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ミセ*゚ー゚)リひどい妄想のようです(゚、゚トソン

1名も無きAAのようです:2013/06/02(日) 19:19:11 ID:K.fid2pQ0

(゚、゚トソン「やっぱり時代はBLですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「は?」

(゚、゚トソン「男同士の恋愛です」

ミセ*゚ー゚)リ「え?」

(゚、゚トソン「ホモです」

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ「何言ってんだコイツ」

307名も無きAAのようです:2014/06/23(月) 14:17:45 ID:m6eFeJ8s0
乙 次も楽しみに待ってるわ

308名も無きAAのようです:2014/06/23(月) 14:36:48 ID:0s/qx.uU0
来てたのか、乙!

309名も無きAAのようです:2014/06/24(火) 13:18:21 ID:1ovCr4sw0
乙!
どっちも楽しみにしてる

310名も無きAAのようです:2014/07/01(火) 14:53:44 ID:dC6F02E.0

クリスマス以来久々にきたらいっぱい更新してた
フサがストーカーだったのが意外だったw
またんきは意外といい子だった萌えた

311名も無きAAのようです:2014/08/25(月) 04:49:36 ID:4TQz86/Y0
高校生組夏休み編とか無いですかねチラッチラッ

312名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:41:24 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「どうもどうも」

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ「えっどうした」

(゚、゚トソン「えっ」

(゚、゚トソン「出てきたのになんですかその反応は」

ミセ*゚ー゚)リ「まだ寒くなってないぞ」

(゚、゚トソン「もうこっちは寒いですよ。
     綿毛布に綿布団で寝てます」

ミセ*゚ー゚)リ「暑くね」

(゚、゚トソン「あったかくないと寝れない人なんです」

ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの? 体調不良?」

(゚、゚トソン「体調不良で書く人間がいるんですか」

ミセ*゚ー゚)リ「ごめんいつも頭だけは不良品だったね」

(゚、゚トソン「反論できないのが悔しい」

313名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:43:19 ID:z7iKVcEg0

ミセ*゚ー゚)リ「本当にはやいよ?前から三か月しかたってないよ?」

(゚、゚トソン「普通そこまで空くと失踪か……って思い始める人が出てくるんですが」

ミセ*゚ー゚)リ「考えたら前だいぶあけてたね」

(゚、゚トソン「この不定期っぷりについてくる人達ってすごいなって思います」

(゚、゚トソン「なんで投下に気づくのか不思議です」

ミセ*゚ー゚)リ「そりゃちょいちょい見るからじゃないの」

(゚、゚トソン「私は自スレのレスが1でも増えたら気づくんですけどね」

ミセ*゚ー゚)リ「そいつぁちょっと気持ち悪いかな」

(゚、゚トソン「あっ増えた! 批判か?批判なのか?って思いながら見ます」

ミセ*゚ー゚)リ「なんでや」

(゚、゚トソン「予防線張って心の準備しとくと傷も浅いので」

(゚、゚トソン「あたたかいおつに心癒されながら私は生きているのですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「でもおつがなくても投下はやめないんでしょう?」

(゚、゚トソン「やる気は下がるので次の投下までの期間がのびますね」

ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫、三年くらいなら余裕だから」

(゚、゚トソン「息が長いなぁ」

314名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:44:20 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「まぁ実際、書いてると波があるんですよね。
     うわぁーかけるぅーって時とぜんっぜん進まぬって時と」

ミセ*゚ー゚)リ「へぇ」

(゚、゚トソン「深夜テンションだとはーっはっはっはかけるかけるぅーって感じです」

(゚、゚トソン「寝る前の妄想の捗り方はびっくりですよ。
     何度ミルジョルもフサタカも完結したことか」

ミセ*゚ー゚)リ「それを文に起こすだけの簡単なお仕事だと言うのに」

(゚、゚トソン「まったくもって簡単じゃないですね」

(゚、゚トソン「未来道具はよってこの話題何回目ですか」

ミセ*゚ー゚)リ「その道具を求めすぎているね」

(゚、゚トソン「生きてるうちに完成すればいいですけど」

ミセ*゚ー゚)リ「そもそもそんな道具作ろうとする人いるのかな」

(゚、゚トソン

(゚、゚トソン「いないですね」

ミセ*゚ー゚)リ「いないね」

(゚、゚トソン「理系に進むんだった」

ミセ*゚ー゚)リ「今更すぎるわ」

315名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:45:29 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「さて、ぐだぐだ話してないで注意書きのお時間です」

ミセ*゚ー゚)リ「すげぇ久々じゃん」

ミセ*゚ー゚)リ「てか、え? フサタカとミルジョル注意書きいるの?」

(゚、゚トソン「その二つ全く持って健全なのでいりません」

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ「んん?」

(゚、゚トソン「ごめんなさい今回また話進みません」

ミセ*゚ー゚)リ「書くの飽きたんじゃないかなってレベルだぞ」

(゚、゚トソン「ちがうんですっちがうんですおまわりさん! 
     妄想で話完結してるから書くのめんどいとかじゃないんです!」

ミセ*゚ー゚)リ「飽きるのよりひでぇわ」

(゚、゚トソン「余談ですが書くならフサタカの方が先になります」

ミセ*゚ー゚)リ「そりゃまた、なんで?」

(゚、゚トソン「高校生が好きだからです」

ミセ*゚ー゚)リ「そろそろしょっぴかれたほういいんじゃないかな」

(゚、゚トソン「思うことくらいいいじゃないですか! 内心の自由!!」

ミセ#゚д゚)リ「うるせぇ!!!」

316名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:46:57 ID:z7iKVcEg0

ミセ*゚ー゚)リ「結局ぐだぐだと話してしまった」

ミセ*゚ー゚)リ「で、注意ってなんなの?」

(゚、゚トソン「特殊設定です。知ってる人は知っているオメガバースっていう」

ミセ*゚ー゚)リ「ほわっといずでぃす?」

(゚、゚トソン「端的に言うと男女の他にもアルファ、ベータ、オメガの三種の性があるって話です」

(゚、゚トソン「アルファ女とかベータ男とか」

ミセ*゚ー゚)リ「ほんほん?」

(゚、゚トソン「ベータが所謂普通の一般人と考えて大丈夫です。
     世界の大半を占めるのがベータ」

(゚、゚トソン「特殊なのがアルファとオメガですね。
     アルファはカリスマ性とか、強さとかが優れています。
     黙ってても人を惹きつける魅力がある、芸能人やスポーツ選手などきらびやかーなアルファ」

(゚、゚トソン「で、オメガが一番希少……というか弱いです。
     個人差こそあれ奉仕精神が強く、誰かに庇護されたいと思いやすい。
     身体的能力はベータと変わらないにしろ、発情期があります」

ミセ*゚ー゚)リ「……ぱーどぅん?」

(゚、゚トソン「発情期があります」

ミセ*゚ー゚)リ「猫が春になると騒がしいあれ?」

(゚、゚トソン「あれです。平均的に約三か月周期でやってきて一週間くらい。
     その間オメガはもうえっちのことで頭いっぱいで理性吹き飛ぶと考えていいです」

(゚、゚トソン「しかも発情期の間は他のアルファをひきよせるフェロモン垂れ流し。
     もうどこからでも襲って状態です。一番本能に引きずられているって考えていいです。
     奉仕精神も相まって古代は奴隷にされてたっていう」

ミセ*゚ー゚)リ「なんて難儀な身体なんだ……」

317名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:48:28 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「そして男オメガは発情期中妊娠できます」

ミセ*゚д゚)リ

(゚、゚トソン「さらに女アルファは勃起した際クリストスが肥大化して男性のイチモツと変わらなく使えます。
     もちろん相手を妊娠させることも可能ですし、自身も妊娠できます」

ミセ;゚д゚)リ

(゚、゚トソン「それでこれがミソなんですが、アルファとオメガは番になることができます」

ミセ;゚д゚)リ「番ってあれか、おしどりの」

(゚、゚トソン「はい。番になったオメガのフェロモンは番の相手のアルファにしか効かなくなります。
     番になる方法は結構皆設定ばらばらですけどね」

(゚、゚トソン「そしてその番にも運命の相手っていうのがあります。
     所謂赤い糸で結ばれてるーっていう少女マンガ的あれです」

(゚、゚トソン「運命の相手に出会ってしまうと既に番を組んでいても惹かれてしまう、
     一緒になりたいってなるってのがオメガバースの大元です。わかりましたか?」

318名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:49:32 ID:z7iKVcEg0

ミセ;゚д゚)リ「一言いい?」

(゚、゚トソン「どうぞ」

ミセ;゚д゚)リ「よくもまぁこんなもん思いつくな! 変態か天才だわ!」

(゚、゚トソン「変態で天才だと思いますけどね」

ミセ;゚ー゚)リ「これは注意書きいるわ特殊すぎる! いろんな方向に銃乱射してる!」

(゚、゚トソン「男性妊娠にふたなりですからねー嫌な人は嫌ですよこれ地雷地雷」

ミセ*゚ー゚)リ「てか最初に女体化はどうもなーとか言ってなかったっけ?」

(゚、゚トソン「ふたなりはセーフ、男性妊娠もまぁ男のままなんでセーフです」

ミセ*゚ー゚)リ「地雷がよくわからないな本当に」

(゚、゚トソン「きっと理解できるのは私自身だけですよ」

(゚、゚トソン「まぁ男性妊娠とか書かないし女性もでてこないんですけどね」

(゚、゚トソン「これは設定を言っておかないとわからなくなるので」

ミセ*゚ー゚)リ「確かに」

319名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:52:06 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「しかしこのオメガバース、腐にだけ使うのはもったいなさすぎですよ。
     SFの世界として色々できそうなのに」

ミセ*゚ー゚)リ「外国で作られた設定なんだっけ?」

(゚、゚トソン「私英語が本当に駄目なので。この設定最初は普通にSFとして書かれたんなら読みたいですねぇ」

ミセ*゚ー゚)リ「まさかこんなことに使われるとは思うまいよ」

(゚、゚トソン「本当に申し訳ないけどときめいちゃったから仕方ないよね?」

ミセ*゚ー゚)リ「一度申し訳ないという言葉の意味を調べ直せ」

(゚、゚トソン「だって萌えちゃって思いついちゃったんですもの」

ミセ*゚ー゚)リ「内心にとどめておけばいいものを」

(゚、゚トソン「誰かと共有したくないならこのスレは存在しません」

ミセ*゚ー゚)リ「……それもそうだね」

(゚、゚トソン「読んで萌えてくれる、これほど嬉しいことはありませんね。
     生きててよかったって思います」

(゚、゚トソン「あととうとう十八禁ものになりました」

ミセ*゚ー゚)リ「R指定まではいってしまったのか」

(゚、゚トソン「いやまぁ、仕方ないですよオメガバースですし」

ミセ*゚ー゚)リ「言い訳しない」

(゚、゚トソン「ごめんなさい」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあお喋りはここらへんにして本編いこうか」

(゚、゚トソン「うぃーっす」

320名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:53:55 ID:z7iKVcEg0

母はアルファだ。
超人的な身体能力と筋力でついた称号は霊長類最強の女。
正直いつになっても勝てる気がしない。もう50を超えたはずなのに未だに腕相撲どころか指相撲でさえ勝てやしない。
むしろ指が潰される。俺の中で最も怒らせてはいけない人物である。

その番である父はオメガだ。
発情期を薬で抑えながらも薬学に従事して、発情期抑制の薬の研究を続けていた。
その甲斐あって一日何錠も飲まなくてはならなかったのを、
発情期の間と前後の一日一錠で抑えることに成功した正にオメガの希望。
今は副作用をより減らすことを目指しているらしい。

その二人の血を引いたのは四人。

まず姉。姉はアルファだ。
母譲りの身体能力があり新体操をしていたが、足の靭帯が不味いことになっていたらしい。
母の回復力までは受け継かなかったが、幸いにも語学の才があった。
今では世界中を飛び回っていて家に帰る方が少ない。地上より空の上にいる方が多いんじゃないだろうか。
また、怒らせてはいけない人物№2である。自分より身長の低い人間にまさか首を持ち上げられるとは思わなかった。

そして弟。弟もアルファだ。
母ほどではないが筋力と身体能力は折り紙付きで、今は空手の世界一を目指している。
……柔道だったか?まぁ、そこらへんは些末なことだ。
というか一通りの武道と呼ばれるものをやっているので当然強い。異種格闘競技とかに出た方が絶対にいい。

最後に妹。妹もまた、アルファだ。
本当に同じ親から生まれてきたのかと思うほどの可愛らしさで子供モデルなんてものをやっている。
将来の夢は女優だそうだ。妹が女優になったら俺はDVDを保存用観賞用の二つ買おう。
布教はしない。妹の可愛らしさをこれ以上広めてどうするんだ。変な虫がついたらいけない。

そしてこの四人の中の二番目、長男であり兄であり双子の弟がアルファの俺は。


オメガだ。

321名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:54:55 ID:z7iKVcEg0

( ´_ゝ`)「はぁ〜ぁ〜ぁ」

間延びした欠伸に溜息を紛れさせる。
非常に億劫だ。ひっっっっっっじょーに行きたくない。
というか生きていたくない。たった今この瞬間に世界が終わらないだろうか。
いや終わられたら困る。来月発売のゲームは予約しているしまだあの漫画も連載している。

( ´_ゝ`)「結末を読むまでは死ねない」

(´・ω・`)「何よいきなり。人の店に来て溜息吐いたり忙しいわねぇ」

( ´_ゝ`)「もう一杯くれ」

(´・ω・`)「あんたそろそろ飲みすぎよ」

そう言いながらもショボンは慣れた様子で酒を注ぐ。
そりゃ慣れるわ。こここいつの店だし、これこいつの仕事だわ。
思考がふわふわと飛ぶのは酒のせいだろうか。そういうことにしておこう。

(´・ω・`)「現実逃避っていうのよ、それ」

( ´_ゝ`)「お前いつのまに読心術を身に着けた」

(´・ω・`)「全部口から出てたわ」

( ´_ゝ`)「ナンダッテー」

322名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:55:57 ID:z7iKVcEg0

自分で思ってる以上に俺の頭はふわっふわになっているらしい。
琥珀色の液体が注がれたグラスの中の氷がカラリと音を立てる。
実に涼やかだ。ダークブラウンの木目に反射してとても綺麗だ。
全体的に黒でまとめられた部屋は柔らかな橙の光によって重苦しさを払拭していた。
とても落ち着く。もうずっとここにいようかな。

(´・ω・`)「それは困るわ」

( ´_ゝ`)「またでてたか」

(´・ω・`)「えぇ、お褒め頂きどうもありがと」

( ´_ゝ`)「いい店だなー俺のこと雇わない?」

(´・ω・`)「兄者がニートだったら考えなくもないけど、ここあたしの店よ?
     意味わかってる? 今考える頭あるかしら」

( ´_ゝ`)「大丈夫、ここがおかまバーってことはわかってるしさっきのは冗談だ」

(´・ω・`)「路頭に迷ったら住み込みもいいわよ」

( ´_ゝ`)「ありがたいが尻が心配になるから遠慮する」

(´・ω・`)「大丈夫よ、あんた全く好みじゃないから」

( ´_ゝ`)「慰められてるのかけなされてるのかどっちかな」

(´・ω・`)「あたし好みだったら酒に睡眠薬でもいれて既成事実作ってるわ」

いや作れないだろ。お前子宮ねぇじゃん。
これを言わないでおいたのは俺の理性がなんとか踏ん張っていたからだろう。
お互いを傷つける言葉をだすのはよくない。幼稚園児でも知ってる。

323名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:56:53 ID:z7iKVcEg0

(´・ω・`)「で、あんたはいつ帰るの?」

( ´_ゝ`)「客を追い返そうっていうのか」

(´・ω・`)「閉店時間過ぎても居座るのは客じゃなくてゴミよ」

( ´_ゝ`)「ひどい」

(´・ω・`)「肥料にもならない生ゴミで粗大ゴミよ」

( ´_ゝ`)「そこまで言わなくたっていいじゃん……」

(´・ω・`)「友達優待もそろそろ切れるわよ」

しくしくと泣き真似をしてみたが全く心配される気配はなく、ショボンはグラスを磨く手を止めない。
はぁ、と今日何度目かもわからない溜息が口から出て行った。

(´・ω・`)「やめてよねーもぉ辛気臭いったらありゃしない」

( ´_ゝ`)「なんだよぉ〜ずっとお互いの愚痴聞きあってきた仲じゃんか」

(´・ω・`)「あたしはもう吹っ切れてんの知ってるでしょ」

ふん、と鼻を鳴らして言う。
結構いいところの家のお坊ちゃんは自分に正直に生きることにして、
それを親と徹底的に話し合って戦って、今の居場所を確立している。
どうしても駄目なら家を捨てる、と悲壮感漂わせていた彼女はどこにいってしまったのか。
あの時は俺が聞く側だったというのに、今じゃ逆転している。

( ´_ゝ`)「くっそー好きに生きやがって。おめでとう」

(´・ω・`)「ありがと。次はあんたの番じゃないの、頑張りなさいよ」

324名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:58:00 ID:z7iKVcEg0

何をがんばれというのか。もう頑張り様がない。
家族がそれぞれの道を歩む中俺はしがないエンジニアだ。
恵まれたことといえば、そこの社長が性差別をしない人であることと、オメガを隠すことを認めてくれたこと。
精々一人生きていくだけの給料をもらいながらひっそりと息をひそめるように暮らしていた。

暮らしていた、と過去形なのは俺の居場所が家族にばれてしまったからである。
正確には弟にばれた。今朝父から謝罪と共にその報告を受けた時、地面が崩壊したかのような錯覚をした。
大学を卒業するまで準備は入念にしたのだ。勤める会社も嘘を教えていたし、実家にいるつもりだと言っていたのだ。
ちょうど弟の強化合宿だとかが被ったときに家出の体で抜け出したと言うのに、
なんとか一年無事に過ごせそうだと思っていたのに。

( ´_ゝ`)「一年もたないってどういうことだよ……」

(´・ω・`)「もったほうだと思うわよ? 十か月もてば上々じゃない」

( ´_ゝ`)「俺はずっと逃げるつもりだったの!」

(´・ω・`)「あんたそれは無茶よ」

( ´_ゝ`)「無茶でも無理でもやる! もう今から夜逃げする!!」

(´・ω・`)「我儘いわないの」

( ´_ゝ`)「もうまじで今日泊めてくんない? 帰りたくない」

(´・ω・`)「 無 理 」

325名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 03:59:08 ID:z7iKVcEg0

絶望した。もう駄目だ。俺は一人暮らしの部屋に帰ったら死ぬんだ。
駄目だ帰ったらあいつがいるからその前に死のうそうしよう。
あぁやっぱ嫌だ怖い。痛いの嫌だ。でも帰るのも嫌だ。もう何もかも嫌だ。
完全に情緒不安定なのは酒のせいだ畜生。視界が曇るのもなんかしょっぱいのも酒のせいだ。

( ;_ゝ;)「そこまで断言しなくたっていいじゃん!!」

(´・ω・`)「あんたそれ飲んだら帰りなさいよ」

( ;_ゝ;)「くっそおおおお鬼!悪魔!友達を売り渡そうってのか!」

(´・ω・`)「いやあたし弟者とも友達だし」

( ;_ゝ;)「あたしと弟者どっちが大事だっていうの!?」

(´・ω・`)「どっちもどっちよ」

( ;_ゝ;)「正論で返しやがって!おかま!垂れ眉!っえーと……おかま!」

(´・ω・`)「あんた語彙が貧弱になってるわよ」

( ;_ゝ;)「ああああ帰りたくないよおおおおおぉぉ」

頭の片隅にいる冷静な自分がドン引きしている。でも涙は止まらなくてもうここで枯れてしまえばいい。
カウンターに突っ伏してしゃくりあげる俺の背を温かいものが擦る。

( ;_ゝ;)「うーっ……うぅ…………ひっ……」

(´・ω・`)「はーいゆっくり深呼吸ね大丈夫大丈夫吐いてー吸ってーはい吐いて―」

ショボンの言う通りゆっくり呼吸すると自然と感情が凪いでいく。
それに比例して涙も収まってなにこれすごい。お前魔術師かカウンセラーか。

(´・ω・`)「伊達に酔っ払いの相手してないわ」

よくいるわよ、情緒不安定になるおじさん、と言ってカウンターの内側へ戻っていく。
やけにおじさんの部分に力が籠っていた気がするがまぁ許そう。
グラスに残っていた薄まってしまった酒を飲み干して、頷く。

326名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:00:51 ID:z7iKVcEg0

( ´_ゝ`)「あー久々に泣いた」

(´・ω・`)「はい、蒸しタオル」

( ´_ゝ`)「サービス完璧すぎて惚れそう」

(´・ω・`)「まだ死にたくないから遠慮するわ……というかあんた、」

( ´_ゝ`)「ん?」

(´・ω・`)「言いにくいんだけど、次のアレいつ?」

アレ。オメガにとってのアレとは発情期のことしかない。
女性の生理のようなもんだ。ほとんどのオメガは隠しているし、薬で抑えようとしている。
俺もその例にもれず、である。

( ´_ゝ`)「んー二週間後くらい? どしたの」

(´・ω・`)「いや、あんたがこう情緒不安定になるときって大体アレの直前だから」

( ´_ゝ`)

そういえば、と思い出す。
どうにもこうにも感情の制御ができない周期が発情期と同じにある、ような。
ショボンはよく人を見ている。彼女がいうなら大体当たっているし、長い付き合いで見抜かれてもおかしくない。

父者にもストレスで早まったりする時があるからいつでも薬は持ち歩くようにと言われてたような。
横の椅子に置いていた鞄を漁る。ない。そりゃない、俺は三日前くらいから飲めば大丈夫な人間だから。
サァッと血の気が引く。今俺の顔は真っ青に違いない、あいつと会うより絶望している。
まさか、と意識したのがより良くなかった。酒にまぎれていただけで前兆はずっとあったのだ。

327名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:01:58 ID:z7iKVcEg0

(´・ω・`)「……あんた、まさか」

(  _ゝ )「かえる」

(´・ω・`)「送るわ」

(  _ゝ )「いい、かえれる」

(´・ω・`)「馬鹿、何かあったらどうすんの」

そう言いながらショボンは有無を言わせず俺の手を引いて、助手席に投げ込んだ。
勘定、と呟いたらツケといてあげる、と返ってきた。俺はなんていい友人を持ったんだろう。
マジお前かっこいいよ。麗しいといいなさい。まだ余裕はある、大丈夫だ。

(´・ω・`)「うーん飲んでなくてよかったわ」

( ´_ゝ`)「全部水とかで誤魔化せるもんなの?」

(´・ω・`)「手先が器用だとね」

( ´_ゝ`)「へーぇ」

328名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:03:04 ID:z7iKVcEg0

夜の街も終わりを告げるようで、ネオンが光っている店は少ない。
口を開けて動かしていないと考えてしまってダメになる。
もうこんな時間か、と言うと誰かさんのおかげでね、と返ってきた。
いいじゃないか、愚痴らせてくれよ。

(´・ω・`)「逃げてばっかじゃ解決しないってわかってるくせに」

( ´_ゝ`)

じゃあどうしろっていうのさ。

(´・ω・`)「向き合う時が来たんじゃないの」

向き合ってどうすんだよ、兄弟だぞ。
神様なんてくそくらえ、ポンコツじゃねぇか。
何が運命だよ馬鹿にしてんのか、いっそ俺を殺してくれ。

(´・ω・`)「あんたね」

( ´_ゝ`)「ぐえ」

ぐ、と襟首を掴まれた。
正面を向いていなければならないショボンの目はこちらに向けられていて、その目に咎める色が浮かんでいる。
でもその奥に泣きそうな顔が見えて息が詰まった。俺もショボンも泣きそうだった。

329名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:04:07 ID:z7iKVcEg0

(´・ω・`)「そういうことを言うのはやめなさい。
     あんたが自分で死ぬ分には何も言わないわ、あんたの自由だもの。
     でもね、人を巻き込まないで。今もし事故が起きてあんたが死んだら、あたし一生後悔するわ」

( ´_ゝ`)「……それお前も死ぬぜ」

(´・ω・`)「それでもよ。死にながら後悔するわあたしが死んでもあんただけは助かってほしいって思うわよ。
     もしあんたが一人で死んでも泣くわ。大泣きするわ。
     あんたが生きてるなら愚痴だって聞けるけど死んだら何もできないじゃない。
     死ぬのは何もかも全部やってからで遅くないでしょ」

ぱっと手が離されて肺への空気の通りがよくなる。
いつの間にか路肩に止められていた車が再び走り出す。
襟首越しに熱が身体に染みていく。まだ、大丈夫だ。抑えられる。

( ´_ゝ`)「……かっこいいこというじゃん」

(´・ω・`)「前に言われたことがあってね」

( ´_ゝ`)「よっぽどイケメンに言われたんだろうな」

(´・ω・`)「世界一かっこよかったわ」

一度会ってみたいもんだ。
口に出す前にショボンが被せてきた。

330名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:05:12 ID:z7iKVcEg0

(´・ω・`)「それとね、」

( ´_ゝ`)「へい」

(´・ω・`)「生まれ持ったものはもうどうしようもないわよ」

( ´_ゝ`)

(´・ω・`)「あたしだってこんなだけど結構楽しく生きてるのよ」

(´・ω・`)「そりゃあ欲を言えばちゃんと女で生まれたかったなって思うし、もっと可愛く生まれたかったけど」

(´・ω・`)「でもどうしようもないじゃない、今を生きるしかないんだからさ」

(´・ω・`)「それに普通の女の子として生まれてたら兄者とかとここまで仲良くなることもなかったし」

(´・ω・`)「そう考えると悪くないなって思うのよ」

( ´_ゝ`)「……うん」

(´・ω・`)「……兄者も色々考えるところあるとは思うんだけどね」

(´・ω・`)「でも後悔はしてほしくないなって」

( ´_ゝ`)「ショボン、ここだ」

(´・ω・`)「あら、もうついたの――兄者」

アスファルトに足を着く。
まだ立てる。歩ける。ほんの少しの階段だ、問題ない。
窓を開けてショボンが呼びかけてくる。

331名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:06:12 ID:z7iKVcEg0

( ´_ゝ`)「なんだ」

(´・ω・`)「さっきの、あんたが昔あたしに言ったのよ」

( ´_ゝ`)

(´・ω・`)「最高にかっこよかったわ」

じゃあね、と言い残して車は走り去っていった。
少し呆然として、言葉を反芻する。昔俺が言った?ショボンに?
あんな恥ずかしいこと言ったんだろうか。うまく思考がまとまらない。部屋に帰って考えよう。

332名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:07:04 ID:z7iKVcEg0

かつ、かつと靴底が音を立てる。
とても遅い時間だが一人暮らしで気を遣う相手と言えば隣人ぐらいしかいないし、
俺の住んでいるアパートは結構空きが多い。俺の両隣も空いているし特に音について考えることはない。
何よりアルファが住んでいないというのがよかった。まぁ、こんなボロアパートに住むアルファなんていないのだけれど。

二階の、奥から二番目。角部屋がよかったのだが、俺が来た時は埋まっていた。
今度大家さんに変えてもらえるよう言ってみようか。鞄から鍵を出しながら歩く。
部屋の前に誰か立っている。一瞬驚いて足が止まる、がすぐ歩き出す。
誰か、というのは正しくない。俺はそれが誰かを知っていて、今日いるだろうと予測していたではないか。

(´<_` )

じとりとした視線をこちらに向けているのは実に久しぶりに会う弟である。
一瞬だけ顔を見て弟だと確認してすぐに目を逸らす。
非常にまずい状況だ、アレに気を取られすぎて完全に存在を忘れていた。
帰るのは悪手だった、帰るなら実家なりオメガの友人を頼るなりするべきだった。

かつ、音が止まる。身体は正面から向き合う形になったが、俺が俯いているので顔は見えない。
それでもぐさぐさと痛いほどの視線が向けられているのを感じる。
こいつのまっすぐすぎる視線がずっと苦手だった。揺らぎもしないそれは逃げることを許さない。
しばらくお互い黙ったまま。弟者は避ける気配をみせない。俺の手にある鍵も見えているはずなのに。

( ´_ゝ`)「どいてくれ、開けるから」

(´<_` )

顔をあげずに言うと目の前の不機嫌オーラが増大した。
一応身体は横にずれたので、なんとか平静を保っているふりをしながら鍵を回す。
まだ力は入る。あと少しだ、大丈夫大丈夫。

333名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:08:04 ID:z7iKVcEg0

扉を開けると一瞬だけ気が抜けて、油断していたと引き締める。
1LKの狭い部屋、寝室のベッド脇のサイドボードに入れている薬。
頭の中で考えて気合を入れる。そこまで行って飲むまでがゴールだ。

後ろからは当然のように弟者がついてこようとしていて、留めるのを忘れていたと思い出す。
振り返って顔を見ないように、視線は下に落としたままで。
声に感情を乗せないように、動揺をみせないように。俺の状態に気づかれたらまずい。

( ´_ゝ`)「ちょっと待っててくれ、片付けてくるから」

(´<_`#)「あ゛?」

弟者はとっくに沸点まで達してしまっていたらしかった。
地の底を這うような声と共に扉が開かれて、ドアノブを掴んでいた手首を掴まれる。
つい顔をあげてしまった。そのまっすぐな視線に貫かれて、息が詰まる。
弟者も驚いたように目を瞠る。ほんの少しだけ力が緩んだ。

(;´_ゝ`)「っ、」

咄嗟に振りほどいて、逃げる。寝室、薬、頭の中でそれだけを繰り返す。
あと数メートルもない、扉を開ければすぐそこなんだ、ドアノブに手をかけて、回す。
ベッドが見える、右手を伸ばす、がそれが届くことはなかった。

334名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:09:17 ID:z7iKVcEg0

背中から熱が伝わってくる。俺をすっぽりと覆い隠してしまおうとするように弟者が抱きしめている。
強固な力はほどけるわけもなく、一拍遅れて弟者の匂いが漂ってくる。無性に甘く感じるこの香り。
ちょうど耳元に顔があるのか吐息が耳を掠める。ぞくぞくと背筋が震えてしまう。

(´<_` )「兄者」

そんな声で呼ばないでくれよ。
身体の奥が熱い。どろどろと溶けてしまう、あぁ、嫌だ。駄目だ。
ふ、と力が抜けた。崩れ落ちかけた俺の身体をしっかりと弟者は抱きしめて離さない。

(´<_` )「すげぇ甘い匂いがする」

すん、と首筋に鼻をこすりつけながら言う。嫌だ、嫌だ。堕ちたくない。弟の前では絶対に。
腰あたりに硬い感触を感じて、首を振る。考えたら駄目なんだ。
荒くなる呼吸を必死に抑えながら手を伸ばす。薬さえ飲めばマシになるのに。

唐突に身体が浮く。そのまま動いて、ベッドの上に優しく降ろされた。
近くなったサイドボードに手をかけるが全く力が入らない。
ちくしょう、目さえ見なければ、声を聴かなければ、匂いを嗅がなかったなら。

335名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:10:17 ID:z7iKVcEg0

弟者が俺の意志を察してボードを開ける。
小瓶に入った薬を取り出して、物珍しそうに揺らした。

(´<_` )「見た目は風邪薬とかと変わんないんだな」

(; _ゝ )「、よこせ……!、」

(´<_` )「一緒に暮らしてても見ることなかったし。本当は発情期きてないのかと思った」

(# _ゝ )「よこせっていってんだろ!」

必死に伸ばした腕は簡単に押さえつけられて、完全に抵抗する術を失ってしまった。
なんとか足をばたつかせるが俺よりでかい身体にのしかかられてはなんの効果もない。

(´<_` )「これ、ほしいか?」

目の前でちらつかせながら言う。嫌味にしか聞こえない。
渾身の力を込めて睨んだまま頷く。涙目でされても可愛いだけなんだが、と呟かれた気がする。
こいつの目に俺はどう見えているんだ。同じ顔だろ。

336名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:11:36 ID:z7iKVcEg0

(´<_` )「なら認めろ。俺が番だって」

そしたら飲ませてやる、だなんて。もう未来が見えている。
絶対に嫌だ。息が混じってうまく言えなかったが、通じたらしい。
一瞬傷ついた顔をする。が、すぐに高圧的なアルファらしい顔に変わる。

(´<_` )「なんで?」

ぷつ、ぷつとボタンが外されていく。不健康な白い肌が外気にさらされて震える。
浮き出た鎖骨に噛みつかれて声が漏れそうになるのをなんとか飲み込む。
それが気に食わないとでもいうように熱い舌が骨をゆっくりとなぞっていく。
いつの間にか解放されていた手を噛んで声を漏らさないようにするのに精いっぱいだというのに、

(´<_` )「辛いだろ、これ」

いつベルト外したんだよおい、そんな手癖の悪い子に育てた覚えはないぞ。
軽口を叩く余裕なんてなく下着越しの熱の中心に弟者は容赦なく触れて、
抗えない快感が背筋を駆け上がって脳にまで到達する。
眦から涙がこぼれたのがわかった。あれだけ泣いたのにまだ枯れてなかったのか。

嫌だ、いやだ。
もう譫言に近いそれを繰り返す。絶対に嫌だ、お前にだけは。
見られたくなかったんだ、見られたくないんだこんな俺は。一度意識してしまえば止まらない。
さっき泣いたのなんて嘘のようにぼろぼろとまた零れだす。鼻の奥がツンとして痛い。

337名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:12:35 ID:z7iKVcEg0

( <_  )「……なんで、」

そんなに嫌なんだよ。
その今にも泣きだしそうな声と、抱きしめられる力の予想外の優しさにびっくりして涙が止まる。
縋られている、と錯覚しそうだ。それでも目の前で泣きそうな弟を放っておくことはできなかった。
意外にも柔らかい髪を撫でるとぎゅうと抱きしめる力が強くなる。

( <_  )「兄者はなんもおもわねぇの、わかるだろ、なぁ」

わかるから、思うからこそ逃げたんじゃないか。
お前がいずれ諦めてくれればいいと、他のオメガと番になってくれればいいと思って。
そうしたのはただ俺のちんけな自尊心を守るためだったのだけれど。
兄弟と隠せない顔だからこそ、絶対にお前の負い目にはなりたくないから。

わかっているのだ、弟者がやろうと思えばそれこそ簡単に俺と番になることはできる。
無理矢理にでも身体を繋げて喉元へついさっきしたように噛みつけばそれで終了で、
それをしないのは弟者がどこまでも優しいからだ。
儀式とも呼べないあまりにも簡単だからこそ、オメガは発情期を抑えようと性を隠そうと必死なのだ。

急所である喉元を晒して噛ませることがオメガの隷属性を示している。
今でこそ虐げられることが表面上なくなってはいるがそれでもオメガへの差別は根深い。
それでもアルファに頼らず生きていこうとするオメガもいる。俺はそいつらが羨ましかった。
どうしようもなく惹かれる相手がいないんだから。

338名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:13:54 ID:z7iKVcEg0

( <_  )「俺はこんなに好きなのに」

ぶわっと体温が上がった気がした。言葉にされるのは大学卒業の時以来の二回目だ。
あの時は俺の仕事が安定したら考えようとかなんとかいってはぐらかしたんだったっけ。
今この状況では誤魔化しようがない。
俺の平たい胸に耳をつけている弟者にはこのばくばく煩い心臓の音が聞こえてしまっているだろうから。

(´<_` )「兄者」

少し笑った目が見つめてくる。ほぼ距離もないお互いの吐息が感じられるくらいの近さで弟者は笑う。
捕食者の笑みだ。それに見つめられると俺は身動きもとれなくなる。
強い視線に焼けてしまう、唇が触れる寸前で、

「好きだ、愛してる」

胸の奥が痛いほど締め付けられた。名前を呼ぼうと口を開いたところに舌が滑り込んできて言葉が飲み込まれる。
ぬるぬると歯列をなぞったり痛いほど俺の舌を吸い上げたりと好き勝手に動くそれが気持ちよくてたまらなくて、
それだけで達してしまいそうになるのでなんとか弟者の胸を叩いてやめさせる。

は、と息を吐く。うまく息を吸えているのだろうか朦朧とする意識でも腰が持ち上げられたのはわかった。
呼吸を整えながら、気付くとやけに下が涼しい気がする。
下というか下半身が。べとついて仕方なかった感触もどこかにいっていた。

339名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:15:08 ID:z7iKVcEg0

(;´_ゝ`)「ってぎゃああああぁあぁああ!?!??」

(´<_` )「うるさいぞ兄者、近所迷惑だ」

(;´_ゝ`)「いやいやいやいやえぇえ? なにしてんのなにしてくれてんの返せ!」

(´<_` )「てか兄者一回イった? やけにべたべたしてたけど」

(;∩_ゝ∩)「ああああああもうやだ! やだぁもう帰れよお前まじで」

(´<_` )「いや今ここでやめろとか無理。俺結構切羽詰ってるし兄者だって今のままじゃ辛いだろ」

(;´_ゝ`)「だから薬……お前あれどこやった!?」

(´<_` )「どっかに投げた」

(;´_ゝ`)「はあああああ!? 俺の生命線を投げただと!?」

(´<_` )「しかしあれだな、ワイシャツ一枚ってえろいな」

(;´_ゝ`)「おっさんみたいな事いってんじゃねえよ! 薬、まじで薬飲まないと」

(´<_` )「諦めろって身体に力入んないくせに」

起き上がった身体は容易くベッドに沈められる。
尻に宛がわれた硬い感触に勝手に身体が強張った。
嫌だ、ともう反射にも似た言葉が口から滑り落ちる。

340名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:16:15 ID:z7iKVcEg0

白状するが俺は童貞処女だ。発情期は薬でしのいできたし周りなんて見ている余裕がなかった。
正直自分がどうなるのかが怖くて仕方がない。もっと言うとそれが原因で嫌われたくないのだ。
理性のタガが吹っ飛ぶのが恐ろしい、何を言うのか何をするのかがわからないのが怖い。
なら一度他のアルファと試してみればいいんじゃ、と考えないでもなかったがそれも嫌だ。
弟者じゃないと嫌なのだ。でも嫌われるのも嫌だ。結果、逃げることになったわけだけども。

(´<_` )「……父者からいろいろオメガのこと教えてもらった」

唐突な報告に目を丸くする。
何の話だ、いきなり。

(´<_` )「発情期とかまぁ、研究の内容もそうだけど」

(´<_` )「兄者が何を気にしてるかってのを」

顔が熱を持つ。
一回だけ酒を飲みながら話したことがあったのだ。
冗談にしたつもりだったのに覚えてたのか、父者べろべろに酔ってたのに。

(´<_` )「俺は気にしないってかむしろ見てみたいんだけど」

(´<_` )「だってさ、」

俺の前だけだって思うとすげぇ興奮する。
こいつの声媚薬かなんかか、って思ったけれど俺が発情期なだけだった。
声も身じろぎした時のシーツの微かな動きも何もかもが俺を追いつめる要因でしかない。

341名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:17:29 ID:z7iKVcEg0

ぐらぐらする。もうなんでもいいからぐちゃぐちゃにされてしまいたい、もうどうでもいいと悪魔が言い、
もうすこし頑張れ、まだ頑張れるってと天使ちゃんが応援してくれる。
だいぶ悪魔が優勢の模様だけど。がんばれ天使ちゃん、もうちょっとだけ。

(;´_ゝ`)「本当に気にしない? 幻滅とかしない?」

(´<_` )「幻滅するほど幻想もってないしな」

(;´_ゝ`)「おわってからやっぱ無理とか言ったらお前殺して俺も死ぬよ?」

(´<_` )「熱烈な告白と受け取るがよろしいか」

(;´_ゝ`)「ばか、好きだよもう大好きでどうしようもないわ愛しちゃってんだよこっちは」

(´<_`;)「え、唐突に煽るのやめてくれる本当に必死で押しとどめてんだから」

さよなら天使ちゃんもう十分頑張ったよ俺ゴールしてもいいよね。
これが理性の残った最後の言葉になるだろう。こっから先はもう知らんどうにでもなれ。

( ´_ゝ`)「だからもういいって、俺のこと弟者のものにしてよ」

ぐ、押し広げられたと思った瞬間に一気に奥まで貫かれて痛みと快感でおかしくなりそうだ。
どちらも逃がそうとして首を振るが顔を押さえられて喉に鋭い痛みが走った。
ああ、番になった。それを理解して俺は笑った。弟者も笑っていた。
これまでにない多幸感、世界一幸せだと堂々と言える瞬間だった。

342名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:18:48 ID:z7iKVcEg0

そこからはもう記憶がない。ないということにしておいてくれ思い出したくないし、
思い出すと穴に埋まりたくなる。実際ベッドでシーツにくるまっているのだけれど。
腰は重いし喉はがらがら、全体的に身体が怠い。あと唐突に昨日の夜を思い出して精神ダメージ。
体調不良で会社を休んでしまった。完全に風邪だと思われたし心配された。流石に違うんですとは言えなかった。

(´<_` )「おーい、大丈夫か?」

これが大丈夫に見えるなら眼科に行った方がいい。
恨みを込めて見上げても弟者は幸せでたまらないというオーラを隠そうともしない。
……なんとなく腹が立つので足を蹴ってみたがまったく効かなかった。逆に俺の足がダメージを受けた。かてぇ。

(´<_` )「声出してみ」

( ´_ゝ`)「あ゛ー」

(´<_` )「がっらがらだな」

ええいにやにやするんじゃない。弟者が持ってきた水を飲んで、もう一度声を出す。
……多少マシになったか? 明日が日曜でよかった、予期せぬ二連休になったけれど、有給を犠牲にしただけだ。
さらさらとしたシーツにまた寝転がる。気づいたら予備のシーツになってるし俺の身体もさっぱりしていた。
もう考えたくない。何があったかなんて予想できてしまうけれど考えたくない。

343名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:20:47 ID:z7iKVcEg0

( ´_ゝ`)「……何にやついてる」

(´<_` )「いや、幸せを噛みしめてる」

( ´_ゝ`)「……そうかい」

(´<_` )「うん」

小さい花が飛んでるのが見えるぞ、弟者よ。
口には出さないで心で呟く。幸せを噛みしめているのは俺も同じで、
きっと第三者から見たらこの空間がお花畑もかくもやといわんばかりの花と甘い空気が漂っているに違いない。

(´<_` )「なぁ」

( ´_ゝ`)「ん?」

(´<_` )「キスしていい?」

軽い溜息を吐く。昨晩散々しただろうという意味ではなく、
双子の以心伝心はここまで通じているのかと感心したからだが、少しだけ逡巡するふりをする。
昨日好き勝手されたささやかな復讐だ。それでも弟者は了解されることしか信じておらず、俺もそうするのがまぁ、なんというか。

( ´_ゝ`)「……お好きなように?」

よくもまぁ遠回りしたなぁと思うのだ。
どうあっても俺は逃げ切れなかったし、もし弟者が追わなくてもいずれは俺から縋っていたのだろうから。

344名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:21:34 ID:z7iKVcEg0

ミセ*゚ー゚)リ「言っていい?」

(゚、゚トソン「どうぞ」

ミセ*゚д゚)リ「またオトアニか」

(゚、゚トソン「もう本命すぎてなんか駄目です私駄目人間」

ミセ*゚ー゚)リ「それは知ってるけどね」

(゚、゚トソン「なんでこんなに好きなんでしょう? 近親萌えなんでしょうか」

ミセ*゚ー゚)リ「うわぁ……文字にするとやばいな」

(゚、゚トソン「声にしてもやばいですけどね。
     でも姉弟とか兄妹とかは別に萌えないから兄弟限定みたいです、姉妹も別に」

ミセ*゚ー゚)リ「本当になんかもう駄目だな」

(゚、゚トソン「いや、近所のお兄さんと女の子とかお姉さんと少年とかなら非常にぐっとくるんですけど」

ミセ*゚ー゚)リ「フォローになってない」

345名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:22:29 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「毎回オトアニ書くと思うんですけど」

ミセ*゚ー゚)リ「うん」

(゚、゚トソン「私の趣味がですぎてて辛い」

ミセ*゚ー゚)リ「そりゃあんた自分で書いてんだからさぁ」

(゚、゚トソン「基本的に逃げて追ってってのが好きなんですねって自覚するから辛い」

(゚、゚トソン「一回逆パターン書いてみようかな、弟者が逃げて兄者が追うパターン」

ミセ*゚ー゚)リ「おー」

(゚、゚トソン「と、思ったんですがネタが思いつかないんでボツ」

ミセ*゚ー゚)リ「一瞬の夢だったな」

(゚、゚トソン「少女マンガ脳なのでやっぱ女役が逃げてなんぼっていうか」

ミセ*゚ー゚)リ「自己肯定すんのやめよ、ネタがワンパターンですみませんって言おう」

(゚、゚トソン「本当に申し訳もございません」

346名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:23:36 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「余談なんですが私のノートパソコンちゃん、壊れたのか機嫌が悪いのか
     十字キーが反応してくれません」

ミセ*゚ー゚)リ「不都合があんの?」

(゚、゚トソン「ありまくりです。まず書くときの台詞、「」を一気に打ってから一個戻って中を埋めるようにしてたのに
     できないからなんか調子狂うし一気に打ちこんだ時の予測変換が間違ってても直せません」

(゚、゚トソン「本当に困った。やっぱり仰向けで使ってたりしてたのがいけないんでしょうか」

ミセ*゚ー゚)リ「それが原因の接触不良じゃねぇのか」

(゚、゚トソン「色々調べて試しても駄目、再起動しても駄目だし買い替え時ですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「三年しか使ってないけど」

(゚、゚トソン「パソコンの買い替え時って本当にわからないです。
     ノートパソコンでもキーボード接続ってできるんですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「聞いたことないなぁ」

(゚、゚トソン「まぁ書けないわけじゃないからなんとかなってますけど不便ですね」

ミセ*゚ー゚)リ「今度からは大事にパソコン使おうな」

347名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:24:29 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「そうだ、樹海にいこう」

ミセ*゚ー゚)リ「どったの」

(゚、゚トソン「というよりも照れくさすぎて穴に埋まりたいです」

ミセ*゚ー゚)リ「あんた今更」

(゚、゚トソン「違うんですよなんか好きとか言葉にだすと違うんですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「乙女か」

(゚、゚トソン「もう照れるこっちが」

ミセ*゚ー゚)リ「誰目線だよ」

(゚、゚トソン「神目線です」

ミセ*゚ー゚)リ「神様がこんなもんごときで照れてるんじゃないよ」

(゚、゚トソン「もう……照れる辛い生きてるって楽しい」

ミセ*゚ー゚)リ「ごちゃごちゃになってんぞ」

(゚、゚トソン「告白が一番楽しいんですけど一番照れるジレンマなんとかしたいです。
     恥ずかしいーってなるから全然進まないし何回見ても照れる。でも楽しい」

(゚、゚トソン「端的にいうときゃーってなる」

(゚、゚トソン「実際に書いていただければわかるんじゃないですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「感情移入しすぎなだけでは」

ミセ*゚ー゚)リ「てかどっちなの?言われたいの言いたいの?」

(゚、゚トソン「どっちもですけど言いたいがちょい多めですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「はぁ」

(゚、゚トソン「こんなセリフが似合う人になりたいですよ、ええ」

ミセ*゚ー゚)リ「無理そうだなぁ」

348名も無きAAのようです:2014/09/23(火) 04:25:25 ID:z7iKVcEg0

(゚、゚トソン「とうとう十八禁を書いてしまった……」

ミセ*゚ー゚)リ「やっとって気もするけど」

(゚、゚トソン「大人の階段上った感じです」

ミセ*゚ー゚)リ「シンデレラでもなんでもないけど」

(゚、゚トソン「あ、高校生は冬休みのほうでいつか書くので気長にお待ちを」

ミセ*゚ー゚)リ「今年の冬とはいわないのね」

(゚、゚トソン「いつかね、いつか」

(゚、゚トソン「私のスレは私の睡眠時間を代償に成り立っているので」

(゚、゚トソン「元気があったら投下します」

ミセ*゚ー゚)リ「書くのも投下するのも睡眠を犠牲にしているのか」

(゚、゚トソン「書き始めたら終わりどころがわからなくて徹夜とかあるので」

(゚、゚トソン「投下時間で察していただけると、えぇ」

ミセ*゚ー゚)リ「生命削ってるのか」

(゚、゚トソン「私の魂と引き換えにまたお会いしましょう」

ミセ*゚ー゚)リ「生きねば」

349名も無きAAのようです:2014/09/30(火) 19:34:41 ID:23lByCgY0

オメガバース、設定がややこしくて避けてたけど面白かった

350名も無きAAのようです:2014/09/30(火) 22:37:22 ID:KnsmzAGM0
350げと

351名も無きAAのようです:2014/09/30(火) 22:43:27 ID:2OQtU8Kk0
350getオメ

352名も無きAAのようです:2014/10/01(水) 00:07:26 ID:QAu.idNc0
乙乙

353名も無きAAのようです:2014/10/01(水) 10:13:26 ID:Kga0ecGo0
なんでこのスレ早く見つけなかったんだ!!
ミルジョル好きです
フサたんかわいいです
G-men系が大好きです

354名も無きAAのようです:2014/10/01(水) 14:30:32 ID:R1NJ5wFk0

オメガバース設定の流石兄弟とは驚いたけどなかなか面白かった

355名も無きAAのようです:2014/10/06(月) 01:01:59 ID:MJEyg72c0
乙、更新してたんだな
オメガバースって単語だけ知ってたがこういうのだったのか

356名も無きAAのようです:2016/06/28(火) 23:03:01 ID:wSgTLLAo0
もう2年か


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