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リョナゲームブックを作ろう!

1名無しさん:2007/06/04(月) 03:16:46

物語の途中で選択肢を選択し、いろんな方向へ物語が分岐するゲームブック。
しかし、リョナ向けのものはあまりありません。
そこでみんなの力を合わせて、リョナゲームブックを作ってみませんか?

設定や、投下ルールに関する意見募集中。
まだまだ形になっていませんが、よろしくお願いします。

339名無しさん:2010/05/20(木) 23:11:39 ID:???
>>250
<右の道へ>

 硬く冷たい石造りの通路を二人は走る。焦り。不安。小さな希望。いくつもの感情を抱きながら。
やがて、幾度かの曲がり角を経て通路は終わった。そこには上へと続く階段がある。
 だが、ただで通れそうにはない。道を塞ぐ者が居る。

 「あら」

 少しだけ驚いたといった口調でそうこぼしたのは、メイド装束に身を包んだ童女だ。
階段に腰掛けながら、両の膝に肘を乗せて頬杖をついた姿は愛らしい。
幼さが強く残る顔立ちに、黒く艶やかな長髪とルビーを思わせる紅く美しい眼を持っている。

 「ここ、行き止まりですよ。ロゼッタお嬢様のご命令ですので」

 先行していたリーファンが拳を握り、構える。
眼前の童女は、あのロゼッタ同様に外見とはかけ離れた化け物だと直感したからだ。
 そしてそれは正解だった。紅い双眼が、竜の噴き出す炎が如く妖光を放つ。

 (ッ!?)
 (──あれは!)

 リーファンはその光を真っ向から見てしまった。
 ルネスは魔法使いゆえの知識と、臆病な性格から来る無意識とが合わさって咄嗟に目を閉じることに成功した。
 結果、リーファンの五体は石化の邪眼を受けて石像となり、ルネスはそれを免れた。

 「あら」

 二人とも石にできると思っていたのか、紅眼の童女は少しだけ意外そうに呟く。

 (ど、どうしよう……!)

 石化の術は、魔法としてはかなり高度なものに分類される。その解呪も同様だ。
つまり、ルネスの力ではリーファンを救うことはできない。
 絶望の爪が、なけなしの勇気を引き裂いた。

 「嫌あっ!!」

 ルネスは踵を返して逃げ出す。孤独に手を引かれ、恐怖に背を押されながら。

 「えっ!?」

 しかし、回り込まれてしまった! 

 「ひゃっ!」

 突如現れた巨大な手がルネスの視界を覆い、その全身を握りしめる。がっちりと掴まれ、身動きがとれない。
その巨腕の先を見上げると、あの童女が巨人と化してルネスを見下ろしていた。
先程までは狭く息苦しさを感じさせていた筈の通路は、どうしたことか異常に広くなっている。
壁は遠く、床は遥か下、天井は高い。

 「お人形さんが逃げたら駄目ですよー。つかまえるの面倒なんですから」

 そう言われてルネスは理解した。相手が巨大化しているのではない。自分が小さくされているのだ。
このまま握りつぶされるのだろうか? それとも地面に叩き付けられるのだろうか?
いずれにせよ、運命は既に決している。死、あるのみだ。

 「どうしましょうかねー」

 童女の姿をした怪物は呑気につぶやく。ルネスの生殺与奪は文字通りその手中に握られているのだ。

340名無しさん:2010/05/20(木) 23:13:06 ID:???
 童女の姿をした怪物は呑気につぶやく。ルネスの生殺与奪は文字通りその手中に握られているのだ。

 「ヤルダバオト?」

 童女の背後から声がした。既にエルキスを殺めてきたであろう、あの忌むべきロゼッタの声が。
 ヤルダバオトと名を呼ばれた童女は、声を発した主の側へと振り向く。

 「あ、お嬢様」
 「良かった。まだ殺していないのね」
 「はい。獲物がこの場所まで来たなら殺してもいい、とは仰っていましけれども、
  やっぱりお嬢様のことですから、ご自分でやりたがると思いましたので」
 「そう」

 リーファンを石像に、ルネスを小人に変えたこの状況。
己の欲望の忠実なる僕であるヤルダバオトの働きを見たロゼッタは、唇に指先をあてながら考え込む。
どうするのが面白いだろうか。数秒して閃くものがあったのか、口を開いた。

 「その子を地面に下ろしてあげなさい」
 「はい」

 何故そうするのか、などと聞き返すこともなくヤルダバオトはその命令を実行した。
ロゼッタは掌を広げて石像化したリーファンへ向け、魔力の波動を送り込む。
すると、石の身体が軋むような音を上げながら動き始めた。

 「さあ、その小さいのを捕まえて殺しなさい。踏み潰してもかまわないわ」
 「ストーンゴーレムですか。たしかにこれなら石人形に吹き込む魂を用意せずに済みますから、効率的ですわ」

 ロゼッタが下卑た笑みを浮かべ、ヤルダバオトは愛らしい笑顔を作る。
石像化してもリーファンは「死んだ」わけではない。
その魂は硬く冷たくなった身体の内に眠っており、石の手足を動かす原動力として使うことが可能なのだ。

 「ほら、お逃げなさいな魔法使いさん。
  さっきの部屋まで逃げ切れたら、生かして帰してあげてもよくてよ?」

 あらゆる意味で弱く小さな存在となったルネスを見下ろしながら、ロゼッタがゲームのルールを告げる。
 逃げ切れるわけがない。仮に逃げ切れたとして、あのロゼッタが約束を守るとは思えない。
そう分かっていても、ルネスは必死で走りだした。ささやかなる最期の抵抗か、あるいはただ命が惜しいがゆえか。
 ぎこちないが、同時にしっかりとした足取りで石のリーファンがその後を追う。
喜怒哀楽の入れ替わりが激しかった顔は、今や無感情かつ無慈悲なものとなっている。
顔貌は変わらずとも、それはもはやリーファンではなかった。

 「……ーっ! ……ーっ! ……ーっ!」

 息を乱しながらルネスは賭ける。小さく小さくなった五体で懸命に。
追う者の足は遅いが、追われる者の歩幅はそれ以上に小さく狭い。

 「……あっ!!」

 ルネス、転倒。

 「あっははははははッ!!」

 ロゼッタが下品に嘲笑する。ヤルダバオトはその横で静かに控え、微笑を浮かべていた。
主が心底からこの遊びを楽しみ、満足していることに満足していた。

 「……こ、来ないでっ! お願いっ! リーファンっ……!」

 今のリーファンに、五感という概念はない。光を見ず、音を聴かず、手触りを感じることもない。
ルネスの「魂」を感知してそれに向かっているに過ぎない。単純な命令しか理解・実行しない人形でしかないのだ。
命乞いの言葉などなんの意味があろうか。
 それがまた、ロゼッタにとっては可笑しくてしょうがなかった。

 「……いっ、ひっひひひひ、はははははははははははははッ!!」

 腹を抱えるロゼッタ。嘲笑は下品さを増し、世界の終末を告げる角笛のように通路内に響く。
ロゼッタが笑い狂っている間に、石のリーファンの手はルネスを捕えていた。もはや握りつぶされるのを待つのみだ。

 「……助けてッ! 助けてッ!! 助けてッ、お願いッ……タぁスケテエぇッ!!!」
 「ひィっはははははッ!! あ、あッ、あッははははっははははははははははははッ!!!」
 「…………」

 ルネスの絶叫が裏返り、ロゼッタはまた笑う。
主が笑い死にしないか、ヤルダバオトはほんの少しだけ心配になった。

 「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
 「はっはははははははははっ、ははっはあっはははははははははははははははぁッ!!
  あ、はははッ、はっはっはあはははははははははッ!!!」

 握り潰されながらの断末魔はロゼッタの笑い声にかき消され、誰に聴かれることもなく消えた。
ルネスを殺した石の握り拳。その指の隙間から血が流れ出し、滴り落ち、床を汚していく。

 哀れな石人形が次なる命令を待つ間も、ロゼッタは笑い続けていた。


  ──BAD END──


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