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リョナゲームブックを作ろう!
1
:
名無しさん
:2007/06/04(月) 03:16:46
物語の途中で選択肢を選択し、いろんな方向へ物語が分岐するゲームブック。
しかし、リョナ向けのものはあまりありません。
そこでみんなの力を合わせて、リョナゲームブックを作ってみませんか?
設定や、投下ルールに関する意見募集中。
まだまだ形になっていませんが、よろしくお願いします。
338
:
名無しさん
:2010/05/19(水) 05:23:52 ID:???
>>277
★BAD END1 <もう飽きた。このまま殺してしまう>
殺そう。そう決めると、ロゼッタの行動は早かった。
指先を揃えて両手に魔力を集めると、楽団の指揮者のように大きく腕を広げ、それを放つ。
左右の手刀から魔力の刃が飛ぶ。それぞれが目指すは二人の少女の首元。
動く死体となったミノタウロスの剛腕に囚われたルネスと、麻痺の魔力にあてられ立ち上がれないリーファン。
死の矢は、あっけなく二人の首を刎ねた。
己が首を落とされたことにも気づいていないといった顔で、ごろりと転がるふたつの頭。
「ひ……!」
後ろ手をついて、自身が作った尿の池から身を起こそうとしていたエルキスは、情けない声を漏らした。
勇敢で責任感の強いリーダーであった彼女とは、別人になってしまったかのように。
そうなるように痛めつけてやったのだから、これはこれで良いのだが。
「……」
無言のまま、ロゼッタがエルキスに向き直り、無表情に見下ろす。
殺される。これから自分は殺される。エルキスに恐怖と絶望が満ちた。
「……お、おねがい……」
か細い言葉を垂れ流すエルキス。
「ころさないで……」
ロゼッタの心がわずかに波立った。
その揺らめきを起こしたのは無様に命乞いする弱者への嫌悪か、勇気という名の剣をへし折った快感か。
「嫌です」
だが既に充分だ。必要なだけ楽しんだ。飽きた玩具と交わす言葉など必要ない。
とは言え、せっかくだから少し趣向を凝らした殺し方をしてみよう。ロゼッタはそんな気分になった。
懐に手を入れ、小さな瓶を取り出す。中には指先ほどの大きさの赤い石がひとつ。
瓶の蓋を開け、赤い石を尿の池に落とすと小さな飛沫と波紋が薄黄色い水面を乱した。
「…………」
呪文を唱えず、視線に乗せた魔力を石に注ぐ。変化はすぐに表れた。
エルキスが大量に垂れ流した尿の池が沸騰するかのように泡立つと、生き物のように蠢き始めたのだ。
否、「それ」は確かに生きていた。魔法で吹き込まれた魂と、処女の尿で構成されたおぞましい汚液の塊、スライムとして。
尿スライムは見る間に大きく膨れ上がり、その悪臭も比例して強まった。
そして、エルキスに襲いかかる。
「ひ、……ひ……!」
粘液の身体が大蛇のように伸び、闘う力と意志を失くした少女の肢体に覆いかぶさる。
これまでに受けた痛みと疲労で、逃げようとすることすらままならない。
尿スライムはすぐにエルキスの全身に絡みつき、その動きを封じた。
「ぅ、お、おぇぇ……っ!」
尿スライムの先端がエルキスの口を塞ぎ、さらに喉へと潜り込む。
呼吸が出来ない苦しさと、汚物を注ぎこまれて嗅覚と味覚を犯される嫌悪感。
しかもそれは自分自身の尿から作り出された怪物。これより屈辱的な死に方はそうそうあるまい。
「……っ」
ロゼッタは先程から手で口元を押さえながらエルキスの醜態を眺めている。
思い付きでやってみたことだが、この尿スライムの放つ強烈な悪臭は見物する側にも耐え難い。
匂いが移りそうで最期まで見届けようという気も失せてきた。風呂に入り、服を着替えたい気分だ。
このまま窒息死するのに任せてもう放置しておくことにしよう。
契約した使い魔に片づけをさせようと考えながら、ロゼッタはこの場を後にした。
──BAD END──
ロゼッタお嬢様が懐から取り出した瓶の中身の赤い石は、たぶん
>>302
で登場した賢者の石と同じもの。
<なにか役立つものが見つかるかもしれない。ロゼッタの死体を調べてみる>を選ぶと見つかるかもしれません。
339
:
名無しさん
:2010/05/20(木) 23:11:39 ID:???
>>250
<右の道へ>
硬く冷たい石造りの通路を二人は走る。焦り。不安。小さな希望。いくつもの感情を抱きながら。
やがて、幾度かの曲がり角を経て通路は終わった。そこには上へと続く階段がある。
だが、ただで通れそうにはない。道を塞ぐ者が居る。
「あら」
少しだけ驚いたといった口調でそうこぼしたのは、メイド装束に身を包んだ童女だ。
階段に腰掛けながら、両の膝に肘を乗せて頬杖をついた姿は愛らしい。
幼さが強く残る顔立ちに、黒く艶やかな長髪とルビーを思わせる紅く美しい眼を持っている。
「ここ、行き止まりですよ。ロゼッタお嬢様のご命令ですので」
先行していたリーファンが拳を握り、構える。
眼前の童女は、あのロゼッタ同様に外見とはかけ離れた化け物だと直感したからだ。
そしてそれは正解だった。紅い双眼が、竜の噴き出す炎が如く妖光を放つ。
(ッ!?)
(──あれは!)
リーファンはその光を真っ向から見てしまった。
ルネスは魔法使いゆえの知識と、臆病な性格から来る無意識とが合わさって咄嗟に目を閉じることに成功した。
結果、リーファンの五体は石化の邪眼を受けて石像となり、ルネスはそれを免れた。
「あら」
二人とも石にできると思っていたのか、紅眼の童女は少しだけ意外そうに呟く。
(ど、どうしよう……!)
石化の術は、魔法としてはかなり高度なものに分類される。その解呪も同様だ。
つまり、ルネスの力ではリーファンを救うことはできない。
絶望の爪が、なけなしの勇気を引き裂いた。
「嫌あっ!!」
ルネスは踵を返して逃げ出す。孤独に手を引かれ、恐怖に背を押されながら。
「えっ!?」
しかし、回り込まれてしまった!
「ひゃっ!」
突如現れた巨大な手がルネスの視界を覆い、その全身を握りしめる。がっちりと掴まれ、身動きがとれない。
その巨腕の先を見上げると、あの童女が巨人と化してルネスを見下ろしていた。
先程までは狭く息苦しさを感じさせていた筈の通路は、どうしたことか異常に広くなっている。
壁は遠く、床は遥か下、天井は高い。
「お人形さんが逃げたら駄目ですよー。つかまえるの面倒なんですから」
そう言われてルネスは理解した。相手が巨大化しているのではない。自分が小さくされているのだ。
このまま握りつぶされるのだろうか? それとも地面に叩き付けられるのだろうか?
いずれにせよ、運命は既に決している。死、あるのみだ。
「どうしましょうかねー」
童女の姿をした怪物は呑気につぶやく。ルネスの生殺与奪は文字通りその手中に握られているのだ。
340
:
名無しさん
:2010/05/20(木) 23:13:06 ID:???
童女の姿をした怪物は呑気につぶやく。ルネスの生殺与奪は文字通りその手中に握られているのだ。
「ヤルダバオト?」
童女の背後から声がした。既にエルキスを殺めてきたであろう、あの忌むべきロゼッタの声が。
ヤルダバオトと名を呼ばれた童女は、声を発した主の側へと振り向く。
「あ、お嬢様」
「良かった。まだ殺していないのね」
「はい。獲物がこの場所まで来たなら殺してもいい、とは仰っていましけれども、
やっぱりお嬢様のことですから、ご自分でやりたがると思いましたので」
「そう」
リーファンを石像に、ルネスを小人に変えたこの状況。
己の欲望の忠実なる僕であるヤルダバオトの働きを見たロゼッタは、唇に指先をあてながら考え込む。
どうするのが面白いだろうか。数秒して閃くものがあったのか、口を開いた。
「その子を地面に下ろしてあげなさい」
「はい」
何故そうするのか、などと聞き返すこともなくヤルダバオトはその命令を実行した。
ロゼッタは掌を広げて石像化したリーファンへ向け、魔力の波動を送り込む。
すると、石の身体が軋むような音を上げながら動き始めた。
「さあ、その小さいのを捕まえて殺しなさい。踏み潰してもかまわないわ」
「ストーンゴーレムですか。たしかにこれなら石人形に吹き込む魂を用意せずに済みますから、効率的ですわ」
ロゼッタが下卑た笑みを浮かべ、ヤルダバオトは愛らしい笑顔を作る。
石像化してもリーファンは「死んだ」わけではない。
その魂は硬く冷たくなった身体の内に眠っており、石の手足を動かす原動力として使うことが可能なのだ。
「ほら、お逃げなさいな魔法使いさん。
さっきの部屋まで逃げ切れたら、生かして帰してあげてもよくてよ?」
あらゆる意味で弱く小さな存在となったルネスを見下ろしながら、ロゼッタがゲームのルールを告げる。
逃げ切れるわけがない。仮に逃げ切れたとして、あのロゼッタが約束を守るとは思えない。
そう分かっていても、ルネスは必死で走りだした。ささやかなる最期の抵抗か、あるいはただ命が惜しいがゆえか。
ぎこちないが、同時にしっかりとした足取りで石のリーファンがその後を追う。
喜怒哀楽の入れ替わりが激しかった顔は、今や無感情かつ無慈悲なものとなっている。
顔貌は変わらずとも、それはもはやリーファンではなかった。
「……ーっ! ……ーっ! ……ーっ!」
息を乱しながらルネスは賭ける。小さく小さくなった五体で懸命に。
追う者の足は遅いが、追われる者の歩幅はそれ以上に小さく狭い。
「……あっ!!」
ルネス、転倒。
「あっははははははッ!!」
ロゼッタが下品に嘲笑する。ヤルダバオトはその横で静かに控え、微笑を浮かべていた。
主が心底からこの遊びを楽しみ、満足していることに満足していた。
「……こ、来ないでっ! お願いっ! リーファンっ……!」
今のリーファンに、五感という概念はない。光を見ず、音を聴かず、手触りを感じることもない。
ルネスの「魂」を感知してそれに向かっているに過ぎない。単純な命令しか理解・実行しない人形でしかないのだ。
命乞いの言葉などなんの意味があろうか。
それがまた、ロゼッタにとっては可笑しくてしょうがなかった。
「……いっ、ひっひひひひ、はははははははははははははッ!!」
腹を抱えるロゼッタ。嘲笑は下品さを増し、世界の終末を告げる角笛のように通路内に響く。
ロゼッタが笑い狂っている間に、石のリーファンの手はルネスを捕えていた。もはや握りつぶされるのを待つのみだ。
「……助けてッ! 助けてッ!! 助けてッ、お願いッ……タぁスケテエぇッ!!!」
「ひィっはははははッ!! あ、あッ、あッははははっははははははははははははッ!!!」
「…………」
ルネスの絶叫が裏返り、ロゼッタはまた笑う。
主が笑い死にしないか、ヤルダバオトはほんの少しだけ心配になった。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
「はっはははははははははっ、ははっはあっはははははははははははははははぁッ!!
あ、はははッ、はっはっはあはははははははははッ!!!」
握り潰されながらの断末魔はロゼッタの笑い声にかき消され、誰に聴かれることもなく消えた。
ルネスを殺した石の握り拳。その指の隙間から血が流れ出し、滴り落ち、床を汚していく。
哀れな石人形が次なる命令を待つ間も、ロゼッタは笑い続けていた。
──BAD END──
341
:
名無しさん
:2010/05/21(金) 06:38:02 ID:???
>>340
× とは仰っていましけれども、
○ とは仰っていましたけれども、
OTL
342
:
名無しさん
:2010/05/22(土) 00:47:49 ID:???
>>303
<なにか役立つものが見つかるかもしれない。ロゼッタの死体を調べてみる>
追い剥ぎの真似事をするのは初めてだ。ルネスは冒険者であって、盗賊ではない。
とは言え、ただ一人で生き残った今のルネスにとってそんなことはあまり重要ではなかった。
ヤルダバオトが気まぐれで残したであろう警告に従うならば、利用できそうなものは最大限に活用すべきなのだから。
「……」
無言でロゼッタの持ち物を調べる。結果、見つかったものは三つ。
まず小さな瓶。中には指先ほどの大きさの赤い石が入っている。
手に持ってみるとわかるが、かなり強い魔力を感じた。
具体的なことはわからないが、役に立つ予感がしたので懐にしまい込む。
次は手帳。開いてみると内容はロゼッタの日記だった。
最初のページには、あのヤルダバオトと契約した日のことが記されていた。
悪魔に童女の姿をさせていたのは、幼い頃に妹が欲しいと思っていたことに由来するらしい。
(……姉と妹、か……)
続く記述によると、領主家の蔵書に悪魔との契約を手引きしてくれる禁書が紛れていたのがそもそもの始まりのようだ。
次のページからは、狂気に塗れた「趣味」の記録が憎しみに満ちた筆致で綴られている。
一番最初こそロゼッタ自身が恨みを持っていた同級生を惨殺した記録だったが、
悪魔の力を得て「死」に魅入られ、囚われ、その矛先が無関係な者へ向くのにそう時間はかかっていない。
中でも勇ましい冒険者の少女を惨殺した時は、格別に大きな快感を得られることを発見し、今回の計画を思いついたらしい。
死霊を使って闘技場を閉鎖させたのは、彼女の父と町を治める家系への復讐という意味も多分にあったようだ。
領主の娘という境遇に生まれたがゆえ、その生活は裕福ながらも窮屈なものであり、
そのことが彼女を歪ませる大きな要因となったことがわかる。日記には父を呪う記述が頻発していた。
幼少から劣等感を強く持つ気質だったようで、「力」と「自由」への執着をそこかしこから読みとることができる。
まだ途中だが、ルネスはひとまず手帳を閉じた。
事件の背景にあったものが概ねわかった以上、更に読み進める気にはなれなかったのだ。
(……あとは、これね)
三番目。死体漁りの最後の収穫は、折りたたまれた数枚の紙だった。
開いてみると、どうやら何かの見取り図らしい。あちらこちらに日記と同じロゼッタの筆跡で書き込みがある。
少ししてルネスはその価値を理解した。これは地図だ。今、ルネスが居る地下迷宮の。
日記を改めて開き、最近の記述にも目を通してみた。
アークスの町の地下には、古くから由来もわからない地下迷宮遺跡が広がっている。
立ち入り禁止とされているが、領主屋敷や闘技場、そして町はずれ等に地上と繋がる出入り口があるようだ。
この場所に「改装工事」を施し、罠と怪物で満たしてやる。
そこに拉致してきた女冒険者を放り込み、それを眺めて楽しもうという趣向だった。
とは言え、ロゼッタがこれを思いついたのはつい最近であり、死の迷宮はまだまだ未完成であった。
既に設置済みの罠も、この地図があれば事前に対処できる。
(これなら、生きて脱出できるかもしれない……!)
生きよう。エルキスとリーファンの分まで。ルネスの心に炎が灯った。
<この地下から脱出し、早急にアークスを立ち去る>
343
:
名無しさん
:2010/05/22(土) 00:50:41 ID:???
<この地下から脱出し、早急にアークスを立ち去る>
その後、ルネスは王都リヨナへと戻ることにした。
姿を消したロゼッタの捜索が行われれば、あの地下に残された死体がひとつ足りないことまではいずれ暴かれるだろう。
追及の手を逃れるには、偽名を使い市井に埋もれるのが最善の選択だと思えたからだ。
王都に戻って最初にしたのは、ロゼッタの懐から見つけた小瓶に入っていた赤い石について調べることだった。
大陸一の蔵書量を誇る大図書館での数日に渡る調査の結果、赤い石はかなり貴重な品であることがわかった。
その正体は「賢者の石」と呼ばれる万能の物質で、あらゆる系統の魔術に応用可能だという。
使い道には少し悩んだが結局はそれを売却し、得た金を王都にある魔法学院への入学資金に充てた。
一人でも生きていけるよう、より高度な魔術を学び、身につけようと決意したのだ。
入学後は誰からも一目置かれる熱意を発揮し、知識・実践ともに同期の生徒の間ではトップクラスに登り詰めた。
卒業を目前に控える頃には、生徒・教師を問わず学院内で彼女を知らぬ者は居ないまでになっていた。
卒業後の彼女は冒険者に復帰し、数多くの偉業を成し遂げ、数多くの危機を切り抜ける。
十年後には「英雄」、二十年後には「当世随一の大魔法使い」と呼ばれるようになり、歴史にその名を刻んだ。
そして更に時が過ぎ。
冒険者を引退してからの彼女は、母校である魔法学院の学長に就任して後進の育成に尽力した。
その地位も今日、彼女の教え子の中で最も信頼できる者に譲ったので今の肩書きは「名誉学長」だ。
やるべきことは全てやった。悔いなき旅路を生きてきたと胸を張って言える。
だから、今日まで後回しにしてきた宿題をこれから片づけようと思う。
時は深夜。場所は自室。窓の外には冷たい夜気が満ち、闇と雲が空を覆っている。
床に魔法円を描き、魔導書を開く。これから行おうとしているのは召喚術だ。
彼女の力量ならば、異界の住人の大半は面倒な手順を踏まずとも呼び出せる。
だが、これから呼び出す相手は特別なのだ。彼女にとっては。彼女にだけは。
魔法円が光を放つ。地上と異界を繋ぐ扉が形成されようとしている。
「さあ、来なさい……ッ!」
魔法円の輝きが強さを増し、そして炸裂した。
「……"ヤルダバオト"よッ!」
光が収まると、そこには一糸まとわぬ童女の姿があった。
黒く艶やかな長髪に、獣のように縦長の瞳孔を持つ紅い眼。愛らしくも恐ろしい邪眼。
「こんばんは。悪魔さん」
「……あら。これはこれは、お久しぶりです」
悪魔と呼ばれる存在が地上に顕現する時、その外見は召喚者の持つ願望や記憶によって決まる。
ヤルダバオトの姿はあの日と寸分も変わらぬものだった。
「私を、覚えているの?」
「悪魔というものは、自分との契約を蹴った相手を忘れないのですよ。ルネスさん」
懐かしい。「ルネス」という、何十年も昔に捨てた本名で呼ばれるのはあの日以来だった。
ロゼッタ殺しの捜索から逃れるため、偽名を名乗るようになり今やすっかりそちらに馴染んでいる。
「そう」
「さて、ご用件は?」
「そうね。まずはお喋りましょう。あなたは、私にとって最も古い知己だもの」
そう言うと、ルネスは椅子に腰かけた。
344
:
名無しさん
:2010/05/22(土) 00:51:53 ID:???
そう言うと、ルネスは椅子に腰かけた。
「皮肉ならもう少し面白いことを言ってくださっても良いのでは?」
「本気よ」
「そうですか」
「ええ。私のお姉ちゃんと幼馴染を殺したのは、あなたの力だけどあなたではないもの」
「……」
「そもそも"悪魔"という呼称自体が人間から見た尺度でつけられたもの。
"力"に正邪はなく、それを使う意志によって人間がその善悪を語るだけ。
多くの場合、あなた達が契約者に与える恩恵は人の世に害悪と混乱をもたらすけれど、
それも人間の弱さと愚かさに起因するものであって、あなた達は悪魔でも天使でもない」
揺らぎも淀みも無くルネスは語る。
「……己を理解されるということは、良いものですね」
「他者を理解することは、全ての基本よ。私の場合は教師だったから尚更」
「てっきり、復讐の為に呼ばれたのかと思いましたわ。
幾千幾万といる我が種族の中から、わたくしという特定の一個体を選んで召喚するんですもの」
「最初はそのつもりだったんだけどね。学院で学んでた頃はそのことばっかり考えてた。
いつか、この手であなたを殺すんだ。って……」
「その憎しみを礎として今のあなたがあるのですね」
「ええ。けれど色々なことを学んで、経験して、あなた達の種族を知るにつれて私の考え方も変ったわ。
あなたとあのロゼッタは私から全てを奪った。同時に、あなたのおかげで今の私がある」
今に到るルネスの道は、ヤルダバオトとの出会いから全てが始まっているのだ。
「そうですか……」
ヤルダバオトが微笑む。ルネスも、皺の刻まれた顔で眼鏡越しに微笑み返した。
二人の姿は、孫娘と祖母のようにも見えた。
「そろそろ、本題に進んでいいかしら? 今日はあなたと契約したいんだけど」
「あなた程の魔法使いなら、私より格上のものとも契約できると思いますが」
「それでもあなたがいいのよ。あなたでなきゃ駄目なの」
「それは勿体なきお言葉ですわ。ご主人様」
既に契約は完了している。契約は口約束だけで成立するのだ。
「で、最初の仕事はなにを?」
「まず服を着なさい。なんでもいいから」
「はい」
ヤルダバオトは全裸である。
「それから私の転生を手伝ってちょうだい。若い身体のホムンクルスを創ってあるから、魂の移動を、ね」
「わかりました」
ルネスは今の老いた肉体を捨て、また冒険者に復帰しようと計画していた。夜明け前には旅立つ予定だ。
ヤルダバオトはすぐ指示された通りに行動を始めた。この上なく満ち足りた表情で。
<END>
345
:
名無しさん
:2010/05/22(土) 01:46:59 ID:???
①<さっそく闘技場へ>ルート
| ↓
| <もうだめだ……どう足掻いても助かりっこない>
| |
| ├→ ★<「なんとかリーファンのところまで一緒に行きましょう?」>
| └→ ★<「あなただけでも逃げなさい」>
|
└→<このままでは全滅だ、必死で脱出を試みる>
↓
<屈服して二人の命乞いをする態度を装い、隙を窺う>
|
├→<魔法が使えるルネスが敵を食い止め、残り二人が装備を探しに行く>
| |
| └→ ★<まだ死ぬわけにはいかない…斧の一撃を魔法で防ぐ>
|
├→<このまま戦う>
| | ↓
| | <背後に危険を残してはおけない。ミノタウロスからルネスを助けださなくては!>
| | |
| | └→ ★<どうにか立ち上がれそうだ。背中を向けているロゼッタに反撃し、エルキスを助けなくては……!>
| ↓
| <ここは魔力の大元を叩くべきだ。ロゼッタを斬る!>
| ↓
| <左足を上げ、辱めを求める>
| |
| ├→ ★BAD END2 <もう飽きたが、ただ殺すのもつまらない。奴隷として闇の市場に売却する>
| └→ ★BAD END3 <もう少し遊ぼう。陵辱して乙女の加護を奪い去ってから、もう一度死霊と戦わせる>
↓
<唯一、剣を持つエルキスが敵を食い止め、残り二人が装備を探しに行く>
↓
<武器を探しにいったルネス・リーファンはどうなっただろう?>
|
└→<左の道へ>→ ★<手伝ってくれ!>
②<先に情報収集を>ルート
| ↓
| <掘り出し物があるかもしれない。品物を見せてもらう>
| |
| ├─────────→ ★<何も買わない>
| ├→<エリクサーを買う>→ ★<エリクサーを飲み、闘技場へ>
| ↓
| <聖水を買う>
| |
| ├→ ★<一手遅れることになるが、剣を拾いに走る>
| ├→ ★<ルネスと死霊の間に割り込み、ルネスを庇う>
| └→ ★<ルネスの勇気を揺り起こせることを信じ、ルネスに呼びかける>
|
└→<これ以上は時間が惜しい。先を急ぐ>→<闘技場へ>→ ★<相手の出方を窺う>
346
:
1
:2010/05/23(日) 22:07:37 ID:???
間が開いてしまいましたが、更新の方完了しました。
ロゼッタさんは相変わらず鬼畜です。
私も石化とかの状態異常系は好きですし、別の選択肢で私も書いてみようかな…
ちなみに、今回の投稿で投稿話数が50話を超えました。
皆様、いつも投稿ありがとうございます。
347
:
1
:2010/05/23(日) 22:13:27 ID:???
途中送信してしまった…
ルネスが立派に自立できるENDも無事に完結しましたね。
過去のENDでもルネスは無事に生き残る(ただし、姉の世話などをして暮らす)
ENDが多かったですが、その中でも幸せな方じゃないでしょうか。
ところで、気になったのですが、投稿者や観覧車の皆さんが一番好きなキャラが誰か気になります。
ロゼッタさんやヤルダバオトさん、あの剣士さんなんかも含めて。
是非みなさんの好きなキャラを聞かせていただきたいです。
348
:
名無しさん
:2010/05/24(月) 02:40:50 ID:???
>>347
好きなキャラ、というより作者(登場させた書き手)のお気に入りとしてはヤルダバオトですね。
自分は女性×女性でのリョナが好きなんですけど、
個人的な趣味全開でやらないと書き手としての意欲が維持できないとので新キャラの追加は女性キャラばっかりになっていしまいます。
そんなわけでロゼッタお嬢様を黒幕にし、ヤルダバオトを出し、マントの少女を出し……となってしまうんですね。
一定のやる気さえあれば誰でも書き手になれる参加型企画ですから、自分の好みの展開を見たければ自分で書くしかない……と。
余所でのリレー小説形式の企画では、自己リレーを「物語の私物化」として嫌う風潮も根強いようですが、
ここのような過疎地では、そのタイプの考え方はプラスには働きにくいと完全に割り切ることにしました。最近は。
そんなわけで、今のところ自分しか書いてないヤルダバオトはかなり愛着が湧いてきています。
彼女が活躍できそうな分岐はもう殆ど使ってしまったので、今後は他の分岐にも手をつけていかないといけませんけどね。
時点でロゼッタお嬢様。ノリノリでリョナる展開は書いてて楽しいですし、
他の書き手さんのロゼッタお嬢様も楽しく読ませていただいております。
とりあえず、現在は13箇所の続き待ちポイントが残っていますから、
過疎企画なりの計画を立てて風呂敷を畳んでいかないといけませんね。
過去ログを見る限り、微妙に需要がありそうなエロ展開ルートも書いてみたいとは思うのですが……。
350
:
名無しさん
:2010/06/13(日) 19:40:59 ID:???
俺はルネスが一番好きだな
いろいろといい反応でリョナられてる
なんだかんだと、一番優遇されてる気もするし
過疎スレだし、連投は気にしなくていいんじゃね?
エロ展開は確かに少ないし、あると俺が喜ぶ。
351
:
名無しさん
:2010/09/17(金) 19:11:34 ID:60eQ5gxI
>>278
BAD END2 <もう飽きたが、ただ殺すのもつまらない。奴隷として闇の市場に売却する>
圧倒的な力の差を見せつけられて敗北した三人。
少女達の行き先は、大陸中から悪党と無法者が集まると言われる大規模な闇市場の競売だ。
首輪と手枷のみを身につけ、布切れ一枚すらまとうことも許されずに裸身を群衆の前に晒した。
純潔を証明するために大きく足を開かされ、恥辱に顔を背ける三人をまとめて落札したのは、富豪の老人であった。
「お前達にはその体を以て私の妻に奉仕してもらう」
屋敷に着くとそう告げられ、牢に入れられた。このまま死ぬまでこの屋敷で奴隷として過ごす運命なのだろうか?
牢の中、三人は励まし合う気にもなれず、長い時間黙り込んでいた。
いつしか眠りに落ちたが、良い夢を見ることはなかった。
目を覚まして少し経つと牢の扉が開き、老人が現れた。
「誰でもいい。一人、来い」
その命令に進み出たのはエルキスだった。
戦士の誇りは失ったが、姉として、リーダーとして妹と友を守らなければならないという最後の決意。
牢を出ると、意外にもエルキスは風呂に入れられた。
メイドの手によって丹念に全身を清められると、老人の妻に引き合わされた。
「エリザ。新しい娘を連れてきたよ」
エリザという名の、老人の妻は若く、孫ほども年が離れているように見える。
「可愛い娘……。こっちへいらっしゃい……」
「…………」
エルキスは言われるままに歩を進めた。手が届くほどの位置に来るとエリザはエルキスを抱きすくめる。
そして。
「いっ……!」
エリザはエルキスの首筋に噛みついた。傷口から流れ出す血が、エリザの纏うドレスを汚していく。
エリザの喉はこくこくと動き、乙女の生き血をすする。
エリザは吸血鬼であった。
エルキスの視界がぼやけ、暗くなっていく。肌が青ざめ、命の色を失っていく。
(……あぁ)
自分は死ぬのだ。エルキスはそれを理解し、受け入れた。
噛まれた痛みはいつの間にか消え、安らぐような眠気が肉体と精神を包む。
冒険者としては敗北したが、恐怖や苦痛にまみれた死に方ではなかった。
(ルネス……。リーファン……)
あの二人もこの快感と共に死を迎えるのだろう。「死」がこんなにも心地よいならば、安心して旅立てる。
エルキスは、早く二人にもこの快感を味わってほしいと思いながら死んだ。
<BLOOD END>
352
:
1
:2010/09/28(火) 00:57:01 ID:AOxwKouc
すみません、遅れましたが
更新完了しました。
吸血鬼っていうのもいいですよね。
本編には絡めにくいですが、別のネタでも吸血シチュとかは書いてみたいです。
353
:
名無しさん
:2010/12/05(日) 11:53:13 ID:3hGKtWQk
tes
354
:
名無しさん
:2011/02/08(火) 21:38:20 ID:AidgXyNI
スレもゲームオーバー?
355
:
名無しさん
:2011/02/12(土) 02:05:49 ID:???
ご覧の通りです。
356
:
名無しさん
:2011/02/19(土) 19:10:23 ID:???
書き手として参加して思ったことだけど、三人パーティは欲張り過ぎたな。
ヒロインは一人に固定するべきだったと思うよ。
一人殺してもまだ二人残ってるってのは正直かなり負担だった。
リョナり方のネタを三倍の速さで消費させられるんじゃ無理が出る。俺の場合な。
まあ、やってみないとわからなかったことだから企画開始前の判断をどうこう言いたいわけじゃないけどね。
357
:
test
◆.CzKQna1OU
:2011/10/09(日) 19:47:35 ID:???
test
358
:
名無しさん
:2011/10/25(火) 22:57:22 ID:V4no9d0Q
再開の兆しかと思いきや
359
:
名無しさん
:2011/10/28(金) 05:46:52 ID:???
自分で書いてもいいのよ。俺はもう書かんが。
360
:
名無しさん
:2011/10/28(金) 17:25:57 ID:???
映画?
361
:
名無しさん
:2012/09/25(火) 02:27:15 ID:???
>>325
より、<まだ死ぬわけにはいかない…斧の一撃を魔法で防ぐ>を選択。
折れそうな己をかろうじて奮い立たせるルネス。
「──"シールド"!」
臆病な性格ゆえか、ルネスは防御系に属する魔法は得意であった。
手を掲げ、振り下ろされる斧を迎え撃つべく光輝く魔力防壁を一瞬で展開させる。
少女の全魔力を込めて形成されたそれは、迫り来る刃を見事に受け止め、同等の反発力を以て弾き返した。
ミノタウロスがぐらりと体勢を崩す。大きな隙。しかしルネスの次なる手は反撃となる攻撃系呪文ではなかった。
「"インビジブル"!」
呪文の完成と同時にルネスの全身が透け、空気に溶けたように消え失せる。透明化の呪文であった。
(これでミノタウロスはこちらを捉えられない筈……!)
透明化からの奇襲で一気にロゼッタを討つ算段である。日頃は臆病なルネスだが、同時に意外な大胆さを秘めてもいるのだ。
しかし。
「それで隠れたつもりかしら?」
ロゼッタが腕を横薙ぎに振るうと、鋭い光の線が部屋全体を走り抜けた。
次の瞬間、透明化したルネスの身体は腰から上下に両断され、ミノタウロスは両脚を切断されていた。
ルネスの下半身が両膝をつき、上半身がドサリと落ちる。
「……あ、……あ」
何が起きたのか理解していないようなうつろな呟きがルネスの唇からこぼれる。
切断面からはどぼどぼと血が流れ始め、その面積を広げていた。
「ひ……、ひ……!」
やがてその声は。
「いいぃいいぃやぁあああああああああああああッ!」
痛みと絶望の叫びへと変わった。
ルネスは、敗北したのだ。
<BAD END>
362
:
名無しさん
:2012/09/25(火) 12:34:48 ID:???
まさかのw
いったいどうした!?
363
:
名無しさん
:2012/09/28(金) 12:53:45 ID:d0U3oGqg
グッドエンドがあるとバッドエンドの無情さが引き立って良いよね
364
:
名無しさん
:2012/09/29(土) 10:00:09 ID:???
マルチ展開の醍醐味だね
365
:
名無しさん
:2012/11/04(日) 18:07:45 ID:???
一月経っても1さんこないし色々ぶっちゃけるか。
どうにかしてやりたいと思いつつもモチベが上がらんのはどうしようもない。
自分の中では
>>342-344
を書いた時点で決着したというか、それ以上書けなくなってしまった。
その後に無理して書いた
>>351
と
>>361
はどれだけ手抜きな文章を書けるかを試したもの。
1レスに収まるほど短いのはそのため。
>>324
の、
「さて。では、仲間を見捨てて逃げ出す臆病者に相応しい罰を。
そして、少ない戦力を更に分散させる愚か者には教訓を」
ロゼッタがここに居るということは、エルキスの安否が既に絶望的であることを意味する。
もし、三人が自分達とロゼッタとの間にある戦力差をもっと冷静に認識できていたならば。
誰が残って闘おうがそれが下策であること、選択肢に並べる価値もないことを気付けたかもしれない。
……というくだりは、無駄に選択肢増やした他書き手(
>>141
)への愚痴として書いた。
ま、一番無駄な選択肢を増やしたのは俺なんすけどね。
>>178
とか
>>277
とか。
これまでに得た教訓を生かしつつリセット&リスタートできないものか、とも思ったりしたけどまあ無理でしょうな。
366
:
名無しさん
:2015/04/28(火) 17:59:34 ID:???
盛り上がる
367
:
名無しさん
:2016/04/04(月) 18:27:15 ID:???
①<さっそく闘技場へ>ルート
| ↓
| <もうだめだ……どう足掻いても助かりっこない>
| |
| ├→ ★<「なんとかリーファンのところまで一緒に行きましょう?」>
| └→ ★<「あなただけでも逃げなさい」>
|
└→<このままでは全滅だ、必死で脱出を試みる>
↓
<屈服して二人の命乞いをする態度を装い、隙を窺う>
|
├→<このまま戦う>
| | ↓
| | <背後に危険を残してはおけない。ミノタウロスからルネスを助けださなくては!>
| | |
| | └→ ★<どうにか立ち上がれそうだ。背中を向けているロゼッタに反撃し、エルキスを助けなくては……!>
| ↓
| <ここは魔力の大元を叩くべきだ。ロゼッタを斬る!>
| ↓
| <左足を上げ、辱めを求める>
| |
| └→ ★BAD END3 <もう少し遊ぼう。陵辱して乙女の加護を奪い去ってから、もう一度死霊と戦わせる>
↓
<唯一、剣を持つエルキスが敵を食い止め、残り二人が装備を探しに行く>
↓
<武器を探しにいったルネス・リーファンはどうなっただろう?>
|
└→<左の道へ>→ ★<手伝ってくれ!>
②<先に情報収集を>ルート
| ↓
| <掘り出し物があるかもしれない。品物を見せてもらう>
| |
| ├─────────→ ★<何も買わない>
| ├→<エリクサーを買う>→ ★<エリクサーを飲み、闘技場へ>
| ↓
| <聖水を買う>
| |
| ├→ ★<一手遅れることになるが、剣を拾いに走る>
| ├→ ★<ルネスと死霊の間に割り込み、ルネスを庇う>
| └→ ★<ルネスの勇気を揺り起こせることを信じ、ルネスに呼びかける>
|
└→<これ以上は時間が惜しい。先を急ぐ>→<闘技場へ>→ ★<相手の出方を窺う>
368
:
名無しさん
:2016/05/30(月) 22:43:06 ID:???
面白そうだけど書き直し効かないしかなり難しそうだなこれ
369
:
名無しさん
:2017/05/30(火) 12:49:33 ID:???
ゲームブックにするなら
基本ヒロインと敵のタイマンでどうやって倒すかor倒されるか、くらいのシンプルなモノで良かったろ
今更だが
370
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 07:43:03 ID:fJTYAxMQ
>>202
<「なんとかリーファンのところまで一緒に行きましょう?」>
このまま分散していても各個撃破のいい的だ。
エルキスはそう考え、とにかく一箇所に集まろうと妹に声をかけようとした。
しかし。
「あ」
鋭く風を切る音とほぼ同時に、間の抜けた断末魔がこぼれ、ルネスは倒れた。即死である。
その眼には一本の矢が突き刺さり、的確な狙いで脳の中枢部が破壊されていた。
ネクロマンサーに率いられる死者達の中に弓矢使いが居ることをエルキス達は見落としていた。
「ル、ルネっ」
妹の名を呼ぼうとしたエルキスの後頭部に新たな矢が刺さる。
こちらも正確に脳中枢を貫き、その神業に感心する間もなくエルキスは死んだ。
<BAD END>
371
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 08:01:38 ID:fJTYAxMQ
>>202
<「あなただけでも逃げなさい」>
「ルネス! 先に退路を確保して! わたしはリーファンを助けるわ!」
最悪、妹だけでも生還してほしい。内心でそう考えつつエルキスは指示を出し、走り始めた。
幸いにして、リーファンとの距離はそこまで遠くない。やれる筈だ。
「リィィイイファァァァアアアアンッ!」
親友に群がる死者達の気を引くように雄叫びを上げる。
「消えろおっ!」
全力で駆け、気迫と共に放たれた斬撃は、しかし届かなかった。
「……っ!」
腕が、軽い。しっかりと握っていた剣がすっぽ抜けたかのように。
だが、違う。視線を落としたエルキスが見たのは、肘から切断された己が右腕だった。
片腕を失くした痛みを感じるより先に、思考が凍る。どうすればいい?
次善の選択を見出すより早く、破滅は訪れた。
死者の一体が振るった剣がエルキスの首を刎ねたのだ。
エルキスには、もはやルネスの安否を確認する時間すら残されていなかった。
<BAD END>
372
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 08:12:06 ID:fJTYAxMQ
>>272
<どうにか立ち上がれそうだ。背中を向けているロゼッタに反撃し、エルキスを助けなくては……!>
ふらつきながらも、リーファンは立ち上がった。
ロゼッタが無防備な背を晒している今は、最大の好機でもある。
(くらいなっ!)
踏み込みから渾身の突きを繰り出す。
直撃すれば人間の背骨などたやすく粉砕する一撃だ。
当たれば、だが。
「……ぅぼっ」
鋭い刃がリーファンの胸を貫いていた。その口から鮮血が勢いよく吐き流れ出す。
刃は背を向けたままのロゼッタの後頭部から伸びている。それは髪の毛であった。
魔力で具現化した、高強度かつ極細の鞭の束。それを頭髪と融合させて操る術だ。
それを知らずに突撃したリーファンこそ無防備であった。
回復魔法もエリクサーもない彼女に、もはや助かるすべはなかった。
<BAD END>
373
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 08:30:35 ID:fJTYAxMQ
>>277
BAD END3 <もう少し遊ぼう。陵辱して乙女の加護を奪い去ってから、もう一度死霊と戦わせる>
その後、ロゼッタの召喚した魔物達に三人は陵辱の限りを尽くされた。
再び闘技場に立たされるも、既に茫然自失となっていた少女達は抵抗らしい抵抗もないまま死を迎えた。
殺し方としては失敗だったと考えたロゼッタは、三人の死体を回収。復元・蘇生させて地下に保存している。
記憶を消してもう一度、遊ぶもよし。忠実な配下たる、生ける人形とするもよし。
良い使い道を決めるまで暫し、心の玩具箱に住まわせておくことにした。
<BAD END>
374
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 08:43:41 ID:fJTYAxMQ
>>319
<手伝ってくれ!>
「手伝ってくれ!」
リーファンの指示を受けたルネスは、自身も壁に両手を押し付けた。
強固な物質でも急速に劣化させる魔法を試してみるしか無い。
ルネスの魔法技量ではとても実戦で使えるものではないが、相手が攻撃してこないただの壁。
多少の時間はかかってもなんとかなるかもしれない。そう考え、魔力操作に意識を集中しようとした。
「あれ……?」
なにかが、おかしい。ルネスの覚えた違和感は、すぐに焦燥に変わった。
壁が、ルネスの手から魔力を吸い取っているのだ。
気づいた時には既に遅い。強烈な脱力感と共にルネスは崩れ落ちた。
「おい、ルネス!」
リーファンの叫びも、もはやぼんやりとしか聞こえないままルネスは意識を失った。
万策は尽きた。あとはもう、壁に潰されるのを待つのみであった。
<BAD END>
375
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 08:47:06 ID:fJTYAxMQ
>>121
<何も買わない>
>>153
へ。
376
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 10:27:48 ID:fJTYAxMQ
>>311
<エリクサーを飲み、闘技場へ>
エリクサーは半不死の霊薬と呼ばれ、一度だけ致命傷を即時修復してくれる効果を持つ。
まるで魂がふたつに増えたかのような清々しさを、薬を飲んだ三人は得た。
だが、薬には副作用があるものだ。今回のエリクサーも例外ではなかった。
「……んっ」
突如、強烈な尿意が少女達を襲ったのは、闘技場へと向かう道の途中であった。
「あ、あああああああああーっ!!」
抵抗と呼べるほどの事もできずに、乙女の堤防は陥落した。
びちゃびちゃと黄金の滴りが溢れ、こぼれ、香りが広がる。
「ぐへへ」
間の悪いことに、そこはちょうどアークスの街でも治安が悪い部類に入る区画であった。
闘技場の死霊に挑む度胸はないが、見切りをつけて他地域に移るほどの潔さもない。
そんな、ゴロツキと呼ぶに相応しい闘士くずれが乙女の痴態を文字通り嗅ぎつけてきた。
「嫌ァっー!」
予期せぬ失禁に冷静さを失っていた少女達は瞬く間に裏路地に連れ込まれ、陵辱された。
もはや乙女の加護を失った少女達に、闘技場の死霊に挑む資格は無かった。
<RAPE END>
377
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 10:36:16 ID:fJTYAxMQ
>>178
<一手遅れることになるが、剣を拾いに走る>
素手で挑むのはいくらなんでも無謀が過ぎる。
エルキスは瞬時にそう判断し、最速で剣を拾いに走った。
だが、それでも間に合わないものは間に合わない。
剣を手に死霊に向き直ったエルキスが見たものは、三つ首の魔犬と化した死霊がルネスを食いちぎる様であった。
「うぅうあああああああああああっ!!」
遅かった。怒りの咆哮と共に斬りかかるも、吐き出された黒い炎がエルキスを包む。
地獄から溢れた炎に身を焼かれるのを感じる間もなく、エルキスの肉体と魂は消滅した。
<BAD END>
378
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 10:40:37 ID:fJTYAxMQ
>>178
<ルネスと死霊の間に割り込み、ルネスを庇う>
「ルネスっ! 闘って! 生きて!」
必死に声をかけるが、ルネスは震えたまま動けない。
三つ首の魔犬と化した死霊がルネスに飛びかかり、食いちぎっていく。
呆然とそれを見つめるエルキスに、死霊が向き直る。
三つの顎が大きく開き、黒い炎が吹き出した。
エルキスが最期に見たものは、視界一面を覆う闇の炎であった。
<BAD END>
379
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 10:41:53 ID:fJTYAxMQ
間違えた。
>>378
は<ルネスの勇気を揺り起こせることを信じ、ルネスに呼びかける>です。
380
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 10:47:58 ID:fJTYAxMQ
>>178
<ルネスと死霊の間に割り込み、ルネスを庇う>
「考える」という段階を挟むことなく、エルキスの身体は動いた。
合理性も恐怖も関係ない。死霊の牙に身を投げ出した勇気は、鮮血で報われた。
最愛の姉が噛み潰されていくのを見たルネスは意識を失い、そのまま食い殺されるまで二度と目覚めることはなかった。
381
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 11:03:29 ID:fJTYAxMQ
>>314
<相手の出方を窺う>
一瞬の出来事であった。
マントの少女は、まるで初めからそこに居たかのように間合いを詰め、エルキスの至近に現れた。
抜き放たれた刃が、喉元で止まる。達人と呼ぶ以外にない、技の冴えである。
「そこまでえっ!」
審判役の兵士の声が響く。
(……凄い。強いかもとは思っていたけど、想像を遥かに超えてる……!)
あまりの技量の差に、エルキスには悔しいという感情すら湧かず、感動を覚えるほどだった。
決闘は終わり、また今回の依頼も終わった。
書類を手渡しながら、エルキスの心にはある種の清々しさが満ちていた。
まるで、十年近くに渡って背を向けていた宿題を、強引ながらも終わらせたかのような気分だった。
<END>
382
:
名無しさん
:2020/04/16(木) 18:14:55 ID:???
このスレはチャレンジ精神と制作に対する意欲が高くて偉いと思う
上がってたから通りすがりで褒めていく
383
:
ID:fJTYAxMQ
:2020/05/06(水) 16:54:14 ID:???
1も、当時の読者も、他の書き手参加者も、誰ももう見ていないだろうし後書き的な独り言を書き残しておきたい。
もしかしたら、当時に参加していた誰かが何かの拍子に「そういやあのゲームブックスレ、どうなったんだ?」と思って見に来るかもしれない。そんな時のためにだ。
ご覧の通りソードマスターヤマトより酷い終わらせ方をしたが、ほぼ十年に渡って誰も何もしなかったのだから参加型企画として文句を言える奴も居ないだろう。
本編開始前に俺が意見を出したのは
>>33
、
>>40-41
。三人娘と依頼内容の原案は両方、俺だ。当時からの参加者の少なさが伺い知れるね。
その後の本編では
>>75-76
、
>>114-117
、
>>174-178
、
>>270
-
>>277
、
>>289-291
、
>>297-303
、
>>311
、
>>314
、
>>318
、
>>324
、
>>330
、
>>333-335
、
>>338
、
>>339-340
、
>>342-344
、
>>351
、
>>361
、
>>377-381
……を書いた。文字数だけならたぶん俺が最多だろう。はっきり言って1以上にこの企画に深く関わってしまったとすら思ってるよ。
そんなわけで、「ルネスの独り立ちとヤルダバオトとの和解」編を書いて燃え尽きてからもずーっと未練があった。
かといって最初から最新まで俺が一人で書いたわけじゃないものに対して、きっちりと終わらせてやろうという愛着と熱意も持てなかったのでこんな結果に。
他の書き手による展開や、読者の反応の全てが俺に続きを書く意欲をくれたわけでもないからな。
楽しかった思い出だってもちろん、それなりにある。他の書き手によるロゼッタお嬢様(俺が黒幕にした)は、リレー小説の良さを教えてくれた。
後期に登場させたヤルダバオトが、誰にも書いてもらえなかったのは残念というか心残りというか、寂しさはあるが。
とにかく、野ざらしの死体だったこのリョナゲームブックを埋葬して墓標を立てたかったんだ。
重要なのはお前らがどう感じるかじゃない。俺自身の感情に決着をつけることだった。
もし頓挫しても、その責任所在が不明確なリレー小説という企画。少なからずそれに関わった自分自身に対して責任を果たしたかったんだよ。俺は。
結局、安易に分岐を増やしすぎた罪悪感を誤魔化したかっただけなのかもしれないがな。
書き残しておきたかったのは、大体こんなところだ。俺の書いたリョナを読んでくれた君よ、ありがとう。俺の書いたリョナの前後を繋いだ君よ、すまない。
じゃあな。
384
:
名無しさん
:2020/05/06(水) 18:30:56 ID:???
>>249
-
>>258
を書き込んだ者です。
その後は参加しておりませんでしたが、専ブラを入れており新着はすぐわかったため
383氏の後書きを拝見し、建てて頂いた墓標に花を手向けるような心持ちを書き込ませていただきます。
確か投稿数が少なくなりあぼーんもあって廃れていたところを、仕切り直しの助けになればと思い
>>249
を書き込んだように覚えています。
その後383氏には自分が作った選択肢をいくつも繋いでいただいたようで御礼申し上げます。
特に <何としても逃げなくては。最後の勇気を振り絞る。> からTrueEndのひとつになる
>>344
まで繋いでいただきありがとうございました。
385
:
名無しさん
:2020/05/15(金) 18:49:24 ID:???
どっかのBADENDを書いた覚えはあるが、どれが自分のだったかを思い出せない
と思ってつらつら読んでみた(自分のは
>>325-326
)
スレ自体はずっと残ってたので、ここ来るたびに気にはなってました
何かを続けるのは難しいが、それを終わらせることもまた難しい
>>383
氏ほんとうに乙でした
387
:
ID:fJTYAxMQ
:2021/12/24(金) 00:20:26 ID:???
運営に過去ログ落ち申請してみた。通るかは知らん。
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