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('A`)はドクトラセブンのようです

1名無しさん:2018/07/27(金) 13:30:00 ID:2b9l/F6s0
第一話『侵略〇―チューバ―』

地球は狙われている
今、宇宙に漂う幾千の星から
恐るべき侵略の魔の手が

( ^Д^)「はーい!地球のお猿さんたち!」

( ^Д^)「話題の〇―チューバ―、プギャー星人だよ!」

( ^Д^)「今日も地球侵略のための動画をうpするぜ!」

( ^Д^)「というわけで今話題のゲーム、チェーン・ソウ・デスマッチPC版やっていきたいと思います。」

このチェーン・ソウ・デスマッチとは非対称対戦ホラーゲームである。
一般市民4人犯罪者1人に分かれ、一般市民は時間内にマップから脱出、犯罪者は逃げられないように一般市民を痛めつけて捕まえるゲームだ。

233名無しさん:2018/09/10(月) 00:09:55 ID:8zWFalD.0
第八話『忙しすぎる侵略地』

その夜、ヴィプトラ警備隊の防衛網をかいくぐり一機の未確認飛行物体が地球に侵入した。

早朝の作戦室。

( ^ω^)「それでトイレから戻ったら嫁が誰かと言い争いしてるわけよ。」

( ^ω^)「何事だって間に入ったら相手さんが前日にお世話になったソープの嬢でさ。」

( ^ω^)「相手さんも覚えてるようで、いろいろ嫁にバレれたくないからあんまり強い当たりできなかったわけ。」

( ^ω^)「そしたら嫁からあんたもガツンと言ってやってよ!!みたいな。」

( ^ω^)「でも相手さんも『昨日の夜の盛んなこと言ってもいいのよ!』って顔されてさ。」

('∀`)「おいおい、最初の威勢はどこに行ったんだよwww」

(,,゚Д゚)「子供さんもそこそこ大きくなったんだから少しは自重したらどうだ?」

( ^ω^)「いやいや、男子たるものいつだって下半身のままにいくってもんよ。」

爪'ー`)「ハハハ、懐かしいな俺もそんな頃があったが、包丁持ちだされて以降はやめたな。」

( ^ω^)「流石隊長、くぐって来た修羅場が違いますね。」

爪'ー`)「どれ今度はおれの武勇伝を語ってやろう。」

ξ゚⊿゚)ξ「これだから下半身に支配されている連中って下品で仕方ない。」

爪'ー`)「そう、あれは十数年前――

これといった事件もなくのんびり雑談をしながらくつろいでいる時であった。
  _
(;゚∀゚)「隊長、大変です!!」

血相を変えたジョルジョが慌てて作戦室に入ってきた。

234名無しさん:2018/09/10(月) 00:10:38 ID:8zWFalD.0
爪'ー`)「どうした?」
  _
(;゚∀゚)「この写真を見てください。」

そう言いながら何枚かの写真を机の上に広げる。
その写真には薄っすらであるが宇宙船が写されていたのだ。

爪'ー`)「これは!?」
  _
( ゚∀゚)「宇宙ステーションVIP3が昨日の夜、撮影したものです。」
  _
( ゚∀゚)「今朝、観測員が写真を確認したところ見つけたようです。」

爪;'ー`)「まずいなこれは……。」

爪'ー`)「これの撮影された時間は?」
  _
( ゚∀゚)「23時34分、現在から7時間以上も前です。」

('A`)「!?」

(;'A`)(この宇宙船はまずいぞ、オワタ星人のものじゃないか)

(;'A`)(オワタ星人は侵略のエキスパート。その星の住人を数人人質にしてわらしべ長者のように次から次に要求を行い、あっという間に征服すると聞く)

爪'ー`)「そうなると敵にはすでに十分な時間を与えてしまったわけか。」

爪'ー`)「ヴィプトラ警備隊直ちに出動!敵が大規模な侵略作戦に出る前に叩くぞ!」
  _
( ゚∀゚)(,,゚Д゚)( ^ω^)('A`)ξ゚⊿゚)ξ「了解!」

そうしてヴィプトラ警備隊と地球に侵入したオワタ星人の長い戦いが始まる。

235名無しさん:2018/09/10(月) 00:11:09 ID:8zWFalD.0
\(^o^)/「なるほどなるほど。この星の情報収集は大体終わった。」

\(^o^)/「サルしかいないと思っていたが、一応文明じみたことはしているようだな。」

\(^o^)/「どれ、いつも通りサクッと征服して他の宇宙人にこの星を売り払うかな。」

\(^o^)/(できれば子供などの弱者が最初の人質交渉に便利なんだが……)

\(^o^)/「ちょうど良さそうなのがいるではないか。」

夕方、入念な現地調査を終えていよいよオワタ星人が動き出した。
そして公園で数人の子供たちが遊んでいるのを見つけたのだ。
見た目は殆ど地球人と変わらないので警戒されることなく子供たちに近づく。

\(^o^)/「君たち私と遊ばないかい?」

子供A「おじさんだれー?」

子供B「それじゃぁかくれんぼでもしてあそぶ?」

子供C「それならおじさんがさいしょにおにね!」

子供D「60びょうかぞえたらさがしていいよ。」

\(^o^)/(よしよし、いい感じだな)

\(^o^)/(一人ずつ捕まえて宇宙船に閉じ込めておこう)

\(^o^)/「範囲はこの公園の中だけだよ。それじゃ数えるからね!」

その公園はそこそこの広さがあり木々が生い茂っていて、こっそり転送装置を使うにはピッタリであった。

子供たち「はーい。」

236名無しさん:2018/09/10(月) 00:11:35 ID:8zWFalD.0
\(^o^)/「いーち、にー、さーん……」

子供A「なんだあのおっさん?気持ちわりぃ。」

子供B「そろそろ塾行こうぜ!」

子供C「一人で遊んでろよな。まったく。」

子供D「ひょっとしたら塾終わってもやってたりしてwww」

子供A「ヤベーよそれ、事案だ事案www」

そう言いながら公園を後にする子供たち。
現代において子供ですらそんなに遊んでいる時間はないのだ。

\(^o^)/「ろくじゅう!よーし探すぞぉ!」

そうとも知らずひたすらに公演を探し回る。
すでにいないとも知らずに。

数分後

\(;^o^)/「はぁはぁ……」

\(;^o^)/(おかしい、調べた情報には地球人は擬態や変身能力はなかったはず!)

\(;^o^)/(こうも見つからないとは……)

\(^o^)/「まさかもう家に帰ったとか?」

\(^o^)/(待て、あんな純粋無垢な子供たちがそんなことをするか?)

\(^o^)/「面白い、たかが地球人のガキどもの分際でこのオワタ星人様から隠れ通せると思うなよ。」

\(#^o^)/「すぐに見つけ出して人質にしてやる!」

本気になり血眼になって探し始める。

237名無しさん:2018/09/10(月) 00:11:57 ID:8zWFalD.0
子供A「やっぱ特殊相対性理論は――だと思うな。」

子供C「いやそうじゃないと思うぞ。あれは――であるからして……」

子供B「オイ見ろ!あいつまだ探してるみたいだぞ!」

夜の九時過ぎ子供たちが塾を終えて家に帰る途中で公園の近くを寄ると、まだあのおっさんがいた。

\(;^o^)/「くそぉ、どこだガキども!!」

子供D「うはぁwww通報してやろうぜwww」

遠くから眺めているとちょうどヴィプンターが通りかかる。

('A`)「おい君たち!こんな時間に何をやっているんだ?」

子供たち「あ!ヴィプトラ警備隊の……」

ヴィプンターが見えたときはキラキラとした目で見ていたが、ドクオを見るなりその顔は暗くなった。

('A`)「?」

(,,゚Д゚)「どうしたドクオ?」

反対側のドアからギコが降りてくる。

子供たち「おお!ヴィプトラ警備隊のギコ隊員だー!!カッケー!!」

ギコに子供たちが群がり尊敬のまなざしで見つめ、体中にべたべたと触ったりしている。

('A`)「……。」

238名無しさん:2018/09/10(月) 00:12:31 ID:8zWFalD.0
(,,゚Д゚)「おぉ、みんな落ち着け。そうか塾の帰りか、気をつけて帰れよ。」

(,,゚Д゚)「怪しい人とか見なかったかい?」

ギコがそう聞くとみんな揃ってドクオを指さす。

子供A「こいつ怪しいだろ。」

子供B「こんな変な顔したやつ、本当は宇宙人だと思うけど。」

不細工に対する扱いはどの星も似たようなものなのだ。

(,,゚Д゚)「君たちひどいこと言うじゃないか。」

(,,゚Д゚)「確かにドクオの顔は不細工で気持ち悪い。さらに臭い。」

(;'A`)「……。」

(,,゚Д゚)「だがな、ヴィプトラ警備隊に顔の良さなんてものは関係ないんだよ。」

(,,゚Д゚)「こいつはこんな顔だけどね、いざって時は命懸けで君たちを守ってくれる勇気があって悪い奴と戦える強いやつなんだ。」

(,,゚Д゚)「この俺が保証するよ!なんたってドクオはヴィプトラ警備隊の一員だからな!」

(*'A`)「ギコ…///」

よせやい、そんなに言われたら惚れてしまうだろこのイケメン。

('A`)「まあそういことだ。最近は危ない奴が多いから気をつけて家まで帰るんだよ。」

子供たち「はーい。」

手を振りながら自分たちの家に帰る子供たちを見送り、どこにいるかわからない侵略者を探しに出る。
早く見つけ出して退治せねば。この星の平和は俺が……いや、俺たちが守らねばならないのだから。

239名無しさん:2018/09/10(月) 00:13:21 ID:8zWFalD.0
\(^o^)/「……。」

その様子を見ていたオワタ星人。

\(^o^)/(どうやらこの星の子供はかなり悪知恵が働く汚い心の持ち主のようだ)

\(^o^)/(狙う対象を変えるか)

その日は夜が明けるまで決死の捜索を続けるが一向に手がかりすらつかめない。

(#'A`)「クソォ!このままでは……」

作戦室で見つけられない苛立ちから机を強くたたく。

( ^ω^)「まあ待てドクオ。焦りは禁物だ。」

('A`)「しかしブーン、早く見つけ出さないと!」

地球人たちは知らないオワタ星人の恐ろしさ。
それを知っているからこそ気持ちが急いでしまっているドクオ。

( ^ω^)「お前の焦る気持ちもわかるさ。もしかしたら侵略者が一瞬で地球を滅ぼせる恐るべき兵器を持っているかもしれん。」

( ^ω^)「そんなときにこそ冷静さが必要なんだよ。焦りのせいで見落としや重大なミス、慌てていたら冷静な判断が下せない。」

( ^ω^)「一番恐ろしいことはいざって時に普段通りの自分が出せないことさ。」

('A`)「確かにその通りだ。」

('A`)「よし、もういっちょパトロールに行ってくるぜ!」

落ち着いた様子で作戦室を後にする。

爪'ー`)「懐かしいな。昔はブーンもあんな感じでいつも焦りまくっていたな。」

( ^ω^)「俺は優秀な人間ではないんで自分の苦い経験から学びますよ。」

( ^ω^)「さて俺もパトロール行ってきますかな。」

爪'ー`)「気をつけてな。」

240名無しさん:2018/09/10(月) 00:13:48 ID:8zWFalD.0
\(^o^)/「さてここなら人質に向いた連中がたくさんいるだろう。」

その日オワタ星人が向かった先は中学校。
確かにここならたくさんの学生がおり、まとめて捕まえるにはよさそうだ。
なんなく校内に侵入して手ごろなクラスを見つける。そして堂々とドアを開けて教室に入り込む。

\(^o^)/「やあやあ地球人の諸君、私は悪名高いオワタ星人だ!」

先生「な、なんだね君は?!」

バーコード頭で黒ぶちメガネの先生がおびえて腰を抜かした。
そうだこういう反応だ。恐怖で恐れおののく弱者を見下すのは気持ちいい。

\(^o^)/「諸君らは栄えあるオワタ星人の地球侵略最初の人質に選ばれたんだよ。」

先生「ひぃぃ!た助けてくれぇぇ!」

ひたすらに命乞いを始める教師を見下しながら声高らかに笑う。

\(^o^)/「フハハハハハ!!抵抗しないのであれば命の保証はしてやろう!」

そう俺はオワタ星人。俺の名前を聞いた奴はどいつもこいつも絶望の淵に叩き落されるのだ。
その時一人の生徒が手を挙げた。

生徒A「先生、そんなことより授業の続きをお願いします。」

241名無しさん:2018/09/10(月) 00:14:10 ID:8zWFalD.0
\(^o^)/「?!」

こいつ今なんて言った?『そんなことより』って言ったのか?

生徒B「先生いつも言ってたじゃないですか。この時期の勉強の頑張りでそいつの人生が決まるって。」

生徒C「私、人生の負け組になりたくありません。早く授業を再開してください。」

生徒D「もう受験戦争は始まってるって言ったのは先生じゃないか。」

先生「……。」

さっきまで涙目になりながら取り乱し、命乞いをしていた腰抜けの先生がスッと立ち上がる。

先生「そうだったな。先生が間違ってた。すまん。」

先生「それじゃ授業を再開するぞ。57ページを開いて。」

\(;^o^)/「いやちょっと!!」

その後はどんなに話しかけても無視された。
というかどいつもこいつも授業に集中しっぱなしで俺が眼中にない。

\(;^o^)/「えぇ……」

鬼気迫るその迫力に押され、その場から立ち去る。
勉強漬けすぎない?たまには勉強から離れることも大切だと俺は思うよ。
策を練り直すか。

242名無しさん:2018/09/10(月) 00:14:17 ID:KUlUgPL20
支援!きてる!

243名無しさん:2018/09/10(月) 00:14:39 ID:8zWFalD.0
その日もヴィプトラ警備隊の頑張りをあざ笑うかのように侵略者は居場所をつかませない。

( A )

フラフラと基地内を歩くドクオ。
丸二日寝ることなく捜索を続けていた疲れが出始めていた。
  _
( ゚∀゚)「大丈夫か?少し仮眠室で休んだ方がいいぞ。」

('A`)「だがみんな休んでいないのに俺だけ休むのも……。」
  _
( ゚∀゚)「何言ってんだよ、それで倒れたら元も子もないだろ。」
  _
( ゚∀゚)「大丈夫だ。俺たちヴィプトラ警備隊は6人ぽっちじゃない、この基地の数千人が仲間だ。」
  _
( ゚∀゚)「誰かが休んでいる間に他のみんなが頑張る!だからドクオは自分の次に休んだやつの分頑張ればいいんだ。」

('A`)b「ありがとう、少し仮眠室で寝てくるよ。」
  _
( ゚∀゚)「あぁ、しっかり休めよ。」

ドクオはV78星雲では感じたことのない仲間同士の強い絆をこの星に来てから感じ始めていた。

244名無しさん:2018/09/10(月) 00:15:11 ID:8zWFalD.0
会社員A「いやー何とかお得意先のシステム開発、間に合いましたね。」

会社員B「こことの契約切られたらウチはお終いだからな。納期が短くても何とかやるしかない。」

会社員A「でもやっと今日家に帰れますよ。」

会社員C「そう言えばAさんとこの息子さん今日が誕生日でしたっけ?」

会社員A「そうなんだよ。ここ数年誕生日に家に帰れなかったからね、今年こそは何としても祝ってやりたかったよ。」

会社員D「なら先輩、今日はしっかり家族サービスしてこなきゃですね。」

会社員A「あぁ、家に帰っても一仕事さ!」

prrr

会社員A「おっと、噂をすれば。」

会社員A「はいもしもし。」

息子「パパ今日は帰ってこれるの?」

会社員A「これから帰るからプレゼントを楽しみにして待ってなさい。」

息子「やったー!パパが久しぶりに帰ってくるー!!」

電話の向こうでは大はしゃぎのようだ。

平和そうな夕方、とある会社のオフィスでは久々に早く帰れそうだと会社員が支度をいると突然の停電が襲った。

会社員たち「!!」

245名無しさん:2018/09/10(月) 00:15:32 ID:8zWFalD.0
一瞬の停電の後すぐさま電気がつく。

会社員A「なんだ今のは?」

会社員B「ああ!!完成したシステムが消えてる!!」

会社員たち「な、なんだってー!」

\(^o^)/「フハハハハハ!恐ろしいか地球人たちよ!」

\(^o^)/「貴様らの作ったシステムはこのオワタ星人が消し去ってやったぞ!」

\(^o^)/「だが本当に恐ろしいのはこれからだ。貴様らは地球侵略の最初の人質になるのだ!!」

部長「納期まで時間がないぞ!間に合うのか?!」

会社員B「何とかするしかないでしょ!たとえ徹夜してでも。」

会社員C「そんな。せっかく久しぶりに定時で帰れると思ったのに……。」

会社員A「……。」

会社員D「A先輩……。」

会社員A「すまん息子よ、今日はどうやら帰れそうにない。また今度ちゃんと祝おうな……。」

息子「大丈夫だよパパ!いつもパパが頑張ってお仕事してるから僕たちは生活できるんだ!」

息子「だから僕はパパのお仕事終わるまでずっーと待ってるよ!」

その声は電話越しでも震えているのが分かった。本当はすぐにパパに会いたいのだろう。
その気持ちを押し殺して必死に強がりパパを励ます。何と健気な少年か。

246名無しさん:2018/09/10(月) 00:15:55 ID:8zWFalD.0
会社員A「ありがとう……。」

電話を切ると唇を強くかみしめる。

会社員たちがAに対して励ましの言葉などを投げかける。

会社員E「なに辛気臭いことやってんだよお前ら。」

そんな中一人、事態を把握したと同時にシステム開発を開始している人物がいた。

会社員D「あなたは嫌われ者の会社員E!」

会社員E「くだらない励ましとかなれ合いなんてしてんな!口よりも手を動かせ!」

会社員E「完成品のプログラムはみんな頭ん中入ってんだろ。今からみんなでやれば遅くなるが今日中には何とかなるかもよ。」

会社員A「Eさん……。」

会社員E「フン、勘違いするなよ!俺はこの会社がつぶれたら困るからやるだけだからな!!」

みな急いで自分の席に着きプログラムを入力し始める。

\(^o^)/「あ…あの……。」

声をかけようと思ったが途中でやめる。みんなの目を見ると感じとる。
その目は死んだ魚のような目であるが、その目には『仕事』と書いてあるように見えたのだ。
こいつらは自分の命なんかよりも仕事の方が重要なのだと悟った。
それを感じるとともに足は自然と会社の外に向かう。この星の奴らはいったい何なんだ。

247名無しさん:2018/09/10(月) 00:16:20 ID:8zWFalD.0
爪'ー`)「しかしこれだけ探して何も見つからないとはな。」

( ^ω^)「実はもう宇宙に帰ってしまったとか?」

('A`)「それはない。」

('A`)(あのオワタ星人が何もせず帰るはずがない)
  _
( ゚∀゚)「全国の監視カメラやドライブレコーダーなど確認しましたが何も情報はないようです。」

(,,゚Д゚)「調査の仕方を変えてみますか?」

なかなか足取りをつかめないヴィプトラ警備隊は一度作戦会議に入る。
あれやこれや意見が出るが良さそうなの方法が見つからないでいた。

ξ゚⊿゚)ξ「隊長、コーヒー。」

爪;'ー`)「あ、いやすまなかった。すぐにコーヒー淹れるよツンヌ。」

慌ててコーヒーメーカーの方に走ろうとする。

ξ゚⊿゚)ξ「?」

ξ゚⊿゚)ξ「いや、みんなの分のコーヒー淹れたから飲んでよ。」

そう言うツンヌが持つお盆にはコーヒーが入った全員分のカップが。

248名無しさん:2018/09/10(月) 00:16:43 ID:8zWFalD.0
  _
(;゚∀゚)(;'A`)(;^ω^)(;゚Д゚)爪;'ー`)「???」

爪;'ー`)「どうしたツンヌ?頭でも打ったのか?病院行こうな?」

(;゚Д゚)「洗脳でもされたか?検査してもらえ。」
  _
(;゚∀゚)「貴様宇宙人が入れ替わっているな!ツンヌがそんなことするわけないだろ!!」

(;^ω^)「余命でも宣告されたんだろ?知り合いに葬儀屋がいるから予約は任せろよ。」

(;'A`)「今更イメチェンしてもおせぇぞ!!ツンヌ=クズの方程式は変わらねぇ!!」

ξ゚⊿゚)ξ「ここんとこみんな忙しそうだから少しはサービスしてあげたんだけど。」
  _
(;゚∀゚)(;'A`)(;^ω^)(;゚Д゚)爪;'ー`)「……。」

どうやらあのツンヌですら事態の深刻さを感じて役に立とうとしているようだ。
人というものは変わることができるんだな……
いや違う、今だけだ。反動がすごいことになりそうだ。
でもあなた本当にツンヌだよね?

爪'ー`)「俺は明日地球が滅んでも驚かん。」

249名無しさん:2018/09/10(月) 00:17:08 ID:8zWFalD.0
\(^o^)/「……。」

オワタ星人は考える。
自分の名前を聞けばこの宇宙ではすぐさまに自分の求める反応が返ってくる。
だがこの星は違う。それは無知故のことだと思っていたがそうではなさそうだ。
皆が皆、自分のやるべきことばかり考えていて命のことなど二の次のようだ。

すべてにおいて自分の命がすべてであろう。
なのになぜこの星は仕事や勉強などにそんなに命を燃やすのか?
そんなに急いで人生が楽しいのか?
甚だしくて仕方がない。

だがそんなことより一番問題なのはプライドだ。
このオワタ星人、幾多の星を侵略してきた絶対の自信とプライドがある。
それなのにここでは自分の恐ろしさが全く通用していない。
そんなことは許されない。もうなりふり構ってられないのだ。
誰でもいい声をかける。誰でもいいから俺の話を聞いてくれ。

\(^o^)/「おい、そこのババァ!俺の話を聞け!!」

それから何人にも声をかけたが『今忙しい』『後にしろよ』『手が空かないから他の奴にしろ』
など、誰も取り合ってくれない。
ついには腰の曲がったおばあさんに声をかける始末だ。

おばあさん「あ?あんだって?わしゃ耳が遠くてのぉ。道に迷ったならあそこの交番で聞きなさい。」

\(^o^)/「違う!そうじゃない、頼むから話を聞いてくれぇ!!」

無理やり手を引き近くの交番まで連れていく。
その最中にもただでさえこれからアイドルのコンサートに行くのに時間がないのにとかつぶやいている。
ばあさん、もう年なんだから家でおとなしくしてろよそんなんなら。

警察「どうされましたか?」

おばあさん「この若いのが道に迷ったらしくてね。それじゃあとはよろしく。」

そそくさとどこかに向かっていくばあさん。
仕方ない、この際警察官でもいいか。

250名無しさん:2018/09/10(月) 00:17:36 ID:8zWFalD.0
警察「目的地はどこだい?連れはいる?」

\(^o^)/「私はオワタ星人。この星を侵略しにきたのだ!」

\(^o^)/「貴様を地球侵略の最初の人質にしてやろう!」

警察「……。」

警察「はぁ……。暇人はいいよな。」

\(;^o^)/「あの……ちょっと?」

警察「ヴィプトラ警備隊から侵略者捜索の協力で警察も全力で捜索してるってんのに。」

警察「もう数日帰れず、ろくに寝られず、通常業務もしているのに。」

警察「平日の昼間に暇なニートにからかわれるんなてな……。」

\(;^o^)/「違うんです!本当に――

警察「テメー恥ずかしくねぇのかよ!!碌に仕事もしてないでくだらない遊びばっかしてやがって!!」

\(;^o^)/「……。」

ああそうか、外見が地球人と変わらないからみんな信じてないのか。
でも外見が違いすぎればすぐにヴィプトラ警備隊に見つかるし…

警察「そんなに自分が宇宙人だってんなら電話貸してやるからヴィプトラ警備隊に電話しろよ!!」

警察「ほらよ!!」

怒りながら無理やり渡される。

251名無しさん:2018/09/10(月) 00:19:01 ID:8zWFalD.0
prrrr

( ^ω^)「はいこちらヴィプトラ警備隊、作戦室。」

\(;^o^)/「あ、いやその……。」

( ^ω^)「どうされました?」

\(;^o^)/「……。」

( ^ω^)「?」

なんで敵に電話してるんだろ。
横で警察は『早くしゃべれよ』とせかしてくる。
ええいもうどうにでもなれ。

\(^o^)/「私はオワタ星人。この星を侵略しにきたのだ!」

\(^o^)/「これは宣戦布告だ!恐れおののく(#^ω^)「テメーコラァ!!何言ってんだ!!」

(#^ω^)「ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞ!!どれだけ俺たちが苦労して地球防衛をしてると思ってんだ!!」

(#^ω^)「舐めたことで電話してきやがって!!ぶちのめすぞ!!」

爪'ー`)「どうした?」

(#^ω^)「いえ、自称侵略宇宙人のクソガキが電話してきましてね。」

爪'ー`)「まったくいつの時代も困ったやつはいるな。どれ代われ。」

爪'ー`)「さて君。どうしたんだい?」

\(;^o^)/「いえ、私はオワタ星人でこの星を侵略しにきたのんですが……。」

爪'ー`)「そうか。楽しいかい?」

\(;^o^)/「……。」

252名無しさん:2018/09/10(月) 00:19:25 ID:8zWFalD.0
爪'ー`)「君もいろんなことがたまっていてこんなことをしていると思うが、今みんなすごく大変な思いをしているんだ。」

爪'ー`)「だからカリカリしている。」

爪'ー`)「でもね、君のような奴を救うのも我々の仕事だ。もし本当に自分が宇宙人だというのならこの基地まで来なさい。その時は相手になろう。」

\(^o^)/「……。」

まさか基地の住所を教えてもらえるなんて思ってもいなかった。機密事項とかどうなってんだ?
だからといって今行けばすぐにやられてしまうだろう。
それでいい。このままじゃ終われない。たとえ命を落とそうが侵略者として葬られたい。
勝ち負けではないのだ。自分が宇宙人で侵略者であると認められたいのだ。
言われた住所に行くとヴィプトラ警備隊の基地の入り口が見えた。

\(^o^)/「そこの警備員たち、私はオワタ星人。この星を侵略しにきた。」

警備員「何を言っている?」

\(^o^)/「ここの隊長にさっきの奴が来たと言え。」

それからほどなくしてヴィプトラ警備隊の隊員たちが来た。

爪'ー`)「君、本当に来たのか?」

\(^o^)/「フハハハハハ!かかってくるがいいヴィプトラ警備隊!」

爪#'ー`)「このクソガキがぁあぁ!!」

( ^ω^)「隊長、落ち着いてください。」

血眼になってオワタ星人に飛び掛かろうとする隊長を羽交い絞めにする。

253名無しさん:2018/09/10(月) 00:19:49 ID:8zWFalD.0
爪#'ー`)「本当に来る奴があるか!!」

爪#'ー`)「お前死にたいんだってな!望み通りにしてやるよ!!」

( ^ω^)「隊長ダメです。」

\(;^o^)/「お願いだからかかってきて……。」

(,,゚Д゚)「さっさと失せろ。眉間に穴をあけられたくなかったらな。」

すごく睨まれている。一人じゃない、その場にいる全員から。
ああそうですか私はただの暇人ですね、ごめんなさい。
何かが折れるような音がしてからその場から離れる。

爪#'ー`)「フーッフーッ!」

('A`)「どうした?何かあったのか?」

( ^ω^)「たいしたことはない。ただの暇人がおこしになられただけだよ。」

('A`)「そうか。これからヴィプトラホーク2号で宇宙を捜索してくる。」

( ^ω^)「了解、気をつけてな。」

254名無しさん:2018/09/10(月) 00:20:18 ID:8zWFalD.0
その日の夕方には宇宙船にたどり着いた。
無言のまま操縦席に着くと目的地を自分の母星に設定する。
もう帰ろう自分の星に。

あっという間に宇宙船は大気圏外に出る。

\(^o^)/「……。」

この星はおかしい。いや、住んでいる連中がおかしいのだ。なぜそうまでして忙しくしているのか?
もっと冷静に考えろ。お前たちが相手にしていたのは恐るべき侵略者なんだぞ。
そもそもが俺のことを知らない時点でヤバイ。どうして宇宙では常識的なことを知らないのだ。
だからあんな舐めた態度が取れるのだ。本当に未開で無知な星ほど恐ろしいことはない。
だがそのせいでプライドというものが叩きおられてしまった。こんな未開人たちに。

\(^o^)/「実家の農家でも継ぐかな……。」

もうこの先侵略者として他の星を侵略する自信がなくなってしまった。
自分の存在をこうまで否定されるとは思ってなかった。
まさかこんなことでこのオワタ星人が終わるとはな。

\(;o;)/「あれ?なんで泣いてんだろ……。」

悔しさと悲しさで知らず知らずのうちに涙がこぼれていた。

\(;o;)/「こんなクソみたいな星、俺が侵略しなくても勝手に自分たちで滅びるさ。」

苦し紛れの捨て台詞。だがそうだろ。こんな自分たちの命を大切にしない星。
忙しくしているせいで大切なことを見落とすんだ。ざまあみろ。

255名無しさん:2018/09/10(月) 00:20:44 ID:8zWFalD.0
膨大な宇宙、ヴィプトラホーク2号が漂いながら不審な飛行物体をを探していた。

ヴィプトラホーク2号とは
全長:64m 全幅:12m 重量:62t 最高速度:マッハ5(空中)・光速の2%(宇宙空間) 乗員:4名 
マッハ5で飛行する、ロケットのような形状をした宇宙戦闘艇。宇宙での戦闘、救助作業などが主な任務。
大気圏内ではジェットエンジン、宇宙空間ではイオン推進で飛行する。武装は機首のレーザー砲。

('A`)「どこにいるオワタ星人!!」

必死に宇宙空間をレーダーや目視で探索する。何としても見つけ出す。この星を守るため。
それはV78星雲のヴィプトラの戦士としての任務ではない。ドクトラセブン一個人として守りたいのだ。
この星に来てからいろいろな戦いや出会いがあった。

自分も最初はただの未開な星だと思っていた。
彼らは確かに文明レベルも低いし戦闘面でもたいしたことはない。
でもそんな彼らと接していくうちにわかったのだ。
地球人もその他の宇宙人もそんなに変わりがないということに。

外見や戦闘力は違うだろうが一番大切な中身は同じだ。
みんな必死に生きようとするし、大切なものを守るために頑張れる。
そう言ったところに何の違いもないのだ。

それなのに我々宇宙人は自分たちがより高次元な存在だと見下している。
そういった傲慢さや慢心が他者との溝を作っているとも知らずに。
だが彼らにそういったものはない。
自分たちと他の星たちの科学力の差を知しっているからこそ慢心せずに必死に戦えるのだ。

地球人たちはどんなことにも必死に立ち向かう。仕事や勉強などに。
それがいずれ自分のためや大切な人のためになるから。
だから命を懸けて頑張るのだ。時に疲れ切ってしまう人もいるが。

地球に来てよかった。今ならそうはっきりと言える。
この星の人たちが気づかせてくれたのだ大切なことを。
そうでなければ今もV78星雲の命令でただ戦うだけの奴になっていたところだろう。

256名無しさん:2018/09/10(月) 00:21:16 ID:8zWFalD.0
('A`)「む!あれは!」

地球に来てからの心境の変化を感じていたドクオが宇宙空間でオワタ星人の宇宙船を見つけた。

('A`)「ヴィプトラホーク2号から本部へ、宇宙船を発見追跡します!」

爪'ー`)「こちら本部。よくやったドクオ。だが気をつけろ敵はこの数日見つけることすらできなかった強敵だぞ。」

(;'A`)「く、早い!」

見つけたはいいが敵の宇宙船の方が早い。
このままでは逃げられてしまう。奴を逃がすわけにはいかないのだ。
あのオワタ星人が何もせずに帰るはずがない。今回は偵察で次回に本格的な侵略をするのだろう。
そうはさせない。ここで必ず倒すのだ。

懐からドクトラアイを取り出す。

∞⊂('A`)

(∞)「デュワ!」

すぐさまドクトラセブンになり追いかける。

\(;o;)/「これからは平和に過ごそう。」

\(;o;)/「ん?」

意気消沈しているオワタ星人はレーダーに映るそれに気づかなかった。
アラートが鳴るころには時すでに遅くドクトラセブンが必殺のドクトラショットを撃った後だった。

\(^o^)/「オワタ」

因果応報。幾多の星を素早く侵略してきたオワタ星人は宇宙船ごとあっけなく爆発四散する。
こうしてヴィプトラ警備隊とオワタ星人の数日にわたる戦いに幕が下りた。

257名無しさん:2018/09/10(月) 00:21:44 ID:8zWFalD.0
爪'ー`)「諸君の頑張りのおかげで無事、侵略者を倒すことができた。」

('A`)「いやー、今回は本当に大変でしたね。」

( ^ω^)「久しぶりに熟睡するぜ!」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃぁ私は明日から旅行に行くからよろしく。」
  _
( ゚∀゚)(,,゚Д゚)( ^ω^)('A`)爪'ー`)「「……。」

爪'ー`)「知ってた。どうせこうなるって。」
  _
( ゚∀゚)「ツンヌが変わるはずありませんからね。」

(,,゚Д゚)「俺は少し信じてみたんだがな。」

ハハハハハ

笑いがあふれる作戦室。

prrrr

('A`)「こちらヴィプトラ警備隊、作戦室。どうされました?」

('A`)「なに!?ふむふむ、よし分かった。」

('A`)「隊長、宇宙人を見かけたとの通報です。」

爪'ー`)「よし、ヴィプトラ警備隊直ちに出動!」
  _
( ゚∀゚)(,,゚Д゚)( ^ω^)('A`)ξ゚⊿゚)ξ「了解!」

ヴィプトラ警備隊に休みはない。この地球を守るため常に戦い続けるのだ。

第八話『忙しすぎる侵略地』

終わり。

258名無しさん:2018/09/10(月) 00:22:29 ID:8zWFalD.0
今回は以上です。
いつもコメントや支援ありがとうございます。
来週もみんなで見よう。

259名無しさん:2018/09/10(月) 00:26:31 ID:KUlUgPL20
乙!
オワタは……うん、まぁ。うん。
自業自得なんだけどね、なんだろうね……この感じはね……。

切ないというかやるせないというか……

260名無しさん:2018/09/10(月) 00:59:48 ID:HJ5wHTK20
オワタ星人の言ってることもドクオの言ってることも最もに聞こえる
一体どちらが正しい認識なのだろうか
それとも単なる考え方の違いなのか
何か色々と考えさせられる

261名無しさん:2018/09/10(月) 01:13:46 ID:u83.AuF.0
オワタ……

262名無しさん:2018/09/10(月) 02:23:55 ID:2nrQrMRs0
前回にも続いて怪人側が可愛そうな話で笑った


263名無しさん:2018/09/14(金) 12:25:33 ID:QC4HveNE0
第九話『笑顔を取り戻せ』

その夜その女性は後悔していた。
こんなことになるならちゃんと誰かに一緒に帰ってくれるようにお願いするべきだった。
ここ最近仕事帰りに誰かにつけっられている気がする。
そう友達に相談したが、気のせいかもしれないと一緒に帰ろうかと言う友達の申し出を断ってしまったからだ。

薄暗い夜道、会社から家に帰るには人通りや街灯が少ない道を通らなくてはならない。
月明りだけを頼りに必死に走る。だが、仕事ではくスカートはどう考えても走ることに適していない。
走りながら後ろを振り返る。だがそこに人影がない。しかし、何者かの気配を感じたのは確かだ。
最初はちょっとした物音だった。でも日に日に誰かが歩いているような音が聞こえ、今では息遣いまで聞こえる始末。

電話して誰か呼ぶ?それじゃ間に合わない。周りを見渡しても助けを頼めそうな人はいない。
道を変えるべきだった。明日からは遠回りでも人通りが多い道を帰ろう。友人と一緒に。
後悔ばかりが頭をよぎる。でもあと少し。あと少しで家に着く。
後ろを気にしながら息が苦しくなりながら走る……

264名無しさん:2018/09/14(金) 12:26:03 ID:QC4HveNE0
やっとのことで家の前まで付く。後ろをもう一度振り向くが、そこには何もない。
あの気配も消えている。よかった、何とか今日も振り切ったみたい。
そう思い後ろを向いたまま歩くと何かにぶつかる。慌てて振り返る。

(∴◎∀◎∴)

身長は二メートル以上ありそうで、ぶくぶく太った気持ち悪い男が立っていた。
いつの時代だというような黒ぶちメガネの奥からぎょろりとした目玉がジッと見つめてくる。
髪はボサボサで、顔はニキビがひどく、たらこの形に似た肉付きのいい分厚い唇をしていた。
ひどい悪臭を放ちながら、フーッ、フーッと呼吸をしている。途中で聞こえたのと同じだ。

恐怖のあまり悲鳴を上げることすらできないでいる。
誰か助けてと心の中で精一杯叫んでいるが誰にも聞こえることはない。
男は分厚い唇をニヤリと曲げるとゆっくり右手を向ける。

体をカタカタと震わせながら女性は、自分の頭ほどの大きさがありそうな手のひらに人の顔があるのを見た。
翌朝、その女性が意識不明の状態で発見された。

265名無しさん:2018/09/14(金) 12:26:29 ID:QC4HveNE0
爪'ー`)「……。」

作戦室では険しい表情で隊長がニュースを見ていた。
同じニュースを見ていたツンヌがイライラした様子で口を開く。

ξ#゚⊿゚)ξ「本当、男ってしょうがない連中が多いわよね!」

TVでは昨晩起きた女性が襲われた事件をニュースで伝えていた。

ξ#゚⊿゚)ξ「野郎どもは全員、去勢することを義務付けるべきよ!!」

('A`)「こういう事件を起こすのは男の中でもごく一部だぜ。そのせいで全員を去勢ってんのは行き過ぎだろ。」

ξ#゚⊿゚)ξ「何言ってんのよ!男なんて犯罪の可能性を秘めた悪党じゃない!」

('A`)「だからその発想がおかしいんだって。」

( ^ω^)「少なくともツンヌを襲うなんて勇敢で無知な奴はこの世にいないから安心しろよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「まるで自分たちはこの事件とは無関係と言いたげじゃない。」

( ^ω^)「ハハハッ。俺たちは天下のヴィプトラ警備隊だぜ?か弱き女性を襲うなんてな。」

('A`)「そこらの奴らと教養のレベルが違うんだよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「それならパソコンおよびスマホの履歴見せて見なさいよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「教養レベルが高くて聖人レベルに清いあなた方なら、きっとエロ動画とかの検索履歴もないことでしょう。」

('A`)( ^ω^)「……。」

('A`)「…わかった、この話はやめよう。ハイ!! やめやめ。」

( ^ω^)「これからパトロール行ってくるけどツンヌ隊員は何か欲しいものはないかい?買って来ますよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「フン、下半身に支配された民族どもが!」

男性のパソコンやスマホの履歴は見てはいけない。
なぜならそこにはその人の趣味、趣向が詰まっているからだ。
中には知られたら社会的に抹消されてしまうような人もいるだろう。
この二人はまさしくそれだ。

266名無しさん:2018/09/14(金) 12:27:05 ID:QC4HveNE0
爪'ー`)「…今回の事件は『X』仕業らしい。」

('A`)ξ゚⊿゚)ξ「X?」

キョトンとする二人をしり目にジョルジョが待ってましたと言わんばかりに口を挟む。
  _
( ゚∀゚)「女性が襲われる暴行事件で被害者から全く同じ特徴の人物が証言で挙げられている。」
  _
( ゚∀゚)「身長は二メートル以上、かなりの肥満体、古い黒ぶちメガネ、ひどいニキビ顔のたらこ唇。頭ほどの大きさがある手のひらには人の顔ある。」
  _
( ゚∀゚)「毎年被害が数人、そして昭和初期から同様事件が生き続けている。なのに一切の手掛かりがない。」
  _
( ゚∀゚)「そのために警察は一連の犯人を『X』と名称して世間からその存在を隠している。近年では都市伝説としてその存在が噂されているようだ。」

ξ゚⊿゚)ξ「昭和初期?そんな体格の爺目立つだろよ。なんで見つかってないんだよ。」

爪'ー`)「人間の仕業とは思えんのだよ。」
  _
( ゚∀゚)「被害にあうのは若くとてもきれいな女性でおとなしい人ばかり。」
  _
( ゚∀゚)「襲われる数日前から夜誰かにつけられている気配を感じ、顔をつかまれると朝まで意識不明。」
  _
( ゚∀゚)「怪我などは一切ないが、PTSDのせいか被害者はその後笑うことができなくなる。」
  _
( ゚∀゚)「そして被害者はみな事件から長くても十年ほどで亡くなってしまうそうだ。」

(;'A`)「自殺ってことか?」
  _
( ゚∀゚)「いや、段々と生気がなくなっていき衰弱死。」

267名無しさん:2018/09/14(金) 12:27:28 ID:QC4HveNE0
( ^ω^)「そうなってくると宇宙人の仕業か?」

爪'ー`)「昔そういう話になり、警察と合同で事件を捜査したこともあったが何もわからなかった。」

爪'ー`)「何より宇宙人が犯人だとして目的が分からない。」

ξ゚⊿゚)ξ「ケッ!どうせ猟奇的な趣味のクズなだけだろ。宇宙を通してどうして野郎はこういうやつらばかりなのかね。」

爪'ー`)「被害者は出ているが、地球侵略の可能性が低いため我々の調査対象から外されたがな。」

爪'ー`)「そして警察も神出鬼没で年数件程度なので半ばあきらめて調査の打ち切りだ。」

ξ゚⊿゚)ξ「やるせないわね。今も被害が出てんのよ!」

ξ#゚⊿゚)ξ「そんなのこの私が許さない!必ず犯人に報いを受けさせてやる!!」

居ても立っても居られないツンヌは急いで犯人逮捕に出発した。
丁度パトロールから帰ってきたギコと入れ違いになった。

(;゚Д゚)「何かあったのか?」

(,,゚Д゚)「鬼と今すれ違ったがまた問題発生?」

結局この事件はヴィプトラ警備隊では扱わないこととなった。
他にも重要な事件や調査が山積みのためだ。
優先度は何事にも大切なのだと隊長は力説していた。
確かに日本の人口を考えて年数人程度の被害ならそんなに急いだり優先したりする事柄ではない。
……その考えが間違っていた。すぐに後悔することとなった。

268名無しさん:2018/09/14(金) 12:28:00 ID:QC4HveNE0
それから数日後。すでにこの前の事件のことなど忘れていつものようにパトロールに出かけていた夜。
ヴィプンターで夜道を走っていると見たことのある美しい後姿が見えてきた。

(*'A`)「こんばんわデレさん!仕事帰りですか?デュフフフ!」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、こんばんわドクオさん。いつもお世話になっています。」

ヴィプンターを停め、窓を開けてデレさんと話す。夜、ヴィプンターでパトロールするときは必ずここを通る成果が出た。
これからはこの時間に通るようにしなくては。

(*'A`)「最近物騒ですからね。どうですか家まで送りますよ!」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫ですよ、もうすぐにつきますので。」

夜も寂しいでしょう。何なら自宅の警備もしましょうか?
と言いそうになったが今はまだこらえよう。もう少し好感度を上げなくては。
不意にバックミラーを見ると怪しい人影がちらりと映る。

('A`)(ストーカーか?)

一大事だ。とっちめてやらねば。
デレさんに見えるように退治しようかと思ったが、こういうことは知らなれないようにする方がカッコよく思える。
デレさんを見送り、人影が動くのを待つ。少し待ってから影が動いた。
今だ!勢いよくドアを開け人影に向かって指をさしながら決めポーズを決める。

('A`)9m「こんな夜遅くに俺のデレさんに何か用かい?話なら俺が聞いてやるよ!」

これは決まった。できればデレさんにも見てもらいたかったな。
そう思いながら人影を見るとこれまた見たことのある顔が。

(;`ェ´)≫(;‘♀’)≪ 「……。」

この前の少年と……
この前のチョウチンアンコウの宇宙人じゃないか!!

269名無しさん:2018/09/14(金) 12:28:27 ID:QC4HveNE0
(;'A`)「きっ貴様!この前倒したはずの宇宙人じゃないか!!デレさんに何の用だ!」

≫(;‘♀’)≪ 「ああ、どうもその節は。」

≫(‘♀’)≪「最近物騒だろ。夜道にデレさんが襲われないようにこうやって守ってるんだよ。」

('A`)「このストーカーめ!俺のデレさんに近づくんじゃない!」

(`ェ´)「デレさんはあんたのものじゃないぞ!!」

そんなこんなで少しの間騒いでいた。
そして宇宙人の話に耳を傾ける。

('A`)「なるほどなそれで宇宙難民になったのか。」

('A`)(そう言えば昔見たなニュースでチョウチンアンコウ星が分解されるの)

≫(‘♀’)≪(君のところの星が頑張ってくれたおかげだよ)

(;'A`)(ま…まあそれは運がなかったってことで)

≫(‘♀’)≪(……)

テレパシーで話し合う異星人たち。

(`ェ´)「でもこれで人さんが侵略者じゃないってことがわかったろ!」

('A`)「わかったが、俺以外の隊員にはこのこと言うなよ。多分容赦しないから。」

これは事情を知るドクトラセブンだからこそ、人さんのことを認めることができたのだ。
他の隊員たちだとこうはならない。

≫(‘♀’)≪「そうさせてもらう。よろしく頼むよ。」

≫(‘♀’)≪(異星人同士としてね)

('A`)(少しは俺の寛容さに感謝しろよ)

(`ェ´)「ふぅ、よかった。」

270名無しさん:2018/09/14(金) 12:28:53 ID:QC4HveNE0
≫(‘♀’)≪「ところでドクオ隊員、晩飯はまだかい?まだなら特製のあんこう鍋をふるまうよ。」

(`ェ´)「人さんの料理は最高だぜ!」

丁度腹がすいているタイミングだった。

('A`)「そう言うならいただこうかな。」

先ほど騒いでいた三人が仲良くアパートに向かうとデレさんが倒れていた。

≫(;‘♀’)≪ 「デレさんどうしたんだ?!」

(;'A`)「しっかりデレさん!!」

(;`ェ´)「きゅ、救急車!救急車呼んで!!」

ζ( - ζ

慌てて駆けつけるが既に意識はなかった。すぐに救急車が来て運ばれたが、命に別状はないそうだ。
しかし、騒いでいたといっても5分程度。そしていた場所もアパートからそんなには離れていない。
その間に不審者や噂されるような人物は見かけなかった。
だがこれは俺のせいだ。俺がしっかり部屋まで送り届けていたら……
翌日、意識を取り戻したそうなので見舞いに行くことに。

271名無しさん:2018/09/14(金) 12:29:23 ID:QC4HveNE0
ξ゚⊿゚)ξ「噂の悪漢に襲われたんだって?あんたは本当ついてないよね。」

ζ(゚-゚ζ「でも物を盗られたり怪我がなくてよかったわ。」

他の被害者同様その顔からは笑顔が抜き取られていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ξ゚⊿゚)ξ「そういう悪党に襲われる役はヒロインである私の仕事よ。」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、違う私は主人公か!」

ξ゚∀゚)ξ「カッカッカッ!」

ζ(゚-゚ζ「……」

ξ゚⊿゚)ξ「今のは笑うところよ。」

ζ(゚-゚ζ「ごめん、目が覚めてから何だか笑うことができなくて。」

ξ-⊿-)ξ「きっと襲われたショックのせいよ。一時的なものだからすぐにまた笑えるようになるさ。」

ξ゚⊿-)ξ「全く、笑い村出身のくせに笑えなくなるなんてデレも忙しいな。」

ζ(゚-゚ζ「そういう星の下に生まれちゃったのかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「弱気なことは言わないの。あんたを襲ったやつはその命をもって償わせる。必ずだ。」

拳を強く握りながら誓う。

272名無しさん:2018/09/14(金) 12:29:51 ID:QC4HveNE0
ζ(゚-゚ζ「本当、ツンヌは穏やかじゃないんだから。」

(;A;)「ごめんよデレさん!!俺がちゃんと部屋まで送り届けていればぁあぁ!!」

ζ(゚-゚ζ「泣かないでドクオさん。あなたの申し出を断ったのは私だから、あなたに何の責任もないよ。」

(;A;)「でもぉお!!」

ζ(゚-゚ζ「すみません、だいぶ心配かけたようで。」

(;A;)「必ず……必ずあなたの笑顔を取り戻して見せます!!」

ζ(゚-゚ζ「二人ともありがとう。」

ζ(゚-;ζ「あれ?」

ζ(;-;ζ「なんだろう?急に涙が……」

ξ ⊿ )ξ「デレ……」

デレが落ち着きを取り戻してから二人は病室を後に基地へと向かった。
作戦室に着くなりツンヌはが隊長の首をつかむと思い切り持ち上げる。
君は人類やめてない?

ξ#゚⊿゚)ξ「クソオヤジテメー!!『X』とかいうやつの調査を後回しにしたせいでデレが襲われたじゃねぇか!!」

爪;'ー`)「グググ……苦しぃ……」

(,,゚Д゚)「待てツンヌ!その怒りは友人を襲われたせいか?」

ξ#゚⊿゚)ξ「当たり前でしょ!!」

(,,゚Д゚)「なら今回知らん奴が襲われていたらそんなに怒らなかったってことだろ。」

ξ#゚⊿゚)ξ「あぁ?」

(,,゚Д゚)「どのみちあの時から調査したところで今回の事件は防げなかっただろう。」

(,,゚Д゚)「それくらいに『X』の情報はなさすぎるんだよ。」

ξ#゚⊿゚)ξ「チッ」

仕方なく手を放して隊長を開放する。

273名無しさん:2018/09/14(金) 12:30:18 ID:QC4HveNE0
爪;'ー`)「ゲホゲホ……殺されるかと思った……。」

( ^ω^)「しかしだからといって今から調査を再開したところで捕まえられる相手だとお思えんな。」

爪;'ー`)「ツンヌは怒るかもしれんがヴィプトラ警備隊としてはその事件より他のことに力を入れたい。」

爪;'ー`)「人間蒸発事件や夜な夜な泉の底が怪光を放つ事件。新防衛レーダー開発にあたり博士たちの護衛。」

爪'ー`)「我々がやらなければならないことは多いんだ。」

ξ#゚⊿゚)ξ「ギギギ!!」

(,,゚Д゚)「それなら隊長、普段の仕事をこなしながら空いた時間で調査をするのは問題ないということですか?」

爪'ー`)「それができるというなら止めはしないさ。」

ξ#゚⊿゚)ξ「ハッそうと決まれば話が早い。必ず捕まえて地獄を見せてるぜ!!」

それから普段の仕事プラス、『X』についての調査が始まった。
ツンヌは夜な夜な人気がないところを、鬼のような形相で一人走り回っているようだ。

('A`)「あれは意味があるのだろうか?」

( ^ω^)「囮をかって出ているらしいがあんだけ殺気出してりゃ誰も近づかねえって。」

('A`)「そのうち都市伝説になりそうだな。怪奇ツインドリル女とか。」

( ^ω^)「捕まったら最後バラバラにされそうだなそれ。」

爪'ー`)「それでみんな何か情報は入ったか?」

(,,゚Д゚)「過去の情報通り、現場には妙な電磁波を検知。敵はワープ装置か何かを使用していると思われます。」

( ^ω^)「正直そうなるとお手上げですよ。ワープ先がわからない以上。」

爪'ー`)「被害者も日本全国となってくるとパトロールじゃ限界があるからな。」
  _
( ゚∀゚)「隊長、過去の事例を見てみましたが気になるものを見つけました。」

爪'ー`)「なに?どんなものだ。」

274名無しさん:2018/09/14(金) 12:30:42 ID:QC4HveNE0
ジョルジョが古い新聞のコピーを広げた。
記事には富豪一家惨殺?!と書いてあった。
内容は明治時代中頃、ある富豪一家が惨殺されたというもので使用人たちもほとんどが殺されてしまったそうだ。
ただ一人、キモ・オターという使用人を除いて。
そして何よりその富豪の娘は顔を剥がされて殺されたというのだ。

(;'A`)「猟奇的すぎないかこの事件……」

('A`)「しかし、被害者が殺されているとなると別事件では?」

(,,゚Д゚)「いや、『X』の手のひらには人の顔があるんんだろ?そうなるとこの娘さんの顔の皮じゃないのか。」

(;'A`)「?!」

( ^ω^)「だが明治時代だなんて昔すぎないか?」
  _
( ゚∀゚)「もう一枚こっちの記事を読んでくれて。」

もう一枚の新聞の記事には先ほどの事件より数日前のことが書かれていた。
キモ・オターという人物が山奥で円盤状の乗り物を見つけたと書かれていた。

( ^ω^)「ということは円盤に乗っていた宇宙人がその使用人に成りすまして事件を起こした。」

( ^ω^)「円盤が壊れて宇宙に帰れないので未だに地球で、か弱い女性を襲い自分の猟奇的な欲望を満たしていると。」

( ^ω^)「これが『X』の正体ってところか。」

爪'ー`)「奴のことがわかってきたがそれだけだとまだ対策のしようがないな。」

(,,゚Д゚)「円盤があったとされるところを調べてみましょう。何か残っているかも知れない。」

( ^ω^)「そうと決まればすぐに出発だ。」

ピロリンッ

('A`)「!?」

ドクオのもとに一通のメールが届く。

('A`)「すまん、俺は寄るところがあるから。」

そう言って一人別の場所へ行く。

275名無しさん:2018/09/14(金) 12:31:10 ID:QC4HveNE0
≫(‘♀’)≪「待っていたよドクオ隊員。いや、ドクトラセブン。」

('A`)「いったい何の用だ。俺は忙しいんだぞ。」

人さんに呼ばれて彼のアパートを訪れる。

('A`)「緑茶じゃなくてほうじ茶がよかったな。」

ちゃぶ台に座り出されたお茶を一口呑み込む。

≫(‘♀’)≪「私は君に対して憤りを感じている。」

('A`)「お前んとこの星のことはかわいそうだと思うが、俺に言われてもな。」

≫(‘♀’)≪「そのことについてもう何も言うつもりはない。デレさんのことだよ。」

('A`)「全力で犯人を調査中だ。黙って待っていろ。」

≫(‘♀’)≪「何度も彼女の病室にお見舞いに行っているが、未だに笑うことができない。」

≫(‘♀’)≪「デレさんの笑顔は我々の希望なのだよ。」

('A`)「大丈夫だ。犯人の手掛かりを少しつかんだからはもうすぐさ。」

≫(‘♀’)≪「私も私なりに調べたがこれが宇宙人の仕業だと思うかい?」

('A`)「地球人にこんなことができるとは思えないね。」

≫(‘♀’)≪「道具さえあれば人間でも可能さ。」

('A`)「?」

276名無しさん:2018/09/14(金) 12:31:42 ID:QC4HveNE0
≫(-♀-)≪「ドクトラセブン、私はねこの星に来てから宇宙人も地球人もそんなに変わらないと思うようになった。」

('A`)「それは俺も思う。」

≫(‘♀’)≪「だが、宇宙人には傲慢な奴が多い。だから平気で他人を傷つけ侵略できる。」

≫(‘♀’)≪「それは地球人も同じだ。宇宙人ほどではないが彼らの中にも平気で他人を傷つけることができる者もいるのさ。」

≫(‘♀’)≪「通称『X』とやらに襲われた被害者がなぜ早くに死んでしまうと思う?」

('A`)「……」

≫(‘♀’)≪「奴は被害者から笑うという感情を奪うついでに生命エネルギーも吸収している。」

≫(‘♀’)≪「だから被害者は平均寿命より早くに亡くなってしまうんだ。」

≫(‘♀’)≪「なぜそんなことをするのか。生命エネルギーを吸収する事により自分の寿命を延ばすためだ。」

≫(‘♀’)≪「地球人よりも寿命がはるかに長い我々宇宙人がそんなことをするか?」

('A`)「つまり地球人が自分のためにこんなことをしていると。」

≫(‘♀’)≪「君はのこの星を守りに来ているのだろうがどうする?敵は助けるべき地球人かもしれないぞ。」

(-A-)「……」

('A`)「宇宙でもこの地球でも正義は一つなんだ。」

('A`)「俺がやることは変わらない。」

≫(‘♀’)≪「そうか。」

('A`)「話はそれだけか?」

≫(‘♀’)≪「ああ。君の目を見れば何があっても大丈夫そうだ。」

('A`)「それじゃ、俺はいくぜ。」

そう言ってどドクオはある場所へと向かう。

≫(‘♀’)≪(彼女のことを頼むぞドクトラセブン)

277名無しさん:2018/09/14(金) 12:32:06 ID:QC4HveNE0
あいつとの会話で敵が誰であろうと覚悟は決まった。
そして何より敵の居場所を探す方法が思いついた。
なぜ被害者は差はあれど襲われて十年ほど生きていられる?
生命エネルギーが欲しいのであれば襲った時にすべて吸収すればいいのに。
しないということはできないのだ。
つまり、今も襲った被害者から生命エネルギーを吸収し続けているということだ。

懐からドクトラアイを取り出す。

∞⊂('A`)

(∞)「デュワ!」

ドクトラセブンに成りデレさんが入院する病院を目指す。
屋上に着地すると目にはエネルギーを集中させる。

(☆A☆)「デュワァ」

ドクトラセブンの目が光る。
そうすることで普段目に見えないものが見えるようになるのだ。

デレさんの病室から白く細いエネルギーがどこかに向かって伸びているのかがわかる。

('A`)「デュワ!」

それに沿って飛んでいく。
記事に書かれていた山とは全く違う山奥に続いていた。
いくつもの白く細いエネルギーが一か所に集まっていた。

(☆A☆)「もういっちょ」

もう一度目を光らせると何もなかった空間に円盤がが突如現れる。
今までに姿を消していたのだ。なかなか見つからなかったわけだ。

278名無しさん:2018/09/14(金) 12:32:51 ID:QC4HveNE0
すぐさまその円盤に入り込むドクトラセブン。

(;'A`)「う!!」

そこには恐ろしい光景が広がっていた。
壁や床、天井に至るまでびっしりと美女の顔があるのだ。
そしてその全てが笑顔で笑っているのだ。

これは今まで襲われた被害者たちなのだろう。
だがこれは本当に笑顔なのか?
恐る恐る進みコントロールルームにたどり着く。

(∴◎∀◎∴) 「誰だ貴様!!」

('A`)「お前の悪事もここまでだキモ・オター!!」

(∴◎∀◎∴) 「!!」

(∴◎∀◎∴) 「フハハハ!実に何年ぶりだその名前で呼ばれるのは。」

('A`)「なぜこんな恐ろしいことをするんだ!」

('A`)「今すぐに彼女たちを元に戻せ。」

(∴◎∀◎∴) 「寝言は寝て言え!!」

(∴◎∀◎∴) 「俺は手に入れたんだ楽園を!」

(∴◎∀◎∴) 「死んでもこの楽園は手放さんぞ!」

('A`)「お前の身勝手な欲望のせいでいったい何人もの女性が辛いめにあったと思っているんだ!」

(∴◎∀◎∴) 「辛い?何を言っている。彼女たちは笑っているじゃないか。」

(∴◎∀◎∴) 「そうさみんな俺のために笑っている。」

(∴◎∀◎∴) 「俺も彼女たちも幸せなのさ。」

('A`)「本気で言っているのか?」

279名無しさん:2018/09/14(金) 12:33:17 ID:QC4HveNE0
(∴◎∀◎∴) 「そう言う貴様はどうだ、今までこんなに美女たちの笑顔を見たことがあるのか?」

(∴◎∀◎∴) 「お前のために笑ってくれる人はいたのか?そもそもまともにしゃべったことあるか?」

(;'A`)「ギギギ……」

(∴◎∀◎∴) 「いるわけないよなそんな顔で!」

(#'A`)「黙れお前の方が顔はひどいだろ!!」

(∴◎∀◎∴) 「だが俺には俺のために笑ってくれる女がこんなにいる。」

アハハハハハハ

キモ・オターが手を振ると急に彼女たちの笑い声が大きくなった。

『キモ・オターさんかっこいい』『キモ・オターさん大好きー』『あなたとずっと一緒に居たい』

さらに腕を振ると彼女たちは口々にキモ・オターを誉め始める。

(;'A`)「……!」

(*∴◎∀◎∴) 「フー!!気持ちいいぜ!!」

(∴◎∀◎∴) 「だから邪魔なお前には消えてもらう!」

(∴◎∀◎∴) 「この円盤に乗ってきたやつのようにな!」

そうか。こいつは何か問題があって不時着したこの円盤に乗っていた宇宙人を始末してこの円盤を手に入れたのだ。

(∴◎∀◎∴) 「キエェェイ!!」

キモ・オターが殴り掛かってくる。

('A`)「フン」

ノーガードでそれを受けるドクトラセブン。

バキィッ

('A`)「所詮この程度か。」

(;∴◎∀◎∴) 「な!!」

いくら生命エネルギーを吸収し、パワーアップして人間離れしたものになったところで元が地球人。
どんなに頑張っても肉弾戦で宇宙人にかなうわけ無いのだ。弱っていない限りなんてことない。
宇宙人に肉弾戦で勝てる奴がいたら見てみたいものだ。どんな化け物か。

280名無しさん:2018/09/14(金) 12:33:46 ID:QC4HveNE0
殴ってきた手を持つとアームブリーカーでへし折る。

('A`)「デュワ!」

(;∴◎∀◎∴) 「ギャァァァァ!!」

('A`)「少しは痛みというものがわかったか?」

(;∴◎∀◎∴) 「キヒヒヒッヒ!」

(∴◎∀◎∴) 「やっちまったなぁ。」

('A`)「ん?」

キモ・オターが壁の顔に手を当てるとその顔がしおれていき折れた腕が完治した。

(;'A`)「何をした?!」

(∴◎∀◎∴) 「ここにある顔たちは俺が襲った連中の生命エネルギーの塊。当然それを一気に吸収すれば怪我なんてこの通り。」

(∴◎∀◎∴) 「お前が俺にダメージを与えるたびにこいつ等が犠牲になると思え。」

(∴◎∀◎∴) 「フヒヒヒヒヒ!」

(;'A`)「卑怯者め!」

手が出せないドクトラセブンをしり目に円盤のコントローラーパネルに手を伸ばす。
ポチポチと操作すると急にドクトラセブンが宙に浮き壁や床、天井に何度もたたきつけられる。
何とか回転することにより円盤による操作を弾き飛ばす。

(;'A`)「グゥゥ……」

だが思いのほかダメージが大きかった。

(∴◎∀◎∴) 「俺に逆らうやつはこうなるんだ。」

(∴◎∀◎∴) 「笑えみんな。」

アハハハハハハ

また彼女たちが大笑いし始まる。

281名無しさん:2018/09/14(金) 12:34:15 ID:QC4HveNE0
(∴◎∀◎∴) 「戻ってたまるか元の生活なんて。」

(∴◎∀◎∴) 「下に見られるだけの人生なんか……」

(∴◎∀◎∴) 「ここに居ればみんながいてくれるんだ!俺を見て笑顔をくれるんだ!」

('A`)「……」

こいつの言う通りだ。今までの人生ろくに女性と関わってきたことなんてない。
それどころか不細工だからということでひどい扱いを受けてきた。
可能性という言葉は恐ろしい。良い意味にも悪い意味にも使える。
自分だって何かのきっかけがあればこいつのようになっていたのかもしれない。

だがはっきり言えることがある。
今、俺が戦わなくては彼女たちの笑顔は取り戻せない。

('A`)「わかってない……お前は何も……」

ふらふらと立ち上がる。

(∴◎∀◎∴) 「あぁ?何がわかってないって言うんだ?」

(∴◎∀◎∴) 「俺はこの通り彼女たちの笑顔の中にいるんだ。」

('A`)「これが笑顔だと?」

('A`)「フフフ、笑わしてくれる。」

('A`)「デレさんは泣いていた。今も必死にお前なんかに負けないと戦っている。」

('A`)「他の被害者もそうだ。お前なんかに感情をとられまいと必死にな!」

('A`)「笑うだけが人間の感情じゃない、泣くことや悲しむことだってそうだ!そういったものすべてが人間に必要なんだ!」

(;∴◎∀◎∴) 「だ、黙れ!俺は笑顔という一番良い顔さえ手に入れればいいんだ!!」

('A`)「これが本当に彼女たちの笑顔だと言っているのならお前は大バカ者さ。」

(;∴◎∀◎∴) 「お前は見たことがあるというのか彼女たちの笑顔を?!」

('A`)「見たことあるさ。デレさんの笑顔は……」

('A`)「そうデレさんの笑顔……」

('A`)「……」

282名無しさん:2018/09/14(金) 12:34:39 ID:QC4HveNE0
あれ?そういえば俺、デレさんの笑顔なんて見たことないぞ。
というか女性の笑顔って見たことあるか俺?

マウントを取ろうとしたドクトラセブン。
当然といえば当然。
自分自身がそんなに女性と接してこなかったのでそんなの見たことがないのだ。

(;'A`)(女性の笑顔くらい一度くらいあるだろ思い出せ俺)

(;'A`)(……)

('A`)(この際、かーちゃんでもいい)

(;'A`)(ダメだあのババアため息か苦笑いしかしたことねぇ)

(;'A`)(となると……)

ξ゚∀゚)ξ

(;'A`)(これしかねぇ)

(;'A`)(これを笑顔とみていいのか)

(;'A`)(そもそもが女性がしていい顔じゃねぇ)

('A`)「……」

('A`)「いいかデレさんの笑顔はすごく輝いている。」

('A`)「こうなんて言うかキラキラとね。」

諦めて嘘をつくことにした。
無いんだもん仕方ない。

(;∴◎∀◎∴) 「嘘ダァァァ!!」

(;∴◎∀◎∴) 「お前ごときが見れるわけないだろぉ!!」

うん。その通り嘘さ。

283名無しさん:2018/09/14(金) 12:35:04 ID:QC4HveNE0
(#∴◎∀◎∴) 「ギリギリギリ!!」

思い切り歯ぎし、顔を真っ赤にして悔しがる。
まるで童貞だと信じていた友人がそうではなかったと知った時のような感じだ。

('A`)(よしチャンスだ!)

額のビームランプに手を当て、ドクリュウム光線の態勢をとる。

(#∴◎∀◎∴) 「馬鹿め俺を攻撃したところで意味がないぞ!!」

確かにキモ・オターを攻撃しても意味がない。
それどころか被害者の生命エネルギーが吸われてしまう。

('A`)(狙いはお前じゃない!!)

発射されたドクリュウム光線は円盤のコントローラーパネルを打ち抜く。
バチバチと火花を立て円盤の機能が停止する。
すべては円盤の力なのだ。その元を絶てばいい。

('A`)「……」

('A`)「本当は他の方法を探すべきなのだろうが、あいにくこれしか考えがひらめかなくてな。」

円盤の機能によって女性たちから集めていたエネルギーが消える。
当然壁や床、天井の顔も消える。本来あるべき彼女たちのところへ戻ったのだ。
そしてそれはキモ・オターへ流れていた生命エネルギーも消えてしまったのだ。
生命エネルギーの供給を断たれ、みるみる体がしぼみだす。

(;∴◎∀◎∴) 「あぁぁあぁ!!死にだぐなぃい!!だずげでぇ!!」

地獄の苦しみを味わった後、骨と皮だけになる。

('A`)「……」

恐ろしい人間であった。
だが自分もこうならないように気をつけなければならないのだ。
誰しも恐ろしい怪人になりえるのだから……

284名無しさん:2018/09/14(金) 12:35:43 ID:QC4HveNE0
( ^ω^)「まさか地球人が宇宙人の機械を利用してこんな恐ろしいことしてたなんてな。」

爪'ー`)「被害にあった女性たちに笑顔が戻ったといっても何だかモヤっとする。」

ξ゚⊿゚)ξ「犯人を私がこの手で直接血祭りにあげられなかったのは残念だが、デレが無事に戻ったから良しとするか。」

ξ゚⊿゚)ξ「だが、やっぱお前ら全員去勢しとけ。」

(;^ω^)「だからそれは飛躍しすぎ!」

(*'A`)「フーッ」

一枚の写真を見つめるドクオ。

ξ゚∀゚)ξζ(^ー^*ζ(*'∀`)

ホントはツーショット写真がよかったが、まあいいでしょう。
どんな報酬よりもありがたい写真だ。
元気になって良かったねデレさん。
  _
(;゚∀゚)「隊長、最近人通りの少ない夜道で恐ろしい目つきをした鬼が走り回っていると通報がありました。」

爪;'ー`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「なんだもう次に事件か。」

ξ゚⊿゚)ξ「どれこの私が一肌脱いでやろう。」
  _
(;゚∀゚)(;'A`)(;^ω^)(;゚Д゚)爪;'ー`)(それはお前のことだよ妖怪ツインドリル女)

そう思う隊員たちであった。

第九話『笑顔を取り戻せ』

終わり

285名無しさん:2018/09/14(金) 12:36:32 ID:QC4HveNE0
今回は以上です。
いつもありがとうございます。
さぁ、来週もみんなで見よう。

286名無しさん:2018/09/14(金) 14:15:00 ID:eNC6mUWE0
良かったなどくお!!!

287名無しさん:2018/09/14(金) 21:26:28 ID:ABqUiKpU0
乙!

288名無しさん:2018/09/14(金) 23:21:23 ID:EZaBAlR.0
誰もがキモ・オターになり得る…か
俺も気をつけよう

289名無しさん:2018/09/18(火) 19:31:59 ID:8Yl7RU0Q0
ツンヌがもはや人間扱いされてなくてわろす

290名無しさん:2018/09/21(金) 23:14:59 ID:0ohUMJJQ0
第十話『消されたヒーロー』

「ねえねえ、知ってる?VIPトラマン幻の最終回って。」

「なにそれ?またオカルト話?」

「昭和の特撮ヒーローが大量生産されてた頃の一作品らしいんだけど、これが市場には出回ってないらしいのよ。」

「へー、どうでも。あっ辛!この四川麻婆豆腐、辛い!トソン食べて。」

昼間の高級中華料理店、二人の女性がのんきに食事をしていた。

(゚、゚トソン「その幻の最終回がマニアの中では高額で取引されてるんだって。」

ξ゚⊿゚)ξ「特撮ヒーローとか興味ないし。あと残り食べて。」

(゚、゚トソン「ところが、その最終回を購入したマニアは行方不明になるって噂が広がってるのよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「くっだらねぇ。大金の割にショボい話だったんじゃねぇの?これ食べて。」

(゚、゚トソン「私、辛いのダメだから。」

ξ゚⊿゚)ξ「チッ」

291名無しさん:2018/09/21(金) 23:15:26 ID:0ohUMJJQ0
(゚、゚トソン「残せば?」

ξ゚⊿゚)ξ「死んだばあちゃんに食べ物は残さず食べろって昔から強く言われてたから残したくないの。」

(゚、゚トソン「教育熱心なおばあちゃんがいたのにこんなのに育つとは。」

ξ゚⊿゚)ξ「子育てって大変ね。」

(゚、゚トソン「あんたが言うか。」

ξ゚⊿゚)ξ「仕方ねぇ、基地にいる豚に食わすか。店員、タッパーくれ。」

(゚、゚トソン「それじゃ会計はいつも通り経費でお願いね。それとVIPトラマン幻の最終回の件もよろしく。」

ξ゚⊿゚)ξ「それウチが調べる必要ある?」

(゚、゚トソン「私の後輩がそれを調査して行方不明なのよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「おいおい、それなら自分で調べて記事にしろよ。」

(゚、゚トソン「特撮とか興味ないし。私は自分の興味があることしか記事にしない質だから。あんな子供だましのどこがいいんだかね。」

ξ゚⊿゚)ξ「それな。」

(゚、゚トソン「そう言うことでお願いね。」

292名無しさん:2018/09/21(金) 23:16:18 ID:0ohUMJJQ0
ξ゚⊿゚)ξ「って話が昼間あったわけよ。」

ξ゚⊿゚)ξつ「ほれブーン、四川麻婆豆腐だ食え。」
  _
( ゚∀゚)(,,゚Д゚)( ^ω^)('A`)爪'ー`)「……。」

爪'ー`)「俺もう何も驚かんよ。」

('A`)「フーッ、前にも見たなこの展開。」

(,,゚Д゚)「回数重ねても許されないからなオイ。」

( ^ω^)「いや、今は腹減ってないんだが。」

ξ゚⊿゚)ξ「御託はいいからなんちゃらマンの調査行って来いよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「あと豚は早く食え。」

( ^ω^)「一応これでも人類ですからね。仕方ない食うか。」

爪'ー`)「これだけは言うけど、我々はそんなくだらないこと調査しないからな。」

ξ゚⊿゚)ξ「だろうな。」
  _
(*゚∀゚)「まぁまぁ隊長、その話は割と我々がやるべき仕事かもしれませんよ。」

何やら嬉しそうにジョルジョが割り込んできた。

爪'ー`)「なに?」
  _
(*゚∀゚)「消された最終回を持つとされる有名な作品ですよ。」
  _
(*゚∀゚)「VIPトラマン、1970年代に放送開始。当時の特撮ヒーロー作品のひとつで宇宙からきた巨大ヒーローが怪獣と戦うストーリー。」
  _
(*゚∀゚)「事故のせいで防衛チームの一人と融合してしまい、ピンチの時にはVIPトラマンに変身する。」
  _
(*゚∀゚)「怪獣特撮ものだが毎週、町の模型を派手に破壊したりとなかなか迫力のある作品です。」
  _
( -∀-)「ただ、残念ながらなかなか視聴率が伸びずに全39の予定が打ち切りで全37話に……」
  _
( ゚∀゚)「しかし、今でも根強いファンが多く、現代ではかなり評価されています。」
  _
(*゚∀゚)「そして何より珍しい最終回。打ち切りの影響か、まるでなんて事のない通常回が最終回で当時の視聴者はかなりびっくりしたそうです。」

293名無しさん:2018/09/21(金) 23:17:40 ID:0ohUMJJQ0
ξ゚⊿゚)ξ「うまいそれ?」

( ^ω^)「辛いけどうまい。どこの店?」

ξ゚⊿゚)ξ「それうまいとか味覚イカレてんじゃないの?」

(,,゚Д゚)「隊長、コーヒー淹れましたよ。」

爪'ー`)「おお、ありがとう。」

('A`)「俺にもくれよ。」

(,,゚Д゚)「はいよ。」

('A`)「どうも。」

熱く語るジョルジョだが、誰もその話を聞いてくれない。
誰も興味がないようだ。ジョルジョをそっちのけで各自くつろぎ始めた。
しかし、ジョルジョは興奮しきっていてひたすら語り続ける。
自分だけの世界に入り浸っている。
  _
(*゚∀゚)「おかげでマニアの中では実は別に最終話が作られていたんじゃないのかって憶測がありまして。」
  _
(*゚∀゚)「VIPトラマンの星の連中が地球を侵略して終わるとかそんな説があったり。」
  _
(*゚∀゚)「ネットでは、何とか最終話を手に入れた猛者のやはりとんでもない話であったとの書き込みがあったり。」
  _
(*゚∀゚)「最近では数百万でその最終回が取引されているようで。」
  _
(*゚∀゚)「実は俺も貯金を全額はたいて購入しようかと考えている次第です。」
  _
(*゚∀゚)「早く見てみたいものですな。」

目を子供のようにキラキラと輝かせている。
人生において趣味を見つけることは大切なことだ。
それがどんな趣味でも他人の目を気にする必要はない。
自分の好きなことを語るのはいいことだ。
だがそれは時と場合を考えよう。

294名無しさん:2018/09/21(金) 23:18:17 ID:0ohUMJJQ0
(,,゚Д゚)「さて俺はパトロール行ってくるよ。」

( ^ω^)「ドクオこれから新型兵器のテストに行くぞ。」

('A`)「今回の新型爆弾はどれほどの威力かな。」

ξ゚⊿゚)ξ「そろそろデザートの時間だな。どこに食いに行くか。」

爪'ー`)「おっと会議の時間がもうすぐだな。」

ジョルジョをおいて各々作戦室を後にする。
  _
(*゚∀゚)「個人的には通常回のような最終回は割と好きですね。」
  _
(*゚∀゚)「それこそまだまだこれからVIPトラマンの物語は続いていくのだというようで。」
  _
(*゚∀-)「でも一番好きな回は第八話の……」
  _
(;゚∀゚)「あれ?みんな?」

それからすぐにみんなVIPトラマンのことなど忘れてしまった。
ただ一人ジョルジョのみ、その話を聞いてから幻の最終回を購入することを決意していた。

295名無しさん:2018/09/21(金) 23:18:39 ID:0ohUMJJQ0
それから数日後。
  _
(*゚∀゚)「♪〜」

('A`)「どうしたジョルジョ、鼻歌なんか歌いながら?いいことでもあったか?」
  _
(*゚∀゚)「やっとネットでVIPトラマン最終回を購入できそうなんだ。」

('A`)「なんだっけそれ。つまらなくて打ち切られたやつだっけ?」
  _
(#゚∀゚)「馬鹿なことを言うな!!VIPトラマンは素晴らしい作品なんだ!!」
  _
(#゚∀゚)「見たこともないニワカ以下のカスは黙ってろ!」

(;'A`)「お、おぉ。すまなかった。」

熱狂的なファンの前でけなすのダメ絶対。
  _
( ゚∀゚)「しかし、購入の仕方が謎すぎるんだよな。」
  _
( ゚∀゚)「現金で数百万を手で持ちながらパソコンの前に座り、相手さんから送られてきたメールのURLに飛ぶだけだってんだから。」

('A`)「からかわれてんじゃないか?」
  _
( ゚∀゚)「VIPトラマンファンの同志がそんなことするかよ。早速自分の部屋で見て来るぜ!」

('A`)「今日は防衛会議があるそうだから遅れるなよ。」
  _
( ゚∀゚)「ああ、後でな。」

そうして別れた後、ジョルジョは会議には来なかった。
基地のどこを探しても見つからず、噂の事件に巻き込まれたとされた。

296名無しさん:2018/09/21(金) 23:19:06 ID:0ohUMJJQ0
爪#'ー`)「まったくぶったるんどる!!」

爪#'ー`)「防衛隊のメンバーが自分の趣味で事件に巻き込まれたなどと!」

( ^ω^)「事件を調査した結果、幻の最終回自体は昭和から噂されていたようですが、実際に行方不明になるのはここ数か月からのようです。」

(,,゚Д゚)「その最終回を見たとされる書き込みを見ると。」

『あんな恐ろしい最終回とは……』『まさかそんな展開になるなんて涙が止まらない』『これを見ないで人生を終えるなんて考えられないよ』
『やっぱVIPトラマンはVIPトラマンだぜ!』『VIPトラマン最低!ファンやめます』

(,,゚Д゚)「などあまり内容が語られていないのばかりです。」

('A`)「被害者はみなネットで最終回を売っているという人物と接触。」

('A`)「その人物の言う通り、現金で数百万を手で持ちながらパソコンの前に座り、相手さんから送られてきたメールのURLに飛んだもよう。」

('A`)「メールのURLも知らべましたが、なんのページにもつながらないようです。」

爪'ー`)「人間一人、突然消失するのが地球人の仕業とは考えにくい。敵は宇宙人だと思われる。」

爪'ー`)「ギコはジョルジュの使用したパソコンに何か痕跡がないか調べてくれ。」

爪'ー`)「制作元のVIP谷プロにその幻の最終回が有るのか無いのか確認をドクオとブーン頼む。」

(,,゚Д゚)( ^ω^)('A`)「了解!」

ξ゚⊿゚)ξ「私これから○ンハンやるけど、いい?」

爪'ー`)「君はいつも通りでいいよ。」

隊長がツンヌを見る目はすべてをあきらめているようだ。

297名無しさん:2018/09/21(金) 23:19:37 ID:0ohUMJJQ0
ヴィプンターでVIP谷プロに向かう二人。
社員に話を聞くとそんな最終回は存在しない。ただのくだらない噂だと追い返された。

( ^ω^)「まあそうでしょうね。」

('A`)「本当は隠しているだけかもしれんぞ。」

('A`)「倉庫に忍び込んでテープを確認しない限りないとは言い切れん。」

( ^ω^)「それじゃ、不法侵入やっちゃいますか。」

こそこそと忍び込む。
地球の平和を守るためなら多少の不正行為は目をつぶってもらう。

('A`)「これは違いそうだな。」

( ^ω^)「お!これ鏡男じゃん懐かしい。」

ガサゴソと音を立てながら調べていると倉庫の扉が開いた。

(;^ω^)(;'A`)「!」

掃除のじいさん「誰じゃ!そこで何をしている!」

事情を説明すると社員には黙ってくれるそうだ。
そしてこのじいさんは当時の撮影班の一人だということだ。

掃除のじいさん「そうじゃ。わしもあのVIPトラマンの制作にかかわっていたのじゃ。」

('A`)「じゃあ噂されてる幻の最終回ってあるのか?」

掃除のじいさん「フーッ」

タバコを吸いながら話し始めた。

298名無しさん:2018/09/21(金) 23:20:09 ID:0ohUMJJQ0
掃除のじいさん「最終回は放送されたあの話が最終話さ。」

掃除のじいさん「当時はだいぶ言われたよ。これのどこが最終回だって。強敵も出なければVIPトラマンは自分の星に帰ったりしない。」

掃除のじいさん「出てきた怪獣もなんてことのない奴、ストーリーもいつも通りの大したことのない話。」

掃除のじいさん「翌週に至っては最終回だと思わなかった人たちから大量の電話が来たよ。今週は休みなのかって。」

( ^ω^)「やっぱりただのガセだったか。」

('A`)「しかし、なぜそんな最終回にしたんだ?」

掃除のじいさん「視聴率が振るわなかったからね。予定に大幅に削られたのもあるな。」

掃除のじいさん「なにせ裏番組のフル面ライダーが人気過ぎてね。同じ特撮なのにかなりの差をつけられよ。」

( ^ω^)「フル面ライダーって今もシリーズの続くあれか。今のはフル面ライダーAってやつがやってるな。」

掃除のじいさん「こっちも負けじといろいろ話が面白くなるように工夫とかしてみたんだがな。」

掃除のじいさん「でもそれは自己満足だったんだ。自分たちはこれは面白いだろうってやってみたが、面白いかどうか決めるのは視聴者なんだ。」

掃除のじいさん「回を重ねるごとにその差がどんどんわかっていったよ。」

掃除のじいさん「向こうは大成功、こっちは失敗作。悔しかったな。それでもあきらめずに頑張ったさ。」

掃除のじいさん「こっちだってそれなりに面白いんだぞって。まあ結果、打ち切りだけどね。」

('A`)「……」

299名無しさん:2018/09/21(金) 23:20:36 ID:0ohUMJJQ0
掃除のじいさん「でもあの頃は大変だったけど楽しかったよ。」

掃除のじいさん「近所の子供たちがVIPトラマンのどこどこが面白いとか、あのシーンがかっこよかったって言ってくれてね。」

掃除のじいさん「それだけでも作った甲斐があったよ。今もVIPトラマンが好きだって言ってくれる人たちがいるらしいしね。」

掃除のじいさん「そうやって楽しんでもらえることが一番なんだよ。だから最終回はこの先もまだまだ続いていく終わり方にしたんだ。」

('A`)「なるほどいろいろ考えがあったんですね。」

掃除のじいさん「それともう一つ。『彼』の終わりを我々が考えるなどというのがね……」

('A`)「彼?」

( ^ω^)「誰のことです?」

掃除のじいさん「VIPトラマンにはモデルがいるんだ。正直この作品自体が『彼』が存在したことを忘れないように作ったものなんだが。」

掃除のじいさん「これ以上のことは言えない。君たちは目的を果たしたんだろ、早く帰りなさい。いい加減見つかるぞ。」

気になることだが長居はできそうにない。そそくさとその場を後にする。
通信で隊長に報告を済ませると基地へと向かう。

爪#'ー`)「ムムム、こうも何も手掛かりがないとな。」

いらだちを隠せない隊長は胸ポケットから煙草を取り出すと口にくわえてライターを取り出す。
火をつけようとしたところで殺気に気づく。

ξ#゚⊿゚)ξ9m

鋭い目つきで睨みつけながら壁に書かれた文字を指さしている。

『禁煙』

悪かったね。そう言い残して喫煙所に向かう。
昔はよく吸っていたが、最近は健康を考えてたまにしか吸わないようにしている。
大体吸うときはイライラが収まらない時だ。

300名無しさん:2018/09/21(金) 23:21:11 ID:0ohUMJJQ0
爪'ー`)「あれ?」

喫煙所がある場所に着いたがそこには何もない。

清掃のおばちゃん「あら隊長どうされました?」

爪'ー`)「ここに喫煙所ってなかったっけ?」

清掃のおばちゃん「何言ってんのよ隊長さん、基地内は全部禁煙になったじゃない。」

清掃のおばちゃん「ツンヌちゃんが頑張って働きかけて排除したの知らないの?」

爪'ー`)「……」

仕事以外で自分の気に入らないことに全力出すあの子はなんなの?
結局一服するために基地の外まで出る羽目になる。
タバコをくわえて火をつけようとするがなかなかつかない。
ガスが切れていたか?

(,,゚Д゚)「どうぞ。」

どうやら先にいたギコが火をつけた。

爪'ー`)y‐「フーッ。ありがとう。」

(,,゚Д゚)y‐「隊長も一服ですか?珍しいですね。」

爪'ー`)y‐「一服のつもりだったんだが作戦室からここまではなかなかな運動だよ。」

(,,゚Д゚)y‐「ハハ、全くです。気軽に吸えませんからね近頃は。」

爪'ー`)y‐「昔は作戦室でもみんなで吸ってたもんなんだがな。」

(,,゚Д゚)y‐「今はみんな吸いませんからね。」

爪'ー`)y‐「ブーンとか吸ってなかったか?」

(,,゚Д゚)y‐「子供出来てからやめたそうです。」

爪'ー`)y‐「いいねぇ一発でやめれて。俺なんて何度挑戦したことか。」

301名無しさん:2018/09/21(金) 23:21:33 ID:0ohUMJJQ0
(,,゚Д゚)y‐「俺は彼女には悪いですが、生涯現役で吸わせてもらいますよ。」

爪'ー`)y‐「そう意気込んでた奴らはどんどんとやめていったなぁ。」

(,,゚Д゚)y‐「値上げや世間的に許されなくなってきてますからね。でも俺は負けないですよそんな波に。」

爪'ー`)y‐「しっかりと分煙してればいいじゃないかよ。もう少し俺たちを認めてくれよ世間のみなさんよぉ。」

そんな戯言を言いながら二本目のタバコに火をつける。

(,,゚Д゚)y‐「そう言えばVIPトラマンって隊長が子どもの頃やってたやつなんじゃないですか?」

爪'ー`)y‐「……」

爪'ー`)y‐「俺はガキの頃は特撮なんてまがい物、見てなかったな。」

爪'ー`)y‐「何せ本物のヒーローがいたからな。」

(,,゚Д゚)y‐「?」

爪'ー`)y‐「フーッ」

爪'ー`)y‐「なあギコ、昔この地球に怪獣が実際に居たことは知ってるか?」

(,,゚Д゚)y‐「そんなの小学校の歴史で習いますよ。我々の前の組織、VIP特捜隊が全て退治したって教えられましたよ。」

爪'ー`)y‐「ああ、そう教えているらしいな。」

爪'ー`)y‐「いいかギコこれから言うことは絶対に誰にも言うなよ。」

(,,゚Д゚)y‐「はい?」

302名無しさん:2018/09/21(金) 23:22:17 ID:0ohUMJJQ0
爪'ー`)y‐「確かに俺がガキの頃にはまだ怪獣がいてVIP特捜隊が戦ってたよ。でもそれだけじゃない。」

爪'ー`)y‐「『彼』もいたんだ。」

(,,゚Д゚)y‐「彼?」

爪'ー`)y‐「みんなモナトラマンって呼んでいたよ。」

(,,゚Д゚)y‐「まさかドクトラセブンみたいなやつがいたんですか?!」

爪'ー`)y‐「あんな奴と一緒にするな。彼は本当に強くてみんなの憧れだったよ。」

爪'ー`)y‐「俺も彼に憧れヴィプトラ警備隊を志したさ。」

(,,゚Д゚)y‐「しかしなぜそんなヒーローがいた形跡がないのですか?」

爪-ー-)y‐「今も覚えている。俺もその場にいたからな。彼は最後に負けてしまったんだ。」

爪'ー`)y‐「侵略者が作り出した最強の宇宙恐竜に。」

爪'ー`)y‐「そしてその宇宙恐竜をVIP特捜隊が倒し、彼の仲間が彼を宇宙へと連れていってしまったよ。」

爪-ー-)y‐「その後は全世界で彼の記録を抹消して彼のことをしゃべったりするものが出れば逮捕。」

(,,゚Д゚)y‐「まさか手柄を一人占めして、今まで地球人だけで戦っていたように情報統制したってことですか!!」

爪'ー`)y‐「ああ、俺も当時はそう思って必死で抵抗したさ。意味がなかったがな。」

爪'ー`)y‐「でも今ならその選択もわかる。」

303名無しさん:2018/09/21(金) 23:22:50 ID:0ohUMJJQ0
爪'ー`)y‐「彼は地球人にとって希望になりすぎたんだ。希望が無くなってしまうということは絶望さ。」

爪'ー`)y‐「だから我々地球人は嘘をついて自分たちをごまかすことにしたんだ。モナトラマンなんていなかった、すべて自分たちの力でやっていたんだと。」

爪'ー`)y‐「そうして偽りの希望と平和を作り出したんだ。みんなの憧れを消してね。」

(,,゚Д゚)y‐「消されたヒーローですか。」

爪'ー`)y‐「俺はずっと思っていたよ。彼は傷をいやしたけど今の地球を見て失望したんじゃないのかと。」

爪'ー`)y‐「だから彼はもうこの星に来ないんだと。」

爪'ー`)y‐「そしてらあいつが現れやがった。」

爪'ー`)y‐「どうやら彼は育てていたようだ。自分の教え子をな。」

(,,゚Д゚)y‐「フーッ」

(,,゚Д゚)y‐「だから最初ドクトラセブンを見たとき攻撃しなかったんですね。」

爪'ー`)y‐「フッ、てんでなっちゃいなかったがな。」

爪'ー`)y‐「でも地球ならあいつを任せられるって思ったんだろうな。」

(,,゚Д゚)y‐「ええ、偉大なヒーローの教え子なら俺たちも力を貸しましょう。」

タバコの火を消し作戦室に戻る。
少し長居しすぎたかな。

304名無しさん:2018/09/21(金) 23:23:17 ID:0ohUMJJQ0
爪'ー`)「さて諸君、こうなったら強行策に出るぞ。」

爪'ー`)「最終回を購入したいと敵に接触し、敵のもとに転送しされてアタックをかける。」

(;'A`)「かなり危険じゃないですか?」

( ^ω^)「肉を切らせて骨を断つわけですね。」

(,,゚Д゚)「危険ではありますが手っ取り早いですね。」

(;'A`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「おら、さっさと志願兵出て来いよ。」

( ^ω^)「よし俺が。」

(,,゚Д゚)「いやいや俺が。」

∩(;'A`) スッ

爪'ー`)( ^ω^)(,,゚Д゚)「!?」

ξ゚⊿゚)ξ「オイオイ、弱虫大丈夫か?足震えてるぞ。」

(;'A`)(本当は行きたくねぇよ)

(;'A`)(でももし行き先が宇宙空間だったりしたら俺じゃないと……)

爪'ー`)「それならドクオに頼もう。頼んだぞ!」

(;'A`)「りょ……了解です。」

ξ゚∀゚)ξ「カッカッカッ!ここに来た時よりもいい顔になってきたじゃん!」

( ^ω^)「いつでも変わってやるからな。」

(,,゚Д゚)「何が起こるかわからんから気をつけろよ。」

(;'∀`)b  ニターッ

精一杯の強がりだ。

305名無しさん:2018/09/21(金) 23:23:56 ID:0ohUMJJQ0
割と簡単に標的とコンタクトが取れた。
あとは噂通りに準備をして相手からのメールを待つ。

(;'A`)「き、来た……」

みんなは少し離れた所から見守っている。

(;'A`)「フーッ」

落ち着けよ俺。
向こう側に敵がたくさんお出ましでも落ち着いて対応だ。
発信機も付けていくんだから時間を稼げれば助けが来る。

('A`)「よし行くか!」

覚悟を決めてメールのURLをクリックする。

('A`)「うん?!」

ぐにゃりと体が曲がりながらパソコンの画面へと吸い込まれていく。

( ^ω^)「なるほどこうやって被害者と金を回収していたのか。」

爪'ー`)「発信機は?」

(,,゚Д゚)「現在特定中!」

ξ゚⊿゚)ξ「あの現金くれるなら私行ってもよかったかも。」

爪;'ー`)「君はおとなしくしてましょうね。」

(,,゚Д゚)「発信機の場所を特定しました!場所は○○の高級マンションです。」

( ^ω^)「高級マンションとは中々いいとこに潜んでたもんだ。」

爪'ー`)「よし出発するぞ!」

( ^ω^)(,,゚Д゚)「了解!」

306名無しさん:2018/09/21(金) 23:24:25 ID:0ohUMJJQ0
('A`)「ここは?」

どうやらどこかの部屋に出た。
おっ高そうな家具が置いてある。外を見れば高層ビルが見えた。
マンションの一室か?

「あ?何で転送された人間に意識があるんだ?」

(;'A`)「だ、誰だ!」

声がする方へと振り向く。

(-_-)「普通の人間ならば転送された影響で当分意識がないんだが。」

(-_-)「さてはお前はドクトラセブンだな。」

('A`)「お前はヒッキー星人だな。」

骸骨のように細い手足、体で色も真っ白の宇宙人だ。

('A`)「さらった人たちはどこだ!ジョルジョを返せ!」

(-_-)「フフフ、彼らなら洗脳して地方の深夜コンビニのバイトをさせてるよ。」

('A`)「は?」

307名無しさん:2018/09/21(金) 23:24:49 ID:0ohUMJJQ0
(-_-)「ドクトラセブンよ愚かだと思わないか自分で働くのは。」

(-_-)「こうして間抜けな地球人を利用すれば働かずしていい生活が送れる。最高じゃないか。」

('A`)「働け、この引きこもり野郎!」

(-_-)「一度このおいしい方法を見つけたらやめられないね。」

(-_-)「地球人は愚かだよ、存在しない最終回に食いつき大金を持ってきてくれるとは。」

(-_-)「公式で否定されているのに、マニアというものは馬鹿なことに金を使ってくれるよ。」

('A`)「それで捕まえた人間を洗脳してバイトさせてバイト代を着服するって魂胆か。」

(-_-)「三食外食、キャバクラ、風俗行きまくり。貧乏人にはマネできないさ。」

(#'A`)「この野郎羨ましい生活送りやがって!苦労して金を稼ぐことを知れ!」

(-_-)「労働などという低俗なことは奴隷どもにやらせるのが一番だ。地球はいい。奴隷が多くて。」

(#'A`)「だがお前の企みもここまでだ。」

(#'A`)「デュワ!」

ドクトラセブンに変身しながら飛びかかる。
ヒッキー星人も負けじと応戦しながら巨大化する。

308名無しさん:2018/09/21(金) 23:41:08 ID:0ohUMJJQ0
(;'A`)「グワー」

見た目の割に怪力の持ち主らしく投げてばされるドクトラセブン。
立ち上がりにワンツー、フック、アッパーとコンビネーションをきれいに決めるヒッキー星人。

(;'A`)「ひぎぃ」

あっという間にグロッキー。

(-_-)「噂通り大したことない奴だな君は。」

(;'A`)「……!」

(;'A`)「なぁお前、VIPトラマンは見たことあるか?」

(-_-)「あぁ?馬鹿言えあんなお子ちゃまなもん見るかよ。」

(;'∀`)「ダメだなぁ、自分が利用するものはしっかり目を通しておかなきゃ。」

(-_-)「なんだ負け惜しみか?」

問答無用で渾身の右ストレートを放とうとした瞬間、ヒッキー星人の背中にレーザー攻撃が命中した。

(;-_-)「ギャァ!なんだ?!」

振り返るとヴィプトラホーク1号が攻撃してきた。

309名無しさん:2018/09/21(金) 23:41:37 ID:0ohUMJJQ0
(;-_-)「おのれ虫けらどもがぁ!」

('A`)「貴様の相手は俺だ。」

後ろから捕まえるとジャーマンスープレックスを決める。

(;-_-)「ゴフ」

爪'ー`)「今だ爆弾投下。」

( ^ω^)「了解、爆弾投下。」

ヴィプトラホーク1号のウエポンベイが開くと大量の爆弾がヒッキー星人めがけて投下された。

(;-_-)「ぁがガガガ」

('A`)「VIPトラマンは一人で戦ってたんじゃないぜ、彼には仲間がいたんだ。」

見事な連係プレイ。
ドクトラセブンが隙を作り、そこにヴィプトラホーク1号が攻撃。
悶えているヒッキー星人にドクトラセブンが追撃。

(;-_-)「一対一で戦えよ卑怯者!」

('A`)「侵略者に慈悲はない。」

310名無しさん:2018/09/21(金) 23:42:10 ID:0ohUMJJQ0
ロケット弾の弾幕が降り注ぐ。
身動きが取れない相手にドクトラショットを叩き込む。

(;-_-)「アアアアアアア!」

あえなく爆発四散。

(;'A`)「はぁはぁ…」

額のビームランプが激しく点滅する。
援護がなければ危なかった。

(,,゚Д゚)「何とか退治できましたね。」

爪'ー`)「ひやひやさせやがって。」

(;'∀`)b  ニカッ

( ^ω^)「あのキモイ顔はどうにかならんのかな。」

爪'ー`)「顔はどうにもならんさ。さて我々は帰るぞ。」

( ^ω^)「了解。」

311名無しさん:2018/09/21(金) 23:42:39 ID:0ohUMJJQ0
ほどなくしてさらわれていた人たちも発見され保護された。

爪'ー`)「どんな趣味を持つのは構わないが、くれぐれも仕事に支障は出さないでくれよ。」
  _
(;゚∀゚)「ご迷惑をおかけしました。」

('A`)「おいジョルジョ、VIPトラマン気になって見てみたが面白いじゃないか。」
  _
( ゚∀゚)「だろだろ!やっぱ特撮ヒーローはいいだろ!」

('A`)(すごく親近感がわくんだよな)

ξ゚⊿゚)ξ「正直、私はベルトで変身して戦う方がいいな。」

('A`)「?!」
  _
( ゚∀゚)「お、ツンヌもか。フル面ライダーもいいぞ。」
  _
( ゚∀゚)「お勧めはフル面ライダーZZだな。」
  _
( ゚∀゚)「あれは――

ξ゚⊿゚)ξ「いや特撮じゃなくて。現実にそういうの配備してもらいたいの。」

ξ゚⊿゚)ξ「なんでも今のフル面ライダーって巨大な敵とも戦うらしいじゃない。」

ξ゚⊿゚)ξ「なら私もベルトで変身して巨大な宇宙人と戦いたいな。」

(;'A`)「……」

312名無しさん:2018/09/21(金) 23:43:04 ID:0ohUMJJQ0
( ^ω^)「想像しただけでも恐ろしいな。」

爪'ー`)「冗談抜きで一度頭を改造された方がいいと思うよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、お前の顔のこと言われてるぞ。」

(;'A`)「俺のことじゃないからね。」

ξ゚⊿゚)ξ「カー、そういう組織があればそこに就職したのに。」

( ^ω^)「むしろよくここに就職できたな。」

ξ゚⊿゚)ξ「変身できれば私一人で活躍してグッズ販売でガッポリ稼げるのに。」
  _
(;゚∀゚)「ヒーローにあるまじき行為だな。」

ξ゚⊿゚)ξ「私はもっと褒めたたえられたい!」

(;'A`)「こいつは力を手に入れちゃダメなタイプだ。」

(,,゚Д゚)「……」

(,,-Д-)「見返りを求めず、自分のために戦わない。」

(,,-Д-)「たとえ存在を消されようとも力を持たない人のために戦う。」

(,,゚Д゚)「そういうことですね隊長。」

爪'ー`)「ああそうさ。」
  _
( ゚∀゚)('A`)( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ「?」

('A`)(なんだろう、大事な場面ではしょられてた気がした)

第十話『消されたヒーロー』

終わり

313名無しさん:2018/09/21(金) 23:43:28 ID:0ohUMJJQ0
今回は以上です。
いつもありがとうございます。

314名無しさん:2018/09/22(土) 00:10:09 ID:kPQEadrg0
おつ!
ドクオやるじゃん

315名無しさん:2018/09/22(土) 01:54:23 ID:Uk/Ja4M20
モナトラマン糞テキトーにドクオ配備してるじゃねーか!

316名無しさん:2018/09/22(土) 09:05:43 ID:ruK5tAFU0
乙!
地球の扱いワロタ

317名無しさん:2018/09/23(日) 03:53:47 ID:3A6pLGuY0
実はモナトラマンも落ちこぼれだったりしたのかな?
色々と繋がってきて面白い

318名無しさん:2018/09/28(金) 12:20:37 ID:6keEnkms0
第十一話『この恨み』

観測員「ん?なんだこのデータは?」

その日ヴィプトラ警備隊に謎の音声データが送り込まれてきた。

観測員「フォックス隊長、これがどこからともなく送られてきたのですが何でしょう?」

爪'ー`)「どれ一度流してみよう。」

謎の音声データを再生する。

『% %#”&”#$$’!#%』

( ^ω^)「なんだこりゃ?誰かいたずらで送ってきたか?」
  _
( ゚∀゚)「一応いろいろなデータと照合してみましょう。」

爪'ー`)「頼んだぞ。」

爪'ー`)「侵略者の通信などでなければいいが。」

('A`)(これは宇宙語)

('A`)(俺に助けを求めていたな)

('A`)(罠かもしれないが行ってみるか)

('A`)「隊長、パトロールに行ってきます。」

爪'ー`)「気をつけてな。」

ドクオは急いでその音声データで示された場所へと向かった。
目的地に着きヴィプンターを停めてあたりを見回す。

319名無しさん:2018/09/28(金) 12:21:05 ID:6keEnkms0
('A`)「言われた通りに来てやったぞ。出てこい。」

『よかった、よかった。ちゃんと来てくれたんだね。』

('A`)「!」

声のする方へと振り返る。

( `ー´)「助けてくれよドクトラセブン。一大事なんだ。」

('A`)「貴様は残虐非道なネーノ星人ではないか?!」

( `ー´)「確かに我が種族は残虐非道で有名だが、私は違うよ。みんな一緒にしないでくれ。」

('A`)「それで助けてほしいこととはなんだ?」

( `ー´)「実は申し訳ないのだがね、たまたま通りかかってこの星を見つけて調査の一環で地球人を一人拉致したんだ。」

('A`)「のっけから何やってんの君?」

( `ー´)「まあまあそこはいいでしょ。宇宙船に連れ込んだらその子がパニックになっちゃって。」

( `ー´)「転んだ拍子に頭ぶつけたら打ちどころが悪かったみたいで死んじゃってさ。」

(;'A`)「な……」

(#'A`)「貴様何やってるんだ!!」

(;`ー´)「本当に事故だったんだよ。信じてくれ。正義の味方は相手を信じることから始まるんだろ。」

(#'A`)「グググ……」

(#'A`)「それで困っているというわけか。」

(;`ー´)「それで困っているんだが、君が思っているのと違うと思う。」

('A`)「?」

( `ー´)「そしたら出るようになったんだよ。」

(;`ー´)「俺の宇宙船で幽霊が。」

(;'A`)「え?」

320名無しさん:2018/09/28(金) 12:21:36 ID:6keEnkms0
一人では怖くて宇宙船に戻れないということで一緒についていくことになった。
ネーノ星人が腕時計のボタンを押すと一瞬で宇宙にある宇宙船にワープした。

(;'A`)「ゆ、幽霊だなんてこの宇宙旅行が当たり前の時代に何を言っているのかね。」

ちょっと冷房が効きすぎではないかこの宇宙船。震えているのは決して怖いからじゃないんだからね。

(;`ー´)「幽霊が出るようになってからラップ音がしたり物が勝手に宙に浮いたり、挙句の果てには宇宙船の機能が停止してしまったよ。」

(;'A`)「物音は宇宙船が故障してるから変な音が鳴ってるだけで、物が浮くのはここが宇宙だからだろ。」

(;`ー´)「この船は新品だし故障してないかの確認はしたよ。それに重力発生装置やごく一部の機能は生きてるし。」

(;'A`)「……。」

(;`ー´)「だからドクトラセブン、早く幽霊を倒してくれ。自分の星に帰れないんだよ。」

(;'A`)「仕方ない。まあどうせ幽霊なんていないと思うがね。」

恐る恐るドクトラアイを装着して変身する。

(☆A☆)「デュワァ」

ドクトラセブンの目が光る。
普段では見れないものを浮かび上がれせることができるのだ。
船内を一通り見渡すが何も見つからない。

('A`)「ほら言った通り幽霊なんていなかったろ。」

('A`)「船の故障だよ。俺も手伝うから一緒に探そうぜ。」

( `ー´)「なんだ故障だったのか。よかったよかった。」

('A`)「フフフ。」

( `ー´)「へへへ。」

('∀`)( `∀´)「アハハハハハハ!」

大いに笑う。誰にだって間違いはあるのさ。

321名無しさん:2018/09/28(金) 12:21:59 ID:6keEnkms0
('∀`)( `∀´)「アハハハハハハ!」

('∀`)( `∀´)

('∀`)д( `∀´)

('A`)川д( `ー´)

('A`;)川д川(;`ー´)

(;`ー´)「ワーーープ!!」

すぐさま腕時計のボタンを押す。
一瞬にして地球へとワープする二人。

(;'A`)「何あれ今の??」

(;`ー´)「だから言ったろ幽霊が出るって。」

(;'A`)「正直俺には除霊なんてできないぞ。」

(;`ー´)「何かいい方法はない?」

(;'A`)「あー。塩まいたり盛り塩したらいいんじゃないか。」

( `ー´)「いいねそれ。」

そういうことになりそのまま近くのスーパーに向かう。
塩以外にも線香なども購入することにした。

322名無しさん:2018/09/28(金) 12:22:21 ID:6keEnkms0
( `ー´)「おいドクトラセブン、だいぶ地球人にジロジロ見られてるぞ。」

一般人A「奥さん見てアレ。ドクトラセブンじゃないの?」

一般人B「本当だわ。宇宙人も買い物するのね。」

ヒソヒソ

一般人C「お、ドクトラセブンじゃん、写真とっとこ。」

カシャッ

( `ー´)「マナーがなってないなここの連中は。そこから教育してやれよ。」

('A`)「おかしいな、いつもはこんなに見られることなかったのに。」

それはそうだ。ドクトラセブンのまま買い物していれば注目を浴びる。

レジ店員「当店のポイントカードはお持ちですか?」

('A`)「ああはい、あります。」

どこからともなく財布を取り出しカードを渡す。

レジ店員(ウチのカード持ってるんだ、まさか常連?)

レジ店員(というかどこから財布出した?)

謎の空間からとモノを取り出すのはよくあることだ。

323名無しさん:2018/09/28(金) 12:22:42 ID:6keEnkms0
買い物を済ませてまた宇宙船へと向かう。
適当に塩をまき、それっぽくお経を唱える。
ところどころに盛り塩をしておく。

('A`)「フーッ、これだけやれば被害者の怒りもおさまるだろう。」

( `ー´)「しっかり成仏してくれよ。」

一応様子を見るため少し滞在する。
船内にあるネーノ茶を飲みながら雑談。

( `ー´)「どうなん、地球防衛の仕事は?」

('A`)「結構手慣れてきた感じかな。俺にかかればこんなもんよ。」

( `ー´)「へー。」

('A`)「ネーノはどうよ。」

( `ー´)「最近はどこも規制が厳しくてね。なかなか残虐なことできないぜ。」

('A`)「おいおい、お前も残虐行為やってんじゃないかよ。」

( `ー´)「いっけねー。」

('∀`)( `∀´)「アハハハハハハ!」

盛り上がっているところで異変が起きた。
少しずつ盛り塩が勝手に動き出したのだ。

('A`)「あ……」

ズズズズズ……

音を立てながらゆっくりと何か文字になっていく。

『この恨みはらさでおくべきか』

('A`;)(;`ー´)「……。」

('A`;)д(;`ー´)

('A`;)川д川(;`ー´)「!!!」

(;`ー´)「ワーーープ!!」

すぐさま腕時計のボタンを押す。
一瞬にして地球へとワープするネーノ星人。

324名無しさん:2018/09/28(金) 12:23:40 ID:6keEnkms0
('A`;)川д川

(;'A`)川д川

(;'∀`)「あ、どうも。」

(;'∀`)川д川「……。」

(゚A゚)人「ドクトラワーーープ!!」

ドクトラワープとはドクトラセブンの必殺ワープだ。
両手を合わせて念じることで一瞬にして遠くへとワープできるのだ。
ただし、エネルギーを激しく消耗するので多用はできない。

(;゚A゚)「はぁはぁ…」

( `ー´)「どう?倒してきた?」

(;゚A゚)「倒してきた?じゃねぇぇぇ!!」

(;゚A゚)「俺を置いていくなよ!!」

( `ー´)「そこは天下無敵のドクトラセブン様に頑張ってもらおうと思って。」

(;'A`)「本当に出し抜きとかやめよう。」

( `ー´)「でも困った。めっちゃ怒ってる。」

( `ー´)「この星で頼りになる奴おらんの?」

('A`)「ヴィプトラ警備隊以外の連中で頼れそうなやつといえば……」

('A`)「あいつがいたな。」

325名無しさん:2018/09/28(金) 12:24:13 ID:6keEnkms0
ちゃぶ台を囲みながらお茶を飲む三人。

('A`)「今度からほうじ茶置いてくれよ。」

( `ー´)「お茶ならジャスミン茶がよかったな。」

≫(‘♀’)≪ 「来るなり文句とはいい度胸してるじゃないか君ら。」

( `ー´)「しかし、チョウチンアンコウ星人の生き残りがいるとは驚いたね。」

( `ー´)「てっきり絶滅したもんだと思ったぞ。」

≫(‘♀’)≪ 「それでどうしたんだい?」

('A`)「かれこれしかじかで。」

≫(‘♀’)≪ 「それは私に言われてもどうしよもないよ。」

( `ー´)「そこを何とか。同じ宇宙人同士じゃないか。」

( `ー´)「手伝ってくれないならチョウチンアンコウ星を滅ぼすぞ!」

( `ー´)「ってもうないんだった。」

('A`)「おいおい、ブラックなジョークはやめてやれよ。」

('∀`)( `∀´)「アハハハハハハ!」

≫(‘♀’)≪ 「……。」

≫(‘♀’)≪ 「正直、事故だというのは嘘だと私は思っている。」

(;`ー´)「ちょ…本当だよ信じてくれよ。」

('A`)「おいおい人さんよぉ、長旅で信じる心を忘れちまったのか?他人を信じること、それが大切なのだよ。」

≫(-♀-)≪ 「君がそう言うなら私はこれ以上は何も言わないよ。」

≫(‘♀’)≪ 「幽霊で困っているというなら、専門である寺とかに行ったらどうだい。」

('A`)「流石は人さん、ナイスアイディア!」

( `ー´)「よくやった絶滅危惧種!せいぜい長生きして絶滅を長引かせろよ。」

( `ー´)「それじゃ寺に行こうぜドクトラセブン。」

326名無しさん:2018/09/28(金) 12:24:36 ID:6keEnkms0
適当な寺を見つけて坊さんに泣きつく。

( `ー´)「―――っていうことなんだよ助けてくれ坊さん。」

('A`)「相手は宇宙人だが信じてください。」

お坊さん「いや……ドクトラセブンが言うなら信じましょうか。」

お坊さん「しかし、ネーノ星人さん。あなたはかなりの恨みを買ったようですね。」

お坊さん「こんなに禍々しい怨念は初めてですよ。」

(;`ー´)「……。」

お坊さん「一番大切なのは心の底からの謝罪です。誠心誠意謝ることが許されることでは必要ですよ。」

(;`ー´)「何度も心の底から謝っているのだがな。」

お坊さん「……。」

お坊さん「いいでしょう。ではこのお札を宇宙船の中に貼りなさい。」

お坊さん「あなたのことを守ってくれるでしょう。」

( `ー´)「話が早いな坊さん、ありがとよ。」

('A`)「ご協力感謝です。では。」

お札を受け取るなり颯爽と飛び出していく二人。

お坊さん(正直あれ程の恨み,お札で封じ込めるか)

お坊さん(何をしたのか知りませんがこの世は因果応報ですよ)

327名無しさん:2018/09/28(金) 12:24:59 ID:6keEnkms0
宇宙船に着くなり素早くお札を張り付ける。

( `ー´)「よし、これであいつも成仏したんかな?」

('A`)「安らかに眠り給え。」

( `ー´)「お前は運が悪かったんだよ。恨むなら自分の運命を恨め。」

('A`)「まあこれで解決ってわけか。」

( `ー´)「いや本当助かった。呪い殺されるんじゃないかと思ったからな。」

('A`)「これからは今までの行いを悔いて生きて行けよ。」

( `ー´)「坊さんにでもなるかな。そうすりゃ自分で除霊もできるし。」

('A`)「コラァ!反省が見られないぞ!」

( `ー´)「おっとこりゃ失礼。」

('∀`)( `∀´)「アハハハハハハ!」

無事事件も解決したし最後は笑って締めよう。
そう思って馬鹿笑いしている時だった。
突然バリバリッと音を立ててお札が破け飛んだ。

('∀`)( `∀´)「!!!」

('A`)川д( `ー´)

('A`;)川д川(;`ー´)

(゚A゚)人(;`ー´)「ワーーープ!!」

二人してワープする。

328名無しさん:2018/09/28(金) 12:25:27 ID:6keEnkms0
(;`ー´)「あのクソ坊主!!効果ねぇ札なんて渡しやがって許さねぇぞ!!」

(;゚A゚)「お前ー!!また置いてこうとしたろ!!」

( `ー´)「いや時間稼ぎになるかなって。」

(;゚A゚)「あんなのと戦えるか―!!!」

( `ー´)「落ち着けよ。次の作戦を考えないと。」

(;゚A゚)「はぁはぁ…」

('A`)「しかし坊さんの札でもダメとなるとな。」

二人して次の作戦を考えている最中、後ろの方で空間がゆがむ気配がした。

('A`)д( `ー´)

('A`;)川д川(;`ー´)

(;`ー´)「嘘だろ!!!なんで???」

川д川9m「オ…オボエタ……」

ドクトラセブンを指さす。

(;'A`)「ハハ……嘘やん……」

死んでから成長するって嘘でしょ。
あの技習得するのにすごく苦労したんだよ?
そんな見よう見まねで出来る普通?

(;'A`)「死んでからも技を習得するなんて勉強熱心ですねー。」

後ずさりしながらなんとか時間を稼ごう。

(;`ー´)「流石は社畜の星ですね。国民性がはっきりわかるよ。」

川д川「……。」

返事をすることなくゆっくり近づいてくる。
もう漏らしそう。

329名無しさん:2018/09/28(金) 12:26:38 ID:6keEnkms0
そんな時にこの地球で教えてもらった技のことを思い出した。
ブーン直伝の技だ。

『( ^ω^)「いいかドクオ。これはピンチに陥った時の一発逆転の技だ。」』

『( ^ω^)「俺もこの技で何度命を救われたか。ここぞという場面で使うんだぞ。」』

('A`)(あの技しかない)

(;'A`)(しかし、失敗したら死を意味する)

('A`)(だがこの窮地を脱すにはこの技しかない)

覚悟を決めたドクトラセブン。新技を繰り出す。
空高く飛び体をひねりながら高速回転をする。
幽霊の目の前に着地すると両膝と手を地面につけ、額も地面にこすりつける。
これがブーン直伝のジャンピング土下座。

『( ^ω^)「いや本当これが決まると、どんなことでもかあちゃんに許してもらえるんだ。」』

これは決まったろ。

('A`)「すみませんでしたぁ!!許してくださいィ!!」

('A`)「そもそも僕は何もしていないでしょう!」

('A`)「だから僕の命だけはどうか助けてぇ!!」

('A`)「何でもしますからぁ!!」

必死の命乞い。
どうだ、これなら許すしかないだろ?

ちらりと幽霊の顔を見上げる。

川д゚川

あっダメだこれ。
殺意満々な目で睨みつけてくる。

(((((;'A`)))))

震えが止まらない。ついでに失禁してた。
身体って不思議だ。追い込まれたときは勝手に震えて漏らしちゃうんだもん。

330名無しさん:2018/09/28(金) 12:27:05 ID:6keEnkms0
(;`ー´)「あ、テメー!」

( `ー´)(いやでもこれが地球の謝罪の仕方か?)

( `ー´)(俺もやるしかねぇ)

滑り込みながら土下座するネーノ星人。

( `ー´)「ごめんなさい許してください!!」

( `ー´)「なかなか死ねなくなる薬を投与して一週間ほど拷問してすみませんでした!!」

(;'A`)「?!」

( `ー´)「苦しみ悶えるあなたの顔をオカズに飯を食べてごめんなさい!!」

( `ー´)「拷問でグロテスクな顔になったあなたを罵倒してすみません!!」

( `ー´)「あなたの家族も同じ目に合わせてやると言ってごめんなさい!!そんなことしませんから!!」

( `ー´)「地球も滅ぼすとか言いましたが諦めます!!」

(;'A`)「おまえ……」

(;`ー´)「ホントごめんなさい、許してくださいぃぃ!!」

(;`ー´)「地球の子供だって小さい昆虫を殺して遊んだりするだろ。あれと同じだって!」

(;`ー´)「舐めろというなら靴でも舐めますからぁ!!あ、幽霊は足ないんでしたね。」

(;`ー´)「お願い殺さないでぇ!!」

( `ー´)(これだけ謝れば許してくれるだろう)

チラリと顔を上げる。

川д゚川

あ、めっちゃ怒ってる無理だこれ。
ジョーっという音とともに失禁。

331名無しさん:2018/09/28(金) 12:27:30 ID:6keEnkms0
川д川「グルルルル……」

( `ー´)(これ死んだ)

もうネーノ星人が諦めたその時だった。

(;'A`)「待つんだ!」

幽霊とネーノ星人の間に割って入るドクトラセブン。

(;'A`)「君がこいつを呪い殺してはダメだ。」

(;'A`)「確かにこいつは君に何をされても文句は言えないことをした。」

(;'A`)「でもだからといって殺してしまっては君の清い魂が汚れてしまう。」

('A`)「君は清い魂のまま天国に行くべきだ。」

('A`)「こいつは宇宙連盟が責任をもって裁くよ。」

(;`ー´)「はい。宇宙連盟で罪を裁かれてきます!!だからお願い助けて!!」

川д゚川

(;'A`)「あ、お気に召さないのであれば彼のことは好きにしていいです。」

(;`ー´)「おいドクトラセブン、テメー!!」

(;`ー´)「ヤるならこいつも一緒にヤれ!!」

(;'A`)「やめてぇえぇぇ!!」

もう一度失禁。
すごい。まだ出るんだ。

川д川「……。」

幽霊がおれに微笑んだ気がした。

(;'A`)「?!」

スーッと天に召されるような感じで消えていく幽霊。
どうやら俺の思いが通じたようだ。

332名無しさん:2018/09/28(金) 12:27:52 ID:6keEnkms0
(;`ー´)「助かったのか?」

(;'A`)「たぶん。」

その後、宇宙船にワープして船が動くかどうか確認した。

( `ー´)「よかったすべてのシステムが動いてる。」

('A`)「そうかよかった。自分一人で宇宙連盟の本拠地まで行けるな。」

( `ー´)「ああ、そこですべてを話して罰を受けてくるよ。」

('A`)「外に出れるのはいつになるかわからないが、しっかり懺悔して来いよ。」

( `ー´)「ありがとうドクトラセブン。お前のおかげで自分のしてきたことの恐ろしさに気づけたよ。」

('A`)「では俺は帰るが、お前が生まれ変われることを願っているよ。」

そう言い残してワープしていくドクトラセブン。

( `ー´)「さて俺も行かなくてはな。」

( `ー´)「地球、なんて恐ろしい星なんだろうか。」

( `ー´)「早く立ち去ろう。」

そう呟きながら宇宙船を動かす。
残虐非道のネーノ星人も、さすがに恐ろしい出来事の後で心を入れ替えることができたのだろうか。


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