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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

880名無し募集中。。。:2018/03/15(木) 13:37:24
陰雷…知らなかった汗
勉強になるなぁ

881名無し募集中。。。:2018/04/30(月) 09:47:03
こんなの見つけたw『仮面ライダーイクタ』を思い出す。。。

「仮面ライダーハルカゼ」
https://youtu.be/WwFq0ucaXNY

882 ◆V9ncA8v9YI:2018/06/19(火) 08:35:24
久しぶりとなってしまってごめんなさい……ゆっくり出来る範囲で復帰します。
ハロプロの人事が激動すぎて、書き進めないとあっという間に取り残されてしまいますね。


まずはオマケ更新をします。
>>737-740 の続きみたいなものですかね。

マナカ「まさかチーたんがモーニング帝国出身だったなんて……」
マナカ「まぁ、私も果実の国出身だから似たようなものですけどね。」
モモコ・リサ・チサキ・マイ「えっ!?」
モモコ「いやいやいや、初耳なんだけど……」
マナカ「はい。初めて言いましたので。」
モモコ「はぁ……てっきりみんなマーサー王国の生まれだと思ってたわ。」
モモコ「あ!ひょっとしてリサちゃんとマイちゃんも……」
マイ「えっと……」
リサ「私たちの生まれは……」
モモコ「ごめん、やっぱり今は言わなくていいわ。この先何が起きるか分からないからね。」
リサ「そうしましょう。」
マナカ「でもそんなに意外でしたか〜? 果実の国には私みたいな人、結構いますよ〜」
リサ「そう言えば果実の国の女子は半数が”あざとい”気質だと聞いた事があるような……」
モモコ「ユカニャ王も、この前会ったヤナミンもそうだったわね……末恐ろしい国だわホント。」

883名無し募集中。。。:2018/06/19(火) 22:26:58
おお!さっそくまなかんw

ハロプロの流れが早すぎて…ホント残りの二人もどうなるかわからない状態だもんなぁ

気長にお待ちしてます

884 ◆V9ncA8v9YI:2018/06/20(水) 01:30:42
姿もなく、音すらもなく、クマイチャンに接近して牙を剥いたのは帰宅番長リナプー・コワオールドだった。
"知りがたきこと陰のごとく"
派手で騒々しい集団・アンジュ王国の番長らの陰で、しっかりと確実に成果を出すのが彼女の仕事なのである。

「しまった……!」

クマイチャンはひどいしかめっ面をしていた。
傷つけられた腹が痛くて苦しんでいるワケではない。
リナプーの攻撃をみすみす受けた自分自身をマヌケだと恥じているのである。
シミハムのように存在そのものを"無"にするのであれば知覚できなくても仕方ないが、
目の前にいるリナプーはそこまでの域には達していない。
クマイチャンも食卓の騎士ほどの戦士ならば不意打ちに気づくべきだったのだ。
しかし、それも無理のない話だ。
今回、番長たちがとった作戦の名称は「風林火山」。
そこから「山」でお終いというイメージをカナナンに植えつけられていたため、
メイによる「山」の攻撃が完了した時点で集中力を切らさずにはいられなかったのである。
そして、この作戦は「陰」で終わりでもない。
「風林火山陰雷」を〆るのは「雷」に他ならない。

「私どうしても勝ちたいんですよ。」

小さな声がボソッと聞こえたと思いきや、間髪入れずに稲妻でも落ちたかのような爆音が轟き始める。
"動くこと雷霆のごとく"
乙女の逆襲の始まりを告げる雷鳴のように聞こえた音の正体は、マホ・タタンのスナイパーライフルの発砲音だ。
ところが、勝負時だと考えたマホは通常とは大きく異なる方法で攻撃を仕掛けていた。
そう。マホがここで動いたのだ。

(こ、こんなのアリ!?)

クマイチャンが驚くのも当然だ。
マホはなんと18丁の銃を同時に持ち、一斉に銃撃を放っていたのである。
無茶な体勢からの一斉射撃であるため、弾丸は真っすぐ飛ばないのがほとんどではあったが、
標的のクマイチャンの体躯が通常の人間よりずっとずっと大きいせいで、18発18中とは行かなくても数発はヒットさせることが出来た。
狙撃手という役割を考えると、本来であれば一発ずつ丁寧に撃たねばならないはず。
この行為は捉え方によってはズルくも見えるかもしれない。
だが、マホは番長の勝利を心から望んでいたのだ。
だからこそ、最後のこの瞬間ではじめて18連同時という意外性満点の行動をとったのである。
風林火山の次があっただけでもクマイチャンは戸惑ったというのに、
そこに更にこんな仕打ちをされたものだから、やはり相当効いたのだろう。
クマイチャンは立っていられなくなり片膝をついてしまう。

「……!!」

番長一同は今すぐにでも諸手を挙げて喜びたいと思っていた。
しかし、伝説の存在がここで倒れるはずも無い。
ただでさえ殺し屋のように恐ろしい目が、より一層鋭くなったことに気づくのにそう時間はいらなかった。

「気をつけろよ、みんな……どうやら完全に怒らせちゃったみたいだ。」

鉄球を握るタケ・ガキダナーの手は震えていた。
これから迫りくる真の恐怖を、心で理解したのだろう。

885 ◆V9ncA8v9YI:2018/06/21(木) 13:05:52
●場面2 : 武道館西口 「チーム河童 vs カントリーガールズ」
改め、
「チーム河童&ハルナン vs モモコ」

次の攻め手を考えるために、ハルナンは頭の中で状況を整理することにした。
倒すべき相手はモモコただ1人。
ハーチンら新人剣士がカントリーの4人を追っかけ回したおかげでこの状況を作り出す事が出来ている。
その新人剣士がカントリーに完勝する確信は無いが、
ハルナンの見立てでは両者の実力は近いレベルにあるため、一定の時間は稼いでくれるはずだ。
つまりはしばらくの間はモモコを一人ぼっちに出来るということになる。
それに対して味方はアイリ、エリポン、カノン、マーチャン、アーリー、そしてハルナンの6名。
数だけ見れば圧倒的優位に立っている。

(でも……そんなに楽な戦いでも無いのよね。)

ハルナンは今いる西口の戦いに突撃する前に、ある程度の時間、観察をしていた。
なので味方のコンディションはしっかりと把握できている。
まず、アイリは昨日トモ・フェアリークォーツに”眼”の力を分け与えたことによって無理が祟り、ひどく疲弊している。
もはや立つことも辛い状態にあり、アイリを強者たらしめる三大要素である「眼」「雷のオーラ」「棒術」を複数同時に使用することは到底出来やしない。
次に、全身を金属の鎧で纏ったカノン・トイ・レマーネだが、
モモコの暗器の一つである超強力電磁石を大量にぶつけられたため、重さのあまり動けなくなっている。
鎧が頑丈なため、潰されて圧死……ということは無いのだろうが、一歩も動けないままでは戦力になり得ないだろう。
残るエリポン、マーチャン、アーリーの3人はカエルやカラスらに一斉に襲われたことで負傷しているが、まだまだ全然戦える。
なのでこの3人を主軸にして戦うことになるのだろうが……

(はぁ……それにしてもなんて使いにくい3人なの。)

エリポン・ノーリーダー
マーチャン・エコーチーム
アーリー・ザマシラン
ちょっと個性的すぎるな、とハルナンは頭を抱えていた。
それぞれの戦士の実力は疑いようが無いのだが、性格がぶっ飛んでいるメンバーばかりであるために、素直に指示を聞いてくれるのか不安になってくる。
仮に言うことを聞いてくれたとしても、各々で得意分野が異なるので効果的に操ることが難しい。

(アイリ様、あなたはどうしてこの面倒な人達と共に戦おうと思ったんですか?
 そして、この場を引き受けたと言うことは、モモコ様を倒す確信を持っていたという事ですよね。
 ……どうやって?)

出来ることなら直接アイリに聞きたいところだが、今のアイリの体調では喋るのも辛そうだし、それにモモコに聞かれてしまうリスクだってある。
ならば、アイリの意図をハルナンが自力で読み取るしかないのだ。

(超がつく程の難題……でも、やるしかないか。
 だから皆さん、思う存分私に使われてくださいね。)

886 ◆V9ncA8v9YI:2018/06/27(水) 13:06:03
アーリー・ザマシランは苦悩していた。
頭ではハルナンの指示に従うべきだと分かっていても、身体の方が拒否反応を起こしているのだ。
モーニング帝国の選挙戦ではアーリーら果実の国の戦士は天気組についたのだが、その結果は散々だった。
トモとカリンは二人掛かりでカノンと引き分けるのが精一杯であり、
サユキは同格と思っていたリナプーに敗北してしまった。
トモ、サユキ、カリンの3人は強い。KASTの主軸だとアーリーは信じている。
そんな3人が無様に散ることになったのは、KASTが辛酸を舐めることになったのは、
全てはハルナンの側についたことがキッカケではないか。
そう思うとアーリーは身体を動かすことが出来なくなる。

(どうすれば……どうすればええんや……)

こうした迷いは心を弱める。
食卓の騎士と対峙するには「お前には負けない」という強い思いが必要なのだが、
今のアーリーはそれすら出来ず、モモコの放つオーラに負けそうになってしまう。
モモコのオーラは背筋が凍るような冷気そのもの。
血も涙も無いような冷ややかな視線がアーリーの手足を凍り付かせる。
それがイメージだと理解していても、アーリーは本当に冷たさを感じ、その場に縛り付けられてしまう。
このままではまずい。 アーリーどころかハルナンやアイリもそう思った時、
とある人物が大きな声を出して場の空気を変え始める。

「ハルナン!!今からエリが超カッコいい必殺技を繰り出すっちゃん。バシッと決まるように指示出しお願い!!
 そしてアーリーちゃん。今は休んでてええよ。 戦うのは、エリのカッコよさに惚れた後でも平気やけんね。」

叫び出したのは、モーニング帝国剣士団長を務めるエリポン・ノーリーダーだった。
先の選挙戦ではアーリーはエリポンと直接対決を繰り広げていたが、ハルナンと違って嫌なイメージは全く感じていなかった。
エリポンの必死さを間近で見たからこそ、当時は敵同士であっても好感を持てたのだろう。
そんなエリポンが自らすすんで後輩であるハルナンの指示に従おうとしている。
これにはアーリーも心を動かされた。

「あの……エリポンさん、やる気なのは良いんですけど。」
「なに?ハルナン。」
「私、あなたの必殺技を知らないんですが、どう指示しろと。」
「ふふ、エリの得意技は魔法に決まってるっちゃろ。」

そう言うとエリポンは刀をモモコに突きつけ、自身の必殺技名を前面に押し出した。

「”遅々不意不意(ちちぷいぷい)”、魔法にか〜かれ!」
「え?」
「あー!かかっちゃった〜!」
「え?」

887名無し募集中。。。:2018/06/27(水) 18:57:35
えりぽんの魔法ww

封印したんじゃないのか

888名無し募集中。。。:2018/06/27(水) 22:20:17
えりぽんの魔法凄く懐かしいw

ハルナンの作戦をこの3人がどうかき回してくれるのか楽しみ

889名無し募集中。。。:2018/08/18(土) 09:13:08
ハルナンの作戦がなんなのか判明する前にはるなん卒業だなんて…

890名無し募集中。。。:2018/12/08(土) 11:18:29
仮面ライダーれいなの制作はまだですか?wてかマーサー王の続きも・・・鞘師も事務所卒業してしまったのに


1 名無し募集中。。。 2018/12/08(土) 09:27:23.33 0
モーニングダイアリー #69
どんなクリスマスケーキを食べてるかという話題で

横山 仮面ライダーケーキ!w

森戸 ちょっとーw

加賀 ちょっと待ってくれw

横山 ふっはっははははははは

森戸 いやいやいやいや、もうさ、違う

加賀 全然違うw

横山 毎年恒例なんですよー

森戸 それは弟が食べてるということかな?(小声)

横山 私がーあのー真ん中にーあるーフィギュアがほしくて買ってるw

森戸 だって可愛すぎるでしょw

加賀 ヤバイでしょ…

(中略)

森戸 なんかさぁ、弟が欲しいって言ってんならわかるけどさぁw

加賀 ふふふふ

森戸 可愛いねよこやんが頼んでるの?w

横山 はい、ベルトとかも買ってます

森戸 え、かわいいー!

加賀 やばーい!

森戸 弟も別に好き?

横山 はい!弟も別に買ってます!

森戸 別に買ってるの!?

加賀 別に買うの!?あははははは

891 ◆V9ncA8v9YI:2019/01/07(月) 13:59:59
新年あけましておめでとうございます。
長い間書かなくて本当に申し訳御座いません。
今夜の遅い時間あたりから続きを書けそうです。
リハビリみたいな感じで細々とした再開になりそうですが……

こう書くと病気のように見えますが、
飯窪さんの卒コンや(横山も見たという)平成ライダーの映画を楽しんだりしていたので
心配しないでくださいw

>>890
仮面ライダーイクタの続編ですか……
そういえば最新の放送でビヨンドライバーというベルトが登場しましたね。
ビヨンド……BEYOOOOONDS……

892名無し募集中。。。:2019/01/07(月) 17:31:36
お元気そうで良かった。そして再開宣言!首を長くして待ってましたw

てか『BEYOOOOONDSドライバー』だ…と?

♪いっちゃん!いっちゃん!すげージャン!いっちゃん!いっちゃん!すげージャン!♪

何故か電王に変身するいっちゃんの姿が脳裏に浮かぶww

893 ◆V9ncA8v9YI:2019/01/08(火) 04:21:10
(私はスポーツに詳しくないんだけどな……)

どうしたものか、とハルナンは思った。
エリポンの魔法とは即ちスポーツのこと。そのスポーツ特有の絶技を魔法のように見せているだけなのだが、
そのバリエーションが多彩すぎるゆえに、味方のハルナンでさえも全貌を掴めていなかった。
ましてや秘密にしていた必殺技ともなればなおさら何をしてくるのか分からない。
しかし、だからと言って指揮する立場を放棄する訳にも行かなかった。

(エリポンさんはアーリーを勇気づけるためにモモコに立ち向かおうとしている。
 ということは、必殺技の"遅々不意不意(ちちぷいぷい)"とやらは十中八九攻撃型のはず。
 だったら、相手の手の内を知るための駒として利用できるかしら?……)

ハルナンはエリポンの必殺技どうこうよりも、モモコの攻撃手段が気になっていた。
モモコは7つの暗器を使うことで有名であり、その全てを駆使されれば万に1つも勝ち目はなかったかもしれない。
ところが、先ほどモモコはカントリー4人に自身の暗器を一つずつ分け与えたとハッキリ口にしていた。
それによりハーチン、ノナカ、マリア、アカネチンら新人剣士が苦戦を強いられることになるだろうが、
モモコの残りの暗器は単純計算すれば7マイナス4で3になる。
そして、そのうちの2つがさっきから使用している「磁石」と「糸」だとすれば、後は1つだけだ。
その1つさえ判明すれば戦略はぐっと立てやすくなる。
ハルナンはモモコに聞こえないくらいの音量で、近くのエリポンに問いかけた。

「エリポンさん、その必殺技って接近技ですか?」
「うん!相手目掛けて突っ込んじゃうよ〜」
「思った通りです。思う存分やっちゃってください!」
「おう!」

ハルナンは予測していた。
これまでモモコが磁石と糸しか使わなかったのは、距離が離れていたからであると。
エリポンの突進で無理矢理にでも接近すれば、もう1つの暗器を見せてくれると踏んだのだ。

894名無し募集中。。。:2019/01/08(火) 10:20:51
再開ありがとうございます。

ハルナン酷いwでもエリポンなら期待以上の活躍を見せてくれる・・・はず?

895名無し募集中。。。:2019/01/08(火) 19:34:22
つ、ついに再開
燃えて来たぜ

896 ◆V9ncA8v9YI:2019/01/09(水) 02:42:32
「ねぇハルナン、マーチャンの出番まだぁ〜?」
「まだよマーチャン。今はイクタさんが反……いや、活躍するところを見ておきなさい」

ハルナンは"イクタさんが反撃されるのを見ておきなさい"と言いたいところだったが、
すぐに引っ込めて別の言葉を続けた。
ただでさえ自分のことをよく思っていないアーリーの前で、ネガティブな表現は使えないと判断したのだ。
だが、残る1つの暗器をマーチャンにしっかりと覚えてもらいたいというのも本音である。
モモコの攻撃方法は複雑かつ奇怪ゆえに当事者は何をされたのか分からないが、
ある程度距離をとれば知覚できるかもしれない。
エリポンが耐えられる間は、マーチャンには見ることに徹してもらいたい。

「ちょっといつまで引っ張るつもり?早くその魔法とやらを見せてほしいんだけど」

自分を無視して会話し続ける連合軍に対して、モモコがイラっとしたような口調で言い放った。
言われた相手がフクだったなら大慌てになっただろうが、
エリポンは自分のペースを崩すことなく、余裕の表情で返していく。

「ここでクイズ!エリの必殺技"遅々不意不意(ちちぷいぷい)"はどんな魔法でしょ〜か?」
「人をイラつかせる魔法?」
「ブブー!不正解!」
「たぶん合ってると思うけどね……」
「エリの魔法は、"時を操る"。」
「は?……」

エリポンはゆっくりと深呼吸をしたかと思えば、じっとモモコの方を見つめだす。
これにはモモコも唾を飲んだ。
言動のほとんどがハッタリだとは思いつつも、"時を操る"ことがどういうことなのか気になってしまう。
警戒レベルを極限まで高め、どの位置どの方角から攻撃されても磁石と糸をけしかける事が出来るように準備していく。
そうしてこのまま1秒、5秒、10秒、20秒と時が流れ続けた。

「って何もしないんかいっ!」

結局一歩も動こうとしないエリポンに対して、モモコは突っ込まざるを得なかった。
だが、こうしてモモコのペースを崩すことこそがエリポンの狙い。
相手の心が乱れ切った今こそが動き出す時だと確信する。

「GET SET, GO!」

897名無し募集中。。。:2019/01/10(木) 01:12:56
エリポンを捨て駒にするとは…流石にハルナンwでもマーを最大限活かすならこの方法が最適何だろうなぁ
でもエリポンはモモコ相手にするのは相性良さそうだから一矢報いそう

「GET SET, GO!」秋ツアータイトルか…今の変化の激しいハロプロで前作のように時事ネタをストーリーにするのは難しいだろうから、本筋に関係ないところで取り込んでいくって事かな?

898名無し募集中。。。:2019/01/10(木) 02:15:28
生きとったんかワレェ

899 ◆V9ncA8v9YI:2019/01/10(木) 09:50:39
一応三部までの大枠は決めてしまっているので、時事ネタは入れられたら入れるという感じですね。
オマケ更新はその比率が特に多めになるかもです。



オマケ更新「滑舌」

ハルナン「それにしても武道館で戦えるなんて光栄ですよね。」
アイリ「あなたもDUDOKANに思い入れが?」
ハルナン「はい。今すぐにでも拳を挙げて”我が帝国剣士人生に一片の悔いなし!”って叫びたいくらいです。」
ハルナン「それ以外にも言ってみたいセリフが有りますしね……」
アイリ「そう言えばオカールもDUDOKANでどうしても言いたい名台詞が有るとか言ってたっけ。」
ハルナン「ははっ、案外同じセリフのことを言っているかもしれませんね。」

900 ◆V9ncA8v9YI:2019/01/11(金) 08:50:17
「よーいドン」を意味する言葉を呟いたかと思えば、エリポンはモモコ目掛けて駆け出していった。
それはただのダッシュだと言うのに、ハルナンにはフク・アパトゥーマ帝王の”フク・ダッシュ”以上の速度と勢いに感じられる。

「速い!エリポンさんにこんな走行術が?……」

エリポンは運動神経抜群なうえにあの筋力量なので足が速いこと自体は不思議では無いのだが、
周囲の者の意識をここまで置き去りにするレベルでは無かったはずだ。
ハルナンだけでなく、マーチャンやアーリーもエリポンのスタート時の動きを捉えられておらず、
やっと知覚出来た頃には既にトップスピードに到達していたことに驚いている。
まるで本当に時を操ったかのようだ。
そんな中、ターゲットとされているモモコだけはなんだかつまらなさそうな顔をしていた。

(必殺技ってその程度?)

モモコはこの現象の理屈をおおよそ掴んでいた。
要するに、エリポンは動きに緩急をつけていたのだ。
完全なる静止から一気に最高速度まで上げることで体感速度には大きなギャップが生じる。
更には動かない時間を呆れさせるくらいに長くとることで集中力を低下させ、急に動いたエリポンに咄嗟に対応できなくさせる狙いもあった。
こうした工夫を積み重ねた結果、エリポンが神速の如きスピードを得たと誤認させたのだ。

(この子はスポーツを戦闘に取り入れていると聴いてる。
 必殺技のモチーフはさしずめ徒競走っめとこかな?
 確かにはじめはビックリしたけど、それじゃあ私は殺せないよ。)

モモコは糸を手繰り寄せ、その糸の先にある罠を起動させた。
それは見えないくらいに細い糸で構築された網。
エリポンとモモコの間に人間1人を包み込むほどの網を展開していく。

(このまま捕縛してあげる。速く走れば走るほど網にかかるまでの時間が短くなるだけだよ。)

901 ◆V9ncA8v9YI:2019/01/16(水) 02:51:57
モモコの繰り出した糸はキメ細かくあるが、さすがに透明とまではいかない。
そのため、一旦落ち着いて、冷静な目で見れば目視は出来るはずなのだ。
しかし今のエリポンは相当の勢いをつけて走っている。
そんな状況では決して目視など出来やしない。モモコはそう確信していた。
ところが、魔法使いにはそのような常識など通用しなかった。

「分かる!」

エリポンが言葉を発したその瞬間、モモコの仕掛けた網はバッサリと切り捨てられた。
モーニング帝国で最も速い剣、打刀「一瞬」が火を吹いたのである。
彼女の鍛え抜かれた筋肉からなる振りの速さであれば、確かに、自身が罠にかかるより先に斬る事が可能だ。
しかし、そのためには対象となる網が見えていないといけないはず。
この状況でエリポンはどのようにして見ることが出来たというのか?
その答えが分からないモモコはほんの少しだけ心を乱してしまった。
そして、その僅か数秒が命取りとなる。
今もなお走行中のエリポンはすぐそこまで来ているのだ。

(しまった!接近されすぎた!
 もう1回糸を出すか?……いや、同じように対処されるに違いない。
 じゃあ磁石を投げつけて刀を重くする?……それもダメ。多少重くしたくらいじゃ止まらなさそう。
 だったらこれしかないか……)

エリポンの斬撃が今まさに襲い掛かるその時、
モモコは自身の小指を打刀「一瞬」の刀身へと当てにかかった。
刀 vs 指という戦い。十中八九どころか、万に一つも指が勝つことはありえないだろうが、
あろうことか刀を握っていたエリポンの方が転倒してしまう。

「!?」
「はぁ……この場をしのいだのは良いけど、手の内を晒しちゃう形になっちゃったか……」

902名無し募集中。。。:2019/01/31(木) 00:21:59
>>899
鞘師復帰もオマケであるかな?って思ったけど小説の中では現在進行形だったw

>>901
かませ犬かと思ったエリポンが予想以上の健闘wあとはモモコどこまで食らいついていけるか?ってところか…ハルナンの予想を良い意味で裏切って欲しい

903 ◆V9ncA8v9YI:2019/04/15(月) 11:19:03
(最後の暗器を使った!)

エリポンの刃がモモコの小指に負けたというのに、ハルナンは歓喜していた。
モモコの暗器を全て把握出来たことにより、チームでの勝率が上昇したと喜んでいるのだ。

「マーチャン!今の見た!?」
「うん……よく分からないけど、あの小指は危ない。」
「そうよ!小指なのよ!それさえ気をつければ勝ち筋は見えてくるの。」

ハルナンや新人剣士らは、この武道館に到着する前にベリーズに関する情報を共有していた。
その中でも特に有益だったのがアカネチンによる「モモコの暗器情報」だ。
アカネチン・クールトーンはかつてモモコとクマイチャンの決闘をその眼で見ており、
当時どのような暗器を使用していたのかハルナンに伝えていた。
7つ道具のうち4点をカントリーの後輩に託したと言うならば、残りは3点。
そしてその内訳が「磁石」「糸」、そして「小指に取り付けられた透明色の武具」であることが確定した。
それぞれは強力でも、ここまで分かれば戦いようは有る。

「マーチャン!アーリーちゃん!ここからは超接近戦にシフトよ!
 小指にだけ気をつければ一方的に攻め込むことが出来るっ!!」

磁石と糸は中遠距離用。近づけばモモコが出すのは小指のみ。ハルナンはそう踏んだのだ。
だが、それをアイリは良しとしなかった。

「待って……モモコがその程度で攻略出来るとは思えない……
 まだ何か隠しているかもしれないよ?……」
「8つ目の暗器が有ると言いたいんですか?」
「……それは無いと思う。あの子は限られた暗器だけで勝利することを誇りに思っているから。」
「だったら何の問題も無いじゃ無いですか。さぁマーチャン、アーリーちゃん行きましょう!エリポンさんのカタキを討つのよ!」
「……」

904 ◆V9ncA8v9YI:2019/04/17(水) 08:40:54
ハルナンの指示と同時にマーチャンは走り出した。
待機命令にフラストレーションが溜まっていたので、やっとこの時が来たと喜んでいるようだ。
しかしモモコとは距離が少しばかり離れている。

「あのねぇ、そう易々と近づかせるワケないでしょ?」

モモコはエリポンを止めようとした時のように、糸を引っ張ることにより、とある仕掛けを作動させた。
それは目には見えないほど細い糸で組まれた網だ。
マーチャンの進行方向にセットすることで足止めを試みるが、
これはモモコには珍しく悪手だった。

「それ、もう覚えたよ。」

見えない網を知覚することは出来ないが、
同じようなシチュエーションならば先ほど見て覚えている。
学習能力の非常に高いマーチャンなので、すぐに対策をとることが可能だ。

「えいっ!!」

マーチャンは既に木刀に火をつけており、その木刀を前方に強く振ることで火の粉を飛ばしていく。
その火は自身の行動を阻害する網に燃え移り、一瞬にして燃えカスへと変えてしまう。

「ありゃ……糸だと相性最悪か……だったらこれならどう?」

ほんの少しだけ焦った顔を見せたモモコは、すぐに次の行動を取り始めた。
その行為は単純。超強力電磁石をマーチャンに投げるだけだった。
磁石の投球もカノンに散々やってみせたので、覚え済みのマーチャンは楽々回避してみせることだろう。
だが、マーチャンに出来るのはそこまでだ。
間髪入れずにひたすら投げ続けられれば、回避ばかりして前へと進むことが出来ない。
磁石を弾き飛ばそうにも、燃えかけの木刀を当てれば木刀の方が砕けてしまう。
となればマーチャンがモモコの元へ近づくのは不可能になるのだ。
確かに、マーチャン1人だけならそのような展開になっただろう。

「私が守ります!」

バシン!という音とともに磁石は地へと落ちていった。
そう。アーリー・ザマシランのトンファー捌きによってはたき落とされたのだ。
彼女が戦闘のモチベーションを取り戻し、持ち前のパワーが発揮されればこの程度は容易いのである。

「わ〜!アーリーちゃんすごーい!」
「いえいえ!さっきの炎も凄かったですよ〜!」
「じゃあ、2人で突撃しよっか!」
「はい!!」

糸はマーチャンに燃やされてしまう。
磁石はアーリーに落とされてしまう。
ここでモモコは大袈裟に頭を抱えて、分かりやすく困り始めた。

「ど、ど、どうしよう〜!?このままだと本当に接近されちゃうよ〜!」

明らかに人をおちょくっているような動作にもかかわらず、マーチャンとアーリー、そして指揮官のハルナンがおかしく思うことは無かった。
作戦が順調に行っていることに酔ってしまっているのかもしれない。

「予想通り!後は小指にだけ気をつけて!!」

905 ◆V9ncA8v9YI:2019/04/19(金) 09:14:09
マーチャンとアーリーを邪魔するものはもう存在しない。
ゆえに、そこから2人がモモコの元へと近づくのはあっという間だった。
敵の息遣いも感じられるほどの距離。ここはもう木刀とトンファーの間合いだ。
ここまでこれたのはハルナンの作戦が上手くハマったのもあるが、
それ以上にエリポンの行動がアーリーを勇気付けたことが大きいだろう。

(私、食卓の騎士と戦える!!)

テンションが上がり切ったアーリーは、「この先ビシバシ行くぜ」と心で思っていた。
涙は当分封印、言い訳当分封印、後悔は絶対封印、
さ乱れて。

「せやぁーーーー!!」

左右に持ったトンファーでの乱打。
彼女のパワーからなる重い一撃が、上方向から五月雨のように降ってくるので、
低い位置にいるモモコは、単純な攻撃方法ながらも非常に捌きにくいと感じていた。
食卓の騎士は全ての能力値において現役世代を上回っている訳ではないのは、
以前、エリポンがアイリより力強いスイングをしてみせたことからも分かるだろう。
モモコが意外と筋肉質とは言え、単純な力比べならアーリーには敵わない。

(磁石で受け止めることも出来なくはないけど、逆にこっちの腕がイカれちゃいそうだわ……
 となると今は全部避け切るしかないのよね。
 ただ、厄介なのは……)

自分を慕ってくれるフク・アパトゥーマがよくやるようにバックステップでアーリーの五月雨から逃れたモモコは、
その場ですぐにしゃがむことで、右側から迫り来る木刀を避けてみせた。
ステップ先にマーチャンが仕掛けてくることを読んでいたのだ。

「あ!かわされちゃった!……でもそれも覚えたよ。」
(めんどくさっ!!)

このまま回避し続けるのにも限界がある。
出来ればアーリーだけでも潰しておきたい。そうすれば相当楽になるだろう。
そこでモモコは小指を使うことを決意した。
モモコの小指には、アンジュのムロタンが盾に使用しているものと同じ材質の武具が取り付けられており、
透明色であるため、注視しないと存在することすら知覚できない程だった。
アーリーが気持ち良く攻撃を仕掛けてきたところで小指を突き出し、
トンファーに当ててやれば攻撃の軌道をそらすことが出来る。
そうすればアーリーはバランスを崩し、転んでしまうことだろう。
エリポンのようにダッシュで向かってきている訳ではないので大転倒とはいかないだろうが、
復帰前に磁石を二、三ぶつければ苦痛により動きを止められる。

(ネタが割れている今、小指は多用できない……ここで確実に決めよう。)

906 ◆V9ncA8v9YI:2019/04/23(火) 23:04:31
「待てーっ!!」

モモコの思惑通りにアーリーは追撃を仕掛けてきた。
トンファーによる振り下ろしの軌道をモモコは完全に捉えている。
そのため、後は小指をちょんと当ててやれば作戦成功だ。
それだけでトンファーは意図せぬ方向に逸らされ、アーリーは立ってられなくなることだろう。
しかし、モモコの策は失敗に終わった。
狙いに気づいた戦士がこの場に存在したのだ。

「させないっ!!」
「!」

モモコの左肩に強烈な蹴りが入った。
その蹴り技の主は、さっきまで倒れていたはずのエリポン・ノーリーダーだ。
激しい転倒によるダメージを負っていたものの、ギリギリのところで堪えて、アーリーのピンチを救ったのである。
モモコはポーカーフェイスを通すことで、エリポンの登場にも左肩への激痛にも動揺を見せなかったが、
突然のキックをお見舞いされたため、流石に体勢を維持出来ず転んでしまった。

「アーリーちゃん気を付けて!今、小指を使われるところやった!」
「エリポンさん!……はいっ!!」

怪我人とは言え、エリポンが復活したことは連合軍にとって大きなプラスだ。
これでエリポン、マーチャン、アーリーの3人がかりでモモコを追い詰めることが出来る。

「イヒヒヒヒっ!叩き放題だよっ!!」
「くっ……」

地面を滅多叩きにするマーチャンの攻撃を転がりながら回避するモモコだったが、
その動きからは段々と余裕が感じられなくなってきた。
それもそうだ。避けたところでエリポンとアーリーの追撃が迫ってくるのだから息をつく暇も無いのである。
そして、もう1名の追加によりモモコはますます避けられなくなる。

「みんな!私も協力するよ!!」
「「ハルナン!」」

指示を出すだけで持ち場を動こうとしなかったハルナンがここにきて参戦してきた。
身を危険に晒すことになるが、それよりも攻め手が4人になることがより有利になると判断したのだ。
彼女の扱うフランベルジュは波打つ刃を持ち、少しかすっただけで血を流させる。
エリポンの打刀、マーチャンの木刀、アーリーのトンファーらとのコラボにより、モモコが苦戦することは必至だろうとハルナンは考えていた。
しかし、当のモモコはそうは思っていなかったようだ。

(うん、今だ……今こそ好機。)

四方を囲まれたモモコは、自分からマーチャンの元へと飛びかかった。
そして、ROCKにエロティックに抱き寄せられるかの如く、身体をくるりと回転させることでマーチャンの打撃を回避し、
相手の懐へと潜り込んで見せたのである。

「え?え?なに?」
「良かったー。この動きは学習してなかったのね。
 じゃあ、これも知らないよね?」
「!?」

モモコがピッタリくっついてきたかと思えば、次の瞬間、マーチャンは苦悶の表情で膝をついてしまった。
いつの間にやら腹から多量の血が流れ出ている。
誰がやったのか?モモコに決まっている。
どのような攻撃手段をとったのか?モモコのことだから暗器を使ったのだろう。
しかし、磁石と糸と小指だけでどうやってマーチャンにダメージを与えたというのか?

「は?……え?……」

ハルナンは現況の理解に苦しんでいた。
今までの材料だけでは真相に辿り着く事は難しい。
そうして狼狽えているハルナンを見て、エリポンとアーリーにまで動揺が伝播していく。
この場で冷静なのは、モモコただ1人。

「ハルナンって言ったっけ。あなた、大きな読み違いをしてるよ。」
「!?」
「その読み違いのせいで、あなた達はマーチャンという戦力を失うことになったの。」

そう言うとモモコはマーチャンのお腹を目掛けて、力強く磁石をぶん投げた。
至近距離から負傷箇所に石を投げられた経験のなかったマーチャンは、避けられずに直撃を受けて、悶絶してしまう。

「おかげで1番厄介な子を倒せたんだけどねっ!ハルナンありがとぉ〜!」

907名無し募集中。。。:2019/05/01(水) 09:45:04
更新来てた!さすがモモコ…クセモノ揃いのメンバーに対しても一枚も二枚も上手だわw

908名無し募集中。。。:2019/05/01(水) 23:54:49
この展開はまずいと考えたアイリは、足元の石を打ってモモコへと飛ばしていった。
しかし衰弱しきったアイリの攻撃が通用するはずもなく、軽々とキャッチされてしまう。

「邪魔しないでよ〜ここからが良いところなんだからさぁ。」

モモコはハルナンの方を向き、言葉を続けていった。
今から答え合わせが始まるのだ

「ねぇハルナン、あなたは私が嘘をついていたと思ってるでしょ?」
「……」
「でも残念。嘘なんて一言もついていないんだ。
 "7つの暗器を持っている"、これは本当。
 "カントリーの4人に1種類ずつ暗器を渡した"、これも本当。
 全部がぜーんぶ真実なの。」

そうなると矛盾が生じてくる。
7から4を引いたら、モモコの手持ちは3個になるはず。
だが、モモコは確かに「超強力電磁石」「操り糸」「アクリル小指サック」の3点に加えて、
マーチャンにトドメをさしたもう1点の暗器を使用していた。

「数が合わないって思ったでしょ?ううん、ところがどっこい合っているの。
 ハルナンにも分かるように、カントリーの子たちに渡した暗器の内訳を教えてあげるね。
 リサちゃんにはビンタ強化金属を、
 チサキちゃんには風壁発生器を、
 マイちゃんには美脚シークレットブーツを、
 そしてマナカちゃんには……超強力電磁石を貸してあげたのよ。」
「!!」

それを聞いてハルナンはハッとした。
"超強力電磁石"が、モモコの手持ちと、後輩へのプレゼントとで重複していたのだ。
石は単一の道具ではなく複数個存在している。

「計算の得意なハルナンはすぐに私の手持ちが3個だと思ったんでしょうね。
 さんすうのお時間ならそれは大正解。拍手!パチパチ〜!
 でもね、私たちの生きる世界じゃそれは不正解なんだ。
 勝手な決めつけが誤算を生み、その誤算が油断に繋がって、味方のマーチャンを危険に晒したワケ。
 指揮官として失格としか言いようが無いわね。」
「!……」

909名無し募集中。。。:2019/05/03(金) 00:09:00
見つけちゃった!!!!!!
マーサー王もライダーイクタも大好きでした
相変わらずに面白いですワク2しちゃいます><
連休中にどこまで追いつけるか分かりませんがお陰様で充実したGWが送れそうです
作者さんが今もヲタして執筆してくれている事に大感謝♪

&フクちゃんのアパトゥーマは元ネタどこから来てるのでしょうか、、?
超今更な亀レス感想してしまうかもしれませんがお許しくださいスミマセン;><

910名無し募集中。。。:2019/05/03(金) 02:24:05
前スレ最後に書いてあるよ

911名無し募集中。。。:2019/05/03(金) 11:50:12
アドバイスありがとうございます!
探してみたら初見で見つけられず深掘りするとネタバレしそうだったのと
読み進めると他にも元ネタ分からない名前が多数となってきたので
読み切るまでに解きながら踏ん張ってみることにしました;><
スレ汚してしまってゴメンナサイ
はるなん黒い…w

912 ◆V9ncA8v9YI:2019/05/03(金) 17:12:38
ハルナンは気が遠くなるような感覚に陥った。
己の判断が誤った結果、自軍が不利になったことにショックを受けているのだ。
しかしいくらハルナンが名の知れた指揮官とは言え、作戦ミスはこれまで何度もあったはず。
だと言うのに、何故ここにきて言葉を失うほどに自信喪失してしまったのか。
それは、全責任をハルナンになすりつけるべく、モモコが意図的にコントロールしたところにあった。

「分かりやすい例としてマーチャンをあげたけど、他の子への指示もひどいものだったよね?
 エリポンにはとっておきの必殺技を出させといて通用しなかったし、
 アーリーもその場に立ちすくんじゃってるよ。何すれば良いのか分かってないんじゃない?」

全部が全部ハルナンのせいという訳ではないが、
モモコはその100%をハルナンの重荷にしてやろうと仕掛けたのである。
例えそれが事実と食い違っていたとしても、
「モモコが指摘して」「ハルナンが黙り込む」という構図さえ作ってしまえば、周りはそう受け取ってしまう。
こうなればハルナンの指揮官としての信頼度は地に堕ち、この後の戦略の幅は大きく制限されるはず。
モモコはそう考えていたし、本来であればそうなったことだろう。
しかし、エリポンはそれを許さなかった。

「ちょっとちょっと〜誰の必殺技が通用しないですって〜?」
「……なに?」

こんな状況で発言しだすエリポンに、モモコだけでなくハルナンもアーリーもアイリも注目せざるを得なかった。
空気を読まないにも程がある。

「通用しないもなにも、ご自慢の必殺技は失敗に終わったじゃない。豪快に転んでたでしょ。」
「あーそっかー、アレを失敗と思われちゃったのかー」
「何が言いたいの。」
「だって、さっきのは一打目やけん。」

少し離れたところにいたアイリは衝撃を受けた。
"一打目"という言葉を聞いて、エリポンの必殺技が、自身の必殺技「トゥー・カップ・ベクトル」と似た構造だと気づいたのだ。

(え?え?あの子の必殺技ってなんて名前だったっけ?……)

エリポンの必殺技の名前は「”遅々不意不意(ちちぷいぷい)”」。
その名前から速度に緩急をつけて相手の意表をつく技だと思い込まされていたが、
それだけではないのかもしれないと、アイリは考えを改め始める。

(必殺技を出す前に、エリポンは自身の技を「接近技」だとと言っていた。
 それと、「相手目掛けて突っ込む」とも言っていた……
 接近……"アプローチ"ってこと?……)

アイリやエリポンが好むゴルフにはいくつかの打ち方があり、
その中にアプローチと呼ばれるショットがある。
アプローチとはボールをカップに寄せる打ち方であり、まさに接近のための技と言っても良いだろう。
カップのすぐそばにまで接近(アプローチ)するだけでも十分凄いのだが、
エリポンはその程度では必殺技とは認めなかった。

(エリポンの必殺技名は"ちちぷいぷい"、
 ちちぷいぷい……ちちぷいぷい、ちっぷい、チップイン……ええぇ〜?そういうこと〜?)

アイリが必殺技の全貌を理解しかけたところで、
エリポンがモモコ目掛けて打刀をビシッと突き付けた。

「エリの必殺技は絶対決まる。ハルナンの作戦は失敗じゃないってことを証明してあげるっちゃん。」

913 ◆V9ncA8v9YI:2019/05/03(金) 17:19:02
すでに回答もありますが、
第一部のキャラ紹介は前スレ終盤にありますよ〜
ただ、そのキャラ紹介自体もネタバレが詰め込んであるので、
名前の由来だけで良ければ今からここに書いちゃおうと思います。
第二部のキャラも合わせて書いちゃいましょう。

914 ◆V9ncA8v9YI:2019/05/03(金) 18:08:03
名前の由来だけ抽出してまとめました。
第二部初登場のキャラには★マークをつけています。


■モーニング帝国剣士フク・アパトゥーマ :団地妻
エリポン・ノーリーダー :空気読めない+リーダーではない+仮面ノリダー
サヤシ・カレサス :植物を枯れさす
カノン・トイ・レマーネ :トイレのモノマネ
ハルナン・シスター・ドラムホールド :いもうと+太鼓持ちアイドル
アユミン・トルベント・トランワライ :れいなの好きな弁当を先にとったエピソード+すべりキャラ
マーチャン・エコーチーム :ヤッホータイ
ハル・チェ・ドゥー :ハルーチェ+どぅー
オダ・プロジドリ :自撮りのプロ
ハーチン・キャストマスター :素人時代にツイキャスのキャス主
ノナカ・チェルシー・マキコマレル :チェル+巻き込まれる
マリア・ハムス・アルトイネ :ハー娘。+明日も嬉しいこと&楽しいこと、いっぱいあるといいね
アカネチン・クールトーン :クルトンが好き


■アンジュ王国の番長
アヤチョ・スティーヌ・シューティンカラー:捨て犬+シューティングスター+唐揚げを投げたエピソード
マロ・テスク:そのままマロテスク
カナナン・サイタチープ:埼玉は安いイメージと発言したエピソード
タケ・ガキダナー:親戚マイミのキャラ名+子供っぽい
リナプー・コワオールド:ブログで昭和時代の人の名前に「子」が多いと発言
メイ・オールウェイズ・コーダー:スマイレージはいつもこうだ
★ムロタン・クロコ・コロコ:ワニ好き+むろたんコロコロ
★マホ・タタン:ハロコンでひな壇から立たずに応援したエピソード
★リカコ・シッツレイ:写真集発売インタビューでの「お先に失礼します。」

■果実の国のK(Y)AST
ユカニャ・アザート・コマテンテ:あざとい+困り顔+石川県の方言「〜てんて」
トモ・フェアリークォーツ:フェアリーズのファン+ローズクォーツ
サユキ・サルベ:さるべぇ
カリン・ダンソラブ・シャーミン:男装好き+wonderful worldの時の髪型が社民党党首っぽい
アーリー・ザマシラン:ハーモニーホール座間での公演に遅刻

■カントリーガールズ
★リサ・ロードリソース:道資源を道重と聞き間違えたエピソード
★マナカ・ビッグハッピー:大福
★チサキ・ココロコ・レッドミミー:元CoCoRo学園+元ロコドル+赤耳
★マイ・セロリサラサ・オゼキング:セロリ嫌い+シチューサラサラだね+ひなフェスソロのソロ名オゼキング

■謎の集団 ※全てコードネーム
★ドグラ:ドグラマグラを読破したエピソード
★ロッカー:ジップロッカー
★マジメ:真面目とよく言われる(言われてた)
★クール:クールビューティー
★タイサ:大佐
★リュック:ハロステ四字熟語のコーナーで大きいリュックを背負ってた
★ウララ:舞台Week End Survivorの役名+ブログの裏ウララ+ハルウララ(後付け)
★ガール:おはガール

915名無し募集中。。。:2019/05/03(金) 19:59:40
由来の概要ありがとうございます!
現在アンジュJ=J+ねちんまでしか登場してないので気付けなかった子だけ答え合わせたのですが
おかげで胸のつかえが取れました♪m(_ _)m
(未だ登場してない子は楽しみにとっておくとしますw&先にはこぶしも出てくるようで嬉しい!><)
今の心境…りんc怖すぎ!w

916名無し募集中。。。:2019/05/04(土) 02:29:14
久しぶり名前の由来みると改めてひどいなw(良い意味で)謎の軍団は当時と今とでは本名変わっていそう…てかちゃんと出てくるのか心配苦笑

917名無し募集中。。。:2019/05/04(土) 14:43:18
こぶしは未だ正式に登場している訳ではないんですね…;ジェケニンかな・・・><w

「勝ったよトモ!トモは負けなかったんだ!」鳥肌(りんcらしいサイコっぷりが怖すぎてw)
「食卓の騎士様はなぁ!〜」鳥肌(反旗したマロの信念とその理由が格好良すぎて!)
「!?」x6「だって猿が喋ってるんだもん……」「殺す。」爆笑(夜中だったのに声出して笑っちゃいましたw)
「カナナンが、タケが、メイが必死だから。それだけ。」彼女らしさに感動し思わずに涙(マジw)

できるだけ亀レスは避けるつもりですが台詞が凄すぎたココだけはどうしても感想書きたくて…m(_ _)m
本作中ではりなぷ〜推しになりそうです…w凄いなぁ、、、TT

918 ◆V9ncA8v9YI:2019/05/24(金) 08:42:10
必殺技は非常に強力な攻撃手段ではあるが、当然、一朝一夕で身につくようなものではない。
エリポンの同期の中ではフク・アパトゥーマとサヤシ・カレサスの2名が幼少のころから戦闘訓練を積んできていたが、
その二人でさえ必殺技を習得できたのはつい最近の話だ。
それでは、フクやサヤシより戦士として戦ってきた日が浅いエリポンは必殺技を使えないのか?
いや、決してそんなことはない。
過去に熱中したもの、夢中になったものが有れば、それが今現在のエリポンを作り上げる基礎となっているはず。
自分を自分たらしめるアイデンティティが何物なのか気づくことが出来れば、必殺技へと昇華することが出来るのだ。

(エリにとってはそれが"ゴルフ"!!ゴルフに必死になった経験ならフクにもサヤシにもカノンちゃんにも負けない!)

エリポンはゴルフに誇りを感じているが、"ゴルフが上手い"とはいったいどういう状態を指すのだろうか。
例えば超パワーの力自慢がゴルフを始めたら試合で活躍できるだろうか?
あるいは類稀なる集中力の持ち主がクラブを握ったら優れたプレーを連発できるだろうか?
どちらのケースも、1ホールか2ホールくらいならプロを上回ることも有り得るかもしれない。
しかし18ホール回ってトータルで勝利することはまず無いと言って良いだろう。
プロは試合の流れを上手く組み立てられるという理由もあるが、
それ以上に環境のコンディションを読むことが出来るのが大きい。
芝の状態、天候、気温……これらの要素が全て一致することなんてことは殆どあり得ない。
どれか1つでも条件が異なっていれば、例え同じ打ち方をしたとしてもボールは狙い通りに飛んでくれないのである。
コンディションを正確に把握し、その状況に適したショットを打つことが非常に重要。
そして、そのコンディションの中でも最も重視すべき要素が”風”と言えるだろう。

919 ◆V9ncA8v9YI:2019/05/24(金) 08:43:47
「今ならエリの必殺技は決まる!」

エリポンは両手で握った打刀を振り下ろし、足元の石をゴルフボールみたいに飛ばそうとした。
しかしその行動はモモコに読まれている。
石の1つも当てられたくなかったモモコは、糸を引っ張ることで前方に網を素早く設置した。
細かな糸で織られた網は無色に近く、常人にはまず視認することは出来ない。
この一瞬で網によるガードに気づくことなど到底不可能だろう。
だが、それはエリポンが目だけに頼っていた場合の話だ。
エリポンには長年培ってきた”風を読む”力が備わっている。
いや、ここは”空気を読む”と言い換えるのがより正しいかもしれない。
網が起こした空気の微細な動きを感知し、モモコの防御行動を理解したのである。

(エリは空気が読める!!これくらいヘッチャラやけん!!)

エリポンは腕の筋肉に力を入れて、通常の5割増しのパワーで石を打ち込んだ。
石はエリポンの期待に応えるかのように薄い網をぶち破り、
そのままの勢いでモモコの額へと衝突していく。

「!?」

はじめから大きな力で打とうとすれば、それに連動して殺気も強まるため、怪しんだモモコに回避されていたかもしれない。
エリポンは空気を的確に読み取り、網を破るギリギリの力だけをショットに込めたことで、
モモコの裏をかいて流血させることに成功したのである。
見事なアプローチだったと言えるだろう。

「ハルナン見てた〜?ハルナンの指示通り、必殺技でモモコをギャフンと言わせたけんね。」
「はい!見てました!エリポンさん流石です!!」

この時のハルナンの口から出た賛辞は、嘘偽りの無い本心だった。
作戦ミスをモモコに詰められて落ち込んでいたところにエリポンが必殺技を決めてくれたので、
ハルナンは救世主に救われたかのような思いになったのだ。
それを見て面白く思わないのはモモコだ。

「ちょっとちょっとちょっと!何を勝った気でいるの!?
 石を額にぶつけられただけなんだけど!?まだまだ全然ピンピンしてるんだけど!?」
「え?結構ヤバそうに見えるっちゃん」
「どこが!?」
「ほら、そんなに頭に血が昇ると余計に大怪我に見えるけんね。」
「!!」

頭部の皮膚は血流が良いため、ほんの少し傷ついただけで血が止めどなく流れていく。
血液はやがてモモコの右目に入り込み、視界の半分が奪われることになる。
冷静さが売りのモモコもこうなれば少なからず動揺してしまう。
ましてや、完全なる格下と思っていたエリポンにここまでコケにされたのだから、落ち着こうにも落ち着くことができない。
それを見てアイリは感心する。

(本人も気づいてないと思うけど、あの必殺技の本質は”空気を読む”ことじゃない、”空気を変える”ところにあるんだ!
 彼女の行動が味方を勇気付け、相手を取り乱させる……まるで魔法みたいに……!)

1vs1の勝負ならエリポンは脅威にはなり得ない。
だが、複数人のチーム戦であれば状況は大きく変わってくる。モモコが苦しんでいるのがその証拠だ。
この結果を見てアイリはクスッと笑い出した。
チーム河童の人選が正しかったことを確信したのだ。

(モモコを倒すには正攻法じゃダメ。
 あっと驚くような、環境をぶっ壊すような破天荒さを持ち合わせないとモモコには勝利できない。
 エリポンとマーチャン、そしてアーリーの3人は期待通りの仕事ぶりを見せてくれたんだね。
 ただ一人だけ期待ハズレに終わってしまったけど、勝機はまだ有る!)

アイリの想定はおおよそ的中していた。
しかし、一点だけが事実と異なっている。
一人だけ期待ハズレと言っているが、エリポンはそうとは全く思っていなかったのだ。

「ハルナン。」
「!」

エリポンは小声でハルナンの名を呼ぶと、モモコの死角から小石を刀で打ち飛ばした。
そして、その先にある身動きの取れない鎧にコツンと当てていったのである。

「追い討ちをかけるなら今だよ……ハルナンなら活かせるよね?」
「はい。もちろん。」

920 ◆V9ncA8v9YI:2019/05/24(金) 08:49:25
>>916
フジー・ドンのような本名登場済みのキャラ以外は変わってるものも有りますねw
そして登場までにまた変わっちゃうかも……

>>917
その辺りのセリフは私も好きだったので嬉しいですね。
マロのキャラは当初から決めてましたが、リナプーは書いてるうちにこうなったような……

921名無し募集中。。。:2019/05/24(金) 13:00:51
>>919
『空気を変える』…コンサートだと別の意味で空気変えてるけどw
期待はずれのハルナンがどう挽回するのか楽しみ

>>920
当時と状況が違うからなぁ…例の件ネタにするととんでもない名前になりそうw
前作のメグとか後で意味知ってビックリw

922名無し募集中。。。:2019/05/25(土) 12:26:18
アカネチンのやったーご飯だ-とマリアちゃんの子供口調が可愛くて思わず推し変しそうになったのですが
食卓の騎士相手でも対等に話すりなぷーが面白く何とか踏みとどまれましたw
あのキャラは漫画家さんがよく言うキャラが勝手に動いたってやつだったんですね><
現在きっかの特訓を受けてる最中です大分現行に追いつけるまでもう三歩!

923 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/13(木) 11:12:36
本編を進めたいところでは有りますが、ちょっと方針を変えてオマケ相当の話を書こうと思います。
期間は6/13〜6/19の一週間を考えていて、
時系列で言えば、二部と三部の間の話になります。

二部の後の話なので人間関係が微妙に異なっていることが有りますが、そのうち分かることになると思います。

オマケのタイトルはタイトルは「カントリーのこれから」です。
勝手な路線変更で申し訳御座いませんが1週間だけお付き合いください。

924名無し募集中。。。:2019/06/13(木) 12:26:31
今日から!?楽しみに待ってます!
カントリーかぁ。。。二部のあとってことは前回のおまけにもつながってくるのかな?

ついでにアンジュやこれから発表される果実・帝国の新人や二人の王との別れも読んでみたいなぁ

925 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/13(木) 12:43:09
「果実の国出身のヤナミン・ギーガグ・オトギヒメです。以降お見知ぎおきを。」
「アンジュ王国のフナッキ・カツメイトや!世話になるんでよろしゅう!」

モモコが新たに連れてきたヤナミン・リーガル・オトギヒメとフナッキ・カツメイトの挨拶を、先輩たちはポカンとした顔で聞いていた。
カントリーの新人がどんな人物かと思いきや、あまりに子供すぎて驚いたのだ。
チサキはその感想をうっかり口に出してしまう。

「こ、子供……」
「はぁ〜?あんただって子供やろが!」
「ひぃ!この子怖い!」

フナッキがガラ悪くガンをトばしてきたのでチサキは完全にビビってしまった。
身長は小さいながらもドスのきいた声をしているので、なかなかに迫力があるのである。
そんなチサキを庇うようにマイが立ちはだかる。

「マイちゃん!」
「チぃはこう見えてマイより2歳も年上なんだよ。見えないけど。」
「マイちゃん……あまりフォローになってないよ……」
「それに君たち2人の方が子供なのは事実だよね。胸だってペッタンコじゃん。マイのセクシーさには遠く及ばない。」
「今はペッタンコやけど胸くらいすぐに大きくさせたるわ!」
「ふふ、どうだか。」

顔を合わせるなりギャーギャー言いだした子供たちを見てモモコはため息をついた。
そんなモモコに対して、新人のヤナミンが質問を投げかける。

「あの〜モモち先輩。カントギーは私とフナッキを含めて7人だとお聞きしていたのですが……」
「あぁマナカちゃんがいないのよ。あの子は修行中。そうよねリサちゃん。」
「ええ。今朝から5,6時間は訓練し続けていますね。」
「ごどく時間も!」
「マナカちゃんはとある一戦以降、人が変わっちゃってね。強くなりたい一心でトレーニングに没頭してるの。」
「失礼ですが……その一戦で敗北を?……」
「ううん。勝負には勝ったのよ。ただ自分で自分を許せないとかで……」

モモコが説明を続けている最中にフナッキこ怒鳴り声が聞こえてくる。

「こうなったら力でねじ伏せたるわ!奥歯ガタガタ言わせたる!」
「後悔しても知らないよ。こっちこそ先輩の力を見せてあげるんだから。」

興奮するフナッキとマイを見て慌てて止めようとするリサだったが、
モモコは面白がりながら場を支配した。

「いいじゃない!喧嘩しなさい喧嘩!」
「ちょっと!モモち先輩!」
「せっかくだから先輩と後輩のどっちが強いのかハッキリさせちゃいなさい!
 チサキ&マイのペアと、ヤナミン&フナッキのペアでタッグマッチよ!」
「「え〜!」」
「「やってやる!」」

926名無し募集中。。。:2019/06/13(木) 20:15:50
やなふなキターーーー!!!!!
未だロスが醒めやらず彼女の動画を日々見返してしまってる状況なので
由来一覧に含まれていなかったヤナちゃんが登場した時はまた会えたと本当に嬉しかったです><
ごどく時間ヤバイw

&凸凹な歯車が噛み合うとヤバイ元サブリーダー図も遂にその本領を発揮してきそうで胸熱!
自分の中で話中のエリポンが遂にえりぽんに育った瞬間でした
#えりぽんかっこいい!

927 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/14(金) 12:32:18
「お先にいくよ!」

チサキが体勢を整えるよりも先に、マイがダッシュで飛び出した。
兎が如き俊敏さで狙うは小生意気ガールなフナッキだ。
強烈なパンチを腹にお見舞いして黙らせてやろうと思ったのだ。
事実、フナッキは肉弾戦が得意ではなかったので、マイの攻撃が当たればその通りになっただろう。
しかしヤナミンがそれを許さなかった。

「フナちゃん!危ないわ!」

フナッキよりも更に戦闘向きでは無さそうな風貌のヤナミンが間に入ってきたので、マイは不思議に思う。
しかしモモコが連れてきた以上、どんなに可憐な少女であれ、相手が戦士であることは間違いない。
そう判断したマイは自身の勢いを少しも緩めようとはしなかった。
その鬼気迫る迫力にヤナミンは一瞬たじろぐが、決して恐れたりはしない。
彼女には心強い味方が6匹もついているのだ。

「よし!君に決めた!」

ヤナミンの腰周りには6つのカプセルらしきものが取り付けられている。
そのカプセルを1つ手に取ってはすぐさま開き、
中に収納されていた味方を外に解放していく。
そして、マイの繰り出す渾身のパンチにぶつけていったのだ。

「い……痛い!?」

ヤナミンを狙ったはずの拳が何やら硬くて小さいものに当たったので、マイは激痛を感じることになった。
それもそのはず。
マイのパンチは、小柄な亀の甲羅に衝突していたのである。

「亀!?」

亀を操る姿を見て、マイだけでなくリサやチサキも驚いた。

「亀……つまり、ヤナミンは爬虫類を操る戦士という事!?」

リサの予想は間違ってはいない。だが、それだけではまだ足りない。
先輩たちが自分の能力を見誤ってくれたので、ヤナミンはクスリとする。

「うふふ、亀がいたかはって爬虫類使いとか決めつけちゃってたら、時代にナントカですよ?」

このヤナミンフィーバーっぷりを1番面白く無さそうな顔で見てるのは、同じ新人のフナッキだった。

「別に守ってくれなんて頼んでへんけど。ていうかあの程度の攻撃、全然防げたし。」
「まぁ〜、フナちゃんったら素直じゃないのね。可愛い。」
「ガキ扱いすんなや!!」

イライラが重なるフナッキがストレスを解消する方法は1つしかなかった。
それは自分が活躍する事だ。
フナッキは肩にかけた紐の先にある緑色の箱のフタを開けては、チサキを指差した。

「よう分からんヤナミンと違ってこっちの武器は単純明快やで……
 私は虫を操る戦士なんや!行け”ミンミン”!!
 ミンミキミキミキミキミキミキミキ、ジャーン!」
「え?」

フナッキがそう叫んだ瞬間、箱の中にいた十数匹のセミが一気に飛び出し、チサキの顔面に張り付いていった。
そしてそれだけじゃない。五月蝿い鳴き声に呼ばれた他のセミ達までもがどこかからやってきて、チサキに群がっていく。

「ひーーーーーーー!!」

こんな状況でまともに立っていられる者なんてそうそういるはずもない。
チサキはショックのあまり我を見失ってしまう。
可愛い顔をしておぞましい戦法を取るフナッキを見て、リサ・ロードリソースは戦慄した。

「気持ち悪い虫を女の子に集中させるなんてむごすぎるわ!どうしたらそんな非人道的な戦法を思いつくの!」
「……」

この時のモモコは、リサに対して何か言いたげな顔をしていた。

928 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/14(金) 12:38:29
>>924
はい。このスレのカントリーのオマケとリンクしてますね。
現実の流れが速いので、ヤナフナ登場が三部になると遅すぎるため今回のような形をとりました。
今日や明日に発表される新メンバーは……やはり診断テストで活躍した人が選ばれるのでしょうか。

>>926
正式に二部が終わった時にキャラクター紹介を更新しますね。
その時にはヤナミンとフナッキも入っていると思います。

929名無し募集中。。。:2019/06/14(金) 18:17:11
よこやんも蝉を操るのか

930名無し募集中。。。:2019/06/14(金) 21:00:38
思ったけどフナッキの戦法って季節によって出力が変わっちゃいそうですねw
ヤナミンボールは爬虫類でなかったら名前に由来してるのかな…

931名無し募集中。。。:2019/06/15(土) 07:01:16
>亀がいたかはって爬虫類使いとか決めつけちゃってたら、時代にナントカですよ?

さすが果実の国出身w能力はポ○モンだね

フナッキはミンミンロックか・・・夏以外はどうするんだろ?

おまゆう?>リサ

932 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/17(月) 03:23:05
「うわっ、チぃ大丈夫かな……」

セミに囲まれたチサキを見て焦るマイだったが、その余所見が命取り。
彼女に相対していたヤナミンは、一瞬の隙をついては亀をカプセルに戻し、
そして新たな味方をカプセルから解き放っていく。

「あれは!」

死角ゆえにマイには認識できなかったようだが、外野のリサにはハッキリと見えていた。
ヤナミンは亀の次に蜘蛛を出現させたのである。
虫を操るという点はフナッキと同じ、しかしヤナミンは既に亀も操っている。

「ヤナミンの操る生物は種族にとらわれない?……」
「その通りよリサちゃん。腰につけた6つのカプセルには違った種類の生き物が入っているんだってさ。」

リサ・ロードリソースは両生類を、
マナカ・ビッグハッピーは鳥類を、
チサキ・ココロコ・レッドミミーは魚類を、
マイ・セロリサラサ・オゼキングは哺乳類(自分)を武器としていた。
爬虫類だけは事情があって欠番になっているが、
フナッキ・カツメイトも昆虫類「ミンミン」を操るように、それぞれが違った種別の生物となっている。
そんな中、ヤナミン・リーガル・オトギヒメだけは例外的に、上にあげた6種類を全て使役することが出来るのだ。
"カプセルに収納可能な小動物でないといけない"、"自力で捕獲しなくてはならない"、"愛情を持って育てなくてはならない"、
"一度に6匹までしか連れていくことはできない"、"2匹以上同時に戦わせることは出来ない"……といったマイルールは存在するが、
その制限さえ満たせばヤナミンは種族の垣根を超えてしまう。
ヤナミンはそんなモンスター達を収納可能な己の武器を、カプセル「ポケット」と呼んでいた。

「マイさん、チサキさんの方を見てて良いのですか?」
「ハッ!」

声をかけられたマイは、ヤナミンの方を振り向くなり反射的にパンチを繰り出していた。
さっき邪魔をした亀がいなくなった事に気づいて、もうガードされることは無いと考えたのだ。
だが、ヤナミンはもう既に「蜘蛛の糸」という罠を張り終えている。
訓練された亀の甲羅が普通の亀の甲羅よりも堅かったように、
訓練された蜘蛛の糸は普通の蜘蛛の糸よりも太く、切れにくくなっていた。
足が糸に絡まったマイはその場で転倒し、おでこを地面に強くぶつけてしまう。

「……!!」
「急に攻撃だなんて怖い事しないでください……わたくし、"逆に"お返ししたくなっちゃいますわ。」

ヤナミンの戦闘スタイルを理解したリサはゾッとした。
要するにヤナミンはカウンターを得意としているのだ。
襲い来る攻撃を瞬時に見極め、亀の甲羅や蜘蛛の糸などを用いることにより、
自分は全くの無傷のまま相手にだけダメージを負わせることに成功している。

「そして何より恐ろしいのが、その悪質な戦法がモモち先輩に酷似しているということ!」
「リサちゃん?」

933 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/17(月) 03:30:09

ヤナミンのカプセル「ポケット」は言わば暗器のようなもの。
モモコの暗器7つ道具に対して、ヤナミンのカプセルは6つという違いはあるが、
手の内を隠しつつ、ここぞという時に使用しては、相手に何もさせない様はまさにそっくりだ。
ヤナミンはカントリー加入前からモモコのことを尊敬しており、
記録で読んだ戦闘スタイルを自身のものに取り入れたため、このようになったのである。
しかしそうなると直情的なマイには分が悪いなんてもんではない。
このままムキになったらドツボにハマってしまうのではないかとリサは心配したが、
モモコは最悪の事態には陥らないのではないかと予測していた。

「リサちゃん、"女子三日会わざれば刮目して見よ"っていうでしょ?マイちゃんだってあれで成長しているのよ。」
「あっ……」

マイはゆっくりと起き上がるなり深呼吸をし、ヤナミンの顔をじっと見つめだした。

「……うん。よく分かった。」
「何がですか?」
「今のマイは君には勝てない。悔しいけど相性が悪すぎる。」
「まぁ!……勝負を諦めたのですか?」
「諦める?そんなことしないよ……君を倒すのはマイじゃないってだけ。」

そう言い残すなりマイはチサキの方へと駆けていった。
"自分ではヤナミンを倒せないこと"、"チサキならヤナミンを倒せる可能性があること"、
決してムキにならずに、その2点を冷静に判断したのだ。
正直言って敗北を認めるのは身体が裂けてしまいそうなくらいに悔しいが、
アンジュの番長や、果実の国のKAST達、そしてモーニング帝国のマリアとの戦いを経て、
自分が最強の存在では無いことを自覚してからは、目をそむけたくなるような事実もしっかりと受け止められるようになったのだ。

「チぃ!今助けるからね!!」

マイはチサキに纏わりつくセミを掴んでは投げ、掴んでは投げていった。
高い身体能力からなる手捌きはあっという間にセミを散らしてしまい、チサキを解放することに成功する。
自分がセミに出す指示より早く追っ払うマイを見て、フナッキは焦り始めてきた。

「ひとのセミちゃん達に何すんねん!信じられんわほんま!
 で、でもまぁええわ。そのチサキって人は見るからに弱そうやから脅威にならなさそうやし、助けるだけ無駄ってもんやろ。」
「そうかな?今のチぃ、結構怒ってると思うけどね。」

ムキになりがちだったマイが成長してクールになったように、
チサキは過去の経験から、怒りの感情を露にするようになった。
もう大人しいだけの彼女はもういない。
ちょっと怒りっぽくなったのが玉に瑕だが、闘争心は以前の数倍以上に跳ね上がっている。

「もうっ!!!!!本当にあったまきた!!!!チぃがやるんだよ!!!!」

チサキには魚を操る以外にも、手のひらに集めた水を高圧の水鉄砲にして飛ばす特技がある。
これまで水の代わりに自身の汗や血液を飛ばしたことがあったが、
今回はそれとはまた異なった液体を噴出させようとしていた。
その液体の正体に気づいたフナッキとヤナミンは恐れおののいていく。

「ま、待て、ちょっと待てや、その手の中の液体はまさかセミのおしっ……」
「本当に最悪!!!!!顔ベトベトだしなんか臭いし!!!!全部そっくりお返しするからね!!!!」
「チサキさん落ち着いてください!そんなに怒ぐと可愛いお顔が台無しですよ?」
「うっさい!!!あんた達チぃのこと舐めてるんでしょ!!!!」
「「舐めないぞっ?」」
「絶対舐めてる!!!!!!!!」

怒り狂ったチサキは液体を見境なく噴出させていった。

934 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/17(月) 03:33:48
ヨコヤンもセミを扱いそうではありますが、一応他の武器を持たせていますw

フナッキの武器が季節でどうなるかは……だいぶ先に明らかになるかもしれませんねw

ヤナミンの武器はお察しの通りポケモンです。
ポケモンのモチーフになった小動物ならなんでもアリにしようとしています。

935名無し募集中。。。:2019/06/17(月) 13:18:34
リサちゃん心の言葉が声に出てるw
しかしこうやって見るとカントリーってほんと名言だらけですね
チィちゃん悪霊に憑かれちゃったから今から除霊だ><w

936 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/17(月) 17:43:21
長いことカントリーにスポットが当たってなかったので、ネタが溜まってましたね。
そう言えば誤記が有りました……正しくは以下です。

「「舐めないぞっ?」」

「「舐めてないぞっ?」」

937 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/18(火) 09:07:17
ヤナミンとフナッキはワーキャー言いながらチサキの水?鉄砲から逃げていった。
2人の能力ならばよりスマートに回避できるはずなのだが、
チサキの放出する液体に何が何でも当たりたく無いと思うあまり、大きく取り乱してしまっている。

「もうっ!!当たらないなぁ!」
「チぃ、その攻撃も良いと思うけど、マイはやっぱりお魚を使うチぃが見たいな。」

マイはそう言うと、チサキの前に大きな水槽を置いていった。
この水槽の中では太刀魚が泳いでおり、ハーチン戦以降にチサキが習得した新たな特技を再現できるようになっている。
しかし成功率はあまり高くなく、五分といったところ。

「で、でも……」
「今、あの子達は混乱してるし、走り回って疲れてる。絶対に当たるよ。
 それにもしもセミがチぃを襲ってきたらマイが絶対に守るから。」
「なんやと!?」

聞き捨てならないセリフに怒ったフナッキは、全てのセミをチサキとマイの方へと飛ばしていった。
セミは見た目が怖いだけでなく、騒々しくもあるため、相手の集中力を著しく奪うことだって出来る。
そんなセミが大勢集まったのだから普通なら耳を塞ぎたくなるものだが、
マイに勇気付けられて集中を高めたチサキは、静かに水槽に自身の手を入れていった。
水の中で泳ぐ太刀魚と対話をしているのだ。

「何をワケの分からんことをしてんのや!今まさにセミが来とるっちゅーのに!」
「分かってないなぁ……チぃの刃は凄いんだよ。マイが保証する。」
「刃?……刃物の類をお持ちのようには見えないのですが……」

太刀魚との対話を終えたチサキは静かに前の方を見た。
狙いは親友のマイを苦しめたヤナミンだ。
何やらセミがワラワラと飛んでいて鬱陶しいが関係ない。
そいつらごと斬ってやろうとチサキは決意した。

「邪魔しないで Here We Go!」
「は?」「え?」

チサキがそう言った瞬間、太刀魚が水槽から飛び出していった。
その勢いとスピードは凄まじく一瞬にして直線上にいるセミ達を散らしていく。
そして離れた場所にいるヤナミンの元へとあっという間に到達してしまう。

(まずい!防がないと!)

ヤナミンはいつでもカウンターを出せるように常に身構えている。
チサキが怪しい行動を開始した時点で蜘蛛をカプセルに戻しており、すぐに次の一手を出せるように備えていたのだ。
超スピードで射出されるチサキの”刃”を避けることなんて今更出来ない。ならば受け止めるのみ。
ヤナミンは亀をもう一度出して、真正面からガードすることにした。
しかし、ハーチンと死闘を繰り広げたチサキの思いは甲羅の硬さを超えていた。
“斬撃”自体は亀で防ぐことが出来たが、そらによって生じる衝撃までは消すことが出来ず、
ヤナミンは後方に倒れて尻もちをついてしまう。

「痛いっ!……わたくしが戦闘で怪我をするなんて……」

ヤナミンも、フナッキも、もはや先輩を舐めてなんていなかった。
少しでも気を緩めたら敗北してしまう……そのように考えを改めた。
そんな中、ひとりの女性が戦場に乱入してくる。

「訓練終わり〜お腹すいちゃったわ〜。
 ってアラ?……みんな何やってるの?……」

938名無し募集中。。。:2019/06/18(火) 13:53:25
> ハーチンと死闘を繰り広げたチサキの思い

読んでた当時は氷と水で相手が決まったのかな?程度に思っていたけど、その後帝国でハーチンとチサキが無二の友となることを考えると胸が熱くなる

939 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/18(火) 20:52:24
登場したのは長時間の訓練を終えたマナカ・ビッグハッピーだった。
初お披露目の新人2人が先輩たちとタッグマッチをしていたと聞くと、興味を持ち始めた。

「へぇ〜そうなんだ〜。じゃあ私はチぃたんとマイちゃんに加勢しようかな。」
「「「「「「えっ!?」」」」」」

突然の参戦発言を聞いたモモコは頭を抱え出した。
非常に困ったような顔をしながらも、渋々マナカの要望を承認する。

「う〜〜〜〜〜〜〜ん、まぁ、いいかな?
 あんまりやりすぎるんじゃないよ?」
「うふふ。流石モモち先輩、話が分かりますねぇ。」

ルール上不利になる新人2人よりも、チサキやマイ、そしてリサの方が焦ったような顔をしている事にヤナミンは気づいていた。
何かとんでもない事が起きてしまいそうな気がしてならない。

「ねぇフナッキ……ここは慎重にいった方が……」
「そんな暇あるかい!あのマナカって人が疲れている今がチャンスやろが!」

訓練後で大汗をかいているマナカをターゲットとしたフナッキは、全てのセミを向かわせた。
しかしマナカは少しも心乱される事なく、愛鳥たちに指示を出していく。

「ねぇみんなもお腹空いたよね? ご飯の時間よ〜!」

そこからの光景は惨いものだった。
1000匹以上のカラスが一斉に現れては、フナッキの操るセミ達をバリバリと喰い散らかしてしまったのだ。

「あ……あ……」

セミの命はとても儚い。
“子供やカラスにゃ狙われる”と歌詞にあるように鳥が天敵であることは把握していたが、
こうも一瞬で全滅してしまうことにフナッキはショックを隠せなかった。

「ごちそうさまでした〜。カラスちゃん達もとっても喜んでるよっ!
 あれ?心折れちゃったのかな?じゃあ次はあなたかな……」

指名されたヤナミンは小動物のように小刻みに震えていたが、応戦の意思は失われていなかった。
カプセルから珍妙なピンク色の生物を出しては、鳥たちに見せていく。
この生き物は両生類のウーパールーパー。
小さな虫やら小魚やらを餌とするが、場合によっては鶏肉までも食べてしまう生き物だ。
そして、戦闘用に訓練されたヤナミンのウーパールーパーはその気になれば生きた鳥さえも捕食する事が出来る。
通常より知能の高いマナカのカラス達もそれを感じ取ったようで、怯えて攻めあぐねていた。

「見た目は可愛いのに強かだよねぇ。」
「わたくしに言ってますか?ウーパーちゃんに言ってますか?」
「うーん……どっちかと言えば……”マナカ”かな。」

マナカは鳥に頼らず単身でヤナミンの元へと走っていった。
本人が直々に来るとは思わなかったのでヤナミンは驚いたが、
ウーパーと亀をスイッチする準備だけは怠らなかった。
パンチやキックを繰り出そうものなら亀の甲羅でガードしてやろうと思ったのだ。

(さっきのマイさんのように防ぐ!!)

予想通り、マナカはヤナミンに接近するなりパンチを繰り出してきた。
後はそこに甲羅を当ててやればガード成功のはずだった。
ところが次の瞬間、ヤナミンの視界からマナカが消えてしまう。

(!?)

もちろん本当に消えたわけでは無い。
ダンスを踊るかのようにターンを決めて、一瞬にしてヤナミンの背後へと回り込んだのだ。
そしてその勢いのまま右足を高く上げて、ヤナミンの細い首にカカトを叩きつける。

「!!!…………」
「残念。もうノびちゃったの?久しぶりに楽しい闘いが出来ると思ったのに。」

容赦ない仕打ちを受けて倒れるヤナミンとフナッキを見て、リサとチサキとマイは黙りこくってしまった。
いったいいつからだろうか。
自分たちとマナカの実力に差がついてしまったのは。

940 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/18(火) 20:55:54
>>938
ハーチンvsチサキの構想は14期加入よりずっと前からしていたので、私も驚いていますw
三部ではそういうシーンを多く書きたいなとは思ってますね。

941名無し募集中。。。:2019/06/19(水) 00:04:21
>マイはそう言うと、チサキの前に大きな水槽を置いていった。
突如大きな水槽を取り出せるマイcの暗器が一番凄い気が…w

ヤナcボール、亀>蜘蛛と来た時に
浦島太郎>蜘蛛の糸でやっぱりおとぎ由来なヤナcが助けた動物を召喚できるんだ!
次は鶴か雀か狐が来るぞ〜><と初めて読みが当たったと浮かれてたら単なる偶然でしたw

マナカンと生まれた距離から人間関係入り乱れそうな予感

942名無し募集中。。。:2019/06/19(水) 06:55:20
マーサー王はまるで未来を予見してたかのような出来事が起きるからねぇw

マナカン病で弱体化してると思いきや強くなっている?しかも狂気すら漂わせて・・・ちょっとイヤな予感

943 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/19(水) 09:00:32
先輩と新人の対戦から十数分経っても、リサ・ロードリソースはまだその場に留まっていた。
セミの羽根やらを箒で掃きながら、先ほどの出来事を思い返していたのだ。

(マナカちゃん、流石にやりすぎだよ……)

タッグマッチの流れは途中までは良かったはずだ。
チサキもマイもヤナミンもフナッキも、苦しみながらも充実していた。
だが、マナカが現れて実力を見せつけたところでおかしくなり始めた。
あんな負け方をしたらヤナミンとフナッキは心に傷を負うかもしれない。

(私がもっと強ければ……マナカちゃんを止められたのに……)

日に日に成長していく仲間達に比べて、自分だけは頭打ちであることをリサは自覚していた。
カエルの操り方のバリエーションを増やしてはいるものの、劇的には変わっていない。
また、リサの細腕では、マイやマナカのように肉弾戦に対応することだって出来ない。
どうすれば強くなれるのか……彼女には分からなかった。

「モモち先輩に相談してみるか……」

掃除が終わったリサはゴミ袋をマーサー城の一般兵に預けては、モモコの部屋に向かうことにした。
やはりここはプレイングマネージャーに教えを請うのが1番だと判断したのだ。

「モモち先輩入りますよー……って、んん??……」

扉を少し開けたところでリサは異変に気付き始めた。
どうやらモモコは他の誰かと話しているようだ。
行儀悪くも室内を覗き見したリサは、そのメンツの豪華さに驚愕する。

(フク王、アヤチョ王、ユカニャ王!?どうしてモモち先輩のお部屋に!?)

モーニング帝国のフク・アパトゥーマ、
アンジュ王国のアヤチョ・スティーヌ・シューティンカラー
果実の国のユカニャ・アザート・コマテンテ
マーサー王国の近隣諸国の王がこの場に集まっているのだから驚くなというのが無理な話だ。
ちなみに室内には果実の国のアーリー・ザマシランもいた。
おそらくは、戦うことのできないユカニャ王の護衛のためについてきたのだろう。

(まぁ当然っちゃ当然よね。護衛なしのフク王とアヤチョ王の方がよっぽどおかしいわ。
 非公式な場だから大所帯を引き連れることは出来なかったってこと?……
 秘密裏にいったい何を話しているというの?……)

リサの頭の中にクエスチョンマークが沢山沸き上がったところで、モモコが言葉を発し出す。

「以上がプロジェクト名”ケンニン”の全貌よ。 偶然とは言えあの子達の実力をお見せすることが出来て良かったわ。で、どうかしら?」
「モモち先輩の計画は完璧すぎます〜〜!もう全部受け入れちゃいます〜〜!」
「うん。フクちゃんだけじゃ偏りがあるから国の人とじっくり話しなさい。」
「そんな!モモち先輩への反対意見は全部握り潰しますよ!」
「それがダメだって言うの。後で私からハルナンにも連絡しとくわ。 じゃあユカニャ王はどう?」
「かぁ〜〜〜わいかったですねぇ〜〜〜!可愛い可愛い可愛い。私の癒し。」
「まともな王はいないのかな?」
「コホン、失礼。 ばい菌であるファクトリーを滅菌消毒するための戦力強化に繋がる良い計画だと思いました。
 ただ、果実の国を強化するにはもう一声欲しいかなと……」
「具体的には?」
「マナカちゃん。」
「本気で言ってる?……まぁ該当者ではあるけど……ちょっとだけ準備期間が欲しいかな。」
「どれくらい経てば良いですか?」
「”定年”まで、なんちゃって。」
「はぁ。”永遠”に待ちますよ。」
「冗談冗談。マナカちゃんをどうにかし次第すぐに手配するよ。 で、アヤチョ王はどう。」
「アヤは別にいいですよ。ウチはもともと変な人が多いし、あの子も変な人だし、全然平気。」
「でもアンジュ王国って舎弟制度とかあるんでしょ?舎弟を経ずに番長……って睨まれたりしない?」
「あー、それならもう1人声をかけている子がいるから大丈夫ですよ。 カノンちゃんが言うには将来の裏番長候補っていう子が。」
「へーそうなの。その子と同じタイミングなら批判が集中することがないか。」

944 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/19(水) 09:05:40
チサキは元々魚入りの水槽を持っていて、マイがそれを素早く取りに行ったのだと脳内補完してくださいw

マナカはアカネチンに追い詰められたことが悔しくて性格が変わってしまいました。
当時はアカネチンを舐めきった結果として痛い目を見たので、今ではどんな相手にも容赦しません。

945名無し募集中。。。:2019/06/19(水) 13:07:11
ついにプロジェクト『ケンニン』始動・・・リサとマイがどうなるのか気になる

> マナカちゃんをどうにかし次第
モモコが言うと若干の恐怖を感じるw
北の里へ強制送還かな?

946 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/19(水) 13:07:53
モモコと王達の話はまとまりつつあったが、ここでユカニャ王が一石を投じた。

「該当するメンバーについては問題ないと思いますが、私はカントリーの軸の方を心配しています。」
「ふぅん。と、言うと?」
「リサ・ロードリソースちゃんの事を言ってるんですよ。いくら他が活躍しても軸となる彼女がフラついたら無意味ですよね?
 マナカちゃんの登場に狼狽えているようでしたが、資質に問題は無いのでしょうか?」

話の流れは掴めていないが、自分が槍玉に挙げられている事はリサも理解することができた。

「やっぱり心配?フクちゃんとアヤチョ王と同感?」
「えっと……」「アヤはその子のこと知らないけど弱かったら軸にはなれないと思います。」
「そうね……じゃあ資質の有無を本人に証明してもらっちゃおうか。」

そう言うとモモコは半開きの扉を開けて、覗き見中のリサの姿を露わにした。

「「「「!!」」」」
「あ、いや、これはその……」
「ねぇリサちゃ〜ん。そこのお偉いさん達がね、リサちゃんが弱かったら任せられないって言ってるよ〜?
 そうなったら私の計画が頓挫しちゃうんだ〜」
「あの、モモち先輩?そもそも計画っていったい……」
「詳しいことはまだ知らなくて良いの。今リサちゃんがやるべき事は何?頭良いから分かるよねぇ?」
「私の……強さを示す事です……」
「その通り〜〜!」

死んだ目をして回答するリサに対して、モモコは何やら楽しげだった。

「ところでユカニャ王、どうやったら資質を確かめられると思う?この場の全員を今すぐ皆殺しにすれば分かってくれる?」
「何をメチャクチャ言ってるんですか……そうですね……例えば、ここにいるアーリーと善戦したら認めてあげても良いですけど……」
「あたし?」

壁に寄りかかっていたアーリー・ザマシランはキョトンとした顔をしていた。
いきなり指名されるなんて思っていなかったのだ。

「そう。リサ・ロードリソースと本気で戦ってあげて。」
「え〜」
「え〜じゃないの。何が不満なの。」
「もしもそれで怪我でもしたら、帰りの道中……ユカを護れなくなる。」
「……外ではユカニャ王と呼びなさい。 それに、アーリーは強いから大丈夫よ。」
「でも〜」

なかなかウンと言わないアーリーに対して、ユカニャは声のトーンを少しだけ低くした。

「じゃあこういう事にしましょう。 そこのリサ・ロードリソースは今にも私の命を狙っている。 そうイメージしてみて。」
「命を……」

その瞬間、アーリーの顔が険しくなった。
そしてスタスタとリサ・ロードリソースの元に歩いていき、
いきなり首を鷲掴みにする。

「絶対に許さない。」
「!?……く、苦しい……」

947 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/19(水) 18:59:45
リサの首を絞めるアーリーの圧は凄まじかった。
彼女の狙いは窒息ではない。首の骨を折ってしまおうとしているのである。
激痛なうえに酸素まで取り入れることが出来ないため、リサの意識はすぐに朦朧とし、手足がまるで動かなくなった。
あっけなく決着がつくと思われたところで、モーニング帝国の王、フク・アパトゥーマが割って入ってくる。

「ストップストップ!こんなのフェアじゃないよ!」

真剣勝負を邪魔するフク王に一同は驚いたが、次に続く主張は真っ当なものだった。

「リサちゃんの得意な戦法はカエルを操ることなんでしょ?
 ウチの子達もカエルに苦しめられたって言ってたよ。
 と言うことは、リサちゃんの真の力を見たいなら、こんな室内で戦うべきじゃないのでは!?
 モモち先輩、屋外の訓練場で仕切り直した方が良いと思いませんか?」
「フクちゃんの言うとおりね。ユカニャ王はどう思う?」
「そうですね……アーリー、手を放してあげて。」
「ユカ……ユカニャ王がそう言うなら。」

フクのおかげで命拾いしたとリサは思った。
だが、同時に「本当に命拾いしたのか?」という考えも頭をよぎる。
KASTの一員として活躍したきたアーリーは、武道館で出会った時よりももっと強くなっているように見える。
カエルを味方につけたところで、果たしてこの怪物に勝てるのだろうか?

(多分、私が勝てるなんて誰一人思っていない。)

そんな雰囲気をより顕著に出していたのがアヤチョ王だ。
足は屋外訓練場に向かいつつあるものの、どこかよそ見をしながら歩いている。完全に上の空だ。
もはやリサへの興味などとっくに失っているのだろう。
そんな事を考えながら落ち込むリサにモモコが近づき、話しかけてきた。

「リサちゃんあんなに弱かったんだね。私ビックリしちゃった。肉弾戦まるでダメじゃない。アーリーちゃんと同じ土俵に全然上がれてなかったよ。」
「馬鹿にしにきたんですか……そんな事、私が1番よく分かってますよ。」
「それもあるけど、ちょっとしたアドバイスがしたくてね。」
「アドバイス!?な、なんですか!?」
「うふふ、”自分で考えなさい”。」
「え……」
「ちょっとはマシな頭を持ってるんでしょ?それくらい自分で考えなさいよ。馬鹿じゃないんだから。」
「……」

辛辣な発言をするモモコを見て、ユカニャはリサを気の毒に思った。
後輩を理不尽にこんな目に合わせたうえに暴言を吐いて突き放すなんて、いったい何を考えているのだろうかと感じている。
ところが、フクは全く別の感想を抱いていた。

(モモち先輩はやっぱり凄い。勝負の行方、分からなくなったな。)

そうこうしているうちに一同は屋外訓練場に到着した。
モモコはその場にいた3名のマーサー王国兵に声をかけ、訓練場をあけ渡すようにお願いする。

「ちょっとだけ場を借りていい?あと、このことは誰にも言わないでほしいなぁ」
「はい!マオピン誰にも言いません!」
「ふふ、良い子良い子。」

残り2名の兵は、各国の王が揃うこの状況に驚きを隠せていないようだったが、その中でも最も幼い兵は素直に応答してくれたようだ。

「さ、準備は整ったよ。それじゃあ仕切り直しね。」

948名無し募集中。。。:2019/06/19(水) 22:29:58
昨夜に後輩達が脱ぎ散らかした靴をいつも揃えてるとあやちょが言ってましたが
蝉の羽根を片すリサcの姿が重なりますねこういう細かな描写好き><

隠語?のファクトリーの対象につばきも含むかなと巡らせてたらマオピン&さおりんおみず?きた!
人間関係が複雑化してきたうえ登場人物の裾野まで広がって益々楽しみです!

949名無し募集中。。。:2019/06/19(水) 23:44:17
一昨日ハーチンの話していたと思ったら今日突然はーちんSNS開始するとか…マーサー王には何かあるんじゃないかと思ってしまうw

帝国にマオピンがいるって事はもう一つの"ファクトリー"はどうなるんだろ?

950 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/20(木) 13:02:39
再開の合図と同時に己の体が重くなった事をリサ・ロードリソースは感じた。
首を絞められてもいないのに息苦しいし、手足も痺れてくる。
このままではさっきと同じ結末になってしまうので、リサは指笛を吹いてカエル達に指示を出していった。
ホームであるこの場にはおびただしい数のカエル達が潜んでいる。
それらが一斉に襲いかかれば人間1人くらいは容易く制圧出来ることだろう。
ただし、それは相手が並の人間だった場合の話だ。
選挙戦や武道館の戦いを経たアーリー・ザマシランの実力は、並などとは到底呼べやしない。

「邪魔だよ。」

たった一言、そう発するだけでカエル達は動きを止めてしまった。
まるで蛇に睨まれたカエル。
アーリーという存在に全てのカエルが恐怖しているのだ。
そしてそれはリサも同じ。
アーリーは強者が強者たる技能である「立見刀剣」を当然のように習得しており、
トンファーでリサをタコ殴りにする様子を強くイメージしては、リサの脳へと伝播させていた。
結果としてリサは殴られてもいないのに強打を何発も受けたような思いをし、心が今にも折れそうになってくる。
やはり自分はアーリーには勝てないのか。
ユカニャ王が言うようにカントリーの軸として認められない存在なのか。
そうして諦めかけたところで、モモコの言葉が頭に浮かんできた。

“自分で考えなさい”

そうだ。
この苦しい状況を打破する方法は自分で考えるしかないのだ。
幸いにも、それを考え抜くだけの知能は備わってる。
チサキやマイよりずっとずっと優秀な頭脳こそが、リサ・ロードリソースのカエルに次ぐ第二の武器なのである。
その一点だけなら、彼女はマナカ・ビッグハッピーをも上回るだろう。

(ここから逆転する方法……それは……)

1つハッキリしていることがある。
それはアーリーと同じ土俵に乗ってはいけないということだ。
リサの戦闘能力は著しく低い。 アーリーと殴り合いの喧嘩して勝てるはずがない。
だったらそんな勝負は初めからしないに限るのである。
では、どうすれば良いか?

(私の有利な状況を今から作り上げる!!)

アーリーの方を自分の土俵に乗せること。それが唯一と言って良い程の勝ち筋だ。
ではリサの土俵とは何か?それはもちろんカエルをよって相手を翻弄することだろう。
だが今のカエルはアーリーに恐れをなしている。
何故怖がっているのか?それはカエルの強さがアーリーを下回っているからだ。
ならばカエルの強さを底上げしてやれば良い。
カエルのパフォーマンスを向上する方法については心当たりがある。
昔は恥ずかしがってその行為を真面目にやらなかったが、今ならどんな恥をかいてでも儀式をやり終える自信がある。
そうしないとリサは戦士として死んでしまうのだから、羞恥など感じている暇は無いのだ。
しかし、本当にその技が決まるのかという懸念はある。
それを確かめるために、リサはモモコに質問を投げかけた。

「モモち先輩!答えてください!」
「なあに?」
「今現在!食卓の騎士のうち何名が城に残っていますか!?」
「えっとねぇ、キュートは5名全員城にいて、私以外のベリーズは野暮用で外に行ってたかな。」
「!」

なんたる好都合。なんたる偶然。
いや、これは偶然などではなく、この状況を予見したモモコが裏で手を回していたに違いない。
リサはすぐにそのように気づいていった。
これだけお膳立てしてもらったのだから確実に決めるしかない。
決意したリサは、大袈裟に両手を振り上げ出した。

「見せてあげます……私の”必殺技”を……!」

リサ・ロードリソースは本日この場で必殺技を初披露することになる。
必殺技、それはマナカ・ビッグハッピーですら未習得の技能であった。

951 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/20(木) 13:03:33
必殺技が発動されてから10分ほど経っただろうか。
最終的にこの場には立っていたのは、ズブ濡れ状態のリサ・ロードリソースだった。
同じくビショビショになったアーリー・ザマシランは地面に転がっている。
体力をゴッソリと奪われたうえに強烈な攻撃をお見舞いされたため、意識こそあるものの身体がもう限界なのだろう。
だが不思議なことに、全身に負わされた打撲の痕ではなく、比較的ダメージの少ないお腹の方アーリーは抱えていた。

「あれは卑怯だよ〜!面白すぎるもん!キャハハハハ!」
「ちょっ、……笑わせる技じゃないんですけど!」
「あははは、ごめんごめん、でもモモコ様やフク王だって笑ってるよ?」
「なっ……」

アーリーの言う通りモモコとフクは下を向きながら笑いを堪えていた。
完全にツボに入ってしまっているようだ。

「いやぁ今回ばっかりは参ったわ。まさかあんな面白必殺技を出すとは思ってなかった!ほんと予想外!」
「モモち先輩まで!」

リサの必殺技がよほど特異だったのか、さっきまで興味を失っていたアヤチョ王までが積極的に話しかけてくる。

「なになに!?さっきのアレどういうことなの〜? アヤ全然分からなかった!もう一回やって!お願い!」
「や、やりません!」

一同がワーワーやっている中で、ユカニャ王がアーリーにデコピンをコツンと当てていた。
そして膨れっ面で文句を言いはじめる。

「私の命が狙われてるって設定だったんだけど? このままだと殺されちゃうじゃない。」
「あー、あー、ゴメンナサイ。今日だけは死んで!」
「ちょっと!!!」
「だってアレは無理だもん〜」
「まったく……」

プンプン怒っているユカニャに向かって、お次はモモコが声をかけてきた。
そろそろこの場を締めようとしているのだろう。

「じゃあユカニャ王、判定はどうだったかしら。」
「ふふ。合格ですよ。アーリーがここまで負かされたのだから、リサちゃんを認めない理由が有りません。」
「ほい。じゃあ”ケンニン”は予定通り進めるってことで。」



それから数ヶ月の時が経った。
モモコとマナカが突然姿を消したため、カントリーのチサキとマイ、ヤナミンとフナッキはアタフタと狼狽えている。
せっかく良いチームになりかけていたというのに、どうしてこんな事態になったのかまるで把握できていないのだ。
そんな中、リサ・ロードリソースだけは冷静だった。
同士である4人に向かって、とある質問を投げかけていく。

「ねぇみんな……私たちカントリーはこれから大変になると思う。 辛いことだって増えると思う。 だから聞かせて。私についてきてくれる?」

チサキ、マイ、ヤナミン、フナッキの4人は一瞬ポカンとしたが、すぐに回答を口にしていった。

「え?何言ってるの? そりゃついていくに決まってるけど……」
「マイは考えるの苦手だから、リサちゃんに色々と決めてほしい。だからついていくよ。」
「愚問ですわ。わたくしもギサちゃんについていきます。」
「どうしよっかな〜。ま、メイクの仕方とか教えてくれたらついてってあげてもええけどな。」

「そっか、安心した。」

“カントリーのこれから” めでたしめでたし

952 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/20(木) 13:09:48
予定より1日多くかかってしまいましたが、オマケ更新は終了です。
明日からは通常更新に戻ります。
早く第三部に入って、ファクトリー関連の話を進めなくてはなりませんからねw


OMAKEのOMAKE

もしもナレーターがヤナミンだったら

ヤナミン「“カントギーのこげかが” めでたしめでたし」

953名無し募集中。。。:2019/06/20(木) 13:46:47
リサの儀式って…一躍時の人にしたあれかwそりやかなわないわww
それにしてもリサのカエルの能力ってこの動画が公開される前に決めてたんでしょ?なにか目に見えない何かに誘われているみたい

オマケ更新お疲れ様でした。本編も楽しみにまってます。

954名無し募集中。。。:2019/06/20(木) 18:11:18
リサはタイサも操れるかな?

955名無し募集中。。。:2019/06/20(木) 21:10:07
OMAKE面白かったぁ〜!
カントリーの面々はチャートの波が激しいところが魅力ですね
しかし喋り方に特徴ある子は強いですねリカコcの絵文字にしろ読むだけで頬が緩んじゃいます><

タイサ操れる笑ったw
チィcもひょっとすると食卓の騎士の一人を…w

956 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/21(金) 12:56:01
エリポンがモモコを出し抜いた今、その勢いを利用して攻めていくのがセオリーのはずなのだが、
ハルナンが次に出した指示はその逆を行っていた。

「エリポンさん!アーリーちゃん!ここは一旦退きましょう!さぁさぁ早くこちらへ!」

言うが早いかハルナンはすぐに走り去ってしまった。
突然の退却命令にアーリーは混乱したが、エリポンが迷わずそれに従ったため自分もついていくことにした。

「よし、ここまで来れば大丈夫。もう安全ですよ。」

大きな鎧が転がる地点まで辿り着いたところで、ハルナンはホッと一息をついた。
この時点で彼女らはモモコから十数メートル離れており、
マーチャンがやられたようなヒップアタックを喰らう恐れが無いという意味では確かに安全かもしれない。

「はぁ……見くびられたものね。安全圏なんてどこにも無いのにさっ!!」

モモコは電磁石をフルパワーで投げつけた。
1発や2発だとアーリーにトンファーで撃ち落とされる可能性もあるため、複数個の磁石を連続で放っている。
モモコの暗器は組み合わせにより近距離・中距離・遠距離のどのレンジにも対応するため、
この程度離れたくらいじゃ逃走したことにはならないのである。
許容量を超える弾数にアーリーは焦ったが、ハルナンとエリポンは不思議と平気な顔をしていた。
ここでモモコも真意に気付き始める。

「あっ……そういうことか。」

ハルナンらを狙う磁石の軌道は勝手に逸れて、転がる鎧へとぶつかっていった。
思い返してみれば、モモコはこの鎧に向かって何十個もの磁石を投げつけることで鎧の動きを止めていた。
となればこの場で最も強い磁力を発するのは、多数の磁石がくっついた鎧ということになる。
そのため、いくらハルナンやエリポン、アーリーを直接狙おうしても決して当たらないのである。

「向こうの攻撃は当たりませんがこちらはやりたい放題出来ますよ!さぁエリポンさん!」
「よっしゃ!」

エリポンは磁石では無い普通の石を打ち付けて、モモコへと飛ばしていった。
ノーガードでスイングに専念できるため、石のスピードは通常の何倍にも及び、
かすったモモコの耳から血を流させることに成功した。

「くっ……」
「エリポンさんナイスショットですよ〜!この調子でどんどん行きましょう!」
「させるわけないでしょっ!!」

エリポンによって放たれた石の雨あられにも恐れることなく、モモコは前進していった。
そして大胆にもその場で高く跳躍する。

「磁石が鎧に引きつけられる?……いいじゃない。だったら逆に利用するまでよ!!」

空中のモモコは磁石を投げる腕に力を込めて、斜め下方向に思いっきりぶん投げた。
ターゲットはハルナン達ではなく鎧だ。
渾身のジャンプシュートの勢いはただ投げるだけよりも大きく増加し、
地球の重力と磁石自体の引力も加わることで、とてつもない破壊力を生み出すこととなった。

「モモち流の散弾よ。とくと味わいなさい。」

磁石が鎧に衝突すると同時に大きな破裂音が発生し、衝撃のあまり、鎧にへばりついてたはずの磁石が周囲に飛び散っていく。
散弾は無差別に周りを襲うが、距離が近い分、モモコよりもエリポン、ハルナン、アーリーの方が多く受けてしまった。
腕に、肩に、腹に、胸に、頭に多量の磁石をぶつけられたので、3人が3人とも苦悶の表情を浮かべることになる。
決定打にはなり得なかったが、ここでのダメージは軽くないはず。もう決着も近いだろう。
しかしそんな状況にもかかわらず、ハルナンとエリポンは自分たちよりも別の心配をしていた。

「ハァ……ハァ……エリポンさん、鎧にはまだ磁石がくっついてますね……全部吹っ飛ぶと思ったんですが、アテが外れました……」
「ううん。ハルナンは知らんと思うけど、こっちの方が都合が良いっちゃ。後はエリがなんとかする!」

そう言うとエリポンは立ち上がり、驚くことに、鎧に強烈な蹴りを入れ始めていった。
それも一発では終わらず二度三度……
硬い鎧にそんなことをするのだからエリポンの脚は折れてグニャグニャになってしまう。
そんな光景を前にして、アーリーだけでなくモモコまでもパニック状態になる。

「ちょ、ちょっと何してるの!?おかしくなっちゃったの!?」

957 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/21(金) 12:57:07
🐸←タイサ

もちろん操れませんw

958名無し募集中。。。:2019/06/21(金) 23:00:33
3分ほど行動の理由を考えてみたけど全くに展開が読めない、、
&カノンcダメージは負ってなかったと思うけど眠ってるのかな…w

959 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/22(土) 13:34:25
鎧の装甲の強度は限界に近かった。
いくら硬く作られてるとは言え、昨日チナミ、本日モモコ、のように連日ベリーズに叩かれ続けたのだから
ダメージが蓄積しないはずが無かったのだ。
そんなところに、肉体派エリポンの渾身の蹴りを何発もぶつけられたらどうなるだろうか。
初めはちょっとしたヒビ・亀裂だったとしても、そこから歪みが生じ、最終的には鉄であっても裂けてしまう。

「何を……何を企んでるの!?」

エリポンの行動を異常に思ったモモコは、これ以上好きにさせてはまずいと考えた。
鎧の破壊活動に夢中になっている今がチャンス。
相手の懐に入り込み、凶悪な尻をぶつけるのだった。

「モモアタック!!これでもうおかしなマネは出来ないでしょ!」
「……!」

モモコは暗器の機能でお尻の部分を尖らせて、マーチャンを仕留めたようにエリポンに刺していった。
鋭利な先端はしっかりと肉に食い込み、腹部から多量の血液を流させる。
強烈なヒップアタックをノーガードで受けたエリポンはもはや立てなくなってしまったが、
その顔には全くと言って良いほど悲壮感が漂っていなかった。むしろ充実している。

「後は任せたよ……」
「なんですって?……まさか……まさか!!」

モモコはすぐに鎧を目視し、やや大きめの穴が空いている事実を確認した。
そのサイズは小柄な人間ならばギリギリ通れる程度の大きさだ。
これ以上穴が広がってしまっては都合が悪いと判断したモモコは、鎧にくっついている電磁石を無理やり動かしては、穴そのものを塞いでいく。

「はは……もう遅いけんね。」
「遅い?……どういうこと?」
「有難い言葉を教えてあげるっちゃ。"女子三日会わざれば刮目して見よ"ってね……」

エリポンがそう言い残して目を閉じると同時に、モモコの背中に激痛が走る。
瞬時に反応して後ろを振り向くモモコだったが、そこには”何者”も存在していなかった。
そうしてモモコが一瞬静止する隙をついて、ソイツはモモコのスネに強烈なローキックをぶつけていく。

「くっ……誰!!誰なの!!」

言葉ではそう言いつつも、モモコはその正体に気づいていた。
だが、どうしても辻褄が合わないのだ。
まだ戦えたというのは理解できる。動けなくしただけで大怪我を負わしたわけではないからだ。
しかしいったいどうやって表に出てきたと言うのか!?
そして、今現在こうして超スピードでモモコを翻弄しているのはどういうことなのか!?
それが理解できないためモモコは彼女を彼女だと認められずにいた。

「もう誰だっていい!今この場で仕留めてやれば同じこと!!」

モモコは両手両足に括り付けられた全ての糸を引っ張り、先に結ばれた磁石を全て引き寄せようとした。
こうすれば攻撃範囲はモモコの周囲全域に及ぶため、相手のスピードが早くても確実に倒せると思ったのだ。
ところが、期待した通りの石はやって来ない。
それもそのはず。
モモコの頼りにしていた糸までも、このほんのちょっとの時間で全て切断されていたのだから。

「えっ……」

予想外のことが立て続けに起こったのでモモコはまたしても硬直しかけた。
だが、ここで狼狽えたら完全に相手の思うツボだ。
お次も背後から襲いかかってくると判断したモモコは先回りして後ろを向き、攻撃を受け止めようとした。
……はずだったのだが、その姿があまりに予想を超えていたので、驚愕のあまり結局フリーズしてしまった。

「カノンちゃん……なの……よね?」

その正体は、やはりカノン・トイ・レマーネだった。
だが、しかし、今の彼女の姿は本当にカノンと呼んでよいのだろうか。
全身がスラッとしていて、腕も脚もあのハルナンよりも細い。
まるで別人。以前、橋の上で戦った時はこんなにスリムでは無かったはずだ。
そうして目を丸くしているモモコの顔面に向かって、カノンは思いっきりキックを喰らわせる。
全体的に線が細くなりはしたが、これまで体重を支えてきた筋力は据え置きだ。故に攻撃力は微塵も落ちていない。

「うぐっ……」

カノン・トイ・レマーネの豹変に驚いたのはモモコだけではなかった。
アイリやアーリー、そして同じ帝国剣士のハルナンまでもが今にも目玉が飛び出てしまいそうな顔をしている。
何故カノンがああなったのかは定かでは無いが、状況が好転するなら使わぬ手はない。

「カノンさん凄いです!その調子でもっともっと追い詰めちゃってください!」
「いやぁ〜、それがそういうわけにも行かないんだよね。」
「えっ?」
「この必殺技、あと58秒で終わっちゃうんだって!」
「えー!?」

カノン・トイ・レマーネの必殺技は命を燃やす。
儚く散ってしまうことから、彼女はその技を「泡沫」と名付けていた。

960 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/22(土) 13:35:59
というわけで、眠ってはいませんでしたw

961名無し募集中。。。:2019/06/22(土) 18:21:24
動けないからいっかと寝てるカノンcを起こしてるのかと思ってました
てかロビンマスク理論w
まさか痩せて俊敏になるとは思いもしなかったです58秒とかほんと上手い、、

そういえば昨日にニコ生でタケcが山木さんの雨乞い動画を
アンジュで観て爆笑してたと言ってたらしいんですけど
またもやな同調知って作者さんに平行世界として15期メンバー書いてもらおうかと考えちゃいました
北研愛生cに加え一般からも2人も入って期待大な加入でしたね><

962名無し募集中。。。:2019/06/23(日) 11:22:19
やべ汗カノンのことすっかり忘れてたw超高速&時間制限でクロックアップ的な感じ

> "女子三日会わざれば刮目して見よ"

なるほどこの戦いを経験したからこそあのときリサに話したのか

963 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/24(月) 13:25:56
自身の身体能力を一時的に上昇させるという効果は、カリンの必殺技「早送りスタート」に非常に似ている。
異なる点は、カノンの必殺技「泡沫」は事前準備および使用後の副作用が重すぎることだ。
カノンが己の必殺技の片鱗を見たのは、数年前、フクが王座を勝ち取ってから数日後のことだった。

(もうあの時みたいに悔しい思いはしたくない……王を守れるくらい強くならなくちゃ!)

ハルナンら天気組との決戦では、フク・アパトゥーマ以外のQ期組は途中で倒れてしまっていた。
自分たちの不甲斐なさを痛感したエリポン、サヤシ、そしてカノンはそれまで以上に訓練に熱中することとなったのだ。

「ハァ……ハァ……」
「カノンちゃん大丈夫?朝から何も食べてへんやん!」
「エリポンの言う通りじゃ。いつもみたいにお腹いっぱい食べた方が……」
「これくらい平気だよ……それよりもっとトレーニングしなきゃ!!」

身体を心配するエリポンとサヤシの声を聞かずに、カノンは必死で訓練に励んでいった。
調子は最悪だったが、夜になる頃には身体が軽く感じて、事実いつもよりもスピードが出ていた。
不思議と頭も冴えてきたため、ある種の高揚感を抱きながら剣の打ち込みを続けていると、
やがて本当に燃料切れになってしまい、ぶっ倒れてしまった。
その際にエリポンとサヤシに迷惑をかけてしまったので、翌日からはしっかりと栄養を摂るようにしたのだが、
あの時感じた高揚感がどうしても忘れられずにいた。
そして数ヶ月おきに同期にこんな相談をするようになったのだ。

「明日は24時間の絶食を試してみる……倒れちゃったら、ごめんね。」

はじめはエリポンもサヤシも猛反対したが、やがてカノンに協力するようになった。
カノン・トイ・レマーネの目の奥で燃える炎が、決して自暴自棄から来るものではないと気づいたからだ。
止められないのであればカノンが無事に絶食を終えられるように全力でサポートする。それが最善策だと考えたのである。
そしてそのような断食訓練を何回か経験したところで、エリポンとサヤシはカノンの異変に気付き始める。

「ねぇ……カノンちゃん……めっちゃ痩せてない?」
「え?」
「2日前はいつものカノンちゃんだったのにどうなってるんじゃ???」

絶食48時間を超えた時点で、カノンの肉体は大量の脂肪をエネルギーへと変換し、
ハルナン以上のスリムボディーへと変えさせたのだ。
言わば何十キロもの重りを脱ぎ捨てたようなもの。
その姿のカノンのスピードはサヤシをも超えるようになっていった。
もちろん飲まず食わずの状態で激しい動きを続けられる訳が無いのですぐに倒れてしまうが、己のこの状態は切り札になり得るとカノンは確信していた。

(だから私は、アリアケの決戦の後から絶食を開始したんだ。2日後のプリンスホテルの決戦のために。)

ベリーズとの戦いの日程をおさらいすると以下のようになる。

28日 アリアケの橋の上での戦い
1日 アリアケでの休養日
2日 プリンスホテル改めシバ公園での戦い
3日 武道館での戦い

カノンは28日の時点で2日の戦いを意識し、飲み食いを控えることにした。
そして、自身の身体の変化が周囲にバレないように、全身を覆うフルアーマーを装着しようと考えたのとその時だった。
結果、2日の時点ではチナミのバズーカですぐに倒されれてしまったため「泡沫」を披露する機会は無かったが、
それが功をそうして、3日の武道館の戦いでは自身も踏み入れたことのない境地である断食3日目に到達することが出来たのだ。
感覚からして自身の身体はもう1分も持ちそうにない。
だが、今の自分ならば食卓の騎士と同等の強さを発揮することが出来る。
そして何より、頭が澄み渡るように冴えているのだ。
どうすればモモコに有効打を与えることが可能か、手に取るように分かる。
時間制限付きではあるが、これこそがカノンの求め続けた「王を守る強さ」では無いだろうか。

Oh my wish! 進め
Go for it! 挑め
Oh my wish! 自分を磨け
わかるだろう 進むべき道や
キラキラと輝くために
すべきこと

そのように思いながら、カノンはモモコの腹に蹴りをぶつけていく。

964 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/24(月) 13:30:11
Oh my wishリリース当時の痩せ方をイメージしていただければと思います。

>>961
15期の話はオマケとかで書いてみたいですね。
特にここ最近は北海道研修生の躍進が目覚ましいので、師匠も含めて色々と関連づけられそうです。

>>962
はい、女子三日〜の繋がりは意識しました。
ぶっちゃけると後付けなんですけどねw

965名無し募集中。。。:2019/06/24(月) 13:33:59
Oh my wish! の挿入歌であやうく泣きそうになった…

966名無し募集中。。。:2019/06/25(火) 01:34:03
泡沫後の副作用が気になります、、リバウンド程度で住みますよう;><
作者さんが15期をごっちんやりほ2の再来
第3の黄金期かの如く書いたら現実もそうなってしまうのではとか謎期待して、、w
OMAKE好き先々の楽しみがまた増えました!

967 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/25(火) 14:11:55
モモコの身体も限界に近づいていた。
平気な顔をしているように見えるが、昨日のキュート戦での負傷も引きずっているため、
ここでカノンの攻撃を受け続けるのはとてもまずい。
こうなったら徹底抗戦するしかない。モモコはそう考えた。

「ツグナガ拳法……"派生・貫の構え"」

全ての力を小指に集中させて、カノンが蹴りを繰り出したタイミングで相手の太ももへとぶっ刺した。
アクリルで包まれたモモコの小指は非常に硬く鋭くなっており、
屈強な脚の筋肉さえもドリルのように貫いてしまう。

「!!!」
「ふぅ〜ん。痛覚は残ってるんだ。痛いでしょ〜。何秒我慢出来るかなぁ〜?いーち、にーい、さーあん。」

ただでさえ辛い状況なのに指を刺されたものだから、カノンは苦しみ悶えてしまった。
だが逆に言えば接近した今がチャンス。
両手の拳をギュッと握り、モモコの胸にパンチのラッシュを叩き込んだ。

「おりゃああああ!!」
「ちょっ、やめてよ!放すから!」

モモコが小指を抜いたおかげでカノンはまたも自由に動けるようになった。
脚から血が吹き出ているが、そんなのを気にしている暇はない。
鎧のそばに落ちている出刃包丁「血抜」を拾い、モモコに斬りかかっていく。

「そんな物騒なモノ持ち出さないでよっ!!」

モモコは電磁石を3個、4個投げて出刃包丁の刃にくっつけていく。
それだけでかなりの重量になるため、本来であれば包丁を持っていられなくなるはずだった。
しかし、今の覚醒したカノンはこの程度の重さをものともしない。
むしろ重量感の増して破壊力の増した得物を振り下ろし、モモコの頭に叩きつけていく。

「あっ……」
「磁石が邪魔して刺さらなかったか……でも威力は十分でしょ!」

脳天で喰らったモモコの視界はもはやグチャグチャだった。
吐きそうなくらいに苦しいが、クリンチをするようにカノンに抱きついては、
先ほどとは逆側の太ももに小指を刺していく。

「また痛みの我慢大会してみる?……いぃーち。にぃーい。」
「くっ……やめてよ!!」

カノンはくっついてくるモモコを思いっきり蹴飛ばした。
その時の手応えは十分すぎるほどに有り、骨の何本かを折ったような感触が今でも足に残っている。
あと少し、あと少しでモモコに勝利できるんだ!
カノンは心からそう信じていた。


「アーリーちゃん、こっち来て。緊急作戦会議よ。」
「え?……どうして?……もう勝ちそうなのに……」
「いいから黙って従って!時間が無いの!!」
「意味わからないです!まだ58秒経ってませんよ!」
「もう時間が無いっていってるの!!」

968名無し募集中。。。:2019/06/26(水) 00:41:40
頭部に刃を向け磁石が邪魔で刺さらなかったって言葉に思わず我に返ったんですけど
メチャ命の奪い合いですね
刺さらなくて良かった、、w

969 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/26(水) 13:11:34
さぁ、あと一息だ。
そう意気込んで足を踏み込もうとしたその時、カノンは身体がズシンと重くなるのを感じた。
異変は重さだけではない。 悲鳴を上げてしまいそうな程に頭が痛むし、手足には殆ど力が入らない。視界もボヤボヤと霞んでいく。
カノンにはこの症状に心当たりがあった。

(エネルギー切れ?……)

もう何もする気が起きず、油断すれば意識まで断たれてしまいそうなこの感覚はエネルギー切れに違いない。
しかし、宣言してからは58秒の猶予があったはず。 まだ58秒に達していないのに何故動けなくなってしまったのか?
立ってられないカノンに対して、モモコがその解説をし始めた。

「2つの誤認があなたをそうさせたの。」
(誤認……)
「1つは時間感覚の誤認。 カノンちゃん、どうせ、まだ30秒くらいしか経っていないとでも思ってたんでしょ?」
「え……」
「あー返事はしなくていい。そこのハルナンに答えてもらいましょ。 ねぇハルナン、カノンちゃんが58秒って言ってから倒れるまで何秒かかった?」

指名されたハルナンはドキリとした。
ここで答える義務は無いが、同士のカノンに真相を伝えないのは心苦しいため回答してしまった。」

「……50秒。」
「!?」
「その通り〜。じゃあなんでカノンちゃんが20秒も誤認しちゃったか分かるかな〜?シンキングタイムスタート!いぃ〜〜ち!にぃ〜〜い!」

モモコがわざとらしく長めにカウントしたのを聞いて、カノンはハッとした。
そういえば先ほどもモモコはゆっくりと数を数えていた。
そのカウントに引きずられて、カノンは無意識のうちに実際の時間よりも遅く数えてしまっていたのである。

「気づいたようね。それが1つ目の誤認。」
「で、でも!」
「んん?アーリーちゃんどうしたのかしら。」
「それでも50秒だったらまだ58秒に達してない!カノンさんが倒れた理由にならない!」
「そ。2つ目は自己評価の誤認。アーリーちゃんの言うとおりよ。」
(自己評価!?)

カノンには全く見当がつかなかった。
自分のことは自分がよく分かっているはず。
いったいモモコは何を言っているのだろうか。

「カノンちゃん。返事はなくて良いからよく思い返してみて。
 あなたはその必殺技を実践で使ったことがある?
 また、必殺技の最中に負傷して血を流したことはある?
 お仲間のハルナンですら痩せてるカノンちゃんを知らなかったところを見ると、訓練でしか試したことが無かったんじゃない?」
「!!!」

全てがモモコの言う通りだった。
必殺技「泡沫」は敵のいないトレーニング中にしか発動させたことはない。
そのため、その状態で怪我をしたことなんて一度もなかったのだ。

「無傷で58秒動けるのならば、血をダラダラ流し続けてる今はもっと短い秒数しか動けないに決まってるじゃない。
 まぁ、それでも50秒も頑張れたのは立派だと思うけどね。」
「……」
「でも、もう動けない。 理由は2つの誤認。ね、良い教訓になったでしょう。」

970 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/26(水) 13:18:48
>>968
磁石がうまくくっつかなかった場合は、モモコは他の手段で回避しようとするので
頭から切られるような事態には多分なっていないと思いますw

971名無し募集中。。。:2019/06/26(水) 22:15:25
本当に泡沫で終えちゃった、、
てか数えてたなら伝えなかったのはハルナンの落ち度だw

972 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/27(木) 13:21:18
「うわああああああ!!」

カノンは絶叫し、モモコ目掛けて飛びかかった。
相手が絶対に動けないと確信していたモモコは反応することが出来ず、頰にパンチを貰ってしまう。

(えっ!?……58秒っていうのはブラフだったってこと?……)

真っ先にカノンが嘘をついたことを疑ったモモコだったが、すぐにその考えを取りやめた。
相手の顔を見ればよく分かる。カノンは今、無理をして動かぬ身体を叩き起こしているのだ。
モモコの説明が長かったおかげで、限界を超えるための体力をちょっぴりだけ取り戻したのだろう。
それを理解したモモコは、ひどく哀しい顔をする。

(あのまま諦めてくれればどれだけ良かったか……
 酷だけど……カノンちゃんは手を抜いていい相手ではない。やるしかない。)

ベリーズ達は本日行ったミーティングにて、相手の命を奪う覚悟で戦うことを決意していた。
クマイチャンだって、ミヤビだって、相手が誰であろうと殺す気で刃を振るっている。
そんな中でモモコだけが甘い考えを持つわけにはいかなかった。

「ツグナガ拳法”派生”……」

モモコのツクナガ拳法には3つの派生技がある。
「派生・貫の構え」によって、ピンキー(小指)のドリルでカノンの肉体に穴をあけるのが良いだろうか。
いや、今の限界を超えたカノンはそれでは止まらないだろう。
「派生・謝の構え」によって、相手の攻撃の軌道をそらして技を台無しにしたうえで、「許してにゃん」と謝るのが良いだろうか。
いや、真摯に向かってくるカノンに対してそれは礼に欠ける。
やはり、ここは礼を正すべきだ。
カノンが剣士として己の全てを突きつけて来ようとするのであれば、モモコだって剣士として立ち向かわなくてはならない。

「……”閃の構え”」

一閃、モモコは小指でカノンの胸を切り裂いた。
指の振りが速すぎるあまり、その”斬撃”は火花をもたらし、
まるでモモコの小指からビームが発せられたかのように見えていた。

「あ……あああ……」

脚だけでなく胸からも大量出血しているカノンには、限界を超える力は残されていなかった。
彼女の脳は急激に酸素を欲している。だが、血液を流し続けている今、酸素を送り込むことは叶わない。
これ以上の活動を許さぬカノンの身体は、意識を強制的に断つ選択をする。

「カノンさん!カノンさぁん!!」

大声を出して駆けつけようとするアーリーだったが、ハルナンにしがみつかれ、制されてしまう。

「アーリーちゃん落ち着いて!」
「だって!早く治療しないと本当に死んじゃう!」
「分かってる!分かってるから私たちは今すぐにでも勝利しないといけないの!
 もうエリポンさんもカノンさんもマーチャンも戦えない!
 アイリ様と、アーリーちゃんと、私の3人でやらないといけないの……」
「うっ……うっ……」
「私を信用できない気持ちは理解できる。でも、今は私の話を聞いて。」

2人が言い合っているところで、モモコとアイリは突然の来客に気づいた。
それは、カントリーのメンバーであるチサキ・ココロコ・レッドミミーだった。
疲労困憊で今すぐにでも倒れてしまいそうだが、モモコの命令通りにこの場にやってきたのである。

「……勝ったんだね。」
「はい……でもごめんなさい……私、もう、眠くて戦えません……」
「ううん。いいの。みんなも連れてきてくれて、本当に有難う。」

モモコはチサキが連れてきた大勢のカエルの側をチラリと見た。
そのカエルらは気を失っているリサ、マナカ、マイの3名をこの場に連れてきている。

「モモち先輩」
「……なに?」
「私も、みんなも、モモち先輩のことを信じてます。 この後何があったとしても、攻めたりなんかしません。」
「……」
「だから……勝ってください。」

全ての力を使い果たしたのか、チサキは最後の言葉と同時に倒れてしまった。
せっかくリサ、マナカ、チサキ、マイがこの場に戻ってきたというのに、これでは全く戦力にならない。
だが、モモコは決してそんな事は思っていなかった。

「ありがとう……残る相手はアイリとハルナンとアーリーちゃんの3人だよ……みんなで協力して倒そう。」

モモコは予備の糸を取り出し、思いを込めて、投げつけていった。

973名無し募集中。。。:2019/06/27(木) 18:32:09
動けないカントリーのメンバーに糸?モモコがやろうとしていることは・・・あの曲のイントロが聞こえてくるw

974名無し募集中。。。:2019/06/28(金) 12:11:34
暗器返却のため帰還促してたのかと思いきや
ここまで都合の良くタチ悪い協力って言葉は久々に聞きましたw

975 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/28(金) 15:36:18
●場面1 : 武道館東口 「チームダンス部 vs シミハム&リシャコ」

シミハムはすでに”それ”を消し終えていた。
以前にも述べたが、シミハムは敵対する者よりは協力的な者の方が消しやすく、
また、意思を持つ者よりは無生物の方がより簡単に存在を消すことが出来る。
精神のすり減り具合から、もうシミハムとリシャコを交互に消滅させると言うような芸当は出来なくなるが、
ここからのシミハムは、無駄な消耗なしで戦いに臨むことが可能になる。

「……!」

シミハムは数メートル先にいるナカサキ目掛けて攻撃を仕掛けた。
下半身を故障しているナカサキに追い打ちをかけることで、チームダンス部の戦力を大幅にダウンさせようと考えたのだ。

(シミハムは何をしようとしているの?こんなに離れてるのに攻撃が通るわけが……)

自分とシミハムの距離は十分に離れていると判断したナカサキは、いたずらに逃げずに、観察に徹することにした。
何かの罠であることを警戒したのだ。
だが、これは罠でもなんでもない。
シミハムの武器はあっという間にナカサキの元へと達し、腹に強烈な一撃を喰らわせる。

「!!?……な、何を!?」

シミハムはただ普通に、己の武器を使って攻撃しただけ。
だと言うのに、食卓の騎士であるナカサキともある者が全く防御することなく受けてしまったのだ。

「……」

シミハムは武器を手前に引っ張り戻そうとした。
そしてそのついでに、自分を延々と監視し続けているサユキ・サルベの背中へとぶつけていく。

「えっ!?……」

果実の国の中でも上位の実力者であるサユキまでもがシミハムの攻撃をただただ受けていた。
サユキはシミハムの一挙一動を逃さず監視していたはず。ボーッとしてなんかはいない。
では何故このような事が起きるのか?
どうやら、この状況を理解できていないのはナカサキやサユキ、マイマイにサヤシらチームダンス部だけではないようだ。
同じベリーズのリシャコも混乱を隠せずにいた。

「団長さすがだね!……あれ?でも、どうやって遠くにいる相手に攻撃を当てたの?……」

リシャコと同様のことを被弾したナカサキとサユキも思っていた。

(あれ?……全然思い出せない……)
(私とナカサキ様……今、どんな攻撃を受けたの?……)
((シミハムは素手なのに、いったいどうして???)

シミハムが自身の無のオーラで消したのもの、それは「三節棍」だ。
自身が愛用する武器の存在感さえも消してしまったのである。
今のはほんの小手調べ。
武器を消す事がどれだけ恐ろしいか、チームダンス部はとくと思い知ることになるだろう。

976 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/28(金) 15:41:51
>>973-974
場面が移ってしまったのでモモコの行動の答え合わせはまだ先になりますが、
ご想像の通りのことが起きると思いますw
糸をやたらと推してたのもこの時のため……

977名無し募集中。。。:2019/06/28(金) 23:10:00
なんていいタイミングでwてかシミハム戦続いてたの忘れてた汗
もう一度最初から読み返さなきゃ…マーサー王からwって、ログ置き場みれなくなってる?

978名無し募集中。。。:2019/06/29(土) 10:57:27
シミハムの能力って応用力高すぎてほんと無敵ですよね
今アニメでJOJO5部見返してるのですがキングクリムゾンくらいは強い気がします
こうやったら視認できて破れるかなとか投げかけたい質問を堪えるのに必死ですw

979 ◆V9ncA8v9YI:2019/06/30(日) 15:46:35
過去ログは本当に再整理しないといけませんね。
次スレ立つ頃には無いと困りますしね。

シミハムのルールについては私も把握していない可能性もありますw
以前と今とで考えが変わっちゃったとかで……


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