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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

1822とはずがたり:2017/02/27(月) 20:17:40
>>1809

東洋ゴム子会社に賠償命令=3億円、免震性能偽装―東京地裁
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-170227X284.html
15:56時事通信

 東洋ゴム工業(大阪市)の免震ゴム性能偽装事件で、問題のゴムを使ってマンションを建設した東京の不動産会社が、購入者への違約金支払いを余儀なくされたとして東洋ゴム側に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(市川多美子裁判長)は27日、製造した子会社に請求通り約3億円を支払うよう命じた。東洋ゴムについては、製造物責任法(PL法)に基づき責任を負う「製造業者」に当たらないと述べ、請求を退けた。

 判決によると、東北地方のマンションで、建物がほぼ完成した後に偽装が発覚。購入予定者から契約解除が相次ぎ、不動産会社は手付金計約1億円を返金した上で、約3億5000万円の違約金を支払った。

 東洋ゴム側は「不動産会社が手付金の倍額を支払って自ら契約を解除していれば、違約金は支払わずに済んだ」として損害額を争ったが、市川裁判長は「会社の社会的評価を大きく落としかねない行為だ」と指摘して認めなかった。

1823とはずがたり:2017/02/27(月) 20:18:24
東洋ゴム、8期ぶり赤字=免震不正響く、純損失122億円-16年12月期
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021500979&g=eco

 東洋ゴム工業が15日発表した2016年12月期連結決算は、免震ゴム不正問題の対策費用計上を主因に、純損益が122億円の赤字(前期は16億円の黒字)となった。赤字転落は8期ぶり。免震ゴム不正の対象となった154棟の装置交換対策費として約668億円を特別損失に計上した。(2017/02/15-17:26)

1824とはずがたり:2017/03/07(火) 18:19:20
住友化、韓国で有機ELパネル部材を増産=18年1月稼働
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017030700573&g=eco

 住友化学は7日、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルに使われるタッチセンサーフィルムの生産能力を現行の3倍に増強すると発表した。投資額は非公表。スマートフォン向けの需要増加に対応するもので、2018年1月に韓国で量産を始める。(2017/03/07-11:17)

1825荷主研究者:2017/03/12(日) 19:17:30

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00418726?isReadConfirmed=true
2017/2/27 05:00 日刊工業新聞
大陽日酸、金属ナノ粒子を4億円事業へ 20年度めどに接合材用途を提案

金属ナノ粒子を生産する山梨事業所(山梨県北杜市)

銅ナノ粒子

 大陽日酸は2020年度をめどに、酸素燃焼による独自の連続合成技術で仕上げる金属ナノ粒子を4億円規模の事業に育てる。18年度までに、パワー半導体の接合材用途などで銅ナノ粒子を事業化。シート状の試作品や、銅・銀ナノ粒子を使った複合ペーストの量産にもめどを付けた。山梨事業所(山梨県北杜市)も月産2―5トンに増強する。ニッケルなど他の金属ナノ粒子も提案し、事業拡大に弾みを付ける。

 大陽日酸は産業ガスの生産・供給技術を基に、14年に独自の合成方式を確立した。バーナーで液化天然ガス(LNG)などを酸素不足の環境で燃焼させ、還元雰囲気に制御した火炎を発生。そこに粉体の金属酸化物を投入し加熱・還元・蒸発・再凝縮させて、銅やニッケル、銀などの金属ナノ粒子を合成する。粒径は30ナノ―150ナノメートル(ナノは10億分の1)で、接合材や積層セラミックコンデンサーの電極に使われる。

 金属ナノ粒子の製造は、プラズマ方式による物理的蒸発法や化学気相成長(CVD)方式を用いた塩化物の水素還元法が普及している。だが、プラズマ方式は電力を大量消費するため規模拡大が難しい。CVD方式も塩素系ガスが発生するため、洗浄・乾燥させて塩素を取り除く工程が欠かせない課題があった。大陽日酸の製法はすべて乾式で電力消費量も少なく、生産コストを3、4割抑えられる。

 大陽日酸は第1段階として、パワー半導体の接合材向けに銅ナノ粒子を提案する。100ナノメートル程度と小さい粒径や、表層を2ナノ―5ナノメートルの亜酸化銅で被膜し、大気中でも扱いやすい点を強調。従来のハンダからの置き換えを促すほか、実用化段階ながら高コストな銀の焼結材に対する優位性を訴求する。山梨事業所にある銅ナノ粒子の専用ラインも増強を検討する。

 さらにプリンテッドエレクトロニクス技術を用いた微細配線向けに展開する。今月、従来の同社開発品より50度C低い120度Cで焼結・導電性を備える銅ナノ粒子を完成した。ニッケルナノ粒子の拡販も加速。一般的な同粒子に比べ約44%小さい100ナノメートルの粒径を前面に押し出し、主に積層セラミックコンデンサーの内部電極向けに提案する。

(2017/2/27 05:00)

1828荷主研究者:2017/03/19(日) 11:29:22

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00419262?isReadConfirmed=true
2017/3/2 05:00 日刊工業新聞
深層断面/エチレン設備稼働率100%超 一層の生産再編急務

 国内エチレンプラントは歴史的な高稼働が続いている。1月の平均稼働率が100.1%と8年11カ月ぶりに100%台を記録した。包装材などの内需が堅調なほか、円安基調などで輸入品の流入も限定的。エチレン以外の石油化学事業も好調で総合化学各社の業績を大きく上振れさせている。一方、老朽設備のフル稼働はリスクをはらむ。IoT(モノのインターネット)など先端技術を活用して工場の基盤を強化する動きが広がりそうだ。(鈴木岳志)

高水準の稼働が続く三菱化学鹿島事業所のエチレンプラント

■供給サイドの改革が奏功
【フル稼働状態】
 石油化学工業協会がまとめた1月の国内エチレン製造設備の平均稼働率は2008年2月以来の100%台に乗った。損益分岐点の目安となる90%を38カ月連続で上回り、実質フル稼働状態が長く続いている。

 稼働率が100%を超えるのはなぜか。理由は簡単だ。各社が公表しているエチレンプラントの生産能力はあくまで標準値。ナフサ(粗製ガソリン)を分解・精製して生産するエチレンやプロピレンなどは市況品であり、需給などに応じて各社それぞれの生産量を微妙に調整している。その公表値との差異により100%超という数字が算出されるのだ。

 内需などの追い風はあるものの、高稼働の根本的な原因はここ3年で進んだプラント統廃合だ。三菱化学と住友化学、旭化成がそれぞれ1基ずつ停止して、年産能力が合計で約110万トン削減された。供給サイドの構造改革が奏功した形だ。

 「うちが止めたおかげなのに、何もしていない他社が今の好況を喜んでいる様子は腹立たしい」との恨み節も一部で聞こえてくるが、中長期的に見れば国内の汎用化学品市場は人口減少などで縮小が確実だ。

エチレンなど複数の石油化学生産設備を持つ東ソーの四日市事業所

【“幸福な時間”】
 加えて、18年からは米国・シェールガス由来の安価な汎用化学品が日本へ流入すると予想されている。17年は現在の好況が続きそうだが、この“幸福な時間”は1年程度しかない。今こそ、さらなる生産再編を議論する大局的な判断が各社に強く求められる。

 また、設備の老朽化も重要な課題だ。国内で最初の石化コンビナートが稼働したのが58年。その後の20年間で現存する大半のエチレンプラントが各地で立ち上がった。そのため今後“50年選手”が急増していく。

 「古いプラントをメンテナンスしながら崩れないようにしているのが実情だ。設備の安全をどう担保するかは業界全体の問題だ」(化学大手幹部)と警鐘を鳴らす。

 日本の石化産業は誰も経験したことのない未知の領域へ足を踏み入れることになる。

■私はこう見る/東京理科大学大学院教授・橘川武郎氏「抜本的な対策必要」
 国内石化産業の本質的な改善が進んだのか疑問だ。エチレンセンターは千葉南側と川崎に集中しており問題点は明らか。それぞれを集約するのが完成形だ。ただ、今は各社が利益を出しているから議論が止まっている。千葉南側では隣り合う出光興産と三井化学が統合運営しており、できないわけではない。千葉北側の京葉エチレン(丸善石油化学と住友化学の共同出資)と、同南側に大規模な第2京葉エチレン(仮称)を新設・集約するのがよい。

 利益が出ていると見過ごしがちだが、それで何度も痛い目に遭ってきた業界だ。73年にコンビナート爆発が相次いだ時もエチレン相場が上昇した後だった。どこかで無理をしていないか。熟練工も次第に減っており、今こそ抜本的な対策が必要だ。

1829荷主研究者:2017/03/19(日) 11:30:09
>>1828-1829 続き

■IoT・AIの導入加速 人手作業、大幅に効率化
【センサー活用】
総合化学大手がIoTやAI(人工知能)、ロボットなど先端技術の工場導入を加速する。三菱ケミカルホールディングスと三井化学が専門組織を4月に新設する。プラントの運営・保守においてセンサーなどを活用することで、従来の人手作業を大幅に効率化できると期待している。18年以降に米シェールガス由来の安価な化学品の国内流入が予想され、工場の競争力強化が重要な経営課題となっている。

三菱ケミカルHDは傘下の化学系3社が4月に統合・設立する三菱ケミカルに「生産技術部」を設置する。化学プラントを中心に、センサーやAIなどを応用した生産技術の開発や各事業所への導入支援を担う。

【ヒトとカネ】
「事業所ごとに5―6テーマを持っているので、そのソリューションとして生産技術部がヒトとカネを分配する」(唐津正典三菱ケミカルHD専務)のが主な役割だ。関連部隊は200人超に上り、全国各地へ飛ぶ。

3社のうち三菱樹脂と三菱レイヨンには生産技術部がすでに存在したが、三菱化学には従来なく、導入検討が遅れ気味だった。

大型プラントが多い同社こそ導入効果は大きいと見られる。「1件当たり10億―30億円のコストダウンになる話が各所で出てきている」(同)と期待は膨らむ。

三井化学も4月に生産・技術本部内に「生産技術高度化推進室」を新設する。製法や設備、保安などの生産技術力を強化して、拠点への適用を主導する。

同社はNTTコミュニケーションズと共同でプラントでのAI実証を行うなど、先端技術への準備は進めてきた。本格展開の時期が近づいている。

【記録を電子化】
住友化学は16年度から千葉と大分、シンガポールの工場で設備保全にタブレット端末を試験導入した。従来は報告などの記録は紙で行い、事務所に保存してあった。それを電子化して、現場で確認できるようにした。順次、他の生産拠点へ横展開していく。

「IoT、ビッグデータ、AIなどと素晴らしく未来のことだけを話しても難しい。現場で起きている目の前の問題を解決していくことを入り口にしていきたい」(土佐泰夫住友化学理事IT推進部長)と地に足をつける。

風雨の中で作業員が自転車に乗って、設備点検に向かう。確認作業のために事務所との間を往復する。たしかに現場のリアルな問題であり、それを解決した際の波及効果は何倍も大きそうだ。

(2017/3/2 05:00)

1830荷主研究者:2017/03/19(日) 20:25:07

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00420583
2017/3/13 05:00 日刊工業新聞
働き方改革/化学業界、残業上限規制に警戒感 定修時に超過の恐れ

工場の競争力に直結する(出光興産・千葉工場)

 化学業界は政労使で検討の進む残業時間の上限規制に対して警戒感を強めている。石油化学コンビナートの中核をなすエチレンプラントは法定の定期修理期間に作業が集中し、その2―3カ月は政府の示す月平均60時間を超過する可能性が高い。定修期間を延長すれば機会損失が広がる。人手不足の深刻な工事業者の手当も難しくなり、最終的には設備保安が脅かされかねない。「働き方改革」は総論賛成ながら、特殊事情への理解を訴える。(鈴木岳志)

 化学大手首脳は「定修期間を延ばしたりしたら競争力がそがれる。これは深刻な問題だ」と語気を強める。

 石化の最上流にあたるエチレンプラントは2年または4年に1回の定修を法律で義務づけられている。それに伴い、下流の誘導品プラントなども停止する。各所の従業員の残業時間は通常月20時間前後だが、準備を含めた定修の2―3カ月は月80時間を超えるケースが少なくないという。

 政労使は月平均60時間、年間720時間を原則とし、繁忙期に限って月100時間まで容認する方向で検討している。ただ、繁忙期の認定期間や特例を認める業種など詳細が不明で、化学業界は疑心暗鬼になっている。

 石油化学工業協会の志村勝也専務理事は「規制に幅があり、業界ごとに労使で話し合って決めるような柔軟性を持たせる形で落ち着いてほしい」と願う。

 定修は協力会社の作業員が延べ15万―16万人参加する。ピーク時で1日4000人が出入りする“大移動”となる。総合化学各社は2018年の定修まで工事の手当が済んでおり、工期が重ならないよう調整している。ただ、「真夏と真冬は皆やりたくないので春と秋に集中する」(志村専務理事)のが実情。定修期間の延長は言うほど簡単ではない。

 各社の業績への影響も大きく、1日で億円単位の損失が発生する。プラント再稼働を急ぎたくなるのも無理はない。この“定修文化”は産業界でも珍しく、他に石油精製など一部のみ。仲間の少なさも化学業界への理解が広がらない一因だ。「顧客は後になって気づく。定修が長くなって製品の供給量が減って初めて分かる」(同)と基幹産業の重要性は見過ごせない。

 政府は月内に残業時間の上限規制など働き方改革の計画をまとめる。年内にも労働基準法改正案を国会に提出して、19年度からの施行を目指す。

 別の化学首脳は「上限規制を設けないと、守らない悪い会社も出てくる」と規制自体には理解を示す。ただ、安全を含めた化学産業の競争力を減退させるような規制は産業界全体にとって大きな打撃となる。

(2017/3/13 05:00)

1831とはずがたり:2017/03/20(月) 06:09:09
徹底的に脱大阪を図る武田。潰しにかからにゃいけんが,社長を外国人がやるなどグローバル化する武田をもっと応援しなかんのかも・・。

武田薬品、100年支えた拠点を縮小 治験薬事業売却へ
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E8%96%AC%E5%93%81%E3%80%81%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%E5%B9%B4%E6%94%AF%E3%81%88%E3%81%9F%E6%8B%A0%E7%82%B9%E3%82%92%E7%B8%AE%E5%B0%8F-%E6%B2%BB%E9%A8%93%E8%96%AC%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%A3%B2%E5%8D%B4%E3%81%B8/ar-BByj2a7
朝日新聞デジタル
1日前

 武田薬品工業が、大阪・十三地区で行ってきた、治験薬の製造事業を、医薬品受託生産大手の武州製薬(埼玉県川越市)に売ることを決めた。残る研究部門や薬の生産も移転させる方針だ。十三は約100年、武田を支えた拠点だが、数年後には大衆薬の研究などごく一部だけとなる。

 治験薬は、国の承認に向けた試験用の薬。2月末に、武州への売却が決まった。手続きが終わると、武田の従業員約200人が武州に移る。売却額は公表していない。

 原薬づくりや製剤技術など、今回の売却対象にならなかった研究部門は、今後数年かけて神奈川県藤沢市の湘南研究所に移していく。数百人規模が異動する見込みだ。

 武田は阪神甲子園球場の約4・2倍の約16万3600平方メートルある十三地区に、研究部門や工場を置いてきた。

 第1次世界大戦で輸入が難しくなった西欧の薬を国内でつくる目的で、1915年に建てられた工場が発祥だ。10年後の25年には大阪・中津にあった創薬研究所も十三に移転。2011年に創薬機能が湘南に移るまで、薬づくりを担った。昨年3月末時点でも約900人が働いていた。

1833荷主研究者:2017/04/09(日) 22:41:15

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00421533?isReadConfirmed=true
2017/3/21 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(1)構造改革総仕上げ-高収益へ「準備できた」

 三菱ケミカルホールディングス(HD)は1994年の三菱化成と三菱油化の合併以来、23年間にわたり成長を渇望してきた。4月1日の三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンの統合まで2週間を切り、構造改革は最終章を迎える。世界的な低成長時代に高成長を実現する準備は整った。あとは実行あるのみだ。(4回連載)

 「我々は自ら成長を作り上げなければならない」。統合新社の三菱ケミカル社長を兼務する三菱ケミカルHD社長の越智仁はそう語気を強める。自動車や電機など日本の主力産業に追随していれば売り上げが自然と伸びた右肩上がりの時代はとっくに終わった。

 越智は「成長を迅速に行う体制へ移行する」と3社統合の意義を訴える。「情電・ディスプレイ」など用途や市場ごとの事業体制に再編して、各社に分散していた研究開発、販売、生産技術の力を結集させる仕掛けだ。

 ただ、社内リソースだけでは不十分だ。特にIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などデジタル分野は“化学屋”の専門外。「デジタル対応となると、すぐグループ会社の力を使用する発想に陥る」と越智は危惧した。

 4月に三菱ケミカルHD内にデジタル技術を活用した新規事業の創出などを専門とする「先端技術・事業開発室」を新設する。そのトップにシャープ出身者を招聘(しょうへい)するほか、同室の半数は外部から迎える。越智は「我々と違う考え方で是非やってほしい」と異質な“血”に新規ビジネス喚起を託す。

 統合新社で水処理や農業資材、植物工場などが集まる「環境・生活ソリューション」部門。新たな試みとして中国で現地企業・団体と組んで野菜のインターネット販売分野への進出を検討している。4月から同部門を率いる三菱レイヨン常務執行役員の佐々木等は「安全な野菜の需要は確実にある」と富裕層中心に商機を見いだす。

 「浄水器『クリンスイ』のブランドを利用してもいい」と佐々木の構想は広がる。野菜のネット販売を手がける協業先と植物工場を導入する。処理装置で精製した安心・安全な水や農業資材を活用するなど統合シナジーを早速発揮できそうだ。

 一方、市場側が既存事業の新たな可能性を照らし出すこともある。有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーや電気自動車(EV)などの台頭が好例だ。情電・ディスプレイ部門を率いる三菱化学取締役の和賀昌之は「現在必要とされている製品だけ持っている素材メーカーは底が浅い。用途展開できる品ぞろえが大事になる」と“総合化学”の自負を示す。

 高収益な成長への道筋は1本ではない。いくつもの挑戦の集合体だ。越智は言う。「準備はできた。さて、実行の時だ」と。(敬称略)

(2017/3/21 05:00)

1834荷主研究者:2017/04/09(日) 22:41:46

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00421699?isReadConfirmed=true
2017/3/22 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(2)シナジー最大化へ 日本以外へ、いかに売るか

トヨタ自動車の新型「プリウスPHV」のバックドアに、三菱レイヨンの炭素繊維が採用された

 「全ての欧州の自動車メーカーへガラス繊維複合材料を供給している」。三菱樹脂取締役のスティーブ・ユーリックは傘下のエンジニアリングプラスチック世界最大手のスイス・クオドラントの顧客網に絶対の自信を持つ。同社は全世界で44拠点を構え、21カ国に進出している。

 自動車分野は成長戦略の大きな柱だが、ことさら欧州車メーカーは重点攻略先の一つだ。歴史的に日系メーカーとの関係は深いが、地元の化学大手がすでに隙間なく入り込んでいる欧州勢との取引は多くない。その現状を打破するカギがクオドラントになる。

 ユーリックは「我々は自動車産業に対する炭素繊維のレースで非常に良い立場にいる」と意気込む。4月から統合新社で高機能成形材料部門長に就き、エンプラに加えて炭素繊維やアルミナ繊維などを新たに指揮。2020年度まで年平均6・5%の成長率を掲げており、全社の成長をも左右する期待の星だ。

 車の軽量化に貢献する炭素繊維事業は2月に大きな転換期を迎えた。トヨタ自動車が同月発売した新型プラグイン・ハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」のバックドアに三菱レイヨンの炭素繊維材料が採用されたからだ。

 三菱ケミカルホールディングス自動車関連事業推進センター長の相磯佳宏は、「マイナーな車種のオプションとは違い、バリバリのメーン車種に搭載された意味は大きい。今後どれだけ波及効果があるか期待している」と胸を躍らせる。

 ユーリックの問題意識は明確だ。「技術や生み出される先端材料の競争力は非常に高い。これからの挑戦は日本以外の顧客や市場へそれをどうやって届けるかになる」と日本の化学産業全体にも通ずる一大テーマだ。

 3社統合に先駆けて、三菱化学と三菱レイヨンは16年1月に紫外線(UV)硬化樹脂の研究開発機能を統合。三菱化学スペシャリティケミカルズ事業部長の江口幸治は「三菱レイヨンは自動車の外装用途に深い知見があり、三菱化学は電子材料のフィルム関係に強かった」と補完関係を明かす。

 そして、すでに「自動車関係の加飾フィルムなどで新しい成果が出てきた」と統合効果が出現しているという。

 新社の他事業も4月以降、間断なく後に続きたいところだ。(敬称略)

(2017/3/22 05:00)

1835荷主研究者:2017/04/09(日) 22:42:25

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00421896?isReadConfirmed=true
2017/3/23 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(3)人事システム共通化 成長へ人材最適配置

世界で活躍できる人材の戦力化を急ぐ(三菱樹脂の研修)

 新生「三菱ケミカル」はグローバル展開を加速させる人事制度を導入する。全世界のグループ会社で職務等級と評価基準を共通化して、人材を機動的に配置できるようにする。

 三菱ケミカルホールディングス(HD)執行役員人事室長の二又一幸は、「三菱ケミカル籍の日本人従業員だけで戦っているわけではない」と世界視点の重要性を説く。従来、各法人・各国で閉じていた人材管理を世界で統一することで、国内外のグループ従業員約4万1500人のデータベース(DB)を構築できる。

 成長市場や重点事業への人材最適配置だけが目的ではない。「世界各国のスタッフを把握して仕事を通して育成する。キャリア・ディベロップメント・プラン(キャリア開発計画)をつくって戦力化していく」と、二又は3社統合の機会を最大限利用する。

 また、新制度は人材の将来性にも着目する。人事室グループマネジャーの田中真彦は「その人がどれくらいの可能性を秘めているかを見て、人材の力を適正に評価して登用する仕組みを織り込む」と難題に挑む。

 統合新社は職務主義を基本とし、現在の仕事で成し遂げた成果を毎年評価する。ただ、今の課長が部長になっても同じく高い業績を上げられるかは別の話。深い能力評価を基にした人材配置ができれば、組織の活性化につながるのは間違いない。しかし、“言うは易く行うは難し”だ。

 「3年後、5年後は誰も分からないが、複数の意見を客観的に集めることで評価の精度が上がるはず」と、田中の試行錯誤は今後も続く。

 統合新社の従業員にとって、最大の関心事は給与体系だ。現在、全従業員へ通知しているところ。二又は「新しい給与の構成や金額、手当などの変更を知らせている。結果として増える人も減る人もいるので、大きく減る人には一定期間の補償措置を用意する」と細心の注意を払う。

 手当も3社で異なっていた。三菱ケミカルHD社長の越智仁は、「世の中の求めに沿って、配偶者手当より育児・介護手当を厚くする給与体系に変えた」と時代に合わせる。

 これほど大規模な会社統合にもかかわらず、新しい人事・給与制度を1年半で完成させて4月のスタートに間に合った。産業界でも前例のない速さだろう。(敬称略)

(2017/3/23 05:00)

1836荷主研究者:2017/04/09(日) 22:42:51

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00422149?isReadConfirmed=true
2017/3/24 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(4)越智社長「少し飛んだ世界を見ていく」

三菱ケミカルホールディングス社長・越智仁氏

―三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンの統合まで約1週間となりました。
「4月1、2日が休みなので、徹夜しないでシステムを切り替えられるからタイミングが良い。バラバラだった人事制度やITシステムを統一でき、人材配置や役職なども決まったのでスタートする準備は整った」

―統合の狙いは。
「統合新社は成長を迅速にできるようにするのが重要なポイントだ。世の中の成長が遅くなっている。米国を除く世界は低成長時代に入っており、我々は自分たちで事業の成長を作り上げないといけない。もう一つは、社会の考え方が変わりつつある。米配車アプリ大手のウーバーテクノロジーズの登場などで価値観が変わりだした。我々の製品への価値観もすごい勢いで変わる。新たなニーズも生まれてくるはずだ」

―新社は用途や市場ごとに10事業部門(MBU)へ再編します。
「マーケット主体で事業を考えるグループへ分けた。研究開発のレベルの高さや深さが一段と強まって、販売チャンネルや生産技術なども一緒になる。また、各MBUが自分たちでいろいろな事業の意思決定を行えるようにする。10億円まで投資判断を任せる」

―4月から三菱ケミカルホールディングスにIoT(モノのインターネット)を活用した新規事業創出などを担う「先端技術・事業開発室」を新設します。
「従来路線を発展させるのではなく、データサイエンスを切り口に自由な発想で新たなビジネスモデルをつくる。ファンドの部隊も強化して、技術を探索・応用してビジネスに育てる発想が必要だ。AI(人工知能)やロボット、バイオ、メディカルなど将来を見据えて、外部からどんな技術を入れて自社技術と組み合わせるかを考える。隣接の市場ではなく、少し飛んだ世界を見ていく。我々ではできないので、外部から人材を採用する」

―2017年度から「健康経営」へ本格的に乗り出します。
「個人の健康だけに着目しているわけではない。同僚との付き合い方や仕事のストレス、職場環境などが健康に影響する。個人を活性化することは組織づくりとイコールだ。だから、健康経営は事業戦略と同じだ。具体的には生活習慣病などの予防に向けて運動や睡眠などの生活データ、検査データなどをネットワーク上で管理する。そして、課単位で各職場の活動と個人の健康状態を関連づけて見ていく。職場改革や個人の健康増進施策を打ち、食堂なども充実させる。軌道に乗るまでに3、4年かかる」

(おわり、鈴木岳志が担当しました)

【記者の目/来年度以降、真の実力試される】
足元の原油や為替は比較的安定しており、構造改革で市況変動の影響も最小化できる。だから、2017年度以降は高収益な成長を実現する真の実力が試される。20年度のコア営業利益3800億円(16年度見込み2970億円)は必達目標だ。統合新社を中心にグループの総合力を結集しなければ高き目標には到達できない。(鈴木岳志)

(2017/3/24 05:00)

1839荷主研究者:2017/04/09(日) 23:13:59

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00422822?isReadConfirmed=true
2017/3/30 05:00 日刊工業新聞
旭化成、セパレーター生産能力1.5倍 EV拡大で150億円投じ新棟

旭化成の湿式セパレーター「ハイポア」

 旭化成は滋賀県守山市でリチウムイオン二次電池用絶縁材(セパレーター)の新工場棟を建設する。約150億円を投じて、主力の湿式セパレーターの年産能力全体を現状(建設中含む)比約50%増の6億1000万平方メートルに拡大する。2019年度上期に稼働する。セパレーター世界最大手として、車用駆動電池部材の供給体制を整える。電気自動車(EV)など電動車需要の拡大で、東レや住友化学、宇部興産も工場を増強している。

 旭化成は守山製造所(滋賀県守山市)内に湿式セパレーター製造の新工場棟を新設する。能力増強分は年間2億平方メートル。敷地内では18年上期稼働に向けてすでに生産設備を増設しているが、新たに設備を追加して生産能力を引き上げる。30日に発表する。

 増強するのは湿式セパレーター「ハイポア」。守山と宮崎県日向市の2拠点で製造している。従来はスマートフォンなど電子機器向けのリチウムイオン二次電池に採用されてきたが、近年はEVやハイブリッド車(HV)など車載電池用途が急増している。

 旭化成は湿式と乾式のリチウムイオン二次電池用セパレーターを手がける。乾式は15年に買収した米ポリポアが車載用中心に手がけている。

 現在の年産能力は2億5000万平方メートル。20年までに湿式・乾式合計で年産能力を11億平方メートルまで拡大する計画だ。

 自動車業界は世界各地の環境規制の強化に対応するため、EVの販売に力を入れている。米テスラは18年に年間50万台の生産目標を掲げる。トヨタ自動車も20年までに量産体制を敷く。独フォルクスワーゲン(VW)は25年に同100万台の販売を目指し、独ダイムラーも25年までに電動車両を10車種以上発売する予定だ。

 特に、欧米や中国ではEV市場が拡大するのは確実だ。日本勢の市場シェアが高い電池部材産業への波及効果は大きい。

(2017/3/30 05:00)

1841とはずがたり:2017/04/24(月) 18:25:20
2016.2.23
旭化成・社長引責辞任で崩れた集団経営体制
http://diamond.jp/articles/-/86688
週刊ダイヤモンド編集部

「新生・旭化成」の旗振り役が、「杭問題」の幕引き役に転じた。

?旭化成は2月9日、ついに社長交代を発表した。子会社である旭化成建材の杭工事の施工データ改ざん問題を受けて、浅野敏雄社長が引責辞任し、4月1日付で小堀秀毅専務が新社長に就任する。

?旭化成にとって、4月1日はもともと、新しい中期経営計画をスタートさせる特別な日だった。同社は浅野氏が社長に就任した2014年、同氏や小堀専務を含む4人の代表取締役による集団経営体制に移行。この船出に向けて、着々と準備を進めてきた。

?重要なのは、この新体制には30年続いた会長による“院政経営”から卒業する意味が込められていたことだ。実権を握ってきた伊藤一郎会長は、新しい時代に対応するべく自分の代で院政に終止符を打つと宣言。新生・旭化成に向け浅野社長を抜てきした経緯がある。

?浅野社長は入社して以来、一貫してヘルスケア畑を歩んでおり、問題が起こった当時に建材事業の経営を執行していたわけではない。おまけに同社が次の成長の柱に据えるヘルスケア事業領域の担当役員としても社の要だ。

?小堀専務が「経営責任を取って退任する必要はない」と慰留したというのも無理からぬことだった。

?もっとも、問題発覚後、一部の首脳は代取4人総辞任の覚悟を漏らしていた。「でも、それをしちゃうと『やっぱり上が杭データの流用を指示したんじゃないか』って勘繰られかねない」と同社役員。結局、「旭化成の信頼回復に少しでも役立つなら」と、浅野社長が自らの首を差し出した。

集団経営体制が崩壊

?後任に就く小堀専務は、2600億円で買収した電池の主要部材大手、米ポリポア・インターナショナルといったエレクトロニクス事業領域を担当するとともに、経営戦略室や財務部を所管。全事業に精通している点が買われた。

?同じく代取で、中核の化学・繊維事業領域を担当する小林友二専務は強いリーダーシップで鳴らす。こちらの社長昇格もあり得たが、「会社を心配して社内やOBにいろいろ言ってくる人がいる今、話を聞いて事態を収拾できるバランス感覚の強い小堀さんが適任」(同社首脳)だとみられている。

?住宅・建材事業領域担当の平居正仁副社長の退任も決まり、新生・旭化成を担うはずだった4人衆は2人を残すのみ。集団経営体制はすっかり崩れてしまった。

?浅野社長がけじめをつけたとはいえ、杭問題は未解決。一方でポリポアの買収成果を挙げるなど、成長戦略を実行せねばならない。

?かつては大きな課題に直面すれば、カリスマ会長が解決に動いた。だからといって創業90余年の中で最大といえる危機を前に“脱院政”の看板を外すことになれば、「新生」の看板も同時に外れる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部?新井美江子)

1842とはずがたり:2017/04/24(月) 18:25:32
>>1841

2017.4.24
旭化成で役員ら85人大異動、社長ワントップ体制鮮明に
http://diamond.jp/articles/-/125822
週刊ダイヤモンド編集部

 総合化学大手の旭化成で、小堀秀毅社長のワントップ体制がより鮮明になっている。

 2016年度は旭化成にとって、まさに変革の一年だった。グループの総合力を生かすため、素材領域に属す子会社群を持ち株会社に吸収合併。15年に子会社で発覚した杭工事施工データ改ざん問題に区切りをつけるべく、小堀氏を社長とする新経営体制に移行した他、25年度に売上高3兆円、営業利益2800億円に飛躍するための基盤固めを目指す新中期経営計画をスタートさせた。

 組織の在り方から経営陣まで、軒並み変わったことになる。

 社内は変化にようやく慣れてきたところだったはず。だが、小堀氏は平穏な日々に甘んじる気はなかったようだ。4月、変革2年目にして役員ら85人の異動と担当業務の変更を決行したのだ。

集団経営は一瞬だった

 経営のトップ層も例外ではなかった。そもそも旭化成は14〜15年度、浅野敏雄社長(当時)以下、小堀氏を含む同年代4人の代表取締役に担当する事業領域を割り振り、会社全体を運営するという集団経営体制を敷いていた。

 杭問題を機にそのうち2人が退任。集団経営の色が薄れていたのだが、今回、同社において最大規模の素材領域を担当していた小林友二氏がさらに退いた。代わりに代取に就いたのは、事業領域ではなく研究・開発を全社的に取り仕切る技術畑の中尾正文氏である。

「全社のガバナンスは小堀さんが一人で見るってことだろう。かつて目指した集団経営体制は、社内外に理解されにくかった。やっぱり日本企業はヒエラルキーの中でしか成り立たない」。旭化成関係者はこう分析する。

 小堀氏がガバナンスを行うに当たり、右腕になると目されるのが坂本修一取締役だ。旭化成の出世コースで、小堀氏も踏んだ経営戦略室長(現経営企画部長)を経験。現在は経営企画などを担当する。

 坂本氏は、エレクトロニクス畑出身の小堀氏とは異なり、化学畑の出身。性格も「馬車馬のように働く豪腕な人で、調整型の小堀さんとの相性はピッタリ」といった声も聞こえてくる。

 中尾氏を代取に据えたことにも意味がある。

 同社は03年に分社化し、持ち株会社制に移行した。それで各事業会社の自主自立が促され、収益力アップに成功したとの自負はある。ただ一方で、研究・開発を短期的に行う各事業会社の部隊と長期的に行う持ち株会社の部隊の連携がうまく取り切れないなど、新事業の創出力に欠ける部分があったのも事実だ。「分社化した後の停滞感はあった」と中尾氏も正直に心情を吐露する。

 大型買収を行ってきた旭化成だが、代表権を持った中尾氏の下、技術面でもグループ間の連携をさらに深め、自社開発品での成長加速も目指す。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

1843荷主研究者:2017/04/29(土) 21:48:52

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170403/bsc1704030500003-n1.htm
2017.4.3 06:15 Fuji Sankei Business i.
オカモト、壁紙工場を来年新設 リフォーム需要見込み増産

現在の物流倉庫を移転後に壁紙工場として改修し、リフォーム需要に対応する=茨城県牛久市【拡大】

 ゴム・プラスチックメーカーのオカモトは2018年3月、茨城県牛久市に壁紙工場を新設する。住宅着工戸数が好調に推移していることから、将来のリフォームやリノベーションの需要を見込んで製造を強化するとともに、新製品開発に力を入れる。敷地面積は約4万3055平方メートルで、投資総額40億円。

 16年の住宅着工戸数は前年比6.4%増の96万7237戸で好調に推移し、20年の東京五輪・パラリンピックに向けて建築物件の増加も見込まれている。

 このため、従来壁紙を生産していた静岡工場(静岡県吉田町)に加え、新工場を稼働させて需要増に対応する。

 同社の製品は、産業用資材では壁紙のほか、フィルム、自動車内装材、食品衛生用品、吸水シートなどがあり、消費者向けの生活用品はコンドームをはじめ、カイロ、除湿剤、メディカル製品、手袋、シューズと多岐にわたっている。

 壁紙はプラスチックフィルムの製造技術で、ポリ塩化ビニール樹脂系壁紙、プラスチック系壁紙を生産。壁紙工業会が定める厳格な安全基準規格を満たしている。また、顧客のデザインに対するニーズに応えるため、ロータリー・スクリーン印刷、グラビア印刷、同調エンボスといった技術を用いている。

 同社では多様化する商品ニーズに対応するため、今後3年間で国内外において120億円超の設備投資を計画している。

1848荷主研究者:2017/05/06(土) 22:02:03

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00424511?isReadConfirmed=true
2017/4/13 05:00 日刊工業新聞
昭和電工、大分で12年ぶりエチレン増産-年70万トン 高稼働続く

大分コンビナートのエチレンプラント

 昭和電工は2018年に大分コンビナート(大分市)のエチレンの年産能力を現状の69万5000トン(非定期修理年)から数千トン上積みし、70万トン前後に引き上げる。同社がエチレン設備の生産能力を増強するのは06年以来12年ぶり。三菱ケミカルと旭化成も17年5―6月に水島工場(岡山県倉敷市)で増強し、年産能力を現在比1万トン増の50万トン超に引き上げる計画。総合化学業界では供給過剰によるプラント再編が相次いだ縮小均衡から、需要に応じた健全な増産に転じつつある。

 昭和電工は18年春の定期修理時に、エチレンプラントの一部設備を改良して生産能力を高める。ここ数年は90―100%の高稼働率を維持しており、国内外の需要増への対応と設備余力の確保を目的に増強する。

 設備投資額は数億円と見られる。大分コンビナートは10年にプラントの分解炉を更新したが、生産能力は変えていなかった。

 製造したエチレンは全体の約75%を大分コンビナート内で他社を含めて消費し、残りの約25%をアジア地域へ輸出する。アジア市況は他社の設備トラブルなどで需給が逼迫(ひっぱく)しており、輸出も堅調だ。

 ただ、今後は輸出を抑えて、自家消費比率を高める方針。コンビナート内のグループ会社で汎用樹脂の高機能化を加速して、燃料タンクやバンパーなど自動車市場を中心に開拓し、外部環境に左右されにくい事業体制を目指す。

 エチレンは汎用樹脂の原料で、包装材や容器、家電製品などに広く使われる。11年頃から新興国で石油化学設備の新増設が相次いだため各社は生産再編に動いた。

 しかし食品包装材の伸びや、自動車部品の樹脂化の進展などで、当初想定ほど内需が落ち込んでいない。石油化学工業協会によると2月までの国内エチレンプラントの平均稼働率は、損益分岐点の目安となる90%を39カ月連続で上回っている。

(2017/4/13 05:00)

1854とはずがたり:2017/05/13(土) 15:00:22

<チッソ>82歳最高顧問が社長復帰へ
毎日新聞社 2017年5月12日 21時21分 (2017年5月12日 22時51分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170512/Mainichi_20170513k0000m020106000c.html

 水俣病の原因企業チッソ(東京)は12日、水俣病対応を中心的に担っていた後藤舜吉(しゅんきち)最高顧問(82)が社長に復帰する人事を発表した。森田美智男社長(70)は健康上の理由で退任する。6月下旬の株主総会を経て正式決定する。

 後藤氏は1993年から社長、2003年から会長を務めた。水俣病未認定患者に対し一定の症状があれば一時金などを支払う95年の「政治決着」などに関わり、11年から最高顧問。森田社長の退任に伴い「水俣病問題に長く関わり精通しており、チッソとしての責任をしっかり果たすため」(同社広報室)に社長へ復帰する。

 また同社は同日、17年3月期連結決算を発表し、最終(当期)損益は14億600万円の赤字を計上した。赤字転落は13年3月期以来。熊本地震で一部の発電所が損壊して特別損失が出たことなどが要因。【笠井光俊】

1855荷主研究者:2017/05/14(日) 11:16:06
>>1739
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00426243
2017/4/27 05:00 日刊工業新聞
宇部興産と三菱ケミ、中国・電解液統合に遅れ 当局承認に数カ月?

EV市場が拡大する中国で19日に開幕した上海モーターショー(時事)

 三菱ケミカルと宇部興産が4月めどに予定していた中国のリチウムイオン二次電池用電解液事業統合が遅れている。中国当局の独占禁止法審査が当初想定より長引いているためだ。承認までは少なくともあと数カ月かかる見込み。2社合計の市場シェアはわずかで、市場への影響は限定的と見られる。自国メーカーの優位を脅かしかねない日本連合の誕生に神経をとがらせている側面もありそうだ。(鈴木岳志)

【高い補完性】
 両社の電解液事業は三菱が自動車向け、宇部がスマートフォンなど民生向けが主力と補完性が高い。特許や工場の相互利用を進めて、赤字からの早期脱却を目指していた。

 特に技術力には絶対の自信を持っており、起死回生の一打と期待していた。加えて、中国を端緒に米国や欧州でも協業を検討する方針なだけに、もくろみが始動前に狂ってしまった。

 中国政府は近年、エコカー補助金で電気自動車(EV)中心に自国の車産業を後押しし、基幹部品のリチウムイオン二次電池、そして電池部材メーカーの育成に力を入れている。すでに巨大市場に牙城を築く中国の電解液メーカーを邪魔するライバル誕生を黙って見過ごすわけにはいかないだろう。

【低い参入障壁】
 一方で、日本勢にとって電解液事業が今後の重点領域かどうかは不透明だ。中国メーカーが世界シェアの75・3%(2015年、矢野経済研究所推計)を握る現状が表すように、参入障壁は低い。「原料を買ってきて混ぜればいい」(化学大手幹部)と技術的な難易度は高くない。

 添加剤が電池性能を左右する各社の秘中の秘だが、「分析機器の進化で中に何が入っているかすぐに分かってしまう」(同)と打つ手がない。そうなると、最後は補助金をバックに大型投資を仕掛ける中国勢にはコスト競争で勝ち目がないのが現状だ。

 三菱・宇部をはじめ日本勢が活路を見いだすのは高機能化・安全性ニーズだ。現状はEV生産と販売ともに中国が世界トップだが、20年前後からドイツや日本の自動車メーカーもEVの新車種を相次ぎ投入する計画。より厳しい性能要求に対して日本の技術力を生かせる余地が増えるはずだ。今は耐え忍ぶ時期であり、事業統合で体力温存を図る戦略は間違っていない。

(2017/4/27 05:00)

1856荷主研究者:2017/05/14(日) 14:44:09

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170503/bsc1705030500002-n1.htm
2017.5.3 06:04 Fuji Sankei Business i.
車載電池素材へ積極投資 化学大手など需要増見込む

 化学や石油元売りの大手企業などが、自動車に搭載するリチウムイオン電池素材の増産や開発に相次いで乗り出している。電気自動車をはじめとする電動車両への需要増が見込まれるためで、積極的に投資し収益を拡大させたい考えだ。

 化学メーカーでは、旭化成が電池に使われる「セパレータ」と呼ばれる絶縁体の製造能力を現在の年間6億平方メートルから2020年までに約8割増の約11億平方メートルに拡大する。世界最大手として「さらなる成長に備えたい」(広報担当者)との考えで、250億円程度を投資する方針だ。

 スマートフォンやパソコン向けのセパレータを扱っている帝人も車載向けへの参入を検討している。17年度中にも約30億円を投じて韓国にある子会社の製造ラインの増設を予定する。

 石油元売りの出光興産も車載用電池の新規参入を目指しており、石油精製の過程で培った技術を応用し、電池の容量や耐久性を高める材料の開発に力を入れる。自動車メーカーと連携し、25年ごろには量産化にこぎ着けたい考えだ。

 世界的に環境規制が厳しくなる中、自動車各社は電気自動車やプラグインハイブリッド車といった環境対応車の開発を急いでいる。国内ではトヨタ自動車が20年までに電気自動車に本格参入することを検討しているほか、ホンダも30年をめどに四輪販売台数の3分の2を電動車両にする方針を示している。

 リチウムイオン電池市場について、出光興産事業化推進室の山本徳行室長は、「電動車両の技術の軸は電池だ。これから需要が本格化する」と話している。

1857荷主研究者:2017/05/14(日) 14:48:49

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00426850?isReadConfirmed=true
2017/5/4 05:00 日刊工業新聞
低燃費タイヤ合成ゴム、日本勢が世界3強 軒並み年20万トン体制

低燃費タイヤ用のS-SBRは年率6ー8%の成長が見込まれる

ZSエラストマーは、20年にも生産能力が埋まると予測する(ゼオンケミカルズシンガポール)

 低燃費タイヤ用合成ゴム(S―SBR)を手がける日本勢が、その確固たる地位を確立しつつある。業界3位の日本ゼオンと4位の住友化学が同事業を統合したZSエラストマー(ZSE、東京都千代田区)が4月に始動。業界トップの旭化成と2位のJSRを合わせ、世界3強体制が完成した。ZSEの伊藤敬社長は「1社でできなかった設備投資を決断しやすくなる。競合の背中も見えてくる」と明言。2020年度までに現状比1.5倍の450億―500億円の事業に育て、遠のくばかりだった先行2社を射程に捉える。(堀田創平)

【路面抵抗を軽減】
 S―SBRはタイヤの接地面(トレッド)に使われる。走行時に路面の抵抗を減らすことができ、燃費改善に寄与する。耐摩耗性や雨天時の安全走行を実現するグリップ性能も高い。韓国大手などの大型投資と価格競争に“支配”された汎用合成ゴムと異なり、今も日本勢が高いシェアを握る領域だ。伊藤社長も「技術は今も進化し続けている。そう簡単に追随はさせない」と言い切る。

 低燃費タイヤは環境規制の厳格化などを受け需要が拡大。特に足元は中国で始まったラベリング制度を追い風に、S―SBRも年率6―8%の成長が見込まれている。

 これを踏まえ、旭化成は18年度にシンガポール工場を3割増強して、全社の生産能力が年26万トンになる見通し。JSRもタイ工場の増強やハンガリー工場の新設により、18年度の生産能力を同22万トンにする戦略を打ち出している。

【アジア重視】
 これに対し、ZSEはゼオンと住化のシンガポール工場のほか、ゼオンの徳山工場(山口県周南市)と住化の千葉工場(千葉県市原市)で一気に計17万3000トンの年間生産能力を手に入れた。ただ、伊藤社長は「あと3年もすれば、キャパシティーの大半は埋まってしまう」とうれしい悲鳴を上げる。2年後をめどに描くのは、最低でも年3万トン分の増強で同20万トン規模の能力を持つシナリオだ。

 実際、ZSEはシンガポールをその最有力候補として検討に入っている。急ピッチで環境対策に取り組むアジアは、今や厳しい環境規制を敷く欧州を上回る最大の需要地。日本勢にドイツのトリンセオを加えた主要各社も、アジア重視の姿勢は同じだ。現時点で建設費はかさむものの、原料となるブタジエンの調達はもちろん、ユーティリティーやインフラが整備されている利点も大きい。

【こだわりの品質】
 ZSEがもう一段の増強を実現すれば、日本勢は軒並み20万トン台の生産能力を持つ。他業界からは日本勢同士でパイを奪い合いかねないと心配する声も聞こえるが、JSRの小柴満信社長は「各社には競合と補完関係の両面がある」と指摘する。S―SBRはそもそも、例えばエコ性能に強いA社製品と操縦安定性を付与するB社製品などと混ぜて効果を引き出す。それだけに、各社がこだわるのが品質の差別化だ。小柴社長は「S―SBRの販売はJSRだけで年率15%伸びており、タイヤ全体の成長率を上回っている。まさに差別化が効いている感触だ」と目を細める。

 日本ゼオンの田中公章社長も「タイヤの摩耗性や燃費性を向上するには、ポリマーとシリカの相性を良くする末端変性技術がカギを握る。低燃費タイヤ用の合成ゴムを初めて世に送り出したゼオンが磨いてきた技術だ」と自信をみせる。

 その技術力を引き継いだZSEには、住化が蓄積してきた独自技術も加わった。研究開発部門では生産拠点に先駆けて統合に着手し、すでに特許の共有やテーマの絞り込みといった成果は着実に表れている。「広くゴム文化という意味で共通点が多いし、同じ大学院の先輩後輩といったつながりも奏功している」(伊藤社長)。“第三極”の挑戦は、おのずと日本勢全体の存在感も高めそうだ。

(2017/5/4 05:00)

1860荷主研究者:2017/05/21(日) 22:01:21

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170516/bsc1705160500005-n1.htm
2017.5.16 05:00 Fuji Sankei Business i.
大塚製薬、徳島県5カ所目の工場

 大塚製薬は15日、徳島県美馬市に医薬品の新工場を建設すると発表した。同日着工し、2020年の稼働を目指す。高品質な医薬品を安定して供給するため、日米欧の製造基準に対応する。徳島県は大塚グループの創業地で、大塚製薬の県内5カ所目の工場となる。新工場の敷地面積は約15万平方メートルで、操業開始時の従業員数は86人を予定している。投資額は公表していない。大塚製薬を発展させた故大塚明彦大塚ホールディングス元会長が「製造拠点の徳島回帰」を唱え、12年に大塚製薬と徳島県、美馬市が新工場建設についての覚書を締結していた。

1862荷主研究者:2017/05/21(日) 22:15:10
>>1861-1862 続き

■日本から三菱ケミHDのみ仲間入り

 日本勢で「3兆円クラブ」に入っているのは三菱ケミカルホールディングス(HD)だけ。M&Aと、収益性の低い事業を分離を続け日本の化学首位として君臨する。この後に続くのは、16日午後に決算発表を控える住友化学など売上高1兆〜2兆円の企業群。塩化ビニール樹脂の信越化学工業、炭素繊維の東レなど特定分野に強い大手はあるものの、売上高、時価総額の両面で世界の顔といえる企業に乏しいのが現状だ。

 世界各地で地球温暖化や人口増加、都市化などの課題は山積し、化学メーカーの出番はまだある。中国勢は素材だけでなく機械もセットに「非連続」の買収を続け、欧米勢はお手本のようなM&Aで再編・集約を主導する。日本勢がどう存在感を示していくのかが試される。

(加藤貴行)

1864とはずがたり:2017/05/23(火) 22:48:35
<久光製薬>「サロンパス」世界シェア1位
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/business/mainichi-20170524k0000m020061000c.html
20:07毎日新聞

 久光製薬(佐賀県鳥栖市)の貼り薬「サロンパス」が国際市場調査で鎮痛消炎貼付剤の世界シェア1位となり、中冨一栄社長が英調査会社から認定証を受けた。

 1934年の発売開始から80年以上売り続けるロングセラー。現在は米国や東アジア、欧州など40カ国以上で販売され、昨年の売上高は約233億円に上る。

 売り上げの約6割を海外が占め、生産拠点も世界4カ国に。各国に“密着”しての記録達成に、同社広報室は「これからも世界の人々のこりをほぐしたい」と喜びの声。【中村敦茂】

1868とはずがたり:2017/06/05(月) 22:08:45

東洋紡の岩国事業所から薬液流出 海上汚染は確認されず
http://www.asahi.com/articles/ASK645X1SK64TZNB01S.html?ref=goonews
2017年6月4日22時44分

 東洋紡は4日、同社岩国事業所(山口県岩国市)で薬液が海に流出する事故があったと発表した。

 同社によると3日午後11時20分ごろ、海沿いのポリマー工場で、缶の洗浄に使う薬液メチルエチルケトンが何らかの原因で沸騰。排水路を通じて海に最大で108リットル流出したと推測されるという。今のところ、従業員や周辺住民の健康被害、海上汚染は確認されていない。

1871荷主研究者:2017/06/11(日) 13:24:17

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170530/bsc1705300500007-n1.htm
2017.5.30 05:00 Fuji Sankei Business i.
三井化学 3年3500億円投資計画 高機能素材へのシフト加速

 三井化学は29日に経営説明会を開き、2017年度から3年間で3500億円を投資する計画を明らかにした。同社は悪化した業績の改善を優先し、14年度から3年間の投資を1580億円に抑えていた。不採算事業の整理が進み、16年度に本業のもうけを示す営業利益が過去最高を更新するなど、業績が上向いてきたことから積極投資に転じる。

 3500億円のうち、65%を成長3分野と位置づける自動車関連とヘルスケア、食品包装を中心とする収益性の高い高機能素材に振り向ける。一方、既存設備の維持・更新にかける投資は前の3年間の55%から35%に低下。基礎化学品への依存度は下がる見通しだ。

 成長分野への投資案件では、軽量で、自動車用バンパーなどに使われる樹脂材料「ポリプロピレン(PP)コンパウンド」を19年から欧州生産することを挙げた。現在、候補地を選定中で、投資額は数十億円になる見通し。燃費規制の強化で軽量化ニーズが高まる中、欧州自動車メーカーの要望に応え、委託生産を自社生産に切り替えて生産を増やす。マレーシアで食品包装用の接着剤を増産する方針も示した。淡輪敏社長は説明会で「自社の事業の周辺領域や、保有していない技術に関するM&A(企業の合併・買収)は積極的にやっていく」と語り、複数の案件が候補にのぼっていることを明らかにした。

1872荷主研究者:2017/06/11(日) 14:37:22

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00430743?isReadConfirmed=true
2017/6/5 05:00 日刊工業新聞
日産化学、殺虫剤向け原体を生産−設備投資14億円、18年稼働

 日産化学工業は約14億円を投じ、小野田工場(山口県山陽小野田市、写真)に殺虫剤「グレーシア」の原体となるフルキサメタミドの生産設備を設ける。2018年7月に稼働させる計画。グレーシアは広範囲の重要害虫に有効ながら、ミツバチへの悪影響を抑えられる特長を持つ。19年をめどに市場投入し、21年までに国内外で30億円の販売を目指す。

 グレーシアは進行中の16―21年度中期経営計画で、農業化学品事業の重要テーマに位置付ける開発品の一つ。

 同社は除草剤や殺虫剤を手がける農業化学品事業が好調で、17年3月期連結決算では全社の営業利益314億円のうち132億円を担った。18年3月期連結決算業績予想は、同事業で営業利益156億円を見込んでいる。

1873荷主研究者:2017/06/25(日) 11:09:36

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00431616
2017/6/13 05:00 日刊工業新聞
ニュース拡大鏡/米建設コスト高騰-化学大手、新工場計画に影

米国のシェールオイル掘削現場。人材不足などで建設コストが上昇(ブルームバーグ)

 米国の建設コスト高騰が化学大手の新工場計画を狂わせている。三菱ケミカルはアクリル樹脂原料プラントの稼働時期を直近計画の2020年から22年に遅らせるほか、三井化学も自動車向け合成油工場などを先延ばしする。堅調な米国景気や人材不足を背景に建設コストは日本の3倍に上昇していると言われ、拙速な建設断行は将来の減損リスクを生みかねない。ただ、需要増加は待ってくれず、各社は難しい経営判断を迫られそうだ。(鈴木岳志)

 三菱ケミカルは三井物産と共同で、米国にメタクリル酸メチル(MMA)工場を建設する計画。総投資額は1000億円規模。当初は18年の稼働を目指していたが、その後に20年頃へ延期していた。

 18年度までに立地など詳細を決める方針だが、稼働まで4年程度かかる。三菱ケミカルはMMA世界最大手で4割のシェアを持つ。市況は好調であり、需給バランスを乱しかねない年産25万トンの工場新設を急ぐ必要がない側面もある。

 三井化学は15年頃から自動車向けで需要旺盛な合成油と樹脂改質材の米国工場新設をそれぞれ検討してきた。ただ、建設コストの高止まりに加えて、プラント運転要員の採用難も重なり、最終決定に至っていない。

 同社は19年度までに決める方針だが、当座の増産対応として日本や欧州で小規模プラントの建設も検討する。

 クラレは15―17年度の現中期経営計画中に決める予定だった米国での酢酸ビニル(VAM)の生産能力増強を見送った。VAMは、接着剤や繊維加工剤などに使う機能性樹脂の原料だ。ラポルテ工場(テキサス州)に製造設備を導入することを軸に検討していた。次期中計で再度検討する考え。

 石油化学産業が集積するテキサス州やルイジアナ州は、人材不足などにより建設コストが高騰している。特にトランプ政権発足以降はインフラ建設やシェール増産が活発化しており、新工場の競争力を損なうコストアップ要因になりつつある。

(2017/6/13 05:00)

1874荷主研究者:2017/07/02(日) 11:22:26

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00432016
2017/6/15 05:00 日刊工業新聞
ニュース拡大鏡/三菱ケミ、8年越しプロ始動 サウジのMMAプラント

三菱ケミがシンガポールに持つMMAプラント

 三菱ケミカルがサウジ基礎産業公社(SABIC)との合弁でサウジアラビアに建設中だったアクリル樹脂原料のメタクリル酸メチル(MMA)プラントが、8月に商業運転を始める。世界シェア4割のMMA最大手が世界屈指の安い原料を使い生産する“最強タッグ”だ。検討開始から8年越しの一大プロジェクトが満を持して動きだす。(鈴木岳志)

 「ラマダン(イスラム教の断食月)明けの6月後半からテスト生産を始める」と、三菱ケミカルMMA部門長の宮木敬常務執行役員は準備を進める。原料であるエチレンの安定調達問題などで当初計画より遅れたものの、ようやく商業運転にこぎ着けた。

【高い競争力】
 両社折半出資の合弁会社がサウジアラビア東部・アルジュベイル地区に工場を建設し、MMAモノマーとアクリル樹脂成形材料(PMMA)を製造する。総投資額は1000億円規模。生産能力はモノマーが世界最大の年25万トン、PMMAが同4万トンとなる。シンガポール工場と同じ独自製法「新エチレン法(アルファ法)」で高い競争力をもつ。

 製品引き取り比率は当面、事業経験の豊富な三菱ケミカルが8―9割と多く、5年程度をかけて5割まで下げて均衡させる方針だ。

【生産調整小さく】
 サウジ新工場の仕向先はアジアが主だが、欧州向けも当初計画より出荷量を15%増やす。宮木常務執行役員は「当初より欧州の不足感が強く、ここ1、2年は結構出さざるを得ない」と軌道修正を図る。2018年春の自社工場の定期修理入りも一因。これにより、アジアの工場で予定していた生産調整幅も想定より小さくて済む見通しだ。

 足元の市況は好調だ。アジアのモノマー価格は昨春比で2倍近い1トン=2300ドル近辺で推移する。「PMMAが液晶テレビ(用導光板)向けに増えだした」(宮木常務執行役員)のに加えて、塗料や人工大理石向けの需要増が理由だ。

【住化も生産開始】
 ただ、住友化学も今秋めどにサウジ西部でMMAモノマーなどの生産を始めるため、年末にかけて潮目が変わりそうだ。「特に需給が緩むのは18年1、2月だろう。中国の旧正月で需要が減る」(同)と一時的な市況悪化はありうる。

 「世界需要(モノマー)が約400万トンで、年3%伸びると仮定すると能力増強分が埋まるのに約2年かかる。ただ、4、5年でまた不足する」と宮木常務執行役員は先読みする。それを見据えて、米国やアジアでの新工場計画を慎重に練る。

(2017/6/15 05:00)

1875荷主研究者:2017/07/02(日) 11:41:19

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00432901?isReadConfirmed=true
2017/6/22 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミHD、グループの防災・減災商材 新組織発足し一括提案

ウェルシィの地下水膜濾過システム

 三菱ケミカルホールディングス(HD)は2018年4月をめどに、防災・減災分野に向けグループの商材を一元的に扱う組織を立ち上げる。4事業会社とその関連会社が手がける約2万点の商材から「インフラ強化」「避難支援」「被災者支援」の3領域で役立つ約100点を集約。これまで手薄だった中央省庁や自治体、建設コンサルタント会社などへの提案を強める。(堀田創平)

 このほど三菱ケミカル、田辺三菱製薬、生命科学インスティテュート、大陽日酸の4事業会社と関連会社の製品を網羅した冊子を完成し、配布を始めた。参画する日本防災産業会議など社内外からの情報収集・意見交換を踏まえ、17年度中に組織の下地やマーケティングツールを整える。18年4月に専門組織を始動し、最終製品のほか競争優位に立つ素材の拡販につなげる。

 例えば、インフラ強化では水道管との直結給水に比べ災害時の強みが再認識された受水槽を訴求する。三菱ケミカルインフラテック(東京都中央区)は16年に専門部署を立ち上げ、独自の工事手法で差別化しやすい繊維強化プラスチック(FRP)製タンクの需要開拓で成果を出している。地震発生時に弁を閉じ、生活用水の流出を防ぐ緊急遮断弁システムも併せて伸ばす。

 また被災者支援ではウェルシィ(東京都品川区)の「地下水膜濾過システム」の引き合いも増えている。くみ上げた地下水を膜濾(ろ)過処理し、安全・安心な飲料水として供給する。公共水道との併用で水源を二分化でき、防災力の向上にも寄与する。

 16年4月に発生した熊本地震では同システムを運用する熊本市内の病院が近隣住民に飲料水を提供し、存在感を発揮した。

(2017/6/22 05:00)

1876荷主研究者:2017/07/02(日) 11:41:44

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00432899?isReadConfirmed=true
2017/6/22 05:00 日刊工業新聞
コニシ、浦和工場を廃止

コニシは浦和工場(さいたま市桜区)を7月1日に廃止する。同社は国内生産拠点の集約化を進めており、同工場の廃止で国内の生産工場は栃木工場(下野市)と滋賀工場(甲賀市)の2拠点となる。浦和工場は主に水性系接着剤を生産していたが、1年前から栃木、滋賀の両工場へ生産の移管を進めていた。従業員の多くもすでに両工場に異動した。ただ浦和工場のある浦和事業所や、同事業所内の研究所は存続する。同工場の跡地の利用方法に関しては検討中。

(2017/6/22 05:00)

1877荷主研究者:2017/07/02(日) 11:51:02

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00433100?isReadConfirmed=true
2017/6/23 05:00 日刊工業新聞
旭化成、セパレーター生産能力2.5倍 積極投資で世界首位堅持

中国ではEVの普及が進む見通し(ブルームバーグ)

 【米シャーロット(ノースカロライナ州)=鈴木岳志】旭化成は2020年までにリチウムイオン二次電池用セパレーター(絶縁材)の年産能力を最大で15億平方メートル(現状比2・5倍)に増強する。従来計画の11億平方メートルから大幅に上積みする。上積み分の総投資額は300億円規模とみられる。自動車メーカーが電気自動車(EV)などの開発を加速しており、電池部材市場の成長スピードも当初想定以上。積極投資で世界首位の座を堅持する。

 旭化成はリチウムイオン二次電池用セパレーターの設備投資計画を見直し、20年時点で年産能力を湿式・乾式合計で13億―15億平方メートルに拡大する検討を始めた。自動車・電池メーカーへの採用が固まり次第、17年度内にも正式決定する見通し。

 セパレーターは湿式と乾式の2種類に大別される。同社は両方手がけており顧客の要求に応じて供給できる。年産15億平方メートルの内訳は、現在主力の湿式が約10億平方メートル(現状比2・9倍)、乾式が約5億平方メートル(同2倍)を見込む。

 スマートフォンなど民生用も多い湿式セパレーターの増産は守山製造所(滋賀県守山市)が中心。ただ、建設事情などによって、宮崎県日向市の工場も活用する。乾式は15年に買収した米ポリポアの工場を増設する。価格を抑えやすいため、特にコスト意識の高い車載用途を想定する。

 世界のセパレーター市場は16年の15億平方メートル程度から20年に最大で35億平方メートルまで成長する見通し。用途別では車載が7割を占める。国別では、環境規制の強化でEV需要が伸びる中国が、全世界の過半を占める最大市場となる。

(2017/6/23 05:00)

1878荷主研究者:2017/08/06(日) 22:11:48

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00435226?isReadConfirmed=true
2017/7/11 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/旭化成(1)多角化DNA、第3次成長期へ

http://tohazugatali.web.fc2.com/industry/img2_file59634.jpg

新事業創出へ総力/「車市場の開拓」共通目標へ

 旭化成が焦燥感を募らせている。2016年度の当期利益は過去最高の1150億円と業績は好調。ただ、多角化を社是としながら、00年以降、新事業創出ペースが落ちている。社長の小堀秀毅は16年度に大規模な組織改革を約13年ぶりに断行。石油化学や住宅事業が主導した第1次、第2次成長期と異なる収益の柱づくりを急ぐ。25年度に売上高3兆円(16年度比59・3%増)を達成する第3次成長期を迎えられるかの重要な局面にある。

【変化すること】
 「成長するには新しいこと、変化することにチャレンジしなければならない」。4月3日、旭化成発祥の地の宮崎県延岡市で小堀は377人の新入社員へ語りかけた。それは自らへ言い聞かせる言葉でもあった。

 電気自動車(EV)普及で需要急増のリチウムイオン二次電池用セパレーター(絶縁材)に、スマートフォンに欠かせない電子コンパス、高級裏地に使われるキュプラ繊維。同社には世界トップシェア製品が少なくない。

 祖業は化学と繊維。今は住宅や電子部品、医薬品、医療機器まで手がける世界でも類を見ない多角化企業だ。一方で開発着手から30年以上経過した“中堅・ベテラン選手”の活躍が目立つという課題がある。

【リソース集結】
 新事業創出のペースが鈍った一因が、03年の分社・持ち株会社制への移行だ。化学や住宅、医薬など7事業会社へ分社化した。「新規事業開発の力が分散してしまった」(旭化成幹部)と、多角化の足かせとなった側面は否定できない。

 16年4月に社長に就任した小堀が最初にした大仕事が、事業持ち株会社制の導入。リソースを再び集結するのが狙いだ。17年4月には同期入社で技術畑の中尾正文を副社長へ昇格させ、二人三脚で新事業創出に挑む。

 中尾は「今やっておかないとダメだ」と強い危機感を隠さない。その上で「(研究開発の)土壌を整えるのが役割」と決意を語る。

 各部門の融合を促進するために「自動車市場の開拓」という共通目標も掲げた。技術融合でグループスローガンの「昨日まで世界になかったもの」を生み出し、顧客網を各部門で共有。軽量化や環境負荷低減につながる関連製品を総合的に提案する。25年度に自動車関連の売上高を15年度比約3倍の3000億円に伸ばす計画だ。

【米社を買収】
 自社のリソースを結集する一方で、他社との連携も進める。12年に救急救命医療機器大手の米ゾール・メディカルを約1800億円で、15年にセパレーター大手の米ポリポア・インターナショナルを同社では過去最大の約2600億円で買収した。ただ、巨額買収の明確な効果はまだ出ていない。小堀は「事業の成長戦略と人財戦略を連動させる重要性を痛感している」と人材不足の悩みを吐露する。

 これまで同社を支えてきた“多角化のDNA”はまだ生きているのか―。第3次成長の行方が、その答となる。(敬称略)

(2017/7/11 05:00)

1879荷主研究者:2017/08/06(日) 22:12:23

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00435440?isReadConfirmed=true
2017/7/12 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/旭化成(2)攻めどきのセパレーター

乾式新製品で反転攻勢

ポリポア復活が成長のカギを握る(旭化成提供)

【拡大路線】
 旭化成のリチウムイオン二次電池用セパレーター(絶縁材)事業は今、拡大路線の真っただ中だ。2015年に米ポリポア・インターナショナルを過去最大の約2600億円で買収したほか、この2年間で工場増設に260億円以上の投資を決めた。一部は当初予算外で対応するほどの市場成長スピードだ。

 常務執行役員セパレータ事業本部長の高山茂樹は「トップの理解があり、うちの提案は非常に気持ち良く通してもらっている」と相好を崩す。ただ、電気自動車(EV)向け需要が急拡大する中で、工場建設期間を考慮すると「設備投資戦略そのものが最大のカギで、遅れると中国勢の製品を使われてしまう」と成長期特有の難しさに苦心もしている。市場の成長は間違いない。20年の世界市場は最大35億平方メートル(16年約15億平方メートル)に拡大し、うち7割は車載用途が占める見通し。

 旭化成は20年までの投資計画を見直す。20年時点の生産能力を約1年前に決めた年11億平方メートルから13億―15億平方メートルへ上積みを検討している。高山は「市場の3割は獲得しないと、メジャーになれない」と首位堅持の決意を語る。

 ポリポア買収は旭化成になかった乾式セパレーターを取り込むためだった。ただ、足元は苦戦している。社長の小堀秀毅も「乾式は当初計画より(利益改善が)遅れている」と認める。

【慌てずに】
 市場が想定ほど立ち上がらなかった10年頃の“EVショック”の被害者だったポリポア。過剰設備を抱えて経営が苦しくなり、身売りを余儀なくされた。そのせいで研究開発など投資を極端に絞り、買収時点で製品力がかなり弱まっていた。

 高山は「新製品が一番のキーだ。性能設計が(旭化成の)湿式と比べて遅れていたので、最先端の電池で使う上での問題点を解決すべく、旭化成の技術陣が全面支援している」と建て直しを急ぐ。

 製造工程が単純で低コストな乾式こそ車載の本命なのは変わらない。小堀は「19年、20年の新車採用に向けサンプル供給をしている」と慌てずに吉報を待つ。(敬称略)

(2017/7/12 05:00)

1880荷主研究者:2017/08/06(日) 22:13:54

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00435566?isReadConfirmed=true
2017/7/13 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/旭化成(3)先陣切る高機能ポリマー

先陣切る高機能ポリマー、車・海外展開で布石

数億円かけたコンセプトカーの成果は上々だ

【市場開拓の旗手】
 旭化成の高機能ポリマー事業は自動車市場開拓の旗手だ。軽量化のエンジニアリング樹脂や低燃費タイヤ用合成ゴムで先陣を切り、グループ全体のまとめ役も担う。

 5月には実走行可能なコンセプトカー「AKXY(アクシー)」を電気自動車(EV)ベンチャーのGLM(京都市左京区)と共同開発した。そこには旭化成が手がける、樹脂やゴム以外に電池材料や繊維、電子部品など合計27の製品・技術が搭載されている。

 常務執行役員高機能ポリマー事業本部長の吉田浩は「思った以上にアクシーの反響は大きい。国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカーから『一度ミーティングをしたい』との申し出があった」と喜ぶ。旭化成だけが顧客に招かれて製品・技術を披露する「プライベート展示会」も5月から始めた。

 社長の小堀秀毅は「他社のコンセプトカーがモックアップ(模型)なのに対して、うちのは走るので全然違う。採用実現性が高いことを表している」と断言する。

【総合力を結集】
 強気の理由は自動車こそ旭化成の総合力を結集しやすく、化学メーカーで珍しい電子部品などで競合他社と差別化を図れるからだ。

 高機能ポリマー事業は全社の基本戦略であるグローバル展開の先兵でもある。「だからこそ、いろいろな海外展開の課題をグループで最初に経験する」と、吉田は開拓者ゆえの苦労を口にする。

 現在、中国国有化学大手の中国化工集団(ケムチャイナ)傘下の中国藍星(集団)と、エンジニアリング樹脂の変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂の合弁事業へ詰めの作業中だ。8月に合弁会社設立を予定する。

 吉田は「国内他社と違って、これまで旭化成は中国で現地大手との合弁はゼロだった」と意外な事実を明かす。社運をかけた“初体験”だ。「合弁で先方の力を活用しながら事業を大きくするやり方も今後必要になるので、その第1陣だ」と布石を打つ。順調にいけば、ケムチャイナとの第2、第3の合弁事業が見えてくる。今の苦労も将来の成果が癒やしてくれるはずだ。(敬称略)

(2017/7/13 05:00)

1881荷主研究者:2017/08/06(日) 22:14:31

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00435810?isReadConfirmed=true
2017/7/14 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/旭化成(4)再び夢を見る石化

アクリロニトリルで攻勢

韓国のANプラント

【共同運営】
 水島地区(岡山県倉敷市)のエチレンプラントが2日、定期修理明けで再稼働した。三菱ケミカルと旭化成が2016年4月から共同運営しており、2基から1基への集約後、初めての大きな共同作業だった。

 旭化成上席執行役員石油化学事業本部長の小野善広は「日本メーカーは往々にして止めようとしたが、急に足元の市況が良くなると計画を撤回しがちだ。ただ、2社ともに一切動じずに取り組んだ」と胸を張る。目先の石化市況高に基づく「拙速」との批判など意に介さない。

 相手の三菱ケミカル専務執行役員石化部門長の岡本純一も「それぞれ得意分野があり、自分たちにないものを吸収し合っている。(昨夏の)設備トラブル以外は良い運営ができている」と語る。

 小野は順調な滑り出しに「ユーティリティー連携など関係を進化させたい」と次の段階へ思いをはせる。

 現状はプラントから出てきたエチレンを半分ずつ引き取るだけだが、それぞれの工場で原料需要は異なる。プロピレンなど他の基礎化学品も併産されるため、未活用留分をお互いに融通できればさらなる競争力強化につながりそうだ。

【新たな生産増強】
 同じく構造改革が奏功している繊維・樹脂原料のアクリロニトリル(AN)。「大きくもうけられる仕組みを約20年かけて構築してきた」と、旭化成常務執行役員の坂本修一は主力製品の出来を誇る。スイス・イネオスに次ぐ世界2位だ。

 足元の需要のけん引役は汎用樹脂のABS向けで、自動車や家電製品などに多く使われる。世界のAN生産能力は年間約700万トンで、需要が同600万トン。今後も年率3%強の成長は見込める。小野は「プラントの新・増設を言っているのは今のところ中国勢だけだ。旭化成としてこの市場でどうするか」と思案する。

 当面は水島と韓国で稼働率を上げるとともに、韓国での設備改良による能力増強などで対応する。だが、次の段階として「新たなキャパシティー(生産能力)を持つことを考えたい」と小野は話す。石化は再び夢を見られるのか。(敬称略)

(2017/7/14 05:00)

1882荷主研究者:2017/08/06(日) 22:29:15

http://www.kensetsu-sinbun.co.jp/menu/Daily_kensetsu_jyouhou.htm
2017/07/21 建設新聞
新東北化学工業 仙台市上愛子 2F約2900㎡、工場・倉庫の新築
中央設備エンジの施工で10月完成へ

 天然ゼオライトの採掘・加工・販売などを行う新東北化学工業(仙台市青葉区上杉1の4の10 松本浩代表取締役社長)は、仙台市青葉区上愛子で仙台工場を新築する計画で中央設備エンジニアリングの設計・施工を決め、着工した。

 建設用地は仙台市青葉区上愛子大森62番ほか地内の敷地6372.23㎡。計画ではここに、S2F延べ2886.66㎡の工場および倉庫を建設する。

 完成は10月末をめざすとしている。

2017/07/21付一面に掲載。

1883荷主研究者:2017/08/06(日) 22:33:12

http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20170721000024
2017年07月21日 09時38分 京都新聞
リチウムイオン電池、京都で競争 三洋化成や新規参入組も

 リチウムイオン電池(LiB)の性能向上を巡る競争が、京都でも激しくなってきた。三洋化成工業は20日、電気容量を2倍以上に増やす技術の確立にめどがついたと発表。村田製作所や第一工業製薬といった異業種からの進出も相次いでおり、既存の蓄電池メーカーであるGSユアサも高容量製品の開発を急いでいる。

 三洋化成工業は、LiBの中に組み込まれているシート状の電極(正極、負極)の厚みを、現在の限界とされる0・2ミリ程度から数倍以上にできる要素技術を開発した。厚みが2倍になれば単位面積当たりの電気容量も2倍になるため、蓄電システムのコンパクト化につながるという。

 約10年前から大学などと共同研究を進め、今回初めて成果を公表した。2020年をめどに住宅や工場、ビルなどの定置用電源として商品化を目指す。スマートフォン用バッテリーなどの一般商品向けの展開も見据える。

 昨年秋には、電池開発用の新施設を愛知県半田市の衣浦工場に5億円かけて建設しており、「大型ビジネスとして将来の収益の柱に成長させたい」(広報部)と強調する。

 電子部品大手の村田製作所も、9月1日に完了するソニーの電池事業の買収を機に、産業用LiBの開発を加速させる。両社の技術を生かし、電池の小型化や軽量化、容量増大に取り組む。

 成長が見込まれるエネルギー分野の中核事業に育てる計画で、住宅向けのほか、携帯電話や電動工具などでの需要を狙う。電池事業単体で18年度に黒字化、20年度には売上高2千億円を目指す。

 第一工業製薬は昨年末、LiBの少量生産を行う子会社エレクセルの本社を、事業拡大に向けて京都府精華町から三重県四日市市の工場内に移した。特殊用途のLiBの需要が増えるとみて、新拠点で材料開発などを進める。

 一方、GSユアサは、車載用LiBのエネルギー密度増加を目指している。正極の物質組成の変更などで20年には15年ごろと比べてエネルギー密度を2倍に、25年ごろには3倍に増やす計画だ。

 今後、電気自動車の普及や住宅用蓄電池の需要増加などで世界の蓄電池に占めるLiBの割合は高まるとみており、自動車用LiBで培ったコストダウン技術などで産業用途でも収益拡大を図る。

1891荷主研究者:2017/09/14(木) 23:30:17

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00440464?isReadConfirmed=true
2017/8/24 05:00 日刊工業新聞
星光PMC、CNF生産増強 複合材の実用化にめど

 星光PMCは竜ケ崎工場(茨城県龍ケ崎市)にあるセルロースナノファイバー(CNF)実証生産設備を増強する。同設備では微細な木質繊維であるCNFを化学処理で疎水化し樹脂の補強材(複合材)として扱いやすくした疎水変性CNFを製造する。2017年末までに生産能力を従来の約3倍にあたる年間70トン強に引き上げる。投資額は約2億円。

 CNF実証生産設備は14年に、経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」の助成を受けて建設した。「自動車、建材、電子機器などの構造材料用途を中心に、サンプルワーク(用途開発)を進めてきた」(滝沢智社長)という。「サンプル提供先の製品試作が最終段階に近付き、年内の商業化(実用化)も見えてきた」(同)ため、供給体制を整える。

 同社は紙力増強剤などの製紙用薬品メーカー。製紙原料の木材パルプからセルロースの改質技術を応用して疎水変性CNFを製造し、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)などの樹脂と混練するペレット加工まで手がけている。

 補強材となるCNF配合樹脂ペレットの供給能力は年間200トン超になる見通し。竜ケ崎工場での設備増強は今回で限界となり「製紙会社との協業も検討する」(同)としている。

(2017/8/24 05:00)

1893荷主研究者:2017/09/16(土) 18:57:35

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00441293?isReadConfirmed=true
2017/8/31 05:00 日刊工業新聞
室町ケミカル、医薬品原薬の合成本格化 福岡・大牟田に設備

室町ケミカルの新製造ラインに設けられた原薬の合成装置(左下)など

【福岡】室町ケミカル(福岡県大牟田市、村山哲朗社長、0944・41・2131)は医薬品原薬の合成を本格化する。大牟田市内の工場に専用ラインを設置。5月に吸収合併した東進ケミカル(埼玉県川口市)の生産を新ラインに移管し9月に稼働を始める。従来に比べ4―5倍の生産能力拡大を見込む。平屋建てで延べ床面積約420平方メートルのスペースにラインを新設。投資額は約4億5000万円。開発品の試作も行い、2019年をめどに量産体制を整える。

 室町ケミカルグループでは医薬品合成技術に強みを持つ東進ケミカルが原薬合成を行っていた。ただ同社の生産設備は小ロット生産に適しており、一定の生産量を求めるユーザーからの要望に対応できないことが課題となっていた。そのため室町ケミカルが吸収合併し、技術の集約と生産拠点の新設へ準備を進めてきた。

 室町ケミカルは医薬品、健康食品、イオン交換樹脂などの製造などを手がける。青木淳一常務は「各事業のつながりを生かしながら生産の幅を広げたい」としている。

(2017/8/31 05:00)

1896荷主研究者:2017/10/01(日) 11:34:20

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00442834?isReadConfirmed=true
2017/9/13 05:00 日刊工業新聞
水島の現在地・エチレンセンター統合1年半(上)定修データで保安強化

三菱ケミカル旭化成エチレンのプラント外観(分解炉)

 三菱ケミカルと旭化成が水島地区(岡山県倉敷市)のエチレンセンターを統合して1年半がたつ。7月の頭に当面の目標だった定期修理が終わり、第一関門をクリア。この1年半は石油化学品の市況高が続いたことで、「決断は時期尚早だった」との一部批判も受ける。ただ、当の2社は過去に興味はない。中長期視点で高付加価値化の成長路線を突き進む。(3回連載)

【後悔は皆無】
 三菱ケミカルと旭化成は水島地区のエチレンセンターを従来の2基から1基へ集約したことに後悔は皆無だ。センターを運営する三菱ケミカル旭化成エチレン(東京都千代田区)の坂元誠社長は「2基とも残っていたら、年間約30万トンのエチレンを外販しないといけない。その量が市場に出てくると、今と様相は全然変わる」と強調する。同社の沼田宏明副社長も「状況が悪くなった局面でもフル稼働を維持できるのがみそだ。ダウンサイドのリスクが発現した時の影響を最小化できる」と、時期尚早との指摘に反論する。装置産業にとって高稼働の維持が鉄則だからだ。

 「エチレンが足りず、他社から少し買うぐらいの現状でこういう(需給逼迫(ひっぱく)の)環境になっているなら、両親会社にとって今の方がいい」(坂元社長)と割り切る。市況変動に煩わされる無駄な時間を排除し、経営陣が成長戦略の立案・遂行に集中できる利点は大きい。

【半月稼働停止】
 この1年半には悔しい思いもした。統合早々の2016年7月末から半月の間、プラントが冷媒系の不具合により停止してしまった。同社の江原誠二水島工場長は「これまで予想していなかった設備でトラブルが起こった」と反省しきり。稼働開始から50年近く経過しているが、老朽化を親会社への原料供給責任の言い訳にはできない。

 約2カ月の定期修理では設備点検を今まで以上に徹底した。「我々は本当に自分たちの設備を隅から隅まで見ていたのかと原点に立ち返った」(江原工場長)といい、ゼロベースで点検項目・範囲を見直した。「その結果、やって良かったという箇所が数件確認できた」(同)と転んでもただでは起きない。

【新たな財産】
 今回の定修データは新たな財産となる。「我々の予想の範囲を超えた(腐食などの)データが出ている部分で要因を解析する。設備保全のサイクルに関して予想精度の向上に生かしたいし、配管などの材質変更まで発展する可能性はある」(坂元社長)と工場の基盤強化に余念がない。

 次の目標は高圧ガスの自主保安の認定取得で、18年末を目指す。現在は実際の設備運営は三菱ケミカルへ委託している形だが、同認定取得をもって名実ともに三菱ケミカル旭化成エチレンの自主運営体制へ移行する。

 立ち止まっている暇はない。

(2017/9/13 05:00)

1897荷主研究者:2017/10/01(日) 11:34:49

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00443023?isReadConfirmed=true
2017/9/14 05:00 日刊工業新聞
水島の現在地・エチレンセンター統合1年半(中)三菱ケミカル 未利用留分で工場新設

三菱ケミカル・水島事業所のBTXプラント

【定修後の課題】
 三菱ケミカル・水島事業所はエチレンセンターから出てくる基礎化学品のうち未利用留分を活用する検討に入った。執行役員の羽尾務水島事業所長は「C5以上の未利用留分をうまく使って、付加価値のある製品を生産したい。事業部門などと一緒に取り組みを始めた。それでプラントが新設できればいい」と展望を語る。

 お隣の旭化成とセンターを統合したが、当然ながら未利用留分の構成は異なる。「両社で手を組んだ(未利用留分活用の)可能性はある」(羽尾所長)とさらなる連携は定期修理後の重要課題の一つとなる。

 水島事業所は現在の三菱ケミカルの事業構造の縮図だ。石油化学全盛のころは東の鹿島事業所・西の水島事業所と評されたものだが、今は空き地も見られる。

 そして、敷地内の一画に重点分野である機能商品地区として樹脂フィルムや光ディスク、発光ダイオード(LED)材料などの窒化ガリウムの拠点が同居する。

 事業所の競争力を高める手段として他社への技術ライセンス事業に力を入れる。羽尾所長は「ここには自社技術のプラントがいくつかあり、関連の技術スタッフも常駐している。今、攻めようとしている」と意気盛んだ。

【ライセンス協業】
 直近でも仏エア・リキード子会社とブタジエン製造技術ライセンス分野での協業を決めた。水島事業所のデモプラントで培ったプロセス技術などを活用。製造に必要な触媒は三菱が提供する。培った技術も未利用ではもったいない。新規プラント誘致とともに、人材育成は製造現場の重要ミッションだ。

【“西の水島”健在】
 水島事業所には地元の岡山県にちなんで「モモタロウプロジェクト」なる取り組みを進めている。2016年度から製造系で選抜型人材育成を始めた。「技術力を高めるとともに、“選ばれた感”からみな生き生きとする」(同)と、やる気を醸成したい考え。設備技術系や運転員へ対象を広げて、それぞれ十数人を選抜して1期2年で将来の幹部候補を養成している。

 三菱ケミカルホールディングス(HD)として17年度から工場などへのデジタル技術の本格導入を打ち出した際に、真っ先に立候補したのが水島事業所だったという。

 “西の水島”ここにあり。健在アピールへ意欲を燃やす。

(2017/9/14 05:00)

1898荷主研究者:2017/10/01(日) 11:35:30

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00443228?isReadConfirmed=true
2017/9/15 05:00 日刊工業新聞
水島の現在地・エチレンセンター統合1年半(下)旭化成 改革から攻めに転換

旭化成・水島製造所の新研究棟

【新研究棟に期待】
 「『昨日まで世界になかったもの』をいかにこれから創っていくか。製造と研究がさらに“コネクト”してやっていく」。旭化成上席理事の室園康博水島製造所長は8月23日に稼働した新研究棟に大きな期待を込める。

 水島製造所(岡山県倉敷市)は石油化学の中核拠点だ。6階建ての新研究棟が仲間に加わり、「基礎研究、プロセス開発、ベンチ・パイロット・本プラントの全てを製造と研究がいっしょになって取り組む」(室園所長)ための体制づくりが着々と進む。隣接する既存研究棟の改築が2018年6月に終われば、技術の融合・高度化を阻む壁はなくなるはずだ。

 研究開発の速度を上げて、早く新たな仲間を誘致したい。三菱ケミカルとのエチレンセンター統合により停止した旭化成側の設備は、今後2年かけて撤去する。「土地が空いてくるので、そこを何とか活用していきたい」(同)と空洞化への危機感は強い。

 一方で、ここ数年の構造改革から攻めに転じる機運が高まりつつあるのは朗報だ。「プラントが全部止まって、大きな節目の定期修理も乗り越えて、いよいよこれから攻めていく雰囲気になっている」と室園所長の表情は明るい。

【生産能力を増強】
 特に製品で好調なのは、リチウムイオン二次電池用セパレーター(絶縁材)などに使う超高分子量ポリエチレンだ。電気自動車(EV)などエコカー向けの需要急増を背景に、同製造所の既存プラントの生産能力を段階的に増強している。

 構造改革前と比べて需要は数倍に伸びている模様。そこで旭化成は現在、新たなプラント建設も同時に検討中だ。事業継続計画(BCP)の観点を含めて立地を議論しているが、室園所長は「水島は各企業との連携がかなり取れている」とアピールを忘れない。

【25年の姿を議論】
 旭化成は今秋から製造所を含む全社で25年のあるべき姿について議論を始めたばかり。「事業環境も踏まえて、何か誘致できないか、もっと増強できないかを含めて製造所全体の25年の姿の議論に入った」と、室園所長は工場の基盤強化へ本腰を入れる。

 後ろ向きから前向きへの方向転換は製造所だけではなしえない。社内外に残る構造改革時代の負のイメージを払拭するためには、結果で示し続けるしかない。

(鈴木岳志が担当しました)

(2017/9/15 05:00)

1899荷主研究者:2017/10/01(日) 11:48:06

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/09/20-30981.html
2017年09月20日 化学工業日報
宇部興産 アンモニアの出荷能力倍増

 宇部興産は国内主力拠点の宇部ケミカル工場(山口県宇部市)で、合成繊維などの基礎原料に使うアンモニアの出荷能力を2倍に増強する。貯蔵・出荷設備を更新し、現在の半分の時間でタンカーに積み込めるようにする。同社は生産するアンモニアのうち約3分の2を外部企業に供給する。海上輸送の利便性を高める投資で安定受注の確保につなげる。

【写真説明】宇部藤曲工場で生産するアンモニアのタンカー向け出荷能力を2倍に高める

1901荷主研究者:2017/10/14(土) 21:33:31

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170925/bsc1709250500003-n1.htm
2017.9.25 05:00 Fuji Sankei Business i.
旭化成、CO2原料のポリカーボネート 環境負荷を低減、工程も短縮

透過性や耐久性の高さからポリカーボネートは車のライトのカバーに使われている(ブルームバーグ)【拡大】

 旭化成が二酸化炭素(CO2)を原料に、車のライトのカバーやスマートフォンのボディーなどに使用されるポリカーボネート(ポリカ)を製造する技術を開発した。今年1月に稼働した同社水島製造所(岡山県倉敷市)の実証プラントでデータを蓄積し、来年度から製造プラントのライセンス販売を始める方針だ。従来はナフサ(粗製ガソリン)を熱分解させたエチレンオキシド(EO)を原料に使用してきたが、EOを使わずにCO2自体を原料にして、製造工程も短縮して消費エネルギーも低減した。同製造法の実用化はCO2削減や資源の有効活用で環境負荷の低減にもつながる可能性を秘めている。

 ポリカは化学物質のビスフェノールAを重合(連結)してできる無色透明な樹脂だ。熱に強く、割れにくくて丈夫なことから、DVDやCDのほか、ガラスの代替素材として車のライトのカバー、飛行機の客室内の窓などに使われ、自動車のフロントガラスへの採用に向けた動きも加速している。富士経済の推計によれば、2020年に市場規模は、15年比で約17%増の429万トンに達する見通しだ。

 ◆安全な製造法を実用化

 ただ、従来の製造法では製造過程で有毒ガスとして知られるホスゲンが必要だった。このため、近年は毒性の高さから製造に対する規制強化の動きがあるほどだ。

 こうしたなか、旭化成では1977年からホスゲンを使わないポリカ製造法の開発に着手。2002年にEOとCO2を原料にジフェニルカーボネート(DPC)を合成し、ビスフェノールAと反応させる製造法を実用化。ホスゲンを使用しないことで消費エネルギーも減らすことができ、製造時のCO2排出量は約3分の1にまで削減した。現在、サウジアラビアや台湾などの化学メーカー5社が年間製造能力66万トンのプラントを稼働中で、今年に入り6社目の契約を締結したことから同79万トンとなる。ただ、プラント最適地はEO生産周辺地に限られるため、旭化成では、脱EO化に向けてポリカ製造法を発展させる基礎研究に00年から着手し、14年度にEOを使わない今回の製造法確立にこぎ着けた。

 旭化成の白井博史執行役員兼研究・開発本部化学・プロセス研究所長は今回の製造法は「単純化すれば、ビスフェノールAとCO2を原料に、アルコールとフェノールがあれば、ポリカができる」と話す。

 ◆プラント設計スリム化

 今回のポリカ製造は3段階の化学反応に分割される。反応(1)ではCO2とアルコールからジアルキルカーボネート(DRC)を作る。反応(2)はDRCとフェノールからジフェニルカーボネート(DPC)を作る。最終段階では、ビスフェノールAとDPCを反応させてポリカができる。副生成物は(1)では水、(2)ではアルコール、最終段階ではフェノールが出るが、アルコールとフェノールは(1)と(2)の反応工程で再利用される。

 「CO2は化学的に非常に安定した物質なので加温加圧下でないと反応しにくい」(白井氏)が、独自開発した触媒を用いることで効率的に反応させる技術を確立。1月に稼働を始めた年間製造能力1000トンの実証プラントで、(1)と(2)の連続合成の稼働1000時間を今夏、達成した。

 ナフサ由来のEO自体を使用しないことに加えて、白井氏によると、EOを使用する場合に比べて反応工程が減るため、プラント設計がスリム化できて消費エネルギーが減り、製造時CO2排出量の削減が見込まれるという。化学メーカーのトレンドは「低炭素化と原料の多様化」だ。その両方にかなう今回のポリカ新製法は注目を集めそうだ。(日野稚子)

1905荷主研究者:2017/10/27(金) 22:49:20

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00446311?isReadConfirmed=true
2017/10/12 05:00 日刊工業新聞
トクヤマ、半導体材に110億円投資 多結晶シリコンなど増産

徳山製造所の多結晶シリコンプラント

 トクヤマは半導体材料事業で、2020年度までに総額110億円規模の投資に乗り出す。シリコンウエハー材料の多結晶シリコンと生産関連部材の生産増強・品質向上に着手。スマートフォンやIoT(モノのインターネット)機器向けを中心に旺盛な需要を取り込む。同社は計2000億円の特別損失を計上したマレーシアの多結晶シリコン事業を売却した。不採算事業の整理を終え、戦略投資を再開する。

 トクヤマは10億―20億円を投じ、多結晶シリコンの生産能力を現在の年8500トンから最大同1万トン弱に高める。徳山製造所(山口県周南市)の休止ラインを再稼働。高品質な半導体向けに特化し、収益を強化する。

 品質向上に20億―30億円を充て分析装置や評価機器などを更新。「イレブンナイン」と呼ばれる超高純度製品の品質を高め、信越化学工業などシリコンウエハー大手からの品質要求に応える。

 能力増強と品質向上には、マレーシア事業で蓄積した知見も転用する。マレーシアのプラントでは前工程・後工程ともに徳山製造所と異なる生産設備を採用し、高い品質と生産効率を両立する仕組みを構築した。こうしたノウハウを生かす。

 半導体生産関連の部材も増産する。フォトレジスト用の現像液、シリコンウエハーの洗浄に使うイソプロピルアルコール、研磨する乾式シリカなどの増産にも、それぞれ10億―15億円を投じる計画。

 半導体製造装置の部材である高純度窒化アルミ粉末は21年春をめどに、徳山製造所の生産能力を現在比50%増の年720トンに高める。投資額は10億―15億円となりそうだ。

(2017/10/12 05:00)

1908荷主研究者:2017/11/07(火) 22:32:33

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/10/24-31423.html
2017年10月24日 化学工業日報
昭和電工 大分でNPACを1割強増産

 昭和電工は大分コンビナート(大分市)で2018年4月をめどに食品包装用インキなどに使う溶剤の酢酸ノルマルプロピル(NPAC)を1割強増産する。トルエンなどを代替する溶剤として環境対応型の特殊グラビアインキ向けで販売が拡大。塗料やコーティング剤用途でも引き合いが強い。こうした需要に応えるため、一段の増産が必要と判断した。

1910荷主研究者:2017/11/07(火) 23:05:16

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/10/30-31482.html
2017年10月30日 化学工業日報
日揮触媒化成 機能性シリカ増産 化粧品やディスプレイ向け

 日揮グループで触媒大手の日揮触媒化成は、化粧品や液晶ディスプレイフィルム向けに機能性シリカを増産する。化粧品の高機能化やディスプレイの高画質化などを背景に、感触改良や光反射防止の材料として採用が拡大。これに対応して今夏までに国内2拠点の生産能力を2016年度比2―5割引き上げた。さらなる需要増が見込めることから、このほどもう一段の増強を図る。旺盛な需要を取り込み、世界トップクラスのシェアの維持・拡大に努める。

【写真説明】北九州事業所では光反射防止フィルム向けにシリカゾルの生産能力を引き上げる

1911荷主研究者:2017/11/07(火) 23:09:41

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00448696?isReadConfirmed=true
2017/10/31 05:00 日刊工業新聞
精製ゲルマニウム国産化 カーリットHD、来年めど試作販売

レンズは軍事用が中心だが今後自動車用途も期待される(インゴット製品例)

 カーリットホールディングス(HD)は赤外線カメラのレンズ材料などに使う精製ゲルマニウムの国産化に乗り出す。原料を北米から輸入して2018年3月までにインゴット(塊)などの試作販売を始める。不良品や加工工程で出る切りくずの回収・再生事業も行う。レアメタル(希少金属)であるゲルマニウム製レンズは軍事用途と一部の高級民生用途が中心。ただ、中国への原料依存度が高く、国産化や安定供給を望む声が上がっていた。

 カーリットHD傘下のシリコンテクノロジー(長野県佐久市)が信濃工場(同)で精製ゲルマニウムの一貫生産を行う。輸入した二酸化ゲルマニウムの還元から精製、インゴット製造、単結晶化まで手がける。

 設備導入が完了する12月以降の年産能力は2トンになる。切断などの後工程についても、協力会社へ委託できる体制を敷く。現在、国内のレンズ加工業者は精製ゲルマニウムのインゴットや単結晶を中国などから輸入して、切断や研磨を施してレンズ製品に仕上げている。原料精製から日本国内で行っているメーカーはないと見られる。

 同社は既設の半導体用シリコン製造装置を転用でき、大規模な設備投資をせずに参入できる。18年から試作販売し、2年後をめどに採用を目指す。

 ゲルマニウム製のレンズは高屈折率や高透過率が特徴だが、価格が高いのがネック。そのため、熱を追尾するミサイルや暗視スコープなど軍事用途が中心となる。

 精製ゲルマニウムの生産量は中国が全世界の約7割を占めていると言われ、市況変動や政治情勢などによって中国外への供給が安定しないリスクがある。レンズ原料の国産化は日本の安全保障の観点でも重要な取り組みと言える。

(2017/10/31 05:00)

1912荷主研究者:2017/11/12(日) 11:21:27

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00448925?isReadConfirmed=true
2017/11/1 05:00 日刊工業新聞
大阪油化、蒸留塔新設 能力50%増強 電子材・医薬受託加工が拡大

本社工場の蒸留塔

 大阪油化工業は3年後をめどに10本強の蒸留塔の新設を行い、物質を分離・精製する蒸留能力を最大で現状比50%引き上げる。既存設備の改良や研究開発人員の増員を図りつつ、本社工場(大阪府枚方市)と地理的に連携しやすい新工場の建設も行う方針だ。関連設備で投資額は約10億円を計画する。受託加工で堅調な電子材料分野や成長が見込まれる医薬分野などの需要拡大に対応する。

 設備投資の内訳は50%を蒸留塔などの新設、25%を既存設備の更新、残りを研究開発に関わる人員増強に当てる計画。蒸留能力は現状比30―50%増やす。本社工場と新工場を合わせ、1000―2000リットルの中規模クラスの蒸留塔と10―20リットルの小規模クラスの蒸留塔を、各5本程度新設する。将来の需要動向を見据えながら、現在35本ある蒸留塔を45―50本まで増設する。

 新工場は現時点で場所を選定中だが、蒸留塔の新設と連動させて建設していく。小規模生産に対応した設備を中心に導入する。また受託加工、研究開発支援、蒸留精製装置のプラントサービスといった現行3事業の活動拠点は、2工場体制の中で最適配置する。

 同社は素材の出発原料や中間体を精製する精密蒸留専門の化学メーカー。化成品の高純度精製の実績は試験を含めると3000品目以上ある。10月5日付で東証ジャスダックに上場した。

(2017/11/1 05:00)

1914荷主研究者:2017/11/12(日) 11:37:39
>>1913-1914 続き

 それを打破し市場をグループ全体で俯瞰(ふかん)するために設けたのがマテリアル領域。1年半あまりが過ぎ成果は実り始めている。代表例が繊維に樹脂を混ぜて高い強度や軽量化を実現した自動車部品向け新素材だ。

 プレス成型への摩擦に強く引っ張り強度もある「ポリアミド66」という繊維とガラス繊維を混ぜ合わせた糸で織った布に樹脂を染み込ませてプレス成型する。競合する鋼材に比べ強度を3〜4倍に、重量を最大半減させることができ、自動車メーカーとテストの真っ最中だ。

 ほかにも綿花由来の再生セルロース繊維「ベンベルグ糸」の知見と、合成樹脂のポリマー技術を掛け合わせたセルロースナノファイバー(CNF)の開発も進める。CNFは日本製紙など製紙大手が先行するが、樹脂ポリマーや加工では旭化成が一枚上手。創業の地である宮崎県延岡市に実証生産設備を設け、20年の商用化を目指している。

 研究開発の現場で部門間の接着力を強めようとするのは、裏を返せば「しばらく産業を変える技術革新を起こせていない」(同社幹部)からだ。坂本取締役も決算会見で「会社の柱となる新事業の構築は課題」と認めた。

 技術を人に置き換えれば、セパレーターやスマートフォンの位置を割り出し道案内に欠かせない「電子コンパス」、低燃費タイヤに欠かせない合成ゴム「S―SBR」など利益を稼ぐ世界トップの製品は働き盛りの壮年期。だが、幼児期の技術を見回すと次の20年、30年を託せるほどの優良児は育っていない。

 社内の限界を突き破るべく、6年前に米シリコンバレーに設けたCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)事業は、ベンチャーへの投資先が12社になった。昨年には投資基金枠を40億円程度まで引き上げた。

 壮年期の製品が老年期に入った時、幼児だった製品が青年に育っているか。旭化成が好決算に浮かれていないのは、技術のライフステージへの危機感があるからかもしれない。

(上阪欣史)

1919とはずがたり:2017/11/27(月) 22:35:34
>>1918-1919
 いまのところ、他の化学メーカーは沈黙している。ある関係者は「90年代の『ポリ長戦争』を思い出す」と話す。

 1993年、合繊各社はポリエステル長繊維の在庫が膨らんだ結果、従来の慣例に従って協調減産を企てた。だが当時、東レの中興の祖といわれた社長の前田勝之助は減産には加わらなかった。各社が80年代のバブルで設備増強を続けるなか、東レは国内で足りない繊維は海外から輸入するという手段を選んだからだ。バブルの先を見越して過剰設備を抱えなかったことが不況時に生きた。

 「現実直視による自主判断」。この前田の経営哲学は現社長の日覚昭広にも引き継がれている。経済合理性や自由競争にそぐわなければ、非難されようが自主判断を貫く。その相手がトヨタグループであってもということなのだろう。

■社長の「懐刀」

 東レの自動車関連材料の売上高は約2300億円とここ数年、年率10%で成長している。自動車生産台数の伸び率が平均2%であることを考えると、その健闘ぶりは際立つ。それでも日覚は「もっと稼げるはず」と満足していない。

 実は、トヨタへ異議申し立てをした森本はこの6月まで東レ主要子会社の東レ・デュポン社長だったが、日覚が急ぎ本社に呼び戻した。森本はエアバッグ材料の一貫生産をグローバル展開させた立役者。米国現地法人のトップも務め、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いは社内外でも知られる。東レ関係者は「日覚氏が森本氏を戻したのも、事なかれ主義で堅実な習い性が強い樹脂部門を改革したかったから」と明かす。

 訴えを受けたトヨタなどの系列部品メーカーは「社内で説明する」「トヨタ本体に上げて相談したい」と曖昧な回答に終始しているという。ナフサ連動を取りやめると自らの懐を痛めるだけに慎重だ。

 車体開発は「まず鉄ありき」という日本の自動車メーカー特有の設計思想もある。樹脂や炭素繊維、アルミ材など素材を並列において取捨選択するのではなく、鉄から考え次に異種材料を取り入れるというのが日本式の部材調達アーキテクチャーなのだ。

 だが、自動車大手も世界的なEVの潮流を見過ごすことはできない。自動車が電装品の塊になれば、軽量化はますます求められる。あるトヨタ自動車幹部は、「高機能樹脂に一日の長を持つ東レをむげにはできない」と話す。

■日本がダメなら欧州から

 自動車大手の調達担当者が社内調整に動いているさなか、遠くドイツのミュンヘン近郊で10月、「東レオートモーティブセンター欧州」の開所式が開かれた。

 樹脂から炭素繊維まで、単に材料を開発するだけでなく、自動車メーカーと一体になって部品設計や加工技術を産み出す研究開発拠点だ。周辺には独BMWやボッシュなど自動車関連企業が集まる。東レは軽量化や電装化を目指すサプライチェーンの仲間入りを目指している。

 副社長の阿部晃一は「自動車のEV化はもちろん、自動車部品の樹脂化に向けた開発でも欧州メーカーは先行している」と言ってはばからない。東レの欧州自動車市場への本格進出は、「日本だけにとどまっていられない」という心境の表れとも読み取れる。

 シェールを引き金に、石油化学品市場が構造変化を迎えるなか、企業努力による樹脂原料コストの吸収は限界に近い。東レが26年の蜜月を犠牲にして自動車大手に投げかけた異議と欧州進出への決意。それはサプライヤーを通して日本の自動車メーカーが直視せざるを得ない現実ともいえる。

=敬称略

(上阪欣史)


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