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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

521桜のころ(虎、帰るアフター3):2011/04/04(月) 01:14:45 ID:???

あの頃みのりんの熱がどういうものか、実を言えば私には分からないでいた。
分からないままに。でも、応えずにはいられなかった。
同じものを私も持っていると思いながら感じていた、ほんの少しだけの違和感。
それを持ち続けたままで。ともかくも。

大河に抱きとめられて、ようやく気づけた。
わたしの大河が側にいれば嬉しい。いなくなったら悲しい。
クソジジイをこんなにも憎むのは傲慢なわたしの嫉妬でしかなかった。
奴が大河を裏切れば、わたしはわたしの思いを大河にぶつけ続ける事ができる……。
それが、本当の願い?!……だった……って?
そんなこと。
知りたくもなかった。気づきたくなかった。
だってこんなにも愛してやまない大河がいなくなってしまったら、わたし空っぽだ。
いま腕の中に捕まえている、わたしの可愛い大河。大切に守った茶虎。
細い腕にものすごい力を込めてわたしの背中を抱いてくれている。
いいんだよ……いいよ……と。
不意に実乃梨は力を失ってしまった。見上げる大河と目が合った。
大河のマンションの、リビングのソファのうえで。
長い時間、鳶色と葡萄色の瞳を開いたまま見つめあう。
思考が回り始めてすぐに止まる。
どうして?どうして大河?
どうしてもだよ。大丈夫だよ。

葡萄の瞳から、やがて堪え切れず涙があふれ出した。
やり切れなくて、どうしようもなくて、途切れずに頬をつたい落ちる。
大事なことに気づいてしまったのだ。
こんなにも今すぐ必要というのに。今ごろになって。初めて。

わたし、女じゃん。なにができる――の?

目の前にいるのは、わたしのものじゃない逢坂大河。
大河はわたしの致命傷を押さえて、大丈夫、大丈夫だよと懸命だ。
自分の背中にも痛い刀傷を負っているくせに。
わたしが女だから。それをどうしようもない。
大河を救えない。自分も救えない。このままなにも――できない。
ただ何の役にも立たない涙を流し続けるだけ。
鳶色の瞳が困ったように瞬いて、それから優しい光を浮かべて、――みのりん、と。
あとからあとから頬をつたう涙を、口を寄せて吸い取ってくれる。
たいが――っ!
たいがぁ……。たいが……。
……。

「たいがは優しいね」
「みのりんだって」
落ち着けたわたしは思っていた。大河はこんなふうに献身するのか。
わたしだけに?
ひょっとして、心をつないでくれた相手にはみんな?
一瞬で、躊躇うこともなく?
「それにさ……」
「なに?たいが」
「みのりんは、すごく女の子なんだ。きっと」
私、分かっちゃった。
「う……それは」
知りたくなかった。
「もう少しでたいがをモノにできたのによ」
軽口を叩いてみる。
ふふん♪と可笑しそうだった。
もうバレバレか。とわたしは苦笑い。胸にずきずきとした痛み。
「モノにしたかったら、いつでもどぉ〜ぞ」
おーよく言ったなあ〜なら遠慮なく……襲うぞぐぉら!
きゃーん!みみみみのりぃーーんぬっ!目が血走ってるぅ!タップタップタップ!
いつものように。ハグってモフってグリまくり。
あんたはそういうやつなのかな……?わたしの、であっても。なくても。
思いを込めて、1回だけどさくさのキス。もちろん。今ここにいる大河に。
さよなら……わたしの大河。
ありがとう大河。
大好きだよ。

そのあと、1日なにも食べていなかったことを思い出し、ふたりでJonny'sへ行った。
馬鹿みたいに喋って、食べたいものをお腹いっぱい食べて。
バイトの募集を見つけてその場で応募。書類はあとで持ってくることにして即決。
……空っぽのままでなんかいられない。
わたしがわたしでいる事が、この茶虎めを愛し続ける唯一の資格。
この胸に置き去られた大河への熱はそのまま残す。ずっと大切に持ち続ける。


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