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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

604581:2007/09/06(木) 11:49:13
渡部は、急に「同調」の精度が落ち始めたのを感じた。
かろうじて視覚は残っているが、いまや触覚と聴覚が完全に奪われつつある。
接続した自分の意識が、設楽の中から徐々に追い出されていくような、感覚。
必死に視覚だけでも保とうとしたが、それも上手くいかない。
(そういえば、設楽の中に入ってから、どれぐらい経った?)
普段は、安全のために3分程度に留めていた。
しかし今日は、とっくに5分ぐらい経っていそうで。
(限界か、くそ)

両肩を掴まれているのを感じた。触覚。
次いで聴覚。何度も名前を呼ばれている。聞こえてるっての。
ゆっくり目を開ける。うろたえまくった表情は、相方だった。視覚。
割と何度も両肩を揺さぶられていたのだろうか、前後の方向に眩暈を感じた。
「…何だ、居たのかよ…」
平静を装うも、内心は焦りに満ちていた。自分の能力については、隠していたので。
やられた。いつから見られていた?ばれただろうな、さすがに。
だがここで、急に瞼が鉛のようになった。とても目を開けていられない。

しまった、と思った時には、すでに遅すぎた。
何でもっと早くに気付けなかったんだろう。
今となっては、それも無意味な思考かもしれなかったけれど。

児嶋の顔や声が一気に遠のき、渡部の意識は、ついに途切れた。
気分はコンピュータ。強制終了。


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