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中近東がらみのフィクション(欧米・アジア)

1さーひぶ。:2005/02/12(土) 00:22:17
欧米やアジアの作家が、中近東を舞台にしたり、中近東をネタにした
フィクション(小説・演劇・映画など)について語りましょう。

〔小説〕
アガサ・クリスティ(エルキュール・ポアロ物) 『メソポタミヤの殺人』『ナイルに死す』『オリエント急行の殺人』
ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』
ドロシー・ギルマン(ミセス・ポリファックス物) 『おばちゃまはアラブ・スパイ』
『おばちゃまはヨルダン・スパイ』『おばちゃまはヨルダン・スパイ』
〔映画〕
『カサブランカ』『アラビアのロレンス』『アラブの嵐』(石原裕次郎主演)etc.

2さーひぶ。:2005/02/15(火) 01:41:51
来月のリアル・アラブ映画祭で
石原裕次郎主演『アラブの嵐』が上映されます。
ビデオも売られていますし、
「アラブ」と題した映画祭で上映するのはやや場違いな気もしますが。

リアル・アラブ映画祭
http://www.geocities.jp/kebabmovie/

3さーひぶ。:2005/04/10(日) 20:53:54
【アラブの嵐】(1961年、日活映画)
リアル・アラブ映画祭で見ましたが、忘れていました。
ビデオ売場などで前から見かけていましたが、
石原裕次郎主演というから、てっきりB級アイドル映画かと思っていました。
あの頃の邦画って、『海賊八幡船』(1960年)、『モスラ対ゴジラ』(1964年)などを見たことがありますが、
出てくる東洋人役はみな日本人役者が褐色のメーキャップをしただけだったりしますから、どうせそんなものかなと。
本編を見て意外だったのは、アラブ人役者を使って日本語吹き替えをしていました。
ストーリーは、アラブナショナリズムが吹き荒れる冒険活劇というお決まりのお話。
出来はともかく、1950年代後期のエジプトが見られるという点で、貴重な作品です。

後日、ビデオ店で探したのですが、VHSはすっかり店頭から撤去されていました。
DVDが発売されているかは未確認ですが、DVDも近い将来に別なメディアに取って代わられる
かも知れないことを考えると、わざわざ取り寄せて買うほどの作品かどうかは疑問かも。
http://www.jmdb.ne.jp/1961/ck005480.htm

4さーひぶ。:2005/04/17(日) 23:13:30
【綿井健陽監督『Little Birds(リトルバーズ) −イラク 戦火の家族たち−』】

2003年3月のアメリカのイラク侵攻以来、久米宏「ニュースステーション」
や筑紫哲也「News23」などのニュース番組で現地からの印象的な中継リ
ポートを敢行されたビデオジャーナリスト綿井健陽(わたい・たけはる)さん
(アジアプレス)の第1回監督作品『Little Birds −イラク 戦火の家族たち−』
が今週末の4月23日(土)から東京・新宿の「K's cinema」他全国数ヶ所で
順次ロードショー公開されます。

映画公式サイト http://www.littlebirds.net/
綿井健陽 Web Journal http://www1.odn.ne.jp/watai/

イラクで殺された10万人以上の人たちが生き返ることは決してないし、
劣化ウラン弾やクラスター爆弾で重大な傷病を負わされた人たちも健康を
取り戻すことはないかもしれません。
ブッシュ・ブレア・小泉の三バカ戦争犯罪人が現実の法廷で裁かれることも
ないでしょう。

いままでテレビでさんざん流されてきたイラクの戦場の映像ですが、イラクへ
今も派兵している国の国民として、ニュース番組とはちがう切り口で見直し、
あらためて無法な侵略戦争がもたらしたことについて考えてみようではありま
せんか。

それとともに、中国や韓国でデモ行進をする民衆がなぜあそこまで日本に対す
る怒りの感情を顕わにするのか。敗戦60周年の今、日本の侵略戦争と右傾化
する日本社会の問題について、国民全体が見つめ直す必要がありそうです。

5さーひぶ。:2005/04/17(日) 23:19:11
↑ドキュメンタリー映画だろうからスレッドタイトルの「フィクション」ではなく、
「ノンフィクション」でしょうが、便宜上このスレで紹介しました。

6匿名さん@サラーム:2005/04/20(水) 22:19:46
【キングダム・オブ・ヘブン】(2005年)(日本公開5月14日)
公式 http://www.foxjapan.com/movies/kingdomofheaven/
IMDB http://www.imdb.com/title/tt0320661/

7さーひぶ。:2005/04/24(日) 23:01:57
アラブ映画祭2005(国際交流基金主催)にて
映画監督 佐藤真さんが制作中の映画「エドワード・サイード」の一部分の上映が
あり、今秋頃には完成する予定のようです。
内容は、先ごろ亡くなったあのパレスチナ系アメリカ人の比較文学者サイードの足
跡を追うドキュメンタリーとなりそうです。

個人的には、むしろあの難解な著作『オリエンタリズム』を映画化して欲しいもの
ですが。(映画化なんて無理かな?)

8匿名さん@サラーム:2005/05/14(土) 17:08:27
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/4508401.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/4426133.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/4532075.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4544173.stm

9さーひぶ。:2005/05/19(木) 00:22:15
東京MXテレビ(http://www.mxtv.co.jp/)で毎週水曜23:25〜23:55にあの
懐かしの『ウルトラマン』(1966〜67年)の再放送(http://www.mxtv.co.jp/ultraman/
をやっていることを知り、先ほど第7話「バラージの青い石」を観てみました。

あらすじ
中近東のアラビアあたりの砂漠に巨大な隕石が落下して付近を通った飛行機などが
行方不明に。科学特捜隊パリ本部から要請を受けた日本支部が調査に向かうが、謎
の光を浴びてアララット山の近くに不時着。そこには古代の謎の町バラージがある。
パリ本部の隊員がアラビア語などで話しかけてみるが(実はデタラメ語ですよん)
まったく通じない(バラージの町の人を演じているのは全員日本人ですからねぇ)
突然、チャータムという謎の女性が現れて日本語で話し掛けてくる。彼女は日本語
をまったく知らないが、エスパーなので話せるという(演じているのは日本人だか
らねぇ)。古代オリエント風の建物の中には、ウルトラマンそっくりの「ノアの神」
の像がある。ノアの箱舟で人類を助けたのはウルトラマンだった(おいおい・笑)
以下略。「ノアの神」がウルトラマンだなんて、一神教の人たちが聞いたら怒りそう!

町のセットは古代オリエント風で、人々の衣装はアラビア風+クルド風ミックスの
ような感じでした。石原裕次郎主演映画『アラブの嵐』といい、1950〜60年代ころ
の日本の中近東に対するイメージはこんなものだろうな、という風でした。こうい
うイメージが石油ショックでがらっと変わるわけですが。

『ウルトラマン』といえば、怪獣「ジャミラ」の名が、アルジェリア独立闘争の少女
ジャミーラ(جميلة)から命名されたことはつとに有名ですね(NHK講座テキストの
内藤さんの切手の連載でもふれられていました)。

10さーひぶ。:2005/05/21(土) 22:43:04
【『警視庁公安部』 佐竹一彦著 角川文庫】

元警視庁警部補の作家が公安部の特務捜査員の暗躍を描くスパイ小説。
ストーリー:中東諸国との取引があるといわれる「死の商社」リンツグループ日本
法人には、警視庁公安部からスパイ活動を命じられた特務捜査員が入社して広報部
の係長として活動していた。中東の砂漠緑化プロジェクトを推進していた事業部長
が不審な死を遂げ、本庁の警視からスパイ指令が出される。死の謎を解くべく係長
こと特務捜査員は暗躍し始めるが・・・・・・。

『警視庁公安部』と題されている割には、主人公が隠密の特務捜査員なので、これ
が公安の実態なのか、素人の私にはまったくわかりません。別に公安の話でなくて
も、ましてや中東がらみじゃなくてもという気がしないでもありません。(買った
ときには中東がらみとは知りませんでした。)中東に詳しくない人がオチまで読ん
でも、ただただ呆然とするでしょう。終わりのどんでん返しは少し面白いですけど。
中東に詳しい人がオチまで読めば「ああ、あれかぁ」と拍子抜けすること請け合い!
学界では相手にされていないあの説がオチなんだよなあ(と書けば、判る人には判る
かも)。でも、あの説とこの小説のオチが真実だったら、国際的大騒ぎになりますが。

ジャミーラ高橋さんの微罪逮捕(薬事法違反)、ワールド・ピース・ナウなど反戦デモ
運動家の「公務執行妨害」逮捕など、イラク反戦活動家への嫌がらせ・弾圧にも手を広
げつつある公安警察。元イラク「人間の盾」や元イラク人質の方々、公安にマークされ
ないように十分にお気をつけ下さい。日本はこのまま「戦争ができる」ゲシュタポ国家
になってしまうのか? 中東がらみ・反戦がらみでも公安には目が離せません。

11さーひぶ。:2005/05/25(水) 23:25:23
まもなく深夜2時すぎから日本テレビ系列で米アニメ映画『プリンス・オブ・エジプト』が放映されます。モーセによるヘブライ人の「出エジプト」の物語で、セシル・B・デミル監督・チャールトン・ヘストン主演の名画『十戒』と同じ原作をアニメ化したものです。数年前に亡くなったイエメン系イスラエル人の人気歌手オフラ・ハザがモーセの母の声を演じ、挿入歌を歌っています。

12さーひぶ。:2005/06/05(日) 23:50:06
【映画『サハラ−死の砂漠を脱出せよ−』2005年、米映画】

あらためて紹介する必要もないでしょうけど、ペネロペ・クルスらカップルが主演
するハリウッド大資本映画。ナイジェリアとマリが舞台のようです。
6月11日(土)より、渋谷東急ほか 全国松竹・東急系にてロードショー

原作=クライブ・カッスラー『死のサハラを脱出せよ』新潮文庫
公式サイト http://www.sahara-movie.jp/
goo映画 http://movie.goo.ne.jp/special/sahara/index.html

13さーひぶ。:2005/10/31(月) 18:04:56
「シネクラシック ピアノ伴奏でみる サイレント映画」
 12月10日(土) 14:00の部(昼の会)にて

【『熱砂の舞』(The Son of the Shiek)1926年アメリカ映画】
(監督:ジョージ・フィッツモーリス/出演:ルドルフ・ヴァレンチノ、ヴィルマ・バンキー他)
が、ピアノ&ギター伴奏で上映されます。上映時間は、69分。
あらすじ:砂漠の王子アーメッド(アハマド)は、酒場の踊り子ヤスミンと激しい
恋に落ちた。しかし悪党一味のガーバーがヤスミンをだしにアーメッドを誘拐する。
恋人に裏切られたと誤解したアーメッドは・・・。(チラシより)
夭折した名高きヴァレンチノの遺作だそうです。
オリエンタリズム濃厚な(ひょっとしたらかなり噴飯ものの)作品やも知れませんが、
お近くの方はいかがでしょうか。

会場:パルテノン多摩 小ホール http://www.parthenon.or.jp/
(京王線・小田急線・多摩モノレール「多摩センター」駅から徒歩5分)

14さーひぶ。:2006/03/12(日) 11:16:33
【エドワード・サイード OUT OF PLACE】(Memories of Edward Said)
以前、>>7でもふれましたが、「アラブ映画祭2005」で予告されていた
佐藤真監督によるサイード(2003年没)追悼映画が完成した模様です。
中東から米国にかけて、サイードの足跡を訪ね歩いた長編ドキュメンタリー、
ロードムービーということです。

①『エドワード・サイード OUT OF PLACE』完成記念上映会+大江健三郎講演会
 日時:4月29日(土) 15:00〜 監督舞台挨拶&上映、
           18:00〜 マリアム・サイード夫人挨拶、大江健三郎氏の講演
 会場:九段会館(東京・九段下) http://www.kudankaikan.or.jp/
②『エドワード・サイード OUT OF PLACE』完成記念上映会+トーク
 日時:5月1日(月) /会場:京都造形芸術大学 春秋座
  http://www.k-pac.org/kpac/index.html
③『エドワード・サイード OUT OF PLACE』ロードショー
 期間:5月16日(火)〜27日(土)/会場:アテネ・フランセ文化センター(東京・水道橋)
  http://www.athenee.net/culturalcenter/
問合先:映画製作・配給会社シグロ http://www.cine.co.jp/

15さーひぶ。:2006/05/21(日) 23:04:39
さきほど教育テレビ「N響アワー」を観ていたのですが、売れっ子作家の
浅田次郎さんがゲストでした。
ゲストが選んだ名曲のN響演奏録画を歓談の合間に流す長寿番組ですが、
今夜最後の曲は【リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」】。
ロシアの名作曲家が「千夜一夜物語」(アラビアンナイト)を描いた有名な曲。
「シェエラザード」はアラビアンナイトの語り部となったヒロインの姫のこと。
浅田さんがこの曲を聴いて着想を得たのが小説「シェエラザード」だそうです。
とはいうものの、その小説の内容はアラビアンナイトとはまったく関係なさそう。
豪華客船が沈む話のようですが、リムスキー=コルサコフがロシア海軍の軍楽隊
を指揮していたこととの縁について、浅田さんは語っていました。

肝心の曲ですが、アラビア風の異国情緒をかき立てるものの、やはりロシア音楽。
アラブやイランの音楽とは別物です。音楽のオリエンタリズムという感じ。
個人的には何度も聴いているし、好きな曲ですが。
「シェエラザード」は欧風の発音で、元のペルシア語「シェヘラザード」は
「都会生まれ」という意味のようです。
もちろん「千夜一夜物語」の「シェヘラザード」はアラブ人ではなくペルシア人です。

16さーひぶ。:2006/08/01(火) 08:47:30
【シンドバッド黄金の航海】
今日、午後1時30分からテレビ東京で1973年のアメリカ映画
『シンドバッド黄金の航海』が放映される予定です。
ミニチュア特撮で著名なレイ・ハリーハウゼンのシンドバッドもの第2作。
魔術師クーラのアラビア支配の野望を打破するために、シンドバッド
がスルタンを助けて謎の島レムリアへ航海をする冒険活劇です。
ジョン・フィリップ・ロー主演。若い人向けの作品ですが、
子連れのお父さんを飽きさせないように美女キャロライン・マンロー
もキャスティングされてます。ヒンドゥー教の神カーリーが見もの。

17さーひぶ。:2006/08/02(水) 09:25:38
【シンドバッド虎の目大冒険】
今日、午後1時30分からテレビ東京で1977年のアメリカ映画
『シンドバッド虎の目大冒険』が放映される予定です。
レイ・ハリーハウゼン特撮のシンドバッドもの第3作。
魔女ゼノビアの呪いをかけられてヒヒにされた王子を助けるために、
シンドバッド一行が極地へ航海をする冒険活劇です。
パトリック・ウェイン主演。若い人向けの作品。
ゼノビアの魔術、牛頭の巨人ミナトンや巨大な虎との闘いが見所。

19さーひぶ。:2006/08/03(木) 01:15:07
【シンドバッド七回目の航海】
見落としていましたが、7月31日(月)にテレビ東京で、1958年のアメリカ映画
『シンドバッド七回目の航海』が放映されていたようです。今週のテレビ東京
午後の映画枠は、レイ・ハリーハウゼンが手がけた特撮作品のオンパレードの
ようです。
この作品は、ハリーハウゼンの出世作ともいえるものです。シンドバッドを
演じた主演のカーウィン・マシューズは、同じくハリーハウゼン特撮による
『ガリバーの冒険』でガリバーを好演したのに引き続いて、シンドバッド役
に抜擢されたのです。

あらすじ:船乗りシンドバッドは、パリサ姫と航海中に、謎の島で、一つ目
巨人に追われる魔術師ソクラを助けるが、ソクラは魔法のランプを落とす。
ソクラとともにバグダードに帰還したが、魔術師はパリサ姫を小人に変え、
島に戻って魔法のランプを取り戻せば姫は元の姿に戻れるという。
シンドバッド一行は、姫を助けるために島で一つ目巨人や巨鳥ロックと戦うが・・・。

アラビアンナイトとギリシア神話をミックスしたような特撮の快作です。

20さーひぶ。:2006/11/26(日) 22:20:23
【イ・ヨンエ主演の韓国映画『インシャラ』】

先日、テレビドラマ『宮廷女官 チャングムの誓い』で日本でもおなじみになった
イ・ヨンエ(李英愛)さん主演の韓国映画『インシャラ』(1996年)の日本公開を
観てきました。
アルジェリアが舞台の作品ということで観に行ったのですが、ハリウッドなど
でありがちな「サハラ冒険物」という趣きでしょうか。

あらすじ:
アメリカへ留学中の韓国人女子大生イ・ヒャンが内戦前のアルジェリアを旅行
で訪れて、密輸・不法入国の疑いで拘束されてしまった。韓国はアルジェリア
と国交がないので(当時)、身の証も立てられない。アルジェリアの当局は、
北朝鮮から来ている外交員の男ハン・スンヨプに取り調べさせるが、彼女は
軟禁状態に置かれる。スンヨプは実は、革命スパイを養成する任務を帯びて
来ていたのだが、軟禁生活で苦悩するヒャンに好意を抱き始め、ついに2人
でサハラ沙漠を越えての国外脱出を試みる…。

 公開は短期間で終わってしまったのですが、日本の週刊誌などは先立って
扇情的に報じていたようです。いまや韓国を代表する清純派女優、東アジア
有数のスターとなったイ・ヨンエさんも、この映画初出演(主演)作は上半身
を露出するラブシーンというB級大人向け作品のような売り方だったのです。
そういうギャップの大きさもあってなのか、公開はあっという間に終わりま
した。ヨンエさんにとっては、もはや忘れたい作品かも。
肝心のロケ地ですが、(劇中の後日談として内戦中のアルジェリアの空港が
出てきて、あれっと思いましたが)字幕クレジットを見ると、モロッコでの
撮影だったようです。ヒロイン軟禁中のマグレブ社会の描写は(この手の作
品としては)まあまあといったところ。ただクライマックスがサハラ逃避行
なのですから、あとは推して知るべし。サハラといっても、ベルトルッチの
『シェルタリング・スカイ』が砂沙漠なのに対して、こちらは土沙漠。
本作品やシェルタリング・スカイ、『タイタニック』のヒロインで売った
【ケイト・ウィンスレット主演『グッバイ・モロッコ』】にせよ、マグレブを
舞台にすると女優が裸になるのはオリエンタリズムの定番なのでしょう。
韓国も例外ではない、ということです。

21さーひぶ。:2007/02/26(月) 00:06:39
【ドキュメンタリー映画『愛しきベイルート アラブの歌姫』】

公開中のオランダ人監督によるインタビュー映画です。

レバノンが生んだアラブの大歌手ファイルーズ(フェイルーズ فيروز‎)。
レバノンはこの半世紀もの間、ファイルーズの歌に聴き惚れてきた。
あの昔は、動乱の時代だったが、人々の間に連帯感があり宗教対立のない、
懐かしい良い時代だった。現在、人々は生活に倦み疲れ、宗教対立に悩まされ、
酷く重い閉塞感に苦しんでいる。
そんなレバノンの人々は、ファイルーズの歌に酔いしれて、苦しんでいる状態
から癒されている。ファイルーズへの想いの裏には、レバノンの苦しみがある。

本作は、ベイルートの人々へのインタビューを重ね、その間にファイルーズの
歌を聴かせます。苦しんでいる人々の泣き言や愚痴を聞かされる観客の側も
相当に参ってしまいますが、その観客をもファイルーズの歌が癒してくれます。
初めて聴いてもどこか懐かしい歌声、ファイルーズが出演者と観客を二重に
癒してくれるお得な映画(^^; 必見、いや必聴の作品です。
東京・渋谷のアップリンクで、3月9日(金)まで上映中。

Fairuz, we hielden zoveel van mekaar (2003)
 http://imdb.com/title/tt0384092/
http://en.wikipedia.org/wiki/Fairuz

22東京国際芸術祭:2007/02/26(月) 01:45:44
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■国際芸術祭2007 中東シリーズのご案内 http://tif.anj.or.jp

◆ファミリア・プロダクション(チュニジア)
◆ラビア・ムルエ(レバノン)
◆東京国際芸術祭×UPLINK共同企画
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

東京国際芸術祭2007では、レバノンの鬼才ラビア・ムルエの新作・世界初演、
そしてチュニジアの巨匠ファーデル・ジャイビの最新作をお送りします。
アラブ演劇の創世記を築いたジャイビと、演劇表現の新たな地平を探る新世代
ムルエ。中東・アラブ世界を代表するアーティストが東京で投げかける作品は、
日本のみならず世界の大きな期待と注目が寄せられています。
ぜひこの機会にお運び下さい。

■DVD抽選プレゼント実施中!<2月15日〜から2月28日まで>
対象期間に公演チケットをインターネットからご予約頂いた方の中から
抽選で10名様に、アーティスト作品集DVDプレゼント!
http://tif.anj.or.jp/index.html 

■アーティスト作品集 ウェブ公開中!
アーティストの過去作映像がウェブ上でご覧いただけます。
http://tif.anj.or.jp/movie/index.html

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■ファミリア・プロダクション(チュニジア)『囚われの身体たち』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程:3月15日(木)〜3月18日(日)
会場:にしすがも創造舎特設劇場
http://tif.anj.or.jp/program/familia.html

2005年『ジュヌン―狂気』で日本の観客を圧倒したアラブ演劇の巨匠、
ファーデル・ジャイビによる衝撃の最新作。
9.11以降イスラーム世界で進行する若者のイスラーム回帰現象と、
世界中に蔓延する若者たちのアイデンティティ危機を鋭く示唆する。
照明と音楽によって緻密に練り上げられた美しい舞台空間の中に、
演劇の原点を問うような、身体とことばの圧倒的な存在感が光る。
06年パリ・オデオン座での世界初演で大絶賛を浴びた話題作!

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■ラビア・ムルエ(レバノン)  
『これがぜんぶエイプリルフールだったなら、とナンシーは』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程:3月23日(金)〜3月27日(火)
会場:にしすがも創造舎
http://tif.anj.or.jp/program/rabia.html

検閲すれすれの挑発と絶妙のユーモアで、自らの生きるレバノン社会の
傷と矛盾を執拗に表象・解体し、その虚構性を鋭く批判するラビア・ムルエ。
そこに残される芸術の可能性とは何か?共同体に生きる「個人」の役割とは?
2006年夏の悪夢を経てベイルートから世界に撃ち放たれる待望の新作は、
刻一刻と変化するレバノン情勢を反映しながら、個人と社会の
「物語=歴史」が交錯する場となるだろう。新作・世界初演!


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■東京国際芸術祭×UPLINK共同企画第1弾!
レバノンの鬼才アーティスト、ラビア・ムルエ特集
─ アラブ世界随一のアートカルチャー誌『ZAWAYA』編集長
  ピエール・アビザーブ氏をナビゲーターに迎えて ─
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日時:3月17日(土) 14:30〜17:00 
会場:アップリンク・ファクトリー
http://www.uplink.co.jp/factory/log/001843.php

ラビア・ムルエのパフォーマンス秘蔵映像に加え、アラブ圏随一の
マルチジャンル・アート専門雑誌ZAWAYA編集長、ピエール・アブザーブ氏
による解説つきトーク。かつて中東のパリと呼ばれたアラブ経済・文化の
中心地ベイルートから、内戦や度重なる危機を経て社会に充満するアートの
熱い胎動を、映像とトークでリアルにお伝えします!



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●発 行:NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)
URL:http://anj.or.jp
●お問合せ:170-0001 東京都豊島区西巣鴨4-9-1 旧朝日中学校
TEL:03-5961-5200(ANJ)/5202(TIF)FAX:03-5961-5207
tif@anj.or.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

23さーひぶ。:2007/03/25(日) 00:37:10
>>13でもふれた、ルドルフ・ヴァレンティノ主演のアラブものサイレント映画2作品を観てきました。

『シーク』(The Sheik, 1921年,アメリカ)
詳細はウィキペディアの記事に書きましたが、白人女性とアラブ部族の「酋長」
が恋に落ちるというありがちなオリエンタリズム映画です。公開されたのは奇しくも、
アラブが「ナクバ(災厄)の年」(عام النكبة)と呼んだ1920年(ビンラディンの声明
で有名になった「80年前」)の翌年です。
イタリア出身のヴァレンティノは、どこをどう見てもアラブの族長には見えない
白人なのですが、その秘密は映画を終わりまで観れば分かるようになっています。
ナクバの翌年だけあって、アラブが被支配者としてどう扱われていたかをかいま
見ることができます。「アラブ」を「インディアン」に置き換えてもおんなじ。
インディアン部族で育った白人女性が白人軍人と結ばれる近年のハリウッド作品
『ダンス・ウィズ・ウルブス』まで同じハリウッドの流れといえそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%AF_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Sheik_%28film%29

『熱砂の舞』(The Son of the Sheik, 1926年, アメリカ)
人気絶頂の大スター・ヴァレンティノの夭折で遺作となった本作は『シーク』の後日譚。
ヴァレンティノが族長(シーク)とその息子アーメッド(アハマド)の一人二役
を演じています。ヴァレンティノの最高傑作といわれるだけあって、前作より
もストーリーがレベルアップしています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Son_of_the_Sheik_%28film%29

両作品とも、マツダ映画社が日本各地で上映しているので、これからも観る
機会はたくさんありそうです。ハリウッドが見た1920年代のアラブ像を知る
よいきっかけになるかも知れません。

24さーひぶ。:2007/04/15(日) 21:39:03
『ブラックホーク・ダウン』という米映画をテレビ朝日系「日曜洋画劇場」で
放映中です。ソマリア紛争介入の失敗を映画化したものです。

アメリカのイラク侵攻(2003年- )開戦直後に、
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/558/1015763539/13-14
>『ブラックホークダウン』という映画がDVD&ビデオが出てますから参考になるかも知れません。
>1993年の米軍のソマリアへの軍事介入失敗を描いたもので、親米的な視点から作られていますが、
>現在のイラク戦況と同様に地元の民兵VS米軍の戦いになっています。
>ソマリアと同様に、イラクでも米英軍が敗退するといいですが。

と書いてから、早くも4年が経ちました。
米軍はすでに3200人以上の死者を出していますが、なかなか敗退しませんね。
資源の少ないソマリアとちがって、大油田地帯のイラクは多数の死者を出しても
諦められないほど魅力的ということなのでしょうか。
コバンザメの自衛隊も早く撤退してほしいです。

25さーひぶ。:2007/09/06(木) 09:09:31
今朝の朝刊を見て驚かれた方もおられるでしょうが、
E.サイードを偲ぶ『エドワード・サイード OUT OF PLACE』(2005年)を監督した
ドキュメンタリー映画作家・京都造形芸術大学教授の佐藤真さん(49)が
亡くなられました。昨年から躁鬱(そううつ)病で入退院を繰り返した末の飛び降りだそうです。

遺作(?)のサイード映画を公開されたときは、すでに闘病中だったのでしょうか?
ご冥福を祈ります。

26さーひぶ。:2008/04/14(月) 00:01:10
【NAKBA(ナクバ)】 (製作:広河隆一パレスチナ記録映画制作委員会)
  公式サイト http://nakba.jp/
  YouTube予告編 http://www.youtube.com/watch?v=6pX9G542SMk

3月22日(土)から公開されている広河隆一氏(監督・撮影)のパレスチナ関連
ドキュメンタリー映画を観て来ました。
 パレスチナ人が「ナクバ」(災厄)と呼ぶ、1948年のイスラエル建国によって
破壊されたパレスチナの村と避難民の消息などを追う作品です。
 広河氏は、第3次中東戦争(ヨム・キップール戦争)が勃発する直前の1967年、
イスラエルの農業共同体「キブツ」に興味を持ってそこで共同生活を体験。
やがてその地にパレスチナの「ダリヤトルーハ」村の廃墟を見出し、その消息を追います。
反シオニズム平和団体「マツペン(Matzpen/מצפן)」で活動、その後は
フォト・ジャーナリストとしてパレスチナ支援活動などを続けています。
 この作品では、かつて暮らしたキブツのユダヤ人、レバノン難民キャンプの
パレスチナ人、旧マツペンの盟友、ユダヤの右翼、ユダヤの歴史研究者など、
さまざまな人々を訪ね、1948年のナクバ以来のパレスチナ人の受難を検証
しています。
 映画では、かつての「ダリヤトルーハ」村の出身者たちを探り当て、廃墟を
訪ねて、村の在りし日を偲びます。
 肝心のその破壊された村は、ハイファ地区にあり、
ダーリーヤトゥ=ッ=ルーハーゥ(Daliyat al-Rawha' دالية الروحاء)または
ダーリーヤトゥ=ッ=ルーハ(Daliyat al-Rawha دالية الروحة)
と呼ばれていた村のようです。今日では、衛星写真付でデータベース化されています。
 データベースのページ http://www.palestineremembered.com/Haifa/Daliyat-al-Rawha'/index.html
 衛星写真のページ http://www.palestineremembered.com/Haifa/Daliyat-al-Rawha'/SatelliteView.html
 マツペン(ヘブライ語で「羅針盤」の意) http://en.wikipedia.org/wiki/Matzpen
>>27へ続く)

27さーひぶ。:2008/04/14(月) 01:01:30
>>26の続き)
広河氏といえば、かつて知る人ぞ知る『聖書アラビア起源説』の日本語訳書を
出して、この説を日本に紹介しています。古代イスラエル(パレスチナ)の
地名と類似した地名がアラビア半島のヒジャーズ地方にも見られ、そこから
実は古代イスラエルの舞台はアラビアであったとする(たしか)ドイツ人学者
の異説です。この奇説は、少なくとも日本の学界からはほとんど相手にされて
いないと思いますが、もし仮にそのような事を示す「証拠」でも発掘されれば、
ユダヤの聖地がアラビア半島のイスラームの聖地に重なることになってしまい、
イスラエル・サウジ両国のみならず国際的な大問題になりかねません。
そのためか、サウジアラビア政府はそのような発掘を一切禁じています。
(このスレッドの上の方で紹介したフィクションでもネタにされています。)

広河氏については、キブツ体験者でありながらパレスチナ支援に転じたため、
イスラエルの「裏切り者」であるかのように言う人(日本人?)がいると聞いた
ことがあります。しかし、イスラエル・パレスチナに限らず、どの国・民族
にも好戦的な右翼もいれば、平和運動家もいます。今回の映画の中においても
イスラエル平和運動家の人が語っていますが、民族・人種や性別・大人子供で
区別するのではなく、人権運動家や平和運動家は、抑圧されているか抑圧者か
で区別しています。イスラエルの中にも人権や平和を尊び、パレスチナと共存
しようという人は少なくないのです。
>>28へ続く)

28さーひぶ。:2008/04/14(月) 01:20:20
>>27の続き)
本作では、ヘブライ語やアラビア語の表記がいろいろ出てきて、その意味でも
勉強になります。「人権のための医師団」(أطباء لحقوق الإنسان)とか。

なお、この作品の題名の『ナクバ』は、公式サイトやパンフレットでは、
アラビア文字でアン=ナクバ(ألنكبة)と表記されています。
語頭の定冠詞がハムザ付き(أل)なので「あれっ、おかしいな」と思った方が
おられるかも知れません。定冠詞(أل)は「ハムザトゥ=ル=ワスル」(連続のハムザ)
なのでハムザは書かないんじゃないか(?)と思う方もおられるでしょう。
たしかに、そのように説明している日本のアラビア語入門書もあります。が、
このハムザは現代の印刷字体では省略されることが多いのも事実ですが、省略
されているだけであって決して間違いではありません。むしろアラブ人は、
語頭のハムザを省略しないことが少なくないのです。日本のアラビア語入門書
は、まだまだ開発途上の段階といえます。

また、パレスチナ問題ではナクバと言えば1948年のイスラエル建国による悲劇
を指しますが、もっと広い意味では「サン・レモ会議」によって旧オスマン領
アラビアのイギリス・フランス両国による分割支配が確定した1920年のことを
アーム=ン=ナクバ(عام النكبة)すなわち「ナクバ(災厄)の年」と呼びます。
>>23参照)

29さーひぶ。:2008/04/29(火) 21:54:02
【パレスチナ1948・NAKBA アーカイブス版(完全版)】DVD-BOX
http://nakba.jp/archive.html

>>26-28で紹介した『パレスチナ1948−NAKBA(ナクバ)』ですが、あれは
フォトジャーナリスト広河隆一氏が撮り貯めた記録のほんの一部であって、
この秋には「完全版」のDVD-BOXが発売される模様です。
このアーカイブス版(完全版)は、計40〜50時間にも及ぶ長大な記録映像で、
制作費が2000万円も不足しているため、募金や先行予約受付をするそうです。
で、そのDVD-BOXの単価が税込20万円!!(先行予約だと税込18万円!!)とのこと。
個人で買える人なんているんでしょうか?

そこまでやるのなら、例の話題作『靖国 YASUKUNI』のように、文化庁の
助成金を申請するとか文化庁映画賞(文化記録映画部門)を狙うとかいう手もあったでしょうね。

近年、日本人による中東関連のドキュメンタリー映画作品は増えているから
(地域対象はほとんどイラクやパレスチナに集中していますが)、
どんどん助成金に応募したらいいと思います。

文化芸術振興費補助金 http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/eiga_eizou/sien/index.html
文化庁映画賞 http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/eiga_eizou/eigashou/ichiran.html

30さーひぶ。:2009/03/08(日) 15:54:11
【NAKBA(ナクバ)再上映】

>>26-28で紹介した広河隆一氏が監督・撮影したパレスチナのドキュメンタリー映画
『NAKBA(ナクバ)』が今週(3月7日〜13日)一週間限定のレイトショー(21:00〜)
で再上映されます。東京・渋谷のユーロスペースにて。
http://www.eurospace.co.jp/screening.html

イスラエルのガザ攻撃を受けてのことなのかも知れませんが、
昼間に上映されているナディーン・ラバキー監督の映画『キャラメル』と併せて、
一つのホールが一日中、アラブものを上映することになります。
『キャラメル』については、↓ですでに紹介しました。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/558/1026920718/96-97

31さーひぶ。:2009/07/20(月) 01:40:55
【米NBC医療ドラマ「ER 緊急救命室」より「ダルフール」】

昨日の深夜、NHK総合テレビで、米NBCの人気医療ドラマ「ER 緊急救命室」の
第12シーズンの第15話「ダルフール」を観ました。
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/er12/yotei_gtv/story_15.html

ドラマの原題は「ER」で Emergency Room(救急救命室)つまり救急患者を
診療する北米型医療システムを指すようです。
地上波(NHK総合)では土曜深夜に放映されているので、何となくぼんやり
観てしまうことが少なくないのですが、今回はダルフールがテーマと事前に
知っていたので、あらたまって観てみました。
 欧米のドラマでダルフールがテーマといえば、観る前から大体どんな話かは
判ってしまうだろうと思われましたが、やはりそうでした。

ダルフール問題とは、ムスリム・アラブ系スーダン政府の後押しを受けている
といわれるアラブ系民兵「ジャンジャウィード」が非アラブ系住民(ムスリム)
に対して暴行や虐殺などの非人道的行為を繰り返して、欧米では「世界最大の
人道危機」といわれているもので、日本でも知られるようになってきました。

今回の第15話は、ダルフールに派遣されているアメリカ人のERドクターが地元
の医師と協力して診療に当たっている中で、アラブ系民兵の暴虐に直面すると
いうものです。非アラブ系の現地の女性がジャンジャウィードから暴行を受け、
それが性的暴行であったため、彼女は男性医師の診察をとても嫌がります。
太ももに付けられた傷は性的暴行を示し、それが判ると妻は離縁されるのです。
彼女の夫は、妻の太ももの傷を発見して憤慨して立ち去り、妻は悲しみます。
ところが、夫はアラブ系民兵に抗議しに行って、逆に銃殺されて血まみれに
なって、妻のもとに運ばれてくるのでした。
アラブってのは何て酷い奴らなんだ、という予想された筋書きです。
>>32に続く)

32さーひぶ。:2009/07/20(月) 01:46:57
>>31の続き)
ダルフールの人道被害の状況はあいかわらず深刻でしょうし、アラブ諸国が
無策の中で、医療をはじめとして欧米の援助が不可欠なのは確かでしょう。
ジャンジャウィードに非アラブ系住民を虐殺させたともいわれるバシル大統領
には、今年2月に国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出しましたが、米欧諸国で
は北朝鮮の金正日に劣らぬ酷い独裁者扱いをされています。

それにしても、米欧の政治家やメディアがダルフール問題について大々的に
騒げば騒ぐほど、イスラエルのパレスチナとくにガザ地区への虐殺や非人道
的行為に対して米欧がおとなし過ぎることを、気にせずにはいられません。
中国についても、チベットなら騒ぐが、ウイグルならちょっとダンマリですね。
人道危機を世論操作に使わないで、米メディアを牛耳っているユ○ヤ系の方々。

こういった米欧のダブルスタンダードによってアラブの人々がたびたび煮え湯
を呑まされてきたからこそ、米欧の中東和平策が一向に実を結ばないのではな
いですかね。ねえ、オバマさん。

紹介したERの第12シーズン・第15話「ダルフール」は、発売されているDVDボックス
「ER 緊急救命室 〈トゥエルブ・シーズン〉 セット2」
に収録されています。オンラインだと2000円ぐらいで購入できます。
DVDは世界各国、もちろんアラブ諸国でも販売・視聴されています。

33さーひぶ。:2009/07/28(火) 12:32:06
↑追記。台詞の一部はアラビア語です。

34さーひぶ。:2009/07/28(火) 12:42:20
【ハリーハウゼンのシンドバッド3部作放映】

今週、テレビ東京のお昼の映画枠で、特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼンのシンドバッド3部作
が放映されているようです。

『シンドバッド黄金の航海』は昨日放映済み。
『シンドバッド七回目の航海』は今日のこの後13:30-15:25に放映予定。
『シンドバッド虎の目大冒険』は30日13:30から放映予定のようです。

35さーひぶ。:2009/09/06(日) 02:44:05
「ER12 緊急救命室」第20話「天使のいないところ」

>>31-33で紹介した米NBCの医療ドラマ、今晩もダルフールの話でした。

毎回観ているわけではないので詳しい設定はよく知りませんが、
散発的にダルフールの話を扱っているようです。
スーダン政府系のアラブ民兵(ジャンジャウィード)の暴虐に悩まされる非アラブ系住民たちを、
米国人の医療スタッフたちがいかに助けるか、という筋書きは今回も。

台詞の大半は英語から日本語に吹き替えられていますが、あいさつはアラビア語で
「サラーム・アレイクム」「アレイクム・ッ・サラーム」
となっています。

そのほか、英語を話さないダルフール住民たちの台詞は、口語アラビア語になっており、
日本語に吹き替えられていません。

「タビーブ」(医師)、「アカラ」(彼は食べました)などのアラビア語の台詞が出て来ます。

登場するダルフール住民が非アラブ系としても、スーダン国民でムスリムなら、
アラビア語スーダン方言を話せるでしょう。

しかしながら、撮影している場所はスーダン国内ではないだろうし、演じている俳優やエキストラ
がどんな人たちなのか? アラビア語をどのくらい話せるのか?さえ不詳です。

まあ、米国のテレビドラマなので、視聴対象層の大半はアラビア語を解さないだろうから、
アラビア語の台詞部分は大して力を入れて作っていないでしょうが。

36さーひぶ。:2011/04/20(水) 01:05:59
【映画『オリエント急行殺人事件』のシドニー・ルメット監督が逝去】

既報ですが、『十二人の怒れる男たち』などの名作映画で知られる米国の
シドニー・ルメット(Sidney Lumet)監督が4月9日に亡くなりました。
『十二人の怒れる男たち』(1957年)もいうまでもなく不朽の名作ですが、
『オリエント急行殺人事件』(1974年・英)を挙げる人も少なくないでしょう。

豪華キャストをそろえ、アガサ・クリスティーのミステリを映画化した本作は、
大ヒットを記録し、日本のテレビでも何度か放映されました。
ユーゴスラビアの雪の中に閉じ込められたオリエント急行で発生する事件の
華麗なトリックもエルキュール・ポワロの名解決も有名ですが、映画の冒頭の
イスタンブールのイスラーム圏的情緒にあふれたシーンも良いですね。

特に印象的なのが、アジア側からフェリーに乗り込もうと船着場にやって来る
ショーン・コネリー演じるイギリス軍大佐にかぶさるかのように、
アラビア語でイスラームの礼拝を呼びかけるアザーン(أذان)の朗誦。


アッラーフ・アクバル(الله اكبر)「御神は至大なり」
アッラーフ・アクバル(الله اكبر)「御神は至大なり」
アシュハド・アン・ラー・イラーハ・イッラッラー(اشهد ان لا اله الا الله)
       「御神(アッラーフ)のほかに神はない、と私は告白します」


名監督に合掌

http://en.wikipedia.org/wiki/Sidney_Lumet
http://en.wikipedia.org/wiki/Murder_on_the_Orient_Express_(1974_film)
http://en.wikipedia.org/wiki/Adhan

37さーひぶ。:2012/03/05(月) 00:58:08
【リー・タマホリ監督映画『デビルズ・ダブル──ある影武者の物語』】

 劇場公開中の『デビルズ・ダブル──ある影武者の物語』を観て来ました。
リー・タマホリ監督、ベルギー・オランダ映画、2011年公開。台詞は英語。
英題はThe Devis's Double、アラビア語はبديل الشيطان(悪魔の身代わり)。
 2003年までイラクの独裁者であったサッダーム・フセイン大統領の長男
ウダイ・サッダーム・フセイン(عدي صدام حسين)の影武者を務めていた
ラティーフ・ヤヒヤー(لطيف يحيى)さんの自伝を映画化した作品です。
ウダイは、残忍な独裁者として怖れられていた父サッダームでさえ手を焼き、
「生まれたときに殺しておけばよかった」とさえ言わしめたほどの無軌道・
残虐非道ぶりが知られていました。鬼畜のような男とそのまっとうな影武者、
まったく正反対の二人を主演ドミニク・クーパーが見事に演じ分けています。

[あらすじ]イランと戦争中であったイラク軍の中尉ラティーフ・ヤヒヤー
は、大統領の長男ウダイによって召還され、彼の影武者になれと頼まれる。
独裁者の息子として富と権力をもち、暴力と乱交に明け暮れるウダイを嫌った
ラティーフは拒むが、拷問され、家族の危険をちらつかされたため承諾する。
ウダイとよく似ていた彼は、顔の一部を整形されて義歯を付け、影武者になる。
影武者はウダイと瓜二つになりきるが、怒るとすぐに銃をぶっ放し、女たちと
乱交するウダイを嫌悪する。あるとき、ウダイは父に愛人を世話していた側近
カーメル・ハンナ(كامل حنا ججو)を惨殺し、サッダームをも呆れされる。
ラティーフは、ウダイに拉致された少女をこっそり逃がすが、ウダイの手下が
少女を口封じして遺体を捨てる。影武者ラティーフは、家に帰ろうとしたり、
勝手な自由行動をすれば、拷問にあわされる地獄の日々を送る。1990-91年の
イラクのクウェート侵攻と湾岸戦争を経て、ウダイの愛人として似た境遇を
送っていた美女サラブと連れ立ってイラク国外へ亡命するが…。

>>38へ続く)

38さーひぶ。:2012/03/05(月) 01:52:20
>>37の続き)
原作者のラティーフ・ヤヒヤーさんは、1987〜91年にウダイの影武者となった
後、ヨーロッパへ亡命して作家として身を立て、ウダイが米軍に射殺された
2003年に『The Devis's Double』を発表。本作にも協力しています。
本作は R18指定の過激な作品ですが、過激すぎてついに映像化できなかった
事実もあるとのこと。ただ、ラストシーンは明らかに事実ではないでしょう。

撮影の大半は地中海の島国マルタで行われ、'80年代頃のバグダードを再現。
主演(一人二役)のドミニク・クーパーはイギリスのスター。
ヒロイン・サラブ役のリュディヴィーヌ・サニエはフランスの若手女優。
サッダーム役のフィリップ・クァストはオーストラリア出身の俳優。
そのほか脇役は、中東系の役者が堅実に固めています。

いちばん気になったのは、暴虐なイラク人とその影武者をなぜイギリス人が、
ヒロインをなぜフランスの女優が演じているか、ということでした。
台詞を英語で話せ、人気・実力とも兼ね備えたスターを揃えたのでしょう。
しかし、それとは別な意味で、皮肉を感じました。
イラクという国は、言語・宗教・民族の多様な人々が住む中東の土地を、
支配したイギリスが勝手な国境線を引いて造った人工国家です。
それももとは、イギリスとフランスが勝手に中東を分割したことに由来します。
クルド人を毒ガスで虐殺したのも、元はイギリスが始めた蛮行です。
こうして出来てしまったあのような独裁国家のありさまを、イギリスやフランス
の人たちが、これ見よがしに演じて、欧米の観客はどう感じるのでしょうか?

欧米やイランでは話題になっているようですが、アラブの反応は???

日本語公式サイト   http://devilsdouble.gaga.ne.jp/
デビルズ・ダブル   http://en.wikipedia.org/wiki/The_Devil's_Double
           http://www.imdb.com/title/tt1270262/
ラティーフ・ヤヒヤー http://en.wikipedia.org/wiki/Latif_Yahia

40さーひぶ。:2013/12/09(月) 12:28:59
【イラク日本人人質事件のその後を観る映画『ファルージャ』】

アメリカのイラク侵攻開始(2003年)後の2004年に発生した日本人人質事件
の当事者のその後をたどるドキュメンタリー映画
『ファルージャ  イラク戦争日本人人質事件…そして』(伊藤めぐみ監督)
が12月7日から公開されています。
 ttp://fallujah-movie.com/

人質事件当時、米軍の激しい爆撃を受けていたイラクでは、多国籍の多数
の人々が拉致されて人質になりましたが、本作が扱うのは日本人人質のみ。
しかも、最初に拉致されて生還した3人のうち2だけを取り上げています。
拉致したグループが日本の自衛隊のイラクからの撤退を要求するや否や、
日本国内では、人質になったのを「自己責任」として非難する声が起こり、
3人は帰国後も激しいバッシングにさらされました。
 高遠菜穂子さんは、人質事件とバッシングの後遺症から立ち直ると、再
びイラク支援に乗り出し、現在はイラクとヨルダンとを行き来しながら、
孤児の支援や先天異常の子供に日本人医師を斡旋するなどの活動を続けて
いるようです。
 高校生だった今井紀明さんは、バッシングを受けての長い引きこもり状
態から立ち直り、引きこもりの子供に通信制高校教育を受けさせるNGO
の活動に取り組んでいるようです。
 圧巻だったのは、高遠さんを訪ねて事件があったイラクのファルージャ
(ファッルージャ)を取材する場面。米軍の無差別爆撃にさらされた現地
では、米軍が使用した兵器の影響と疑われる先天異常による流産・奇形児
出生が激増しています(劣化ウランの放射能によるものでしょうか?)。
目をそむけたくなる光景に、ファルージャがフクシマよりはるかに危険な
被曝状況にあるのではないかと思い知らされました。
>>41へ続く)

41さーひぶ。:2013/12/09(月) 12:46:35
>>40の続き)
昨日、12月8日(日)の夜に観に行って来たのですが、日曜の夜21時30分から
始まるレイトショーおよび23時過ぎからの遅い時刻のトークショーまで、
130席が満席になり、人質事件から9年が経つにも拘らず関心の高さを
うかがわせました。高遠さん、今井さん、伊藤監督によるトークショーが
催され、かつての人質たちが今もパワフルな活動家として健在であること
を実感しました。特に、NGOなどの組織に属さず、たった一人で、治安
が非常に悪いイラクで死を意識しながら活動を続ける高遠さんはすごい!

国内6か所で、それぞれわずか1週間の限定公開ですので、ぜひ貴重な映
像をご覧ください。

ttp://fallujah-movie.com/
新宿バルト9 12月7日(土)〜13日(金)
広島バルト11 12月7日(土)〜13日(金)
横浜ブルグ13 12月21日(土)〜27日(金)
梅田ブルグ7 12月21日(土)〜27日(金)
T・ジョイ京都 12月28日(土)〜1月3日(金)
T・ジョイ博多 1月4日(土)〜1月10日(金)

42さーひぶ。:2013/12/14(土) 01:40:26
『ファルージャ』

先ほど、東京での一週間限定公開が終わり、伊藤監督と高遠さんと放送作家の方による
トークショーがありました。

今晩もほぼ満席でした。
好評につき、東京での再上映が決まったと、監督から報告がありました。
早くも「続編を」という声があがっています。

トークショーでは、高遠さんから「香田証生くん」という名前がちょっと出ましたが、
それ以上の話題にはならず。
2004年、あの「自己責任」過熱報道の後で、たしか海外滞在中だった香田青年は、
何を思ったのか(日本での報道を知ってか知らずか)
イラクに入国して、武装勢力に拘束され、斬首された挙げ句、その動画をさらされました。
あの事件はたいへん衝撃的でした。

今回の作品が香田さんら他の人質にふれていないのは、なぜでしょう?
余りにも刺激が強すぎてタブーなのでしょうか?

また、イラクの先天異常の問題は解明されるのか? 米軍の責任は?

続編に期待します。

43さーひぶ。:2014/01/05(日) 21:45:37
【イスラエル・パレスチナの壁を超えるフランス映画『もうひとりの息子』】

昨年10月19日より日本国内各所で公開中の、2012年のフランス映画
『もうひとりの息子』(原題は“Le fils de l'Autre”)を観て来ましたが、
詳しくは「フランス語スレッド」に書きました。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/558/1114010077/47-48

 日本語公式サイト ttp://www.moviola.jp/son/

兄ビラル役で出演のマフフード・シャラビは、ヒップホップ・ミュージシャン
として、現在公開中の『自由と壁とヒップホップ』にも出演しています。

44さーひぶ。:2014/01/07(火) 22:42:54
【ラップで抵抗するパレスチナの若者たちを描く『自由と壁とヒップホップ』】

昨年(2013年)12月14日から国内で公開されているパレスチナ・アメリカ映画
『自由と壁とヒップホップ』(原題「Slingshot Hip Hop」、アラビア語「مقلاع الهيب هوب」)
を観て来ました。 日本語公式サイト ttp://www.cine.co.jp/slingshots_hiphop/
           英語公式サイト  ttp://www.slingshothiphop.com/

 パレスチナ・シリア系アメリカ人の女性監督ジャッキー・リーム・サッローム
(Jackie Reem Salloum, جاكي ريم سلوم)が、パレスチナの若者たちによる
アラビア語のヒップホップシーンを知って衝撃を受け、取材・撮影して
2008年に公開した作品です。原題のSlingshotとは「投石器」の意味で、
ヒップホップ音楽を武器(投石器)にして、イスラエルの占領・抑圧・差別や
貧困と闘うパレスチナの非暴力の闘争を描いたものです。
イスラエル領内のパレスチナ人地区や、占領下にある西岸・ガザ地区で
活動するヒップホップ・ミュージシャンの若者たちや家族らにインタビュー
して制作しており、ヒップポップのプロモーションビデオを見ているようです。

 本作は、別スレッドで紹介したサウジ映画『少女は自転車にのって』と同じ
12月14日から国内公開が始まり、その直後に観に行ったのですが、あいにく
私はヒップホップやラップになじみがなかったもので、何度も観直しました。
ヒップホップやラップに詳しくない人にとっては、とっつきにくい作品でしょう。
 しかし、『少女は自転車にのって』でサウジの抑圧される女性たちを見せ
つけられた後で本作を観ると、パレスチナの女性たちが宗教的・部族的な
抑圧を受けずに、むしろ自由で底抜けに明るいとさえ感じさせられます。

 東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムでは1月10日まで、その後は
大阪・愛知・新潟・兵庫・京都・広島などで上映予定。(自主上映も募集中。)
 「Slingshot Hip Hop」「مقلاع الهيب هوب」など関連キーワードで検索すると、
動画サイトで関連動画を観ることができます。
 ウィキペディア記事 ttp://en.wikipedia.org/wiki/Slingshot_Hip_Hop


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