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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●
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プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
ごあー。
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>>820
萌える……萌えてしまう……
これは…面倒なことに…なっ…た……
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>>820
もう我慢できねぇ。お前マジ逮捕するわ。
容疑は俺を萌え死させる、殺人容疑だ!
・・・あふん
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>>820
関西後輩とかwwwwwwww俺を殺す気かwwwwwwwつか死んだwwwwwww
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>>787-793の続きを書いてみた
というか、最初から妄想の中にはあったんだけどね。
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・ツンデレのツンが95%になった日
この間の一件の後、次の日から別府君も私に、必要最低限以外の事では声を掛けなく
なった。もっとも、理由はないけどとにかく苦手だから近寄らないで、なんて言われて
なお、親しげに声を掛けて来る人間なんて、ほとんどいないだろうけど。
――でも、これでいいんだ。もうこれで、お互いに嫌な気持ちになる事はなくなるから。
あの時、別府君につけた心の傷も、私と接触する事がなければすぐに消えてなくなる
だろう、と私は自分で自分を慰めていた。
しかし、そんなある日の事だった。
帰り道、一人で帰る私を、後ろから別府君が自転車で追い越していった。MTBとい
うのだったか、スポーツ系の自転車を颯爽と漕ぐ彼の姿を、私は見かける度に切ない甘
酸っぱさを感じていた。
――こうして、眺めているだけだったら……幸せなんだけどな…… どうして、別府君
の目の前に立つと、あんな風に苦しくなっちゃうんだろう。私は絶対におかしいわよね。
普通の女の子だったら、好きな人とだったら、きっと嬉しくて堪らないと思うんだけど……
それとも、みんな、乗り越えてるのかな?
もっとも、今更そんな事を考えても手遅れだけど。彼の後ろ姿を見ながら、私はため
息を吐いた。
その時だった。
軽快に走っていた彼の自転車がいきなり、左に大きく傾きそのまま、まるで潰れるか
のようにベシャッと地面に叩き付けられた。
『あっ……!!』
口を押さえ、小さく呟く。ほぼ同時に、黒いセダンが道を猛スピードで横切るのが見えた。
『別府君っ!!』
我を忘れて叫ぶと、私は慌てて彼の近くまで駆け寄った。自転車は横転し、彼の体が
地面に投げ出されている。
――嘘……? 轢かれた……の……?
視線の先に、セダンが止まっている。しかし、ドライバーが降りて来るかと思いきや、
そのまま車は勢いよく発進した。
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『ひき逃げ? 酷い。逃げるなんて……』
いろんな事が一瞬のうちに頭を過ぎる。警察に連絡するとか、ナンバーを控えた方が
いいんじゃないかとか。しかし、次の瞬間には、それらの考えも吹っ飛んだ。
「あいててててて……」
私の注意が、別府君に注ぎ込まれる。何よりも、彼の手当てが先ではないかと。場合
によっては救急車を呼ばなくてはならないかも知れない。私は急いで別府君に向き直る
と、腰を屈めて彼を窺いつつ、言った。
『あの…… 大丈夫?』
「あ、いや。大丈夫ですよ。こけただけで、ぶつかってないっすから」
そう言って見上げた彼の目が、私の顔を捉えて止まった。目が僅かに、大きく見開かれる。
「椎水……さん……?」
彼の口が、私の苗字を発する。その驚いた様子に、私は憤慨したように鼻をフン、と
鳴らし、体を起こす。
『そうよ。それがどうかしたの?』
冷静に言い放つと、彼は困ったような表情になって私から顔を逸らし、汚れたズボン
を叩いた。
「いや、その……声掛けてくれるなんて、思わなかったから」
『てっきり、その……車に轢かれたかと思ったからよ。それで無視なんて出来る訳ない
でしょ? 例え誰であっても』
言い訳をしつつも、私は胸が急速に高鳴って行くのを感じていた。緊急事態に麻痺し
ていた感覚が徐々に蘇って来ている。いつもなら耐え切れず、逃げ出してしまうあの感
覚。だけど、今は何故か立ち去る気にはなれなかった。
「まあ、確かに。でも、心配してくれて嬉しいよ。有難う」
顔を上げ、ニッコリと微笑む彼から私は顔を背けた。たかがお礼を言われただけだと
いうのに、顔が酷く火照っている。他の男子の誰にだって、こんな事は無いのに。
『別にお礼を言われる事なんかじゃないわ。私は何もしてないもの』
「いや。その……気持ちだけでもさ」
冷たく突き放して、気持ちをクールダウンしようとしたのに、そんな事を言い返され
て私の体がより一層熱を帯びてしまった。しかし、心の内にむず痒い様な嬉しさが湧き
上がっているのを、私は認めざるを得なかった。
-
その時、視界の端っこで別府君が体を動かしているのが見えた。立ち上がろうとして
いるのだと気付き、私は彼の方に向き直って聞いた。
『立てる?』
もしかしたら、転倒した時に足を痛めたりしているかも知れない。車にはぶつかって
いなくても、転び方が悪かったかも知れないし。そして、事故の直後はアドレナリンの
分泌で、立ち上がろうとするまで痛みに気付かなかったりするものなのだ。
「ん……大丈夫だと思うけどな」
手や足を動かしながら別府君は答えた。それから、地面に手を付いて立ち上がろうと
する。その姿を見た瞬間、私の体が自然に反応した。
『はい』
自分でも信じられなかった。別府君に対して、手を伸ばす事が出来るなんて。何だか、
心と体が完全に別になった感じがする。
「……え? あ、ああ……サンキュー……」
一瞬驚いた顔を見せた別府君だったが、すぐに手を伸ばして私の手を握った。大きな
手が、優しくしかししっかりと、私の手を包み込むように握る。その瞬間、私の体に電
流に当てられたような痺れが走った。
「どうかしたか?」
別府君が僅かな体の震えを、手を通して感じ取ったらしい。私は慌てて首を振る。こ
んなの、気取られたくない。
『何でもないわ。引っ張るわよ』
グッと力を入れて腕を引くと、彼の体がゆっくりと立ち上がる。すると、私は彼と間
近で向かい合う形になってしまい、動揺した私は慌てて背を向けた。その背中に、彼の
声が掛かる。
「悪いな。色々と」
『いちいち謝らないで。鬱陶しいから』
即座にキツイ言葉で彼を制する。本当に、これ以上会話を続けたりしたら、どんどん
おかしくなってしまいそうだ。熱でボウッと浮かされそうになったような感覚で、私は
何となく、まだ別府君の手の感触が残ったままの自分の手を見つめた。その時、自分の
手に何かが僅かに付いているのに気が付いた。
-
――血……!?
自分のじゃない事は分かってる。私は慌てて別府君の方に向き直った。
『別府君。あなた……手、怪我してない?』
すると別府君は、意外と平気そうな顔で手を顔の前に持って来た。
「ああ、これ? こけた時にちょっと擦り剥いたらしいな。ま、これくらいの傷ならしょっ
ちゅうだし、舐めとけば治るだろ」
『ダメよ。雑菌でも入ったらどうするの? ちょっと動かないで』
まるで使命感に駆られたかのように、私は急いで自分の鞄から、携帯用の消毒液と絆
創膏を取り出す。
『ホント。こういう所がいい加減なのよね。別府君って』
強引に別府君の手を取り、傷口を見る。地面に擦った傷が、小指の付け根から手首の
辺りの手の側面に付いていた。これでは絆創膏は使えない。私は消毒液を噴射し終える
と、自分のハンカチをポケットから出して広げ、それを傷口を覆うように当てると、手
に巻いて反対側で結んだ。
『はい。外れないように注意して。それと、家に帰ったら、ちゃんと手当てし直すのよ』
「いや、ホント申し訳ない。何から何まで」
『謝るなら、自分のガサツさを反省しなさい。それと、そのハンカチは返さなくていい
から。出来れば捨てちゃって』
下手に洗って返されたりして、それを他の女子に見られたら一斉に噂になってしまう。
実は椎水はツンデレでした、なんて事が広まったら目も当てられない。
「……うん。分かったよ」
私は、別府君の全身を、ざっと眺め回す。他に怪我をしているところは無さそうだ。
足もちゃんと、庇うことなく立っているし。大怪我しなくて本当に良かったと思いなが
ら、小さく頷き私は彼に背を向ける。
『それじゃ、私は帰るから。今度からは気を付けて運転しなさいよ。向こうが悪いって
言ったって、ぶつかったら痛い目見るのは自分なんだからね』
「そうするよ。今日は本当に……有難うな……」
しかし私は、もう振り返ることなく早足でこの場を立ち去ったのだ。
-
次の日。まだ昨日の記憶が鮮明なまま、私は教室に入った。すぐに別府君の姿を視界
に捉える。私の忠告どおり家でちゃんと手当てをしたのか、手には包帯が巻き付けてあった。
『おっはよー、かなみ』
『おはよう』
友達と挨拶を交わしたところで、別府君が気付いたのかこっちを向いた。今は隣同士
ではないが、それでも自分の席に行くのには別府君の傍を通らなければ不自然に大回り
になってしまう。私が近づいて行くのを、別府君は戸惑うような顔で見ていた。
『おはよう』
その言葉は、自然にスルリと私の口から出た。別府君は驚いた顔をしたが、すぐに笑
顔になって頷いた。
「おはよう。椎水さん」
私は、そんな彼に見向きもせずに自分の席に向かった。しかし、それを見ていたらし
い前の席の友人が、早速チェックを入れて来た。
『珍しいね。椎水が別府君に挨拶するなんて。どういう心境の変化?』
『別に。苦手な人だからって無視してばかりじゃ、自分がダメな人間になりそうな気分
になったから』
『ふーん。あたしはまた、別府君との仲に何か進展でもあるとか思っちゃった。ほら。
イヤよイヤよも何とやらというし』
『有り得ないわよ。そんなの』
ドキリとしつつ、私は冷静さを装って鞄から教科書やらノートを机の引き出しに仕舞う。
『今、ちょっと動揺した?』
『してない。しつこいと怒るからね』
『はいはい。全く、椎水は怖いんだからぁ』
呆れた口調で前を向く友人は放っておいて、私はチラリと肩越しに別府君を見た。昨
日の一件のお陰だろうか。顔を見ても言葉を交わしても、前より混乱はしなくなったよ
うだ。その代わり胸の痛みと言うか、キュッと窄まるような切なさは少し大きくなった
ような気がする。
――これで……少しは、彼との距離も……縮まったのかな……
そっと胸を押さえて、私はそんな事を考えるのだった。
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以上
一応95%を目標に書いたつもりだったが、ちょっと甘くなり過ぎたかなあと反省はしている。
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gj!
こういう場合は後々激しいデレになるんですよね!わかります
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表向きツンツンなのに内心デレデレとか好みど真ん中過ぎてやばい
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>>833
gj!
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gj!
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>>本スレ545の63
あんたのせいだ!
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1282.jpg
ふとした拍子にタガがはずれてデレ一辺倒になるのとか大好きです
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>>838
俺の日常を盗撮されるなんてな…
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>>838
GJ過ぎるっすよ……
フゥ……
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>>833
いっそツン0%まで連載してくれ
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【寝過ごした男】
目覚めるとちなみが隣でぷーぷー寝息を立てていた。
ははぁ我ながら俺の全自動ロリ鹵獲機能も大したものだなあと一瞬驚嘆したものの、そんなわけはないと頭を振る。
なんでコイツが隣で寝てんだ。とりあえず、起こして事情を聞こう。
「ちなみ、ちなみ。起きろ」
「……んー?」
「いや、んーではなくて。起きろ」
「……んー。……うー、眠い」
ちなみはうっすら瞼を開けると、手でこしこしこすった。そして、大きく口を開けてあくびをした。
「……ふわぁぁぁ。……ふう」
「女の子がそんな大口開けるな。ちょっとは隠せ」
「……うるさい」
「それはともかく、現在の状態について事情を聞きたいのだが」
「……むぅ。タカシは眠い私を無理やりに起こし、頭が回ってないのをいいことに騙くらかしてちゅーとかしようと画策しているに違いない」
「寝起きでそういうことをすらすら言える人が頭回ってないとは思えませんが」
「…………」(不満げ)
「睨むな。それより、なんで人の布団でぐっすりすやすや寝ていたのか説明を求める」
「……まあ、端的に言うと、タカシが悪い」
「端折らずに言ってください」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むな。いいから普通に言え」
「……起こしに来てやったのに、タカシと来たら平和そうな顔で寝てた」
「はぁ。まあ平和かどうかは知らないが、寝てたわな」
「……で、一所懸命起こしてやったのに、ちっとも起きない。時間は逼迫している。なのに、ちっとも起きない。起こしているうち、なんだか疲れてしまって私も眠たくなってきた」
「嫌な予感がしてきましたが、続けて」
「……丁度目の前には布団が。何か横で歯軋りをしてる物体があるけど、布団には換えられない。……で、ぐっすりすやすやと」
「なるほどそうか。眠くなったと」
ちなみはこっくりうなずいた。そのどたまにチョップを落とす。
「……痛い」
-
ちなみは両手で頭を押さえ、不満げに俺を睨んだ。
「起こしに来てくれたのはありがたい。感謝する。だが、どうして一緒に寝てしまうのか」
「……眠かった」
極めて簡潔で分かりやすい理由だが、再びチョップを落とす。
「……痛い」
再度頭を押さえ、ちなみは俺を不満げに睨んだ。
「はぁ……まあやってしまったものは仕方ない。とりあえず学校……学校?」
恐る恐る時計を見る。一時間目はとうの昔に終わっており、二時間目も半ば過ぎている時間だった。
「はっはっは……いや、ここまで全力で遅刻するのって初めてだなあ」
「タカシのせいで私まで遅刻だ。……まったく、タカシは人を悪の道に引きずりこむのが上手すぎる」
「起こしに来たのにその業務を全うせず、あまつさえ自分も寝てしまった奴は言うことが違うな」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むなっての。あー、もうここまでの遅刻だと多少急いだところで変わらんな。ちなみ、お前飯は?」
「……うちで食べてきた」
「そか。じゃ、俺は自分の食ってくるから、お前は適当に待っててくれ」
「……でも、睡眠でカロリーを大量に消費したので、ご飯を食べる必要がある」
「……はぁ。一緒に食うか?」
コクコクうなずく生物を引き連れ、台所へ。両親は、まあこの時間なら当然だが、既に出かけているようだ。米は……あるな。
「何にすっかな……ちなみ、何がいい?」
ちなみは食卓に着くと、足をぱたぱたさせながら何にするか思案しているようだった。
「……んと、おにぎり」
「熱いから嫌だ」
「……予めコンロでタカシの手をあぶれば、熱さに抵抗ができるため、おにぎりを握っても熱くない。……名案?」
「愚策。なぜならあらかじめの時点で俺の手が黒焦げになるから」
「…………」(不満げ)
「いちいち睨むでない。まあいいや、おにぎりな。作るからちょっと待っててくれ。あ、何個食う?」
「……ふたつ」
「食ってきたくせに、結構食うな。太るぞ」
「…………」(超不満げ)
「まあ、お前はちっとやせすぎだから多少は肉あるほうがいいけど。んーと、塩しお……」
-
「……褒めているように見せかけ、絶妙に私の胸がないことを指摘するタカシは悪魔だ」
「どんだけ悪くとってんだよ……あ、あった」
引き出しの中にあった塩を取り出し、準備完了。炊飯器を開け、手を軽く濡らして塩をつけ、米を手に乗せる。
「あっちぃ!」
「……ふぁいと」
「応援するならもっとやる気を出してやってくれ!」
「……ふぁいとー」
「聞いているだけでどんどんやる気がなくなってくるその技術はすごいな」
後ろにいるのでどんな顔をしているのか分からないが、何か不満げな雰囲気がこちらにまで漂ってきた。
「怒るな。んーで、具は何がいい?」
「……しゃけ」
「ない」
「……しーちきん」
「ない」
「……この家には何もない」
「失礼なことを言うな。偶然切らしてるだけだ。昆布はあるぞ」
言いながら、勝手に塩昆布をおにぎりに詰める。
「……それしかない、とも言う」
「うるさい。ほい、できたぞ」
言ってる間にぽんぽん作り、皿におにぎりを5つ乗せ、食卓に置く。
「ちょっと待ってろ、手洗ってくるから一緒に食おう」
「……それには及ばない予感」
「ん?」
ちなみは俺の手を取ると、何のためらいもなく口に含んだ。
「人の手を食うな」
「……ぺろぺろ。……んと、水で洗うより、舐め取った方が、地球に優しい?」
「言ってることは素晴らしいが、そういった地球に優しいだのエコだのって台詞は超嫌いです」
「……私の唾液に含まれる毒素を送ってる最中?」
「それだ、それこそがちなみだ!」
「…………」(がじがじがじ)
-
「何も言わずに歯を立てるでない。痛いです」
「……ふん、だ。……ぺろぺろ。……はい、綺麗になった予感」
「感謝したいが、結果お前の唾液まみれであまり変わらないような」
「……タカシは私の指も舐め、お互いに唾液まみれにしてえと言う」
「言ってねえ」
……まあ、その提案は非常に甘美な誘いではあるけど。
「……まあ、タカシが舐めたらタカシ毒が私にまわるので舐めさせないけど」
「こんなところに美人局がいようとは」
とりあえず席に着き、唾液まみれの指でおにぎりを食べる。我ながらよい塩加減だと思うが、よられでベトベトなのでよく分からない。
「私も。……もくもく、おいしい」
「そいつぁ何よりだ」
「もくもく。もくもくもく。……けぷ。おいしかった」
「お前の咀嚼音変だよな」
「うるさい。……むう、手がべたべただ」
おにぎりは手掴みで食べるものなので、どうしても手はべたつく。手抜きして海苔も貼ってないので尚更だ。
「……はい」
「はい?」
手を差し出されたので、疑問で返す。
「……みっしょん。舐めて綺麗にせよ」
ちなみが変なことを言い出した。
「い、いや、ほら。さっき言ってたじゃん、タカシ毒がまわるので舐めさせないって」
「……幸か不幸か、私の体内にはタカシ毒の血清が生成されている。なので、だいじょぶ」
「つまり、俺が舐められるのはちなみだけなのか」
「…………」
「顔を赤くするなッ!」
「……うう、タカシは私だけしかぺろぺろしたくないと言う」
「う……」
虚を突かれた。普段のようにつっこめばいいのだろうけど、なぜか何の言葉も出なかった。
「……ひ、否定するターンなのに、何も言わないという攻撃に出るとは。……う、うぬぬ、タカシは日々進化しており、侮れない」
「あ、う、うん、そうだな。はっはっは」
-
「……うう」
回答失敗。ちなみは俺を見て、顔を赤くしながらうめくばかり。
「……は、はい」
「え?」
「……み、みっしょん。……舐めて綺麗にせよ」
再びちなみの手が向けられた。
「……あー、まあ、うん。俺の毒が効かないのはちなみだけだから、しょうがないな?」
「そ、そう。しょがない」
差し出された指を、そっとくわえる。で、舌でぺろぺろ舐める。
「……う、うー。……タカシは舐め方がえっちだ」
「し、失敬な。お前の方がよっぽどだ」
「……そんなことはない。実験」
え、と思う間もなく、ちなみは俺の手を取って再び口に含んだ。
「……ぺろぺろ。……ほら、えっちくない」
「む。そんなことはないぞ、大変にえっちいぞ。なぜならオラワクワクしてきたから」
「……タカシは時々戦闘民族になる」
「俺には興奮したら一瞬にして髪を金色に染色する技術はないぞ?」
「……ぺろぺろぺろ」
俺の話なんてちっとも聞かずに、ちなみはなんだか嬉しそうに俺の指をぺろぺろ舐めている。
「……うう、どうしてこんなことで楽しいのか」
「なんで悔しそうやねん」
「……タカシは時々関西人にもなる」
「ていうかだな、いつまで舐めてんだ。そろそろ学校行くぞ」
「……はむはむ」
ちなみは残念そうに俺の指を甘噛みした。そして最後にちゅーっと強めに吸うと、ようやっと口から指を離した。そして最後に軽く俺の指に口付けした。
「……ちゅ。綺麗になった予感」
「そいつはありがとうございます」
「……続いて、タカシが私の指を綺麗にするターン」
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「……ええと、もう舐めたよ?」
「……私はいっぱいいっぱい舐めてあげたと言うのに、私の指は舐めたくないと言う。……貧乳の指を吸うと俺のアレまで貧しくなると言う」
「超言ってねえ! ていうか色々問題ありすぎの発言だッ!」
「……嫌なら、いい」(寂しげ)
「そうは言ってない! ……ああもう、分かったよ。誠心誠意尽くさせていただきますよっ!」
半ばヤケクソにちなみの指を口に含み、ぺろぺろれろれろする。ああもう、なんかいけない気分。
「……こーふん?」
「終わりっ! もう終わりっ!」
「ぶー」
指を引き抜いてタオルで拭いてやると、ちなみは不満げに口をとがらせた。
「……ま、いい。……んじゃ、行こ?」
「あいあい」
皿をシンクに入れ、家を出る。
「……やれやれ、タカシのせいで手がべたべただ」
「そもそも舐め始めたのはお前からだろうが」
「……うるさい。……そうだ、なすりつけてやれ」
きゅっ、とちなみの手が俺の手を握る。
「え、ええと」
「な、なすりつけただけ。……そ、その先が偶然タカシの手だっただけ。……ほ、ほんとに」
「ま、まあ、偶然なら仕方ないわな。わっはっは」
「そ、そう。……あ、あと、どーせ遅刻だし、ゆっくり行った方が疲れない予感」
「あ、うん。大変に賛成だ」
そんなわけで、ちなみと手を繋いだままゆっくりゆっくり通学路を歩くのだった。
そしてゆっくり歩きすぎたせいで到着したのは昼休みだった。
「……ゆっくりしすぎだ。タカシは本当に頭が悪い」
「途中で公園寄ったりアイス食べ合いっこしたり休憩と称して膝枕させたのは誰だ」
「……ま、まったく。タカシは本当にいぢわるだ」
「鼻を引っ張るな」
赤い顔で人の鼻を引っ張るちなみだった。
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>>847
GJですよ
あっちも見てます
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>>842
かわいい!!GJです!!
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素晴らしすぎる
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>>842>>847まとめてGJ
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規制中だし、スレないし。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1283.jpg
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>>852
どアップ可愛いGJ!!
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なんかスゲエ上手くなったよな
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デレ。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1284.jpg
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>>855
かわいすぎる!!GJ!!
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やべぇ、こいつはやべぇ
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>>855
ええい。萌えたら負けだと分かっているのだが、頬が緩むのを抑えられない。
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>>588
こんなカレンダーが欲しい。
つまりGJ。
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>>859
間違えた。
>>588→>>855です。
ゴメンナサイ。
-
gj
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本スレ落ちちゃった
>>29
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タカシうざい。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1288.jpg
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なんとほほえましい
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>>863
ツンデレを弄って怒らすのは好きだぞ
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素晴らしい
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ツンデレが罰ゲームを受けることになって「エロいのはダメよ」って釘をさしたら墓穴を掘ってしまった、そんな感じ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1289.jpg
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学ラン可愛い!
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色々と混ぜ込みすぎてよくわからなくなったけど保守。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1291.jpg
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混ぜるな危険www
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素晴らしい
生きててよかった
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>>869
これはよい腋w
GJ!!
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>>869
ふぅ……
ロリコンは犯罪です!!(キリッ!!)
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・イルカとツンデレ
「どうよ、かなみ。水族館は」
『全く、何だって、もう高校生にもなるのに水族館に来なきゃなんないんだか…… ア
ンタね。暇つぶしにしたって、女の子連れて歩くんだから、もっと良い所を選びなさいよ』
「あれ? 気に食わなかった? おっかしーな。個人的にはなかなかのデートスポット
だと思ったんだが」
『どこがよ。つか、デートじゃない!! 単なる暇つぶしだってば!!』
「はいはい。分かってますよ。にしたって、気分高揚の為にも、デート気分で歩いたっ
ていいじゃねーか」
『アンタにそう思われてるだけでもキモイ。だからヤダ』
「やれやれ。相変わらずキッツイなあ。それはそうと、かなみ。あの案内、見てみ?」
『あれって……何? イルカの……餌やり体験イベント?』
「そうそう。何でもさ。一日二回、11時と3時からあるらしいぜ。ちょうどそろそろ時
間だしさ。ちょっと行ってみないか?」
『アホらし。どうせそんなイベント、人でいっぱいなんじゃないの?』
「大丈夫だろ。春休みとはいえ平日だしさ。まあ、餌あげられなくても、見るだけでも
楽しいんじゃないか?」
『だって、イルカが餌食べるだけでしょ? 何が楽しいのよ』
「え、そうか? キューキュー言いながら餌ねだりに来るのとか、可愛くないか?」
『別に。あたし、そんなにイルカ好きじゃないし』
「女の子なんだから、もっと可愛いものに興味を持ってもいいんじゃないかなあ。かなみは」
『やかましい!! アンタにだけはそういう事言われたくないわ』
「ま、とにかくさ。行くだけ行ってみようぜ。もしかしたら、体験も出来るかもしれないし」
ガシッ
『ひゃっ!? ちょ、ちょっと!! 何いきなり手を握って……』
「ほら、行くぞかなみ」
『ちょ、ちょっと待ちなさいよ……てか、手ぇ離せっての。バカアッ!!』
-
「良かった。間に合って」
『やりたければ、アンタが勝手にやりなさいよ。あたしは知らないからね』
「ほら、かなみ。エサ」
『人の話聞いてんの? このバカ』
「だって、せっかく来たんだし、やらなきゃ損だろ。いや、絶対可愛いって。な?」
『あたし、生き物苦手なんだもん。何考えてんだかさっぱり分かんないし』
「大丈夫だって。何もかなみを取って食うわけじゃないから」
『そういう問題じゃないっつーの』
「ほら。あそこで子供達がエサやってる。俺たちも混じろうぜ」
『あー、もうっ!! 人の話全然聞かないんだからっ!!』
「ほら。エサだぞ」
パクッ
[キュー、キュー]
「うは。すっげえ嬉しそう。かなみも早くやりなよ」
『だからあたしはいいっての……』
「でも、そこのイルカ。かなみの事ジッと見てるぜ」
『うっ…… な、何でコイツあたしの事見てんのよ。タカシから貰えばいいでしょ』
「分かんねーけど、かなみからエサ貰いたいんじゃね? 差し出せば上手に食うからさ。ほら」
『あー、もう。しょうがないわね。ほ、ほら……』
[キューッ]
パクッ
『うわっ!? た、食べた』
「そう驚く事でもないだろ。ん? 何か頭差し出してるぞ。触って欲しいんじゃね?」
『な、何でそんな事おねだりしてくんのよ』
「サービスだろ。エサくれた」
『こんなもん、サービスじゃなくて罰ゲームだっての。もう…… きゃっ!? ヌルヌ
ルしてる』
「あははっ!! イルカも喜んでるぞ」
-
『嘘よ。何でそんなのアンタに分かるのよ』
「だって、凄く飛び跳ねるみたいに潜って行ったし。あ、また一匹来た」
『だから何であたしなのよーっ!!』
「やっぱイルカも美人な娘の方がいいんだろ。ほら、ジッと見つめて待ってるぞ」
『ううう…… ほ、ほら』
パクッ
[キューキューキュー]
「もう一匹欲しいんじゃね?」
『だーっ!! もう、業突く張りなんだから。タカシそっくりじゃない。はい』
パクッ
[キューッ!!]
『アンタも撫でて欲しいわけ? ほ、ほら』
ナデナデ……
[キュー]
「あ、今度は二匹来たぞ」
『またあたしなの? たまにはタカシの方に行きなさいよね』
「人気者だな。かなみは」
『うるさい。イルカに人気出たって嬉しくも何とも無いわよ。ほら』
[キューキュー]
[キューッ]
「ハハハ。ホント嬉しそうだなこいつ等」
『そうなの? 全く、何がそんなに嬉しいんだか、もう……』
「なあ、かなみさ」
『何よ』
「嫌がってた割には、何かめっちゃ楽しそうじゃねお前」
『へっ!? べ、別に楽しんでなんか無いわよ。しょうがないじゃない。イルカがみん
なあたしの方に寄って来るんだから』
「お前さ。イルカにくらい素直になったら?」
『やかましいこのバカッ!! 大体イルカにくらいってどういう事よ? あたしが普段
素直じゃないとでも言いたいわけ?』
-
「さあな。そりゃ、自分の胸に聞いてみ?」
『フンだ。バーカ』
『(あんだけ嫌がってて、今更楽しいだなんて言える訳ないじゃない。ていうか、ホント
は水族館でタカシとデート出来てるだけで嬉しいとかバレたらイヤだもん。だから、しょ
うがないじゃないのよ……)』
終わり
遅くなったが、545.6スレ>>13のお題からでした
-
いいじゃないのGJ!
しかしよく落ちるな
-
いいねえ、いいねえ。
水族館いきたくなった
-
GJ
-
避難所でメル欄ってのも無いだろうから、リンク貼りで
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1292.txt
百合が嫌いな人は開いちゃダメだぞ
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規制中なんでこっちをほしゅ
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>>877
かなみもイルカもかわいいなw
>>881
gj!鬼女ワロタw
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本スレ>>14より
・自分の前では恥ずかしがってあんな態度だけど本当は…と思っていたら、女友達と話しているツンデレが自分の事をボロクソに言っていました
昼休み。
「痛てて……」
額に貼られた絆創膏を手で撫でつつ、俺は呟く。
『どしたの別府ー?その怪我……またかなみ?』
そう言い近づいてくるのは友子。話題に上がった『かなみ』は、俺の幼馴染だ。
長い付き合いではあるが、俺は最近かなみの事が良く分からないでいた。
「ああ、ちょっと手が触れただけで顔真っ赤にして押されてさ。壁に頭ぶつけちまってな」
俺の話を聞き、友子はため息を一つ。
そして右手の人差し指を俺に突き出す。
いつもだ。俺がかなみの話をするとこの仕草をし、そして言う。
『別府?別にかなみはアナタの事を嫌ってはいないから、勘違いしちゃダメよ?』
……やっぱり。
「……そうか?流石に毎日やられるとなぁ」
『照れてるのよ。幼馴染なんだから、分かってあげてよ〜?』
そんなもんだろうか。
「んー……。まぁ、分かった」
友子は『そ。ありがと』と微笑み、教室を出た。
アイツは、友子の言う通り、照れてるだけなのかも知れない。
……可愛い奴。
下校までは、そう思っていた。
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昇降口。
靴に履き替え、校門でかなみを待つ事にする。
……帰りにでも、かなみに聞くか。
かなみは俺の事をどう思っているのか。それが俺は分からなかった。
毎日のように殴られ、顔が真っ赤に腫れ上がったことだってある。でも、友子はかなみが俺を好いていると言う。
俺はかなみが好きだ。そうでもなければアイツの相手なんて出来っこない。
だから……聞く。いや、告白……だな。
そんな事を考えつつ、校門に向かうと、声が聞こえる。
アイツだ。かなみの声がする。
視線の先に、かなみがいた。どうやら先に校門で待っていてくれていたらしい。
かなみは友達と話しているらしかった。
『……がうわよ、あんな奴』
かなみは顔をしかめ、
『あんな変態野郎、嫌いよ!!』
……誰の話をしてるのかは知らないが、悪口だというのがすぐに分かった。
『ホントに〜?』
友達はおどけた様子でかなみに問う。
『ええ、嫌いよ。大っ嫌い。あんな奴……ガサツだし、不潔。エロいし、不細工。好きになる要素がどこに』
『かっ、かなみ!?後ろ後ろ!!』
かなみは振り返り、驚きに目を剥いた。
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……遅ぇよ。
分かった。思い知らされた、と言うべきか。
……かなみは、俺の事が嫌い。
何を俺は期待してたのだろう。本当のバカがここに居た。
分かってた事。十二分に理解していたのに。
『あ、あの、タカシ?えと……その』
「いや……良いんだ。」
『え……?』
「薄々気付いてた。無理させて、御免な?本当、最低だな……じゃあ、俺帰るよ」
そう言い、かなみを置いて帰路につく。後ろでかなみが何か言ってた気もするが、構わない。
卑怯だなと思う。
構わない。
もう、何もかもどうでも良かった。
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独り暮らしは良い。傷付いている自分を、身内に悟られなくてすむから。
帰宅してから、俺は何故かかなみの事を考えていた。
……何かかなみ、辛そうな顔をしてたような……。
「……別に、どうでもいいか……」
呟いた、その時――
『タカシィッ……』
ドアを叩く音が聞こえる。
ドア越しに、アイツの声が聞こえる。
「……チャイムはあるって言ったはずだろう」
ドアを開け、かなみを見る。
かなみは、泣いていた。
顔を涙でくしゃくしゃにして。
目を真っ赤に腫らして。
『うぅっ……ごめっ、あ、アタシィッ……』
嗚咽で何を言ってるのかさっぱり分からない。
でもこれだけは分かる。
「……謝りに、来たのか……」
かなみは頷く。少し落ち着いたようだ。
『……好きなの』
「はぁ?」
『好きなの!!アンタが好き!大好き!!優しいし、カッコ良いし、仕草とか、言葉とか、全部……!!』
俺はコイツの言ってる意味が分からなかった。
「じゃあ何であの時……」
『あっ、あの時は……そ、その……は、恥ずかしくて』
友子の言葉を思い出す。
「それが本音か?」
かなみは首肯。
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「お前は言ったよな?俺はガサツだぞ」
『好きだもん』
「不潔かもしれないぞ」
『好きなの』
「不細工だもんな?」
『カッコ良いもん』
「変態野郎でも?」
『大好きよ、そんなところも』
……なんか、毒が抜けてしまった。つーかコイツのキャラが違ってちょっと怖い。
『タカシは?』
「俺は好きだった。けど、お前があんなに言うから……」
『何したら許してくれる?』
「……んー」
迷う。と言うか、毒が抜けてしまったので、何かさせるのも嫌な気分だった。
「……俺の彼女になるっての、どうよ?」
ややあって、
『それで、許してくれるなら……なるわよ、彼女に』
返答するかなみは少し嬉しそうだ。
「良いのか?ガサツ、不潔、不細工でエロしかも変態野郎だぞ?」
とびきりの笑顔で、かなみは答えた。
『だって、大好きだもん』
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>>888
GJ!!
ツンからデレの落差の激しさがいいなあ
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いやもうね
とりあえずツンデレを愛する者でこのシチュが嫌いな奴がいるわけないだろうと
僕はそう言いたい
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最近、等身が低くなりすぎてたので戻そうとしたら戻せなくなってたでござるの巻。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1294.jpg
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こう、物憂げな表情ってなにかグッとくる
なにジョジョ?等身が戻らない?
逆に考えるんだ、「一等身でもいいさ」と考えるんだ
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一等身はさすがにマズイだろwww
なにはともあれ>>884-888と>>891GJ
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>>892
一頭身ってカービィの世界かwww
ツンデレは無限大だな
とにかくGJGJ
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>>891
GJ!!
可愛いなぁもう。
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「メガネを外したら美少女」というのはメガネを活かしきれてないカスである。
ある朝、コンタクトを洗面台にに落としてしまい、仕方なく自宅用のメガネをかけて登校してるところに
ばったり会って「あれ?こいつよく見たら美少女じゃないか?」と思える子が美少女である。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1298.jpg
一等身は描いてみたらグロだったので割愛。
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GJ
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>>896
メガネっ娘萌えなら正論だな
GJ!!
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>>896
全力で同意
ツンデレに眼鏡とかもうパラダイス
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メガネ萌えはよくわからん・・・
でもツンデレが可愛いからGJ!
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丸メガネは×
細長いオサレ系?眼鏡なら◎
>>896
ぐっじょ
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zaqが全鯖規制な件…orz
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ロリで年上で新婚で尊大にいたずらしてみて4レスくらい
誰にでも弱点というものがある。
そして同様に、誰にだってつまらない意地を張るときもある。
そしてこれまた同様に、誰しもその日見た映画に触発されて奥さんに『愛してるって言ってみ?』とおねだりする
ようなことがあるに違いない。
「断る」
これが尊さんの返答だった。この年一、二を争える即断具合である。休日にのんびり家でレンタルDVDを鑑賞後、
画面の主人公のつもりで述べてみたところ、これが見事に滑った。
「何が愛してるだ、気色の悪い」
「えー、いいじゃないですか。ケチ」
「ケチとかそういう問題じゃないだろう。大体、もうすこし空気というものを考えろ」
ぷい、と顔をそらしてしまう尊さんは、そのまま
「コーヒーでも持ってくる」
とソファから降りた。『立った』というより、『降りた』と言ったほうがしっくりくる。
なにしろ、うちの奥さんは俺より年上であるにも関わらず、相当に小さく、体操服とブルマをごく自然に着こなせ
る容姿をしてらっしゃるのだ。この見た目で社会人の第一線を戦っているのだから、すごいと思う。
しかし、家では別。俺の奥さんであるから、こういうときは悪戯してでも、言わせてみたい。
ということで、そのランドセルが似合いそうな背中を、指一本で撫で上げてみた。
「うひゃぅっ!!」
甲高い声を上げ、爪先立ちになる尊さん。
「にゃ、なにをする!」
「だって〜、愛してるって言ってくれないんですもん」
「それとこれとは関係ないだろうが! よ、よせ! 近づくな!!」
両手をわきわきさせながら、にじりよると、明らかに取り乱してみせる。
そう、尊さんの弱点は、ズバリ『くすぐり』。概ね、くすぐりでイメージされるような場所は全部ツボ。わきの下、
足の裏、わき腹、膝の上など等、どこでもOKなのだ。
「や、やめっ! うはっ、ははははひゃぁっ!」
「ほらほら。愛してるって言わないと、やめませんよ〜?」
「だ、誰がっ! お前なんかにやぁぁぁははははは!!」
傍から見れば、どう見ても犯罪者なのだが、これは夫婦にコミュニケーションの様子です、とあらかじめお断りし
ておく。尊さんは小さい身体をばたつかせ、必死に俺から逃げようとするが、俺はわき腹をがっちりホールドしつつ、
指をうごめかせているので、それは叶わない。
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後ろから抱きつく姿勢でくすぐっていると、脚が震えてきた。
「おやぁ? もう立ってられませんか? 尊さんともあろうお方が」
「や、やめっにゃあぁっ!」
「ほらほら、早く言っちゃった方が、楽になると思いますよ?」
「お、お前なんかに、屈するものかっぅひんっ!」
ほらほら、短めのTシャツなんか着てるから、おへそがお留守ですよ。とか思ってると、膝がかくんと落ちた。
「あぅぅ……」
「ははは、ほら、愛してるって言ってごらん?」
「だ、だれがぁ……あはははは、や、やめっ! やめろぉっ! ひゃっははははは!!」
ちっさいあんよを握って、足裏攻撃。靴下の上からこの有様である。必死に俺を蹴飛ばそうと反対の足を伸ばして
くるが、力がない。
「さぁ、靴下の上からこんなに感じてたら、直接触ったらどうなるのかな?」
「ひぁ、や、やめろぉ……この、卑怯者っ……はぁ、はぁ……」
「ふはは、その卑怯者の指で感じてるじゃないか。ほら、靴下を脱がせたぞ? 早く吐いたほうが楽なんじゃないか?」
「う……ぐぅ、あ、や、やぁぁぁぁぁはははははははははは!! んうぅぅぅっ!!」
びくん、と魚のように跳ねる身体を、無理やり抱きしめて押し倒し、さらに脇の下を攻める。どう見ても犯罪者な
のだが、これはあくまでも夫婦のコミュニk(略
「はぁっ、はっ、はぁ…うぅ、ばかぁ……」
「はぁ、はぁ……どうですか? まだ言いませんか?」
正直な話、暴れる人を押さえ込んで無理やりくすぐるってのは、結構いい運動になる。こっちも息が切れてきた。
あまり強くないとはいえ、ところかまわず蹴られたり引っかかれるのもしんどい。
なので、これにて終了とする。
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「尊さん……」
「な、なんだ、この鬼畜めぇ……」
「愛してます」
「ふぇっ!?」
鳩が豆鉄砲食らったような顔で、尊さんは俺をまじまじと見る。
「いや、尊さんが言わないなら、その分俺が言えばいいかなって」
「う……ぐ」
みるみるうちに真っ赤になる顔。あぁ、可愛いなぁ。本当、いつ見ても飽きない。思わずため息を漏らしそうになる。
こちらも付き合いは長いから、これしきのことで願いが達せられるとは思っていない。俺もそこそこ意地になるタイプ
だが、この人には到底叶わないので、いつも折れるのは俺のほうだ。それでもいいと思えるから、不思議なものである。
年甲斐もなく暴れて乱れた息を整え、からかいすぎたことを謝ろうと口を開く。
――その瞬間だった。
「……あいして、りゅ」
それは恐ろしく早口で、言葉の意味が持つイメージとはかけ離れた吐き捨て口調だった。声自体も小さかった上に、
最後も微妙に噛んでいたが、それ以上にこちらが追い詰められるような必死の形相に、言葉を失ってしまう。
続けて、怒涛のような言い訳が始まる。
「か、勘違いするな! 大体、お前にできて、私にできないことがあるわけないだろう。ただ、ちょっと『愛してる』
と戯れに言うくらい何だと言うんだ。お前のような万年精神年齢幼稚園児が、私を見下すなど100年早い。解ったか!
こら、なにをニヤけている!!」
とても『愛してる』の一言を噛んだ人とは思えない滑らかな説教だが、俺の顔はもはや蜂蜜漬けになったんじゃない
かと思うほど、甘く崩れてしまっていた。喉の奥から出てくる笑いが止められない。
「ふふ……ははは……」
続けて『可愛いなぁ』と言いそうになったが、思いとどまる。そのカードを切ったら、多分この人は耐えられなくな
って、全力で今の体勢から抜け出そうとするだろう。覆いかぶさられて、真っ赤な顔を見られているという状況から、
なりふり構わずに逃げ出そうとするだろう。それは、まだ後でいい。
「こら、聞いているのか! ニヤニヤするなーーー!!」
叫び声を聞きながら、俺は奥さんがその発想に気付くまでの間、可愛い姿を網膜に刻み続けたのだった。
-
――さて、しばし経って。
「で、これは一体どういうこってす?」
「うん、お返しだ」
尊さんは笑顔でこちらを見た。俺はといえば、椅子に荷造り用のビニールテープでぐるぐる巻きにされている。身動
き一つ取れません。ついでに言えば、シャツの襟元からどこからか持ってきた棒切れを突っ込まれ、それに頭も縛り付
けられているため、首すら動かせない。
そして、俺の正面にはテレビの画面がある。尊さんはDVDプレーヤーにディスクを入れた。
「ま、ゆっくり楽しんでくれ。本当は私も愛するお前にこんなことはしたくないのだが、やはり躾というのは重要だか
らな」
Sっ気たっぷりの笑みだった。
やがて、画面にはおどろおどろしいタイトルが現れる。
――そう、誰にだって、苦手なものはある。
「じゃぁ、私は買い物に行って来るから」
「え、待って! 尊さん! 一人にしないで!!」
ここ何年か、ハロウィンの時期に公開される、シリーズものの映画だった。画面では憐れな被害者が、台の上に大の
字に繋がれて居るところだった。時間が来れば、彼の上を振り子式で往復している刃物は、確実に腹を両断してしまう
だろう。
「それじゃ、ゆっくり楽しんでくれ」
「み、尊さん! せめて灯りは!!」
「安心しろ、ちゃんと消していってやるから」
パチン、と照明が落とされる。
そう、俺の苦手なもの、それは『ホラー映画』。特にスプラッタっての? 痛い系はマジで無理。この状態では、耳
をふさぐことも目をそらすことも出来ない。目を閉じても、声だけで十分すぎる。いや、むしろそっちの方が――
「あ、しまった。私としたことが忘れていた。ほら」
無情にも、ヘッドホンがセットされた。凄まじい臨場感で、刃が空を切る音が鼓膜を蹂躙する。その合間に、尊さん
の声が聞こえた。
「買い物から帰ってきたら、ちゃんと相手してやるからな?」
「いや、待って! 行かないで! 死にたくないぃぃぃ!!」
「ゲームオーバー」
尊さんの影が消える。廊下からの灯りが細くなる。
――そして、暗闇になった。
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>>906
超GJ
尊さん可愛かったのに鬼畜www
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怖いもの苦手な俺はオチがあんまり笑えない
尊さんの可愛さで帳消しだけどな!
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>>906
gj!かわいすぎる
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最近、絵の投下が多いのを一番喜んでるのは多分僕。
自分は落書きしかしてないけど。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1303.jpg
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誰よりも早くGJ
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かわいすぎてびっくりだ
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>>910
可愛いぞGJ!!
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まーた規制だよ…友ちゃんなぐさめて
>>910
可愛すぎる!
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顔にでるで変な妄想をしてしまった俺は死ねばいいと思う
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>>906も>>910も可愛すぎて俺は一体どうすればGJ
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>>910
マジレスすれば、あなたが過疎の時でも投下して底支えしてくれてるから、他の絵描きさんの投下もあるんだと思う
SSも同じだけど、他人の投下があった方が自分も投下してみようって気になるんじゃないかなと
質云々じゃなくてね
まあ、いつもGJだけどさ
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>>910
>>917の言うとおり
絵に関しても勝手に勉強させてもらったりしてるし
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本スレ>>160
GJ!
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他の人の絵、特に>>910の絵は殊更に創作意欲を刺激されるんだぜ。
つかここ最近の絵の増加はなんなのさ。嬉しいんだけどさ。
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エロ描いたよ!(エイプリルフール
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1307.jpg
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丸出しじゃねえかwwwwwwwwwwwwwww
これはやばいwwwwwwwwwwww抜いたwwwwwwwwwwwww
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甘い!俺の妄想フィルターにかかればこんなもの…ッ
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