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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

639ねむとら! ◆0/FKyHtS2M:2011/08/03(水) 16:59:32 ID:???
 う〜ん。残念だが角度的に惜しいところで見えない。まあ脚は4本あるのだし、色んな角度
から掃除しても別におかしくねえだろうと思い直し這い出ようとして、ごん!と頭をぶつけた。
と、背中に冷たいものがばしゃーーっっ。
 ああ。麦茶だよそう言えば。こんな時にほんとにもうっ!

 あわてて畳を拭いて、ちゃぶ台の上ももう一度拭いて、足音を忍ばせて風呂場へ行き、ぐし
ゃぐしゃの、先日安売りだったのでまとめて何枚か買ってきた、『乾坤一擲』なる変な熟語が
プリントされたアーミーグリーンのTシャツを脱いで簡単に水ですすぐ。
 こぼしたのが麦茶で惨事にならずに良かったと思いつつ、洗濯は後廻しにして自室へと向か
う。居間通過の際ちらっと見やれば現状維持、まだ間に合う!今度は同じ由来の『隔靴掻痒』
とプリントされている白いTシャツに急いで着替えて元の場所に戻った。
 以上、麦茶をこぼしてからわずか1分間。

 なぜこんな事で俺は息を切らしているのだろう?と少し思いながらも竜児はもう一度先ほど
の“掃除”を続行しようとした。と、そこに風が。ワンピの裾が再びふうわりと……ラストパ
スが通ったそこにフリーのストライカー!1対1!邪眼もきらめいて!みたいな高揚感。
 しかし。う、うう〜ん。大河は寝がえりで横向きになる。

 ――大河ァァァ…………まじめにやってくれェェェっ

 いや、言いがかりではない。決して、断じて。
 この時の竜児が心中呟いた、血を吐くような叫びを否定できる者が居ろうか。絶望の断崖で
竜児は必死に考える。まだだ、まだ終わっちゃいねえ、そうだ!あのときだってかすかなオレ
ンジ色の光を頼りに大河を見つけられたじゃねえかっ。なぜか真夏の真っ昼間というのに竜児
の心象風景は吹雪の雪山。

 まだめくれている。危うくドリクラしそうになった弱い心を必死に抑えて、竜児はちゃぶ台
の“掃除”に戻る事ができた。そうだそうだ。ちゃぶ台をちょっと斜めに向きを変えればいい
角度を取れると気づいて手を掛けて、はっとする。駄目だ、その状態だと見つかった時に掃除
をしていると強弁しにくい。
 どうしたものかと思案顔で見やると、寝転んだ大河の腰の脇に落ちているものが目に入る。
 なんだあれ?と這い寄って拾い上げたそれは、薄いパールピンクで丸く固まった布。生地は
シルクであろうか。輝く光沢に目を奪われる。
 ああ……これぞ念願のパンツ。

 寝がえりをうったときにこぼれ落ちたのだろうけど、なぜ大河は替えのパンツをポケットな
んぞに入れておいたのか。ポーチとかバッグに……と考えて竜児は思い至った。

 大河は高須家に手ぶらで来ている。もうずいぶん前から。
 だって身の回りのものはぜんぶここにあった。タオルだって着替えだってシャンプーだって
スキンケア用品だって専用のものがちゃんと置いてある。
 ないのは下着だけだった。それだけは分けて自分ちで洗っていた。ずっと。

 そうかそうか。こんなに仲良くはなったけどやっぱり女の子なんだ、そういうのは恥ずかし
いんだよなあ、と気づいて、竜児はピンクパンツを自分のポケットに仕舞った。落としたまま
放っとくわけにはいかないし、いま気づかれないように元の場所に戻すのは難しい。

 背中側からそーっと覗きこんでみれば、前面はまくれ上がって白いパンツがちょっとだけ見
えていた。よし、当初の希望とは全然違うがひとまずミッションコンプリート、と起こさぬよ
う裾を戻してやる。
 その際に大河の膝が目に止まった。転んだり、ぶつけたりで歴年の古傷がいっぱい。竜児は
何の気もなく、いつも見ればそうしているように、ここでも膝小僧をつるんと撫でた。

「あ?……ん?……りゅうじ……?」
「お、おう。起こしちまったか。悪かったな」


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