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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

1名無しさん:2004/11/25(木) 19:54
「自分も小説を書いてみたいけど、文章力や世界観を壊したらどうしよう・・・。」
「自分では面白いつもりだけど、うpにイマイチ自信がないから、
読み手さんや他の書き手さんに指摘や添削してもらいたいな。」
「新設定を考えたけど矛盾があったらどうしよう・・・」

など、うpに自身のない方、文章や設定を批評して頂きたい方が
練習する為のスレッドです。

・コテンパンに批評されても泣かない
・なるべく作者さんの世界観を大事に批評しましょう。
 過度の批判(例えば文章を書くこと自体など)は避けましょう。
・設定等の相談は「能力を考えようスレ」「進行会議」で。

521廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/17(金) 00:35:49

 まず狙われたのは、樋口だった。
 「まずはお前だ!」
 壮年の男性は、腕をゴリラのように変形させ樋口を襲う。
 「樋口!」
 太田が駆け出すが、間に合わない。ちなみに、猿橋はちゃっかり逃げていた。
 受け止めるように、樋口は顔の前でガードする。樋口の腕にゴリラ腕の拳が触れた、その瞬間。
 樋口の腕のブレスレットの石―――詳しくはその中の、半透明で白い丸い石が―――柔らかい白に光る。
 その光は時計の文字盤の図形を描き、ゴリラ腕の拳にぴたり、とくっついた。
 そのゴリラ腕は、動きを止めた。
 反動がないことに安堵しつつ、樋口は不思議に思い腕をはずす。
 「あれ・・・?」
 襲っていたはずの拳が、まったく動かない。まるで、『時が止まった』様に。
 そして、目の前の壮年の男は混乱していた。
 「なぜだ、なぜ動かねぇ・・・!」
 その腕を見ると、白い光で描かれた時計の絵が張り付いている。そして、その時計は針を進めていた。
 時計の針の進み方に危険を感じた樋口は、よける。そして、精神を落ち着けた。

 時計の針が、『ⅩⅡ』を指す。
 『時が進み』、おっちゃんはバランスを崩してこけた。

 樋口はその足をつかむ。そして、腕の白い石に意識を集中した。また、柔らかい白の光が時計を描いた。
 今度はしっかり時が止まる。ものすごく無様な格好で、ゴリラ腕を持つ男は停止した。

522廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/17(金) 00:36:23
樋口 和之
石:スノークォーツ(白石英)  半透明で真っ白な水晶。ほかの、特別な能力の無い石のビーズとともにブレスレットにしている。
落ち着きを得る。個性が出すぎてしまうときに周囲とのバランスを取る。こだわりを開放する。新しい気持ちで再出発するエネルギーを得る。
力:直接触れたものの時間を止める。物体や体の一部分はもちろん、触れられるので影もOK。
条件:直接触れていなくてはいけない。だから空間の時間を止めることは不可能だし、炎も風も止められない。
集中している時間に比例して、止められる時間が増える(例:とっさの判断→30秒程度<1分集中→5分ぐらい)
代償:体力を使う力なのでそんなに多くは使えない。簡単なものでも、一日6回が限度。そして樋口の目がかすむ。

523廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/17(金) 00:37:16
壮年の男
石:未定
能力:腕をゴリラの腕にする。
代償:効力が切れると、腕がろくに動かせない。そして、ゴリラの性質に近くなっている。


やられ役なんで、テキトーです。

524名無しさん:2006/11/17(金) 18:06:37
乙!独特で面白い。

525廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/29(水) 00:44:50
>>524サマ
ありがとうございます!
面白いといわれて、ありがたいです。

今日は続きを投下してみます。

526廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/29(水) 00:50:42
『俺達の3時4時  後』


さて、樋口が怪物の腕を持つ男と対峙しているとき。猿橋の感覚に、異常が発生していた。
触覚が、敏感になっているような気がする。

何かが猿橋に『触れた』。それは気持ち悪いとしか言い様がなく、触れた本人に嫌悪感しかもたらさない。

「うわっ! 何だこれ、気持ち悪・・・」
腕をなぎ払い振り払おうとしても、次々とそれに『ぶつかって』しまう。
猿橋は、払うことに躍起になっていた。

足の『時』を止められ、無様な姿をさらす男を一瞥し、馬鹿にする、理知そうな男。
「馬鹿ですね・・・」


「さぁ、田中さん」
彼自身の仲間を馬鹿にした彼が、田中に詰め寄る。先手を打つように、田中の口が開いた。
「何だよ・・・エメラルドなら渡さねーぞ」
敬語を繰り出す彼の口から、ため息が漏れた。
「何も言わないうちから交渉決裂ですか・・・」
「決まりきってるだろおめーらの言うことは! とにかく、太田さんとついでにゴーロクの二人連れて、帰るから」
怒鳴る田中に、理知そうな男がにやりと微笑んだ。そして、気持ち悪いものに夢中になっていた猿橋も、田中の異変に気づく。
「田中さん!」
猿橋が田中の近くに駆け寄る。敬語の出る唇が、大きく歪んだ。
「逃げられませんよ・・・私が居る限りねぇっ!」
その瞬間、猿橋の手に、さっきまでとは違う何かが触れる。猿橋はそれを、無意識に両手で包んだ。


ちょうど、バク天で卵を温めた、あの形のごとく。

527廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/29(水) 00:51:26

―――次に猿橋の手が感じたのは、針が突き刺さるような痛み。

「何!?」

攻撃を繰り出した相手は動揺した。絶対あたると信じていた攻撃が、効かない。
猿橋はその手を開く。次に、うめいた。
「いっでぇ・・・」
「おいおい大丈夫か?」
そんな猿橋が心配になって、田中が訊く。
「あ、ハイ大丈夫です」


「そんな、まさか、あれが・・・効かないなんて」
敬語を繰る青年は、動揺していた。
田中はその隙に、立ち上がって一斉に浄化をはじめる。

浄化したのは、怯える無口の青年を除いた五人。

「・・・あ、と一人、」
その一言を残して、田中は倒れた。疲れから来るものだった。
「田中?」
太田が田中に駆け寄る。

「全部・・・力、見たこと、ある、」
無口な青年は恐怖に怯えながら、ずりずりと後ずさりする。
「レピドライドに、スノークオーツ、チャロアイトやエメラルドまで・・・揃ってたら勝ち目なんて・・・」
トン、と、猿橋にあたるの背中。猿橋は再び気持ち悪いそれに触れる。そして、その後何かが吸い出される感覚に陥った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
敬語の男
石:未定
力:精神攻撃っぽい。
混乱を引き起こすような力を持った針を相手に埋め込む。

528廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/29(水) 00:54:20
一分後、無口は一人一人を起こして立ち去った。先輩芸人である太田に、挨拶を残して。5番6番の二人は、呆然とそれを見送った。
その二人に、太田が話し掛ける。
「大丈夫か、二人とも」

その言葉に安心した。
樋口は安心したとたん、足に力が入らなくなってしまい、その場に座り込んだ。
「大丈夫かよ樋口!?」

「・・・すっげぇ疲れた」
樋口はそれを言ったきり、俯き黙り込んでしまった。
猿橋は振り向いて太田に問う。
「一体どうしちまったんですか!?」
問いの答えは簡単なものだった。

「『代償』だよ」

「『代償』・・・? まさか、石の力と何か関係があるんすか?」
再び猿橋が訊く。問いを投げかけられた男は大げさに頷いた。
「おぅおぅ、大アリだ。力を使うとその代償に、樋口みたいに体力奪われたり精神力奪われたり、後は面白いやつだと・・・そうそう霊に取り付かれるやつもいるなぁ」
「・・・・・・」
猿橋は不安になって黙り込んだ。俯くと、タンブルホルダーに入った自分の石が見える。

どことなく、石は歪んでいた。

「!?」
「・・・どうした?」
驚いた猿橋に、太田はそっと聞く。猿橋の口は、もううまく回らなくなっているようだ。
「あ、あの、石がゆゆ歪んでるんですけど・・・ッこれって・・・」
「・・・『代償』だな」
太田がにやりと口端を上げると、猿橋の混乱は頂点へ達した。
「どどどどーすればあqせxふぇgd」
「落ち着けサル。俺は知らねぇ」
「そんなぁ!!」
太田の一言に、猿橋は肩を落とす。
どうしようと頭を回転させていると、ふと、最近調べたパワーストーンの浄化方法を思い出した。

「そーだ、浄化すれば・・・土で浄化する? だめだココ家から遠いし。塩? ・・・駄目だ個人的にヤだ。水・・・そうだ水だ!」

茂みに突撃し、猿橋はバッグをあさる。バッグの中から封をしてあるミネラルウォーターを取り出した。
チャロアイトをタンブルホルダーから外し、その中に入れる。
「・・・ちょっと不安になってきた」
そういいながら蓋をし、バッグにそれを戻した。
自分のバッグとついでに樋口のバッグを担ぐ。そして、太田のところへ向かった。

「どうだった?」
太田の問いに、猿橋は樋口のバッグを下ろす。
「・・・まだちょっと不安です。」
「回復してる感じはすんの?」
今度は太田が問うた。猿橋が首をかしげながら、答える。
「それはあります。ちょっとですけど・・・」
「あるんだったら正解じゃねぇの?
「は、はぁ」
「じゃ、俺は田中つれて帰るから。猿橋も早く帰れよ」
それだけ言って田中を担ぎ、太田は立ち去った。


人の居なくなった公園で、猿橋は樋口を見下ろし、訊く。
「樋口、歩ける?」
「なんとかな」
「仕方ねーなぁ。お前の荷物持ってやるから、自分で歩けよ」
猿橋は笑いながらおろした樋口の荷物を、再び担いだ。
「わりぃな」
苦笑いする樋口。担いだその腕で、猿橋は手を合わせる。

「だから、2万もうちょっと待って」
「珍しく優しいなと思ったらそれか!」

軽く漫才のような会話をし、そして二人は歩き出す。
空を見上げて、猿橋が呟いた。
「うーわー、空真っ赤」
「だな。もう夕方かぁ」

紅い、重い陽が5番6番を、照らした。

『その赤は、俺達の選択を急き立てるようで、とても不安になったんだ』

529廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/29(水) 00:55:14
猿橋 英之
石:チャロアイト  紫系のまだら。丸い石をペンダントトップ用のバネみたいな入れ物?にいれてペンダントにしてる。
清く正しい考え方をしたい時に持つと良いとされる石。
精神と感情のバランスを保ちながら両者を融合させ、互いに高めながら発展させる力がある。
浄化にとても優れた石で、持つ人を純粋で優しい気持ちにさせ、心身の働きを正常にする力がある。
力:1)直接触れられないものに触れる。炎も風も、空間や感情、感覚さえ触れて動かすことが出来る。
 2)触れた石の、(黒いかけらなどで)穢れた部分を吸い出す。
条件:1)防衛、または何らかの補助でしか使えない。
 2) 1)を使った状態で無ければ発動しない。無意識に発動。
代償:1)触れられる分だけダメージが増える。気力を(樋口の体力ほどではないが)大幅に使う。使いすぎると眩暈のち、昏倒。
 2)吸い出すと、猿橋の石が歪む。使いすぎると壊れる(ミネラルウォーターに一日漬け込むと直る)。また、黒いかけらは浄化不可能。

共通として、猿橋自身のチキン度がアップ。

530廃墟病院 ◆ubhTcKtmc.:2006/11/29(水) 00:56:47
このお話はココでおしまいです。

531名無しさん:2006/11/29(水) 23:30:43
お疲れ様です!ゴーロク格好いいですね。
ぜひ本スレ投下お願いします。

532名無しさん:2007/02/05(月) 11:33:42
能力スレ562の者です。
まとめのロザン・ザ・プラン9編をベースにさせてもらいました。

途中までで、タイトル未定

「なぁ、宇治原」
「何や?」

宇治原はカタカタとパソコンを打ち鳴らしながら
耳をかたむけた

「次にコッチに入れる人やねんけどさ」
「あぁ」
「・・・・この人、どお?」

菅に差し出された写真の人物を見て宇治原はニヤリと笑った

「・・・・ええな。」









♪〜

「・・・・久馬?」

コンビを解散し、仕事でも殆ど会わなくなった
元相方からの突然の電話に後藤は首をかしげた

「はい。もしもし、何?」
ーお前、変な石渡されてへんか?ー
「へ?石って何?どういう石?」
ー持ってないんやったら、ええわー
「何の事?話がわからんのやけど?」
ーええか?誰かに石

コンコン

「ごめん。誰かきたみたいや。その話はまた今度な」
ーあ、ちょっと、ごとー

後藤は電話をきり、ドアを開けた

「・・・・なんや、ロザンか。どないしてん?」
「はい。実は後藤さんにお話があって」
「入っても・・・ええですか?」
「あぁ、別にかまへんよ」

彼はロザンを部屋に入れた。・・・・それが大きな誤算とも知らず

533 ◆UD94TzLZII:2007/02/05(月) 15:01:45
名前忘れてました。↑と申します

534ジェット ◆UD94TzLZII:2007/02/05(月) 15:03:31
失敗。これが名前です。
すいません、何回も。

535 ◆UD94TzLZII:2007/02/11(日) 22:02:49
やっぱりこの名前で。

「後藤さんに渡したいものがあって」
「何?」
「これです」

差し出されたのは黒い石

「石?」
「はい」
「そういえば、さっき電話で久馬が石がどうのって言うてたなぁ。これ何の石?」
「「え・・・?」」

二人は唇をかんだ。先をこされたか。
しかし、こんなことで宇治原はひるまない

「なんていってました?」
「いや、なんか変な石もらわんかったか?って聞かれたわ」

ならば。と宇治原は薄く笑った。まだきちんとした存在を知らないのであれば
・・・・いける。

「これ。お守りなんですよ、きっと久馬さんもこれを後藤さんに薦めようとして・・・」
「そんな感じやなかったけどなぁ」

しぶとい後藤に宇治原は最終手段を使った

「実はですね・・・・」

宇治原は今起きているこの石の騒動を簡潔に後藤に話した
もちろん、自分たちに都合の良いように。

「じゃあ、久馬は・・・・」
「はい。後藤さんをそっちに引き込もうとしてるんですよ」
「そんな・・・久馬が・・・」
「ですから、この石を持って僕らと一緒に戦いましょう」
「せやな」
「よろしく、お願いしますね」

菅が後藤に石を手渡した

「あぁ。頑張るわ。それで久馬が救えるなら・・・」

そして後藤は黒い石を手にした





「こんなに簡単にひっかかるとは・・・予想外やな」
「俺は予想通りや。あの二人が今でも仲ええのは有名やからな」

菅は楽しそうに笑った

「ありがとな」
「何言うてんねん。後藤さんなんて単なる通過点、やろ?」
「せやな」

今度は二人でより一層楽しそうにわらった。




「ところで、後藤さん。調子はどうですか?」
「最高の気分や!これで、俺は・・・!」
「そうです」

宇治原はこれから起こる出来事を想像し、微笑んだ

♪〜

後藤の携帯に電話が。

「あ、ちょっと、ごめん」
「はい」
「もしもし・・・・久馬?」
「久馬さんやと・・?感付かれたんか?」
「どないすんねん?宇治原」
「・・・・こっち来るように言ってもらえますか?」
「あ、あぁ・・・」

そして後藤は久馬を呼び出した。

「どないしたん?急に呼び出したりして?」
「あぁ。ちょっと用があるんや」
「・・・後藤、お前石持ってるやろ?」

一瞬、後藤は硬直した

「え。何の事や?」
「黒い石、持ってるやろ?」
「持ってへんって、そういえば前にそんな話しとったなぁ」
「ごまかしたって無駄や」

鋭い眼光が後藤に向けられた

「・・・さすがやな。そうや、石は持っとる」

そこから少し離れた場所で二人はその話を聞いていた。

「ばらしてええんか?」
「あぁ、計画通り。もっと久馬さんには後藤さん追い詰めてもらわな」

菅は反論しなかったが宇治原の考えてる事がわからないらしく、不満げな顔をした

「せやから・・・」

宇治原は菅に耳打ちした

「・・・そういう事かいな」
「そういうことって。お前が見つけたんやろ?」

菅は納得した表情で改めて相方の頭の良さに感服した

「久馬、お前が持ってるんは悪の石や。誰にもらったんか知らんけどすぐに捨てた方がええ」
「それは出来ひんな」
「なんでや?」
「俺が持ってるのは悪の石とちゃう。お前が持ってるんが悪の石や」
「何を言うてんの?」
「お前その石、宇治原にもらったやろ?」
「だったらなんや」
「あいつはその石に操られてんねん」
「・・・何、言うてん?訳わからん・・・」

「もう少しや・・・もう少しで・・・・」

離れた場所で見ている宇治原はほくそ笑んだ

「その石は絶対に使ったらあかん!その石は人間の意識を・・・」
「待って・・・・頭痛い・・・頭・・・おかしなりそうや・・・」

後藤は苦しそうに頭をかかえ、石は赤い光を放った
しかしその手はすぐにブラリと下がってしまった

「・・・しい。」
「え?」

後藤は小さく呟いた

「俺は・・・正しい」

そういうなり、後藤は久馬に攻撃をしかけた

536 ◆UD94TzLZII:2007/02/11(日) 22:08:36
「成功や。」

宇治原は呟いた。

「さすが、宇治原やんな」
「あぁ。あとは、久馬さんを倒してもらうだけや」
「残酷やなぁ、お前は。元コンビ同士で戦わせるなんて」

菅はクスクスと笑った

「・・・・褒め言葉か?」
「当たり前やん」

そして二人で笑った。こんなに楽しいことはないといわんばかりに

「じゃあ、俺らは高みの見物といこか」
「せやな」



「後藤!やめろ!」
「うるさい。・・・お前は敵や。正しいんは、俺らや」
「後藤!」

久馬の石が光を放った

「俺、知ってんねんぞ。お前のその石、単体やと何の意味もないんやってなぁ?」
「くっ・・・・」
「さぁ、おとなしく観念せぇや」

後藤は雷をおこした
そしてそれを久馬に放り投げた

「ぐぁ!」
「痛いやろなぁ・・・。どうや?元仲間から受ける攻撃は?」
「っく・・・」
「もう一発いくで〜」

次々に久馬の身体に雷を放り投げた。その光景を後藤は楽しそうに見つめる
しかし、10発目で雷が落とされようとした時

「・・・・っあ!!」
「・・・あ〜ぁ。よけてもうたか。もうちょっとで黒焦げやったのに」

後藤は至極残念そうな顔をした

「はぁ・・・っ、はぁ・・・っ」
「もー終わりか?久馬?」
「ごと・・・っ」

久馬は立ち上がろうとするが力が入らないようで再び地面に伏した

「ふん。弱いな。」

そう言うと、後藤はその場を去った

「よっしゃ。後藤さんとこ行くで」

二人も後藤の後を追った

「ごとーさん。ぴったりみたいですね。その石。」
「あぁ」
「その調子でほかの人もお願いしますね。こっちは人数増やしときますんで」
「あぁ、次に襲うんは・・・」

後藤は膝から崩れた

「え〜。気失うとるやん」
「・・・使いすぎ、ってとこやな」
「そっか」
「このまま放っとこ。目覚めてこれ見て、また発動するかもしらんしな」
「せやね」

二人はその場を去った





「う・・・。あれ、俺?」

目が覚めた後藤は久馬を探した

「久馬!」

後藤は倒れている久馬を見て悟った、自分がやったのだと。

「ごめん、でもお前を助ける為や。」
「ご・・・と?」
「きっとほかの仲間も持ってんのやろ?」
「ち・・・が」
「お前の石は俺が持ってる。」

後藤は久馬の手から石を取り出した。なんだか、酷く熱くて火傷しそうだ。

「・・・俺が救ったるから」

こうして、後藤は間違った正義へ一歩を進めた

537 ◆UD94TzLZII:2007/02/11(日) 22:18:55
終了です。

後藤秀樹
アラゴナイト(霰石)
心にたまった負担による心と体の不調を取り去り、心を穏やかにする。
力:混乱を治め、自分に対しての悪に攻撃をしかける。
自分が正しいと思えば思うほどその力は強くなる。
条件:何が正しいのかわからなくなり、混乱した時。
混乱が最大要因なので、使いすぎると頭と心の整理が付かなくなり、所持者が狂う。
そして、混乱の原因は戦いの後にすぐ忘れる。戦いにおいて、それが混乱をよぶから。

538名無しさん:2007/02/15(木) 17:12:19
添削スレなのでアドバイスさせていただきます。

空白行が多過ぎて読み辛いので減らしたほうが良い。
場面が変わる時とかに使うだけにした方が読みやすくなると思う。
あとはもっと句読点を使ったほうが良いと思う。特に行の終わり。
会話文と会話文の間に登場人物の動きを挟むともっと臨場感が出ると思う。
文体をできるだけ一つにした方が良い。
例)
>後藤は久馬の手から石を取り出した。なんだか、酷く熱くて火傷しそうだ。
 (前は「第三者から見た語り調子」後ろは『本人の語り』)
統一するならこんな感じで。
「後藤は久馬の手から石を取り出した。それは何故か酷く熱く、火傷をしてしまいそうな程だ。」
『俺は久馬の手から石を取り出した。何故か酷く熱くて、火傷しそうだ。』

話自体は本スレに落としても問題ないと思われます。では

539 ◆UD94TzLZII:2007/02/16(金) 20:44:27
レスどうもです。

句読点つけないのは癖です。すいません、読みにくいですね。
基本的に3人称得意じゃないんですが、本スレの話とかはこれが多いんでその方がいいのかと。

いろいろ手直し出来次第本スレ投下させてもらいます。

540 ◆RIz.umiCEo:2007/02/26(月) 23:05:52
能力スレの558です。
ハリセンボン編を書いてみたのですが、評価お願いいたします。


ーone caratー 前編


あるテレビ番組の収録前の楽屋。
女芸人コンビ――ハリセンボンの近藤春菜は眠気覚ましの飲み物を飲んでいた。
こういう飲み物は大抵不味い。
近藤は渋い顔をしながらそれを飲んでいる。
「……。」
突然、近藤はポケットからピンク色の石を取り出した。
「…春菜、もしかしてまた、あれ使うの?」
近藤は頷いた。そして呟いた。

『この飲み物、まあまあの味かな?』

ピンク色の石が光る。

光が飲み物のビンを包んでいく。

そして光が消えた。
ビンに変化が見られなかったが、「味」の方は確かに変わっているらしかった。
さっきとはうってかわって、近藤は飲み物を渋い顔一つせず飲み干した。
そんな近藤を見て、近藤の相方、箕輪は苦笑した。

541 ◆RIz.umiCEo:2007/02/26(月) 23:07:44
(手に入れた時期は同じくらいなんだけどな…。)
同じ時期に二人で手に入れた同じような石。
相方は、石を手に入れてすぐ能力が目覚めた。
今では相方なりの使い方をして、使いこなせるまでになっている。
自分の方は、目覚める気配すらない。

やっぱり、こういうのも気持ちの問題なんだろうか。

相方は比較的前に出て行く方で、積極的だ。
自分は比較的後ろへ下がる方で、消極的だ。
石の事も、相方は興味を示していたが、自分はあまり興味がなかった。
相方の石の能力が目覚めたときも、余り気にしていなかった。

ただ、最近の周りの状況から、石の事を気にせざるをえなくなってきた。
だけど、無理に気にする必要はない。まだ、焦る必要は無いはず。―――たぶん。


「何ボーっとしてんの?収録おくれるよ!」
「え?あ!」
時計を見ると収録開始まであと3分しかなかった。
石についてはまだ焦る必要はなかったが、彼女自身は、焦った方が良さそうだった。

542 ◆RIz.umiCEo:2007/02/26(月) 23:08:41
近藤 春菜

ピンクコーラル(女性にとってのお守りであり、不安を取り除き愛情豊かになると、伝承される。)
能力:「まぁまぁの○○かな?」と投げかける事で○○の中に入った言葉が「まぁまぁ」になる
(例 まぁまぁの料理かな?→どんなに美味しいor不味い料理でも「まぁまぁ」の味になる)

条件:まぁまぁの定義が曖昧なので良くなるか悪くなるかは本人にもわからない。
  (ただし良い物は悪く、悪い物は良くなる傾向性がある)
   力はあまり消費しないが、1日30回ぐらいが限度。
   また、力が切れると手首が痛くなる。

543 ◆RIz.umiCEo:2007/02/26(月) 23:11:26
前編終了です。
後編はまだ書き途中なので後日投下いたします。

544名無しさん:2007/06/16(土) 09:14:46
age

545 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:00:56
初めまして。小説作成依頼スレの156です。
千原兄弟の話を書いたので、添削お願い致します。
次から投稿します。

546 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:01:28
「ほんま、迷惑な奴らやな」
完全に気を失い倒れている二人の若手芸人を見ながら、一人の男がつぶやいた。


不思議な力を秘めた石なんて、自分には縁の無い話だ。
以前はそのように考えていた千原ジュニアこと千原浩史だが、
ほんの一月ほど前に石を手にしてから、あっという間に石による争いに巻き込まれてしまった。

それからは、名前も知らない若手芸人達に襲撃される事が多くなった。
彼らは、突然襲撃してくる事から、全員黒側の芸人だったと思う。
幸い浩史の石―チューライトは戦闘に適したものだったので、その都度、返り討ちにしていた。
今も、彼の石を奪おうとした若手芸人を倒したところである。


「あー…しんど」
石を使ったことによる疲労を覚えつつ、浩史は家路に着いた。

547 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:02:03
数日後、ルミネtheよしもとの楽屋にて。
楽屋には、浩史の他に、相方であり兄である千原靖史がいた。
浩史はふと靖史のほうへ目をやった。
靖史は、何やら熱心な様子でコンパクトミラーを覗き込んでいる。
「靖史お前、なに鏡なんか見とんねん。ブサイクな顔しとるくせに」
「ブサイクは余計や!…別にええがな」
浩史は「ふーん」と生返事をし、特に気に留めない事にした。


舞台が終わった後、浩史はいきなり誰かに呼び止められた。
見ると、プライベートでも仲の良い後輩がそこにいた。
「これからジュニアさんの家に行ってもいいですか?」
「ええけど…どないしたん?急に」
「ちょっと相談したいことがありまして…」


その後、浩史は、その後輩を連れて、自宅へと向かった。
相手の緊張をほぐそうと、酒を振る舞ったりもしたが、
相手は、なかなか話を切り出そうとしない。
「なんか今日のお前、おかしいで。何かあったん?」
すると、後輩は、ようやく話し出した。
「石を……貸してくれませんか?」

548 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:02:36
浩史は嫌な予感がした。以前も、このような事があったのだ。
「何でお前に石貸さなあかんねん」
浩史は後輩の申し出を断ったが、後輩はなお「本当に少しだけでいいんです!」と、しつこく頼んでくる。
これには浩史もさすがにイライラした。そして、とうとうブチ切れてしまった。
「あーー!もう、何やねん!お前もう帰れ!!」
すると後輩は黙り込んだ。そして、
「ジュニアさん……。…すいません!」
後輩は、いきなり浩史に襲いかかってきた。
(…こいつも黒側かいな。うっとうしいわー)
浩史は舌打ちをしつつも、精神を集中し始めた。ポケットの中のチューライトが光り出す。
そして、後輩の攻撃をぎりぎりで交わし、相手の顎にパンチを喰らわせたのだった。


殴られた後輩は、そのまま床に尻餅をついた。
その拍子に、彼の懐から黒いガラス片のようなものがこぼれ落ちた。
「黒い…欠片?」
以前噂で聞いたことがあったが、実物を見るのは初めてだった。
「これは…えーと、ある人が貸してくれて…それで、えっと」
後輩は、かなりしどろもどろな様子で答えた。
「それでそいつが『俺の石奪って来い』って言うたんか?」
「……」
「誰の指示でやったんや!言うてみい!」
後輩は、ほとんど泣きそうな表情を浮かべ、こう答えたのだった。
「…せ、靖史さんです……」


浩史は、ひとまず後輩を帰らせた。黒い欠片は、ゴミ箱に捨てた。
後輩の前では平静を装っていた浩史だったが、内心、かなり動揺していた。
(…まさか靖史が、俺を襲わせただなんて。ひょっとしたら、あいつ……)
その時、浩史の携帯電話が鳴った。番号を確認したが、見たことの無いものだった。
「はい」
『おージュニアか!俺や!』
「靖史!?お前、何で俺の番号…」
『マネージャーから聞いといたわ。それより、さっき家で後輩に襲われたやろ?』
「!」
『今から劇場近くのファミレスに来い。そこで色々と話がある』
じゃー後でな、と言うと、靖史は一方的に電話を切った。
ひょっとしたらワナかも知れない。しかし、今あった事を靖史から聞き出さなければならない。
(…まあ、襲われそうになったら石の力使えばええか)
浩史は、ファミレスへと向かった。

549 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:03:11
ファミレスには、既に靖史の姿があった。
浩史は、靖史の向かいの席へ座った。
「…一体何のつもりや。後輩使って俺を襲わして。あと何でお前、俺の様子知っとんねん」
浩史は、靖史を睨みつけながら言った。
「とりあえず落ち着け。順番に説明するわ。
まず理由やけど、単純にお前の石が欲しかっただけや。
あの後輩使ったのは、仲のええ芸人のほうがお前が油断するかと思ったけど、失敗してもうたわ」
「な…!?」
浩史は耳を疑った。やはり、靖史は……
「……黒側の人間か」
「おう」

「…何で、黒に入ったりしたんや!」
浩史は声を荒げた。
「…まあ、黒のほうが色々と面白そうやったからな」
浩史は、靖史がほんの少し悲しそうな表情を浮かべた事に気付いた。
今の質問は、聞いてはいけない事だったかもしれない。
浩史はひとまず落ち着いて、次の質問をした。
「じゃあ、俺の様子知っとったのは…」
「ああ、それな、俺の石の力や。
俺の石な、『こいつの様子が見たい』って思った奴を、鏡で見れんねん。
普段は黒の若手の様子を見とるけど、今日はお前の事を見てたわけや」
「そーいう事か」
浩史は、ルミネにいた時の靖史の行動を思い出していた。
他にも、靖史は黒ユニットについてを事細かに説明した。

550 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:03:32
「ところでお前…黒に入る気無いんか?」
いきなり、靖史が尋ねてきた。
「入るわけないやろ」
浩史は、うんざりしながら答えた。
「しゃーない。今日のところは見逃したるわ。お前の石もいらん。
もし黒に入りたくなったら、いつでも俺に言え」
「…誰が言うか。ボケ」

「じゃー俺は帰るわ」
そう言うと、靖史は立ち上がった。
「待て。最後に、もう一つ聞きたい事があるわ」
「ん?何や?」
「…何で俺に黒の事色々と説明したんや」
「お前、白側につくつもりも無いやろ。だからや」
図星であった。実際、白と黒のユニットの争いには興味が無かったのだ。
「せいぜい、他の黒の芸人には気ぃ付けや」
そして靖史は、ファミレスを後にした。

551 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:03:51
翌日、浩史は家で煙草を吸っていた。
昨日あった様々な事を、ぼんやりと思い返しながら。
浩史にとって、最も身近な人間が黒だった。
もう今までと同じようにはいられないだろう。靖史が、吉本の後輩をけしかける事がまたあるかもしれない。
(…ったく、しょーもない兄貴やな)
それでも、白側に付くつもりは全く無い。
靖史の事は、必ず自分でケリを付ける。相方として。弟として。
そんな事を思いながら、浩史は、二本目の煙草に火を点けた。

552 ◆xNBhsxtsB6:2007/07/07(土) 13:04:22
千原せいじ
石:ブロンザイト(偏見の無い公正な洞察力)
能力:持ち主が今様子を見たい物(人・動物・物)の様子を鏡に映す。
その物が居る(ある)場所までは分からないが、近くだと鮮明に、遠くだと
ぼやけて映る。
条件:持ち主が鏡の近くにいて、「○○の様子を見たい」と念じなければならず、
念じる力が大きければ広範囲が見れるが、疲労も大きくなる。


千原ジュニア
石:チューライト(霊的な感性に恵まれて、直観力、洞察力を高めるとされる)
能力:反射神経が数倍になり、相手の攻撃を避けやすくなってカウンターが出来るようになる。
条件:神経を研ぎ澄まさなければならない。研ぎ澄ますまでは無防備。
疲労が大きいため、1日10回出せればいいところ。(その日の体調で回数が減ったりする)

2人の石の能力は、能力スレの323と333から持ってきました。

553 ◆wftYYG5GqE:2007/07/07(土) 13:07:18
以上です。後半は会話だらけになってしまいました。
一応靖史を黒ということにしましたが、問題無いでしょうか。
ご指導、宜しくお願いします。

554名無しさん:2007/07/07(土) 13:08:18
あれ、トリップおかしいですね…orz
一応、553=554です。

555 ◆wftYYG5GqE:2007/07/07(土) 13:19:15
552=553でした…何度もすみませんorz
今度からは、このトリップにします。

556名無しさん:2007/07/07(土) 20:06:34
乙!
面白かったし本スレ投下していいと思う

557 ◆wftYYG5GqE:2007/07/08(日) 11:35:56
>>556
ありがとうございます。
近いうちに、本スレに投下しに行きます。

558ヴィクラモールヴァシーヤ ◆XNziia/3ao:2007/07/28(土) 05:20:52
【序曲】

右手を掲げ、ふと手首にぶら下がっている石を見つめる。
ライラック色の美しい石には陽の光が差し込み、高佐は思わず目を細めた。
美しくも、どこかに魔力を感じる、そんな石。
『常時身に着けてなくてはいけない』そんな気持ちにさせる力が、この石にはある。
最初は気味が悪かったし、何度も捨てた。だが、気がついたら鞄に入っていたりと、自分のもとへ戻ってくるのだ。
それが彼にはこれから起こる不幸の予兆のような気がしてならなかったのだが、
折角こんな綺麗な石がタダで手に入ったのだからと思い直し、業者に頼んでブレスレットにしてもらったのだ。
その業者によるとこの石はクリーダイトと言い、ライラック色はその中でも人気が高いものなのだそうだ。
高佐はそれを聞いて尚更手放す気はなくなった。
「(…そういえば、オジェは?)」
尾関は、石を持っていないのだろうか?そんな疑問が高佐の頭に浮かぶ。
気がついたら高佐は枕元に置いてあった携帯電話を開いていた。

ルルルルル ルルルルル
ガチャ
『んーどしたー?』
「あのさ、オジェ。ちょっと聞きたいことあるんだけど。」
『ネタのこと?』
「いや、違う。最近、誰かから石貰ったりしなかった?」
『石ぃ?何でまたそんなこと』
「いいから!」
『あぁ、貰ったよ。石…つーかブレスレット。ファンの人から貰ったんだけどさー、超綺麗なの。』
「…そう、そうか。うん。わかった。有り難う。明日、ネタ合わせ遅れないでね。」
『こっちのセリフだっつの。じゃあな〜』
プツッ

―−偶、然?いやそれにしちゃ出来すぎてないか?
誰かが仕組んだ?いや、そんなの、無理だろ。そこまでして単なる石を持たせる必要性って?
「…単なる、石じゃなかったら?」
ボソリと呟く。石になんか不思議な力でも、あるっていうのか。
「(そういえば)」
そんな話、聞いたことある気がする。
不思議な石の力を使って先輩の芸人さん達が、戦っているとかいないとか。
御伽噺や嘘話の類かと思い聞き流していたが…。
「(いよいよ、信じなきゃいけない感じかな)」


薄暗い部屋で、数人の男が話していた。
一人は知的な雰囲気を漂わせ、ノートにペンを奔らせている。
「調子はどう?『シナリオライター』。」
「…」
「あぁ、そうだ、力を使っている間は話しかけても夢中だったんだっけ。」
クスクスといやらしい笑い声をあげる男。
それを無愛想な顔で見つめるガタイの良い男性。
先程までペンを奔らせていた男は、ピタリと書くのをやめ、ペンを置いた。
「おっ、終わった?」
「えぇ。まぁ、とりあえず、は。」
「どうよ?出来のほうは。」
そう問われ、男はふっと笑う。
ノートをパタンと閉じ、
「なかなかの出来じゃないでしょうかね。」
それを聞いて安心したように男は良かったと呟く。
「…ちゃんと彼らを引き込めるんだろうね、『こちら側』に。」

「えぇ。…設楽さん、土田さん。」

559ヴィクラモールヴァシーヤ ◆XNziia/3ao:2007/08/02(木) 13:39:57
申し訳ないですがこれで一応ひと段落です
スマソ 名無しに戻ります

560ふしぎなくみあわせ:2007/08/04(土) 21:32:52
思いついて書いてみました。
なんだか不思議な組み合わせです。

561ふしぎなくみあわせ:2007/08/04(土) 21:33:09
東京の片隅、いわゆる「隠れ家」的なバー。

深夜と呼ぶにはもはや遅すぎる時間帯だ。高い位置にぽっかりと空いた窓から見える空はもう白み始めている。
閉店時間が迫っているせいもあり、カウンター座っている二人の男以外に、客はいない。
二人の男は、何も話さなかった。黒いシャツを着た男は青い色のカクテルを呷り、眼鏡をかけた男はウーロン茶を飲んでいた。
カクテルを飲み干した男は、空になったグラスを脇にどけた。店員は何も言わずにグラスを取り、店の奥へと消える。
それを見送り、黒シャツの男は傍らの男に話しかけた。
「あのね、是非こちら側に欲しい子がいるんだよね。」
眼鏡の男は何も言わない。俯いたままウーロン茶をまた一口飲む。
話を聞いているのかどうかわからない。ずっと、美味しくなさそうにちびちびとグラスに口をつけるだけだ。
「結構頭いいからね、きっと役に立つと思うんだ。力もね、こっち向きなんだよ。今は向こう寄りではあるんだけどさ、まだ完全にくっついたわけじゃあないみたいだし。」
お構いなしに、黒シャツの男は続ける。どこか芝居かかった口調は、酒のせいもあるのだろうか。
「それにね、そいつの相方、詳しく言えばその相方の力がね、こちらとしては手に入れたらだいぶ有益だと思うんだよね」
そこで初めて、眼鏡の男は顔を上げた。青白い顔を照明が照らす。
やっと興味しめしてくれたね、と黒シャツの男は笑う。
「それは、誰だ?」
探るような言い方で、眼鏡の男は問う。
「協力してくれんなら教えてもいいよ。『シナリオライター』さん。」
「…いいだろう。」
ついでにその呼び名はやめてくれ、と眼鏡の男…小林は引き攣ったような苦笑いをする。
鞄からシャーペンとスケッチブックが取り出し、スケッチブックのページをめくる。
しかし黒シャツの男、設楽の口から出た名前に、その動きは止まることになった。
「麒麟。麒麟だ。」

562黒猫:2007/08/06(月) 15:48:53
医者に日本語力が無いと言われましたが、頑張って書いてみた。

なんかアドバイスください!

563黒猫:2007/08/06(月) 15:49:11
ますだおかだ短編


「増田ぁ。」
「なんや。」
「週明けって特に用事ないよな。」

突然の岡田からの質問。
2人は前の仕事を終え、次の仕事に向かっていた。
岡田は車から見える外の景色を眺め、俺は新聞を読んでいた。

Piririririri

突然岡田の携帯がなった。
どうやらメールらしく、しばらく画面と向き合い俺に尋ねたのだ。

「特に無いはずやけど・・・なんで?」
「いやな、俺さ、この間のイベントであのロザンの宇治原呼んだやん。」
「あぁ、呼んどったなぁ。」
「でな、その宇治原からな、今度お互いの相方も連れて4人で会いませんか?って来たから。」
「ふ〜ん・・・まぁ、用事もないしええけど。」
「ん、分かった〜。」

そう言ってまた画面と向き合い返事を打ち始める。

「・・・大丈夫なんか?」
「んっ、何が?」
「何がって・・・・【石】の事や。」
「・・・・・・あぁ〜。」

そう言って岡田は自分の首につけてるネックレスの無彩色と暗い青の石を、俺も携帯につけてるストラップの淡い青の石に手をやった。


今芸人の間で流れている【石】の話。
持ってると不思議な力が使える、それを巡って芸人同士が白と黒とに別れ争っている等・・・。
もちろん、俺らも例外ではなく・・・


「疑ってるんか?」
「いや・・・まぁな。」
「大丈夫やろ。あの子頭エェし、それくらいの事は分かるやろ。」
「そうか・・・。」
「ま、いざって時は増田さん頑張って。」
「俺頼りかい!」
「やって、俺の石2つとも攻撃に向いてへんもん。」
「お前なぁ・・・。」
「だってホントの事やん。」
「そりゃそうやけど・・・。」

そう、俺の石『ブルーレースメノウ』は攻撃系、一方岡田の石『コランダム』と『ピーターサイト』は防御・補助系の能力を持つ。

「ええやん、お前の事頼りにしてるって事なんやから。」
「ふ〜ん・・・・、まぁそれなら岡田さんも補助やらいろいろ頼むよ。」
「お〜。」

まぁ、岡田さんがそういうなら信じますか。

「ますおかさ〜ん、もうそろそろつきますよ〜。」
「「は〜い。」」

564黒猫:2007/08/08(水) 14:40:59
岡田圭右(ますだおかだ)
石:1・ピーターサイト(理想の石・目標に近づくための方法を持ち主に感づかせ、実現させる力を与える)
  2・コランダム(鋼玉。多結晶の塊は加工して研磨材などに使われる)
能力:1・岡田が向いている方向にシャッターを作りだし、石の能力を無効化する。
     シャッターの有効時間は5秒程度。
     一定時間経つと、がらがらと開く。
  2・触れた物の表面の摩擦係数を少なくする。(スベリまくるようにする)
     力の調整しだいで、スベりやすさは変わる。(床に使えば「うまく立っていられない程」にも「走ろうとすると転ぶ程度」にも出来る)
     対象は無生物に限り、複数の物に使うことも可能。
条件:1・真っ直ぐ立った状態から「閉店がらがら」をする事。
    ポーズを取った時岡田が向いている方向にシャッターが出るため
    ポーズ前に方向転換し、シャッターの場所は変えられるが、ポーズ中・ポーズ終了時に方向転換をしてもシャッターの場所は変わらない。
    また、連発は出来ず最低20秒程の間隔が必要。
  2・「パァ!」のフレーズで発動。「閉店ガラガラ」で効果を消す。
     岡田の意思で取り消さない限り効果は持続するが、意識が無くなるか体から石が離れるとすると、その時点で消える。
     一日に合計20㎡程度が限界。
代償:1・発動後しばらく石で受ける影響が大きくなる。(説得を受けやすい、治療されやすい等)
    一度だけ面白いギャグを言ってしまうオプション付き。


増田英彦(ますだおかだ)
石:ブルーレースメノウ(どこかの国で、神の石と崇められてる)
能力:投げる力を増幅する。
  とにかく、持ったモノを投げる力が上がる。
  野球で言うと、160km/分位の早さ。
条件:片手で持てる大きさのモノに限る。
   また、使用しすぎると腕に大きな負担がかかる。
  投げたモノが投げた瞬間の力を持続できるのは、3秒。

【提案】新しい石の能力を考えよう【添削】に書かれていた物で考えました。

565名無しさん:2007/08/08(水) 23:26:03
皆さん乙。だれもいないようなので添削。


>>558
表現がすごくいい。ただ構成があっさりしてるからもっと細かく書いてくれると読み応えがでると思う。
あと、気になったんだが2人の口調ってそんな感じだった?あまり聞く機会ないけど。

>>561
まとまった文章で光景が目に浮かぶようだった。続きあるのかな?

>>563
台詞がリアルだから文章に入っていけた。状況とかはわかるんだけど、増田の語りなのに文章が簡単すぎる。もっと心情とかが欲しいと思った。



えらそうに書いたが皆さんに期待。

566ヴィクラモールヴァシーヤ ◆XNziia/3ao:2007/08/09(木) 22:20:10
>>565さん
添削ありがたいっす。
一応何回か御話させていたのとライブで軽く話しているのを
聞いて、自分なりのものを作っていったつもりです。
やはりまだ露出の少ない人はむずいですねorz

567名無しさん:2007/08/10(金) 06:57:09
>>566
自分があまりフリートーク聞いたことがないから違和感があるだけかもしれない。
>>566がそういう口調だと思ったのならおそらくそちらの方が正しい。すまんが添削の口調についてはスルーしてください。

ギース好きなんで話読めて嬉しかったよ。

568561:2007/08/10(金) 10:31:07
>565
添削ありがとうございます。
一応続きは考えているのですが、麒麟は他の書き手さんがまだ使っている(とは言ってももう一年前くらいになりますが…)のと、
麒麟が黒の上層部と出会うという大きな局面であるので続きを投下していいものか…。
というか、悩むんだったら廃棄スレに行けばよかったんですよねorzすみません

569黒猫:2007/08/11(土) 12:27:45
>>565
添削ありがとうございます。
そうですよね、自分でも増田さんならもっと・・・って感じがします。
もうちょっと頑張ってみます。
はぁ・・・考える力が欲しい。

570名無しさん:2007/08/15(水) 21:37:03
>>568
よければ続きが読みたい。確かに本編ってことにすると不都合が起きそうだが、>>568の言うとおり短篇って形で添削スレか廃棄スレに投下すれば問題ないと思う。この過疎りっぷりだし、本編の進行の話し合いもできないだろう。
期待して待ってるよ。

>>569
えらそうかもしれないけど、何回か客観的に読み返してみてわかりにくいかなーとか増田だったらこんなこと考えるんじゃないかなーとか思う所を書き足してみるといいかなと。あと、どんな状況かも書いてくれると読みやすい。

571561:2007/08/22(水) 02:37:06
>570
どうもありがとうございます。
とりあえず番外編(パラレル?)として、廃棄スレに投下することにしました。

早く前みたいにたくさん人が戻ってきてくれると嬉しいんですけどね…orz

572名無しさん:2007/08/27(月) 00:05:28
>>571
期待。
過疎ってるけど人はいるようだし、あくまでネタスレだからヒッソリマッタリやるのもいいとおも。

5731/2   ◆s8JDRQ.up6:2007/08/30(木) 15:15:46
ギースの短編です。
書いたくせにお二人の性格と口調がよくわかりません。
それも含めて添削おながいします。



*****



石を、拾った。

道端に落ちているはずのない石を。
装飾品をあまり付けない男の部屋にあるはずのない石を。
ジーンズのポケットに気付かないうちに入っているはずのない石を。
幾度となく捨てても気が付けば自分の元へ戻ってくる『宝石』を。


奇妙な事だと左手首のブレスレットを蛍光灯へかざす。
銀の冷たい輝きのなか、穏やかな色彩は芯のある強さを訴えているような気がした。

例えるならば
砂塵が丁寧に洗い流された雨上がりの空を、蜘蛛の糸で絡めとった欠片。
無機物でありながら、意志を持つかのごとく俺の生活に入り込み、その青に俺は瞳を奪われたのだ。

5742/2 ◆s8JDRQ.up6:2007/08/30(木) 15:18:48
『クモの巣ターコイズ』というものだと教えてられたのはつい最近の事だった。
どちらも調べてみたんだけど俺はクリーダイトっていう石だったんた、と装飾品のライラック色の石を俺に見せた男は、茶色の頭を傾げていた。

「やっぱり、あの話は本当だったんだ。」

目を伏せため息を吐く相方は、不健康な痩せ方のせいか不安と困惑を隠し切れないように見えた。

「芸人の間で出回っている不思議な力を持つ石なんて、誰かの冗談だと思ってた。」

俺はその時、噂に聞いた芸人の原因不明の負傷を思い出しながら、そうだねと言ったと思う。

特異な力は時に不幸を呼ぶからだ。


俺たちもいずれ何かしら人間の力を超えた能力に目覚める事になるんだろう。

それは修羅場に堕ちた能力者たちを、空へ引き上げる蜘蛛の糸なのだろうか。
石はその糸を俺の目の前に垂らしたということか。



もし、私欲のため切れてしまったら。



「尾関、そろそろネタ合わせ始めよう。」

「・・・あぁ、うん。」



まだ石は沈黙を続ける。




******

以上です。切れてないといいな。

575 ◆s8JDRQ.up6:2007/08/30(木) 15:22:34
誤字ハケーン

×→教えてられた
○→教えられた

576①高佐編/ヴィクラモールヴァシーヤ ◆XNziia/3ao:2007/08/31(金) 13:55:21
追いかけてくる

何かが

恐ろしいほどに禍々しい

何かが

俺は必死に逃げていた。何かからかは分からない。
ただ恐ろしい"何か"。必死に、必死に、逃げていた。
それに手首を掴まれ、俺は振りほどこうとする。だが、手首を掴む恐ろしい力は離れない。
せめてそれの正体を見てやろうと俺は振り返る。そこにいたのは―−

『何で逃げるんだよ、俺?』

間違いなく、そこにいたのは自分だった。

そこでプツリと何かが途切れた。


高佐は夢から醒めた。シャツは汗でぐっしょりと濡れ、先程の夢を思い出させた。
起き上がり、自分の頭をくしゃりと撫ぜた。
「(今の、は)」
こんな恐ろしく奇妙な夢を見たのは初めてだった。
二度とあんな夢はみたくない。そう思いながら今は何時かと携帯電話を開いた。
「…はぁ。」
早朝五時十五分。眠りについてからおよそ三時間であった。
ふと右手首にぶら下がる美しいそれを見る。ぴん、と左手で弾く。
「…お前のせいか?」
もう一つ溜息を吐き、高佐は初めて無機物を恨めしく思った。


今日は尾関とネタ合わせ。自分が遅れるな、と言ったので遅れるわけにはいかない。
高佐はしかたなくそのまま起きていることにした。とりあえずぐっしょりと濡れた寝巻きを何とかしよう。
「(汗かいてるし風呂はいろ)」
妹を起こさぬように息を潜め、こっそりと風呂に向かったのは余談である。


風呂に入りながら、高佐は考えていた。
ネタの事、妹のこと、アルバイトのこと。そして、石のこと。
あの美しい色の石にはどんな力があって、自分達にどんな運命をもたらすのか―−。
少し前に聞いた御伽噺としか思えない話を思い出した。

石は持ち主を選び、その石を手にした人間は必然的に戦いに巻き込まれていく
持ち主は芸人が殆どで、芸人達は各々の信念で『白』になるか『黒』になるか、『灰』になるかを決める
なかには無理やり引き込まれる人間もいる

もし、自分がどこかに入らなくちゃいけなくなったら?
「…だとしたら、迷わず」
灰を選ぶだろう。正義でもなく、悪でもない『中立』。
だがそれはあくまで誰にも干渉されなかった場合の意見。もし、尾関や妹を人質にとられたら
「(でもそこまでするのか?)」
いや、するのか、という疑問は大したことじゃない。する可能性はなくはないのだ。

(尾関がいなくなったら俺は、多分、コントを出来なくなる。)
(俺は書けないわけじゃない)
(でも、アイツの台本で演じたい)
(どこまでのしあがれるのか、そう考えただけでワクワクする)
(――この厳しい世界で)

右手をグッと握る。先程までとは違う。もう、迷いはない。
「(アイツがどうしたいのかちゃんと聞こう)」
「(それで俺の意見も言って、それから二人で考えればいい)」



――俺達はコンビなのだから

577①尾関編/ヴィクラモールヴァシーヤ ◆XNziia/3ao:2007/08/31(金) 13:59:14
昨日、彼の様子がおかしかった。
俺が言うのも何なのだが、本当におかしかったのだ。
声は微かに震えていて、ネタに関する質問なのかと思えば最近石をもらったか、だとさ。
正直言って彼がおかしくなると困るのだ。ストッパーがいなくなる。
「…(まぁ、いいや、そんなこと。)」
しっかりとした、アイツのことだ。すぐにペースを戻すだろう。
尾関はそう考える。話題にあがった石を見つめた。光が綺麗に透き通る石。
ふとこの石はなんと言う名前なんだろう。そんなことを考えた。
「高佐に調べてもらお」
携帯電話で写真をとり、メールを作成。
「(ちょ っと な ま え し ら べて お い て !)」
送信ボタンを押して携帯電話を閉じる。
やや乱雑に携帯電話を放って、尾関は布団に倒れこんだ。


「(そういえば)」
何であんなに必死だったんだ?
疑問が一つ浮かび上がる。見たところただの綺麗な石。何か変な噂でもあるのか。
…まぁいい、気に留めるほどのことでもないだろう。
今日はネタ合わせだ。あんなに必死になった理由と、石の名前を教えてもらおう。


待ち合わせの時間まであと四時間。尾関はアラームをセットして、眠りについた。

578ヴィクラモールヴァシーヤ ◆XNziia/3ao:2007/08/31(金) 14:00:17
ここでひと段落的な感じで。

>>573
いい感じだと思いますよー。
ギースさんは仲良しなんでそんな感じかと

579ヴィクラモールヴァシーヤ ◆XNziia/3ao:2007/08/31(金) 14:00:51
とりあえず本スレのほうに序曲投下したいのですがおkでしょうか?

580名無しさん:2007/09/01(土) 20:53:11
ぜひ!本スレもしばらく停滞中なんで、盛り上げてほしいねえ

581名無しさん:2007/09/04(火) 01:39:43
はじめまして。アンジャの話書いてみました。
多分アホみたいに長くなりそうですが、投稿してみてもよろしいでしょうか?

582581:2007/09/04(火) 01:41:42
↑すみませんさげ忘れ…最悪だ…!!

583名無しさん:2007/09/04(火) 04:25:07
いいですよー

584581:2007/09/04(火) 14:26:55
ありがとうございます
ではとりあえず書けた分だけ投下します…

585581:2007/09/04(火) 14:27:22
しまった、と思う時には、すでに遅すぎる。
何でもっと早くに気付けないんだろう。
今となっては、それも無意味な思考かもしれないけれど。


とある日。児嶋は、楽屋の椅子に腰掛けて一人紫煙を燻らせていた。
タバコを咥えたまま、ジーパンのポケットから銀色のゴツいブレスレットを取り出す。
トップに埋め込まれているのは、綺麗な宝石。名前は知らない。
「…怪しいよな、やっぱ」
ぼそりと独りごちる。右手でチャラチャラ弄んでみるも、意味は無かった。

先日、差出人不明の小包が届いた。中身は、この高そうなブレスレット。
熱狂的なファンからのプレゼント?なんだか悪いなあ。
送り返そうにも宛先は謎だけど。
母親からのプレゼント?宛名ぐらい書けっての。
電話で確認してみたが、違った。謎かよ。
じゃあ悪徳商法か、何かか?クーリングオフとか効くのかな。
いや会社の住所は謎なんだけどさ。

586581:2007/09/04(火) 14:31:00
(…渡部、遅いな)
とりあえず思考を逸らした。考え続けたところで、どうせ答えは出ないだろうから。
壁時計を見上げ、自分が早く来すぎていることにやっと気付く。
手元の灰皿にねじ込まれた吸殻が多すぎることにも気付き、目を見開く。それ程の量だった。
児嶋は一旦タバコを置き、再びブレスレットを摘み上げた。
トップの石が白い輝きを放ちながら揺れている。
角度を変えると、何色もの色が輝いた。虹色。やっぱ高そうだな、と思う。
じいっとそれを見つめていると、児嶋は、なんだか自身が透けていくような錯覚に襲われた。

途端、すうっと雑音が消えていく。静寂。
背景に溶け込んだ自分を、かき消すように紫煙が通り抜けて――

そこまでイメージした所で、思い出したように瞬きをした。
石は、相変わらず澄ました顔でぶら下がっている。無視されている気分になり、少し苛立つ。
(…渡部なら訪問販売のバイトとかやってたらしいから、何か分かるかもしれないな)
しっかり者の相方が、しかし時間にはルーズであったことを思い出す。
早く来てしまった分、待ち時間は相当長くなりそうだ。大げさに肩を落として。
ともあれ気を紛らわそうと、さっきのタバコを咥えた。
不安混じりの溜め息は長くて、白かった。

587581:2007/09/04(火) 14:40:44
楽屋へと向かう渡部の足取りは、軽やかだった。
Tシャツの中に隠しているが、細身のシルバーペンダントはそこに存在している。
トップには水晶。透明な光は、すべてを浄化してくれるような気さえした。

不思議な「石」については、聞いたことがあった。
芸人たちの滾る情熱が結晶として具現化されたものだ、といっても過言ではない、それ。
最近若手芸人の間で出回り始めたらしいが、まさか自分の元にも来ようとは。

「どんな能力なんだろう…」
わくわくして独りごちる。服の上から胸をなでると、石の存在が実感できた。
渡部はその性格上、こんなに夢のある話を黙っていたくなかった。
(言いふらしたい。先輩、後輩、同期。いや、素人の友達でも、いっそ犬でもいいや)

だがもちろん、それが利口な行動でないことは知っている。
自分の石の情報を知る者が増えると、それだけ危険も高まる。
知られた自分も、場合によっては、知った相手にも害が及ぶかもしれない。

本能、というより、冷静な”もう一人の自分”が、そう理解していた。
故になんとか気を紛らわせるべく、親指の爪を、噛んだ。

588581:2007/09/04(火) 15:58:00
とりあえず一旦ここまで…また書けたら投下します
愛あるツッコミやアドバイス、よろしくお願いします

589581:2007/09/05(水) 11:38:31
おっす。後ろから声を掛けられ、渡部は振り向いた。設楽だ。
そういえば、今日はバナナマンと同じ番組に出るんだった。そう思い出す。
渡部も挨拶を返し、二人は並んで歩き出した。
「あれ、なんか嬉しそうじゃない?」と設楽。
何だ、ばればれなのか?ともあれ口から爪を離して。
「そうでもねえよ。あ、統は…、」思わず石のことを尋ねそうになり、しかし口をつぐんだ。
「ん、何?」
いや、こいつなら仲良いから別にいいかな。いいよな。
「その…聞いたことあるか、『石』のこと」
とはいえ当たり障りのない質問にした。自分が石を持っていることは漏らすべきではない。
…と思う。多分。
「あー、芸人の間に出回ってるってやつね」
都市伝説じゃねえの、と軽く笑われる。当然かもしれない。
渡部は、ところがどっこい、という台詞を必死に飲み込んで、続けた。
「いやさ、もし本当だったらカッコイイなーと思って」
「ああ確かにね。めちゃくちゃ欲しいもん、俺」
「お、マジで?」
「そりゃーそうでしょ。こう…”選ばれし者”みたいな?」
「ははは、漫画読みすぎだって!」
「そっちがフッたんじゃなかった?」
他愛無いやり取り。こいつは持ってないんだな、と何故か安心する。

くだらないことで笑い合ううちに、目的地の目の前まで来ていた。
番組は同じでも、それぞれ楽屋は違った。渡部は左、設楽は右の部屋へ。
ありふれた日常の、ほんの1ページ。
…と思う。多分。

590581:2007/09/05(水) 11:43:33
楽屋のドアが開き、児嶋は、待ってましたとばかりに顔を上げた。
目線の先には、はたして渡部の姿があった。親指の爪を噛んでいる。
相方のいつもの癖だったが、今日は、なんだかいい事でもあったかのように見えた。
尋ねてみると、渡部はすぐに口から爪を離した。
…まあともかく、相談するには良いタイミングだろう。
「あのさ、ちょっといいか」児嶋は、思い切って話を切り出した。
渡部は、何だ改まって、と荷物を降ろしている。やっぱり機嫌は良さそうだ。ラッキー。
そうして児嶋の向かいの椅子に座ったところに、例のブレスレットを見せてやった。
「…要らねえよ、気持ちわりいな」
「お前にじゃねえよ」
あからさまに嫌悪を示されたので、ツッコミを入れる。
「で、何よそれ」渡部はまだ眉をひそめたままだ。
「送られてきたんだよ、こないだ」
「マザコンめ」
「いや、差出人不明なんだって」
そう言うと、渡部の顔つきが急に真剣みを帯びた。
「ちょっと貸して」
言われたとおりそれを手渡す。ああ、やはり心当たりがあるのか。
まさか、その筋では有名な詐欺だったりするのだろうか。
児嶋は緊張しながら、いまや鑑定士となった相方を不安げに見つめた。

591581:2007/09/05(水) 11:47:59
ブレスレットのトップにある綺麗な宝石を見て、渡部は確信した。
これは「石」だ。都市伝説なんかじゃない、あの「石」だ。違いない。
「…オパールだな」
渡部は、それだけ呟いてブレスレットを返した。
「やっぱ高そう?」おそるおそる、児嶋。
「ああ、本物っぽいからなあ。大事にしろよ」
「って、大丈夫なのか、そのなんていうか、法的に…」
「心配ねーよ、…っていうか、お前も芸人だったんだな。忘れてた」
「はああ!?」
さっぱり分からない、という様子で聞き返される。
(フツーに何にも知らなさそうだな、こいつ)
溜め息をつくと、渡部は説明を始めた。
「『石』って聞いたことあるか?」

簡単な説明を受けた児嶋は、怪訝そうな表情を浮かべ腕組みしていた。
「つまり…俺とお前は”選ばれし者”ってことか?」
そう言って自身のオパールと渡部の手元に置かれた水晶を交互に指差している。
「うーん…じゃ、そういうことでもいいか」
適当に頷く。こいつも漫画の読みすぎだな、と苦笑が漏れる。
「どんな能力なんだろう…」
心配そうに独りごちて石を覗き込む児嶋。渡部と正反対のリアクションだった。

592名無しさん:2007/09/05(水) 20:26:58
なんか反応がアンジャッシュらしくて、考え方とかもリアルでいいなあ
続き期待

593581:2007/09/06(木) 00:28:31
うおお、ありがたき幸せ!
これからもちょっとずつ投下していきますのでご指導よろしくです

594581:2007/09/06(木) 00:42:11
渡部が自分の能力に気づいたのは、その日の収録終わりだった。
自販機前の長椅子に座り、右手の缶コーヒーを一口。熱くて苦い。
そこに「お疲れさん」と呼びかけてきたのは、上田だった。
その右手には缶ジュース。見たことのない派手な柄だった。何味なんだろう。
「お疲れ様です…最近忙しそうっすねえ」
苦笑混じりに、渡部。皮肉ではなく、心からの労いだった。
おかげさんでな、と笑んで、上田は缶の封を切った。シパッ、と清々しい音。
「あの、上田さん」
隣に腰掛けた先輩に再び口を開く。何か話さなくては。ええと。
「何だ」
「…あー、どうです最近」
「アバウトだな」
円周率か、と呟きジュースに口を付けている。それにしてもカラフルな缶だ、と思った。
「もうちょい具体的に聞いてくれよ」
「そうっすね、じゃあ…味とか?」
「うは、何じゃそりゃ!中身吹き出すとこだったぞ、はは」
「何だちょろいな…」
冗談めかして呟くと、くしゃくしゃの笑顔に額をはたかれた。

595581:2007/09/06(木) 00:56:44
「…で、どうなんです?味」
再び問う。適当に質問したことだったが、一応答えは得ておきたかった。
「おう、果物だってのは分かんだけどなあ」
そう呟き、上田は首をひねりながらもう一口含んだ。しかしますます眉を寄せて。
「…あれー?何の味だっけこれ!分かりそうで分かんねえぞ」
「缶には書いてないんすか?」
「『トロピカル』…って広いな!結局何味だよ!」缶にまでツッコむ先輩に感心。
じゃなくて。うわ、気になる。どんな味なんだろう。当ててやりたい。

俺も、飲んで味わってみたい。

そう考え、渡部は冗談半分に目を閉じ、念じてみた。気分は超能力者。
すると。
途端、口いっぱいに甘酸っぱい感覚が広がる。
閉じたはずの目の前には、カラフルな缶。「トロピカル味」と書かれている。
その缶を握る右手には、確かに冷たい感触。缶コーヒーはどこへ消えた?
これじゃあまるで、

俺が上田さんになってしまったみたいじゃ、ないか?

596581:2007/09/06(木) 01:07:46

「この状況で寝たフリってあるかいっ」
豪快な笑い声と共に頭をはたかれ、渡部はハッと目を開けた。
自分の感覚が戻ってくる。コーヒーの苦い後味。右手に握っている硬い熱。
瞬きを繰り返す。辺りを見回す。視力は正常だった。
どうした、と不思議そうに自分を見つめる上田に向き直って。
「パインと、…マンゴーあたりっすかね」
自信はあった。
上田は少し考えて、「それだ!」と顔を輝かせた。「お前すげえな」、と。

結局それから少し会話を楽しんだ後、上田は次の仕事のため立ち上がった。
「じゃ体に気をつけろよ」と言って去ろうとする先輩に、
「むしろそちらが」、と笑った。
仕事の量は、圧倒的に上田のほうが多いに決まっているので。

残された渡部は、缶コーヒーを一気に飲み干した。ぬるくて苦い。
甘酸っぱい後味は、もう無かった。

597581:2007/09/06(木) 01:21:12
その日を境に、渡部は石の能力を小出しに使用し、実験するようになった。
そうして分かったのが、自分は目を閉じて念じることで他人と「同調」できるらしいこと。
対象人物一人の見るもの、聞くもの、味わうものなどを共有できるらしいこと。
つまり、相手の五感を探る事ができる、ということ。しかも、本人に気付かれずに、だ。
あと、どうやらそれは自分の目の前にいない人物でも可能だということ。
また、同調している最中は自分の体が全くの無防備状態になってしまうという、こと。

「…なあって!」
不意の大声に驚き、「同調」を解く。
目を開けると、児嶋がバックミラー越しに自分を睨んでいた。
今は、児嶋が運転する車で仕事に向かう最中だった。
一人後部座席に揺られる退屈を紛らわすべく、さっきまで山崎に「同調」していたのだ。
居酒屋らしきところで仲間と飲んでいた後輩は、相変わらず大声で喋り散らしていた。
店の熱気と喧騒から帰ってきた今も、耳に違和感。相方のせいではない。
「寝るなよ、人が話してる時に」苛立った様子で、児嶋。
「寝かせろよ、退屈なんだから」
「退屈ってあるかい、相方が喋ってんだよ!」
「わりいわりい」魂を込めずに謝ると、渡部は窓から遠くを眺めた。
何でさっさと焼き鳥食わねえんだよ、と山崎のおしゃべりな性格を、恨んだ。

598581:2007/09/06(木) 10:42:32
ありがたいことに氏ねって言われてないし、
なんかアイディアも湧いてきたので一気に書いちゃいます!

599581:2007/09/06(木) 10:58:52
児嶋は、局内の喫煙コーナーに足を踏み入れた。
濁った独特の空気の中、タバコを咥え、一人思考する。
(渡部の様子が、おかしい)
最近相方が頻繁に居眠りをすることには、とっくに気付いていた。
ほぼ毎日。しかも、時にはこちらが話している最中にさえも、目を閉じている。
おかしい。一体どうしたのだろう。極度の疲労なのか?
そういえば、顔色も悪くなった気がする。気のせいだと思いたいけれど。

…いや、実は、心当たりがあった。
「石」だ。
俺は馬鹿だけど、頭が悪いわけじゃあない。
あいつは何も言わないけど、もしかして何か能力が目覚めたんじゃないか?
その能力を使った反動で、疲れが出ているんじゃないか?
……。

「…って、漫画の読みすぎかなあ」
ぼそりと呟く。もちろん独り言だ。
左手を掲げると、チャラ、とチェーンの擦れる音がした。白と虹色が揺れている。
本当に選ばれたのか、俺は。
そう石に問う。
返事が無いのは、もちろん独り言だ。

溜め息が白くないことで、ようやく火をつけ忘れていたことに、気付いた。

600581:2007/09/06(木) 11:07:06
局の外に出ると、渡部は深呼吸した。禁煙中なので、タバコは見たくもなかった。
都会独特の空気の中、空を見上げ、一人思考する。曇り空。
(近頃、体がだるい)
首に下げていた石を手に取った。相変わらず透明だな、と思う。
疲労の原因は分かっていた。能力の多用だ。タダで使える力なんてこの世には無い。

程度こそあれ、物事はいつだって何かと引き換えなんだ。知ってんだ、俺。

渡部が毎日のように石を試すのには、目的があった。
一つは、自分の能力をよく知るため。
使い慣れていないと、いざというときに困るだろうから。
すっと自然に「同調」できるようにしておくことは、今後役立つだろうから。
一つは、能力を磨くため。
何度も力を使ううちに、精度が上がるかもしれないから。
今は五感だけだが、いつか精神さえも共有できるようになるかもしれないから。
(…できるようになって、どうするんだ?)
自分の不安な心が干渉してくる。うるさいな、なっといた方がいいんだよ。
(何に使うんだ、その力を)
悪いことには使わない。他人の心まで覗かなきゃいけない日が、いつか来る。
(「いつか」って、いつのことだ?)

「…一生来て欲しくない日のことだろ」

声に出す。何故か、全ては”もう一人の自分”が理解していた。知ってんだ、俺。

601581:2007/09/06(木) 11:18:39
とある日。渡部は楽屋のソファに腰掛け、台本を確認していた。
児嶋は、他の芸人の楽屋に遊びに行っている。暢気なやつだな、と思う。
一通り確認した台本を閉じる。そろそろ、「練習」しなくては。
今日のターゲットは、設楽に決めた。理由なんて無い。なんとなく。いつもの事。
渡部はおもむろに目を閉じた。「同調」の体勢だ。
普段の練習のおかげで、「同調」に至るまでの作業は幾分スムーズかつ精確になっていた。
気分はコンピュータ。遠くの対象に素早くアクセスし、情報を読み取る。

真っ先に得たのは、視覚。漫画を読んでいるようだった。不気味な絵だな、と思う。
続いて、触覚。左手で頬杖を付き、右手はページを掴む。肌と紙の感触。
「で、そっちはどう?」
そして聴覚。設楽の、気の入っていない、緩い声が届く。
いわゆる骨伝導のせいか、普段の声より少しくぐもっている気がした。
「…いえ、全然。設楽さんみたいに大胆には聞き出せませんよ」
穏やかな声。聞き覚えがある。誰だっけ、ええと。
「はは、俺そんな大胆かなあ」
軽く笑い、右手がページを一枚繰る。本当に独特の絵柄だ、と思う。
「大体、聞いたところでそう簡単に教えてくれますかね」
「そりゃーもう。お前誠実そうだし、大丈夫だろ」
「っていうか、話聞いてます?」
相手の一言に、視点がゆるゆると漫画から人物に移る。
ああ、そうだ、こいつの声だったか。
「大事な話なんですよ」諌めるような口調で、ラーメンズ・小林はそう続けた。

602581:2007/09/06(木) 11:26:44
「わーかってるよ。先公かっての、もう」設楽の右手が、渋々漫画を閉じて。
(大事な話だからこそ、漫画読みながらでも聞けるのにさ)
心で呟く。これは、しかし渡部の心中ではなかった。
ということは。

今一瞬、設楽の精神に同調できたのでは、ないか?

逸る気持ちを抑え、渡部は再び感覚を研ぎ澄ました。
読み取ってやる、もう一度。来い。

「いいか、」とのんびりした声は、設楽。
「人間っていうのはな、誰だって不安なんだよ」
はい、と真剣な声は、小林。
「誰だって、最初っから自分のことペラペラしゃべらねえよ。分かるだろ?」
「…はい」
「でもさ、相手がすげえ気の合う奴だったり、頼れる奴だったらさ、ほら。
自分から喋りたくなっちゃうんだよ。共有してもらいたくなるんだ、全部」
「いや、だからそこが難しいんですって、」真面目な声が頭を掻いた。
「設楽さんと違って、人を誘うのに向いてないんですよ、”僕の”は。」
”僕の”が修飾しているであろう名詞は、省略されていた。何だろう、顔か?
「それ、『シナリオ』に頼りすぎ。俺だって、毎回『説得』するわけじゃねえもん」
(…それにしても、随分真剣にナンパ論を語るんだなあ)
心で呟く。これは、しかし渡部の心中であった。

603581:2007/09/06(木) 11:37:20
(やっぱり、変だ)
児嶋は、ソファに座ったまま動かない相方を、ドアの隙間越しに観察していた。
実は、他の芸人の楽屋に遊びに行くフリをして、楽屋の入り口にじっと潜んでいたのだ。
もちろん、渡部の挙動を探るためだった。
一人になれば、「石」を使うかもしれないから。

渡部が台本を閉じたとき、いよいよか、と身構えた。
が、期待に反し、どうやらそのまま眠ってしまったようで。肩を落とす。
…でも。
居眠りなら、普通身じろぎの一つぐらいしていいんじゃあ、ないか?

そうして観察を始めてから5分が経過しようとした時。
渡部の胸の辺りから、微かに透明の光が漏れていることに、やっと気が付いた。
(…いつから光っていた?最初からだったか?一体何が光っている?)

そうだ。「石」の疲労で居眠りが増えたんじゃあない。
多分、「石」の使用が居眠りに見えていたんだ。
そんな頻度で石を使っていたならば、そりゃあ体調だって悪くなる、はずだ。

答えが分かった瞬間、児嶋は勢いよく相方の元へ駆け出していた。
力を使うのを、やめさせるために。

604581:2007/09/06(木) 11:49:13
渡部は、急に「同調」の精度が落ち始めたのを感じた。
かろうじて視覚は残っているが、いまや触覚と聴覚が完全に奪われつつある。
接続した自分の意識が、設楽の中から徐々に追い出されていくような、感覚。
必死に視覚だけでも保とうとしたが、それも上手くいかない。
(そういえば、設楽の中に入ってから、どれぐらい経った?)
普段は、安全のために3分程度に留めていた。
しかし今日は、とっくに5分ぐらい経っていそうで。
(限界か、くそ)

両肩を掴まれているのを感じた。触覚。
次いで聴覚。何度も名前を呼ばれている。聞こえてるっての。
ゆっくり目を開ける。うろたえまくった表情は、相方だった。視覚。
割と何度も両肩を揺さぶられていたのだろうか、前後の方向に眩暈を感じた。
「…何だ、居たのかよ…」
平静を装うも、内心は焦りに満ちていた。自分の能力については、隠していたので。
やられた。いつから見られていた?ばれただろうな、さすがに。
だがここで、急に瞼が鉛のようになった。とても目を開けていられない。

しまった、と思った時には、すでに遅すぎた。
何でもっと早くに気付けなかったんだろう。
今となっては、それも無意味な思考かもしれなかったけれど。

児嶋の顔や声が一気に遠のき、渡部の意識は、ついに途切れた。
気分はコンピュータ。強制終了。

605名無しさん:2007/09/06(木) 14:37:48
面白いです。ストーリーに引き込まれる。
今までの設定もちゃんと生かせているし、ぜひ本スレに投下してください。

ただ一つだけ苦言を呈しておくと
投下の合間の581さんのコメントはもうすこし落ち着いてほしい。
あんまりテンション高いと気になる人もいるから。

606581:2007/09/06(木) 21:39:56
ありがとうございます、嬉しいです
そしてすみません、まさかそっちで叱られるとは…w
まだ少し続くので、もうしばらくお付き合い願います

607581:2007/09/07(金) 23:53:05
(――今、何時だろう)
目を覚ました渡部の、最初の思考だった。

重い瞼を無理やりこじ開ける。頭が痛い。
どうやらベッドで眠っていたようだ。自分のベッドでないことは分かった。
布団にくるまれている感覚を再認すると、また意識が遠のきそうになった。まだ眠い。
目だけで辺りを見回す。もちろん、自分の部屋でないことも、分かった。
なぜここに居るのかは把握できなかったが、場所には見覚えがあった。確かここは…
「お、いけるか渡部」
ドアから、声が近づいてくる。苦労してそちらに目をやると、眠気が飛んだ。
「…有田さん?」
そうだ、昔よく遊びに来たっけ。
渡部が上半身を起こそうとするのを、しかし有田は冷静に制した。「無理すんな」、と。
言葉に甘え、再び枕に頭を落とす。確かに、まだ体は本調子ではない。
「あの、」と渡部。「何で僕、寝てんすか、有田さん家で」
覚えがなかった。最後の記憶を必死に辿ってみる。台本しか思い出せない。
「そうそう、それね。楽屋で倒れたんだよ、お前」
さらりと言ってのけると、有田はドアの向こうに呼びかけた。
「おーい、やっと起きたぞ」
えっ、という弾んだ声の後、どたどたと騒がしくやってきたのは、山崎だった。
「ああよかった、大丈夫ですか?」渡部を覗き込み、満面の笑みだ。
渡部はというと、与えられた情報を消化しきれずに、呆然と頷くだけだった。

608581:2007/09/08(土) 01:44:39
山崎から水の入ったコップを受け取り、一気に飲み干す。
その渇きの具合から、気を失っていた時間が長かったことを、悟った。
「…どれぐらい寝てました、僕」気になっていたことを尋ねてみる。
有田は腕時計を見やり、今は1時前だなあ、と噛み合わない返答。
「1時…ってことは…?」
「ああ、夜中のですよ」山崎が補足する。いや、うん、そこじゃなくてさ。
「冗談冗談。11時間ちょっとだよ。仕事の方は田中がなんとかしてくれたから」
当たり前のような口ぶりで有田。しかし、どうしても意味が飲み込めない。
「…田中…?」
「ああ、アンガールズのですよ」山崎が補足する。いや、うん、そこじゃなくてさ。
改めて有田に問う。「っていうか、田中が何をしてくれたんすか?」
「収録を来月に延期するよう、プロデューサーさんに頼んでくれたんだよ」
「ほら、石ですよ。田中さんの能力、相手を納得させるやつなんです」
山崎の補足。今度はありがたかった。
(…って、石、だって?)目を見開く。
田中が石を持っていること以上に、有田と山崎がその能力を把握していることに驚いた。
「あれ、石、知りません?渡部さんだって持ってるじゃないすかあ」
「っていうか、力の使いすぎでダウンしたんだろ、お前」
「いや、その…」どう答えていいか分からない。
「聞いたぞ、児嶋から。何で隠すんだよ」不機嫌そうに、有田。
「そうですよ、水臭いなあ、」山崎も、軽く笑って便乗する。「仲間でしょ、俺ら」

――『仲間』。

月並みな単語だが、その一言で幾分心が軽くなった気が、した。

609581:2007/09/08(土) 01:55:55
直後、携帯の電子音が鳴り響く。急な物音に心臓が跳ね上がった。
「あ。わりい、俺だわ」と有田。のそのそと応答して。
何やら親しげに会話を交わしたあと、それを渡部に差し出してきた。
「…え、」
「上田。替われってさ」
よく分からないまま携帯を受け取り、もしもし、と呼びかけてみる。
『おう、どうだ、よく寝られたか?』
「…はは、おかげさまで」受話器越しのジョークに、力なく笑んだ。
『ったくよー、自販機前で忠告しただろ?”体に気をつけろ”ってさ』
叱られた。何だ、そういう意味だったのか、あれは。
「って上田さんも知ってたんですか、石のこと」
『まあな。大体あれだ、お前が寝たフリしてた時、光ってたぞ、石』
「……」
『児嶋からお前が倒れたって聞いたときは、まあピンときたね』
「…すみません」
『病院に担ぎこむのも、ややこしいしな。
それにその症状じゃ周期性傾眠症とか言われるのがオチだろうから、
とりあえず児嶋には、車で有田ん家に運ぶよう指示しといたってわけだ。この俺が』
「あー…」倒れるまでの記憶が蘇ってくる。石。設楽。同調。以降闇のち現在。
『うお、じゃあな、後で柴田にも礼言っとけよ!』
そう言い残すと、上田は慌ただしく電話を切った。
仕事の合間に、わざわざ電話をくれたのだろう。その心遣いが嬉しい。
渡部は、やっぱりこの人のほうが忙しそうだな、と改めて思った。

610581:2007/09/08(土) 02:24:52
「柴田の石はですね、」と突然口を開いたのは、山崎。
「回復とか手助けに役立つ能力なんです」
渡部と有田は同時に声の主を見つめた。
「…ああ、そうそう。柴田が介抱してくれたおかげなんだぞ、今お前が動けるの。
仕事があったから、もう帰ったんだけどな。心配してたぞ、あいつ」
思い出したように有田が説明する。
それによって渡部は、先刻の上田の台詞を理解した。
山崎が続ける。
「僕の能力は召喚で、有田さんの能力は、ええと…弱点エグリです」
「もっと言い方ってあるだろ」
有田は苦笑し、あとの台詞を引き継いで。
「上田はサイコメトラーだ。いちいち薀蓄言わないと駄目とかで、うっとおしいけど」
「ほんと、なんか偉そうで腹立つんですよねえ」
「な、生理的にきもいよな」
そう言い合って、からからと二人笑っている。
渡部は、終始ぽかんとしていた。

611581:2007/09/08(土) 02:32:41
「ほら、渡部さんも。教えてくださいって、能力」
「そうそう、秘密はみんなで持った方が、楽だろ。荷物は軽いに限るんだって」
脳が、だんだん巡り始めてくる。

確かに一人よりも、『仲間』同士で助け合った方が、楽だ。
だがその結果、その大切な『仲間』まで危険に巻き込んでしまうと、したら?

また、”自分”の声。そんな事分かってる。
…だけど、その時は。

(――その時は、俺が責任を取れば良いから)

そうして慎重な”自分”を押さえ込んで。
覚悟を決めると、渡部は自分の能力について、ゆっくりと話し出した。


『でもさ、相手がすげえ気の合う奴だったり、頼れる奴だったらさ、ほら。
自分から喋りたくなっちゃうんだよ。共有してもらいたくなるんだ、全部』

心の中で、”自分”に言い訳。
設楽のナンパ論も的を射ているな、と自嘲気味に笑んだ。

612581:2007/09/08(土) 02:44:22
それから二日後。児嶋は、自分の楽屋に向かう途中だった。が。
「おざーっす!」と元気の良い挨拶に背中をぴしゃりとぶたれ足を止めた。
びっくりして振り返る。にこにこテンションの高いのは、柴田だ。
「いてえな、もう…」叩かれた箇所をさすりながら苦情を漏らす。
「今日は、ネタ番組ですか?」って先輩殴っといてスルーかい。せめてイジれよ。
頷いてやると、「よかったですね」、と返される。どうも柴田との会話は、ちぐはぐだ。
「…ほらあ、渡部さんですよ。もう元気になったんですよね?」
「ああ、昨日会ったらピンピンしてた。人騒がせな奴だよ、まったく」

これも上田の機転と、柴田の石、そして有田・山崎のフォローのおかげだろう。
あと、半日弱もの睡眠といったところか。羨ましい。自分だってたっぷり寝たい。
児嶋はというと、渡部を有田の家に運んだ後は、離れた地でそわそわしていただけだった。
だって田中には仕事の件のお礼に奢ってやりたかったし。
大体、別にあの場に居ても何の役にも立てなかったろうし。

「で、やっと教えてもらったんでしょ、渡部さんの能力」
「…っつうかさ、あいつ慎重すぎだよな。偉そうなくせに、てんでビビリなの。
もし俺だったら、自分の能力分かったら、まず皆に自慢して回るって、はは」
「ってまだ分かってないんすか、自分の能力!?」
「そこかい」
何だ、やはり間の抜けたことなのか。恥ずかしくなり、自分の頭を乱暴に掻く。
「まあ、でも大丈夫ですよ、いつかは分かるもんですから」
「『いつか』っていつだよ?」
「そりゃあ、一刻も早く来て欲しい日でしょうよ」そう言うと、柴田は満足げに去っていった。
何じゃそりゃ。後輩の適当な返しに呆れ顔になった。

613581:2007/09/08(土) 02:48:08
児嶋は楽屋のドアノブを捻った。
正面の壁時計を見て、また早く来すぎたことに気づく。

どうせ今日も、渡部は遅いんだろうな。
どうせ今日も、タバコ吸いまくる羽目になるんだろうな。
そう考え、苦笑を浮かべた。


児嶋の期待する『いつか』は、この日から三週間後の、とある日。

渡部の危惧する『いつか』は、既に動き始めている。

614581:2007/09/08(土) 02:52:34
これで一応終了です、長々と失礼いたしました
もともと見切り発車だったので強引な展開になってしまいましたが…
みなさんからのツッコミ、意見などいただければ嬉しいです

615名無しさん:2007/09/08(土) 08:07:23
乙!白は暖かいな
渡部が設楽と同調してるのにすれちがってる辺り面白い
本スレ行っていいと思う

616名無しさん:2007/09/08(土) 12:09:17
>>614
面白かった。
展開も別に強引さを感じなかったよ。
本スレ行きに賛成。

617581:2007/09/08(土) 15:21:45
褒めていただけて嬉しいです、ありがとうございます
めっさ長いですが、本スレにそのままコピペで投下しちゃって大丈夫でしょうか…

618名無しさん:2007/09/08(土) 20:21:30
別にいいと思う 本スレ盛り上がるし

619581:2007/09/09(日) 00:13:36
よかった、では今から投下してきます

620名無しさん:2007/09/13(木) 01:01:48
ga


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