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川 ゚ -゚)オーライオーライのようです
1
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:08:01 ID:FTVLCsf20
新機軸を打ち出していきましょう、とフサは言った。
ここで素直さんが少しだけ前向きになれるようなものを書いたら、皆衝撃だと思いますよ。
川 ゚ -゚)「前向きってのは」
ミ,,゚Д゚彡「要は、救いの要素がある話と言うか」
先論社八階、静まり返った打ち合わせブースにフサの声だけが反響する。
ミ,,゚Д゚彡「これまでその、素直さんの書くお話がセンセーショナルって言うか」
ミ,,゚Д゚彡「徹底的な救いの無さが逆に一定の読み手にとってある種の救済になっていた、ってことはよく分かるんです。本当によく分かるんですけど」
フサは慎重に言葉を選んでいたようだったが、要は
「お前の書く小説は陰鬱でワンパターン気味だから、良い加減読後感が良いものも幾つか書いてみろ」
という話以外の何物でも無かった。
実際、発行部数はデビュー作がピーク、そこから一気に部数を落とし、その後は緩やかにとは言え減少傾向とは重々承知していたから
何かしらのテコ入れを図るべきと編集部内でも言われているのだろうな、私は思った。
ミ,,゚Д゚彡「何だか、この前の話も面白かったんです。ですけど、悩まれながら書いたんだなあっていうのが凄い分かるんです。」
ミ,,゚Д゚彡「作風は今までの延長線上なのに、その悩みの痕が分かる人には分かっちゃうって言うか」
ならばいっそのこと、新しいスナオクールを打ち出して、読者を驚かすやり口も一つの手だと。
フサの目は分かりやすく泳いでおり、上下左右と忙しない。
2
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:08:53 ID:FTVLCsf20
検討します、とだけ言って半ば強引に席を立つ。
ミ,,゚Д゚彡「すみませんね、式の準備で忙しいのに」
フサとエレベーターホールへと向かう。
ミ,,゚Д゚彡「この後も打ち合わせとかですか?」
川 ゚ -゚)「まあ、ドレス選びで」
彼は何も返さず二、三度頷くと、間もなくエレベーターが下ってきた。
ミ,,゚Д゚彡「もっと行けますよ。僕も死ぬ気で頑張りますんで、やってやりましょう」
閉まりゆくエレベーターの扉の向こう、フサの張り付いた笑顔を見る。
閉まり切った後、どのような顔になっているのだろう。できることなら、舌打ちと共に悪態の一つや二つくらい吐いていてほしいものだ。
フサもそう、思えば前任のニュッもそう、そのまた前のビロードもそう
誰もが大作家、スナオクール先生には腫れ物に触るようで、私に真っ向から何かを提言する人間は誰一人としていなかった。
仮に言うにしても、先程のフサのような、何かしらが歯に挟まったような物言いが精々である。
いっそのこと、お前の書く話なんかおがくずだとでも言われてしまったほうが有り難いのだ。作家と編集は互いを程良く憎み合えるくらいが丁度良い。
3
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:09:38 ID:FTVLCsf20
Aラインはこの辺りですかね、次は少しタイプが変わってマーメイドになるんですけど
店員に言われるがまま何度とドレスを試着し、その度にモララーが芯から私を美しがっているような挙動を取るものだから、おかしくなってしまった。
Aラインも可愛いけど、クーは背が高くてスタイルも良いからマーメイドの方がもっと輝いて見えるね、とモララーは言った。
川 ゚ -゚)「歯の浮くような台詞」
( ・∀・)「いや、本当に思ってるし」
ばつの悪さに思わず俯くと、試着室の向こう側からスマホのシャッター音が幾度と無く聞こえてくる。
( ・∀・)「綺麗な人には綺麗って言わないとね、罰が当たる」
そのこそばゆさに、私は益々顔を持ち上げられない。モララーの顔を見ずに、聞いた。
川 ゚ -゚)「凄いよね、何考えてたらそんな言葉がパッと出てくるの」
( ・∀・)「何も、思ったことそのまま」
この調子で、からかっているような調子でもないことが私にとってはどうにも信じ難い。
( ・∀・)「その俯いてる感じもいいんだよ」
モララー、私の夫。温和でお人好し、常に笑みを絶やさず、真正面から人を褒めそやすこと、持ち上げることにまるで抵抗が無い。
この前、入籍にあたっての報告がてら、モララーの両親を含む四人で食事をしたが、この親にしてこの子有り、と思った。
二人とも腰が低く、選ぶ言葉、放つ口調にプレッシャーの欠片も持ち合わせない。あまりに尊重されるものだから、私も益々身体を縮こめざるを得なかったのだった。
モララーも、手塩にかけて育てられたのだろう。
訝しむことが全ての思考の大前提と化してしまっている私にとっては
到底成り得ない心の組み立てられ方をしているなとは、出逢ったその日から今に至るまでずっと思い続けていた。
4
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:10:47 ID:FTVLCsf20
( ・∀・)「クーはどう思う?」
川 ゚ -゚)「どうって言われても、まあ」
モララーが好きな方にするよ、と私は言った。
強いて言えば、身体のラインが強調されるマーメイドはやや気恥ずかしい。
気恥ずかしいし、何よりミルナの顔が脳裏をちらついてしまうことが、この上無く屈辱だった。
どこからかミルナが買ってきた、金のラメが所々に散りばめられた安いナイロン製の子供用マーメイドドレス。
ろくな灯りも点いていない部屋でそれを着せられると、執拗に腰回りをまさぐられた。
まさぐりながら、彼はしみと無精髭にまみれた顔をくしゃくしゃに顰めてすすり泣いていた。その理由は今でも分からない。
泣いている人間には優しくしてあげよう、原始的な道徳をもとにミルナの頭を二、三度撫でると彼は殊更に大きな声を上げて泣き始め
その勢いのままに私の腰を掴んで強引にフローリングに叩き付け、その後のことは、あまり思い出さないようにしている。
あの頃にミルナが私にしでかしたことが、私の人生の尊厳をも容易く脅かすような惨い辱めだったことに「気付いてしまった」のは
彼が捕まって、私が解放されて、それから少し後のことだった。
今でも、その夢を見て深夜に飛び起きることがある。
男の顔はミルナだったこともあったし、見知らぬ誰かだったこともあったが
薄暗い団地の一室で、ドレスを着たあの頃の私が埃だらけの床に押し付けられて、引き裂かれるような痛みに息もできない、という内容で概ね共通していた。
大概、酷い寝汗でシャツが濡れている。
まだ目新しくスプリングも強いダブルベッドの上、私の荒く不規則な息遣いに気付いたモララーは
白く細くやや頼りない腕で私を抱き締め、もう大丈夫、もう大丈夫と呟く。少しばかり、気が楽になる。
ああ、そうだ。全ては夢だ。私は大丈夫だ、いよいよ大丈夫になりつつあるのだ。
モララーが隣にいる限り、これからの生活の中で私を脅かすものは、恐らくもう二度と現れないのだ。
モララーの手が私の頬を撫でる。温かい。血の気が引き、すっかり冷たくなった私の手を重ねると、幸せとは、これかと思う。
幸せ。優しい配偶者。柔らかい毛布。私を脅かすものが何一つとして存在しない空間。ようやく辿り着いた。これ以上望むものも無いはずなのだ。
5
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:12:31 ID:FTVLCsf20
ミルナから、手紙が届いた。粗末なクラフト紙の封筒に入った手紙。
A4のコピー用紙が一枚、隅から隅まで余すことなく細かい文字で書き尽くされた手紙が、彼が収監されてから四半期毎に必ず送られてくる。
わざと乱暴に封を破り、それを読んだ。
春が来て、厳しい寒さも大分和らいできた。季節の変わり目だからか風邪を引き、咳が止まらない。
年を経る毎に身体が弱っていく実感がある。もう少し暖かくなったら運動を頑張る。
人でなしの、どうでも良い話。律儀に読めば読むだけ、我ながら面白いくらいに憎悪が湧く。
封筒は捨て、手紙だけ自室の机の引き出しに入れる。それが、もう何十枚になるか。まったく同じスタイルで、A4用紙が、何十枚も。
刑が確定し、ミルナが収監されるにあたって、手紙を書けと求めたのは私だった。
禊を立てたい気があるならば、四半期に一回、必ず私に手紙を書け。内容はどうでも良い。
反省の言葉を連ねるなり、塀の中の暮らしを書くなり、別にお前なんてどうしようもないヤリマンの癖に、でも良い。
どうせ何を書かれようが同じだ。私はお前から手紙が来る、お前が字を書いている、お前が生きている
それを思い出すことで、お前に受けた辱めを決して忘れたくないだけなのだから。
椅子に座り、視線の先、本棚に自著が何冊か並んでいる。
最奥に鎮座する、深い群青色の革が張られた上製本。
先論社では発行部数が一〇万部を超えると、ベストセラーの資料としての保管、ないしは単純にヒットを祝う目的で、革張りの愛蔵版が製本される。
社内保管用として二冊、作家にもう二冊。うち一冊は当時の担当編集だったビコーズに譲ったから、この家には一冊だけ。もう一〇年前に書いた、私のデビュー作である。
6
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:13:32 ID:FTVLCsf20
売れた。新人としては異例の売れ行きとはビコーズが叫んでいた気がするが、それからどれだけ売れたのかは分からない。
確かに、新聞、雑誌、ウェブ媒体、少なくとも各メディアからの文学的評価は決して悪いものではなかった。
が、あくまで「現役大学生の処女作にしては」と前置きが付く程度のもので
本当のところは「内藤市小六女児失踪事件」の被害者が年を経て文壇に立った、しかも、犯人と過ごした半年間を下敷きにした長編小説を引っ提げて
といったセンセーショナルな話題性がヒットの全てだったことは、私自身が誰よりも理解しているつもりだ。
思い出す。私が先論社に持ち込んだ習作を読んで、ビコーズは言った。
社会的な認知度も高い事件だけに、取り扱いは慎重にならざるを得ない。何より、商業作品として世に出すにしてはパーソナルな要素が強過ぎる。
だが、この恨みは、売れる。
( ∵)「仮にこれでデビューしたとして、多分、売れます」
( ∵)「売れるけど、被害者の女の子が大人になって小説を書いた、その話題性だけで売れるだけ。問題はその後」
やはり先論社八階打ち合わせブースにて、ビコーズはコーヒーを啜りながら言った。
( ∵)「話題性でデビュー作が売れた後の作家の消費期限ってのは、正直言って短いんです。勿論担当編集として素直さんにはそうなってほしくないし、多分、そうならない」
( ∵)「素直さん、個人的な恨みの描写が巧くて、面白いんです」
犯人に対する怨念の具体性、語彙、暗喩やフレーズの巧みさ、得意なんだと思います。
二作目、三作目でここをブラッシュアップして伸ばせば、ずっと売れ続ける。
( ∵)「そしたら、ずっと作家としてやっていけます」
7
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:14:29 ID:FTVLCsf20
まるで職業作家という選択肢を考えていなかった私にとって、ビコーズの言葉は天啓のそれだった、と同時に、楔や枷のようなものでもあった。
ビコーズは一作目のヒットを見届けた後、栄転なのか何なのか、呆気無く営業部へ異動となった。
その後の二作目、三作目、担当編集も何度か変わる中で、ベストセラーとは行かないが、彼の言う通り作家として食べていける状態を今日まで続けて来られた。
怨の探究者、スナオクール。どこかの書店のポップでそう書かれていたものが、いつの間にか私のキャッチコピーと化した。
ミセ*゚ー゚)リ「スナオさんの書く小説、本当に重苦しくて、でもどこかスカッとする要素もあって」
ミセ*゚ー゚)リ「私も殺したいくらい嫌な人間が周りに沢山いるんで、代わりに吐き出してくれてる、って気持ちになれるんです」
いつかのサイン会で、私と歳も変わらないくらいの女性から言われる。
从 ゚∀从「上司が殺したいくらいどうしようもない奴で」
J( 'ー`)し「早く姑がぶっ倒れてくれれば」
('、`*川「私の陰口を言いふらしていた彼女が」
ファンの言葉を聞く度に、楔が一回、また一回と打ち込まれる音が聞こえる。
ミルナを許すつもりは毛頭無い。だが、デビュー作で青い革張りを得たこと、その後の拙作が専業作家として生活できる程度に売れ続けていること
それは、あの頃の私がミルナに辱められたから、それを以て私がミルナを「恨み続けられた」所以ではないか。
たまに考えて、その度に首を振る。関係無い。私は私が書きたいように書いているだけで、そこに過去の介在は無い。無いと信じたい。
8
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:15:30 ID:FTVLCsf20
まんじりともせず本棚を見つめていると、そのうちドアをノックする音が聞こえ、モララーが入ってきた。いつの間に帰っていたらしい。
( ・∀・)「順調?」
川 ゚ -゚)「なんもやってない」
( ・∀・)「頑張って。ほら、コーヒー淹れた」
湯気が立つマグカップと、個包装のマドレーヌを机の上に置いてくれる。
( ・∀・)「また、手紙読んでたでしょ」
川 ゚ -゚)「何の?」
( ・∀・)「定期的に犯人から来るやつ。リビングに破かれた封が捨てられてたから」
強引に破いたばかりに、封筒の破れた部分をそのままリビングに捨ててしまっていたらしい。
しまったな、と私は思った。彼はミルナが手紙を出し続けていること、そして私がそれを受け取り続けていることを由としない。
川 ゚ -゚)川 ゚ -゚)「形式的に送られてくるだけだから。送ってくれとも言ってないし、また何かあった時の為に保管はしてるけど読んでもいないし」
少々無理筋の弁解をして、やはりモララーは釈然としないらしい。
( ・∀・)「忘れろって言ってるわけじゃないよ。ただ、それを読んでクーのメンタルが大丈夫なのかって心配なだけで。この前も夜中に起きちゃったし」
許せない気持ちはあると思う。が、時には自分の人生から切り離してみても良いと思う。モララーは言う。
川 ゚ -゚)「大丈夫、大丈夫」
半ば強引に彼を部屋から追い出すと、まだ温かいコーヒーを一口入れた。
ああ、そうだ。貴方は正しい。だが、切り離された私は、どうすれば良い。PCに表示された白紙のWordファイル、これを、どうしろと。
9
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:16:41 ID:FTVLCsf20
内藤市のアパートで、小学六年生、当時一二歳の児童が保護された。
同アパートに在住していた無職、ミルナがわいせつ目的略取・誘拐罪、または監禁罪で逮捕された。
ミルナは近隣の小学校に通っていた児童を帰宅途中に誘拐、その後約半年間において自宅アパートの押し入れに住まわせ、定期的なわいせつ、暴行行為に及んでいた。
被害者の名前は未成年につき公表を控えられたが、ゴシップ誌やネット上であっと言う間に広まった。素直クール。
彼女は警察からの取り調べに対し
川 ゚ -゚)「ミルナおじさんは怖い時もあるけど、私が頑張れば凄く優しくなってくれる。それに、怖い時もずっと泣いていたから本当は可哀想な人なんだと思う」
と証言し、ミルナが彼女に犯した行為の意味を認識できていない様子だった。
被害者が未成年、且つ被害内容のデリケートさからある程度の秘匿性が要求される案件だったが、裏腹に社会的な関心は過熱した。
メディアは連日にわたりミルナの生い立ちを、人間関係を、趣味嗜好を取り上げ、誘拐の手口と監禁生活の詳細を事細かにお茶の間に報告し続けた。
ネット上ではミルナは勿論、被害者である素直の顔写真、通っていた小学校、住所に至るまであらゆる情報がばら撒かれた。
それはやがて自宅、小学校付近での不審者の確認から自宅そのものへのいたずらへと実害に結び付き、家庭内の不和も深刻化。
やがて素直の両親は離婚、親権は母親が引き取った。
裁判は最高裁までもつれ込み、ミルナは懲役九年で確定。
既に大学生となっていた素直は、実刑確定後に小説家としてデビュー作「しじまを臨む家」を先論社より刊行。
本事件を題材にした、所謂暴露本とも捉えられる内容が話題を呼び、その年を代表するベストセラーとなった。
素直は現在に至るまで「スナオクール」として小説家として活動中。ミルナは引き続き収監中も、今年を以て刑期満了予定。
10
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:17:18 ID:FTVLCsf20
何気無くスマホで開いた「実録 世間を騒がせた大犯罪名鑑 平成後期編」なるまとめサイトに記載されていた。
内容は概ね間違っていない、間違っていないから尚の事腹が立つ。
そのうちドレスショップの店員がテーブルまでやって来て
クーさんは先日御試着されたこちらのマーメイドタイプ、モララーさんは先程のグレーのタキシードでよろしいでしょうかと訊いた。
問題無ければ御契約の手続きをお願いします、と。
( ・∀・)「それでいい?」
モララーの言葉に、黙って頷いた。
勿論、モララーは件の事件のこと、私の身に何が降り掛かったかを知っている。
だが、ドレスの件については小説にも書かなかったし、モララーに話す機会も逃したまま、ここまで来た。
川 ゚ -゚)「一番かわいいって言ってくれたから」
モララーがそれを望むならば、それで良かった。これ以上つまらないことで茶々を入れたくもない。
たかが私がドレスで着飾ったとして、それを心から喜んでくれる人が隣にいる。それだけで良いではないか。
( ・∀・)「じゃあ、それでお願いします。やばいな、体型維持頑張らないと」
腹をさすりながら、屈託無くモララーが笑った。モララーは今、幸せなのだろう。そして彼の隣にいる私も、幸せ、恐らく。
式まで三ヶ月。私も体型維持に努めなければ。うかうかしていると、簡単に骨と皮だけになりそうな気がした。
11
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:18:08 ID:FTVLCsf20
送っていただいたプロットを読みました、とフサが言う。
ミ,,゚Д゚彡「思ったのは、と言うより僕が心配しているのは、この前僕が言ったことを考え過ぎちゃって、窮屈になっちゃってるんじゃないかってことなんですよね」
ミ,,゚Д゚彡「だとしたら本当に申し訳無いなと」
川 ゚ -゚)「申し訳無いっていうのは」
ミ,,゚Д゚彡「要は、素直さんの意に反して無理矢理前向きな話を書かせようとしてしまってるんじゃないかって」
フサの切り出し方はいつも婉曲的だ。なるべく私の気に触れないように、曲げて曲げて曲げて、意識的か無意識か、何を言いたいのかを察せさせるまでがワンセット。
今日の話だって、結局「無理矢理取って付けたようなハッピーエンドが読むに耐えない」で終わる話だ。
川 ゚ -゚)「でも、今まで通りの話を書いたら結局ただの手癖で終わってジリ貧ですもんね」
ミ,,゚Д゚彡「いやいや、そんなこと言わないでください」
フサが慌てて首を横に振る。
ミ,,゚Д゚彡「御結婚のあれこれで忙しいとは編集部も承知してます。そんなに今すぐ上げろ、って言ってるわけじゃないんで、一旦プライベートに専念されてもよろしいですし」
川 ゚ -゚)「ありがとうございます。とは言え時間があまり無いことも承知しているので」
まあ、この前僕が言ったことは話半分にしておいて、まずは考えるまま、筆が進むままに書いてみてくださいとフサは言った。
有り難いお言葉。だが、己の筆癖を以てしても望むべきものが一切生まれない場合は、どうすればよろしいのだろうか。
若手と呼ぶにはやや苦しい程度にはキャリアも積んできた、今更担当編集に泣きつくわけにもいかない。
12
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:19:06 ID:FTVLCsf20
いつものようにエレベーターホールまでフサに見送られ、一階のロビーを歩く。
オープン型のカフェがビル内に併設されており、そこにビコーズの顔を久々に見た。恐らく同僚と何かを話し込んでおり、挨拶もせずにそのままビルを出る。
例えば。これが下手な小説ならば、私はビルを出ず、気付かれないよう物陰に隠れながら彼らの会話を盗み聞きするだろう。
するとビコーズはこのように吐き捨てているはずなのだ。
( ∵)「そりゃ最初は話題性で売れたけど、それがずっと続いたら飽きられるわな」
( ^Д^)「でも、そうやってネガい小説を沢山書く方向に持って行ったのはビコーズさんでしょ?」
( ∵)「だって、それしか取り柄が無さそうだったし。商業ベースに持って行くなら、その要素を切り売りするしかなかったのよ」
( ^Д^)「悪い人だねえ。それって、ずっと何かを恨み続けてろってのと一緒じゃん」
( ∵)「そうだよ、あの事件への怨念を切り売りして金を稼ぐって話。折角の被害者様だもん、テーマの種にしないでどうすんのってこと」
妄想である。職場のビルに併設されたカフェで易々と話すわけが無い、彼らも一端のビジネスマンだ。
だが、似たようなことは絶対に思っているはずだ。
ビコーズも、フサも、歴代の編集者も、全員が全員、思っているに違いない。何せ、当の私がそう思っているのだから。
13
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:20:42 ID:FTVLCsf20
努めて、ウェブ媒体での感想は読まないようにしている。だが、何を書かれているかは想像が付く。
手を変え品を変え、過去の事件への怨嗟を延々と小説に転嫁し続けているだけ。
話題性で売れたデビュー作の劣化再生産。ワンパターン。いつまで経っても被害者面。どうせ、それ以外の小説などまともに書けやしない。
ああ、そうだ。その通りだ。だが、今までの私は確かにそれだけで十分だった。
低空飛行ながらも何作と安定して売れ続けた。ある程度の数のファンも付いた。共感します、その一言だけで職業小説家を続ける意義はあると錯覚できた。
他方で、ある時期に、共に生涯を遂げても良いと思える人と出逢った。
私の過去、現在、その全てを受け入れてくれた。
ミルナに汚された身体、両親の離婚、そのうち仕事漬けで帰って来なくなった母、やけを起こして飛び出した家
幾多もの男との爛れた関係、何度か試した狂言自殺、藁をもすがる思いで書き上げた小説、全て、全てを私と共に背負う意志を、彼は私に見せてくれた。
夜な夜なあの頃の夢を見て、飛び起きると、あの頼りなくも温かい二本の腕ですぐに抱きかかえてくれる。
今までに得られなかった、絶対的な空間。自由、安寧、充足、幸福。いち人間としての極めて一般的な幸福。形式としての幸福。
まさか、私が取り込まれるとは思いも寄らなかった。貴方のおかげで、私はいよいよ何も書けなくなりそうだ。
家に帰り、自室の引き出しを開けて、数年分のミルナの手紙を読んだ。
どの手紙も、ただでさえ癖が強く乱雑な文字のインクが滲み、擦れ、輪をかけて汚い。私がどれだけこの男を許せないかを確認する時間。
もっとも最近は、日々の暮らしの中で薄れ行く怨念を無理矢理にでも充填する時間。
手紙を捲りながら、ある自転車選手のことを思い出した。癌と闘いながらも克服し、世界大会を複数回にわたって連覇した伝説の選手。
だがドーピング疑惑が持ち上がり、最初はのらりくらりと批判をかわしていた本人も、やがて逃げ場が無くなったと見て渋々それを認めた。
スポンサーは離れ、協会からは永久追放を食らい、今、自転車競技界で彼の話をすることはタブーに近い、と言う。何故か、思い出した。
14
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:22:12 ID:FTVLCsf20
結婚式は都内のホテルで行われた。準備は当日まで続き、慌ただしい中でドレスを着て、メイクを施してもらっていた。
鏡の前の私、髪が綺麗に結われ、目、鼻、口と順に整いゆく様を、ただただ黙って見ている。
鏡の前で「お前は誰だ」と三回呟くと精神が崩壊する、という与太話にもならないような都市伝説を思い出す。
しかし、確かに鏡の前のこの女は誰なのだろう。お前ではない、と言われたら、納得してしまうかもしれない。
川 ゚ -゚)「私じゃないみたい」
控室、後ろでその時を待ち構えているモララーに、鏡越しに話しかける。
( ・∀・)「大丈夫、益々綺麗になっただけでいつものクーだよ」
モララーの返事は相変わらずだった。気障なのか、十二分の優しさの表れか。
鏡の前に、恐らく私。どこかから、声が聞こえる。
お前、そんなに粧し込んで、何者のつもりだ。お前が着ているドレス、よく見てみろ。思い出さないか。
あの頃あいつに無理矢理着せられたものと、よく似ているじゃないか。
何故だろうか、呼吸が次第に浅く、荒くなっていくのが自分でも分かった。
タイトなマーメイドのドレス、薄くきめ細かいレースの向こうに、暗く薄汚い木造アパートの一室、小刻みに息を震わせるミルナが見える。
どれだけ取り繕おうと、あの頃から今の今まで、私は地続きで繋がっている。
すみません、酸欠かな。少し頭が痛くって。外の空気だけ吸わせてください。
メイクアップの途中、強引に控室を出る。
マーメイドドレスにとらわれ、おぼつかない足取りで駆け込んだトイレの鏡に映る私を見て、言った。
大丈夫、貴方は幸せ。私は今、本当に幸せ。だから、貴方は大丈夫、貴方は大丈夫、貴方は大丈夫。
15
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:22:55 ID:FTVLCsf20
父を含めた父方の親戚とは一切の縁を切っているし、友人も数人しか呼んでいない。
だから殆どの参加者はモララーの親族か、友人だった。言うならば、私とは何の関係も無い人達。
だがチャペルの扉が開いた瞬間、割れんばかりの拍手を聞いた。
母と共に、ヴァージンロードを一歩、また一歩を進む。
右、左、知らない誰かの満面の笑みを受けて、視線を真正面に戻すと、モララーが待っている。
私の全てを信じている、とでも言わんばかりの邪気の無い微笑み。
ああ、良かった。私はただ黙って、彼の隣へと足を進めれば良かったのだ。
幸福。これ以上は無い。社会的な幸福像の体現。私が想像し得るだけの幸せの全てが、今ここに。
おぞましいまでに幸せ。私の今までを奪い攫うくらいには、幸せ。何も残らなくなってしまう、それも、一つの幸せ。
( ・∀・)「綺麗だよ」
壇上に辿り着いた私に、モララーが言った。
川 ゚ -゚)「ありがとう」
貴方の妻になれて良かった。私、本当に幸せ。そう呟いて、いつの間に流れていたのだろう
知らぬ間に一筋の涙が私の頬を伝っていた。何故?
16
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:24:15 ID:FTVLCsf20
手紙が届いた。和紙ベースの白く小奇麗な封筒を見て、ミルナからのものではないと分かった。
宛名には「都村トソン」と書かれてあり、思い当たるところは無い。
恐る恐る封筒を開けると、便箋が何枚か入っている。
順に読むと、馬鹿が付くほど丁寧な時候の挨拶が何行か続いた後、このように書かれていた。
私はミルナの実妹です。
ミルナが収監中に素直様宛に季毎に手紙を送り続けていたと伺い、事前の連絡も無い中で甚だ恐縮ではございますが
御報告も兼ねて今回お手紙をお送りさせていただいた次第でございます。
本題ではございますが先日、ミルナが逝去いたしました。
刑期満了まであと数ヶ月だった中で、季節の変わり目によって元々持病だった肺病をこじらせ、段々と身体を弱らせて亡くなったと聞いております。
私をはじめミルナの親族は皆事件以来一切の縁を絶っていた状況でしたので、無縁仏として処理いただき、先週の段階で荼毘に付されております。
ミルナが素直様への直接のお詫びを果たせぬままこの世を去ったこと、私をはじめミルナの親族一同として自責の念に駆られております。
改めまして生前ミルナが素直様に致してしまった愚行
ならびにその後の素直様の生活に深い影響を及ぼしてしまったこと、大変申し訳ございませんでした。深く謝罪申し上げます。
人伝いにミルナの罪に対する後悔、懺悔の念は聞いておりました。
万死に値する行為をしでかしてしまった、悔いても悔やみ切れない、刑期を満了したら真っ先に素直様へお詫びを申し上げたい、と幾度も申していたとのことです。
勿論許しを乞うつもりは毛頭ございませんが、生前のミルナの思いを素直様へお伝えすることもまた親族としての務めかと思い
差し出がましい真似とは存じながらも書かせていただきました。
17
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:25:43 ID:FTVLCsf20
その後の内容は何一つ頭に入ってこなかった。
死んだミルナに代わって手紙を送り続けるつもりは無いこと、具体的な誠意の在り方等々何かしらが丁寧に書かれていたが、私にとってはどうでも良い。
ただ一つ、終わった。あの日から続いてきたこと、全てが。私を苛み続けた全て、怨嗟の全て、ここまでの私を作り上げた、全て。終わった。
川 ゚ -゚)「返してほしい」
自然と、独り言ちる。何を?
川 ゚ -゚)「返してほしい」
私は何を考える気にもなれず、自室を出て寝室に向かい、ベッドに身を沈めては天井を見上げ、やがて目を閉じた。
瞼の裏に断片的に浮かび上がる幾多もの顔、顔。
泣きじゃくるミルナの顔。自信有り気なビコーズの顔、眼を右往左往させるフサの顔、この世の善性の象徴のようなモララーの顔。
その顔にどれだけ歪まされてきただろう、絆されてきただろう。
皆、私を、どうさせたい?
18
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:26:29 ID:FTVLCsf20
目を開けると、横でモララーが静かな寝息を立てていた。枕元の時計、深夜二時。いつの間に何時間も寝入ってしまっていた。
身体を持ち上げる。肩が、首が凝っている。頭が鈍く痛い。喉も乾いている。
ベッドを降りて、自室へ向かった。机の上に置かれていたペットボトルの水を飲み干し、机の引き出しを開ける。
何十枚と重なった皺だらけのA4用紙。私を縛り続けた、私を導き続けた数々の手紙。モララーに気付かれぬよう、燃やしてしまおうと思った。
庭の雑草と一緒に、一気に火を点けてしまおうと。
紙の束を持った、その手が震えた。
身体が分かってしまった。駄目だ、私はこれを燃やせない。捨てられない。いよいよ、本当に幸福になってしまう。
類型としての幸せを馬鹿面で抱え持つだけ、それ以外はてんで何も持ち得ない女に。
引き出しを閉め、手の震えが治まるその時を待ってから、寝室へ戻った。
暗がりの中で、モララーが寝返りを打っている。ベッドにも入らずにそれを漠然と眺めていると、二、三度くらい口を開けたり閉めたりした後、確かに
( ・∀・)「大丈夫、大丈夫。もう大丈夫だから」
と言った。
19
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 18:26:49 ID:FTVLCsf20
おしまいです
20
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 20:00:14 ID:nPgvih0o0
ブラボー
サイコー
21
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 20:06:18 ID:QrMVmyZ20
おっっっっもれ〜
痛みとともに生きていくしかない
22
:
名無しさん
:2025/08/24(日) 20:30:21 ID:j9TLMsD60
拍手大喝采
23
:
1
:2025/08/24(日) 21:18:58 ID:FTVLCsf20
>>8
クーの顔二連チャンは単純にコピペミスです、申し訳
24
:
名無しさん
:2025/08/31(日) 12:03:36 ID:/vhYTWn60
おつ
25
:
名無しさん
:2025/08/31(日) 14:12:15 ID:332LoHxY0
乙、惜しいっていうのが個人的な感想。
●良かったところ
・コンセプト
作家クーに訪れた転機によって浮かび上がる被害者としてのクーの姿
再生の道と、被害者というアイデンティティの対立
これがとてもいい。特に被害者であることのアイデンティティを被害者作家として具象化したところがいい。
●惜しいと思ったところ
・もっと序盤で引き込んで欲しい
序盤で語り手クーにあまり興味を引かれない。今後の展開を考えると、もっと「何だこいつ???」と思わせて、このキャラのことを知りたいと思わせて欲しい。例えば、ビコーズへの脳内妄想をもっと早い段階で出すとか。編集相手に被害妄想じみた想像たくましくするこの作家クーは、一体どんな人物なのだろう?どんな人生を歩んできたのだろう?と興味を持たせてほしい。この主人公(&語り手)に対する惹かれなさは、この後もずっと影響していく。
・クーが作家である理由、意味
これが本文の範囲からではいまいち伝わらない。被害者としての身を切り売りすること(=事件被害者作家)でしか生きることができなかったという部分(事件後〜作家以前のクー)をもっと描写、記述して欲しかった。
この物語ではモララーは再生への道の象徴であり、小説(+手紙)は被害者としてのアイデンティティの象徴になってる
これに関連して、事件後(特にミルナの行為の意味がわかってから)〜小説家を目指すまでの過去の人生が抜け落ちてるのはもったいないと思う。数行でもいいからその心情、経緯があれば、「小説家クー」の味が深くなったと思う。
・結局クーが分からない (クーと深くつながるための過去の描写が不足してる)
この話は、クーについてのメンタルモデルを読者が構築していく話(=読者がクーについて知っていく話)だと思う。
でも最後までクーがどんな人物かあまり分からない。小説家クーと同じで。だから最後に明らかになるクーの感情にあまり寄り添えない。一人称形式で彼女自身が雄弁に語ってきたけど、つながりを感じない。
何が好きで何が嫌いか、モララーのどこが好きなのか、どこでどう出会ったのかも分からない。
以前はどんなクーで、それが事件でどう変わってしまったのかも。小説家になった理由も動機も、ミルナの行為の意味に気がついた時に何を考えてどう思ったのかも分からない。
本編以前のクーの心情・思考がほとんど描写されてないから、事件がクーに与えたインパクトを事後の今の姿だけでしか知れない。数少ない描写は、原始的な道徳でミルナをなでた〜の部分と裁判での証言くらい。
そうすると、読んでて思い描く事前の姿は一般的で曖昧なイメージになりがちで、それに寄り添うのは難しい。
正直、クーが遠い。記号的なミルナ、モララーと同じくらいこのクーは気にならない。
もし、クーに感情移入させる気がなくて、わざと過去を省略してるのなら、省略自体はまあいいと思う。
でもこの手の、登場人物がどういう人間なのかを追っていく話では、感情移入を排したとしても、対象となる人物に読者を引きつけておく必要がある。どんな形であれ気になる存在、目が離せない存在として。
次に何をしでかすのか? こいつは一体何なんだ? 何を考えているんだ? そういうことが徐々に明らかになるにつれて、主人公と読者の間に精神的つながりが生まれていく。
そして主人公がどういう人物なのか、心の深いところまで読者が理解した時(=主人公に対するメンタルモデルが読者の中で構築された時)、物語はクライマックスを迎える。
同様に、この話でもクーの心の深い部分が終盤で明らかになる。
事件を忘れて再生したいのか、被害者アイデンティティを維持したいのか自分でも分からず、ミルナが先に死というあがりを迎えて取り残されてしまった、孤立、混迷。何もかも奪われて、更に被害者だということさえ奪われていくという感覚。そして大丈夫だと寝言を言うモララー。
けど、そこまでに築かれてきたクーとのつながりが弱かった。繋がりがもっと強ければこの瞬間は衝撃的だったはず。
どこかの他人がそういう心情や状況になってるんだと聞かされても衝撃が少ないように、どこかクーは遠かった。
前後して、「皆、私を、どうさせたい?」っていう台詞も虚しく響く。
もしクーにもっと関心や繋がりを感じていれば、感情移入していれば、こっちの身を切るような台詞だったはずなのに。
もしかしたら、この読者からかもクーが孤立してるというのは、作者の狙い通りかも知れない。
それなら、読者からも孤立してるクーという構造、彼女の語り・独白をずっと聞いてきた読者さえも彼女から遠いという構造を、読者自身に自覚させるための仕掛けなり文章が必要だと思う。
クーをどこか遠く感じることで、読者自身もいつの間にかフサギコやビコーズやトソンのような、彼女を孤立させていく遠い世界の一部(クーにとっての消極的二次加害者のようなもの?)になっていたんだ、と自覚させるような、気づかせるような仕組みが
26
:
1
:2025/08/31(日) 17:38:03 ID:30ufIUIM0
>>25
ここが書ききれなかったというところをズバズバ言ってくれて有り難いです。仰る通り
またブラッシュアップする機会を設けたいですね
27
:
名無しさん
:2025/09/12(金) 21:00:03 ID:tZs3cAiA0
乙乙
塀の中のミルナの方が絶対嫌な思いしてない
何も分からず受け答えした証言が意図せず小児性愛者へのリップサービスみたいにも読めてしまうのが余計クーを追い詰めてるな…
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