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【習作】1レスSS集積所【超短編】
256
:
名無しさん
:2017/03/12(日) 14:14:43 ID:nEYAXpqsO
ラタトスク、それはリスの姿をした魔物であり、情報という目に見えず、触れることも出来ない剣の使い手である。
彼女の流す情報は正確ではあるが、適切では無いことが多く、その毒牙にかかる者は後をたたない。
数値は嘘をつかないが、数値で嘘はつけるのだ。
「うーん、サバト信者を増やす方法かぁ」
そして、今まさに、ラタトスクのひとりが情報の剣をふるおうとしていた。
大きなリスの尻尾を揺らす彼女が考えているのは、依頼主のサバトの信者を増やすこと。
サバトまで人を誘導すればあとはバフォメットや魔女が誘惑してロリコンにしてしまうため、いかに人を集めるかがポイントの仕事。
すなわち、どんな内容でも人の耳目を集める事が大切である。
思わず、確かめに行きたくなるほどの。
「よし、嘘じゃないしこれで良いか」
しばしの間、ペンを咥えていた彼女だったが、ある事象をひらめき、記事を書き始めた。
数日後、教団国家に配られたビラで人々はその記事を知る事となった。
◇
その日、教団国家の勇者の多くが装備の確認をしていた。
数多の戦士が、幾度と無く自らの調子を確かめていた。
幾多の魔術師がとっておきの魔法を準備していた。
--すべては、サバトに向かうために。
情報を受けた国境沿いのサバトでは、魔女やファミリア達。バフォメット数人が控えて準備していた。
誘惑の支度である。
他の魔物たちもおこぼれに預かるべく、瞳を光らせる。
依頼をしたバフォメットは気合いを入れるべく、何度か顔を叩いた。
激突は。数分後だった。
「ここが、噂のサバトか!」
「探すぞ!どこかに居るはずだ!」
勇者はわざと転んだ魔女を思わず庇い。
戦士は何故か屈強な筋肉を誉めるファミリアにメロメロになり。
魔術師はバフォメットとの魔法対決で敗北し。
真性のロリコンになった味方を捨てながら、彼らは進撃した。
その先に、求めるものがあると思っていたからだ。
「ここに、噂のバフォメットが居るはずだ!」
奥の扉を開けた彼らが見たのは。依頼人のバフォメット。
「良く来たな貴様ら!」
「違う」
しかしどや顔で出迎えた彼女を、彼らはスルー。
目当てではないからだ。
「どこだ!ロリ巨乳のバフォメット!?」
「なんじゃと!?」
その日配られたビラには、バフォメットの胸が大きくなったと書かれていた。
そう、確かに1ミリ大きくなったのだが。彼等は知る由も無い。
情報とは、恐ろしいのだ。
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