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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

435とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/09(水) 08:34:54 ID:???
お題 「逃げて」「激しく」「食べよう」
 
 
 
「あちゃー、並んでるねえ」
 実乃梨の言葉通り、竜児と大河の目の前には洋菓子店のテナント前からずらりと伸びた人の列。
「テレビで紹介されるってすげえな……こんなに人が集まってるとは」

「ま、私達もそのテレビに釣られた人間の一部なわけだけどね」
「釣られたのは主に大河じゃねえか。食べたい食べたいって大騒ぎしやがって」
「なによ、竜児だって乗り気だったじゃないの」
「まーまーお二人さん。で、どうする? ずいぶん時間かかっちゃいそうだけど」
「そうだな……とりあえず俺が並んでるから、大河と櫛枝は先に昼飯食べてこいよ」
 
 
「!」
 突然スプーンの動きを止め、目を白黒させながら喉元を激しく叩く大河。
「大河、ほら水!」
 実乃梨に手渡されたコップを一気に飲み干し、大河は大きく息をつく。
「あ、ありがとみのりん」
「慌てて食べようとするからだよ。何をそんなに急いでるのさ?」
「んー、早く食べて竜児と並ぶの交代しようかと思っ、ひっく!」
「大河?」
「あらやだ、ひっく」
「ありゃあ、しゃっくりかね。ほら、この水をコップの向こう側からだね」
「ごめんなさいみのりん、ひっく、私それできないのよ」
「そうなの?」
「うん、昔竜児に、ひっく、教えてもらったんだけど失敗しちゃって、ひっく」
「それじゃ、ご飯を噛まずに丸呑みにするとか」
「それやったら、ひっく、また喉に詰まっちゃって」
「えーと、砂糖をスプーン一杯食べる」
「それも、ひっく、効かなかったの」
「……大河、ひょっとしてしょっちゅうこんな風にしゃっくりしてる?」
「そんないつもじゃないわよ、ひっく……まあ、たまに、ひっく」
「豆腐の原料は?」
「大豆でしょ、ひっく、それがどうかした?」
「むう、これも駄目か……いつもはどうやって止めてるわけ?」
「自然に止まることも、ひっく、あるけど、だいたいは竜児が驚かせて、ひっく、くれるのよね。ばかちーが結婚、ひっく、したとか」
「でもそれってすぐにネタ切れにならない?」
「うん。紙鉄砲、ひっく、鳴らしたりとかもあったん、ひっく、だけど、それも慣れちゃって、最近はもっぱら不意打ち、ひっく、かしら」
「不意打ち?」
「後からこっそり忍び寄って、背筋撫でたり、ひっく、とか耳に息吹きかけたりとか。この間なんていきなりキ、ひっく」
 
 
「おう、いたいた。大河ー、櫛枝ー」
「りゅ、竜児っ!?」
「いやー、あの後列が一気に動いてな。思ってたより早く買えたぜ」
「竜児、逃げて!」
「え?」
 大河の言葉を理解するより早く、竜児の腕をがっしと掴むのは実乃梨の掌。
「高須くん、ちょーっと聞きたいことがあるんだけど」
「おう? な、何だ?」
「高須くん流のしゃっくりの止め方について詳しく」

436 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/09(水) 08:41:52 ID:???
前回転載ありがとうございました。

まだ回線不通……というか、アパートの回線切り替えの都合で、最悪三月終わり頃までネット繋げないという状況ですorz

437とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/13(日) 10:11:39 ID:???
お題 「丁寧」「しばらく」「食って」
 
 
 
「竜児、どう?」
「まあまあ美味いな。初めてでこれなら十分じゃねえか?」
「よかった。それ、明日の朝竜河に直接言ってあげてね」
「おう。盛り付けもずいぶん綺麗だったけど、大河が手伝ったのか?」
「ううん、全部竜河よ。丁寧にやりすぎて時間がかかったもんだから、泰児が痺れ切らしちゃってねー」
「おう、それは……竜河らしいな……」
「だけど、人に料理を教えるのがこんなに大変だとは思わなかったわ……」
「竜河はまだ小学生だしな」
「今更だけど、やっと竜児の苦労がわかった気がするわー」
「いや、それはどうだろう」
「……何よそれは」
「何しろそれまで食ってばっかでまともに洗い物もしようとしなかった上に、いつドジをするかわからねえ奴に教えるほど大変なことってのはちょっとなあ……」
「な、なによ、昔の話じゃない」
「その話題を振ったのは大河じゃねえか」
「そうだけど……」
「ま、俺はまだしばらく仕事が忙しいし、よろしく頼むぜ、大河」
「ん」
「土日とか、できるかぎりの手伝いはするからさ」
「あ、それじゃ早速一つ頼んでいい?」
「おう、何だ?」
「昔の話も出たことだし、私の復習も兼ねて、あのチャーハン作ってみせて欲しいの」
「おう、わかった」

438 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/13(日) 10:20:19 ID:k2Q1O1ks
転載と素敵イラストありがとうございます。

回線繋がるの早くて28日なのが確定……o...rz
原因が管理会社と大家さんの手違いとか、もうね、アホかと(ry
しかたないんで手打ちコピペ頑張ります。

439とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/17(木) 07:30:53 ID:???
お題 「あんなの」「今更」「橋」
 
 
 
「そうだ、お父さんお母さん知ってた? 今度大橋で工事があるんだって」
「あー、そういや予告の看板立ってたよな。橋の改修とかなんとかって」
 竜河と泰児の言葉に、竜児と大河は顔を見合わせて。
「なに、大橋無くなっちゃうわけ?」
「んなわけねえだろ。改修ってことは車線増やすとか歩道が綺麗になるとかじゃねえかな」
「何にせよ、今とは変わっちゃうわけよね……ねえ竜児、その前に写真撮ってこない?」
「おう? 何でだ?」
「あんたねえ……本気で言ってる? 二人の記念の場所だからに決まってるじゃないの」
「そりゃそうだけど……今更じゃねえか。あれから何年経ったと思ってやがる」
「時間の問題じゃないの。竜児がプロポーズしてくれた場所を残しておきたいのよ」
「おう……だけど、後から見たらただの古い橋の写真でしかねえんじゃねえか?」
「それもそうね……じゃ、プロポーズの時の状況を再現した写真にするとか」
「誰がそれを撮るんだよ。それに、あんなのは二度とごめんだぞ」
「何よ、まさか私にプロポーズしたのを後悔してるってわけ!?」
「んなわけねえだろ! 問題はその前だ!」
「その前って……ファーストキスなんてそれこそ記念じゃないの!」
「それでもねえ! 大河の勘違いで冬の川に突き落とされたことを言ってるんだ、俺は!」
 
「ねえ、お兄ちゃん……お父さんのプロポーズってどういう状況だったわけ?」
「知らね。だけど普通じゃなかったのは確かだよな……」

440 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/17(木) 07:39:16 ID:???
前回も転載ありがとうございます。

回線繋がるまであと十日ちょい……
手打ちコピペにもちょっと慣れてきましたw

ゴールデンタイム2買ったけど、読む暇が無いよう……
挟んであるチラシにとらドラ!BD化が載ってたのは嬉しいね。

441高須家の名無しさん:2011/03/17(木) 20:58:25 ID:???
転載しました。
俺も読みたいんだが、落ち着くまで注文を控えてる。
BD発売日決まってたらイイなぁw

442高須家の名無しさん:2011/03/19(土) 06:14:39 ID:???
こんにちは。今年になってとらドラ!にハマった新参です。
まとめサイトでたくさんSSを読ませていただきました。
自分でも書いたのでこちらにうpさせてもらいます。全部で55KBです。
ガチガチの性描写はありませんが、竜虎が最後まで済ましてるのを前提としているので
本スレではいけないかなと思いました。

□□【タイトル】 虎、帰る
□□□□【内容】本SSに過剰な性描写は含まれませんが、竜虎の関係が既に
□□□□□□□□最後まで済んでいる事を前提に書いており、また若干生々しさ
□□□□□□□□を想起させるであろう内容を含んでおります。

では↓から宜しくお願いします。

443虎、帰る:2011/03/19(土) 06:15:42 ID:???
あれから1年が過ぎている。

賃貸契約を済ませたばかりのワンルームマンションに、逢坂大河はいた。
部屋はがらんとして、まだ家具のひとつもない。引越しの予定は数日先で、後から届く事になっている。
産まれたばかりの乳児がいては、一家そろっての転居などとてもできる相談ではなく、
母も義父も渋々ながら独り暮らしを認めてくれた。

帰って来たのだ。この街を旅立った夜と同じように手荷物だけで。
もちろん竜児にも、友達にも引越しの予定は既に知らせてある。けれども今日来てしまった事は内緒だった。
それがサプライズってもの。
地元で一年通った女子高の卒業式を終えてすぐ、バイトで貯めた旅費をはたいて飛んできた。
なぜなら、今日は大橋高校の卒業式だから。
もちろん式に出席する事はかなわない。けれどもその日、その場所に居たかった。
だから式次第をやっちゃんに教えてもらったら、すぐに上京しようと決心した。きっと内緒にしてくれてるはず。
終わった後に竜児と逢いたい。みんなと再会したい。
ぜったいまたね!と約束したんだもの。ぎりぎりにはなったけど、ようやく果たせる。

大河は自前の制服に着替えて、ちょっと悩んで素足にニーソックスを履いてみた。
地元ではストッキングでないと校則違反だったけれど。
――おかしくないかな?
セーラー服だから、ひょっとしたら毘沙門天国業界の人に見えてしまうかも知れない。
その点が心配と言えば心配ではあった。
けれども、まあいいかと思う。ちょっとでもここにいたときの装いを再現したい。
腰まである長い髪もそのままで、1年分だけ伸びた。

扉を開ける。
オートロックでもなくそれなりに年季の入ったマンションだけれど、これから何年か過ごすあろう自分のうちだ。
しっかりと戸締り確認を済ませて歩き出した。
春の訪れを感じさせるうららかな日。
大河は目をつぶっても行き着ける通学路を歩いて、だんだん早足に、
ついには白いタイをなびかせて小走りになる。坂を駈け上がれば、懐かしい校舎が見える。
校庭には誰もおらず、体育館で式進行中のよう。
通用門から入って、事務の受付に声を掛ける。事情を話し、式終了まで校内で待たせてほしいと願い出た。
事務の人は大河の顔を覚えていた。が、名前は忘れていたようだ。
あーえーと、〜さんだっけ?と誤魔化していたから、“手乗りタイガー”と呼ばれた元生徒よと
薄い胸を反らして傲岸に構えてみた。
ああそうそう、そうだったねと来客バッジを渡してくれた。

しんと静まった校内。
スリッパをぱたぱた鳴らして、懐かしい場所をたずね歩いてみる。
朝に夕に通った昇降口。北村くんを見つめていたネット裏。
非常階段の脇は特別……告白の場所。そして竜児に初めて名前で呼ばれたところ。
思いが湧きあがってしばしの間佇む。
まだ案外とトラウマなプールはちらりと横目で。
砂糖と塩を間違えた家庭科調理室。未来が見えなくて気分がささくれていた進路指導室。
階段を登った踊り場には、変わらずに自販機が並んでいる。
ちょっとずつ足を止めて、それぞれの場所で過ごした日の思い出を記憶から紡いでは歩く。
廊下を進めば、2−C。後扉を開けて、無人の教室に入った。
歩み寄って、窓を開け放つと微風が流れ込んでくる。
大河は振り返って、ゆっくりと机の間を歩く。
ここが私の席。みのりんの席。
腰を下ろして頬杖をついて、ちょうど目線がいく所に竜児と北村くんの席。
つと立ち上がって再び窓際に移動する。ここがばかちーの席。へへ、座ってやれ。ぽすんと机の上に。
目の前には掃除用具を収めたロッカー。あれからもう二年近く経ったのか。

――式が終わるのはまだ先ね
足をぶらぶらさせて、旅立った日を思い出していく。

444虎、帰る:2011/03/19(土) 06:16:46 ID:???


ちょっと着替えてくる、とだけ竜児に告げた。
昨日の雪化粧がいまだ消えぬまま日が傾いてまもなく夜になろうとする頃。
私はママが待つはずのマンションに帰る。だけど、もういなかった。
留守電を聞いて、子供じゃないとうそぶいてみる。
赤いマフラーを巻いたまま、部屋を片づけ荷造りをし直し始めた。
もそもそと手を動かしているうちに、持って行くものが駆け落ちと違う冬物
だと気づいて、まなじりに雫がたまってくる。

ふと開け放した寝室へと通じる扉ごしに、北向きの窓を振り返った。
あのカーテンを開ければ、長いときを過ごした家がある。ずっといて良いん
だよと許されたうちがそこにある。
いま走り出せば数十秒であそこに行ける。
いや。窓を開け、名を呼び、差しのべられた両手に向かって、気合いを入れ
て跳ぶだけでいい。
少し驚いて、無茶するなと怒り、全力で抱きとめてもらえるはずだ。
そうしたい。今すぐに。

でも、と思う。
そこはやっちゃんが作って竜児が守ってきた家なのだ。
守る手伝いくらいはできるようになるだろう。けれど自分が捨て子のままと
いう現実は変わらない。10年後、20年後でもまったく変わらない。
あいつの前で、みすぼらしい自分を見ないようにして生きて行けるのか。見
ないようにしてきたものが見えてしまったのに?
だからこそ、私はもう逃げない。私は変わる。総てを受け入れて。

ぐすっと、にじみかけた涙を拭って立ち上がる。
2年間を過ごした部屋や調度品のひとつひとつを眺めて、少なからぬ愛着が
湧く事にも驚いて、自ら隠れていた迷宮の扉を開ける。

マンションを出て、路地の角。見やれば慣れ親しんだ家。そういえば黒豚だ
と言ってた。お腹がぐぅと情けない音を立てる。
いつしか暮れた街路を踏みしめるように、大河はゆっくりと歩き出した。
自分に誇りを持って、竜児を愛したい。分かってよ、りゅうじ。

地元の駅から電車に乗ろう。その前に連絡をしよう。
「行くよ。これから。うん、最終便に乗れるから」
「いい。住所知ってる。行き方も分かる」
「遅くなるけどちゃんと今日のうちに着ける。大事な時期だし、行ったり来
 たりしないでよ」
「……うん、うん。いっぺんには無理だと思うけど着いたらちゃんと話す」

空港に着き、チェックインを済ませ、搭乗案内に従って機内へと歩み入る。
アップグレード席でなくてもシートが余裕っていうのは、ちびの得なとこよ
ね。出張か、帰りか、隣のメタボサラリーマンが苦しそうに腰を収めている
のを見てちょっと思う。

定刻を10分ほど過ぎて機は駐機場を離れた。
ベルトを締めて、目を閉じて、上を向いて。
タクシーウェイから滑走路へ、いったん止まって、フルパワー。
加速のGでシートに押しつけられる。たまった雫が小さな耳に向けてひとつ
線を描く。飛行機の中は乾燥しているから、すぐに乾くだろう。
――あのマフラー、カシミアの。貰ってきちゃえば良かったかな。
もうほとんど自分の匂いしかついていない。
それに、あれは竜児のだ。

1時間が過ぎた。
シートベルトサインが灯って徐々に高度が下がるにつれ耳にツンと痛みが走
ってくる。やがて足下に着陸のショック、逆噴射の轟音。
空港の地下からJRに乗換え、駅に降り立つと、頬に触れる空気がピリピリ
と痛くて茫然とした。
瞼や鼻まで少々痛みを感じる。
近くのビルに大きく掲げられた電光の文字が氷点下だと教えてくれている。
客待ちのタクシーに乗り込み携帯を取り出して住所を告げる。
15分ほどで着くそうだ。

445虎、帰る:2011/03/19(土) 06:17:42 ID:???
時刻は半日ほど遡る。

「う……うぅうく……うえっ……」
旅支度を解く間もなく、リビングのテーブルに突っ伏して低く嗚咽を上げて
いる。明日からは出勤せねばならない。ただでさえ近いうちに産休を取る事
になっている。
自分はしくじって、連れ帰る事がかなわなかった。
「もういいわよ!あなたが何しようがどこに行こうがもうっ知らないっ!
 お母さん帰るからっ!好きにすればいいじゃないっ!!」
駄々っ子のような留守電を残してしまった。
臨月を間近に控えたお腹をそっと両手で抱え込んでみる。
「たいが……」
かつて、どうしようもなく壊れてしまった夫との関係。巡り会ってしまった
最愛のひと。三十路などとうに過ぎ去ろうとしているのに惹かれあった。
14歳の娘の事は、2番目の事だった。
ただ目の前にある幸せが何より大事で、それを見ないようにした。だから見
えなかった。
穏やかな愛を得て暮らしも落ち着き、その結晶たる二番目の子を授かって、
そうして初めて、大河を思う事ができた。
ようやく向き合えるようになったのに、今は分かってしまった。自分があの
子とどんなに遠く離れたのかを。

親権を持たない自分に、怪我をして入院したと連絡があったのは異常な事だ
ったろう。迎えに行くまでの僅かな時間で心当たりに問い合わせ、大体の事
情を把握した。
別れた元夫には憤りを覚えもしたけれど、反面チャンスと思ってしまった。
なし崩しに、迷う暇も与えぬまま、できるだけ短期間で今の自分の家庭に引
きずり込む。そして新しい生活を始めさせる。
普通の家庭で普通に暮らす方が良いに決まっている。そのぐらいすぐに受け
入れる子だとも思っていた。
なのに。
あの子は、東京のホテルで粘った。頑強に、必死に、今は行けないと言い張
った。触れたら噛み殺すと言わんばかりの目をしていた。
一週間、途切れながらの対話の中で、ともかくも付き合ってる相手がいるら
しいと分かる。
3年も独りでほったらかしにされていたのだ。
大河が何をしていても、今さら自分がどうこう言える立場ではない。そんな
資格を既に失ったと分かっていても、なお譲るわけには行かなかった。
転居や編入の都合もあるのだからと強引に2月一週目までと切った期限を平
然と無視して、大河は独り暮らしを続けていた。
迎えに行って、力ずくで手を取ろうとした。
母親なのだから。

あの子は……つかもうとする私の手を払った。すがるような瞳で傍らの男の
子の手を取り、そして行ってしまった。
そう、詰まるところまたやらかしてしまったのだ。あんたの彼氏や友達なん
て2番目のこと、と。
捨てたから、捨てられるということ。これが……報い。

テーブルに涙がぽたぽたと落ちる。悲しくてやりきれずに、肘をついても止
まらない震えにただただ耐え続けるしかない。
リビングの窓から見える空は鉛色に染まり、風はほとんどなく、大量の新雪
を落としている。
やがて帰宅した夫が妻の様子を慮り、暖房を入れ、なにも言わずに夕食の支
度を半ば済ますまで、気づかずに彼女は泣き続けた。
凍りついたような足許に吹き付けた暖気にはっとして顔を上げ、自らのつと
めを思い出した彼女がキッチンの夫と代わる頃には雪はやんで雲が切れ初め
ていた。
夜空が晴れ渡るようだ。今夜は痛いほどに冷え込むだろう。

そして、電話が鳴った。
「お金は足りるの?じゃあキャッシングであんたの口座に振り込むから」
「即時反映だから空港でおろして」
「こっちはバス終わってる頃だから。タクシーをひろいなさい」
「そう。すごく冷える。探しながら歩いてくるなんて無理。いいわね」
つい先刻までの泣きっ面と、この毅然とした仕切りの落差はどうだ?夫は安
堵を覚える。この感情と理性の瞬発力にいつも恐れ入って憧れをいだいてき
た。傍らでずっと見ていたい気にさせるのだ。
聞けば、彼女の娘もそうした性質をより鮮明に受け継いでいるとか。会える
のが楽しみだ。
3時間ほどで着くみたい。前々から言ってあるようにあの子はものすごくわ
がままで気難しい。だから悪いけど今夜は顔を見せないで。刺激しないで。
指図する妻に、夫は分かってるよと頷く。

夜も更けた。
家の前にクルマが止まったような気配がした。
ぼんやりと待っていた母は、灯をつけっぱなしにしておいた玄関へと急ぐ。
インターフォンを押されるより早く扉を開けて迎える。
と。
「おわぁっっ?!」
うちの娘は、降りたタクシーから僅か数メートル先の玄関にたどり着く前に、
盛大にすっ転んでいた。
「大丈夫?相変わらず迂闊ね」
「遺憾だわよ……」

446虎、帰る:2011/03/19(土) 06:18:26 ID:???
はーーーーっあったかい。
ぶちまけた荷物を拾い集めて、芯まで冷え切る前にうちの中へ退避できた。
全室に灯油暖房システム完備が普通で人が居る時間は常時運転。窓や出入り
口は二重。外は氷点下ふたけたでも屋内はどこも20℃以上。それがここで
の冬の過ごし方らしい。
「ごはん……食べてないわね。いま温めるから」
「うん」
コートを脱がせて、切れ切れにぐぅとかきゅぅとか聞こえてくる小さな身体
をテーブルに着かせて、母は表情も変えずに仕切る。
「お茶が欲しければ自分で淹れなさい。あんたの湯のみはそれ。紅茶やコー
 ヒーが良ければそこの戸棚」
「ありがと」
リビングとひとつながりのキッチンで支度を始める。
娘は慣れた手つきで急須を扱い、熱いお茶をすすっている。
「なーに?とんかつ?」
水滴で曇ったラップがかかる皿を電子レンジに入れようとしている手元を見
つめて、はしたなくもおかずを訊いてくる。
「あんた、ブタ肉好きでしょ。十勝豚の脂身がサシではいっているところ。
 美味しいわよ」
「あ……えーと、あの。とんかつはちょっと。ダメ……なの」
涎がタラーっと垂れてるように見えるけど?

こんなに食べる子だったかしら。
成長期?それはいくらなんでも過ぎてたはず?
小さく痩せっぽちで大きな瞳だけが印象的だった、という娘の容姿に関する
記憶を、この短時間で改める。
頬も腕もずいぶんふっくらとし、肩から脇腹から腰にかけて柔らかなライン
を描いて、化粧っ気もないのにそこはかとない女っぽさを漂わせている。
17歳にもなればそういうものか。と思う事にする。
とんかつを食べられないというこの子に、ベーコンの欠片で炒め物を作って
やり、後は常備菜を並べたら、まあ食べること食べること。
炊いておいたご飯では足りなくて、冷凍庫のひやめしまで在庫一掃した。
食後のお茶をすすりながら、大河は押し黙っている。
今日はもう遅いし、眠そうだし。明日からゆっくり話をしようと思った。
じゃ、あんたの部屋へ……、と立ち上がりかけた。
「ん、まだ大丈夫。最初にね、ママには言っておかなくちゃならない」
尋問みたいにならないよう、向かい側でなくななめ向かいに座り直す。
「私はここに交渉に来たわけじゃないの。ここんちの……ママと、ママの旦
 那の子供になりにきた」
眠気を払いながらだけれど、嫌々でもなく、気負うでなく、耽々と言った。
耳を疑った。
「そ、それは願ってもないことだけど。でもあんた彼氏とか、友達とか言っ
 てたのは……」
「それはちゃんとあるよ。これからもある」
捨てるとかそういうんじゃないんだよ。
ちゃんと分かってもらいたいのだと言う。
「私ね。普通のうちの普通のいいこになりたいの。そうすれば、竜児にも他
 の大切な友達にもまっすぐ目を見て会える」
「ううん、今でも竜児はまっすぐ見てくれる。でも私がそれじゃだめなの。
 苦しいからちゃんとなりたいの。……だから、手を貸してほしい」
ママには責任感があるから私のこと良かれと思ってくれてるのは分かる。そ
れだけじゃ足りないなんて言わない……足りないけど。じゃなくて、その範
囲内でいい。具体的な事は――いまはまだ分かんないけど。これから考えて
いくから。
一息に喋って、伝えられたかどうか自信を持てずに俯きかけている。

それは、ふざけているんでも嘘をついているんでもなく、もちろん甘えてい
るのでもなく。
自分の欲しいものが分かって、その距離を見て困難さに惑い、援けを求めて
いる顔だった。
いろいろな不安がすっと消えて行くのを感じ取っていた。
母親としてなすべき事をしなかった罪は残っても、被害が残ることはないの
だ。抑圧と強制をもって躾ける必要はなく、ただ倍生きた人生をこの子に伝
えられば多分それでいい。
そんなふうに分かった。

同時に、ひとりの女としての理解を求められている事に理解が至る。
つい先日自分に向けられた、怯えと怒りと恨みを映していたあの瞳の面影は
今はもうない。それは、間違いなく小さな駆け落ちを間にはさんでこの子に
起きた変化。
そういう事なのか。
この子は、あの男の子から力を授かったのだろうか。
もちろんこの身にも覚えのある、そうした決意のみなもとに考えがめぐる。
が、今はよそう。

「だいたいのところは分かったわ。今日は遅いし、あんたはもう寝なさい」
舟を漕ぎ始めた娘を急かし、用意した部屋に連れて行く。
問題が表に出てくるような事がもしあっても、それが分かるのは当面は先の
話だ。今はこの子に、不安に耐える小さな女にでき得る限り手を貸してやろ
うと。そう思えた。

447虎、帰る:2011/03/19(土) 06:21:15 ID:???


また、朝が来ていた。
まどろみから覚めかけて、顔を埋め抱きしめていたものが真新しい掛け布団
だった事に気づくと、言いあらわしようもない寂しさを覚える。
どうりでふかふかに柔らかかったわけだ。

既に日は高い。二重サッシの窓から雪化粧の街が光を反射させて天井を眩し
く照らし出しており、遠くに真っ白な山の影も見える。
部屋には新品の机と空の戸棚、本棚が置かれ、壁際にはベッド。一方の壁際
に暖房機。小さいながらドア裏に姿見の付いたクロゼットもある。
長い淡色の髪に寝癖をつけたまま大河はベットを降り、部屋を出た。
階段を下りてリビングに入ると朝食とメモが置いてある。
母も旦那も出勤してしまって、この家にひとりきりだ。
メモには夫婦の帰宅予定や連絡先と、調度品の置き場や取扱、近場のコンビ
ニやドラッグストアの場所も書いてある。脇に地図も合鍵も置いてあった。
とりあえずは逃げ出すと疑われていない事にも気づいて、ほっとする。
顔を洗って朝ご飯を済ました。おかずは昨日のとんかつの卵とじ。これはす
でにとんかつじゃないわけよね。と心に棚を設える。
作ってくれたのに、食べたかったのに。たぶん今は冷え切ってしまったであ
ろう800km以上離れたところに存在するはずの黒豚とんかつに思いをはせる。
小さな義理立てで大河はとんかつ断ちをしてみたのだ。

食事が済めばとりあえずする事もなくなって、家の中をうろついてみる。
一階にはキッチンとリビングと水回り、夫婦の寝室とあと一部屋。
おそらくは産まれてくる赤ちゃんのための部屋になるのだろう。
二階に大河に与えられた洋室と空き部屋の和室。
おなかいっぱいになったらここでゴロ寝をしてやると決める。
どうにもプライバシーを守りきれなさそうな小さな一戸建てではあるが、そ
れは嫌ではなかった。2DKの距離感にすっかり慣れてしまっている。
「さ、さぁて、お掃除お掃除ぃ〜♪」
竜児が聞いたら何を企んでるんだお前は、とでも言うであろう台詞を誰にと
もなく呟いて、大河は掃除機をかけ始めた。四角い部屋を丸く……。
次にバケツに給湯からぬるま湯を汲んできて雑巾がけ。
まずは二階の廊下から階段、一階の床と片付けて行く予定。


――まあ少し予定と違ったけど、問題ないね
動線の途中に置いたバケツに蹴っつまづき湯をぶちまけたのは遺憾だった。
乾いた雑巾を総動員して吸い取り、余計な手間はかかったけど午後には原状
復帰にこぎつけた。現代家屋のお掃除事情ではなんちゃらワイパーとかハン
ディモップなどの利器があり、当然ながらこの家にも常備されていて、埃を
取るのに水拭きは必須ではないのだが、もちろんそんな事は知る由もない。
差し当たって、住環境を快くする目的で床と桟が大河の手で拭われたのは事
実である。
ああそうだ。おふろ入らなくちゃだった。
キッチンを漁って見つけた冷凍チャーハンとカップスープで軽く昼食を食べ
たあと、大河は思いだした。バタバタしていてすっかり忘れていた。
埃をかぶって汗かいたんだから食事の前に入れば良かったと呟きながら浴室
の暖房を入れ、バスタブに湯を注ぐ。
あらかた湯が溜まって来たところで、部屋から着替えを持ってきて脱衣所に
入る。

パジャマを脱いで下着を外そうとしたとき、それは突然に、大河の皮膚に広
がって行く感覚があった。それは纏っていた自らの体温を脱いで、冷たい空
気に触れた刺激で呼び覚まされる。
手でそっと唇に触れてゆっくりと撫でてみる。
ここも……、ここにも触れられた。鏡に映る白い頬に朱がさしていくのが見
てとれる。やがて熱でもあるみたいに染まる。
触れられて嬉しかった。
嬉しいのだろうと、ずっと想像していた。
触れてみたかった。触れてもらいたかった。
だって纏った自分の体温ごしに触れ合えたときだって、あんなにも嬉しい。
プールのとき。
旅行のとき。
北村くんを思って星を見上げたときも。
くまサンタの腕に確りと抱かれたときも。
そんなことを望んではいけないと思っていながら。
でも、じかに触れ合うのは大違い。比べようもないほどすごい事だった。
頭が、心が嬉しがるだけじゃない。
触れられたところが勝手に嬉しがって、大騒ぎを始める。
堪らなくくすぐったくて、痺れて。
痛くて。熱い。
蝋のように、チョコレートのように、その熱で溶かされてしまうと思えた。
違う固まりが溶けて、やがて混ざり合うように思えた。
いま記憶をよみがえらせるだけで、身体じゅうその感覚が呼び覚まされる。

448虎、帰る:2011/03/19(土) 06:23:28 ID:???
あの熱さ、さ――ぅえ……っぶしょいっ!!
浴室暖房が利いているといえ、そうはまっぱで立ち尽くしてもいられない。
さぶい。
とりあえず、いまはさぶいわ。
洟を垂らしたまま、ざぶんとバスタブに飛び込んだ。
ふぇぇぇぇ、極楽、極楽ぅ。
時々おっさんくさいと自分でも思うが、誰に見られているわけでもない。
温かい湯に包まれて、皮膚の感覚がゆっくり元に戻って行くのがわかる。
充分温まって、髪を湿らせてしまってから自分用の洗髪料が無かった事に気
づいた。先に買い物に出かけておくべきだった。いろいろ順序がおかしい。
まあいいわ。別に大してこだわりがあるわけじゃなし。
母のものを使わせてもらおうと物色する。
「あ。」
見覚えのあるシャンプー。
蓋を開けて匂いを確かめて……間違いない。これがいいや。
すかすかのねこっけとは言っても腰まで伸びる大河の髪、量は男性なら何人
前になることか。当然ながらシャンプーの消費ペースがハネ上がり、本来の
所有者たる義父に不審がられるのは別の話。
その香りが、また先刻の感覚を呼び覚ましそうになる。


着替えて、髪を乾かしながらに携帯を開けてみたら何十件もメールが届いて
いて驚いた。ああそうか、もう大橋高校には退学の届けが提出されていたん
だ。これも、忘れていた。
正直、そんなには親しくないと思っていたクラスメートからも届いていて、
自分はなんてばかだったのかと、くじけそうになる。

立ちのぼる竜児の香りに包まれていると、少しずつ癒えてきたようだ。
ここへ来て最初に竜児に連絡するときには、落ち着いたから心配するような
事はなに一つないと、そう、しっかり間違えずに伝えたかった。でも今はす
がってみたい。
きゅっと唇をかみしめながらメールを打つ。
同時に告白するつもりが、あまりの急展開に一杯一杯で、すっかり後回しに
なっていた。嫁に来いと言われた時点で心はひとつだったから、正直なとこ
ろ自分は告白の言葉などどうでも良い。移ろいがちな言葉よりも確かに結ば
れた今だからこそなのだろうけど、そう思える。
でも竜児はどうなのだろう?
あんたのことを好きだと、私が言ってないと気にしていないだろうか。
何十行も言葉を費やして打ったけど、これじゃかえって心配させてしまうん
じゃないかとも思った。消す。
ああ……そうじゃないんだこれは。私が告白されてないと不安になっている
んじゃないかって、あいつは気にするのよ。
ちょっと迷って、だから簡単に書こうと思った。
――そういや、好きって言われてなかった。
ほんっとに無愛想すぎて自分でも呆れてしまう。でも竜児なら分かってくれ
るだろう。私が伝えたい事を間違えずに見つけてくれる……はず。
ぽちっと、送信。
それでも何か足りてない気がする。電話して話そうかな。
でもいま声を聞いたらきっとやばい。グダグダに甘ったれる自分が見える。
――そうだ。
この画像を送ろう。昨日撮った、夜空に浮かぶへっぽこな星。

送信を終えたらすぐに、電話がかかってきた。
あわててとる。

「大河か?今どこにいる?大丈夫か?腹へってないか?」

耳を貫く声にぞくぞくとした。やばいなんて思って、悪かったわよ……。
こんなにも顔も胸も肩も温かくなってくる。
昨日からの事を落ち着いて話せた。竜児も今日の出来事を話してくれた。
黒豚の行方を訊ねたらスタッフが美味しくいただいたらしい。
「そんでよ、大河。お前が好っ」
「ちょっと待て!……あんたぁそんな大事な話を電話で済ますのっっ?!」
「だってお前が!いやそうじゃねえ。そうじゃないんだ。お前が言えと言う
 から機嫌を取るんじゃねえよ。俺はずっとお前に言いたかったんだよ」
「ずずずっとって?!いつからっ?」

449虎、帰る:2011/03/19(土) 06:24:22 ID:???
くっと息を呑む声がしたのは、こっち?あっち?
「あ、あの、はっきり言えるのは、その……文化祭の後だ!」
「へ、へえ?」

ううう嘘でしょっ?!あの頃に?……何でよっ!
「じゃあ私の方が先っ!夏休みには私もうあんたの事好きで、好きで好きで
 やばかったんだからっ!」
「え?ええっ!なんだよっ、あんな頃まで遡るのかよ?!」
「そうだよ!毎日毎日何の邪魔もされずにあんたと居られてどんだけ嬉しか
 ったか分かるっ!?」

嘘じゃない、本当の事だけど。
「うそこけ。お前は北村、俺は櫛枝が好きだっただろうが!そこを無視すん
 なら俺だって」
「『俺だって』?!なによっ???」
「ぷ、プールで、溺れかけたとき、ぜってーこいつを離さねーって思ってた
 からな!」
「へーん!へーん!へーん!遅いね鈍いねグズだねっ、こっちゃああんたが
 ばかちーと番ってるときには既に、……あぅぅ」

たぶん竜児も向こうで真っ赤になってる。確信できる。顔が熱い!
「なに言ってんだ!じゃじゃあ俺はおまえが北村に告白したときっ」
「はぁぁ?じゃあタッチの差だけどあたしの勝ち!あんたがチャーハン作っ
 てくれたときっ」
なんだとー!じゃあ俺は廊下でぶつかったときっあたしゃ生まれた時っ!
はぁ、はぁ、はぁ。肩で息をして、お互いに無言のときが訪れる。
そのしじまで竜児は思う。
最初の出会いからすぐにいろんな大河を見た。
不機嫌に見下ろされ、涙目で襲われた。貪るように食って作り物のように眠
っていた。可愛い、綺麗だとも思った。
大河も思う。
チャーハンを貪る自分を見つめていた、元気づけてくれた。襲ったのに。
優しい目だと分かって、とっくに用は済んでいた。なのに帰れと言われてど
うしても去り難かった。
互いに、出会った時には近すぎて見えなくなっていた。戸惑いながらも、そ
こから離れたくないと思っていたのだ。

今は分かる。この胸の高鳴りがあのときにはもう始まっていたのだと。
「ね、竜児。電話でいいからまた言ってよ。私も言う。何度でも言いたいか
 らさ。竜児が……好きだよ」
「ああ、何度でも言ってやる。大河が、好きだっ」
熱があるんだろう、私たち。熱病に罹ってる。
熱で死なないように、でも熱から醒めないように。
いつまでも話していたい気持ちをやっとのことで抑え話を終えた。
大河は、遠くを見て、そしてさっきの画像を友達みんなにも送ってみた。ま
だ返せる言葉を見つけていないけど、今すぐにではなくてもきっと伝わると
信じる。
いつの間にか街の景色が夕映えに染まっていた。




何日かが過ぎ、さしたるトラブルも起きないまま大河は暮らしに馴染んでい
った。こちらの女子高への編入を手続きし、試験と面接の日も決まった。
暇なので、頼まれた買い物のついでに近場だけでなく足を延ばしたりもして
みる。地下街を中心にいろんな場所へ行けるのは便利よねと感心しつつ気に
なるお店をチェック。
根雪の上では軽く転んだりもしつつ、独りでお茶して帰宅してみると不在配
達票が。マンションに残してきた荷物が届いたようで、連絡して再配達をし
てもらう。
届いた荷物をほどいて整理するのはけっこう時間がかかった。
本や参考書を取りだして並べて、服や小物を整理はできてないけれどもまあ
収納して、パソコンをつないで、ようやく高校生の部屋らしくなった。
あ、そうだ。
携帯に着信していたメールをPCに転送。
添付ファイルを保存。ビューワで開いて拡大する。やっと大きな画面で見る
事ができた、クラスの皆の集合写真。
竜児がクリスタルの星を持って中央に。みのりんとばかちーがいて、裸族の
北村くんがいて、みんな笑顔を贈ってくれた。
ありがとう、とひとりひとりの顔を見ながら思う。
黙って消えた逢坂大河を元気づけようと撮ってくれた友達の気持ち。
彼らに何を話せば良いのかまだ思いつかぬまま、今日も携帯に手をのばす。

450虎、帰る:2011/03/19(土) 06:25:22 ID:???
竜児につながった。
簡単に事情を説明して、残ったもので気に入ったものがあるならあんたにあ
げると付け加える。家具はこの部屋にとても入りきらないからそのままにし
てきた。中古品でしかないが、父親が残した負債の、僅かな足しにはなるの
だろう。その前にと。
「ただね、引き渡し日以降は家宅侵入になるからそれは気を付けて。警備シ
 ステムってものがあるんだから」
「おう分かった。てかお前が住んでたときはどうしてたんだよ」
「あんたが出入りしそうなときは全部切ってた。つまり常時ね」
不用心な高級マンションもあったもんだな。う、うるさいな。私がそこに関
してドジ踏んだ事が一度もないからあんたが警備員に捕まる事もなかったん
でしょーが。あ、そういやそうだ、ありがとうな。
「合鍵も処分してよ。本当は勝手に作っちゃいけないものなんだ」
「……なあ」
「なに?」
「持っていちゃ、ダメか?」
「なにあんた。忍び込んで夜な夜な私の残り香を求めてうろつくの?」
くすくすくすと笑みがもれて、多少の冗談も言えるくらいには落ち着いた事
を確認する。
「おうっその手が!じゃなくてよ。記念品だよ。お前が隣に住んでいたって
 いう思い出になる」
「いいわよ。どうせ次の入居者が入れば鍵は交換されるしね」
「うちのいつもの場所にずっと下げておくよ」
「愛しい私の象徴として朝に夕にエロい視線でねぶるように眺めまわす事も
 許可するわ。一緒におふろ入ったり同衾してもいいのよ。はーーっなんて
 私ったら博愛的なのかしら?」
「座布団に置いて尻に敷いたりもしていいか?」
「うっ、それはなんか屈辱的かも……」
軽口を叩けてる。巧くいってる。けど。

「あのね、竜児」
このまんま絵に描いたような遠距離恋愛を重ねて行ければいいなと思ってい
る途中で、大河はここへ来た翌日にお風呂場で思いだした事を話し始めた。
「俺だって同じだよ……辛えよ。眠れなくて、なんでお前がいねえんだよっ
 て思った」
「前に、どっちが先に好きになってたかって話したよね?」
「おう」
「私はさ、あんたがばかちーを連れ込んで良い事してるのを見たとき……」
「人聞きの悪い事を言うんじゃねえ。それにあれは円満に和解に至っただろ
 うが」
「蒸し返すつもりじゃない……そうじゃなくて、あのとき初めてあんたに触
 りたいって思ったの」
エロい意味で?もちろんエロエロな意味も含めてね。
あんたに余計な心配をかけるかもしれない。けど巧く遠恋をこなしてるって
安心し始めている自分が逆に怖い。

あの頃ばかちーは軽い気持ちでちょっかい掛けてた。そんな事は私にも分か
ってた。大人の態度でガン無視してやるぅぁ!っていうのは正直なところ。
「でも毎晩イライラして、むかついてさ。その気持ちをたどるとそういう結
 論になってた。いつも」
で、そう思ってること自体は、驚いたけど嫌じゃなかったんだ。
「そうだったのか。……じゃああの頃マジ触っても良かったんだ?」
「なにそれ?あんたにもそんな欲求があったの?!」
「お……おう。まあな……」
お前が警戒してうちでゴロゴロしなくなったら嫌だと思っていたから、絶対
そういう目で見ないようにしてたけど、その……な?
「私は割とあんたを挑発してたよ。意識して」
「俺は……お前がくつろいでるんだと思い込んでた。なんて無防備な女だと
 思ってた」
そこなんだよね、と大河。

別にあんたがばかちーのエロボディに淫らな欲望を蠢かせていたとは思って
ない。ただ、それで私の何かのスイッチが入っちゃって、いろいろ試してみ
たのに思ったような反応がなくて。
「なんか酷い言い草が懐かしくも混じったが……水着のことだろ?」
「水着のことよ」
私は触りたい、触られたいと思ってる。けれど竜児にはそのつもりがない。
それはこの哀れな身体のせいなんだろうなって。
それは違う!と竜児が強い調子で遮る。
「俺がどんだけお前との間で変な空気を漂わせないよう努力したと……」
「分かってる」
そのときは分からなくてイラついてむかついていた。でも今は分かっちゃっ
た。傍らに居るっていうのはそういう意味でもあったんだよね。

451虎、帰る:2011/03/19(土) 06:27:02 ID:???
竜児にもようやくこの間からの対話の意味が呑み込めてくる。
これは大河と結ばれる前に何があったかの、ただの絵解きだ。結ばれた今は
そんなことお互いが分かってればいい事じゃねえか、というのはたぶん男だ
けの理屈なのだろう。
何と言っても、つい数日前に結ばれてそのまま離れ離れになってしまったの
だ。あれは思春期によくみる類の夢だったんだよと思えば思えてしまう。

いや、それでもお前と俺は分かりあってるだろう?俺には確信があるぞ?
うん分かっているよ、今はね。
でも以前は分からなかったし、この先はどうなのかな?
「そうか……そうだ。離れているんだもんな。ちゃんと言葉にしねえと」
「私は竜児の声を聞いていればなんとなく分かるけど……」
同じようにあんたが分かってくれるのか、そこが、ね?

目に見えるところにいるのなら、大河の様子は分かるという自信が竜児には
あった。もとより大河は感情を隠さない女だ。顔を覗き込むだけで手に取る
ように思っている事が分かる。
そして、それは大河も同じだと思っていた。
「あんたは……表情からだけじゃよく分かんないときがある。私が分かるの
 は声を聞いて、触ってもらえて、それで」
そうだったのか。
だからあんなに近くで同じように思っていたのに最後のところが分からない
でいたのか。
竜は空にいて視覚で大地を見通す。虎は地にあって聴覚で狩りをする。傍ら
で並び立っているうちはその違いを無視できた。だがそれ以上を望んだ時に
ははもはや足りなくなっていた。
黙って目を見れば分かるでしょ、分かってよ!と言えなくなった大河のこれ
が思いやりならば応えてやりたいと、竜児は思った。
「俺は……お前が停学になったときにお前が欲しいと思っていた。言えなか
 ったけど、それはもう分かっていたよ」
「……そうなんだ」
「もっと前からきっと思っていた。けれど俺たちにはまだまだ時間があると
 思っていた。告白して少しでも壊れるのが怖かったんだ。櫛枝の事を口実
 にして」
それは私も同じだよ。
明日言おう、来週言おう、今度言おうって。でもあんたの近くに居続けて、
もっと近づきたい気持ちが増えていって。
「ううん、同じじゃないね。私はそれを重くて持っていられなくなっちゃっ
 たんだ」
なら告白すればいいのに怖くてしなかった。あんたをみのりんの方へ押しや
れば全部動き出してくれる。あわよくば、それで元の関係に戻れるかもなん
て考えていたよ。
「何て卑怯なんだろうね。私ってさ……」
「それを卑怯って言うなら俺だって、いつまでもグズグズしてた」
櫛枝の事を口実にして大河に向きあわなかっただけじゃねえ。お前が背中を
押してくれるのを口実に櫛枝にも……。
殴られて当たり前だ。
「むしろ殴ったくらいで済ましてくれる櫛枝には頭が上がんねえ」
「……済んでないと思うよ。みのりんは私なんかよりずっと女の子だもん。
 手が届くところにいたら本当は私を殴りたいはずだもん」
ね。りゅうじ。お願い。みのりんには前と同じに接してあげて。なにか変で
も無視されても。
……おう、分かった。

竜児との通話を切って、大河は携帯をぼんやり見つめている。やがて意を決
し、電話する。コールが続いて……
「あ、み……みのりん?」
大切な人に分かってもらいたいなら、自分でも言葉を尽くして伝えないと。

452虎、帰る:2011/03/19(土) 06:27:53 ID:???
電話を終えてリビングに降りるとしばらくして、母が帰宅した。
大きなお腹をして荷物を置いて、手すりにつかまりながら靴をぬいで、玄関
先でふーっと息を継いでいる。
出迎えた大河がおかえりなさいと言うと、立ったままで抱きしめられた。
「???」
顔をぽふっと張りの大きくなった胸に埋めてぽかんとしていると、頭を包ん
でいた腕が背中に回され、軽く叩くように、撫でるように肩や背中やお尻を
巡回する。
頭に顔を突っ込まれてむーと匂いをかがれ、髪を撫でた指で梳かれて、頬っ
ぺたを両手で挟まれ、ぐりぐりとされたあと、ついでにむにっと掴まれ、頬
ずりされ。
仕上げにでこにちゅっちゅと口づけされた。
「な、なななななにを」
こうまで念入りにモフモフしてもらった記憶くらいは、それはとても子供な
頃ではあったけど人並みにある。だから全く嫌ではなかったが、なぜ今なの
か大河には分からず当惑してしまう。

母は身体を離すと、ふーどっこいしょと買い物袋を取り、答えず奥に向かっ
た。キッチンに荷物を置いて、買って来たものを冷蔵庫や戸棚に仕舞って。
それからリビングに移動。
立っているうちに用を全部済ましてしまおうとするかのように、座る前に紅
茶をいれる。
大河はなんとなくそのまま去り難い思いでいちいち後をくっついて歩き、最
後にはテーブルに着く。
ちらっと大河を見て紅茶をもう一杯いれてくれる。
キッチンに取って返した大河は牛乳を持ってきた。
冷えた牛乳で、香りの立たないぬるいミルクティーを二人で飲む。
「なによ。変な顔して」
母が眼鏡の奥から大河を睨みつける。
夕暮れの薄暗がりの中。
ようやくその口元に微かな笑みを浮かべている事に気づいて、大河の緊張が
解ける。
「スキンシップよ」
つ、と視線をそらして、テレビを点ける母。暗がりに少しの明かりが生まれ
たがその表情はよく見えない。
なら、なんでそんなに機嫌悪そうなのよ。




編入試験をクリアし、来月から無事に高校三年生になれる事が決まった日。
この大きな街に住んでそろそろ三週間となり、根雪の上で転ばずに歩けるス
キルも身につけつつあった。
お祝いに食事に行こうという事になって、大河は義父と待合せている。
今日は寿司を御馳走してくれると言う。
「ウニおいしー、イクラおいしー」
「定番ネタもいいけど、やっぱり地方ネタを食べなきゃ」
「そうなんですかー」
「冬場は並ぶネタが多くないけどねーメヌケにハッカク」
「脂がのってるー」
「軍艦巻きはマダチ」
「とろーって、とろーって!」
「ヤリイカどう?」
「こりこりと、あ、あとから甘みが」
「ボタンエビ行っちゃおうか」
「わ、生だ。甘ーい」
「大助があるよ、天然サーモン。出物だよ大河!珍しいんだよ!」
「それはぜひいただかないと!」
黙って会話だけ聞いていれば同伴キャバクラ嬢との会話に聞こえてしまうか
も知れないが、要するにこの辺りが距離感というやつなのだった。
二人で軽ーく30貫ほど平らげる。

453虎、帰る:2011/03/19(土) 06:29:43 ID:???
帰宅してみたら、母の機嫌が良くなかった。
外食して帰ると連絡を済ましておいたが、どこの家庭でもそうであるように
独りご飯となった者は面白くないものだ。
見ると家族三人分の夕食の卓を揃えられるように準備をしてある。怒ってる
のかな、と大河は気をきかせて食卓に着く。
空腹ではないが、元々大喰らいである。この小さな身体のどこに消えて行く
のかと竜児には呆れられていたが、自分としてはたくさん食べれば成長する
と思っているので問題はない。母の料理もそれなりに好みだった。
「食べてきたんでしょう?」
「育ち盛りだからね。まだ食べられる」
なんだ、足りなかったのならもっと注文すれば良かったのにと部屋に戻りか
ける義父を目で追いながら、いーえお義父さんごちそうさまー。
というわけで。私はいいこなので。
変な子ねえと言いながら、母は大河の分もおかずを盛り付ける。まあ、あん
たがお義父さんに遠慮してろくに食べて来ないかもしれないからね。
そんなことないよ?イクラにー、マダチにーエビもサーモンも。
食べすぎでしょ、それは。
竜児のとこではいつも二合食べてたもん。
「食費は納めてたと言っても、毎日あんたの食事を。竜…高須くんだっけ?」
「そう……」

そろそろ教えてくれるくらいには気を許しているかしら。
もくもくと食事をしながら、相変わらず不機嫌そうな顔がそう問う。知りた
い事は分かっている。誤魔化したり先延ばしにしたりしない。それはもうと
っくに大河は決めていた。
「私がね、竜児を好きで。竜児も私を好きで。いつも一緒に居たかったの」
「でもね。長い事、付き合っていたわけじゃなかったの」
大河は答えて、ゆっくりと、整理して話す。さほどお腹がへってないからだ
ろう、ご飯、おかず、汁と珍しく基本通りに、よくかんで食べながら。
「だからね……一緒に居るためにいろんな理由を探してた」
「前の話だと、ずっと付き合っているんだと思ってた」
「付き合うってよく分かんないもの」
そうだ。実際、何も考えていなかった。好きだと伝えて、その気持ちを受け
入れてもらえたらその後は?
何が望みだった?
「あんたの話の通り、毎日一緒に買い物して、夕食をはさんで同じ部屋で過
 ごして、夏休みに一緒に旅行に行くようなのを付き合ってると言うのよ」
娘は……俯いて。真っ赤に染まって漬けものをはむはむ。
誰に言うともない調子で、母が続ける。
「何でそんなに長い間一緒に過ごしていて付き合おうって言い出さなかった
 のかしらね?」
その問いは竜児に対してか。大河に対してのものか。
母の疑問は当然のものだ。でも自分にとっては、……おそらく竜児にとって
も、今は明らかなこと。
それは自分の思いには気が付いても、相手がどう思っているのかが……
「ついこないだまでね、分からなかったんだ。協力関係だって言って始めち
 ゃったから……」
「なるほどね」
箸が止まって、娘の顔を見やるその顔はあまり不機嫌そうでもないように見
えた。分かってもらえたのだろうか。
「ねえ」
「なに?」
「思いが通じ合わなかったから、ここへ来たわけじゃないんでしょ?」

大河の箸も止まり、母の顔を見上げる。
じっと見つめられている。大河はその問いの裏にある意味を分かっている。
それは小さい事かもしれないけれど、正直に答えるには覚悟が要る。
「……うん。かなった」
「そう」
やっぱり不機嫌そうだ。
「ならゆっくりと。でも真剣に。あんたがどうしたいか考えればいいわ」
思い合った男がダメな奴とはお母さんには言い切れないしね。それが初めて
でもね。
また出直そうと決め、ごちそうさまと言って大河は立つ。すると、母は慌て
たようにちょっとちょっとと留めた。
なに?と座っている母の横に立つと、前と同じように無言で抱かれた。
すでに身重で急に立ち上がるのは無理。座ったまま大河の背中に腕を回す。
大河の胸に頬を埋めて、ぎゅっと。母の淡い色の髪が懐にある事に少し驚い
て、そして大河も肩を抱いてみる。
少し触れてみて、やがて自然と腕に力が入っていく。
「ごめんね、お母さん無愛想だから」
「……」
「でもあんたの事は心配してる。ほんとよ」
「……うん」
「もう何があっても無茶はしなくて良いから」
「うん」
身を寄せ合って強く抱き合っていた。失った時を取り戻し、未来を失わない
よう込められた願いが確かに伝わってきた。

454虎、帰る:2011/03/19(土) 06:31:58 ID:???
大河は部屋に戻って、胸に涙の染みを見つけ、そっと手で押さえてみる。
母の気持ちが分かって、嬉しかった。
いらないと切り捨てなくて本当に良かった。
自分と似ている母が、自分がいて嬉しいと、愛おしいのだと思ってくれてる
のが分かった。小さな身体がその思いに満たされて一杯になった。
――思いっきり甘えちゃった、と竜児に嘘をついたとき。
どう甘えてきたのか、スラスラと流れるようにつけた嘘。
嘘じゃなければ良い、本当にあの母に囚われていた一週間がそうだったら良
いのにと、あのときは思っていた。

なんてことはなかった。手を伸ばしさえすれば握ってもらえたのだ。

大河は涙がこぼれそうになる。
もしも自分がそうしていたとしたら?
もしも母の手を払いのけなかったら。竜児の手を握って逃げ出さなかったな
ら。竜児の気持ちを確かめようと戻れた?
……おそらく、母の愛情を得たと思えたならそれ以上を望んではいけないと
思い込んでいただろう。大橋でバレンタインを迎える事なくここに来ていた
だろう。みのりんにも北村くんにもばかちーにも、分かってもらえなかった
だろう。
今頃は竜児への思いを抱えたままこの部屋で涙をこぼしているのだろう。

母の手も竜児の手も両方つかめる。つかんで良いと知ったのは竜児の手を取
ったからだ。それは迷うことなく握った手だ。意識しようがしまいが、母と
の絆を断ち切ることを瞬時に選んでいた。
そうしたかったからだ。そうせずにはいられなかったからだ。
竜児の手を取らずにここへ来ることなど、あり得なかったのだ。
竜児が繋ぎ直したやっちゃんとの絆、やっちゃんが繋ぎ直した実家との絆を、
確かに見てきた。
そして竜児は私の身体にも約束を記してくれた。
それを感じて、信じられて、臆病な私にも今は分かる。
これは望んで、手を伸ばして、ようやく見えた、『うち』へ帰るための旅な
のだ。

大河はベッドに寝転がり、胸を押さえていた手でお腹に触れてみて、猫のよ
うにくるんと丸まる。
だから。
これから。
もしも、もしもそうなったら――私はどうしたい?

455虎、帰る:2011/03/19(土) 06:33:40 ID:???
また一週間ほどが何事もなく過ぎた。
日曜日は昼間から竜児と長電話できる。

「そういやさ、竜児。あのマンションから何を持ち出したの?」
「おう、まだ言ってなかったな。ツリーをもらった」
お前がクリスマスイブに自慢してた、あのツリー型のランタンな。あれを。
「へ、……へえ。何でよ」
「お前がクリスマス好きな意味をあの時に分かってやれなかったし、俺にと
 ってもあの日は特別だから」
大河の胸にずきんとした感覚がよみがえってきた。
あ、特別つっても今言ってるのは櫛枝に振られた話じゃねえぞ?と竜児。
あのときな、俺、お前をひとりにさせねえって口実を使ってた。けど本当は
分かってたんだ。
「俺、お前と一緒に過ごしたかったんだ。ふたりだけで」
嬉しいね……と大河。
「私も、なんとなくそう分かっちゃってた。だからあんなに馬鹿みたいに笑
 ってはしゃいでた」
だから私、あんたに抱きついちゃった。俺も同じだった。他に何の理由もね
えのに、お前に触れたくて触れたのはあんときが初めてだからな。
「クマの着ぐるみが間にあったけどね」
「あれがなかったら……自分が抑えられねえ。何度思い返してみても」
「……ね。あのとき」
あのとき、どうにかなっちゃってたら。私たちどうなっていたかな?
あんまり変わらずにいたかな。いられたかな。
突き付けられてみると、竜児には答えることができなかった。
絶対に大丈夫だと思うし全力で守っていくつもりはある。だけど結果として
守れるのか。今、曲がりなりにも落ち着けているのは自分の力ではなく多分
に偶然なのかもしれないという思いを否定する事はできなかった。

駆け落ちして良かったと思ってる。知りたかった事がみんな分かったもん。
と大河は続ける。
「普通の家で普通のいいこに育って恋がしたいって言ったよね?」
「説教部屋でな」
「そうだったら、普通にあんたと恋ができたのにって思ったの。あの時は」
「そうか」
「でも、お祖父さんちであ、あ、ああんたとああいう事になって……」
「お、おう」
やはり口に出すのは恥ずかしくて、少したたらを踏んでしまう。
ふう……ああなって、普通の家で育たなくても、いいこでなくても、普通に
なれるって思えたんだ。
部屋に閉じ込められてどこへも行けないと思っていたのに、壁ごとに窓や扉
が幾つもあったのが分かって、そうしたらすぐにそれがばたばたばたんって
全部開いて外の景色が見えた感じ。
ちょっと分かり難いよね。

456虎、帰る:2011/03/19(土) 06:34:30 ID:???
「大河、何か隠してる事、あるんじゃねえか?」
「なに?なんでそう思うわけ?」
「なんとなくだ。話題とか、声の調子とか」
「なにもないよ……とも言えないね。なかった事にできるとは思わない」
「おう言え。なんでも。なんか予想がつく流れだけどな」
そうかエロ犬め。聞いて驚け。などと大河は思うことなく、竜児にも話そう
と決める。いや本当はちょっと思っていた。何て言うだろう?聞きたい。
「あのね。今月、まだ、来ないの」
「マジか?!うわやべえ」
やばいやばいと言いながらも、でも半ばその声は嬉しそうで、あっけないほ
ど緊張感が足りない。
そ。予想通りのそれが確認できればいいのよ。

「できるだけ早くそっちに行くからな?無茶すんなよ?」
「そんなに慌てなくても……ていうか、あんた何か責任を感じるような覚え
 があるわけー?」
「は、はあ?覚えって……。ついさっきの話題じゃねえかよ。つか話の流れ
 から言って告知ってやつじゃねえか。別に逃げも隠れもしねえよ!」
「聞いてみたかっただけ。えへ」
「あ、あああなんか落ち込んでるわけじゃなさそうだな。そりゃ良かった」
「ん。まあ予行練習?みたいなもんね」
なんだか可笑しくなってくるが、大河は懸命にこらえる。いくら緊迫してい
ない空気とは言えさすがにふざけながら話せる事ではない。
その僅かな沈黙に珍しく竜児がキレかける。
何だー?独りじゃどうにもなんねえだろ!つか俺も当事者なんだからお前の
親に会ってだなーと喚く声も大河には嬉しい。
「だから慌てないでって」
まだ来てないってだけ。遅れてるだけかも。分かるとしてもまだ先。でも、
そういう事になっても一緒に考えてね。
おうそんなのは当たり前だ。
竜児にだけ負担がかかるのはいやだよ。私も自分独りで抱え込まない。
「そうか。そうだよな。独りじゃなく二人でも今はどうにかできる事じゃね
 えもんな」
「私はママに、竜児はやっちゃんに手を貸してもらわないとね」
「ああ、そんでいつか借りを返さないとな」
「そうね。ただ貸し借りじゃなくて一緒に喜んでもらいたいよ」
ああ。早く分かんねえかな。そうなったら不安だけど。大変だけど。ただい
つかはお前とそうなるつもりでいるから、それが今すぐだって……
「大丈夫……だよね?」
「ああ、大丈夫だ……多分」
「なんだかいろいろ順序がおかしい、私たち」
大河が可愛く含み笑いをする。家族のように兄妹のように過ごした日々があ
って、夫婦のように喧嘩をしたときもあった。自立と称して離れてみたら、
寂しくて不安で仕方がなかった。

おかしくてもいいんだと竜児が言う。
そうだよね。


二日後。
結局はあっさりとしるしが訪れて、いくつかの心配は杞憂に終わった。大河
の母もそれは感づいて、特に何も言わないが胸をなでおろしていた。

あ、そうなのか。とそのとき大河は思った。
ほっとするの半分、残念なの半分。
愛おしかったからひとつになっただけなのに、二つに三つに増えていく不思
議。それを本当に手に入れるにはまだちょっと早いと神様に思われたのか。
きっと、そう遠くない未来には出会えるのだろう。
最後に私が帰る『うち』で。

そしてこの家も、やっちゃんと竜児のところも確かに私の『うち』だと思う
事が今はできる。
竜児に、やっちゃんに、ママに、友達に、……おまけして独身(30)にも。
いろんな人に支えられてここまで来れたと思う。私は、ひとりでは生きてい
けないと。あらためて。寒気がゆるんできても春まだ遠い町で思う。
もうすぐ新しい学校生活が始まる。今日は仕立て上がった制服を受け取りに
行く。たくさんの準備が待っている。
大人になって、うちへ帰るために。
遠く離れている寂しさも大切なものと抱えていこう。

大河は窓辺に立って、カーテンを引いて、雪化粧で眩しい街並みを眺めてみ
る。目の前に、ひょいと跳び移れるような近さで建つ『うち』の幻が思い起
こされる。
まず、あそこに帰るんだ。

大橋では、もう桜がふくらんでいるだろうか。

457虎、帰る:2011/03/19(土) 06:36:34 ID:???


あれから1年が過ぎた。思い出から今に飛んで戻れば、目の前には掃除用具
を収めたロッカー。そういえばここで、と記憶が赤い夕景を再生しかける。
その時、窓の外がにわかに騒がしくなった。どうやら卒業式が終了し、
みんな校庭に出てくるようだ。

大河は首を伸ばして、教室の窓から見下ろす。
みのりんがいる。ばかちーがいる。木原と香椎が手を振ってる。能登はまだ
意識してんのね。相変わらずアホロン毛と仲いいじゃん。北村くんもいる。
生徒会のメンバーに囲まれて。あ、誰かを呼んだ。……竜児!

「竜児。うあっ、こっち見上げた?!」

別に隠れることなんかないのに。ていうか、気づいてもらえなかったらどう
すんの私。あのまんま友達と繰り出してどっかでコンパに流れるのかも知れ
ない。いま出ていった方が。

そう思いながら、どうしてもいたずら心が止まらない。
胸の鼓動が止まらない。
ひょんと机を降りて。
だって……ここが私と竜児との。

静まり返った校舎を誰かが駈けてくる足音が聞こえる。
嬉しくて。
暗がりの中で、大河の頬がほころぶ。必ず見つけてくれる。
開け放した窓から、暖かな風が吹き込んできている。
今日から季節が移り変わっていく。



すでに日は暮れかけていた。
昼間の陽気が一転して肌寒く、大河は竜児にマンションまで送ってもらう。
「ふあー、みんな離してくれなかったな」
「もう大変、……けど嬉しかった。約束を果たせたし」
竜児が血相を変えて校舎に駈けこんでいくのを見て、旧2−Cのクラスメー
トが続いて上がってきたのだ。かつての“手乗りタイガー”ファンも後から
噂を聞きつけて集まって来て、さらには伝説でしかその存在を知らない一年
生までもがひと目見ようと大挙して押しかける騒ぎとなり、なぜか正規ルー
トで来客の身分である大河までもが独身(31)に説教を食らい、ついでに泣か
れた。

物見高いイベント好きが伝統としてしみついた大橋高生の事である。野次馬
の一年生を除いた集団でファミレスに。いつぞやの打ち上げよりも派手な大
宴会になってしまった。
高須竜児と婚約済みであるという話も半分伝説として割と広く知れ渡ってお
り、そのせいか触ろうとする者はほとんどいなかった。
やがて1人帰り2人帰り、クラスメートだけになったところでやっと落ち着
いて再会を祝し、いつもの5人になったところでスドバに移動、じっくりと
旧交を温める事ができたのだった。

「相変わらず櫛枝は意味不明なとこがあるな」
「うーん」
いままではね、みんながいたからね、ずずずっとガマンを……していたんだ
けどね?
櫛枝実乃梨はそう言うなり、ぷしっと鼻血をひと吹き。落ち着いて拭ったあ
と、たいがぁ!とハグってモフってグリまくったのだった。
世界征服せえらあ服〜とか未だにネタの出どころもよく分からない。
「みのりんはね、単にふつうにじゃれてるだけだよ」
「川嶋もじゃれてたのか?なんかああいう事をしねえ女だと思ってた」
まあまあまあまあ落ち着いてみのりちゃーん♪とか言いながら実乃梨の狼藉
に相乗りするように割って入って、川嶋亜美も大河をグリまくった。
「……あれは殺意がこもってたね。ハグとモフがなかったし、ちょっと首絞
 められたしっ」
はっ!あたしから竜児を奪えると思うならやってみろってのよ!
そんなつもりはねえだろよ。あったらお前がいないうちに俺がもっと迫られ
ているだろ常識的に考えて。
なにぃ?そういうイイコトしてたのかあんたはっ。
ないないないってマジで。威嚇するのやめろ。は、私としたことが。そうよ
ねえ?持つ者が持たざる者に腹を立てるってないよね。竜児みたいないい男
にはとびきりの偶然でもないと巡りあえないもの。
あーなんか褒められてる?俺。
お菓子が手に入らないならパンを食べればいいのに、って言ってやれば良か
ったのよね。
お前ね……逆だしそれ。

458虎、帰る:2011/03/19(土) 06:37:46 ID:???
「ともかく女同士で密着したい気持ちはよく分かんね」
「そう?男子には分からないのかもね」
お前分かんの?
分かるよ?見ての通り女の子ですから。住宅地を通る静かな道すがら、スカ
ートのすそをつまんでくるりと回る。
「やべえな。可愛い……と竜児は改めて思っていた」
「クチに出してるじゃんよ。もっと言ってもっと言って、おら」
「濃紺サージで三本ラインのセーラー服にはクラクラくるな」
「う……それから?」
「おう純白のタイには目眩すら覚える」
服かよ。と大河が頬をふくらます。服だけじゃねえよ?と竜児。

触ると幸福になれる手乗りタイガーが今日は気易く触られなかったろ?
「セクハラかもと思わせるくらいには綺麗になったって事さ」
「あー褒められてるね私。一部に何の遠慮もなく触りまくられたけどさ」
どちらからともなく指を絡ませあって、寄り添い歩いていく。
本来の引っ越し日が過ぎた後で、また友人たちとは改めて会う約束をしてき
た。卒業して進路は様々だが、大半はまだ現住所が変わらない。
「北村くんは留学だね」
「ああ、それまでに何度か会えるだろう」
そんな話をしているうちに大河の新居に着いた。

「何にもねえ!」
部屋に入るなり竜児が棒立ちで驚く。
フローリングのワンルーム東向き。ベッドも机もタンスもない。
ん?置いていた荷物を取りにきただけよ?と大河。
「引越しの日は前もって連絡してあるでしょ?荷物が着くのは来週」
「来週までどこで寝泊まりするつもりだよMOTTAINAI!」
がらんとした部屋の床に置いた旅行用のバッグを取り上げ、肩からななめが
けにして、いたずらっぽくニヤけた大河が答える。
「うん、MOTTAINAIよね?ホテル住まいなんてとんでもない。親に
 無理言ってここで暮らすんだから、倹約しなきゃ」

竜児の方に向き直り、ゆっくり一歩ずつ近づいて、腰の後ろに下げたバッグ
を後ろ手でつかんだまま、とす、と胸に額を埋める。
そして心なしか遠慮しいな甘えたような声で訊くのだ。
「とりあえず来週までタダで泊めてくれるところ、竜児知らないかなあ?」

見慣れたつむじが久しぶりに目の前にあらわれた。淡い天然茶髪の隙間から
見える耳がほんのり染まっている。
竜児としてもこの春休み中は大河が我が家に入り浸るのを楽しみにしていた
が、まさか逗留させろと言い出すとは予想外だった。
とはいえ、困る理由などはない。
「お……おう。ひとつ、心当たりがないでもないぞ?」
良かった、この寒空に野宿はつらいもの。と心にもないことをほざく。さっ
きまで安っぽくキレたり威嚇していたくせにこの変わりよう。こういうとこ
ろも竜児は愛してやまないのだ。
「あのね?狭くてもいいから。2DKくらいで。和室で。ゴロ寝なんかでき
 たりするのが希望なの。私ってわがまま?」
「あーそりゃわがままだな。でもその条件にぴったりの優良物件だ。おまけ
 に賄いがついて食事もタダ」
「じゃ、そこにする……」

大河は背伸びをして、竜児の首に腕を回して顔を上げる。本当は身長差があ
って手首くらいまでしか回せてはいないけど、定型表現てやつだ。実務的に
はたいして問題ない。

竜児はちょっとだけ屈んで、大河の背中をそっと抱く。華奢な背中のかたち
も、こぼれる髪の手触りも、この両手は忘れずに覚えていた。
大河も竜児の手を覚えている。忘れたときなんかなかった。
背伸びをする脚が疲れないよう、背中を包む腕が少し吊り上げるように力を
込めてくれるのを感じて、思わず優しいねと呟く。
そうか?お前軽いから何でもねえよ、と優しく答えてくれる。他人には分か
らない竜児の表情も、こうしていれば自分だけに分かる。
互いの腕に力がこもって、顔が近付いて、息を感じあう。
頬に、額に、耳に、竜児が唇を触れさせる。大河のくすぐったそうな様子を
確かめて次、確かめては次へと。
大河も同じように挨拶を返す。

459虎、帰る:2011/03/19(土) 06:39:03 ID:???
もっと我慢も限界!というような激しさを想像していた。こんど逢えたら互
いにそういうふうに求めるのだろうと思っていた。
でも意外ではなかった。
今はなにかに追われているわけではない。旅に出る勇気をこの身に注ぎこむ
ために急いで求めあう必要などはない。
これからずっと一緒なんだから、こういうのもいい。頭が真っ白になるのも
いいけどこれもいい。私ってオトナ?などと考える余裕も。
そうして大河は唇を求める。竜児も目を閉じて応える。
ん……と切なげな音を帯びて互いの喉が鳴るのも心地よく聞きながら、ふた
りは長いキスを交わす。
え?あ……うそ?
大河の頭は真っ白に。なにも考えられなくなる。

「ね……優良物件にはこういうオプションも、あの……付くのよね?」
消え入りそうな声で、真っ赤にテンパった大河が訊いてくる。
その内容を理解して竜児にじわじわと幸福感が湧いてきてしまう。
だって、これは世間で言う“おねだり”ってやつだ。表現が回りくどいとこ
ろが却ってたまらなく可愛らしい。
「お、オプションじゃねえよ?入居者にもれなく付いてくる権利だよ」
言ってて恥ずかしくなってきたらしく、竜児の目の周りも染まっている。
それはやばいね、いろいろと気を付けなきゃだわ。
「ふふん♪やっぱママにハグされるのとは違うね」
照れ隠しか、背伸びをやめた大河は竜児の背中に両手を回してぎゅっと抱き
つく。体勢から竜児には大河の髪を弄るくらいしかすることがない。
ていうか、何でそんなに……巧すぎなのよ?などとブツブツ言ってるが気を
利かせて無視。これは孔明の罠だ。別にやましい事はねえ。さらに気を利か
せて話題を逸らす。

「ん?大河。やっぱりちょっとだけデカくなったんじゃねえの?」
「背伸びしてたからで――あっ!」
意味が分かった大河は急に身体を離し、背中を丸め両手で胸を隠す。
お、驚かそうと思って黙っていたのに……見たわけでも触ったわけでもない
のに分かっちゃうなんて。あんたって……。は、はぅぅ恐ろしい子!
エロ犬めーと再び真っ赤になる。
悪い悪かった。気を利かせて黙ってりゃ良かった。でもさ。
「お前の事で何か分かるのは嬉しくてさ、黙ってられないんだよ。許してく
 れよ。な?」
「……いいわよ。べつに怒ってるわけじゃないし。恥ずかしいけど。なんか
 台無し感で一杯になっちゃったけど」
「でもそんだけ覚えていてもらえたなら光栄よね。けっ!」
けっ!って……。驚かそうとって……お前どの局面でそのカードを切るか想
定済みなのかよ。泰子がいるの忘れてね?つかこっちが孔明の罠だったのか
と竜児は思ったが気を利かして突っ込むのはやめる。
「まあいいか。じゃあお宿の方へ案内するぞ。戸締り忘れんなよ」
「ん。じゃとりあえずの締めにも一回」
ちゅ

外に出て通りを歩く。竜児の左手を両手で握りしめて、肩に頭を預けて、歩
様を合わせて。合わせているのは大河じゃなく竜児ではあったけど。
「結構近いところに部屋借りられたんだな。うちまで3分くらいか」
「竜児のとこで眠くなっても覚める前に帰れる範囲にしたかったからね。他
 の条件はいろいろ目をつぶったわ」
日当たりが午前中だけでしょー?寝坊したら布団も干せないわ、洗濯物も乾
かないわ。指折り数えて不満点をあげてみる。
「キッチンも狭すぎて、手際を工夫しないと料理もできない。ガスコンロも
 置けないし」
でもそういうのはあんたのとこで教わるからいい。と殊勝なことを言ったタ
イミングで、ぐう〜〜きゅるるるんと派手な音。
あらやだ。がまんしてたのに。
「やっちゃんと三人で夕ご飯食べるんだから、と思ってね。ファミレスでは
 セーブしていたのよ」
「おう、任せとけ。最速で作ってやる。何が食べたい?大河」
「うん!とんかつがいい!一年ぶりの!」
「黒豚の買いおき、あるぞ。……って。一年ぶり?」
そう。ずっと断ってたの。おかげでうちのママにはとんかつ嫌いなんだって
思われてる。
何でって?それはね……

460虎、帰る:2011/03/19(土) 06:40:07 ID:???
角を曲がると、かつて住んでいた高級マンションが見えた。話を中断して、
大河は駈け出した。もちろん両手でしっかりと握った竜児の手を離しはしな
い。竜児も付き合って走る。
マンションの下で立ち止まり、二階を見上げた。明かりがついていて、新し
い住人が住んでいる事を知らせてくれる。
エントランスを見る。ここで、裸足で泣き叫んだ事もあった。総てが切なく
て、でもここへとわが身を運んでくれた懐かしくも大切な思い出だった。
ここへ……掴んだ手を見て、竜児を見上げると、自然と笑みが浮かぶ。竜児
が優しい顔で見返してくれている。
「行こう」
「おう」

りゅうじ、覚えてる?
あの日の夕ご飯がとんかつだった事。私はそれを食べに戻って来たんだよ。
角を曲がって、懐かしい家に着くまでのほんの短い間、大河は夢想する。

りゅうじが支度をして、私は卓袱台にひじをついて急かすの。
まぁ〜だぁ〜?って。甘ったれた声で。
そのうち待ち切れなくなって、りゅうじの周りをウロウロするの。
くだらない事を喋って、りゅうじはいちいち相手してくれて。
で、私はりゅうじの背中に軽く頭突きをしてみたりする。
揚げ物してんだから危ねえだろ!って怒られるの。でも顔は別に怒ってないの。

揚げ油からおいしい匂いが立つ頃に、お皿を出せとか、小鉢を並べろって指図されて、
私はりゅうじの思い通りに動く。
夢にまで見た光景がすぐそこに待っている。

おーい、揚がったぞって言われたら、
じゅうじゅう音を立ててるとんかつをお皿に受けて卓袱台に運ぶ。
刻みキャベツとプチトマトとポテトサラダを脇に盛ってね。
そしてやっちゃんと三人で食べるんだよ。
ご飯をおかわりして、脂身を一切れりゅうじに押しつけて。
お腹が一杯になったらそのまま後ろへ寝転がる。

でも、今日から後片付けは私がしてあげる。
洗い物をすまして、飛び散った水をきれいに拭って卓袱台に戻れば、
りゅうじが入れてくれたお茶がぬるくなってて、猫舌の私にちょうどいい。
その後は、テレビを見ているりゅうじに寄りかかったりしよう。
眠くなって落ちるまでりゅうじに触れていよう。

こんな妄想を聞いたら竜児は子供っぽいと言うだろうか。
無防備に寝転がっていたあの頃のままかと呆れるのだろうか。
でもそれでいい。それが私のもらった幸せの形なんだから。
私たちはあの日の続きからまた始める。
明日、目覚めて。隣にいてくれるのはやっちゃんかな。
それとも?

カンカンカンと足音を立てて階段を駈け上がる。
鍵のかかってない扉を勢いよく開けて、やっちゃんが居る事を確かめる。
「あれえ〜、大河ちゃーん♪」

わたしのうち。

「お帰りなさぁぃ〜♪……早かったねえ」
竜児が扉をしめる。私は靴を脱ぐのももどかしく、蹴散らして上がり込む。
後ろで竜児が靴を揃えてくれている。前のまま。何ひとつ変わっていない。
やっちゃんに飛びついて、帰ってきたよ!と言おうとしたのに、途端に涙があふれる。
あーどうしたのー?とやっちゃんが肩に手を置いてくれる。
大丈夫と伝えようとするけど、止まらない。うまく口を開けない。

竜児が入ってきて、そんな私を黙って見てくれた。
私とやっちゃんを居間に押し込んだ。

大河、と。
力強く名前を呼ばれて、私の気持ちもようやく落ち着きを取り戻す。

「お帰り、大河」

帰ってきたんだ。

「ただいま!」


 ――END

461高須家の名無しさん:2011/03/19(土) 15:29:29 ID:???
グスン…べ、別に泣いてなんか、無いんだからねっ!……GJ!

462高須家の名無しさん:2011/03/20(日) 00:08:10 ID:???
>>460
おう…新たなとらドラファン&書き手さんですか!乙です!嬉しいなあ。

アニメは大河母の人物像がよくわからなかったんだけど、
頑なさに子供っぽさ不器用さが上手く融合されてて、すっきり落とし込んでもらった感があり、ありがとうございます!って感じです。
この人はバイバイキーン言いそう…w

竜虎のやりとりが逐一可愛くて仕方がない。ニマニマする。
>「やべえな。可愛い……と竜児は改めて思っていた」
浮かれすぎだ竜児www
めちゃくちゃ幸せになりやがれー!と改めて強く思いました。いやいつも思ってるけどw
超GJでした!

463442:2011/03/20(日) 01:33:24 ID:???
ご感想いただきありがとうございます
>>461
大河の嬉し泣きがどうしても見たかったんで、伝えられていたら嬉しいです
>>462
原作のロジックがどうみても大河離別を避けられないと納得したら、大河母は=大河しかないと思いました。
離別してから再会までの間に障害をどう乗り越えるかを描く方が本当なのでしょうけど、
それじゃ別のお話になっちゃうなと思いまして。最低限度がいいのかなと。
やはり思いが通じあって以後の竜虎の甘甘をおかわりしたいですw

464本スレに書けません(物理的に):2011/03/20(日) 10:19:33 ID:???
「さよならわたしのしゃかいてきせいめい、いままでおうえんどうもありがとう――――」
「おう…っ? 待て大河、行っちゃ駄目だッ!たいがーーーーーーーッ!」

ぷちん、と自分の中で何かがきれた。

最初はとてつもない達成感、そして恍惚感があった。
体中から毒素が抜ける気分。デトックスってこういうのを言うのだろう。
下腹部に違和感。太ももから足首にかけて水が滴る感触。足元にたまる水の感触。

間違いなくバッドエンドだ。どこで選択肢を間違えたのだろう?
今朝起きて、食事をしなかったからトイレはいいか、と考えたときだろうか。
それはともかくゲームオーバーだ。私の社会的生命も恋心や乙女心やその他諸々も。
本当にゲームなら、このあたりでフェードアウトして独身のヒントコーナーに移行しているころだろう。

 ”ゆりちゃんのヒントコーナー! ダメですよー高須くん。
  いくら自分のことで精一杯でも、逢坂さんも女の子なんですから気にかけてあげないと。
  でももう少しでエンディングです。朝のセーブポイントまで戻ってやりなおして――――”

だが現実はやっぱり残酷で、世界は暗転もせず、セーブポイントやリセットでやり直すこともできやしない。
このまま意識が失えれば幸せなのに、それすらもできやしない。
私という人間は、本当に嫌になるくらい、頑丈なのだ。

ああ、竜児の顔が見る見る赤くなっていく…こっちを見ないようにして、それでも耳まで真っ赤で。
優しい竜児。いつまでもこれからも、ずっと一緒にいたい存在。
きっとこんな私でも気にせずに愛してくれる。その実感がある。
でもね、でも今は――――逃げるしかないではないか。

「いやああああああああああっっっ!!!!」
「た、たいがぁーーーーッ!」


>>470
こうですかわかりますん!

465高須家の名無しさん:2011/03/20(日) 12:16:19 ID:???
>>464
ストーリーの流れ的に朝のポイントでセーブ忘れプレイヤーが結構いそうだw
母親に捕まるポイントまで戻らないとな。
しかもこのイベント発生確率は乱数という罠w
GJでした。

466本スレに書けません(物理的に):2011/03/20(日) 17:25:48 ID:???
まとめサイトを更新しました。
本スレは相変わらず規制中なので、ここでご報告…

まとめる際に、文章の途中で改行されている文についていくつかこちらで勝手に直しております。
意図した改行ではない場合はご連絡ください。修正いたします。

まとめてると涙脆くなっていけないやーねー

467まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/03/20(日) 17:42:03 ID:???
なん…だと…?

468ms07b3:2011/03/20(日) 21:37:29 ID:???
3月13日(日)11:13
高須大河は静かに怒っていた。
キッチンから漂ってくるのは、クッキーが焼ける甘い匂い。バターとバニラエッセンス
を効かせた竜児特製のものだ。
初めて竜児のクッキーを食べたのは6年前。あれから改良に改良を重ねた、クッキーは
モンドセレクション金賞を獲得しても不思議ではないほど洗練されている。
大河の中では、竜児のクッキーを食べる権利があるのは、自分とやっちゃん(少しだけ
ならみのりんと遺憾ながらバカチーも可)だけだと思っている。
しかし、竜児ときたら、バレンタインデーにチョコをくれた同僚の事務の女の子への
お返しにと、気合いをいれてクッキー作りにいそしんでいるのだ。
大河だって、竜児の義理堅い性格は充分理解している。事務の女の子から貰ったチョコ
は、開封せずに大河に差し出し、義理チョコであることを30分に渡り力説してくれた。
その説明を聞いたうえで、打点の高いジャンピングニーパットを一発お見舞いしたのは
、新妻である自分の竜児に対する愛情表現の発露で、当然の権利だと思った。
嫉妬という言葉は甘んじて受ける。しかし、竜児は私だけのものなのだ。

チンという音がクッキーの焼き上がりを告げる。
竜児がミトンのグローブをつけて、オーブンからクッキーを取り出す。クッキーの甘い
香りが部屋全体に広がる。大河のお腹がグーッと鳴った。

「大河、ちょっと来てくれ。」駄犬がキッチンから顔を出して大河を呼ぶ。
「・・・・なによ。」大河は不機嫌さを隠さずに聞いた。
「味見を・・・して欲しいんだ。」大河の不機嫌オーラに圧倒され言い淀む竜児。
大河は、ソファーから立ち上がり、ずんずんとキッチンに歩いて行った。

キッチンの作業台には、キッチンペーパーに並べられたクッキーが何種類かある。
チョコチップが入ったもの、ドライフルーツが載せられたもの、プレーンな物が2つ。
「味見よろしく。」竜児がプレーンの2つを差し出す。
「・・・・・・。」大河は黙ってクッキーを手にする。いつもと変わらないサックリと
した歯触りと、バニラエッセンスがふんわりと香る甘さ。美味しいけど食べ慣れた味。
「まあまあね。」薄い胸を傲岸不遜に反り返し竜児を見つめる。
「じゃあ、こっちは?」先ほどのクッキーよりも幾分茶色のクッキーが差し出される。
火傷をしないように軽く息を吹きかけてから口にする。
歯触りは変わらないけど、いつもよりは多少しっとりした感じだが、甘さが濃い気がす
る。あきらかにさっきのよりも美味しい。
「・・・・美味しい。」思わずぽろりと本音が出てしまった。
竜児をみると、目を細めて笑っている。
「先に食べたのはいつものレシピ通りに作ったやつ。後からのは大河スペシャルって奴
で、材料をいつもの奴よりもグレードアップしてる。」
「大河スペシャル・・・・?」
「おう、義理チョコのお返しはいつものレシピの物。大河スペシャルはお前専用だ。」
「・・・・竜児。」
私専用のレシピ。私だけのクッキー。遺憾ながらうれしさがこみ上げてきた。


3月14日(月)12:30
「これ。チョコのお返し・・。」目の下に隈を作った竜児が、事務の女の子にクッキー
を渡す。
「わー、高須さん、ありがとうございます。さっそく開けて良いですか?」
シンプルな包装は、お店で買ったものではない、噂に聞いた、高須特製クッキーが味わ
えるんだ。リボンを外して缶の蓋を開けると、3種類のクッキーがぎっしり詰まってい
る。手にとって口にしてみる。噂以上に美味しいクッキーだった。
「美味しいです。これ以上、美味しいクッキーなんてありませんよ!」
建築設計事務所で下働きなんてやってないで、クッキーショップを開いた方が良い
のではと思える程の味だった。
「そうか、気に入って貰えてよかったよ・・・・。」
竜児は、眠たい目を擦りながら答えた。
昨日の休みは、日曜大工でもやったのだろうか、腰を握り拳でトントンやりながら、
竜児は自分の机に戻っていった。3回戦はキツイぜ。

469高須家の名無しさん:2011/03/20(日) 22:27:48 ID:???
オイオイ…嬉しい事が有るたびに、1回づつ増えるんじゃあ無いだろねぇ? 竜児ガンバ!!

470とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/21(月) 11:31:00 ID:???
お題 「恥」「開いた」「見たことがない」
 
 
 
「大河、ドライヤー貸してくれねえか?」
「いいけど、どうしたの?」
「おう、蜂蜜の蓋が開かなくてな。ちょっと温めようかと」
「それじゃ、私もホットミルク飲もうっと」
 
「……ねえ竜児」
「おう?」
「それ、本当に蜂蜜? なんか見たことがない色してるんだけど」
 大河がいぶかしむのも当然で、竜児が蓋に温風をあてている瓶の中身は黒に近い茶色のドロっとしたモノ。
「おう、こいつはソバ蜂蜜だからな」
「……お蕎麦に蜂蜜かけるわけ?」
「……大河、その間違いはちょっと恥ずかしいぞ。っと、開いた。こいつはソバの花だけから採られた蜂蜜なんだよ」
「へー、そんなのがあるんだ」
「ミカンや向日葵なんてのもあるぞ、どれもちょっと高いけどな。ちなみにこれはばあちゃんが送ってくれたもんだ」
「あれ? それじゃ普通に『蜂蜜』って言ったら何の花なわけ?」
「いろんな花から集めた百花蜜か、レンゲ、アカシア、クローバーって所だな。うちで普段使ってるのもレンゲ蜜だろ」
「……ブランドか商品名だと思ってたわ、それ。蜂蜜っていっても色々なのねー。今度ネットで調べてみようかしら」
 
 
 
「……なあ大河」
「なに?」
「なんでこんなに蜂蜜買ったんだ?」
「んー、蜂蜜酒ってのに挑戦してみようと思って」
「おう? なんでまた急に?」
「えーっとね……ほら、結婚式までもうちょっとじゃない」
「お、おう」
「その後は当然ハネムーンでしょ」
「おう」
「そのHoneymoon−−蜜月の語源が蜂蜜酒って話で」
「へー、知らなかったな」
「昔のヨーロッパで結婚した直後のお嫁さんが一ヶ月外出しないで、滋養強壮作用がある蜂蜜酒を旦那さんに飲ませて、その……頑張ったんだって」
「…………おう」

471 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/21(月) 11:41:20 ID:???
度々の転載ありがとうございます。

>本スレ468
GJ!
色んな意味で2828しますw
>虎、帰る
こちらもGJ!
今になっても新しい書き手さんが現れるというのは、あらためて「とらドラ!」という作品の力を実感しますね。

472 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/21(月) 11:47:38 ID:???
>まとめ人さん
いつもお疲れ様&ありがとうございます。
名前欄については……まあ、お気になさらずにw

>468
可愛いよ嫉妬大河可愛いよ
そして竜児が頑張るのは大宇宙の定めですなw

473 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/21(月) 11:51:18 ID:???
>まとめ人さん
いつもお疲れ様&ありがとうございます。
名前欄については……まあ、お気になさらずにw

>468
可愛いよ嫉妬大河可愛いよ
そして竜児が頑張るのは大宇宙の定めですなw

474 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/21(月) 16:16:13 ID:???
おう、二重投稿になってた……すみません

475442:2011/03/22(火) 00:55:18 ID:???
>>471
ありがとうございます。「とらドラ!」の理詰めな心理描写にハマって
何度も見返しているうちに竜虎に捕まってしまいましたw
>まとめ人様
「虎、帰る」まとめていただき恐縮です。改行の拘りはありません。

以下、次作を投稿させていただきます。
□□【タイトル】幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター)
□□□□【内容】本SSは寸止めですがガチエロ且つ甘々コメディ仕立てとなっております。
□□□□□□□□まっぱ有り。お触り有り。お読みになる方はご注意ください。31KB

先人の作品といくつかネタがかぶってしまいましたが、ご容赦ください。

476幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 00:59:59 ID:???
【これまでのあらすじ】春は三月。親元で一年を過ごし高校を卒業した逢坂大河は
懐かしい大橋の町に帰ってきた。本来の転居日を前倒して上京、単身暮らしの部屋
に家具は無し。かくして大河は狙いどおりに高須家へと転がり込む。さてさて荷物
が届くまでの一週間、大河と竜児のなんちゃって同棲時代(泰子付き)が始まった!

****

眩しいなあと薄目を開けるとどうやら朝になっているよう。
むぅう〜んとひと伸び。布団をかぶり直して二度寝……という無意識の習慣を試みるも。
あれ?身体が動かない。む、むう?逢坂大河の寝起きは悪い。
――なに?金……縛り?
少しずつ意識が覚醒してくる。何かに座って寝ていたようで、左肩がずっしり重い。足が寒い。
何なの?毛布で簀巻きにされて爪先が飛び出ているようだ。
肩の重さの正体を振り返ってみると……竜児!?

竜児の顎はぴったりと大河の左肩に乗り背後から髪に頭を突っ込まれてる。寝息が耳の下に当たる。
両の腕は大河の脇の下を通って腹をエックスの字にクロス。
つまり竜児は壁にもたれて胡座をかいており、大河はそこに横座りして腕でホールドされている。
そのまんま綺麗なブリッジを描いてマットに叩きつけられる5秒前――。いくぞーっ、うぉらぁーっ!!
ということは全然なく、揃って二人とも毛布でぐるぐる簀巻きにされている。
要するに壁際にでかい筍、その中で包まれているのが寝ぼけ頭で把握できた目下の体勢なのであった。

とりあえず力の抜けたホールドを外して、自由になった手で竜児の顔を押さえながら肩を抜く。
もそっと身体を回して寝顔を観賞、涎の後が唇の端から顎に流れているから自分の首にも付いてるか。
そんな事はどうでもいい。りゅうじの顔が……か、かぁっこぃぃぃ……。
目を閉じていれば、なのか惚れた欲目、なのか。それとも高須竜児は誰が見てもかっこいい男子なのか。
真相は分からないが、少なくとも大河が見てぽーっと酔ったようになっているのは事実だ。
口を頬に寄せてちゅちゅちゅと吸いついて。
続いて欲望のまま唇を狙おうとするのだが、これはちょっとだけ届かない。
起こさないようにそろそろと後ずさりをして、畳に膝をつき、毛布に潜って筍の根元の方へ脱出。
いくら自分が軽いからといっても膝に乗せたまま眠ったのなら、さぞ脚が痺れているだろう。
ゆっくり丁寧に筍を横にしてやる。小柄だけれど大河はけっこう力があるのだ。
う〜ん、と竜児が伸びて、毛布の端から毛脛がにょきっと出る。
案の定真っ白になっていた。

さて。大河はぺたんこ座りで悩んでいる。
この痺れている脚をつついて遊ぶべきか、当初の目的通り唇を奪うべきか。
「……りゅーうじ」
膝立ちでそっと近寄って、顔の上で囁く。痺れいじめはまた今度にするようだ。
「りゅーうじ、朝だよ。起きないの?」
爪を引っ込めた前脚で、じゃない手でちょいちょいと竜児の頭を揺すって嬲る。
「起きないなら……ぅお、襲うよ?」
当然ながら起こすつもりなど毛頭ない。
本当に眠っているのか確かめるだけ。あくまでも優しく、優しく。
うぅ〜ん、と竜児が仰向けに。びくっと固まる大河。
新聞配達のバイクが家の前の路地に来て止まり、また走り去るくらいの静寂がたっぷりと過ぎて。
またそろそろと竜児に這い寄って顔を近づけ、寝息を確かめる。
大丈夫。オッケー。
マルナナマルマル我レ奇襲ニ成功セリ。トラ、トラ、トラじゃぁーーーっ!

むちゅーっと襲った。
竜児の唇をあむあむ弄んで、舌の先でぺろんと湿り気を与えてやる。
こんな事をされてはさすがに竜児の意識が覚めかける。
とは言うものの簀巻き状態で文字通り手が出せない。
何?なんだ?と言おうと開けた口にすかさずベロチュー。
「ん……んんん?ぁにゅっ?」
大河さまのやりたい放題。
思うさま蹂躙したのだけど、単に寝ぼけて驚いている竜児相手のキスに早くも飽きてしまった。

肩口の簀巻き毛布を緩めてやると腕を抜き出して起き上がろうとする。だーめ!と押しとどめる。
うつ伏せに覆い被さってくる大河の肩を下から支えながら、竜児にもようやく事態が分かってきた。
「おはよう、竜児。ハァハァ」
「おう……ハァハァて。朝っぱらから激しく起こしてもらってサンキューな。びっくりした」
「面白かったけどさ、意識がないんじゃすぐ飽きる。もうやらない」
「ああ、そうしてくれ。毎朝これじゃ心臓に悪い」
肩を支えていた手を緩めると、大河の頭がふわんと落ちてくる。
それを抱え込んで、改めておはようの……と言うにはあまりに濃厚すぎなやつをもう一度――。

477幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:01:03 ID:???

「ぷはー」
「ぷはーはやめなさい。はしたない。なんか御馳走様ってカンジに聞こえるじゃねえか」
「だってまさにごちそうさまってカンジだもーん。いやーいい目覚めだわ」
……ったく!と型どおりぼやいて、ほほほほほーと満足そうな大河ごと抱えて、竜児は起き上がる。
頭をぽりぽり掻いて部屋を見渡し、ああそうか、寝ちまったか、ここで、と。
ん?うぁぁ脚が痺れてる痺れてるあでででででで。

その間に大河は今どこでこの朝のイベントを楽しんでいたのか、遅まきながらも理解する。
理解したので、固まっている。
卓袱台?
液晶テレビ?
じゃ、ここは居間だ。竜児の部屋でもやっちゃんの部屋でもなく。
「居間!?」
「居間だろ……」
「今気が付いたっ!」
竜児にも昨晩の記憶が蘇ってくる。確かに居間でくつろいでいた。
……というよりイチャイチャしていた。
恋人同士が二人っきりの屋内でイチャイチャする目的は一つしかない。
竜児はキッと卓袱台に鋭い視線を走らせるとそれはまだそこに置いてあった。未開封で。
メタリックブルーで商品名が銀箔押しで印刷してあるお菓子のようなパッケージ。
「あああんた。するってえとこの毛布を巻いてくれたのは……」

ふすま一枚隔てた部屋で、3時間前きっかり定刻に帰宅した泰子が騒ぎに目を覚ましていた。。
ぅわ〜ぉ大河ちゃん意っ外っな情☆熱☆大☆陸〜ぅ♪
イイコト良いでやんすね〜。かわいっ♪
でもやっちゃん寝不足になっちゃうからぁ、自分の部屋でしてくれないかなあ〜?
ねー竜ちゃぁ〜ん?
って、こんど起きたら言お〜〜っと。ふわぁぁぁぁ。などと。気を利かして寝たふり、寝たふり。
プライバシーの保護は、ふすま二枚隔ててようやく完成するのだ。

ふっふーん♪と鼻歌まじりで、竜児は朝ごはんの支度。
そんなときは居間でゴロゴロするのが定位置の大河が、今朝は所在無げに台所に佇んでいる。
キンピラ出来たから小鉢とってくれーと指図されて、しっ!声がでかい!
「あんた平気なの?やっちゃんにバレバレ……」
状況から考えれば、寝こけているふたりを簀巻きにしたのは帰宅したやっちゃんしかおらず、
しかもそれはそっちこっちに落ちていたわけでなくひと塊りに抱き合っていた。
「いいから味みろ」と菜箸でキンピラを大河の口に放り込む。
こりこりしゃくしゃくと、出来立ての温かいキンピラを咀嚼して、大河はぴっとサムアップ。
味付けオッケーらしい。
でも当面の問題はそんなことで誤魔化されやしない。
スウェットのトップボトムなだけの竜児は、単に寝ぼけたー、でいいとして、私は……。
大河は腰の辺りをつまんでみたりしながらしみじみ思う。
意気込み満々なフリフリお姫様ネグリジェ。「やるぞーっ」って精神が形になったよう。
うわぁ。
寒いからカーディガン羽織っていたけど。寝るだけの人は普通こんなものを着ない。
頭を抱えて悶えまくる。

竜児は味噌汁の味噌を溶いて、小皿で味見。大河にも回してくる。
もうちょっと濃いのがいい。
おう。
「バレったってなあ。なんかもう」
顎でくいっと居間を指し示しているその先は、卓袱台に置きっぱの箱。
「いいんじゃねえ?」
大河は眉を八の字にして昨夜からの出来事を思い出す。

478幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:03:17 ID:???


この家に帰り着いて大泣きをして、ただいまを言ったあと、ほぼ想像していた通りの夕食となった。
とんかつの付け合わせがポテサラでなく、ツナと玉ねぎの和え物になったくらいの違い。
家族三人たくさん喋ってご飯を食べた。食後にちょっと休んでから洗いものは大河が片づけた。
完ぺき。妄想の50%はこれですでに達成。
あとの半分は、竜児にひっ付いていつの間にか眠りに落ちるぽわぽわな幸福。
ただ、こればかりは独りでは達成できない事。
竜児次第で激しく爛れて濡れそぼつ肉欲の嵐渦巻く甘美な坩堝になるかもしれなかった。
あ……まあそういうのもやってみたいとは思ってるのだけど。

そして出勤する泰子が件の箱を卓袱台にトン、と置いたのがゴング?となった。

「じゃあやっちゃん行ってくるでやんす」
「……」
「……」
置かれた箱を注視して、だだだっと這い寄る大河。
びく!と居ずまいを正す竜児。
そろってぽか〜んと泰子の方を同時に見ている。
「別にぃ〜〜、煽ってるわけじゃぁ〜ねーでガンスよー?」
人差し指を立てて60度にチッチッチと振ったあと、ぴっと竜児を指して。
「備えあれば?嬉しいなっ、てぇゆーんだよ♪」
「う……」
「憂いなし、だろな……」
「それにぃ〜、盛り上がってからコンビニに行くのはぁ〜」羞恥!プレイ!
後ろでインコちゃんが受けてくれた。そ〜そ〜、インコちゃんかしこいっ♪
ぽよんよんと巨乳を揺らして、じゃあねー♪と出かけて行った。

「……」
「おう……」
大河は卓袱台からひったくるように箱をとり上げて両手で掲げ、いろんな角度からじっくり眺める。
説明書きをじっくり読んで、やがってゆっくりと。
鳩が豆鉄砲を食らったようなまん丸な瞳で竜児の方を見やる。
「どどどどどどど」
「落ち着け大河。年度末だけど工事すんな」

中身……は……十二……個、入り……だと?
また鳩が豆鉄砲を食らったようなまん丸な瞳で竜児の方を見やる。瞳孔が開きかけてる。
「じゅ、十二回も?」
「……なんで使い切らなきゃいけねえんだ」
「……殺す気かぁー?」
「先に逝くのは俺の方だろ、その場合」
「なんであんたは落、ち、着、い、て、る、の、よ」

あれ?そういやなんでだろう?
ああ、これはあくまでも備えだからだな。これがあればいつお前にムラムラしてもとりあえず安心。
だから普通にくつろいでりゃいいじゃねえか。な、大河。
大河……?
「む、ムラムラムラ?え?」
「……何でそんなにテンパってるんだ?そーいやこんな顔見た事あるな……」
「むっしゅムラムラ……りゅ、りゅ」
「おう!北村の前に出ると変なテンションになってた時だっ」
ちゅどーーんんっ!大河の頭上に爆発の雲が見えた。……ような気がした。

「茶ー飲めよー。ぬるめに入れてやったぞー」
「……」
「おーい。生きてるかー」
大河は卓袱台の前で珍しく正座して固まっている。意味不明な事を呟いている。
肩を揺すると、ひっとか言う。
頭の上からぶすぶすと煙が上がり続けているような、セーラー服美少女。

竜児は考えた。
これはほっとくと拗ね始める。この予想は当たっている。
たちの悪い事にこの女は、自分に原因があるときほど尚更ドツボにはまって行くのだ。
理由が分からなければそれは避けようもないが、幸い今回は原因も対処法も分かっている。
今ごろあのつむじの中では、せっくしゅ、せっくしゅ、パコパコカーニバルぅ……。
などという単語が渦を巻いてバッファオーバーフローしていることだろう。

とは言っても、やっぱり女だもんな。やらないかとは言いにくいわな。
俺としては自然に寄り添っててお互いその気になったら、というのが希望なんだけど、
一週間限定の疑似ふたり暮らしを楽しみにして来たんだもんな、大河。

「おい、大河」
その声の変容に、大河はハっと顔を上げて見る。
りゅ、竜児が変な目で睨みつけている。あの目は見た事ある。この予想は当たってる。
「しゃ、シャワー浴びてこいよ……」
開きっぱなしだった大河の瞳孔がみるみる光を取り戻してパァァと輝く!

うわっなんだその芸!メヂカラってのか今時は!いや瞳孔開いてたら死んでるだろ。
しかし、竜児のいかにもな余裕もそこまで。大河がにじり寄って、手を取って引っ張る。
「じゃあ!」
こんなに前向きな大河をいつ見ただろう?
「い、一緒に!!」
どきどきどきどき。
えっ!……おう……。
おう?

479幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:07:13 ID:???

湯を張っている間。ちょこんとしゃがんで荷物から夜着を選んでいる大河の後ろ姿。
ふんふん鼻歌が漏れている。
やばい。
あれは『クワイ河マーチ』だ。戦場にかける橋だ。威風堂々やる気満々だ。
……あれは俺がムラっとキターーーーッ!っと思い込んでるわけだよな。
だからこっちが鼻息荒くしねえといけねえんだよな。

よしこっちも鼻歌ってやる、と唸りかけて、違う違う。これは『ドナドナ』だ。
もっと勢いのあるやつ、マーチ、『ラデツキー行進曲』でも。
すると大河の鼻歌が呼応して『双頭の鷲の旗の下に』に変わる。
いいねえ、オーストリア・ハンガリー帝国つながり。俺たち息ぴったり。
変なところで竜児は楽しくなってきて、ワグナーつながりで『タンホイザー』に変える。
なんだか鼻歌合戦で運動会みたいな雰囲気が漂う。
大河はすげえ上機嫌で『ワルキューレの騎行』に。
……『地獄の黙示録』だ。殺戮だ。……そりゃワグナーだけどよ。
一気に萎えてしまった。

「りゅーじぃ〜♪」
とととっと寄ってきて、とお!と強めの頭突きをかまされた。
なんだよ?
「脱がせたいでしょ〜?」とバンザイをしている。満面の笑みで。

うわ何だこれ。セーラー服を脱がす体験なんて夢にも思ってみなかった。
はい、させてもらえるなら喜んでー!つか何だ俺、このノリは。ニヤケてんのか?
いや、いや、いやいやいや。嫌じゃねえよ!くそ。萎えるとか思って悪かったよ。

まずタイを解いてシュルっと、おおお!何だこの背徳感。
あー。やっぱり最初に解いちゃった。それはね、乙女の純潔を象徴してるの。だから白なのよ。
でももう着ないし。問題ないよねー?
あー、純潔をりゅうじに奪われちゃったー。遺憾だわー。
もちろんこの蘊蓄はウソ八百である。

そ、、そうなのか。じゃあ続けてトップの方から……あれ?ホックとファスナーと……ど、
「どこから外すんだ?これ」
「めんどくさいでしょー。ここ、ここ、ここの順」
言われたとおりに外して、するっとパージ。冬服なのでその下はヒートテックのババシャツ。
これはあんまり色っぽくねえな、と言うと、へへへと誤魔化す。
バンザイさせてすっぽん。
「お、……下からニーソ、スカート、……ブラ」
好きな女がこういうナリでいるのに燃えない男はいねえだろうな……。
「でも寒さ対策なら、下にキャミとか着こんだ方が良くねえか?」
「分かってないねえりゅーじは」

ここ、とスカートの締め付け部分を指し示す。
ここがさ、臍上でちょうどウエストの一番細いとこなわけよ。
へえ。
で、トップはセパレーツでこんくらい覆い隠しているわけよ。
ほうほう。
普通にの動作では絶対に見えないけど、思い切り背伸びしたりした時に、隙間からちらっと見えるわけ。
数センチだけ一瞬肌が見えるわけよ。バスケのダンクシュートをしたときとか。
その希少な隙間に地肌でなくキャミが見えたら台無しじゃない。

「どうよ!」と薄い胸を反らして突き上げて、えっへん。
いやあその態度でいてくれると助かる。その格好で恥ずかしがられたら……たまんね。
「……鼻血吹きそうだよ。櫛枝の領域に一歩近づいた気がする」と褒めてみる。
でもそのチラってちょっと離れていないとどのみち角度的に見えねえじゃん。
基本、友人関係より遠い距離のやつを楽しませる現象じゃん?
お前のつむじを数十センチで見下ろせる俺には恩恵がねえよ。とは言えなかった。
あ、でも制服ダンクはカッコ良いかもしんねえ。

「じゃあ次はニーソ脱がして?あ、ストッキングの方が良かったら履こうか?」
「いや、これがいい」
……このノリだと破いてもいいよ?とか言い出しかねない。
そ、そんなプレイはもっと大人になってからだ!
膝まづいてするするとニーソを脱がしている途中、これはこれで割とマニアックな事に気づく。
やばい。マジやばい。このままだと木乃伊取りがミイラになってしまう。
ブラ&プリーツスカートだけで、ふんっ、と威張ってるのを見上げてメートルを戻す。
本人は得意げで確かに可愛いポーズでもあるのだが……色気はゼロだからな。
どぎまぎしながらスカートをそろっと下ろして、脱衣サービスは終了。
さすがに恥ずかしくなったのか、大河は脱衣所に逃げて行った。

480幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:10:40 ID:???

自分の着替えを持って後から続いて行き、おい本当に入っていいかと一応訊く。
とっとと入れと罵倒を受ける。
脱衣所前の台所からつながる廊下でスウェットを脱いでたたんで、Tシャツに手を掛けたところで、
「おい」
顔だけ出した大河に呼ばれる。
あんた私を念入りに脱がしたくせに、自分で脱ぐのかよ。良いから入れおら!と引っ張り込まれた。
脱衣所と言っても物がいろいろ置いてあってスペースは半畳くらいしかない。
二人入ってしまえば一杯だ。
ほらバンザイしろと言われて素直に従う。
Tシャツを大河に脱がされて、トランクスを一気に引き下ろされる。
うう……ヤンキーとか鬼般若とか呼ばれた男でも、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「こんにちはーってカンジ♪」
大河が可愛く表現するけど、それで恥ずかしくなくなるものでもない。

こっちも仕返しのつもりで、押し黙って肩越し背中に手を回す。
ちょっと苦労しながらブラのホックを外していると俯いて妙におとなしくなってしまう。
どきどきしてくる。
さすがに恥ずかしくなったのか。胸を押さえながら向きを変えて、あとは自分で脱いだ。
屈んだ拍子に長い髪がはらっと胸前側に落ちて、白い背中から腰にかけての曲線が露わになる。
体格の割に、また女子としては発達している背筋に挟まれて脊椎の突起がくっきり浮いている。
ごくっ、と喉が鳴ってしまった。
湯船から湯があふれている音が聞こえ始めたので、肩に手を置いて浴室へ押しこんだ。

高須家の浴室は一般家庭と同じく二人で入ると狭い。
キャッキャウフフの洗・い・っ・こ♪なんかをするには交互に湯船につかるしかないだろう。
というわけで。
「まずお前から湯につかれ。あふれる量が少なくて済むからな」
「お、おう」
それは俺のフレーズだと思いながら、シャワーを出して温度を確かめ、かけ湯をしてやる。
その間に大河はくるくると髪を丸めてゴムで留め、しゃばんと湯船に。

自分にもシャワーをかけて洗い場に腰を下ろし、ソープを泡だてて身体から洗い始めた。
大河は湯につかって、組んだ腕を湯船の縁に乗せてこっちを見ている。
うう……恥ずかしい。
そのうち鼻歌が出始めた。また『ワルキューレ〜』だよなんか死刑執行を待つ気分だよ。
視線から避けるよう、思わず座りなおして角度を取ってしまった。
とたんに鼻歌がぴたっと止まる。
「ねえりゅーじぃ。見えないじゃん。見える向きに座ってよー」
……こんなときに命令口調じゃなくお願いモードだなんて卑怯だ。しかも表現がストレートだ。
北村よ、お前が惚れたこの女の魅力はこういう事でもあったんだぞ?などと急に思う。
「だってよ……恥ずかしいじゃねえか」
恥ずかしいさ、そりゃ恥ずかしいだろうよ。この私にはよっく分かるよ。でもね?
「……りゅうじだってさ、このあと私を、じっくりねっとり目で犯すんだよね?」
「え?」
「『しねえよ』って言ってもするでしょ?絶対、間違いなく。……だから私だって見たいもん」
……卑怯だ。とか思っていたら、背中をぱぁんぱぁんと叩かれてしまう。
「春なのに紅葉吹雪にしてやんぞ?おらっ」
アメとムチ。これが調教というものだろうか。

羞恥に耐えて湯船の方に向き直り身体を洗っていると、大河は楽しそうに視線を這わしてくる。
どこを見てるのか気になるが、少なくとも局部だけを注視してる様子ではない。
「な、どこ見てんだ?」
「ん?普段見れないとこ全部。筋肉の付き方がやっぱり違うね」
かぁっこいぃ……と聞こえないように呟いている。
「そうか、そういうふうに言われれば少し恥ずかしくなくなってくるな」
身体が済んで頭を洗う。もう視線を気にしても分からない。こんな時になると黙りやがる。
ざばあーっと湯をかけて泡を流し、シャワーで念入りに落としていると、遠慮がちな声で、
「ねえー?そこ……」
股間を指差している。そろそろのぼせ気味なのか、ピンク色の顔をして。
「洗いたいな。だめかなあ?」

481幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:11:53 ID:???

わしわし、わしわし。
まさか手で洗うとまでは思ってなかった。湯船につかったまま、半身を乗り出して。
「うん……まあ、触りたいだけなんだよね。痛くないよね?」
お……おう。
洗いっこだから、相互主義だからというのでつい承諾した俺って、実はもう自分を見失ってるんじゃねえ?
などと思いながらも懸命に洗ってくれる大河の手が。細い指の感触が。気持ち良い。
それにこちらから見えているのは、大河の頭と肩口、背中。手に合わせて動く肩、筋肉。
なんでこんなにも刺激的なのか……。
「むぉ?」
変な声を上げてこちらを見上げてやがる。あ、もう一度まじまじ見てる。
「……」リアクションなんかしねえぞ。。
「おー?おぉ〜?」股間ふしぎ発見!みたいな顔すんな。ああ上目遣いで見んな。
「りゅーじを洗っていたーだけなのにーたいへんなものを見つけてしまった―」それはとっつぁんだ。
「うわぁーこれはー●●●●だぁ〜、むぐっ」き、聞くに耐えないっ。思わず手で口を塞ぐ。
「棒読みで恥ずかしいギャグはやめとけ」
「う〜……だって……恥ずかしいんだもん。それにもう、限界」

のぼせるぅ〜。と湯船から飛び出てしまった。
目の前!目の前!ピンク色に染まった肢体!!一糸まとわぬ大河が、ががが。……が。
呆気にとられてらんねえ!
洗い場に下りてぐらっとよろけたのを、おうっ!、と抱きとめる。

すんでのところで転ばさずには済んだが、大河は洗い場に膝立ちで……竜児に抱かれている。
身体が熱を帯びている。当たり前だが。
誰が自然に寄り添ってて、その気になったら、だって?それはいつも突然に来るものだ。
大河ぁ!と呼んで夢中で抱きしめる。
大河のきめ細やかな肌に触れて、竜児の身体のあらゆる部分に一度に信号が送られ、即時反応する。
とくに泡だらけの部分は鳩尾の辺りにみっと埋まって大変な事になっていた。
やばいっ、したいっ、めちゃめちゃしたいっ!!

「あ、当たってる!……堅いぃ、刺されるぅ〜」
んでもって熱いぃぃぃ。
湯あたり大河がへなへなとへたり込む。
「ええ?お、おいっ!しっかり!」

しゃわー。
桶に冷水を汲んで足をつけてやり、座らせて身体にもぬるいシャワーをかけてやる。
ついでにゴメンナサイとうなだれる自らの股間の泡も洗い流して。
「ふ〜〜〜〜気持ちいい〜〜」
「大丈夫かあ?熱が取れたら言えよ〜」
「うー、遊びすぎたぁ〜、あはははは」
「湯船に水差して、ぬるめて入っていれば良かったんだよな」
「むちゅーですっかり忘れてたよ〜」
なんかりゅーじのエロ心にだけ水差してごめん〜。と、こんな時にうまいことを言う。
自分の角も取れて、ほとんど恥ずかしくなくなってきたのにも気づいた。
「いや……俺こそ気づかなくて悪かったな」
「ぃよっし!もう冷めた。じゃあ気を取り直してりゅーじの視姦タイムに行こう」
ヘイ!とハイタッチ。

482幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:13:12 ID:???

攻守ところを変え、今度は竜児が湯船につかる。
あ、大河のシャンプーを買い忘れた。あんたのと同じでいいよ。地元でもそれ使ってた。
やっぱり髪が長いと全体を一度にわしわし洗うってできないんだな。
へえ、水気を含むとずいぶんボリュームがなくなる。頭ちっちゃいな。
こんなのって、普段は絶対見られないんだよな……。

結構な時間をかけて洗髪を終えて、大河が身体を泡だてる。
「もうちょっと視線を気にして、恥ずかしそうに洗ってくれ」
「……ん」
「いちいちポーズとか要らねえ。自然にしてくんねえといまいち燃えない」
「意外と注文がうるさいな。どうやって視線を気にすんのさ」
竜児は先刻の大河と同じ姿勢で湯船の縁に腕を乗せ、のぼせないようチョロチョロ水を差しながら観賞。
これも学習の賜物だ。

「なあ、そこら辺」
大河がせっかく洗い終わって上げた髪を解いて、背中から前に二つに分け垂らしているのを指して要求。
「それはそれでギリギリ水着みたいで良いんだが。相互主義を忘れんなよ?」
「分かってるよ、うるさいなあ。演出ってものがあるんだから」
演出か。そうならこれはなかなかの趣向だ。
密度の低い髪が濡れて泡にまみれ、両の鎖骨から胸を半ば隠しそのまま脇腹から腰を通って後ろへ流れている。
隙間から薄桃色に冷めた肌が切れ切れに覗くのが艶めかしい。日本の古の伝統、垣間見だ。

「ほーらりゅーじ、いくよー。見逃さないように」
やがて洗い終え、桶にぬるま湯を汲むと高々と掲げて、肩口からゆっくり泡を流していく。
柔らかい髪がその滝に泳いで、はらっと広がり、閉じる。隠されていた肌がうたかたに晒される。
お?おおおおおおおおおおおおおおぅ?!
思わず拍手をする竜児。
色っぽいというよりは格調高いのだが、見て気分が高揚してくるのは確かだ。ルネッサ〜ンス!

「受けた受けた!やったー!もう一回みる?」
「もう一回!」
「ぃよーし!」ざばぁ〜
「もう一回!」
「ほいよっとぉ」しゃばぁ〜
「角度を変えて!」
「あらさっ」どばぁ〜
「よしそのままで!」

座ったままでぷう〜と息をついている大河の身体をじっくりと眺めてみた。
あらやだ、と腕で隠そうとするので、隠すなようと拗ねる。
「りゅ、りゅーじに甘ったれ声を出されるとは……遺憾ね。遺憾すぎる」
じゃあ、しょうがないと羞恥に耐える事にしたらしい。おかげでゆっくりと。
スレンダーな印象は変わっていないが、肩と腰の丸みが少し増した。
と言って、あれはあれで可愛かったと思ういつぞやのような小デブにまでは至っていない。
そのせいか、ウエストのくびれがよりはっきり感じられて一段と女っぽいかんじ。
そして、おお、乳よ。
やはりちょっとだけカップが増している。前が「ほわん」だとすると今回は「ふるん」。
それはどう違うんだと問われても説明するのは難しいが。
さっき抱きしめたときに触れた感触と、もう印象が完全に一致。

うんうん、と頷いてしまう。乳製品摂取の不断の努力はこうして実を結んでいたのか。
こうして見ると出会った時は相当痩せていたのだなあと思い出す。
まあ、好き合ったせいで尖った印象が消えたのも大きいんだろうな。
さてと。感慨には十分ひたった。
「も、もういい……?」
「相互主義(キリッ」
キャー。
「触りまくってやるから、こっちへ来い」つか俺にも揉ませろ、その自慢の最終兵器。
りゅーじのえっちー、キャラが変わってるー。お前もなー。
桶にたっぷり泡を立てて、手を伸ばして念入りに洗ってやった。

483幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:14:32 ID:???

ざばあ、とお湯をかけて泡を流したあと、大河がどうしても一緒に湯につかりたい、と言う。
竜児が膝を抱えて作った僅かな隙間に、さすがに小柄でするりと入り込んだ。
脚を互い違いに組んだりして超密着。
「どきどきするね」
「ああ、可愛いよお前は。全然哀れなんかじゃねえよ。証拠にちゃんとお前に夢中になってる」
ほんと。と言いながらぎゅっと握られる。痛い痛い。元気元気。
「照れくさいこと言うなばかっ」
お?なんだか調子がいっぺんに戻ったな?
あのね。なんだかそんなには恥ずかしくなくなってきた。
「でもなんつーか、裸で触れあってると触り慣れっていうのか、なんか里心みたいなもんが湧くよな?」
「そうね。エロいのと安心するのと、両方くるね。お湯につかってるからかな」
そんで時々、エロい波に襲われるのよね。ざばぁんと。
言いながら竜児の胸に顔を近づけ、通称黒乳首にかぷっ。
「おうっ!!!!電気が走った!びりっと」

仕返ししてやるーと大河の脇を持ち上げて、浮上してきた小さめの乳首をちゅるん。ひゃんっ!
どうだ電気?ははは走ったぁ!
そのまま胸に頬を擦りつけ、背中や肩や脇腹をゆっくりと撫でまわす。
つべつべでもちもちで弾力があって、幾分ひんやりもしていて。
思い切り低くて甘い声を出して、言ってみた。
「お前……つるんつるんで、こうしてるとすげえ気持ちいいんだよ……」
そのとき大河がどんな顔をしていたかを竜児は見る事はなかったのだけど。
ただ、珍しく竜児のつむじを見下ろす位置の大河は、その頭をぎゅうと抱え込んで、髪をかき分けて、
額とまぶたにちゅちゅちゅちゅ……キスの雨を降らせる。
「良かった。……りゅーじも、良かったね」
また少しのぼせ気味なのかもしれない。大河も自分も。
竜児は見上げて、温まったか?あがるか?と聞く。
ん……と答えながら、大河の唇がその言い終えた唇に落ちてくる。

上がって、大河をバスタオルで拭ってやる。
熱いのかふーふー息が荒い。もう一枚自分で拭く用のタオルを渡して脱衣所が空くのを待つ。
自分も洗い場で水気を拭い、やがて空いた脱衣所でスウェットを着る。
居間に戻ってみると、大河は肩口と胸元に大きなフリルがついたネグリジェ姿になっていた。
「えっへっへ。やっぱりね、こういうのが好きなのよね」
照れくさそうに頭なんかかいているし、声の調子にも邪気がない。加えて子供っぽくもない。
なにか普通だ。普通だと変な気がする。湯あたりか?
「おう、いいなそれ。似合ってて可愛いぞ。型もミスコンのときの衣装に似てて好きだな」
ん?何だ?ここはちょっとズレたツッコミをしてふくれっ面が返るのが会話の盛り上げってもんだろ?
なんのひねりもない。俺もどうかした?
「そうそう。あれに似ていたから買ったのよ。気づいてくれて嬉しー」
「よ、ヨーグルトドリンク飲むか?」
「うん」
タンブラーに注いでストローをつけてやる。

ドライヤーひとつしかねえから、お前がそれ飲んでる間に乾かしてやるよ。
え?りゅーじ湯ざめしちゃうよ。短かくてすぐ済むんだからあんたから先にやろう。
お、そ、そうか?
ほらあっち向いて。
襟あしを乾かしてもらい、こっち向かされ、前髪のくせもブラシでつけてもらう。

「はいおしまい。じゃこんどはこっちやって?」
大河は背中を向けてペタンと座り、タンブラーを両手でかかえてじゅぅー、と飲み始める。
「お、おう」
何だろう、これは?
明らかに前のような小粋な(笑)会話じゃねえ。
言葉どおりで裏がないなんて、思い出してみても互いにキレたときぐらいか。
髪が傷まないよう、絡まないよう気を付けて手櫛併用で乾かしながら、竜児は不思議に思う。
そうすると、ストローからちゅぽっと口を離して、大河の歌うような台詞も聞ける。
「んはー、気持ちいいよう〜♪梳いてもらってるの」
思ったことがすぐ口をついて出て、裏の意味とかなくて、そのまんま通じる。
何だかずっと抱き合ってるときが続いている感じだ。こういうのも悪くねえ。

484幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:16:01 ID:???

「なあ大河。やっぱシャンプーとコンディショナー前のに戻さねえ?」
「りゅーじと同じ匂いなのに〜?」
「俺はお前の匂いをあっちで覚えちゃったからな、少しもの足りない」
「あー、そっかー。そうだよね」
明日買いに行こうぜー。うんー。
洗髪用のブラシもな。泰子のやつ使っても気になんねえだろうけど、専用の置こうな。
妙に間延びした会話を交わしているうちに、だいたい髪も乾いた。うーん、サラッサラ。
はいおしまいと、ぽんと背中を叩く。

「りゅーじも水分補給しないの?持ってきてあげる」
「冷たいのよりお茶がいいな」
「じゃー入れるよ。冷えるとやばいから私も飲も」
「ん、あーそのカッコじゃ湯ざめしちゃうな。ちょっと待ってろ」
自分の部屋に入り、ごそごそと。あったあった。
ほら。お前がうちに脱ぎ捨ててそのまんま忘れてる服がいくつかあんだよ。
虫干しはしてるから痛んでないだろ。ラベンダー色の手編み風カーディガンを渡す。
「あーこれこれ。ないなないなーと思ってたんだよ」
そっか、ここに忘れてったんだねと呟きながら。
「はい、お茶入ったよ」
これね、ラベンダーの香り付きってのに釣られて買っちゃったんだよ。でも私アレルギー持ちじゃん?
もう匂いきっつくて。袖を通しながら機嫌よく話す。
「でクリーニングに出したらほど良く落ちてさ、それからお気に入りにしてたの」
襟をつまんで伸ばして匂いを嗅ぎながら、色もちょっと落ちてその具合が良かったと嬉しそうだ。
竜児もツッコミを入れる気は起きず相槌を打ちながら聞いているとその嬉しさが伝染する。

要するに、大河の本質は素直な少女であるという、竜児もよく知っている事に過ぎなかった。
感情の起伏に伴ってその表現はくるくる変わり、それを翻訳して理解するのが習慣になっていた。
違和感はそこから生まれている。
おそらくは湯あたりのせいだろう。タガが外れて、今夜はだだ漏れになってしまっただけ。
そして竜児は、存在だけをずっと知っていたその少女に逢えたのだ。

ねー、と大河が傍らに体育座りをして竜児に寄りかかる。
「最初からご飯終わったらこうする予定だったから」
「おうそうか」
お茶をすすり終えたら温まって、じんわりとした幸福感が広がるのを感じる。
互いにキレかけ、心の深奥から真実を叫ばねば逢えない少女に、今夜は簡単に逢えた幸い。
これからの普通の暮らしの中でもたびたび逢えると思えて嬉しくなる。

竜児は半身を向けて大河の耳元にキスをし、ひざ裏に手を突っ込んで、っしょっと持ち上げる。
「ぅおうっ!?」
そのまま自分の胡座の中へすとんとはまり込ませた。
きっと、もっと幸せが広がって伝わると思って。
「へ?えへへ、へへ〜」
「気持ちいいだろ?大河」
「うん、とっても」
「俺もだ。……てかお前温けえ、というより熱いくらいだ」
「もわーっといきなり体温高くなるんだよね。私」
「それか?大喰らいの理由」
ほかほか。ほかほか。大河が体重をかけてくると、竜児もあえて支えようとせず後ろへ倒れ込む。
とん。
とんと、肩が壁にぶつかって止まった。
竜児座椅子がリクライニングしたら座った位置が辛くなったのか、大河はちょっとずれて横座り。
はぁ〜〜〜っふ、と長い欠伸。背中がほかほか。
肩越しに回ってた竜児の手が一旦解かれ、するんと脇下から回り込んで、空いた肩を枕にされる。
お腹ほかほか、肩もほかほか。

落ちる。落ちる。落ちる落ちる落ちる。ふと卓袱台に目がとまる。
メタリックブルーの箱。未開封。
あーーー、そういえばーーー。目的……パコパコカーニバル〜?
んん?目的……落ちるまでりゅーじに触れていようって……あれ?……どっち……だっけ?
「……りゅーぅじ」
「……たぁーぃが……ぁ」
「……りゅーぅ…………」

485幸福の湯あたり伝説(虎、帰るアフター):2011/03/22(火) 01:17:06 ID:???


泥酔中にもかかわらず、足音を立てないようゆっくり階段を上って、泰子が帰宅した。
――あらぁ〜、灯りついてるよぉ
やっぱりぃ〜細かいことがいちいち楽しいお年ごろぉ〜?やっちゃんも覚えあるなぁ〜♪

しょーがないかぁ〜。ちょっと乱暴に鍵を開けて物音を立てる。
ロスタイムも終わりだしねー。
これで中がドタバタしたら、逃走時間を与えてぇ、ゆっくり踏み込めばぁ〜。
……ドタバタしないなあ?
静かに開けて入る。
一歩、二歩、玄関から、台所。
居間。

ありゃまぁー。
冷蔵庫のモーターが立てるぶ〜んという音しか聞こえてこない深い夜。
卓袱台へと目を落とせば、未開封。
ふぅぅ〜〜ん?イイコトする前に落ちちゃったのかなあ〜?
ふたりとも段取りにうるさいしー。
それでもこれじゃあ、ほっといたら風邪を引いてしまう。
泰子は少しよろけながら自分の部屋に行き、毛布を持ってきた。
壁際の、涎垂らして幸せそうなオブジェをふたついっぺんにぐるぐる巻きに。
んっふ♪ホタテマン?
「まあなるようになるガンスないガンスよ。ふぁ〜〜」


「――と、いうのが私たちの昨夜の物語なわけよ?」
時間は今朝に戻って来た。大河と竜児は卵焼きとキンピラで朝ごはんを終えたところ。
卵焼きには刻んだハムとミルク入り。もちろん大河は三杯飯。

泰子を起こさぬよう声をひそめてキレる大河の芸はなかなかだ。
「なっげえ回想だったなあ、おい」
「アレを開封もせず」
ぴしっと箱を指差して。

「貴重な私たちの夜をいっこ無駄にしちゃったわけよっ」
「無駄?無駄じゃねえだろう。すっごく気持ち良かったってお前も言ってたぞ?」
「そ、それはそんな覚えもあるけど……一緒に入ろうって振ったのも私だけど……」
そこを指摘されると弱い。
「でも何であんなにギリギリに全力を尽くしたのに寝落ちしちゃうわけ?何で何で何で!」
やっぱり湯あたりは良くないね。長湯はだめだね。と大河はぶつくさ。
平然とお茶をすすりながら竜児。
「そうか?俺は実に充実した。お前が可愛くてたまんなかったしさ。湯あたりのおかげかな」
む……と大河は赤面する。
じゃあどこが不満なのかちょっと確認してみっか?
ちょいちょい、と竜児は手招き。もっかい座ってみ?と胡座をかく。
大河は仏頂面で腰を下ろして、昨夜と同じ体勢になる。
脇下から腹に手を回されーの、肩に顎を乗っけられーの、首筋に顔を突っ込まれーの。

「あーーたいがー俺ーしあわせー。お前にもおすそ分けしてやりてえ……」

入浴中と同じ声を耳元で囁かれて、それはみごとに大河をフニャフニャにしてしまった。
なあ?イイコトちゃーんとしたろ?
騙されてる気がする!うまいこと操縦されてる!
また入ろうぜ。なんなら今夜も。
う……。

でもまあ、朝っぱらから竜児の腕の中にいられるなら、仕方ないかなとも思うのだ。


――END

486高須家の名無しさん:2011/03/22(火) 08:47:40 ID:???
GJ!!GJ!!! ニヤニヤが、止まらねー!しかし、パコパコカ―ニバル〜www

487高須家の名無しさん:2011/03/23(水) 05:44:33 ID:???
>>485
GJ!!
角が取れて丸くなった大河のおねだりは最強だな。そりゃあ竜児はふにゃふにゃになるだろうてw
可愛いしエロスだし甘くてとろけそうです
この二人は夢のような一週間を過ごすんですね。密着観察したいw

488475:2011/03/24(木) 20:33:56 ID:???
遅まきながら感想です。
>>468
ホワイトデーネタいいですね。焼きたてクッキーの香りが漂ってくるようです。
『オレンジ』のED絵でも三人娘のなかで独りだけガッついていましたから、大河は甘いものに目がない印象がありますね。

>>470
蜂蜜酒を飲む描写だけでアレな隠喩になってたという話もあるようでw
三第噺の人はいつもオチから想像が膨らむように話を書いてくれるので嬉しいです。

>>486-487
喜んで頂けたら光栄です。
アニメでも原作でも描かなかった竜虎が到達した時点からのご褒美というか、
それは作品に接した私らへの褒美でもあるのですが、やはりそれが欲しくなります。
だからエロスを無視することはできないのですがこれを他の方と共有するのは難しいですよね。
好みがいろいろ別れるところですので。

「虎、帰る」のアフターという事では、まさに仰る通り夢のような一週間を描けたらと思っていますが、
七日七夜を要する程までに必要なネタはないですね。三日で充分のようです。
だから印象的にはここで終えた方がいいかも知れません。
書き進めながら、その辺りはよく考えます。他のファンの方のイメージを損なうのは本意ではありませんし。

489とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/25(金) 08:12:13 ID:???
お題 「役立った」「首」「期末試験」
 
 
 
「んーっ……!」
 昇降口から出たとたん、大河は大きくのびをする。
「やーっと終わったわねー、期末試験」
「おう」
 応える竜児も首筋を軽く叩く。
 勉強は好きだしいつもの如く役立った兄貴ノートのおかげで結果に不安は無いが、それでもやはりテストというものは緊張するもので。
 肉体的にはそれほどでなくても、やたらと肩がこった気がするのは不思議なものだ。
「だけど、これであと何日かすれば待ちに待った夏休み!」
「おう、そうだな」
「……あのねえ竜児、恋人と過ごす初めての夏休みなんだから、もっと喜びなさいよ」
「いや、去年も一緒だったじゃねえか」
「『恋人として』ってのは初めてでしょうが!」
「おう、そういやそうか、すまねえ」
「ふん、まあいいわ。で、どこに遊びに行く? 映画は定番でしょー。遊園地や水族館とかもいいわねー。去年は海だったし、今年は山でキャンプとか。ふ、二人っきりでお泊り旅行とかしちゃったりして」
「……大河、お前は大事な事を忘れている」
「え?」
「俺達は受験生だぞ。夏期講習だってあるし、それでなくたって正念場なんだから、そんなに遊ぶ暇があるわけねえだろ」
「で、でも、竜児も私も成績悪くないんだし……」
「そう言って油断するのが一番いけねえんだ。レベル下げたり、ましてや浪人なんて絶対にするわけにはいかねえんだからな」
 そんなことになったら、大河と結婚できるのが遅くなるから……とまでは、流石に面と向かっては言えないが。
「ううー……せっかく高校最後の夏休みなのに、ロクなイベントも無いなんて……」
「まあ、一緒にいられる時間は増えるんだし、デートだってたまに息抜き兼ねて近場でってぐらいならできるだろ。それに、イベントっていうなら一つ重大なのがあるじゃねえか」
「何よそれ?」
「夏休みだからって、大河は弟の世話がある時はうちに来るわけにはいかねえだろ」
「ん、まあね。でもその時は竜児がうちに来ればいいじゃない」
「おう、それだよ。今までは送って行っても玄関までとか、せいぜいリビングまでだったろ。だけど一緒に勉強するとなればだな、初めて大河の部屋に入れるってわけだ」
「そ、そんなの、去年いくらだって……」
「今の家になってからは初めてだろ。『恋人として』ってのもな」
「ひ、ひやゃ……」

490 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/25(金) 08:35:15 ID:???
毎度転載ありがとうございます。
手打ちコピペもこれで最後……だといいなあ……

>>476-485
アマアマ、2828GJ!

491高須家の名無しさん:2011/03/25(金) 20:03:29 ID:???
転載しましたー

>>488
その後が読みたいってのは悲願だよね、特に竜虎好きにとってはw
あまり気負わずに書いてもいいと思いますよ〜。
個人的にはやっぱり竜虎愛が感じられる作品に触れられると幸せ。つまり488氏の作品が読めて幸せ。
色々と苦悩もあるでしょうが、納得できるSSが出来たらまた投下して貰えると嬉しいです。
その日が来ることを祈って!

492475:2011/03/26(土) 14:21:26 ID:???
そう仰られると意欲が湧きます。
だいたい書き上げるとすぐ読んでほしいと思っちゃいますが、>>488のような所は頭冷やして充分推敲します。
「ぼくの考えた最強竜虎愛」ですがwあと同サイズ2エピソードで区切れそうです。
またお会いできるよう精進します。

493高須家の名無しさん:2011/03/27(日) 23:36:08 ID:???
投稿しまーっす。

□□【タイトル】夢の中でも(虎、帰るアフター2)
□□□□【内容】竜虎ご近所デートの半日+夜〜翌朝を密着レポート。45KB

描写は必要最小限に留めておりますが最終パートはガチエロとなってます。
あなたの持つ竜虎イメージを損なうおそれがありますので、
読まれる場合はご注意ください。
かのう屋までは全年齢。夕食後は危険な時間です。

↓宜しくお願いします。

494夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:37:39 ID:???
【これまでのあらすじ】春は三月。親元で高校を卒業した逢坂大河は懐かしい大橋の町に
帰ってきた!本来の転居予定を前倒して単身上京。荷物が届くその日まで。大河と竜児が
甘々+エロスで繰り広げるパートタイム同棲コメディ(泰子付き)。その2!

****

前の晩にいろいろとあった二日目。

朝ご飯を終えて、フニャフニャとくつろいで、大河は後片付け。竜児は洗たく。
大河のセーラー服に水洗いOK表示があるのをちゃんと確認してから、別分けドライモード。
スカートのプリーツも事前にしつけて抜かりなし。これで後のアイロンがけが楽に済む。
「大河ぁ、そのおネグも洗っちゃうから脱いでよこせー」
ベランダの洗濯機の前から室内に声をかける。
「ほーい。覗かないでよね」
「……覗かねえよ」
「なんだ。つまんない」
どっちだよ。カーテンをしゃっと引かれた自分の部屋を眺める。
ややあって、じゃこれお願い、とカーテンの隙間からほわほわレースの塊がつき出される。
一週間居候すると言う割に少ない荷物を見て、汚れものは溜めずに洗ってやらねばと思ったのだ。
おそらくは一泊でとりあえず地元に帰るとか親に言って出てきたのだろう。

居間に戻ってみると、高校時代のジャージに着替えた大河が掃除をしている。
睡眠中の泰子を起こさないように気を使って掃除機を使わず、略式ながらハンディモップで埃取り。
竜児はいくつか窓を開け風を通して埃を追い出すと部屋は大河に任せてトイレとお風呂掃除。
自分の太い毛と大河の長い毛が絡み合って排水溝に溜まっているのを取り除きながらどぎまぎしたり。
板の間をぴかぴかに磨き上げた頃には、洗濯も終わって昼近くなっていた。
「お前にうちを掃除してもらうとはな」
「居候の分くらいわきまえてるわよ……」
「皮肉は言ってねえよ。なんかこう、夫婦っぽいなってさ」
「そ、そうね。練習よ練習」
じゃあ褒美におやつを出そう、と竜児は冷凍庫からクリームチーズケーキを出して紅茶を入れる。
ふたつに折った座布団を枕にゴロ寝していた大河が起き上がって、まったりとお茶。
穏やかな日で、ベランダに干した洗濯物がときおりそよぐ。
「ねえアレ」
あそこに置いたから。と大河が思い出したようにテレビ台を指差す。
見るとメタリックブルーで商品名が銀箔押しで印刷してあるお菓子のようなパッケージ。
昨日開封しなかった事はもう怒ってはいないようだ。

間もなく、おはよー☆たいがちゃぁーん。竜ちゃぁーん。と泰子が起き出した。
顔を洗っている間に、竜児は手早くお昼のチャーハンを作る。
朝食のキンピラと卵焼きも泰子の前に並べる。家族三人もくもくと水入らずの食事。
もくもく?
泰子がテレビ台にチラと視線を向けるたびに大河がビクッ。
竜児の顔を見ればスルーっと視線を逸らす。

「も〜〜〜っ、やっちゃん楽しくなぁい!そんなに気を使うのやめようよ〜☆」
アレを置いて要らぬ刺激を子供らに与えたとは思わないようだ。
「竜ちゃんはぁ〜、年の割に落ち着いてるけどぉ、やっぱし男の子だからアレ要るでしょぉ〜?」
「たいがちゃんはぁ〜、煮詰まりやすいからぁ、竜ちゃんが壊れたら流されるでしょぉ〜?」
そんなとき、そんな日は、震えるその手でアレを開ければいいんでやんす。
口調はともかく、まあ意外にまともな事を言う。
やはり若くても保護者は保護者、と竜児も大河も他人事のように感心したのだった。
けど。
「やっちゃん寝不足になっちゃうから、りゅーちゃんの部屋でねえ☆」
「あ、う、うん」
泰子にひそめ声で囁かれて、大河だけトマトのように染めあげられてしまう。

495夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:38:57 ID:???


もうひと寝するぅ〜☆と、泰子が部屋に消えたあと。
「おし、大河。買い物行こうぜ」と竜児。
「え?タイムセールはまだまだ先だよ。いまから?」
「お前の小物を買うし、それに」
竜児は一瞬だけ言い淀む。がそれは一瞬。恥ずかしい事なんかない。
「デートに誘ってるつもりなんだがな」
「うおう!竜児からで、で、で、でえとなんてせりふがが!」
なんだよう、変か?いいじゃねえかよ。
昨日より暖かいしさ。買い物しながら一緒にぶらぶらしようぜ。
「や、やぶさかではないわね。ヒマだし」
腕組みなんかして余裕をかましてはいるが、顔はまたトマトだ。完熟。
おう決まったな。じゃあ着替えてこい。
と言い終わらないうちに竜児の部屋にだっしゅ!ふすまをぴしゃっ!

女は身じたくに時間がかかると言われるが、大河の場合はそれほどでもない。
似合うファッションの幅が少ないと思い込んでいるのか、持っているのは同系統の服ばかり。
加えて、メイクは髪を整えリップグロスを塗るくらいのほとんどすっぴんだから。
それに旅行中の荷物に悩むほど服は入ってないだろう。
竜児がエコバッグに財布を揃えて、おざなりに髪をいじってきた5分程度で部屋から出てくる。
「お待たせ。……してないよねっ?」
「おう。へえ?」
大河のお出かけスタイルは、アイボリー基調で裾に若葉柄の入ったフリルの少ないワンピース。
いい具合に色が褪せたお気に入りカーディガンをアウターに羽織った春モードである。
薄茶色のニーソックスが緑萌える雰囲気で、ついでに絶対領域ほのかな煩悩も萌え出ずる。
「へえ?へえ〜?」
「なにさ?変?」
「い、いや……。柄ものは好みじゃないと思っていた。そんで驚いただけだ」
「まあ春だからね。はやりの花柄とか着たいけど。ちびだと子供服に見えちゃうんだよ」
「そっか。だったら大きめの葉っぱ柄はジミっぽいけど映えるよな」
本当はそんな事で驚いたわけではない。めっちゃ可愛いと思ったのだが。
竜児もジーンズとTシャツに着替えて1分。スタジャンを羽織って準備完了。
じゃあ行こうぜ、デートに。
うん行こう、デートに。
そういう事になった。

****

泰子行ってくるーとふすま越しに声をかけてお出かけ。
外階段を先に降りて、竜児は大河の手をすっと取る。
なんだろう?先回り、先回りで望みがかなうと大河は嬉しくなる。
「どこ行くの?りゅうじ」
そうだな……まずは。
まずは、お前の手を握ってどこ行くの?と訊かれたからには、あそこだよな。

公園を突っ切って、住宅街を抜けて、川岸に出る。土手に上がって遊歩道を並んで歩く。
「分かっちゃった。大橋だね」
「一応、プロポーズの場所だからな」
一段下がった歩行者用の橋を3分の1ほど渡ったところ。
かつての、雪のバレンタインデーと同じように、並んで欄干にもたれてみる。
「一年以上も経っちゃったね……」
「俺が身投げするなんて、お前が変な勘違いしてな」
「だから、謝ったじゃんよ」
「それに関しては未だに謝ってもらってねえ。でもそんな事はもういいんだ」
「そうそう。りゅうじもオトナになったもんだ♪」
見下ろせば結構な高さで、よく怪我もしなかったものだと思う。
あの日より水量は多く、水が滔々と流れている。
「まあ落とされたから何もかもが分かったんで、迷わずに結婚しようって言えたからな」
「そう……だね。死のうと考えていなければ、相手が死のうとしているなんて思わないよね」
大河の瞳は、もう懐かしいとしか思っていない色。
自分もそうだろう。

互いに、そうする事が当たり前であるかのように向き直る。
「ね、りゅうじ。あんたの事が、好きだよ」
「おう。俺も大河の事が、好きだ」
穏やかに晴れて川面を微風が渡る。
真昼間で他の通行人もいるのに、大河と竜児は顔を寄せ合ってキスをする。
恥ずかしくないわけではなかったけれど、この場所に置き放したものを一緒に拾えた。

「俺、あそこには独りで何回も行ったんだよ」
「あんがい女々しいところがあるんだ!りゅうじは」
「……お前が俺の立場だったらどうなんだよ?」
「心細くて毎日行くに決まってる!か弱いのよ?私」
「精神的にな。知ってる」
また土手に戻って並んで歩いた。
この先にさ、去年の秋にいわゆる複合商業施設ってやつが出来たんだ。
「駅ビルより店が多いから、そこで買い物しようぜ」
「あー。じゃあ私初めてだね。チェックチェック」

496夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:40:18 ID:???


その途中で大河の携帯が鳴る。
「あ、ママだ」
おふくろさんから電話か。聞かれたくない家庭の話もあろうと竜児は手を解いて離れようとする。
大河は離さない。いいんだよ、聞いてけ。という顔をして出る。
「うん、うん。そう。もうずっとこっちに居るよ」
竜児のとこにお世話になってる。うん。だって。大丈夫だよちゃんとしてる。

え?うん、いるよ。
「ママが高須さんちの方にかわれって。話す?」
「……話さないわけに行かないだろうが。はい、高須竜児です。こんにちは」
ええ、いま出先です。近くの川の土手を歩いてます。はい。
「うちのワガママ娘が不躾なマネをして申し訳ありません。親御さんには改めてご挨拶しますね」
「はい。ご丁寧に恐れ入ります。帰ったら母には伝えます。……ええ、買い物に来ています」
ちらっと大河を見ると、私つまーんなーい、たーいくーつ、早く終われー、という三文芝居。
こっちだって誠実な青年を必死に演じてるんだ。もうちょっと我慢しろ。

「大河はカンシャク持ちで頑固ですぐ拗ねるからご迷惑をお掛けすると思いますが……」
「え?それは分かっています。でも素直で優しいおじょ、お嬢さんで。俺は、好きです」
うわあ、お嬢さんだってよ。俺いま完熟トマト状態じゃねえ?
……完熟トマトがもうひとつ傍らに転がっていた。耳を塞いで悶えてやがる。

大河のおふくろさんもなんか黙ってるな?ひとこと余計だったか?
「……ありがとうね。高須君。あれでも大切な娘なのよ。宜しくお願いします。節度を……」
「はい!俺も大切に思ってますから。あの……」
後ろで赤ん坊が泣く声と、おたおたした雰囲気が伝わって来た。
「任せて下さい!たい……お嬢さんに返しますね」
「ぅおっと!もしもしっ。分かったでしょ。こういう人なのっ。……え?うん。うん。はい。それじゃ」
ほらほらおしめじゃないの?もう切るよ?また電話するからっ、ね?じゃバイバイキーン!
いきなり電話を返された娘もおたおたしながら、話は終わった。

「ふう……ぷっ、くくく、くく……」
「ああー、びっくりした。……何が可笑しいんだよ、くそ」
「『お嬢さん』だって。ぷくく……」
「やっぱりお前、親を騙して出てきたんだな?大丈夫かよ」
「お前、とか何様?あんたにとっちゃ『大切なお嬢さん』なんでしょ?わたし」
そんなとこに食い付くんじゃねえ。……ふつう、お嬢さんでいいんだよ。こういう場面では。
もう俺はすっかり真っ赤っ赤なトマト。
「好きです、とか、任せて下さい、とか、もうね。……もう」
含み笑いで嬲ってくれていたくせに、このお嬢さんは再びトマトだ。
「ふつう……言わないよ?……そこまで」
「おう、なんか悪かったかな?最後になんか言われたか?」
「『避妊しなさいよっ!』だって……」
「……うお」

「あと、……ちゃんと連れて帰省しろってさ」
「まあまあ悪くねえ。大成功じゃねえかよ。面接にこぎつけたよ!」
「バッカじゃないの?」完熟トマトの分際で毒づく。甘い声で。
ああまで言ったなら、なんで「くれ」って言・わ・な・い・の・よ!この、グズ犬ーーーーーっ!!
ばちーんん!とケツに渾身のミドルキックをくらう。
「……夏になったら北海道に行こう?りゅうじ。ウニどーん!エビどーん!だよ!」
「痛えよ。バイトできなくなったら、どうすんだ?旅費」

大丈夫だよ?りゅうじ。
誰だってろくに会った事もない人を信用はできない。
だから、私は何度も何度も、あんたの事をどんなに『誠実な人』かママに話してきた。
きっとママは私の方がのぼせて、浮かれポンチで高須竜児にハマっていると思ってる。
さっきは伝えなかったけど、『……あんた好かれてるじゃないの!』って言われたんだよ!
帰省しなさいよ、の前にね。
本当に、面接にこぎつけたんだよ。
あんたに会って、知れば、きっとママもお義父さんもあんたを好きになる。
あんたと家族になれると思ってくれる。物心がつけば、後ろで泣いてた弟もね。
私は疑った事もない。
それに今日は、要求もしてないのにりゅうじが望みをかなえてくれる不思議。

「お嬢さんを、俺に下さい」
「情熱的にもう一丁!」
「お嬢さんを俺に下さいっ。一生涯大切にしますっ」
「いいねいいねー!何事も練習だ。も一丁っ」
「可愛くて肌がつるんつるんのもちもちで抱き心地がとっても幸せなお嬢さんを俺にくれーーっ」
「そんな事は云わんでいぃ〜〜っ!」
あまり人が通らないのをさいわい、トマトたちは喚きながら土手を通って目的地に着いた。

497夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:42:19 ID:???

****

「『ビッグブリッヂ』……だって……」
「名称にはあまり突っ込むな。一般公募だった」
移転した工場跡地に建った複合商業施設。とは言い過ぎかも知れないくらいの規模ではあったが。
シネコンありゲーセンありパチ屋ありレストラン街ありで、ちょっとした賑わいだ。
「俺らの間ではベタ過ぎという話は既に済ませた。ゲーヲタがネタ的に喜んでる」
「ここで戦って負けると武器を取られる、とか?」
「そうそう。そんなの」
しょうもない会話をしながら中に入ると、さっそく大河の鼻歌。……やっぱそれだな。
そうだよ。オープン当初それ口ずさんでたやつは多い。名曲だからな。
「天然素材のロシアンルーレ〜ットぉ〜♪」
ボカロの方かよ。お前その歌詞、最後まで知ってんのか?
心でツッコミつつもししとうを食いたくなってきた竜児ではあった。
地下が食品売り場になっているが、価格は高目で品質はかのう屋と同じ。
まあ利用する事はないだろう。

ふたりはとりあえず1階のレディース専門店街をひと回りしてみた。
「ここはミセス向けが多い。フォーマルなのを探すときにはいいかも」
「そっか。上はカジュアルフロアだな。行ってみよう」
エスカレーターで上がる。
このフロアはティーンズ向けのようだ。広いスペースに品揃えがかぶらない店がいくつもある。
ロリータ系に強い店もあり大河なら気に入るだろうと思っていたのだ。
この上のフロアはアクセサリー屋の他に服の生地屋とかも入っていて、俺はそっちに興味がある。

予想通り大河は、わあ、とか、おお、とか言いながら念入りにチェックしている。
やっぱ女の子だなと思う。
「いいね。チビサイズも揃ってるし。これならばかちーとも一緒に来れる」
「おう、良かったな。女が満足する品揃えって俺じゃ分かんないからさ。……でよ?」
なんか気に行ったのがあったらプレゼントしてやる。と告げる。
「ええっ!?そんなあ」
「この財布には時折バイトしてプチ貯めまくった金がある。家計じゃねえ」
ふふん。とたまには竜児だって胸を反らしてみるのだ。
嬉しいけど、悪いじゃん。
いいんだよ。デートだっつったろ?元々お前が上京したらなんかプレゼントするつもりだったし。
俺にとってもお前にとっても記念日だろ?それが前倒しになっただけだ。
「ほんと?りゅーじありがとーっ!」と、いきなり抱きつく。
さすがにそこそこ客がいるここでは恥ずかしいぞ。いいから選べ、と程ほどにしておく。

それからたっぷり一時間、大河は広いフロアを走り回った。
あとから追いつく竜児に感想を求めて、手持ちのものとの組み合わせを必死で考えている。
考えてみればこういう買い物の大河を見るのは初めての事だ。
元が衣装持ちだから、あいつ目は肥えているんだよな。
欲しいものが見つかっても値段で止めたり俺の懐具合も考えてるらしい。
そうすると、なかなか決まらないかも知れねえな。
俺にしたって、これは大人の真似をしてみる背伸びだから、払える限り払ってやるぜ。
「服じゃなくて、アクセでもいいんだぞ?このフロアにも何軒かあったし、上にもあったな」
「うーん、アクセはね〜」金属ダメなんだよね。赤くなっちゃう。
ああ、そういえばそうだったな。
「金かプラチナかチタンならだけど、分不相応だし」
それに私ね、あんまり光りモノに興味ないの。時間かかってごめんね。
いいんだ。どうせヒマだし、そのために来たんだし。たっぷり悩め。
「お嬢さんよ、上のフロアも見てみようぜ」
「そうね」


3階はいわゆる小物屋が多かった。女子向けで少しローティーン向けか、制服の中高生が多い。
ちょっと場違いなので、大河を独りで放つ。俺は生地屋を見てこよう。
生地屋、というか服飾材料屋はフロア中央のエスカレーターから離れた隅の方。階段の脇にあった。
値段はやはり高目だが、服地やらを買える代わりの店は大橋にはないからな。
電車で都内まで行く事を考えると、徒歩圏なら重宝しそうだ。
などと考えながら布のロールの間を巡っていると、リボンテープのコーナーで足が止まる。
見覚えのある色だな……そうだ、川嶋の別荘で!
あの旅行のとき、大河は髪をぞんざいに上げて結んでポニテにしていた。あのリボンの色だ。
サイドを金糸でかがった薄緑の。素材はベルベット。
大河の髪を上げて、これで結んだら?春らしくて今日の格好にぴったりだな。
三白眼に怪しい光を帯びてヒモを持てば、これから誰かを絞殺するその筋の人、もちろんそんな事はなく。

498夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:43:36 ID:???

しかし、なんだ?俺が大河のナリに口を出す?
いつまでもパジャマでうろうろするんじゃねえ、着替えろ!というのとは意味が違う。
あいつにはあいつがしたいと思う装いがあるわけだし。
でもあのときのポニテは可愛かった。もう一度見たい。
見たいと思うとどんどん見たくなる。
まあ、何と言っても本人に聞いてみなきゃ始まらない。店から一旦でて、大河を呼ぶ。
「この色、似合うと思うんだよ。ベルベットだから軽く見えすぎないし、葉っぱ柄とも合うし」
「なに?髪上げんの?別にいいけど。……ん?この色見覚えあるなあ?」
うん、手持ちのリボンの中に確かあったはず。届くのは来週だし、見つけられるか怪しいけどね。
あ?そうだ、別荘でしてた!
おう。思い出したか。
なんでそんな細かいこと覚えてんのよ。
「え?……それは、可愛かったから、ポニテ」
「あ?そ、そう?また見たいの?」お、おう。
「見てえ」
そうか!と大河はなにかを思い出した顔をして、早口で言う。
「あんたはそのリボン買ってきて。私2階に降りてるから。早くきてよね」
言うなり、店を飛び出し、だだだーっと2段飛ばしで階段を降りていった。

竜児はリボンをワンロール手に取りレジに。後で端をかがるための金糸も一緒に。
2階に降りると、近くの店からりゅーじぃ!と呼ばれた。
行ってみると、一着のブレザージャケットを手に取っている。リボンと似た緑だが少し色が深い。
「どう?色み。合いそう?」
おう?大河を下から順々に見て行って、買って来たばかりのリボンを見比べ、合いそうだと答える。
「じゃ、合わせてみるね?」
すいませーん、これ試着ーと店員を呼んで試着室に入る。

「サイズはちょうどいい」
ハコから出てきた大河はなかなか……どうして。
七分袖のそのブレザーは今年も流行ってるチビ丈タイプ。
いま着ている、ウエストきゅっ裾ふんわりなAラインのワンピと合わせると、劇的に脚が長く見える。
カーディガンでルーズな感じの方が良く知っている大河のイメージに近いけど、こっちが俺好み!
これでポニテリボンはものすごく可愛い。ちょっと興奮した。
という印象を正直に伝えたら。
「じゃあ、これがいい。……ただちょっといい値段かも」
眉を八の字にした困り顔で、どう?と聞いてくる。
見ると、確かにそこそこ。でも『払える限り』なんて額には遠い。大丈夫だ。

でもよ。
「俺はいいと思うが、お前の普段の好みと違うシンプルなラインだぜ?」
身体の線も出ちまうが……いいのかよ?
「いいよ?うん。そう、これがいいの」
これくださーい。あ、ここで着て行きますと店員に告げる。
あとリボン着けたいんで切らせて貰えます?裁ちばさみとメジャーと鏡貸して下さい、と。
道具を借りてレジ脇で、はいりゅうじ、リボンにしてちょうだい。と。

竜児はロールのパッケを開けて、ちょっと長さを計算して、メジャー当てて測ってチョキン。
少々ほつれるかも知れないが、端の処理はあとでやろうと決める。
その間に大河はヘアゴムを取り出し、鏡を見ながらウェーブのかかった後ろ髪を上げて位置決め。
やがてタックを取ってブラシをかけられたブレザーを、どうぞと店員に渡される。
袖を通して襟元を整え、くるっと後ろを向いてリボン結んでと言う。
丁寧に結び目をつくって完成。
想像した通りだった。
重すぎず軽すぎず、浮かれすぎず地味すぎず。ワンピとの組み合わせがいい感じ。
姿見を向けてもらい、嬉しそうに全体を映して何度も確かめている大河を横に見て代金を支払った。

****

店を出て、エスカレーターでなく階段を降りようとしたら、早くもリボンが緩んでいる。
「ちょっと待った大河。ヘアピン持ってるな?2本貸せ」
ベルベットだから緩みやすいんだな。
少しきつめに直してから、隠しピンで留める。これで大丈夫なはず。
ちょうど3階から降りてきた女子中学生らしいグループが大河を見てあー可愛いーと盛り上がる。
降りて行きながら話している内容が階段から聞こえてくる。
「彼氏かぁ?あれ?」
「親子じゃないよねー?」
「でもなんか良くね?あんな事してくれるのが彼氏だったら」
「あんなんちょー恥じいじゃん」
「えーいいよー?」
……
にやり。
にやり。
声をひそめて。
「彼氏だってさ、りゅーじ」
「恥ずかしいとは……まだまだコドモだな」
これが彼氏彼女の余裕というやつか。

499夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:44:42 ID:???

「お腹すいちゃった」
「結構集中して走りまわってたもんな。夕食までもたねえか?」
「うん」
「じゃあ上で軽くなんか食べよう」
屋上がフードコートになっていることを思い出して上がってみる。
パラソル付きの丸テーブルが置かれたエリアを取り囲むように沢山の屋台。
やきそばたこ焼きお好み焼き。ドリンククレープソフトクリーム。
鯛焼き麺類焼きトウキビ、ケバブまである。

「ここいいじゃん。海辺みたい」
「オープンエアだから晴れの日限定だけどな。買ってくるから座ってろよ」
「うん」
なにがいい?
ケバブ……いやせっかくの格好で肉はないわ。お好み焼きとメロンソーダ。
なんだ、肉でもいいのに。じゃ俺がケバブ食うわ。
笑いながら食料の調達に行く竜児。

お好み焼きとケバブとドリンク二人分を抱えて戻れば、ありがちな事に大河がナンパされていた。
地元の他高生2人……ということは2年か1年。酷い言葉を浴びせられるなあと思いきや。
「ごめんね、わたし婚約者とデートしてるの」
これもある意味ではストレートに過ぎて酷いかも知れないが。
「あ、来た来た。ほらあの人」
2人組は竜児の顔を見てビクっと。っしたー、っしたー、と頭を下げてそそくさ立ち去る。
「いまのお前に指一本でも触れたら俺は荒事も辞さねえ覚悟だが」
食べものをテーブルに置きながら大河に話しかける。
しかし、あんだけ穏やかに拒絶するお前にはもっと驚いたよ。
「うん。いま最っ高にいい気分。天にも昇る心地なの。こんなときに汚い言葉なんか出ない」
と言いつつ、少し背を反らしたのは見ないふりをしてやろう。

お好み焼きとケバブを半分交換しろという想定通りの要求に応じて小腹を満たす。
メロンソーダは失敗した。自分では見れないけどすごい色になってるでしょ?と舌を出す。
確かに鮮やかな緑に染まっている。
「りゅうじ、あの」
緑色ではあるけれど、かしこまった口調に変わっている。
「プレゼントありがとう」
「なんだか無理に俺の趣味を押し付けたみたいだったのに、良かったのか?」
「あのね、自分が欲しいものよりも、りゅうじが好きだと思ってくれるものを貰えて良かった」
たとえば食べ物とかゲームとか、そういうものなら自分の好きなものがきっと嬉しい。
だけど服やアクセはさ、私にとっては違うんだ。

「うちを出た時より今の方が可愛いって。綺麗だって。りゅうじは思ってくれてる?」
質問ではあるけれど、分かりきってる。そう大河の顔には描いてある。
「もちろんだ。ああ、いやあのカーディガンだってよく似合ってたぞ」
それも分かってる。でもこっちの方がりゅうじはいいんだよね?
「私は自分がちびでちんちくりんだと思っていて、そこから自由になれる格好が好きなの」
だからりゅうじも知っていたクローゼットの中身、同じ傾向だったでしょ。
でもさっき生地屋さんでりゅうじの顔見て、声聞いて、分かったの。
「私はりゅうじのためだけに綺麗にしてたい。りゅうじのためだけに可愛くなりたい」
そう思うのがとても気持ちのいいことだってね。
蹴りなんか入れちゃった後だけど。……ほ、ほ本当にいま思ってるよ。
なんという完熟トマト。
……俺もか。

「だから、選んでくれてありがとうね」
これも自由にしてくれているんだ。大事にする。と服のあちこちを撫でる。
「りゅうじと居るときにだけ着る。約束する」それにね?
旅行の時のポニーテール、あんなに前のこと思い出してくれたのが嬉しいよ。
頬を赤らめながらも、満面の笑みで礼を言ってる大河にどぎまぎしてしまって。

500夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:46:32 ID:???


おやつを終えて、そろそろ夕食の買い物に行く時間。
その前に大河のおふろ用品を買わねば。
ここにもドラッグストアはあるが、うちの近くの方が安いのでそっちで買う事にする。
言葉少なに。ときどき黙って視線を交わしては、えへ、とか、おう、とか短く。
竜児は大河から目を離さない。
大河は前を歩いて、ちょっと離れて竜児からよく見えるように。
横に並んで、肩で小突いてみたり。
信号待ちでは、いちちゅっごとに有料の投げキッスを直撃成功してみたり。
ついでに車道によろけて、慌てた竜児に引き寄せられて。
そのままエコバッグを提げた腕に絡んで。
見上げて。
見下ろされて。
大河の思い。――望みをかなえてくれる不思議。
竜児に見えたもの。
つむじの後ろで結んだリボンが、午後の日差しを控えめに反射している。

****

いつものドラッグストアの前に来ると、見慣れた美少女コンビに。
「あ!」「あ」「おう」「あ」
ばったりと。
木原麻耶と香椎奈々子。元クラスメート。
そりゃ小さな町だ。会っても不思議なんてことはない。
昨日卒業式だったのだから、今日仲良しがつるんでいて何もおかしな事はない。

「あれぇーーっ!タイガーじゃーん?あ、かわいーっ!イメチェンなのー?」
あでも親元に一回帰って来週引っ越してくるってー?
「麻耶、それよりこっちの腕絡ませてる彼氏を詳しく紹介してもらわなきゃ」
「何だよ、知ってるじゃねえかよ」
香椎は無視して大河を問い詰める。口調こそおっとりしているが恋話マニアなのだ。
「高須くんとデートなのぉ?デートなのぉー?ねえねえねえねえー?」
「あ、うん。そうだよ。」
親元に一回帰るっていうのはうそ。もうずっとこっちにいるよ。と木原にも答える。
「そうなんだー、友だちにも邪魔されたくないんだよねえ〜?う・ふ・ふ、やだぁもう〜」
「いーないーなぁ!2人が付き合ってる現場をあたしたちもやっと見れたって事ー?!」
木原が頬を桃に染めて竜児の肩を揺する。

「今日はばかちーとは一緒じゃないの?」
「亜美ちゃんなら今日明日と仕事で遊べないって」
「ふーん、そうなんだ。あんたたちも買い物でしょ?」
「そ。てゆーか、暇つぶしのコスメ漁り。タイガーは?」
「私はおふろ用品を見つくろいに」

「「おふろ用品?!」」

麻耶と奈々子のダブルツッコミ。
ホテル滞在ならばそんなものを揃える必要なし。
「このあとかのう屋で夕食の買い物するんだよ」

「「夕食の!!」」

ふたりは揃って高須竜児を凝視!状況は果てしなく黒に近いグレー。ていうか黒。
「きゃ。そーなのぉー?やっぱりぃー?」
仕方なく竜児は頷いてみる。
「お、おう。まあな。もうお前らをごまかすつもりはねえよ」
「うっわぁー!あ、じゃあ昨日は……?」
竜児がギク。っと。
「ひょっとしてタイガー……?」
大河がギク。っと。
「お泊り……なのぉー?」
「え、えと……その……うん♪」「おい!」

「「キャァァァァァァーー!!」」

「お、落ち着け」
高須竜児は元クラスメートの女子2人に背中と胸、裏表からばんばん叩かれた。
祝福と、僅かな嫉妬、大きな憧憬に裏打ちされたその暴行を甘んじて受ける。
詳しく!と香椎が拳を大河の口元に突き付けるインタビュアーの振り。
大河も乗ってしまって、昨夜の入浴シーンの公開に及んでいる。
うあああああああああ!
黙れ黙れ黙れそんなこと言わんでいいぃっ!と抵抗を試みるも1対3。
多数派がそーゆー事に興味津々のお年頃女子となれば、勝敗はおのずと決まっていた。
「ハァハァ、なんかもうあたしら今夜眠れるかな?」
「もうー、あたしこれから奈々子んちに泊まるー!泊まんべ。泊めて?」
「もーうまヤラシすぎるかね。じっくり語り合おうか。コスメ漁りなんかしてる場合じゃない」
「あたしたちお菓子買って帰る事にする!」
「じゃあタイガー、高須くん。お幸せにね♪」
「ありがとね。またね」
「披露宴には呼んでほしー!」
「お、おう。何年後になるかまだ分かんねえけど。来てくれな」
「きゃ。うん。またね。また会おうね」
「じゃーね〜」

501夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:47:37 ID:???

ふたりと別れた大河と竜児はドラッグストアに入って買い物。
前を歩くふりふりポニーテールに思わず竜児は呟く。
「……見栄っぱり」
「なによ。い……いいじゃないのよ」
シャンプー、コンディショナー、ブラシなどをかごに放り込みながら。
一緒におふろ入って、私もりゅうじもすごく気持ち良かった。
「どこにうそがあんのさ?」
まあ、大意要約をすればその通りではあるのだが。
それに、私たちがバカップル的に幸福なのは木原にも香椎にも嬉しいことでしょ。
あんだけ心配をかけたんだからさ。
うーん。そうかも知れねえ。
「つまり。私も、りゅうじも、幸せにい続ける責任を負ってるわけよ」
それに、せっかくこうなったんだから。私だって一度くらい……友だちに冷やかされてみたいわ。
ふへへと笑った。

最後にかのう屋へ移動。

「今日はなに食べたい?大河」
「そうねー。昨日がとんかつだったから、お魚食べたい」
「栄養バランスの感覚もついたみたいじゃねえか」
「まあね。というよりはうちのお義父さんが魚介の美味しさを教えてくれたの」
「へえ?」
「趣味がアウトドアでさ、釣ってきた魚を捌く人なのよ。海産物が美味しいところだしさ」
「初めて聞いたな……」
「魚の目利きも市場に連れてってもらって教えてもらったよ。ウデ、見せようか?」
「おう。そりゃ楽しみだな」

鮮魚売り場にて。
「気にした事なかったけど、かのう屋ってモノがいいんだね。さすが地域密着人気スーパー」
「そうだな。その分ちょっと高めだけどごちそうの時は外せねえ」
じゃあ何を選ぶ?
「そうねえ……」
三月である。旬の近海もので、豊漁で値段が安いものを好き嫌いなく。が基本。
「メヌケがあるけど関東じゃあまり出ないから高いね。美味しいけど」
それに底物って分かりにくいからパス。
大河は冷蔵ケースの上をじっくり見ていく。
「まず、今の時期に美味しいアサリは確定。味噌汁もいいけど、春キャベツと酒蒸しにしたらいい」
ほう。ちゃんと教わって来たみたいだな。
「魚はサバにしよう?秋がいいけど春も美味しい。並んでる数も多いからいいのがあるはず」
「俺も同意見だ。これと、これとこれ、あとこれが鮮度いいな。目が澄んでえらが真っ赤だ」
大河の目利きを見るはずなのに、つい習慣で指差してしまう。

「ふっふーん。その中に正解は2パックだけあります」
「おうっ?!あとの2パックはダメか?」
「ダメじゃないけど、脂の乗りが少ないはず」
しめ鯖じゃなくてみそ煮食べたいもん。サバの脂はエイコサドコサ、血液サラサーラ♪
たっぷり乗ってるのがいいよね?
りゅうじの見立てた中で、腹に薄く金色の線が入ってパツパツに太ってるのがいいのよ。
これとこれだけでしょ。とウインクしたり。
なんという若妻振り!と感心してる間に、大河は鮮魚売り場の奥に声をかける。
「おじさーん、これとこれ3枚にしてくれる?うん。中骨いらない。みそ煮にするから皮に切れ目入れて」
「はいよー!ちょっと待ってておくれー。お?姉ちゃん残り少ないの拾ったね」
お前、やるな。
まあね。でも料理はまだ出来ないからりゅうじがつくるのよ。
じゃあ春キャベツと生姜を買ってくるからここで受取り頼む。
しばらく待って、竜児が戻ってくると、はいお待ち―と再パックされた片身が差しだされた。
切り口のエッジの立ち具合、腹側の脂の乗りを見て旨そうだと竜児は頷く。

「それにしても毎日目利き修行をしていたわけじゃねえだろ?すげえな」
「これはセンスね。同じお代なんだからいかに美味しいものを選り分けるかという」
「要するに食欲というわけだ」
「うるさいな……。でもね、まず美味しそうと思えるものを選ぶのが基本だから合ってる」
さっきりゅうじも美味しそうな4つをまず選んだでしょ?
あとはそこから知識で拾う。
深海魚は見た目グロいのが多いから、難しいけどね。
「一番間違いないのは、魚屋さんと仲良くなるのがいいんだよ」
お店にとっても仕入れて良いものは当たりくじみたいなもの。
いつもそれを選んで買って行く客がいれば共感を覚えて貰いやすいってわけ。
そこで、自分がわからなければ教えてもらう。おじさん、おいしいのどれ?って。
そういうふうに教わったのね。
これは英才教育だ。と竜児は思った。
会った事もない大河の義父に微かな嫉妬。俺の楽しみを俺よりも先に……。
とりあえずは、めちゃめちゃ美味しいサバのみそ煮を作ってやる。絶対負けねえ。
レジに向かう間に、竜児はバカ高い紀州南高梅の梅漬けをかごに放り込んでいた。

502夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:49:37 ID:???

****

ただいまーと、帰りつく。
あれーたいがちゃんかわいーよぉ☆と泰子が興奮する。
ぽっぷんきゅーと!とインコちゃんにも褒められてる。
テレ笑いをしている大河を見ながら、竜児は買って来た食材を整理。
針箱を出してきて、ロールの残りからリボンを切りだす。同じものがあと2本取れた。
端をきれいに断って金糸でかがる。
そのチマチマした作業を、泰子が卓袱台に頬杖をついて眺めている。
ブレザーを脱いでブラッシング。鴨居にかけ終わった大河も窓側に座って同じポーズ。
仕上がったので大河の後ろに座り、今結んでいるものと交換して、もう一本を同じ処理。
「緩みやすいから……ひとりじゃ綺麗に結べないな」ね?と。
「おう……大丈夫。結んでくれるやつはきっといる」な?
「じゃあーやっちゃん頼まれても無視するでやーんす☆」
「えー?ひどいー!りゅうじがいないときはやってよー。あ、いいんだ。そうだった」
竜児の前でなければ、これは着けないと約束したのだった。

繕い物が終わると、さて!と竜児は立って、エプロン着用。男の戦場?へと向かう。
アサリの酒蒸しはスープを逃がさぬよう土鍋で!
サバのみそ煮はとびっきりの味付けで!
汁椀はコクとさっぱり両立の赤だしで!
意気込みが暑苦しい空気を醸し出す。竜児はメラメラと燃えている。
大河はそれをほっとく事にして、日が傾いたのを認めると乾いた洗濯ものを取りこむ。
時節柄、部屋に入れる前にブラシをかけながら仕分けて、泰子の指導でアイロンがけ。
もう着ないからと泰子のクローゼットに仕舞い込んだセーラー服が、のちに毘沙門天国で
新たな仕事着のヒントとなったのはまた別の話である。
当然、サイズが合わなくてわざわざ買うわけだが。

そうこうしているうちに、夕食が出来た。
八畳間の真ん中に卓袱台。窓側に大河、向かいに竜児、自室前に泰子。定位置に三人着いて。
「やっちゃんサバだーい好き☆おーいしーい♪」
「りゅうじ、これ?」
大河がみそ煮の皿に付け合わせている梅漬けを指す。
「今の時期安くないのに、珍しい事するね?」
MOTTAINAI精神はどうしたの。
「……まあ、たまには良いだろ。みそダレの単調さをカバーする箸休め。秘中の秘」
「まあ、確かに。この組合せだと、飽きずにご飯が進むわ」
「お、おう。そうだろ?梅肉を潰してみそダレと絡めたのをソースにしてみる、というのも」
んにゃっ?これは?!甘さと脂と酸味がー!と言いつつ今日の大河はわりと上品に食べ進んでる。
不思議そうな竜児の視線に気づいたのか。
「ん?服に汁とか飛ばしたくないだけよ?」
「春キャベツとアサリのだしもおいしー。醤油の香りが立ってるね」
「そうか。うん。良かったな」
やはりいい仕事をして認められると気分がいい。つい胸を反らしかける。
「いやあ、やっぱりゅうじの料理は確かだ。お義父さんの域にも行けるかも」

え゛?
竜ちゃーん、おかわりぃー☆
あ゛あ゛、はいはい……。
りゅうじー、こっちもー。
お゛う゛。
お義父さんの……域に……「行ける」?という事はまだ「行けてない」

大河は魚の目利きがちょっとできるだけの食いしんぼだが、舌は確かだ。
高い、安いは関係ない。食わず嫌いがたくさんあっても、旨ければ好物と認める正直な舌を持ってる。
ある意味、大河を味見役として傍らに置いてから自分の料理の腕も相当に上達したのだ。
虚ろになった竜児の瞳に、かつてと同じように屈辱の炎が揺らぐ。
これは、あれか?また負けるのか。俺は。北村のばあちゃんに続けて二連敗か。
シニアクラスでは所詮、歯が立たないというレベルか?
「……あんた、また魔に魅入られてる」
様子を見て総てを悟った大河が助け舟を出してきた。
「アウトドアの人って言ったでしょ。趣味の料理は最高。毎日のおかずはてんでダメ」
もぐもぐご飯を食べながら、あんたの方が総合点で上なんだからと言ってくれた。

503夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:50:55 ID:???

ああ、食べながらだけどな。口の端に味噌ダレ付けたままだったけどな。
家の中で2時間かけてホタテパエリアなんか作らないでしょーが。ダッチオーブンで。
また大河は八の字眉の困り顔で言う。
「お上品にゆっくり食べてたら満腹感に襲われちゃったよ。三杯目がそっと突きだせない」
悔しいからあとは酒蒸しと赤だしローテいくわ。汁ものばんざい。うまっ。
濃すぎず薄すぎず丹精込めたタレで煮あげたサバはいつの間にか完食されていた。
そんなこんなで、危うくも竜児は境界から連れ戻されたのだった。

シニアクラスでも公式戦に出てこない無冠の名人。
「うはははははは、竜児。お前の食に対する情熱はそんなものか!」と嘲笑う和服の男。
あくまでも竜児の勝手なイメージだが。
ともかくも、心中で『北の巨人』と名付けられた義父との料理対決は……やはりまた別の話となる。

****

「行ってきまんするー☆」
と、今夜もぽよんよんと泰子が出かけたのは大河が洗いものを済ませた頃。
エプロンを外しながら行ってらっしゃいと見送って居間に戻ってくると、竜児のトラウマも収まっていた。
「ねえあんた。味噌ダレが余っていたからタッパにとって冷蔵庫に入れたよ。明日ワカメのぬたにしよ」
「おう。……お嬢さん。いや奥さん」
「へ?へへへ、へへ……そう?まあそう聞こえるように言ってみたけどね。へらへら」
「台所に立つ後ろ姿もいいもんだ」
「は、裸エプロンはだめだよ。まだ。……やっちゃんが出かけるまで後片付けしないでおくとか?」
だめなのかいいのか。
「い、いや。そういうのは初々しい新婚生活のために取っておくべきだ。……と、思う」

二人っきりになれば、どうしてもこういう方向に話題が行く。
だって俺たちは、私たちは。互いを思った恋人同士だから。
節度を持ってと釘を刺されながらも許された恋人同士だから。
こうして挑発するのに。誘いをかけるのに。それなのに一線を踏み越えるのが難しい。
もっと距離が遠かったら、きっと簡単にひとつになれている。と思う。
相手の気持ちを自らの欲望に従って好きに都合良く思えるなら。
そうしてつながってしまえば、そこからゆっくり始められるのだろう。
結果OKというやつで。

でも近すぎる。
大河は、竜児は、あまりに長い間互いの思いを察して分かろうとしてきた。
分からなければ互いが閉じ込められた迷宮から出られず、手を取り合う事は出来なかったはずだ。
今は分かるようになっていて、それは代えようもないほど嬉しく得難い。
でも同時に、欲望が一致しなければ最後まで行けないという事でもあった。
一年以上も前に、ふたりは偶々ひとつになれて、その記憶がさらに誘惑してしまう。
「ゆっくりこのままでいられたらいい」と。
抱き合い分かち合う幸福感に包まれ、でもほんの少しのもの足りなさを感じながらも。

竜児は自らの中の欲望の炎を、見つけしだい消すものと思う。
大河は自らの中にも欲望の炎が灯ると知らないでいる。竜児の炎が燃え移るのが理と思う。
いや、思っていた。昨日までは。
前に結ばれた日にどうやってその炎を扱ったのか。もう分からない。

今日は、思いが互いに伝わってから長く離れて、初めて恋人らしく過ごす事ができた日。
今日は、ずっと口火のような炎が灯っている。それを消したくはない。

竜児はつと立ち、黙って風呂に湯を張ってくる。
ふたりきりの居間に戻って食後の茶を飲み。窓側に座って大河に寄り添う。
点けたテレビを見ているけどうわのそら。なにか話すけれどうわのそら。
触れた肩口から互いの温度を感じる。
大河の顔を覗き込んでみると僅かに見上げて。
少しだけ不安の色が浮かんだ。どこに行くの、と問いかける。
それはすぐに消えた。どこにだって一緒に行く。丸く見開いた目で竜児を見ている。
竜児には大河の口火が見える。鳶色の瞳の奥、光を湛えて確かにある。
たぶんその使い方を教えてやれる。

504夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:52:16 ID:???

伸ばした手で丁寧にリボンを解き、ヘアゴムを外す。ポニテがふぁさっと落ちて広がる。
「黙ってると、怖いか?」
ううん、とかぶりを振る。
「今日も一緒に風呂入ろうぜ」
俯いて、長い睫毛を瞬かせてこくんと頷く。
竜児はテレビ台に手を伸ばしてメタリックブルーの箱のシュリンクをぴり、と破く。
三つ入っている中箱のひとつを開けて、アルミパックを取り出した。
鳶色の瞳がそれをじっと見ている。
――望みがかなう不思議
大河にも聞こえてくる、湯船から湯があふれだす音。


無言で脱がしてやると、昨夜と同じように下着姿で脱衣所に逃げる。
台所との仕切りの暖簾をくぐって、後から竜児も脱衣所へ。
大河はすでに裸で待っていた。
過剰に恥ずかしがることもなく上気した頬に愛しさを覚える。
脱がされて浴室へ入る。

手順は変わらない。
大河が湯船につかっている間に竜児が身体と頭を洗う。
竜児が湯船につかると大河が出て洗う。
湯あたりしないようぬるめにして。
買ってきたブラシで、半身を乗り出して大河の髪を洗ってやる。絡まないよう、傷めないよう。
もともと愛用していたシャンプーの香りは、今がいつだったかと竜児を惑わせる。
泡を流してしまえば入浴としてすべき事はもうない。口数も少なに作業を終えた。

竜児は湯船から洗い場に降りて、膝をついて大河の肩を抱く。
ひざ痛そうと大河は立って、竜児に椅子を譲る。
それから腿を跨いで抱きつく。
竜児も背にしっかりと手を回して支える。
温かい身体が、すこし冷んやりとしはじめた大河を温める。
夜になっても暖かい日だが、熱めのシャワーを出しっぱなしにしてみた。
MOTTAINAI?構うものか。
大河のきめ細やかな肌に触れたあらゆる部分が反応して口火が炎に変わっていく。
「前にどうやってしたのか、もうほとんど覚えてねえよ」
照れくさそうに微笑んで、蕾にも似た唇を求める。
それから頭ひとつ分の身長差を埋めるように、竜児は背中を丸めて大河の首筋を愛撫。
触れ合った肌の感触を快く受け取りながら大河も答える。
「私だって」
言いながら竜児の鎖骨を唇でなぞり少し歯を立ててみる。――食べてしまいたい。
出しっぱなしのシャワーで湯気がもうもうと立ちこめてくる。
「でも、したいようにしていい」
りゅうじがきもちよくなれば、わたしきもちいい。きっと。
「乱暴にはしねえ。こうしているうちに思い出せるだろ。多分」
「乱暴にしたって……いいんだよ」
耳たぶを甘噛みしながら囁いてくる。わたしはりゅうじのものだもん。
ああ、大河はおれのもんだ。

炎が一段と大きくなり竜児を煽りだす。大河は俺のものだ、だから使えと。
これを消してしまえば、ただ抱きしめるしかない。
だけど、灼き尽くされてしまうとはもう思わなかった。
「りゅうじ……触ってみて……」
お前の中にも炎はある。それで俺を求め俺を使え。
「とろとろだ……たいが……」
アルミパックに手を伸ばし封を切って着ける。
大河がきもちよくなればおれもきもちいい。そうすればおれは大河のものだ。
長い離別の時を経て、大河と竜児はまた結ばれる。
切れ切れに響く甘い鳴き声とともに、シャワーの音が続いていた。

505夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:54:25 ID:???


「きもちよかった……」
髪を乾かしてやってると、ずっと押し黙ってた大河がぽつんと口を開いた。
「髪を梳いてもらってるのが?」
「……ちがうよ。い……いじめないでよ」
「俺がまんできなくて、すぐ終わっちゃったから……もの足りねえだろ」
竜児が恥ずかしそうな声で問う。こういうときの男の子には最大のテーマとはいえ、つい。
どう答えられたところで、やっぱり恥ずかしいに決まっているのに。
もちろん大河にそんなことを斟酌できるほどの経験はない。
「……そう言えばそうだけど。きっと何時間つながってても足りないって思うよ」
そりゃ無理だー。と竜児が悶える。
無理は分かってる。だからお礼言ったのに。だったら聞かなきゃいいじゃない。
礼なんか言われてねえよ。
なんとなく露骨な会話を交わしているうちに、だいたい髪も乾いた。
はいおしまい。ぽんとパジャマの背中を叩く。

「りゅうじと一緒に寝る。今日はもう離れたくない。ちょっとだって嫌だ」
「俺の部屋に布団ふたつは敷けねえんだよな。どうする?」
「い……いじめんなっつってんだろ!あんた意外にドSなのっ?」
あたしゃいま浮かれポンチなのよ。おかしいのよ。気ぃ使えよ。
分かった分かった。悪りぃ。
布団を敷き真新しいシーツを張る竜児にぴったりとひっ付いて大河は邪魔をした。
敷き終わるといち早く滑り込む。
「あー、冷たいシーツがきもちいー。……ケットが男くさー」
ううーん。と全身で猫のような伸びをして頭まで布団にもぐり込む。
火の元確認を済ました竜児が部屋に戻ってきて、畳にはみ出た髪の毛に話しかける。
「ちゃんと洗ってるのにな。やっぱしみついて抜けないもんか」
「いいんだよツッコむな。ぜんぶ落としたら殺す。……いま布団はいでも殺す」
なーに言ってんだ。俺が入れねえだろそれじゃ。と遠慮なくはぐ。
おら、髪の毛踏んじゃうからよけろ。湯あがりトマトな大河の脇へ横になる。
確かに火照った脚に冷えたシーツがきもちいい。

「さあ殺せ」
大河がソッコー脚を絡めて竜児の肩をつかみ、胸に顔を埋める。ごんごん頭突きをかます。
「りゅうじりゅうじりゅうじりゅうじ……」
腕枕をして頭突きを抱え込み、零れる髪に顔を埋めると少しずつおとなしくなる。
大河の細い腕が隙間を通って竜児の背中を捕えてぴったりと抱き返す。
ベアハッグのつもりかと思うほど込めた力もやがて抜け、ふうーと熱い息を吐いている。
静かになって、鼓動だけを聞く数分間が訪れる。
「本当に……本当にね?きもちよかったの」
「女はどんな感じなんだ?」
「あのね?お腹の中に火があって、だんだん大きくなる」
「それは俺も同じだな。そのあと背中を伝って腰へ降りて行く感じだ」
お前もそうなの?……ちょっと違うかな?
りゅうじに触れてるところに大元の火が別れてつーって流れていく。
抱き合ってるとね、身体のあちこちでぼっぼって。
そんでりゅうじが触ってくれるとこには、ぼぼぼぼーっってね。
もうそれで溶けてしまいそう。切なくて。きもちいいの。
「ね。あのままだと溶けちゃうのかな?終わりがあるのかな?」
俺には分かんねえ……けどそんな大河を見てみたいな。感じてみたい。
何を話そうと勝手だが、ふたりの初めてのピロートークは、まるで試合のあとの感想のよう。

「きっと今日、デートしたせいだ……」
嬉しいことがたくさんあったから。
プレゼントしてもらってママに認めてもらってプロポーズの場所でキスできて。
りゅうじが私のこと好きって、ていうか、自分のものと思ってるのをずっと感じてて。
「お前も思ってただろ。俺が自分のものだって」
うん。それがお腹の中の火なの。分かり難い?
いや分かる。俺にもそれあった。今もあるよ。
「私も。それには何度も襲われて……テンパちゃって。怖いものって思ってた」
きっとみんな持っているもの。けど私が変だから襲われるまましかないんだって思ってた。
りゅうじが燃やしたときにあいのりするしかないのかなって。

大河は顔を上げて竜児を見つめる。
鳶色の瞳が美しく、蕾の唇が艶めかしく、耳元の産毛が銀に光って可愛らしい。
この大河は俺のものだ、と思えると竜児の口火がまた炎へと変容する。
と、瞳には包み込む親愛。唇には甘える笑みがすっと浮かぶ。
「でも、もう怖くない。ずっと持っていられる」
でしょ?と得意げ。
そうか。
いま俺の炎を感じとって、逸らして遊んでみたわけだ。そんなこともできるのか。
面白いな。初めて知ったことなのに。すぐに。
「付き合うって、恋するのって……面白え。すごくいいな」
「だからみんな欲しがるんだね?こんなに甘いなんて……ほんとに……」
知らなかった。

506夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:55:30 ID:???

「ね、りゅうじ」
いまさっき逸らしたものを、
「りゅうじが……ほしいよ」
また取り返そうってか?
そんなに鳶色の炎を浮かべて、蕾の唇を濡らして?
手を引っ張っていたはずなのに、いつの間にか引っ張られている。まったく油断がならない。
お前に、おれ夢中だ……大河。

少しの静寂に不安を感じて、ずり上がって視線を合わせてくる。
だめかな?効果ない?……まだへたくそ?わたし。ばかちーならもっと巧くやれるのかな。
「りゅうじ……」
――望みがかなう不思議
「大河」
パジャマの隙間から腕をさし込まれて、じかに背中を抱かれる。
りゅうじの温度に触れて、お腹の火が広がっていく。
「もう一度……いいか?」
りゅうじの声を聞いてりゅうじの火を感じる。
りゅうじがほしい。
「うん……」

****

高須泰子が一夜の勤務を終えて帰宅した。
足音をひそめて階段を上がり、音を立てずに鍵を開ける。
窓から差し込む街路灯の僅かな明かりと、冷蔵庫の音だけに満たされた家。

――ほっほ〜ぉ☆
ふすまを閉め忘れてるのはどぉなのかなー?居間に足を踏み入れて、うふっと。
テレビ台に視線を走らせて、またふふっ。
竜児の部屋を覗き込む。
ひとつ布団で抱き合い眠る最愛の息子と息子の嫁。というよりも可愛い娘。

――よかったでやんすね☆
すうすうと幼子のような寝息を聞いて、泰子の胸に暖かなものが広がる。
独りで家を飛び出して、ふたりになって。
行き場を失った愛をありったけぶつけて。
そうしなくては生きてこれなかった。もうだめだ、と諦めたことも。
自分の歪んでいた愛情をひとりでなくふたりで受けとめてくれていた。この子供たちは。
だから息子は狂わずに、壊れずに済んだ。いくら感謝をしてもしすぎるということはない。
――ありがとう、たいがちゃん
屈みこんで、そっと広がった髪を撫でる。起こさないよう、そっと。
ふたりが三人になって、再び絆を結んだ四人家族になり、これからは五人になる。

机の上でふたりの携帯がLEDを点滅させている。静かにふすまを閉めた。
そろっと振り返ると。ごん!
「きゃんっっ☆」
酔っていたのだろう。卓袱台の角に脛をぶつけてしまった。
声が漏れぬよう口を押さえて、泰子は自分の部屋に駈け込む。
竜児が敷いてくれたのであろう布団の上で、黙って痛みに耐えた。

507夢の中でも(虎、帰るアフター2):2011/03/27(日) 23:56:35 ID:???


なに……音……?
薄目を開けてよろよろ身を起こす。目覚めてはいない。
あれ?
薄いブルーのカーテンの窓。開ければベランダ。その向こう……。
ベッドで寝ていたのに。
……りゅうじいるじゃん。
そっか。こっちで眠りたくて。あんまり思っていたから……。
あさはまだ。
ああ、忍びこんじゃった……ついに。
チャーハン……残ってないんだっけ。
いい。ねむいし。さむい。
いっしょにあさごはんだしいっしょにがっこいくし。
あしたごまかせばいいや……

ごまかすのか……
やだ……
ぽふ、と頭を置いてまた眠りに落ちていった。


夜が明けて、よく晴れた三日目の朝が来た。
りゅうじが見てる……ねむい。身体が動かない。
あ、でも明るくなってる。
起こさない……の?
遅刻……は?
少しずつ目が覚めてくる。
ああ髪ぼさぼさ。いいけど。見られても。りゅうじなら。
えっ?ハダカ?
なに?
「おう……おはよう。大河」
りゅうじにぎゅーっと抱きしめられる。
エロ犬っっ!?
え?そうなの?え?本気?――あ?
そっか。
いいんだ。
いいんだった。
これで。
混乱した記憶が解けて、ちゃんと並び直される。
ごまかすことなんかなにもない。

りゅうじの胸にぺたっと頬をつけて。
「んにゅ、おはよ〜」
「寝ぼけてたな」
「んー。ふわ〜あ。うん。まあまあいい夢みた」
指差した方向はりゅうじの部屋の窓。その向こうには……。
あっちから忍び込んでわたしあんたの布団にもぐりこんだよ。
「そうか。いい夢じゃねえか」
「やばいとも何とも思わなかった。とっても夢っぽかった」

可笑しそうにりゅうじが笑ってる。
うん。
そうなんだ。と大河も笑う。
望みがかなう不思議。

夢より現実の方が幸せなんて、まるで夢みたい。


――END

508高須家の名無しさん:2011/03/28(月) 12:38:16 ID:???
ああっ、いいなぁ〜。二人の笑顔が見えるんですよ!幸せそうで、眩しい笑顔が! 心が満たされる、なぁ〜て言うと大袈裟かもしれないけど、あなたの作品には大変癒やされています。GJ!!

509とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/29(火) 06:46:50 ID:???
お題 「させてる」「ペダル」「への字」
 
 
 
「ふぅ……」
 ブレーキペダルから足を離して、竜児はほっと一息。
「ちょっと竜児ってば!」
「おうっ!?」
 途端に助手席から浴びせられる大河の怒声。
「な、なんだよ大河」
「なんだよじゃないわよ! さっきからどれだけ呼んだと思ってるの!」
「お、おう、すまねえ」
「大体ね、あんたは緊張しすぎなのよ。口はずっとへの字だし、血走らせた目をこーんな三角にさせてるし。対向車線のおっさんがビビってたわよ」
「仕方ねえだろ、初心者なんだから。車だってじいちゃんが貸してくれてる物なんだし」
「それにしたって度が過ぎるっての! あーあ、せっかくの初ドライブが散々じゃないの」
「いや、ドライブって……近所のスーパーに来るだけなのに大河が無理矢理乗り込んできたんじゃねえか」
「ドライブはドライブでしょ」
「そりゃ広い意味ではそうかもしれねえけど……」
「まったく、コレを聞かせてもらえるのはいつになるのかしらねぇ?」
 言いながら大河が取り出したのは四枚のMD。
「!? おい大河、まさかそれ……」
「そ。あんたが作った『彼女とドライブの時にかけるBGM』春夏秋冬各バージョンよ」
「い、いつの間に……返せ!」
「だーめ。きちんと聞いてから」

510 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/29(火) 06:52:17 ID:???
転載ありがとうございます。

回線工事の遅れでまだ手打ちコピペ……orz


>夢の中でも
GJ!
やはりアフターな竜虎は幸せでなければ。

511高須家の名無しさん:2011/03/30(水) 00:07:04 ID:???
>>507
やべぇ、デート中の二人がいちいち可愛くて悶える…!
良い奥さんになりそうな大河の成長っぷりと、美少女コンビとの交流が見れて嬉しい。10巻の大河付きバージョンみたいなw
初々しいのに、ずっと一緒に積み重ねてきたものがある二人ならではの安心感
みたいなのも感じられて、ホントもうご馳走様でした!

>>509
GJ!大河とドライブ妄想しながら作ったんだろうなと2828
早く復旧できるといいな。

512高須家の名無しさん:2011/03/30(水) 23:01:52 ID:???
うそぉん、本スレ初の規制くろた・・・orz

まぁいいか、本スレ>>513へのコメ
みのりんの鼻血が心配だw
甘すぎだがそれがイイ!

513507:2011/04/01(金) 01:49:08 ID:???
>>508-511
ご感想ありがとうございます。
原作10巻はラストがファンタジックなんでむしろ全肯定できました。
アニメは1年後の帰還というところにリアリティを感じて埋めてえ……と思いました。
次回でこの一連が終わる予定ではいます。またお目汚しできましたら幸いです。

514高須家の名無しさん:2011/04/04(月) 01:05:56 ID:???
また投稿させていただきます。

□□【タイトル】桜のころ(虎、帰るアフター3)
□□□□【内容】読まれる場合にはご注意ください。具体的描写は必要最小限に留めておりますがガチエロあります。
□□□□□□□□他にもあなたの持つとらドラ!キャラのイメージを損なう描写および設定が含まれます。60KB

実乃梨・亜美・北村が登場します。また、ガチではありませんが百合風味もありますので、
あらかじめお断りしておきます。
今回で完結となります。

↓宜しくお願いします

515桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:07:37 ID:???
【これまでのあらすじ】春は三月。親元で高校を卒業した逢坂大河は懐かしい大橋の町に
帰ってきた!本来の転居予定を前倒して単身上京。荷物が届くその日まで。大河と竜児が
繰り広げるパートタイム同棲コメディ(相変わらず泰子付き)。甘酸っぱいその3!

****

逢坂大河が大橋へ帰ってきて3日目の朝。

竜児は傍らに眠る大河を飽きもせず眺めていた。
カーテン越しに差し入る朝日に柔らかく照らし出されて、幼子のように眠っている。
今朝は先に目覚めたから、竜児は彼女の寝顔を存分に眺めていられた。
目つきが怖いと言われてはいても、こんな優しい表情だってできる。

ガラス細工……人形……精緻な美貌。
大河のすがたかたちを何度も形容してきたけれど、そればかりが本当ではない。
こどものように笑い、得意がり。少女のように恥じ入る。
少年のように挑発的で、母親のように優しく。そして素直な同い年。
熱い体温があり、感情を隠さず映し出す瞳と、この身体を掴む強靭な腕を持つ。
その総てが代え難く愛しい。

ゆっくりと規則正しい寝息が変わる。んふーと長く継いで薄目をあけた。
そろそろ目覚めるようだ。
起きるまで静かに見ていようと決めていたのに、動き出せば思いに突き動かされる。
「……おはよう。大河」と。
声をかけるなり、その小さな身体をかかえこんで抱きしめた。

んにゅ、おはよー。
夢をみてたよーと。まだ眠そうな声。
窓の外に隣接する建物。もう一年以上も前に住んでいた部屋からここに忍び込んでね。
傍らに潜り込んでみたのね。
そうしたらりゅうじが寝ぼけて、わたしにとんでもない事をしたんだと言う。
可笑しくなって、笑いだしてしまう。
大河も後を追って笑う。
ふたりとも可笑しくてたまらない。なぜって?
もしもあの頃そんな事になっていても、今日という日は変わらずに迎えられただろうから。


起き出して、午前中だけ浅い角度で当たる日差しを無駄にはできず、竜児は布団を干す。
明るくて気づかなかったが、机の上に仲良く並べて置いた携帯が瞬いている。
「あ。着信してる。りゅうじー、あんたのもー!」
開いてメールを読む。

「「あ。」」

 逢坂大河に告ぐ。
 お前が我々友人をたばかって高須邸に潜伏している事は既に分かっている。
 おとなしく悔い改めて、彼氏ともども投降せよ。
 本日(ランチタイム後の)13:00、Jonny'sで待つ。ちなみに他の2人も来る。
 待っているぞ!
                               北村祐作
 P.S. 審問に備えて口裏合わせを推奨しておく

同報で5人に宛てた投降勧告、というか会おうぜアポが昨夜おそく着信していたようだ。
その頃には大河も竜児も夢の中だった。
まあ起きていたとしても携帯は机上にあったから気づかなかったかもしれない。
「……なんで北村くんに分かっちゃったんだろうね?」
「お前な。昨日だれに俺たちのバカポー振りを見られたよ?」
「え?木原と香椎……あ!そっかぁ」
「川嶋→北原→櫛枝と捜査線が形成されるには充分だな。どうする?」
「もちろん行くよ?せっかく忙しいのに集まってくれるみたいだしね」
「審問とか書いてあるから結構聞かれるな。とりあえずはメシ食って対策会議といくか」
「うん。……あ、もうひとつ来てる」

516桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:08:48 ID:???

大河にだけ来ていたもう一通のメールは親友の櫛枝実乃梨からだった。
読んで、大河は八の字眉の困り顔になる。
やがて八の字の間にもう一本シワが入ってちょっと泣きそうな顔にも見えた。
竜児は覗きこんだりしなかったけど、その表情は少し気になった。

指定時刻に投降する、と全員に返信を済ませ。
まだ時間はたっぷりあるので、朝食・洗濯・掃除と高須家の日常に支障は来たさない。
友人たちと長時間つるむことになるだろう。泰子のおかずを2食分用意する事も忘れない。
さて対策会議という口実で単なる食後のお茶をのんびり喫する。
微妙な困り顔を続けている大河に竜児は気を利かして。

「俺はあいつらになら何を訊かれてもありのままで構わねえが。お前は?」
「う……うん。私も。ただね?木原や香椎とは違って北村くんたちは巻きこんじゃったから」
「そこだ。俺らがあんまり浮かれて万が一にでも傷つけるのはな」
「そう。……でもね」
神妙な顔で竜児を見る。迷いはなくなったようだ。
「みのりんも、北村くんも、ばかちーも、私は信頼してる。なんでも答えるよ」
「そうか。じゃそれでいい」
「うん」

あっさりと対策会議は終わった。そうして大河はもう一度メールを読み返す。

 わたしの大河へ
 きのう会ったばかりだけどまた行くよ。
 もう卒業だからね。わたしは『あのこと』をみんなにも話したい。
 あんたがそれを許すならば返信くれ。なければやめる。byみのりん

――わたしの大河。
もう長い間そう呼ばれてはいない、みのりんの特別な呼び方。
竜児とも未だ出逢わぬ頃。あの葡萄色の瞳と見つめあった。
懐かしくて甘くて、そして少し涙がでてくる記憶。


****

それはまだ私が誰も信じられなかった、高校に入学したばかりの春。
とある木曜日の午後に温かな雨が降り出して。
傘を忘れた私は、昇降口で大粒の雫が落ちるのを不機嫌ツラで眺めていた。
悩んだところで結局は走って、ずぶぬれでマンションに帰りつくしかないのだけど。
寒くてだだっ広い、独りの家。
ともかくはシャワーも浴びれるし、制服は乾燥機で明日までに乾かせる。
でも面倒くさい目に遭うのはいやだった。つまらない理由でグズグズと佇んでいた。

そこに、名前も知らなかったみのりんが傘をさしかけてくれたのだ。
「逢坂さん?入って行きなよ」
驚いて見上げた時のみのりんの顔。それは今でも忘れた事がない。

同じクラスの櫛枝ってんだよ。家まで送って行くからさあ。
屈託のない笑顔に釣られて、ありがたく相合傘で送ってもらったのだった。
ささやかに嬉しかったけど、無愛想に短く答えることしかできなくて。
マンションまでの僅かな道のりで何を話したのか。もう覚えてはいない。
「わお。ここなんだ。近いじゃん。全然まわり道じゃなかったよー」
あたしん家はこの先5分くらい。

ねっ!朝も一緒に登校しない?
坂下の曲がりっぱな。分かるっしょ?あそこで待合せしてさ。
「あ、うん。いいよ」
「じゃあまた明日ねー」
こんなふうにみのりんと出逢った。

517桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:09:51 ID:???

それから携番も交換し、朝も帰りもわりと一緒で、教室でもつるむようになり。
仲良くしてもらい嬉しかったのに。それをどう表現したらいいのか分からなかった私。
でもそんな事は無視して、櫛枝実乃梨は明るく踏み込んで来てくれた。
やがてひと月もたたないうちに大河、みのりんと呼び合う距離になっていた。

ある日、何度も朝の待合せに私が遅れるので、みのりんが言った。
「もー。お母さんにちゃんと起こしてもらえよー大河ぁ」
「ご、ごめん。……私、独り暮らしでさ。朝に弱くて……」
「え?あんな大っきなマンションで、独り……なの?」
「う、うん。事情があってさ」
「そーなのかー。……じゃさ、これからはわたしがモーニングコールしてやんよ」
「ほんと?」
「こんくらい任せとけよ、大河」

たぶんこのときだ。みのりんが扉を開けてくれたのは。

朝は一緒でいいけど、みのりんは部活をしていたから帰りはいつも終わるのを待っていた。
たいていは図書室で。
ひまつぶしの読書をしたり宿題を済ませたりしていた。
だから手乗りタイガー実はガリ勉!ていう伝説が残ってないのは写真部か生徒会の陰謀だと思う。
ひとを文学少女かなんかと勘違いして付き合えって言うおポンチを何度か撃退しただけなのに。
ともかくも、たった数分間だけれど、心を許せる友だちとふたりきり。
時には寄り道や買い食いをして過ごす時間というのは私にとって何より大切だった。

「ねえ。みのりんは何で私と友だちになろうと思ったの?」
「ん。大河がめっちゃ綺麗だったから」
みのりんねえ、可愛い女の子が三度のご飯より好きなのだよ。

言ってる事はポンチと同じなのに、どうしてみのりんに言われると嬉しいのだろう。
あの頃は分かんなかった。
そしてたしか夏服に変わる前の頃。珍しく遠慮がちにみのりんが訊いてきたのだ。
「ねえ。大河んちに行ってもいいかなあ?」

学校帰りにモスで食べ物買ってご招待したマンションの惨状は言うまでもない。
料理は全然できなかったけど、掃除はわざとしなかったから。
こんな……三世代でも住めそうなうちに独りで置かれてる事に抵抗したかったから。

使ってない部屋は汚れてないから、そこでいいと思っていたのだけど。
必ず通るLDKがこうではどうしようもなかった。
入ってしまってから気がついた。
「本当に独り暮らしなんだねえ……こんなに広いうちで……」
「うん……気持ち悪かったね。ごめんね」
こっち汚してない部屋あるからさ、と案内しようとした。そしたら。
いいんだよ、あたしに気ぃ使うなよ。
「大河……かわいそう……」みのりんは涙ぐんでた。

哀れみを買うなんてまっぴらだ。
その頃も、今でもそう私は思うような奴だけど。
でもそのときは、みのりんに悲しい思いをさせた事がどうしても辛かった。
そして私の家庭の事象を察して泣いてくれるのが嬉しくて。
みのりんは私の頭を抱えこんで、背中を撫でて泣いてくれた。
私も耐えてた思いを抑えきれずに。

ふたり泣き腫らした瞼でリビングの掃除をして。
汚れていないカップを探してお茶をいれて、並んでモス食べて。
遅くまで私たちはぽつぽつと身の上話をした。
いつも明るいみのりんがみのりんの家で受けてる扱いを聞いて驚いた。
分かってくれない家族に一緒に呪いの言葉を吐き。負けないでいこうと誓った。
そうして、その日から親友になったんだ。

518桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:10:53 ID:???

****

携帯をみつめてぼんやりと思い出していたら、竜児がどうした?と聞いてくれる。
なんでもない。考え事していると答えたら、そうかと放っといてくれる。
ありがとう。
ごめん。せっかくの一週間なのに。
居間のテレビ台の横に移動して、ちぢこまるように壁にもたれて。また思い出す。
大河は実乃梨に返信メールを送る。イエスと。
出かける時刻までは、まだ。


大河のレスをベッドに腰掛けて読む。
短く“いいよ”とだけ記されたメール。
離れてしまってからの一年、何度もこの話をしてきた。
そして置きっぱなしにした気持ちを一緒に回収できた。大河とは。
これは大河とだけ分かり合えていればいいこと。分かってる。
わたしがわたしの大河を大切に思い出して、大河がそれを知っていてくれればいい。
けど。

いま大河に高須くんがいるように、わたしにはあーみんがいる。
恋人じゃなくても同じように大切だから本当を分かち合いたくて止まらない。
まだ高校生の気分でいられるこの数日間のうちに。

“いいよ”か。もう一度メールに目を落とす。
あんたは変わらないでいるね?大河。
実乃梨は顔をあげて、初めてともに泣き合った夜から思い出す。

****

――夏。
部活と大河だけで過ごした高一のひと夏。
わたしは練習が終わると図書室へ迎えに行った。
そうでなければ、ネット裏で大河が待っていてくれた。
仲良くなってよくつるんでた北村くんが意外に大河に愛想よくてちょっと疑ったっけな。
あとでポンチの1人と聞かされてなるほどと思ったもんさ。

そうしてわたしらは大河のマンションに帰って、遅くまで一緒に過ごす。
掃除して洗濯して。一緒に食事して宿題して。たくさんダベってふざけて。
わたしはひととおり家事ができたから、やれることが一杯あった。
忙しくて、疲れて。そして楽しく充実した毎日。本当の家には帰ったら寝るだけ。
家族も、女友達のマンションで引っかかってると知ると、連日の深夜帰りに何にも云わなかった。
その関心のなさにも、いっそう反発していたかも知れない。

お気に入りのカップや着替えを持ちこんで。
半調理レトルトや中食や冷食ばかりの手抜き料理を、大河は手作りと喜んで食べた。
おままごとのようでも大河の暮らしを支えているのが幸福だった。
同棲……って言うんだよね。ああいうの。
それは夏休みに入っても続いていく。
部活はあったけど圧倒的に大河の側にいられる時間が長くなって、それで。
わたしは――。

****

ベッドに腰かけたまま再び実乃梨は俯いて、いっそう短くしたサイドをかき上げる。
けれども、どこにも引っかからない髪は何度も垂れてきて、そのうち掛かるに任せた。
これが自分の髪形なのだから仕方ない、と思う。
頬に垂れかかる髪がいやなら禿げヅラにでもするしかない。

****

――わたしは、わたしの大河を守ってやれると思い込んでいた。
最初に声をかけたのも小さくて可愛かったから。
悪い噂も聞くようになってはいたけど、あんなに可愛いんだからそれはみんなの勘違い。
わたしだけが彼女を分かってやれると思っていた。
仲良くなって、それは本当だと知ることができた。
みんな何で大河を怖れ遠ざけるのだろうといつも思ってた。
だから。
夏休みの終わり近く。
練習を終えていつものように大河のマンションを訪ねた日。

519桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:12:10 ID:???

「あぢいなー、くそ。ほら大河、アイス買ってきたよ」
「ひゃほーぅ♪買いに出なくて良かったっ。みのりんは期待を裏切らないね」
アイス大好きー。
アイスばんざーい。
ダンススタジオのようにだだっ広いリビングで猫のようにはしゃぐ。
こんな大河を、わたししか知らないでいる。
「なんだとー?エアコンの効いた部屋で昼寝ざんまいしやがってよー。この茶虎がぁ」
シャワー借りるぜぇ。
うん、アイスはみのりんが出るまで待ってる。
おうそうか。先に食ってもいいのに。愛いやつよのう……。
「大河?」
「ん?」
意を決して誘ってみた。いっしょにシャワー浴びないか?

なんでそんなこと思ったのか。
わたしは大河が可愛い、守ってやる、好きだ。そう思うだけでは足りなくなっていた。
好きすぎて、もっと。もっと大河の近くに行きたいと。
いつの間にかそういうふうになっていた。
きっと大河は無邪気にうんいいよ♪と応えてくれる。
部活の経験あるらしいから、練習後にチームメイトと裸のつきあいくらい?って計算も。

「え……?」
でもそれは浅はかな計算でしかなかったと思い知らされる。
わたしの思いはすぐに伝わって大河を惑わせていた。表情で分かってしまった。
急に恥ずかしくなる。
照れくさい、ではなく邪な気持ちがあからさまになった気持ち。
あ、いいんだいいんだ。そりゃよー外出なけりゃ汗もかかんよなー。

でも、ごまかしてバスルームに歩みを進めたら……。
大河はパタパタついてきたんだ。
「うん。練習後のシャワー気分も懐かしいかも。ゴロ寝してたけど♪」
「おーそうかい。じゃ隅々までおいちゃんが洗ってやるぜー」
「えへ♪」

「前ならえしてみ?おーやっぱ効き腕が指関節ひとつぶん長いもんだね」
「成長期だとね。テニスやってるとかなりね」
成長期ってー?たいがにいつ訪れるのー?さ来年あたりかー?
みのりんひどいー!
「たいがは肌きれーだな。赤ちゃんみてえ」
わったしっのたいがっ♪ぷにぷにっと。
ひゃあ!
「み、みのりんだって腹筋締まってるし。腕だって。それに……う、うらやましーーっ」
ぎゅーーっとハグしてムネに直接カオ埋める超セクハラ。
うぉー、やめろー、恥ずいじゃねーかよーとクネクネ逃げる。でも許す。
許すどころじゃない。幸せな気持ちでいっぱい。

「胸小さくてもたいがはたいがでスタイルいーじゃねーの。はなぢ出そう」
「そ、そうかな?」
「このウエストの細さはちょっとないね。ちゃんと筋肉付いてるし、かっこ良いよ?」
もやもやしていたものが急に凝縮してくるのをどうしたらいいのか。
ともかくも延々じゃれていればこの時間にもとりあえずの終わりはくる。
終わりが来たらまた出直せばいい。わたしたちの時間はたっぷりとある。
そう思っていたら大河がわたしを見上げたんだ。あの大きな宝石のような瞳で。
いいんだよ、いいよ、と。
――みのりんが望むなら、何でもするよ

初めて見た大河のその表情。そのときにわたしは近くにいて良いと許された。
邪だと思っていた気持ちも持ったままいて良いと赦された。
湯あがりに、はいと渡されたバスローブを着た。
高級品ですばらしい肌触り。
同じボディソープの香りを心地よく感じながら大河と寄り添ってアイスを食べた。
この嬉しさがいつまでも続くように願いながら。
だからもっと、今よりもっともっと大切にしなくちゃ、と思えた。
できる、と信じられた。
わたしが望むなら、大河は大河の望まないこともするという。
そんな生き物をどうして愛さずにいられるのだろう?

でも残暑の秋になって、わたしも、わたしの大河も想像しなかったくらい。
幸福な時間は、すぐに壊れてしまったのだ。

520桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:13:30 ID:???

****

「そろそろ何着ていくか決めといた方がいいんじゃねえか」
けっこう長い間ぼんやりしていた私に、りゅうじがまた気を使ってくれていた。
まだ時間はあるけど、こうも固まってばかりはいられない。
「ありがと。ごめんぼーっとしてて。りゅうじつまんないよね」
パジャマ姿のままりゅうじの首にぶら下がって親愛の情を示した。
寝たふりをしているに決まってるやっちゃんにも声をかけて起こす。

おはよー☆と部屋から出てきた泰子がシャワーに行って、なに着て行こうと大河が悩む。
あまり数持ってきてないからなーと。
「おう。じゃこれどうだ?」
竜児が泰子部屋のクローゼットから出してきたのは大橋高校の制服だった。
クリーニング済みでカバーもかけてあった。
「あんたが保管しててくれたんだ?あっちに業者が送ってきた中になかったから処分したと思ってた」
「お前がせっかくきれいに畳んでいったモンだからな」
クローゼットに入れておけば届くのは分かっていたけど。持っていたくなったんだよ。
そっか。変なシミとか付けてない?
……ねえよ。シワは……つけたけど。
ふふっ。付けても別に構わないのに。
おい……。

「まあこれなら何も悩みどころはねえだろ」
「そうね。じゃありゅーじも一緒に学ランでね?」
おうっ!俺もかよ。あったりまえでしょ、卒業後なんだからこれは一種の羞恥プレイよ。
袖を通しながら大河は軽口を叩く。
サイズがいまだぴったりな事に少しだけコンプレックスを刺激されながら。
あ、内ポケットに生徒手帳。写真も挟みっぱなし。
自分のメモさえ懐かしくページを繰る。所々にある天地逆さの悪戯書きは、みのりんの字。
余白がまだたくさん残っている。何か書き込めるだろうか。
そうして、また元の思い出に還る。
りゅうじが早めのお昼を作りに台所へ立った。

****

永遠に続くとさえ思えた親友との幸福な日々。
それは、私がパパのもとへ帰ることになって、呆れるくらい簡単に壊れてしまった。
一緒に転居先に行くという待合せの日にパパは来ず。
あの野郎はそんなやつだと。どこかで醒めてもいたけど、まただという絶望は重かった。
その日、遅くに訪ねて来てくれたみのりんと思い切り泣いた。

「たいがぁ……わたしの大河……」
「みのりん……」
「あんたを絶対に守ってやる……絶対にだ。あたしは……あたしはっ」

パパと暮らす事になったとき、良かったじゃんと喜んでくれた。
パパが私を裏切ったいま、あのクソジジイめがと怒り狂った。
でも喜びの裏には悲しさを。怒りの裏に喜びを。私は感じ取ってもいた。
力のこもったみのりんの腕に押しつぶされそうになりながら。
親に裏切られた絶望とともに、独りじゃないと思えて嬉しかったんだ。

それなのに。みのりんが泣いている。
私には分かってしまった。
抱きとめてくれよ、わたしのたいが。と。
私の方がかわいそうなんてとんでもなかった。
どうしてこうなった?
パパと暮らしてみのりんとも仲良く過ごす。
ちっぽけな私が望みすぎたから?
分不相応であると?
なら。だったら、どうしてその罰は私に向かわない?!
みのりんの胸にぱっくりと口を開けた傷が見えるような気がした。
みのりんが望むことを何でもする。何でもできる。
その傷は私しか塞げないんだと分かった瞬間から。

521桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:14:45 ID:???

あの頃みのりんの熱がどういうものか、実を言えば私には分からないでいた。
分からないままに。でも、応えずにはいられなかった。
同じものを私も持っていると思いながら感じていた、ほんの少しだけの違和感。
それを持ち続けたままで。ともかくも。

大河に抱きとめられて、ようやく気づけた。
わたしの大河が側にいれば嬉しい。いなくなったら悲しい。
クソジジイをこんなにも憎むのは傲慢なわたしの嫉妬でしかなかった。
奴が大河を裏切れば、わたしはわたしの思いを大河にぶつけ続ける事ができる……。
それが、本当の願い?!……だった……って?
そんなこと。
知りたくもなかった。気づきたくなかった。
だってこんなにも愛してやまない大河がいなくなってしまったら、わたし空っぽだ。
いま腕の中に捕まえている、わたしの可愛い大河。大切に守った茶虎。
細い腕にものすごい力を込めてわたしの背中を抱いてくれている。
いいんだよ……いいよ……と。
不意に実乃梨は力を失ってしまった。見上げる大河と目が合った。
大河のマンションの、リビングのソファのうえで。
長い時間、鳶色と葡萄色の瞳を開いたまま見つめあう。
思考が回り始めてすぐに止まる。
どうして?どうして大河?
どうしてもだよ。大丈夫だよ。

葡萄の瞳から、やがて堪え切れず涙があふれ出した。
やり切れなくて、どうしようもなくて、途切れずに頬をつたい落ちる。
大事なことに気づいてしまったのだ。
こんなにも今すぐ必要というのに。今ごろになって。初めて。

わたし、女じゃん。なにができる――の?

目の前にいるのは、わたしのものじゃない逢坂大河。
大河はわたしの致命傷を押さえて、大丈夫、大丈夫だよと懸命だ。
自分の背中にも痛い刀傷を負っているくせに。
わたしが女だから。それをどうしようもない。
大河を救えない。自分も救えない。このままなにも――できない。
ただ何の役にも立たない涙を流し続けるだけ。
鳶色の瞳が困ったように瞬いて、それから優しい光を浮かべて、――みのりん、と。
あとからあとから頬をつたう涙を、口を寄せて吸い取ってくれる。
たいが――っ!
たいがぁ……。たいが……。
……。

「たいがは優しいね」
「みのりんだって」
落ち着けたわたしは思っていた。大河はこんなふうに献身するのか。
わたしだけに?
ひょっとして、心をつないでくれた相手にはみんな?
一瞬で、躊躇うこともなく?
「それにさ……」
「なに?たいが」
「みのりんは、すごく女の子なんだ。きっと」
私、分かっちゃった。
「う……それは」
知りたくなかった。
「もう少しでたいがをモノにできたのによ」
軽口を叩いてみる。
ふふん♪と可笑しそうだった。
もうバレバレか。とわたしは苦笑い。胸にずきずきとした痛み。
「モノにしたかったら、いつでもどぉ〜ぞ」
おーよく言ったなあ〜なら遠慮なく……襲うぞぐぉら!
きゃーん!みみみみのりぃーーんぬっ!目が血走ってるぅ!タップタップタップ!
いつものように。ハグってモフってグリまくり。
あんたはそういうやつなのかな……?わたしの、であっても。なくても。
思いを込めて、1回だけどさくさのキス。もちろん。今ここにいる大河に。
さよなら……わたしの大河。
ありがとう大河。
大好きだよ。

そのあと、1日なにも食べていなかったことを思い出し、ふたりでJonny'sへ行った。
馬鹿みたいに喋って、食べたいものをお腹いっぱい食べて。
バイトの募集を見つけてその場で応募。書類はあとで持ってくることにして即決。
……空っぽのままでなんかいられない。
わたしがわたしでいる事が、この茶虎めを愛し続ける唯一の資格。
この胸に置き去られた大河への熱はそのまま残す。ずっと大切に持ち続ける。

522桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:15:57 ID:???


秋が深まるごとに、実乃梨が大河のマンションを訪れる機会は減っていった。
出逢った頃のように、登下校と学校でつるむだけの関係に戻る。
大河は北村を意識しはじめ、実乃梨はバイトを増やして部活に熱中。
わたしはもう泣かないからね。と宣言して。

初冬に入ったある日の学校帰り、大河が図書室で借りてきた小説に実乃梨が興味を示す。
ふと目に入ったタイトルが気になり、自分も読んでみたいと思ったのだ。
あと少しで読み終わるから借りてきた。すぐ回せるよと大河は言う。
甘えて、久しぶりにマンションを訪ねてみた。
多少散らかってはいるものの、自分で片付けているのだろうと実乃梨は安心する。
すぐに大河から回してもらって、その場で読み始める。
以前の様に、実乃梨は深夜まで居座って本を読んでいる。
大河は嬉しそうにお茶を出して、食べ物を買ってきて。
そして実乃梨と大河は変わらずに寄り添う。
「ちょっと私たちみたいだよね?」
「そうだなー。途中はじわじわ苦しくなるけどさ、ラストも不安を残すけどさ」
「ふふっ、それじゃなんにも救いがないように聞こえちゃう」
そんなことないよ?みのりん。大丈夫だよ。
分かっていれば、大丈夫かもな。
『あんたの自我は、わたしの自我じゃない』ってな。気づけたらね。
読み終えた本を閉じて実乃梨が言う。
内容はともかくタイトルがすごく気に入った。あんたにこう言いたい気分でいっぱいだ。
うん私も。それで読み始めたんだもん。
「たいが、好きだよ。いつまでも好きだよ」
「うん。ありがとう」
私もみのりんが好き。ずっとね。
「……うん」

その日から1年経って、実乃梨が再びここを訪れたとき。
それぞれに言いたい相手が増えていることをふたりはまだ知らないでいた。
『あなたに、ここに、いて欲しい――』

****


「おーい!ここだここだ!……なんだ、お前たち?」

大河と竜児が定刻チョイ前にJonny'sを訪れると、隅の6人がけボックスから眼鏡男が手を振っている。
北村祐作。元生徒会長にして竜児の親友。大河の親友でもある。
ランチタイムが終了して空いた店内。
ツレが先に来ているから、と店員に断って歩み寄る。

「何で制服着てるんだ?お、逢坂も。……いまさらだけど『逢坂』のままでいいんだよな?」
「こんにちは、北村くん。名字は変えてないよ。制服は、まだ高校生気分でいたいから♪」
「おお、そうかあ。亜美がまだだけどまあ、すわれ」
よお。
よおたきゃすきゅん。
みのりーん。
たいがー。
「制服の大河がまた見られるなんてな!サービス嬉しいぜよ!たきゃすきゅんはどうでもいいけど」
「うわぁ。櫛枝冷てーじゃねーか」
「高須くんのは見慣れてるからいーんだよ。さあさあ大河、隣こい!」
じゃあ高須も奥行け。お前たちを逃がすわけには行かんからな。あーっはっはっはっは♪
お前のハイテンションはなんか怖えよ。
席につくと、店内の暖房が効きすぎているようだった。
それに今日は平日。窓際で制服だと誤解を招きかねず、大河も竜児も制服の上着を脱ぐ。

そうこうしているうちに、亜美が来店した。
北村が呼ぶと、小走りで走り寄る。
「おっ待たせー。ちょぉーっとだけ遅れちゃったあ?やっぱしたくに時間かかるからぁー♪」
普段着の分際でこのいいぐさ。性悪チワワ健在!川嶋亜美の入場だぁー!!
などと全選手入場アナウンスみたいな北村のツッコミはガン無視で、大河を挟んで端にすわる。
「よっ♪」お愛想。
「よお。一日ぶり。仕事じゃなかったのかよ?」
「んーん?あ麻耶に聞いたのか。あいつらにはちょっと嘘ついたの☆ヒッマヒマ!」
「へー。まあつるむのをサボりたい時もあるか」
「まあね。独りで高校生活を思い返してしんみりとひたりたい気分?みたいな?」
「川嶋が普通の女子みたいなコメント吐くなんてな。面白え」
「ホント?高須くんにウケるなんて珍しいな。亜美ちゃん感動♪」
テーブルを斜めに横切って、大河の目前で、竜児の手をしっか!と握る。

523桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:17:24 ID:???

「おい」
無視すんな。
即座に低っくい声で威嚇のツッコミ。
おおっ老雄十八歳にしていまだピークは去らず!虎のふたつ名は伊達じゃない!逢坂タイガーだぁ!!
ノリノリだあ北村くん!
老雄って……。
ガーン北村くんにタイガーって発音された。北村くんに……。
はっそうじゃねえわ!

「くぉらばかちー……ひとのダンナになに愛想振りまいてんだ。喧嘩売ってるの!?」
「あーらタイガーいたんだ?小ぃっちゃくて全っ然見えなかったよー。え?ダンナ?籍入れた?」
「上っ等じゃないよ!また蚊ぁとか蠅ぇが飛びまわるかもよ?ここなら!ちなみに籍はまだよ」
「おーぅ。行っけ行けぇ大河ぁ。タダで見れるにしちゃ豪華すぎるカードだよ!」
ファイッ!
それぞれの手をガッと組んで……いや取っ組み合いまではしないけど。
「名勝負数え唄ってやつだな。うんうん」
「やぁーん。高須くぅーん。みのりちゃんと小っこくて見えないのがいじめるぅ〜☆」
「いやあ、俺止めねえぞ?懐かしすぎるしなー」
変なテンションではあっても、5人にとっては離別の空気を埋める大事な儀式みたいなもの。

じゃれ合いはそのくらいにして、注文とるぞー。みんなドリバーでいいか?
適当なところで北村が仕切る。バタバタとメニューを開いて。
私フレッシュミルクプリンサンデー。とドリバーね。
わたし付き合ってストロベリースペシャルザサンデー。とドリバー。
「はあ?あんたたち相変わらず好きなもん食うのね。まーた太るよー?」
あたしドリバーだけ〜。
男2人はどのみちいつもの。
注文を済まして、北村と竜児がドリンクを取りに行く。

あーん。
あーん。
大河と実乃梨はそれはもう美味しそうに互いのパフェを交換しつつ。
やっぱり春はイチゴだよねー。いやいやあんたは年中乳製品だろー。
シュガー抜きアイスティーの氷をストローでつまんなさそうにかき混ぜる亜美。
「ねえ……亜美ちゃんにもひとくち」
「なんか地獄の底から餓鬼の声が聞こえるね、みのりん」
「食べたきゃ注文すればいいのにね。変な人だねっ」
「あたしゃ契約条項に体型維持とかあんだよ!スイーツとか欲望のまま食えねえんだよ!」
「ふーん」
「へーえ?うまっ。ああほっぺ落ちそう〜」
あー!ちきしょーっ!!そんでも友だちかよっ。もういいっ。
すいませーんと店員を呼び、ストロベリーガレットを注文してしまう。
や〜いブタブタぁ〜。あんたらが言うなっ。
「やっぱ仲いいよな。お前ら」
コーヒーをすすりながら竜児が無責任なボケを。
「どこがだよ?」
我慢できずにイチゴスイーツのヤケ喰いに出た現役モデルさんが的確に受ける。


「卒業してしまったな。お前たちともそう会えなくなるけどこれからも付き合ってくれな」
「ゆーさくは留学じゃーん。ヘタしたらこのあと人生で何回会えるかだし」
やっぱ兄貴かい?あーみん。
そ。こいつ兄貴バカ一代だもん。
ひそめ声でさくっと意思疎通できる2人を見て、ずいぶん親密になったと大河は感心する。
「え?そんな事ないだろう。たぶん。とりあえず行ってみるだけだしな」
「まずは行ってみねえと何も分かんねえからな」
「北村くんはのう……行ったらとりあえず道場破り修行するの『それ、もしかすると兄貴?』ってさ」
なにそれ?
ネタ振ったのあーみんだろが。

「いやいや『兄貴に先手なし』だから」
北村の受けも分かり難い。
相手に先手を取らせるという意味でなく、生死の限界まですみれさんへの思いを耐え忍んで……。
「そうだよ。北村くん。押忍の心で」
梶○一騎に造詣があるとは逢坂も意外だな。ほんとに十八歳か?
い、いやあ。なんか言わないといけないような気がしてとりあえず。
「はははははっ。なんと片思いの人間の顔の珍妙なことよ!」と実乃梨。
「バカの顔だっ!」と北村の前に手鏡を差しだして、亜美。
「おこがましくもMITに対抗せんとする兄貴バカの顔だーっ!!」と北村がセルフで締める。
なんだかなねー。
緊張感ねぇーわ〜。
乗ったくせに退いて落とす酷い女ふたり。

「でー?兄貴と連絡してんの?」
「まあ……それなりに。いろいろとアドバイスもらったりな」
心なしか少し顔を伏せる北村の様子を見ると、それなりにそれなりらしい。
この男はいよいよダメになると大声で援けを求める性格だから、こうなら安心できる。
「行ったらHAHAHAHAHA!って彼氏紹介されたりしてなっ♪」
「むごいよみのりん……」
いや、そんなことは想定済みだっ!イメトレはもう何度も済ませた。
「吾、ことにおいて後悔せず!!」
それは宮本武蔵だろっ。と裏拳のツッコミ4本が同時に北村の顔面を襲う。

524桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:18:34 ID:???

おかしいなあ。ちゃんと梶原○騎つながりだったのに。
眼鏡の食い込みが痛かったのか押さえながらぼやく。まあ一時期はやった目潰しよりは安全だろう。
かけ直して。
「まあ、おれに何ができるのか腕試しだ。逃げ帰るのかもしれん。永住するかもしれん」
やれるだけは、やってみる。それはみんなも一緒だろ?
「まあな……」
なにか気のきいた激励を言おうと竜児が口を開きかけた。
すると女子三人が揃って胸前で腕をバッテンに組んでいる。
「なんだ?お前ら?」
「クサいかも?」
「クサいのやだ」
「モグ……モルグに放り込むぞおら」
大河……お前もか。酷え……。
う、うるさいっ。つ付き合いってもんがあるわーっ。
「高須のセリフがここ一番と言う時だけクサ過ぎて台無しなのは仕様だ。あまり責めるな」
それに……な?
それは逢坂だけが人柱になって聞けばいい。

「まあおれの話はこれぐらいだ。じゃ次は亜美な。進学するとは意外だった」
「まぁーねぇー」
正直、芸能界一本で行こうって熱意がね。ちょっと足りないって思う。
モデル仲間にはもっと目の色変えてこれしかないって、キッツくやってる子が何人もいてね?
結局はどこかでそういう子たちと競り合うことになるわけ。
そのとき蹴落としてガッツリできるのかはまだ疑問なのよ。
「だから、片足は普通に就職しやすい方に突っ込んでおく。それだけよ」
あーみん他にも言うことあんじゃねーのー。
うーん。やっぱやめとくかな。

「なんだよ。言いたい事があるなら言えばいいじゃねえか」
「あたしがねー?高須くんをどう思ってたかの話でも?」
おう……。と竜児が黙ると大河の目つきがキッと変わる。逆さ蒲鉾断面。
チッと舌打ちしたりもするが、もはやそんなので怖がるやつはここには1人もいない。
亜美が無視して続ける。
やっぱ三年になってクラスが分かれて。好きな時にいつも話できない距離になるとさ。
気持ちって増えもしないし減りもしないわけ。
それに、分かっていてくれると思えれば恋じゃなくても良いって話は前にしたよね。
「ばかちー、あんた……」
「別にあんたに気ぃ使ってるわけじゃないよ?タイガー」
竜児に話していたのに、大河に向き直る。
あたしはあんたが失踪して連絡がくるまでの一日、高須くんが好きだってすっかり忘れてた。
あんたともう一度逢いたい。ずっと友だちでいたかったのにって。
そっちの方が少しだけでも大きかったのよ。
だから、あんたが約束を守って帰ってきた。それでいいんだよ。
それにさ?

亜美はスイーツ用の長いスプーンで、んっと大河の喉元、竜児の胸元を続けて指す。
「こーんなの見ちゃうと亜美ちゃんもーぅ何にも言えねーしー☆」
竜児は鎖骨の辺り、大河は耳の下に紫色の刻印。
そんなには濃くないが医学的には鬱血というやつ。ベタに表現すれば、キスマーク。
おおう!と残りの2人が興奮する。
見つけた手柄はあたしのもん!とでも言いたげなドヤ顔で亜美が続ける。
「ちゃーんと朝見て、熱い蒸しタオルで目立たなくしてー、ファンデで消すんだよぉー☆」
な、なんだ川嶋。お前……経験あるのか?
まっさかぁ。常識でしょこんなのぉ。
「すごいなー高須。歯型まで……。逢坂って激しいなあ」
空気を読む事を知らない。というか意図的に無視した北村のコメント。
大河も竜児も迂闊だった。焦りまくり。
あ。アイスティーなくなっちゃった。祐作持ってきてー。
おう待ってろ。ついでにみんなのドリンクもな。

「たいがたいがー!見せてみ見せてみ!」
「やーんやん、恥ずかしいよー」
「うはぁ!キャラ違うよ大河ぁ!はははなぢ出そう」
えー。CM行きまーす(棒)。と言いたい竜児だった。

というわけだから?高須くん。
三年になってから何度か奈々子が言ってくれたんだ。略奪しちゃえばぁ?って。
あの子やさしいからさ、あたしの迷いが浮かぶと見つけてくれるんだよ。
それでいっつも安心できた。
ほんとは最後だから記念に……とかも思ったの。
でもね。
あたしがずっと見てきたのは、あの素敵なちびを分かってる高須くんなんだよね。

「そんなわけであたしは告白しないから。今日は」
バレバレだろうと関係ねーし。直接本人に言って初めて告白だからね☆
たぶんそれは現在のところ、亜美の人生で最高に魅力的なウインクであったろう。
「おう。」
伝わったかどうかは、高須竜児しか知らない。
いいのかい?あーみん。
あたしはね。
ドリンク持ってきたぞー。

525桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:19:45 ID:???

「失踪と言えば……。そうだな。丸一日にも満たなかったけど」
北村が眼鏡をかけ直して呟く。
おれたちは高須と逢坂の駆け落ちを支援して、吉報を待つ身だった。
ふたりいっしょに逃げてるなら希望をつなげて待つこともできると思っていた。
それが一夜明けてみたら壊れかけの高須だけが学校に来たんだよな。
「いや、逢坂を責めているわけじゃない。ただ、知ってもらいたいんだ」
ほんの半日なのに。
おれは永訣という言葉が浮かんで仕方なかった。
「宮沢賢治の詩……だね。『永訣の朝』」
少し間を置いて大河が受ける。続けて、あめゆじゅとてちてけんじゃ。と
それを聞いて、北村は静かに頷いた。
「このまま会えなくなってしまったら。……それは永訣と同じだ、とか思えてな」
逢坂からメールが来るまでの僅かな間だけでしかなかったけど。
おれは大切な友達と……。

まだ思い出すと胸に迫るのか、目に光るものが浮かぶ。
「ごめんね。北村くん」
みのりん。ばかちー。……りゅうじ。
ごめんね。
結局は親の都合で引き取られ、遠くへ転校する。という出来事でしかなかった。
それは友人にちゃんと説明して、離れても友だちでいてと伝えるだけ。
ただそれだけのことが、あの頃の大河にはできなかった。
子供であるゆえに、いよいよとなれば親に従う他に何もできないと分かったとき。
大切な人のために自分がここにいた痕跡をすべて消し去ることを選んでしまった。
それが永訣とまで思われるなど。考えもしなかった。
自分にそう思われる価値があるなどと、これっぽっちも信じられずにいたから。

りゅうじが、みのりんが。北村くんが、ばかちーが。みんなが。私に教えてくれたんだよ。
ここにいて欲しいって。
だから必ず帰ろうって思えたんだ。
ひとりずつを真っすぐに見据えながら、大河は心から礼を述べる。
「待っていてくれて、ありがとうね」

「あたしはさ、あのとき高須くんを殴ったんだよね」
「おう。櫛枝の腕力だからな。強烈だった」
悲しいのもあったけどさ、独りにさせたくないやつを何で手放したっ!?と思ったんだよ。
あたしには確信があった。高須くんにもあったはずだよ。
こいつは誰にもすがらないで、自分だけで決めて身を投げ出すやつなんだって。
実乃梨は傍らの大河を抱え込んで静かに話す。
「その最後の最後を、高須くんは手に入れたはずなのに……ってな」

「手に……入れたから。だな?大河」
「うん。りゅうじに全部あげて。全部をもらったから」
「そっ……か。大河。」
手を離しても戻って来れると思える力、を、高須くんにもらった、のか。
何度も何度も何度も思い描いた大河だけのやり方。高須竜児には無償で渡さなかった。大河の全部。
想像もできている、ほんの半歩先に大河が踏み出せた理由。
もう胸は痛まないけど、答え合わせだけが引っかかっていたんだ。
それはいまあんたの耳の下に刻まれている。
それは……わたしが踏み出せなかった半歩。
とっくに分かったつもりでいたけど、実際にも見ることができた。
この世界には本当にUFOがいた。

「ねえ。あーみん?わたしはあんただけに聞いてほしい」
「え?みんないるのに?」
「うん。聞かれても大丈夫。今どうしても言いたい」
本当の友だちになるためにあんたが知りたがっていたあのこと。
みのりちゃん……。
「わたしね。あのとき『大河に』振られたの」
聞いてはっとした顔は、女子ふたりだけ。

亜美はそれだけで総てを理解した。
「そうなんだ……」
最後の最後であんたの欲しかったのは……高須くんじゃなかったんだ。
んふ。全部分かっちゃった。
めちゃめちゃプライド高いね……みのりちゃん。
大河も理解する。
電話では「この話、墓場まで持ってく」と言ってたみのりん。
急に話したくなったのは、そうか。ばかちーに聞かせたくて。
りゅうじの顔をそっと盗み見てみる。分かってか分からないでか、優しい顔だ。

526桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:21:05 ID:???

「櫛枝が逢坂に振られた?ってのは初耳だな。ケンカでもしてたのか?」
「いーの、祐作は。これは女同士の話しなんだから」
「そうか……すまんな」
あんたのガチマッチョ心は同じ心を持つ兄貴に理解してもらえよ。
そ、それが意外なことに時々しおらしいと言うか。そういう手紙が。
文通してんのっ?!
今時じゃねーな、北村くん。
とりあえずローコストだったからな。日本語に飢えてるらしいし。

「まあ、わたしの話はそんなとこ。……そうだ大河」
覚えているかなあ?
なに?
「わたしは『あんたに、ここに、いて欲しい』もう一回言っとこう」
「あ。覚えてるよ。うん」
「これからも。いつもじゃなくても。ね?大河」
「うん。みのりん」
あーみんも。たきゃすきゅんもな。北村くんはどっちでもいいけど。おい、冷たい!
みんなにここにいてほしいな。そういう気持ちを持っていたい。また会いたいよ。
うん!
ん。
もちろん!
おう。
櫛枝の笑顔はやっぱり眩しい。竜児はそう思った。

さて、じゃあ今日の集まりのメインディッシュと行きまっしょいーっ!
櫛枝実乃梨はポケットティッシュを出してテーブルの上に置く。
びっと引っ張って一枚立てて。
はなぢ対策、かんりょー♪
シートの真ん中で挟まれた大河に向かってはすに構えて。
それはまあ〜いじめっこな顔で。
「……コラ。いっしょにお風呂入って気持ち良かったそうじゃなイカ?」
「へ……?」
北村も亜美もぐいっと半身を乗り出した。
平静を装って冷めたコーヒーを含みながら、青ざめた竜児が十字を切る。

「うあーぃ!騒いだ騒いだぁ!面白かったなあ!高須、逢坂」
「ほんと!北村くんが相変わらず裸族なのも分かったし。でも北米では止めた方がいいよ」
「そうだな。兄貴じゃないマッチョに勘違いされてもかなわんからな!」
ファミレスでの異端審問が一段落したところで、5人は北村の提案でカラオケに流れたのだった。

4月からの新生活に備えて、それぞれにやる事はそれとしてあったけど。
ヒマだろ?お前たち。場所変えて遊ぼう!と言われれば異存があるはずもなかった。
いつまでも騒いでいたい宴。
建て前ではカラオケ屋のルームチャージがハネ上がるからという理由。
本音ではカップルを2人きりにしてやらんと、という温情で早めにお開きとなった。

「でも裸はいいぞラは!うっ屈したものがパァッっと飛ぶ!逢坂もやってみろ」
「うん!うちに帰ったらね☆りゅーうじっ☆」
「お?そうだったな!今夜も仲良くしろよ!」
「任せろ北村くん!」
店先の路上。大河は傍らの竜児を見上げてなんちゃってインビな表情をつくる。
いろいろ白状させられて、エロ虎、などと呼ばれて。もうヤケなのかもしれない。
「お、おう。なんか身の危険を感じるが。まあ、いいか」
遅れて、実乃梨と亜美が出てくる。
「恥じいから大騒ぎやーめてくんなーい?」
「あと1回か2回しかできねーよこんなこと。大目に見てくだせーよあーみん殿」
「元々の予定は開けてくれるんだろ?エロ虎の引っ越しのあとさ」
えええっ?あんたが言うのかっ!他人事かっ!なんてこと!!
軽く暴行を受けるがみんなスルー。

「まあねぇ〜。じゃ次は来週ね。あ、来れたら麻耶と奈々子も呼んでいい?」
「もちろん!あ、じゃあ能登も呼んでやらないとね。アホロン毛も」
「春田は彼女さんとイロイロかもしんねえけど、連絡してみっか」
ね、ばかちー。能登と木原ってどうなの?
なーに、興味ある?
うん。私煽ったことあるし。
「あんたと高須くんよりグズグズしてるよ。でも卒業だしどうにかなるんじゃなーい?」
ま、来週くるなら見てみれば?
そうだね!仲良くなってればいいなあ。
「それから、その次は……北村くんが渡米する前に一度遊べるかな。どうだい?」
「ね!だったら日帰りでもう一度うちの別荘行かね?」
おお!それいいな!
わお!でも大丈夫なの?
「うん、春は使わないはず。朝イチで行って、泳げはしないけどお昼食べて、ダベって」
「さすがばかちー!あんた最高だ!褒めてやるっ」
「よーっし!食材用意してって腕ふるってやる!」
「シェフがやる気だあー!わっせろーいっ」
わぁぅ!こんなとこで筋トレやめてーっ。みのりーん。

限られた時間の中で、精一杯の思い出を作ろう。
駅前を歩きながら楽しい計画を練って、5人の気持ちはまたひとつに。
じゃあここで。まったねー。と北村と亜美が別れた。
だいたいの方向が同じ3人はもう少し。

527桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:23:11 ID:???

「じゃあ。高須くん、大河」
住宅街の辻で実乃梨が別れる。
「高須くん、ジャンピング土下座はしねえけど。大河のこと宜しくお願いします」
ぺこりと頭を下げる。
あの屋上での壮大な勘違いを再現しようと。
この子は私の大事な大河です。気難しいところがあって心根の優しい子です。
「大河!幸せにしてもらえ!この優しくて強いやつに!」
葡萄色の瞳に夜空の月を映して、両の手をふたりに託す。
竜児も大河も言葉を発さず、でも大きく頷いて実乃梨の手を握る。
「高須くんも支えてもらえよ?」
「おう。もちろん」
ああ、勘違いはもう。してないんだな、と。
そして実乃梨は、大河と竜児ふたりの肩をいっぱいに広げた手でしっかりと抱いた。
「よし!じゃあな!また来週!!」
「おう!」
「またね!みのりん!」

****

実乃梨と別れたあと。散歩しねえ?と誘われて、大河は竜児と歩きだす。
暖かい日が続いていたせいか日が暮れても妙に生ぬるい。
えらく遠回りをする。
竜児がズボンのポケットに両手を突っ込んでいるから、大河には手を預ける所がない。
「北村……にさ?」
「ん?」
北村に兄貴が見つからなくて、お前の告白を受け入れていた。……としたら?
付き合っていただろうね。何をして良いのか、その先が分からなくても。
「そうなっていたら……櫛枝は……」
俺は……どうしていただろう。
竜児を見上げて、竜児の気持ちをひとつも見逃さないようにして答えようとする。
……同じだったろうね。と期待どおりに答えようとする。
黙したまま大通りを通り、昼間いたJonny'sの前を通る。
街路には桜の樹が並び、このところの陽気にふくらんだ蕾がいくつか綻び始めている。
春まだ遠い自宅の窓辺で想った桜を大河は見上げて。

「言わない」
ぴたっと歩みを止めた竜児がこっちを見下ろして、またすぐに歩き始めた。
機嫌悪くさせた?と心配になるのも一瞬。
全然機嫌なんか悪くない。変わらずに私を好きと思ってくれてる。

私がママに引き取られるって事だけは変わらなかったから。
それをいっしょに乗り越えてくれるのはりゅうじしかいなかった。きっと。
北村くんでなく。みのりんでなく。
でもりゅうじが言うようになっていたら……ここにたどり着けただろうか。
たどり着けたからこそ初めて言えることなのに。言ってもいいのだろうか。
「俺……ちょっと拗ねてるのかも」
ぽつりと言う。
やっぱり感づいていたんだ?

後をついてみたり、先を歩いてみたり。
住宅街の中を通って、見覚えのある角。立つ電柱には内科医院の看板。
「まだ傾いてるよ。ははっ♪」
「覚えていたか」
そりゃあね。2年も前なんだね。

「あんたが、もしかしてと思ってるようなことはなかった」
言わない。と告げたのにゆっくり言葉を紡いでみる。
黙って電柱に手を伸ばして触って、少し撫でて。
竜児を見上げて、さっきの実乃梨のように街灯の明かりと月とを瞳に映し出して。
「……そっか」
「そんなつもりはなかったし、みのりんも踏みとどまってくれたよ」
「そうか。悪りい。」
「いいんだよ。ただひとつだけ……」
つもりはなかったけど、その気持ちは嬉しかったんだ。本当に。
りゅうじがそれも気に入らないのは分かってる。
けど私、恥じるつもりは……ないよ。
「おう。……そんなの大丈夫だ」

528桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:24:14 ID:???

「だ、大丈夫って何?」
ここが一番大事なとこでしょ!りゅうじにとって。私にとっても。
あんたは出逢う前の私の過去も俺のもんだって。思ってくれない……わけ?
「は?だってお前いま居直ったばかりじゃ」
「居直る!?」
居直るって、ま、まるでわた、私が浮気者みたいに!
い、い、やそれはその通りかもだけどさ。なにそのしょうがねえな風な。
あー。遺憾だわー。私悪くないもーん。あ、これもう言ったことあるわ。
とにかくっ、りゅうじだけいっつもモノ分かり良く飲み込むなんて。そ、そ。
そんなの嫌なのっ。
「こういう場合、ふざけんなそんな過去は俺が消してやるっとか、じゃないのっ?」
「だってなあ。お前自身が消したいって思ってねえだろ?」
そもそも相手は櫛枝だし。
いくら俺が潔癖症だからってそんなとこまで。なあ?
「あーもう何だろ私?りゅーじのやきもち嬉しいのに足りないっ!寂しすぎるっ」
もうっ、分かってよっ!!
ああ。分かってるとも。
お前が自分の分を負担させろ。寄越せって思ってるのはな。
そうは言っても、これは分け合うほど大した何かがある話じゃない。
ま、要するに。
「こういうときは、こうやって流すんだよな……?」
もう子供じゃないから、芸はあるんだよ。大河。
電柱脇、街灯と月に照らされて。竜児はじたじたする大河の肩を押さえてちょっと屈む。
春の宵に渡る微風はやはり夢のようで、肌を撫でられくすぐったい。
ん……。
「落ち着いたか?」
「うん落ち着いた」早えな!
制服だし。この場所だし。おまけに季節もほぼ同じ。
今がいつなのか。ふたりそろって勘違いするには充分なシチュエーションでもあったろう。
「なんかね、すーーっと。余計な考えが落ちた!」
ポケットから出した竜児の左腕に絡みついて、夜の住宅街を帰途につく。
回り道のようでも、これが最短距離なのだ。


「ただいまー。あ、泰子もう出かけたか」
しょうがねえな。灯りつけっぱで行きやがって、だらしねえ。MOTTAINAI。
ついでに上着を脱ぎ捨てる大河にも小言。
ちゃんとハンガー持ってきて掛けねえと……お。
拾い上げたブレザーの内ポケットから落ちたのは生徒手帳。
「ああ、入れっぱなしか。……何だまだ写真2枚挟んだままだな」
「うん。え?あ?ちょ、ちょっとっ」
急に血相を変えて大河は手帳を取り返そうとする。
なんだよ?北村の写真持ってたって別に気分悪くねえよ。俺だって……櫛枝の写真捨てる気ねえし。
「そ、そうだよね。ははは……は。わっ?!」
竜児がページをぱらぱら繰りだしたのを見て慌てる。
「なんだ?これ」

縦軸に日付が並んでいる。うん、上京してからの日付だな?
じゃあこれ今日書いたもんか。
横軸にみみず?のようなヘタな絵、隣に虎縞猫の顔が並んで描いてある。ああ虎か。
ということは、みみずは竜。竜と虎、俺らだな。
タテとヨコに囲まれた余白に、○△×が記されていて……。
ふと見ると大河の頬がぷくっとふくれて、でも桜色に染まっていて、眉は八の字、瞳爛々。
誰が見ても明らかなほど恥ずかしがっている。
見るまに俯いていって。消え入りそうな声で。
「……た、対戦成績……」
「なんでこんなんで赤く……は?勝敗?ゲームなんてしたっけか?」
竜児の白星はなく、一昨日が△同士のドロー。昨日までの通算で△××。大河は△△○。
いつの間にか卓袱台の脇で向き合って座っている。

529桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:26:27 ID:???

おうっ!これって……?もしかして……?
「なあ?ひょっとして……俺の二勝一分け?」
「りゅ、りゅうじの……一勝二分けで、しょうよ……」
大河は正座のままぴょこぴょこ近づき、胡座の脛を膝小僧でつんとつつく。
そのあと身を乗り出して胸にごん!と頭突き。
「わ……わたしも一勝……二分け……かな。ははっ……」
「そ、そおか。どの辺が対戦なのかもはや分からねえが」
一勝できて……良かった……じゃ、ねえか。お互いな。
竜児も俯いているつむじに向かってごちん……と軽い頭突きをかます。
「……きょ、今日は……勝ち越せた……らいい……ね?」
「お、お、おう……」
負けゲームがないなら現時点で既に勝ち越せてるだろ、とか考える余地もなかったが。
相変わらず、回りくどい大河。
「しかしまたどうしてこんなマメな事を……?」
「き、記録しとけば後々役に立つ……んだって。……浮気とか」
「誰にそんなことを?!」
「……ばかち」
お前か川嶋ぁ〜〜。
んべっ、と憎まれ顔が浮かんだ。

――うぁ〜ん☆どおしよ〜?やっちゃん遅刻しちゃう〜
出勤の支度に忙しく、うっかりただいまに返事し忘れていたらこの始末。
まあ結局のところは物音でも立てて、間をとってからふすまを開ければ済む事なのだけど。
やっぱり泰子にもこんな雰囲気は楽しすぎるのだ。
――今日はちょっと遅れよーっと☆
ぽちぽち勤務先にメールを打つ。
ふすま越し1mにも満たない距離で続くイチャつきにニヤケてみる。

「勝ち越すには……やっぱ出場回数が、というか……大事だよね?ふへへ……へ」
「まあ……そうかも……知れねえな」
どこへ話題を流れ着かそうとしているのか。
少々不気味に感じながらも竜児はつきあってしまう。
「りゅうじ先発はアレかもだけど……抑えの守護神だよね」
「アレとか言うな」
だんだん乗ってくるとネタがはしたなくなるのは、しょうがないのかも知れない。
北村がバカ兄貴。おっと。兄貴バカ一代なら間違いなく大河は竜児バカ一代。
逆に竜児も同じである事は論を待たないだろう。

「ねえ……その……ローテってどれくらい?」
いきなりだな。中三日とかのあれか?
うん中一日要らないのはわかったけど。
は?ああそういうことか。
「そうだなあ……1時間くらい?……かな?」
昨夜の実績をバカ正直に答えてみる。

――りゅ、りゅーちゃん!ダメでヤンス!!もっとサバ読まないと死んじゃうっす〜よぉ☆
ふすまの陰で泰子が母親の顔に戻って青ざめている。

「1時間……そう?ふ〜〜ん」
ひと晩で4ゲームはできる計算……なのか。
そうすると守護神で6勝くらい?……ぐふふ。大勝利。パ、パコパコカーニバルぅ〜☆
指折り勘定してニヤついてもう一度ごん!と頭突き。
これは甘えてるのに加えて、とっととプレイボールを宣せよ、という催促でもあった。

そのとき、がたん!と物音。
「きゃんっ☆寝っ過ごっしたんすっ!」
ばたばたばたばた……と泰子部屋の中から。
大河と竜児は座ったままの場所で予備動作なしに10センチ飛び上がる!という。
到底人間わざとは思えない芸を披露してわたわたわたわた。

「き、着替えてくるっ」と竜児は自室に走り込む。
逃げ遅れた大河はぴうぴう鳴らない口笛でテレビリモコンに手を伸ばし、窓側の定位置に。
同時にふすまがばぁんっ!と開いてフルアーマー泰子登場。
「準備完了ッス!行ってくるっス☆」
「うん。やっちゃん。行ってらっしゃーい」と玄関まで見送りに立つ。
さすがは元手乗りタイガー。クールな常態に戻る速さは未だに他の追随を許さない。
桜色の顔は戻しきれなかったけど。
「おるすばん宜しくねー☆じゃましてごめぇん。にゃはっ☆」
きゅんと柔らかくハグして、泰子出撃。

「あぁ〜びっくりした。聞かれたなぁありゃ〜」
部屋着に着替えた竜児がふすまを開けて戻ってくる。
「……そんなことより」
ん?うわあ目が逆さ蒲鉾型に釣り上がってるよ。
「逃っげったっわね?……この私を置いて……」
機嫌を損ねるのと、貪り喰われるカーニバルとどちらが好ましいのか。
それも高須竜児しか知らない。


「りゅーじがやっちゃんにあんなこと知られたくないのは。うん、分かるよ」
お腹がいっぱいになったら完全に機嫌が直っていた。
怒る→腹がへる→鳴る→食事の提案→わっほいという余りにも慣れ親しんだコンボ。

530桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:27:47 ID:???

買い物に行ってないから食材は乏しかったけれど、こんなときにはそう。チャーハンだ。
カブとにんにくを切らしていたが、他は揃っている。春キャベツの残りに玉ねぎ、ベーコン。
甘すぎるのは紅ショウガでバランスを取ってやる。
居間で待っていればいいのに、大河は脇に立って調理を眺めている。
「ゴロ寝してりゃいいのに」
「ううん。見学してる」
そういや昼からメシ食ってなかったしな。と思いつつ。
見学者のために手元を見せ、わざとゆっくり野菜を刻みベーコンを刻み。炒めて取り置き。
合間にスープをつくる。
やらせろと言うのでスープの実を刻ませたら手返しは遅いがまあまあ形にはなっている。
大河の作業が終わるまで待って、卵を溶く。中華鍋に油を敷く。
「ここからは一気にやる。ペース落とせねえからな?」
「ふんふん」
炒めた卵が半熟で冷飯に絡んで、飯から出た水分がほかほかして、それが飛んでパラリと。
仕上げに香り付けのオイスターソースと醤油。流れるようなご家庭厨師。
うん。りゅうじはやっぱりかっこいいぃ。とあらためて感心されたり。

とまあふたりでチャーハン食い終わって、くつろいでいるのである。
「いくらもうバレバレってもね。顔合わせるのは恥ずかしいかも」
カルネアデスの舟板ってやつよね。私を見捨てたのはオトナになって赦してあげる。
うん。済まねえな。サンキューな。
「話は違うけど、ちゃんと観察してみれば料理は手順の組合せよね」
「そうだな。効率よくやろうとすれば詰め詰めにできるけど。手が離せない作業はそうは多くねえ」
毎日の家庭の料理なら、10分で出来ることを15分かけてもいいのよね。
「台所に立ってる間じゅう緊張してなきゃいけないと思っていたよ」
「大事なとこだけ気合い入れて、他は気楽にやればいいな」
「うん。できそうな気がしてきたわ」
りゅうじが私の料理を食べて旨いっ!って言ったらどんな気分なのかな。
おう、俺も楽しみにしてる。ちょっとずつ練習しようぜ。

ところでこんな流れで言うのもどうか……とは思うんだけど、さ。
んー?
「おふろ……入る時間よ……ね?」
「なんか……1日おきにかわるがわる誘ってるな。じゃ、入るか」
「う、うん。お湯ためてくるっ」
だっしゅ!

なんだな。機嫌は直ったし、カーニバルな空気も回避したようだし。
夫婦ってこんな感じなのかと、平穏に慣れ過ぎて図々しく竜児は思う。
でも湯が張られた頃に上機嫌なエロ虎からちゃあんと期待を外さない課題を負わされるのだ。
「んー。抑えの守護神にも、サービスエースを期待しとく」
「……テニスになってる」
大河が想定したゲーム数自体にはなんら変更ないらしい。

「そうよ。Loveから始めるんだもん♪」


「……2年の……秋にはお前とこうなってれば」
そうすれば……。もっと。
もう深夜。静かな声で竜児が呟いた。
竜児の部屋で、ひとつ布団で。懐に抱え込んだつむじに顎を当てながら。
「みのりんの事はどうしてたつもり?」
「関係ねえ……」
「北村くんが好きな私を?」
「それも……関係ねえ」
めちゃくちゃ言ってるね。
分かってる。
「だったら……秋じゃ遅いよ。夏休み。旅行に行く前。」
みのりんが、りゅうじを好きになる前。
お前の方だって。
私は……そうね?4月にもう友達になろうって言われて振られ済みだもん。
ああ、そうか。って無茶いうな。
……私もめちゃくちゃ言ってるだけ。
こうしていると私も心から思うよ。もっと早くこうしたかったって。

531桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:29:02 ID:???

それでも。
「年が明ければ、ママに引き取られるっていうのは変わらないんだよ」
もし、りゅうじにここまでの気持ちを持ってたら、私……行けなかったな。
そしたらりゅうじはきっと……。全部捨てて一緒にいてくれたね。
「ああ、そうしていたな」
「一か月くらいかなあ?逃げ切れるの。そして捕まって」
やっちゃんもママも二度と私たちを逢わせてはくれなかったよ。
だから二十歳になったら家を飛び出して一緒になるんだよ。きっとね。
「同じようなこと考えるんだな。俺は……それでも悪くねえって気もしてる」
「うん……私も。りゅうじとなら」

高校生活の真ん中で半年だけ結びついて。
そのあと無理やりに2年ほど引き離されて。
耐えて、壊して、呼び合って、また逢う。
それもまた、あり得たかも知れなかったやり方。
「でもね。今の方が守り切ったものがずっと大きい。ずっと、幸せって思ってる」
「……そうだな。そうだ」
「私、そう言えば考えられる限りの最短で帰って来たんだよ。褒めて?」
「ああ!よくやったよ、お前は」
俺の手の届かないところで、大半はお前だけの力でな。
くしゃくしゃと頭を撫でる。へへへ、とテレ笑い。

4月になれば別々に進学だ。その前に引っ越し日のあとは寝るのも別々……。
こうしていられるのもあと少しだね。
でも慣れないと。でも慣れるのかな?
「そろそろこうしている方が当たり前に思えて来て……ね」
「慣れろ。俺も慣れるからさ」
「うん」
とーこーろーでー?
にぎっ!
おうっ?

「またやる気?」
「け、喧嘩売ってるみたいだな。……お前がその気なら、その、え〜と」
「さすがはりゅうじだわ。約束を違えない男だね☆」
「約束?……なんかしたっけか?」
「『傍らに立つ』っていう……」
下・品!とつむじに手刀を叩きこむ。

「うぅ〜。まありゅうじの体調もあるだろうし。今日はもうやめとく。手刀痛いし」
「そうか、そんなら……寝」
「……でも!どうしても!どう〜しても襲いたくなるんなら……拒否しない」
「……」
「期限は眠くなっちゃうまでね」
「……」
「黙りこんじゃったよ……。きっと眠いんだ?。眠るがいい。落ちるまで見てる」
「……お前なあ」
ふわぁ〜あふっ。とわざとらしく可愛い欠伸をかまされたり。
ややあって竜児はもぞもぞっ、と。
もー。りゅーじはしょーがないねえ〜♪などと囁かれて。
騙されてる気がする!うまいこと操縦されてる!とどこかで思いながらも。

でもまあ、大河だから仕方ないと。そんな事は前からずっと分かっているのだ。

532桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:31:17 ID:???

****

手荷物だけで大橋に帰って来てからの一週間が夢のように過ぎた。
手をつないで、寄り添って出かけ。買い物をし、食事を作り、作り方を教わり、笑いあって食べる。
独り暮らし用の家電を選ぶのを手伝ってもらったりした。
お互いの進学先をチェックしに行くという口実で都心にも行った。
あのメタリックブルーの、お菓子のようなパッケージはいつしか空になって。
新たに二つ目も買ってきて、どちらのうちに置くかとちょっと悩んでいる。
対戦成績はどうやら勝ち越し気配なのだが……大河が記録を見せないので本当のところは謎だ。
ほら、こういうのは主観でしょ。
というとこを見ると気を使って演技をしているのかもしれない。……などと。
竜児は多少びくびくとコンプレックスを刺激されてもいる。
そんなこんなで、今日は引っ越し荷物が到着する。

「セッティングまで業者さんがやってくれるから手伝いは要らないのに」
「なにか男手がいるかも知れないだろ」
それに掃除もなー♪と道具もひと揃い持参で変態的な笑みも凛々しく竜児は大河についてきた。
……まあ、実際に出番はなかった。
入居者と作業者の計3人が入れ替わり立ち替わりでワンルームマンションは一杯。
邪魔だから出てろと言われて、玄関先にの通路に追い出された。
所在無げに突っ立ってるのも退屈なので、扉などぴっかぴかにする。

やがて引っ越し業者が作業を終えて帰ると、やっと上げてもらえる。
「お待たせ。じゃあ、りゅうじ。お掃除してくれる?私食べ物買ってくるから」
「おう。この広さなら……15分もあれば」
じゃ頼むわー。おおっなんじゃこりゃあ!玄関がぴっかぴかだあ!
靴をつっかけて買い物に出る大河を見送って、やっと竜児の腕まくり。

「どうよ?」
「ホントに15分で塵ひとつないなんて……りゅうじすごい!かっこいいっ!」
コンビニで買ってきたソバをずぞぞぞ、とすすりながら暮らせるようになった部屋を眺める。
ベッドが入って、ライティングデスクが入って。姿見と大きめのハンガーラックでほぼ一杯。
でもこだわりで、カーペットに小さなローテーブルなんか置いた床生活らしい。
ふたりでぴったり寄り添うとちょうどいいスペース。
「ずいぶん服が少なくなっちゃったな」
「うん。整理してオクで売っちゃった。けっこう引っ越しの足しになったんだよ」
落札者がいい齢のおばさん多くて、こんなフリフリ着るの?って思ったんだけど。
……実はこども用に買ってくれてたんだよね。複雑な気分だった。
まあともかく、この小さな部屋が今は身の丈にあってる。
竜児にプレゼントしてもらったブレザーもしっかりカバーをかけて下げてある。
そのうちバイトして、就職して、自分で稼いで少しずつ好きなものを揃えて行くよ。
そしていずれ、りゅうじと。あたらしいうちへ。
ね?
想像すると、自然と笑みが湧いてくる。

しまった。デザートにアイスが食べたくなった。買い忘れたっ。
と言うので、連れだって出かける。
いっしょに散歩をする口実なのは分かりきっていても、突っ込むことでもない。
いろいろ忘れては、そのつど無駄に練り歩けばいい。
コンビニでアイスを買って、帰ろうとすると公園で食べて行こうと大河が誘う。
高須家の近く、旧大河マンションの向かいにある児童公園で。

533桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:33:36 ID:???

ベンチに並んで腰かける。昼下がりの公園は近所の母子連れでそこそこ賑やか。
母親と遊ぶ子供を楽しそうに眺めてアイスを食べていた大河は唐突に言い出す。
「ねえりゅうじ。こどもほしい。私と、りゅうじの」
「え?今……か?」
「うん。いますぐほしい。……と思ってる。って話」
「ああ、そうか。そういうもんなんだよな、女は」
うん。と頷いて大河は続ける。
りゅうじといっぱいしてさ、きもちよくなりたくてさ。そのたびにほしくなってくるの。
あ……りゅうじが、じゃなくてこどもの話ね?
い、いやりゅうじもほしいけどさ。
とりあえずこれはそうじゃない話。
「来月、来ないといいなあ。なんてね。思うのよ」
「お、おい?」
分かってるよ。分かってる。全部守り続けるためには、いまは無理。
「俺は。……いつか欲しいけど。先にお前をもっと……って思う」
男だからさ、ずるいけど。
「あー。そうか。そうだよね。気持ち、移っちゃうもんね女親って。どうしてもさ」
そこ斟酌しないで無神経に言ったのは悪かった。忘れて?
なにも今こども産まなきゃ絶対いやなんてことは思ってない。
できるだけ早く、っていうんでもない。そこは私も自然に普通にでいいの。
ただ私がそういう気持ちになるってことだけ覚えていてくれればいい。
おう。
アイスを食べ終わってコンビニ袋に片づける。
公園の桜が弾けたポップコーンのようにいっそう開いてきていた。五分咲きといったところか。
あれは春を迎えた人の嬉しさが花の姿を借りている、と大河はふと思う。

「ママがね?去年弟を産んだのよ」
「ああ、聞いたな。可愛いんだってな」
ぽふん、と竜児に寄り掛かって、夢見ごこちで続ける。
いまはもう可愛いばかりだけどね?産まれた直後は全然そう思えなかったの。
でもママもお義父さんも、見たこともないようなえびす顔でさ。私驚いちゃった。
ママのグズグズデレデレな顔なんて見たことなかったから。
「好きな人とこどもつくればあんなに嬉しいのか……って寂しかったんだ」
でもね、私を産んだ時も同じだったんだって。
そうなんだ、私もあんな顔で眺めてもらえたんだって。

そうしたらさ、私はどんな顔するんだろ。りゅうじは?ってね。すごく見たくなった。
「それは、俺も見てえ。いますぐにでも」
へえ?とニヤつく大河に慌てて訂正。あくまでも男のエロ心を別として……な?
じゃあそれ満たしてやるか、とこれも口実にする大河。

「りゅうじ。……ん?」
「こんな近所でかあ?子供だって見てるのに。……通報されるかもしんねえし」
「……あんたの誹謗中傷は不問に付すわ」
ま、恥ずかしいよね。
私ね、一週間もいっしょで。ご飯もお出かけも寝るのもいっしょでいたら。
りゅうじに対してはあんまりテンパらなくなってきたの。
こんな自分がいたのか、とも思うけど。なんだか嫌いじゃない。
「なんて言うか……りゅうじにイカされるたび変わっていくわたし。みたいな?」
下・品!
お約束の手刀をつむじに振りおろそうとしたが、竜児の手はしっかりと膝の上で握られていた。
「まあ、オトナになるってのはこういうことよ?」
んーーと顎を突き出して目を閉じる。
淡い茶の髪が微風に遊ばれ、隙間に耳が見え隠れ、頬は桜色。大河はやっぱり美少女。
但し綻ぶ花のような可愛い唇の端に、さっきまで食ってたアイスクリーム。
「オトナねえ?」
竜児はティッシュを取りだして、こどもの世話をするように拭ってやる。
ゆっくりと、丁寧に。
やがて可笑しくて、くくくと笑いだしてしまう。
「あ!だだ台無し?なんだ私!こんなにキメたとこなのにっ」
「別に恥ずかしいことが言えるようになったからって大人じゃねえだろ」
ドジ!ああなんてドジ!と嘆く大河の肩を抱いてやる。
大河はずいぶん変わったし、俺も変わった。だけど別人になったわけじゃねえ。
前のまま甘ったれなお前もちゃんといる。俺は変わらずに好きだよ。
しゅしゅしゅ〜んと空気が抜けていくふうで、小さな身体が一段とちぢこまる。
桜の艶が完熟トマトの色に染めあげられ。俯く。
「そ、そう……ね……」
小学生のように、ちんまりと。う、嬉しいわ……と。

そして竜児は突然にキスをしたくなった。
もっとなんかイイコト言ってこいつをテレさせてやろうかぐらい余裕でいたのに。
自分の顔が熱くなってくるのが分かる。なぜだ?なんの前触れもなく?
しかもこんなこどもっ振りになった時にって、俺大丈夫か?
様子を感じ取って大河が顔をあげる。鳶色の瞳に不安の光を湛えて見つめる。
どうも、なんて言うか。それでトドメを刺されたような。
ここは公園。子供も見ているけど。ええい!
来いよアグネス!
負けた竜児が桜の下で奪った唇は、アイスクリームの味がした。

534桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:35:05 ID:???

結局は、まだまだ大人の真似ごとをして浮かれているだけと知る。
大河も。竜児も。
熱に浮かされながら、一瞬でも離れたくないと思える幸福に包まれていた七日間が終わる。

望んだ全部を諦めないで手に入れて、そして守り切る。
それは長い人生をまるごと賭けて挑まねばならない大勝負。
自分たちはそのスタートを切ったばかりと。何度も済ませた同じ決意にまた至る。
傍らにつないだ手に力を込めてみれば、同じ強さで握り返してくる。
この絆と思いつづく限り、何だってできる。どこへでも行ける。
部屋までのわずかな道のりを歩きながら、そう思う。

「いい陽気。神、枝に這い、かたつむり空に知ろしめす。すべて世は事も無し。……ね?」
「赤毛のアンと言ってしまいそうだが、上田敏訳のブラウニングだな。海潮音」
「さすがはりゅうじ。理系の分際でよく知ってること」
「ちなみに神と蝸牛が逆だ。枝に這わせてどうする」
「はははっ、バレた〜」
すべて世は事も無し。

戻って。
荷物の、特に服の整理を始めっか、と提案する竜児に先にやる事があると伝えた。
私は白いプレートとマジックを出して。キュキュッキュ、と丸っこい字で。
そう。表札を出すの。
まあ儀式よね。

逢坂竜児
  大河

「連名かよ。てか俺なんか入り婿みてえ。……まあ、防犯にはいいのか」
「そ。気分。そして練習。管理会社になんか言われたらそう言っとく」
男のふたり暮らしって疑われねえかな?
なおさら防犯上有利じゃん。
そうか。
「名字を高須に書き換えるのが楽しみ。でしょ?」
「おう!」

ふたりで玄関先に、つっかけで出た。
扉の上辺近くの高さに付いたホルダーは、もちろんきれいに掃除してくれている。
竜児はふつうに。私はちょっと背伸びをして。
プレートに手を添えて、せーのでいっしょに差し込んだ。
私は思いを込めて竜児を見上げる。
楽しそうに見つめ返してくれる。

胸の奥がくすぐったくて、小鳩のように笑いだしてしまった大河を竜児は優しく見る。
この世界でただひとりだけそれを見ることができる。

そうしてふたりは扉を開けて。笑いあいながら部屋に入っていった。


――END





※作中にて、以下の一部を引用させていただきました
新井素子『あなたにここにいて欲しい』
宮沢賢治『永訣の朝』
ロバート・ブラウニング『春の朝』上田敏 訳

535高須家の名無しさん:2011/04/04(月) 02:13:21 ID:???
まだ読んでませんが、乙乙!
あとの楽しみにとっておこう…

536高須家の名無しさん:2011/04/05(火) 00:03:34 ID:???
幸せだー。読んで幸せになったー。
ここの所荒んでいたので、涙が出た。
本当にありがとう。

537高須家の名無しさん:2011/04/06(水) 20:33:28 ID:???
同じく。
やっぱ皆で和気藹々してると嬉しいなー。みのりんとの危うい過去は読んでてどきどきした。
公園イチャイチャに死ぬほど萌えた。ドジっ子健在な大河も、タガが外れた竜児も可愛いよ…
ぬくもり溢れる読後感でたまりません。幸せになれよ…!
完結お疲れ様、そしてGJでした!

538高須家の名無しさん:2011/04/07(木) 23:19:12 ID:???
いいよーいいよーGJだよー!

539514:2011/04/08(金) 20:43:00 ID:???
>>535-538
ご感想ありがとうございました。
ネタ的にご不快を感じた方にはお詫び申し上げます。

時節柄、どうしても優しく力強い方向でしか書くことができませんでした。
もっと竜虎が絆の力でいろいろ乗り越えるのが本当なのでしょう。
それは他の書き手の方に期待しますね。
感想にレスを返すのは荒れる元らしいですが、こちらは失礼ながら過疎なので大目に見て下さい。
ついでに蛇足ながら、本編+アフターのプロット発案の元になった曲をご紹介します。
http://www.youtube.com/watch?v=gNFJFQSsXMQ

音楽はエロス描写以上に個人の好みだと思いますので、お勧めはいたしません。
ということで、ありがとうございました。

540高須家の名無しさん:2011/04/13(水) 00:25:31 ID:???
本スレ>>563の絵って、まとめサイトにあるやつじゃないっスか。
9スレ目のまとめにあったわ。

あと、探してる絵はまとめサイトのリンクから飛べる「べろべろ」さんのところを上から順に見ていけば良いと思うよ!

541気付かない想い ◆QHsKY7H.TY:2011/04/28(木) 13:17:45 ID:???
「フンッ!!」
「てっ!?」

 突如、問答無用でイキナリの目つぶし攻撃を敢行したのは言うまでもなく、

「何すんだ大河!! 視力が落ちたらどうする!!」

 手乗りタイガーという名誉か不名誉かいまいち判別のつかない二つ名を付けられた少女、逢坂大河。
 日も暮れ始めた夏の夕方と呼ぶに相応しい時間帯。
 同時にタイムセールを各所でやり始め、いかに勝利者となるかの瀬戸際になる時間帯でもある。
 世の奥様方よろしく、タイムセールの内容をチェックしながら歩いていた高須竜児は突然の目つぶし攻撃に当然の如く抗議の弁を述べる。
 目という部位は人の一生においてとても重要な役割を果たす感覚器官。
 それが失われることがどれだけ大変な事なのか、お互いわからない歳では無い筈である。
 その辺どういうつもりなんだコラァ!? と言った具合に釣り上がった凶眼は、一見してか弱そうな少女にガンを付けるヤクザそのものの出で立ちだが本人にその気はもちろん無い。
 目つきは生まれつきのものであって本人の意志ではなく、ただただ理不尽の理由を問いたい、というのが本心のそれである。
 悲しいことにこの世にそれがわかる人間は少なく、周りで買い物をしていた奥様方は恐怖で離れていき、近くの交番に駆け込む者までいるのが現状だが。

「眼がエロいのよ、眼が」

 一方、竜児の目つきを生まれつきのものだと理解出来る数少ない人間に分類される筈の彼女は、彼のその凶眼を見てあろうことかエロいと発言する。
 人間という人種が何十億と住むこの星において、彼の眼を見てそんなことを言えるのは世界広しといえども彼女ぐらいのものだろう。

「あんたさっきからあっちをチラチラこっちをチラチラ、何処見てるのよこの駄犬が」
「しょうがないだろ、チラシに乗っていない突然のタイムセールをやりだす店だってあるんだ。チェックするのは多いに越した事はない」

 加えて竜児は昔からその眼で勘違いされる傾向にある。
 自然とそういう人達が近くにいないかを探る癖も彼にはあった。

「どうだか。さっきはあっちの女の人の事見てたみたいだし、かと思えばあっちの小学生。ホント見境無いわねこのエロ犬は。みのりんに言いつけちゃおうかなぁっと」
「く、櫛枝に!?」

 彼女の言ってることは事実無根……ではないのだが、意味するところは全く違う。
 前述する通り竜児は周りの視線を極端に意識する為に、自分をそういう目で見そうな相手にはこちらから予防線を張っているのだ。
 大河の言う「見ていた」は正しいがその理由は大河の言う『エロ目的』とは一致しない。
 だが彼女にそう説明したところで大人しく話を聞く相手では無く、加えてリーサルウェポン……いやアルティメットウェポンの存在まで口にされては竜児に為す術は無かった。
 握った拳を開いて、諦めに似た思いで竜児は肩を落とす。 話してもどうにもならないのなら文字通り諦めるしかない。反論するだけ無駄なのだ。
 そんな悟ったような竜児の顔を、しかし大河は尚睨み付ける。
 こちらは諦めたのに何でまだそんなに睨んでくるんだ、と竜児は怯える。元来目つきは怖くとも内心は伴わないヘタレそのものなのだ。喧嘩だってしたことは無い。
 竜児がそう内心でビクビクしていると、

「君、ちょっと話を聞かせてくれないか」

 肩に手を置かれて背中から声をかけられる。
 振り返ってみるとそこには公権力の象徴、警察官が立っていた。そういえば交番に駆け込んでいた人がいたっけ。

「先程近くを通りかかった人が恐喝している現場を見たと言ってきていてね、どうなんだね?」

 言葉の上では疑問系だがその口調は決めつけた詰問だった。
 無理も無いと思う。こんな目つきの男が女の子と言い争っているような現場を見たら、誰だって男が悪いと決めつけるだろう。
 竜児はビクビクしながら何とかわかってもらおうと口を開こうとして、

「アンタ本当に警察官? だとしたら警察学校からやり直してきたら? この税金泥棒」

 先に大河が口を開いていた。
 大河の生意気と取れる口の利き方に警察官は眉をピクリと寄せる。
 無理もあるまい。彼にしてみれば女の子を助けようと現れたのにその女の子に暴言を吐かれたのだ。

542気付かない想い ◆QHsKY7H.TY:2011/04/28(木) 13:18:47 ID:???
「どういう意味かな? 私はただ聞き取り調査に来ただけだよ」
「どうだか。さっきの言いぶりだと竜児を恐喝の犯人扱いしてたじゃない。何も知らないでよくそんな事が言えるわね。その男は生まれつき目つきが悪いだけのヘタレ男だってのに」

 どういうつもりか知らないが大河は警察官に噛みついていた。
 竜児としてはオロオロするばかりだが、ヘタレ扱いされようともそれで誤解が解けるなら御の字だった。

「君たちは知り合いか何かなのかな? それともまさか恋人かい? 彼氏に脅迫されているんだったら言いたい事は言った方が良いよ」
「はぁ!? 私達が恋人!? 本当にアンタ目が節穴なの!? コイツとは単なるクラスメートよ!! それ以上でもそれ以下でも無いわ!!」



***



 その後すったもんだがあったものの、近くの懇意にしている店のおじさんが竜児の事を警察官に説明して事なきを得た。
 竜児は苦い顔をしながらも何も起きずに良かったと笑っていた。

「何で笑ってられんのよ、あの馬鹿犬」

 自分の部屋の中央に位置する寝椅子(寝っころがりながら座れるから寝椅子でいいのだ)に一人座って、膝を抱く。
 大河は夕食を高須家で摂った後早々に自分の部屋に帰ってきた。

「誤解だって、さっさと言えば良いじゃない」

 今日警察官が竜児を責めに来たのは自分のせいだとわかっている。
 大河は顔を膝と膝の隙間に埋めてさらに縮こまった。ただでさえ小さい体を小さくして丸まるその姿は、泣いているようにも見えた。
 わかっている。悪いのは竜児ではなく自分だと。自分が“意味も無く”つっかかったせいで勘違いされ、嫌な思いをさせたと。
 でも素直にそれを認める事はできそうに無く、だから無理矢理庇う形で警察官に喧嘩を売った。
 苛々する。無性に苛々する。 悪いとわかっていても謝る気が無い自分に苛々する。
 けど素直に謝ったらそれは自分では無い気がしてそれも苛々する。
 そもこんな事で苛々する原因を作った竜児に苛々する。そうやって竜児に原因をなすりつける自分に苛々する。
 苛々し続けて、自分が何に苛々しているのかわからなくなってきて、苛々する。
 わからなくなるってことは今までに考えた理由が本当の理由じゃない気がして苛々する。でも本当の理由に気付きたくなくて、そんな弱い自分に苛々する。
 結局竜児が悪いと決定付けて苛々を終わらせようとするが、そうやって竜児のせいにする自分に苛々するのを止められない。
 でも、苛々の理由とは別に竜児も悪いとは思う。すぐに否定すればいい。自分は悪くないと訴えればいい。
 それをしない竜児はやっぱり悪いと思う。悪くないのに悪者になる竜児は悪い。そう、竜児が悪くないから悪い。竜児が悪くないから苛々する。
 竜児が否定しないから苛々する。そんな目で女の子を見ていないって言えばいい。自分は悪くないって言えばいい。
 関係無いって言えばいい。否定すればいい。……言って欲しい、否定して欲しい。

 自分はそんな目で女の人を見ていたわけではない、と。
 根も葉も無い事を勝手に言いつけるな、と。
 自分は何も悪い事はしていない、と。
 自分は何もしていない、と。
 恋人じゃない、と。

 自分はヘタレじゃない、と。
 単なるクラスメートでもない、と。
 それ以上であって、以下ではない、と。

「……ぅ……すぅ……」

 大河はやがて寝息を立て始めた。
 他愛の無い一日に過ぎない今日考えた事を、彼女は何処まで覚えているだろう。
 恐らく、微睡みつつの思考など数えるほどしか覚えていないだろう。
 それでも、彼女は自分の性格だけは理解しているだろう。

 自分は“意味もなくつっかかったりなどしない”と。

543 ◆QHsKY7H.TY:2011/04/28(木) 13:19:32 ID:???
すいません、本板に上手く書き込めなかったのこちらに書き込みました。

544高須家の名無しさん:2011/04/29(金) 07:04:15 ID:???
大河切ないなぁ。

545高須家の名無しさん:2011/04/29(金) 09:39:26 ID:???
>>542
3,4巻辺りの大河はヤマアラシのジレンマを自覚したところでほんと切ない。
でも最後の一文が前へ進もうという意思でいいよね。

546高須家の名無しさん:2011/04/30(土) 21:49:51 ID:???
>>543
お久しぶり、GJ。
やっぱ、安心して読めるわ。

547高須家の名無しさん:2011/05/01(日) 00:51:21 ID:???
最後うまいなぁ。何度も読み返したくなる文章です。

548高須家の名無しさん:2011/05/01(日) 04:07:49 ID:???
まとめ人様へお願いがあります。

当スレにて>>443>>476>>494>>515と、本スレの【とらドラ!】大河×竜児【ゴロゴロ妄想】Vol24にて>>10>>26を投稿した者です。
上記6本を時系列順に全面改稿しました。読みにくかったので整形もいたしました。
もしまとめサイトに掲載していただける機会がございましたら、改稿後のものにしていただけないでしょうか。
すでに掲載いただいている>>443も差し替えていただけたら幸いです。

ご迷惑でなければ受け渡し等ご指示下さい。現在テキスト1ファイルで300KBに繋げてあります。
どうぞ宜しくお願い致します。

549まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/01(日) 19:05:20 ID:???
お疲れ様でs

>>548
了解です。
ファイルは以下のアップローダーあたりにDLパスをつけて上げていただければ、こちらで落とします。
受け取ったら報告いたしますので、その後削除していただければ。
ttp://www.uproda.net/
お手数ですがよろしくお願いいたします。

後こちらからもお願いがあるのですが、トリップとか付けていただくことは可能でしょうか。
まとめやすくなったりするので…個別ページ作ったりとか。



あの花。のEDが卑怯すぎる。
1話での使い方とか、花びら逆回転の瞬間とか鳥肌。

550 ◆0/FKyHtS2M:2011/05/02(月) 14:04:41 ID:???
まとめ人様
548です。早速のお返事ありがとうございます。
以下うpしました。パスは目欄に。

ttp://www.uproda.net/down/uproda293580.txt.html

今後書くか分かりませんが、トリップも付けてみました。お手数をお掛けいたします。

551まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/03(火) 03:16:19 ID:???
>>550
ご報告が遅れましたが、テキストファイル受け取りました。
現在まとめ中ですので、もうしばらくおまちください

552 ◆0/FKyHtS2M:2011/05/04(水) 16:47:08 ID:???
>>551
お手数おかけいたしました。ありがとうございました。
なにか不備ございましたらお申し付けください。

553 ◆fDszcniTtk:2011/05/08(日) 01:44:12 ID:???
>>549
私もドはまり中です。あのはな。

とらドラ!もEDへの入り方がうまかったですね。とらドラ!最終回のEDの
使い方を、「あのはな」は1話でやったか、と感慨深く見てました。

私もさびに入るシーンの花に、さっと色が入るところが好きです。

554高須家の名無しさん:2011/05/08(日) 02:08:48 ID:???
>>549 >>553
花に色付くところは鳥肌もんだった。各所で絶賛されてる(んだと信じたい)

ちなみに今日のカウントダウンTV(10位)でも色が変わる瞬間が放送されてたぜ!

555高須家の名無しさん:2011/05/08(日) 13:03:36 ID:???
>>554
そうそう、鳥肌立つ。すっと音が消えて、3人が目を閉じて、ふっと画面が
引いてぱぁっと色がつく。思い出しても鳥肌立つわ。

1話はフジテレビ・オンデマンドで無料なんだけど、エンディング・アニメは
スペシャル版なんだよね。

あの番組見てると、やっぱとらドラ!はスタッフに恵まれてたって思うよ。

556まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/08(日) 15:58:34 ID:???
まとめサイト更新しました。

「虎、帰る」シリーズを改訂後と入れ替えたりしました。
何か不具合等がありましたら、ご指摘をよろしくお願いいたします。
本スレが相変わらず規制中なのでこちらでご報告。



アニメスタイル予約していて良かった…

557ms07b3:2011/05/09(月) 21:59:33 ID:OMdFCukE
高須夫婦の日常①
 高須竜児と大河が結婚したのは、出会ってから8年後、25歳の春だった。
大橋高校の仲間や、大学時代の友人達に囲まれての結婚式は質素ながらも温かい雰囲気に包まれた
披露宴だった。
 新しい新居は、大橋駅から2駅ほど郊外に離れた駅から徒歩で10分程のマンション。
幼稚園教諭になるために専門学校に通う大河の通学の利便上、大橋から離れられなかったのと、
建築設計事務所で働く竜児の終電の時間が遅いというのが決め手だった。
昭和50年代の後半に建てられたマンションは、多少、見てくれも古くさいが、リフォーム済み
で、収納スペースもたっぷりあったのが竜児のお眼鏡に適ったのだ。

 引っ越して2週間。仕事が殺人的に忙しい竜児に代わり、部屋の片付けをしたのは大河だった。
高校時代、家事が全く出来なかった大河も、竜児と別れた一年間の母親との生活と、大学時代の
一人暮らしの結果、それなりに家事をこなすことが出来るようになっていた。
勿論、スキルでいえば未だに竜児に敵うことはできない。でも25歳の新妻としては上等なレベル
に達していた。
 お風呂掃除が終わり、冷えたカルピスを飲みながら、披露宴の時に送られた、お祝いの電報を
読んでみる。
 日程や、物理的な距離から披露宴や二次会に参加出来なかった母親と暮らした街での、一年だけの
クラスメートや、大学時代の友人が送ってくれた祝電。
 自分たちがいかに祝福されて結婚したのか、片手だけでは持ちきれないほどの電報の束に、大河は
幸せをかみしめていた。

 雪の大橋でのプロポーズから8年。長いといえば長い春だった。
 一年の離別を乗り越えて大橋に戻ってきた大河としては、高校卒業と同時に入籍だけでも済ませた
かったのだが、真面目で融通が利かない駄犬は、大学を卒業し、ちゃんとした収入を得るまでは結婚
しないと勝手に決めて、大河が泣こうが喚こうが、手乗りタイガーと化して殴る蹴るの暴行を加えよ
うが、信念を曲げなかった。

 大河にしてみれば、優しくて、気遣いができて、料理が得意で、家事全般に精通している竜児は、
女性からしてみれば、稀少性の高い優良物件だと思っている。
大学生ともなれば、竜児の、地獄を住処とする悪鬼のような三白眼に怯まず、その瞳の奥底にある
優しさを見抜く女性が現れるかも知れない。そんなライバルが現れたとしたら、泣き虫で凶暴で哀れ胸
を持つ自分など太刀打ちできるはずもない。大河の危機感は深刻だった。
 愛していない、いや愛してる。結婚しろ、いや今は出来ない。殺す、殺さない。物騒な言葉が飛び交う
痴話喧嘩の調停者として現れたのが、高須のおじいちゃんだった。
 高須のおじいちゃんは、2人の前に古びた指輪ケースを差し出した、大河がケースを開くと、大きめの
石がついている指輪が収まっていた。
「これは、ばあちゃんから大河さんへの贈り物だ。」居心地が悪そうに、じいちゃんは言う。
二人が好きあっているのは理解している。大河さんが竜児とすぐにでも結婚したいと考える事も理解でき
るし、竜児が一人前の男になるまでは結婚出来ないと考えるのも男として理解できる。
「そこで提案なんだが、恋人から夫婦に一足跳びにいく前に、婚約者というステップを設けてみたらどうだい?」
じいちゃんはそういって笑った。
考えてみれば、恋人→婚約者→夫婦というのはごく普通のステップだ。
しかし、お互いの恋心を認めると同時にプロポーズした(された)二人にとっては、婚約というステップは、
なんだか中途半端な立場のような気がしたのだ。
 竜児にしてみれば、学生の身だから、大河に婚約指輪を買ってあげることが出来ないという引け目もあった。
 大河にしてみれば、婚約という名の下に、結婚が延びてしまうのが悲しかった。
しかし、高須家のじいちゃんが仲介してくれたうえ、おばあちゃんから指輪を贈られると有っては、さすがの大河も、
攻撃の砲弾を撃ち込むのを辞めるしかない。
堅苦しい儀式は抜きで、高須家の祖父ちゃん・祖母ちゃんと泰子。大河の家からは、義理のお父さんとお母さんとが
一堂に会し、顔合わせを行った結果、大河は、サードニクスの婚約指輪を身につけて、大学に通うことになった。

558 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:41:37 ID:???
低クオリティ注意

559123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:45:51 ID:???
「温泉旅行」 「みんな」


「本当は混浴が良かったんじゃないの?だって高須君と…ねぇ」
「黙れ発情バカチワワ」
「あれれ〜?逢坂さん顔真っ赤。高須君としてるの想像して興奮しちゃった?」
「おっ?夫婦円満ってやつですなあ」
「みのりんまで…からかわないでよ、大体まだ一度も何もやってないわよ…その…せっくすとかは…」
「嘘つかなくて良いってば逢坂さん。高須君が言ってたわよ、毎日求めてくるから少し疲れたって」
「若さゆえの性の乱れかい?」
「!!…あの駄犬、余計な事を…大体毎日なんて求めてないわよ」
「高須君が言ってたってのは嘘、それにしても逢坂さんのその反応。毎日じゃないけどヤってるのね」
「」




「すっきりしたー、たまには温泉なんてのも良いよね」
「まーアタシは温泉なんて珍しくもなんとも無いんだけどね」
「バカチーが変なこと言うから終始イライラしてたわ」
「そんなこと言って今夜も高須君と夜通し楽しむんじゃないの?高須君と相部屋よね。気使って二人にしてあげたんだから。」
「んじゃ私たちは隣の大部屋部屋でトランプでもしながら適当に過ごすとしますか、あーみん」

560123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:47:10 ID:???
「能登、どうした?」
「いや、高須は良いよね。なんつーかその…タイガーと二人部屋で。俺も木原t」
「えー俺だったらタイガーと二人は嫌だよ、翌朝生きてる保障ないもん。
ってか能登っちは誰と二人部屋が良いの?まさか俺?そっち系は俺無理だよ…」
「(春田…どうしたらそんな発想になるんだよ…)」

「じゃあな、部屋戻るわ」
「おう、じゃあな高須。タイガーと仲良くやれよ」
「高っちゃん明日も生きててくれよ〜」




「もうこんな時間かー早く寝ないと明日起きられないぞ」
「お、流石生徒会長。でも俺は少しやりたい事あるから。な?能登っち」
「いや、知らないけど何すんの?」

「私たちは修学旅行の時みたいにガールズトークでも」
「そうだね、今夜は寝かせないよ」
「逢坂さんたちも「今夜は寝かさない」とか言って盛り上がってる所かもね」
「あはは絶対明日は二人とも疲れてるよ」

561123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:48:19 ID:???
「ねえ竜児」
「ん?どうした?」
「なんかね、その…寒くない?」
「俺は平気だぞ。良かったら上着貸してやろうか?」
「そうゆう事じゃないの。私もそっちのベッドで寝たいの」
「何だ?そのベッド何か問題でも有…って濡れたタオル置いとくなよ。
替えのシーツ持ってくる。俺のベッド使って先に寝てても良いぞ」
「…アンタね…どこまで鈍感なのよ!このダメ犬」
「おわっ、いきなり飛び掛ってくるな。痛ぇだろ」
「良いからじっとしてろダメ犬」
「何だってんだよ…ってお前いきなり脱ぐなよ、北村に影響でもされたのか」
「いいから竜児も脱げー」
「苦しい、首のとこ引っかかってる!ってか無理やり脱がすな」
「うるさい、アンタは今日私と熱い夜を過ごすのよ」
「…なんだよ最初から普通に言えって」
「何よ!こうゆう事はムードとかそういうのを」

562123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:49:40 ID:???
「おい、能登っち。動きがあったぞ」
「春田…盗聴してたのかよ…」
「えーだって気になるじゃん、高っちゃんと大河の様子」
「気になるけど流石にそれは…」
「いや、だって高っちゃんが大河になにかされたらすぐ助けないとヤバいじゃん?」



「ねえ春田見てよ。アイツ必死に壁に耳つけて何やってんだろ」
「さあ?でもさっきからずっとそうしてるね」
「高須君と大河ちゃんの熱〜い夜を観戦したいんじゃないの」
「能登もかなり引いてるよ」
「まあそりゃ誰でも引くよね」
「でも二人とも仲良くてうらやましいね」

563123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:59:53 ID:???
「竜児、早く脱がしてよ。パ・ン・ツ・も」
「おっおう…」
「ねえ竜児…目、逸らさないで。ちゃんと私を見て」
「…」
「アンタのその鋭い目つきは変わらないのね」
「…なんだよそれ。褒めてんのかバカにしてるのか」
「褒めてるのよ、その目で見られると私…」
「お前のその平らな胸も変わらねーよな」
「そう思うなら揉んで…大きくしてよ」
「おう…こんな感じで良いのか?」
「んっ…気持ちいいわ。ねえ、舐めたりしてくれないの?」
「そうだな、舐めるだけじゃなくて吸ってやるよ」
「あんっ、うふふ。竜児、赤ちゃんみたい」
「かっ、からかうなよ」
「だって〜夢中で吸ってるんだもん」

564123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 01:00:23 ID:???
「なあもう良いか?」
「何?あんたのも弄って欲しいの?」
「ああ、そろそろ頼むよ」
「何これもうカチカチじゃない、私の触ってたら興奮しちゃった?」
「…そうだよ。そういうお前もすごい洪水になってるじゃねえか」
「うるさい、エロいにゅ。もういつでも準備OK、挿れられるって事よ。」
「い…挿れてもいいか?」
「アンタがそうしたいなら別に良いわよ」
「んじゃやっぱやめた」
「…なによ…我慢しなくて良いって言ってるのに」
「我慢してるのはお前もだろ?」
「私は別に…その…でもここまでやってるからには最後までやらないと不完全燃焼っていうかその」
「何だよどうしたいんだよ」
「な…なに上から目線になってるのよ。は早く挿れたいなら挿れなさいよ」
「早く挿れてほしいのお前だろ?さっきよりも顔も赤いし下も濡れてるぞ」
「うるさい。もう良い、私が上で動くわ。竜児、早く仰向けになりなさい」
「おうっ、いきなり速すぎる。もう少しゆっくり」
「んあっ…何よ、私から挿れてやったんだから私が決めるわ」
「待て、大河。本当にもう少しゆっくり…だめだ、イク!!」



「出し過ぎよ竜児、それでもう終わりとか言わないでしょうね」
「ちょっと休憩、もう少し待ってくれ」
「うるさい、私はまだイってないのよ早く勃たせなさいよ」
「ちょっと…無理やりやめろって」
「分かったわ…じゃあ手でいいわ…手でしてよ」
「さっきのお返しだ、高速でいくぞ」
「んっああああダメッもうイク、んあああああああ」

565123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 01:01:21 ID:???
「タイガーの悲鳴が…ついに手乗りタイガーを仕留めたのか高っちゃん!」
「逢坂さん、やっぱりこんな感じで毎日ヤってるんじゃないのかな」
「俺、高っちゃんの所行ってくる。能登っちも行こうぜ、タイガー討伐を祝して乾杯!とか」
「いや、行かねーから。」
「じゃ俺一人で行ってくるよ」
「おい、行くなって。気まずいぞ…ああ行っちまった…」

「おーい高っちゃーん」
「あれ?鍵開いてんじゃん」
「おわっ春田、おまえ何いきなり入ってきてんだよ」
「Let's記念写真だぜ」パシャ「…あれ?二人とも裸?」
「ちょっと…写メるなこの変態アホロン毛!後で覚えてろ」
「うわー助けてー」




「なんか大河と高っちゃんが裸だったよ見てよこの写メ」
「春田…お前、そういう趣味があったのか」
「春田君さすがにそれはまずいんじゃないかと…」
「え?あ、あれ?高っちゃんしか写ってない!
いや俺は別に男の裸に興味とかそんなのは…」
「高須くんの黒いわか…め…」バタッ

566123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 01:02:29 ID:???
「ねえ竜児」
「なんだ?」
「さっきは一緒にイけなかったじゃない?だからさ、後で続きしよっ」
「おう」

翌朝二人は朝食の席に顔を出さなかった
「お二人さん、どうしちゃったんだろね?」
「昨日の疲れが溜まってるんじゃない?」

二人は昼過ぎまで裸で絡まりあったまま眠っていた


-END-

567高須家の名無しさん:2011/05/10(火) 02:40:40 ID:???


568高須家の名無しさん:2011/05/10(火) 22:25:34 ID:???
乙!
春田……無茶しやがって……(AA略

569高須家の名無しさん:2011/05/10(火) 22:49:44 ID:???
お互いイクの早すぎだろwww
だから高速回転なんですね、分かります

570とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/05/20(金) 06:10:41 ID:???
お題 「荷物」「声」「力いっぱい」



「……ねえ竜児、話があるの」
 いつもなら夕食後はお茶を飲みながらのまったりタイム。
 だが今日の大河はなぜか神妙な表情で。
「おう、何だ?」
「あのね、私……夏休みになったらアメリカに行くから」
「おう? ……ひょっとして、最近時々狩野の兄貴からエアメールが来てたのはそれでか?」
「うん」
「海外となると、一泊二日ってことはねえよな……三日か? 四日か?」
「……短くても一ヶ月、以上」
「何!? なんだよそりゃ?」
「竜児、私が通訳目指してるのは知ってるでしょ」
「おう」
「通訳や翻訳ってのはね、単に言葉を変換すればいいってもんじゃないのよ。そこに込められたニュアンスとか意味をきちんと理解して伝えなきゃいけないの。
 そのためには、やっぱりある程度生の英語に触れた経験が無いと……」
「そりゃわかるけどさ、そんな渡米までする必要があるのか?」
「竜児が言ったんでしょ、虎と竜は並び立つんだって」
「おう。だけどそれがどう関係するんだよ?」
「いくら将来竜児のお嫁さんになるのが決まってるっていってもね、通訳って仕事をそれまでの腰掛けにしたくはないのよ。
 竜児のお荷物とかおんぶに抱っこじゃなくて、ちゃんと自分の足で立って、胸を張って結婚したいの、私は」
「金はどうするんだ? いくらなんでも海外で一ヶ月暮らす程の蓄えはねえぞ」
「狩野すみれのツテでね、住む所と短期のアルバイトを紹介してもらえることになってる」
「……わかった。だけど一つ聞かせてくれ。どうしてこんな大事なことを今まで相談してくれなかったんだ?」
「それは、その……もし竜児に反対されたり、引き止められたりしたら……決心が鈍っちゃいそうだったから……」
「……あのなあ、どんなものであれ、大河がきちんと考えて決めた事に俺が反対するわけがねえだろ。力いっぱい応援するに決まってるじゃねえか」
「うん、そうよね……ごめんなさい」
「さて、そうすると急いでパスポートを用意しねえとな」
「いや、それはもう……」
「大河のじゃねえ、俺のだ」
「ふぇ?」
「……何頓狂な声あげてやがる」
「だって……行くの私なのよ? なんで竜児のパスポート?」
「そりゃ、俺も行くからに決まってるじゃねえか」
「えええ!?」
「本場で英語修業ってのはいいアイデアだよな。俺も将来必要になる可能性は高いし」
「ちょ、ちょっと待って!」
「何だよ、一緒に行くのが嫌か?」
「そんなわけないじゃない! だけど、それこそお金とか……」
「おう、そうだな。兄貴に二人分の働き口を頼むのもなんだし、俺は北村にどっか良い所がねえか聞いてみるか」
「竜児、本気!?」
「おう。なあ大河、俺はこうも言ったよな、『ずっと一緒だ』って」

571 ◆Eby4Hm2ero:2011/05/20(金) 06:14:33 ID:???
規制中なのでこちらで。
よかったら転載お願いします。

大学二年の頃のお話。
大河が通訳を目指しているというのは、「シンデレラなんかになりたくない」から頂きました。

572まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/20(金) 23:20:07 ID:???
あなるのかわいさに、こかんがあつくなるな…

573高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 01:27:13 ID:???
俺はつるこ(幼少)が可愛いってスレを見てしまって・・・。

574高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 01:28:42 ID:???
スレじゃなかったこの画像がああぁぁぁ!
ttp://blog-imgs-44-origin.fc2.com/o/t/a/otajyuu/s-24_1_20110516104007.jpg

575123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/21(土) 01:50:11 ID:???
ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira001322.png
ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira001323.png

576 ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:07:57 ID:???
新作投稿します。いままでになくエロなのでここに帰って参りました。

タイトル:お姉ちゃんにまかせろ!

内容:ガチエロコメですので少々詳しく内容を記します。趣味に合わないと思われる場合はご
注意ください。生理中えっちで、本番はしませんが、フェラ、ごっくん、手コキ、レイプ妄想、
オナ告白がメニューとなります。また、竜虎ともどもかなりのエロ惚け状態に見えるかと思わ
れます。キャラクター改変は最小限に留めたつもりでおりますがそこは読まれた方にご判断い
ただきたく思います。あ、あとオチもしょうもないです。手乗りタイガーは伊達じゃないです。
……なんだかこれじゃ面白くなさそうに聞こえますが。47KB

↓宜しくお願いします

577お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:12:00 ID:???

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴ったエロコメディ(要するにアニメ版アフターです)

 高校を卒業して、別々に進学した竜児と大河は結婚という遠大な目標に向けて鋭意努力をし
始めていた。他人であったふたりが奇しくも出逢い、惹かれあって、ずっといっしょに居たい
と願った以上、そしてふたりが同性でなかった以上は、当然の帰結と言えた。
 19歳になった逢坂大河と、もうすぐ19歳になる高須竜児は、めでたく恋人以上夫婦未満
といった関係になっている。
しかし、やることはとっくに済ませていても、いまだ親がかりなふたり。
 やはり毎日エロエロアマアマに惚けてるわけにもいかない。そういう甘美な数日間がたまに
はあっても、社会に巣立って、いつかは自分たちだけの家庭を持つための準備を怠るわけには
いかないのだ。したがって、のべつまくなしにイチャついていないで学生の本分を全うしろ!
という自律的な制約を、どちらからともなく課している。
 それは“したくなっちゃうようなエロい行為を平日は自重する”ということ。

 とある日曜日。
 さんざんおためごかしを書いておきながら、日々のつとめをこなしたら制約を解放してもよ
いとふたりが暗黙に決めている休日がやってきて、この話は始まる。


「りゅうじおっはよーーーぉぅっっ!」

 ばあん!と扉が破壊されるような勢いで開けられた。“元手乗りタイガー”逢坂大河が機嫌
よく高須家を訪問した合図だった。
 朝7時。
 かつての大河なら、休日は昼前になってからようやくメシを求めて顔も洗わず寝癖だらけの
ロングヘアをほやほやとぶら下げヨダレを垂らしながら半笑い(愛想のつもり)で訪れていたも
のだが、高校を卒業した今となっては違う。
 淡くけぶって腰まで届く薄い茶髪をきっちりおさげに編み込み、目覚めもさわやか、うっす
らと年齢相応のナチュラルメイクまで済ませて、満面の笑みは開きかけた薔薇のよう。扉を壊
すような粗忽ぶりだけは変わらないものの、竜児の彼女であり且つ婚約者である自覚を十分に
纏っていた。
 左手には先だっての誕生日に贈られたペアリングも光っている。
 基本は美しく貧乳で可愛い女。そして態度は現在もそれに見合ってはいない。

「おう大河、お早う!……もうちょっと静かに開けろよ。泰子起きちまうだろ」
「あ、ああごめん。つい。なんかつい。……もうっ!」

 エプロン姿で手を拭き拭き出迎える竜児に、靴を脱ぎ散らかして駈け込んだ大河は思い切り
のタックルを決めた。あ、まあ抱きついた、ということだ。小柄で軽い大河の激突を受け止め
きれないほど竜児も非力ではなく、しっかりと抱きとめてしばしの一体感を味わう。

 身長差が30センチ以上あるカップルらしく、大河は竜児の鳩尾に顔を埋めて、胴周りに腕
を回し込んで抱きつく。竜児は大河の頭から肩を上から包み込む。
 ふわっと立ち上るなんかの花の香りもして、コロンかトワレを仕込んでいるらしい。以前は
甘いバニラの香りだったから、なんだかずいぶん洒落っけが増したな、と竜児は思う。
 そうして少したったら、最近ふたりで開発した体位(「体位って言うな!」逢坂大河:談)
に移るのがこのところのお約束だった。

 それは、大河を立たせたまま竜児が膝立ちになる。というもの。
 そうすると、竜児の目線は大河の顎の下あたりに来ていつもと真逆、見上げる竜児を大河が
見下ろす。見下ろしながら目をふにゃぁ〜っと糸のように細めて、竜児の頭を抱きかかえたり、
でこちゅーやら瞼ちゅーやら普段はできない愛情表現を、この際は存分に楽しんでいる。

 嫌なら蹴るか殴るか爆発するか頭突きするか逃げるかなにかするだろう、思いついたらやっ
てみる。互いにウケたら次からお約束。という名称未設定メソッドによって、ふたりの愛情表
現は日々新規に開発され続けていた。つまり、これがバカポークォリティというもの。

578お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:15:10 ID:???
 もっとも、竜児にとってのこれは、大河に一方的なサービスをしているばかりでもなかった
らしい。

 この体勢になれば彼女の華奢な背中にごく自然に腕を回すことができた。スレンダーであっ
てもきっちりと筋肉の付いたかたちの美しい背中や脇腹の、とくに締まって魅力的なくびれの
辺りを触りまくれる、という。どうひいき目に見たところでエロい目的があったのはまあ間違
いなかろう。なにしろ胸に頬を埋められる位置でもあるし、ちょっと手を下げればきゅっと小
ぶりな尻や意外なボリューム感をもつ太ももを撫でられるわけで。
 その辺はお互いに分かってはいてもギブ&テイク。多少相手がはぁはぁしようと誰かに見せ
るわけでもなければ、何か困るわけでもない。ということで、竜児はおあずけ解禁の今日、日
曜日の朝。遠慮会釈なく大河の背中を撫でまわしていた。

 ――あれ?無え?

 小っこくて貧乳なのは事実であっても、それがどうした。俺はこいつのエロくて可愛いとこ
ろをたくさん知ってるぞ。誰にも教えてやらんがな。――と思っているかどうかは竜児本人し
か知らないことだが、まあ、鼻の穴の広がり具合を見れば当たらずとも遠からじ。
 親愛の情から劣情へといきなりスイッチが切り替わり、ぶくぶく別府温泉のように湧き出し
ているのも想像に難くない。その途中で竜児の手が止まっている。

 ――ねえよな?やっぱり。

 ないのだった。手触りが。ブラの。

 近頃すっかりラフな格好が板に着いた大河は、今日もジーンズ姿であった。
 いま着ている、竜児と出かけたときお揃いで買ってきたプリントTシャツは、一番小さいサ
イズなのにぶかぶか。結局は身体の線など出ない可愛いばかりな格好で、アンダーに何を着て
いてもバレようもないのだが、きっちりハグしてしまえばそれはちゃんと分かる。

 その、ニコライ・A・バイコフが旧満州の森の主たる、とあるシベリアンタイガーの一代記
を書いた『偉大なる王(ワン)』の主人公を模したと思われる、額に「王」の字の紋様を描かれ
た虎のイラストをプリントしたTシャツは、竜児が冗談半分に買ってやったら、大河が意外に
もネタと思わずに気に入って着ているものだ。
 お返しとばかりに大河は某ジャンプの人気漫画に出てくる神龍のTシャツを贈ってくれたの
だが、まあそんな過日のエピソードはどうでもよく、どこがお揃いなのかも本人たちが納得し
ていればいいこと。
 ともかく竜児は迫力満点の虎の顔に頬ずりしながら元虎と呼ばれた女の背中を撫でまわして
いるうちに、無い、と気づいたのだ。

 ノーブラなのだろうか?と凶眼を眇めてつらつら考える。
 そう言えば最近女子の間では流行っていると聞く。アンケートをとると27%がどこまでも
ノーブラで外出するよと答えるとか。そのぐらいの情報なら竜児といえども知っている。とい
うか大河が彼女になってから妙に気にするようになった。27%の大半がAAカップ&Aカッ
プの女性であるという細かいところまで。
 しかしそのアンケートは大手下着メーカーが行ったもので、対象は25〜54歳の女性に対
してのものだったはずだ。19歳は違うんじゃねえか?と思う。
 形くずれたりとか、心配しないのか?
 
 とかなんとか考えていたら、頭上で、ふふん?と笑う声がする。
 エロりゅうじ、ノーブラだと思ったでしょ?相変わらず朝っぱらからあんたの性欲にはほん
っと頭が下がるわねー。ま?

「はぁはぁされると嬉しくなっちゃう私がどうこう言えることではないけど?」
「……俺はそんなのより。……その、形くずれちゃったりしねえかな?って」

 な?心配してただけだよ。……すまん嘘。やっぱり興奮した。お前の色仕掛けにまんまと乗
せられちまった。くそう、こんなに無い乳に!と、ふにょんとした膨らみにぎゅーっと顔を押
し付ける。

579お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:17:23 ID:???
 あれ?「ふにょん」?
 これっていつもよりワンサイズ大きくねえ?どうせなにか盛ってるだけなんだろうけど、そ
れにしてもどういうことよ?気になる。気になるじゃねえかあーっ。
 その竜児の頭を抱え込みながら、ある意味で酷い罵倒をやり過ごした大河は、あ、あんたも
なかなか口車が巧くなったもんだわ、持ち上げて、落として、態度で締めるなんてと、まった
く意に介さず。

「まあ、正解はヌーブラ」
「ノーブラでなく、ヌーブラか?」

 そうそう、と身体を離して腰を屈めた大河が、ぶかぶか虎Tシャツの襟口を押し下げて見せ
た。隙間から臍まで見通せてしまった中に、確かにベージュ色に張り付いてる。努力のすえに
作られたわずかな谷間も見えた。

「ほうほう……盛ったもんだ」
「ワキ肉とかあったらもっと盛れるらしいけどね。いまはこれが精一杯」

 というわけでね。どうよ!?腰に手を当てて、傲岸にフンッと胸を反らせてみる、お馴染み
のポーズ。確かにプリントされた虎のほっぺたがふにょんと盛りあがってはいた。いたけれど
も、その態度が男のエロ心を刺激するかと言えば、そんなことは欠片もない。
 とは言え、そこは好きな女がやってること。大河が竜児のなんかのスイッチを、ポチっと押
したのも、また間違いはなかった。


「……」
「……」
「……おかわりは?」
「……ちょうだい。ていうか、そんなに見て。いい?」
「え?……お、おう。まあ」

 ふたり差し向かいで朝ご飯の午前8時。日曜日というのは近所の生活音も穏やかで、静まり
返って、天気もよく風もないとくれば、住宅街はほんとうに静かなものだ。
 そんな中で鋭い目の周りをぐるりと朱に染めて、ちらちらと彼女の胸元に視線を投げる竜児
の気、というかオーラ、もしくは期待感、のようなものが大河にも伝染して、爽やかに春から
初夏へと移りゆく気候に似つかわしくない若干しけった空気を醸し出している。

 上目遣いに凶眼を眇めて、描かれた虎を睨みつけては赤くなる彼氏というのも何に興奮して
るのか傍から見たら分からないよね……と思いながら大河が話しかける。

「私、一日空いてるけどどっか行く用事ある?付き合うよ」
「おう……俺も空いてるが。とくに用事は……ねえな」
「じゃ、さ」

 お休みの日とはいえ、やっぱり高須家では昼間っからイイコトはできない。竜児の母、泰子
にもふたりが既にそういう関係であると知られてはいたが、在宅中に事に及べるかとなるとさ
すがにそれはなかった。羞恥心という以前にそんなことで気を使わせたくはない。
 かといって泰子が出勤する夜から深夜にかけてというのも、翌日へ残す影響を考えたらでき
れば避けたい。諸々の状況に適応したら自然と、昼間、大河の部屋で、となる。

 当然ながら、きちんとした性格の竜児もそういうつもりでいるからこそ朝っぱらから劣情を
隠さないわけで、あんまり焦らすの可哀想。私も焦らすの得意じゃないし。

「午前中に家事すませたらさ、私の部屋でえっちしよ?」

 ……したくなかったらしなくてもいいけどいっしょに居て?と大河は大きな鳶色の瞳をくり
くり光らせてねだる。お、おう。なんだか悪びれずに積極的だなと思いながらも、その誘いに
逆らうつもりもない竜児。盛ったらサカった、という分かりやすい構図。

 かくして、昼過ぎには飲み物やお菓子などを買いこみ、ふたりはいそいそと大河の部屋があ
るワンルームマンションへと向かったのであった。

580お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:19:29 ID:???

「で、来させちゃってからで悪いんだけど……ね?」
「ん?どうした?」
「実はさ、昨日……来ちゃったのよ。いま二日目」
「おう、そうか。じゃあ今日は無理だな」

 いいさ、気にすんな。どのみちいっしょに居るつもりだから。ベッドわきのラグに寄り添っ
て座り、優しい目をして笑いかける。

 気分を盛り上げられた後にだめを食らってこの切り替え、というか聞きわけのよさ。お年頃
男子としてはがっかりしているのもまた事実なのに、これが竜児という男。
 腹いたくねえ?さすっててやるぜ?などと気も遣う。
 大河としてはこんな反応が予想通りではあっても、思いやりを向けられるとじんわり嬉しく
なってきて、ふひ、と頬が緩んでしまう。
 けど。

「大丈夫、そんなに重くない。それに、無理ってこともないんじゃない?」
「なに言ってる。俺だってそういう事ちゃんと調べてあんだから」

 生理中は傷つきやすいし感染症にもかかり易い、と指折り数えて教え諭す竜児に、ここで少
しでも辛そうな顔を見せでもしたら、そのまんま抱きあげられてベッドに寝かされそうだった。
 それも悪くはないけど、今日考えているのは別のこと。

「うん。汚れちゃうだろうし。竜児はそういうの気にするかな?するよね?」
「そういうことじゃなくてだな」
「私の体調を気づかってくれてるのも分かってる。そうじゃなくてさ?」

 やれるえっちが他にもね?たっくさんあると思うのよ。出来ないことは出来ないでいいから、
それはそれとして竜児をきもちよくしてあげる。気が向いたら私にもして?っていうのがね?
本日のシェフのおすすめランチっていうわけよ。
 いかがっすか?と寄りかかった肩と頭を受け止められて、耳元にちゅっとされる。キス魔の
竜児はすっかり平日モードになってて、このまんま午後いっぱいを過ごしてもお互いになにも
不満はない。けれどね?

「なんでお前が一方的にサービスするんだ?いいよ別にこうしていれば」
「だって……だってさー」

 ちょっとネタっぽくお気軽尻軽に言ったのはマズかったのかな?竜児は人並みにエッチでは
あっても人一倍繊細だからね。
 ま、小細工はやめて正直に言ってみよ。
 りゅうじ私が引っ越してきてから、その、ひとりえっちって……してないでしょ?そのぐら
い分かるもん。ほんとは週一回じゃなくてもっとしたいよね?お年頃だもんね。

「だから私もおつとめ頑張るから……って言い方じゃ竜児も呑めないか。そうねえ?」
「そんなの結局は同じことだろ?俺はほんとに……」
「そう……お姉ちゃんの言うこと聞けない?」

 きょとん、としてから。うわその話まだ続いていたのかよ?と竜児が笑いだした。
 竜児は私より誕生日がひと月遅い。先に19歳になった私は竜児のお姉ちゃん、という口実
でこのところじゃれついているのがふたりのブーム。竜児も私に手を引っ張られるのは少なか
らず楽しいらしくて、お姉ちゃん振りをするとけっこう乗ってくれる。
 分かった分かった、と可笑しそうに提案を受け入れてくれた。

「その代わり、よーーっく見てるからな。具合悪そうだったら即、打ち切りな」
「だーから別に体調は悪くないって。ちゃんとふたりでイイコト探そう?」

 おう。と声が弾んでるのが分かる。そうでしょ?いろいろ考えてたでしょ竜児も。お休みの
日が来たらあんなことやこんなことしたいって。

「ま、お姉ちゃんにまかせろ!いかせまくってやるから」
「あほか。いつもよりスローペースでいいんだよ。つか下品だろっ」
「下品で悪いかこのエロ犬野郎!とっとと独りでシャワー浴びて来いっ」
「いっしょに……は、そか、無理だよな」

「私は今朝きっちり済ましておいたから抜かりなし。ちゃんとキレイにしておいで♪」

581お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:21:59 ID:???

 シャワーを済ました竜児が所謂パンイチで出てきて、お?と感嘆の声をあげる。大河が肩丸
出しのチューブトップとハーフパンツに着替えていたから。
 ぶかぶかTシャツから身体にぴったりの薄いニットに変わって、ヌーブラ盛りの胸が強調さ
れている。髪は星柄のシュシュで止められてツインテールに上げていた。
 どこがお姉ちゃんだ、むしろ妹っぽさ全開じゃねえの?と竜児は思ったが。

「姉ちゃん夏っぽいな。いい感じだな」
「あんたの好きそうな感じにしてみた。……好きそうにしたら燃えないかな?」
「そんなことはねえ。寒くないか?」
「ん。大丈夫」

 実際、午前中に差しこんでいた日射しで部屋は少し暑いくらいでもある。

 どうやって竜児をきもちよくさせようか?っていうのは普段からいろいろ考えてる。考えた
ことの大半は空回りだったり、竜児の気持ちより私がしたいだけだったりするのもよく知って
る。だから綿密に計画したりしない。竜児をよく見て、よく感じて寄り添いたい。

 竜児をベッドに座らせて髪を乾かしてあげる。ドライヤーをわざと逆手に持って風を自分た
ちの方に向ける不自然な体勢でね。だってこうするとぴったりくっ付いたりもできる。隙を盗
んでむちゅっとキスしたりして。どうかな?こういうの?
 暑苦しいなあとか苦笑してた竜児がなんか黙っちゃった。
 と思ったら、お?背中にすーっと手を回してきたよ?やった!?やる気でた?

「ちょっとー。じゃまでしょー?もう、ステイもできないの?」
「……だ、だってよ。お前が」
「な、なによ?私のせい?」
「その格好……年下っぽいし、盛ってるし……おれだって……」

「んん?そうなんだ?なんか来た?来ちゃったっ?」
「だぁーーっ、もう、なんだよ!?な、なんかお前らしくねえっ!」
「あ、あれ?……あれれ?」

 あら遺憾な。いきなり空回り?竜児カオ覆って屈みこんじゃったよ。恥ずかしかったのかな?

「ねー」
「……」
「ねーごめんー。恥ずかしかった?」
「……そうじゃねえ」

「もしかして、お姉ちゃん振りムカついてた?」
「ちげえって。……すごく、その。したくなって」
「してもいいよ?気持ち悪くなければだけど」
「それはぜってーやらない。でも、したいって思うと……な?」

「うんうん。男子のおしべと女子のめしべが引きあうんだよねー?アンビバレンツだ?」
「……」

 ていうか、この格好って『らしくない』かな?自分ではけっこー似合ってるかもって、いま
までの経緯からしてもあんたも好きそうだなって思ったんだけど。

「……その態度だよ。甘えるんでなく脅かすんでなく、まるで同い年の女みたいで」
「なに言ってんの?同い年の女だよ。休みの日にあんたとえっちしたい婚約までした彼女だよ」
「なんだか妙な抵抗感があんだよ」

 なんで腰が引けてんのかいまいちよく分からない。でもまあ、私の小細工なんて巧くいった
ためしはないし、嫌ではないだろうから、手を引っ張るだけよね。

「心配いらないよ竜児。ふつーに抱き合ってふつーにイイコトしよう。ね?」

582お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:23:53 ID:???
 竜児ががまんできなくなったら、お、おお、おふぇ、おふぇんす……は攻撃。あ、まあ攻撃
なのは確かだわ。おふぇ……、ああもう!ここにブサ鳥がいればちゃんと「ら!」って受けて
くれるだろうにっ!
 はぁっ?と大口開けて驚く竜児に向かって、パッカーっとこっちも大口開けてからすぼめて
みると。うわ!色白でもないくせに胸元から真っ赤になってくわ!そ、そんなに恥ずかしかっ
た?ああ、また引きこもっちゃったよ?

「下品……。てかそんなのやらせたくねえ」

 あら。また空回りしちゃった。これもヤなんだ?……ほんとに?

「……そか。ねえりゅーじぃ。私が下品だったりエッチだったりするのは、いや?」
「え?」
「そんなにいやならやめるけど。……せっかくのお休みだしね。楽しく過ごさないと」
「お……おい?そんなことは」

 やがて竜児は、言い難いことをちゃんと言葉にして私に告げる。お前が下品なのは置いとい
ても、エッチなのは……その、全然嫌いじゃねえ。いや……好きだ。しかも俺、けっこう好き
みたいだよ。つまり、驚いてるんだよ。
 うん。恥ずかしいのに言ってくれてありがとね。私もちゃんと目を見て答えた。

 じゃあ分かったから、と。座っていた竜児を押して仰向けに寝かせて。その上に寝転がって
みるとお腹に固いものが当たって、押しつぶさないようにちょっと腰を浮かせる。
 案ずるより生むが易しってことよ。慣れよ、慣れ。ほうら、嫌がんない。

「ふふふ。そか。いつも竜児が上になってる時はこんな気分なんだね?」
「わかるか?……ちょっと違うんじゃねえの?」
「ちょっとの違いなんかいいじゃない。私は今日初めて知ったよ?」

 ちゅ……ちゅ……ちゅ……と。竜児の広い胸を吸う。きもちいい?と聞くと、くすぐってえ
と答える。少しずり上がって、顔にも、口にも吸いつく。
 別に私がしたがるから合わせてくれてるんじゃないよね?身体だけじゃなく気持ちでもこう
したいって思ってくれてるよね。

 ぎゅう、と抱きしめられるから分かる。これは、したい、という男の子の意思。目の前にい
る、したい女の子を逃したくなくて、こうしてきつく抱きしめてると分かる。
 したい男の子は、竜児。したいと思われてる囚われた女の子は、わたし。この息苦しさはそ
の証拠。女の子もされたい、と思っているし、したい、とも思ってる。
 今はこの拘束から逃れるのなんて、いやなら身を引き離すのなんて、簡単。でも下から上に
場所を変えただけで見えなかったものが見えてくる驚き。それが私を離さない。
 いつも上から来るのは、彼がやっぱり男の子だから。どんなに優しくてもね。

 逃がさないよう抱きしめていた竜児の手がするっと差しこまれて背中を直に触られた。薄い
チューブトップを少しずつ、くるくるめくり上げられていってお腹とお腹がぺったり触れる。
私は半身を浮かせて脱がせやすく協力してあげる。

「ヌーブラは剥がしちゃうともう一回着けられないからね?いちおう警告」
「そうなのか?……じゃ大事にしねえとな」

「あはは♪大事ってなんだ。好物はとっといて後で食べる性格かー?」
「おう、俺はそうだよ?」

「私は逆だね。だから竜児のおかずは最後にはいっつも私にとられちゃうってわけ」
「なに言ってんだよ。食べ足りないお前のためにとっといてる優しい気持ち分かんねえ?」

 ふふ。知ってるよ。私の棘をぜんぶ受け止めてくれる男の子が好き。私を捕まえて蹂躙した
いと思う男の子も好き。どっちも竜児。竜児のぜんぶが好きだよ。

583お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:25:50 ID:???
 竜児の目をじっと見ると瞬きもせず見返される。竜児の視線が時折りつっと泳いで見るもの
は私の唇?また動いた。やっぱり見てる。じゃあ、あげるね。
 くちゅ……ぴちゃ……ごくって、いろんな水の音が聞こえてくるこんなキスはお休みの日だ
けの特別なコト。こればかりは上に乗ったからといってそう変わるものでもない。それでもす
ぐに力が抜けて行っちゃうような感じが、今日はずいぶんと薄い。

 竜児の手がまた私の背中をぎゅうと捕まえて、けどいろんなとこ触りたいらしくて落ち着か
なく動きまわる。腕を支えにして、ぴったり付けていた半身を浮かせてあげると、出来た隙間
にすぐ滑り込んできた。寄せてあるから、今日はちょっとだけ揉める。
 掌がすっごく熱くて、それが胸に当てられて焼かれるような錯覚さえしてくる。むにむに揉
まれるのって、実は今までになかった。なんかいい。しびれる感じ。
 でもエッチな手は同じところに留まっていてはくれない。パンツ越しにお尻をやわやわ揉ま
れたりもして。ん……じわじわお腹の中に熱い塊が生まれてきてきもちいい。
 う……ん……今日は、頑張らないと。

 生理中は、いつもこうだ。普段の倍は敏感になってしまって、そのかわりいつまでもじわじ
わ燃える。いつものように急に跳ね上がったりしないで、くすぐったく、もどかしく、いつま
でもじわじわ暖かい。
 ……けど、登りつめる感じだけは、遠い。
 竜児の手は頬にも当てられ、ツインテの髪を指に絡めて遊んだりもする。したい、だけじゃ
ない竜児の気持ちも、だからこうして感じとれる。

 ようやく唇を離して、はふ、と身体を預ける。落ち着かなかった竜児の手がまた背中に戻っ
てきて、でも力を込めはしない。いたわるように撫でてくれる。いい。これすごくいい。私も
シーツとの間に腕を差し入れて竜児の背中を弄ってみる。ちょっと休憩。

 でもこれじゃいつもとほとんど同じなんだよ。位置が変わっただけ。私を登りつめさせて、
それを見て感じた竜児がいくっていう。
 今日は違うことをしてみたい。
 目の前にある竜児の乳首にちゅっと吸いついてみる。男の子だってここはきもちいい。ゆっ
くりと、優しく、唇と舌と歯を使って刺激する。いつもはあんたが私にしてくれることを感じ
てみてね。


 きもちいいよね?がまんしてるね?何度も腕に力がこもるから分かるよ。お腹に当たってる
固いものがときどき跳ねてるし、もうしたくてしたくてたまんないんだよね?それが分かっち
ゃうと恥ずかしいから、そんなに腰をひねって逃がそうともするんだよね?
 なんて、いちいち問い詰めて遊ぼうなんてつもりまではないから。最後まであんたの死にざ
まを看取ってあげるから。

「別にあんたをいじめてるんじゃないからね」
「おう……。なんか俺も妙な気分だ。されるがままっていうの」
「お姉ちゃんに……まかせろ!大丈夫!……その、くちではしないから、さ」

 お、おう……。と自分の前髪をぐりぐり弄って恥ずかしそうな竜児を見て、かわいい、と思
っちゃった。いちど思ったらそれはわぁっと広がってきて、なんだろう?この気持ち。もう、
なんでもしてあげたい、って思う。
 少しずつずり下がりながら、竜児のお腹にも同じように丁寧にキスをする。薄い皮膚の下に
ある腹筋がときどきぴくっと動くのはきもちいいから?手が届かなくなるのが寂しいのか、半
身を起き上がらせて私の頭を抱え込んでくる。
 ……のはいいんだけど。
 け、けっこう背中がきついっ。あんまり我慢してると攣っちゃうかも?りゅうじ両手後ろへ
ついて?こうか?腰浮かせて?こ、こうか?
 きりきり指示して、がばぁっと。トランクス脱がした。


「……」
「……」
「……す、すごいね?」
「すごいって……見たことも触ったこともあんだろ?」
「明るいとこでじっくり見たことないもん」

584お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:28:11 ID:???
 こんなおっきなの、いつもよく入るもんだわ。そういうふうに出来ているんだから不思議は
ないけどさ。それよりも驚いたのは水の量。

「がまん汁……っていうの?こんなにたくさん出るものだったの?」
「まあ……な。知らなかったか?知らねえか。でも今日はすごく多いな」

 『潤滑の役割を果たす』って知識くらいはあるけど。そんなのは女の子の方が受け持ってる
もので、男の子の方は申し訳程度って思ってた。
 それがどうだろ?頭はぬらぬら光って、半ばにも回ってて、先からは続けて水滴が零れ落ち
てる。脱がしたばかりでまだ手に持ってた竜児のトランクスにも、柄物で気づかなかったけど
いっぱい滲みて光ってた。
 思わず匂いをかいじゃったり。

「おいおい、下品だろそりゃ?ちゃんと替えも持ってきてるからその辺置いとけ」
「いいじゃないよ別に。あんただって同じことしたことあるじゃん?」
「え?……ああ。そうか。そういやしたな?……おうぁっ!」

 握ってみた。
 ぬるっという感触は女の子のと変わんない。ちょっと濃いかな?あんまり話し込んで竜児の
やる気が減るのはもったいないし、少しずつでもね?進めないと。
 握った手を開いてみると糸を引いてる。手の中で竜児が魚みたいにびくんって跳ねて、新た
に水滴の球が絞り出されてる。それを指で拭いとって、塗りつけて、ぬるんって滑るのをまた
握って擦ってみた。
 どう?こうしてるときもちいい?竜児の顔を見上げると。

「も、もうちょっとその、優しくしねえ?」
「あっ痛かった?ごめん」
「い、いや……痛いんじゃねえよ。指……きもち良すぎるんだよ」
「わかった。こんな感じ?」
「おう、それそれ」

 擦るのは刺激が強すぎるらしいから、力を込めずに握って開いてお遊戯みたい。それでもき
もちいいらしく、竜児の息が荒くなってくる。肩で息をし始めて、もうどこでもいいから私の
身体に触りたいって感じで手を伸ばしてきてる。
 そういうの分かると、私の方も変になってくる。触られてるわけでもないのに、胸に貼り付
けたヌーブラがもどかしく感じられて。

 何度も見たことある、あの竜児の表情は、たしかもうそろそろマジっていう気分のとき。
 かわいい……かわいいっ、もうっ。もっとこの時間を長引かせたいと思い、この気持ちのま
ま弾けさせてほしいとも思う。
 だから握るのをやめて、竜児の腰骨と内またにキスをした。吸いついたり、軽く歯を立てて
みたりする。固くておっきいのを頬に当てながら、竜児に与える刺激を分散する。
 これならきもちいいのが長く続くよね?
 
 はぁはぁ私の息も荒くなってきていたことに、でも、気がついてしまう。
 本当はさっきから熱い塊がお腹を下りていってすごくもどかしい。専用ショーツに夜用を着
けてガードしてるから漏れ出したりはしないだろうけど、私の方だってきゅっと締めてみると
するんするん滑る感じがしてる。こんなのびっくり。きっと大変なことになってる。

 いま、頬にくっ付いてびくびくいってるこれで貫かれてしまいたい。息が止まるほど抱きし
められて、思い切り体重をかけられながらいっしょにいってみたい。
 ここでおねだりしたら、と何度も浮かんできてしまう。きっと竜児は。
 でもそれじゃいつもと変わらない。いつもならそれで良くても、今日生理中なのにえっちに
誘ったのは竜児に楽しんでもらうためだから。私がエッチなお姉ちゃんでなくちゃいけない。

 行きたい、留まりたいの綱引きにちょっとぼうっとしていたかも。
 不意に、頬に竜児の水が垂れてきて、思わずぺろんと舐め取る。と同時にびくんっと跳ねる
竜児の肉と、微かな塩気を感じて。
 ……そうしたら夢中で咥えこんでいた。焦らすもなにもなかった。皮を剥いたバナナにかぶ
りつくように根元を握って、ぱくん、と。
 えっ?と驚いたような声に我に帰り、握ったまま慌てて口を離す。ご……。

585お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:30:24 ID:???
「ごごごごごごめんっ。くちでしないって言ったのに」
「お、おう……そんなことは」
「その……ちょっと夢中になっちゃってて」
「顔、真っ赤だな。お前も……したいんだろ?」
「え?あ、まあ。ちょっとだけ。ちょっとだけだから」
「だったら……俺も」
「だめ」
「え?」
「……生理中のあそこなんて、竜児に見られるの、本当は絶対にいや」

 俯いて、ひと芝居打った。竜の目に見抜かれちゃった以上は通じるかどうか分からないけど、
女にだって意地やこだわりはあるよ。竜児がいやなことなんかさせない。

「……そうだよな。じゃあ、くちでしてくれるか?」
「え?それはいいの?」
「俺だってもうたまんねえんだよ。そのかわり、あとで俺にもまかせろ」
「うん。わかった。商談成立」
「商談じゃねえよ。せっかく好きなやつとえっちしてんだからさ」

 相互主義(キリッ)ってやつだよ。と笑う。

「あは、あ、そうだね。じゃあちょっと起き上がってよ」

 竜児をベッドに浅く腰掛けさせて、私は下に降りて膝立ち。これで互いに手も届く。もうち
ょっと膝開いてね。こうか?そうそう、その間にわたしが入り込むから。

 で、こうなると困った。いまさらだけどくちでするってどうやれば?そりゃ思い切り妄想し
たことは何度もあるけど具体的なイメージが思い浮かばないとこは早送りしてたから。
 やった事ないし、やり方を教えてもらった事もない。竜児に訊いても詳しくは知らないって
言う。……まあ、もし知ってたらいろんな意味でお茶の間ドッカンだし訊くまでもなかった。

 じゃあ、と提案。いろいろやってみるから、きもちよくなかったら1回、よかったら2回、
痛かったら連打、頭か肩を叩いて知らせろ。ということにして始めてみた。習うより慣れろっ
て言うし、没頭していれば私の方の熱も増えないだろう。

 しばらく中断していたからか、ちょっと柔らかくなった竜児をぱくん。歯を立てちゃ痛いよ
ね。舌と上あごで挟んで押したり緩めたりしてみる。さっきのお遊戯と同じはずで、ぽんぽん
と2回。くちの中でむくっと膨れてくるのが分かるから、叩かれるまでもない。
 次は舌を前後に動かして擦ってみた。ぽんぽんっ、ぽんぽんっ、と2回を2連続。ん?すご
くいいってこと?上目遣いに見たら、うんうんと頷いてた。そのまんま固定して頭を使って引
っ張ったり押したりしてみると、ぽんと1回。これは良くないらしい。念のため歯を立てて見
たらやっぱり連打。

「実際にはそんな痛いわけじゃねえけど。……ちょっと怖いんだよ」
「ん。わらっら」
「あ、喋るな喋るな。ひっ」

 ひっ、とか言ってるよ。少し可笑しくなりながら、きもちよいと判定された動きを組み合わ
せてしばし専念。ときどき竜児を見上げるとさっきのような表情になってきて、やっぱり切な
さが伝染してきてしまう。

 竜児が私の肩や背中に手を置いて、ときどき力を込めてつかむのは、たぶんきもちいいって
知らせてくれてるんだろう。私も竜児の腿を浮き輪みたいにして、腰に腕を回して抱きついた。
竜児のお尻をわしづかみにして、私にも訪れる波を伝えてしまっている。
 息継ぎをかねてソフトクリームみたいに舐めてみたら、またぽんぽんっ、ぽんぽんっ、と2
回を2連続で叩かれる。あ、こういうのもいいんだ?なんか分かってきた。うまく緩急をつけ
るのがコツなのね。

 よーしわかってきた。ちゅるっ。あーん。ぱくっ。挟みこんで前後に……。竜児の手から知
らされるきもちいい信号をベースに。乗せて私のきもちいいもメロディにして返してる。
 本当は返しちゃいけないのかもしれなかった。私がいい感じになるからあんたも感じるって
いうんじゃないなにかを欲しいのなら。
 でも、なっちゃった。
 そうならないように、注意深くしてきたのに、そうなっちゃった。だって。
 欲しいんだもの!力いっぱい竜児の腰を抱きしめる。

586お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:32:33 ID:???
 ごんっ!痛っ!
 竜児が背中を丸めて真上から頭突きを落としてきた。かなり痛いっ。どうしたっ?いったい
何があった?抱え込まれたうしろ頭をせわしなく撫でられてると声が降ってくる。

「たいがっ、や、やばいっ!」

 おおっ、そうか!まかせろ!お姉ちゃんに。元手乗りタイガーは伊達じゃないっ!もちろん
このままアクシズの落着を受け止めてやるわよっ。もういちど腰に抱きついて、尻をわしっと
つかんで、咥えた竜児が今までになく膨れ上がって来るのを舌で擦る。
 すごい、こんなにおっきく?
 びくんっ!と大きく竜児の腰が痙攣した。後から、何度も。

 私の頭に額を付けて、はぁはぁ大きく息をしてる竜児を感じる。初めて感じる言い表しよう
のない……なんだろ?達成感?そういうのといっしょに湧いてくる愛おしさも、また。
 抱きかかえた竜児の痙攣の波が去って行くのを感じて、それからだんだんと小さくなるくち
の中の竜児を吸って、竜児の遺伝子を一滴も残さないように舐め取って。ごくんと飲みほした。

 喉の鳴る音が聞こえたのか、ば、ばかっと竜児が言う。飲むなんてお前!と慌ててるみたい
だった。何で慌てているのか分かんない。飲まないのなら、どうするの?他に?と思う一方で
みるみる私の顔が歪んでいく。な、なにしろっ。

「まっっずぅ〜〜〜いっ!不味い不味い不味い生臭いっ!うっわぁ〜〜!」
「ほ、ほらみろ。早く吐いてこいっ」
「は、はあっ?何言ってんのあんた。もったいないじゃんっ」
「え?」
「でもこれは酷い。酷過ぎる。うがいだけはしてくるっ」

 洗面のあるバスルームへだっしゅ!ガラガラガラガラ……。


「はあ、落ち着いた。……なにさ。どん引き?」
「ちょっと引いた」
「なんでよ?あんたから出たものじゃない?汚いものでも身体に毒なものでもないでしょう?」
「だってよ。飲むものでもねえだろ?」
「そうだけど。そうだけどさ。……味も最悪だし」
「じゃあ何で?」
「私にとっては……大事なものだもん。吐きだして棄てるような汚物じゃないよっ」
「……あ」
「いつかはあれが……って、どうしても思っちゃうもんっ」

 ちょっと涙目になってた。変なことしたのは分かってる。竜児が引いちゃうのも当たり前と
は思う。男の子にとっては重くてウザいだけのことだろう。でも。でも、分かってもらえなく
ても竜児には言わなきゃならないこと。

「あんたには棄てるものでしかなくて、キモいだろうけど」
「……それは。そうだよ」

 私はちょっとずつだけど、いつも棄ててるのは寂しかったんだ。いつかあれがっていうのと、
あれが身体の中に入らなかったっていうのとあって。

「だから、飲むんなら、って。思っちゃったんだよ」

 竜児が突っ立ったままの私の手を引っ張ってベッドに座らせた。悪かったな、と言いながら
ハグしてくれた。さっきまでの抱きしめと全然違う手の感触が心地いい。でも私が泣いてるか
ら受け入れてくれたとしても、何の意味もないこと。

「気を使わなくていい。わがままなのも分かってる」
「俺から出たものだし、汚くも毒でもねえ。それはそうだ。でも……分かんねえ」

 いまお腹の中だよ。消化されちゃうから。だから本当にはぜんっぜん価値がない。分かって
るけどそれでもね、初めて私の身体に入ったっていうのが嬉しいことなんだ。
 それが嬉しいっていうのを……本当に分かるのは難しいかもしれねえ。

587お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:34:55 ID:???
「きっとね、こういうのをわだかまりなく分かった頃にさ……私たちもさ」
「ああ、そうか。そういうふうに思うのか。お前は俺より先にそこ越えたんだ?」

「次飲むかっていったら私だってね、微妙ではあるよ……」
「ああ。分かるようになる。そう思ってるお前に引くのもやめる。そこは謝る」
「うん、わかった」
「ちょっと時間くれ」

 エッチな事しない関係のときだって分かりあうのは大変だったけど、こうなってもまだまだ
あるもんだね?と、向けてみた。
 そうだな、でも全部お前と越えていく。と、答えてくれた。


 抱きしめられてるうちに、もっと竜児にくっ付きたい気持ちになっていく。
 間が空いて、というよりもごっくんでエッチな気分がパァっと飛んでったけれど、んしょ、
っと竜児の腿をまたいで向き合って座ってみた。少し悲しかった反動で、竜児に甘えたい気持
ちばかりが生まれてくる。今日はもうこうしていよう。

 甘かった。
 ちゅ……ちゅ……と軽いキスを交わしただけなのに。なんかもう切なくてたまらなくなって
いる。そんなことするつもりなんてないのに、竜児に胸を合わせてすり付けてしまう。さっき
にも増してもどかしい気分が帰って来てしまった。
 いちど入った火は身体を引き離さなくちゃ消えてくれない。でも離れるのいや。さっき竜児
の火を消しちゃったのに、もう竜児にどうにかしてもらうしかない。ああもうっなんだ?自分
の身体なのに。

「どした?休憩済んだなら約束どおりきもちよくしてやるぞ」

 気配を覚った言葉が嬉しくて、返事の代わりに、ぎゅーーっと抱きついてやった。今度はし
たい女の子が、わたし。したいと思われてる男の子が、竜児。

 首筋から鎖骨、胸へと竜児の唇が這うと、いつもと段違いに感じる。いつもならウォーミン
グアップみたいな、火を起こすための軽いちゅっちゅなのに。うっ……、んっ……、といちい
ち声までもれてしまうの、恥ずかしい。思わず手で口を塞いだ。

「……聞かせろよ、大河」
「んっ……あんたっ……面白がってるっ?」

「面白いに決まってる。最初からこんなになるなんてな」
「さ、最初じゃ……ない……もんっ……ううっ」

 続きだもん、ずっとだもん。そう言おうとする前に、腕を挙げていたから、脇をちゅうっと
吸われた。いつもならくすぐったいだけでここを遊ばれるのは相当あとになってから。それな
のに肩ぜんたいに電流が走ったような衝撃にぶるぶる震えも起きてしまう。
 耳元を吸われ耳朶を噛まれ、そのたびに大きく息を呑んで、気配を竜児に読まれてしまって、
今さらながらお姉ちゃんの面目も丸つぶれ。でもいい。いい。いいの、とっても。

 そろそろ剥がしてもいいかーと、のんびり竜児が訊く。さっきから手の感触を隔てていたヌ
ーブラのこと。……うん。もう直に触ってほしい。ま、剥がしちゃうといつもの控えめなもの
でございますが。と思いながらも大きく頷く。
 ホックを外されて左右一つずつゆっくり剥がされる。剥ぐときの刺激でさえびりびりと響い
てきてきもちいい。ちゃんと粘着面を上にしてローテーブルに置いてくれる竜児は、こんなと
きにもきちんとしてる。

 ちゅるっと竜児がくちに乳首を含んだら、あっ?あっあっ?えっ?なにこれ。背中が攣った
ように伸びて後ろへ反り返ってしまった。
 息ができない?伸びないと、だって。なにかが弾ける。慌てたように竜児が支えてくれる。
 まさかいった?こんなんで?と驚いた竜児が訊くので、かろうじてかぶりを振る。いっては
いない……はず。こんな感じじゃなかった。何が起きたのか私にも分からない。

「わ……分かんないよ。なんか違うと思うけど……分かんない」

 じゃあ、と続けて竜児は胸にこだわる。あまりびくんびくん私が跳ねるので少しずつ柔らか
なタッチに変えては見ている。それで、ちょうどきもちいい当たりをつけてくれた。

588お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:37:08 ID:???
「上半身だけいってる……のかな?分かんないけど」
「へえ、そんなこともあるんだ?」

 ほんとに分かんない。衝撃、というより波紋がわっと広がるんだけどお腹まで届いてはいな
かった。程度の差はあってもいつもは直通回線?が通じていたのに今は途中で切れている。

「竜児ぃ……わたし、もう。……そのー、あのー」
「おう。そろそろなんだな?」

 私を抱え上げて身体を入れ替え、ベッドに寝かしてくれる。竜児は添い寝して、直に触られ
るのも嫌だろうし、やっぱ衛生面がなと呟いたりしてる。結局、ハーフパンツ越しに掌を置い
て揉んでみる事にしたらしい。私も片手が入るだけ膝を開いた。

 うあぁっ、って感じだった。掌が置かれて重みを感じただけで。思わず跳ね起きて竜児に抱
きついてしまったくらい、気づかなかったけど、じんじんした切なさがたまりまくっていた。
 すごいことになってるなと驚かれてもしょうがない。揉み始めようとしたらいきなりずるっ
と滑っちゃったんだから。まさに集中豪雨で地滑り寸前の丘、という感じ。

「これって、……本気汁?っていうんだよな?」
「い……いちいち口に出さないでいいから。それよりさ」

 ぜってー俺のより多いだろと恥ずかしいこと言われて返す言葉もないが無視する。漏れは大
丈夫と思うけど、滑ってずれてしまうとちょっとした惨事になるかもしれないからずらさない
ように頼んだ。
 分かった、まかせろと竜児は前向き。


 はぁっ、はぁっ。きもちいいか?うんっ……うんっ!可愛いな、大河。はぁっ、あ?……こ、
言葉責めってやつっ?……なんでだよ?言葉責めってのは、そうだな?『大河、お前ってやつ
はなんていやらしいんだ』とかそういうんだろ?

「そ、そうよ。……私いやらしいよ。エッチなことよく考えてるよ……はぁっ」
「ずいぶん素直に認めるんだな?」
「だってさ……私をこんなにしたのって……竜児だよ。あんたしか知らないもん」
「おま……まあ、それはそうか」

 擦るとずれちゃうなら、じゃあ、押すか叩くしかない。キスされながら探されて、ていうか
直に触ったこともあるんだから探し当てるのは簡単なはず。見つけたら指で叩いて押して、あ
とは私の反応を楽しく見ながら竜児が遊んでる。

「……竜児といろんなえっちするのよく妄想するよ。夢でもみるよ。あっ」
「ごめん、きつかったか?」
「大丈夫……あっ」
「俺も……そうだよ。大河とのことよく妄想してるよ」
「えっ?かわいい、りゅうじ。あっ!あっ!」
「もうすぐか?すぐだな?」

 竜児の首にかじりついて、もうすぐ来る。
 腕枕してくれて、敏感なところを探して指いっぽんで刺激されて、身体をぴったり付けて、
耳元でエッチな事ささやいてくれて。
 もうさっきから何度か波が来てはいた。お腹がぴくっと引き攣れたり、ざわっと鳥肌が立っ
たり。巧く乗れるきっかけがあればすぐにでも来てしまいそうだった。
 竜児がパンツの上から当てた指をくりくりする。乳首を含んで、舌でとんとん叩く。それで
また弾かれたように背中が伸びちゃったけど、やっぱりお腹と連動しなかった。いろいろ探し
ながらしてくれてるけど、やっぱり生理中の私はいきにくい。

「大河、俺さ。独りでいるとお前とのえっちをいつも思い出してる」

 またささやき戦術?……でも?これ効く!?ええっ?触られるのより言葉が効くの!?

「さすがにおかずにするまではなかったけどさ、今度してみようかって思うんだよ」

 そ、そんなこと?面と向かって彼女にお前をおかずにするぜ発言てあんた……あ、ぶるっと
来た。ぞわっと来た。感じるのはやっぱり脳、ってこと?……なん……だね?

589お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:39:45 ID:???
「りゅ、りゅうじ、して。今度してみて。どんなか教えてっ」
「ああ、するとも。今のお前のいきそうな顔、よく見せろ。それでしてやる」
「え、ええっ?やっ、やだあっ」
「それか。よく覚えとかないとな。そのエロくて可愛いーい顔をな」
「やだぁ、そんなのやだよう」
「もう見ちゃったもんな。しっかり覚えたし。どんだけ可愛いと思ってるか教えてやるよ」

 竜児は私の手をとって、自分の股間に導いた。触ってみろという。……さっき出したばっか
りなのに、インターバルに最低1時間要るって言っていたのに、握りしめてみた。思いっきり
固かった。おっきかった。
 ど、どうだ分かったろ?と、いじめる竜児の声も震えてた。いきそうな私を感じたから竜児
も興奮してる?はぁはぁしてる?だからこんなに固いの?ぬるぬるになってるの?
 かわいい、りゅうじかわいいっ、もう……もうたまんないようっ!
 分かったとたんに、まるでスイッチが切り替わったみたいに、私は急坂を登りだしていた。

 登り始めたと思ったらすぐ。あ、竜児!私もう!と、出ない声で最後の別れを告げる。竜児
はそれを聞くなり半開きの唇を吸ってくれる。キスされながらいくの私がすごく好きだって、
もう知ってるから。

 間近で落雷を見たように視界が白くフラッシュして、一瞬音が聞こえなくなって、身体と身
体の外の区別がつかなくなって、時間が止まったように。
 声なんかもちろん出やしない。息もできなくなる。止まった時間が動き出して、息を吐きき
ったのか吸いきったのかが分かって、ゆっくりと音が聞こえてきて、一杯に入った力で痙攣を
し始めてるのが分かるまで。

 やがて最初に声が聞こえてきた。見たぜ、しっかり覚えたからな。大河。お前めちゃくちゃ
可愛いな。最初に見たのは優しく笑いかける竜児の顔。
 その言葉を理解したら……もう一度来た。


「……おはよ、竜児。ていうか寝てはいないけど」
「おう。今日は長かったな」
「そんなに?どのくらい?」
「2回合わせて30秒くらいいってたかな」
「ふーん。そんなもんか。いつも息止まってて死ぬんじゃないかって思うけどね」
「だから逝くって言うんじゃねえの?……まさかな」
「あーでも。なんか今日のはすごく深かった」

 ふぅーーーっと長いため息をついていたら、ところでよ?そろそろ離さねえ?と竜児。
 ふと見れば私、股間の竜児を握りしめたままだった。あ、ごめん。と言いつつ、その固いま
んま大量の水滴といっしょに握り込んだぬるぬるの竜児をゆっくり擦りだしてみた。お?とい
った感じで見つめる目に笑いかけてみる。

「竜児……もしかしてこのままきもちよくいけそうだったり?」
「ん?……ああ。たぶん」
「じゃあ、私の上に乗ってよ?それでお腹の上に出して」

 さっき見た顔を忘れないうちにね。私があんなによかったんだから、あんたもさぞ心穏やか
ではなかったでしょうよ。したくてしたくて、もう、たまんなかったでしょ?

「……おう。……もう、すぐいっちゃいそうだけどな」
「いっしょにいくって、思ってよ。いっしょに行こう?」
「大河……」

 仰向けの私の肩口に腕を滑り込ませて、竜児が頬を合わせてくる。きもちよくなるよう丁寧
に両手で握って、擦ってあげる。
 もうゆっくり楽しもうとか、そんな雰囲気ではなかった。一秒でも早くいっしょにいきたい
と思っているのだろう。忙しく胸をもまれたり吸われたり、ぎゅうっとされたり、こんなに獣
っぽい竜児を初めて見る。……これも、かわいい。
 私の手の動きがもどかしいのか、竜児の腰が勝手に動き出すのをみて、あ、頭はもういきか
けてるのに身体はまだ次が装填されてないんだって分かる。じゃあ、助けてあげる。

「竜児、私ね。妄想するだけじゃないよ?」
「はっ?そうなのか?」
「うん……寝る前とか……指でしたりも……するよ」
「どんな……妄想……したりする?」
「恥ずかしいこと。ねえ、いつも優しい竜児がね?私を……むりやり犯すの」
「そんなこと……しねえよ」

590お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:42:07 ID:???
 しないのは分かってるよ。妄想だから。
 頬を合わせていてどんな顔をしてるのかは分からない。けれど、抱きしめてくる腕の力も、
頬に伝わる熱も、いまの竜児の気持ちを伝えてくれる。どこでお前は俺に犯されるんだ?と続
きも訊いてくる。

「いろんなとこだよ。昔いたマンションで水着みせたときとか」
「……お」
「あんたのうちで寝てたときにとか」
「……」
「でも、いちばんいいのは……ここだよ。この部屋」
「そんなことを……」
「やだって言ってるのに、あんたは無理やり私をひん剥いてね、獣のように犯すの」

 ……今みたいな感じで。やだやだって暴れてるうちにね。でも私はよくなってきちゃうの。
 ……あんたにぎゅっとされて、上から思い切り押さえつけられて逃げられなくて。でもすご
くいいの。屈辱だって思ってるのに、どうしようもなく、いいの。
 手の中の竜児がすごく膨れてきた。このシチュエーションはいいらしい。実際にはあり得な
いしする気もないっていうのに、なんていう不思議だろ。

「そんな私を見たあんたもよくなって、こんなふうにすっごい固くなるのよ」

 それを感じた私がまたよくなって変な声も出ちゃって。それを聞いたあんたがさらに興奮し
て乱暴にするのよ。……そうしてるうちにね、私、いっちゃうの。そんなふうにされるのなん
て死んでもいやで、屈辱だって思ってるのに。涙ぼろぼろ零しながらいっちゃうのよ。

「さっきあんたがしっかり見たような顔をしてね」

 くっと竜児の身体が震えた。しっかり握った方の竜児もびくびく跳ねた。お腹に飛び散った
熱いものは溶岩だろうか。何度も、何度も震えてる。ちゃんと抱きとめてあげる。きもちよか
ったでしょ?竜児。


 代わる代わるシャワーと着替えを済ませて、私たちは寄り添って座った。いつもと同じよう
に頭を肩に預けて、指を絡ませて。
 少しけだるくて、残り火が温かくて、気持ちが穏やかに帰ってくこの時間はとっても幸せ。
ぽつ、ぽつ、となんの虚飾もなしに竜児と話すのがすき。

「挿れなくてもえっちって出来るんだな。教えてくれてありがとな、姉ちゃん」
「あー。途中からお姉ちゃんなの忘れてたよ。ていうかこんななるなんて思ってなかった」

「……計画的犯行に見えたけどな」
「わたしゃエッチな女で実行力には自信あっても、騙し続ける器用さはないわー」
「ああ、そっか。ただ姉ちゃん振りしたかっただけか?」
「そうなの。生理になっちゃってやばいと思ってさ、ただがまんさせるのも悔しくてね」

「言葉責めっていうのもいいよな。すっげえ新鮮だった」
「へ、変態だ。……ねえ。ほんとに私のこと思いだしておかずにする?」
「する。つか、わりと当たり前のようにしてる」
「ああいうシチュエーションでか。強姦魔」
「言い訳はしねえけど、ひとりでしたいときはお前に対して我慢できないときだからな」
「やっぱ男の子だよね、そういうとこは。まあ妄想だし好きなだけ犯すがいい」

「お前の方こそどうなんだよ」
「ほんとにするよ。実は先週もした。でも竜児とは逆パターンだね」

 一年も離れていたんだもん。ずっと逢いたくて、ずっとしたかったもん。だからいまこうし
てるような雰囲気のまんまでいつのまにかつながってる、ていうのがほとんど。

「意外でしょ?」
「おう、意外だな?もっと体育会系な感じだと思っていたけど。やっぱ女の子なんだな」
「これはこれで女の都合ってやつなんだけどね」

 じゃあ今は?と追い討ちをかけられたので、平日できないから寝る前にちょっと、と答えて
おく。すると、なんだ、じゃあ離れていてもいっしょにいてもするんだな。同じだな、と。
 そうね。それは同じ。

591お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:44:50 ID:???
「けど今は実際にしたことを思い出して……するよ」
「へえ?」
「妄想より良かった現実があるのに、代用は要らないでしょ?」
「思い出だと何度でも再現できるってわけか?」

 ううん違うの。思い出しても、そのとき現実に受けた感じまでどうしてもいかない。こうだ
ったはず、って思いながらするのよ。それで、だから、次の機会にはこんなことしたいなって
思えてくる。

「……ね。でもさ?今日のはお互いにいいおかずになると思わない?刺激的だったし」
「思うかよ。お前どんだけアホなんだよ?」
「えー?なんでよ?」
「ひとりでするよりいっしょが良いに決まってるだろ。俺はもう来週が楽しみだ」
「なんだその掌返し?空前絶後の浮かれポンチ具合だわ。ついに私を強姦するつもりか?」

 アホか。と竜児が呆れる。まあ、呆れる振りでも優しい顔してるんだけどね。
 俺はもうちょっと自分の抵抗感とかを省みて、もうちょっとお前の冒険心に同調しようと思
ってるだけだ。と言ってくれた。
 嬉しくて、フヒヒ……といやらしい笑い方をしてしまう。時間をみて、もうちょっと経った
ら買い物に行こうぜって誘う竜児に、それじゃあ冒険にもつきあってもらおうと思う。

「ね?今夜。夕食後に冒険、しよ?」
「さっそくだな?まあ復習ってのは大事だが。うーん」
「軽ーく」
「軽ーくか?」

 だってさあ。と手近な小物置き棚から例のメモ帳を取ってめくりながらもったいをつけて告
げてみる。今日これで終わったら、竜児に黒星付いちゃうよ?

「おまっ、対戦成績ずーーっと付けてたのか?」
「うんっ」
「なあ、それ勝利条件てどうなってんだ?」
「竜児いき>私いきなら負け。=なら引き分け。私を多くいかせたら勝利」

「誰の勝利?」
「私の。で、私が勝ったら場合には当然、自動的に、竜児の勝利でもあるわけ」
「もう何と戦ってるのかさっぱりだな」

 ともかく今日は、せめて引き分けを目指すことにするか!

「じゃあはやいとこ洗って陰干ししとかないとな?貸せ。手洗いだろ?」
「何を?」
「ヌーブラ。予備持ってないよな?どうせ」
「……あんた、これそんなに良かったの?そんなふうには全然見えなかったけど?」
「大河、お前って女は男の心を全っ然、分かっていないな?」

 得意げに人差し指を立てて、目の周りをうっすらと染めて、竜児は力説し出した。
 いいか?どうして剥がさなかったか、どうして付けたまんまで俺が我慢していたかを考えて
くれ。もうほとんど、これさえ剥がせば半裸になるというそのギリギリのところで視覚的にも
触覚的にも踏みとどまる。これがいいんだ。何も考えず欲望のままチューブトップをとっとと
脱がしてしまったのもあとで気づいて実は相当に後悔した。あれも合わせて残すべきだった。
いやお前の俺を煽るためのコーディネイトセンスにも今だから言うが敬意を表するぞ?あの姉
ちゃんと言いながらの妹っぽさは犯罪的にツボだった。やはり意外性、非日常性の持つ誘惑に
は抗い難く云々かんぬん。

 喜んでいいのか呆れた方がいいのか。とにかく分かるのは、こいつぁ相当にマニアだという
こと。大河は微妙な笑みを浮かべて、口元を引き攣らせてハイになってる竜児を眺めてはしみ
じみ思うのだった。なんてトラップだったのだろう、と。

 スイッチがあるからとむやみに押す前に考えよう。これからは。




――END


※竜虎の誕生日設定は、原作記述から大河4月上〜中旬、アニメから竜児おうし座というのを
都合よくあてはめました。

592 ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:48:33 ID:???
以上です。↓の『休日編』といった感じですが、ストーリー上のつながりはほとんどありません。
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1302817738/137-148

593高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 08:02:53 ID:???
エロい…、パコパコカ―ニバルじゃあ無いけど、2828しながらがまん汁オンパレード(≧∇≦)♪ GJ!

594高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 13:49:49 ID:???
甘くてエロイ!GJだ、超GJ!

595高須家の名無しさん:2011/05/22(日) 23:35:59 ID:???
>>592
エロエロラブラブ最高すなぁ…
竜児の力説にワロタw心の底から同意するぜ!
マジでGJっした!!

596俺にまかせとけ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/24(火) 22:50:41 ID:???

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴ったエロコメディ(要するにアニメ版アフターです)

 高校を卒業して、別々に進学した竜児と大河は結婚という遠大な目標に向けて鋭意努力をし
始めていた。他人であったふたりが奇しくも出逢い、惹かれあって、ずっといっしょに居たい
と願った以上、そしてふたりが同性でなかった以上は、当然の帰結と言えた。
 19歳になった逢坂大河と、もうすぐ19歳になる高須竜児は、めでたく恋人以上夫婦未満
といった関係になっている。
 しかし、やることはとっくに済ませていても、いまだ親がかりなふたり。
 やはり毎日エロエロアマアマに惚けてるわけにもいかない。そういう甘美な数日間がたまに
はあっても、社会に巣立って、いつかは自分たちだけの家庭を持つための準備を怠るわけには
いかないのだ。したがって、のべつまくなしにイチャついていないで学生の本分を全うしろ!
という自律的な制約を、どちらからともなく課している。
 それは“したくなっちゃうようなエロい行為を平日は自重する”ということ。

 とあるどっかの、またも日曜日。
 さんざんおためごかしを書いておきながら、日々のつとめをこなしたら制約を解放してもよ
いとふたりが暗黙に決めている休日がまたもやってきて、このくだらない話は始まる。


「はっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ!あっ、あっ、あっ、ああああっ、ああっ〜」
「はっ、はっ、はぁっ。……3回目だな……」
「う……、うんっ、うんっ!……りゅうじは?」
「ああ。まだ大丈夫だ」

 竜児はきもちよく逝った(ワラ)大河を優しく抱きしめて波が去るのを待っている。
 男は一度いったらいわゆる賢者モードの時間が訪れて、場合によってはこうした行為を継続
するのがバカバカしくなることもあるが、女は何度でもいけるもの。
 パワフルにスタミナあふれる男によってひと晩に何度もいかされるのが女にとっては他に得
難い幸福。そうした価値感は、やりたい盛りの竜児にも当然のごとくもたらされていた。

 というわけで、今日は一種のドーピングをしてみたのだ。
 詳細は、ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1252792801/ を参照してみれば分
かるだろう。フェミ○ーナ軟膏を使って、男の子側の感受性を麻痺させて、早漏を防ごうと言
うメソッド。これはオカルトでもなんでもなく、本当に効くらしい。ていうか、筆者の体験か
らいって副作用もなく効く。この先を読み進めるよりリンク先の方が楽しいかもしれない。


 もちろん大河はそんなことを知らない。
 いつも早漏で(「早漏って言うんじゃねえ!」高須竜児:談)2回戦以降に真価があると信じ
て疑わなかった竜児――抑えの守護神、と崇めていた――が、今日に限って最初から耐久力抜
群で一体どうしたのか、と少なからず驚き、そのシャイな心が“う、うわぁ、かぁっこいいぃ”
と感動で震えていたのもまた事実。

 惚れ直した、という表現がまさにぴったりくる。
 女として自分を愛していてくれるとこんな奇跡も起こせるのか。という感動。
 感動ゆえに2回目以降がいきやすくなってしまったのもまた事実で、もちろんその自身の変
化も繊細な大河はしっかりと自覚していて、このうえない幸福感を感じていたのだった。
 曰く、愛って素晴らしい、などと。
 愚かしくも。

 でも、がんばる竜児を、4回目が迫った頃に気になりだす。

「はっ、りゅっ、りゅうじ?あんたは……?」
「んっ、んっ、大丈夫。まだっ」
「……?いっ、いくらなんでも、がんばりすぎっ!……じゃないっ?」
「はっ、まかせろ!お前はなにも考えずに気持ちよくなれ」
「えっ?はっ、そ、そんな?のって?あっ、あああっ!?」

 はい4回目。
 でも肩で息をしながらも大河は、さすがに違和感を感じ始めたのだった。

597俺にまかせとけ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/24(火) 22:51:48 ID:???
「ちょっ、あんた。竜児。……抜け」
「ん、なんだ?」
「抜いたら、そこに座んなさい」
「おう……なんだよ?」

 行為の途中で、……いやまあひと区切りついてはいたが、全裸で正座させられる男ほど情け
ない存在もそうは無いだろう。また、全裸で正座して問い詰める女というのもあまりカッコの
いいものとはいえない。

「あんた、どう考えてもおかしい。……なんでいかないの?」

 いかないのにこのカッチカチの小白龍(シャオパイロン)のままっておかしくない?などと大河はむ
にむに握りながら詰問。あっやめてっ!

 仕方なく、というよりも待ってましたと言わんばかりの得意げで、竜児は種明かしを始める。
ネットで目にしたこのメソッドによって、持久力が増すんだよ、と。
 どうしてそんな魔法のようなことが?と問う大河に、これこれと理屈を説明する。主成分の
リドカインってのがさあ?麻痺効能をもっていてさあ。

「な、なんだそれっ!!」

 大河はいきなりキレた。ぼろぼろ泣き始めた。なんだよ泣くこたないだろ?お、おい?と竜
児が驚いて慌てる。

 私たちはそんなこと気にする間柄なのかっ?私が……あんたのその……いわゆる……世間的
な用語でいう“そうろう”を一度でも責めたことあるかっ?バカにしないでよっ!!

「あんたにいかされたくてえっちしてるんじゃないよっ!」

 あ、ごめんごめんとキレたはずの大河がすぐ謝る。ごめんうそ。いかされたくないなんてそ
んなことない。あんたにいかされるのすごい好き。タンカ切ったけどそこだけ取り出して言い
返さないでね、と不思議な折れ方をする。

 あー、まあ。ようするに。

「薬物効果でいかされても、そんなの嬉しくないの。……あ、知らなきゃ嬉しいかな」

 微妙よねっ!?あんたどう思うっ?どっちなのかよく分からない。
 どう思うって言われてもな、いいのか気に入らないのか決めてくれよと竜児は困る。そりゃ
困るだろう。どこに線引きゃいいんだ?と思うから。

 イイコトしてる最中に、しかも4回もいかされた女がキレてるというのも普通はない。それ
で相対して、ベッドのうえで正座して文句が出ると言うのも。
 だがそれを言うのが大河と言う女であるし、それを聞くのが竜児と言う男。ふたりは絶対に
なぁなぁで流さない。だからこそ後に毛の先程も未練も遺恨も残さない。合意した以上は、死
んでも誠を貫くのだ。そのためにこそ、争う時は真剣勝負。……こんなエッチねたでさえも。

「お前、気持ち良くてなんの文句があるんだよ?」
「きもちいいことに文句なんてない!……麻痺効能ってのは……あんたがいきにくいわけじゃない?」
「でも累積していけばそのうち俺だっていけるわけだろ?互いになんの損もないだろ?」

 涙目の大河が、ようやく思いをまとめた。理屈ではいつも竜児にかなわない、情を理解して
もらう他にない。だが、今日のこの問題では、理屈で押す事が出来る。

「私はねっ、あんたといっしょにいくのがいちばん幸せなのっ!いっかいで、いいのっ!」

 竜児はそれを聞いてふにゃふにゃと負けを認めた。軍扇を一振りすれば全軍で大河の一味を
数分で蹂躙できる戦力を擁しながら、撤退した。
 しかし、それは敗走ではなかった。

 そうか。そうなのか。俺が悪かった。つか、だったら、もっと早く言えよ。気にしてたんだ
よ、俺がヘタだとお前は不満なのかって。……エロ虎。可愛い、俺の大河。

 わ、分かればいいのよ。ちょっとキレすぎて悪かったわよ。言い過ぎた。
 ね……いっしょにいけるように、もう一回してくれる?
 ああ、そろそろ薬効も切れるだろう。でもうまく合わせられるか保証できねえ。頑張るけど。
それでもいいか?いいだろ?

 いいよ。でも合わなかったらもう一回ね?私は4回いったけど、あんたは2回目になるんだ
から無理はないよね?
 おう、できるかぎり頑張るからな。

「ふふふっ、竜児。好き」
「おう、大河。俺も好きだよ」


 晩酌をしながらこんなの書いていたら俺(筆者)も心底ばかばかしくなってきた。そのあたり
はどうか理解をしてほしい。こんなオチでほんとうに済まないと思っている。


――END

598高須家の名無しさん:2011/05/25(水) 07:54:04 ID:???
いか〜ん!いかんぞぉ!ドーピングわっ!(え〜とメモ、メモ…)
確かに。でも、それが読みたいのです。
GJ!

599まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/28(土) 02:11:20 ID:???
アニメスタイルでハプニングセッ…ハッスルしたのでまとめサイト更新しました。
ねんどろいどぷちの大河が可愛いしブルーレイのアプコン情報も公開されるしあなるはかわいいし
もりあがってまいりました!!!

600高須家の名無しさん:2011/05/28(土) 08:23:51 ID:???
>>599
おつです!

アニスタ買い損ねました orz

601高須家の名無しさん:2011/05/28(土) 10:31:41 ID:???
いつも乙!
BD情報来てるのかぁ、俺も知りたかったw
いいんだ、絶対買ってやるし!

602まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/28(土) 16:42:35 ID:???
BD情報はこっちっす
ttp://ameblo.jp/bdmeister/entry-10904049017.html

特典はすごいのか…(;゚д゚)ゴクリ

603高須家の名無しさん:2011/05/29(日) 13:26:03 ID:???
まとめ人様更新乙です
BD特典……ねんぷち竜児だったりして

604123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/29(日) 13:33:11 ID:???
豪華って言う位だから竜児、北村、櫛枝、亜美とかだろ

3体セット
①竜児、櫛枝、亜美
②木原、能登、独身
③春田、香椎、北村

とかでもいいかな

605高須家の名無しさん:2011/05/29(日) 15:10:06 ID:???
いやいやこっちでw

3体セット
①竜児、櫛枝、亜美
②木原、香椎、泰子
③田村、松澤、相馬

606◇oLWU/inCrU:2011/06/03(金) 02:51:45 ID:???
一言あとがき書こうとしたらバイさるくらったでござる…
すみません、他職人さんへのレスなども次回以降に。
まとめ人さま、お手数ですが、ミスしたレスは削除してまとめてくださると助かります。
いつもありがとうございます!
では後日ー

607まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/06/07(火) 00:04:25 ID:???
本スレ>>320を見て、ついムラムラしてやった。今は反省している。

608高須家の名無しさん:2011/06/07(火) 12:58:57 ID:???
ずれてるずれてるw
下2行上1行削って竜児の顔をほんの少し弄ってみました。

             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
           /:::::::::::::::::} ::::::::::::::::::::::::::::::::トゝ
           /::::::::::::::::、::ヘ::::::::::::::::::ィ:::::::::',
          ノイ:::::::::/厶トハ:::::::::/厶」::::|:ト|
           | lヘ /V-。ミヽ:ハ //。--}ハN
           Vトハ{ `ー‐'  ` ー ' .|リ
            {ヘハ :::::    }   ::::: l'
              }:.、   、    ,   ,′
               N个 、  ̄   イl
              r<|   > < |‐- 、
              |  `ー‐┐ r‐'~ ̄}    _
             ,.人__    {  }  _ L 、 /´: : :\
           /     ̄`  く_ノ '´ , < {__: : : : : : ヽ
      _ .. -<           ○  /r :⌒: : : \⌒ヽ : : :\    
    r‐'                  { /: : : :i: : : : : : : : : :\:: : :}
   .}  ∧               |/: : : ,: :|: : : : : : : : : : : : : : {       
   |   ∧   !          /: : ::/厶|_: : : :∧:ヽ : , : : : :.|
   |     ヘ  |          }: :|: Ⅳ=、|: ! : :|⌒V、: }: : ! : |
   |      '  i          (_|: : !{"芹代ィ: : {ィ示ミy: : ::| : |
   |      } }  ,          {: .:r.{l ヾ= ' \jゞツY: : |: :| : |
   |      リ/          .∧: |: :ゝ:::::  '  :::::∠ イ: |: :} : |
    }      |          /: :.V ::::>  ` '  , イ l}:ノレ: : :ヽ
    |  :.    |          /:/: : : .:::,:⊥| `¨ {_:::::. : : : : : : : 八
    |   \  |          /::ル--っ: \〈    ノ`):: : r‐ 、: : : : : :、
    |    \人        /:// 二つミ: :r)ヘ ∠//7フ7二ヽ:_: : : ::\
    |   __` }       〃/ ,仁二) )乂ミl彡': : {  _ト┬ } ∨:::ト、: \
    | / ――L____ ノ// / r―'’v: : ゝV (: : : |三彡} と |  }: :| 〉: : }
   〔            //¨{  /  y _)ノY_入_/ V礀  ハ | l ∧ ∨: : /
     ト           /:′ !  }  |    厂「 } {Ⅹl    ',|./ /  }: : : /
    |          /: |  |___/|  l   , ′ | '、 ̄ !     }|_/ /: : :(
    `ー‐---=≧_(|: :{_O| /: :|  ! /   ,j  ', ∧   ハ: }/: : : : : :}
       |       ∧: :\「: :|  | /   / |   ', |\   〉: : : : :/

609高須家の名無しさん:2011/06/07(火) 13:06:06 ID:???
ttp://labo.koishikawachan.net/aatest.html
ここで問題がなかったから表示環境の方でずれてるのかなと。

いや、しかし大河は肩が熱くてたまらんだろうなあw
実乃梨あたりに「写メとるからもっと笑えーっ」とか言われてるところかな。

610高須家の名無しさん:2011/06/07(火) 19:01:14 ID:???
自分もトップページ、ずれてるなぁ。
ググったら、フォント指定されて無い様なので下記タグでAAを挟めばいいみたいっす。
<div style="font-size:16px;line-height:18px;font-family:'Mona','mona-gothic-jisx0208.1990-0','MS PGothic','MS Pゴシック',sans-serif;"> AA </div>
12px、14pxでもサイズ小さめ&ズレ僅かでいいかも。
ttp://momijiaoi.blog110.fc2.com/blog-entry-69.html
まとめ人様、いつもお疲れ様です!

>>609
そして二人はどんどん真っ赤になるとw

611 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:14:57 ID:???
本スレに上手く投下出来ないのでこちらへ。
転載してもらえると助かります。

612シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:16:14 ID:???

「メリークリスマス!!パンパン」
竜児が携帯電話に出るや否や、テンションの高い大河の声が返って来る。
「いきなり何だ?」
思わず携帯から耳を離した竜児はそう大河に問う。
「鈍いわね。楽しい、楽しいクリスマスに決まってるじゃない」
ちなみにパンパンはクラッカーの音だと大河は付け加えた。
「竜児、クリスマスのおめでとうは?」
「ああ、メリークリスマス」
大河に催促され、竜児はしぶしぶと言った感じで答える。
「何よ・・・その盛り下がったクリスマスは」
「仕方ねえだろ・・・おまえと一緒じゃねえんだから」
ぐじぐじという感じで竜児は現況を嘆く。
世間一般ではクリスマスと言う一大イベントで高揚していると言うのに、共に祝いたい相手は遥か彼方にいる。
竜児じゃなくても気分が落ち込むと言うもの。
「せっかくのイベント、そんな気分じゃ楽しくないよ」
盛り上がって行こうとあくまでもハイテンションを維持する大河。
そんな大河の声を聞いているうち、竜児も少しずつテンションが上って来るから、気分とは伝染する物なのかもしれない。


「ちゃんと用意した?」
「ああ、ばっちりだ」
そう答えた竜児の前にはクリスマスケーキを始めとしてごちそうが並ぶ。
そして電話を掛けている大河の側もまったく同じ構図が展開されていた。
「じゃ、行くわよ、竜児?」
「おう」
電話越しにお互い、グラスに注ぐコポコポと言う水音を聞く。
竜児はふたつあるグラスにシャンパンを等分に注いでいた。
大河も同じ様に目の前にあるグラスと、その向こうに置かれたグラスへシャンパンを注ぐ。
「それでは・・・かんぱ〜い」
大河はグラスを宙へ持ち上げる。
「かんぱい」
竜児も1000キロ離れた場所で大河と同じポーズをする。
竜児も大河も自分が持つグラスを目の前に置いたもうひとつのグラスに軽く触れさせた。
カチンと言う甲高い音がほぼ同時に聞こえ、お互いに相手が今していることを知る。

コク・・・コク・・・。
ゴクン・・・ゴク、ゴク・・・。

のどを通るシャンパンの音が大河にも聞こえ、竜児にも聞こえた。
その瞬間、ふたりは同時に相手の姿を目の前に思い浮かべる。
例え体は離れていても、確かにこの時間、心は相手の部屋にあった。

「・・・ふう・・・げっぷ」
「竜児・・・ムード台無し・・・うぷ」
「大河こそな」
炭酸入り飲料の一気飲みで、げっぷを漏らすふたり。

613シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:16:52 ID:???

クリスマスパーティをしよう。
そう言い出したのは大河だった。

「思えば・・・あんたとまともなクリスマス・・・過ごしてないのよね」
「ああ、確かにな」
「鳥どーんのはずが、竜児ってばインフルエンザで倒れるし」
「し、仕方ねえだろ、かかっちまったもんは」
お互いに笑い話にしているが、お互い心の中で別のことを思っていた。

大河がいないって気が付いて、大橋高校主催のクリスマスパーティを抜け出した竜児。
着ぐるみ姿になって大河の部屋を訪れて、そしてそのまま、大河に送り出されて櫛枝実乃梨の元へ駆け出してしまったあの時。
今、思い返せばどんな気持ちで大河は居たのだろうと竜児は悔悟の念が胸を過ぎるのを止められない。

これでいいんだと竜児を見送った大河。
でも、心は安堵とほど遠くて、どれだけ待っても安寧はやって来なかった。
それどころか、湧き上がる感情の奔流に大河は揺さぶられた。
そして、気が付けば竜児の名前を叫びながら駆け出していた。
あの時ほど、掴み取りたい物が掴み取れないもどかしさに身を焼かれたことはなかったと大河は記憶の断片をなぞる。


だから、今年こそは素敵なパーティを・・・と言うわけでごちそうを持ち寄り、それぞれ自分の部屋でケーキなどを突付いているのである。
「今、部屋の中を誰かにのぞかれたら、寂しい風景に見えるだろうな」
竜児が苦笑いしながら言う。
「・・・それは言わない約束」
大河も自覚があるだけに、ふたりでしている行為が寂しい部類に入ることを認めざるを得ない。
一人ぼっちでケーキを食べている光景なんて・・・人に見られたいもんじゃないと大河は思う。
だけど、そんなものでも大河はしたかったのだ。
竜児とてそれが分かっているから、大河の提案を拒んだりしなかった。

「ホントは竜児が作った物・・・食べたかった」
ローストチキンにフォークを突き刺し、大河は言う。
「おう、ここにあるぜ」
竜児の前に並ぶ料理の量は明らかに一人前を越えていた。
いないはずの大河の分も竜児はしっかり作っていたのだ。
「・・・竜児」
食べられないでしょ・・・と文句を付けられると竜児は思ったのだが、大河は違うことを伝えて来た。
「食べさせて」
「お、おう」
「何があるの?」
「何でもあるぞ」
「じゃ、チキンナゲットちょうだい」
「ああ、待ってろ」
竜児はお皿からチキンナゲットをスティックで突き刺し、そっと目の前の空中にかざす。
「ほら、ナゲット」
口を開けろと言う竜児の声に大河は「あ〜ん」と言いながら小さく口を開けた。
「味はどうだ?」
「ん・・・ちょっと塩味が足んない」
大河が口にしたのはローストチキンだったが、大河の舌には竜児が作ったナゲットの味が広がっていた。

614シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:17:37 ID:???


「そうだ、荷物着いたか?」
「うん、昨日」
「サイズとか、大丈夫だったか?」
「ぴったり」
「なら、良かった」

昨日、学校から帰宅した大河は竜児から宅配便が来ていると知らされ、うがいもしないで部屋に駆け込んでいた。
調味料の空き箱を利用した入れ物が大河には宝箱に見えた。
竜児らしく几帳面に梱包された箱を空けると中から出て来たのは手編みのセーターだった。
大河はそれを取り出すと、衝動的に胸元で抱き締めていた。
まるでセーターが竜児であるかのように頬を寄せ、大河は目を閉じる。
・・・竜児。
ベッドの縁に背中を預け、大河はセーターをぎゅと抱いて、しばらくそのままの姿勢で動かなかった。

「普通、逆でしょ」
大河としてはそう言うしかない。
「そうか、俺は気にしないぞ」
「私は気にするの」
彼氏に手編みのセーターを贈られる彼女ってどうよと大河はもう笑うしかないのだが、素直に感謝の気持ちは竜児へ伝える。
「ありがと、竜児・・・大事に着るね」
そう言った大河は今もそのセーターを着ているのだ、わざわざ部屋の暖房温度を下げて・・・。

「大河からのプレゼントももらったぜ」
「あいにく、手編みじゃないけどね」
「暖かそうな手袋じゃないか・・・大河が選んだんだろ、これ?」
「そうよ・・・時間が無くて適当に選んじゃったけど」
「これなら、手が凍えないで済むな・・・ありがとな、大河」
「・・・うん」

良かった・・・気に入ってもらえてと大河は胸を撫で下ろす。
竜児には適当に選んだと言ったものの、本当はお店を何軒も回って決めた物だった。
プレゼント用と聞いてラッピングしますかと言うお店の勧めを断って大河はそのまま手袋を持ち帰った。
自分の手の平よりふたまわり大きいサイズの手袋。
大河はそれを手にはめて、両手で自分の頬にそっと触れた。
そうするとまるで竜児の手が伸びて来ている様な錯覚に大河は襲われる。
そのまま大河は両手を頬から下げると胸元で交差させた。
ふっと小さな息を漏らした大河。
やがて大河は自分の腕に力を入れ、自分で自分を思いっきり抱き締めた。

そんな大河はひとつだけ竜児に内緒にしていることがある。
竜児へ贈ったクリスマスプレゼントの手袋がペアルックだと言うことを・・・。

615シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:18:42 ID:???


「まだ、大事に持ってるよ、竜児のセーター」
「いい加減、ぼろぼろじゃねえのかよ」
「ちょっとほつれてるけどね」
「そう言えば俺もあるな・・・大河からもらった手袋」
「・・・少しは練習したから・・・今度手編みにチャレンジしてみる」
「大河がくれる物なら何でも嬉しいぜ」
「竜児、さっきから口数が多い・・・」
「そういう大河こそ」
「・・・き、緊張してるのよ」
「いよいよ・・・だもんな」
ドレス姿の大河は少しだけ固い表情で竜児を見る。
「・・・竜児」

式場の係員がスタンバイOKと伝えて来る。

「大河・・・深呼吸」
そんな大河に竜児は落ち着けとアドバイスする。
「うん・・・すう〜すう〜すう〜・・・うぎゅ」
「息、吸い過ぎだ、ドジ」
吸い込み過ぎた息をゲホゲホと言いながら大河は吐き出す。
「あ〜もう」
この大事な席で何やってんだろと大河は自分の頭をポカリと小突く。
「でも、リラックス出来たじゃねえか」
「あれ?ホントだ」
さっきからバクバク言い出していた心臓の鼓動が落ち着いて居る事に大河は気が付いた。

・・・高須様、どうぞ。

タイミングよく、ゴーサインが出る。
ガチャと音を立てて木製の扉が大きく開け放たれる。
一歩、踏み出した大河と竜児にきらめく陽光が降り注ぐ。
建物の階でまぶしさに大河と竜児は立ち止まる。
スピーカーを通して聞こえて来る司会進行の川嶋亜美の声。

・・・新郎、新婦の入場です。みなさま、拍手でお迎え下さい。

パチパチと手を叩く音が前方から竜児と大河へ届く。

「行こう」
「うん」
竜児の声に大河は小さくうなづくと手を竜児へ伸ばした。
竜児はそんな大河の手を取ると短い階段をゆっくりと降り始める。
そこは屋外にあるガーデン形式の会場・・・竜児と大河の進む真正面に見える式台。
その式台へ向って階段下から敷き詰められたレッドカーペットが大河と竜児の歩みを待っている。
カーペットの両脇に並べられた椅子に座っていた人々が一斉に立ち上がり、ふたりがやって来るのを待つ気配。

階段を下まで降り切った大河と竜児はそこで一度立ち止まり、ふたり揃って前方で待つ人々に深々と腰を折った。

・・・今日を迎えられたのは・・・ここに居るみんなのおかげだ、そうだろ、大河?
・・・そうね・・・みんなで幸せにって誓ったよね・・・みんな居るよ・・・ねえ、竜児。

大河は押し寄せる高揚の精神波に世界中でいちばん幸せな気分を味わっていた。


今回はここまでです。

616 ◆Eby4Hm2ero:2011/06/09(木) 13:17:02 ID:???
本スレに大作が続々と……皆様方GJ!

そして私は規制中orz

617とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/06/09(木) 13:18:06 ID:???
お題 「へえ」「違う」「うまく」



「たっだいま〜」
「おう、お帰り大河」
「はい竜児、おみや〜」
「おう、サンキュ。ホテルのレストランなんて、そうそう行く機会ねえからなあ……」
「ぷっくくく……」
「な、なんだよ」
「だって、竜児へのおみやげがドギーバッグなんて……ぴったりすぎて……ぷぷっ……」
「ほっとけ。で、どうだった?」
「んー、みのりんもばかちーも元気だったわよ」
「おう、そいつはよかった」
「ばかちーってば、今度映画の主役やるんだって」
「何!? マジか?」
「マジ」
「へえ……あいつはどんどん凄くなるなあ……何かお祝いでも贈るか」
「あ、それならうちでホームパーティでもやらない?」
「おう? なんでだ?」
「普通のプレゼントなら、もうあちこちから貰ってそうじゃない? それに、今ならスケジュール調整の関係でちょっと暇があるんだって」
「なるほど……そいつはいいアイデアだな」
「でしょでしょ。みのりんもばかちーも久しぶりに竜児に会いたがってたしね」


「櫛枝、川嶋、ちょっとこのテリーヌも食べてみてくれねえか?」
「どれどれ、いっただきま〜す」
「……! ひょっとして、これって……」
「おう、この間大河が持ってかえってきたやつをさ、自分なりに再現目指してみたんだけど……実際に食べた事ある二人から見てどうだ?」
「うっまあぁぁい! でも……」
「んー、そうね、再現というにはちょっと味が違うかしら」
「おう、そうか……やっぱそう簡単にうまくいくもんじゃねえか」
「あー! みのりんとばかちーばっかりずるーい! 私もそれ食べるー!」
「おう、大河……ほれ、どうだ?」
「んー、美味しい! この間のホテルのやつよりこっちの方が好きかも」
「……ねえ、高須君」
「おう川嶋、何だ?」
「ひょっとしてさ……殆ど無意識に大河好みの味付けに変えちゃってるんじゃないの?」
「!」

618 ◆oLWU/inCrU:2011/06/21(火) 20:32:29 ID:???
数レスお借りします。
気になると言ってもらえたので、ボツにした能登バージョンこちらに置かせてくださされ。
大筋は本スレの話とまったく同じです。


『永遠の昼(能登かわいくないよ能登Ver.)』


 風爽やかな初夏の校舎裏、ベンチで仲良くお食事中の影が二つ。
 やがて長身の影が手際よく弁当箱をしまうと、小柄な影がぺそっと肩にもたれ、そのまま彫像のように動かなくなる。
 それから、しばし。


          # # #


「どした?」
 図書室からの帰り道。校舎裏の角に下級生が溜まっているのを見つけ、能登久光は何気なく声をかけた。
 するとあっという間に囲まれて、「物置きから備品を取りたいんですが……」「お邪魔するのが怖くて」「もとい悪くて」「恐れ多くて」などと口々に言い募られる。
 どうも要領を得ないので、指差された方向を覗きこむと、そこには。

「──うひゃー。」

 ヤンキー高須こと高須竜児と、手乗りタイガー逢坂大河が、まるでペイネの絵のように寄り添う後ろ姿があった。
 普段あからさまにベタベタしない分、こういう所で補っているらしい。
 こっそりイチャつくのは結構だが、うっかり見てしまった時のダメージたるや。
 ──ちくしょー、高須羨ましいよ高須!
 リア充を爆破すべく、能登は危険を承知で本を盾にベンチへ歩み寄り──
「……!」
 とっさに声を飲んで、そうっと前に回りこむ。

 ちょいちょい、と手招きをすると、下級生たちは恐る恐るこちらに近づいてきた。
「……寝てる……。」
 誰かが思わずそう呟き、慌てて口元を覆う。
 片手の指を絡めて握りあったまま、二人はぐっすりと眠りこんでいた。
 竜児はまるで宝物を手にした少年のような表情で。大河もめったに見られない柔らかな表情で──ただしいかにも昼食後らしく、竜児の学ランに涎のしみをくっつけて。
 そこには、かつて“大橋高校の魔界コンビ”などと称された面影は微塵もない。

619 ◆oLWU/inCrU:2011/06/21(火) 20:35:24 ID:???
 能登が「今のうちに済ませろ」とジェスチャーをすると、下級生たちは我に返ったように数メートル先の物置きへ、物音を殺して入ってゆく。
 彼らが製図用の大道具を担いで立ち去るまでの間、能登はシャッター音で驚かさぬよう、少し距離をとってから二人の姿を携帯カメラにおさめた。
 すぐさま悪友たちに『爆睡カップル:略してバカップル@校舎裏』なるタイトルで一斉送信。
 昼休みは残り10分ほど。他の誰かがやってきたら、早速起こして一緒にいじり倒すつもりだ。リスク分散、賢い投資。
 それまでもう少しだけ、二人に穏やかな微睡みを。

 斜向かいのベンチに寝転がると、能登は持っていた短歌集を日除け代わりに開いた。
 ぺらぺらとめくるうち、とある歌に目を止めてクスッと笑う(かわいくない)。
「……『プレンソーダの泡のごとき唾液もつひとの傍に昼限りなし』……ねぇ。」
 刹那の恋を詠んだ歌だが、目の前のこの二人には、“昼”のような明るさと暖かさが、永遠に続くことだろう。
 何故なら、高須は本当に良い奴で──タイガーはその良い奴に惚れた女の子なのだから。
「……でもさ、妬けちゃうよ高須。妬けちゃうよ。」
 いつかは自分も、こんなふうに誰かさんと手を取り合ったりできるのだろうか。
 気の強い澄まし顔がちらっと脳裏に浮かび、思わず溜め息をつく。
 どうやら先は長そうだ。

「あっいたいた! 能登っち〜〜〜!」  校舎の裏窓から、メールを見たらしい春田が空気を読まない大声でこちらに手を振ってくる。
「高っちゃんとタイガーまだ寝てる〜!?」
 ──馬鹿!シーッ!シーッ!!
 慌てて合図をするも既に遅し。竜児が煩そうに肩を震わせて。
 仕方なく冷やかしの文句を考えながら、能登はその目蓋が上がるのをニヤニヤと待ち構えた。


        《了》


叙情性がなくなっちゃうのでボツにしましたが、能登のままでも良かったかな…?すまん能登。
気になると言ってくれた方に捧ぐ。ありがとうございます!

620高須家の名無しさん:2011/06/21(火) 21:13:02 ID:???
おおお、能登ver.ありがとうございます。
確かにこの短さだと文学少女・香椎という方がモチーフには合っていて完成度は高いかな。
でも個人的には能登の思いにリレーして少々の泥臭さあるこちらが好きです。
先は長そうだって(能登にしては)前向きなとこや春田が1番ギャラリーなとこもね。
乙でした!

621高須家の名無しさん:2011/06/21(火) 22:12:10 ID:???
うわぁ、言ってみるもんだ。ありがとう。私は能登verに一票ね。

能登がらみの(かわいくない)とか、「高須、心配だよ高須」とかは、やっぱり「能登かわいいよ能登」から来ているのかな。

622高須家の名無しさん:2011/06/21(火) 23:28:04 ID:???
同じく能登verに1票!スピンオフ3に繋がるところに、
2828しました。

623高須家の名無しさん:2011/06/22(水) 21:50:25 ID:???
おお、能登verも読めるとは…!
優しさに満ちた奈々子様verも素敵ですが、こちらは能登自身のドラマも絡み、より瑞々しくていいなあ。能登がんばれ能登
寄り添い寝てるだけなのに竜虎カップルの幸福オーラたるや。本当にかわいい。写メ送ってほしいw
ドタバタな締めもとらドラ!らしく。GJでした!

624 ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:52:26 ID:???
ラブラブセックルしてるのに前よりエロ度ゆるめの変なのを投稿させて下さい。

【タイトル】秋への brilliant road
【内容】ガチエロコメです。本番あり、というかメイン。例によって竜虎ともども重度の浮か
れポンチ状態でコメディ寄りです。他では大河のおっぱいにこだわってみました。趣味に合わ
なそうと思われる場合はご注意ください。
タイトルが内容にそぐわない清々しさですが、虎の重さこの手に抱いてgo far away な竜児を
気に入ってもらえれば幸いです

↓7レスほどいただきます。宜しくお願いします。

625秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:54:20 ID:???

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴ったエロコメディ(要するにアニメ版アフターです)
 恋人以上夫婦未満。19歳になった逢坂大河と、来月19歳になる高須竜児。
 “平日はエロごとを自重しましょう”という制約を解放しても良いとふたりが暗黙に決めて
いる休日がまたもやってきて、今回のブリリアントバカップル話が始まる。

****

 掃除掃除大掃除〜。午後はあっちに行ってるからな〜。と竜児は泰子に告げて、大河の暮ら
すワンルームマンションを訪れていた。
 嘘ではない。もちろん道具を持ってきて実際に掃除(部屋の)をする。
 するのだが、近頃では部屋の主が前日辺りまでに掃除(部屋の)を済ませているため、さほ
どの時間はかからない。それでも竜の目は見つけて、なにかと綺麗に掃除(部屋を)をする。
しまいにはベランダの排水溝辺りにまで目を付け掃除(排水溝の)を始めたりして、半笑いの
大河に「あんた何しに来たの?」と。
 そんな、こんなで、大型連休前。ぼやっと薄曇りな休日の昼下がり。
 いっしょに出かける用はなく、朝食昼食家事とひととおり済んで、夕方の買い物まではふた
りっきりとなっていた。
 竜児は胡座、大河はちょっと伸びて正座。寄り添ってすわり、淹れたお茶を飲んでいろんな
話を。日々の暮らしのことや、学校でのこと。お互いが離れていた間に何があったかを思い出
して。もちろんくだらないネタトークだってする。
 それがいつものように将来の夢の話へとつながっていくと、本当の家族になりたい思いはた
くさん湧くのに、まだそれに見あう具体的な姿までは描けなくて少しの不安も呼び覚ましてし
まうから「ねえ?」「ん?」「ほら……」「おう……」会話が短くなる。
 それが途切れるたび、手を握りあって。指を絡ませて、顔を寄せる。
 視線をあわせずに頬と頬をつける。満たしたいと思う。
 もっと、もっと触れたくなって、空いた手で互いの髪や耳に、肩や胸に触れあう。
 頬に唇で触れて、唇で瞼にも触れ、次第、次第に座っていた脚が崩れて、唇が唇を求めて触
れ始めると、おもしろいぐらい気持ちが高ぶりだした。
 つまらない不安が消えていき、お前が、あんたが、ここにいると。刻みつけられていく。
 着ていたものを交互に脱がし始めて、きょうはどちらから駈け出すのだろう?
 大河の身体からうっすら花の香りが立ってきて、竜児の意識からも、大河の意識からも、今
だけは家族のように思う気持ちを追い出した。
 息を熱く感じあいながら、脱がされて、舌を絡ませて。喉を鳴らし手を差し込んで肌に触れ
て、その感触に後押しされるようにまた脱がして。何度めかの。頬に掌を当てて、互いをしっ
かりとつかまえて、いつまでも貪るようなキス。
 やがて濡れた唇を離し目があうと、もう止まらない。
 彼氏は彼女を、半身を預けていたベッドに抱え上げて、そっと横たえる。
 口の端をついっとあげた竜児は、んっふ、と息づかい。
 ――掃除……しねえとな?
 眉の端をくいっとあげた大河は、ふひゅっ。
 ――ばぁーか……

 竜児は前戯が割と念入りなほう。
 とはいっても、性格に少し偏執的傾向があるのとは関係なかった。単にいちゃいちゃするの
が好きで、大河とも好みがぴったり合っているだけ。

 そろそろかな?と思った竜児は、結構な時間、オモテウラと念入りにちゅっちゅレロレロし
ていた大河に密着させていた身体を起こした。
 はっふはっふ息を荒くして仰向けに横たわる小柄な彼女は、でもまだ1回もいかされてはい
なかった。ひとりだけはつまんない。いっしょにいきたいという嗜好を、竜児は何度も肌を合
わせるうちに分かって、大河が切なくてつらく感じる直前でちゃんと留めている。
 傍らに置いたスキンを手に取り、準備も済ませたこのとき。

626秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:55:55 ID:???
 大河のすらりと伸びた脚をM字にたたみ、折り曲げた膝を抱えて自分の肩に宛て……という
ときに竜児は、シンメトリなMの真ん中を凝視して動きを止めた。
 そろーり……と後退して、土下座をするように背を屈め、大河の恥っずかしいその部分を、
凶悪な目をこらして眺めている。なんだろ……?も一回お掃除するの?と、いい具合に高まっ
た大河が首だけ起こして股間を見やると、それはこんなタイミングに似つかわしくない、びみ
ょーぉな表情と目が合った。その竜児の口が動いて。
「なあ……?」
 なにっ?なんかやばいっ!?大河の勘はよく当たる。悪ければ悪いほど。
「ここの毛、こんなに薄いんだっけ?」
 ……とか。ふと気になってよ。
 大河は眉を八の字にして困惑する。なに……言い出す気なのか。
 薄いと言われれば、それは確かに薄かった。
 髪の毛はいわゆる猫毛で細く、それに応じて細い。密度も薄い。加えてやはり髪と同じく色
も淡い。ぽやぽやっと覆っている程度で、生えている範囲も狭かった。実はムダ毛処理という
行為を大河はこれまでの人生において一度もしたことがない。
 だけど。竜児は何度も見たことがあるはずだった。この生え方が好きだと言われた。なぜ今
日になっていきなり気にしてるの。
「ほら。前にこのへんが『ぼーん!』とか言ってた……よな?」
 急に思い出してさ。と竜児は真顔。
 よりにもよってこんな時に何てことを。しかも半端に思い出すのよ?
 大河は全貌が見えて、ああ、と納得しながらも内心でボヤいた。仕方なく仰向けに寝たまま、
脚をM字にしたまま。ひざの間に竜児の顔を挟んだままで動作に及ぶ。
 ささやかな膨らみの右乳の辺りで右手を開き「ぼん!」
 同じく、ささやかな左乳の辺りで左手を開き「ぼん!で、」
 竜児の顔の真ん前に両手を持っていって重ねて丸めて、思いっきり開いて見せた。
「っっぼぉんっ!」
 おおうっ!?
 それで竜児の深層記憶は正確にデフラグ完了。
「すまん。馬鹿なこと訊いちまった。悪かった……」
「……私ゃなんでこんなときに他の女の股間を想起せしめられねばならないのか」
「ごめんな。ほんとに錯覚しちまってた。あれ?大河の言い分だともっと毛深くなかったかって」
「あんたの脳裡に見たことないばかちーの股間イメージが今あると思うと死にたいわっ」
「そ、そりゃ考えちゃうけどよ、心配すんな。映像の元データはお前しかないし」
 そんなのさらに酷いじゃんよっ!うおっと!そうだった。悪りぃ悪りぃ悪りぃっ!
 なんという墓穴。
 もうほとんど浮気バレ亭主。
 瞳孔を開いて黒目がちにして拗ねる、横を向こうとする大河をずり上がって優しく抱きなが
ら竜児は必死に謝っていた。
 ただ、拗ねまくる大河を目の当たりにしても、挿入直前のタイミングではあったから、男と
しては謝るより先にすることがある。大河を蕩かせる重要攻略拠点はとうに知っている。労を
惜しまずもう一巡してお互いの平和と幸福を取り戻さないといけない。
 ていうかこれが好きだから、労だなんて竜児は全く思っちゃいない。
 なあ〜?ちゅっちゅっちゅ〜のちゅっ。
 なあ〜?ちゅうちゅうちゅう〜のちゅう〜。
 指も……吸っちゃうぞ?手ーちっちゃいなー。
 その次は、脇なー。乳も揉むぞー。
 もう〜、しょーがないなあ〜♪と、中指をちゅぽぉん!と思いっきり吸われた辺りで、大河
が黒目がちな瞳を元に戻すまで約120秒。
 すねてしたっていいじゃない。とらだもの。たいが。

 また念入りにちゅっちゅレロレロされて、ほどなく大河の息が荒くなってくる。途中だった
し。やっぱりいいものはいい。切ない気持ちがたまっては自然に腰がくねる。
 好きな男の子が嗜好を分かっていてくれて、ディナーコースを味わうみたいに、よく見なが
ら、手を引いてじっくり合わせてくれてる。それが義務感ではなくて、好きでやってくれるの
も分かるから……。

627秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:57:48 ID:???
 だからこの時間は好きなのよ。
 ゆっくりゆっくり高められて、追い立てられたりしない、こんな時間が。
 そうしているうち、もっと好きな時間もやって来る。入口でくりくり馴染ませられて、急に
がまんできなくなってくる。
 でも、あんまりきもちいいよ!って知らせちゃうと竜児の方もがまんできなくなってしまう
から、出来るだけ普通に。そうやって抑えているとどんどん、どんどん自分の中に切ない圧力
がたまっていく。
 うっんっ!?
 ずにゅるってカンジで、入ってきた。
 いつものように、挨拶代わりな意味で、きゅっと締めつけてみる。最近はもう驚かないのか
「おうっ!?」って言わなくなった。ゆっくり、浅いとこを進んだり引いたりしている竜児と
目をあわせて、どーぞ、と。緩めてやって奥に迎え入れる。
 ぴったりと収まって、お互いにふーーっと息を継いで。目があうとしぜんに頬が緩んでくる。
大河が笑みとともに伸ばす両手の間に竜児は身体を沈める。 

 入ったとき一瞬だけ、大河は泣きそうな顔をした。
 最初の何回かは痛いのかと思っていちいち訊いた。たとえ痛くても言わないでがまんするや
つだから。そのうち泣き顔なんかしていないっ痛くもないっいちいち訊くんじゃないっとキレ
られた。単純にそういうクセかもしれねえ。
 俺はその顔が好きなんだ。
 かと言って、まさか泣かせて見るわけにいかない。そもそも近頃の大河はめっきり泣かなく
なって、それは良いことだが、「あ、泣く?」って顔を見て刷り込まれた俺にとっては、こん
な時にでも見られるのはひそかに楽しみだ。ただ、腰をあわせると、それを抱きしめながらは
見られない。身長が違いすぎて大河の顔は俺の胸元に来てしまう。
 見たくていろいろとやってみて、いまはこれかなと思う。
 落ち着いたら、ぴったり合った胸を離して、大河の肩や頭でなく、もっと下。肩まわりより
もずいぶん細い腰に手を回す。その華奢なつくりに触れるたび、本当に同い年なんだろうかと、
ちょっとした罪悪感も湧く。けどだいじに触るからな。許してくれな。
 腰を抱いて少し起こすようにすれば背が弓なりに反って表情を見られる。
 大きく動くよりも浅いところを小刻みにいじめられる方がいいみたいで、その方がやり易い
というのもあった。そんなふうにいじめていると俺も保つし、ちょっとずつ大河も良くなる。
上体がフリーだから、どんなリアクションをするのか見ることもできる。

 竜児が私の腰を抱えて遊んでる。
 浅いとこを攻められてるとジワジワきもちいい。……ほんとは思い切りのしかかって、押し
つぶすように重みをかけてほしい。ぴったり包み込んで、ぎゅうっと抱きしめてほしい。そう
されたら、深いところもじんとしてきて、たぶん、すぐ。
 でもそれじゃつまらない。竜児も、やっぱりそんなのだけじゃつまらなく思って、急いでし
なくなったんだと思う。
 どんなふうにいじめて気持ちよくしてやろうかって考えた。どんな感じにいじめられるのか
想像してわくわくした。怖くて緊張するだけと思っていたのに、いちど橋を渡ってしまうとこ
んなにおもしろいなんて。
 ゆっくりいっしょに山を登って行くような感じのこういうのも好き。腕も自由で竜児にさわ
り放題の吸い付き放題、よくなってきたらそのまんま休めるのも。
 そうなんだけど。
 ゆっくりとは言ってもちょっとずつは登ってるわけで。も……もどかしくなって……きちゃ
うのよ。いずれ。この切なさに耐えても、それは見つけられてしまう。
 意地悪されてじっくり眺められてしまうのか、乗って、いっしょにペース上げてくれるのか
は竜児の気分ひとつ。どっちに舵を切ってもいいから、い、いいんだけど。いいけど。
 ずん、といきなり奥を突かれて、喉から悲鳴が出そうになった。
 それを抑えて、夢中でしがみついた。広い肩ごしに手を回し切れなくて、肩甲骨のくぼみに
指をひっかけてつかむ。爪……整えてあったっけ?刺さらないよね?って考えもすぐに飛んで
いき、汗がじわっと浮きかけた薄い胸板を引き寄せる。ぴとっと頬をつけ、口をつけてちゅう
うっと吸いついてみたら、んんーっとくすぐったそうに唸る。
 いつもは考えない、考えたくないことがこんな気持ちになるとどうしても浮かぶ。
 なんできもちいいんだろう?好きだから?竜児だから?

628秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:59:49 ID:???
 他の誰でも、いいの?ママみたいに?こんなに好きなのに、嫌いになる?
 私はこうだ。幸せでも、きもちよくても、喪う怖さを先に感じてしまう。奪われるならまだ
戦おうと思えるだけいい。自分から棄てようと思えるときが来るのが……怖い。まだ。
 少しだけ怖くて、でもこうしていれば……だいじょうぶ。お願いだから。
 ぎゅっとしがみついて、瞼に当たる骨の感触。ここにいる現実。
 竜児の鎖骨。
 上を向いて、夢中でちゅうちゅう吸うとかすかに塩の味がして、欲が抑えられなくなる。
 牙を打ちこんで、引き裂いて、食べちゃいたい、という欲。私のものになってよ、お願い。

 最近になって、大河は噛むようになった。
 まさか食べることはできないが、高まりのたび思わず竜児を噛んでしまう。やばいおかしい
と本人も思ってはいて、かぷっとあま噛みのつもり。
 それでもときどきは力の加減を間違えてしまうらしく。
「……っ!」
 竜児が痛がる。
「……ご……ごめっ。痛かっ……た?」
「気にすんな。噛め噛め。いくらなんでも食いちぎりまでしねえだろ?」
 ずん。
 かぷっ。
 ……っっ!
 ぐぐっ!!
 ん?
 ぐぐっ。って……なに?
 痛くないように気をつけてあま噛みしてもそうはならない。竜児ははぁはぁ言って、また予
期しないタイミングで、ずん!ああぅっ!って感じで思わず、今度は肩に噛みついてしまった。
かぷっ、じゃなくがぶっっ!と。
 うわ、相当痛かった?
「あっ……つっっ!」のあと少しの間があって来た。ぐぐっ!!と。私の奥を広げる感じに竜
児が大きくなりながら、びくん!と大きく震える。
 間違いない。連動してる。こんなのって?
「いっ……いくの?」
「いや……ま、まだだけど?」
 すーーっと引いて、また浅いとこで遊んでる。よーく見ると目の周りを染めてマジ顔だ。
 きもちいいんじゃん?なんでごまかすの?
 これは確かめてみないと!とムラムラしてくる。ごまかされるのはいや。隙をみて、がぶっ。
ぐぐっ!!と入口が広げられて、あ、おっきいっ。
「ちょっと……!もしかして、あんた。噛まれると……いいの?」
「……へ」
 なんだろう?なんでそんなに決まり悪そうな顔に。
「へ?」
「変態だとか言うなよな?……おう、そうだよ。いいよ」
 ……変態じゃん。まごうことなき。
「い、痛いんでしょ?それなのに?……まさかド」
「ドMじゃねえ。そんなんじゃねえって」
 竜児は、仕方ねえ、というふうで、ちょっと恥ずかしそうに語り出した。
 俺は、乱暴者だった頃からお前のことが好きだった。乱暴で凶暴だけど他がいいから、じゃ
なくな。でも、近頃はすっかり角が取れて素直で可愛くてさ、それももちろん好きだぞ?でも
凶暴なお前をなかなか見れなくなったなあとか。さ。
「すこし寂しく思ってた」
「そ、そうなんだ……だって暴れる理由なんかもうないし……こ困るわ」
「理由もなく暴れられたら俺だって困るわ。そうじゃなくてよ」
 よくなるとガッと噛まれる、ってのがさ。その……凶暴さが消えたわけじゃないって分かっ
てからさ。……俺には……いいんだよ。なにかと言えば暴れていた頃のお前と……こんなこと
してるみたいな気分にちょっとなれて。
 分かるような分からないような。
 こんな時に微妙な話を始めるべき?とも思うけど、どうにも気を削がれて、聞きたくなって
しまった。

629秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:01:26 ID:???
「変態とはちょっと違うみたいだけど……別の危うさを感じてきたね?」
「なんでだよ?」
「だってあんた……あの頃こんなことしたいって。妄想してたってことに、なる……じゃん」
「おう!……し、してたよ。悪いかよ。……もし本気でしようとしてたら、お前だってさ」
「あ、開き直った。……噛んだかも、ね。本気の力じゃかなうわけないから……ね」
「ただ、思うのとできるのは別だからな。お前だって気づかなかっただろ?」
「そうだけど……おっそろしいカミングアウトだわ。なんか心臓バクバクなってきたよ」
 あの頃の私の貞操って、あんたの性欲ひとつに左右されていたわけか。うわっ!怖ぁっ♪
 なんてね。
 そんなこともね。べったり縋っていたら、いつかそうなるかもしれないのかなぁくらいはね。
考えてたよ。そしたら……。教えないけど。
「そう……だよな。そういえばいちいち釘刺されてた気もするな、俺」
「怖いってのは半分うそだけど……ところでさ?」
 話し込んでる場合じゃないよ?ときゅいきゅい締めてみた。ふひっ♪
 ふにょふにょになっちゃってるよ?
 うぉっ、やべえ!漏れ出てねえだろうな?我慢汁だって妊娠することあるらしいからな!と
慌てて竜児が抜き去った。あー、馬鹿な質問しちゃったから、また中断。
 でもいいや。これも、あれも、竜児といっしょにすることはぜんぶね。大好き。さっき怖い
って思えたことも飛んでった。ただ、大好き。

 お互いいきかけだったから、もう一度抱き合っていたらすぐに竜児の準備はできた。スキン
着け直して、さっきのつづき。今度は余計なこと考えないでしようねと申し合わせて。
 でもやっぱり大事なことがひとつ。
 よくなってるのを悟られると、竜児の方がもたなくなっちゃう。これは、どうしても慣れな
い、我慢できないことらしい。
 だから、最後には体重を預けてもらって、押しつぶしてもらえていっしょにいける、いつも
のやり方を期待して、私はできるだけ普通にしていよう。その辺を気取られないように。
 ……それでも、今日はずいぶんと竜児の方が早そうな気配。
 二度も中断したせいなのか、さっきもう限界だったのか。噛みついたのがいけなかったのか。
とにかくつながったままちゅっちゅしてくれたりの余裕は全然ない感じで、私の方から何かす
るとトリガーになりそうで、どうしよう?
 大河……今日はどうしたんだ?といきなり竜児が訊く。
「どうしたって、どういう意味?」
「妙によさそうで……そんなの見せられると俺、我慢できねえ」
「かっ……変わんないと思う……けど?」
 いろんな、余計なことをやっぱり考えてしまう。顔に出てるんだ?と大河は思う。さっきの
もしも、の話のせい。竜児も同じように興奮してるんだろう。
 二年前、出逢ったのもこの季節だった。
 私、そのときと同じ貌(かお)をしている。同じ貌に見えている。おそらく。
 私の目にも竜児がそう見えてしまっていた。そばに居るぞ、と告げられたあの顔がすぐそこ
に見える気になってる。
 こんなことをされる、恐怖と、予感と。教えられない、伝えられない心も混じり合った、現
実の貌とあの時の区別が曖昧になってる。
 それをいいって、よさそうって思ってくれる。
 あの時ちぎれそうだった気持ちは、綺麗に縫い合わされて、今は痕すら残っていない。
 だから……今こうしてるんだよ。めんどくさいよね?私ってさ。
 大好き。
「がまんすんな……エロいにゅ。心配いらないよ」
「もうちょっと、ゆっくり頑張るからよ……」
 大好きだよ。
「いい……んだよ。わ、私とえっちできて……嬉しいでしょっ?竜児っ」
 でも、とまだ男のメンツにかけて言い淀む竜児の前で、抑えるのをやめた。
 見てよ。
 見ればすぐに分かるでしょ。あんたにこんなことされてどんだけ幸せか。
 好きなとき、好きなようにいけっ!背中をつかんだ指に力を込めると、ようやく。おうっ!
と返事されて、肩越しに頭ごと抱かれて上体に竜児の重みがかかってくる。
 きっつい。きつくて……いい。

630秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:03:17 ID:???
 同時に深く挿しこまれて奥を強く突かれる。お腹に響いて、波が頭にまで駈け上がってくる
よう。うん、私も……。追いつける……かも。
 ふっっ!んあっ!って首が上に反って、声も漏れる。これが竜児にとってもトリガーになる。
もう意識もしていないのにお腹が震えて、脚をくるんと竜児の腰に回して、つかんで、自分か
ら押しつけてしまうのも止められない。
 ふっ、もうちょっとっ、んくっ、どっちが先か。ギリギリな今日は運まかせ。うまく合わせ
られるか、誘導?もういいっ、集中、集中!んっ!
 っんぐ、と竜児の息が止まって、どっくん、どっくん。そのすぐあと、私にも……来た。
 きっつい、重い。息ができない。……でも。でもいっしょにっ!
 ……いいっ、りゅうじぃ。
 がぶっ、と肩口を噛んだ。私のもの。今だけでもいい、私のだから。

 背中見せて……うん、跡は付いてるけど大丈夫。引っかいてない。爪まるめておいて良かっ
たわ。でもこっちは。
「ごめん、ほんとに食いちぎるとこだったわ」
 くっきり半円の跡を付けてしまった肩をぺろぺろ舐めて謝る。
 めでたく円満に事を終えたふたり。いつものように竜児にきれいに拭いてもらってから起き
上がった大河は彼氏のボディーチェックをして、そのまんまぴったり寄り添って、ベッドに腰
かける。
 大丈夫、大丈夫。しみてねえし、傷になってねえだろ?と、竜児も裸のまま彼女を横抱きに
して膝の上に座らせる。
 解れて頬に張り付いている長い髪を掬っては背に落としてやると、気持ち良さそうに大河が
目を閉じる。それならもうキスするしかない。
 腰に回した手で引き寄せて、賢者モードらしくちゅっちゅ可愛らしくついばむ。少し強面の
竜児が、頬を火照らせてそんなキスをしている姿は傍目にどう見えるのだろう。
 そんな目なんかここにないからいいけど、と大河は思って、この体勢なら身長差をほとんど
補えるからと、竜児の両肩に自分の肘を置いて背に腕を回した。そしてキスのお返しを……と
考えた矢先に竜児の唇は喉へ移動する。
 顎を反らせて受け取りながら、んー?このまんま2回目かな?と思った。一度いっしょにい
けたから自分としてはなんら不満はない。竜児が食べ足りないならご馳走してあげる、といっ
た満ち足りた気分だった。
 だからすっかり気を許していて、首筋にそっと歯を立てられると。
「ひぇあっ!?」
 びっ……くりした。こっ、ここここ、怖いじゃんよっ、吸血鬼かっ!
 確かに、面相から言ったら竜児の場合はそのものだ。あれ?そんなに怖かったか、ごめん
な、とニヤニヤ笑っている。
 肩に回した腕は外さないけど、お返しだよというそのツラから伸ばせるだけ距離をとって、
もー、と睨みつける。じゃれつきはするけど、されるのには慣れてないんだから。それでな
くともあんたは私より身体大っきいんだから急に驚かすんじゃないよ。
 と、照れかくしで心にもない説教をする。
「え?あ、そうかー。済まねえ、平気だと思ってた」
「そ、そんなに気にしなくてもいい……。別にダメとは言ってない」
「俺だってお前にじゃれつきたいから、少しずつ慣れてくれよ」
「わ、分かったっ。あっ、ちょ!?」

 密着していた身体を離してしまったのが運の尽き。じゃれるぞーと宣言して、腰を支える手
を片方離して、竜児は大河のおっぱいを揉み始める。
 これは、じゃれる、というのとは少し違うんじゃないだろうか。えっちに至るためのマイル
ストーンとしてではなく、こう嬉しそうな顔で触られるのは変な気分。
「な、内心『大っきくなーれー』とか念じてるんじゃないでしょうね?」
「でかい小さいの話はもういいだろ。何度もこれが好きだって言ってるじゃねえか」
☆ 大っきくなくてもちゃんと膨らんでるからこうして揉めるし、柔らかいし、形は綺麗だし、
乳首はピンク色だし、色っぽくて可愛くて文句のつけようもねえ。神が与えたもうた唯一無二
の乳と言ってもいい。
「あ、あんたの語りは……こっ恥ずかしいから、かかか勘弁して」
「お、おう……じゃ、やめとく」
「……片手だけじゃなく両手で触ったらい、いいんじゃない?」
 そんなに好きなら……と、大河は膝に座ったまま向きを変えて、竜児に背中を向ける。少々
支えが危なっかしくなったが、今度は胸に回した手でホールド。心おきなく、後ろからおっぱ
いもみもみ。

631秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:06:55 ID:???
 竜児の思い入れというのも、そこそこに複雑だった。
 母親が若くて巨乳だから、でかい乳なんざ見慣れていて、自分はその方面に耐性があるんだ
と思っていた。大河に逢うまで。
 乱暴にすんな、急に驚かすな、と。向こうっ気の強い割には臆病で繊細な、この小柄な彼女
の要望どおりに優しく、掌にすっぽり収まる柔らかなふくらみを撫でる。
 そう言えば、互いに離れていた高三の間に大河の乳は1サイズ育っていたな。
 ちょっと肉付きがよくなったせいかなと思うが、確かいつぞやの秋、小デブに育ったときに
はそうじゃなかったはずだ。見ても触ってもいないから断言まではできないが。
 竜児はまたフッと変な思い出しを始めた。
 揉まれリズムが単調に変わって気になったのか、大河が振り向いてキスをねだる。お互いに
首を曲げて、ちょっと苦しい姿勢。それでもちゅっと。
 親元の方が栄養状態は最適なのかと思うと、少しの屈辱を感じるが、それでもあの軽肥満状
態のときはどんな乳だったのだろう?と、気になりだしたら気になって気になって。そして見
て触って確認できる立場になった今年は、上手いことおだてて、旨いものをたくさん食わせて
やったら再現も?などと、ひそかに余計な事を思いついた。
 はううぅ、と抱かれた大河が可愛いため息をついている。が、竜児の妄想は続く。
 俺はあのふくよかなツラ、実はかなり好きだった。だからなかなかデブってることに気付け
なかったんだよな。あの頃は基本が不機嫌ツラだったが、今年はにこやかな時が増えたから、
あれでニッコニコしてくれたらどんだけ可愛いことか。想像するだけでもう、たまんねえ。
 そんな想像と共にもみもみ動作に込められた愛おしさの波動たるや半端なかった。
 面と向かっては到底言えないがなー。などと思う竜児のふところで、大河は身をよじらせる
寸前。あんたはランジェリーメーカーに就職したらこの才能発揮できるんじゃないのっ?など
と。こっちはこっちで悩ましい。

「竜児ぃ、竜児ってば……」
 はっと気がつくと、抱え込んだ彼女は半身で振り返り、はぁはぁ肩で息をして、頬を薔薇の
色に染めていた。延々と揉みしだいていたおっぱいの真ん中にはこりっと硬くなった乳首。
 どうやら無意識のうちに指でいじめてもいたらしい。
「おう大河。夢中になってて悪いな。痛くしてないよな?」
「痛くない。謝んなくていいっ。竜児ぃー」
 りゅうじりゅうじりゅうじーっと。大河は向きを変えて首に腕を回し込む。く、苦しいっ。
 ねえっ!と耳元で。
「もう一回しよう!とか。考えてるよねっ?」
 わ、私はね?一度いけたから今日はもういいけど。でも、りゅうじがしたいんならつきあっ
てもいい。ほ、ほら、私あんたよりお姉ちゃんだし別にわわわがまま言わないから。
「したいよね?ねっ?するって言えっ」
「おうっ、したいとも。いい「うんっ!!」か?」
 言うが早いか、かぶさる返事。竜児は大河をお姫さま抱っこで持ち上げて、くるっと回って、
そーーっとベッドに置く。
 この40kgを42kgくらいにしてやればいいのか。
 ある意味そんな悪辣なことを考えているとは、さすがの大河にも計り知ることはできまい。
 一旦デブらせたら、今年は強制ダイエットに協力してくれる紙袋覆面チームなど召集はかな
わぬはずなのだが。浮かれた竜児にそこまでの考えは巡っていない。

 2回目の申し入れを快諾してもらった大河は、目を細めてひゃほー、などと小さく歓喜の声
を上げている。傍らに添う竜児に回した腕を外さずに、ちゅっちゅちゅっちゅ、もうオープン
リーチで、幸せいっぱい。
 好事魔多し。フィギュア体型、ぴんち。

 だがこのお話は、なんの心配も要らずにここで終わる。
 なぜかって?
 美味しくたくさん食べまくり、あんたのせいよ!どうしてくれる!?という罵声の飛ぶ季節
が訪れたとして、竜児も、大河も、かつての秋とは違うのだ。

 ふたりで運動するに決まっているのだから。



――END

632 ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:41:32 ID:???
以上でございます。失礼いたしました。

まとめ人様へ。
レス番>>630の下から9行目、ミスしてしまいました。

>「でかい小さいの話はもういいだろ。何度もこれが好きだって言ってるじゃねえか」
>☆ 大っきくなくてもちゃんと膨らんでるからこうして揉めるし、柔らかいし、形は綺麗だし、
>乳首はピンク色だし、色っぽくて可愛くて文句のつけようもねえ。神が与えたもうた唯一無二

行頭の☆は単にマーカーで打ったものです。もしまとめていただける機会がございましたら消去のうえ詰めていただければ幸いです。
お手数掛けてもうしわけございません。いつもありがとうございます。

633高須家の名無しさん:2011/06/23(木) 00:55:22 ID:???
>>632
ありがとうございました。楽しめました。
ガチエロなのにほのぼのとはこれ如何に?
って感じでした。

634高須家の名無しさん:2011/06/23(木) 08:38:56 ID:???
ああっ!俺もラブラブな運動がして〜。GJ!

635高須家の名無しさん:2011/06/23(木) 22:05:04 ID:???
>>632
ほのぼのイチャイチャラブラブでたいへんご馳走さまです。しかもそれだけじゃなくて、
>自分から棄てようと思えるときが来るのが……怖い。まだ。
っつードキッとする描写を入れてくるところはさすが。
氏の作品にあった"竜児のデコちゅー"のように、大河の心についた傷も(本人は綺麗に治ったと言ってはいても)まだ時々痛むんだろうなあと感じました。
ますますラブラブにしてやりたくなる話を乙でした。

636632:2011/06/24(金) 12:48:14 ID:???
レスありがとうございます。噛みつき引かれちゃうかなと心配でした。
>>635
竜虎はお互いの傷を癒して貰い合うだけでなく、びびりながらも自分の傷を見て向き合うカップルになると思います。
自分の想像の中では、竜児の方は初めての彼女に夢中っぽく、大河は女として少しだけ先を夢想する感じです。
互いに少し違う事を考えてることを受け入れていって、ふたりの子供が生まれて、いつのまにか望みがかなっていたとある日気づく。
そのときは恋心なんて欠片も残っていないのが可笑しくてお互い笑っちゃうかも。
そこに至る浮かれポンチな日々に幸あれかしと。

637高須家の名無しさん:2011/06/24(金) 23:35:47 ID:???
あちこちでツボを突かれたけど、噛みつきエピソードに一際萌えた自分が通りますよw
あの頃があるから今がある。とわかっていても、思っちゃいそうだよなぁ。
ほのぼのエロエロなんて最高です、GJ!

638 ◆0/FKyHtS2M:2011/08/03(水) 16:57:49 ID:???

【タイトル】ねむとら!
【内容】夏のパン○祭りまたまた参加だぜヒャッハー。3レスもらうぜイヤッピー。8/2が“パンツの日”だなんて気づかなかったぜorz
でも気を取り直して暑苦しい竜虎イチャイチャを妄想!エロスじゃありませんが規制のためこちらに投稿させて下さい。

****

「あれ?」
 麦茶のグラスをふたつ、盆に載せて居間に戻って来た高須竜児は呟いた。早えな、もう落ち
たのかよ。

「ご飯がおいしいのよね」
「そりゃ良かったな。夏バテ知らずで」
 婚約者にして彼女の逢坂大河が例によって健啖家ぶりを見せつけた遅い朝食が終わり、ぷう
と息をつきながら仰向けに寝転がったのを見て竜児が後片付けに立ったのがたしか10分ほど
前だった。
 溜め水でちゃちゃちゃっと食器を洗い、ゆすいで、水切りかごに並べて埃よけの布巾を掛け、
ついでにシンクとガスコンロを磨き上げてから、この季節はすぐ腐ってしまう生ゴミを詰めた
袋を冷凍室に収めて、麦茶を注いで、さあ大河とウダウダすんべーと戻ってきたら、あらどう
したことでしょう、定位置の窓側で二つに折った座布団を枕代わりにした、白いほわほわフリ
ルの塊となってすでに落ちたあとだった。

 居間と竜児の部屋のサッシは全開で、真夏とはいえ風通しがよい日だから満腹感も相まって
気持ちよく寝入ってしまったのだろう。大学生になっても、夏休みの過ごし方はさほど変わる
ものでもない。
 竜児はちゃぶ台に麦茶のグラスを置くと、しょうがねえなと向かいに座り込んだ。母の泰子
も自室で寝てるし、家族ふたりが起きるまでは掃除を始めて物音をたてるわけにもいかなかっ
たから。ただ、ひとり暇を持て余して、幸せそうな寝姿を眺めるのも時にはいいかもしれない
と思い直した。

 今日の大河は、白いフリフリワンピースで白ソックスの折り返しにもフリル、暑いのか白い
カチューシャでサイドを背に流していて、それを肩の辺りで軽く絞るようにまとめたリボンも
白。正確には少しアイボリーがかっていて、天然茶髪の淡い色合いと服の輝く白さとをきっち
りと繋ぎとめる品の良さ。そういえば履いてきたサンダルもエナメルな白で、つま先を眩しく
締めていた。
 白白白でキメた純白のお嬢。色素の薄い肌が対比でとても健康的に映り、こんな一発芸や罰
ゲームみたいな装いでも可愛らしく見せるのは、やっぱり中身が洒落にならぬほど綺麗だから
だろう。
 そうだ、こんなの見れる機会はめったにねえ。写メとか撮っといた方が良いかなと竜児が腰
を浮かしかけた時、窓から強めの風が吹き込んだ。薄いワンピースの裾がまるでヨットのセイ
ルのように南風をはらんでふうわり、まくり上げられて。
 めでたくというか、眩しくというか。色白の腿が晒された。

 ちなみに白ワンピは今朝ドアを開けた時に差し込んだ逆光に短時間ながら透けて見え、下着
もおそらく白であろうと、偶然ながらも竜児は確認を済ましていた。それがコットンかシルク
か細部までは分からないが、興味はあるから後で聞いてみようかなくらいは考えた。男子のた
しなみ、というやつも分かってくれるはずだから怒ったりしないだろう、とも。

 数秒間、竜児は大河の腿チラを見ながら固まった。チラというよりはモロだ。もももろ。カ
タカナで書けばモモモロ。ダマレコゾウ!いやそれは関係ないか。ひざ下のすらっと伸びた印
象とは違ってそれなりに肉づきはあるけど、ぴったり合わせても僅かにすき間があるところが
なかなか……いやどうして。素早くいろいろと考えが浮かぶものだ。
 そうして竜児は、布巾を取り出すとちゃぶ台を拭き始めた。それはすぐに終わり、今度はち
ゃぶ台の脚を拭き出した。まあ、要するに掃除だ。たまにはこういうところも綺麗にしないと
な、という設定で頬を畳に擦り付けるほど腹這いになってちゃぶ台の下に潜り込んだ。

639ねむとら! ◆0/FKyHtS2M:2011/08/03(水) 16:59:32 ID:???
 う〜ん。残念だが角度的に惜しいところで見えない。まあ脚は4本あるのだし、色んな角度
から掃除しても別におかしくねえだろうと思い直し這い出ようとして、ごん!と頭をぶつけた。
と、背中に冷たいものがばしゃーーっっ。
 ああ。麦茶だよそう言えば。こんな時にほんとにもうっ!

 あわてて畳を拭いて、ちゃぶ台の上ももう一度拭いて、足音を忍ばせて風呂場へ行き、ぐし
ゃぐしゃの、先日安売りだったのでまとめて何枚か買ってきた、『乾坤一擲』なる変な熟語が
プリントされたアーミーグリーンのTシャツを脱いで簡単に水ですすぐ。
 こぼしたのが麦茶で惨事にならずに良かったと思いつつ、洗濯は後廻しにして自室へと向か
う。居間通過の際ちらっと見やれば現状維持、まだ間に合う!今度は同じ由来の『隔靴掻痒』
とプリントされている白いTシャツに急いで着替えて元の場所に戻った。
 以上、麦茶をこぼしてからわずか1分間。

 なぜこんな事で俺は息を切らしているのだろう?と少し思いながらも竜児はもう一度先ほど
の“掃除”を続行しようとした。と、そこに風が。ワンピの裾が再びふうわりと……ラストパ
スが通ったそこにフリーのストライカー!1対1!邪眼もきらめいて!みたいな高揚感。
 しかし。う、うう〜ん。大河は寝がえりで横向きになる。

 ――大河ァァァ…………まじめにやってくれェェェっ

 いや、言いがかりではない。決して、断じて。
 この時の竜児が心中呟いた、血を吐くような叫びを否定できる者が居ろうか。絶望の断崖で
竜児は必死に考える。まだだ、まだ終わっちゃいねえ、そうだ!あのときだってかすかなオレ
ンジ色の光を頼りに大河を見つけられたじゃねえかっ。なぜか真夏の真っ昼間というのに竜児
の心象風景は吹雪の雪山。

 まだめくれている。危うくドリクラしそうになった弱い心を必死に抑えて、竜児はちゃぶ台
の“掃除”に戻る事ができた。そうだそうだ。ちゃぶ台をちょっと斜めに向きを変えればいい
角度を取れると気づいて手を掛けて、はっとする。駄目だ、その状態だと見つかった時に掃除
をしていると強弁しにくい。
 どうしたものかと思案顔で見やると、寝転んだ大河の腰の脇に落ちているものが目に入る。
 なんだあれ?と這い寄って拾い上げたそれは、薄いパールピンクで丸く固まった布。生地は
シルクであろうか。輝く光沢に目を奪われる。
 ああ……これぞ念願のパンツ。

 寝がえりをうったときにこぼれ落ちたのだろうけど、なぜ大河は替えのパンツをポケットな
んぞに入れておいたのか。ポーチとかバッグに……と考えて竜児は思い至った。

 大河は高須家に手ぶらで来ている。もうずいぶん前から。
 だって身の回りのものはぜんぶここにあった。タオルだって着替えだってシャンプーだって
スキンケア用品だって専用のものがちゃんと置いてある。
 ないのは下着だけだった。それだけは分けて自分ちで洗っていた。ずっと。

 そうかそうか。こんなに仲良くはなったけどやっぱり女の子なんだ、そういうのは恥ずかし
いんだよなあ、と気づいて、竜児はピンクパンツを自分のポケットに仕舞った。落としたまま
放っとくわけにはいかないし、いま気づかれないように元の場所に戻すのは難しい。

 背中側からそーっと覗きこんでみれば、前面はまくれ上がって白いパンツがちょっとだけ見
えていた。よし、当初の希望とは全然違うがひとまずミッションコンプリート、と起こさぬよ
う裾を戻してやる。
 その際に大河の膝が目に止まった。転んだり、ぶつけたりで歴年の古傷がいっぱい。竜児は
何の気もなく、いつも見ればそうしているように、ここでも膝小僧をつるんと撫でた。

「あ?……ん?……りゅうじ……?」
「お、おう。起こしちまったか。悪かったな」

640ねむとら! ◆0/FKyHtS2M:2011/08/03(水) 17:00:34 ID:???
 背を向けて寝ていた大河が首だけ起こして見上げる。眠りがちょうど深いところだったのだ
ろう、醒めきらぬままこどものような、あどけない表情をしていた。
 あ、しまったと竜児は思った。写メも撮ってねえし、パンツなんかより寝顔をよく見りゃ良
かったか、と、少しばかり後悔する。

「ん……んーー、ははっ、竜児ぃ〜」

 仰向けになって、両手を竜児の方に差し伸べる大河は、そんな葛藤を何ひとつ知らない。
 その手は吸い寄せられるように顔を近づけていった竜児の首に回された。竜児も大河を抱っ
こして身体を起こして、座り込んだ。小さくて、華奢で、柔らかく熱い。真夏になってから、
こんなふうにくっ付くのは、そういえば久しぶりだった。

「……ねむいぃ……ふわふわして……気持ちいいの」

「おう。じゃまた横になるか?」
「ううん。ちょっとこうしてる……」
「そのうちじわじわ暑くなっちまうけどな、ま、それまでな」

 まだ半分眠っていてぐにゃぐにゃな大河の姿勢を楽にしてやろうと抱き直す間に、竜児はさ
っきのパンツをこっそりとワンピのポケットに戻すのも忘れなかった。スケベで、だけど優し
い男だから。
 その耳にちゅっと唇をつけて、大河が変な声でぐふぐふ笑う。

「りゅーうじ……えっちなこと……するうぅ〜?」
「ばぁーか、すぐそこに泰子いんだぞ?真昼間だぞ?」
「あー、はぁー、そっか……。そうね。うー」

「ん〜〜。……りゅーうじ♪」
「おう、なんだ?」
「呼んだだけー。りゅーうじっ?んふ、んふふふふ……おう?」
「……あごしゃくって恥ずかしい要求するんじゃねえよ……たーいが」

 仕方ねえなという振りをしてみるけど、カチューシャでサイドの髪を背に流してさらけ出し
た、少し桃に染まった大河の耳元で、竜児も同じようにささやいてみる。

「いいじゃん……ぶぁーか。……ぐふ、ふふふふ。……もいっかい」
「たーいが」
「りゅーうじ……りゅーーぅじっ」
「おう。たーいが♪」
「ぷっくくっ、ひるまっから……何やってんの……あんた」

 言えと促しておきながら何がそんなにツボだったのだろう、くっくっくっ、っと身体を震わ
せている大河をきゅっと抱きしめながら、半覚醒の虎、というのもめちゃめちゃいいもんだな
あと、竜児は思った。

 ああっ、はんかくせえ!(津軽弁)

 ちなみに、この日の夕食は締まり屋の竜児が珍しくローストビーフを焼いたという。かのう
屋で塊肉のトレーを手に取った時、ぴょんと小さく跳ね、オーブンモードのレンジで焼き上が
った時には思わずバンザイをしたという一日中ゴキゲンさんな大河の姿を見た者は、そうは多
くなかったが。



〜おしまい〜

641高須家の名無しさん:2011/08/03(水) 22:26:51 ID:???
>>638
>たまにはこういうところも綺麗にしないとな、という設定で頬を畳に擦り付けるほど腹這いになってちゃぶ台の下に

竜児さん何やってるんすかw頭ぶつけてるしwwww麦茶wwwwwアホスw
すがすがしいくらいの男子っぷりですなあ!
そう、自然にめくれてこそエロス!あっさり自分でめくるなどロマンが無いのです!ビバふんわり!ビバ白シルク!
もうおねむの大河かわいすぎて飯が三杯食えるわ。乙乙乙でした!

642高須家の名無しさん:2011/08/03(水) 23:28:33 ID:???
いいねいいね!
いちゃえろ成分っつーか、あなたの作品のそこが好きだw

643高須家の名無しさん:2011/08/04(木) 22:10:39 ID:???
パンツ返すのかwさすが竜児
てっきりお宝ゲットだぜ!かと

644 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 02:13:30 ID:???
レスの流れで思いついて、いざ書き込もうとしたら全鯖落ちてたでござるorz
>本スレの282
間違えちまったてwwいいなあ、顔がにやけたまま戻らなくなりますな…

新生児への数時間おきの授乳で目の下真っ黒にした大河、それをやたら心配する竜児、
手伝うべくやっちゃんが泊まりに来て、的な妄想がむくむくと。
以下数レスお借りします



「お〜よちよち、世界一かわいいでちゅね〜♪」
「……ねえ、やっちゃん。」
「なぁ〜にぃ、大河ちゃん?
 やっちゃんがちゃ〜んと見てるからぁ、休んでていいんだよ〜?」
「うん、ありがと。
 あのね、やっちゃんが竜児を……。
 ──やっぱ何でもない。」
「竜ちゃんがぁ、このくらいちっちゃかった時はぁ〜、」
「!」
「やっちゃんには竜ちゃんしかいなかったんだ〜。世界で二人っきりだったんだよ〜。
 だからぁ、ちょ〜っと大変だったけどぉ、ち〜っとも嫌じゃなかったよお!」
 ちょっとどころじゃなかっただろうな、と大河は思う。自分には安心して住める家があり、収入があり、家族みんなに祝福され、何より愛する伴侶が傍にいるのだ。
 大河は唇を噛んで、相変わらず年齢を感じさせない義母の柔和な笑みを見つめた。
 この人は、一体どれほどの寂しさを、苦しみを、ひとりで──。
「私……。やっちゃんにとても、とてもひどいことをしたんだね。」
「え〜?」
「やっちゃんの大事な竜児を。やっちゃんから奪おうとしたよ。
 ずっとずーっと長い間会えないような遠くへ、連れて行こうとしたよ……。」
 子を持って初めてわかる親心。
 涙声でうつむいたつむじを、赤ん坊を抱いていない方の手が優しく撫でた。
「大河ちゃんは〜、竜ちゃんを奪ったりなんかしてないよ〜。」
「だって、バレンタインのあの夜……!」
「大河ちゃんは竜ちゃんを連れて帰ってきてくれたんだよ〜。
 もしあの時大河ちゃんが一緒じゃなかったらぁ、竜ちゃんとやっちゃんはあのまま、二度と会えなかったかもしれませ〜ん。」
「そんなこと……!」
 あり得ない、と叫ぼうとした大河を遮るように、泰子は小さく首を振った。
「あるんだよ〜。
 それにぃ、前も言ったけどぉ。大河ちゃんがず〜っと竜ちゃんと一緒なら〜、やっちゃんはそれでいいやって思ったよ。
 だからぁ、やっぱり大河ちゃんにはいっぱいい〜っぱい、ありがとうなんだよ?」

645 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 02:25:02 ID:???
 こんなにかわいい天使ちゃんにも会わせてくれたしぃ〜、と孫のふくふくほっぺに頬ずりする姿は、大河にかつて見た聖母のイコンを思い出させる。
 その時、その腕の中の小さな命がむずかるように声を上げた。
「や〜ん、すぐおっぱいの時間がきちゃう〜!
 やっちゃんは残念だけどもう出ないから〜、今のうちに寝ちゃわなきゃ〜。」
 いやんいやんとかぶりをふるたび、その大迫力の膨らみがゆさゆさ揺れて、説得力が無いこと甚だしい。
「──ありがとう。じゃそうさせてもらうね。
 お休みなさいやっちゃ……、“おかあさん”。」
 一瞬だけきょとんとして、すぐに破顔し。泰子は“娘”の少し痩けた頬を、手のひらで優しく包みこんだ。
「お休みなさい、大河ちゃん。」
 ──かわいいかわいい娘ちゃん♪
 歌うようにそう囁かれ、大河はこみ上げる感情を堪えるように、深々と頷いた。

      おわり。

646 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 03:23:53 ID:???
↑注意書き忘れてました、エロ無しほのぼの、やっちゃんと大河の会話です
エロイチャスレに親心の話を混ぜてすんません!萎えた方まじすんません!!

647高須家の名無しさん:2011/08/26(金) 03:35:48 ID:???
ええのうwww
やっちゃん頼まれなくても出動してきそうだ、ってか初手から二世代同居してそうw
園子ばあちゃんも来そうだし、大河ママも出産時は里でとかツンデレ主張しそうだし。
結局赤ちゃんに一番触れ合わせてもらえなさそうなのは竜児かもしれんwww

648 ◆Eby4Hm2ero:2011/08/26(金) 12:48:15 ID:???
よくわからんけど本スレ書けない……

649とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/08/26(金) 12:48:43 ID:???
お題 「ピンク」「当然」「極道」



「いらっしゃいませー!」
 元気のいい店員の声に迎えられて、ファミレスに入って来たのは地味目の服装に大きめのサングラスで顔の半ばまでを覆った女性。
 だが、隠しきれない美貌とスタイル、何よりオーラとでも呼べばいいのであろうか、かもし出す雰囲気が周囲の視線を惹きつける。
 案内を断わり、その女性が向かった席に居たのは、逆に周りの人間に視線を逸らさせる眼光を振り撒く極道の若頭……ではなく。
「やっほー、久しぶり、高須君。元気だった?」
「おう川嶋、お前も元気そうだな」
「そりゃもちろん。この業界、体が資本だもの」
「だけど、忙しいんだろ? 最近はしょっちゅうテレビとか出てるじゃねえか」
「まあね。実は今日も久しぶりのオフだったり」
「すまねえな、そんなめったにない機会なのに大河の奴熱出しちまって」
「ねえ、それって本当に熱?」
「おう?」
「昨日の夜、休み前だからって頑張り過ぎて、足腰立たなくしちゃったんじゃないの?」
「っ! ん、んなわけねえだろ!」
「どうだかねー。あんた達の『せいかつ』を聞くかぎりじゃあながち外れてもいないんじゃないの? あ、もちろんりっしんべんの方ね」
「……そーゆーことをどこから聞いてくるんだよ」
「当然、タイガーから聞き出したに決まってるじゃない。ま、あたしは半分以上実乃梨ちゃん経由だけどね」
「……おまえらなあ……」
「や〜だ、怒らないでよ。そのぐらいガールズトークの範疇なんだから。あ、そうそう、これお土産ね。高須君にぴったりの選んできたから」


「……で、これ何?」
「ドラゴンフルーツ、だそうだ」
「なにそれ、駄洒落?」
 川嶋亜美の沖縄土産は尖った鱗が生えた赤い大きな卵のような外見で、なるほど竜の卵と言われればさもありなんといった風情。
「なんでもサボテンの果実だとかいう話だけど……」
 言いながら果物ナイフで二つに割ってみると、その中身は……
「うわぁ……」
「おう……」
 思ったより薄い皮に包まれた果肉は、皮よりも薄い赤……というか、むしろピンク。それも蛍光色に近い感じの。点々と散る黒い粒は種だろうか。
「……これ、本当に食べられるの?」
「……そのはずだが……」
ともかく一口大に切って、おそるおそる口に運んで見れば。
「あら、美味しい」
「おう、これは意外に……」
「甘すぎないのがいいわねー。私この味好きかも」
「おい大河、だからって俺の分にまで手を出すんじゃねえ」
「いいじゃない、病人は労わりなさいよ」
「おまえさっき、もう大丈夫だって自分で言ったばっかじゃねえか」
「あー、ところでこれがどうして竜児にぴったりなのかしらねー?」
「おう? ……やっぱ、名前じゃねえのかな」
「あんたが実は、一皮剥いたら頭の中どピンクのエロエロ犬だってことだったりして」
「そうだ大河、おまえ、櫛枝や川嶋に何話してるんだよ」


「んであーみん、正解は?」
「実乃梨ちゃんならわかるでしょ?」
 ドラゴンフルーツをつまみながら、亜美は僅かに微笑んでみせる。
「んー、見た目でちょっと引かれがちだけど、実際の所中身は優しくて甘いってとこかな?」

650 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 15:15:10 ID:???
>>649
>あ、もちろんりっしんべんのほうね
いかにも亜美たんが言いそうだw実際はどうなんだ竜児!
女子だけで何喋ってんだろね本当にww
ドラゴンフルーツの解釈には参りました。確かにあれ、見た目を裏切る優しい甘さっすなー。

すんません、どなたか>>644-645も転載して下さると助かります
やっぱりここには相応しくないような気が。
自分まだ本スレに書き込めないみたいっす

651ms07b3:2011/09/18(日) 20:21:28 ID:OHZ2X3C6
高須夫妻の日常②
竜児は、祖父の金銭的援助のおかげで、大学の建築学科に入学する事が出来た。
これは大河の父母の影響。竜児としては、大学卒業と同時に大河と結婚する為、
大学で学ぶことは将来、自分が生計を立てられるような実学である必要があった。
では何を学ぶべきかと考えたところ、身近なところに2つのお手本があった。
一つは、高須の祖父ちゃんのような公認会計士の道。もう一つが、大河の母のよ
うな建築士という道だった。
高3の夏休みまでは、会計士になろうと考えていたのだが、夏休みに鈍行電車専
用切符を使って、12時間近く電車に揺られて大河に会いに行った時に、大河の
家のリビングで目にした一枚の住宅写真が竜児の運命を変えた。
一組の老夫婦が平屋の玄関先で、満足そうな笑顔を浮かべている。その笑顔は良
く似ていて、二人が重ねてきた年輪のような皺も、同じような深さを刻んでいた。
大河の母親は、大きな建物を造った実績はないが、限られたスペースを極限まで
活用した一般住宅や、女性の視点から考えた建物の設計が得意だった。
この写真の家も、子育てを終え、定年を迎えた2人が、残りの人生を過ごす終の
棲家として注文されたものだった。
注文主にこんな風に満足して貰えるうえに、高価なポルシェを乗り回す事ができ
るのだから、それなりに収入も良いはず。
会計士よりも、人の幸せに直接携わる事ができる建築士という仕事は、竜児に
とって理想的な仕事だった。
2泊3日で大河の家を訪ねたのだったが、初日だけオランダの町並みを模した
テーマパークで大河と過ごしただけで、残り2日は大河の母親に頼み込んで、
建築事務所の見学や現場作業への同行で終わってしまい、大河をむくれさせる
結果になった。
帰りの夜行電車に乗る前に、大河の義父・母と夕飯を共にした際に、竜児は建
築士になる為に、建築学科のある大学に進みたいという希望を伝えた。
大河の母親は、自分の機嫌を取るための阿りと受け止めたのだが、義父の方は、
建築士という仕事が判り易く解説している何冊かの本を読むように勧めた。
正直、高校3年の夏にいきなり建築士になる道を選んだのだから、一浪くらいは
覚悟するのが普通なのだが、竜児は持ち前の粘着質と努力で寸暇を惜しんで勉強
を続けて、晩秋の模試では、合格圏内という判定を受ける事ができた。
竜児が入学した大学は、大河の母親が卒業した多摩地区にある技術系の大学で、
東京の大学に進む為に単身で上京した大河のキャンパスにも近かった。
高校卒業と共に入籍を望む大河と一悶着あったが、収まるところに収まって、2人
の大学生活はスタートした。

652高須家の名無しさん:2011/09/21(水) 04:56:22 ID:???
乙!続きに期待
②になってるが①はどこだろう

653652:2011/09/21(水) 04:59:17 ID:???
まとめサイトにありましたわ

654ms07b3:2011/09/30(金) 21:14:53 ID:???
車のフロントガラスを叩く雨粒は風の加勢を得て盛大な音をたてる。
ワイパーは最速モードで動かしているのだが、雨粒はガラスを滲ませる。
沖縄あたりをウロウロしていた台風が、思い出したかの様に、日本列島を一直線に貫く軌跡を描いて動き出したのは
つい昨日。 三連休を潰して、幾つかの設計事務所が参加するコンペティション用の模型を完成させたのだが、それ
に気を取られている間に、施工物件の台風対策をする時間がなくなってしまった。
会社から支給されている合羽もレインブーツは既にずぶ濡れ。
作業車はビニール製のシートだから、濡れてもあとで拭き掃除をすれば良いのだが、やっぱり良い気分はしない。
台風対策を講じなければいけない物件はあと3件。
家族の送り迎えの車で普段以上に道が混雑しているから、全てが終わって家に帰れるのは日付が変わる頃になり
そうだった。学校に行っている大河は無事に帰れたかな?
自分の事よりも大河の事が心配だった。

池袋で乗った電車はすぐ隣の駅で止まったまま動かない。
吹きっさらしのホームで扉を開けたままでいるから、風に煽られた雨粒が時折、車内に
吹き込んできて、扉の近くのシートに座った大河の膝を濡らした。
大橋まではあと2駅。台風が通過するまでは間違えなく運転再開はしないだろう。
強い風が鋼鉄製の電車の車体をゆらゆらと揺らす。向かい側の窓に広がるのはホテルの
レストラン。風雨を避ける人が多いのか、天気の割には混雑しているようだ。
カバンから携帯を取り出してメールを確認。メール無し・・・。着信なし・・・。
大学を出る前に竜児からメールがあった。
《今日は遅くなりそうだ。しっかり戸締りして先に寝ていろ。風に飛ばされて怪我でも
したら困るから絶対に出歩くな!》
あんたは私の母親かっての。
竜児の優しさが嬉しい半分、いつまでたっても子供扱いする心配性に少し腹も立つ。
今はどうしているんだろ・・・。屋根とか高い場所から落ちなけりゃ良いけど・・。
竜児の事が心配だった。
きっとずぶ濡れで帰って来る。なにか暖かいものを作ってあげよう。

台風は駆け足で関東地方を通過していった。
台風の後始末を終えて事務所に帰り着いたのは午前0時過ぎ。
建物に被害はなかった。
雨合羽のポケットから携帯を取り出す。防水じゃない竜児の携帯は濡れないようにスーパー
のビニール袋にいれておいた。
電源を入れる。ボディーを軽く震わせて電源が立ち上がり、着信やメール受信を知らせる
小さなLEDが点滅を始める。メールの受信件数は15件。2・3通仕事関係のメールが入って
いたが、残りはすべて大河からだった。最初は竜児を心配する言葉が綴られたメール。
返信がないと返信を催促する言葉。最後は返事を寄こさなきゃ殺すという物騒な文章。
でも、大河の愛情にあふれていた。
普段なら勿体無くて乗らないタクシー。でも今日は一刻も早く大河の顔が見たい。
事務所の前の通りを流すタクシーに手を上げて乗り込む。「大橋まで。」

古くて小さなエレベーターを降りてポケットからキーケースを取り出す。
台風が過ぎ去った空には星が光っている。
玄関先に立つと鍵が開く音。勢いよく扉が開け放たれる。
不機嫌さとホッとした気持ちが複雑に絡み合ったような表情で大河が出迎えてくれた。
「ただいま。大河。」そういったら小さく笑った。

655ms07b3:2011/09/30(金) 21:16:20 ID:???
高須夫婦の日常③
車のフロントガラスを叩く雨粒は風の加勢を得て盛大な音をたてる。
ワイパーは最速モードで動かしているのだが、雨粒はガラスを滲ませる。
沖縄あたりをウロウロしていた台風が、思い出したかの様に、日本列島を一直線に貫く軌跡を描いて動き出したのはつい昨日。
三連休を潰して、幾つかの設計事務所が参加するコンペティション用の模型を完成させたのだが、それに気を取られている間に、施工物件の台風対策をする時間がなくなってしまった。
会社から支給されている合羽もレインブーツは既にずぶ濡れ。
作業車はビニール製のシートだから、濡れてもあとで拭き掃除をすれば良いのだが、やっぱり良い気分はしない。
台風対策を講じなければいけない物件はあと3件。
家族の送り迎えの車で普段以上に道が混雑しているから、全てが終わって家に帰れるのは日付が変わる頃になりそうだった。
学校に行っている大河は無事に帰れたかな?
自分の事よりも大河の事が心配だった。

池袋で乗った電車はすぐ隣の駅で止まったまま動かない。
吹きっさらしのホームで扉を開けたままでいるから、風に煽られた雨粒が時折、車内に吹き込んできて、扉の近くのシートに座った大河の膝を濡らした。 大橋まではあと2駅。台風が通過するまでは間違えなく運転再開はしないだろう。 強い風が鋼鉄製の電車の車体をゆらゆらと揺らす。
向かい側の窓に広がるのはホテルのレストラン。風雨を避ける人が多いのか、天気の割には混雑しているようだ。
カバンから携帯を取り出してメールを確認。メール無し・・・。着信なし・・・。
大学を出る前に竜児からメールがあった。
《今日は遅くなりそうだ。しっかり戸締りして先に寝ていろ。風に飛ばされて怪我でもしたら困るから絶対に出歩くな!》
あんたは私の母親かっての。
竜児の優しさが嬉しい半分、いつまでたっても子供扱いする心配性に少し腹も立つ。
今はどうしているんだろ・・・。屋根とか高い場所から落ちなけりゃ良いけど・・。
竜児の事が心配だった。
きっとずぶ濡れで帰って来る。なにか暖かいものを作ってあげよう。

台風は駆け足で関東地方を通過していった。
台風の後始末を終えて事務所に帰り着いたのは午前0時過ぎ。
建物に被害はなかった。
雨合羽のポケットから携帯を取り出す。防水じゃない竜児の携帯は濡れないようにスーパーのビニール袋にいれておいた。
電源を入れる。ボディーを軽く震わせて電源が立ち上がり、着信やメール受信を知らせる小さなLEDが点滅を始める。
メールの受信件数は15件。2・3通仕事関係のメールが入っていたが、残りはすべて大河からだった。
最初は竜児を心配する言葉が綴られたメール。返信がないと返信を催促する言葉。最後は返事を寄こさなきゃ殺すという物騒な文章。
でも、大河の愛情にあふれていた。
普段なら勿体無くて乗らないタクシー。でも今日は一刻も早く大河の顔が見たい。
事務所の前の通りを流すタクシーに手を上げて乗り込む。「大橋まで。」

古くて小さなエレベーターを降りてポケットからキーケースを取り出す。
台風が過ぎ去った空には星が光っている。
玄関先に立つと鍵が開く音。勢いよく扉が開け放たれる。
不機嫌さとホッとした気持ちが複雑に絡み合ったような表情で大河が出迎えてくれた。
「ただいま。大河。」そういったら小さく笑った。

656ms07b3:2011/09/30(金) 21:18:46 ID:???
すみません。題名を入れずに投稿してしまいました。

657高須家の名無しさん:2011/10/10(月) 23:40:47 ID:???
とらドラ! キッズステーション放送第一回を見た。実は初回放送はテレビで見ていない。
Youtubeで見た後、金払ってバンダイチャンネルでもう一度見たりした口。正直、すまん。

アバンで「優しさの足音」が流れ始めたとき、思わずうるっときたわ。

しかしまぁ、大画面はいいね。早くBD来ないかな。

658高須家の名無しさん:2011/10/12(水) 10:12:09 ID:.o36Pw5Q
見て楽しんだらお代を払わねばとは思うけど、再見動機が得られないと正直つらいね。
高解像度で細部見たいとか、繰り返し見て謎を知りたいとかいろいろあるけど、やっぱり作中の時間に何度か浸り直したいっていうのが大きいかな。
とらドラ!はその点申し分なかったから流れるようにDVD買っちゃったなw

クリスマスEDや最終回エピローグ、あと1話メインタイトルカットは本編の一部を成しているのでノンクレジット版が収録されてると疑わなかったのになくて不満。
仕様上で一瞬止まっても連続再生モードを入れておいてほしかったなあ。
BDのスペック表記見る限り今度もなさそうだし(やるなら新規映像特典に表記するはずだから)ノンクレデータがそもそもないのだろう。
2008年制作なのにHDで作ってないとか、ほんと売れると思わずに作ったアニメなんだなあ。

その辺も愛おしいw

659なぜか本スレ落ちてるでござる:2011/10/12(水) 15:07:58 ID:???
立てようとしたがエラー出たのでアイテムだけ置いときますね
AAまずかったら復旧して下さい。スレタイはクスクスに一票


ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
           /:::::::::::::::::} ::::::::::::::::::::::::::::::::トゝ
           /::::::::::::::::、::ヘ::::::::::::::::::ィ:::::::::',
          ノイ:::::::::/厶トハ:::::::::/厶」::::|:ト|
           | lヘ /V-。ミヽ:ハ //。--}ハN
           Vトハ{ `ー‐'  ` ー ' .|リ
            {ヘハ :::::    }   ::::: l'
              }:.、   、    ,   ,′
               N个 、  ̄   イl
              r<|   > < |‐- 、
              |  `ー‐┐ r‐'~ ̄}    _
             ,.人__    {  }  _ L 、 /´: : :\
           /     ̄`  く_ノ '´ , < {__: : : : : : ヽ
      _ .. -<           ○  /r :⌒: : : \⌒ヽ : : :\    
    r‐'                  { /: : : :i: : : : : : : : : :\:: : :}
   .}  ∧               |/: : : ,: :|: : : : : : : : : : : : : : {       
   |   ∧   !          /: : ::/厶|_: : : :∧:ヽ : , : : : :.|
   |     ヘ  |          }: :|: Ⅳ=、|: ! : :|⌒V、: }: : ! : |
   |      '  i          (_|: : !{"芹代ィ: : {ィ示ミy: : ::| : |
   |      } }  ,          {: .:r.{l ヾ= ' \jゞツY: : |: :| : |
   |      リ/          .∧: |: :ゝ:::::  '  :::::∠ イ: |: :} : |
    }      |          /: :.V ::::>  ` '  , イ l}:ノレ: : :ヽ
    |  :.    |          /:/: : : .:::,:⊥| `¨ {_:::::. : : : : : : : 八
    |   \  |          /::ル--っ: \〈    ノ`):: : r‐ 、: : : : : :、
    |    \人        /:// 二つミ: :r)ヘ ∠//7フ7二ヽ:_: : : ::\
    |   __` }       〃/ ,仁二) )乂ミl彡': : {  _ト┬ } ∨:::ト、: \
    | / ――L____ ノ// / r―'’v: : ゝV (: : : |三彡} と |  }: :| 〉: : }
   〔            //¨{  /  y _)ノY_入_/ V礀  ハ | l ∧ ∨: : /
     ト           /:′ !  }  |    厂「 } {Ⅹl    ',|./ /  }: : : /
    |          /: |  |___/|  l   , ′ | '、 ̄ !     }|_/ /: : :(
    `ー‐---=≧_(|: :{_O| /: :|  ! /   ,j  ', ∧   ハ: }/: : : : : :}
       |       ∧: :\「: :|  | /   / |   ', |\   〉: : : : :/

まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/

前スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ナデナデ妄想】Vol25
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1308756083/



449 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 23:59:25.04 ID:rdaKOPK+0
スレタイ案拾ってきました。
【クスクス妄想】
【キュンキュン妄想】
【モエモエ妄想】
【ピカピカ妄想】
【スヤスヤ妄想】
【ヌクヌク妄想】
【ホカホカ妄想】
【モヤモヤ妄想】
【ポカポカ妄想】
【トロトロ妄想】
【ソワソワ妄想】

660高須家の名無しさん:2011/10/12(水) 19:19:11 ID:???
立ててくる

661高須家の名無しさん:2011/10/12(水) 19:26:07 ID:???
次スレ
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1318414786/

仲良く使ってね!

662高須家の名無しさん:2011/10/13(木) 03:22:03 ID:???
>>658
見て楽しんだから罪滅ぼしに原作を買って、もう何回読み返したか数え切れない。書いたSSも数え切れない。
むぅ。

密かにBDで注目しているのは例の「女性徒」が修正されるか否かだ。

663高須家の名無しさん:2011/10/21(金) 21:39:14 ID:???
アニメ見始めて3話目で「なんでここからテンプレラブコメやねん」と萎えていいやラストだけ見よと
25話に飛んで「どうしてこうなった!?」、24話に戻って、それでも納得できずに23話と遡り、それでまた1話からじっくりとw
どうしてこうなったのか納得したくて原作も読んで、延々と納得しきれずにSSまで書いちゃったり。

竜児が大河を必要とした思いは原作読んで初めて一応の理解ができたのだけど、
アニメは台詞が改変されていてその刷り込みからなかなか逃れられない。
「俺の残りの人生をおまえにやる!」
これを聞いた時のなんか贖罪めいたニュアンスが忘れられない。分かったような顔をして本当のお前を見なかった、ごめん。
そう竜児が言っているように聞こえてしかたなかった。
でもこれって解釈のしようによっては原作の同シーンと真逆の意図を大河は受け入れたことになっちゃうじゃないか。
いろんな場面で大河は何を思ったのか、竜児は、とふと気がつけば考え込む。

とらドラ!ライフはなかなか充実して楽しいものです。
竜虎はその辺にいつもいて、ふたりだけのひそひそ話をしてはいちゃいちゃしてる。

うん。自分語りごめんね。

664高須家の名無しさん:2011/10/21(金) 22:56:24 ID:???
好きな人多いから言い難いが、ぶっちゃけアニメ版は好きじゃない
何も逐一原作通りになぞってほしかったわけじゃない、媒体の違いも理解しているつもりだが
竜児と大河の物語としてもっと描き様があっただろうと

その点、漫画版には結構期待してる
…まず完結するかが謎だけどな!

665高須家の名無しさん:2011/10/23(日) 07:39:52 ID:???
あまりにも原作読みすぎたんで、だいぶアニメ版の印象が薄くなってはいるんだが、
原作9巻あたりでみっちりと描かれた「もう、大河が傷つき続けるなんて我慢できないんだ」
という気持ちのせり上がりがアニメには無かったよな。

アニメのあの流れだと「あんたは同情してくれるんだ」っていう大河の問いを、
竜児ははねのけられないようではある。

666高須家の名無しさん:2011/10/30(日) 22:05:59 ID:???
あんな同人ゲー作ったんだから、アニメでは
原作並に深い濃い二人の描写をしてほしかったわ。
主人公とヒロインなのに、一番割食ってる気がする・・・

疑似結婚式とかシーン単体は良かっただけにね。

667高須家の名無しさん:2011/11/05(土) 02:18:34 ID:???
アニメ5話見た。

いいわぁ。引きこもりタイガーに「北村は全部知ってるから心配するな」
っていうときの、竜児。凶眼がほんと優しげだ。

668本スレ26の178:2011/11/13(日) 23:08:14 ID:???
本スレで話題に出てた紳士淑女の正装
一応R指定なのでご注意を

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2259444.png

669高須家の名無しさん:2011/11/20(日) 23:27:59 ID:???
『クリーム・ソーダ』で、「じゃ、じゃぁ、本当にできるかどうか、見せて」と大河に迫られて、
ズボンの上から竜児が触らせるという純愛アナザーを妄想中。あくまで純愛に徹するのがポイント。

670高須家の名無しさん:2011/11/21(月) 16:25:30 ID:???
ご、御本人であれば妄想と言わず形にry

671高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 00:20:37 ID:???
すごく…読みたいです

672高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 01:33:51 ID:???
アニメの竜児は1話や5話でめし時に大河が涙目になると頬を染めるようなムッツリスケベ野郎だが原作では純愛一路だなw

673 ◆fDszcniTtk:2011/11/22(火) 08:21:13 ID:???
>>670
くそ、なぜ本人だってばれたんだ(w

674高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 19:00:12 ID:???
すでに読める形であるSSを改変する妄想はしてもそれを堂々と表明するやつぁ普通本人しかいないだろう(棒

675高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 23:57:35 ID:???
なるほど

676高須家の名無しさん:2011/11/23(水) 04:47:37 ID:???
>>673
御本人だったらかか書いてくれないかな!という欲望に駆られて
書き込んでしまいましたが、当たっていたようで…w
すごくすごく読みたいです

677高須家の名無しさん:2011/11/27(日) 23:28:36 ID:???
来年1月放送の「輪廻のラグランジュ」には、能登、春田、独身の中の人が出てるな。

678高須家の名無しさん:2011/12/02(金) 21:10:26 ID:???
また大規模規制でもやってるのか?せっかく盛り上がってたのに水差されたな。

679高須家の名無しさん:2011/12/05(月) 21:54:19 ID:???
本スレ移転した
ttp://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1318414786/

680こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:10:42 ID:???
本スレVol.26【クスクス妄想】>>306からの〜、オチパート(の一種)です。
大変申し訳ないのですが、さほどエロくはありませんで、その代わり一般的にはきちゃない話です。

原作で言えば鼻の内容物とか、足汗とか尻汗の類ですので、その辺がきもかった向きにはお勧めできませんし、
原作ではゆゆぽ記述によってセーフであっても数段記述力が劣るこちらSSではアウトという事も十分考えられます。

はい注意は喚起しましたからね?

なんで書いたし?それは足汗とか尻汗とかおトイレ借りたいのとか唾液の交換とか、
およそ萌えヒロインとしてふつう言及されないところが描かれる大河に実在感を得られて大好きだからです。
すまん、変態だー!orz

↓では

681こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:12:58 ID:???

 ――承前。

 「しゅき……だもの」

 大事な事だから二度言ったらしい。
 で、早くも二度目にはすーすー寝息混じりになって必死に起きていようとしてる。瞼を閉じ
たらさいごとばかりに竜児の目を睨みつけ耐える大河の身体がもわ〜っと暖かくなってきてい
て落ちるのは時間の問題。
 竜児からしてみても丹前羽織って乗られていると暖かなふとんを掛けて横たわってるのと体
感的にはほとんど同じだ。おまけに眠気というのは伝染するもの、ふーん、ふぃーんと気持ち
良さそうな鼻息を耳の後ろに感じて、あ、先に独りで寝るなこら、もっといろいろ……してえ
の……に……。



****


(重てえ……)

 重いよ大河。それにちょっと寒みいし。
 少し覚醒したものの目を開けられる気がしない竜児は、抱き合った柔らかい者に擦りよって
顔を埋めてみた。肩ごと左右に揺するように擦りつけて、あああったけえ、ふよふよして気持
ちいいよ。ちゅっちゅっちゅ、たいがのきょにゅ〜いい匂い、たいが、ぁ……?

 がばっ!

 さすがに目が開いた。くそっ、いつの間に泰子が。ああもう5時過ぎか。テレビの上の時計
に首を向け、夜光塗料のつくる角度を見て時刻を知って、ゆっくりと上体を起こすとどっくん
どっくん拍動を感じる。増した血流ですっかり目も覚め、あらためて状況を把握する。

 まだ薄暗い夜明け前の八畳居間、いつものように帰宅した泰子はいつものような酔っ払いの
勢いのまま、抱き合って寝落ちしていた俺たちに覆いかぶさり力尽きた……とみた。確か寝落
ちする前に大河が占めていた位置にまるっと収まっているから、二人の隙間をこじ開けながら
ズブズブ落ち込んだわけだ。
 その大河はと見れば、ほとんどこたつからななめに蹴り出されて丸くなっていた。まあ寒け
れば自力で入り直すだろうから暑くて自分から這って出たのかもしれない。

 卓上には貪り尽くされたコンビニおでんと新作プリンの空きカップが転がって二時間ほど前
のささやかな饗宴を想像させた。いちおう泰子はじぶんの定位置で仕事を終えたあとのくつろ
ぎタイムを堪能してからこの不埒な行動に及んだらしい。

 子供っぽいほえほえアタマではあっても母は母。普段しない行動に出た動機が問題だが、と
考えた竜児はこたつ布団をめくって自分の着衣を確かめる。良かった、乱れてはいない。別に
泰子から性的に悪戯をされたなんて疑ったわけではもちろんなく、大河と自分が傍目にはケシ
カランと思しき状況で寝落ちしていたからこうなったんじゃないかと思っただけだ。

 とまあ、先ほどから竜児が大勢に影響のないつまらん事を一生懸命考えているのも、寝ぼけ
半分とは言えいい齢して母のおっぱいしゃぶっちまったぁ(谷間だが)というショックに加えて、
しばらくの間それをよりによってな方向で誤認していた事実にも竜児は大いに傷ついたからで
もある。“大河の巨乳”なんだよそれ?“でっけえミニ四駆”みたいだが、位相幾何学的に解
釈すればどんなに大きくとも何ら不思議はなく、aの膨らみが慎ましやかな大河が一番好みだ
がbのFカップ大河も同じ大河と言えて、cのムネが背中側に膨らんでる大河だけを別扱いで
……なに考えてんだ俺。

(忘れよう……秘密秘密……ん?)

 ようやく落ち着いてきたら、酒くさい。というか唾くさいのに竜児は気づいた。あちこち嗅
いでみたら、うへえ、やられた。

682こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:13:55 ID:???
 抵抗がないのをいい事に乱入母がべろべろ蹂躙しまくったのだろう、カオがくさい。まあこ
れは中学生くらいまで連日やられていたことだからそれほどのショックはないけど、唾は乾く
となんでこんなにくさいのだろう。他人じゃなく親子なんだからもうちょっと親しみを感じる
ようになっていてもいいはずだが、進化論的に。

 ともかくカオ洗おうと、竜児は静かにこたつを抜け出して迂回。ついでに哀れに丸まってる
大河の側にしゃがんで寒がっていないか確かめる。

(うん。こいつもやられたのか)

 寝入る前に髪を編んでおかなかったせいで盛大にほつれ毛を絡ませてる大河の頬に顔を寄せ
てくんくん嗅いでみれば、自分と同じような酒くささ。たぶん眠りが浅くなったときに夢うつ
つで「くさぁ」などと思ったのだろうか不機嫌なツラしてる。
 丹前の襟をかき合せて縮こまってるのを抱きあげて、台所から入ってすぐ本来は竜児の席に
なってるところで腰までこたつに突っ込んでやってもぐにゃぐにゃ脱力していて起きず、竜児
はしばらく眺めてから洗顔に行った。

 物音を立てないようちょろちょろ流した冷たい水できれいにカオを洗い、居間に戻って泰子
を抱え上げるも引きずって部屋に敷いておいた布団に押し込んでやった。仕事着がシワになっ
ちまうが……まあ、いいか。ふすまをそっと閉めて嫁との仲を裂いた姑の隔離完了。

 明け方の冷え込みが身に沁みて、こたつに戻り明るくなるまでもうひと寝。……の前にどう
しようかちょっと迷ったが、結局竜児はポットのぬるま湯をガーゼタオルに絞って脇に座ると
丁寧に大河の顔を拭き出した。。

(起こしたら可哀想だが、クサくてうなされるのもなあ)

 彼女のほつれ毛を指先で梳いて、力を込めずに少しずつ頬から拭っていった。いつの間にか
身体を伸ばしていた大河に添うようにこたつに入り込んで作業に没頭し始める。最初に寝顔を
見たのはいつだったか……ああそうだ出逢った翌朝だった。あまりにかわいらしくて心臓をギ
ュッと掴まれたような感じになって。

 触れた時に冷たくはないだろうけど、水気を含んだもので顔を拭われて目を覚まさない人と
いうのはまあ、普通いない。うーんとか、あーとか微かな声を大河がもらすたびに竜児は手を
止めて寝息が戻ったらそうっと続行する。
 そんなことを繰り返しているうちに親心なのか男心なのかよく分からなくなってきた。寝顔
から不機嫌さが次第次第に消えていったのを見て湧くのは親心であろうし、(ちゃんと拭けた
かどうか確認するだけだからな……)とか何とか心で言い訳しながら大河のこめかみや額の生
え際をくんかくんか嗅いでみるのはたぶん男心のうち、と自分でも分かってはいる。

 そんな、あらかた用は済んだのに作業を終えたくない竜児が顔を寄せていると、突然大河の
目が開いた。

「りゅー、ぅー、」

 とろんと半眼で光なく。おそらくは眠りの底に近い表情を間近で認めた竜児は、反射的に言
い終わりの、じ?を発声しようとする唇をちゅっと塞いでしまった。さっきからしたくてした
くて疼くような塊を胸に抱えていた。
 しょうがない、と思い、口実だよなとも思い。そうしてやっぱり起こしたらいけない気持ち
も投げ捨てはせず、大河の息を邪魔しないよう触れるだけの優しいキスをと思うのはなにも竜
児がことさらにロマンチストだからというわけでもないだろう。こんなとき男という者は大抵
そうする。

「もっ……とー」

 しまったと思った。こいつは起こすタイミングによっては寝惚け方が尋常ではないと知って
いて忘れていた。ごめんうそ。忘れてなんかいなくて無視していただけ。誰に謝ったのかは竜
児自身にもわからないが、宙を彷徨った細い腕にまたも首根っこを捕まえられ激しく水っぽい
お返しのキスを受け始める。

(あああ、せっかく顔洗ったのに)

683こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:14:59 ID:???
 もうキスと言うよりは上下の唇と舌で顔の上を歩きまわられてると言った方が正確だ。本人
としては朦朧としながらもちゃんとしている気でいるかも知れないが、半開きの目にはきっと
視覚はなく、触覚だけを頼りにべーろべろ。その証拠に全然唇を探り当てていないし、ヨダレ
流しっぱなし。部屋の冷気に触れたほっぺた寒い。
 うわーん、もういいだろ!
 ついに竜児もヤケを起こして大河のカオをちゅうちゅう吸い返し始めた。まあこっちは目が
覚めているので「起こしちゃってもいい」程度ではあったけど彼にとっては綺麗に取り繕った
直後の台無し感と親心男心をミキサーに掛けた青汁まずい!もう一杯!状態と言えた。

 薄暗く寒い部屋で、割と緩慢に、ロマンもヘッタクレもないちゅっちゅぺろぺろ行為をして
いると何故かそれでもヌクヌクと幸せ感に包まれてきて、そのうちにまたしてもこたつめの魔
力が……。


****


「……なんだろーね?つーんとくさい」
「……カオ洗ってこい」
「それに寝たの窓側だったはずなのに……はっ?まさか」

 遅い冬の朝も明けきって、窓の外では雀がちゅんちゅんやかましい。
 頭ぼさぼさで半身を起こした大河は傍らに寝そべる竜児を見下ろしてぶちぶち不審そうに文
句を垂れ、次いで着衣の乱れがないか確認したり。

「なんにもしてねえよ……ふぁーーあ」
「……あんたも唾くさい。なんにもってことはないでしょ」

 屈みこんでくんくん竜児の顔を嗅いで、さらに問い詰める。

「お前はなーんにも覚えてねえのか?」
「え?あ?……えと」

 ぺたんこ座りの股間に両手を挟みこんで肩を落とし、大河は小さく俯いて真っ赤に染まって
いく。それを仰向けに見上げた竜児には寝惚けでなく寝たふりだったのかなと思えたくらいだ
ったけど、そんなわけもなく。

「ゆ、夢見たんだと思って……た」
「そっか。……んしょっ。夢ってことにしとこうか?」

 竜児も起き上がって片手でもこもこ丹前を抱き寄せると、力なくぽてっと倒れこむ。

「覚えがないのってやだなー。1回損した気分になっちゃう」
「損はしてねえから安心していい。……わかった。全部順を追って教えるからお前の見た夢も話せよ?」
「し、仕方ないわね。でもご飯が先」

 首を伸ばして竜児の耳元にちゅっ。前髪をたくし上げて大河のでこにちゅっ。その動作でで
きた隙、竜児の喉にもう一度大河がちゅっ。きりがねえ、と彼女の目を見て彼氏が微笑むと少
しばかり恥ずかしそうに俯いて、視線だけを上げてくる。

「あーーーーっ唾くさい♪」
「朝っぱらから何してんだろうな?俺たち」
「こたつのせいね。あ、やっぱりうちには要らないわ。エアコンあるしね」
「なんでだよ。気に入ったんじゃねえのか」
「ここで入ればいいもの。独りで入ったってMOTTAINAIよ……ねえ?」

 そんな同意を求められても竜児は困ってしまうのです。



〜おしまい〜

684高須家の名無しさん:2011/12/08(木) 20:22:03 ID:???
今から初投稿……と思ったら書き込めないようなので、こちらに。
もしよろしければ、代理投稿お願いします。

以降5レス使う予定です。

※SSはフィクションであり、医学的助言を提供しません。体調不良は専門家にお願いします。

685やぶさかではない 1/5:2011/12/08(木) 20:24:22 ID:???
 虎と並び立つものは昔から竜と決まっている、なんて必死に言ってたけど。
 本当は、虎だって竜と並び立つのに必死だったりする。

 竜児のスーパー家事スキルはモテとは程遠いかもしれないが、本当に彼女泣かせなのだ。
 何をやっても勝てる気がしない、というか勝てない。
 私だってドジなりに練習してるけど、料理も掃除も落第点。散々お世話になったから、力量差は痛感している。
 焦る必要は無い、傍に居てくれればいい、そう言ってくれるのは嬉しいけど。
 私だって。してもらうばっかりじゃなくて、何かしてあげたい。
 触ればしあわせ? の手乗りタイガーなんかじゃなくて、恋人として。
 遠い未来なんかじゃなくて、今すぐに。

 今の私に出来て、竜児に出来ない事。普通じゃない私に出来る、普通の事。
 それを、ずっと探していた。

 ……そして、ついに私はそれを見つけたのだ。


***


「なあ大河、その……今日、出来るか?」

 本当は、それも竜児のほうが上手だ。でも「竜児に」という条件を付ければ、話は別だ。

「今日?」
「……おぅ」

 竜児がいかに家事の完璧超人であっても、身体構造までは変えられない。

「そんな、いきなり言われたって準備してきてないし」
「こっちで全部用意するからさ」

 自分の肩や背中まで、手はうまく届かない。届いたって力は入れられない。それが人型の限界だ。

「だいたい、もっと早く言いなさいよ。平日なんだし、こっちだって予定ってものが」
「そんな事言わずに、頼む。メシも付けるから、な?」
「全く……ちょっと待って」

 多くを背負う竜児の肩は、何時だってガチガチに硬い。並の女じゃ歯も立たないだろう。

「……ママ? 今電話大丈夫? ごめん、今日遅くなりそう……ちょっとね……食べてくるからいい……うん、分かってる。ありがと」

 あるいは、みのりんなら別だったかもしれない。でも、先に気付いたのも、傍に居るのも私。

「いいわよ。そこまで言うなら、やぶさかではないわ」

 だからきっと、これが今の私に出来る「普通の事」なのだ。


「すまねぇ、今日は何でも好きなもん作ってやるからさ」
「……じゃあ肉、簡単なのでいいから」

 いつもの放課後、いつもの通学路、いつものように竜児と帰る。
 でも今日はそのまま竜児の家に、去年と同じように。


***

686やぶさかではない 2/5:2011/12/08(木) 20:25:11 ID:???
 ――二人で早めの夕食を終え、竜児がお風呂に入っている間。私は用意された室内着に着替えていた。
 室内着、なんて言うと聞こえはいいけど。
 実際は竜児の中学時代の芋ジャージだ。緑色一色で、もちろん胸には『3−1高須』の名札付き。
 ダサいし、貧乏臭いし、ぶかぶかで裾が余っちゃう生き恥ドレスは今もなお現役である。
 まったくもう。登校前に言ってくれれば、もっと可愛い服持ち込んだのに。

 しかし、ない物ねだりしても始まらない。
 高須家にはマイ茶碗、マイカップ、マイ座布団、マイ歯ブラシ……と大抵揃っているけど、私の着替えは無いのだ。
 毎回持ち込みも面倒だし、本当は何着か置きたいけど。洗濯して干している所を、誰かに見られるかもしれない。
 そう思うと、さすがの私も気が引けた。
 竜児に何かあったら困る。今は一番厳しくて、そして将来を決める大切な時期なのだから。
 本当は婚約者なんだし、やましい事なんて何も無いのだけど。合鍵だって預かってるし。

 まあ、今は芋ジャージでいい。卒業するまでの短い間だもの。
 それに、お古の芋ジャージだって考えようによっては悪くない。緑色だけど。
 裾は折ればいいし、着心地も悪くは無い。それにこの名札……

「……へへへ」

 おっと、つい独り言。今の時間やっちゃんは居ないし、誰にも聞こえてないだろうからいいけど。
 ちょっと恥ずかしいけど、3−1の部分だけ切り取るように頼んでみようかな?なんて他愛も無いこと考えながら。

 竜児の部屋で、
 竜児の服を着て、
 竜児のベッドに座り、
 竜児のいれたホットミルクを飲み、
 竜児の編集したMDを聞きながら、
 竜児の戻りを待つ。

 ああ、これで門限が無ければ最高なのにね。

 遺憾ながらここまでキス無し、そして今日はこのまま自粛の予定。
 だって、これから同じベッドにって時にそんな事したら、その、妙な気分になってしまう。
 心臓バクバクになって、テンションおかしくなって、マッサージどころじゃ無くなってしまう。
 もっとも、竜児のほうから求めてきたなら話は別で、私もやぶさかではないけど。
 でも、きっと無いと思う。
 竜児だって「猛毒」と言ってたぐらいだし、今日はとても疲れてるはずだもの。

 今日の目的はあくまで竜児のメンテ、残り少ない時間は全て竜児の為のもの。
 我ながら何もここまでしなくても、と思わなくも無いけど。
 マッサージの理想の条件が「お風呂で温まった後」「柔らかい場所で」なら、私はそれに応えたい。
 私からベタベタするのは明日からでいい、今日足りない分は明日取り戻せばいい。
 ……だから、我慢する。
 たった半日だけだもの、我慢できないはずがない。


 ――竜児が戻ってくるまであと1000秒、門限まであと6000秒。


***

687やぶさかではない 3/5:2011/12/08(木) 20:25:49 ID:???
「お待たせ」
「相変わらず早いわね。ちゃんと温まった? 髪乾かした?」
「ほっとけ、俺はカラスの行水なんだよ。手抜きした訳じゃねえから安心しろ」
「そ。じゃあ、始めよっか」
「もし寝たら起こしてくれよ、まだやる事あるんだ」
「はいはい」

 意識しないよう、さりげなく。
 まずは竜児をベッドに座らせて、私は膝立ちになって肩を指圧する。
 ベッドと言っても竜児の私物だから通販のシングルベッド、本来なら二人乗りは厳しい。
 それでも、私なら何とかなる。低すぎる背を何度も嘆いたものだけど、世の中そう悪い事ばかりでもないものだ。

「この前やったと思ったら、また硬くなってるし」

 両手の親指を使って、こうグリグリと。……しかし硬い。お風呂で温めてほぐしたはずなのに、まるで鎧でも押してるみたい。
 コリコリというか、ゴリゴリという感触が指に伝わってくる。鎧は鎧でも、錆付いた鎧だ。
 今すぐ、錆を落としてあげないと。

「ったくもう。一体なにをやったら、こんなになるの?」
「休憩中にどうしても汚れが気になってな。あっちもこっちも、と掃除してたらつい深夜に……」
「何やってんのよ、このポンコツ犬。勉強は?」
「や、やったぞ一応」
「だったら早く寝なさいよ。いくら気分転換だって、物には限度ってモノがあるでしょ。馬鹿じゃないの?」
「お前にゃ言われたくねえ」

 何よ。平日は弟の面倒見なくちゃいけないのに、今日もママに無理言って変わってもらったのに。

「あっそ、じゃあもう帰ろうかな?」
「ま、待てまて! 俺が悪かった」
「分かればよろしい。……で、ここでいいの?」
「もうちょい上、手の間隔を狭くして……そうそう。後、もうちょい強く」
「ん」

 それにしても。こうして間近で見ると、やっぱり竜児の背中は大きい。
 だから、一箇所だけやっててもカバーしきれないわけで。押す場所は徐々にずらしていかないといけない。
 肩甲骨まわりを、竜児の反応を見ながら押していく。
 本当はどの辺を押せばいいのだろう?ちゃんと勉強してないし、良く分からない。確か、資格とかあった気がする。
 まあ私は、竜児以外にはやるつもりは無いし、竜児が満足してくれるならそれでいいのだけど。

「……ちゃんと効いてる?」
「おう、いい塩梅だ」
「何そのジジ臭い言い回し、時代劇の見過ぎじゃない?」
「何を言う、料理の基本だぞ」
「あんたは筋金入りね」

 褒めるならもうちょっと気の利いた言葉にすればいいのに、ホント鈍いんだから。
 ……でも、そんな古風な言葉を知ってるぐらいなら、さっきも気付いて欲しかったな。
 ねえ竜児、私「やぶさかではない」って答えたのよ?
 すまねぇ、なんて言わないで。

688やぶさかではない 4/5:2011/12/08(木) 20:26:19 ID:???
「……もういい?」
「もっと……」
「じゃあ、肘でもいい?」
「おう」

 続ける事15分、さすがに指が痛くなってきたのでやり方変更。腕まくりして、肘のとがった部分を竜児の背中に押し当てる。
 両手から片手になるので作業効率は悪いけど、指よりも体重を掛けやすく疲れずに済む。
 それに私の肘は小……細いから、よりツボに入りやすいはず。問題は加減が難しい事で、慎重にやらないといけなくて。

「痛てえっ!」
「やだ、遺憾だわ」

 おおっと。ドジって変な秘孔を突いてしまい「ん、間違ったかな?」とはならなかったが、ノーミスにはまだ遠いようだ。
 やっぱり、ちゃんとやり方勉強したほうがいいかもしれない。後で調べてみるかな。

「これぐらい?」
「もうちょい弱く……いいぞ、そこ百やったら左頼む」
「回? 秒?」
「百数えたら、だ」

 くりくりこりこり……軽く肘を入れる度に、竜児の頭も小さくゆらゆら揺れる。
 本人は気付いて無いみたいだけど、起き上がりこぼしみたいでちょっと可愛い。竜児のくせに。
 百で終わりは味気ないので、数え忘れたフリしてちょっとサービスしておこう。もちろん竜児には内緒で。

「はい、おしまい。次は手でいい?」
「おう」

 軽く背中を叩いて合図すると、竜児は「待ってました」と言わんばかりに横になる。
 私はそのすぐ脇に移動、何度か調整してベッドからずり落ちない位置に座る。
 本当はベッドから降りたほうが動き易いんだけど、もちろんこのままで。
 ここから先は二の腕から徐々に下がって、指の付け根まで揉むだけだ。後は指を回したり、手の甲をさすったり。
 硬くは無いので、さっき休めておいた指とマッサージローラーで十分通用する。

「ほら、次。あっち向いて」
「……拭いたか?」
「気のせいよ」

 汗ばんだ手の平は竜児のシャツで拭いて、今度は反対側の腕。
 手にはツボが集中していて、肩にも効くらしいけど。やっててイマイチ物足りない。
 それは竜児の反応が薄いせいかもしれないし、その気になれば竜児自身にも出来る場所だからかもしれない。
 一年前には指を繋ぐのでさえ恥ずかしかったのに、今じゃこんなに堂々と触ってて物足りないなんて。
 私もずいぶん慣れたというか、贅沢になったものだと思う。

 ……それにしても、大きな手。そのくせ器用で、繊細で、温かくて、魔法みたいに何でも出来て。
 比べて見ると、私の手はまるで玩具みたい。……どうしてこうも違うのだろう? と思わなくも無いけど。
 今は私に出来る事をしよう。
 次は腰、背中、時間があれば足。コース内容は毎回似たようなものだ。

「腰の、どのへん?」
「……」
「このへん?」
「……ぉぅ」

 竜児の返答が鈍くなってるけど、これも平常運転。
 手からマッサージしないのも、わざわざ狭いベッドでマッサージする理由もこの辺りにある。
 畳で寝かせておいたら風邪引いちゃうし、かといってベッドまで運ぶには重い。
 そういう場面でも体格差は露骨に響く、もちろん悪い方向に。
 叩き起こせばいい? そうするのは簡単だ、実に簡単だ。でも、それじゃあまりにも味気ない。
 こういうのは最後が一番おいし……肝心なのだ。

689やぶさかではない 5/5:2011/12/08(木) 20:27:08 ID:???
 ――時計はもう50分を回っている。
 ここまで休憩無し、さすがの私だって疲れてくるわけで。
 だから、隣で寝転がって省エネ運転になったとしてもそれは正常なことであり。
 押すというより、さするという動作になってもそれは仕方の無いことであり。
 掛け布団が邪魔だから、一緒に中に入っていても何も問題など無いのだ。

 感じるのは体温と嗅ぎ慣れた匂い、マフラーよりずっと深く私を包んでくれる。
 私はもう一人じゃない。かけがいの無い、幸せなひと時……
 でも、こういう時に限って時間は早く過ぎてしまうのだ。

「……そろそろ時間だけど、どうする?」
「……」
「……竜児?」

 返ってくるのは規則正しい寝息。竜児はみっともなく涎まで垂らして、安穏な顔で眠っていた。
 ホント、目さえ瞑っていれば悪く無い顔だけど……やっぱり連日の疲れが溜まっていたのだろう。

 出来ればこのまま、ゆっくり寝かせてあげたい。
 一緒の布団で添い寝して、寝顔をずっと眺めていたい。
 そして朝になったら、おはようのキスして起こしてみたい。

 ……でも、今はこれが精一杯。
 まだ高校生だから。私は門限までに帰らなくちゃいけないし、竜児もこれから勉強しなくちゃいけない。

 それに今着ているのは貧乏臭い芋ジャージ、ベッドだってシングルだし、そもそも私お風呂に入ってない。
 そういうのはもっと準備とかムードとか、整えてからのほうがいい。
 どうせやるなら、その時はもっと盛大にやろう。
 私の作った手料理をいっぱい食べさせて(その頃には作れるようになってるよね?)
 入浴剤たっぷりのお風呂に入れて、私も入って。
 服は趣味に走ったフリフリのネグリジェ……いや、あえて触感重視でシンプルなパジャマも。
 照明だって蛍光灯じゃなくて、もっと薄暗くて暖色系の照明に。
 もちろん、ベッドはセミダブル以上で。
 うるさい門限も無し。キスだって解禁して、それから……

 竜児も喜んでくれるかな、それとも贅沢だってぼやくかな?
 疲れているんだ寝かせてくれ、なんて言ったら殴るけど。

 よくよく考えてみれば、物だけだったら隣に住んでた頃に揃っていたのにね。
 やろうと思えばいくらでも出来た環境だったのに、何もしなかっただなんて。今から考えると惜しい事したかも。
 でも、いい。
 他人から押し付けられた物より、自分たちで掴んだ物のほうが良いに決まっている。
 まだ機は熟していない。今がっついても渋いだけ、それこそMOTTAINAI。


 そう言えば、寝たら起こしてくれって竜児に頼まれている。だから今すぐ起こして、今日はおしまい。
 そうするのが正解。
 でも……ああ、やっぱり起こせないよ。少しでも長く、寝かせてあげたい。
 だって、こんなに幸せそうなんだもの。
 いっそ、このまま時間が止まっちゃえばいいのに。

 でも、時間は止まってくれないから。明日も幸せでいたいから。
 我慢する、我慢はするけど……
 私、フィアンセだもん。少しぐらいなら、いいよね?


 だから私は目覚ましを一時間後にセットして、布団を掛け直して、涎も拭いて。
 仕上げに軽くキスを落としてから、そっと部屋を出た。

[fin]

690684:2011/12/10(土) 14:08:12 ID:???
代理投稿ありがとうございました、本当に助かります。

以下、本スレコメント御礼です。

>>325
竜児→大河の癒しは多いので、あえて逆をやってみました。
スピンオフ2で芋ジャージ出た時、いつかやってみたかったネタが上手くいって、嬉しいです。

>>326
ありがとうございます。文体を褒められた事って初めてなので、びっくりしてます。

691684:2011/12/11(日) 18:29:04 ID:???
連投申し訳ないです。
レス後にまたコメントもらえていたので、引き続き本スレコメント御礼です。

>>328
やりすぎて「にせトラSSですか?」と言われるかも、と密かに心配してました。
おかしくないって言ってもらえてほっとしてます。

>>329
芋ジャージネタ以外にも、こっそり使ってみました。見つけてもらって凄く嬉しいです。
ちなみに原書の猛毒ネタは、私も大好きです。どれぐらい惚れていたのか良く分かるので。

692 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:51:08 ID:???
もうすぐ発売日ですね。
記念にって訳じゃありませんけど、本スレ337のアフターみたいな物です。

なお、わざわざ本スレに載せないで避難所なのはエロいからじゃありません。
真面目に書いてますけど、読む人によっては不快を感じる可能性があるのでこちらへ投下します。
別に大河が不幸になったりはしませんし、ひどい目にもあいません。
ちょっと気を使いすぎかも知れませんけど、転載不要です。

では、以下投下します。

693 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:52:15 ID:???

「遅せぞ、大河」
待ちくたびれた様子を見せながら竜児はやって来た大河の姿に複雑さの混じった安堵の表情を浮かべる。
「仕方ないじゃない、竜児が先に行くからいけないんでしょ」
「しょうがねえだろ・・・気苦労ばっかでストレス溜め込んじまったんだから」
「ふん、ずっと側に居るって誓ったのは誰?」
不満気な口調で大河は竜児を非難する。
「だから・・・こうして待ってたんだろ・・・お前が来るのを」
「ま、許してあげる」
花が咲くような笑顔を見せてあっさり大河は情けなさを前に出して謝る竜児に、矛を収めた。

「しかし、なんで制服なんだ?」
「知らないわよ・・・こっちに来たらこのカッコだったし」
大橋高校の制服を着た大河は竜児の前でくるりと片足を軸に回って見せた。
「ふうん・・・大河さ」
「何?」
「今さら言うのもなんだけど・・・お前、かわいいな」
たった今、気が付いたと言う様に竜児はあっけらかんと大河を誉めた。
「・・・高校生の頃に言いなさいよ、そんなこと」
「言えるか」
ギラギラする鋭い視線を伏せて竜児はそっぽを向く。
「ふう〜ん」
そんな竜児の前に回り込んで、大河は下から顔を覗き込んだ。
「あんたこそ・・・ビビるじゃない・・・高校生にしてその顔」
よく、こんなオトコを好きになったもんだと我ながら感心すると大河は何度もうなづく。

10年ぶりと言ってもいい竜児と大河の直接の再会・・・
話は尽きない・・・。


「もう、誰かここ通った?」
「ああ、ちょっと前に北村がな」
大河の問にそんな風に答える竜児。
「元気そうだった?北村くん」
「少しやつれてたな・・・苦労したんだろな、あいつなりに」
しみじみと竜児は言う。
「みのりんは?」
「櫛枝はまだだな・・・見てねえ」
「そう、良かった」
顔をほころばせる大河。

櫛枝実乃梨が来てない事を喜ぶ大河だが、それは不自然なことではない。
なぜなら・・・

694 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:53:23 ID:???

「ちゃんと持って来たか?」
「もち」
問い掛けた竜児に大河は得意になって手のひらに握った物を見せた。
・・・10円玉が六枚。
竜児はため息をつく。
「ちげーよ・・・六文銭だって言っただろ」
「え?うそ」
「ちゃんと書いてあるだろ、そこに」
「あ、ホントだ」

渡し賃 六文

竜児と大河の前に大きな川が見えていて、そのほとりにある船着場に出ている看板には確かにそう書いてある。

「ど、どうしよ」
乗れないよと慌てる大河に竜児は仕方ねえとばかりに大河の手を取るとその手のひらに六文銭を置いた。
「お前の分・・・ちゃんと用意しておいた」
「ありがとう、竜児」
頼りになるねと嬉しそうに言う大河。
「まったく、そのドジ、死んでも直らねえな」
「むう・・・ほら、さっさと行くわよ」
痛いところを突かれた大河は照れ隠しの様に怒った風情を見せながら、竜児の先にたって歩き出す。
・・・昔から変わらねえな、大河のそういうとこ。
優しげな目線で大河の後姿を眺め、竜児は急いで大河の後を追い掛けた。


チケットの無い方はご乗船できません・・・三途の川汽船
取り様によっては怖いことが書いてる掲示番の脇をちょっとおっかなびっくりに通り抜けた大河と竜児は待っていた船の大きさにびっくりする。
「渡し舟って言うくらいだから、小さなの想像してたけど」
「ああ、なんかすげえな」
大型の遊覧船のような船が竜児たちを出迎える。


「なんか、旅行にでも来た気分」
動き出した船の中で楽しそうに大河は笑う。
「良くそんな気分になれるな」
あきれたように竜児は言う。
「いいじゃない・・・竜児とふたりだけでこうしていられるの何年ぶりだろう」
大河は目を細め、少しだけ体重を竜児へ預けた。
「・・・結婚したら、すぐあいつが生まれて・・・」
「それから立て続けだったでしょ」
歳の近い3人の子供たち・・・竜児と大河の愛の結晶。
お互いのいいとこも悪いところもみんな受け継いで、しばらく子育てに追われた日々。

「子供たちを入れて川の字になって寝るのも楽しかったけど・・・もうちょっとだけ新婚気分ってやつ・・・味わいたかったな」
あの頃を懐かしむように大河はつぶやく。
「じゃあ、これが2回目の新婚旅行だ」
竜児はそう宣言する。
「あ、あんたこそ、よくそんな気分になるわね」
驚いたように大河は竜児を見つめる。

そんな大河を竜児は抱きかかえる。
「ほら、しっかり掴まれ」
大河を腕の中に収め、竜児は真上から大河を覗き込む。
大河、両手を無言で竜児の首へ回した。
間近にお互いの瞳を映し合い、どちらからともなく、口元をほころばせる。

竜児はそっと大河への距離を詰める。
大河は大きくまばたきをし、目を閉じた。
久しぶりのそれは糖度マックスの果実よりも甘く大河には感じられた。

695 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:54:04 ID:???

「ここが、あの世?」
「だろうな・・・三途の川を渡ったんだから」
竜児も大河も首を傾げている。
閻魔の庁とでも書かれたおどろおどろしい建物でも出迎えるかと思ったのだ。

現実には川辺からまっすぐの一本道が伸びているのに過ぎなかった。

「ここで立ち止まっても仕方ないでしょ、行こう」
「おう」
大河に引っ張られるように竜児も歩き出す。

のどかな田園地帯とでも言う中を道は通っていた。
「花は咲いてるし、チョウも飛んでる」
「あの世、らしくねえな」
「案外さ・・・ふたりともあの借家の2階で昼寝してるだけで、たまたま同じ夢を見てるだけかもよ」
いたずらっぽく大河は言う。
「かもな」
あはは・・・と、そのままふたりは笑い合った。
「・・・でも、ホントに夢みたい。竜児と出会って・・・好きになって・・・みんな幸せにって・・・」
「夢じゃねえ・・・現実だ・・・俺とお前は結婚したし、一緒に歩いて来ただろ・・・人生って言う道のりを」
「・・・あんた、何カッコ付けてんの」
「いいじゃねえか、これくらい」
「でも、いろんなことがあったけど・・・竜児に出会えて良かったって思う。それが・・・逢坂大河って言う私の一生での最高の贈り物」
「・・・大河」
「あは・・・そだ、手、繋ごう」
恥ずかしいこと言った照れ隠しに大河はそんなことを言う。
おずおずと伸ばした大河の手を竜児は付き合い始めたばかりの恋人同士の様にそっと手を握った。
竜児の手をさらに握り返す大河・・・。

「もう、離れないよ、何があっても」
大河は決意を口にする。
「ああ、この先、生まれ変ったとしても必ず、探し出してやる・・・大河をな」
「うん、待ってる・・・きっと生まれ変ってもドジで泣き虫で・・・ワガママだから・・・見つけてね、竜児」
「任せとけ・・・間違わねえぜ」
竜児はそう確約した。


「あれ、分かれ道」
一本道だった道が二股に分かれていた。
「左か?」
幅の広い歩き易そうな道が丘の向こうになだらかに続いているのが見える。
「こっちね」
その反対の右へ歩き出そうとする大河。
うっそうと木々の生茂った森の中へ道は続いていた。
「絶対、こっちが正解」
自信満々に大河は言う。
「そうか?でも、どうしてそっちなんだよ?」
「だって、普通の道じゃつまんない」
「お前らしいって言うか・・・いいぜ、一緒に行こう」
笑う大河に竜児は賛意を示す。

手をつないだまま・・・薄暗い森へ消えて行くふたつのうしろ姿。

そのうしろ姿がまばゆく金色に光っているのを歩き続ける竜児も大河も気が付かない。
そして背を向けた丘の向こうの空模様が怪しくなって行くのを知る由も無かった。

696 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:55:02 ID:???

以上です。

ま、あの世の話ですから・・・縁起でもないって思う人がいるかもしれませんので。

しかし、ここまでアフター書くとは思わなかったw

697高須家の名無しさん:2011/12/19(月) 22:08:42 ID:???
でも、自分もこんな感じの幸せな最後を迎えたいと思えました。

698高須家の名無しさん:2011/12/20(火) 00:16:23 ID:???
>>695
アフター過ぎ(ww
しかし、竜児が先か。それはちょっと。約束違反だよねぇ、大河。

699高須家の名無しさん:2011/12/20(火) 00:17:00 ID:???
そしてAmazonからはBD発送の報が

700高須家の名無しさん:2011/12/20(火) 13:34:47 ID:???
>>695
むしろ結婚より確実に訪れるアフターだから共感しやすい
10年も先に逝って成仏もせず迷いもせず待ってたのが竜児らしいな
そこでまあ約束は果たした事になるんじゃないかな、仏教的に

701高須家の名無しさん:2011/12/21(水) 15:26:41 ID:???
新作「弁当の極意」を三連休の楽しみにしてる人も多そうだから感想をこちらに。

冒頭のから揚げ大河のショットを見た時点でアフターからの回想含みと思ったから楽しみにしてた。
このキッチンは新規デザインだから卒業後の大河の家ということになり、どう見ても単身世帯の作りじゃなかったから
原作同様一家そろって引っ越してきた含意がありますね。
やべえwもう大河独り暮らし前提のいちゃえろSS書く大義名分がねえwww

思ったより仲間たちと一緒に卒業した感を大事に扱っていたのは好感。
花見シーン冒頭で北村が手帳見ながらなのは壮行会みたいなの兼ねてるのかな?

スピンオフの弁当話はいちゃいちゃコメディだったけど、大河からのリプライ要素を絡めたことで寓話っぽくきれいなパッケージになった気がする。
餌付けという刺激的な単語を聞いた後に竜児のため大河が作った食いものが(失敗作とはいえ)登場する嬉しさの表現が地味に素晴らしい。
最終的に竜児の口に入るところまで見せてくれて嬉しいよ。
原作ではバレンタインチョコに集約されてるネタをうまくほどいて映像で見せた感。

ラストカットの撮影者は誰?と問えばこれは野暮を言いたくないw
原作の公式アフター『〜雨宿り』と同じく、作品の受け手からの目線で締めたように思いたいね。

作画的には時系列で10月辺りの微妙な表情を統一的に再現するのは難しかったのかなと。
夏休み以前の感じにまとめたようで、ただまあこれはお話から言ってその方が向いている判断だろうか。
中の人たちの演技も同じような傾向を感じた。
能登の人だけやけに二枚目声に聞こえるのは某他作品の印象のせいかもw

というわけで満足した!新作はいいね!
OVAスピンオフ新作シリーズ出してほしいものだ。年1,2回でいいからさ。

702高須家の名無しさん:2011/12/22(木) 07:34:11 ID:???
>>701
スーパーで竜児が「弁当、弁当」と呟いているシーンで、その某作品を思い出した(w
この作品では大河が暴れないから、らしくないっちゃらしくないんだけど、その分 701が
言うように道を踏み外して弁当の闇へと堕ちていく竜児を気遣う表情がよかったね。

それにしても、間島の一人語りは泣かせる。このストーリーにぴったりだ。同じ台詞を
冒頭とラストで違う意味に取らせるアニメスタッフもいいし、久々のとらドラ!で熱演して
くれた声優にも拍手を送りたい。

703123 ◆n0CyHpL66I:2011/12/22(木) 08:45:08 ID:???
放送時からこんなにたっても当時と同じ声が出てるすげぇ
これが声優か

704高須家の名無しさん:2011/12/22(木) 08:45:28 ID:???
変なコテ出ちまったすまん

705高須家の名無しさん:2011/12/22(木) 10:55:53 ID:???
暴れる大河って4巻までと5巻以降で意図が少々異なるわけでさ
秋からの暴れ方というのは竜児はじめ周りの好きな人に自分は大丈夫普通だよと伝えるためって感じがする
本当に暴れたのは会長ブッ殺しに行ったときくらいで、不機嫌そうな見た目もそれに沿ってると思ってるんだ

だからエンジェル大河なんて浅知恵のギミック始めるかなり前からわかりにくいけどいいこなんだなーと
アニメの後で原作読んでそう思ってたから、気遣い描写がアニメで見られて実に納得がいったw

あと何度か見返したら、ごく自然に受け止めてたけど竜児の表情がすばらしくバラエティに富んでるね
「知らね」「構ってられるか」がよく考えたら通常態の竜児らしからぬ刺激的な台詞で、間島の演技を信頼したんだろうな
それで竜児の執着が弁当に逸れていくと認識したら可愛い声が出てくるくぎゅたまらんw
「おかかもいいねー♪」
そのおかか爆発しろっ!

706高須家の名無しさん:2011/12/27(火) 22:53:09 ID:???
とらドラBD-BOX, 18000も売れたのか。DVDが単刊で10000くらいだったのに。
もう、原作完結、TV放送終了から3年近いのにどうなってるんだ。BOX買った俺が
言うのも変だが、みんなおかしいぜ。とらドラを愛しすぎてる!

つーか、BDを出し渋っていたキングの担当者、クビ大丈夫か(汗

707高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 19:15:33 ID:???
なぜか本スレ落ちてるから立ててくる
スレタイを竜児×大河にするのはダメ…だろうか

708高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 22:38:14 ID:???
今まで通り大河×竜児の方が統一感があって良い

スレタイ案は結構前から残ってる
【とらドラ!】大河×竜児【キュンキュン妄想】が良いと思う

709高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 22:40:29 ID:???
三つ目のテンプレのURL修正した
立てられる人使ってください

【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは新避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/7850/

★関連スレ
竹宮ゆゆこ114
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1319456706/
【竹宮ゆゆこ】とらドラ4!【絶叫】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/comic/1277527895/
とらドラ!手乗りタイガー272匹目
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1325134825/
【間島淳司】とらドラジオ!【喜多村英梨】
http://atlanta.2ch.net/test/read.cgi/netradio/1229772543/
【PSP】とらドラP!part12【ポータブル】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1306069057/

★キャラスレ
【とらドラ!】キャラ総合スレ
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222905488/
【とらドラ】逢坂大河は手乗りタイガー可愛い 8匹目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1280756770/
【とらドラ!】櫛枝実乃梨はバケツプリンかわいい16.1
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1320227957/
【とらドラ!】竜児×亜美【私もいれてよ】
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1273070058/
■とらドラ! 総合スレッド Part.1■
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1215959570/
とらドラ総合スレッド
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1300019672/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 35皿目【とらドラ!】(エロパロ板)
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313928691/

710高須家の名無しさん:2012/01/11(水) 23:28:46 ID:???
『あの夏で待ってる』の脇役、山乃檸檬が原作大河に見えて仕方ない。
生姜ーっなんでこのラインで描いてくれなかったーぁっ!と吠えてみる。

アニメ大河は4巻までの機能でデザインされたように思うんで、
後半はしばしばありえない表情にいきなり変わるのが違和感あったんだよね。

711高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 00:02:36 ID:???
また堀江と喜多村が男の取り合いをするのか、と思ってみていたら、
キモいぶさ面が間島だった。

712高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 07:42:43 ID:???
パパ聞きか。やっちゃんも居るぞ。2話で行方不明になっちゃったけど。
リコランのあつみお姉ちゃんもちょっと気になるw

713高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 16:48:26 ID:???
ああ、そうだ。大原さんもいたんだった。
大原さん、ほんとうに優しいお母さん役が板に付いてるな。

714高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 19:09:10 ID:???
しかしなんであの部長の作り声がマジーなのやらw
常時イケメン声すぎるのかもしれないな。崩れてもいい男みたいな。

715竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:11:32 ID:???
うーん。本スレ104のもの言いに興奮して書き始めたらこうなった。
どう好意的に読んでもいやらしくまぐわってない。駄目だ俺。上級者求む。

****

 ただいまーと鉄製の扉を開けて大河が帰宅した。
 と言っても、高須家から徒歩10分くらいの距離に親元は別にあり、日が変わらないうちには
そこへ帰るのだけれど、まず大学から帰るとここに寄る。竜児・泰子といっしょに夕ご飯を食
べてくつろいだのち、竜児に送られて帰るのが日々の決まりだ。
 大河の母には公認の仲となってはいるが母の再婚相手、つまり義父の手前は実家で夕食を共
にすべきと思ってるらしく、でもさすがに二度目の夕飯を食べるのも無理で、専ら遅くなって
から帰宅する義父の晩酌に付き合っておつまみを出すくらいに落ち着いてると聞いた。

「で、何作ってんだ?」
「ん。ちーちくときゅーちく、が多いかな?」

 要するに棒状に切ったチーズ、もしくは胡瓜を竹輪の穴に詰めて切るだけのこと。

 手抜きっちゃあ手抜きだけれど、季節も温度も湿度も酒の種類も問わずに時間も掛けずには
いっとひと皿出して、テーブルの角越しに頬杖ついて父娘団らんの時を過ごすためには悪くな
いチョイスと竜児は思っている。

「うん。そういうことならな?オボロ昆布の吸い物を覚えていけ」
「おぼろ?なにそれ?」
「これだ。ダシ昆布のキズモノを鉋でかいたやつ。これを適当に椀にとって、醤油と化学調味料軽く振って」
「おお〜」
「熱湯を注ぐだけ。すすってみ?」
「ふー。わ。意外なほど上品な……」
「だろ?わけぎや三つ葉散らして軽く料亭気分。締めにはいいんじゃねえ?」
「うん、いいかも。お義父さん付き合いで外で呑んできても必ずうちで何か食べる人だからねー」
「買い置きがあるから持ってけよ」
「うん」

 高須家での夕餉を終えて、泰子が行ってきまする☆した後の台所での立ち話がひと区切りつく
と、大河はシンク脇に椀を置いてちょっとためらい、竜児の腰に腕を回して抱きついた。

「うん……(はぁと)」
「お……ぅ」

 大河の身長は相も変わらず143.6cmでぴたりと止まっていて、竜児より30cmほど低い。どうし
たって腰周りに抱きつく事になる。反射的にミスター・マリックのような手つきをしてしまう
が、そんな大河の気分を受け止めるのも竜児だって初めてではない。
 少し膝を緩めて華奢な肩を撫でるように、慈しむように抱き返してつむじに顔を落とすとふ
うわり立ち昇る、雨上がりに錆びた鉄のような匂いを、ああそうか、と当たり前のように受け
入れて納得をし、同時に抑えがたい熱が下から上へと昇り始めたのを感じる。

 肩越しに優しく回していた腕を、大河の脇下に差し込んで弓なりに持ち上げると、彼女は抵
抗もせず反りかえってきつく抱かれるままに息を吐き出した。だんだんと力が抜けて腕に重み
を増すなかで、かろうじて竜児は日常を忘れずに、

「お前、着替えは?」
「あ……ないや」

716竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:12:36 ID:???
 訊いておきながらその口を塞ぐ。
 好きな女が腕の中で脱力してるのを放って優先する会話でもなく、濡れて光る唇と舌に吸い
つけば当たり前に昆布ダシの味がして、だけれども次第に深くなる大河の息からは甘い匂いを
感じとる。もう逃がしたくなくて、ではなく、力を失う頸を支えるようにより深く挿しこんだ
手で後頭部を支えながら引き寄せる。

 竜児が自分の鳩尾に感じる、小さな大河の胸郭と弾力。硬いものと柔らかいもの。

 互いの喉がごくんと音を立てたのをきっかけに閉じていた目を開き間近に見つめ合ったのだ
が、そこで発せられたのは当然、というか、残念ながらロマンティックが止まらない甘甘で気
の利いた台詞なんかではなく……。

「じゃあ先に脱いどけ」
「うん」

 腕を緩めて、大河が片足ずつ下着を脱ぎ去って、なぜか、はい、と渡すのは妙なズレがある
ような気もするが、まあ検分してくれという意味だろうか。そのシルクの塊を受け取って大丈
夫、汚れてねえと微かな沁みがついてるのを認めつつも、竜児はだらしなく力の抜けた手乗り
タイガーを引きずるようにして浴室前へと移動した。


 したいと一旦意識してしまうともう止められない。
 というのは男性心理特有のように思われているが、実は女性の方が一般的にそうした欲求は
強いとも言われている。ことに大河には心の奥底に厳とした孤独感が相も変わらずふんぞり返
っているものだから、許されてしまって以降はそれを押し留める必要がない。
 ベタに言ってしまえば淫乱な傾向という事になるのだろうが、そこも含めて大河を愛してい
る竜児には、なんらの問題ではなかった。二人の間だけのプライベートな話に過ぎなくて、と
きどきこうなる大河に退くような事もない。


 しわにならぬように着ているものを脱がせてはたたみ、代わって脱がされながら、合間に繰
り返してしっとりとしたキスを交わす。一応外から見えないようなところにだけ、と気を遣い
ながら痛いほど吸いついたりもして、そこそこ手慣れているようであっても惹きあう力に逆ら
う事はできない。それは竜児も、大河も同じようなもので、相手の肌に記す鬱血痕はそれが自
分のものと表現するための刻印だ。

 外は初雪でしんしんと冷え込んでいるのだろうに、そんなことも感じないで、浴室前の脱衣
所となっている廊下でお互い裸になると、またきつく抱きあった。
 直に触れ合わせる肌の感触がふたりのセーフティロックをすべて解除するかのように、体内
の熱が溶けて流れ出すような気がした。


 以前はいちいちこうした恋の営みに際して何か気の効いた言葉を贈らねばならない義務感の
ようなものがあったようだが、そんなものは要らない間柄になったのか、とくに何を話すでも
なかった。ただ変わりゆく息遣いだけで気持ちは通じあい、身体を寄せ合って浴室へと入る。
 バランス釜に火を入れて熱いシャワーを出せば、狭い高須家の風呂場はすぐ温まって、そこ
でようやく大河が言葉にした。

「……したいよ」

 愛しい男の目を見ることなく、その広い胸にぺったり頬を付けたまま言う。

「ここでか?」
「今すぐ」
「じゃあ、取ってくる。温まっとけ」
「うん」

717竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:13:26 ID:???
 身体を離されて座らされ、一瞬の喪失感が大河を襲った。
 わがままを言ってる。分かってる。竜児はもっと段取りがきちんとしてる方が好みな性格な
んだけど、聞きいれてくれてる。それがどんなに自分を潤わせてくれるのか、大河にはちゃん
と分かっている。
 ついさっきまで竜児の肌が触れていたところが火傷でも負ったみたいにじんじん疼くのを感
じながら熱いシャワーを出して浴びる。すぐ戻ってくる竜児がまた触れてくれたら、少しでも
温かいと思ってくれるように、湯温の目盛りを上げてみる。

「熱っ!大丈夫かよ?」
「大丈夫!冷たくて気持ちいい〜」

 戻って来た竜児を洗い場に座らせて、火照った身体をぺったり抱きつかせた。身体の奥から
伝わる波動に弾け飛んでしまいそうだった。

「……よし、髪まとめたからな。今日はちょっと焦らしてみるか」
「な、なに言って。あっ」

 腰に回した手を後ろからすっとあてがって、中指と薬指でそろそろと探ってみれば、つるん
と呑みこまれてしまう。

「もうすぐ生理か」
「う、うん。明後日明々後日くらいかな」
「準備早えな……って言うほどじゃねえんだよな。中までほぐすにはこの体勢じゃあな?」

 体育座りに近い格好で洗い場の椅子に座った竜児を跨いで大河が抱きついている状況。たし
かにこれではお互いに自由なエロアクションを、というわけにはいかなかった。ま、正確に言
えば竜児の方はさっきからいつでもOKなのだがここでの問題は大河の方だ。

「こ、これを……ここに」

 そのOKな竜児をむにむに握って、コ難しい顔をして大河は導こうとする。

「生だめだって。分かってんだろ?」
「……うん、そうね。付けてあげる」

 互いの陰毛に根元を挟まれて天を仰ぐ竜児を見下ろして、スキンをかぶせて半ばまで巻き下
ろしてから、やりづらくなったのか、大河は竜児の腿から降りてちょこんと洗い場に正座する。
残りをスルスル……っとしそうな雰囲気のまま、しばし眺めてから、ぱくっと。

「おっ、おいっ、そんな風俗みたいな事っ!」
「あひぇ?ほぉひぃぅのひはい?」
「別に嫌いってことはねえけど……」
「あー。うん。じゃやらない。喜ぶかと思っただけよ」
「あ、いや、悪い。よく考えたら喜んでおいた方が得かもしんねえ……な?」
「……どっちなのよ」
「やってください」

 じゅるるるーっ♪といっきに巻き下ろしたまんまのリズムでんんむんんむ、と大河は頭を上
下させてみる、のだけどその脳天に軽く竜児のチョップ。

718竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:14:22 ID:???
「なに?」
「やってくれて申し訳ねえけど、やっぱいいわ」
「あんまり気持ち良くなかった?……よね。なんか段取りっぽい気はしてたんだ」
「お前もどこで聞いてきたのか知らねえが、その、なんかエロくねえな」
「りゅうじはごむふぇら嫌い、と。あとで忘れないようにメモしとこうっと」
「嫌いとは言ってねえ。保留!保留な?」

 軽口を叩きながら、にひひと笑って大河は再び竜児の腿を跨いで座る。ぎゅうっとお互いの
身体を締めつけるように抱き合って、うん、こっちの方がと独り言にも熱がこもってる。そう
してロデオマシーンのように腰を左右に揺すり始める。

「あ、……うん。気持ちいいなこれ」
「でしょ?ちょっと前後にも動いてみたりして♪」

 天を仰いだモノを互いの下腹に挟まれてもみもみされると、竜児は思わず大河の尻を掴んで
動きを止めようとした。ちょっと良すぎる。

「なによ……」
「おう……まあ……なんだ」
「どうすんのよ、これ」

 またくりくりっと苛められて、これじゃどっちが焦らされてるのか分からない。掴んだ尻を
持ち上げれば以心伝心、心もち腰を上げた大河の隙間にするっと滑り込ませて、方向を探れば
ちゅっと先っちょを咥えこまれる。

 狙って捕まえたわけではない証拠に、あれ?といった顔で目を見合わせる。

 そうしたらゆっくり大河が腰を下ろしてくる。少し困ったような笑みで、それでいてはにか
んでいるわけでもない、この時にしか見られない表情。

「ゆっくり、ゆっくりね?……最初はきついんだから」
「おう、支えてるから」

 潤滑の役を果たす液体に包まれても、中はまだ心もち堅かった。少し進めては戻しつつ、で
も大河がコントロールしているからには痛がらせる心配はいらない。

「ふぅ……」
「大河ーぁ」

 収まった。
 愛おしくて、愛おしくて。竜児は大河の背を抱きしめる。自分の腕が大河を抱き、自分のモ
ノが大河に抱かれている感触が同時に在った。この不思議な幸福感は何度味わっても慣れる事
がない。自分が男で、大河が女だと否応なく突き付けられて、そうしてそこから逃げたい気持
ちがほんの少しあって。
 それでも現金なもので、馴染んできたら動き出す。先へ進みたいと思う方がとても強い。
 自分で腰を振るというより、抱きかかえた大河をまるで赤子をあやすようにゆっくりと上下
に揺さぶって行くと、そのたびに大河の喉がくぅーんと高い音で鳴る。これも、この時だけの
もの。もっといろいろやってみたいといつも、いつも竜児は思っているのだけど、大河と繋が
って抱きしめているだけで耐えがたい昂ぶりに襲われる。
 それはもう……どうしても。

719竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:15:14 ID:???


 湯に使って芯まで温まり、互いに洗いっこまで済ませてから上がった。
 大河は余韻を味わってるというやつなのだろうか、なんだかグダグダで、ふにゃふにゃで、
なすがままに水滴をタオルで拭われたりしている。これもいつもの事で、美人顔に相応しくな
い子供っぽさだ。かといって眠いわけでもなく、要するに習い性となっている虚勢を張れなく
なってしまってるのだろう。
 一般に女というものがそうなのか竜児には分からないが、セックスしたとたんにしおらしく
ナイーブになってしまうというのは正直、興奮ものだと思っている。くーんだかふぅーんだか、
不思議な鼻声を漏らしながらつきまとう大河は普段にもまして可愛い。

 この頭のどこに独りで誰にも頼らず生きるという決意が詰まってたのか本当に分からなくな
るほどで、思えばそのプライドが確たるものと知ったからこそ、竜児はこの女と生涯をともに
歩みたいと願ったのだった。それも本質、これも本質で飽きるということがない。

「りゅーーーじぃ〜ぃ〜」

 しかし流れでパジャマを着せたら裾を掴んでのこの態度は、いくらなんでもデレ過ぎなので
はないか。だいたい天辺を回る前には親元に帰らねばならないと分かっているくせに、なんの
疑問を呈することなく寝るだけの格好にさせられるまま。たぶんどこかで突っ込みを入れない
と当たり前のように眠りにつくのだろう。
 竜児はおかしくてついニヤニヤしてしまう。が、ちゃんと日々の区切りをつけるために為す
べき事がある。

「も一回?」
「うんー」

 時計をみれば、そのぐらいの時間はまだ残されていた。1回済ませたことで大河にごちそう
さまと言わせるまで徹底的に満たしてやる勝算もある。ならば……。

(省略されました・・・全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください)





〜おしまい〜

720高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 00:19:29 ID:Q9zTxKRA

いやらしくはないなw淡々としてる
ワッフルワッフル!

721高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 12:37:48 ID:???
ミもフタもないが、エロメインに書こうと思うと大河の身体的個性の前に挫折してしまう。
竜児はどうやって小宇宙を燃やせたのだろうとマジ考えてしまってね。
妹的感覚ってそうそう都合良く棚上げできないと思うのだが、大河がよほどその辺を読んで的確に煽るのかなあw

722高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 16:18:26 ID:???
妹的感覚ってのは、竜児が全力で構築したファイアーウォールだからね。
疑似家族関係を守るために大河の女に見て見ぬふりを決め込んだだけだと
思うよ。キスだけで体中を焼かれてるんだから、その先なんて楽勝、というか
我慢が難しいはずww

723高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 17:22:59 ID:???
全力で構築するに至ったのは水着胸が無いからやだよう事件の意外なトラウマからかなw
その後でパッド入れるとき触っちゃったのになんとかなってるのが適応ってやつで。

まあそれは分かるんだけど、脱皮するようにそこから逃げられるのかってことですね。
なんとなく個人的にだけどそこの綱引きを持ち続けてる方が竜児らしい気がするんでね。

724高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 18:24:22 ID:???
大河が大事なあまりひたすら我慢の日々、は予想に容易いがw
自分がそういうふうに出来ないってことはないと思うけどな、
原作で書かれている苦悩を見ても。
本当は女としてしか見れないのに、無理やり家族だ妹だって言い聞かせてたわけだし

725高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 19:04:36 ID:???
あ、出来ないとまでは思ってない。
所々で例の罪悪感が覗く感じに惹かれるっていうぐらい。

5巻で大河の髪をつかめるつかめないと二度やってるのが好きでw

726高須家の名無しさん:2012/01/29(日) 13:43:41 ID:???
あれはいいシーンだったな。

竜児が大河に罪悪感抱くより、大河が自分の哀れ乳を気にする方が
深刻に思える。つうか、大学時代は不用意にキャンパスを歩いて、
「あ、こいつ俺の彼女なんだ」とか紹介するとえらいことになりそうだな。

妙に真面目な友人とのあいだで

「高須、見損なったぞ。こんな子供に手を出すとはへぐぅぅぅぅ&”(&#”W!…」
「だ・れ・が・子供ですって?返事によっては殺すわよ。一番苦しい方法でね」
「大河……頼むから俺の貴重な友達減らさないでくれ」

等という寸劇がありそうだ。

727高須家の名無しさん:2012/01/29(日) 15:27:38 ID:???
貴重な友達w
まあ数多く友人持てるタイプじゃないな、竜児は。
クラスコンパの幹事とか目立たないけどきちんと仕切って人となりを分かったやつが親しくなるんだろうね。

で、寸劇の前にどうも大河とつるんでるとそいつらがお菓子くれたりとかの罠

728高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 01:37:25 ID:???
大河の哀れ乳については血の雨を振らされた写真部の客観視というネタがあるが
そこまで本人も気になっていなかったと取れて、単に川嶋が現れたから表面化したコンプレックスにすぎないのではないか、
と大河の代わりに抗弁してみよう

第一、その辺を最も注視していたと思しき竜児が「貧乳『なのか?』」と疑問形で発言しており
多分に逆説的だが竜児にとって十分魅力的な範囲の乳サイズであったと解釈することもできる
つまり竜児は、「おまえ自分の乳サイズが貧乳だとでも思ってるのか?(いやそんなはずがない)」という
状況を鑑みれば大河を元気づけようと気を遣う余地もない竜児の正直な心情の吐露であって、
普段からちょっとした膨らみをチラ見してはムズムズしていたと解するのが妥当ではないだろうか?

で、最終的には竜児がムラムラムズムズ感じるだけのサイズがあるなら大河にとっては当座必要十分なわけで
ごく自然にコンプレックスは解消すると読むものだが、どうだろう?

(大河おっぱい論第三章序説より抜粋)

729高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 06:43:27 ID:???
「貧乳、なのか」
発言は、深夜の独占水着ショーより前であることに注意。大河の基本私服ははもこもこであり、
かつ、竜児は三つの理由で大河を子細に観察するのは控えていたと思われる。

- 他人の身体的特徴を取り上げるのは失礼だという礼儀
- 女を意識してはいけないと言う自己暗示
- ガン見すると殺される

ということで、それまで貧乳であることに気づいていなかったのは本当ではないか。

(日経サイエンス誌2月号より)

730高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 12:40:02 ID:???
さすが日経サイエンスの分析で、特に3番目の理由には深く首肯せざるをえなかった。
なるほど竜児は大河を子細に観察しなかったであろう。しかし、しかしだ。
『貧乳かそうでないかの認識は見なくても得る事は可能』
という視点がこの論にはなかった。そこが残念でならない。

竜児は深夜の独占水着ショー以前に、少なくとも二度、大河の身体に触れる機会があったとされる。
最初は体育館での鼻血失神タイガーを保健室に運ぶ際、北村にお見せできない顔を自分の身体で隠すように運んでいる。
すなわち抱きかかえているわけだ。
二度目は言わずと知れた電柱リンチ後のおんぶで、表現に気を遣ってはいるが体温が伝わるほど密着していたのは確定している。

いずれも竜児がサイズを想起するのに必要な触覚情報を得るに十分と言え、その前提に立っての「-なのか?」であれば
小柄だから小ぶりだけど普通におっぱいあるなと知っていた。そう解するのが妥当であると思われる。
さらなる研究者の論を待ちたいところである。

(VOW3月号読者投稿欄より)

731 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:48:03 ID:???
突然ですがいきなり投下。

「未来への帰り道」

時期は12月半ば。
まず言っときますが竜虎成分少なめです。というかほとんど皆無。
18禁シーンもないです。

732未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:49:11 ID:???
12月も半ばのころ。

 クリスマスを10日後に控え商店街は相変わらずイルミネーションに溢れている。
 通り過ぎゆくサラリーマンも散歩中のお婆さんも、皆その光に心癒され、
街は何処となく厳かな雰囲気に満ちている。

 そんないいムードを一気にぶち壊す男が一人。

「ねぇ〜カノジョぉ〜暇?暇なら俺とお茶しない?」
「困ります・・・・・・私、人を待ってるんで・・・・・・」
「そんな冷たいこと言うんじゃねぇよ。ほらこんな田舎だし
こういうことされたことないんだろ?な?照れなくていいって」

 ムードブレイカーなその男は見るからに軽薄そうな金髪。ファッションは、
最近流行っているアイドルのをそのまんま模倣。正直イタい。超イタい。
自分がイケメンだと勘違いしている典型的なパターンである。
 田舎扱いしてるがそこでナンパしている人間も相当な田舎者だ、
ということに全く気付いていない、ある意味幸せな人間だった。

 その勘違いオーラ120%な男に絡まれているのは身長150cmあるかないかの
まるでフランス人形が如き超絶美少女。

 周囲の人間は、周りがやらないなら俺もやらないという日本人の気質を裏切らない様子で、
要するに皆見て見ぬふりを決め込んでいる。

 そうしているうちにもチャラ男はどんどん少女との距離を詰め、
もう触れるか触れないか。間近で見る少女の作り物めいた顔を見つめ、
グフフ、とだらしなく、気持ち悪く笑っている。

「ねえ、あれヤバくない?」
「ヤバいよね・・・・・・・・」
「多分あそこの大学の大学生だよね」
「就活とかしなくていいのかな」
「ただでさえここらへんじゃ馬鹿大学とか言われてるのに・・・・・」
「そこの指定校推薦取ったあんたに言われたくはないでしょ」
「偏差値38とかなのに・・・・・」
「Fランク大(笑)とか言われてるのに・・・・」
「もう人生諦めてんじゃない?」

 キャハハとお前らにバカって言われたくねえ、というような
女子高校生に人生を憐れまれてるとも知らず、
人生を諦めてる(と思われている)その馬鹿大生は今もナンパを続けている。

 ところがいつか夢は覚めるもの。この馬鹿大生にも
目覚めの時は必ず訪れる。そう、トラウマ級の目覚ましによって。

「ねえ、あれって・・・・・・」
「ヤバッ!ねえ帰ろ?」

 12月になると日が落ちるのも早い。この日も辺りは急に暗くなりはじめ
人の歩みも速くなってゆく。馬鹿な男はこの時もまだ、
己に振りかかろうとしている災難に気づいていなかった。

733未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:50:17 ID:???
 カラスが一斉に飛び立ち辺りの一瞬空を黒く染める。
それと同時に一人の男が商店街に足を踏み入れた。
 「そいつ」は他の人間には見向きもせず
大股に、スタスタと、速足に美少女と馬鹿大生のところへ向かっていく。

そして馬鹿大生の5メートルくらいで立ち止まると、

「・・・・・・・・・・・・・おい」
「あ、俺。そこの大学生、え?大学生にこういうのされたことないの?」
「・・・・・お前だよ、馬鹿大生」
「あん?」

馬鹿呼ばわりされた男(実際本当に馬鹿だが)はむっとした様子で顔を上げ、

「ひぃぃぃぃぃぃッッッッ」

すぐさまそれを後悔する。

 馬鹿大生の前に立っている男は顔つきこそまともだったが
その眼は軽く常軌を逸していた。
 ギュッと眇められた目、異常なほどに釣り上ったそれは完全な三白眼。
何より全身から立ち上る怒りのオーラ。
「喰ってやる」とばかりに乾いた唇を舐めるその仕草。
それはまるで羊の前の狼のよう。
これはヤバい。非常にヤバい。こうなったら手段は一つ。

「すっ」
「・・・・・・・酢?」
「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」
 それはいわゆる逃避行動。
喰われる前に牧場へ帰ろう羊飼いという名の冷たい現実のほうがまだマシだ、
と言わんばかりに羊という名の馬鹿大生は走り去り、そして見えなくなった。

「さて・・・・・・・」

 残された男と美少女。傍から見ればさらに状況がヤバくなったように見えるが
なんてことはない。実は二人、家族なのだ。

「なんで電話で助けを呼ばないんだよ。乱暴されたらどうするんだ。」

目つきの悪いこの男の名は、高須泰児。

734未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:50:57 ID:???
「だってぇ〜、見たかったんだもん。お兄ちゃんを見たときの反応。」

美少女の名前は、高須竜河。

要するにこの二人、血のつながった兄妹なのである。


 『未来への帰り道』


「ねえ〜今日の晩御飯は?」
「ブリ。今が旬だからな」
「どうやって食べるの?」
「塩」
「焼きかあ〜」

 夕飯の献立を話しながら、2人は人が多い商店街を歩く。
目指すはそこのスーパーだ。

「ほんとはトンカツの予定だったんだけどね、誰のせいだろ」
「俺のせいじゃないだろ。強いて言うなら親父のせいだ。
それにブリだって安いわけじゃないんだぞ」

どこか疲れたように泰児はボヤく。

 実は泰児は竜河と会ってから一回程、職質をかけられたのだ。
実際泰児は学ランを着ているため、今までこの時間に職質をかけられたことはない。
 ではなぜかけられたか、それは父親から遺伝したこの目つきと、そして
「お前のせいでもあるんだけどな、竜河・・・」
「なんで?」

 お前と一緒だから、とは言えない。というか妹にそんなこと言いたくない。
そもそもこいつは言ったって理解出来やしないのだ。この俺の悩みを。

 そうこうしているうちにスーパーに入る。
タイムセールが終わった今、泰児に肉を安く買う術は残っていなかった。
 魚売り場からブリをふた切れ取り出して買い物かごにそっと入れる。

「ねえ〜お肉ぅ〜」
「無い」
「牛肉は?」
「無い」
「豚・・・・・」
「無い」
「じゃあ」
「鶏も無い」
「なんも言ってないじゃん」
「言おうとしただろ。文句あるなら食わんでよろしい。作るのは俺だ」
「う、うぐぅぅぅぅぅぅ」
「勝手に唸ってろ、行くぞ」
拙い、このままでは晩飯に肉が一切れも入らなくなってしまう。

 実際大したことではないのだが竜河にとっては大問題だ。何か策は・・・・・・

735未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:52:38 ID:???
1、泣くと脅す。泰児が周りからなんと思われようが知ったこっちゃない
2、大声を出すと脅す。
3、その他。

と一瞬で鬼のような選択肢と立て、
仕方ないここは2で、と泰児に話しかけようとしたその時だった。

「あれ?高須君?」
「の、能登!?」


  *  *  *


「へ?」
振り返ったその場にいたのはやや髪を茶色に染めた竜河達と同じ
高校の制服を着ている女子校生。校章の色から見て泰児と同じ3年生。

 とそれまで落ち着きはらっていた泰児が急に挙動不審になる。
それを見て竜河は確信する。やはりこれは・・・・・・・。

 泰児はもともと母親や妹のせいか背の低い女性に興味を示さない。
かといって父親譲りの堅い性格のせいか今風の女の子は非常に敬遠するきらいがある。
とはいっても大人しい性格だと会話が続かないから嫌とも言っていた。

要するに泰司の好きなタイプは、
背はそこそこあって、それほどケバくなくて、そんでもって性格が明るい、
今ちょうど目の前にいるような女性だったのだ。

 それに加えて豹変した兄の態度。これは・・・・・使える!。

「ねえお兄ちゃん、お肉ぅ〜」
「だからしつけえって、おう!」
振り返る、と同時にのけぞる。

 一瞬のうちに竜河は上目使い。儚げに肩を縮こまらせて目には涙まで溜めている。
ただでさえ美少女である竜河。こんなことをされて胸に来ない男
なんていないし、もちろん泰児だって例外ではない。

 クッソこれ絶対、亜美小母さんの差し金だよなあ。
あの人親父に加えて最近俺まで誘惑するもんなあ。
なにが「亜美ちゃんって呼んで・・・・・・・いいんだ・・・・・・・・よ?」だよ。
もうあんた4■歳じゃねえか。
しかも俺のことは「泰児(はあと)」って呼び捨てだし、そんで俺はちゃん付け?
どこの65点クラスの奴隷だよ、俺は。いや呼び捨てなんて出来ねえけど。

 そうこうしているうちに竜河はどこからか持ってきた
牛肉(100g298円税別)を買い物かごに入れようとしている。
口パクで「・・・・いいでしょ?」と、その魅惑的な表情に泰児は、

736未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:53:28 ID:???
「・・・・・・・駄目だ」

 頷かなかった。

「え?ええ〜〜!?」

 当り前である。たしかに可愛いと思ったりはしたがそれも所詮妹、
誘惑されるほど落ちぶれちゃいない。そんなことで覆る
MOTTAINAI精神(泰児ver)ではないのだ。

こうして竜河の作戦は完全に、

「ねえ高須君、ここまで言ってるんだし買ってあげればいいじゃん」
「なにぃっ!?」

 成功した。


  *  *  *


 そう、元から竜河は泰児を落とそうなんて思っちゃいない。
泰児の父親譲りの固い性格からして、親から与えてもらった大切な金を
妹のために使おうなんて思うわけがないのだ。
 じゃあどうすればいいか?簡単である。別の人間に説得してもらえばいいのだ。

 人を射んとせばまず馬を射よ(杜甫「前出塞」より)

 その言葉通り竜河が狙っていたのは泰児ではなく
そこにいる能登という名の少女だったのである。

「ねえ、いいじゃん買ってあげなよ。今時いないよ?こんな可愛い妹さん」
「・・・・・・・いや、あの・・・・・・・・ですね?能登・・・・・・さん?
こいつは今猫を、いや虎を被っているわけでして・・・・・・」
「訳わかんないこと言わないで、ほら!」
そう言うと少女は竜河の持っていた牛肉を取り上げ
泰児の籠に入れていしまい、
変わりに入ってたブリを自分の籠に入れてしまった。

「・・・・・ああブリが、俺のブリが」
「ねえ妹さん?名前なんてゆうの?私麻衣、能登麻衣ってゆうの。よろしくね」
「たかするか・・・・・です。簡単な方の竜に河原の河です」
「竜河ちゃんかぁ。今何年生?」
「一年生です。お兄ちゃんと同じ高校です」
「ええ〜!?同じ学校?全然知らなかったよ、ねえ高須君なんで言ってくんなかったの?」

 女どもはまさにorz状態になりかけている泰児を完全に無視。それに対して泰児は、
「ブリ・・・・・・・塩焼き・・・・・・・いや俺は照り焼きのほうが実は・・・」

737未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:53:56 ID:???
 今だ立ち直れないでいた。
「えー・・・・・・・とぉ〜、高須君?」
「ああ〜〜〜!!ブリ〜〜〜!!って何だ?」
「いやだからなんで妹さんがいること言ってくんなかったのかなって」
「話すことでもないだろ。それより能登もここによく来るのか?」
「たまにだけどね。うち親が共働きだし」
「何やってんだ?親」
「お父さんは音楽関係のフリーライターで今週は出張中。
お母さんは雑誌の編集者で忙しいから今日は少し遅くなるって、
高須君のところは?」
「いや・・・・・・・俺の親は・・・・・・・」

 拙い。これは言っていいものか。
正直恥ずかしい。向こうがまともなだけに滅茶苦茶恥ずかしい。
しかしこっちだけ言わないというのもアレだし、

 そう、泰児の両親は息子の大学入試を直前に控えたこの時期に、
「うちの親は毎月恒例のデートです」
「そうそうデ・・・・・・・・てお前!」
「何で隠すの?嘘じゃないじゃん」

 そういう問題ではない。一体どこ結婚20年目になって
毎月デートに出かける夫婦がいるのだろうか。
 小さいころ友人たちにからかわれた苦い思い出が蘇る。
ああ、俺の初恋もこれで終わりか・・。

「へえ、うらやましいなあ」
しかし泰児の耳に入ってくるのは侮蔑でもからかいの声でもなく純粋な羨望。
「え゛!?」
「お父さん達から聞いてたんだけどホント仲いいんだね」
「え・・・・・。、ああ、そういえば能登のご両親はうちの親の知り合いだっけか?」
「そうみたいだよ?高校の時二人とも友達だったって、
うちのクラスの集合写真見てすぐ『この男の子、ひょっとして苗字高須?』
って言ってたし・・・・・・・そっちは聞いてないの?」

 一応そのことは泰児も両親から聞いていた、が

「すまん、聞いてない」 
「え?お父さん達言ってたよ普通に。ひょっとしてお兄ちゃん忘れた?」
「あ〜〜と・・・・・いや、覚えてるけど。そこは忘れるふりをするところじゃないかと・・・・・」

 泰児が忘れた振りをする理由、それは・・・・・・

「あ、いいよ、お父さんたち『どうせ悪く言ってんだろうな』って言ってたし
何て言ってたの?」
「えと・・・・・

『ふん!カワウソとギャル女の娘か。母親によく似てる・・・・・・・。
父親に似てないでよかったわ。
あんた、タイプの女だからってデレデレすんじゃないわよ』

って」
「「・・・・・・・・・・・」」
「え?似てなかった?」

738未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:54:32 ID:???
 似てるよ!超似てるよ!「ふん!」のところなんて魂入ってんじゃねえか!
元々見た目も声も似てるから一瞬入れ替わったかと思ったぞ!

「・・・・・ていうか本人の前で言うか、普通」
「いや、いいよ高須君。うちの親もほぼ同じこと言ってたし、
タイプの女ってとこだけ予想外だけど。
高須君にも好みのタイプっているんだね・・・・・・・・なんか意外」
「そこは聞かなかったことにしてくれ、頼むから」
「え?別に悪い気しないよ?高須君って割と女の子に人気あるし」
「冗談はよせ、そんな訳ないだろ・・・・・・」
「そうですよ。うちの兄こんな犯罪者面なのに」
「お前に言われるとなんか腹立つな」
「・・・・・・まあ、二人ともそう思ってんならそれでいいけど」

 麻衣は複雑な気持ちになる。実際、泰児は本当に女子人気が高かったのだ。

 きっかけは家庭科の調理実習の時間、
泰児の班は彼以外全員手際が悪く、他の班に比べ相当遅れていた。
時間も半分が過ぎたとき、一人の女子生徒が
包丁で怪我をしたのをけっかけに今まで大した事をしてなかった
泰児は全員から包丁を取り上げ、班員5人分の料理全てを
少ない時間であっという間に作り上げたのだ。
 怪我をした女子生徒の治療や気遣いにも余念がなく、
後日彼女の両親は彼の家にお礼を言いにいったという。

 それだけではない。裁縫ではクラスで女子全員を差し置いて一番最初に仕上げ、
分からないから教えてくれと言った生徒には
先生でも裸足で逃げ出すほどの分かりやすさで丁寧に対処した。
 もちろん性別に関係なく。

 また常に友人の無駄遣いに対して「MOTTAINAI!」
と叫んでいたため付いたあだ名が
「般若の仕立て屋」とか「鬼の倹約家」とか「地獄の料理人」とか。
 
とにかく泰児は運動神経は人並み、身長も平均だったがその優しさと
目つきとのギャップもあってそれを知ってる女子からの人気はかなり高かった。

 まあ誰かさんからの遺伝のせいか本人は全く気づいていないようだが。


 *  *  *


 麻衣が泰児と知り合ったのは一年生の最初、入学したばかりのころ。
いや、それよりも前、高校入試の試験当日。会場が分からなかった麻衣を
わざわざ回り道までして案内してくれたのは泰児だった。

739未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:55:28 ID:???
 目つきに怯えてた麻衣だったが、無事時間前に会場入りしたことに着いてから気がつき、
そこで自分がこの犯罪者面な男に助けられたことを知った。

 要するに、泰児がいなければ麻衣は現在の高校に通うことは出来なかった。

 特徴的なあの目つきを持った男は入学後すぐに見つかった。というか
自分と同じクラス。しかも斜め前の席だった。

 高須泰児。それが入学後、彼女が一番最初に知った男子生徒の名前だった。
親が友達同士ということを聞いた時は驚いたものだった。

 周りの人間が心無い噂をする中、何度か会話するうちに麻衣は
やはり彼はヤンキーなんかではない、という確信を強めていた。
 友人が無意味な注意を喚起するなか不快な気持ちにはならず、むしろ優越感に浸っていた。
最近では彼の本性に気づいた何人かが彼に好意を抱いているとは聞いたが。

 彼女がその最初の一人、要する泰児に恋心を抱いてもう結構な時間がたっていた。

 もう卒業まであと少し、受験も大詰めを迎えている。手を打てる時間は刻一刻と
少なくなってきている。

「じゃあ、俺たちはこれで」
「さようなら、麻衣さん」

 でも、と考え直す。でも今はこれでいいのだと彼女は思う。
卒業まで残り少ないといってもまだ時間はある。それまでにどうするか考えよう。
 今はそれよりこの予想外のブリをどうやって調理するか、そのほうが重要なのだから。


 *  *  *


 午後7時

 閑静な住宅街の一角にある一軒家が彼らの家だった。

 泰児は家に着くなり早速調理を開始していて現在のところ、
作業もひと段落し鼻歌なんかを歌いながら次の作業の準備をしている。

「若さだと〜♪言われようと〜関係ない〜yes♪」
「ねえ〜まだぁ〜?」
「はあ・・・・・・・まだだっての。何回言わせるんだよ」
「何回言っても出来ないから催促してるんじゃん・・・このダケン!!」
「その言葉母さんの専売特許だろ。文句があんなら少しでも手伝ったらどうだ」
「私、勉強で忙しいの。お兄ちゃんと違って」
「俺受験控えてんだが・・・携帯いじってることのどこが勉強だよ」

740未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:56:20 ID:???
「ねえ、原子番号36番って何?」

 いきなりな質問。どうやら竜河はそれっぽいアプリをしてるようだ。

 理系の泰児はそれに対し淀みなく答える。
「Kr・・・クリプトン、だろ?希ガス原子だ」
「じゃあ炭酸ナトリウムの製造法は?」
「アンモニア・ソーダ法、またの名をソルベー法」
「エタノールに濃硫酸を加えて130度から140度で加熱すると?」
「分子間脱水が起こってジエチルエーテルができる。
理系舐めんな、もっと難しいのもってこい」
「ぬぅぅぅ・・・調子乗って。そんなに好きな女の人と喋れたのが嬉しかったの?」

 えっ?何でこいつ俺が能登のこと好きって知ってんだ?

 泰児よ、見りゃわかるに決まってるだろ、と画面の外から言うことはできない。

 まあここは落ち着いて、ポーカーフェイスで、否定しようじゃねえか。
友達には感情のない男と呼ばれてるしな・・・え?褒めてない?うるせえ。

・・・・すうぅぅぅ・・・・・・・・はぁぁぁぁ・・・・・・・・よし。

「べべべべ別にすすす好きとかじゃねえぞ!?」
「すごい噛んでんじゃん、間を取った意味ないじゃん。」
「あれ?何でこんなことに?」
「ま、いいけどね。お兄ちゃんが何処の誰とハアハアしようが私には関係ないし」
「あ・・・・・・れ?なんか既視感が・・・・・」
「で、まだ?」
「何が?」
「ば・ん・ご・は・ん!」
「おう!そうだった。もう出来るから茶碗とか出してくれ」
「やだ」
「あのなあ・・・」

 仕方なく泰児は一人で二人分の茶碗を用意し始める。
まあいい。この女は一度決めたらてこでも動かない。
むしろむりやり動かそうとしたらてこが壊れる。
こんなくだらないことで無駄な体力を使うわけにはいかないのだ。
飯を作ってそれで泰児の一日が終わるわけではない。

「ほら、出来たぞ。お待ちかねの晩飯だ」
「ん」

 結局、夕飯は泰児が一人で作ってしまった。メインは竜河の好物であるトンカツ。
普段なら踊りだすくらいなのだが、何か様子がおかしい。
 強いていうと、異様なほどに不機嫌だ。

「なあ。なんでそんなに怒ってるんだよ」
「怒ってないって言ってんじゃん。変なお兄ちゃん」
このやり取りを先ほどから何度も繰り返している。

741未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:57:06 ID:???
 こういう意固地なところはほんと母さんそっくりだよな、と泰児は心の中で呟く。
 基本的に竜河は自分達の祖母(見た目30代実年齢50代)
の性格を強く引き継いでる。基本的にのんびりした性格は間違いなくその影響だろう。
 ただそれが不機嫌になると一気に母親の性格に変わる。
怒っている、と言っても怒ってないの一点張り。
これは彼らの両親が夫婦喧嘩した時と同じパターンだ。
 両親の場合、結局は母親が暴れるか、父親が土下座するかそのどちらかで
戦争は終わるのだが、いくらシスコンの泰児でも理由なしに土下座はできない。

 とはいってもこのまま、というわけにはいかない。
人間誰でもあんな不機嫌面で自分の作った飯を食われるのは嫌なものだ。
 何か、何か手立てはないものか、と思考ループに入りかけた
泰児をすんでのところで引きとめたのは、

「ねえ」
「おう!?」

 他でもない竜河だった。


  *  *  *


 竜河自身は自分がいらつく原因に気づいているわけではない。
そのことが彼女の不機嫌をさらに加速させる。
 いや、全く気付いていないわけではないのだ。うすうす感づいて
いることはいるのだが、竜河自身の心がその考えを拒絶する。
 
 そしてまた無限のループに入り込む。

 そう、それは完全な嫉妬。やきもちという絶対的な感情。
昔から竜河はずっと泰児に頼りっきりだった。
 そして泰児も当たり前のように忙しい両親に代わって、小さいころから
竜河から目を離そうとしたことはなかった。

中学生のころから竜河は次第と泰児のことがうっとおしくなっていき、
邪険に扱った時期もあったものの、最終的に困った時助けてくれるのは
いつも泰児だったのだ。

 だから竜河にはある自信があった

『兄にとっては自分が一番なのだ。自分のことだけを見てくれるのだ』

 これからもそうに違いない、と密かにそう思っていた。
 自慢できる特技もなく、内気でいつも兄の影に隠れていた竜河だったが
それに対しては絶対の自信を持っていた。

 その自信が今夜、撃ち落とされた。

742未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:58:02 ID:???
 十中八九泰児と麻衣は両想い。目の前にある肉だって麻衣が無理やり
泰児に押し付けたようなものだ。おそらく竜河が同じことをしても泰児は
決して受け付けないだろう。

 万が一泰児と麻衣が付き合い始めたらもう竜河は泰児のそばにいられなくなる。
彼女より妹を優先する奴なんていない。
 要するに、そうなったら竜河はそれ以後何かあっても泰児を頼ることはできない。

 考えてもいなかった。次第に泰児から自立していく・・・・・という未来をおぼろげながら
想像していた竜河にとって「泰児が自分から離れていく」なんてことは眼中になかったのだ。

 そして懸念材料はもう一つあった。それは、

「ねえ」
「おう!?」

 竜河がこれから投げかける質問は自分がこれからどれだけ泰児に依存できるかを
占うようなものだったのだ。

「お兄ちゃんの行きたい大学ってどこにあるの?」

 言いかえれば
「この家を出ていくのかいかないのか、あとどれくらい自分は傍にいていいのか」
泰児の返事によっては竜河は覚悟を決めなければならない。



「おう岡山だけど」
「・・・・・・・・・・・・え?」

 答えは最悪だった。頭のいい兄のことだ。必ず志望校に現役で受かる。
そしたら自分は兄と離れ離れ。月に一度の手料理も金輪際食べることはできない。

 そのことに悟ると同時、急激に目の前がぼやけて見えてくる。

「おか・・・・・・・やま?」

 ああ、私は泣いているのか。その事実は意外とすんなり頭の中に入ってきた。

「お、おい。竜河?」

その様子は目の前にいる泰児もちゃんと気づいていた。
いきなり目の前で泣かれ始めたら困る。ただでさえ竜河は母親譲りのフランス人形のような
容姿をしているのだ。その泣き顔はそんじょそこらの泣き顔とは一線を画している。

 よく女の泣き顔は武器、とか言われるが竜河の場合は武器を通り越して兵器なのだ。
泰児にはちょっと刺激が強すぎる。

743未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:59:38 ID:???
「お前、なんで泣いて」
「くっ・・・・・だって・・・・・すんっ・・・・・おかやまって、そしたら・・・・・っ・・・・・そしたら
もういっしょにごはんもたべられないし・・・・・おとうさんとおかあさんがいないひに
・・・・・ひっく・・・・つくってくれるひともいなくなっちゃうし・・・・・」
「・・・・・・・・竜河」
「おにいちゃん、あのひとのことすきなんでしょ?・・・・・・つきあったりして、
もうわた、ひくっ・・・・・・わたしのことなんて、かまってくれなくなっちゃうし、
ぐすっ・・・・・・・これから、どうやって・・・・・・」
「あのな、竜河・・・・・・・」
「うっ・・・・・・・なに?」
「お前は2つ、大きな間違いをしている」
「・・・・・・ふぇ?」
「まず俺の大学があるのは、岡山じゃない」
「え?でもさっき『おう岡山だけど』って」
「『おう岡山』じゃねえ、大岡山だ。東京都目黒区大岡山。ここから電車で1時間少し
だろ。家を出るのは大学を卒業してからだ。」


 ・・・・・・・・・・


「・・・・・・え゛?」

「あと、能登とは違う大学だぞ。まあ同じ都内だけど、あいつは新宿区だ」
「ど、どこ?」
「W大の文学部。親と同じでマスコミ関係になりたいんだと・・・。
要するに卒業したら離れ離れ、そもそも付き合う保証もねえだろ。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「それ以前にお前みたいなのを残して家を出れるか。大学入ってから卒業するまで基本的な家事
は全部仕込んでやるから覚悟しろ。まあ親父とかも協力してくれるだろうけど。
あの人、お前にやたら甘いからなあ・・・。
とにかく、お前が一人でも大丈夫になるまで家は出ない。あとそれとは別に

俺が誰と付き合おうとお前が俺の妹だということはずっと変わんねえぞ?
なんたって俺にとっては世界でたった一人の妹だからな。

・・・・なんかこっ恥ずかしいな、この台詞。てか気持ち悪い?
や、やっぱり忘れてくれ、ていうか忘れたい・・・・・・・・おい竜河?聞いてんのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 聞いていなかった、いや聞いていることは聞いているのだが
さっきまで蒼白だった竜河は数秒の後に達磨も裸足で逃げ出すほどの真っ赤か。

「お・・・・・・おい、竜河?あ、あのな別にこんな勘違い気にすることはないぞ?
よくある間違いだし、お前に頼られてるって分かって悪い気はしないし逆に嬉しいっていうか、
だからそんなに顔真っ赤にすることねえぞ?」

744未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:00:41 ID:???
 もちろんこの結末は竜河の勘違いが招いた結果であって、泰児に責任はない。
いわば自業自得なわけだがここでフォローしない、という選択肢は初めから泰児にはない。
なぜならそれは兄である泰児の義務であり、また責任でもあるのだから。

「と、とにかく!この話はこれで」
「わっ」
「・・・・・・倭?てこれ今日2度目じゃ」
「わ、わ・・・・・ぅ忘れろお〜〜〜〜い!!」

 咆哮と共に竜河が懐から取り出したのは、なんと・・・・・・・・

「え・・・・って、え゛?ぼ、木刀!?」
「死にたくないなら・・・・・記憶全部なくせ〜〜〜〜!!」

 フォロー失敗。
結局竜河をなだめることは出来ず、結局彼女が空腹でぶっ倒れるまでの約10分、
泰児は掛け値なしに恐怖の絶頂を味わったのだった。


  *  *  *


「ねえ、お父さんたちいつ帰ってくるの?」

 なんやかんやあっての晩餐会も終わり、
すでに入浴を済ませ、二人は夜の勉強会を開いていた。

 というよりも実際は竜河が勉強道具を持って
泰児の部屋に勝手に上がりこんでるだけなのだが。

 これについてはいつものことだから、と泰児も黙認している。

「さあ?もうすぐだろ。いくらなんでも朝帰りは無い」
「本当?」
「ああ」
「賭ける?」
「・・・・・・・・・・・・・・・賭けない」

 その間にも泰児は計算を進め、
「ほら、分かったぞ。お前最初のとこでいきなりミスってんじゃねえか。
だから最後まで導けないんだ。ほらここ、式を2倍したらルートの中は4倍じゃねえか。
展開の進め方は悪くねえけど、そこであってたら答え整数なんだぞ?」
「あっちゃ〜遺憾だわ〜」

 何回目だよその台詞、とは今さら言う気にはならない。
勉強会とは名ばかり。その実態は竜河の押しかけ生徒なのだ。

「少しは真面目にやれよな。お前はもともと頭はいいんだから・・・・・」
「あれ?」
「・・・・・・・・・・・・なんだよ」
「お父さん達の・・・・匂いがする」
「はあ?・・・・・・・あ、本当だ」
「ね?」
「匂いはしねえけど足音なら聞こえるな」
「うわ・・・・・つまんない」
「お前は俺に何を求めてんだ?ほら行くぞ」
「どこに?」
「手伝いにだよ。どうせ母さん酔いつぶれて親父におんぶされてんだから」

745未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:01:24 ID:???
 この時午後11時。いつものように最終バスに何とか乗れたようだった。


  *  *  *


「ただいま〜・・・・・・・・・ふう」
「おかえり・・・・・うわ、完全にダウンしてんな」
「ああ・・・・・元からそんなに強くねえのにワインがばがば飲みやがって」

 高須竜児はそういうふうにいいながらも全く嫌そうな素振りさえ見せず、
そのままリビングに上がりソファに彼の妻を横たえる。

「じゃあ俺、風呂入ってくるから」
「あ、温度下がってるかもしんないからそのときは追い炊きしてね」
「わかった。ありがとうな、竜河」
「うん」
「ああそうだ。泰児、大河に水やっといてくれ」
「おう」

 竜児がシャワーを浴びているあいだ、リビングでは新たな問題が発生していた。

「ほらよ水だ、って寝てんのにどうやってやるんだ?」
「さあ?起こせば?」
「マジで?」
「マジ」
「はあ・・・・・・・・おい母さん、水だ!っておう!?」

 起こそうとしたその瞬間、泰児の母である高須大河は見た目にあわない馬鹿力で
彼を抱き寄せ、

「うみゅ〜〜〜、りゅ〜〜〜じ〜〜〜〜」
「うわ!すげえアセトアルデヒド臭、ていうか竜児、じゃねえ!泰児だ、泰児!」
「た〜〜〜い〜〜〜じ〜〜〜!!・・・・・・・・ん?」
「うぐぐぐ、離せ!ってうわ!」

 思い切り蹴り飛ばして

「なんだ、泰児か」

 つまんね、とばかりにため息をつく。

「・・・・・・・・・・・・」
「ふう、喉乾いちゃったわ。どっちか水持ってきて」
「・・・・・・・・・・・・」
「えっと、さっきお兄ちゃんの持ってきたのがそこにあるけど」
「あら、ほんとだわ・・・・ってかいつまでそこで寝っ転がってんのよ、泰児」
「・・・・・痛くて・・・・・・声が・・・・・出ない・・・・・」
「出てんじゃない。あ〜あ〜軟弱だこと」

746未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:01:56 ID:???
 そう言うと大河は水を飲み始め、
コップに注がれた水はあっというまにその口に吸い込まれていく。

「くう〜〜〜〜!うんま〜〜〜い!!泰児!おかわり」
「・・・・・・・・・・もう自分でやれんだろ」
「へえ〜〜〜?か弱い女性にそんなことさせるんだ?
あ〜〜〜いやだいやだ。いつからそんな子になっちゃったのかしら。
竜児はいつだって何か頼んだらすぐやってくれるのに」
「分かったよ、持ってくるからそこで大人しく待ってろ」
「あ、あと晩御飯残りあるならチンして持ってきなさい。ありったけ全部よ、全部」
「レストランで食わなかったのかよ」
「量少ないのよ、イタリアンってのは。どれも高いから追加注文も出来ないし」
「少し時間かかるけど・・・・・」
「いいわよ、そのほうが好都g・・・・・じゃなくて・・・・・あっ竜河はここにいなさいよ」

 泰児が冷蔵庫の中身を取り出している間、リビングでは微妙な内緒話が始まろうとしていた。

「さてと、邪魔者はいなくなったことだし、ゆっくり話を伺おうかしら」
「えっと・・・・・・何の話?」
「惚けんじゃないわよ。今日スーパーで能登麻耶の娘に会ったらしいじゃない」
「何で知ってるの、その話」
「一時間くらい前にメールがあったのよ。
『もしものときはうちの娘をよろしくおねがいしま〜す』
ってね。
早めに帰ったら頼んでた献立が急に変ってたらしいし、雰囲気がおかしかったから
問い詰めたら白状したらしいわ。ちなみに竜児はこのことをまだ知らないわよ」
「お兄ちゃんに直接聞けばいいじゃん」
「泰児がそう簡単にゲロするわけないじゃないの、で?どうだったのよ、うちのバカ息子は」
「付き合ってるわけじゃないみたいだけど・・・・・」
「そんなの女ができたらすぐわかるわよ、母親なんだから。
そうじゃなくて、もっとこう・・・・・・・おしべとめしべが・・・・・・」

「何を話してるんだ?」
「ふぇっ!泰児?もう出来たの?」
「いや、その事なんだけど・・・・・ご飯以外だとこれだけしかないんだが・・・・・」
「なにこれ」
「・・・・・・・・・野菜・・・・・・ですけど・・・・・・殴らないでね」
「肉は?少しは残しとけってメールで言わなかったかしら」
「その分も含めて竜河が全部食っちまった。一応多めに作ったんだけどな」

 ・・・・・・・・・・・・・・

「ねえ・・・・・・どういうこと?竜河」
「ど、どういうことだろうね・・・・・・あはは」
「・・・・・・・寝ぼけてんじゃないわよ!ちょっと面かしなさい」
「ひぃぃぃぃ!!ゆ、ゆるしてぇ!!」

 しー・・・・・・・・・・・ん。

747未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:02:58 ID:???
「なんだよ・・・・・やっぱり動けんじゃねえか」

 どこぞへと引きずられていく竜河をただ見つめることしか出来なかった泰児だった。


  *  *  *


 竜児がシャワーからあがったのは竜河が大河に引きずられて消えたそのすぐ後だった。

「あれ?大河と竜河は?」
「どっか行った。晩飯を残さなかったのが逆鱗に触れたらしいけど」
「ったく。あの二人は・・・・・」

 そう言いながら竜児は冷蔵庫から缶ビールを取り出し泰児の隣に座る。

「あれ?飲んでこなかったのか?」
「大河がいるからな。結局ほとんど飲まなかったな」
「よくやんな。親父はよ」
「そうか?」

 まんざらでもない様子で缶のプルトップを開ける。
会話は弾まない、けど仲が悪いわけではない。それが彼ら二人の日常なのだから。

「今日の晩御飯は何にしたんだ?」
「トンカツ、まあほとんど無理やりにな」
「そうか・・・・・・・悪いな、いつも」
「なんだよ。藪から棒に」
「いや・・・・・・・なんとなく、な・・・」

 そう言いながら、ちびちびとビールを喉に流し込んでゆく。

 この前冬は寒いからビールは飲みたくないって言ってたばっかりじゃねえか。
酒をあんまり飲まないあんたがこうして飲むってことは、
どうせ俺との会話の機会を設けるつもりだったんだろ?お見通しなんだよ、息子舐めんな。

 竜河のつまらないことでうじうじ悩むのは親父の遺伝だったか、と今さらながら認識する。

「いいって、そんなこと。料理するの嫌いじゃねえし」
「でも・・・・・・」
「いいんだよ、ほんとに。だって・・・・・・・」

 俺達は、家族だろ?

 そのたった一言で竜児は何かが吹っ切れたように、
その恐ろしい顔で恐ろしい笑顔を浮かべる。
そのうちに大河と竜河が戻ってきて、高須家も団欒の空気に包まれる。

748未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:03:51 ID:???
この世界の誰一人、見たことのなかったものは

確実に存在していて、

それは必ず次世代へと受け継がれていく。

親から子へ、子から孫へ。

無限に続くリレーのように見えるけど、

一度その手でつかんだら、二度と離すことはない。

行先はただ一つ。

先の見えないけど愛が咲き乱れる

光り輝く、「未来への帰り道」なのだ。



[fin]

749 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:05:33 ID:???
以上です。

竜児と泰児の性格が被るため、若干苦労したけど
お楽しみいただけたでしょうか?

最後のほう収集がつかなくなって意味不明になってしまったのは
ここにいる皆だけの秘密ですwww

ちなみに次回作の話も現在構想中です。
まだ書いてすらいないから、投下するのはいつになるやら^;

その時はよろしくお願いします。では。

750 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 18:30:55 ID:???
あと、このSSを投下する場所について本家大河×竜児サイトの人に意見をもらったので、
できればどなたか報告お願いします。

規制に巻き込まれて自分で出来ない・・・

751 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 18:33:09 ID:???
間違えました。本家大河×竜児サイトの人ではなく本家大河×竜児スレの人たちでした。

752高須家の名無しさん:2012/02/26(日) 22:53:22 ID:???
シスコン泰児GJ!! そうか〜能登の娘か〜。たいへん楽しめました! 続き気長に待っております!

753 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/27(月) 13:19:01 ID:???
>>752
感想有難うございます。
ちなみに次回作というのはこのSSの続編というわけではなく単純に次に作ろうと思ってる作品
ということです。分かりにくい説明ですみません。

まとめる時に間違いがないように一応報告しときます。

754高須家の名無しさん:2012/03/10(土) 01:28:15 ID:???
長井龍雪監督は名前を変えるべきだ。長井キス雪が適切だと思う。

755高須家の名無しさん:2012/03/10(土) 01:37:10 ID:/x5bOlTw
いや、長井監督よりも生姜氏が田中キス賀を名乗るべきではないだろうか。

ちなみにあんなにメガネ率が高いのはなぜかを考えたとき
レンズ越しはうたかたの恋というのを表現するプランではないかと思ったw
とらドラ!が向き合って近いのに窓越しの遠さを描いたごとくに

756高須家の名無しさん:2012/03/11(日) 06:44:15 ID:qwGrnWEA
鋭い!鋭いよ!メガネにそこまで深読みするか。

俺は単に「イチャイチャ」じゃないよ!って言うためのガジェットだと思った。
「俺と先輩はイチャイチャしてないよ!俺達ウブだもん!」を暗示するための
カチャカチャ。

あと、ゴールデンタイム4読んだ。もう、読むのやめようと思っていたけど、
いきなりゆゆこ節全開でビビった。なにこの引き千切られるような痛み。
あらゆるものが不吉な暗喩。この悲痛さをセットアップするために3巻
使ったのかと改めて呆然。

757高須家の名無しさん:2012/03/11(日) 18:35:26 ID:???
>>756
5はもっときつそうな気がする。

758高須家の名無しさん:2012/03/14(水) 02:56:53 ID:???
カチャ♪を3話連続でやってるのはしつこいw
やはり赤とモジャはもうひと波乱というか、お姉ちゃんというワードに集約される
家族的な思慕からのグローイングアップなんだろうなあ

なんか他作品の事ばかり書いて申し訳ないが、哲郎と柑菜があり得たかもしれない竜虎のifに見えて仕方ないんですよ
竜児も大河も普通の家庭で育っていて隣同士の幼馴染だったら?というね
10話のみはらし庭のシーンでの引きちぎられ感はちょっと良かった

ちなみにイチカの髪型どっかで見たどっかで見たと思っていたのだがようやく思い出した
『おジャ魔女』のぽっぷだwww

759高須家の名無しさん:2012/03/15(木) 00:54:59 ID:???
そう言われると哲郎と柑菜を応援したくなるじゃないですかー
ボーイミーツガールでありながら幼馴染感もある竜虎たまらんなぁ

760高須家の名無しさん:2012/03/15(木) 20:59:30 ID:???
竜児は妹(的な存在)が欲しかった、というのは原因と結果が逆ではあるけど
存在の不安に抗うために自分が保護できる相手を必要としてたし
大河は大河で、竜児とは逆に保護される自己に幸福を覚えつつそれは嫌だというw
そういう背比べ感が個人的には幼馴染っぽく見えるんだよね

7巻まで実乃梨や亜美と三角関係に至らない理由がそれですんなり分かるし
本当の△はやっちゃん-竜児-大河だよねw

761高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 21:49:31 ID:???
本スレ落ちてる……なんでだ?
前の時も、もっと勢いのないあーみんやみのりんスレは大丈夫なのに…

文芸キャラ板に引っ越すのはどうだろう

762高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 21:58:48 ID:88ixfAUo
落ちてるねぇ……

763高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 23:58:19 ID:???
圧縮基準はよくわからんが、ロムが多すぎるのは確かだよなあ…

764高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 02:42:39 ID:???
文芸キャラ板、超過疎板だけど、頻繁に落ちるよりはマシかなと思う
アニキャラ板から移動してるラノベキャラスレも結構あるし
竜虎スレはなぜか圧縮に巻き込まれやすいのがな…今回は一日書き込みがなかったせい?と思うけども
意見待ち

765高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 10:22:39 ID:???
真面目な話の最中にすまん。死ぬかと思った。
ttp://smallassassin.blog67.fc2.com/blog-entry-1488.html

766高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 10:51:40 ID:???
ぜったい死なない覚悟で見てったのに水着でフイタ

>>761の意見に反対すべき理由が個人的には何もないので賛成だけど
ROMの人がスレ廃れたと思わないかな?ここは告知場所としてオフィシャルなの?

767高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 19:39:22 ID:i80S0eLk
検索やまとめサイトで見たい人は気づくんじゃないかなと思うけど…レスが少ないからわからないね…
落ちたらやっぱり萎えるしなー
もうすぐ春アニメ開始の時期だからまた落ちそうだし

あと、テンプレは>>3の避難所誘導まででいいんじゃないかと思う。まとめwikiも消滅してるし
なあなあになってたスレタイ、どうしましょうか
竜児×大河派だが・・・

768高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 22:49:03 ID:uaRAa5EM
過疎板でもいいじゃない
皆の妄想が集まるんなら────インコ

スレタイは任せます
よくわからんしw

769高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 00:28:59 ID:???
というか文芸キャラ板ってローカルルール決まってないのな。総合スレはあるからカプスレもOKなんだろうか
検索しやすいように 【とらドラ!】高須竜児×逢坂大河 Vol28 にするとか?
おkなら立ててくるけど、もう少し待ったほうがいいかな
終了してる作品だし、まったり続けていければ幸せだな

770高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 19:31:53 ID:???
立ちました
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/litechara/1333016695/

771高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 21:00:07 ID:???
「ふーん、今度は竜児が前なんだ。犬なのに」
「お前その話引っ張るのやめろよ」

アクセス規制食らった orz

772高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 21:55:41 ID:???
>>770
乙です
高須竜児×逢坂大河・・・史上初の大河受けスレだあw
みwなwぎwっwてwきwたwww(すまん)

773高須家の名無しさん:2012/03/30(金) 00:03:13 ID:???
ニヤニヤしながらキッズステーションで24話視聴中

774まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2012/03/30(金) 00:18:18 ID:???
>>770
乙!
とりいそぎ、まとめサイトのTOPリンクの張替えと、過去ログの収納を行いました。

この避難所スレも容量が900K超えてるけども、新スレ立てたほうがいいのかしらん

775高須家の名無しさん:2012/04/01(日) 14:08:11 ID:???
スレ立て&まとめサイト更新乙です!
親スレに書こうとしたら規制中だったorz

『高須家のエイプリルフール・その1』

「……ねえ竜児」
「おう?」
「コレは、一体……何?」
「何って……見ての通りの鯖の煮つけだ」
「今日はとんかつだって言ってなかったっけ?」
「ああ、それは嘘だ」
「はぁ!?」
「ほら、今日はエイプリルフールじゃねえか」
「…………ああ、そうね。エイプリルフールじゃ仕方がないわね。許してあげる」
「おう、すまねえな。とんかつは明日」
「っていうのは嘘」
「……え?」

776高須家の名無しさん:2012/04/01(日) 14:11:06 ID:???
『高須家のエイプリルフール・その2』

「泰児、竜河……実はあんた達はうちの本当の子じゃないのよ」
「「んなわけないじゃん。見た目的に」」
 終了

777高須家の名無しさん:2012/04/02(月) 01:26:40 ID:???
>>774
いつもありがとうございます!

>>775-776
このあとはお仕置きという名のチュー地獄ですね!
二人とも冷静だww竜児と大河の遺伝受け継いだらそうなるよねw

なんか数日前に大規模規制があったみたいですね。
早く解除されるといいな…

778 ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:43:22 ID:???
なんかちょっと違う気がしたので。こっちに。大規模規制も食らってるし。

タイトル:文化祭の夜に

779文化祭の夜に ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:44:12 ID:???
「そんで、竜児。アイデアは浮かんだの?」
「つーか俺に振るなよ。お前が引き受けたんだろうが」
「何言ってるのかしら。あんたは私の犬なんだから私に仕えるのが当然でしょ。ほら、考えなさい」
「まったくよう。自分で考えつかないならやるなんて言うなよ」

小さな借家の狭いリビング。畳の上に置いたちゃぶ台をはさんで、竜児と大河がいつものようにいがみ合う。この小さな家ではおなじみの光景である。本人達は決して認めないだろうが、既にホームドラマとして成り立つほどのコメディっぷり。

第何話かすらわからないほど繰り返されているコメディだが、今夜の話はちょっと毛色が違っている。なんと文化祭の出し物のシナリオを大河が引き受けてきたのだ。その場にいた竜児は当然止めたが、竜児ごときの意見を聞く手乗りタイガー様ではない。
わ・た・し・が・や・る・の!と大声でクラス全員の前で竜児に噛みついて、で、帰ってきたら全部竜児に丸投げである。

「ったくよう。何が嬉しくてこんなもの引き受けるんだよ」
「嬉しくないわよ。仕方ないでしょ。夢に見たんだから」
「夢?…また予知夢かよ」
「まあね、独身が勝手なことしてプロレスにしたって所もあってたし、ロン毛虫が勝手なシナリオ作ってきたのもあたってた」
「お、おう」
「これは北村君に私の悪印象を与えないために必要な回避措置なの。ついでに毛虫のシナリオ見たら、恐ろしいことにそれも夢の通りだったわよ」
「どんな話だったんだ?」
「私が悪の魔王で、あんたが手先」
「手先って何だよ!」
「知らないわよ。とにかく、あんたの手先役も回避してやったんだから感謝しなさい。ほら、考えて」
「ったくよう」

ほら、考えてと言われてさっと話が出るほど竜児には文才はない。国語の成績がいつも飛び抜けていい能登あたりには、あるいは造作もないかも知れないが、竜児の国語の成績は他の教科と横並び。
そもそも成績はいいのだから国語も悪くないが、ちょっとテストに出ないあたりに実は落とし穴がある。創作だ。

竜児の創作能力がかなり残念なものであるのは、4月のラブレター騒ぎで光が当てられた詩集を読めばある程度想像が付く。

なのに、考えよ!と手乗りタイガーは仰せである。そこで、なるべく自分の智恵を絞らずに済む方向に誘導などしてみようと竜児は考える

780文化祭の夜に ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:44:47 ID:???
「仕方ねぇなぁ。別に金取るんじゃないからみんながよく知ってる題材でいいんじゃないか?」
「たとえば?」
「童話なんかどうだ?劇にはぴったりだろ」
「童話?はっ、『童話なんかどうだ?』?だじゃれのつもり?」
「別にだじゃれじゃねぇよ。話しが単純だから演じやすいし、脚本に少々まずいところがあっても、見る奴は筋を知ってるから大丈夫だろ」
「ふん。確かにそうね。竜児にしては上出来だわ。で、どんなのにするの?」
「まぁ、みんなが知ってれば何でもいいだろう。『マッチ売りの少女』とか」
「暗っ。却下。他は?」
「『かちかち山』。楽しそうだろう」
「駄目。次」
「じゃぁ『花咲かじいさん』」
「あんた……それ全部誰かが死ぬ話じゃない。少し『死』から離れなさい」
「なんだよそれ!」

ぶーたれても駄目である。

「ほら、早く次」
「じゃぁ、『赤ずきん』。誰も死なねぇぞ」
「狼が死ぬわ。まぁ、いいか。竜児、次からは不吉な話は無しよ」
「はいはい」
「それで、話が決まったから後は脚本なんか無いも同然よね。で、配役は?あんた狼やる?」
「死にたくねぇよ」
「でも、目つきとかぴったり。ぷぷぷ」
「俺はやりたくねぇ」
「まぁ、つまらないクラスの出し物の練習で私に出す夕食の質が落ちるのも考え物よね。いいわ。竜児は勘弁してあげる。狼はロン毛虫にしましょう。私をネタにした変な脚本を作った罰よ」
「春田か。あまり迫力ねぇな」
「はぁ?あんた『赤ずきん』で迫力って何言ってるの?現代版にしてやくざ対幼稚園児でもやる気?」

ちょっとの失言で酷い言われようだが、この程度なら竜児はため息一つで流せるようになった。

781文化祭の夜に ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:45:23 ID:???
「すみませんね。で、次はおばあちゃんか」
「これは鉄板ね。狼に食われるおばあさんは、ばかちーにしてあげるわ。ぷぷぷ。犬味のおばあさんだって」
「しらねぇぞ後でもめても」
「いいのよ。次、赤ずきんちゃんは?」
「ヒロインか。お前やるか?」
「はっ、私は自分で脚本書いて自分がヒロインやるほど堕ちてないわ。誰かさんじゃあるまいし。具体的にはばかちー」
「おい」
「あんた誰がいい?うちのクラスであと、見栄えがいいのは木原摩耶とか香椎奈々子あたりね。ちっ、うざい3人衆じゃない」
「お前……なぁ、可愛い方がいいんだろ?」
「そりゃそうよ。なにせ『赤ずきん』だもん」
「じゃ、じゃあよう。櫛…枝…とか、どうだ?」
「あんた何顔赤くしてるよ。鼻息まで荒いし。きもっ。まぁ、いいわ。みのりんを持ってきたのはなかなかのセンスね。あとは猟師か。誰でもいいわ。明日じゃんけんさせましょう」
「じゃぁこれで決まりだな。演目は『赤ずきん』。ヒロインは櫛枝。おばあさんは川嶋、狼は春田。猟師は誰か。終わりだ」
「まだよ」

せいせいした顔で笑った竜児を大河が制する。

「なんだよ」
「まったく原作通りじゃつまらないわ。少しいじりましょう」
「はぁ?いいじゃねぇか。どうするんだよ」
「そうね。あまりひねりすぎるのもどうかと思うから、そうだわ。赤ずきんちゃんは山羊って設定がいいわ」
「まぁ、童話ならありかもな」
「それから赤ずきんの友達もいるわね。これはみのりんの親友と言うことで私がやるわ」
「なんだよそれ。結局でたがりじゃねぇのか」
「あら違うわ。私は自分でシナリオを書いてヒロインをやるような図々しい女じゃないの。誰かさんじゃあるまいし。具体的にはばかちー」
「はいはい」

そういうわけで、山羊:櫛枝実乃梨。狼:春田浩次となるちょっと変わった童話のシナリオが完成した。二人とも知らぬ事であるが、その後突然現れる大河の父親による攪乱によって、山羊:逢坂大河、狼:春田浩次なる珍妙な取り合わせが実現することになる。
食う者と食われる者が逆のようでもある。

さて、山羊と狼の間に友情は芽生えるか

(違・う・だ・ろ)

782 ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:48:38 ID:???
ここまで。

今ごろ気付いたんだが、春田役の吉野さんってボッスンなんだな。あと、「四畳半神話大系」の小津もか。
例の新アニメ、絵が気持ち悪いんだが「素直な釘宮」という、妙に貴重な声が聞ける。

783高須家の名無しさん:2012/04/07(土) 02:57:29 ID:???
乙です!
逆行ものかな?
前後の展開が気になる気になる〜。
クリスマスの『予知夢』を見ちゃったりしたらどうなるんだろう……


中の人といえば、「ブラック★ロックシューター」のカガリは見た目大河で中身あーみんだったねw

784高須家の名無しさん:2012/04/08(日) 22:21:12 ID:???
じょしらく、のキャラデザが田中将賀…だと?
原作のヤスさんが描くみのりんっぽいキャラが更にみのりんっぽくなるのか…胸厚

785 ◆fDszcniTtk:2012/04/09(月) 08:08:41 ID:???
>>783
ありがとう。中の人ネタとはいえ、「ifは書かない」とか言っていたことを
恥じておりまする。

>>784
防波亭手寅って、公式では防波堤とテトラポッドって事らしいけど、
手乗りタイガーだね。あと、食べても太らないとか。ちょうどこの漫画が
始まる頃、絶望先生の紙ブログで久米田がとらドラ!をネタにしていた。

786高須家の名無しさん:2012/04/17(火) 04:58:01 ID:???
うーん
男の子声のキタエリと黒いさくらが絡んでる
ここに男の(ry くぎゅが加わるとかどんな大橋高校文化祭なんだよ、という妄想
主人公の親友が北村に似てるし思ったより暮井さんに動きがあっていいな

前の期はリコランの弟か隣家のお兄ちゃんがマジーだったら美味しかった

787高須家の名無しさん:2012/04/17(火) 07:05:56 ID:KK2Lo9Mg
いつもイライラ、あなたの隣家に這いよる猛虎。

788高須家の名無しさん:2012/04/17(火) 14:57:04 ID:???
隣家どころか居間にまで這いよってますがなw

789高須家の名無しさん:2012/04/19(木) 07:34:17 ID:???
そーいやフェアリーテイルには大河とみのりんとあーみんとやっちゃんが居るんだよなw

790高須家の名無しさん:2012/04/19(木) 08:19:47 ID:???
どっかの書き込みのコピペが竜児が書いたとしか思えない件について


301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/04/17(火) 14:15:07.21
>>300
照れてんだよ察してやれ

というかちょっと聞いてくれよお前ら
一昨日さぁ嫁さんを誘ったわけだよ、やりたいんだけど…と野暮な感じでなw
そしたら軽く膨れて「やりたいじゃなくて抱きたいって言ってみ」と言ってきたんで、
「○○(←嫁の名前)抱きたい」と素直に言ってみたわけだ
そしたら目の前にゆでだこが現れたよwwww
ちょおまwww自分から注文しといてwww乙女かww
まぁそういう俺もゆでだこだったんだけどな
盛大にもげたよw
新婚でもないのにもう何回もやってきてんのにお互い顔赤くしてドキドキしちゃってまーww
ハズカシス

791高須家の名無しさん:2012/04/19(木) 11:11:29 ID:???
デレたら負け、という価値観が根強いのに本心はデレデレ
まさに竜児!

792高須家の名無しさん:2012/04/20(金) 19:16:49 ID:???
竜虎変換余裕です
ゆでだこの二人かわいすぎんよー

793高須家の名無しさん:2012/04/24(火) 23:01:45 ID:ed.B406U
書きかけのファイルの中に「ギシ・アン」ってタイトルがあった。

794高須家の名無しさん:2012/04/26(木) 00:27:52 ID:???
早く完成させるべき

795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 22:06:23 ID:???
春のぱん○祭り参戦に遅刻してしまたorz

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2909393.png

どなたか代理お願いいたします。
しかし今回規制長い・・・

796795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 22:08:12 ID:???
あれ?トリップ間違えた?

797795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 22:12:12 ID:???
何度もすいません。
2ちゃんとしたらばだとトリップが変わってしまうみたいですね・・・
私は◆mCyFSpkrFSwIです。

798高須家の名無しさん:2012/04/27(金) 23:26:31 ID:???
絵を見りゃ分かる
こんな竜児だけ得なのはけしからんから代理投稿しておいた

さ、晒しものなんだからね!

799795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 23:55:35 ID:???
代理ありがとうございます!

800高須家の名無しさん:2012/05/01(火) 19:12:02 ID:???
大橋駅裏のこじゃれた喫茶店にて

「そういやタイガー?」
「なに?」
「3話にしてやっと登場したらちゃーんと性別不明なお芝居してたじゃん」
「まぁね、そっちの方が実は得意。ばかちーはちょっと女っぽすぎるんじゃない?」
「仕方ないよ。そういうお仕事なんだからさー。でもあんたを誘って良かったわ」
「それにしてもアレね。むかつくわね」
「何が?」
「狩野姉妹の妹の方」
「プッ、それまんまじゃねーの」
「あんたカラまれ相手じゃん。なんか感想ないの?」
「ウザかわいい」
「あらま。そういうの嫌いなんだと思ってた」
「嫌いもなにも仕事だもん。それに嫌いだったらさぁ」
「なによ」
「あんたを別荘なんかに招待しねーわ」
「わっ、私がウザウザ……って?」
「うぜー、なまらうぜーwww。それよりあんたちゃんと台本とか原作読んでる?」
「よ、読んでる」
「先々絡むのマリ姉よ?緊張するでしょー」
「い……」
「い?」
「いあいあ!!」

801高須家の名無しさん:2012/05/04(金) 22:02:05 ID:???
いい感じの中性声だったな。そして今回もキタエリとは身長差コンビかwww

ところで実のところ声優ってあんまり話下欄のだけど、國府田マリ子って怖いの?

802高須家の名無しさん:2012/05/05(土) 02:44:40 ID:???
よく知らないw大河の中の人はべつだん緊張しないだろうと思うよ

リコーダーとランドセルのあつみお姉ちゃんが大河声に近いんだよなー
ちょっと落ち着いてて20代のって感じ
これで相方の弟がマジーだったらお宝音声になるとこだった

803 ◆Eby4Hm2ero:2012/05/15(火) 04:05:32 ID:???
ううう、また規制に巻き込まれた……

804Sweet Flavor ◆Eby4Hm2ero:2012/05/15(火) 04:06:18 ID:???
「おう?」
 不意に顔を上げ、鼻をひくつかせる竜児。微かに漂う甘い香りはどうやらすぐ隣からのもののようで。
「なあ大河、お前……」
「何ー?」
 そっけなく応える大河だが、その瞳は僅かに期待に輝いて。しかし、
「シュークリームでも食べたか?」
 続いた言葉に一瞬で失望に曇る。
「……そうよね、あんたはそういう奴だったわよね……」
「おう、何がだ?」
「何でも無いわよ。
 あのね、香水代わりにちょっとバニラエッセンスをつけてみたの」
「? 何でそんなこと?」
「おしゃれよ、おしゃれ」
「はー、女子の考えることはわからねえなあ……」
「竜児はこういうの、嫌い?」
「そんなことはねえっていうか、むしろ好きだけど……これ、バニラだけの匂いじゃねえよな?」
「え? 別に他には何もつけてないけど」
「いや、バニラとは違う匂いが確かに……」
 くんくんと匂いの元を捜す鼻先は、次第に大河の首元へ。
「ちょっと竜児! 近い、近いってば!」
 ぺろっ。
「ひゃぅっ!」
「……やっぱり甘くはねえな」
「あ、当たり前でしょ! 人間の体が甘い味するわけないじゃない!」
「お、おう、そうだよな。人間に甘い所、なんて……」
 ふと視線を上げれば、そこには小さくて柔らかな唇が。
 そして気づいたのは、竜児を惹きつけてやまないこの香りが、大河自身の――



「そうだばかちー、ありがとね」
「はぁ? 何よ突然」
「ほら、この間教えてくれたじゃない。バニラが昔は、その、び、媚薬として使われてたって」
「ああ、あの与太話……って、まさかホントに試したわけ?」
「……う、うん」
「で、ひょっとして上手くいっちゃった……とか?」
「…………ぇと、それは、その」

805高須家の名無しさん:2012/05/17(木) 22:32:32 ID:???
GJ

ほほう、大河の罠だったか。

806 ◆fDszcniTtk:2012/05/25(金) 07:55:21 ID:???
規制は解除されそうにないな。

だいぶ前から暖めてたアイデア投下「ギシ・アン」

807ギシ・アン ◆fDszcniTtk:2012/05/25(金) 07:55:57 ID:???
「何でも言うことを聞いてあげる」

と、日曜の朝に高須大河が夫の竜児に言ったのは、別に何か含みがあってのことではない。知り合って7年。先日ようやくゴールインした二人は、1DKのつつましやかなアパートで愛を育てている新婚さんである。

ハネムーンから帰ってきたのは先週のこと。付き合った時間が長かったうえに、知り合って最初の1年は半同棲だったなどという型破りな二人ではあるが、実のところ本当に同棲したことは無い。
夫の竜児が人一倍堅いということもあって、キスより先に進んだのはなんと知り合って2年後、お泊りだって二人で行った旅行が二回あるだけである。だから、ハネムーンの興奮が尾を引く今は、まさに嬉し恥ずかし新婚ほやほやなのである。

「いってきます」で、ちゅ。「ただいま」で、ちゅ。おはようからおやすみまで暮らしをピンク色に染め上げるちゅっちゅ生活だったのが先週の事。新婚旅行あけだというのに休日出勤だった土曜日には旧手乗りタイガーが幾分不機嫌だったが、そこはまぁ、新婚である。
夜には囁くように、絡み合うように、溶け合うように、互いを確かめるように、愛を確かめ合って今朝に到る。

「何でも言うことを聞いてあげる」

と、言ったのは布団の中で素肌を重ねておはようのキスに甘くとろけた新妻からの、愛する夫への心からの、この一週間へのいたわりだったのだ。いいじゃない、新婚だからこのくらい言うわよ。
と、頬をぷくぷくふくらませながら目を線にして夫の腕の中で柔らかく微笑んだ所までは良かった。

「お、おう。じゃぁ。ちょっと恥ずかしいんだけどよ」

つむじの上の方で鬼般若が呟いた。その声を聞いて、また大河がクスクス笑う。なんであんたが恥ずかしがるのよ、と。しかし、腕の中で夢のように笑っている妻を余所に、竜児はつっかかりながらとんでもないことを口にした。

「裸エプロンってやつ、やってくれねぇか?」

808 ◆fDszcniTtk:2012/05/25(金) 07:56:33 ID:???
実はここまでしか書いてない

809高須家の名無しさん:2012/05/25(金) 10:07:04 ID:???
同衾してテンパってそんな一言いいだす大河ですでに出オチっぽいぞw

大河のはだエプってあれだな、ジブリもの辺りで出てきそうな鍛冶屋の見習い小僧風になりそうだ
そこは竜児がオーダーメイドでえろく見えそうなサイズのエプロン作って回避するんだろか

810高須家の名無しさん:2012/05/25(金) 22:21:54 ID:???
大河なら、マエカケだけでも、いけそうかも…あっ、嘘です!あっ痛い!痛い!

811高須家の名無しさん:2012/05/25(金) 22:48:28 ID:???
尻っぱしょりに六尺、あたまキリリと結って山笠に行けばその辺のオッサンに
粋なボンやのーとか思われたりして痛い痛い痛いいたたたた!

812 ◆Eby4Hm2ero:2012/06/01(金) 11:10:25 ID:???
今回の規制は久々に長いなあ……



ところで「氷菓」面白いよね。
原作買おうと思うけど、ミステリはいつ読むかのタイミングが難しい所。

813大罪を犯す ◆Eby4Hm2ero:2012/06/01(金) 11:11:28 ID:???
「……うーん……」
「ちょっと竜児、なに人の顔見ながら唸ってるのよ」
「んー、さっきの映画で七つの大罪ってあったじゃねえか」
「えと、『憤怒』『敖慢』『大食』『強欲』……あと何だったっけ」
「『嫉妬』『色欲』『怠惰』だな」
「で、それがどうかしたの?」
「いや、考えたらさ……大河がそれコンプリートしてたんじゃねえかなって」
「はぁ!?」
「まず『大食』と『怠惰』は言うまでも無いだろ」
「う……ま、まあ否定は……できないけど」
「『色欲』と『嫉妬』。これは北村関係で発揮されてたよな」
「そ、そうだっ……た?」
「自覚無かったのか? 櫛枝以外の女子が北村と話すだけであからさまに不機嫌になってたじゃねえか。そのへんも関連して『憤怒』。何かっていうとすぐ怒ってたもんな」
「うう……でも、あと二つは」
「人をいきなり犬呼ばわりしたり下僕扱いしたり、『敖慢』じゃなかったら何だっていうんだ」
「ご、『強欲』じゃ、なかったもん」
「服とかバッグとか、しょっちゅう買ってたじゃねえか。全部整理してたのは俺だぞ」
「ううう……」
「な? 全部揃ってただろ」
「…………ふっ」
「お、おう? どうした?」
「考えが浅いわね竜児。『大罪』が即『悪いこと』ってわけじゃないのよ」
「おう? そうか?」
「禍福はあざなえる縄の如しって言うじゃない。あ、あざなえるってなんか天使の名前みたいねー。ミカエル、ラファエル、アザナエル」
「いや、それは使い所が違うような……」
「ねえ竜児、私が『大食』で誰かに迷惑かけたことがあったかしら?」
「二年の秋に、ダイエットで……」
「それは置いといて」
「置くのかよ……」
「私がよく食べるのを見て、あんたはむしろ喜んでたじゃない」
「そりゃまあ、作る方としてはな。だけど、他のは迷惑かけてないとか言えねえだろ」
「それじゃ、もしも私が『怠惰』じゃなかったら、どうなってたと思う?」
「おう? そうだな……俺があんなに世話を焼く必要は無かった……かな?」
「そしたら、私もあんたんちに入りびたりにはならなかったかもね」
「ってことは……ひょっとしたら仲の良いお隣りさんぐらいの関係だったかも……ってことか?」
「それ以前に『憤怒』が無かったらあんたを襲撃なんてしてないし、『敖慢』じゃなかったら家に帰った時点ではいお終いってなもんよ」
「おう……今となっては、それはちょっと……。あ、でも、『嫉妬』については言い訳できないんじゃねえか?」
「嫉妬するってことは、言い換えればそれだけ執着してるってことよね」
「まあ、そういう解釈もできなくはねえ……かな」
「竜児への執着を、『嫉妬』することを、どうしても止められなかったから……私は……」
「お……おう……」
「でもって、最後に『強欲』になれてなかったら……諦めてたら……今こうして二人でいることなんて、きっとできなかった……」
「…………確かに悪い事ばっかりとはかぎらねえ、か」
「それと、あと一つ」
「おう?」
「『色欲』に関しちゃ、あんたも人の事は言えないわよねぇ、このエロ犬」
 そう言って体を預けてくる大河を、竜児は苦笑しながら抱き寄せて。
「おう、それは否定できねえな」
 柔らかな頬に手を沿え、その唇を塞ぐ。

814高須家の名無しさん:2012/06/02(土) 07:18:12 ID:???
善人なほ以て往生をとぐ。いはんや悪人をや。
ほんに規制長いですのう
最後から読んだら逆の意味で通じるコピペ見たいな綺麗さ乙でした!

815高須家の名無しさん:2012/06/02(土) 19:18:48 ID:???
おお、そういや手乗りタイガーもチビ天使だった。

古典部シリーズおもしろいよ。米澤の作品はインシテミル以外はネタが割れても
おもしろいから、あとから読んでも先に読んでもOKだよ。

「愚者のエンドロール」はとらドラ!と同じで読み返す度に発見があるし。

816高須家の名無しさん:2012/06/03(日) 11:34:33 ID:???
尾崎紀世彦さんが逝ってしまった・・・
『また逢う日まで』を聞いてるとやっちゃんが幼い竜児の手を引いて町から町へ旅暮らししてるイメージが浮かぶんでちょっと馴染みがある
別れの歌なのに人生の明るい面だけ見ていこうよって感じの曲調が好きだな

817高須家の名無しさん:2012/06/06(水) 00:49:23 ID:???
>>808
もしやこの後アアンな展開が!?
文豪の書く、とろける大河を期待してもいいですか

818 ◆fDszcniTtk:2012/06/06(水) 23:06:38 ID:???
>>817
一度は、とも思うんだけど、書けないねぇ。あ、仮に書けたとしてもガチエロにはならないよ。

819高須家の名無しさん:2012/06/07(木) 07:14:28 ID:???
ハイ!お願いじまず♪

820高須家の名無しさん:2012/06/07(木) 11:15:33 ID:???
「これはゾンビですか?」の歩と織戸が、竜児と春田であることに今更気づいてしまった……

821高須家の名無しさん:2012/06/10(日) 11:15:49 ID:???
俺もさっき気づいたところ

822高須家の名無しさん:2012/06/10(日) 22:37:29 ID:???
来期はやっちゃんの中の人が大活躍みたいだな。この人のお母さん声好きなんだけど、
未亡人もやるらしい。今のところ視聴予定はその「夏雪ランデブー」だけだ。あと
継続で「氷菓」。

823高須家の名無しさん:2012/06/14(木) 00:09:34 ID:???
>>800に続いて大橋駅裏のこじゃれた喫茶店にて

「『××子ォ〜好きだぁ〜愛してるぅ〜!!』ぷぷぷぷぷ!」
「ちょ!やめなさいよバカタイガー!仕事仕事!」
「まぁ私もあんまり他人の事は言えないしね」
「なんとなく2期の想定なしでやりたい放題っぽいもんねー」
「ま、ま××くぅん」
「やめろっての」
「しかし、それにしてもアレね」
「なに?」
「『とらドラ!』では『アニメ史上屈指の美しいキスシーン』て言われたけど」
「うぇぇ、その話ぃ?」
「アニメ史上屈指の誰得な騙し打ち的ベロチューだったわねぇ」
「も、もう言わないでもらえるかな?どのくちかなーそうゆう憎たらしいのこれかな?」
「あ痛い痛い痛いってばかちっ!」
「だいたいあんただって毎日高須くんといろいろしてるくせに」
「そ、そんなこと、ないよ?」
「へぇぇ?ほぉぉ?」
「ほ、ほんとだってば」
「ふぅん?」
「ほら、背が違うから」
「あぁ。目立つもんね」
「デコにしかしてくれないのよ」
「やだぁ!もう亜美ちゃん帰るぅぅ!!!!」

824高須家の名無しさん:2012/06/14(木) 23:53:39 ID:???
俺も「アニメ史上最低のキスシーン」って思った。
なにあの、何一つ得した気がしないシーンwwwww

825高須家の名無しさん:2012/06/15(金) 01:52:13 ID:???
先日6巻が出た『たいようのいえ』(KCデザート刊)が丸っまる竜虎ですごく良い
もしも竜児が大河の7歳年上で幼馴染だったらきっとこんな風に受け止めるんだろうなーと

826高須家の名無しさん:2012/06/18(月) 06:33:46 ID:???
ゆりちゃん先生(30歳独身)の中の人が 結 婚 し た ぞ !
田中理恵さん、おめでとうございます。末永くお幸せに。

827高須家の名無しさん:2012/06/19(火) 23:50:58 ID:???
ああ、サツマイモ無事かなぁ。

828高須家の名無しさん:2012/06/20(水) 00:58:25 ID:???
台風と言えば常識的にはコロッケだが
我々としては竜児がこっそり非合法栽培していたサツマイモだよなあ
はらへった+風の音が怖いで高須家に来る大河と一緒に風呂入っちゃえ竜児

829高須家の名無しさん:2012/06/26(火) 01:39:51 ID:???
前に防波亭手寅が手乗りタイガーだという話もあったし来週放映開始だから既刊4巻買ってきて読んだ『じょしらく』
壱巻七日目『無情風呂』のオチのコマの後姿がとらドラ的に良かったw
ヤス絵は久米田漫画をいい意味でブーストするなあ

830高須家の名無しさん:2012/07/02(月) 02:34:54 ID:???
竜児と大河の初夜を妄想。
が、どうしてもスムーズに事が運ぶと思えない。
竜児はいかにも、緊張が上回って勃たないとか有り得るタイプ。
大河はパニック起こして会話が不可能な状態になりそうなタイプ。
本懐を遂げられるのは三度目くらいか。

なかなか手を出そうとしない竜児に痺れを切らした大河が逆レイプみたいなのも美味しい。

831高須家の名無しさん:2012/07/02(月) 22:14:28 ID:???
失敗した日のぎこちなさとか、たどたどしいエチーを想像するだけでご飯三杯いける

832高須家の名無しさん:2012/07/03(火) 07:46:58 ID:???
規制でスレの談義に参加出来なくてこっちに来たら、こっちはこっちで面白い話してる。

833高須家の名無しさん:2012/07/04(水) 23:15:40 ID:???
二回目も緊張のあまり勃たない竜児に「べべべ勉強してきたから」と手でしてあげる大河とかな!

834高須家の名無しさん:2012/07/05(木) 07:52:35 ID:???
竜児がなんだかんだいいながら、張り替えをせずに桜の紙を取っていたってのは、
なんだかんだいいながら大河を追い出さずに面倒を見ていたってことの暗喩だな。
その桜の花びらを激情に任せて破ってしまったことが、このままじゃ自分が大河を
傷つけるという恐れへの気づきになっている。

835高須家の名無しさん:2012/07/11(水) 22:28:40 ID:???
規制は続くよどこまでも。本スレ見て妄想したとだけ書いておく。

本スレ
>>403
2年の9月頃で妄想してしまった。

「大河、口見せてみろ」
「何いってんのよこのエロ犬」
「あほか。口内炎だっていってたろ。見てやる。ほっとくとえらいことになるぞ」
「えらいことって何よ」
「いちいち言葉尻とらえるなよ。怪我は早めに手当をするもんだ、ほら、あーん」
「あーん、ふぇ、はひふふほよ」
「動くな、うわー、こりゃひでぇな。つか泰子も口内炎やるけどこんな酷くないぞ。くそ、奥が見えねぇな」
「ひょ、ひょっほ、ひはい、ひはい、何すんのよこのエロ犬っ!」

的な竜児死亡劇だろうか。大河涙目。16,7歳の同級生の女子(美少女)の口開かせてなか覗き込んで指突っ込むとか。

836高須家の名無しさん:2012/07/12(木) 00:19:17 ID:???
しかし治療ができるわけでもないのに指突っ込む竜児ってのもけっこうな上級者だねw
大口大河を鑑賞したのは『なつやすみ』のBBQだったなそういや

837高須家の名無しさん:2012/07/13(金) 11:22:49 ID:???
「竜児がね」「竜児ってば」「竜児ったら」
「大河がよー」「大河がさー」「大河の奴が」

自覚のない時期から新婚バリの惚気っぷりなのに
いざ結婚して新婚時代を迎えたら
あの二人はどんだけバカになるんだろう

838高須家の名無しさん:2012/07/13(金) 12:33:12 ID:???
「結婚する前はいいものだと思ってたけどしてみるとそんないいもんじゃない」すりすり
「そうだよなーあんまり変わらないよなー」さわさわ
四六時中一緒にいて苦にならないってのはこんな感じかね
のろけは迷惑と分かって自重するかもだがw

839高須家の名無しさん:2012/07/14(土) 15:56:21 ID:???
多分
「夫婦ってのは、子供の前で鼻やら額やらを刷り刷り相手にこすりつけたり、髪をすいてやったり、
見つめ合って微笑みを買わしたりしないものだ」
と、子供が気づくのは小学校に上がってからだろうな。

あと、遊びに来た亜美が子供から普段の様子を聞いてぶち切れるとかありそうww

840 ◆fDszcniTtk:2012/07/16(月) 09:41:54 ID:???
俺の目の黒いうちは、どうやら規制が解除されないみたいだ

タイトル : そっと噛んで やさしく触って

-----
「ねぇ、竜児」
「おう」
「『甘噛み』って知ってる」

ぎろり、と日本刀のごとき視線を、ぴったりとくっついて微笑んでいる妻に振り下ろすと、
高須竜児はいきなり方のあたりをはだけた。

「これじゃねぇよ」

紫色に膨れ上がった内出血に祝福される歯形があった。

-----
「ねぇ、竜児」
「おう」
「『甘叩き』って知ってる」

鬼般若のごとき表情を、目を線にして微笑む妻に向けると、いきなり領収書を見せた。

「これじゃねぇよ」

『但し:肋骨骨折治療代』

841 ◆fDszcniTtk:2012/07/16(月) 09:42:44 ID:???
方じゃなくて肩

842高須家の名無しさん:2012/07/17(火) 01:47:55 ID:???
こっちの竜虎はいちゃいちゃも命がけだな
歯型はわかるが肋骨はどうしたんだろう?

843高須家の名無しさん:2012/07/18(水) 00:41:27 ID:???
これは大河に力加減を覚えさせないと死を見るw

844高須家の名無しさん:2012/07/18(水) 12:44:46 ID:???
しかし
あんたのせいでいつも過呼吸で逝きそうな目に遭ってるのよと目を伏せられると
若干の間があって「済まねえ」と謝るのが竜児w

845 ◆fDszcniTtk:2012/07/20(金) 08:30:45 ID:???
>>842-843
コメントありがとう。

「やだやだやだ、野菜やだ。お肉がいい!」
大河の甘叩きは命に関わると思う。

ところで。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008KHG4Y6/asnyaro-22/ref=nosim/

これを見て、「ちょっと座れ」と未来の嫁に説教を始める竜児を妄想した。

846高須家の名無しさん:2012/07/20(金) 08:34:45 ID:???
哀れ乳でそんな服を着てそんなポーズをとったら
胸んとこがペロンとなってえらいことになるのでは

847高須家の名無しさん:2012/07/20(金) 12:40:10 ID:???
えらいことになったから説教を始めたんじゃないの?
俺はそんな扇情的なカッコから哀れなモン見たいわけじゃないみたいな
言ったら甘叩きされるんだろうけどw

848高須家の名無しさん:2012/07/20(金) 23:06:26 ID:???
大河「哀れって言ったね。忘れないよ。永遠に。」

竜児は説教しながら真っ赤なんだろうなw

849高須家の名無しさん:2012/07/22(日) 14:09:23 ID:???
本スレの母子手帳夢面白いなあ
原作の警告夢とやらだって同時期にお互いの将来を夢に見ちゃったという事実じたいがいちゃいちゃ極まるんでさ
それぞれ枕ぎゅうぎゅう抱いてちゅっちゅしながらうなされてたんだろうと思うとメシが旨いんだよ

どんだけ取り繕えても両想いが判明して夏休み突入だからな!
大河は竜児がその気になるのを恍惚と不安ふたつ抱えてゴロゴロしていたに違いあるまい

850高須家の名無しさん:2012/07/27(金) 15:03:07 ID:???
「しろくまカフェ」のゲストキャラ女子高生が釘で、
>>782
>「素直な釘宮」という、妙に貴重な声が聞ける。
を思い出した。

あと「戦国コレクション」の劉備がほっちゃんだったんだけど、
なんかこー、「竜児に家事スキルを伝授されたみのりん」なイメージが消えなくて困ったw

851高須家の名無しさん:2012/07/28(土) 21:44:51 ID:???
>>850
見たww
だんだんてんぱって来た頃に「これ釘宮じゃないか?」と気づいてにやにやしていた。

852高須家の名無しさん:2012/07/30(月) 00:01:21 ID:???
>>850
何話?

853高須家の名無しさん:2012/07/30(月) 03:26:34 ID:???
>>852
しろくまカフェは17話の後半。
戦コレも17話「SUNSHINE Ruler」

854高須家の名無しさん:2012/08/02(木) 22:39:54 ID:???
>>853
サンクス

855高須家の名無しさん:2012/09/01(土) 18:23:39 ID:???
元々だがロム多すぎだろ
皆醒めたのかね…竜虎好き以外は元気なのになぁ

856高須家の名無しさん:2012/09/02(日) 00:49:21 ID:???
>>竜虎好き以外は元気

? 何をもってしてこんな判断に?

857高須家の名無しさん:2012/09/02(日) 11:14:00 ID:???
>>856
ネットのいろんな場所

SSとか面白かったら乙の一言でもいいと思うんだけどな。

858高須家の名無しさん:2012/09/03(月) 18:41:04 ID:K7N0VaqQ
竜虎らしくて、且つ、いちゃいちゃ妄想っていうのが割と間口せまいんだよね
まあ昨今は文芸板移転で相当数ROMじたいを振り落とした気はする

859高須家の名無しさん:2012/09/04(火) 23:49:58 ID:???
需要自体が低いって事?
そんな淋しいことはないと思うが…でもそう考えた方が自然ではあるんだよなぁ
竜虎の話題ならなんでもありと受け止めていたけど、テンプレを厳密に守ると妄想オンリースレになるのか
どこいっても人気の割に少数派なのは変わらんし
それが理由で過疎なわけじゃないだろうけど、応援スレと付け加えてみるのもいいかもね

少し前まではむしろ前スレよりは勢いあったような…?
なんか人がいるときいないときで落差が激しいよね
公式非公式問わず燃料のあるスレにしてはレスが少なすぎというか、スレ番50くらい余裕で超えてそうな投下の多さなのにな
>>1乙すらなかなかつかないし…
いっそ不人気なら納得いって割り切れるんだがそうじゃないから不思議だし歯痒い
伝染し黙る人が増え疲れてファンが去っていく。この悪循環に陥っている気がしてならない…

まあ嘆いてもしゃーないやね
別に気負わず好きな気持ちを表明すればいいだけなんだけどな。真面目な人が多いのか
愚痴に付き合ってくれて㌧

860高須家の名無しさん:2012/09/04(火) 23:57:31 ID:???
そういえば、自治スレが今LR議論中でカプスレは文芸書籍サロンへの方向に動いているから
次スレはまた移転になるかも。

861高須家の名無しさん:2012/09/14(金) 23:48:14 ID:???
まあまあ、そう言うなって。

熱心に書いてた作者だって、いつかは燃料切れになるんだよ。それは飽きたって事じゃなくて
やることやったって気持ちだから。

862高須家の名無しさん:2012/09/15(土) 00:35:41 ID:xXhaL4qM
あまりに竜虎の間柄に波乱が起きそうもないのと起きて欲しくないのとでネタを書くまでにいたらんのよw
ハナシというのはやっぱり波立たないと面白くないものだしね

先日、大河と竜児が結婚なり同棲なりを始めたので川越の実家に戻り悠々自適なやっちゃんを想像して和んだりしたよ
清児お父さんがやっちゃんに向かって「いつまで家でゴロゴロしてる気かとっとと嫁に行け」と説教してしまうところとか俺得だけど
まあこれじゃとらドラ!じゃなく出戻り!だな

863高須家の名無しさん:2012/09/15(土) 01:43:54 ID:???
>>861
いや、そうじゃなくてロムの話
SS作者さんたちには感謝してるよ

864高須家の名無しさん:2012/09/21(金) 23:32:06 ID:???
文キャラ板、また一覧壊れてるね
最近多いな

865高須家の名無しさん:2012/09/22(土) 03:07:23 ID:???
たまに検索からはじかれたりしてるな

今夜も大河が可愛くて切ない
竜児のごみレーズンちゅーちゅー&フェラ失敗して流血沙汰(誰得…)の妄想でもしながら寝よう

866みみかき!:2012/10/04(木) 16:30:46 ID:???
「竜児、ここおいで」

 大河が夕食の後片付けを済ませてきて座ろうとした竜児を見上げて言った。
 いつもは宗教的儀式のごとく満腹即五体投地なのにちょこんと正座をして機嫌が良いだろう証拠にふくふくと
頬をふくらませて目を細めている。おまけに自らの膝をぱんぱんと叩いたりしてる。

 竜児は持ち前の勘の良さで異常を察知し座りかけのへっぴり腰でぴたっと止まる。

「耳かきしてあげる」
「ねえよ」

 重ねて言うが大河の機嫌は良いらしい。なのにばっさりと切った。

「思いついたんだな?」
「えっ、なによ失礼な。たまには身の回りの世話をしてやろうって親切ごころじゃないの。
 私はねえあんたと違ってすぐべったべた触りたいとかだ抱きつきたたたいとかだらだっだだだーっ!」

「噛まんでいい噛まんでいい。文句つけてるわけじゃねえ。手に持ってるのは何だ?」
「『耳かきのための』棒(棒)」
「違う竹串だ。同じ竹でも耳掃除をするなら専用の耳掻きがある」

 竜児は抽斗をあけて竹製の耳掻き棒を取り出して示す。そ、そうそうそれそれそれよ!と嬉しそうに膝立ちの
大河にひったくられる寸前、はっと気づいてかわす。

「待て。・・・敢えて訊くけどお前ひょっとして耳かきの経験なかったりするだろう?」
「そんなことないよ。あるよ。・・・すごく小さい頃に」

 だいたいなければ座ってこう!ぱんぱん!しないで!しょーが!ちゃんと作法ぐらい!分かってる!証拠で!
しょーが!と区切って抗議を始める大河のひと段落を待って、おもむろに突っ込んだ。

「うん。分かった分かった。要するにだ」
「うん?」
「何年自分の耳掃除をしていない?」
「うっ・・・?しししてるよ?してるしてる・・・ときどきお風呂あがりとかに」
「耳掃除ってのは耳介つまり、」

 大河の髪を掬い上げて背中に流すと、あらわになった両耳をつまんだ竜児、外から見えるここだけきれいに拭いてるとか
そういうことじゃねえぞと諭し出した。相変わらず細かいうえに日常をきちんと過ごすための義務違反に対しては厳しい男だ。

「してないだろ?」

 正直に吐け、と三白眼からどす黒い炎がゆらゆらと立ち上がったように大河には見える。耳をつかまれ怖い顔の前に吊るされていると、
ここまでか、という諦めが湧いてくる。付き合い始めてからも竜児の暴君といった地位を守ってはいても、君臨すれども支配せずで、
筋を通されると逆らい続ける動機がない。

867みみかき!:2012/10/04(木) 16:31:55 ID:???
 というより構ってもらえそうな雰囲気にむしろ心が騒ぐのを抑えることができず、
反射的に仕返しっぽく竜児の両頬をむにーっとツネりあげていた手をおとなしく離した。

「前にホジホジしたのっていつだろ?さ・・・ん年?ぐらいかな?あ、もうちょっと?」
「ゆるさねえ。そのだらしなさとおぞましさは到底許すわけにいかねえ・・・」
「しょ、しょうがないじゃないのよっ。やり方よく知らないもん!」
「分かってる。四の五の言うな。教えてやる。さあここへ頭載せろ」
「・・・乙女の恥ずかしい穴を力ずくで広げて覗こうだなんてそんな辱めを」

 抱え込まれたなら抵抗するつもりはないらしく、ブツブツ文句を言いながらも尻の位置なんかを直しながら横向きに寝そべった。

「ああ、そういう趣旨か。じゃなくて耳掃除してやるなんてのは自分の耳で練習してから言え」
「だって、怖いじゃん。手元くるってブッスーって刺しちゃったらって思うと・・・」
「俺なら竹串でブッスーっと刺していいのかよ」
「あら、それはそんなつもりなくてよ。今晩のおかずが串焼きだったから手近にあっただけで」
「ほらみろ」
「くっつきたかっただけだから。目的は達したからもういい」

 どさくさ紛れの馴れ合いセリフを言い終わらないうちにあひゃ、と笑いとも叫びともつかない鳴き声を発してわずかに身をよじる。

「おう、これは痛かったか?」
「い・・・たい・・・のかな?ちょっと違うかも。なんか引っ張られたような感じでびっくりした」
「ふーん。じゃあ少しずつ剥がすからな。痛くなりそうだったら合図しろ。膝を叩け」
「は・・・は・・・恥ずかしい・・・こんなの」
「ネタが割れた以上は諦めろ。だいたい今さらおふくろさんに教えろとかやってとか言い難いだろうが」
「む。それはそうね」
「出来るだけ頭動かすな。あとくすぐるな。手元が狂う」
「・・・わかった」

 胡坐の膝に頭を載せた大河が静かになり、背中を丸めた竜児は真剣そのもので没頭し始める。

「ちょっと痒いんだけど・・・す、すごく痒いっ、ああもう我慢できない」
「どの辺」
「いま当たってるとこからぐるっと反対側!そ、そう!そこそこ」

「あんまり強く掻くと傷つけるからゆっくり弱めにするぞ。・・・しかし思ったよりは汚くねえな」
「綿棒くらいは使うわよ」
「なんてことするんだ。人がせっかく楽しみにしてたのに」
「ちょっと・・・趣旨が変わってない?」

「お前にも大物が取れたときの幸福感を知ってもらいてえからな。
 綿棒じゃあ〜ある程度ガンコに貼りついたヤツはかえって押し付けちまう。それをジワジワ剥がして、
 千切れないよう細心の注意をもって掻きだす。これが極意。収穫の喜びだ。お?・・・来た。来た来た来たっ」

 みろみろと竜児が言うので、耳元によせたティッシュで受けたそれを見ると思わず大河が変な唸り声に。

「で・・・っかー・・・」

 なぜか得意げな竜児の顔と手の上とを交互に見比べるうちに、やはり視線は獲物に釘付けになってしまう。

「よく入ってたわねこんなの。うわーきもい。あ、でもなんか耳の穴が広がった感じがする」
「後は湿らせた綿棒でぐるっと拭いて、乾いた綿棒に替えて水気をとると。さあそっちもやるぞ!ぐるっと」
「ぐるっと。こ、股間が目の前に!」
「文句いうな。こっちも大物が期待できそうだからな」
「あ、あひゃぁ!」

868みみかき!:2012/10/04(木) 16:34:27 ID:???
 明かりを強くして座り込んでから30分くらい経って、

「ねえ」
「んー?」
「やっちゃんに教わったの?」
「他にいねえよな」
「・・・じゃーやっちゃんにもー・・・して・・・あげた?」
「他にいねえからなー」

 大河の答えがだんだんとスローモーに、間が空くにつれて掛ける言葉も少めに・・・そして沈黙。

 よし終わったと竜児は寝息に向けて声をかけ綿棒を片付けて彼女の髪を手で梳きながら見入る。

 膝はとっくに痺れているし、遅くとも日が変わる前には自宅へ送っていかねばならないのだけど、
あと少しぐらい寝かせてやってもいいだろうと思った。そんなマッタリな時を過ごし始めれば揃って涎をたらしながら寝込んでしまうのもまた、
いつか来た道だろうと思っていると、ふわぁぁ〜、大あくびが出た。

 時折、竜児のシャツの裾を掴んだ腕がびくっと震えるのを感じては魅入られてる、と思う。
モウリョウは水の妖で魑魅が山の怪などと益体もない、魅は魑魅魍魎のうち山間の沢近くに棲む怪で獣の頭を持った人の形をとり、
迷い込んだ人間を惑わせるのだ。だから魅力には抗えないのだといった、どこかで読みかじった知識の断片が浮かんでは消える。

 (ああ・・・そういえば魅じゃなくて魑の方が虎の姿なんだっけ?俺も惑わされた後かもしんねえな)

 そっと頬を撫でればううんと返事が返ってくる。


****


「・・・起こしてよ。教わったら今度は私があんたを掘るっていうのが流れじゃん」

 案の定すっかり寝こけて家まで送られる道すがら。ちょっとだけぶすったれていた大河が不満を口にした。

「別に今日でなくてもいいじゃねえか。それより掘るはちょっとな。もっと適当な表現はねえのか」
「耳掃除する、かな。まあなんかこうスッキリはしたからありがと、と一応お礼は言っとくけど」
「な、なんだよ」

「よく考えたら私が耳掃除するスキルはぜんぜん上がってない」
「一生俺が掃除してやるから心配はいらねえ。とりあえず来週またな」

 母か、弟か、それとも義父か。不満の残る大河の練習台になるであろう哀れな者たちの運命は神のみぞ知る。



〜おしまい〜


忍法帖の関係で本スレには細切れでしか書き込めないのでこちらへ。
誰得な感じですが新たないちゃいちゃ地平を求めてみました。
宜しかったらどなたか代理投稿してもらえるとありがたいです。

869高須家の名無しさん:2012/10/05(金) 16:55:18 ID:???
代理投稿してくれた方、ありがとうございました。
・・・WORKING!!のぽぷらちゃんに耳掻きしてもらう妄想をしていたらいつの間にか大河になってたのは秘密w
ちっちゃいよ!

870高須家の名無しさん:2012/10/05(金) 18:38:02 ID:???
GJ!ニヤニヤさせてもらったぜ・・・
付き合う前の耳掃除もきになるところだ

871高須家の名無しさん:2012/10/21(日) 02:10:50 ID:???
とうとうカウンター40切るようになってきたか…
仕方ないけど淋しいな

872高須家の名無しさん:2012/10/25(木) 03:07:00 ID:???
むしろ、まだこれだけ人が居ることに驚愕
かなり息長い方だろ

873高須家の名無しさん:2012/10/25(木) 03:22:22 ID:???
竜児が昇進のプレッシャーとストレスでEDになって、抱き合えない切ない夜を過ごしている鬱SSを書いてくれる神はおられませんか?

書いてくれたら靴舐めてもいい

874高須家の名無しさん:2012/10/25(木) 10:36:07 ID:???
>>873
マニアックなネタだなwww

片方の靴は任せてくれ。読みたいです

875バーバリー バッグ:2012/10/26(金) 18:26:46 ID:???
お世話になります。とても良い記事ですね。
バーバリー バッグ http://www.burberryfactory.com/バーバリー-バッグ-c-24.html

876高須家の名無しさん:2012/11/12(月) 01:06:25 ID:8e4a9bYk
噛まれそうでスリリングなフェラしてくれそうな大河かわいいよ大河
噛まれるのが怖くてなかなかしゃぶらせられない竜児かわいいよ竜児

いまだにこんな妄想ばっかりしてまふ(^^)ニコ

877 ◆x6jzI2BeLw:2012/12/02(日) 02:18:30 ID:???
久しぶりに投下しようと思えばアク禁でした。
そんなわけでこちらへ投下。

878 ◆x6jzI2BeLw:2012/12/02(日) 02:19:08 ID:???
「ねえ、竜児」
突然、大河が深刻そうに言い出した。
「…もう、終わりね。私たち…辛いけどそれがお互いのためよ」
長い物語の終わりに終止符を打ち付けるような大河の台詞に竜児は動きを止めた。
「それ、本気で言ってるのか?」
「ええ、本気よ」
決意を示すように大河は声に力を込める。

大河から切り出された別れ話。

どうするの竜児?とも言うべき視線で大河は別れを告げた相手を見つめる。
見つめられた竜児は困惑の表情を浮かべ、理解できないと言う仕草で大河から目線を逸らした。

静寂がふたりの間を支配する。

やがて耐え切れなくなった竜児が口を開いた。

「…あのな、説得力ねえぞ。この状況でそんな事、言っても」
呆れるような口調で竜児は大河に言う。
「…駄目?」
「当たり前だ」
「乗りが悪い、竜児」
「無茶言うな…どうやったらそんな小芝居、付き合えるんだ」
「少しくらい付き合ってくれたっていいじゃない」
小さく頬を膨らませ大河は抗議の姿勢を示す。
「だいたい昼飯食い終わった直後にそんなこと言い出して誰が真に受けるんだよ」
ちゃぶ台の上の食器を片付けながら竜児は言う。
ついさっきまで、おいしかった、満足満足とお腹を撫でてていたのだ大河は。
そんな奴が何を言ってもたわ言にしか聞こえないが、正直言えば竜児は少しドキリとしてしまったのだ。
それを押し隠す様にやや乱暴にちゃぶ台の上に布巾を走らせる竜児。
「ちょっとくらい慌てるかなって思ったんだけど」
頬杖を付きながら大河はつまんないと台の下で足をばたつかせる。
「嘘くさいんだよ、台詞が」
「あ〜あ、女優は無理か」
大河は天井を見上げた。
「何だよ、女優って?」
「…ん、この間、同じゼミの子に誘われて演劇サークルのお芝居見に行ったの」
「ああ、先週だっけ…用事があるから俺んち来るのが遅くなるって言った日」

879 ◆x6jzI2BeLw:2012/12/02(日) 02:19:43 ID:???

大学へ進学し、違う学校へ通うようになった大河と竜児。
平日はすれ違いが多く、勢い土日は以前のように竜児の家に入り浸る大河の姿がそこにある。

「なんか、すごいな…って」
役者が生で演じる芝居の魅力に圧倒された大河は観劇直後に言ったのだ。
私にも出来るかな…と。
そんなことを聞かれた相手はラブラブな高須くんに別れ話を持ち出して慌てさせられたら素質あるわよと笑いながら言ったのだ。

「…で、試したと」
呆れ顔の竜児に素直に頷く大河。
竜児は少しばかり頭を抱えたくなった。
「シチュエーションってもんを考えろ」
食後の昼下がりに満腹して幸せそうな奴が言う台詞じゃねえと竜児はぴしゃりと言う。
「そっか、時と場所を選べば、上手くいったかも」
物騒なことを言い出す大河に竜児は内心、渋い顔をするしかない。
もし、さっきのが夕暮れの駅前とかそれなりの整った環境で言われていたら、動揺を押し隠せる自信が無い竜児。
別段、大河の気持ちが離れるとかそんな事を露ほどにも思っていなくても、不意を撃たれればどうなるか分からない。
流しで食器を洗いながら竜児は俺もまだまだだなと軽く頭をたたいた。


「怒った?」
「別に…怒ってねえ」
「嘘、怒ってる」
「怒ってねえ」
居間に戻ってからもなんとなく面白くなくて不機嫌さが出てしまい、竜児は大河と押し問答する。
「…ふう」
大河は小さく吐息を漏らすとつぶやいた。
「ごめんね、竜児…ふざけちゃって…」
ややもすれば目線を逸らしがちな竜児に向かい、大河は頭を下げた。
「もう帰るね・・・ごめん」
そう言うと大河は立ち上がり、呆然とする竜児を残して玄関を出た。

大河に出て行かれた竜児は閉じたドアの前で呼び止めようとした姿勢のまま固まった。
…俺、大人げ無さ過ぎか。
ついさっき出て行った悲しげな大河の横顔がフラッシュバックする。
こんなモヤモヤした気持ちを抱えながら、また1週間会えないのは辛い。

「大河!」

次の瞬間、そう叫ぶと竜児は追い駆けるべくドアを思いっきり開け放った。

880 ◆x6jzI2BeLw:2012/12/02(日) 02:20:11 ID:???


「遅い、竜児」
ドアの向こうに帰ったはずの大河が階段の欄干に背を預けて立っていた。
「…大河?」
「何で、止めないのよ、本当に帰っちゃうところだったでしょ」
「…本当にって?」
「嘘よ…帰るわけ無いじゃない。せっかく竜児といられるのに」
「…お芝居?」
「演技派女優、大河様ね」
花が咲き誇る様な笑みを浮かべる大河を前に竜児はまた叫んだ。

「大河!!!!」



「ね、どうだった私のお芝居」
「ああ、上出来だ。完全に騙された」
居間に戻った竜児と大河はさっきのやり取りを振り返る。
今度こそ本当にぶすっとしてしまった竜児を大河は楽しげに見やる。
「少しは女優の素質あるでしょ?」
「まだまだ…足りねえな」
強がりを言う竜児に大河はクスッと笑うと立ち上がり、ちゃぶ台の反対側に座っていた竜児の前に腰を下ろした。
「大河?」
「ん…ちょっとだけ」
そう言うと大河は背中を倒す。
竜児の胸板に軽く体重を掛けながら大河は首を上に向け、竜児を見つめた。
長く伸びた大河の髪が居間の畳の上に広がる。
竜児は手を伸ばすと、その髪の先端を指先ですくい上げ、くるくると絡ませた。
髪が引っ張られ、くすぐったそうに大河は目を細める。
そのまま、竜児は指先を大河の頬へ押し当てると、そっと撫でた。
竜児の胸にさらに掛かる大河の重み。
柔らかい頬を上から下へと滑るように動く竜児の指。
繰り返されるたび、大河の力は抜けて行く。
安心しきった表情を浮かべながら、大河は竜児をじっと見つめ、ゆっくりまぶたを閉じた。

そしてまた竜児も大河の体温が頬に感じられるようになる直前、目を閉じた。


全てを委ねきった姿勢で大河は竜児にもたれかかる。
そんな大河を腕の中に囲い、竜児は触れ合う場所ごとに大河を感じ取る。

「ね、もうちょっとぎゅって」
「こうか?」
「うん」
甘えるような声に竜児は腕に力を入れ、大河を包む腕の包囲の輪を小さくした。
心地良さ気に鼻を鳴らす大河。
しばらくの間、夢見るような顔を竜児に見せながら大河はまぶたを半開きにする。
「寝ちゃいそう」
「ある意味、嬉しいが、ある意味、悲しいぜ」
「どういうこと?」
目をぱちりと開くと大河は言う。
「もう、ドキドキしてくれないのかなってさ」
「ばか」
嬉しそうに悪態をつくと大河は悪戯っぽく付け加えた。
「確かめて、みる?」

881 ◆x6jzI2BeLw:2012/12/02(日) 02:20:35 ID:???

「少しだけ、早いでしょ」
それとも服の上からじゃ分からない?と大河は笑う。
ささやかな胸の谷間に着陸した竜児の宇宙船。
「竜児とこうしているとドキドキ、収まらない」
「だな…トクントクンって」
「ね、嘘じゃないでしょ」
「ああ」
「もう少し、そのままで居て」
手を離そうとした竜児を制して大河は言う。

しばらくそのままでいた竜児だが急に大河が顔をほころばせたのに気が付いた。
「何だよ?」
「ちょっと、思い出しちゃったの」
「何を」
「・・・初めてのとき・・・竜児と」
熱くなったのか自分の指先で頬を突っつく大河。
竜児が見れば少し赤みが増していた。


なんとなく、いつしか一線を踏み越えた大河と竜児。
いきなりこんなことになるなんて予想もしてなかったと大河はあの時、思ったものだ。
…いいのかよ?
しつこく念を押す竜児に大河は何度も頷いた。
…止めないよ…竜児が嫌なら無理強いはしないけど。
…逆だろ…それは俺の言う台詞だ。


「…終わった後、別々にシャワー浴びたでしょ」
「おう、あの時シーツを引きずって風呂場まで行ったよな、大河」
「あれは…」


思わず突っ走ってしまった大河だが、全てが終わった後で急に恥ずかしくなったのだ。
まじまじと竜児が自分を見ているのに気が付いて慌ててシーツを掴むと体を覆った大河。
…見んな!
そう叫んで浴室へ駆け出したのだが、シーツを踏んで途中で転んでしまい、肌色の背中を100%見せつけながら浴室へ行く羽目になったのだ。

大河が出た後で竜児もシャワーを使ったのだが、お湯を浴びながら改めて幸せと言うか、すごく満ち足りたものを覚え、大河を愛おしく感じられてたまらなくなった。

だからだったのかもしれない。
先に出ていた大河が気恥ずかしいのか、背中を向け膝を抱えた格好で座っているのを見つけた竜児は後ろからそっと大河を抱きしめたのだ。

そんな竜児に大河はこう言ったのだ。
…り、竜児…今日はもう無理!!

882 ◆x6jzI2BeLw:2012/12/02(日) 02:21:09 ID:???


「ああ、あったな、そんなこと」
懐かしそうに大河も頷く。
「でもなあ、そんなにガツガツしてるように見えたか?俺」
「だって…急に抱きしめるから竜児がまたその気になっちゃったのかって」
「そんな馬鹿なこと要求しねえよ」
苦笑する竜児。
「そうだね」
その言葉に大河も同意する。
竜児はいつも自分のことを考えてくれる、そう大河は思わざるを得ない。
久しぶりに会えた時でも大河の体調が悪ければ、竜児は決して無理をしない。
…私は構わないよ
そう大河が主張しても竜児は取り合わない。
…だから、お互いの気持ちが高まった時は大切にしたい。

「そうだ、大河」
「何?」
「ひとつだけ、言っておくけど、さっきの女優の話」
「うん」
「観客は俺だけだからな」
真面目くさった顔で言う竜児。
「どういうこと?」
「大河は俺だけの女優って事だ」
竜児の言っている意味が分からないという表情で大河は見つめる。
「最後まで言わすなよ」
少しばかりの照れを浮かべ、竜児は後を続けた。
…あのな、大河の笑顔も泣き顔も…みんな俺のもの…
つまり、そう言う事だとごにょごにょ言う竜児。
意表を突かれた大河は一瞬、ポカンとし、そのまま、まばたきを二度した。
そして急速に大河は顔いっぱいに喜びの色が広げた。

そのまま、大河は身を起こすと改めて竜児の肩に寄りかかる。
「ねえ、竜児」
「おう」
「何度も言ったけど…聞き飽きちゃったかもしれないけど…」
大河は竜児へ視線を向け言葉を紡ぐ。

「大好きだから…あんたが」

大河に応えるように竜児は細いその体を抱き寄せる。


買い物に出掛けた泰子が帰って来るまで、後1時間。
借家の昼下がり、ふたりだけの時間が過ぎてゆく…


以上です。

883高須家の名無しさん:2012/12/02(日) 09:44:54 ID:???
乙! ううっ2828が止まらねー!

884高須家の名無しさん:2012/12/02(日) 20:58:56 ID:???
>>882
乙です、同じく2828がとまらないw
本スレに投下とあったので代理でさせて貰いましたがよかったかな

885高須家の名無しさん:2013/01/29(火) 23:04:07 ID:???
規制中なのでこっちで

本スレ970
文芸書籍サロンでいいと思う
というか誰か反応しようよ…次スレいらないのか?

886高須家の名無しさん:2013/02/01(金) 21:06:04 ID:???
みんなシャイなのさ
末永く続くスレにしたいものだね

887高須家の名無しさん:2013/02/02(土) 18:24:12 ID:???
禿同

888高須家の名無しさん:2013/03/02(土) 22:26:49 ID:???
すまぬ、今の本スレはどこにいったんだ?
誰か教えておくれ

889高須家の名無しさん:2013/03/03(日) 02:18:56 ID:???
ttp://toro.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1359899224/

小説・ライトノベルキャラ板から文芸・書籍サロン板に移動した

890財布 ヴィトン:2013/03/11(月) 20:49:05 ID:???
お世話になります。とても良い記事ですね。 財布 ヴィトン http://louisvuitton.gamagaeru.jp/

891高須家の名無しさん:2013/03/11(月) 22:36:41 ID:???
本スレ>>61
乙です!
そういえば本編のバレンタインは一応婚約記念日でもあったっけか。
アニメ版の高校3年時のバレンタインは2人離れてるから色々妄想の余地はあるよね


このニュース見て久々にこの聖地に戻ってきた(規制中orz)

ttp://blog.livedoor.jp/nizigami/archives/24447643.html

ここの住民の仕業かと一瞬思ったけど、ここの住民にしては竜分が足りないなと思い直した
ここのスレ風にして投稿文改変するとどんな感じになる?

892グッチ バッグ アウトレット:2013/03/12(火) 13:32:01 ID:???
匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_^;)ありがとう。。。 グッチ バッグ アウトレット http://gucci.kanpaku.jp/

893 ◆Qk6jhPcJQg:2013/05/03(金) 18:44:32 ID:???
ギシアン祭り開催と聞いて遅ればせながら…と思ったら規制中orz
どなたか代理お願いします

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4170900.jpg

894 ◆Qk6jhPcJQg:2013/05/03(金) 19:30:28 ID:???
本スレ>>147
代理ありがとうございます!

895高須家の名無しさん:2013/05/13(月) 16:37:45 ID:???
意外と竜児の人気が高くてワロス
http://onecall.livedoor.biz/archives/6509247.html

896高須家の名無しさん:2013/05/15(水) 23:46:38 ID:???
確かに竜児はハイスペックw

897 ◆Qk6jhPcJQg:2013/07/19(金) 18:45:26 ID:???
>>243氏じゃないけど形にしたらまさかの規制中
どなたか代理お願いします

ttp://moe-moe.dip.jp/cgi-bin/b/src/moe1886.png

898 ◆Qk6jhPcJQg:2013/07/20(土) 00:15:06 ID:???
本スレ>>249
代理ありがとうございます!

899高須家の名無しさん:2013/07/24(水) 11:16:35 ID:???
前にどこかで、これ絶対に竜児のキャラソンだw と書いたことがあるのだが
それの動画を見つけたので貼っておく
ttp://www.youtube.com/watch?v=yCal53lnfXA

900高須家の名無しさん:2013/07/26(金) 03:44:32 ID:???
>>899
踊る竜児を想像してみようとしたが厳しかった
完全に竜虎ソングだw

901高須家の名無しさん:2013/09/22(日) 01:55:34 ID:???
ニコで一挙放送したんだな
これを機にスレ民が増えるといいなー

902オークリー ゴルフ:2014/05/16(金) 12:32:22 ID:???
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オークリー ゴルフ http://www.gztk1718.com/images/LOGO/ok/okown2005.htm

903トリーバーチ お財布:2014/05/16(金) 12:34:05 ID:???
\s\e\I\O\!\A\・\c\o\|\£c`\ ̄?E?A!¢(Gianfranco Ferre)?¬2011AeCi¶¬\3\i\ ̄\・\c\o?o°k±i?・??!£\E\T\??\¢\-\ec`\I?E\i\U\e\E?\e\a\o\C\£?I\C\¶\?\o?E?e?e\O\§\i?I\3\i\ ̄\・\c\o!£?n\・c`\o\o?I\O\e\o\ ̄£?\i\?\E?\e\?\E?I?¨oB?≪?e\?\o\1\O\ic`\・\c\o?oμA?A!¢1a?oE≪2E?EOA?-“Q?¨?e???|°kIe?≪?e3o°k?・??!£&nbsp;\≪\ec`\N\i\A\E?IYx? ̄?e?|?E°×?E\Uc`\,\a!¢\・\e\Dc`?E?O?¨?A!¢u\?a?¬?O?i?e!£I¬?,\≪\ec`?C?aEO2A?Is`???E?e?A?AEu?T?i?eI¢Ai?E\E\a\¢\o\1?I¶a?”?C!¢1a?EE≪2E?E???1?e?????E,DDO?o?|?≪?¬?i?≫?e!£?IU|?I,s?μ?I?Rμ1μA?C!¢\・\e\Dc`?I\e\a!¢!¢!¢\・\e\ ̄?E?E?o\Uc`\1?E!¢\O\!c`!¢\¢\1\E\e\≪\o!¢\i\¶c`?E?E×i,s?‰EO2A?¬?O?i?e!£\ec`\o?C\・\ac`\×?E\・\e\¨\A\E?a!¢??2??EOA?e?T?C?Oμ×?・?A\D\e\o\1?¬O?Ea?μ?i?A???e!£\1\≪c`\EOE?I?A?c?|?EI\?¬eL?i?eeL?μ?≪OE!£? ̄?e?O?・?T?CeL?i?e?I\1\E\?\A\ ̄?E?T?C?E\?\?\E?A!£\E\A\×\1?IEU?・?c?¬?U? ̄!¢O±??μA?E\e\?\o?¬O!IoμA!£\?\?\e\¢?I\μ\e\E?I??Dg?onlE1?・?A!¢I×…f?I?E??Ieeμ?E\・\e\¨\A\E?¬×・Co?μ?i?A???e!£\O\e\o\E?I?sE・?E??Dg!¢???・?A2AAU?¢?O?i?e\C\¶\?\Ec`?\C\a\a?IAAN§?¬EUoI?・???R?†?I\3\i\ ̄\・\c\o?A!£
トリーバーチ お財布 http://www.jdzzls.com/Edit/images/tbnew/toryb149.htm

904トリーバーチ ワンピース:2014/05/16(金) 23:30:12 ID:???
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?I2014-15AeCi¶¬\3\i\ ̄\・\c\o?I!¢\,\a\±\A\E!¢!¢!¢\O\e\?\E\,\a\±\A\E?E?E?I&ldquo;\a\E\O\cc`\a&rdquo;?E!¢\1\E\ec`\E?a\N\o\ ̄!¢c`?EOaEO?o???e?≫???e?3?E?C!¢DAor?E\1\?\?\e?o???°?3?E?E3E1|?・?A???e!£!!It…??I?¢?e\O\e\E\¢\A\×\・\c\e\Ac`?I\A\§\1\?c`\3c`\E?a\,\a\±\A\E?E?I!¢\Y\A\×?E\E\A\E±u?a\C\E\a?ooI?i?≫?e?3?E?C?O?a?・?μ?oIa?¢!£Aa?ENO?¨?D!¢\Y\A\×?E±u?o¶aOA?・?A???e?I?EYX!c?・? ̄O??¨?E??!£?n≫O?I\?\o\1\O\ic`\・\c\o\?c`\1?I!¢EuOa?Y?E±iCe?o?・???do??IEUAe?E!¢´o?-?E?d\U\?\o?IIeeμ?EOA・t?EEi?o°u?o?AU???1U?¬D´?A??O≫A¶?I?O×aD´Oa!£EUAe?I\Y\o\O\e\a?C!¢U???1U?I×a,,?A!£\Y\o\O\e\aEUAe?E?E?A?A!¢×a,,?I…??・?μ?E???・?μ?I?I・??o?I?¨?A? ̄?i??EE?A?A???I?A?i?|!£???o?E×a,,?O?IE????¬\3\i\ ̄\・\c\o?E?B?s3o?A???e?e?|?E?Y?¬?・??!£!!\1\?\?\e\o\°?I\Y\?\o\E?I!¢\¢\|\?c`?e?e´o・u?EeL??\?\o\Ec`E1??!£?n\・c`\o\o?I\E\i\o\E?E?E?A?A???e×A?3?E?・?A?¬!¢\Y\o\O\e\a?I???i?I?E?≪? ̄CD?iI¶?¬a???!£\i\o\°OE?I\?c`\E\e\I\A\ ̄\≫c`\?c`?E\・\a\A?IOO?I×A(\U\?\o?IO≫・¬EI?T?CAo?a?e)?I!¢?YYX?E?n?A?Y?μ?oNY3o?C?-?e?≪?eA÷DD?1?e?I?I´_?g?A?i?|!£±!EO?I\Nc`\≪c`?I\?\o\Ec`?E\´c`\,\a\1?E\e\O\A\E\O\!c`?oAaOA?・???e?|?E!¢±i?ENY?IEO2A?oAa?E?・???e?|?E±i¬F?aA?A¢?A!£\≪\ec`\N\i\A\E?I?”!c?E?aμ-?C±i¬F?・??\O\ec`?o≫uO{?E!¢\°\ec`\o!¢\a\i\o\,!¢\?\¨\ic`?o’・?・E≪?E?・?AE1OA!£\i\・\¢?I?≪D£?oE??i?≫?e\O\!c`?I\I\A\E?a\≪\e\O\e?E\i\¶c`\°\ic`\O?E?E?ID!IiE1???aO!IoμA?A!£Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)
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907オークリーサングラス ゴルフ:2014/05/17(土) 23:10:20 ID:???
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908トリーバーチ 店舗:2014/05/18(日) 08:12:37 ID:???
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909オークリー ゴルフ パンツ:2014/05/18(日) 08:30:54 ID:???
2013Ae9OA28EO(IA)?≪?e10OA27EO(EO)?T?C?c¶??C1ueHIeI¨U?Dg?A!,KYOTO EXPERIMENT 2013!1?¬e_´s?μ?i?e!£2010AeCi?EOQEu?・!¢?nAe?C4≫OA??E?E?e?3?I\O\§\1\A\£\D\e?E?I!¢EO±?1uAU?I?s?E?e?o!¢\O\e\,\e!¢\O\e\o\1!¢\?\R\e\1!¢\E\?\A!¢\¢\e\?\o\A\o?≪?eEA?c?IIeI¨U?Dg?o??Oy?1?eIEa?μA?E×÷A・!¢\¢c`\A\£\1\E?¬? ̄?|!£!,\¨\ ̄\1\U\e\a\o\E=?goY!1?o1U?・??\O\§\1\A\£\D\e?IoEDA?I!¢?E´a?I\,\a\o\e????M?s?o3¬?¨??I´Oa?E?e±i¬F!£EA?c3oNY?I?a?I?≪?e!¢\¢c`\A\£\1\E?e?¬12I¬Nu×÷?oOO?I?A?“?e3o?・??×÷A・?o°k±i!£???IEu!¢O1OE≫a!¢\i\ ̄\A\ac`!¢\・\o\Y\,\|\a!¢EIO3≫a?E?E?a?gEc?μ?i?e!£!,KYOTO EXPERIMENT 2013!1?C!¢\ac`\×\E\o\°?oi??e?I?¬NY?!\a\E\A\E \A\§\e\O\£\A\A\a?IIeI¨!,μOAa?E´2!1!£2013Ae9OA28EO(IA)?29EO(EO)?I2EOegEINY?1?e!£DA?・??±i¬FEO・¨?ENY3o?E?e?e×¢A??o? ̄?a!¢?n?aEO±??I¬F´uNY?!?o\ec`\E?1?e´aOU?E?E?A??\A\§\e\O\£\A\A\a?A?¬!¢?n≫O?IIeI¨?C?I3o?a?A?IOo?S?!?EIo?a!£IiOZ?IOO¶¨?I!¢EO±?OZ?oO’?1?a?I?¬?U?E?o?E???E? ̄?E?A?A?・?T?A???uI´A´?IEO±?!£???3?E?I!¢NOE~?E1Ea_?oE§???A?A?¢?e!,EuOs!1?E!¢±E?e?o‘n?|!,EAOs!1?IAuo|?I??A¢?¬?¢?A??!£AUIeI¨?oA£?・??IeI¨AADg?E!¢×OA≫?I?§Ee?E?e?e!¢IiOZ?o\a\Ec`\ ̄?EAe?-3o?1!£EINY?E?¢???e\?\A\°?o?M?o?A?I?I!¢Oo×÷?O?I・A?‰?o?I?,?a?E?・??!¢,iDAμA?E\×\i\,\§\ ̄\E?¬O’i}?I\?\o\1\E\\\e\a\o\?\e\D\o\E?\μ\o\¬\A!£YKKap?ICMOo?S?E?E?C?aOa?e?i?e?gA|AE?I±E?e?IOo?S?E!¢”ODA?E?C¶E?≪?eAR?e?U?2?e?i?eU??????A?INY???Ieg?E!¢?E?I?e?|?E≫ ̄N§・´?e?¬Ad?3?e?I?≪×¢A??A!£???IEu!¢?goYOo?S?I\s\ac`\,\・\a\o?C¬F´uAADg×÷?O 3OIiAAE??I\N\O\cc`\T\o\1!,superposition!1?a!¢\O\e\,\e?EEO±??EDD?-A´?IOD?CEu?T?i??\T\e\≫\i?\¨\o\§\e\o?I!,I≫E≫?E?3?a?≪?・?3?au\E??IEE?A?≪?e?E?E?e!1?E?E?¬EO±??C3o?a?A°k±i?μ?i?e!£!?,AOa!?KYOTO EXPERIMENT ?c¶?1ueHIeI¨U?Dg?A 2013e_´sAUeg:2013Ae9OA28EO(IA)- 10OA27EO(EO≫a?o:?c¶?U?Dg\≫\o\?c`!¢?c¶?U?Dg?!?o ´oCi×u(?c¶?OiDIU?Dg´oN§AU)!¢Oa?A¢O\D!N§D£!¢?c¶?,RA¢,RAn\Uc`\e\¢\e\A\£!¢Gallery PARC!¢?c¶?EDOUEuC°?U?o EuAUEY:1≪E?\×\i\°\e\a 10×÷A・!¢!,E1?¨?e\×\i\°\e\a!1!¢\O\e\o\,!,\ac`\×\o\¨\o\E\ec`×÷A・!120×÷A・!u???I?U?≪!¢O1OE≫a!¢\i\ ̄\A\ac`!¢\・\o\Y\,\|\a!¢EIO3≫a?E?EevsB\?\U\o\E?oe_´sOe¶¨O÷´s:?c¶?1ueHIeI¨U?Dg?A?gDDI ̄†T≫a(?c¶?ED!¢?c¶?U?Dg\≫\o\?c`!¢1≪OaO”‡a・¨EE?c¶?EDU?DgIA≫ ̄…f≫a!¢?c¶?OiDIU?Dg´oN§ IeI¨U?DgND??\≫\o\?c`!¢1≪OaO”‡a・¨EE?c¶?EDOo?SU?DgIA≫ ̄OnAdO”‡a)!?1≪NYCe?o!?!,μOAa?E´2!1EO?r£o2013Ae9OA28EO(IA) 15:00?!¢19:00? 29EO(EO) 14:00?!uEU,¶e_E?-e_NY?I60 ・OC°!¢e_?o-e_NY?I10 ・OC°≫a?o£o?c¶?,RA¢,RAn\Uc`\e\¢\e\A\£×!Eu£o?c¶?EDEI?cCo?oIeI¨O≫IoIA\ey?C°iR590-1!uμOIAa??oIe??!,?n3o´¨nk!1IAU‡!¢6 ・¬3o?U?e?eAI?OI??i5 ・OEINY?reg£o90・OAI?d£o×OOEI ̄O≫°a C°‰O£?3,500!¢μ±EO£?4,000\ac`\1?N§Eu C°‰O£?3,000!¢μ±EO£?3,500\・\E\¢ C°‰O£?3,000!¢μ±EO£?3,500,sD£EuOOIA C°‰O£?1,000!¢μ±EO£?1,000!u\ac`\1?I25 ?rOOIA!¢\・\E\¢?I65 ?rOOEI1≪E?\μ\?\E?E?I!¢?uIiAuO?(\A\§\e\O\£\A\A\a)&times; ,£OADA(D!Oh?O)?E?e?e\?\o\?\O\ac`?a’÷Yd?μ?i?A???e?I?C?3?A?e?a\A\§\A\ ̄?o!
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910トリーバーチ 財布 メンズ:2014/05/18(日) 12:08:01 ID:???
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912oakley radar:2014/05/18(日) 21:14:10 ID:???
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914オークリー レンズ:2014/05/19(月) 08:56:15 ID:???
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915オークリー ゴーグル レンズ:2014/05/19(月) 20:39:35 ID:???
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916オークリー ジョウボーン激安:2014/05/20(火) 07:42:20 ID:???
\i\o\E\o?\O\!\A\・\c\o?\|\£c`\ ̄?E?A°k±i?μ?i??£¨ISSA LONDON£c?I2011Ae´oIA\3\i\ ̄\・\c\o!£\?\o\E?I\¨\-\?\A\A\ ̄?C≫iA|?E?o?A??iL?°?¬\?\ac`\,\?c`\1?E?E?e!¢E≪?E?e?E?e?I±|E ̄?CEAu??E×Ai??A??AA?・??\?\o\E?IARDOs_?a!¢?≫?yμA?E\μ\ec`?a\¨\-\?\A\A\ ̄?E\×\e\o\E?I\¨\i\¬\o\1?E\?\o\1\N\?\¢?μ?i??\3\i\ ̄\・\c\o!£\?\o\E?IIA≫ ̄?a×3u??E?¨oB?¬\C\¶\?\o?EAa?E?・Tz?T?i!¢\μ\ec`?I?e?|?E??NA?E!¢\¨\-\?\A\A\ ̄?E\?\O\E\o\°?a!¢\C\e\±c`\E?CN}ej?E\C\£\Ac`\e?¬\¨\i\¬\o\E?E?o?“?eEI?2??!£\≪\ec`\N\i\A\E?I!¢I≪e??IYx?-?EOO?e?μ?i??\?\o\E?I\Oc`\A?a…??≪?EEAOo!¢e??Y?E\O\§\1\A\£\D\e?E?E!¢?”!c?E\?\o\E?IiL?°?oCD?eE!?A???e?|!£or?a?≪?E\i\A\E!¢\?\¨\ic`!¢\O\ec`???・?AA÷?e??\°\ec`\o?¬!¢1A???mμi?o\?\ac`\,?μ?≫?eAa?A×A?????EAA?・??\3\o\E\e\1\E?o?E?・!¢\≪\e\O\e?E?I?E\・\A\ ̄?CI´???μ?i??e?‡i?Y!£EO2A?a\・\e\ ̄c`!¢?????E!¢EO???s?I!¢´I???IEe?A??\3\A\E\o\U\?\e?a\?\?\e\¢Nu?I\T\A\E?E\,\ac`\,c`μE!¢U??g?C×ADAμO?I?e??EuμO?≪?e×÷?e?i?A???e!£´oEE?IARDO?I???a?I\¨\i\¬\o\1?o×・?°?1?e!¢\?\A\μ \i\o\E\o?E?e?C?I?I\3\i\ ̄\・\c\o?EEEEI?¬?A??!£
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917トリーバーチ 激安 バッグ:2014/05/20(火) 07:42:45 ID:???
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924トリーバーチ 財布 激安:2014/05/22(木) 22:19:24 ID:???
?I2012Ae ´oIA\3\i\ ̄\・\c\o?C?I!¢1960Ae´u?I\i\o\E\o?I\Y\A\×\¢c`\E\・c`\o?E!¢???3?C≫iUS?・??\¢c`\A\£\1\Es_?¬\?\o\1\O\ic`\・\c\oO´?I?n??!¢\O\i\A\・\a?C\¨\i\ ̄\A\£\A\ ̄?E\1\?\?\e?¬“B?A??!£&nbsp; ?T?o?I\Oc`\?c`?\O\i\?\ ̄!£60Ae´u?I\Y\A\×\¢c`\E?I\N\?\a\E\¢?C?¢?e!¢\Oc`\E\e\o?I!,\μc`\,\§\o\E?\U\Nc`\o?\i\o\ec`?\Ic`\A?\ ̄\e\O?\D\o\E!1?I\¢\e\D\a\,\a\±\A\E?oEO’i?±???3?E?C?aODAu?E\¢c`\A\£\1\E!£DOOa?C?eOA?¬1a?eEi?t?I\3c`\E?EE??T?e!¢\3c`\E!¢\,\a\±\A\E!¢?I\3c`\E!¢?E\N\?c`\o?I\N\o\A?¬?A? ̄!£\¢\?\A\a?II¬?,? ̄\?\R\e\1EE\Y\A\×?\¢c`\A\£\1\E?CLAOU×!?I\C\o\£\A\E?\U\A\ ̄\Ec`?I\e\?\O\1\?\?\e?≪?e!£\N\1\A\e\°\ec`\o!¢\¢\ ̄\¢\O\ec`!¢°×!¢\e\?\E\°\i\??EE¬?a?≪?E\≪\ec`\N\i\A\E!£\U\|\?\??a!¢O°CoA±!¢?I\O\ic`\°\・\ac`\o?¬s[?ODA?¢?O?i?e\Y\?\o\E?o\×\e\1?・??!£\1\e\A\N?oAA?-!¢\×\e\o\E?I\・\e\ ̄?I?a\N\,\a\T?I?e?|?E\1\?\?\e?a!¢\1\E\e\?\×?I\¢\o\Ac`\|\§\¢?¬AμEE?C?¢?e\Oc`\?c`?\・\a\i\・\o\¬c`?E?I!¢\≪\e\O\c\e\E\¢?II≪e??IIA?C?I,E? ̄EA?a?≪?EEu≫i?oaY?・?E?μ?≫?e!£&nbsp; \e\1\E?I!¢\i\o\E\o?I,s?‰×!O¬?O\a\?\O\§\¢?a?Z?S?O\?c`\Uc`?I\¢\o\Ac`\°\e\|\o\E?I\E\?\E\ ̄\e\O?E? ̄?|\¢c`\A\£\1\E?a\i\A\ ̄\1\?c`!¢\a\C\es_?I\1\?\?\e!£\1\e\a?C\・\ac`\×?E\e\?\o?¬\≫\ ̄\・c`?E×E?I!¢oAEA?E´I???a?I?A?±??\,\a\±\A\E!¢?E\×\e\o\E!¢\1\Ic`\ ̄\×\e\o\E?I\1\-\Ec`\N\o\A?E?E\i\A\ ̄?Ee?‡i?Y?C???A?N???A!£\,\c\o \¬\e\¢c`\I?¬E\?A??aa?a!¢\¬\e\¢c`\I?I\1\O\e\A\E?I\O\e\o\E?E?・?A?≪?e?EEU?±?A?¬?i?A???e!£&nbsp;
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925トリーバーチ アウトレット:2014/05/23(金) 01:35:45 ID:???
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926トリーバーチ ピンク 財布:2014/05/23(金) 05:11:40 ID:???
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927トリーバーチ セール:2014/05/23(金) 08:49:43 ID:???
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928トリーバーチ ショートブーツ:2014/05/23(金) 12:25:51 ID:???
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929トリーバーチ トートバッグ:2014/05/23(金) 15:59:20 ID:???
?|?c?C§nj\o1E?I\T\e\A\3\s\a\E\±c`\・\c\o\1\Uc`\12!?Ni!??IGallery\1\Uc`\1?CE??T?A??O1E?!,TRASH GARDEN!1 ?≪?e!¢DA???E\¢\?\A\a!,\1\±c`\E\×\e\o\?c`!1?¬μC?o!£(Alexander Lee Chang)?I\×\i\1\±c`\?c`?E?・?A?IO≫Aa?¬1a?e\¢\?\A\a?A!£!,2nd lives for trash£??´?s?E?aμU2?IEEEu?o!1?E???|\3\o\≫\×\E?I?a?E!¢E1?i?E? ̄?E?A??\1\±c`\E\Uc`\E?¬\×\e\o\?c`?E‰aEi!£\¢\i\-\μ\o\Ac` \ec` \A\a\o?I!¢?n?T?C?E?a\≪\|\o\?c`IA?IoEIi?o?≪?±?e\O\A\ ̄!¢\・\c\A\×\Uc`\E?E\1\±c`\E\Uc`\EOA?I\R\¢?oE1OA?1?e?E?E!¢\×\i\1\±c`\?c`?E?・?A?IE???Ee?iOc?i?eμe×÷?e?o?・?A?a?e!¢OOC°?≪?e??EEμA?E?\?e?K?¨??\C\A\-(\1\±c`\E\Uc`\E?I°a2?・O)?o!¢OA?OE??I\×\e\o\?c`?E?C?-???e?E???¨?A?????E???|!£×O・O?I\1\±c`\E\Uc`\E\C\A\-?¬?o? ̄?A?a´oOE・o!£\・\c\A\×\a\e\,\E\e?I\1\±c`\E\×\e\o\?c`?aO?‰O?μ?i?eOe¶¨?A!£\×\e\o\?c`?A?±?C?I?E? ̄!¢-h?3?EAa‘]?・??≫??ED!IiEe?i?E?・?A?aE1?¨?e?3?I\¢\?\A\a!£×OO¬?CAs?A???T?T?E?E?A?A???e!¢?U×A?I?¢?e\1\±c`\E\Uc`\E?a?|O≫¶E≫iUS?μ?≫?A?s?e?|!£!?\¢\?\A\aCe?o!?μeAn£o2!?Ni!?×!Eu£o?i1ECoC§nj\o1E2-10-6 \≪\μ\E\U\e\C101?y,n£o£?26,250(E°Tz) \1\±c`\E\Uc`\E3O?ATz?s?I?ooI?I £?15,750!≪Nu×÷AUeg£o×¢IA?≪?e?s1\oOAURL£o
トリーバーチ トートバッグ http://atecourier.com/newss/tbnew/toryb088.htm

930トリーバーチ 鞄 人気:2014/05/23(金) 19:25:02 ID:???
×O・O?I\1\?\?\e?EoI?i?≫?A\1\Ec`\≪c`?oAA?-?3?E?1ARDO?o!¢\1\E\ec`\E?C\-\a\A\A!£?O?E?I\1\?\?\e\A\・\a£|\¢\ ̄\A\£\O?E×aOa?EE!?eEe?i?eEE?¬‰??¨?A???e!£!¢!¢\ac`\E?E?E・u?U? ̄\T\A\A?1?e\1\Ec`\≪c`?I!¢\?\|\o?C?a´o≫iUS!£?a?・?a?iEIEO?C??DO?¢?O?i?e\1\?\?\e\o\°Dg?I±OO?£!!o\Dc`\D\ec`&times;\¢\C\£\A\1!!\Dc`\D\ec`?I\E\i\o\A?o\¢\C\£\A\1?I\1\Ec`\≪c`?E\C\E\a!¢\-\a\A\×?C\Uc`\?\A\・\a?E×A±A?・?A!£\ac`\≫\o\A\£\A\ ̄?E\¢\?\A\aI¬E??E?A?±?E!¢egs`???E??\3c`\C\£\Ic`\E!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\,\a\o\a\i\?\E\U?\3\a \C \R\a\e\?\o&times;\E\ac`\D\e\o\1!!\1\?\,\a\o?E?oMIX?・??\C\¶\?\o?I\¢\|\?c`?oO÷OU?E!¢?Ee?‡i?Y?C?T?E?a?e?i?A???e!£?E\1\Ec`\≪c`?ooI?i?≫??EI?‰Os\3c`\C!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\e\?\Ac`\1&times;\3\o\Dc`\1!!Da?o’O?eEI?2??\e\?\Ac`\1?a\C\E\a?a!¢?a?1?U?A\ac`\Dc`\μ\?\o?E?I?¬\Y\?\o\E!£\ec`\o?E\・\e\¨\A\E?¬EAEY?CAR?I×O?e?・??÷EA|?oOy?-A¢?A?e!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\3c`\E&times;\3\o\Dc`\1!!\T\E\A\・\a?E?I\¢\|\?c`?I\3c`\C?o!¢\e\O?E\ic`\≪\A\E\1\Ec`\≪c`?C\I\o?1!£?・?A\?\A\ ̄\1?oO??≫?A!¢\・\A\£\Uc`\?iL?E!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\E\A\E\-\a\A\×&times;\E\ac`\D\e\o\1!!\ac`\Dc`\μ\?\o?I\1\?\,\a\o?E\-\a\A\×?E???|?≪?E?e\Uc`\?\A\・\a?E\1\?\?\e!£?I\≪\e\O\e?E\1\Ec`\≪c`?C!¢AR?I×O?e?・?μ?o\×\e\1!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\i\o\Ec`\o\3c`\C&times;\a\E\A\≪\?\?\¬c`!!E≪Ei?o\O\ec`Iμ?C?T?E?a??\°\e\Cc`\・\c\o\3c`\C!£ARDO?e?・??\・\e\¨\A\E?E!¢\1\Ec`\≪c`!¢\D\A\ ̄\N\A\ ̄?E\1\Yc`\A\£?E\¢\ ̄\≫\μ\ec`?oMIX!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\O\§\¢\ec`\¬c`\e&times;\E\ac`\D\e\o\1!!?3?A?e?I\1\E\A\×?I!¢μ-??\Uc`\,\a\≪\ec`?C?A? ̄?e\i\o\Ec`\o\3c`\C?¬!¢?E?3?≪Ny?≪?I?e?|?E2≫E?×h?E\ac`\EA ̄?|!£\e\?\E\°\ic`?E\Uc`\,\a?I\e\?\o?I\1\Ec`\≪c`?C?yO≫?・?A!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\E\a \O\e\|\o&times;\E\?\-!!\E\a \O\e\|\o?I\・\a\A\i\o\Oc`\1?E\E\A\E?o?・?A!¢\i\C\£\×\i\A\Oc`?E!£\E\?\-?I\1\|\A\・\a?E\E\A\EA±!¢\?\A\ ̄\1?C\U\i\?\E?o???≪?≫?A???e!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o!o\i\o\°\1\≪c`\E&times;\E\ac`\D\e\o\1!!3a?IN?E\・\ac`?¬\¢\ ̄\≫\o\E?E?E?A??\Uc`\,\a?I\E\ac`\D\e\o\1?¬\i\E\i?Ee?‡i?Y!£\ac`\o\E?A?Y?μ?oEu?≪?・??\≪\,\a\¢\e\3c`\C?I?aEO±?!£\1\E\A\×\Uc`\,URL£o
トリーバーチ 鞄 人気 http://jinganhome.com/page/html/tbnew/toryb128.htm

931トリーバーチ 長靴:2014/05/24(土) 02:51:29 ID:???
2013Ae4OA14EO?T?CLULU GUINNESS&times;UNIQLO \e\A\O\o\°\D\1?¬¶?AU?o×sDDOD£!??DOμA?E\D\A\°?¬EE?Y?I(LULU GUINNESS)?E(UNIQLO)?¬\3\e\U\ic`\・\c\o?E?e?eT\・\a\A?o°k±i!£\a\E\ ̄\iE≪μe?a?e?O\a\o\e\?\o\1\E\¢?E?A°k‰OOD?A!£1989Ae?E≫aEc?oA¢?AEI?2?e?a???E?a!¢\O\!\A\・\c\o?I?c?≪?e?I×¢A??o? ̄?a!¢Ia´I???CEA?c?E3oμe?o1u???・??\e\e \R\I\1!£?n≫O!¢\a\E\ ̄\i?E?I\3\e\U\ic`\・\c\o?COQEu?・??\¢\?\A\a?I!¢\e\e?\R\I\1?e?・??\×\e\o\E?a\C\¶\?\o?o?¢?・?e?A??\-\ac`\E?C?¢?e?E?¬?e?E?3?≪\1\?\?\e\A\・\a!£\O\e\o\E?oIo?O?1?e¶¨・¬\≪\ec`?Iu\!¢°×!¢3a?o\a\?\o?EE≪14\N\?c`\o?¬μei^?E?K?O!£?T??!¢2013Ae4OA8EO(OA)?≪?e4OA21EO(EO)?E?I!¢\a\E\ ̄\iay×uμe?E\e\e \R\I\1?I\・\c\A\×in\・\c\A\×?¬μC?o!£T\・\a\A?I?a?A?i?o!¢\D\A\°!¢?a!¢?rO??E?E?I\¢\?\A\a?aμC?o?1?e!£4OA9EO(≫d)18:00?≪?e?I\C\¶\?\Ec`?I\e\e \R\I\1±?EE?¬\a\E\ ̄\iay×uμe?EA´μe!£\3\e\UT\・\a\A?E,¶Eo?1?e\?\°?o3O?A?3?o?AIE×A100Au?E?I!¢\e\e±?EE?≪?eEO”3?E\×\i\?\o\E?¬¶E?μ?i?eOe¶¨?A!£AUegOD?E?I!¢O¢1uiL?I\1\?\?\e\A\・\a?E\e\A\O\o\°\D\1?a¶?AU?o×sDD!£μeAn?EoI?i?≫?A\A\§\A\ ̄?・?A?s?A!£!?EIA・O”??!??y,n : £?1,500(E°Tz)±uEy : E≪14\N\?c`\o\μ\?\o : S!¢M!¢L!¢XLO1e_μeAn : UNIQLOE≪μe?a?e?O\a\E\ ̄\i\a\o\e\?\o\1\E\¢
トリーバーチ 長靴 http://www.kojimacm.com/wcs/_notes/tbnew/toryb161.htm

932トリーバーチ エナメル財布:2014/05/24(土) 06:39:36 ID:???
\¨\E\i\O\A\£\A\ ̄ Ua?±?|?a?A±?μe?¬2012Ae8OA25EO(IA)?E\e\E\ac`\¢\e\ac`\×\o!£1uAU?I\¨\E\i\O\A\£\A\ ̄?E?・?A?I3o?E?E?e\Uc`\a\3\i\ ̄\・\c\o?oE!?e’Q???o\1\?c`\E?1?e!£(ETRO)?I!¢\U\?\o\ec`±u?o¶A×O?I??・¨?E\≫\o\1?C\a\A\o?E?e?s?¬?¨?e?≫??!¢\?\?\e\¢?o´u±i?1?e\e\°\,\a\¢\ec`\O\e\o\E!£DA\・\c\A\×?I?3?i?T?C?IOOon,DOc?i?e\?\ac`\,?oO≫DA?・!¢AF?I?¢?e\e\?\E\O\e\|\o?E\1\A\o\i\1\O\ic`\a?oE1OA?・??\C\¶\?\o?C!¢¶?≫aμA?C\・\ac`\×?EO!Io?E?E?A??!£???3?E?K?O?I?I!¢\O\e\o\E?E?e?C?I?I¶a2E?E?E\≪\e\O\e?E\×\e\o\E?¬÷EA|μA?E\3\i\ ̄\・\c\o?A!£\Uc`\a\3\i\ ̄\・\c\o?I!¢\ac`\≪c`?≪?e???I?sE・?o\1\?c`\E?・??\¨\E\i?I?T?μ?EOa1Ci”!£EIU|?EEO2A?E\U\?\o\ec`±u?oEc?・??\ ̄\A\・\c\o?a!¢?!?E?,?s?¬A?? ̄?ism?E\O\e\o\±\A\E?E?E!¢\D\e\¨c`\・\c\oON?≪?EO1e_?μ?i?e!£?T??!¢\O\e\o\E?o´u±i?1?e±u?C?¢?e!,\¢\e\E\≪!1?oOA????\O\c\E\O\ic`\a?a\E\i\??E?E?I\Uc`\a\¢\ ̄\≫\μ\ec`!¢¶A?“μA?E\C\¶\?\o?CEE?Y?I\・\ac`\o?a“B?|!£!!\¨\E\i?I2012-13AeCi¶¬DA×÷\3\i\ ̄\・\c\o?a?¢?i?≫?A\A\§\A\ ̄?o£o!?\・\c\A\×Ce?o!?\¨\E\i\O\A\£\A\ ̄ Ua?±?|?a?A±?μe×!Eu£o´oUaED±±Co?CIiiR8-7 Ua?±°UO?μe´oUa?|?a?A±?μe5F \?\o\?c`\E\・\c\E\e\C\¶\?\Ec`\o\O\A\£\A\ ̄TEL£o06-6313-7386
トリーバーチ エナメル財布 http://exploreway.net/styles/tbnew/toryb067.htm

933トリーバーチ 二つ折り財布:2014/05/24(土) 10:12:30 ID:???
2013Ae7OA6EO(IA)?E!¢\Oc`\A\I\|\1!,\≪\O\§ \E \i\U \e \ac`\e(Caf&eacute; de Rop&eacute; La mer)!1?¬E~E??O≫E≪o£°¶?E\ac`\×\o?1?e!£\1\?\?\e\A\・\a?C\e\e\A\ ̄\1\ac`\E?¢?O?i?e!¢\a\E\E?I\Oc`\A\I\|\1?A!£?n≫O?C4¶EA??IIA?oO-?¨?e\≪\O\§ \E \i?U \e \ac`\e?I!¢1972Ae?E\ac`\×\o?・??O-ET?±i2IμA?I?≫Oh?I\≪\O\§!,\≪\O\§ \E \i?U!1?o?I?I?μ?≫??\Oc`\A\I\|\1!£?n≫O?IAyAeOOEI?E\?\U\o\E?a\¢\ ̄\A\£\O\A\£!¢?3?A?i?e?I\Oc`\E?E?EE¢?e?A? ̄?μ?o!£Ca??o£?oO≫Iu?C?-?e\1\?\?\e\A\・\a?E?Oeg?C!¢&ldquo;Iu?i?e?i?E??IA&rdquo;?o?i?±?A? ̄?i?e!£7OA28EO(EO)?E?IIUO-\O\i\・?oO-?¨!¢AA?・??\μ\o\≫\A\E\?\?\a?EoI?i?≫??\×\i\s\¢\a?\¢\3c`\1\A\£\A\ ̄\e\?\o?oDD?|?E?E!¢¶a? ̄?I\¢c`\A\?\1\E?E?e?e\s\ac`\,\A\ ̄\?\U\o\E?¬e_´s?μ?i?e!£?T???°AeEE?Y?I\e\¬\ic`\ ̄?a!£?n≫O?I!¢7OA7EO(EO)?E?|±±?g?Ibringhton beach studio?e?e\e\Rc`\E?¬? ̄?Y?1?e!£!,EO±??Io£ERO!?o88sx!1(-h?3?O)?E?asx3o?μ?i?A???eO≫E≪o£°¶?I!¢OuOAU!?I?v?o±3?E?・??AA?・??ao!£Cc?i?A???i?DAA?・??I|EO?E12?E,≫E?E??aAR?a?e!£???I\i\±c`\・\c\o?EOOOA?μ?i?e\Oc`\A\I\|\1?I!¢´u1UE?!,SATURDAYS SURF NYC!1?oEO?¬?±??\,\§\I\e\e\C\¶\?\o?¬OOO??oEO?¬?±???¨Ii?C!¢°×?oUFOO?E?・??IaOQ?I???I?T?T?EAyAe?e?e?a1.5±¶?IAa・e?E’?´o?・!¢,u?Ee_・A,D?¢?O?i?e\e\e\A\ ̄\1?Oeg?oIa1c?1?e!£\・\a\o\N\o?\i\?\o?I\E\e\o\ ̄\a\E\ac`?¬3a?g?・?A?a?e!¢E~E?O°2E?oE1?A??\Oc`\E\a\E\ac`?a?S?・?a?e!£IO?E\≪\O\§ \E \i?U \e \ac`\e?¬\a\1\1\a?1?e?I?I!¢I£EU?E\・\a\Ec`\,\a\o?Ie×EETz?sEyA?IT¶¨?×OY\i\?\o?A!£×oAe!¢JAL1ueH??\O\,\I\1\ ̄\e\1?C?a\μc`\O?μ?i???×OY\i\?\o?oEC・C?a?S?・?s?¢?i!£!?e_´sCe?o!?Caf&eacute; de Rop&eacute; La mer×!Eu£oEnAI´¨±hEyAO??E~E?iRO≫E≪AUeg£o2013Ae7OA6EO(IA)!≪8OA31EO(IA)?reg£oA?EO!!11:00!≪21:00(L.O. 20:15)!¢IA?EO?×£!!11:00!≪22:30(L.O. 21:45)!!!u¶?oI!¢Iioo?E?e?e‰a,u?I?EAUDO?¢?e!£
トリーバーチ 二つ折り財布 http://corpgolf.com/golfwear/tbnew/toryb059.htm

934トリーバーチ 靴 激安:2014/05/24(土) 13:46:09 ID:???
?¬2010-11A/W\3\i\ ̄\・\c\o?o°k±i?・??!£?n≫O?I\3\i\ ̄\・\c\o\Ac`\T?I!,Le Revolution!1!£!!\¨\i\¬\o\E?E\・\A\ ̄?EOD?E!¢?E?oEUoI?μ?≫??!¢3o?a?A?I\E\A\E?A?±?I\¢\?\A\a?≪?e?“?e?A?μ?i?e\3\i\ ̄\・\c\o?E?E?A??!£?SEIKO TAKI \O\e\o\E\×\i\O\£c`\e\C\¶\?\Ec`?{?≫??×O?¬2007Ae?E\O\e\o\E?o\1\?c`\E!£?{?I?C\O\A\E\C\¶\?\Ec`?oμ£μ±?・?A?????U?s?o?a?A!£2009Ae3OA?Ee_´s?μ?i??080\D\e\≫\i\E\O\!\A\・\c\o?C!¢?{?I,uμ×?E?¢?e???μ?E\C\e\±c`\E?E???|?a?I?o±i¬F?・???U?・??!£
トリーバーチ 靴 激安 http://atecourier.com/newss/tbnew/toryb173.htm

935トリーバーチ かばん:2014/05/24(土) 17:18:27 ID:???
?I2012Ae´oIA\3\i\ ̄\・\c\o!£AA?・????Dg?E\ ̄\e\1?\o\!\o?\¢\A\・\a?E?e?e?E\ ̄\e\¨c`\・\c\o?¬!¢DA?・??\1\?\?\e?o?§?-3o?・??!£ \3\i\ ̄\・\c\o?I\?\?\E\e?I!,LESS AND MORE!1!£&nbsp; \1c`\Nc`\U\i\?\E?I\e\A\ ̄?Eu\?I?A?D?UA±×O?E\i\¶c`\・\ac`\o?ooI?i?≫??!¢Ca!c?・??\3c`\C\£\Ic`\E?C\1\?c`\E!£???・?A!¢????°×?Eu\?I\3\o\E\e\1\E?o\a\?\o?E!¢?I\°\i\??E(A1,i)?I\O\e\|\o!¢\O\ec`?Ie?O°?¬?O?i?A??!¢・g?a?≪?Ee?‡i?Y?I\≪\ec`\N\i\A\E?¬O1e_?μ?i??!£\・\e\¨\A\E?I!¢\E\A\a\e\e?E\e\e\A\ ̄\1,D?o2D?・?E?¬?e!¢\U\e\ac`\a?oYX?a?≪?E\3\o\E\ic`\e?・?A\ ̄\ec`\o?E?T?E?a??!£\1\e\a?E?o?a!¢3O?AEI?2?e?i??\,\a\±\A\E?I?¬?keL?I\e\?\o?o?e?e\・\ac`\×?E,!?≪?OEI?¬?e?≫!¢\I\A\ ̄\e\?\o?a\|\¨\1\E?IY†1u?o2E?e\C\£\Ac`\e?C\1\?\?\e\A\・\a?E\e\°\,\a\¢\ec`?o÷E?≫?A???e!£&nbsp; ?μ?e?E!¢\O\cc`\T\e?E\≪\A\A\£\o\°?E\≪\,\a\¢\e?E\1\?\?\e?¬?~Ai?E\3\o\O\Ic`\・\c\o?oO??≫!¢T\・\a\A?I?C?・?E?a?≪?E!¢\Nc`\≪?a\E\i\o\A?I\・\e\ ̄?C?E\¢\?\A\a?EEu?T?i‰a?i?e!£\E\A\a\e\e?E\3\A\E\o\U\?\e?IT\・\a\A?a!¢\A\?\ec`\E\?\A\A?C\Ic`\O\e?Ee?‡i?Y!£OOOA?μ?i??\1\?\?\e?A?≪?e?3???B?s3o?A? ̄?e!¢I´???μ?i??Dior Homme?I\1\O\e\A\E?¬?e?¨¶E?e!¢AA?・??\3\i\ ̄\・\c\o?E?E?A??!£
トリーバーチ かばん http://corpgolf.com/golfwear/tbnew/toryb119.htm

936トリーバーチ トートバッグ:2014/05/24(土) 20:53:50 ID:???
?I!¢2014-15AeCi¶¬?I\a\o\o\3\i\ ̄\・\c\o?o\?\?\e\¢?\s\e\I?C°k±i?・??!£?n≫O?I\3\i\ ̄\・\c\o?oO≫NO?C???|?E&ldquo;\|\¨\1\?\o?\D\?\≪c`&rdquo;!£???A?a?I\o\§\e\μc`\A?I≫I?O?a?≪?EEA?cOQ?E!¢\O\e\1\¨\o\,\§\e\1μA?E\¢\a\e\≪?I\Ic`\E?\D\?\≪c`?a\a\E\ ̄\i\1?E?E?I\1\Yc`\A\D\?\ ̄?IOaEO!¢???・?A\|\¨\1\?\o?IOaEO?o\×\e\1!£E≪?Y?a?o?a?o?I\D\?\≪c`\1\?\?\e?oIa°,?・?A???e!£!!&ldquo;\o\§\e\μc`\A?¬?“Oi?1?e\D\?\≪c`&rdquo;?I!¢?a?I?eAAIi≫A?C\N\i\O\e?A!£\e\?\Ac`\1\,\a\±\A\E?I\O\A\°\μ\?\o?I?¬E≪Aa?E´o???i?A?a?e!¢?n?A?Y???t±u?I!¢\N\o\A!¢?I?I!¢\a\E\ ̄\i\1?a\D\?\ ̄?ID´Oa?¬U?D´\×\e\o\E?μ?i?A???e!£\O\ec`\O?E\i\¶c`?I\A\a\A\×\1?I\1\?\?\e\o\°?Is^???1?R?e?e?|?E?aE??¨???¬!¢A¢?AO??I\o\§\e\μc`\A\e\Dc`?IOQ?I?I\A\o\・\c\o?I\i\A\E\?c`\o?T?C´μ?-EI?¬?A?A????!£\|\¨\1\?\o?IE!?eEe?i・??a\ac`\a\¢?I\≫\o\1?¬1a?e!£V\?c`\o?o?U?a?E?E?A??\1c`\A?E?I!¢nR?IIa?a\μ\U\A\o?I?dEo\i\A\U\o?o,¶?O!£\´c`\,\a\1?EE≪?Y?IOD?E?E?3?≪?E?U?e?・?μ?o?O?¨?A???e!£?I\O\cc`\T\e?E\,\a\±\A\E?E?I!¢´o?-?a?I\i\¶c`\ec`\ ̄?oAaOA!£\C\E\a?I\・\a\A?E\N\o\A?IEI?EOd???i?D!¢¶?≫a?I\¬\o\T\o?E‰aEi?1?e!£!!O≫・??C\¨\i\¬\o\1?I2?・O?a?Q?・?AIu?i?A?I???E??!£\Uc`\,\a?I?IDa?o?T? ̄?A?A!¢\Uc`\,\a?I\?c`\E\e?E\´c`\e\E?I\I\A\ ̄\i\1?ooI?i?≫??\1\?\?\e?I!¢\ ̄\e\・\3?\?\?\e\¢?IEA?cOQ?E?Is`?|\o\§\e\μc`\A?E?e?C?I?I??DOμA?EE≪?Y?o・A?A?A???e!£A≪A??I\Nc`\≪c`?a\・\cc`\EOE?I?a!¢?3?I\O\e\o\E?A?E2≫E?×h?EIO?s?EO??¨?E??!£\≪\ec`\N\i\A\E?I!¢\O\e\A\ ̄!¢!¢\O\e\|\o!¢\Uc`\,\a!¢\i\A\E!¢\°\ec`\o!¢\O\ec`?E?E!£E≪?¬OO?¨?a?I?AIo?E?¢?e?n\・c`\o\o?C?I¶aE≪E1???¬A?A¢?A?¬!¢\°\ec`\o?a\I\?\Oc`?E???A??A÷DDE≪?oNo?μ?¨?A?A?a!¢IO?¬μA?oDD? ̄×E?Y?¬oA?T?・? ̄E??¨??!£Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)
トリーバーチ トートバッグ http://www.kojimacm.com/wcs/_notes/tbnew/toryb114.htm

937トリーバーチ 長靴:2014/05/25(日) 00:32:55 ID:???
×o?I\a\C\e×AOA?I\E\A\E?I(my panda)!¢EO?E3O?A?A???e?I?I\U\Oc`\A\o\ec`(booby dazzler)?I?I???°?e?s!£OO?I\a\C\e?I(Mackintosh)?I\3c`\E?E(mercibeaucoup,)IONu?I\E\e\o\ ̄?ooI?i?≫?A!£OA?Yμ??I\・\o\U\e!¢\?c`\?\o±u?¬\e\E\ac`\¢\e!£I¨3A!,OA?Yμ?\A\§\A\ ̄!1?E?aoo?D?i!¢¶a? ̄?IEE?EOH?・?T?i?A?-???¢?I±u?¬!¢OA?Yμ??IDA???E\¢\?\C\o\A\£\A\£?E?E?e?U? ̄Eu?T?i‰a?i?e!£\・\c\A\A\O\o\°\D\A\°?o?I?,?a?”!c?E?oAa?CO1e_?μ?i?eOe¶¨?A!£?aAuA¶A??I2013Ae10OA30EO(ER)!£±?d^1eA?I\¶?\1\Ac`\,?C?I!,\i\?\・\I\?\≪\e\D\3!1?Ei}?・??IOOO\1\Ac`\,?o11OA5EO(≫d)?T?CO1e_?・!¢DA?・??\?c`\?\o?oE1?A??,÷\O\e\o\E?E\3\e\U\ic`\・\c\o?・??IT¶¨\¢\?\A\a?o°k‰O?1?e!£?n≫O?I\e\E\ac`\¢\e?C?I!¢?3?i?T?C?I!,\T\ ̄\s\e\o / \¢\o\・\§\o\E!1?o\¢\i\o\,?・??\?c`\?\o±u?o,A?a?A!¢DA?・??!,\T\ ̄\s\e\o / \?\≫\?\o!1?E\a\C\e\A\§\o\,!£\a\e\,\E\e?oEU?±?@?R?A?A!¢?EE≪I¶?CA÷?e? ̄E¬?a?≪?EEEEI?2??!£?3?I±u?I!¢\1\3\A\E\e\o\E?¬1u?C1UAi?・?A???eEA?c?I\A\§\A\ ̄?oO≫A¨?yOA?1?e?Cev!,\1\3\A\E\e\o\E \?c`\?\oμCO?Eu!1?EOyE?μCah?μ?i?A???e!£\ic`\o\A?I\≫\i\a\Ec`?E?I\1\3\A\E\e\o\E1ueHe_°k?O?IEO±?nvOU´u±i?C?¢?e\1\A\£c`\O\o?\Uc`\≪c`?aμC‰ ̄?・!¢!,E??¬×A?A???e?I?I×a,,?≪?eEU?±?@???A\-\e\E?C?1!£OA?Yμ??I?≫?y?E,iDA?E???|?y??OQ?o12OD?C?-?e???¨!¢μCah?EOA?e?T?・??!1?E\3\a\o\E?・??!£!!!!\e\E\ac`\¢\e?E?¢?i?≫?A!¢\C\¶\?\Ec`?a\O\e\o\E?E\3\e\U?・!¢!,\T\ ̄\s\e\o / \?\≫\?\o!1?oE1?A??IT¶¨\¢\?\A\a?aμC?o!£2I?O\O\e\o\E?I!¢(Mackintosh)?a(min&auml; perhonen)!¢(ANTIPAST)!¢(JOHNSTONS)?E?E!£\3c`\E?a\D\A\°!¢\?\A\ ̄\1?E?E?I\O\!\A\・\c\o\¢\?\A\a?o?I?,?a!¢?O?s?a\1\Ac`\・\c\E\ec`!¢E3A・?E?E!¢・u?U??\,\a\o\e?I\¢\?\A\a?¬μei^?E?K?o?C???e!£!!?E!,OA?Yμ?\A\§\A\ ̄!1?I!¢1956Ae?EDAETμe?E\ac`\×\o?・??!,\A\£c`\o\¨\?\,\ac`\・\c\A\×!1?IIT¶¨\・\c\A\Nc`?aejO??I±u?E?・?A’nOA?μ?i???I?¬AdO´!£???I2Aeaa!¢1958Ae?e?eE≪d^?O?E?U?T?e!¢?nEO?T?CE1?i?i?A?±?A?-??!£2012AeCi?E?I!¢OA?Yμ?\A\§\A\ ̄?oE1???A?±!¢!,\?c`\?\o!1?I\×\i\ac`\・\c\o?EO?I×?・???E?・?A2013AeOO?μ?EOOA¢?μ?i?e\?c`\?\o?\¢\ic`\E?I\N\A\±c`\,2?eTμU1oAEUUpAo?I?EYx???A???e!£?T??μeAUBGM?E?・?AA÷?μ?i?eDA\Ac`\T\?\o\°!,ISETAN-TAN!1?o,e?|?I?IE,O°i‡×O!£?3?I±u?o\?\ac`\,?・?A×÷O~?×÷Cu?μ?i???a?I?A!£\-\ac`\E?CA ̄?≪?s?¬?¢?A?A!¢?U?e?・??DA?・??\?c`\?\o!£OA?Yμ??I!¢55Ae?I1?A??E\¢\?\3\E\A\ ̄?E\?c`\?\o±u?o\e\E\ac`\¢\e?1?e?3?E?C!¢O-μa?o´oCD?E?・?E?¬?eI´A´?O?EIo?≪?|\Y\,\A\£\O?E×E?Y?oIa¬F?1?e!£!?IT¶¨\1\Uc`\1Ce?o!?ISETAN TARTAN \i\?\・\I\?\≪\e\D\3AUeg£o2013Ae10OA30EO(ER)!≪11OA5EO(≫d)?oEu£oOA?Yμ?DAETμe±?d^1eA=\¶?\1\Ac`\,×!Eu£o?|?c¶?DAETCoDAET3-14-1
トリーバーチ 長靴 http://exploreway.net/styles/tbnew/toryb077.htm

938トリーバーチ 激安 バッグ:2014/05/25(日) 04:13:11 ID:???
&nbsp;MELISSA INCENSE£≪KARL LAGERFELD21EA?o?C×i?aAu,s??\C\¶\?\Ec`?IO≫EE?C?¢?e?¬!¢2013Ae!¢\a\A\oCO?A\¨\3?\O\i\o\E\ec`?E\・\ac`\o?oIa°,?1?e\O\e\,\e?I\×\e\1\A\£\A\ ̄\・\ac`\o\O\e\o\E!¢(melissa)?E\3\e\U£!!!\≪c`\e?¬\C\¶\?\o?1?e!,melissa£≪KARL LAGERFELD!1?I2013-14AeCi¶¬\3\i\ ̄\・\c\o?e?e!¢\C\O\ac`?・??!£EO±??C?I2013Ae7OAAc?e?e°k‰O?μ?i?eOe¶¨?A!£\≪c`\e?\e\¬c`\O\§\e\E?I\ ̄\e\¨\?\A\£\O\A\£?oE≪Aa?EAa?E?・Tz?o?A\3\e\U\ic`\・\c\o\・\ac`\o!£?naa4\・c`\o\o!¢?@?AμA?EMELISSA£≪KARL LAGERFELD?I\C\¶\?\o?oEO?¬?±?eEA?E?E?A?A???e!£?3?3?≪?e?I?n??\ic`\o\A?μ?i??!¢\¢\?\1\ ̄\ec`\a?o\Oc`\e?E?≪???E?A??!,MELISSA INCENSE£≪KARL LAGERFELD!1?E?E4?A?I,iDAμA?C\¢\?\3\E\A\ ̄?E\C\¶\?\o?o?B?e?1?e!£!oMELISSA INCENSE£≪KARL LAGERFELD\・\A\ ̄?CAA?・???E\¢\?\1\ ̄\ec`\a?E???|s[?ODA?¬\T\A\A?・??!¢\¢c`\E?I?e?|?E\・\ac`\o!£EOCc?e?・? ̄´oμ¨?Emelissa?EKARL LAGERFELD?I\ ̄\e\¨c`\・\c\o?¬EUoI?・?A???e!£\≪\ec`?E?e?A?A?”!c?EIa?e?¬?S?・?a?e?I?a÷EA|μA!£!oMELISSA GLAM£≪KARL LAGERFELD\a\e\A\μ?I\ ̄\・\A\ ̄\・\ac`\o?¬!¢\ ̄\e\¢?ECoIa?EA÷??DI?I\・\§\?\×?C\O\ac`\A\a\e\1\A\£\A\ ̄?E\¢\A\×\Cc`\E?μ?i??!£?E!¢\≪c`\e?I?e?|?E?E°×\・\a\A?C?I\3c`\C\£\Ic`\E?¬\a\1\1\a!£\≪\ec`?aO1e_?・?A???e!£!oMELISSA GINGA£≪KARL LAGERFELD!,GINGA(\,\o\¬)!1?E?I\Y\e\E\¬\eOZ?C!¢\O\e\,\eEEIOOD?I\E\i\O\≪\e?C?・?E?a?≪?E\e\o\a,D?I?¢?eEiIaDO?o±i¬F?1?eNOE~!£\O\e\,\eEE?o±i?1Io?OμA?ENOE~?E?・?AE1?i?i?A???e!£\1\ ̄\¨\¢\O\i\o\E?E\-\E\o?\Oc`\e!¢?-?e?O?a?≪?E\≪\ec`?ECu??AA!¢OT≫o?1?e\・\§\?\×?E\≪c`\e?\e\¬c`\O\§\e\E?I\1\?\?\e?oE!?eTz?o?A!£!oMELISSA MELISSIMA£≪KARL LAGERFELD?E\a\A\o\¨\i\¬\o\1?¬EUoI?・??\C\¶\?\o?I!¢AF?a?≪?CEOCc?e?・??±iCe?oa|?・3o?1!£\s\C\£\¢\a?E,s?μ?I\Oc`\e?E!¢\T\A\E\≪\ec`?E\Y\e\A\・\a\≪\ec`?CO1e_?μ?i?e\C\¶\?\o?I!¢?E?o?E\3c`\C\£\Ic`\E?E?a\¨\i\¬\o\E?Ee?‡i?Y?o?a???e?・?A? ̄?i?e!£¬FOU?I?T?AO?‰O?μ?i?eμeAn?a!¢?y,n?E?A???A?I°k±i?μ?i?A???E??!£
トリーバーチ 激安 バッグ http://corpgolf.com/golfwear/tbnew/toryb042.htm

939トリーバーチ 二つ折り財布:2014/05/25(日) 07:51:35 ID:???
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トリーバーチ 二つ折り財布 http://www.jamcentral.com/fgbod/tbnew/toryb061.htm

940トリーバーチ ブーツ:2014/05/25(日) 11:29:49 ID:???
(Maison Martin Margiela)?E?I\3\e\U!,!1?o°k±i?・?AO’i}?E?E?A???¬!¢???I\3\e\U\¢\?\A\a?I°k‰O?EI¬OA!¢2012Ae11OA?E?|±±μO・?3o?IμeAn?oIEI¨?E\ac`\×\o?1?e?3?E?o°k±i?・??!£?oEu?I!¢?μ? ̄?eO°°UO?μeIEI¨μeAU!£?|±±,÷μO?≪?e?I\¢\ ̄\≫\1?E???i??IEI¨nkO±?Y?E???|±aAu?EA¢μO?IEI!¢‰O?e?oAa・e?I?s2,000cO?I1\O\i\¢??3E!£\i\C\£c`\1!¢\a\o\o!¢\-\A\o!¢\¢\ ̄\≫\μ\ec`?oO1e_?・!¢Ae´u?o†??i?o?S?・?a?e\・\c\A\×?E?E?eOe¶¨!£?|EO±?´oOd?A?IAdO§OR?oA?μA?E?・??""\-\a\o\Uc`\o?aDD?A?A???eH&M!£H&M\,\a\N\o?I\≪\o\E\ec`\T\Ic`\,\ac`!¢\ ̄\e\1\A\£\o?\¨\E\T\o?I?n≫O?I3oμe?E?A???A!,IA≫ ̄?ECe?o?o°kDA?1?eODDA¶?ED?IO≫?A?C?¢?eIEI¨?e?e!¢?|±±μO・??I?O?”?EH&M?I\O\!\A\・\c\o?o?a?i?±?1?e?3?E?C!¢Od?Aaa?IμOOo≫iDO≫ ̄?IO≫¶E?oμ£?A?A???-?????EE??A?A?a?e?T?1!1?EOZ?A?A???e!£!?\・\c\A\×Ce?o!?×!Eu£o?m3C±hIEI¨EDCaE~CoODNeO≫¶!A?9・¬33oA(JRIEI¨nkI÷?UO±?Y)\ac`\×\oEO£o2012Ae11OA‰O?e?oAa・e£o?s2,000cOμeAn??3E£o1\O\i\¢†O?I?reg£o10:00!≪21:00(Oe¶¨)
トリーバーチ ブーツ http://www.jdzzls.com/video/tbnew/toryb071.htm

941トリーバーチ サンダル:2014/05/25(日) 15:58:51 ID:???
2014Ae3OA14EO(?d)!¢\?\o\Ec`\|\§\¢\・\c\A\O?!,\¢\o\O\£\O\e\O\e(AMPHI FULFRU)!1?≪??e?e?U?c`?ETOKYO-BAY?E\ac`\O?\o?1?e!£IA×A?I\3c`\C\£\Ic`\E?o!¢?a?A?E×OOE?E!£!,\¢\o\O\£\O\e\O\e!1?I!¢ARDO???A?I?°EO?o?a?A?E?s?o?s?o?・? ̄!¢???・?A\≪\e\O\e?E‰a?¨?A??? ̄&ldquo;\?\o\Ec`?\3c`\C\£\Ic`\E?\・\c\A\×&rdquo;?A!£!,\?\o\Ec`\|\§\¢?I!¢?°EO?I?s?1??s?1??・? ̄?S?・? ̄Eu?-?e???a?I&ldquo;DA&rdquo;?I\O?\?\s\o?E?E?i?e!1?o\3\o\≫\O?\E?E!¢?3?i?T?A?O÷A÷?I\O?\e\・?\ac`£|\・\cc`\A?I\O?\¢?E?Is`?|!¢???IEO?I?Y・O?EoI?i?≫??IA×A?I?S?・?s・??oDA?・??\1\?\?\e?A?Ia°,?1?e!£\・\c\A\O??I\?\ac`\・??I!¢E≪?E?e?E??e?I\O\i\A\・\a?E\O\ec`\A?≪??K?O?&ldquo;±±A・?I? ̄????a?IIY?μ?o&rdquo;!£\≪\e\O\e?E\O?\e\・?\ac`?E\・\cc`\A?o?E×OOE?E?M?soI?i?≫?i?I?!¢No・t?osx?O?e?|?E?oEy?I\3c`\A?\£\Ic`\E?≪??S?・?a???|?A!£?T??!,\¢\o\O\£\O\e\O\e!1?C?I\O\e\・?\ac`£|\・\cc`\A????±?A??E? ̄!¢\Uc`\a\|\§\¢?aejO??a\Ec`\?\e?EE!?e’Q??!¢O?‰O\1\?\A\O?≪?\3c`\A?\£\I\?\E?I?U?≪??e?o?B?e?・?A? ̄?i?e!£!?\・\c\A\×,AOa!?\¢\o\O\£\O\e\O\e ?e?e?Yc`?ETOKYO-BAYμe\ac`\×\oEO£o2014Ae3OA14EO(?d)×!Eu£oC§E~±h´¬?oEDaoiR2-1-1 ?e?e?Yc`?ETOKYO-BAY AId^2F†O?I?reg£o(OA?A?) 10:00?20:00(?d?EO?×£EO) 10:00?21:00TEL£o047-401-9668
トリーバーチ サンダル http://www.huidabj.com/Image/tbnew/toryb162.htm

942トリーバーチ バッグ 人気:2014/05/26(月) 04:14:21 ID:???
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トリーバーチ バッグ 人気 http://exploreway.net/styles/tbnew/toryb118.htm

943トリーバーチ ピンク 財布:2014/05/26(月) 07:25:05 ID:???
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944トリーバーチ 長財布:2014/05/26(月) 10:26:15 ID:???
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