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ツンデレじゃない長編投下・評価スレ

1名無しさん:2005/08/25(木) 00:21:49 ID:39XN4txs
既存のキャラで長編を書いたは良いがツンデレ小説とはかけ離れたデキになってしまったことはありませんか?
(ツンがない、アクション、純愛、ギャグ一辺倒)
明らかにスレ違いと揶揄されそうな長編はここに投下しましょう。
またはこのスレの人達に評価してもらい本スレに投下するか決めましょう。
判断基準・ツ ン デ レ はあるか?
うん、ごめん建てたけど需要ないかも。

87山田を支援するヒトⅢ(1/4):2005/08/31(水) 00:47:26 ID:yRwbKb2M
『別府先輩…』
「やぁ、やよいちゃん」
『今日…山田先輩がお休みって…ほんとですか…?』
「あぁ…今日は来てないな……バカでも風邪はひくんだなww」
『山田先輩はバカじゃありませんっ!!………あ…ごめんなさい…』
「……い、いや、オレも軽率だった。ごめんね。」
『あの…こちらこそ……あ、ありがとうございました!失礼します!』
「…………山田のやつ……愛されてるな…」



  ピンポーン…  ガチャ
『こ…こんにちは…』
「あれ……やよいちゃん…授業は…?」
『授業なんてどうでもいいんですっ!……それより…大丈夫ですか…?』
「うん……なんとか…熱は下がってきた…」
『そ…そうですか…よか………
  バタッ!
『……あ…先輩!!しっかりしてください!!先輩!!』

88山田を支援するヒトⅢ(2/4):2005/08/31(水) 00:48:04 ID:yRwbKb2M
「――――う…うぅん……」
『……先輩…気がつきましたか……良かった…』
「やよいちゃん……オレ、どうなったの…?」
『…玄関で倒れて…私が勝手に……先輩を運んで…寝かせました…』
「……ごめんね…大変だったでしょ…?」
『私が先輩を呼び出してしまったのが原因だし……それに、勝手に先輩の家に上がりこんでしまってごめんなさい……
 ……おうちの人も誰もいらっしゃらないみたいだったから………つい……』
「…あぁ…オレ…かっこわりぃな…」
『そんなことないですよ……はい、冷たいおしぼりに取り替えますよ〜』
「……今日、両親がちょうど旅行に行っちゃってたんだ……やよいちゃんがいなかったら…オレ、ダメだったかも…」
『やっぱり誰もいないんですか……………誰も……………………(////)』
「………やよいちゃん…」
『は…はいっ!!………(/////)』
「?? ………オレの風邪、うつっちゃうよ…?」
『……え…?あ、あの、私はいいんです…むしろうつされたいってゆーか…なんとゆーか……(////)』
「?? …うつっちゃったら…ごめんね……」
『……いいえ…今日は、先輩が帰れっていうまでは、看病してあげますね!』
「ありがとう…」
『あの…もしよければ……お粥とか作りましょうか?』
「無理しなくていいけど……作ってくれたら…嬉しいかも…」
『はい!がんばります!!』

89山田を支援するヒトⅢ(3/4):2005/08/31(水) 00:48:35 ID:yRwbKb2M
『ねぇボクっ娘ぉ』
『ボクっ娘って呼ぶな! で、な〜に?』
『やよい、今風邪ひいて休んでるじゃない?』
『うん。風邪なんてひかない娘なのにね』
『昨日、やよいの家にお見舞いに行ってきたんだ。そしたらね♪面白い話を仕入れちゃいました♪』
『なに?なに?ボクにも教えてよ〜』
『実はね…………ヒソヒソ……』
『え…それじゃ……風邪ひいて喜んでるってこと?』
『そうみたいよ。"私、先輩と苦しみを共有できて…幸せ……" だって♪もうこっちはやってらんないわよね〜』
『いいな〜!いいな〜!ボクもアッツイ恋愛してみたいな〜!』



『タカシ、山田って今日も休んでるの?』
「あぁ、でもなんか、もう治ってるらしいけどな…」
『えぇ?じゃあ、学校に来ればいいじゃない……本格的に引きこもっちゃったのかしら…』
「いや、"漏れのせいでやよいちゃんに風邪をうつしてしまったから、看病してあげるんだお" だとさ」
『ふ〜ん………(タカシも風邪ひいてくれないかな…そしたらアタシが……ってやだぁもうかなみちゃんったら♪
 あ、でもでもぉ、タカシが風邪ひいちゃってつらいのはかわいそうだしぃ……
 そうだ!アタシが風邪ひいたら…うちにお見舞いに来てくれるかな……そしたら…………うふ♪うふふふ♪)』
「…………おい……どうした?ニヤニヤして…」
『……!!(/////) な、なんでもないわよっ!!タカシのバーカ!!』

90山田を支援するヒトⅢ(4/4):2005/08/31(水) 00:49:03 ID:yRwbKb2M
「―――やよいちゃん、大丈夫?」
『平気です……』
「全然熱が下がってないじゃないか……」
『…………そ、それは……先輩が……………そばにいるから…(/////)』
「今、おしぼり濡らしてくるからっ!」
『あ…………はぁ………  …でも……幸せ…♪』


 先輩は…私のことどう思ってるんですか…?
 やっぱり、妹みたいにしか思ってくれてないのかな…
 今の私は、先輩のこと…おにいちゃんとしてじゃなくて…………………
 先輩……私の気持ちに…気づいてくれてますか…?




たまに他のキャラのエピソードが入るのは、せめてもの罪滅ぼしです。。。

91山田を支援するヒトⅣ(1/4):2005/08/31(水) 00:49:47 ID:yRwbKb2M
「さて………そろそろ帰るとするかな…」
「………タカシぃ…」
「お、おい山田…どうした…元気ないな…」
「…タカシに相談したいことが……」
「おう、言ってみろ」
「…実は……………漏れ、やよいちゃんのこと…好きになってしまったかもしれないんだお……」
「……そ、そうだろうな…あれだけ尽くされればな……(てゆーかまだ付き合ってなかったんだ…)」
「……でも…漏れには自信がないんだお……」
「………………」  『(? なに男二人で話してんだろ………)』
「漏れがあの娘と付き合うことになってしまったら…彼女を苦しめてしまいそうだお……」
「………………」
「漏れみたいな人間に…彼女が尽くしてくれるのが…申し訳ないんだお…」
「バカヤロー!!」 『!!!』
「…タカシ……」
「おまえ、やよいちゃんの気持ちを考えたことあんのか!」
「…わかってるお……だからこそ…申し訳ないんだお……」
「やよいちゃんはなぁ!おまえのことが好きなんだよ!それ以上でもそれ以下でもねぇっ!
 あの娘は、おまえじゃなきゃダメなんだよ!!どうしてその気持ちに応えてやれねぇんだ!!」
「………………」
「やよいちゃんは、そのままのおまえが好きなんだよ!頼りなくて、アホみたいにブンブン言ってて、
 だけど、どんなにつらくても笑顔を絶やさないおまえが好きなんだよ!!」
「………………」
「おまえも、やよいちゃんが好きなんだろ!?」
「…う……うん……」
「だったら、その気持ちを思い切って伝えちまえ!!
 もし彼女がおまえに対して不安を述べたら、彼女好みの男になれるように、自分をみがけばいいだろ!!」
「…タカシ………やっぱりタカシは大人だな……オレ、思い切って告白してみるよ!ありがとうタカシ!!」

「……………な…なんだ…? 今、オレの知らない山田が見えたような気が……」

92山田を支援するヒトⅣ(2/4):2005/08/31(水) 00:50:27 ID:yRwbKb2M
『………た、タカシ…』
「うわぁ!!か、かなみ……聞いてたのか……」
『うん…ごめん……でも…タカシ…かっこよかったよ…(////)』
「ううううるせぇな!!とっとと帰れ!バーカ!」
『な…なによ!ほめてあげたのに!バーカバーカ!』
「バーカバーカバーカ!」
『バカバカバカバカバーカ!!』
「………(はぁ…人にはあんなこと言えるくせに……オレって素直じゃねぇよな…)」
『………(あ…黙っちゃった……ちょっと言い過ぎちゃったかも……)』
「『あの…! …………』」
「ど…どうぞ……」
『あ…アンタから…言いなさいよ…』
「…………い…一緒に…帰ろうぜ…」
『………う……うん……』
「…………………」
『…………………』



「あ、あの…やよいちゃんは……まだいるかい…?」
『あ!山田先輩!やよいなら………』
『先輩!!どうしたんですか!?』
「……話があるんだ………時間……いいかな…」
『は…はい…』

『………ねぇボクっ娘ぉ♪』
『ボクっ娘って呼ぶなー!』
『山田先輩……もしかして♪』
『う、うん…ボクまで緊張してきたよ…』

93山田を支援するヒトⅣ(3/4):2005/08/31(水) 00:50:54 ID:yRwbKb2M
「……突然呼び出してごめんね…」
『…いいえ……あの…屋上でなければできない話…なんですか…?』
「…いや、その、なんてゆーか……ごめんね…」
『あ…謝らなくていいですよ…』
「えっと……オレが君を呼び出したのには理由があって…」
『…は、はい…』
「まぁ、あの、理由っていっても、やよいちゃんにとってマイナスになるようなことじゃなくて…
 …いや、こんな言い方おかしいかな…少なくともオレにとってはプラスになるってゆーか……」
『……はい…』
「その、要するに……お、オレと…付き合ってくらふぁいっ!!……………あ…」
『…………………………』
「…………………………」
  バタッ!
「!! やよいちゃん!しっかりして!やよいちゃん!!」



『―――…ん…うぅ……』
「…あ!……やよいちゃん!……良かった…大丈夫…?」
『………先輩……ここは…?』
「保健室だよ……やよいちゃん…突然倒れて……」
『………先輩……私…夢を見ていました……』
「…どんな夢?」
『…………そんなの………言えません…(////)』
「……教えてよ…」
『…………先輩が……学校の屋上で……私に………こ、告白してくれる夢…です……(/////)』
「……………そ、それって……」
『……??』
「……改めて言うよ………やよいちゃん……オレと、付き合ってください…」

94山田を支援するヒトⅣ(4/4):2005/08/31(水) 00:51:19 ID:yRwbKb2M
『……………夢じゃ……なかったんだね…………』
「…………………」
『……………………うぅ……グスッ……』
「…や、やよいちゃん…ごめん……オレ、バカなこと言っちゃっt
『私のこと…ずっと大切にしてくれますか…?』
「……………う、うん…」
『浮気とか、絶対にしないって…約束してくれますか…?』
「…うん……」
『私のこと、やよいって、呼び捨てにしてくれますか…?』
「う……や……やよい……」
『……もっと…私の名前……呼んでください…』
「…………やよい……」
『もっと…』
「……やよい…」
『もっとぉ……』
「………やよい……ちゃん……も、もう、恥ずかしいよ……」
『…えへへ♪………じゃあ……許してあげます……』
「…………オレが…やよいを……絶対に幸せにするって…約束するよ…」


『幸せにしてください……』



             糸冬



何度も"やおい"と打ち込んでしまった件&読んでくれた人サンクスw

95名無しさん:2005/08/31(水) 00:52:15 ID:yRwbKb2M
いっぱい書き込んでしまってゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ×100

ツン

96名無しさん:2005/08/31(水) 09:56:37 ID:4ftpZkEE
>>94
>何度も"やおい"と打ち込んでしまった件
あるあるwwwwwww

で、全部読んだ。確かにツンデレが主じゃなかったけど、GJ!
別に山田嫌いじゃないし、たまにはこういう話も読んでも(・∀・)イイ!
VIPPRE山田の裏を垣間見るタカシにワロスwww

97ロストマン  1/4:2005/09/02(金) 01:55:37 ID:nhaV1Ay6
 もう、正午を過ぎた。
 …そういえば、昨日の夜から何も食べていなかったっけ。

 何も食べなければ、どうなるかぐらいわかる。
 現に今、立っているだけで精一杯なんだから。

 成人男性ですら、一週間で餓死すると聞いたことがある。
 ぼくみたいに体が小さいと、三日もつかどうかすら危ういな。

 パンなら、冷蔵庫の中にある。
 でも、食べる気には、なれない。

 もう、寝てしまおう。
 夢でも、見よう。…底抜けに明るいやつがいい。

 ぼくと、いなくなった父さんと、いなくなった母さんとで。
 …あの、思い出のような日々を、もう一度、見てみたい。

 見るだけで、いい。
 父さんと母さんが、一緒に助け合って、笑い合って。
 そんなゆめのような夢が、見れるだけでいい。

 母さんは、ぼくが邪魔だから、父さんに任せてどこかに行った。
 そんな母さんと、父さんが、一緒に笑っているところが、見たいんだ。

 ぼくは、その輪に入る権利がないから、輪の外で見ている。そんな夢。
 …母さんがいなくなったのは、ぼくのせいだ。ぼくが邪魔だったからいけないんだ…!

 父さんが仕事を辞めたのだって、ぼくのせいだ。
 母さんがいなくなって、家事をする必要があったからなんだ。

 ぼくのせいだ。
 ぼくのせいなんだ。

 ぼくのせいだ。
 みんな、ぼくのせいなんだ。

 ぼくのせいだ。
 母さんが、いなくなったのも。

 ぼくのせいだ。
 父さんが、仕事を辞めたのも。

 ぼくのせいだ。
 父さんが、少し乱暴になったのも。

 ぼくのせいだ。
 かなみが、傷ついちゃったのも…!

 ぼくのせいだ。
 父さんが、死んでしまったのも……ッ!!

 みんな、ぼくが悪いんだ……!!!!

「うっ、う…、うぁあああぁあああぁぁあああああぁああああぁ!!」
 ――――――――こんな現実には、もう疲れた。

98ロストマン  2/4:2005/09/02(金) 01:56:21 ID:nhaV1Ay6
 …ぼくの屍骸は、どうしよう。
 夏は生ものがすぐに腐る。
 腐ったら、周りのひとに迷惑かかるかもしれないな…。

 鍵は…かかってない。わざわざ立つのは面倒だし。
 とは言っても、金目のものなんてないから、空き巣にも狙われないや。

 何か、引っかかる。
 …だいじな、なにかを忘れていたような気がする。

 まぁ、いいや。
 考えることなんて、もうこれ以上ないんだから。

 ―――――もう、疲れたんだ。
 だから、そろそろ眠りたい。
 …それが、できない。

 「これは錯覚だ」と、自分に言い聞かせようとする。
 でも、この感覚は、錯覚なんかじゃない。

 がちがち、がちがち。
 がちがち、がちがち。
 がちがち、がち…。
 セミの鳴き声は、いつの間にか止まっていた。
 …セミの声がない今、時計の音をかき消すものはなにもない。
 こんなにも、かちかちとうるさいとは、思っていなかった。

 かち、かち、かち、かち。
 かち、かち、かち、かち。
 かち、かち、かち、かち。
 かちかちと鳴く時計は、もう7時を指している。
 つらいけど…まだ、眠るわけにはいかない。

 …不意に、思い出した。
 ぼくは、まだみんなに、ごめんなさいって言ってないんだ。

 みんなに、たくさん迷惑かけてきたんだ。
 …伝えなきゃ、いけないことだったのに。

 せめて、遺書だけでも書いておこう。
 そう思い、布団から起き上がる。
 書き出しは、どうしようかな…?

「うっ…」
 あれ、何でぼくは立てないんだろう。
 ああ、何も食べてないことを忘れてた。
 ぼくのことなんて、大事じゃないしどうでもいいや。

 …意識を失うまで、若干のタイムラグがあるみたい。
 次があるのなら、参考にしよう。

 ぼくは、死にたいのか、それとも、死にたくないのか。
 …それが、よくわからなくなってきた。

 でも、ひとつだけ分かることがある。
 ――――――これで、ようやく楽になれるってことだ。

99ロストマン  3/4:2005/09/02(金) 01:57:18 ID:nhaV1Ay6
――――イントルード、かなみ。

 みことさんから、休んだ理由を聞いた。
 …朝は、悪いこと言っちゃったかもしれない。

 あいつ、傷ついてたらどうしよう。
 そのことばかり考えて、部活に身が入らなかった。

 電話をかけても、透は出ない。
 そりゃあ、当然か。私が、あんな言葉をかけたんだから。

 ……わたしは、どうしようもないくらい、ばかだ。

 今、時計は七時。
 何度もかけたのに、でないっていうのは、いくらなんでもおかしい。
 …透の家に行くためにも、身支度をしなきゃ。

「……あいつ、自暴自棄にでもなってんのかしら」
 それは、ありえないことじゃない。
 だってあいつ、繊細なやつだから。
 …だから、開き直ることが、出来ないんだ。


 透の家の前についた。
 ずっと、あいつのことばかり考えていて、どこをどう通ったとか、ぜんぜん覚えていない。

 ドアノブを、回す。…おかしい、開いている。
 あいつは抜けてるけど、鍵をかけ忘れるほどじゃない。
 …そこまで、追い詰められてるってこと……!?

「――――――え?」
 嘘、でしょ?
 だって、こんなのってない。

 今日の朝まで、いたんだから。
 …いや、ついさっきまで、いたのかもしれない。

 わたしの、せいだ。
 わたしが、あんな風に言ったから……!

 人の気も知らないで、なんてことを…!!

100ロストマン  4/4:2005/09/02(金) 01:58:29 ID:nhaV1Ay6
 ――――みことさんの手腕は、見事なものだった。
 倒れた原因を栄養失調だと看破し、ビタミン剤を注射。

 透は起きたけど、体が動かないみたいだった。
 …二日は入院が必要だ、とか。点滴だとかをすると言う。
 命に、別状はないらしい。よかった。

 車で、病院まで送るという。
 こいつをここまで追い詰めたのは、私のせいだ。
 だから、病院まで見届ける義務がある。

「…いや、それにしてもだ。
  あと数時間遅れてたらお陀仏だったぞ」
 …みことさんは、顔に似合わず物騒なことを言う。

「あ…はは…、そうなんですか…」
 横たわっている透が、元気がなさそうに見えた。
 いや、そりゃあ元気がないのも当然といえば当然かもしれない。
 …でもそれが、私には、精神的なものだと思えたのだ。


――――再び、透へ。

 かなみが、どうやらぼくを見つけたらしい。
 …ぼくは、潔く消えたかったのに。

 ……どうやら、かなみは自分のせいだと思っているらしい。
 さっきから、何もかも上の空だ。

 ―――――まただ。また、ぼくは人を傷つけた。

 もう、いやだ。
 何もかもが、いやになる。

「病人はベッドで寝ていろ、早く療養するんだ。
  …かなみ、自分の家までの道のり、わかるな?」
 こくり、とかなみが頷くと、みことさんは帰っていった。
 飄々とした人だなぁ、いつ見ても。

「ごめん…とおる、ごめん……!
  わたしのせいで…わたしのせいで……!!」
 なんで、そんな風に、全て自分で背負い込むんだよ…!?
 誰かが傷つくのを見るのは、嫌なんだよ…!
 もう、やめてくれよ………!!!

「ごめん…ごめん…ごめん…ごめん…」
 もう、そんなの聞きたくないんだよ…!!
 かなみは、いつもの強いかなみでいてくれよッ!!

 ――――――だれでもいいから、はやく、ぼくを楽にしてくれよ……!!

101語り部 座敷童:2005/09/04(日) 23:31:29 ID:3L0wwhi6
ツンデレじゃないんで、こっちに投下です

102語り部 座敷童 1/4:2005/09/04(日) 23:32:08 ID:yPeEHYb.
暗い、闇の中に俺はいる

何も見えない

何も聞こえない

深い闇の中

意識はどんどん冴えていく

でも体の方は、全く感覚がない

金縛り、というやつだろうか
その割には何も見えないし
何も感じない

…なんだか、眠たくなってきた…

103語り部 座敷童 2/4:2005/09/04(日) 23:32:30 ID:yPeEHYb.
「ほっほ、魔力が溢れてくるわい」
(へー、凄いのね私)
「な…何故お主が…」
(いや、意識があるのよ。なんか間違えたんじゃないの?)
「そんな筈は…いや…そうか…」
ニヤリと笑い、楓は走り出した

「どうやらお主の意識が強すぎて、精神だけ残ったみたいじゃの」
(ふーん…)
「それはいいとして…タカシじゃな。本格的に危ないかも知れんのう」
(!!)
「案ずるな小娘。儂がいれば…」
すらり、と刀身が長いナイフを取り出す楓

ずばっと空気を裂くと、闇がこぼれだした
「こんなものじゃ」
(ここにタカシが?)
「そう考えて間違いは無いじゃろうな」

104語り部 座敷童 3/4:2005/09/04(日) 23:33:39 ID:nqhT4eQU
「…さて、ここから先はお主の覚悟の問題じゃ」
(…)
「自らの命を懸し、タカシを助けに行く…覚悟の」

(ふん…)
(幽霊や妖怪が怖くて女子高生なんかやってられないわよ。タカシを助ける覚悟?そんなもんねぇ…)

(無かったらこんな危ない場所にいないわよ!!惚れた男の危機なのよ!?)

「ぷっ…」
(な…なによ!)
「いや…強い娘じゃ。なかなかの度胸じゃの」
(そりゃどうも)

「その言葉を待っていた。ここから先はお主が行くのじゃ」
(…わかった。アタシじゃないと駄目なのね?)
「強き想いは運命をも手繰り寄せるのじゃ。儂からはそれだけじゃの」

105語り部 座敷童 4/4:2005/09/04(日) 23:35:11 ID:46Ull2aE
(あんたもしかしたら…)
「なに、年寄りの節介じゃよ」
(……ありがとう)
「礼には及ばん。ほれ、そろそろ儂は引っ込むぞ」

「あ、戻ってる…」
(ほっほ、早く行かんとタカシが危ないぞ?)
「…!!」

タカシはゆらゆらと闇に揺られていた

何だか気持ちがいい

このまま眠ってしまえば、楽になるのかな…

………

かなみ………

そこまで考えた所で、タカシの意識はぷっつりと途切れた

限界が、訪れたかのように…


「はあっ…はあっ…おかしいわね…この辺りに気配があるんだけど…」
(むう…もしかしたら…罠なのかも知れんのう…)
「なんですって!?」

106名無しさん:2005/09/06(火) 01:02:20 ID:oCc9cRRc
中華長編書いたわけだがちょっとツンデレってこれでいいのかって思ったので
出来た分だけ投下します

107誓い:2005/09/06(火) 01:03:10 ID:oCc9cRRc
銀色に光る雨が体の体温を奪っていく、彼には指一本動かす気力も無い
彼に残る想いは色あせていた

「慶明、あんたの手に何か付いてるアルか?」
贖緋香(ショク・ヒコウ)が戸を開けるとベッドの男は自分の両手をまじまじと見詰めていた
背中に氷を入れられたように背筋を伸ばす反応を示した後男は話し始める
「慶明・・・・・・俺の名前か?」
彼の奇妙な反応に眉をひそめながらも、緋香は答える
「慶明は慶明アル、さっさと服を着替えるヨロシ」
「何に?」
「あんた、さっきから何を言ってるネ、いい加減にしないと張っ倒すアルよ」
「済まない、ふざけているつもりは無い、と言うよりも貴女は誰だ?」
文字通り張っ倒され、ベッドに倒れこむ
「いい加減にするアル!アタシを忘れたなんて絶対に許さないネ!」
「済まない、本当に・・・・・・でも、記憶が無いんだ」
その言葉を言ったときには緋香は部屋を出て行ってしまっていた
(おい、服を着てさっさと追いかけろ)
突然、自分の中に別の意識が沸き立つ
(誰だ・・・・・・)
(俺はお前の味方だ、それ以上はどうでもいいだろう?)

108誓い:2005/09/06(火) 01:03:36 ID:oCc9cRRc
緋香はただ独り路地裏を駆け抜けていく
(慶明・・・慶明・・・・・・!)
どこへ行く当ても無く走り続ける、住宅地を抜け市場を抜けその先まで
(アンタにとってアタシはそんな存在だったアルか?)
涙が零れ落ちる、目をこすって涙を振り払うとそこには黒衣の集団が周りを囲んでいた
「何アル!さっさとそこをどくヨロシ!」
「すぐに退きます、その前に一つ、慶明様は何処に?」
リーダー格らしい長髪の男性が言うと、ようやく緋香は気付く
「まさかアンタ、瀏の・・・・・・」
そこまで言った時、獣の咆哮の様な銃声が連続して響く
牙は地面ごと黒衣の集団を噛み砕き、赤茶けた土煙が舞う
気が付けば、立っているのは長髪の男と緋香そして二挺拳銃を構えたもう一人
「慶明!」
「慶明様!」
(お前は・・・・・・)
(言っただろう、お前の味方だ、用があればいつでも呼べ)
慶明の中にはもう既にもう一つの意識は消滅していた
「取り敢えず、介抱してもらった恩もあるので貴女の味方をした」
緋香は慶明に駆け寄る、慶明は長髪の男へ視線を移す
「慶明様、いかがされました?」
「・・・・・・どうやら、俺の名前は慶明のようだな」
そう慶明が言うと、長髪の男は暫くして納得したように
「成る程、では、自己紹介をば、範斬(ハンザン)と申します、では」
長髪の男は死体の処理を任せてどこかへ去っていった

「慶明・・・・・・良かったアル」
慶明が目覚めた部屋に戻った緋香は慶明に話しかける
「ところで・・・・・・貴女の名前はなんなのだ?」
緋香は慶明の鳩尾に貫手を食らわせる
「未だ思い出せないアルか!いい加減思い出すアル!アンタの恋人、贖緋香アル!」
「恋・・・・・・人?」
ベッドに突っ伏しつつ慶明は聞き返す
「あっ、ち、違うアル!そこはただの言葉のあやアル!」
「あやもなにも無いような気が・・・・・・」
「だ、黙るヨロシ!」
頭に衝撃を受け、慶明の意識は遠のいていった

109名無しさん:2005/09/06(火) 01:06:35 ID:oCc9cRRc
出来れば
ツンデレと言うものはもっとこういうものだ
って言うのがあれば目安程度にアドバイス希望

110名無しさん:2005/09/06(火) 02:25:30 ID:ggKXaOy6
>>109
「ツンがない女キャラ」以外全てと思えばよし

111ロストマン  1/3:2005/09/11(日) 00:57:08 ID:8NkVx/ik
 白いベッド。
 白い天井。
 白い壁。

 点滴と呼吸の音。
 それ以外の音は、何ひとつない。

 …まるで、隔離されているみたいだ。
 いや、「みたい」じゃないな。
 隔離されているんだろう。

 ――――――ここは、異界だ。

 部屋には、ぼく以外の呼吸はない。
 …誰のことも、考えなくていいんだ。楽でいい。

 今日の土曜日。
 明日の日曜日。

 その二日間だけ、ぼくはここに留まることができる。
 …逆に言えば、その、二日間だけなんだ。

 ずっと、ここにいたい。
 当たり前のように生きることは、ぼくには少し難しすぎた。
 この世界で生きていくことは、障害に溢れてる。

 その障害に目を瞑って生きていけるほど、ぼくは賢くない。
 …だから、ずっとここにいたいと思えるんだろう。

 この考えが正しいとか、間違ってるとか、そんなことわからない。
 でも、ひとつだけ言えることがある。

 ――――――――これが、ぼくの望んだ世界、そのものなんだ。

112ロストマン  2/3:2005/09/11(日) 00:57:46 ID:8NkVx/ik
 コンコン、という扉のノックで目が覚めた。
 …どうやら、少し眠っていたらしい。

 ぼくなんかのために、わざわざ来る必要、ないっていうのに。
 …ぼくなんかのために。

 コンコン、コンコン。
 ノックの音が大きくなってきた。
 …うーん、かなみのことだ。ぼくが許可するまで、ノックし続けるんじゃないかな?

 コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、
 コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!!
 …ぎぃっ、と扉が悲鳴をあげた。

「だーっ!いるんなら返事ぐらいしなさいよ!!
  大体アンタって、いっつも抜けてるわよね!!」
「うん、そうかもしれない。
  でも、かなみは…もう少しおしとやかになるべきだよ」
「ちょっ、ちょっとそれどういう意味よっ!?」
 …脊髄反射で応答するのは、やめた方がいいと思うな。

「……だって、かなみは、女の子なんだから」
「う、うるさいわねっ!病人は病人らしく寝てなさい!!」
 この提案は、助かる。眠くて仕方がなかったから。
 …ここは、お言葉に甘えさせてもらおう。

「それじゃあ……おやすみ」
「ちょっと!私が来てるってのに寝る!?」
 でも、病人は病人らしく寝てろ、って言ったのは、かなみの方じゃないかな…?

 う、…睡魔が襲ってきた。
 それに抗う術なんて、ぼくにはない。

「…ばか、もう知らない!」
 バタン、と大きな音を立てて、ドアが閉まる。
 …かなみには、ちょっとわるいことしちゃったかもしれないな。

113ロストマン  3/3:2005/09/11(日) 01:02:27 ID:8NkVx/ik

 病室が赤く歪む。
 赤いベッド。
 赤い天井。
 赤い壁。

 …そのセカイは、少しずつ溶けていく。
 その様が、ぼくには、流れ出る血に見えた。

 赤い海。
 地球の始まりは、こんな世界だったらしい。
 その原初の海は、生命のスープ。
 …うろ覚えだけど、みことさんが、そんなことを言っていた。

 生命のスープから、いのちが生まれるのは当然のこと。
 地面から、人間らしきものが生えてくる。

「…父、さん……?」
 ……じゃ、ない。
 父さんは、死んでしまったんだ。
 ぼくが、殺したんだ……!

 その面影と、その姿は、どこか、父さんに似ている。
 …みんな、虚ろな眼差しで、死んだ目をしているからだろうか。

 もう、いやだ。
 まるで、ここがゲンジツみたいじゃないか。
 こんな世界、ぼくは望んでいないのに。

 さっきまで、ぼくはどこにいた?
 …ぼくだけの、ぼくの望んだ世界に、いたはずだ。

 ―――――じゃあ、ここは、一体どこなんだ?

 狂っているのはどちらだろう。
 世界か、それとも自分の方か。
 わからない。わからない。
 …自分が、わからない。

 くるくるくるくると、かれらは踊り始めた。
 ぼくのことなんて、目にもかけない。

 くるくるくるくる、くるくるくるくる。
 くるくるくるくるくるくるくるくるくる。
 くるくるくるくるくるくるくるくるくるくる。

 …そして、共食いが始まる。
 それも当然だ。だって、食べ物がないんだから。

 ぐちゃ、ぐちゃ。ぶちゅ、ぐしゃ。
 肉を咀嚼する音。吐気がする。

 ひとがたが、ひとがたを喰らう。
 父さんが、父さんを殺した。

 …目をつぶっても、耳をふさいでも、その音が聞こえてくる。
 もう、いやだ。もういやだ……!

 ――――――ここから、逃げたい。
 でも、その手段がない。

 ドアも壁も天井も窓も、全て溶けてしまった。
 …もう、逃げられない。

 ぼくの望んだ世界なんて、こころの中だけのもの。
 そんな当たり前のことに、ようやく気付いた。

 …そんなこと、きづかなければ、よかった。

 ぼくは、どこにも。
 どこにも、逃げることなんて、できないってことに。

 ――――――夢からも、現実からも。

114名無しさん:2005/11/04(金) 20:25:56 ID:Z6IZxJzI
「あいつが…そう、中学三年の時だな。お前がまだ居なかった頃だ」
桜は黙って、しかしはっきりとした目で頷いた。
「ちなみは…レイプされた。運良く未遂だった…」
「そんな…」
「丁度通りかかった人が助けてくれて、すぐ犯人は逮捕された…けど…」
「けど?」
「学校に…来なくなった」
タカシはふうとため息をついた。
「それで、かなみや山田と一緒にあいつの家に行ったんだ。そしたら…あいつ、何て言ったと思う?」
「…分からない」
「『こんな体、見ないで』だ」
「そんな…未遂だったんでしょ?」
「でも、…あいつは傷ついてた。俺は顔も知らない犯人を恨んだよ。夢の中で何回殴ったか」
「ひどい…」
「…今の性格になったのも、あの頃だな。無口で、冷静な顔して、一度口を開けば毒舌で」
「そんな事が…あったの」
「まだ話は半分も終わってないぞ。でな、俺たちで学校に来させようという事になったんだ。
 ―今思えば、結構無茶してたな。朝からみんなでちなみの家に行ったり、電話かけたり。
 時には、山田が無理矢理連れて行こうともした。かなみに殴られたけどな。
 でもそんな事をしてる内に少しずつだけど…笑う様になっていった」
「…優しいね、みんな」
タカシはまたため息をついた。
「…学校に来るようになった時は受験期で、みんなぴりぴりしてた。ある時、ささいな事で喧嘩が起きた。
 男子同士の他愛の無い物だったんだけど…」
「けど?」
「ちなみが止めに入ると、一人が『お前みたいな汚れた女が出しゃばるな!』って言ったんだ。
 …気がついたら、殴ってた。かなみも一緒に、思いっきり殴ってた」
「…どうなったの?」
「二人とも停学喰らって、自宅謹慎。内申書に傷がついて、志望校を一個下げた。
 あん時は単に『お前に何がわかるんだ!』って感情だけで殴ってたからな…」
「ちなみさんは?」
「…責任取るって言って俺たちと同じ所―つまり志望校を三個下げた」
「凄いよ…みんな」
「…結局みんな同じ高校に入って、進路を決める時にあいつ、カウンセラーになりたいって言った
 最初は気にしてなかったけど…たまたまちなみがこの家にいる時、ちょっと、な―」

115名無しさん:2005/11/04(金) 20:26:47 ID:Z6IZxJzI
「…私、カウンセラーになって…同じ…犯罪の被害者を…勇気づけたいんです」
―何でだよ!?あんな事、もう忘れろよ!
「…忘れられませんよ。いやでも。…今でも思い出す事があるんです。男の人が後ろから急に口を押さえて
 …私を押し倒して…服に手を…って」
―もう大丈夫だから…
「今でも…知らない男の人がぶつかったりすると…怖いんです。…道に誰もいなくて…
 向こうから男の人とすれ違うと…手が震えて…でも…」
―でも?
「もっと…私より非道い事を…されてる人がいるんです…
 きっと…私より男の人が怖い人が…」
―何もお前がならなくても…
「でも…私は…被害者の気持ちがわかるんです。あの時の恐怖が―。
 何もかもが…閉ざされてしまう気持ちが―。優しい人も、好きな人もみんな同じに見えてしまう怖さが…わかるんです」
―でも…
「伝えたいんです。…この世には、あんな人達ばかりじゃ無くて…やっぱり優しい人もいて、自分を受け止めてくれる人がいて…
 泣きすがってもいい人がいて…互いに愛し合える人もいるって…」
―止めようとしても…無駄だよな?
「…ええ」

116名無しさん:2005/11/04(金) 20:27:30 ID:Z6IZxJzI
「で、あいつは大学に進学してカウンセラーの卵になった」
「…そんな事が…」
「多分…お前が想像してるより、つらい事をあいつは味わってる。
 ―回りから好奇の目で見られたり
 ―満員電車が怖かったり
 ―夜、一人で出かけられなくなったり
 ―何よりも、世間の目が『性犯罪被害者』として見てくれなかった。決してちなみを見ようとはしなかった
 …あいつは心の中に隠したい傷を…ずっと―」
「それでも…カウンセラーに…」
タカシは少しだけ明るい声になった。
「俺たちは…単純だからさ!…山田は警察官になるって言って
 俺とかなみは必死に勉強して法学部に…。まあ今の俺はただの駄目人間だけどな」
「そんな事ないよ…凄いよ…みんな…」
「あいつは…多分一番人の痛みが解ってる奴だ…だから…口は悪くても―。わかるな?」
「…うん」
桜は静かにうなずいた。
「さ、もう寝ろ。この事は他言無用だから絶対に喋るなよ」
「…お兄ちゃん」
桜がドアを開けて入り口で立ち止まった。
「…私も…お兄ちゃん達みたいに―みたいな人に…会えるかな?」
「好きな奴が出来れば、きっと会えるさ」
「そうだ…ね」
桜はドアを閉めて、廊下を歩いていった。
そしてタカシは電気を消して、暗闇に向かって
「ちなみごめん。口止め破っちゃった」
と呟き、すぐに眠りについた。

117名無しさん:2005/11/04(金) 20:47:58 ID:XNrPdSlo
泣いた。本当に、眼が潤んでモニターが歪んだ。

118名無しさん:2005/11/23(水) 21:04:43 ID:MkjhFWiU
自分で書いてて、正直ちょっと訳が分からなくなったから、こっちに投下。
先を先を考えて……ツンデレを愛でてたはずなんだが、はて………('A`)?

1191/4:2005/11/23(水) 21:05:14 ID:MkjhFWiU
>>229 ・胸いっぱいの愛と情熱をツンデレへ
今俺は、全力で走っている。その理由は、少し時を遡り―――――

「尊先輩!!!!!!」
“キャ――――!!!”

俺の叫び声の後に、女子達の黄色い声が炸裂。
―――理由は簡単。学●へ行こうという番組をご存知だろうか? 一時流行っていた、未成年の主張。
それの真似事のような事が、ウチの高校の文化祭では体育館で行われている。

厳密にはパフォーマンスのはずだが、この場で告白・全校公認のカップルとなり、結婚までした人達が居るらしい。
それはこの高校の恋愛伝説として、実際真偽は定かでない。
だけど…………こうして俺の様に、この場を告白の場として利用する者は、毎年居るらしい。

「ずっと好きでした!! 俺と付き合ってください!!!」
“キャアアアアアァァァァ――――!!!!!”

……会場のボルテージ、MAX。そこですかさず、司会進行の人が出てくる。
「はい! えー、現生徒会長の水野さんですね。それではー……裏方だっけな? 会長、出てきて下さーい!!」

ざわざわざわざわ…………

辺りのざわめきは、人混みの中に居るよりも凄かった。何せその中心人物は自分だ……少し後悔しそう。
でも、出来る限りの事はやったはず……あとは返事を待つのみ。
「あれ? 遅いなぁー…………おっ!? って、会計の山田君。どした?
 ………………あー……うんうん……。あちゃー…………えっと皆さん! 落ち着いて聞いてください!
 あ、特に君は」

ビシッ! ……とした感じの顔で、小さくそう言われた。一体、何が起こったんだ?

1202/4 (>>119にあるレスアンカーは現行スレのものです):2005/11/23(水) 21:07:16 ID:MkjhFWiU
「生徒会長………逃げちゃいました」
“工工工エエエエェェェェ(´д`) ェェェェエエエエ工工工”

…………いやぁ、この「ええええええぇぇ」の被りっぷり、TVに出ても恥ずかしくないな。打ち合わせしてんのか?
……………………ん? え、えええええ!?
「と言う訳で、えっと……別府君」

肩にポン、と手を置かれた。ちょっとくすぐっt
「ダッシュ!」
握り拳に親指を立て、爽やかな笑顔でそう言った。言われた。



――――だから俺は今、走っている。そして、尊先輩の居そうな所へ………
≪この場所は、私のお気に入りだ。生徒も来ないし、普段とは隔離された雰囲気が……何となく好きなんだ―――≫


「見つけたっ!」
『ぅわぁ?!』

少し、情け無い声。聞いたことの無い声だった。……息も絶え絶えに、俺は言う。
「どうしてっ……逃げたりするんですか」
『それは……貴様があんな馬鹿な真似をするから!』
「だって仕方ないじゃないですか! ……先輩、何だかんだ言いつつモテるし……」
『それはっ……誰も私の本質を見ていないからだろう? 私がどれだけつまらない人間か、
 君ほど私の近くに居るのなら、分かっていると思ってたのに………』

捲くし立てる様に先輩が言う。
――――先輩と俺は、幼馴染だった。そうは言っても、家が比較的近所で親の仲が良く、幼稚園が一緒だっただけ。

1213/4:2005/11/23(水) 21:07:37 ID:MkjhFWiU
小学校に上がれば、学年は一つ違うので疎遠になった。
中学の時、部活が同じになって、でも昔のように呼ぶのは気まずくて、「先輩」と呼ぶようになった。
そして、同じ高校に入って、また部活が同じになって。勉強も、時々教えてもらってた。だから―――
「それは違う」

俺は……ずっと言いたかった。
まだ幼稚園児の時に覚えた、何ともいえない心の充実感を。
小学生の時、何度もひとつ上の学年の階に行こうとして、諦めた事を。
中学生の時、部活帰りに同じ帰り道を歩きながら言おうとした言葉を。

「ずっと……ずっと前から好きだった。だから、尊せ…………みことは、つまらない人間じゃない」
『だったらどうして、今の今まで先輩と呼び続けた!? 私は……私はっ…………!
 貴様よりも、もっと前から――――』

そこで止まった。文化祭で盛り上がっている学校から、この空間だけが切り離されたような錯覚を覚える。
前から……もっと前から……一体、何?

『自分が、惨めじゃないか………一人で勝手に諦めて、嫌いになろうとして、出来なくて…………。
 考えない事にして、それでもお前は近くに居て………』

……ここまで言われても、あの言葉が聞けないとまだ不安……なのは、俺が保守的な人間だからだろうか。
『今、凄く嬉しくて…………もう一度、聞きたい』
「何を?」
『好きだ、と……(////』
「んっと……ずっと前から、これからも、好きだから……」
『ありがとう……私も…………いや、私は大好きだ……(/////』

二人で抱きしめあった。その時間は、永遠に近く―――――

1224/4:2005/11/23(水) 21:07:57 ID:MkjhFWiU
「って尊先輩! 仕事ほったらかし!!!」
『お前……この期に及んでまだ先輩と……』

むぅ、と言わんばかりにこちらを見る。可愛い……じゃない!
「それじゃなくて!裏方の仕事!!」
『ん……?』

ここまで言って、尊の顔はみるみる蒼ざめていった。……かと思えば、少し考えていつもの冷静な顔へ。
『いや、私が居なくても生徒会のメンバーは優秀だ。上手くやってくれるだろう』
「そんな、えらい他人任せな……」
『今日は、文化祭が終わるまで此処でさぼらせて貰おう』
「いいのかなー……品行方正で有名な尊がそれで」
『ん、それでいい………(/////』

さぼってもいい、なのか……したの名前で呼んだのがいいのか……どっちにせよ、尊は満足そうだった。



〜後日談〜
これで全校公認のカップルになるかと思いきゃ、何と尊、人前に出ると全否定。
あの思い切った告白も、そこまで大きな意味は持てなかったらしい……。

でもきっと大丈夫。二人の想いは、10年以上積み重ねた何よりも大きい、大切なモノだから――――。

123名無しさん:2005/11/23(水) 21:30:25 ID:XNrPdSlo
>>122
どう見てもツンデレです。
本当に、テラモエスでしたwwwwwwwwwwwwwwGJ!!!

124名無しさん:2005/11/23(水) 22:02:08 ID:MkjhFWiU
>>123
結構下にあるのに、見てる人居るんですね。ちょっと感激。

はて、このSSどうしよう……
とりあえずURLでも本スレに貼って……って、何か違うような……('A`)

125名無しさん:2005/11/24(木) 07:31:36 ID:UZ236z3Q
>>122
悩むのが不思議なほどいいツンデレでした。

本スレに貼ってきちゃった(・∀・)

126名無しさん:2005/11/24(木) 17:15:06 ID:MkjhFWiU
>>125
ちょwww何してるんですかwwww

……とりあえず、悩んだ理由でも書いときます。
何かこう、書いてて設定ばっかり先に先にいっちゃって、
(学年一個違いの幼馴染とか、お互いずっと好きだったとか、諦めようとしたとか)
書いてる段階で「('A`)?」となった訳です。
最後の後日談も、ツンデレに見せるために取って付けた風に見えたりしちゃったりして。

今は無いけど、以前の愚痴スレを見て少し敏感になり過ぎてたのかも知れませぬ。
たぶん、懲りずに今日も書きますが。

127名無しさん:2005/12/30(金) 15:37:22 ID:OsxQoflE
書いてたら、随分長いものになってしまった……('A`)
最初頭にあったような妄想から、かけ離れた様な……そうでも無い様な。

自分の中で訳ワカラナスな内容になったので、こちらに投下します。
本当に長いので、本当にお暇な人は見てください、それでは……。

128名無しさん:2005/12/30(金) 15:38:03 ID:OsxQoflE
小さな小さな、子供が二人。 男の子と、女の子が、一人ずつ。
気の弱そうな男の子と、気の強そうな女の子。セピア色に流れるその思い出は、夢。

『タカシは、わたしとずっといっしょにいなさいっ!』
「……でも、ぼく…………」
『あなたはわたしの“しよーにん”ですわ。だから、わたしの言うことはぜったいですっ』
「……うん…………」
『言いたいことでも、あるのですか?』
「リナがほかの人と“けっこん”するの……やだ」
『そんなことはかんけいありませんっ!』
「え……?」
『タカシは、わたしがほかの人と“けっこん”してもずっといっしょですのよ? これは“めーよ”あることだから、
なにももんくは言わせませんっ!(////』
「ずっと、いっしょにいれるの…………?」
『なんどもおなじことは言いませんっ!(////』
「……ありがとう、リナっ」
『 で も ! ……やくにたたない“しよーにん”なんて、いらないんですからね!』
「……ぼく、がんばるから」
『…………?』
「……がんばるから、見てて」
『い、いちおう……おうえん、してあげますわ……(////』

小さな子供が抱く幻想。
――――“ただずっと、一緒にいたい”――――
素直にそれを表現するか、不器用ながらも表現するか。

違ったのは立場。名のある大企業、御家の使用人である両親を持ち、また自分も使用人になる事を疑わない、少年。
そして、それを従者とする親を持つ、少女。

この二人が交わした――大人が見れば、ほんの小さな――約束の後、二人が再び逢うのに……15年以上の時を要した。

129名無しさん:2005/12/30(金) 15:38:52 ID:OsxQoflE


何てものを、夢に見ているんだろう。……小さい頃に交わした、ただの約束。
いかにも気の弱そうな……引っ張ってあげないと、ろくに行動を起こせない男の子。
素直じゃない私は、立場に託けて彼にどれほど無理難題を押し付けただろうか。
…………一通り思い出して、嫌になる子供の純粋さ。
たとえ自分が結婚しようと、彼が近くにいれば良い。彼と一緒にいる時間は、自分の心を躍らせる。
それで良いと思っていた。――――まさか、良いはずがない。
誰が認めよう? 夫よりも使用人を愛する、女など…………



何を今更、こんな事を夢に見ているんだろう。
今まで自分が必死に気付かない振りをしてきた、自分の気持ち。使用人の身でありながら、主人を愛した馬鹿な人間。
……小さい頃の、自分の純粋さに嫌気が指す。
一緒に居られればそれでいい、それだけのために努力をし続けたこと。
例え彼女が目の前にいなくても、いつか必ず帰ってきて、自分を認めてくれると。
料理も出来る、家事全般だってこなせる、彼女を護るための力もある。……だから俺は“使用人”なんだ。
“使用人”から愛されて幸せな“主人”がいるだろうか? ……いるはずがない。
“使用人”として優秀な人間であることを言い訳に、俺は神野家に仕え続ける…………中途半端な愚か者。
そんなことだから、俺は…………



―――同じ時、違う場所で。
同じ夢を見て思う事は、自分の中途半端さと、どうしようも出来ないと思い込む事と。

また同じ時、二人は呟く。
―――――最悪……朝からこんな……―――――
と。

130名無しさん:2005/12/30(金) 15:39:58 ID:OsxQoflE
 コンコン、とドアをノックする音が廊下に響く。
「お嬢様、朝食の準備が済みました。お早めに、御出でになって……」
『解りましたから、さっさとどこかへ行って頂けますか? 朝から不愉快ですわ』
「…………失礼します」

 嫌われたものだな……と、自嘲気味に思う。15年あまりの時は、人を変えすぎる。
 もっとも、その間自分にも明確な変化が訪れているのだから、他人のことをとやかくは言えない。
 この方が自分にとって楽なのだから、と自分を納得させる。
 ……きっと、今日の朝食はあまりお召しにならないだろう、という思いと共に。

『この朝食は、誰が作りました?』
「別府主任……ですが」
『そう……少し食欲がないの。今日はこれでいいわ』
「は、はい……」

 やっぱりか、と思う。盗み聞くように、わざわざ用もないキッチンに居座り続ける自分もどうかと思うが。
 続けて、他の使用人達の会話も聞こえる。
「……ねぇ、お嬢様……主任の料理は殆ど食べませんよね」
「しーっ……でも、主任とお嬢様って小さい頃一緒だったらしいよ?」
「えっ、そうなんですか?」
「何でも、主任の両親もここに仕える人だったらしくて――――」

 とりとめのない話。度が過ぎるようなら、自分が注意しに行かねばならない……そう思った時だった。

「でも、よく主任も耐えられるよね。お嬢様、主任には自分のこと殆ど隠してますし」
「態度も結構露骨だしねー……結婚のことなんて、私達にまで口止めしたし」
「そうだよね、そこまで隠さなくても……」

 ―――出来れば聞きたくない、話が聞こえてしまった。

「その話、本当か?」
「しゅ、主任?!」 「っ…………」
「本当、だな?」
 気まずそうに、こくりと頷く二人。
「……嫌われてても、祝わなくちゃいけない。無理矢理聞き出した事にするから、安心してくれ」

 そう言うと、俺は自然とリナの部屋に向かっていた。
 恐れていた事が、起こっている。いずれリナは結婚するという、この当たり前の事。
 …………どうせ二度とないこの機会に、決別しよう……自分の中途半端さから。
 今朝見せられた夢は、きっとそれを暗示していたのだ。

 ――部屋に向かいながら、思い出し、そして考える。
 お嬢様、貴女が居た日々は、少なくとも自分にとっては輝かしい日々であったと。
 そして、貴女を想いながら努力を続けた日々は、辛くもまた多くのものを得たと。

 最後に……この世にはどうしようも無い事があるのだと思い知り、それでも道を間違えた、自分は馬鹿のままであると。
 可能ならば、次に顔を合わせるのが最後になりますように。
 お嬢様……いや、リナ…………俺は貴女が、ずっと好きでした。

131名無しさん:2005/12/30(金) 15:40:54 ID:OsxQoflE
 無機質な音が、刹那的に部屋を支配する。
 たった二度のノックは、私の呆けを解くには十分すぎる音だった。

「お嬢様、少し宜しいですか」

 聞き慣れた、一番聞きたくない声。瞬時に私は、拒絶の言葉を発する。

『宜しくありませんわ。私が貴方とお話しする事は、一切ありません』
「すみません、失礼します」

 いきなり部屋に入ってくる。今まで一度もこんな事をしてこなかった、この使用人に絶句した。
 彼のことになると色々と制御が出来なくなる私は、すぐにヒステリックを起こす。

『話などないと言っているでしょう!? すぐにこの部屋から去りなさい!!!』
「使用人として……いえ、人としてお嬢様と顔を合わせるのは、これで最後にします。ですので、どうか」

 言葉を凄ませて、彼は言った。
 …………何を? 今、彼は何を言ったのだろう? それは、私が“私”を保つために望んでいたはずの事。
 彼さえ居なくなれば、自分は何もかもを忘れて全てに打ちかかれる。だのに、どうして…………
 どうしてこんなに、心苦しい?

「御結婚されると、本日耳にしました。……いえ、自分が無理矢理聞きだしたのですが……おめでとう御座います」
『親が勝手に決めた結婚ですわ。こちらに情はありませんし、勝手に祝わないで下さる?』

 ――――自分の想いとは、反対の言葉を口にする。違う、本当に私の言いたい事はそうじゃない。

「そう仰らずに。…………質問を、宜しいでしょうか?」
『勝手になさい。場合によっては、答えませんが』

 ―――― 一緒にいたい、一緒にいたい。そのはずなのに。

「お嬢様は、自分のことをどう御思いでしょうか?」
『……早々に、消えて頂きたいと』

 ――――違う、違う、違う違う違う違うっ!

「……これより、異動もしくは退職の意を人事の者へ伝えます。それでは、今までありがとう御座いました」
『………………』

 黙っていては駄目。行動を起こさないと、このままでは本当にタカシはどこかへ行ってしまう。
 私が望むのはどっち? 立場を考えて行動するのか、それとも感情を優先させるのか。
 考えてるうちに、身体は動いた。…………ドアノブに手をかけ、今にも出て行こうとする、タカシの方へ。

132名無しさん:2005/12/30(金) 15:41:58 ID:OsxQoflE
 これでいい。そう、これでいいんだ。
 自分でも分かっていたはずだ、“使用人に異性として愛され、喜ぶ主人などいない”と。
 今までそばに居られたのも、全てはこの主従の関係があったからこそ。
 だから、このドアを開ければ、全部終わり。……もう、後悔は――――

『駄目ですっ! 私が許可しません!!』

 ――突然、後ろからリナに抱きつかれていた。

「……どう、しました?」
『貴方が、貴方がいけないんですわ! 私は貴方と離れて15年余り、貴方の事を考えなかった日などないのに!!
なのに、なのに会ってみれば、私の事を“お嬢様”なんて呼んで…………』
「…………」
『あなたがっ……グスッ……貴方がそんな事さえ言わなければぁ……私だって、もっと……』

 今俺は、触れてはいけないものに触れている。
 声を震わせ、涙を流しながら、それでも続けようとするリナに。
 これ以上触れ続けると……駄目だ。

『忘れるしかないじゃありませんかっ……こんな、こんな想いなど……』
「俺だって……俺だって!」

 絡みつく腕を解き、振り返る。

「考えない日なんて無かった! だからずっと努力した、“役立たずの使用人”にはなりたくなくて!!」

 リナは呆然と、こちらを見ている。

「でもそれじゃ意味が無い! 一緒に居るだけじゃ、意味なんてない! ……俺は“使用人”なんだから、
どうしようもないじゃないか!? 突然、リナに見合う大企業の御曹司になんてなれないんだよ!!」
『関係ありませんっ! もう嫌なんですっ……素直になれないが故に、こんな思いをするのは』
「それでもっ……! それでも俺は、使用人です。お嬢様、失礼し――」
『駄目です、行かせませんっ!!』
「もう自分に触れないで下さいっ!!」

 …………一瞬の沈黙。今までの言い合いが嘘のように、静まり返った。

「これ以上……これ以上抱き締めないで下さい。自分が、駄目になりそうです」
『駄目です、絶対に放しません……』
「…………いいん、ですね……?」
『貴方が望むのなら、私は構いませんわ……』
「……すみません、俺は、駄目な使用人でした」


 ゆっくりと、唇を重ね合う二人。
 真夜中になるまで、この二人は部屋から出る事は無かった―――……。

133名無しさん:2005/12/30(金) 15:42:29 ID:OsxQoflE
「……リナ、やっぱりもっと別の方法を考えないか?」
『あら、まだそんな事をいいますの? 私が部屋に篭り、昼食や夕食まで取らないと他の使用人たちは随分焦っていますわ。
主任である貴方は遠出をした事になってますし、準備まで完璧に整った今、もう引き返せないと思いますよ?』
「うー……いやでも、他に方法……ああああああああ」
『後日連絡をすれば、万事解決ですわ。どの道もう神野家には居られないのですから、覚悟を決めなさいな?』
「何でそんなにパワフル何だ……」
『金銭面はお互い問題ないんですもの。私だって既に貯金は有り余るほどありますし、使用人……それも主任となれば、
給料はかなりの額ですわ。何せ、神野家ですからね』
「今から出て行く当家の自慢をすな……ったくもう……」
『既成事実さえあれば、後には引き返せないですからね。もういい加減お分かりになったかしら?』
「うあああああ……」
『全くもう……うだつの上がらない男ですわね。さっきの激しさはどこに行きましたの?』
「激しいとか言うなああぁぁぁぁ……」
『さ、そろそろ予定していた時間ですわよ。準備はいいかしら……?』
「ん、そだな……キスした時点で、全部俺の負けか」
『分かっているじゃありませんか。正確には、“抱き締めないで下さい”と言った時点ですが』
「リピートしなくていいから!」
『ふふっ、それじゃあ行きますわよ!』
「ちょ、いきなりは待てって!」


―――気弱そうな男の子と、気の強そうな女の子の、成長した姿。
 ―――二人は心を通わせて、その絆は永遠に続く。
  ―――当人らの知らぬところで、15年以上続いていたように。
   ―――これからも、永遠に……

134名無しさん:2005/12/31(土) 22:11:11 ID:6vXZ3Zic
>>133
感動と萌えで泣いたwwwwwwwwwwwwwwwwwwww最高だよぉ!wwwwwwwwwwwwww
GJ! GJ!!!!

135名無しさん:2006/06/28(水) 20:19:08 ID:A4qgkQsk
ロストマンのつづきを
wktkしながら待ってますね

136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/19(土) 08:13:40 ID:ExQh/rAU
いい


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