[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
( ^ω^)男は可愛く美しくのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:45:36 ID:x6dLjpNwO
('A`)「野郎共が咲き乱れる乙女の花園へようこそ」
( ^ω^)「まず始めに※この作品は女装、BL、百合、男子校、女子高的な要素を含みますお」
('A`)「ガチBLやガチ百合って程じゃないと思うが、これらに嫌悪感を覚えるなら回れ右だ」
( ^ω^)「OKという諸兄へ。この作品は以前VIPに二話投下しているので、三話からになりますお」
('A`)「だから一話と二話を、是非かぎまとめさんで見て下さいってわけさ」
( ^ω^)「どうしても二話まで見るのがかったるい方へのあらすじ」
世に広く知られることはないが、日本には昔から女装師と呼ばれる人々が存在した。
その女装師とは、常人には想像もつかない程の可憐で優美な女装のテクニック――女装術を身に着けた男性達のことである。
そしてこの作品は、女装師を育成する学校に入学した少年達の物語。
('A`)「以上が非常に簡単なあらすじ的なものだ」
( ^ω^)「……ブーンの出番を考えるとタイトルAAは、モララーかジョルジュかせめてツン辺りにやってもらうべきじゃないかお?」
2
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:48:04 ID:uWacHRHc0
おおおおお!待ってたんだぞこの野郎 いやお姉さま!
3
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:49:12 ID:x6dLjpNwO
古来より女装には霊的な力が宿るといわれる
悪霊を遠ざけるため、男児に女装をさせることも少なくはなかった、という記述も見つかるほどに
現代日本で女装を極めし者達、その名は女装師
彼等の鮮やかな女装術にも、もしかしたら霊的な力が宿っているのかもしれない
( ^ω^)男は可愛く美しくのようです
.
4
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:50:56 ID:x6dLjpNwO
【男所帯に薔薇が咲く】
l从・∀・ノ!リ人「うんしょ、よっと! はっと!」
( ゚∀゚)「ぴょこぴょこと、なにやってんだ?」
l从・∀・ノ!リ人「洗濯洗剤の買い置きが、あの吊り戸棚の奥に入ってるんだけど届かなくて」
( ゚∀゚)「妹者はちっちゃいもんな」
l从・∀・ノ!リ人「むー、見てないで手伝ってよ。いつも僕がジョルジュの分まで洗濯してるんだからね」
( ゚∀゚)「はいはい、後ろから抱っこでもしてやろうか?」
l从・∀・ノ!リ人「なんで急に子供扱いするのさ」
( ゚∀゚)「その格好だと、ついな。寮でまで、モララーが女装してるのって珍しいし」
l从・∀・ノ!リ人「授業で習ったことは、忘れないうちに復習したいからね。それより、急がないと洗濯が遅くなっちゃうよ」
5
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:52:03 ID:x6dLjpNwO
( ゚∀゚)「わかった、わかった。取ってやるよ」
l从・∀・ノ!リ人「といいつつ、なんで僕の後ろに回り込むの。抱っこなんてしていらな――」
( ゚∀゚)「うーん、水玉か。王道といえば王道だが、もう少し奇をてらっても」
l从////ノ!リ人「なっ!? ななな、なにしてんのさっ!」
( ゚∀゚)「なにって、スカートめくりだよ」
l从・∀・ノ!リ人「僕がいいたいのは、なんでそんなことをしているのかということであって!」
( ゚∀゚)「馬鹿野郎っ! 合法的にセクハラができるのに、しねえ男がどこにいる!」
l从・∀・ノ!リ人「僕はしないね!」
( ゚∀゚)「……昔はそんなやつじゃなかったのに。ついに心まで乙女になっちまったか」
l从・∀・ノ!リ人「僕は昔からこんなんだよっ!」
(;゚∀゚)「わっ、押すなって!」
l从・∀・;ノ!リ人「えっ?」
6
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:53:06 ID:x6dLjpNwO
( ゚∀゚)「いてて、大丈夫か?」
l从・∀・ノ!リ人「あ、うん、庇ってくれてありがとう。でもちょっと重いから、早くどいてくれると助か――」
( ´∀`)「遊びにきたモナー! ……えっと」
l从・∀・ノ!リ人「えっ、モナー?」
(;´∀`)「だ、大丈夫モナ! そういうことには理解があるほうモナ!」
l从・∀・;ノ!リ人「確実に状況を理解してないよね!?」
≡≡(;´∀`)「絶対に他言はしないから安心するモナーーー!」
l从・∀・ノ!リ人「ちょっと待ってよ、モナーってば!」
.
7
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:54:14 ID:x6dLjpNwO
( ´∀`)「つまりさっきのは事故だと。女装しているのは、授業で習ったことを復習したかったからだと」
l从・∀・ノ!リ人「正しく理解してもらえたようで、なによりだよ」
( ´∀`)「それはそれでつまらない展開モナ。事故ならせめて、キスぐらいまでしてくれないと面白みがないモナ」
l从・∀・ノ!リ人「いらない、そんな面白みはいらない!」
( ゚∀゚)「まっ、一件落着ってことで」
l从・∀・ノ!リ人「元はといえばジョルジュのせいでしょ」
( ゚∀゚)「細かいことは気にすんなよ。俺は気にしてねえからさ」
l从・∀・ノ!リ人「気にしろよ!」
( ´∀`)「うむ、仲良きことは美しきかなモナ」
.
8
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:55:31 ID:x6dLjpNwO
【少年の憧憬と追憶】
ξ゚⊿゚)ξ「あら、珍しいわね。こんな時間に尋ねてくるなんて」
( ゚∀゚)「暇なんで遊びに来ました」
川 ゚ -゚)「ちょうど私達も歓談していたところだ。上がっていくといい」
( ・∀・)「お邪魔します」
( ゚∀゚)「わっ、すげえ。甘い匂いとかするし、マジで女の子の部屋みたいだ」
ξ゚⊿゚)ξ「あなた達もホットレモネードでよかったかしら」
( ・∀・)「わざわざすみません」
ξ゚⊿゚)ξ「ふふ、気にしないの。二人分が四人分になったところで、たいした手間じゃないわよ」
9
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:56:08 ID:uEzr2uoQO
やった!続きずっと待ってたんだ!
10
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:56:54 ID:x6dLjpNwO
( ゚∀゚)「お二人は、寝るときも女装してるんですね」
川 ゚ -゚)「いつもというわけじゃないさ。気が向いたときだけだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「部屋がこんな感じだから、男の姿だと落ち着かないっていうのもあるわね」
( ゚∀゚)「確かに。俺達の部屋なんて、男所帯にうじがわくというか」
( ・∀・)「それはジョルジュが汚すからでしょ。僕がいつも掃除してることを忘れないでよ」
( ゚∀゚)「わかってるって、感謝してるよ」
川 ゚ ー゚)「フフ、お前達は本当に仲がいいな」
( ・∀・)「えー、そうですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、私とクーなんて、入学式の日に喧嘩したぐらいだし」
( ゚∀゚)「えっ、喧嘩したんですか? 今の先輩方からだと、想像しづらいですね」
川 ゚ -゚)「そうだな、随分と昔のように感じるが、あれはまだ一年と少し前の話か」
11
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:58:24 ID:x6dLjpNwO
ξ゚⊿゚)ξ「これを話す前に、まず知っておいてほしいんだけど。私の父はテレビで活躍するような、一流の女装師だったの」
( ・∀・)「だったということは、もう引退されてるんですか」
ξ゚⊿゚)ξ「父は、私がまだ小さい頃に亡くなったわ」
(;・∀・)「あっ、その、すみません」
ξ-⊿-)ξ「気にしないで。……幼ながらに、ブラウン管越しに見る父の姿は、誰よりも美しかった」
ξ゚⊿゚)ξ「それに憧憬を覚えた私は、女装師になることを決意したの」
ξ゚⊿゚)ξ「だから私は、誰よりも、父よりも美しくなるためにこの学園の門を叩いた!」
川 ゚ -゚)「それで入学式の日に出会ったのが、この私というわけだ」
12
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 22:59:51 ID:x6dLjpNwO
川 ゚ -゚)「私とツンは入学式の席が隣りだったのだが、まあ例のごとく校長の話が長くてな」
( ・∀・)「確かに校長の話は、比喩じゃなくて本当に長いですもんね」
川 ゚ -゚)「それで暇つぶしに声をかけてみたら、俺に話しかけるなオーラ全開で対応されたよ」
ξ////)ξ「あう、今考えると恥かしいんだけど。当時の私は、自分が一番になることに固執するあまり、周りは敵だと思っていたのよね」
川 ゚ -゚)「その場は事なきを得たのだが、私達が次に再会したのは、新入生コンテスト前の化粧室だった」
ξ゚⊿゚)ξ「では、再現VTRどうぞ!」
.
13
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:01:06 ID:x6dLjpNwO
( ^ω^)「左側を先に描いて、右はそれに合わせてと」
('A`)「ふーん」
( ^ω^)「……なにを見てるんだお」
('A`)「べっつにー。ただこんなやつでも、多少は化粧の知識を持ってんだなと」
( ^ω^)「僕は誰よりも美しくなるつもりだお、ここにいる誰よりも。他の一年とは女装における覚悟が違う!」
('A`)「自分だけに特別な事情があるなんて思うなよ。ここに来るようなやつは、大抵なにかしらを背負っている」
( ^ω^)(あいつ、上手い! 年齢に合わせた、完璧なナチュラルメイクをマスターしている!)
川'A`)「私の名はドクオ、女装名は素直クール。コンテストでまた会おう」
ξ ^ω^)ξ「私はブーン、女装名はツンデレ。あなたとはいい勝負になりそうね」
.
14
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:02:34 ID:x6dLjpNwO
川 ゚ -゚)「という感じだったな」
( ・∀・)「ですよね! あれぐらいが入学時にできる限界ですよね!」
ξ゚⊿゚)ξ「もう、そこは気にしないの。それで直接ぶつかり会ったのが、コンテストでのことよ」
川 ゚ -゚)「再現VTRどうぞ!」
.
15
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:03:02 ID:uWacHRHc0
oh...
16
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:03:44 ID:x6dLjpNwO
ξ ^ω^)ξ「……アンタ、ここに来るようなやつには、なにかしら背負ってるものがあるっていったわよね」
川'A`)「ああ、いったな」
ξ ^ω^)ξ「ならアンタにも」
川'A`)「詮索は不要だ。私達が胸に秘めている想いは、言葉にできるほど簡単なものじゃないだろう。だから――」
ミセ*゚ー゚)リ「全国のミセトソファンのみんな、おっ待たせー! みんな大好きミセリンと」
(゚、゚トソン「トソトソの司会で御送りする、新入生コンテストだよ。ボクはキミ達に一欠片の興味もないけどね」
ξ ^ω^)ξ「――舞台で見せてやる、ってことね。もっとクールなやつかと思ってたけど、案外情熱的じゃない。私は好きよ、そういうの」
川*'A`)「フッ、お前に好かれるために、こういう性格をしているわけじゃないさ」
.
17
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:05:41 ID:x6dLjpNwO
(;゚∀゚)「台詞は格好いいのに、もの凄い違和感が! そして昔のトソトソ先輩、後輩に冷てえ。いや、今でも冷たいけれども!」
川 ゚ -゚)「それでコンテストは、私とツンの同率一位だったのだが、ツンがならば優勝決定戦をやってくれといいだしてな」
ξ゚⊿゚)ξ「結果は以前話した通り、接戦の末私が優勝、クーが準優勝だったわ」
(;・∀・)「そこのVTRは省くの!?」
ξ゚⊿゚)ξ「だけど私はその闘いの中で、優勝よりも大切なものを手にいれていたの。それは――」
川 ゚ -゚)「貴女の心です」
(;・∀・)「なぜ、怪盗の三世になってるんですかっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「冗談はさておき。実際、コンテストでクーとぶつかったからこそ、今の私があるともいえるわね」
川 ゚ -゚)「ときに友、ときにライバル、それが今でも続く私達の関係だ」
( ゚∀゚)「そういうのって、互いに認め合ってる感じがしていいですね」
18
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:07:53 ID:x6dLjpNwO
( ・∀・)「ところで、ツンさんの背負ってるものはわかったんですけど、クーさんの背負っているものというのは」
(*゚∀゚)『オラ、ガキどもー! 消灯時間だ、さっさと寝ろー!』
川 ゚ -゚)「これはつー先生の声か。どうやら私の話は、またの機会になりそうだな」
(;゚∀゚)「やべえ、消灯時間忘れてた。もう部屋に帰れないじゃん!」
( ・∀・)「消灯時間後に、廊下に出るのは原則禁止だっけ」
ξ゚⊿゚)ξ「なら、今夜は泊まっていきなさいな。二人だとちょっと狭いかもしれないけど、私のベッドを貸してあげるから」
( ゚∀゚)「ツンさんはどうするんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「私はクーのベッドで一緒に寝るわ。ほら、つー先生も来るし電気消すわよ」
( ・∀・)「迷惑をかけてすみません。……ジョルジュ、セクハラとか変なことしないでよ」
( ゚∀゚)「そんなことしねえって」
「おやすみなさい」
19
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:10:53 ID:x6dLjpNwO
【ツン99%対デレ1%】
ミセ*゚ー゚)リ「トソトソー、お腹空いちゃった」
(゚、゚トソン「夕飯をしっかり食べないからだろう。消灯時間後にいわれても、ボクの知ったことじゃないね」
ミセ*゚ー゚)リ「でも空腹で、このままだと寝られないよぅ」
(-、-トソン「だったら起きてたら。ボクは寝るよ、おやすみ」
ミセ;゚ー゚)リ「冷たっ! 冷た過ぎるよトソトソ!」
(゚、゚トソン「はあ、うるさくて眠れやしない。仕方ない、特別に戸棚の中に入っている――」
ミセ*゚ー゚)リ「なんだ、食べ物持ってるんじゃん」
(゚、゚トソン「石鹸を食べてもいいよ」
ミセ;゚ー゚)リ「食べないよ! 特別にも、なにもないよ」
20
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:12:13 ID:x6dLjpNwO
(゚、゚トソン「諦めて寝なよ。羊でも数えてさ」
ミセ*゚ー゚)リ「やっぱり寝るしかないか。……羊が一匹、羊が二匹」
(゚、゚トソン「ラム肉のステーキ、ラムチョップ、ジンギスカン、ラム酒」
ミセ;゚ー゚)リ「一瞬で頭の中の羊達が、調理されちゃったよ!? それにラム酒は羊と一切関係ないし!」
(゚、゚トソン「ミセリでも、それぐらいの知識は持っていたのか」
ミセ*゚ー゚)リ「役に立たない知識なら私に任せとけ! って、騒いだら余計にお腹が減ったよー……」
(゚、゚トソン「そういえば非常袋のパンの缶詰が、賞味期限来月までだから申請しときなよ。古いのはキミが適当に処分してくれて構わないから」
ミセ*゚∀゚)リ「もう素直じゃないんだからー!」
(゚、゚;トソン「ええい、纏わりつくな。うっとうしい!」
21
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:13:30 ID:x6dLjpNwO
【着せ替えモララー人形※衣装は別売りです】
从 ゚∀从「どうよ」
l从・∀・ノ!リ人「オフショルダーカットソーにショートパンツか。露出度高いね、というか無駄にエロい」
从 ゚∀从「そうか? 夏用に買うなら、こんなもんだろ」
l从・∀・ノ!リ人「僕は他人に素肌を見られるの嫌いだから、どうもね」
从 ゚∀从「俺は暑いほうがたまんねえけどな。時々、妹者は乙女回路でも積んでんのかと思うぜ」
川 ゚ -゚)「もしくは心まで鋼鉄に武装する乙女だな」
ξ゚⊿゚)ξ「どっちも、本来高校生がわからないぐらいには古いわね」
从 ゚∀从「クーさんにツンさん。お二人も買い物っすか」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、私は今年の流行柄のマキシ丈ワンピを買ったわ」
川 ゚ -゚)「私はショートベストにレディースネクタイを購入したぞ」
l从・∀・ノ!リ人「なんでクーさんはそんな、女装時はめちゃくちゃ格好いいんですか」
从;゚∀从「男の時のドクオ先輩はいつも、無地のTシャツにジーパンなのに……」
22
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:14:49 ID:x6dLjpNwO
从 ゚∀从「しっかし、女物の服ってのはめんどくさいな。コーディネートがどうだの、流行がどうだのと」
ξ゚⊿゚)ξ「ハインって放っておくと、年がら年中似たような服を着てそうね」
川 ゚ -゚)「着た切り雀だな」
从 ゚∀从「それが実はこう見えて、俺より妹者のほうがバリエーション少ないんですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「えっ、そうなの?」
l从・∀・ノ!リ人「物欲がないというか。あんまりこれが着たい、あれがほしいってないんですよね」
l从・∀・ノ!リ人「せめて男物ならまだしも、特に女装用は……」
ξ゚⊿゚)ξ「それは駄目よ! おしゃれを楽しまないなんて、女の子として人生の八割を損してるようなものなんだから」
l从・∀・ノ!リ人「女の子じゃないし、八割は言い過ぎでは……」
ξ゚⊿゚)ξ「とにかく、こっちにいらっしゃい!」
l从・∀・;ノ!リ人「わわっ!」
23
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:16:00 ID:x6dLjpNwO
ξ゚⊿゚)ξ「うーん、妹者なら多少甘くても問題なさそうだから、ボトムはチュチュスカートにして」
川 ゚ -゚)「トップスは辛めにして甘辛ミックスは?」
ξ゚⊿゚)ξ「いっそクラロリなんて手もあるわよね」
ξ*゚⊿゚)ξ「キャッキャッ」
川*゚ -゚)「フフフ」
l从・∀・;ノ!リ人「ハイン、助け……!」
从 ゚∀从「あっ、そろそろイナズマセブンイレブンが始まるから帰らなきゃ!」
l从・∀・ノ!リ人「逃げたっ!?」
24
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:17:04 ID:x6dLjpNwO
从 -∀从(妹者、無力な俺を許してくれ。……正直、こっちに飛び火したらたまらんからな)
l从・∀・ノ!リ人「ハインの薄情者ーーー!!」
ξ*゚⊿゚)ξ「うふふ、それじゃあ次のお店に行きましょうか?」
从 ゚∀从「その後、門限ぎりぎりに帰って来たモララーは、憔悴しきっていました」
从 ゚∀从「今日の格言。友達は見捨ててでも自分は助かれ! 以上」
25
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:24:00 ID:x6dLjpNwO
以上で投下終了です
今回からオチの弱さをごまかす為にサブタイトルを入れることにしました。
という情けない話は置かせて頂くとして、次は書留めがあるので近々投下できると思います。
似たような事をいって半年以上空きましたが、今度こそは本当に投下させて頂きます
支援下さった皆様、ありがとうございました
26
:
名も無きAAのようです
:2011/10/06(木) 23:42:34 ID:2eU1ir5w0
乙乙
もうこないかと思ってたから嬉しいね
27
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:23:19 ID:lekLUSJUO
今回で四回目となりました
男は可愛く美しくです
ちょっとした小話ですが実はこの作品、一回の投下につき作品内の時間が一ヵ月進んでいるんですよ
だから今回は七月の話になります
恐らく後何回か進んだらこんなこと言わなければ良かったと可愛く綺麗に美しく後悔します
28
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:24:54 ID:lekLUSJUO
【それは陽炎の揺れる七月の物語】
从;゚∀从「あぢぃー、だりぃー」
( ・∀・)「ハイン、いくらなんでもそれは下品だよ」
从 ゚∀从「なんために俺がわざわざ、女装用制服なんて着てきたと思ってんだ」
( ・∀・)「もしかして、スカートをパタパタするために着てきたの?」
从 ゚∀从「ザッツライト。ただ下半身は涼しいんだが、誤算があったとすればウィッグが蒸すことだ」
( ・∀・)「それくらい考えればわかるでしょうに」
从 ゚∀从「あー、パッドブラもいらん。いっそ脱ぐか」
( ・∀・)「やめなよ、だらしない」
29
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:26:25 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「ぶー。うちの女装用制服はワンピース型だから、風通しがいいのがせめてもの救いだな」
( ・∀・)「エプロンドレスじゃないけど、形状はメイド服とかに近いよね。僕個人としては、フレアスカートが可愛くて好きだよ」
从 ゚∀从「スカートが可愛いから好きなんて、完全にこの学園に馴染んだな」
(;・∀・)「……いわれてみると確かに。本当に色々あったし、慣れたっていうか慣れるしかなかったっていうか」
从 ゚∀从「モララーなんて初めは、軽いスキンシップだけで顔を真っ赤にしてたもんな」
( ・∀・)「ハインのはスキンシップじゃなくてセクハラだから! でも、結構みんな友達同士でベタベタしてるよね」
从 ゚∀从「女子校的なノリっていうのか、ウチだと同性で手を繋いだり、腕組んだりするぐらいは普通だもんな」
( ・∀・)「抱き着いたりとかもあるよね」
从 ゚∀从「この時期だと、暑苦しいったらないけどよ」
30
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:27:54 ID:lekLUSJUO
( ・∀・)「そういえば前から思ってたんだけど、ハインって女装用制服好きだよね?」
从 ゚∀从「んー、俺にとっちゃこの制服は憧れっつうか、特別なもんだからな」
( ・∀・)「憧れ?」
从 ゚∀从「あれは、まだ俺が中坊んときの話なんだけどさ」
当時の俺は粋がっていた、というのとは少し違うかもしれないが、似たような状態だったんだろうな。
やっぱり、こんななりしてると、馬鹿共がちょっかいかけて来るじゃん。
( ゚∀゚)「女みたいな顔したやつにやられる気持ちはどうよ? 悔しかったらもっとかかってこいやコラァァァ!!」
それがたまらなく嫌でさ、俺のことを女みたいだって馬鹿にしたやつは、徹底的にぶっ潰してやったよ。
身体を鍛えて、武術を学んで、それこそ喧嘩に勝つ為だけに、血反吐が出るような努力までして。
31
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:29:10 ID:lekLUSJUO
( ゚∀゚)「はあ、はあ、次……こいよっ!」
その甲斐あってか、連勝街道まっしぐら。
気がついたら俺も周りからは、馬鹿共の仲間みたいな扱いを受けてたっけかな。
次第に敵の数も芋蔓式に増えてってさ、笑えることに二十対一とかで喧嘩してるんだぜ。
殴って殴られて、意識が朦朧とするなかそれでも殴り続けて、最後に立っていたのは俺一人だけだった。
( ゚∀゚)「はあ、はあ、……」
さすがにその日からしばらくは、喧嘩をふっかけて来るやつもだいぶ少なくなったよ。
でも、馬鹿共は結局馬鹿でさ、次は五十対一で喧嘩だぜ。
さすがにかなわねえっての、そんとき数の力は凄いんだなって思い知ったよ。
32
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:30:37 ID:lekLUSJUO
<ヽ`∀´>「ジョルジュ、お前も年貢の納めどきニダ」
( ゚∀゚)「……フン」
<ヽ`∀´>「散々てこずらせやがって! そんなに、この顔をのことをいわれるのが嫌だったニダか!」
(;゚∀゚)「ぐはあ、ゲホッゲホッ……!」
<ヽ`∀´>「おっと、ちょうどいい位置にツラがあったせいで、思わず蹴っちゃったニダ」
(;-∀゚)「はあ、はあ、くそ、野郎、が……! げはあっ!」
<ヽ`∀´>「……その余裕ぶっこいた表情が気に入らないニダ。おい、ナイフ持って来い!」
(;-∀゚)「ペッ! それで、くうっ、どうしよう、てんだ……」
<ヽ`∀´>「なあに、ワイルドな顔にして、男前を上げてやるだけニダ。泣いて許しを請うなら今のうちニダよ」
(;-∀゚)「はあ、はあ、好きに、しろよ。だが、次に俺と会うときは、鼻や耳が落ちるぐらいの覚悟はしとけよ!」
<ヽ`∀´>「うっ、本当に泣いて謝るならウリもそこまでは……」
33
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:32:01 ID:lekLUSJUO
(;-∀゚)「さあやれ! やれよ! やってみせろよチキン野郎!」
<;`∀´>「くそっ! やっ、やってやる、やってやるニダ!」
さすがにこのときばかりは、俺も覚悟を決めたよ。
どこを切られるかわからないが、下手すりゃ失明とか、最悪死ぬ可能性すらあったわけだしな。
「ちょっと待った!」
そんなときに現れたのが、あの人だった。
(*゚ー゚)「若いうちの喧嘩なんていうのは青春の一種だけど、それはやり過ぎじゃないかなー?」
(;-∀゚)「誰だよ」
(*゚ー゚)「誰だっていいでしょ。とにかく、子供同士の喧嘩で刃物なんか出す悪い子は、お姉さんがお仕置してあげる」
<ヽ`∀´>「はあ? 頭がいかれて……はぐうぅぅ!」
(*゚ー゚)「面倒だし、来ないならこっちから行くよ!」
34
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:33:27 ID:lekLUSJUO
どこの誰だか知らない変な人は、もう鬼のように強かったよ。
無双っていうのはああいうのをいうんだろうな、何十人といた馬鹿共を物の数分で片付けたんだから。
(;-∀゚)「アンタ、マジで誰だよ!」
(*゚ー゚)「ふふ、通りすがりのお姉さんだよ。正しくはお姉さん見習い、かな?」
イタズラっぽく微笑みながらそういい残すと、その人はどっかへ行っちまった。
.
35
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:34:41 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺を助けてくれた人が、そのとき着ていたのがうちの制服だったってわけさ」
从 ゚∀从「それで俺は、この制服のことを調べてるうちに、学園のこととか女装師のこととか色々知って、面白そうだからここに入ったんだ」
( ・∀・)「…………」
从 ゚∀从「おーい、ちゃんと聞いてるか?」
( ・∀・)「駄目だよ……」
从 ゚∀从「なにがだよ?」
( ・∀・)「駄目だよ! そんな危ないことしちゃあ! 下手したら今頃ジョルジュは……!」
从;゚∀从「おわっと! 昔の話だっての、暑いから引っ付くなよ」
( ・∀・)「だって……」
从 ゚∀从「それ以来喧嘩なんてしてねえよ。馬鹿共も引っ込みつかなかっただけで、相当俺のことビビってたらしいしな」
36
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:35:46 ID:lekLUSJUO
( ´∀`)「あー! ハインとモララーが、なにやら楽しげなことしてるモナ。野郎共、僕達もハインにくっつくモナー!」
从;゚∀从「なんだテメェら!」
从 -∀从(女顔が嫌いだったってのに女装なんかして、周りから避けられてきたってのにみんなから抱き着かれて)
从 ゚∀从(人生を変える出会いなんてのは、どこに転がってるかわかったもんじゃねえな)
从;゚∀从「ああもう! 暑い、暑いから寄ってくんなああああ!!」
.
37
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:38:00 ID:lekLUSJUO
【乙女心と夏の劇】
(*゚∀゚)「つまりここをこうすると、下着や水着になっても女性のように見える……っと、もうチャイムか」
(*゚∀゚)「今日の授業はここまでだ。これを生かすも殺すも自分次第、せいぜい努力するこったな」
从 ゚∀从「くうぅぅぅ、本日の御勤め終了ー!」
l从・∀・ノ!リ人「最近は授業も本格的になってきたせいか、難しいのが増えたよね」
从 ゚∀从「そうだな、裏を返せばここで頑張れるやつが伸びるんだろうな。例えば、ほら」
ζ(゚ー゚*ζ
从 ゚∀从「……モナーみたいに」
38
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:39:13 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「んー? どうしたの、私の顔になにかついてるかな?」
从 ゚∀从「目と鼻と耳と口」
l从・∀・ノ!リ人「他にも顔ダニとかね」
ζ(゚ー゚;ζ「新手の嫌がらせ?」
从 ゚∀从「いやいや、なんつうのか、数日前までモナーの女装姿って――」
リハ´∀`ノゝ
从 ゚∀从「こんなんだったじゃん? なにがあったのかとさ」
ζ(゚ー゚*ζ「そこはほら、男子三日会わざれば刮目して見よって感じかなー?」
39
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:40:28 ID:lekLUSJUO
l从・∀・ノ!リ人「でも、毎日会ってたはずだけどね」
ξ゚⊿゚)ξ「女装術のテクニックって、ある時期に来ると急激に伸びるのよね」
川 ゚ -゚)「いわゆる成長期というやつだな」
l从・∀・ノ!リ人「なんで毎度毎度、一年生の教室にいるんですか!」
川 ゚ -゚)つ゛「細かいことを気にしていては、大きくなれんぞ」
l从////ノ!リ人「ど、どこを触ってるんですか!? これはパッドだから大きくなりません!」
ζ(゚ー゚*ζ「その、成長期というのもあるかもしれないけど、上達できたのはお姉様の指導がよかったからですよー」
ξ゚⊿゚)ξ「謙遜しないの。私が教えたことなんて、貴女が授業で習ったことの応用程度よ」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、それでもお姉様のおかげです。だから女装名をモナ子から、お姉様に頂いたデレに変更します!」
40
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:41:41 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「前からそうだったけど、異様にツンさんに懐いてるな」
l从・∀・ノ!リ人「メイクも同系統だし、ああやってると本当に姉妹みたいだよね」
ζ(゚ー゚*ζ「お姉様♪」
ξ゚⊿゚)ξ「もう、甘えん坊なんだから」
ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、お姉様の匂いだー」
川 ゚ -゚)「今日は蒸すし、そんなにくっついたら二人とも暑かろう」
ξ゚⊿゚)ξ「それが不思議と、この子体温低いのよね」
川 ゚ -゚)「そうか、ならばいい」
l从・∀・ノ!リ人「あれって、やっぱり嫉妬してるのかな」
从 ゚∀从「あのクーさんが? まさか」
l从・∀・ノ!リ人「そうだよね。あのクーさんだもんね」
41
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:43:34 ID:lekLUSJUO
ξ゚⊿゚)ξ「ところで話が変わるんだけど」
川 ゚ -゚)「というより、正しくは私達がここに来た本題だな」
ξ゚⊿゚)ξ「来週の金曜日、私達と一緒にコンテストに出ない?」
从 ゚∀从「来週の金曜日、一緒にってことは」
l从・∀・ノ!リ人「もしかしてアレですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そう、アレよ!」
川 ゚ -゚)「アレに出るには人数が必要だからな。お前達も実力が着いてきたし、良い経験にもなるだろう」
ζ(゚ー゚*ζ「……アレ?」
.
42
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:45:22 ID:lekLUSJUO
廊下に響くのは、自分の足元から奏でられる靴音。
先程つー先生に『廊下を走るな』と注意されたばかりだというのに、気が付くと足が前へ前へと速くなっている。
从 ゚∀从「まあ、あんまり待たせたら悪いからな」
と、もっともらしい言い訳を自分自身にしてみるが、本心は別だ。
早くあいつに会いたい、ただそれだけ。
从 -∀从「すーはー、すーはー」
教室の前で二度深呼吸、なんとなくだが息が切れていたら恥ずかしい。
よし、後はいつも通りにするだけ。
いつもと同じように、努めて親友として接する。
胸の内に秘めた想いなど、決して悟られないように。
从 ゚∀从「悪い悪い、遅くなっちまった。とっとと帰ろうぜ」
l从-∀-ノ!リ人「……すぅ、すぅ」
从 ゚∀从「寝てる……のか?」
どうやら妹者は、俺を待っている間に眠ってしまったらしい。
しかもなぜか俺の机で。
43
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:47:32 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「おーい、起きろよ。起きないとセクハラすんぞ」
l从-∀-ノ!リ人「……んむぅ」
揺すってみるがなかなか目を覚まさない。
寮では、いつも俺より先に起きているから知らなかったが、どうやら妹者はあまり寝起きがいいわけではなさそうだ。
从 ゚∀从「いいのか、本当にセクハラしちゃうぞ……?」
l从-∀-ノ!リ人「…………んっ」
妹者のうっすらと濡れた薄桃色の唇に、視線を奪われた。
俺は花唇に誘われる蝶のように、ゆらゆらと顔を少しづつ近付けていく。
互いの唇が触れ合うまで残り数センチ、妹者の甘い吐息が思考を麻痺させる。
後少し、ほんの少し顔を突き出すだけで――
从;゚∀从「だあぁ、何やってんだ! 馬鹿か俺は!」
寝込みを襲うような真似して、最低だ。
きっとここで本当にすれば、必ず後悔する。
44
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:48:47 ID:lekLUSJUO
l从-∀-ノ!リ人「…………むにゅ」
从 ゚∀从「人の気も知らないで、幸せそうな寝顔しやがって。……ずっと友達だと思ってたはずなのになあ」
いつからだろう、こんなにも心惹かれるようになったのは。
夕日の差し込む教室で二人きり。
時折窓の外から聞こえる葉擦れのメロディーが、臨場感をいやが上にも高める。
从 ゚∀从「……好きだよ、妹者」
決して相手に伝えられることのない言葉。
それはまるで儚い淡雪のように、空気に触れただけで溶けて消えていった。
ζ(゚ー゚*ζ「ハイン…………」
.
45
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:49:59 ID:lekLUSJUO
从 -∀从「はあぁぁぁ」
川 ゚ -゚)「幸せが逃げるぞ」
从 ゚∀从「逃げるほど残ってるといいんですけどね」
食べてる飯の味もわからないぐらいなんだから、相当イカれてる。
こんな状態で、これから妹者と同じ部屋で寝るっていうのだから、溜め息の一つも出るというものだ。
ξ゚⊿゚)ξ「箸も全然進んでないわね。悩みごとなら相談に乗るわよ?」
从 ゚∀从「むー、悩んでるっちゃ悩んでるんですけど」
川 ゚ -゚)「言いづらいことなら、無理に話せとはいわないが」
从 ゚∀从「……世にありふれた、ただの恋煩いですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ただのなんていわないの。女の子にとっては死活問題でしょ」
从 ゚∀从「女だけに限った問題でもない気がしますが」
46
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:51:59 ID:lekLUSJUO
俺の抱えている問題が男女間の恋愛ならまだいい。
それならまだ報われる可能性はある。
だが救いようのないことに、俺は同性の親友を好きになってしまった。
恋は理屈じゃないなんて言もあるが、まさかそれがここまで真実とは思いもしなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「それで、どうするの?」
从 ゚∀从「どうするとは?」
川 ゚ -゚)「粉をかけるのかってことだ」
从;゚∀从「粉って」
ξ゚⊿゚)ξ「言い方を変えれば告白するの? ってことよ」
从 ゚∀从「告白、告白かあ……。しないっすね」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでしないのよ?」
从 ゚∀从「なんでって、なんでもですよ」
47
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:53:35 ID:lekLUSJUO
上手くいかないと分かりきっているのに、告白をする理由がない。
川 ゚ -゚)「ハインは臆病になっているのだろう。様々な障害ばかりが目に入り、足がすくむ」
从 ゚∀从「障害が乗り越えられない程高いんですよ。しかも、失敗すれば大切なものまで失う」
親友という名の、大切な大切な絆まで。
ξ゚⊿゚)ξ「他人がとやかく口出しできる問題じゃないのは、わかってるんだけどね」
川 ゚ -゚)「いつも賑やかなお前達がそんなだと、な」
从 ゚∀从「すみません……」
ξ゚⊿゚)ξ「謝ることじゃないわよ。ただこれだけは覚えておいて欲しいの」
川 ゚ -゚)「誰かが涙を飲むことになるのだろうが、私達は三人とも幸せになれることを願っているよ」
从 ゚∀从「三人? 誰のことですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「さて、誰のことでしょうね」
その後いくら尋ねてもツンさんは、優しく微笑むだけで答えてはくれなかった。
48
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:55:09 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「急にどうした、しかもこんなところで」
ζ(゚ー゚*ζ「本当はそれほど急ってわけじゃないんだけどねー」
ツンさん達と別れた後、自室に歩を進める俺を呼び止めたのはデレだった。
話があるから着いて来てほしいと、連れ出された場所は寮の屋上。
ζ(゚ー゚*ζ「…………」
デレは次に切り出す言葉を迷っているのか、視線を上方へとさまよわせる。
静寂の中、デレの洗い髪の香りが、風に乗ってほのかに届いた。
从 ゚∀从「いくら夏とはいえ、湯冷めには気をつけろよ」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと。えへへ、やっぱりハインは優しいね」
从 ゚∀从「普通だろ」
49
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:56:31 ID:lekLUSJUO
ζ(゚、゚*ζ「……私、ずっとハインに伝えたいことがあったんだ」
引き締められた口角に、俺の心の底までを射抜くような瞳。
いつも笑顔で、少し抜けたところのある普段の彼女を知る者なら、別人とすら疑う程の剣呑な雰囲気。
ζ(゚、゚*ζ「今まで、私が我慢すれば問題ないって思ってた。それだけで全てが上手くいくんだって」
从 ゚∀从「なんのことだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「でもそれは間違いだったんだよ。だって私は、ハインがこんなにも臆病者だったなんて思わなかったんだもん!」
从 ゚∀从「なっ、誰が臆病――」
ζ(゚ー゚*ζ「私は! 妹者のことが好きっ!!」
从;゚∀从「はっ!? えっ、あっ」
好き、スキ、すき、言葉は聞き取れたのに意味が理解できない。
まるで考えることを放棄したかのように、頭が回らなくなる。
好き、誰が、誰を。
好き、デレが、妹者を。
50
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:58:53 ID:lekLUSJUO
从;゚∀从「ちょっと待てよ、好きもなにもお前と妹者は同性で」
ζ(゚ー゚*ζ「関係ないよ、だって好きなものは好きなんだもん。私は性別を理由に、自分の気持ちに嘘を吐きたくない!」
从;゚∀从「でも、待てよ、だって、だって……!」
待てよ、待ってくれよ。
焦燥感に駆られる中、デレを諌める台詞を何通りも考えるが、駄目だ。
こんな体面通りの言葉では、デレには届かない、デレの心に響かない。
嫌だ、妹者を取られたくない。
从 ゚∀从「だって! だって、俺だって妹者のことが好きなんだからっ!」
ζ(゚ー゚*ζ「親友というぬるま湯を失うのが怖くて、何もして来なかったハインが今更?」
从 ゚∀从「だったらデレはなにをして来たんだよ。それこそ自己犠牲をダシにして、自分が傷つかないようにしてただけじゃないか」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだよ、私は何もして来なかった。だからこれから始めるの、これからは私もモーションをかけてく」
从 ゚∀从「つっ……」
51
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 22:59:51 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「例えハインの想いを踏みにじることになっても、私は退かないから」
全てを語り終えたとばかりに、デレはきびすを返すと、一度もこちらを振り返ることなく去っていった。
从 -∀从「なんでだよ、俺達三人はずっと親友だったじゃないか。なんで、こんなことに……!」
.
52
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:01:17 ID:lekLUSJUO
なんで、どうして、どうすれば。
部屋に戻りベッドで横になるも、同じ言葉ばかりが頭の中を駆け巡る。
そんな精神状況では、到底眠ることなどかなわなかった。
从 -∀从「もう朝か」
こちらがどんなに鬱屈とした情緒であろうと、関係なく夜は明け、朝日は昇る。
それからは毎日の習慣通りに妹者と共に朝食を取り、一緒に登校し、授業を受ける。
まるで昨日の悶着など、嘘であったかのような日常。
从 ゚∀从「あー、午前の御勤めも終了! 妹者、一緒に昼飯食いにいこうぜ」
l从・∀・ノ!リ人「ごめん。今日はデレと二人だけで、昼食を取る先約があるから」
从 ゚∀从「えっ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんねー、というわけで妹者は借りてくね」
从 ゚∀从「あ、ああ……」
本当に嘘であってくれればどれだけよかったか。
.
53
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:03:19 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「はあぁぁぁ」
l从・∀・ノ!リ人「幸せが逃げるよ」
ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、逃げるほど残ってるといいんだけどな」
l从・∀・ノ!リ人「悩みごとがあるの?」
ζ(゚ー゚*ζ「恋煩い、かな。上手くはいかないよねー」
l从・∀・ノ!リ人「恋煩い……」
ζ(゚ー゚*ζ「妹者も恋を煩ってるんでしょ?」
l从////ノ!リ人「そ、そんなことは……」
ζ(゚ー゚*ζ「子供の頃に夢見てた恋愛はさ、甘くて優しくて素敵なものだったのに。現実はどうしてこんなにも、辛いんだろうね」
l从・∀・ノ!リ人「きっと辛くて困難で、どうしようもなく苦しいから、だから人は一生懸命になれるんじゃないかな」
ζ(゚ー゚*ζ「……そうなのかもしれないね」
.
54
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:04:36 ID:lekLUSJUO
午後一番の授業は体育、種目はハードル走。
そこそこ上背に恵まれた俺には、有利な競技ともいえる。
从 ゚∀从「よっ、ほっ、たっ!」
さすがに睡眠不足で、平常時ほどの記録は出せないが、それなりにこなしていく。
しかし、有利とはいえこの手の競技は、集中力を欠かせば危険だってある。
それなのに、気が付くと俺の視線は妹者を追っていた。
l从・∀・;ノ!リ人「えいっ、はうっ、……っ! うあぁぁぁ!!」
そして、視線が触れ合った瞬間起こったのが、妹者の転倒。
(*゚∀゚)「大丈夫かっ!? ……どうやら擦り剥いただけみたいだな。誰か、妹者を保健室へ連れて行ってやれ」
从 ゚∀从「お、俺が――」
ζ(゚ー゚*ζ「先生、保健委員の私が連れていきます」
保健委員、確かにデレは保健委員だ。
なら譲るのが正解なんだろう、でも嫌だ。
55
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:05:52 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺が連れていく」
ζ(゚ー゚*ζ「なんで? 寮の部屋が同室だから? 友達だから?」
从 ゚∀从「…………」
ζ(゚ー゚*ζ「言えないような理由なら、私が連れて行くよ」
好奇の眼が俺達に集まる。
逃げることは簡単だ、今までやってきたことなんだから。
でも、俺は、俺は――
从 ゚∀从「俺が、妹者のことが好きだからだ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「……そっか、なら任せるよ。よろしくねー」
从 ゚∀从「ああ、ほらいくぞ。つかまれ」
l从・∀・ノ!リ人「う、うん……」
ζ(゚ー゚*ζ「はは、あはは! ハインも初めから素直になれば早かったのに。まったく、恋のキューピッドなんてがらじゃないんだけどなあー」
ζ(;ー;*ζ「あは、あはは……ほんと、がらじゃないなぁ……」
.
56
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:10:12 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「むー、こんなときに限って保健医がいないじゃないか」
妹者を椅子に座らせ、消毒薬と絆創膏を用意する。
从 ゚∀从「水道水で綺麗に洗ったし、とりあえず消毒するか」
怪我を負った妹者の左足を手に取る。
透き通るような白色、きめ細やかな肌、これが自分と同じ人間のものだとは考えられない。
从 ゚∀从「触る、からな?」
l从////ノ!リ人「うん……」
患部に消毒薬を塗り込む。
少しでも痛みを感じさせないように、ゆっくりと優しく。
l从・∀-;ノ!リ人「うぅっ!」
从;゚∀从「痛かったか!?」
l从-∀-ノ!リ人「だ、大丈夫だから、続けて……」
从 ゚∀从「もっと、優しくするから」
57
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:11:27 ID:lekLUSJUO
指先に神経を集中させると、左手から伝わってくる、妹者の滑らかなふくらはぎの感触。
支えているだけで形を変える程柔らかく、それでいて弾力があって、いつまでも触れていたくなるほど気持ちいい。
妹者は痛い思いをしているのに、俺は何を考えてるんだと申し訳なくなる。
l从-∀-;ノ!リ人「うっ、くっ、あっ!」
从 ゚∀从「もうすぐ、もう少しで終わるから! よし、これでOK」
後は絆創膏をつけて出来上がり。
从 ゚∀从「もう終わったからな。大丈夫か?」
l从・∀-ノ!リ人「うん、ハインが優しかったから、ちっとも痛くなかったよ」
健気に微笑む妹者の目元には、うっすらと涙が浮かんでいる。
痛くないわけなどないだろうに。
58
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:12:48 ID:lekLUSJUO
l从・∀・ノ!リ人「…………」
从 ゚∀从「…………」
l从・∀・ノ!リ人「…………」
从 ゚∀从「……あの、さ」
l从・∀・;ノ!リ人「なっ、なに?」
从 ゚∀从「さっき俺、妹者のことが好きだっていったじゃん」
l从・∀・ノ!リ人「う、うん」
从 ゚∀从「あれは――」
l从・∀・ノ!リ人「わ、わかってるよ! ハインは親友として好きということをいったのであって、つまりはその……」
从 ゚∀从「わかってねえよ。妹者は何にもわかってねえ」
l从・∀・ノ!リ人「えっ?」
从 ゚∀从「俺がいいたいのはさ、どさまぎなんて嫌だから、今改めて告白させてくれってことだよ」
l从////ノ!リ人「こ、告白……」
59
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:14:17 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺は妹者のことが好きだ! いつからかはわからないが、気が付いたら好きで好きでどうしようもなかった!」
飯を食ってても、風呂入ってても、妹者のことしか考えられなかった。
例え妹者が、俺のことを友人としか思ってなくても関係ない。
今この瞬間に俺の胸を占めるのは、今まで隠してきた想いの全てを伝えたいということだけ。
从 ゚∀从「もう親友ってだけじゃ我慢できないんだ。……俺と、恋人として付き合ってほしい」
l从・∀・ノ!リ人「その、だって僕は子供っぽいし」
从 ゚∀从「俺だって子供だよ。俺達はこれから大人になっていくんだ」
l从・∀・ノ!リ人「でも、ハインにはもっとお似合いの、格好いい人が現れるかもしれないし」
从 ゚∀从「そんな会ってもないやつのことは知らん」
l从・∀・ノ!リ人「実は結構独占欲が強くて、焼きもちも焼くよ?」
从 ゚∀从「俺に焼いてくれるのなら嬉しい」
l从////ノ!リ人「えっと、えっと、その……こんな僕でよければ恋人にしてください」
从 ゚∀从「絶対後悔させない、大切にするよ」
l从////ノ!リ人「うん……」
60
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:15:38 ID:lekLUSJUO
どちらからとなく寄り添う二つの影。
妹者の吐息が優しく俺の頬を撫でる。
――この日、俺達は初めて互いの気持ちを確かめ合った。
(゚、゚トソン「以上、ハイン妹者チームでした」
ミセ*゚ー゚)リ「甘酸っぱい少女達の恋愛。もう最後のキスシーンなんかは、演技じゃないんじゃないかなーってレベルでしたよ」
(゚、゚トソン「これでひとまず全チームが終了したね。ボクは等しくどのチームにも興味ないけど」
ミセ*゚ー゚)リ「みんなは審査が終わるまで、席に着いて良い子でまっててねー!」
.
61
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:16:42 ID:lekLUSJUO
l从////ノ!リ人「こっ、こっ、ここ……!」
从 ゚∀从「ニワトリの真似か?」
l从・∀・;ノ!リ人「この野郎ほんとにキスしやがったあああああああ!! したように見せるだけって決まってたじゃんっ!」
从 ゚∀从「盛り上がるかなって」
l从////ノ!リ人「初めてだったのに……! 初めてだったのにっ!」
从 ゚∀从「安心しろ、俺も初めてだ」
l从・∀・ノ!リ人「なにを安心しろっていうんだよっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「まあまあ、落ち着きなさいよ」
川 ゚ -゚)「同性だし、ノーカンにすればいいだろう」
62
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:18:04 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「ハインばっかりずるい! 私も妹者とちゅーするー!」
l从////ノ!リ人「わわっ!? 顔近いって!」
从 ゚∀从「そうだよなー。話の中とはいえ、デレは妹者と結ばれなかったもんな」
ξ;゚⊿゚)ξ川;゚ -゚)「「はあああぁぁ!?」」l从・∀・;ノ!リ人ζ(゚ー゚;ζ
从 ゚∀从「えっ? なに、なにかおかしなこといった?」
ζ(゚ー゚*ζ「あのねー、リアルで鈍感っていうのはよくないと思うんだよね」
l从・∀・ノ!リ人「これは僕でもちょっとびっくりするよ」
从 ゚∀从「なんだよ、鈍感って」
63
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:19:39 ID:lekLUSJUO
ξ゚⊿゚)ξ「はあ、作中でデレがいつも気にかけていた人物は誰か考えてみなさいよ」
川 ゚ -゚)「つまり、デレはハインのことが好きだったってことだ」
从;゚∀从「はあっ!? でも、妹者のことが好きって」
ξ゚⊿゚)ξ「あんなもん、ぐずぐずしてるハインに発破をかけただけに決まってるでしょ」
川 ゚ -゚)「デレは最初から最後まで、ハインと妹者が上手くいくようにしか考えていなかったのさ」
从;゚∀从「乙女心ってわかんねえええええ!」
ミセ*゚ー゚)リ「優勝は乙女心を見事に表現した、ハイン妹者チームでーすっ!!」
.
64
:
名も無きAAのようです
:2011/10/08(土) 23:27:57 ID:lekLUSJUO
投下終了です
お付き合い頂き感謝を
ジョルジュの過去話とたぶん最初で最後のガチ百合回
個人的にはもちろんゆるい百合も大好きですが、濃ゆい百合も大好物だぜ!と守護霊がいっておりました
次回は夏休みの話かオープンキャンパスにかこつけた設定集になります
では次回も必ずみるべし!
65
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:32:16 ID:VwfIGQ1IO
前回宣言した通りに今回はオープンキャンパスの話になります
いわゆる設定集ですので本編のように時間が進んだりはしません
後々生きる設定と使われないまま終わる設定があるとは思いますが
大学を卒業したら声優になるといきなり言い出した友人を見るときのような、生暖かい目で見て頂けたら幸いです
66
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:33:40 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「おとカワ学園のオープンキャンパスへようこそ!」
川 ゚ -゚)「私達は二学年の素直クールとツンデレだ。今日は学内の案内役を務めさせて頂く」
川 ゚ -゚)「ここが何に特化した、どういう学園かという説明は今更不要だろう」
ξ゚⊿゚)ξ「もしよく分からずオープンキャンパスに来て、よく分からないまま入学しちゃって」
川 ゚ -゚)「よく分からないまま女装することになって、よく分からないまま活躍できたら、そいつは間違いなく主人公だな」
67
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:35:18 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「さて、まずはこの学園の立地や施設について説明しましょうか」
川 ゚ -゚)「皆はすでに体感したことだからわかると思うが、ここは都心から少し外れていて微妙に田舎だ」
ξ゚⊿゚)ξ「立地がよくない。これはそもそも、女装師というのが秘密の存在だからね」
川 ゚ -゚)「あまり都心に居を構えると他人の目も増え、ふとした拍子に露見する恐れもある」
ξ゚⊿゚)ξ「というわけで微妙に田舎なのよ。といっても寂れてるわけじゃないし、駅前までいけば買物や娯楽施設には困らないわ」
川 ゚ -゚)「なぜ女装師が秘密の存在なのかは、入学後女装師の歴史として習うことになるだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「敷地面積については、少し大きい大学ぐらいじゃないかしら」
川 ゚ -゚)「女装関連の特別棟、全寮制、部活動が存在しない、など高校にしては特殊な環境だが、体感では特別広くも狭くも感じないな」
68
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:36:28 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「続いて施設ね。まず入口の校門をくぐると、赤煉瓦に舗装された道がまっすぐ伸びていて、両手には桜並木が広がっているわ」
ξ゚⊿゚)ξ「個人的には春より夏の景色のほうが好きよ」
川 ゚ -゚)「卒業式の後、この並木道を通って学園を去っていく卒業生は、必ず涙を流すという逸話もあるほど、手入れの行き届いた優美な桜だ」
ξ゚⊿゚)ξ「その道を少し歩くと現在私達がいる場所、噴水のある庭園に着くの」
川 ゚ -゚)「四季折々の草花が咲き溢れるここは、学生にも人気のあるスポットだ。ベンチで読書をしたり、芝生に寝転がったりする者もいるな」
ξ*゚⊿゚)ξ「仲の良い子と一緒に昼食をとって、芝の上で二人でまどろむと凄く気持ちがいいのよね。膝枕とかしてあげてさ」
川*゚ -゚)「うむ、ツンの膝枕はなかなかに心地よく……はっ! コホンッ!」
ξ゚⊿゚)ξ「えーと、それでこの庭からは三叉路になっていてね。左手に進むと学生寮、正面に校舎、右手に女装関連の特別棟があるわ」
川 ゚ -゚)「最初は校舎から案内するとしよう。付いてきてくれ」
69
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:38:21 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「校舎の案内といっても、実は他の高校と大差ないのよね」
川 ゚ -゚)「強いて違いを上げるならグラウンドが小さいことか」
ξ゚⊿゚)ξ「ウチは部活動がないから、体育の授業で使う程度しか必要ないの」
川;゚ -゚)「後はまあ、その、あれだ、隣りに鐘撞き塔のあるチャペルが建っているぐらいかな……」
ξ;゚⊿゚)ξ「ミッションスクールでもないのにチャペルってねえ」
川 ゚ -゚)「完全に校長の趣味らしいぞ。しかもポケットマネーで建てたとか」
ξ゚⊿゚)ξ「ウチの学園の外観には妙にマッチしてるけど、やっぱり利用者は少ないわね」
川 ゚ -゚)「乙女の園的な雰囲気を味わう為の場所だな。中ではたまに、上級生のお姉様と下級生のカップルが目撃されるとかされないとか」
70
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:39:28 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「では校舎の中へ。校舎は三階建てで、この一階では主に一年生が勉強している」
ξ゚⊿゚)ξ「授業も普通の高校と大差ないわ。この学園は高校卒業資格もちゃんと取れるのよ」
川 ゚ -゚)「では女装術はいつ習うのか、という疑問を覚える人間もいるだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「実は女装術の授業は放課後に行われるの。このために部活動が存在しないともいえるわね」
川 ゚ -゚)「女装術の授業は単位がないから、理論上好きなだけサボタージュできる」
ξ゚⊿゚)ξ「といってもこの学園に来ておいて、そんな生徒はまずいないけどね」
71
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:40:22 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「二階にある教務課では、女装関連の細かいことを受け持ってるわ」
川 ゚ -゚)「女装コンテストのスケジュールや出場登録、女装術の授業日程、学園関係のアルバイトの紹介等々。色々管理している」
ξ゚⊿゚)ξ「他にも在学中に、芸能活動を行っている人はお世話になるわね」
川 ゚ -゚)「生徒の女装プロフィールなんかも置いてあるぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「顔写真と女装名、身長体重BHW、今までに受けたコンテストの成績、好きなもの嫌いなもの等が載っているわね」
川 ゚ -゚)「ちなみに私の好きなものは歌舞伎揚げ、嫌いなものは野暮だ」
72
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:41:20 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「他の人のプロフィールもこっそり覗いてみましょうか。よっと、これは妹者のね」
川 ゚ -゚)「おー、さすがに妹者は数値からしてロリロリだな。好きなものはニンジンと兄、嫌いなものはハインのセクハラだとさ」
ξ゚⊿゚)ξ「セクハラというか、あの子は潔癖だから性的なことが基本嫌いなのよね」
川 ゚ -゚)「一緒に芸能人のできちゃった婚のニュースを見ていたとき、漏らした言葉が『婚前交渉なんて汚らわしいこと、よくできますね』だからな」
ξ゚⊿゚)ξ「上にお姉さんが八人いるそうだから、色々と影響があったのかもね」
73
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:42:47 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「さて、せっかくここまで来たことだし、案内ついでに屋上まで上ってみましょうか」
川 ゚ -゚)「ここ屋上は、ツンのお気に入りスポットだ。安全柵もあるし、生徒なら気軽に出入りができる」
ξ゚⊿゚)ξ「この学園自体が丘陵にあるから、なかなか見晴らしがいいのよ。特に夕日で染まっていく町並みはとっても綺麗なの!」
川 ゚ -゚)「噂によると、夕日が沈むのをフェンス越しに眺めながら、イチャついてる生徒なんかもいるらしいぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「校内でイチャつくなんて不純な人達ね。でも、私とクーはよく屋上に来てるけど、不思議とそんな生徒を目撃したことないのよね」
川 ゚ -゚)「まったく不思議な話もあるものだ」
74
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:45:01 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「次に紹介するのはここね。校舎を出てすぐの場所に一店、カフェが存在するわ」
川 ゚ -゚)「ここは学生食堂と同様に学園が経営する店舗だ」
川 ゚ -゚)「学食が閉まっている時間や休日でも利用ができ、味、品目、値段において文句の付けようがないな」
ξ゚⊿゚)ξ「ただ、一番の特徴としては、女装していないと入店禁止という点ね。ある意味ここは女装術の模擬訓練場でもあるのよ」
川 ゚ -゚)「ちなみに教務課では、ここのアルバイトを募集していることもある」
ξ゚⊿゚)ξ「勿論学生のバイトはウェイトレスオンリー。客も店員も、互いの女装術をチェックし合ってるのよ」
川 ゚ -゚)「余談だが、ツンはこの店にあるスーパージャンボパフェの早食い記録を持っているぞ」
ξ*>⊿<)ξ「も、持ってないもん、そんなのっ!」
75
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:46:46 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「正面に校舎を見たとして、右手側の道を進むと特別棟エリアに着く。わざわざ庭園まで戻らなくてもいいぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「ここには講堂、室内プールといった普通の施設から」
川 ゚ -゚)「パーティーホール、レッスン室、メイク室、録音ブースと、特別棟の名に相応しいものが存在するな」
ξ゚⊿゚)ξ「まずは特別棟に入りましょうか。一階はいきなり、全校生徒を収容できるほどのパーティーホールになっているのよ」
川 ゚ -゚)「パーティーマナーの勉強で使う他、たまに学園行事としてパーティーが開かれたりするな」
ξ゚⊿゚)ξ「年に何度か立食パーティーやら、ダンスパーティーやらが行われるわね」
76
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:47:35 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「君達が一番初めに利用する機会としては、新入生コンテストが上げられるな」
ξ゚⊿゚)ξ「コンテストは基本的に、後で案内するライブ会場でするんだけど、新入生コンテストだけは特別なのよね」
川 ゚ -゚)「後は、学園に金を払えば個人的に誕生日パーティーを開けるぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「かなりの額がかかるから、お金持ちの人しかしないけど」
川 ゚ -゚)「過去には盛大に開いたのに、ほとんど人が入らなかった誕生日パーティーもあったという話だ」
ξ;゚⊿゚)ξ「悲惨過ぎるわよ、それ……」
77
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:49:50 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「二階に上がると、メイク室と録音ブースがある」
ξ゚⊿゚)ξ「メイク室では、女装術でも大切な化粧の勉強をするのよ」
川 ゚ -゚)「新入生の中には、前もって一般的な化粧の知識を得ている人間もいるが、ここで習えるのはそれとは別次元のものだ」
ξ゚⊿゚)ξ「でないと女装術なんて大層な名前はつけられないわね」
川 ゚ -゚)「化粧品は入学時に、学園が基礎化粧セットを渡してくれるから、慣れるまではそれを使うことになる」
ξ゚⊿゚)ξ「こなれてくるとみんな自分で必要なものを足したり、相性の良いものに替えたりするの」
川 ゚ -゚)「購買部では女装術向きの化粧品を、安く雑多に取り扱っているから覗いてみるといい」
ξ゚⊿゚)ξ「録音ブースはその名の通り、自分の声を録音できるわ」
川 ゚ -゚)「女装術の一つ、女装声を出せているのか確認するためだな」
ξ゚⊿゚)ξ「身形が女性なのに、声が男性のままだと意味がないからね」
78
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:51:10 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「三階は特別棟でもっとも利用頻度の高いレッスン室だ」
ξ゚⊿゚)ξ「主に身体を動かす授業で使うわ。壁がガラス張りになっていて、自分の動きを常にチェックできるの」
川 ゚ -゚)「歩き方一つとっても、歩幅、手の振り、膝の曲げ方、腰の位置等々、男と女はまるで違うのだぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「他にも演技の練習やダンスレッスンもあるわね。芸能関係を目指している人には特に重要な授業よ」
79
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:52:24 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「次は特別棟の横にある室内プールね。体育の授業は勿論だけど、何よりも水着で女装する訓練に使うわ」
川 ゚ -゚)「女装術を身につければ、この様にビキニ姿になっても男性だと気付かれることはないぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「一年生のうちに、女装プロフィールでバストを大きく申請している人は、ここに来てその大変さを思い知ることになるのよねえ」
川 ゚ -゚)「ああ、まだ女装に慣れていない頃のあれは悲惨だな。毎年クラスに一人は出るらしいが」
ξ゚⊿゚)ξ「私達は成長期なんだから焦らずに、胸は少しづつ大きくしていきましょうってことよ」
80
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:53:53 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「さて、この特別棟から進める道は三つある。左の校舎、左下の庭園、そして左上のライブ会場だ」
ξ゚⊿゚)ξ「マップを見てもらえれば分かるけど、この学園の主要施設は四辺形になっていて、中央に校舎が位置する形なの」
ライブ会場
寮 校舎 特別棟
庭園
川 ゚ -゚)「ではライブ会場へ向かおうか。そろそろコンテストの開催時間だから、今頃盛り上がっているぞ」
81
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:54:51 ID:VwfIGQ1IO
ミセ*゚ー゚)リ「全国のミセトソファンのみんなー! 今日も私達に会いに来てくれてありがとー!」
(゚、゚トソン「別にボクらに会いに来たわけではないだろうに」
ミセ*゚ー゚)リ「コンテストの司会進行を務めるのは、みんな大好きミセリンと!」
(゚、゚トソン「みんなのことが大嫌いなトソトソだよ。これも仕事だからね、甚だ不本意だけど、キミ達がトソトソと呼ぶのを許可してあげるよ」
ミセ*゚∀゚)リ「トソトソったら、みんなの前だからって照れちゃって! 可愛いなーもー!」
(゚、゚;トソン「誰が照れてなどいるか! ええい、ボクににじり寄るな!」
川 ゚ -゚)「ここがライブ会場だ。舞台の上で騒いでるのは学園名物のミセトソ先輩だな」
ξ゚⊿゚)ξ「コンテストというのは学園が定める行事の一種で、女装術のテストの場でもあるの」
82
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:56:38 ID:VwfIGQ1IO
川 ゚ -゚)「コンテスト毎の題材に沿ったパフォーマンスを披露して、最も優れた者がグランプリを受賞する」
ξ゚⊿゚)ξ「優勝すると、そのコンテストの記章がもらえるのよ」
川 ゚ -゚)「記章持ちは生徒から憧憬のまなざしを受けると共に、女装関連の就職には大いに役立つそうだ」
ξ゚⊿゚)ξ「大半のコンテストでは上級生とも競うことになるけど、この学園に入学したからには一つでもより多く出るべきね」
川 ゚ -゚)「ちなみに司会進行も教務課で受けられるバイトだ。大半は実力のある生徒にしか回ってこないがな」
ミセ*゚ー゚)リ「おやおやー? なんだかミセリン、今どこかで褒められちゃった気がするよ!」
(゚、゚トソン「フンッ、キミのことを褒める人間なんて、キミの両親ぐらいだろうさ」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、パパとママがオープンキャンパスに来てるってこと?」
(゚、゚;トソン「ただの皮肉だよ、わかれよ! オープンキャンパスに来る親がどこにいるのさ!」
.
83
:
名も無きAAのようです
:2011/10/09(日) 23:58:30 ID:VwfIGQ1IO
ξ゚⊿゚)ξ「最後に案内するのは私達の寄宿舎、学生寮ね」
川 ゚ -゚)「元々ホテルだった建物を改装しただけだから、ほぼホテルだな。どちらかというと横に大きいタイプだ」
ξ゚⊿゚)ξ「一部家庭の事情や仕事の都合で寮に住めない子もいるけど、基本的にウチは全寮制だから、みんな寮で暮らしているのよ」
川 ゚ -゚)「入ってすぐはロビーだな。共用のパソコンが六台に、トランプやらボードゲームやら多人数で遊べる物が置いてある」
ξ゚⊿゚)ξ「夕食の前後や大浴場を利用した後なんかは、みんなで集まって談笑していることも多いわね」
川 ゚ -゚)「羽目を外して騒ぎ過ぎると、寮の管理人のつー先生から零距離ソバットが飛んで来るので要注意だ」
ξ;-⊿-)ξ「今は卒業していないけど、去年三年生だったとある先輩がロビーで花火大会とかいう、頭のおかしなことをやりだしてね」
川;゚ -゚)「あの時のつー先生の形相と、先輩方の死々累々とした惨状は思い出したくないな……」
84
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:02:38 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「続いて食堂ね。定められた時間に学生証を持って来れば、朝夕は無料で食事ができるわ」
川 ゚ -゚)「朝は大したことないが、夕食はちゃんとした料理人が作ってくれるので、出来るだけ顔を出したいな」
ξ゚⊿゚)ξ「一応格部屋にも簡易キッチンがあるから、自炊する人もいるみたいだけどね」
川 ゚ -゚)「私もツンも、昼の弁当なんかはよく自分で作ってるぞ」
85
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:04:11 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「あのさ、良かったら今度クーの分も、お弁当作ってあげよっか?」
川;゚ -゚)「えっ!?」
ξ////)ξ「ま、まあ、別に一人分も二人分も手間は大した変らないから、それだけだから!」
川;゚ -゚)「あ、ああ、その時は是非とも男の状態で調理してくれ。いや、して下さいお願いします!」
川 ゚ -゚)(説明しよう! ツンは男の状態と女装時では、料理の腕に雲泥の差があるのだ)
川 ゚ -゚)「正しくは雲泥というより、雲毒ぐらいの差かな」
ξ゚⊿゚)ξ「なにかいった?」
川;゚ -゚)「な、なんでもないでござる!」
86
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:05:08 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「さてと、次は大浴場ね!」
川 ゚ -゚)「格部屋にもユニットバスは存在するが、やはりこちらを利用する生徒が大多数だろう」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、なにがウチの寮らしいかといえば、女装したまま入って来る人がいるのよね」
川 ゚ -゚)「女装師が女装師の裸を見てどうこうなど、基本有り得ないことだが」
ξ*゚⊿゚)ξ「クスクス、慣れてない新一年生とかが、のぼせちゃったりするのよねー」
川 ゚ -゚)「男と男の裸の付き合いなんだから、そうも意識することないだろうに」
ξ゚⊿゚)ξ「上級生の中には、そういう反応が楽しくてわざと女装する人もいるのよね」
87
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:06:36 ID:E288Tg7UO
川*゚ ー゚)「遂にやってきました、女装っ子達の秘密の花園! 耽美で美しく可憐で背徳な世界が、今目の前に」
ξ゚⊿゚)ξ「盛り上げてみても、結局ただの寮室なんだけどね」
川*゚ ー゚)「私個人としてはフェム×フェムが至高だと思っている! だがフェムタチ×ボイネコというのも」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと、帰ってきなさいよっ!」
川 ゚ -゚)「……はっ!? 失礼、いささか取り乱してしまったようだ。言葉の意味がわからなかった子は、絶対に調べてはいけないぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「取り乱したというより、素が出たって感じだったけど――」
川 ゚ -゚)「さてさて! 気を取り直して部屋の紹介をしようか。見ての通り、寮の部屋は二人部屋になっている」
ξ゚⊿゚)ξ「1Kで、入ってすぐにキッチンとユニットバス。奥に進むと9畳の洋室、バルコニーがあるわね」
川 ゚ -゚)「キッチンにはシンクに電気コンロや冷蔵庫、電子レンジにポットなど必要なものがおいてあるぞ」
88
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:08:27 ID:E288Tg7UO
ξ゚⊿゚)ξ「洋室にはテレビとエアコン、二つベッドがある以外は特に何もないわね」
川 ゚ -゚)「この状態から部屋の二人で話し合って、調度品なんかを決めていくことになる」
ξ゚⊿゚)ξ「私達の部屋なんかだと、ダマスク織のクロスをかけた丸テーブルに」
川 ゚ -゚)「小型のシャンデリアなどが目に付くだろう」
川 ゚ -゚)「先に二人部屋だと話したが、これは入学時に学園側で組み合わせを決められる」
ξ゚⊿゚)ξ「基本的に同学年と相部屋になるわ。ただ互いが同意の上で、年度末に届出れば好きな人と同じ部屋になれるの」
川 ゚ -゚)「先輩後輩問わずな。とはいえ、三年間を同じ相手と暮らす者の方が圧倒的に多い」
ξ゚⊿゚)ξ「部屋が一緒だと、ある種の信頼関係が生まれるのよね」
川 ゚ -゚)「風邪を引いた時に看病してもらうと、こいつと同室で良かったと思ったりな」
89
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:10:52 ID:E288Tg7UO
川 ゚ -゚)「これでオープンキャンパスは終了だ。ここに入学する者とは、また会う機会もあるだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「ではその日までごきげんよう」
川 ゚ -゚)「案内役を務めさせてもらったのは二年、素直クール改め――」
('A`)「ドクオと」
ξ゚⊿゚)ξ「同じく二年、ツンデレ改め――」
( ^ω^)「内藤ホライゾンだお」
('A`)「じゃあな、また会える日を楽しみにしてるぜ!」
90
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:24:23 ID:E288Tg7UO
以上で投下終了です
お付き合い頂きありがとうございました
o川*゚ー゚)o「ここから先は出番の少ないきゅーきゅーキュートちゃんが乗っ取ったのだ☆ばっきゅ〜ん!」
o川*゚ー゚)o「あっ、きゅーきゅーキュートちゃんは実在のMF文庫Jとは何の関係もありませんの! ふう、危ないところだったねー」
o川*゚ー゚)o「作者がきゅーきゅーよりでこ○んのが好きとかわけわかめなことを申しておりますが撲殺ッ!」
o川*゚ー゚)o「えー、もうキュートの出番終わり? 遊び足りないのにー!」
o川*゚ー゚)o「次回は少しだけキュートの出番もあるから、みんなそれまでは可愛いキュートと夢の中でしか会えないけどガマンしてねー」
o川*゚ー゚)o「それじゃあ、またね☆」
91
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:26:01 ID:FrZUENr2O
この学校に入学してぇ…
92
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:38:04 ID:E288Tg7UO
>>91
女装師の世界へようこそ
93
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 00:46:13 ID:FrZUENr2O
>>92
立派な女装師になりますわ!
ってか、キューちゃんきたあああああ!大好きだ、キューちゃん!結婚してくれ!次回の投下いつですか、全裸待機してまってます!
94
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 01:05:00 ID:E288Tg7UO
>>93
(-_-)「はう? あっ、うん、ありがとう。僕も好き、だよ? でも男同士は結婚できないから……ごめんね」
では私も全裸で執筆します
次回は明日、というよりもはや今日ですが適当に今日の夜にでも
95
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 14:09:19 ID:KZQ1DzCM0
水着でも男とバレない女装師のスキルまじぱねぇ
96
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 18:10:34 ID:FrZUENr2O
>>94
性別なんて関係ねぇえ!
結婚してくれ!
という訳で、全裸待機しながら支援絵
キューちゃんも可愛いけど、ヒッキーの方が可愛いと思うのは俺だけじゃないはず
http://g2.upup.be/f/r/kCnR7h5RJc.jpg?guid=ON
97
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:30:52 ID:E288Tg7UO
>>96
うおー支援絵ありがとうございます
まさか今後出番の予定が立ってないヒッキーでしかも可愛いとは
今回は夏休み期間の話になります
98
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:33:33 ID:E288Tg7UO
【幼馴染みからのプレゼント】
从 ゚∀从「あー、うー、だー、むー……はにゃはにゃっ!」
川 ゚ -゚)「どうした、暑さのあまりバグったか」
从 ゚∀从「いえ、なんというか、夏休みなのに暇を持て余してるという、悲しい現状をなんとか打破できないかと」
川 ゚ -゚)「ハインは他の者のように実家には帰省しないのか?」
从 ゚∀从「それが、実は俺の家って都心の方なんすよ。電車で一時間ぐらいで帰れるんで、ちょくちょく顔出してるんですよね」
99
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:35:43 ID:E288Tg7UO
从 ゚∀从「クーさんは帰省しないんですか?」
川 ゚ -゚)「私か、私はまあなんだ、ちょっと色々あってな」
从 ゚∀从「そうですか。しかし、寮に人気がないとなんか寂しいですよねー」
川 ゚ -゚)「……ハイン、暇だったら今日は私とデートしよう」
从 ゚∀从「ほえっ? クーさんとデートですか!?」
川 ゚ -゚)「もちろんハインが嫌じゃなければだが」
从 ゚∀从「嫌だなんて滅相もないっす。すぐ着替えてきますから待っててくださいねー!」
川 ゚ ー゚)「ふふ、慌しいやつだな」
川 - 、-)「……実家、か」
.
100
:
名も無きAAのようです
:2011/10/10(月) 20:37:45 ID:E288Tg7UO
从 ゚∀从「えっと、ここは、なんでせう」
川 ゚ -゚)「歌舞伎の劇場だ。さすがに私達ぐらいの年齢だと、見たことないのが普通か」
从 ゚∀从「歌舞伎っすか。どんな話なんですか」
川 ゚ -゚)「今日見る舞台は、鎌倉三代記といってな」
鎌倉時代の話なんだが、源頼朝が亡くなった後北条時政は、源家をないがしろにして幕府を我が物にしようとしたんだ。
それで遂には時政と、高綱や三浦之助といった有力御家人達による争いは、戦にまで発展した。
そんな中、町人に高綱に似過ぎた男がいると捕らえられた。
その町人、籐三郎は自分は高綱ではないとなんとか身の潔白を証明するが、高綱と区別するために額に刺青を入れられてしまう。
時政には一つ悩みの種があった。
それは娘の時姫が敵である三浦之助に恋い焦がれて、飛び出してしまったことだ。
そこへ町人籐三郎は、自分が時姫を連れ戻すから成功したら時姫を嫁にくれと言い出す。
時政はそれを承認して、自分の遣いである証拠の短刀を渡した。
川 ゚ -゚)「そして戦場で負傷した三浦之助が、母と時姫がいる我が家に帰還するところからが、今日見る舞台だ」
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板