米下院は21日夜、医療保険制度改革の関連法案を219対212の賛成多数で可決しました。民主党議員たちが「Yes, we can!」と唱える中で。諸手続きとオバマ大統領の署名を経て、3月中には医療改革法案が医療改革法として成立します。オバマ大統領はこれを「This is what change looks like(変化というのはこういうものなんだよ)」と「勝利宣言」し、「victory for common sense(常識にとっての勝利)」だと呼びました。
「オバマ候補」が大統領選でアメリカ国民に公約した最大・最重要の「CHANGE」が、実現する。この意味の大きさは、いくら強調しすぎても強調しきれません。「Yes, we can」の約束がようやく「Yes, we did」に変わったのです。「そうだ、できる」から「そうだ、やった」に。
日本では35万人。安い公的保険のないアメリカでは3200万人。国民の実に2割です。国民の2割が基本的な医療さえ受けられない状態を何とかしようという議決のギリギリまで(そしてその後も)、下院議員たちが議論していたのは「中絶」についてでした。「protect the unborn(生まれていない命を守れ)」と。中絶処置に連邦予算が使われることを法案は禁止していないから、こんな法案には賛成できないと。そこでオバマ大統領は「中絶関連に連邦予算の支出を制限する」と大統領命令を発すると約束。これでようやく必要な数の民主党議員を説得できたわけですが、それでも中絶反対派の議員たちは怒っていました。オバマ大統領の説得に応じた(中絶反対派の)民主党議員に向かって「baby killer(赤ちゃん殺しめ)!」と怒鳴るほどに。
オバマ大統領は可決後の記者会見で、これを「victory for common sense(常識の勝利)」と呼びました。10カ年で9400億ドル(約94兆円)がその値札です。ちなみに1946-1996年の間のアメリカの核兵器開発の年間予算が約980億ドルと言われます。つまり、10カ年で 9800億ドル。国民の医療保険に9400億ドル。核兵器に9800億ドル。あるいは一部の民間推計によると、イラク戦争の米側戦費は2010年2月までの時点で推計7040億ドルだとか。7 年間で7040億ドル。どれが高くて、どれが高すぎるのか。こういう時に英語では、こういう言い方をします。「You do the math」と。意味するところは、あなたが自分で計算してみて、と。
余談です。「You do the math」と言えば、1月にこちらで書いたように、やっぱりジョン・スチュワートが正しかった。民主党の牙城マサチューセッツで上院議席を失ったショックから、民主党系のコメンテーターたちが「60議席が59議席になってしまった。もうおしまいだー!」と悲憤慷慨していたのを、ジョン・スチュワートは「まだ共和党より多いじゃないか!」と叱責した。その通りになりました。やっぱりジョン・スチュワートは正しい。
フェアファックスは、ブッシュ時代に心情が変化するまで、何十年にもわたって信頼できる共和党の地盤だった。2004年、民主党の上院議員ジョン・ケリーが僅差(きんさ)でこの選挙区を制した。4年後、同郡選出の下院議員で元フェアファックス郡管理委員会(Board of Supervisors)委員長も務めた穏健派共和党員のデイビス氏が、1994年以来維持してきた議席を手放して引退することにした。