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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2
516
:
桜のころ(虎、帰るアフター3)
:2011/04/04(月) 01:08:48 ID:???
大河にだけ来ていたもう一通のメールは親友の櫛枝実乃梨からだった。
読んで、大河は八の字眉の困り顔になる。
やがて八の字の間にもう一本シワが入ってちょっと泣きそうな顔にも見えた。
竜児は覗きこんだりしなかったけど、その表情は少し気になった。
指定時刻に投降する、と全員に返信を済ませ。
まだ時間はたっぷりあるので、朝食・洗濯・掃除と高須家の日常に支障は来たさない。
友人たちと長時間つるむことになるだろう。泰子のおかずを2食分用意する事も忘れない。
さて対策会議という口実で単なる食後のお茶をのんびり喫する。
微妙な困り顔を続けている大河に竜児は気を利かして。
「俺はあいつらになら何を訊かれてもありのままで構わねえが。お前は?」
「う……うん。私も。ただね?木原や香椎とは違って北村くんたちは巻きこんじゃったから」
「そこだ。俺らがあんまり浮かれて万が一にでも傷つけるのはな」
「そう。……でもね」
神妙な顔で竜児を見る。迷いはなくなったようだ。
「みのりんも、北村くんも、ばかちーも、私は信頼してる。なんでも答えるよ」
「そうか。じゃそれでいい」
「うん」
あっさりと対策会議は終わった。そうして大河はもう一度メールを読み返す。
わたしの大河へ
きのう会ったばかりだけどまた行くよ。
もう卒業だからね。わたしは『あのこと』をみんなにも話したい。
あんたがそれを許すならば返信くれ。なければやめる。byみのりん
――わたしの大河。
もう長い間そう呼ばれてはいない、みのりんの特別な呼び方。
竜児とも未だ出逢わぬ頃。あの葡萄色の瞳と見つめあった。
懐かしくて甘くて、そして少し涙がでてくる記憶。
****
それはまだ私が誰も信じられなかった、高校に入学したばかりの春。
とある木曜日の午後に温かな雨が降り出して。
傘を忘れた私は、昇降口で大粒の雫が落ちるのを不機嫌ツラで眺めていた。
悩んだところで結局は走って、ずぶぬれでマンションに帰りつくしかないのだけど。
寒くてだだっ広い、独りの家。
ともかくはシャワーも浴びれるし、制服は乾燥機で明日までに乾かせる。
でも面倒くさい目に遭うのはいやだった。つまらない理由でグズグズと佇んでいた。
そこに、名前も知らなかったみのりんが傘をさしかけてくれたのだ。
「逢坂さん?入って行きなよ」
驚いて見上げた時のみのりんの顔。それは今でも忘れた事がない。
同じクラスの櫛枝ってんだよ。家まで送って行くからさあ。
屈託のない笑顔に釣られて、ありがたく相合傘で送ってもらったのだった。
ささやかに嬉しかったけど、無愛想に短く答えることしかできなくて。
マンションまでの僅かな道のりで何を話したのか。もう覚えてはいない。
「わお。ここなんだ。近いじゃん。全然まわり道じゃなかったよー」
あたしん家はこの先5分くらい。
ねっ!朝も一緒に登校しない?
坂下の曲がりっぱな。分かるっしょ?あそこで待合せしてさ。
「あ、うん。いいよ」
「じゃあまた明日ねー」
こんなふうにみのりんと出逢った。
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