一方、フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相も先週、ワグネルの傭兵がイスラム過激派との戦いを口実にマリ暫定政権を「支援」していると非難。「ロシア軍の退役兵で、ロシア製の武器を持ち、ロシア機で移送されてくる傭兵について、ロシア当局が知らないとしたら驚くべきことだ」と述べていた。
はじめに
2021年7月2日、プーチン(Vladimir V. Putin)大統領は、新たな「国家安全保障戦略」を承認した。新たな国家安全保障戦略は、ウクライナ危機によってすでに関係が悪化している欧米諸国との対決姿勢を重ねて強調し、国益を守るための軍事力や経済・情報安全保障の重要性を前面に出すとともに、ロシアの伝統的価値観や愛国心を、異質な外部の影響から擁護していく方針を明確にした1。2020年7月に施行された改正憲法で大統領任期がリセットされ、プーチン続投の可能性が確保されたことで、欧米諸国との対決姿勢と、ロシア独自の価値に基づく国内秩序の維持とを両輪とするロシアの国家戦略は、2036年まで持続することも見込まれる状況となっている。対外関係の悪化と長期政権化が同時に進行する中で、ロシア軍の役割や、政治と軍、社会と軍の関係性にはいかなる変化が生じているであろうか。
「T-90M」の上をいく「T-14アルマータ」は配備されるのか?
The Driveによると、ロシアの「T-90シリーズ」最新作である「T-90M」は、ロシアの前線兵器で技術的に最も進んだ戦闘車両だ。1990年代初頭に最初に導入された、T-90ラインの戦車のアップデートモデルで、強力なエンジン、距離計付きパノラマサイト、赤外線内部映像チャンネル、火器管制システムを装備している。
戦車は、ロシアの愛国的な行進曲「Farewell of the Slav(スラブ娘の別れ)」(1912年の第一次バルカン戦争で、夫に同行したスラブ人女性たちのために作曲されたもの)が流れるなか、列車に積まれ、前線へ送られた。RIAノーボスチいわく、戦車は「厳粛な式典」のなかで、ドミトリー・ドンスコイ教会のジョン・ブラギン司祭の祝福を受けた。