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【ミ】『撃的』

1『運営者』:2016/01/25(月) 22:45:32


        血 脈 の 物 語
この物語は『BLOOD's HISTORY』ではなく、

         血 気 盛 ん
       『BLOOD THIRSTY』なのである。

【過】『武闘列伝』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453728318/

594『その拳はデルタを描く』:2021/05/29(土) 22:01:20
>>593(東雲)
>「ははァ…エラい手間ァかけさせちまったようで、すいません」

    「手間はあったが、仕上がりは十分だ。
     ――――ナイスファイト、期待してるぞ」

『黒服』は確りとした声色で『東雲』にエールを送る。
『高所作業車』に乗った『黒服』は緩やかなスピードで、
『東雲』の脇を通り過ぎていく。

>「あァ、お疲れ様です。
>よう知らんのですが、『じゃじゃ馬』の相手たぁ大変ですなぁ」

    「ハッ、ハハッ、やっぱり『ファイター』さんは違いますねぇ。
     肝が据わっているというか、僕じゃあそんな風には、とてもとても」

    「『東雲』選手は『知り合い』のようだからな。
     ――――ああ、『東雲』選手から入場する運びになっている。
     『セカイ』の合図に従って、入場してくれるか?」

乾いた笑い声を浮かべる若い『黒服』と、何やら察している案内役の『黒服』。
彼の指示通り、扉の向こうから『セカイ』の電子ボイスが響き渡った。

    ≪さあ、皆様お待たせしましたぁー!
      両名が揃い、いよいよ『試合』の開催となりまぁーす!≫

    ≪まずは『東雲』選手。現在の戦績は『一戦一勝』!
      身長183cm!  巨木もかくやの見事な体躯でありますが、
      鉄の茨が張り巡らされたステージで、その拳腕は輝けるのかぁ!?≫

    ≪さぁ、『入場』してくださぁーい!≫

今日は『スモークマシーン』による出迎えはないようだ。
『セカイ』が入場を指示すると、『黒服』がスッと身を引いた。

595東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/29(土) 22:38:02
>>594

「…『知り合い』、ですか?」

一体誰のことか、心当たりがまるでない。
現在も所属している『ファイター』の知り合いは、『太田垣』に『尾藤』サン、『長堀』サンくらいか。
当然だが、皆男だ。『お姫様』と呼ばれるような要素は一つもない。
『氷山』はこちらからは知っているが、向こうは知らないだろう。こいつも除外だ。
『アリーナ』の廊下で挨拶でも交わしたか?


>    ≪さぁ、『入場』してくださぁーい!≫


だが、心当たりを探るより前に『電子女』の声が響いた。
こいつも謎の女だが、この前の実況を聞いている限りでは誠意は伝わってくる。
第一印象よりは好ましくなっている。少なくとも、自分の実況を任せてもいいと思う程度には。

「ほんじゃあ、行くとするかァッ!!」

『尾藤』との一戦と同じく、右腕に『ロープ』を巻き付けて、その上に学ランの袖だけ通して入場する。
隠しきれない笑みを浮かべながら、観客の方も見回しつつ、堂々と戦場に乗り込んでやろう。

596『その拳はデルタを描く』:2021/05/29(土) 23:35:50
>>595(東雲)
>「ほんじゃあ、行くとするかァッ!!」

意気揚々と雄叫びを上げ、『東雲』はアリーナに入場する。
『有刺鉄線』に遮られ、距離を取っての『初期位置』となるが、
それは『マサ』も同じだろう。

学ランを羽織り、腕には『ロープ』を巻く。
『黒服』は特に言及していない。前回の試合のこともあり、
この持ち込みはオッケーなのだろう。

     「東雲ぇー!  期待してるぜぇー!」

     「『尾藤』だけの男じゃねぇってところ、見せてくれェー!」

     「ガチの殴り合い、期待してるっつうの!」

野太い声援があちこちから響き渡り、『東雲』を出迎える。
『セカイ』は『LEDパネル』から手を振っており、
『解説席』には、――――『キューコ』が座っている。

     「さあ、続きましての入場は『川島』選手!
      先日は惜しくも『Bランク』への昇格はなりませんでしたが、
      意気込みは十分! 今日もわざわざレンタカーを借りて、
      『О阪府』から駆け付けました!  入場してください!」

    ザッ     ザッ

相対する入場口から現れた『マサ』は、
先日と変わらぬヒョウ柄の『ツナギ』を身に付けている。
大柄な身体に強面ながら、愛想の良い笑顔を振り巻いている。

     「みんなー、お好み焼き喰うとるかぁー!?」

     「遅れちまって、堪忍なぁー!
      新幹線がトラブルで止まってもうてなぁ、
      リニアが通るからって、拗ねてしもたんやぁ!」

     「地元のラピートちゃんは、グチらずに走っとるのにぃー
      せやから、ちゃんとケツ引っぱたいて来たき、許したってなぁ!」

『マサ』はマイクに頼らぬドデカい声量で観客に話しかけながら、
手を振る『セカイ』に対し、パタパタと太い腕を振り返す。

     「ゆるキャラの嬢ちゃん、他人行儀やないか!
      ワイは『マサ』でええでぇー! きばって実況してくれやぁー!」

     ≪ありがとうございます! 私も『セカイ』と呼んでくださいねぇー!
      ―――――『マサ』選手、身長は『183cm』!
       尚、『マサ』選手のファイトマネーの一部は、
       金網の修繕費に当てられますので、ご了承くださぁーい!≫

     「あれ、マジで取るんかぁ!?
      アカンわぁー、レンタカー乗り捨てやねん!
      ごっつう高くつきまっせぇー、なんとかならんのぉー!?」

     「『マサ』さぁーん、あきらめろぉー!」

     「会社の経費で落とせばいいじゃあねぇかー!」

朗らかで気さくな態度。地域としては『余所者』のはずだが、
アウェー感など全く存在しない。観客達も冗談交じりの朗らかなヤジを飛ばす。

597『その拳はデルタを描く』:2021/05/29(土) 23:36:43
>>595-596(東雲)

     ≪両名揃いました! 互いの闘志は十分です!
       『実況』は、貴方の心にイン・ストール! 『六連セカイ』が!≫

     ≪そして、『解説』は急遽、不在となった『タダちゃん』に変わって、
       『元A級ファイター』の『キューコ』ちゃんにお願いします!≫

     「――――ちゃん?」

     ≪あ、いえ、『キューコ』さんにお願いします!≫

『キューコ』の問い掛けに対し、『セカイ』はすぐさま呼び方を変えた。
入場した『東雲』が気付いたのは、『コンクリート』の『床』だ。
隙間には『シリコンコーキング』が施されており、
気付けば『マサ』の入ってきた『扉』は閉ざされ、
その隙間に飴色の『樹脂』が流され、固められている。

     ≪今回、試合は『東雲』選手の要望による『有刺鉄線』と、
      『マサ』選手の要望による『水場』のステージで行います!≫

     ≪視界開始後、八ヵ所の『給水口』から『水』が流れます!
       水飛沫が飛び散るのが想定されますので、
       ニガテな方は、金網から離れて観戦してください!≫

     ≪あっ!  そうそう!
       流石に『頭』まで水に浸かったら溺れてしまうので、
       腰くらいで注水は止めますので、ご安心ください!≫

『セカイ』の淀みない『ギミック』の説明が流れる。
『キューコ』は黙したままだ。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼□┼□マ.□┼□┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼□┼□東□┼□┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |※二人は入場していないが、イメージ図として

柱:コンクリートの柱。破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。

598東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/30(日) 00:04:47
>>596-597


「げぇっ」「『キューコ』。…サン…」

『解説席』に立つ女に気付くと、口から絞るような声が出てくる。すっかり忘れていた。
『観覧席』でこの前出会っただけの関係だが、あいつとの話はそれなりに楽しかった。
だが去り際に言われた一言で、年齢をずっと見誤ったまま話してしまっていた事に気がついた。
端的に言って、気まずい。…だが、直接話すわけではないのだ。
試合に集中して、後はその内接する機会が出来たなら、その時に改めて謝罪しよう。
前を向き、『有刺鉄線』や『マサ』さんではなく、『マサ』さんが仕掛けたであろう『ギミック』にも注目する。

が、それを探るよりも早く『実況』が入ってきた。
どうやら相手も自分と同じく、隠す必要のない大掛かりな『ギミック』を使うようだ。

「・・・・・・・・・・『水』か」 ゴキゴキ

首に手を当て、鳴らしながら『給水口』を見た。
泳ぎは得意だが、それが必要になるほど水位が深くなることはなさそうだ。
『ザイオン・トレイン』にも水は大きく影響するが、それは一旦置いておこう。
フィールドを水で満たす目的は、大きく考えて二つ。
『機動力』を殺し殴り合いに持ち込みたいか、『能力』を発動する上で水が有効となるのか。
あるいはその両方の可能性とあるが、いずれにせよ敵の狙いは警戒しておこう。

『給水口』は仕組み的に、排水を止める術はなさそうだ。その点に関してはお互いに『ギミック』を受け入れろ、と言うことだろう。

『ゴング』が鳴っていない以上、まだ動くことはできない。
ならば、柱を見よう。その柱の高さをチェックして、『2m』以上は確実だが、どこまであるのか?
また、柱に対しても三本の線以外に『有刺鉄線』が巻き付けられているところはないか?

599『その拳はデルタを描く』:2021/05/30(日) 22:13:53
>>598(東雲)
>「げぇっ」「『キューコ』。…サン…」

『東雲』の気まずさを余所に、
『キューコ』は涼し気な顔で二人を見下ろしている。

>「・・・・・・・・・・『水』か」 ゴキゴキ

『給水口』は『1m×1m』と大きく、簡単には塞げない。
2Lのペットボトルほどの太さをした『柱』の高さは『2.5m』ほどだ。
三ヵ所以外に『有刺鉄線』が巻き付けられた箇所は存在しない。

     「マサさーーーん! お好み焼き食べてまーす!!」

     「たんと喰えやぁー!」

     ≪さあ、私の合図がありましたら、いよいよ試合開始です。
       まだです、まだですよぉー……≫

『セカイ』の合図があり次第、試合開始となるようだ。
『マサ』も『東雲』も据え付けられたギミックを確認しており、
それまでは試合開始を待つつもりなのだろう。

     「随分大がかりじゃあねぇーか!」

     「早く試合を始めろっつうの!」

痺れを切らした観客達も声を荒げ始める。
それを待ったかのように、『セカイ』は大きく息を吸い――――

     ≪試合、開始です!≫

     うおおおおお――――――!!

観客席から雄叫びが響き、闘争の始まりに火をくべる。

     「遅刻の取り戻しや。――――巻いていくでぇ!」

    ズギャンッ!

『マサ』の身から発現する人型のスタンド。
まるで『岩』を削って作ったような、無骨なヴィジョンをしている。

      スゥゥ

『マサ』は西側に移動し、有刺鉄線を繋ぐ『柱』に手を添える。

      ゴボボボボボボボボ―――――

そして、『給水口』から水が流れ始める。
まだ東雲の足元にさえ至っていないが、そのスピードは速い。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼□┼マ□.□┼□┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼□┼□東□┼□┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。

600東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/30(日) 22:48:50
>>599


>     ≪試合、開始です!≫


「楽しもうやぁッ!!」

犬歯を剥き出しにしながら『ザイオン・トレイン』を発現し、身に纏う。
相手側も『スタンド』を発現したか。さて、敵はこの『有刺鉄線』をどう乗り越えてくる?
例えば柱を一撃で破壊できるなら、それは『ザイオン・トレイン』よりもパワーが上だ。
あるいは『能力』を使ってくるなら、どんな能力なのかが多少は理解できる。

自分はまず柱に近付きつつ、『二段目』の有刺鉄線に触れて『噴塩化』させる。
これにより、『岩塩化』した場合の有刺鉄線の鋭さと、またどこまで『噴塩化』させられるか調べる。
鋭い物体を岩塩化した場合、その形状を維持するのか?それとも分厚くなる過程で、鋭さは消失するのか?
対象となる物体のサイズにもよるだろうが、この『有刺鉄線』の形状の場合はどうなるか。
また『噴塩化』の最大サイズは理解しているが、横の範囲はどの辺りまで捕捉できるか?
もしも『マサ』さんのスタンドが、自分よりも更に殴り合いに向いているなら
この『有刺鉄線』を上手く使う必要がある。ミスの起きないよう、丁寧に調べておく。

同時に、自身にも『噴塩化』を行う。
いずれ手足の先から『岩塩化』が始まるだろうが、その際の手の形は、空手の『虎爪』のようにしておく。
これを一番上の鉄線に引っ掛けつつ、柱を蹴って勢いをつければ、鉄線は乗り越えられるだろう。

601『その拳はデルタを描く』:2021/05/30(日) 23:33:12
>>600(東雲)
>「楽しもうやぁッ!!」

     フシュルルルル

『東雲』の肉体に『ザイオン・トレイン』が纏われる。
そして、『東雲』は『有刺鉄線』に触れ、『岩塩化』を施した。

『有刺鉄線』の棘が帯びる鋭さは『画鋲』ほどだ。
衣服を越えてまで『刺さる』ものではないが、『素手』で触れれば『出血』が起こる。
その強度は『虎爪』を作った『ザイオン・トレイン』を振るえば、引き千切れる程だ。

       シュゥゥゥゥ――――

触れた『有刺鉄線』に積雪のように『塩』が噴き重なる。
『有刺鉄線』は『柱』ごとに巻き付けられ、その一画までが『一本』と看做されるようだ。
また、『三』の字の有刺鉄線は『柱』で折り返されて巻かれており、
一本の『有刺鉄線』に触れれば、残りの『二本』も『岩塩化』の対象となる。

┌─────────────────────
│柱┼柱┼┼┼柱┼柱
│      ↑この部分に接触した場合は

│柱┼柱╋╋╋柱┼柱
│      ↑この範囲まで『岩塩化』が起こる
└─────────────────────

そして、『有刺鉄線』は『鋭さ』を維持したまま『岩塩化』が起こる。
特筆すべきは『岩塩化』のスピードだ。元々が『細い』こともあり、
触れた後、ほぼ一瞬で『岩塩化』が完了する。

     ≪『東雲』選手、スタンドを纏ったぁ!
       『有刺鉄線』に何かの仕掛けをしていますが、
       『キューコ』さん、あれはどういう意図でしょうか!?≫

     「……さあ」

素っ気ない『キューコ』の一言を前に、『セカイ』は黙ってしまった。
一方、『マサ』はヴィジョンの腕を『くの字』に曲げ、

     「おおおおお!!  見せたるでぇ!

      『ザ・ナショナル』ゥゥ――――!!」

      バギャァァァ!!

触れた『柱』に『ザ・ナショナル』のラリアットが決まり、
その一撃によって『柱』は真っ二つに折れ砕けた。

    「二人とも、すっごい試合見せてくださーい!」

    「わあああああ! がんばれー!東雲さーん!」

     ≪す、スゴイ!  あれが『ザ・ナショナル』のパワァー!
       あんな一撃をマトモに喰らったら、一発でダウンでしょう!≫

     ≪『東雲』選手の、――――あれは、『雪』でしょうか?
       『雪化粧』を施された『有刺鉄線』、真っ白に染まっています!≫

観客席から声援が響き、気を取り直した『セカイ』が『実況』を続ける。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼□┼マ□.□┼□┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破┼┼┼柱┼柱┼◎∴  | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼□┼□東□┼□┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。

602東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/31(月) 00:14:14
>>601

「『キューコ』ォ……サン……あの人は本当に『解説』やる気あるんかのォ?」

『電子女』に哀れみを感じる。流石は『お姫様』と言ったところか。
先日あいつが言った通り、別に『キューコ』は心の中まで読み取れるわけではないようだが、
せめて推測ぐらい述べてやってもいいのではないか。己の考えなど、別に深いものではないのだから。

「・・・・・ほぉ」

『有刺鉄線』の特性について理解した。
やはり元々の細さが災いしてか、想定より強度は低い。だが、だからこそ『岩塩化』は想定より早い。
そして『マサ』さんのスタンドが持つパワーについても、一撃でへし折れた柱で知る事になる。
明らかに『ザイオン・トレイン』よりパワーは上だ。『岩塩鎧』を纏っての殴り合いは不利だろう。
もっとも、現時点でスピードの方は達筆すべき点を感じない。あとは『能力』次第か?

両手足の『岩塩化』が完了し次第、先程近付いていた方(特に決めていなかったが、問題なければ左側で)の柱、
その一番上の有刺鉄線に手を引っ掛け、片足で柱を蹴りつつ有刺鉄線を飛び越える。
『ザイオン・トレイン』のパワーを持ってしても、流石に『2m』を一度に跳躍するのは不可能だ。
だが、片手を有刺鉄線に引っ掛けて飛び上がりつつ再度柱を蹴ることで二回飛べる。
後は有刺鉄線を引きつつ前に移動すればいい。むしろ、有刺鉄線を千切らないようパワーの調整には気を使おう。

「『大阪式』は随分と派手な乗り越え方じゃなァ!」

飛び越えたなら、落下しつつそのままの勢いで、今度は『左側』(飛び越えるのに使った柱のMAP上側)の
有刺鉄線を左腕で引き千切る。
その視線を左側に向けた際に、給水口にも注目しておこう。
このステージ中央に『水』が来るまでどれくらいかかりそうか、
試合開始から今に至るまでの時間と出てきた水量で、なんとなく体感で予想してみよう。

603『その拳はデルタを描く』:2021/05/31(月) 21:19:28
>>602(東雲)
>「『キューコ』ォ……サン……あの人は本当に『解説』やる気あるんかのォ?」

冷めた態度を取る『キューコ』の様子に、『東雲』は『セカイ』へ不憫さを覚えた。
無論、それは二の次だ。『有刺鉄線』の特性を理解するも、
それを支える柱は『ザ・ナショナル』によって容易く圧し折られる。
腕を振るうスピードは『ザイオン・トレイン』を纏わぬ『東雲』と同じ速度だ。

      グィィ
              タァンッ!

     ≪『東雲』選手、軽やかに跳びましたッ!
       身に纏ったスタンドのパワー、『有刺鉄線』は障害になりませんッ!≫

     「やるやない! だったらこっちも、出し惜しみなしやで!」

『マサ』は折れた柱をその場に捨て、
足首の高さの有刺鉄線を跨いで、南進していく。

     ≪有刺鉄線のギミックに反し、激突は間近かぁ!?
       『キューコ』さん、これは早期決着が見込まれますねぇ!≫

     「……ギミック」

     ≪えっ、あの、それ、どういう――――≫

     ガァンッ!

『マサ』は捨てた柱を『踏み砕き』、コンクリートの破片を作り出す。
そして、『東雲』は落下の勢いを利用し、『虎爪』によって『有刺鉄線』を裂く。

     バツゥ!

『東雲』の体重を乗せた一撃により、『頭部(=2m)』、『腰部』の『有刺鉄線』が裂けた。
足首の『有刺鉄線』を残すのみとなり、これならば乱戦の最中でも跨げる高さだ。

>「『大阪式』は随分と派手な乗り越え方じゃなァ!」

    「せやでェェ〜〜〜〜ッッ  『西』のルーツは『コテコテ』やぁ!
     水に沈むか、ワイの拳に沈むか、アンタはどっちを選ぶんやぁ?」

     ゴボボボボボボボボ . . .

既に『水』は迫りつつある。『10秒』もすれば『中央』まで浸水する。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼回□┼∵∵□┼□回┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼回□┼□□□┼□回┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼回□│東□□┼□回┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。
∵:柱の破片
回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。

604東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/31(月) 22:43:54
>>603

早期決着か、と『電子女』は言っている。実際、自分もその方が望ましい。
『マサ』がこの『給水口ギミック』を用いたのは、こちらの機動力を警戒してのことだろう。
逆に言えば、このギミックなしでこちらを捉えるのは少々難しいということだ。
どんなにパワーがあろうと、当たらなければ意味がないのだから。

>    「せやでェェ〜〜〜〜ッッ  『西』のルーツは『コテコテ』やぁ!
>     水に沈むか、ワイの拳に沈むか、アンタはどっちを選ぶんやぁ?」

「大阪モンは口が回るのォ!今のうちに気が済むまで喋っておくんじゃな!」
「どうせ最後には静かになっちまうけぇの!」

『マサ』さんはコンクリートを破壊した。投擲に使うか、そのまま蹴り飛ばすか、能力に使うか?
何にせよ、こちらに向けて飛ばしてくる、と予想する。
ならば自分は、あえて左側の有刺鉄線沿いに、正面へと移動する。スピード:B
『マサ』さんが何らの手段で『破片』を飛ばしてきても、
左側の鉄線を越えれば柱を壁にして防ぐことができる。その間に接近する事ができる。
上の柱に近付き過ぎると、また有刺鉄線が三本健在しているだろうが、その際は回避に合わせて上二本を切断しつつ、柱の影に移動したい。
もし『マサ』さんがまだ様子見に徹するなら、左側の有刺鉄線は越えずに、
そのまま正面の有刺鉄線を『虎爪』で断ち切ろう。パス精BBC

605『その拳はデルタを描く』:2021/05/31(月) 23:24:27
>>604(東雲)
>「大阪モンは口が回るのォ!今のうちに気が済むまで喋っておくんじゃな!」
>「どうせ最後には静かになっちまうけぇの!」
                            . . . .
    「モチのロンや!  『東雲』はんがおねんねするまで、
     ワイのべしゃりは止まらへんでェ〜〜〜〜〜ッッ!!」

    バッキャァァンッ!!

『ザ・ナショナル』は足元の『破片』を『サッカーボールキック』で蹴り飛ばし、
水飛沫を飛ばしながら、複数の『破片』を『東雲』目掛けて放つ。
感じられる。――――その一発一発が大リーガーの『硬球』クラス!

    ≪『ザ・ナショナル』、破片を吹っ飛ばしたァ!
      なんというパワー!  ディスプレイ越しの私でも、
      その『勢い』を感じられまぁす!≫

    「『マサ』さぁん、攻めが遅いぞぉ!」

    「『道頓堀』が出来るまで、粘るつもりかぁ!?」

    「始発までの時間稼ぎかっつうの!」

細い『有刺鉄線』は盾にはならず、破片が抜けるだけの『隙間』がある。
隙間を越えて『破片』が飛び交うが、『東雲』のスピードなら十分に回避できる。
互いに様子見。それを見越した『観客達』のヤジが放たれる。


【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼回回┼∵∵回┼回回┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼回回┼□□□┼回回┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼回回│東□□┼回回┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。
∵:柱の破片
回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。

606東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/01(火) 00:10:17
>>605

やはり『破片』を飛ばしてきたか。想定内の行動だ。
相手が『ザイオン・トレイン』と同じタイプの能力なら、蹴り飛ばされた『破片』にも何らかの能力が付加されている可能性もある。
軌道変化か、威力を上げるタイプか、あくまでも推測でしかないが。
念のため、この破片は確実に回避しておく。

既に自分は『マサ』さんへと向けて移動しているため、もう『柱』へと近付いているだろう。
左手で、左側にある有刺鉄線の、腰から上の『二本』を切断する。
既にその二本は片側が固定されていないため、仮に切断できずとも
左手を突っ込んで持ち上げるようにすれば、退かすのは容易い。後は足首の有刺鉄線だけとなる。
乗り越えるのは容易いだろう。
足裏は水に使ってしまうが、仕方ない。回避と接近を両立させる。

「言う割にじっくり攻めるのぉ、『マサ』サン!少しでも喋る時間が欲しいんかァッ?!」

柱の影に移動したなら、両手の『虎爪』でその柱の両側にある『有刺鉄線』、上二本を切り裂く。
時間をかけたい狙いは理解している。有刺鉄線を飛び越えたい気持ちもあるが、ここは確実に距離を詰めたい。

607『その拳はデルタを描く』:2021/06/01(火) 22:04:00
>>606(東雲)

     バシュゥ!

            ――――バツッ!

破片の散弾を潜るように回避しながら『東雲』は前進し、
左手側の『有刺鉄線』を『虎爪』によって切断する。

     ≪『東雲』選手、難なく避けます!
       『ザイオン・トレイン』、機敏な動きを見せますねぇー≫

     バシャッ
                 ガァンッ!!

『東雲』の背後から『破片』が跳ねる『水音』が聞こえ、
破片のぶつかった『鉄扉』が背後で鈍い音を立てる。

>「言う割にじっくり攻めるのぉ、『マサ』サン!
>少しでも喋る時間が欲しいんかァッ?!」

     「――――そう思うかァ?」

       バスッ!
                ビスッ!

『ザ・ナショナル』が両腕をクロスさせ、『防御』の構えを取った。
その刹那、『東雲』の背中に硬いモノが打ち据えられる。
思わず前のめりに揺らぐ『東雲』だが、咄嗟に前に出した脚が姿勢を維持する。

     ≪な、なんでしょうかぁ!?
       『東雲』選手、つんのめったぁ!≫

     「あんだけバラ撒いて、一発だけやなんて、
      まだまだツキが戻っとらんなァ――――」

驚愕の声を上げる『セカイ』。不満げに愚痴る『マサ』。
『東雲』の背を打ったそれが、肉体から離れて地面に落ちる。

      パチャッ
               ―――――パァンッ!

それは『ザ・ナショナル』が放った『破片』の一つだった。
その破片は水に濡れた床に落ちた時、小さく『跳ねた』。

     「まあええで。――――『金網代』は払うがなぁ、
      『水道代』は、アンタ持ちってことでどうやぁ?」

     「で、出たぜェ、『マサ』さんの『ザ・ナショナル』!」

     「ステージが完成すれば最後、
      あの『パワー』には誰も敵わねぇ――――」

     バツゥ!

『東雲』は『虎爪』によって、真正面の『有刺鉄線』を切断し、
足首の一本を残し、残りの二本は地面へと垂れ下がった。
二人を区切る『線』は切られ、完全に相対する形となる。


     ド      ド     ド     ド   ・  ・  ・



【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼回回┼回回回┼回回┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼回回|東回回┼回回┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼回回│回回回┼回回┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。
∵:柱の破片
回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。

608東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/01(火) 22:36:26
>>607

「がぁっ?!」

背後から衝撃。振り向けば、背中に先程蹴り飛ばされた『コンクリートの破片』だ。
やはり能力を使っていたか。
液体に触れることで反射する能力…『撥水性』に近いか?もっとも、弾かれたのはこの場合『破片』の方だが。
水のステージギミック、機動力を殺すためだけのものではなく、ヤツの『能力』とも相性が良いという事だ。
だが、『反射』先は自由自在とはいかないらしい。
『マサ』のセリフや、『ザ・ナショナル』自体もガードを固めたこともあり、
至近距離で使えば自爆の危険性もあるのだろう。無闇矢鱈に恐れる程ではない。

「アホ抜かすなや『マサ』サン。おどれが設置させた『ギミック』ならおどれが払うのが筋ってモンじゃろ」
「どうしてもっちゅうんなら─────『有刺鉄線』の分も含めて、負けたヤツが全額払えやッ!」

眼前にある、『足首』の高さの有刺鉄線を乗り越える際に
左側の柱、その正面方向へと伸びている『有刺鉄線』にそっと触れておく。『噴塩化』を施す為だ。
その先にある柱は壊れていて、その有刺鉄線も『マサ』さんが容易く乗り越えられる程だろう。
だが、直接触れたのでなければ千切れてはいないはずだ。
『ザ・ナショナル』は『ザイオン・トレイン』と違い、鎧を身に纏うことはできない。切断の選択肢はない。
そして柱が壊れて繋がっているのなら、あるいは射程内故に『マサ』さんの背後側の『有刺鉄線』まで岩塩化できるかもしれない。
もしそれが不可能でも、ひとまず左側の有刺鉄線だけは『噴塩化』させておく。

「オォラァッ!」

そして、相対した時の行動はシンプルに。
自分の持つスピードを活かして飛び込み、左手の『虎爪』をそのまま振るい殴りつける。パス精BBC
相手の速度は把握している。ガードもさせずに直撃させ、そのまま『ザ・ナショナル』を『噴塩化』させたい。
狙うのはなるべく上半身だ。もしも『ザ・ナショナル』自身が弾かれて移動するとしても、
現在足裏のみ『水』に浸っている以上、方向は上へのみに限られるはずだ。

609『その拳はデルタを描く』:2021/06/01(火) 23:45:57
>>608(東雲)

      スッ
           シュゥゥゥゥ――――

傍の『柱』に巻かれた『有刺鉄線』に触れ、『東雲』は『岩塩化』を施す。

その北側にある『折れた柱』は真っ二つではあるが、
『足首』と『腰元』の高さに伸びる『有刺鉄線』は健在だ。
これを乗り越えるとなると、人の身であれば、それなりに苦労するだろう。

>「アホ抜かすなや『マサ』サン。おどれが設置させた『ギミック』ならおどれが払うのが筋ってモンじゃろ」
>「どうしてもっちゅうんなら─────『有刺鉄線』の分も含めて、負けたヤツが全額払えやッ!」

      「ドアホぉ!  この『ギミック』をアリーナに通すのに、
       ワイがどんだけ苦労したと思っとるんや!?」

      「汗かいた分は、キッチリ『得』させてもらうでぇ!」

      ダッ!

『東雲』は一跳びで『マサ』との距離を詰め、『虎爪』を振るう。
だが、『ザ・ナショナル』は既にガードを構えており、
両腕をクロスさせたまま、『東雲』へと体当たりで突っ込む。

      グオオオォォォ――――

      「あっち行っとれやぁ!」

      ≪りょ、両者激突ゥゥ――――!!≫

     ――――バァンッ!!

『虎爪』の一撃が『マサ』の右頬を切り裂き、
その瞬間、『ザ・ナショナル』のタックルが『東雲』の身体にめり込む。
ぶつかり合いによって『体当たり』の衝撃は軽減されるも、
単純な『パワー負け』により、『東雲』は背後へと吹っ飛ぶ。

        グィィ
                パシャァァンッ!!

足首の高さに位置する『有刺鉄線』が引っ掛かり、『東雲』は背後に倒れる。
水飛沫が『虎爪』を溶かし、

         バァァンッ!!
                  ――――ザシュッ!

まるで『水切り』の石のように、倒れた『東雲』が南へと吹っ飛ぶ。
そのまま、背後の『有刺鉄線』へと激突し、露出した皮膚を『鉄茨』が刺し掻いた。

      ≪い、今の吹っ飛びは、『パワー』ではありませんッ!
        ま、まるで『川』に投げた小石の水切りみたいに、
        『東雲』選手、跳ねるように吹っ飛びましたぁ!≫

      「ふぅん……。『有刺鉄線』がない試合なら、
       水が溜まるよりも前に倒されると思ってた」

      「今のが時間稼ぎの『常套手段』、なんだ」

『キューコ』が口を開き、『セカイ』は袖口を振り回して『実況』をする。
今の飛沫によって『有刺鉄線』の『岩塩』が溶けるが、
それによって『衝撃』が吸収されたのが幸いした。

      「なんやなんや、盛り上がってへんでぇ!
       地元にゃなかった鉄火場なんや!  騒げ騒げぇ!」

『マサ』が大声を張り上げる。――――『岩塩化』は始まっている。
『マサ』の衣服から噴き出す『塩』。それに『マサ』が気付いた。

      「な、なんやこれぇ!?」

『ザイオン・トレイン』は『ザ・ナショナル』を上回る『スピード』がある。
だが、それを活かせるのは『機動力』を発揮できる場面に限られる。
真正面からの攻撃であれば、『マサ』は相打ちを覚悟で突っ込んでくる。
そして、時間を掛ければ掛ける程、不利になるのは『東雲』だ……。

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回回│東回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

610東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/02(水) 00:28:42
>>609

「ぬぅうッ!!」

吹き飛ばされ、背後の有刺鉄線に突き刺さる。
痛みはあるが、この有刺鉄線があって良かったとも思える。距離があまり離されずに済んだからだ。
これがなければ、あの『撥水』のような動きで扉の辺りまで送られていたかもしれない。
パワーは想定内、吹き飛ばされることも覚悟の上だ。
それでも接近戦を挑んだのは、こちらがスピードに勝る以上、『一撃』を当てられる見込みがあったからだ。

「そがぁに必死ならことまでして負けたらお笑い草じゃなぁッ!身体張って笑いを取るんは大阪男の本望じゃろォッ!」

立ち上がる。
『マサ』さんに起きる『噴塩化』は、文字通り全身からだ。そしてその『塩』は、対象となった物体と同じ性質を持つ。
つまり『スタンド』である『ザイオン・トレイン』からは『スタンドの塩』が発生する。
これが即ち、全身に『岩塩鎧』を纏った状況でも視界が確保できる所以だ。
そして人間である『マサ』の視界には、通常物質の『塩』が発生する。
無論、瞬きすれば比較的簡単に落ちる程度ではあるだろうが。
それが『常時』だ。多少意識を散らすには十分だろう。

「ほんじゃあここからは、キレイな『水』じゃあなく『泥』試合と行こうかァッ!!」

先程完全に切断した、左手側にあるであろう二本の『有刺鉄線』を左手で持つ。
握りつつ、自分に『岩塩化』を施せば握った手は『岩塩』による一つの拳となるので、『有刺鉄線』は抜けなくなるだろう。
同時に接近していく。ただ左手の『岩塩化』を進行させるために、スピードは通常速度だ。

611『その拳はデルタを描く』:2021/06/03(木) 22:53:51
>>610(東雲)
『東雲』は有刺鉄線から離れるように立ち上がる。
見た目の凶悪さと裏腹に、有刺鉄線の殺傷力は低い。

>「そがぁに必死ならことまでして負けたらお笑い草じゃなぁッ!
>身体張って笑いを取るんは大阪男の本望じゃろォッ!」

    「ほざけぇ!  ワイは、――――しょっぱ!

     ワイは身体は張っても『自虐』はゴメンやで!
     気持ちのええ笑いなら、なんぼでも取ったるわ!」

    「しょっぱ……?  何言ってるんだ、『マサ』さん」

    「いや、あの『白い粉』ッ!  まさか、あれは――――」

『マサ』は口に入った『塩』に反応し、観客達も騒めき始める。
『ザイオン・トレイン』の能力を発動する前に相手を倒した『前回』とは違う。
――――『東雲』のスタンド能力が割れつつある。

    ≪あの『白い粉』、果たして何なのでしょうか――――
      ……『キューコ』さん、これは、その、解説を……≫

    「『トウグモ』の『爪』が消えてる。
     ――――島国の日本では珍しいけれど、
     欧州の内陸国では、この形で産出されるのが当たり前」

    ≪『東雲』選手のご実家は『漁師』を営んでると聞きますが、
      もしかしたら、その出生が関連しているのでしょうか……?≫

『解説』と『実況』を聞きながら、『東雲』は二本の『有刺鉄線』を左手で持ち、
自身の『掌』と一体化させる形で『岩塩化』を施す。(※岩塩化は『左手』のみ?)

      「マサさーーーん!! 押してる押してるー!!
        そのまま押し切っちゃってくださーい! 流れ決めちゃおー!」

      「よぅし・・・・東雲さ―――ん! 流れを切り替えていきますよ――――っ!」

      「有刺鉄線がブチ破れた、ここからが本番だっつうの!」

      「……ガンバレ〜……」

『観客席』からキーの高い声援が飛んでくる。
それに隠れて蚊の鳴くような声援が聞こえる。――――あれは『太田垣』だ。

        ガキッ!

『有刺鉄線』の『岩塩化』は完了するが、『左手』の岩塩化には『数秒』を必要とする。
その間、『マサ』は背後へと下がり、傍の『柱』をもう一本、

          バキィ!
                 ――――バシャァッ!

『ラリアット』で真っ二つにした。折れた柱は『マサ』の足元へと落ち、

      「喰らえやぁ!  『ナショナルミサイル』ゥ!!

          パァァァン!!

水飛沫を撒き散らしながら、折れた『柱』が『東雲』へ跳ね飛ぶ。
射出の勢いにより、巻かれた『有刺鉄線』は解かれ、
一本の『柱』のみが『東雲』を目掛けて突っ込んでくる。
塩の影響か、狙いは甘い。だが、このまま正面に来れば五分五分で『着弾』する。

           ゴボボボボボボボボ ・ ・ ・

『足首』を濡らすほどにまで浸水している。
移動のスピードに支障はないが、これが『膝下』までくれば、
『ザイオン・トレイン』であってもスピードの低下は免れない。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│マ回回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破 ミ──柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋↓回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|東回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回回│回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足首』を浸す程度。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:『ナショナルミサイル』。パスBCで東雲に突っ込む。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

612東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/03(木) 23:36:50
>>611

「確かに『自虐』ネタはわしも好かんのぉ!そんならわしが語り継いで、代わりに笑い話にしちゃるけぇ!」

『ザイオン・トレイン』。
前回尾藤さんと戦った時は、尾藤さんだけは『塩』ということに気付いていたが、
あえて大声で語ってはいなかった。あの人の性格上、そういう真似を好まなかったのだろうが。
今となっては、それに助かっている面もある。
足元の『水』だけが理由ではない。なるべくタネが割れる前に、早めに決着を付ける必要がある。

(『岩塩化』はスピード:Cなら全身同時進行するだろうと勝手に思っていましたが、
 片手だけ動かして続ければ抵抗できるのを忘れていました…すみません、
 全身そのまま『岩塩化』させます。右手は脱力した時のそのままの手の形でお願いします)


>      「……ガンバレ〜……」


「─────『太田垣』ィッ!!よう来たなぁ!!」

その声を耳にして、大きく笑う。
自分が一度敗北を覚え、そして一時は『スタンド』すら使えなくなってしまった場所。
更に、ゴタゴタに巻き込まれる形で結果、命の危険すら味わった場所。
正直、もう二度とアイツが来ないことすら覚悟していた。だが来た。やはり、アイツは『男』だ。
更に力が奮い立つ。勝利を見せつけてやろう。

「自分の技に名前付けとるんかァっ!?笑いはともかくこっちのセンスはイマイチじゃなぁッ!!」

迫り来る、『ナショナルミサイル』とやらは、そのまま足を伸ばして蹴り飛ばす。
正確には、足元にある『水』をこのパワーで『柱』に飛ばす。
この柱にも『ザ・ナショナル』の能力が付加されているのなら、やはり『水』で軌道を変えるのではないか。
だが、もし能力を切るなど裏をかく狙いがあった時のために備えて、一応そのまま足でも蹴り飛ばせるようにはしておく。
何にせよ逸らせたなら、そのまま接近を継続する。

613『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 00:13:50
>>612(東雲)
『東雲』の全身から『岩塩化』を進行させる。
スタンド物質の『ザイオン・トレイン』を核にする以上、
着衣が濡れたり、肉体が『出血』しても『岩塩化』に支障はない。
右手は『手刀』のような形で『岩塩化』を続けていく。

>「─────『太田垣』ィッ!!よう来たなぁ!!」

     「……来てたんだ」

     ≪激闘を続ける両選手にアツいエールが飛びます!
       さあ、飛んで来るのは『ナショナルミサイル』!
       これを、『東雲』選手――――≫

『キューコ』は意味ありげに呟き、『セカイ』は声援に負けじと、
飛んでくる『柱』に言及し、試合を煽っていく。

>「─────『太田垣』ィッ!!よう来たなぁ!!」

          バァァァ――――ンッ!!

     ≪吹っ飛ばしたぁ!!≫

掬い上げるような蹴り足で『ナショナルミサイル』を蹴り上げ、
狙いが逸れた『柱』は『東雲』の左後方を抜け、南西の柱に激突する。
今の一撃で『水』を被った『下半身』は『鎧』の生成が遅れるも、
既に『両腕』は『岩塩』によるガントレットを完成させた。

>「自分の技に名前付けとるんかァっ!?
>笑いはともかくこっちのセンスはイマイチじゃなぁッ!!」

     「『マサ』さぁん、言われてんぞぉ!」

     「ベタが過ぎるんじゃあねぇーの!?」

『東雲』のツッコミに対し、笑い混じりのヤジが飛んでくる。
それに対し、『マサ』は怒るどころか、ニヤリと笑った。

     「これが、これがええんや。
      ……なあ、『東雲』はん」

     「ワイらがやっとるのは『殴り合い』や。
      何のしがらみもない、知らん同士のドツキ合い」

     「――――この前の『明智』と『氷山』の試合、盛り上がったなぁ。
      ワイもハラハラしとったでェ、死ぬんちゃうかと思ってなぁ……」

『ザ・ナショナル』がガードを構え、『マサ』が横っ飛びに距離を取る。
突っ込む『東雲』を警戒して、再び『防御』からの『相打ち』を狙う。

     「でもなぁ、そういうの抜きでやろうやぁ。
      『浪花節』なんか捨ててぇ、拳だけでドラマ作るんやぁ!」

――――何かがある。『違和感』だ。
それは『戦闘』における『策』や『仕掛け』の予兆とは異なる。
無視しても支障のないレベルの戸惑い。……それが『東雲』に引っ掛かりを覚えさせる。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│マ.→回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋東回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足首』の上ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

614東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/04(金) 00:30:49
>>613 質問

・『ナショナルミサイル』は水が触れたことではなく、蹴りにより直接吹っ飛んだ、という認識で大丈夫ですか?

615『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 00:33:56
>>614
>・『ナショナルミサイル』は水が触れたことではなく、
  蹴りにより直接吹っ飛んだ、という認識で大丈夫ですか?

『東雲』の『蹴り』で軌道が逸れ、後方に吹っ飛んだ形です。
水が触れた時点では、『ミサイル』の軌道に変化はありませんでした。

616東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/04(金) 01:19:33
>>613

「知らんわッ!!ただの『殴り合い』を感動したいヤツは感動すりゃええ!楽しみたいヤツは楽しみゃええ!」
「ヤジを飛ばしたいヤツは飛ばしゃあええ!参加したいヤツは参加すりゃあええ!!」

『ドラマ』だなんだと言われようが、よく分からない。自分はあまりテレビは見ない方だ。
自分は殴り合いが好きな連中と、楽しく殴り合いができて、ついでに観てる連中も楽しめるようなものができればいい。

「──────────」

僅かな違和感があるが、何らかの戦略的なものではない。
あの『ナショナルミサイル』が水に弾かれて、戻ってくるということもないだろう。
水の勢いが増している…ということもないはずだ。
あるいは、既に『噴塩化』の弱点が割れてしまったか?
ならば分かってもどうしようもない程に、追い詰める。

「フンッ!!」

左手を振りかぶり、『岩塩化有刺鉄線』をマサさんへ向けて左上から斜めに振り下ろす。
ガードの上から身体に巻き付けるように。有刺鉄線も『岩塩化』したことにより、
重みと鋭さが増して、扱いやすくなっている。例えガードされても、上手くいけば腕に巻き付くだろう。
もし『ザ・ナショナル』でガードして、更にパワーを活かして引っ張るようなら
自分の『岩塩化』だけ解除すれば良い。『岩塩化』の解除は物体ごとであり、
自分の『岩塩化』を解除しても、有刺鉄線の『岩塩化』は解除されない。

617『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 22:19:46
>>616(東雲)
>「知らんわッ!!ただの『殴り合い』を感動したいヤツは感動すりゃええ!
>楽しみたいヤツは楽しみゃええ!」

     「そうや、そうやでぇ」

>「ヤジを飛ばしたいヤツは飛ばしゃあええ!
>参加したいヤツは参加すりゃあええ!!」

     「でもなぁ、それだけじゃあ盛り上がらんのよ」

『東雲』は左手を振りかぶり、『岩塩化』した『有刺鉄線』を振り落とす。
『岩塩』を纏った有刺鉄線は、そのしなやかさを失って『硬化』するものの、
それは取り回しの良さを意味する。『棒』と『紐』、どちらが当てやすいかは明白だ。

          ガスゥ!!

『ザ・ナショナル』が両腕を掲げ、『有刺鉄線』をガードする。
その衝撃によって薄い『岩塩』は砕け、鉄色の棘線が露出する。
『透過』を選択しなかった『ザ・ナショナル』の両腕は切り裂かれ、
痛々しくも血の線が両の前腕に刻まれる。

     「おおおおォォォ―――――」
                .
     「傷口に、塩塗られた気分やわ!」

      バッシャァァンッ!!

『マサ』が横っ飛びから着地し、足元から激しい水音が飛ぶ。
水飛沫が飛ぶ。――――いや、それだけではない。

        ―――――ギュアアアァァァンッ!!

     ≪『マサ』選手の足元から、何かが飛び出しました!
       あれは!?  まさか、『ザ・ナショナル』のパワーで、地震を――――≫

     ≪違う。――――考えたものね。『水切り』のスタンドだというなら、
       『投擲』による発動が想定される。……このステージは、全てが『水』≫

『東雲』の足元から放たれたのは二本の『有刺鉄線』だ。
柱の破壊によって、繋がりが断たれて水底に沈んだ有刺鉄線が、
弾かれたように飛び上がり、無事な柱を起点として『東雲』に絡み付く。

     「一足飛びやな、『キューコ』はん!
      ――――その通りや。ワイのスタンドは『水切り』!
      ワイが放った物体は、水に触れても尚、失速せずに『弾き飛ぶ』!」

     「つまり、スタンドのパワーで『水』を揺らせば、
      水に沈んだスプーンだろうと、トビウオのように跳ね飛ぶんやぁ!」

『ザ・ナショナル』の掲げた両腕には『有刺鉄線』が絡み付いている。
だが、これは『マサ』が意図的に『干渉』をさせているからに過ぎない。
――――そう、『東雲』の『胴体』を狙う『有刺鉄線』の軌道から外すためにだ。

618『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 22:20:29
>>616-617

     「『マサ』さん! スロースターターだが、ハマれば強いとはこれよぉ!」

     「有刺鉄線じゃあマトモなダメージにはならないが、
      これで動きを封じたら、『東雲』のスピードも止まっちまうぜぇ!」

『違和感』がある。最初からだ。
『尾藤』との一戦とは違う。――――観客は皆、『マサ』の一挙一動に注目している。
ド派手なステージ。関西弁の醸し出す人間味と愛嬌。ツッコミやすい人柄。

     「『東雲』はん、アンタちょいとカタいんやぁ!
      ガッチガチのバトルはワイも好きやでぇ、
      ――――でもなぁ、それだけじゃあオモロないねん!」

     「観客がおるんや! エンタメにも振ってかなぁ!

                      ザ・ナショナル
      ド派手に行くんが、ワイの『地元意識』や!」

『東雲』の上半身を『鎧』が覆う。『有刺鉄線』の細さが幸いし、『水飛沫』は然程ではない。
だが、このまま濡れた有刺鉄線が絡み付けば、鎧をバターのように裂いて、胴体に喰い込む。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回マ.回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋東回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足首』の上ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

619東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/04(金) 23:26:50
>>617

『ザ・ナショナル』の両腕を傷付け、有刺鉄線を巻き付けることに成功する。
機動力を削がれて困るのは、自分だけではない。
『噴塩化』が進んでいる『マサ』さんも、足が止まればそれだけ『岩塩化』も進行する。
そしてその重みは『スタンド』にもフィードバックする。戦局はこちらに傾くはずだ。
だが、恐らく『マサ』さんは性質に気付いている。ならば『岩塩』を濡らして解除される前に攻め立てる。
どちらにせよ、こちらには時間がないのだ。

「『撥水』かッ!仕掛けとったか!」

しかし、敵も同じく足元の『有刺鉄線』に能力を使ったか。
『キューコ』も指摘している通り、能力を発動してから水に触れずとも、
最初から水に浸かっている物体に能力を使い、弾くことも可能なようだ。
濡れた物体を前に、『岩塩鎧』は無意味。ならばすぐに自身の『岩塩化』を解除する。
これにて『ザイオン・トレイン』は最高速度を取り戻す。
先程見た限りでは、『水切り』とやらのスピードは決して早くない。
足元から競り上がってくる有刺鉄線を回避するのは、そう難しくないはずだ。

「そういうのはアンタがやりゃあええじゃろッ!わしはただわしの闘いをやるだけじゃあッ!」
「そんな闘いが好きなヤツだけ試合を見てくれりゃあええわぁッ!」

『マサ』さんにも流儀があるようだが、こちらが合わせるつもりはない。
彼の闘いが好きな人間は彼の闘いを見るだろうし、もし自分の闘いが好きな奇特な人間がいれば、そいつが見てくれる。
自分はそれで良い。…それにしてもこの目立ちっぷり、『マサ』さんはここまで計算していたのだろうか。

「どおりゃあッ!」

軽量化した姿で足元の有刺鉄線を飛び越え、そのまま『ザ・ナショナル』の足元へ低く飛び蹴りを放つ。
両腕が通常物質の『有刺鉄線』で縛られたままの状態では、この攻撃は見え辛いだろう。
仮に『有刺鉄線』を透過して反撃をしてくるとしても、それならそれでワンテンポ遅れるはずだ。
また被弾覚悟でタックルをしてくるとしても、低い軌道で来る相手にタックルは当て辛い。
こちらが万一吹っ飛んだとしても、飛び越えたばかりの『有刺鉄線』がそのまま背後に行くのを押し留めてくれると期待する。

足元への攻撃が当たれば、『マサ』さんの機動力は落ちる。『岩塩化』を進行させ、攻め込む布石になる。

620東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 15:28:51
>>619 追記

蹴りが当たったなら、『ザ・ナショナル』にも『噴塩化』を発動させる。

621『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:15:07
>>619(東雲)
>「『撥水』かッ!仕掛けとったか!」

    「……うるせ〜〜〜ッ 『地元』だかなんだか知らんが
     『アウェー』相手にしょっぺえ試合見せやがって
     なんか…こう…あれだ!とっとと血を見せろ!」

    「『東雲』さぁーん、ぶっ倒せぇー!」

    「おら、『東雲』ッ! 『攻め急げ』よ!」

観客席から『ヤジ』混じりの歓声が飛び交い、『東雲』の背を押す。

『東雲』は『岩塩鎧』を解除し、迫る『有刺鉄線』を飛び越えるように、
『マサ』の懐へと飛び込んだ。――――『真正面』からの攻撃。
着地済の『マサ』には『ザ・ナショナル』を操る余裕がある。
視界を遮るのに、『有刺鉄線』は細すぎた。

     「宙に浮いたら、そのスピードも形無しやでぇ!」

         グイイィ!!

『ザ・ナショナル』が『有刺鉄線』の絡んだ腕を、思い切り引っ張る。
それによって『東雲』の身体が逸れ、『マサ』の真横へと着地する。

           バシャッ!

互いの肩口がぶつかり合い、『東雲』は『マサ』の真横へと着地する。
水飛沫が飛び、それが『マサ』に積もった『塩』を濡らし、溶かしていく。

      「なるほどなぁ。アンタにとっちゃあ、難儀な相手っちゅうわけか。
       せやけど、ワイかて知らんかったんや。――――恨みっこなしやで!」

      ≪両者、完全なる『至近距離』です!
        そして、『マサ』選手に降り積もる『雪』が溶けました!≫

      「――――『塩』。『水』に溶けるとなれば、
       このステージは『トウグモ』には不利」

      ≪『海の男』らしく、『塩』のスタンドということですね!
        ですが、『水』に弱いとは、皮肉という他ありません!≫

      「……『岩塩』は『山』の産物だけど」

互いの拳が交じり合う距離。『マサ』が『ザ・ナショナル』の腕を交差する。
防御の構え。『東雲』との相打ちを狙う、パワーに優れた者の常套策。
間もなく、『ザ・ナショナル』の突撃が来る――――

(※蹴りによる『岩塩化』は不可能)

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回マ東┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛下』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

622東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 22:22:47
>>621 質問

・『ザ・ナショナル』の腕を拘束している『有刺鉄線』は、
 自身の『岩塩化』を解除した時に『ザイオン・トレイン』との接続も切れているのですが、
 引っ張って東雲の身体を動かした、というのは何か理由がありますか?

・『ザイオン・トレイン』の接触発動は、拳からのみ、という認識でいいでしょうか?
 (供与原文が『このスタンドの触れたもの』となっているため、これも『調整』として、この場での裁定を詳細に記載します)

623『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:30:08
>>622
>・『ザ・ナショナル』の腕を拘束している『有刺鉄線』は、
> 自身の『岩塩化』を解除した時に『ザイオン・トレイン』との接続も切れているのですが、
> 引っ張って東雲の身体を動かした、というのは何か理由がありますか?

>>610にて、
>先程完全に切断した、左手側にあるであろう二本の『有刺鉄線』を左手で持つ。
>握りつつ、自分に『岩塩化』を施せば握った手は『岩塩』による一つの拳となるので、
>『有刺鉄線』は抜けなくなるだろう。

と記載されており、棘付きの『有刺鉄線』であれば、
解除後に即座に抜けることはない、と考えます。

(※鎧を解除し、有刺鉄線を手放す、という表記があれば、
  『有刺鉄線』を手放す、という旨のGMレスを返していました)

>・『ザイオン・トレイン』の接触発動は、拳からのみ、という認識でいいでしょうか?
> (供与原文が『このスタンドの触れたもの』となっているため、これも『調整』として、この場での裁定を詳細に記載します)

一般的に『触れた物体を〇〇する』と表記された『接触発動』については、
『拳』や『掌』で触れた物体のみ作用する、と考えます。

624東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 22:38:50
>>623 質問

>>616にて、引っ張るようなら自身の『岩塩化』を解除して〜の一文を記載してあったので、
 自身の『岩塩化』を解除しただけで『有刺鉄線』は抜けるものだと思っていました。
 これを文の不足だと判定するのなら、受け入れます。
 また、拳や掌による接触発動として扱うという点も、了解しました。

625『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:40:37
>>624
了解しました。只今、レスを訂正します。

626『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:43:20
>>619(東雲)
>「『撥水』かッ!仕掛けとったか!」

    「……うるせ〜〜〜ッ 『地元』だかなんだか知らんが
     『アウェー』相手にしょっぺえ試合見せやがって
     なんか…こう…あれだ!とっとと血を見せろ!」

    「『東雲』さぁーん、ぶっ倒せぇー!」

    「おら、『東雲』ッ! 『攻め急げ』よ!」

観客席から『ヤジ』混じりの歓声が飛び交い、『東雲』の背を押す。

『東雲』は『岩塩鎧』を解除し、迫る『有刺鉄線』を飛び越えるように、
『マサ』の懐へと飛び込んだ。――――『真正面』からの攻撃。
着地済の『マサ』には『ザ・ナショナル』を操る余裕がある。
視界を遮るのに、『有刺鉄線』は細すぎた。

     「宙に浮いたら、そのスピードも形無しやでぇ!」

         グイイィ!!

『ザ・ナショナル』が『有刺鉄線』の絡んだ腕を、思い切り引っ張る。
それによって『東雲』の身体が逸れるが、『岩塩化』の解除により、
『有刺鉄線』が手放され、完全には軌道は逸れない。

    ガスゥ
          ――――バシャッ!

『マサ』の左足首に踏みつけるような『蹴り』が命中し、『東雲』は『マサ』の真横へと着地する。
水飛沫が飛び、それが『マサ』に積もった『塩』を濡らし、溶かしていく。

      「グ、ォォ!!  おばちゃんのハイヒールより利くでぇ!
       アンタも難儀しとるようだが、――――恨みっこなしやで!」

      ≪両者、完全なる『至近距離』です!
        そして、『マサ』選手に降り積もる『雪』が溶けました!≫

      「――――『塩』。『水』に溶けるとなれば、
       このステージは『トウグモ』には不利」

      ≪『海の男』らしく、『塩』のスタンドということですね!
        ですが、『水』に弱いとは、皮肉という他ありません!≫

      「……『岩塩』は『山』の産物だけど」

互いの拳が交じり合う距離。『マサ』が『ザ・ナショナル』の腕を交差する。
防御の構え。『東雲』との相打ちを狙う、パワーに優れた者の常套策。
間もなく、『ザ・ナショナル』の突撃が来る――――

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回マ東┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛下』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

627東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 23:43:10
>>626


>    「……うるせ〜〜〜ッ 『地元』だかなんだか知らんが
>     『アウェー』相手にしょっぺえ試合見せやがって
>     なんか…こう…あれだ!とっとと血を見せろ!」

>    「『東雲』さぁーん、ぶっ倒せぇー!」

>    「おら、『東雲』ッ! 『攻め急げ』よ!」


「チィッ!分かっとるわァッ!」

『岩塩化』の解除が遅れた。いや、『マサ』さんの反応速度を褒めるべきか?
蹴りの軌道は逸らされたが、どうにか一撃を叩き込めた。
だが、代わりに『マサ』さんが水飛沫を食らった。
本来なら、『塩』を溶かす為に至近距離で自ら水を被る、その一瞬を攻めるつもりだった。
やはり『水』というものがあると攻め手が変わる。────だが、それが敗北の理由にはならない。

「その通りじゃあ!闘いっちゅうもんは予測できんことも数多くある!
 それが有利にも不利にもなるんは当たり前じゃ!」

『マサ』さんが仮に『ザイオン・トレイン』を知ってこのギミックを仕掛けたとしても、問題はない。
だが、そもそも『マサ』さんの意図ではないだろう。
対戦相手としてこの人を指名したのは自分であり、『ザイオン・トレイン』は
『水』が弱点なのは、目覚めた時から知っていた事だ。こんな事態も想定して当然と言える。
…もっとも、自分の頭で対策が浮かぶわけではない。

ギミックに『有刺鉄線』を用いたのも、相手に『噴塩化』を施してしまえば、
後は『長期戦』になろうとこちらが有利。その考えが裏目に出た。
だが、反省は勝負の後でいくらでもできる。勝つ為に何かをできるのは、今だけだ。
現在の水位は『脛下』。『ザイオン・トレイン』の機動力を活かせるのはもう僅かだ。

「『水』がナンボのもんじゃあァッ!!」

タックルをスピード差でかわすように、『マサ』さんの左側(自分から見て右側)へ移動する。その際に、右袖から左手に『ロープ』を移しておきたい。
『ザイオン・トレイン』の利点の一つ、手足の速度が速いのみの人型には真似できない、本体軌道。
それを用いてかわし、即座に右拳を本体の『マサ』さんへと叩き込む。
仮にそのまま吹き飛べば、足元の有刺鉄線はもちろん、先程自分を攻撃するのに使った(>>618
有刺鉄線もある。倒れたなら、打撃のダメージのみでは済まないだろう。

当然『マサ』さんも振り向いて対応をするだろうが、対応が遅れるだろうという理由が二つある。
一つは、先程飛んだ水飛沫だ。『目』にも発生していた『噴塩化』が止まるならば、
同じく『目』にも水飛沫がかかっているだろう。拭うまでは、若干視認性が落ちるはず。
二つ目は、つい先程足首に叩き込んだ『蹴り』だ。
こちらの方向が変われば『マサ』さんも振り向くだろうが、足首に負傷があれば
痛みで振り向くのが遅れてもおかしくはない。その隙を狙う。

628『その拳はデルタを描く』:2021/06/06(日) 22:19:21
>>627(東雲)

>「その通りじゃあ!闘いっちゅうもんは予測できんことも数多くある!
> それが有利にも不利にもなるんは当たり前じゃ!」

     バシャッ

『東雲』は『マサ』の脇横へと飛び込み、
『ザ・ナショナル』のタックルを回避する。

         バゴォッ!!

『ザ・ナショナル』の衝突した『柱』が砕け、
コンクリートの『破片』が飛び交い、それらが『着水』し、

          バシャシャァァ!!

数個の『破片』が水を切り、『東雲』の下へと殺到する。
『東雲』の肩部や頭部を『破片』の散弾が打ち据える。
上半身に痛みが走るも、行動不能なダメージではない。

     ≪唯のタックルじゃあありません!
       『ザ・ナショナル』、柱をぶっ壊して『水切り』に!≫

『東雲』は飛び込んだ矢先にいる『マサ』目掛けて、
その右拳を思いっきりぶち込んだ。

         バキャァァ!!

     ≪入ったァァァ―――――!!
       『ザイオン・トレイン』の強烈な一撃がぁ、
       『マサ』選手のガードを抜け、吹っ飛ばしたァ!≫

     「キッツイの、来るやぁないか!」

『マサ』は左掌を翳すも、その『ガード』は十分ではない。
左掌の骨が砕ける音が拳を通じて響く。そのまま『マサ』は吹っ飛び、

           バシャァンッ!

先程と同様に『有刺鉄線』に足を引っかけ、倒れ込むように着水する。
いや、それだけではない。

     「この距離なら外さんでぇ!」

『ザ・ナショナル』が背中ごと『東雲』へと飛んでくる。
これはスタンドの操作ではない。――――『水切り』による衝撃。

     「吹っ飛ばす、というのは、自身の『跳躍』や『タックル』も含まれる。
      『トウグモ』が殴った時、敢えて抵抗せずに吹っ飛んだのね――――」

     ≪と、ということは、『ザ・ナショナル』だけじゃあない!≫

             バァァンッ!!

更に背面から着水した『マサ』自身も、上空へと跳ね上がる。
その高度は『2m』。『マサ』が吹っ飛ぼうとも、『ザ・ナショナル』に影響はない。
背面は壁。周囲の『有刺鉄線』はほとんどが切断されるも、『ザ・ナショナル』は間近だ。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回東□柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回□ナ.│回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破─マ.─破┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛下』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

                  __|〇
       〇    〇     /
       ト ← / ̄
---------ノ>----\-----------------
      東雲  『ザ・ナショナル』  『マサ』

629東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/06(日) 22:50:32
>>628

「ぐうぅッ!!」

歯を食い縛り、破片の散弾に耐える。
『水切り』の狙いは正確ではない。即座に昏倒する程ではない。
こちらの拳も『マサ』さんを捉えた。だが、左手のみだ。
『噴塩化』にて戦局をこちらに引っ張ってくるのはもはや不可能だろう。
『マサ』さんも『ザ・ナショナル』も、全身ずぶ濡れだ。後は、殴り合うしかない。

『マサ』さんの吹き飛び方、あれは異常だ。つまりあれも『能力』の範疇。
間合いを取られた、だけではない。その吹き飛びを利用して、『ザ・ナショナル』による背面タックル。
距離が近過ぎる。『マサ』さんの言う通り、今からの回避は不可能だろう。
ならば、ここで逆に一撃を叩き込む。

「来いやぁッ!!」

背後が『壁』というのは良い。逃げ場がないが、しかし同時に支えともなる。
左手と左足を壁に沿わせ、右肘と右膝を出す。この支えを用いて、逆にカウンターをブチかます。
人体でも有数の部位である肘を用いて、『背中』という幅広い敵の打撃面に対して
こちらは接点を集中させ、敵にもダメージを与えつつやり過ごす狙いだ。

630『その拳はデルタを描く』:2021/06/06(日) 23:49:08
>>629(東雲)
>「来いやぁッ!!」

『東雲』は閉ざされた扉に片手足を突き、
それを支えにするように、対となる肘膝を打った。

      ゴスゥ!
              ――――ビシシッ

『体当たり』の威力は高い。『ザ・ナショナル』の破壊力がそのまま乗っている。
『東雲』の右肘が砕ける音が聞こえる。右膝の皿にもヒビが入った。

     「ご、がああああぁぁぁぁ!!」

     ≪『東雲』選手、避けられない!  ――――違うッ!
       敢えて、敢えて、この一撃を受けたぁ――――!!≫

     ≪『ザ・ナショナル』、背面に強烈な一撃を受けましたぁ!
       あの位置、あの位置は、――――『キドニーブロー』です!≫

だが、上空にいる『マサ』の絶叫により、
その一撃が『甚大』であるとハッキリと伝わった。
『東雲』がクッションとなって軽減されたとはいえ、
『ザ・ナショナル』のパワーがマトモに跳ね返る形だからだ。

      ドシャァァ――――

『体当たり』の衝撃を受け、『東雲』は扉を背にして崩れ落ちる。
既に『水』は脛の中ほどにまで達している。移動するにも水の抵抗が強く、
『ザイオン・トレイン』のスピードも大きく減じられるだろう。

     「ゴホッ   グッ」

     「避けずに敢えて、『ザ・ナショナル』に飛び込むたぁ、
      流石やなぁ、  ゴホッ  ――――ようやるわ……」

着水する『マサ』はもう一度跳ね上がり、緩やかに着地する。
だが、顔色は蒼褪め、尋常ではない脂汗が流れている。

     ≪ぼ、ボクシングでは『反則』の一つである『キドニーブロー』ですが、
       その理由は『骨』に守られていない『腎臓』への打撃は、
       『重症』へ繋がりかねないからというものですが――――≫

     「咄嗟の判断。たまたま、あの一撃が入ったのね。
      ――――それじゃあ、『マサ』はもう、ダウ……」

     「ま、まだやでぇ――――」

『マサ』は『ザ・ナショナル』を引き戻し、息を荒げながら立ち続ける。

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回東□柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回□□.│回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破─マ.─破┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛中』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

631東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/07(月) 00:16:14
>>630

「ぐっ、ううおぉぉぉぉぉッ!!」

右肘が破壊された激痛が走る。だが、覚悟の上だ。歯を食いしばって、大声を上げて痛みに耐える。
エミカの用いた『ゲートコントロール』にも似た行為だ。完全に模倣するなら、
左手で右膝を抑えるべきだろうが、そんな事をしている余裕はない。
そもそも、『ザ・ナショナル』のパワーは『ザイオン・トレイン』を上回る。
こちらも被弾して、右腕や右膝が使い物にならなくなる事も想定済みだ。
気絶まで持ち込まれなければ、それで良い。

「…わしの『スタンド』じゃあ、カウンターを狙えても、『部位』までは正確には狙えん」
「『水』のギミックは不利に働いたが、今回の運はわしの方に転がってきたようじゃなァ…ッ!」

犬歯を剥き出しにして笑う。
そしてこちらの被害よりも、更に『マサ』さんのダメージは大きい。
『実況』を聞く限りだと、『腎臓』に入ったようだ。
背中に対して攻撃を合わせるのが精一杯だったが、この結果になるとは。これもまた闘いか。
『マサ』さんは試合を諦めるつもりはないだろう。自分とてそうだ。
『水位』は上がってきている。まだ『水切り』も使えるだろう。
立ち上がれなくなるまで、闘い続ける。『アリーナ』のシンプルなルールだ。

「・・・・・上等じゃあ!!かかって来いや『マサ』サンッ!!!」

自身に再度『岩塩化』を施しながら、左手にはロープを握ったまま『マサ』さんへと距離を詰める。
右膝の負傷、そして『水位』の上昇による移動への弊害はどの程度か。右腕はどの程度動かせるか。それを確かめたい。
自分の右肘が『マサ』さんの『腎臓』へと当たったのなら、右膝は足回りのどこかに当たったのだろう。
逆に『マサ』さんはこの状況で、どこまで動けるのか。

632『その拳はデルタを描く』:2021/06/07(月) 23:26:08
>>631(東雲)
>「ぐっ、ううおぉぉぉぉぉッ!!」

『絶叫』によって痛みを抑え込む『東雲』。
『ゲートコントロール』とは全く異なる、純粋なる『闘志』による『活性』。
激痛を吐き出しながら、『東雲』は立ち上がった。

       シュゥゥゥゥ―――――

自身の全身に『岩塩化』を施し、『マサ』へと接近する。
膝の激痛と『水位』の上昇により、移動速度は常人並に落ちている。
『右肘』は外れたようにフラつき、腕全体を振り回して、辛うじて『打撃』が振るえる。

     ≪両選手、負傷を振り切って見せるファイティングスピリッツ!
       しかし、両選手のスタンドのパワーを考えるならば――――≫

     ≪決着まで、そう時間はないでしょう!!≫

     「ワイの、『最後』の試合や――――」

     「『B級』に勝てずにケツ捲るなんて、しとうなかったわ……」

『マサ』のダメージはより酷いはずだ。その証拠に、『マサ』の腰が落ち、
下腿が全て水中に沈む。――――いや、違う。

>「・・・・・上等じゃあ!!かかって来いや『マサ』サンッ!!!」

       ズズズ...     ダンッ!!

     「せやけど、最後は『勝利』で笑って、お終いやぁ!
      『東雲』はん、アンタの『塩』!  もうお役御免やで!」

      バシャシャシャシャァァァァァ―――――!!

姿勢を低くした『マサ』が水飛沫を散らしながら接近する。
自身を蹴り放っての『水切り』。片足の蹴りだけで『ジェットスキー』を見せ、
片足を負傷しながらも、全力疾走に等しいスピードだ。

      「マサさーん! マサさんのかっこいいとこ、もっと見せてーっ!」

      「これが最後、何言ってるんだ……『マサ』さん……」

      「これだけの大仕掛け、残したまま『引退』する気かぁ!?」

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回東回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回↑回.│回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破─マ.─破┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛中』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

633東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/07(月) 23:41:53
>>632 質問

・今現在、自身の『岩塩化』はどの程度まで進行していますか?
・『ジェットスキー』の水飛沫は、『マサ』さんの後方に飛んでいますか?

634『その拳はデルタを描く』:2021/06/07(月) 23:47:34
>>633
>・今現在、自身の『岩塩化』はどの程度まで進行していますか?
『3秒(=1.5cm)』ほど。両掌の『岩塩化』が完了。

>・『ジェットスキー』の水飛沫は、『マサ』さんの後方に飛んでいますか?
『マサ』の両脇から後方へと抜けるように飛んでいます。

635東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/08(火) 00:16:46
>>632

やはり右肘は、ほぼ使い物にならなさそうだ。
『岩塩化』でギブスのように固定して、無理矢理振り回す事も考えたが、その時間はない。
だが、全く動かせないわけではない。それならば十分だ。

「やはり『水切り』かァッ!!」

負傷の大きい『マサ』さんが決着を付けるには、それしかあるまい。
これでこちらに接近するための機動力は補われる。
一方自分は『水位』と膝の負傷により、機動力が低下している。つまりその点は五分五分になった。
しかし、なおもこちらに有利な点はある。それを用いて、勝つ。

「なぁにが最後じゃあッ!諦めるのが好きなヤツらじゃのお!!」

『マサ』さんに何の事情があるかは知らないが、『アリーナ』の舞台の上では知ったことではない。
ただ『明智』といい、この人といい、自分には闘いを諦める人間の気持ちは分からない。
例え場所が変わろうと、環境が変わろうと、相手がどんなに強かろうと。
手を替え品を替え、両手両足が動かなくなっても、喉笛に食らいつければ勝てるのだ。

根本から振り回すしかない右手、それを使って脛下まで来た『水面』を掬い上げる。
右手の『岩塩化』は解除されるが、もう打撃に使うことはないだろう。
『ザイオン・トレイン』のパワーで、なるべく『マサ』さん本体の顔面を狙って多くの水を飛ばす。
その膂力で放たれた水はそれなりに衝撃はあるだろう。ましてや、『マサ』さんも『ジェットスキー』でこちらに向かってくる形だ。
もちろんダメージには繋がらない。
だが一瞬でも顔面にかかることで、攻撃の精密性が少しでも落ちれば御の字だ。

「わしはジジイになろうと、『ケンカ』は止めんけぇのぉッ!!」

そして本命は左手。いくら『機動力』が落ちようとも、『ザイオン・トレイン』。
拳を含めた、身体を動かすスピードは変わらず、それは『ザ・ナショナル』より速い。
それを用いて、『ザ・ナショナル』の顔面へと目掛けて拳を放つ。
先程(>>628)、『マサ』さんの左手は破壊している。確実にこちらを仕留めに来るなら右拳だ。
こちらが有利な体捌きであることを活かして、その拳をかわしつつ、こちらは攻撃を当ててやる。

636『その拳はデルタを描く』:2021/06/08(火) 00:55:17
     ブロロロロロロォォォォ――――

     「(アカンな……時間は、ないで……)」

レンタルしたセダン車のアクセルを踏み抜きながら、
『マサ』はミントガムを噛み潰し、苛立ちに顔を顰めていた。
客先から掛かって来た一本の電話。

夜中であっても『電設業』を営む『マサ』には、珍しい時間帯ではない。
電話一本で現場に急行するのも当たり前だ。――――今回は客先が悪かった。

     「(電気トラブル……それも『新幹線』。
       よりにもよって、『瀬川』はんが手ェ入れた翌日たぁ……)」

『瀬川』は『マサ』が経営する『川島テクノ』に所属する『熟練』の老齢職人だ。
中でも『鉄道』に関連する『信号設備』、『照明設備』に関しての知見は深く、
独立して十年足らずの『マサ』がトントン拍子で業績を拡大できたのは、
早期退職した『瀬川』の『人脈』と二人三脚で培った『技術力』の賜物だった。

     P r r r r r r r . . .

     「『瀬川』はん!  解っとる、アンタは間違えない!
      唯、変電設備が狂ってしもうたら、『安心安全』は守れへんやろ!」

     「すぐに現場に向かってくれへんか!?
      ああ、こっちも電話がひっきりなしや!
      客先もカンカンや!  ――――ああ、ワイは……」

『潮時』か。経営者の身でありながら、『瀬川』を始めとする数多くの職人に支えられ、
好き勝手やらせてもらっていた。謎の『出張』にも疑いの目を向けることはなく、
現場を離れた己の代わりに仕事を続け、『こんぺいとう』の土産を受け取っていた。

     「ワイは、――――スマン!  今日はどうしても、外せん用事があるんや!」

『アリーナ』を蹴ってでも現場に向かうべきだった。
……だが、心が燻る。頭を過ぎるのは『記憶』。

――――地元には何でもあると思っていた。東京にも負けないと思っていた。
何もない地方都市だと軽んじていたその町には、己と同じ『スタンド使い』が集っていた。

     ┌──────────────────────────
     | 「『マサ』さん、発想は面白いと思うのですが、
     │  ……いや、私も『技術者』の端くれとして挑戦したいです。
     │  しかし、ここまで大がかりな『ギミック』は――――――
     └──────────────────────────

────────────────────────┐
   「ふざけんじゃねェぞ!  ソースくせぇんだよ!」 .   │
                                    │
   「道頓堀でドタマ冷やして来いやぁ!」           │
                                    │
   「関西のキツいノリを持ち込むなっつうの!」       │
────────────────────────┘

     ┌─────────────────────────────────
     | 「――――『吉田』さん。近々、このステージに『改装工事』を考えている。
     │  万が一、『エクリプス』が攻め込まれた時の『防衛拠点』として、だ。
     │  ……『下水道』に直結させる必要がある。そのついでなら、どうだろうか?」
     └─────────────────────────────────

アウェーの洗礼。ギミックを捻じ込む為の行脚。水圧に耐え得るステージと予算の試行錯誤。
楽しかった。拳が滾る。仲間がいる。胸を熱くする勝利。年甲斐もなく涙した敗北。

        ┌───────────────────────┐
        │「─────『マサ』サン、いっちょ闘りましょうや」    │
        └───────────────────────┘

     「今日だけや。今日が最後や。
      ――――ワイを、今日だけ『男』にしたってくれや!」

          PI♪

『湖西IC』を過ぎる。既に試合開始時間はとうに過ぎている。
――――時は追ってくる。もう大人になってしまった。……この日が来るのは解っていた。
だから、だから今日だけは、あの場所に行かせてくれ。

637『その拳はデルタを描く』:2021/06/08(火) 01:19:51
>>635(東雲)
>「やはり『水切り』かァッ!!」

    グオォォンッ!
              ――――バシャァァ!!

『ザイオン・トレイン』を纏った『右腕』を下手に振るい、
『東雲』は強烈な『鉄砲水』を『マサ』の顔面へと浴びせる。
無論、『マサ』は止まらない。『ザ・ナショナル』の右腕が、

       ドギュォォ!!
                   ――――バシャシャァ!!

低い姿勢から『アッパー』を打ち上げる。その拳が水を切りながら。
上体を浮き上がらせるような『カエルアッパー』。水を切る反動によって、
伸び上がる拳が加速する。そのスピードは『ザイオン・トレイン』に匹敵する。

>「なぁにが最後じゃあッ!諦めるのが好きなヤツらじゃのお!!」

>「わしはジジイになろうと、『ケンカ』は止めんけぇのぉッ!!」

      「その学生服がまぶしいなぁ、『東雲』はん!
       ワイも、その心意気一つだけで、挑みたかったわぁ!」

      「生きていく上で、ワイは思ったよりも背負いすぎちまったんや!
       でもなぁ、『後悔』はないでぇ! 最後の最後、このアリーナで!」

      「アンタみたいな、ゴッツイ『男』とヤれたんやからなぁ!」

           ドギュオンッ!!

右拳のアッパーを『東雲』はギリギリまで引き付けて避けようとする。
だが、『速い』。無論、『東雲』は既に『拳』を突き出した。

      「が、頑張れ―――――っ! 『マサ』さぁぁ――――んっ!」

      「かっこよくて強ーい東雲さんに勝って、きれーなフィニッシュですよ!
       いけいけマサさーん! やっちゃえやっちゃえ! 終わり良ければすべて良しー!」

      ≪『東雲』選手、僅かに速い!
        『後の先』! 既に負傷した身ではありますが、
        それでも尚、その白亜の拳は、真っすぐに『マサ』選手を――――≫

              バキャァァァ!!

      ≪顔面を、打ち据え≫

                 ゴォォ――――

           ド  ッ

『東雲』の脇腹がひしゃげる。肋骨の割れ砕ける音が響き渡る。
避けた身を追うようにアッパーが飛び、『東雲』の身体を思いっきり打ち上げた。
――――息は続く。完成間近だった『岩塩鎧』がクッションとなり、『致命傷』は避けた。
だが、『岩塩』が残るのは『両拳』のみ。

       ≪――――両者、『空中戦』!≫

       「――――着水までに、試合は決する」

視界の端で『鼻筋』のひしゃげた『マサ』が倒れ込み、

                 バシャアアア!!

『東雲』を追うように『ザ・ナショナル』が水切りの反動で飛び上がった。
互いに中空を舞い上がり、水飛沫を煌めかせながら、
『水』から脱した一人と一体が、何者も届かぬ空にて対峙する。

   _|   東雲
    \./
扉    |〇
扉      \〇
扉        \『ザ・ナショナル』
扉         |\


扉            _〇
扉            /|   『マサ』
-----------------<---------------------

※現在、互いに『上空4m』を飛行中。

638東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/08(火) 22:15:45
>>637

(『水切り』の反動ッ!打撃にも応用できる程か…抜かったわ!)

初手の瓦礫散弾の当たり外れが大きかったことや、こちらの攻撃の回避に
『水切り』を用いなかった事から、あまり正確な動作はできないと睨んでいた。
更に『水滴』の妨害で、直撃だけは避けられると思っていたが、読み違えたか。
はたまた試合巧者の『マサ』さんが、ここまでその事実を隠していたが。
これでスピードの不足は補われてしまった。

「おどれ程の男が、んな寂しいこと言うなや!!例え『アリーナ』がなくなろうと、
 わしは『マサ』さんからの挑戦はいつでも受けたるけぇ!!」


>                 ゴォォ――――

>           ド  ッ

そして、拳が交差した。

「が、ふっ………!!」

アッパーの直撃を受け吹っ飛ぶ。『岩塩鎧』がなければ、勝負を決められていたかもしれない。
壁際まで飛ばされて、それを追うように『ザ・ナショナル』も飛び上がった。
『マサ』さんはブッ倒れたようだが、『ザ・ナショナル』は本体の目の届かない所でも闘えるのだろう。
恐らく、自分も相手もこれが最後の一撃だ。全力で力を振り絞る。

「───花を、持たせるつもりはねぇわぁッ!何度でも、奪いに来いやァァァッ!!」

距離を詰める為に、壁を蹴る。幸い背後の扉は近い。それは水を通さないよう完全にロックされている。
足場として使うことは可能だろう。
そして距離を詰めたなら、細かい動きの出来ない右手も左手を合わせ、振り下ろす。
足りないパワーを補う為に、両手の『岩塩』の重みを合わせて、『ザ・ナショナル』の胴体目掛けて叩きつけてやる。

『アッパー』である以上、打ち上げられたこちらの方が、高い位置にいる。
そして『ザ・ナショナル』は水切りで下側から追撃してくる状況だ。
自分が今有利なのは、壁に近く、そして高さがあるという二点。『重さ』は上方からの攻撃において、効果的だ。

639『その拳はデルタを描く』:2021/06/13(日) 22:30:53
>>638(東雲)
>「が、ふっ………!!」

その一撃に呼気を搾り取られる。
軽々と宙を舞う中、『東雲』はその両脚を伸ばし、

        ダァンッ!

     ≪『東雲』選手、吹っ飛ばされては終わらなぁい!
       壁を蹴った、向かう先はぁ――――≫

     ≪『ザ・ナショナル』!!  既に拳の間合いです!≫

背後の『扉』を蹴り、真下の『ザ・ナショナル』の上を取る。
そして、組んだ両腕を思いっきり振り下ろし、

>「おどれ程の男が、んな寂しいこと言うなや!!例え『アリーナ』がなくなろうと、
> わしは『マサ』さんからの挑戦はいつでも受けたるけぇ!!」

        ガスゥッ!!

    「『ザ・ナショナル』ーーー!

           マサさんにーっ!
      . . . .
     『勝ち逃げ』させたげちゃってくださーい!!!」

    「『マサ』さ――――ん!
     最後なら・・・・勝って終わりにしてくださ―――い!」

    「見っともねぇ終わらせ方にするんじゃあねぇーぞ!」

    「最後の最後、カッケェところ見せろっつうの!」

      うおおおおおおぉぉぉぉ―――――

『歓声』が飛ぶ。観客達が轟かせる『マサ』への声援が響き渡る。
互いが宙を舞うことで、その怒涛は尚一層、両者の肌を震わせる。

>「───花を、持たせるつもりはねぇわぁッ!何度でも、奪いに来いやァァァッ!!」

    「上等やぁ、この拳で――――最後を飾ったるわあ!」

両者の拳が激突する。そのパワーは『ザ・ナショナル』が上回るはずだ。
――――だが、『東雲』の両脚が『扉』に付き、その衝撃を吸収する。
宙を舞う『ザ・ナショナル』は、その撃力を完全には伝えきれない。
この空中戦。この状況下において、両者のパワーは互角。

          バシュルルルルルゥゥゥゥ――――!!

    ≪あ、あれは……水中の『有刺鉄線』!!≫

    ≪飛び上がったその『衝撃』が水を伝わり、
      『有刺鉄線』を押し退け、跳ね飛ばしたぁぁぁ――――!!≫

    「――――あの一戦で『ニコン』を追い詰めた『必殺技』、

      サーペンティン・プリズン
     『 大 刑 蛇 締 監 獄 』。……これが決まれば、空中での脱出は不可能ね」

『監獄』と称された多方向からの拘束の功績を、『キューコ』が静かに告げる。

激戦で千切れた、六本の『有刺鉄線』が左右正面三方向から伸び上がり、
宙を舞う『東雲』を絡め取らんと、『ザ・ナショナル』を透過しながら躍りかかる。
狙いの甘さを『本数』でカバーし、すぐにでも『東雲』の四肢に絡み付くだろう。

    「空中に逃げ場はあらへんで!
     ――――『東雲』ェ、この一撃が西からの土産や!」

『マサ』は朦朧としながらも、『東雲』を見据えている。
『腎臓』のダメージが酷い。持って数秒、その程度か。
――――だが、『ザ・ナショナル』の剛腕を以てすれば、
その数秒の間に、動きが止まった『東雲』を屠るのは容易だ。

640東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/13(日) 23:54:51
>>639

観客の声が聞こえる。
誰も彼もが、『マサ』さん引退への花道を応援している。それは恐らく正しいのだろう。
どこかで『一線』は引かなければならない。得てして『アリーナ』はそういう場所だ。
仕事、健康、年齢、様々な理由があってこの場を離れた人間も少なくないだろう。
だから、理屈として『マサ』さんは間違っていない。むしろ正しくないのは自分の方なのだろう。

「─────チィッ…『ザ・ナショナル』!既に用意しとったんかッ!」

迫り来る『有刺鉄線』。これに絡め取られれば、自分の敗北は確実だろう。
さりとて空中では自由には動けない。この一瞬で、自分に出来る事を探る必要がある。
そして気付く。この『有刺鉄線』の狙いはやはり正確ではない。水場から距離がある故か、元から能力の限界があるのか分からないが。
六本全てが脅威、というわけではないはずだ。

そして『ザ・ナショナル』とは先程拳を合わせたものの、まだ遠くには離れていないのだろう。
自分が『空中』に固定されてしまった状態で、『ザ・ナショナル』のみが落下したなら追撃はできない。
こちらが『拘束』され次第、即座にトドメの一撃を放てる距離にいるはずだ。

ならば、迫り来る『有刺鉄線』の内、脅威になりそうなものはまず両拳で弾く。
右手は果たしてどこまで動くかは分からないが、『水切り』の速度自体は速くない。
こちらの速度優位を活かして、それで正確さを補う。
弾くと言ったが、『岩塩化』した拳に触れれば有刺鉄線はそれに巻き付こうとするだろう。
そのタイミングで『岩塩化』を解除することで、拳を抜いてやり過ごす。

「うおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!」

そして『有刺鉄線』をやり過ごせたなら。あるいはそもそも最初から手の届く距離だったなら。
即座に手を伸ばして、『ザ・ナショナル』へ抱き付きそのまま鼻っ柱目掛けて頭突きをする。
先程(>>637)、『マサ』さんは鼻を負傷している。連続しての打撃は、反撃を遅らせられる。
そして膝蹴りも打てない程のゼロ距離なら、どちらも打撃は頭突きに限定される。
もちろんパワーに勝る『ザ・ナショナル』ならば、力に任せてこちらを締め落とすことも可能だ。
こちらもパワーで抵抗したとしても、いずれやられる。
だが『数秒』はかかるだろう。その数秒を、鼻っ柱へ何度も頭突きを繰り返すことで稼ぐ。
当然そのままブッ倒れてくれれば良い。『気合い比べ』だ。

正しくないのは自分だとしても、ここで負けてやるつもりなど毛頭ない。

641『その拳はデルタを描く』:2021/06/18(金) 23:08:16
>>640(東雲)
>「─────チィッ…『ザ・ナショナル』!既に用意しとったんかッ!」

迫る『有刺鉄線』が『東雲』の四肢に殺到する。
背後から聞こえる声援の数々。いずれも『マサ』の勝利を願う声。
互いに全力を振り絞り、どちらが勝ってもおかしくない試合運びだ。
――――だからこそ、『マサ』にとっては『有終の美』となる。

     シュルルル 
              ガッ   シュゥ!

     「マサさああーーん!! 勝ってーーーーー!!!!」

     「これで終わりなら、西の生き様見せろっつうの!」

『東雲』の両腕に『有刺鉄線』が喰い込む。
中空に浮かぶ『ザ・ナショナル』が大きく拳を振りかぶる。
巨岩をも砕く撃腕が、『東雲』の胴体へと襲い掛かる。

     「この一撃、網膜に刻んだるわァァァ―――――!!」

     「うおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!」

     シュルッ

拳に巻き付いた『有刺鉄線』は、『岩塩』の解除によって緩む。
何も纏わぬ裸の拳が、『ザ・ナショナル』の首元へと伸びる。
距離が僅か、届かない。空中の『東雲』は、これ以上は動け――――

            ギュゥゥゥ――――ンン!!

     ≪『東雲』選手、ここで『加速』ッ!!
       な、なんで『空中』で、身体が伸びて――――≫

     「伸び切った『有刺鉄線』を、手繰って引き寄せた……」

『東雲』が腕を伸ばし、身体が捻じれた時、
対の腕に巻き付いた『有刺鉄線』は引っ張られる。
体躯の回転によって伸びた腕、掌が『ザ・ナショナル』を掴み、

          i /
         力  ギャァァァンッ!!

その頭突きが『ザ・ナショナル』の顔面を叩き伏せる。
『ザ・ナショナル』の拳は『東雲』の脇腹を抉るも、
その勢いは削がれるよりも早く、

           ガスッ
                   ゴスッ!!

頭突きの一撃一撃が、『マサ』の花道を枯らしていく。
視界の下方では倒れかけた『マサ』の鼻柱が捻じれるのが見え、
それでも『ザ・ナショナル』は両腕を『ザイオン・トレイン』に組み付け、

     「上等やぁ――――
      絶対に、離さへんでェェェ――――!!」

          ヒュォォォォォ―――――

           ギチチチチチチチチ . . .

力の衰えた『ザ・ナショナル』の両腕が『東雲』の胴体を締め上げる。
粘り気を帯びた脂汗を流し、『マサ』は全歯を食いしばって猛攻に耐える。
無論、それは『東雲』も同じだ。互いに組み合い、床へと落下していく――――


          バッシャァァァァァ―――――ンンッ!!

642東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/19(土) 00:53:47
>>641

双方が落下している以上、相手の拳の届く距離は、即ちこちらの拳の届く距離でもある。
空中で自由に動けないのは、どちらも同じだ。ならば『有刺鉄線』さえやり過ごせば、取っ組み合いでは速度の差でこちらが有利だろう。

「そのままブッ倒れろやァッ!!」

予想はしていたが、強烈な締め上げが来る。これが後何秒保てるだろうか。
もはや意地の張り合いだ。水面に落ちた音がしたが、どちらがマウントを取れるかは分からない。
このグラップリングの体勢になってしまった以上、こちらも手足による打撃は使えない。
ただ『ザ・ナショナル』のパワーに耐えながら、ひたすらに頭突きを繰り返す。

643『その拳はデルタを描く』:2021/06/21(月) 22:44:04
>>642(東雲)

     ギチチチチチチチ...

       バキャッ!   バキィ!

          ボヒュォォォ――――

『ザ・ナショナル』の腕力によって、『東雲』の肋骨が圧し折れ。
両の肺が絞り潰され、喉笛を通り抜ける呼気の音は、
現世を惜しむ断末魔のように響き渡った。

      「マサさーーーーん!!!」

      「どっちだッ!?   どっちが残るんだッ!?」

      「東雲クン! …………やるじゃねーか!!!!」

観客達にも、『セカイ』にも、その結末はまだ誰にも解らない。
『東雲』と『マサ』、両者の内に残る『闘志』こそが行く末を決める。

>「そのままブッ倒れろやァッ!!」

肺奥に僅かに残った酸素が『東雲』の血中に巡る。
霞む視界の中、『ザ・ナショナル』の鼻っ柱を目掛け、

           ゴスゥ!!

その額を叩き付ける。
『ザ・ナショナル』のヴィジョンが罅割れ、その視界が霞んでいく。

          バッシャァァァァァ―――――ンンッ!!

       ≪ああ、これはぁ―――――!!≫

『セカイ』の電子ボイスが彼方に聴こえる。
弾ける水音が聞こえるも僅か、その水量では殺しきれぬ衝撃が全身を襲う。
意識が消し飛ぶ最中。『ザ・ナショナル』を通じたスタンドの声が『東雲』の耳に届く。

       「後は、気張りやぁ……」

      パシャァァ

『東雲』の太胴を締め上げていた『ザ・ナショナル』が消える。
先程とは異なる小さな水音。それは相対する者の崩落を伝えていた。

      ≪し、試合終了です!!≫

給水口からの放水が止まり、水がじょじょに引いていく。
何処かの排水口が稼働したのだろう。扉は閉ざされたままだ。
水が完全に引くまで、扉は開かない。視界の下方で仰向けになった『マサ』の顔が見える。

      ≪勝者は、――――『東雲』選手です!
        水中から空中への激闘、ゼロ距離での攻防!
        決して『有利』とは言えないステージでの奮闘は、
        ……見事な『終幕』を飾りました!≫

      ――――― パチ
                     パチッ

『セカイ』の実況が終わり、小さな拍手が聞こえる。

644東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/21(月) 23:19:18
>>643

『マサ』さんは、もう長くない。今にも倒れそうな状態のはずだ。
なのに、この身体を締め付ける圧倒的な膂力。これが本当に、失神寸前の男の力か?
自分が『マサ』さんを追い詰めているとは思えない。互いに、一歩後ろは崖の状態で戦っている。

「ぐっううおぉおお…!!」

最後の試合だと『マサ』さんは言っていた。それが事実だとするならこの試合にかける情熱は一入だろう。
だが、だからこそ負けたくはない。ここで負ければ、万に一つも『マサ』さんは戻って来ないだろう。
どちらにしろ、彼が再び『アリーナ』を訪れることはないかもしれない。
それでも、僅かでも可能性があるなら、彼と戦う機会がまた訪れるように。
必ず、勝つ。深く息を吸い込み、頭を振り被る。


>           ゴスゥ!!


無我夢中で放った一撃。力を全て使い果たしたか、意識が遠のく。
敵の状態も自分の状態も、詳しくは分からない。ただ、実況の『電子女』の声だけは聞こえた。
そして、勝者として自分の名前が呼ばれたことも。
まだ実感はない。あるいは、既に自分は絞め落とされていて、これは自分が見ている幻影なのかもしれない。

「はぁっ・・・・・はぁーッ・・・・・!!」

締め付けから解放され、酸素が供給され始めたからか、少しだけ意識が戻ってきた。
『ザ・ナショナル』の姿はない。あるのは眼下の『マサ』さんの姿だけだ。
拍手の音が聞こえる。どうやら、自分は本当に勝てたようだ。
─────念願の勝利だ。本当に、勝ちたかった試合だ。
なのに、勝利を誇り吠える気にもなれない。『マサ』さんに声をかけ、再戦を煽る気にもなれない。


>       「後は、気張りやぁ……」

「………そがいなこと、言うなや………」

何もできず。ぽつりと呟き、歯を食いしばって立ち尽くす。

645『その拳はデルタを描く』:2021/06/23(水) 23:45:56
>>644(東雲)
『膂力』、『活力』、『底力』、あらゆるエネルギーを振り絞り、
『東雲』は僅かに勝り、『アリーナ』の床に確りと両足を残した。
倒れ伏す『マサ』、鳴り響く拍手。――――それでも尚、
『東雲』は実感する『勝利』を噛み締められない。

>「………そがいなこと、言うなや………」

立ち尽くす。『マサ』にとって『最後』の闘いが終わる。
『東雲』の心境と『観客』のそれは似ていた。だからこそ、
言葉なき『拍手』だけが、何時まで経っても鳴り止まない。

    『オイオイオイオイオイ――――ッ! お前らヨォォ―――ッ!』

    『決着ガツイタンダゼ!? お互いニ一歩モ退カネェ凄ェ試合ダッタ!
     ダカラヨォォォ〜〜〜! 讃エヨウゼッ!』

    『「最後」マデ良い勝負ヲ見セテクレタ「マサ」ト!
    「最後の最後」ニソレヲ上回ッタ「東雲」ヲヨォォ〜〜〜〜ッ!』

    「あはーっ、マサさーーん!!
     最後まですっごいすごかったよ! ありがとネーっ!」

      パチパチパチパチパチパチ!

    「東雲さんもー、『男気』! かっこよかったでーす!!」

『東雲』と『マサ』、激闘を終えた二人にエールが送られる。
拍手の音が波打つように広がり、それに負けじと観覧席から声援が飛び交う。

    「『東雲』ェェ――――!!  気合い入ったぞォォ――――!!」

    「最後の最後まで、アツい殴り合いだったっつうの!」

          わああああぁぁぁぁ―――――

接戦を称える野太い賛辞が鳴り止まぬ中、
『キューコ』は無線マイクを手にし、『東雲』へと放り投げる。

    「――――『勝者』は立ち、『敗者』は倒れる。
     ……『トウグモ』、言葉がなければ『マイク』を捨てて」

646東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/24(木) 21:42:34
>>645

自分は、人より身体がデカかった。親父の仕事を手伝っているからか、力も付いた。
だからこそ、手足を振り回す時は気をつける必要があった。
子供の時に、ふざけたつもりでダチを泣かせてしまったことは両手の指じゃあ足りない。

だが、強いヤツとのケンカは楽しい。自分の全力を出せるからだ。
そしてここには、同じようなヤツらがごまんといる。『仲間』だと思っていた。
一歩間違えばブッ倒されるような気迫を感じると、思わず笑いが溢れる。
この場所は、自分『たち』のためにあると思っていた。

しかし、皆が皆、そうじゃあなかった。
もちろん想像しなかったわけじゃない。先程も言ったが、『闘士』は様々な理由で引退が起こり得る。
だから、仕方ないと思っていた。それならそれで受け入れると。今、こうしてその場に立つまでは。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

万雷の拍手が聞こえてくる。
だが、申し訳ないが今の自分に返せるものは何もない。そういった気分ではなくなってしまった。
黙って退場しようとしたその時、『無線マイク』が投げられる。
思わずそれを受け取ってしまい、『キューコ』を見上げた。


>    「――――『勝者』は立ち、『敗者』は倒れる。
>     ……『トウグモ』、言葉がなければ『マイク』を捨てて」


これ以上、自分が放つ言葉などない。
自分は、あのやかましい『マサ』さんとは違う─────。


>     「『東雲』はん、アンタちょいとカタいんやぁ!
>      ガッチガチのバトルはワイも好きやでぇ、
>      ――――でもなぁ、それだけじゃあオモロないねん!」


>     「観客がおるんや! エンタメにも振ってかなぁ!
>                      ザ・ナショナル
>      ド派手に行くんが、ワイの『地元意識』や!」





しかし、これが最後の『花道』ならば。

「・・・・・・仕方ないのォ!『マサ』サンの遺言とあっちゃあ、何も喋らんわけにはいかんけぇ!」

最後くらいは、その流儀に従おう。マイクを握りしめて、叫ぶ。

「勝ったのは、わしじゃあッ!!…つまり、本当に美味いんは『広島のお好み焼き』っちゅうことじゃ!」

647『その拳はデルタを描く』:2021/07/07(水) 21:36:37
>>646(東雲)
学校の教室ほどの広さに過ぎないはずの『闘技場』は、
『東雲』の持て余していた『膂力』を受け止めていた。
『東雲』だけではない。この場に集うあらゆる人々の『活力』を、
『アリーナ』は湖面のように湛え、光り輝かせていく。

人の集い、心の衝突、拳と拳の語らいが産み出す『エネルギー』。
――――だが、それは一時の『夢』に過ぎないのか……。
この喧騒にも似た『祭り』から、去る時が来るのか……。

     スゥゥ

『東雲』はマイクを手にし、握り締めた。
倒れ伏した『マサ』の語りを踏襲するように、叫んだ。

>「・・・・・・仕方ないのォ!『マサ』サンの遺言とあっちゃあ、何も喋らんわけにはいかんけぇ!」

>「勝ったのは、わしじゃあッ!!…つまり、本当に美味いんは『広島のお好み焼き』っちゅうことじゃ!」

       うおおおおおぉぉぉぉ――――

観客席から勝者を称える声援が響き渡る。
その地鳴りにも似たファンファーレを全身に浴びながら、
『東雲』は最後の力を使い果たし、ゆっくりと床へと倒れていく。

     ・

     ・

     ・

東雲『ザイオン・トレイン』 → 『肋骨損壊』、他おびただしい負傷の数々。
                   『カナディアン・スウィートハーツ』の治療により、
                   『全治一ヶ月』まで短縮。『30万円』を獲得。

648『その拳はデルタを描く』:2021/08/02(月) 23:16:48
その膂力で吹っ飛ばした物体に『水切り』をさせる。

『湖面』を弾く『石ころ』のように、
吹っ飛ばした物体は『水』に触れることで再加速する。

物体の一面が触れるだけの『水面』を必要とする為、
『水場』がなければ能力を発動できないものの、
十分な『水場』があれば『ヴィジョン』さえも吹っ飛ばす。

今回、『アリーナ』に特設された『水面』を利用し、
『水中』に浸かった物体を『水』ごと押し退け、
遠距離からの『水切り』さえも可能としていた。

通常の『水切り』と同様、何度も跳ねれば『推進力』を失う。
本体は『道頓堀』に飛び込んだ後、追い討ちを掛けるように、
放り込まれた『カーネルサンダース』に圧し潰されそうになったが、
『ザ・ナショナル』の覚醒によって、辛くも難を逃れた。

『ザ・ナショナル』
破壊力:A スピード:C  射程距離:E
持続力:D 精密動作性:D 成長性:C

649『空を掴む手』:2022/06/06(月) 21:26:55
『アリーナ』の観覧席に腰掛けた『キム・クァンガン』は、
売れ残った『トッポギ』を口に運びながら、闘いの熱が残る試合会場を見下ろしていた。

    「……『B級』への挑戦権を得た『ファイター』が、
     こう連続して現れるなんて、一体何かの前触れのようだね」

無論、素人だらけの『C級ファイター』同士で差が生まれるのは珍しくない。
『二連覇』は当たり前のように起き得る。『クァンガン』は解った上で呟いている。

――――『期待』だ。大きな出来事の『予兆』であって欲しい。
かつて、三人の『C級ファイター』が連覇を背負って『B級』へ勝負を挑み、
……いずれも呆気なく『返り討ち』にあった。無論、『クァンガン』もその壁となったのだが。

    「……ボク達は『壁』。彼らが乗り越える『刺客』に過ぎない」

『デ・ラ・ソウル』は『B級』の中でも『直接戦闘』に適したスタンド能力ではない。
そう解っている。いずれは己を倒すスタンド使いが現れる日も来るだろう。
……気付いているのだ。己やニコンではない。『A級』を倒す者は現れるのか。

    「出来れば、『戦場』ではなく。……この場所で会いたかった」

時計の針は逆には回らない。出会いと別れを変えることは出来ない。
『クァンガン』が思い当たった一人は、一対一の闘いに置いて『A級』に肉薄した。
その男に真っ先に倒されながらも、『半導体』によって『意識』だけを維持した『クァンガン』は、
半死半生を彷徨いながら、その『タイマン』を間近で見届けられたのだ。

    「おい、『クァンガン』。プルコギよこせヨ」

    「……この大きなバケットの中身、見えなかったかな?」

    「マズいから売れ残ったんだろ。オレは食べない」

大柄なロシア人に呼びかけられ、『クァンガン』は立ち上がった。
時計の針は逆には回らない。出会いと別れを変えることは出来ない。
――――『死者』は決して蘇らない。彼を悼む気持ちはあれど、その感傷は誰も前に進ませない。

650『空を掴む手』:2022/06/06(月) 21:38:23
>>649
駅前の『大通り』から小路に外れた先は『新興住宅地』となり、
建売住宅の並ぶ一角には選挙事務所やクリーニング店など、雑多な店も並んでいる。
その多くが『区画整理』から取り残された建物ばかりで、どうもパッとしない印象を受ける。

そんな土臭いエリアに居を構える『ラクアクア』の事務所には、
『カウンター』を挟んで二人の男女が顔を合わせている。

    「『アリーナ』のルールは三つ。
     『一つ』は『観客』や『実況解説者』への攻撃をしないこと。
     『一つ』は『殺害』を行わないこと、……と、『赤月』さんは『経験者』でしたね」

セルロイドフレームのメガネに作業着を着た中年男性、『吉田松太郎』が手にした書類を見直す。
書類を見直して、もう一度『赤月』の顔を見る。うーん、と難渋そうに眉を寄せる。

    「しかし、まだお若いのに『アリーナ』の、それも『最中派』の試合だなんて。
     ……ジジ臭いかもしれませんが、私は余り、その……ヨソの悪口じゃないですけど」

事務所には『H湖』の水質検査の結果報告や、ウォーターサーバーの広告が貼られ、
『吉田』のボサっとした雰囲気もあって、『鉄火場』の関連施設とは到底思えない光景だ。
これが『偽装工作』だというのなら、相当計算されているか。それとも『天然』によるものか。

651赤月『サクソン』:2022/06/06(月) 22:49:19

【スタンド能力】

トレンチコートを着た人型ヴィジョンのスタンド
トレンチコートの中に隠した物品を『暗器』に変える

『サクソン』
破壊力:C スピード:C  射程距離:C(15m)
持続力:D 精密動作性:A 成長性:D
能力詳細:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/189-190

【外見】黒いセミロングの髪型に赤いメッシュを入れている
    顔つきはやや幼いが、背が高く姿勢が良いため、はっきりとした印象を相手に与える

【服装】清月学園の学生服(ブレザータイプ:ジャケット、ワイシャツ、リボンタイ、スカート)    

【持ち物】財布(小銭と紙幣)、ハンカチ、ボールペン3本(胸ポケット)、学生手帳

【簡易プロフィール】『アリーナ』に対して強い憎悪を抱く14歳の中学生女子
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050739/146

【これまでの赤月ナカレは】
かつて行われた『エクリプス』との闘争の中で『アリーナ』に実の兄を殺された赤月は
『エクリプス』残党である『後見人』の協力を得て、復讐の為にこの星見町にやって来た

病院で遭遇したスタンド使い、『鉄』から『アリーナ』の情報を得た赤月は
『アリーナ』が複数の『派閥』に別れている事、『タダヒト派』『最中派』などの派閥がある事を知る

兄を殺した相手の情報を集めるため、『最中派』の試合に参加した赤月であったが、
その『試合』の陰惨さ、『観客』の下劣さ、そして長である『溝口最中』の悪辣さから
『アリーナ』という組織の本質は『悪』であると認識をした

そして、今日・・・・赤月は更なる情報を求めて、『タダヒト派』への接触を果たしたのであった
『最中派』に兄の仇はいなかった・・・・だが、ここになら・・・・・?

652赤月『サクソン』:2022/06/06(月) 22:49:39
>>650

吉田松太郎と向かい合うように話をしているのは中学生程度の少女であった
黒髪に赤いメッシュを入れているのが特徴の少女だ
この暑い中、律義にもジャケットまで着込んだ制服は、彼女が清月学園の生徒である事を示す

「そうだ。『アリーナ』の大まかなルールは知っている」

ふてぶてしい顔だ
話している相手は自分よりも二回り以上年上の相手だというのに、話しぶりに敬意は一切ない
それどころか、言葉の端々からはより刺々しい・・・・敵意のようなものも見え隠れている

「煮え切らない言い方だな
 私が『最中派』で戦った事が・・・・そんなに気になるのか?」

吉田の煮え切らない言葉が気になったのか、ちょっとした追及を入れる

確かに『最中派』で得た経験は思い出すだけでも嫌悪するような出来事であった
しかし、規模の大小はあれど秘められた『悪意』はどこの派閥も同じだろう、と赤月は考えていた

「・・・・・・・・。」

苦虫を噛み潰したような顔で吉田を見つめる

653『空を掴む手』:2022/06/06(月) 23:15:57
>>651-652(赤月)
二人の会話からは、干支を『三周』しても余る程の『年齢差』を感じさせない。
ましてや『赤月』の言葉尻から感じ取れる『刺々しさ』もまた、
『吉田』の言葉を留める要因に成り得た。

>「煮え切らない言い方だな
> 私が『最中派』で戦った事が・・・・そんなに気になるのか?」

    「……いいえ、貴方のように年頃の娘さんであっても、
     『勝利』や『栄光』を求める方はいる。……そうでしたね」

    「年幼くとも、貴方が一人の『ファイター』であるのなら、
     私達は『裏方』として、相応しい『戦場』を整えるだけです」

『吉田』は思い直したように息を入れ直すと、
一枚の『見取り図』を『赤月』へと差し出した。

    「『会場』には一つだけ『ギミック』を用意できます。
     もしも貴方が『力』で劣ると考えるのであれば、
     貴方にとって心強い『武器』になると思います」


∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴

654赤月『サクソン』:2022/06/06(月) 23:56:11
>>653

(『勝利』に『栄光』か・・・・欺瞞に満ちた言葉だ)

赤月の性格からいえば、『勝利』と『栄光』のための戦いは本来喜ばしい事だ
だが、『最中派』の試合で見た『光景』・・・・
敗者を勝者が不必要な程に痛めつけるあの出来事は『アリーナ』への不信を絶対的なものにしている

「・・・・・せいぜい頑張って戦わせてもらうよ」

『見世物』として、という言葉は飲み込む
だがそれでも、皮肉気な語調は相手に伝わってしまうだろう

「『ギミック』か」

見取り図をじっと見つめて考える
自身の能力『サクソン』は真正面から敵を打ち据える『英雄』のようなスタンドではない
能力に対する信頼はあるが、道具に依存する能力である以上、『ギミック』の有無で戦力は大きく増減するだろう

「・・・・・・『ゴミ』だ。『ゴミ』を置いてくれないか?
 粗大ごみや生ごみのようなものではない
 例えば、雑貨類のような・・・・そういうのを地面に置いてもらう事は出来るか?」

655『空を掴む手』:2022/06/09(木) 22:25:49
>>654(赤月)
>「・・・・・せいぜい頑張って戦わせてもらうよ」

棘を含んだ承諾を示し、『赤月』は見取り図を覗いた。
『サクソン』の特性を鑑みながら、『仕掛け』について頭を巡らせる。

>「・・・・・・『ゴミ』だ。『ゴミ』を置いてくれないか?

    「ご、ごみ?」

    「……最近の子は、ゴミに何かあるのかね……」

『吉田』は両目を細めて『赤月』を見返したが、
やがて『雑貨類』だと付け加えられれば、得心したように頷いた。

    「ええ。用意しましょう」

『吉田』が同意を示した。他に何もなければ、家路に戻るだけだろう。

656赤月『サクソン』:2022/06/09(木) 22:52:54
>>655

「・・・・・・・。」

『試合』について言うべき事は言い終えた
後は寮の自室に帰宅し、『試合』に備えていくべきなのだろうが・・・・

(しまった・・・・・)

気が付いてしまった
このまま何事もなく終わってしまっては、『アリーナ』の情報がわからずじまいだと
赤月がこの場所にやって来た裏の意味、それは『アリーナ』に対する情報収集でもあるというのに

(いけないな・・・・彼らの拠点にいるせいか、今日の私は冷静さを欠いている)

「あ、あー・・・・そういえば、『最中派』の連中に聞いた話なのだけど」

世間話をするかのように話を切り替えていく
慣れない腹芸のせいか、切り替えが急なのは否めない

「『タダヒト派』では昔、『月を落とすスタンド使い』と戦った事があるとか」

『月を落とすスタンド使い』・・・・確かに恐るべき存在であるが、
赤月にとってはそれ程興味をそそられる話ではない
重要なのはここからだ

「その時に『エクリプス』・・・・と呼ばれるスタンド使い達と激しい戦いがあった、と
 ちょっとした興味なのだけど、例えばその時に活躍した『闘士』の話を少し聞かせてもらえないかな?
 私は・・・・そういう『武勇伝』を聞くのが趣味なんだ」

657『空を掴む手』:2022/06/09(木) 23:27:48
>>656(赤月)
>「あ、あー・・・・そういえば、『最中派』の連中に聞いた話なのだけど」

『情報収集』の必要性に思い当たり、『赤月』は取って付けたタイミングで話を切り出した。
『吉田』の視線は和らいでいる。彼にとっては『赤月』に『敵意』をチラ付かせられるよりも、
昔話の一つでも望まれる方がよっぽど安心できるのだろう。

>「『タダヒト派』では昔、『月を落とすスタンド使い』と戦った事があるとか」

    「いやー、あれは『タダヒト』さんがどうとかじゃなくて、
     この町の皆さんが協力してやり遂げたことですから」

    「私なんておっかなくて気絶してましたからね、ハハハッ」

『吉田』がやんわりと否定するが、『赤月』にとっては然程重要ではない。
彼女にとって必要な『情報』を得るために、『赤月』は言葉を重ねる。

>「その時に『エクリプス』・・・・と呼ばれるスタンド使い達と激しい戦いがあった、と
>ちょっとした興味なのだけど、例えばその時に活躍した『闘士』の話を少し聞かせてもらえないかな?

    「うーん、そうですね。……まあ、もう終わったような話ですから。
     『赤月』さんもアリーナに出入りするなら、気になりますよねー」

人の好さそうな笑顔を浮かべる『吉田』だが、彼もまた『アリーナ』の住人なのだろう。
傍にあるミニ冷蔵庫から二本の缶ジュースを取り、『赤月』の手元に置いた。

    「『愛欲のアダージョ』、『裏切りの太門』、『運び屋のチャオ』、
     『口笛のケンジ』、『脚切りのヨータ』、……ええと、後は誰だったかな……」

    「いずれも『スタンド』を悪事に用いた法では裁けない『スタンド犯罪者』。
     『落月』を止めるために町の『スタンド使い』が結集した隙を突いて、
     彼らは『計画』を実行した。――――それを止めたのが『タダヒト派』です」

その肩書から『悪行』を推察するのは難しいが、
何人もの『スタンド犯罪者』が集まって『計画』を実行した、と『吉田』は語る。

    「『B級ランカー』の『ニコン』さん、『クァンガン』さん、『レイチェル』さん、
     そして、『A級ランカー』の『タダヒト』さんと『キューコ』さん。
     ……そうですね。あの時の戦いは、まさに『20対5』の『大乱戦』だったと聞いています」

    「『愛欲のアダージョ』の『分身』を産み出すスタンド能力を前に、
     『一対一』の闘いに馴れた『ファイター』達は劣勢を強いられました。
     それでも尚、『タダヒト』さんの『観察眼』と『スパイロ・ジャイラ』の能力によって、
     『スタンド犯罪者』達を打破し、『星見町』には平和が戻ったと聞いています」

658赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 00:03:00
>>657

「『20対5』の戦い!? それは・・・・凄いな
 多人数の乱戦でいえば、私も多少の経験はあるが・・・・」

脳裏に浮かぶのは『真夏のクリスマス』で起きた乱戦だ
あの時は、こちらが『多勢』側であった
恐るべき『破壊力』を行使する『彼』を相手に、こちら側は数を頼みにして戦うしかなかった

「スタンド使いとはいえ人間である以上、数が多ければその分対処に『精神力』を使う
 にも関わらず、それだけの人数の相手と戦えるとは・・・・
『タダヒト』という男は本当に強靭な精神の持ち主と言うほかにないな・・・」

聞かされた『武勇伝』の内容に素直に感心する
相手の話を聞き出すための芝居・・・・ではない
純粋にこの手の話が好きなのだ

(いけない! 思わず流されてしまうところだった!
 しかし、『愛欲のアダージョ』に『口笛のケンジ』に・・・・)

そういえば、と心の中で独り言つ
そういえば、私は『エクリプス』の事すら何も知らないのだ、と

「『エクリプス』というのは本当に凶悪な連中だったと聞いている」

それこそ、『真夏のクリスマス』で戦った『彼』の言葉を借りれば
世界大戦を引き起こすきっかけとなったある政党に近い存在だとも

「そんな『スタンド犯罪者』の中に・・・・」

これから先の言葉を、口にしてしまう事を覚悟する
その言葉を口にする事は自身の中身に触れる事に等しいからだ
自分の中身が漏れてしまわないように腹に力を入れて続けていく

「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

後半部分は完全な捏造だ
だが、『兄』が弱いはずがないという確信が赤月にはあった

659『空を掴む手』:2022/06/10(金) 00:54:42
>>658(赤月)
>「『20対5』の戦い!? それは・・・・凄いな
>『タダヒト』という男は本当に強靭な精神の持ち主と言うほかにないな・・・」

    「勿論ですとも。アリーナの頂点とも呼べる『A級』にして、
     社会的に認知されないスタンド使いの闘技場が維持できるのは、
     『弁護士』である『タダヒト』さんの尽力あってのものです」

    「スタンドとは『精神』のパワー!
     『タダヒト』さんの『スパイロ・ジャイラ』も、
     あのバイタリティの通りの『力』があるんでしょうね」

ついつい身を乗り出す様に聞き入ってしまった『赤月』。
『吉田』の惚れこんだような話し方も加味するのであれば、
やはり『タダヒト』が中心人物であるのは間違いないようだ。

    ┌──────────────────────────────
    │彼等の小さな庭では『A級』と呼ばれるスタンド使い。
    │そうでなければ、君の『兄』を真正面から『殺害』することは出来ない。
    └──────────────────────────────

無論、『赤月』が聞きたいのが『武勇伝』でも『英雄譚』でもない。
この『アリーナ』に出入りする切っ掛け。その思いを反芻するように言葉を飲み込み、
飲み込んだ言葉を吐き出し、薄い腹筋に力を込めながら、

>「そんな『スタンド犯罪者』の中に・・・・」

    「……ん?」

>「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
>『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

ゆっくりと問い質した。
『吉田』は両目をパチリを開き、しばらくの沈黙を守った後、

   「……『傭兵』、……いや、それは初耳ですね。
    先程の『二つ名』を交えてはいますが、全員の『身元』は判明しています」

   「いずれも『犯罪者』ですが、私達と変わらない『生い立ち』でしたから。
    その、……『傭兵』というのは、うーん、いなかったかな……」

   「まあ、『最中派』の方々は、ちょっと特殊な人達みたいですからね。
    ――――うーん、何かの聞き違いじゃないかな、と思いますよ」

『吉田』の言葉も曖昧さを匂わせているが、しっかりと『否定』している。
『赤月―z」\』という『傭兵』はいなかった。あの『戦場』に存在しなかった。

――――『赤月ナカレ』が目的意識を遠ざける程に聞き入った『物語』の中に、
存在しなかったのだと、ハッキリと告げていた。

660赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 21:27:13
>>659

「そうか・・・・まあ、『最中派』で聞いた話はどれも信ぴょう性が怪しい話ばかりだったからな
 多分、どこかで話を盛られてしまったのだろう」

少し、肩を落とす
とはいえ、疑わしき人物の名前を得ることは出来た
兄を殺せる者など『A級』以外にありえない以上、当時の『A級ランカー』の情報は貴重だ

『タダヒト』に『キューコ』・・・・
あの当時、『A級ランカー』だったという二人の名前を固く心に刻み込む

「そうだ・・・・私がこれから戦うという対戦相手も『エクリプス』と戦ったメンバーの一人なのかな?
『エクリプス』と戦った英雄の一人だというのなら・・・・胸を借りるつもりで挑まなければならないが」

661『空を掴む手』:2022/06/10(金) 22:13:39
>>660(赤月)
当てが外れたことに対し、『赤月』は残念そうに肩を落とす。
その様子を見た『吉田』も深くは追求せず、同情するように眉を下げた。

>「そうだ・・・・私がこれから戦うという対戦相手も『エクリプス』と戦ったメンバーの一人なのかな?

    「いいえ、『菅谷』さんは普通の『ファイター』ですよ。
     『菅谷日向太』。23歳。市内の『運送会社』に勤めています」

    「しかし、彼はアリーナにて『B級』に挑み、
     惜しくも敗北した男です。ましてや『オープン・ハンド』は」

    「――――単純な戦闘において、
     『B級』にも匹敵する『ポテンシャル』を秘めています」

    「……と、少々喋り過ぎましたね。いけないいけない。
     受付を済みましたから、今日はこれくらいにしましょう」

うっかり口が滑ったのか、『吉田』は慌ただしそうに書類をクリアケースにしまう。

662赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 23:05:46
>>661

「『B級』に匹敵するレベルだって・・・・!?
 ・・・・・なるほど。相手にとって不足はないという事か」

『B級』という言葉に赤月は驚きの声をあげる
『最中派』の試合で遭遇した『あの男』ですら『C級』止まりだったのだ
『B級』ともなれば、それを超えるであろう事は間違いないだろう

「ああ・・・・・これ以上の話は『戦士』として、その、フェアじゃない」

「しかし・・・・楽しみだな。それだけの強敵と戦えるのか」

どくんどくん、と鼓動が早まる
強敵との戦いに心が沸いているからだ
この昂ぶりが『闘士』としての証だというのなら
赤月という少女は本来、何よりこの組織に近しい存在だったのかもしれない

        ・・・・・チリ

ほんの少し、心の奥底に残った『燻り』が浮かれた頭を冷ます

「いや・・・・・このくらいにしておこう
 予定は把握した。当日はよろしく頼む」

663『空を掴む手』:2022/06/10(金) 23:39:04
>>662(赤月)
> ・・・・・なるほど。相手にとって不足はないという事か」
>「しかし・・・・楽しみだな。それだけの強敵と戦えるのか」

『赤月』は驚きの声を上げ、それにも勝る鼓動の響きを感じる。
先程までの話が本当であれば、『タダヒト派』は直接戦闘に長けた一派。
『見世物』のような闘いとは異なる。純然たる『試合』になるやもしれない。

>「いや・・・・・このくらいにしておこう
> 予定は把握した。当日はよろしく頼む」

    「勿論です。『赤月』さん、どうか『ご武運』を」

     ――――ピシャッ

冷静さを取り戻した『赤月』は『ラクアクア』を後にする。
『赤月』が閉めた硝子扉越しに、『吉田』の見守るような表情が見えた。

    ・

    ・

    ・


>「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
>『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

    「……『傭兵』、ですか……」

『スタンド使い』の『傭兵』というのは、『アリーナ』においては珍しくない。
かつては『アリーナ』に助力していた『仲介人曳舟』の手によって、
スタンド絡みの『依頼』を受ける者が斡旋されていたからだ。

しかし、それは一時的な『雇用関係』であり、『専業』とするものは少ない。
――――スタンド使いは『人』である。『人』とは『社会』に根ざした生き物である。
『社会』から離れた『荒事』を生業とする者は限られている。腕っぷしの有無ではない。
『争い』に根ざした仕事とは『安心』と無縁だからだ。――――だから、きっと、

    「もしも、スタンド能力を用いた『傭兵』がいるのだとすれば……」

それはきっと、『社会』から爪弾きにされても怖くないと言い切れるほど、
『安心』できるものがあったのだろう。――――『信仰』か、それに匹敵する『愛』か。

    「――――どうだろう。『タダヒト』さんに、訊いてみますかね」

『吉田』はカウンターに置かれた固定電話の受話器を取り、短縮ダイヤルを押した。
しばらく経っても電話は繋がらない。――――『海外出張』か、と『吉田』は察した。

664『空を掴む手』:2022/06/11(土) 00:25:37
>>663(赤月)

    ・

    ・

    ・

そして当日となった。
『赤月』は『アリーナ』の入り口である『煉瓦倉庫』へと到着し、
入り口に立つ『黒服』は『赤月』の姿を認めると、重い鉄扉を引き開ける。

    ガララララララララララ ・ ・ ・

    「『赤月ナカレ』。健闘を祈る」

『赤月』は『黒服』に導かれるままに『地下』へと下り、
鉄階段を降りる最中、昨日に届いた『手紙』の内容を思い出す。
いくばくかの『生活費』と共に郵送された。『後見人』からの手紙だ。

------------------------------------------------------------

さて、君がかの奢り高ぶった『象牙の箱庭』に足を踏み入れ、
君に宿りし小さな『牙』を突き立てたと、私は『見た』。
まずはおめでとう。復讐の『毒牙』に闇の煌めきを覗く時、
私は常に安堵する。人とはやはり、『情』に動いてこそ本質となる。

まずは一つ。君の『兄』の遺体には『殺害』の痕跡は残っていなかった。
当然ながら、『スタンド能力』というのは『解除』されれば後には何も残らない。
――――しかし、不審な点が一つある。彼に付着した『金属粉』だ。

それが何を示すのかはまだ解らない。
まずは今日の『勝利』を願っている。君と『サクソン』に光あれ。

------------------------------------------------------------

665赤月『サクソン』:2022/06/11(土) 00:53:01
>>663-664

「・・・・・ありがとう。」

明らかに堅気の人間ではないであろう『黒服』に誘われ地下に進む
口数が少ないのは緊張のためか? それとも・・・・?

(タイミングが良すぎる・・・・。
 普段はこっちから連絡を取ろうとしても取れないくせに)

『アリーナ』に参戦する丁度その時に届けられた『後見人』の手紙
どう考えても、『監視』を受けているとしか思えないタイミングだ
『監視』という言葉に、以前敵対関係にあった『夜警』の存在を思い出す

(いや・・・・恐らく彼は違う)

名前も性別も知らない相手ではあるが、彼の目的は『弱者の守護』にある
『エクリプス』に所属していた『後見人』と協力関係を結べるとは思えない

(詮索は無意味か・・・・どうせ私にはわからない方法だ)

(それよりも考えるべきはこの『文面』・・・・・)

「『金属粉』だと・・・・・?」

重要な情報を今まで黙っていた『後見人』に不信感はある
だが、この情報は『容疑者』を絞り込むための重要なファクターとなりうる

(『金属粉』を使って、人を傷つける事なく殺すスタンド使い・・・・?
 今はまだ・・・それが何を意味するのかわからない・・・・だが!)

かつんかつん、と階段を降りる
地下へと続く闇の中に未だ光は見えない

(『アリーナ』を勝ち進み、『A級』の試合を見る機会があればわかるだろう
 『金属粉』のスタンド使いの正体が・・・・・)

光が見えずとも、その先へ進む
この道を進むと決めたのだ、立ち止まる理由はない
その先にいる・・・・戦うべき相手に見合うために

666『空を掴む手』:2022/06/13(月) 21:46:31
>>665(赤月)
『後見人』は差出人のない『手紙』でのみ連絡を取っている。
『金属粉』についても『赤月』にとっては初耳である。
勿論、『葬儀』の際に改めた『兄』の遺体には『傷一つ』なく、
検死をされても不審点が見当たらず、『突然死』として片付けられたのだ。

(※『兄』こと『赤月保』は傭兵という稼業から『海外出張』が多かったため、
   ウィルスなどの『感染症』も考慮され、『病院』での検死が行われた)

    ザッ   ザッ   ザッ

    ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
      早速だけど、『選手入場』だぁー!≫

観客席の壁面に埋まった『LEDパネル』には、
袖の余った白衣を纏う、紫髪のCGキャラクターが跳ねている。
会場に響き渡った『電子ボイス』も彼女のモノだろう。

        ブシュゥゥゥゥ―――z___

    ≪ただいま入場したのは『赤月ナカレ』選手!
      身長160cm! そして、驚きの新情報があります!≫

    ≪な、なんとッ! “あの”、あの『最中派』のアリーナを勝ち抜いた一人!
      これは実力どうこう以前にッ!  その胆力は見逃せませんッ!!≫

地面に埋め込まれた『スモークマシン』から白煙が立ち上り、
姿を現した『赤月』を語り飾ろうと、『CGキャラ』が実況を開始する。

     「汚らわしい名前を出してんじゃねぇーよ!」

     「俺達はマジのガチであそこの一派は認めてねぇんだよ!」

     「客層がちげぇーんだよ客層がッ! テメェも突き出すぞクソVtuber!」

『タブー』にでも触れたのか、観客達のブーイングが『CGキャラ』に襲い掛かる。
『CGキャラ』は無機質な笑顔のまま、罵倒を受け流す様に袖余りの右手を振っている。

    ≪あ、あははぁー。なんだかゴメンなさーい。
      さあ、お次の登場は『菅谷日向太』選手ゥー!≫

    ≪身長172cm! 先日は惜しくも『B級』への昇格叶わずでしたが、
      再起を賭けて再びの挑戦ですッ! さあ、入場してくださぁーい!≫

        ブシュゥゥゥゥ―――z___


【アリーナ俯瞰図】
∴∴∴∴■■□菅□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□回回回□□□□■∴│
∴■□□□□回回回□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□赤□■■∴∴∴∴│

柱:高さ『2m』ほどの『コンクリ柱』
棚:高さ『2m』ほどの『スチール棚』。
□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは『1x1m』。
■:『2m』の高さの壁。その上は『金網』が張られ、会場と観客席を隔てる。
∴:観客席。会場を見下ろす形となる。
回:高さ『4m』の位置にある『解説席』。透明板を鉄骨で『宙吊り』にしている。
  ※以降、MAP描写の際には省略します。

667赤月『サクソン』:2022/06/13(月) 22:28:47
>>666

    ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
      早速だけど、『選手入場』だぁー!≫

「―――――ッ」

耳の中に突然飛び込んできた甲高い声に頭の奥がキーンとする
前回もそうであったが、この手の騒がしい歓声にはいまだに慣れない

だが、闘技場に上がるや否や響いてきた観衆の声とその場の空気を感じ、
前回・・・・『最中派』の会場とは違う雰囲気が満ちている事に気づいた

(嫌な感じがあまりしない・・・・)

前回の試合会場で味わった粘り付くような強い『視線』
空気に触れるだけで肌がざわざわとする強い『嫌悪感』
何かを期待したような悍ましさを感じる程の『違和感』

罵声こそ響いているものの、以前のような悪性の感情が沸いてこない事に不思議な気分になる

「・・・・・・・・・ふっ」

口元に微かな笑みが浮かぶ
それは、陰惨な復讐者のものというよりもむしろ・・・・

「いや、気を引き締めなければならないな
 敵は・・・・・『B級』寸前の強者だというのだから!」

「君が『菅谷日向太』か!?」

闘技場に一歩足を踏み入れ、対面のゲートから現れた男に声をかける

668『空を掴む手』:2022/06/13(月) 23:10:50
>>667(赤月)
>(嫌な感じがあまりしない・・・・)


    「『赤月』ィィ――――、前のアリーナとは違ェぞォー!」

    「この『アリーナ』じゃあ、腕っぷしだけが全てだぜッ!」

    「ナメた試合してっとォ、テメェの赤毛を引き千切っぞォ!」

観客席からは野太い声による『野次』が飛び交い、
ビールを片手に大声を張り上げる観客達は、『赤月』を睨むように吠える。
熱された空気は『鉄火場』と呼ぶに等しい。生ぬるさなど感じられない。

        ブシュゥゥゥゥ―――z___

>「君が『菅谷日向太』か!?」

『赤月』の唇を彩る微笑は『期待』の表れか。
薄まった白煙から姿を現した人影は『ライダーズジャケット』を纏い、
太っちょの体躯を悠々と揺らしながら、細い一重瞼を『赤月』に向ける。

    「当たり前だっつうの! ――――そしてェ!」

    「『B級寸前』だぁ!? ちょっと足りねぇみたいに言いやがって!」

    「ドンピシャだろーと傷付くっつうの!  ――――そうだよなぁ!?」

『菅谷』は右腕を高々を突き上げ、その人差し指を『上空』へと向けた。
『ポリカーボネート』の板と『鉄骨』によって作られた、天空の『解説席』に座るのは、
薄手のストールを首に巻いた男だった。彼はパイプ椅子に腰掛け、長机に両肘を突く。

    「ハッハッハッ、あの時は惜しかったねッ! 『菅谷』君!
     鎬を削る接戦だったよ。いやぁ、ボクが相手だったらどうなってたか」

    「――――だからこそ、君が再び這い上がる時を楽しみにしているよ」

    ≪そう、『解説』はB級ファイターにして焼肉店『花郎』のオーナー!
      『キム・クァンガン』ですッ! かつては本国にて――――≫

    「そして、実況は『六連セカイ』!
     『格闘ゲーム界』では名の知れた『Vtuber』だそうだッ
     ボクは『KOF』ならちょっとカジったけど、ちっとも上手くならなくてね。
     君の動画をチェックしたら、少しはマシになるのかな?」

    「テメェーのゲームの腕前はどーでもいいから、
     さっさとゴングを鳴らせっつうの!」

『セカイ』の実況を遮るように『クァンガン』が彼女の紹介をし、
長い前置きに業を煮やした『菅谷』が『クァンガン』に喰って掛かる。
そして、スモークが晴れつつある中、『赤月』はスチール棚の並びが解る。

    ズラァァァァァ――――

『スパナ』、『電動ドリル』、『差し金』、『ハンマー』。
四段の棚板には片手で持てる程度の『工具』が並んでいる。
これが用意された『道具』ということだろう。

669赤月『サクソン』:2022/06/13(月) 23:56:10
>>668

>「『赤月』ィィ――――、前のアリーナとは違ェぞォー!」
>「この『アリーナ』じゃあ、腕っぷしだけが全てだぜッ!」
>「ナメた試合してっとォ、テメェの赤毛を引き千切っぞォ!」

「やれるものならやってみるといい!
『戦士』として命を落とす・・・・あ、いや、ボコボコにされる覚悟があるのならな!」

周囲の『野次』に対して、挑発で返す
流石に命のやりとりを示唆する言葉は不味いと思ったのか、
少しマイルドに言い直したわけであるが

そして、白煙の向こう側、『ライダーズジャケット』の男に視線を向ける
体格はやや大きい、動きを見る限り動作は鈍重そうだ
だが・・・・自分自身にも言えることだが、スタンド使い同士の戦いに体格はそれ程関係はない

(解説席とのこの会話・・・・あそこにいるのは『B級ファイター』か?)

頭上に君臨する『B級ファイター』と、『B級』間近で足踏みをする『ファイター』
彼らの間にある、一種の内輪ネタのような会話の応酬に、むっと口が引き締まる

「君の格が『B級寸前』だろうと『ギリギリ』だろうと関係はない!
 君には私と戦い、そして再び地に落ちてもらう!」

「『B級』スレスレに手が掛かって粋がっている所悪いけど・・・・
 こればかりは君に譲るわけにはいかないな!」

「何故なら・・・・先に上に上がるのは私の方だからだ!」

言いたい事は言い切ったとばかりに、満足した顔で前方を見る
棚の中には『工具』・・・・・どれも『暗器』とするには有用だ
罠を仕掛ける余裕もあるだろう

670『空を掴む手』:2022/06/14(火) 21:57:19
>>669(赤月)
>「やれるものならやってみるといい!
>『戦士』として命を落とす・・・・あ、いや、ボコボコにされる覚悟があるのならな!」

    ヒュゥ―――♪

                  「やってみろやぁ!」

『赤月』の挑発に呼応し、口笛や声援が響き渡る。
粗雑で荒々しくも『体温』の籠ったコミュニケーションだ。
そしてそれは、対戦相手である『菅谷』の目線からも感じ取れる。

>(解説席とのこの会話・・・・あそこにいるのは『B級ファイター』か?)

   ┌──────────────────────
   │ 「『B級ランカー』の『ニコン』さん、『クァンガン』さん
   └──────────────────────

『赤月』は『ラクアクア』で交わした『吉田』との会話を思い出した。
『キム・クァンガン』。彼もまた『B級ファイター』にして、

   ┌─────────────────────────────
   |あの時の戦いは、まさに『20対5』の『大乱戦』だったと聞いています」
   └─────────────────────────────

『赤月保』を倒した『A級ランカー』と共に、最後の闘いに挑んだスタンド使い。
――――彼であれば、『兄』の行く末を知っているのではないか。

> 君には私と戦い、そして再び地に落ちてもらう!」
>「何故なら・・・・先に上に上がるのは私の方だからだ!」

    「上、等」  「――――だっつうの!」

    ≪さあ、もう言葉は要りませんッ!  ――――試合、開始ッ!≫

『セカイ』が右腕を振り下ろし、ディスプレイに『Now on Fight』の文字が踊る。
『菅谷』は右腕を真横に伸ばし、――――『赤月』に予感が走る。

    「『オープン・ハンド』ォ!」

あの『右腕』は、ヤバい。
『右胸部』から『右腕』、『右手首』に覆い重なるように、
『菅谷』の腕よりも一回り大きく、『オープン・ハンド』の右腕が重なる。

――――あの『右腕』は、ヤバい。

671赤月『サクソン』:2022/06/14(火) 22:56:22
>>670

(そういえば・・・・彼の名前、どこかで聞き覚えが・・・・)

赤月に韓国人の知人は少なく、『クァンガン』という名の知り合いはいない
さてはテレビの中の有名人か何かか、と思ったが・・・・・

「・・・・・違う。
『クァンガン』・・・・あの時、松太郎との話に出てきた」

――――『20対5』の乱戦を勝ち抜いたスタンド使い。
『キム・クァンガン』とはその時に出てきた『B級ファイター』の名前だ

「それってつまり・・・・
              「上、等」  「――――だっつうの!」

    ≪さあ、もう言葉は要りませんッ!  ――――試合、開始ッ!≫


「あっ! くっ!」

『クァンガン』という男への考察に気もそぞろになっている間に
無情にも試合開始のゴングが鳴らされる

(こうなったら・・・・・『試合終了』の後にでも・・・・)

「・・・・・・・・!?」

背筋に冷たいものが走る!
『菅谷』が振るうあの・・・・『異形の右手』!

(あれはマズい!!)

危機的状況に対して頭の中のスイッチを切り替える
『菅谷』との戦いに・・・・よそ見をするような隙も、他の事を考える間もない!
全力でいかなければやられてしまう・・・・・ッ!!

「『サクソン』ッ!!」

闘技場に一歩踏み出し、こちらも負けじとスタンドを出現させる
『トレンチコート』は自身の身に纏う様に発現し、『サクソン』自身は己の傍に立たせる
そして、自身の身を『トレンチコート』で包むことで、所持品を覆い隠し、以下の『暗器化』を施す
『ボールペン1本→袖箭』『リボンタイ→縄鏢(ジョウヒョウ)』『財布の中の100円玉→羅漢銭』

そのまま、財布の中の『100円玉』を取り出し、『サクソン』の力で菅谷に向かって投げつけようとする!
『100円』という貨幣は相手に対して『支払う』事で使用されるものだ
ならば、この『100円』は菅谷に当たる(=菅谷が受け取る)直前に『暗器化』が発動する

ただの『100円玉』と甘く見て受け止めようとすれば、
急激な重量変化と辺縁の鋭利化によって菅谷の肉体は傷つくはず!

672『空を掴む手』:2022/06/14(火) 23:22:23
>>671(赤月)
>(あれはマズい!!)

『赤月』は『サクソン』を発現し、同時に己が身に『トレンチコート』を纏う。
『サクソン』との対格差によって袖裾がダボつくが、動きに支障はない。

    ≪『オープン・ハンド』、『サクソン』が共に発現!≫

    ≪それにしてもあの『右腕』、只者ではないと見受けられますが――――≫

『菅谷』の『右腕』から醸し出される威圧感とは対照的に、
『赤月』は纏った『トレンチコート』の裏側で『暗器化』を施した。
『ボールペン』を『袖箭』に、『リボンタイ』を『縄標』、『財布』の『百円玉』を『羅漢銭』に変える。

この変化は『一瞬』だが、実際に『暗器』を行使するには『動作』を有する。
取り出した『財布』から『百円玉』を取り出し、投擲するまでの『タイムラグ』の間、
西方向へと走る『菅谷』目掛けて、『サクソン』は『投げ銭』を放つ。

     ピシュッ!
                  ――――チャリンッ

目立たない『暗器』であっても『投擲』という動作自体は視認できる。
更に『10m』ほどの中距離ともあれば、『投げ銭』は簡単に避けられてしまう。

     「『投げ銭』だったら、そこの『Vtuber』にやれっつうの!」

     ≪『サクソン』の『投げ銭』、呆気なく外れましたー!
       さあ、『菅谷』選手は『棚』へと向かい、えぇー!?≫

     ≪その逞しい『右腕』を持って尚、『武器』がいるのでしょうかー!?≫

『菅谷』は『右腕』を真横に突き出しながら、北西の『棚』へと駆ける。
――――『投擲』そのものは失敗したが、『赤月』は一つの気付きを得た。

『硬貨』を『支払う』という『使用用途』を満たしていない以上、『羅漢銭』にはなり得ない。
『硬貨』に対して単純な『投擲』だけで『使用用途』と呼ぶのは、やや苦しかったか――――
今の『サクソン』は百円玉を投げただけだ。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□菅□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□赤□■■∴∴∴∴│

673赤月『サクソン』:2022/06/14(火) 23:42:34
>>672

「いけない・・・・今日の私は少々冷静さを欠いている」

元々、牽制のための一撃ではあったが、これでは牽制にすらなっていない
『100円玉』が落下した位置を記憶してこちらも棚(MAP右下)へと向かう

「『Vtuber』というのか、彼女は!
 それを知らなかったな・・・・もっとも、お金を投げる相手は君で間違いはない」

狙いは棚に置かれた『電動ドリル』だ
この物体を手に取り、『トレンチコート』の中で『暗器化』し『縄標』を仕込もうとする

「この国には『六文銭』という風習があるのだろう?」

(それにしても妙だな・・・・
 あの『右腕』、見るからに『直接戦闘』が得意だとでもいいたげなヴィジョンなのに
『道具』を取りに行くだと・・・・?)

何かあるな、と思いながら彼の動きを見つめる

674『空を掴む手』:2022/06/15(水) 00:32:38
>>673(赤月)

    ダダダダッ

『赤月』はスチール棚へと駆け寄り、『電動ドリル』へ手を伸ばす。
トレンチコートの内側に引っ掛けられた『電動ドリル』に『縄標』を仕込む。

※『手工具』の範囲であれば、道具は『言い切り』で揃っているモノとします。
  『メール欄』での取得及び『暗器化』についても可能です。

>(それにしても妙だな・・・・
> あの『右腕』、見るからに『直接戦闘』が得意だとでもいいたげなヴィジョンなのに
>『道具』を取りに行くだと・・・・?)

『菅谷』の姿を確認しようとするが、棚と柱に隠れてしまい、
その姿を見ることは出来ない。……唯一の例外は突き出された『右腕』だ。
スチール棚の影から、『くの字』に曲げているのか『肘頭』が見えている。

    ≪さあ、両者が『工具』を手に取ったかァ――――!?≫

    「おいおい、一向に攻めて来ねェな!」

    「『DIY』の要領でテメェーらのドタマぶち割っぞ!」

試合が進まない中、痺れを切らした観客達の罵声が飛び交う。


∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□菅棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚赤□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

675赤月『サクソン』:2022/06/15(水) 21:56:51
>>674

(さて・・・・私が施した『暗器化』はこれで『4個』
 だが、もう一つ・・・・『これ』も使いたいところだが・・・・)

(そうなると『羅漢銭』はもはや不要か)

『100円玉』の『暗器化』を解除する
これで『暗器化』を施した道具は『ボールペン』『タイ』『ドリル』の3つだ

「これでいい」

そう言いながら、棚にあった『物』を一つ手に取り、『暗器化』を施す

「行くぞ!」

『電動ドリル』を傍に立つ『サクソン』に持たせて、追従状態にする
そして、反時計回りに回り込むようにしてMAP右上の柱へと駆けていく

676『空を掴む手』:2022/06/15(水) 22:53:52
>>675(赤月)


     ダダダッ


『赤月』は『電動ドリル』を手にした『サクソン』と共に、
北東にある『柱』目掛けて駆けていく。
『スチール棚』越しに『菅谷』の姿が垣間見える。

     「そろそろ、溜まって来たぜ……」

『菅谷』は左手にステンレス製の『ノギス』を手に持ち、
柱の影から姿を現した。そして、その『右手』は――――

    ≪す、『菅谷』選手、あ、あれは――――≫

    「おいおい、なんだよアレ!?」

    「お前、所見かよ。『菅谷』の『オープン・ハンド』」

    「で、」

    「デケぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜ッッ!!」


    ズ ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ―――


『菅谷』の『右腕』を核として発現した『オープン・ハンド』は
人間の『胴体』をそのまま移植したかのような『巨腕』となり、
それを『赤月』へと突き出すように振るう。

    「オメェーが何をしてたかは知らねぇが、
     俺の『オープン・ハンド』が全部、握り潰すっつうの!」

   ヒュゥゥゥゥゥ――――

            ――――ダダダッ

『赤月』の背後から『微風』が吹き込む。
密閉された『アリーナ』において、『隙間風』の入る余地はないはずだ。
巨腕を突き出しながら、『菅谷』は真正面から『赤月』へと向かって来る。

    ≪きょ、巨大とは言え、『スタンド』のパワーに、
      『大きさ』なんて関係ないですよね? 筋肉じゃあるまいし!≫

    「どうかな。ヴィジョンの大きさに差が生じにくいとはいえ、
     意味もなく『巨大化』するわけがないよね。……それに」

恐る恐る問い掛ける『セカイ』に対し、『クァンガン』が平然と言葉を返す。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□菅□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚手□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□赤□□■∴│
∴■□□□□□□□□□| □■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚| □■∴│
∴■□□□棚□□□棚/□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

677赤月『サクソン』:2022/06/15(水) 23:32:30
>>676

「なん・・・・・だと・・・・・・?」

スチール棚越しに垣間見た菅谷の姿に、赤月は己の失策を知る
やはり・・・・先ほど感じた嫌な予感は当たりだったようだ
菅谷は何らかの方法でスタンドエネルギーをチャージしていたのだろう

(『風』・・・・・・?)

不意に、赤月は背後から緩やかに吹く『微風』に気が付いた
この会場に『隙間風』が差し込む余地はない・・・・ならば、この風は敵の能力の予兆か!?

(まずは近づいて確かめるしかない!)

柱を反時計回りに回るようにして、会場の北側を通るように菅谷に近づく
そして、菅谷の体を『縄標』の射程距離に収めたところで・・・・・

   ―――――『ギュルルルルルッ!』

『サクソン』が握りしめた『電動ドリル』を起動!
それにより『暗器化』の条件を発動させる!

『ドリル』を回転させながら、錐体と握り手の間の部分を『縄標』の『縄部分』に変化させる
それにより、『ドリル』部分を回転させた状態で、菅谷に向けて一直線に投げつけ、投擲攻撃を行う

678『空を掴む手』:2022/06/17(金) 22:00:32
>>677(赤月)

>   ―――――『ギュルルルルルッ!』

『赤月』は棚の影に隠れるように接近し、
その最中に『電動ドリル』を回転させ、『暗器』を発現する。

    ≪あれは、『赤月』選手の『ドリル』が――――≫

        バシュッ!

             シルルルルルルルッッ!!

    「させるかよォォ!!」

『サクソン』の手元を離れ、投擲された『電動ドリル』目掛け、
『菅谷』は『オープン・ハンド』を纏った『右腕』を振るう。

    「この距離はもう、『オープン・ハンド』の間合いだっつうの!」

『サクソン』を上回るスピードで弧を描いた『右腕』は、
纏った『オープン・ハンド』ごと『電動ドリル』に触れて、

     シパッ

    ≪き、消えたァァ――――!?≫

『オープン・ハンド』が触れた瞬間、『ドリル』は姿を消す。
――――いや、違う。『菅谷』の背後で『ドリル』は旋回している。
            . . . . .
一瞬で『菅谷』をすり抜けた『ドリル』。
そして、『2〜3m』の距離がある最中、『赤月』の横っ面に、

          バグゥ!!

    ≪そして、『赤月』選手、被弾かァ!?
      『ドリル』と同じように、『菅谷』選手は何を飛ばした!?≫

まるで見えない『手』に殴られたような、完全なる『不意打ち』。
よろめいた『赤月』はアリーナの壁面を支えにする。
不可思議な攻撃。無為の行動、……そうではない。

      ドヒュルルルルルゥゥゥ――――

               ガスゥ!!

    「う、ぐォォォッッ!!」

『菅谷』のライダーズジャケットごと、『ドリル』の錐先が『背中』を抉る。
『赤月』が投げたのは唯の『ドリル』ではない。その『回転力』を『縄』に保持させた『縄標』。
伸びた縄をくねらせたまま『ドリル』は『菅谷』の後方へと飛び続けている。

    ≪唯の『ドリル』じゃあありません!
      『赤月』選手、『縄』を仕込んだ『ドリル』です!≫

    うおおおぉぉぉぉぉ―――――

両者の『ファーストヒット』に対し、観客達が歓声を響かせる。
そして、『菅谷』の『オープン・ハンド』は先程よりも萎んでいる。
人の胴体ほどもあったはずが、今は『一回り』は太い、というほどだ。

    「それでお前は、『武器』を用意したってわけかよ!
     『赤月』ィ、――――今ので見えたっつうの!」

    「お前の『弱点』がなァ――――!!」

    ヒュォォォォ――――

『菅谷』の咆哮は負け惜しみか、それとも確信か。
――――再び、『風』が吹き始める。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□←ド 菅□□赤□■∴∴│
∴■□□□棚□手□棚□\□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚/□■∴│
∴■□□□□□□□□/□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

679赤月『サクソン』:2022/06/17(金) 22:36:25
>>678

「(すり抜け・・・・? いや、これは・・・・!?)」

  「ぐっ!」

不可知の『何か』に殴られる、見えない『不意打ち』
頬から血を流しながら、よろめき、壁を支えに倒れるのを防ぐ

(『風』・・・・・萎む『オープン・ハンド』・・・・
 『空気』か・・・・? 『空気』が何か関係を・・・・?)

目の前で起きている『現象』を繋げていくつかの仮説を立てる
だが、それらを立証するにはまだ論拠が足らない

(もっとも・・・・・・)

     (私の攻撃はまだ終わっていないのだが!)

『サクソン』が握る持ち手に僅かな指捌きを加える
そして・・・・『ドリル』を投擲した時点で予定していた動きを、人形遣いのような指運で伝える!
その動きは『ドリルに縄を絡ませて後ろに戻すこと(>>677メール欄)』
投擲した『ドリル』を180度反転し、撓んだ縄をドリルの回転で巻き取る事で菅谷の背後からの攻撃を狙うものだ!

同時に、本体はさらに前進・・・・・菅谷との距離を詰める

(敵は中距離戦闘が得意なタイプと見た!
 恐れてばかりでは勝ちを拾うことは出来ない)

680『空を掴む手』:2022/06/17(金) 22:50:05
>>679(赤月)
>(『風』・・・・・萎む『オープン・ハンド』・・・・
> 『空気』か・・・・? 『空気』が何か関係を・・・・?)

僅かに吹き込む『風』から事態を推察しながらも、
壁を背にして身体を支える『赤月』は『サクソン』を動かし、
その優れた指捌きによって、ドリルの『握り手』を

┌─────────────────────────
│『オープン・ハンド』が触れた瞬間、『ドリル』は姿を消す。
└─────────────────────────

┌─────────────────────────
│      . . .
│『赤月』が投げたのは唯の『ドリル』ではない。
└─────────────────────────

『ドリル』は既に『サクソン』の手を離れている。
――――だが、これは『赤月』の失策でもなんでもない。
投げるつもりのなかった『ドリル』が、勝手に手からすっぽ抜けた。

……いや、違う。手から『離された』のだ。
いずれにせよ気付いたのは一瞬。行動はまだ『修正』できる。

681赤月『サクソン』:2022/06/18(土) 00:00:58
>>679

(なっ・・・・ いけない!)

『アリーナ』にいる事による『憎悪』からか
それとも、『戦闘』に関わる『高揚感』からか
『ドリル』が手から離れていた事にも気づかない己の迂闊さを呪う

(いや・・・・だとしても『進む』!)

『風』の流れから、菅谷が再び『オープン・ハンド』の巨大化を狙っていると見て間違いはないだろう
ならば、ここで退いてしまっては彼にリチャージの機会を与えてしまう事になる

         シュルルル・・・・・

制服の『リボンタイ』を片手で解く
『着脱』という動作をトリガーにして『暗器化』を発動
前進し、菅谷との距離を詰めながら、『縄標』に変化させた『タイ』の『金票(ヒョウ)』の部分を投げて攻撃する

(だが・・・・・!)

『縄標』による攻撃は囮だ
既に、相手には『縄標』による攻撃は一度見せている
『B級(相当)ファイター』ともなれば二番煎じの攻撃など軽くいなされて終わりだろう

(本命はこちら!)

『縄標』の操作もそこそこに、口の中・・・『ある物』を舌で動かす
口中に放り込んだもの、それは『暗器化』を施した『釘』である(>>675メール欄)
先行させた『縄標』に相手が対処する瞬間、口腔内を『釘』で刺す(釘の使用)事で『暗器化』を発動

それは『袖箭』の発射機構を再現し、口腔内から射出・・・・『含み針』のように菅谷を襲う
狙いは菅谷の顔・・・・致命打にはならなくても、不意を打たれれば注意を削ぐ事が出来る部位だ

682『空を掴む手』:2022/06/21(火) 21:04:45
>>681(赤月)

    シュルッ

          ヒュカッ!!

『赤月』は『1.5m』ほどのリボンタイを解き、『縄標』へと変じさせ、
その切っ先を『菅谷』目掛けて放るも、右腕の『オープン・ハンド』が唸る。

    バシィッ!!
               ――――ガスッ!

『オープン・ハンド』のパワー、スピードのどちらも『サクソン』を上回る。
だが、『赤月』は敢えて『弾かせた』のだ。本命は咥内の『釘』による『含み針』。
『暗器』の王道。……だが、『刺す』という行為に対し、『口』での射出は『パワー不足』だ。

結果として、『釘』は『暗器』とならず、口から零れるに過ぎな……

       バスッ!

    「ぐ、おおぉ!!」

いや、『釘』は『2m』も先にいる『菅谷』の額に命中し、ひっかき傷を作る。
――――おかしい。『菅谷』へと吹く『風』に乗った、では済まされない。
この『アリーナ』の中で何かが起こっている。

    「そのスタンドを使って、――――何度目だぁ!?
     寄せ集めた武器だけじゃあ、俺は倒せねぇっつうの!」
                                . . . .
    ≪す、素晴らしいです! 両者、目にも止まらぬ攻防!
      しかし、『菅谷』選手! この場で足を止めて――――≫

    「クッソー、ヤジる『ヒマ』すら与えてくれねェ!」

    「口も挟めねぇじゃねぇか!」

――――『サクソン』の徒手空拳は『常人』に毛の生えた程度だ。
『暗器』による『暗殺』こそが『真価』であるが故、なのだが……。
この『実況者』は、『観客』は、何を言っている……?

    「十分に吸い取ったぜ、『オープン・ハンド』ォ!」

    「お前は所詮、釈迦の掌の『孫悟空』だっつうの!」

『2m』の距離のまま、『菅谷』は『オープン・ハンド』で殴りかかる。
腕の長さは十分ではない。このままでも『届く』という『確信』がある。
――――この『右腕』は、ヤバい。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□ド□ 菅手□赤□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□\□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚/□■∴│
∴■□□□□□□□□/□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

683赤月『サクソン』:2022/06/21(火) 22:02:37
>>682

「ふっ! 『口は禍の元』という言葉があるらしいけど・・・・
 どうやら、『口』での口撃(こうげき)は私の方が勝っていたらしいな!」

自身の攻撃が予想外の結果を招いている事に困惑する内心を隠すように
相手を挑発する言動をとる

(どういう事だ・・・・?
 私は、彼の能力が『空気を集める風船』のような能力だと思っていた、が・・・・)

観客席から浴びせられる歓声は、明らかに何らかの齟齬を生じている
 ・・・・・・・
『あり得ない攻防』・・・・。
彼らが認識している『速さ』と、自覚した『速さ』の齟齬

(『速さ』・・・? いや、『速さ』とは『距離』を『時間』で割ったもの
 『時間』を操った・・・・・? いや、可能性は低い・・・・ならば!)

(『距離』かッ!?)

『そんごくう』というお話は、昔絵本で読んだことがある
山も海もひとっ飛びに飛び越える『そんごくう』は、
而してお釈迦様の小さな掌すら飛び出すことすら出来なかったという

(まさか、彼が先ほどから吸い取っていたのは・・・・『距離』なのか!?)

今はまだ、仮説にすぎない
だが、無数の仮説の絞り込みと、それらの立証はこと『スタンド戦』においては基本だ

「・・・・・どうやら、既に君はお釈迦様気分のようだけど
 聞かせてくれないか? 『B級ファイター』に上る事も出来ず、
 こんな所に転落してしまった君風情が、どうしてそうも偉そうなのかを」

「・・・・・西遊記に出てくるなら、『猪八戒』がお似合いだよ。君は」

そう言いながら、赤月は『オープン・ハンド』の威圧感に負けず・・・・むしろ『前』に出る!
いや・・・・出るのは『前方下』・・・・スライディングのように地面を滑って移動する構えだ

(おそらく・・・・『オープン・ハンド』は一瞬で瞬間移動をしてくるはずだ
 だが・・・・目の前の空間の、『距離』が消えているのであれば、
 『私』も!前方に瞬間移動が出来るはず!)

狙いは彼の能力を利用して、前方・・・彼の近くに瞬間移動する事
仮説が正しいのであれば、目の前の『何らかの空間』に触れた瞬間に彼の足元に移動できるはず
その瞬間に・・・・・

(最後の『暗器』だ!!)

>>671で用意した最後の『暗器』、ボールペンを変化させた『袖箭』を構えて
彼の身体に狙いをつけるのが狙いだ!

684『空を掴む手』:2022/06/21(火) 23:06:12
>>683(赤月)
巨大化する『右腕』、『菅谷』へと吹き込む『風』。
これらの現象から『赤月』は『オープン・ハンド』の能力について、
『空気』を吸い込む『右腕』だと推測していた。

だが、その能力では説明できない『現象』が起こっている。

┌───────────────────────────
|――――いや、違う。『菅谷』の背後で『ドリル』は旋回している。
|            . . . . .
|一瞬で『菅谷』をすり抜けた『ドリル』。
└───────────────────────────

>(まさか、彼が先ほどから吸い取っていたのは・・・・『距離』なのか!?)

『赤月』は前へ出る。『ヤバい』と予感する『右腕』の存在感。
敢えて前に出る。己が自ら組み立てた『予想』は、『予感』を上回る確信を持つ。

> 聞かせてくれないか? 『B級ファイター』に上る事も出来ず、
> こんな所に転落してしまった君風情が、どうしてそうも偉そうなのかを」

    「何故かって!?  既に言ってるじゃあねぇーか!」

    ズザザザァァ!!

>「・・・・・西遊記に出てくるなら、『猪八戒』がお似合いだよ。君は」

    「お前を握り潰せるだけの、『空間』を吸ったからなぁ!」

『赤月』の組み立てた仮説は『半分』は正しかった。
『赤月』は常人とは思えぬ『スピード』で『菅谷』の足下に滑り込む。

自転車を漕ぐ時のような、『風』を破る感覚はない。
まるでYoutubeの『二倍速再生』のような、実感を伴わぬ『高速化』。
そして、『オープン・ハンド』の右腕がしなり、

     ド  パオオオオ ンン!!

『オープン・ハンド』が破砕し、『空間』が爆ぜる。
その余波によって『赤月』は転がるように吹き飛んでいき、
全身を地面に打ち付けながら『柱』へと激突する。

    「俺の『オープン・ハンド』は、周囲の『空間』を『掌握』するっつうの!
     『希薄化』した『空間』じゃあ、手投げのボールも『160km』のストレート!」

    「そしてェ、『空間』そのものの『右腕』を今みたいに振るえばァ!
     どぉぉ〜〜〜〜よぉぉ〜〜〜〜??  ブルった威力だろーがァ!」

   ブシュシュッ    ブシュゥゥゥゥ―――

意気揚々と雄叫びを上げる『菅谷』だが、その右腕は『亀裂』が走り、
生身の右腕からも夥しい『裂傷』と共に『流血』が滴っている。

    ≪『菅谷』選手、自分からスタンド能力を喋っています!
      一体、何の目的なのでしょうか!?≫

    「吹っ飛ばしたくらいで勝ち誇ってんじゃあねぇーぞ!」

    「やっぱり猪八戒がお似合いじゃあねェーか!」

    「――――やはり、彼にとっては物足りなかったようだね」

解説席の『クァンガン』は何かに気付いたかのように微笑むも、
実況の『セカイ』は困惑し、観客からのブーイングが止まらない。
地面に倒れ伏した『赤月』。――――まだ『袖箭』は発射されていない。

吹っ飛んだ勢いとは裏腹に、ぶつけた背中以外のダメージも乏しい。
大きく距離を離す程の『威力』はなく、『空間』の希薄化による『高速移動』の影響か。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□ド□ 菅□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□赤□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

685赤月『サクソン』:2022/06/21(火) 23:55:45
>>684

やった!と、そう思った
予想通り自身の身は瞬間移動を果たし、菅谷に向けて攻撃を・・・・・

「・・・・・・・・・・・ッ!?」

     ド  パオオオオ ンン!!

「くッ! アアァァァァッ!」

・・・・・・甘かった。
赤月の予想通り、菅谷の能力は『空間(距離)を吸う』ものであった
しかし、赤月にとっては予想外な事に、彼はまた『吸った空間を破裂する』能力も持っていたのだ

「く、空間の『掌握』とその『解放』・・・・それが君の能力だったか」

勢いよく吹っ飛ばされはしたものの、自身のダメージは意外と乏しい
不意打ちで背中を強打した事で一瞬息が詰まる感じがしたが、呼吸を整えればなんともない
むしろ、菅谷の方こそが『大ダメージ』を負っているように見える
あの『腕』の傷、先ほどの攻撃は破れかぶれの一撃だったというわけか・・・・?

(いいや、違うッ!)

そう、彼の目は追い詰められて破れかぶれの一撃に出た窮鼠の目ではない
          ・・
勝利を掴まんとする『獅子』の目だッ!
何故、あれだけの負傷を負いながらそんな目でこちらを見る事が出来るのか!?

「・・・・・先ほどの妄言は訂正しよう
 君は、『B級』に上がれずに腐っているような軟な人間ではないようだ
 その気迫・・・・・狙っているんだろう。再びの返り咲きを」

物語において『猪八戒』は、天から落とされて豚に生まれ変わった後、
三蔵法師を支えて天竺に至った功が認められ、再び天に昇る事が出来たという
あるいは、この男も・・・・

「だからこそ、私は決して侮らない!」

その場で立ち上がりながら、懐から『財布』を取り出し、
『サクソン』の手で中の小銭をむずっと掴み取る

「この状況で君が勝ち誇る理由・・・・
 仕掛けてあるのだろう!? 既に! 『罠』を!!」

    ジャララララッ!!

そのまま周囲360度に向けて小銭をばら撒く!
菅谷は既に、この会場内に『希薄空間』を設置している可能性がある
『希薄空間』に触れた物は高速移動する・・・・
小銭をばら撒く事で、周囲にある『希薄空間』の存在を感知する事が狙いだ!

686『空を掴む手』:2022/06/22(水) 00:28:37
>>685(赤月)
ド派手さとは裏腹に『赤月』のダメージは軽微であり、
逆に右腕から血を流す『菅谷』の負傷の方が甚大に見える。
唯のハッタリか。それとも何かの『策』があってか、

>「・・・・・先ほどの妄言は訂正しよう
>その気迫・・・・・狙っているんだろう。再びの返り咲きを」

    「勿論だっつうの! そしてェ、俺はそれ以上に!」

>「この状況で君が勝ち誇る理由・・・・
> 仕掛けてあるのだろう!? 既に! 『罠』を!!」

    「『罠』以上にッ! 俺は、『ヤジ』が好きなんだよォ!
     浴びるのも浴びせるのも! 観客共、俺の『能力』は全部喋ったぁ!」

    「『ネタバレ』なんて気にしてんじゃねぇー! ガンガンディスれやオラァ!」

    ジャララララッ!!

『赤月』が『サクソン』によって『小銭』をバラ撒くと、
『菅谷』に近付いた『小銭』が明らかな『高速移動』を起こす。
これにより、おおよその『希薄化』した空間の位置は把握できた。

    ワアアアアアアァァァァァ――――

    「要らねぇ配慮してねぇでさっさとガキ倒せやボケ!」

    「そのツラで空間操ってんじゃあねぇぞ!」

    「テメェーの置き配、雑なんだよ!」

    ≪し、試合と関係ない罵倒はやめてくださぁーい!
      い、いやでも、試合とかじゃなくても悪口はダメですー!≫

そして、バラ撒いた『小銭』は『菅谷』には命中しなかった。
何故なら、彼は既に地面を蹴り、

       ドヒュォォォォォ――――!!!

    ≪『菅谷』選手、飛びました!
      『猪八戒』じゃない、『紅の豚』です!≫

一蹴りで『2m』は上空に飛ぶ。その間にも『オープン・ハンド』は肥大化を続ける。
『手出し』の出来ない『空中』で『空間』を溜め続ければ、……先程の威力では済まない。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□◇◇◇□□■∴∴∴│◇……『希薄化』した空間。
∴∴■□□◇菅◇◇◇□□■∴∴│     小銭の高速移動によって推察できた。
∴■□□□棚◇◇◇棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□赤□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

687赤月『サクソン』:2022/06/22(水) 17:54:51
>>686

「そうか!やはり『罠』を仕掛けていたから強気な態度に・・・・・え?」

衝撃の発言に驚きよりも先に困惑が来た
『ヤジ』が好きだから『能力』を公開した・・・・?
対戦相手にブラフを噛ませる事もなく? ただ、戦いを盛り上げるために?

「ふ、ふふふ・・・ははははは・・・・」

無性に笑いが込み上げてきた
何の仕込みも企みもなく、ただ『ヤジ』を飛ばすために能力を公開する・・・・
その馬鹿らしさに、心の底から大笑いをする

「あっはっはっは! なんだ、それ!意味がわからない!」

ーーーー楽しい、とそう思った。
『敵地』である。背中に痛みもある。敵に追い詰められてもいる。
それでもなお・・・・赤月は今、晴れ晴れとした気分で戦っていた


           ・・・・チクリ

胸の奥で、何かが囁く
お前の本分を忘れるな、と

「・・・・・だけど、逃がしはしない
 君の能力が『空間』を操るとしても、それは限定的なものだ!」

菅谷が『希薄空間』を利用して飛び上がる
だが、『希薄空間』を利用できるのは菅谷だけではなく、
解除には『解放』が伴うことは先ほど証明された事実だ

    ダッ!!

右手で『ボールペン』を左手で『100円玉』を握りしめ、赤月は駆け出す
目指すべき場所は先ほどまで菅谷が『居た場所』・・・・ちょうどその座標だ!
先ほどまで菅谷が存在した空間はまだ『希薄化』されていないはず

つまり、彼がもともと居た地点へは『高速移動』で通り過ぎる事なく到達できる!
その地点から真上にジャンプすれば、菅谷の移動経路をそのままトレースして、
上空に飛び上がる事が出来るはず!


□□□菅□□□
□□◇◇◇□□
□□◇◇◇□□
◇◇◇◇◇◇◇
◇◇□□□◇◇
◇◇□↑□◇◇←赤
■■■■■■■■■

□:通常空間
◇:希薄空間
■:床
←:移動経路

『希薄空間』が上記のように広がっている(菅谷が元々居た位置は希薄化されていない)と予想し
その場所から跳躍する事で彼に追いつきたい

688『空を掴む手』:2022/06/23(木) 22:40:08
>>687(赤月)

>「ふ、ふふふ・・・ははははは・・・・」

┌───────────────────────────────
|今回の『菅谷』VS『赤月』というカードについて、
|その場にいる『観客』の全てが『菅谷』の勝利を疑わなかった。
└───────────────────────────────

┌───────────────────────────────
|『クァンガン』も同じく。故に試合前の『赤月』に注目をしていなかった。
|強張った呼吸、緊張。それを読み取っていたからか。
└───────────────────────────────


          だが、その侮りは――――


   ノ\/|
   )あ.〈  /\
   〉っ/ ノ は 〈  /\    (――――この、笑い声……)
   \/  〉っ /  | は〈
       |_/  / っ 〉    (……何故だ? 何故、こんな女の子に)
            \/ ̄
                    (あの時の、あの笑みが重なるんだ――――)
   「なんだ、それ!
    意味がわからない!」


          ――――空気を弾ませる、笑い声に打ち消される。


┌───────────────────────────────
|『クァンガン』は長机に身を乗り出すように、眼下の試合に食い入った。
|結論から言えば、彼の行動は『徒労』に終わったのだ。
└───────────────────────────────


        /i !
       .人        ≪りょ、両者飛び上がったぁぁぁ〜〜〜〜ッッ!!≫
        ギ
       ュ       ≪この闘い、もしや『空中』にて決着が付くのか!?≫
     オ  /
       ・       ≪しかし、『赤月』選手。空中で為す術はあるのかぁ!?≫

689『空を掴む手』:2022/06/23(木) 22:42:32
>>687(赤月)


      ダダダダダッ    ダンッ!!


『赤月』は前方へ駆け出し、『菅谷』の後を追うように跳んだ。
――――いや、飛んだ。胸を刺す痛みと共に、『菅谷』を追い詰めるべく空中を舞う。
『硬貨』と『ボールペン』を握り締め、『菅谷』を追って『空間』を突き抜けていく。

     ≪両者、同じ手段なら追い付けるのでしょうか!?≫

     「いいや、『オープン・ハンド』が『空間』を吸って移動するなら、
      既に『希薄化』した空間を進む『赤月』選手が、背に追い付ける!」

天井まで『菅谷』の距離は『1m』。一方で『赤月』との距離は『1m』。
『赤月』は『ワイヤレスマイク』を手にした『クァンガン』の傍を抜ける所だ。

     「『空中戦』じゃあねぇーか、やぶれかぶれか!?」

     「なわけねぇだろ、何か策があってやってるんだよ!」

     「『菅谷』ァー! グッズの外箱に送り状貼るんじゃねぇー!」

喧々諤々の『観客』達を尻目にし、『菅谷』は首だけを曲げて『赤月』へ振り向く。
細い目に円弧を描かせて、追い縋って来る『赤月』を認める。

     「追って来るなら、迎え撃つまでだっつうの!」

     「『オープン・ハンド』、最大最強の一撃でェェ〜〜〜〜ッッ!!」

     「テメェは墜落! 翼の折れたエンジェルだっつうの!」

『背』を向けた『菅谷』へ対し、半端な『武器』では致命傷にはならないだろう。
彼はまだ『空間』を溜め続けている。天井へ到達し、身を翻した時、
――――あの『右腕』の攻撃が、来る。

この状況、空中であっても『サクソン』は動かせる。
だが、『赤月』が宙を移動することは出来ない。
つまり、単純な方法では『回避』は難しいだろう。

■■■■■■■■■■
□□□□□□┃    ┃←鉄骨柱で吊られたアクリル板
□□□菅□□┃ ク .┃  解説の『クァンガン』がいる。
□□◇◇◇□┗──┛
□□◇◇赤□□□□□
◇◇◇◇◇◇◇□□□
◇◇□□□◇◇□□□
◇◇□↑□◇◇□□□
■■■■■■■■■■

690赤月『サクソン』:2022/06/23(木) 23:36:29
>>688-689

  ――楽しい。

    ――楽しい!

      ―――楽しいっ!!

胸の中を満たすものは『高揚感』
赤月という少女は・・・・元来、この手の『戦い』を好むたちであった
宿命に捻じれ曲がる事がなければ、純粋な気持ちで勝負を楽しむ事が出来ただろう

   ズキっ!!


それだけに、戦いを楽しんでしまっている自分への『罪悪感』が重く圧し掛かる
『復讐』のための戦い、戦いを楽しむなどというのは不謹慎だという思い
だが、今、この瞬間において・・・・『空』という戦場は赤月の心を開放するには十分なシチュエーションであった

    ふわっ・・・・

全身に感じる浮遊感が『過去』を置き去りにする
『復讐』のためでもなんでもなく、ただ『戦い』のためだけの『戦い』へ・・・・

「君の『オープン・ハンド』・・・・先ほどの一撃を超える一撃を放てるのだろう?
 やってみろ! ただし・・・私の攻撃の方がずっと早いだろうがな!」

挑発して、彼の攻撃・・・・最大まで『空間』を蓄えた『オープン・ハンド』の一撃を誘う

「『サクソン』ッ!!」

そう言いながら、自身のスタンド『サクソン』に
両手に持った『100円玉』と『ボールペン』を持たせて菅谷にさらに接近させる

(実を言うと・・・・私には彼の攻撃を止めるだけの攻撃力はない)

そう・・・・既に『100円玉』と『ボールペン』はそれぞれ、
『羅漢銭』と『袖箭』となっている(>>685メール欄)が、
それは菅谷の攻撃を止めるにはあまりにも役者不足な武器なのだ

牽制の一撃にはなる・・・・だが、菅谷の『空間開放攻撃』をキャンセルさせるには攻撃力が足らない

(足らない攻撃力は、彼から補う!)

「喰らえッ!」

菅谷が天井に達し、『空間開放攻撃』を繰り出すために振り向く寸前、こちらの攻撃を開始する
まずは『ボールペン』をノックして、それをトリガーに『袖箭化』を発動
小型の矢と化したそれによって菅谷の目を狙う様に射出する

だが、その程度のダメージで『空間開放攻撃』をキャンセルする程に敵を怯ませる事は出来ないだろう
だからこそ・・・・本命の『二の矢』を用意しておくのだ

それは『羅漢銭』を仕込んだ『100円玉』・・・・・
『袖箭』の射出の陰に隠れるように、『100円玉』を菅谷に向かって放り投げる

狙いは、菅谷が『空間開放攻撃』を放つ時に、
『オープン・ハンド』と菅谷自身の肉体の間の空間に位置するような軌道だ!

(『オープン・ハンド』の攻撃・・・・あの攻撃事態に痛みはそれ程なかった
 つまり、あの攻撃は『空間』を一気に押し広げて相手を爆発的な勢いで『移動』させる攻撃なんだ!)

(ならば、『オープン・ハンド』の『解放』に別の物体が巻き込まれればどうだ!
 クレイモヤや破片手榴弾のように・・・・どれだけ小さな破片であっても、その物体は・・・・!)
  ボディ              バレット
(『人体』を致命的なまでに破壊する『 弾 』になるはずだ!)

つまり、『オープン・ハンド』の開放による『空間拡大』に『100円玉』を巻き込む事で
『100円玉』を菅谷の肉体を貫く『銃弾』とするのがこの攻撃の真の目的だ!

「それは・・・・『花火』の見学料だ」

相手の強大な技に対する『見学料』・・・・
『支払う』という行為をトリガーにして『100円玉』は着弾の際に『羅漢銭』へと変わるはず

691『空を掴む手』:2022/06/28(火) 21:24:28
>>690(赤月)

     ┌──────┐
     │ ――楽しい。 │
     └──────┘

『赤月』の心が弾む。脳が弾ける程のエンドルフィンが踊る。
巨大化した『右腕』を見据え、それが振るわれるのを認め、

>「君の『オープン・ハンド』・・・・先ほどの一撃を超える一撃を放てるのだろう?

      カチッ

    「勿論、          「『サクソン』ッ!!」
     だっつうの!」

                ――――バシュッ!!

『袖箭』と化した『ボールペン』が振り向いた『菅谷』の目に放たれ、
『菅谷』は甘んじてそれを喰らい、眼下に深々と『針矢』が突き刺さる。

    「ぐ、ぐあああああああああ!!!」

          ┌──────┐
          │ ――楽しい!│
          └──────┘

無論、薙がれる『オープン・ハンド』は止まらない。
『急所』を狙わねば殺傷できない『サクソン』の『暗器』とは異なり、
『オープン・ハンド』の巨腕は、泥酔しようと振り回すだけで『致命傷』となる。

     _ l |
      ノ オ       ≪『オープン・ハンド』、『最大出力』ゥゥ―――ッッ!!≫
         ォ
          ン/   「これは、ボクも危ないかな?」
          ・

瞬間、『空気』が奔流するかのように、『赤月』の身体が揺らぐ。
『希薄化』した空間が元に戻る。まるで『真空』に『空気』が流れ込むように。
『赤月』の感じていた『微風』もまた、この『空間』を吸い寄せる力だったのだろう。

     「ぶっつぶれろォォ!!」

     ド    ,
      ノ | '      『空中』というブレーキの効かない環境下において、
         ァ     『赤月』は吹き飛び、その背後には『鉄骨』が迫る。
        ア      直撃すればタダでは済まない。――――だけではない。
       ン/      5〜6mの高度から叩き落されれば、『再起不能』だろう。
       ・

     「同じフィールドで闘おう、ってハートは認めてやるぜェ!
      だが、『オープン・ハンド』は『空間』を掴むスタンドォ!」

     「元より、同じフィールドなんてありゃあしねぇのさ!
      直撃すりゃあ、どんなスタンド使いだろうと抗えねぇ!」

     「空に昇った時点で、お前の負け  ┼ l|
                              ノ | \ ス
                              ゥ
        「だ」                  ウ
                            /
           「づぁぁぁぁ!!」       ・

『オープン・ハンド』が『空間』ごと吹き飛ばそうと、『菅谷』自身に影響はない。
どれだけ強大なスタンドを振るおうと、その反動で本体が吹き飛ばないように、
『菅谷』自身は『空間』に吹き飛ばされない。――――だからこそ、

      ≪い、今、何か跳びました!≫

               ┌────────┐
               │. ――楽しいっ!!│
               └────────┘

      ≪それが、『菅谷』選手の、胸に≫

それが『羅漢銭』になったかは解らない。
だが、『貨幣』は確実に『菅谷』の胸骨を砕き、内臓に骨片が押し刺さる。
空中で『菅谷』が悶え、ゆっくりと落下していく。

      ≪りょ、両者、墜落かァァ――――!?≫

692赤月『サクソン』:2022/06/28(火) 22:58:03
>>691

(――――ああ。)

空に浮かび、自身が放った『一の矢』が狙い通りの成果を上げた事を知る
『オープン・ハンド』は止まらない・・・・だが、彼の視界と集中力は奪った
直後、『空気』とともに希薄化していた『空間』が拡張を開始

(――――ああ。)

赤月の身体は風に舞う木の葉の様に軽々と吹き飛ばされる
だが・・・・この強風の中に遭って、赤月の心は凪のように澄み切っていた

(お互いに全てを出し切ったんだ・・・・後は・・・・)

   ガチッ!

『二の矢』が菅谷の胸を強く打ち付けたのを確認した直後
目を見開き、奥歯を強く噛み締めて衝撃に備える
凪いだ心が再び熱く燃え盛る

「後は・・・・どちらが最後まで立っていられるか!」

「耐久勝負だッ!!」

苦境の中、赤月の口角がにやりと吊り上がる

恨みも、悪意も、殺意もない
純粋なる『力比べ』がこんなにも楽しいなんて!!

赤月は吹き飛ばされる我が身を見ながら、胸の内に高揚感を覚えていた

しかし、このまま鉄骨にぶつかったら先に『再起不能』となるのはこちらの方であろう
胸骨を撃ち抜かれただけの菅谷と違って、こちらは『オープン・ハンド』の空間エネルギーをまともに浴びてしまっている
その上、彼に接近した影響で無視できない高さまで登ってしまっている・・・・落下ダメージはかなりのものであろう

「『サク・・・・・ソン』ッ!!」

今、自身の身には『サクソンのトレンチコート』が纏われている
ならば、この状況を最大限に使って切り抜けるしかない

(『ミルウォール・ブリック』・・・・・!!)

『ミルウォール・ブリック』という暗器がある・・・・
歴史は浅く、1960年代頃に現れた打撃用の武器である
その最大の特徴は、それが『新聞紙』の塊であるという事だ

(『制服』を『ミルウォール・ブリック』に変えて衝撃を吸収させる・・・!)

『トレンチコート』の真下にある自身の衣類、『制服』
それを形状変化を起こさないままに『暗器化』を施す
直後、『着用している』という使用をトリガーとして『暗器化』を発動
身に纏う『制服』に『新聞紙の塊』としての性質を付与する

『新聞紙』とは何重にも重ねられた繊維質の塊であり
『ミルウォール・ブリック』はそんな『新聞紙』をさらに何重にも重ねたものである

ならば、その性質を得た『制服』は新聞紙の持つ性能・・・・衝撃吸収能力を発揮するはず

(完全に防げなくてもいい・・・・・
 少し・・・・ほんの少しだけ、菅谷よりも長くダメージを耐えられれば・・・・・!!)

693『空を掴む手』:2022/06/28(火) 23:51:43
>>692(赤月)
>(――――ああ。)
>(お互いに全てを出し切ったんだ・・・・後は・・・・)

『赤月』は吹き飛ばされるがまま、一切の抵抗を見せない。
『悪意』も『殺意』もない、純粋なる『闘志』のぶつかり合いの果て。
――――だが、それでも尚、『勝利』への渇望は消えていない。

     バグシュッ!

左半身から『鉄骨』に突っ込んだ『赤月』。
『左腕』が圧し折れるも、肉体のダメージはそこまでに留まる。

     ≪『ナカレ』ちゃん、鉄骨に激・突ゥゥ――――!!≫

     ≪スゴい音がしましたが、果たして無事でしょうか……!?≫

     「おいおい、まさかのノープランかよ!」

     「やぶれかぶれがアリーナに通じるかよ!」

電子ボイス越しにも伝わる『セカイ』の震る声、どよめく観客席。
間近で衝突音を聞き捉えた『クァンガン』のみが、『ナカレ』の無事を察していた。

     「――――流石だね。今の音は、敢えて『潰した』のかな」

――――『ミルウォール・ブリック』による『紙鎧』。単体では衝撃を逃がし切るには至らず、
『左腕』を圧し折ることで二重のクッションとなり、なんとか生き延びた形だ。
『赤月』は勢いのままに半回転し、ポリカ板の床に着地する。

     ≪ああっと、『日向太』ちゃんも無事でーす!≫

     「アイツ、『空間』を吸い取って『滞空時間』を縮めたのか!」

     「意味わかんねぇし! なんか関係あるのかよ!」

     「普通なら『6m』で墜落するところを、『1〜2m』で着地したんだよ!」

     「な、なるほどぉー!」

『オープン・ハンド』を纏った右腕はブラリと垂れ下がり、肉が弾けて骨が露出する。
だが、『菅谷』は天井の『解説席』を見上げ、そこにいる『赤月』を睨み付けている。

     「お前さあ、何歳くれぇの時に、『スタンド使い』になった?」

     「俺はよぉ、小学三年生の時だった。最初はダチのゲームが欲しくて、
      気付いたらポケットの中にゲームカセットが入っててよォォ〜〜〜〜ッッ」

     「俺、ドキドキしてて……そのゲーム、夜中まで遊んでたんだよ。
      返そうと思ったけど、そのままズルズル遊んでて、……親が部屋に入って来て」

     「スゲー怒られたし、ゲーム盗んだダチとは縁切られて、二度と会ってねぇ。
      喧嘩になっても、コイツで殴ったらどうしようって思って、何も言い返せねぇし、
      こんな力持ってるのに、バレたらどうしようとか、殺っちまったらどうしようとか――――」

     「そんなセコいことばかり、考えててよォォォ〜〜〜〜〜ッッ!!」

    ズアアアアアァァァァァァァ―――――!!

ズダズダに裂き刻まれた『右腕』に纏われた『オープン・ハンド』が肥大化していく。
周囲の空間を吸い始めている。――――まだ、『菅谷』は止まる兆しを見せない。

      ガボッ
                ゴホッ

     「ここにぐるまで、  そんなごと  ばっか こわがっで、だ!」

右目に突き刺さった針矢、吐息に混じる血反吐。
もう長くはない。それでも尚、『オープン・ハンド』は膨張する。


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