キュートが参上したんだけど」
从 ゚∀从「友達がいってたんだけどさー」
ζ(゚ー゚*ζ「マジで? 超ウケるんですけどー」
o川*゚ー゚)o「う、うん、超ウケるよねー」
从 ゚∀从「まさか北方領土問題にそんな話があったなんてな」
o川;゚ー゚)o「えっ、そんな話題でウケてたの!?」
121
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:31:43 ID:E288Tg7UO
o川*゚ー゚)o「はうぅ、無視しちゃヤダよぉ……」
从;゚∀从「な、泣きそうにならないでくださいよ。軽い冗談ですから」
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、美味しい飴玉ですよー」
o川*゚ー゚)o「飴玉? もらうー!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、いい子ですね。じゃあもっとお菓子あげますから、お姉さんのお部屋にいきましょうねー」
o川*゚ー゚)o「でも、お菓子あげるって人には着いていくなって、いつもツンがいってるし」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫ですよ、お姉さんは優しい人ですから。さあお部屋でお菓子よりも、もっと甘い甘〜いことしましょうねー」
o川*゚ー゚)o「うー、なんだか怪しい気配! キュートもう帰るから!」
ζ(゚ー゚*ζ「……チッ、逃がしたか」
从 ゚∀从「お前は部屋に連れ込んで、なにをやるつもりだったんだ」
ζ(^ー^*ζ「えっ、聞きたい? 詳しくねっとり聞きたい?」
从 ゚∀从「いや、遠慮つかまつる」
122
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:33:04 ID:E288Tg7UO
( ・∀・)「もう、なに騒いでるのさ」
ζ(゚ー゚*ζ「あっ、モララーだ!」
从*゚∀从「おかえりんこ!」
( ・∀・)「はいはい、ただいまん……」
从 ゚∀从「まん、なんだ? まんの続きは?」
( ・∀・)「よし、ハインへのお土産は鉄拳がいいかな」
从 ゚∀从「おっ、格ゲーか」
( ・∀・)「どちらかというと現実で血が出たりする感じのやつ」
从;゚∀从「はは、勘弁してくださいよー」
123
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:36:59 ID:E288Tg7UO
( ・∀・)「もう、ハインもデレも僕がいない間、誰かに迷惑かけたりしなかった?」
ζ(゚ー゚*ζ「私達凄くいい子にしてたよ!」
从 ゚∀从「そうそう、いい子過ぎて逆に地球がやばいレベルだったな」
( ・∀・)「なにがあれば地球がやばくなるんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、まさかモララーが留守だったせいで、第三次世界大戦が始まるなんてね」
(;・∀・)「それは地球がやばい! ていうかどれだけ僕の存在でかいんだよっ!」
从 ゚∀从「しかし第三次世界大戦終結の理由が、宇宙人襲来だとは思わなかったな」
(;・∀・)「宇宙人来ちゃったの!?」
ζ(゚ー゚*ζ「遠い宇宙の果てから来た彼らが、実は太古に袂を分かった地球人の末裔だったなんて」
从 -∀从「だが俺達は戦いの未来を選んでしまった」
(;・∀・)「ただの宇宙人じゃなくて悲しいストーリーがあったんだ!?」
124
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:39:34 ID:E288Tg7UO
从*゚∀从「んぅー! やっぱりモララーじゃないとな」
ζ(゚ー゚*ζ「なんか物足りないんだよね!」
( -∀-)「どんな歓迎のされ方なのさ。まったく、もう」
( ・∀・)「ただいま」
从*゚∀从「「おかえり!」」ζ(゚ー゚*ζ
.
125
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 21:48:49 ID:E288Tg7UO
以上で投下終了です
お付き合い頂きマジラブ1000%です
o川*゚ー゚)o「そしてここからはキュートターイムっ! キラキラ☆」
o川*゚ー゚)o「えっと、今回はクーちゃんの過去話的な感じの良い話でした」
o川*゚ー゚)o「良い話だけだと物足りないから、物足りないモララーのツッコミが追加されてます」
o川*゚ー゚)o「以上で台本終わり、噛まずにいえたキュートって偉い!」
o川*゚ー゚)o「ところでキュートの過去話回は? えっ、二回目でやった?」
o川*>ー<)o「あんなの二レスだけじゃん! ふこーへーだよっ!」
o川;゚ー゚)o「あっ、ちょっと、まだキュートがしゃべって…………」
終
126
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 22:10:52 ID:G6Nr3Bk.O
面白いなこれwww
127
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 23:40:34 ID:FrZUENr2O
>>1
乙!
キューちゃんの話楽しみにしてる!
128
:
名も無きAAのようです
:2011/10/11(火) 01:29:49 ID:CjIUoGCsO
おおおおお続き待ってたよ!!
129
:
名も無きAAのようです
:2011/10/11(火) 19:11:20 ID:RyiTfXQ2O
クーの話は普通に鎌倉三代記が面白かったという説もあったりなかったり
現在鋭意執筆中でございます
今日はちょっと無理そうですが近日投下できるように頑張ります
130
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:01:20 ID:HBjc8Ci.O
六回目となりました男は可愛く美しくです
今回は九月の話になります
多数登場する新キャラも馬鹿ばっかりですが、秋の夜長に少しお付き合い頂ければと思います
131
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:03:54 ID:HBjc8Ci.O
【馬鹿は馬鹿でも馬鹿正直に馬鹿を貫け】
从 ゚∀从「おとなしくしろよ。暴れたらこの腕、どうなるかわかるだろ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ドロボーか変質者か知らないけど、ハインに見つかったのが運の尽きだったね」
l从・∀・ノ!リ人「先生、こっちです! ハインが取り押さえてます!」
(*゚∀゚)「よおし、うちに来るとは度胸のある変質者じゃねえか! そのツラ拝ませて――」
爪'ー`)y‐「やあ、つー先生。久し振り」
(*゚∀゚)「…………」
132
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:05:27 ID:HBjc8Ci.O
从 ゚∀从「つー先生、もしかして知り合いっすか?」
爪'ー`)y‐「ふっ、知り合いどころか魂の」
(*゚∀゚)「ハイン、今すぐそいつを校門の外へ捨てて来い!」
从 ゚∀从「えっと、いいんですか?」
(*゚∀゚)「そいつは私の知り合いの振りをして助かろうとしている変態だ。だから断じて知り合いじゃねえ!」
爪'ー`)y‐「おや、もう忘れてしまったんですか? あの熱い夜のことを」
(*゚∀゚)「ハイン! 早くゴミ収集車か焼却炉にそいつを叩き込め!」
ξ゚⊿゚)ξ「なんの騒ぎですか?」
爪'ー`)y‐「おっと、可愛い後輩達。こんな姿で失礼するよ」
川 ゚ -゚)「あー、超めんどくさいフォックス先輩じゃないですか」
l从・∀・ノ!リ人「フォックス先輩?」
ξ゚⊿゚)ξ「去年卒業した先輩で、なんていうかちょっと変わった人よ」
.
133
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:07:44 ID:HBjc8Ci.O
爪'ー`)y‐「ふう、久し振りに母校に立ち寄ったら酷い目にあったよ」
川 ゚ -゚)「先輩、お帰りはあちらですよ」
爪'ー`)y‐「ああ、ただいま」
川 ゚ -゚)「いってねえ、おかえりなんていってねえ!」
爪'ー`)y‐「そうだ、ジョナサンは元気してるかい?」
ζ(゚ー゚*ζ「ジョナサンって校長が飼ってるアロワナですよね?」
ξ;-⊿-)ξ「あー、えっと、ジョナサンはね、フォックス先輩がある日突然釣ってきたの」
从 ゚∀从「はあ、アロワナを釣ったんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「本人はそういうんだけど、真偽は知らないわ」
川 ゚ -゚)「しかも、それを水槽がないからと学校のプールで飼い始めたんだ」
爪'ー`)y‐「経済的かと思ったんだけどね、つー先生のフライングニーを食らってしまったよ」
134
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:09:24 ID:HBjc8Ci.O
ξ゚⊿゚)ξ「それで結局処分することになったんだけど、先輩が校長に直談判してね」
川 ゚ -゚)「正しくは執拗な嫌がらせをして、校長がそれに屈して飼うことになったんだ」
爪'ー`)y‐「嫌がらせは酷いな。寝る間も惜しんでアロワナへのラブソングを、毎夜校長の心に響かせ続けただけだよ」
l从・∀・ノ!リ人「とりあえず、非常識な人だというのはわかりました」
爪'ー`)y‐「OK、リトルガール。ならキミにとっての常識とはなんだい?」
l从・∀・ノ!リ人「えっ? 一般の社会人が共通で持つ知識だとか、道徳だとか」
爪'ー`)y‐「道徳か。ならキミにとって、アロワナという生物を助けるために努力することは、道徳に反することかい?」
l从・∀・ノ!リ人「いえ、むしろ道徳的な行為だと思いますけど」
爪'ー`)y‐「つまりはそういうことさ」
l从・∀・ノ!リ人「なんか釈然としない……!」
135
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:11:09 ID:HBjc8Ci.O
(*゚∀゚)「おい小僧。テメェの中じゃ、寮のロビーで花火大会開くのも道徳に基づく行為なのか?」
爪'ー`)y‐「ふっ、誰もが心に翼を持っている。その羽ばたきを止めることは誰にもできないんだ」
(*゚∀゚)「とりあえず一発殴るな」
川 ゚ -゚)「落ち着いてください! 脳には有害ですが、一応まだ何もやっていないはずです、たぶん」
ζ(゚ー゚*ζ「さっきの熱い夜って、花火大会のことだったんだね」
ξ゚⊿゚)ξ「まあそれだけでもないんだけど、先輩のやらかしたことを全部話すと日が暮れるからね」
从 ゚∀从「俺は楽しそうで好きっすけどね、そういうの」
川 ゚ -゚)「ハイン、お前が窓際で授業を受けていたとする」
从 ゚∀从「えっ、はあ、はい」
川 ゚ -゚)「窓の外で、急に上から人が落ちてきたらどう思う?」
从 ゚∀从「ビビりますね。屋上からの飛び降りですか?」
川 ゚ -゚)、ペッ「バンジージャンプごっこだとよっ!」
136
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:13:27 ID:HBjc8Ci.O
爪'ー`)y‐「よし、それでは俺がバンジージャンプへのラブソングを一曲」
(*゚∀゚)「小僧、それで用件はなんだ。意味もなくこれ以上騒ぐつもりなら、こちらにも考えがあるが」
爪'ー`)y‐「……ふと懐かしい風に、足が吹かれてしまいましてね。本当は来るつもりはなかったんですけどね」
(*゚∀゚)「気持ちは分からんじゃないけどな」
爪'ー`)y‐「みんなと馬鹿やって、つー先生に叱られて、ここでの三年間はあまりにも楽しかったですから」
(*゚∀゚)「私もお前がいた三年間は、少なくとも退屈だけはしなかったよ」
爪'ー`)y‐「もう生徒でもないのに、お騒がせしてすみませんでした。……帰ります」
(*゚∀゚)「まあ、気が向いたらまた来い。何年経ってもお前は私の生徒だよ」
爪^ー^)y‐「はい!」
.
137
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:16:41 ID:HBjc8Ci.O
爪'ー`)y‐「そして後輩達よ」
川 ゚ -゚)「せっかく良い話で終われそうだったんだから、帰ればいいじゃないですか」
爪'ー`)y‐「クール、お前は天使の翼に触れたことはあるか?」
川 ゚ -゚)「ねえよ」
爪'ー`)y‐「ひゅ、そういうことだ」
川 ゚ -゚)「人生の限られた時間を浪費したくないので、サクッと本題に入りやがってください」
爪'ー`)y‐「俺がいいたいのは、今度は本当にそういうことだ。人の人生は短い、学生でいられる期間なんてもっとだ」
l从・∀・ノ!リ人「それはそうですね。ただでさえ人は一生の三分の一程度を寝て過ごしますし」
爪'ー`)y‐「だからこそ若いうちは自制なんてせず、やりたい放題好きにやれ!」
爪'ー`)y‐「世界は自分を中心になど回っていない。ならば少なくとも自分の人生は自分中心で回してやれ!」
爪'ー`)y‐「桜の花びらの寿命のように短い学生という身分だ。せいぜい精一杯馬鹿やって死ぬ気で楽しめ! 以上だ」
爪'ー`)y‐「じゃあ、会える日があったらまたな」
.
138
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:18:37 ID:HBjc8Ci.O
川 ゚ -゚)「まったく騒々しい」
ξ゚⊿゚)ξ「私はいうほど嫌いじゃないけどね。自分では思いもつかない馬鹿なことをやってくれるのが、どこか少し壮快だったから」
川 ゚ -゚)「私も別に嫌いというわけじゃない。先輩より学生生活を楽しんでた人は、見たことないしな」
ζ(゚ー゚*ζ「あの、去年卒業ということは未成年ですよね? 火は着いていませんでしたけど、煙草くわえてませんでした?」
川 ゚ -゚)「あの人はこの学園の入試に一度落ちて、ダブっているんだ」
从 ゚∀从「うちの入試って、義務教育を普通に受けてれば普通に受かるやつですよね?」
ξ゚⊿゚)ξ「……ええ、その通りよ。なんでも入試で落ちたことあるのは、学園創立以来フォックス先輩だけだとか」
l从・∀・;ノ!リ人「馬鹿なのは結局本当に馬鹿なんじゃないですかっ!」
川 ゚ -゚)「確かに馬鹿だが、学生の内は頭でっかちになるより、少しぐらい馬鹿な方が人生楽しめるのかもな」
川 ゚ ー゚)「あくまで少しぐらいは、だがな」
.
139
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:21:15 ID:HBjc8Ci.O
【雨の中、僕は傘も差さずに踊っていたい】
( ・∀・)「はあ、もう少し待ってくれたら良かったのに」
学園の校門をくぐり、寮への帰路を急ぐ中、僕は夕立に遭遇した。
買ってきた本が濡れると嫌だったので、否応なく庭園の木陰で雨宿りを強いられる。
( ・∀・)「…………」
休みなく降り頻る雨で、庭園に咲き誇る草花達の花弁はしとどになる。
水滴の重量で頭を下げる彼等は、僕の気分を代弁してくれているように見えた。
140
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:24:10 ID:HBjc8Ci.O
( ・∀・)「んっ、この甘い匂いは……」
('、`*川「金木犀の花の香りね」
(;・∀・)「うわっ!?」
('、`*川「くすくす、どうしたの? 幽霊でも見たかのような顔をして」
( ・∀・)「い、いえ、すみません」
どうやらこの木陰には先客がいたようだ。
しかし全く気配を感じさせずに、突然隣りに立っているのだから驚いた。
('、`*川「…………」
烏の濡れ羽色とでもいうのだろうか、見ていると吸い込まれそうなストレートロングの黒髪。
紅く艶やかな唇は、化粧慣れしている僕でも、リップなのか素であの色なのか判断がつかない。
こんなに特徴的な人がいたら、例え先輩だろうと覚えていそうなものだけど、全く見覚えがなかった。
141
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:26:32 ID:HBjc8Ci.O
( ・∀・)「……早くやまないかな」
('、`*川「きみは雨、嫌い?」
( ・∀・)「普段は特別どうこう思いませんけど、足止めされるのはちょっと」
('、`*川「私は好きよ。この水の降る優しい音も、ゆっくりと流れていく時間も」
( ・∀・)「そう、ですね」
名前も知らない彼女の言葉で、不思議とささくれていた心が落ち着く。
確かに耳に届く雨音は心地よいし、花を眺めながら穏やかに過ぎる時間はさほど悪いものではない。
現代人は生き急いでいると聞くが、僕もその中の一人だったのかもしれない。
142
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:28:25 ID:HBjc8Ci.O
('、`*川「それに、雨のおかげで素敵な出会いだってあるから」
( ・∀・)「素敵な出会いですか?」
('、`*川「今日ここで雨が降らなければ、私達は互いに一生見知らぬままだったかもしれない」
('、`*川「そう思えば、これって素敵な出会いじゃないかな」
( ・∀・)「そうかもしれませんね」
('、`*川「だから今日は雨に感謝しないと。ほら、きみも」
( ・∀・)「僕もですか? わかりましたよ」
さっきまで雨に苛ついていた僕が、感謝なんかしている。
この行為を滑稽に思わせないのが、彼女の魅了なのかもしれない。
143
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:30:15 ID:HBjc8Ci.O
('、`*川「金木犀の花言葉って知ってる?」
( ・∀・)「ええ、確か謙遜、真実、陶酔」
('、`*川「そして、……初恋。きみは恋ってしたことある?」
( ・∀・)「恋ですか、難しい問題ですね。僕はあまりそういうことを意識したことがないので」
('、`*川「そっか」
( ・∀・)「あの、貴方は……」
('、`*川「うん?」
( ・∀・)「貴方は、恋をしたことがあるんですか?」
自分でも、なぜこんなことを問うのか分からない。
他人には深く踏み込まないのを信条に生きて来た、特にこの学園には色々と問題を抱えている人も多いから。
見知らぬ他人という距離が大胆にさせたのか、それとも感傷的な場の雰囲気に流されたのか。
144
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:35:22 ID:HBjc8Ci.O
('、`*川「してるよ。……ううん、正しくはしてた、かな」
( ・∀・)「そうですか」
('、`*川「告白しようと思って呼び出したことがあるんだけどね、すっぽかされちゃった」
( ・∀・)「…………」
('、`*川「待ち合わせ場所で、馬鹿みたいに何時間も待ってね。そういえば、あの日も雨だったなぁ……」
('、`*川「結局酷い風邪を引いて病院送りになってるんだから、ほんと馬鹿だよね」
( ・∀・)「……僕は、今まで自分から馬鹿をやったことがありません」
友人に巻き込まれたことはある、だが自分からやるのはまた別だ。
('、`*川「普通はそうじゃないかな」
( ・∀・)「でも、ある先輩に教えてもらいました。一歩を踏み出して、馬鹿なことをやらなければ分からないこともあるって」
僕は一歩を踏み出す。
僕にとっての常識の中から。
雨を防いでくれている木陰から。
145
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:37:38 ID:HBjc8Ci.O
('、`*川「冷たくないの?」
( ・∀・)「冷たいですよ」
夏は遠い昔に過ぎ去って今は秋、雨に濡れようものならたちまち体温は奪われる。
(* ・∀・)「だけど、愉快です。濡れるのが嫌で雨宿りしてたくせに何やってんだよ、と思ったら笑えてきます」
実際に濡れて見なければ雨の冷たさも、肌に張り付く服の不快感も、草花達の気持ちも分からない。
( ・∀・)「ほら、いうじゃないですか。雨の中、傘を差さずに踊る者がいてもいいと」
('、`*川「……馬鹿だねぇ」
( ・∀・)「馬鹿やってますからね!」
('、`*川「でも、なんか楽しそうだね。雨宿りしてる方が馬鹿みたいだよ」
( ・∀・)「なんでしたら、一緒に踊りますか?」
('、`*川「うん!」
僕達は雨の中、手を取り合って傘も差さずに踊る。
最初から傘なんて持っていないが、どちらにせよこうやって両手が塞がっていたんじゃ使いようがない。
146
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:40:47 ID:HBjc8Ci.O
父に連れられて出る社交界は好きじゃなかったが、今だけは彼女をリードできることに感謝しておく。
( ・∀・)「……終わり、ですね」
ダンスに区切りが着くと同時に、見計らったように雨がやみ始める。
('、`*川「楽しかった」
( ・∀・)「僕もですよ」
('、`*川「雨の中、傘を差さずに踊るのも悪くないね。……きみのおかげで、前に進むことを思い出したよ」
( ・∀・)「僕は一歩を踏み出すきっかけを、貴方にもらいました」
('、`*川「それじゃあ、じゃあね」
( ・∀・)「ええ、さようなら」
心地よい体温を共有していた互いの手が、そっと離れた。
.
147
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:42:11 ID:HBjc8Ci.O
( ゚∀゚)「おーい、モララー!」
( ・∀・)「ジョルジュも出かけてたんだ」
( ゚∀゚)「いやいや、そんなことよりなんでずぶ濡れになってんだよ」
( ・∀・)「傘を忘れたからかな」
( ゚∀゚)「だったらどっかで雨宿りでもすればいいじゃん」
( ・∀・)「んー……」
先程まで近くにいたはずの彼女の姿は、もうどこにも見当たらなかった。
以前に、デレからこんな話を聞いたことがある。
金木犀の咲く季節、庭園の木陰で雨宿りをしていると出るって。
148
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:44:43 ID:HBjc8Ci.O
( ・∀・)「いつまでも雨宿りをして、雨が過ぎるのを待つなんてつまらないよ」
(;゚∀゚)「はあ?」
( ・∀・)「僕はじっと待っているぐらいなら、雨の中で踊りたいかな」
( ゚∀゚)「お前はストリート生まれヒップホップ育ちか!」
(* ・∀・)「たまにはそういう気分のときもあるってこと」
見上げた空には、綺麗な虹のアーチが掛かっていた。
.
149
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:47:14 ID:HBjc8Ci.O
【今日は生徒会のご機嫌なメンバーを紹介するぜ byシュール】
从´ヮ`从ト「ねーねー、ヒートちゃんってば」
ノパ⊿゚)「実家から菓子が送られて来たのは分かりましたから、次の仕事をしてください」
从´ヮ`从ト「えー? でも凄く美味しいよ、このもなか。休憩にしようよぉ」
ノパ⊿゚)「私は生徒の見本となる生徒会の副会長です。サボるわけにはいきません」
从´ヮ`从ト「でも生徒会長の私がサボってるんだから、副会長もサボったっていいよ」
ノパ⊿゚)「……だから、あんたも仕事しろっていってんだろうがあああ!!」
从´ヮ`从ト「ヒートちゃんも緑茶でいいよね?」
ノハ;゚⊿゚)「話を聞けええええええぇぇ!!」
.
150
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:49:31 ID:HBjc8Ci.O
从´ヮ`从ト「なんだかんだいっても、人間そんな真面目ばかりもできないと私は思うんだよね」
ノパ⊿゚)「……はあ」
从´ヮ`从ト「のんびりお茶飲んで、お菓子を食べる時間も必要なんじゃないかなって」
ノパ⊿゚)「たまになら私も文句いいませんよ。たまにならね」
从´ヮ`从ト「ほらヒートちゃん、あーん」
ノハ-⊿-)「……あーん。むぐむぐ、まあ確かに美味しいですけどね」
从´ヮ`从ト「はい、お茶……わわっ!?」
ノハ;゚⊿゚)「うわっと、いっつ!」
从;´ヮ`从ト「ごめんヒートちゃん、大丈夫!?」
ノパ⊿゚)「ええまあ、お茶は回避しましたから。そんときに指を少し打っちゃいましたけど」
从;´ヮ`从ト「うう、血が滲んでる」
ノパ⊿゚)「こんなもん舐めとけば治りますよ」
从´ヮ`从ト「うん、分かった。私、誠心誠意を持って舐めるね!」
ノハ;゚⊿゚)「どこからそんな話が出て来たあああああああああ!!」
151
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 21:51:29 ID:HBjc8Ci.O
从´ヮ`从ト「はむっ。動かふぁいで、ひっかり舐められないよぉ」
ノハ////)「だから、舐めなくていいって……」
lw´‐ _‐ノv「…………」
ノハ////)「…………」
lw´‐ _‐ノv「…………」
ノパ⊿゚)「…………」
从´ヮ`从ト「ちゅぱ、ちゅぱ」
ノハ;゚⊿゚)「シュ、シュール? 違うんだよ。これは――」
lw´‐ _‐ノv「静かに。今いい絵が撮れてるから」
ノパ⊿゚)「撮ってんじゃねえよおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」
川д川「……あの、シュールさん。私のこと、忘れて……」
152
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 22:04:26 ID:HBjc8Ci.O
以上で投下終了です
お付き合い頂きありがとうございました
o川*゚ー゚)o「そしてここからはキュートの――」
爪'ー`)y‐「鳥は翼があるから空を飛ぶ、魚はひれがあるから泳ぐ。なら人間はなんだ?」
o川;゚ー゚)o「はうっ!? ここはキュート専用コーナーなのに変質者が!」
爪'ー`)y‐「その通り、人間は心があるから歌うのさ」
o川*゚ー゚)o「やばい、キュートちゃんよりも人の話を聞かないタイプだ!」
爪'ー`)y‐「今回はフォックスの哲学回。フォックスがモララーへの成長を促した回。そして指○ェラ回だな」
o川;゚ー゚)o「しかもこの人本当に変質者だっ!」
爪'ー`)y‐「どこかで運命が交差するなら、また会おうぜ」
o川*>ー<)o「はうぅ、キュートろくにしゃべれなかったし!」
153
:
名も無きAAのようです
:2011/10/13(木) 23:02:24 ID:BfgHh/NcO
貞子だと…!?
一体だれが貞子の本当の姿なんだ…!
154
:
名も無きAAのようです
:2011/10/14(金) 18:01:38 ID:5lAslo2EO
生徒指導のフォックス思い出した
155
:
名も無きAAのようです
:2011/10/14(金) 20:14:23 ID:Z8OrA9gYO
確かに似通ってますね、一応ここで謝辞を
次回は学園祭の話になる予定です
次も近日中に、といければいいのですがとにかく早く投下できるように頑張ります
156
:
名も無きAAのようです
:2011/10/15(土) 04:12:27 ID:n1EyagiE0
おつ
次も楽しみにしてるぜ
157
:
名も無きAAのようです
:2011/10/20(木) 21:36:09 ID:Ea5nAA3YO
こっち来たのか、乙
毎度ながら百合百合した絡みでテンション上がりかけるも中身が頭をよぎって複雑な気分になるという
158
:
名も無きAAのようです
:2011/10/25(火) 22:02:18 ID:4NijkAnUO
中耳炎やらかしまして耳いたいよぉぉぉ!となって少し時間が空いてしまいましたが
できれば今週中、遅くとも日曜日には投下したいと思います
159
:
名も無きAAのようです
:2011/10/27(木) 11:39:16 ID:wbHusQoMO
投下は嬉しいがお大事に
160
:
名も無きAAのようです
:2011/10/30(日) 23:59:59 ID:r6Ax4QQoO
第七回目となりました男は可愛く美しくです
今回は十月の話で、予告通り学園祭の話を含めてやらせて頂きたいと思います
161
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:01:57 ID:tQ3m25.2O
【メイド イン ハイン】
ζ(゚ー゚*ζ「最近ジョルジュがバイトを始めたって本当?」
( ・∀・)「うん、外の喫茶店で働いているらしいよ」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーは、どこで働いてるか知ってるの?」
( ・∀・)「一応勤務先の住所なら知っているけど」
ζ(゚ー゚*ζ「それなら話は早いね。では早速ジョルジュの働き振りを見にいこっ!」
( ・∀・)「たぶん嫌がると思うよ? あっ、ちょっと、引っ張らないで……!」
.
162
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:03:44 ID:tQ3m25.2O
(;・∀・)「ここで、間違ないはずなんだけど……」
ζ(゚ー゚*ζ「こちら蛇、これより潜入を開始する!」
从 ゚∀从「おかえりなさいませ、御主人さ……」
( ・∀・)「や、やあ」
ζ(゚ー゚*ζ「うむ、今帰ったぞよ!」
从 ゚∀从「おい、なにしに来やがった」
ζ(゚ー゚*ζ「ちみ、お嬢様に向かってその態度はないんじゃないかな?」
从 ゚∀从「おかえりくださいませ、お嬢様」
ζ(゚ー゚*ζ「おかえりなさいませ、の間違いだよね?」
从 ゚∀从「本日は血祭りデーとなっております。オムライスにテメェの血で絵を描いてやっから、中に入るなら覚悟を持ってお進みください!」
ζ(゚ー゚;ζ「怖っ! かつてないサービス!」
从 ゚∀从「うちはサービスの高さが売りですから。リアルに出血大サービスです」
イ从゚ ー゚ノi、「……ハイン……遊んでないで働く……」
从;゚∀从「いえ、別に遊んでるわけじゃなくてですね。あーもう! 御主人様とお嬢様の二名ですね、お席へ案内させて頂きます」
ζ(゚ー゚*ζ「初めから素直に接客すれば早かったのにね」
从 ゚∀从「……お前ら、後で覚えてろよ」
(;・∀・)「そこはやっぱり僕も含まれるんだ」
.
163
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:05:36 ID:tQ3m25.2O
( ・∀・)「カウンター席しかないんだね」
ζ(゚ー゚*ζ「なんていうか思ってたより普通だねー」
从 ゚∀从「うちでは基本的に飲食店以上のことはやってませんから。話し掛けて頂ければ、もちろんそれに答えたりはしますが」
( ・∀・)「最初にいってたけど、オムライスに絵を描いたりとかは?」
从 ゚∀从「もちろん絵を描いたりなど、ご注文の品に対するサービスはしますよ」
ζ(>ー<*ζ「……ぷっ、くふふ。ハインが私達に敬語使ってるとか、うくふふ」
( ・∀・)「わ、笑っちゃ駄目だよ! 向こうはお仕事なんだから」
ζ(゚ー゚*ζ「っ、分かってるけど分かってるけど、こんな方向のギャグはずるいって……!」
从 ゚∀从「他のお客様の迷惑にならない程度でしたらどうぞ、笑えよデレ」
(;・∀・)「ほら、ハインがセルみたいになったじゃないか!」
ζ(゚ー゚*ζ「見た目はキタローみたいなのにね」
164
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:08:25 ID:tQ3m25.2O
从 -∀从「……それでご注文はいかがなされやがりますか?」
(;・∀・)「どこかで見たことあるような敬語になってるし、これ以上刺激しちゃ駄目だよ」
ζ(゚ー゚*ζ「えー、仕方ないなあ。んっと、モララーはガッツリいく派?」
( ・∀・)「軽食程度なら食べられるかな」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあここはせっかくだからオムライスにしとく?」
( ・∀・)「そうだね、それが一番記念になりそうだ」
ζ(゚ー゚*ζ「おいキタロー、萌え萌えオムライス二つじゃ」(裏声)
从 ゚∀从「誰がっ、……萌え萌えオムライス二つですね、かしこまりました」
ζ(>ー<*ζ「ぷっ、くっ、ハインが萌え萌えだって!」
(;・∀・)「だからあんまり刺激しちゃ駄目だってば!」
.
165
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:10:14 ID:tQ3m25.2O
从 ゚∀从「萌え萌えオムライス二つです。何をお描きしましょうか」
( ・∀・)「なんでもいいの?」
从 ゚∀从「あまり複雑じゃない、私に描ける範囲のものでしたら」
(* ・∀・)「ならね、僕はニンジンの絵がいいな」
从 ゚∀从「相変わらずニンジン大好きだな。それぐらいでしたら、よっと」
( ・∀・)「ハインって絵が上手なんだね」
从 ゚∀从「まあそれなりには。それでお嬢様は?」
ζ(゚ー゚*ζ「あんまり複雑なのはできないんだよね。なら私は冨嶽三十六景、礫川雪ノ旦がいいな」
(;・∀・)「まさかの葛飾北斎! しかも高波で有名な神奈川沖浪裏ではなく、唯一の雪景色を描いた礫川雪ノ旦を持ってくるとは!」
从 ゚∀从「まあそれぐらいでしたら」
(;・∀・)「しかも描けるの!? 真っ赤なケチャップで淡く降り積もる雪を表現できるのっ!?」
从 ゚∀从「こんな感じですかね」
(;・∀・)「やべえええええ!! 雪どころか女性が指差す先で飛ぶ、三羽の鳥が表す空の広さを表現できてるし、これ博物館に送るレベルだよっ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「私、グチャグチャに混ぜるタイプなんだよねー」
(;・∀・)「うわああああ!? それをなんか残念そうな子がグチャグチャにしたああああああ!!」
从 ゚∀从「御主人様、店内ではお静かにお願いします」
(;・∀・)「ええっ、僕が悪いの!?」
.
166
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:11:31 ID:tQ3m25.2O
イ从゚ ー゚ノi、「……ハイン……まずいことになった……」
从 ゚∀从「どうしたんですか?」
イ从゚ ー゚ノi、「店長が……車で事故って……来られない……」
从;゚∀从「事故って、大丈夫なんですか?」
イ从゚ ー゚ノi、「大丈夫……怪我はない……でも念の為……病院で検査して来るって……」
从 ゚∀从「大事ないならいいですけど、でもどうします? ホールのメイドが副店長と俺だけだと」
イ从゚ ー゚ノi、「うん……これからお客さんも増える……困った……」
从 ゚∀从「むー、あっ! 俺にいい考えがあります!」
.
167
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:12:48 ID:tQ3m25.2O
l从・∀・ノ!リ人「なんで僕達がメイドなんて」
ζ(゚ー゚*ζ「これで、今日やりたい放題やったことチャラだからね」
从 ゚∀从「すまん、他のバイトの人は誰も捕まらないし、緊急事態だったんだ」
イ从゚ ー゚ノi、「……ありがとう……凄く……助かる……」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、私は学園のカフェでもウェイトレスのバイト経験ありますから、余裕ですけど」
从 ゚∀从「あっ、お客さんが来たぞ。ならデレ、任せてもいいか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、お任せー!」
168
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:14:28 ID:tQ3m25.2O
ζ(゚ー゚*ζ「おかえりなさいませ、御主人様! 御飯にします? お風呂にします? それともわ・た・し?」
从#゚∀从「沈めるぞっ!」
( ^ω^)「あー、大丈夫だお」
('A`)「あからさまに、こいつは俺達だと気付いてボケたからな」
ζ(゚ー゚*ζ「本当に私をご所望でしたら夜這いをかけますが」
从 ゚∀从「そもそも知り合いだからって、ボケなくていいんだよ!」
l从・∀・ノ!リ人「遊んでないでこっち手伝ってよー!」
ζ(゚ー゚*ζ「あらほらさっさっー! 御主人様二名ですね、こちらへどうぞ」
.
169
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:17:17 ID:tQ3m25.2O
( ・∀・)「ああ、今日は疲れた……」
( ゚∀゚)「お疲れさん。初めての立ち仕事は足にくるだろ?」
( ・∀・)「うん、もう棒だよ」
( ゚∀゚)「なら今日の礼に俺がマッサージしてやるよ」
( ・∀・)「別にいいって、ひゃっ」
( ゚∀゚)「よく凝ってますねー、お客さん」
( ・∀・)「もう、強引だなあ」
( ゚∀゚)「もうちょい筋肉つけろよ、ぷにぷにじゃねえか」
( -∀-)「なかなか筋肉がつかない体質なの」
( ゚∀゚)「まあ確かに筋肉質なモララーなんて想像つかねえけどな」
( ・∀・)「……あのさ、ジョルジュはなんで急にバイトを――」
ζ(゚ー゚*ζ「どーん! 夜這いに来たぞー!」
( ゚∀( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫だから! 私はそういうの理解ある方だから!」
(;・∀・)「なんかすっごくデジャヴ!」
ζ(゚ー゚*ζ「ていうか今回は私も混ざるー!」
( ゚∀゚)「うおっ、のしかかってくんな」
(;・∀・)「重い、重いからっ、もう!」
.
170
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:20:52 ID:tQ3m25.2O
【僕とハインとみんなの学園祭】
从 ゚∀从「調子はどうよ」
l从・∀・ノ!リ人「んー、このままいけば大丈夫かな。教室の方はどうなの?」
从 ゚∀从「こっちはもうほとんど終わったよ。多少安っぽいけど、学園祭なんかだとそれが味だよな」
l从・∀・ノ!リ人「飾り付けが安っぽいなら、エプロンだけこんなに本格的に縫わなくても」
从 ゚∀从「せっかく着るなら可愛いのがいいって、クラスの総意なんだから仕方ないだろ」
l从・∀・ノ!リ人「まあ、僕も着るなら可愛い方がいいけどね」
从 ゚∀从「この女装師め」
l从・∀・ノ!リ人「それは全員だよ。よし、ちょっとこのエプロン付けてみて」
从 ゚∀从「ん、似合うか?」
l从・∀・ノ!リ人「似合ってるよ。うちの女装制服はワンピースだから、ちゃんとエプロンドレスみたいになってるね」
171
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:23:01 ID:tQ3m25.2O
从 ゚∀从「でもさ、余裕で間に合うのもなんか物足りないよなぁ」
l从・∀・ノ!リ人「何が物足りないのさ」
从 ゚∀从「こう、徹夜で終わんねえって叫びながら、学校に泊まっていくみたいなの?」
l从・∀・ノ!リ人「徹夜作業はともかく、寮が近いんだから泊まってく人はいないんじゃないかな」
从 ゚∀从「学園祭の醍醐味じゃん、友達と一緒に寝るとかさ」
l从・∀・ノ!リ人「僕とはいつも一緒に寝てるじゃないか」
ζ(゚ー゚*ζ「その発言だけ聞くとやらしいよねー」
l从・∀・ノ!リ人「いつの間に。いやらしいことは何一つありません!」
从 ゚∀从「いや、実際妹者の寝顔って若干いやらしいんだけどな。ほれ、写メに撮ってみた」
ζ(゚ー゚*ζ「うわあ、なんで服がはだけてるの? なんで頬が紅潮してるの?」
l从・∀・ノ!リ人「なんでそんなの写メしてるんだよ!」
从 ゚∀从「なんかのネタになるかなって」
ζ(゚ー゚*ζ「あー、ズリネ――」
l从・∀・ノ!リ人「それ以上続けるならデレの口も縫うよ?」
ζ(゚ー゚;ζ「ははは、軽い冗談じゃないですか」
.
172
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:24:39 ID:tQ3m25.2O
l从・∀・ノ!リ人「ふう、終わった」
从 ゚∀从「お疲れさん。この後は流れ解散だとよ」
ζ(゚ー゚*ζ「なら学校に泊まるために寝袋を用意しないと」
l从・∀・ノ!リ人「本気で泊まる気なの? 僕は寮へ帰るからね」
ζ(゚ー゚*ζ「ぶーぶー、少しは乗ってくれてもいいのに」
l从・∀・ノ!リ人「疲れたから、僕はさっさとお風呂に入って寝たいの」
ζ(゚ー゚*ζ「なら大浴場で背中洗いっこしよ」
从 ゚∀从「ふふふ、俺のバリかたタオルに耐えられるかな」
l从・∀・ノ!リ人「はいはい、二人とも帰るよ」
.
173
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:28:14 ID:tQ3m25.2O
川 ゚ -゚)「このクラスは、随分と込み合っているのだな」
ξ゚⊿゚)ξ「友達喫茶ね。店員が敬語を使わないことをご了承くださいとは書いてあるけど」
川 ゚ -゚)「どうやら次が私達の番だぞ」
从 ゚∀从「いらっしゃいませ。わざわざ来てくれてありがとな、今席に案内するから」
ξ゚⊿゚)ξ「え、ええ」
从 ゚∀从「二人で良かったよな? さすがに俺はずっと一緒にはいられねえけど、のんびりしてってくれな」
川;゚ -゚)「な、なあ、ハイン。友達喫茶とはどういうものなんだ?」
从 ゚∀从「店員が友達のように、気さくに接してくれるカフェですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「どういう意味があるの、それ?」
从 ゚∀从「友達が出し物やらなんやらで一緒に行動できない。そしたらその時間は、一人で寂しく学園祭を楽しむことになるじゃないですか」
川 ゚ -゚)「まあ、そういう者もいるかもしれんな」
从 ゚∀从「そんなときの時間潰しに友達喫茶ですよ。とりあえずなんか楽しかったかな? という思い出作りのための店です」
ξ゚⊿゚)ξ「その割には外部の人も多いみたいだけど?」
从 ゚∀从「案外親御さんにも人気が出ましてね。学生時代を思い出すとかで」
川 ゚ -゚)「需要があるならばいいんだが」
从 ゚∀从「それでは改めて。まだ仕事が残ってるから、注文決まったら気軽に呼んでくれよな」
.
174
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:30:38 ID:tQ3m25.2O
l从・∀・ノ!リ人「マドレーヌで良かったよね。はい、どうぞ」
(-_-)「ありがとう。頂きます」
l从・∀・ノ!リ人「あっ、ちゃんと手は拭いた?」
(-_-)「はう? フォークを使うから別にいいかなって」
l从・∀・ノ!リ人「もう横着なんだから。はい、お手拭き。手は清潔にしないと駄目だよ?」
(-_-)「ごめん、気をつけるよ」
l从・∀・ノ!リ人「うん、分かってくれたなら、今回はよしにしてあげる」
川 ゚ -゚)「なんというか」
ξ゚⊿゚)ξ「向こう、友達のやり取りと違うくない? 距離近いし」
从 ゚∀从「そこはまあ、友達の範疇は店員個人の判断だから」
川 ゚ -゚)「あからさまにそういう商法じゃないのか、あれ」
从 ゚∀从「素に戻っていわせてもらいますと、俺と二人のときいつもあんな感じですよ?」
ξ゚⊿゚)ξ「マジで?」
从 ゚∀从「互いに友達の距離感っていまいち分かんないんで、よくデレに茶化されてますけどね」
川;゚ -゚)「それでよくお前達が、友達喫茶をやろうと思ったな」
.
175
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:35:11 ID:tQ3m25.2O
ζ(゚ー゚*ζ「交代するよー! 二人とも適当に遊んで来ていいからね」
从 ゚∀从「ほれ、エプロンパス!」
ζ(゚ー゚*ζ「ジャキーン! これが女装師の最終戦闘形態(マックスバトルフォーム)だ!!」
从;゚∀从「うっ、デレの血が赤から青に……!」
l从・∀・ノ!リ人「馬鹿やってないでいくよ」
从 ゚∀从「分かったよ、ディーノ」
l从・∀・;ノ!リ人「誰!?」
ζ(゚ー゚*ζ「ディーノとはアルキード王国の旧い言葉で『強き竜』と言う意味だ」
l从・∀・;ノ!リ人「知らない、そんな王国は知らない!」
从 ゚∀从「ほら馬鹿やってないでいくぞ」
l从・∀・ノ!リ人「それは僕の台詞だよ!」
.
176
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:37:13 ID:tQ3m25.2O
从 ゚∀从「はふはふ、このたこ焼きカリッとしててなかなかいけるな」
l从・∀・ノ!リ人「火傷しないように気をつけてね」
从 ゚∀从「むー、妹者も食うか?」
l从・∀・ノ!リ人「僕はいいよ、蛸がちょっと苦手だから」
从 ゚∀从「だったら最初に蛸だけ俺が食って。ほれ、あーん」
l从・∀・*ノ!リ人「あむっ、はむはむ。本当だ、美味しいね」
从 ゚∀从「次は妹者も食いやすいもの買うか」
l从・∀・ノ!リ人「ハインの好きなの食べなよ。その方が見てて楽しいしさ」
从 ゚∀从「なんかそれって、餌づけされてる動物みたいだな」
ノパ⊿゚)『まもなくライブ会場でプロのアーティスト、渡辺氏によるコンサートが始まります。大変な混雑が――』
l从・∀・ノ!リ人「渡辺って、いつもオリコンチャート一位を独占している人だよね?」
从 ゚∀从「最近調子を落としてたと思ったら、先月からまた復活したんだよな。しかし、あんな売れっ子がよく来てくれたなあ」
l从・∀・ノ!リ人「僕達もいってみる?」
从 ゚∀从「そうだな、すぐ近くは無理でも聞こえる範囲にはいけるだろ」
.
177
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:39:02 ID:tQ3m25.2O
ノパ⊿゚)「すみません、段取り悪くて」
从´ヮ`从ト「あはは、本当だよね」
ノパ⊿゚)「あんたのせいだろうがあああああ!!」
从´ヮ`从ト「ごめんねー? 渡辺っち」
从'ー'从「ううん、気にしてないよ。私はもう一度この舞台で歌えるだけで幸せだから」
ノパ⊿゚)「ですが――」
从'ー'从「ヒートちゃん。あなたは誰よりも本当に自分のために、心から歌ったことってある?」
ノパ⊿゚)「い、いえ、ありませんが」
从'ー'从「そういうことだよ。私は今日だけプロではなく、一人の卒業生として歌うから!」
.
178
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:41:02 ID:tQ3m25.2O
从'ー'从「四度目の桜♪ 変わらず綺麗なはずなのに霞んで見えなかった♪」
l从-∀-ノ!リ人「……凄いね」
从 -∀从「ああ、すげえな。一言一言に魂が込められてるみたいだ」
l从・∀・ノ!リ人「覚えてる? 入学式で見た桜、綺麗だったよね」
从 ゚∀从「あんまりにも幻想的過ぎて、別世界にでも迷い込んだかと思ったよ」
l从・∀・ノ!リ人「来年、進級したときに見る桜もさぞ綺麗だろうね」
从 ゚∀从「三年になって見る桜も綺麗だろうさ」
l从-∀-ノ!リ人「そして僕達もいつか卒業して、あの桜並木を通って出て行くとき」
从 -∀从「今までの先輩達みたいに涙を流すのかね」
.
179
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:43:33 ID:tQ3m25.2O
lw´‐ _‐ノv「ちょっとそこいくお兄さん。遊んでかない? いい子いるよ」
l从・∀・;ノ!リ人「なんでポン引きみたいなんですか!」
lw´‐ _‐ノv「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は――」
l从・∀・ノ!リ人「なんでフーテンになってるんですか。そもそも姓は車じゃないでしょう!」
lw´‐ _‐ノv「拙者親方と申すは、お立ち会いのうちにご存じの」
l从・∀・ノ!リ人「別に口上が聞きたいわけでは、ってもしかして外郎売りが出し物ですか?」
lw´‐ _‐ノv「全っ然違う。占いの館へようこそ」
l从・∀・ノ!リ人「ようこそって、まだ入るかも決めてないのに」
从 ゚∀从「いいじゃん、面白そうだし入ろうぜ」
l从・∀・ノ!リ人「まあ、ハインがそういうなら」
lw´‐ _‐ノv「はい二名様ご案内!」
.
180
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:47:04 ID:tQ3m25.2O
川д川「いらっしゃいませ。占いの館へようこそ」
从 ゚∀从「そうだなあ、金運でも占ってもらおうかな」
l从・∀・ノ!リ人「じゃあ僕は健康運」
川д川「あの、すみません。ここは相性占いしかやってないんですけど……」
从 ゚∀从「なら静電気でバチッてなる、相性の悪いものを教えてもらおうか」
l从・∀・ノ!リ人「なぜかいつも同じドアノブでバチッてなるんだよね。他の人はそんなことなさそうなのに」
川д川「あ、あのあの、その、お二人の相性しか占えないんですが……」
从 ゚∀从「おう、姉ちゃん。あれも駄目これも駄目て、こっちも遊びでやってるわけじゃないんだよねえ」
川д川「ひっ、すみませんすみません」
l从・∀・ノ!リ人「管を巻かないの。では二人の相性を占ってもらえますか」
川д川「は、はい。むっ……お二人の相性はかなり良いようですね。普段は大きく口にはしませんが、互いを深く想い合っています」
从 ゚∀从「なんか照れくさいな」
川д川「ですが二人の間には大きな隠し事が存在します。それが浮き彫りとなったとき、果たしてどうなるのか」
l从-∀-ノ!リ人「…………」
川д川「もし迷ったなら、思い切って行動してみてください。二人の結び付きを強くするアイテムは――」
.
181
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:50:36 ID:tQ3m25.2O
从 ゚∀从「それなりにいい結果だったのかね」
l从・∀・ノ!リ人「占いは所詮占いだって最後にいってたじゃないか。気の持ちようだよ」
从 ゚∀从「なんか怒ってる?」
l从・∀・ノ!リ人「そうじゃないけど、……ごめん。ちょっと気になることをいわれたから」
从 ゚∀从「気にすんなよ。占いは所詮占いだ、気の持ちようだって」
l从・∀・*ノ!リ人「もう、それ僕が今いったばっかりだよ」
.
182
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:52:36 ID:tQ3m25.2O
ミセ*゚ー゚)リ「みんなー! 盛り上がってるー?」
ミセ*゚ー゚)リ「声が小さいよ! もう一度、みんな盛り上がってるー?」
ミセ*゚ー゚)リ「うんうん、ミセリンもみんなに負けないぐらい盛り上がってるよー!」
(゚、゚トソン「さて、これをなしに我が校の学園祭は終われない。お待ちかねのミス・コンテストだ!」
ミセ*゚ー゚)リ「さすがにトソトソも今回ばかりは毒を吐かないね」
(゚、゚トソン「お望みとあらば吐くけど?」
ミセ*゚ー゚)リ「さすがに大舞台だし、そんなことしたら今回ばかりは校長にも怒られるでしょ」
(´・ω・`)「であるからして、そもそも学園祭のミスコンとは、後夜祭として僕達が若い頃に――」
(゚、゚トソン「ミスコンテストのテーマはなんでもありだ! とにかく可愛く綺麗に美しく己を表現できた者が優勝となる!」
.
183
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:55:06 ID:tQ3m25.2O
ζ(゚ー゚*ζ「わあ、きらびやか!」
从 ゚∀从「みんな、もの凄く気合い入ってるな」
川 ゚ -゚)「ミスコンテストに優勝するということは、その年の学園一でもあるといえるからな」
从 ゚∀从「学園一ですか。そういえば去年の優勝者は誰だったんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「去年の優勝者はもう卒業してて、今年は参加してないわよ。つー先生の妹さんだから、この会場のどこかで見てるとは思うけど」
ζ(゚ー゚*ζ「つー先生に妹さんなんていたんですね、お姉様」
ξ゚⊿゚)ξ「あんまりくっつかないの。せっかくセットしたのに乱れちゃうでしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「それではミスコンの始まり始まりー!」
.
184
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 00:58:19 ID:tQ3m25.2O
【僕のミス・コンテスト――開幕】
l从-∀-ノ!リ人「…………」
動機は単純、ただ逃げたかったから。
僕は本気で女装師になりたいわけじゃなかった。
女装の授業は真面目に取り組んだ。
性分だというのもあったが、この技術がどこかで役立つこともあるかと考えたから。
ただ、そんな偽者の僕が彼等と同じ舞台へ上がってもいいのだろうか。
心のどこかでずっとそれを感じていた。
l从・∀・ノ!リ人「…………」
ここへ入学する生徒は問題を抱えている者が多い。
にもかかわらず、彼等の陰鬱とした表情など、ついぞ見かけることはなかった。
l从・∀・ノ!リ人「だけど、それは僕もなんだよな」
騒いで、馬鹿をやって、女装して、気がつけば笑顔になっている。
l从・∀・ノ!リ人「迷ったなら思い切って行動しろ、か」
最近になってやっと気付けたんだ。
始まりは嘘だったけど、今の僕は――
l从・∀・ノ!リ人「女装師として、舞台の上では誰にも負けたくないっ!」
.
185
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 01:00:49 ID:tQ3m25.2O
l从・∀・ノ!リ人「もうそろそろ僕達の番だね」
从;゚∀从「うおっ!? 十二単なんて、どこで用意したんだよ」
l从・∀・ノ!リ人「ハイン、僕は女装師として誰にも負けないから!」
从 ゚∀从「ああ、俺も女装師として誰にも負けねえ!」
認識を改めないといけない。
ここへ入学するのは、ちょっと変わり者で、だけど優しくて、そして死ぬほど負けず嫌いなやつらだ。
(゚、゚トソン「次にエントリーしている者は――妹者!」
もちろん僕を含めてね。
.
186
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 01:13:10 ID:tQ3m25.2O
投下終了です、お付き合い頂き感謝感激雨霰
しかし、中耳炎ってなんであんなに痛いんでしょうね
イ从゚ ー゚ノi、「……読んでくれて……ありがとう……凄く嬉しい……」
イ从゚ ー゚ノi、「ここから先は……私のコーナー……私のことは副店長か……」
イ从*- 、-ノi、「……キツネって……呼んでほしい……」
o川*>ー<)o「ちぇいちぇいちぇーい! ちょっと待った! ここはキュートのコーナーなのっ!」
イ从゚ ー゚ノi、「……そんなこと……知らない……」
o川*゚ー゚)o「だいたい学園祭ってほとんどフルメンバー登場なのにだよ? キュートがいないっておかしくない!? いや、おかしい!」
o川*゚ー゚)o「ふこーへーだ! 何者かの陰謀だ! みんなが見てない間にどれだけキュートが学園祭で活躍したか」
イ从゚ ー゚ノi、「それじゃあ……また見てね……」
o川*>ー<)o「勝手に終わらせないで――」
187
:
名も無きAAのようです
:2011/11/01(火) 23:44:59 ID:xo6ylAVc0
乙乙!ミスコン続きが気になるなあ
ミセリトソン擬人化ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_754.jpg
188
:
名も無きAAのようです
:2011/11/02(水) 13:16:09 ID:lfnJSjrAO
キマシタワー!!
お揃いのヘアアクセとか女装制服まで細かく考えて頂いてありがとうございます!
ミセトソ可愛い、特にミセリンが鼻血出るほど可愛い
うん、誰かに見られなければ携帯の待ち受けにしても大丈夫だよね……?
ミスコンの結果は一応考えてまして
実家に一度戻ったことで色々と吹っ切れたのか、クールが歌舞伎舞踊を踊り優勝しました
今回は司会でも参加できるので、三年生の実力を見せつけて二位にミセリンが
だめだめっぷりが意外と好評な生徒会長が三位に
実は本当に活躍していたキュートが四位に
そして一年生では異例の高順位として五位に妹者が入ってます
189
:
名も無きAAのようです
:2011/11/03(木) 22:36:00 ID:NZNmZgZ6O
キュート活躍してたんだwww
みんな青春だな乙!
190
:
名も無きAAのようです
:2011/11/04(金) 01:32:17 ID:ZlTifLMwO
乙です!
いつも楽しみにしてますお姉さま
しかしツンが五位以内に入ってないとは意外
191
:
名も無きAAのようです
:2011/11/06(日) 08:48:21 ID:st2bmUC6O
実力ならツンが上ですが今回は妹者に気迫負けしました
普段の成績はツンとキュートは同程度ですが、キュートは何やら本番に強いようです
来週の日曜日までには次の投下をできるように頑張ります
次回は十一月の話で、クリスマスでもないのに糖分の高そうな話になってます
192
:
名も無きAAのようです
:2011/11/06(日) 15:03:43 ID:aHw4RLnE0
楽しみにしているよ
193
:
名も無きAAのようです
:2011/11/13(日) 20:21:31 ID:CG3YNwX.O
日曜日までには投下したいと申しましたがどうにも明日になりそうです
期日を守れなくてすまぬ……すまぬ……
御待ち頂く間、
>>187
にインスピレーションを受けた短編を一つどうぞ
194
:
名も無きAAのようです
:2011/11/13(日) 20:24:51 ID:CG3YNwX.O
【二人で一つのミセトソ】
ミセ*゚ー゚)リ「うぅ、すっかり冬めいてきましたな」
(゚、゚トソン「十一月だからね。さすがにいつまでも秋というわけにはいかないだろうさ」
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソは手袋しないで寒くないの?」
(゚、゚トソン「仮にボクが寒かったとしてだ、キミになんの関係がある?」
ミセ*゚ー゚)リ「素直に手袋してくるの忘れたっていえばいいのに」
(゚、゚トソン「そう、確かにボクは手袋をしてくるのを忘れた。かといって――」
ミセ*゚ー゚)リ「はい、片方貸したげる」
(゚、゚トソン「……片方だけ借りてなんの意味があるんだ。お互い片手が寒いだけだろうに」
ミセ*゚ー゚)リ「あまった手はほら、こうやって繋げば二人とも暖かいよ」
(゚、゚トソン「それで、指まで絡める必要はあるのか」
ミセ*゚ー゚)リ「そっちの方が暖かいかなって」
(-、-トソン「本当に暖かくなるならボクも文句はないけどね」
195
:
名も無きAAのようです
:2011/11/13(日) 20:28:38 ID:CG3YNwX.O
ミセ*゚ー゚)リ「ちなみにこの手の繋ぎ方、恋人繋ぎっていうんだって」
(゚、゚;トソン「なっ!?」
ミセ*゚ー゚)リ「ふっふっふっ。一度捕まったが最後、振りほどけまい! ぎゅー」
(゚、゚トソン「くっ、明日からは絶対に手袋を忘れないようにする」
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫だよ、今度は私が忘れるから」
(゚、゚トソン「もしキミが忘れたとしても、ボクは貸したりしないけどね」
ミセ;゚ー゚)リ「冷たっ! 寒冷前線より冷たいよトソトソ!」
(-、-トソン「……まあ、今回の借りがあるから一度だけなら貸さないでもないけど」
ミセ*゚∀゚)リ「このツンデレめー!」
(゚、゚;トソン「腕を組みに来るな! ええい、うっとうしい!」
.
196
:
名も無きAAのようです
:2011/11/13(日) 20:33:05 ID:CG3YNwX.O
恋人繋ぎってなんかもうやばいぐらいに良いですよね
ではまた明日投下させて頂きたいと思います
197
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 19:12:07 ID:GiByjQqc0
トソンマジ天使
198
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 21:16:10 ID:1hOAgzrE0
うおおおおお!!ミセトソかわいいいい
絵を描いてよかったぜ…
199
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 21:36:21 ID:9uTdnqHA0
>>198
(´^ω^`)おっと見逃さないぜ絵師さんよ!
(´・ω・`)ほら、さらにミセトソの絵を描く準備をするんだ!今すぐ!
200
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 22:53:21 ID:bWa6mdQwO
>>198
ミセトソの絵はありがたく携帯の待ち受けに使わせて頂いております
開く度に百合百合しくてミセトソ萌え!
では昨夜の続きにあたる第八回目、十一月の話を投下させて頂きます
201
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 22:55:34 ID:bWa6mdQwO
【ベルサイ湯の薔薇】
ノパ⊿゚)「ランランリル〜♪」
o川*゚ー゚)o「ヒートっていつも左腕から洗うよね」
ノパ⊿゚)「そうか? 自分では意識したことなかったけど」
川*゚ -゚)「はふぅ、極楽極楽」
ξ゚⊿゚)ξ「年寄りくさいわよ」
川 ゚ -゚)「湯船に浸かったら極楽または生き返るというのは、日本人としてのルールだろう」
ノパ⊿゚)「誰が決めたルールだよ」
o川*゚ー゚)o「キュートも仲間に入ーれーてっ☆」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、飛び込まないの!」
ノパ⊿゚)「まったく、風呂くらい落ち着いて入れないのか」
lw´‐ _‐ノv「ヒート、私が背中を洗ってしんぜよう」
ノパ⊿゚)「さんきゅ、頼むわ」
lw´‐ _‐ノv「では失礼をば」
ノハ;゚⊿゚)「ふわっ!? なんで身体を密着させる!」
lw´‐ _‐ノv「こういうときは、身体と身体をこすりつけて洗うのが日本人としてのルールかと」
ノパ⊿゚)「お前の中でどんな民族なんだよ日本人はっ!」
202
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 22:57:28 ID:bWa6mdQwO
川川 ゚ -゚)「ん? 私の髪はこんなにも長かったか?」
「どうしました?」川д川;゚ -゚)「うおわっ!?」
川 ゚ -゚)「はあ……、貞子か。驚かすな」
川д川「す、すみません。しかし奇遇と申しますか、見事に二年生ばかりですね」
lw´‐ _‐ノv「シャワーから米が出たらライスシャワーになるのだろうか」
ノパ⊿゚)「そうだ、珍しい機会だから少し聞いてもいいか? みんなは卒業後の進路ってどうするつもりなんだ?」
lw´‐ _‐ノv「戦国武将達は露天風呂に浸かりながら、互いの夢を語りあったという」
ノパ⊿゚)「夢っていうか、私達ももう少しで三年生になるんだから現実的な話でだよ」
o川*゚ー゚)o「キュートはねー」
ノパ⊿゚)「悪い、ギャグ抜きで頼む」
o川;゚ー゚)o「内容を話す前からギャグだと思われたの!?」
203
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:00:09 ID:bWa6mdQwO
川 ゚ -゚)「私は元々家業が夢みたいなものだからな。卒業したら実家に帰って更に鍛練に励むさ」
ξ゚⊿゚)ξ「クーならきっと夢をかなえて、人間国宝にもなれるわよ」
川д川「クールさんと比べるとなんですが、私も実家の神社を継ごうと思っています。その前に大学の宗教学科を出るつもりですが」
ノパ⊿゚)「進路っていうのは他人と比べるもんじゃないさ。貞子は進学か」
川 ゚ -゚)「ツンはやはり父親のようなアイドルを目指すのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「初めは、そのつもりでここに入ったんだけどね」
川 ゚ -゚)「そのいい振りだと、今は違うのか」
ξ゚⊿゚)ξ「後輩に女装術を教えてあげてるときに気付いたんだけど、私は人になにかを教えるのが好きみたいなのよね」
ξ゚⊿゚)ξ「だから今は、教員免許を取ってこの学園で教師をやりたいなって思ってるの」
川 ゚ ー゚)「教師か。ツンは面倒見もいいし、案外天職かもしれんな」
204
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:02:36 ID:bWa6mdQwO
ノパ⊿゚)「教員免許を取るならツンもひとまずは進学か。私はみんな程将来の展望を考えていないけど、進学して就職することになるかなあ」
o川*゚ー゚)o「まだキュートとシュールが残ってるのに終わろうとしてない?」
ノパ⊿゚)「しかし存外というべきなのか、女装術が必須な職業を目指すものはいなかったな」
o川*>ー<)o「はうー! だーかーらー、キュートは!」
ノパ⊿゚)「冗談だって。深夜枠とはいえアニメのレギュラー取れたんだってな、おめでとう」
川 ゚ -゚)「方向は違えど同じ役者だ。互いに切磋琢磨しよう」
ξ゚⊿゚)ξ「同学年なら、キュートがどれだけ努力してるかはみんな知ってるからね」
o川*゚ー゚)o「み、みんなー☆彡」
205
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:04:32 ID:bWa6mdQwO
lw´‐ _‐ノv「おいていけーおいていけー」
川д川「あのその、シュールさんを、おいてけぼりにしているわけではないと思うのですが……」
ノパ⊿゚)「シュールはそのまま専業作家になるんだろ?」
lw´‐ _‐ノv「まあ、そういう感じの方向で」
ノパ⊿゚)「手に職持ちっていうのは少し羨ましいな」
lw´‐ _‐ノv「つまり今回の正解は、家業を継ぐが二人、進学して就職が二人、既に職を持っているが二人でした」
ノハ;゚⊿゚)「いつからクイズになったんだ!?」
lw´‐ _‐ノv「それはお前が知る必要のないことだ」
ノパ⊿゚)「なんで敵の幹部みたいになってんだよっ!」
lw´‐ _‐ノv「ヒートは就職に失敗しても、私が養ってあげるから一安心」
ノハ;゚⊿゚)「サラッととんでもないこというなよ! 失敗しねえよ!」
lw´‐ _‐ノv「トイレはちゃんと決まった場所にするんですよ」
ノハ;゚⊿゚)「しかもペットかよっ! この歳でトイレの場所間違えたら憤死するわ!!」
206
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:06:14 ID:bWa6mdQwO
lw´‐ _‐ノv「ちなみに生徒会長の夢はニートなので、養ってくれる人大募集中だそうです」
ノパ⊿゚)「あの人はあああああああああ!!」
从´ヮ`从ト「呼んだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「これはまたベストのタイミングでというか、最悪のタイミングでというか」
ノパ⊿゚)「ちょっとそこへ直れ! 今日こそはその自堕落な性根が治るまで説教しますからね!」
从´ヮ`;从ト「えっ、えっ、えーーーー!?」
.
207
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:08:11 ID:bWa6mdQwO
【ダンスダンスバースデー】
从*-∀从「はあっ、はあっ、もう、無理……少し、休ませて」
l从・∀・ノ!リ人「だーめ、もう一回いくね」
从*-∀从「これ以上は、俺、壊れる……!」
l从-∀-ノ!リ人「ほら、もっと強く僕を抱いて……」
ζ(゚ー゚*ζ「うわあ、いつもに増してエロエロだー」
l从・∀・ノ!リ人「ダンスの練習のどこがエロいのさ」
ζ(゚ー゚*ζ「正直さっきのシーンは、音声だけならR18指定を受けてもおかしくなかったよ」
从 ゚∀从「他人ごとみたいに余裕こいてるけど、デレは踊れんのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「授業で習った程度にはね」
从 ゚∀从「むー、なら練習しないといけないのは俺だけか」
208
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:10:14 ID:bWa6mdQwO
ζ(゚ー゚*ζ「妹者は異様に上手いよね、習ってたの?」
l从・∀・ノ!リ人「子供の頃に、少しだけね」
从 ゚∀从「子供の頃に社交ダンスを習ってるなんて、なんか上流階級って感じだな」
l从・∀・ノ!リ人「ただの一般家庭だってば。それより練習続けるよ」
从 ゚∀从「むー、もうちょっと休憩させてくれてもいいのに」
l从・∀・ノ!リ人「次が終わったらね。ほら、もっとしっかり僕を抱いて」
从 ゚∀从「なんかさ、デレじゃないけど他人の背中に手を回すのってエロくない?」
l从・∀・ノ!リ人「こういうのは堂々としてたらエロくないの」
ζ(゚ー゚*ζ「それにハインは普段から、もっと色々セクハラとかしてるじゃん」
从 ゚∀从「あれは妹者が恥ずかしがるからいいんじゃねえか」
ζ(゚ー゚*ζ「なるほど。だったら背中を撫でまわしてみるとか」
l从・∀・ノ!リ人「馬鹿なこといってないで続けるよ。1・2・3、右、左、クローズ」
从;゚∀从「よっ、ほっ、たっ」
l从・∀・ノ!リ人「そこはヒールじゃなくてトゥで、そういい感じ」
.
209
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:13:49 ID:bWa6mdQwO
ζ(゚ー゚*ζ「でも意外だね。ハインって運動神経いいからダンスも得意だとばかり」
从 ゚∀从「武術の体捌きなら、すっと頭の中に入ってくるんだけどなあ」
ζ(゚ー゚*ζ「それで、相談事ってなに? このデレお姉ちゃんになんでも話してみなさい」
从 ゚∀从「誰がお姉ちゃんか。ちょっと耳貸せ」
ζ(゚ー゚*ζ「ほいさ、私耳が性感帯だから舐めるなら優しくしてね」
从 ゚∀从「舐めねえよ、変態め。あのな――ごにょごにょ」
ζ(゚ー゚*ζ「なるほど、ゴニョニョがドゴームに進化した時の衝撃を超えるポケモンはまだいないと」
从 ゚∀从「そんな話はしていない。つうか基本俺もつっこまれる側なんだからボケるな」
ζ(゚ー゚*ζ「なんだ、突っ込まれたくて疼いてるのか、この淫乱が」
从 -∀从「なあデレ、ねじりん棒って知ってるか?」
ζ(゚ー゚*ζ「いやあ、私もそろそろふざけ過ぎたかなって自覚はしてたんだよ?」
210
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:15:34 ID:bWa6mdQwO
从 ゚∀从「真面目な話に戻すとして、なにがいいと思う?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだねー、私的にはやっぱりアレかな」
从 ゚∀从「アレ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと耳貸して」
从 ゚∀从「おうよ」
从 ゚∀从ー゚*ζ「はむっ」
从//∀从「ひゃんっ!?」
ζ(^ー^*ζ「なんだ、ハインも耳弱いんじゃん」
从 ゚∀从「なあデレ、そういう訓練を受けてる軍人でも耐えられない、歯医者って拷問知ってるか? 鼻と上唇の間にナイフを」
ζ(゚ー゚;ζ「あはは、やだなあ、軽い冗談じゃないですか」
从 ゚∀从「ラストチャンスをやろう。それでアレってなんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「アレはね――」
.
211
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:17:14 ID:bWa6mdQwO
从 ゚∀从「今更だとは思うけど、ドレスとか着るのに違和感なくなったなあ」
ζ(゚ー゚*ζ「おっ、可愛いじゃん」
l从・∀・ノ!リ人「うん、似合ってると思うよ」
从 ゚∀从「どうした、テンション低いな」
l从・∀・ノ!リ人「あんまりダンスパーティって、好きじゃないんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「ダンス得意なのに?」
l从・∀・ノ!リ人「いい思い出がなくってね」
从 ゚∀从「ならせっかくの機会なんだから、今回で楽しい思い出作ろうぜ!」
212
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:20:16 ID:bWa6mdQwO
ζ(゚ー゚*ζ「そうだ、妹者。耳貸して」
l从・∀・ノ!リ人「えっ、うん」
l从・∀・ノ!ー゚*ζ「はむっ」
l从////ノ!リ人「ひゃあんっ!? なにしてんの!?」
ζ(゚ー゚*ζ「なにって耳を噛んだだけだけど?」
l从・∀・ノ!リ人「なに平然と普通のことのように答えてるのさ!」
从 ゚∀从「ずるいぞ、妹者にエロいことをするのは俺の役目だろ!」
l从・∀・ノ!リ人「ずるくない、そんな役目は存在しない!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、あっという間に愉快ないつもの妹者の出来上がり!」
l从・∀・ノ!リ人「いつもの僕はもっと落ち着いてて冷静だよ!」
从 ゚∀从「はは、そうだなー」
l从・∀・ノ!リ人「なにその大人ぶってる子供を見るみたいな目」
从 ゚∀从「ほーら、いい子いい子」
l从・∀-ノ!リ人「わわっ、僕の頭を撫でないの!」
213
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:24:12 ID:bWa6mdQwO
川 ゚ -゚)「なんというか、お前らは三人揃うと子猫のようにじゃれあうな」
从 ゚∀从「クーさん。あれ? いつもなら続いてツンさんがなにか一言いうパターンでは」
川 ゚ -゚)「ツンだったら向こうで」
lw´‐ _‐ノv「ハードラックとダンスっちまってるよ」
从 ゚∀从「!?」
川 ゚ -゚)「いや、普通にキュートと踊っているだけだ。ハインも乗っかるな」
lw´‐ _‐ノv「ではさらばだー」
l从・∀・ノ!リ人「その一言のためだけに出て来たんですか!」
214
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:25:45 ID:bWa6mdQwO
川 ゚ -゚)「お前達は踊らないのか? それだけ着飾って壁の花では勿体なかろうに」
l从・∀・ノ!リ人「三人という奇数の状態だと、二人で踊ると誰かを置いていくようで、どうも気が引けて」
川 ゚ -゚)「なら私が誰かと踊ろう。これなら偶数だ」
从 ゚∀从「なら――」
ζ(゚ー゚*ζ「はーい! 私がクーさんと踊りまーす」
从 ゚∀从「ちょ、強引な」
ζ(゚ー゚*ζ「こういうのは早いもの勝ちだよ」
川 ゚ -゚)「ならばデレ、いくとするか」
ζ(゚ー゚*ζ「はい! ハイン、妹者のことは任せたからね」
从 -∀从「ああ、任せとけ」
ζ(゚ー゚*ζ「それじゃあいって来ます!」
从 ゚∀从「さて、俺達も一曲踊るとしましょうか」
l从・∀・ノ!リ人「うん、そうしよっか」
215
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:27:25 ID:bWa6mdQwO
从 ゚∀从「〜♪ 〜♪」
l从・∀・ノ!リ人「なんか凄く上手になってない?」
从 ゚∀从「実はあれからも、こっそり練習してたんだよ」
l从・∀・ノ!リ人「いってくれたら付き合ったのに」
从 ゚∀从「リードしたい相手に練習を付き合ってもらうなんて、恥ずかしいだろ」
l从・∀・ノ!リ人「ハインらしいね、そういうとこ」
从 ゚∀从「俺が俺らしくなくてどうするんだよ」
l从・∀・ノ!リ人「それもそうなのかな。あっ、もう終わっちゃったね」
从 ゚∀从「せっかくだから、もう一曲続けてどうですかお姫様?」
l从・∀・*ノ!リ人「うむ、よきにはからえ」
.
216
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:29:53 ID:bWa6mdQwO
从 ゚∀从「あー、踊ったぁ」
l从・∀・ノ!リ人「さすがに疲れたね」
ζ(゚ー゚*ζ「あれだけ続けて踊ってたら、疲れもするでしょ」
从 ゚∀从「ダンサーズハイとでもいうのか、途中から踊ってるのが普通みたいになっちまってな」
l从・∀・ノ!リ人「思わずもう一曲もう一曲ってなっちゃって」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ二人が楽しかったなら何よりだね。それよりも妹者、大丈夫? 顔が赤くなってるけど」
l从・∀・ノ!リ人「身体が火照ったかな。少し気怠いや」
ζ(^ー^*ζ「身体が火照って気怠いなんて、また――」
l从・∀・ノ!リ人「変な意味は一切ないけどね!」
ζ(゚ー゚*ζ「冗談は置くにしても、無理しちゃ駄目だよ。そろそろパーティも終わりだし、一足先に帰ったら?」
l从・∀・ノ!リ人「そうするよ。先に抜けるみたいでごめんね」
从 ゚∀从「俺も一緒に帰ろうか?」
l从・∀・ノ!リ人「ううん、一人で平気だから」
.
217
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:33:20 ID:bWa6mdQwO
想像していた以上に暗い陽の沈んだ夜空を見上げ、もう冬なんだなと実感する。
l从・∀・ノ!リ人「今日は本当に楽しかったな」
世に偶然という言葉で片付けられる事象はありふれているが、これもその数多ある偶然の中の一つなのだろうか。
まさかこんな日にダンスパーティが開かれるなど、露ほども思わなかった。
l从・∀・;ノ!リ人「いてて、明日は筋肉痛かも」
ハインのリードは、僕の動き出しの癖や歩幅まで考えられたもので、実に心地よかった。
恐らくそれは頭で計算してのものではないだろう、ハインは感覚的に僕の行動パターンを読んでいる。
l从・∀・ノ!リ人「それだけ普段から、長い時間一緒にいるってことかな」
口に出してみると気恥ずかしいが、これが親友というものなのだろう。
l从・∀・ノ!リ人「……チャペルか。そういえば今までろくに入ったことなかったっけ」
今日は僕にとって少しだけ特別な日。
それは、いつもと違う行動を取るには十分な理由だった。
.
218
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:37:16 ID:bWa6mdQwO
当然といえば当然なのかもしれないが、こんな時間に僕以外の来客はなくチャペル内は静まり返っていた。
l从・∀・ノ!リ人「礼拝に来る人もいないし、厳密にはチャペルじゃないんだよね」
左右に広がる、横長になっている木製の椅子の間を進む。
月明かりがステンドグラス越しに差し込み、部屋を鮮やかに彩っていた。
l从・∀・ノ!リ人「綺麗……」
幻想的な光景に眼を奪われていると、背後から足音が近付いてくる。
从 ゚∀从「なんとなく、ここにいるような気がした」
l从・∀・ノ!リ人「ハイン?」
その言から察するに、僕を探していたのだろうか。
219
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:40:41 ID:bWa6mdQwO
从 ゚∀从「ここって、こんなにも綺麗な場所だったんだな」
l从・∀・ノ!リ人「そうだね。校長先生の趣味も案外悪くないのかな」
僕達は二人横並びになって、ステンドグラスを見上げる。
l从・∀・ノ!リ人「僕に用があったんじゃないの」
从*-∀从「その、改まってっていうのも恥ずかしいんだが、なんだ」
l从・∀・ノ!リ人「いいづらいことなの?」
ハインは意を決したような面持ちで、僕に向き直る。
从 ゚∀从「モララー、誕生日おめでとう!」
l从・∀・ノ!リ人「えっ、あれ」
从 ゚∀从「どうした? 今日が誕生日でいいんだよな?」
l从・∀・ノ!リ人「うん、それはそうなんだけど、教えてたっけ」
从 ゚∀从「昔に聞いた。入学して間もない頃だったかな」
なんの気なしに漏らした程度の言葉を、覚えていてくれたのか。
220
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:43:35 ID:bWa6mdQwO
l从;∀;ノ!リ人「あり、がとう」
从;゚∀从「お、おい、どうした!?」
l从;∀;ノ!リ人「あれ、おかしいな。泣くつもりなんてないんだけど、勝手に」
从 ゚∀从「むー、ほら、いい子いい子」
突然の涙に戸惑ったのか、ハインは普段通りを装って子供扱いするように僕の頭を撫でる。
l从・∀・ノ!リ人「もう、撫でないでよ!」
だから僕も努めて普段通りに返す。
从 ゚∀从「いきなり泣くなよ。心臓に悪いぜ、あれ」
l从・∀・ノ!リ人「そんなこといわれても、僕だってわざと泣いたわけじゃないし」
从 ゚∀从「拗ねるなって。それとこれ、誕生日プレゼント」
l从・∀・ノ!リ人「ロザリオ?」
从 ゚∀从「前に占いで、ラッキーアイテムは純銀だっていってたからさ。ロザリオなら常に身に着けてられるだろ?」
確かに文化祭で入った占いの館で、そんなことをいわれた気がする。
221
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:46:38 ID:bWa6mdQwO
l从・∀・ノ!リ人「純銀って、高いんじゃないの」
从 ゚∀从「多少高くても買えるようにバイトしてたんだ、気にするな。それにデザインがよかったから、俺も同じやつ買っちまったし」
l从・∀・ノ!リ人「でも……」
从 ゚∀从「ほれ、着けてやるから動くなよ」
ハインは僕の肩に手を置き、やや強引に引き寄せる。
第三者視点で見られたら抱き合っているようにも見えるほど、互いの距離が零に近付いた。
从 ゚∀从「似合ってるじゃん。もう返品は受け付けてないからな!」
l从-∀-*ノ!リ人「……大切にするよ、ずっと」
本来の用途からするとロザリオは首に掛けるものではないのだが、本来の用途なんて僕には関係ない。
値段の高さも関係なく、ハインの気持ちがただ純粋に嬉しい。
222
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:49:13 ID:bWa6mdQwO
l从・∀・ノ!リ人「ハインも同じの買ったんだよね。今、持ってる?」
从 ゚∀从「ああ、一応持って来てるよ」
l从・∀・ノ!リ人「なら、それは僕がハインの首に掛けてあげる!」
从;゚∀从「えっ、ちょっと、待て」
l从・∀・ノ!リ人「待たない。お返しだよ」
そのままだと手が届きにくいので、爪先立ちになって迫る。
もう少しで互いの顔がぶつかりそうな距離、こんなに近くにハインの顔があるのって珍しいかもしれない。
从 ゚∀从「……キスしてるみたいだよな」
l从////ノ!リ人「はあ!? なにいってんの急に!!」
从 ゚∀从「おっと、心の声が漏れただけだ。気にするな」
l从・∀・ノ!リ人「気にするよっ!」
从 ゚∀从「俺は気にしてないからさ。んー、着け心地もいい感じだな、このロザリオ」
手の中でロザリオを弄び、僕の意見に耳を貸そうともしない。
本当に出会った頃から変わらない、こういうところは。
223
:
名も無きAAのようです
:2011/11/14(月) 23:53:50 ID:bWa6mdQwO
从 ゚∀从「そろそろ寮に帰ろうぜ。今頃デレや先輩達がケーキを用意してくれてるはずだ」
l从・∀・ノ!リ人「うん。あのさ、ハイン」
从 ゚∀从「なんだ」
l从・∀・ノ!リ人「今日はありがとう」
从 ゚∀从「さっきもいっただろ、それ」
l从・∀・ノ!リ人「いいの、嬉しかったんだから何回いっても」
从 ゚∀从「じゃあ俺ももう一回いってやる。誕生日おめでとう!」
l从・∀・*ノ!リ人「うん、ありがとう!」
僕達はそんなやり取りを、寮に着くまでの二人きりの帰路で、ずっと繰り返していた。
.
224
:
名も無きAAのようです
:2011/11/15(火) 00:08:46 ID:XXob9xrAO
投下終了です。
べ、別にお付き合い頂けて嬉しいわけじゃないんだからね///
次回はクリスマスですね、いえVIPのみんなが頑張ってクリスマス中止のお知らせが届くかもしれませんが
o川*゚ー゚)o「ここから先はキュートちゃんの――」
('A`)「実際、最近はキュートも出番あるし救済コーナーとか要らないよな」
( ^ω^)「僕なんて、なんでタイトルAAになったのかすら分からないお」
o川*>ー<)o「はうー、最近キュートが最後までしゃべれないのが恒例になってない!?」
('A`)「そういえば今回で男AAの希望の星、モララーもフル出場を逃した形になるな」
( ^ω^)「ところでなんで僕がタイトルAAなんだお?」
o川*゚ー゚)o「キュートの話を――」
( ^ω^)「むしろ僕の質問に答えてほしいお。なんで僕がタイトルAAなんだお? もしかして最初は僕がかなり活躍する予定だったのかお?」
o川;゚ー゚)o「えっと、それは……」
( ^ω^)「男形態でも出番がある予定だったのかお? なんで僕がタイトルAAなんだお?」
o川;゚ー゚)o「ごめんなさいごめんなさい、謝るから、謝るから」
( ^ω^)「なんで僕が――」
225
:
名も無きAAのようです
:2011/11/15(火) 17:05:55 ID:6ac4MY1s0
乙
これ全部男なんだよな……
226
:
名も無きAAのようです
:2011/11/15(火) 19:25:30 ID:m4BdCF9IO
乙
最近の妹者とハインのいちゃいちゃがぱねぇ
いいぞもっとやれ
227
:
名も無きAAのようです
:2011/11/15(火) 20:28:55 ID:cXL4sJUcO
乙
ロザリオってwww
228
:
名も無きAAのようです
:2011/11/15(火) 22:41:08 ID:UkdVk6acO
乙です
クリスマス?なんだっけそれ
しかしブーン、前々からひきずってるなあww
229
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 00:58:56 ID:ne/ne7vQO
ブーンっていうか、ツンの出番を増やしてくれよぉぉぉぉ!!
230
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 18:54:12 ID:Mi/SxON.O
【御意見箱設置のお知らせ】
ミセ*゚ー゚)リ「はーい、みんなの心の恋人ミセリンだよー!」
(゚、゚トソン「今回はのっけからテンションを上げるような仕事でもないだろうに」
ミセ*^ー^)リ「トソトソはこんなこといってるけど、本当はみんなのことが大好きだから安心してね!」
(゚、゚トソン「妄言も大概にしなよ。まあいい、ボクはボクの役目を果たすだけだ」
(゚、゚トソン「今回キミ達にわざわざ集まってもらった理由だが、生徒会が御意見箱を設置したことを伝えておこうと思ってね」
ミセ*゚ー゚)リ「御意見箱には
>>229
君みたいに、このキャラをもっと見たいだとか」
(゚、゚トソン「こんなシチュエーションが見たいだとかの、要望を入れてくれたら極力善処しようというものだ」
ミセ*゚ー゚)リ「季節的にできないシチュエーションでも、本来の時系列とは別に書くから大丈夫だよ」
(゚、゚トソン「ただお題募集等とは違って、絶対にその話を書くというわけではないので留意してほしい」
ミセ*゚ー゚)リ「せっかく投函してくれたのに、かなえてあげられない場合もあるの。ごめんね」
231
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 18:57:12 ID:Mi/SxON.O
(゚、゚トソン「投函する要望の内容だけど、例えば――」
o川*゚ー゚)o「キュートちゃんが異世界に召喚されて、英雄王になっていくファンタジー戦記とか☆」
ζ(^ー^*ζ「私がある日超絶モテ期に入って、学園でハーレムを作っていく話とか!」
川д川「ちょっとエッチなバトルコメディー、退魔師貞子ちゃん! 日曜の朝九時絶賛放送中!」
ミセ*゚∀゚)リ「普段はぶっきらぼうなトソトソだけど、ベッドの上では甘えん坊……? ミセトソの18歳未満は見ちゃダメな話」
lw´‐ _‐ノv「実はこの学園で起きた今までの話は、全て私が書いた小説だったのさ」
(゚、゚トソン「というのが来たら基本却下だ」
o川;゚ー゚)o川; д川ミセ;゚ー゚)リ「「えええええええええぇぇぇっ!?」」ζ(゚ー゚;ζ
ミセ*゚ー゚)リ「でも、検閲するのがあの生徒会長なら、私のミセトソ18禁とか通りそうな気がするんだよね」
(゚、゚;トソン「そんな話を通して誰が得をするのさ!」
ξ////)ξ「
>>229
、べ、別に嬉しいなんて……思ってないんだからねっ!」
232
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 19:11:09 ID:Mi/SxON.O
そこまで期待しないで軽い気持ちで受け止めて頂ければ幸いです
233
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 20:02:26 ID:IJOwxHrw0
>ミセ*゚∀゚)リ「普段はぶっきらぼうなトソトソだけど、ベッドの上では甘えん坊……? ミセトソの18歳未満は見ちゃダメな話」
これにしよう(提案)
234
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 21:33:50 ID:xKIiprec0
>ミセ*゚∀゚)リ「普段はぶっきらぼうなトソトソだけど、ベッドの上では甘えん坊……? ミセトソの18歳未満は見ちゃダメな話」
そうしよう(同調)
235
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 23:07:40 ID:HFpPWalkO
R18無しってことは朝チュンじゃないか
アレやアレの有無を考えると夜も眠れなくなるからやめてくれwww
校舎や寮の大掃除やってほしいな
女装でも素でもいいから
236
:
名も無きAAのようです
:2011/11/17(木) 23:16:16 ID:7Jt0vnFc0
妹者とハインの甘い絡みをもっとくれ…!
237
:
名も無きAAのようです
:2011/11/18(金) 17:30:16 ID:lOfdIPz2O
むしろ素の様子が見たくなってきた。
女装禁止日の1日をなにとぞ…
これでブーンちゃんも納得できるはず!
238
:
名も無きAAのようです
:2011/11/19(土) 02:05:17 ID:eXDg9.cQO
>>299
だけど、ツンちゃんにデレられて幸せ過ぎるwwwww
一般人から見て、この学園がどう見えんのかが気になる。女装師の学校って世間一般でも知られてんのかな?
後姉妹校とかないの?
239
:
名も無きAAのようです
:2011/11/19(土) 14:10:49 ID:BosE6ELMO
>>238
未来人ですね分かります
という冗談はさておき、
>>67
にもありますが女装師は世間一般には秘密の存在ですね
だからここに入学する生徒はツンみたいに親が女装師だったり
クーみたいに女装が代々の仕事に関係する人が多いです
ちなみに世間一般からは共学校だと思われています
だから女装制服で学校を特定できても男子校だとは思われていません
フォックスの辺りでも触れていますが学歴としてはかなり低い私立で
立地も特別良くなく全寮制で学費も異様に高い
だから普通の受験者はほぼいないですね
でも中には極少数ですがハインのように一般からたどり着く人もいます
姉妹校等は存在しないです
全国から生徒が集まっており、長期休暇は遠いところまで帰省する生徒がたくさんいます
だから
>>98
でハインは電車で一時間なら家は近いという発言をしました
なぜ女装師が秘密なのかはきっと本編中で多分語る機会が恐らくあるかと
うん、改めて私は裏設定大好き人間なんだなと自覚しますた
240
:
名も無きAAのようです
:2011/11/19(土) 14:39:15 ID:BosE6ELMO
o川*゚ー゚)o「ここからは作者に代わって、可愛いキュートちゃんが謝辞を申し上げます! ぺこり☆」
o川*゚ー゚)o「みんな、たくさんのお手紙ありがとー♪ 頂いたないよーは、きょくりょく書いていきたいと思います」
o川*゚ー゚)o「噂によると
>>233
君の意見はミセリ先輩が、生徒会に乗り込んでヒートに直談判したとかなんとか☆彡ビューン」
o川*゚ー゚)o「
>>236
君にはヒートが、普段から十分甘い話ばっかりじゃないかよおおおおぉぉ!! って伝えてって!」
o川*゚ー゚)o「あっ、今回はただの謝辞に来ただけで、御意見箱撤収ってわけじゃないからね」
o川*゚ー゚)o「では、今夜も夢でまたキュートと会おうね☆」
241
:
名も無きAAのようです
:2011/11/22(火) 21:53:32 ID:1L60mNJ.O
現在奮励努力しておりますので今週中、遅くても日曜日には投下できると思います
なぜかいつも同じ台詞言っている気がします
きっとこれがデジャヴというものなんですね
御待ち頂く間、
>>233
で要望頂いたミセトソの短編をどうぞ
一応全年齢対象のつもりですがそういうのが嫌いな方はパスして下さい
242
:
名も無きAAのようです
:2011/11/22(火) 21:57:11 ID:1L60mNJ.O
【夢の続きは月にさらわれました】
(-、-トソン「う、んぅ……」
トソンは薄ぼけた意識の中で寝苦しさを感じ、半眼になって周囲を見渡した。
室内は暗闇に包まれている、つまりまだ起床時間ではない。
ならばなんだ、と覚醒仕切らない頭のまま更に視線をさまよわせると、
ミセ*゚ー゚)リ
闇に目が慣れたのか、自分の上に乗っかっている人影が飛び込んだ。
(゚、゚トソン「なにをしているんだ、キミは」
相部屋の少女ミセリは、よくふざけて布団の中へ潜り込んで来る。
だからまたふざけているのかと思い、トソンは彼女を追い払おうとするが、どうにも様子がおかしい。
ミセ*゚ー゚)リ「トソン、私ね……シたくなっちゃった」
僅かに差す月明かりの中で、ミセリは瞳を爛々とさせ、トソンへとしなだれかかる。
(゚、゚;トソン「えっ、なっ!?」
あまりにも急な展開に、トソンは思考が上手くまとまらず、現状を把握できない。
そこへ追い討ちをかけるように、ミセリがトソンのパジャマのボタンを、唇の先で器用に一つ二つと解いて胸元をあらわにさせた。
243
:
名も無きAAのようです
:2011/11/22(火) 21:58:24 ID:1L60mNJ.O
ミセ*゚ー゚)リ「トソンって肌、綺麗だよねぇ」
(゚、-;トソン「ひゃっ……」
白くしなやかな指が、トソンの柔肌を優しくくすぐる。
夜這いって本当に有効なんだな、と思わず現実逃避してしまうほど一連の流れは艶やかだった。
ミセ*゚ー゚)リ「ほら、上着を自分で捲ってごらん」
(-、-トソン「そんな……」
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫、私とお月様しか見てないから」
いつもの明るい元気な声ではなく、甘ったるい艶を含んだ響き。
それにはまるで魔法がかかっているかのようで、耳元で囁かれるとトソンはなにも考えられないまま従ってしまう。
(-、-*トソン「はず、かしいよ……」
トソンはパジャマを捲り上げ、自ら薄い胸を露出させる。
だが羞恥心には勝てず、上着の裾を唇でくわえ、ひっそりと息づく胸の先端は両手で隠していた。
ミセ*゚ー゚)リ「綺麗だよ」
不安気にぎゅっと瞳をつぶるトソンを安心させるためなのか、ミセリはついばむようなキスを頬に繰り返し、綺麗だと官能的に囁く。
(-、-*トソン「ふあっ……んぅ……」
次第に唇は柔らかな頬から、肉付きの薄い首筋、繊細な鎖骨へと降りてくる。
素肌を何度も吸われ、暖かい舌の這い回る未知の刺激に、既にトソンは抵抗する気力を失っていた。
244
:
名も無きAAのようです
:2011/11/22(火) 21:59:54 ID:1L60mNJ.O
ミセ*゚ー゚)リ「はあい、おててはばんざいしようねぇ」
ミセリに導かれるまま、乳房を隠していた両掌を頭の上へと移動させる。
月下に晒される淡く薄桃に色付く突起は、つんっと上向きに硬化していた。
ミセ*゚ー゚)リ「ふふ、可愛いんだ」
ミセリは胸全体を包み込むように掌を添え、中指と薬指で 挟み 揉むと同時に 擦り 。
(////トソン「ゃん はぅ… 」
ミセ*゚ー゚)リ「い よね?」
強引に 開脚 脚間に膝 割り込ま
…………
ミセ*゚ー゚)リ「はっ、夢か! くう、惜しいところだった。最後らへんはもう少し鮮明に……!」
(゚、゚トソン「いつまで寝ているのさ。遅刻してもボクは知らないからね」
ミセ*゚∀゚)リ「リアルトソトソはっけーんっ!」
(゚、゚;トソン「うわあっ!? なんでキミは朝からそんなに元気なんだっ!!」
.
245
:
名も無きAAのようです
:2011/11/22(火) 22:02:52 ID:1L60mNJ.O
以上で一旦終了です
TOLOVEるダークネスが全年齢対象ならこれぐらいは大丈夫ですよね……?
246
:
名も無きAAのようです
:2011/11/22(火) 22:22:25 ID:7Rf8FJ7gO
マジで書きおったwwwwGJ!
247
:
名も無きAAのようです
:2011/11/22(火) 22:35:22 ID:Fkr8oUtA0
>>233
だけどこれもう(興奮して)わかんねぇな
248
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:29:05 ID:sro2c18kO
お待たせ致しました
今回の男は可愛く美しくは12月の話になります
一本目は
>>236
で頂いたハインと妹者の話
二本目は
>>235
と
>>237
で頂いたのをドッキングして、男だらけの大掃除の話
三本目は
>>229
で頂いたツンの活躍?する話
四本目はクリスマスの話になっております
249
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:34:24 ID:sro2c18kO
【甘くないケーキの対比効果】
l从・∀・ノ!リ人「うん、美味しそうにできた」
美しい焼色のついたキャロットケーキ、僕が作れるお菓子の中で最も自信があるのがこれだ。
寮室の簡易キッチンにはしっかりとしたオーブンがないので、つー先生に頼んで寮の正式な厨房を貸してもらった。
その甲斐もあってオーブンレンジで作る普段のより、何割か増しに美味しそうにできた気がする。
l从・∀・ノ!リ人「まったく、ハインはしょうがないなあ」
そもそもなぜそこまでしてキャロットケーキを作ることになったのかというと、珍しくハインが風邪で体調を崩してしまったからだ。
先程様子を見に行ったときには、本人はもう平気だと元気そうにしていたが、一応病み上がりだし栄養のあるものを食べさせた方がいいだろう。
l从・∀・ノ!リ人「人参に多く含まれているβカロチンは風邪にいいし」
この間誕生日プレゼントを貰ったことだし、こういうところでお返しをするのも、人としての礼儀なんじゃないかなって僕は思うし。
まあそういうわけでケーキなんて焼いたという次第だ。
.
250
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:35:43 ID:sro2c18kO
ζ(゚ー゚*ζ「おやおや、そんな美味しそうな香りを漂わせてどこへいくのかな、お嬢さん」
l从・∀・ノ!リ人「他意はないんだろうけど、デレがいうと犯罪の臭いがするね」
ζ(゚ー゚;ζ「ひどっ!? 私はただ妹者をかどわかして、部屋に連れ込んで気持ちいいことしようとしただけなのに!」
l从・∀・;ノ!リ人「それが犯罪臭いっていってるんだよっ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「おー、ノリボケにも綺麗にツッコミを入れますな」
l从・∀・ノ!リ人「段々ボケ方が上手になるの止めようよ」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ冗談は置いといて、それはなんぞな?」
l从・∀・ノ!リ人「これ? 久し振りにキャロットケーキを焼いたんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「……なるほどねえ、普段なら略奪するところだけど今日は見逃してあげよう」
l从・∀・ノ!リ人「なにその全てを悟ったような態度」
ζ(^ー^*ζ「皆までいいなさんな。きっと喜んでくれるよ」
l从・∀・ノ!リ人「だからなんで、そんなしたり顔なのさ!」
.
251
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:37:56 ID:sro2c18kO
l从・∀・ノ!リ人「…………」
自分の部屋でもあるのだから躊躇する必要などないのだが、どうにも緊張する。
意を決してドアノブを回し、扉を押そうとするが――
从 ゚∀从「そうか、わざわざすまねえな」
誰かと会話しているハインの声が、部屋の中から耳朶に届いた。
とっさに手をノブから離すが、勢いでわずかに扉が開いてしまう。
l从・∀・ノ!リ人「誰と……」
話しているのだろうか。
先程別れたばかりだしデレではないだろう、ならば先輩なのか。
駄目だとは思いながらも、誘われるように隙間から部屋を覗き込む。
252
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:40:33 ID:sro2c18kO
从 ゚∀从「もう平気だって。丈夫なのが俺の取り柄だから」
話し相手の数はどうやら一人ではないようだ。
なんと三人もいて、楽しそうにハインと談笑する彼女達は、どれも見知った顔ではなかった。
いや、正確にいえば見覚えぐらいはある。
確かクラスは違うが同じ学年の生徒だったはず。
l从・∀・ノ!リ人「そういえば以前にデレが、ハインは同級生から人気があるって……」
ハインは優しいし、面倒見もいいし、気遣いが上手だ。
例えば道路を歩いていると、気がついたらいつも自然に車道側を歩いてくれている。
そしてなによりも、一緒にいると日だまりにいるみたいに、心が暖かくなる。
だから、みんなから人気があっても不思議ではない。
――不思議ではないはずなのに、なぜか胸が締め付けられる、気がする。
l从・∀・ノ!リ人「あれは――」
.
253
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:44:20 ID:sro2c18kO
从 -∀从「はあ」
風邪などひくのはいつ振りだったか。
馬鹿は風邪をひかないというが、どうやら俺はいうほど馬鹿でもないらしい。
いや、こんな短時間で回復するのは馬鹿だからかも知れないが。
从 ゚∀从「甘ったる……」
特別親しかった記憶もないのだが、先程まで同級生が何人か見舞いに来てくれていた。
今まで友達がろくにいなかった俺からすると、こういうのは地味に嬉しい。
嬉しいのだが、
从;-∀从「俺って甘いの苦手なんだよね」
いかんせん、見舞い品としてくれたケーキが甘過ぎた。
从 ゚∀从「苦手とはいえ、目の前であんなに嬉しそうに食べてくれっていわれたら、断れんよなあ」
ケーキなんて普段はモララーが焼いたものしか食べない。
あいつはその辺りを熟知しているのか、俺が丁度美味しいと感じる糖度で作ってくれる。
254
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:45:43 ID:sro2c18kO
l从・∀・ノ!リ人「ただいま」
噂をすれば影というやつだろうか、出かけていた妹者が戻ってくる。
从 ゚∀从「おかえり。どこいってたんだ?」
l从・∀・ノ!リ人「厨房を借りて、キャロットケーキを焼いていたんだよ」
从*゚∀从「よっしゃ! 俺、妹者のキャロットケーキ好きなんだよね」
l从・∀・ノ!リ人「はあ? なんで僕が焼いたケーキを、君にあげないといけないの?」
从;゚∀从「なんか、怒ってらっしゃいます?」
l从・∀・ノ!リ人「別に。ただあくまで仮定だけど、もし仮に僕が君のためにケーキを焼いたのだとして」
妹者の視線が脇へそれる。
なんだ、と思い追いかけて見るとその先にあったのは、テーブルに置かれたままのケーキの梱包箱。
l从・∀・ノ!リ人「お腹いっぱいでしょ?」
その声音からは不機嫌さが見え隠れどころか、とげとげしく自己主張している。
255
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:48:26 ID:sro2c18kO
从 ゚∀从「あっ、ああ、妹者の分も残ってるからさ。食べていい――」
l从・∀・ノ!リ人「いらない」
こちらの話を拒絶する程冷たい態度を取る割には、自己嫌悪もしているような表情をする。
これはまるで、焼きもちを焼いている女の子ばりの理不尽さだ。
ここで返答を間違うと、より厄介なことになるのは火を見るより明らか。
从 ゚∀从「お、俺は妹者の作ったケーキ食べたいなあ、なんて」
l从・∀・ノ!リ人「でも……」
妹者は淡いピンク色をした小さな唇をとがらせ、拗ねた表情で物言いた気にちらちらと、テーブルへ流し目を送る。
なんだこの、痴話喧嘩をしているみたいな微妙に甘酸っぱい雰囲気は。
从 ゚∀从「俺は妹者の作ってくれたケーキだから食べたいんだって!」
多少恥ずかしことをいった気がするが、とにかく流れを変えた方がいい。
このままだと、なにか精神的によろしくない。
256
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:51:23 ID:sro2c18kO
l从-∀-*ノ!リ人「ま、まあ、そこまでいうならあげないでもないけど」
妹者は満更でもなさそうに、口をもにゅもにゅ動かす。
l从////ノ!リ人「はい、どうぞ」
手早く切り分けたケーキを華美な皿に盛り付けて、妹者はそっぽを向きながら俺にそれを突き出した。
頬が紅潮していることからするに、顔を合わせないのは単なる照れ隠しだろう。
从*゚∀从「むー! やっぱ美味いな、妹者のキャロットケーキは」
l从・∀・ノ!リ人「ハインはなにを食べても美味いっていうよね」
从 ゚∀从「妹者の作ったもんはなんでも美味いってことだよ」
l从・∀・*ノ!リ人「はいはい」
二人称が君からハインに戻っている、つまり爆弾は解除されたと見て間違いなさそうだ。
257
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:54:24 ID:sro2c18kO
l从-∀-ノ!リ人「……ごめん。嫌な態度を取ったよね、僕」
从 ゚∀从「気にしてねえよ」
l从・∀・ノ!リ人「でも――」
从 ゚∀从「でもっていうのさ、やめにしないか」
昔は滅多に聞くことがなかった、でもという自分を卑下するような言葉。
俺は出会った当初、こいつのことを人当たりのいいやつだと思った。
だが親しくなるにつれて、それは違うのだということに気付いた。
人当たりがいいのではなく、モララーは誰とも深く関わろうとしていなかったんだ。
誰も傷つけない、自分も傷つかない、それでいて友達と呼べる絶妙な関係。
笑って見せても怒って見せても、本心は隠しているのに、そうとは気付かせない鉄壁の距離感を持っていた。
でもという言葉は、その鉄壁が破られそうになって、卑屈な本音が漏れるのを必死で堪えているときに出る台詞だ。
l从・∀・ノ!リ人「でもって、そんなにいってるかな?」
从 ゚∀从「最近は増えたな。昔と比べりゃ、そういう兆候があるだけ嬉しいんだけどよ」
一方的なものかもしれないけど、俺はお前を親友だと思っているから。
だから、もっといろんな内心を見せてほしい。
258
:
名も無きAAのようです
:2011/11/26(土) 23:57:06 ID:sro2c18kO
从 -∀从「あー、つまり本気で怒ったりもっと甘えてくれても、俺は絶対にお前を嫌いにはならねえよってこと!」
言葉というのは想像以上に不便で、想いの全てを伝えることはできない。
だから指先から少しでも多くのことが伝わればいいのにと、俺はいささか乱暴に妹者の頭を撫でる。
l从-∀-*ノ!リ人「うん」
いつもなら、撫でるなと憤る定型のポーズを返してくるが、このときは違った。
少し照れるようにしながら身をすり寄せてくる。
いつもと違うのは、その分だけ今までより前進できたのだと決めて、
俺はいつもより優しく妹者の頭を撫で続けた。
.
259
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:02:56 ID:lU2HQ7ooO
【ドキッ! 男だらけの大掃除大会 〜ほろ苦い思い出もあるよ〜】
(<●><●>)
(;><)「いきなりアップで意味もなく、こっちを向くのはやめてほしいんです!」
( <●><●>)「精神的ブラクラみたいな扱いなのはわかってます」
( ><)「なにも、そこまではいってないんです」
( <●><●>)「いや、でもぶっちゃけ顔のせいでイメージ決められることってあるじゃん? 俺っち的にはそれはどうなのよって」
(;><)「だからっていきなりイメージを崩さないでほしいんですっ!」
260
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:06:19 ID:lU2HQ7ooO
( <●><●>)「初キャラ崩し…ども…。俺みたいな腐れワカッテマス、他に、いますかっていねーか、はは」
(;><)「むしろ他にワカッテマス君がいるなら見てみたいんです!」
(<●><●>)「本当に?」
(<●><●>)「何人もいるのなら?」
(<●><●>)「見たいんですか?」
(;><)「っ!? ぎゃああああああああああなんですうううううう!?」
( <●><●>)「残り二つはただの張りぼてです」
( ><)「……もう、ワカッテマス君なんて嫌いなんです」
( <●><●>)「私はビロードのこと好きですけどね」
(* ><)「な、なにをいってるんですか! も、もぅ、そんなこといわれたって嬉しくもなんともないんですからね」
( <●><●>)「では口が裂けても二度といいません」
( ><)「えっ? いや、二度とはちょっとないんじゃないですか。口が裂けるぐらいなら、ほらねえ……?」
( <●><●>)「口が裂けるのも格闘ディナーにグルメ・デ・フォアグラ無しで勝てることを考えれば、悪いことばかりではないかもしれません」
(;><)「悪いことばかりなんですっ! そもそも格闘ディナーがなんなのかわかんないんです!」
261
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:08:23 ID:lU2HQ7ooO
( <●><●>)「やれやれ、これだから火中天津甘栗拳と飛竜昇天破ぐらいしか知らない世代は嫌なんです」
( ><)「それもわかんないんですけど」
( <●><●>)「……さて、そろそろ大掃除の時間ですね。真面目にやらないとつー先生に怒られてしまいます」
( ><)「待ってほしいんです! なんで少しづつ僕から距離を取ろうとするんですか!」
( <●><●>)「これではさすがのワカッテマスでも、ビロードだったかビコーズだったか、時々名前が分からなくなっても仕方ないですよね」
(;><)「三年近くも一緒にいて、なんで今更名前が分からなくなるんですかっ!?」
( <●><●>)「なにを騒いでいるんですか、ビ、ビ、……ビコーズ」
(;><)「悩んだ挙句間違ってるんです! 僕はビロードなんですうううううぅぅ!!」
.
262
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:09:59 ID:lU2HQ7ooO
( ´∀`)「次がラストモナ!」
( ゚∀゚)「ああ、この一球を打てれば俺の勝ち。打てなければお前の勝ちだ!」
( ´∀`)「いくモナ! これが決め球の消える魔球!!」
( ゚∀゚)「なにっ!? 本当に見えないだと、……ここだっ!」
( ´∀`)「実はまだ投げていないだけモナ、てい!」
( ゚∀゚)「……今のはボークだろ」
( ´∀`)「ボークぅ? それはなんだモナ?」
( ゚∀゚)「なにって、投球モーションに入ってから投げなかったらルール違反で」
( ´∀`)「それは野球のルールモナ。僕達がやっていたのは、雑巾を投げて箒で打つゲーム。誰も野球をやろうなどいっていないモナ」
(;゚∀゚)「くっ!」
( ´∀`)「つまり明日の昼はジョルジュの奢りで」
263
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:16:04 ID:lU2HQ7ooO
( ・∀・)「もう、小学生じゃないんだから。いつもお世話になっている寮ぐらい、自分達の手で綺麗にしないと駄目でしょ」
( ゚∀゚)「すまない、モララー。お前の明日の昼飯はモナーに取られちまった」
(;・∀・)「うおい、なんで僕のご飯を賭けてるんだよ!」
( ゚∀゚)「モナーが大食らいなやつでさ」
( ´∀`)「正確な情報を付け加えますと、既にジョルジュは一回負けていて、次はモララーのを賭けるといいだしました」
( ・∀・)「……ジョルジュ?」
( ゚∀゚)「いや、勝てば問題ないかなって」
( ・∀・)「つー先生! ジョルジュがつー先生の部屋の掃除を手伝いたいっていってまーす!!」
(;゚∀゚)「おい、馬鹿、マジでやめろって……うわっ!?」
(*゚∀゚)「本当か? いやあ、すまんな。助かるよ」
(;゚∀゚)「いえ、これはモララーの冗談でして」
(*゚∀゚)「さしもの私もどうしたものかと思っていたんだよ、あの惨状は。やっぱ持つべきものは可愛い生徒だな」
(゚∀゚*)つ(;゚∀゚)≡「ですから、先生、これは違くてですね、放してええええぇ…………!」
( ・∀・)「あっ、しまった。最後にジョルジュに、あそこの蛍光灯を替えてもらえばよかったな」
(;´∀`)「意外と容赦ないモナね」
.
264
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:18:20 ID:lU2HQ7ooO
( ^ω^)「ふう、見えない所にも汚れは溜まっているもんだお」
('A`)「ブーンじゃねえか。調子はどうよ?」
( ^ω^)「後はバケツの水捨てて、ゴミ出しして終わりってところだお。そっちは?」
('A`)「俺もこのゴミ出しが終わったら、あらかた片付いたことになるかな」
( ^ω^)「ちょっと待って、せっかくだから僕も一緒にいくお」
('A`)「別にそんな焦って用意しなくても置いていかねえよ」
( ^ω^)「お待たせ。ところで、ヒッキーも一緒だったんじゃないのかお」
('A`)「ヒッキーなら校長に捕まって長話食らってる。あいつの性格だと最後まで抜け出せないだろうなあ」
( ^ω^)「大掃除が終わるまでは、戻って来られそうにもないおね」
265
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:21:07 ID:lU2HQ7ooO
( ^ω^)「……あのさ」
('A`)「なんだよ?」
( ^ω^)「僕達って普通だおね」
('A`)「まあ普通に普通だわな」
( ^ω^)「今一つ派手な事件も起こさなければ、漫才みたいな掛け合いもない」
('A`)「俺と漫才したいのか? 落語は芸の肥やしかと思って覚えたが、漫才なんてやり方知らないぞ」
( ^ω^)「落語もできるのかお」
('A`)「前に鹿芝居の前座として、やらせてもらったことがあるんだよ」
( ^ω^)「鹿芝居?」
('A`)「落語家さんがやる芝居のことだよ。はなしかの芝居だから、略して鹿芝居ってんだ」
( ^ω^)「へえ、確かに全然詳しくない僕からすると、落語と歌舞伎って似てるような雰囲気があるお」
('A`)「両方江戸時代の話が多いからな。おかげで俺は日本史の江戸らへん超強いぜ」
( ^ω^)「でも世界史は弱いおね」
('A`)「おうふ、世界史も地理も苦手なんだよなあ」
266
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:22:26 ID:lU2HQ7ooO
( ^ω^)「日本地図の県ですら、たまに間違えるのはどうなんだお」
('A`)「マイナーでごちゃごちゃしてるとこなんて覚えてねえよ。廃藩置県前の日本地図なら完璧なんだが」
( ^ω^)「いやいやいや、藩の方があからさまに数が多くてマイナーでごちゃごちゃしてるお」
('A`)「現在でいうところの関西方面は特にそう感じるかもな。よし、燃えるゴミはそっち頼むわ」
( ^ω^)「了解。燃えないゴミはお願いするお」
('A`)「これで俺達の分担は終わりだな。一年達の手伝いにでもいってやるか?」
( ^ω^)「そうするかお」
267
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:24:48 ID:lU2HQ7ooO
('A`)「そういや、もう少しでクリスマスだな」
( ^ω^)「もうそんな時期かお。ドクオは何歳までサンタさんって信じてた?」
('A`)「小学校上がる頃までかな。昔、絶対にサンタさんが来るまで起きててやるなんて思ってさ」
( ^ω^)「あるある、でも結局寝ちゃうんだお」
('A`)「それが起きていられたんだけど、親父が遅くまで仕事してたらしくてさ」
('A`)「天狗の舞台衣装のまま、寝た振りしてる俺の枕元にプレゼント置いてったんだよ。あれには天狗が来たかと本気でびびったぜ」
( ^ω^)「僕のお父さんも毎年クリスマスライブをやってたから、ミニスカサンタ衣装のままプレゼントを貰ったりしたお」
(;'A`)「どちらかというとそっちのがキツいな!」
('A`)「……いや待て、ブーンの親父さんってことはアイドルの内藤さんだもんな。ミニスカサンタは全然有りだっ!」
(;^ω^)「友人の父親にそういう反応を見せるのはやめろ!」
('A`)「しかし、こうやって考えると、案外俺達って普通じゃないのかもよ?」
( ^ω^)「家庭環境のせいだと思いたい……」
.
268
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:28:33 ID:lU2HQ7ooO
【最強の調味料は愛?】
ξ*゚⊿゚)ξ「ツンのラブラブクッキングー!」
ξ-⊿-)ξ「ここのところ急激に冷え込んだから、風邪をひく人も多くなってきたわよね」
ξ゚⊿゚)ξ「ルームメイトが寝込んでしまった。なにか栄養のあるものを作ってあげたいけど、料理はしたことがない」
ξ゚⊿゚)ξ「今回は、そんな可愛らしいあなたのためのコーナーです!」
ξ゚⊿゚)ξ「まず最初に初心者が陥りやすいミスなんだけど、いきなり難しい料理を作ろうとしてない?」
ξ-⊿-)b゙ チッチッチ
ξ゚⊿゚)ξ「そういうのは失敗する確率が高くなるし、風邪のときは消化にいいものじゃなきゃノンノンノン」
ξ゚⊿゚)ξ「だから今回は定番の一つ、玉子おじやを作りたいと思います!」
269
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:31:24 ID:lU2HQ7ooO
ξ゚⊿゚)ξ「なによりまず最初は、ご飯を炊くところから。お米はワンカップで一合なのよ」
ξ゚⊿゚)ξ「米と水を規定量入れて、ジャーにセットしたらスイッチオン!」
ξ゚⊿゚)ξ「実際に炊き上がったご飯は、既にこちらに用意してあります」
ξ゚⊿゚)ξ「では次は土鍋に、醤油や味醂等の調味料を適当に注ぎます。土鍋がない人は普通の小型鍋でも代用可だからね」
ξ゚⊿゚)ξ「調味料が煮立ったら、そこへご飯を投入!」
ξ゚⊿゚)ξ「んー、色合いからするに醤油が多かったかな? 砂糖を入れて辛さを中和っと」
ξ*゚⊿゚)ξ「よし、後は溶き玉子を流し込んで、ひとまぜしたら出来上がり!」
.
270
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:34:18 ID:lU2HQ7ooO
川 ゚ -゚)「これは実際に私が、去年寝込んでしまって体験した話なんだがな」
川 - 、-)「当時の私はブーンの料理を食べたことはあっても、ツンの料理を食べるのは初めてだったんだ」
――回想シーン――
ξ゚⊿゚)ξ「クー、大丈夫?」
川 ゚ -゚)「ああ、幾分かは楽になったよ。すまないな、看病などさせてしまって」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなこと気にしないの。おじや作って来たんだけど、食べられそう?」
川 ゚ -゚)「わざわざツンが作ってくれたのか?」
ξ////)ξ「べ、別に、わざわざなんて作ってないわよ。私が食べるののついでよ、ついで!」
川 ゚ ー゚)「ふっ、そうか。ならばありがたくそのついでを頂くとしよう」
271
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:36:44 ID:lU2HQ7ooO
ξ゚⊿゚)ξ「熱いから気をつけるのよ?」
川 ゚ -゚)「いくら風邪っぴきだとはいっても、子供じゃないさ。では、いただきます。はむっ……ぐぶぅ!?」
川;゚ -゚)(な、んだ、これは……!? 吐くな! 頑張れ、私!)
川;゚ -゚)(多分一合カップと普通の計量カップを間違えているから、水と米の分量がおかしいのではないかとか)
川;゚ -゚)(米を研がずに炊いただろうから、ぬか臭いとか)
川;゚ -゚)(このきてれつな味は調味料を計らずに適当に入れただろとか)
川;゚ -゚)(バリバリと強烈にアピールしてくる卵の殻とかは、些細なことに過ぎないと感じる、この、焼けるような……)
川;゚ -゚)「少し、甘いのは……なんで、かな?」
ξ゚⊿゚)ξ「醤油を入れ過ぎたから砂糖で中和したの」
川;゚ -゚)(違う、辛いの反対は甘いじゃない! でなければこの世に甘辛いなんて言葉は存在しなくなるっ!)
ξ*゚⊿゚)ξ「美味しい?」
川;゚ -゚)「ま、まあまあ、かな」
ξ゚⊿゚)ξ「ちぇ、まあまあか」
川;゚ -゚)「まあまあ、美味しいよ」
ξ////)ξ「そ、そう。まあ、今後も風邪をひいたら、作ってあげなくもないけど?」
川; - )(もう風邪など絶対にひかん……!!)
272
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:41:02 ID:lU2HQ7ooO
――回想終わり――
川 ゚ -゚)「私はそれ以降体調を崩したことなど、一度足りとてないよ」
川 ゚ ー゚)「ふっ、そういった意味では、ツンの料理は究極の特効薬だな」
ξ゚⊿゚)ξ「あっ、いたいた。クー、私ね、料理を作っ――」
≡≡川 ゚ -゚)「ああ忙しい忙しい、もう上から下までてんやわんやになっているな、忙しくて!」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、待ってよー!」
.
273
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:46:25 ID:lU2HQ7ooO
【クリスマス中止のお知らせ】
(*゚∀゚)「12月25日に開催予定だったクリスマスは、諸事情により中止となりました」
(*゚∀゚)「本決定により、当然のことながらクリスマスイヴも中止になります」
(*゚∀゚)「中止、ならびに本告知が遅れたことにつきまして、楽しみにしておられた方々、及び関係者各位には謹んでお詫び申し上げます」
(*゚∀゚)「つきましては、24〜25日の間は目的のいかんを問わず、寮内での生徒間の過剰な接触が禁止されております」
(*゚∀゚)「そういう行動は、25日が終了するまで延期するようお勧め致します」
寮生「「ええええええええええええええええ!?」」
274
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:47:46 ID:lU2HQ7ooO
川 ゚ -゚)「さすがにそれはないのではないか」
l从・∀・ノ!リ人「もうクリスマスケーキだって焼いちゃったし」
ミセ*゚ー゚)リ「急に中止っていうのは」
从 ゚∀从「そうだそうだー! 自分が独り身で寂しいからって身勝手だぞー!」
(*゚∀゚)
⊂彡☆);>∀从
从;゚∀从「暴力は違うんじゃないかと」
(*;∀;)「うるせえ! 私だって、私だってな、恋人ぐらいな、本気で作る気になればな……!」
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、よしよし。泣かないで下さいよ」
(*゚∀゚)「泣いてなんかないやい! という訳でクリスマスは中止だ、中止!」
275
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:49:21 ID:lU2HQ7ooO
ノパ⊿゚)「私情に溢れまくった理由は、なんとなく理解できたけど」
(゚、゚トソン「さすがに承服し難いな」
ξ゚⊿゚)ξ「うーん、中止はねえ」
lw´‐ _‐ノv「ちくわ大明神」
从 ゚∀从「そうだそうだー! 絶対王政か、お前は! 独身王族かっ!」
(*゚∀゚)
⊂彡☆);>∀从
从;゚∀从「なんでこんなに人がいる中、俺の居場所には敏感なんですか」
(*゚∀゚)「お前の顔はどことなく私に似てるから、目につくんだよ」
从 ゚∀从「うわー、もの凄く反応に困る理由」
276
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:51:35 ID:lU2HQ7ooO
从 ゚∀从「そういえば、俺ずっとつー先生について疑問に思ってたことがあるんですけど」
(*゚∀゚)「B81W―― 」
从;゚∀从「スリーサイズなんて聞いてないっす!」
(*゚∀゚)「ならなんだ、いってみろ」
从 ゚∀从「つー先生って女装師なんですか? それとも本当に女なんですか?」
(*゚∀゚)「その質問の意味はつまり、もし女だったら責任を取って嫁に貰ってくれるということか?」
l从・∀・;ノ!リ人「さすがにそこまではいっていないと思うのですが……」
(*゚∀゚)「娶るつもりがないなら、私の性別なんてどうだっていいだろうが」
从 ゚∀从「ただの興味本位ですから、そういわれましても」
(*゚∀゚)「収入もそこそこあるし、尽くすタイプだし、純情だけど意外とえっちぃし、結構いいぞ私」
川 ゚ -゚)「そんなことより、クリスマスは本当に中止なんですか?」
(*゚∀゚)「さらっと流すなよ! ……分かった、ここにいる全員でクリスマスパーティだ! それなら文句ないだろ?」
ζ(゚ー゚*ζ「つまり、クリスマスを二人きりで過ごそうなんてやつは許さんが」
ミセ*゚ー゚)リ「全員でならやってもいいってことだね」
277
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:52:49 ID:lU2HQ7ooO
从´ヮ`从ト「いいんじゃないかなあ。大人数で騒ぐのが好きな人も多いだろうし」
o川*゚ー゚)o「キュートは賛成ー!」
川д川「キュートさんや私なんかは、元々二人きりで過ごすパートナーがいませんからね」
o川;>ー<)o「はうー! キュートにもちゃんとパートナーぐらいいるもん!」
川д川「そうなのですか?」
o川*゚ー゚)o「例えば、ツンとか――」
ξ゚⊿゚)ξ「少しだけ残念な気もするわね」
川 ゚ ー゚)「ふっ、たまには皆で過ごす夜もいいじゃないか」
川д川「一番仲がいいんでしょうけど、思いっきりアウトなところいきましたね」
278
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:56:47 ID:lU2HQ7ooO
o川;゚ー゚)o「はうぅ、例えば、部屋が同室のヒートとか――」
从´ヮ`从ト「楽しみだねー」
ノパ⊿゚)「羽目は外し過ぎないようにして下さいよ」
川д川「ヒートさんはシュールさんにも狙われてますから、競争率高いですよ?」
o川;゚ー゚)o「はううぅ……」
ζ(^ー^*ζ「キュート先輩、私の部屋ならいつでも開いていますから」
o川*^ー^)o「デレの部屋は怖いのでごめんなさいです」
(*゚∀゚)「キュートも、クリスマスを二人で過ごす不謹慎さが分かっただろう?」
o川*゚ー゚)o「分かりました。不謹慎だ、異教徒を滅せよー!」
(゚、゚トソン「なんだっていいから、全員でやるならさっさと準備を始めなよ……」
.
279
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 00:58:15 ID:lU2HQ7ooO
l从・∀・ノ!リ人「そっちは料理足りてます?」
川 ゚ -゚)「問題ないぞ」
o川*>ー<)o「ぷはーっ! もう一杯持って来ーい」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと、これシャンメリーじゃなくて」
(*゚∀゚)「無礼講だよ、無礼講! 飲め飲めい!」
lw´‐ _‐ノv「無礼討ちじゃー」
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソはプレゼント交換でなにがもらえたの?」
(゚、゚トソン「それが鍵なんだけど、誰が鍵なんて――」
ζ(^ー^*ζ「ああそれ、私の部屋の鍵ですよ」
(゚、゚トソン「てありゃあああああ!」
ζ(゚ー゚;ζ「あー!? なにも力一杯窓の外に放り投げなくても」
(゚、゚トソン「キミは同室の者の迷惑を考えたことはあるのか!」
ζ(゚ー゚*ζ「ほえ? いやあ、そのときは3P――」
l从・∀・;ノ!リ人「すみませんっ! うちの変態が迷惑をおかけして本当にすみません!」
280
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 01:02:02 ID:lU2HQ7ooO
ミセ*゚ー゚)リ「気にしない気にしない。無礼講だよ」
l从・∀・ノ!リ人「ミセリ先輩……。実は僕、ミセリ先輩に謝りたいことがあるのですが」
ミセ*゚ー゚)リ「えっと、謝られるようなことあったっけ?」
l从・∀・ノ!リ人「入学した当初、僕は先輩のことを人の話を聞かない、ゴーイングマイウェイな人だと思っていましたが」
从´ヮ`从ト「でるのかっ! シュールちゃんの空中殺法!」
lw´‐ _‐ノv「アイアムナンバーワン!」
o川*゚ー゚)o「しかし、それもキュートにかかれば!」
l从・∀・ノ!リ人「ミセリ先輩は」
ζ(ーεー*ζ「私、酔っちゃった。妹者、ちゅーしよ、ちゅー」
l从・∀・;ノ!リ人「くっ、このっ! ミセリ、先輩は、全然、普通の方です!」
ミセ*゚ー゚)リ「……比べられるメンバーを見ると、素直に喜べないのはなんでだろう」
.
281
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 01:03:50 ID:lU2HQ7ooO
――三時間経過――
(*゚∀゚)「しかし、アルコールの力があったとはいえ……」
l从・∀・*ノ!リ人「はーはっはっはっ! 脱げ脱げ!」
从//∀从「いや、やめてっ!」
ζ(゚ー゚*ζ「むしろ私が脱ぐー!」
(゚、゚トソン「ミセリ。このリップ、今月出たばかりの新作なんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、あっ、うん……」
(゚、゚*トソン「キミにも少しプレゼントするよ、口移しで♪」
ミセ;゚ー゚)リ「きゃあああああ!?」
282
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 01:06:21 ID:lU2HQ7ooO
o川* ー )o「どうせ私はなにをやっても駄目なんですよ。なにをしてもみんなの迷惑になるんです」
lw´‐ _‐ノv「そんなことないよ! キュートはいつも眩しい程に輝いている、太陽のように!」
川д川「つまらないことをグダグダいってんじゃねえええぇぇ!!」
川 ゚ -゚)「パタップソッポ! キロキルラー!」
ξ゚⊿゚)ξ「あらあら、いやぁ〜ねえん。どうしちゃったのよおぉ、クーったらん」
从´ヮ`从ト「ツンちゃん、声が若本のノリオちゃんみたいになってるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ぶるあああぁぁぁ! なぁんてこったいぃぃ! ちくしょうちくしょう!」
≡ノパ⊿゚)「しゅっぽ、しゅっぽ、私の名前は機関車ヒート!」
(*゚∀゚)「……どうしよう、この状況」
283
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 01:09:31 ID:lU2HQ7ooO
(´・ω・`)「つー先生?」
(;゚∀゚)「こ、校長? 違うんですよ、これは、その」
(´・ω・`)「大丈夫、皆までいわずとも分かっています」
(*゚∀゚)「えっ?」
(´^ω^`)「これが宇宙秘密結社キロキルラーの仕業だということはね!」
(;゚∀゚)「やべえ! こっちも変なことになってる!」
川 ゚ -゚)「キロキルラー! キロキルラー!」
(´゚ω゚`)「パタップソッポ! キロキルラー!」
(;゚∀゚)「しかも一番厄介なところとリンクしやがった!?」
≡ノパ⊿゚)「しゅっぽ、しゅっぽ、つー先生もこっちにおいでよ!」
(*;∀;)「もうやだ、助けてええええ!!」
.
284
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 01:18:52 ID:lU2HQ7ooO
投下終了です
ミセトソの全年齢対象も含めると、いつもの二倍近い文量になったのではないでしょうか
そして久し振りにギャグテイストな話を書いた気がします
予定では三月で終わりですので、残すは三回
是非とも最後までお付き合い下さい
o川*゚ー゚)o「ここから先はキュートのコーナー! ……で、いいんだよね?」
o川*゚ー゚)o「今回はクリスマスを含めた12月の話になりました」
o川*゚ー゚)o「大晦日やら年末年始の話は、次回の1月にふぞくします」
o川*゚ー゚)o「それとまだまだ御要望は受け付けておりますので、どしどし投函して下さい」
o川*゚ー゚)o「はい、台本終わりー☆」
o川*゚ー゚)o「あれ? 今回は邪魔がないの?」
o川;゚ー゚)o「一人は一人で寂しいんだけどー!!」
.
285
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 13:41:07 ID:HEpJZQgQ0
乙乙!
ワカッテマスはらんま好きなんだなww
残り3回なのか、終わるのは寂しいが楽しみに待ってる!
286
:
名も無きAAのようです
:2011/11/27(日) 18:36:28 ID:ISUS3V7I0
乙です!
ミセトソ大好きだ
287
:
名も無きAAのようです
:2011/11/28(月) 20:08:09 ID:r4yhOJL6O
乙
いい呑まれっぷりだwww素との落差がひでえ
288
:
名も無きAAのようです
:2011/11/28(月) 23:17:32 ID:H0KQ2WvEO
私作者だけどミセトソ、ワカビロ組の書きやすさは異常だと思うの
289
:
名も無きAAのようです
:2011/12/07(水) 20:56:06 ID:7I8BQlRkO
今月はどうにも忙しくてなかなか投下予定が立てられておりません
楽しみにされておられる方がいらっしゃいましたら、申し訳ございませんがもう少々御待ち下さいませ
290
:
名も無きAAのようです
:2011/12/08(木) 08:09:25 ID:9OZHuU.MO
待ってる
待ってる
291
:
名も無きAAのようです
:2011/12/08(木) 22:21:16 ID:CkJHXdFQO
お待ちしてますわお姉様
292
:
名も無きAAのようです
:2011/12/09(金) 17:51:08 ID:EijCWaDYO
>>291
を見てから
>>289
を見るとお姉様が喋ってるように見えてきた
293
:
名も無きAAのようです
:2011/12/22(木) 21:54:09 ID:grwN8QOU0
今一気読みした
キュートかわえええ
294
:
名も無きAAのようです
:2011/12/25(日) 19:30:46 ID:AnrDmbsUO
一ヶ月も間を空けてしまい申し訳ございません
師走とはいうもののここまで忙しいのは想定外でして
次回はどうしても年明け以降になりそうです
心苦しいですがもう幾許か御待ち下さいませ
295
:
名も無きAAのようです
:2011/12/25(日) 20:26:21 ID:PAGmcZG60
>>294
楽しみにお待ちしていますわ
296
:
名も無きAAのようです
:2012/01/06(金) 17:41:50 ID:qDkn.WKY0
フェミニン同士の組み合わせが好きなので、デレのキュート誘惑がもっと見たいです
意見箱
297
:
名も無きAAのようです
:2012/01/08(日) 17:07:59 ID:rQCMMAAMO
>>296
フェム系いいですよね
是非一本デレとキュートがメインの話書かせて頂きたいと思います
多忙も鳴りを潜め現在鋭意執筆中です
来週の日曜日にはお目にかかられるよう頑張ります
298
:
名も無きAAのようです
:2012/01/15(日) 18:54:29 ID:DGqIL9IYO
今日が投下予定日でしたのにどう考えても間に合いそうにありませぬ
いつも延ばし延ばしで御待ち頂いている方には本当に申し訳ございません
近いうちにちゃんと投下致しますので
よろしければ御待ち頂く間にミセトソの短編をお一つどうぞ
299
:
名も無きAAのようです
:2012/01/15(日) 18:58:42 ID:DGqIL9IYO
【夢の中のキミは】
丁度眠りが浅い瞬間だったのか、私はいささか乱暴な衣擦れの音で目を覚ました。
辺りは暗く、時刻はまだ草木も眠っているような深夜なのだろう。
今までにも幾度か同じ体験をしているから、音の正体には見当がついている。
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソ?」
(-、-トソン「うぅ、……くっ……あぅ」
ルームメイトであり親友のトソンが、隣りのベッドで小さく唸り声を上げながら身悶えていた。
どんな夢を見ているのかは分からないが、辛そうなことだけは確かだ。
トソンは出会った当初から、時折このようにうなされていることがあった。
初めは驚いた私だったが、今ではどうすればいいのかよく分かっている。
300
:
名も無きAAのようです
:2012/01/15(日) 19:00:26 ID:DGqIL9IYO
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫だよ、私が一緒にいるからね」
私は慣れた手付きでトソンのベッドへ潜り込むと、彼女の頭を優しく胸に抱いて撫でてあげる。
幼子をあやすように、我が子を慈しむように、何度も何度も繰り返し撫で続ける。
すると苦しげだったトソンの寝息が、次第に安らかなものへと変わっていった。
(-、-トソン「すう、すう……ミセ……リ……」
私が近くにいると安心するのか、トソンは私の背中に手を巻き付けて抱き返してきた。
ミセ*゚ー゚)リ「まったく、大きな子供だね」
胸も、お腹も、腰も、トソンは全身を私に押しつけてくる。
まるで互いの距離が少しでも零に近付けといわんばかりに。
密着したトソンから放たれる微かに甘い香りが、私の胸をいっぱいに満たした。
301
:
名も無きAAのようです
:2012/01/15(日) 19:02:41 ID:DGqIL9IYO
私とトソンがこの部屋で共に眠る夜は、後どれだけあるのだろうか。
もし卒業して離れ離れになってしまったとしたら、トソンはどうなるのだろう。
一人で悪夢にうなされながら眠るのだろうか。
それとも誰かがまた隣りで、一緒に眠ってあげるのだろうか。
ミセ*゚ー゚)リ「…………」
その隣りで眠っている誰かが、私であればいいのにと。
トソンの暖かな体温を抱きながら、私は再度まどろみへ落ちていった。
.
302
:
名も無きAAのようです
:2012/01/15(日) 19:03:41 ID:DGqIL9IYO
(゚、゚トソン「またキミは勝手にボクのベッドに潜り込んで!」
ミセ*゚ー゚)リ「だって一人で寝るのが寂しかったんだもん」
(゚、゚トソン「まったく、大きな子供がいたもんだ。世話が焼ける」
ミセ*^ー^)リ「これからも末永く私の世話を焼いてね、トソトソ」
(゚、゚トソン「末永くは遠慮したいが、早速一つ焼いてあげるよ。……もう着替えないと遅刻だ」
ミセ*゚ー゚)リ「えー、私朝ご飯まだ食べてないよ」
(゚、゚トソン「起きない方が悪い。さて、ぐずぐずしているのなら置いていくよ」
ミセ;゚ー゚)リ「わっ、待ってよトソトソー!」
.
303
:
名も無きAAのようです
:2012/01/15(日) 19:12:25 ID:DGqIL9IYO
ベッドの上では甘えん坊なトソトソPART2です
夢オチだけというのも寂しいものがありましたので書きました
今度こそ間違いなく全年齢対象となっております
一月の内容はなるべく早いうちに投下致しまするー!
304
:
名も無きAAのようです
:2012/01/15(日) 22:30:36 ID:FbxqeVSM0
乙乙。トソンも訳ありの子なのかな
書きため頑張ってくださいまし
305
:
名も無きAAのようです
:2012/01/16(月) 04:46:03 ID:cA9CRxPUO
乙
やべえわこの組み合わせ
306
:
名も無きAAのようです
:2012/01/21(土) 16:11:08 ID:8wcm7VOM0
たまらんかった
307
:
名も無きAAのようです
:2012/01/26(木) 11:03:18 ID:UDcCCQq20
待ってる
308
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 12:27:19 ID:VWTHKxBkO
大変長らくお待たせ致しました
ようやく書き上がりましたので今夜にでも投下させて頂きたいと思います
正式な最終投下から二か月も経ってしまって申し訳ない限りです
309
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 17:48:07 ID:gN5oMshQ0
やったー!
310
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 18:13:22 ID:gniS/l2oO
待ってた
311
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 18:46:19 ID:NHtpjRlcO
きたか!
312
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 20:51:08 ID:VWTHKxBkO
大変長らくお待たせ致しました
今回は主に年末年始の話になっております
313
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 20:57:18 ID:VWTHKxBkO
【お姉ちゃんプレイっていいと思いませんか? byデレ】
o川*-ー-)o「はうぅ……★」
ζ(゚ー゚*ζ「おや、そこいく少女よ。何やら悪い気に取り憑かれておるようじゃな」
ζ(^ー^*ζ「今ならなんと、霊験あらたかな魔除けの壺が二百万円で」
o川*゚ー゚)o「ごめん、今は冗談に付き合う気分じゃないから」
ζ(゚ー゚*ζ「軽い冗談も、気晴らしぐらいにはなるかと思ったんですけどねー」
o川*゚ー゚)o「ちょっと一人にしてほしい――」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだ、私の部屋にいきませんか。うん、それがいい、そうしよう」
o川;゚ー゚)o「はうっ、引っ張らないでよー」
.
314
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 20:58:56 ID:VWTHKxBkO
ζ(^ー^*ζ「ふっふっふっ、ここまで来たからにはもう逃げられませんよ」
o川*゚ー゚)o「本当に冗談に付き合う気分じゃないのにー」
ζ(゚ー゚*ζ「では、真面目に私と付き合ってください」
o川*゚ー゚)o「ごめんなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「わお、即答ですね。まあ冗談はさておき、キュート先輩にお願いがあるんですけど」
o川*゚ー゚)o「こんなにお断りしたい気持ちになったのは初めてです」
ζ(゚ー゚*ζ「いえいえ、やましいことじゃないんですよ。ただ絵のモデルになってもらえないかなって」
o川*゚ー゚)o「ヌードなんて絶対に嫌だからね!」
ζ(゚ー゚*ζ「なんでヌード前提なんですか。普通に着衣ですよ」
o川*゚ー゚)o「だってデレが絵って、そういう目的だとしか思えないんだもん」
ζ(゚ー゚*ζ「どんなイメージですか。だいたい私は着衣プレイの方が好みで」
o川;゚ー゚)o「だからそういうところがイメージになるの!」
315
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:00:01 ID:VWTHKxBkO
ζ(゚ー゚*ζ「風景画ばかりしか描いていませんが、冗談抜きでなかなかの腕前ですよ私」
o川*゚ー゚)o「それで人物画が描きたくなったから、キュートを部屋に引っ張り込んだと」
ζ(゚ー゚*ζ「んー、人物画が描きたいというよりは、キュート先輩を描きたいから誘ったんです」
o川*゚ー゚)o「キュートを?」
ζ(゚ー゚*ζ「少し窮屈かもしれませんけど、気分転換だと思って引き受けてもらえませんか?」
o川*゚ー゚)o「……可愛い後輩の頼みだもんね。うん、いいよ」
.
316
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:01:31 ID:VWTHKxBkO
o川*>ー<)o「…………っ」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなに固くならなくても、少しぐらい動いても大丈夫ですよ」
o川*゚ー゚)o「はうぅ、こういうの初めてだから」
ζ(^ー^*ζ「おお、初体験ですか。私、初物好きですよゲヘヘ」
o川*゚ー゚)o「うちも初鰹は縁起がいいって、お婆ちゃんがよく買ってきてたよー」
ζ(゚ー゚*ζ「さすがに今のは、純真な先輩には通用しませんでしたか」
o川*゚ー゚)o「はう? どういうこと?」
ζ(゚ー゚*ζ「いえいえ、キュート先輩にはできれば今後も分からないままでいてほしいなと」
o川*゚ー゚)o「なんだか馬鹿にされてるふいんきがする!」
ζ(゚ー゚*ζ「してませんよ。ただキュート先輩は可愛いなあって」
o川*////)o「そ、そうかな、キュートって可愛いかな?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。私は美少女スカウターを持っていますから間違いありません」
o川*゚ー゚)o「スカウター持ってるの!? 超すごいじゃん!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふふ、みんなには秘密ですよ?」
317
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:02:59 ID:VWTHKxBkO
ζ(゚ー゚*ζ「…………」
o川*゚ー゚)o「…………」
ζ(゚ー゚*ζ「……少し、私の話をしてもいいですか?」
o川*゚ー゚)o「デレの話? ちょっと聞いてみたいかも」
ζ(゚ー゚*ζ「では遠慮なく。私は幼いころから父一人子一人の父子家庭で育ちました」
ζ(゚ー゚*ζ「母は父と離婚していて、私の物心がつく前に家を出たそうです」
o川*゚ー゚)o「大変だったんだね」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ大変でしたね、父はあまり生活能力のない人でしたから。小学生のうちから料理は私が作っていたと思います」
ζ(゚ー゚*ζ「画家なんて儲らない仕事に夢中になって、生活能力もない。母に捨てられた理由が分かるってもんです」
318
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:05:01 ID:VWTHKxBkO
o川*゚ー゚)o「お父さんが画家さんだったんだ。だからデレも絵を描くようになったんだね」
ζ(゚ー゚*ζ「どうなんでしょう。実は私、父の絵は特に好きでもなかったんですよ」
o川*゚ー゚)o「てっきりお父さんのような絵が描きたくて、みたいな展開かと思ったのに」
ζ(゚ー゚*ζ「私は人物画が好きなんです。でも父が描くのは風景画ばかりでした」
o川*゚ー゚)o「はう? その割りには、デレも風景画ばかり描いてるんだよね?」
ζ(゚ー゚*ζ「結局は似た者親子だったんでしょうね。自分が納得いくものを描き上げようとすると、どうしても風景画になるんです」
o川*゚ー゚)o「人物画は苦手なんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「小綺麗には描けるんですよ? でも、そんな絵では心が震えない」
ζ(゚ー゚*ζ「父もそれは同じだったみたいで、人物画で世に残してあるのは一枚だけだといっていました」
o川*゚ー゚)o「頑固職人って感じだね」
ζ(゚ー゚*ζ「家族からすれば、納得いかなくても売れる絵を描けよって話ですけどね」
319
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:06:29 ID:VWTHKxBkO
ζ(゚ー゚*ζ「それでその一枚しかない人物画に描かれていたのは、小さな赤ん坊を抱く女性の姿でした」
o川*゚ー゚)o「それって」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。若かりしころの母と、私を描いた一枚だそうです」
o川*゚ー゚)o「お父さんは、その絵には心が震えたんだね」
ζ(゚ー゚*ζ「画家なんて人種は、みんな無駄にロマンチストなんですよ」
o川*゚ー゚)o「デレは画家にはならないの?」
ζ(゚ー゚*ζ「私程度の腕でなれるとも思いませんが、仮にそれを度外視してもなりません」
ζ(゚ー゚*ζ「きっとどれほど素晴らしい絵が描けても、仕事にすると心が震えなさそうですから」
o川*-ー-)o「好きなことは仕事にしない方がいいっていうもんね」
ζ(゚ー゚*ζ「――本気でいってるんですか、それ」
o川*゚ー゚)o「えっ?」
ζ(゚ー゚*ζ「今の言葉は本気なのかと聞いたんです」
o川*゚ー゚)o「えっと、それは、だって」
320
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:08:21 ID:VWTHKxBkO
ζ(゚ー゚*ζ「さっき先輩に会った瞬間に、仕事先で失敗してきたんだなって分かりました」
o川*゚ー゚)o「なんで……」
ζ(゚ー゚*ζ「なんだかんだで最近一緒にいることが多いですからね。先輩になにがあったかなんて、顔を見ればだいたい分かります」
o川*-ー-)o「…………」
ζ(゚ー゚*ζ「私はただの学生です。プロとして働いているキュート先輩の大変さは、理解することができません」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、どれだけキュート先輩が頑張っているかは知っているつもりです」
o川*゚ー゚)o「デレ……」
ζ(゚ー゚*ζ「先輩は初めてもらった給料をなにに使いました?」
o川*゚ー゚)o「えっ、確か本を買ったような」
ζ(゚ー゚*ζ「初めて自分が仕事をした作品をTVで見たとき、どう思いました」
o川*゚ー゚)o「……嬉し、かった」
321
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:10:45 ID:VWTHKxBkO
ζ(゚ー゚*ζ「それらを思い出した上でもう一度いえますか。好きなことは仕事にしない方がいいって」
o川*゚ー゚)o「ううん。私は――キュートは、好きなことじゃないと仕事にできない」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですよ。キュート先輩は嫌いなことを我慢して生きていくなんて、絶っっ対にできません!」
o川;゚ー゚)o「それだとキュートが駄目人間みたいだよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「私は羨ましいんですよ。ダメカワ先輩のそういうとこ」
o川;゚ー゚)o「ダメカワ先輩って誰!?」
ζ(^ー^*ζ「ダメダメで可愛いキュート先輩、略してダメカワ先輩」
o川;゚ー゚)o「少なくとも先輩につけるあだ名じゃないよねそれ!」
ζ(゚ー゚*ζ「あはは、そんなことより絵が描き上がりましたよ」
o川*゚ー゚)o「はうぅ、そんなことで流される話題じゃないんだけど」
ζ(゚ー゚*ζ「これが私が描いた中で現存する唯一の人物画。心が震えた一枚です」
o川*゚ー゚)o「……可愛い。これ、本当にキュート?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。この溢れんばかりの笑顔、キュート先輩以外の何者でもないじゃないですか」
322
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:12:19 ID:VWTHKxBkO
o川*゚ー゚)o「キュートね、デレのこと誤解してたよ」
o川*゚ー゚)o「いつもエッチなことや冗談ばかりいってるけど、本当はデレって優しいんだね」
ζ(゚ー゚*ζ「照れますね。キュート先輩、私のこと好きですか?」
o川*^ー^)o「うん、好きー☆彡」
ζ(゚ー゚*ζ「両想いということは、つまりベッドインしてもOKというわけですね!」
o川;゚ー゚)o「えっ、えっ、えっ? はゃぅっ!?」
ζ(^ー^*ζ「大丈夫、慣れないモデルで疲れたであろう先輩を、マッサージするだけですから」
o川;゚ー゚)o「仰向けでマッサージなんてできないよね!?」
ζ(゚ー゚*ζ「できますよ。こことか、こんなところとか」
o川*////)o「ひゃぁん……!?」
ζ(^ー^*ζ「うふふ、お姉ちゃんと気持ちいいことしよっか?」
o川;゚ー゚)o「やっぱり誤解じゃなかった! 誰か助けてー!」
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、同室の者なら帰ってきませんよ。金を握らせておきましたから」
o川;゚ー゚)o「汚いっ! デレなんて嫌いだー★彡」
.
323
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:19:25 ID:VWTHKxBkO
【好きなものはニンジンと】
(*゚∀゚)「これが女装術の基礎における最終段階、神速の早女装だ」
(*゚∀゚)「来年はこれをメインに教えていく。進級するまでには全員に習得してもらうからな」
(*゚∀゚)「以上で今年の授業は終わりだ。明日から冬休みになるが、あまりはめを外すなよ」
从 ゚∀从「ついに早女装か。入学当初は先輩達の早女装に驚かされたっけ」
ζ(゚ー゚*ζ「来年入ってくる後輩を驚かせるためにも、しっかり覚えないといけないね」
从 ゚∀从「来年かあ。忘年会ってわけでもねえけど、せっかくだし今から遊びにいかないか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、いいね。妹者もいくよね?」
l从・∀・*ノ!リ人「ごめん、今日はちょっと急ぎの用事があるから。じゃあねー!」
324
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:21:30 ID:VWTHKxBkO
从 ゚∀从「……まっ、用があるなら仕方ねえか」
ζ(゚ー゚*ζ「フラれましたな。よっ、サヨナラ男!」
从 ゚∀从「誰がフラれたか」
ζ(゚ー゚*ζ「でも妹者のそわそわした感じ、嬉しそうな表情。正にあれは恋する乙女の顔!」
ζ(゚ー゚*ζ「これから意中の人とデートと見て間違いないね」
从 ゚∀从「はいはい」
ζ(゚ー゚*ζ「ノリが悪いなー」
从 ゚∀从「くだらないこといってないで、さっさといくぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「ほえ?」
从 ゚∀从「急がないと妹者を見失うだろ!」
ζ(^ー^*ζ「さすがはハイン、そうこなくっちゃ!」
.
325
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:23:19 ID:VWTHKxBkO
(´・_ゝ・`)
l从・∀・*ノ!リ人
ζ(゚ー゚*ζ「私の感、ビンゴだねー」
从 ゚∀从「いや、変な男に絡まれてるだけって可能性も」
ξ゚⊿゚)ξ「あの妹者の表情からしてそれはないでしょ」
川 ゚ -゚)「唇を読むに『待たせたな』『今来たところだよ』といっている」
从 ゚∀从「ちっ、本当は妹者は二十分も前から待ってたんだぞ!」
ζ(゚ー゚;ζ「まずはお姉様方がいることに疑問を抱こうよ」
川 ゚ -゚)「楽しそうなことをやるなら、私達も混ぜてくれないと困る」
ξ゚⊿゚)ξ「出歯亀根性全開でいくわよ」
从 ゚∀从「あっ、どこかに移動するみたいだ」
.
326
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:25:17 ID:VWTHKxBkO
l从・∀・ノ!リ人「どこかいきたいところある?」
(´・_ゝ・`)「そういわれても、この辺りの地理に明るくないからなあ。お前の好きな場所で構わないよ」
l从・∀・ノ!リ人「んとね、だったら駅地下のクレープ屋さんがいいな」
(´・_ゝ・`)「クレープか。久し振りに食べるな」
l从・∀・ノ!リ人「僕のお勧めはキャロットクレープだよ!」
(´・_ゝ・`)「ははは、ニンジン好きは相変わらずだな」
川 ゚ -゚)「駅地下のクレープ屋へいくそうだ」
ζ(゚ー゚*ζ「おお、ここでクレープですか」
ξ゚⊿゚)ξ「王道ね」
从 ゚∀从「反吐が出ますね」
ζ(゚ー゚*ζ「妹者が知らない男とデートしてるからって、不貞腐れないの」
从 ゚∀从「不貞腐れちゃねえよ」
川 ゚ -゚) (うーむ、しかしあれはデートというより……)
.
327
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:27:49 ID:VWTHKxBkO
l从・∀・ノ!リ人「ここは結構人気のお店でね、うちの生徒も時々利用してるんだ」
(´・_ゝ・`)「知り合いがいたりしてな」
l从・∀・ノ!リ人「大人気って程でもないし、そんな都合よく」
ミセ*゚ー゚)リ「二人で交互に交換して食べたら、ミックスベリー味になるね」
(゚、゚トソン「そんな子供染みた真似、ボクは絶対にしないからね」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ、もしかして!」
川 ゚ -゚)「なんとも都合よくミセトソ先輩が現れたな」
从 ゚∀从「よし、ミセリ先輩が妹者の存在に気付いたっぽい。いいぞ、デートの邪魔をして――」
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソ、ほっぺにクリームついてるよ。ちゅっ」
(゚、゚;トソン「な、なんだ急に、汚いだろう」
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソの身体に汚いところなんてないよ」
(゚、゚トソン「キミの唇が汚いという話だ」
ミセ;゚ー゚)リ「ひどっ!? 冷たいなあ、トソトソは」
从;゚∀从「ちくしょー! 完全に周りが見えてないバカップルのそれじゃねえか」
ζ(゚ー゚*ζ「見慣れてくると分かるけど、トソトソ先輩も満更じゃないよねあれ」
328
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:30:04 ID:VWTHKxBkO
l从・∀・*ノ!リ人「うん、美味しい」
(´・_ゝ・`)「最近の学生らしいというのか、堂に入った格好だな。俺は食べ歩きなんて初めてだよ」
l从・∀・ノ!リ人「学生らしいかな。僕もね、あの学園に入って色んな初めてを経験したよ」
l从・∀・ノ!リ人「それこそ普通の学生らしいことから、ちょっと変わったことまで、……たくさん。友達だってできたんだよ」
(´・_ゝ・`)「そうか、俺の――」
<ヽ`∀´>「よお、そこの兄ちゃん達。ここから先は通行止めニダ」
(´・_ゝ・`)「おかしいな。通行止めの看板は出ていなかったはずだが?」
<ヽ`∀´>「ウリ達が今そう決めたニダ。通行料を払うなら通らさせてやらないこともないニダが?」
(´・_ゝ・`)「通行料金ね。いくらだい?」
l从・∀・ノ!リ人「ちょっと!」
(´・_ゝ・`)「下がってろ。さすがに俺が暴力騒ぎを起こすわけにはいかないだろう」
329
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:33:33 ID:VWTHKxBkO
<ヽ`∀´>「物分かりがいいやつは嫌いじゃないニダ。一人二万で都合四万、それで許してやる」
「許してやるか。随分偉くなったもんだな、ニダー」
<ヽ`∀´>「ああ? お、お前は……」
( ゚∀゚)「なに俺のダチに絡んでくれちゃってんのよ。しかも安っぽい小悪党みたいな真似してさ」
<ヽ`∀´>「ジョルジュか!」
( ゚∀゚)「しけた稼ぎで俺とこと構えるつもりはないだろ? いけよ」
<ヽ`∀´>「チッ、懐かしい顔に免じて許してやるニダ」
(´・_ゝ・`)「きみ、ありがとう。おかげで助かったよ」
( ゚∀゚)「……金で解決もいいと思うけどよ。お前さんさ、いざってときに恋人を守れるぐらいには鍛えとけよ」
(´・_ゝ・`)「恋人?」
l从・∀・ノ!リ人「ジョルジュ、この人は僕の兄さんなんだけど」
( ゚∀゚)「はあ? えっ、兄さん……、えええぇぇぇ!?」
.
330
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:35:31 ID:VWTHKxBkO
川 ゚ -゚)「まあ、私は途中から恋人ではないと気付いていたのだがな」
ξ゚⊿゚)ξ「面白そうだったからついつい」
l从・∀・ノ!リ人「ついつい着けてしまったと」
从 ゚∀从「面目次第もござらん。拙者、かくなる上は」
ζ(゚ー゚*ζ「あいや待たれい。さりとて、ハイン殿は妹者殿の窮地に矢も盾もたまらぬと」
l从・∀・;ノ!リ人「なんで侍みたいになってんだよっ!」
(´・_ゝ・`)「ははは、弟に本当に友達がいたようでなによりだよ」
l从・∀・ノ!リ人「もう、兄さんってば!」
(´・_ゝ・`)「これで俺も少しは安心できるかな。さてと」
l从・∀・ノ!リ人「もういっちゃうの?」
(´・_ゝ・`)「なかなか忙しい身でね。きみ、ハイン君だったかな」
从 ゚∀从「なんですか?」
(´・_ゝ・`)「迷惑をかけるかも知れないが、弟のことをよろしく頼む」
从 ゚∀从「あ、頭を上げて下さいよ。頼まれなくても仲良くしますよ、親友ですからね」
(´・_ゝ・`)「ありがとう」
331
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:37:18 ID:VWTHKxBkO
(´・_ゝ・`)「そしてモララー、もう屋敷には近付くな」
l从・∀・ノ!リ人「えっ、それってどういう」
(´・_ゝ・`)「よく聞け、親父殿が本気になった。屋敷へ帰ったらもう二度と――」
l从・∀・ノ!リ人「……うん、分かった」
(´・_ゝ・`)「では、さらばだ。また会う日までごきげんよう」
l从・∀・ノ!リ人「相変わらず慌ただしい人だったなあ」
从 ゚∀从「いい人そうじゃないか」
l从・∀・ノ!リ人「いい人だよ、昔から。……僕の家のこととか聞かないの?」
从 ゚∀从「いいたくなったらいえよ。そのときはいくらでも聞いてやる」
l从-∀-*ノ!リ人「……うん。ありがと」
.
332
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:42:21 ID:VWTHKxBkO
【年の瀬の過ごし方 〜居残り組編〜】
( ・∀・)「もう少しで今年も終わりだね」
( ゚∀゚)「年越し蕎麦も食ったし、後はカウントダウンを待つだけか」
( ・∀・)「二年参りとかする?」
( ゚∀゚)「寒いし、適当に明日起きてからとかでいいんじゃね」
( ・∀・)「そうだね。そういえば貞子先輩は実家が神社だから大変らしいよ」
( ゚∀゚)「貞子先輩んとこの神社って遠いんだっけ? 近かったら初詣にいけたんだけどなあ」
( ・∀・)「生徒会メンバーとかは帰省次いでに寄ってるみたいだけど、さすがに僕達居残り組は無理だね」
( ゚∀゚)「帰省といえばデレとキュート先輩が帰る方角が同じだとかで、一緒の新幹線乗ってったけど大丈夫かな」
( ・∀・)「大丈夫って?」
( ゚∀゚)「いや、最近デレがキュート先輩のこと本気で気に入ってるみたいだからさ」
( ゚∀゚)「公序良俗に反するようなことになってないかと心配で」
(;・∀・)「さすがにデレでも、そこまでのことはしないと信じたい」
333
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:44:12 ID:VWTHKxBkO
( ゚∀゚)「それよりも、ずっと気になってることがあるんだけどさ」
( ・∀・)「うん、なに?」
( ゚∀゚)「なんで俺達こんなことになってんだ?」
( ゚∀( ・∀・)
( ・∀・)「重かった?」
( ゚∀゚)「むしろ野郎にしては軽過ぎるぐらいだけどさ、なんで膝の上に乗せてるんだっけなと」
( ・∀・)「ジョルジュが二人羽織の練習しようとかいったんじゃないか」
( ゚∀゚)「いやあ、新年の隠し芸には持ってこいかと思ったんだけどな」
(* ・∀・)「ひゃうっ、耳に息かかるから、もう少し離れて!」
( ゚∀゚)「気にするなよ。俺は気にしてないからさ」
( ・∀・)「気にしろよ!」
334
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:45:40 ID:VWTHKxBkO
('A`)「あー、えっと、あのさ」
(;・∀・)「せ、先輩!?」
( ^ω^)「本当はいつもみたいに、急にバッと現れて驚かそうと思ったんだお」
('A`)「でもさ、入っていける雰囲気じゃないんだもんな」
(;・∀・)「なんかその、なんかすみません」
( ^ω^)「いやこっちこそ邪魔して悪かったお」
( ゚∀゚)「いえ、ちょうど二人羽織の練習も中断しようと思っていたところですから」
('A`)「二人羽織以上の他意がなくて少し安心した」
( ゚∀゚)「他意ですか?」
('A`)「忘れてくれ。俺が色眼鏡をかけた汚れた大人になっちまった、それだけの話さ」
( ゚∀゚)「はあ……?」
.
335
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:48:35 ID:VWTHKxBkO
('A`)「ふぃー。年越しといえばやっぱり二年風呂だろ」
( ・∀・)「こんな時間に大浴場が開いてるなんて知りませんでした」
( ^ω^)「毎年大晦日だけは特別にってことらしいお」
( ゚∀゚)「モララー、髪洗ってやるからあっち向け」
( -∀-)「うん」
( ゚∀゚)「かゆいとこあったらいえよ」
('A`)「背中ぐらいなら分かるが、髪を洗ってやるってのは珍しいな」
( ゚∀゚)「こいつ、頭から水を被るのが苦手らしくて。たまにこうして手伝ってやってるんすよ」
( -∀-)「目をつぶったままお湯を浴びるのって、なんか嫌じゃありませんか?」
( ゚∀゚)「だから目を開けたまま洗えるようにシャンプーハットしろって」
( -∀-)「嫌だよ。だってそんなの子供みたいだもん」
( ゚∀゚)「他人に洗ってもらう方が子供みたいだろう」
( -∀-)「他人じゃなくて友達だからセーフ」
( ゚∀゚)「アウトだろ、むしろゲッツーだ」
( ^ω^)「仲良いおねー」
('A`)「入学式のときから二人でわーわーやってたし、馬が合うってことだろうな」
( ^ω^)「……僕達も頭洗いっこする?」
('A`)「いや、遠慮しておく」
336
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:50:57 ID:VWTHKxBkO
( ^ω^)「そろそろカウントダウンだお」
('A`)「もうそんな時間か。……4」
( ^ω^)「3」
( ゚∀゚)「2」
( ・∀・)「1」
「「明けましておめでとうございます」」
( ・∀・)「昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします」
( ゚∀゚)「うむ、よろしくしてやろう」
( ・∀・)「よろしくしてあげてるのは僕でしょ。炊事に掃除に洗濯、勉強だって教えてあげてるんだから」
( ゚∀゚)「今年もよろしくお願いします!」
( ・∀・)「分かればよろしい」
( ^ω^)「もう少ししたらミセトソ先輩や生徒会長が卒業して、新入生が入って来るんだおね」
('A`)「また騒がしい一年になりそうだな」
.
337
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:54:30 ID:VWTHKxBkO
【年の瀬の過ごし方 〜旅は道連れ世は情け編〜】
ζ(゚ー゚*ζ「キュート先輩?」
o川*゚ー゚)o「……ぷいっ」
ζ(゚ー゚*ζ「お菓子食べます?」
o川*゚ー゚)o「お菓子……ぷいっ」
ζ(゚ー゚*ζ「キュート先輩見て下さい。富士山ですよ」
o川*゚ー゚)o「えっ、富士山! どこどこ?」
/ζ(^ー^*ζ\フッジサーン
o川*゚ー゚)o「……デレなんて嫌いだ」
338
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 21:57:19 ID:VWTHKxBkO
ζ(゚ー゚*ζ「まだ根に持ってるんですか? あれはただの未遂だったんですから気を直して下さいよ」
o川*゚ー゚)o「未遂をただのとはいわないの!」
ζ(゚ー゚*ζ「冗談だったんですって。その証拠に空気も読まずあの野郎帰って来たでしょ?」
o川*゚ー゚)o「確かに金を握らせたとかは冗談だったけど、もし帰って来なかったらどうなってたの?」
ζ(゚ー゚*ζ「私達は現実世界に生きています。仮定の世界に意味なんてありません」
o川;゚ー゚)o「絶対変なことされてた! 仮定の世界のキュートは乱暴されてた!」
ζ(゚ー゚*ζ「乱暴だなんて失礼な。物凄く優しくしてましたよ」
ζ(^ー^*ζ「キスだけでこんなになっちゃったの? いけない子だね。みたいな感じで私の指先がキュート先輩の恥――」
o川;゚ー゚)o「してない、内容の話なんてキュートしてない!」
( ・3・)「すみません。他のお客様のご迷惑になりますので、申し訳ございませんが少々お静かに願えませんでしょうか」
ζ(゚ー゚;ζ「はい、すみませんでした」
o川;゚ー゚)o「ごめんなさい」
.
339
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 22:03:59 ID:VWTHKxBkO
【新年の過ごし方 〜生徒会黙示録ヒート神社麻雀編〜】
数局も不運に泣かされて来たヒートが、ここで張る!
今までのマイナスを全て吹き飛ばすような、ハネマン手!
ノパ⊿゚)(張った、リャンメンで張った、が! 会長はリーチしている。河を見るに染めてる可能性も0ではない)
ノパ⊿゚)(振り込みさえしなければ、まだトップは狙える。ここは……ベタオリだ)
しかし、突っ張るだけの勇気が出ない。
最悪振り込まなければどうにかなる、そういい続けて払って来たツモ払いにノーテン罸符。
その重さに未だ気付けない。
从´ヮ`从ト「ツモれないなあ、二萬切るね」
lw´‐ _‐ノv「…………」
川д川「…………」
340
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 22:05:53 ID:VWTHKxBkO
ノパ⊿゚)「……っ!?」
ノハ;゚⊿゚)(二萬が通って、突っ張れば一発で和了れてた!? おいおい、嘘だろ!)
逃した魚の正体は、喉から手が出る程ほしいと願った和了という名の大魚。
それは砂漠に落ちた水のごとく、一度手を離れたが最後、回収など不可能!
ノパ⊿゚)(ただの偶然、今のは突っ張れる場所じゃなかった! 私は間違っていない!)
ノパ⊿゚)「くっ!」
从´ヮ`从ト「あっ、ツモ! 高目だからイッツーついてマンガンだね」
.
341
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 22:08:20 ID:VWTHKxBkO
蓋を開けてみれば、ヒートの一人負け、大惨敗。
逃げ続けた者に科せられた、焼き鳥という負の刻印。
ノハ;⊿;)「嘘だ、こんな……!」
lw´‐ _‐ノv「いやあ、正月だけあって豪気でんな」
从´ヮ`从ト「ほえ?」
lw´‐ _‐ノv「鴨鍋をご馳走してくれはるなんて。しかも自分から葱までしょったやつや」
ノパ⊿゚)「なんだと!?」
lw´‐ _‐ノv「なんや、自分が鴨やった自覚ぐらいはあるんかいな」
川; д川「なんですか、そのキャラ!?」
ノパ⊿゚)「ちくしょう……!」
lw´‐ _‐ノv「ええか、兄ちゃん。この世界、勝てんやつはクズや」
川; д川「ただの遊びですからね、勝てなくてもいいんですからね」
ノパ⊿゚)「……もう一回、もう一半荘勝負だ!」
lw´‐ _‐ノv「それが人にもの頼む態度かいな、っていいたいところやけど、まあええやろ」
lw´‐ _‐ノv「ただし、レートはピンピン。それでどや?」
从´ヮ`从ト「一万点ごとに、おせちの品目を一つ奪われるってことだね」
ノパ⊿゚)「ああ、それで構わない!」
342
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 22:10:39 ID:VWTHKxBkO
ノパ⊿゚)(私はどうかしていた。逃げ続けた者に勝利なんて訪れるはずがない!)
ノパ⊿゚)(手を伸ばせ! 勝利へと! ここで勝てなきゃ私は本当にクズだ!)
ヒート、覚醒。
その瞳はまさに、生徒会室で職務をこなしている副会長のときそのもの!
ノハ;⊿;)「…………」
lw´‐ _‐ノv「いや、全ツッパはないわ」
ヒート、撃沈。
.
343
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 22:12:28 ID:VWTHKxBkO
【終わりの始まり】
从 ゚∀从「あー、なんで冬休みってこう短いんだろうな」
ζ(゚ー゚*ζ「私は里帰りもしたし、久し振りの学園って感じだけどね」
从 ゚∀从「俺も少しは家帰ったけど、弟共も喧しいし目新しさもないんだよなあ」
ζ(゚ー゚*ζ「ぼーっとしてたら一気に老け込むよ?」
从 ゚∀从「さすがに老け込むにはまだ早いだろ」
ζ(゚ー゚*ζ「あれ、ツッコミが足りないと思ったら、モララーは?」
从 ゚∀从「なんか提出するもんがあるとかで、校長のとこいったよ」
.
344
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 22:14:13 ID:VWTHKxBkO
(*゚∀゚)「圧力、ですか?」
(´・ω・`)「はい。ある程度根回しされていると見て間違いないですね」
(*゚∀゚)「そんな、校長が今までどれほど!」
(´・ω・`)「遅かれ早かれですよ。いつかこんな日が来るのは分かっていました」
(*゚∀゚)「でも、こんなに急になんて。やはり荒巻家が……」
(´・ω・`)「モララーを返さなければ、この学園を潰すということでしょう」
(*゚∀゚)「嫌がっている教え子を渡すなんて、私には――」
l从-∀-ノ!リ人「……僕は」
.
345
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 22:25:04 ID:VWTHKxBkO
投下終了です
御付き合い下さり本当にありがとうございました
ブランクのせいか少しキャラの動かし方を忘れてしまって難産な回になりました
思い出してからはデレを中心にみんな好き勝手動いてくれたので、なんとか形として仕上がりました
残り二回、こんなに間を空けることがないようにしたいと思います
o川*゚ー゚)o「はいドーン! キュートのコーナーです☆キュピーン」
o川*゚ー゚)o「冬休み明けで一月の話が終わるなんて、まさかの展開だねー」
( ゚∀゚)「まさかの展開といえば、物語終盤にして遂に衝撃の真実が明らかとなる!」
o川*゚ー゚)o「モララーの家が学園を――」
( ゚∀゚)「なんと俺は異様に濃い眉毛を、女装の邪魔になるからと剃っていたのだ!」
o川;゚ー゚)o「はうっ?」
( ゚∀゚)「剃られた眉毛達の悲しみが、今大きな悲劇となって学園を飲み込む!」
o川;゚ー゚)o「飲み込まないよ、別に眉毛は学園を飲み込まないよ!?」
( ゚∀゚)「次回、男は可愛く美しくのようです。嗚呼キュートよ、永遠に眠れ」
o川;゚ー゚)o「なんかキュートが死んだっぽい!?」
( ゚∀゚)「例えキュート先輩を失うとしても、俺は……眉毛を剃り続ける!!」
o川*;ー;)o「剃らないで! 眉毛剃らないでー!」
346
:
名も無きAAのようです
:2012/01/29(日) 23:46:59 ID:NHtpjRlcO
乙
もうすぐで終わるのか 残念だ
347
:
名も無きAAのようです
:2012/01/30(月) 08:56:55 ID:hwoT58agO
乙
終わってしまうのか
348
:
名も無きAAのようです
:2012/01/30(月) 15:07:05 ID:fLmAYqQM0
乙
終わるとか、まじかよ…
349
:
名も無きAAのようです
:2012/01/30(月) 17:50:48 ID:V278QZ9Q0
乙! デレキュー成分をたくさんありがとう。リクエストしてよかった!
350
:
名も無きAAのようです
:2012/01/31(火) 07:05:56 ID:76GBRTsc0
乙
面白かったわ、お姉さま
351
:
名も無きAAのようです
:2012/02/06(月) 01:42:23 ID:ERMQYF7gO
面白い
乙
352
:
名も無きAAのようです
:2012/02/12(日) 22:28:35 ID:ttprsEGwO
もはや定例文となりつつありますが現在鋭意執筆中です
次週の日曜日までには投下できるように頑張りたいと思います
次回はやや百合百合しい話が多くなるかもしれません
353
:
名も無きAAのようです
:2012/02/13(月) 00:50:16 ID:ES3MkysEO
待ってる
むしろ多い程良いです
354
:
名も無きAAのようです
:2012/02/14(火) 05:58:45 ID:xTflOxjg0
期待してますわお嬢様
355
:
名も無きAAのようです
:2012/02/14(火) 14:23:45 ID:qFv5kwjg0
待ってますわお姉様
356
:
名も無きAAのようです
:2012/02/19(日) 23:54:54 ID:Mk0y7d7oO
【お詫び&座談】
ミセ*゚ー゚)リ「まず最初に、作者曰く完成状況は八割程度なので今日中には間に合わなさそうです、ごめんなさいだって」
(゚、゚トソン「なぜそんなことを、ボク達が代わりにいわなければならないんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「なんでもお詫びに一本ミセトソ短編書こうと思ったけど、今回は本編でイチャイチャし過ぎだからやめといたらしいよ」
(゚、゚トソン「まったく、お詫びなんて書く暇があれば本編を書けって話だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「いやあ、ミセトソ短編は十五分くらいあれば書けるんだって」
(-、-トソン「普通に書くと遅筆なくせに、よりにもよってなんでボクの話だけ」
ミセ*゚ー゚)リ「始めから私達を主役にすればよかったのにねー」
(゚、゚トソン「いや、実はボク達は本当に没作品の主役だったらしいよ。それをそのまま流用したキャラなんだと」
ミセ*゚ー゚)リ「本当に!?」
(゚、゚トソン「しかもタイトルが『天使と悪魔と人間とのようです』っていうもろ被りなやつだ」
ミセ;゚ー゚)リ「終わったー! 確実に世に出ることないよね!」
357
:
名も無きAAのようです
:2012/02/19(日) 23:59:48 ID:Mk0y7d7oO
(゚、゚トソン「セフィロトに住まう天使を宿した人間と、クリフォトに住まう悪魔を宿した人間の話なんだとさ」
ミセ*゚ー゚)リ「あー、だから名残で第一回の最後のミセトソアンケートに、クリフォトだのなんだのあったんだね」
(゚、゚トソン「ボクは魔術師のアルカナ(花札)を使うキャラだったそうだよ。赤丹で炎を出したり、月見酒で仲間を回復したり」
ミセ*゚ー゚)リ「おー! 賢者タイプ! 私は私は?」
(゚、゚トソン「キミは皇帝のアルカナ(大剣)を使う、パワー馬鹿という設定だ」
ミセ*゚ー゚)リ「えー、なんかトソトソの方が格好いい。ずるい!」
(゚、゚トソン「なんだかんだいっても没作品だけどね。この作品自体、元々は短編の予定だったわけだし」
ミセ*゚ー゚)リ「規制やら忍法帳やら色々あった時期に、設定練り直して長編になったんだよね」
(゚、゚トソン「それも後少しで終わりか……」
(-、-*トソン「まあ、なんだ、読んでくれたキミ達には感謝していなくもない」
ミセ*^ー^)リ「この、ツンちゃんよりもツンデレめー!」
(゚、゚;トソン「茶茶を入れるな、抱き着くな!」
ミセ*゚ー゚)リ「さて、常連客しか来ないラーメン屋みたいな作品だけど、読んでくれて本当にありがね」
(゚、゚トソン「次はちゃんとした本編で会おう。……まあ多少、ボクのえっちぃシーンもあるそうだよ」
.
358
:
名も無きAAのようです
:2012/02/21(火) 14:22:23 ID:MT1ewzDM0
トソンちゃんのえってぃシーンぶひいいいいいいい
359
:
名も無きAAのようです
:2012/02/22(水) 17:41:25 ID:fjO.q5xE0
wktk
360
:
名も無きAAのようです
:2012/02/22(水) 23:54:19 ID:kGd1S3wcO
申し訳ありませぬー!
八割書けたかと思いきや書けば書くほど長くなってしまって
なるべく早く投下できるよう頑張りまするー!
361
:
名も無きAAのようです
:2012/02/25(土) 17:17:54 ID:LMU.832QO
ようやく書き上がりましたので今夜か遅くとも明日には投下させて頂きたいと思います
362
:
名も無きAAのようです
:2012/02/25(土) 18:30:26 ID:Aj6JJGzk0
wktk
363
:
名も無きAAのようです
:2012/02/25(土) 20:01:13 ID:VOEyc0K2O
キター(゚∀゚)ーー!!!
364
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:15:08 ID:cz2puqhMO
遅くなりましたが今から投下させて頂きます
365
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:15:52 ID:lZlje2Uc0
よしこい!
366
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:16:47 ID:cz2puqhMO
【王様だーれだ?】
( <●><●>)「私が王様だということは明明白白なんです」
( ><)「それはまあ……」
( <●><●>)「では1番は、ロマネスクの部屋に入り全裸になって自分の尻を両手でバンバン叩きながら、白目をむき」
( <○><○>)「びっくりするほどユートピア! びっくりするほどユートピア!」
( <●><●>)「これを10分程続ける」
(;><)「なぜ一番冗談が通じなさそうな後輩の部屋なんですか!?」
367
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:17:55 ID:cz2puqhMO
(;><)「そもそも二人でやるゲームじゃないんです! これじゃただ一番に命令するだけの絶対王政ゲームなんです!」
( <●><●>)「絶対王政、甘美な響きです」
( ><)「この鬼畜眼鏡めなんです!」
( <●><●>)「鬼畜眼鏡とは、ビロードが毎夜こっそりプレイしているゲームのタイトルなのはわかってます」
(;><)「そ、そんなのプレイしてないんです! なんのことだかわかんないんです!」
( <●><●>)「はいはい。それよりも早くユートピアをやってくるんです」
(;><)「冗談じゃなかったんですか!?」
(* ><)「……それに、その、そもそも王様ゲームというのは、ハグだとかほっぺにキスだとか甘酸っぱい命令を」
( <●><●>)「いいからユートピアってこい」
( 。><)「うわあああああああん……!!」
.
368
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:19:13 ID:cz2puqhMO
(;><)ゲッソリ
ノハ-⊿-)「それでどういうことだったんですか、あれは」
( ><)「あいつなんです! あいつがやれって――」
( <●><●>)「それが実は、ビロードは発作的なものでよくあのような状態になるのです」
( <●><●>)「しかし、何分部屋を飛び出したのは初めてなものでして、私の反応も遅れてしまいました」
( <●><●>)「後輩に迷惑をかけるなど、同室の者として申し訳ない限りです」
ノハ;゚⊿゚)「よくあんなことをやってるんですか、ビロード先輩は!?」
( <●><●>)「はい。一種の病だと思って、広い心で接してやって頂けませんか」
ノパ⊿゚)「ビロード先輩、先程はすみませんでした。病気とは露知らず、あんなに叱責してしまって」
(;><)「ち、違うんです、僕は病気なんかじゃないんですうううううう!!」
.
369
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:20:54 ID:cz2puqhMO
ミセ*゚ー゚)リ「まず女装もしていないトソトソと、二人きりで王様ゲームというのが間違ってたんだよ」
(゚、゚トソン「女装しようがしまいが、ボクが命令する内容は変わらないけどね」
l从・∀・ノ!リ人「それで王様ゲームのために、こんな人数を集めたんですか」
从 ゚∀从「俺達が知らない先輩方までいらっしゃいますね」
从'ー'从「こういうゲームをやるときは無礼講、そういうことだよ」
川 ゚ -゚)「あなたの姿を見た瞬間、女装した上でゲームということに激しく安堵しました」
ζ(゚ー゚*ζ「えっちぃ命令はどこまでありですか?」
ノパ⊿゚)「あまり過激なのは控えろよ。子供もいるんだぞ」
o川*゚ー゚)o「なんでキュートを見ながらいうの、キュート子供じゃないもん☆」
ζ(^ー^*ζ「そうですよ。キュート先輩は私と大人の階段を――」
o川;゚ー゚)o「やっぱりキュートはまだまだ子供で十分です!」
|゚ノ*^∀^)「うふふ、私こういうの初めてですから、年甲斐もなくドキドキしてしまいます」
ξ゚⊿゚)ξ「みんな、割箸は行き渡ったわね? それじゃあ」
「「王様だーれだ?」」
370
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:22:29 ID:cz2puqhMO
从´ヮ`从ト「はーい、王様だよぉ。最初だし、軽いのでいこうかな」
ζ(゚ー゚*ζ「軽いのというとディープキスとか、ペッティングぐらいですか?」
川;゚ -゚)「重過ぎるだろう! ゲームにどこまでの行為を期待してるんだ」
l从・∀・ノ!リ人「ねえねえ、ハイン」
o川*゚ー゚)o「ペッティングってなになに?」
从 ゚∀从「あー、二人は知らなくていいことだよ。飴玉あげるから忘れような」
o川*゚ー゚)o「わーい、飴玉ゲットだぜー!」
从´ヮ`从ト「それじゃあ盛り上がってきたところで、四番が十一番に膝枕でいこう!」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、私が四番ね」
ζ(゚ー゚*ζ「はいはいはーい! 私が十一番です、お姉様」
ξ゚⊿゚)ξ「膝枕すればいいのよね。デレ、こっちにいらっしゃい」
ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、お姉様の匂いがするー。お姉様、頭撫でて」
ξ*-⊿-)ξ「もう甘えん坊なんだから。仕方ないわね」
ζ(-ー-*ζ「お姉様の手、優しくて気持ちいい……」
川 ゚ -゚)「一回一回が長くなってもなんだし、さあそろそろ次へいこう!」
ノパ⊿゚)「べつにいいけど、強引だなあ」
.
371
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:23:43 ID:cz2puqhMO
从 ゚∀从「二番が七番の後ろから抱き着く」
フフフ川* д川;゚ -゚)「なんかひんやりする、ひんやりする!?」
ξ゚⊿゚)ξ「六番と八番が正面からハグ」
|゚ノ ^∀^)「あらあら、失礼致しますね」
l从・∀・*ノ!リ人「こ、こちらこそ、失礼します」
|゚ノ ^∀^)「ぎゅー」
l从////ノ!リ人「あうあう……」
372
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:23:45 ID:lZlje2Uc0
最初から飛ばすねぇ
373
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:25:14 ID:cz2puqhMO
从'ー'从「一番と十五番がポッキーゲーム、そういうことだよ」
l从・∀・ノ!リ人「わ、二連続だ。……あれ? 十四人しかいなかったような」
('、`*川「どうしたの、幽霊でも見たような顔しちゃって」
l从・∀・;ノ!リ人「えっ、えっ、えっ!?」
クスクス('、`*川「はいポッキー。もしも唇がくっついたら吸っちゃうかもしれないけど、ごめんね?」
l从・∀・;ノ!リ人「絶対に精気的なエネルギーを吸うつもりだあああぁぁぁ!!」
('、`*川「ほら、じっとして……」
l从・∀・;ノ!リ人「はむっ、かりかり」
('、`*川「かりかり……ポキッ。くすくす、残念、今日はここまでだね」
.
374
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:26:30 ID:cz2puqhMO
|゚ノ ^∀^)「三番が九番の頬にキスというのはいかがでしょう」
lw´‐ _‐ノv「へいへい、カモンカモン」
从 ゚∀从「シュール先輩とか。性的な感じにはならないよなあ」
ノパ⊿゚)「私からいうのもなんだが、シュールはああ見えて存外エロいぞ」
川д川「ええ、確かにエロいですね」
从´ヮ`从ト「シューちゃんはエロエロだねぇ」
从;゚∀从「天然エロの生徒会長にここまでいわしめるとは、恐るべしシュール先輩!」
lw´‐ _‐ノv「ふっ、あたいに惚れるとヤケドするぜ?」
.
375
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:28:29 ID:cz2puqhMO
(゚、゚トソン「九番は三番を口説け、もちろん本気のつもりでだよ」
从 ゚∀从「また俺かよ」
o川*゚ー゚)o「キュピーン☆彡 ここでキュート参上!バキューン」
从 ゚∀从「キュート先輩をマジで口説けとか、ギャグじゃないっすか」
o川*゚ー゚)o「ふっふっふっ、キュートの魅力の前にハインはメロメロと見た!」
从 -∀从「……こういうの、口に出していうのも恥ずかしいんですけど」
o川;゚ー゚)o「はう? ハイン、ちょっと、顔、近いよ……」
从 ゚∀从「俺、先輩のこと本気ですから。ゲームでだとか、そういうの嫌なんです」
o川/////)o「はうっ、はう、はうぅぅぅ!?」
从 ゚∀从「とまあ、こんな感じでいいんすかねえ?」
川 ゚ -゚)「うむ。壁際に追い詰めて、逃げ場をなくす辺りの手並みは見事だったな」
(゚、゚トソン「恥ずかしい命令のつもりだったが、想像以上に上手くこなされてしまったね」
l从・∀・ノ!リ人「…………」
从 ゚∀从「なんか怒ってる?」
l从・∀・ノ!リ人「べっつにー」
从;゚∀从「怒ってんじゃん」
ζ(゚ー゚*ζ「乙女心と秋の空ってね」
376
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:28:31 ID:8XyV.2Ek0
きたー!
377
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:30:41 ID:cz2puqhMO
ζ(゚ー゚*ζ「なんとここで私のターン!」
从 ゚∀从「ずっと俺のターンみたいなやつが出てきやがったな」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふふ、私にかかれば神のカードだろうとワンターンキルだ!」
ノパ⊿゚)「良識の範囲内にしてくれよ、頼むから」
ζ(゚ー゚*ζ「ふっ、デレーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる! 十一番は二番と対面座位になって耳を甘噛みしろ!」
(゚、゚トソン「……ボクだ」
ミセ*゚ー゚)リ「相手は私だよ、トソトソー。運命感じちゃうね」
ζ(゚ー゚;ζ「……はぁ、しまった。私としたことが面白くない組み合わせを」
ミセ*゚ー゚)リ「ええっ、なんで面白くないの?」
ζ(゚ー゚*ζ「そりゃ、やっぱ普段から耳ぐらい噛んでそうですし」
(゚、゚;トソン「誰が噛んでるか!」
川 ゚ -゚)「それによく考えてみろ。ミセリ先輩がトソン先輩の耳を噛むことはあるだろうが、今回は逆なんだぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「ある意味ではレアよね」
(゚、゚;トソン「まずなぜボクが、耳を噛まれたことがあるのが前提なんだ! いやあるけれどもさ!」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですね、それになんだかんだで対面座位ってだけでも私は燃え上がりますしね」
ノハ-⊿-)「当然、着衣だからな」
.
378
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:35:17 ID:cz2puqhMO
(-、-トソン「こっち、来なよ……」
トソンは瞳を閉じると、意を決してミセリを呼び寄せる。
しかし緊張の色は隠せないのか、その声は普段の彼女からは想像もつかないほど、弱々しいものだった。
ミセ*゚ー゚)リ「うん」
ミセリの気配が近づく度、トソンの胸の鼓動はトクっトクっと騒がしくなる。
――こんな喧しいのに、本当に誰にも聞こえていないのか。
と有り得もしないことに不安を覚えるほど、少女の小さな胸は高鳴っている。
トソンはそれを皆に悟られないよう必死に冷静を取り繕うが、紅潮する頬だけは隠しようがなかった。
ミセ*゚ー゚)リ「あぐらになってくれると、嬉しいかなって」
(゚、゚トソン「あ、ああ……」
ミセ*゚ー゚)リ「お邪魔します」
ミセリが静かに腰を降ろすと、トソンは膝に心地のいい重さを感じた。
そしてヒイラギに少し似た、彼女の甘い香りが胸中に満ちる。
それは安心して落ち着ける、トソンのもっとも好きな香りだった。
379
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:36:48 ID:cz2puqhMO
(゚、゚*トソン「それじゃ、本当にやるよ……?」
ミセ*^ー^)リ「うん。優しくしてね」
一度唾液を飲み込みトソンは心を落ち着かせる。
これはゲーム、ゲームなんだ、と心の中で自分に言い聞かせながら、おぼつかない手付きでミセリの背中に手を回し、優しく抱き寄せた。
ミセリはそれに応えるように笑顔を見せ、足でトソンの腰を挟み込み全身を擦り寄せる。
歓喜、幸福、そして愛しさ。
泉のように湧き出る感情を持て余しながら、トソンはミセリの耳朶へとつややかに濡れた己の唇を近付けた。
(////トソン「はむっ」
ミセ*////)リ「きゃ……あん……っ」
抱き合いながら耳の側へ唇を寄せるということは、必然と相手も同じような格好になるということで。
間近で響くミセリのなまめかしい嬌声は、トソンの脳の奥底を直接刺激するように震えさせる。
永遠とも思える一瞬が過ぎ、唇を耳朶から離すと、先程まで繋がっていた証拠を残すかのように。
てらてらとぬらついた粘液が二人の間で橋を引いた。
(゚、゚;トソン「引いてない、引いてない! さっきからなんだそのナレーションは!?」
ζ(゚ー゚*ζ「盛り上げようかと思って、私なりに頑張ったのですが」
380
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:38:00 ID:cz2puqhMO
(゚、゚;トソン「周りの様子を見てみなよ!」
l从////ノ!リ人
ξ////)ξ
川*- 、-)「まあなんだ、さすがにこれはな」
o川/////)o「はうぅ……」
ノハ////)
lw´‐ _‐ノv「いやあ、エロさ部門はトソトソ先輩のダントツ優勝でしたね」
ζ(^ー^*ζ「みんなが楽しめたみたいで、私はなによりです!」
ミセ*^ー^)リ「私は可愛いトソトソが見れて満足だよ」
(-、-トソン「ちっ、次にいこう。ふん、ボクが王権を得る瞬間を震えて待つがいい」
.
381
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:39:04 ID:V3G44rXI0
うおお起きたら読む! 寝る前支援!
382
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:39:24 ID:cz2puqhMO
ノパ⊿゚)「さて、もうこんな時間だ。次で最後だろう」
ミセ*゚ー゚)リ「結局トソトソは、あれから一度も王様になれなかったね」
ζ(゚ー゚*ζ「変わりにもらったのは大量のキスマークですか」
(゚、゚トソン「まだだよ! まだ最後の一回が残っているじゃないか!」
川д川「ここまで来ると応援したくなりますね」
从´ヮ`从ト「トソンちゃん、頑張れー」
(゚、゚トソン「キミに応援されると、上手くいかなくなる気がするのはなぜだろう……」
ζ(゚ー゚*ζ「さあ、どちらさんもよおござんすね?」
川;゚ -゚)「なぜに急に壺振り師なんだ」
o川*゚ー゚)o「よおごさんすー☆キラキラーン」
「「王様だーれだ」」
(-、-トソン「……ふ、ふふふ!」
ζ(゚ー゚*ζ「まさかっ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ついにっ!」
l从・∀・ノ!リ人「わあ、僕が王様だ」
(-、-トソン「ボクの王権への夢が今音を立てて費えた……」
从 ゚∀从「あれだけ前振りしたら、神様だって空気読みますよ」
383
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:41:51 ID:cz2puqhMO
l从・∀・ノ!リ人「ねえ、ハイン。僕初めての王様だから、どんな命令出していいのかいまいちわからないんだけど」
从 ゚∀从「最後だし適当でいいよ。つー先生の部屋に突撃するとか」
|゚ノ ^∀^)「手を恋人繋ぎするというのも、美しくて素敵ですね」
从'ー'从「二人指名なら、私達結婚しますっていわせるとか」
l从・∀・ノ!リ人「なるほど。なら二番と四番の人は、恋人繋ぎしながらつー先生の部屋に突撃して私達結婚しますといってください」
「「……えっ?」」
l从・∀・;ノ!リ人「あれ、僕なにか変な命令しました?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、うん、私は当人でもないからあれだけど、相当重いわよそれ」
从'ー'从「……向かい風がなければ鳥は高く飛べない、つまりそういうことだね」
川 ゚ -゚)「航空力学的にはそうですけど、この向かい風は竜巻レベルですよ」
384
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:43:27 ID:cz2puqhMO
lw´‐ _‐ノv「二番と四番の方はご起立願います」
(゚、゚;トソン「…………」
ミセ;゚ー゚)リ「いくらトソトソと一緒でも……。だって、つー先生の前でなんて」
ノパ⊿゚)「まあ、最初に始めたのはお二人ですし、幕引には丁度いいんじゃないですか」
(゚、゚;トソン「まさかまだユートピアを根に持ってる?」
ノパ⊿゚)「はてさて。ああ、そういえばこんな言葉を知っていますか、人を呪わば穴二つ」
(;、;トソン「うああああああ…………!!」
.
385
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:44:53 ID:Zb/J6gIs0
きてるうううううううう
るうううううううううううううううううう
386
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:45:25 ID:cz2puqhMO
(゚、゚トソン「つー先生」
ミセ*゚ー゚)リ「私達」
ミセ*゚ー゚)リ「「結婚します!」」(゚、゚トソン
(*゚∀゚)「……思春期のガキってのはそういうもんだし、乳繰り合う程度は大目に見てやろうと思ってたけどよ」
(*゚∀゚)「どの口がほざくかと思えば私に先駆けて結婚だあ!? いい度胸じゃねえか!」
(゚、゚;トソン「ち、違うんです、これはゲームなんです!」
(*゚∀゚)「ゲームだあ? ざけんなっ! 結婚はゲームじゃねえ、戦争なんだよ! DAED or ALIV、二つに一つだっ!!」
ミセ;゚ー゚)リ「お、落ち着いて――」
(*;∀;)「私だってそろそろ身を落ち着かせたいわ! そうだよ、もうすぐ三十路ですよ、ざけんな!」
(*;∀;)「実家に帰る度、父さんが老けた顔で『あの時結婚を許していれば……』っていうんだぞ! どんな気持ちか分かるか!」
この後つー先生を落ち着かせるのに、二時間はかかったといいます。
.
387
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:47:16 ID:cz2puqhMO
(*゚∀゚)「つうか、なんでお前がいるんだよ」
从'ー'从「答えはそれぞれの心の中にある、つまりそういうことだよ」
(*゚∀゚)「……お前に真っ当な回答を期待した私が馬鹿だった」
(*゚∀゚)「だいたいこの忙しいときに、なんであなたも混ざってるんですか」
|゚ノ*^∀^)「だって私もつー先生みたいに、生徒と一緒に遊んでみたかったんですもの」
.
388
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:48:49 ID:cp5I8AK2O
しえ
389
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:50:13 ID:cz2puqhMO
【ビターチョコレートは甘くない】
从 ゚∀从「おっ、下駄箱にチョコ入ってら」
ζ(゚ー゚*ζ「妹者には気付かれないようにしなよー」
从 ゚∀从「なんでだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「それはほら、逆に妹者がチョコもらってたらハインはどう思う?」
从 ゚∀从「むー、なんかやだな」
ζ(゚ー゚*ζ「真理という名の翼は何者にも汚せない、つまりそういうことだ」
从 ゚∀从「なんでフォックス先輩の真似なんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「これやってみると案外楽しいよ」
从 ゚∀从「クーさんが嫌がるぞ」
390
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:51:43 ID:cz2puqhMO
l从・∀・ノ!リ人「いつも二人は元気だね」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ私クラスになると、一人で元気玉作れるレベルだからね」
l从・∀・ノ!リ人「デレは悪の気を持ってるから無理でしょ」
ζ(゚、゚*ζ「ひどっ! この純真で無垢なデレちゃんに向かって」
从 ゚∀从「後でキュート先輩捕まえて、互いの身体中にチョコを塗りたくって舐め合う予定とかいっていたやつがなにを」
ζ(゚ー゚*ζ「予定は未定っていうじゃん? だから現実に起こるまでは」
o川*゚ー゚)o コソー……
ζ(゚ー゚*ζ「キュート先輩レーダーに反応アリ! そこだあ!」
o川;゚ー゚)o「見つかった★彡 逃げろー!」
ζ(^ー^*ζ「待ってくださいよー! “まだ”なにもしてないじゃないですか」
≡o川*>ー<)o「まだの辺りが怪しいからヤダ!」
从 ゚∀从「チョコをもらえる日にキュート先輩が逃げ出すって、あいつすげえな」
l从・∀・ノ!リ人「うん、間違いなくデレは邪悪だね」
.
391
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:53:21 ID:cz2puqhMO
从 -∀从「……しかし、さすがにこれだけもらうと、もう隠しようがないというか」
ζ(゚ー゚*ζ「人気あるのは知ってたけど、いやあモテるモテる」
从 ゚∀从「義理チョコだろ」
ζ(^ー^*ζ「本当に義理なのかにゃん? さっきの子なんて、あんなに嬉しそうにしてたのに」
从 ゚∀从「あいつは前に、街中で馬鹿に絡まれてたのを助けてやったことがあるからな。そんときの礼だろ」
ζ(゚ー゚*ζ「その前の子は?」
从 ゚∀从「確か以前に、なんか知らねえけど泣いてたから、ハンカチ貸してやっただけだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「泣いてた? 理由とか聞いてないの?」
从 ゚∀从「黙ってハンカチだけ渡して、立ち去ったからなあ」
ζ(゚ー゚*ζ「おお、見事な腕前ですな。さすがに同じクラスの連中からは義理だけみたいだけど」
从 ゚∀从「だからほとんど義理だっての」
ζ(゚ー゚*ζ「義理か本命かはともかく、こりゃ量だけでいえばクーさんにも匹敵するかもね」
从 ゚∀从「俺がクーさんに? それはねえって。なあ、妹者もそう思うだろ?」
l从・∀・ノ!リ人「……えっ?」
ζ(゚ー゚;ζ (うわあ、見えてる地雷を全力で踏み抜いたよ)
392
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:54:17 ID:cz2puqhMO
l从・∀・ノ!リ人「ごめん、しっかり聞いてなかったから」
从 ゚∀从「いや、大したことじゃないんだけどよ」
ζ(゚ー゚*ζ「最近ぼーっとしてること多いけど、どうしたの?」
l从・∀・ノ!リ人「なんでもないよ。ちょっとここのところ寝付きが悪くて、睡眠不足なだけで」
ζ(゚ー゚*ζ「睡眠不足はお肌の敵だよー」
从 ゚∀从「相談したいことがあったらいえよ。聞いてやるから」
l从・∀・ノ!リ人「うん、ありがとう」
.
393
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:56:16 ID:cz2puqhMO
从 ゚∀从「やれやれ、なんか今日は騒がしい一日だったな」
l从・∀・ノ!リ人「あれ? デレはどこいったの」
从 ゚∀从「なんか、上手いこと消えるのも良キャラの務めだからねってどっかいったぞ」
l从・∀・ノ!リ人「いつの間に」
从 ゚∀从「神出鬼没なやつだよなあ」
l从・∀・ノ!リ人「デレがいたら、空気読んでるっていってよねっていわれそうだよね」
从 ゚∀从「ははは、確かにいいそう」
l从-∀-*ノ!リ人「……あのさ、その、もう沢山もらっただろうから、いらないかもしれないけど、これ――」
ξ゚⊿゚)ξ「ごめんなさい、ちょっと邪魔するわよ」
川 ゚ -゚)「本当はこういう無粋な真似はしたくないのだがな」
394
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 00:58:34 ID:cz2puqhMO
从 ゚∀从「ツンさんにクーさん。どうしたんですか?」
川 ゚ -゚)「モララーを訪ねて来た人物がいてな。今、校門の前にいるのだが」
ξ゚⊿゚)ξ「なんかちょっと怪しい雰囲気がしたから、急いで伝えようと思って」
l从・∀・ノ!リ人「そうですか。わざわざありがとうございます」
川 ゚ -゚)「いくのか? もし会いたくないなら、つー先生が追い払ってくれるだろうが」
l从・∀・ノ!リ人「これは僕の問題ですから。いつまでも先生方に頼りっきりというわけにもいきません」
从 ゚∀从「なあ、俺も――」
l从・∀・ノ!リ人「ハインは先に寮へ戻ってて。さっさと済ませてくるから」
从 ゚∀从「……わかったよ」
.
395
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:01:42 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「ようっ、いやあ待ちくたびれてかなわんわ。マジ魑魅魍魎やで」
ノパーナル「ご無沙汰しております。モララー様」
( ・∀・)「僕に用があるんだって? 使いっぱしりだなんて、ご苦労なことだね」
从゚×ナ从「モララー、お前しばらく見ぃひん間に、立派な口きくようなったな」
( ・∀・)「僕が立派だなんてとんでもない。ただくだらない真似をするやつらが低俗だって気付いただけだよ、――姉さん」
从゚×ナ从「くだらん真似か、それいわれるとウチもまあ耳痛いとこやけどな。ジジイの意向やからマジ魑魅魍魎ってこっちゃ」
( ・∀・)「なんでだよ! 姉さんは父さんの言いなりになるような人じゃなかったじゃないか!」
从゚×ナ从「ウチにも色々あるってことや。ま、お前も十分にわがまま放題楽しんだやろ?」
从゚×ナ从「ほな屋敷に帰ろか。一応いっとくけどウチが出張った以上、NOなんて選択肢はありえへんからな」
( ・∀・)「それでも断るっていったら?」
从゚×ナ从「わかりきったことは聞くもんちゃうで。……本気でこの学園を潰しにかかるだけや、マジ魑魅魍魎やけどな」
( -∀-)「……わかったよ。ならせめて、友達に別れの挨拶ぐらいはさせてほしい」
从゚×ナ从「それぐらいやったら構へんやろ。ただこれ以上待ちくたびれんのは勘弁やし、後30分たったら強制送還や。ええな?」
( ・∀・)「わかった」
396
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:04:26 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「……まったく、マジ魑魅魍魎なことやで」
ノパーナル「相変わらず情に深いと申しますか、モララー様には甘いのですね」
从゚×ナ从「弟の成長を見たるのも姉の仕事やからな。それよか、ノパは久し振りにモララーにあってどうなんや」
ノハ*゚ーナル「ええ、それはもう色々とたまりません! いえ溜まっておりますけれども!」
ノハ*゚ーナル「抱くだけで折れてしまいそうな華奢なお身体に、あのような色香まで身に付けられては、溢れ出るなにかを抑えるので手一杯です!」
从゚×ナ从「……ウチの弟に手ぇ出すなよ?」
ノパーナル「私はあくまで執事、手を出すなど恐れ多いことでございます」
ノハ*゚ーナル「ですがしかし恐れ多いからいいと申しますか使用人と主の禁断の愛というのは世界でもかなり受け入れられているものであり」
ノハ*゚ーナル「むしろ世界は私にそれを待望しているのではないでしょうかと最近とみに感じざるを得ない状況と判断致します」
ノハ*゚ーナル「付け加えさせて頂きますと手を出していけないならばそれはそれでヤりようがあると申しますかオーラルや足コ――」
从;゚×ナ从「こっちの頭が痛なるから止めや!」
.
397
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:08:05 ID:cz2puqhMO
从 ゚∀从「それで、出ていくってのか」
( ・∀・)「うん、今まで世話になったね。僕の荷物の引き取りは業者がくると思うから」
从 -∀从「ここでの生活はどうだったよ。みんなで馬鹿やって騒いだり、コンテストで真剣に一番を目指したり」
( ・∀・)「もちろん、楽しかったよ。僕にとって大切な一生の思い出」
从 ゚∀从「ならいろよ、楽しいなら出ていくことないだろ」
( ・∀・)「そういうわけにはいかないよ。僕がいたら学園に迷惑がかかる、そんなの堪えられないから」
从 ゚∀从「誰が迷惑つった! 校長か、先生か、それとも生徒の誰かか!」
( ・∀・)「誰かがいわなくたって、それぐらいわかるよ! 学園が潰れるかもしれないんだよ!?」
( ・∀・)「下手をしたらプロとして活躍してる女装師の人にだって……。僕一人のわがままが、何千人もの人に影響を及ぼすんだよ!」
从 ゚∀从「……俺は今までお前が悩んでいるとき、いいたくなったら聞いてやるっていってきた」
从 ゚∀从「でも本当は、無理にでも聞きたかったんだ! 辛いことなら共有して、軽いことなら笑い飛ばして」
从 ゚∀从「お前の本当の気持ちを、ずっと聞きたかった!」
( ・∀・)「今更、遅いよ。僕達が一緒に暮らした約300日間、分にすると43万2千分。その中の30分なんて1万4千4百分の1しかない」
( ・∀・)「そんな時間で僕の想いは伝えきれない。だから、別れの挨拶ぐらいで丁度なんだ」
398
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:10:00 ID:cz2puqhMO
ζ(゚ー゚*ζ「時間が必要なら作ればいいんじゃないかなーなんて、ね」
( ・∀・)「デレ? 作るなんて……」
川 ゚ -゚)「根本的な解決にはならないかもしれないが、今生徒会のメンバーが足止めをしてくれている」
ξ゚⊿゚)ξ「その間に裏から外へ出ていきなさい」
( ・∀・)「でもそんなことしたら学園が」
(゚、゚トソン「キミは存外馬鹿だな。校長はああ見えてやる人物だ、潰れるといっても今日明日の話ではないだろうね」
ミセ*゚ー゚)リ「だから今は逃げて、二人で話し合う時間を作ったらどうかな」
( ・∀・)「ですが」
o川*゚ー゚)o「つべこべいわない! これは先輩めーれーだよっ☆キラキラ」
从 -∀从「ふっ、先輩命令じゃあ仕方ねえよな」
从 ゚∀从「いくぞ、モララー」
(* ・∀・)「……うん!」
.
399
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:12:19 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「そろそろ逃げ出す算段がついた頃か」
ノパーナル「いかがなされますか」
从゚×ナ从「マジ魑魅魍魎やけど、引き摺って帰るしかないやろな。それがウチの役目や」
ノパ⊿゚)「申し訳ないが、生徒への乱暴を見過ごすわけにはいかんな」
从゚×ナ从「誰やねん」
川д川「私達はこの学園の生徒会」
lw´‐ _‐ノv「というのは世を忍ぶ仮の姿。果たしてその実態は」
从´ヮ`从ト「なんと四人そろって――」
ノハ;゚⊿゚)「こんなときにまでふざけないでください!」
从゚×ナ从「漫才師なら間におうとるわ、怪我せんうちに帰りな」
ノパ⊿゚)「怪我? こんなところで暴力騒ぎなんて、そちらとしてもまずいんじゃないのかな」
从゚×ナ从「最近の若い子はマジ魑魅魍魎やなあ。なあ、世の中で司法が力を持っとんのはなんでやと思う?」
ノパ⊿゚)「社会的な平和のためだろう。司法が働かなければ無秩序な国となる」
400
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:15:07 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「簡単にいえば国の権力やな。しかしな、もしウチらがそんなん揉み消せるぐらいの権力を持っとったらどないする?」
ノパーナル「私達はあなた方に怪我を負わせた程度では、到底罪には問われません。どうかお聞き分けくださいませ」
ノパ⊿゚)「そんな馬鹿な話がっ!」
从゚×ナ从「あるんよなあ。クリーンな世界で生きていきたかったら、ウチのボンとはもう関わったらんといたってや」
ノハ;゚⊿゚)「しかし――」
lw´‐ _‐ノv「やめろ、ヒート! 今の私達ではこれぐらいの足止めしかできん、悔しいけどな」
ノハ-⊿-)「ちくしょおおおおおっ! 私は後輩一人満足に助けられないのか……!」
从゚×ナ从「付き合ったったちゅうのはもちろんあるけど、ウチが五分も時間つこたったんや。上出来やろ」
ノパーナル「私共も無駄な争いは好みません。御理解頂き感謝致します」
.
401
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:16:50 ID:cz2puqhMO
从 ゚∀从「どうする、県外まで逃げるか? 所持金との相談になるが」
( ・∀・)「僕が逃げたのはもう気付かれているだろうから、これ以上電車での移動は厳しいかもしれないね」
从 ゚∀从「駅は張られてるわけか。ずっと逃げ続けてるわけにもいかないだろうが、これじゃ落ち着いて話もできやしない」
イ从゚ ー゚ノi、「……あれ……ハイン……久し振り……」
从 ゚∀从「わっと、副店長じゃないですか」
( ・∀・)「確かハインがバイトしてたメイド喫茶の」
イ从゚ ー゚ノi、「……なにか……困りごと……?」
从 ゚∀从「はい。この辺りで長時間身を隠せて、足がつきにくそうな場所ってないですかね」
イ从゚ ー゚ノi、「……その条件……なら……お勧めの……場所がある……」
从 ゚∀从「マジですか! あっ、そんなにはお金持ってないんですけど」
イ从゚ ー゚ノi、「……フッ……問題……ない……」
.
402
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:19:55 ID:cz2puqhMO
从 -∀从「……タダ券もらった以上文句はないんだが、大丈夫なのか俺達年齢的に」
l从・∀・*ノ!リ人「お風呂広いし、ジャグジーもあるよ。後で一緒に入ろ」
从;゚∀从「さすがに一緒に風呂はまずいだろ」
l从・∀・ノ!リ人「なんで? いつも一緒に大浴場入ってるのに」
从 ゚∀从「あ、ああ、そういえばそうだな。いかにもな空気にやられてたというか」
l从・∀・ノ!リ人「いかにも?」
从 ゚∀从「だってここ、どこからどう見ても大人用じゃねえか」
l从・∀・ノ!リ人「ホテルに大人用とか子供用とかあるの?」
从 ゚∀从「俺も詳しくは知らないから、デレにでも聞いてくれ」
l从・∀・ノ!リ人「ふーん。そういえばさ、一緒のベッドで寝るのって昔ツンさん達の部屋に泊まったとき以来だよね」
从 ゚∀从「そんなこともあったな。ツンさんの話聞いてたら消灯時間過ぎちまって」
l从・∀・ノ!リ人「つー先生が巡回してたから部屋に戻れなくて、ツンさんのベッドに二人で寝たんだよね」
从 ゚∀从「六月頃の話だっけか」
403
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:21:48 ID:cz2puqhMO
l从・∀・ノ!リ人「あっ、今思い出したけど、七月にあった演劇のコンテストでハイン本当にキスしてきたよね。僕、初めてだったのに」
从 ゚∀从「まだ怒ってんのかよ。あのときはその方が盛り上がるかと思ってさ」
l从・∀・ノ!リ人「さすがにもう怒ってないけど、突然だったから僕も心の準備が出来てなかったというか」
从 ゚∀从「そういや、八月はモララーがいなかったせいで第三次世界大戦が勃発したんだよな」
l从・∀・;ノ!リ人「してないしてない。それはあくまで二人の妄想上の出来事だから」
从 ゚∀从「……まだ一年も経ってないってのに、なんか懐かしいよな」
l从-∀-ノ!リ人「うん、懐かしいね」
404
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:26:14 ID:cz2puqhMO
l从・∀・ノ!リ人「僕はね、大財閥の家の出なんだ」
从 ゚∀从「金持ちってことか?」
l从・∀・ノ!リ人「そんな感じかな。元々名家ではあったんだけど、それをある男が一代にして国内最高峰の財力と権力を持つ家に変えた」
l从・∀・ノ!リ人「そのある男というのが僕の父、荒巻スカルチノフさ」
从 ゚∀从「お前から親父さんの話を聞くのは初めてだな」
l从・∀・ノ!リ人「あまり人に言い触らしたい人物じゃないからね。冷酷で非道、己の利のためなら家族すら売る男だよ」
从 ゚∀从「なんか凄そうな人だな」
l从・∀・ノ!リ人「実際能力的には優れた人物だったんだろうね。それでその才覚を、子の中でもっとも受け継いだのが僕というわけだよ」
从 ゚∀从「才覚?」
l从・∀・ノ!リ人「お金の流れや使い方、どうすればもっとお金を手に入れられるのか。僕はそういうのが考えなくてもわかるんだ」
l从・∀・ノ!リ人「後は英才教育とでもいうのかな。父さんの後を継ぐに相応しい人物になるために、屋敷に閉じ込められて勉強の毎日だった」
l从-∀-ノ!リ人「父からの重圧、母の死、腹違いの姉達からの執拗な嫌からせ。様々なものが僕から人としての感情を奪っていった」
从 ゚∀从「…………」
405
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:28:19 ID:cz2puqhMO
l从・∀・ノ!リ人「そんな中、僕を外に連れ出してくれたのが兄さんだった」
从 ゚∀从「デミタスさんか」
l从・∀・ノ!リ人「うん。初めは、後継者争いに僕の存在が邪魔だから排除しようとしてるのかって思ったんだけどね」
l从・∀・ノ!リ人「兄さんは違った。冷えきった頑なな僕の心に、家族としての愛情を教えてくれたよ」
从 ゚∀从「だからあんなに懐いてたのな」
l从・∀・ノ!リ人「兄さんのおかげで僕は学校にも通えるようになったし、この学園にだって入れた」
l从・∀・ノ!リ人「恩人だよ。僕を人間として扱ってくれたのは、兄さんとノパとねーやん姉さんぐらいだ」
从 ゚∀从「ノパとねーやん姉さんってのは」
l从・∀・ノ!リ人「ノパは僕付きの執事なんだ。優秀だけど……、うん、優秀なのは優秀な人物だよ」
l从・∀・ノ!リ人「ねーやん姉さんは奔放快活で、他の姉とは違って父の後継者の座には全く興味のない人だよ」
l从-∀-;ノ!リ人「二人ともちょっと豪快というか乱暴というか、弾けた人物だけど悪い人ではないような気がしなくもないかな……?」
从;゚∀从「その表現からするに相当弾けてるな」
406
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:30:57 ID:cz2puqhMO
l从・∀・ノ!リ人「その二人が今回僕を屋敷に連れ戻そうとしてるんだ。学園を盾に、父の命令で」
l从・∀・ノ!リ人「ノパも姉さんも、父さんに唯々諾々と従うような人じゃなかったはずなのに……!」
从 ゚∀从「なるほど、だいたいわかった。お前が大変な人生送ってきたのも、親父さんが凄い人なのもな」
407
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:32:51 ID:cz2puqhMO
从 ゚∀从「でもよ、肝心要の話を聞かせてもらってねえぞ」
l从・∀・ノ!リ人「えっと、それは?」
从 ゚∀从「つまりは、お前がどうしたいかだ」
l从・∀・ノ!リ人「僕が……」
从 ゚∀从「学園にいたいのか、それとも出ていきたいのか」
l从・∀・ノ!リ人「そんなの!」
从 ゚∀从「周りの迷惑なんざこの際関係ねえ! 俺はお前の本当の気持ちを聞きたいっていったはずだぜ!」
l从;∀;ノ!リ人「そんなの! いたいに……学園にいたいに決まってるじゃないかっ!!」
从 ゚∀从「だったら初めからそういえっての! もっと早く俺に」
l从;∀;ノ!リ人「だって、ひくっ、こんなこと、いったらぁ……ハインの、迷惑に、なるもん……」
从 ゚∀从「本当世間知らずの坊ちゃんは馬鹿だな。迷惑なんざかけろよ! それでも側にいて味方してくれるのが親友ってもんだ」
l从;∀;ノ!リ人「うん……」
从 ゚∀从「女装師全体に影響が、とか知ったことか。俺の人生だ、俺を中心に回さなくてなんの意味がある」
从 ゚∀从「そしてな、俺の人生の深いところにお前はもういるんだよ。だから俺は俺のためにお前を助ける」
l从;∀;*ノ!リ人「は、ははは、それ、フォックス先輩の受け売りだよ」
从*゚∀从「むー、バレちまったか」
408
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:34:04 ID:cz2puqhMO
l从-∀-ノ!リ人「そうだ、世界は決して僕を中心には回っていない」
l从・∀・ノ!リ人「だけどこれは僕の人生だ。自分の人生ぐらい僕を中心に回さなくてどうする!」
l从・∀・ノ!リ人「一世一代の馬鹿をやるよ。学園は潰させず、僕も学園に残る! そんな馬鹿を!」
从 ゚∀从「校長もいってたぞ。若者は夢見がちなぐらいが丁度いいってな」
l从・∀・*ノ!リ人「……ありがとう、ハイン」
从*-∀从「改まるなよ、恥ずかしいだろ」
l从-∀-*ノ!リ人「あのさ、遅くなったけどこれ、受け取ってもらえないかな?」
从 ゚∀从「チョコレート?」
l从・∀・ノ!リ人「まだ日付は変わってないよね。こういうのは、その……」
l从////ノ!リ人「口に出すと陳腐な言葉になると思うから、形でって」
从*-∀从「甘くないビターチョコか。ありがとな」
.
409
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:37:33 ID:cz2puqhMO
( ゚∀゚)「さてと、これからどうするんだ?」
( ・∀・)「まずは学園に戻ろう。校長と接触して、それから兄さんとも連絡を取る」
( ゚∀゚)「デミタスさんなら力になってくれそうだな」
( ・∀・)「後は知り合いのコネも極力使っていこう。貞子先輩に――」
从゚×ナ从「こんな朝はよからお出かけか。ウチはまだ寝てたいんやけどなあ」
(;・∀・)「姉さん……!」
ノハ;゚ーナル「嗚呼、そんなホテルから出てこられたということは、モララー様が一人前の男になられたということ……」
ノハ*゚ーナル「いえ落ち着きなさいノパーナル後ろを使われたなら正しくは女になられたという方が適切ではないのでしょうか」
ノハ*゚ーナル「まだ幼い蕾であるにも関わらずはち切れんばかりのものを受け入れて弱々しく喘ぐモララー様」
ノハ*゚ーナル「しかしそれこそが早計と申しますか誰がモララー様を受けだと決めたのだという話であって積極的に前を――」
从;゚×ナ从「まずは一回ほんまに落ち着けや!」
ノパーナル「ご安心を、私は落ち着いております。落ち着いて妄想の中でモララー様を突き上げている人物は私に差し替えておきました」
从;゚×ナ从「十分混乱しとるわ!」
.
410
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:39:27 ID:cz2puqhMO
あの剣呑な雰囲気を発しているのがモララーの姉のねーやんだとすると、もう一人が昨夜聞いたノパだろう。
燕尾服とでもいうのか執事然とした服飾の、彼の所作からは一部の隙も伺い知れない。
中性的な顔立ちをしているので彼女かもしれないが、そこは俺もあまり人のことはいえないか。
( ・∀・)「ジョルジュ、今のうちに」
( ゚∀゚)「駄目だ。一見ふざけて見えるが、気を緩めていない」
逃げるにしても追いかけっこになれば、不利なのは体力のないモララーを抱えている俺達だ。
この状態から全力ダッシュしても振り切るのは難しいだろう。
从゚×ナ从「まあ遊びはやめにしよか。さあ、力ずくでも連れて帰るで」
( ゚∀゚)「はんっ、なら俺は力ずくでもこいつを守るぜ!」
ノパーナル「ナイト気取りですか。しかし私はモララー様のナイトであり、ポーンであり、ビショップであり、ルークであり、クィーンです」
从゚×ナ从「変なとこでガキと張り合うなや。ノパは下がっとれ、お前がやったらその子が壊れてまう」
ノパーナル「……かしこまりました。ですがもしモララー様が逃走しようとした場合は、私は全力を持って」
( ・∀・)「僕に害をなすというの、ノパ……」
ノパーナル「全力を持ってイタズラさせて頂きます。誤解を招かないよう申し上げますと、性的な意味でです」
(;・∀・)「ノパに限っては誤解のしようがないっ!!」
411
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:43:47 ID:cz2puqhMO
(;゚∀゚)「くっ、これで俺が足止めして、その間にモララーを逃がす戦法は使えなくなったか」
まさかモララーの貞操を戦術に絡めてくるとは、向こうもかなりのやり手だ。
从゚×ナ从「緊張感ないなあ。せやかて、油断しとったら――怪我じゃすまんで?」
油断なんて、とてもじゃないができる状況じゃなかった。
にもかかわらず、ねーやんは対面した状態から一瞬で距離を詰め、俺をレンジ内に捕らえている。
从゚×ナ从「ふっ!」
放たれたのは半月を描くような回し蹴り。
高速で眼前に迫るそれを、俺はとっさに肘で打ち払って防ぐ。
(;゚∀゚)「あぐぅっ!?」
从゚×ナ从「ひゅ、ただのスニーカーやったら足が折られとったかもしれんな」
ぶつけた瞬間伝わったのは、まるでコンクリにでも打ち付けたかのような衝撃だった。
なにか仕込んでいるのか、それともそういう素材のブーツなのか。
どちらにせよわかったのは、気安く防御すればその上から砕かれる可能性すらあるということだ。
412
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:45:56 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「喧嘩小僧かと思たらおもろい構えやんけ、見たことないわ。シュートにもムエタイにも見えるけどちゃう」
( ゚∀゚)「高岡無刃流。昔の馬鹿が、徒手空拳で刀やら槍やらに勝つために考えた武術だよ」
とっさに使った折肘も、本来なら横方から襲いかかる刃の腹を、肘につけた甲で打ち上げて叩き折る荒技だ。
从゚×ナ从「……っ!」
さきの一合でこちらを相応の敵だと見なしたのか、ねーやんが纏っていた軽い雰囲気は微塵と散った。
変わりに飛んでくるのは、身体の芯を震わせるような殺気だ。
じりじり間合いを詰めてくる。
先に仕掛ける方が圧倒的に気は楽だが、高岡無刃流の基本は後手必殺だ。
手を出すわけにはいかない。
拳打であってもこの緊張感、よく御先祖様は刀や槍が飛んでくる瞬間を待てたなと思う。
从゚×ナ从「ほないく、でっ!!」
掛け声と共にねーやんは強く大地を蹴り上げ、一足で距離を零にする。
繰り出されたのは鋭い下段へのローキック。
( ゚∀゚)「甘い!」
侍が刀で下段を狙うことは、外道剣として嫌われる。
だからその対策もないと踏んだのだろう。
だがそもそも無手に刀で闘おうというやつらだ、なりふり構わない相手が多かったらしい。
当然外道剣の返し技ぐらいある。
413
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:51:14 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「どっちがや!」
( ゚∀゚)「ちぃっ!?」
蹴り足を踏み抜こうとするが、既にその地点にねーやんの足は存在しておらず、膝を支点に機動がハイキックへと変化していた。
風切り音を立てて迫る脚打、ガードはその上から粉砕されるので無意味か。
ならばこれしか選択肢はないと、無理矢理上半身をのけ反らせ回避を試みる。
从;゚×ナ从「なんやっちゅうねん!?」
あの安全靴のようなブーツが、圧倒的な威圧感を伴って鼻先をかすめた。
判断が後数瞬遅れていたらと考えるだけで、額を冷たいものが伝わる。
だがそれを拭う時間なんて存在しない。
俺は更に身体を後方へ逸せ、大地に両掌を付き、バク転しながら足先でねーやんの顎を狙う。
( ゚∀゚)「オラよっ!」
从゚×ナ从「ちぃぃ!!」
この霞逆さ富士は奇襲としてかなり優れた技だ。
空振った直後の隙を死角から狙われるなんて、普通はたまったものじゃない。
しかしねーやんもさる者で、初見でかわせる者は少ないこの襲撃を、両腕を使って防御する。
414
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:53:42 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「なめんなや!」
ガードされるならとぶつかった瞬間に、腕に足を四の字に絡めて折りにいく、影蜉蝣への変化技を狙うが上手くいかない。
何故なら、まずガードされたという衝撃を感じられなかったから。
(;゚∀゚)「なんだ!?」
本能が脳内で喧しいほどのアラートを鳴らす。
俺はもつれる手を上手く制御し、なんとか側転で飛び退いて距離をとった。
从゚×ナ从「そうか、化勁を見るんは初めてか」
( ゚∀゚)「生憎喧嘩はともかく、俺はまともな格闘技戦っていうのをしたことがなくてね」
从゚×ナ从「もったいないなあ。化勁ちゅうのは大極拳の防御の技法でな」
( ゚∀゚)「なんとなくは受けて理解した」
つまりあいつは、俺の蹴りが腕に触れた瞬間、衝撃が伝わるよりも素早く肘から先を回転させ、威力をコロの原理で完全に受け流したのだ。
( ゚∀゚)「真面目な格闘技戦は、こんな恐ろしい技とやんないといけねえのかよ」
これならニダーにナイフで切りかかられた方がいくらか楽だ。
415
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:55:49 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「戦闘経験の差は、如実に闘いに影響を及ぼすで」
( ゚∀゚)「なに?」
从゚×ナ从「なんせウチは、もうお前の欠点を見抜いとんのやからな」
欠点。
自分の流派にいうのもなんだが、数合の打ち合いで見つかるようなものはないはずだ。
ならば、問題はどこにあるのか。
从゚×ナ从「これはお前さんが未熟だからやと思うんやけどな」
( ゚∀゚)「俺が、未熟だと」
从゚×ナ从「武器を持つ人間に勝つ方法は二つある。後手必殺、または――先手必勝や」
(;゚∀゚)「っ!?」
从゚×ナ从「しかしな、簡単なように見えて、無手の先手必勝はかんなり難しい」
そうだ、だからまだ俺は高岡無刃流の基本である後手必殺しか使えない。
从゚×ナ从「相手から攻めてこうへんなら、楽に勝つ方法はいくらでもあるっちゅうこっちゃ。マジ魑魅魍魎やけどな!」
なにをするのかと思えば、ねーやんは地団駄を踏むように何度も素早く地面を蹴りつける。
416
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 01:57:30 ID:cz2puqhMO
( ゚∀゚)「なにを!」
( ・∀・)「ジョルジュ! 気をつけて、それは震脚だ!」
震脚、この状況でただの地団駄であるはずがなく、その名が指す通りやがて周囲に地響きが起こる。
(;゚∀゚)「なんだよ、この異様な現象は!」
从゚×ナ从「震脚は体内の勁力を爆発的に高める技術や。難点は効果が一瞬しかない割りに、無防備な時間が長いことやな」
その無防備な時間を俺は攻められない、それが欠点か。
从゚×ナ从「一応いっとくけど、ここから先のウチは――マジ魑魅魍魎やで?」
(;゚∀゚)「はっ!?」
一説によると指を弾く間には、六十五刹那の時間があるという。
これは何刹那あったのだろうか。
気付いたときにはもう、俺の腹部にはねーやんの掌が添えられていて。
从゚×ナ从「神氣、発勁!!」
俺の身体は投げ捨てられたボロ雑巾のように、宙を舞っていた。
.
417
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 02:01:40 ID:cz2puqhMO
从゚×ナ从「いやあ、末恐ろしい少年やな。ただの喧嘩にすらブランクがあったようやし」
ノパーナル「はい、彼は才能の塊ですね。もし選ぶ道と努力次第では世界に名を轟かせることができるでしょう」
从゚×ナ从「せやけど、現状ではウチが上や。さあ、これで頼りのナイト様もおらんなったで」
(;・∀・)「…………」
从゚×ナ从「変なことは考えんなや。もうチェックメイトってこっちゃ――」
(;-∀゚)「待て、よ、……ぐうっ、誰が、負けた、つった」
从゚×ナ从「……あれ食らって立てるんかいな」
( ・∀・)「ジョルジュ!」
(;-∀゚)「まだだ、まだ俺は、負けてねえ! ……ぐがぁっ!?」
从゚×ナ从「押せば倒れるような身体でなにいうてんねん。今度こそウチの勝ちや」
(;-∀゚)「へ、へへへ、効かねえな。男が、はあはあっ、大切な人、守るために、闘ってんだ……」
(;-∀゚)「その程度で、倒れるなら、俺は、初めから、ここに立っちゃいねえ! ごふっ!?」
从゚×ナ从「急所を突いた。終わりや、気力だけじゃあもう立たれへん」
418
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 02:03:41 ID:cz2puqhMO
(;-∀゚)「うぎぃぃ!! 誰が、立てねえって?」
从゚×ナ从「……マジ魑魅魍魎」
ノパーナル「モララー様、これ以上は本当に危険です。御学友が大切でしたら、どうか何卒」
(;-∀゚)「モララーに近寄んじゃねえっ!!」
( ・∀・)「ジョルジュ、ありがとう。そして、ごめんね」
(;-∀゚)「なんだよ、急に。心配すんな、うぐっ、ははは、俺なら、この通り、ピンピンして」
( ・∀・)「……姉さん。僕は屋敷に帰ります」
(;-∀゚)「なっ!?」
从゚×ナ从「はなから素直にそうしとれば、誰も傷付かんと済んだのにな」
(;-∀゚)「待てよモララー! そんな!」
( ・∀・)「ジョルジュ、今まで本当にありがとう。君と過ごした日々は凄く騒々しくて……凄く楽しかった」
(;-∀゚)「うるせえ、そんな別れ文句聞きたかねえ! これからだって毎日だ! 楽しい毎日が続くんだよ!」
(;-∀゚)「俺がいて! お前がいて! デレがいて! 先輩達がいて! 馬鹿やって! 先生に怒られて!」
(;-∀゚)「そんな当たり前の毎日だ! 俺達は当たり前に誰もが手にしていい毎日を過ごすんだ!」
( ・∀・)「あは、は、その当たり前は、僕には、尊い、尊過ぎるよ」
419
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 02:05:31 ID:cz2puqhMO
( ;∀;)「だから――さよなら」
(;-∀゚)「ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう! ちくしょおおおおおおおおぁぁぁあああああああああああ!!」
.
420
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 02:09:06 ID:cz2puqhMO
投下終了です、御付き合い頂きただ感謝の一言を
甘い話が多いかと思いきや蓋を開けたら殴り合いになってました、どうしてこうなった
恐らく過去に登場した女性AAは歌舞伎のキャラ以外フル出場なはずです
漏れがあったらそのキャラごめんなさい
次回は三月の話で遂に最終回の予定となっております
o川;゚ー゚)o「はうー、なんかはしゃぎにくい雰囲気なんだけど」
ノパーナル「でしたら、ここは代わりにノパーナルのコーナーということでいかがでしょう」
o川*゚ー゚)o「ええっ!?」
421
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 02:12:50 ID:cz2puqhMO
ノパーナル「さて、今回は新キャラが三人も登場しましたので、軽い紹介でもさせて頂きたいと存じます」
ノパーナル「まずはレモナ様。厳密には新キャラではありませんね、正体は言わずもがなあの人です」
o川*゚ー゚)o「え、えーと! レモナってキャラ自体は、最初期のこーそー段階から存在してたらしいよ」
ノパーナル「続きましては、本編で大暴れのねーやん様。趣味は武者修行の旅だそうです。本場の方は関西弁が変でもどうか御容赦を」
o川;>ー<)o「は、はうー! 本当にキュートのコーナーが乗っとられるー!」
ノパーナル「最後に私め、ノパーナルでございます。モララー様の執事を務めさせて頂いております」
ノパーナル「こんな私ですが一応性別は女ですよ。男の娘の次辺りに少し流行った、男装執事というやつでしょうか」
ノハ*゚ーナル「まあ私の性別なぞ大半の方が興味ないことだと思われますが私にとっては僥倖にして重畳と申しますか」
ノハ*゚ーナル「なんといってもモララー様の子を生すことができますからねしかしここで安心しきれない問題が一つ」
ノハ*゚ーナル「現在倫理観やら様々な問題でヒトiPS細胞から生殖細胞を作ることは禁じられておりますが」
ノハ*゚ーナル「未来的には同性間で子を生すことも可能になるかもしれませんもしそんなことになれば私とモララー様の――」
o川*;ー;)o「誰か助けてよぉ……」
.
422
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 02:32:00 ID:Zb/J6gIs0
終りかな?
乙
423
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 03:09:09 ID:wroO8KKc0
ひとまず乙
424
:
名も無きAAのようです
:2012/02/26(日) 13:10:45 ID:eHuXmV0U0
乙
最終回がくるなんて悲しいな
425
:
名も無きAAのようです
:2012/03/07(水) 17:04:16 ID:DXFALU220
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
銃で撃たれていた。
426
:
名も無きAAのようです
:2012/03/07(水) 17:05:30 ID:DXFALU220
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
銃で撃たれていた。
427
:
名も無きAAのようです
:2012/03/10(土) 01:12:55 ID:s11EV93kO
現在鋭意執筆中です、というのもこれで最後になるのでしょうか
最後ですのでこのキャラがみたいとかありましたら是非御要望ください
一応この作品が終わっても、しばらくしないうちに次回作を始めたいとは思っております
何作か温めておいた作品がありますが
想像以上に百合百合しいのとえっちぃのを書くのが楽しかったので
次回はガチ百合(18歳以上推奨)な作品でいくかもしれませぬ
それ以外なら土日の早朝にやっていそうな
少年向けの作品になる可能性も割りと高いかと
――以下閲覧注意――
……男の娘やBLも好きなんですがさすがにこの作品以上に
百合も男の娘もBLもというのは難しいですからね
もし要望があれば短編くらいならBLや男の娘も書くやも知れませぬ
428
:
名も無きAAのようです
:2012/03/27(火) 15:19:06 ID:RysCEs4EO
最近とみに忙しさが増しましてなかなか書く時間が取れない日が続いております
御待ち頂いている方には大変申し訳ございませんがもう幾許御待ちくださいませ
できることなら今月中、遅くても来月の初旬には投下させて頂きたいと思います
429
:
名も無きAAのようです
:2012/04/04(水) 15:02:57 ID:272otv9kO
待ってるからゆっくりどうぞ
430
:
名も無きAAのようです
:2012/04/06(金) 19:14:17 ID:bPnfoQicO
ようやく書き上がりましたので
時間の取れる土曜か日曜の夜に投下させて頂く予定です
最終話投下前に少々気早ではございますが
最後までお付き合いくださり感謝のあまり言葉もありません
431
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:15:35 ID:LsQwlU5MO
ではこれより最終話を投下させて頂きます
432
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:17:31 ID:LsQwlU5MO
【それぞれの闘い】
<ヽ ∀ >
( ゚∀゚)「オラッ、立てよ。お前から喧嘩吹っ掛けて来たんだろうが!」
(;^Д^)「もうやめてくれ、このままじゃニダーさんが死んじまう……」
( ゚∀゚)「ああっ!?」
(;^Д^)「俺達の負けだよ。これ30万はあるからさ、なあ頼むよ」
( ゚∀゚)「金、か……」
从゚×ナ从「モララーを守るには、お前には力が足りんねや」
(;-∀゚)「力だと?」
从゚×ナ从「財力でも、権力でも、腕力でも構わん。どれか一つでもウチを上回っとれば、モララーを守れたかもな」
.
433
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:19:01 ID:LsQwlU5MO
( ゚∀゚)「あいつは最後泣いてたんだ。俺にも金があれば、あいつを泣かせずにすんだのか?」
( ^Д^)「な、なんのことだよ」
( ゚∀゚)「結局俺にあったのは、馬鹿共を殴り飛ばせる程度の力かよっ!!」
(;^Д^)「ひ、ひぃぃ!?」
( ゚∀゚)「ちくしょうがっ!」
(‘_L’)「その辺りにせよ。未熟者めが」
( ゚∀゚)「じ、爺さん! なんでこんなところに」
(‘_L’)「たわけが暴れておると耳に挟んでな。頭を冷やさせに来たというところだ」
.
434
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:21:06 ID:LsQwlU5MO
ζ(-ー-*ζ「はぁ……」
川 ゚ -゚)「気持ちはわかるが、落ち込んでも際限ないぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、妹者からは退学届けが送られてくるし、ハインはあれから音沙汰なし」
川 ゚ -゚)「心配するなという方が無茶か」
ζ(-ー-*ζ「私の提案で二人を逃がしたら、こんなことになってしまって……」
ζ(゚ー゚*ζ「私、どうしたらよかったのかなって。あんなに一緒にいたのに、大切なときにはなんの役にも立てない」
川 ゚ -゚)「それは私達とて同じだ。あいつらがいたからこそ、この一年間はあった」
ξ゚⊿゚)ξ「だけど、私達にできることなんて限られてるわ」
(゚、゚トソン「たったの二人程度いなくなっただけで、まったく辛気臭くて反吐が出るよ」
川 ゚ -゚)「たったの二人程度? 申し訳ありませんが、今は先輩への礼儀をわきまえられる程、私達は大人ではありませんよ」
(゚、゚トソン「なんといわれようが、ボクにしてみればたった二人程度さ。だけどね」
(゚、゚トソン「ボクの卒業式に全校生徒が揃わないのは、どうにも面白くない」
ミセ*゚ー゚)リ「つまりトソトソも、二人がいなくなって寂しいんだよ」
(゚、゚トソン「どこをどう解釈すればそう聞こえるのか、甚だ疑問だね」
ノパ⊿゚)「簡単にいえばみんな好きなのさ、あいつらがな」
o川*゚ー゚)o「だから上手くいく方法を考えようってこと」
435
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:22:34 ID:LsQwlU5MO
ζ(゚ー゚*ζ「でも、ハインはともかく妹者は家の都合で」
(゚、゚トソン「家の都合などどれほどの関係があるものか! 本人の生きる道は本人が選べばいい」
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソ……」
lw´‐ _‐ノv「ということで、こちらの紙をご覧ください」
ξ゚⊿゚)ξ「えっと、日本列島における稲作の歴史は弥生時代に始まるとされてきた。しかし、近年になって縄文後期中葉に属する」
lw´‐ _‐ノv「ああごめん、それは米の歴史だった。てへぺろ」
川; д川「真面目にやりましょうよ」
lw´‐ _‐ノv「本当はこっちだね、じゃじゃーん」
从´ヮ`从ト「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」
ノパ⊿゚)「これには現在の状況がまとめられている。まずはモララーだが」
川 ゚ -゚)「明日には家督継承の会合を開くだと!? 性急過ぎる!」
从;´ヮ`从ト「あうー、無視……?」
o川*゚ー゚)o「ハインは実家に保護されてるんだねー☆」
ζ(゚ー゚*ζ「ひとまず安心です」
436
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:24:39 ID:LsQwlU5MO
(゚、゚トソン「差当たっての問題はやはりモララーだね。しかしなにか手を打つにしても、これでは全くもって時間が足りない」
从´ヮ`从ト「その打つ手については、校長先生に考えがあるそうだよ〜」
ノパ⊿゚)「私達は明日一日だけでいいからモララーを保護して、荒巻家の後継者だと大々的に発表させなければいいそうだ」
川 ゚ -゚)「結論としては乗り込んで拉致するしかないわけか」
ミセ*゚ー゚)リ「よくこんな情報を集められたね」
lw´‐ _‐ノv「そこは貞やんの実家の力があったり」
川д川「貞やん……。え、えっと、うちの実家は色々顔が利きますから」
ノパ⊿゚)「しかしこれ以上の後ろ盾は期待できない。モララーの救助は私達自身の手でやり遂げなくてはならないだろう」
ノパ⊿゚)「相当危険な橋になる。私達の平和ボケした想像を、遥かに越える出来事だって起こるかもしれない」
ζ(゚ー゚*ζ「そんな世界で、モララーはずっと生きてきたんだよね」
川 ゚ -゚)「私はやるぞ。そんな脅し文句で芋を引くような根性なら、女装師になぞなっていない」
ノパ⊿゚)「そうだな。だがもし乗り気でないものがいるなら、今のうちに離脱してくれ」
437
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:25:51 ID:LsQwlU5MO
(-、-トソン「……、馬鹿げたことに、そんな賢いやつはここにはいないらしい」
o川*゚ー゚)o「賢くて友達一人助けられないなら、キュートは馬鹿で結構だよ☆彡」
ノパ⊿゚)「では作戦会議を始めるぞ、馬鹿野郎ども」
从´ヮ`从ト「花も恥じらう乙女に野郎はないんじゃないかな〜」
ノパ⊿゚)「では、作戦会議を始めるぞ。馬鹿乙女ども!」
.
438
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:27:18 ID:LsQwlU5MO
( ・∀・)
ノハ*゚ーナル (むすっとしたモララー様可愛いよモララー様)
( ・∀・)
ノハ*゚ーナル (ああ、モララー様ペロペロ)
( ・∀・)
从゚×ナ从「辛気臭いやっちゃな。そんな無言でノパも気まずないんかい」
ノパーナル「これはねーやん様。私はモララー様の側仕えです、気まずいどころか同じ空気を吸えるだけで幸せというもの」
从゚×ナ从「お前はそういうやつやったな。モララーもいい加減、うんとかすんとかいうたらどうなんや」
( ・∀・)「うん、すん」
从゚×ナ从「……まっさかお前の口から冗談が出るとはな。いやあ人間変わるもんちゅうか」
( ・∀・)「環境だよ。朱に交われば赤くもなるさ」
439
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:28:37 ID:LsQwlU5MO
从゚×ナ从「まだ恨んどんかいな。ウチらのこと」
( ・∀・)「別に。姉さんとノパを恨んでどうなるものでもないし」
从゚×ナ从「変わりに好かれてもおらんか。まっ、ウチは構へんけどノパは損な役回りやな」
ノパーナル「いえ、私は……」
从゚×ナ从「まあ話はこんなとこにしとこか。モララー、じじいがお前を呼んどんで」
( ・∀・)「連れ戻しておいて三週間もほったらかしかと思えば、今度は気安く呼び付ける。何様なのさ」
从゚×ナ从「荒巻スカルチノフ様なんやろ。マジ魑魅魍魎やけどな」
.
440
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:31:31 ID:LsQwlU5MO
( ・∀・)「ご無沙汰しております、父さん」
/ ,' 3「モララーか。ふっ、これで我が牙城は盤石となったわ」
( ・∀・)「…………」
/ ,' 3「今夕、貴様に家督を継がせる。その際、妻も娶らせるぞ。これは決定事項だ」
( ・∀・)「待ってください、僕はまだ十六です。法的に結婚できる年齢では」
/ ,' 3「ならば法を変えればよい。儂を誰と思うておる、荒巻スカルチノフその人ぞ」
( -∀-)「わかり、ました……」
/ ,' 3「ノパーナル、モララーが首から掛けておる銀細工を捨てて置け」
ノパーナル「仰せのままに。モララー様、失礼致します」
(;・∀・)「待ってよ! これはハインから貰った、大切な」
/ ,' 3「貴様は荒巻家を継ぐのだ。そんなガラクタを後生大事に胸から下げられては、我が家の無能を喧伝するようなもの」
( ・∀・)「ガラクタなんかじゃない! これは大切な思い出が詰まった」
/ ,' 3「覚えておけ。他人から見て価値の見出だせないものを、ガラクタというのだ」
(;・∀・)「くっ……!」
.
441
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:33:11 ID:LsQwlU5MO
ノパーナル「モララー様のロザリオは、ゴミ処理場の管理人であるアサピーに頼んで捨てておいてもらいました」
( ・∀・)「そう……」
ノパーナル「私はこれより家督継承の会合に向けて準備がございますので、一時お側を離れることになりますが、どうか御容赦を」
( ・∀・)「ノパはさ、僕に荒巻家を継いで欲しいの?」
ノパーナル「私の返答は、モララー様にお仕えさせて頂くことになったみぎりより、常に一つでございます」
ノパーナル「全てはモララー様の御為に」
( ・∀・)「ノパは僕がいつなにを聞いても、それしかいってくれないんだね」
ノパーナル「私はモララー様の側仕えですから」
( ・∀・)「もし僕の側仕えじゃなかったら……。いや、なんでもない」
ノパーナル「左様でございますか。では失礼させて頂きます」
ノパーナル「貴方様を大切に想っているのは本当ですよ……」
.
442
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:34:52 ID:LsQwlU5MO
( ・∀・)「ロザリオ、ずっと大切にするって約束したのに」
( ・∀・)「僕はどうしたらよかったのかな。教えてよハイン」
( ・∀・)「こんな広い部屋に、独りは寂しいよ……」
( ・∀・)「いろんなことを学んで成長したつもりだったんだ」
( -∀-)「でも、強くなれた気がしたのはみんなが側にいたからなんだ。これじゃあ昔の僕よりも弱いじゃないか……!」
( ・∀・)「……僕は、誰なんだ。父さんに唯々諾々と従う人生に、僕個人は存在するのか?」
( ・∀・)「僕はモララー。だけどもう一つ名前を持っている」
学園でみんなが呼んでくれた名前、――妹者。
ああ、そうだ。
僕は学園で本当にいろんなことを学んだんだ。
( ・∀・)「いつまでも雨宿りをして、雨が過ぎるのを待つなんてつまらない」
( ・∀・)「じっと待っているぐらいなら、雨の中を傘も差さずに踊る。そう決めたはずだ」
( ・∀・)「今の僕は昔とは違う。弱くなったけど、強くもなれた!」
( ・∀・)「ロザリオの切っ掛けになった、貞子先輩の占いはなんていっていた?」
川д川「もし迷ったなら、思い切って行動してみてください。二人の結び付きを強くするアイテムは――」
( ・∀・)「今こそ思い切って行動しなくてどうするんだモララー!」
443
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:36:51 ID:LsQwlU5MO
⌒*リ´・-・リ「モララー様、失礼致します」
( ・∀・)「君は?」
⌒*リ´・-・リ「ノパーナル様が戻られるまで、僭越ながら側に控えさせて頂くことになりました。リリと申します」
( ・∀・)「背格好は僕と同じぐらいか。丁度いい、君に頼みたいことがある」
⌒*リ´・-・リ「はい。私にできることでしたら、なんなりとおっしゃってください」
( ・∀・)「そのメイド服、脱いでくれる?」
⌒*リ;´・-・リ「えっ? あ、いえ、わかりました。わかっております、私はメイド。覚悟はできております!」
⌒*リ´・-・リ「ああ、お父さん、お母さん、リリは今から大人の階段を登ります……!」
⌒*リ*´・-・リ「あのあの、そのですね、初めてですので、優しくしていただければと」
( ・∀・)「ごめん、急かすようで悪いけど手早くお願い」
⌒*リ´・-・リ「かしこまりました。私は胸も小さいですし、至らない部分も多いかと思いますが、よろしくお願い致し」
l从・∀・ノ!リ人「よし! 神速の早女装、僕にもしっかり習得できてたんだ」
⌒*リ´・-・リ「――ほえ?」
l从・∀・ノ!リ人「僕の服着ていいからね。それじゃあ!」
⌒*リ´・-・リ「あ、あの、私の覚悟は……」
.
444
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:41:37 ID:LsQwlU5MO
ミセ*゚ー゚)リ「みんな、聞こえる? 大丈夫?」
ノパ⊿゚)『私は問題ない。他の者は?』
川 ゚ -゚)『潜入成功だ』
(゚、゚トソン『簡単にへまを踏むような面子じゃないだろうさ』
lw´‐ _‐ノv『簡単にへちまを踏むような面子でもないだろうさ』
从 ゚∀从『ツッコみませんよ』
ξ゚⊿゚)ξ「本当は私達も乗り込めたらよかったんだけど」
ノパ⊿゚)『悪いな、人数が多くなると退路が確保できん』
(゚、゚トソン『待機組のメンバーでは有事の際、自力での脱出が難しいだろうからね』
o川*゚ー゚)o「キュートもメイド服着たかったのにー」
从 ゚∀从『それぐらい、今度知り合いに頼んで借りてあげますから』
o川*^ー^)o「マジで! ハインの太っ腹☆」
ζ(^ー^*ζ「メイド服で百合プレイか、良い!」
从;゚∀从『変な汚れは付けてくれるなよ……』
川 ゚ -゚)『さて、これが大切りだ。緞帳が上がったなら、後は見得を切るだけだな』
lw´‐ _‐ノv (……上手くいき過ぎる。まるで見えない誰かに手引きされているような。罠の可能性も捨て切れないか?)
.
445
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:44:06 ID:LsQwlU5MO
l从・∀・ノ!リ人「もう無駄に広いな。こんなことなら、我が家の間取りぐらい把握しておくんだった」
l从・∀・ノ!リ人「確かこっちに――」
(-@∀@)「へいへいほ〜♪」
l从・∀・ノ!リ人「すみません! ここゴミ処理場ですよね。貴方がアサピーさんですか」
(-@∀@)「えっ、はい。そうですけど」
l从・∀・ノ!リ人「銀のロザリオってまだ持っていませんか? もう捨ててしまいました?」
(-@∀@)「ああ、それでしたら私が持っていますよ。勝手に捨てるなんてとんでもない」
l从・∀・ノ!リ人「勝手に?」
(-@∀@)「ノパーナル様が預かってほしいと渡していきましてね。多分返してほしいという子が現れるはずだからと」
l从-∀-ノ!リ人「ノパ、ありがとう……!」
(-@∀@)「その返してほしい子というのは、どうやら君のことのようだね。はい、これ」
l从・∀・ノ!リ人「ありがとうございます。やっぱりこれがないと」
从 ゚∀从「なんだ、ここは。屋敷のゴミを一か所に集めてんのか」
l从・∀・ノ!リ人「ハイ、ン?」
从 ゚∀从「お前、妹者か?」
二人の結び付きを強くするアイテムは――
.
446
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:48:14 ID:LsQwlU5MO
从 ゚∀从「こちらハイン、妹者と出会えました。好都合なことに妹者もメイドに変装できています」
ミセ*゚ー゚)リ『現在位置は?』
从 ゚∀从「とりあえずゴミ捨て場の近くかと」
l从・∀・ノ!リ人「ここからなら表門が近いけど、さすがにメイド二人が表門を使うのは怪しいかな」
ノパ⊿゚)『やはり使用人用の出入り口から逃げるしかないだろう』
(゚、゚トソン『ミセリ、一番近い出入り口までナビできるだろうね』
ミセ*゚ー゚)リ『お任せだよ』
川 ゚ -゚)『さすがに合流すると目立つか。私達はそれとなく援護できる距離まで近付こう』
447
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:50:08 ID:LsQwlU5MO
lw´‐ _‐ノv『私がいるからには豪華客船に乗ったつもりでいてくれたまえ』
l从・∀・;ノ!リ人「なんか沈むイメージがあるんですけど、豪華客船って」
lw´‐ _‐ノv『では戦艦大和に乗ったつもりで』
l从・∀・;ノ!リ人「強そうですけど、それも最終的には沈没してるじゃないですか!?」
从゚×ナ从「楽しそうやな。ウチも混ぜたってや」
l从・∀・ノ!リ人「――っ!?」
从゚×ナ从「よう化けたもんやけど、さすがに実の姉の眼は誤魔化せんで?」
l从・∀・ノ!リ人「姉、さん……」
从 ゚∀从「妹者、安心しろ。今日の俺は不沈艦だ」
.
448
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:51:50 ID:LsQwlU5MO
ノパーナル「この警備を素人の学生が掻い潜れるなんて不思議に思いましたが、上手いことやってくれましたね」
(*゚ー゚)「うちのお姉ちゃんは生徒達に対して心配性でね。そして妹使いが荒いんだよ」
ノパーナル「申し訳ありませんが、今モララー様を連れていかれる訳には参りません。どうかお退きください」
(*゚ー゚)「冗談。簡単に退いて来たなんていったら、お姉ちゃんに零距離ドロップされちゃうよ」
(*゚ー゚)「それに私としても、可愛い後輩の面倒は見たいしね」
ノパーナル「身のこなし、気当たり、……化物か」
(*゚ー゚)「貴女にはいわれたくないな」
ノパーナル「今はモララー様から長時間目を離せないというのに!」
(*゚ー゚)「古臭い台詞だけど、ここを通りたかったら私を倒してからいくんだね」
ノパーナル「やむを得ないか。――参る!」
.
449
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:53:33 ID:LsQwlU5MO
从 ゚∀从「ここを通りたかったら俺を倒していけってやつか?」
从゚×ナ从「誰か思たらいつぞやの少年かいな。まあ性懲りもせんと」
从 ゚∀从「いや、もう負けるのは懲り懲りだよ。だから今回は勝たせてもらう!」
俺は言葉と共に右足を引いて半身になり、左脇を絞って小さく構える。
攻め込むには向かない、完全にカウンター狙いの構えだ。
从゚×ナ从「今度は勝つちゅうからには、なんや面白いもんが見れると思うたら、相も変わらず後の先狙いかいな」
从 ゚∀从「先の先なんて付け焼き刃を覚えるよりは、慣れ親しんだこいつを極めることにしたんだよ」
从゚×ナ从「さよか。ならどう極めたんか試してみよか!」
ねーやんは遊ぶ気なしといった様子で、前回俺を破った震脚を始める。
震脚とは両足を交互に地面へ打ち付けることで、体内の勁力を爆発的に高める技術だ。
450
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名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:55:38 ID:LsQwlU5MO
从゚×ナ从「マジ魑魅魍魎やけど、恨まんといてな」
ゆっくりとねーやんがこちらに向き直るだけで、緊張からかじわりと頬を汗が伝った。
気圧されそうになる空気を、俺は一度強く息を呑んで跳ね返す。
ここで俺が負ければまたあいつを泣かせてしまう、そんなのは死んでもごめんだ。
从 -∀从「……ふぅぅ!」
从゚×ナ从「ほな、いくでっ!」
一説によると指を弾く間に六十五刹那があるといわれる。
これは何刹那あったのだろうか。
動態視力では追い切れない速度を持った踏み込み、ねーやんの掌打が風切り音を奏で襲いかかる。
从 ゚∀从「――六徳の呼吸っ!!」
眼で追えないならば直感に頼るしかない。
鋭く、鋭く、刃のように研ぎ澄ませた感覚に身を任せる。
俺は高速の掌打を左腕で払いいなし、空いた鳩尾へカウンターの正拳を叩き込んだ。
まるで砂袋を殴ったような、鈍い感触が腕に響く。
从;゚×ナ从「がはっ!? げほっ、げほっ!!」
451
:
名も無きAAのようです
:2012/04/07(土) 23:57:41 ID:LsQwlU5MO
l从・∀・ノ!リ人「姉さんが、負けた? 一体どうやって」
从 ゚∀从「刹那の十分の一とされる時間を六徳と呼ぶんだけどな、そこはもう人間の眼でどうこうできる世界じゃねえのよ」
l从・∀・ノ!リ人「それなら尚更どうやってやったの?」
从 ゚∀从「いわゆる直感に近いもんだな。極限まで感覚を研ぎ澄ませた境地、それをうちでは六徳の呼吸と呼んでる」
从;゚×ナ从「マジ魑魅魍魎……」
从 ゚∀从「うおっ、あの速度のカウンターを食らって意識があんのかよ」
从;゚×ナ从「うぐっ、立ち上がれはせんけどな。あんときの少年程の気力は、ウチにはないっちゅうこっちゃ」
l从・∀・ノ!リ人「姉さん……」
从゚×ナ从「モララー、とっとといねや。ウチに勝った以上、後は自分らの力でなんとかしぃ」
l从・∀・ノ!リ人「うん!」
.
452
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:01:16 ID:8GmGfFBgO
ノパーナル「くっ、やりますね」
(*゚ー゚)「はあはあ、貴女こそね」
ノパーナル「急がねば。こんなに警備が薄くなってしまっては、モララー様の命が危ないというのにっ!」
(*゚ー゚)「……それどういう意味?」
ノパーナル「御託を並べる時間すら私には惜しいのです。言葉の真意が知りたくばそこをどけっ!!」
.
453
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:03:12 ID:8GmGfFBgO
ノパ⊿゚)『もう会合の予定時間は過ぎた。モララーがいなくなったと皆大騒ぎだ』
川 ゚ -゚)『どうやらメイドに変装して逃げていることもバレたみたいだな。まだ外まで出られないのか』
从 ゚∀从「ここまで騒ぎが大きくなる前なら、最短距離をぶっちぎれたんですけどね」
l从・∀・ノ!リ人「今は人を避けて少しづつ進むのが精一杯といったところで」
lw´‐ _‐ノv『まずったな、使用人用の出入り口が封鎖された。別の脱出ルートを考えなくてはなるまい』
从 ゚∀从「別の脱出ルートつったって、どこから」
l从・∀・ノ!リ人「確か、下水道が――」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「もう逃げる必要はないぜ、モララー様よ」
l从・∀・ノ!リ人「誰だ!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「俺かい? こういう者さ」
从;゚∀从「拳銃……!?」
l从・∀・ノ!リ人「……姉達からの差し金か」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「立場上、正否は俺の口からはいえんがね」
l从・∀・ノ!リ人「答えをいったようなものだよ」
454
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:05:29 ID:8GmGfFBgO
从 ゚∀从「妹者、ロザリオを貸せ!」
l从・∀・ノ!リ人「えっ、うん!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「神頼みか。現実の暴力から神は誰も救いはしない……、じゃあな」
从 -∀从「――六徳の呼吸っ!!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「銃弾を弾いた……?」
从;゚∀从「うぐあっ!!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「だが脆い銀では、二枚重ねでも衝撃を逃し切れなかったな。指が折れたか」
从;゚∀从「へへっ、指が引きちぎれようが、弾切れするまで何発でも弾いてやるよ!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「そうかい、見事な心意気だ。俺もそれに応えよう」
(゚、゚トソン「――その必要はない」
_、_
(;,_ノ` )y━・~「あがあああああぁぁぁ!?」
(゚、゚トソン「効くだろう、百万ボルトのスタンガンは」
l从・∀・ノ!リ人「トソトソ先輩!」
455
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:07:10 ID:8GmGfFBgO
(゚、゚トソン「まったく、世話の焼ける後輩だよキミ達は。今の間にこいつの身ぐるみを剥ぐよ」
(゚、゚トソン「銃器とナイフ、殺傷力があるのはこの辺りか。おっと、動けばもう一発百万ボルトだからね?」
从;゚∀从「妙に手慣れてるのが怖いっすね」
(゚、゚トソン「さすがにボク達が銃刀法違犯するわけにもいかないからね。妹者、これらを窓の外へ投げ捨てといて」
l从・∀・ノ!リ人「は、はい!」
⌒*リ´・-・リ「申し訳ございませんが、チェックメイトです。モララー様」
从 ゚∀从「ちぃ、騒ぎ過ぎたかっ!」
(゚、゚トソン「この人数、通り抜けるのは絶望的だね」
⌒*リ´・-・リ「モララー様の御学友方は、外でタクシーを用意していた面々を含め、皆既に捕らえさせて頂いております」
l从-∀-ノ!リ人「正しくチェックメイトか。わかった、僕の負けだ」
⌒*リ´・-・リ「御理解が早くて何よりです」
.
456
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:08:38 ID:8GmGfFBgO
/ ,' 3「お前が儂に歯向かうとはな」
l从・∀・ノ!リ人「誰もが自分の思い通りに動くとは思わないことだ!」
/ ,' 3「結局、今お前はここにおる。それが思い通りといわずしてなんという」
l从・∀・ノ!リ人「くっ」
/ ,' 3「些か時間に遅れは出たが問題ない。これより会合の会場へと向かうぞ」
川 ゚ -゚)「これで、本当に終わりなのか?」
从 -∀从「結局、俺にはなんの力もなかったってことかよ……!」
「そんなことはないよ。君の胆力、勇気がなければ時間が足りなかった」
从 ゚∀从「あ、貴方は」
(´・_ゝ・`)「ハイン君、弟を守ってくれてありがとう」
l从・∀・ノ!リ人「兄さん!」
/ ,' 3「デミタスか」
457
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:10:47 ID:8GmGfFBgO
(´・_ゝ・`)「久し振りだな、親父殿。出来損ないの長男だが今戻らせてもらったよ」
/ ,' 3「己で理解しておるならば世話はない。貴様はモララーと比べるまでもないクズだからな」
(´・_ゝ・`)「いやあ、そのクズなんだけど、クズはクズなりに細々と動かせてもらったというか」
/ ,' 3「……なにがいいたい?」
(´・_ゝ・`)「実は親父殿の持っている会社も、財産も、この屋敷も、既に全部俺のものってことになってるんだよね」
/ ,' 3「ふむ、乗っ取りか。しかし、お前ごときが」
(´・_ゝ・`)「親父殿もやっぱり老いたよな。確かに俺一人でこれだけのことするのは無理だよ、でも協力者がいたらどう思う?」
/ ,' 3「まさかショボンかっ!? あの古狸の力を借りたと!」
(´・_ゝ・`)「実際あの人はやり手だよ。さすがに今まで巧みに、女装師なんてものを隠し通して来ただけはある」
/ ,' 3「ふっ、くははは! そうか、ショボンと手を組んだか、だからお前はクズだというのだ!」
/ ,' 3「なぜ女装師が世に隠されて来たか知らぬわけでもあるまい。公表すれば奴は沈む、お前もろともな」
(´・_ゝ・`)「……時間だ、俺達は世紀の瞬間を見られるな。ノパーナル」
ノパーナル「はっ。皆様、こちらのディスプレイを御覧下さい」
ξ゚⊿゚)ξ「これは」
o川*゚ー゚)o「校長先生?」
.
458
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:14:33 ID:8GmGfFBgO
(´・ω・`)「そもそもなぜ女装師という存在が旧来より隠されて来たのか、悲しいことにそれは凶悪犯罪にありました」
(´・ω・`)「女装術で身姿を変え、殺人を繰り返す連続殺人鬼、その様な者が現れたからです」
(´・ω・`)「ですから残った女装師達は、これ以上女装術を悪用させないため秘匿することにしました」
(´・ω・`)「しかし、例の犯罪者は女装師ではありません。なぜならば女装術を生み出した者が残した言葉に」
(´・ω・`)「姿が美しくなければ女装師とは呼ばれない。心が美しくなければ女装師と呼ばれる資格がない」
(´・ω・`)「というものがあるからです。私はその精神と女装術を教えるために学園を作りました」
(´・ω・`)「女装など、気持ち悪いと思われる方もいるでしょう」
(´・ω・`)「自分の隣りにいるのが実は男だとしたら、そう考えるだけで嫌悪感を覚える女性もいるでしょう」
(´・ω・`)「ですが我々女装師は――」
.
459
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:16:02 ID:8GmGfFBgO
/ ,' 3「なっ!?」
(-、-トソン「さすが校長、やってくれる」
从´ヮ`从ト「みんなに女装師のことバレちゃったね〜」
ノパ⊿゚)「下手したら、私達は明日から通う学園がなくなってしまうな」
川д川「ですけど、私は今まで納得がいっていませんでした」
o川*゚ー゚)o「だってキュート達はなにも悪いことしてないんだもん!」
ξ゚⊿゚)ξ「自分の姿に自信を持って、堂々としてこそ女装師」
川 ゚ -゚)「私達はそう習ったのだからな」
ミセ*゚ー゚)リ「これで誰かに後ろ指を指されるようになったって、私は学園で学んだ三年間に誇りを持ってる」
lw´‐ _‐ノv「男は可愛く美しく、か」
.
460
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:17:40 ID:8GmGfFBgO
(´・ω・`)「ご清聴ありがとうございました。ですが皆様は、女装術というものが今一つ想像できないことと思います」
(´・ω・`)「女装術、それは艶やかで鮮やかで美しい女装の技術――」
|゚ノ ^∀^)「――その目で御覧下さい。これがその女装術です」
从;゚∀从「ぶっ!? あのとき王様ゲームに混ざってたの校長だったのかよ!」
l从・∀・;ノ!リ人「僕、校長先生とハグとかしたんだけど」
ζ(゚ー゚*ζ「うーん、だいぶ年上だけどあの姿ならイケる!」
从;゚∀从「なんの話だ! ていうかいくな!」
461
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:20:20 ID:8GmGfFBgO
(´・_ゝ・`)「あはは、という訳で親父殿。こっちが先に公表させてもらったよ」
/ ,' 3「阿呆めが、もしこれでショボンが地に落ちたらどうする?」
(´・_ゝ・`)「そんなことにはならないだろうさ。あの人が作った学園に通う子供達を見ていればわかる」
/ ,' 3「ふん、まあいい。お前の勝ちだ、好きにせよ」
从゚×ナ从「ほれ決着はついたんや、じじいはおとなしく病院へ帰りな」
l从・∀・ノ!リ人「病院?」
从゚×ナ从「このじじいは身体にガタがきとってな、もう一年程度の命なんやと」
l从・∀・ノ!リ人「そんな、だから情が深い姉さんは父さんのいうことを」
从゚×ナ从「それもあるっちゃあるけど、モララーの命があいつらに狙われとんのに気付いたからな」
ノパーナル「ですから私とねーやん様はモララー様を監視下に置き、今回の件が落ち着くまで軟禁しようという運びになりました」
(´・_ゝ・`)「妹達には圧力を掛けたよ。俺が家督を継承するんだから関係ないが、一応モララーが狙われることはもうないだろう」
462
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:22:23 ID:8GmGfFBgO
从゚×ナ从「ノパなんかは会合も潰す気満々やったしな。モララーの結婚の辺りに私情が見え隠れしとった気もするけど」
l从・∀・ノ!リ人「じゃあノパは、僕のために」
ノパーナル「いつも申しているではありませんか。全てはモララー様の御為に、と」
l从・∀・*ノ!リ人「ありがとう、ノパ。大好き!」
ノハ*゚ーナル「いえいえ私も大好きと申しますか好きという言葉にも方向性というものが存在しまして」
ノハ*゚ーナル「私の感情という点に置くとライクかラヴかと聞かれましたら迷うことなく激ラヴに愛している次第で」
l从・∀・;ノ!リ人「ひゃんっ」
从;゚×ナ从「ちょい待ち! ウチの弟をどこへ連れていく気や!」
ノパーナル「先の大好きという言葉はプロポーズとして受け取るべきかと思いまして」
l从・∀・;ノ!リ人「プロポーズなんていつ誰がした!?」
463
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:23:26 ID:8GmGfFBgO
o川*゚ー゚)o「なんかデレみたいだね、あの人」
ζ(゚ー゚*ζ「私はあんなに強引じゃありませんよ」
从 ゚∀从「はは、どっちもどっちだろ」
l从・∀・;ノ!リ人「笑ってないでハイン助けてよお!」
ノパ⊿゚)「さてと、この先どうなるかはわからないが帰りますか」
川 ゚ -゚)「ああ、学園にな」
ミセ*゚ー゚)リ「妹者も助けたことだし」
lw´‐ _‐ノv「めでたしめでたし」
l从・∀・;ノ!リ人「助けてもらってないし、めでたくないです! 今最大のピンチが目の前にぃぃぃ!!」
.
464
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:26:11 ID:8GmGfFBgO
【変わらないキミだから】
ミセ*゚ー゚)リ「卒業かあ。なんだか三年間あっという間だったね」
(゚、゚トソン「仰げば尊しにもあるだろう。思えばいと疾しこの年月と、昔からみんなそう思ってるってことだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、てっきり私は、思えばいとおしいこの年月だとばかり」
(-、-トソン「はあ、最後までキミは変わらないな。この後、式で歌うんだから歌詞ぐらいしっかり覚えておきなよ」
465
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:27:47 ID:8GmGfFBgO
ミセリと初めて出会ったのは学生寮だった。
少し喧しい同室の少女、その程度の印象だっただろう。
他人とかかずらう気のなかったボクは、彼女を無視して疎外することにした。
それなのに彼女は、
ミセ*゚ー゚)リ「ねえねえ、トソンちゃん。駅前に新しいお店ができてさ、一緒にいってみようよ」
(゚、゚トソン「引っ張るな。そんなもの一人でいけばいいだろう」
ミセ*^ー^)リ「だって一人だと恥ずかしいんだもん」
ボクの意思なんてものには無遠慮で、ことある毎に付き纏ってきた。
やれ遊びにいこうだの。
やれ一緒に御飯を食べようだの。
やれ女装術の練習に付き合えだの。
本当に遠慮という言葉を知らないのではないかと疑いもした。
ミセ*゚ー゚)リ「トソンちゃん。ベストパートナーコンテスト、申し込んでおいたからね」
まあその疑いは事実という形で、ボクの前に突き付けられることになったのだが。
466
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:29:38 ID:8GmGfFBgO
仕方なくとはいえ、出る以上負けたくなかったボクは、彼女との呼吸を合わせるよう努力した。
一緒に遊んだし。
一緒に御飯も食べたし。
一緒に風呂も入ったし。
一緒に寝たし。
一緒に女装術の勉強もした。
全てはコンテストに勝つため、それだけだ。
――それだけ、それだけだったはずなのに。
他人と触れ合うだけで、胸にこんなにも強い気持ちが生まれるなんてボクは知らなかったんだ。
(゚、゚トソン「今日のコンテスト、絶対に優勝するよ。――ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「初めて私の名前呼んでくれたね」
(゚、゚トソン「一々覚えていないよ、そんなこと」
ミセ*゚ー゚)リ「いいよ、今日のことは私がずっと覚えておくから。トソトソ」
(゚、゚;トソン「なんだそのトソトソというのは!?」
こんなことをわざわざ覚えているのだから、ボクの海馬にも呆れたものだ。
.
467
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:31:06 ID:8GmGfFBgO
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソ、今昔のこと思い出してたでしょ」
(゚、゚トソン「さてね」
ミセ*゚ー゚)リ「エスパーミセリの予想によると、一年目のベストパートナーコンテストのことと見た」
(゚、゚トソン「外れだよ。だいたい予想ならエスパーにはならないだろうに」
ミセ*゚ー゚)リ「ちぇ、残念」
(゚、゚トソン「……参考までに聞くと、なぜボクがベストパートナーコンテストのことを思い出していると思ったんだい?」
ミセ*゚ー゚)リ「私が思い出してたから、もし一緒だったら嬉しいなって」
(゚、゚トソン「ふん……」
ミセ*゚ー゚)リ「それに、ずっと覚えておくって約束したしね」
(゚、゚トソン「あれは約束じゃなくて、勝手にミセリが宣言しただけだろう」
ミセ*^ー^)リ「おやおや? 本当はトソトソも思い出していたのではないですかな」
(-、-トソン「知らないよ。ボクは先にいくから」
ミセ*゚ー゚)リ「待ってよ、トソトソ。拗ねないでってば」
(゚、゚トソン「誰が拗ねてなどいるか!」
468
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:32:22 ID:8GmGfFBgO
ミセ*>ー<)リ「ふふふ、この後桜並木でトソトソが泣くかと思うともぅ……!」
(゚、゚トソン「誰が泣くか。キミこそティッシュを箱で用意しておくんだね」
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソの分を?」
(゚、゚トソン「キミの分に決まっているだろう! 誰が他人に自分のティッシュを用意させるんだよ」
ミセ*^ー^)リ「――――」
(゚、゚トソン「――――」
本当に彼女は出会ったときから変わらない。
多分来年も、その先も、これから先もずっと変わらないのだろう。
ボクの隣りで、無遠慮にボクを振り回して。
.
469
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:35:11 ID:8GmGfFBgO
【新生徒会始動】
(*゚∀゚)「生徒会の副会長として、新二年のでぃが加わることになった。仲良くしてやれよ」
(#゚;;-゚)「よろしくお願いします……」
ノパ⊿゚)「私が生徒会長のヒートだ。わからないことがあったらなんでも聞いてくれ」
川д川「私は書記の貞子です。よろしくお願いします……」
(#゚;;-゚) (あっ、なんだろう……)
川д川 (不思議なシンパシーを……)
lw´‐ _‐ノv「ラストはこのシマのボスをやってるシュールだ、嬢ちゃんよろしくな」
(#゚;;-゚)「はい、よろしくお願いします。ところで、生徒会長とボスはなにが違うのでしょうか」
ノハ-⊿-)「真面目なのは私としても非っ常ぉぉに有り難いのだが、流すということを覚えないと苦労することになるぞ」
470
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:36:11 ID:8GmGfFBgO
lw´‐ _‐ノv「小でも大で流す心意気を持ちなさいとヒートはいっているのだ」
(#゚;;-゚)「はい、わかりました」
ノパ⊿゚)「いってねえええええええ!!」
(#゚;;-゚)「す、すみません」
ノパ⊿゚)「いや、今のは君にいったんじゃなくてさ」
lw´‐ _‐ノv「じゃあ誰にいったんだ!」
ノパ⊿゚)「お前だよ!」
lw´‐ _‐ノv「小前田くんね」
ノハ;゚⊿゚)「誰だそれ!?」
471
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:37:58 ID:8GmGfFBgO
lw´‐ _‐ノv「ようし、ここらで私が貞やん顔負けの相性占いを一つ」
(#゚;;-゚)「お、お願いします」
lw´‐ _‐ノv「To HeartといえばBrand New Heart派。こみっくパーティといえば君のままで派。この二点に当てはまれば相性バッチリだ」
ノパ⊿゚)「なにいってんのか全然わかんねえええぇぇぇ!!」
(#゚;;-゚)「私はFeeling Heart派で……」
ノハ;゚⊿゚)「わかっちゃったの!?」
lw´‐ _‐ノv「きらめき学園とひびきの学園なら、ひびきの派かな」
ノパ⊿゚)「知らねえよおおおぉぉぉっ!!」
lw´‐ _‐ノv「ヒートっちも少し落ち着きなよ。新人さんもブルッちまってるぜ?」
ノハ-⊿-)「はあはあ、生徒会長が抜けたのに、気苦労が多くなった気がするのはなぜだ……」
.
472
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:40:30 ID:8GmGfFBgO
【あなたの知らない世界】
l从・∀・ノ!リ人「キュート先輩、約束のメイド服です」
o川*゚ー゚)o「わーい☆キラキラ」
从 ゚∀从「本当によかったのか? 俺が借りてくる約束だったのに」
l从・∀・ノ!リ人「色々迷惑かけたお礼に、兄さんがプレゼントさせてほしいんだってさ。まあ屋敷に山程あるものだし」
ζ(゚ー゚*ζ「私達の分まであるなんて、さすがデミタスさん!」
o川;゚ー゚)o「げっ、デレだ★」
ζ(゚ー゚*ζ「げってなんですか、もうキュート先輩確保っと」
o川*>ー<)o「はうー! 降ろしてー」
473
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:41:38 ID:8GmGfFBgO
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ私はキュート先輩とメイド服着て朝までしっぽりだから」
从;゚∀从「なんだそのしっぽりっていうのは!?」
ζ(^ー^*ζ「あはは。ハインもたまには強引に迫っても、妹者も嫌がらないと思うよ? それじゃね」
o川*>ー<)o「はうっ! 妹者、ハイン、助け…………」
从 ゚∀从「キュート先輩を無力化してから連れ去るまで、無駄がなかったな」
l从・∀・ノ!リ人「慣れてるんだろうね、キュート先輩を拉致するの」
从 ゚∀从「なんかわかんねえけど、触らぬ神に祟りなしというか」
l从・∀・ノ!リ人「うん、僕達は知らない方がいい世界っていうのもあると思うんだ」
.
474
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:43:41 ID:8GmGfFBgO
【新校長爆誕】
拝啓つー様へ。
春暖の候。
梅が花をつけたかと思いきや、瞬く間に桜の咲き誇る季節となりました。
季節の変わり目は寒暖の差が激しく体調を崩しやすいと申しますが、いかがお過ごしでしょうか。
私は急務が立て込んでおり、思うように学園へ戻れない日々が続いております。
このような体では、学園の校長という職責を果たしているとは、言い難いのも事実です。
ですのでこれ以降はオーナーという形で、学園の運営に携わりたいと考えております。
つきましては、空席となってしまった校長という座には、つー先生に着いて頂きたいと思います。
書類上の手続き等、必要なことは全て私が済ませておきましたので、この手紙を読んでいる頃には問題なく校長になっておられることでしょう。
教師と寮の管理人と校長という三重の責務になりますが、つー先生ならば必ずややり遂げられると信じております。
私事ばかりで大変恐縮ですが、この辺りで筆を置かせて頂きます。
ショボンより。
敬具。
475
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:46:36 ID:8GmGfFBgO
(*゚∀゚)「あんにゃろおおおおお!! こんな手紙残して逃げやがって!」
(*゚∀゚)「こんなもん仕事が忙しくて結婚相手なんて探せるくああぁぁ!!」
(*゚∀゚)「二十代で月の給料が五十万越えるつうの! どんだけ私に仕事させる気だよ!!」
ノパーナル「まあまあ、落ち着いて下さいつー先生」
(*;∀;)「ちくしょう……」
ノパーナル「私も先生と大きく歳は変わりませんが、独り身ですよ」
(*゚∀゚)「ですよね、最近は三十越えてからの結婚も普通ですもんね」
ノパーナル「まあ私はモララー様との将来が約束されているわけですが」
(*゚∀゚)「……教師として赴任してきた以上、生徒には手を出すなよ」
ノパーナル「大丈夫ですよ、まだ熟していない青い果実をもぐなど無粋の極み」
ノハ*゚ーナル「ああしかし禁断の果実だからこそ口にしたくなるのがアダムの頃よりの人の性」
(*゚∀゚)「そんな性は捨ててしまえ!!」
.
476
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:49:29 ID:8GmGfFBgO
【終わりと別れと始まりと出会い】
ξ゚⊿゚)ξ「遅くまでごめんなさい。そろそろ寝ましょうか」
川 ゚ -゚)「志望校には受かりそうか?」
ξ゚⊿゚)ξ「このままいけば問題なさそうってことらしいわ」
川 ゚ -゚)「そうか。私からは応援することしかできんが」
ξ゚⊿゚)ξ「それは私も同じことよ。クーが頑張ってるのを応援することしかできないわ」
川 ゚ -゚)「ふっ、お互い様か」
ξ゚⊿゚)ξ「そういうこと」
川 ゚ -゚)「皆、ここを卒業したらそれぞれの人生を歩むのだな」
ξ゚⊿゚)ξ「なに、センチメンタル?」
川 ゚ -゚)「少しな。あれだけいた先輩達がいなくなって、私達が最上級生だというのだ」
ξ゚⊿゚)ξ「確かに不思議な感じよね」
川 ゚ -゚)「このまま時間が止まればいいのに。そうしたらずっと一緒にいられる」
ξ゚⊿゚)ξ「それは少し素敵ね。やっぱり別れは寂しいから」
川 ゚ -゚)「だろう」
ξ゚⊿゚)ξ「でも別れがないなんてもっと寂しいわ。終わるから始まる、別れがあるから出会いがある」
川 ゚ -゚)「そうだな。あの日の別れがあったから、私はここにいてツンとも出会えた」
477
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 00:51:04 ID:8GmGfFBgO
ξ゚⊿゚)ξ「それに繋いだ絆は卒業なんかで切れたりしないわよ。会う気になれば、またいつだって会えるんだから」
川 ゚ -゚)「卒業しても、また私と会ってくれるか?」
ξ゚⊿゚)ξ「当然でしょ、親友なんだから。今日はやけに甘えん坊ね」
川 ゚ -゚)「今日はあいつの命日だから、……怖いんだ。また私一人が置いていかれるような気がして」
ξ-⊿-)ξ「そっか。じゃあ今日は特別に私が一緒に寝てあげる、そうしたら寂しくないでしょ」
川 ゚ -゚)「すまんな、子供みたいなことをいって」
ξ゚⊿゚)ξ「気にしないの。一緒に寝るのなんて、妹者とハインが泊まっていった日以来かしら」
川 ゚ ー゚)「ふっ、そんなこともあったな」
ξ゚⊿゚)ξ「今年もいっぱいあるわよ。そんな楽しいことが」
川 ゚ -゚)「ああ、そうか。別れを気にして今を楽しめないなんて、それこそ愚の骨頂か」
ξ゚⊿゚)ξ「そういうこと。さあ、明日を目一杯楽しむためにも今日はもう寝ましょう」
川 ゚ -゚)「……ありがとう」
ξ゚⊿゚)ξ「なにかいった?」
川 ゚ -゚)「おやすみといっただけだ」
ξ゚⊿゚)ξ「そう? おやすみなさい」
川*゚ -゚)「ああ、おやすみ」
.
478
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:00:41 ID:8GmGfFBgO
【男は可愛く美しく】
从 ゚∀从「ミセトソ先輩も生徒会長ももういないんだよな」
l从・∀・ノ!リ人「ヒート先輩が生徒会長になったんだから、いつまでも生徒会長って呼んでるとわからなくなるよ」
从 ゚∀从「いやだって俺、生徒会長の本名知らねえし」
l从・∀・ノ!リ人「……実は僕も」
从 ゚∀从「やっぱ生徒会長っていえば俺達の中ではあの人なんだよな」
l从・∀・ノ!リ人「ちっとも生徒会長らしくないのに、こんなにも生徒会長として記憶に残るってある意味凄いよね」
从 ゚∀从「おっ、その卵焼き美味そうだな――いつっ!」
l从・∀・ノ!リ人「無理しないの、僕が取ってあげるから」
从 ゚∀从「なんか情けねえじゃん、自分で飯も食えないなんて」
l从・∀・ノ!リ人「別に情けなくないから。はい、あーん」
从*゚∀从「むぐむぐ、うん美味い」
479
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:01:47 ID:8GmGfFBgO
l从・∀・ノ!リ人「……骨折で済んでよかったよ。あのときは心臓が止まるかと思ったんだから」
从 ゚∀从「俺としちゃ骨折でも堪らないけどなあ。痛いし」
l从-∀-ノ!リ人「痛いのが嫌だったらもう無茶しないでよ。お願いだから……」
从 ゚∀从「それはできない相談だな。大切な人の危機なら俺は何回でも無茶する自信があるぜ」
l从・∀・ノ!リ人「そんなあっけらかんと。ほんといっても聞かないんだから」
从 ゚∀从「そういや新入生コンテストの司会、誰がやるか知ってるか?」
l从・∀・ノ!リ人「クーさんとツンさんとか?」
从 ゚∀从「それがキュート先輩とデレだってさ」
l从・∀・ノ!リ人「凄い組み合わせ……でもないのかな。あの二人ならミセトソ先輩みたいになれそうだよね」
从 ゚∀从「せめて新入生に、公序良俗に反するようなものを見せずに済むといいな」
l从・∀・;ノ!リ人「ミセトソ先輩カムバック!」
480
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:03:27 ID:8GmGfFBgO
从 -∀从「ふぁ、なんか眠くなってくるよな」
ハインが横になると、僕の膝に心地のいい重みが加わる。
桜の花びらを運ぶ春風と、庭園に差す木漏れ日は、確かに人の睡眠欲を誘うには十分なものだった。
l从・∀・ノ!リ人「食べてすぐに寝ると逆流性食道炎になるよ」
从;-∀从「現実味があって怖いだろ。せめて牛になるっていってくれよ」
l从・∀・ノ!リ人「でも牛ってさ、四足歩行だから寝てるように見えるだけで、実際二足歩行の人間に換算するとしゃがんでるだけなんじゃない?」
从 -∀从「こやつめ。上手いこと寝させない気だな」
l从・∀・*ノ!リ人「あは、千夜一夜物語みたいだね」
从 -∀从「千夜一夜物語は寝させないためにしたわけじゃないだろ」
l从・∀・ノ!リ人「わっ、千夜一夜物語が通じた」
从;-∀从「そこで驚くなよ、傷つくわ」
l从・∀・ノ!リ人「冗談だってば」
从 -∀从「なぜ俺の頭を撫でる」
l从・∀・ノ!リ人「いや、膝に頭を乗せてくるぐらいだから撫でてほしいのかなと」
从 -∀从「暖かそうな枕があったからさ」
l从・∀・ノ!リ人「人を枕扱いか。口の中に桜を突っ込んでやろうかな」
从 -∀从「ごめんなさい」
l从・∀・ノ!リ人「うむ、素直でよろしい」
481
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:04:51 ID:8GmGfFBgO
頬を撫でる暖かな風、春の香りが僕達の鼻腔をくすぐる。
耳に入るのは噴水から噴き出す水の音と、互いの吐息だけ。
穏やかな時間が流れていく。
l从・∀・ノ!リ人「……静かだね」
从 -∀从「なんか学園に俺達だけしかいないみたいだよな」
l从・∀・ノ!リ人「三年生も卒業しちゃったし、今はまだ春休みだからね」
从 -∀从「わざわざ庭園まで来て昼飯を食おうなんてやつはいないか」
l从・∀・ノ!リ人「でもそろそろ新入生で早い子達は、寮に先乗りして来る時期じゃないかな」
从 -∀从「家が遠いやつなんかは、春休み中に寮に入って来るんだっけか」
l从・∀・ノ!リ人「あっ、もしかしてあの子達そうなんじゃない?」
.
482
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:05:55 ID:8GmGfFBgO
*(‘‘)*「やはり独学では限界があるからな。しかし、まさかこのような場所に女装術の総本山があるとは思わなんだわ」
ミ*゚∀゚彡「ヘリカルちゃん、言葉遣いが素になってるの。ふーは完璧にキャラ作れてるよ」
*(‘‘)*「ククク、必要に応じて私もキャラを作る。それでよかろう」
ミ*゚∀゚彡「相変わらずヘリカルちゃんは往生際が悪い子なの」
l从・∀・ノ!リ人「あの、君達新入生?」
*(‘‘)*「きゃるーん、アタシ新入生のヘリカルっていいまーす」
ミ*゚∀゚彡「ぶっ!!」
*(‘‘)* (なにを笑っておるのだ、山中に埋まりたいか!)
ミ*゚∀゚彡 (なんだ、人前でオレ様とやる気か?)
483
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:08:00 ID:8GmGfFBgO
从 ゚∀从「あん、新入生だあ?」
l从・∀・ノ!リ人「こっちのお姉さんは怖そうに見えるけど、実はいい人だから安心してね」
从 ゚∀从「実はってなんだよ、見た目からして完全に友好的じゃねえか」
*(‘‘)*「はい。路地裏にいるやつらはみんな友達ってぐらい、友人の多そうな友好的な見た目です」
ミ*゚∀゚彡「そこいらの通行人に『ねえ、お金貸して?』って頼んだら、快く貸してくれそうなぐらい友好的な感じですの」
从;゚∀从「えっ、マジで俺ってそんなんか?」
l从・∀・ノ!リ人「実際素顔で路地裏歩くと、結構ハインって有名人だし」
从 ゚∀从「そこはほら、黒歴史というか負の遺産がさ」
l从・∀・ノ!リ人「まあハインの見た目は置いておくとして、寮に案内してあげるから着いておいで」
*(‘‘)*「はーい!」
ミ*゚∀゚彡「わかりましたの!」
.
484
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:09:25 ID:8GmGfFBgO
――真の男たるもの、なによりも美しくあれ。
諸兄が思い浮かべる美しい女性、または可愛い女性とは誰だろうか?
アイドル、モデル、女優、etc.
そこには多様の返答があるだろう。
しかし、その人物は本当に女性なのだろうか。
もしかしたら彼女達は……、
いや彼等は、一流の女装師かもしれない。
女装、誰もが一度は耳にしたことのある言葉だろう。
世間からは異常な性癖の一種と、偏見を持たれるあれだ。
しかし、その道を極めし漢達がいた。
その者達の名は女装師。
今や彼等は、世界のあらゆる場所に潜んでいる。
それこそアイドル、モデル、女優。
上げればきりがないほどだ。
そんな一流の女装師を、育て上げる学園が存在する。
その学園こそが、この物語の舞台となる場所だ。
完
485
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:13:30 ID:8GmGfFBgO
【おまけコーナー・座談会】
o川*゚ー゚)o「夜空に瞬く星は数あれど」
ζ(゚ー゚*ζ「己の力で輝いているのは一握りだけ」
o川*゚ー゚)o「「今、君は輝いているか!!」」ζ(゚ー゚*ζ
o川*゚ー゚)o「新入生コンテスト開幕だよー☆彡」
ζ(゚ー゚*ζ「司会進行を務めるのはキュートとデレでーす!」
ζ(゚ー゚*ζ「とまあ、本編も終わったんで、やる機会のない私とキュート先輩の司会から入ったわけですが」
o川*>ー<)o「ええええぇぇぇ!! 絶対にキュートの出番の足りなさに不満を覚えている人がいるはずだー★」
ζ(゚ー゚*ζ「ミセトソ先輩の出番とか凄いですよね。私もこの作品が18禁でしたら無双状態だったんですが」
o川*゚ー゚)o「そんな無双はコーエーさんもお断りします」
486
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:15:02 ID:8GmGfFBgO
川д川「キュートさんは、いつもおまけコーナーで出番があったからいいじゃないですか……」
lw´‐ _‐ノv「そうだそうだー!」
川д川「生徒会の面々なんてヒートさん以外は……」
lw´‐ _‐ノv「高層ビルの建設反対ー!」
川; д川「そんなことに憤っていたのですか!?」
从 ゚∀从「そんなこといったら俺達だって」
川; д川「主役級のキャラはこんなところにまで来ないでくださいよ」
( ^ω^)「そんなこといったら僕がタイトルAAの理由が――」
川; д川「持ちネタにするのやめてください!」
ζ(゚ー゚*ζ「まあまあ、いいじゃないですか。生徒会のメンバーなんて一話限りの使い捨ての予定だったんですし」
川; д川「衝撃の事実過ぎるでしょう!」
487
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:17:33 ID:8GmGfFBgO
o川*゚ー゚)o「でもミセトソ先輩って、途中から急に出番増えた気がする。なんかあざとーい★ブラックスター」
(゚、゚トソン「言い掛かりはやめてもらおうか。ボクとミセリの出番は始めからこんなものだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「全学年に二人づつメインキャラを用意するって予定だったからね」
川д川「確かにクーさんやツンさんも出番は多いですけど、お二人は専用話をもらい過ぎではないかと」
川 ゚ -゚)「私は皆に歌舞伎の素晴らしさを広められたなら、それで十分だ」
ξ゚⊿゚)ξ「クーはメイン話のインパクト勝ちってところもあるわよね」
川д川「幼馴染みが亡くなって、その想いを叶えるために女装師になったとか狡いんですよ」
川;゚ -゚)「別に狡くはないだろう」
川д川「必要とあらば私も神社の設定とか、政府付きの兄の話とか陰陽寮の設定とか出しますよ」
lw´‐ _‐ノv「設定なんて口に出さないから映えるもの、そいつがわからねえうちは甘ちゃんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「渋い! 最後の辺でポンと渋沢さんが出て来た気がするけど忘れるぐらいに渋い!」
lw´‐ _‐ノv「アタイに惚れると蒸発するぜ?」
川; д川「火傷どころの熱量じゃないですね!?」
488
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:19:17 ID:8GmGfFBgO
o川*゚ー゚)o「ところでこんな機会なのに、生徒会長は出て来ないの?」
ノハ-⊿-)「あの人は出番より怠けたいんだと、まったく」
ζ(゚ー゚*ζ「そういえば私常々思ってるんですけど、ギャルゲーとかだと最後に困難を乗り越えて結ばれるじゃないですか」
ξ゚⊿゚)ξ「詳しくないけど、そういうものなのかしら」
ζ(゚ー゚*ζ「でも個人的には、結ばれた後のイチャイチャがもっと見たいわけですよ。ED後に後日談がない作品なんて以ての外です」
o川*゚ー゚)o「はう?」
ζ(゚ー゚*ζ「つまり妹者とハインなんて、これからイチャイチャしまくるに決まってるじゃないですか」
ζ(゚ー゚*ζ「それを見ずして終わるのはなんか勿体ないなーって」
川;゚ -゚)「最後に十分イチャイチャしていたと思うが」
ζ(゚ー゚*ζ「ぶっちゃけ、ただ私が後日談見たいだけなんですけどね」
o川*゚ー゚)o「よーし、ここから無理矢理後日談に突入だー!」
.
489
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:22:02 ID:8GmGfFBgO
【後日談】
川 ゚ -゚)「久し振りだな」
ξ゚⊿゚)ξ「まだ一か月振りだけどね」
川 ゚ -゚)「調子はどうだ、もう慣れたものか?」
ξ゚⊿゚)ξ「教師の仕事自体は慣れたんだけどねえ。つー先生としぃ先生が、今度から私に寮の管理人をやってほしいっていうのよ」
川*゚ ー゚)「寮の管理人か。つー先生のフォックス先輩をボコってる姿が、今でもありありと目に浮かぶな」
ξ*゚⊿゚)ξ「ふふ、さすがにフォックス先輩みたいな生徒はいないけどね」
490
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:23:32 ID:8GmGfFBgO
o川*゚ー゚)o『みんなお待ちかね、キューキューラジオの時間だよ☆バキューン』
o川*゚ー゚)o『今日はゲストに来て頂いておりまーす。アーティストでお馴染みの渡辺さんと』
从'ー'从『よろしくね〜』
o川*゚ー゚)o『ベストセラー作家として話題沸騰中のシュールさんでーす』
lw´‐ _‐ノv『ごまんたれぶー』
o川*゚ー゚)o『なぜにフランス語! さて、共通点のなさそうなこの三人ですが、実は関係があるのです☆』
lw´‐ _‐ノv『そう、肉体関係が』
o川;゚ー゚)o『ないない。スキャンダルを作りあげないの★』
从'ー'从『同じ高校に通ってた、そういうことだよ』
lw´‐ _‐ノv『渡辺先輩だけ二つ上でしたけどね。よく購買にパシらされたもんすよ、TVとかを買いに』
从;'ー'从『パシらせてなんかないよ、ってTVとかどうやってパシらせるの!? 購買で売ってるの!?』
491
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:24:50 ID:8GmGfFBgO
ξ;゚⊿゚)ξ「シュールを止められる人間がいないとああなるのね」
川 ゚ -゚)「しかし、本当にそれぞれの人生を歩んだんだなあ」
ξ゚⊿゚)ξ「トソン先輩なんて親の会社を継いだのよね」
川 ゚ -゚)「あれだけ嫌がっていたのに、どういう心境の変化があったのだろうな」
ξ゚⊿゚)ξ「ちゃっかりミセリ先輩が秘書になってるのは、相変わらずというか」
川 ゚ ー゚)「あの二人は切っても切れんということだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「ヒートも就職したし、生徒会長も実家の和菓子屋で頑張ってるそうだし」
川 ゚ -゚)「私を含め家業を継いだ者が多いな。貞子も今は神主として勉強中だそうだ」
ξ゚⊿゚)ξ「後はあの子達ね」
川 ゚ -゚)「そろそろ開店時間だ。いってみるか」
.
492
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:26:26 ID:8GmGfFBgO
l从・∀・ノ!リ人「ハイン、どうしよう。ヘッドドレスが上手く決まらないよ!」
从 ゚∀从「俺が着けてやるからこっち来い」
l从・∀・*ノ!リ人「うん」
从 ゚∀从「これでよし、バッチリだ」
l从////ノ!リ人「可愛い、かな?」
从 ゚∀从「もちろん可愛いに決まってんだろ」
ζ(^ー^*ζ「そのままキスでもしちゃう?」
l从・∀・ノ!リ人「しないよっ!」
从 ゚∀从「むー、時間がねえ!」
ζ(゚ー゚*ζ「オープン記念日からてんやわんやだねー」
l从・∀・ノ!リ人「中のことは厨房組に任せて、そろそろ接客の準備しないと」
从 ゚∀从「全員、用意はいいな? いくぞ」
「「お帰りなさいませ、御主人様」」
.
493
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 01:34:22 ID:8GmGfFBgO
以上で投下終了です
長らくお付き合いくださりありがとうございました
2010年の年の瀬に短編として始まったこの作品が
こうして長編として完結出来たのも皆様のおかげです
私個人の趣味が粉塵爆発を起こしたような作品で非常に楽しく書かせて頂きました
百合やらBLやら男の娘やら訳のわからぬ作品ですが
少しでも皆様の記憶にとどまれば嬉しく思います
もし何か質問等がございましたら答えさせて頂きたいと思います
最後にもう一度、ありがとうございました
494
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 11:02:52 ID:WwZ88asgO
乙!
もっと後日談してくれても……
495
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 11:35:10 ID:Y763cAAwO
『天使と悪魔と人間とのようです』
本当に作者同じ人なの?
496
:
名も無きAAのようです
:2012/04/08(日) 11:59:10 ID:8GmGfFBgO
>>494
御愛読ありがとうございました
あまり長くなると名残惜しくなりますので
>>495
違いますよ
ミセリとトソンはそういうタイトルの没作品からの流用キャラで
まずそちらの作品が日の目を見ることはないですねという話でした
497
:
名も無きAAのようです
:2012/04/09(月) 11:29:45 ID:uETYu9BoO
乙! 良い最終回だった。
次回作も期待してるよ。
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