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【習作】1レスSS集積所【超短編】

1名無しさん:2015/11/21(土) 00:23:52 ID:gr26XeI60
「SS書けたけどツイノベには長いし、1000文字には満たない…」
「投稿所の新着に載せる/自分の作品ページに1作置くほどでもない…、でも日の目を当てたい!」
「初作で躓いて変なイメージついたり、叩かれたくない…」
「まずは匿名でいいから反応を見てみたい…」

 そんな初心者や超短編作家の皆様! この度、談話室に『1レスSS集積所』を作成しました!
 初心者作家の叩き台から、本館作家の息抜きネタSS、そしてその感想など、様々なレスを投じてください。
 魔物娘さんたちといちゃエロちゅっちゅしたりほのぼのするSSをお待ちしております。

 【このスレのルール】
・SSの内容に関するルールは本館と同じとします。
・作品とその感想は1レスでまとめてください。特にこのスレでの連載は禁止します。
・基本的にここで作品を投稿しても匿名になります。匿名ゆえのトラブルのリスクは投稿前によく考えてください。HN・トリ付けは自己責任で。
・ほんわかレス推奨です!


他にも色々なスレがあります。目的に適したスレをご利用ください。

※魔物娘図鑑と関係ない話題でもOKです。
雑談スレ12:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11485/1446028423/

※新刊同人誌の話題は解禁されるまでネタバレスレでお願いします。
ネタバレスレ:ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11485/1294842422

※エロ魔物娘図鑑やSSに関する考察・妄想・ネタ話などはこちらへ。
エロ魔物娘図鑑スレ10:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11485/1441958563/

※魔物娘の生態や世界情勢など、図鑑世界にまつわる考察はこちらへ。
魔物娘図鑑世界考察スレ6:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11485/1411941292/

※SS作者さん特有のピンポイント過ぎて微妙な質問・相談などはこちらへ。
SS書き手で雑談しましょ 8:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11485/1445590184/

189名無しさん:2017/03/07(火) 13:47:40 ID:aem2TyV2O
「ねえ、私、この街は初めてなの。案内して下さるかしら」

鍛錬を終えたばかりの教団の勇者である俺に、そんな声がかけられたのはある昼下がりの事だった。
顔を上げると、この世のものとも思われない美しい銀髪と紅い瞳を持つ女性が不安そうに、こちらの方を見つめていた。
高貴な雰囲気といい、きっと貴族のお嬢様なのだろう。

「あんまり、女の人が好きそうな場所とか、分からないんだが」
「いえ、貴方が良いんです。普段見ない場所を、人を知りたいのです」

貴族の道楽だろうと、やんわりと断ろうとしたが、どうやら本気で見て回りたいようで。
真っ直ぐにこちらを見つめる視線に俺は頷くしかなかった。

「じゃ。まずは服屋から行きますか」
「服屋ですか?」
「あんたのその髪とドレス、目立つからな。まずは帽子位被ってからだ」
「ええ」

それからしばらくの間、俺と女は色んな場所を歩いた。
服屋の次は、教団の史跡を辿り、屋台を巡り、ゴンドラに乗った。途中、「お、堅物のお前に恋人か?」と言ってきた同僚には「社会見学だ」と軽くブローを入れた。
屋台で食べたケバブは独りで食べるより旨かった。

「ここは?」
「俺のお気に入りの場所だ。ほら、街が一望出来るだろ?」

そして、夕暮れに染まる頃、俺達は街外れの丘の上に居た。
目の前に広がるのは、人の営み。灯りの一つ一つの下に誰かが生きている。

「綺麗……」
「ああ。勇者になってからはここを良く思い出してるんだ。俺が、護りたいってな」
「ふふ、素敵ね」

街を眺める彼女の姿は美しくて、俺は小さく溜め息をつく。
きっと彼女の正体は……。

「姫様ー!」
「こんな反魔国で何をなさってるんですか!」
「あ、貴女達!?」

そんな思考を補足するように現れたのは、二人組の女性。
角と、尻尾。人ならざる耳が魔物であることを雄弁に伝えていた。

「すまないが、人違いだ。コイツは俺の知り合いでね」
「……え」

こちらを見て呆けて居る彼女にウィンクをして、そのままお姫様抱っこをする。

「あ、その、私は」
「今日は案内を頼まれたからな」
「「待てー!」」

二人が追いかけて来る声を聞きながら、丘を駆け下る。
今日位は、逃げきれる筈だ。

きっと、彼女と俺は違う形で再会する。
「はじめまして」

そんな言葉を告げるだろう。
そして、剣を交えるかもしれない。

けれど、俺は。
今日の事を忘れない。

190名無しさん:2017/03/07(火) 14:03:26 ID:aem2TyV2O
>>186
友達を追い払う辺りで笑ってしまいました(笑)
流石白蛇さん鋭い……

191名無しさん:2017/03/07(火) 15:06:14 ID:uK1BkpjA0
このスレはほんわかレス推奨ですので、ちょっとダークな感じの話を投稿するのは避けた方が望ましいでしょうか?
規約に触れるような殺伐とした話ではないですが、ほんわかではないので……

192名無しさん:2017/03/07(火) 16:02:01 ID:aem2TyV2O
>>191
作品次第、という曖昧な回答しか出来ず申し訳ありません……。

個人的にはダークな話、特に短編で書くのは難しいイメージがあります。
図鑑世界はややライトファンタジー(異論がある方は一杯いらっしゃると思いますが……魔物娘さん達の優しさや魔界銀など人を傷つけない工夫が随所にされたこの世界を私は暖かいと感じました)に近いので、そこから乖離したダークな作品となると、理由付け……即ち、読者さんを置いてきぼりにしない、共感できて納得できる設定が話を円滑に進めるのに必要となります(重ね重ねあくまでも個人的感想です)。

しかし、これだけの設定を用意して話を書くのは大変です。
設定に寄りすぎれば長い説明だけの文章になり、設定が不足すれば、読者さんが置いてきぼりになるためです。
このジレンマがダークな話を書く上で常につきまといます。短編ともなれば短い間で伝えるので更に大変です(私みたいな木っ端作者にはほぼ不可能と諦めてます)。

しかし、私はこれらのジレンマを踏み越えた、面白い話を読んでみたいです。
心に染みる。図鑑世界らしい。面白い、ダークな話を。

貴方の投稿。楽しみにお待ちしております。

193名無しさん:2017/03/07(火) 17:29:55 ID:uK1BkpjA0
 窓から差し込む陽光に私は目を覚ました。窓には燦々と輝く太陽が描かれ、傍らには愛娘が眠っている。私は娘の額に口付けを一つ落とし、優しく揺り起こした。
 娘は煌めく硝子玉の様な瞳に涙を湛えながら、大きな欠伸と共に伸びをし、可愛らしい球体関節の指でその涙を拭った。
 
「おはよう、父様。今日も良い朝ね」
「そうだね。さぁ、母さんが美味しい朝御飯を作って待っているよ」
 
 私は娘の手を取ると寝室のドアノブを握った。部屋の四隅へ亀裂が入り、パタパタと小気味の良い音を立てて壁が倒れる。そして、再び起き上がったのはダイニングの風景が描かれている壁。部屋の中央にはダイニングテーブルとチェアが三脚。
 
「二人ともおはよう。さぁ、冷める前に頂きましょ」

 私と娘がチェアに腰掛けると料理を持った妻が現れた。朝食はトースト、ハムエッグ、サラダ、スープ。
 
「母様の料理は何時も美味しいわ」
「そりゃそうさ。なんたって母さんは私が惚れた女性だからね」
「もう、朝から止めて」
 
 私達は朝食を食べる振りをしながら団欒を楽しんだ。何時もと変わらない穏やかで楽しい朝。
 たとえ、私と妻と娘以外の全ての物が紛い物だとしても、妻と娘への愛は真実で、この壁に囲まれた世界は幸せに満ちている。
 
 幸せ家族のドールハウス
 魔界金貨10枚から応相談


短編の新作が書けず、連載も止まっている状況のため、自分の中のイメージを昇華すべく投稿させていただきました。
感想、批評等ございましたら、気兼ねなくお願いします。

194名無しさん:2017/03/07(火) 19:38:01 ID:fPXePstk0
>>193
うにゃぁ、確かにちょっとダークやわ……
自分はこういうのすごく好みだけど、何とも言えない気分になる
しっかり短編にも落とし込めそうな良いアイディアの作品だと思いました

しかし>>105>>106>>193と、リビドーちゃんは小品でも題材として人気やね

195名無しさん:2017/03/07(火) 20:12:44 ID:aem2TyV2O
>>193
リビングドールさんのダークで「幸せ」な話……ご馳走様でした。
あまり批評などは得意ではないリャナンシーですが、少しだけ、書かせていただきますね……。

今回の話のポイント(だと私が勝手に感じました……)は主人公と妻、娘による「幸せな日常」と「ドールハウス」という非日常の落差です……。
人によっては「不幸」だと感じる狂気の中の「幸せ」が短編の中で上手く描かれていたと思います……(上から目線のような書き方ですみません……)。そして、最後に出された具体的な数字がダークさと「作り物」らしさを強調してくれています……。

私が批評出来る所は、「主人公への感情移入」でしょうか……。
何故、この生活を選んだのか。どうやってドールハウスについて知ったのか……。
彼の心が病み、この「幸せ」を受け入れるようになる過程を描く(ほのめかしでも構いません……)事で読者さんの「共感」を得て、より深く、物語に没入してもらい、ダークな世界観を味わっていただけるのではないかと感じました……(生意気な事を言ってしまってすみません)。
稚拙な例ではありますが……「以前の不幸せな日々の夢を思い出し」たり、「ドールハウスを買った時の心理」を描くなど、でしょうか……。
勿論、短編の字数という都合があるため、難しいとは思いますが……。


表現力。描写力。文章の出来については私が申し上げられる事はなにもない位優れた物を、様々な作品を書いてきた経験を感じました……。
これからも。良い作品を沢山生み出して下さいませ……。

以上、拙い文で申し訳ありませんでした……。

196名無しさん:2017/03/07(火) 21:05:27 ID:ATht3vJk0
>>194
感想、ありがとうございます。
リビングドールは、ドールであるために各々の理想を落とし込み易いのかもしれませんね。

>>195
丁寧な批評、ありがとうございます。
主人公がそこに到るまでの過程を書いて共感を得てもらうというのは、以前書いた話でも頂いたアドバイスでしたが、すっかり失念していました。
次作には活かしたいと思います。

197名無しさん:2017/03/07(火) 21:31:25 ID:fPXePstk0
>>196
違ったらごめんなさいだけど、もしや>>80>>81の人?

198名無しさん:2017/03/07(火) 21:35:50 ID:ATht3vJk0
>>197
いえ、>>80,81は違う方ですね。

やはり、内容が内容なだけに……。

199名無しさん:2017/03/07(火) 22:04:51 ID:fPXePstk0
>>198
ほあっ、失礼いたしました

200名無しさん:2017/03/08(水) 11:52:46 ID:axKOdU2Q0
ダーク風味のテスト。
---------------------

吸血鬼。
それは夜の闇に潜み、人の生血を啜る魔物。
人を食料として認識し、人に近しい姿を持ち、決定的に異なる捕食者。
私は亡霊やゾンビに代表される闇にうごめく死者たちを恐れていた。
あの生気を求めて伸ばされた手に捕まれば、どうなってしまうのだろうか、と。

吸血鬼はその点、わかりやすかった。
捕まれば最後魂まで食いつくされてしまい、吸血鬼に堕ちる。
その後は自分が忌み嫌い恐れていた、人を食うという行動を嬉々として行うようになる。
人を食い、闇へと誘う彷徨える死者となるのだ。
吸血鬼の話を理解した後、心の底に真冬の解けない氷が敷き詰められたような恐怖を抱いた。

だが、こうも思った。
恐らく、恐らくだが。
なってしまえば、人としての人生など過去のものとして忘れ、笑いながら人を食うのだろうと。


「レイチェル」
「久しいな、マイルズ」
私は久方ぶりに故郷の村に帰ってきた。
幼い頃から共に夢を語り、遊んだ幼馴染は笑って私を迎えた。
開拓村特有の子供の少なさから、私たちはいつも二人で遊んでいた。

狩人として村に残っていた彼は生活が安定しているのだろう。
調度品は街では見かけない質素な木製品ばかりだが、よく使いこまれているのが見てわかる。
同じく木製の壁にかかっている大きなクマの毛皮は彼の勲章かもしれない。
カップや皿なども含めて自作しているのだろうか。
手に持つ酒の入ったカップは、どこか歪んでいる。
私の疑問に気づいた彼は笑って、まだ練習中だと教えてくれた。

女性の気配はない。
男所帯らしい、実に遊びの無い室内だ。
嫁さんはまだなのかと尋ねてみたが、やはり縁がないらしい。
少年時代そのままの快活な笑顔は、私の子供時代の記憶を掘り起こす。
あの頃は楽しかったな。
意図せず口から洩れた言葉に、彼は同意した。


泊まる宿も無く。
彼は毛布に包まり床の上、私は彼が使っていたベッドの上で身を横たえていた。
家主に申し訳無いと告げても、女性を床で寝かせるわけにはいかないと彼も譲らなかった。
酒気が誘う眠気もあり、私が折れてベッドを借りることにした。
寝返りを打ち、床で寝る彼を見る。
野生の獣を狩る生業をしているとは思えないほど、無防備な姿。
狼が彼の首筋を舐めても気づかないのではないだろうか。
呆れてベッドから下りると彼に近づき。

その首筋を舐めた。

まだ早い。
もう少しだけ、この甘くささやかな人の名残を味わうとしよう。
私は彼の皮一枚向こうに息づく生命の流れを確かめた後、ベッドに戻る。

子供時代のように。
彼との戯れを胸に抱きながら。
共に遊ぼうと彼を誘うように手を伸ばすその日を夢見て。

201名無しさん:2017/03/08(水) 12:24:11 ID:xjwqhIMcO
私は壊れた機械です。
致命的なバグが、動力源や思考中枢を苛んで居るのです。
そして、それを報告出来ないほど、私という存在は狂って居るのです。

「そうさなあ。あたしの見立てだと、このあたりが良いと思うんだけど」
「成る程、ね。やっぱり女の子の意見は参考になるな」
「まあ、なにあげても喜ぶと思うよ?あんたが選んだってのが大事なんだから」

御主人様の後ろに立つ私の聴覚センサーが、会話を捉えます。
御主人様と話しているのは、彼の古い友人であるグレムリン様でした。私の発掘と調整をしてくれた、素敵な女性です。
御主人様と、仲が良さそうで、お似合いで……。

「……!」

不意に熱くなった動力炉に私は小さく顔をしかめました。
私の頭脳回路は一体何をどうしたのか、二人を話させたくない。などというコマンドを上梓して来ています。
私の目的は、御主人様を助ける事。
もし二人が好きあって居るならば、恋の成就を応援すべき立場です。
しかし私の身体は、まったく動いてくれません。
冷まそうとした動力炉は余計に熱を生み出してしまっていました。

私は、一体どうしてしまったのか。
答えは、未だに見つからないのでした。

202名無しさん:2017/03/08(水) 12:36:01 ID:rLx9kCQU0
新人リャナンシーです。上手く批評できるかどうかわかりませんが、がんばります。

優しい狂気がじわっと侵食してくるのが、とても良かったです。
こういう作品も時々は読みたいなと思っている人もいるんじゃないかな? 私もその一人です。
空気作りがとても上手くて、何か言うのをためらうレベルです。
なので、私の担当作家ならこうしているかな? というところを書いてみますね。参考になるといいな。

漢字にメリハリをつける。
地の文から主人公は知識レベルの高そうな壮年男性と思います。でも、愛娘はやや幼い雰囲気があるので、「よい朝」や「いつもおいしいわ」など漢字を開いてキャラクターを出すとよいと思います。

壁を倒さないような場面変換にする。
最後に「壁に囲まれた」という表現が生きるように、壁は不変のものにするとよいと思いました。
『嵌め殺しの扉を開けると、テーブルに三脚の椅子が並んだダイニングが目の前に広がっていた。そして、反対側の扉の前には、私と娘の後姿があった。』という感じとか。

妻を描写する。
妻の描写がないので、妻までまがい物に感じてしまいます。これがわざと読者に違和感をおぼえさせるものならいいのですが。でも、その場合なら、まがい物をまがい物じゃ無いと思い込む主人公の理由が少しあるといいと思います。

主人公が現状にいる理由を匂わせる。
明示するよりも、読者にそれを想像させるヒントをちりばめていくことで、曖昧な怖さが出て、雰囲気がよりよくなると思います。

こんなところかな?
でも、本当に好みの問題とかになるレベルだから、他の人ならどうするかって程度で読み流してくれるといいな。

203名無しさん:2017/03/08(水) 13:24:12 ID:UCVJoUNA0
>>202
丁寧な批評、ありがとうございます。
自分でも思う所が幾つかある批評ですので、参考にさせていただきます。

204名無しさん:2017/03/08(水) 20:54:34 ID:xjwqhIMcO
「雨、か」
「雨は嫌いか?」
「余り、好きではないかな」

しとしとと、雨が降り注ぐ外を見ながら、僕はアヌビスである彼女の言葉に苦笑で返した。
昔から、雨の日は余り好きではなかった。靴の中が濡れたり、電車が止まったり。予定が狂ってしまうから。
現に、彼女が一所懸命に立てたデートの予定は、完全に破綻してしまっていた。

「君は、好きなのかい?」
「私は……そうだな。嫌いとは言えないな」
「予定が狂うかも知れないのに?」
「そうだ。確かにこうして雨宿りのための足止めを喰らって悲しんでははいるが……それでもこいつは、嫌いになれないのだよ」

静かに語る彼女の目は、遠くを見るように細められていた。
その瞳には、きっと彼女の過去が映って居るのだろう。

「お前に出会う前、私が過ごしていた砂漠は、雨が降らない地だったからな。普通の耕せば緑映える砂漠とは違う、本当の乾いた地。ファラオ様の加護無くして生きること能わず、規律無くして、死を免れ得ない大地。--故に」

ふ、と彼女は口角を吊り上げて見せた。
その笑顔に、思わずドキリとしてしまうほど、柔らかな笑みだった。

「こうして、誰かと雨を見るのが、夢だったのだ。天の気まぐれによる、絶対に予定する事の出来ない、夢だ。予定が崩れるのは確かに残念だが、次善の策もある。このあたりは地下通路も多い。先ずは--」

そんな、大きくて小さな夢を語る彼女が可愛く感じて。
僕はほんの少しだけ、意地悪をしてみたいと、思ってしまった。

「傘もありますし、外に出てみませんか?」
「お、おい、聞いていたのか!?」
「ええ。でもこうして雨が降って居るなら--見るだけなんて、勿体ないですよ」
「しかし……お前は雨は嫌いではないのか?」
「ええ、あんまり好きではありません……けれど」

傘を開くと、青い花が頭上に咲いてくれる。
きっと足元は濡れてしまうし、予定だって守れない。
僕は、きっと雨を好かないままだろう。

でも。

「君と二人で歩くなら。少しは好きになれると思いますから」
「……そうか」

少し遅れて開かれた彼女の紅い傘が、僕の傘と軽くキスをする。
パシャパシャと水溜まりを踏みながら、二人で予定を破っていく。

「明日は、晴れますかね」
「晴れてくれないと、予定が狂うな……だが」

何気なく言った一言に彼女は笑って。

「こうして、また二人で歩いてみたいものだな」

小さな夢を、口にした。

205名無しさん:2017/03/08(水) 21:14:56 ID:xjwqhIMcO
ぐうう、最近は図々しくも「……」を削る習作をここで書かせていただいていますが、今度は「、」の使いどころで混乱してきました。
一つ上の作品では特に混乱が強くなってしまい「ここで読点を使ってのばしたら悪文だし、どうすれば」と終始悩んでしまいました。
リャナンシーちゃん、出来れば上手な読点、句点の使い方を教えてください……。

206名無しさん:2017/03/08(水) 23:18:03 ID:c0xWLDZg0
>>205
SS作家跋扈するこの地獄変……リャナンシーちゃんはここにいる!
はい、頼まれましたー! 作家の誰もが悩む句点と読点の置き場!
リャナンシーちゃんも相棒と勉強中の題目だけど、できる範囲で力を貸すわよ!
なので今回、参考には本多勝一先生の名著『日本語の作文技術』を引用させていただきます! あらかじめ最初に断っておくわね!

まず句点の打ち方だけど、これは当然ながら一つの文をまとめる時に使用されます。
難しく考えずに普通の感覚で打てば良いのだけど……困るのは読点なのよね、結局。
となると、やはり読点の打ち方をルール化する必要がありそうよね?。
そこで登場する原則が二つあります! これが本田先生による、読点ルールの大原則だぁ!

原則一・長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンを打つ。(重文の境界も同じ原則による)
原則二・原則的語順が逆の場合にテンを打つ。

……はい、当然ながら何のこっちゃって感じよね。私も上手く言えないけど、解説してみまーす。
例文として>>204から文章を拝借します。以下の一文は、わざとテンを抜いてみた文章にしてみたわ。

しとしとと雨が降り注ぐ外を見ながら僕はアヌビスである彼女の言葉に苦笑で返した。

この文章は述部である『返した』って言葉を修飾……つまり、『返した』を説明している語や句があるわけよね。
そのパーツに番号を振ってみましょう。すると

①しとしとと雨が降り注ぐ外を見ながら
②僕は
③アヌビスである彼女の言葉に
④苦笑で

この4つのパーツが出てきました。この中で一番長いパーツは? そう、①になるわよね?
それから③も長め……というわけで、原則一が適用できちゃうわけね。
この文は僕はを①の前にも置ける重文構成だから、①の境にテンを打ちましょう。今度はこんな文になります。

しとしとと雨が降り注ぐ外を見ながら、僕はアヌビスである彼女の言葉に苦笑で返した。

はい、もうこれで十分スッキリ! でもちょっと後半長いかなと思ったなら、今度は第二原則を適用させてみましょうか。
このルールの『原則的語順』ってのは、上の例文みたいにパーツ分けをした時に『長いパーツから順番に並べたものが論理的には分かりやすい』というルールなの。
①は前にテンを置くのが決まったので、それを除いてパーツを順に並べると

アヌビスである彼女の言葉に苦笑で僕は返した。

こうなりました。でも元の文章ではパーツ②『僕は』を前に置いてるわよね?
さぁ、それじゃあ第二原則に従ってパーツ②にテンを置いて、また文を整理しましょう! じゃん!

しとしとと雨が降り注ぐ外を見ながら、僕は、アヌビスである彼女の言葉に苦笑で返した。

はい、『論理的には』理解しやすい文章ができました!
……違和感あるわよね? テンが近いわよね? 私も書いててカッコ悪い文章になっちゃったなぁって思ったもの。
じゃあどうしましょうかって話なんだけど、語順をいじっちゃえば良いのよ。
④『苦笑で』は『返した』の直前に置きたいから、④の前に②の『僕は』を置いて、そのまた前に③を……あ、ここ長いからテン入れちゃえ。
またこうやって整理してみると、

しとしとと雨が降り注ぐ外を見ながら、アヌビスである彼女の言葉に、僕は苦笑で返した。

これでどうかしら? 意味は通じるし、同じテンが二つでもバランスはさっきのより余程よくなったわね。
あとは好み! もっと自分でいじってみるも良し、最初のテン一つの文章にしちゃうも良し!

どうにも私と相棒も試行錯誤の最中だけど、大事なのは『無駄なテンを置きすぎたら文章はカッコ悪い』ってことらしいのよ。
今回だったら三点リーダーを減らすためにテンを多用してるわよね?
結果的にはテンがくどくなっちゃってるってのを、自分でもなんとなく感じてるんじゃないかしら。
そういうときには文をパーツに分解! ここのテンは必要ないなと思うところを片っ端から削ってみて、文を整理していく!
そんでもって、どうしても文のリズムや感情を置きたいところにテンや三点リーダーを置く!
そうすれば見直してもっと読みやすい文章が完成するんじゃないかしら?

メッチャクチャに長くて偉そうな講釈になっちゃったけど、ごめんなさい! 今回はこんなところで!
自分で書いてても意味分かんない説明だから、質問あれば答えます!
あと、添削……なんてのはおこがましいけれど、ちょっと私でも>>204の文章全体をいじって、ここに投稿させてもらっても良いかな?
こういうのは正解もないけど、せっかくだし他のお仲間と意見交換をしてみたいなー、なんて思ってるのよ。
もしOKなら、一緒に分かりやすい文章を書けるようにがんばりましょうね!

以上! リャナンシーちゃんからでした!

207名無しさん:2017/03/08(水) 23:51:42 ID:xjwqhIMcO
>>206
リャナンシーちゃん、ありがとうございます!
成る程。一旦文の読点を抜いてレイアウトを考える手がありましたね……。
私はいつもここをフィーリングでやっており、今作のような説明が多目の文章で詰まって居たため、非常に分かりやすい説明でありがたかったです。
綺麗で、伝わりやすい文章。これからも頑張って行きたいです!

そして添削版、凄く見たいです……。
とても手間がかかる事なので、無理強いは絶対に出来ませんが、もしよろしければ、お願い致します。

本当に、ありがとうございました。

208名無しさん:2017/03/09(木) 00:24:47 ID:lP1Vx0Ok0
>>207
ベッドで眠っちゃったリャナンシーちゃんから最後に補足の伝言を頼まれたので、僭越ながら自分が。

例文にあげさせていただいた『しとしと、と』の部分は、テンを消すと読み辛くなってしまうから、という意図があったのでしょうけれど、
これが気になる場合は『シトシトと』のようにカナを使って見た目に判断をしやすくする(分かち書き)のも有効だそうです。
もしひらがなでの『しとしと』という表記と感触を使いたかった場合でしたら、そのまま『しとしとと』というのもアリだとか。
辞書の例文もひらがなで『しとしとと』と書いてありましたし、文字から受けてほしい感触……書き手の都合を優先するのもたまには良いのでは、と。
それで、その辺りは他のテンとかの兼ね合いも兼ねて、トータルで読者の読みやすさとメリハリを付けていきましょう、とのことでした。

また、投稿した作品の私的校正について快諾していただきました、どうもありがとうございます。
リャナンシーちゃん喜んでましたので、明日にでもご返信できればと思います。

209名無しさん:2017/03/09(木) 01:23:16 ID:LfX0.fgw0
あ、その添削会、自分も他の人の文章と自分の文章を照らし合わせてみたいので投稿させてもらってもよろしいでしょうか?

210名無しさん:2017/03/09(木) 01:49:38 ID:lP1Vx0Ok0
>>207
ごめんなさい、>>208ですが全く意味不明な補足をしておりました……
『しとしとと』って元から表現されてますものね。いったい自分達は何を読んでたんでしょうか……
リャナンシーちゃんと二人でボケてたようです。>>208のレスは無視していただけると助かります
大変申し訳ございませんでした………あぁ、恥ずかしいよぉ

211205:2017/03/09(木) 09:17:22 ID:7xPBtKFM0
>>209
是非お願いします。
大変だとは思うので、出来ればで大丈夫ですが……。
句読点は本当に難しいです(遠い目)

>>210
いえいえ、貴重なアドバイスありがとうございます。
「しとしと」や「さんさん」などの表現はどうしてもひらがなにしたくなってしまうので中々難しいですよね。
図鑑世界らしさを出すなら柔らかいひらがなを使いたくなるので、こちらもいつも悩みの種だったりします。
もっと上手く書けるようになりたいですね……!

212名無しさん:2017/03/09(木) 12:02:20 ID:1GcchSx60
新人リャナンシーです。
作家最大の迷いどころと言っても過言じゃない読点問題に果敢に挑みます。討ち死にしたら、骨は拾ってね。

読点は、ルールが有るような無いようなところが厄介よね。作家のセンスを問われるわよね。
でも、憶えておいて。難しく考えちゃダメ。
難しく考えれば考えるほど、こういうものは無間地獄に陥るの。どうせ堕ちるなら、魔物と恋に落ちて。以上、リャナンシーからのお願いでした。

っと、まだ具体案がなかったわ。参考に私の担当作家の方法を紹介するね。

読む。

――シンプルね。でも、効果的よ。
読点を打つタイミングは「息継ぎしたい」と思ったところね。これは読むとすぐにわかるわ。あとはひらがなが連続していたりとか、読みにくくて「文を分けたい」と思ったところね。

しとしとと雨が降り注ぐ外を見ながら、僕はアヌビスである彼女の言葉に苦笑で返した。
昔から雨の日は、あまり好きではなかった。

「余り」の漢字をひらいたのは、読点を打つなら、ひらいた方が「好き」という字を目立たせることができるからです。

どうしてもしっくりこない時は、文章自体を見直すのもいいわ。順番を変えたり、句点を打って文を分けたり、描写を足したり、減らしたり。

こんな感じね。参考になったかしら?

あと、担当作家も添削会に参加したいって言ってるから、いいかしら?

213名無しさん:2017/03/09(木) 12:44:12 ID:p.GM5ecw0
問題無いかと思います。

もしよろしければ、私も参加させていただけないでしょうか?

214名無しさん:2017/03/09(木) 13:16:07 ID:gYiNaz5oO
>>212
とても具体的なアドバイス、ありがとうございました。
私も普段「読み」ながら書いては居たのですが、三点リーダーが作る「間」の威力に大分甘えていたため、今回強く混乱してしまったと感じております。

添削はとても有り難いです。
時間を割いていただけるのであれば、是非お願い致します。


>>213
はい、時間に余裕がございましたら、是非ともお願いしたいです。
宜しくお願いします。

215209:2017/03/09(木) 13:46:10 ID:LfX0.fgw0
>>211 お言葉にに甘えて

「雨……か」
「雨は嫌いか?」
「あまり好きではないかな」

雨がしとしと降りそそぐ外を見ながら、僕はアヌビスである彼女の言葉に苦笑で返した。
昔から雨の日はあまり好きではなかった。靴の中が濡れたり、電車が止まって予定が狂ってしまったりと、いい思い出がないのだ。
今もそう。彼女が一所懸命立てたデートの予定は完全に破綻してしまった。

「君は、好きなのかい?」

僕の問いかけに、彼女はしばし、ここではないどこか遠くを見るように目を細めた。

「そうだな。嫌いとは言えないな」
「予定が狂うかもしれないのに?」
「そうだ。たしかに、こうして雨宿りのための足止めを喰らって悲しんではいるが、それでも私はこいつを嫌いになれないのだよ」

静かに語るその声には懐古の情が滲んでいる。
細められた瞳には、きっと彼女の過去が映っているのだろう。

「お前に出会う前、私が過ごしていた砂漠は雨が降らない地だったからな。普通に耕せば緑映える砂漠とは違う、本当の乾いた地。ファラオ様の加護無くして生きること能わず、規律無くして死を免れ得ない大地。――故に」

彼女の口が笑みの曲線を描く。
思わずドキリとしてしまうほど、柔らかな笑みだった。

「こうして、誰かと見るのが夢だったのだ。天の気まぐれによる、絶対に予定する事の出来ない雨を。
 予定が崩れるのは確かに残念だが、次善の策もある。このあたりは地下通路も多い。先ずは――」

そんな、大きくて小さな夢を語る彼女を可愛らしく感じて。
僕はほんの少しだけ、意地悪をしてみたいと思ってしまった。

「傘もありますし、外に出てみませんか?」
「お、おい、聞いていたのか!?」
「ええ。でもこうして雨が降っているんです。見るだけだなんてもったいないですよ」
「しかし……お前は雨は嫌いではないのか?」
「たしかにあんまり好きではありません――けれど」

傘を開くと、青い花が頭上に咲いてくれる。
雨の中に踏み出すと、花が自然の音色を奏でた。

きっと足元は濡れてしまうし、予定だって守れない。
僕は、きっと雨を好かないままだろう。

でも。

「君と二人で歩くなら。少しは好きになれると思いますから」

振り返って彼女に手を伸ばす。

「……そうか」

少し遅れて開かれた彼女の傘が紅い花を咲かせ、僕の傘と軽くキスをした。
二輪の花を並べてパシャパシャと水溜まりを踏みながら、二人で予定を破っていく。

「明日は晴れますかね」

僕の何気ない一言に彼女は真剣に答える。

「晴れてくれないと予定が狂うな……だが」

もう一輪、花が咲いて。

「こうしてまた、二人で歩いてみたいものだな」

小さな夢を、口にした。

216名無しさん:2017/03/09(木) 13:50:43 ID:LfX0.fgw0
こんなアヌビスさんと公園の小屋から雨が降ってるのを延々と並んで眺めていたい……
砂漠に花というか、砂漠の花を射止めた僕さんマジ羨ましいっす

そんな花の下りを強調した終わり方でございました。
他、ちょこまかと変えてはいますが文意はあまり変わらないかと。
句読点は読んでみて違和感なければOKという雑な感じなのでリャナンシーちゃんの言ってたことをちょっと意識してみようかな……
三点リーダーについては描写を挟むことで間を取るという方法で乱用を回避できるかもです

あとですね、漢字はいくつか開いたほうが文章全体が読みやすくなりますので↓こちらあたりを参考にしてみたらよいかもです
ttps://matome.naver.jp/odai/2143348419251504001
敢えて固いイメージを持たせておきたいアヌビスさんの台詞を漢字多めで書くとかは演出的にありだと思います。

その他詳しいことはリャナンシーちゃんたちの意見を参考にしてください

217210:2017/03/09(木) 14:00:56 ID:lP1Vx0Ok0
>>211
お待たせいたしました。以下のような意図で多少の文改変を行っております。
個人的に原文が好みの文体と内容であったため、それをあまり崩さないようにしたつもりではあります。

①「余り」「居る」「先ず」といった漢字をひらがなに。
②『僕』の口調にですます調が混在していたので、地の文に合わせて普通の口調に統一。
③長い台詞の分割。及びそれに並行して地の文の追加。
④ハイライトである『夢』の印象を強くするために、彼女に対する僕のモノローグを追加。台詞も夢を語る部分で分割と抽出。
⑤『夢』の対比表現として『意地悪』を等価に置く表現の使用。
⑥読点を多少減らし、三点リーダー等の使用回数で文全体でのバランスを調整。特に――を引きの強い箇所に使用する形に。
⑦その他細かな表現を自分の感覚で調整・変更。

それでは次のレスに投下をいたします。

218210:2017/03/09(木) 14:02:47 ID:lP1Vx0Ok0
>>211

「雨、か」
「雨は嫌いか?」
「あまり、好きではないかな」

しとしとと雨が降り注ぐ外を見ながら、アヌビスである彼女の言葉に、僕は苦笑で返した。

昔から雨の日はあまり好きではなかった。
靴の中が濡れたり、電車が止まったり。そうやって予定が狂ってしまうから。
現に、彼女が一所懸命に立てたデートの予定は、完全に破綻してしまっている。

「君は好きなのかい?」
「私は……そうだな。嫌いとは言えないな」
「予定が狂うかも知れないのに?」
「そうだ。確かにこうして、雨宿りのための足止めを喰らってはいるが……それでもこいつは、嫌いになれないのだよ」

静かに語る彼女の目は、遠くを見るように細められていた。
その瞳にはきっと、彼女の過去が映っているのだろう。

「雨が降らない地だったからな。お前に出会う前、私が過ごしていた砂漠は」

僕の知らない世界のことを、彼女は淡々と述べていく。

「普通の耕せば緑映える砂漠とは違う、本当の乾いた地。ファラオ様の加護無くして生きること能わず、その規律無くして死を免れ得ない大地。故に――」

ふ、と彼女は口角を吊り上げて見せた。
思わずドキリとしてしまうほど、柔らかな笑みだった。

「こうして誰かと雨を見るのが――夢、だったのだ。天の気まぐれによる、絶対に予定する事の出来ない……夢、だ」

夢、と繰り返し口にして、彼女は微笑む。
誰かと雨を見ること。
彼女にとっては途方も無く、僕にとってはありふれているだろうこと。
そんな、大きくて小さな夢を語る彼女が可愛く感じられて。

「予定が崩れるのは確かに残念だが、次善の策もある。このあたりは地下通路も多い。まずは――」

僕は小さな意地悪をしてみたいと、そう思ってしまった。

「――傘もあるし、外に出てみない?」

僕にとって、大きくて小さな意地悪を。

「お、おい、聞いていたのか!?」
「うん。でもこうして雨が降っているなら、見るだけなんて勿体ないよ」
「しかし……お前は雨は嫌いではないのか?」
「あんまり好きではない……けど」

傘を開くと、青い花が頭上に咲いてくれる。
きっと足元は濡れてしまうし、予定だって守れない。
僕は、きっと雨を好かないままだろう。

でも。

「君と二人で歩くなら、少しは好きになれると思うから」
「……そうか」

少し遅れて開かれた彼女の紅い傘が、僕の傘と軽くキスをする。
パシャパシャと水溜まりを踏みながら、二人で予定を破っていく。

「明日は、晴れるかな」
「晴れてくれないと、予定が狂うな。だが――」

何気なく呟いた一言に、彼女は笑って。

「――こうして、また二人で歩いてみたいものだな」

小さな夢を、口にした。

219名無しさん:2017/03/09(木) 14:18:06 ID:lP1Vx0Ok0
さて、リャナンシーちゃんも満足したみたいなので普通にレスを

>>216さんの例を見ただけでも「あぁ、あそこはもこうしておけば良かったのか」とか
色々と思うところが湧いて出て来るから凄いなぁ
花の下りを強調、っていうのは自分の発想にはないものでした
ていうかリャナンシーちゃんの言ってたこと、自分も全然守れてないんだよね……要反省

220212:2017/03/09(木) 14:57:40 ID:1GcchSx60
「雨……か」

 しとしとと糸を引くような雨が降っている。

「雨は嫌いか?」

 それを不機嫌な思いで眺めていた僕に、アヌビスである彼女が問いかけてきた。

「あまり好きではない、かな?」

 疑問形で返したが、昔から雨の日は、あまり好きではなかった。
 傘を差しても靴やズボンの裾が濡れる。豪雨とかだと電車が止まったりもする。とにかく、いつもは何でもないことでも雨のせいで予定通りにいかなくなる。
 今もこうして、彼女が一所懸命に考えたデートプランが、この雨のせいで崩れていっている。それを思うと、ますます雨が嫌いになる。

「君は好きなのかい? 雨」
「私は、……そうだな。嫌いではないな」

 彼女の目が雨のむこうに向けられた。

「予定が狂うかも知れないのに?」

 彼女が、今日のことを誰よりも楽しみにしていたのを知っている。僕は、嬉しそうに行く場所のことを調べていたのも知っている。計画をして、予定通りことを進めることに喜びを感じるのも知っている。

「確かに、こうして雨宿りして、先に進めないのは残念ではある」
 彼女は僕の方を少し見て、肩をすくめて苦笑を軽く浮かべた。
「だが、それでも雨を嫌いになれないのだよ」

 もう一度、彼女は雨の向こう側を見た。
 遠い目だ。きっと、彼女は雨の向こうにある、僕の知らない景色を見つめているのだろう。

「お前に出会う前、私がいた砂漠は、雨が降らない地だった。砂漠の中でも特に過酷な、一片の慈悲もないところだった。ファラオ様の加護がなければ死を免れない。規律なくしては生を紡ぐことも難しい。故に――」

 ふと彼女は、僕の方に向き直り、やわらかく口の端を引き上げ、目じりを下げた。
 その笑顔に思わずドキリとしてしまう。初めて見る慈愛に満ちた笑みだった。

「こうして、誰かと雨を見るのが夢だったのだ。雨は希少で、天の気まぐれだ。予定する事はできないからな。それを共に見たかったのだ」

 彼女は嬉しそうだった。そんな、大きくて小さな夢を語る彼女が楽しそうで、僕は自分の小ささを恥じた。

「とはいえ、予定が崩れるのは気に食わない。こんなこともあろうと、次善の策も用意してある。このあたりは地下通路も多いのだ。先ずは――」

 いつもの生真面目な顔つきに戻って、地図を広げようとする彼女の手を取った。彼女は驚いた表情で僕を見つめた。

 僕は、彼女に夢につきあってみたいと思った。

「傘もあるし、外を歩いてみませんか?」

 手にしている青い傘を軽く掲げた。

「お、おい。私の話を聞いていたか? 地下通路があるのだぞ」

 彼女は予想外の僕の提案におろおろしていた。

「こうして、君の夢が降っているなら」
 彼女の手を引いて、僕だけ雨宿りしている庇の下から外に出た。雨粒が僕の身体に当たってはじけた。
「見ているだけなんて、もったいないですよ」

 僕は彼女に微笑みかけた。

「おい。濡れてしまうぞ。お前は雨は嫌いなのだろ」

 あわてて、彼女が僕を庇の下へと引き戻した。

 きっと靴は濡れるし、予定は狂うだろう。彼女の言う通り、地下道を行った方がよいだろう。
 それに雨は好きになれない。多分、これからも。
 でも――

「うん。あんまり好きではないよ。だけど――」
 僕は青い花を僕たちの頭上に咲かせた。
「君と二人で歩くなら、少しは好きになれる気がする」

「……そうか」

 彼女は少しばかりぽかんとした表情をしていたが、ふっと笑った。そして、赤い傘を開いて、僕の傘に軽くキスをした。

「相合傘でもよかったのに」
「傘を持っているのにか? そんなバカップルみたいなことできるか」

 僕の言葉で、彼女の顔に傘の赤さが映りこんでいた。そんな彼女が可愛くて僕から笑みが漏れる。

 パシャパシャと水溜まりを踏みながら、せっかく立てた計画を二人ででたらめに崩していった。

 周りは雨を避けるように足早に行きかう人たちの中、僕たちはのんびりと先に進んだ。

 予定通りでも、思い通りでもないけど、僕は楽しかった。
 雨の日が楽しいと思ったのは多分、生まれて初めてだろう。そして、晴れた日は今日より楽しいか気になった。

「明日は晴れますかね?」

 僕は空を見上げて、落ちてくる雨粒を見つめた。

「晴れてくれないと予定が狂う」

 彼女は真面目な顔で言ってから、顔をほころばせた。

「だが、こうして、また二人で雨の中を歩いてくれるなら、それも悪くない……今度は一つの傘で」

 はにかみながら、小さな夢を口にした。

 僕はその彼女の夢に付き合おうと思った。多分、これからも。

221212:2017/03/09(木) 15:34:11 ID:1GcchSx60
せっかくなんで結構、思い切って変えてみました。
考えたのは、原作の雰囲気を崩さないようにしつつ、空気感をさらに出すようにすること。
元々がいい雰囲気なので、そこをさらに上乗せというのは、我ながらチャレンジしすぎと思うけど。
読者がすっと情景が浮かんで雰囲気に浸れるように、邪魔しない文章を目指しました。読んでいることを忘れるような文章を目指しているので、その練習をさせていただきました。

>>209さん、>>210さんのを読んで、「しまったぁ」ともっとそうすればと反省する点がしきり。でも、本当に人によってポイントが変わると面白いです。
自分も何か書いて、添削希望をしたくなりました。

222213:2017/03/09(木) 18:43:31 ID:p.GM5ecw0
>>220
糸を引くという熟語には、『物がまっすぐ空中を動いていく』という意味があるため適した用法だと考えられます。ですが、その他にも『裏で指図して人を操る』『ねばついて糸を張ったような状態になる』といった意味もあります。
私個人の印象ですが、糸を引くという熟語は後の二つのものが強いです。
そのため、雨の細さだけを表現するのであれば

糸のような雨がしとしとと〜

のほうが、スッと内容が入り易い気がします。
参考程度にどうぞ。

223205:2017/03/09(木) 19:39:02 ID:gYiNaz5oO
皆様、本当にありがとうございます……。
書いた本人が「読点をはじめ、どこかまずいところが有るのはわかるけれど、どうすれば良いのか分からない」という重体だったため、今回の皆様による申し出はとてもありがたかったです。重ね重ね感謝を申し上げます。

>>215
花をポイントにした綺麗な修正だと感じました。
最後に彼女自身を「花」と表現するアイデア、そして微笑みの表現の優しさと柔らかさ。
追加された音の表現により五感に訴える割合が増え、情景の豊さがより強く伝わって来ます(私の描写が足りなかった、ともいいます)。
拙作をほめていただいたことを含め、本当にありがとうございました。


>>218
私の文をなぞりつつ、見事なグレードアップをしてくださって、すごいなあ、と思わず溜め息をついてしまいました。
表現したかった世界観を見事に昇華していただいた事からも、書き手としての腕が感じられます。
ひらがなにして柔らかさを出したこと、「夢」という言葉の強調(三点リーダーが本当に効果的な使われ方をしていたと思います)。
そして、長台詞を切って一拍入れたこと。
全てが効果的でした。
特に台詞の切り方は、書いている本人が長いと悩んでいたため、勉強させていただきました。
リャナンシーちゃんのアドバイスもありがたく。今回は感謝しきりです。


>>220
とても上手で大胆な修正、ありがとうございました。
主人公の心理描写の追加による「キャラクターへの共感」の強化。
そしてアヌビスちゃんの予定を破られたときの可愛らしさ。
総じて二人のキャラクターが見事に立っていたと思います。
表現においても、現在形の多用による臨場感、同じ語尾--「知っている」の三連続使用による絆と主人公のキャラクター性の強調。
それらの要素が上手く混じり合ったとても見事な修正だったと思いました。


皆様の貴重な御時間をいただき。本当にありがとうございました。
また、頑張って書いていきたいと思います。

以上、長くなってすみませんでした……。

224名無しさん:2017/03/09(木) 19:45:15 ID:4SLzWCTY0
まっすぐ細い雨が下りてくる、というのなら。
「糸を垂らしたような雨」とか「細い糸のような雨」とかあるかもしれない。
音を描写しているなら音に注目して、「しとしとと、囁くような音を鳴らして雨が降っている」と言うのも、あるかもしれない。

表現方法が上手い下手はさておいて(。。

225213:2017/03/09(木) 20:09:28 ID:yUs734rY0
やっぱり、こういった綺麗な話は引き込まれますね。
読み返してしまいます。

226213:2017/03/09(木) 20:55:03 ID:yUs734rY0
批評も感想もパッとせずに図々しいかもしれませんが、話を一つ投稿してもよろしいでしょうか?

227名無しさん:2017/03/09(木) 20:57:40 ID:lP1Vx0Ok0
>>223
こちらこそ、素敵なお話をいただいただけでなくて
厚かましい申し出を快諾していただきまして、本当にありがとうございました
雨とアヌビスという組み合わせの時点で「やられた」という感があって……その発想力が羨ましいですw
おかげさまで、リャナンシーちゃんと一緒に楽しい時間を過ごせました

>>226
どうぞどうぞ。ここは1レスSS集積所なので、そちらが本分のはずですし
むしろ結構前から「スレチなこと始めちゃった自分とリャナンシーちゃんをお許しくだせぇ」って思ってます

228名無しさん:2017/03/09(木) 21:02:10 ID:gYiNaz5oO
>>226
はい。
むしろお願いします。

自分が原因で大分スレの流れから離れてしまいましたし(汗)

229213:2017/03/09(木) 21:28:35 ID:yUs734rY0
では、投稿させていただきます。


 波一つ無い凪の海へ漕ぎ出した僕を迎えたのは、一人のネレイスだった。彼女は、何時かいなくなってしまった僕の想い人に似ていて、自然と舟を漕ぐ手は止まってしまう。
 ネレイスは固まったままの僕へ手を伸ばし、彼女そっくりの微笑みを浮かべた。僕はその手を取ると、夜の海へと身を投げた。海中は不思議な力に溢れ、僕とネレイスは、その力の静かなうねりに身を任せた。

「ずっと、貴方とこうしたかった」

 ゆらゆらと海の中をたゆたい、僕と頬をくっつけ合いながらネレイスが囁いた。水面のさざめきは既に遠く、僕とネレイスは真っ逆さまに海の深みへ沈んで行く。

「独りぼっちにしてごめんね」

 僅かに強まった抱擁に僕は口付けで答えると、ネレイスの髪に顔を埋めた。ネレイスの髪はちょっと癖っ毛で、甘やかな匂いがした。それが、目の前にいる魔物が君である事を教えてくれている。
 君との再開が言葉にならないまま口を衝いて出そうになると、君はそっと人差し指を僕の唇に置いた。そして、その人差し指はゆっくりと僕らの足元へ向けられる。

「綺麗……」

 燐光を放つ雪が、僕らと共に海底へと降り積もる。僕と君はその淡い輝きに見とれながら、更なる深みへと沈み行く。
 僕らの行き着く先は分からない。もしかすると、永遠の今を漂い続けるのかもしれない。そう思い始めた頃、海底に淡く輝く大地が現れた。
 雪の花を咲かせる海百合の草原。そのまん中へ僕らは降り立った。そして、どちらからともなく固く抱き合う。
 
「……ただいま」

 万感の想いが込めらた君の一言に答えようと、僕は頭を振り絞った。だけど、湧き出てくるのは君への尽きることのない想いばかりで、結局、言葉にはならなかった。

「ふふふ。ただいまって言われたら、なんて返すか決まってるじゃない」

 おかしそうに笑う君を見ながら、僕は伝えるべき言葉を決めた。そして、君に負けないくらいの想いを込めて言うんだ。

「おかえり」


昨日の批評にありました、主人公が現在に到るまでの過程を臭わす程度に書くことと、甘酸っぱさ( ? )に重きを置いてみました。
感想、批評等ございましたら、気兼ねなくお願いします。

230名無しさん:2017/03/10(金) 00:11:23 ID:cczr.cOg0
>>229
海に沈む二人の描写がイイね
水中で抱き合うってのは魅力的な題材だよね

231209:2017/03/10(金) 00:37:28 ID:SQpsvegk0
皆さんの添削拝見いたしました。
標本のつもりで放り投げた自分の添削にもお言葉をいただき感謝です。

>>229
言葉を振り絞ろうとして最終的に簡潔だけど重い一言になる流れ、好物でございます
ネレイスさんの行動に想い人を重ねて身体的なふれあいで彼女だと確信するのも想い人への気持ちなどを感じさせてよかったです

232212:2017/03/10(金) 08:40:10 ID:Ydjg4uh.0
>>220
アドバイスありがとうございます。言葉の印象は、すごく参考になります。
確かに、その二つの意味も認知度高いですね。
片方の「ねばついて〜」には、「しつこく降る雨」という意味もかけてはいたんですが、そのフォローをする描写を書いていなかったのに今頃気づきました。
担当リャナンシーちゃんに「めっ」される……
他の意味のことも気を付けるように頑張ります。

>>223
大胆ととっていただき、ありがとうございます。よく考えれば、失礼と言われても仕方ないぐらい変えてましたから。
素敵な二人の話だったので、ほっこりとしつつも嫉妬してます。こういう話を書きたいものです。

>>224
糸雨という言葉があるので、「糸を垂らした」という方が情緒があっていいかもしれませんね。
今回は二人だけの世界を強調したかったので、音の描写はできるだけ避けていたのですが、他の五感を描写するのはアリですね。

233名無しさん:2017/03/10(金) 15:57:44 ID:d./xUJhsO
「あ、今日はキャベツ安いな……」

全国チェーンのスーパーマーケット、「たぬきマート」の一角、僕は小さく呟きながら、特売のキャベツ(買う予定はなかった)を買い物籠に放り込んだ。
こういう所で買い物をするときは、なんとなく心が踊る。
冬は暖房、夏はクーラーが効いていて過ごしやすいし、何より品物が目に鮮やかだ。
夕飯のメニューを考えながら食品売り場を巡れば、ついつい買いすぎてしまう程度に、浮かれてしまう。

それに、もう一つ。
「後は、タイムセールのとり胸を買って……」
「ご主人、たまごが安いですよ!」

隣で屈託の無い笑みを浮かべながらしっぽを振る同居人(同居魔物?)の存在も、楽しさを増してくれるのだ。
異世界からやってきた魔物--コボルドである彼女に出会ってから早数年。
もはや居ないときを思い出すことが出来ない彼女も、スーパーマーケットでの買い物が好きなのだ。

「卵かあ、丁度良いし今夜は親子丼にしようか」
「オムライスも出来ますよ!」
「キャベツの卵とじも体に良さそうだし……」
「オムライスも良いですね!」
「かきたまにして和風にしてみようかな」
「オムライスはどうですか!」
「……オムライス、食べたい?」
「いえ、ご主人の料理ならみんな大好きです!」

今日のメニュー案を口に出しながら、二人で歩く。
買い物籠には買い足したケチャップと玉ねぎ、ついでにミックスベジタブルが入っていた。

「よし、今日は僕も食べたいし、オムライスだ」
「やったぁ!ご主人の分のケチャップはわたしがかけてあげますね!」
「よし、任せたよ」

今日のメニューは、彼女の大好きな、オムライス。
僕にはふわとろ、と洒落たものは作れないから、木の葉型の昔懐かしい形のものだ。
黄色の薄焼き卵に、真っ赤なケチャップで文字を書くのが、彼女は大好きなのだ。

「さあて、そろそろ帰ってご飯を作らないと」
「はい!荷物は半分持ってあげますね!」

レジを通過して、二人で袋に商品を詰める。
印刷された「たぬきマート」のイメージキャラクターである「まめたぬき」が、中身の重さに、ほんの少し伸びてしまう位の量。
一人じゃきっと、食べきれずに腐らしてしまうかもしれないけれど、彼女と二人なら、きっと食べきれる。

僕は夕焼けに染まる街を歩きながら、この日常を、噛みしめていた。

234名無しさん:2017/03/10(金) 16:38:29 ID:ua6UGR8k0
お蔵入りしていたワーキャット編を発見したので日の目を浴びせたい
初期の頃はこんな漢字で書いていたのかと感慨深い。




ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ

カーテンの隙間から陽の光が薄暗い部屋を照らす時刻。
室内に響くデジタル音に少女の眉が歪む。

「う……う〜ん、何よ……朝からうるせぇ……まだ眠い」

のろのろと伸びた手が目覚まし時計をタオルケットの中に引きずり込む。
数秒後タオルケットが宙を舞い、跳ね起きた少女が絶叫した。

「ち、ち、ち、遅刻だあああああ!」

****

ボクは『はぁ…』とため息をついた。
これが何回目のため息だろうか。
朝から寝癖でひっちゃかめっちゃかぁな髪を気合いでセットして、焦げかけたフレンチパックを牛乳と共に胃袋に押し込んでダッシュ。
ワーキャットの脚力を生かしてギリギリセーフで補習教室に駆け込んだ。
CMのお姉ちゃん共が『ああ、遅刻だぁ♪』と言いながらフレンチパック片手に出社とか絶対無理、あのCMはウソだな。

「ああ……ひもじい」

十七歳のお腹は昼を回った辺りから引きリなしに悲鳴をあげている。
補習は本日をもって終了、何とかクリアできたと思う。
夏休みに入る前に先生から『葵ちゃん、赤点だから補習よろしくね』って言われた。くっそ、あの三十路ババァ……数学の補習とかマジ面倒くさい。
ボクは文系なのにニ年までは週三で数学がある。
『消滅しろよ!』と叫びたくなるくらい数学が嫌いだ。
人生にはたし・ひき・かけ・わり算だけでいいんだよ!
これからの人生の中で数式なんて使う用途があるか?
『気分を落ち着かせたいので連立方程式を解きます』とかいう奴がいたら頭がおかしいとしか思えない。

「おー葵、今帰りか?」

後ろから声がした。自転車のベルの音と共になじみの顔が見えた。

「あータクヤか……そうだよ、今帰りだよ」
「休みだってのに制服でご苦労様だな」

こいつはタクヤ、中学の時からの馴染みだ。
今時の学生だが重度のアニメオタクである。

「寄るな、キモオタ……妊娠させるのはゴミ箱だけにしろ」

最近は格闘と美少女を組み合わせたアニメにハマッているらしい。

「はいはい、どーせキモオタですよ……じゃあな……昼飯どこで食うかな」

なんですと?昼メシ―――ボクは間髪おかずに言った。

「すごいよね! アニメって夢があるし、可愛いよね! ボクも大好きなんだ」
「……で、そのキモオタに昼メシをねだっているわけね」
「あのーその……都合してくれませんか? お酌してあげるにゃん」

****

「いただきまーす」

ボクは熱々のハンバーガーにポテト、フライドチキンを胃袋におさめていく。
店内にはひんやりした冷房と夏を思わせる歌なんかが流れている。

「…………」

シェイクを啜りながら対面に座るタクヤがジト眼で見てくる。

「ぷは……お腹いっぱい、幸せ〜ありがとうタクヤ」

ボクは冷たいジュースを飲みながら言った。

「いや……いいけど。貸し1つな」
「むぅ……わかった」
「にしてもお前、朝からフレンチパック以外何も食ってねぇの?」
「しょうがないだろ……補習のせいで家族旅行出遅れだし……」
「マジで!? あっはっはっは、ダセぇの」
「あーもう! むかつくわー! 海行きたくなってきた!」
「はぁ? まだ海開きやってねぇだろ?」
「お忘れかな? タクヤ君? あるだろ、ボクらだけのビーチが

235名無しさん:2017/03/10(金) 16:50:15 ID:ua6UGR8k0
連投すみません。もう一つはかなり作風が違うので注意。
お蔵入り第二弾。

「……有能な将校さんはこんないい部屋で寝泊まりできるのね」

朝の日差しが差しこむ部屋で若い女性がくるまったシーツから顔を出した。

「ははは、何度修理しても雨漏りする兵舎が懐かしいよ」
「贔屓だわ。とっても贔屓。同じ王に仕える身なのに」
「ルナは近衛騎兵団でも副長だからね、俺とは勲章の数が違うのさ」

既にベッドから出て、制服を身につけた青年将校が水差しと2つのグラスを持って来た。

「……気兼ねなくシャワーが浴びられる貴方が羨ましいわ」

ルナと呼ばれた女性が半身を起こしてグラスを受け取る。
群青色の髪に赤い瞳が印象的な女性だ。何気なしに水を飲んでいるだけなのに不思議と見とれてしまう。

「私なんて身体を拭くのがやっとなのに……やだ」

青年の視線に気付いたルナはシーツから覗いている乳を隠し、顔を赤らめた。

「あ、ごめん……そんなつもりじゃなかったんだけど」
「もう……」

近頃は帝国内外で兵士の行き来が激しい。
その理由は帝国に反旗を翻す部族や小国によって帝国領内の街道が寸断され、物品の流通に支障が出ているからだ。
特に貴重な真水や塩などの供給がここ数日、滞っている。先に大規模な暴動が街道で起こったためだ。
さらに国境外の強制開拓団、少数民族及び、森林地帯のエルフ、地下探鉱のドワーフ達が同盟を組み、着々と軍備を進めているという。
また帝国内でも一部の者達がその同盟組織と内通しているという噂がある。果ては王の暗殺まで画策しているとか、ないとか…

「なら前線の部隊に転属するかい?ルーナンティ=エレオノーレ君。
我が第1歩兵連隊は君を歓迎するよ。毎日、乾燥豆のスープに塩漬け肉と水割り酒のフルコースで」

水を飲み干した女性は軽く笑って

「遠慮しておくわ。キース……もう行くの?」
「ああ、新兵の訓練の時間だからね。シャワーは自由に使うといい。じゃ、また後で」
「ありがとう、いってらっしゃい」

****

「失礼致します。お呼びでしょうか」
「……入れ」

城内に設けられている塔の中で、最も高い塔の一室
城下が一望できる部屋の主にルーナンティは低い声で入室を告げた。

「ルーナンティ=エレオノーレ近衛騎兵副団長であります」
「……近くに寄れ」

暗い室内で椅子に座す男の声にルーナンティはゆっくりと歩み寄った。

「ここ最近、お前に命じた任務の報告書に同じ文字が記されている」
「い、いえ……そのような事は――――あっ」

男はいきなりルーナンティの尻に指を食い込ませた。

「事細かに記されているが……要は『成果なし』と言うことだ。これが何を意味するか、わかるか?」
「事実を述べているだけです…わ、私は―――んっ……く」

男の指がさらに下部に伸び、ぐっと上へ突き上げた。

「フィリップマンとか言ったか……あの男は有能すぎるのだ。
それに人徳もあるとあれば計画とやらに携わっているかもしれん。
風の噂では私を暗殺する計画というではないか。お前をあの男へ近づけたのは、暗殺計画に関わっているであろう者共を調べ上げるためだ。
それを命じて4ヶ月も経つ……それほど時間がかかっておるのには、他にワケがあるのではないか?」
「も、申し訳ございません。計画に携わっている様子は未だ、何も……」
「男と女……床を共にする中では寝物語に何を囁いているかわからんからな?」

236名無しさん:2017/03/10(金) 16:52:01 ID:ua6UGR8k0
男がルーナンティの眼を射抜くように睨んだ。

「特にお前は」
「わ、私は……あの者にそのような感情は……んっ……は」

男の手がさらにルーナンティを弄る。

「我が血を分けた娘で無ければその首をとうに刎ねているところだ。あの男の下で股を開くだけがお前の任務か?」
「……断じて……そんな……心構えでは…」
「お前の身体には母親と同じように淫らな血が流れているのだ。
男を狂わせるセイレーンの血がな。その能力(チカラ)を使ってもこの程度とは……」

男はルーナンティを突き飛ばすと報告書の束を投げつけた。
宙を舞う紙の中でルーナンティは静かに言った。

「……母は貴女を愛していたと……ち、父上」

ルーナンティは目を閉じ、震える声で答えた。

「何だ、それは?」

しかし、男は殺気を帯びた声で答えた。

「――――し、失礼しました。陛下」
「お前の存在は、私しか知らん。この世で私の血を正統に受け継いでいるのは第一皇女のみ」
「……はい」
「あと一週間の猶予を与えてやろう……その汚れた雌犬の身体をもって、忠誠を示せ。
もし計画にたずさわっていたとしてもあの男だけは生かしてやる」

その言葉にルーナンティは顔を上げた。

「舌を抜いて生かせておけば裏切りの憎悪の矛先は全てあの男に。お前もその方が楽しめるだろう?」
「……し、承知致しました。計画の首謀者、必ずや……」
「その言葉、努々、忘れるな……」

237名無しさん:2017/03/10(金) 17:35:34 ID:d./xUJhsO
「はぁ……」

私は刺繍が半分くらい入ったハンカチを前に、深く溜め息をついて、再び針を入れ始める。
それは炊事洗濯その他、家庭的な事に縁のない私にとって、初めての作業だった。

「本当に、上手く行くのかな」

頭に浮かぶのは、幼なじみのアイツと、このハンカチを手に入れた時の思い出--私が刺繍をはじめた理由だった。

ある日、部活の帰り道に雨が降って。
たまたま傘を持っていなくて。
近くに、知らない店が開いていて。
雨宿りの為に駆け込んだその店で、一番安いハンカチを買った。
その時に、言われたのだ。
このハンカチがある妖精の曰く付きの品である事。

「この小さな布を刺繍で埋めた時、家庭的な女の子になれる」

そして、おまじないがある事を。
本当は刺繍なんて出来ると思ってなかったし、話半分のつもりだったけれど。
その日から何故か、私は刺繍をはじめて居た。

「よし、今日はこんなもんかな」

毎日、毎日、少しずつ亀のようなペースで布を埋めていく。
家庭的になった実感なんて無い。
代わりにアイツの事ばかり、頭に浮かんでくる。
幼なじみで「女らしくない」ってからかってくる男。
布を弄っている間、何でもない相手の筈なのに、頭から離れなくなってしまう。

「ロクな補給してないだろうし、蜂蜜レモンでも作ってやるか」

ハンカチを机に置いて、台所に向かう。
その足取りは何時もより軽やかだった。


「前より、ペースがいいかな」

一週間後、四分の三が埋まったハンカチを刺繍しながら、小さく呟く。
蜂蜜レモンを渡されたアイツの表情が、頭に浮かぶ。
「ありがと」という言葉が、こんなに嬉しいなんて、知らなかった。
お陰で毎日作っては持って行くようになってしまっている。
「よし、今日の分はお終い」

明日は、アイツの試合の日だ。
弁当でも作るとしよう。
アイツの好物位なら、作れるようになったのだから。


「ふふ、勝てて良かった」

椅子に座って、刺繍をする。
後もう少しで完成だ。
試合はアイツの勝ちだった。
「弁当、ありがとな」と、試合の後に言われたのが、嬉しかった。
刺繍を縫いながら、何度もアイツの姿を思い浮かべる。
明日も、弁当を作っていこう。
栄養なら計算出来るから。


今日、刺繍が完成した。
犬の尻尾と耳が生えて。手首には羽毛が付いていた。
私は、家庭的な女の子に、なれたのかな。

アイツに、ご主人様に聞いてみよう。

238名無しさん:2017/03/10(金) 18:46:03 ID:ua6UGR8k0
>>234>>235を投稿したものですがリャナンシーちゃん、火鼠さん例の如く
感想をお願いします。

239名無しさん:2017/03/10(金) 19:24:26 ID:szc.yLUE0
とりあえず、数学disった子は文明の利器総て使用禁止な

240名無しさん:2017/03/10(金) 19:50:37 ID:d./xUJhsO
>>238
はい、承りました……感想も、批評も上手に出来ないリャナンシーですが……しばしお付き合い下さい……。


前者の話は夏の空気感、二人の弾むような会話が上手に描かれていたと思いました……。
遅刻のシーンの焦りに満ちた心理描写……妙に冷静になってしまう頭などが綺麗に描かれて居たため、読者さんの共感を得やすい文章だと思います……。
会話も罵りあいや急な鞍替えなど読んでいて飽きず、声の聞こえてくるような自然な文章でした……。

しかし、幾つか気になってしまった場所もあります……。
少年と少女の名前や、夏である事などの大事な設定が、中盤唐突に描写されたため、少し焦ってしまいます……。
この作品は視点変更を多用するため、誰が何をしたのかの提示がとても大事です……。
設定の提示は序盤に行った方が、良いかも知れません……。
また、視点変更が多い作品ならば、主語を強調する事もテクニックです……。
もしよろしければ、試して見てください……。
そして一番気になってしまったのは、未完結だということです……。
物語が盛り上がりそうだったので、本当に続きが気になります……。

総じて、空気感のある、続きの気になる文章だと思いました……。



もう一つの作品はハード、ですね……。

彼女の心理、焦りや、微笑み……。男の怒号……。石に囲まれたような閉塞感など、心に迫る分でした……。

反面、ですが。
この作品は短編では難しいかもしれないと感じてしまいました……。
ハードな作品で大切なのはバックボーンと説明です……。
どちらも、短編という形態では難しいものです……。
「帝国」などは特に重い単語で、説明に必要なウェイトはかなりのものです……。
三人称である場合は空気、経済、政治、人。最低でもこれくらいの説明を要求します……(私の偏見ですが……)。

とはいえ、これは私の相棒の話なので……一般的には、貴方には当てはまらないかも知れません……。
次のハードな作品を期待しております……。


以上、長く書いてしまい、申し訳ありませんでした……。

241名無しさん:2017/03/10(金) 19:58:32 ID:GcHgvTyc0
はいさ、リャナンシーちゃん呼んで来ま〜す……と、その前にごめんなさい。
ちょっとスレをご覧になっている皆様にご相談が。

最近自分はこのスレでリャナンシーちゃんと色々とレスをしてるのですが
その辺りは>>1に書いてある所の「様々なレス」の範疇で収まっている……としてしまって大丈夫でしょうか?

悪気はないのですが、率直に言ってしまうとここが過疎化の進んでしまっているスレでしたので
少しでも人が来たら良いなと思い、リャナンシーちゃんに任せて批評なんてこと勝手に始めさせてしまったため
実は他の健全なスレ利用者や利用したいという方々に迷惑をかけちゃってないかな、と心配なのです。
スレチ行為を繰り返しているということでしたら、それは不本意でありますし……どうなのでしょう?

スレの利用者の一人としては、他の書き手様のところのリャナンシーちゃん達や火鼠ちゃんの感想など
勉強になるものや楽しいものも多いですし、何よりスレの本分であるSS投稿も活発になってきたので
特に問題なければスレが現状のままOKでいてくれたらな〜、と思っております。

長文を失礼いたしました。

242名無しさん:2017/03/10(金) 20:07:30 ID:d./xUJhsO
>>241
私としてはとても有り難いです。
以前から書いては居たのですが、誰からも感想を貰えない苦痛もあったので……。

むしろリャナンシーちゃんが居たから大量に書いているという背景もあります(遠い目)
何時も的確なアドバイスをなさっておりますので。私としては有り難いなあ、と。

243名無しさん:2017/03/10(金) 20:37:19 ID:W85zuxTI0
>>241
現状で大丈夫だと思いますよ

244名無しさん:2017/03/10(金) 21:09:29 ID:d./xUJhsO
こんな雨の日に洗濯機がお亡くなりになったとか、どうすりゃいいんだよ……。
学校は変わらずにあるし、明日は普通に講義だし、たまたま洗濯物溜め込んだタイミングだから明日着る服ないし……。
いや、悩んでても嘆いててもしょうがないな。
たしか近くに「ワンコインランドリー」が出来たはずだ。
しばらく財布に辛いだろうけど、通うしか無いな……。

お、ここか。
結構大きいな。ワンコインランドリーの癖に。
ていうか中見えないし。
とにかく、入ってみるか……。

「いらっしゃいませ!」

ん!?コボルド!?
……なんだこりゃ。
最近のコインランドリーには店員が居るのか。
意外だな……あれ、洗濯機は?
店員さーん。

「お洗濯の前に、お好きな子をお選びください!」

何。メニューがあるのか。
ランドリーなのに。
とにかく業に入れば業に従えっていうし見てみるか。

「コボルド」「クー・シー」「ヘルハウンド」「ワーウルフ」「アヌビス」

……なにこれ。
ここ、ワンコインランドリーだよね。

「はい!ワンコ・イン・ランドリーです!」

ん?
何かイントネーションがおかしいような……。

「お好きなワンコがあなたの服をお洗濯しちゃいます!」

……成る程。
今理解した。
読点は大事だ。
小説家の気持ちが今なら分かる。

「洗濯、していきますよね?」

ぐ。なんてつぶらな瞳をしてやがる。
断るに断れないじゃないか……。
どっちにしろ洗濯物はあるし、頼むしかないな。

「じゃあ、アヌビスで……」
「ハーイ!アヌビスさん出番ですよ!」
「承った……この量であれば22分18秒で乾燥まですませてやろう」

一番しっかりしてそうだし、アヌビスさんが無難だろう。
なんというか、店の中から出てきた姿も頼もしい感じだし。
しかし洗濯機でやるなら違いなんて無さそう……。

「出でよ!たらい&洗濯板!」

……うわぁ、レトロ。

「何を言う!何事も自らの手で行ってこその仕事だ!……匂いも嗅ぎやすいしな」

何か聞き捨てならない事が聞こえたような。
って、早い!?
あっという間に洗濯物がピカピカに!
本当に洗濯板!?

「ふ、当然だ。乾燥はわが太陽の魔力で行ってやろう」

うわぁ、太陽の香りだぁ。
すごいなワンコインランドリー……。

「価格は100円だ」

しかも、ワンコインなんて通うしか無いじゃないか。
とりあえず、明日も来るとしよう……。

245名無しさん:2017/03/10(金) 22:52:31 ID:lCdVLpxg0
>241
他の人が批評されているのを見て勉強になる。なにより批評の仕方も学べるし。
ここだと、気軽に批評を書ける。といっても、技術的なことしか書けないけど。

私が書きはじめたとき、ここではなかったのですが、活発に意見をもらえて、それですごく勉強になった。下手なりに今の基礎を築けた。
いつか、その恩返しをしたいと思っていたので、ここはその一歩として大変にありがたいと思っていました。

246241:2017/03/10(金) 23:55:35 ID:GcHgvTyc0
皆様レスありがとうございます
とりあえず流れ的に大丈夫そうなのでホッとしております
よっしゃ、これで気兼ねなく書き込みができるぞ〜って
リャナンシーちゃんまだ俺が書き込んでる途中で(ry

>>238
はい、感想任されましたリャナンシーちゃんでっす!

>>234はボクの一人称で語られてる内容が学生っぽくてナイスよね。
それと会話に出てた「妊娠させるのはゴミ箱だけにしろ」って表現、これは一押し!
これだけで二人が気の置けない仲だって表現できるし、笑えるポイントでした!

>>235はハードな雰囲気よね
会話での緊張感が上手く出てると思います!
けどこれを書ききるのは絶対に大変よねぇ……お蔵入りになったのもなんとなく察せられるわ

二作とも大分前の作品なのかしらね?
昔の文章に愛着が持てるのは羨ましいって相棒が呟いてるわよ
アイツはもう最初に書いた文章なんて残ってないしねー

それじゃまた何かあったら呼んでねー! リャナンシーちゃんでしたー!

247241:2017/03/11(土) 00:00:05 ID:xeWzyaRM0
PCを奪取したので簡易感想を

>>244
ホッコリ、ニヤリとする作品からコレかぁい! って笑いました
コボルドちゃんのオムライス連呼カワイイ
いつの間にかご主人様呼びになってる私カワイイ
それでいてこのしょーもない(良い意味で)のギャグかいな!

248名無しさん:2017/03/11(土) 00:22:22 ID:jE/g3ptU0
こんばんは、火鼠だ!
>>244これは思わずニヤリとしてしまった。

洒落が効いてるしワンコちゃん達を選択して洗濯してもらうなんてイイネ!

中東系褐色ワンコちゃんの最後のセリフもワンコなら納得だよ。

クンカクンカすーはーすーはしているなら命の洗濯もしてもらうといいよ。

しかもワンコインで、ワンコにインできるなんてとってもリーズナブル

だけどボクは違うからそこんとこよろしく。

じゃ、ワンコに追いかけられる前に退散するね。

またおもしろい作品を期待しているよ。

249名無しさん:2017/03/11(土) 11:51:09 ID:H7yNtD56O
「本当に、色んな写真だらけだ……」
「キヒヒ、趣味と実益を兼ねてますから」

壁に貼られた沢山の写真、棚を埋め尽くすスクラップブックに机の上の原稿。
床の上は資料だらけ。
豪雨の日の帰り道、一時避難所に使わせてもらった先輩の部屋は、新聞部のエース、という彼女の評判にぴったりのものだった。

「濡れただろうし、シャワーなら貸すよ?」
「いや、流石にそこまでお世話になるわけには行かないし……着替え、ないですからね」

キヒヒ、と胡散臭く笑う先輩の言葉に首を振ってみせると、彼女は小さく首をすくめた。
ラタトスクである彼女の大きな尻尾が残念そうに揺れる。

「ちぇっ。折角後輩クンの全裸を撮ろうと思ったのに」
「自重して下さい。やりすぎるとまた風紀委員に目をつけられてネガ没収されますよ?」
「あー……あれは辛かったよ本当に。良い記事だと思ったんだけどな」
「委員長はヴァンパイアなんですから……駄目ですよ。相手の気持ちを考えないと」
「キヒヒ、善処するよ。ほれ、タオルだ。そこ座って拭いときなよ」
「ありがとうございます。先輩」

もらったタオルで頭を拭きつつ、ギリギリ露出しているフローリングの床に座る。
座っただけの振動でも、ぐらぐら揺れる縦置きの資料の山が、なかなかに怖い。

「先輩、これ崩れそうですよ!」
「そ、その山は不味い!抑えて……」
「うわぁ!?」

彼女の焦りが最後のトリガーだったのか。
そのうちの一つ、やけに巨大な山がひときわ大きく揺れて崩れていく。
盛大な音が鳴り響いた数秒後、僕は見事に押しつぶされていた。

「おーい、後輩クン。生きてるか」
「な、なんとか」

資料に埋もれながら、返事をする。
ごそり。と起きあがると、挟まっていた写真がぱらぱらと落ちた。
これは、僕の写真だろうか?いや、むしろこの資料全部……!?

「先輩、この写真って……」
「全く、大事な資料だったのに。乙女の秘密を知った責任、とってくれるかな?キヒヒ」

呆然とする僕に、相変わらずの笑いを見せる先輩の顔は、真っ赤に染まっていた。
大きなフカフカの尻尾は不安なのか、少しだけ、垂れていた。

「ほら、責任を取ってくれよ後輩クン。私の心を奪った責任をね」

ごまかすように。
先輩が僕の体に乗ってくる。

「キヒヒ、資料じゃない。本当の後輩クンを教えてくれ」

その日、僕達は初めてキスをした。

250名無しさん:2017/03/11(土) 12:34:49 ID:xeWzyaRM0
 おや。ハンターさん、今日もこの森でお仕事ですか?
 若いのに仕事熱心な人ですねぇ。
 そんなハンターさんに、ボクからとってもイイコトを教えてあげましょう。
 この入り口を真っ直ぐ行って、それから三つある小道を右に入って。
 それから四つの道の、左から二番目の方を進んでいくと広場があります。
 さっきそこに、獲物になりそうな動物がたくさん集まっていたんです。
 そこに行けばきっと、今日のお仕事も楽にこなせちゃうんだろうなぁ。

 おやおや、そんな疑わしい目でボクを見ないでくださいよぉ。
 それはボクも、ハンターさんをからかってばかりですけど?
 だけどこれでも、森の情報通を自負してるんです。
 たまには本当のことを言ってるって思ってくれても良いじゃないですか?
 ……信じてくれるんですか? ハンターさんってやっぱりお人好しですねぇ。
 ではでは、お仕事がんばってくださいね。ハンターさん。

 ◇

 おやおや。また会いましたね、ハンターさん。お仕事はいかがでしたか?
 見れば分かるだろうって? ああ、確かに獲物は抱えていませんものね。
 おかしいなぁ。ボクが見に行ったときには動物達がみんなで集会をしてたんだけどなぁ。
 怒らないでくださいよぉ。またちょっと悪戯しただけですってばぁ。
 ご、ごめんなさぁぃ……。
 
 …………。
 
 ボクが言うのもなんですけど、これで許しちゃうからハンターさんは“ちょろい”んですよ?
 さて……お詫びじゃないですけど、今度はボクも本当のことを教えましょう。
 さっきの道を戻って、一番右端の小道を行ってください。
 そうしたら後は、その道をまっすぐ進むだけでいいんです。
 きっとおいしいゴハンが待ってますよ。
 え? そんな道入ったこともないし、獲物が向こうに行くところを見たこともないですって?
 まぁまぁ、また騙されたと思って……もらっては困りますね。これは本当に本当のことなんですから。
 じゃあボクは準備があるので、この辺で。お先に失礼しますね。
 ……ちゃんと来てくださいね、ハンターさん?

 ◇

 やぁやぁハンターさん、いらっしゃい――って、あら。おかんむり。
 小屋があるだけじゃないかって……ボク、嘘は言ってませんよ?
 ボクが言ったのは「おいしいゴハンが待ってる」であって、「そこに獲物がいる」とは一言も言ってません。
 ……あらあら、ますますおかんむり。
 だから、おいしいゴハンが待ってるのは本当ですって!
 さぁさぁ、早く中に入ってくださいよ、ハンターさん! ゴハンが冷めちゃいます!

 じゃーん、どうですか! お腹を空かせたハンターさんの目の前、なんとご馳走の数々が!
 え? はい、用意したのはボクですけど?
 あ、目が険しくなった。そんな表情されたらボクだって傷ついちゃいますよ……うぅ、しくしく。
 ま、そんな些細なことは置いておいておきましょう!
 ささ、席に座ってくださいな。腕によりをかけて作ったんですから。

 ……いつもボクに構ってくれるハンターさんへの、ちょっとしたお礼です。
 だから遠慮しないで、たくさん食べてください。
 えへへ……良かったです、喜んでくださったみたいで。

 あぁでも気をつけないとなぁ。
 おいしい料理の中にも一つだけ激辛料理が混じってるからなぁ。
 クスクス……さぁ、お口の中の家事を回避したければ、ボクから情報を引き出さなくてはいけませんね?
 
 ……えへへ。えへへっ。
 ハンターさんなら、そう言ってくれると思ってました。

 それじゃあ、ボクの気持ちを込めた料理……楽しんでくださいね、ハンターさん?

251名無しさん:2017/03/11(土) 12:41:05 ID:xeWzyaRM0
>>249
ラタトスクちゃんのSS書いてたら先を越されたぞ畜生
書き手の考えることは同じってやつですかねw
にしても、新聞部なラタトスクちゃんカワイイなぁ。自分はその発想出てこなかった

252名無しさん:2017/03/11(土) 13:59:32 ID:H7yNtD56O
「ん。今街で行方不明の子は西の森でさまよってるってさ」
「ありがとう。情報感謝する……これ、約束の情報料だ」
「ん。たしかに受け取ったよ」

情報料が入った袋を受け取りながら、私が小さくため息をつくと、目の前にいる男は不思議そうに首を傾げた。
私--ラタトスクの情報屋と、教団の勇者であるコイツの付き合いは、結構な長さになっていた。

「しっかし。勇者がこんな魔物から情報を買うなんて……世も末かね」
「君の情報には、嘘がないから」
「そりゃあ。信用第一の商売だから嘘はつきたくないけどさ」

コイツの真っ直ぐな瞳に目をあわせないようにしながら、ぼそりと呟く。
確かに、私は情報に関して嘘をついたことはない。
だけど、結構後ろ暗い情報の渡し方をしてきたのだから。

初めて出会った時は、難病を治せるポーションの場所として、ドラゴンの巣穴を紹介した。
次に出会った時は、盗賊の頭を探して居たから、オークの群れに捕まっているとは言わずに居場所を教えた。
強い武器が欲しいと漏らしたときは、カーズドソードのありかを伝えた筈だ。

何度も何度も、コイツには、本当だけれど、悪いことをして来た。
だというのに、コイツは怒らずに、情報を買っていくのだ。
毎回毎回飽きずに来るもんだから、最近は疲れて普通に情報を渡すようになってしまっている。

「もし、目の前の魔物が子供を攫って西の森に放置した。ならどうする?」
「君はそういうこと。しないだろ?」
「まあ、そうだけどさ」

ちょっと動揺させようとしても、この調子。
なんというか、騙しがいのないヤツだ。
ちなみに、行方不明の子は世話好きのアルラウネ夫妻が保護している。
どうせ、コイツの事だから特にバトル展開一つなく、穏便に済ませてしまうだろう。

「あのさ。実は追加料金で売れる情報があるんだ」
「え、本当か?」

何となくムカついて、私はある情報をコイツに売ることにした。
これ位すれば、コイツだって少しは反応してくれるかも知れないし。
情報料を受け取りながら、小さく笑んで見せた私は。

「実は、私……あんたに惚れてるかも」

会心の情報を口にした。

253名無しさん:2017/03/11(土) 17:26:07 ID:7svTCp0k0
>>247
感想、ありがとうございます。
オムライスは以前からどこかで使いたいネタだったので鮮度が高いうちに使ってしまおうと考えた結果です(苦笑)
無口っこにやらせるべきか、可愛いコボルドちゃんにやらせるべきか……悩みどころでした(遠い目)
個人的にはオムライスの台詞三連打の途中に地の文を入れるかと考えたのですがテンポと、内容が思いつかなかったのでそのままにしたしだいだったり。

ハンカチの話は、自分の大好きな作者さんの連載が終了したので、つい魔物化で書いてしまいました。
ダークな話に負けない重厚な描写と、丁寧な心理描写。ああいう作者さんには本当に憧れてしまいます。
短編ではあの空気感は出ないので、あくまでちょっと魔物化を書いただけになってしまいましたが……。

ハイ、三つ目はしょーもないです。
読点について真面目に考えたら何故か浮かんでしまったんです。
文体についても普段自分がやらない口語スタイルなので、書いてて何故か楽しかった覚えがあります。
ワンコ・イン・ランドリー。多分別の子でも書けば連載行けたんじゃないかとも思うけどこんな連載していいのかと言ったら真顔で首を振ります。

>>248
火鼠ちゃん、感想ありがとうね。
ワンコ・イン・ランドリーだと多分命の洗濯も出来るかもしれないと思う(そこまで考えてなかったともいう)。
ワンコに、イン。洗濯を選択。
……うん、洒落もきいてるし……。

>>251
書き手ですから一番を取りたくなるのはしょうがないですよね(遠い目)
新聞部でカメコしてるのが似合うかなーなんて考えていたらこんな形になりました。
あと、ブレザーを着せてみたかっただけとも。
これからCGIで盛り上がってくれたら嬉しい子です(こちらで執筆しなから)。
>>250のラタトスクちゃん可愛いですね。
嘘はついてないけれど……という感じがとても良いと思いました。
同じ形式を繋げる事で、いつもだまされているという演出も効果が高いと感じます。
そして何より、口調が可愛いです……。

254名無しさん:2017/03/11(土) 22:14:51 ID:H7yNtD56O
「君は、今日から私の実験体だ」

それが親を亡くし、奴隷として売られた僕を買った人から、最初にかけられた言葉だった。
死人のように顔色の悪い、無表情な女性。
かなり力のある魔物だと、奴隷商人が怯えていたのを思い出す。
正直、誰だろうと関係の無い話だ。奴隷として売られた時点でまともな人生は難しいのだから。
枷を外されても、逃げる気もおきない。

「最初は、身を清めてもらうぞ。実験は清潔が基本だ」

良く分からない器具の並ぶ薬品と死の香りのする実験室の隣にある浴室に連れて行かれ、冷たい指で洗われた。
途中でつけられた薬液は、甘い花の香りがして、少しだけ心が安らいだ気がした。
十数分後、僕の身体はぴかぴかになっていた。

「次は身体の確認だ。測らせて貰うぞ」
次に裸のままの僕の体を、色んな角度からチェックされた。
枷の痕や、奴隷商人に殴られた傷の一つ一つに、丹念に甘い香りの軟膏が塗られていく。
作業が終わり、肌触りの良い服を着せられる頃には、傷一つなくなっていた。

「栄養状態の試験だ」

無表情のまま、彼女が出してきたのは温かいキノコのシチューと、ふかふかのパン。そして琥珀色の薬茶。
どれも、美味しかった。
空腹のあまりガツガツと食べる僕を彼女は無表情に見つめていた。

「性欲の確認だ」

食べ終えて、一息つく僕の前で、彼女はおもむろに着ていた服を脱いだ。
なだらかな胸や、控えめな腰が露わになる。
が、それだけだった。
しばらく無表情で見つめていた彼女は、何故か寂しそうに服を着直した。

「最後に、心の実験だ……実験体、君は家族に会いたいか?」

椅子に僕を座らせながら彼女は小さく呟く。
その問いに、僕は頷きで返した。

「それは、どんな形でも。死を否定する魔術師--リッチである私が出来る範囲でも構わないか?」
「……はい」
「了解した。ならば実験体よ。この契約書にサインをすると良い」

彼女が渡してきたのは、一枚の紙片だった。
それは、どことなく神聖で、禍々しい気配を持った紙だった。

「これが契約書だ。人を蘇らせる為に、魂を捧げ--」

僕は話を最後まで聞かないまま、サインを終えていた。
途端に冷たい感覚が全身を包む。
死の感覚、だろうか。
見上げる僕の体を彼女が抱きしめていた。

「約束だ。家族を蘇らせてやろう」

柔らかい。声音だった。

「その代わり、ずっと一緒だ」

255名無しさん:2017/03/12(日) 12:55:45 ID:nEYAXpqsO
かりかり、かりかり。
古びた銀色の懐中時計のゼンマイを回す。
数ヶ月前にはじめた、私の日課である。
寂れた静かな屋敷の中、小さな機械の音が響く。
私の手の中で、巻かれた時計はやや正確な時を刻んでいた。

「ご主人様、その機械は?」
「ああ、懐中時計だ。こうして毎日巻くのが日課でな」
「時計、ですか。ご主人様なら、時間を正確に知る魔法位、出来そうですけど」
「はは、確かに」

唯一の従者の言葉に、苦笑で返す。
ヴァンパイアである私にとって、時を知るのは簡単なことだ。
こんな道具に頼る必要などない。
けれど、私にはこの時計を持つ、理由があった。

「従者よ。記憶はまだ戻らんか?」
「いえ、全く思い出せないです」
「そうか」

ごまかすような質問に律儀に答える従者。
一生懸命に思い出そうとする彼の額には、深い皺が浮かんでいた。

「従者よ。お前は記憶を戻したいか?」
「はい。自分が何者か分からなければ、胸を張って仕える事も出来ませんから」
「……そうか。ならば」

椅子から立ち上がった私は、彼に時計を握らせる。

「この時計は、お前の物だ」

困惑する彼に、ほんの少しの笑みを見せて、私は奥の間へと歩いて行った。



「時計、か」

従者を入れたことの無い奥の間で、呟く。
部屋の隅に置かれているのは、美しくも使い込まれた剣と盾。
そして、教団の印が刻まれた鎧だった。

「お前が悪い奴じゃないのは分かる」

これを着ていた勇者の言葉を思い出す。
旧時代に人を殺した私にかけた言葉を

「けど。俺は勇者だ。お前を倒さないといけない」

剣を構えながら、そんな事を言って。

「この時計が12時をさした時、お前を倒しに行く」

言外に「逃げろ」と言いながら。時計を渡してきた男だった。
それが、私の初めてふれた優しさで。
その手にかかって、終わるのも悪く無いと思えた。

その日結局、12時の針がさした時、勇者は現れなかった。
代わりに崖下で拾ったのが、今の記憶喪失の従者。
土砂崩れから。みなをまもって頭を強打した阿呆だった。

「確かに、返したぞ」

装備の手入れを、丁寧に行っていく。
いつか、彼がこれを着る日が来るのだろうか。
私の身体を、この剣が貫く日が来るのだろうか。

ただ一つ言えるのは。

記憶が戻ったら、笑って見せてやるという決意だ。
彼のおかげで、私が出来るようになった表情なのだから。

256名無しさん:2017/03/12(日) 14:14:43 ID:nEYAXpqsO
ラタトスク、それはリスの姿をした魔物であり、情報という目に見えず、触れることも出来ない剣の使い手である。
彼女の流す情報は正確ではあるが、適切では無いことが多く、その毒牙にかかる者は後をたたない。
数値は嘘をつかないが、数値で嘘はつけるのだ。

「うーん、サバト信者を増やす方法かぁ」

そして、今まさに、ラタトスクのひとりが情報の剣をふるおうとしていた。
大きなリスの尻尾を揺らす彼女が考えているのは、依頼主のサバトの信者を増やすこと。
サバトまで人を誘導すればあとはバフォメットや魔女が誘惑してロリコンにしてしまうため、いかに人を集めるかがポイントの仕事。
すなわち、どんな内容でも人の耳目を集める事が大切である。
思わず、確かめに行きたくなるほどの。

「よし、嘘じゃないしこれで良いか」

しばしの間、ペンを咥えていた彼女だったが、ある事象をひらめき、記事を書き始めた。
数日後、教団国家に配られたビラで人々はその記事を知る事となった。



その日、教団国家の勇者の多くが装備の確認をしていた。
数多の戦士が、幾度と無く自らの調子を確かめていた。
幾多の魔術師がとっておきの魔法を準備していた。

--すべては、サバトに向かうために。

情報を受けた国境沿いのサバトでは、魔女やファミリア達。バフォメット数人が控えて準備していた。
誘惑の支度である。
他の魔物たちもおこぼれに預かるべく、瞳を光らせる。
依頼をしたバフォメットは気合いを入れるべく、何度か顔を叩いた。

激突は。数分後だった。

「ここが、噂のサバトか!」
「探すぞ!どこかに居るはずだ!」

勇者はわざと転んだ魔女を思わず庇い。
戦士は何故か屈強な筋肉を誉めるファミリアにメロメロになり。
魔術師はバフォメットとの魔法対決で敗北し。
真性のロリコンになった味方を捨てながら、彼らは進撃した。
その先に、求めるものがあると思っていたからだ。

「ここに、噂のバフォメットが居るはずだ!」

奥の扉を開けた彼らが見たのは。依頼人のバフォメット。

「良く来たな貴様ら!」
「違う」

しかしどや顔で出迎えた彼女を、彼らはスルー。
目当てではないからだ。

「どこだ!ロリ巨乳のバフォメット!?」
「なんじゃと!?」
その日配られたビラには、バフォメットの胸が大きくなったと書かれていた。
そう、確かに1ミリ大きくなったのだが。彼等は知る由も無い。
情報とは、恐ろしいのだ。

257名無しさん:2017/03/12(日) 14:52:50 ID:nEYAXpqsO
180、244、256と、ギャグに挑戦してみたのは良いのですが、ギャグらしい文章というのがいまだに良く分からないままです(自信が持てず本館で書けた試しが無いです)。
リャナンシーちゃん、ギャグを書くときに気にしていることやコツなどはあるでしょうか。

258名無しさん:2017/03/12(日) 15:04:10 ID:QFqis9320
>>240リャナンシーちゃん、感想ありがとうございました。>>234

続きはたぶん書いていたと思うのですがデータに埋もれていると

思うので探してみます。なかったら1から書き直しなのでこちらではなく

小説投稿に掲載することになると思います。すみません。

259名無しさん:2017/03/12(日) 18:12:41 ID:n/kdcvM.0
文章が笑ってはだめだみたいな感じの説明をどっかで見た気がする

260名無しさん:2017/03/12(日) 18:33:49 ID:sMYfitiI0
>>258
呼ばれて飛び出てリャナンシーちゃん登場!
ギャグはねぇ……私も相棒も書けないって気にしてるし、誰かに聞きたい箇所なのよねぇ。
まあでも参考程度のお話なら私にもできるかもしれないから、一応話をしてみるわね。

私と相棒の場合、そもそものギャグ自体があんまり思い浮かばないから難しいんだけど、文とかについてはギャグを大げさに書いて、それをテンポ良く入れていくのを意識してるわね。
例えば>>244にギャグ(笑えるとは言っていない)を挟ませていただくわね。



ぐ。なんてつぶらな瞳をしてやがる。
断るに断れないじゃないか……。
どっちにしろ洗濯物はあるし、頼むしかないな。

さて、問題は誰に頼むかだが……コボルドちゃんはどうだろうか。

「はわわわわわわわわわわわわわわわわわわ目が回りますううううううううううううううう!」

駄目だ。あっちの洗濯機の中でランドリーしてる所を見たら、とてもじゃないが頼りになりそうもない。
となるとクーシーちゃんの方ならどうだ? コボルドちゃんよりもう少し大人な顔してるから、安心できるんじゃ……。

「わふっ、わふぅっ! すごい汗の臭いがしますぅっ! わふわふっ、わふわふっ!」

洗濯物の臭いに興奮しすぎて完全にメス犬フェイスになってやがる……却下だ、却下。
次! 次のヘルハウンドさんいかがでしょうっ!?

「あぁっ? アタシに洗濯物を洗わせようだなんて、何様のつもりだ?」

お客様だっての! 誰だよ、絶対に誰にも従わない従業員なんて雇ったの!
次っ! ワーウルフちゃんならどうだっ!?

「「「「「「「「「「「「「「「がうっ! 任せてくださいお客さんっ!」」」」」」」」」」」」」」」」

群れで出てくるなぁっ! 次ぃ! アヌビスさんお願いしますぅ!

「ハーイ! アヌビスさん出番ですよ!」
「承った……この量であれば22分18秒で乾燥まですませてやろう」

おぉ! 一番しっかりしてそうだし、なんというか、店の中から出てきた姿も頼もしい感じだし!
これなら俺の洗濯物も安心して任せられる……ていうか、洗濯物を洗濯機に放り込んでもらうだけで、どうしてこんな思いをしなくちゃ――

「出でよ! たらい&洗濯板!」

――そうか、砂漠に洗濯機はないんだな。



とまあ、こんな感じ。
最初のコボルドちゃんからアヌビスさんまで、段々と地の文の文章量を少なくしてギャグをラッシュしていってるわ。
そして最後のオチに使うアヌビスさんの前で、ちょっとタメを作ってからタライに落とし込む。
こうやってオーバーな演出をしていくと、相棒の考えるようなつまらないギャグでも、一応それっぽく見えるようになったりするのよね。
後は地の文でツッコミも、合わせてオーバーリアクション気味に。
やっぱり読者をテンションに巻き込む必要があるのは否めないと思うのよね。
そういうのは官能描写と同じで、お気に入りの作家さんや作者さんから文のテンションを参考にして、自分にストックしていくのが一番だと思うわ。

>>259さんの言う文が笑ってはいけないというのは、ギャグの主体が大真面目な文だけ笑いが引き立つってやつね。
>>180とかが、すごく良い成功例よね。研究者さんが真面目なだけ、ギャグが見事に演出されてるわ。
逆に>>256とかだと、

奥の扉を開けた彼らが見たのは。依頼人のバフォメット。

「良く来たな貴様ら!」
「違う」

しかしどや顔で出迎えた彼女を、彼らはスルー。
目当てではないからだ。

この辺りはもっと真面目に大げさに、タメも引きも作れる箇所だと思うわね。
しつこいぐらい、大げさに、大真面目に! それがギャグの秘訣でもあるんじゃないかしら。
ま、とにかく練習あるのみよ! 既に面白いものが書けるんだから、あなたの発想力ならいくらでもギャグが量産できるようになるって!

そんなこんなで偉そうに言ったけど、以上! リャナンシーちゃんからでした!

261名無しさん:2017/03/12(日) 20:49:34 ID:nEYAXpqsO
>>260
成る程、スピード感ですね。
例文が上手すぎて感心しきりですが、何とかその域に辿り着けるよう頑張りたいです。

とりあえず、エクスクラメーションマークや「っ」などの有効性が良く分かりました……。
自分の土俵に持ち込んで、がっつりと共感を得る。主人公と同じツッコミが出来るように。ボケを配置する。
ギャグだけでなく、一人称小説で大切な事たのでもっと意識していきます……。
真面目文体ギャグの方は、もっと丁寧に描写したほうがよかったと反省しきりです。せめて
「良くきたな!」
「チェンジ」
くらいはするべきでした……。

目標としてはヤ○ダ○ヤ○氏や車○氏やの超スピード文章に憧れて居るので、参考にしていきます。
いつか、あの領域に……!

色々と、ありがとうございました。

262名無しさん:2017/03/12(日) 20:59:33 ID:nEYAXpqsO
>>258
はい……楽しみにお待ちしていますね……。
一人称のキャラクターでしっかりと「共感」を得て、視点変更をするときは誰が何をしているのかを描写し、空気感を大事に……書いてみて下さい……。

きっと、読んでくれる人が居ると思います。
「面白かった」とvoteをくれる人も居るはずです。
感想を、残してくれる方も、きっと……。

少なくとも私は、あなたの文章を面白いと感じました……。
誇張でも、嘘でもありません……。
あなたは、小説に大切な「空気」がかける人です……。
友人との歓談を。
夏の陽気を。
朝の風と遅刻の焦りを。
語るときの、イタズラっぽい表情を。
短い文章で、綺麗に書くことが出来ています……。

ですから。
あなたの作品を、楽しみに待っていますね……。


長くなってごめんなさい……。

263名無しさん:2017/03/12(日) 21:59:05 ID:nEYAXpqsO
「久し振りだね。勇者」

墓前に花を備える俺の耳に、聞き覚えのある声が響く。
それは、勇者である俺に長年付き添ってきた少女が死んでから、一年ほどたった頃の事だった。

「お前、生きていたのか」

顔をあげると、むっとした無表情が見える。
それは、かつて俺と少女が二人で戦った術師であった。
元教団のシスターであった彼女はある事件をきっかけに狂い、魔界のキノコを使ったスープで人を毒殺していたのだ。
そして、俺達が彼女を倒した時には、既に三桁の人間が彼女の手にかかり、ゾンビやグールへと変えられていた。

「いや、間違いなく死んでいるよ。腹に開いた傷も塞がっていないままさ--単純に、魔物になっただけだよ」
「……そうか。それで、魔物になった貴様はこんな所で何をする気だ。決着をつけるとでも?」

腹に出来た傷を見せつける彼女に気圧されつつも、剣を構える。
恐らくリッチとなった彼女から感じる魔力は膨大で、一人で戦えば勝ち目は薄い。
それでも、俺は相棒の前では逃げたく無かった。

「いいや、戦う気は無いよ。けど復讐に来たんだ」
「何をする気だ」
「キミを、泣かせてやる。大の大人がわんわん泣くところを、観察してやる」
「ふん、やってみろ」
「ならば振り返ると良い。それだけで、キミは泣く。絶対にな」

無表情のまま告げられた言葉に、警戒しつつ後ろを向いた俺の目に映ったのは。

「……っ」
「ゆう、しゃ」

長い黒髪が見えた。
ほっそりとした、手足が見えた。
女性らしさを帯びた身体が見えた。
それは--少女の姿だった。
失った筈の、相棒だった。

「あい、たかったよ」
「なん、で……っ」
「私が主神に背いたのは。その表情が見たかったからだ--再会を喜ぶその顔をな」

潤む視界に困惑する肩を、魔術師が叩く。
限界、だった。
相棒に抱きしめられるとそのまま泣いた。

「死を克服したかった。別れを、悲劇を否定したかった。その気持ちを、今なら解るだろう」
「……」
「ああ、赦されない事をしたとも。間違いなく私は人を殺したのだから」

泣いている俺の後ろで魔術師は小さく笑んでいた。

「だから、これが--私の復讐であり、せめてもの罪滅ぼしだ。気に入ってくれたかい?」

彼女の言葉に。

「ズルいな。本当に」

俺は、せめてもの抵抗を返したのだった。

264名無しさん:2017/03/12(日) 22:20:25 ID:Ftz61SEU0
私は探求する死者。
魔術は不得手だが、死んだ後より魔術は得意分野に入りこんだ。
だが、私は探求すべきことがある。
魔術により利便性は増したものの、魔術ありきの死後の人生ではない。
他の同胞とは違うのだ。

昔は誰も理解してはくれなかった。
だが今になって同胞たちが私の研究に強い関心を持つというのは、喜ばしくもあるが趣味の悪い笑みが浮かぶ思いもある。
私はやっと理解されたのだ。
キチガイ亡者と後ろ指を指された日々はもう終わったのだ。


さて。
私の探究心の往く道。
それは、エロである。
現魔王時代になるまでの間、私がどれだけ辛酸を舐め続けたかお分かり頂けるだろうか。
正直、自分でも何度か心が折れた。
長い死後の人生でよかった、ああ、本当に。

エロの何たるかを語れば、それこそ人の人生が尽きるほどの思いがある。
だが前置きが長くなってしまったため、全て省こう。

まずエロとは、見た目である。
今の私の体は幸いエロさに溢れている。
同胞たちより遥かに長い間、丹念に手入れをして来た体はエロに満ちている。
なお、私のコンセプトは「大人になろうと背伸びをする女の子。でも出るところは出ているんです」であるため、基本的に私の体は少女らしさを追求している。

アンデッド特有の背徳さと非人間性を兼ね備えた色の肌は、弾力よりも柔らかさを重視している。
お?と気を引くほど柔らかくしっとりとしたモチ肌だ。
顔の肉は童顔のふっくらさに、控えめに主張する小さな唇を添えている。
チロリと唇を舐める舌は血のように赤く、そのコントラストがさらにエロさを引き上げるのだ。
大きな両目は好奇心旺盛な垂れ目を眠たげに細めている。
普段は明るく元気な女の子、というのも良いのだが。
やはりエロさを出すには大人しそうな方が良いのだ。

研究者少女の肩は細い。
強く抱きしめれば折れそうな細い肩、ほっそりとした腕。
庇護欲を誘う小柄な体は、肉感的とは言えない。
だからこそ、背徳的なエロさがあるのだ。

華奢な体には不釣り合いな、肉感たっぷりの胸。
この胸を細い腕で隠そうとすると、細い腕で隠しきれない肉の暴力が際立つ。
弾力よりも柔らかさ重視のこの胸は、抱き寄せると柔らかく受け止め、挟み込むとしっとり包み込む。
数は暴力だ、巨乳は暴力だ。
異論は認める。

細い腰からなだらかに降りると、やはり細い太もも。
筋肉など不要とばかりに柔らかな太ももは、枕にしてもよし挟んでも良し。
膝から下も細いながらも柔らかで、実に撫で甲斐あること請け合いだ。
そして胸と同様、柔らかくも豊満な尻肉。
挟んでみるかと訴えるように盛り上がったこの部分だけは、弾力に富んでいる。
胸に飽きたら尻、尻に飽きたら胸。
私に抜かりはないのだ。


と言うことで、エロの集大成であるこの体で実践して見せよう。
どうだ、してみたいだろう?

「すまん。嫁がいるからパスで」

……エロさは、愛には勝てなかったのか。
まだまだ研究が必要だな。

265名無しさん:2017/03/12(日) 22:30:28 ID:Ak5y/U3Q0
>>264
これはえろい。
そしてえろいのに笑えると言う不思議……w

266名無しさん:2017/03/12(日) 23:26:37 ID:/7COnZOY0
「なぁ、剣士殿よ」

人里離れた山奥の丘、朱色に染まりかけの空を見上げる。
声の主はその腕、蒼色の翼をはためかせてこちらに吼えるように笑った。
ワイバーン。
時が時ならば、この命を容易く奪い飛び去っていく存在。

「……こら、無視をするな。返事くらい返したらどうなのだ」


ふふっ、と笑ってしまう。
そんな存在が今は、ただの寂しがり屋。
旧魔王時代の戦乱の記録に恐れ畏れながらも、どこか胸を躍らせていた身としてはどうにも寂しさも感じるが。
再びその姿を見る。
形だけは戦慄を呼んだそれであるが、構えという子供のような要求が可愛らしく飾り立てているようだ。

「むぅ、何を笑うか」


と、それが降りてきた。
大きさ、つまり姿も変わらない彼女はつかつか、というよりものっしのっしと俺の前に歩いてくると。

「っ、つ」


ごつ、と。
恐らくは軽く小突いたつもりなのだろう、重々しく頭を叩いてくる。
その衝撃で頭がくらくらする……訳ではなかった。
精々、頭に何かがのしかかってくる程度だ、無論手加減はしてくれているのだろうが。

「どうだ、流石に構うだろう?」


悪びれずに彼女が言う。
翼とは対照的な燃えるような真紅の瞳は、どことなく優越を帯びて見えた。

「……何だ?」

頭を擦りながら、返す。
といっても顎が邪魔で、鱗に触れた手は既に止まっている。
どけようとしても無駄だろう。
ずっしりと、温かみのあるこのおもりはどうやってもきっとどいてはくれまい。
さて、どういう事を言ってくるやら。

「んん?いや、特に何だという事ではない。ただただ構って欲しかっただけだ」


…………。

自分勝手め。

「……何だその目は。大体お前が構ってくれんのが悪い、私は悪くないぞ」


うるさい、まったく。
そう思って顎の下辺りをペチペチとはたいてみる。

「痛い」


嘘をつくな、俺より余程頑丈だろうに。
今度はグー、拳骨の先でちょんちょんと突いてみる。

「むー、痛いと言っている」

…………これは、また。
今度はパー。
段々面白くなってきた。


「……グギェァウ!」


「っぅう…………!!?」


サーッ、と血の気が引く気がした。
見上げれば俺の手が、腕が。
肘から先が、彼女にくわえ込まれてしまっていた。

「……怒らせるな、バぁカ」

彼女は言う。
怒っているらしい。

「や、悪かった。うん、悪かったって……」

素直に謝ると。

「……」

その顔が、俺の腕を食べたままスーッと正面に降りてきて。


「……ぇ?」

「ンェエォオォロォウ……ゥッ」


舌が、顔をベロォリと舐めてきたのだった。

267名無しさん:2017/03/13(月) 18:46:12 ID:g0FFA3/Q0
>>258
新人リャナンシーです。今回も謎のアドバイスをさらけ出します。

ギャグはスベルと悲惨になるから、怖がる気持ちもわかるわ。
でも、怖がってちゃダメよ。スベルのも慣れれば快感になるんだから。

じゃあ、ギャグの書き方ね。

お笑いで参考にするなら、落語>コント>>漫才の順ね。
文章の場合は、漫才形式だと面白味が伝わりにくいわ。それは、それぞれツッコミのタイプが違うからなの。

落語の場合は、登場人物は全員が物語の中なの。だから、ツッコミが「困惑」「怒り」「呆れ」なの。ボケは関係者にとって迷惑極まりないからね。
コントもどっちかというと、そちらに近いわ。でも、狂言回しがいることも多いからツッコミが「驚き」などになってしまうこともあるわ。
漫才の場合は、観客も含めて舞台なの。出てきたときに挨拶するでしょ? 「こんにちは、〇〇です」って。あれはお客に「私たちは知り合いだよ」と身内にしちゃうの。そうなると、ツッコミは「笑い」「失笑」になっちゃうの。友達の失敗談を笑いあう感じね。
漫才の面白さは内輪ネタに近いものがあるから、真似しようとすると寒くなるの。注意してね。

文字媒体での笑いは、基本、わかりやすいツッコミは読者に任せて書かない。
でも、これは投稿された三作でできているので大丈夫だと思うわ。

次は、何が面白いのか理解することね。

「魔物研究者」の場合、面白さはスク水を知らない研究者の試行錯誤ね。だから、早い段階でスク水であることを読者にのみ、明確に伝えることが面白味を増すことになると思うわ。

形状は、筒状で、片側は三つ、反対側は二つ、大きな穴が開いている。色々な角度から見ていて、シャツとパンツを一体化したような形状というのが一番近い。ちなみに、私はブリーフ派だ。
胸と思われる場所に文字が書いてある布が張り着けてある。
「さ・は・ぎ・ん?」
初めて聞く言葉だ。これの名称か?


「ワンコインランドリー」の場合だと、名称と洗濯方法ね。でも、中でオチがついてしまって、最後が尻つぼみになっているから、最後にもう一つおとして締めるといいと思うわ。

「旦那、待ってる間、あたいといいことしねーか?」
ヘルハウンドさん、仕事しようね。
「これも仕事だよ」
どういうこと?
「おい。私の客に手を出すな。あとでいいことしてもらう段取りが狂う」
アヌビスさん、計画だだもれですよ? 説明お願いします。
「何を言っている。命の洗濯に決まっているだろう?」
あー、そういうことね。
「お前、その指名をまだとってないだろうが。だから、早い者勝ちだ」
「ちょっと待て。フリーなら我らもチャンスがあるはず」
「ずるいよー」
「わふっ」
理解が足りていなかった。
ここは、「ワンコ・淫・乱取り」なんだ。
とりあえず、精液足りるかな?


「サバト誇大広告」の場合、ロリ巨乳のバフォメットにトチ狂った勇者たちの狂乱ね。だから、そっちに主軸をおいて、サバト視点は削った方があってると思うわ。
もっと思い切るなら、ラタトスクの導入部も「ラタトスクの書いたビラが教団国家に配られた」だけでにしてしまうのもいいわ。ラタトスクの言い訳を締めに持っていくとまとまるわ。
あとは、「勇者はわざと転んだ〜」のところみたいな、言葉をずらす笑いの時は、ずらす前の雰囲気の強い文章を入れて緊張感を作って、弛緩させると面白味が増すわ。
例えば――
戦いは熾烈を極めた。
勇者は、わざと転んだ魔女を思わず抱き止め恋に落ちた。
戦士は、屈強な筋肉を誉めるファミリアに骨抜きにされた。
魔術師は、バフォメットがかけたロリっ子アニメ上映の幻覚魔法に洗脳された。
多くの味方がサバトのお兄ちゃんへとなっていく。普段であれば撤退してもおかしくない損害の中、進軍の機運は削がれることなく、士気も下がることもなかった。
そう。彼らの求めるものが、その先にあることを信じて。


とりあえず、こんなところかな? 参考になればいいけど。
私も担当作家も笑いは本当に難しくて、頭を悩ませてるわ。
頭痛仲間ができると嬉しいな。

268名無しさん:2017/03/13(月) 18:47:39 ID:g0FFA3/Q0
「どっちが疾い?」

 緑色の翼が問うた。速さに自信があるのだろう。

「愚問だな」

 俺は迷わずハヤブサの剣を装備した。

「なんで! ワイバーンの剣でしょうが!」

 ワイバーンが旧魔王時代の貫禄で吼えた。

「ハヤブサの剣は二回攻撃できるからな」
「でも、そっちは速さが5しか上がらないけど、こっちは15上がるんだよ?」

 なんでそんなに速さにこだわりがあるのか不思議だ。

「速さが上がっても、メリットはせいぜい先制攻撃できるぐらいだぞ」

 回避確率も上がるけど、微々たるもんだ。

「納得できない。だいたい、5上がって二回攻撃なら、15上がったら、三倍の6回……いや、ワイバーンだから8回攻撃はできるはず」

 ぶつぶつ言う彼女に、三倍なら4回攻撃だっていうのは言わないでおいた。

「まあまあ。ハヤブサの剣は通常装備だけど、ワイバーンの剣はイベントアイテムなんだから」
「どんな?」

「この剣を持って、翼の山のワイバーンに勝つと仲間になるんだ。そのワイバーンに乗って、今まで行けなかったマップに行けるようになるんだよ」

 しかも、単なる乗り物じゃなくて会話もできる。ワイバーン好きには買いのRPGだ。
 急に静かになったので俺が振り返ると、彼女が俯いている。

「……やだ」

 赤い瞳を真っ赤にして涙をボロボロと流された。俺は予想外の反応に固まっていた。

「ワイバーン、大活躍だぞ? ワイバーンに乗って世界中行けるようになるんだぞ?」

 俺はどうしていいかわからず、とにかくなだめようと必死になった。

「他のワイバーンになんて乗っちゃ、ヤダぁ!」

 彼女が泣きながら、翼のある手で俺の胸をポカポカと叩いてきた。
 あー、そういうことか! もう、この!

「落ち着け。ちょっと、見とけ」

 俺は彼女を後ろから抱きかかえてゲームを続けた。本当はもっとレベルを上げてから行く予定だったんだがな。
 彼女は落ち着きはしたが、そっぽを向いてゲーム画面を見ようとしなかった。気まずい空気のまま、ワイバーンの登場イベントになった。

「見てみろよ」
「見ない」
「いいから! よく見てみろ」

 俺の強めの言葉に渋々と画面を見た。強そうなワイバーンのグラフィックとその名前が表示されている。
 腕の中の彼女が俺の方を真ん丸な目で振り返り、何も言わずにまた画面を見る。それを三往復ほどした。

「ゲームだろうと、お前以外のワイバーンに乗るかよ」

 俺がそのままワイバーンにやられたのは言うまでもない。

269名無しさん:2017/03/13(月) 22:45:42 ID:vsH4dvzo0
>>268

これは良いバカップル(誉め言葉)だぁあ。
導入でカッコイイ感じかと思わせつつ次の瞬間にはゲームの話題だとわかるのもまたいい感じだと思います。
贅沢ながらもっとしっかり見てみたいと思ってしまいましたわ。

27026:2017/03/14(火) 02:06:28 ID:LWHsKniM0
部屋の隅に積もった埃、あるいは家主のいなくなった網目状の巣。
寂しさ、というのはそういうものなんだと思う。
なんでそこにあるのかを意味として付けてくれる誰かはいなくなっていて、だけど同時にそれを片付けてくれる誰かなんて現れやしない。
だから寂しいと思ってしまう。過ぎゆく誰かも、訪れる誰かもいない。そういうことなんだろう。
でも、埃は寂しいなんて考えない。蜘蛛の巣は寂しいなんて思わない。
寂しくて、愛おしくて、切なくて。想いを懐った少女のような、小さな大きな夢を見る。
そんなことを考えてしまう物なんて、なるほど不良品なのかもしれない。

気にするものもいなくなった時計。打ち捨てられた風見鶏。雨風を凌ぐ廃屋。
不良品でも、寂しいと思ってしまっても、物はただそこに在るだけで合ってしまう。
在れと形を造られ、合れと用途を作られ、それに満足して処理もせず、いつしか誰かは去っていく。
寂しさを有れとは、故きオートマトンには命じられていない。だから不良品なんだと割り切るしかない。
寂しいと思う理由を外に求めれば、機械で在れるような気がするから。

そうして今日も、不良品は清掃する。命じられたことによって、命じられていないことを押しつぶすために。
朽ちた壁材。黴びたシンク。灯らない電灯。錆びた鉄扉。色褪せた文字と絵。止まった時計。失われた年月。
それらの処理プロセスを呼び出そうと身体を制止させて、やっぱり外出許可なく修復は困難で。
承けたプログラムを元に、部屋の隅に埃を集める。身体から漏れたような微細な粒を、ひたすらに単調に。
機械は機械として、壊れずに徹していれば、きっといつかは。
例えば大昔の遺跡を探索している探索者が、例えば脆い壁を崩して入ってきて、例えば私に驚いて。

「――おわっ、げほっ、なんだこの部屋。かびくさっ……!?」
「―――――――」

きっといつかは、そんな王子様が来てくれる、と信じていたんだ。

271名無しさん:2017/03/14(火) 11:27:49 ID:.hF0Lyi20
>>267
成程、落語ですか。
寡聞にもあまり聞いたことがなかったので試してみたいと思います(コントは参考にしていたのですが)
突っ込みは読者さんに任せつつ、ある程度は回せるように考えなければ……。

拙作の添削、ありがとうございます。
魔物学者は確かにその形の方が良いですね。
文字数制限があったので色々悩んで今の形にしたのですが、ならば思い切って序盤から持ったほうが良いと分かりました。
ワンコインランドリーは確かに落ちが弱かったと思ったので最後に何かを入れたほうが良いと感じていたので、このような例はとてもあり難いです。
誇大広告はもっとロリ巨乳について書けばよかったと反省仕切りだったりします。

とても詳細なアドバイス、ありがとうございました!

272名無しさん:2017/03/14(火) 11:53:40 ID:15fAOvx.0
「う〜ん、困ったなぁ……お姉ちゃん困っちゃったなぁ……」

「お姉ちゃん、ず〜っと弟くんが好きなんだけど……未だに弟くんとは結ばれず。くすん」

「弟くんの好みをそれとなく聞いたら『女子力の高い人が好み』って言ってたけど……」

「……女子力って、何だろ?」

「弟くんに振り向いてもらうため、料理とか洗濯とか裁縫とか、家事は万能にしたんだけどなぁ」

「気配りだって利くつもりだし、いつもニコニコ笑顔でいるし」

「それと身だしなみだっていつも気を使ってるんだけど……」

「……力って言ってるから、多分そんな女の子らしいものじゃなくて、もっとパワフルな意味なんだよね」

「うぅ……私、重いものとかは全然持てないよぉ……きっと女子力ないんだぁ……」

「こ、このままじゃお姉ちゃん……弟くんに嫌われちゃう!?」

「はわわっ! ダメ、ダメだよ! 女子力を鍛えて、弟くんのハートを今度こそキャッチしないと!」

「そうと決まれば、さっそく女子力の修行! お姉ちゃん、弟子入りしてきます!」

「う〜ん、女子力の高そうな人たちって誰かなぁ……あっ、そうだ!」



「 ア マ ゾ ネ ス さ ん に 頼 も う っ !」



 ◇

投稿用に書き始めたネタなんだけど、これで終わりの方が良いかもって思えてきた。

273名無しさん:2017/03/14(火) 15:13:33 ID:g1dLT60IO
「悲しい事があったの?」

学校の放課後。
誰も居ない第二図書室。
一人で本を読んでいた僕に彼女の声が、かかった。
元気な声にあわせて飛んだ細かい埃が陽気を浴びてキラキラと輝く。

「いや、別に僕は」
「そういう時は、一緒に飛ぼうよ。きっと、気持ちいいからさ」

僕の否定をものともせず、彼女の翼が僕の手を掴む。
空の王者と言われたワイバーンの彼女と、男性とはいえ非力な僕。
かなうべくもなく、僕はずるずると図書室から引きずり出されていく。
何とか読んでいた本だけは本棚に返せたけれど、帰りの荷物は教室に置きっぱなしになった。

「ほら、空が綺麗だよ。夕焼け前の赤色と、抜けるような蒼が混ざってて」
「眩しい。かな」
「もう、つれないんだから。ほら、背中に掴まって」

観念して彼女の背中に掴まると、振り返った彼女の笑い顔が見えた。
直後、ふわりと浮かび上がる浮遊感。
翠の翼の羽ばたき一つで、僕達は高い空へと飛び上がっていた。

「さあ、どこに行こっか」
「最後に大学に戻ってくれるなら何処でも良いよ。荷物、置きっぱだし」
「ありゃ、それは失礼」

遠く街を見下ろしながら、二人で話す。
遥か先には、海が見えた。

「ねえ、またあの本読んでた?竜騎士の奴」
「……うん」
「格好いいよね。竜騎士。憧れるよ」

翼を強くはためかせる彼女。
それだけで、景色は後ろへと遠ざかっていく。

「でもさ、別に私はキミが竜騎士じゃなくても良いと思う。弱いままでも、良いんだ」

静かな声だった。
僕の事を否定しながら、優しい声で彼女は語る。

「いつも宿題を見せてくれたり、一緒にゲームしたり、こうして空を飛んでみたり、それでいいの」
「宿題は自分でやりなよ」
「はは、ゴメンね」

憎まれ口にも彼女は歯を見せて笑う。
なんていうか、本当にズルいと思った。
人の心に踏み込んで、痛いことを言って。
そのくせ、いつも笑って励ましてくる。強い癖に、僕の弱さを肯定してくる。

空元気でも、応えたくなる。
少しだけ、視界が滲んだ。

「ほら、大学ついたよ」

気が付くと、僕達は大学に戻っていた。
空は、既に薄明の時期。

「元気、出た?」

おずおずと聞く彼女に、首肯。
僕は、竜騎士に憧れたままだろう。
彼女の隣に、立ちたいから。

けれど。

今は、これで良い。
帰りの支度をしながら、僕は微笑んでいた。

274名無しさん:2017/03/14(火) 19:50:15 ID:g1dLT60IO
ぐちゃり ぐちゃ ぐちゃ ぐちゃ

六畳一間の部屋の隅。
湿り気のある暗がりの中で冒涜的に蠢く塊に、

「ただいま」

会社から帰ってきた僕は、いつものように微笑んでみせる。

ぐちゃ♪

僕の言葉に反応してこちらにずるり、ずるりと這いずる紫色の肉塊。
てらりとした粘液が畳の上に跡を残す。

「おいで」

以前の僕であれば、悲鳴を上げる光景。
けれど、手を伸ばし微笑む僕の心にはただ、愛おしさが沸き起こっていた。

ぐちゃ ぐちゃり♪

紫色の肉塊--彼女から伸びた触手が僕の耳に伸びる。
反響する水音、耳の中から脳髄を犯される感覚。

「おかえりなさい!」

おぞましい感覚に目を瞑る事数秒。
僕の前に居たのは美しい紫色の髪を持つ少女だった。
彼女から沸き立つ甘い香りが、心を落ち着かせてくれる。

「今日も、大変だったんだね」
「うん、でも君が居るから大丈夫。頑張れるよ」
「ふふ、ありがとう--なでてあげるね」

彼女の柔らかな指に撫でられるまま、畳の上に座る。
こうして触れられるたびに、心の疲れが溶かされ、消えていく。
これが、彼女の力。
マインドフレイアと呼ばれる異世界の魔物の力だ。
触手を介して脳に干渉、五感を操り、感情を蝕む。
初めて出会った時、逃げようと必死だった僕に彼女が告げた言葉を、思い出す。
「私は、まだ未熟だからこのくらいの事しか出来ないの」

寂しそうに笑った彼女はそう言って、僕の疲れを癒やしてくれた。
逃げていいと、追い出していいと囁いてくれた。
そんな彼女を、僕は受け入れる事しか、出来なかった。
彼女と同じくらい、僕も寂しかったから。

「今日は、お土産があるんだ」
「わあ、ありがとう!」

手に持っていたビニール袋から、桜の枝を取り出して、彼女に渡す。
この部屋から出る事の出来ない彼女にとって、季節を感じる物が嬉しいのだ。
彼女の声にあわせて、部屋の中に幻の桜が舞い散る。

「いつか、一緒に見に行こうね」

少女の囁きに、頷きを一つ。
この世界に適応すれば、彼女は何時でも本来の少女の姿に戻れるのだそうだ。

手を繋いで、二人で桜を見に行こう。
いつかの日を夢見て、僕は彼女の腕の中で目を閉じる。

きっと、他の人から見れば狂気に満ちた光景の中。
僕は幸せだった。

275名無しさん:2017/03/14(火) 20:41:08 ID:g1dLT60IO
「今日が何の日か、覚えて居るかい?」
「円周率の日ですよね。πの日」
「ああ。微分積分が出来た時の感動は忘れんな。異世界の数学の魅力だ……と、答えて欲しいと思ったか?」
「冗談ですよ」

時は3月14日。
先輩であるリッチの言葉に僕は肩をすくめる。
その反応が気に喰わなかったのか、彼女の後ろにあった経箱がガタンと音を立てて研究室の床に落ちた。

「私を怒らせたいのか?」
「まさか。用意していますよ」

白衣の袖から出したのは、紫色の小さな結晶だった。
受け取りながら、訝しげに首を捻る先輩に微笑んでみせる。

「先輩のチョコレートの三倍の価値が思いつかなくって」

脳裏に浮かぶのは二月の事。
溶かして固めただけは邪道と叫ぶような、カカオの発酵から行ったチョコレートの甘く、ほろ苦い味を、思い出す。
目の前で結晶を弄んでいた先輩の顔が歪むのが見える。
きっとこれの正体に気づいたのだろう。

「馬鹿だな、君は」
「あげられる物が、このくらいしか、思いつか無かったんですよ」
「はは、本当に大馬鹿だ。自らの魂の欠片を精製して渡すなんてな」
「異世界の科学に感謝、ですよ」

彼女の冷たい指が、僕の欠片を撫でると、頬を撫でられたような感覚が、伝わってくる。
先輩もやっていた、魂を分ける術の力だ。
今、僕の心は文字通り彼女の手の中にある。

「全く、対処に困る物を渡すなど。贈り物失格だな」
「嫌でしたか?」
「まさか、こうして大切にするさ」

先輩は囁くと、彼女の経箱を拾い上げて、僕の魂をその中へと封じた。
心の中に、暖かい何かが流れるのを感じる。
きっと、これが先輩の心。無表情の下の優しさや愛なのだろう。

「さて、と」

経箱を机に載せながら、彼女はほんの少しだけ口角を上げて笑う。

「これは、少しばかり高すぎる贈り物だ--だから」

ふわり、と。
先輩の身体が近づく。
花に似た、甘い香り。
唇に感じる、冷たくて柔らかな感触。

「余剰分。返したぞ」

魂に通じる、甘くて暖かい気持ち。
僕は、何となく笑う。

今日も、良い天気だった。

276名無しさん:2017/03/14(火) 21:31:01 ID:15fAOvx.0
>>275
投稿スピードといいクオリティの高さといい
あなたもう投稿所で小品集として連載できるよねって思うw
このリッチのお話なんて雰囲気が素敵で、二人への嫉妬で壁殴りたくなるよね

自分が思いついたのなんて『マッチ売りのリッチ』とかいう親父ギャグみたいなネタなのに……

277名無しさん:2017/03/14(火) 23:58:24 ID:PGbxXHXA0
俺は、いまとても悩んでいることがある。
それは傍から聞くとバカみたいなことかもしれないが、切実に困ったことなのだ。

ウチにはペットが居る。
機嫌がいい時は黒い尻尾を揺らし。
機嫌が悪い時は黒い尻尾を立てる。
日向ぼっこが好きで、良く日当たりのいい場所で丸くなっている。
顎の下をくすぐると気持ちよさそうに伸びをする。
「にゃおおん」
もっと撫でてとねだる様に、顔を摺り寄せてくる。
可愛らしいものだ。

ワーウルフなんだけどね、このペット。

猫になりたい犬が、ということなら百歩譲ってクーシーとかコボルト辺りになりそうなもんだ。
しかし、こいつはワーウルフ。
狼の誇りはどこにやった。
「どこかの山に埋めた♪」
拾ってきなさい。
「や〜だ♪」
アパートの狭い室内をゴロゴロ転がる、ウチのペット。
首輪を欲しがっていたけど何かあれだったので、赤色のチョーカーを買ってやった。
そしたらいつの間にか、チョーカーに鈴がついていた。
こいつ、金持っていたのかよ。
「んひひ〜♪」
返事はない。
ただの甘えたがりなペットの様だ。

そもそもの出会いは、バイト帰りにコンビニに寄った時のことだ。
から揚げを物欲しそうに涎垂らしてワンコ座りしていたのだ、こいつ。
「買って買って♪」
困り果てたハーピーの店員に見るに見かねて、から揚げを買った。
そしたら、凄くなつかれた。
「飼って飼って♪」
それ、から揚げ買うときにも聞いたんだが。
お前はから揚げ並みの値段かよ。

で何やかんやあって、俺のペットになった。
なお、エロいことはしている。
主にこいつの発情期に押し倒される形で。
「にゃあん♪ ぁやん♪」

ところで俺には困ったことがある。
切実に悩んでいることがある。
こいつの腹、おっきくなってきてるんだ。
俺、学生なのにパパになるのか。
それともペットブリーダーになるのか?
とりあえず、市役所に相談しないと。

野良狼拾って色々あったんですけど、どうしたらいいんでしょうか、って。

278名無しさん:2017/03/15(水) 00:27:59 ID:cNr6yJc60
みんなが良い文章をたくさん投稿してくれてて
個別に感想コメしたいと思ってもアレコレ考えたりしてるうちに
次の作品が投下されたりで返すタイミングを逸したりしてしまう
嬉しい悲鳴だけど、コメントできなくてごめんなさい

279名無しさん:2017/03/15(水) 16:32:00 ID:AT3KzGZc0
再発掘したデータに書き加えて投稿。
某所のエロSSに影響されて真似して書いた記憶が懐かしい。
尊敬するあの作者さんは今……
リャナンシーちゃんどうでしょうか?


「んっ……ちゅば……はむっ」

昼下がりの館裏、一際目立たない一角で少年が壁にもたれ荒い息を吐いていた。
少年の名はジャン、館の若い主だ。
まだあどけなさの残るジャンが股に踞るメイドの口淫に声を上げた。

「あっ……だ、だめ! リコ! は、離れて!」
「んちゅ……ちゅる……あ、あるりひゃまぁ、くちにひゃひてふははい」
「く、口に入れたまま喋ったら! あああッ! 舌が……絡ま! んんんっ! で、出ちゃう!」

少年がリコと呼んだメイドの頭部を掴み前のめりになり、鈍い射精音と共にメイドの口内に精液がぶちまけられた。
口内のペニスがビクビクと脈動する度に半固形状の濃厚な精液がメイドの歯茎、頬裏、舌、そして喉……
口内のあらゆる箇所にドロドロの塊が付着していく。

「んっちゅ……ぬちゅ……はァ……んふッ」

断続的に放出される精液に目を閉じ、恍惚とした表情で喉を鳴らし飲み込んでゆくメイド。
キキーモラの特有の羽毛に覆われた手に飛び散った精子をしゃぶり終えると、大きな尻尾をしきりに動かし口を開いた

「若様……すっきりしましたか?」
「はぁ……はぁ…ああ…」

全て出し尽くし、弛緩した顔をしながらジャンは大きく息をついて言った。

「うん……リコ……いい?」
「もちろんです、若様」

リコは立ち上がるとスカートの中に手を入れ、下着の両端に手を掛け抜き取った。
ジャンに背を向けスカートをたくし上げると、色白のぷりんとした柔尻がこぼれ落ちてくる。
眼前に晒された官能的な雌尻にジャンの肉棒は再び猛々しくそそり立ち、脈動を始めた。

「……リコ……いくよ」
「あ……若様」

リコは壁に手をつき、尻を突き出す。
ジャンは両手でリコの腰を掴み肉棒を秘裂に押し当てると中に押し入った。

「あッ……はッ…ん、んんんッ!」

 思わず声を上げそうになるが、リコは手を口に当てて防いだ。
 リコ以外にも館で働くメイドは多くいる。聞かれるわけにはいかない。
 服を脱がず、尻だけ露出しての性交。館の主と昼間からのセックス。
 その背徳感は最高に興奮する。

「んッ……あはッ……わ、若様の大きい」
「リコ……リコ」

 一度、射精したにもかかわらずジャンの肉棒は脈打ち、リコの膣内で暴れ狂っている。

「ああうっ!か、硬い……」
「くっ……んんんぅ」

 ジャンは貪るように腰を振りたくった。
 視線を下ろすと滑った肉棒が尻の谷間の先にある秘部に咥えこまれている。
 押すと異物を拒むように締め付け、抜こうとすると未練がましく絡みつく。
 精放出を促すヒダヒダが隙間なく肉棒を刺激し、精を搾取しようとする動きに加えて
突く度に上がるリコの嬌声が更に興奮をたかめる。
 先に達したにも関わらず高ぶりは唐突に訪れた。

「も、もう出る! 出る! 出ちゃう!」
「あっああっ! 若様! 若様!」
「リコ! ま、また出る! 出―――うっ!」
「んっ! ああっ! んんんっ……はあ……あ……」

 ブリュ!

 リコの最奥で暴発したように飛び出る塊。

 ブビュルルゥ!

 うねる白濁色のゼリー

 ブピュピュゥ!

 濃すぎる生命の種

 ボプッ! ドク……ドク……

 生命を育む子宮内の漂う卵子の殺到する億の精


 全てを出し終えたジャンはリコの背中にすがるようにして腰を柔尻にこすりつけている。 
 汗ばんた額に前髪を張り付かせて荒い息をつくリコの尻尾は力を失いだらんとたれたままだ。

「さ、最高だよ……リコ」
「若様……はぁ……んちゅんうう」

 深く濃いディープキスを交わす二人の結合部から垂れ落ちる雌雄の混合液が、
太腿を伝い地に落ちるまで二人の口吸いは続いた。

280名無しさん:2017/03/15(水) 18:37:23 ID:cNr6yJc60
>>279
はい、呼ばれましたリャナンシーちゃんでっす!

今回のSSについてなんだけど、全体のバランスはオッケー!
コンパクトに纏まったえっちぃSSにはなってるんだけど……惜しい! 色々と惜しい!
そこで具体的に指摘を挙げていきたいのだけれど、どうしても今回は例文の数が多くなっちゃいそうなのよ。
だからまたまた添削みたいなものを書いてみたいのだけど、大丈夫かしら?

説明力が無くてごめんなさいね。
オッケー出たら添削と指摘をしてみたいと思います!
どうしてもってことだったら、またいつもみたいな指摘でがんばってみるから、安心してね!

281名無しさん:2017/03/15(水) 19:21:23 ID:bmAtiWgE0
>>279
発展途上で努力邁進中の新人リャナンシーです。今日も微妙なアドバイスをするから、よろしくお願いします。

まずは、ごちそうさまでした。主人とメイドって、いいわよね。王道だわ。食べ飽きない美味しさよね。内容もとってもエッチでよかったです。

読んでいて気になった点は、漢字を少し開いた方がいいかもね。普段、あまり使わない読みのとかは特にね。
例えば、「滑った(ぬめった)」だけど、これは「すべった」と読まれると、滑り出たと想像されてしまうわ。場面と合わなくなるの。普通のシーンなら、「ああ、ぬめったと読むんだ」と想像を修正するんだけど、エッチシーンで興奮を高めようとしているところでは水を差される感じになるわ。
これはエッチシーンだけじゃなくて、スピード感が欲しいアクションシーンなんかでも同じね。

他は、細かい指摘だけど、同じ書き出しを連続させるのも意図的じゃないなら避けた方がいいわ。
最初の方の「口内の」が二回連続している場所ね。この場合、最初の「口内のペニスが」のすぐ前の文の中に「メイドの口内」というのがあるから、単に「ペニスが」にしても大丈夫よ。
ついでだけど、その文の最後の三点リーダーはダッシュにして、改行せずにして「〜舌、そして喉――口内の〜」とするいいと思ったわ。一文は長くなるけど、部分部分を想像していたところへ全体の言葉が出てくるようになるから、想像が切れないの。

あと、体言止めの使いどころが少し気になるわ。
後半の擬音と体言止めの交互は、話のクライマックス。そこまでで体言止めを使うと、せっかくの演出が二番煎じみたいになっちゃうわ。だから、体言止めをそこまで使わない方がいいわ。
最初の方に使っている、「〜飲み込んでゆくメイド。」は、メイドを外しても十分意味が通じるわ。
中盤の「尻だけ露出しての性交。館の主と昼間からのセックス。」は、「尻だけ露出しての性交している。館の主と昼間からの交尾している。」という感じで普通の文にしてもリズムは取れるわ。
体言止めはインパクトが強いけど、実を言うと、リズムのインパクトなの。印象のインパクトじゃないから、多用すると逆に印象が薄い描写になるから気をつけてね。

個人的には、最後の文章はこんがらがっている感じがするわ。「キスを交わす〜口吸いは続いた。」
意味がわからないわけじゃないけど、二つに分けるといいと思うわ。
あと、名詞を一文の中で変えるのは、ばたばたした感じになっちゃうから、変えたいなら比喩表現がいいと思うわ。
それと、時間を感じさせるなら、経過を描写するといいわ。
それらを総合してみると、
「どちらからとはなく、深くねっとりと濃いキスを二人はかわした。キスよりも前に繋がった部分から雌雄の混合液が垂れ、リコの白い太腿を伝いおりて、鳥のような足から地に落ちるまで、二人の唇は離れることはなかった。」
こんな感じかな?

参考になったかな?
でも、とってもエッチだったから、ちょっと興奮しちゃった。いいよね、エロ。

282名無しさん:2017/03/15(水) 19:21:39 ID:OTIEVIzYO
「あれ、どうして……」

その日、ドッペルゲンガーである私はある違和感で目を覚ましました。
自分の身体が、自分ではない。誰かに変わる感覚。
私の大好きな先輩が私を見つけてからずっと、味わった事の無い感覚でした。

「あれ、変わって無い?」

布団から起きて、寝ぼけ眼で鏡を見ても何時もと変わらない冴えない顔。
長く伸ばした前髪も、紅い瞳も、薄い唇も全て私のままでした。

「気のせい、でしょうか--」

--ふにゅ♪

「はわっ!?」

違和感の正体に気づいたのは、直後の事でした。
驚愕のあまり困惑する私の目に映ったのは、二つのお山。
指で触れると、ふにゃりと歪む柔らかさがかえってきます。
それは、柔らかな脂肪の詰まった、乳房でした。

「うう。これが先輩の望み……?」

一つつぶやきながら、寝間着を外すと、ふるりと大きなものがこれでもかと露出します。
目測、恐らくCカップ。
普段の私はAカップですから明らかな異常です。
ちなみにこのサイズでもクラスの中では下から数えた方が早いです。魔物ですからしょうがないですが。
腰のあたりもよく見れば、ふくよかな安産型にかわっていました。

どれも、私の力によるもの。
先輩に見つけられてから喪われた筈のドッペルゲンガーの力の影響でした。

「しかし、どうしましょうか」

胸を抱えながら小さくつぶやきます。
別に、先輩好みに成ることに異論はありません。
むしろおっぱい党だと知れて嬉しいくらいです。
しかし、私の力が働いるということは。
私の事を本当に、

「おはよう……あれ!?」
「先輩!?」

そんな暗い思考を途絶えさせるように。部屋に入って来たのは先輩でした。

「先輩、これ……」
「いや、それは、その」

大きくなった胸を見せると、先輩は小さくうなだれました。
どうやら、覚えがあるようで。なんだか複雑な気持ちになりました。

「その、子供が、欲しくてさ」
「子供、ですか?」
「その、小さな体だと、出産とか、育児とか大変だと思ってたんだ。ごめん」
「おっぱいが好きという訳じゃなくて?」
「うん……」

その言葉に、嘘がないのが分かって。
私は思わず笑ってしまいました。
先輩は相変わらず、先輩で。
私を心配してくれていたのですから。

「別に大丈夫ですよ……でも」

ウィンク一つして、乳房を押し付けます。

少し不安になったのですから、この位、許して下さいね、先輩。

283名無しさん:2017/03/15(水) 21:57:14 ID:OTIEVIzYO
>>279
あまり批評も感想も得意ではないリャナンシー……ですが……。語らせていただきますね……。

他の方も仰る通り、バランス良くまとまったえっちなSS、ありがとうございました……。
短い文章の中、擬音 を効果的に使う事でえっちな情景を見事に伝えていると思います……。

私から、伝えられるとしたら、キキーモラの単語を出すタイミング、でしょうか。
もう少し早めに出して置くことで「誰が、どのように」という部分を浮き立たせる事が出来ます……。
メイド、よりも「ふかふかの尻尾のあるメイド」の形にしたりする事が私程度の思いつく方法、でしょうか……。



小説とは関係が無いですが……。
キキーモラさんを見ると私の主人がここに来た時を思い出します……。
テクニックにとらわれ、書きたい物を忘れ、私の姿が見えなくなった彼が出会った思い出の作品がここに、あるんです。
それは、ある男の人と、キキーモラさんの出会いの話でした……。
等身大に悩み、一歩進んでは周囲に怯え、彼女と共に前を向いていく。ヒロイックではない、「彼」 のお話……。

語り口は、決して美しい文章や、教本に書かれるような整った文ではありませんでした……。
生の感情を、ただぶつける。生きた人間そのもののような文章でした……。
自分の好きな物を、好きなように書く。
そんな、当たり前を思い出す文章でした……。
筆をおっていた主人が、また書こうと筆をとったのは、それが原因です。
いつかそんな物語を……自ら生み出せる日を夢見ながら。

長く、語ってしまい、申し訳ありませんでした……。

284名無しさん:2017/03/15(水) 22:30:53 ID:AT3KzGZc0
>>280リャナンシーさん添削と指摘をお願いします

>>281発展途上で努力邁進中の新人リャナンシーちゃん
詳細な指摘ありがとうございました。擬音と体言止めの交互は当時模倣していた
小説の名残ですね。私の趣向にマッチしていたのでそのまま載せました。
このキキーモラメイドは気に入っているので長編書くかもしれません。
他にも気に入っているキャラも書いてみたい。

>>283おしとやかリャナンシーさん
冒頭にモフモフもってくるべきでした。すみません。
思い出深いキャラだったのですね。
キキーモラの魅力が万分の一でも伝われば幸いです。

三人もリャナンシーさんが来てくれたのでとてもうれしいです。

285名無しさん:2017/03/15(水) 22:36:00 ID:cNr6yJc60
>>284
はい、了解! それじゃこれが参考までの改稿した文章ね!
指摘は次のレスで!



「んっ……ちゅば……はむっ……」

 昼下がりの館の裏、人目の付かない一角で、少年が壁にもたれ荒い息を吐いていた。
 まだあどけなさの残る少年は、股の間に踞るメイドの口淫に声を上げた。

「あっ……だ、だめ! は、離れて!」
「んちゅ……ちゅる……わ、わひゃひゃまぁ、くちにひゃひてふははいぃ……」
「く、口に入れたまま喋ったら! あああッ! 舌が……絡ま! んんんっ! で、出ちゃう!」

 少年がメイドの頭部を掴み前のめりになると、音でも出そうな勢いと共に、メイドの口内に精液がぶちまけられた。
 口内のペニスがビクビクと脈動する度に、半固形状の濃厚な精液がメイドの歯茎、頬裏、舌、そして喉と、口内のあらゆる箇所に吐き出されていく。

「んっちゅ……! ぬちゅ……はァ……んふッ」

 断続的に放出される精液を、目を閉じ恍惚とした表情で飲み込んでゆくメイド。
 キキーモラ特有の羽毛に覆われた手に、口の端から漏れ出た精子が垂れていく。
 メイドはそれを丁寧に舐め取り終えると、大きな尻尾をしきりに動かしながら、主を見上げて微笑んだ。

「若様……すっきりしましたか?」
「はぁ……はぁ……ああ……」

 まだ射精の余韻に弛緩したままの顔で、少年は大きく息を吐きつつ、メイドに尋ねた。

「ねえ、まだ……いい?」
「もちろんです、若様……」

 跪いていたメイドは立ち上がり、長いスカートを捲り上げて下半身を晒し、下着の端に手を掛ける。
 そして濡れた下着を両肢から抜き取り、スカートの裾を握ったまま主に背を向けた。
 色白の柔尻がこぼれ落ち、臀部から生えた尻尾は少年を誘うように揺らされている。
 眼前に晒された官能的な光景に、少年の肉棒は再び猛々しくそそり立った。

「いくよ……!」
「あっ……若様っ……!」

 メイドは壁に手をつき、その肉感の良い尻を突き出す。
 少年は両手でメイドの腰を掴むと、肉棒を秘裂に押し当てて、中に押し入った。

「あッ……はッ……ん、んんんッ!」

 声を上げそうになったところで、メイドは手を口に当ててそれを防ぐ。
 彼女以外にも館で働くメイドは多くいる。他の誰かに聞かれるわけにはいかないのだ。
 服を脱がず、尻だけ露出しての性交。主と従者の昼間からのセックス。
 その背徳感に、少年の背筋はぞくぞくと震えた。

「んッ……あはッ……わ、若様の大きい……ッ!」

 一度射精したにもかかわらず、少年の肉棒はなおも脈打ち、メイドの膣内を押し広げている。
 それだけで満足できるはずもなく、少年は貪るように腰を振りたくり始めた。

「ああうっ! か、硬い……ッ!」
「くっ……んんんぅ」

 視線を下ろすと、ぬめった肉棒が尻の谷間の先にある秘部に咥えこまれている。
 押すと異物を拒むように締め付け、抜こうとすると未練がましく絡みつく。
 吐精を促す襞が隙間なく肉棒を刺激し、精を搾取しようとする動きに加えて、突く度に上がるメイドの嬌声が更に興奮を高めていく。
 先に達したにも関わらず、再度の絶頂は急速に訪れた。

「も、もう出る! 出る! 出ちゃう!」
「あっああっ! 出してください、若様! 若様の、中に! 中にたくさんくださいっ!」
「出る! ま、また出る! 出――――うっ!」
「んんんんんっ! ああああああああああっ! あああっ、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ブリュ! ブビュルルゥ! ブピュピュゥ! ボプッ! 
 メイドの最奥で、子宮を犯さんとばかりの勢いで、精液が放出されていく。

「んんんっ! はあああ……はあぁ……ぁぁ……」

ドク……ドク……ドク……ドク……。

 全てを出し終えた少年は、メイドの背中にすがるようにして、腰を柔尻にこすりつけている。 
 汗ばんた額に前髪を張り付かせ、荒い息をつくメイドの尻尾は、だらんと力を失い垂れたままだ。

「さ、最高だよ……」
「若様……はぁ……んちゅんうう……」

 深く濃いキスを交わす二人の結合部から、二人の絶頂によって生まれた白濁液が垂れ落ちる。
 それが太腿を伝い地に落ちるまで、二人のキスは長くゆっくりと続いた。

286285:2017/03/15(水) 22:37:54 ID:cNr6yJc60
>>284
はい、こんな感じでした! それじゃ指摘点を挙げていくわね!

まず、全体的にテンが足りなかったり、文が長かったりで、読みづらくなっちゃう箇所が多かったわね。
これは『えっちぃ文章を書こう! そのためには濃密な描写にしないと!』って意識が出るとやりがちなミスなのよね。
いくらえっちぃ文章でも、読みやすい文章であることが大前提。
それぞれのセンテンスを上手く切れるように注意してください。
例えば気になった箇所で言えば、下に挙げた文があるわ。

>キキーモラの特有の羽毛に覆われた手に飛び散った精子をしゃぶり終えると、大きな尻尾をしきりに動かし口を開いた

これとか一読して意味を理解しようと思うと辛くなっちゃうからね。無理せず分けちゃいましょうね。

次に、ラストの体言止めを繰り返した絶頂演出なんだけど……。
ごめんなさい、私はばっさりカットしちゃいました。
これは>>281のリャナンシーちゃんが言うようなリズムの問題ね。
体言止めは繰り返すと文のリズム自体が止まっちゃうのよ。
今回は特に、繰り返しが『擬音・体言止め・擬音・体言止め〜』ってなっちゃってたから、なおさらリズムが止まってあっさりとした印象の文になりがちだったの。
それだったら以外にもカットしちゃってオッケー。
もうちょい濃厚にしたかったら、一文ずつ挟みながらメイドさんの絶頂の叫びでも入れちゃえば良いのよ。えっちぃ文章なんだし。

そうそう……あなた、もしやまだえっちぃ文章を書くのに恥ずかしさが残ってない?
ノゥ! えっちぃ文章を書く秘訣は、描写ももちろんだけど、台詞――あえぎ声にあるのよ!(私的な意見)
私と相棒はプロのゲームライターさんの文章を参考にしてるけど、そりゃもう嬌声がすごいことになってるわよ!
でもでも、それで興奮は誘えちゃうわけ! やっぱり女の人の反応が激しい方が男の人は喜べちゃうのよ!
もっと淫語バリバリ! 露骨なぐらいアヘアへさせちゃってオッケー!
「いぐうううううううううううううううううううううううううううううっ!」とか言わせちゃいましょう!

最後に、これは私とか相棒の好みなんだけど、今回は人物の名前をあえて省略しちゃいました。
なんでかっていうと、小品では登場人物の名前を出すための文章が入るだけで、文全体のテンポが結構削がれちゃうのよね。
省略、シンプルにするっていうのも大事なこと。
あなたはキャラクターを動かすのが上手な分、使い分けができるようになると、更にレベルアップができていくと思います!

さて、大体言いたいところはこんなところかな。
繰り返しになるけど、全体の流れはバッチシ。えっちぃ描写は短い中でも濃い口で良い感じでした。
より読みやすく、より台詞は過激に! それだけでもえっちぃ文章に磨きがかけられると思うから、がんばってください!

やたら上から目線だったり長かったりで、ごめんなさい! 許して!
以上、リャナンシーちゃんからでした!

287名無しさん:2017/03/15(水) 23:09:17 ID:bmAtiWgE0
浮気じゃないですが、他のリャナンシーちゃんの意見もすごく聞きたいです。
>>268 ですけど、ご意見いただけないでしょうか?

こういう日常話を少しずつ書き溜めて、連作していくのを考えています。
よろしくお願いします。

288285:2017/03/16(木) 00:45:36 ID:uRyDsFBM0
>>287
はーい、リャナンシーちゃん頼まれました!
意見というわけで……ずばり! 地の文での説明がちょっと足りてない感があるわね!
多分、主人公である俺くんの一人称で、軽快に文を進めたいからなんだと思うんだけど……あっさり進みすぎちゃうのが問題ね。
文の雰囲気的な“軽さ”と文の中身的な“軽さ”は別の問題。
どちらかといえば今回の作品、中身の方が軽くなっちゃってるかな。

例えば最初の方、地の文だけを抜き出して、ある程度つなげてみちゃうわね。

 緑色の翼が問うた。速さに自信があるのだろう。俺は迷わずハヤブサの剣を装備した。
 ワイバーンが旧魔王時代の貫禄で吼えた。なんでそんなに速さにこだわりがあるのか不思議だ。
 回避確率も上がるけど、微々たるもんだ。ぶつぶつ言う彼女に、三倍なら4回攻撃だっていうのは言わないでおいた。

どう? 淡々と進んでるな、って印象がないかしら。
それにこれだけを抜き出しても、何の話をしてるかいまいちピンと来ないでしょ?
日常系での一人称視点のお話でも、もっと文章を詰め込んじゃって良いはずよ。
例えば私なら、地の文にはこんな風に文章を入れるかな。

 緑色の翼を見せ付けるように広げて、彼女が俺に尋ねてくる。
 ワイバーンとハヤブサ。どちらが疾いかと聞かれれば、100人中の100人がワイバーンと答えるに決まってる。
 何しろワイバーンは原種のドラゴンさえ凌駕するスピードを持っているのだ。ハヤブサとは比較になるはずもない。
 だから俺は迷わずに“ハヤブサの剣”を選んだ。よっし、これで1ターンに2回攻撃ができるようになるぞ。
 隣の彼女がまるで咆哮するように喚き立てる。俺が“ワイバーンの剣”の方を選ばなかったのが、どうにも納得いかないらしい。
 えーい、うるさいぞ。ご近所迷惑どころか、ガラスまで割れそうな勢いじゃないか。
 速さにプライドがあるようだが、これはゲームの話だろうに。
 そして残念ながら、このゲームでの素早さに価値はあんまりない。つまり素早さプラス15は残念な性能なのだ。
 先制攻撃? 回避率にも影響? そんなもの微々たる物。力こそパゥワァなのだよ、パゥワァ。
 ……ぶつぶつと都合の良い乗算計算してやがるぞ、コイツ。
 素早さが5上がって攻撃回数が1回増えるなら、15では3回プラスにしかならんだろ。それでもチート武器過ぎるけど。

ふぅ……どうかしら? これならある程度、何の話か推測もしやすいんじゃないかしら。
読者にはなるべく親切にしてあげないとダメ。
書き手の頭の中を読者は覗けないわ。だからなるべく、私たちは分かる形で自分の考えを表現しないといけない。
それと数を表記するときに、普通の数字と漢数字が混ざって使われちゃってたでしょ?
ああいうのもなるべく統一する必要があるから、気をつけないといけないポイントよ。

話としては、ゲームのワイバーンに嫉妬しちゃうワイバーンちゃんのいじらしさが可愛い一編よね。
ただ、それをどう表現していくかが書き手の腕の見せ所。
心を込めて、いっぱい文を詰め込んであげましょう! 文が多くなりすぎたら、またそのときに減量を考えれば良し!

さて、こんなところかしら。
また次の作品の投稿を待ってるわね! レベルアップ、レベルアップ!
以上、リャナンシーちゃんからでした!


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