したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

蝶が舞う時… ―絆―

1:2011/10/12(水) 21:41:12 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
いよいよ第2期startです!!!!

今回は絆とついていますが・・・そこら辺も頭に入れておいてください。

で、ジャンルはですね・・

今回は 純愛×切なさでございます。

決して私の小説を真似、パクリなどはしないでください。

絶対にです!!!

まだまだ初心者ですが・・どうぞよろしくお願いします!!!

2:2011/10/12(水) 21:45:26 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
登場人物

月隠 夜那(女)

神頼 誠 (男)

です。

で、皆さんも気になっていると思いますが・・。

シークレットボーイの存在を・・。

たぶんバレバレです・・。

一応、登場人物にはまだ紹介しません。

ごめんなさい。。

では、初回書いて今日は終わります。

3:2011/10/12(水) 21:59:39 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
半年後―――――

季節は冬。12月23日。

明日は誠が帰って来る日。

私は今、自分の部屋に居る。

私の部屋もだいぶ変わった。

窓にはカーテンがつき、女の子らしく花柄だった。

私の机には先月買ったばかりのパソコンが置いてある。

色は白。

誠のお母さんが思い切って買ってしまったらしい。

床には水玉のカーペットが引かれている。

壁は塗り替えて白だ。

私の今の服装は長袖のピンクのセーターで真っ黒のスカートに黒タイツを履いている。

私は明日で17歳になる。

誠のお母さんは昨日から張り切っている。

誠が帰って来るからだ。

「明日…誠が帰って来るんだよね。手術も成功したって聞いたし…。」

私はますます嬉しくなった。

「夜那ちゃーん!ご飯よー!!!」

下から誠のお母さんの声が聞こえてくる。

「今、行きます!!!」

私はそう言って自分の部屋を出て階段を下りた。

4:2011/10/12(水) 22:00:18 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
今日はここまでですw

で、明日の昼にプロフを書きますw

前スレで・・。

では、落ちますw

5:2011/10/13(木) 11:39:49 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
episode.1 再会

私は階段を下りてリビングにやってきた。

リビングに来ると誠のお母さんがキッチンで作業をしていた。

私は黙って椅子に座り、テーブルに並んでいるオムライスに目を輝かせた。

「お、美味しそう!!」

「良かったわ。喜んでもらえて。」

誠のお母さんはエプロンを外し、私の横に座った。

「あの…誠のお母さん。誠は本当に…帰って来るんですよね…。」

私は俯いて言った。

「そうよ。そんなに心配ならご飯が終わってかけて見たら?」

誠のお母さんは微笑みながら言った。

「…うん。そうします。」

私は少し間をあけて嬉しそうに言った。

「夜那ちゃん。別に敬語使わなくていいのよ。私の事は“お母さん”って
 呼んでくれたらいいからね。」

誠のお母さんは言った。

「うん。そうする。」

私も言った。

私は食事を済ませてリビングに置いてある小型電話を持って2階へ上がった。

自分の部屋に戻り、扉を閉めた。

私はさっそく電話に番号を入れて電話を耳にあてた。

ワンコール

ツーコール

「…夜那?」

その声に私は歯を食いしばった。

「ま…ことぉ…。」

私は電話を持ったまま泣き崩れた。

「ど、どうしたんだよ!?」

誠は電話の向こうで戸惑いながら言った。

「……本当に生きてるんだよね。誠…。」

私は泣きながら震えた声で言った。

「…ああ。明日は12時に待ち合わせだよな。空港で半年前と同じ所でな。
 後、お前にお土産があるから。楽しみにしてろよ。」

誠は嬉しそうな声で言った。

「うん。ありがとう。楽しみにしておくね。」

私は言った。

「ねぇ…誠。」

私は少し迷って言った。

「ん?何?」

誠は言った。

「…誠は…今でも私が好き?」

私は少し緊張して言った。

「当たり前だろ。何、心配してんだよ。」

誠にそう言われ私は少し馬鹿にされたように思った。

6:2011/10/13(木) 15:03:29 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「だって…。浮気とかしてたら怖いから…。」

私は躊躇って言った。

「浮気って…。お前の方が心配だっつーの。」

誠は必死になって言った。

「…何で?」

私は意味が分からずに言った。

「…別に何でもいいだろ。。」

誠は恥ずかしがって言った。

「そっか。そう言えば内緒にしてたんだけど、私の青い蝶…
 戻ってきてくれたんだよ。半年前に…。」

私は自慢げに言った。

「そうなのか?こっちも半年前…戻って来てくれたんだ。」

誠は嬉しそうに言った。

「そうなんだ。良かったね。」

私は言った。

「そうだな。あ…もう切るな。父さんが呼んでるから。じゃあな。」

誠はそう言い残して私との会話が切れた。

私は何か複雑な気分で自分の部屋を出た。

階段を下りてリビングに向かった。

「あら夜那ちゃん。誠と話はつけてきたの?」

誠のお母さんは言った。

「うん。何かお土産があるらしくって…。楽しみにしてるの!!」

私は言った。

「そう。あ、お風呂沸いてるから入って来たら?」

「うん。そうするね。」

私はリビングにあるタンスからパジャマとバスタオルを取って洗面所に向かった。

洗面所の扉を閉めて私は服を脱ぎ、お風呂に入った。

身体を洗い流して湯船に浸かった。

「はぁ…。」

最近、ため息ばかりつく。

理由は分からない。

でも…疑問が残る。

半年前に2回程度みたあの予知夢は今現在も続いていると言う事だ。

あの予知夢が一体、何なのか。

まだ分からない。

何か私に伝えようとしている?

考えれば考えるほど謎が深まっていく――

「私はどうなってしまうの…。」

私は天井を見上げてそう呟いた。

7:2011/10/13(木) 16:28:35 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私はいつもより早めに湯船を出てバスタオルで身体を拭いた。

私はボーダーのニットワンピに黒のレギンスを着てバスタオルや衣類を洗濯機に入れて

小タオルを手に洗面所を出た。

洗面所を出てリビングへ戻ると誠のお母さんはテーブルで仕事をやっていた。

「お母さん。お風呂上がったよ。」

私は言った。

「あらあら。髪が濡れてるじゃない。ドライヤーそこにあるから髪を
 乾かしなさい。」

私はそう言われ、はい。と答えてテーブルに置いてあったドライヤーを手に

タンスの近くのコンセントにコードを差し込んだ。

私は壁際に座り、髪をドライヤーで乾かした。

「じゃ、お母さん。もう寝るね。明日は7時起きだよね。」

「そうよ。明日は朝から飾り付けしないとね。」

誠のお母さんは嬉しそうに言った。

「じゃ、おやすみなさい。」

私は誠のお母さんにそう言って2階へ上がった。

8:2011/10/13(木) 16:55:38 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
2階に上がって私の部屋の隣にある扉が気になった。

そこは明日から誠が使う空き部屋だった。

私は扉のとってを両手で握った。

本当に開けてもいいのかな?

でも…もし怒られたら……。

私はとってから手を離し、自分の部屋に戻った。

自分の部屋に戻ると真っ先にベッドに倒れこんだ。

うつ伏せになり、深いため息をついた。

私って病気なのかな…?

変な夢見るし……。

そんな顔しちゃ駄目だよね。

明日は誠が帰ってくるのに明るく振舞わなくちゃいけないのに…。

私は仰向けになりベッドで大の字になった。

「もう寝よ。」

私は布団を被りそのまま眠りに落ちていった―――…。

9:2011/10/13(木) 17:55:07 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
翌日―――

12月24日。午前6時50分。

私は10分前に早く起き、窓のカーテンを開けた。

クリスマスなのに雪は降っていない。

「雪…降ってない。。せっかくのクリスマスなのに…。」

私は窓を眺め続けた。

今日で私は17歳なんだよね。

明日は誠の誕生日なんだよね。

楽しみ。

私の部屋の隅に置かれたクローゼットから白の無地のコートを取り出して自分の部屋を出た。

1階に降りてリビングに向かうと誠のお母さんが部屋の飾りつけをしていた。

部屋の隅にはクリスマスツリーが置かれていて、真ん中にはストーブが置かれている。

「おはようございます。」

私は言った。

「あら。夜那ちゃん。10分前に起きたの?まぁ、いいわ。
 あら、その蝶。とても可愛らしいじゃないの。」

私の横に居た青い蝶が誠のお母さんの正面に来た。

「お母さんの事。気に入ったみたいだね。」

私は言った。

「蝶さん…。夜那ちゃんの友達なの?これからも夜那ちゃんを宜しくね。」

誠のお母さんはそう言ってまた作業を再開させた。

その時。電話の音が家内に響き渡った。

「私が出ます。」

そう言って私は小型電話を手に取り、耳にあてた。

10:2011/10/13(木) 17:56:21 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
今日はここまでです。

塾から帰って来てパソコンが出来たら更新しようと思います。

では落ちます。

11:2011/10/13(木) 22:23:23 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「…はい。」

私は言った。

「おーす。俺の事憶えてるかな?」

その元気な声に私は思わず言った。

「お、お兄ちゃん!!?祐也お兄ちゃんなの!?」

「おっ。すぐ分かったな。偉い偉い。」

祐也は私を褒めてくれた。

褒めてくれたのに、全然嬉しくない。

どうして?何故?

疑問だけが心に残る。

「今、何処に居るの!?」

私は尋ねた。

「今は一応、東京に帰って来てる。で、純のアパートに居る。いつか夜那の
 顔を見に逢いに行くから。」

祐也は私に言った。

「分かった。で、祐也お兄ちゃん。。何の用?」

「明日、夜那の誕生日だろ?宅配便にプレゼントを預けた。
 明日で届くと思う。」

祐也は言った。

「分かった。楽しみにしておくね。」

私はそう言って電話を切ろうとした。

「夜那。」

微かに聞こえてきた声に私は再び電話を耳にあてた。

「何?」

私は聞き返した。

「父さんが死んでもう半年だよな…。」

祐也の言葉が曇った。

「……うん。でも、お父さんの魂は私達の心の中で生きているんだから。
 大丈夫だよ。きっと大丈夫だよ。」

私は明るく言った。

「そうだな。今日はそれだけ言いに来た。たまにはそっちから電話かけろよ。」

祐也にそう指摘され私は、うん。と返事をして電話を切った。

12:2011/10/14(金) 15:18:17 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私は小型電話を戻して、傍にあるソファに転がり込んだ。

変な緊張感が私の心の中に残る。

私はリビングにあるタンスからトップスとボトムスを取り出して2階へ上がった。

自分の部屋に戻り私は下から持って来た服に着替えた。

トップスはVネックセーターでボトムスはデニムズボンだ。

これでも中は温かいので安心出来た。

私は部屋の左隅に置いてある楕円形の鏡の前に行った。

半年前から置いてあるこの鏡。

毎日この鏡を拭くのが日課だった。

でも今日は誠が帰ってきたら二人で拭こうと決めていた。

私は鏡で自分の容姿を見た。

「何処も変になってないよね?大丈夫だよね。」

私はそう自分に言い聞かせながら前髪を指で整えた。

私は無言で鏡から離れ、もう一つ窓がある所に向かった。

そこは半年前まで誠の家があった場所だった。

でも、今は新しい家が建っている。

そう言えば誰か引越してくるのかな?

私はそう思った。

「さてと、下に行こうっと。」

私は一人そう呟いてパジャマを持って1階に向かった。

13:2011/10/14(金) 16:09:32 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
1階に行くと誠のお母さんはソファでくつろいでいた。

「あら。もうこんな時間。さて空港へ向かう準備でもしようかしら。」

誠のお母さんはそう言ってリビングを出て行った。

「あら夜那ちゃん。もうすぐしたら行くから準備しなさい。」

「私はもう出来ました。」

私は手を後ろで握って言った。

14:2011/10/14(金) 17:29:04 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「そうなの?じゃ、少し待っててね。」

そう言うと誠のお母さんは行ってしまった。

私はリビングをこっそり除いた。

普通のリビングがパーティ会場みたいになったようにとても華やかだった。

「クリスマスパーティなんて何年ぶりだろう…。」

私はつい嬉しくなって目から涙が零れてきた。

私はリビングに入り、地面に置きっぱなしになっていた白のダッフルコートを着た。

コートを着ると一気に温かさが増した。

「夜那ちゃん。準備出来た?」

その声に私は振り返った。

「はい。」

「じゃ、行きましょうか。」

誠のお母さんは車の鍵を手に玄関で靴を履いた。

「はい!」

私も玄関へ向かい、棚からムートンブーツを取り出しそれを履いた。

「夜那ちゃん。手袋しないで大丈夫?」

「これぐらい大丈夫だよ。」

私は誤魔化した。

「でも、風邪引いたら駄目でしょ。私のを使いなさい。」

そう言って誠のお母さんは自分のはめていた手袋を脱ぎ、私に渡した。

「あ、ありがとうございます。でもいいんですか?」

私は尋ねた。

「ええ。」

そう言って誠のお母さんはドアを開けた。

冷たい風が入って来る。

私は玄関の棚の上に置いてあるキャスケットを手に家を出た。

家を出ると家の駐車場に車が置いてある。

車の種類は6人乗りのオデッセイだった。

結構高かったらしい。

「夜那ちゃん。行くわよ。」

その呼び声に私は、うん。と答え車の助手席に乗り空港へ向かった。

15:2011/10/14(金) 18:15:48 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
車の走行中。私はずっと窓から景色を見ていた。

雪は今の所積もってない。

都会だからそんなに積もらないだけなのかもしれない。

と言うかまず雪が降っていない。

せっかくのクリスマスなのに……。

そんな事を考えている間に空港に着いた。

車が渋滞しない事は一番の幸いだった。

「お母さん。今何時?」

私は聞いた。

「今は11時45分よ。まだ時間はあるから何処か寄っていく?」

「ううん。私は待ち合わせでずっと待っておくの。半年前約束したから。」

私はそう言った。

「そう。じゃ私も待っておくわ。」

そう言って私達は空港内に入った。

空港に来るのは半年ぶりだった。

半年前、誠を見送ったきり空港には来ていない。

私は半年前誠を見送った場所に向かった。

「まだ来ていない…。」

それはそうだ。約束の15分前に来たんだ。

私は約束の場所から近くにあるソファに腰をかけた。

その横に誠のお母さんも座った。

「誠…。本当に来るかな…。」

私は顔の前で手を握り祈った。

「大丈夫よ。絶対。」

誠のお母さんは私を励ましてくれた。

その時。私は誰かに後ろから目を塞がれた。

「まったく…。半年前から何も変わってないな。夜那。」

その声に私の心が揺れた。

「ま…こと?」

誠は手を離し、私は振り向いた。

「見れば分かるだろ。…ただいま夜那。」

誠は優しく微笑みながら言った。

「おかえり…。誠。」

私は安心してその場で泣いてしまった。

「大丈夫か!?再会していきなり泣くって…どんだけ涙もろいなんだよ…。」

誠は頭を掻きながら言った。

「だって…半年ぶりだから。つい…。」

私は立ち上がって誠に抱きついた。

「!?……。」

誠は戸惑っている。

「誠。お父さんは?」

「父さんなら少し用事が出来たって言ってた。ま、日本に帰国してるから
 大丈夫だ。」

誠は言った。

「そう。分かったわ。さ、家に帰りましょ。」

誠のお母さんはそう言うと私達は賛成した。

16:2011/10/14(金) 18:50:00 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私と誠は後部座席に乗った。

旅行カバンは車の後ろに乗せた。

「夜那と帰るのって…何か新鮮だよな…。」

誠は言った。

「そうだね。半年ぶりだよね。」

私は言った。

「後、誕生日おめでとう!!夜那。」

誠は私と向き合って言った。

「ありがとう。」

私は笑みを浮かべながら言った。

17:2011/10/14(金) 18:53:42 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
コメします。

何か第1期と読みにくい気がするのは気のせいでしょうか←殴

今まで以上に努力するつもりなので応援してください(>_<)(>_<)

今日の更新はこれで終わりです。

ではでは。

18:2011/10/15(土) 13:14:13 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
誠に話した方がいいのかな?

あの予知夢の事を…。

今思えばまだ話してなかったし…。

私は服の裾を握り締めた。

「夜那。見てみろ。雪だ。」

その声に私は車窓から景色を眺めた。

雪は今にも消えそうな感じで降っていた。

「雪…降ってくれたんだ…。今日はホワイトクリスマスだね。」

私は景色を見ながら言った。

「そうだな。積もれば雪合戦が出来るな。」

誠は無邪気な提案をした。

「雪合戦か。でも積もればの話だよね。」

19:2011/10/15(土) 14:30:09 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私は車窓から目を離して誠の顔を見て言った。

「ま、雪合戦は得意な方だけどな。」

誠は不気味に薄く笑った。

「そうなの?でも私も負けないよ。」

私は誠にガッツをした。

私はふと誠に左手を見た。

半年前私があげた指輪が薬指にはめてある。

私の右手の薬指にも指輪がはめてある。

良かった。

外してなくて…。

私は一瞬ほっとした。

「手加減してやってやるよ。」

誠は言った。

「手加減なんて入らないよ。本気で来たらいいよ。」

私は強がって言った。

内心では少し怖いが……。

「本当に手加減なしでいいんだな?」

誠は薄く笑いながら指を鳴らした。

何か誠が怖い……。

黒いオーラがあると言うか……。

気のせいだよね?

「うん。」

私は言った。

20:2011/10/15(土) 14:31:04 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
今日の更新はこれで終わりっぽいですw

夕方にまた書くかも・・。

何か第1期より読みにくくてすみません(>_<)

21明優:2011/10/15(土) 18:06:35 HOST:i114-185-33-87.s41.a005.ap.plala.or.jp
久々に来たら新しい小説が・・・。

これは見なければ!

22:2011/10/15(土) 18:24:56 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
明優>>いや・・「蝶が舞う時に…」の第2期だよw

23明優:2011/10/15(土) 18:43:53 HOST:i114-185-33-87.s41.a005.ap.plala.or.jp

うん。
小説名見れば分かるよw
でも新しいじゃん♪
この小説も頑張ってね!!

24:2011/10/15(土) 18:55:59 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
明優>>ww

で、第1期は最後まで見た?

出来れば感想お願いします!!!!

25明優:2011/10/15(土) 19:20:57 HOST:i114-185-33-87.s41.a005.ap.plala.or.jp
まだ復帰したばっかで最後まで読んでない(泣

今度、時間があいてる日にゆ〜くり読ませていただきます★
コメントもさせてね♪

26:2011/10/15(土) 20:30:26 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「さ、着いたわよ。」

誠のお母さんは嬉しそうに言った。

私と誠は一緒に車を降りた。

「懐かしいような感じがする。どうしてだ?夜那の家なのに…。」

誠は言った。

「ま、いいじゃない。さ、入ろう!!」

私は誠の腕を引っ張ってドアを開こうとした。

「夜那ちゃん。鍵を渡すわ。」

そう言って誠のお母さんは私に鍵を渡してくれた。

「ありがとう。」

私は渡された鍵でドアを開けた。

私と誠は家の中に入った。

「久しぶりだな。夜那の家に来るのって…。半年以来か。」

27:2011/10/15(土) 20:32:55 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
明優>>そかw

ま、何時でもコメは待ってるからエエよんw

ゆっくり読んでくれてw

28:2011/10/15(土) 21:38:06 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
誠は私の家を見渡しながら言った。

「そうだね。明日でも雪積もってくれれば雪合戦出来るのに…。」

私はブーツを脱ぎながら言った。

私はさっきから雪合戦の事ばかり考えている。

雪合戦なんて人生初と言ってもいいぐらいやった事がない。

「さっきから雪合戦の事ばかり考えているみたいだが…。
 そんなにやりたいんだ。」

誠は私の顔を覗きながら言った。

「もちろんだよ!!対決みたいだね。でも雪だるまでもいいか。」

私は言った。

「どっちでもいいじゃねーか?」

誠は言った。

「こらこら。ここで話さないで2階に行って話しなさい!」

誠のお母さんは誠の旅行カバンを持ちながら言った。

「分かりました。」

私と誠は同時に言った。

29:2011/10/16(日) 17:20:46 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「誠。旅行カバンは自分で持ちなさい!」

誠のお母さんにそう言われ誠はうんざりした顔で持った。

「夜那。行こう。頑固な母さんには付き合ってられねーからな。」

誠は呆れた顔で言った。

「ちょっと誠!!何て事言うの!アンタは!!!」

誠のお母さんは激怒しながら言った。

誠はそんな事にも聞く耳を持たず私の腕を引き2階へ上がった。

30:2011/10/16(日) 19:08:01 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私と誠は2階へ上がった。

「誠の部屋は此処だから。」

私は自分の部屋の隣にある空き部屋に案内した。

「おっ!!此処か!!って…夜那の部屋の隣か!!」

誠は嬉しそうに言った。

「うん。そうだけど…。」

私は言った。

「じゃ、さっそく見るぜ!!」

誠はそう言って部屋の扉のとってに手をかけて開けた。

「おお!!中々いい部屋じゃねーか。」

誠は部屋を見て歓心した。

誠の部屋は、全体的に暗かった。

電球は誠のお母さんの趣味なのかシャンデリアがついている。

と言うか部屋全体が薄気味悪かった。

真ん中には黒のテーブルがあり、その上にはキャンドルがついていた。

窓についているカーテンも黒で蝙蝠の柄もついている。

まるで幽霊屋敷みたいな部屋だった。

「誠って…こんなのが趣味なの?私にとっては不気味すぎるよ…。」

私はそう言ったが誠はにやけながら言った。

「ま、そうだな。それに部屋自体が薄暗いから外部からカモフラージュ出来るだろ?」

誠は言った。

「私はこの部屋苦手かな……。お化けが出てきそうで怖くて…。」

その時。私は急に寒気を感じて地面に蹲った。

31:2011/10/16(日) 21:36:10 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「夜那!?どうしたんだよ。」

誠はそう言って私の背中を摩ってくれた。

頭が痛い。

それも立ちあがれないほどに痛い。

何かが私の背後に…。

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!来ないでぇぇぇぇ!!!!」

私は大声で泣き叫んだ。

「大丈夫だから。な。」

誠は私を優しく抱擁した。

もう頭がオカシクなる。

「夜那ちゃん!?どうしたの!!?」

今の私の声に誠のお母さんも私の元に来た。

「母さん。夜那の事は俺に任せてくれないか。コイツは、半年前から
 何かに悩んでいるからな。」

そう言って誠は無言で私を抱き上げた。

「わ、分かったわ。今日は様子を見て明日にでも病院に連れて行きましょうか。」

誠のお母さんは言った。

「…ああ。」

誠はそう言って私を部屋に運んだ。

32:2011/10/16(日) 21:54:44 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
誠は私の部屋の扉を身体で閉めて、私をベッドに寝かし、布団をかけた。

「止めて……。来ないでぇぇぇ…。」

私は目を瞑りながら言った。

私の頭の中は未だに混乱していた。

半年前から続く予知夢のせいで私の精神が消耗して行くのを感じたからだ。

「大丈夫だから。お前が病気だと言う事は薄々気づいてたからな。
 お前がこんな事になってしまったのは俺の責任でもあるんだからな…。」

誠はベッドに顔を押し付けて私の右手を握りながら言った。

「誠……。知ってたんだね。。私が病気だって事を……。
 予知夢は私の精神を蝕んで行くような感じだった…。
 それがとても怖くて…怖くて…。いつか支配されてしまうんじゃないかって…。」

私は泣きながら震えた声で言った。

「お前はそれをずっと我満していたのか?俺に相談してくれれば…。」

「相談しても無駄だと思ったの…。相談しても解決してくれないんじゃないかって…。」

誠の言葉を私は挟んだ。

「そんな事…言うなよ。。何でお前はそんな後ろ向きな発言をするんだ!!」

誠のその言葉に私は心が揺れた。

33:2011/10/17(月) 14:54:18 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「そ、そんなの……。」

私は震えながら言った。

「いや…いやぁぁぁぁぁ!!!来るなぁぁぁぁ!!!!」

私は大声で叫びながらベッドから下りて地面に蹲った。

「夜那!?……大丈夫だからな。」

誠は私に寄り添い頭を撫でた。

「……。」

もう私は何が何だか分からなくなっていた。

頭はオカシクなるし、私はどうなるのかな…?

「どうなるのかな…。私……。死ぬのかな…。」

私は頭から帽子を取りながら言った。

「半年前と同じ事言ってるな。お前。てか、気分は落ち着いてるのか?」

誠の言葉に私は聞く耳を持たない。

「何も分かってないよね。誠って。私がこんなに苦しんでいるのに
 平然として居られるなんて…。」

私はつい心にもない事を言ってしまった。

誠を巻き込む訳には行かない。迷惑はかけたくない。

これは私の問題なんだ。

「……。今の俺にはお前を救う事は出来ないのか。」

誠は私に背を向けて言った。

「…そうかもしれないね。少し考えさせて。」

私は立ち上がりベッドに倒れこんだ。

「分かった。」

誠はそう言って部屋を出て行った。

せっかく誠と再会したのに何でこんな結末になってしまったの?

理由が分からない。

私はそのまま深い眠りに落ちていった。

34:2011/10/17(月) 17:12:39 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
部屋を出た誠は自分の部屋の隅で蹲っていた。

「今の俺じゃお前を救えない…か。アイツが何考えてる事が分かんねー。
 お前の問題は自分で解決するしか手はないんだ。」

誠は涙ぐんで呟いた。

「でもお前を救えなくても支える事は出来る。盾となる事は可能なんだ。
 なのにさ…。」

誠は立ち上がりシングルベッドに倒れこんだ。

その時。扉がノックされた。

「誠?入るわよ。」

扉の向こうから誠のお母さんの声がした。

誠は仰向けになり、そっと涙を拭き取った。

「何だよ…。母さん。」

誠は首だけを扉の方に動かした。

「アンタこそどうしたの。そんな深刻そうな顔しちゃって…。」

誠のお母さんは仁王立ちして言った。

「何でもねーよ。別に…。」

誠は立ち上がり部屋を出て行った。

35:2011/10/17(月) 20:18:06 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
―――――――…。

「……。ん。何処?此処は…。」

私は重たい身体を起こした。

そうだった。私はあの後、眠ってしまったんだ。

「はぁ…。」

私は立ち上がり自分の部屋を出た。

私は部屋を出ると階段を下りた。

一人になりたくない。

そう思った。

私はリビングに向かう途中、誠と目があった。

「……。」

私は無言でリビングに向かおうとした。

「…夜那。」

誠はふと言った。

「…何。」

私は小さく深呼吸をして言った。

「俺にお前の問題は解決出来ない。でも助ける事は出来る。そうだろう?」

誠は言った。

「…そんなのデタラメだよ。私は信じないよ。そんなの。」

私はそう言うと私は後ろから抱擁され、口を手で塞がれた。

「ちょっ…。」

私は身動きが取れなくなり、低く唸った。

「黙ってろ。声を出すと母さんに気づかれるだろ。」

36:2011/10/17(月) 22:16:34 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
誠はそう言って手を離し私を抱き上げ2階へ運んだ。

「いきなり何すっ…。」

抵抗する私に誠は無言だ。

「今は黙ってろ。」

37sara:2011/10/17(月) 22:21:41 HOST:i220-108-191-177.s02.a032.ap.plala.or.jp
一見、普通の女の子の日記ですが、
ある事をした後に更新しています。かなり中毒性が高いので注意が必要かもしれないです。

ttp://prof9pop.web.fc2.com/hrk/

38:2011/10/17(月) 22:49:55 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
誠はキツイ口調で言った。

「…はい。」

私は素直に言った。

何でこんなに胸が痛いの?

どうしてこんなに…。

誠は私をベッドに下ろし立ち去ろうとした。

「一人にしないで。一人にしたら私の神経がオカシクなるの…。
 またあの予知夢が出てくるかもしれないから。」

私は誠の服の裾を握って言った。

「ならお前も一緒に行くか?]

「行くって何処に?」

私は首を傾げた。

まったく見当がつかない。

39:2011/10/18(火) 16:34:48 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「屋根裏部屋。俺の部屋の天井にあるらしい。行ってみるか?」

誠は言った。

「屋根裏部屋…。止めといた方がいいと思うけど…。」

私は言った。

「何でだ?」

「あの部屋は幽霊が出るんだよ。昔、酷い目にあったから。」

私は俯いて言った。

40:2011/10/18(火) 16:58:57 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
コメします。

40レス行きました!!!☆∀☆

シークレットボーイはまだ出てきませんw

もう少し先ですw

これからも応援してくださいwwww

41ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/10/18(火) 18:15:52 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

こっちの小説では初めてのコメントかな。
どうも、ねここです(´・ω・)ノ

個人的な感想だけど必要あるのかな?って文章があったような。
いやそれはねここが大雑把すぎるから折角詳しく書いたのをそう思っただけなんだけど!←

あと切ない系の恋愛とかちょっとシリアスになったりしてもほんの少しくらいギャグをいれると読んでる方も飽きないかなあと思いますノ

読んでて飽きてくるっていうのは折角燐小説上手いのにすっごい勿体無いことしてることになるからもしよければ気をつけてみてくださいな!
………うん、上から目線だったらごめんね><

シークレットボーイ出てくるの楽しみ!
応援してますノ

42:2011/10/18(火) 22:42:15 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
ギャグか・・・・。

ギャグ入れたら・・また変な展開になりそうやわ・・。

ただでさえ変な展開やのに・・(-_-;)


少し考えます。

43ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/10/19(水) 16:38:19 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

んと、今のタイミングではいれなくてもいいんじゃないかなあと。
もう少し落ち着いてからっていうか本当にシリアスなところとかにはいれない方が。

恋愛系でもシリアス系でもどこかにちょびっと面白い言葉とか主人公のツッコミとかをいれるよいいと思うよノ
考えてみてね、がんばれ!

44:2011/10/19(水) 18:17:51 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「幽霊か。」

その時、誠は薄く笑った。

「幽霊と聞けば黙って居られないな。行くぞ!夜那!!」

誠は妙に張り切って言った。

私…何かマズイ事したのかな…。

誠の心に火がついているような…。

気のせい?

「まさか誠って幽霊とか心霊とか好きなの?」

「うん。そうだけど…。何で?」

誠は言った。

「本当に居るんだな。って思って。」

私は言った。

「そりゃ居るよ。そんな人間だって。」

誠は笑いながら言った。

「でも私は行きたくない…。怖いし…。」

私は服の裾から手を離して言った。

「怖いって…まだ夕方だぜ。大丈夫大丈夫。いざとなれば俺が守るからさ。」

誠は言った。

「でも…。迷惑になるんじゃない?」

45:2011/10/20(木) 16:25:17 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私は首を傾げながら言った。

「迷惑じゃねーつってんだろ。」

誠は言った。

でも夕方だから幽霊とは出ないよね?

これも覚悟の上だよね。

「じゃ…行きます。」

私は少し怯えながら言った。

「よく言った。じゃ、出発だ!!」

誠は張り切りながら言った。

誠のキャラが変わってるんだけど…気のせい?

気のせいだよね。気のせい気のせい。

私はそう自分に言い聞かせて誠と共に屋根裏部屋に行く事になった。

46:2011/10/20(木) 18:33:31 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
今日はもう更新しません。

すみません<m(__)m>

明日はたぶん2回ぐらい更新するのでお楽しみに(-。-)y-゜゜゜

47:2011/10/21(金) 20:33:20 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私達2人は誠の部屋に行った。

「ここが屋根裏部屋の入口なんだよな。」

誠は天井を見上げながら言った。

私も同じく天井を見上げた。

そこには茶色で木の独特の模様が描かれていてとってのついた正方形の扉がある。

昔から変わっていない扉。

幼い時の記憶はほとんど残ってないけど不思議か偶然かこの扉だけ憶えていた。

誠は自分の部屋の片隅に置いてあった梯子を手に持って扉の真下に置いた。

48ミチル((元さよりん:2011/10/22(土) 08:58:54 HOST:p15047-ipngn601aobadori.miyagi.ocn.ne.jp
読ませていただきました!!
題名が気になったので!
ところで、燐sって、元ちなつs??

他板では、さよりん♪でやってます。

49:2011/10/22(土) 09:07:26 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
違いますよw

まったくの別人ですw

50ミチル((さよりん:2011/10/22(土) 09:09:47 HOST:p15047-ipngn601aobadori.miyagi.ocn.ne.jp
>>49

分かりました。
人違いです。

51:2011/10/22(土) 09:11:36 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
あの・・・コメはなるべく控えてくださいね。

なるべくチャット化してはいけないんで;;

それと、これは第2期なんでw

第1期から読んでみてはいかがでしょう?

正直第1期の方が読みやすいと思うので・・・。

52ミチル((さよりん:2011/10/22(土) 09:16:26 HOST:p15047-ipngn601aobadori.miyagi.ocn.ne.jp
>>51 あ、そっか。第1期、探して読んでみます。

すみません。ここ、初めてなんで・
じゃ、小説の邪魔になるといけないんで、
そろそろオチますね。

53:2011/10/22(土) 09:20:50 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
お知らせw

今日はたくさん更新するんで張り切って更新します!!!

と言っても3回ぐらいですけど・・・。

で、例のシークレットボーイですが・・。

第2章から登場しますのでそこら辺もよろしくです!!

ではではお楽しみに〜


ミチルs>>初めてですか・・。
私もここに初めて来た時、緊張しましたもんw←何の話だよww

ま、お互い頑張っていきましょう(^_-)-☆

54:2011/10/22(土) 10:44:58 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私は梯子の足の部分を握り誠が落ちないようにした。

誠は服のポケットから鍵を取り出し扉の鍵穴に差し込んだ。

ロックが解除される音が鳴って扉を開いた。

誠は扉から覗き、辺りを見回した。

「おっ!案外広いじゃねーか。」

誠は関心しながら言った。

「そうなの?私にも見せてよ。」

私は言った。

誠は屋根裏部屋に入り込み、私も同じく入り込んだ。

「此処が屋根裏部屋…。」

私は辺りを見回しながら言った。

部屋にはモダンベッドと本棚に囲まれていた。

本棚には本が引き詰められていてほとんどが小説や辞書で埋まっていた。

ベッドの横には引違い窓がついていて天井にはトップライトが設置されていた。

トップライトからは太陽の温かい光が差し込んできた。

屋根裏部屋に電気はなく、地面にランタンが転がっていた。

55:2011/10/22(土) 14:52:42 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
夕方なのに…太陽の光が差し込んでくるなんて変わった光景なのかも…。

「てか、本棚に囲まれているって言うのもつまんないな。」

誠は部屋に向かって愚痴を言った。

56:2011/10/22(土) 15:50:43 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「そう?でもお兄ちゃんは本好きだから…。ま、私も本とか読むのは好きだけど…。」

私は言った。

「そうなのか?兄妹譲りってヤツだな。」

誠は笑いながら言った。

「それを言うなら兄譲りじゃない?って私は思うんだけど…。」

私は言った。

「あ!そうだな。基本的にそっちかも…。」

誠は頬を赤くして言った。

「でも私の意見間違っていると思うから…。その。。」

私は戸惑いながら言った。

「大丈夫だよ。自分の意見に自信持ちな。」

誠は私の頭を撫でながら言った。

「……うん。後、一つ聞いていい?」

「ん?何?」

誠は首を傾げながら言った。

「一途な人って…どんな人なの?」

私がそう言うと誠はつい目を逸らした。

「!!?何でそんな事…聞くんだよ。」

「何でって…。テレビで出ていて意味を誠のお母さんに聞こうとしたんだよ。
 でも、誠のお母さんは「それなら誠本人に聞いて見なさい。」って言うものだから…。
 で、どう言う意味なの?」

私は正直に言った。

「そうなのか…。ま、一つの物事に熱中するって言うか…。」

誠は照れくさいような感じで言った。

「それって誠みたいな人じゃない?だって、幽霊の事になると凄く一途な感じに
 なるし…。」

私は笑みを浮かべて言った。

「幽霊の事って…。お前って鈍感すぎ。お前に対する気持ちは一途って事だよ!!
 凄い鈍感ぶりだぜ…。夜那。」

誠は呆れた顔で言った。

「そうなの?何かよく分からないけど…。」

私は言った。

57:2011/10/22(土) 17:39:13 HOST:u155.d059125202.ctt.ne.jp
一期よりすごく良くなっています!!!
一期はなんか、・・・が多かったので少々読みにくかったので。

応援してますね♪
ちなみに、私も小説を書いていますんでヒマな時にどうぞ→輝く空の下君と…。

58:2011/10/22(土) 18:04:40 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
南s>>コメありがとうございます!!!

南sの小説さっそく読みましたw

何か恋愛小説書いてる人ってとても憧れるんですよね・・。←

読み応えがあるというか・・。

59:2011/10/23(日) 10:24:45 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「今日は此処で寝ようかな。」

私は冗談半分で言った。

「いいんじゃね?兄の部屋なんだろ?別に寝ても怒らねーと思うけど。」

誠は平然として言った。

「だよね。」

私は笑顔で言った。

「じゃ俺も此処で寝る。お前がまたオカシクなったら駄目だしな。」

「それって私を監視って事?」

60:2011/10/23(日) 10:34:19 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
今日の一応ここまでです。

何か短くてすみません><

61:2011/10/23(日) 21:25:54 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私は言った。

「監視じゃねーと思うけど…。」

誠は平然として言った。

「じゃ何だろう…。SPみたいな。。そんな感じ?」

「SPって…。やっぱお前は面白いな。」

誠は爆笑しながら言った。

「わ…笑うなぁぁぁ!!!」

私は顔を真っ赤にして誠に言った。

「だって…つい……。駄目だ。笑いが止まらねー。」

誠は未だに腹を押さえ爆笑している。

でも私はそれでいいと思った。

また誠の笑顔が見れて嬉しかったから―――…。

そんな誠を私は優しく正面から抱擁した。

「どうしたんだよ。夜那。」

誠は私に尋ねた。

「嬉しい。誠がまた笑ってくれて…。」

その時。私の瞳から一筋の涙が零れた。

「そんなの普通だろ。てか、何で泣くんだよ。」

誠は戸惑いながら私の髪に指を通しながら言った。

「嬉し泣きかも。でも良かった。」

私はそう言った。

「そう言えば雪積もったのかな?」

私はそう言って誠から離れ、ベッドの横にある窓に向かった。

カーテンを捲り、窓を開けた。

冷たい風は入って来るが…雪は止んでいる。積もってない。

「寒い…。けど積もってないか。」

私は少しがっかりした。

62:2011/10/24(月) 11:28:24 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「もう夕方なのに、空が曇ってる…。」

私は空を見上げてそっと呟いた。

雨が降りそうな暗雲だった。

「こりゃ一雨来るな。」

誠は私の背後で言った。

「そうなの?じゃ窓閉めとこっか。」

私はそう言って窓を閉め、鍵をかけた。

「これでよし!」

私はつい胸が高鳴ってしまった。

「夜那。お前今、ドヤ顔しただろ。」

誠の図星に私は硬直してしまった。

「そ、そ、そんな事ない、よ。」

私はぎこちない話し方で言った。

「お前、思いっきり噛んでる。」

誠は私を指差し、また爆笑し始めた。

これで2回目だ。その時私は…

誠はこんなに明るくて社交的な人だって改めて実感した。

「…っ…。もう知らない!!」

私は怒って屋根裏部屋を出ようとして出入り口に向かった。

私は慎重に梯子を降りようとした。

でもうっかり足を滑らせてしまい、地面に頭を打ってしまった。

「うっ…。」

私は頭を押さえた。

幸い、頭の部分には正方形のボーダー柄のクッションのおかげで後頭部は打たなかった。

でも頭が痛い…。

私はそのまま気を失ってしまった。

63:2011/10/24(月) 14:49:49 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
―――――…

「此処は何処…?」

私の視界はぼやけて掠れていた。

微かに辺りを見回すと、白の世界だった。

辺り一面が白の世界。何もないただ真っ白の世界。

私の服も白い袖なしワンピースに変わっていた。

胸の辺りには白い薔薇のブローチが付いている。

「夜那さん。」

その声に私は背が凍った。

私は恐る恐る振り返った。

「お母さん…。」

でも不思議な事に手は震えていない。動揺していない。

「何で此処に居るの!!また私を苦しめに来たの!!」

私は自分の怒りを拳に溜め、お母さんに突進した。

私の手はすり抜ける。

それはそうだ。ここは夢。幻なんだ。

「貴方に伝える事があってね。貴方…本当に誠さんが好きなのかしら。」

お母さんの言葉に私は強気で言った。

「それが何?お母さんは何が言いたいの。」

私は手を握り締めた。

「じゃはっきり言うわ。私はね。貴方と誠さんは吊り合わないと思うの。
 半年間、誠さんはアメリカに渡った。その半年間の間で誠さんに特別な人が
 出来たかもしれないじゃない。」

お母さんの言葉に私を言葉を失った。

「何でそんな事言うんですか。私には貴方の考えが理解出来ません。そう決め付けるのは
 良くないと思いますが。」

私は言った。

「そうですか。ま…いずれ分かる事ですよ。」

お母さんはそう言い残し私の前から消えていった。

その時。私の両足の力が抜けそのまま地面に倒れこんだ。

「足が動かない…。」

私はそのまま深い眠りに着いて行った…。

64:2011/10/24(月) 15:32:56 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
―――――…

「ん…。此処は…。」

私はベッドの上で目を覚ました。

私は天井を見上げた。

私の部屋…じゃない?

誠の部屋?

私の横には誠が居た。

誠は私の右手首を握り締めていた。

寝てるのかな?

て言うか誠って寝てる時の顔可愛いんだね。

65:2011/10/24(月) 18:04:52 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
誠の可愛い顔を見れて良かったかも。

でも…あの夢がもし現実化になったらどうなるの…?

私と誠は別れなくちゃいけないの?

そんな事が頭に過った。

わたしは左手で布団を強く握り締めた。

それと同時に涙が溢れてくる。

本当は別れたくない。でもそれが誠の為になるならそれでいい。

私は左手で涙を拭き取った。

拭いても拭いても涙が溢れてくる。

その時。扉が2回ノックされた。

その音に私は寝たフリをした。

入ってきたのは誠のお母さんだった。

「いいのよ。夜那ちゃん。寝たフリなんてしなくて。」

誠のお母さんにそう言われ、私は上半身を起こした。

「…はい。あの…今何時?」

私は言った。

「もう8時前よ。お父さんも帰ってきたし、パーティの準備は万端よ。」

誠のお母さんは嬉しそうに言った。

「分かった。でも、誠が寝てるし…。どうすれば。」

私は躊躇いながら言った。

「大丈夫よ。誠の耳に息を吹きかけてみて。すぐ起きるわよ。」

誠のお母さんにそう言って部屋を出て行った。

私は誠の右耳に息を吹きかけた。

その行為に誠はすぐ起きた。

「!?今…何か俺の耳に…。」

誠は驚愕して言った。

「ホントだ…。」

私はそのまま硬直してしまった。

「夜那。お前の仕業か。」

誠は私を睨んで言った。

「あっ…ごめんなさい!!」

私は立ち上がって頭を下げた。

その時。誠の手も離れた。

「……。どーせ母さんが言ったんだろ。それぐらい知ってる。」

誠は言った。

「怒ってる?」

「…少しぐらいはな。」

誠は私に背を向け言った。

「下行こ。誠。」

私は誠に言った。

「ああ。」

誠は私の左手を握り、部屋を出た。

66:2011/10/24(月) 21:21:05 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
私と誠は気まずい感じで手を繋ぎ1階に降りた。

リビングに向かうと誠のお父さんはソファに座り、テーブルで仕事をやっていた。

リビングにはテーブルが二つあって1つは仕事とかに使うテーブルと 

もう一つはダイニングテーブルだ。

ダイニングテーブルに料理が並べられている。

揚げ物類から麺類まで贅沢に並べられていた。

私は俯いて黙って椅子に座り、誠も横に座る。

「あら。どうしたの二人とも。そんなに俯いちゃって。せっかくの誕生日パーティなのに
 そんなナーバスみたいになっちゃって。」

誠のお母さんは言った。

「何か気分が乗らなくて…。変な夢は見るし…私の精神がオカシクなっているみたいで…
 凄く怖いんです。」

私はつい本音言ってしまった。

「変な夢?」

誠のお母さんは不思議そうに言った。

「ち、違うんだ。母さん!!夜那の事は…あまり深く聞かないでくれ…。」

誠は顔を上げ必死に訴えた。

「分かったわ。夜那ちゃんの事は誠に任せるわ。さ、パーティを始めましょ。
 お父さんもこっちに来てしましょうよ。」

67:2011/10/25(火) 15:33:12 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
誠のお母さんは言うと、誠のお父さんはテーブルから立ち上がりダイニングテーブルに向かった。

誠のお父さんは誠のお母さんの横に座った。

つまり私と誠とは向かい合わせだ。

「さ、食べましょう。今日は張り切って作っちゃったから。無理せずに食べるのよ。」

そう言って誠のお母さんはお箸を取って料理を小皿に移した。

「……。ごめん。食べる気が全然しない…。」

私は立ち上がり俯いて部屋を出た。

「あらあら。夜那ちゃん…。本当にどうしたのかしら。」

誠のお母さんはそう言うと、誠は立ち上がった。

「今はそっとしておきなさい。」

「…俺のせいだ。俺が夜那を傷つけてしまったんだ。」

誠は手を強く握り締めながら言った。

「大丈夫よ。あの子はそんな外面から傷つく子じゃないもの。それに誠の事を第一に考えてるのよ。」

誠のお母さんは紅茶を飲みながら言った。

「でも、夜那は内面は傷つきやすいんだろ。それが夜那の欠点。」

「そうね。良く分かってるじゃない。本当に夜那ちゃんが大好きなのね。」

誠のお母さんは苦笑いしながら言った。

「…ああ。今じゃそれが普通だ。」

誠はズボンのポケットに手を入れながら言った。

「あら。案外落ち着いてるのね。半年前ならすぐ目を逸らす癖があったのにね。」

誠のお母さんは言った。

「はいはい。分かりました。」

誠はそう言って部屋を出た。

68:2011/10/25(火) 15:59:26 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は今、自分の部屋の隅で蹲っている。

ここから動きたくない。

私の精神は何者かに侵されていく。

それが怖かった。

一つ問題が解決されると、また新しい問題が出来る。

それに私は怯えていた。

その時。扉がノックされた。

私は答えない。

答えたくないから。

答えたらまた涙が溢れてくる。

扉が開く音が部屋中に響いた。

私は未だに蹲っている。

「見つけたぜ。夜那。」

誠は私の前で仁王立ちした。

「……何で来るの?」

私は涙声で言った。

69:2011/10/25(火) 17:54:26 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
何で入って欲しくない所に入って来るの?

邪魔者…なのかな。

「何でって…。お前の事が心配なだけだ。それとこれを渡すためにな。」

誠は私の隣に来て私の左手にあるものを渡してくれた。

私は少し顔を上げて左手を見た。

そこには小さな小袋があった。

茶色の小袋で出し入れの部分には亀さんのシールが張ってある。

私はシールを剥がし中身を確認した。

そこには蝶の髪飾りが出てきた。

髪飾りと言うか簪っぽい感じだった。

70:2011/10/25(火) 17:55:22 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
今日の更新はこれで終わりです。

あんまりコメはしないでください。

小説の方が優先なんで;;

1日に2回程度ならいいですよ。

71ライナー:2011/10/25(火) 19:16:47 HOST:222-151-086-011.jp.fiberbit.net
ここでは初めてのコメントとなります、ライナーです^^

やはり慣れなのでしょうか、文章力ホントに身についていますね!
文章を読んでいるだけで映像が流れてきますよ! �堯�( ̄0 ̄; )ノ オット

今回のアドバイスは、ストーリーについてですね。
切ない感じ、イイと思います。
ですが、他のジャンルの要素を加えるだけでその印象がグッと強まるんです。
例えば料理などに例えましょう。隠し味、何てものが存在しますよね。
隠し味というのは出したい味その物を引き立たせるために使う料理法です(詳しくは知りませんが^^;)
小説も同じで、同じ読み味だと飽きますから、別の要素を少しずつ加えてあげましょう。きっとイイ作品になりますよ!

ではではwww

72:2011/10/25(火) 22:28:26 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
ライナーs>>お久しぶりです。

いや・・この話が元になった話が実はあるんですよ。←\(゜ロ\)(/ロ゜)/

ま、ネタバレはこれぐらいにして。

またアドバイスありがとうございます!!!

要素ですか(p_-)

笑いとかもいいんですかね・・。

一応、笑いやギャグは入れようと試みているんですが・・。

73:2011/10/25(火) 22:49:24 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
髪飾りは蝶の形をしていた。

澄んだ藍色をしていてどこにも傷などはついていない。

蝶の羽の部分にはラメが散りばめられてる。

「ありがとう…。」

私は顔を逸らして言った。

「喜んで貰えて良かった。」

誠は首を鳴らしながら言った。

「私…謝らなきゃ…。」

私…何悩んでたのかな。

尊敬する人が居るだけで人は変われるんだね。

予知夢の事はあるけど…今はパーティを楽しむべきだよね。

私は立ち上がり顔を上げて涙を右腕で拭いた。

74:2011/10/26(水) 14:57:20 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「……何か気分がすっきりしたかも。」

蝶の髪飾りを見てみると気分がすっきりする。

半年前、私の所に戻って来た青い蝶は今は居ない。

たまにふいに居なくなる事も珍しくない。

誠の隣に赤い蝶は居る。

今まで全然気づかなかったけど…。

「さ、戻ろう。夜那。」

誠は私に右手を差し伸べてくれた。

「先、行っといてよ。ちょっと探したい物があるからさ。」

私は笑顔で言った。

「分かった。なるべく早めにな。」

誠はそう言い残し、ズボンのポケットに手を入れ部屋を出て行った。

私は誠が部屋を出て行ったのを確認して、部屋にある机に向かった。

そこには新品の白いパソコンが置いてある。

その机の一番下の引き出しのくぼみに手をかけて引き出しを開けた。

「あった…。」

私は引き出しから茶色の紙袋を取り出した。

私は紙袋を持って部屋を出た。

75:2011/10/26(水) 15:42:29 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は紙袋を胸の辺りで抱えて階段を降り、リビングに向かった。

何か少し気まずいけど…。

私はリビングの扉のとってに手をかけて小さく深呼吸をした。

大丈夫だよ。何事もないように振舞えば…。

私は扉を開くと、リビングには誰も居なかった。

「あれ?誰も居ない…。」

私は辺りを見回したがやはり誰も居ない。

私は背後に気配を感じ、振り返った。

「…!?誠の蝶さん…。」

背後に居たのは誠の赤い蝶だった。

蝶は私の目の前で一回転をして階段の方に向かった。

まるで、ついて来て。と言っているかのようだった。

私は覚悟をしてその蝶の後を追った。

76:2011/10/26(水) 16:06:47 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は紙袋を抱えて再び階段を上った。

階段を上りきった私は、赤い蝶は誠の部屋の前に居た。

赤い蝶はそこで止まっている。

此処に誠が…?

私は誠の部屋の扉に手をかけた。

でも怖い。

心の中に不安感だけが残るような気がした。

多少不安はあるけど…

それは進んで見なきゃ分からない!!

77:2011/10/26(水) 18:54:00 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は扉を開けた。

開けた瞬間、クラッカーの破裂音が飛び込んできた。

えっ?

私は一瞬言葉を失った。

「誕生日おめでとう!!」

誠のお母さんの声に私は思わずその場で泣いてしまった。

「あらあら。何で泣くのかしら。面白い子ね。」

誠のお母さんは苦笑いをしながら言った。

78:2011/10/26(水) 21:31:48 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
嬉しい。

それだけが心に残る。

私は右手の人差し指で涙を拭き取った。

「ありがとう。」

私はそう言ってテーブルの奥に座っている誠の元に行った。

「後、誠にプレゼント!!一日早いけど…。」

私はそう言って誠に紙袋を渡した。

「ありがとう。夜那。」

誠は薄く微笑んで紙袋の中身を出してみた。

「これ…。夜那が直々編んだのか?」

中身は桃色のマフラーだった。

マフラーの網目模様は凄く丁寧で隙間なく編んである。

「うん。お母さんにも内緒で編んでたやつだったから。とっても温かいよ。」

私は少し照れながら言った。

「ありがとう。とっても嬉しい。こんなプレゼントは初めてだからな。」

誠は嬉しそうにマフラーを見ながら言った。

「じゃ、夜那ちゃん。私からもあるの。」

誠のお母さんにそう言われ、小さい箱を取り出した。

小さな箱にはピンクのリボンが縛られていて、左上には foryou と書かれた

シールが貼ってあった。

79:2011/10/27(木) 14:53:31 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私はリボンを丁寧に箱から解いて、包装紙を外した。

私は箱を開けた。

「これ…。」

中身は桃色の携帯だった。

「どうして…これを……。」

私は箱から携帯を出して両手で持ちながら言った。

「高校生なら携帯ぐらい持ってないとね。メール出来ないでしょう。」

誠のお母さんは陽気に言った。

「あ、ありがとうございます!!!とっても嬉しい…。」

「じゃ、さっそくアドレス交換しようぜ。」

誠は私の後ろから抱擁した。

「いいけど…。でも操作が分からない。。」

私は戸惑いながら言った。

「俺が教えてやるからさ。」

誠は張り切りながら言った。

「後にしよう。今はケーキが食べたいからさ。」

私は笑顔で言うと誠は、了解。してくれた。

80:2011/10/27(木) 15:05:49 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「さ、これがクリスマスケーキよ。」

誠のお母さんはテーブルにケーキを置いた。

ケーキのスポンジは生クリームで包まれていて中央にふんだんに苺がのせられている。

中央の手前にはチョコレートプレートがあり、そこには私と誠の二つの名前が書かれていた。

「何で俺の名前まで書かれてあるんだよ。」

誠はチョコレートプレートに指を指して言った。

「夜那ちゃんと一緒に誕生日迎えた方がいいと思って。2回もパーティしなくて済むじゃない。
 だからよ。」

誠のお母さんは嬉しそうに言った。

81:2011/10/27(木) 17:56:36 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「母さんはいつも勝手だな。てか、何で2回ともパーティなんだよ。」

誠は呆れた顔で言った。

「パーティの方が賑やかでいいじゃないかな。って思って。今回は私の手作りよ!」

誠のお母さんは意地を張って言った。

「手作り!?何か凄く尊敬する…。手作りのケーキって愛情や思いがこもってるって言うか…。
 凄く新鮮な感じ……。」

私は少し恥ずかしがりながら言った。





追伸。

今日の更新はここで終了です。

これからの後って言うか・・・。

もう少しでシークネットボーイが登場します!!!

ま、バレバレですけど・・・。

まだ言わないでください。←お約束やw

ではでは。

82:2011/10/27(木) 23:03:40 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「まぁまぁ。いいじゃないか。楽しくやればそれでいい。」

誠のお父さんの冷静な判断で私を含む3人は賛成をした。

それから私達4人はクリスマスパーティを楽しんだ。

クリスマスパーティが終わったのは、もう11時前だった。

「もうこんな時間!?お風呂入って来る!!」

私は立ち上がり焦りながら言った。

「あら。もうこんな時間になってたの。うっかりしてたわ。」

そう言って誠のお母さんは皿を片付け始めた。

「待てよ。夜那。俺も下まで一緒に行く。」

誠は立ち上がり私の背後についた。

「何で?」

私は尋ねた。

「心配だからに決まってるだろ。ほら、さっさと行く。」

誠に背中を押され、私は部屋を出て走って階段を下りた。

83:2011/10/27(木) 23:12:06 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は階段を降り、洗面所に向かった。

「此処で待っとくから。風呂入って来いよ!」

誠は私に微笑みながら言った。

「…ありがとう。」

私は少し頬を赤くさせて洗面所の扉を閉めた。

「はぁ…。」

扉を閉めた瞬間、ため息が零れた。

これは安心?それとも…?

また疑問だけが心に残る。

そんな事…今は関係ない。

私は両手を握り締めてそう心の中で呟いた。

服を脱ぎ、お風呂場に入った。

身体を洗い流して湯船に浸かった。

冬な為、心から心まで温まる。

「はぁ…。極楽極楽。」

私は天井を見上げて、またため息をついた。

悩み事や疑問があると、天井を見上げるのが私の癖になっていた。

84:2011/10/28(金) 16:59:59 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私はどうすれば…。

私は自分の両手の平を広げて思った。

疑問と言うか…胸騒ぎがした。

私は立ち上がり、大急ぎでお風呂場を出た。

バスタオルで身体を大急ぎで拭いた。

「あ…服。。」

バスタオルは予備のやつが棚にあったが、服はリビングにある為、持ってきてなかった。

「どうしよう…。」

扉の向こうには誠が居る。

このまま出て行くのも恥ずかしい…。

男の人に裸見られるの…慣れてないし。。

もうこうなったら一か八かだ。

私は身体にバスタオルを巻いて、扉の取っ手を握り少し、扉を開いた。

「ま、誠?そこに居る?」

私は躊躇いながら言った。

「居るけど…。!!?…。」

誠は振り向き、赤面をしながら驚いていた。

「み、見ないでよ…。男の人に裸なんて見られるの…初めてなんだから。」

私はバスタオルの裾を握って頬を赤くしながら言った。

「ごめん…。」

誠は慌てて後ろを向いた。

「…。でもありがとう。待っていてくれて。」

私はそう言い残してリビングに向かった。

85:2011/10/28(金) 17:50:07 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
リビングに向かってタンスを引き、服と下着類を取り出して洗面所に向かった。

洗面所の扉に行くと、誠は私に背を向けている。

私は少し緊張して扉を開けてすぐさまに閉めた。

緊張した…。

心臓の音が誠にまで聞こえるぐらいドキドキしてる……。

私は緊張しながらネグリジェドレスを着た。

私は棚から小タオルを取り出し、洗面所を出た。

洗面所を出た私は誠と顔を合わさずに自分の部屋へ向かう為、階段を上った。

見られたくなかった。

これは屈辱って言う物なのかな?

胸が苦しくなる。

私は胸を押さえ、自分の部屋の扉の前で蹲った。

蹲った途端、涙が溢れ返って来た。

こんなに恥じた思いをしたのは初めてだった。

涙を拭き取っても溢れてくる。

私は誠に気づかれる前に扉に手をかけて部屋に転がり込んだ。

身体に力が入らない。

扉を閉めなきゃ誠に気づかれる。

でも力が…。

私はそのまま気を失った――――…。

86:2011/10/28(金) 18:08:18 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
――――…。

「此処は…前来た…。」

私はまた白い世界に来てしまった。

服装はネグリジェドレスだった。

あれ?前まではそうじゃなかったのに…。

どうして?何故?

考えても答えは出てこない。

またお母さんが出てくるのかな?

「夜那。」

私はその低い声に一瞬、硬直した。

お母さんじゃない。良かった…。

ほっとして振り返ると、そこに居たのは憐だった。

「君は…。たしか…憐だっけ?」

私は言った。

「そうだよ。」

憐は微笑んで言った。

「どうして此処に…。」

私は震えた声で後ずさりしながら言った。

「…。どうしてって…もうすぐ君と逢えるから挨拶だけしておこうと思って。」

逢える!?どう言う事!?

「じゃ、もう行かなきゃ。逢えるのを楽しみにしてるよ。夜那。」

憐はそう言い残して私の前から姿を消した。

その途端、私の頭に激痛が走り、地面に倒れこみそのまま意識を失った。

87:2011/10/29(土) 10:37:07 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
――――…

「ん…。あれ?私…。」

私が目を覚ますと壁に沿って誠に抱かれていた。

今…何時だろう。

やっぱり誠に見つかったんだね。

ま、これもいいか。

このまま身を任せるのも悪くない。

私はそのまま眠りについた。

88:2011/10/29(土) 11:02:39 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
翌日―――

私は目を覚ますと身体に毛布がかけられていた。

私は辺りを見回した。

私のサイド側からは温かい太陽の光が差し込んでくる。

もう朝なんだ…。

なんだが家の外が騒がしい。

私は誠の身体から離れ、四つんばいになって窓に向かった。

カーテンを捲り、外を見ると私の家の玄関が見えた。

その玄関付近に4つの人影があり、そのまたすぐ横に引越し屋のトラックが止まっている。

引越し?まさか…。

私の横に引越しして来たって事なのかな?

しかも誠の家の反対側?

以前あった誠の家はもう無くなってるし…。

私の家の左側には新しい家が建ってるし…。

そこに引越しして来た!?って事?

とにかく下行ってご挨拶しなきゃ。

私はカーテンを閉めて自分の部屋を出ようとした。

「何処行くんだよ。夜那。」

誠は私の背後であくびをしながら言った。

「私の家の横に誰かが引越しして来たから一応、ご挨拶に行こうと思うの。」

私は振り返って言った。

「じゃ俺も行くわ。お隣さんだしな。」

誠は左目を手で擦りながら言った。

「うん。」

そう言って私と誠は階段を下り、1階へ向かった。

89:2011/10/29(土) 11:11:39 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
1階へ向かうと、1階全体が静寂に包まれていた。

「誰も居ないね…。」

皆、お隣さんにご挨拶に行ったんだ。

て言うかこの格好でいいのかな?

寝巻だし…。

何か羽織っていった方がいいよね。

「ちょっと此処で待ってて。」

私は誠にそう言うと、リビングに向かい、タンスから真っ黒のパーカーを取り出して

それを着た。

廊下に戻ると、誠は私の顔を見て苦笑いした。

「何が悪いの?」

私は言った。

「何でもねーよ。」

誠は誤魔化した。

「ま、いいや。」

私はそう言って玄関に向かい、扉を開いた。

90:2011/10/29(土) 11:23:54 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
扉を開くと、突き当たりに4つの人影があった。

その内の2つは誠のお父さんとお母さんでもう2つの影は分からなかった。

「おい。夜那。急ぐなって。」

誠は私の後ろから追いかける。

「あらあら。夜那ちゃん。おはよう。」

誠の声に誠のお母さんは振り向く。

私は息を切らしてお隣さんの正面で膝をついた。

「夜那。久しぶりだね。憶えてる?」

その声に私は思わず顔を上げた。

「憐…。どうして……。」

私は驚愕した。

「今日から此処に住む事になったんだ。夜那の家の隣にね。」

憐は微笑みながら言った。

「夜那の知り合いかよ。俺は誠。宜しくな。」

誠は憐と握手を交わそうとした。

「…うん。宜しくね。」

一瞬、憐が誠を睨んだ様な気がした。

気のせい?

憐は手を差し出し握手をした。




さ、シークレットボーイが登場したのですが・・
いかがでしょうか?

一応、紹介だけしておきます。

・夜霧 憐 (男)

 一人称「僕」

これぐらいです。

ではでは。

91:2011/10/29(土) 12:58:02 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
episode.2 疎遠

「夜那さんって言うのですか。」

憐の隣に居た40代ぐらいの女の人が言った。

「はい。」

私は言った。

「私は憐さんの家政婦をしております。」




いよいよ第2章突入です!!!

たぶんヤバイ展開になると思います!!

92:2011/10/29(土) 13:14:00 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
お知らせ。

レス100は取らないでください。

強引で我侭な感じですが・・・どうか許してください。

93:2011/10/29(土) 13:33:47 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
家政婦と名乗る女の人は頭を下げた。

「そうですか…。」

私は言った。

「夜那。これから宜しくね。」

憐は私に右手を上げて言った。

「うん。宜しく。」

私も右手を上げて言った。

「じゃあね。家の事があるから。」

そう言って憐は家政婦と行ってしまった。

「おい。夜那。アイツ…何か気味が悪いぞ。」

誠は肩を震わせながら言った。

「そう?気のせいだと思うよ。さ、私達も家に入ろう。朝は寒いし…。」

私は腕を擦りながら言った。

「そうだな。」

そして私達4人は家の中に入った。


その様子を、憐は隣の木の陰から伺っていた。

「…。あの二人は恋人同士なのかな?今度聞いてみようかな。」

憐は木の陰から目線を離し、家に戻っていった。

94:2011/10/29(土) 16:57:56 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
家に戻った私達4人は、靴を脱ぎ、リビングに向かい普段通りの生活を送った。

そしてその夕方。

私は自分の部屋の机でパソコンをしていた。

1日に1回日常ブログを更新するのが楽しみだった。

「今日の更新終わり。っと。」

私はブログを更新すると、パソコンの電源を切った。

椅子から立ち上がり、私は机の上にある携帯を手に持った。

携帯の使い方にも慣れてきて、メールぐらいは出来るようになった。

そう言えば…憐は携帯持ってるのかな?

今度会ったら、アドレス聞いてみよう。

その時。扉がノックされた。

「はい。どうぞ。」

私はそう言うと、扉が開いた。

「おっす!夜那。」

誠は手を上げて微笑みながら行った。

「誠。どうしたの?」

私は首を傾げながら言った。

「これ。夜那宛てに宅配便からだ。」

誠はそう言うと、小さな包装紙で包まれた長方形の箱を受け取った。

「何だろう…。」

私はまったく見当がつかづ、箱に設置されているセロハンテープを取って

真っ白な箱になった。

その箱を開けてみると、中から出てきたのは…。

「これ…。たしかスノードームってやつだっけ?」

私は誠の顔を見ながら言った。

「ああ。まぁな。てか、何で俺の顔をみて言うんだよ。」

誠は怪訝な顔をして言った。

「なんとなく…かな?」

「なんとなく…じゃねーよ!!ったく…。」

誠は地面に座り、あぐらをかいて右手で頭を掻きながら言った。

95:2011/10/29(土) 17:11:05 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「スノードームって何でスノードームにしたんだろう。」

私は考えこんだ。

お兄ちゃんはスノードームなんて興味がないはずなのに…。

でも…少しは興味があったはずだし…。

たぶんだけど…。

「今から電話してくる。真相を暴いてくる。」

私は立ち上がり、張り切りながら言った。

96:2011/10/29(土) 19:49:58 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「待てよ。そんな事…また今度でも出来るだろ。。」

誠はそっぽを向きながら言った。

「そうだけど…。今しなきゃ忘れるかもしれないじゃん!だから言ってるんだよ。」

私は頬を膨らましながら言った。

「ずいぶんと反抗的だな。夜那。以前はオドオドしてたぐらいなのにな。」

誠は笑いながら言った。

「…そんな事ないよ。。」

私は視線を逸らしながら言った。

「……。ま、いいか。」

誠はそう言って立ち上がり、窓に向かい窓を開け、空を眺めた。

涼しくて冷たい風が入って来る。

「何で窓開けるの?寒いのに…。」

私は誠に言った。

「空を見ると落ち着くからだ。悩み事とかも全てまっさらにしてくれるような気がするから。」

誠は空を眺めながら言った。

空を眺めると、忘れられる?

嫌な事や悩み事も無くしてくれるの?

それなら一層…楽になりたいよ。

そしたら私は救われる?

「夜那?」

誠は言った。

でも私は俯いて答えない。

97:2011/10/29(土) 19:58:31 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は手を握り締めた。

顔から涙が零れてくる。

私の髪が風で揺れる。

とても悲しいかった。

私の心の渦は何時しか大きくなっていくのを感じた。

また運命を背負わなくてはならない?

死ぬ事を考えると辺りが怖くなる。

幻覚を見ているように身体の震えが止まらなくなる。

どうすれば…。

「夜那!!」

誠の怒鳴り声に私は我に返った。

「な、何?」

私は震えた声で顔を上げた。

誠は私に人差し指を向けてただ一言こう言った。

「悩み事があるなら、俺に相談しろ!!一人で悩んでも闇が深くなるだけだ。
 たしかにお前の問題を解決するのは自分自身でするしかない。前にも言ったはずだ。
 俺は盾となる事が出来る。お前を支える事は出来るって。言っただろ?
お前はまた弱くなるのか?あの時みたいに…。半年前みたいに…。お前は
 強くなれる!!一人じゃないんだ。」

誠は言った。

98:2011/10/30(日) 10:01:33 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
お知らせ。

今日は更新出来ないかもしれません。

少し家の事情で帰って来るのが夕方前後なもんでw

99:2011/10/30(日) 11:26:40 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
強く?まだまだ強くなれるって事?

一人…。孤独じゃないんだ。

私には仲間が居る。

誠や誠のお父さんとお母さん…お兄ちゃん。後、憐。

私は顔に手を当てて大声で泣き叫んだ。

予知夢の事もあるけど…それを克服しなきゃ…。

いつまでも悩んでは駄目だ。

悩んでいてはいつか闇に取り込まれてしまう。

私は右手の拳を左手で握り締めた。

「今の内に泣いていた方がいい。気分がすっきりするだろ?」

誠は私の背中を摩りながら言った。

「…うん。そうだね。」

私は握り締めていた手を離した。

「誠。私、決めたよ。」

私は未だに俯きながら言った。

「何だ?」

誠は尋ねた。

「もし今夜、予知夢がまた現れたらその真相を暴こうと思う。
 予知夢は私に何を伝えようとしているのか。それが気がかりで…。」

私は腕組みをして言った。

「そうか。俺に手伝って欲しい事はあるか?」

誠は聞いた。

「別にないよ。ただ傍に居てくれればそれでいい。」

私は横を向いて笑みを浮かべて言った。

「分かった。」

誠は優しく私に問いかけた。

「でも現れないかもしれないから覚悟しておいてね。」

「分かった。覚悟の上だな。」

誠は仁王立ちをして私に向かってグットサインを出した。

私は苦笑いをして同じくグットサインを出した。

100:2011/10/30(日) 11:28:05 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
100レス達成しました!!!!

ペースが速くてすみません。

超暇人なもんでw

でも、これからも「蝶が舞う時に… ―絆―」をお楽しみにw

101そら ◆yC4b452a8U:2011/10/30(日) 11:29:15 HOST:p180.net112139158.tokai.or.jp
100おめでとうノ
これからもがんばってねノ

102:2011/10/30(日) 11:30:51 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
そら>>thanks.

これからも応援してください(@^^)/~~~

103:2011/10/30(日) 11:48:35 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「一つ聞いていい?」

私は誠に聞いた。

「何?」

誠は首を傾げながら言った。

「憐の事なんだけど…。誠は何で気味が悪いって言ったの?」

「…。アイツ…俺と握手した瞬間、笑いあがったんだぜ?気持ちわりーぞ。
 アイツには注意が必要だ。何考えてるかさっぱり分からないからな。」

誠は真剣な顔で言った。

「笑ってた?そうなのかな?私には2人が握手した時、憐が誠を睨んだように見えた。
 気のせいだと思うけど…。注意が必要なのかな?」

「さぁな。もう少し様子を見た方が良さそうだな。」

104:2011/10/30(日) 19:16:47 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
誠は言った。

「そうだね。でも…何か悲しそうだった顔だった。」

私は言った。

「アイツには気をつけろ。何かを企んでいる様子だったからな。」

誠は真剣な顔で言った。

「企んでる?私達の中を切り裂こうとしてるとか…。」

105:2011/10/30(日) 20:03:54 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は冗談半分に言った。

「そんな事なら俺が許さん!!人の彼女を奪うなんて心が汚れてる証拠だっつーの。」

誠はそっぽを向きながら言った。

「まぁまぁ。そう怒らずに…。まだ確定じゃないし…。冗談で言っただけだし。」

私は言った。

「…お前まさか…憐が好きじゃねーのか?」

誠の言葉に私は一瞬硬直した。

「えっ…。そんな事ないよ…。」

私は笑いながら言った。

「嘘。絶対好きだろ。顔で分かる。」

誠の図星に私は手を握り締めた。

106:2011/10/30(日) 21:01:09 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
「…友達として好きになっただけ。憐の優しさに触れたのはあの時が初めてだった…。」

私は腰を下ろして地面に座り込んだ。

「あの時?」

誠も地面に座り、私と対面する形に座った。

「うん…。半年前。誠が病院に入院してる時にね。出会ったの。
 その時の憐の雰囲気は少し暗かった。」

107:2011/10/30(日) 21:23:09 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
私は顔の視線を落として言った。

「でも憐は事故で片目を失った子なの。で2日後に退院していった。ちゃんと片目に
 義眼を入れてもらってね。憐はとても優しかった。そんな所が好きになったのかな…。」

「…そうか。でも良かった。恋愛感情じゃなくて。」

誠は言った。

「何で?」

私は聞いた。

「だって恋愛感情なら浮気なるだろ。だからさ…。」

誠は少し照れながら言った。

「そっか。言われて見ればそうだよね。でも…これからいつでも憐に会えるんだ…。
 嬉しい。」

私は嬉しくなって地面に仰向けになった。

「身勝手で暢気だな。夜那は。」

誠は呆れた顔で言った。

「身勝手は余計だよ。このまま寝ようかな…。」

私はあくびをしながらそう言った。

「寝たら風邪引くぞ。せめてベッドで…。」

誠が問いかけたが、私はすでに寝息を立てていた。

「何だよ…。人の話も聞かずに…。ったく…。」

誠は、そう言うと私の唇にそっとキスをした。

108:2011/10/30(日) 22:06:50 HOST:zaqd37c5e4d.zaq.ne.jp
―――――…

「…。」

私は無言で目を開けた。

そこは白の世界。

前回来た場所と同じだった。

ここで真相を暴く。

私はそう心の中で呟いた。

「夜那。」

その声に私は振り返った。

「憐…。」

私は低い声で言った。

「君が此処に来た理由は分かってるよ。この夢の真相を知りたいんでしょ?」

憐はそう言うと少しずつ私に近づいてきた。

109:2011/10/31(月) 15:40:45 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「それが何?何だって言うのよ!!!」

私は両手を握り締めながら言った。

「ま、いずれ分かる事だよ。この夢が君に何を伝えているか。でも一つだけ言っておくね。
 僕は必ず夜那を手に入れるから。」

憐はそう言って立ち去ろうとした。

「手に入れるって…どう言う事なんだ!!」

私は強気で憐に言った。

「そんなの自分で考えなよ。じゃあね。夜那。」

憐は薄く笑い、私から立ち去った。

憐の様子が違う。

別人に見える。

でもこれは夢なんだ。

でもこの夢は本当に予知夢なの?

私は胸を右手で握り締めた。

もし…予知夢ではないとしたら?

何だろう。

疑問が心の中に残る。

……。

分からない。

その時。頭に痛みが走り私は地面に倒れこんだ。

夢が解けるんだ。

私はそのまま目を閉じて意識を失った。

110:2011/10/31(月) 16:25:57 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
―――――…

「ん…。あれ?」

私は目を覚ますと、横には誠が寝息を立てて眠っていた。

そう言えば唇が温かい。

気のせい?

私は上半身だけを起こして唇を触りながら思った。

「夜那?」

横に振り向くと誠が優しく微笑んでいた。

「あ…起こしちゃった?ごめん。。」

私は頭を下げる前に誠が私を正面から抱擁した。

「ちょっ…。誠。。」

私は身動きが取れない状態で唸った。

でも誠は強く抱きしめるだけで何も喋らない。

「……。もう離したくないんだ。アイツにも取られなくない。」

誠のその言葉に私は硬直してしまった。

「誠…。」

111:2011/10/31(月) 17:49:49 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私はその言葉を受け止めようと誠の背中に手をあてた。

「憐は友達として好きなだけだから。大丈夫だよ。」

私は落ち着いて言った。

「だから余計心配になる。その感情が恋愛になったらどうなるか分かってるのか?」

「そんなのまだ分からないよ!!そんなのまだ…。」

私はそう言った瞬間、身体の力が抜けた。

「おい!!夜那!!」

誠が私に問いかける。

でも身体の力が入らない為、声も出せない。

声が出せない。

手や足の力も入らない。

私はそのまま気を失ってしまった。

112:2011/10/31(月) 18:11:09 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
―――――…

「…。此処は?何処…?」

私は何処かの部屋の一室に居た。

服は何処かの高校の制服だった。

紺色のブレザーに胸元には高校の紋章みたいな物があり、スカートは黒の膝までのスカートで

靴は上履きで、靴下はニーソだった。

何でこんな所に?

て言うかこれは夢?

疑問が次々に浮かんでくる。

その時。突き当たりの扉が突然開いた。

「憐…!!?どうして此処に…。」

私は勢いで言った。

「今日は気持ちを伝えに来たんだ。」

良く見ると憐も制服だった。

私の制服の男性用っぽかった。

「気持ち?」

私は尋ねた。

「うん。聞いてくれる?」

憐はそう言うと、私はうん。と返した。

「僕は夜那が好きだよ。」

憐の素直な答えに私は黙った。

いくら夢でも私には…。

私は両手を握り締めた。

「ご…ごめんなさい!!!私にはそんなの…無理です!!」

そう言って私は必死に何回も頭を下げた。

「…。そっか。。駄目か。」

113:2011/10/31(月) 20:20:47 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
憐は言った。

「それは…誠が居るから?」

憐の言葉に私は答えられなくなってしまった。

「えっ…。それは……。」

私は戸惑いながら言った。

「Je t'aime。フランス語で、“僕は貴方を愛している”って意味さ。」

憐は一歩ずつ私に近づきながら言った。

「je t'aime…。それが憐の今の気持ちなの?」

私は言った。

「うん。僕の気持ちは変わらないよ。」

憐はそう言うと軽く私を抱擁した。

夢の中で抱擁はあまり慣れてない。

理由は分からないけど…。

「嬉しい?」

憐は優しく私に問いかけた。

「嬉しい…。そんな感情なんて私には感じられない。」

私は言った。

「どうして?僕じゃいけない?」

憐はそれでも優しく問いかける。

「いけない訳じゃないけど…。私は誠が好きなんだ。誠は私を助けてくれた。
 私に勇気をくれた。だから…絶対に手放さない。譲れない。だから
 誠は私にとって大切な存在なの。」

私は天井を見上げながら言った。

「…。でも僕は夜那が好きだよ。誠とはライバルだね。」

憐は私の身体から離れ、そう笑顔で言った。

「そうだね。」

私は言った。

114:2011/10/31(月) 20:44:22 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「じゃ、僕は行くね。また会えるのを楽しみにしてるよ。」

そう言って憐は立ち去ろうとした。

「ま、待って!!」

私は憐を追いかけようと一歩踏み出した瞬間、地面に大きな落とし穴が出来た。

落とし穴と言うか…何処までも落ちていく暗い底なし沼状態に近かった。

私はそこに足を踏み込んだ為に、その穴に落ちかけた。

でも間一髪、穴の淵に片手をかけて、落ちないようにした。

「憐、助けて!!」

私は憐に助けを呼ぶが、憐はただ見てるだけで助ける素振りを見せない。

115:2011/10/31(月) 21:17:09 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「此処の僕は夜那を助ける事は出来ない。情けないよね。
 愛してる人なのに…。」

憐は俯いて言った。

「そんな悲しい事言わないで…。」

私の手も限界だった。

少しずつ手が開いていく。

もう…だ…め……。

最後の指が淵から離れた時…憐は静かに私の頭を押さえ抱擁した。

意識が朦朧とする中…憐はごめん。と呟いた気がした。

その言葉が私にとっては嬉しくて瞳から一筋の涙が零れた。

そのまま私と憐は真っ逆さまに下に落ちていった。

116:2011/10/31(月) 22:10:43 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
――――…

「此処は…。」

私は辺りを見回した。

「夜那?起きたのか?」

横には誠が笑顔で居た。

「此処は…。現実?」

私は途切れ途切れに言った。

「ああ。此処はお前の部屋だ。で、ベッドの上だ。また夢を見たのか?」

誠は言った。

「…うん。凄くリアルな夢だった。今までとは全然違う。」

私は前を向いて言った。

「どんな内容だったんだ?」

誠は顔に手を添えて言った。

「…憐に告白される夢だった。とても胸が痛いの…。締め付けられるぐらいに…。」

私は胸を押さえながら言った。

「そうか…。でも何で告られる夢なんだ?今までの夢とは違うって何が違うんだ?」

誠は尋ねる。

「それはまだ言われない。それよりも今から憐に会いに行く。少しでも真実を確かめたいんだ。」

私はベッドから立ち上がり、クローゼットからハンガーにかけられたマフラーを取り出した。

私はそれを首に巻いて、向かう支度をした。

「それで行くのか?風邪引いても知らねーぞ。念のために俺も同行させてもらう。」

誠はそう言うと立ち上がった。

「いいよ。誠が居ると落ち着くし。」

私はそう言って部屋の中のハンガーにかけてあったダッフルコートを着て、
ボタンを留めた。

「夜那。少し待っててくれ。」

そう言って誠は私の部屋を出て行った。

数分後…。

誠は私があげた桃色のマフラーを手に戻って来た。

「それ…私があげたマフラー。。」

「ああ。夜那の温もりが伝わってくると言うか…。」

誠は言った。

「それって褒めてるの?」

私は言った。

「ま、どっちでもいいし。さ、行くぜ。」

誠はそう言って私の腕を引き、誠と共に部屋を出た。

部屋を出て階段を下り、玄関で靴を履いて、ドアに手をかけて扉を開いた。

外はそれほど寒くなかった。

風も吹いていない。

穏やかな風景だった。

私は無言で憐の家まで走り出した。

理由なんてない。ただ真実が知りたいだけだった。

「おい!夜那!!」

後ろから誠が追いかけてくる。

私は憐の家の前に行くと、インターホンを鳴らした。

インターホンを鳴らすと、憐が出てきた。

「夜那…。どうして…。」

憐は戸惑っていた。

「今日は少し聞きにきたの。貴方の事を!!」

私は憐に向かって指を指した。

「何の事を聞きにきたの?」

憐は言った。

「貴方の気持ちよ。私の事をどう思ってるかを聞きに来たの。」

私がそう言うと、憐は俯いた。

117:2011/11/01(火) 16:45:47 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「どう思ってるって…そんなの何で聞くの?」

憐は震えながら言った。

「聞きたいから。貴方が思ってる事によって選択肢が変わる。」

私は言った。

「…好きだよ。半年前から夜那の事が忘れなれなくて…だから此処に引越して
 来たんだよ。」

憐がそう言うと、開けていた玄関の扉から黒い蝶が出てきた。

あれは…。黒い蝶!!?

どうして…。

「どうして憐が蝶を…。」

私は大きく目を見開いた。

「驚くよね。ま、無理もないか。この蝶については今度話してあげるよ。」

憐は不気味な笑みを浮かべながら私に近づいた。

「誠。帰ろう。憐が怖い…。」

私は誠の左腕を触りながら言った。

「…。」

誠は無言で動かない。

「お前…。憐に真実を聞くんじゃねーのか。怖気づいて逃げ出すつもりだろ。
 そんなんじゃいつまでたっても相手の思うつぼだ。」

誠は冷たい視線で私に言った。

そうだそうだ。私は真実を聞きに此処に来た。

夢の事を少しでも聞きだす為に…。

「憐。一つだけ聞いていい?」

私は誠の腕から手を離して、憐に近づいた。

「何?」

憐は言った。

「憐は…何か身の回りであったりする?」

私は言った。

「あったよ。不思議な夢を見るんだ。最近は…。」

憐はさらりと言った。

「どんな夢?」

私は疑わしい顔で言った。

「夜那が出てくる夢。昨日は夜那が告白してくる夢を見た。とても嬉しかった。」

告白…!?

それは今日見た夢…。どうして?

まさか夢がリンクしてるとか…。

憐は私のサイドの髪を触り始めた。

私は思わず目を瞑った。

「夜那。アドレス交換しない?」

憐は優しく問いかけた。

「いいよ…。」

私は少し緊張しながら言った。

私はコートのポケットに手を入れてケータイを取り出した。

ケータイを取り出すと、憐は貸して。と言った。

私は、うん。と答えて渡した。

憐は私のケータイを開き、赤外線の画面にした。

「持っていて。」

憐にそう言われ私はケータイを両手で持った。

憐とアドレスを交換すると、憐は微笑んだ。

「ありがとう。これで夜那といつでも連絡が取れる。」

憐はそう言うと私を抱擁した。

「ちょっ…。憐。」

私は憐の身体を引き離そうとした。

でも離れない。

「おい!!」

誠の人声で憐は我に返った。

「…ごめん。つい……。」

憐はそう言って私の身体を離れた。

「でもいつか夜那を僕の物にするから。覚悟しておいてね。」

憐はそう言って誠の所に行った。

「君には負けないから。君と夜那は吊り合わないっていつか証明してあげるよ。」

憐は笑みを浮かべて誠に言った。

「俺も負けないからな。てか、人の彼女を取るなんてな最悪な奴だって事を
 教えてあげるからな。そっちも覚悟しておけよ!!」

誠は腕を組み言った。

118:2011/11/01(火) 17:10:10 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
憐と誠は互いを睨んだ。

「ちょっと二人とも…。」

私は止めに入ろうと思ったが、常に二人の周りの空気が険悪みたいに渦を巻いているようだった。

「夜那。帰るぞ。」

誠は顔をだけを憐に向けて、私の方向に右手を差し出した。

「うん…。」

私はその手をしっかり握った。

「じゃあな。憐。」

誠は怒った表情で憐に言った。

「じゃあね。誠。」

憐はそれでも笑顔で言った。

そうして私と誠は家に戻っていった。

その様子を見ていた憐は涙を流した。

「どうして…誠を見るの?僕の事もちゃんと見てよ…。」

憐は涙を浮かべながらそう呟いた。

119:2011/11/01(火) 17:52:45 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私と誠は家に戻ると、玄関で誠のお母さんが迎えてくれた。

「何処に行ってたのよ!!誘拐でもされたらどうするのよ!!」

誠のお母さんは私と誠を強く抱擁した。

「ごめんなさい。」

私は素直に謝った。

「大丈夫だよ母さん。俺が居るから。」

誠は軽い口調で言った。

「だから余計心配なるのよ!!でも…無事で良かった。」

誠のお母さんはそう笑顔で言った。

120:2011/11/01(火) 17:53:16 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
今日の更新はこれで終わりです。

ではではまた明日ですww

121:2011/11/01(火) 22:57:59 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「母さん…苦しい。」

誠は苦しそうに言った。

「あら。ごめんなさい。」

そう言って誠のお母さんは離れた。

私はすぐさまに2階へ向かった。

「夜那ちゃん!?」

誠のお母さんは叫ぶ。

「大丈夫だ。精神的な面じゃねーから。」

そう言って誠は私の後を追いかけた。

私は自分の部屋の窓から景色を見ていた。

窓からは冷たい風が入って来る。

いくら寒くても景色は見たかった。

どうして憐が黒い蝶を…。

これだけが頭に残って仕方が無かった。

私の青い蝶は何処へ行ったの?

そう思って空を眺めて居ると、何かがこっちに向かってくる影が見えた。

「あれは…。」

私は窓から右手を伸ばした。

それは青い蝶だった。

青い蝶は私の所に来て、右手の人差し指に止まった。

不思議と涙は出ない。

幻じゃないんだね。

私はそう心の中で思った。

「良かったな。夜那。」

その声に後ろを振り返ると、誠が笑みを浮かべながら部屋の灯りをつけた。

「誠!?いつからそこに…?」

私は驚愕した表情で言った。

「さっきから。」

誠はさらりと言った。

122:2011/11/02(水) 14:52:16 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「そ…っか。。」

私は再び景色に目を戻した。

「でも良かったな。戻ってきてくれて。」

誠は私の傍に来て言った。

「うん。」

私は俯いた。

「どうした?嬉しくないのか?」

誠は聞いた。

「憐は…。憐はさ…どうして黒い蝶を持ってたの?」

私は窓の溝に縋りついた。

「それはまだ分からねーだろ。謎に過ぎん。」

誠は言った。

「もう…何が何だか分からないよ…。」

私は地面に座り込んだ。

「夜那。」

誠はしゃがみ込み、私に問いかけた。

「何…?」

私は聞いた。

「お前はどうしたいんだ?」

誠は真剣な眼差しで私に言った。

「えっ…。」

私は一瞬硬直した。

「お前は俺にどうして欲しい?憐の事はたしかにあるが…。それ以外の面でもあるだろ。」

「どうして欲しいって…そんなの、ない。今は憐の事で頭がいっぱいだから。」

私は顔を逸らした。

「…そんな事今は考えるなよ。忘れさせてやる。」

誠は私の左手手首を握り締め、私の唇にそっとキスをした。

私は静かに目を閉じた。

たしかに憐の事もあるけど…。それはまた今度考えよう。

今は…この瞬間を大事にしたい。

まずは…あの予知夢の謎を解くしかない。

誠の唇が離れると、誠は優しく私を抱擁してくれた。

もう予知夢も怖くない。

怖かったら泣けばいい。

そう私は思った。

「…今からまた予知夢の真相を暴いてくる。」

私は誠の耳元で呟いた。

「なら、俺も行く。」

誠の意外な言葉に私は動揺した。

「でも…どうやって?」

私は聞くと、誠は私の身体から離れた。

123:2011/11/02(水) 15:15:37 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「思ったんだけどさ。憐も夜那も不思議な夢を見るんだったら俺にも見れるんじゃねーかって。
 思うんだがな。」

誠はそう提案した。

「そう単純な発想でいいのかな…?でもどうやって見るの?その夢を。」

私は聞いた。

「…一緒に寝るとか…。」

誠は照れながら言った。

「前一緒に寝たけど…。何も起こらなかったのに?」

「…そうじゃなくて。。手を繋いで寝るとか…。」

誠はそっぽを向きながら言った。

「なるほど。その方法も有りだね。」

私は誠に向かって拍手をした。

でも誠は呆れた顔で私を見る。

「お前ってやっぱ鈍感すぎ…。」

誠はため息をついて言った。

「そう?じゃ、さっそく寝よう。」

私はそう言って地面に寝そべって仰向けになった。

「身勝手すぎ…。他人事みたいに言ってさ…。」

誠は頭を掻きながら地面に寝そべって仰向けになった。

私は左手を誠に差し出した。

誠はそれに気づき、さりげなく私の左手を握る。

私は小さく深呼吸して目を閉じた。

誠もそれに応え、目を閉じた。

124:2011/11/02(水) 16:15:10 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
―――――…。

「…な。夜那…!!」

誰かが私を呼んでいる。

私は目を開けると、一瞬、視界がぼやけた。

「夜那…。大丈夫か?」

その声に私は横を向いた。

「誠…。」

誠は右手を差し伸べてくれた。

私はその手を握り、身体を起き上がらせた。

「夢の中に入れたんだね。誠。。」

私は明るく言った。

「ああ。ま、第一段階クリアってやつか。」

誠はズボンのポケットに手を入れながら言った。

私の服は前回と同じ制服だった。

部屋も前回来た所と全く同じだった。

誠の服も前回憐が来てた制服と同じだった。

「憐…。来るかな?」

私はそう言った。

「さぁな。気軽に待っておけば来るんじゃね?」

誠は近くにあったパイプ椅子に座りながら言った。

「何気に何座ってるの…?」

私は肩を下ろして言った。

「いいだろ。別に…。」

誠が言った瞬間、部屋の扉が開いた。

「また会えたね。夜那。」

現れたのは憐だった。

憐は夜那の姿を見ると、すぐさまに駆け寄った。

「よ!憐…。」

誠は左手を上げながら笑顔で憐に言った。

憐は誠の存在にやっと気づいたのか舌打ちをした。

「何で誠が居るの?」

憐のその声はイラついているのかとても低い声だった。

「私が呼んだの。だから気にしないで…。」

私は必死に憐を説得した。

「夜那がそう言うなら…従うけど。。」

憐はそう言うと微笑んだ。

「今日も聞きたい事が合って来たの。」

「聞きたい事って?」

憐は首を傾げる。

「黒い蝶の事…。どうして憐は黒い蝶を持っているの?それが頭に残って 
 しかたがないから。知りたいの!!」

私は憐に近づいて言った。

「Je t'aime…。って言ってくれたら教えてあげるよ。黒い蝶の事を…。」

憐はそう言って私に近づいた。

「!!?……。」

私は言葉を失った。

言いたくない。

私が愛してるのは…誠。ただ一人だけなのに…。

胸が痛い。

ただ友達としての好きが…恋愛感情に変わったらどうなるの?

そうなったら誠は絶対怒るよね。

憐は…嬉しくて、はしゃいだりするのかな?

125:2011/11/02(水) 16:26:30 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
そんなの……私……。

私は手を握り締めた。

「…ごめん。憐……。言われない…。そんな事言ったら、誠が…誠自身が
 傷づく。憐は知らないかもしれないけど…。誠はずっと私に尽くしてきた。
 半年前からずっと…。ううん。出会った時からずっと。。私は、憐が好きだよ。
 でもそれは…友達として好き。恋愛感情じゃないの…。本当にごめん!!」

私は頭を深く下げた。

「…僕は今からそうして尽くしていくつもりなのに…。誠に先越されて…。
 やっと尊敬出来る人に出会えたと思ったのに……。これじゃ何も残らない。」

憐は俯きながら言った。

126:2011/11/02(水) 17:21:32 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
えっ…。

尊敬?

私を…?

「尊敬って…私尊敬されるような事なんてやってないのに…。」

そう何気に言うと、憐は笑顔で微笑んだ。

「そんな事ないよ。夜那の存在全てが尊敬みたいなものだから。」

憐は優しく私に問いかけた。

「……。そんな事言われたらこっちまで恥ずかしいよ。でもありがとう。」

私は笑顔で憐に返した。

「憐…。お前どう言うつもりだ?」

誠は足を組みながら憐を睨んだ。

「どうって?」

憐は笑顔で返す。

「Je t'aime…。って…“私は貴方を愛してる”って意味だよな。
 お前には魂胆があると俺は考えてる。ま、それは俺の憶測に過ぎんがな。」

誠は淡々と言った。

「それが何?」

憐は冷たい視線で誠を睨んだ。

「いや。別に?」

誠は言った。

127:2011/11/02(水) 20:25:16 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「Je t'aimeの意味…知ってたの?」

私は誠の顔を覗きこみながら言った。

「ああ。まぁな。」

誠は言った。

「夜那はどうして誠だけを見るの?僕の方も見てよ…。」

憐は泣き顔で言った。

「憐の事もちゃんと見てるよ!私は人に対して特別な扱いとかそんなのないから!!」

私は言った。

「…嘘。僕の存在は夜那の視界から消えてるんだぁぁぁぁ!!!!」

憐はそう泣き叫びながら言うと私の視界がぼやけた。

その時。私と誠の足元に穴が出来た。

でも間一髪、穴の淵で誠は手をかけてくれた。

「大丈夫…か?夜那…。」

誠は途切れ途切れに言った。

「うん…。」

誠の右手がたった一つの命綱だった。

つまり私と誠は穴の淵にぶら下がっている状態だ。

憐は未だに泣き叫んでいる。

「夜那はまだ大丈夫か…?耐えれるか?」

誠は私の方に振り返って言った。

「うん。体力には自信ないけど……。でも何とか耐えてみせる。誠は大丈夫なの?」

私は心配しながら言った。

「大丈夫だ…。俺はそんなやわじゃねーから。」

誠は息を切らして言った。

相当息切れが激しい。

落ちるのは時間の問題かと言った所だ。

「そのまま落ちてよ。誠。」

憐は泣きやみ、冷たい視線で誠に言った。

「落ちねーよ。お前みたいに汚い奴じゃねーから。」

誠は笑いながら言った。

「そんなに言うなら指を折ってやるよ。」

憐はそう言って穴の淵にかけている誠の右手を靴で踏み潰した。

「……っ。。」

さすがに誠にとってこの行為には限界を感じた。

指が少しずつ離れていく。

やがて全ての指が離れて、私と誠は穴の中に落ちて行った。

128:2011/11/02(水) 20:45:29 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私と誠が穴に落ちていく瞬間を見た憐は不気味な笑いを浮かべた。

「あーあ。落ちちゃった…。」

憐は穴の中を見つめる。

何処までも続く深い闇。

「中々厄介な敵だね。排除するのにもう少しかかるね。」

憐は穴の周りにしゃがみ込み、穴の中を眺め続ける。

129:2011/11/02(水) 21:00:03 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「そう今回の夢は逃げられないよ。覚悟しておいてね。夜那。」

憐はそう言うと穴から立ち去った。


―――――…

穴の中に落ちていく。

そう言う状況は慣れてない。

だから余計、不安感が増す。

私と誠の握っている手は離れない。

離れたりしない。絶対に!!

怖いけど…進まなければならない。

私は深い穴の真正面を見る。

まだ出口には辿り着かない。

このまま何処まで落ちていくのか見当がつかない。

「大丈夫だ。夜那。絶対出口はある。そう信じろ!」

誠の言葉に私は頷いた。

やがて光は見えてきて、落ちていく速度は緩まった。

どうして緩まったのかは知らないけど…。

やっと出口だ。とそう思った。

私と誠は地面と思う所に降り立った。

降り立った所は黒の世界だった。

半年前来た所と同じだった。

辺り一面が黒の世界。

130:2011/11/02(水) 21:26:54 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
今日の更新は終了です。

明日は更新出来る回数が極端に減ります。

ごめんなさい<(_ _)>

第2章は結構長いので・・そこら辺は理解しておいてください。

131:2011/11/03(木) 08:54:55 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
今回の夢は長い…。

何かが影響してるのかな?

いつもの憐とは違う表情をしてた…。

別人みたいで少し怖かった。

「此処…でどうしろって言うんだ。ったく…。」

誠は怪訝な顔をしながら言った。

「分からない。分からないけど…。とりあえず進もう。この夢の出口を探さなくちゃならない訳だし…。」

私はそう言って一歩ずつ歩き出した。

「…分かったよ。」

誠はそう言って私の手を強く握り締めた。

「ありがとう。でもちょっと痛い…。」

私は苦笑いで言った。

「あっ…。ごめん。。」

誠は私から顔を逸らして言った。

「いいよ。さ、出口を探そう。」

そう言うと誠は私に承知してくれた。


あれからどれぐらい歩いたのだろうか…。

一向に進んでない気がする。

でも絶対出口はある。

でもこのまま迷ってしまったら…ただの迷子?

……今はそんな事考えるな。

出口を見つける事が先決なのに…そんな不安が込み上げてくる。

「夜那。大丈夫だ。不安なのは誰でも一緒。それぐらい分かるだろ。」

誠の優しい言葉が私の心の中を温かくする。

「うん。そうだね。」

私はそう言って小さく頷いた。

その時。突き当たりに青い光が見え始めた。

やっと出口なんだ。

そう私は思った。

「あれ…って、夜那の青い蝶じゃねーのか?」

誠は青い光に指を指しながら言った。

「えっ…。」

私は近くに行ってちゃんと見た。

「本当だ…。私の蝶だ…。でもどうして?」

私は青い蝶に手を伸ばした。

でも蝶は遠くに行ってしまう。

まるで“私について来て”と言ってるみたいだった。

「夜那。」

誠は言った。

「うん。行こう。きっと蝶の着いて行った先に出口がある。」

私はそう言って誠と共に蝶の後を追いかけて行った。

132:2011/11/03(木) 09:21:04 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私と誠は蝶の後を追いかけた。

青い蝶の行きついた先は――――…。


――――――…

「此処は…。現実?」

私は右目を右手の甲で擦る。

あの夢は肝心な所で途切れてしまう。

まだ真実を知ってはならない。っと伝えてるように思えた。

真実って…予知夢の真実?

じゃあの憐の別人みたいな表情は何だったの?

憐は二重人格とか…そんな所なのかな?

結構、願望強かったりして?

私はそんな事を頭で考えながら一人で悩んでいた。

「うーん。はぁ…。」

そんな声を漏らしながら誠は目覚めた。

「起きたんだね。誠。」

私は誠の顔を覗きながら言った。

「…ああ。さすがに寝起きはキツイ…。はぁ…。」

誠は上半身を起こして背中を壁につけた。

「憐の表情が別人だった。あれは本当に憐自身だったのかな?」

私は言った。

「さぁな。むやみに聞くのはあまりいけねーと思うが…どうする?」

誠はあぐらを掻いて言った。

「今の所…様子を見ようと思う。憐は私の大切な友達ながら。
 何かに悩んでいるんだったら絶対助ける。そう決めたから!!」

私は立ち上がって胸に手をあてて言った。

「……そうか。明日から頑張れよ。」

誠は私の頭を撫でて立ち上がった。

133:2011/11/03(木) 09:22:38 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
訂正です。

夜那の言葉に「大切な友達ながら」の「な」を「だ」に

変えておいてください。

宜しくお願いします!!

134:2011/11/03(木) 09:47:21 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「うん!!」

私はそう言うと私の部屋の扉がノックされた。

「はい…。どうぞ。」

私は言うと扉が開いた。

「夜那ちゃん。今日は隣の夜霧さんの家庭と歓迎会をするんだけど…
 準備を手伝ってくれないかしら?」

赤のギンガムチェックのエプロンをした誠のお母さんは言った。

憐は家に来るの?

普通に接して居れば大丈夫だよね?

私はそう思った。

「じゃ手伝う。誠も手伝ってよ。」

私はそう言って誠の服の袖の裾を引っ張った。

「いいけど…。何手伝えばいいんだ?」

誠は尋ねた。

「とりあえず誠には料理を手伝ってもらうわ。結構料理は得意でしょ?」

誠のお母さんの言葉に誠は動揺した。

「…得意じゃねーよ。別に……。」

誠はつい顔を逸らす。

「あらあら。照れちゃって。夜那ちゃんと共同でやりなさいよ。」

誠のお母さんの提案に私と誠はもちろん賛成した。


そして私と誠は2人で階段を下りてリビングに向かった。

部屋の飾りつけもちゃんとして、これで準備は万端だった。

それから1時間後―――…。

リビングのテーブルには数々の料理が並べられた。

中華系からフランス系まで。

まるで料理のフルコースみたいだった。

「これで終了。」

誠は最後の料理を皿に入れ、テーブルに運んだ。

「凄い…。何かとても豪華……。」

私は驚きながら関心した。

135:2011/11/03(木) 13:04:38 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「料理なんてやったの…半年振りだし…。手が鈍ってないのが幸いだった。」

誠は私にグットサインをしながら言った。

「凄いね誠は。私には一生出来ない事だよ。料理だって少し手伝うぐらいしか出来ないし…。
 そんな人が私の好きな人で良かった。」

私は満面の笑みを浮かべて言った。

「…っ。。そうか…。今日は俺の自信作ばっかだから好きなだけ食べろよ!」

誠は着ていた黒のエプロンを外しながら言った。

「でも今日は歓迎会だから…そんな張り切って作ってよかったのかな?」

「良かった。って思っておけばいいんじゃね?そんな事より憐の事をよく観察しとけよ。」

誠は言った。

「分かってるって。それぐらい。でもそれってある意味調査の一環みたいな物なの?」

私は言った。

「そう言われてみればそんな感じだな。でもこれってストーカー行為に当たらねーか?」

誠は笑いながら言った。

「当たらない当たらない。そう思っとけばいいって。」

私も笑いながら言った。

それから2時間後――――…。

憐は来ない。

誠のお母さんは憐の家に電話したが、不在だった。

「お母さん。憐は来ないの?」

私は聞いた。

「ええ。家に電話したけど不在みたいで。せっかく部屋の飾りつけもしたのに…。
 しょうがないわ。3人で楽しみましょ。」

誠のお母さんはそう言って椅子に座った。

「母さん…。父さんは?」

誠は尋ねた。

136:2011/11/03(木) 13:31:04 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「お父さんなら昼の仕事があるとかで出かけたわ。今日は残業するらしいの。」

誠のお母さんは悲しそうに言った。

「そうか。分かった。」

誠はそう言って椅子に座った。

何か深刻な悩みでもあるのかな。誠には…。

私の胸の中が急に痛くなった。

誠が遠くに感じる気がした。

私は…。誠にとって邪魔な存在?

その時。私の頭にお母さんの言葉が過った。

半年前…誠はアメリカに渡って私より特別な存在が出来たかもしれない。

その言葉が急に頭に入って来た。

特別…。

じゃ私は誠の特別な人じゃなかったのかな…。

もしそうなら私は消えなくちゃならない?

私はそれでも構わない。

誠が幸せになれるのなら私は…。

私は、手を握り締めて俯いた。

「…ごめん。ご飯はいらない。。」

私はそう言って泣きながらリビングを出て階段を駆け上がった。

下から誠の叫び声が聞こえてくる。

137ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/11/03(木) 13:35:11 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

ども、ねここですノ

久し振りに一気に読んだら凄く話しの内容に吸い込まれていく感じがしておもしろかったよ!
人の小説見るのもいいもんだと改めて実感したぜ(`・ω・´)←




で、ちょっと下に書くのはあんまり良い内容ではないからなんだけど…
小説じゃなく人間関係とかそっちの方の注意です^^;

燐が友達いっぱいいるのは凄く良くわかるし、燐ノリ良いし面白いし話してて楽しいんだけどね?
人のスレで関係無い話しするどうかと思うな;(どこのスレとはいわないけど)
たまーにそういう面が見られるから気を付けてね!


これからも頑張ってくださいノ

138:2011/11/03(木) 13:40:50 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
ねここ>>あ・・・それはたまにあるw

私の場合・・話し出すと止まらんタイプやしなw

妹にも言われたし・・・。

これからは気をつけます。

でもいざとなったらまた止めてください。

たまに暴走する時もあるんでw

139:2011/11/03(木) 14:03:20 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
振り向きたくない。

振り向いたら余計辛くなる。

ごめん。誠…。

私は自分の部屋に駆け込み、鍵をかけた。

此処から離れたくない。

私はポケットからケータイを取り出した。

すると“Eメール1件”と言う言葉があった。

私はそのメールを何気に見ると誠からだった。

「何ですぐ逃げるんだよ。悩みなら俺に相談しろって言っただろ?
一人で溜め込むな。」

と書かれていた。

「…私の事……嫌いなくせに。そんな言葉言わないでよ!!」

と私は誠に返信した。

その1分後。

誠からのメールの返事が来た。

私は少し戸惑いながらもメールの内容を見る。

「嫌いな訳ねーだろ!!お前…とうとう疑心暗鬼になりやがったか。」

140:2011/11/03(木) 14:08:19 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
コメします。

第2章は結構長いです。

ネタバレは一切なしです。

でも・・憐には悲しい過去があるので・・

その辺もご理解してください。←ネタバレやんw

一応・・第5章まであります。

続編なのに第1期より長くなってしまうかもしれません。

でも・・これからどんどんヒートアップしていくので

楽しみにしておいてください。

141:2011/11/03(木) 14:37:37 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「疑心暗鬼なのかな。。分からないよ。。」

と私は返信した。

そんなメールのやり取りを1時間以上もした。

142:2011/11/03(木) 15:03:40 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
メールだと自分の伝えられない事も話せるから気が楽だった。

「聞きたい事があるの。…半年前、誠はアメリカに渡ったけど
 そこで特別な人は出来た?」

そう送ると扉の向こうから誰かがこう言って来た。

「出来てねーよ。何心配してんだよ。」

その声に私は我に返った。

「そんな事。偽りに過ぎない。」

声の主はもう分かっていた。

私は扉に背をつけてため息をついた。

「偽りの訳ねーだろ。ったく…。話の飲み込めないやつ……。」

誠は言った。

「誠には分からないよ。私の気持ちなんて…。」

私は服の裾を強く握り締めながら言った。

143:2011/11/03(木) 17:06:57 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
どうせ私の気持ちなんて誰も分からない。

私は絶望のどん底に落ちそうな気分になった。

だから怖いんだ―――…。

私はそう心の中で叫んだ。

私はそのまま地面に縋りついた。

144:2011/11/03(木) 20:11:20 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
どうしても怖い。

また私はふきだしにに戻ったのかな?

弱い自分に…。

強くなるってあの時そう誓ったのに――――…。

約束を守れなかった。

貴方の約束を…。

私はこれからどうすればいい?

私の心を満たせる者は居るの…。

私は立ち上がろうとした。

でも身体に力が入らない。

駄目…。このまま意識を失ったらまた夢から出られなくなるかもしれない。

それは嫌だ……。

145:2011/11/03(木) 20:59:57 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
誰か助けて…。

誠でも誰でもいいか…ら。。

私は右手を伸ばした瞬間、意識を失った。

私が意識を失った瞬間、私の部屋の扉が開いたような気がした。


――――…

「夜那!!大丈夫!?」

誰かの声で私は目を覚ました。

「れ…ん?どうし…。」

私が上半身を起こすと、憐は正面から私を抱擁した。

「良かった。夜那が無事で…。これでやっと二人きりになれたね。」

憐は笑みを浮かべて優しく言った。

「えっ…あっ…。そうだね。。」

私は憐の背中を持った。

温かい。

私の心の中を優しく満たしてくれる。

そんな優しい憐が私は好きなのかな?

でもそれは友達として好きで…。

恋愛としては好きでもない。普通なのかも…。

「僕は夜那が好きだよ。愛してるとも言えるね。でも夜那は誠が好きなんだよね…。
 僕はそんな二人を応援するよ。」

憐はそう言って私を強く抱擁する。

「でも今日…誠と喧嘩しちゃったから。私は邪魔なのかもしれないの…。
 誠は私以外に特別な人が出来たかもしれない。それが怖くて…。」

私は頭を抱えながら言った。

「そうなのか…。でもそれってただの思い込みじゃない?僕はそう思うよ。」

憐は私の身体から離れ、そう言った。

「でも…怖いの。今だけ一緒に居させて…。憐。。」

私は泣きながら憐に頼み込んだ。

「夜那…。もう夜那を泣かせなくないよ…。」

憐はそう言って私の左手を自分の左手と絡めて、私の唇にそっとキスをした。

憐……。

私の心の中を満たしてくれるたった一つの望み。

どうしても憐の傍に居たかった。

忘れられない愛しさが込み上げてくる。

憐の唇が離れると、憐が照れた表情を見せた。

「ずっと傍に居たい…。だからこれからも……。」

私は涙を零しながら涙声で言った。

「ずっと居るよ。夜那の為なら死んだって構わないから…。」

憐はそう言うと再び私を抱擁してくれた。

もう決めたんだ。

誠とは縁を切ろうと。そう私は思った。

146:2011/11/03(木) 21:13:52 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「この夢が覚めてもずっと一緒に居てね。絶対…嫌いなんて言わないでね。」

私は憐の身体に顔を埋めながら言った。

「僕が夜那を嫌う訳ないよ。今なら言える? Je t'aimeって…。」

憐の言葉に私はそっと頷いた。

「Je t'aime…。それが私の気持ちだから……。」

私はそう言った。

憐の言葉には偽りなんてない。

憐に着いて行けば私は…楽になれる。

そう心から思っていた。

「現実でも貴方を愛してるから…。誠とはもう別れる。もう縁を切る……。」

私は操られているように言った。

「本当?それなら良かった。これからはずっと一緒だね。」

憐はそう言った。

「うん。」

私も笑った。

「…今日は此処でお別れ。また明日待ってるよ。じゃあね。」

憐はそう言って立ち去ってしまった。

それで良かったのかな…。

心に穴が空いたようにとても悲しい気持ちになる。

147明優:2011/11/03(木) 21:23:37 HOST:i114-185-33-87.s41.a005.ap.plala.or.jp
久々のコメント♪
最近来れなくて。。。
見る時間なくて悲しい(涙
見れないときもあるけど応援してます!

148:2011/11/03(木) 21:24:30 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
明優>>全然エエよww

この後の展開がガチでヤバイって言う・・・。

ありがとう。

嬉しい。

149:2011/11/03(木) 21:29:54 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
今日の更新はこれで終了です。

今回は10回以上更新したかな?

何か昨日・・更新あまり出来ないとか言いながらバリバリ更新できましたって

言う・・変な達成感が多少残ってますけど・・;

明日も夕方から更新したいと思います!!!

なのでお楽しみに(-。-)y-゜゜゜

150:2011/11/03(木) 21:34:13 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
※お知らせ※

前前のコメで・・ネタバレで一切なしと言う事が一応取り消しと言う

形でお願いします。

何か・・ネタバレ一切なしって言った直後からすでにネタバレが・・;;

それはあまりにもアレなので・・・。

少しだけネタバレを更新していく事にしました。

と言っても公開出来る範囲だけですが・・・。

ま、何はともあれ今後とも「蝶が舞う時に… ―絆―」をよろしくお願いします!!!

151ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/11/03(木) 21:45:45 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

うあ、今日二回目のコメントです。
何回もごめんね!でもあまりにも早くコメントしたくて(´;ω;`)
言い訳にしかならないry←


燐にねここが注意したあと、すぐ直してくれて嬉しかったです(´;ω;`)
何だか注意したねここに罪悪感がry
ありがとね(`・ω・´)!

そしてお知らせのこと、了解ですノ
ネタバレ大歓迎なねここって一体ww

たくさん更新お疲れ様!
これからも頑張ってね^^

152:2011/11/04(金) 14:05:29 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私はしばらくその場で佇んでいた。

本当にこれで良かったのかな…。

誠は…どうなるの?

そんな気持ちが私の心の中に残った。

…そんな事。考えるな。

自分で決めた事なら実行に移すのみ。

私は地面に仰向けになり、目を瞑った。


――――…

「はぁ…。複雑……。」

私はそう呟きながら天井を見上げた。

誠と別れる。

私の心を満たせるのは憐だけなんだ。

私は服の胸の辺りを右手で握り締めた。

誠に何て言えばいいのかな…。

そう思っただけで身体が熱くなる。

「夜那。」

その声に私は慌てて首を横に動かした。

「誠…。話があるの。。」

私はゆっくりと立ち上がり、俯きながら言った。

「何だよ。いきなり。」

誠は聞いた。

「あの…。私と別れてほしいの。もう誠とは一緒に居られない。」

私がそう言うと誠は激怒した。

「何でだよ!!?お前は俺が嫌いなのか!?だから別れるのか!!?」

誠は怒り顔で言った。

「そ、そうじゃなくて…。私の心を唯一満たしてくれるのは憐だけだから。
 誠…本当にごめん!!」

私は頭を下げた。

153:2011/11/04(金) 14:34:11 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
ねここ>>

エエよwそんなん気にせんでもさww

気楽にいこーぜいこーぜwwみたいなw←何だよそれw

罪悪感とか気のせい気のせいww

ネタバレ大歓迎なんかw

よっしゃw

ねここの為にも頑張るぜw

154:2011/11/04(金) 17:17:59 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「ったく…。勝手にしろ!!」

誠はそう言って私を睨み、部屋を出て行った。

ごめん。誠…。

私はその場で地面に座り込んだ。

155:2011/11/04(金) 19:22:49 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私と誠はあの日以来、目を合わしていない。

まるで疎遠してしまったみたいな気持ちを味わった。

そんな日々が1週間を過ぎようとしていた。

憐は毎日家に遊びに来る。

それは嬉しかった。

気まずい日々でも憐の笑顔を見れば頑張れた。

そんな某日。憐はまた私の家に遊びに来た。

明後日には正月に入ろうとしていた頃だった。

私は今、憐と一緒に自分の部屋に居た。

憐には全て事情を話し、理解してもらえていた。

事情を話した時は、凄く喜んでいた。

そんな憐を見れてとても私は嬉しくなった。

「憐…黒い蝶の事を教えてほしいの。」

私は泣きながら言った。

「いいよ。教えてあげるよ。何から教えて欲しい?」

憐は聞いた。

「何で黒い蝶なの?蝶は人の闇で黒く変色する。それは悩んでいる事がある証拠。」

私は肩を落として言った。

「それは…その…。あるのはあるけど……。個人情報だから。」

憐は戸惑いながら言った。

「そう…。」

その時。私の扉が開いた。

出てきたのは誠だった。

「誠…。」

私は視線を逸らして言った。

「夜那。もうこれ以上調査しても無駄だ。一応、情報は取れたと言う所か。」

誠は薄く笑って言った。

「そう…はぁ…。長かったな。この芝居。」

私は立ち上がって言った。

「ど、どう言う事…。僕を騙してたの…?」

憐は震えながら言った。

「…うん。。ごめん。人を欺くにはこの方法しか無かったから。
 蝶の謎と予知夢の謎は未だに分からないけどいつか解いてみせる。」

私は憐の正面でしゃがみ込んで言った。

「…。今日はもう帰る。この事は絶対許さないから。」

憐は強く私を睨み、私の部屋を出て行ってしまった。

156:2011/11/04(金) 19:41:30 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「もう少しで蝶の真相が解けるはずだったのに…。演技力が足りなかったのかな?」

私は言った。

「そんな事ないと思うけど…。寧ろバレるかと思って冷や冷やしてたがな。」

誠は笑いながら言った。

「そう?でも憐には酷い事しちゃったな…。」

私は俯きながら答えた。

「…んな事。。気にすんなよ。それより夢の件はどうするんだ?」

誠は右手で頭を掻きながら言った。

157:2011/11/04(金) 19:57:15 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
今日の更新は終わりです!!!

何か・・変な展開ですみません><

努力してるつもりなんで・・先に謝っておきます。

そろそろ第2章は短いので・・・。

もうすぐで終わりです。

ではでは、引き続きお楽しみください!!(p_-)

158:2011/11/05(土) 13:51:10 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
「まだ真相を知ってはいけない気がする。あの夢は肝心な所で途切れてしまう。
 それは、きっと私に何かを伝えてる気がするの。」

私は言った。

「真相はまだ闇の中か…。ますます謎が深まるな。アイツには深刻な理由が
 あるんじゃねーか?」

誠は真剣な顔で私に言った。

「深刻な理由って例えば?」

「それは分かんねーけど…。知って欲しくない事とか…そんな所じゃね?」

誠は腕を組みながら言った。

「うーん。ま、いっか。いつか分かる事かもしれないし。」

私は地面に仰向けになって目を瞑りながら言った。

「夜那。」

その声に私は目を開けた。

「ひっ…。ど、どうしたの!?」

誠は私の左手首を掴んでいた。

「……っ。。」

誠は私の右肩に顔を埋めた。

「……。」

私は無言で誠の頭を撫でた。

「誠の心を満たすのは私なの…?」

私は天井を見上げてそう呟いた。

「…そうだよ。だからお前と憐が一緒に居ると胸が引きつるような痛みに
 襲われるんだ。」

誠は涙声で言った。

「…そうなんだ。私の心を満たす者は居ないかもしれない。分からないんだ…。
 ただ悲しいんだ。」

私は目から溢れる涙を右手の甲で拭った。

「俺だって悲しいさ。お前が泣いてる姿を見ると心が痛くなる。」

誠は私の肩から離れ、地面に手をついた。

「心が痛く…?私は誠の笑顔を見るたびに泣いてしまうから…。何か悩んでるじゃないかって。
 思ってしまうから…。」

私は泣きながら誠の頬に右手を当てた。

温かい…。

「これから私…誠を泣かせないから……。」

私はそう言って右手を添えてる頬にそっとキスをした。

どうしてもそれだけは言いたかった…。

悲しくても私はそう誓いたかった――――…。

私はそっと唇を離すと、誠は笑みを浮かべていた。

「これからも私の傍で笑っていてね。たとえ悲しくても苦しくても
 私と誠となら乗り越えていけるから…。」

私はそう涙を流しながら言った。

「…ああ。それからも宜しくな。」

誠は笑い顔をして私にそう言った。

159:2011/11/05(土) 13:54:03 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
訂正です。

誠の言葉に「それからは宜しくな」とありますが・・

「それから」の「そ」を「こ」に変えてください。

最近・・訂正ばっかですみませんm(__)m

後、160レスには書き込まないでください。

160:2011/11/05(土) 13:56:19 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
コメします。

第2章はこれで終わりです。

で、第3章に突入します!!!

第3章はたぶん長いと思います。

第1期より第2期の方が短くてすみません・・・。

何か展開も早くてすみませんm(__)m

でも、これからも頑張っていくので宜しくお願いします!!

161:2011/11/05(土) 14:32:49 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
episode.3 約束

心の痛みが和らいでいく。

「何か安心した。」

私は立ち上がって服についている汚れを両手で取りながら言った。

「そうか?夜那がそう思ってるだけじゃね?」

誠は呆れた顔で言った。

「そうなのかな?て言うか今、馬鹿にした気がするんだけど…。」

私は誠を睨みながら言った。

「気のせい気のせい。」

誠は笑いながら誤魔化した。

162:2011/11/05(土) 20:54:10 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
第3章スタートしました!!!!

名前は「約束」ですね。

たぶん・・誠さんの出番は少ないかもしれません。

(もしかしたら多めかもしれない・・)

憐さんの過去が明らかになる第3章だと思います。

ではでは。明日書きます。

今日は寝ます。おやすみなさ〜い(-。-)y-゜゜゜

163:2011/11/06(日) 09:33:24 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
「今、誤魔化したでしょ!!」

私は誠に指を指しながら言った。

「誤魔化してねーよ。」

誠は目を逸らして言った。

164:2011/11/06(日) 17:07:48 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
「絶対誤魔化した。私には分かる。」

私は誠のおでこにデコピンをした。

「いたっ…。地味に痛いぞこれ……。」

誠は右手でおでこを触る。

「ならもっとしてあげる。」

私は誠のおでこに2発デコピンをした。

「止めろ止めろって…。」

誠は笑いながら言った。

私はそんな誠の笑い顔が見れて嬉しかった。

165:2011/11/06(日) 21:14:29 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
今日の更新は2回だけです。

少なくてすみません。

明日は3回以上更新します!!

166:2011/11/07(月) 19:32:49 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
※お知らせ※

最近・・蝶の方を書く気になりません。

ネタはあるんですが・・・。

やる気が失せるというか・・。

なのでしばらくお休みさせていただきます!!!

ま、書く気になったら書くのでその時はまたよろしくお願いします!!!

167そら ◆yC4b452a8U:2011/11/08(火) 18:26:45 HOST:p180.net112139158.tokai.or.jp
燐の小説面白いノノ
Σえぇえ??しばらく休みになっちゃうのか‥。トホホ‥(←

168:2011/11/08(火) 18:29:49 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
そら>>そうなんさ・・。

最悪なんや・・←

いや・・・今、別の掲示板で小説を書き始めたからさ・・;;

169そら ◆yC4b452a8U:2011/11/08(火) 18:36:33 HOST:p180.net112139158.tokai.or.jp
そっか‥oyz
お疲れちゃん‥←
>燐

170:2011/11/08(火) 18:37:13 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
そら>>うんw

しかも短編って言う・・・。

171:2011/11/09(水) 17:06:54 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
※お知らせ※

復活です!!!←案外あっさり。

やっと短編の方が書き飽きたので・・・こっちの方も更新しますw←今からではないよw

最近・・第1期の方のエピローグも書いているのでそこも要チェックです!!w

172ゆめ:2011/11/10(木) 17:04:59 HOST:p2152-ipngn100102niho.hiroshima.ocn.ne.jp
来たよ〜←
ゆめも描こうかな〜って気になった♪

173:2011/11/10(木) 17:06:46 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
ゆめ>>おお!!!

久々やんかw

此処ではやけど・・・。

まさか私の小説見たんか!!?

174:2011/11/13(日) 12:47:06 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
少しお休みしますw
では。

175:2011/11/16(水) 17:29:44 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「はぁ…。いじるのやめた。」

私は立ち上がって、窓から景色を眺めた。

「お前もSだな。俺と一緒だな。」

誠は少し馬鹿にしたように言った。

「あーそうですか。私はどうせSですよ!!」

私はそっぽを向いて言った。

「何だよ冗談半分に言ったのに、本気になりやがって。」

誠は不機嫌そうに言った。

「別に本気になってないし。話逸らすけど、憐は…また私の所に現れるよね。
 真実と向き合う事がこんなに辛い。」

私は俯きながら両手を握り締めた。

「…そうだな。そこは辛抱しなきゃいけねー所かもな。」

誠は私の横に来て、背中を壁に貼り付けた。

「でももう迷いはないって決めたから。辛いけどもう少し我満すればきっと
 真実に近づける。深刻な理由も分かる。」

私は真剣な顔で正面見て言った。

両手の震えが止まらない。

怯えている。と言う事は分かっている。

これが私の弱さかもしれないけど、その弱さに立ち向かう事も大事だ。

「誠…。着いて来て欲しい所があるの。」

私は深呼吸して言った。

「そこって…。憐の所か?」

「うん。真実に背いては駄目だから。直接聞きに行く。」

私はそう言って、クローゼットに向かい、黒いコートを取り出した。

「そうか。無理だけはすんなよ。いざとなったら俺が守るからな。」

誠はそう言って私にグットサインを出した。

「ありがとう。」

私はコートを着て、机の上に置いてあった白の手袋をはめて、手を右手を握り、目を瞑った。

憐…。

貴方が何を企んでいるか知らないけど、私は貴方に嘘をついてしまった。

私にとっては初めての嘘を、憐についてしまった。

どうしても情報が欲しかったから、そうしてしまった。

許されないかもしれない。

でも許されなくてもいい。

私は目の前の真実から逃げない。

今は一人じゃない。

一人で解決出来なかった問題も今なら出来るような気がする。

私の中で起こる予知夢と憐の真相を私がこの手で解明するまで絶対私は死なない!!

176:2011/11/16(水) 17:40:57 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
お母さん…。

見ててね。

幼い記憶はもうあまり残ってないけど…。

あの手紙を見た時は、少しだけお母さんの事は知れたような気がした。

お母さんの形見なんて物はもう何処にもないけど…。

空の向こうで見守っててね。お母さん。

私は目を開けて、大きく深呼吸した。

「覚悟はもうしてる。でも普通の覚悟じゃない。決死の覚悟だ。
 不安定な気持ちで行かれないから。十分な覚悟が必要。それを今、此処に誓ってたの。」

私は胸に右手をあてて言った。

「決死…か。俺もそんな覚悟がある。お前が危険な目に逸らされても俺が全力で守る。
 そうだろ?」

誠は明るく言った。

「そうだね。さ、行こう。憐の所へ。」

私はそう言って誠の右手を握って部屋を出た。

177:2011/11/16(水) 18:02:09 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
※お知らせ※

episode 3 は短くなる可能性大です!!

何か・・展開を早くしたいもんで;;

でも全力で頑張るのでこれからも宜しくです!!

178:2011/11/16(水) 20:51:35 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「ちょっと待て。俺も着替える。」

そう言って誠は自分の部屋の扉を開けて、閉めた。

数分後。

誠は毛皮コートを着て、出てきた。

「これで大丈夫だ。」

誠は私の右手を引き、階段を下りた。

階段を下りると、誠のお母さんと目が合った。

「あらこんな時間に何処行くの?」

誠のお母さんは洗濯物を両手に声をかけた。

「憐の所に行くの。でもすぐ済むから。」

「そういう訳で母さん。後は宜しく!」

誠は右手で敬礼した。

「そう。出来るだけ早く帰って来るのよ!!」

「おう!!」

誠と私は靴を履いて、家を飛び出した。

179:2011/11/18(金) 20:01:56 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
私と誠が家を飛び出すと雪が降っていた。

私は左手を握り締めて誠の腕を引き、憐の家まで走った。

真実を知りたい。

ただそれだけだった。

憐の家の前に着いた私と誠はインターホンを鳴らした。

でもインターホンを鳴らしても憐は出て来なかった。

「留守なのかな。」

私がそう言った瞬間、後ろから誰かに声をかけられた。

「夜那さん?夜那さんじゃないですか。」

私が後ろを振り向くと、憐の家政婦さんがバックを抱えて立っていた。

「貴方はたしか憐の家政婦さん…。」

私はそう言って軽く頭を下げた。

「憐は何処に居るんですか?」

私は尋ねた。

「…憐さんは今病院にいらっしゃいます。今日は月に1回の検査の日なので。」

家政婦はそう言った。

180:2011/11/18(金) 20:10:49 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
今日は1回しか更新出来なくてすみません。

明日は3回ぐらい更新するので宜しくです。

181ゆめ:2011/11/18(金) 20:16:11 HOST:p2152-ipngn100102niho.hiroshima.ocn.ne.jp
けっこう来てなかったから話しについていけない←

182:2011/11/19(土) 11:51:58 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「ありがとうございます。」

私はそう言って病院に向かって走り出した。

「おい。夜那!」

誠の声に私は、何?と答える。

「ちょっと強引すぎないか?押しかけて行ったって本人が話してくれるかどうかだろ。」

誠の言葉に私は無視した。

「…大丈夫。心から信じればきっと話してくれる。」

私はそう誠に言った。

「お前らしい判断だな。」

誠は私の言葉を指摘した。

「ありがとう。それって褒めてるんだよね?」

私は振り返って笑顔で言った。

「どっちだろうな。」

誠は笑いながら言った。

「誤魔化したでしょ。ま、いい。今はそんな事で喧嘩してる場合じゃない。」

私は再び視線を正面に戻した。

「そうだな。今は前進あるのみだぜ。」

誠は妙に張り切りながら言った。

そんな会話をやっているとあっという間に病院に着いた。

そこは半年前、誠が一時期入院した病院だった。

半年前とあんまり変わってない壮麗な建物。

当時とあまり変わりなかった。

「着いたね。」

「だが、本当に此処で合ってるのか?」

誠は頭を掻きながら言った。

「絶対合ってる!さ、入ろう。」

私は誠の腕を引き、病院内に足を踏み入れた。

183:2011/11/19(土) 12:13:11 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
病院内に入ると、温かい風が入って来た。

「はぁ…温かい……。」

私は息を吐いて両手を擦った。

「とりあえず病室の番号を聞こうぜ。」

誠はそう言って私の腕を引き、ロビーの受付カウンターに向かった。

「あの…夜霧憐さんって此処に居ますか!!」

そう言うと受付の人は私の顔を一瞬見て手元にあるファイルのページを捲っていく。

「今は外科の方に居ますけど…。案内しましょうか?」

受付の人は立ち上がってこちらに着いて来てください。と言った。

私と誠は小さくはい。と答え後に着いて行った。

「貴方…まさか半年前の女の子じゃないかしら?」

受付のお姉さんは前を向きながら言った。

「えっ…。」

私は耳を疑った。

「ほら…憶えてない?貴方を見た瞬間、すぐ分かったわ。元気そうで良かった。」

お姉さんは振り返って笑顔で言った。

「はっきり憶えてます!!お姉さんも元気でほっとしました。」

私は嬉しい気持ちでいっぱいになった。

「そう。後、私の事は佳代って呼んでいいわ。あらそっちの男の子は彼氏?」

佳代は笑顔で言った。

「ありがとうございます佳代さん。えっ…まぁ…そうです。」

私は少し動揺しながら言った。

184ライナー:2011/11/19(土) 14:44:34 HOST:222-151-086-011.jp.fiberbit.net
お久しぶりです、コメントしに来ましたライナーです^^
最近は忙しくてコメントできませんでした。済みません(_ _;)ペコペコ

やはりいつ見ても、文章力が良いですね!
雰囲気がとても伝わってきます。
あと、新キャラでしょうか、佳代さん……まあそちらの方も活躍を期待したいと思います!

アドバイスとしては、隠喩、直喩、擬人法。この3つを使うと良いです。
隠喩とは、ある物を別の物に例える語法です。
例を挙げて、地震を隠喩化してみましょう。地が寒さに震える、地球の貧乏揺すりなどと表せますね。
直喩とは、例えば、あたかも、さながら、〜の如し、〜に似たりなどを使う語法の1つです。
例を挙げて、速く走る人を表してみましょう。さながら雷光のような走り、雷光の如し走り、とこんなふうに使えますね。
最後に擬人法です。擬人法とは、その名の通り人間以外の物を人間に例えた言い方のことです。
例を挙げて、太陽を表してみましょう。日光が温かく見守ってくれている。
以上です、これを駆使してよりよい上達を目指して下されば光栄です(というか、いつもいつも上から目線ですみません^^;)

ではではwww

185:2011/11/19(土) 16:46:35 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
ライナーs>>ご無沙汰してますm(__)m

いや・・新キャラでは無いんですよね・・

第1期の方にも出てきてるんですけどね・・。

サビキャラとして;

隠喩と直喩と擬人法・・・・。

どうも活用形?は苦手なんですよね・・。これが・・。←

少し変に解釈するかもしれませんが入れて見ます。

186:2011/11/20(日) 13:11:43 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
今日は夕方に更新します。

ただ更新率がやや低めなんで微妙です。

そこは理解の上お願いします!!

187:2011/11/20(日) 17:43:49 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「何だよ。そのぎこちない話し方は。ったくよ…。」

誠は呆れた顔で言った。

「ぎこちなくない!!これでも私は…!!」

私はそこで話を止めた。

188:2011/11/23(水) 12:03:08 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
最近、更新出来てなくてすみません。

ネタはあるんですが・・・・。

更新率がとても低くてすみません。

今日の夕方にはたぶん更新出来ると思います!!!

189:2011/11/23(水) 18:20:07 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
あっという間に憐の居る病室に着いた。

「ここよ。また何かあれば言ってね。」

佳代はそう言って去って行った。

私と誠は小さく頭を下げた。

私は扉のとってに手をかけて、思いっきり横に開けた。

病室に入ると、憐が椅子に座って景色を眺めていた。

「憐…。」

その声に憐は振り向く。

片目には包帯がしてあった。

「夜那…。何しに来たの?」

憐は本能を剥き出しにしていた。

明らかに怒っている顔だった。

「怒ってる?」

私は冷静に言った。

「別に…そうだ夜那。後で屋上に来てくれない?話したい事があるんだ。」

憐は不気味な笑みを浮かべて言った。

「いいけど…此処で話せないの?」

私は訊く。

「うん…。」

憐は笑顔で言った。

私にはその笑顔がとても悲しそうに見えた。

190:2011/11/23(水) 18:39:40 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「じゃ、屋上で待っとくね。誠。行こう。」

私は誠の腕を引こうとしても誠は動じない。

「…夜那。ごめん…。俺はお前と一緒には行かれない。1人で行って来てくれないか?」

誠の言葉に私は耳を疑った。

「何で?」

私はすかさず訊いた。

「調べたい事があるからさ。ごめん…。」

誠はそう言って立ち去ってしまった。

仕方が無い事だよね。

でも調べ物って何だろう…。

そんな事を考えながら、私は屋上へ向かった。

191:2011/11/23(水) 18:48:18 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
病院の屋上に向かうのは半年振りだった。

半年前と全然変わってないこの病院。

私は屋上に続く扉の前まで来た。

扉に手をかけて、屋上に足を踏み入れた。

屋上は冷たい風が吹いていた。

冷たい風が吹いてるだけで雪は降っていない。

192:2011/11/27(日) 18:31:34 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
と言っても寒い事に変わりなかった。

でも何で憐は屋上で話す事にしたのかな?

私はそんな事を考えながら屋上の柵に掴まる。

半年前と変わらない壮大な景色。

此処で私は誠に告白したんだよね。

“愛してる”って…。

で、指輪を渡してくれたんだ。

あの頃はとても愛おしく感じたな…。

そんな日々が忘れられなかった。

その時背後で扉が開く音がした。

私が振り返ると、憐が笑みを浮かべて立っていた。

193:2011/11/27(日) 18:42:46 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「憐…。」

私はその場に佇んだ。

「やっと話せるね二人で。」

憐の優しい微笑みに私は視線を逸らした。

「で…話って?」

私は訊く。

「そんなに焦らないで。今から話す事は僕の過去についてだよ。」

その言葉に私は動揺してしまった。

過去…。

やっぱ何かあったんだ。

そんな事が頭の中で過る。

憐は落ち着いて私に近づいた。

私は動じない。

どうしても真実が知りたい一方だった。

私と憐の距離が数メートルになると憐は立ち止まった。

憐は静かに口を開いた。

「人に過去を話すのは初めてなんだ。誰にも話した事がないから。」

憐は悲しそうな表情をしながら言った。

「どんな過去でも私はちゃんと受け止めるから。信じて…。」

私の声は微かに震えている。

「…僕は幼い時に両親を失ったんだ。昔の事はもう忘れてしまったけどそれだけは
 憶えてる。両親は僕の為に犠牲になったんだ。僕の習い事の発表会の帰り道に
 事故にあって…奇跡的に僕だけが助かったんだ…。それから叔母の家で育てられて
 5年前の今日…死んだ。」

憐は泣きながら言った。

194:2011/11/29(火) 21:08:52 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
これから更新を1週間に1回にします。

何か色々すみませんm(__)m

195:2011/12/12(月) 18:38:03 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
私は黙って憐の話を聞く。

「でも夜那に出会って僕の何かが変わった。夜那は僕の光みたいな人で
 僕の初恋でもあった。でも夜那には大切な人が居たから…きっと叶わないんだって
 思った…。だから……死ぬしかないんだよ。」

えっ…。

最後の言葉に私は耳を疑った。

死ぬ…って言った?

何で…?

私の目の前が真っ暗になる。

気がつくと憐は目の前には居なかった。

私は横に振り向くと、憐が柵の外側に立っていた。

「憐…。」

私がそう言うと憐は僅かに笑顔を見せてくれた。

「少しの間だったけどありがとう…。夜那の事ずっと好きだった。」

身体が強張って足が竦む。

「憐…!!死なないで!!」

私がそう叫んでも憐の耳には届かない。

「本当にありがとう…。さよなら。」

憐はそう言い残して柵から飛び降りた。

憐が飛び降りた瞬間、私の身体の強張りが解け、柵に掴まり下を見下ろした。

憐の姿はもう何処にも無かった。

死んだ?

そ…んな…。

私はショックのあまり地面に座り込んだその時だった。

「…な。夜那!!」

その声に私は立ち上がり下を見下ろした。

下を見ると、誠が笑顔で手を振っていた。

196:2011/12/14(水) 20:45:02 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
誠…!?

どうして下に居るの?

私は急いで屋上を出た。

数分で病院の1階にある庭に着いた。

庭に足を踏み入れると誠が憐を抱えて立っていた。

「誠…どうして……てか、憐は大丈夫なの?」

私は誠に駆け寄り、震えた声で言った。

「事情は後で。憐の方は気を失ってるだけだから大丈夫だ。
 それにしても本当に飛び降りるとはな驚いた。」

誠はそう言って上を見上げる。

「まさか…知ってたの?こうなる事を…。」

私はすかさず訊く。

「まぁな。」

誠は笑顔で誤魔化す。

197:2011/12/14(水) 20:49:18 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
注意事項

レスの200は書き込まないでください!!!

宜しくです!!!

198:2011/12/14(水) 21:07:52 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「ん…あれ?何で生きてるの?」

憐は片手で目を擦りながら言った。

「誠が助けてくれたんだよ。と言うか…何で死のうとしたの!!」

私が泣きながらそう言うと誠はゆっくり憐を地面に下ろした。

「…それは……。。」

憐は俯いて黙り込む。

「…その憐の命は…自分たった一人の命じゃないんだよ!!
憐のお父さんとお母さんが残してくれた命でもあるんだよ!!
お父さんとお母さんの残してくれた命を死ぬ事の為に犠牲にするなんて…
 人間失格だよ!!!」

私は泣きながら憐に言った。

「人間失格…?」

憐は弱々しい声で呟く。

「そう!人間失格だよ…!!今ならまだやり直せる…。やり直せるから
 一緒に頑張ろうよ…。人ってね…“盾となる人間が居れば変われる”んだよ。
 もし憐が辛い目にあったら私と誠が盾となって全力で守るから。
 私にとって憐は大切な友達だよ。。憐が死んだら私や誠だって泣くよ。
 自虐的になって…私なんか立ち直れないよ…。だから…もう死ぬなんて言わないで。。」

私はそう言うと地面に泣き崩れた。

199:2011/12/14(水) 21:14:02 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「夜那……。」

憐は地面にしゃがんでそっと頭を撫でる。

その手はとても冷たくて…何処か温かかった。

「憐…。」

私は優しく憐の身体を抱き締めた。

「ずっと辛かったんでしょ?それぐらい分かるよ…。辛くても必死に生きてきたんでしょ?
その想い…ちゃんと受け止めるから…。」

私は左手で憐の頭を撫でる。

「…ごめんね夜那……。夜那にも迷惑かけてごめんね…。
 友達ってこんなに近くに居たんだね。。忘れてた…。」

200:2011/12/14(水) 21:15:11 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
第3章クライマックスです!!!

ここから最終回までどんどんヒートアップしていくので応援してください!!

後、皆さんのおかげで200行きました!!!

これからも「蝶が舞う時に…。」をお願いします!!!

201:2011/12/15(木) 18:27:45 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
憐がそう言うと私は身体を離れた。

「…憐。これからも宜しくね。約束しよ。」

私はそう言って憐に小指を出した。

「うん。宜しく!!」

憐は自分の小指を私と絡めて笑った。

「指切りげんまん。嘘ついたら針千本飲まーす。指切った。」

私はそう言って小指を離した。

それが私と憐の約束だった。

「さ、帰ろっか。」

私はそう言って立ち上がろうとしたその時だった。

急に立ち眩みがした。

「うっ…。」

私はそのまま地面に倒れこんでしまった。

「夜那!!」

憐と誠の声がした。

何かが私を追い込もうとした。

私はそのまま気を失った――――…。

202:2011/12/17(土) 16:53:11 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
episode.4 真相

此処は…?

私は真っ暗な世界に居た。

今までの世界とは何か違う。

私の右手にはいつの間にか蝋燭が握られていた。

蝋燭は銀の小型のお皿に乗せられていてとってがついていた。

蝋燭はやたら短くて蝋が垂れてきている。

私…何で蝋燭なんか……。

「夜那。」

その声に私はゆっくりと振り返った。

「憐…。どうし…。」

「僕の過去…聞いてどう思った?」

憐が割って入って来た。

「どうって…そんなの悲しいに決まってるよ!!!
お父さんとお母さんを失った悲しみは私も分かるよ。
 私のお父さんは私を守って死んじゃったの…。
 お母さんは数年前…事故で死んじゃったの…。
 私はたとえ親を失ってもその命を背負ってこれからも生きていく。
 苦しい時や悲しい時は友達と助け合いながら進んでいくんだ。
 それが憐のお父さんとお母さんの一番の願いだったんじゃないかな?」

私は笑顔で言った。

203:2011/12/17(土) 20:25:35 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「理由もないのに何でそんな事言えるの?」

憐は冷たい視線で私を睨む。

「分かるよ。同じ生きる者として分かるの。」

私は憐に向かって右手でピースサインをした。

「生きる者か…夜那らしい答えだね。」

憐は笑みを見せて言った。

「私らしい…?それって。。」

私はそう言い掛けた時、憐はそっと私の耳元で囁いた。

「その蝋燭は僕の命の期限。もう1週間もないんだ…。
 現実の僕はまだそれに気づいてないけどね。もう夜那に逢えなくなるんだ。
 悲しいよ…。」

憐は言った。

「じゃ貴方はこの世界の何者なの?」

私は言った。

204:2011/12/17(土) 20:40:54 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「…簡単に言えば現実世界の夜霧憐と僕は対になる関係なんだ。
 現実世界の僕は“陽”、此処での僕はその“陰”。つまり僕は影となって
 此処に居る。君が現実世界の僕を救ってくれた。だからやっと僕は戻れる。
 現実世界の夜霧憐に戻れる。夜那のおかげだよ。」

憐は優しく私の頭を撫でる。

「そ…んな…。じゃもう此処へ来ても影の貴方には逢えないの?」

私は震えた声で言った。

「…そんなに消えて欲しくないの?今になって僕が恋しくなった?」

憐は冗談半分で言った。

「そんなんじゃないけど…ただ少し寂しいから。。」

私はふいに視線を逸らす。

「…じゃ後二日ほど此処に残るよ。ただし二日の午前12時になったら去るからね。
 それまでに訊きたい事があったら訊いて。」

205:2011/12/18(日) 14:23:28 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
憐はそう言って私の隣に座り込んだ。

今だけは一緒に居たい…。

それが私の本心だった。

私は掌を握り締めて憐の隣に座る。

「大丈夫?身体が震えてるよ?」

憐は優しく私の肩に手を置く。

「嫌だよ…消えるなんて…運命って本当に気まぐれ。。」

私は蹲って俯きながら言った。

「…僕だって消えたくない。背いてはいけないから…約束だから。。
 ごめん…。。」

私の肩に置いている憐の手が微かに震えていた。

憐だって辛いんだ…。

なのに私は…。

「でも夜那のせいじゃないから。これは僕の問題。だから泣かないでよ。」

憐の言葉に私は無意識に顔を上げた。

私の頬からは冷たい雫が流れる。

206:2011/12/18(日) 17:33:54 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
いつの間にか私は泣いていた。

両足の膝は涙の雫でいっぱいだった。

「憐だって自分を責めてるんじゃないの?私にはそう見える。」

私はまた俯いて言った。

「…夜那って人の心の中を見た事がある?」

憐が急に話題を変えた。

触れてはいけない所に触れちゃったのかな?今…。

「見た事ないよ。と言うかまず見れないし…。」

私は笑顔でそう言った。

「僕も見た事ない。いつか見て見たいんだ…かけがえの無い友達と。」

憐は上を見上げながら言った。

「何で友達と?」

私は首を傾げて訊く。

「お互いの気持ちを共有し合ったら隠し事もしなくて済むし、喧嘩する事も
 あまり無いと思うから。」

「共有か…それ私も賛成する。いつか見れるといいよね?」

207:2011/12/18(日) 20:00:59 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
私はそう言って立ち上がり背伸びした。

「ありがとう…。」

憐は少しだけ笑顔を見せてくれた。

でもその笑顔は作り笑顔に見えた。

無理して笑わなくてもいいのに…。

「夜那…一つお願いしていい?」

憐の言葉に私は頷いた。

「…思いっきり抱き締めてほしい。」

憐の言葉に私は思わず動揺してしまった。

「何で…?」

「安心するから…だから……。」

憐は悲しそうな表情をした。

その表情は幼い子供のような表情をしていた。

何かこっちが恥ずかしい…。

そんな事を思いながら私はしゃがんで思いっきり憐を抱き締めた。

「温かい…。夜那は温かい人なんだね。」

「憐の身体…途轍もなく冷たいよ!?どうしてこんな冷たいの?」

私は耳元で囁く。

「影となる存在は身体が冷たいものだよ。生きている感じが全然しない…
 まるで死んだ人みたいに全然温かくないんだ。」

憐は淡々と言った。

「じゃ憐は死なないの?」

「いや…影となる存在だとしてもちゃんと生きてると言う事になってるから
 ちゃんと時が来たら死ぬよ?僕だって人間だからね。」

憐は穏やかな口調で言った。

「そうなんだ…。私…憐の鏡になりたい。。」

私が強気で言った。

「どうしたの?急に…。」

「鏡って自分を映す事が出来るでしょ?鏡を使えば人の心も読めるんじゃないかって
 私は思うの。」

私は憐の身体から離れて正座して言った。

208:2011/12/18(日) 20:28:21 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「はは…実に短絡的な発想だね。」

憐は笑いながら言った。

「短絡的?」

「うん…ま、簡単に言えば浅はかな考え方って事だよ。」

憐は言った。

「浅はかって?」

「夜那って以外と世間知らずなんだね。ま…考えが甘いって事さ。」

憐にそう言われ私は頬を赤くした。

「そう、なんだ…。」

「もしかして恥ずかしいの?」

憐にそう言われ私は憐に背を向ける。

「そんな事…ない。。。」

私はそう誤魔化す。

本当は凄く恥ずかしい。

でも言えないよ…。

「なら何で視線を逸らすの?」

憐にそう指摘され、私は黙り込んだ。

「…冗談だから機嫌直して。」

そう言って憐は私を後ろから抱擁した。

憐の温かい吐息が私の耳にかかる。

緊張する…。

私は俯きながら思ったその時だった。

“…な。夜那…”

低い声が前方から聴こえて来る。

あの声は誠!?

行かなきゃ…。

誠が呼んでるのに…。

「何処行くの?」

憐は優しく訊く。

「誠が私を呼んでるの…。だから行かなきゃ…。」

私はそう言って立ち上がろうとした瞬間、憐に足を掴れた。

209:2011/12/18(日) 20:48:04 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「…行かせないよ。」

憐の穏やかな瞳から冷たい瞳に変わる。

「い…嫌…!!」

私は強引に憐の手を振り解き、誠の声がする方向へ足を走らせた。

「何で僕から逃げるの?そんなにあの男がいいの?」

私の後ろから憐の低い声が聞こえてくる。

あの男!?

何でそんな事…貴方に言われなくちゃならないの?

走っているとやがて前方に光が見え、誰かが手招きしていた。

もうすぐ出口なんだ…。

その時。私の左手首が憐に掴れた。

「何で僕じゃないと駄目なの?あの男はきっと死ぬよ。夜那のせいで。」

憐は不気味な笑みを浮かべて言った。

「そんな事。何で貴方に言われなくちゃならないの!!?誠は絶対死なない!!
貴方なんかに私や誠の何が分かるって言うの!!」

その言葉に憐は私の手首から手を離して俯いた。

210:2011/12/19(月) 20:45:50 HOST:zaq7a66c40f.zaq.ne.jp
「せいぜい地獄を見たらいいよ。」

憐のその声は私の耳には届かず、私は光が差してる方向にまた足を走らせた。

光は下から上に一直線に伸びていて、その真ん中付近で誰かが手招きしている。

やがてその手は手招きから差し出す形態に変わった。

私はその手をしっかりと握って光の中へ引き摺り込まれて行った。

211:2011/12/23(金) 21:57:41 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
―――――…

「ん…。」

私は目を覚ました。

辺りを見回すと私の部屋だった。

私はベッドに寝かされていて御でこには濡れたタオルが掛けられていた。

身体が熱い…。

「誠…?憐…?何処…。」

私はゆっくりとベッドから起き上がった途端、タオルが布団に落ちた。

私はベッドから下りて身体を引き摺りながら、自分の部屋を出た。

自分の部屋を出ると目の前に誠が居た。

「夜那!?寝てなくちゃ駄目だろ…。何してんだよ。」

誠はそっと私を抱き上げた。

「…夢を見たの。私のせいで誠が死んじゃうらしいの…。」

私は震えた声で言った。

「何だよそれ…予言ってヤツか?そもそも何で夜那のせいで俺が死ぬんだよ。
 意味分かんねー…。」

誠は呆れた表情をしながら言った。

212:2011/12/24(土) 17:03:31 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「…でもそれはまだ確定じゃないから別にいいんだけど…。
 だけど事故とかで死んじゃうかもしれないよ?」

私は涙を拭いながら言った。

「大丈夫だ。そんな未来にはさせねーから。」

誠はそう言うと私の部屋の中に入っていった。

誠は私をベッドの淵に下ろした。

「誠…憐は?」

私は訊く。

「帰ってもらった。お前が目覚めるまで帰ってもらったんだ。」

誠は言った。

「…そっか。」

私は俯いて答える。

「…一人にさせねーから。」

誠がそっと私を抱擁する。

「温かい…。やっぱり血が通ってるから温かいんだよね?」

私は誠の胸に手をあてる。

少しだけど心臓がちゃんと脈を打っている…。

「当たり前だろ。変な夜那。」

誠は少し怪訝な顔をして言った。

「…今日は一緒に寝てくれないかな?」

私はふいに言うと誠は驚いた顔をしていた。

「いいけど…随分急だな…。何かあったのか?」

「いや…夢の事で…また一緒に着いて来て欲しいから。」

213:2011/12/25(日) 14:25:46 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
そう言うと誠は快く承諾してくれた。

「あのさ夜那…。」

誠は私の身体から離れて、私の隣に座る。

「何…?」

私は訊く。

「いつか…結婚しないか?」

「えっ…。」

私は一瞬言葉を失った。

誠は真剣な瞳で私を見る。

214:2011/12/25(日) 16:21:25 HOST:122.102.254.139
その眼差しに少しプレッシャーを感じた。

誠の圧力に負けてしまいそうだった。

「でも何で…急に?」

私は頬を真っ赤にして言った。

「前から考えてたんだけど…中々言い出せなくて…。。
 もう半年になるだろ?俺達付き合ってさ…。」

誠は照れくさいのか私に背を向けて言った。

「訊いてるこっちが恥ずかしいよ…。」

私はベッドに置いてある枕に顔を埋めて言った。

「ま…時間はあるし…。ゆっくり考えてくれればいいからさ。」

誠の温かい左手が私の頭をそっと撫でる。

「…うん。」

私は枕を自分の横に置いて誠の左手首を両手で握る。

「夜那?」

誠が私の顔を覗き見る。

「ううん。何でもない…。」

私は首を横に振りながら言った。

「後…ちょっとヤバイ事があるんだけど…。」

誠は俯いて言った。

「何?」

「明日…奴が此処に来るんだよ。」

誠は苦笑いしながら言った。

「奴って?」

「純だよ…。俺の天敵。」

誠は震えた声で言った。

完全にナーバスになっている。

「って事はお兄ちゃんも来るんだね!楽しみだなぁ…。」

私はそう言ってベッドに仰向けに倒れこんだ。

「お前大丈夫かよ…。熱あんのに…。」

誠は頭を掻きながら言った。

「うん…大丈夫。誠と居たら少しマシになったかも…。なんちゃって。」

私は冗談半分に言った。

「なんちゃって。って…何だよそれ…。」

215そら ◆yC4b452a8U:2011/12/25(日) 20:07:57 HOST:p071.net182021206.tokai.or.jp
久しぶり!++
更新頑張ってちょ←w
応援してます。

216:2011/12/25(日) 20:14:58 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
あざーす。

そらs>>

217:2011/12/25(日) 21:23:54 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
誠はため息を吐いて言った。

「ノリで言ってみただけだよ。」

「……。」

誠は急に黙り込んだ。

「誠…?」

私はベッドから起き上がって誠の肩を触ろうとした。

「…初めて俺に嘘吐いただろ?」

誠は俯きながら言った。

「えっ…。そんな…。」

「今日はもう無理すんな。寝ろ。」

誠に命令され、私は渋々ベッドに潜り込んだ。

「明日は一緒に寝てね…。寂しいから…。」

私はそう言って布団を被ろうとした。

「夜那。」

誠の声に私は布団から顔を出した。

布団から顔を出した瞬間、誠に唇を塞がれた。

「ん…。」

私は誠の左手首を握り締めた。

しばらくして誠は私から唇を離した。

「ごめん…。何かもう好き過ぎて…ヤバイ。。」

誠は頬を真っ赤にして言った。

「そう言って貰えると凄く嬉しい…。」

私はふいに顔を逸らす。

「俺…いつかお前を束縛するかも…。」

誠は言った。

「それってお互い苦しいの?」

私は誠を見ながら言った。

「分かんねー…。でも俺が夜那を傷つけてしまう可能性だってあるんだ。
 そうなれば暴走するかもな。お前みたいに狂ってしまうかもしれない。」

「…私はそれでもいいよ。誠が狂ってしまったら絶対私が助けるから。」

私は泣きながら言った。

「…ありがとう夜那。」

誠はそう言うと私のベッドの中に入って来た。

「今日は此処で寝るの?」

私は訊く。

「うん。夜那と一緒に寝たいから。」

誠は朗らかな表情で言った。

「でも風邪移るよ?それでもいいの?」

私は訊く。

「いいよ。大歓迎だから。」

そう言うと誠は私を優しく抱き寄せる。

「そっか…。じゃおやすみ。」

私は誠の胸に顔を埋めて目を瞑った。

誠はそっと私の頭を撫で、おやすみ。と呟いた。

218:2011/12/26(月) 14:59:27 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
―――――…

何処かで鳥の囀る声が聞こえて来る。

私は布団の中で背伸びしながらゆっくりと起き上がった。

誠は私の隣で寝ている。

こうやって見ると誠の寝顔って可愛い…。

私は何気に誠の胸に右手を押し当てた。

心臓は正常に脈を打ってる。

「ん……。」

誠は右手で右目を擦りながら無意識にゆっくり起き上がる。

「ごめん起こしちゃって…。」

私はすかさず右手を離す。

「……。」

誠は黙っている。

「誠?」

私は誠に問いかけると、誠は顔を近づけた。

「ちょっと誠…?」

私は思わず目を瞑った。

手が震えてる…。

「怖がらないで。何もしないから。」

誠は私の耳元でそっと囁く。

「…うん。後…結婚の事なんだけど…わ…私もいつか誠と…
 結婚したい…。」

私は泣きながら震えた声で言った。

219:2011/12/26(月) 16:28:18 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
「…無理しなくてもいいんだぜ?」

誠は言った。

「無理なんかしてない…。本当だから…。」

私はベッドの上で蹲りながら言う。

「良かった…。断るんじゃないかって冷や冷やしてたんだ。
 とりあえず母さんには報告していいか?」

誠はそう言って背伸びしながら立ち上がった。

「…うん。」

私は言った。

正直少し不安だった。

私と誠が結婚なんてしたら誠のお母さんやお父さんはどうなるのかな?

やっぱり反対するのかな…?

そんな事を初めて考えた事なかった私にとっては到底分からなかった。

そんな事を思いながらふいに私の部屋の扉がノックされる。

「2人とも起きてるんでしょ?下まで声が聞こえてきてたわよ。」

扉の向こうで誠のお母さんの声がする。

「さ、夜那行こう。」

誠はそう言って私に左手を差し出す。

私は少し照れながらその左手を右手で握る。

220:2011/12/26(月) 20:27:26 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
誠は何の躊躇いもなく、部屋の扉を開ける。

扉の前には、誠のお母さんがニコニコ笑顔で立っていた。

「母さん…父さんは?」

「下に居るわよ。どうしたの?そんな深刻な顔しちゃって…。」

誠のお母さんは笑顔で言った。

「…大事な話がある。俺達の未来についての事なんだ。」

誠の顔つきが真剣な顔に変わる。

「…分かったわ。リビングで待ってて。お父さん呼んでくるわ。」

誠のお母さんはそう言い残してその場から立ち去った。

私の両手が微かに震えている。

「震えているのか?」

誠は私の異変に気づき問いかける。

「うん…。でも大丈夫だから。」

私は左手の掌を握り締めて震えを抑える。

「そうか。でも何か合ったら言えよ。」

誠はそう言って一歩ずつ歩き出す。

私もそれを追って歩き出す。

私と誠が階段を下りて、リビングに行くと誠のお父さんとお母さんがテーブルの

席についていた。

「さ、座りなさい。」

誠のお母さんは言った。

221:2011/12/26(月) 22:49:54 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
私と誠は肩を並べて席に着く。

「で、話と言うのは何だ?誠。」

少し仏頂面なお父さんは言った。

誠は少し間を空けて言った。

「実は…前々からずっと思ってた事なんですが…。お付き合いしている
 月隠夜那さんといつか結婚したいんです。」

誠がそう言うと誠のお父さんとお母さんは一瞬驚いた顔になったがすぐに真剣な顔になった。

「そう…。いつかそうなるんじゃないかって分かっていたわ。でも何処に住むの?」

誠のお母さんは言う。

「それはまだ分かりません…。」

誠は俯く。

「私は少し心配よ。2人でちゃんとやっていけるの?」

「……それは……。」

誠が言葉を詰まらせた。

「やっていけます!!」

私は勢いで立ち上がって言った。

「ちゃんと二人でやっていきます!!お互い助け合って笑い合ってやっていこうと
 思っています!!」

私は笑顔で言った。

「でもね夜那ちゃん。そう簡単に物事を決めるもんじゃないのよ。
 分かってるの?」

誠のお母さんは言った。

222:2011/12/27(火) 15:19:15 HOST:122.102.254.139
「…分かってます。分かった上で言ってます。たしかに二人でやっていくのは
 とても大変だと思います。でも私は二人でやっていきたいんです!!
大変な事があっても二人で乗り越えて行きたいんです!!」

私は力強い口調で言った。

誠のお母さんはそれに黙ってしまった。

「誠…お前はちゃんと夜那さんを守っていけるのか?」

仏頂面の誠のお父さんが口を開いた。

「…守るつもりです。命を賭けて守るつもりです。」

誠は真っ直ぐな眼差しで言った。

「そうか。お前の気持ちは十分分かった。俺はお前達のこれからの未来に同意する。」

誠のお父さんの言葉に私は涙を流した。

「私も同意するわ。正直…不安な面もあるけど…貴方達二人ならやっていけるような気がするもの。」

お母さんは笑顔で言う。

「あ…ありがとうございます。」

誠と私はそう言って席から立ち上がって頭を下げた。

「で、住む家だけど…色々探してみるわ。見つかった次第教えるわね。
 さ、暗い話はこれぐらいにして朝ご飯を作るわ。」

誠のお母さんは立ち上がった。

私はそっと誠の右腕を両手で握る。

223:2011/12/27(火) 17:07:25 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
誠は私の気持ちを悟ったのか、静かに私を抱き上げる。

「恥ずかしいよ…誠。」

私は両手で顔を覆いながら言った。

何かとっても恥ずかしいよ…。

誠は無言でリビングを出る。

リビングを出て誠は私を抱き抱えたまま、階段を上る。

階段を上って私の部屋の前で私を下ろす。

地面に足が着くと、ひんやりとした感触が足の裏から伝わってくる。

「何で黙ってるの?嬉しくないの?」

私は誠に問いかけた瞬間、私の身体が私の部屋の扉に叩きつけられた。

「えっ…誠?」

224:2011/12/27(火) 19:18:16 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
私は戸惑った。

何だが誠の様子が変…。

それに怖い。

「うっ…。」

私は思わず目を瞑った。

「…俺が怖い?」

誠は何時に無く冷たい視線で私を見る。

「…怖いに決まってるよ。。」

私は泣きながら言った。

「じゃあさ…俺に誓えるか?」

誠は私に顔を近づけて言った。

「何を?」

私は首を傾げる。

「“一生俺の傍に居る”って…俺に誓える?」

誠の眼差しは真剣だった。

そんな眼差しに負けてしまいそうだった。

「誓えるよ…誓えるから……。」

私がそう言った瞬間、誰かがこっちに上がってくる音が聞こえてきた。

誠は無言で私の手を引き、自分の部屋に私を入れる。

誠は扉を閉め、鍵をかける。

「誠…?さっきから変だよ?どうしたの…?」

私はおそるおそる訊く。

「…俺だって怖いんだ…。いつかお前を殺してしまうんじゃないかって思ってしまう…。
 お前が憐と話している時だって苦しいんだ…。お前が俺の傍に居ない分…苦しいんだよ…。
 いつか限界が来たら俺はお前を殺して自分も死ぬかもしれねー…。」

誠はそう言って背を扉につけて地面に蹲る。

えっ…。

じゃ…今まで誠はずっと我満してきてたの…?

なのに私…何も気づけなかった。。

ごめん…誠…。。

私は啜り泣きながら地面に崩れる。

「ごめん…誠。。私…何も気づけなくて…。」

私はゆっくりと誠の隣に座る。

誠は答えてくれない。

225:2011/12/27(火) 21:36:16 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
「私…馬鹿だよね。好きな人の異変にも気づけないなんて…。
 本当に馬鹿だよね…。」

私は笑いながら呟く。

「…夜那ってさ…辛い時にでもそうやって笑えるんだな。」

誠は私の頭をそっと撫でる。

「…こんな状況だから笑えるんじゃないよ…。誠と一緒だから笑えるものなの。
 だから私は…一生貴方の傍に居ます!!」

私は笑顔で言った。

「…本当に?」

誠は少しだけ顔を上げて言った。

「うん!だって…私にとってかけがえのない人は誠だから。
 誠が私の傍から居なくなったら私も苦しいよ…。」

私は泣きながらも満面の笑顔で言った。

「…夜那…。」

誠はゆっくり私に顔を近づけ私の唇をそっと塞ぐ。

温かい…。

誠の右手が私の左手をそっと握る。

ずっと傍に居たい…。

誠だけを愛していたい…。

そう思った。

しばらくして唇が離れて誠は強く私を抱擁する。

「夜那が分かってくれるような人間で良かった…。何か我侭でごめんな…。
 自分で言うのも何だけど…独占欲が強い方なんだよな俺って…。」

誠は私の耳元で甘く囁く。

「独占欲?何それ…?」

私は全く独占欲の意味が分からない為誠に訊く。

226:2011/12/28(水) 15:50:34 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「…誰かに聞け。言える訳ねー…。」

誠はそこで言葉を詰まらした。

「じゃ後で訊いて来る。」

私がそう言った瞬間、私の目の前に青い蝶が通り過ぎて行った。

「あっ…青い蝶…。」

私はそう呟き、左手を伸ばした。

青い蝶は青い燐粉を飛ばしながら私の人差し指につく。

「戻ってきてくれた…。最近全然見かけないから死んだかと思ったぁ…。」

私の目から涙が溢れてくる。

「蝶が死ぬ訳ねーと思うけど…。てか…俺の蝶居ないじゃん。」

誠は私の身体から離れて上の空で呟く。

すると蝶は私の人差し指から離れて誠の部屋の窓側に飛んでいく。

私と誠は立ち上がって窓際へ足を走らせる。

「何だ。」

誠は不思議そうに呟く。

「何かあったのかな?あの赤い蝶…。」

私は窓際に着き、鍵を外し窓を開けた。

窓を開けた瞬間、強くて冷たい風が部屋の中に流れ込んでくる。

「寒い…。やっぱ冬だからかな?てか…明日はお正月だよね。楽しみ。」

私はウキウキしながら言った。

「何ウキウキしてんだよ。」

誠はそんな私を見てドン引きされた。

「ドン引きしないでよ…。せっかくボケたつもりなのに…。」

私は頬を膨らまして言った。

「今のボケかよ…。全然ボケになってないから。」

誠は笑いながら言った。

「笑わないでよ。こっちは真剣にボケてるんだから!!」

私は頬を真っ赤にして怒鳴る。

「はいはい分かったから。そんなに怒るな。」

誠はそう言って私を軽く抱き締める。

「誠って…欲求不満だったりするの?」

227:2011/12/28(水) 17:26:53 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
私の質問に誠はすかさず離れる。

「何でそんな事訊くんだ!」

誠に少し焦りを感じた。

相当、訊かれてほしくなかったようだ。

「何でそんなに焦ってるの?」

私は少し意地悪に言った。

「あ、焦ってねーよ…。てか、その情報母さんから訊いたのか!!」

「うん。一月前にね…。」

私は笑みを浮かべて言った。

「どうだろうな。当てて見ろ。」

「…欲求不満!!」

私は自信有り気に答える。

「ハズレ。違う。」

誠は笑いながら言った。

「じゃ…欲求不満じゃない!!」

私は誠に人差し指を指して言った。

「ハズレ。それも違う。」

「じゃ何?」

私は首を傾げる。

「ま…半分だな。普通って事だ。」

誠は空を見上げて言った。

「…そっか。でも良かった。誠が欲求不満じゃなくて…。」

「何でだよ…。」

誠は訊く。

「何となくだよ。何となく。」

私は窓から景色を眺めながら呟く。

でも誠は何処か納得がいかないようだった。

しばらく私は景色を眺めて居ると前方から“何か”が近づいてきた。

青い蝶はそれに気づき、私の隣に来る。

前方からやってくる“何か”はだんだん私と誠に近づいて来る。

「あれって赤い蝶じゃない?」

私は前方に指を指す。

「ホントだ。でも何か可笑しくねーか?」

誠は怪訝な顔をしながら言った。

「何で?」

「だってさ…急にふっと消えるんだぜ?俺らの蝶。」

誠の言葉に私は“それは単なる偶然だよ”と言った。

「偶然…だといいんだがな。」

「そんな事心配しないでよ。私まで心配になるよ…。」

私はそう言った瞬間、誠の肩に赤い蝶が止まった。

228:2011/12/28(水) 17:49:51 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「寒いから窓閉めるね。」

私はそう言って窓を閉め、鍵をかける。

「あのさ夜那…。」

窓に鍵をかけた途端、誠に呼ばれる。

「ん?どうしたの?」

私は訊く。

「受け取ってもらいたい物があるんだ。」

誠は照れくさそうに言った。

「何だろ…楽しみ!」

私はワクワクしながら言った。

「とりあえず目瞑ってくれ。」

229:2011/12/28(水) 21:16:31 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
誠にそう言われ私は目を瞑る。

30秒後…。

「いいよ。」

誠にそう言われ私はゆっくりと目を開けた。

私の手元にはリボンで結ばれた小さくて立方体の白い箱があった。

「開けていいの?」

私がそう言うと誠は小さく頷く。

私は丁寧にリボンを解いて、箱を開いた。

「えっ…。」

箱の中に入ってたのは2つのペアリングだった。

シンプルなデザインで中心には50カラットのダイヤが埋め込まれていた。

それ以外飾りは一切なかった。

「どうして…。」

私は箱を握り締めながら呟いた。

「正式な指輪だ。まだちゃんと渡してなかっただろ?ま、俺達の結婚指輪だ。」

誠は笑顔で言った。

「結婚指輪って…恥ずかしいよ…。」

私は顔を真っ赤にして地面に座り込む。

「たしかに恥ずかしいかもな。俺だって恥ずかしいし…。
 でも夜那にあげられた事が何よりも嬉しいんだ。好きな人に受け取って貰える
 ってのが俺の要望だったしな。」

誠は私の頭を乱暴に撫でながら言った。

何か無邪気な撫で方だよ…。

230:2011/12/29(木) 14:43:18 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
誠は乱暴に私の頭を撫でた後、頭から手を離した。

「左手の薬指に嵌めている指輪貸して。」

誠に言われ私は左手の薬指の指輪を外す。

「でも外した指輪はどうするの?」

私は指輪を右手の手の中で転がしながら言った。

「記念に夜那が持っとけ。」

誠は朗らかな表情で言った。

「…うん。ありがとう…。」

「ほら、左手の薬指に嵌めてやるから手出して。」

誠に言われ私は震えながら左手を出す。

「何震えてるんだよ。」

誠は笑いながら私の左手の薬指に指輪を嵌めた。

「ありがとう…。」

私の左手の震えは止まらない。

「俺にもつけてくれよ。」

誠は笑顔で言った。

「うん…。」

私は作り笑顔で箱から指輪を取り出し、誠の左手の薬指に嵌める。

「これで俺と夜那は繋がっている。婚姻の証。」

誠のその言葉に私は涙を流した。

「何か今まで以上に恥ずかしい…。」

231:2011/12/29(木) 15:57:30 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
私は顔を逸らして言った。

「恥ずかしがってる夜那って案外可愛いな。」

誠は私の頬についていた雫を右手の人差し指でそっと拭き取る。

その仕草がとても愛おしく感じた。

「誠…。」

私の瞳から涙が溢れ返って来た。

232:2011/12/29(木) 17:06:39 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「何泣いてなんだよ…。夜那って感傷的なんだな。」

誠はベッドに向かいベッドの淵に座る。

「感傷的?」

「うん。涙脆いって事だ。」

誠にそう言われ私は笑顔を見せた。

「そっか。初めて知ったよ。でもそれでもいい…。」

私は思わず誠に抱きつく。

「何だよそれ…。」

誠は何処か納得のいかない顔をしていた。

233:2011/12/29(木) 20:10:48 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
私は誠の右肩に顔を埋める。

ずっとこうして居たい…。

何でだろう…誠の傍に居ると心が落ち着く。

傷ついた心が癒えてくるような気がする。

ずっと好きだよ…誠。。

貴方が居れば私は何も要らないよ。

他に何も…。

「好きだよ…。」

私は恥ずかしそうに言う。

「俺も好き…。」

誠は私の左手をそっと自分の手と絡める。

「…っ。。」

私はつい言葉を詰まらす。

「夜那?」

誠は私の事に気づき問いかける。

「手を…離して…。」

「何で?」

「いいから…。じゃないと私……。」

そう言うと誠は手をそっと離す。

私は誠から離れ、後ずさる。

「来ないでね…。今来たら私…戻れなくなるから。。」

私は額を両手で押さえながら言った。

「戻れなくなるって…どう言う意味だよ…それ…。」

誠はそう言いながら私にゆっくり近づく。

「来ないでって言ってるのに…来た駄目だよ!!誠まで可笑しくなるよ…。」

私は息を切らして誠に言った。

「そんな暗い事言うなよ。夜那の為なら俺は別に可笑しくなっても構わないから。」

誠は笑顔で言う。

「私の為に命を使うって言うの!?そんなの止めて…!!私の問題なのに誠を巻き込みたくないんだよ。
 お願いだから最後ぐらい聞いてよ…。」

「お前また死ぬ気かよ。半年前と全く同じ事言ってねーか?」

誠は呆れた表情をした。

「言ってない…。それに死ぬ気もないよ…。私は誠に幸せになってもらいたいから言ってるのに!!」

その言葉に誠は驚いた表情を見せた。

234:2011/12/29(木) 20:30:43 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「何だよそれ…。」

誠は冷たい視線で私を見る。

「知ってるよ。誠がアメリカで好きな人が出来た事ぐらい…。信じてたのに…。
 嘘吐き…。大嫌い!!」

私は泣きながら言った。

「それ誰から聞いたんだ。」

誠は俯きながら言う。

「否定しないって事は本当なんだ…。もう…この指輪なんていらない!!」

私は左手の薬指から指輪を外して地面に投げ捨てた。

「…夜那だって俺を捨てようとしたんじゃないのか。」

誠の気迫が籠った言葉に私は言葉を失った。

えっ…。

何で私が誠を捨てなくちゃならないの…?

誠の言ってる意味が分かんない…。

「意味分かんない事言わないで!!」

私は本能を剥き出しにして誠に突進した。

「お前…夜那じゃねーな。誰だ?」

誠の言葉に私は地面に崩れる。

「私は夜那よ…。何勘違いしてるの…。」

私は誠を睨みながら言った。

「明らかに口調が違うんだがな。」

235:2011/12/29(木) 21:23:59 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「…鋭い人ね。当たりよ。私は夜那の影となってる存在なの。普通は現実世界には出てくる事はないんだけどね。」

影の私は言った。

「元の夜那は何処だ。」

誠は訊く。

「この現実世界に居ないわ。今は闇の世界に居るわ。一人で影憐の事を解決するつもりだと私は思う。」

「影憐って何だ?」

誠は言う。

「闇の世界に居る影の憐よ。人間は必ず“影”と言う存在が自分の中に潜んでる。
 ちなみに現実世界の人間は“陽”と呼ばれてるわ。ま…影と陽は対になってる存在なの。」

影の私は言った。

「ふーん。意外と奥が深いんだな。」

誠は何気に関心した。

「で、陽の私を助けに行くんでしょ?夢の中に案内してあげるわ。」

影の私はそう言った。

「何か同じ夜那とは思えない感じだな。お前本当に夜那か?」

誠は納得がいかないのか私の右手を触る。

「つめたっ…死んだ手みてぇ…。」

誠は思わず手を離す。

「影となる存在は生きてる感じがしないの。血も体内に通ってないから冷たいのよ。」

影の私はさらりと言った。

「何か雪女みてぇ…だな。冬だから余計寒い…。」

誠はぶつぶつと影の私に文句を言う。

「あっそ。で、夢の中に行く訳だけど…その赤い蝶と青い蝶を借りていい?」

「あぁ…いいけど…。何でだよ。」

誠は訊く。

「あら知らないのね。蝶の力を借りて夢の中に行く事は可能なのよ。」

影の私は淡々と答える。

「そうなのか…。てか蝶の事はやけに詳しいな…。何か知ってんのか?」

「当たり前よ。私はこの蝶の所有者だもの。」

影の私がそう言うと誠は驚きを隠せなかった。

236:2011/12/29(木) 22:01:29 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「所有者って…どう言う事だよ…。」

「それはあっちに行ってから説明するわ。そうすれば陽の私に逢える事が出来る訳だし…。」

影の私はそう呟く。

「はいはい。分かったよ。お前の説明はいいから。さっさと夜那の所に連れて行ってくれ。」

誠は呆れた表情をする。

「分かったわ。じゃ私の右手に手を翳して。」

影の私はそう言って誠の前に右手を差し出す。

誠は影の私の右手に自分の左手を翳す。

誠の左手に赤と青の蝶が止まる。

止まった瞬間、影の私と誠は光に包まれ、この世界から姿を消した――――…。

237:2011/12/30(金) 09:33:17 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
―――――…

「ん…。」

「起きたわね。着いたわよ。」

影の私に起こされ誠は目を覚ます。

「此処…何処だ?」

誠はぼけてるのか気力のない口調で言う。

「何処って…闇の世界に決まってるじゃない。何寝ぼけてるのよ。」

影の私は呆れた表情で言う。

「実感がねーって言うか…てか、何かが可笑しくねーか?」

誠は頭を掻きながら呟く。

「鋭いわね。たしかにこの世界は可笑しいわよ…。この世界自体が崩れ初めているわ。」

影の私は淡々と答える。

「それって崩壊するって事かよ…。」

「ええ。此処が崩れたら現実世界の夜那もアンタも元の世界に戻れなくなるわ。」

238:2011/12/30(金) 22:02:21 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「そうか…。で、夜那は何処に居るんだよ。」

誠は不機嫌そうに言った。

「この闇の世界の何処か。残念ながら影の私は教える事が出来ない。」

影の私はクスッと笑って言った。

「分かったよ…。俺が自力で探す。」

「…後、アンタの赤い蝶は道しるべとなるわ。居るだけで便利よ。」

影の私はドヤ顔で言った。

「ふーん。てか今ドヤ顔しただろ?同じ夜那でもムカつくんだが?」

「あっそ。と言うか私なんかと話してて大丈夫なの?こうして話してる間でも此処は崩れて来てるのよ?」

影の私は気楽に言った。

「そうだったな…。じゃ俺は行く。お前はどうすんだよ。」

誠は言う。

「さぁ?どうでしょう。此処に残っておく。現実世界の夜那の青い蝶は私が
 預かっておくから安心して。」

「…じゃ頼んだぞ。」

誠はそう言い残して、前に足を走らせた。

239:2011/12/30(金) 22:16:27 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
―――――…

「……。」

陽の私は、白い空間に取り残されていた。

此処で決着をつける。

そう心に誓っていた。

私がこの世界に来た理由はただ一つ。

影の憐にちゃんと話を聞いてもらってこの予知夢を終わらせる事だった。

それしかこの世界に来た目的だった。

でも何で白の空間に取り残されてるんだろう。

今まで黒の世界ばっかだったのに…。

そんな事を考えても結果が出るはずもない。

ふいに思ったその時だった。

「何してるの?」

私の背後から低い声が聞こえてきた。

私はゆっくりと後ろを振り向く。

後ろを振り向くと影憐が立っていた。

憐の瞳は輝きを失っていて少し濁っている瞳だった。

「何で此処に戻って来たの?」

影憐は私を脅すように言った。

「真相が知りたくて此処に戻って来た。」

私は冷静な口調で言った。

影憐は私がそう言うと不機嫌そうに言った。

「…夜那は嘘吐きだよね。簡単に人を欺くし…。何時から夜那はそんな人になったの?」

240:2011/12/31(土) 11:55:01 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
憐は明らかに怒っていた。

「それは…どうしても真相が知りたいと言う欲望に溺れてしまったから。」

そう言うと憐は驚きを隠せなかった。

「人間は欲望の塊。人を簡単に欺き、心を支配する。僕はそれが許せないんだ。」

憐はそう言って自分の胸ぐらをそっと掴む。

「それが人間だよ。影の貴方は人間の気持ちになった事がないから分かんないかもしれないけど…私は分かる。」

「嘘だ!!夜那はその欲望の塊の中の人間だ!!夜那には分かるはずがない。僕ら影の気持ちなんて…。
 僕だって人間として恋もしたいし…人間のように暮らしたい。。でもね、影として生まれてきた以上、この世界の秩序に従わなくちゃならないんだよ?
影は陽の存在と対になる関係。影の僕が死んだら陽の僕も死ぬよ。死ぬ時は一緒だから…。」

憐は荒い息を吐きながら言った。

私はその言葉に思わず涙を零してしまった。

「辛かったよね…。」

私は泣きながらそう呟き、憐を優しく抱擁する。

241名無しさん:2011/12/31(土) 13:28:43 HOST:211.110.204.67[27.111.131.180.west.global.crust-r.net]
私ここで結構おいしいおもいしました。
詳細は書けないけど、やり方次第ですね(^O^)
ttp://bit.ly/rRzIgw

242:2011/12/31(土) 17:19:11 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「何で影の僕なんかに構ってくるの…。余計なお世話だよ…。」

憐は冷たい口調を放つ。

「…余計なお世話かもしれない。でも…同じ生きる者としてだから分かるよ。
 私だってね…半年前義理のお母さんにたくさん酷い事されてきたんだ。
 暴行や外出拒否…。そのせいで私の精神が狂いだし、死ぬと言う気持ちが心や頭の中を支配して行った。
 でもね…ある一人の男の子の存在があったから生きる事が出来た。たった一人愛する人が出来たから今の自分があるって思ってるの。
 憐は私の事が嫌いかもしれないけど、私は好き。大好きだよ。
 たとえ影の貴方でも私は好きだから…。」

私は泣きながら憐に言った。

243:2011/12/31(土) 18:00:09 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「…影の僕でも夜那は構わないって言うの?でも現実世界の憐はもうすぐ死ぬよ。
 だから僕も死ぬ…。タイムリミットはもうすぐそこまで来ているんだよ…。」

憐は私の身体から静かに離れて俯いた。

憐の身体が微かに震えていた。

「うん。構わないよ!!憐とは友達だし!!それに…絶対死なせない!!」

私は強く憐の両手を握り締めた。

憐の手はとても冷たい。

でも私はそれでもいい。

「無理だよ…運命は変えられない。たとえ夜那でも無理だよ…。」

憐は弱音を吐く。

「無理なんかじゃない!!絶対死なせたりしないから!それに最初から運命なんて決まってないよ。
 と言うか運命なんて人が決めるもんじゃないし。」

私は笑顔で言った。

「でも…。」

「大丈夫だって。辛い時は私に言ってよ。友達なんだからさ。」

私は憐の言葉を遮りポジティブに言った。

「…ありがとう。でももう夜那に逢えるのはこれで最後。最後に夜那の顔が見れて良かった。」

憐のその優しい言葉に私は思わず言葉を失う。

えっ…。最後…?

何で…?

「もうこの世界は崩れて来ている…。此処は元々誰かの理想郷のような世界だった。
 その誰かがこの理想郷を作り上げて、この世界を守っていた。
 でもね…その誰かが死んでしまって、此処を守る者が居なくなってしまった。
 だからこの世界を守る為に僕らのような影と言う存在が生まれた。
 影と言う存在はこの世界をずっと守ってきた。何年も…何百年も…ずっと守ってきた。
 でももうこの理想郷のような世界は消えようとしている。もう僕らの役目が終わるって事さ。」

244:2011/12/31(土) 18:19:50 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「何で消えようとしてるの!?ねぇ…どうして!!」

私は憐に触ろうとした瞬間、憐はどんどん遠ざかってしまう。

心が落ち着かない…。

涙が無限に溢れてくるよ…。

そう思った直後だった。

「夜那!!」

あの優しくて力強い声が遠くから聞こえてきた。

誠…。

今はまだ…来ては駄目だよ。。

来ちゃ駄目だよ…。

私は両腕で涙を拭いながらそう思った。

「やっと…見つけた。」

私は後ろから誠に抱擁される。

その途端、私の心の中がほんのり温かくなる。

温かい…。

「誠さん…。」

憐にそう呼ばれ誠は顔を上げた。

「…何だよ。」

誠は未だに怒っている様子だった。

「君達は元々から相思相愛の関係のようだね。互いを必要としている。
 そんな君達には敵わない。たしかに僕は夜那が好き。でも夜那は僕を必要としていない。
 そんな2人には敵わないな。僕は諦めるよ…。その絆を大切にね。
 じゃそろそろ行くね。夜那…忘れないでね。たとえ僕が消えても君の傍に居るって…。」

憐はそう言って私に背を向け、歩き出した。

245:2011/12/31(土) 18:57:50 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「…お前自ら死ぬつもりだろ?半年前の夜那だってそうだったぜ?
毎日顔が沈んでやがる。ま…夜那の義理の母親の呪縛のせいでそうなっただろうな…。」

誠がそう言うと憐は足を止める。

えっ…気づいてたの?

誠は意外と人の表情とか気にするのかな?

「誠さんは夜那に尽くすタイプなんだね。夜那を見てて分かる。
 今だってまだ泣いてるよ?その涙を拭き取るのが彼氏ってもんじゃないの?」

憐は意地っ張りに言った。

貴方には何で分かるの…?

私が泣いてる事を…何で分かってしまうの?

私は姿勢を崩して地面に倒れこむ。

その瞬間、誠の身体が離れる。

「待って…憐。。」

私はゆっくりと地面から立ち上がった。

「待てないよ…もう時間がないし…。」

憐は戸惑いながら答える。

「じゃ一個だけ…言っていい?」

私がそう言うと憐は静かに頷いた。

「また何時か逢える?」

私は満面の笑顔で言った。

「…逢えるかもね。その時は僕と仲良くしてね?影としてではなく…一人の人間として…。」

憐はそう言い残して、跡形も無く消えた。

246:2011/12/31(土) 19:09:54 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
※お知らせ※

何か・・小説に多少Fが入ってしまってすみません・・・。

Fがあまり好きじゃないのに入ってしまう・・・。

うぅ・・謎です。

後、明日から里帰りなんで4日まで更新出来ません。

毎年の恒例と言うか・・そんな感じです。

なんで明日は朝から出来たら更新する予定です。

では。

247:2011/12/31(土) 20:06:58 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
さよなら…。

私はそう心の中で呟いた。

私の闘いは終わったんだ…。

これで予知夢が終わるのかな?

何か少し寂しい気がする…。

それでも私は―――…。

私の身体の力が抜け、地面に倒れ込もうとした瞬間、誠が私の身体を支えてくれた。

「無茶しすぎだな…夜那も。これ以上心配かけんな。」

誠は目を逸らしながら言った。

「ごめん…。でも憐を救えた。救えたから良かった…。」

私がそう言うと私の背後で声がした。

「ホントに良かったわ。」

その声に私は後ろを振り向いた。

「えっ…私!?」

驚く私にその人は口を開いた。

「影の貴方よ。ま…多少ズレはあるけどね。」

248:2011/12/31(土) 20:38:35 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
影の私は答える。

「影…。私の?」

「ええ。後、青い蝶…これは元々私の所有物だった。…蝶は私達影の光となり
 この世界の安定を保っていた。でも…白い蝶がこの世界から居なくなってしまい、
 この世界が崩れ始めた。もうこの世界は止まらない…。静かに朽ち果てていくわ。」

影の私は淡々と言った。

「そ…んな。それじゃ…もう…。」

私がそう言った瞬間、地面に皹が入り真っ二つに地面が割れた。

えっ…。

私には一瞬何が起きたのか分からなかった。

「夜那!!」

誠の声がした。

私の左手は誠の右手でしっかりと握られていた。

「誠…。私って馬鹿だよね…。」

私は泣きながらも笑顔で呟く。

「…馬鹿過ぎるな。無茶ばっかするし…俺に嘘吐くし…。でも俺はどんな夜那でも一番好きだ。」

誠も笑顔で言った。

「そっか。でも…ごめんね。あの時はあんな事言って…。誠を傷つけたくなかったから
 そうしただけなんだ…。どうしても自分で解決したくなった。一人で解決したくなってしまったから…。
 ついあんな事言っちゃったけど…。」

私は俯きながら呟く。

「…それで正解だったんだろ?ならそれでいいじゃねーか。俺は満足だぞ。」

誠がそう言った瞬間、誠は手を離し、私を抱き締めた。

真っ逆さまに私達は落ちていく。

誠の身体にしがみ付きながら、目を瞑った。

249:2012/01/01(日) 10:25:40 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
誠は私が離れないように私の身体をしっかりと抱き締める。

「アンタ達ってバカップルよね。はぁ…。何か意外と楽しそうね。」

影の私は笑いながら私達と落ちていく。

「本当に私なの?何か物凄く別人なんですけど…。」

私はおそるおそる言った。

「本当に貴方の影よ。納得がいかないようだけど…。もうすぐで着くわよ。」

影の私はそう笑顔で言った。

「着くって…何を?」

「出口よ。この夢の終止符となる所に。」

影の私はそう言うと左手を私に差し出す。

「そこに着いたらこの夢が幕を閉じるのか?」

誠は訊く。

「ええ。きっとこの夢は終わるわ…。さ、握りなさい。」

影の私はそう言うと私は左手で影の私の右手を握る。

影の私の手も冷たい。

でも心は温かい気がする…。

「貴方達2人は目を瞑った方が身の為かもね。」

影の私は言った。

その時。影の私から青い蝶が離れて私の左耳に止まる。

私は言う通りに目を瞑る。

「アンタは目を瞑らないの?瞑っといた方が身の為よ。」

「俺はいい。こんな場面に遭遇しても平気だ。」

誠は淡々と言った。

「案外強いのね。ま、いいわ。」

影の私が言った途端、身体中がとても熱く感じられた。

熱い…。

250:2012/01/01(日) 10:36:21 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
身体が焼け付くような熱さだった。

まるで身体全体が燃えてるような感じだった。

「熱いけど我満して。もう少しだから。」

影の私が必死に言った。

相当、向こうもヤバイ感じのようだ。

私はそんな熱さに耐えながら必死に堪える。

やがて熱さが感じられなくなり、足元が地面に着く。

「此処は何処?」

「言ったでしょ?ここはこの夢の終止符となる拠点だって。」

影の私は答える。

でも見渡す限り、黒い空間だった。

見渡す限り何もない。

まるで私達は取り残されたようになっていた。

「此処はまだ崩れてないみたいね。ま、崩れるのは時間の問題って言った所かしら。」

影の私は呆れた表情をしながら言った。

251:2012/01/01(日) 10:49:45 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
今日の更新はこれで終わりです。

次回は1月4日の夕方?か夜に更新予定です。

もしかしたら時間上に更新出来ないかもしれませんが宜しくお願いします!!

いよいよ第4章もクライマックスですか・・・いよいよ第5章です!!

ま・・いわゆる最終章ですね。

夢の真相も解決出来ましたが・・まだ終わりません。

ネタバレはしませんが・・・・ヤバイ展開になる事を予想しておいてください。

それにしても・・・影の夜那さんと誠さんの会話は面白いです。

何か・・漫才みたいで・・・。

自分で書いていても思わず笑ってしまうぐらいですし・・・。

ま・・・面白い話もたまには良いですよね。

また何処かで紹介します(*^_^*)←何を!?

で・・・この小説のエピローグはあるかどうかはまだ分かりません。

正直迷っているので・・・。←どーでもいい事。

でも引き続き応援宜しくお願いします!!←強制ないw

ではm(__)m

252:2012/01/04(水) 13:52:48 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
帰って来ましたので

さっそく更新します!!!

253:2012/01/04(水) 16:13:39 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「夜那。」

ふと誠に呼ばれ私は、ん?と聞き返す。

「俺…お前に嘘吐いてる事あるんだ。」

えっ…。

私は誠の身体からそっと離れて平常心を保った。

「何でこんな時に言うの?」

私は震えた声で呟く。

「…ごめん。バレるのはどうしても避けたかったんだ。でももう我満出来なくて…。」

誠はふいに顔を逸らす。

「…何の嘘吐いてたの?それに因るよ…。」

私は掌を握り締めて言った。

「…俺がアメリカに渡って3ヶ月後の事だ。単純かもしれんが…俺…
 浮気しちまった…。」

誠はそう言って私に深く頭を下げる。

「…そっか。誠が私に対して我満してたのも分かるよ。私みたいな人が誠と吊り合う訳ないし…。
 それに電話で誠と話した時に浮気の事聞いたら必死だったし…。やっぱり好きじゃなかったんだね…。」

私はそう言うと誠に背を向けた。

「…でも俺が好きになった奴はすでに既婚者だった。だから好きになっても無駄だって事が分かっていた。
 馬鹿だよな俺…。夜那が居るのに他の奴を好きになっちゃってさ…。」

誠のその言葉はとても弱々しかった。

「誠は今でもその人の事が好きなの?」

私はおそるおそる聞いた。

「…今は正直よく分かんねー…。でもその半年間の間で俺の隣に夜那が居なかったから
 精神的に不安定だったのかもな…。」

誠は上の空で言った。

254:2012/01/04(水) 16:27:05 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私は今でも誠が好きだよ。

でも誠がその人と幸せになるのなら私はそれでも構わないよ。

私は応援するよ。

私はそれで満足だよ。

「そっか…。でも私は責めないよ。その人と誠が幸せになっても私は責めない。
 誠が幸せになって欲しいし…私なんかよりずっと誠の方が未来の可能性を持ってるし!!
私は応援する。」

私は後ろを振り返って笑顔で言った。

「…じゃあさ、何でそんな辛い顔してんの?」

誠は不機嫌な顔で言った。

「してないよ…。勝手に解釈しないでよ。」

私はブスッとした顔で横を向く。

「ホントお前って嘘下手すぎ…。何無理してんだよ…。」

誠は正面から私を抱き締める。

255:2012/01/04(水) 17:16:08 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「…今もその人が好きなら私は別れてもいいよ。」

私は下向きに言った。

「…相手は既婚者だから好きになっても無駄なんだよ。」

誠は私の耳元で言った。

「男の人ってそんな軽いんだね…。もう誠も信じないから…。」

私は強がりに言った。

「あーそうかよ。どうせ俺達の絆ってそんな小さいもんだったんだな。」

誠はそっと私から離れた。

本当は離れて欲しくない…。

ずっと一緒に居て欲しい…。

私は何時から素直じゃなくなったのかな?

「…アンタ達の絆は誰にも負けないわよ。」

影の私はふと呟いた。

そう言われても今は全然嬉しくない。

「さ、行きなさいよ。この空間をずっと歩いて行けば出口に辿り着けるわ。
 私はもう此処でお別れだけど…。現実世界に戻ったら私と現実世界の私は一体化になるわ。
 だから安心しなさい。」

影の私はそう言うと私の左手と誠の右手を握り締めさせた。



256:2012/01/04(水) 17:39:02 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
誠の手に触れた瞬間、どうしても泣きたくなった。

誠はふてくされているのにも関わらず私の手を離そうとしない。

どうして?怒ってるんじゃないの?

誠の今の本心がちゃんと知りたいよ…。

そう思った瞬間、私の左手を誠は強く引き、走り出した。

「誠…?」

私はつい誠に向かって呟く。

「俺さ…あの時このままでは夜那を裏切ってしまうって思ったんだ。
 俺が浮気なんてしたら夜那ずっと根に持ってるだろ?そんな時に俺を救ってくれたのは
 一輪の薔薇だった。半年前夜那が俺にくれた赤い薔薇だ。あれを見ていると夜那を思い出すんだ。
 薔薇を見てると夜那に見られてる気がしてならなかった。
 だから諦めようとした。でも俺が浮気した事に変わりがなかった。
 だから手術して無事生きる事が出来たら夜那にちゃんと伝えようとした。
 でもこんな遅くなっちまってごめんな…。」

257:2012/01/04(水) 18:10:35 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
誠は前方を見ながら言った。

そうだったんだ…。

でももし嘘だったら?

それこそ怖い…。

でも信じてみなきゃ相手も信じてくれない。

「私…誠を信じる!!まだ半信半疑な部分もあるけど…信じるよ!!」

「…その言葉をずっと聞きたかった。やっと言ってくれたな。」

誠は振り返り笑顔で言った。

「やっと言ってくれた?その言葉を待ってたって事?」

私がそう言うと誠は頷く。

「後さ…こんな時に言うのもなんだけど、いつか一緒にアメリカ行かね?」

えっ…。何でアメリカ?

「何でアメリカなの?」

私は訊く。

「秘密。でも旅行してみたいんだ。夜那と二人で。旅行してさ…色んな物を夜那と一緒に見て見たいんだ。
 半年前だって約束してただろ?それだったら夜那のずっと傍に居られるし…。」

258:2012/01/04(水) 18:48:37 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
誠は照れくさそうに言った。

「旅行…約束したっけ?憶えてない…。」

私は笑顔で誤魔化した。

本当はちゃんと憶えてる。

忘れる訳ないよ。

「お前また嘘吐いただろ?バレバレなんだけど。」

!?

「私…嘘吐いたらすぐバレるんだね。突き通された事なんてないよ。
 やっぱ向いてないのかな…。」

「向いてない向いてない。やっぱ素直な夜那が本来って感じがするし。」

誠に即答で答えられた気がする。

初めから分かってたみたいで恥ずかしい。

259:2012/01/04(水) 19:14:04 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「何か凄く不愉快なんだけど…。」

「気のせい気のせい。そう見えるだけだし。」

誠は笑顔で言う。

何か隠してる気がしてならない。

「ね…まだ隠してない?さっきから誤魔化してるようにしか見えないんだけど…。」

私は訊く。

「…出口が見えてきた。もう少しだ。」

私の言葉は誠によって消されてしまった。

ま、いっか。

私はそう心の中で思っていた。

やがて前方に眩い光が見えてきた。

「夜那…。」

誠はその光に飛び込む前に呟いた。

「ん?」

私は聞き返す。

「ずっとお前を守っていくからな。」

その言葉は私に耳には届かず、私達は眩い光に飛び込んだ。

260:2012/01/04(水) 19:15:51 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
やっと第4章が完結しました!!!

で・・いよいよ最終章です!!

ここで悲しい出来事が起こってしまいますが・・・

涙を惜しんで見てください。

261:2012/01/04(水) 19:30:18 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
episode. 5 絆

――――…

「那…夜那…!!」

何処かで私を呼ぶ声が聞こえて来る。

その声は優しくて力強くてどこか儚い。

あの声はきっと貴方の声だ。

私は無意識に右手を伸ばす。

するとすぐに私の右手を誰かが握る。

温かくて全てを包んでくれそうな感じ…。

だから私はこの人と恋に落ちたんだ。

私はゆっくりと目を開けた。

目の前には誠と誠のお母さんが居た。

私が目を覚ました瞬間、誠のお母さんに抱き締められた。

「何処行ってたのよ!!心配したのよ!?でも無事で良かったわ…。」

「…ごめんなさい。」

私は誠のお母さんの肩で泣きながら言った。

「事情は後で説明してもらうとして。とりあえず手伝ってもらうわよ!!」

262:2012/01/04(水) 19:58:56 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
誠のお母さんはそう言って私から離れる。

「何を手伝うの?」

私は訊く。

「それは下に行ってからのお楽しみ。早く二人も下りて来なさいよ。」

誠のお母さんは立ち上がって私の部屋を後にする。

誠のお母さんが出て行き、私と誠は二人っきりになった。

「夜那。これ…付けとけよ。」

誠から渡されたのは指輪だった。

そう言えばあの時…私無意識に地面に投げ捨てちゃったんだよね…。

私は震えた手で静かに左手の薬指に指輪を嵌める。

「誠…私ね…。」

私はそこで言葉を詰まらせた

「ん?何?」

誠は訊く。

「私…泣きたくなるの…。。誠が何処かに行ってしまいそうで怖い…。
 消えないでね…。ずっと私の傍に居てね…。」

私は泣きながら誠に問いかける。

「…ホントに馬鹿だな夜那は。消える時は一緒。死ぬ時も一緒。
 夜那を置いては行けねーからな。」

誠はそう呟く。

「死ぬ時も?ずっと誠と一緒に居られるの?」

私は少しだけ笑顔を見せて言った。

「うん。だからお前だけ先に死ぬなよ。」

263:2012/01/04(水) 21:21:30 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
誠は笑顔で言いながら私の右手をそっと絡める。

「ちょっと誠…?」

私は戸惑いながら訊く。

「夜那の弱点見つけた。」

誠はそう言って右手で私の耳を触る。

「ひゃっ…。」

私は思わず目を瞑って必死に耐える。

誠は私の耳を触るのを止めない。

「うぅ…。」

私はその仕草にじっと耐えた。

やがて誠は耳から手を離して、私の顎に手を添えた。

顔が上に上がり、私は目を開けた。

「ごめんな。弱点を知った以上何か弄りたくなっちまったんだ。」

…っ…。

何かズルイよ誠だけ…。

私だって誠の弱点を知って弄ってみたいよ…。

そう思っていた途端、誠は私と唇を重ねた。

誠は壊してしまいそうなほど私が好きなの?

何か誠を独り占めしたくなるよ…。

「…夜那…。」

誠は唇を離し、私を見つめながら呟く。

「何?」

私は微笑みながら言う。

「お前と二人で居る時だけ本能のまま動いていい?」

「えっ…。」

私はこの言葉に動揺してしまった。

「本能のままって感情的になるって事?」

私は問いかける。

「…うん。だってもう限界なんだ。俺だって…辛いんだよ。
 ずっと夜那の心を満たしてきたつもりだった。でも俺の心は満たされてない。
 俺…夜那に必要とされてるのか分からないけどさ。…夜那が欲しいんだ。」

誠はそう言うと立ち上がってベッドの淵に腰をかけた。

「私が欲しいってどう言う事?意味が全然分からないよ…。」

私は静かに地面から立ち上がった。

264:2012/01/05(木) 10:17:02 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
明らかにいつもの誠じゃない。

怒ってるのかさえ分からない…。

私はどうすればいいのかな…。

「ごめんね…誠。。」

とっさに出た私の言葉。

でも誠はその言葉に対して何も言わない。

やっぱり怒ってるの?

「私…誠の本心が分からない…。。誠が何をそんなに欲しがってるのかも分からない。
 それに…私本当に誠が好きなのかな?」

私の言葉に誠は何も言わない。

「それさえも分かっていたはずなのに分かんなくなっちゃった…。
 やっぱり私は解放されないんだ…。呪縛と言う鎖に…引っ掛かってしまって解けない。
 ごめんね…誠自身を傷つけてしまって…やっぱ生きてた駄目だよね…私って。。」

私は誠に背を向けた。

それでも誠は何も言わない。

どうして何も言わないの?

…そっか。私は捨てられたんだ…。

最愛の人を一番早くに失ってしまうなんて何か虚しいね。

私は扉のノブに手をかけて扉を開く。

私は誠を一瞥して部屋を出た。

誠の部屋の扉を閉めた瞬間、私の目に涙が滲んだ。

265:2012/01/05(木) 10:55:14 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
捨てられるって心に穴が空いてしまうほど辛いよ。

何であんな事言っちゃったんだろ…私。。

私は静かに階段を下りて、リビングに向かった。

リビングに向かうと、誠のお母さんが後姿でキッチンに立っていた。

私は静かに席に座り、両手を膝につけ、俯いた。

「夜那ちゃん?」

誠のお母さんが私に気づき、私と向かい合わせの席に座る。

「どうしたの?そんなしょんぼりしちゃって…。」

誠のお母さんが私の顔を覗きながら言った。

「私…誠に捨てられました。」

私は正直に言った。

「捨てられる?誠に至ってはそれはないわね。嫌われるって事もまずないわ。
 たぶん誠は夜那ちゃんに嫌われない為にあの子なりに努力してるだけよ。
 夜那ちゃんに嫌われる事があの子にとって一番の苦痛だから。
 ま…少し感情的な面もあるかもしれないけど誠は第一に夜那ちゃんを考えてるわ。」

誠のお母さんは真剣な顔で言った。

「でも浮気してたみたいなんです…。アメリカで…。それが一番の心残りなんです。」

私は膝に涙を零しながら言った。

「浮気?…それもないと思うわ。あの子…夜那ちゃんに逢う前…一時期は人間不信になったぐらいだもの。
 でも夜那ちゃんに出会って誠は以前より自分の気持ちを表に出すようになったわ。
 きっと夜那ちゃんに出会って何かが変わったのよね。誠の心の何かが。
 だから浮気はないと思うわ。誠は前々から夜那ちゃんしか見てないと思うし…。」

誠のお母さんは笑顔で言った。

266:2012/01/05(木) 11:44:57 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「そうかもしれませんけど…何か怖くて…。」

「大丈夫よ。ね、誠。」

誠のお母さんは扉に目をやる。

私もそれにつられて後ろを振り向く。

「母さんには敵わないな。ちょっと偵察に来ただけだしな。」

そう言って誠は扉から姿を現した。

「あら。本当は夜那ちゃんが心配で見に来たんじゃないの?」

誠のお母さんに指摘され誠の頬が赤くなる。

「ま…それもあるかな。」

誠は優しく私の頭を撫でてにっこりと微笑んだ。

「誠…怒ってない?」

私はおそるおそる訊く。

「…多少怒ってるよ。夜那が心にもない事言うから。お仕置き。」

そう言うと誠は身体を締め付けるほど強く私を抱き締める。

「あら大胆ね。誠も。」

誠のお母さんをそう言うと席を外し、キッチンでまた作業を再開させた。

「温かい…。」

私は誠の胸に顔を埋めた。

微かに心臓の音が聞こえる…。

「誠の部屋に行きたい…。今すぐ行きたい…。」

私は顔を上げて泣きながら言った。

「いいよ。行く変わりに俺の願いも聞いてくれる?」

誠は穏やかな口調で言った。

267:2012/01/05(木) 15:59:44 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「…うん。何?」

私は少し動揺しながらも訊く。

「2つあるけどちゃんと聞いてくれる?」

「うん!ちゃんと聞く!!」

私がそう言うと誠は抱く力を緩める。

「夜那の身体ってしなやかだよな。天使みたいに身軽だし。」

誠はそう言うと私の両足を左手で持ち上げた。

「天使?じゃ誠は悪魔なの?」

「さぁ?どっちだろうな。」

誠は誤魔化しながら私の身体を抱えて階段を上っていく。

そう言えば私の身体重たくないのかな?

体重はあまり量った事ないけど…前量った時は47㎏だったし…。

それなりに重さはあるんだけど…どうなんだろ?

後で量ろうかな…。

268:2012/01/05(木) 16:33:56 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「…夜那!!」

誠の声に私は我に返った。

「はい…?」

「さっきから呼んでたんだけど?」

誠は不機嫌な表情で私の顔を覗き込む。

「ごめん…。少し考え事してた。」

私は赤面になった顔を両手で覆い隠す。

「照れてる夜那も可愛いよ。」

誠はふいにそう言って私を自分の部屋に招き入れた。

「到着〜!!」

誠は何処か暢気に言った。

「ね…私の身体重たくない?」

私は訊く。

「重たくないよ。寧ろ軽い方だし…。」

誠は笑いながら言う。

「それならいいんだけど…。で、願いって?」

私は訊く。

269:2012/01/05(木) 16:48:41 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「そんなに訊きたい?」

誠は甘い声で私に訊く。

何か本当に半年前とは全然違う…。

何だろ…半年前より大人びた?

誠が大人びたという事は私はまだ子供みたいな感じだよね…。

うぅ…子供…。。

何か誠に負けてる気がする…。

誠は私を地面に下ろして、ベッドにダイブした。

!?

その誠の行動に私は思わず硬直してしまった。

誠はベッドにダイブしたまま動じない。

270:2012/01/05(木) 16:49:44 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
第5章は長いです!!

やっぱ最終章なんで・・・・。

まだまだ謎多きストーリーですが・・最後までご覧ください。

271:2012/01/05(木) 18:15:26 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「ちょっと誠…?」

私が遠くから問い掛けると誠はゆっくりとした動作で起き上がった。

何か新たな一面発見ってヤツ?

ベッドにダイブって…。

結構大胆かも…。

「何突っ立ってんだよ。早くおいで。」

誠に言われ私は渋々誠に近づく。

「大丈夫。何もしないから。」

誠はそう言いながら私の前髪を左手で掻き分ける。

その仕草がとても愛しいよ…。

愛しくてたまらない…。

「…半年前より少し色っぽくなったな。夜那。」

誠に言われ私は戸惑う。

「色っぽく?どう言う意味?」

私は首を傾げる。

「魅力的になったって事だ。これ褒め言葉だから。」

「そうなの?良く分からない…。」

私は服の裾を握り締めて言う。

「嬉しくないのか?」

誠は心配そうに訊ねる。

「どう喜んだらいいのか分からないんだもん…。」

「素直に喜べばいいさ。お前が思うように素直に喜べばいい。」

誠は冷静な口調で言った。

「そっか…。そうだよね。」

私は何となく納得した。

何か納得がいかない…。

まだ誠は何かを隠している。

人には言えない何かを。

272:2012/01/05(木) 18:46:45 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私みたいに精神的な面なのかな?

でも違う気がするし…。

うーん…。。

「後さ、明日は二人で初詣行かね?」

誠の言葉に私はつい躊躇う。

「えっ…。初詣?」

私は聞き返す。

「うん。二人で神社に参拝すんの。」

誠は嬉しそうに言った。

「うん。行く!初詣なんて初めてだし…。」

「俺も初めてなんだ。一緒だな。」

誠は笑顔で言った。

「うん。一緒だね。…後…少し確かめていい?」

「いいよ。」

私は心に思った事をすぐさまに言った。

「浮気してたって本当は嘘なの?」

私は少し緊張して言った。

「…うん。ごめんな嘘吐くはめになっちまってさ…。
 嘘吐いたらずっと夜那は俺の傍に居てくれるって思ったからなんだ。
 でも嘘吐いても吐かなくても結果は変わらなかった。本当にごめん…。」

誠は啜り泣きながら呟く。

273:2012/01/05(木) 20:02:04 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
“夜那ちゃんに嫌われる事があの子にとっては一番の苦痛”

誠のお母さんのあの言葉が頭の中を駆け巡る。

私に嫌われる事が誠にとっては苦痛なんだよね。

誠はいつも笑って私に勇気を与えてくれた。

半年前の時も…今現在も…。

でも時々普段見せない顔をする。

冷たい態度を取ったり、愛想の無い言葉を放ったりする。

それが誠なりの“優しさ”だったとしたら―――…?

それとも“何か”から私を守る為とか…。

「…いいよ。誠の辛さはもう十分把握してるから…。」

「そっか…。お前はまだ知らない方がいい。」

誠のその言葉に私は言葉を失った。

えっ…。

まだ知らない方がいいってどう言う事…?

「腹減ったな。下行こうぜ。」

誠は立ち上がって背伸びする。

274:2012/01/05(木) 20:29:00 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「うん…。そうだね…。」

私は浮かない顔で戸惑いながら答える。

誠の嬉しそうな顔を見ると、あの言葉は消えてしまった。

…もういい。忘れてしまえばいいんだ。

忘れてその言葉に鍵を掛けて置こう。

そうすれば安心出来る。

「また顔が沈んでるな。ちゃんと笑えよ。」

誠は乱暴に私の頬を横に引っ張る。

「地味に痛いから…。」

私は笑いながら言った。

「ははは…。そんな事言うともっと弄りたくなんだけど。」

誠は無邪気にそう言うとさらに私の頬を横に引っ張った。

275:2012/01/06(金) 10:14:08 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「うぅ…。」

此処は耐えよう。

そしたらいつか止めてくれるし…。

「お前は笑顔が似合うのに…何でいつも顔だけが沈んでるんだ?」

誠が私の顔を覗き込む。

「…そう見えるだけだよ。本当は気のせい。」

私は笑顔で言った。

「…じゃあさ、この涙は何?」

誠は左手の人差し指でそっと目元に滲んだ涙を拭き取る。

私は答えられない。

「もうさ…我満すんなよ。泣きたい時は思いっきり泣け。
 そうすれば気分がスカッってするからよ。」

誠は無邪気に言う。

「気分がスカッと?爽快感みたいな?」

「うん。今から思いっきり泣け!!」

誠にそう言われると余計泣けない。

「ごめん…。自分の部屋で泣いてくる。。」

私はそう言って誠の部屋を出て、自分の部屋に駆け込んだ。

276:2012/01/06(金) 10:57:07 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
部屋に駆け込んだ瞬間、私はベッドに向かい、仰向けに倒れ込んだ。

私はふと左手を天井に翳した。

左手の薬指には鈍色に光る銀色の指輪。

これで良かったんだよね?

何かがまだ終わってない気がするのは気のせい?

気のせいだと思いたい。

でも心の中に密かに残ってしまう。

そんな事を思ってるとどんどん涙が溢れてくるよ…。

あっ…そう言えばアレを付けておこう。

私はベッドから起き上がってパソコンが置いてある机に向かった。

私は机の引き出しの上から2番目を開けるとブレスレットが入っていた。

それは半年前に誠からくれた物だ。

半年前と比べて色褪せてない。

このブレスレットが私を救ってくれる気がした。

ブレスレットの真ん中には透き通った玉がワイヤーに通されていた。

私はブレスレットをしばらく眺めながら左手首につけた。

何かから私を守ってくれる気がする。

277:2012/01/06(金) 12:58:09 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
ずっと私を守ってね。

そう心の中で呟きながらブレスレットを見つめていると自然と涙が顔に滲む。

でも私はふいに思ってしまう。

憐に対する罪悪感を感じてしまう。

影の憐が言ってた事は本当なの?

もうすぐ憐が死んじゃうって…。

嫌だよ…憐が死んじゃうなんて…。

でもまだ確定じゃないし…大丈夫だよね?

何か胸騒ぎがする…。

気のせいだよ。

気のせいと思っておけばきっとなんとかなるし…。

その時。部屋の扉が2回ノックされる。

「夜那ちゃん。」

その声に私は目に滲んだ涙を両手で拭いた。

「はい。」

「夜那ちゃんのお兄さんが来て下さってるわよ。」

その言葉に私は慌てて自分の部屋の扉を開ける。

「祐也お兄ちゃん…。」

目の前には優しい微笑みを浮かべた兄が立っていた。

「元気そうだな夜那。てか、少し綺麗になったな。」

祐也お兄ちゃんの口調は何処か誠にそっくりだった。

「…お兄ちゃんに言われてもあんまり嬉しくない。」

私はふいに顔を逸らした。

「そかそか。そう言えばお前と誠さんだっけ?結婚すんだってな。
 妹に先越されるって馬鹿だよな俺も…。」

お兄ちゃんは暢気に言った。

「うん…。でもどうして今日は此処に?」

「俺言ったじゃん。いつか夜那の顔見に逢いに行くって。憶えてねーのかよ。」

お兄ちゃんは苦笑いしながら言った。

278:2012/01/06(金) 15:13:29 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「ごめん…憶えてない。。」

私は俯きながら言った。

「そうか。ま、いいけどな。てか、純にお前をちゃんと紹介したいから後で下に来いよ。」

お兄ちゃんは私の頭をポンポンと撫でながらその場を立ち去った。

「お前の兄貴いい人だな。」

私は廊下に出ると、誠が笑顔で笑って階段に佇んでいた。

「何時からそこに!?」

「さっきからだけど?何そんなに驚いてるんだ?」

誠は無邪気に笑いながら言った。

「いや…。別に…。。」

私は右手の掌を強く握り締める。

「てか…純来てるんだよな?」

誠の表情が徐々に青ざめていく。

「うん。そう見たいだけど…。大丈夫だよ。何かあったら私が守るし。」

私は強気で言った。

「…じゃそれに賭ける。」

誠は笑顔で私の左手を握り締める。

279:2012/01/06(金) 15:39:13 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私と誠は仲良く手を繋ぎ、リビングに向かうとお兄ちゃんと目が合った。

「おっ!やっと来たな。純!挨拶しろ!!」

祐也お兄ちゃんに言われ、扉から純さんが顔を出す。

たしかに超絶美人…。

顔立ちは何処となく誠に似ている。

それに比べて私と祐也お兄ちゃんは全然似ていない。

性格も顔も全然似ていない。

「初めまして。神頼純です!!夜那ちゃんだよね?電話で少ししか喋った事がないから初対面だけど…。
 あたしより可愛いね!!」

純さんはハイテンションで言う。

私はそのノリに着いて行けない。

「え、えっと…。」

私はつい緊張してしまった。

「おい純。夜那が困ってんぞ。お前のノリに着いて行けねーみたいだぜ。」

誠は呆れた表情で言った。

「あら誠じゃん。久々ね。後で渇を入れてあげるわ。楽しみにしててね。」

純さんは満足気な笑みを浮かべて言った。

280:2012/01/06(金) 16:51:26 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「いや…止めとく。」

誠はそう言って私の腕を引き、リビングにあるソファに私を座らせる。

「此処に座ってて。純と話つけてくるから。」

そう言って誠は純さんを廊下に出して、リビングから消えた。

「俺完全に空気になってたよな。」

祐也お兄ちゃんはそう言いながら私の隣に座る。

「そう言えばお兄ちゃんと純さんは付き合ってるの?」

私は平然とした顔で言った。

281:2012/01/06(金) 17:23:31 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「馬鹿言うなよな。アイツと俺はただの交友関係。純とは去年音楽関係で知り合っただけ。
 純と俺が付き合う訳ねーだろ。馬鹿か。」

祐也お兄ちゃんは私の頭を乱暴に撫でた。

「でも純さんはお兄ちゃんの事好きかもしれないよ?」

「絶対ねーわ。アイツ彼氏居るし。てか、“お兄ちゃん”って呼ぶな。祐也でいいから。」

祐也お兄ちゃんは笑いながら言った。

「…分かった。じゃこれからはそう呼ぶね。」

私は笑顔で言うと、祐也は頬を赤く染める。

「…お前ってズルイよな。兄の俺でも惚れてしまいそうなんだけど。」

祐也はそう言うとソファに蹲る。

「それってシスコンってヤツだよね。申し訳ないんだけど…私には誠が居るし…。」

「知ってるし。こんなシスコン兄貴ですみませんね。」

祐也は不機嫌な表情を浮かべて言った。

282:2012/01/06(金) 18:11:52 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「祐也はいいよね…。外見もカッコイイし、私みたいな人が妹でごめんね。」

私が弱音の言葉を呟くと、祐也は優しく私の頭を撫でてくれた。

「夜那が俺の妹で良かったって思ってるよ。夜那の笑ってる顔初めて見たし。
 やっぱ誠さんのお陰だったりする?」

祐也はそっと私の左手を握る。

「うん…。だって誠は私を必要としてくれてる。誠は私にとって私の一部なの。
 誠が居たから私は此処まで生きてこれた。あの人からの呪縛も解けかかっている。
 たぶん誠が居なかったら私はもうすでに死んでたかもしれない。
 やっぱ生きてて良かったんだ私…。誠と言う最愛の人に出会えたんだから…。」

私は泣きながら呟いた。

「…お前がそれでいいならいいんじゃないか。俺はそれでいいと思うし。」

「ねぇ、祐也って彼女とか居ないの?」

私は訊く。

「居ない居ない。俺多分一生独身だわ…。」

祐也は笑いながら言った。

「そんな訳ないと思うよ。祐也にもきっといい人が見つかるよ。」

そんな言葉を言い放った時だった。

283:2012/01/06(金) 19:27:23 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「おいお前。俺の夜那に何手出してんだよ。」

誠は口を尖らせて言った。

「俺の夜那って…誠さんって独占欲とか強そうだね?ま、俺はただ単に夜那と喋ってただけだし。
 そんなに自分の物にしたいんだ。」

祐也は余裕ぶってる表情をしながら言った。

「当たり前だろ。お前ってさ…随分余裕なんだな。」

「余裕?余裕はそっちの方なんじゃない?」

祐也はそう言って私の手を握っていた手を離し、立ち上がった。

「誠さんは良いよね。夜那にも愛されてさ。君が羨ましいよ。」

祐也はそう言い残してリビングを出て行った。

「何だよアイツ…。てか夜那アイツに変な事されてなかったか?」

誠はそう言ってズボンのポケットに手を入れる。

「されてないよ。お兄ちゃんと純さんの関係の事聞いてただけだよ。」

私は笑顔で返す。

「ふーん。何か納得いかねぇ。後で俺の部屋来い。」

「うん。分かった。」

私はそう言うと誠はリビングを出て行った。

284:2012/01/06(金) 20:08:53 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「誠も中途半端な奴ね。」

純さんはそう言いながら私の隣に座る。

「純さん…。」

「夜那ちゃん。あんな馬鹿な弟の何処を好きになったの?」

純さんは笑顔で言ってきた。

「…一途で優しい所です。」

「アイツが一途ねぇ…。ま、尽くすタイプだからね。あ、タメでいいよ。
 敬語じゃ話しにくいでしょ。」

純さんは言った。

「いえ…遠慮しておきます。年上ですし…。後、祐也と純さんって付き合ってないんですか?」

「付き合ってる?あははは。あたし彼氏居るよ。祐也とは友達みたいなもんだし。」

純さんはお腹を押さえて笑っている。

「そうなんですか…。」

「うん。夜那ちゃんの事もっと教えてよ。あたしすごく興味ある。」

純さんは目を輝かせて言った。

285:2012/01/06(金) 20:30:07 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
それから私は純さんに今まであった事を全て話した。

義理のお母さんの事やお父さんの事…。

半年前の事も今現在の事も全てを純さんに言った。

全てを話し終わると、純さんの両目には涙が滲んでいた。

「そっか…。ずっと辛かったよね。あたし分かるよそんな気持ち。
 あたしもそんな扱いされてきたから。」

「そう、なんですか…。」

私はそう言って頭を抱えて蹲る。

何か純さんを傷つけた感じがする。

ごめんね…私人を傷つけてばっかだよね…。

「おい夜那。何で来ない。」

その言葉にドア方面に目をやると誠が怒り顔で立っていた。

「ご、ごめんなさい…。」

私は怯えながら呟く。

「ちょっと誠!!夜那ちゃんが怖がってるじゃない!!」

純さんのその声は今の誠には聞こえない。

完全に誠は怒っていた。

「うるせぇんだよ純…。黙ってろ。」

誠は強引に私の右腕を引っ張り、リビングから私を追い出そうとする。

「止めて…誠。。痛い痛いよ…。」

私は泣きながら抵抗する。

286:2012/01/06(金) 20:59:36 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
それでも誠は私の腕を離さない。

「二人とも止めなさい!!」

真ん中に誠のお母さんが入って来てくれて無理やり誠の手を私の腕から引き離そうとした。

誠の手が私の腕から離れると私は地面に尻餅をついてしまった。

「何やってるの!?誠は!!」

誠のお母さんの怒鳴り声が部屋中に響く。

「止めてください…誠は何もやってません…。私が悪いんです。。
 私が誠の言う通りにしなかったから…。」

私はゆっくりと地面から立ち上がった。

「夜那ちゃん。そんな自分を責めないで。」

「…ごめん。」

弱々しい誠の声。

「誠のせいじゃないよ…。誠が何を考えてるのかは分からないけど…。
 私は誠に何処までも着いていくよ。そう決めたから。」

「…俺は何時かお前を殺してしまうかもしれないのにいいのか?
こんな俺に着いて行くのか?」

誠は脅すような声で呟く。

「それでもいいよ。何時だって二人で解決してきたし…。
 辛い事があっても二人で助け合ってきた。
 もし誠が私を殺すなんて事になったらそれは私が助ける。
 絶対に助けるよ!!」

287:2012/01/06(金) 21:02:39 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私の決心は固まっていた。

「……。」

誠は黙っている。

288:2012/01/07(土) 08:56:27 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「誠!!何でこんな事したの!?」

純さんが誠に言う。

「…俺だって苦しいんだよ…。夜那が他の男と楽しそうに喋ってる所を見ると
 イライラしてくんだよ。怖いんだよ…夜那が俺から離れていくのが…。
 純にはそんな気持ち分からんだろ?」

誠はそう言い残して2階に行ってしまった。

「誠があんな事言うなんて…あたし姉なのに…何も気づけなかった。。」

純さんは地面に泣き崩れた。

「純のせいじゃないわ。誠はきっとまだ整理出来てないのよ。あの時の事を…。」

「じゃ誠はあの時の事をまだ恨んでいるの?そ…んな…。。」

私には耳を疑った。

あの時…?

あの時って何!?

でも聞くのが怖い…。

私は静かに階段を上り始めた。

289:2012/01/07(土) 09:47:20 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
どうしても聞かなきゃならない。

誠は私じゃない何かに怯えているのは確かだった。

でもその何かが分からない。

私は誠の部屋の前に着いた。

私は深呼吸を一回して誠の部屋の扉を静かに開ける。

部屋の中に入ってみても誠は居なかった。

ただ屋根裏へ続く扉は開いていた。

その扉の下には脚立が用意されていて私は何の躊躇いもなくそれに足をかけて上へ上る。

屋根裏部屋の扉に手をかけ、静かに部屋の中に入る。

辺りを見回すとベッド方面に後姿で蹲っている人影が見えた。

私は地面から立ち上がり、その人影の所に近づく。

「誠…。」

私が問い掛けるとその人影は動じない。

でも少し啜り泣く声が聞こえて来る。

「ごめんね…誠。。」

私は誠の隣に座り、左手で誠の頭を撫でる。

「…何で来るんだよ。一人にさせてくれよ。」

誠の弱々しい声に私は首を横に振った。

「…一人にさせないよ。誠の中で何が起こってるのかは理解出来ないけど…。
 私はそれを解決したい。」

290:2012/01/07(土) 09:47:38 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
290行った!!!!

ひゃっはー!!!

291:2012/01/07(土) 11:31:36 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「…一々うるせぇんだよ。何で他人のお前が首突っ込むんだ!!
もうほっといてくれよ…。」

誠は口を尖らせて呟く。

「ほっとけないよ!!過去に何があったのかは知らないけど…。
 私は助けたい!!愛する人が困っているのにほっておけないよ!!」

私は誠の右肩を必死に揺する。

「…じゃ俺はお前の何なんだ?」

誠は脅すように私を睨み付けた。

その両目には涙が滲んでいた。

「…っ…。そんなの分からないよ……。。
 でも…人間って事に変わりはない。」

私は泣きながらも笑顔で呟いた。

「人間…。俺…お前の役に立ってるかな…。」

誠は涙声で言う。

「…立っているよ。だって私が此処まで生きてこれたのは全て誠のお陰なんだよ。
 半年前だって誠は何が合っても私を励まそうとしてくれた。
 どんなに辛い事があっても必死に励ましてくれた。
 だから私は此処まで生きてこれたんだよ?誠には本当に感謝してるんだ。
 今度は私が助けるよ!!どんなに苦しくて過酷な現実が待っていても私は立ち向かってみせるから!!」

292:2012/01/07(土) 11:56:04 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私がそう言った後、誠の両目には涙が溢れ返っていた。

「…ごめんな夜那…。俺…怖かったんだ…。この傷見て。」

誠はそう言って私に左腕を見せる。

そこには何回も殴られた痕跡があった。

私はその傷を見て、泣きじゃくんだ。

「他にもあるけど…今は答えられない。時が来たら話すよ。」

誠はそう言うと私を優しく抱き締めた。

「誠も辛かったんだよね?精神的に…。過去に何かあったんでしょ?
私と出会う前に何か…。」

私の声は震えていた。

そう聞くのも怖く感じる…。

「…うん。その話はまた今度してあげるよ。今は言いたくないから…。」

誠はそう言って私の身体からそっと離れる。

293:2012/01/07(土) 12:40:06 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「…うん。話したくなかったら話さなくていいんだよ?
無理しなくていいから。」

私は誠の顔を覗き込む。

「…ありがとう。夜那のその優しい言葉はいつも元気づけられる。
 マジ嬉しい…。」

誠の頬が急に赤くなる。

「良かった。喜んでもらえて。さ、明日は初詣に備えて今から寝ます!!」

私はそう言ってすかさずベッドに潜り込む。

「誠も一緒に寝て?私の我儘かもしれないけど…。」

「いいよ。たまには夜那の我儘を聞いてみたい。」

誠もベッドに潜り込む。

「明日の初詣に憐は誘わなくていいの?三人で行った方が楽しいよ?」

「あっ…それなんだが。憐の奴…明日から親戚の家に泊まりに行くらしいんだよ。
 ま…アイツが居なくなって清々したが。」

294:2012/01/07(土) 14:00:48 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「そうなんだ…。私もう寝るね。おやすみ…。」

私はそのまま深い眠りについていった―――…。


翌日…。

私が目を覚ますと横には誠が寝息を立てて眠っていた。

「うーん…。」

私は起き上がって思いっきり背伸びをした。

「お風呂入って来ようかな…。身体がベタつくし…。」

私はベッドから静かに下りて、足音を立てないように忍び足で部屋の出口に向かった。

私は静かに部屋の出口から下に降りた。

今度は慎重に下に降りる。

足が地面に着くと、青い蝶が私の右肩に止まる。

「蝶さん…大丈夫だよ。私も誠も大丈夫だから。」

そう言うと蝶は私の頭上で一回転をした。

「蝶さんも嬉しいんだよね?私も嬉しいよ。」

私は蝶に向かって笑顔で言った。

すると蝶は私の正面に来た。

「蝶さん…私に何かあったらその時は逃げて。」

その時蝶は私に首を振ったような気がする。

295:2012/01/07(土) 14:55:09 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
もしかして自分だけ助かるのは駄目って事なの?

助かるのは皆一緒だって事なの?

蝶さんは…私を助け出してくれたんだよね。

暗い世界に居た私を助けてくれた。

だからこうして生きているんだ。

誠にも出会えたのは何かの運命なのかな?

もし誠に出会えてなかったら今私は此処に居なかったかもしれない。

生きていればいい事だってたくさんあるんだ。

それを教えてくれたのは誠や蝶さん…。私を支えてくれた人達全て…。

私はこの世界に必要な人間なんだ。

誰も不必要なんてない。

その言葉を信じて私は進んで行くね。

たとえ行き着いた場所が地獄だとしても…。

私は生きているんだ。

生きてる事に感謝しないとね。

たった一つこの命を大事にしていくよ。

もし私が魂だけになっても強く生きていくよ。

296:2012/01/07(土) 15:09:09 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私が積み上げてきた沢山の思い出も経験も全て忘れないよ。

何時までも私の心に刻まれ続けているんだ。

夢の世界の出来事も全て忘れない。

忘れたらその世界の人達が可哀想だから絶対に忘れない。

ふと思い返せば今まで色んな事が私の中で静かに音を立てて流れていく。

流れていく記憶の中で私は思う。

たとえ辛い事があっても自分を信じて乗り越えて来たんだって。

生きてて良かったんだよね私…。

生きてたから好きな人も出来てこんなに自分の事を大事に思ってくれる人達に出会えた。

私って今まで現実から逃げてたのかな?

逃げてたから義理のお母さんにも今まで怯えていたのかな?

逃げてたら全然いい事なんてないんだ。

逃げれば逃げるほど逃げたくなる。

でも私はそんな逃げると言う事を捨てたから今の自分があるんだ。

私の本当のお母さんも今頃何処かで思っていたりするのかな?

“強くたくましくなったわね夜那”って…。

思っていてくれてたりするのかな?

297:2012/01/07(土) 15:26:02 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
今度…お母さんの墓参りにでも行こうかな…。

そうすればお母さんにも会える。

姿は見えなくてもずっと私の傍に居てくれる気がする。

私を何時までも見守ってくれている気がする。

お母さん…ありがとう。

私は笑顔で誠の部屋の扉を開けた。

「蝶さん…これからも宜しくね。」

私はそう蝶に呟くと静かに私の右手の人差し指に止まる。

「さてと、朝風呂でもしておこうかな。」

私はそう呟き、1階に続く階段を降りる。

階段を下りて洗面所に一直線に向かう。

洗面所の扉を開けると、誠のお母さんが笑顔で立っていた。

「お母さん…。」

「朝風呂するんでしょ?はい。」

誠のお母さんから渡されたのは黒いワンピースだった。

それは半年前私が使っていたワンピースだった。

「これって…。」

「そうよ。貴方が半年前に使っていたワンピースよ。
 捨てるのもったいなくてね。私が少しワンポイントとして工夫してある所はあるけれどね。」

私は誠のお母さんからワンピースを受け取った。

298:2012/01/07(土) 15:43:38 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
たしかにワンピースの右胸の所に白い花のブローチが付いていた。

何か申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「お母さん…。誠はもう大丈夫です。正気に戻りましたから。」

「本当に夜那ちゃんに感謝したくてもしきれないわ。」

誠のお母さんは嬉し涙を零しながら言う。

「あの…。」

「あ…分かってるわよ。で、朝ご飯は御節よ。お風呂から上がったら誠起こしてきてね。」

「分かりました。」

私はそう呟くと誠のお母さんは洗面所から出て行った。

299:2012/01/07(土) 15:45:12 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
コメ返し。

第2期ももう終わりに近づいてます。

此処で最後の難関みたいな感じが入ります。

此処からが一番夜那さんの苦痛に入って来ると思います。

ではでは引き続きどうぞw

300:2012/01/07(土) 15:45:44 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
300行きました!!!!

これからも応援宜しくお願いします!!!

301:2012/01/07(土) 16:41:07 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私は黒いワンピースを洗濯機の蓋の部分にのせて服を脱いだ。

私はふと右腕を見た。

昨日誠に握られた手形の痕がくっきりと残っていた。

あの時の誠はすごく怖かった。

普段の誠とは何処か違っていた。

私が知らない誠の裏の顔と言うべき感じだ。

私はそんな事も考えながらお風呂場に入った。

青い蝶は洗面所の扉の向こうで待っていてくれている。

私はシャワーを手に取り、身体を丁寧に洗い流す。

身体のベタつき感が一気に解放される気がした。

「はぁ…。」

昨日から気になってる事が一つある。

妙な胸騒ぎが昨日からした。

近々何かが起こりそうで緊張してしまう。

「今日は初詣だし…お正月ぐらい楽しまなきゃね。」

私はそう心の中で呟きながら頭からシャワーを被った。

「…これでよし。」

私はシャワーを壁にかけてお風呂場を出た。

お風呂場からあがってバスタオルで身体を拭いた。

302:2012/01/07(土) 17:17:40 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
身体を拭いて、ワンピースを着ていると扉がノックされる。

「夜那?」

その声に私は安心した。

「うん?何?」

私は聞く。

「…昨日はごめんな。俺…やけになってた。
 お前に当たってしまってごめん…。」

「いいよ。気にしてないし…。それにあれは誠の意志でやった訳じゃないって分かってるから…。」

私は言う。

「…そうか。良かった…。」

そう言った瞬間、私は洗面所の扉を開いた。

地面には誠が座り込んでいた。

「誠?大丈夫?」

私が問い掛けると誠は顔を上げた。

「うん。大丈夫だ。俺も朝風呂すっかー!!」

誠はそう言って洗面所に消えて行った。

303:2012/01/07(土) 17:53:22 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私はバスタオルで頭を拭きながらリビングに向かった。

リビングに入ると、誠のお母さんがテーブルにいっぱい料理を並べていた。

「凄い豪華…。張り切って作ったの?」

私は訊く。

「そうよ。せっかくのお正月だもの。」

誠のお母さんは微笑ましい表情で言った。

「そうだよね。あれ?お父さんは?」

私は訊く。

「それがね…お正月なのに会社で飲み会があるって言って昨日の夜から出掛けちゃったのよ。」

304:2012/01/07(土) 19:24:13 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「そうなんですか…。」

私はテーブルの席に座った。

「ま、今日の昼ぐらいに帰って来そうだと思うわ。」

「はい…。あの…純さん達は?」

私は訊く。

「純なら祐也君と仲良く帰って行ったわ。また明日来るらしいわよ。」

「そっか。分かりました。」

そう言った瞬間、後ろから誠の声が聞こえてきた。

「あーさっぱりした。」

305:2012/01/07(土) 20:04:48 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
誠の暢気な声が聞こえて来る。

「もう上がったの?早くない?」

「これぐらい普通だし。てか、お前は長風呂だよな。誰の影響なんだ?」

そう言いながら誠は私の隣に座る。

「分かんないよ。そんなの…。」

私はそっぽを向く。

「はいはい。分かったから。そう言えば母さん…純は?」

「純なら祐也君と一緒に仲良く帰って行ったわよ。」

306:2012/01/07(土) 20:11:35 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「アイツが仲良く…ぷっ。」

誠は腹を押さえて爆笑し始めた。

「笑いのツボにはまったのね。」

対面で誠のお母さんが笑みを浮かべている。

「やべぇ…ガチで腹いてぇ…。」

誠は未だに笑っている。

「笑いすぎだよ…。」

307:2012/01/08(日) 12:41:15 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
私がそう言った直後、家のインターホンが鳴った。

「あら。こんな時間に…誰かしら。」

誠のお母さんは席を立ち、リビングを出た。

玄関で扉が開く音が聞こえた。

「あら憐君じゃない。どうしたの今日は…。」

誠のお母さんの声を確認して私は無意識に玄関方面に向かった。

玄関に向かうと、白のトランクを持った憐が笑顔で立っていた。

「憐…。」

私が呟くと、憐は口を開いた。

「夜那…目を覚ましたんだね。良かった…。」

憐は私に優しく問い掛ける。

でもその問い掛けは何処か悲しく感じた。

「うん…。今日から旅行なの?」

「そうだよ。親戚の家に泊まりに行くんだ。1泊2日の旅に行って来るの。
 で、行く前に夜那に少しでも顔出しておこうかなって思って今日は来たんだ。」

「そう、なんだ…。楽しんでおいでよ。帰って来たら三人で騒いで遊ぼうよ。」

私は笑顔で言った。

でも心の中に妙な胸騒ぎはまだ続いていた。

このまま憐を見送ったら駄目な気がした。

308:2012/01/08(日) 13:09:16 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「そうだね。じゃそろそろ行くね。後…お土産買って来るね。じゃ。」

憐は私に背を向けて歩き出した。

「最後に一つだけ聞いて…憐。。」

私は俯きながら呟く。

その声に憐は足を止める。

「何?」

「これ…持っていって…。」

私は服のポケットからミサンガを取り出した。

白の糸と黒の糸が交互に重なっている。

「左手首貸して。」

私が言うと憐はすんなり左手首を私に差し出す。

私は憐の左手首にミサンガを結び付けた。

「御守りだよ。私からの。」

私は作り笑顔で言った。

「ありがとう。明日僕の誕生日なんだ…。明日は夕方ぐらいに帰って来る予定だから
 帰って来たらその時は宜しくね。」

憐は笑顔でそう言うとまた歩き出して外に消えて行った。

309:2012/01/08(日) 13:36:40 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
玄関の扉が閉まったと同時に私は地面に座り込んだ。

「憐…。」

昨日から続く胸騒ぎは何時しか私の中で大きくなっていた。

「夜那。」

後ろから誠の声がする。

310:2012/01/08(日) 17:20:47 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「誠…。」

自然と涙は出ない。

不思議だった。

「憐が来てたみたいだけど…何かあったのか?」

誠が訊く。

「ううん。何でもないよ。リビングに戻って御節食べようよ。」

「…そうだな。」

誠は私の右手を握って私の身体がリビングに向かっていく。

誠と居ると私の心が落ち着く。

一緒に居るから分かる安心感。

「…憐の事で気になる事があるのか?」

そう言った瞬間、私の身体が壁にぶち当たる。

私の身体がぶち当たると誠は私に顔を近づけた。

「誠?また可笑しくなったの!?」

私は誠の身体を両手で揺する。

「…大丈夫だ。気にするな。ちょっと本能的になっただけだ。」

誠はそう言ってリビングに戻って行った。

311:2012/01/08(日) 17:54:36 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
…大丈夫。

誠は可笑しくなんか無い。

きっと大丈夫だよね?

私はそんな事を考えながらリビングに戻った。

リビングに戻ると誠は笑顔で御節を食べていた。

312:2012/01/08(日) 18:30:02 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「夜那も早く食べようぜ。」

誠が私に手招きをする。

さっきまでの誠とは全く違う。

さっきまでの事は嘘のようだった。

「夜那ちゃん。一緒に楽しみましょうよ。」

誠のお母さんは私を椅子に座らせる。

「じゃ戴きます!!」

私は手を合わせて言ってお箸を手で持ち、具を用意してある皿に移していく。

「美味しい…。」

一口、口の中に入れるとどんどん食べたくなる。

「良かったわ。喜んでもらえて。」

誠のお母さんは笑顔で言う。

「夜那ってよく食うんだな。」

隣で誠が呆れた顔をする。

313:2012/01/08(日) 21:26:59 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「美味しいんだからしょうがないじゃない!!」

私はそう言って料理を食べ続ける。

「ご馳走様でした。」

隣に居る誠がそう言った。

「もう食べたの?」

「うん。夜那みたいに俺は大食漢じゃないんで。」

誠にそう言われ私は馬鹿にされたように頬を膨らませる。

「何かムカつく…。」

私は目を逸らして言った。

「…食べ終わったら夜那の部屋で待っておく。渡すものがあるんだ。」

「今此処で渡せばいいじゃない。何で態々夜那ちゃんの部屋なの?」

誠のお母さんが訊く。

「母さんには関係ない。俺と夜那の問題だ。」

誠はそう言って2階へ行ってしまった。

314:2012/01/08(日) 21:30:08 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
※お知らせ※

最終回が迫ってきました。

と言っても最終回まではもう少し先です。

最終回は泣けるかどうか分かりませんが・・・。

読者の皆さんが泣けるように努力します!!

では引き続きお楽しみください!!(*^_^*)

315:2012/01/08(日) 21:35:31 HOST:zaqdadc28ab.zaq.ne.jp
「…あの子も夜那ちゃんに逢ってからだいぶ変わったわね。
 良かったわ。あの子があの時の事を恨んでなくて…。」

「あの…あの時ってどう言う意味ですか?」

私は訊く。

「えっ?あっ…何でもないのよ。忘れて。ね?それより御節はもういい?
片付けるわよ。」

「えっ…あっ…はい。。ご馳走様でした。」

私は手を合わせて椅子から立ち上がった。

316:2012/01/09(月) 15:37:32 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
あの時って一体何の事?

何か凄く気になる…。

でもあんま気にする事ないよね?

さてとお腹もいっぱいになったし2階に行くか。

でも渡す物って何だろう?

そんな事を考えながら私は階段に上った。

317:2012/01/09(月) 18:54:23 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
自分の部屋の前に着くと、少し扉が開いていて中の光が漏れていた。

私は静かに駆け寄り、扉の隙間から中をそっと覗く。

誠は中には居なかった。

「何コソコソしてんの?」

背後から低い声がして、私は振り返った。

「…誠。」

「さっさと入ってくれ。」

誠にそう言われ私は部屋の中に入る。

「自分の部屋なのに何で誠に指図されなくちゃならないの?」

私が訊いても誠は答えてくれなかった。

「で、渡す物って?」

「これ。」

誠が右手に持っていたビニール袋を私に差し出す。

中身を見ると、お菓子類が詰め込まれていた。

「お菓子…。渡す物ってこれだったの?」

「うん。それ以外にある?」

誠は言う。

「…何か期待して損したかも…。はぁ…。」

私は肩を下ろして座り込もうとした。

「今のは冗談。本物はこっちだ。」

「えっ?何処?」

私は誠の後ろを見た。

でもそこには何もなかった。

「夜那。口開けて。」

誠にそう言われ私は言われるがままに口を開けた。

私が口を開けた瞬間、私の口の中に飴が放り込まれる。

「飴じゃない。どう言う事なの?」

私は頬を膨らませながら言った。

「気づかない?それさっきまで俺が舐めてた飴。」

誠は意地悪に言った。

「えっ…。」

「嘘嘘。冗談に決まってんだろ。」

誠は笑いながら言う。

「嘘…か。本当だったらいいのに…。」

私は地面に蹲った。

「…今度ちゃんとお前にやってやるよ。」

誠は私の頭をポンポンと撫でた。

318:2012/01/09(月) 19:32:33 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「…誠って恥ずかしい事さらっと言うけど恥ずかしくないの?」

私は蹲りながら言う。

「…さぁ?どうだろうな。ま、昔の自分に戻りたくないからそうしてるだけだ。」

誠はそう呟く。

その表情は何処か悲しかった。

どう言う事?とは訊かれなかった。

と言うか訊きたくなかった。

だって誠の過去に触れようとすると誠は答えてくれない。

一体その先には何があるのか私にも分からない。

きっと複雑な事情が絡んでいる。

そう私は思い込んでいた。

「さてとそろそろ初詣行くか。」

誠は笑顔で言う。

「うん!」

私は立ち上がった。

319:2012/01/09(月) 21:37:14 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「後さ…夜那。」

誠はニコニコの笑顔で言う。

「ん?何?」

私は訊く。

「キスしていい?」

誠の言葉に私は思わず動揺してしまった。

「今からするの?」

私が訊くと誠は小さく頷く。

「…うん。だって…夜那が好き過ぎてヤバイからさ。。」

「…いいよ。」

私はそう言って目を瞑る。

「怖いのか?」

誠はそう言った瞬間、誠の唇がそっと私の唇に触れる。

こう言う状況は半年前からまだ慣れていない。

私の右手が微かに震えだす。

誠は私の異変に気づいたのかそっと私の右手を握る。

誠はそっと私から唇を離す。

「夜那って案外素直じゃないな。新たな一面発見だ。」

誠は満足気に言った。

「…恥ずかしいから言えないだけだよ…。」

私はふいに顔を逸らす。

320:2012/01/09(月) 21:42:04 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「恥ずかしい…か。でもその恥ずかしさを晒してみたら少しは変わるかもしれないぞ?」

誠は天井を見上げながら言った。

「晒す?よく分かんないけど…。それっていい事なの?」

私は訊く。

「うん。いい事だと思う…。俺が思うには…。」

321:2012/01/10(火) 15:00:15 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「…そうなんだ。そろそろ準備するね。」

私は部屋の隅にあるクローゼットに向かおうとした。

「じゃ俺も準備する。1階で待っててくれ。」

誠はそう言って私の部屋を出て行った。

私はクローゼットに向かい、黒のピーコートを取り出した。

「これを来よう。」

私は袖に手を通してコートのボタンを1個ずつ留めていく。

最後のボタンを留めて、私はクローゼットの下に置いてあった赤のショルダーバックを手に持った。

私は机に向かい、ショルダーバックのチャックを開け、その中に、携帯と財布も入れてチャックを閉める。

これでいいよね?

そう心で呟き、バックを肩から掛け、部屋を出た。

部屋を出た瞬間、隣の扉もほぼ同時に開き、誠が出て来た。

「さ、行こう。」

誠は笑顔で私に右手を差し出す。

でも誠の右手は微かに震えていた。

「うん。」

私は左手で誠の右手をそっと握る。

322:2012/01/10(火) 17:30:44 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
やっぱり怖いの?

誠は何に怯えているの?

私に怯えているの?

そう聞きたくても訊けないよ…。

「夜那?」

誠が私の顔を覗き込む。

「何?」

「何か考え事か?」

誠は言う。

「うん。でも大した事じゃないよ。大丈夫だから。」

「それならいいんだけどな。夜那って隙有り過ぎ。」

誠は私の頬に手を添える。

「…っ…。止めて…。」

「じゃ…帰って来てからしてもいい?」

誠は私の耳元でそっと囁く。

「…うん。それまで我慢だね。」

323:2012/01/10(火) 17:54:37 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「…うん。」

誠は呟く。

「夜那ちゃん〜!誠〜!」

下から誠のお母さんの声が聞こえて来る。

「ほら行くよ!」

私は誠の手を強引に引き、階段を下りる。

階段を下りると誠のお母さんは白のダウンコートを着ていた。

「神社まで車で送って行ってあげるわ。さっさと行くわよ。」

誠のお母さんは車のキーを片手に玄関に向かった。

324:2012/01/10(火) 22:16:13 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
私と誠は手を繋ぎながら玄関で靴を履いた。

私はベージュのムートンブーツ、誠は黒の中折れブーツを履いた。

「夜那…ガチで可愛い…。」

誠は恥ずかしそうに呟く。

「…誠だっていつもよりカッコイイよ。」

私も恥ずかしそうに言う。

「二人とも出発するわよ!!早く後部席に乗りなさい。」

誠のお母さんに言われ、私と誠は車に乗り込む。

私が先に乗り、誠が後に乗る。

325:2012/01/11(水) 14:37:26 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
誠は右手を離し左手で私の右手を握る。

誠のお母さんは車を走らせて、神社に向かった。

車の走行中、私は車窓から景色を見ていた。

空を見ると雲一つない快晴だった。

「綺麗…。」

私はそう呟くと後ろから誠が私を抱き締める。

「お前の方が綺麗だから。後、初詣行ったら絵馬書こうぜ。」

「絵馬?何それ。」

私は訊く。

「願い事を木の板に書き込んで神社の中の絵馬堂にかけておくらしい。」

誠は私の耳元で囁いた。

「へ〜。誠は何をお願いするの?」

「とりあえず今後の俺達の未来を願い事にするぐらいだ。夜那は?」

誠は訊く。

「私は…まだ決まってない。神社に着いてから考えるの。」

「そうか。…俺…お前に逢えて良かったって思ってる。」

誠は急に私の身体から離れた。

「何でそんな悲しい事を言うの?」

私は訊く。

326:2012/01/11(水) 15:41:02 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「…いや、何でもない。忘れて?」

誠は何処か悲しそうな口調で呟く。

「…うん。分かった。」

私は素直に忘れる事にした。

でも何処か忘れられなかった。

「着いたわよ。私は此処で待っておくから二人で行ってきなさい。
 何かあったら携帯で連絡するから。」

「分かりました。」

私はそう言って誠と共に車を降りた。

神社にはそれほど人は混んでなくて、小さな神社だった。

神社の前には何かを配っている人が居た。

私は不思議に思い、誠と共に駆け寄った。

「これ何ですか?」

私は屋台に居るおばさんに言った。

「甘酒よ。正月はこれで乾杯なのよ。無料だから飲んでいく?」

「はい…。」

私はおばさんから甘酒が入った紙コップを受け取った。

「そっちの彼氏はどうするの?」

おばさんは笑いながら言う。

「あっ…俺はいいです。お酒は飲めないんで…。」

「そう?でもこの甘酒は少し普通のとは違うのよ。隠し味を使ってるからね。」

おばさんは苦笑いしながら誠に紙コップを渡す。

紙コップを受け取った誠は一気に甘酒を飲み干した。

「はぁ…はぁ…。物凄く美味い…。この甘酒酸味があって美味い。」

誠の言葉に私も一気に甘酒を飲み干した。

327:2012/01/11(水) 16:41:44 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「この甘酒の隠し味って蜂蜜ですか?」

私は尋ねる。

「あらよく分かったわね。当たりよ。」

「ご馳走様です!」

私と誠は声を揃えて言った。

「ふふ。貴方達息ぴったりね。」

おばさんは笑いながら言う。

「じゃ俺達はこれで失礼します。本当にありがとうございました。」

誠は紙コップをおばさんに渡し私の腕を強く引く。

「あの…ありがとうございました!」

私は慌てておばさんに紙コップを渡すと、誠に引き摺られるように境内に入って行く。

328:2012/01/11(水) 17:16:55 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
境内の中はは入口から真っ直ぐに伸びて行った所に本堂が一つあって、右手側には絵馬堂と白いテントがあり、

左手側には小さな壺みたいなのがあった。

それ以外何もない何処か殺風景な神社だった。

「とりあえずお賽銭しよう。」

誠はそう言って財布の中から100円玉を2枚取り出した。

誠はその1枚を私に渡す。

私は訳が分からず不思議に誠に首を傾げる。

「俺の奢り。今日だけは奢らせて。」

誠はニコニコしながら言う。

「うん。」

私は頷く。

私と誠は同時に賽銭箱に100円玉を投げ込んだ。

私は手を合わせて目を瞑った。

たしか此処でもお願い事するんだよね?

じゃ…死ぬまでずっと誠の傍に居られますように…。

それが私の願いでもあり本心でもあった。

私は目を開けて静かに横を振り向いた。

誠はまだ目を瞑って願い事をしている。

329:2012/01/11(水) 17:46:03 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「これでいい。」

誠は苦笑いをして目を開ける。

「何をお願いしたの?」

私は訊いたが誠は答えてくれなかった。

そう思った時、バックから携帯の着信音が聞こえてきた。

私はバックの中を漁り、携帯を取り出した。

誠のお母さんからだった。

私は発信ボタンを押して携帯を耳に当てる。

「もしもし。」

『あっ、夜那ちゃん?今すぐ車に戻ってきて!』

電話の向こうから聞こえる誠のお母さんの声は何処か焦っていた。

「何で?」

『…今、お父さんから連絡があって…憐君が…事故に遭ったらしいの…。』

その言葉を訊いた瞬間、携帯が手元から地面に落ちた。

えっ…。

事故に遭った?

何で…?

「夜那?」

誠が渡しに駆け寄り、地面に落とした携帯を拾う。

早く行かなきゃ…。

憐の所に…。

でも足が竦んで進まれない。

誠は私の異変に気がついたのか、私をそっと抱き上げた。

330:2012/01/11(水) 17:56:05 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「…嫌だよ…。」

ぼそっと出た私の言葉。

「どーせ何かあったんだろ?で、母さんが車戻って来いって言われたんだろ?」

誠の図星に私は頭を抱えた。

「…憐が死んじゃうよ…。」

私は泣きながら呟くが、誠は何も言わない。

車に戻り、私の身体が車に押し込まれる。

私はしばらく放心状態だった。

車を走らせて何分立っただろうか…。

私はずっと車窓から景色を眺めていた。

憐…。

私は心の中で何回も憐と言った。

誰か助けてよ…憐を…。

ねぇ…誰か…。

「…な…夜那!」

誠の声で私はゆっくりと振り向いた。

331:2012/01/11(水) 18:30:21 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
私の目には涙がいっぱい溜まっていた。

「着いたぞ。」

誠は右手を差し出した。

私はその時手を握る気力すら失っていた。

すると誠は私の左手を強制的に握らせた。

握られた瞬間、凄い力で車から下ろされた。

車から下ろされた瞬間、一瞬バランスを崩して地面に倒れそうになった。

でも危うく誠が私の身体を抱き締める。

「重症だな…夜那。憐の病室まで運んでやるよ。」

誠の口調は落ち着いていた。

「…いいよ。自分で歩けるから…。」

私は静かに誠の身体から離れた。

私は誠の手を握り、身体を引き摺りながら病院内に入って行く。

どうしても足元が不安定で、麻痺してるかのようにあまり感覚がない。

「夜那ちゃん。憐君の病室は708号室よ。と言うか大丈夫?」

誠のお母さんが私に駆け寄る。

「うん…。大丈夫だよ…。気を遣わなくていいから。」

332:2012/01/11(水) 18:48:57 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
私はフラフラになりながらも誠と誠のお母さんと共にエレベーターに乗り、憐の病室に向かった。

憐の病室の扉を開くと憐はベッドに寝かされていた。

私は誠の手を離して、ゆっくりと憐に駆け寄った。

憐のベッドの横には見られぬ機械が3台ほど置いてあり、その中の一つは心拍数を示す機械だった。

憐の口元には呼吸器が取り付けられていて、両腕には包帯が巻かれていた。

右腕には点滴がされていて、見るのがとても痛々しく感じられた。

左手首には私が今朝あげた白と黒のミサンガがつけられていた。

「夜霧憐さんのご家族の方ですか?」

後ろを向くと、30代位の男の医者が立っていた。

「私達は夜霧憐さんの友達です。」

誠のお母さんは軽く医師に説明した。

「そうですか。分かりました。」

医師は軽く頭を下げ出て行った。

「憐…。」

私は憐に視線を戻して軽く憐の右手を握る。

333:2012/01/11(水) 19:01:40 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
その時、憐が少しだけ私に握り返してくれた。

「夜那…。」

憐はうっすら目を開ける。

「憐…!良かった…。」

私は嬉しさの余り、憐の手を握り締めながら涙を零した。

「何で…泣くの…?」

憐は途切れ途切れに言う。

「嬉しいから…。」

「そっか…。後ね…最後になってしまったけど…これ家に帰ってから読んで。」

憐はそう言って私に封筒を差し出す。

私はそれを大事に受け取る。

「ありがとう…。」

私は呟く。

「じゃもう少し寝るね。次起きたらその時は僕を大事にしてね?」

そう言い残して憐は寝てしまった。

334:2012/01/11(水) 20:00:55 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
“大事にしてね?”とはどう言う意味だろう?

「ずっと好きだったよ夜那。さよなら…。」

その声に私は我に返った。

今…憐の声がした。

悲しくて何処か虚しい…。

そう思った時…心拍数を表す機械の数値が0になった。

ピーと言う音が部屋中に響き渡った。

「12時14分…ご臨終です。」

医師が憐の呼吸器を静かに外した。

「嘘…。」

私は再び放心状態になり、地面に倒れ込み意識を失った。

335:2012/01/11(水) 20:23:08 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
――――…。

「此処は…何処?」

ぼやけた視界で私は辺りを見回す。

「私の…部屋?」

私あれからどうしたんだっけ…?

全然憶えてない…。

たしか憐の事でショックになった事は憶えてるが…その後の記憶が全然ない…。

私は横倒れになると枕の横に白い封筒が目に止まった。

「憐…。」

私は白い封筒の表紙を触りながら呟く。

そう言えば家に帰ってから読んでって言ってたな…。

私は封筒の封を手で破れないように剥がして封を切った。

中には白い紙が2枚。

私は丁寧に中から出して、手に取った。

1枚目の紙の端っこには小さく1と書いていた。

2枚目の紙の端っこにも小さく2と書かれていた。

2枚目の紙は触っただけで凸凹していた。

私は1枚目の紙を開き、中の内容に思わず涙が流してしまった。

336:2012/01/11(水) 21:42:37 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
『…夜那と誠へ。夜那と誠がこの手紙を読んでいる頃には僕は居ないかもしれない。
 でもそれで僕は満足なんだ。だって僕が好きって言っても夜那はきっと僕に振り向いてくれなかっただろうし…。
 ならこのまま君達を応援するね。僕ね…夜那に出会えて良かったと思ってるよ。
 僕にとって初めての初恋が夜那で良かったと思ってる…。半年前…夜那に初めて逢った時、
 一目惚れしちゃったんだ。それで君が住んでる所を探して僕は隣に引越して来たんだ。
 だから夜那の為なら死んだって構わなかった。夜那の為なら全てを捧げるってそう決めたから。
 でも…もうそれは遅かったんだね。夜那には誠が居たから敵わなかった。
 だから二人を祝福するね。僕はもう諦めるよ。
 最後になったけど僕は静かに夜那を見守る事にするよ。ずっと夜那の傍に居るね。
 それから、僕の黒い蝶も出来たら預かって欲しいな。一人じゃ寂しがってるから。
 じゃあね。
 

                       夜霧憐。』

と言う内容だった。

337:2012/01/12(木) 08:02:56 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
私は紙を握り締めてベッドのシーツに涙が零した。

私は右手で涙を拭いながら2枚目の紙を開ける。

2枚目の紙には真ん中に大きい字でごめんね。と書かれていた。

「…夜那。」

私は起き上がって前方を見た。

「誠…。」

私はそう呟く。

「…悲しい想いさせてごめんな…。」

誠はそう言って私をそっと抱き締めた。

誠の身体の温もりが少し憐の温もりに似ていた。

「憐…。このまま一緒に居て…。」

私は明らかに幻覚を見ていた。

憐じゃないって分かっているのに…。

憐はもう居ないのに…。

私は――――…。

「…俺は憐じゃない。目を覚ませ!!」

誠は口を尖らせて言った。

「何言ってるの?貴方の温もりは憐そのものなんだよ?何でそんな事言うの?」

私は誠の頬に両手を添える。

何で思ってない事言うんだろ?私って…。

「…幻覚を見てるのか?じゃ忘れさせてやるから。」

誠は私の左手をそっと絡めて、私の唇を乱暴に塞いだ。

「…っ。」

温かい…。

誠のキスは何処か温かいんだ…。

私の心をゆっくりと満たしてくれる…。

傷を癒されていくような快感になる。

やがて誠は静かに唇を離して私を強く抱き締めた。

「誠…ごめんね…。本当は信じたくなかったんだ…。受け入れたくなかった…。
 受け入れたら今度は誠が居なくなるような感じがしてならなかった…。」

「…全部俺の為かよ。」

338:2012/01/12(木) 13:55:30 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
誠は低い声で呟く。

「…ごめんなさい。。」

私は誠の肩に顔を埋めた。

身体の震えが止まらないよ…。

誠は黙って私の背中を優しく擦ってくれた。

「なぁ…夜那。。」

誠は私の背中を擦りながら呟いた。

「…何?…。」

「これ…病院の人から預かってきたんだ。たぶんお前のプレゼントだったのかもな。」

誠は私の右手に小さな袋を握らせる。

茶色の小袋で左右に振るとカラカラという音が鳴る。

私は丁寧に袋を開けて、中身を右の手の平に落とす。

339:2012/01/12(木) 15:19:09 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
中からはシルバーのハートのネックレスだった。

装飾もなにもないシンプルなデザイン。

「付けてやるから。貸して。」

私は誠の問いかけにネックレスを渡す。

誠は黙って私の首元にネックレスを付ける。

その時。誠は私の首の項をそっと舐める。

「ひゃっ…。」

「怖がんな。こんなの挨拶代わりだしな。夜那が嫌がってんならもう止めとくよ。」

誠はそう言って私の耳元を触って立ち去ろうとした。

「嫌…。行かないで…。」

私は後姿の誠に抱きついた。

「何処にも行かないさ。今日憐の葬式だから喪服に着替えて来るだけだよ。」

「喪服?喪服って何?」

私は訊く。

「葬式などに着る黒い服の事だ。夜那はそれでいいかもしれないがな。」

誠がそう言うと私はゆっくりと誠の身体から離れた。

「…分かった。待っとくね。」

私は俯きながら静かにベッドの淵に座る。

340:2012/01/12(木) 15:40:20 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
誠は私を一瞥して部屋を出て行った。

「はぁ…。」

誠が出て行った途端、私の口から出た深いため息。

憐は死んだんだ…。

現実をちゃんと受け止めなくちゃ…。

弱虫だな…私。。

まるで半年前のあの頃と同じ…。

義理のお母さんに逆らえなくて私は日々死ぬという望みを持っていたあの頃みたいだな…。

私はそう思いながら天井を見上げていた。

天井を見上げていると横の窓から温かくて赤い光が私をあてる。

もう夕方なんだ…。そう思った。

まるで赤い妖精が私を悠々と照らしているかのようだった。

「憐…。ずっと私の傍に居るんだよね…?」

私は泣きながら唇を噛み締め、呟く。

「なら…ずっと私の隣で私の手を握ってよぉ…。憐が眠る前だって一度だけ
 握り返してくれたように握って…。そして私との絆を表して…くれたらそれでいいから…。」

私は泣きながら居ない憐に話しかける。

それでも答えは帰って来ない。

341:2012/01/12(木) 16:12:16 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
「ねぇ…答えて?答えてくれないと私…泣いちゃうから…。。
 泣いちゃうからぁ…。」

私は両手で顔を覆って泣き叫んだ。

「…大丈夫か?」

誰かの手が私の頭をそっと撫でる。

「誠…。うん…。大丈夫……。」

私は涙を拭き取り、笑顔で誠に言った。

何時までも悔やんではいられない…。

笑顔で憐を見送らなくちゃ…憐に喜んで貰えない。

「…誠。私分かったような気がする…。憐はきっと最初から分かってたんだよ。
 私と誠が幸せになる事を…ずっと陰で願ってたのかも。。」

342:2012/01/12(木) 17:23:58 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
私の言葉に誠は黙ってしまった。

「…そうか。」

「どうしたの誠?顔色悪いよ?」

私は誠の顔に覗き込む。

「何でもない…。さ、憐に逢いに行こう。」

誠は強引に私の腕を引き、部屋を出た。

343:2012/01/12(木) 18:07:14 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
それから私と誠は車に乗せられて葬式場に向かった。

葬式場に向かうと10人位の人がパイプ椅子に座っていた。

中心には憐の写真が飾られていた。

その写真はとびっきりの笑顔で笑っていた。

写真の下には棺が置かれていた。

そこにはきっと憐の亡骸が入っているんだ…。

そう思っただけで胸が苦しくなる。

私はそっと棺に近づく。

「憐…。」

棺の蓋は閉まっていた。

私は俯いて前から2列目の席に座った。

それから数分後…憐の葬式は始まった。

葬式は順調に進んでいく。

私はずっと俯きながら耐えていた。

やがて最後の項目に入り、憐との最後の別れがやって来た。

憐の入っている棺の蓋が開けられて、私と大勢の人が棺に集まる。

344:2012/01/12(木) 18:20:50 HOST:zaq7a66c4f3.zaq.ne.jp
憐の顔は無表情だった。

両手はお腹の前で握られていて左手首にはミサンガがある。

でも憐の顔は悲しい顔じゃなかった。

嬉しい顔でもない。不思議な顔だった。

「憐…ずっと私の傍に居てね。憐と私と誠は一生の友達だよ。
 その絆を心に刻んでこれからも生きていくから。」

私がそう言うと棺の蓋は静かに閉じた。

345:2012/01/13(金) 13:59:36 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
それから憐の棺は火葬場に運ばれた。

憐の親戚の人達が次々と火葬場に足を運んでいく。

私はそれに紛れて火葬場に向かう。

私は必死に涙を堪えて火葬場に向かった。

火葬場は葬式場の隣にあり、私は玄関から静かに入った。

「大丈夫か?」

誠が私の肩に手を置く。

「うん…大丈夫。心配してくれてありがとう…。」

そう言った瞬間、目に溜まってた涙が一気に溢れ出した。

「ずっと我慢してたのかよ…。はぁ…。」

誠は呆れた顔をして私の目元についている涙をそっと右手の人差し指で拭き取る。

「我慢してないよ…。憐をちゃんと見送ったらちゃんと泣くから…。」

私はそう言って誠の身体に抱きついた。

「…もう泣いてんじゃねーか…。…俺だって悲しいんだよ…。
 憐は俺にとって初めての男友達だったんだからな…。
 たださ…泣いてたら憐も喜ばないだろ?こんな時だからこそ笑うもんだって
 夜那が教えてくれただろ?」

誠は泣きながらも笑顔で言った。

「そうだよね…。ごめんね…?憐を見送る事が先決なのにね?
行こっ?憐の所に…。」

私は誠の身体から離れて誠の腕を引いた。

346:2012/01/13(金) 14:22:05 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「そうだな。」

誠は笑顔で返す。

私と誠は笑顔で憐が居る所に向かった。

憐の所に向かうと、ちょうど棺が窯みたいな所で焼かれる所だった。

親戚の人達が2、3人集まっていた。

その親戚の人達の中の一人が私の所に寄ってきてくれた。

「月隠夜那さんですよね?今まで憐君と仲良くしてくれてありがとう。
 きっと憐君喜んでいるわ。本当にありがとうね。」

その人は深く頭を下げた。

「いえ…私こそ憐と出会えて本当に良かったって思ってます。
 わざわざ礼を言ってくださってありがとうございます。」

私も深く頭を下げた。

そう言った直後、憐の入った棺は窯の中に入れられ、銀色の蓋がそっと閉められた。

「バイバイ憐…。私は貴方に出会えて良かったです。」

私は静かにそう呟いた。

347:2012/01/13(金) 14:58:03 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
それから30分後。

窯の蓋は開いて、白い骨だけになった憐が居た。

「夜那ちゃん。この袋に骨を詰めて?夜那ちゃんと誠でやった方が憐君も喜ぶと思うの…。」

誠のお母さんに言われ私は泣きながらお骨用の袋に手で骨を入れる。

ポタポタと大粒の涙を零しながらお骨を袋に入れる。

一個一個の骨に重みを感じる。

温かさも…感じる。

「憐…。私の傍にずっと居るよね?これからも見守っていてね。」

私はそう呟くと、誠が私の身体を抱き寄せた。

「…憐の為にも生きなきゃな。」

誠は笑みを浮かべて言った。

「そうだね…。」

私はお骨用の袋の紐を縛り、手に持った。

この袋を持っているだけで憐が隣に居るような気がして嬉しかった。

憐の骨は親戚の人達と私と誠に分けられた。

私は強く袋を抱き締めて、背を向けて駆け出した。

「夜那!」

後ろから誠の声が聞こえたけど私は振り返らなかった。

348:2012/01/13(金) 16:05:31 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「憐…。」

私は無意識に憐の名前を呼んだ。

憐はもう居ない。

私…何やってんのかな?

きっと誠が居なかったら今頃私も死んでたな…。

「夜那…!」

その声に私は掌を握り締めた。

振り向きたくなかった。

でも身体がふいに動いてしまって振り返ってしまったんだ…。

「…どうしたの?」

「どうしたの?じゃねーよ!…辛いからあの場から逃げたのか?」

誠の言葉に私は笑顔で返す。

「ううん。そんなんじゃない。声が聞こえた気がしたの。
 “玄関に来て”って声が…。空耳かもしれないけど…その声で目が覚めた気がした。
 何時までも泣いてちゃ憐に悪いし…。」

「そっか。憐ってさ…夜那にベタ惚れだったんじゃねーの?今思えばだけど…。」

誠はズボンのポケットに手を入れながら言った。

「ベタ惚れって?」

「辞書で調べろ。」

誠はそっぽを向く。

「ま、いいや。」

そう言った瞬間、誠の背後から声が聞こえた。

349:2012/01/13(金) 16:27:16 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「2人とも帰るわよ!」

誠のお母さんに呼ばれ、私は誠の手を握って駆け寄る。

「夜那ちゃんは何時まで経っても真面目ね。それに比べて誠は…。」

誠のお母さんは呆れた表情をする。

「悪かったな。不束者で。」

誠は不機嫌そうに言う。

「あら良く分かってるじゃない。さ、家に帰りましょうか。」

「母さん…。今一瞬逸らそうとしただろ?バレバレなんだけど。」

誠は息を吐いて言った。

「母さんって…昔から嘘とか下手だったよな。まるで夜那みたいだな。」

誠は笑いながら言う。

「さ、夜那ちゃん。こんな不束者さんは置いといて帰りましょうね。」

誠のお母さんは笑顔で私の肩に手を置く。

「誠を置いていかないでください…。」

私は俯きながら答える。

「ぷっ…。夜那は真面目すぎるな…。あんなのジョークなのに簡単に信じまってさ。
 やっぱ夜那は面白いな。」

誠は腹を押さえて笑っている。

350:2012/01/13(金) 16:57:45 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「冗談ならもっとマシなのにしてよ…。」

私は怪訝な顔で呟く。

でもそれでもいいと思った。

いつもの誠だなぁ…って思った瞬間だった。


憐…。

ずっとずっと私の傍に居てくれるよね?

憐の黒い蝶も今は居ないけど…見かけたらちゃんと預かるから。

心配しなくていいよ。

私と誠と憐の絆はちゃんと私の心の中に刻み続けてるから…。

憐が此処に生きた証となってきっと死ぬまで残る。

それからネックレスと言うか…ペンダントもありがとう。

憐の形見として毎日見に付けとくからね。

本当にありがとう…。

私達3人の絆はこれからも続いていきますように―――…。


私はふと空を見上げた。

辺りはすっかり真っ暗になっていて空には星屑が散りばめられていた。

「夜那!そろそろ行くぞ〜。」

誠の暢気な声が私の耳に届く。

「うん!」

私は静かに誠の隣に駆け寄った。


絆…それが私の運命を大きく変える引き金となるなんて…。

今は知る由もなかった…。


           To be continued…。

351:2012/01/13(金) 21:14:30 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
第2期は完結と言うか・・・第3期に続いてます。

第3期は・・・たぶん泣けます。

残酷なシーンが一部含んでいるんで・・・。

きっと私自身も書くのが辛すぎて一時期休むかもしれませんが・・。

最後までお楽しみください(-_-;)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板