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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部

912 ◆V9ncA8v9YI:2019/05/03(金) 17:12:38
ハルナンは気が遠くなるような感覚に陥った。
己の判断が誤った結果、自軍が不利になったことにショックを受けているのだ。
しかしいくらハルナンが名の知れた指揮官とは言え、作戦ミスはこれまで何度もあったはず。
だと言うのに、何故ここにきて言葉を失うほどに自信喪失してしまったのか。
それは、全責任をハルナンになすりつけるべく、モモコが意図的にコントロールしたところにあった。

「分かりやすい例としてマーチャンをあげたけど、他の子への指示もひどいものだったよね?
 エリポンにはとっておきの必殺技を出させといて通用しなかったし、
 アーリーもその場に立ちすくんじゃってるよ。何すれば良いのか分かってないんじゃない?」

全部が全部ハルナンのせいという訳ではないが、
モモコはその100%をハルナンの重荷にしてやろうと仕掛けたのである。
例えそれが事実と食い違っていたとしても、
「モモコが指摘して」「ハルナンが黙り込む」という構図さえ作ってしまえば、周りはそう受け取ってしまう。
こうなればハルナンの指揮官としての信頼度は地に堕ち、この後の戦略の幅は大きく制限されるはず。
モモコはそう考えていたし、本来であればそうなったことだろう。
しかし、エリポンはそれを許さなかった。

「ちょっとちょっと〜誰の必殺技が通用しないですって〜?」
「……なに?」

こんな状況で発言しだすエリポンに、モモコだけでなくハルナンもアーリーもアイリも注目せざるを得なかった。
空気を読まないにも程がある。

「通用しないもなにも、ご自慢の必殺技は失敗に終わったじゃない。豪快に転んでたでしょ。」
「あーそっかー、アレを失敗と思われちゃったのかー」
「何が言いたいの。」
「だって、さっきのは一打目やけん。」

少し離れたところにいたアイリは衝撃を受けた。
"一打目"という言葉を聞いて、エリポンの必殺技が、自身の必殺技「トゥー・カップ・ベクトル」と似た構造だと気づいたのだ。

(え?え?あの子の必殺技ってなんて名前だったっけ?……)

エリポンの必殺技の名前は「”遅々不意不意(ちちぷいぷい)”」。
その名前から速度に緩急をつけて相手の意表をつく技だと思い込まされていたが、
それだけではないのかもしれないと、アイリは考えを改め始める。

(必殺技を出す前に、エリポンは自身の技を「接近技」だとと言っていた。
 それと、「相手目掛けて突っ込む」とも言っていた……
 接近……"アプローチ"ってこと?……)

アイリやエリポンが好むゴルフにはいくつかの打ち方があり、
その中にアプローチと呼ばれるショットがある。
アプローチとはボールをカップに寄せる打ち方であり、まさに接近のための技と言っても良いだろう。
カップのすぐそばにまで接近(アプローチ)するだけでも十分凄いのだが、
エリポンはその程度では必殺技とは認めなかった。

(エリポンの必殺技名は"ちちぷいぷい"、
 ちちぷいぷい……ちちぷいぷい、ちっぷい、チップイン……ええぇ〜?そういうこと〜?)

アイリが必殺技の全貌を理解しかけたところで、
エリポンがモモコ目掛けて打刀をビシッと突き付けた。

「エリの必殺技は絶対決まる。ハルナンの作戦は失敗じゃないってことを証明してあげるっちゃん。」


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