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ツンデレじゃない長編投下・評価スレ
132
:
名無しさん
:2005/12/30(金) 15:41:58 ID:OsxQoflE
これでいい。そう、これでいいんだ。
自分でも分かっていたはずだ、“使用人に異性として愛され、喜ぶ主人などいない”と。
今までそばに居られたのも、全てはこの主従の関係があったからこそ。
だから、このドアを開ければ、全部終わり。……もう、後悔は――――
『駄目ですっ! 私が許可しません!!』
――突然、後ろからリナに抱きつかれていた。
「……どう、しました?」
『貴方が、貴方がいけないんですわ! 私は貴方と離れて15年余り、貴方の事を考えなかった日などないのに!!
なのに、なのに会ってみれば、私の事を“お嬢様”なんて呼んで…………』
「…………」
『あなたがっ……グスッ……貴方がそんな事さえ言わなければぁ……私だって、もっと……』
今俺は、触れてはいけないものに触れている。
声を震わせ、涙を流しながら、それでも続けようとするリナに。
これ以上触れ続けると……駄目だ。
『忘れるしかないじゃありませんかっ……こんな、こんな想いなど……』
「俺だって……俺だって!」
絡みつく腕を解き、振り返る。
「考えない日なんて無かった! だからずっと努力した、“役立たずの使用人”にはなりたくなくて!!」
リナは呆然と、こちらを見ている。
「でもそれじゃ意味が無い! 一緒に居るだけじゃ、意味なんてない! ……俺は“使用人”なんだから、
どうしようもないじゃないか!? 突然、リナに見合う大企業の御曹司になんてなれないんだよ!!」
『関係ありませんっ! もう嫌なんですっ……素直になれないが故に、こんな思いをするのは』
「それでもっ……! それでも俺は、使用人です。お嬢様、失礼し――」
『駄目です、行かせませんっ!!』
「もう自分に触れないで下さいっ!!」
…………一瞬の沈黙。今までの言い合いが嘘のように、静まり返った。
「これ以上……これ以上抱き締めないで下さい。自分が、駄目になりそうです」
『駄目です、絶対に放しません……』
「…………いいん、ですね……?」
『貴方が望むのなら、私は構いませんわ……』
「……すみません、俺は、駄目な使用人でした」
ゆっくりと、唇を重ね合う二人。
真夜中になるまで、この二人は部屋から出る事は無かった―――……。
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